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1961-02-06 第38回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月六日(月曜日)午前十 時二十五分開会    ——————————   委員の異動 十二月二十六日委員岡三郎君、矢嶋三 義君、小柳勇君、坂本昭君、近藤信一 君、森中守義君及び天坊裕彦辞任に つき、その補欠として高橋進太郎君、 相澤重明君、木下友敬君、中村順造君、 大倉精一君、千葉千代世君及び阿部竹 松君を議長において指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 芳男君    理 事            岡村文四郎君            谷口 慶吉君            野本 品吉君            石田 次男君    委 員            川上 為治君            上林 忠次君            木内 四郎君            田中 清一君            鳥畠徳次郎君            野上  進君            林田 正治君            谷村 貞治君            阿部 竹松君            大倉 精一君            木下 友敬君            武内 五郎君            中村 順造君            山田 節男君            奥 むめお君            常岡 一郎君   政府委員    建設政務次    官       田村  元君    建設省計画局長 關盛 吉雄君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 高野  務君   説明員    日本国有鉄道運    転局長     石原 米彦君    日本国有鉄道施    設局長     柴田 元良君    会計検査院事務    総局第三局長  白木 康進君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査  (雪害による列車運転中止被害状  況に関する件) ○昭和三十三年度一般会計歳入歳出決  算(第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度特別会計歳入歳出決  算(第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度国税収納金整理資金  受払計算書(第三十四回国会内閣提  出) ○昭和三十三年度政府関係機関決算書  (第三十四回国会内閣提出)    ——————————
  2. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更について御報告をいたします。去る十二月二十六日岡三郎君、矢嶋三義君、小柳勇君、坂本昭君、近藤信一君、森中守義君、天坊裕彦君が辞任され、その補欠として相澤重明君、木下友敬君、中村順造君、大倉精一君、千葉千代世君、阿部竹松君、高橋進太郎君が選任されました。    ——————————
  3. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 次に去る一月三十一日行ないました委員長及び理事打合会について御報告いたします。委員会の運営について協議しましたが、本件は特別国会中の委員会において意見一致を見たのでありますが、国会も改まりましたので、再度理事会に諮り確認したものであります。すなわち委員会定例日につきましては毎週月、水の午前十時とするが、当日本会議が開かれる場合は原則として午後一時からとする。  次に昭和三十三年度決算審査についてでありますが、第一に昭和三十三年度決算はできる限りすみやかに審査を進める。第二に直ちに各省審査に入ることとし、その順序は一応お手元に配付した順序によりますが、都合により変更することもあります。  なお、審査にあたっては関係大臣出席を求める建前ではありますが、出席できない場合でも審査はこれを進めることとし、大臣に対する質疑は追って行なうこととする。  次に、三十四年度決算審査についてでありますが、適当な時期に提案理由説明を聴取することとし、その後の審査昭和三十三年度決算審査終了後とする。  次に調査事件を取り上げる場合は、なるべく昭和三十三年度決算終了後とする。本日は建設省の部を審査をする。  以上のごとく意見一致を見ましたが、さよう取りきめることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 異議なしと認めます。    ——————————
  5. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) この際、理事補欠互選に関する件をお諮りいたします。矢嶋君の委員辞任に伴い理事が欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないたいと思いますが、その互選の方法は成規の手続を省略して便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 御異議ないと認めます。それでは私より北村暢君を理事に指名いたします。
  7. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 武内君から緊急問題について質疑の申し出がありましたので、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査の一環として取り上げることといたします。
  8. 武内五郎

    武内五郎君 私は昨年末から起きまして、まだその災害の傷が非常に激甚な状態になっておりまする北陸地方新潟地方豪雪に対する、特に国鉄措置をお伺いしたいのであります。  御承知通り、十二月の二十六日の夕刻から降り出しました雪が三十日から三十一日の間にすでに上越沿線長岡付近において一メートル余をこえた。三十一日から一月一日にわたりましてすでに二メートルをこえた。そういうような例年にない雪の状態であったのでありまして、そのために国鉄の各沿線がほとんど麻痺状態になった。上越沿線、信越線、新潟県におきましても、越後線、只見線、それから飯山線その他各支線等はもちろん全然運行を見ることができない状態だったのであります。従いましてちょうど歳末にかけまして北陸地方から東京へ出ておりまする人々が故郷へ帰る、あるいは関西方面から、あるいは金沢、滋賀県方面からの乗客が直江津、糸魚川、長岡、柏崎、各駅とも全部そのもよりもよりで各列車がストップしておった。その状況は全く私は小出の駅において現状を実際に見ておるのでありまするが、言語に絶する混乱状態であった。たとえば小出において三十日から三十一日、一月一日にわたりまして一千名をこえる乗客が足を奪われてその町に正月を送らなければならなかった。赤ん坊を背負ったおかみさんがおしめを洗う場所もない、その状態は全く言語に絶するものがあったのであります。従ってこれに対する国鉄各駅職員の努力というものは、これまた同情に値するものが非常に多かった。六十時間余にわたって全く不眠不休の仕事をやっておるにかかわらず、その混乱を整理することが容易ではなかったのであります。  私はここでお伺いしたいのは、こういう状態に立ち至った国鉄平常準備対策があったのかどうかということをまずお聞きいたしたいのでありまするが、その国鉄のそういうような対策をお伺いする前に、国鉄としてどういうふうにその事業を把握しているかということをまずお伺いして質問に入りたいと思います。
  9. 石原米彦

    説明員石原米彦君) ただいま御質問がございましたように、暮から正月にかけまして雪害で非常にたくさんの方々に御迷惑をおかけいたしましたことはまことに申しわけないことと存じております。その状況新聞その他にも詳細に出ておりましたので、十分御承知と存じすが、大体雪害を受けました範囲は西の方が福井付近から束の方が新潟の少し先の方まで新発田くらいの間でありまして、大体キロにいたしまして四百二、三十キロメートという範囲が一斉にやられてしまいました。また降雪状況もすでに新聞その他にも報道されておりましたように、過去四十年くらいの記録にございません程度降雪がございました。これは積雪と降雪と両方ございますが、特に雪害でやられますのは一時にたくさんの雪が降りますと、それに対処しきれなくなりますが、長岡金沢その他においても一昼夜に一メートル以上の降雪があったという記録は四十年来ございませんのでございまして、しかもその期間も二十九日から始まりまして元日にわたる間、その四百二、三十キロの間に厚薄の差はありますが、あちらがやられこちらがやられ、とにかくその範囲内は三日間くらいはほとんど荒れ続けたというような状況になっております。四百二、三十キロと申しますと、東海道で申しますと東京から米原近くまでありまして、その間におります裏日本の全列車が全部雪に閉じ込められまして旅客貨物列車とも、旅客列車が五十四本、それから貨物列車が七十二本全部例外なしに立往生いたしました。お客さんは三万一千人ばかり乗っておられましたが、皆さんが車内に閉じ込められるという状況にありました。非常に大きな雪害でございまして、従いまして、各地でいろいろな御苦労、御迷惑をおかけするような結果になりまして非常に印しわけなかったと存じております。  もう一つ不幸なことには暮、正月だものですから臨時人夫の雇い出しということが非常に困難をきわめまして、従いまして鉄道職員の援軍を他の所から応援を求めますし、また自衛隊、消防団等援助も得まして、極力復旧に努めまして、天候の回復とともに逐次停車しております列車を終着駅まで送り届けまして、大体四日に至りまして旅客列車平常運行を取りもどすようになって参りました。貨物輸送は各構内が雪に閉じ込められてしまいまして、またここにとまっております貨物列車も全部雪のかたまりになってしまいまして、それを掘り出しましてほぼ常態に復するようになりましたのは十日ごろまでかかりました。  気象の観測といたしましては、気象通報はあらかじめ受けておりまして、大体これは全国的の全国気象通報全般鉄道気象通報というのと地区気象通報というのを、気象台長国鉄総裁との印し合わせによりまして受けることになっておりまして、全般鉄道気象通報は、国鉄本社気象台からいただきまして下達いたします。それから地区気象通報は、各気象官署から鉄道管理局が受理をいたしまして、右各地区的に気象通報を発令いたすことになっております。この冬になりましてからは全般気象通報は七回受領いたしておりまして、十二月二十五日から始まりまして今日までに七回受領いたしておりますので、雪害のときにも二十九日と三十日に大雪が降る、あるいは風雪が強くなるという通報を受けておりまして、各気象官署からも各鉄道局でいただいておりますが、この連絡はここ十年くらい非常によくなってきておりますが、まさかあれほどの大雪というのは実際は予想できませんでございまして、もちろん雪害予報がありました場合には、大てい地域的に若干の列車運転休止、あるいは遅延ということを見る場合があります。の予報を受けましても大して被害なしに切り抜けるようなこともございますし、大てい気象通報を受けました場合には、降雪によって若干のダイヤ乱れを起こしますのは通例でございますが、ああいう広範囲に、また長い時間にわたって、しかも一日の降雪量予想外に多いということは、実際はわれわれの経験からも予測し得ませんでした。また気象庁からの特にそういう程度予報は受けておりませんでした。一般気象通報と現在の状況とをにらみ合わせて予想いたしますが、予想外のものだったわけでございます。  もう一つ非常にまずいことは、十二月の三十日と申しますのは三百六十五日を通じましてお客さんの一番多い日でございます。従ってお客さんを運びます旅客臨時列車というのも、これまた一年中で一番たくさん動きます日でございまして、きょう御質問にもございましたように、出かせぎに出て一年に一度か二度帰省する人たちがたくさんおりますので、従ってそれを送り出します上野駅、大阪駅などは、何らこういうようなことがございませんでも大混乱を起こすという日にちょうど当たっておりまして、それが二十九日からぽつぽつ吹雪始めまして、三十一日から一日の朝にかけてを頂点といたします大荒れが参りました。従って非常にたくさんのお客さんが雪の中で幾日かを御苦労なさったというような事態になりまして、まことに申しわけなかったと存じております。今後ああいう予想外雪害というのは、これは雪害と限りませんが、これからもできるだけの対策を講じまして、被害最小限度になるように努力して参りたいと存じます。
  10. 柴田元良

    説明員柴田元良君) ただいま先生から御質問のございました、とういった雪に対する準備はどうだ、こういう点につきまして私から申し上げます。  私どもといたしましては、例年降雪が始まりまする以前に、本社におきましてもそれぞれ必要な助勤のあらかじめ準備を指令する、あるいは除雪機械などにつきましての整備、こういうものを絶えず監査しつつ整備をはかっております。それぞれ担当の地区におきましては、まず私どもの今日やはり除雪作業主力は主として地方の方の労力に待っております。こういったところからそれぞれ地区的にも打合会あるいは除雪懇談会を開きまして、部外の方と十分連絡をいたしまして、必要な時期に必要な御援助を願う、こういう準備をいたしております。また特に線路関係を中心といたしまして、雪の期間になりますと、特に施設系統職員全員が、雪について作業に従事することになりますので、十分たとえば機械を動かしますにつきましての部内との協議あるいは連絡ダイヤの作成その他十分連絡をとって準備をいたすわけでございます。今回の事故につきましても、私どもの長い間のいろいろなデータを整理いたしてみましても、大体国鉄被害を受けます時期といたしましては、一月の中旬から下旬が全国的に一番大きな被害を受ける時期でございます。たまたま今回は十二月の下旬、このことは今までそういう実は経験を持っておりませんでしたことは事実でございます。こういった状況にございまして、主として雪の時期に対する、たとえば除雪人夫その他の御援助も、過去におきましては比較的容易に得られたということも事実でございます。今回たまたま年末の輸送と重なりましたことが、非常に申しわけないことではございましたが、結果として非常に望ましくなかったというふうに考えられるわけでございます。  特に機械につきましての除雪につきましても、全国にかなり多くの機械を持っておりますが、その重点はやはり北海道金沢新潟中部地区、それから東北地区、こういう所に大きく機械の常備の配置をいたしております。今回機械を使いました、たとえば運転をいたしましたキロにいたしましても過去の例から見ますと、すでに数口間で従来の年間実績の七割以上もラッセル等を動かして参っております。非常に除雪機械が活動したということも数字としては事実だ、と私は信じているわけでございます。そういった状況でございまして、でき得る限りの準備ということは、その後いたしたように実は考えている次第でござ  います。
  11. 武内五郎

