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1961-06-02 第38回国会 参議院 決算委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月二日(金曜日)    午後一時三十九分開会    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 芳男君    理 事            岡村文四郎君            鳥畠徳次郎君            仲原 善一君            相澤 重明君            北條 雋八君    委 員            川上 為治君            木内 四郎君            田中 清一君            谷口 慶吉君            林田 正治君            谷村 貞治君            大倉 精一君            大森 創造君            武内 五郎君            千葉千代世君            山田 節男君            奥 むめお君   政府委員    内閣官房長官  大平 正芳君   説明員    会計検査院事務    総局次長    上村 照昌君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年度一般会計歳入歳出決  算(第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度特別会計歳入歳出決  算(第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度国税収納金整理資金  受払計算書(第三十四回国会内閣提  出) ○昭和三十三年度政府関係機関決算書  (第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度国有財産増減及び現  在額総計算書(第三十四回国会内閣  提出) ○昭和三十三年度国有財産無償貸付状  況総計算書(第三十四回国会内閣提  出) ○昭和三十三年度物品増減及び現在額  総計算書(第三十四回国会内閣提  出)    ——————————
  2. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。  昭和三十三年度決算外三件を一括して議題といたします。総括質疑を行ないますが、総括質疑大平官房長官に対する相澤君の質疑が残っておるだけであります。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 官房長官にお尋ねしたいと思うのでありますが、国家賠償法改正する意思政府にあるかないか、これは私が今の通産大臣、前椎名官房長官のときにも指摘をしておいたことでありますが、当時から政府研究はすると言っておったんだけれども、いまだに国家賠償法そのものについて何らの意思表示をしておらない、こういうふうに考えられるので、との機会一つ政府、特に官房長官は、中心問題でありますから、国家賠償法という法律を今日の時点に立って改正する意思があるのかないのか、そういう点について冒頭に一つお尋ねをしておきたいと思います。
  4. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 現在の法制におきましては、第三者に対する災害に対して国家補償するといろことはできないととは御案内通りでございまして、この前の国会相澤先生から椎名官房長官に御質疑がありましたことも経緯を伺っております。そこでその後政府におきましては、国家法律上の責任はないけれども、これが社会不安等を誘引する危険もございまするし、かたがた考えまして、行政指導によりまして本年四月一日から、この前に相澤先生問題にされました火薬類等の問題があげられましたが、そういう関係者——製造とか卸売、小売業者保険会社保険契約を締結いたしまして、第三者に対する損害填補を行なうということにいたしました。で、填補限度額でございますが、身体障害賠償につきましては、一名につき最高百万円、一事故につき五百万円、これは最高でございます。それから財物損壊賠償につきましては二千五百万円、一事故につき三千万円、いずれも最高でございます。で、保険は一年間千三百十七万五千円ぐらいの保険料になるのではなかろうかと、なお煙火関係につきましては、保険契約締結が困難な事情もございますので、関係業者により損害補償基金をお積み立て願って、第三者に対する補償を行なうよう、現在公益法人の設立をせっかく準備中でございます。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 私が前官房長官当時にこの国家賠償法改正しなければならぬと言ったのは、御承知のように、横浜市の金沢区で東洋化工爆発があった。続いて京浜第二国道自動車の衝突による爆発があった。