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1961-05-15 第38回国会 参議院 決算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十五日(月曜日)    午前十時四十一分開会    ———————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 芳男君    理事            岡村文四郎君            鳥畠徳次郎君            仲原 善一君            野上  進君            相澤 重明君            北條 雋八君    委員            川上 為治君            谷口 慶吉君            野本 品吉君            谷村 貞治君            大森 創造君            北村  暢君            木下 友敬君            武内 五郎君            千葉千代世君            山田 節男君   国務大臣      運輸大臣  木暮武太夫君   政府委員    法制局第一部長 山内 一夫君     防衛政務次官 白濱 仁吉君      調達庁長官 丸山  佶君     大蔵政務次官 田中 茂穂君      日本専売公      社監理官  谷川  宏君    大蔵省管財局長 山下 武利君     農林政務次官 井原 岸高君      食糧庁長官 須賀 賢二君     郵政政務次官 森山 欽司君    建設省住宅局長 稗田  治君         —————     会計検査院長 山田 義見君   説明員      大蔵省主計      局主計官  高柳 忠夫君      大蔵省銀行      局総務課長 塩谷 忠男君      大蔵省為替      局総務課長 森鼻 武芳君     会計検査院事     務総局次長  上村 照昌君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十四年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十四年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和三十四年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十四年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出) ○昭和三十四年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十四年度一般会計予備費使用  総調書(その2)(内閣提出衆議院  送付) ○昭和三十四年度特別会計予備費使用  総調書(その2)(内閣提出衆議院  送付) ○昭和三十四年度特別会計予算総則第  十四条に基づく使用調書内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十四年度特別会計予算総則第  十五条に基づく使用調書内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十五年度一般会計予備費使用  総調書(その1)(内閣提出衆議院  送付) ○昭和三十五年度特別会計予備費使用  総調書(その1)(内閣提出衆議院  送付) ○昭和三十五年度特別会計予算総則第  十一条に基づく使用調書(その1)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和三十三年度一般会計歳入歳出決  算(第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度特別会計歳入歳出決  算(第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度国税収納金整理資金  受払計算書(第三十四回国会内閣提  出) ○昭和三十三年度政府関係機関決算書  (第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度国有財産増減及び現  在額総計算書(第三十四回国会内閣  提出) ○昭和三十三年度国有財産無償貸付状  況総計算書(第三十四回国会内閣提  出) ○昭和三十三年度物品増減及び現在額  総計算書(第三十四回国会内閣提出) ○小委員会設置に関する件    ———————————
  2. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。  五月十二日の委員長及び理事打合会について報告をいたします。本委員会運営に関して協議を行ないました結果、一、定例日は当分の間従前通り月、水、金の三日間とする。二、昭和三十三年度決算昭和三十四年度決算及び予備費使用調書審査については、一、昭和三十四年度一般会計予備費使用調書(その2)外六件は、会期との関係もあるので、昭和三十三年度決算より先に審査を進める。二、昭和三十三年度決算総括質疑残りについては、出席可能の大臣より逐次これを行なう。三、本日はまず昭和三十四年度決算外三件及び昭和三十四年度一般会計予備費使用調書(その2)外六件の説明を聴取する。その後昭和三十三年度決算総括質疑残り部分質疑を行なう。四、十七日は、昭和三十四年度一般会計予備費使用調書(その2)外六件の質疑、討論、採決を行なう。その後昭和三十三年度決算総括質疑残り部分を行なう。以上のごとく意見の一致を見た次第でありますが、さよう進めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 御異議ないと認めます。    ———————————
  4. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) なお、昭和三十三年度決算検査報告第三百十七号、失業対策事業費補助金経理当を得ないものに関する件の参考人として、当委員会出席を求めることにいたしました鵜崎福岡県知事ほか二名については、その時日を委員長に一任されておりましたが、委員長において、便宜その希望日時を問い合わせておりましたところ、十九日午後一時より出席する旨の申し出が昨日ございましたので、十九日午後一時より本件の審査をも行なうことといたします。
  5. 野本品吉

    野本品吉君 委員長、ただいまのことに関連して。  十九日の参考人出席を求める際には、労働省の職業安定局長失業対策部長、それからその補助機関の方々の委員会出席を要求しておいていただきたいと思います。
  6. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 了承いたしました。    ———————————
  7. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) それではまず、昭和三十三年度決算ほか三件、及び昭和三十四年度一般会計予備費使用調書(その2)ほか六件について、概要説明を聴取いたします。最初に昭和三十四年度決算議題といたします。まず田中大蔵政務次官より、昭和三十四年度決算概要説明、及び昭和三十四年度日本専売公社決算説明を求めます。
  8. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算同国税収納金整理資金受払計算書及び同政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに本国会提出し、また、昭和三十四年度末における国の債権の現在額について本国会報告いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十四年度予算は、昭和三十四年三月三十一日に成立いたしました本予算と、昭和三十四年四月八日及び同年十一月二十六日並びに昭和三十五年二月十九日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。  昭和三十四年度予算は、わが国経済安定的成長質的改善をはかり、もって、国民生活向上雇用の増大に資することを基本としたものでありまして、この基本方針に基づき、長期にわたり通貨価値の維持と国際収支の安定を確保するため、財政健全性を堅持することとし、一般会計の規模は、税収その他の普通歳入経済基盤強化資金使用とによって、支弁し得る範囲にとどめるとともに、国民生活向上経済基盤充実等をはかるため、後年度における財政健全性の保持を十分考慮しつつ、減税の実施、国民年金の創設、道路及び港湾の整備拡充並びに公立文教施設整備充実等重要施策を推進することを重点として、編成されたものであります。  なお、本予算成立後、国際通貨基金等に対する出資額の増額に必要な経費伊勢湾台風による災害の復旧に必要な経費等について、予算補正を行なったのであります。  昭和三十四年度における経済成長の実績は、予期以上に目ざましい上昇を遂げたのであります。すなわち、国民総生産は十二兆五千二百二十四億円に達し、前年度に対して二〇・六パーセント、実質一七・七パーセントの拡大となり、鉱工業生産では同じく二九・二パーセント、輸出は通関において二四・八パーセントの伸びを示し、雇用情勢も好転をみせる一方、物価もおおむね安定し、昭和三十四年度末の外貨準備高も十三億六千百万ドルに達するに至ったのであります。  以下、決算内容数字をあげて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきましては歳入決算額は一兆五千九百七十二億円余、歳出決算額は一兆四千九百五十億円余でありまして、歳入歳出を差し引きますと千二十一億円余の剰余を生ずる計算であります。  この剰余金から昭和三十五年度に繰り越しました歳出財源に充てなければならない金額三百四十一億円余及び前年度までの剰余金使用残額百六十八億円余を差し引きますと、五百十二億円余が昭和三十四年度に新たに生じた純剰余金となるのであります。  なお、右の剰余金千二十一億円余は、財政法第四十一条の規定によりまして、翌年度すなわち昭和三十五年度歳入繰り入れ済みであります。しかして、そのうち、昭和三十四年度に新たに生じました純剰余金五百十二億円余から、歳入歳出決算上の剰余金計算臨時特例に関する政令の規定によって、地方交付税及び道路整備事業費財源に充てられることとなる額七十三億円余を控除した、残額四百三十八億円余の二分の一を下らない額に相当する金額につきましては、財政法第六条の規定によりまして、公債又は借入金償還財源に充てられるものであります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額一兆五千百二十億円余に比べて八百五十一億円余の増加となるのでありますが、このうちには、昭和三十三年度剰余金受け入れ予算額に比べて四百十七億円余を増加しておりますので、これを差し引きますと純然たる昭和三十四年度歳入増加額は四百三十四億円余となるのであります。そのおもな内訳租税及印紙収入における増加額三百四十八億円余、専売納付金における増加額三十五億円余、官業益金及官業収入における増加額六億円余、政府資産整理収入における増加額十五億円余、雑収入における増加額二十八億円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額一兆五千百二十億円余に、昭和三十三年度一般会計からの繰越額二百四十八億円余を加えました予算現額一兆五千三百六十九億円余から、支出済額一兆四千九百五十億円余を差し引きますと、その差額は四百十九億円余でありまして、そのうち翌年度に繰り越しました額は前述のとおり三百四十一億円余、不用額は七十八億円余となっております。  右の翌年度への繰越額のうち、財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ国会の議決を経、これに基づいて翌年度へ繰り越しました金額は三百二十四億円余でありまして、その内訳のおもなものは、旧軍人遺族等恩給費につきまして、支給事務の処理にあたり軍歴及び死亡事実の調査確認等不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったもの、防衛本庁施設整備費等につきまして、調達計画の調整、アメリカ合衆国軍からの供与品の引渡等に不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったもの、防衛支出金につきまして、アメリカ合衆国軍との交渉に不測日数を要したこと及び気象の関係、設計の変更等により工事の施行に不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  財政法第四十二条ただし書の規定により、避けがたい事故のため翌年度へ繰り越しました金額は十二億円余でありまして、その内訳のおもなものは、防衛本庁で機械及び部品の製作等不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  財政法第四十三条の二第一項の規定により、継続費年割額を繰り越しました金額は四億円余でありまして、これは、潜水艦建造費昭和三十三年度甲型警備艦建造費及び昭和三十四年度乙型警備艦建造費でありまして、建造工程需品調達等が遅延したため年度内支出を終わらなかったものであります。  次に不用額でありますが、その内訳のおもなものは、総理本府の文官等恩給費につきまして、一時恩給受給者予定より少なかったこと等のため不用となったもの五億円余、大蔵本省国債費につきまして、国債利子支払い予定に達しなかったこと等のため、国債整理基金特別会計へ繰入を要することが少なかったことにより、不用となったもの六億円余であります。  次に、予備費でありますが、昭和三十四年度一般会計における予備費予算額は百六十億円でありますが、その使用総額は百五十九億円余であります。そのうち昭和三十四年十二月までの使用額八十三億円余につきましては、すでに第三十四回国会におきまして御承諾をいただいております。  また、昭和三十五年一月から同年三月までの使用額七十六億円余は、本国会に別途提出いたします予備費使用承諾案について御審議をいただきますので、その費途及び金額につきましては説明を省略させていただきます。  次に一般会計国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為権能額は三百七十二億円余でありますが、このうち実際に負担いたしました債務額は三百九億円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額四百十二億円余を加え、昭和三十四年度中に支出その他の理由によって、債務が消滅いたしました額二百三十八億円余を差し引きました金額四百八十四億円余が、翌年度以降に繰り越されたこととなります。  財政法第十五条第二項の規定に基づく国庫債務負担行為権能額は三十億円でありますが、本年度実際に負担いたしました債務額はございません。また、既往年度からの繰越債務額二千万円余は本年度支出によって、その全額が消滅いたしました。  次に昭和三十四年度特別会計決算でありますが、これにつきましてはそれぞれの決算書によって御了承願いたいと思います。なお、同年度における特別会計の数は四十でありまして、これら特別会計歳入決算総額は三兆四千百十九億円余、歳出決算総額は三兆九百六十三億円余であります。  次に、昭和三十四年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、この資金への収納済額は一兆二千三百八十六億円余でありまして、この資金からの支払命令済額及び歳入への組入額は一兆二千三百四十三億円余でありますので、四十二億円余が昭和三十四年度末の資金残額となるのであります。これは主として国税にかかる還付金支払決定済支払命令未済のものであります。  次に昭和三十四年度政府関係機関決算でありますが、日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社決算内容につきましては、別途それぞれの主務大臣から御説明申し上げる予定であります。また、その他の政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に国の債権の現在額についてでありますが、昭和三十四年度末における国の債権総額は二兆二千八百五十四億円余でありまして、その内訳の詳細につきましては昭和三十四年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上、昭和三十四年度一般会計特別会計国税収納金整理資金及び政府関係機関決算等につきまして、その概略を御説明申し上げた次第であります。  なお、昭和三十四年度予算の執行につきましては、財政と金融との一体的運用について考慮を払うとともに、予算の効率的な使用経理の適正な運営に極力意を用いて参ったのでありますが、なお、会計検査院から不当事項につきましては百六十八件、是正事項につきましては百二十四件に上る御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないととろであります。これにつきましては、今後一そう経理改善に努力を傾注いたしたい所存であります。何とぞ御審議のほどお願いいたします。  次にただいま議題となりました日本専売公社昭和三十四年度決算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十四年度事業概況を御説明申し上げますと、  一、たばこ事業におきましては、葉たばこ購入は、数量十三万四千四百六十九トン余、金額三百九十六億円余でありまして、予定に比べますと、内地産業たばこ台風・雹害等による減収等のため数量で三千四百二トン余、金額で三億円余減少しております。たばこ製造数量は千百九十八億本余で、予定に比べますと六十四億本余増加しておりまして、その販売数量は千百七十八億本余、金額二千五百九十八億円余で、予定に比べ数量で五十一億本余、金額で百四十八億円余増加しております。  二、塩事業におきましては、塩の購入数量国内塩百十二万トン余輸入塩二百五万トン余(うちソーダ用塩百九十二万トン余)計三百十七万トン余、金額百九十七億円余でありまして、予定に比べますと、数量では二十万トン余増加しておりますが、金額では輸入価格予定より低下したこと等により三億円余減少しております。塩の販売数量は三百十二万トン余(うちソーダ用塩二百八万トン余)、金額二百十七億円余でありまして、予定に比べますと、数量では十四万トン余増加しておりますが、金額では、ソーダ用塩売渡価格輸入価格の低下に伴って予定より安くなったこと等により十七億円余減少しております。なお、昭和三十四年度におきましては、塩事業合理化をはかるため、塩業整備臨時措置法に基づいて塩業整理を実施しております。  三、ショウノウ事業におきましては、ショウノウ購入数量は三千三百七十四トン余、金額六億円余でありまして、予定に比べますと七十四トン余、一千万円余増加しております。またその販売数量は三千四百十トン余、金額七億円余でありまして、予定に比べますと、数量では七十五トン余増加しておりますが、金額では輸出用特別価格で売渡した数量が多かったため九百万円余の減少となっております。  以下、決算内容数字をあげて御説明申し上げます。まず、収入支出決算について御説明申し上げます。  昭和三十四年度における収入済額は二千八百四十四億円余、支出済額は千六百二十一億円余でありまして、収入支出を超過すること千二百二十三億円余であります。また、昭和三十四年度の総収益二千八百四十六億円余から総損失千五百九十三億円余を控除した純利益は、千二百五十二億円余でありまして、日本専売公社法第四十三条の十三第二項の規定により積み立てる固定資産及び無形資産増加額一億円余を控除して算出した専売納付金、千二百五十一億円余でありますが、これは、その予定額千百九十七億円余と比べますと、五十三億円余の増加となっております。  以下、これを収入支出の部に分けて御説明いたします。まず、収入の部におきましては、収入済額は、二千八百四十四億円余でありますが、これは、収入予算額二千七百十五億円余に対して百二十八億円余の増加となっております。なお、この増加は、たばこ事業収入におきまして、製造たばこ売払代予定以上に達したこと等のため百四十七億円余を増加した反面、塩事業におきましては、塩の売渡高予定に達しなかったこと等のため十八億円余を減少し、ショウノウ事業におきましては、ショウノウ売渡高予定に達しなかったこと等のため、二千万円余を減少したことによるものであります。  一方、支出の部におきましては、支出予算現額は、支出予算額千五百八十億円余に、前年度繰越額四十四億円余、予算総則第五条の規定により使用額二十九億円余、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定による使用額二億円余を加えた千六百五十七億円余でありますが、支出済額は千六百二十一億円余でありますので、差引三十五億円余の差額を生じました。この差額のうち翌年度に繰り越した額は三十五億円余、不用となった額は三千万円余であります。  なお、昭和三十四年度において、日本専売公社法第三十六条第二項の規定により予備費使用した額は、給与支払いのため二億円余、塩業整理交付金支払いのため九億円余、固定資産取得のため一億円余、合計十三億円、日本専売公社法第四十三条の二の規定により予算を流用した経費の額は、塩業整理交付金所要増加したため、たばこ事業費及び塩事業費から、塩業整理交付金に流用した額二十三億円余、超過勤務手当及び期末手当所要増加したため、扶養手当から超過勤務手当に流用した額千万円余、期末手当に流用した額九百万円余、合計二十三億円余であります。  また、昭和三十四年度において、予算総則第五条の規定により使用した額は、給与支払いのため八千万円余、たばこ消費税支払いのため二十八億円余、合計二十九億円余、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定により使用した額は、業績賞与支払いのため二億円余であります。  次に債務に関する計算について御説明申し上げます。日本専売公社法第三十五条第一項の規定に基づく昭和三十四年度債務負担行為限度額は、塩事業費において三十五億円、交付金において八十七億円、合計百二十二億円でありますが、実際に負担した債務額は、塩事業費において十八億円余、塩業整理交付金において七十二億円余、合計九十億円余であります。次に、日本専売公社法第三十五条第二項の規定に基づく昭和三十四年度債務負担行為限度額は、一億円でありますが、実際に負担した債務額はありません。また、日本専売公社法第四十三条の十四第二項の規定に基づく昭和三十四年度短期借入金最高限度額は、九百六十億円でありますが、実際に借り入れた額は、六百八十億円であり、これは昭和三十四年度内に償還し、翌年度に繰り越した債務額はありません。  なお、昭和三十四年度日本専売公社決算につきまして、会計検査院から、不当事項として指摘を受けたものが一件ありましたことは、はなはだ遺憾でありますが、この種事故の根絶につきましては将来十分注意いたす所存であります。  以上が昭和三十四年度日本専売公社決算概要であります。何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 次に、木暮運輸大臣から、昭和三十四年度日本国有鉄道決算説明を求めます。
  10. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 昭和三十四年度日本国有鉄道決算書会計検査院決算検査報告とともに本国会提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十四年度における日本国有鉄道収入は、景気回復によるわが国経済の大きな成長を反映して、年度当初から好調に推移し、旅客、貨物収入とも予算を大幅に上回りました。ことに貨物収入において、経済界好況の影響が顕著に現われております。一方、支出面におきましては、日本国有鉄道は、極力支出の節約に努め、経営の合理化をはかりましたが、輸送量増加に伴う支出増加のほか、人件費減価償却費等固定的費用増加が大きく響き、予定された純利益を上げるまでには至りませんでした。しかし、損益計算上は営業外利益約七億円を含め、約三十五億円の純利益を生じ、前年度に引き続いて黒字決算となっております。  また、昭和三十四年度までの国鉄五カ年計画進捗状況について申し上げますれば、金額面では全体の五〇%となり当初の計画に比して若干のおくれを生じましたが、その成果は着々と現われております。  以下決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済額は三千六百九十一億円余、支出済額は三千六百二十七億円余でありまして、収入支出を超過する額は、約六十四億円であります。これに収入支出済額に同額計上してある受託工事関係収支を除き、収入済額に含まれていませんが、損益計算利益に属する前期損益修正等営業外収入約六十二億円、及び支出済額に含まれていますが、損益計算損失に属しない、資本勘定へ繰入額の中の約三十九億円を加算いたしますとともに、他方支出済額には含まれていませんが、損益計算損失に属する固定資産除却約七十五億円、前期損益修正等営業外経費約五十五億円を減じますと、本年度利益前述のように約三十五億円となります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額三千五百八十五億円余に対して約百六億円の増収となります。その内容は運輸収入におきまして百二十四億円余の増収、雑収入におきまして約十八億円の減収となっております。他方、支出におきましては、予算現額三千七百八億円余から支出済額を差し引きますと、その差額は約八十一億円で、そのうち翌年度への繰越額は約五十五億円で、残りの約二十六億円は不用額となっております。  次に資本勘定におきましては、収人済額は一千二百十三億円余、支出済額は一千二百十三億円余でありまして、収支差額はありません。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額一千二百十七億円余に対しまして約四億円の収入不足となります。これは損益勘定からの受け入れ減等による収入減が約三十九億円ありましたが、資産充当等による収入増加約三十五億円があったためであります、一方、支出におきましては、予算現額約一千二百四十七億円との差額は約三十四億円でありまして、全額不用額となっております。  最後に、工事勘定におきましては、収入済額は一千百十一億円余、支出済額は一千七十五億円余でありまして、収入支出を超過する額は約三十六億円であります。これは翌年度への工事の繰越等があったためでありまして、その超過額は運転資金増加となって現われております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、資本勘定からの受け入れが少なかったため、予算額一千百十五億円に対しまして約四億円の減少となります。また、支出におきましては、予算現額一千二百三十五億円余に対しまして約百六十億円の差額を生じます。この内容は翌年度への繰越額約百二十億円及び不用額約四十億円となっております。  なお、昭和三十四年度予算の執行につきまして、前年度に比し三二分の一に減少しているとはいえ、会計検査院から不当事項二件の御指摘を受けましたことは、日本国有鉄道においても種々事情があったこととは存じますが、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀の粛正と予算の効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督して参りたいと考えております。  以上昭和三十四年度日本国有鉄道決算につきまして、その概略を御説明申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問のつど御説明申し上げたいと存じます。何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  11. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 次に、森山郵政政務次官より昭和三十四年度日本電信電話公社決算説明を求めます。
  12. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 昭和三十四年度日本電信電話公社決算書類を会計検査院検査報告とともに第三十八回通常国会提出いたしましたが、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十四年度は、電信電話拡充第二次五カ年計画の二年目に当たりますが、一般経済界の好況を反映しまして事業収入は順調に伸び、予定収入をかなり上回ったのであります。これは経済の好況もさることながら、施設の拡充、サービス向上面における企業努力も大いに貢献しているものと考えられます。  これに対しまして事業支出の面におきましては、伊勢湾台風による被害等予期しない支出があったにもかかわらず、業務の能率的運営経費の効率的使用をはかった結果、良好な経営状態を示したものでありまして、損益計算上五百十四億円余の利益金を生じたのであります。  また、建設勘定の支出額は予算現額の九三・四%を消化し、設備の拡充を強力に推進いたしております。  以下、決算内容について概略説明いたしますと、損益勘定における事業収入決算額は二千五十億円余、事業支出決算額は一千五百七十二億円弱でありまして、差引四百七十八億円余の収支差額を生じたのであります。このうち三百二十四億円弱が資本勘定へ繰り入れられまして債務の償還及び建設工事財源に充当されております。以上の決算額のうち、事業収入及び事業支出予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額一千八百六十五億円余に対して百八十五億円弱の増収となるのでありますが、その内訳は電話収入において百六十六億円余、その他の収入において十九億円弱となっております。  一方、支出におきましては、資本勘定へ繰り入れたものを除いた予算税額一千五百七十四億円弱に対し、支出済額は一千五百七十二億円弱でありまして、差額二億円弱のうち一億円余を翌年度繰り越したほかは不用額となっております。  次に、建設勘定について決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては予算額八百五十億円余に対し、決算額は九百九十一億円弱で、百四十一億円弱の増加となるのでありますが、これは資本勘定からの受入れが多かったためで、その内訳は、減価償却引当金等自己資本の増加額百二十二億円弱、電話設備負担金等借入資本の増加額十九億円余に相当するものであります。  支出の面におきましては、予算額八百五十億円余に前年度から繰越額九十八億円弱、予備費使用額一億円弱、予算総則第二十二条及び第二十六条に基づく弾力発動による使用額九十九億円余、流用増額四十億円余を加えまして予算現額は一千八十八億円余となりますが、これに対し支出済額は一千十六億円弱で、その差額七十二億円余は建設工程の未完成等によりまして翌年度へ繰り越すこととなっております。実施いたしました建設工程のおもなる内容について申し上げますと、加入者増設二十八万三千八百加入の予定に対し三十一万三千二百六十六加入、公衆電話の増設一万四千八百個の予定に対し一万六千九十九個、市外回線増設八十二万八千八百十キロメーターの予定に対し九十万五千二十キロメーターとなっており、それぞれ予定を上回る設備の拡充がなされております。その他の点につきましては、三十四年度公社の決算書によって御了承願いたいと存じます。  なお、会計検査院から不当事項として四件の御指摘を受けましたが、まことに遺憾なことでございますので、公社を監督する立場にあります郵政大臣といたしましては、綱紀の粛正、経理事務の適正化につきまして一層の努力を払うよう指導監督を強化して参りたいと考えております。以上公社決算の概略を申し上げたのでございますが、詳細につきましては、さらに御質問をいただきまして、お答え申し上げます。
  13. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 次に、山田会計検査院長より昭和三十四年度決算検査報告に関する概要説明を求めます。
  14. 山田義見