    武内五郎君 大体説明された実情はその通りだと思います。そこで特に国鉄社会生活の動脈なんです。その公益性を強く感じて、その責任を果たす立場に立っていただかなければならぬ。そこで私は特にお伺いしたいのは、その準備についてあの通り北陸地方北海道等はそれは非常に降雪地帯でありますので、雪がない年ということはないので、特に非常に強く降るということをいつも考えていなければならぬ。特に私はまず第一にお伺いしたいのは、気象通報が最近十年かなりよくなってきていると言っておりまするので、気象通報を今回把握したそのときと、雪が降ってきたそのときとの時間のズレがどれくらいあったか、準備ができない状態であったのかどうかということをまず第一にお伺いしたい。
  12. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 気象通報準備との関連についての御質問でございますが、気象通報は先ほども申しましたように非常に進歩もございますし、われわれに対する御連絡もよくしていただくようになっておりますが、雪につきましてはおそらく気象のうちで一番的確に予測しにくいものじゃないかと存じます。これは気象通報専門家に伺った方がよろしいのでございますが、われわれが気象を受けましたときの判断でも、暴風とか大雨警報ども的確に当たる場合が多いように存じます。それで気象通報との関係を申しますと、さいぜん申しましたように全般気象通報本社に受けまして、地区気象通報全国の七十八地区でございますかに分かれておりまして、その気象官署から受けまして、さらにそれを二百二十幾つかの小地区に細分いたしまして、局地的なものはそういう細分で雪、雨、風に対する予報を逐次いたしております。それで本社で受けます全般気象通報のうちで、雪に関するものは大体ここのところ年に十回くらいでございますが、今年はこの冬になりましてすでに七回受けておりますからもっと多いかと存じます。それでこの気象通報によりまして判断いたしますのでございますが、実際問題といたしましてたとえばこんな状況になります。今年のこの冬で一番先に全般気象通報を受けましたのは十二月二十五日でございまして、この日は風雪が強くなるということで、それに対する、さらに大雪に対する予報をいただきましたが、このときはあまり大した降雪はございませんでした。十二月二十九日に風雪の強くなるという予報を受けまして十二月三十日に大雪が降るという通報を受けております。これが非常に大きな結果になりました。それからその後に受けました通報を参考までに申しますと、一月四日に風雪注意報、一月二十四日に暴風注意報、二月一日大雪注意報、二月四日に風雪注意報を受けております。その際に大ていは若干の列車乱れを生ずる程度になっておりますが、多数の列車を消しましたのはとの暮れから正月にかけましてと、それから二月一日、二月三日に予報を受けておりますのは、これが旅客列車十二本、貨物列車三、四割程度運休いたしましたのが、これも裏日本でございますが、被害を受けております。従いまして特に雪に対しましては今度のように四百キロ余りというような広範囲にわたって一斉にやられるということは、非常に雪としては珍しい現象でございまして、四百キロ余りと申しますと東京から米原近くまでの、裏日本幹線が全部例外なしに止まって雪になる、こういうことは私の三十年間の国鉄経験でもございませんし、国鉄記録にもございません大雪害であります。雪と申しますのは大てい地区で、たとえば東京がやられていても小田原は平気だという、それくらいの距離の差がございました。往々にしてそういうことがございますのは雪国に行かれました方は御存じだと思いますが、そういうことによくなりますので、従いましてわれわれは今降っております雪と気象通報を両方睨み合わせまして、この先どういうふうになっていくかという判断をいたします。  それからもう一つわれわれが列車を扱いましたり準備をいたしましたりする場合に、暴風に対する判断と非常に違います問題は、たとえば伊勢湾台風のような予報は非常に的確をきわめておりまして、そのスケールにおきましても、あるいは上陸地点上陸の時間といったようなものにつきましても非常に正確でございますし、従いましてこのときには東京大阪急行列車台風上陸しませんうちにもちろん全列車を全部運転休止いたします。  これは予報が的確であるということと、万一の場合には列車が転覆する危険がございますので、これはたとえお客さんがどれだけ要望なさいましても列車はとめてしまいます。あのときにも東京大阪はお天気がよかったのでありますが、そのときにすでに列車は全部危険だということで一切これをとめてしまいました。ただ雪では危険になりますのは従来の記録からもなだれだけでございまして、なだれが参りますとこれはひっくり返ったりするのでありますが、大体はとまるだけでございまして、お客さんの生命に危険が及ぶという雪害はまずほかにはございませんわけです。従いまして列車がおくれ、あるいは運転を取り消してということはございましても危険ではございません。それからまた雪が降っております周に列車を早く通しますれば通りますが、一たんとまってしまうと通れなくなってしまいます。そういう点がありまして雪に対しましては極力がんばって通しまして、もしも降きだまりなどで通れなくなりましたら、急拠応援を出しまして早く取り除いて運転を再開するということにしておりまして、通れなくなるかもしれませんから列車をあらかじめ消してしまうという決断にはなかなかつきにくい、というのが雪に対するわれわれの判断でございまして、列車に対する措置というのは大体そういうことになります。  それから列車機械除雪につきましてちょっとお答えをいたしますと、機械除雪は御承知のように主力になりますのはロータリー車ラッセルでございまして、ラッセル全国で二百三十台、ロータリー車全国で十六台ございます。そのうちで金沢新潟地区ロータリーが六台、ラッセル本社内においてはこの裏縦貫地帯に一番たくさん配置してございますが、このただの雪は一昼夜に一メーター以上降りまして、しかも雪の質といたしましては少し湿気の多い方でございまして、ラッセルではほとんどものの役には立ちません。従いましてロータリーを出して除雪する以外に道のあけようがなかったのでありまして、結局他の地区からも出しまして、本州中のロータリー車をここに集中いたしまして、全国で十六台ありますうち九台が昼夜の別なく裏縦貫の線で活躍いたしました。それからロータリーでなければ手に負えないというのは、実際はたとえば比海道のような所でも一冬一線区で一、二回使うのが普通だと思います。一線区に九台のロータリーが集中して昼夜活躍したということは私の経験にもございませんし、おそらく国鉄記録にもないと思います。  そういう状態除雪に努力いたしまして、やっと本線をあけましたのですが、構内で雪に埋れました列車は雪の固まりのようになりますので、これはどうしても人夫除雪をいたしまして、またポイントをかえませんと、単線区間ばかりであったものですからこれが非常な無理がありまして、複線区間ですと線路さえあけますれば通せますが、単線区間ではロータリーが通っただけでは一線区あけましても行き違いができませんとものの役に立ちません。この構内をあけますまでに、先ほど申したように雪に埋まった列車がございますことと、それからポイントの雪を列車の行き違いのために転換できる状態にまで全部とってしまわなければなりません。これに手間がかかりまして、なお列車平常に行き違いができるようになりますのには手間がかかりましたようなわけでございます。  以上のような状態で非常に復旧手間取りましたことにつきまして一応言いわけがましくて恐縮でございますが、御答弁申し上げます。
  13. 武内五郎

    武内五郎君 気象通報について十二月二十五日にすでに気候異変についてのあるヒントが把握できたと思うのですが、しかも二十九日には風雪が強いという警報を受けている。こういうような二十九日でさえも私は機動的に雪に対する対策というものが立てられなければならぬと思うのですが、もう三十日になりますると各駅で汽車がとまってしまった。こういうような事態になっておるので、まことに私は遺憾だと思う。一体私は国鉄当局がああいう常時豪雪地帯に対するものの考え方、腹のすえ方が違うのじゃないかと思う。そこに私はあの被害がさらに拡大された状態に陥ったのではないかと考えられる。この点は特に今後十分注意していただいて、豪雪地帯は、特にこれは雪のない地方で運輸を計画するというようなものの考え方でなく、やっていただきたいと考えるのであります。  その次に、今、除雪機械等のお話がありましたが、私は一月の一日に私のうちから新潟の支社に電話いたしまして事情を聴取いたしました。そのときに、ロータリーたった一台がようよう、それもほとんど除雪の能力のない状態で動いてはおります、こういうような報告を実は受けておるのであります。ただいま九台が昼夜別なく作業に従事したと言われておりますけれども、これは相当時間がたった後の話じゃないかと思うのですが、最も混乱いたしました三十一日から一日、この間ほとんど除雪作業というものができなかった。こういうことは、私は国鉄当局のああいう地帯に対する考え方準備が常、日ごろ全然なっていないということを考えざるを得ない。私もいろいろ調べてみました。ラッセルがあの地方に三十四台、あるいはロータリーが四台ある、ジョルダンも用意されていると、いろいろ調べてみたのでありまするが、これらの台数というものは、おそらく運転が今日までされていなかったのじゃないかと思う。ただいまロータリーが九台昼夜別なく動いたと言っておりますが、わずか一台が一月一日に辛うじて動いておるという状態であったのであります。私は実に遺憾にたえないと思う。  そこで私は、さらにああいう地帯には鉄道の沿線、特に駅構内には、雪に対する除雪施設というものがどの程度までできておるのかということをお伺いしたい。ことに小出の駅で一昨年に流雪溝を構内に作りました。この流雪溝があったがために小出の駅内に停滞いたしましたる汽車が、ほかの駅のように全く雪の中に雪だるまになって埋まるようなことがなかった。こういう流雪溝等の施設がほかの駅にはほとんどないのであります。こういうような施設を今後少なくとも豪雪地帯沿線各駅にはそれくらいの施設が必要であると思うのです。そういう計画を今後持つ必要があると思うのだが、そういう考えがあるかどうか。  そのほか私は今後融雪期に入りますると、さらに被害が大きく出てくると思う。なだれが出る、土砂の崩壊が起きるだろうと思う。それらに対して今日からもうすでにその準備が必要ではないかと思うのでありまするが、それらについての考え方、その準備をお伺いしたい。
  14. 柴田元良

    説明員柴田元良君) ただいまの御質問についてお答えいたします。  最初に先生からロータリー運転が少ないじゃないかという問題がございましたけれども除雪をいたしますときの順序としましては、まず線路に積もります雪があまり多くない時代におきましてはラッセル、要するに線路の中の雪を両側に押し寄せまして、結局壁が両側にできるわけでございますが、そういう状況で通すわけでございます。ラッセルがしばらく活躍をいたしますと、しかもその後雪が続きますと、ラッセルがだんだん壁の方に向かって押しつけられなくなって参ります。そういたしますと両側にあります壁の雪を線路の中にかき寄せまして、かき寄せましたものをロータリーで壁を越えてそとに押し出すわけでございます。こういった一連の作業を繰り返すわけでございまして、まずラッセルが働く。それからある時期になりましてロータリーが活躍する。こういう順序でございます。従いましてただいまちょっと先生のお話の中の、ロータリーが初め働いてないじゃないかというお話につきましては、私ども作業順序から申しますとそういうようなロータリーの使い方をいたすわけでございます。  それから豪雪地帯に対する除雪の設備の問題でござい汚す。この点につきましては全国的に見ますと、やはり豪雪地帯というものにつきましては、過去におきましてもかなり努力をして参っておりまして、今日の状況におきましても国鉄全線のうち約七千八百キロが、何らかの防雪設備で一応防護されておるわけでございます。しかし全線非常に延びておりますために部分的にはいろいろとまだ問題のある点があるわけでございます。そういった見地から今日いろいろ検討いたしておるわけでございますが、一番問題になります流雪溝はまことに先生の御指摘の通りでございまして、こういった設備に対しましてやはり大きな構内におきましては特に流雪溝というものが必要でございます。こういうものを今後相当実際やっていかなくちゃならないというふうに考えておるわけでございます。特に北陸沿線の大駅については、今具体的にいろいろと検討して、できるだけ早い時期に着工いたしたいというふうに考えておるわけでございます。ただ流雪溝は御承知通りに溝を掘っただけではいけないのでありまして、やはり適当な水源、しかもかなり水温の高い水源がございませんとこれを流すことができないわけでございます。常時雪のない時期におきましては、やはりこういったものがございますために構内作業にもかなり困難を与えるという逆の面もございますので、そういった点を考えながら水がとれるかどうか、こういったところを十分検討いたしましてできるだけ流雪溝を増備する、こういうふうに私どもは計画をいたしております。  そのほかのただいまなだれのお話もございましたが、なだれにつきましては、なだれが実際どうやって起こるかという気候がなかなかまだはっきりいたしておりません。やはり斜面の状態とかあるいは植林の状態、あるいはまた気象、雪の質いろいろ問題がございます。ただいま実際のなだれなどをダイナマイトを使って起こしたりいたしまして、検討いたしているわけでありますが、そういうことと別個になだれを防止いたしますためのさくを作るとかあるいは擁壁を作りますとか、場合によりましては線路の上におおいをいたしましてなだれを外に流す、こういったことも具体的に検討を進めているわけでございます。過去におきまして、大体こういう設備に毎年約一億程度の経費が投入されております。  なおその他特に鉄道林、これを手を入れているわけでありますが、こういったものにもやはり経費として約一億程度の金が毎年こういった面に使われているわけでございます。
  15. 武内五郎

    武内五郎君 いずれ国会から、わが参議院の方からも調査委員が派遣されて実情を把握して、その後にまた検討を続けられると思うのでありますが、今回の豪雪につきまして、もう私はその実態でたとえば橋梁が落ちている、今後さらに融雪期に入りますと、その被害の度がだんだん明確に出てくるであろうと考えるのでありますが、たとえば道路が決壊する、堤防が決壊する、融雪期における洪水の心配がある、なだれが起きる、土砂の崩壊が起きるというような事態があると思うのでありまするので、建設当局のこれらに対する対策の構想をお伺いしておきたい。
  16. 田村元

