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1961-02-14 第38回国会 参議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月十四日(火曜日)    午前十時二十九分開会   ——————————   委員の異動 本日委員清澤俊英君辞任につき、その 補欠として武内五郎君を議長において 指名した。   ——————————  出席者は左の通り。    委員長     稲浦 鹿藏君    理事            田中 清一君            松野 孝一君            武藤 常介君            内村 清次君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            小山邦太郎君            村松 久義君            木下 友敬君            田中  一君            武内 五郎君            藤田  進君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    首都圏整備委員    会事務局長   樺山 俊夫君    首都圏整備委員    会事務局計画第    一部長     水野  岑君    北海道開発庁総    務監理官    木村 三男君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設大臣官房会    計課長     三橋 信一君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 高野  務君    建設省住宅局長 稗田  治君    建設省営繕局長 桜井 良雄君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (昭和三十六年度建設省関係予算並  びに建設行政基本方針に関する  件)   ——————————
  2. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  昭和三十六年度建設省関係予算並びに建設行政基本方針について調査を行ないます。  前回までに説明を聴取いたしておりますので、本日は、これから質疑を行ないたいと思います。質疑は、特に局、部に分けませんで、全般的に一括して行ないたいと思います。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 内村清次

    内村清次君 大臣に質問いたします。  先般の委員会昭和三十六年度建設省関係予算概要説明大臣から聞き、この三十六年度建設省予算が二千六百五十四億百余万円、前年度に対しましては三百六十八億八千七百余万円の増加である。それからまた、追加分を加えて、当初計画といたしての前年度予算が二千百十億七千万円、これに比べて本年度は五百四十三億三千二百万円だ、こういう御説明がありました。  これを予算書で見てみますると、三十六年度予算説明の中におきましては、この予算書の一番大きな、目立った特色の一つとしてみますると、公共投資の額が非常に大幅にふえておるということであります。予算規模の約二割に近いところの三千五百七十八億円、三十五年度は三千百八十七億円、財政投融資計画から公共事業に回される二千二百三十三億円を加えると、五千億をはるかにこえるところの——五千八百億をこえるところの巨額が今回の池田内閣の三本の柱の中で特に目立って大きな役割を示しておるのです。  そこで、この道路治山治水、こういうような事業は、通常の企業的な、採算に乗らないところの事業国家財政というものが配賦せられるものでありますからして、これはどうしても大別して二つの基本的な考え方から出発していかなければならないと私たちは考えておるのです。その一つは、まず社会生活の向上から、ひいては経済の繁栄をはかる、いわゆる産業基盤発展向上させるという国民生活ということと、それからさらに国民生活を安定して発展させるということ、これが一つ基本になっていかなくてはならないと私は思っておる。次に、もう一つ国民の血の出るような税金というものがこれに充当せられておる以上は、さきの第一の目的を達するために、最も有効で能率的な事業計画が遂行されていかなくちゃならない。むだのないところの周密な計画の下に、経済国民生活と結びついた順序の正しい最大の効果を上げるような工事施行がなされていかなければならないと私たちは考えておるのです。  私は、今回の予算をみまして、中村建設大臣が、この三つの柱の中に乗って、そうしてしかもその中で、一番大きな柱にあなたが乗っておられる関係で、非常に一面から申しますると、代々の大臣のうちでも、あなたは幸運な大臣であるとこう思うのです。が、しかし、一面から考えますと、私たち国民に対しましては、相当な責任がありはしないか。だからして、この責任を、どうやって今後あなたが指導監督をし、そうして遂行せられるあなたのお覚悟があるか、この点につきまして、まず私は第一にお尋ねをしておきたいと思うのです。
  4. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘通り池田内閣としての政策の三本の柱の公共事業関係の最も大部分を担当することになりまして、責任の非常に重大なることを痛感している次第でございます。  そこで、三十六年度予算は、従来に比しまして非常に大幅に増強されたわけでございますが、いろいろ国土高度利用という角度から考えますと、まだまだこれでは十分でない点が非常に多いわけでございますが、しかし、大事な国費を、とにかく財政事情に勘案いたしまして、この程度の織り込みができました以上は、これを最も有効適切に執行していかなければならない責任を感じておるわけでございます。  そこで、道路にいたしましても、できるだけ地域格差の是正ということにも役立たなければなりませんし、また国土発展産業発展ということ——国土利用産業発展に意を用いていかなければならないことも当然でございまして、かような角度に立って、一つ極力やって参りたいと思います。  ただ、産業立地条件あるいは分布状態というものにつきましては、新しい角度から、これから調査をし、検討を加えて参りますわけでございますから、それらの成果を上げるに伴いまして、また将来、逐次それに即応した施策を進めなければならぬと思うのです。  さしあたりといたしましては、とにかく国道網というものが全国にめぐらされておりまして、主要地点は、この国道によって結び合っております。また主要地方道によって、主要な地点を結び合っておりますので、これらの幹線について、できるだけ早く整備をいたしまして、産業立地条件がきまって地方開発が行なわれますに伴って、これにさらに即応したまた部分的な考え方を織り込んでいかなければならない、かように考えておるようなわけでございます。  ことにまた、治水治山等につきましても、日本は災害国であります。災害の多い点等にかんがみまして、できるだけ災害を未然に防止できるような方向に全力を尽してやって参りたい、かように考えておる次第でございます。  なお、国土高度利用という点から考えまして、水資源開発ということは非常に重要なわけでございますから、私も深い関心を持っておるのでございますが、これは通産省の工業用水、厚生省の上水道、いろいろな面に関連がございますので、関係各省とも協議をいたしまして、できるだけすみやかに、われわれの理想の達成できるように進んでいきたいというように考えております。
  5. 内村清次

    内村清次君 先般、建設大臣大蔵省と本年度予算につきまして折衝中に、私たちは、この大蔵省立場から非常に重要な意見発表というものを見たわけです。もちろんこれは、大蔵省の中にある補助金制度研究懇談会意見発表であったわけですが、この意見発表は、これは従来の建設省予算の使途についてのあり方、これが中心になっておるようであります。で、この点は建設大臣といたしまして、十分この意見検討されたと私は思っておるのですが、この意見に対して十分、どういうふうな対策、どういうふうな反省をせられたのか、その点について、一つ意見を承わっておきたいと思うのです。
  6. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) いろいろな問題について、大蔵省はやっぱり大蔵省立場で、予算編成過程において意見があったわけでございますが、主としてどの点を御指摘されておりますのか、どうも、はっきり私にも把握できませんので……。
  7. 内村清次

    内村清次君 この補助金制度研究懇談会という制度ができておる、大蔵省の中にね。これ御存じですか、どうですか。
  8. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいまの補助金制度につきましては、大蔵省でいろいろ検討しまして、大蔵省一方的に発表されましたようですが、建設省に対しては、具体的には意見の提示はありませんので、もしあれば、こちらとしては正式に建設省として検討いたしまして意見を申し述べるべきであったかもしれませんが、実は、そういうような事情でございますので、われわれの方から大蔵省に対しては、特別の意見の申し入れをいたしておらないのでございます。
  9. 内村清次

    内村清次君 この発表のいきさつは、私たちもうすうすは知っております。が、しかしこうやって国民に対して、このような機関から大々的に発表してありますから、これは非常に国民としては関心のある問題ばかりです。で、しかも今日までの建設省予算関係の効果的な配分の計画や、あるいはまた工事施行に対しまして、非常に国民として納得のできないような事態が書いてありまするからして、これは当然反省材料として、建設省ではやっぱり突っ込んでこの問題に対しては、国民に対して、今後こういうことのないようにというような慎重な態度が必要だろうと思うのですが、まだこの点に関しては、大臣一つも、新聞も読んでおられませんか。どうですか、それでは。
  10. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) いつの新聞でしたか、私ども就任早々のころじゃなかったかと思うのですが、よく記憶がないのですけれども、ただ問題は、補助事業の実施につきましては、御承知の通り直轄事業よりも会計検査院等指摘事項も多い状態でありますし、建設省としては、従来も十分その点を注意して、関係府県にも、その旨を厳達いたしまして、注意をいたしておるようなわけでございますが、私といたしましては、直轄事業につきましてはもちろんのこと、十分工事施行上遺憾のないように注意を今後とも喚起して参りたいと思いますと同時に、補助事業につきましても、会計検査院等から指摘されるような事柄をなくしていきたい。そのためには主として県の方に対して督励をすることになりましょうが、十分注意していきたい、こう思っております。
  11. 内村清次

    内村清次君 やっぱり大臣は、新聞は読んでおられないような感じがする。ただ、私が最初、こういうようなことは知っておられるかという題目だけで大臣は、常識的な判断から言っておられるようですけれども、その補助金制度研究懇談会発表というものは、ただ補助金がつけてあるところの仕事やその他の問題ばかりではないのですよ。やはりこれは直轄関係にも、総体的な建設省予算に対する実際今日までのやられた工事施行に対しての大きな批判がなされておるわけです。これは国民としては全然知らなかったことを、特にこうやって専門委員人たち発表によって、痛切に国民としては疑惑を持ったわけですから、これに対しては、やっぱり相当大臣といたしましても、特にまた係の局長といたしましても、十分この問題については深く糾明して、そうして反省態度というものがなされていかなければならない。そうでないと、先ほど冒頭に言いましたように、三本の柱の一番大きな公共事業というものに対して非常な疑惑が、今後の施行に対する国民の目というものが光っております関係で、この点はやっぱり第一番目に、大臣としては、はっきりとした御態度をおとりになって、そうして予算折衝をし、一つ新たな覚悟で、はっきりと新しい国土を作っていくということがなされないといけないと、私たちは考えておるのですがね。
  12. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいま実は、お示しの補助金調査委員の方々の意見の記事を拝見しましたが、非常にもっともな点が多いように思います。十分一つ今後こういう点につきましては、所管大臣として注意をしてやって参りたいと思っております。
  13. 内村清次

    内村清次君 この点は、まず建設省としては、十分これに対するところの御対策をとってもらいたいということを強く要望いたします。  さらに大蔵省の方から話を聞きますと、これはまだ結論が出ていないのだ、こういうようなことも言っておるようですけれども、たとい結論が出ておらないにしても、一部が、こうやって国民の前に明らかになっております以上は、早急にやはり結論をつけて、そうして、国民疑惑を残さないような勧告をするなり、あるいは関係各省と十分打ち合わせをする、そうして今後の予算折衝に当たっては、公明正大に、順序を正しく、計画を周密にしてやるというような態度を、もし大蔵省の人が、ここにきておりますれば、十分一つ大蔵省側にも、これは伝えてもらいたいと思う。もし大蔵省の人がきておりませんならば、一つ、これは大臣の方からでも、十分話をしていただきたいと私は強く要望いたしておきます。  次に、先ほども申しましたように、この建設省関係予算が、前年度比五百四十三億円、約二六%の増加になっておりまするが、地方負担分増しというものは、一体どのくらいになっておるか、その点を一つお伺いしておきたい。
  14. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大体、地方負担分につきまして申し上げますと、一般会計関係直轄事業について約三億、それから補助事業につきまして百九十五億、道路関係につきまして直轄事業で百二十四億、補助事業で四百億、治水関係直轄事業について九十六億、補助事業について百三十六億、住宅関係で百五億、合計いたしまして直轄事業関係で二百二十三億、補助事業関係で八百三十六億、合計千五十九億ほどに相なります。前年度に比較いたしまして、大体地方負担が二百十一億ほど増加する予定でございます。
  15. 内村清次

    内村清次君 この地方負担分増加につきましては、私は具体的にあとの道路関係におきまして説明を聞きたいと思いますけれども、一体、こうやった千五十九億というような大きな地方負担分というのが出てきまして、二百十一億の増加がなされてきておるわけですが、この増加分に対しまして、地方財政といたしまして、相当財政整備に対しましては、従来地方の方でも困窮をしておりました関係で、この負担増しということにつきましても、相当な配慮がなされなくちゃならぬと私は考えておりまするが、この点は、自治省関係とは十分な打ち合わせができておるのかどうかですね。
  16. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この点につきましては、私就任以来、予算編成過程におきましても非常に関心を持ちまして、常に道路予算規模等をきめる際にも、事務当局から、自治省当局には十分連絡をさせまして、そうして地方単独分ワクをきめるにいたしましても、自治省話し合いの上でなければ結論を出さないように実は取り運んできたようなわけでございまして、十分留意をして参ったつもりでございます。  なお、この地方負担分の増の中には、ガソリン税増徴によります増も、三十六年度は約四百億以上予定いたしておりますので、従来に比較いたしまして、地方負担分がさほど実質的にはふえないようになっておるかと、かように考えております。
  17. 内村清次