    会計検査院長山田義見君) 昭和三十四年度歳入歳出決算は、三十五年十月二十四日内閣から送付を受け、その検査を了して、昭和三十四年度決算検査報告とともに三十五年十二月五日内閣に回付いたしました。  昭和三十四年度一般会計決算額歳入一兆五千九百七十二億余万円、歳出一兆四千九百五十億余万円、各特別会計決算額合計歳入三兆四千百十九億余万円、歳出三兆九百六十三億余万円でありまして、一般会計及び各特別会計決算額を総計いたしますと、歳入五兆九十一億余万円、歳出四兆五千九百十三億余万円となりますが、各会計間の重複額および前年度剰余金受入などを控除して、歳入歳出の純計額を概算いたしますと、歳入三兆千百六十九億円、歳出二兆九千百三十六億円となり、前年度に比べますと、歳入において三千八百七十五億円、歳出において二千八百二億円の増加となっております。  なお、国税収納金整理資金の受払額は収納済額一兆二千三百八十六億余万円、支払命令済額歳入組入額合計一兆二千三百四十三億余万円であります。  政府関係機関昭和三十四年度決算額の総計は、収入一兆三千七百七十四億余万円、支出一兆二千七十一億余万円でありまして、前年度に比べますと、収入において千四百五十七億余万円、支出において千四百二十一億余万円の増加となっております。  ただいま申し上げました国の会計及び政府関係機関の会計の決算額のうち、会計検査院においてまだ確認するに至っていないものは総計百四十九億七千三百余万円でありまして、そのおもなものは、総理府の防衛本庁の項で百八億千六百余万円で、艦船建造費の項で十三億五千八百余万円などであります。  会計検査の結果、経理上不当と認めた事項及び是正させた事項として、検査報告に掲記しました件数は合計二百九十二件に上っております。  三十四年度不当事項及び是正させた事項の件数が、三十三年度の三百五十五件に比べて減少いたしましたのは、主として租税において減少したためであります。  今、この二百九十二件について不当経理の態様別の金額を概計いたしますと、不正行為による被害金額が二千四百万円、保険金の支払が適切を欠いたもの、または保険料の徴収額が不足していたものが一億八千四百万円補助金で交付額が適正を欠いているため返納または減額を要するものなどが七千五百万円、災害復旧事業に対する早期検査の結果、補助金の減額を要するものが五億四千八百万円、租税収入で徴収決定が漏れていたり、その決定額が正当額をこえていたものが三億二千百万円、工事請負代金、物件購入代金が高価に過ぎたり、または物件売渡代金が低額に過ぎたと認めたものの差額分が千五百万円、右のほか、工事の施行、物品の購入について経費が効率的に使用されなかったと認めたものが三千九百万円、その他が八千七百万円、総額十二億九千万円に上っておりまして、三十三年度の十二億五千万円に比べますと約四千万円の増加となっており、これを態様別にみますと、減少したもののおもなものは、租税収入で徴収決定が漏れていたりその決定額が正当額をこえていたものにおいて一億三千八百万円、不正行為による被害金額において八千六百万円、保険金の支払が適切を欠いたもの、または保険料の徴収額が不足していたものにおいて八千万円などであり、一方増加したものは、災害復旧事業に対する早期検査の結果補助金の減額を要するものにおいて四億三千四百万円となっております。  検査の結果につきましては、租税、工事、物件、保険、補助金、不正行為などの各項目に分けて検査報告に記述してありますが、これらのうち、会計経理を適正に執行するについて、特に留意を要するものとして、工事、物件、保険および補助金に関してその概要説明いたします。  まず、工事および物件について説明いたします。工事の施行ならびに物件の調達および処分において、不経済な結果となったと認められる事例については、毎年指摘して改善を求めてきたところでありますが、三十四年度におきましても、なお、防衛庁、大蔵省、日本電信電話公社などにおいて見受けられております。  工事の施行につきましては、工事内容等に対する調査検討が十分でなかったため予定価格の積算が過大となり、ひいて契約価額が高価となっているもの、施行方法が適切でなかったため不経済な結果を来たしているものなどがあり、また、物件の調達、処分などにつきましては、購入価額の検討が適切でなく高価となったもの、購入物件の規格の選定等についての考慮が十分でなかったため不経済となったもの、評定価格の算定が適当でなく売渡価額が低廉と認められるものなどが見受けられるのであります。  次に保険について説明いたします。国が、特別会計を設けて経営する各保険事業における保険事業の運営、保険金の支払い、または保険料の徴収などにつきましては、従来、農林省、厚生省、労働省などの所管するものにつき、適正を欠いていると認められる事例を多数指摘して注意を促してきたところでありますが、三十四年度においても健康保険、労働者災害補償保険または失業保険などの保険料の徴収不足を来たしているものや、失業保険の保険金または漁船再保険の再保険金の給付が適切でないものや、農業共済再保険において農業共済組合の共済金の経理に適正を欠いたものが見受けられるのであります。  最後に、補助金について説明いたします。補助金につきましては、その経理が当を得ないものを毎年多数指摘して改善を求めてきたところでありますが、三十四年度においてもなお不当な事例は少なからず認められております。まず、公共事業関係のものにつきましては、工事の施行が不良なため工事の効果を著しく減殺しているもの、または設計に対し工事の出来高が不足しているもの、事業主体において正当な自己負担をしていないものなどの事例が依然として少なくないのであります。  また、災害復旧事業の事業費査定の状況につきましては、建設、農林、運輸各省所管の分について、工事の完成前に早期に検査を行ないましたところ、採択された工事のうちには関係各省間などで二重に査定しているもの、災害に便乗して改良工事を施行しょうとしているもの、工事費の計算を誤ったり現地の確認が十分でなかったりしたため、工事費を過大に見込んでいるものなどが多数ありましたので、これを指摘して工事費を減額させることといたしました。  さらに、公共事業関係以外の補助金につきましても、失業対策事業関係、農山漁村建設総合施設事業関係などにおきまして、精算額を過大に報告して補助金の交付を受けているものなどの不当な事例が見受けられております。  以上をもって概要説明を終わります。会計検査院といたしましては、適正な会計経理の執行について、機会あるごとに関係各省各庁などに対し是正改善の努力を求め、不当経理の発生する根源を除去するよう努めてきたのでありまして、その結果は、近年相当に改善の跡が見受けられるようになって参りましたが、なお、このように不当な事例が多数見受けられますので、関係各省各庁などにおいてさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
  15. 山田節男

    山田節男君 三十四年度会計検査院長報告についてちょっと質問があります。項目じゃありません、内容について。
  16. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 質問はあとで行なうことといたしまして、きょうは説明を聴取いたします。
  17. 山田節男

    山田節男君 いや、この報告について……。
  18. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 具体的な問題じゃないのですか。
  19. 山田節男

    山田節男君 この報告内容について……。
  20. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 報告内容について会計検査院に対する御質疑並びに各省に対する御質疑は……。
  21. 山田節男

    山田節男君 きょうの総括的な説明内容の一部に対する質問です。今やった方が適切だと思うのです。一点だけです。
  22. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 先ほど理事会の決定を御報告いたしまして、全委員の御了承を得た次第であります。
  23. 相澤重明

    ○相澤重明君 速記をとめて下さい。
  24. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  25. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記を起こして。  以上で昭和三十四年度決算に関する概要説明聴取は終了いたしましたが、この際山田君から発言を求められております。これを許します。
  26. 山田節男

    山田節男君 ただいまの昭和三十四年度会計検査院決算総括的報告に対しまして、院長にちょっと質問いたしたいことがあるのです。国会、特にこの参議院の決算委員会におきましてイニシアチブをとって補助金の適正化に関する法律を作ったわけです。これはもとよりこの補助金の、今会計検査院長説明されたような、なかなか不正不当事項が絶えないというので、これは衆議院の方では相当問題がありましたけれども、参議院の決算委員会において大蔵省、あるいは会計検査院と協力してこの法律を作った、もとよりこの法律の施行は法務省の関係で一つの司法行為であるけれども、会計検査院報告する場合においては、やはり補助金プロパーの問題として、報告するに際しては、この補助金の適正化に関する法律によって、不正不当の事項として摘発されたものは、何件あったかということは、これはこういう場合には当然これは司法的な処分、あるいはその法律の適用に関しての主体は法務省であるかもしらぬけれども、関連事項としたらばやはり会計検査院としてはその事件数なり、あるいは金額等までわかるのじゃないかと思うのですね。そういうものをやはり補足的に説明さるべきものじゃないかと思うのですが、会計検査院で、法務省で扱ったその法律の適用の三十四年度における事件数、あるいは摘発された事件数並びにその総金額、こういうものが手元にわかっておるかどうか、この点を一つお答え願いたい。
  27. 山田義見

    会計検査院長山田義見君) 詳しいことは全然こちらでわかっておりません。また調べておりません。
  28. 山田節男

    山田節男君 これは院長も会計検査官をしておられたから、これは司法事項として別個に扱うということもわかりますけれども、こういったような年度別の総括的な決算検査報告をする場合においては、やはりそれをも参考事項として、やはり数字内容を示すのが、これは会計検査院として国会に対する当然責任じゃないかと思うのですね。こういう点を会計検査院の検査官の会議や何かでこれをちゃんと一つ協議して、そのことはやはり会計検査院として私は報告すべきものじゃないかと思うのです。というのはこの会計検査院、これはいずれ今後本委員会で根本的な検討があるやに伺いますけれども、会計検査院がこれはイニシアチブをとった補助金の適正化に関する法律がある、大蔵省がこれに対してさらに協力し、参議院の決算委員会においてこれを通過せしめた、そうして衆議院に回したといういきさつがありますので、その当時の東谷検査院長、あるいは小峰事務総長ですか、その当時会計検査院と密接な協力の結果、この補助金のいわゆる乱れた情勢というものをチェックするのはこの法律以外にない、会計検査院はこれに対して非常な強い発言があり、協力して作ったのですから、少なくとも国会に対する会計検査院報告でしたらば、それを付属と言っては語弊があるけれども、その報告の中に入れるべきではないか、今院長の御答弁によると、そういうことに対して聞いておるけれども実際よく知らぬ、これじゃ私はいかぬと思うのですね。ですから、われわれは法務省に対してそのことを説明する当然それは権利もありますけれども、会計検査院の方から、そういう歴史的な関連のある、補助金というものは国会決算委員会においていつも問題になる、この補助金に対して作ったこの補助金の適正化に関する法律の施行の状況については、少なくとも補足的に説明してしかるべきではないかと思うのです。この点に関する見解はどうです。
  29. 山田義見

    会計検査院長山田義見君) 適正化法が施行されましたとき、それと会計検査院との関係をどうするかということは、われわれよくいろいろ考えましたし、また検察当局からの要望もございましたが、当時われわれ考えましたのは、これは全然別個の問題として切り離して考えたがよかろう、また施行も直接の関係を持たない方がよかろう、これは山田委員の考えとは正面から反対するようでありますが、そうわれわれ考えまして、検察庁からも参考にしたいから不正不当事項は詳細に通知してほしいという要望がありましたけれども、われわれとしましてはそれは困ると、われわれのやっていることはどこまでも会計検査であって、検察庁の下調べとかあるいは犯罪捜査ではないのだ、もしわれわれのやっている会計検査が、その前提のような誤解といいますか、外部の人に与えるようなことがありますと、会計検査をやるについて非常な支障がある、そしてまた会計検査院が不当として指摘したことでありましても、それが直ちに犯罪と結びつくものはそうたくさんはない、もちろんわれわれが検査して、これは犯罪であるという心証を得たものは、これは法律上当然の義務でありますからして、これは通知します。しかしそういう心証を得ないものは、われわれとしては皆さんにお知らせするわけにいかない、しかしわれわれは内閣に検査の報告はするのでありますから、これをごらんになって、そのうち適当と思うものは押えるということは、これはわれわれとしては異議はないのであるけれども、皆さんにこれを公的に御通知するわけにはいかない、従ってまたその結果について皆さんからの御報告も受ける必要はないということで、われわれとしましては、犯罪の捜査とこの会計検査とは全然別個に考えて、その間に何ら関連を持たせないということが、われわれとしては必要であろうと考えまして、その後その関係は全然われわれとして考慮いたしておりません。従いましてその結果どれだけ犯罪になった、どれだけ検挙されたということはわれわれとして調査もいたしませんし、またこれは私やまた一部の者の考えでありますが、そういうことはやらない方が、会計検査を適切に行なうについては適当ではないかと考えております。従いまして山田委員の御意見でありまするけれども、今後そういう御説明はこちらでいたすことはどうか、それを差し控えたいと私は考えております。
  30. 山田節男

    山田節男君 これは今答弁がありましたが、補助金の適正化に関する法律を作る場合に、その前に会計検査院法を改正すべきである、今九十何条であったかちょっと条文は私記憶ありませんが、会計検査院法を改正して、会計検査院にそういう不当な補助金の使用に対しては起訴権を持たせるかどうか、こういう根本的な研究もあったわけです。ところが今院長が言われたような経過もあって、それは司法権の方にこれを委譲せしむる、しかしながらこれは毎年国会決算委員会で問題になり、最も大きな比重を占めているのは補助金のものが多いわけです。ことに昭和二十四年、五年、六年、七年、これはどうしても立法をしなければならぬということになった、この法律は。今会計検査院法を変えるか、会計検査院法を修正しないで、こういう法律によって検察庁に委任しようということになったけれども、問題は国の決算に関する重大な問題ですから、会計検査院としてこれは当然直接自分がそれに手をとって起訴し、あるいは調査し処分するのじゃなくても、これに関連事項として、会計検査院は、それの事実並びにその経過といったようなものは、十分詳細に手元にこれを持っておって、会計検査院としての任務遂行のための検査方法なり、その他に幾らでも参考になることが多いだろうから、この点は不即不離の関係を持っていけと、こういうような了解事項でこの法律はできたんです。そうすればこれは正式に、会計検査院長として年度別のこういう検査報告をする場合に、これは正式の内容としてこれを報告する必要はないかもしらぬけれども、少なくとも会計検査院報告とは別個な立場に立って、こういうような事件もございましたという一つの資料として「これは当然私は提出するだけの国会に対する誠意を持たなくちゃいかぬと思うのです。ですから今の院長の御答弁だけれども、この法律の制定の経過から見て、一つ、小峰検査官はその当時の事情をよく御存じだと思います。あなたも御存じだと思う。ですから、芥川君はそういうことを知っておられないかもしらぬけれども、少なくともあなたと、また小峰検査官は知っておられるんですから、国会に対する会計検査院関係をどうするかという問題、これは本質論になってきます から今ここで触れませんけれども、そのときの経過から見れば、この補助金に関しては、いわゆる会計検査院外のそういう法律によって作った、これは一つの補助金の適正なる行政ということに対する法律を作ったんですから、あなたとしては直接関係ないと言われるけれども、しかしわれわれ国会としては、これはむしろ法務省から報告することがあるにしても、会計検査院でこれに一言触れておくのがこれは歴史的に考えてみても妥当じゃないか、また、そうすべきものじゃないかと私は考えるから今みたいな御質問を申しげたわけです。ですから、これは委員長に一つお願いいたしますが、会計検査院国会との問題、これは本質論についていろいろ今後御研究あるだろうと思いますけれども、そういう歴史的な経過がありますので、やはり今日この会計検査院は天皇直属機関じゃなくて国会に対する  これは欧米の制度を見ましても国会に対する親切な検査報告でなきゃならぬ。ですから関連事項に対しては一つ、くまなく国会にいわゆる審査の資料として、これは法務省へ委員長から御要求になることもできまするけれども、会計検査院もこのことに対しては関連があるんですから、われわれとしては総括的な審査ができるような工合に、一つ会計検査院に、今私の申し上げた経過がございますので、なお検査院の院長とよく御協議願って、私はそういう一つの例を今後開かるべきものだと思います。当委員会の小委員会における本質論の御審議に並行して、そういうことも一つ委員長のもとで御考慮願って、小委員会にお諮り願いたいことを御希望申し上げておきます。
  31. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 山田君の御希望に対しましては、幸いに決算提出の様式並びに運営等につきまして小委員会を設けた次第でございますので、その小委員会において十分ただいま御指摘の問題も熟議をいたしまして、その上で適当に取り計らいたいと思います。さよう御了承願いたいと思います。
  32. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の誤解があるといかぬと思うから、会計検査院長の答弁の中で補助金の適正化に関する法律の適用があるかもしれぬというちょっと御発言があったけれども、これは速記録をそのまま読んでみると、今の提案している中にあるという私は印象を受けるのです。これはおそらく会計検査院長なり各省庁が、ただいま昭和三十四年度予備費使用についての提案説明をされているのでありますから、その中には私はなかったんじゃないだろうかと、こう見ているわけです。しかし山田委員の質問は、全般として会計検査院国会に対する報告のあり方として言われたわけです。ですから、私は過去においてこの法律が効力を発生してから、適用したものがあるかないかと言えば、これはあると思うのです。またあなたの御記憶があるかもしれない、そういうことは言えても、昭和三十四年度予備費使用調書に対する御説明の中にあるとすれば、これはまさしく指摘しなければならぬ。それがあったか、なかったかということの質問について、あなたの答弁は私にもちょっと疑義を持たせるので、この点はいま少しはっきりおっしゃっておいた方がいいじゃないかと、こう思います。
  33. 山田義見

    会計検査院長山田義見君) あの法律が制定されましたときに、これをどうするかということで、議会の御見解も私は承知しましたし、また事務総局等におきましては、検察庁と十分連絡を密にして向こうからも報告を受けるし、それからこちらからも向こうにできるだけ資料を出し報告をして、緊密な連絡をとるべきじゃないかという強い意見がございました。しかし先ほども申しました通り、私はそれはいけないと考えたのであります。そして私が特にそれを強く主張いたしまして事務総局の意見を押えました。と申しますのは、私ども会計検査院が検査いたしますのは、この会計が正しく行なわれているかどうかということを検査するのでありまして、不正行為や犯罪があったかということを検査するのではございません。われわれは国の会計が正しく行なわれたかどうかということを検査して、そしてこれがこういう結果になったという結果を報告するのでありまして、その不正、不当なことが検査報告に載りますが、これはわれわれの会計検査の結果でありまして、それがどこまでも目的ではないと私は考えております。いわんやこれが犯罪の捜査の一部面ではないにしましても、何らか関連を持つということは、会計検査を正確に正しくやっていくについてマイナスの面が多かろう、そう私は考えるのであります。これはやる方もややもすると、不正摘発というようなことに主眼を置いてやる傾きがないでもありません。私は会計検査をやりますところの担当員に、そういうことでやってはいけないということを強く申しております。また受ける方におきましても、そういう考えをもって受け取る面が相当あるのでありますから、そういう方々に対しては、われわれは決して不正を摘発する、犯罪を摘発するというようなことではないのだ、われわれはどこまでも会計が正しいかどうかというととだけをやるのだ、そしてその結果としてある程度不正、不当が出る、あるいは犯罪が出るかもしれない、それはどこまでもわれわれの目的ではない、会計検査の結果として出るに過ぎないのだということを説明いたしておりまして、もし検査を受ける者が、そうでない、会計検査院の検査というものは、不正行為の摘発が相当の重要性を持っているのだ、あるいは犯罪捜査の一翼をになうものだというようなことでありますと、相手方官庁の全面的の協力を得られない、というとはなはだ強い言葉でありますが、何らかのマイナスの面があるのではないか。もちろんそういうことで各省が協力を回避したり何かするということは、これは不当でありますが、しかし実際問題といたしましてそういう工合になりますと、われわれの期待するだけの十分な協力を得られないおそれがなきにしもあらずと私は考えるのであります。少なくとも犯罪という関係におきましては、会計検査の仕事とは全然縁を切りたい、私はそう考えております。もし議会におきまして、(「そういうことを聞いているのじゃない」と呼ぶ者あり)そういう何か御要望がございましても、どうかその点は、われわれの考えをよくお考えいただきまして、どうかわれわれの意見が通りますように切に希望するわけであります。
  34. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 会計検査院長に申し上げますが、ただいまの相澤君の御発言は、そういうのではなくして、それは山田君との御質疑内容を、ただいま重ねて説明になった相澤君のお考えは、先ほどの山田委員と院長との質疑応答を聞いていると、三十四年度の問題にまつわるがごとき印象を受けるから、会計検査院長の先ほどの御答弁はそういうことでなしに、全般的の問題としての御所見を発表されているのだということを、そういうことを明確にしていただきたいというのでありますから、どうかそこの点誤解のないように委員長から申し上げておきます。
  35. 相澤重明

    ○相澤重明君 山田院長、いま一回言っておきますが、あなたが長い間会計検査院で努力されたことも知っておるし、任期を間近にしてお考えもそれはわれわれもよく知っております。そういう点で当委員会としては、会計検査院に対する問題や国会決算の処理の方針として、欽定憲法の時代と現在の憲法の時代とどう取扱いをすべきかということを、小委員会をもって検討することを当委員会はきめておるわけです。ですからあなたの御意見も生きる時期もあろうし、他の学者の意見も聞く。あるいはわれわれ国会議員としての責任上、そういう点は今後明らかにしていきたい。これはそれでいいんですよ。ただ私の先ほど御質問して、あなたに明らかにしていただきたいというのは、山田委員の質問に対して、あなたが昭和三十四年度予備費使用に対する説明をされておるのに、たとえば補助金の適正化に関する法律の適用されたものはあるやにお言葉が受けられるから、それだというと誤解がありはしないか、こういう点で、そういう点は明らかにしてもらいたいというのが、あなたに対する私の要望だった。その点が、あなたが、そうでない、私の答弁が正しいということになると、私は、報告をしてもらわなければならぬ、逆に。ところが私の受けた印象では、会計検査院長報告しないところをみると、別にそういうものがなかったから、三十四年度予備費使用の中では報告する必要はないのだ、こういう印象を私は受けておるのです。だから答弁の誤解があってはいけないから、この際明らかにしておいたらいかがでしょう、こういう質問なんです。わかりますか。あなたの御答弁、速記録を見たらわかるのですよ。あなたの説明が、私どもの今受けた印象では、三十四年度のようにこの説明を受けたのですから、それで予備費使用も伴って、今山田委員が、三十四年度報告を受けたこの中には、補助金の適正化に関する法律を国会で作ってあるけれども、別に報告がなかった、従ってそういうものを報告すべきだ、こういう質問なんですよ、山田委員の質問は。ところがあなたは、それがあるかもしれぬという疑問を投げられておる。私はもしあるとするならば、それは当然報告されなければならぬけれども、そうじゃなかったのだろう、ただあなたの答弁は基本的な問題を繰り返しているだけだ、あなたの個人的意見を含んで。これは私はいただけない。そういうことではいただけない。だからその点はもっとはっきりさせた方が山田委員の御質問のお答えにもなるだろうし、われわれ聞いている委員にもはっきりしていい。こういうことを言っている。どうですか。
  36. 山田義見

    会計検査院長山田義見君) 私さっきあると申しましたのは、あると言ったのではないので、そういうことを耳にしたことがあるという程度でありまして、深く気にとめておりませんし、従ってあるともないとも私は言うことできません。三十四年度におきましても、あるいはまた既往の年度におきましても、そういうことはあったかどうかということは、私は小耳にはさんだことはありますけれども、あるともないともここでは申し上げることはできません。
  37. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  38. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記をつけて下さい。
  39. 山田義見

    会計検査院長山田義見君) 先ほどの私の答弁の中に聞いたことがあると申しましたが、これはただ小耳にはさんだ程度でありまして根拠のないことでありますし、言う必要もないことであります。事実もはっきりしないことであります。
  40. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 午前中の説明はこの程度にいたしまして、午後は一時より再開いたしたいと思います。暫時休憩いたします。    午後零時六分散会    ————・————    午後一時二十三分開会
  41. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) これより決算委員会を再開いたします。  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算書、同じく国有財産無償貸付状況総計算書、同じく物品増減及び現在額総計算書を一括議題といたします。  まず田中大蔵政務次官より説明を求めます。
  42. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) ただいま議題となりました、昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに国有財産無償貸付状況総計算書について、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について申し述べます。昭和三十四年度中に増加しました国有財産は行政財産千二百二十二億円余、普通財産千七十七億円余、総額二千二百九十九億円余であり、また本年度中に減少しました国有財産は行政財産四百七十九億円余、普通財産五百三十八億円余、総額千十八億円余でありまして、差引総額において千二百八十一億円余の増加となっております。これを前年度末現在額二兆三千百二十九億円余に加算いたしますと二兆四千四百十億円余となり、これが昭和三十四年度末現在における国有財産の総額であります。  この総額内訳を分類別及び種類別に申し上げますと、行政財産においては公用財産六千百五十二億円余、公共用財産八十九億円余、皇室用財産九十六億円余、企業用財産七千百六億円余、合計一兆三千四百四十四億円余となっており、普通財産においては一兆九百六十六億円余となっております。また、国有財産の総額内訳を区分別に申し上げますと、土地三千二十四億円余、立木竹五千六百二十二億円余、建物三千二百十三億円余、工作物千九百八十一億円余、機械器具五十三億円余、船舶七百七億円余、航空機千百三十六億円余、地上権等二億円余、特許権等二億円余、政府出資等八千六百六十六億円余、合計二兆四千四百十億円余となっております。  次に、国有財産の増減の内容について、その概略を申し上げます。まず、昭和三十四年度中における増加額を申し上げますと、その総額は二千二百九十九億円余でありますが、この内訳は第一に、当該年度中の国の国以外の者との間の移動、すなわち、対外的移動によって増加した財産は千四百三億円余でありまして、このうち購入、新営工事、出資等歳出を伴うものは千九十七億円余、寄附、代物弁済、租税物納、交換等歳出を伴わないものは三百六億円余となっております。  第二に、国の内部における移動、すなわち、対内的移動によって増加した財産は八百九十六億円余でありまして、このうち所管がえ、所属がえ、整理がえ等調整上の増加は四百九十一億円余、新規登載、引き継ぎ漏れ発見登載等整理上の増加は四百四億円余となっております。次に減少額について申し上げますと、その総額は千十八億円余でありますが、この内訳は第一に、対外的移動によって減少した財産は二百六十九億円余でありまして、このうち売り払い、出資金回収等歳入を伴うものは百五十五億円余、譲与、交換等歳入を伴わないものは百十三億円余となっております。  第二に、対内的移動によって減少した財産は七百四十八億円余でありまして、このうち所管がえ、所属がえ、整理がえ等調整上の減少は四百九十一億円余、実測、実査等整理上の減少は二百五十七億円余となっております。以上が昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、昭和三十四年度国有財産無償貸付状況総計算書概要について申し述べます。国有財産法第二十二条並びに同条を準用する第十九条及び第二十六条の規定により、地方公共団体等に無償で貸し付けてある国有財産の本年度中に増加した総額は二十一億円余であります。また減少した総額は十四億円余でありますので、差引六億円余の純増加となっております。これを前年度末現在額八十六億円余に加算しますと九十三億円余となり、これが昭和三十四年度末現在において無償貸付をしている国有財産の総額であります。この増減のおもなものを申し上げますと、増加したものは公園の用に供するもの十九億円余、生活困窮者の収容施設の用に供するもの二億円余等であります。次に減少したものは公園の用に供するもの十二億円余、生活困窮者の収容施設の用に供するもの一億円余等であります。以上が昭和三十四年度国有財産無償貸付状況総計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書にはそれぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。  次に昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書概要を御説明申し上げます。昭和三十四年度中に増加しました物品の総額は千二百六十四億円余であり、また減少しました物品の総額は五百九十億円余でありまして、差引六百七十三億円余の増加となっております。これを前年度末現在額千二百二十四億円余に加算いたしますと千八百九十七億円余となり、これが昭和三十四年度末現在における物品の総額であります。この総額内訳をおもな品目別に申し上げますと、土木機器二百五十七億円余、車両及び軌条二百四十六億円余、試験及び測定機器百七十七億円余、雑機器百二十一億円余となっております。  次に物品の増減の内容についてその概略を申し上げます。まず、昭和三十四年度中における増加額を申し上げますと、その総額は千二百六十四億円余でありまして、その内訳のおもなものを申し上げますと、土木機器において百六十六億円余、車両及び軌条において百十四億円余、雑機器において六十六億円余の増加となっております。次に減少額について申し上げますと、総額は五百九十億円余でありまして、ぞの内訳のおもなものを申し上げますと、土木機器において百十億円余、車両及び軌条において八十一億円余の減少となっております。以上が昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書概要であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  43. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 次に山田会計検査院長より説明を求めます。
  44. 山田義見

