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参考人(
清井正君)
最初の御質問の点でございますが、承継をいたしました債権につきましても、実はただいま申し上げました復金の
貸付金につきましても、承継をいたしましたときには十六億あったのであります。それがその後
回収に
努力いたしまして九億二千万円そのらち
回収になりました。それからどうしてもしようがないということで償却をいたしましたものが二億九千万ございまして、最後に残りましたものが四億一千万ということでございます。そこで、ただいまも申し上げました
通り、十六億引き継いだものを九億
回収いたしましたのでありますが、だんだん
回収のスピードがおくれてくることは当然でございますが、なお、この四億のうちでも多少は
回収できると思いますけれ
ども、率直に申し上げて、これはほとんど
回収がむずかしいのではないかというふうに率直に考えます。ことに漁船のごときも、これは主として西の方の漁船の場合には、東シナ海に出漁していたものが李ラインにぶつかって出漁できなくなった、それで
収入が入らなくなったというものが、全部ではありませんが
相当ございます。そういうようなことで、なかなかお気の毒な事情が
相当あるのでございますが、たとえば漁船を処分したり、保証人からの保証を追求いたしましても、これを
相当程度まで
回収するということは実際問題としてなかなか困難な事情があると率直に申し上げなければならないと思います。
塩業にいたしましても、これも終戦後やりました
塩業でございますので、電気の供給がとまったりいたしました
関係で、これも本人の責めに期するわけにはいかないような事情で、やむを得ず
塩業を中止しなければならなくなったというような事情もあるようでございます。そういうようなことで、この四億一千万円全体につきましても、今後多少の
回収は見ることができると思いますけれ
ども、おそらく
相当程度のものは、これは将来は償却にもっていかなきゃならぬ
事態になるのではないか、こういうふうに実は考える次第であります。
それから後半の問題でございますが、これはまあ、われわれといたしまして、なにかに農家経済の
実態をよく把握いたしまして
貸付をしなければならない問題だと思うのですが、ことに自作農維持
資金のごときは、昨年は北海道地方へ
相当維持
資金がいきました。本年もどの
程度いきますか、まだ政府の方でもおきめになっていらっしゃいませんが、そういうことで私
ども維持
資金を
貸付いたします場合には、これは県の
推薦に丈って
貸付をいたしているわけでございます。特に事情をよく調べまして、努めて農家の経済復興に役立つようにというような意味で、維持
資金、
土地改良資金をお貸ししているような状況でございます。問題はむしろ今後にあるのでございまして、農家経済をいかに建て直させるかという政府の政策と呼応して、私
どもの機関もそれに順応した
貸付を今後いたしていかなければならぬものと思いますが、私
どもだけでとやかく申し上げることは
限度がございますので、十分に申し上げられないことはあれでありますが、今言ったように、私
どもとしては
貸付をいたしますると、その
貸付に延滞が起こりました場合には、再度
貸付ができないということにいたしておりますので、地元で無理をいたしましてやりくりいたしまして、
公庫の
貸付を受けるというような
事態がある、それは御
指摘のこともあるかもしれません。また
相当あるのかもしれません。私
どもはそこまでの
調査が行き届いておりませんけれ
ども、そういう
事態があることは想像できるわけであります。従いまして今後金融機関の立場というよりは、むしろ政府の政策といたしまして農家の全体の経営のために
努力していただくということ以外に、ちょっと金融機関の立場としては申し上げる余地がないのじゃないか、こういうふうに考える次第でございます。