    内村清次君 この問題は、おそらく当院の地方行政委員会でも相当検討がなされるだろうと私は思うのです。  ただ、私が先ほど申しましたように、地方負担分増加ということにつきましては、やはり毎年問題が起きておりますし、しかもまた今後建設省として、たとえば道路の問題にいたしましても、治水の問題にいたしましても、事業施行する上について、進捗率が非常によくないというような障害が起きるような原因にもなるわけですから、この点は大臣として確固たる、大丈夫だと、十分話し合いはついておるんだというような御態度があるといたしますると、私たちは話を先に進めてよろしいと思いますが、その決心はございますか、どうですか。
  18. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) その考え方で進めて参りたいと思います。先般の道路二兆一千億、五カ年の内容をきめます際にも、大蔵省は、当初から地方単独分三千五百億という案を作りまして、閣議大蔵省案として出されたのでありますが、私は、これは自治省と十分にわれわれの方で連絡をとった上でなければ、確信を持てないから、当日これを議題にして協議をすることは困るということを申しまして、当日の資料は、参考資料として配付する程度にしようということで、その後、十分自治省の方と連絡をいたしまして、ガソリン税収入関係や、地方財政関係検討してもらいまして、自治省の方でも、この程度ならばよかろうということに相なったということで、その後、後日に至りまして、そのワク閣議できめましたような次第で、私としては、今後とも十分その点については留意をいたしまして、慎重にやっていきたいと思います。
  19. 内村清次

    内村清次君 そこで、一例をあげてみますと、新道路五カ年整備計画が、まず建設省の当初の要求というものは二兆三千億円であった。ところが大蔵省の方では一兆八千億、それが最後に、ここにありますように、二兆一千億ですか、これで妥結した。このときに、内容区分といたしまして、地方単独事業というものが、当初の計画では、建設省が二千八百億を組んでいる。ところが大蔵省の方では、それを、額は少なくして、その上に、地方の方は三千五百億、今回の妥結事項は三千五百億、こうやった単独事業の額が決定されているわけですね。  こうやってみますると、私は建設省といたしましての当初計画が、二千八百億から、逆に三千五百億円に増大しているのだからして、これは、はたして地方として単独事業というものができるかどうかというようなことを非常に懸念いたしておるものでございますが、この点は、どうですか。
  20. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは実を申しますと、大蔵省査定案一兆八千億のときにも、大蔵省は、地方単独三千五百億という意向を示してきたのであります。一兆八千億に対して地方単独三千五百億は、非常に幅が広過ぎますので、われわれはこの点についても、強く実は反対意見を主張いたしたわけでございます。その後総ワクが二兆一千億ということになって参りましたから、前の一兆八千億でさえも、地方負担分を、国費関係とのにらみ合いで三千五百億に内示してきた大蔵省考え方からすれば、こちらがよほど出方を考えないというと、二兆一千億になれば、もっと地方単独の方へしわ寄せをして、大蔵省はくるのではないだろうかということも、われわれとしては心配されましたので、いろいろな角度から考えまして、二兆一千億の場合においても、せいぜい地方単独は二千八百億ぐらいに押えるべきだという主張を、実は当初いたしたのでございます。かたがた自治省との間にも事務的に折衝いたしまして、最終的にどの程度がよかろうかというような運びをきめつつ折衝をして参りまして、先刻も申し上げましたように、大蔵省から内訳の概略を閣議に持ち出したときには、まだ自治省との話し合いが完了しておりませんでしたので、私ども実は反対をいたしまして、そのときの閣議に持ち込まなかったわけでございまして、いろいろな経過はございますが、最終的には二兆一千の総額の場合におきましては三千五百億ぐらいはいたし方ない、またこれで自治省の方と話し合った結果、消化可能であるという目安のもとに、最終的な決定をいたしましたようなわけでございます。
  21. 内村清次

    内村清次君 大蔵省との予算の取り合いの際におきまして、この内容の点についての経緯は、大臣の今言われた通りでありましょうけれども、私たちが見る目におきますると、どうも今回の予算折衝にあたって、地方単独事業の経費の額のすりかえと申しますか、これが簡単にきまったような形が残っておるのです。と同時に、私たちは、どうもこれでは地方単独事業というものが、手がつけられないではないかというような心配が、また残っておるわけです。  これはどういうことかと申しますると、先ほど大臣から言われましたように、地方負担純増というものが約四百億もあるのですね。これは、先ほどの御答弁にもはっきりいたしております。それにかかわらず、大体建設省関係一般道路につきましては、その財源は、ガソリン税で九五・六%まかなっていくというような計画ですからして、建設省道路計画につきましては、これは問題ないでしょう。ただその方法、順序という問題が問題として残ってきますけれども、しかし地方の分につきましては、ほとんど純増になるべきところの財源要素というものが、四百億の増加のためにないじゃないか。そうしてくれば、三千五百億というような単独事業予定というものが、はたしてどこから財源がひねり出されてくるかということは、これは世論全般が、とても単独事業はできないぞというような観点に集中されておるのですよ。大臣はどうですか、その点。
  22. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大体、この地方負担についての傾向を見まするというと、昭和三十年が二百二十五億円、地方単独事業の全額がですね。だんだんと三十一年、三十二年、三十三年と増加して参りまして、三十五年が六百二億ほどに相なっております。これはやはり、地方税収入国税収入の増に従いましてふえてきておって、これで消化してこられておるわけでございますが、特に今年度といたしましては、ただいまお話の二兆一千億の場合の三千五百億の地方単独と、こういう分から見まするというと、大体地方道路税軽油引取税——このガソリン関係増徴分が、地方道路税で二百十億円ほど、軽油引取税で二百九十九億円ほど、合計いたしまして増税分が五百九億ほどになります。かような関係で、税収入自然増とこれらのガソリン税関係増徴分とで消化できょうという大体見通しを立てまして、さような上に立って、この結論を得たような次第であります。
  23. 内村清次

    内村清次君 その問題はですね、私としては、まだ将来に残ってくる問題だと思うのです。で、私は必ずこの問題は、地方からも意見も相当出てくる問題だし、あなた方の方でも、予算の執行上問題が残る問題だと私は思っておりますから、まあこうやった影響を、十分少なくするような方策を講じていただきたいという要望だけを残しておきます。これはとことんまで突きつめなくても、まだ計画上の問題ですから、私は十分心配であるという点をここに付言しておきたいと思います。  そこで、実はこの負担金納付の特例に関する法律が廃止されておりますね、これは。そこで、前年度は、特別会計に属する直轄事業地方負担分について交付公債制度を廃止しておりますが、本年度からは一般会計分についても、同様の措置をとっておるのですね。こうやった影響というものが相当あると思いますが、その点につきまして、大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  24. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この点は、御指摘のように制度が変わりまして、地方負担分現金納付ということになりましたが、大体財政的に困難と見られる府県に対しましては直轄事業債を認めることになりまして、この直轄事業債が百六、七十億円を予定いたしておりまするので、まあこれで、大体その財政状態の悪い府県の運び方はつけていこうと、こういう次第でございます。
  25. 内村清次

    内村清次君 そこで、まあ今回の道路予算につきまして、一つたちが非常に心配いたしておりますることは、道路整備費拡大というものが非常に大きくなっておりますが、この拡大内容を見てみまして、単価という問題につきまして、こういう単価というものが引き上げられておらないのですね。これで一体、予定計画というものが遂行せられていくかどうかという点の心配ですね。これはどうして、その単価の引き上げというものが認められなかったかですね。その点につきましては、どうですか。
  26. 高野務

    政府委員高野務君) 三十六年度からの新しい五カ年計画あるいは三十六年度事業につきましては、材料費等単価につきましては、引き上げを行なっておりません。労力費につきましては、それぞれ単価が上がるであろうと予想いたしまして、そういう見積りをいたしました。また、用地費にいたしましても、あるいは用地補償、物件補償費につきましては、それぞれの個所に想定いたしまして、上げるべきものは上げるという考え方をとっておるわけでございます。
  27. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、たとえば今一番問題になっておりますのは、これだけの膨大な道路建設にあたりまして、労務者の問題も、相当これは給金も上がらなくちゃならない。あるいはまた機械の増設という問題も考えなくちゃならない。さらにまた技能担当者ですね、こういった養成過程から、その労務者の増大というものも考えなくちゃならない。こうやってきますと、単価は前年度同様である、しかもまたこれを消化するところの、大企業関係の土建業者の方では、あるいはこれを消化するかもしれないけれども、中小土建業者という問題は、もうこの問題でつき当たってしまう。だからして、これは道路一つの問題をとりましても、どうも土建予算ではないかというような非難が出ておるのですね。それをやはり中小土建業者にも、今後の育成という問題もありましょうからして、そういった点を勘案して、一体大臣は、どういうふうな予算の消化、あるいは単価はそのままでよろしいかどうかという、確固たる御信念はどうでございますか。
  28. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大体、御承知の通り材料関係はセメント、鉄等にいたしましても、値上がりを見ておりませんので、問題は労務費、用地費でございますが、これにつきましては、一応の手当は、今道路局長から申し上げましたようにされておるわけでございますが、執行上一つ、十分遺憾のないように注意をして参りたいと思います。  なお、この工事業者の点につきましては、今、いろいろ省内におきましても研究をいたしておるのでございますが、私といたしましては、大企業者のみならず中小企業者の人たちも、できるだけこの事業の遂行に協力できるようなことを、一つ十分配慮して参りたいと思っております。
  29. 内村清次

    内村清次君 この道路整備費が三十五年度が九百八十八億が三十六年度は千四百九十八億で、五百十億というような増加を見ておりますね。五二%の増加です。こういった道路整備にあたりまして、今問題になっておりましたところの臨海工業地帯だとか、あるいは低開発地帯、こういった産業立地の条件を十分満たすような整備造成というものが、今後なされていくかどうかというところは、これもまた国民関心を有するところですが、この点は、どういうふうな御計画を持っておられますか。
  30. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この点は、お説の通り十分産業立地条件調査と並行していかなければならぬと思うのでありますが、従って、さしあたりは、主要幹線道路をつとめて整備いたしまして、どこにどういう産業立地条件がきまってこようとも、大体全国を通して主要幹線というものの整備をしなければなりませんから、これを急ぐということと、あわせてそういう立地条件に応じた地方的な部分についての工業施行というものを、今後産業立地条件調査、研究と並行して進めていくようにいたしたいと、このように考えております。
  31. 内村清次

    内村清次君 私はまだ、大臣に質問はたくさん持っておるのですが、まあ一つの問題を申し上げましてから同僚の方々に一応お譲りするとしてまだたくさんありますから……。実は、順序といたしましてお聞きしたいことは、治水計画の問題です。  この問題につきましては、まず基本として大臣にお伺いいたしておきたいことは、従来建設省治山治水予算計画をなさるにつきまして何を根本としてやっておられるか。これは、まあ新大臣として御研究もおやりになったことであろうし、予算折衝もやって、今回は十カ年計画の二年度として三十六年度予算が決定いたしたことでございまするから、十分な御研究がなされておることだと信じますが、この点を一つお伺いいたしておきたいと思います。
  32. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 利水関係もございますが、災害防御ということに日本の国柄として大いに力を添えていかなければならぬことと思いまして、砂防及び河川改修、これには大いに力を入れて参りたいと思うのであります。同時に、海岸関係というものは近年の災害に例を考えましても非常に重要でございますので、海岸堤防の整備ということも並行して進めて参りたい、こう思っております。
  33. 内村清次

    内村清次君 これは、そりや具体的な問題でしょうが、——治山及び治水関係の具体的な問題……。大臣は、何を根本として、その予算計画をお立てになるか、これを、私は聞いておるわけです。
  34. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この点につきましては、私は、まあ就任して間もないことでございますが、建設省当局としましては、全国の河川海岸等につきまして相当の調査を今までも積み重ねて参っております。そこで例の治水に関する長期計画をこれに応用いたしまして、できるだけ急を要するものから着工し、またあるいは完成を期していきたいと、つとめて予算の配賦、執行等につきましては、公正な見地に立って進めていきたいと、かように思います。
  35. 内村清次