    会計検査院長山田義見君) 昭和三十四年度国有財産検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに国有財産無償貸付状況総計算書は、三十五年十月二十九日内閣から送付を受け、その検査を了して、十二月五日内閣に回付いたしました。  三十三年度末の国有財産現在額は二兆三千百二十九億三千八百余万円でありましたが、三十四年度中の増が二千二百九十九億八千二百余万円、同年度中の減が千十八億四千三百余万円ありましたので、差引三十四年度末の現在額は二兆四千四百十億七千六百余万円となり、前年度末に比べますと千二百八十一億三千八百余万円の増加となっております。  次に国有財産の無償貸付状況について申し上げますと、三十三年度末には八十六億六千四百余万円でありましたが、三十四年度中の増が二十一億三千三百余万円、同年度中の減が十四億三千五百余万円ありましたので、差引六億九千七百余万円の増加をみまして、同年度末の無償貸付財産の総額は九十三億六千二百余万円となっております。  国有財産の管理及び処分について不当と認めましたものは、昭和三十四年度決算検査報告に掲記しておりますが、これらの事項を取りまとめて申しますと、国有財産の取得及び維持に関するもの三件、同じく処分に関するもの三件、計六件であります。  昭和三十四年度物品検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書は、三十五年十月二十四日内閣から送付を受け、その検査を了して、十二月五日内閣に回付いたしました。  右物品増減及び現在額総計算書における三十四年度中の物品の増減等をみますと、三十三年度末現在額は千二百二十四億三千五百余万円でありましたが、三十四年度中の増が千二百六十四億二千九百余万円、同年度中の減が五百九十億七千百余万円ありましたので、差引三十四年度末現在額は千八百九十七億九千三百余万円となり、前年度末に比べますと六百七十三億五千八百余万円の増加となっております。  物品増減及び現在額総計算書に掲げられております物品の管理について不当と認めましたものは、物品の取得に関するもの一件でありまして、これは昭和三十四年度決算検査報告に掲記しております。
  45. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 以上で、昭和三十四年度国有財産増減、及び現在額総計算書外二件に関する説明聴取は終了いたしました。    ———————————
  46. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 最後に、昭和三十四年度一般会計予備費使用調書(その2)外六件を一括して議題といたします。田中大蔵政務次官説明を求めます。
  47. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) ただいま議題となりました昭和三十四年度一般会計予備費使用調書(その2)外六件の事後承諾を求める件につきまして御説明申し上げます。  昭和三十四年度一般会計予備費予算額は百六十億円でありまして、このうち、財政法第三十五条の規定により、昭和三十四年五月一日から同年十二月二十五日までの間において使用を決定いたしました八十三億四千九百万円余につきましては、第三十四回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしまして、すでに御承諾を得ましたが、その後、昭和三十五年一月十二日から同年三月三十日までの間におきまして七十六億四千九百万円余につき使用決定いたしました。  そのおもな事項は、国庫預託金利子支払いに必要な経費、第十五号台風等による農林水産業の風水害対策に必要な経費、農業施設災害復旧事業に必要な経費、東京国際空港の用地買収に必要な経費、失業中の退職政府職員等に対する退職手当に必要な経費、河川等災害復旧事業及び伊勢湾高潮対策事業等に必要な経費、伊勢湾高潮対策事業に必要な経費、河川等災害復旧事業及び河川等災害関連事業に必要な経費等であります。  次に、昭和三十四年度特別会計予備費予算総額は一千三百四十六億四千八百万円余でありまして、このうち、昭和三十四年七月二十八日から同年十二月二十五日までの間において使用を決定いたしました五百五十九億四千四百万円余につきましては、第三十四回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしまして、すでに御承諾を得ましたが、その後、昭和三十五年一月十九日から同年三月二十九日までの間におきまして百五十一億八千六百万円余の使用を決定いたしました。そのおもな事項は、厚生保険特別会計健康勘定における健康保険給付費の不足を補うために必要な経費、食糧管理特別会計国内米管理勘定における昭和三十四年産米の買い入れ増加に伴い必要な経費、郵政事業特別会計における仲裁裁定実施及び退官退職手当等の不足に必要な経費、失業保険特別会計における失業保険給付に必要な経費道路整備特別会計における第十五号台風等による被災道路の緊急整備に必要な経費等であります。  次に、昭和三十四年度特別会計予算総則第十四条及び第十五条の規定に基づき、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、資金運用部、厚生保険、国立病院、郵便貯金及び郵政事業の五特別会計でありまして、その内訳は、資金運用部特別会計において支出しました預託金利子支払いに必要な経費七億八千九百万円余、厚生保険特別会計日雇健康勘定において支出しました日雇健康保険給付費の不足を補うために必要な経費八千八百万円余、国立病院特別会計において支出しました国立病院の医療費に必要な経費二億六千万円余、郵便貯金特別会計において支出しました支払利子の増加等に必要な経費十二億九千九百万円余、及び郵政事業特別会計において支出しました業務量の増加等に必要な経費二十九億九千二百万円であります。  次に、昭和三十五年度一般会計予備費予算額は百億円でありまして、このうち、財政法第三十五条の規定により、昭和三十五年四月十二日から同年十二月二十三日までの間において使用を決定いたしました金額は七十六億七千三百万円余であります。そのおもな事項は、三池炭鉱争議及び安保改定反対闘争等に伴う警備活動に必要な経費、租税還付加算金に必要な経費、急性灰白髄炎対策に必要な経費、漁港施設災害復旧事業に必要な経費、伊勢湾高潮対策事業に必要な経費、チリ地震津波災害対策に必要な経費、都市及び河川等災害復旧事業等に必要な経費衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費等であります。  次に、昭和三十五年度特別会計予備費予算総額は一千四百三十八億一千百万円余でありまして、このうち、昭和三十五年八月十二日から同年十二月二十三日までの間において使用を決定いたしました金額は六百五億四千五百万円余であります。そのおもな事項は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における昭和三十五年産米の買入増加に伴い必要な経費、国内麦管理勘定における昭和三十五年産麦の買入増加に伴い必要な経費、国有林野事業特別会計国有林野事業勘定における災害復旧事業等に必要な経費道路整備特別会計における被災道路の緊急整備等に必要な経費、治水特別会計治水勘定における河川事業等の調整に必要な経費等であります。  次に、昭和三十五年度特別会計予算総則第十一条の規定に基づき、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、造幣局、印刷局及び食糧管理の三特別会計でありまして、その内訳は、造幣局特別会計において支出しました補助貨幣製造数量増加及びタイ国王外遊記念章製作に必要な経費四千九百万円余、印刷局特別会計において支出しました国民年金手帳の新規受注に伴い必要な経費二億四千万円余、   〔委員長退席、理事鳥畠徳次郎君着席〕 食糧管理特別会計国内米管理勘定において支出しました調整勘定へ繰り入れに必要な経費百十四億五千八百万円余、国内麦管理勘定において支出しました昭和三十五年産麦の買人増加に伴い必要な経費七億円、業務勘定において支出しました調整勘定へ繰入れに必要な経費九百万円余、調整勘定において支出しました国債整理基金特別会計へ繰り入れに必要な経費九十億一千百万円余であります。以上が昭和三十四年度一般会計予備費使用調書(その2)ほか六件の事後承諾を求める件の概要であります。  なにとぞ御審議の上御承諾下さるようお願い申し上げます。
  48. 鳥畠徳次郎

    理事鳥畠徳次郎君) 以上で、昭和三十四年度一般会計予備費使用調書(その2)外六件に関する説明聴取は終了いたしました。    ———————————
  49. 鳥畠徳次郎

    理事鳥畠徳次郎君) 引き続いて、昭和三十三年度決算外三件を議題にいたします。  前回の委員会に引き続き、総括質疑を続行いたします。質疑の通告がございます。順次発言を許します。
  50. 相澤重明

    ○相澤重明君 まず、大蔵省の国有財産の問題でちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、それはきょう結論を出すということではありませんが、特に重要な問題でありますので、大蔵省の考え方を聞いておいて、当委員会としての態度をこれからきめたいと思うのです。   〔理事鳥畠徳次郎君退席、委員長着席〕 それは、すでに他の同僚議員、先輩議員が全部承知の問題でありますから、十分お答えにも気をつけてお答えをいただきたいと思うのです。  それは第一に、昭和三十四年度の国有財産についての報告を政務次官からいただいたわけでありますが、その中に、三十四年度報告の中でも、一番しまいの八ページにあります公園の用に供するもの、あるいは公園増減の場合がありますね、この中で当国会として、非常に問題を提供されておる、あまりにも大きい問題で、取り扱いに私ども実は苦慮をしておる問題です。それは虎ノ門公園地に関する経過であります。これは先輩の議員諸君が十分御承知でありますので、その取り扱いについて一応私どもあとで御相談をする場合のことがありますから、それで、考え方だけを一つお尋ねをしておきたいと思うのです。問題の発端はすでに管財局長御承知だと思うのですが、昭和二十五年度会計検査院決算検査報告不当事項として掲げられたものが、東京都が、国有財産である虎ノ門公園地千百三十六坪のうち六百五十坪を、昭和二十四年二月以降ニューエンパイアモーター株式会社に建物用地として使用されておる、こういうものであります。これについては現在裁判にかかっており、従って、その取り扱いについては議会側と裁判関係、あるいは持ち主と、こういうものとのきわめて微妙な問題ですから、きょうはお互いに高姿勢な立場はとりたくないと思うのです、非常に微妙な取り扱いですから。そういうことで、大蔵省として、今どの程度まで進行状況を御承知になっておるか、これを一つ御答弁いただきたい。それによって当委員会としての取り扱い方をあとで、先輩議員もおりますから御相談を私はしたいと思っております。まず、その経過について現在の進行状況をちょっと御説明をいただきたい。
  51. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 事件の概況は相澤委員もよく御存じのことと思いますが、念のためにほんの概要を申し上げますと、本件につきしては、昭和二十八年の十六回国会におきまして、衆参両院の決議がございました。決議の内容はほぼ同じでございますが、要するに、虎ノ門公園としてもとありましたところの土地を、現在ニューエンパイアモーターという会社が使用しておるというのを、会社の施設を撤去せしめて原形に復旧せしめた上で、再び公園として公共の用に供し得るように、すみやかに実現を期すべきであると、こういうふうな趣旨のことでございました。決議の日付は、衆議院決算委員会昭和二十八年七月八日、参議院が、本会議の決議でございますが、同じく昭和二十八年の七月二十九日ということに相なっております。そこで、この決議の趣旨に従いまして、大蔵省といたしましては、昭和二十九年の四月にニューエンパィアモーター株式会社を被告といたします建物収去土地明け渡し請求訴訟というのを、東京地裁に提起いたしますとともに、占有移転禁止及び現状不変更の仮処分の申請をいたしました結果、仮処分は同年四月七日に執行されております。  そこで、本訴訟の進行状況でございますが、昭和三十年十一月二十日に第一回口頭弁論が開始されまして以来、二十七回にわたりまして口頭弁論が開催されまして、昭和三十五年一月二十九日に結審と相なっております。そこで、この一月に結審になりました後に、担当の裁判官から、抵当物権を売り払うということによって本件を解決してはどうかという線で、非公式な和解の勧告というのがあったのでございますが、大蔵省といたしましては、上記の、前に申し上げました国会の決議等もありますことでありますからして、建物を取り払って土地を明け渡すという趣旨の和解ならば応ぜられるけれども、それと違った線の和解には、どうも国会の御意思がはっきりしない以上は応じがたいというような見解をもって、裁判所の方にはその見解を申し伝えているところでございます。
  52. 相澤重明

    ○相澤重明君 ただいま現状の御報告をいただいたわけでありますが、きわめて国会における議決案件としての取り扱いという点、微妙な問題ですから、きょうは結論を私は出したくないのです。そこで、取り扱い方を各会派でやはり相談をしなければ、実際上ならぬということも考えられますので、この点について委員長に私からお願いをしたいのですが、休憩をさしていただきたい。そうして取り扱い方について御相談をさしていただきたい。私の一つの考え方としては、御相談をして、委員会としての取り扱い方針をきめて御提案をする、こういう形にしていただきたい、こう思っているのです。従って、暫時休憩を一つ委員長にお願いしたいわけです。
  53. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 相澤君の申し入れによりまして、暫時休憩を……速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記起こして。    ———————————
  55. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) ただいまの相澤君の御発言に対しまして、本問題を最も合理的にまた国損を少なからしむるとい立場におきまして、慎重に検討を必要とすると考えます。従いまして本委員会といたしましては、小委員会を特に設けまして十分調査審議をいたしたいと思います。小委員会を設けることについて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 満場一致小委員会を設けることに決定をいたしました。  なお委員の員数、人選等につきましては委員長に御一任賜わりたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) さよう決定をいたしました。
  58. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に国有財産の問題でありますが、前回御答弁をいただきましたのは、昭和三十二年度から一億以上の予算をつけて実態調査を行なったわけでありますが、建物等についてはすでにはほとんど終了をしておるというお話でありましたが、土地等についてはまだ若干残っておって、本年の秋ごろまでには大体完成するのじゃないかと、こういうような御説明を私はいただいたと思うのでありますが、実際のこの国有財産の実態調査が終わる見通しを、いま一度一つ土地等の問題について、管財局長からいつごろになるのか、こういう点を一つ御説明をいただきたいと思います。
  59. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 土地並びに建物に関しまする実態不明の件数は、かなり多いのでございますが、これを早急に調査して実態を明らかにするようにという国会の御要求等にこたえまして、三十二年から四年計画で調査を実施いたしました計画件数は、土地が六万一千二百二十七件、建物が五千三百六十六件でございまして、この四年間にわたります計画は三十五年度をもちましてほぼ計画通りこれを完了いたしました。現在その調査結果をまとめつつあるところでございまして、その結果がわかるのがほぼことしの暮れあたりになろうということをこの前申し上げたわけでございます。で、これに続きましてさらに第二次の調査をしなければならない、ということをわれわれは考えておるわけでございますが、現在、土地等につきましては、非常に経済的価値が高まって参りましたので、比較的経済的価値が低いと前に思っていた所でも、これを早急に調査する必要が生じてきたものが相当ございます。それで現在のところは、ほぼ四年間くらいでもってあと土地につきましては五万二千件くらいのものを調査対象に選びたい、かように管財局としては考えております。さしあたり三十六年度におきましては、そのうちで一万三千五百件というものを調査対象に選びまして、予算を約六千五百万円計上をさせまして目下調査の計画を進めておる、かようなことでございます。
  60. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこでそういう第二次の中で、さらに重点的に三十六年度としては土地等の問題について調査を進めると、こういうことでありますので、実は前回私ども関係の議員が現地の調査もいたした問題もありますが、その中で平和都市宣言をした旧軍港都市に対する土地等の問題については、大蔵省としてもかなりこまかく調査をされておると思うんですが、まあここに先輩の山田さんもおりますが、そういう問題をできるだけ早く、私はやはりこの処分できるものは処分をしてやるべきではないかと思っておるんですが、大蔵省の方針として特にこの重点的にそういう法律に、特別立法をした、該当都市に対するところの転換をどの程度まで速度を早める自信があるか、その点をこの際お聞きをしておきたいと思う。これは特に該当の旧軍港都市ですね、そういうところについて大蔵省の基本的な一つ考えを聞いておきたいと思います。
  61. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいまお尋ねのありました、旧軍港都市におきます旧軍用財産の転換の問題でございますが、御承知のように、旧軍港市転換法という法律がございまして、できるだけすみやかに旧軍港都市を平和産業の都市として復興せしめるように、という法律の趣旨にかんがみまして、大蔵省といたしましてはできる限り地元の御要望に沿うべく、未処理財産の処理を急いでやっておるところでございます。旧軍港都市の財産を処理いたしますには、その法律に基づきまして旧軍港市国有財産処理審議会というものが開かれておるわけでございますが、大体この頻度は非常に高いのでございまして、おおむね二カ月に一ぺんは必ず開くということにいたしております。若干ことに統計がございますが、最初に開きました昭和二十五年十月十三日以来、三十五年、去年の十二月までに二十九回の審議会を開催いたしまして、三百七件の事案を付議いたしまして、その答申に基づいて適正な処分を行なってきておる次第でございます。
  62. 山田節男

    山田節男君 今の相澤委員の御質問の関連事項として、私ども過日五月十日、旧軍港平和産業港湾都市転換法、これは昭和二十五年に制定されまして以来定期的に実は国会議員が、関係の四旧軍港の法律の成果を視察に行っておるわけです。去る五月十日、横須賀の旧軍港の復興状況を見まして、これは至るところでやるんですけれども、国会議員を中心に、業者、それから市の理事者、商工会議所、市会の代表者、その他一般の利益関係者を集めて懇談会を開きました。もちろん関東財務局の横須賀出張所も来ておりまして、いろいろ要望等も聞いたのでありますが、今相澤委員が質問されたように、また今、山下管財局長が御報告になったように、この旧軍用財産、すなわち今日の国有財産としての処理がなされておることは、これはもう事実です。まあそれによりましてどんどん復興しつつあることもこれは事実でありますけれども、この間横須賀の現地でのいろいろ懇談会での席上、世論を聞きますと、まだ相当売り払いの申請に対する問題が解決しない、ペンディングになっておる件数が相当ある。ほとんど六〇%ぐらいのものがまだ全部の結論が出ていない。これはやはり業者としましては、これは本省はとにかく、出先の関東財務局、ことに横須賀の関東財務出張所がこれを早く取り上げて、財務局を通じて本省の方へ連絡し、同時に審議会の議題にしましてもなかなかその評価の点で追いつかないという点ですね。これに対するかなり強い要望があった。これは今の相澤委員の提起された問題点の一つだろうと思うのです。  それからもう一つ、この間われわれがその席上で、ことに国有財産を維持費を払って使っておる、まだこの売り払いを受けない業者の意見の中に、たとえば五百万円以下のものに対しては三年ぐらいで全部を払ってしまえ、こういう催促を受けておる、こういうことがある。この点が旧軍港市転換法の中に特に譲渡の条項を入れまして、で、譲渡の場合は十年以内、ですから十年まではこれは延べ払いというととができるという寛大な条項をわれわれはこれに入れておるわけですね。ところが中小企業者に対しては三年間に払ってしまえ、こういう命令を受けて、大会社は十年間に延べ払いする、中小工業者は金額の五百万円以下ぐらいのものは三年以内に完納しろ、それで中小工業者としては非常に財政的にも実際に問題があるわけですね。こういう点をこの特別法に規定する大企業者に対すると同じように、できれば十年ぐらいの延べ払いにしてもらえないか、こういう実は要望をわれわれは受けたわけです。そういう現地の状況をつい最近われわれが聞いたものですから、今、相澤委員の質問になったわけですけれども、この点に対してとうでしょう、大蔵省としての御方針を承りたいと思います。
  63. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいまのお尋ねは、旧軍港都市におきます旧軍用財産を売り払いましたときの代金の延納期間の問題に関係するものと思います。旧軍港都市におきましては、普通のその他の都市における場合よりも、よほど延納の条件というものを緩和してあるわけでございまして、普通の財産でございますと、延納の最高期間は五年でございますが、旧軍港都市につきましては十年ということに相なっております。ただ、これは普通の都市の場合と同様に、金額の多寡によりまして、金額の大きいものは延納の期間も長いが、金額の少ないものは比較的短くしてあるというふうに段階をとってあるわけでございます。決して大企業に対しては長いとか、中小企業に対しては短いといったような企業別に差をつけてあるわけではございませんで、あくまで売り払いの対象にいたしますところの財産の多寡によりまして延納期間の差をつけてあるわけでございます。私どもといたしましては、決して中小企業に対して不利な扱いをしておるというふうには考えておらないのでございます。なお、またいろいろその関係の方の意見、御希望等も勘案した上で善処いたしたいと考えております。
  64. 山田節男

    山田節男君 と、今の管財局長の御答弁では、その売り渡すべき国有財産の価格の多寡によって、この支払いの期間を十年あるいはそれ以下にすると、そういう基準がきまっておるわけですか。
  65. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 管財局の内規としてそういうものをきめておるわけでございます。
  66. 山田節男

    山田節男君 その内規として、もう上司から出先にそういう指令があれば、もうそれを一つの基準として実際やるわけですね。ところが今申し上げましたように、やはりそういったものは中小企業者ですね、いわゆる下請会社ですね。たとえば横須賀の例を見ますと、あそこは日産の下請をやっている者が相当入っているわけです。これあたりはもちろん零細な土地なりあるいは施設を払い下げていただいて仕事をしている。ですから三年間ということが実際短過ぎるというのもあるわけですね。ですからその基準をあくまで、もう内容はともかくとして、表面的にこれは五百万円以下であれば三年間に納めさしてしまえ、こういうと今申しましたように中小企業者は実際困る場合がある。この点の基準がやはりかなり実情に合わぬと、あなたがおっしゃったように実際に応じて三年を五年にする、あるいは七年にするというような、一つの何と申しますか、伸縮性を持った指令でないと、今申し上げたようなそういう要望が出てくるのではないかと思うのです。この点どうですか。絶対の基準として一定額のものを三年間なら三年間で納めなくちゃならぬ、これを絶対命令としての内規ですか。
  67. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 先ほど御答弁申し上げましたように、旧軍港都市につきましては、普通の都市におきます財産の処分よりも延納の条件というものはきわめて緩和して作ってあるわけでございます。ただ、作りました以上はこれを機械的に適用しませんと、かえってそこに不公平を生じてくるということでございまして、私たちといたしましては、一ぺん作りましたものは相手のいかんにかかわらず、決して中小企業に不利とか大企業に有利とかということではございませんが、財産の多寡によりまして延納条件というものを一定していくということが、やはり行政のあり方としては妥当ではないかと考えておるわけでございます。
  68. 山田節男