その次には横須賀坂本町における火薬爆発があった。こういう一連の火薬類等爆発が相次いで、非常にまあ地域住民は困惑をしたわけです。ところがこの賠償責任とか損害責任という問題についてそれぞれのケースが違うわけですね。実際には、この東洋化工の場合は、会社側にはある程度の能力はあっても、処分の問題が、当時通産省の管轄でしたが、これについても相当の問題点が残されていた。それから京浜第二国道の場合は、その衝突した人がなくなっちゃったんだから、これはもうだれが補償するも何もないわけですね。またこの横須賀坂本町の爆発は、その本人が中へ飛び込んで爆発をさしたとまでいわれている。もう全然跡形がなくなってしまっている。そうすると、保険金をかけてもその保険金をかけた対象がいなくなってしまう、あるいはそのもらう者がもう全然ないと、こういうことになると、このとばっちりを受けた国民が、これはもう一番国民生存権を侵される者です。こういうことになるから、私はこの火薬輸送の途中であるとか、あるいはまた火薬のために損害を受けた人に対して、それを持っておった人が補償能力のある限りにおいては、これはもう保険金の増額なり、新たな保険をつけることによって、これは解消できるかもしれない。しかしそうでないものはどうするんだと、これは率直にいって国が国民生存権を守る以外には方法がなかろうと、こういう点で国家賠償法というものを拡大解釈ということはできないのかどうか、当時私は事故の点でそれは申し上げたのです。その点について今の大平官房長官お答えのように、政府としては研究すると、関係省でね、研究をしてその出た答えが今あなたのお答えになったようなことと思うんです。これは基本的な解決の方策ではない。当時椎名官房長官も、瀬戸内海のあの捨てたものが事故を起こしまして、漁民の損害補償をしたことがある例をも申されました。しかしこれはもうごく一部の問題であって、そういう全く予期せざる事故によるところの国民生存権というものは一体だれが保障するのか、こういうことを考えてくると、国家賠償法以外にはないだろう、しかし残念ながら現在の国家賠償法というのは民法から来ているものでありますから、結局国の行政上のあやまちがあった場合には、いわゆる第三者に対するところの最低限の補償をするというだけの法律なんです。行政上の誤りというものがなければ、これは何ら賠償の責には任じない、これは旧憲法からの思想というものがそのまま残っているわけなんです。しかし今日のこの社会の近代というものから考えれば、今私が前段に申し上げた二つ、三つの例を取り上げても、これは何とかしてやらなければいけないということは当然お考えができると思う。  で、さらには、私はいま一つの例を、こういう点を申し上げたのであります。大和市に米軍基地がある。この米軍機の爆音に非常に地域住民は悩んでおって、あなたも御承知のように政府陳情をされた。政府もついにこの基地問題については基地環境等対策委員会を持たれて、根本的な解決をするように努力をされるということは私も承知しておる。しかし、それが米軍機の場合ならば、これは特例法等適用もあるけれども、一体そうでない場合に、たとえば川崎のような工場都市の上にもしそういう事故というものが起きた場合に一体どうするか。これは米軍機の場合ならば、いわゆる日米安保条約による損害というものは出し得る。けれどもそうじやなかった場合にどうするのか、こういうようなことを考えると同時に、この被害というのはまことに大きくなっていくのではないか。従って、そういう工場の上を飛ぶような場合の飛行制限というものはもちろんだけれども、そうでなくて、この被害を受けた立場人たちに対する補償というものは、これはもう現在では考えられないほど大きなものが生まれてくるのではないか。こういう点一を私は指摘をして、椎名官房長官に、政府としても早急にこの立案をすべきではないかと、こういうことを申し上げたわけなんです。そういう点で、旧憲法時代民法から来ている、今日、終戦直後——昭和二十二年に改正をされた民法からのこの国家賠償法の問題は、今日の時点では私はもう改正をしなければならぬ段階に来ていると、こういう点で実は御質問を申し上げているわけなんです。この点いかがでございましょうか。
  6. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 御指摘の点一々もっともだと思います。それで、これは要するに無過失賠償責任の問題になると思うのでございますが、御指摘のように、技術が革新されて、われわれが予想しなかったようないろいろな新しい事態が出てきております。巨大な企業が生まれまして、不測の損害第三者に与えるというようなことも出てきておりますので、この国家による無過失賠償責任というものをどう取り上げるべきかということは、御指摘通り今の段階におきましては非常に重要な問題だと思います。で、この間も御案内のように、原子力による損害賠償の問題は、初めてそういう形での立法例として御審議いただいておるわけでございますが、その他の産業領域にこの法理をどこまで展開して措置すべきかという問題は、衆議院の各委員会におきましても御論議いただいておりまするし、政府といたしましても、われわれが精力的に取っ組まなければならない課題であると思います。  