    内村清次君 まあそれは大臣の、その予算の執行上の考え方でしょうが、私が申しておりますのは、その御研究なさっておるだろうということも、これは越権ではございましょうけれども、申し上げたことは、従来建設省といたしましては、やはりその予算年度年度に配賦するにいたしましても、一つ基本というものがあるはずです。これはもう、私が申しましょう、というのは、これは二十八災のときに、全国的な大水害のために、建設省は相当広範囲なこの調査資料に基づいて作成したところの基本対策要綱というものが発表されておるわけです。との予算構想に従って、今日まで年次計画というものが、これは何回もやり直し、やり直しというようなところで、今日の治山治水の十カ年計画という問題に到達しておるという経緯があるわけですね。私は、ここを聞きたかったのです。  これに対して、大臣は、どうやって今後の治山治水予算関係を  基本対策要綱に従っての予算の作成というものをなされておるかどうかというところを聞きたかったわけです。どうですか、大臣
  36. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知の三十五年度を初年度とする治水十カ年計画の中の前期五カ年計画、今御指摘のありました二十八災の基本要綱に基づきまして、三十六年度予算編成に当ったわけでございます。  従いまして、考え方としましては、この基本要綱に基づいて進めておる、こういうことになります。
  37. 内村清次

    内村清次君 そこで、従来これは昨年からきまりました治水十カ年計画にいたしましても、今後十カ年間いたしましても、この進捗率というものは、まだ残事業が残るということになっておりますね、そういう過程です。  だから、年々の災害の予測は別にいたしまして、この基本対策要綱に従った治水計画施行しても、まだ残事業は残るという現状である。だからして私たちは筋目を通して、やはり基本対策要綱を土台として、それが延長されて、そうしてその時宜に従った災害その他の防止の新規的の問題も加えて、今後やはり治水対策というものはやっていかないと、全国の国土というものは、十分な国土防衛の問題は成立しないのじゃないか、国土保全はできないのじゃないかという考え方に立って御質問をしておるわけです。  そういった観点から、ずっと考えてみますると、やはり治山治水の一番根源になるところの砂防という問題がおくれておる。このおくれておる砂防に対しまして、今日までの各大臣は、相当力を入れて、この委員会の空気を察して力を入れてもらっておったが、今回の三十六年度予算から、今後残るところの砂防の事業計画、これは十カ年計画に現われておりますところの昨年度予算を見ましても、なお四七%の残事業というものが残っていくような計画になっておるのですね。進捗率が一番おくれておる。これは河川局長も十分認めるだろうと思うのですが、一番進捗率がおくれておる。  そこで、おくれておる原因が、どこにあるかということを私は大臣に質問いたしたい。と申しますのは、まず基本対策要綱によりまして、治山治水との予算の比率というものが、これはおのずからそのときに、はっきりとしておるわけです。というのは、御承知のごとく、砂防の予算関係を見ましても、当時の二十八災のときのこの基本対策要綱に見ましても、砂防を一・六八と見ましたならば、治山の方は、一に相当するところの予算を当時決定されておられる。この数字の比率というものが、大体予算額に現われてきて初めて、治山治水との均衡というものがとれていく。しかもまた治水のうちの砂防というものの予算が、ずっと均衡とれていったのです。たまたま治山の方は、これは農林省の所管である。しかし、砂防の方は、建設省の所管であるその一・六八の比率をもっているところの砂防が、いつも予算額が少ない、毎年々々ですね。これはどこにその原因するものであるか。だから建設大臣としての予算折衝の、農林省に対するところの優劣の差によって、こういった予算が少なくなるのか。あるいはまた建設省の所管内において、砂防というものが非常に低く見られている形が現われているのじゃないか、これが今日までの委員会その他でもって相当問題になった点です。  それが、そのまま今回の予算に現われているんです。だからして大臣は、どういうふうなお考えを持っておられるか、これを一つ明確にしていただきたいと思います。
  38. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 砂防が、もう治山治水の上から非常に重要なことでありますることは、私も重々承知をしているわけでございますが、三十六年度予算編成にあたりまして、砂防予算を十分に確保することが困難であったということは、結果としてやむを得ないところでありますが、大体の伸び率から申しますというと、河川の伸び率が一六・五%、それから砂防が一六・三%でありまして、私ども砂防の重要性からみれば、もっと伸ばしたいうという気持ちはあったんでありますが、大体河川と砂防関係の伸び率が似たようなところで落ち着いてしまったというような次第でございます。  その他のダム関係や何かは非常に伸びが少なかったわけでございますが、砂防と河川とを比較しますと、結果的にはそういうことで、従って大蔵省の主計局の立場から言えば、伸び率は同じようにいっているじゃないかというようなことであったろうと思うのであります。  かような結果、やむを得ずこういう結論に落ち着きましたような次第で、今後の問題としましては、大いに力を注いで参りたいと、こう考えております。
  39. 内村清次

    内村清次君 まだ十分腹の中を言っておられないような感じがいたします。もちろん三十六年度ですね、予算額の伸び率だけの問題ならば、今の御答弁でもあるいはけっこうといわれるかもしれませんですね。  しかし私たちは、今日までの砂防の進捗率——いいですか——それから、十カ年計画の中におけるところの七百二十億の予算の総額というものが非常に少ないんじゃないか。しかも、その少ないという原因は、治山に対しても少ないじゃないか、治山は一のすなわち比率に対して、当然砂防というものが一・六八の比率をもって予算計画というものがなされなくちゃならぬじゃないか。ところが治山の十カ年計画を見てごらんなさい。それ以上の、砂防の予算以上な、すなわち治山予算というものが獲得されているじゃないか、そうしてみると、大臣の方では、農林省と、それからまた建設省との大臣同士の予算折衝に対するところの優劣という問題を、どういうふうに大蔵省は考えているのか。あるいはまた大臣のお力が、どういうふうに優劣があるか、この点も一つ御答弁いただきたい。あるいはまた大臣が、その基本考え方を、どういうふうに今後解釈して予算をつけておいでになるだろうか、すなわち治山に対しての一に砂防の一・六八というような二十八年の基本対策要綱できまった基礎というものが、大臣の時代において崩れてしまうのであるかどうかというところが、私たち心配するところです。  これに対して大臣はどういうふうなお覚悟でおられるか。
  40. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 長期計画の前期五カ年の総ワクは、御承知の通り七百三十億ということにきまっておる次第でありますが、私ども今後、これをさらにふやす努力をすればといって、減らすようなことは、絶対にないようにはいたしていきたい、こう思っております。  もともと、今御指摘のように砂防関係の重要性というものから考えれば、最初のスタートが少なかったのかもしれません。御承知の通り、三十五年度予算が約百十億でございまして、三十六年度は百二十八億九千万円ほどになりまして、先ほども申し上げたように、一六・三%の三十五年度に比すれば伸び率で、まあ、他のものに比較して、決して悪くはない状態になっておりますが、あるいは根本の出発点が、もっと配慮せられるべきであったかもしれません。まあ、こういう問題につきましては、今後の問題として、私としては砂防の重要性を十分認識して、これを運んで参りたいと思っております。
  41. 内村清次

    内村清次君 どうも、その御答弁じゃ私も満足できませんが、たとえば具体的に申しますると、昭和三十六年度治山事業の百三十六億五千九百二万三千円、そのうちの砂防事業に関連性の治山費というものは百二十三億九千四百万円あるのです。だからこれに対して、砂防費が一・六八でありまするからして、二百八億二千百九十二万なくちゃならない、こういう二十八災の基本対策要綱によりますと。ところが三十六年度の総工事費は百二十八億八千七百万円でしょう。そして本年度施行の緊急工事を加えましても百二十九億八千二百万円。そうすると、治山に対しまして三十六年度の砂防事業費というものは約七十八億三千四百九十二万円が足らないということになってくるのですね。だからこの比率から申しましても、七十八億というものは、  一体どうやって大臣が三十六年度だけでも補足されていくかという問題に、私たちは質問をしぼっていきたいというような感じさえするんです。  事務当局は、どうですか、この点は。
  42. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 今治水事業の全般的な問題につきまして、いろいろ御指摘を受けましたが、治水事業の今後の進め方につきましては、昭和二十八年の大災害後の基本計画にまずよりまして、その後の情勢の変化によって、いろいろ検討しました結果、全般の治山治水緊急措置法によります治水事業前期五カ年計画ないしは後期五カ年計画というものができて参ったわけでございます。その前期五カ年の総ワクは三千六百五十億、そのうち砂防は七百三十億、これをきめる際にも、いろいろ御議論がございまして、私たちも十分検討いたしたのでございますが、三千六百五十億に前期五カ年計画はしぼられる以上は、こういうバランスが最も適当じゃないか、こういうふうに考えて、三十五年、三十六年とやって参ったわけでございます。  三十六年度におきましては、ただいま大臣が言われました通り、砂防について一六・三%の伸びを見ている、こういうわけでございまして、治山との関係につきましては、二十八年の直後とまだ開きはございます。しかし、各個所ごとに、それぞれ折衝いたしまして、おのおのやるところをやるという建前上、こういう金額が出たわけでございまして、こういうことで、来年度はこういう金額で、予算で執行するのがいいのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  43. 内村清次

    内村清次君 今の答弁では、これは大蔵省の方で、こういうふうに査定したのだから、これでいたしかたないじゃないか、来年度はこれで執行していこうじゃないか、まあ一三%の増加になるから——こういうようなお考え方のようですね。  これでは、河川局長のお考え方としては、これはもう頼りにならないですね。七百三十億のうちから、三十五年度はこれだけだ、三十六年度はこれだけだ、これだけきまったから、これだけだ、まあ三十六年度は二二%の増加だからと、こういうのは、こういう考え方では、私はどうも、河川局長として、代々の河川局長を引き継がれたところの精神が、どこかで消えてしまっておる。大臣もまだ、今までの経緯を十分知ってでないから、大臣を責めるのは、それは無理だと私はこう思っているのです。しかし、勉強をしていただきたいというような気持はあるわけですけれどもね。この委員会が決議を三回もやりましたですね。これでは、まず治山治水の大きな根本であるところの砂防問題がなおざりになっておるからして、非常に災害が大きいではないかという、現実の、痛切な国民感情からして、この委員会は、それを率直に取り上げて、それでこの機会に、こうやった公共事業費が拡大した機会に、やはり二十八災のときのあの基本対策要綱のもとに戻してもらいたいというような気持で言っておるわけです。  それを、この比率関係さえもなおざりになってしまったというようなことにくれば、これは、大きな問題になると思うのですが、これはまあもう一度、一つ河川局長、あなたのお考え方を聞きたいな。
  44. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) ただいまの先生の御指摘も、二十八年の直後におきまして、まあ全体計画を作りましたときに、確かに治山と、それから砂防の比率というのは、こういうふうになっているわけでございますが、その後いろいろ毎年度予算のつき方とか、それから、その後のおのおのの分野におきましてやる個所の突き合わせとか、そういういろいろな点から参りまして、現在のところは、こういう形が一番いいのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  45. 内村清次

    内村清次君 それは、その予算建設省及び農林省が、大蔵省折衝する過程において、そういう見方を大蔵省がする場合のときにおいては、あなたのような議論も出るかもしれんが、しかし、建設省としては、治山治水対策基本要綱というものを土台として、この比率が違ってくれば、建設省としては、筋を通してこの比率において、ぜひ砂防の問題は一つ解決してもらいたいという強い要求を大蔵省にするのが、私は筋じゃないかと思うのですね。  この点につきましては、これはもうこの委員会では、再三やっておりますが、当時、この二十八災の際の基本対策要綱を策定した——委員長稲浦さんは、当時は建設事務次官であった。で、ここの稲浦さんの発言も、委員長としての発言も、この前の委員会のときでも出ておるのですが、どうですか、私はちょっと、今建設省の、大臣は別といたしまして、河川局長が言っておるような、ああいう態度で、建設省というものはいっていいものですか、どうですか。  これは委員長、あなたの考え方一つ、はっきりしてもらいたいと思います。今あなたに私は発言を要求する。
  46. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) では、私の意見を申し上げますが、二十八年の災害後におきまして治山治水基本対策を作ったときは、関係各省みな集まって、先ほど内村君の言うような案ができた。その後、大体それに従ってやっておるのですが、なかなか予算が思うようにとれないものですから、おそらく非常に建設省も困っておるんじゃないかと、かように思うのです。  ただ、その後ダムなんかを相当各地方に作っておりますので、ある程度、砂防のできない点はダムでカバーしているのじゃないか。そして結局は、今後できたダムの保護の上において相当思い切ったやはり砂防施設を、当初の考え通りやるべきものだと、かように私は考えております。  今一時、そういう状態になっておりますが、結局は、最後は二十八年のような考えでもって完成すべきものだ、かように考えております。
  47. 内村清次