    政府委員(田村元君) 現在の北陸地方は公共土木施設がずっと雪に埋もれておりまして、新潟県から四百六十五万円でありましたか、道路災害の報告があった以外まだ報告がないような現状でございます。判明次第調査の結果、すみやかに復旧に手をつけたいと思っておりますが、なおこの構想等につきましては関係局長も参っておりますので、御説明をさせたいと考えます。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 関連して、国鉄の方にお伺いしたいのですが、今度の雪害事態については武内委員からいろいろ具体的な質問があったのですが、私はこれに関連して、新潟鉄道局ができた一つの理由として、これは確かに仙台からは裏日本新潟付近の雪に対しては手が届かないということで、幾度も陳情もあって、特に雪のためにあそこは鉄道局ができたと私は記憶しているのでございます。従って、雪に対してはこれはもうああいうような事態に対する万全の措置ができていなければならぬと私は思うのですね。今度の場合にはあるいはやむを得ない現象かもしれませんけれども、何か特別に最近非常に雪が少なかったということで、油断があったのじゃないか、こういうような気がするのですけれども、そういう点についてはどうでしょうかね、新潟鉄道局ができたというそもそもの理由ですね、そういうものをさらに再認識する必要があるのじゃないか、こう考えるのですが、所見をお伺いしたいと思う。
  18. 石原米彦

    説明員石原米彦君) ただいま大倉先生から御指摘のございましたように、新潟の局ができましたのは、やはり裏縦貫線の特殊事情をよく把握してそれに対処すべきである、それには仙台あるいは東京のような遠くから判断してはいけないという点もありまして新潟の局ができました。その後いろいろ機構が変わりまして、現在は新潟の支社が独立しておりますが、いずれもそういう裏縦貫線の特殊事情をよく把握して、それに直接対処しなければならないという趣旨が、大いに入っていたものと私どもも了解しております。これは新潟ばかりではございません。金沢の局あるいは北海道の各局というような所では雪に対しまして戦うと申しますか、雪期間中に何とか輸送を全うするというのが一年中を通じて最大の行事でございまして、従いまして雪の期間に入ります前には必ず支社単位あるいは管理局単位あるいは保線区単位というようなもので、おのおの雪害対策会議を大体雪にかかります前にいたすことになっております。私は新潟地方には勤務したことはございませんが、北海道には三冬勤務いたしました。いずれもその期間中にはその雪をどうして把握するか、またそれに対する設備的な準備とか、人夫の雇い出しであるとか、連絡方法であるとかというようなことにつきまして十分に準備をいたします。これは一年中で一番大事な、一番頭を使います、また予算も使います行事になっております。そうしまして、ただ雪というのは非常に変化がございまして、たとえば新潟までやられましてもすぐ近くの長岡が割合に平気でいましたり、裏縦貫線がとまっておりますのに、もう一つ隣りの越後線では列車が平気で走っておったりというような工合で、非常に千変万化でありますので、その設備的なもの、防雪棚というようなものは大体毎年雪の多いような所にどの程度のものを置くかというようなことはわかりますが、人夫を出して救援するとか排雪列車を出すとか、それから雪が構内に積もりましたのを雪捨列車を出しますとか、こういう特に列車運行整理活殺というようなことになりますと遺憾ながら雪というのは、出たところ勝負でやらなければならぬものが多いので、いかにして出たところ勝負でうまく対処していくかということの連絡も事前に十分にいたします。暖冬がここ続きましたのは事実でございますし、また十二月中に大雪害というのは記録がないところでございますが、準備といたしましては今言ったようにその年の最大の行事として、どの局でも雪の地方では十分に協議をし、予算の許す限りの万全の措置をいたすことにしております。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 雪というのは非常に変化が多くてつかみにくいという弁明をされておるのですけれども、つかみにくいがゆえに仙台や東京からでは手が及ばぬから特にあそこへ雪のために局を作ったのですよ。国民やわれわれはそういう専門的なことはわかりませんよ、わかりませんからこれは一切国鉄に信頼をしておるよりしようがないのですけれども、あの事態がもう少しあるいは悪化すれば雪だるまになってとじ込められてしまう、もし暖房が切れたらどうなりますか、これは非常に私は戦慄すべきものがくると思うのです。あのとき新聞で見ておってはらはらしておったのです。今あなた方が雪についてのむずかしい説明をなさっているのですが、これは弁明に過ぎない。これはやむを得ないという事態であったかもしれませんが、そういうものを克服して安心をして国鉄にまかしてもらいたい、こういう心がまえを作ってもらいたい。だからこれはやむを得なかった、いまだかってないことである、全然気がつかなかった、雪がむずかしいものだ、こういうことだけでは非常にこれは不安ですよ。ですから新潟鉄道局ができたというその精神、理由あるいは原因というものを十分一つ再認識してもらって、再びこういうことのないように徹底的な一つ措置を作ってもらわなければならぬ。これはあるいは北海道に起こるかもしれない、あるいはまた関ケ原、あの辺において起こるかもしれない。あらゆることについて、予算が要るならそっちに予算を使うということにしてやってもらわぬと、あぶなくてしょうがないですよ。あそこで暖房が切れたらどうしますか。しかも、自衛隊が一体いつごろ出動されたか私はよく記憶しておりませんけれども、もっと早く手を打つ手段があったのじゃないかと思うんですが、そういう点について重ねてもう一回お答え願いたいと思います。
  20. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 御指摘のございましたように、私どももあの災害によりましていろいろ反省をいたしまして、対策を協議して今後実施することに考えております。  まず、設備的に申しますと、さいぜん御指摘のございましたように、流雪溝を今後ふやしていくということにぜひしてもらいたいと思います。  それから雪かき車につきましては、ロータリーラッセルも古いものでございまして、ロータリー車はディーゼル機関車で雪かきをする。これは蒸気を上げる心要も何にもございませんで、すぐに出動することができますので、新型車を作りまして今北海道で試運転をしております。これが成功いたしますれば、今後こういうものによりまして早く出動して有効な除雪、排雪作業をするということに一つの威力になると存じております。  それから助勤者の出動、これはある程度以上の災害になりますと、その所在の職員だけではとても手が回らなくなりますので、他の管内からの応援につきましても、今回特にその装備、設備といったものにつきましてなお不十分な点がございましたので、直ちに応援して役に立つような装備を準備して、救援をすぐに出せるようにするというような点についても、今後は十分に手配をしたいと思います。  自衛隊、消防団は、これは非常に早く応援に来ていただきまして、暮れ正月人夫が集まりませんときに大へんに援助ていただきまして感謝をいたしておりますのですが、特に暮れ正月でございましたので、自衛隊の援助は有効でございました。  それから御指摘のございましたかぜ引きであるとかあるいは疲労のための病人が出るということも、非常に心配でございまして、あの際もお医者さんとか看護婦を救援列車に乗せて各方面に配りまして救護にも当たりましたのでございますが、これらに対しましても、今後いつでも出動できるように十分心がまえをしておく必要があると存じております。  それから連絡関係につきましては、どういう状況になっていつごろ動くかということがなかなかお客さんに徹底できませんで、お客さんの不安を増した点もございますので、全体の状況と今後の運行状況というものを早くお客さんに周知徹底させるという点につきまして、今後なお訓練、準備をする必要があると存じております。  これらはいずれも災害によりまして教えられました点でございまして、これらにも十分気を配りまして、今後はできるだけ御迷惑をかけることのないようにいたして参りたいと存じます。  ただ一番心配をいたしました、駅の中間にとまりますと、これは大へんなことだったと思いますのですが、幸いにしまして旅客列車七十四本とりこになりましたのが全部駅にとまりまして、ただ前の武内先生の御質問にございましたような小さい駅にとまりました所では、援護の手が十分に行き届きませんで大へん御迷惑をかけた所もございましたが、駅の中間でございますとこれは非常に大へんなことだったと思いますが、この点は早目に駅へとめまして、駅の中間でとめるということだけは防ぐことができましたのでございます。  いろいろ今回の災害によりまして教えられました点につきましては十分反省いたしまして、今後は一そう誤りのないようにいたして参りたいと存じます。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 これは一つ要望というか、検討もしてもらいたいと思うんだが、どうも人手が足りなかったということが相当の原因になっておるようですね。それからもう一つは、何か自衛隊に対してえらい遠慮がちな発言なんですけれども、これは自衛隊をどんどん使ったらいいと思う、そういう建設方面に。しかも、ああいうようになってしまってから自衛隊が来ても現場に寄りつけないでしょう。これはさっきから聞くと、気象通報あたりもそういうことを予告しておったようですけれども、そういうときに遠慮なく自衛隊に出て来いと、もう自衛隊をどんどん使ったらいいと私は思うんですよ。特にそういう雪の季節の対策だけに平生からそういう人間を確保しておくということは、非常にむずかしいですから、幸い自衛隊がああいうたくさん人間がおるんだから、あらかじめ連絡をして一つ所要の配置についてもらうとか何とかいうそういうことを私やってもらっていいと思うんです。遠慮なくどんどん自衛隊に活躍してもらう、そういうことでこれからおやりになったらどうかと思うんですがね。  それからもう一つ、ついでにお伺いしたいんですけれども、北海道あたりでこの前の災害ですか、風倒木がたくさんできたときに、防雪林もたくさん被害をこうむったはずなんですけれども、その後その復旧状況はどんな工合になっておりますか。
  22. 柴田元良

    説明員柴田元良君) ただいまの先生のお話にお答えいたします。  自衛隊の出動要請を現実にいたしましたのは三十日でございます。この時期をもう少し早目にして待機してもらっておったらどうだったかという先生のお話であります。私どもといたしまして、そういった判断が雪の降り工合とのにらみにおいて、あるいは非常に間違っておった、というのが今回の原因だったかとも思うのでございます。しかし、たまたま自衛隊にお願いいたしまして、ちょうど暮れから正月にかけましての中間の時期に入ったということもございましたが、三十一日以降平均七百ないし千名の御援助を得ました。この結果、地区的に非常に除雪が進みましたということを非常に感謝いたしておる次第でございます。今後こういった自衛隊との連絡につきましては、その時期なりあるいは要請いたします活動の方法もございますが、十分注意して検討して参りたいと考えております次第でございます。  それから北海道の風倒木の跡始末でございますが、北海道地区は御承知のとおりに吹雪がひどいのでございます。そのために北海道の鉄道建設は吹雪を防ぐ設備で始まって参っておりますが、その後倒されました地区のうち必要な個所につきましては、引き続き今日まで植林をいたしておりますが、その具体的な数字はただいま私ちょっと持っておりませんものですから、必要がございましたらのちほど資料で差し上げることにして御説明申し上げていいと思います。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 いや、それは資料は要りませんが、私のお伺いしたことはそういう点についても注意をしてもらわぬと、今度は向こうでそういう災害が起こったときに、いや、これはこうだった、あれはああだった、やむを得ないんだ、というようなことでまただめになってしまう。で、災害というものはいつ来るかわからんですよ、わかりませんから平生からの心がまえが必要だ、こういうことを先ほどからずっと申し上げておるつもりでありまして、どうか一つ今度のことを大きな参考とされてそうして万全の措置を願いたいということを要望しておきます。
  24. 山田節男

    ○山田節男君 私も関連質問したいと思いますが、先ほど運転局長あるいは施設局長の答弁、それから武内委員大倉委員質問に対する報告を受けまして、今回の未曾有の豪雪による数万人に及ぶ乗客の迷惑並びに数億の国鉄の損失を来たしたこの事実について、いろいろ答弁を伺ってみると、これは未曾有の豪雪であった。これは間違いないことです。しかし、雪は地震とか洪水とは違うのです。たとえば洪水による損害だったら建設省の責任もあるでしょう。しかし、雪というものは、一時間で数メートルも積もるものではない、なだれ以外においては、そういう異常な積雪になることはないと思うのです。先ほど武内委員質問によると、正月の元日に新潟市外に電話をかけたら、除雪作業についてい除雪車は一台しか動いていない、こういう御答弁でした、こういう御報告が今あったわけです。ところが雪というものは、やはり少なくとも数時間……、常識で考えても一時間か二時間で積もるものではない、鉄道が不通になるということは考えられない。そうしますと、かりに三時間ないし五時間の間に除雪作業をすみやかに開始すれば、そんなべらぼうな雪害による旅行の被害者というものはふえなかったのではないか。そこに私は今の新潟の支社を設け、あるいは除雪車は今九台と言っておられるが、たとえ九台にしてもタイムリーにこれを動かせば、今度のようなそういう迷惑あるいは損害を及ぼすような雪害は防げたのではないか。そういう一面においては、鉄道の新潟支社なら新潟支社の除雪に対する人員配置の機動性というものが、敏活を欠いたということです。そこに私は第一の原因があると思う。  第二は機械化の問題です。先ほど運転局長のお話を聞きますと、今からディーゼル除雪車を試作して実験して非常な効果をあげている、こういうことを今この委員会で述べるというのは何たることだということになる。不用意きわまるではないか。少なくとも今日の日本のように鉄道に依存している国においては、国鉄としては万全を期して大地震あるいは大洪水あるいは大雪害というものについては直接科学的な調査をすること、そして機械的に対処する方法を考えねばならぬ。私は少なくとも全国の北海道を除いて、内地でたちまち寒冷地において動員し得る除雪車、あの地域について除雪車は何台あるか知りませんけれども、それも聞きたいのですが、ロータリー車にしてもあるいはラッセル車にしても、全部機動性を持たしてあそこに集中すれば、こんなべらぼうな雪害は防げたのではないか、もっとそれを減殺できたのではないかということをわれわれはしろうとながら感ずるわけです。そういう点で先ほど来の武内委員質問に対する答弁を聞いていると、私は国鉄の運営状況は知りませんけれども、どうも国鉄が独占事業であるためにマンネリズムがある。これはたとえばフィンランドとかスイスなど、ことにスイスの場合、日本よりももっと地理的には雪害の多かるべき所においても雪害がない。これは時間的にもそれに対処する機械化、機動性、こういうものを徹底的にやっているのではないか。こういう点において国鉄においてはいささか劣っている。いわゆる怠慢とは言いませんが、もう少し先見の明のある対策を講じないためにこういう被害を及ぼしたのではないか。これに対する国鉄当局の見解を一つ承りたい。
  25. 柴田元良