なお、基地周辺の問題は御指摘通りきわめて深刻でございまして、一体どのように政府側として対処すべきかということにつきまして、ただいままでは調達庁事務当局の手にゆだねられて御処置願っておったわけでございますけれども調達庁の与えられたスタッフ、与えられた能力ではこれを消化するに十分でないことは、相澤先生案内通りでございます。そこで、この間私どもの方の閣議では関係閣僚懇談会を設けまして、高いレベルでもっと広い視野からこの問題に接近しなければならぬのじゃないか。こういうことになりまして、その下部機構として各省次官を充てます幹事会を設けて、政府としてはこの問題に逃げ隠れしないで真正面から誠意をもって取り組むということにいたしたいと思っております。そういう研究検討過程を経まして、どうしてもこれは立法措置によって処置しなければならぬということに相なりますれば、そういう方向に施策を進めて参りたいと思っております。それまでの段階におきましては、先ほど御答弁申し上げました通り行政指導ないし行政措置で可能な限りやってみようと、しかし、これで私ども全部カバーできて問題を消化できるものとは思っておりません。しかし、できるだけやってみるということと並行いたしまして、今の時代の要請であるこういう問題について、しばらく検討余裕を与えていただきたいと存じておる次第でございます。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 今の官房長官お答えお答えとして、私も了とするところがあると思うのです。基地周辺等の問題については、これはもうなかなか重大な問題でありますから、そう簡単に答えも出ないと思います。同時にこれは単に日本政府ばかりじゃなくて、アメリカにも相談をしなければならない問題だと思う。最終的には日米合同委員会でも討議をしなければならぬし、いよいよ今回、池田総理大臣アメリカを訪問するとなれば、そういう中でもいろいろお話も出る問題じゃないか、こう思いますから、相手の国のある問題でもあるしまた国内でも重要な課題だと思いますから、これはかなりの時日を必要とすると思います。しかし国民感情としては、一日も早くやってもらわなければならぬ、こういう筋合いのものだと思います。それはそういうふうに政府の意のあるところを私どもは了解をしたいと思うのです。しかし、この第二の問題点である私の主張しておる国家賠償法改正については、私はこの第一条、第二条等の関連を考えた場合、何といってもなんじ国民、下におれというような考え方がまだまだいまだに法律の中に生きておるということは、国の行政者責任に帰する問題であるということでありますね。行政者責任に帰する問題じゃなくて、第三者が起こした問題でも国民はその危機に瀕するわけですね、求償権相手がいないのですね。先ほど申し上げたように、求償権相手がいない、だから君は運が悪いのだといってしまえばそれまでなんだけれども、そういうものではないと思うのです。ですから今日の場合、私は国家賠償権というものをできるだけ広範囲に適用できるようにして、しかもただ国の予算が放漫に流れるのじゃなくて、その事業主体においてでき得るものは、先ほどの長官お話のように、これは保険等でやってもそれはできるだけ補償をすると、こういう両建てでなければほんとうの国民生活を守ってやる、いわゆる憲法二十五条の健康にして文化的な生活を保障するということはできないと私は思うのです。そういう意味政府自体が今日のこの現状というものをどう認識をされておるか、というこの問題点になっておるのじゃないか。従って、それから来るところのいわゆる第三条の賠償責任者、あるいは第四条の民法適用と、こういう関係法律の条章についても、私は今日の時点ではもう変えていかなければならぬ段階であると、こう思うので、でき得れば私は政府がこの改正提案をしてもらいたい。どうしてもできなければ、これはもう議員立法でせざるを得ない段階に追い込められておるのじゃないかと思う。おそらくあなたも政治家でありますから、いかにこの国民の多くの人がそういう全く予期しない災害によって、しかもその適用されない、求償権を発動できない問題がたくさんあると、こういうものは国が救済する以外にはないと、こういうことはおわかりになると思うのです。そういう意味で、長官が今後まあ池田内閣内閣改造をやってどういう程度まで内閣を続けられるのか、それは私ども存じませんが、少なくとも内閣責任政治の上に立ってお作りになっておる以上は、国民のそういう問題と真剣に取り組んでもらいたい。従って、できるならば早急に各省の中で、まあ法務省が中心になると思いますけれども、しかし、そういう救済の問題については私はやはり内閣官房だと思う。広範囲な意見を徴し、またそういうことを説明のできるあなたが立場におると、そういう意味で、この問題に真剣に取り組んでいただけるかどうか、その点をあなたの誠意一つ披瀝をいただきたいのです。いかがでしょう。