    内村清次君 どうも不十分ですが、まあ委員長立場もあるだろうが、しかし、いま少し明確にしてもらいたいという私は要求はあるのですがね。これは大臣、ダムもあるからというような、そういうなまやさしい問題じゃないのですよ。ダムの問題はダムとして、今度は、大体ダムの予算計画というものは、ほとんど変わりがございませんけれども、これにも私は異論がある。というのは、これはまた議論が発展いたしますけれども、ダム自体でも上流砂防をやらないと、ダムが効力を発しないというところがたくさんあるのですよ。ただ今日まで、これは国土総合開発計画を見ましても、たとえば補助ダムにしましても、それから建設省の直轄ダムにいたしましても、大体二十七、八のダムができております。が、これはおもに電気関係を主にしておるのですね。多目的ダムにおきましても、これはまだまだ灌漑用水の問題だとか、飲料用水の問題だとか、相当残された水資源の問題というのは大きな問題が残っておるのです。  が、しかし直接住民に、河川がはんらんをして、国土が崩壊をする、そのために死傷者がたくさんある、耕地がつぶれてしまうというような、直接の砂防の効果に待たなくちゃならぬところの問題がたくさんまだ残っておるわけです。こういう段階のときに、何もかにも一緒くたに考えてもらっては困る。やはり一つ一つ効果を十分にするような対策建設省としては、はっきり見きわめて国土の保全に全力を尽くしてもらわなくちゃ困るのです。困るものを解消するには、やはり二十八災のあのときに、直接日本の国民が全部一様に心配した、これに対する政府のそれまでのこれは怠慢と、私たちは言っておったのだ。当時あれは緒方さんが、これは副総理をやられておりましたときの治山治水対策の問題ですから、今日までの政党が、やはり政党の利害関係ばかりで、国土というものが看過されてしまっておる。ここに一つ、こういった大きな警鐘に対してこたえるには、確固たるやはり科学的な基礎の資料を集めて、ここに一つ抜本的な国の治山治水対策を樹立すべきであるという観点に立った私どものあの対策が、二十八災の基本対策要綱です。その片鱗は、今委員長が少しのぞかせたようですけれども、こうやった覚悟で、各関係省が集まってできたのが基本対策要綱ですから、その比率というものは、やはり尊重していかなければならぬですね。そうして尊重していって、そうして代々のやはり当の責任者が予算折衝に当たるときには、やっぱりこの比率に従って予算折衝していくということが、私は一番大事なことじゃないかと思うのだ。それが今のような答弁では、当座の予算の余裕によって、あるいは河川に振り込む、あるいは治山に振り込む、あるいは砂防の方に振り込む、こうやった当座のおざなりの予算拡大では、どうも私たちは納得できないですね。だから、せめてその当事者であるところの河川局長あたりは、目をすえて本腰になって、比率だけは一つ守っていくというふうな熱意を持って、大臣にもぜひ、この比率は守って下さいというふうな熱意がなくちゃ、私はその職には、どうも心配ですね。どうですか大臣、今後考えましょう、考えましょうばかりでは、どうもいかんと思いますが、何か一つ、はっきりした御態度を示していただきたいと思います。  というのは、どうもあなたは、答弁がしにくいようですが、今回の河川審議会から閣議決定になっておる十カ年計画の中に、特に河川審議会の——これは法律に基づいておるのですよ。河川審議会の意見を聞くということになっておる。その総会の一番結論に、総合的という字が出ておるのですよ。これは何のための字か、前任者の橋本建設大臣は、必ずその河川審議会の最終日までにおきましては、あるいは閣議の決定につきましては、この七百三十億という数字を増額しましょう、私たちが内交渉では二百億ばかりは増額しましょうということまでも発言されておるのですよ。私はあえて速記録に、その額をはっきりいたしておきますが、二百億ばかりは増額しましょうということまでも約束しておるのですよ。そうして、初めて治山の問題と比率が大体合うようになっていくというところまで発言しておる。しかしながら、それを橋本建設大臣は、額の増額については、とうとうできなかった。だからして総合的観点においてとか——これはまあ一つ委員会に、この資料を出していただきたいと思いますけれども、そうやった字句を挿入して、ようやく河川審議会を通過させておる。そうして閣議決定になっておるのです。  だから今度は、総合的という意味は、どういうふうな意味に大臣は解釈されておられるのですか、どうですか、この点は。
  48. 田中一

    田中一君 この問題は、きのうきょうの問題じゃないのです。もう数年来、四・五年来大臣がかわるたびに、参議院建設委員会は超党派で、国土保全に先行するものは砂防であるという結論を出しておる。これを決議をして、政府に反省というか、善処を促しておったのです。  そこで、今内村委員が言っておるように、河川審議会に答申を求めた原案というものを——これは河川局長よく知っておるはずです。一応原案としては尊重をし、また河川審議会には、御承知のように、私が酷評するわけですが、全部建設省の役人の方々が主として参加しているのです。決して政府の原案に反対することはできません。そんなことは歴史的にわかっておった。事実そうなんだ。その場合に、山内君よく知っておるように、何とか原案を通してくれ、そのかわり、審議会の答申は、一応政府案というものを支持しながら、建設大臣自身が、これに対する総合的な調整と申しますか、配分の問題は、もう一ぺん考慮する。これは委員会でそういう言質をとれなかった。むろん言えるべきものじゃないでしょうが、しかし個人的にはそういう点については十分に話し合って、われわれ建設委員は了解しておるのです。それで、むろん河川局としては——こういういみじい言葉を聞いているのですよ。なんといってもわれわれは国会の先生方からいろいろな意味の陳情その他があると、これを聞かないわけにはいかない。砂防の問題は陳情が少ない。目に見える河川改修ということに重点を置いて要請されるから、それももっともだといって聞かないわけにはいかないんだということを、これは山内君だったか山本技監だったか、そういう言葉を聞いているのですよ。確かにそうだと思うのですよ。しかしながら国土保全のもとになる、先行するものは何かというとやっぱり砂防です。私どもはもう夏になって国会が休会になりますと山へ入って見て歩いているのです。これは稲浦委員長とか岩沢委員は、これはもうよく日本全部を知っておりますから、そういうことはしませんけれども、われわれはそうして歩いているのです。そうして、いかにして災害時に国土を守ろうかという熱意にあふれているのですよ。文章は、今、内村委員が言っているように、総合という文字で調整権を大臣が握るから、これは認めてくれというので通ったのがそれなんですが、これはまあ常に大蔵省の宮崎主計官なども言っているように、建設省自身から砂防を重点的にやってくれというような要求がまだなかったということを言っているのです。一昨年の予算の編成のときにです。しかしながら、赤木砂防協会の常務理事が言っているように、一水系を全部完全に砂防施設を施し完成さすということは、とてもできないというのが大蔵省意見でありましたから、新しい予防砂防というような言葉を発見して、一河川ごとに一つの砂防施設を実施するという方針に変えたのが、今度の一昨年、昨年三十六年度に続く砂防予算の増大なんですよ。大蔵省自身がもう国土保全のためには、どうしても砂防が先行するのだということに対する理解を深めてきているのです。ところが建設省の担当の諸君がその熱意を示さぬということは、宮崎主計官ははっきり言っているのです。私は今度の三十六年度予算の編成にあたっては、建設大臣に対してあまり追及はできないのは、大体原案ができてから就任されたといういきさつがありますから言わなかった。計画計画ですよ。また、三十六年度は、きょうも大平官房長官が言っているように、今まで修正に応じないといっておりますからおそらく応じないでしょう。しかし、本年度は、本年度として、明年度ですね、建設大臣が砂防事業に対してどういう態度をとるか。当然まあ今、政府が言っているように、全部経済の伸びを考えての政策なんですから、公共事業全部それなんですから、その場合に直接積極的な事業じゃありませんけれども、いわゆる防衛的な事業です、砂防というものは。これに対してどういう予算措置をしようとするか。おそらくあなたの任期中に三十七年度予算の原案を作らなければならぬ——これは失礼ですが、あなたは三年も四年もなさるかもしれないけれども、おそらくあなたの任期中には三十七年度予算を編成しなければならぬ。その場合にあなたがどういう熱意を示すか、私ども参議院の建設委員会としてはその態度が望ましいということです。今ここであなたに三十六年度予算をどうせい、こうせいということはとてもできないと思う。三十七年度予算のときには、これは当初ことしのものはことしのものとして、少なくとも五カ年百億を増して明年度から計九百三十億円とするという予算をあなたが自信をもって編成するという言明を得られなければ建設委員会は砂防予算一つをもって対決しなければならぬと思う。これは山内君、あなたと僕とは再三再四——私ばかりじゃございません、緑風会の諸君も自民党の諸君も再三再四要請しておる。それはどうにもならぬようなものがおありだと思うけれども、この国民的な熱意というものにこたえないということはこれはあり得ないですよ。私はあまり内村君に言わすと、内村君は血圧が高いから心配だから一つ引き受けたんですが、これはほんとうです。私ばかりの問題じゃない、社会党ばかりの問題じゃないのです。これは今すぐに御答弁は求めません。よく河川局長とも山本技監ともお話の上で態度を明らかにしていただきたいのです。ことに官房長などはこれはけしからぬですよ。申し上げると、昨年、建政局新設の案を出した。その場合、必ず砂防部設置の法案も一緒にお出しなさい、やりますと約束してあった。今回こうして砂防法を出す。そうして建政局も出しながら砂防部を見殺しにして、そうして建政局だけはどうやら日の目を見ようとした。ところがこれまた池田総理の発言からどうもまた十カ月、まあおそくて十五カ月くらいたたなければ生まれないような状況らしいけれども、これは建設大臣、この問題全部関連しているんです。われわれは国土保全のために、少なくとも年間百億以上の金を使う砂防課を砂防部に昇格なさい。これは何もわれわれ国民の票をもらって議会に出ている人間としても、砂防を行なうところの箇所には人間が住んでおらないのですよ。そのところでも参議院のわれわれ同僚委員はしなければならぬということを言って要求しているんです。これは今ここではっきりした言葉を言えぬでしょうから、腹をきめて河川局長並びに山本技監等も各省議で態度をきめていただきたいのです。官房長だって責任がありますよ、あなた。
  49. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私も早々でございますが、砂防の重要性は十分心得ておるつもりでございます。ことに河川の改修をやりましても砂防が行き届いていなければ何にもなりませんので、大いに国土保全及び治山治水の根源として今後考えていきたいと思います。十分一つ情熱を傾けてやっていきたいと思いますが、できるだけ御期待に沿えるような成果をあげるように骨を折りたいと思います。
  50. 田中一

    田中一君 私の質問はもっと具体性がある質問なんです。明後日また委員会が持たれます。従って前任者の橋本衆議院議員、その前の村上衆議院議員とあなたは同じ党内の同僚ですから、今までの経緯を一つお聞き願いたい。そうして当委員会が過去数年来どういう決議——決議ですよ、これは要望どころじゃないのです。委員会の決議をしておるという実態をよく翫味していただきたいのです。そうして明後日までに——三十六年度予算の上においてはとれはなかなかやりにくいでしょう、われわれの方も構造改革論を出しているんですから、まあまあ次善の効果を求めます。従って三十七年度予算編成の場合に、あなたが予算の編成を一応やらなければならないのですから、その際の態度を明らかにしていただきたい。十億のせるか、あるいは五カ年計画の七百三十億のうちの百億分というもの、これをどう載せるかということを検討して下さい。そして明後日あなたの態度を明らかにしていただきたい。十カ年二百億というものは大体了解している数字なんです。村上建設大臣にも橋本建設大臣にも、そうしてまた山内河川局長にも懇々懇請して、残念ながら山内君は納得してくれなかった。しかしながら、山本技監は、何とか努力いたしますという答弁をいたしております。山内君の場合にはなかなか納得する答弁ができなかった。こうした経緯があるのです。われわれは真剣に考えているのです。ですから、明後日、一応あなたが責任者なんですから、建設省予算というものはあなたがきめるべきなんですから、むろん事務当局にはそれぞれ根拠ある予算を命じなければならぬでしょうけれども、究極においてやるんだからその点を態度を明らかにしていただきたい。委員長、明後日に今の答弁が得られるように、あなたからも勧めて下さい。
  51. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) いいですね。
  52. 田中一

    田中一君 委員長、もう少し議事録にちゃんと残すように。
  53. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それじゃ、明後日に一つ御答弁願います。
  54. 藤田進