    説明員柴田元良君) ただいま先生の最初の御質問でございますが、除雪車が動かなかったということでは毛頭ございません。これはラッセル車という形の除雪車は二十七日からもうずっと動いているわけでございます。ただロータリーという回軟式の外に飛び出させるという機械のものが、あとから働いていくという作業順序で、そうなったのでございまして、原則的に一メートル以下の雪の程度におきましては、ロータリーというものは使わないわけでございます。押し出すラッセル式の除雪車というものが活動するわけでございます。これはもう二十七日から日に千キロないし二千キロというものを新潟の管内でもできるだけ運転ているわけでございます。でございますので、ただ吹雪が急になりますと、先ほど申しましたように、すでにそれまでにかなり両側に雪が壁をなして線路を狭めておりますので、だんだん動かなくなった、そういう時期においてロータリーというものが働くわけでございます。除雪につきまして国鉄におきましては、とにかくラッセルというものは、もう常時動いておるわけでありますから、その点につきましては機械は十分活躍しておるわけでございます。  それから機械化につきまして、確かにこの面においての機械化がおくれていることは事実でございます。しかし大正の初め、あるいは明治の末期から外国よりいろいろな除雪車が輸入されましたが、その後日本におきまして、いろいろと日本の雪の質あるいはその他に適合した改造をして参ったおけでありまして、その除雪車が現在二百五十台あるわけであります。いろいろなタイプがございますが、そういうものがあるわけでございます。こういうものは残念ながら蒸気機関車を使わないと動かないわけでありまして、蒸気機関車そのものが今回のような雪になりますと、水の問題あるいは燃料の補給の問題といろいろございまして、なかなか動かないという問題が出てくる。そういうことは先ほど運転局長が御答弁申し上げましたような、そういうものに頼らない自動、自走のディーゼル機関車という毛のに切りかえようと目下計画を進めて、そういう今試験をやっているということでございます。そのほか小型の除雪車につきましても、現在北海道あるいは新潟におきましてもすでに使っているわけでございます。ただこういった機械化につきまして今後私どもはぜひ強力に進めまして、こういった除雪作業をもっと能率よく進めるというふうに進めて参りたいと考えております。
  26. 山田節男

    ○山田節男君 機動性のタイミングですね、地震とか洪水とか大雪ということに対する対策の反省を一つお伺いしたい。
  27. 柴田元良

    説明員柴田元良君) 機動力の問題でございますが、当初から大体風雪地区の主、要なジャンクションには、そういった機械をあらかじめ雪が始まります前に配置いたしております。今回におきましても、たとえばそういうものを置いてあります地区そのものが、また雪に見舞われるおそれも実はあるわけでございますので、その機械を配置がえするかどうかかなり判断に実は問題があったわけでありますが、先ほども答弁申しましたように、秋田地区あるいは福島地区あるいは長野地区から、そういった機械も機動力を発揮させて応援をさせたわけであります。ただこういった機械は冬季間しか実は使わない種類でもありますために、どうしても地域も限定せられますし、また必要な箇所にのみしか配置しておらない、そのために都合もございまして、原則としては大体配置された地区において解決をするというふうな考え方を実は根本に持っておりますために、目ざましい機動力というものは、思うように実はいかないわけであります。しかし、先生のお話のような新しい機械化の段階におきましては、常時冬季以外におきましては、一切の賞業に使う機関車の全部に除雪に必要な付属品をつける、という考え方機械というものを今生として試作もし、現実に使おうとしておるわけでございますので、そういった年間を通じて使える機械というものの中で、こういった除雪機械化するという考え方に切りかえて進めていく、そういった意味において今後の機械の機動力というものは、さらに期待できると思います。
  28. 山田節男

    ○山田節男君 七十五列車も、いずれにしても数万の乗客ですか、そういう各地方から列車がそういう雪害地に入ってくるということは、少なくとも時間的に数時間以上の余裕があったに違いない。そういったものが予見され、現実に現地ではそういう非常な雪害による交通の困難が出てきているときに、なぜ切符の販売を停止したり何かして、人々をそういう雪害のセンターに追い込まないような予備措置ができないのか、これは一体何か理由があるのですか。
  29. 石原米彦

    説明員石原米彦君) ただいま御指摘がございましたように、雪害地帯に列車がたくさんおりましたので、非常に御迷惑をかける方が増えましてまことに申しわけなかったのでございます。あの雪害の際に一番判断に悩みましたのは、三十日の急行列車を出すか出さないかという点でございました。三十一日からは上野におきましても、その他急直行列車は全部押えてしまったのでありますが、三十日まで急直行列車は出しましたが、当時の状況は二十九日から荒れ出しましてかなりダイヤ混乱いたしておりましたが、線路がいよいよいけなくなりましたのは三十日の夜半近くですが、これは金沢と北陸では時間的にはかなりズレもございますが、そこで三十日の列車をとめるかとめないかということでございましたが、非常にまずいことに三十日はさいぜん申しましたように、一番お客さんの多い日でございまして、帰省するお客さんが上野駅なんか、ほとんど駅の外まであふれるほど殺到して待っていたのでございますが、それでとまってしまって線路が不通になりますれば、当然お客さんに放送いたしまして納得して帰っていただくおけでありますが、吹雪がやみますればできるだけ早く復旧する見込みがございますし、また不通にもなり切っておりません間に、不通になるかもしれない、相当あぶないから帰ってくれということはなかなか納得していただけませんので、切符は大体水上あるいは小出までということで、あるいは北陸回りの列車は福井までという条件は放送いたしまして乗っていただいたのでございます。ここの判断には非常に迷いましたところでございますが、さいぜん申し上げましたように雪害でございますから、列車が若干おくれても終着駅までには結局は到着できるというふうに考えまして、危険はないだろうという判断をいたしまして、三十日までは急直行列車も発車させましたわけでございます。結果的に見ますと、その点、出ました列車雪害にとめられまして、非常に大ぜいの方に御迷惑をおかけいたしましたのでございますが、三十日の状況でございますと、どうもとまりそうだからお引き取り願いたい——これはふだんの列車でございませんで、一年一回帰省されるお客さんが上野駅に殺到しましたので、それが非常に判断に迷ったのですが、極力努力して列車を通そうというわけで三十日までやりまして、三十一日の夜半にこれはいよいよ大雪害になるということで、三十一日にとめたというこれらの判断が、結果的に甘かったというか誤っておりましたので、この点はまことに申しわけなかったと思っております。
  30. 山田節男

    ○山田節男君 これも要望になりますけれども、先ほど大倉委員も言われましたが、私、当日あの状況下においてのテレビの放送を見たときに、シャベルを使って除雪をやってい状況を見まして、これはもっとも駅の構内であったような気もいたしますが、これを見て、私は今日の国鉄のそういったような災害が起きた場合の対策の、とっさのこととは言いながら、決してこれは怠っているというわけではないが、非常に原始的なことをやっているという印象を受けた。少なくとも今日は機械化の時代、科学技術のこれほど進んだ世の中において、国鉄がシャベルを持って細長い沿線の雪を片付けなければならぬという、こんな非能率な原始的な状況を見て、私、全般を知るわけではないが単なるこれは除雪の問題ではない。私は一つの国鉄全体のマネージメントに対する本委員会としての要望を持っているわけですが、これはその一つの表現です。私はこういう点を見て非常に情けなく思った。さっき御答弁がないけれども地震とは違うのです。時間的にいえば少なくとも数時間を要するのです。その間になぜ間髪を入れず機動性を持たせられなかったか。新潟方面作業に一台しか動かなかったという、現実に電話をかけた武内君がおられるのですから、そういう点はいかに弁解されようと、私は国会議員として要望しなければならん点を非常に強く感ずるわけです。ですからこれは国鉄の国営の一番の欠点は、そういうことに対する機敏な効果的な対処を講じ得ないという官僚組織の一番悪いところです。命令系統というものが科学的にできてないのです。平素からいわゆるオペレーション・リサーチというものをやっておけば、こんなばかな、世界で驚異をもって見られるようなこんなふしだらなことはない。ですから今日のところの弁明は一応了とするけれども、将来こういうことがあり得ないという保障はないのですから、もう少し真剣になって科学的基礎において、せっかく機動性を持つレールを持っているのだからレールを利用する。時間的にかついで歩くのじゃ間に合わないのですから。そういう点については少なくとも国鉄当局のオペレーション・リサーチに対する認識がきわめて甘かったというところに、今度の不時の災害とはいえ国鉄の不用意が暴露ざれたのだ。はなはだ気にさわるかもしれないけれども私はそういうふうに判断せざるを得ない。少なくともこういう点は、日本のような地震国、洪水国、それからときとして雪というものに対して雪害の可能性のある地域においては、もっと真剣に科学的にしかもタイミングよくきわめて短時間にやるだけの平素十分の用意をしておかないから、こういうことにな  るのじゃないかということを私は感ずるわけです。これは外部からですから、内部的な事情はいろいろありましょうけれども、しかしわれわれ外から見れば、決してあなた方の弁明は正当化されないのです。この点一つ単なる局長だけではなくして、大臣初め次官等もこの際こういうものに対する特別の配慮をまじめにして頂きたい。金はかかってもいいです、人命に関する問題ですから。一そうこの点について私は強い要望を申し添えて質問を打ち切ります。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 説明がないから私からもう一点だけお伺いしたいのですが、国鉄の生命線は一つは通信連絡だと思うのです。あの当時の通信連絡状況はどうであったのですか。
  32. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 通信連絡につきましては、雪害の場合に通信が非常に杜絶する場合もございますのですが、今度の災害におきましてはその点幸いに電線が切れる雪害でございませんで、これは雪の質によりますが電線はほとんど切れませんで、通信連絡はほとんど杜絶する時間なしに保つことができました。それからまた遠距離に当たります本社新潟との連絡というものにつきましては、最近SHFという電線を使いません通信方式が普及いたしまして、これが大いに役に立ちまして、杜絶せずにすみましたのですが、なお末端の連絡につきまして無線機を使うというような方法を今後なお研究していかなければならない。今後予算の許す限りは、これは雪害ばかりではございませんで風水害をもあわせまして、そういう末端の局にまで通信連絡の改善について十分努力をして参りたいと思っております。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 ちょうどあのときに私は長野から東京へ来る汽車に乗っておったのですけれども、そのときの情報は直江津においては通信線が切断をされて、あるいは電灯、送電線も切断されて構内が大混乱である、こういう情報を私は汽車の中で聞いたのですけれども、そうではなかったのですか、あのとき。
  34. 石原米彦

    説明員石原米彦君) この通信が途絶いたしまして非常に問題になりましたのは、あの雪害より少し前に、二十七日と記憶しております、二十七日に、これは通信線に付着して切れる種類の雪でございまして、このときには通信が途絶して混乱しました。二十九日からの雪害の前の雪害でございます。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、通信線が切れたとかあるいは切れなかったというお話があるのですけれども、そういう状態にしておくこと自体が危険じゃないですか。ああいう雪の降る雪害の多い所で通信線や送電線を裸で空中へぶら下げておいて、あるいは切れるかもしれぬという状態は、これは私は工合が悪いのじゃないかと思うのです。これはもうやはり地中に埋没すべきです。そうでないと、もし通信線が切れたらどうなりますか、めくら運転ですよ。たださえ直江津という所は吹雪の非常にひどい所で構内線はたびたび切れるそうでありますけれども、そういう所で通信線が切れたらどうなるか、送電線が切れたら暖房はどうするか、あるいは石炭はどうするか、大へんなことになると思うのです。そういうようなものをそういうような状態にほうっておくこと自体が怠慢のそしりを免れぬと思うのですが、どうでしょう。それは地中に埋没するような計画はありませんか。
  36. 石原米彦