  8. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 全く実感として相澤先生言われたように私も考えております。先ほど申しましたように、私どもこの問題から逃避をしようと思いません。誠実に取っ組みたいと、ただしばらく検討余裕を与えていただきたい。同時にその間におきましても、行政指導行政措置等においてはできる限りの手をあわせて行ないつつ、それと並行して今言ったような新しい立法問題として検討さしていただきたいと、こら思います。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 それでは検討するということでありますから、そのことをできるだけ早い機会国会の中でその誠意披瀝されるように私は期待をいたしまして、この点は終わりたいと思います。  そこで、こういう点は政府の人情的なことになるかどうかわかりませんが、一つお聞かせをいただきたいのですが、一昨年の十二月のこの京浜第二国道における自動車事故における爆発に対しては、私が国会で何回も御説明を申し上げたわけでありますが、いまだにその病院に入っておる人や、そのためにもら終身仕事のできなくなった人もおるわけです。それで家を全部こわされたわけであります。借金をして家を作った人も今日になると、その当時はとにかく住居がほしいと、こういうことで融資をしてもらってうちを建ったわけですが、今になると返済になかなか苦労しておる、こういう人が非常に多いわけですね。ところが、先ほど申し上げた求償権民法上でやろうとしてもこれはなかなかできない。そういう非常に苦しんでおる人たちに対して、少なくとも内閣総理大臣、まあこれは今の池田総理大臣じゃありません、元の岸総理であります、前の岸総理時代のことでありますけれども、そういう点について政府はやはり見舞金を出すべきではないか。先日当決算委員会で私は、米軍の飛行機が藤沢に落ちた事件に対して、いち早く米軍では見舞金を持っていった、そして日本政府見舞を持っていくのはおそい、といって怒ったわけですが、さっそくお見舞もやっていただいたし、また葬儀にも参列をしたのを私も聞いております。その点は若干のズレはあっても努力は多としたいと思うのです。しかし、そういうたとえあとになったにしても、しかし、政府のやはり気持を出して、そして国民の悲歎にくれるのを何とか明るい気持に持っていく、というような考え方が私はあってしかるべきだと思うんだが、官房長官はそういう点についてどうお考えになりますか、その点一つ、これは人情話になったかもしれませんが、あなたの人情話一つ聞かしていただきたいと思います。
  10. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 全く同感に思います。政府としても、時を移さず可能な限りお見舞申し上げたいと思います。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 その次に、旧軍港市の転換の問題について、これは一つ官房長官に、あなたもやはり中心になっておりますので、お答えをいただきたいのですが、先日も当委員会で、西村防衛庁長官丸山調達庁長官に私から念を押したのでありますが、旧軍港横須賀、呉、舞鶴佐世保、この四軍港は御承知のように軍港都市転換法という法律によって平和宣言をし、住民投票まで行なって、そしてこの旧軍の財産をできるだけその地域返還をする、そうして平和産業を起こす、こういう法律をきめたものであります。で、自来、この法律が生まれましてから十有余年になるわけです。ところが先日国勢調査をいたしましたところが、この旧軍港、四軍港都市の中で、人口が増加をしておるのは横須賀だけであります。しかも、その横須賀人口は五カ年間に六千人であります、五カ年間ですよ、他の舞鶴、呉、佐世保は全部人口が減っておるのであります。これは明らかにこの旧軍港都市においてはそれぞれの平和産業というものが十分確立をしておらぬ、こういうことが言える。他面、大蔵省の、私どもが、国有財産いわゆる旧軍から引き継いだ国有財産ですね、これを調査をいたして参りますというと、まだまだたくさんの国有財産が残っておるわけです。これを適切に処理をして、そしてその比域都市発展に貢献することができるならば、人口が今日の時代ではふえていくのが一般でありますから、それが逆に減っていくというようなことはあり得ない。これは明らかに、旧軍の財産等の、やはりそうした法律に基づく使用方がやはりまだ不十分ではないか、こういう点で、もっと法律に基づいて政府としては努力をする考えはないか。こういう点を質問をいたしましたところが、それはもうできるだけ努力をいたしますというお話は聞いたわけです。それから、大蔵省管財局長にもその点は確認をいたしておるわけです。現実にはたくさんのいわゆる陳情書も出ておるし、官房長官にも、これは旧軍港代表がお見えになったと思うのです。そういうことで、国有財産地方自治団体に対する返還といいますか、払い下げというか、そうした地域発展のためにお尽くしになることはこの際最も大事なことではないか。こう思うのでありますが、もし、旧軍港代表がお見えになったのならば、官房長官はそういうお気持でやっていただけるかどうか。この点も各大臣意見は、担当の大臣意見は聞いたのですが、これはやはり総理大臣のかなめを握っているのはあなたでありますから、一つあなたの御意見を聞かしていただきたい。いかがでしょうか。