    ○藤田進君 私は、全般的なことについて、これは現在の池田内閣ですぐこれを変えるというような意味ではなしにお伺いするわけですが、過去委員として八年ほど一通り委員会を回ってみまして思うのに、今の質疑が出ているように、いろいろ委員会責任答弁をされましても、実際にはその場のがれになっているものがかなり多いのです。ことに国土総合開発というような問題を取り上げてみましても、私も国土総合開発審議会に二年ほど入ってみましたが、およそ忙しい時間をさいて出てみても意味のないものだというような感じしか受けないのです。国の行政機構そのものが意図しているような人的配置がなかったり、また、同じ政党内閣であっても、しばしば計画が変わる。経済五カ年計画を立てたと思えばすぐその翌年にはまた初年度で始まってみたり、河川行政なんか見ても、ずっと治山治水基本対策要綱以来を見ましても、その感を深めるわけです。たとえば総合開発を進めるということについては諸般の事業が伴う、予算が伴うものです。建前としては経済企画庁が中心でおやりになるように機構上は見えるけれども、実際には建設省道路、河川その他住宅等、また治山治水のもとより、計画を立てられる。結局は大蔵省内閣みたいな感じを受けるわけです。これを見まして、私も若干社会主義国における長期計画、これをいろいろ取り寄せて研究して比べてみると、自由放任主義とまではいわないにしても、現在のそういう基本とされる思想の計画というものが、画にかいたもちのような気がするのです。常に変わってきておる。それから実施段階におけるその当該年度予算執行について見ても、これは私は建設省あたりは、特に技術当局あたりは、痛切に感じるだろうと思うのです。私も、地方のそういう技術関係はかなり長く実際の仕事をやって参りましたが、たとえば選挙の事情もあって、私どもももとより議員で選挙がありますが、これはいろいろな国民の世論を建設省にぶっつけすることもこれまた必要だけれども、必ずしも建設省計画的にものを進めるんでなくて、時の事情に左右されてやっている。たとえば河川改修を見ても、こま切れにあっちもこっちもやり始めて、しかもそれが災害を招いている。これは私は具体的にここで今の段階では申し上げませんが、河川改修などにおいても一貫性がどうもないように思うんです。予算を取るというようなこと、大きな計画は、これはトップ・クラスでおやりになる必要があろうけれども、これをどうこなしていくかということについては、予算執行にあたって十分やはり善良な技術者の意見というものは尊重されないと、かえって災害を防止する工事災害を招くようなことになってきていると思うんです。そのような立場から考えてみると、建設省自体における手直し的なものはいろいろな機構改革、局部の新設とかあろうけれども、しかし、これからだんだんとこの治山治水十カ年計画というようなものがはたしてどこまでこれが行くのかどうか。来年度あたりからはさっぱりこれは手探りのようにしかわれわれには思われない。何らの裏づけはない。内閣がかわるかもしれない。また計画自体もかわるかもしれない、というようなことなんだけれども、しかしそれはそれとして、当面建設省なり閣僚の一人とされて、行政機構なり人の配置なりといったようなことから見て、それが資本主義の体制の中でその政策を進められるとしても、もっとこれらを検討されるべき性質のものじゃないだろうか。中村さんの抱負なりあるいは見識というものは私は実は全然伺ってもおりませんし、予備知識もありませんので、これらの行政機構並びにこれが執行にあたっての改善すべきものがあるとお考えなのかどうか。これは非常に包括的な質問でお答えにくいと思うですけれども、以上申し上げた観点から御所信を伺いたいと思う。
  55. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに、まあ河川のみならず道路、砂防その他すべてを見まして、実際この予算配分ということは非常に執行上むずかしいことでありまして、結果的にはこま切れ的になりがちでありまして、むしろ一カ所に重点をおいて全部完了すればどれだけ効果があるだろうかと思われることも、なかなかそういうふうに運び得ないのが現実の状態でございます。しかし、できるだけ始めました事業は急速に完了をして、効果を発揮できるような方向に注意を十分払いながら、たとえどういう一般事情があろうとも、そういう配慮を強く持ちながらすべて進めていくべきだと、私もかように実は考えて今後大いに注意を払っていきたいと思います。  また同時に、さきほど来お話のございました砂防の問題の重要性は私どもは十分承知いたしておりますが、五カ年計画の総ワク及びこの内容がきまりましてこうなっておりまする以上は、財政事情がよくなってそうしてさらに、これはまあ自由主義経済のもとでは、長期計画といいましても一つの目標がございますから、縮小するということはこれは絶対避けなければなりませんが、これを拡大することについては、財政事情が許し経済情勢がよくなってくればさらに拡張をする、変更を見ることを大いに期待していくということは当然でありまして、まあそのような角度に立って私どもいろいろ御指摘をいただきまするような重要な点については十分意を配っていきたいと、こう思っておるようなわけでございます。  また、国土総合開発の重要性も私は実は就任いたしまする前から在野当時から強く考えておりましたことで、せっかく国土総合開発法ができましてすでに十年になりますが、なかなか思うように運んでいないようであります。この点は中心が経済企画庁にありますが、私就任と同時に、この国土総合開発計画というものを企画庁が中心になって、各省に連絡をして大いに活発にやるべきじゃないかということをある席で主張をいたしまして、自来、まあ経済企画庁の方でも最近特に力を入れて国土総合開発の作業を始めておるようでございます。大いにこれも企画庁が責任官庁でございますからまず努力をしていただき、われわれの方もこれに対しては協力すべき重要な案件が私はたくさんあると思うのです。従いまして建設省としましては国土総合開発の推進について大いにその役割を演ずるようにいたして参りたい、このように考えております。
  56. 藤田進

    ○藤田進君 聞くところによりますと、池田内閣としては、時期はまだはっきり言っておりませんが、行政機構についてはかなりな検討を加え、近く法的な改称もしたいというような趣旨から、局部的な各省庁における機構をあまりこの際いじらないでくれというふうに仄聞しておりますが、いずれ閣議にかかりましょうし、かかるまでに作業の段階で各省ともそれぞれの所見をお出しになることと思うのです。他省についてはお伺いいたしませんが、そういうこの内閣のメンバーである、しかも建設大臣である中村さんとしましては、どういうその一環としての建設省機構をお考えになっているのか、お伺いいたしたい。
  57. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 行政機構につきましては再検討をする必要があるということで、近いうちに行政管理庁に、まあ俗にフーバー委員会といっておりますが、そういう委員会を作りまして、十分に行政の能率化をはかるような機構の検討をしようということに相なっておりまして、かたがた建設省としましては、先ほど申し上げましたような国土総合開発建設省が重要な役割を果たしていく上からも、かねがね御承知のような建政局及び砂防の重要性から見て砂防課を砂防部に昇格をしたい、この二つの点を考えまして、先般の予算編成第一段階におきましても要求をして参ったような次第でございます。そのうち、先日も申し上げましたように、建政局につきましては、建設省のあり方、及び今後のいろいろ国土総合開発に関する建設省としての調査行政等を進めて参りまする上からも、建政局の設置は必要だろうという方向に行管の内部あるいは大蔵省の気持が傾いて参りまして、建政局の新設は予算措置としては認められたのでございます。なおこれは設置法に関係がありますので、設置法を今国会に提案するということはまだきまっておりません。これからの問題に属しておりまするので私ども非常に慎重に対処いたしておるのであります。非常に残念なことは、並行して要求しておりました砂防部がどうも一挙に二つというわけにいかないし、まあ行政管理庁あるいは大蔵省立場から見ると、建政局の設置の方がまあ好意的でありまして、この方に予算的措置が一応講ぜられたということでございまして、今後フーバー委員会のような委員会ができて、行政機構について行政管理庁が中心になって研究されるにいたしましても、われわれとしてはこの二点はぜひ今後とも貫いていきたいというように考えておるわけでございます。
  58. 藤田進

    ○藤田進君 これはまあ現行行政機構のもとにおける建設省内部の手直しとしか見ないので、まあ国務大臣とされては全般の上に立ち、かつ建設大臣としておやりになると思うのですが、最近は特に戦後累増してきた公社、公団といったようなものが、ある意味では一種の社会化である、ソーシヤリゼーションであるというような考え方も出てきて、だんだんと現保守党内閣における行政上のあるいは予算執行面におけるやり方というものが変貌しつつあると思います。それはどういうふうに定義しようとも事実はそうなんです。従って建設省の現行ワク内、コップの中における手直しという、これは事務当局としてお答えになる範囲であって、今の経済企画庁なり、一時出てきた大蔵省予算査定権の問題とか、いろいろ経過がございますように、こういう大きな面における建設省業務を通してみて、今の状態は、こういうところは国のために能率的あるいは行財政的に改革すべきであるという意味で、私は、やはり構想をお持ちになり行政管理庁に対し意見を集約して出す段階ということであろうかと思われ、そうであればあるほどに意見をまとめられて、大臣としてのはっきりとした信念も固まってなければならぬ時期ではないかという意味で、もっと大きな構想があるのかないのか、当面建設大臣としては今申されたようなことを行管については具申されることになるのか、その辺を聞いておきたい。
  59. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) われわれとしましては、先ほど申し上げたような調査機構が行管を中心にできましたら、われわれ建設省立場としては十分今後検討いたしまして、最も適切な意見をその方面に反映さして参りたいと思います。ただ建設大臣としてではなしに、私も国会に議席を持っております者として平素から考えておりますことは、どうも国土の保全上あるいは国土開発をしていきます上には、今の建設省のあり方ではどうもいろんな点において不自由がある、従ってできれば将来国土省的な存在にあり方を変えて、そして国土の保全及び開発に関することは一手にその省が推進でき、また実施できるような、公団関係の管理等にいたしましても、できるだけそういうようなあり方になる方が活発にいくんじゃないか、国家のためになるんじゃないかというように実は私個人としては考えておるようなわけでございます。しかしこれらの点につきましては、私も現在の身分になりました以上は省内で十分討議をいたしまして、十分検討をして、将来、先ほど申し上げたような委員会ができました際にわれわれの考え方を反映させ、また実現に移せるように一つ努力をしていきたい、こんなふうに考えております。
  60. 藤田進

    ○藤田進君 これはあれですか、今の個人的にしろ抱負をお持ちのようですが、討議される場合、ちょっと先ほど申し上げましたように、この委員会のように、与野党対立の中に進める委員会でなく率直に御答弁願いたい。あなたはそうでないかもしれませんが、十分検討してということなんですが、総理以下検討々々というようなことで目下検討中と言っているのですが、しかし問題は池田内閣が何年続くかしれないが、しかしいいことなればすみやかにこれを具現されるということであろうし、またたとえそれが個人の抱負経綸であろうと、国務大臣としてこれをお進めになるということにもなろうかと思うので、その御検討を終わり、かつ行管で最終的にまとめて議会に提出されるでしょうが、議会に提出するということは、建設省の担当大臣としてはむずかしいかもしれませんが、しかし少なくとも建設省意見の集約というものは、今の御検討の結果というものは、そう先になっていいものでもなかろうと思うのです。このような立場から見て今後の日程をどういうふうにお考えですか、今の意見をまとめられるについて。
  61. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まだ実はそこまで具体的に日程を考えておりませんが、できるだけ急速にやっていきたいと思います。
  62. 藤田進

    ○藤田進君 さらに大きな観念的な問題になりましょうが、現行予算に関連してもある、防衛庁は防衛予算をかなり言うし、それぞれの省でも無理からぬことでしょうけれども、しかし実際問題として、戦後のわが国のどうあるべきかということについては、私どもの社会党としても、何といっても村作り、国作りだと、これは防衛問題には発展したいとは思いませんけれども、そうなるとやはり現行機構上建設省がその予算においてあるいはその能力において、やはり一番大きなウエートを持つだろうと思うのです。今度も現実にそうだと思うのです。こういうことから見れば、何といっても国土建設あるいは開発ということを重点に置かれる、これが三本の柱の出てきたところかもしれませんが、そのような考えや自民党の政策を見て今度のこの予算検討いたしますと、大臣以下るる御説明をいただいたわけですけれども、残った印象は何に何億取ったという説明でありまして、私どもはこの建設委員会が他の委員会に見られるように、そんなに与野党が対立をした中に、というほどのことはないはずだと、他との比較において思うので、答弁においても十分その点を含んでいただきたい。また説明もそれを含んでやっていただきたいというふうに考えていたんですけれども、どうも今現在までにはそういう感じが受け取れないのです。そこで具体的に私はお伺いしてみますと、まず道路に関連して考えてみても建設省とされては、当初予算要求をかなりのものをされておりますね。ところがこれは予算を取る技術的な面からも、少しは水増しということもあったかもしれませんけれども、しかし最終段階あたりはかなり建設省とされても、これだけはということであったろうかと思うのです。ところがここに提出されました予算を見ると、地方単独事業を除きますと、建設省の案に対して約八七%の予算になった、われわれの計算ではそういうところです。そこで結局その要求の基礎をなすものは、具体的な設計、計画があったはずであります。予算だけ取ればあとでどこかやれるだろう、やるだろうというそんなずさんなものではない。かなり長期にわたって地方からも各種の事業計画を取られて、積み重ねてこられたと思うのです。にもかかわらず、この予算の決定ということになりますれば、かなり計画にそごを来たして、建設省としても困られる面があるのじゃないだろうか。ひいては国民もあそこに道路が何年何月までつきそうだというのが途中で終わるとか、顕著な例では戦前に弾丸道路というのが、私ども東海道線をいつも通りますけれども、石ころを並べてほったらかしになっておる、隧道を掘りかけてやめていまだにほったらかしというのが相当あります。私どもの選挙区にもありますがね。まあ経済的にもむだな投資にもなる。そういうことが出てこないだろうか、そごを来たさないだろうか。ことに一、二級国道の舗装、それから主要な幹線地方道路の改修といったようなことですね、これをどう見ておられるか承りたい。
  63. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 道路局長から御説明いたさせます。
  64. 高野務