    説明員石原米彦君) これはおっしゃいますように、雪の多い地方では当然ケーブルにすべきものでございます。地上にあります限りは雪の質が悪ければ必ず切れますし、通信が途絶したとき大きな混乱が起こる。前に山田先生からも御指摘のございましたように、私ども施設に関しましては、いろいろな不備な点は私ども十分に認めております。通信線は地下ケーブルにしておりますけれども、それも遅々として進んでおりませんし、それから機関車設備につきましてもほとんど三十年前の古い車両ばかりでございまして、それは逐次数もふやしますし、新しい型式のものにして参らなければならぬと存じます。またショベルを使うというお話がございましたが、これもブルドーザー式のものをできるだけ増備するということにして参らなければならぬと存じておりますが、遺憾ながら現在線路全体につきましても、単線区間では雪にやられますと、ふだんでも輸送に困難しておりますような状態でございます。それらにつきましては予算の事情が非常に苦しかったということで、それらは十分気がついておりましたけれども手が回りかねておりましたので、今後ただいま計画しております新五カ年計画をお認めいただけますならば、そういうような欠陥につきまして、できるだけの努力を払いまして、有効にそういう欠陥を補っていきたいと思っております。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 これはまああなたに申し上げても仕方がないかもしれませんが、金がないといえばそれまでのことです。金はありますよ。東海道でも「とだま」やりっぱなものを作る前にそういう施設をやるべきですよ。これはあなたの方はまあああいう東海道はりっぱなものを作って、東海道だけはりっぱになるかもしれませんが、一方裏日本に行ったらそういう通信線のケーブルさえもできない。最近雪害時においては、電電公社の電話線はケーブルになったでしょう、みんな。にもかかわらず通信連絡を生命とするこの国鉄においていまだにそういう状態が直らないというととは、これは怠慢のそしりを免れぬですよ。これはやはり一刻も早くそういう措置をしてもらいたいですね。そうでないとこれは危険で仕方がないのです。どうですか。電話が通じない、電気が通らない、無線連絡するなんという、まことにどうもこうやくばりのようなことを考えずに建設した方がいい、建設しなければならぬといったらやったらどうですか。これは「こだま」一つ作るのをがまんすればできるでしょう。ああいうものをがまんすればできると思うのですよ。どうですか。早急におやりになる計画はないのですか。やはり局長さんから、あなたの方からどんどん推進してもらわなければ、大臣だってわかりゃせぬですよ。
  38. 柴田元良

    説明員柴田元良君) 通信線のケーブル化につきましては具体的な計画を持っておりまして、できるだけこれは早く急いでやりたいと思っております。
  39. 野本品吉

    ○野本品吉君 今度のまあ大雪が非常な災害を起こしておるということで問題になっておるわけですが、当然この問題が国鉄の問題になり、建設省の問題になって、今国鉄建設省の方々からいろいろな答弁を聞いて皆さんのお考えも私もわかった。実はわれわれとしましては異常な豪雪によります被害の実情を把握して、そうして総合的に古書対策というものを考究すべきである、こういう考え方で実はこの一日から私は秋田、青森、別の班は新潟、山形、それからもう一つの班は福井、石川と各地を視察調査して、実は昨晩私は帰ったのです。いろいろ御論議になっております点が一々うなずけるわけでありますが、ここで今後それらの視察調査の結果に基づきまして、さらに総合的な検討を加えていこうとしておるわけでありますが、私と毛が現地を見てしみじみ感じますことは、まあ国鉄建設省の当面の責任において解決すべきもろもろのこともありますが、別に豪雪除雪のための府県市町村、個人の負担というものは相当大きいものがあるのですね。それからまた駅に行って見ますれば、たとえば秋田にしろ青森にしろ二十万トン近い滞貨がある。それで駅の滞貨が多くなって荷物を動かすことができませんから工場の生産作業をストップせざるを得ない、倉庫の中にはこれまた膨大なものがびっしり詰まっておる、だから工場で仕事をやめなければならぬ、どういうようなことがあるわけなんです。従ってその駅頭の滞貨、工場の倉庫内の滞貨等に伴いまして、地方の産業経済や市民生活というものと非常に深刻な関係があることがはっきりわかったわけなんです。総じて私はこの問題の解決は当面国鉄あるいは建設省主力となってやるべきことであるということも考えられますけれども、これは産業あるいは経済、文化の各種の面における東北の後進性というものが一体どこからきておるかということを考えると、この東北の産業、経済、文化の後進性というものが多量の降雪による損害、これが相当大きな原因をなしているということを私はまあ感じてきたわけなんです。そういうふうに考えて参りますと、この豪雪の問題、雪害に対する対策というものは単に国鉄及び運輸省だけの問題でなしに、政府全体の大きな問題として総合的に検討すべき問題であり、またそうしなければ雪害からくるいろいろな問題が解決処理されない、こういう感じを強く持って私は帰ったのです。  そこで本日田村政務次官もお見えになっておりますから、私は他の機会でもそういう私の考え方を申し述べたいと思いますが、田村政務次官はこの際やはり運輸省だけの問題とか、建設省国鉄だけの問題だというふうな、事務的な狭い技術的な研究も必要だかしれませんけれども、より高度の政治的な考慮と政治的な解決ということを考えるべきであるということを、一つ政府部内として取り上げるように、ということを私は特に強く要望をしたいと思うのです。私は質問にかえまして以上要望するわけです。
  40. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 私からも一言付け加えておきたいと思うのでありますが、先刻の質疑応答の際に、石原局長より何十年に一回の特殊の事態であるというようなお言葉があったのでございますが、そうしたお気持私も一応わかるのでありますが、鉄道関係における雪に関すると見られるべき予算は、あまり雪が近年少なかったのでだんだんと減っておるというようなことも伺い、知っておるのでございますが、しかも気象庁の中では有力なエキスパートの方々の間で、ちょうど昨年から周期的に今度は雪がたくさんになる、従って豪雪が今後相当の期間続くというようなことも、また有力な意見として気象庁から承っておるのであります。そういたしまするとよほど運輸省におかれましても建設省におかれましても、その他の省におかれましても従来の感覚でなしに十分な御注意が必要だと思うのでございます。この点は特に指摘をしておきたいと思うのでございます。  なおただいま野本委員よりお話の相なりましたように、後進地域のよって来たるところはこの豪雪ということがきわめて大きな原因であろうと思います。天の恵みの厚い薄いから生ずるところの禍福を調節することが政治の根本でなければならぬと思うのでございまして、従いましてこの雪の問題を、ただいま御発言のありましたように、政府として十分御検討の上で対策を立てられないといたしまするならば、池田内閣の地域格差の問題の解決にもならぬと思うのであります。この点は特に御留意を賜わりたいことをつけ加えておきたいと思うのでございます。  なお武内委員より、建設省雪害に対する根本的施策についてお答えを願いたいということでございまするので、お答えを願いたいと思います。
  41. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 今回の異常な豪雪によりまして、私が担当しておりまする公共土木施設の災害関係を中心として御説明をしたいと思います。異常な豪雪のために今後例年にないような災害も予想されると思います。たとえば雪解けのときの地すべり、それから急に雪が解けるための洪水のはんらん、こういう点が考えられるわけであります。これらの点につきましては今後よく気象状況判断いたしまして、つまり急激に温度が上昇いたしますと、そのために雪が急に解けて洪水を起こす、あるいはわずかな降雨によりましても雪が解けまして洪水のはんらんを来たす、こういう点が予想されるわけでございます。従って今後気象状況に十分注意をいたしまして災害の点については早期発見に努めまして、これを応急に復旧する。なお現在河川事業等工事中の箇所につきましてはそういう点を十分考慮して応急の手当をする、こういうような点を考えまして、今後異常な降雪による洪水のはんらんというものにつきまして、できるだけ最少限度に人畜の被害を押える、こういうふうに努力をして参りたいと思います。
  42. 武内五郎

    武内五郎君 それで特に私はもう大体了解いたしましたが、一点だけお伺いしたいのは、交通確保の道路上の問題でありまするが、交通確保のためのやはりこれは道路についての融雪施設、それから除雪機械の設置、こういうようなものを今後建設省として国費で設置するの考えがあるかどうか。それから現在また将来この降雪期に入って施行されます工事について、除雪費等が工事費の中に見積もられているものであるかどうかということをお伺いいたしたい。
  43. 高野務

    政府委員(高野務君) 豪雪地帯における道路について申し上げます。道路の除雪につきましては、北海道におきましては北海道開発局等、内地におきましては指定区間は地方建設局、県、市、町村等の道路管理者が任に当たっているわけでございますが、道路全体から申しますと今なお雪の下にある道路があるということでまことに遺憾のきわみでございます。自動車交通の少なかった過去におきましては、豪雪地におきましては冬季には道路が雪の下にあるという通念があったわけでございますが、現在のように自動車交通に依存するととが非常に多くなってい状況下におきましては、経済活動のためにこのようなことは許せない事情にあるわけでございます。このような点にかんがみまして、昭和三十二年に積雪寒冷特別地域の道路交通確保に関する特別措置法が作られたわけでございます。これによりまして昭和三十二年から六カ年間の六カ年計画を閣議決定いたしまして目下実施中でございます。その内訳といたしましては、まず第一は除雪事業でございます。第二は防雪事業でございます。第三は凍害防止事業でございます。第一の除雪事業につきましては、北海道開発局あるいは建設省地方建設局が担当いたします区間につきましては、直轄でそれぞれ実行しております。また、都道府県その他の管理者に対しましては、除雪機械の補助をしております心除雪機械はブルドーザー、グレーダー、ローダー、あるいはスノー・プラウをつけるためのトラック等でございますが、これが三十三年から三十五年までで、全部で十六億支出しているという状況なのでございますが、しかし、現下の状態からいきまして、これではとうてい交通上の要望に対処することができないという状況でございますので、今後さらにこれを拡充して参りたいと思っております。従いまして、昭和三十六年度から新しい五カ年計画を策定していただきまして、これによって道路整備をやっていきたいと思いますので、その中にはさらにこれを拡大してやつて参りたいと思っております。なお、第二の防雪事業、これは積雪地内の道路でなだれが発生いたします所とか、また、特に吹きだまりがある所等を、あらかじめそれに対して措置をしていくという事業でございます。第三は凍雪害防止事業でございまして、これは冬期道路がしみ上がるために交通ができないというようなことを防ぐための事業でございます。過去の実績によりますと相当の成果を上げているわけでございますが、私どもの目から見ましてもなおこれでは足りないという感じが深いわけでございます。今後一そう努力をします。
  44. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) ほかに御発言もないようですから、本件に対する質疑はこれをもって終了いたします。  午後は一時より再開いたしまして、昭和三十三年度決算建設省の部の審査を進めます。  それでは午後一時まで休憩をいたします。    午後零時十三分休憩    ————・————    午後一時十二分開会
  45. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 午前に引き続きまして、委員会を再開いたします。  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十三年度政府関係機関決算書を議題といたします。  建設省の部の審査を進めます。  まず、会計検査院から概要の説明を願います。
  46. 白木康進