    山田節男君 これは従来会計検査院のこれに対する見解等で、本委員会で論議されたことがあるのでありますが、たとえば現在売り渡しを受けていない、いわゆる国有財産を使用する一時使用料ですね、との場合の一時使用料も、他の国有財産の一時使用料よりも旧軍港の返還の建前でなるべく低くしてもらいたい。また実際そうやっていただいておったわけです。昭和三十一年ぐらいまでやっていただいていたわけです。ところが自来その会社が非常に繁栄いたしまして、配当もしているじゃないか、配当をして支払い能力があるのだから、それは普通の使用料を払ってもいいじゃないか、この見解もわかるわけです。しかし、この法律の趣旨、あるいは実際四旧軍港に誘致されておる会社の実態を見ますと、そういったような特別な恩典を受ける工場は、この四旧軍港にあるそういう工場あるいは会社、こういうところが今転換法の恩典に浴するという反面におきまして、市の議会あるいは理事者等から相当な公共性を持たれた義務を付加されている。たとえば風紀問題、整理問題があった場合、これは単なる工業誘致できたのではないのです。こういう恩典に浴して一時使用料を安くしてもらっている、あるいは国有財産を払い下げて国に過去何年間かそれを使わしてもらっている。維持管理のその費用も勘案してもらって、国有財産の価格をきめてもらうという、そういう法があるのだから、この単なる一時使用料としてとかというというふうに考えてもらっちゃ困る、公共性を帯びた事業として、失業問題も首切り問題もそういう工合にやってもらっちゃ困るという、それぞれ四旧軍港とも今日までそういう例が幾らもあるわけです。ですから、配当をしておっても、そういう法律の御趣旨をくんで、一時使用料を安くしてもらいたい。それから今、相澤君の言われたような、たとえば払い下げにおきまして、下請工場の中小企業者におきましては、価格が実態に応じて、なるべく十年以内という、大企業にやっている十年を基準にしてやってもらいたい、こういう要望を受けているわけですね。その間の事情を少なくとも本省に御認識いただきませんと、下部の方には非常にシビアにやられるわけです。そういう実態にわれわれはこの間見学視察してぶつかったものですから、この点は一つ法の趣旨に従って、何とか実態に応じた行政を一つ行なってもらいたい、こういう要望が強かったのでこういう質問を申し上げるのです。
  69. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 国有財産の評価につきましては、私どもの立場といたしましては、あくまでガラス張りで適正公平な価格を算定していきたいというふうに考えているわけでございまして、国会からも常にそういう御要望もございますし、また会計検査院等からも常に価格の適正化についての御指摘を受けている次第でございまして、そういうふうに努力していきたいと思います。旧軍港都市だからといって、特にこれを手かげんするというようなことは必ずしも妥当とは考えないのでございます。がしかし、たとえばある具体的な例につきまして、工場としての立地条件が非常に悪いとか、建屋の形が利用効率としてみて必ずしも適当ではないというような場合には、これは普通財産の評価基準として適当に減額をしてもいいということになっておりますので、それに基づいて適正にやっているというふうなことでございます。また貸付料につきましては、その適正な評価に対して一定の率をかけて貸付料を出す、こういうようなことにいたしておりますので、必ずしも旧軍港都市であるからどうこうするということの御要望には、にわかにお答えはできないと思いますけれども、しかし決して不当に高い評価をするといったような措置はやっておらないつもりでございます。あくまで地元の御要望等も勘案しました上で、また私たちの妥当と認めますことの範囲内で、売り払い価格なりあるいは貸付価格なりをきめて参りたいと、かように考えております。
  70. 山田節男

    山田節男君 結論として申し上げると、この法律が昭和二十五年の六月だったと思いますが、住民投票でこれが制定された。そうして現在もこの法律が生きている。そうして四旧軍港の実態をわれわれが見まして、そういう要望を聞きますと、特別法が存在する限りにおきましては、その趣旨はやはり生かしてもらわなければならない。その条文の中にはやはり四旧軍港が平和産業港湾都市として復興するためには、国のあらゆる機関がこれに協力しなければならない、こういう実は条文があるのです。この趣旨は一つ大蔵当局において十分胸に置いた上で、今、管財局長のおっしゃったように、やはり実際の事態に応ずるように、評価上その他の面において十分御考慮願う、というような御答弁のように私了解いたしまして、これ以上質問はいたしません。   〔委員長退席、理事鳥畠徳次郎君着   席〕
  71. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで今の管財局長に、旧軍港市転換法に基づく国有財産の処理状況について山田委員からも質問があったわけですが、特にいわゆる借入金返済等の問題の利子については、あとでまた大蔵省関係の人から話を聞きますが、今の山田委員の質問については、十分一つ大蔵省側も関係の方々とよく相談をしてもらいたいと思う。これは戦前軍港があったためにその都市が相当恩恵を受けたものはあっても、戦後の敗戦の現実にかんがみて、非常に地域住民は困難を来たしておる。これは人口推移の統計からみても明らかになっている。そういう点から、やはりそのときの大きな損害を現在の旧軍港の人たちに与えておるということは国民全体の問題である。従って国家財産の中で、そういうもので、できるだけ処理上適切な措置がとれるものは、適切な措置を講じてやる、こういうふうに私はお願いをしたいと思う。これは一つよく関係者と相談をしてもらうことを私どもは要望しておきます。  次に国有財産の中で、いわゆる普通財産と行政財産と区分をすると、まあ行政財産が私は非常にふえておると思うのですね。先ほどの三十四年度の御説明を聞いた中で、行政財産は普通財産よりも四・一%か、ふえておると思うのですね。現在は多いと思うのですよ。行政財産が約全体の五五%、普通財産は四四・九%ぐらいということに大蔵省は発表されておる。そこで私のお尋ねしたいのは、行政財産のふえた理由というのは、いわゆる防衛庁なり、あるいは日米安保条約に伴う在日米軍に提供をしたもの等の、いわゆる増加というものが目立っておるのではないかと思うので、行政財産の一兆三千四百四十四億ですか、それの内容について、在日米軍にそのうち行政財産としてどのくらい提供されておるのか、これを一つおわかりになったら御説明をいただきたい。  それからいま一つは、国の学校敷地等の問題です。これもやはり行政全体の中だと思うのですね。そうするとこれらに使用されておるものは、その総額の中の何パーセントぐらいなのか、学校の敷地等はどのくらいになっておるのか、こういう点も区分がわかったら御説明をいただきたい。  それではこれは非常に突然だからちょっと無理かと思うのだけれども、もしあとで、私はあとでもいいと思うのですが、もし今お答え願えるなら簡単にお答え願っておいて、あとでその区分内容を、学校等の問題はどのくらい、それから在日米軍のはどのくらいというような区分を一つ、もし何だったら資料で出していただいてもけっこうです。
  72. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいまお尋ねの中ですぐにお答えできますのは、在日米軍に対する提供状況、これは昭和三十四年度末の実績でございますが、土地につきましては四千七百六万九千坪、価格にいたしましてこれは台帳価格でございますが、二百四十二億九千六百万円、建物は百五十三万九千坪、価格にいたしまして三百十五億七千五百万円、工作物は価格にいたしまして三百二十八億九千四百万円、その他のものが価格にいたしまして、二十二億九千九百万円、価格の合計といたしまして九百十億六千四百万円ということに相なっております。学校にどれだけの財産を提供しておるかということは、ちょっと今手元に資料がございませんので、のちほど調べた上でお答えいたしたいと思います。
  73. 相澤重明

    ○相澤重明君 それからこの公共用の財産ということで、この前の当委員会でもこの窓からごらんになったところで問題もあったのですが、一体、公共用財産の八十九億というのは、おもだったものはどういうものなんですか。それをちょっと御説明いただきたい。八十九億のおもだった内容というものはどんなものがあるのか。こまかい点はいいです。
  74. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 三十五年三月末現在におきまして、公共用財産の合計が八十九億二千一百万円となっております。その内容は非常にたくさんに分かれておりますが、大きいものを申し上げますと、皇居外苑、これが価格にいたしまして四十五億九千六百万円、京都御苑、これが十一億二百万円、新宿御苑、二十七億五千百万円、以下は非常に件数は多うございますが数量的にはごく小さいものでございます。
  75. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に皇室財産でありますが、もとの皇室財産も公共用に転換されておるのが今御説明をいただいたわけですが、現在の皇室財産の九十六億の内訳はどういうところか御説明いただきたいのです。
  76. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 皇室用財産の合計九十六億六千一百万円でございますが、この大きな項目を二、三申し上げますと、皇居が四十二億七千八百万円、大宮御所二十八億八千六百万円、陵墓——お墓でございますが、八億六千三百万円、京都御所五億六百万円、以上のようなものでございます。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 あとの、今説明を求めた以外は公用財産になるわけですが、普通財産、公用財産、企業用財産というそれぞれの分類をしてみると、企業用財産というものと公用財産というものはおつかつに——まあ若干企業用財産の方がパーセンテージは上だと思うのですが、企業用財産のおもなるものはどういうものです。
  78. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 企業用財産は全部特別会計に属する資産でございまして、内訳は造幣局、印刷局、国有林野事業、アルコール専売事業、郵政事業、この五つに分かれるわけでございます。これの企業用財産七千百億の内訳というもの、今ちょっと手元に持っておりませんので、後ほど調べた上でお答えいたします。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に公用財産の六千百五十二億の中で、私は整理ができるものがあるのじゃないかと思うのだけれども、公用財産のおもなるものを一つあげてもらいたい。
  80. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 御要望にこたえることになるかどうかわかりませんが、公用財産の総計が六千百五十二億でございます。手元にあります資料は各省別の資料だけでございまして、財産の形態等につきましてはちょっと今のところ不明でございますが、大きいところを申し上げますと、総理府、これは防衛庁も含んでおりますが、二千五百八十六億、それから文部省千百九十九億、厚生省四百四十九億、運輸省五百三十六億、農林省二百三十億といったようなことでございます。それからごく簡単な内訳の表がございましたので、御参考までに申し上げますが、公用財産のうちで防衛施設は二千四百九億、国立学校の文教施設が千百五十一億、国立病院、国立療養所等の医療施設が三百三億、矯正保護施設、これは刑務所、少年院等でございますが、百九十四億、裁判所施設が百八十三億、国家公務員宿舎施設、合同宿舎でございますが、これが八十八億、こういったような内訳になっております。
  81. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の御説明を受けた中で、特に私が先ほど申し上げたように、公用財産の六千百五十二億余の中で、防衛庁の分担しておる約二千四百億、これは当委員会で大森委員も前回非常に関係の問題として質問をしておるわけですが、私は単に国有財産であるからといって、そのままかかえておる必要のないものは処分をすべきであると思うのです。公用財産のうちの少なくとも半分、まあ三分の一以上の財産が防衛庁になっている。こういうところがどうも私は見るところ少し多過ぎやしないか、こう思うのです。そういう点でお尋ねをしたわけですが、今までのところ、この公用財産のそういう面について大蔵省としては調査をされて、こういうものは早急に処分をした方がいい、こういうようにお考えになったところがございますか。それともこれは単に調査報告だけである、こういうことだけでしょうか、どうでしょうな。
  82. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 防衛庁の財産が多いという御指摘でございますが、防衛施設の二千四百億の中には相当多くの艦船、航空機等のものが入っておりますので、一般に処分の対象となるようなものは比較的少ないのではないかと考えます。それから各省の持っております公用財産の中で、処分を適当とするものがあるかどうかといったようなお尋ねでございます。大蔵省はもちろん総括大臣の立場といたしまして、全体としての国有財産が最も有効適切に使用されるようにこれを指導していく責任を持っておるわけでございますが、何分にも行政財産は各省の大臣がまず第一次の責任者として管理をしておられるわけでございまして、行政財産として使う必要があるかどうか、その適正な規模であるかどうかということは、まず第一次には各省大臣が御判断になるほかはないわけであります。そういう点からみまして、私どもといたしましては各省と密接な連絡をとりまして、できるだけ全体の財産が有効適切に運用されるように考えてはおるわけでございます。一応そういうような立場で見ておる次第でございます。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 こまかい点についてはこういう質疑だけではこれは実際無理なんですね。それでまたあなたの方でもむずかしい点があろうかと思うのです。この国有財産の中で不法占拠とかあるいは無断使用とか、こういうようなものはどの程度まであるとお考えになっておるか。あるいは調査をしてそのパーセンテージでも出ておれば一つお知らせをいただきたいと思う。
  84. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 財産の不法占拠、あるいは無断使用等につきまして、先般も御質問がございましたので、財務局を督励いたしましてできるだけ早急にその資料をまとめたいと思って今せっかく調査をいたしておるわけでございます。先般も申し上げましたように、不法占拠の中でごく悪質なものにつきましては訴訟を行ないまして、これの立ちのきを要求しておるというようなものもございまして、三十五年末で訴訟係属中のものは三十一件あるわけでございます。不法占拠等につきましては、できるだけこれを国有財産本来の目的に供するように処理をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。何分にも終戦前後の非常に混乱した時期にそこに住み込まれたような方が多くおられまして、それぞれ当時の事情を伺ってみますと、相当の理由のもとに入られたような場合が非常に多いわけでございまして、直接生活権にも結びつく問題でありますからして、すべて処理につきましてはできるだけ円満な解決をいたしたい、というふうにせっかく準備を進めておるわけでございます。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 最後にこの国有財産の中で比率として考えられるのは、不動産と有価証券等の関係がとの程度に分類をされておるのか、あるいは出資等になっておるのか、そういう点について一つ概略でけっこうですから御説明をいただきたい。
  86. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 国有財産を土地とか建物とかの区分別に見て参りますと、一番大きいのは政府出資、有価証券等でございまして、これが八千六百六十六億円を占めております。全体の三五・五%でございます。ついで立木竹が五千六百二十二億円、二三%、建物が三千二百十三億、一三・一%、土地が三千二十四億、一二・三%、工作物が千九百八十一億、八・一%、航空機が千百三十六億、四・六%、船舶が七百七億円、二・八%、機械器具が五十三億、〇・二%、政府出資とか有価証券以外の財産権が五億、こういうふうな内訳になっております。
  87. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは国有財産については私はそれでけっこうだと思います。  次に国際収支の問題について為替関係の方からお答えをいただきたいと思うのですが、池田内閣として所得倍増計画を発表されて、国際収支も非常に好調であるということで今日まできたわけですが、現実に昭和三十六年の三月末の国際収支はどうなっておるのか、四月に入ってはどういう傾向になっておるのか、この点を一つ御説明をいただきたい。
  88. 森鼻武芳

    説明員森鼻武芳君) 本年一月以降経常収支が赤字になっておりますが、これの原因をいろいろ調べておりますが、輸入が非常にふえましたのが、一つの大きな原因になっているわけです。この輸入が急速にふえましたのは、経済成長を反映いたしまして非常な成長の水準が高いという一方、輸出がアメリカ向けを中心にいたしましてやや伸び悩んでおるのが大きな原因でございます。輸入がなぜふえましたか、またどういうものがふえておるかということを見ますると、主として原綿、原毛、くず鉄、石油等季節的に輸入期にあたっておるものや、在庫補充のために原材料の輸入、設備の合理化、こういった投資のための機械、こういったものがふえておりまして、いわゆる思惑的な不健全な徴候は別に見られません。米国の景気もようやく回復の徴を示しておりますので、わが国の輸入も漸次今後は伸びていくものと思います。  先行きどうなるかということでございますが、国際収支の動向につきましては、常に慎重な考慮をいたしまして、注視を怠っておりませんですが、今後も一段と輸出の増進に努力を払いたい。一方財政金融政策等におきましても弾力的な運用をはかる必要はございますが、現在なお相当な外貨準備もございますし、あまり短期的な変動にとらわれて急激に政策を変更するということは考えておりません。  いま一つの御質問の趣旨は、三十五年度年度間でどういうふうに数字がなっておるかという御質問でございました。受け取りのおもな項目に輸出が三十九億二千万ドルでございます。それから輸入の方が三十九億一千七百万、これはほぼ均衡してございますが、そのほかに貿易外というものの収支がございまして、貿易外の万の受け取りの分が七億二千三百万ドル、支払いの万が七億九千六百万ドルというのがございまして、この輸出入それから貿易外、これを合わせましてわれわれ経常取引と呼んでございますが、締めまして経常取引の方の赤字七千万ドル、こういうふうになっております。  なお資本取引の方も御質問にございましたかどうですかあれですが、念のため申し上げますと、長期の方と短期とございまして、長期の方は受け取りが一億五千六百万、支払いが一億五千五百万ということでございまして、長期の資本取引は差し引き百万ドルの受け超でございます。それから短期の資本取引の方は六億七千六百万ドルと、これは非常な受け超でございまして、資本取引の方が締めまして六億七千七百万ドルの受け超でございます。従いまして先ほどの経常取引の方の赤字七千万ドルを引きまして、総合収支におきましては六億七百万ドルの受け超、こういう数字になっております。
  89. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ君に政策の変更をしろとかしないとか、そんなことを僕は聞いているのじゃない。一課長が政策を変更するとかしないとかそんな答弁したってむだなんだ。そういうことでなくて、国際収支が三十六年の三月はどうなっておるか、   〔理事鳥畠徳次郎君退席、委員長   着席〕 三十六年の四月はどういうふうな傾向を示しておるか、こういう実績を説明をしろとこう言ったんです。われわれが昭和三十二年度決算をしたときには、昭和三十三年度以降は好調でずっときたわけです。今三十三年度決算をやっておるが、どうもわれわれがこの三十二年からずっと国際収支等を見てみると、今年になって少し下がり工合じゃないのか。何も君に政府の政策をここで貿易政策なり経済政策を僕は聞いているんじゃない。それは予算委員会等でやることはあるだろう。ただ決算上どうなっておるか、こういうことを聞いておる。それが受け超が七千万ドルであるとか、一億ドルであるの——そういう点をはっきりしてもらえれば、最後の答弁はいいと思うが、前段の答弁はよけいなことと思う。  それで実際に三十六年の四月は幾らに、国際収支の現状はどうなっておるか。よけいなことを言って質問の答弁ができないじゃ困るじゃないか。
  90. 森鼻武芳

    説明員森鼻武芳君) 四月の国際収支はどういうことになっておるかという御質問でございますが、これは日銀の方と今、計数整理中でございまして、まだ公表する数字ができておりませんです。
  91. 相澤重明

    ○相澤重明君 三十六年の四月の発表が、日銀の方と打ち合わせをしておって発表ができないということは事実  か。
  92. 森鼻武芳

    説明員森鼻武芳君) 打ち合わせということは、これは別に中を細工するとかなんとかいうことでございませんで、いつも毎月の分は翌月の大体二十日過ぎまでに計数がまとまる、事務的な作業の手数がそれだけかかる、こういう意味でございます。  なお御質問の趣旨に応ずるかどうかわかりませんが、信用状の数字だけはわかっておりますので、それを申し上げますと、四月中の輸出の信用状は二億五千百万ドルでございます。輸入の方が三億五千三百万ドルでございまして、差額が一億二百万ドル、これだけございます。
  93. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでその三億約五千万ドルからの輸入の中でおもだったものは、さっき説明を受けたくず鉄であるとか原綿であるとか原毛であるとか、そういう説明をされたけれども、おもだったものはどのくらいの額になるか。
  94. 森鼻武芳

    説明員森鼻武芳君) 原綿から申し上げますと原綿は五千五百万ドルでございます。それから原毛が四千二百万ドルでございます。あとくず鉄が五千三百万ドルでございます。それから先ほど申し上げました機械でございますが、三千九百万ドル、こういった数字がおもな数字でございます。
  95. 相澤重明

    ○相澤重明君 一つ政務次官にお尋ねしておきたいと思うのですが、今大蔵省の実務者から御報告いただいた限りにおいては、そう心配はないということだと思うのです。しかし経済というものは生きものですから、そこで決算上特に信用状の今の経過を考えると、やはりあまり景気がいい、景気がいいということでかえって輸入が増加することは、あまり健全財政ということにもならぬのじゃないかという面も言えると思う。また反対に長期的に今の国際事情から考えれば、日本の輸出というものもまだ増大をするのだからその点は心配はない、こういう点も他面あると思うのです。そこで少なくとも年度がわりを一つの基点としまして三十六年度の当初にあたって、この国際収支が若干でも赤字になるということは、これは大蔵省としてはここ数年来の問題だと私は思うのです。ですからその点について政府としても、もっと積極的な貿易政策というものを進めなければならぬのじゃないか。他面においてはこの施設等の問題についても考慮せざるを得ないという点はあろうと私は思うのです。先ほど申し上げましたように、三十二年の決算当時から見ると、私は非常に今までかつて見ない三年有余にわたって初めてこういう点が出てきたと思うのです。こういう面について政府としてはどうお考えになっておるか、それだけをお答え願っておきたいと思います。
  96. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 今総務課長からお答えいたしましたように、上期、四月から六月までは一億ドルの赤字になっております。これはまあ国内の経済成長率が非常に伸びたということと、御承知のようにアメリカとの関係でそういう結果になっております。総合収支といたしましては、四月から六月までの間資本取引の方が黒字になっておりまするから、経常収支が一億ドルの赤字であってもこれをカバーいたしておりまするから、おおむねこれは均衡が保たれておる、かように四月、六月は考えておるわけでございます。  そこで、あとの上期の七月、九月の見通しはどうかということでございますが、一応見込んでおりまするのは、経常収支で約九千万ドルの赤字、それから資本の方で一億二千万ドルの黒字、それから総合収支で約三千万ドルの黒字と、どういうふうに見込んでおります。  それから全体的に年度間の見通しでございまするが、一月三十日の閣議決定の経済計画によりますと、経常収支で一千万ドルの黒字——年度間、それから資本取引で一億九千万ドルの黒字、それから総合収支で一億ドルの黒字、こういう計画になっております。しかしながら若干悪化することが一応今までの経過から見ますと考えられまするので、もうしばらく状況の推移を見きわめまして、確実な見通しを今ここで立てるということは困難でございまするけれども、今のところこの一月三十日の閣議決定の経済計画を変更するというところまでまだ考えておりません。しかしながら状況を見た上で必要が生じた場合におきましては、これはやはり当初の経済計画を変更するということはあり得ると思います。今のところ年間の計画を変えるという用意はいたしておりません。以上でございます。
  97. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に今度は利子の問題に入りますが、大蔵省が各関係機関に出資しておるものについて、あるいは公庫関係の利子の問題について、統一的な利子というものをきめるべきではないかという意見が、たびたび当委員会でも各省の決算をやる中で指摘をされておる。これは公庫関係については同じだ、端的に言えば。こういうことも言えるのでありますが、どうも議員の立場になると、何かこう差別待遇が問題に出るのじゃないか、というようなひがむわけじゃないけれども、そういう点も出てくるというので、利子について政府の見解というものは一体どうなっているのか、その中にさっき山田委員が、たとえば一つ旧軍港都市の、平和産業に切りかえる問題についても、延納に対する利子の問題もある。こういうような点について、政府関係の公庫に対する利子と、それからいわゆる地方公営企業に貸し付ける場合の利子と、そうしてまたこの今の軍用財産の転換による延納の利子と、こういうようないろいろな問題があるので、この際利子の問題について政府のはっきりした見解を一度聞いておく必要があるのじゃないか。これが当の決算委員会で毎回やる中に出てきた問題なんだ。そこでこの際総括質疑で大体終わるわけですから、その点を一つ御発表をいただきたいと思う。
  98. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 公庫関係の金利の統一ということを考えていないかというお尋ねでございますが、御承知のように商工関係あるいは一般の金融の面から申しますと、国民金融公庫、中小企業金融公庫、それから商工中金とそれぞれございます。これは商工中金は公庫ではございませんけれども、その金利がなぜ異なるかというようなことも一例としてお考え願いたいと思うのでございますが、できるだけ役所といたしましても金利の引き下げにつきましては、合理化をはかるとか金利の低下を来たすように、あらゆる努力をいたしておるわけでございます。御承知のように昭和三十六年度におきましては、国民金融公庫と中小企業金融公簿は、従来の九分三厘を三厘引き下げまして九分にいたしたのでございます。それと関連いたしまして商工中金の方は、九分六厘を同じく三厘引き下げまして九分三厘にいたしました。なぜ九分と九分三厘、同じ商工関係に融資する公庫並びに商工中金の金利が違うかという問題でございますが、もう相澤委員は御承知のように、公庫はほとんどこれは政府出資であり、また預金部資金等を投入いたしまして、ほとんど民間の資金というものは取り入れておりません。でありまするから中小企業と国民金融公庫は九分まで下げることができ、商工中金は御承知のように商工業者の預金も吸収いたしておりますし、また債券も発行いたしております、そういうふうに民間の資金を吸収いたしておりまするので、公庫と同じように商工中金あたりがなかなか利下げができないという反面があるわけです。できるだけやはりこういった種類の大衆金融の金利というものは、統一した安い金利に持っていくことが望ましいのでございまするけれども、そういった内面の事情がございまするので、一応今のところそういう三厘程度の差があるわけです。一方農林漁業金融公庫にいたしましても、これはほとんど政府出資であり、また預金部資金を投入いたしております農林漁業金融公庫は、それぞれ種類によりまして金利は違いまするけれども、大体平均いたしますと七分五厘程度になると思います。そういうふうに将来のやはり政府関係の金融機関の金利というものは、まあ統一するところまで持っていきたいのが望ましいわけでございまするが、そういう方向にあらゆる合理化をはかり努力をしながら、金利の低下という方向に持っていくことに努力をいたしておるわけでございます。まあそういう方針で今おるということを御了承を賜わりたいと思います。
  99. 相澤重明