    政府委員高野務君) 三十六年度予算編成にあたりましては確かに御指摘通り、私どもの要求の約九〇%足らずの査定を受けたわけでございますが、また五カ年計画につきましても二兆三千億の私どもの要求に対しまして、二兆一千億という数字に大体の決定を見たわけでございます。私どもといたしましては二兆三千億を三十六年度予算計画につきましては、それぞれの個所に積み上げまして計画をしていたのでございますが、ただ財政の都合上等によりまして、三十六年度千五百億、五カ年二兆一千億にきまったのでございまして、この予算に対しまして、私どもは当初計画の効用をできるだけ落とさないような工夫を今いたしまして、それぞれ計画を練り直しまして、配分案を今作っているところでございます。この内容といたしましては、一級国道につきましては二兆三千億のときも二兆一千億のときも五カ年で完成という線は、そのまま貫くつもりでございます。また二級国道につきましても、多少三十六年度の所要額あるいは五カ年の当初額は減るわけでございますが、大体これを十カ年で完成するという線を貫きまして、私どもといたしましては一、二級国道の改築によりまして、現在ただいま現象として現われております格差の是正に、お役に立つようにしたいと思っておるわけでございます。またその他の地方道につきましては、もちろん交通の隘路打開ということも考えるわけでございますが、と同時に産業立地の計画を起案いたしまして、産業開発道等も大いにやって参りまして、同じく格差是正に役立っていこうというつもりでおるわけであります。特に地方道につきましては、これは当初計画からいたしましても全部改築、言い直しますと、改良舗装いたしますには七十年ぐらいの年月を要する計画だったのでございまして、二兆一千億にきまりました現在としましては、できるだけ局部改良的な、一番隘路になっている所を改良する局部改良的な事業を相当伸ばしまして、効果をあげていきたいというつもりでただいま作業中でございます。
  65. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると予算の査定の結果減ったけれども、本年度当初建設省で考えた事業量というものは、予算は減っても遂行するということになるのですか。それとも次年度へ繰り越して、要するに十カ年で完成するという意味なんですか。
  66. 高野務

    政府委員高野務君) 一級国道は二兆三千億の場合と二兆一千億の場合ほとんど変わりません。二級国道につきましては、この五カ年は多少初めの計画より減るわけでございます。しかし十カ年で概成するという線はくずさないつもりでございます。その他の県道、市町村道につきましては、多少事業量は減って参ります。しかし局部改良等を活用いたしまして、できるだけ効果を減退しないようにしたいという努力をしているわけでございます。
  67. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると今後三十六年度を除いた九カ年間の現行制度であれば、少なくとも内閣において、あるいは少なくとも大蔵省において保証をしたか。元来この継続事業などというものは立法を必要とするので、継続事業としての措置があれば、これは今の御発言はそのまま受け取れますけれども、しかしそうではない、単なる計画にすぎないので立法府との関係はないわけですから、その保証がつきますか、今後十カ年で完成ができるというのは、建設省道路局長としての希望に過ぎないのじゃありませんか。
  68. 高野務

    政府委員高野務君) 御指摘通り、ただいま申し上げました数字はまだ閣議決定になっておるわけでもございませんし、実はまだ省議で固まっておる数字でもございませんので、ある意味におきましては私の希望でございます。しかしながら、これは過去の道路整備五カ年計画の推移といたしまして、大体過去におきましては、五カ年計画予定通り達成しておるのでございます。ただ、その後におきまして交通量の激増、予想以上の増加、新しい計画を作り直すということなのでございまして、ただいま国会に道路整備緊急措置法の改正をお願いしておる次第でございます。この改正が実現いたしますと、私どもは今後ガソリン税を充当できるわけでございまして、新しい五カ年計画もこれはいろいろな意味もございましょうが、相当部分、大部分がガソリン税でございますので、ガソリン税の数字はこれは過去におきましてもほとんど見積もり以上になっておるような状況でございます。今後もそのようになろうかと思いますので、私ども緊急措置法の改正をしていただきまして新しい計画を作って、大体この程度の実現はできるのではないかというふうに期待しておるわけでございます。
  69. 藤田進

    ○藤田進君 大臣にお伺いしますが、これは内閣が政党とともに変わればまた違うのですが、しかし各長期計画の年次別の手直しというのは、これはどこの国におきましてもあるのでありますが、しかし、わが国ではまだ初年度が途中なのに、まるっきり計画を上回ったものがあって全然問題にならない、ということが過去にあった、ことに経済政策については。そういう面からかりに道路に例をとっても、局長はそう申されるけれども、さらに内閣としてこれは立法に待たないでも、この十カ年計画は初年度で持ち送りになればその次とか、その次の何年かにこれを分割して実施するとかいうような、もっと確定的なものがなければ十カ年といってみても、過去の事例からみて、十カ年といっておるけれども、とりあえず三十六年度のことで、三十七年度はまたそのときの話である、そういうふうになり勝ちなんです、実際は。こういう場合に内閣自体とされてはどういう措置をされるのか。事務当局は今後十カ年で完成するということをこの委員会でも発表されておりますけれども、実際の最高方針としてこれが果してできるであろうかどうであろうかということは、非常に疑問のあるところです。途中になってやめておるのは過去にあるわけですから、そういう意味から大臣とされて今後、今の答弁の上に立ってどういう御措置をおとりになりますか、十カ年の保証について。
  70. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 前期五カ年計画にいたしましても、これはこれを下回らないという一つの目安でございまして、少なくとも当面の五カ年計画のこの範囲は必ず実行しようということで、当初建設省が要求いたしました五カ年の総額二兆三千が二兆一千というふうに縮小されましたが、私ども考えますのに、十年間の規模は日本の経済の成長及びガソリン税にいたしましても、ガソリンの需要は時代の趨勢で伸びていくととは間違いないと思われますので、それらを含めまして今立てております十カ年の目標は、前期に予定通り達成できませんでも、後期五カ年において必ず達成することができるであろう。また日本の経済なり産業力なりのあり方が、ぜひそうありたいものだと念願をしておりますので、後期に、結局前期五カ年の総ワクにおいてきめる際に送り込まれたというふうなものができたわけでございますが、この点は今申し上げた経済の成長とガソリンの需要量の伸びと、これらによりまして達成できるであろう、またぜひ達成しなければならないとこう思っておるわけであります。
  71. 藤田進

    ○藤田進君 それ以上は無理かもしれません。そこで内村理事の方からも御指摘がありましたが、三十五年度の物価、諸般の建設資材等についてもこれを基準に計画を立てておられるように思うのですが、そうですか。
  72. 稗田治

    政府委員(稗田治君) これは資材等につきましては、値上がりがないものと考えております。ただ、労賃、用地補償費、用地買収費、物件諸費等につきましては、これは工事の個所にもよるわけでございますが、非常な価格であるわけでございます。全体的には値上がりを見込んでおります。
  73. 藤田進

    ○藤田進君 これは住宅公団の方もそういう初年度基準で単価査定をされるわけですか。三十六年度についても同様に……。
  74. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 住宅公団の三十六年度事業単価につきましては、建設費四%増になっております。なお、用地等につきましてはほぼ一一%増で予算が編成されております。
  75. 藤田進

    ○藤田進君 東京都に例をとっても木造の場合坪当たりの予算単価としては幾ら、それから高層の鉄筋コンクリートで幾らとか、現在計画のあるものについて坪当たりどう見ておりますか。三十六年度は。
  76. 稗田治

    政府委員(稗田治君) ただいま四%増と申しましたのは、日本住宅公団の場合でございまして、御承知のように住宅公団は木造住宅は建設していないわけでございます。なお単価を、住宅公団におきましては、それぞれ地域差によってつけまして、発注する場所等によってこれを実施単価に直しますので、ただいまのところ三十六年度の東京地区の単価が幾らということはまだ確定していないわけでございます。
  77. 藤田進

    ○藤田進君 来年度何戸建てるということが確定し、予算が確定しておれば自然、用地が幾ら、建設費そのものの建物が幾ら、ということの基礎がなければならぬでしょう。
  78. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 三十六年度の地域別の建設戸数等におきましては、今後、これから三十六年度事業実施計画というものを、建設大臣に公団の方から出してもらうことになっております。
  79. 藤田進

    ○藤田進君 だけれども概略予算がきまった以上どこにどれほど建てるとか、ここに資料がきておりますが、幾らに単価を見積もる、そういうことがあるのだから、大体コンクリートで幾ら三十六年度は見るということは、競争入札でしょうから結果が違うでしょうけれども、今何もないということは、なぜ出せないのかお示し下さい。
  80. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 住宅公団は賃貸住宅と分譲住宅と二種類に分かれるわけでございますが、単価で申しますと主体工事費が坪当たり五万二千円、それから屋外付帯工事が七万七千円……。
  81. 藤田進

    ○藤田進君 坪当たり……。
  82. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 屋外ですから坪当たりというわけではないわけでございます。それで合わせまして九十万九千円、十六坪でございます。それに用地費としまして十八万、それに建設の事務費というものが四万五千七百三十八円というので、三十六年度は総計いたしますと、賃貸住宅では百十三万四千七百三十八円という単価になるわけでございます。  分譲住宅におきましては同様に主体工事費は坪当たり五万二千円で、二戸十六坪でございますが、屋外付帯工事費も七万七千円で賃貸と同様でございます。用地費の方が賃貸住宅と違っておりまして十二万五千円でございます。それに建設事務費等を加えまして、二月当たりの建設費は分譲住宅におきましては、百七万七千四百二十八円ということに相なっておるわけでございます。
  83. 藤田進

    ○藤田進君 これは三十五年度との関連はどうです。同様ですか、今の主体工事というところ。
  84. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 三十五年度と対比いたしますと、賃貸住宅におきましては、三十五年度の坪当たり単価は五万円でございまして二千円の増でございます。それから屋外付帯工事費は七万円でございまして七千円の増、それから用地費は十六万円に対しまして二万円増の十八万ということになっておるわけでございます。それから分譲住宅におきましては、主体工事費、屋外付帯工事費は賃貸住宅と同様に二千円、七千円ずつ上がってございます。用地費は一戸当たり十二万五千円というのがそのままでございます。
  85. 藤田進

    ○藤田進君 その増額の根拠なり何なりは時間がないのでお伺いしませんが、いずれにしても、金額は別としてこの基礎をなすものは諸般の物価値上がりというものを見ている、あるいは人件費、労務費の値上がりというものを見ているのじゃありませんか、大きな要素は。
  86. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 私、まあ建設省といたしましては、先ほど道路の方の単価のところにも御説明ございましたように、セメントでございますとかあるいは鉄筋というようなものにつきましては、大体値上がりしていないわけでございます。むしろ下降の線をたどっておるわけでございます。労務関係におきまして値上がりしてございますので、大体まあ鉄筋の住宅で労務関係の費用というのは、一戸当たりの建設費の二割くらいに相当するものでございますが、そこにおきまして若干の値上がりがございますので、要求は引き上げて要求をいたしたわけでございます。ただ内示におきまして、大蔵当局の方からの説明は、質を上げるために単価を上げましょうということで、内示をいただいているわけでございます。
  87. 藤田進

    ○藤田進君 まあ同じ省内における措置として、道路関係を見れば、今の説明では実際工事をやる場合にそごを来たすのではないだろうか、三十五年度単価構成で、三十六年度予算事業量を確定している以上、これは経済企画庁長官の本会議における演説の中にも一般物価についての表明がありましたが、はたしてこの単価構成でやっていけるのかどうかについて私は非常に疑問をもつわけです。建設省関係、ことに道路についてはあらためて御答弁願いたいのですけれども、これは労務費、資材費、あるいは事務費等その他雑費がありましょうが、道路についてはかなりの労務費であろうと思うのです。従って鉄筋とかコンクリートのセメントの値上がりを見ないにしても、かなりここに予算単価としてはその構成に事実上差がついてくる、上がるだろう、これはもう常識だと思うのです。しかもそれで予定工事量をやっていくということになれば無理がありはしないか。それから不用財源などを調べてみましても過去にはかなりあったようです。私も、この間予算委員会中村さんでしたか、質疑をしたようなわけですけれども、そういった面でもっと具体的に、どうおやりになるのか説明を求めたいのです。
  88. 高野務

