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説明員(
吾孫子豊君)
兼松理事が
新聞発表をしたということで、かなり大々的に各紙に伝えられまして、実は私
どもも率直に申し上げましてがく然とした次第でありますが、よく
事情を聞いてみましたところ、別に
兼松理事が改まって
新聞発表をしたというようなことではございませんでした。たまたま
運輸省の
建物の中にあります
記者クラブに彼が参りました際に、いろいろ話が出ましたので、そのときに
新聞記者の方からいろいろ
お尋ねのあったことに対してお答えしたのが、まあああいうような形で大々的に報道された次第でございました。中身といたしましては、大体
新聞記者諸君から
重点を置いて
お尋ねのあったのは、一体今度の
仲裁裁定で
国鉄職員の
ベースアップのために新たに二百億からの
財源が要るようになったではないか、それは
一体国鉄はどうするつもりなのだと、こういう点が
重点になって
質問なされたわけであります。それに対して、この二百億の
仲裁裁定が出たということは、これまた正直に申し上げて
国鉄がかねて予想しておったよりもだいぶ高いものであって、
所要財源も非常に
予想外に要ることになったからこれは大
へんだ。大
へんだけれ
ども、しかし
仲裁裁定というのは、
政府もこれを完全に実行なされるということを御表明になっておられまするし、
国鉄当局としてももちろん
仲裁裁定には拘束をされる立場でございますから、やらなければならない。それをやる
財源については、それじゃ三十六年度
予算にそれだけのものが計上してあるかと申しますと、三十六年度の過般の
国会を
通りました
予算の中には、そういうものは計上してございませんので、結局これがために必要な
財源というものは、新たに
補正予算を組んでいただくということでお願いをしなければならない。その場合の
補正予算がどういう形になるかということは、まだ最終的に御決定願ったわけでもございませんので、むろん
国鉄当局としてあの
兼松君が
質問を受けた
段階において、明確なことを申し上げられる
段階ではなかったわけでございますけれ
ども、大体の
考え方といたしまして、結局その場合の
財源はいろいろなところから、かき集めることになるであろう。
一つは
予備費、これは本来三十六年度
予算に計上してございます
予備費の一部分をまず充当する。それから
経営費の中の
退職金に計上してございます
予算を、
退職金を一部そちらの方に回す。しかしそんなことではもちろん足りませんから、さらに思い切った
経営の
合理化というものを一段と強化して、足りない
資金を捻出しなければならない。そのほかに、それだけでできるかといえば、それでもできませんので、どうしても足りない部分は、さらに
借入金を増加していただくというような
方法が講じられない限り、肝心の
工事経費の方の
予算に食い込むことに結果的にはなるおそれがありますので、
借入金をある
程度増額していただかなければなりますまい。その
借入金を増加していただく
方法については、これから
政府の方とも御
相談をいたしまして、最終的にきめていただくことになると思うのでございますが、どういう形になりますか、とにかく
借入金を増していただく。それでもまだ足りそうもない、それは通常の場合でございますと三十五年度の
決算において、
利益金が出た場合には、その
利益金というものは、これは三十六年度には使用できませんので、三十七年度の
予算の
財源に充当されることに
建前上なっております。その三十五年度の
決算というのは、御
承知のように六月か七月になりませんとはっきりいたしません。そのときの
決算の見込みでかれこれ五十億を少しぐらい上回る
程度の
利益金が出てくるのではないかと思われる。その予想される
利益金は、本来であれば三十六年度の
予算でそれを支出を認めていただくということはできない
建前だけれ
ども、こういう際であるから、三十七年度の
財源に本来であれば回されるべき、予想される
利益金を、三十六年度において支出できるように
補正予算を組んでいただく場合には、御
処置を願うことにしたい。それやこれやいろいろかき集めれば、何とか三十六年度の
ベースアップの実行だけはできるのではないか。しかも肝心の新五カ年
計画の
工事経費というようなものに
影響を及ぼさずに、三十六年度だけはどうにかそうすればやっていけると思うのだ、こういう
説明をしたそうであります。
なお、その際に、三十六年度はそれじゃできるかもしれないが、三十七年度以降はどうなんだという話も当然出たのでございまして、そういう際に、三十七年度以降は
ほんとうになかなか大
へんだということを申しましたところ、それじゃもう一ぺん
運賃の
改定というようなことをまたお願いしなければならぬ、というようなことになりはしないのかと言われて、いや、それは今まで
総裁、
大臣も
答弁もしておられるし、
運賃の
改定というようなことは、とてもそれは当分できることとは思えないと言われ、その上にさらに、一体
定期の
割引率なんというものはもう一ぺん
考え直さなきゃならぬというようなことになりはしないのか、まあ、多分に誘導尋問的に聞かれたことは事実のようでございます。まあ、
兼松財務担当の
理事としては、非常に苦しいことは事実でございますから、いや、そういうことも
考えなきゃならないかもしれない、それほど苦しいのだ、こういうようなことを、そういう
意味にとれるように言った模様でございます。それが、何か
国鉄当局で
定期の
割引率をさらにまた
改定することを
考えておるんだ、というようなふうに
新聞に報道せられましたけれ
ども、そういうようなことは私
ども現在何も
考えておるわけではございませんので、
兼松理事が話したことが
新聞に出ましたいきさつは、ただいま申し上げましたようなことでございまして、特に
当局が新たな
方針をきめてそれを発表したとか何とかいうことではございませんので、いずれ
補正予算ということも
国会で御審議願うことになるであろうから、その場合の何と申しますか、事前のある
程度の
予備知識を
新聞記者の
方々にもわかっておいていただく必要があるというような気持で、解説的に彼が話をいたしましたことがあのように
新聞に出たわけでございまして、本人も、非常に大きく
新聞に取り扱われましたことにつきましては、恐縮いたしておるのでございますが、私
どももよほど今後とも言動を慎む必要があるということを痛感いたしておるような次第でございます。