    ○相澤重明君 政府のできるだけ統一した方向に持っていきたいという考え方はわかりました。  そこで決算委員会としてはこの純然たる政府出資と、それから若干でも民間の資金を得ているこういうものとは違う、これは当然だと思うのです。それでこの政府出資という名がある以上は多い少ないにかかわらず、やっぱりこの国庫としては、必要だから政府が出資するのだから、これはもうできるだけ利子は安くするというのが当然ではないか、というのがまあいつも決算上出てくる言葉なんですね。そこで一般のこの利子を統一する方向にいくとしても、なお関係の公庫等については利子補給をする問題が生まれてきはしないか。たとえば一つの例として船舶なり国鉄なりですね、そういう問題で公社公団というものに対しての取扱いというものも今度は別に出てくる。だからそういうような場合は政府関係機関としてのいわゆる利子の統一の方向への考え方と、それから今度はそれを元にした今度は公社公団の事業を発展させるための利子補給の問題こういうような問題については一度やはり首をそろえる必要があるのではないかということが第一点。  二つ目には、世界銀行からの借款の問題は、これは当然やはり国の問題として出てくる。世銀借款についてはやはり国が保証しなきゃならぬ。そうする場合に、世銀の借入金に対しても利子は違いがあるそうですけれども、そういうものに対してもこれは政府のいわゆる信用という立場からいけば、同一に考えていいんじゃないかというのがあるわけですが、これはまあ先方の国の経済条件によって若干の点はあるかもしれぬけれども、それは借りる方にはそういう点はないわけですね、日本の国民の中でのそういう重要産業に対する借入金ですから。こういうこの利子補給の問題をどうするかというこの二つの問題が提起されていると思います、今までの決算上の中で。  そこで、その二つの第一段の問題、政府機関についての利子はなるべく将来統一したいという今政務次官の御答弁ですから、これはまあわかりました。その次に例としてあげた世銀の借款の問題であるとか、あるいは公社公団の事業に対する利子補給、どういうような問題については将来統一するやはりお考えでおるのか、これはやっぱり事業によって落差があるのは仕方がないと、こういうお考えなのか、この点一つ大蔵省の考えを聞いておきたいと思います。
  100. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 非常にこれはむずかしい問題でございまして、今ここで明快に即答をしろとおっしゃいましても、なかなか金融の問題はそう簡単に参りませんので、まあ私見をここで申し上げてお許し願いたいと思いますが、一応国内の先ほど申しました大衆金融に対する公庫あたりの利子統一は、先ほどのお答えのように今後努力して統一する方向にもっていきたいという気持はございますが、ここでなお利子補給をしろということになりますと、やはり問題があろうかと思います。といいますのは、利子補給するくらいであればもっとやはり投資の幅を広げて、そうしてもっと多く行き渡るようにすることも考えなくちゃなりませんし、現在の商工関係に対する金利が高いということであれば、なおよくその内面を十分検討いたしまして、少しでも金利を下げる方向に持っていくことに努力する、ここで利子補給ということは、今のところ考えられないのじゃないかということが言えるわけでございます。  なお、世銀その他の借り入れに対して、大きな公共的な立場のものに対する利子補給は考えないか。これは御承知のように、船舶の今度利子補給もいたすことにいたしましたし、また国鉄の新線建設に対しましても、若干の利子補給をいたすことにいたしております。そういうふうにこれはやはり個々の問題をとらえてそして十分検討した上で、公共的な面でどうしてももっと伸ばす必要があるから、その面ではこの程度の金利では無理だというふうな場合に、やはり考慮すべきでありまして、ここで一がいに利子補給という問題はそう簡単に考えられるものじゃないと、かように私は考えております。
  101. 相澤重明

    ○相澤重明君 その点はよろしゅうございます。  それから次に、当決算委員会決算指摘されたことは、事業主体が不当な工事を行なっている、あるいは国に返還をさせなければならぬという場合においては、返還金に対する督促をして、おくれた場合には利子をつけるということになっておる。これは法律上そういうことになっております。そういうものが三十三年度決算の中にあったかなかったか。それから今までそういう点はどのくらいになっておるのか、これは非常に重要な問題であるから、大蔵省も統計をおそらくとっておると思うので、それを一つ御説明をいただきたいと思います。
  102. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 補助金等に関しまして、毎年会計検査院から批難事項が相当あることは、まことにこれは遺憾に存じております。こういった補助金などの中から、各省各庁の長におきまして返還を命じたものにつきましては、御承知のように、午前中もお話がございました、補助金適正化法の定めるところに従いまして、納期までに納付しない場合には延滞金を出させることにいたしておりまするし、また補助事業者等の義務違反に基づいて交付決定の取り消しが行なわれた場合におきましては、加算金を課することになっておりますが、これら延滞金及び加算金の三十三年度の実績を申し上げますと、納入額は約三百六十万円でございます。それから三十四年度の納入額は約百十万円、こういう数字に相なっております。
  103. 相澤重明

    ○相澤重明君 三十四年度のまで御説明いただいて、傾向としては非常に減少しておる、こういう御説明で、大へんけっこうなことだと思うのです。それで実際に補助金等の適正化の問題で、そういうことがないことを私どもは喜ぶわけなんですが、おも立ったものは、その中で各省別に見て、特に地方の問題、自治体の問題が一番大きいと思うのですが、その加算金をとられたとか、大蔵省でもう督促をしたけれどもついに延滞した、こういうものはどのくらいになっておるわけですか、これを御説明いただきたいのですが。
  104. 高柳忠夫

    説明員(高柳忠夫君) 経費の中身についての集計をいたしておりませんので、所管別に集計いたしておりますので、それで御説明申し上げますが、昭和三十三年度におきまして、先ほどの御説明の三百六十余万円のうち、延滞金で納入されているものが大体百万円でございます。それから加算金で納入されているものが二百六十万円でございます。所管といたしましては、おもなのは通商産業省の加算金として納入されておりますのが二百二十八万円で、二百六十万円の中の大部分を占めております。それからあと延滞金の方では農林省の所管が五十八万円で、これが大宗をなしております。次に、同じような見方をいたしまして、昭和三十四年度の延滞金は、百十六万円のうち九十六万円ございまして大部分を占めております。その中のおもなのは、建設省の四十九万円、約五十万円、農林省の三十二万円というものが大部分でございます。加算金は三十四年度は、三十三年度が二百六十万円で相当多額でございましたが、三十四年度は二十万円で非常に減っております。
  105. 相澤重明

    ○相澤重明君 けっこうです。それではその内容については、きょうは別に聞かなくてけっこうだと思いますから、その次に、最後の大蔵省の問題で物品の問題を、これは利子の問題はけっこうですから、物品の増減及び現在額総計算書説明を三十四年度のを受けたんですが、この問題について、私説明を求めるのじゃないですよ、現在の国有財産の説明を先ほどから聴取いたしたわけです。それからその内容について若干の御説明をいただいたわけです。そこで、国として物品購入等について各省庁にまかせるものと、あるいは大蔵省が監督上購入するものと分離されると思うのですね、私は。その各省庁がそれぞれ経費の中で支出するもの。そこで調達庁というのが現在は軍関係としてはあるわけです。私は国の財産に帰すべきもの、あるいは国が物品を購入すべきもの、こういうものは大蔵省の予算を効率的に使用するという建前からいけば、これは大蔵省が扱っていいんではないか、こういうことも予想されるわけです。そこで、せっかくある調達庁が、そういう国の物品購入等については、これに調達業務をそこに合わせる、大蔵省の中にそういうものを持つ、こういうことは一体どうなのか。ということは決算上見ると、先ほども御説明いただいたように、各省庁の中を見るとやはり不当、不正事件も出てくるわけです。しかしそれが一カ所になると最も合理的であるし、予算執行についても最も私は効果があるのではないか、こう考えられるので、大蔵省の立場では一体どう思うか。この物品等の問題について、あるいは財産管理上の問題として、総合的に大蔵省がそういうものをやるというお考えに立たないかどうか。この点を一つ政務次官からお答えをいただきたいのですがね。
  106. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) これまた非常にむずかしい問題をお尋ねのようでございますが、それぞれ予算が決定いたしますと、やはり各省庁におかれましては、責任をもって物品の調達をされるわけでございますから、そとまで大蔵省が一括して物品を購入するというようなことは、まだ今のところ考えておりませんけれども、しいてそういう御意見でやれというふうに、そういった何と申しますか御批判が出た場合には、需品程度はあるいはやれぬとともないと思いまするけれども、ほかの物品については大蔵省が一括購入するということは、やはりなかなか問題があるのじゃないか、かように考えられますので、これはまた明快なお答えができないのはまことに申しわけなく思いまするが、非常にむずかしい問題でございますが、そういうふうにしか今のところは答えられないのではないかというふうに思っております。
  107. 相澤重明

    ○相澤重明君 政治的な答弁であるならばその程度だと思うのですが、私は調達庁というものをこれは欧米のそういうことも参考にして、しかも在日米軍の物品を調達をするということで発足しているのだが、せっかく調達業務になれて、そうして実際に予算を最も効率的に使用するということになれば、そういう専門的な人をやはり使用するということが国としても非常に大事なことじゃないか。私はもちろん大蔵省がすべての権限を握って、なんじ臣民、下におれという、そういうことを言っているのではないが、いわゆる調達庁業務というものを専門的にやらせ、各省に案外なむだが出るものを防ぐ、そうしてしかもその調達庁のうまさを生かしていく、こういうことを大蔵省あたりでそろそろ考えるべき段階ではないか、という点を私は日ごろいろいろ在日米軍の問題等もお聞きをしながら実は考えているわけです。そろそろ戦後十五年から十六年になっている今日、やはり日本の国有財産、物品、こういうものについての管理あるいは購入というものについては根本的に体制を立て直す必要があるのではないか。そこに国有財産については実態調査も行なわれた。従って物品購入についてもそろそろそういう点を再検討すべき段階じゃないか、こう思って実は御質問を申し上げたわけです。そういう点政治的な答弁以外に今日ではないと思うのですけれども、再度、私はできればそういう最も業務になれている人たちに、しかも効率的な予算を使う面を再検討すべき時期ではないかと思うが、再検討のお考えがあるかないか、これを一つお尋ねをしておきたいと思います。
  108. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 非常に御参考になる御意見を聞かしていただいたわけですが、具体的に調達庁の名前をあげられて御指摘になったわけでございますが、現在のところ調達庁が主として調達いたしておりますのは施設、それから人間関係の世話・そういったことがおもな仕事でございまして、物品はそうやっていないわけなんでございます。でありまするから、いろいろな物品までも調達庁に一括してやらしたらどうかという御意見でございまするけれども、やはりこれはいろいろ各省各庁の問題がございまするので、これは非常に高度な政策論議になろうかと思いますが、相澤委員の御意見一応御参考にいたしまして、傾聴すべき御意見として承っておくことにいたしたいと思います。
  109. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 田中政務次官に一言だけ要望的質問なんですが、政府あるいは国会の要務を帯びて外国に旅行する人たちが相当おられるわけなんです。外貨保有の一助から考えて、そういう場合にはこれは国費で行くのですから、日本航空をなるべく利用してほしい、あるいは日本の旅客船をぜひ利用してほしい、こういう要望をかねがね持っておるのですが、これは大蔵省の方で外貨の割当のことをなさいます場合に、強制はできないと思いますけれども、そういうことの御指導をなさることによって、やはり一般の国民あるいはそういう人たちに対して、外貨というものがいかに大事なものかということの一つの指導にもなって、私は非常に結果的にもいいと思いますが、どんなものでしょうかね、たった一言ですが。
  110. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 全く私もただいまの谷口委員の御意見と同じでありまして、別に大蔵省の外貨割当審議会といたしましては、そういった強要はなかなかできないかもわかりませんけれども、御趣旨のように、そういった外貨節約の意味におきまして、できるだけ日航を使用するように、指導と申しますと語弊があるかもわかりませんが、そういったふうに一つ今後努力いたしたいと思っております。
  111. 大森創造

    ○大森創造君 私は連休前の決算委員会で二回ほどお尋ねいたしました、茨城県の那珂湊の射爆場の問題であります。くどくは申し上げませんが、すでに御承知だと思いますが、すでにあの場所で二百回以上の事故が起きております。近ごろでは茨城県の知事もその問題を一つの議題にして渡米しております。それから元防衛庁長官の赤城さんを含めて挙県的の運動を始めているようです。この返還問題については非常に茨城県として盛り上がっております。一方考えてみますと、茨城県の問題でなく日本全体の問題だろうと思う。いろいろ理屈はあるかもわかりませんが、私の考えでは東海村の原子力センターがだんだん発展する、それからわずか隔てた場所に射爆場なるものが存在するということは理論上許されない、両立しがたいことだろうと思います。そとで一たん事故がありまするとゆゆしき問題になります。この前の委員会で申し上げましたように、一つ将来のことも考えて返還ということを取り上げてほしい。この前調達庁次長さんの御答弁によりますと、昭和三十一年の十二月二十六日と三十二年四月二十六日に、公式的には調達庁長官名をもって在日米軍の責任者にその後についての要望を出したと思います。あれから何年か経過して県内の世論も高まっておりますので、これを一つ正式なお話として出していただきたいという要望でございます。非公式の話、公式の話でございましょうが、いかがのものでございましょうか。白濱政務次官にお伺いいたします。
  112. 白浜仁吉

    政府委員(白濱仁吉君) この前大森委員からその問題についての実は宿題を私はいただいておりまして、本日は長官がじきじきお答えする予定でありましたが、やむを得ない要務のために実は長官が出てこられなかったことを冒頭におわびを申し上げる次第でございます。  ただいまの御質問の点につきましては、私ども地元の御要望も十分承知をいたしておりますので、何とか方法はないかということをかねがね検討いたしておるのでありますが、すでに申し上げました通り、米軍としてはどうしても代替地の見通しがない限りは、手放すことができないというふうな強い意見がありますが、ただいま御指摘のような、日米合同委員会などでもう一度調達庁の方から米軍に対して、撤回の申し出をすることにつきまして検討をしてみたいと思いますので、しばらく御猶予をお願いしたいと思います。
  113. 大森創造

    ○大森創造君 政務次官の御答弁をいただきましたが、一つそういうことでこの事務を進めていただきたいと思います。茨城県としても、これはあくまで返還ということを目途にして、そうして猪突猛進するほかはございませんが、しかしこの問題を解決するのは日米合同委員会の施設委員会ということになっております。その間の消息は調達庁、防衛庁においても御存じだと思いますから、一つ施設委員会の方にこの際正式のお話として出していただきたいと思います。そのことにつきましてのお約束を得ましたので、それはそれだけに打ち切っておきます。ありがとうございました。  同時に池田首相渡米の議題にするという問題についてこの前お願いをしてあれから相当時間もたっているのでありますが、これはおそらく防衛庁長官自身なりあるいは総理自身でなければ、その間のところははっきりした御回答もできないと思います。これは御都合のいいときに、何しろ射爆場の問題は十日や二十日で解決するとは思っておりませんので、あとの機会に御質問申し上げたい。  以上でこの問題についての質問は打ち切ります。あとは、この前の産業住宅の問題、これ引き続きやってよろしゅうございますか。
  114. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  115. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記を始めて下さい。
  116. 大森創造

    ○大森創造君 産業労働者住宅資金融通法の問題については、前回に相当詳しく御質問申し上げましたからきょうは要点だけ質問したいと思います。  問題は、今までの問答で、この法律の趣旨からいって八幡製鉄だとか出光興産だとか、そういう大企業というよりも超大企業の方に融資をすることは不適当ではないか、という趣旨の御質問を申し上げました。ところが中村建設大臣初め当局側の御答弁は、大企業とても住宅資金には困っているのだから、そっちへ流すことは別に違法でもないという押し問答であります。政府側の答弁を要約しますと、建設大臣が四月二十六日に答弁されておりますが、こういうことだろうと思います。「第四条の明記されているその規定を侵す意思はありませんでも、まあ運用としてそういうふうに進行して参っておるのだと私は思うのであります。しかしながら、これらの点につきましては、だんだん住宅事情もよくなって参りましたし、また各企業とも自己資金等の状況も以前とは逐次変わってきておりますから、これらの点につきましては十分検討いたしたいと思います。」、そこで昭和三十六年度から今までのやり方に対して若干方向転換をされた。大きなワクを作って七千戸づつ、前の七千戸の方は大企業の方にやる、あとの七千戸は、中小企業といいますか、法の趣旨を生かした方面に金を出すというふうに、大ワクをきめられた。その大ワクをきめられたのは、私が御質問申し上げましたような趣旨を大体了として建設省なり住宅金融公庫の方がみずから方向転換をされたとこう考える。この際それでよろしゅうございますが、ただ私が申し上げたいことは第四条、これはこういうことになっております。「この法律による資金の融通は、一事業者に使用されている産業労働者の住宅不足が甚しい場合において、当該産業労働者のために産業労働者住宅を建設しようとする者で、住宅の建設に必要な資金の全額を調達することが困難であるものに対し、その住宅の建設資金の不足額を補足するためのものとして行わなければならない。」ということであります。当局側の答弁は中村建設大臣初め、この法律第四条に、資金の調達を全額調達することが困難でないものに対しては融資することは好ましくないけれども、大企業といえども使用するのは同じく産業労働者であるのだし、住宅の方に資金が回らないのは中小企業一般だから、こういう措置をいたし方なくとったということであります。そこで、私は会計検査院の方にお尋ねいたしますが、この法律第四条に、住宅の建設に必要な資金の全額を調達することが困難なものに対しては云々ということがございますが、そうすると超大企業の方に従来七、八年間資金を融資をしていたということは、会計検査の立場からいかがお考えでございますか。
  117. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 産業労働者住宅資金につきましては、前回の委員会において御審議になりましたわけでございますが、その際建設省の方からも御答弁がございましたが、ただいま御指摘のように、大企業の方に相当の部分が融資されておるという事実は、検査の結果につきまして承知しておるわけでございますが、この規定ですぐ大企業がいかぬというふうに言うこともなかなか困難なようなわけでございまして、検査といたしましては、一応住宅金融公庫において融資されておる状況を認めて参ってきておるわけでございますが、いろいろの御意見もございますので、今後の検査につきましては十分そういう点を反映して検査を行ないたい、とこういうふうに考えておるわけでございます。
  118. 大森創造

    ○大森創造君 この当該法律の第四条に、今私が読み上げたように、はっきり書いてあるのですね。自己資金で住宅を建設することが困難であるもの、これを融資の対象としなくてはならないという趣旨のことが書いてあります。これが審査基準のその第一番の条件になると私は思うのです、第一の基準になると。一体その公庫の方では、この具体的な基準があるのにこれをどういうふうに御判断になられるのですか。それからどういう一体審査基準で、またどういうメンバーで八幡製鉄など超大企業の方にオーケーを与えたのか、その内容を聞きたいと思います。たとえば裁決するときに、こういう法第四条に明らかに規定があるのについて、どなたも反対の意見はなかったのでしょうか。住宅金融公庫の方は……。
  119. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 公庫の方は来ておりませんから、住宅局長から御答弁を……。
  120. 稗田治

    政府委員(稗田治君) この第四条の読み方でございますが、この第四条にございますように、産業労働者の住宅不足が著しい場合において、というのがございまして、この点につきましては、この立法当時産業労働者の住宅不足が、他の一般の勤労世帯に比べまして、給与住宅関係の労働者の住宅難世帯というのが、比率が非常に上回っておった、そういう事情がございます。従いまして、公庫におきましては、労働者の方の不足しておる状態につきまして、労働基準局長の調査によってどのくらい困窮しておるかというのを調べて、副申をつけまして、そういうような事情によって融資をいたしておったわけでございます。それでたとえはまあ八幡について申しますると、八幡全体のその当時における従業員の住宅困窮者というのも一万世帯をこえるというような状態たったわけでございます。比較的これを早期に住宅難を解消しなくちゃならないという場合に、一万戸の給与住宅の建設がそれでは八幡自体で独力で可能かどうかと、やはりそこに住宅金融公庫による、この法律によるところの融資というものが手伝って初めて住宅難が若干早目に解消されるのではないか、かような考え方をいたしてこの融資を行なっておったわけでございます。本年度におきまして資金を二種類に分けまして、このワクを七千戸ずつにいたしまして、金利、融資条件等も変えましたけれども、これは最近におきまして給与住宅関係は、従来はどちらかといえば一般の中小企業には給与住宅というのはなじまない形のものであったのでごさいますけれども、最近の産業の進展に伴いまして、求人対策上どうしてもこの中小企業も給与住宅、社宅が必要だということになりまして、需要が非常に高まってきたわけでございます。そこで、中小企業のところを優先的に確保しようというような趣旨に基づきまして、七千、七千というふうに分けまして、融資条件等も大企業の分は少し条件をきつくいたしたと、かような次第でございます。
  121. 大森創造

    ○大森創造君 まあ大企業でも当時住宅を建てる資金に困っているという事情は了解いきます。ただしかし、企業主としては、まあこれはいかほどもうかっても福利厚生施設だとか、あるいはいわゆる産業住宅の方に資金を回したくない、というのが僕は企業主の考え方だと思います。いかほど利潤をあげてもそっちの方には金を回したくない、政府資金が使えるならば一つ使ってやろうという気持になるのは当然なんです。大企業なるがゆえにそっちに金を流してはいかぬと、そういう公式的な基準ではまずいということも私はよくわかりますが、ただしからばこの法律の内容と一体背馳しないかどうかということ、中村建設大臣初め当局側の御答弁聞いてみますと、もっともなこともございますが、しかし、それならばこの法律でなくて、産業労働者住宅資金融通法という名称の法律を昭和二十八年にわざわざ作った。そしてその当時の法制定のときの参議院の建設委員会で、江田三郎氏や小笠原二三男氏から質問がなされた。これは三十五年の年賦の償還であるが、返還ということを強調、重視するあまりに、五人以上の企業ということ、零細企業、中小企業の方が排除をされて大企業の方に集中される危険はないかという問答がされている。私は当然だと思う。今、住宅局長の御答弁もわかりますが、しからばこの法律のねらっている趣旨というものと背馳しはしないか。後ほどこれは一つ法制局の方からも御見解を承りたいと思いますが、八幡製鉄などは日本での大きな会社だと私は思います。歴年この産業労働者住宅資金融通法による融資を受けている超大企業、これが資金調達が困難だということになりますると、一体資金調達の困難でない会社というのは日本に存在するとお思いになりますか。一つどなたかから御答弁いただきたい。
  122. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 金融公庫におきまして、現在まで貸付をして参りました大企業の事業主体におきましても、住宅金融公庫の産業労働者の資金の金だけで給与住宅を建設してきたわけではないのでございます。私、数字は今覚えておりませんけれども、それらの大企業におきましても、全額自己資金で相当給与住宅を建てているわけでございます。ただ非常に大企業関係の産業労働者の住宅事情というものが、非常に悪化しておったわけでございまして、そこへ多少促進する意味におきまして、産業労働者住宅の資金を融資することによって早期の住宅難解消をはかった、ということではないかと思うのでございます。
  123. 大森創造

    ○大森創造君 住宅局長の御答弁が実情でありましょうが、しかし法律が制定された当時に、大企業が住宅建設に困ったということによって、この資金を相当多額、二百八十億のうち私の計算では二百億流すということは、私はどうもこの法の運営上適当ではないというふうに考えておる。まあそういう超大企業が住宅を建設するのに困るということになると、この産業労働者住宅資金融通法という法律にいうている資金調達困難なもの、これが該当するわけですから、八幡以下の超大企業、日本にある大企業は全部この中に入るということになると、この第四条はあってもなくてもいいことになると私は思う。こういう第四条をわざわざしかつめらしくつける必要はないじゃないか。現実の運用がそうでございますから、自己資金で建設困難でないものは日本に存在しないことになりますから、そこでそういう超大企業が住宅資金に困っているのだから、金をこの法律でいうところの融資をするということになると、第四条は空文化することになります。法のアクチブな意味が全然ないと思うのです。こうなるとこの法律の名前は変えた方がいいじゃないか、大企業並びに中小企業並びに零細企業資金融通法とかなんとか私はそう思う。第四条の意味が全然ない。法律のねらっている趣旨と、当局側がこの前から御答弁になったような趣旨とはまるきり食い違っていると思うのです。食い違ってきていますから最近は方向転換をされて、そして大企業と中小企業の方に少し色分けをしたけれども、ほんとうは初めからそうやるべきではなかったかと私は考えている。法制局ではいかがお考えですか。
  124. 山内一夫

    政府委員(山内一夫君) 私ども研究いたしましたところでは、この四条の運用については、当該年度の公庫の産業労働者住宅資金のワクを中心にしまして、総体的に考えるより仕方がないだろうという、まあ非常に大ざっぱな最初の結論はそういう考え、大企業といえども大企業にこの資金を貸しては絶対にいかぬかと、こう言いますれば私はそうではないとこう思うわけです。概念として大企業と中小企業との差は、大ざっぱにいいまして従業員数それから設備投資の高、その辺のところがらきまってくることでございましょうが、そういった観点からきめました大企業といえども、住宅資金の入手が困難であるという事情も理論上はあり得ますから、これに貸すということが直ちにこの法律に反するということには相ならないことであろうと思うのでございます。それでおあげになりました前の、昭和二十八年でございましたか、この法律が制定された当時の国会質疑応答におきましても、大企業に片寄らないようにしたいというふうな答えが政府側からも出ておりますし、その点から考えましても大企業に絶対にやらないという考えで、この法律が制定されたものではないだろうと私は思うわけでございます。それで問題は当該年度と申しますか、ある期におけると申しますか、一定の資金が出される際の申し込みとの比率におきまして、他の条件が同じならば、この資金融通を受ける困難性の度合いの高いものから優先的にやるべきは、私は当然だろうと思います。それ以外にこの文言を解釈する余地は私はないだろうと思うわけでございます。  この法律は実は純粋の社会政策と申しますか、労働者保護だけの精神からだけできておるものじゃなくて、その産業の振興という問題がございます。そこでその資金の融通先をきめますときの判定基準といたしましては、やはり基幹産業の振興というものを通じ、日本国の国民経済の全体の力を伸張させることを目的としまして、そうして基幹産業に資金の融通をある程度いたしますということも、この法律の文言からじかに出てくる考えではありませんけれども、精神というものは若干そういうことが流れておるだろうというような気がいたします。そこで私今おっしゃいましたところの八幡製鉄というような、これは私ども経済界の知識のない者にとりましても、非常に大きな企業であることは重々承知いたしておりますが、この企業の過去数年来の資金の事情というものを私克明に存じておりませんから、今直ちに八幡に資金を融通されたことがこの法律に違反するということになるということは、ちょっと断言ははばかりますので、まあ今申しましたような全体的なところに抽象的な文言でしか申し上げられませんけれども、そういった精神に照らし合わせまして、今までの資金融通先の決定に対する批判みたいなものは生まれてくるだろう、とこういうふうに考えるわけでございます。
  125. 大森創造