    政府委員高野務君) 道路工事の積算につきましては、先ほど説明いたしました通り材料費につきましては実績から申しまして、セメントはトン千八百七十七円、鋼材はトン当たり二百三十四円、木材が千二百二十三円というような見積もりの基礎単価を使いまして作業をしております。また労力費につきましては、これはそれぞれ地域によって違うわけでございますが、大体におきまして平均四百八十円、最高七百円、これは場所によりまして、あるいは技能の種別によりましてこれをこす場合があるわけでございますが、こういう基準を示しまして各工事個所ごとの積算をいたしまして、今、予算の作業をしているわけでございまして、五カ年計画閣議決定までにはさらにこれを詰めまして、事業量を積算して参りたいというつもりでございます。でございますので、初めの計画より多少調整を必要とする、事業量を達成するためには、あるいは与えられた予算で達成し得る事業量を、多少調整しなければならぬと思いますが、大体私どもの見通しといたしましてはそれほどの変化がないものだと考えております。
  89. 田中一

    田中一君 おかしいですね、トン当たり単価が違うのじゃないかな、セメントにしても鋼材にしても違うと思いますね。
  90. 藤田進

    ○藤田進君 局長は大きいことばかりやっているから、小さいことはわからないんだろう……。
  91. 高野務

    政府委員高野務君) 大へん失礼いたしました。ただいまの資材の単価は数量でございました。
  92. 田中一

    田中一君 常識ですよ、セメントが千幾らで買えるはずがない。
  93. 藤田進

    ○藤田進君 そんなに安いなら買ってもらおうかと思った。
  94. 田中一

    田中一君 あの道路の方の五カ年計画とは言わぬでいいんだが、三十六年度事業量を現在消化し得るかどうかという問題は私は非常に疑問を持っておるのです。最近各財閥の系列の新会社が相当たくさんできております。建設省も相当な同僚、先輩を送り込んで、大いに国に協力しようという態勢をとっておることは知っておりますけれども、私はそれでもなおかつ三十六年度事業量は消化し切れないのじゃないかという見方をしておるのです。ことに用地の取得、補償の問題等は別にしても、この予算が四月の初めごろにでも通る、あるいは衆議院で通れば実施してしまうかもしれないけれども、それにしても今年度の消化量というものは、そう政府が考えておるような甘い考えでは残るというように見ているのです。そこで資料として、現在建設省計画している事業の適格業者の数というものの見込みはどのくらいであるか。国が持っておる力をフルに使ってどのくらいの消化を見込んでおるか。直轄直営の分をどのくらいの見込みを立てておるか。それから業者を使って行なう場合にこれに必要な監督要員というか、これをどのように訓練をして、これが完全に掌握できるという職員をどのくらい現在持っておって、それの教育はどのような形で進めようとしておるか。その点を一つ。前五カ年計画のころにもうその計画は立てておるはずなんです。それを資料として一つ次の委員会までにお出し願いたい。非常に危険に思うのです。できるなら何とか会社、何とか会社という名前もあげていただきたい。これはすべて地建で入札に付する場合にはあるはずなんだから、一番から何番目ぐらいまで、まあ百番ぐらいまででしょうね。きっとそれ以下のものは扱い切れないと思うのだが、それを一つ出していただきたい。私はほんとうを言うとむずかしいと思っているのです。それをあなたの方で指名しているでしょう。道路公団も建設省も同じですよ。これは官房長の方に聞けばちゃんとどのくらいの実績があるかわっておるはずですから、それと見合いながら地建の実態というものを照合すればいいんだから。
  95. 高野務

    政府委員高野務君) ただいまの資料、できるだけ早急に調製いたしまして提出いたします。業者の氏名につきましては、あるいは困難かと思いますが、できるだけ調製するように努力いたします。
  96. 田中一

    田中一君 どうして困難なんですか。そういう能力の調べは建設業課がちゃんと掌握しているのです。両方の面で順番をつけようとまでいっていることを考えているぐらいです。だから、つかんでいないことはないですよ。実際あなたの方で指名入札をしておる連中、それから全然今まで指名をしなかった人々も相当いるのです。五つか六つ新しい会社ができていますから、それは実績を持っておらぬけれどもどうするかという問題、それもあると思うから、出していただきたい。それからその業者が持っている機械、設備、人員等、能力の問題ですね、そういうものも一つ知らしてほしい。もう一ぺん業者の問題で答弁して下さい。
  97. 高野務

    政府委員高野務君) できるだけ御趣旨の線に沿って調製するように努力いたします。
  98. 藤田進

    ○藤田進君 それから若干の調整という意味は、道路の場合では延長なり工事量等について、単価の変動等によって、三十五年度よりも事業計画単価値上がり等による縮小ということを意味しますか。
  99. 高野務

    政府委員高野務君) 三十五年度より縮小するということはございません。ただ、これから五カ年計画にいたしましても、五カ年計画は一級国道何千キロやるという計画を立てるのでございますし、それから三十六年度につきましても、いただきます予算につきましてどれだけの工事をやるかという数字は、これから調整するわけでございます。私ども前年と対比いたしまして五〇%増しというような数字をいただいておりますので、もちろん三十五年度より減るということは予想もできないわけでございます。当初予算要求当時やっておりました数字より多少減るものが出てくるのではないかと思います。
  100. 藤田進

    ○藤田進君 三十五年度工事量という意味の質問ではなしに、三十五年度単価構成による計画ということを前提として考えれば、三十五年度単価構成ですから、三十六年度のそれに相当する工事量というものができないはずです。五十億なら五十億ふえる。しかし、一方物価、労務費の値上がりというような影響を受けて、三十五年度単価構成を延長した工事計画よりも三十六年度は若干縮小される、調整というのはそういうことになる意味かと。
  101. 高野務

    政府委員高野務君) 御指摘通りでございます。
  102. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、今後十カ年の物価動向というものは、上がる方向は内閣としても是認されているわけです。そうすると、ここに出されている十カ年計画の所要財源というものについて、それ自体についても検討をする必要に迫られる、年次別物価が上がれば調整をして工事量が減ってくるという、これが累積されて十カ年では、当初の十カ年計画事業というものが最終年度にかりにしわ寄せしたとすれば、ここに十カ年では完全実施が不可能ということになりませんか。
  103. 高野務

    政府委員高野務君) 五カ年計画を作成いたします場合、あるいは十カ年を見通します場合に、私ども現在の単価で推定しているわけでございます。もちろん三十五年度予算単価より増したものでありますが、現在の単価でやっているわけでございます。あるいは今後におきまして非常に単価、物価の変動等が大幅にございますと、また事業量も修正が出て参ると思いますが、そうでない限りにおきまして、現在の単価で予想しております範囲内に取得の価格とか、そういうものの見積もりをしているわけでございますが、こういう見積もりにおきましては、この五カ年の事業量は二兆一千億いただきました範囲におきまして、それほどの変化はないものと思っております。
  104. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、内閣の施政方針演説あるいはその質疑応答に対する見通し、言明とこの道路整備五カ年計画の実施というものとは、ここに食い違いができてきませんか。現在すなわち、昭和三十五年度単価構成を押えて、これをもとにして五カ年計画を立てる、財源的にもこれをきめる。そして工事量は動かしがたい現実で一定のものですから、そうなると内閣としては、国務大臣である中村さんも加わった内閣として、今後の物価は十カ年で所得倍増、この三カ年は成長率九%ということではっきりと打ち出しておるのですね。これは政府答弁でも、ことに総理の答弁でも、所得が上がればこれにはね返る物価はやむを得ないということさえ衆議院段階でも今言われておるわけです。そういう見通しがあるにかかわらず、一方建設省予算の構成においては、五カ年物価は上がらないものとしてきめることに無理はありませんか。
  105. 高野務

    政府委員高野務君) どうも私の説明が不十分であると思うわけでありますが、私どもは五カ年計画閣議決定していただく場合には、事業量できめるわけでございます。一級国道何千キロというふうな事業量で決定になるわけでございまして、二兆一千億という金額は一つの目安的なワクであろうと思います。私どもといたしまして、将来この物価変動がどういうふうになるかということはなかなか予想できないのでございます。しかしながら道路工事はやる個所によりまして、相当用地にいたしましても違うわけでございますので、これらの個所ごとの見積もりを今やっておるわけでございますが、これはその場所によりまして土地の価格が変わったり、金額が変わったりするわけでございまして、そういう点では一キロ当たり単価を比べますと、必ずしも三十五年度と同じではないと思います。そういう点からいきまして、キロ当たりの単価はいろんなものが出てこようかと思うわけでございます。またそのキロ当たり単価を構成いたします物価にいたしましても、私どもは今一応この二兆一千億でどれだけできるという見積もりをいたします場合、将来の見通しは下積もりできませんので、現在の単価でやっておるということを申し上げたわけであります。
  106. 藤田進

    ○藤田進君 しかし二兆一千億はどういう事業ということは大づかみに押えられていると思うのです。それは個所別にはお説の通り、さらに設計に対する入札、かりに直営の場合でもですがね。予算の以内におさまることも、これは従来の実績から見ても当然のことです。そういうことは別として、こまかい問題として、二兆一千億、地方道三千億を含めて、これを道路整備五カ年計画でやるについては、工事量、事業量というものは押えておられる。道路はどの程度、幅とかそういうものを押えていくとすれば、内閣が打ち出している物価増の中にかなり具体的に経済企画庁は発表しておるわけです、長官からね。明らかにこの国会に出されておるわけです。同じ政府で同じ国務大臣のもとにおける、建設省の方では二兆一千億でこれだけのものをやろう、一という数字をやろうという場合に、三十五年度単価構成で押えて、出発してやれますということにはならない。それは調整するんだと、こうおっしゃる。調整する意味は、結局工事量が、その年度においては予算に見合って物価が上がれば、減っていくということを意味するとおっしゃる。そうなると今後の五カ年を見通すときにおいて、内閣は物価はわずかではあるけれども上がっていくということは表明しているんだから、五カ年計画であればそれを漸次調整していくと、最終年度の五年目にはかなり二兆一千億では足りないか、あるいは当初計画工事量を減すか、そのどちらかに逢着すると見なければならぬじゃありませんか。
  107. 高野務

    政府委員高野務君) 道路整備五カ年計画は、事業量を閣議決定されるものと考えます。従来の五カ年計画事業量を閣議決定しております。もし物価変動等によりまして所要額が上がった場合には、二兆一千億がさらにふえるものと私ども考えたいと思います。
  108. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、出されているものについて、二兆一千億は、これはそのときの物価変動、つまりいろいろな複雑な要素から出てくるのですから、そうぴたりとこないにしても、一応計画としては所得倍増計画経済政策の基本から見て、物価がどうなるということから、今ここに現在見通したところ、来年は手直しを必要としても、当初の計画通り事業をおやりになるというふうになれば、今の道路整備五カ年計画の二兆一千億を増額せざるを得ないでしょう、工事量を減さない以上。そうすると、今この段階では三十五年度単価構成に立たないで、年次別物価の変動と見合いつつこの五カ年計画の遂行ということになれば、二兆一千億をどれだけ上回るかという見当はつくはずです。ついていればそれをここで御答弁いただきたい。
  109. 高野務

    政府委員高野務君) お答えいたします。ただいまのところは二兆一千億は現在単価でやっております。将来物価変動があればこれは修正を必要とすると思います。
  110. 藤田進