  12. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) その諸般の事情は私もよく承知いたしております。ただ、国有財産処理の問題というのは、私どもから見ておりましてもなかなか複雑でございまして、迅速に手際よく事後処理がついておるというようにも思っておりません。で、この問題は、関係管財当局心配いただいておると思いますけれども、今御発言がございましたようなことはごもっともなことでございますので、これを督促し、促進していくに遺憾のないようにやりたい、こう思っております。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、一つだけ、今の官房長官努力期待をいたしまして、一つだけあなたに、これはぜひやってもらわなきゃならぬということは、やはり前委員会で申し上げておきましたが、追浜の旧米軍接収地が解除されたところを民間に払い下げするわけです。ところがまだ一部米軍接収地として残っておるわけです。で、これが御承知のように電力開発に伴って久里浜火薬場は、東京電力の発電所ができましたので、これは移転をしなきゃならぬ、あるいは他に輸送をしなきゃならぬ、こういう問題が起きて、その当面の扱い場所として、この久里浜火薬場火薬類を、追浜の広大な民間に払い下げた土地の一部、港に近いところに陸揚げをする、あるいはそこを倉庫にする、こういうような問題が生まれて、実はせっかく政府努力して工場を作って、民間産業発展のために寄与しようとしたところが、非常に戦々きょうきょうとしておる。一回そこでもってぼかっとやられたらそれで終わりでありますから、こういう点について当委員会では、他の議員の諸君からも、ぜひそういう心配のあるようなものは、これはやらぬように、米軍もまだ最終的にきめておるわけじゃございません、従って、日米合同委員会の中においてそういう点をよくお話し合っていただいて、そして、この工場の中にそういう危険物を置かないように、またそういう心配のないように一つ話をしてもらいたい、こういうことを、質問をした私を初め他の委員からも同様に披瀝をされている。これはきわめて重要な問題であるし、あるいはまごまごすると、短期間のうちにこの問題はきめなきゃならぬということになるかもしれない。こういう点で、これは特に池田総理アメリカにおいでになれば、その留守中にもあなたがやはり預からなきゃならぬ問題かもしれません。そこで、こういう工場の中におけるそういう問題については、ぜひ置かないように、私は政府努力期待したいと思うのですが、官房長官いかがでしょう。
  14. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 今御指摘の問題は、私も関係者から陳情を受けまして、よく承知いたしておりまして、今政府並びに関係者の間で協議いたしておりますので、ただいままでまだ結論は出ておりませんけれども、鋭意この解決を急いでおる次第でございます。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 あと、きょうは国際収支や、あるいは防衛力の問題について質問を残しておったのでありますが、これは前回、防衛庁長官あるいは通産大臣意見も聞いておりますから、きょうは最後に一つだけしぼってお聞きをしたいと思います。  綱紀粛正の問題であります。で、これは三十三年度の私ども決算審査をいたした過程において、非常に多くの不正不当と思われる件数があるわけです。三十三年度は実に三百三十五件、こうした件数は、しかし、これは会計検査院検査をして指摘をしたものであります。いわばこれは全般を一もし政府行政機関等調査をするとなれば、氷山の一角とも言わるべきものではないかということも考えられる。そういう中において、役人の使い込みあるいは役人の不正な、不当な扱い方、こういうものもかなり私は見受けられると思うのです。これらに対する処分というものが、実はあまり幹部の方には影響がない。いわゆる注意を与えておる。この処分の内容をずっと各省のを見せてもらうと注意を与えておる。そのうちにその注意を与えられた幹部は栄転をしていっておる。しかし、現場の出先機関の者はこれは処分を受けておる。こういう政治に対する姿勢というものがはっきりしないような形が、この決算検査の中からうかがえるのではないか。これでは私はやはり政治に対する国民の信頼というものはなくなると思うのです。先日の国鉄の東海道新幹線における汚職事件というものも新聞をにぎわしております。私は、これらのいろいろな問題をずっと決算委員会が調べてみるときに、そうした政治に対する信頼というものを国民にどう持っていただけるかということは、いわば為政者の仕事であるし、国会の仕事だと思うのです。そういう意味で、この国会におけるところの決算を通じて綱紀粛正ということは、どうしても政府においてやはりやってもらわなければならぬことだと思うのだけれども池田内閣の元締めとして、あなたは、官房長官綱紀粛正について、どういう基本的なお考えを持っておるのか。これは、ぜひこの一点だけは私は最後に聞いておかなければならぬ問題だと思うのです。これについて一つあなたのお答えをいただきたい。