    ○大森創造君 この融資を大企業にやってまずいという形式論議をするわけではございませんけれども、しかしまあ好ましくない運用を過去七、八年やってきたというふうに私は考える、この法律の趣旨からいって。ところがただいまの御答弁は、私はどうも法制局の御解釈は、憲法解釈の政府答弁と同じように、非常に政治的な御答弁ではないかというふうに私は拝察をいたします。たとえば先ほど申し上げましたが、大企業でいかほどもうかっていても産業労働者の住宅を建てようとか、それから福利厚生施設に回そうというふうな表現は、一方政府の融資たるや三十五年ですから、こういう有利な融資の法律がぶら下がっている以上は、これは私のところの会社は産業労働者の住宅を建てる余裕がありますなどということは該当しなくなりますから、これは会社の内部操作で適当にやるんだろうと私は思う。お伺いしますが、相当景気のいい会社ばかりですよ、これは。この金を引っぱっていくのは。八幡製鉄やその他景気のいい会社、たとえば昭和三十五年度どのくらいの利潤があったと思いますか。これは御答弁を要しませんが、数百億の利潤があった会社、私はなしとしないと思うのです。しかし、そういう会社であってもこういう融資があれば融資を受けたいということで、そうして会社の自己資産にした方が有利だという考え方は、企業主はどなたも考えると思うのです。そこで、自己資本でそういう産業労働者の住宅を建てるのに困難でない毛のは日本でなくなるのですよ、あなた方の御答弁によると。全部該当しちまうことになるのですよ、これは。出光興産でも八幡製鉄でも日生でも、世界でも何番目の超大企業でも、利潤がなんぼあったって、これは該当するということになるというと、この第四条の積極的な意味は全然なくなる。それで法制局にもう一回お伺いしますが、純粋に法律解釈からいうて、今までのような運用をされることが適当であるか。違法ではないかもしれないが適当ではないという結論が出ると思うのですが、いかがですか。
  126. 山内一夫

    政府委員(山内一夫君) この自己資金でも簡単に労働者住宅を建てる資金がまかなえるというものに、この資金を貸すということに相なりますれば、これはこの法律の予想していないととだというふうに私は思います。で、全然他に競願がないという場合には、これはまた問題は、今の住宅事情の問題からいって若干違うような気がいたしますが、その点を抜きにいたしますれば、自己資金で楽に資金がまかなえるという、そういった事業者に公庫のお金を貸すということは、この法律は予想していないところだと思います。公庫の実績がどうであるかということは、私は個々の会社の実態というものに対して判断をし切れる職責におりませんから、過去の実績から、今この法律の運用から違法であったということは、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  127. 大森創造

    ○大森創造君 まあ、ある特定の会社が相当利潤を上げていて、企業主が努力をして自己資金で一ぺんに自分の会社の産業労働者の住宅難を全部解消するということは、これはできないと思いますが、年次計画を立ててそして今までの企業根性をなくして、そしてその住宅を建てようという意欲があった場合には、私は自己資金で建設困難であるものばかりではないと思う。高度成長ですよ、今、日本の大企業は。それでこれはやぼな話になりますが、相当な利潤を上げておる会社、ございますからね。そこで、努力をして、自己資金でそういう住宅を建ててやろうという意欲があった場合には、こういうわずかな金の融資を受けないで、そうして五人以上の零細あるいは中小企業で共同して一つ住宅を建てようとか、そういうものに金を回さないで、この法律のいうところの融資を受けるところの必要はなかった大企業が、相当過去においてはあったのではないかというふうに私は考える。もうかればじゃまになりませんからね、お金が幾らもうかったって。それから、政府でこういう法律ができて融資を受けられるということになれば、どんどんこれは融資を受けますよ。だけれども、私はこういう法律の趣旨は生かされていないと思うのです、今までのような行き方では。そして違法かということになると違法でもないが、好ましくないと思うのです。これは会計検査院の方にもう一回お伺いしますが、違法でもないけれどもこういう今までのような行き方で資融をされるということは、適当だというふうにお考えになりますか。
  128. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 違法であるかないかという点については、先ほどお答えいたしました通り違法であるというふうに申し上げる点が非常に困難であるということは、先ほど申し十げた通りでありますが、適当であるかどうかということでございますが、この点につきましても、金融公庫の方で、労働基準局の方からある程度の資料をとられ、あるいは金融機関から会社のをとられまして、それで決定しておられるわけでございますが、この決定される場合に、労働基準局の方と、金融機関の方から出ておる会社の財務諸表その他等を検討して、困難だといことでおやりになっておるわけでございまして、直ちにこれが困難でないのだというふうに言うことは、われわれ正面からいった場合に、検査する場合には非常に困難なわけでございまして、この席ですぐ不適当であるというふうな認定で申し上げることが、これまたやはりむずかしい問題だと考えられます。
  129. 大森創造

    ○大森創造君 労働基準局とそれから各県の労政事務所ですか、そういうものが書類を出して、そして住宅金融公庫の方に審査のお願いをするという順序になりましょうが、どうも聞くところによりますと、基準局の方の書類を早くおろしてもらいたい、おろしてもらうというと、おれの方は金もらうことになっているのだ、いわばそういう労政事務所や基準局などの書類はほとんど形式である、資金は融資を受けられることになっているのだというふうな業者の態度が相当ある。で、これは大企業なるがゆえに、必ずしも該当しないと思いますけれども——自己資金で建設するのに困難でないという規定はできないと思います。できないと思いまするけれども、この法の趣旨からいってある年には相当利潤が出ている、ある年には大企業であるがゆえに必ずしも利潤は多く出ないという年もございましょう。歴年、特定の超大企業にばかり融資されているということは、私は適当でないと思います。押し問答しても仕方ありませんが私はそういうふうに考える。そういう法律の運用をされて、そして会計検査院法制局の方が今のような御答弁であれば、これは日本国憲法ばかりでなくもろもろの法律の運用が、そのつど解釈になる危険があると思います。これはどうしてもこの法律の趣旨に合わないような不適当な資金の使われ方が、この産業労働者住宅資金融通法によってできた。そこでこういう事務をお願いしている労働省とかその他の方に、事務費などを幾らかお出しになっておりますか。
  130. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 産業労働者住宅資金融通法による融資ばかりでなしに、住宅金融公庫法による一般の事務におきましても、労働基準局等に対しましては事務費は出してないわけでございます。一般の設計の審査、竣工認定等を地方公共団体等に委託しておりますので、地方公共団体に対しましては事務費につきまして支払いをしておるわけでございます。なお金融関係につきましても、そのことにつきましては手数料を払っておるわけでございますけれども、今の労働基準局等につきましては手数料は払っておりません。
  131. 大森創造

    ○大森創造君 地方の労政局の方には事務費などを出しておるが、労働省関係は出してないということでは不適当だと思うのです。これは労働省関係にも事務費を出すのが私は適当ではないかと、それについての御答弁を承ると同時に、住宅協会の方来ておられますか。
  132. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 来ておりません。
  133. 大森創造

    ○大森創造君 住宅協会というものができておりますが、これはこの法の運営について直接何の関係もないのでしょうか。あるのでしょうか。
  134. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 勤労者住宅協会、そういう協会についてのお尋ねかと思うのでございますが、この中小企業等になりますると、一つの会社事業場等で、自分のところで単独に給与住宅を持ち得ないというような規模のものもございます。そこで協会等を結成いたしまして、協会にそれぞれ持ち分を出資いたしまして、それで出資分に応じまして協会が産業労働者住宅の資金を借り受けまして、給与住宅を建てまして、それぞれの加盟しました会社が、当該会社の従業員に部屋を割り当ててもらって、そこを給与住宅として運営をしていくというようなことをやっておるわけでございます。従いましていろいろの会社事業場で、自分のところで直接産業労働者住宅、つまり給与住宅を建設しようという場合には、この勤労者住宅協会その他とは何ら関係はないわけでございます。ただこの勤労者住宅協会も社団法人あるいは財団法人等になっておりまして、一般の産業労働者の住宅の質の向上というようなことを普及宣伝もする、というような事業内容にもなっておりますので、そういう面では今後の設計の指導をするとか、あるいは給与住宅の建設を促進すると、そういう意味で啓蒙宣伝というような役割では、それぞれ自分の会社の給与住宅を建設しようというところも関係は若干あるわけでございますけれども、直接の目的は一つの会社が自分のところで給与住宅を持つというのが不適当な場合に、勤労者住宅協会の方で用地を求めまして各会社の合同の給与住宅を建てまして、これを従業員に貸与するという形で、この産業労働者住宅資金融通法に関係するということで設立されておるのでございます。
  135. 大森創造

    ○大森創造君 住宅協会というものが、この融資を受けてそういう住宅を建てる場合に、工事の施行や完成についてどなたが監督することになるのですか。融資が正しく使われたかどうかということについての監督は、どなたがすることになりますか。
  136. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 受注者側に対しての監督等につきましては、当然協会の方で協会内部の職員を使って行なう場合もございますし、また建築事務所等に外注いたしまして、設計から工事監理まで委託をするという場合とございます。なお、この貸付をした方の側からの検査の意味では、地方公共団体が工事の中間におきましても、竣工におきましても検査をいたしまして、その検査の認定によりまして中間金あるいは竣工金等が支払われるわけでございます。
  137. 大森創造

    ○大森創造君 最後に一つ申し上げますが、この法律の運営について、自己資金で建てるのが困難だという会社ばっかり。日本の大企業は自己資金で産業住宅を建てるのに困難を感ずるような会社ばかりだということは、私はどうしてもうなずけない。それは昭和二十八年当時は自己資金で住宅を建てるのに困難を感ずる大企業も相当あったでしょうが、昨今ですらこの法の趣旨からいって五人以上の零細、中小企業の方、どうしてもニュアンスはそういうものに重点を置く融通法でございますから、ことし去年あたりおそろしく利潤をあげているような会社が、この法律で規定する融資を受けるということは好ましくないと思う。形式的に大企業を排除するわけではございませんけれども、昭和三十四年度のある特定の会社の会計を見てみるとどうなっているか、こういう融資が受けられるのだということになると、労働省の方の書類あるいはその他の書類、会社の書類はどうでもなりますから。それから今法制局の方の御見解のように、必ずしも建設省の住宅局あるいは関係方面で、会社の経理内容がつまびらかにできる性質のものではございませんが、一押しをするというと相当膨大な利潤があって、そうして住宅をこの資金で建てようかという意欲がちょっとでも動いたならば、年次計画で一般的に、そういうものがこの歴年融資を受けているというような状態は、この法の趣旨からも私は好ましくないと思う。しかし違法かというと違法でもないと、産業労働者の住宅は今後も不足するでしょうが、この法の趣旨からいって私は好ましくないと思う。どうですかな、昭和三十四年なり三十五年で、この大企業には金を出すのは不適当であるというふうにお考えが内心あったにかかわらず、ずっと今まで出しちゃった、不適当な運営をした実績が相当あると思うのですが、ここで押し問答しても始まらない。ですからまあ法制局の方にしても、会計検査院にしても、あるいは建設省の方にしても、私の言わんとする趣旨はおわかりだと思いますから、ことしから大体、大企業と中小企業の融資の割当というか、そういうものをあわせて、若干方向転換したということでございますから、どうぞ一つ、くどくはこれ以上申し上げませんから、この法律の運用の適正を期していただきたいと思います。本来あるべき法解釈にのっとった運用をしていただきたい。これについて、反省する余地が全然ないというなら別です。いかがですか。  それについて、最後に一つお伺いしますが、私の言わんとする、前回お伺いして、また、きょう申し上げたことを趣旨を体して、今後運用の適正を期していただけますか。
  138. 稗田治

    政府委員(稗田治君) この第四条の点にございますように、金額が調達することが困難だということと、さらに一事業主体に使用されておる産業労働者の住宅が著しいという、両方かね合わせて考えるわけでございますが、一一尺二戸建てれば、それで、そこの会社の産業労働者住宅は終わるのだというような場合は、あるいは困難という解釈にはならないかと思うわけでございます。  実は中小企業の産業労働者住宅ということを、いかにして振興しようかというので、建設省としましては、従来いろいろ手をかえ品をかえ、促進をはかってきたわけでございますが、社宅という形の供給なものでございますから、なかなか中小企業に今までなじみが少なかったわけでございます。  今までの社宅の発達の歴史を考えましても、給与住宅というような形で、住宅供給が行なわれておりましたのは、鉱山関係でございますとか、あるいは、これは国の機関でございましたけれども、国鉄とか、そういったとかく従業員を多数使用しているところで、初めて社宅といろ形のものが行なわれておったわけでございます。  そこで、この中小企業にも合体しまして、協会等によって、給与住宅が供給されるようにということで、この法律にも、うたってあったわけでございますが、なかなかそこまで従来の融資条件では食いつきが悪かったというのが実情でございます。  われわれは二、三年前から、中小企業に、もう少し活用してもらうのに、は、融資割合を大企業よりも有利にしなければだめだ。なお、金利等につきましても、若干中小企業の方を有利にする。それで中小企業が利用しやすいような形にもっていきたいということで、案を立てまして、いろいろ折衝を重ねておったわけでございます。今回、こういった、本年度におきまして、われわれの主張とは若干違いましたけれども、中小企業の方は、従来通り、大企業の方が融資条件が非常にきつくなったという改正ではございましたけれども、やはりその間におきまして、中小企業に、もう少しこの産業労働者住宅の資金が活用されるようにという趣旨は、同じように入っておるかと思うのでございます。  従いまして、今後中小企業も大いにこの資金を活用しまして、従業員の住宅の施設の改善、住宅事情の改善ということに努力するように、われわれとしても万全の注意を払っていきたいと思っておるわけでございます。
  139. 大森創造

    ○大森創造君 これは私は、ありていに言わしてもらうというと、この法律は、今まで問答した——大企業の方にばかり流したということは、違法でないにしても、不適当であったということを、私はざっくばらんに言いたい。それで、中小企業以上の企業でもって、今住宅局長の御答弁ですが、私はPRの方法の適当を得たならば、相当申し込みが殺到したろうと思う。たとえば農村から集団就職する中学の卒業生あたりが、神田へ就職するとかいったって、運転資金の方へ金はフルに回していて、こっちの住宅とか、福利厚生施設の方に、金が回らない。そういう企業が二、三合同して、寄宿舎を建てるというようなもの、これは相当あると思う、私は。茨城だってある。ただ知らないのです。こういう融資は大企業の方が知っている。  だけれども、法律の趣旨は、私が今申し上げましたような意味で、これは、もう正しく広くPRしたならば、健全な企業でもって、今住宅を一つ建てよう、共同で建ててみようというような企業は、幾らでもあると思うのです。これは償還が困難だなんていったって、健全な企業で、運転資金にフルに使っていて、そうして住宅には金が回らないというような中小企業が、幾らでもあると思う。償還能力云々ということを、一つ重視したい。一体、この資金の返還は、できるかどうかというようなことを、事務的に当局側は考えたり、あるいは労働基準法違反がないかあるかなんてことからするというと、この融資を受けている大企業の方が無難でございまするけれども、この法律の趣旨は、どこまでも私は中小企業でもって、こっちの方には、産業住宅を建てるのは建てたいけれども、手が回らないというような企業が、私は相当あると思う。ところが、そういう知識がないのです。これはPRしたならば、東京都内だって、ずいぶんあると思う。そっちの方に、二百八十億全部回したって、私はよかった法律の趣旨だろうと思う。  だから、皆さん方の御答弁が、大企業であっても、資金調達困難のものは幾らでもあるという、そういうお話を進めていくと、日本では全然困難でない企業はなくなりますから、この第四条の趣旨が無意味になるということを私が申し上げる趣旨は、どこまでも私は、中小企業以下零細な企業でもって住宅を建てたい、しかしそっちの方は、金は回らない、この資金を一つ使いたいというものは、幾らでもあると思う。しかし、そいつを審査するのが、やはり当局側の義務だと思う。  私が申し上げる趣旨は、十分おわかりのはずですから、以上のことを申し上げまして、今後の運営について、適正を期していただきたいという要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  140. 相澤重明

    ○相澤重明君 食糧庁の方の前に、調達庁の方を先にちょっとやります。調達庁の方は、大体三つあります。この前の当委員会で、研究して御答弁してもらいたいと申し上げておきました。  それは、米軍基地付近におけるテレビ、ラジオの聴視不能のあった場合に、料金等の問題をどうするか。それから爆音の被害による防音装置についての工事の進行状況。それからそれについては、大体前回御答弁いただきましたので、この基地の中における日本人労務者の騒音手当について協定をしたものは、どういう効力を持つものか。またそれを、現在の協定というものは、手当の支給をしないというような協定になっているが、これは変える必要があるのではないか。それからいま一つは、米国の予算削減で、日本人労務者が、だんだん民間雇用に切りかえられつつある。こういう問題について、同じこの基地の中で作業をするのでありますから、そういう点について、直接雇用になるように多くの人は希望しておるが、そういう問題をどうするか、こういうような点について前回の委員会では検討をしてもらって御答弁いただく、特に丸山調達庁長官は、昨年の九月以来、当委員会には出席をしておらない。しかも昨年の九月、私がこういう問題についても質問をした際に、欧米を回ったのでありますから、欧米の点も十分勘案をして、よく研究をして帰ってきてもらう、そして日米合同委員会の中で、そういう点は、日本の立場も一つ主張してもらう、こういうことをあなたには、半年以上も研究課題となっておった。そういうことで、きょうは実のある答弁が得られると思うのですが、そこで具体的に一つ、一項づついきたいと思うのですね。  第一は、基地周辺で非常に米軍の飛行機が飛ぶためにラジオは聞えず、テレビは見ることができない、こういう問題について、住民はNHKを相手に聴取料あるいはテレビの視聴料といいますか、テレビを見る料金、こういうのを支払わない、こういう交渉がある。実際にNHKの当事者が現場へ行ってみるというと、テレビは波だけで実際に映像が十分出ない、ラジオは聞えない、がりがりいってしまう、これでは、全く住民が怒るのもこれはあたりまえ——歌の文句でもないけれども——そういうことで、NHKもお手上げの形、しかし政府出資の関係機関ですから、現在ラジオをつけておったり、テレビをつけておれば、料金を徴収しないということを正式にきめるということは、なかなかむずかしい問題であるということになれば、よって来たる原因がそこにあるとすれば、これは調達庁として、いわゆる日米合同委員会の中で話し合いのできる問題ではないか。むしろテレビを見ることができたり、ラジオを聞くことができるような設備をしてやるということも一つの方法ではないか、視聴家の最も大事なものはこの中にあるわけです。ただ最悪の場合、どうしてもそれが、なかなか十分にできないで、聴視料をとるという場合には、これは肩がわりをすべき問題ではないか、こういう点が、地元の人たちから強い要望が出ている、これに対して欧米の研究もされたと思うので、一つ調達庁長官は、どう考えておられるか、長官から一つお答えをいただきたい。
  141. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 昨年から、しばらく当委員会にごぶさたを申し上げておいて、まことに申しわけございませんが、今相澤先生からのお話の問題点、特に米軍の飛行場を中心とする騒音に関する問題、具体的には今のラジオ、テレビの聴視料の問題にお上げになりましたが、私自身も、このことを事実を知っており、また特に厚木の周辺の方からは、直接この間お話も承っております。調達庁としましては、この騒音対策問題に数年来いろいろ苦心し、対策を米側とも話し合い、また日本側の政府部内でも協議をとげてきておりまして、御承知の通り騒音の影響を少なくするために、日本側で今やりつつあることは、学校、病院等の防音工事、また直接に滑走路の延長途上にあるようなところで、とうにも騒音並びに飛行機の危険というような処置に対する対策としては、これはそこにお住まいの方と御相談の上、適当なところに集団的に場所をかえるというような措置々とっているととも御承知の通一りであります。  また、米側に関しましては、飛行機の発着の模様、特に時間の関係なんかを制限する、演習時間の制限というようなことの話し合いをしつつ、またその音を出すもとであるところのエンジンのテスト、これが私自身も経験しておりますが、最もやかましいものでありまして、しかもこれが発着ではなしに、常時それが長時間続くという事情にありますので、その消音——音を消すような装備、設備というものができないものかどうか、こういう問題を取り上げて検討を加えつつあるのでございます。  調達庁としましては、以上申し上げましたように、いろいろその対策上で実行に移し得ることをやっておるのでございますが、それ以上に、なお今のラジオの問題、テレビの問題というものがございますので、これらのことに関しまして調達庁限りで、直ちに聴視料をどうする、こうするということのできかねる問題も多々ございます。従いまして、これらは主管の省に研究をお願いし、その対策処置を講じていただくとともに、私どもとしましては、内閣全体として基地に対する周辺の環境整備に関する事項として、内閣としてもこれに対しての対策を考慮していただき、法律の運用なりあるいは改正なり、必要ならば、そういう措置を主管の省においてとっていただけるようにお願いしたい、このような趣旨で進んでおるわけでございます。
  142. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、今の長官の言葉を要約していけば、そういう事情がよくわかった、わかっておる。従って、全般の問題として関係各省とよく連絡をとって適当な処置をとれるようにしたいと、こういうことだと思うのですが、その結果は、日米合同委員会の中に持ち出す考えでおるのか。日本政府だけで、これは解決していきたいという考えなのか、その点はいかがですか。
  143. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) この対策問題については、二つあると思うのです。日米合同委員会等を通じましてアメリカとの間において話し合いにおいて、その改善措置を講ずる問題と、それから日本側だけで政府の関係省において措置を講ずる問題とございますが、このラジオ、テレビに関する聴視料等の問題は、まず第一に日本側において、この措置をいかにするということをきめていきたいと、かように考えております。
  144. 相澤重明

    ○相澤重明君 大へんけっこうな答弁だと思うのです。そこで、具体的にそういう作業を、丸山長官はいつごろから始められるつもりでおるのか、あなたの現在のスケジュールというか、それを一つ聞かせてもらいたい。
  145. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) このラジオ、テレビの問題は、これはすでに、もう郵政省の主管省には、御検討をお願いしてございますが、しかし、それを政府の飛行場周辺の環境整備という関係から、どういう程度に大きく処置をするかというのは、先ほど申し上げましたように内閣に環境整備の委員会というものを作っていただく、この委員会の案が進んでおりますので、これの成立次第、私ども第一議題として持ち出したい、このように考えております。
  146. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、そのことは一つ長官の、そういう努力を期待して、いずれまた、三十四年度決算委員会もありますから、その際になるべく早くお答えができるように努力してもらいたい。  それから第二の問題は、ジェット・エンジン騒音下の作業に対する特殊作業手当の問題であります。一九五八年の十一月二十六日に締結された本付属協定について、この協定の条文を見ると、これは日本の労務者には、実際に手当が支給されない、こういう解釈が成り立つのだと私思うのです。これは、まことに私どもが当時協定をしてもらいたいという日米合同委員会の中で、特に日本人労務者の意見を主張しておるのは、いわゆる爆音等の、騒音下の中で作業をするのは非常にからだにも影響を与える。従って、当然そういう特殊作業手当というものを支給すべきではないか。こういうふうな趣旨で、いわゆるこの付属協定の締結を促進をしたわけです。ところが文章を読んでみると、現在の文章では、どうも手当を支給をされない文章になっておる。こういうふうに思うのだが、一体長官は、これをどういうふうに御解釈になっておるのか、一つこの文章を御説明いただきたい。
  147. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) お話の一九五八年ですか、昭和三十三年の付属協定の第九号によりまして、このジェット・エンジンの作業に従事する労務者、これは非常な騒音に悩まされるところにおいて仕事をするのです。これに対しては、特殊作業手当を支給するのが至当である。いわば騒音手当とでも申しますか、この必要がある。この趣旨で締結したのでございますが、これに該当して支給を実際にやる、この条文におきましては、エンジンの修理工場という、その工場内においての、そういう作業という限定がございます。従って、エンジンの修理工場内において作業をする場合に、騒音の度合いが百デシベルをこえるようなときには、その特殊手当を支給する、このようにきめておるわけでございます。
  148. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の丸山長官の説明の一九五八年八月二十六日の附属協定の第九号、それから十一月二十六日の十二号、これについても、この文章では、そういうことになると思うのですよ。ところがこの文章を……私は率直に申し上げますが、日本政府が、当然日本人労務者の立場に立って、これは問題を締結をしなければならぬ。ところがこの協定は、こう出されてしまって、そして要求があって、しかも検討した結果、日本人労務者のためになろうとして作ったものが、実際には支給されないものであれば、これは空文に等しい、私はこう思うのです。だから、たとえば九号の文章を読んでみますと、「ジェット・エンジン騒音下作業。ランアップ中のジェット・エンジンによる極度の騒音が百デシベルをこえる時間中にジェット・エンジン修理工場またはその付近で行われる作業二〇%。」つまり「修理工場またはその付近で行なわれる作業二〇%。この手当は、時間単位で支給するものとする。騒音が百デシベルをこえることおよびその時間の決定は、A側によって行われる。調査は、定期的に行うものとする。」と、こうなっているわけです。  そうすると、当時われわれが言っておったのは、何か工場の中で密閉しておって、そして音を聞えなくしておいていいというものではない。ああいう航空基地等において非常に大きな騒音がするので、これはもう大へんだ。だから、何とか手当を支給するというのが目的です。手当を支給しないというなら、何も協定を結んでくれなんということを、日米合同委員会に出してくれなんというはずはない。そうでしょう。そこで、この「修理工場またはその付近で行われる作業」こういうことで、これはもっと長官、もう少し日本人労務者の立場を主張すべき道理なのではないか。この点、あなたも昨年の諸外国の例を研究をされておると思うのです。ですから、どうですか、これは実際問題として支給できないということなら、付属協定は何も結んでくれなんという必要は実際ない。どうです。
  149. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) お話の通り、このやかましい仕事に従事しておる人に手当を支給しようという趣旨から、このような協定を結んだのでございます。ここで問題は、やはり「修理工場またはその付近」——修理工場という制約が問題の点でございまして、修理工場というような設備ではなしに、屋外においても、エンジンの修理、それに関する作業というものがあるわけです。今の先生のよく御存じの厚木などは、まさにその状況にある、こういうものについても、手当を支給する必要があると考えておる。従いまして現在そのようにこの協定を直す交渉をいたしております。この付属協定を直しまして、修理工場というようなものにかかわらず、実際上やかましい所において作業をする方には支給できるというようなことに直したいと考えて、今せっかく交渉中でございます。
  150. 相澤重明