    説明員(白木康進君) 三十三年度の建設省所管の不当事項のあらましを申し上げます。  三十三年度の検査報告に掲げておりますのは、いずれも道路、河川その他の公共施設の工事の関係でございまして、内訳を申しますと、地方建設局の直轄工事が一件、それから地方公共団体が施行した補助工事が事項にしまして十万円以上十七、件数にしまして十一件、それから災害復旧事業費の査定額を早期検査によりまして減額させたもの一件、合計十三件であります。  直轄工事につきましては、ここ数年来検査報告に掲記された事項が一件もございませんが、三十三年度におきましては、北陸地方建設局が富山県の立山山麓瀬戸蔵地先に施行しました砂防堰堤につきまして施工法が適当でなかったために、約六カ年にわたって四千数百万円の工事費を使用しましたダムが崩壊あるいは傾斜いたしまして、五千数百万円をもって再施工するのやむなきに至ったという関係が一件ございます。本件は砂防堰堤でございまして、御承知のように、水力発電のダムなどと違いまして、通常、基礎が岩盤につかない設計となっておるのが普通でありまして、その関係から、堰堤の落差による前面の下流部の洗掘を防止するために副堰堤あるいは水たたきを施工するというのが、砂防堰堤の通常の工法となっております。本件の堰堤も、そういう設計になっておりますが、当局におきまして、この副堰堤と申しましても、やはり本堤と同じく二百メートルに及ぶ長大な堰堤でございまして、その基礎掘さくの経費が、本堤が立ち上がったあとに、下流部が洗掘されてから施工すれば、その掘さく費が相当節減できる、これは当局の説明によると、百五十万ないし二百万円の工事費が節約できるというようなことで、本堤は約六カ年かかって施工されておりますが、大体本堤が立ち上がった後にこれを施工し、完成後二年で副堰堤ができし上がる、こういう計画で施工されたものであります。  ところが、三十四年の、つまり、完成しました直後でありますところの三十四年七月に、毎秒千三百立米の出水によりまして、堰堤の半ばが倒壊または傾斜して再施工のやむなきに至ったわけでご、ざいます。  本院におきまして、この工事の施行の工費について検討しました結果、先ほど申し上げましたように、本堤が岩盤につかない、つまり、土砂の上に、いわば浮いておるところの堰堤である。それから、本件の施工個所が、常願寺川とその支川の称名川という二川が合流しまして川幅が非常に広く、河床の勾配も相当大きいところでございまして、計画流量は毎秒千八百立米となっておるわけでございますが、こういった現地の状況から見まして、この堰堤を築造する際の河床の洗掘については、特に注意を要する個所ではないか、他の砂防堰堤に比べましても、相当にそういう点を特に考慮する必要があったのではないか。逆に申し上げますと、先ほど申し上げました本堤が立ち上がった後に副堰堤を施工することによる掘さく費用の節約というようなことは、もちろん、これは当局としてお考えになったのは、まことにごもっともでございますけれども、ただいまのような条件を考えますと、この判断が多少甘くはなかったか、むしろ、この程度の規模の工事を施行する場合には、やはり通常、建設省がおやりになっているような本堤と副堰堤の同時施工というような通常の工法によられることが相当ではなかったかというふうに考えまして、本案を提案しておるわけでございます。  なお、この出水でございますが、三十四年七月の千三百立米という出水は、もちろん、これは相当の大規模な出水でございまして、降雨量の平均率と申しますか、そういう観点から見ますと、建設省の計算でも、二十五年か三十年に一ぺんぐらいの出水である。従って、これは希有の災害であるという点は、私どももさように考えておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、ここは計画流量として千八百立米、現地の状況から見ましても、相当工事の施行には他の場合以上に留意を要するというような点から、この出水が不可抗力によるものというふうには必ずしも考えておらないわけでございます。  次に、補助工事の関係でございますが、三十三年度に掲記しておりますものは合計十一件でございまして、前年度に比べまして、多少減少しております。これは三十三年度におきましては、三十三年度の決算につきましては、狩野川台風その他比較的大きな災害がございまして、その査定に対する早期検査をかなり大幅に実施いたしました関係上、通常の検査が、多少浸透率が下がっておるというようなこともございますし、また建設省並びに事業主体の御努力の結果、漸次改善された面もあろうかと思いますが、いずれにしましても件数は多少減っております。  このうち特に御説明を要すると思いますのは、三百三十四号の災害復旧工事の計画が当を得ないものという一件でございます。本件は山形県の最上郡大蔵村におきまして、村道の隧道が被災しましたのに対しまして、これは二十六年の災害でございますが、その復旧工事の施行計画が当を得なかったというものでございます。この工事の地区一帯は十数年前から地すべり地帯になっておりまして、県におきましても地すべり防止のための山腹工とか、あるいは床固工など農林省の方の認定を受けまして、地すべり対策が従来からとられておる地域でございまして、またこの本件の隧道の被災の状況から見まして、当局が設計の判断の基準といたしました融雪期の漏水によるという単純なものとしてはちょっと受け取りがたい状況にあったのではないか、本件は、建設省におきましても机上査定ということになっておりますが、事業主体におきましても、もう少しこういった被災の状況その他の判断をしまして本格的な調査、本格的なと申しますと語弊があると思いますが、もう少し突っ込んだ調査をすることによって、この地すべりというものを当然考慮すべき事態ではなかったかということでございます。ところが当局におきましては、一応これを漏水によるものとして、ある程度の巻厚をふやすということで施行されたのでありますが、工事の着工直後におきましても、付近一帯に大地すべりが起きまして、その際にも明らかに地すべりの影響と思われる落盤がございましたけれども依然と当初の計画通りに施工し、完成直後に延長三十メートル余にわたる出入口一帯が大きな亀裂、崩壊というような状況になりまして、災害復旧工事としては考慮が足りなかったのではないか、どういう関係でございます。  そのほかに、ここにあげておりますものは、河川の関係、砂防も含んでおりますが、四件、道路関係が五件、それから土地区画整理事業の清算の関係が一件、その大要をあらまし申しますと、工事の施行の際のコンクリートの配合比が非常に悪いまま、監督不十分なためにそのまま工事を施行しておる、あるいは堰堤の築造にあたりまして、同じコンクリートの設計であるところを、中に玉石を詰めて外側をコンクリートで被覆する、いわゆるあんこの工事になっているというような疎漏な工事、あるいは土砂の掘さくの場合の土石の切り取り量を過大に見積もったもの、あるいは捨土運搬費を過大に見積もったというような設計の過大、それから設計に対する工事の出来高が不足しているのに工事が設計通りできたものとして処理している、こういった関係でございます。  なお三十三年度におきましては、従来から引き続き公共団体が施行します災害復旧工事に対する建設省の査定に対しまして、工事着工前に早期検査を実施いたしまして、その結果をここに掲げております。御承知のように、すでに工事が完了後に現場に参りましても、二重査定は別にいたしましても、被災していないようなものが被災個所と合わせて災害復旧の対象になっているとか、あるいは工事の運搬材料の処理を過大に見込むというような積算あるいは設計の過大といったものは、工事ができ上がった後は、その指摘が非常に困難でございまして、またでき上がったものを再施行するといういろいろな面の負担もございますので、この早期検査というものを毎年実施しているわけでございますが、三十三年度は、先ほど申し上げましたように、狩野川台風その他の災害が比較的多かった年でもございまして、例年より多く十四府県にわたりまして検査いたしまして、ここに掲げておりますような二重査定が二十八件、改良工事その他国庫負担を対象とするものが適当でないというものが五十二件、設計過大と認められるものが百九十四件、合計二百七十四件で、工事金額にしまして五千五百余万円、国庫負担金相当額にして四千二十余万円を建設省において減額是正されているわけでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  47. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) それでは、次に建設省より説明を願います。
  48. 田村元

    政府委員(田村元君) 昭和三十三年度建設省関係決算検査概要を御説明申し上げます。  建設省所管の昭和三十三年度歳出決算額は、一般会計において一千三百九十四億七千余万円、特定多目的ダム建設工事特別会計において八十一億七千二百余万円、道路整備特別会計において六百五十二億二千四百余万円でありまして、治水事業、災害復旧事業、道路事業、都市計画事業、住宅対策事業、官庁営繕、その他の事業の実施に使用したものであります。  これらの経費の執行にあたりましては、いやしくも不当な支出や批難されるべき点のないよう常時細心の注意を払って参ったのであります。  しかしながら、ただいま会計検査院上り御説明のありましたように、直轄工事及び補助工事におきまして、批難事項がございましたことは、まことに遺憾に存じます。  これら批難を受けました工事につきましては、直ちに工事の手直しを命じ、または、補助金の還付を命ずる等の措置を講じましたが、今後とも貴重な国費の支出及び使用につきましては、このようなことのないように十分に検討を加え、改めるべき点は改め、今後さらに適正を期したいと考えております。  まず、直轄工事の砂防堰堤の築造にあたり施行方法が適切でなかったため、工事の目的を達していないものとして指摘を受けました点について申し上げますと、本件の砂防堰堤を施行するにあたっては、既設工作物の効果または影響等を考慮し、逐次経済的な工事を進めて行くことが必要でありますので、これらの点を勘案するとともに、本件地点上流部に施行した堰堤等から判断して、河床の自然低下を待って施行する方法をとったものでありますが、何分にも異常豪雨による出水でもあったため、会計検査院の指摘の結果となったことは遺憾であります。  所管事業の実施にあたりましては、従前より内部監察等により監査を励行することにより、事業全般の適正なる執行を期して参ったのでありますが、今後さらに徹底をはかる所存でございます。  次に、災害復旧工事の計画が当を得ないものとして、指摘を受けました補助工事につきましては、当初被災写真及び申請者側の被災状況説明等により、隧道の崩壊が、漏水に基因するものと判断して採択したものでありますが、判断の過程において、机上査定という無理があったため、指摘のように竣工後亀裂が生ずる結果となったことは遺憾であります。今後は、実査を励行し、判断すべきあらゆる要件を整えるよう努力いたす所存であります。  なお、現在におきましては、東側坑門附近の部分は、坑門壁を築設して交通を確保しており、他の部分はほとんど亀裂はないので、今後とも安全に使用できるものと考えております。  次に、災害復旧事業費の査定額を減額させたものにつきましては、でき得る限り実査の励行に努めましたが、なお、検査の結果、重複査定等のため相当の減額をみましたことは、まことに遺憾であります。今後は、十分に注意し、災害復旧事業費の厳格な査定に万全を期するよう努力いたす所存であります。  次に、公共事業に対する国庫負担金等の経理の点について申し上げますと、補助工事におきましては、従来地方公共団体に対し、監督及び検査の充実について指導を行ない、その励行をはかるとともに、補助金等にかかる予算の執行の適正な処理を行なうよう指導を行なっているのでありますが、今後さらにこれが徹底をはかって参る所存であります。なお、これら、会計検査院指摘事項については、すべて処理済となっております。  以上が、昭和三十三年度決算検査に関し建設省のとった措置の概要でありますが、何とぞ、よろしく御審議のほどを御願いいたします。
  49. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  50. 武内五郎

    武内五郎君 私は、指摘事項の審査に入る前にお伺いしておきたい事項がございます。それから入りたいと思うのであります。大体年々指摘事項が、特に建設省方面で減って参りますことは、大へんこれは喜ばしいことであると存じておりますが、会計検査院におきまして、特に私がお伺いしたいのは、今回指摘されておりまする諸案件の内容は、特に技術方面に関する点が非常に多いのであります。特に三百三十三号、三百三十四号等に関しても、そういう点が見受けられるのであります。  そこで検査院にお伺いしたいのは、検査院でとういう検査をするにあたりまして、技術方面にたんのうな検査員を派遣しておるのか、特に専門の技術家を派遣しておるのかこういう点、これは前にもしばしば問題になっておったのじゃないかと思いますが、その点を明らかにしていただきたいと思うのです。  その次に、検査にあたりまして、たとえば午前中問題になりました積雪地帯のような所というような特殊な地域において、そういう条件、たとえば気象条件あるいは地理的な条件、こういうような条件を十分考慮して工事の査定に入ったのかどうか、入っておるものかどうか、こういう点をまずお伺いしたい。
  51. 白木康進

    説明員(白木康進君) お答え申し上げます。  検査の指摘事項に技術的な関係が多いのは、これは建設省関係では特にそうでございますが、ただいま御指摘の点は、御懸念はまことにごもっともと存じます。私どもの方で、実際に検査を担当しております課長以下の調査官は、大部分が事務職員でございまして、技術関係職員は、技術関係の学校を出まして、いわゆる各省の技官に相当するような職員は少のうございます。この点は、本委員会におきましても最近の指摘事項の内容から、たびたび御指摘を受けますので、職員の技術能力の向上、あるいは技官の増員、そういった点について御意見を承ったのでありますが、ここに掲げておりますような事項は、大体技術と申しましても、特に専門的と申しますか、新たに非常に新しい工事を設計するとか、そういった関係の知識は必ずしも要しないわけでありまして、事務職員でも、相当期間私の方で技術関係の教育をいたしまして、また、実地検査の際等に、実地に見聞、研究いたしまして、その程度の常識と申しますか、技術的知識を持って処理し得る事項が大部分でございます。もちろんわれわれの判断も、それ以上のものについては、ここに掲記してはおらぬような次第でございます。  なお、技官と申しましても、私どもの方は御承知通りに工事だけの専門の検査というわけではございませんで、やはり経費使用の全般にわたるという関係上、必ずしも技官を大幅に増員することがいいかどうか、この点は、やや私ども疑問ではないかと考えておりますが、極力、現在の事務職員で技術的関係の検査能力を向上いたしまして、指摘に無理がなく、また、十分に検査の職員が遂行できるように心がけておる次第でございます。  次に、検査の際に気象の条件その他について、十分に考慮しておるかというような御質問であったかと思いますが、たとえば、本件のこの三百三十三件の堰堤の倒壊の案件でございますが、本件のような場合におきましても、地元の気象観測につきまして、相当古い気象の統計その他を調査いたしまして、われわれとしては、われわれのまあ納得のいく判断というようなものはもちろんやっておるわけでございます。なお、運輸省に気象に関しまして調査をお願いするような場合もたびたびご、ざいます。
  52. 武内五郎