  16. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 大へん根本的な問題についての御発言でございますが、私ども相澤先生同様政治の姿勢を正すことが、政治の一番大事な問題だと思っております。各種の政策を精力的に立案し、実施することも大事でございますけれども、それを実行に移す主体である政権の姿が正しくなければならない、国民の御信頼をいただけるものでなければならぬということを根本の方針といたしまして、組閣以来御承知のように政治の姿勢を正すということ、国会を頂点とする政治の姿が正しくなること、これが国政の根本であろうということで、鋭意努力をいたしておるわけでございまして、第一に私ども考えておりますことは、行政各部なりにきつく要請することも大事でございましょうけれども、根本はやはり台閣に列する者がみずからの姿勢を正すことが第一だと思うわけでございまして、総理大臣を初めとして、各閣僚にそういう態度でやっていただきたいということを第一に努めておるわけでございます。  第二といたしましては、各官庁においてそういう不正、あやまちが起こる温床をなくさなければなりませんから、やはり各官庁、職場の空気を明るくし、応接を明朗にし、職場を清潔にするというところから直してかからなければならぬと存じまして、かつて私どもの方から通牒を出しまして、事こまかくお願いすべきものはお願いをいたしてございます。  それから第三点といたしまして現行法による今御指摘処分処理、このことは望ましいことではございませんけれども、そういうことがあってはならないと思いますけれども、現実に起こった場合の処理を誤らぬようにしなければならないということで、現行法の厳正な適用ということについて、これはきわめてあたりまえのことであるからやっていただきたいということを督励いたしておるわけでございます。現在までにやって参りましたことにいろいろ御批判があろうと思います。私どもも決して十分とは思っておりませんけれども、今御指摘の問題は政策問題より以上に大きな問題であるという認識に立ちまして、微力でございますが最善を尽くしていかなければならぬ、こう考えております。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 総括的な御答弁はその通りだと思うのですが、いかがなものでしょうかね。今までの汚職事件というようなものを見て参りますというと、課長あるいは課長補佐、こういうところが非常に件数が多い。いわゆる役人中心である。しかもその上を見てみるというと関係の局部長はやはり事情を了承しておる。しかし法律的には別に罪にはならぬ、こういうととで、しかもその次の人事では、たらい回しの栄転をしていくというようなことでは、私はいかに政府が答弁を低姿勢でしても国民の信頼を得ることはむずかしい。そういう点について具体的にこの内閣の中に綱紀粛正特別委員会等を持たれたことがあるわけですから、今日はどういうふうにしてやっておるのですか。たとえば通産省なら通産省が汚職の問題で新聞に書き立てられる、こういうような場合に、あなたは閣議でもって通産大臣からその間の事情をお求めになるのですか、それとも通産大臣が閣議にそういうことを御報告になる、それを全体の閣議として検討をされて、こういうことがあっちゃならぬといういわゆる各省庁に対するところの通達を出す、あるいは根本的なそういうものを専門的に取り上げて、そうしてその対策を流すというのか。現在の時点においても、すでに通産省にせよ、国鉄にせよ問題がやっぱり出ておると私は思うのです。そういうことでありますから、この際にやはり綱紀粛正問題というものは、基本的に私はお考えになって樹立をしなければならぬ段階に来ているのじゃないかと思う。ですから政治に対しては、お互い政策で議論をするのでありますから、これは国民の支持はおのずからその政策によって判断される。しかし事、汚職の問題になるとこれは別に政策の問題じゃないわけです。従ってそういう点について政府考え方なり、あるいは閣議のあり方を私はいま少し御説明いただきたい。