    ○相澤重明君 その次に十二号のやつですね。十二号の「ジェット・エンジン試験作業。航空機用ジェット・エンジンの修理、オーバーホールまたは再生の後ジェット・エンジンの運転点検中、試験台において試運転を行う作業二〇%。この手当は、時間単位で支給するものとする。この手当は、航空機用ジェット・エンジンの修理、オーバーホールまたは再生の後ジェット・エンジンの運転、点検中、試験台において試運転を行う作業に従事する労務者のみに支給する。」こうなっておるが、これも、やはり相当解釈上の問題がやはり出ると思うのですね。だから、このいわゆる九号にしても十二号にしても、基地の中における、あるいはその基地を中心とした作業に従事しておる日本人労務者の立場に立って、あなたの前段に申したような考えで私は改定をやるべきである、こういうふうに思うのだが、長官は、一体どういうふうにお考えになっておるか、その点、なお補足してもらいたい。
  151. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 十二号に関しては、実質上において格別、何と申しますか、疑問が生じたり何とかするという事態なしに、現在これは、この通り支給されていると私は承知しておりますが、先ほどの九号の点は、確かに今の修理工場という点において、問題のところがございますので、これは修理工場という点を離れても、そのような支給ができるように、先ほどお答え申しました通り主張をいたしたい、このように考えております。
  152. 相澤重明

    ○相澤重明君 それで、その改定の提案をする時期は、あなたは、いつごろにお考えになっておりますか。
  153. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) この問題は、すでに取り上げております。これから具体的の折衝段階にまで入っております。
  154. 相澤重明

    ○相澤重明君 ともかくもう三年有余になる問題ですから、至急にといっても、手当がもらえないような交渉は、もちろんするわけじゃないはずだと思うのですが、一つ、なるべく早くこれが手当が支給されるように、一つ御努力いただきたい。これは私が二年も三年もかかって、あなたに研究をしてもらい、また要望していることですから、一つあなたの善処を望んでおきます。  それから最後に、調達庁の問題としては、今米軍と予算折衝をいろいろとしておると思うのです。この期間だと思うのですね。そこでPDに切りかえする問題として、実は私は座間の協和産業の問題を取り上げたわけです。それで調達庁に一つ検討してみてくれんか、こういう点を御質問をしておいたわけです。実際に現在の日本の労務者は、せっかくこの米国の予算削減に伴って、同じ仕事だけれども、できるだけ効率的に協力してやろうということで、当時従業員が、そのままこの会社を作って、作業を、同じ仕事をしておるわけですね。ところが長官も内容をお調べになって聞いておると思うのですが、米軍の休日には、日本人労務者はやはり休ませなければならない、それから今度は日本の休日には、米軍の休日じゃないから、休んでもこれは作業にはならぬわけですね。どっちみち休んで、休む日は多くなっても給料はもらえない、これが第一です。それから二つ目には、現在そのまま軍に働いておるものと、それからどの民間の請負になった場合の給与の支払い条件というものは半分以下ですよ。私はここに資料を持っております、いろいろ調査をしてこれでは、日本人の労務者がいかにもかわいそうです。これは、だからといって現在の予算の受け方としては、米国でも、できるだけ軍事費を削りたいという考えだから、もうできるだけ少なく契約をしようと思う、そういうところに、つい代表者の人が無理をして、少なくてもいい、やれますというようなことで契約してしまうわけだ、こういうところに、実際は私は日本の労務者の実情に沿っておらない予算というものが契約高になっておる、ここが問題だと私は思うのです。  ですから、政府の直接の関係ではないにしても、実際に日米安保条約に伴う労務の提供を政府が行なっておるし、その中における一つの問題としてできた問題ですね、これは。そうすれば私は単に契約は、自主的に民間が行なうのだからということでは、あまりにも問題が深刻過ぎると思うのですよ。そういうことで、一つ調達庁の方で、こういう点については少し積極的に乗り出してやる必要があるだろう、第一は。それから第二は、できるならば、これらの従業員の諸君は、やはり直轄なり、いわゆる政府雇用に切りかえてもらいたい、どうせ軍の中へいけば同じ仕事を、特に中心になっておるのはボイラーマンですね。これは、もし日本の労務者が、このボイラーマンの諸君が、おれはもう給料が安いからいやだ、こう言ってやめたら、実際米軍の汽罐はとまってしまうのです。これは、それだけに重要な問題を持っておるにもかかわらず、この現在の労務者の諸君は全く給料が、普通の雇用をされておるものの半分ということでは、私はあまりにもみじめなものではないか、こう思うので、現在のMLCの人たちの賃金比較を見た場合に、私はやはり政府が、そういう点はあっせんをしてやる必要があるのじゃないか、あるいはまた政府がかかえていくということも必要ではないか、こういうふうに思うのです。  そういう点について、研究をしていただくようにお願いをしておったのですから、どういうふうになったか、一つ御説明をいただきたいと思うのです。
  155. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) この問題は、いわゆるPD切りかえ問題といわれまして、三年ほど前に非常に大きな問題でございました。私自身も、米軍との折衝、あるいは国内の関係でずいぶん苦慮した問題です。私自身も、この内容をよく知っております。結局、そのたとえば、まあ協和産業でございますか、そこに働く従業員の方の労働条件、あるいは給与等を上げる、これはまあ直接には、この会社との関係ではございますが、その会社自体は、軍との間に契約をして仕事をしておるのでありますので、その軍との間の条件が、会社に有利なようなものになって、この会社自体のふところ工合がよくならなければ、従業員の労働条件、あるいは給与条件の改善はやっていけないという事情にあること、これらのことを私はよく存じております。しかし過去のいきさつがありますので、単に普通の特需会社が、新たに米軍と契約を結ぶということとはちょっと違う面がある、このように考えますので、今度、今たぶん米軍の会計年度が七月から切りかえになります。従って、この契約は改定交渉の時期に、これから入ると存じております。そのような過去のいきさつもあります。私ども調達庁といたしましても、今度の改定が、前のものより会社側に有利になって、そのような問題の処置に対処できるようなことにしたいと考えておりますので、私ども直接の契約に関する当事者ではございませんが、調達庁として、軍側にその面の理解を深めて、望むような改定ができるように、最善の努力をいたしたいと考えております。
  156. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の長官の言う七月の改定で、しかも予算の、そういう契約をするのには四十五日前の期間が必要なわけです。ですから現在が、五月の中旬が一番やはり問題点です。現在が、今の時点が一番問題点です。そこで長官に、そういう努力をしていただくことが第一。  それから第二の問題は、どうでしょうか、実際に日本人労務者を提供し、そして重要な仕事をしておるのに、今後、もしこれでうまくいかないような場合は、これはやはり政府自体が考えてやらなければならぬ問題ではないか、私はそう思うのだが、その点は、あなたの折衝をした後、有利になればもちろんそれでいいと思うのだが、その後の、これは懸案問題として、一つあなたに研究をしてもらいたいと思うのだが、どうですか。
  157. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) その三年前の切りかえ問題の際にも、このような措置で請負に出すこと、そのことをやめて、従来通り軍の直営で、従って労務者の身分も従来通りということにできないかということで、再三折衝をしましたが、結局それが不可能で、このような形態になったという事情がありますので、今また、そういう状況からその身分がえをしていくということは、私は非常に困難だと思います。  しかしながらそういうふうないきさつもありますので、先ほど申し上げた通り、契約の改定の際において、何らかこれに対する配慮を軍が加えるのは当然だろう、また調達庁としても、そのことを軍に要求し配慮させることは当然だと考えて、実は原則的には、すでに軍側にも私の意向を伝えてございます。
  158. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、この協和産業の従業員等の問題については、そういうことで努力を要請をしておきます。  最後に一つ、白濱政務次官もおいでですから一緒に、一つ研究をしてもらいたいことでありますが、調達業務について、先ほどは大蔵政務次官に、日本のいわゆる財産管理の運用、そういうようなものについて考え方をどう持つかということで質問をしたのです。現在国有財産は非常に莫大なものであるけれども、調達庁が行なう米軍に対する業務というものも、なかなか大へんだと思う。しかし他面、米軍の縮小に伴って調達業務も少なくなってきておる、せっかく仕事になれた人たちがやめていかなければならぬ、非常に私はもったいないことだと思う。そこで調達庁を、そういう日本政府の調達業務に従事させることは必要ではないか、どういうことで、これは一つの問題点として提起をしたんだけれども、これについて調達庁の長官なりあるいは政務次官、一つもし、あなたの考えていることがあれば、この際、一つ意見を聞かしていただきたい。私としては、非常にせっかく業務になれた諸君を、最も国家のために有効的に働いてもらいたいと、こういう希望を持っておるんだが、どういうふうにお考えになっておるか、意見を聞かしていただきたい。
  159. 白浜仁吉

    政府委員(白濱仁吉君) 意見を言えとおっしゃられると、まことに困った問題だと、実は私率直に申し上げるのでございますが、仰せの通り非常に練達の諸君がたくさんここに集まっておられまして、いろいろその苦労をされておるということは、私どもその衝に当たりまして、つくづく感じておりますことを私率直に申し上げたいのであります。  同時にまた、私ども防衛庁全体として考えてみました場合に、米軍の基地問題、同時にまた自衛隊の基地問題とあわせまして、いろいろ御指摘の点については今、長官を中心に私どもも検討を加えておりまして、全体のいわゆる前向きの姿勢で、私ども積極的にこの問題と取り組んでいきたいと考えておるわけであります。先ほど丸山長官からも基地問題、騒音問題などにつきましてのこと等に関連しまして申し上げましたが、内閣にもこの際、基地問題の閣僚連絡協議会を作って、こうした問題なども、あわせて検討しようということが決定をいたしておりますので、御意見の点も、十分私ども参考にしまして、今後の検討を進めていきたいと考えておりますので、御了承をお願いします。
  160. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、大いに一つ有効適切な措置がとれるように、関係のせっかくの練達の調達庁職員が安心をして業務ができるように、一つお骨折りをいただくことをお約束を願って、その問題はよろしゅうございます。  最後に、債務負担行為について、特に次期戦闘機種がロッキードにきまって、そして生産に入ると思うんですね。そこで、防衛庁としては本年度から、どういう計画でこれを実施に移されるのか、この点を一つ、御説明をいただきたいと思う。
  161. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  162. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記起こして。
  163. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、次期戦闘機種が決定し、二百機の製造については具体的な行為に入ると思いますから、防衛庁として、次回の委員会委員長と連絡をとって、説明のできるように報告してもらいたい。このことをお願いしたいと思いますが、次官、よろしいですか。
  164. 白浜仁吉

    政府委員(白濱仁吉君) 十分調査してお答えするように準備いたします。
  165. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、私の方の調達庁関係、終わります。  それでは、次に懸案事項の食糧庁関係を、これから質問をいたします。ます第一は、食糧庁長官は、先月末の当委員会における報告で、卸、小売に対するマージンの配分について、食糧庁としての決定を急がれたことと思うのでありますが、具体的にどうなったか、その御報告をいただきたいと思います。
  166. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 前回卸、小売のマージンにつきましては、極力検討を急ぎまして、五月の初旬には決定をいたしたい、そのつもりで準備を進める趣旨の御答弁をいたしたのでございますが、その後検討をいたしまして、ただいまお手元に差し上げますような計算内訳をもちまして決定いたした次第でございます。
  167. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  168. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記起こして。
  169. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) お手元に差し上げました資料でごらんいただきますと、卸売業者手数料は、現行手数料が一俵当たり百三十三円九十五銭でございますが、これを改定いたしまして百三十八円八十三銭、引上額が四円八十八銭となりますが、実際、政府が米を売却いたします場合は、円単位で整理をいたしておりますので、これをまるめまして卸の引上額は五円でございます。それから小売業者手数料は現行二百三十円九十二銭でございますが、これを二百四十六円八十四銭、こういう計算に直しまして、その引上額が十五円九十一銭、これをまるめまして十六円、それから米の搗精賃は現行四十二円から改定額が四十六円と相なりまして、この引上額が四円でございます。それで実際には米の搗精は、大部分小売でやっているのでございまするので、小売業者の方は、小売業者手数料と搗精賃の引き上げの、この両方が小売業者に回るわけでございまして、それを合わせますと、卸売が五円、小売が二十円ということになるわけでございます。なおこの算定の基礎につきましては卸、小売とも人件費の引き上げが主体でございます。  前回にも申し上げましたように、今回の手数料の改定は、公務員ベースの改定に伴いまする人件費の引き上げが主体となっております。卸、小売ともに人件費の引き上げが主体となっております。ただ事務費につきましても、最近物価の値上がり等によりまして、若干これを修正する必要がございまするので、事務費につきまして、CPIの値上がり相当額だけ引き上げを行なったわけでございます。それが卸につきましては三十七銭、小売につきましては三十四銭という計算になっておるわけであります。特に卸業者の手数料の中では、ごらんをいただきますように、事業費の部分が最も大きいわけでございます。これは卸売業者というものは、仕事の実態が、米の小売業者の手元まで米を運搬する業務が、業務の主体をなしておるわけであります。それで最近は、この運搬関係の業務は、新しい道路交通法の施行でありますとか、いろいろ実質的に経費が非常にかさんでおりまして、卸の業務費の事業費の引き上げにつきましては、強い希望があるのでございますが、今回は、これを据え置きまして、その希望はいれておらないわけでございます。ただいま申し上げましたような内容によりまして、卸、小売の手数料を改定をいたしたわけでございます。
  170. 相澤重明

    ○相澤重明君 この資料を見ると、今の説明によって、大体資料の内容もわかってきたのだが、まず第一の基本的な考え方についてお尋ねをしておきたいのですが、この手数料の配分についての算定の基礎が、公務員ベースの改定に伴う人件費の引き上げということになっておりますね。そこで、現在のいわゆる卸あるいは小売の人たちのベース改定というものは、一体いつから行なわれた基礎をとっておるのか。こういう点が、私はやはり問題になろうと思うのですよ。ですから、公務員の昨年の人事院の勧告に伴って、今回の措置が、二十三億の総額という中で行なわれておるわけなんです。今まで一体それじゃ公務員のベース・アップに伴う小売の人たちの、そういうものが行なわれてきておるのかどうか。いつごろから、その基礎ができておるのか。この基礎について、あなたの方の説明をされたのですから、それを一つ御説明をいただきたいと思うのです。
  171. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) この米の配給手数料の算定の基礎になっておりまする給与ベースにつきましては、これは従来から、公務員ベースを基礎にとっておるわけでございます。それで、これはもう過去にさかのぼりますと、何回も改定をいたしておりまするので、いろいろ経過をたどっておるわけでございますが、最近の計算の経過をたどりますと、昭和三十二年の改定の際に、公務員ベースをそのままとりまして、その後やはり数回にわたって、率によって改定をいたしております。  それで今回の場合は、昨年大幅の改定がございましたので、今回の計算では、一般職公務員の給与の三十六年度予算の単価をそのままとりまして、これが三十六年度の公務員の給与の予算単価は二万六千八百九十六円ということになっておるわけでございますが、これをこのまま採用いたしまして、今回計算をいたしておるわけでございます。それでその人件費を、これに当てはめまして一儀当たりの手数料の引き上げ額を割り出した次第でございます。
  172. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の説明ですと、三十二年に改定をして、そして昨年公務員の大幅なアップがあった。一二・四%ですか、それをこのたびの給与のアップにした。こういうことですか。
  173. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 三十二年以来据え置きではございません。最近では、去年の五月、これは、そう額は大きくございませんが、中間的に手直しをいたしております。
  174. 相澤重明

    ○相澤重明君 長官、少額だけれども、アップしたというのだけれども、それはやっぱり人件費の問題でいたしたのでしょう。そうすると、三十五年の五月のアップは、今のあなたの、今回行なうような考え方に立ってアップが行なわれておるんですか。
  175. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 三十五年五月の改定は、それほど大幅なものではなかったのでございまして、これは人件費、事務費、事業費全体を通じまして、それぞれ若干ずつ手直しをいたしております。
  176. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうもその辺が、私はせっかく政府が温情を持って働く人に何とか待遇改善をしなければならぬということで、増額をしておっても、三十五年五月のごく少ない金額の中では、卸も小売も同じじゃないですか。そうして今回は、人事院の勧告に従って公務員ベースのアップというものをとっておるけれども、それもほぼ三十二年当時の改定が、そう変っておらない、それが基礎数字になってとられておるように、今までの経過を見ると私はそう思うので、そういう点、どうですか、長官としては。やはり人件費の増額に伴う算定基礎というものがずいぶん変わっておると、今まで三十二年から相当変わっておる。だから、決して人事院の勧告に伴う待遇改善の趣旨に沿わないことはない。こういうようなお考えで、今回の八対二という比率をお考えになっておるのかどうか。この点どうですか、基礎的な問題として、私はやっぱりお尋ねしておきたいのですが、どうですか。
  177. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) マージンの改定は、私どもといたしましても、毎年予算を編成いたします際に、給与ベースの動き等を十分考慮をいたしまして、できる限りの手直しをするように努力をして参っておるわけでございますが、何分にも、全体といたしまして相当の額になるものでございますから、毎回十分に卸、小売業者の要望に完全に沿うというわけには参っておらないわけでございます。  それで今回は、ベース・アップの幅も相当大きいわけでございまするし、総額といたしましても、二十三億という最近にない大幅な引き上げでございまするから、給与ベースにつきましては、人事院勧告の線に即しまして、それによって、実際に一般公務員につきまして予算が編成をされまして、その単価をそのままとりまして、今回計算をいたしたわけでございます。従いまして、従来のマージンの立て方は、人件費については、公務員ベースの単価を基礎にして参るという考え方をとっておりまする建前からいたしますと、十分今回の公務員給与の改定の線には照応いたしましたマージンの引き上げになっておるというふうに、私どもは考えておる次第でございます。
  178. 相澤重明

    ○相澤重明君 長官が、いろいろこの関係者と話をされて、そうして公正な立場で、この配分をお考えになったと思うんですよ。しかし実際に、人件費に長官が多く回そうということできめて配分をされた場合に、もしこれが、人件費でない面に使われたらどうします、実際に、せっかくのこの二十三億を、できるだけ働く人によくしてやりたい、こういうことで配分をきめたわけだね、特に私が主張しておるのは、小売商の人たちが非常に人を雇おうにも大へんだし、働いておるのも、なかなかこれは大へんだから、もっと生活権を守るために引き上げてやりなさいと、こういうことを言っておった。そういう中で、配分がきまりますね、きまった場合に、実際にそこに働いておる人たちに、金がもし渡らないで、他の問題に使われるというようなことはありませんか。
  179. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) これは、こういう計算によってマージンの総額を、それぞれ卸につきましては、ここにありますように百三十八円八十三銭、それから小売については二百四十六円幾らというものをきめて、これで実際に、政府から卸売業者に行きます場合には、このマージンになりますように売りまするし、また卸売業者から小売に売ります場合、このマージンが小売業者の手元に落ちますように売買されるわけであります。それから先の、実際のこのマージンの中の配分でございますが、実際に、その給与がどういうふうに払われ、事業費がどういうふうに使われるかということは、これは、個々の経営の内部に入る問題でございまして、それにつきまして、全部の業者について、こまかく私の方で画一的な指示をするというわけにも、これは、実際に経営の問題でございますから、実際問題としては参らないわけでございます。ただ、今回のこのマージンの改定につきましては、これは人件費の引き上げに伴うものとしてマージンの改定を行なうという趣旨は、これはもうこのマージン引き上げを決定いたしますときから、十分その趣旨を徹底して説明をいたしておるわけであります。実際の支払いにつきまして、こまかく私の方で、一々の支払いを監督をするということも、実際問題としてはむつかしい問題でございまするが、十分この趣旨を徹底をいたしまして、実際に配給業務に従事をしておりまする人々の人件費の方に、この引き上げが回りますように、私どもも極力指導して参りたい、そういうつもりでおります。
  180. 相澤重明