    武内五郎君 技術に関しましての、特にこういう建設工事の問題についての査定にあたって、技術に関しての検査に、まあ、今承りますると事務官が行くというごとなんでありまするが、これは相当やはり問題になると思うのでございます。専門の技術家であっても、長年苦労して腕を練っていきましても、いろいろなそごが出たり、失敗が出たり何かすることがあると思うのでありますが、まして事務官が工事現場を検査するということについては、よほど慎重な態度で臨んでもらわぬといけないじゃないかと思うわけであります。いろいろな間違いを指摘されることについては、これは私ともも、間違いがあったことには、十分指摘して追及するということは、もっともだと思うのであります。特に私は専門の技術家でも、かなり苦労しなければならぬところを、事務官が一晩か二晩で検査を終えて、それが技術上に問題がある、工事施行上に問題があるというふうな判定を下されるとすれば、これは重大な問題だと思うのであります。  その点について、実は建設省からお伺いしたいのです。どういうふうな御感想を持っておられますか。
  53. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 今回検査院から指摘を受けました事項につきましては、今武内先生がおっしゃいましたように、相当技術的にむずかしい点がございます。たとえば三百三十三号の問題でございますが、できるだけ少い予算を有効に使うために、従来も、砂防堰堤は本堰堤をまず築造いたしまして、その下流の掘れ工合によって副堰堤の施工へいく、そういたしますと先ほども話が出ましたように、幾分なりとも予算が節約される、こういうことを考えてやって参ったわけでございまして、しかしそれが本堰堤を作りつつあるときにやるべきか、あるいは作ったあとにやるべきかということは、全部その個所によって違うと思います。そういう点で、本堰堤を作ったあと副堰堤をやりまして成功した例もありますが、本件は、ここに御指摘にありますように、われわれのそういう考え方が、多少実態と違って参りまして、こういうような事態を生じたわけでございますが、その点まことに遺憾でございまして、今後予算を有効に使うという点と、さらにこういうような災害復旧の必要を生じないように、両方よく考えながら有効に予算を使用していく、こういうふうに考えております。
  54. 武内五郎

    武内五郎君 今、検査院と建設省とのお話を承りますると、特に技術上の、かなり私は食い違いがあるように考える。そこで建設省としては、過去の実績や経験を十分勘案して設計して、しかもそれは経済的に効率のあるような工事の進行をはかった、しかるに全く異常な豪雨の結果、出水で思わぬ蹉跌を起こしたのだ、こういうことになっておるのであります。  検査院はそれとまた全然逆になっておるわけなんであります。検査院の方は、非常に本堰堤の施工個所の岩盤が深くて、堰堤の基礎が岩盤に達していなかった。それから副堰堤の床掘り量が足らない。本流と支流との合流点であって、水流が非常に激しい所だ。従って当然堰堤工事施行にあたって、その完成を見ないうちに河床が自然に流れ去る、そこに今回の大きな工事上の蹉跌の原因があるんだと、こういう見解なんです。非常な私は食い違いがそこに出ておると考えるのであります。  実は、先ほど前提としてお伺いしました、検査にあたって、検査院はたんのうなる技術家を派遣するのかどうかという点を、特に私はこの点についてお聞きしたのであります。こういう全く食い違った状態に出ておるということは、これはまことに遺憾なわけであります。そういう点について、もう一ぺん両方から、今後の処理についてのお考えを承りたいと思います。
  55. 白木康進

    説明員(白木康進君) 三百三十三号につきまして建設省と見解が種々異なっておる点は、私ども承知いたしておりますが、技術的な面の専門知識というものが十分でなくて、こういった断定を下すのは少し危険ではないかというような御心配もあろうかと思いますが、私ども、かねがね検査の結果を審議します場合には、技術面につきまして、まあわれわれ技術の専門家でない者が、一応従来の検査の経験あるいは当局の施工のやり方、そういうものから判断しまして、十分に自信のないと申しますか、結論の出ない問題は、との検査報告にあえて掲載することを差し控えておる事案も数あるわけであります。  本件の場合におきましては、特に会計検査院で、こういう工法をとるべきではなかったかということを新たに建設省に対して申し上げておるわけではございませんで、従来の建設省のやり方をあくまで基準にして、判断しておるわけでございます。砂防堰堤を築造する場合に、本堤と同時に副堰堤を施工する、しかもそれは本堤の保護のために副堰堤を施工するものでありますから、当然、これは同時に施工されるのが通常でありまして、本件を審議する場合にも、建設省の他の地方建設局において、どういう工法をとっておられるかということも検討いたしまして、たとえば砂防堰堤を数多く手がけておられますところの関東地方建設局管内におきましては、もちろん先ほど建設省からお話がありました通り、砂防堰堤の施設の状況によりまして、いろいろ条件は違ってくるわけでございますけれども、関東地建の管内においはて、ほとんどが本堰堤と副堰堤とは同時施工ということでやっているわけでございます。本件の場合でも、特に安心して経費節減のために、副堰堤をあとで施工するという十分の心証の得られるような地区であったかどうか、これは技術的判断よりも、むしろこの程度の大規模な工事を施行する場合の、一つの何と申しますか、常識的概念が主ではないか。経費の節約は、これはお考えになることは当然でありまして、私どもも、当然敬意を表するわけでございますけれども、何分にも工費が大きい、こういった場合に、その節約額との比較検討、ある程度危険を冒す場合の見込み、そういったものについては、これは特に公共工事を施行するという場合には、やはり一つの責任限界というものがあるのではなかろうか。通常とられる方法をとって、しかもなお災害で倒壊その他の事故を起こした場合には、これはもういたし方ない。通常建設省がとっておられる方法によらなかった場合には、やはりそれだけの判断が必要ではなかったか、こういう点に立脚しているわけでありまして、特に会計検査院といたしまして、新たに検査院独自の技術的見解をもって判断ているわけではないわけでございます。  なお、全般の問題といたしまして、この技術的な素養の問題は、なかなか重要な問題でありまして、私ども、最近の技術の日進月歩の状態とも考えまして、非常に頭を痛めていると申しますか、日ごろ深く関心を持っている点でございますが、なお御参考までに申し上げますと、本日ここにも参っておりますが、本件の直轄工事を担当しております課長は、大学の土木部を出た技術関係職員でございます。なお、今後技術的に、万が一でも、誤った判断に基づいて、各省の経理を批難するというようなことのないように、十分に気をつけたいと思っております。
  56. 武内五郎

    武内五郎君 実は、非常に食い違った状態にありますけれども、その実態というものは遺憾な状態だと思うのであります。  私は、さらに第三百三十四号の問題についてお伺いしたいのは、検査院では、その設計にあたりまして、地すべり地帯というのを考慮に入れないで隧道設計を考え、従ってこれは申請者の申請によって直ちに机上査定に入って、そうして工事に入った、だからああいう隧道に亀裂が生ずる、隧道の崩壊が起きる、こういう結論になっておるわけなんであります。  建設省は、この御報告を見ましても、漏水に基因するものと判断して採択いたしました、こういうことになっておるわけです。それは、机上の査定によって、実地査定をしないでやったという点が、大きな原因のもとをなしておるとは考えますが、やはりここにも、私は技術上の問題が出てきておるのではないかと考える。建設省は、机上査定をやって、机上査定で十分だと考えたのでしょう。それから、特にその付近が地すべり地帯だ、その中に隧道で地すべり地域に影響のないようなふうに考えて設計されたのでありましょうが、それを縫って隧道の設計をやられた、こういう点がやはり建設省と検査院との考え方の相違になっていると考えるわけであります。しかし私は、机上査定は、やはりできるだけ避けたほうがいいと思うのですが、この点について、建設省考え方を伺っておきたいと思います。
  57. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 査定の問題でございますが、現地に、査定に実際に行きまして査定をやる実地査定と、それからこれは現地に参りませんで、図面上で審査をするいわゆる机上査定と、こういうようなやり方がございますが、災害復旧工事に、いろいろな不当事項が出るという原因の一つは、やはり机上査定にあると思います。これは二十六年の災害でございますが、その当時はだいぶん机上査定がございましたが、現在は、その後査定官を増員をいたしまして、ほとんど実地査定をやっているのが現状でございます。  そういう結果、不当事項が漸次減って参っておりますが、なおさらに、そういう実地の査定をやると同時に、査定自体をさらに厳密にやる、こういうことで、今後不当事項をなくして参りたい、こういうふうに考えております。従って、机上査定というのは、査定上よろしくない、こういうやうに考えます。
  58. 武内五郎

    武内五郎君 机上査定のよろしくないことはごもっともです。  そこで、こういう場合は、どういうふうに処理しておるのでありましょうか、伺っておきたいと思います。たとえばある大きな災害が起きた、早急にこの復旧にかからなければならぬというような場合に、いわゆる早期査定と申しますか、大づかみに災害を把握して設計する——詳しく現地を調査するようないとまがないというような場合に、これも机上査定をやってはよくないのでありますが、そういう場合は、どういうふうに……。
  59. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 大災害がありまして、どうしても早急に復旧事業を実施しなければいけない、しかもその個所が重要である場合には、必ず査定官を現地に派遣をいたしまして、現状を見て、応急復旧とはいえども、現地においてとにかくその工法をきめる、そういたしまして、さっそく着工させるという段取りで現在やっております。しかし、やはり相当な大災害の場合には、全般を考えまして、一定計画でやるというような必要がある場合には、引き続きまして現地の地方公共団体に調査をやらせる、つまり応急的、どうしてもやむを得ざるところは、早急に査定官が参りまして工法をきめますが、全般について再度災害をこうむらないように、こういう場合には至急調査をやらせまして、その後調査の完了次第、やはり現地を見て工法をきめていく、こういうふうな二段がまえで実施をいたしておる次第でございます。
  60. 武内五郎

    武内五郎君 そこで私は早期査定で、できるだけその災害について現状を把握して、大づかみにでも把握して復旧工事に入るという、これは公共事業としての建前だと思います。  そこで、この次に問題になっております重複採択の点にも触れてくると思うのでありますが、大づかみに把握して復旧工事を施行する、こういう場合に、往々にして、たとえば農林省と建設省との重複が、また建設省内においても、ある部門の重複関係が起きるとかいうようなことがあり得ると思います。  しかし、こういうことが前々からあったに違いないのでありますので、私も、ちょっと調べたのでありますが、昭和三十年に建設省河川局長と農林省の農地局長、林野庁との間で、都道府県知事にあてたその重複を避けるための措置がとられているはずなのであります。そういうような措置が必要であったに違いないのでありますが、しかしそういう災害が起きますと、これは災害復旧の申請にあたりまして、まあいろいろなことが起きると思うのであります。往々にしてこれは避げがたいと思うのでありますが、その地方地方公共団体が利益になるように、従って災害個所から災害を受けていない部分まで含めた改良工事まで復旧するというようなことがあり得ると思うのですが、それらを避けるために、そういう弊害を避けるために、今までどういう措置をとられ、またこれからもどういうふうにやっていくつもりであるか伺いたい。
  61. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 現在なお二重採択という問題が起きまして、まことに遺憾でありますが、従来からもございました点を、いろいろ何とか改良して参っております。  ただいま第一点として、ほかの省との二重査定の問題がございますが、これは往々にして大災害の場合に、ある一定の区間が、川がどこへ行ったかわからないというような大災害の場合に起こる問題でございまして、その点につきましては、過去の経験からここは二重査定がありそうであるということがわかりますので、災害の直後応急査定をやる場合にも、よくほかの省並びに、あるいは県におきましては土木部と農地部と連絡をとらせて、こういう点で注意をさしている次第でございます。  なお災害の起きていないところまで、災害にとるのじゃないかというような、査定で改良工事までとるという問題につきましては、災害関連事業、つまり災害復旧工事ではないけれども、災害復旧と同時にあわせて施行する必要があるというので、そういうような制度を設けまして、そういう災害には、災害としてとれない個所は、あわせて関連事業の査定ということで現在やっておるわけでございます。  なお建設省の中でも、緊急査定をやった場合と本査定をやった場合に、お互いに査定官の連絡がまずいために重複になるという例も、これはまことに遺憾でございますが、ある次第でございまして、その点については、同じ緊急査定をやった査定官を、必ず本査定にもその個所をやらせる、こういうような措置で、最小限度にこういうことのないように、絶滅をしたいというような気持で現在やっている次第でございます。
  62. 武内五郎

    武内五郎君 そうしますと、ここに指摘されております三百三十五ですか、これらについては、これは二重査定の事項を記載されておりますが、まだほかにも出ておる、こういうふうに思うのでありますが、その点はどうですかむ
  63. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 先ほど申し上げました方針によりまして、二重査定がひどかったのは、二十八年災害、これが非常にそういう査定がひどかったわけでございますが、その後逐次、ただいま申し上げましたような方針を織り込みまして査定を実施して、現在次第に少なくなっている現状でございます。  しかしなお、やはりこういう問題も発生しておりますので、ただいまの方針を、さらに厳格にやっていく、こういうことで、今後こういうことが発生しないように、そういうことを注意をしてやりたい、こういうふうに考えている次第でございまして、三十三年さえ、これだけの査定の問題があるということは、まことに遺憾でございますが、今後一そう改めたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  64. 田中清一