  18. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) そういう問題も含めまして現行制度では、人事管理の責任各省大臣にございます。その基準を設定し、または苦情の処理等は人事院にありますことは御案内通りでございまして、ただいま内閣として直接この問題についての権限は持っておりません。従って内閣のやりますととは、各省庁の長官に対しましてとのような心がまえでやっていただきたいという旨を、訓令ないしは通牒を出すことはできるわけでございます。ただ私ども内閣ができましてから今日までに、一般的に職場規律の保持、順法精神の徹底というようなことにつきまして、私の名前をもちまして通牒を出しましたことはございますが、汚職事件の始末につきましてこのようにやれという、そういうことだけを具体的に考えた通牒はまだ出しておりません。ただいままでの経験では、各省庁に起こりました不幸な事件につきまして、閣議で各大臣から御報告がありましたことはございません。各省大臣の御責任において御処理願っておることと思うのです。しかし、今綱紀粛正の問題を積極的に取り上げていけという御注意に対しましては全く同感でございまして、今後とういう場合には閣議に御報告願い、各省庁のバランスをとり、上下の均衡もとるようにしなければいけないということの御発言に対しましては全く同感でございまして、運営上工夫をいたしてみたいと思います。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 この綱紀粛正という問題は非常に大きい問題であるし、人間的な問題もからんでおりますから、官房長官の言われる通りなかなか大事なものだと思う。私どもは決算上調査をした中にもたくさんの問題が各省庁のリストを出してもらえばあるわけです。しかも、先ほども申し上げましたように、三十三年度の決算の中でさえ、検査院が調べたものでさえ三百五十五件の不正不当の問題があり、十二億余にわたる不正なものがある。こういうようなことを考えて参りますと、今のお話では閣議の中で閣僚からも報告を別に受けていないし、また、閣議としても取り上げたことはないと言っておる。私はこういう点が非常に問題だと思うのです。一つの例を私申し上げたいと思うのです。先日、労働省の項を審査した。たまたま福岡県が六カ年有余にわたって失対事業に対する不適当な支出を行なっておった、こういうことで国に返還を命じられた。そういうことで労働省の関係者を呼んで聞いたところが、昭和二十九年から三十四年までずっと調べてみるというと、それまでは別に労働省自身が警告も発しない、三十四年になって初めてこれはいかぬということで警告を発した、こういうことがわかってきたわけです。これは明らかに何と言おうと、出先の機関に対しては上の役人の人はいろいろの注意を与えたり、あるいは指導も適切にしておったかもしらぬ、しかしながらこれは政府の監督上の問題である。決算委員会では毎年、今は三十三年度をやっており、昨年は三十二年度をやって、その前は三十一年度をやった、毎年やってきた。決算をわれわれが進めてきて、そうしてたとえば郵政省とか国鉄、防衛庁、農林省、これらは非常に件数が多過ぎてけしからぬと警告を発しておる。しかし、そういう警告を発しておるにもかかわらず、実は役所ではそういうことは承っておきますという形になっておる。それが累積をして労働省の失業対策のような問題になっておる、こういう点が……。農林省の問題が少なくなったということは、法律改正が伴ったからそうなったので、結局適切な指導が行なわれたり、あるいはまた国として当然これを現地に対して、改善をしなければならないということを指摘していけば、そういう誤りを犯させるということはない。従って、上層部のそういう指導の問題であるし、また国会に対する責任上の問題であると私は思う。そういう意味で、私はやはり率直に申しまして、先日の国鉄の汚職の問題や通産省の問題が出たら、関係の閣僚は国務大臣として、当然閣議で自分の所管にはこういう問題があったということを話し合って、閣議の中でお互いにこういうことを他山の石として再び起こさせないような処置をとるというのは、あたりまえではないかと思う。そういうことをしないから、結局は役人まかせであるから、先ほど言うように、人事院に苦情があれば苦情処理委員会に出したらいい、公平委員会に出したらいい、こういうようなことで済まされたのでは、私はやはり本質を正すことにはならない。綱紀粛正の問題は一つ池田内閣において、あなたが一つ官房長官としてこの際取り上げて徹底的にやはり究明していく。そうして国民に対する信頼、政治に対する信頼を私は回復してもらいたい、こう思うのです。その他についての質問は、私はきょうは省略をいたしますが、綱紀粛正だけは私はどうも譲るわけには参らぬのである。そういう点について、池田内閣として、特にあなたは官房長官という重責にあるわけですから、そういう点を今後やる気があるのかないのか、率直にお答えいただきたい。それで私の質問を終わります。
  20. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 非常に建設的な御提言をいただきまして私もいたく感銘いたしました。今言われたような方向において私どもも工夫をして参りたいと思います。
  21. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 以上をもって、昭和三十三年度決算外三件に対する総括質疑通告者の発言は、全部終了いたしました。  質疑は終局したものと認め、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十七分散会