    ○相澤重明君 長官の答弁は、形式上はそうなると思うんですよ、答弁としては。しかし、何といっても卸、小売という中で、そうして現在の人員構成あるいは機械器具等のいわゆる必要なもの、こういうような中に考えていった場合に、配分がきまる、その配分がきまれば、それで、業者の諸君も受け取るようになると思うのです。けれども、実際に卸と小売と分類をした場合に、卸の人が、それでは人件費をそれだけ政府が考えたから、入れられるかどうか、小売りの人が、それだけ入れられるかどうか、こういう点は、私は国の会計決算上の問題としては、非常に重要な問題だと思うんですよ。だから、今仮定のことを申し上げたって仕方がないから、私は仮定のことを言っているんではなくて、もしせっかく政府が、そういう人件費の値上がりに伴う今回の増額の措置を考えて、配分基礎を作ったとするならば、当然全部それに使われるものと、こう理解してよろしいと私は思うのです。従って、それに使われておらないということになると、後日の決算委員会関係の資料を提出させて、そうして十分検討をしたいと思うのです。が、そういう中で考えますと、先日私が当委員会に資料をちょうだいをいたしたわけですね、その資料は、小売人が一世帯当たり、どのくらいの従事員がおるか、あるいは卸業者は何人でおるか、こういう資料の中で、いわゆる卸の場合に専業でない役員がおると思うんですね、私はこの前のときに、計算を暗算でもって皆さんに御説明を申し上げたわけですが、それでゆくと、現在の食糧庁が出した資料の中でも、いわゆる卸売販売業者の東京都における平均一卸売販売業者当たり従業員数は、常勤役員が九・五なんです、従業員が五五、それに他に非常勤役員が、二三・三となっておる、これが基礎数字なんですね、それで小売業者は、家族従業員が一・一、従業員が一・四、他に店主一、こういう基礎数字で実は配分をきめておるわけです。そこで非常勤役員の二三・三というのが、どのくらいの一体給与というものを、この中から受けておるのかということは、今言った全体の構成を見て、そうして働く人に重点として資金を配分するんでありますから、そういう点も私は明らかにしなければいけないと思うんです。  そこで長官は、この卸売業者の従業員というものが、常勤役員の九・五と従業員五五人に対しては、これは普通の給料を支払っておると、とう見ることもできると思うんだけれども、非常勤役員の二三・三人については、どう支払いをしておるのか、こういう点は、あなたの方で調査をされたのを御報告いただきたいと思う。
  181. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 非常勤役員が二三・三人と非常にたくさんおるわけでございますが、これはもちろん、私どもの方でも配給手数料を計算いたします場合に、卸売業者の職員の数の中には、この二三・三人という非常勤役員というものは、これはもちろん入れておりません、これに対して定額の給料を払うという計算ではもちろんやっておらないわけでございます。どういうわけで、こういう非常勤役員がたくさんおるかと申しますと、現在の米の卸売業者は企業組合、いわゆる組合制をとっておりますものが非常に多いわけでございます。それで組合制をとっておりますので、役員の中に、たとえば小売業者の相当の数のものが役員として名前を連ねておるというような場合も相当ございます。そういう役員の構成の上では、こういう数がかなり多く、これは東京の例になりますが、かなり多くなっておりますが、こういうものには、もちろん定額の給与というものは出しておらない、私どもの方でも、そういうようなものは計算に入れておらないわけでございます。おそらく年に盆暮れか、そういうようなときに、多少の薄謝程度のものは出すと思うわけですが、どういう程度の待遇をいたしておりますか、東京都の事例につきまして、私の方でよく調べまして、わかりましたら、報告をいたしたいと思っております。
  182. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと今の長官の答弁だというと、この人員構成の中で、卸売業者の場合は非常勤役員というのは、これは人件費支出ではない。従って、他の項目による支出であって、純然たる人件費というものは常勤役員と従業員、こう理解をしてよろしいということになりますね。
  183. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) そのように考えております。
  184. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますというと、私は、常勤役員と従業員ということでいけば、構成が六四・五人、それに対する小売業が三・五人ということになりますね。前回の私が御質問をしたのは、一体卸売業者というのは、年間どのくらいの数量を扱うのか。小売業者はどのくらいの数量を扱うのか。そうすると、一人平均にすると、卸売と小売はどのくらいになるのか、こういう点について、前回概略だけは御説明をいただいたのですが、今回は、人件費の問題で配分の基礎をきめたわけですから、どのくらいになっているか、それを一つ御説明いただきたいと思うのです。
  185. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) これはただいまのマージンの計算と大体うらはらになるわけでございますが、卸売業者の取り扱い数量は、今回のマージン計算では、最近の実績及びことしの見込みを折り込みまして、月間一人当たりの取り扱い数量を六百四十六俵というふうに計算をいたしております。これは全国平均でございます——東京だけではございません、これは全国の平均でございます。卸売の月間一人当たり取り扱い数量を六百四十六俵といたしまして、この六百四十六俵を扱います場合に、卸売業者の一人当たりの人件費が二万六千八百九十六円と、そういう計算になるようになっておるわけでございます。従いまして、一人当たりの収入が幾らになるかというお尋ねに対しましては、ただいま申し上げましたように、一人当たりの月間扱い量六百四十六俵として、一人当たりの月間給与が二万六千八百九十六円ということになるわけでございます。それから小売につきましては、これはやはり全国平均で計算いたしますと、小売一店舗当たりの月間扱い数量——月間でございます。一カ月、月間扱い数量が百十六俵でございます。この百十六俵を一店舗当たり扱うわけでございまして、これに対しまして、小売の場合は、経営主と従業員があるわけでございますが、経営主は卸売と同じように二万六千八百九十六円、それから従業員が月間九千三百九十円、こういう計算に相なっておるわけでございます。
  186. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで、今の御説明を聞くと、卸売業者の方は月間一人当たり六百四十六俵で、人件費が二万六千八百九十六円、それから小売の方は月間一人当たりが百十六俵で、人件費が、経営者が二万六千八百円、従業員は九千三百九十円、こういう数字なんですね。そうすると、卸売業の従業員五十五人というのは、役員と同じ計算をされている。一方小売の方については、経営主といわゆる従業員とを区別をしている。こういうことが長官から言われておるのですけれども、なぜ卸売業の従業員は経営者と同じで、小売業者の経営主と従業員を区別をしなければいけないのか。その点は、どういうことなんですか。
  187. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) ちょっと訂正をいたしますが、ただいま卸売の方で六百四十六俵——月間扱い量六百四十六俵と申し上げましたが、これは六百五十四俵の誤まりでございますので、六百五十四俵ということに御訂正願います。  それから、卸と小売の人件費の基準でございますが、これは卸の方は、御承知のように相当の規模の企業でございまして、社長以下、いろいろな階級の職員が並んでおるわけでございます。それらの全部を平均いたしまして、公務員ベースの二万六千八百九十六円というものを取っておる。卸の方はこれは、仕事の実態は、大体デスク中心の仕事でございます。いわゆる筋肉労働的なものではございません。これはデスク中心の仕事でございます。それで公務員ベースの平均を、そのまま取っておるわけでございます。  それから小売の方の従業員は、大体これは中小企業等に店員等々として使っております程度の職員がおもでございまして、中学を出まして、何年かたっておる程度の職員が中心でございます。そこで、従来からもこの小売の人件費につきましては、主人の、経営主の額の基準と、従業員の額の基準とは、これは基準を変えて従来から計算をいたしているような次第であります。
  188. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうも、そこが私どもが聞いておってぴんとこない。役員ということになれば、これは小売商の場合の経営主と同じ考えでいいと思う。これは額の多い少いでなくて、これは私は納得できる。しかし、卸であろうと小売であろうと従業員という立場に立った場合は、私はやはり役員と同じ立場ではなかろうかと思う。ですから、今の説明を聞くと、卸の場合は従業員であっても、オフィスにおる者を中心と考えるから公務員ベースに引き合わした。しかし、小売業の場合は、新制中学卒業程度の者を使っておるから、給料は安くてもいい、こういう単的な説明だと思うのです。これは大へん、長官の説明をそのまま聞いておれば、ははあ、そうかなと思うかもしれないけれども、私は、実情をあなたは知らないと思う。新制中学を卒業した者は、米を配達するのに、そんなことでできるかというのです。少なくとも米の配達をするのには、相当の力がなければいかぬし、ましてや、一般の者よりは、むしろここにおる人よりは、労働力を過重にする人だということになれば、私はやはり、卸売業の従業員を普通に見るならば、小売業の従業員も普通に見なければ片ちんばではないか。同時にまた、むしろ今の小売業の諸君が、どんなに人を雇うのに苦労をしているかということの実情把握の認識が私は欠けておるのじゃないか、こういう点を思うわけであります。  しかし、それがそうじゃない、先生の言うことは違うのだという、あなたの反論があるなら、一体小売業者の今の従業員というのを、それじゃ何才の人を各小売業者の諸君は使っておるか説明をしてもらいたい。九千円くらいで、米の配達ができる人を使えると思ったら、それは大きな間違いだと思う。そこで何才の人を食糧庁としては考えられておるのか、これを説明をしてもらいたい、それでなければ納得できません。
  189. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 私どもは、小売につきまして、従来従業員と主人とは、基準をかえて計算をいたしております。今回の場合に、従業員のベースにつきましても、経営者の引き上げ率と同一に引き上げて改定をいたしておるわけでございまして、従業員の給与ベースの基準が低いという問題は、いろいろだだいま御指摘になっておりますが、私どもとしましては、従来、これは小売について主人と従業員との構成を一定の基準で見てきておるわけであります。それに対しまして、従業員の方の給料も経営主の給与の引き上げと同じような率で、これは引き上げておるわけでございます。  どういう人間を使っているかというお尋ねでございまするが、これは今、全国平均のベースで御説明いたしておりまして、いろいろ小売業者が使っておりまする労務の態様はまちまちであろうと思います。一律にどういう種類の労務を使っているということは、私の方でも、全国各地の状況が違いますから、ちょっとここで、一律にどういうかうな形になっているということは申し上げかねる次第でございます。
  190. 相澤重明

    ○相澤重明君  いや、長官が、全国まちまちだから、説明がここではできないというけれども、少なくとも、この人件費算定の基礎が一人前のものであるのか、未成年であるのか、あるいはそれの平均が二十七才であるのか、二十才であるのか、これは統計がとれないはずはないのですよ。これは卸であろうと、小売であろうと、そのくらいの統計がとれないはずはない。従って、従業員という解釈をすれば、卸であろうと、私は小売であろうと、従業員という文字の解釈は同じだと思う。  そこでこの年令構成がもし違い、あるいはまた業務内容が違えば、たとえば先ほどの長官のいうように、卸売業者の従業員というものは、ホワイトカラーだ、オフィスマンだと、こういうことになって、これは公務員と同じような立場で給料を算定した、ところが小売業者の方は、そうじゃなくて労働者である。いわゆる力を持つ人である。しかもそれは、年令がごく低いんだ、こういうことだから、従業員の平均をして見ると、給料が安くても、これは仕方がないんだということであれば、それはそれとしての理屈だと思うんですよ。単に、全国各地域ばらばらであるから、その態様が違うから、その従業員について給与が違うということでは、これは私は、国会の答弁にならぬと思うのですよ、実際問題として……。だから、そういう点を調査されたことがあるのか、ないのか、長官、それはどうなんです。
  191. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) もちろんこれは初めから申し上げておりますように、卸と小売では、これは労務の質が違います。卸の方は、公務員ベース平均を当てはめておりますのは、ただいまも御指摘がありましたように、卸の方の業務は、これはいわゆる事務所の業務でございまして、小売のように、実際に米を自分でつき消費者に届けるというような業務ではない。卸の方の運送等の仕事は、これは事業費としてみてありまする経費の中からまかなっておるわけでございます。従って、卸の方の従業員一般の基準としては、平均給与といたしまして、公務員給与をそのまま当てはめるというような実態として考えて差しつかえないというふうに私どもは見ておるわけであります。  小売につきましては、卸と非常に労経務者の構成の内容が違いまして、これは経営主については、当然経営の責任も持っておりまするし、それぞれ相当の年輩でもありましょうから、これは卸の場合と同様に見ておるわけでありますが、一般の小売業者が使っておりまする従業員につきましては、これは中学を出て、すぐに就職をいたしますような者も相当ありまするし、大体ここで見ておりますのは、中学を卒業いたしまして数年この業務に従事をしておりまする程度の者を、大体平均のベースに置いておるわけでございます。
  192. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、もうこまかいそういう統計資料というものを出して説明をしなければ、長官がいくら中学を出て数年たったとか言ったところで、理屈にならぬですね。科学的な資料を提出して、これこれに基づくから、この基準に基づいて、こう算定をすべきだという理由があれば、私は納得しますよ。しかし、今のような説明では、残念ながら、小売業のいわゆる従業員というのは、安くてよいというただ説明にすぎない。ところが、私は、今の説明を聞いておると、現在の全国の小売業の諸君が、どんなに人を雇うのに苦労をしておるかということを食糧庁が目をつぶっておる、こういうようにしか見えない。九千円ばかりの金でもって、米を配達する人を雇えるなんと思うこと自体が、私は認識不足だと思う。中学を卒業した者に、そういう重い荷物を持たして配達をするなんということ自体が、私は誤まりだと思う。やはり、本来ならば、十八才以上の少なくとも人間として成年に達するような人を、これは当然対象とすべきであって、そういうことからいけば、高校を卒業してから、もし数年をたったとするならば、今九千円ばかりのものでもって雇えるなんということを考えるのは、そもそもお粗末過ぎる、こういうことで、私はこの点は納得できません。だから、こういうふうな基準に基づいて配分をきめるなんということは、あまりにもいいかげん過ぎる、こういうふうに思うのだが、政務次官、これはどう思う。こんなことで、九千円ばかりの給料で全国平均を考えて、それで米の配達ができるような人が雇えるか雇えないか、考えてごらんなさいよ。次官、今の食糧庁長官説明を聞いておって、どう思いますか。
  193. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) おっしゃるように、まあ約二百貫余になりますが、一日にそれだけ運搬するわけでありますが、九千円という基準は非常に安いということは、私もそう思います。従って、相澤先生のおっしゃるように、納得のいかない点もあろうと思いますので、やはりこれは、もう少しこまかく検討いたしまして、また御了解を得るようにしなければならないと思います。一方にやはり、相澤先生の御質問のようなことだけでなしに、消費者の立場になると、価格を上げると、これは消費者がまたやかましい。ずいぶんたくさんの人の生活の問題でございましょうし、また一方消費者の立場もございまするから、こまかく一応検討して、御納得いきますかどうか御相談をしなければならないのじゃないかと思うわけでございます。九千円につきましては、確かに私も、それは非常に安いベースだということについては確認いたします。
  194. 相澤重明

    ○相澤重明君 次官が、そういう点よく食糧庁長官と相談をして是正をされることについては、私はそれで答弁はけっこうであります。  それからいま一つ、次官、誤ってはいけないけれども、この配給のマージンの受給については、これは別に、その手数料を卸と小売にどういうふうに分けようと、これは、消費者の価格の値上りになるのじゃないのですよ。それはあなた間違えてもらっちゃ困る。これは二十三億の増額をした、つまり農林省が食糧庁のこのマージンとして増額をした理由は何だと、こう聞いておるのです。その理由というものは、公務員のベース・アップに伴う人件費の補正をするためである。従って二十三億の中での配分の問題になってくるわけです。そうしてくれば、先ほど冒頭に説明のあった、たとえば卸であろうと小売であろうと、役員、経営主についての金額のきめ方について、私は変わってはいない。それはよかろうと、こう言うのです。  けれども、今度は従業員という、同じ名前の従業員について、片一方は経営主と同じである、片一方の従業員は九千円くらいでよろしい、こういうのは、あまりにも考え方がずさんではないか、こういうことを言っておるわけです。それに対して、あなたはそれは確かに直さなければいかんというお考えを持っておるから、私はそれでけっこうだと思うが、この小売のいわゆる卸と小売に対するマージンの配分をしたから、それが消費者に値上がりではね返るなんということは、これはあり得べきことじゃないし、またそんなことをやれば許しゃしませんよ。小売価格を値上げするなんというたら、それこそ言うことを聞きませんよ。そういうことじゃなくて、この二十三億の配分の中で、どういうふうなやり方をするか、こういうことを言っておるわけです。
  195. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) 二十三億の分け前の問題なんですが、要するに九千円のベースが安いということになれば、おそらく一万五千円とか、一万二千円とかいうふうに、相当な根本的な見方を変えていきませんと、これは始末のつかぬ問題だと思うのです。  従って、現在の割当は、従来の基準によって割り当てたのでございますから、現在の割当とすれば、私はあまり無理なやり方をしていないと思う。ただ、基本的な先生の言われるように、もとに大きな狂いがあるのですから、なかなか相当な手直しをするということになりますると、これは相当困難な問題でございまするし、またそれはそれだけに、相当な研究をいたしておきませんと、当然これは価格にも私ははね返らざるを得ないことになるというふうなことも予想されるので、私はこまかく研究して、九千円というものの基礎を変えるべきかどうかということに基づいて、将来のこの基準単価というものを変えていかなきゃいかぬのじゃないか。今言ったことは、九千円が妥当かどうかということについては、おっしゃるように政府も御納得のいくような説明のできる材料がないですから、それを作りまして、九千円がいけなければ一万五千円にするか、一万二千円にしなきゃならないか、それによって、この次の割当をどうするか、あるいは現在の手数料割当を変更していくかというような大きな問題でございますので、私はもっと材料を集めて、御相談する方がいいのじゃないかということを考えるわけでございます。
  196. 相澤重明

    ○相澤重明君 政務次官の答弁としては、大体それで及第だな。やはりそれが一番いいと思う。それはそれでいいと、従業員のやはり安いのは率直に直すということは、これはいいことですよ。また総資金の中で、どうするか、それからいま一つは資金の増額の場合どうするか、この政治的なものはある。それはそれとして、安いことは、あなたもおわかりになったし、私どもも、その点は科学的な資料を出して、そうして説明すれば国会でもこれは納得すると、こういうことを言っているわけだ。その点については、一つ是正をされるように、まあ私も、一つ検討を願いたい。  そこで、それでは根本的に二十三億の増額の問題の配分の考え方はきまったわけですね。そこで前回の私が説明を受けたのは、政務次官、そこにおってお聞きになったと思うのですが、十キロ単位のいわゆる計算をしておるわけです。実際には、七キロないし八キロのいわゆる配分、配給になっておる。そうすると、その資金というものは余るということになる、そうでしょう。十キロ単位で計算をして、今まで手数料というものは計算をしておるわけです。ところが、実際にわれわれが消費者として受けるものというのは、それを総合的にまとめたものからいけば、政府の発表では七キロないし八キロということになる。その余ったものはどうするか。これは前回は、たしか長官の答弁では、余ったものは、これは使わなかったのだから、国の会計の方にこれは返すものだ、こういう答弁だったと私は思うのです。その点どうですか、長官、今一度一つお説明いただきたい。
  197. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 前回私が申し上げました点が、十分御了解をいただいていないと思うのでありますが、国で十キロ配給の基準を今きめておりますが、実際に私どもが配給の業務なり、このマージン等を計算いたします場合に、その十キロ配給に対して、実際の消費者の受配はどのくらいになるかということは、これはもう大体、近年の傾向で、実際の見通しはつくわけでございます。従って、十キロ配給の基準量に受配人口をそのままかけて、それですべてを計算しておるのではないのでございまして、実際の受配率というものを別途割り出しまして、それで計算をしておるわけでございます。従って先ほど申し上げました卸が月間六百五十四俵、それからその小売が一カ月百十六俵扱うというのは、実際の現在の受配量によりまして、それに基づいて、実際に卸なり小売が扱う数量を、それぞれ計算をしているわけでございます。  従って、総額二十三億の新たなる政府として支出の増になるということは、実際の卸、小売の米の扱い数量に基きまして、二十三億の支出増になるという見込みをつけているわけでございます。従って、配給辞退があれば、その割合によって、国に何か金が残るというふうなお考えには、そういうふうにはなっておらないわけでありまして、実際に配給数量に基づいて計算をいたしましたものが、本年度の場合、配給手数料の増額に伴って、二十三億の支出増になるわけでございます。
  198. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや。長官の言う実際の配給を対象に金額計算をした、こう言っておるのだけれども、この前の説明では一億俵ですよ——億三百六十俵で現在まできたわけです。その内訳は、たとえば卸と小売に分析すれば、六百五十四俵と百十六俵という一人宛になる。そうすると、従来の実績からいけば、食糧庁長官が統計をとったところによれば、七〇%ぐらいだと、こういう説明だった。だから、その説明を聞いていれば、今回の二十三億の増額だけが一〇〇%だというようには、これは理論的にとれないのじゃないかな。どうなんです。今一回、その説明をして下さい。
  199. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) その一億俵と申しますのは、七割の配給率によって、いわゆる全体の人が十キロに基準になっているのです。実際に消費者がお取りになるのは、六キロとか、七キロとか、そういうものしかお取りにならない。だから六割、七割の受配率になるわけです。その六割ないし七割程度の受配率によって、一億俵というものが配給をされる、実際に全部の方が十キロお取りになれば、それは一億俵ではとても足りません。一億三、四千万俵要る勘定になる、そういうことではない。実際に消費者が年間お取りになります米の量がおおむね四百四十万トン——この前御説明いたしましたように四百四十万トン、それから計算しますれば、一億俵近くになるわけです。
  200. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうも、説明を聞いていると、ウンなんと思うけれども、一億俵を実際に配給をしたと、そうすれば三百六十億だと。ところが、今までから見ると、十キロ配給をしておるんだけれども、七〇%ぐらいしか受けてくれない。ところが、それは、一億俵というのは実際の配給量だということになると、政府の計画するのは、七〇%プラス、一億俵プラス幾らかということになるわけですね。
  201. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 政府としては、実際に需給計画を組みます際に、大体ことしは基準量に対して——基準量と申しますのは、一人当たり十キロに対して、受配人口を全部かけるわけです。基準量に対して受配人口を全部かけましたものに対しまして、このうち実際に消費者が買うのは幾らぐらいの数量になるだろうかということを初めから見当つけるわけです。これはもう過去の実際に配給いたしました趨勢をとりますれば、私どもの方の資料で、大体その見当がつくわけです。従って、その見当をつけて、計画を立てるんでございまして、それで計画を立てておりますのが、先ほど申し上げましたし、この前も申し上げましたように、四百四十万トンという数字になっておるわけでございます。  従って、国といたしましては、もう初めから十キロに受配人口をかけたものでは計画をいたしません。これは、そういうことを計画いたしましても、それは実際、そういうふうなことにならないわけでございますから、実際に現物を扱います以上、実際に売れまする数量の見込みを立てまして、それによって米の輸送なり米の現物の手当をいたさなければ、実際の業務にのりませんから、それは、そういうことで計画をしておるわけでございます。
  202. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 私から関連で一つ伺いたいんですが、ただいまの長官の御説明を私は了得いたします。ただし、あなた方の予想に反して配給辞退者が続々と数を増してくるということになると、これは金が余るというととはお認めになりますか。
  203. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 私どものほうで計画をいたしておりまする以上に、実際の配給量が下回ってくるということになりますれば、これはまあ大ざっぱな計算でございますけれども、大体、年間一億俵で、二十三億の支出増になる計算でございますから、それが八千万俵なりあるいは九千万俵になるということになりますと、そとの計算は変わってくるわけであります。
  204. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、私は今の御説明をいただくと、実際には残額がまあ見込まれるということになると思う。満配をした場合は、それはそのままだ。そういうことでありますから、これは政務次官、さっきのあなたの検討をするよい材料なんですよ。私も実は、そこで委員長と話したわけだ、率直に言って。ですから、二十三億のうち、まあ一億になるか二億になるかしらんが、とにかくその金は、これはやっぱり人件費にふやしてやる。検討をした結果——実際に、これは今の給料が低い。科学的な資料で、これは出てくる。それにまた、配給をしたところが辞退が出てきて、その二十三億は余る、こういう場合には、やっぱり人件費に回してやる。特にそれは小売の従業員の給料が安い。小売業者のいわゆる経営を圧迫をしておる問題を除去していく必要があると思う。これは一つ答えが出たわけですね。いま一つの答えを、時間がないから——もっとたくさんやりたかったんだけれども、いま一つだけ、委員長やっておきたいと思う。  それでは長官、こういうことを、長官は知っておるかどうか。私は、あなたに説明しておこうと思うのです。これは、東京都の図面です。それで、今政府が出した資料、それからこの前出した資料、これに基づくと、いわゆる卸売業者というのは、自動車等を使って小売業者のところに運搬をするわけです。運搬賃がかかるというのが、この中に入っているわけです。で、運搬賃が入っておるというのは、いわゆる政府の管理倉庫から運ぶ。ところが、東京都の具体的な例を一つ、ここに図面で皆さんに説明しようと思うのです。図面で、これは東京都の三多摩地区に川があって、こちらが旧東京市内、こちらは新しく編入された地域……。ところが、この川をはさんだこの古い方に倉庫があって、そしてこの新しい地域に運ぶなら運搬料がかかるということは、これは言える。ところが政府のいう低温倉庫の所在地は、新しい方です。新しい所にあって、この川を越して、この旧市内に持ってくる、運搬するわけです。ところが旧市内にある配達料金と、ここにある配達料金とは違うわけです。こちらの人は、この新しい地域の人たちは、料金を高く取られる。自分のそばにある倉庫のものを、近くに配達してもらっても運賃は高い。こっちの遠くの方に運ぶのは安いわけです。こういう仕事を現在やっているのです、食糧庁は。  これは私は、現実に東京都の人たちの意見を聞いて、調査をしてみて、何と運搬費というものは、近くのものが高くて、遠くのものが安くなるのか——こういうようなことをやられるというと、実は運搬費の計算の基礎は何だ、こういうことが出てくると思うのです。これは食糧庁長官、どうですか。こういう具体例は、あなたも聞いたことはあまりないと思うけれども、知っていますか、これは。
  205. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) いろいろな場合がございましょうから、よくその例は、実際の現地の状況について、私の方でも詳しく調べませんと、すぐにはちょっと私もお答えできません。知っておるかというお尋ねであれば、私は、あまりそういう例は知りません。
  206. 相澤重明

    ○相澤重明君 長官に一々、全部全国の状況を言ったところで、これはなかなかわかるものじゃない。しかし少なくとも東京の地元ですよ。地元で、運搬賃の問題を計算をするのに、地元で、そういうことをやられると、幾ら私どもが、政府のやることだから間違いがないと言っても、これは私は、間違いがないとは言えない。国民の代表として国会に席を置く者として、こういうずさんなことをやられては、これは国民に対して申しわけない。こういうことになってくるから、これは一つの例だけれども、私はやっぱり単に卸の業者が運搬具を使う、そういう事業費が多くなる、こういうことだけによって算定をする誤りの一つの材料だと思う。  そういう点は、食糧庁はやはり調査をされて、そうして運搬費がかかるものは運搬費を計上する、しかし、ただ昔の観念で、そういう地域給給地の問題を考えないで、現在のルートに乗せておるということになると、これは、もう政府のずさんそのものになってしまう、こう思うのです。従って、こういう点は、よく業界の諸君にも、これは私は話を聞く必要があると思う、率直に。長官は卸の業者の人たちの意見をよく聞いていると思うのだが、卸の業者の諸君と、そういう点を意見交換をする考えを持っているかどうか、私は、卸売であろうと小売であろうと、関係業界の人の意見をよく聞いて、何も業界の人に左右されるというのではなく、意見を聞いて、そうして実情に沿う行政を行なうということが最も大切ではないかこう思うんだが、そういう点について、私が一つの例を出したんだけれども、あなたは、どうお考えになりますか、お答えをいただきたいと思います。
  207. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) もちろん、私ども卸売といわず小売といわず、業者の考えなり御意見、実情はよく伺って、実際の私どもの仕事の中に取り入れて参るということは同じに考えております。  ただいま御指摘の件は、実際の中身は、どういうことでありますか、私の方から伺いに上がらせますから、一つ詳しいお話をいただいて、私の方も、さっそく実情を調べたいと思っております。
  208. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、私からもよく説明をしましようし、それから関係の業界ともよく話し合ってもらいたい。  それからいま一つは、政府に資料を提出していただいたわけでありますが、その小売業の経営主要比率というものを、三十四年十月から三十五年五月までの間のを見せていただいたわけですが、これには、実際は政府の都合のいいところだけを資料に載せておる。従ってこの自己資本対純利益率、それから総資本対純利益率、こういうところは出しておるけれども、売上高対総利益率、売上高対純利益率と、こういうものは総合的に出ておらないから、実は、小売の方のこの資料は、こういうことになりますという資料になってしまう。私はやはり、こういう点についても、長官がせっかく私の意見も聞いてもらうということで、関係業者とも話すというのだから、一つ私どもも、ざっくばらんにそういう点はお話ししたいと思うし、政府でも、いま少し資料の作り方についても、一つ御注意を願いたい。こういうことで、私はきょうの質問を終わりたいと思うのです。  そこで、再度念を押しておきたいと思うのですが、一応、現在の政府がきめたこの八対二という比率については、私は暫定措置、従って政務次官の言うように、昨年の人事院勧告に従う増額であるから、従って小売の人たちに対する、そういう科学的な資料を摘出をして、そうして配分については、特に二十三億の残額等の問題が出た場合には、当然私は、それに回す、こういうあたたかい措置をとってもらうことを次官に、これは要望しておきます。  長官には、一つ今まで若干憎まれ口もきいたけれども、要はみながみな喜んでもらうことをとってもらう、こういうことを、資料の作り方については、ぜひそういうことで御検討願うということで、私の質問を終わりたいと思うのですが、最後に、次官から御答弁願います。
  209. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) 御質問の御趣旨、また御意見、きわめて貴重なお説ばかりでございます。十二分に心いたしまして、将来の小売業界における従業員の立場等も、よく検討いたしまして、遺憾のないような、また取り扱い等につきましても、長官の方も、ただいま御答弁申しましたような次第でございますので、いろいろ先生直接に、またそれぞれ係官等が参りまして御協議申し上げ、調査いたすようにさせたいと存じます。
  210. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 総括質疑の、本日の通告分は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時四分散会