    ○藤田進君 大臣局長閣議に出ておられないでしょうから。どうなんですか、内閣とされては。所得倍増に関連して、ことに労務費のはね返りについては、公共料金にしても値上げをせざるを得ない、これはがまんしてくれと、党の政調会長ですか、大阪でもそういう発言をされておりました。これはある一定の数字を企画庁でも押えられております。今後の物価はどの程度だと、本年は何%だとこの間発表されていたように、今後の物価趨勢、労務費の趨勢、これは閣議の了解事項かどうかしりませんが、発表されているのですよ、現内閣としては。そうであれば、三十五年度単価構成で押えておやりになるのも一つの手段で、そのこと自体にはどうこう申し上げません、今の段階では。けれども五カ年計画で二兆一千億というものをここに出されることは、少し現実に遊離するのじゃないか。今後の物価見通しというものが立てられているわけです。発表されているわけです。そうなれば建設省の皆さんが、所管大臣としてもその責任において五カ年計画を遂行するためには、二兆一千億が三十五年度単価構成だから、年次別にどの程度上がるという見込みのもとにいけば、二兆一千億ではないのだ、こういうことにならなければならないのじゃないでしょうか。
  111. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は私どもこういう考え方をいたしておるわけでございます。経済が成長して生産が増強されて参りますと、卸売物価は上がらないだろう、従って建設関係で申しますと、材料費のようなものは上がらないでいける。むしろ、あるいは経営の合理化、生産の近代化等によりましてコストを下げることも可能じゃないだろうか。従って、材料については今の考え方としましては、従来通りでいいと思うのでありますが、ただ問題は人件費、労務費でございまして、これは一般の日本の賃金水準が低いという点から見て、経済状態がよくなり、すべての向上に伴ってこれは急速に向上をしていかなければならない。そこで問題になりますのは、建設関係で申しますと賃金関係であると思います。さような角度から三十五年度に比し三十六年度は若干そういう部分の経費をよけいに見積もりましたような次第であります。今後も従って卸売物価は上がりませんでも、一般消費者の使います小売物価については、これは賃金の上がると同時に配給に関与いたします人たちの労務費も上がって参りますから、若干これは上がっていくと見込まなければならぬという立場に立っておるわけでございますが、従って今後建設関係としましては、賃金の上がっていきまする分を工事の合理化、あるいは近代化、機械化等によってできるだけカバーしていく。しかしそれでもカバーし切れない、消化し切れない分があると思います。まあこれらは、工事費全体の上から見れば、賃金というものはさほど動きのとれないほどの莫大なものじゃないだろうという実は見方をいたしておるような次第でございます。従って今後の年度予算を編成いたしまする上におきましても、常にこの人件費及び賃金については、その点をよく来年度はどう人件費がなっていくだろうかというような点を見て、若干ずつ織り込んでいくべきことにはなろうと思いますが、まあさような次第で工事費全体としての向上は、今からそう心配をして物価の値上がりというものを何年も先を見通すということは——むしろ上がらないことを期待するのでありますから、避けた方がいいんじゃないか、まあ避けていける限りにおいては避けた方がいいというように、概念的には私ども考えておる次第でございます。
  112. 藤田進

    ○藤田進君 それは念願としてはわかりますが、物価を上げないと言っているのに、上がった予算で今後五カ年組むということは、と言うのは素朴にはわかりますが、現実に実施官庁としては、今聞いてみると住宅公団の方の労務費は二割あって、そしてその値上がりを見ているということです。これはまあ当然だと私は思う。にもかかわらず、道路関係においては少なくとも五カ年間は三十五年度単価構成と言われてみても、内閣自体としては所得倍増に伴う労務費の値上がりということを言われているし、今申されるセメントのかりに合理化と言われても、現実に国鉄運賃が上がってきているし、ある産業あたりはちょっと年間十億響いております。少々の合理化で値上げを食いとめるということは、人件費もこれは上がってきますからして、ことに電力料金が上がるというようなことになりましょう、おそらく。そうすると、その合理化に期待してかつ労務費の値上がりを埋め合わせるということは、これはむずかしいことで、従って内閣としては若干の値上がり趨勢というものを認めて発表されている。このことと所管されている建設省道路五カ年計画単価構成というものには、明らかに私は矛盾があるように思う。従ってそれを認めている以上、二兆一千億というものは、工事量を変更しない限り、これを完全実施する以上、ふえてくることが現在でもある程度のものは見込みが立つように思う。そうじゃありませんか。
  113. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 理論的には御指摘のようなことになると思うんです。しかし、まあ私どもそういう方面はしろうとでございますが、かりに鉄道運賃にいたしましても、過去の二回ほど運賃引き上げをいたしました事例から申しますと、やはり鉄道輸送力が足らなくて貨物が堆積をして、一つのものを運ぶにも数日間あるいは数十日間かかるというよりは、輸送力が増強されてすみやかにそれが輸送される方が、経済構成としては全体から見れば合理的なんであります。というようなことと、それから過去の二回の貨物運賃の引き上げから見ると、それが卸売物価に時代の趨勢でだんだん生産も合理化され、経営が合理化され、あるいは設備が改良されて近代化されていくということで、物価の中へ吸収されておったというようなことも、私ども専門でありませんが実は聞いておるのでございます。まあ従いまして鉄道運賃の引き上げということも避けられないかもしれませんが、今後建設省の諸材料等につきましては、まあ現状維持ということで考えていっていいんじゃないか。従って御指摘のように五カ年間同じ単価構成では筋が通らぬじゃないかとおっしゃればその通りかもしれませんが、その部分は工事費全体のうちの占める何パーセントに人件費がなるかわかりませんが、その人件費の向上した分と、こういうように考えて運用上処理していくように努力する以外にはないじゃないか、こう考えておる次第でございます。
  114. 藤田進

    ○藤田進君 これは今即答といっても無理な点があるかもしれませんが、三十五年度単価構成で一応お出しになっている、しかし内閣自体が、総理以下御答弁になっている今後の物価趨勢というもの、これは今年度は幾らともう三十六年度の物価の値上がりということが数字を出しておりますからね。そういうものを理論的に数字的に一つ検討されて、なお三十五年度単価構成で三十六年度は所定の工事を、この押えた工事量ができる、今後五カ年間やっていけるならいける、いけないならば、どの程度今の経済政策と物価の値上がりの見込みから見て二兆一千億はどういう異同があるということを検討して、あさってできれば出していただきたいと思います。  それから、今これも内村理事から指摘になりましたが、地方負担については、——私も予算委員会で先般広島、鳥取、島根の方を回りました。御承知の鳥取は建設省におられた石破さんが知事さんでございまして、まあ課長さん、部長さん、知事も出られて、るる説明を数字的に聞きましたが、これは過年度の金額、予算についてですけれどもね。まあとにかく仕事はしてもらいたいけれども地元負担ができない、どうにもならないということで、それから地方行政委員会にすぐ出まして、石原さんが大臣だったころですが、緊急な措置として地方財政ワクを広げるとかいうような事態に逢着をしたのであります。で、今度もこれを見ますと、目的財源という点を主眼において考えてみても、先ほど質疑応答の中からは単なる希望であって、実際問題としては、これはそこまで自治省等との緊密な調整のもとに、そういう御答弁でもなさそうに私も見えた。実際問題として、すでに石破さんも言ったように、相当困る、地方事業自体がなかなかむずかしくなるのじゃないかということなのでありまして、今即答できなければ、これまたもう少し数字的に自治省ですか、ここらあたりからとも調整をされ、お互いに合議された以上、数字もあるだろうと思いますからお出しいただきたいと思います。以上の点について御答弁願いましょう。
  115. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 先ほど単価の問題ですがね。三十六年度はまあ一応人件費や何やら手当いたしてありますので、これらをもう少し詳細に資料をととのえて出すということ、これは可能だと思いますが、どうも五カ年の先までなかなか経済情勢の見通しを立てて、——まあ企画庁ならできるかもしれませんが、われわれの方でもう寸分狂いのない単価構成を出すということは非常に困難かと思うのです。その点まあ一つ可能な範囲で作業をやってみますから、どうか一つそれをおくみいただきたいと思います。  それから地方負担の問題につきましては、従来ここに至りますまで自治省とは十分連絡をつけて実はやってきておりますので、自治省の方ともさらに資料的に整備いたしまして提出するようにいたします。
  116. 藤田進

    ○藤田進君 ちょっと大臣の御発言ですが、まあ一応それは寸分たがわずというようなことは申し上げていないのでありまして、——いや言葉じりじゃなくて、それは予想ですから。  しかしこの内閣に関する限りは、少くとも十カ年計画というものを打ち出されて、当面三カ年は経済成長率を押さえて諸般の数字を出されている。従って十カ年の経済政策の前期五カ年の今の政策下における見通しというものは、これが立たないはずはない。それがアジャストすることがあるということは、私申し上げましたが、一応当初の計画としては出せるはずでありますから、寸分同じでなくてもけっこうですが、お出しできるそうでありますから、お願いしておきたいと思います。
  117. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 経済企画庁でも、われわれ閣議で聞いておりますけれども、三十六年度の小売物価指数の上がり方が、何パーセントという程度のことしか聞いておりませんので、一体経済企画庁自体が、三年先になったら、賃金がどれだけ上がって卸売物価はこうなる、小売物価はこうなるというようなことは、まだどうもあれが出ていないと思いますが、連絡いたしまして、資料を整えるだけはやってみますが……。
  118. 藤田進

    ○藤田進君 だから、そこへいきますと、五カ年で、これだけのものをやりますと、二兆一千億ということが、そんなに自信をもって言えるはずがないのです。そんな先のことは言えないのだから、三十六年はこれをやります、三十七年は、ほんとのことはわかりませんということになるので、それはもっと検討していただきたい。
  119. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただ問題は、完全な計画経済と違いまして、自由主義経済ですから、一つの目安を持たなければ作業できませんから、目安をつけつつ行っているという段階で、それじゃ三年先の物価は、物件費は、どうなるかということになると、なかなかむずかしいことになると思うのですが、できるだけやってみますから……
  120. 内村清次

    内村清次君 大臣先ほど来の藤田委員の質問に対するあなたの答弁を聞いておりますと、どうもやっぱり、たまたま道路局長は費用の点、すなわち二兆一千億の費用の点は、修正する場合もありますというところまで出たわけですね。ところがあなたの方では、なかなか、道路ができればまた卸売物価というものは、交通の好転で能力が上がったとか何とかいうふうな、そういうところだけ、あなた方は言っておられるのだな。だから実際は、道路整備五カ年計画という、措置法という法律がありますね、その法律の第二条の2項には、五カ年間の整備の量だけは、法律によってきめなくちゃならぬということが、もう閣議決定としてはっきりしてあるのですよ、量はあくまで。目標も、きめなくちゃならぬですよ。しかしその金額の点につきましては、これは、きまっておらぬのだな。それは一つの目標になるかもしれませんね。が、しかし、だからそういった単価の変動のあった場合には、五カ年間では、その費用を修正しなくちゃならぬ時期が、必ず藤田委員の言われるように来る場合がある。それをどうもあなたの方では、今二兆一千億になっているのだから、それを今修正すると言えば、あやふやではないかと、こういうようなところにこだわって、答弁をとうも渋っておられるような感じかする。あるいはこの法律の趣旨というものを十分のみ込んでいらっしゃらないのではないかとも思われる、私が聞いておれば。  この点をやはりはっきりしないと、今藤田委員が要求されたように、それでは五年先までの物価の変動を加味したところの基礎単価の問題を一つ出してみなさい、こういうことに、やはりならざるを得ぬことになってくる。どうですか、これは。
  121. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 結局、こういうことだと思うのですが、事業量をきめますと、今、先ほど来御指摘のように、人件費が上がるとか、あるいは物価にも変動があるかもしれません。そういうことによって、事業量を消化していこうとすれば、金額は二兆一千億といいましても、これは一つの目安でありまして、あるいはそれ以内でできることも観念上は考えられますが、以内ということはめったにあり得ないので、自然はみ出していくということもあり得ると思います。しかもそれをそれじゃどういうふうな推移でどういう単価構成でどうなるかということを、今はじき出すことが非常に困難であるということを、実は先ほど、御発言とはどうもぴったりしないことを申し上げて恐縮だと思いましたけれども、あまり安受け合いいたしましても、なかなかその通り資料が整いませんと困ると思いまして、実は正直のところを申し上げたような次第で、考え方といたしましては、実は概念的には、このように考えております。
  122. 小平芳平

    ○小平芳平君 私の質問は後日にいたしますから、簡単にちょっと一つだけお聞きしたいのですが、資材と労務費の値上がりが、現に公団住宅には入れてあるとおっしゃっているわけです。道路は、一つも見ていないとおっしゃているわけですね。それでは公団住宅には入れて、公営住宅にはどうかということも議論になるわけで、そういう点は後日にしまして、一つだけ、河川局の方は一二・九%という中身は、資材あるいは労務費の値上がりを見ての一二・九%なのか、それとも純粋の事業量の拡大なのか、その点いかがでしょう。
  123. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 三十六年度事業につきましては、単価の点は、三十六年現在でございますが——単価を使いまして事業量をはじく、こういう状況でございます。
  124. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから三十五年度に比較して、労務費、資材費の値上がりを見込んでの金額になっておるかどうかということです。
  125. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 見込んで、事業量を三十六年度としてはじいたわけでございます。
  126. 小平芳平

    ○小平芳平君 幾らですか。
  127. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 詳しい数字は、現在持っておりませんが、三十六年度で実施し得ることを基準としてやっております。
  128. 小平芳平

    ○小平芳平君 詳しい数字をこの次の、あさっての委員会にお願いします。
  129. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 次の委員会に提出いたします。
  130. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それじゃ残余の質問は次回に譲りまして、本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十八分散会    ————————