    ○田中清一君 先ほど来、私はこの冨山県における砂防堰堤の話を聞いておりまして、はだえにアワを生ずるほどの気持ですが、建設省に聞きますが、大体一秒間に千何百トンも水が流れるような川で、川の幅が二百メートルもあるような川で、堰堤を作るのに、その底に岩盤のあるかないかもわからないような、そんなずさんな堰堤を作るような、そういう技術は、どこの学校で教えるのですか。それを一つ承ります。
  65. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 堰堤を作る場合には、一般的に土木工作物を作る場合に、よく基礎を調査いたしまして、その固いところまで基礎を持っていくという、こういうのが常識でございます。  ところが砂防堰堤においても、それを実施していいのでございますが、そういたしますと、砂防堰堤の、その個所ごとに、基礎までそれを持っていくということは、莫大な経費がかかるわけでございます。こういう堰堤を作る場所は、従来非常に流出の土石が多い、そういう地帯でございまして、堰堤がある期間持ちますと、そのあとは全部土砂で埋まってしまう、そういたしますと、せっかく基礎までそれを掘り下げたということにつきましては、かえってその経費のむだを生ずる、こういう点で従来も砂防堰堤につきましては、基礎の砂利層のところに基礎を置きまして、逐次階段式に堰堤を作って、従来の砂防という目的を果たす、こういうやり方をやっている次第でございます。
  66. 田中清一

    ○田中清一君 まことに子供の話のような話なんですよ、われわれのように実際に仕事をやるものから見ると。その上に土砂がたまって、水が押し出されたら滝になるのですから、その下を掘るにきまっているでしょう。子供が砂遊びをしておっても、そんなへまなことはしませんよ。  ですから、そういうようなことで、上に土砂がたまって、今まで平均に流れておったものなら、下で土砂をとるとかあるいはどうするとかいうことができますけれども、ためておいて、現在お話に出ておるようなことになって流れましたら、その下流に土砂が一ぺんに押し寄せたら、大きな災害が起こることは、河川に関係のあるあなた方御存じのはずでしょう。ですから、たくさんの国民の血税を使って、災害のあるような工法をしておられることを私はまことに遺憾に思う。そういうのは、もう笛吹川でもたくさんに見ております。砂防堰堤の底が抜けて、がらんどうになって、水がどんどん出る。日本中の河川に何十何百とあるでしょう。私は尋ねられたら百くらい見せられます。そういうような方法を、あなた方専門家らしい顔で今まで幾つもやられておるということは、国民に不忠実じゃありませんか。  そういう点について、河川局長はどういう考えを持たれますか。
  67. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 本堤と副堰堤あるいは下流の砂防堰堤との関係でございますが、本堰堤には、副堰堤が必要である、こういうことは全般にわかる問題でございます。副堰堤をいかに経済的に木堰堤の施行とあわせて、いつやるか、これが問題だと思うのです。  この点について、従来もそういう本堰堤の下流の状況を見ながらやって参ったのでございますが、その措置がおくれたために、この三百三十三号の問題が発生したわけでございまして、こういうことはないように、しかも今後できるだけ経済的に副堰堤というものを実施をしていきたい、こういうふうに今後考えて参るわけでございます。  従って、そういうふうに、こわれそうになれば、逐次堰堤を追加していきまして、ある渓流全体として砂防の効果を上げるように、しかも経済的にやる。これがわれわれの考え方でございます。
  68. 田中清一

    ○田中清一君 副堰堤をすれば、必ずそこが滝になって、何メーターくらい堰堤の高さがありましたか知りませんが、少なくとも五メーター以上のものなら、五メーター以上も、六メーターも、掘れるのにきまっている、滝になってくるのですから。それがもし十メーターもあるものだったら、ずいぶん堰堤の下が掘れるでしょう。それで、どのへんに通常本堰堤から副堰堤までの距離を置くかということの計算がありますか。ちょっとそれを知らせて下さい。
  69. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 詳細には記憶をいたしておりませんが、本堰堤が高さ幾らの場合には副堰堤を幾ら離す、間隔を置く、あるいは副堰堤の高さを幾らにする、これは一般的な基準がございますが、やはり場所の状況によりまして、本堰堤だけでもつような個所もあるわけでございます。従ってその状況によって判断をして、本堰堤がこわれる前に副堰堤を施工していく。そういたしますと、本堰堤によってある程度下流が掘れました場合に副堰堤を作るということが経済的である、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  70. 田中清一

    ○田中清一君 佐久間のダムのようなダムでも、百何メーターあるのでも、四、五カ月で水が一ぱいになるでしょう。ですから、上砂が一ぱい本堰堤にたまらなくても、上の方に水がたまることは、千何百トンも流れるのだからわかりきったことでしょう。そういたしますと、その副堰堤というものを先にしてかからなければならぬ仕事になりませんか、仕事の性質上。それはどういうわけですか。
  71. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) どうも、いわゆる貯水堰堤の大きなダムと、砂防堰堤とは幾分違った点があると思うのでございますが、必ず本堰堤をやって、下流が掘れる場合は、非常にいい岩盤である場合とか、それから大きな転石のある場合には、そういう事態もあまり極端には発生しないのでございます。従ってその場合には、副堰堤は軽くできるということで必ず副堰堤から先に砂防堰堤をしてやらなければいけないかどうか、この点は、問題でございますが、必ずそうする必要があるというふうには、私は考えていないわけでございます。
  72. 田中清一

    ○田中清一君 そうすると、なんですね、下は岩盤じゃない場合でも掘れない場合もあるというようなお答えのようですが、常識上私は、はなはだそのなにを疑うのですね。そういうような感覚で、この日本の砂防をやっておられたのじゃ、まことにこれは不安ですよ、国民は。そんなことは口に水を含んでからしても、下は掘れるんですから、それを千何百トンのものがどんどんきて、こすようになったときに掘れないような——岩盤のほかに掘れないような地盤は、日本のどこにも、どんなボーリングをしても出てこないわけです、そんなものは、どんな土質にしたところで。ですから私は、これはまあ、別に詰問するわけでも何でもないが、あまり、先ほど会計検査院の方もおっしゃったが、あんこという言葉が出ましたが、日本の土木工事というものはなっておりませんよ。私は、伊勢湾台風も見ましたし、それからしてチリ地震津波の災害状況も視察しましたが、ほとんどあんこじゃないのですよ、あれはむしろ、もなかですよ。上に皮をちょっと一寸か二寸コンクリートを張っているだけ、中は石の大きな、手で掘り出せるようなものを、災害が起こるように、こわれるように作ってあるのです。きのうの新聞にも出ておりましだが、知多半島における師崎のやり方ですね、それから私が伊勢湾台風のとき行って見た常滑というところの、学校の裏に、海岸堰堤が、厚みがおそらく五十センチ以上もあるようなりっぱな堤防があった。それがぶちこわれて、そうして学校はぶち流され、その付近の民家が大かた五十戸くらいはやられたでしょう、それに、わずかに四分筋が四本、先が曲げないで突っ込んである、とうふに針を突っ込んだようにしてあったんですよ。そうして名古屋の土木部長に聞いたら、鉄筋は入れないはずのものでございますというような、とぼけたことを私に言ったから、ばかだと思ったけれども、私はかわいそうだから質問しなかった、そんなあほうに話ししたってしょうがないから。鉄筋は少なくとも直径の三倍ないし四倍曲げてしなければならないということは、学問上きまりきっていることです。われわれは、鉄筋コンクリートの工場を何千坪も自分で設計して建ててやっているのです。そういうしろうとごまかしのことを言って、そうしてあんた方のようなりっぱな技術者が、そうしておられるということは、国民は非常に不幸ですよ。安月給取りまでが、みんな勤労所得税を払って、税金を払っているのですから、どうか一つ、あなた方は、大てい保守党の議員さんはみんなおとなしい方で、黙っていらっしゃるけれども、みんな事業をしているくらいの者は知っているんですよ、皆さん。  ですから、これは今のうちに、もう少し気をつけた工事をしてもらっておかぬというと、日本の官庁が監督してやっているような工事は、全部だめだというようなことになるおそれさえもありますですよ。この点一つ今後、ことに河川局において——道路局は別に話しますけれども、河川局においては、今後一そう気を配って、そうしてそういった、賽の川原になるような工事をさせないように、コンクリのこれの配合においても注意をしてもらわぬと、何かわけのわからぬようなことになる。われわれ一目見たら——そんなものは見なくてもわかる、そんなものはコンクリの調合を見なくても……。ですから、そういうようなものは、よく気をつけて、具眼の士はけっこういるのですから、ただ黙っておっただけで、私は憎まれ役になって話しますが、私は長いこと議員になっておりゃしませんから、そうしてたまさか議員の方でも、土木の関係のある、経験のある人が出ても、議員さんは口で言わないのです。建設省なんかにおせじを言っておらなければ、工事ももらえねのですから。大へんなことなんですよ、国民は、そのために非常に大きな災害を受けているのです。枚挙にいとまがない。あんこじゃない。今のもなかのようなもの、もう全部といっても差しつかえないのです。  和歌山県を見ても三重県を見ましても、どこへ行っても、それは通例になっているのです。あれはコンクリで全部やらなければならないように仕様がなっておるはずである。中にあんこに入れたものは、あれはごまかしでしょう。先だっても福井に行ってみたところ、橋の詰めの一番下の基礎は何で固めたか知らんが、まあとにかく固めた。それは私は見ぬので知らんのだけれども、その上にけたを入れて、どんどんこういう石を担ぎ込んで、四人も五人も担ぎ込んで、どんどんかちかちと入れているのです、そうしてばっと塗りたくっているのです。これは福井県大野郡和泉村箱ケ瀬橋というところですが、こういう橋詰めですから一、二年のうちに流れますよ、こわれますよ。私は自動車に乗って通ったので見ないのですが、その石の音を聞いただけでわかるのです。このくらいの石を、ぎょうさん落としているのですから、それはあんこじゃない、それはもうもなかみたいになっている。皮にちょっぴり張ってあるだけで、その上に人が通ったり自動車が通ったり車馬が通ってやっているのですから。そうですから建設省は特に注意をして、そうして、今後そういうような不正工事の行なわれぬように、私どもの計算からみれば、建省設の工事は、大体二倍です、われわれが今まで作った工事費の二倍です。単価は安いことはありません。高いのです。  それは、全部コンクリートですべきものを大てい砂利です。一寸のものとか一寸二分のものとか、ちゃんとあなたの方に規則があるでしょう。そんなものに、こんな石をぶち込んで、もなかのようにして皮を張っただけです。そういうことを見過ごしてあなた方がおられる間は、日本の災害は、もう永久にこれはとまることはありません。この際、私は特に御注意を申し上げて、質問を終わります。
  73. 武内五郎

    武内五郎君 私は、先ほど質問に入る前にお伺いしておった会計検査院が検査をするにあたって、地理的な条件、気象条件等を考慮に入れて検査をするかということに関連いたしまして、第三百三十六号以下のものは、私はかなり、そういう点に関係があるのじゃないかと実は考えて、この報告書を読んだのです。特に私は福井県の三百四十一、四十二号の工事について、当委員会から派遣されて調査したことがございますが、その私なりに把握した結論は、積雪期間を考慮されないで施行されておる。特に積雪期において、午前中も私その点に触れたのでありまするが、除雪費を見ていない。従ってそういう期間における工事の遂行は非常に困難になってくる。それから従って工事請負者といたしましても、その期間内に工事を遂行させようとするためには、よかれあしかれ、まあ、これはとうだかわかりませんが、悪いと思ってやっているのかどうかわかりませんけれども、手抜きをやる、そういうような事態が出てきておる。従ってそれらを監督いたしまする地方団体に技術者が不足しておる。これはもう、やはり工事費がそういう点を見ていなかったという点に、私なりに考えてきたのであります。そういう事態ではないかと、私は三百四十一号、三百四十二号について、そう考えます。  従って、特に私は北海道の三百三十六号、三百三十七号、秋田の三百三十八号等も、こうした事態から生まれてきた案件ではないかと考えざるを得ないのであります。その点について、建設省ではどうお考えになりますか。
  74. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) これらの工事をやる場合に、まあこの期間が十分にあるかどうか、たとえば冬は雪が降るわけでありますが、そういうことを考えて注文主が業者に仕事を出すかどうか、こういう点でございますが、それらの点については、冬季間ある程度雪が降りましても、それ以外の期間に工事が普通の状態で、良好な状態で施行ができる、そういうようなことを考えながら発注をしておる、こういう状況でございまして、まあ特に豪雪のある場合は別でございますが、普通の冬季間に雪が降るという状態では、十分良好に仕事ができる、こういうようにやっておる次第でございます。
  75. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 ちょっと会計検査院の方にお尋ねいたしたいと思うのですが、実は昨年も何か、会計検査院の工事施行にあたっての批難事項として指摘された中に、愛知県の道路に関係のあることで、すでに愛知県の県の決算が終わって、八十数万円だったとたしか記憶いたしております、道路工事に関係のあるもの、それは会計検査院の方では、国に返すべきものだという解釈をされておる。それから建設省の方では、すでに愛知県の決算が終わっておるのだから、これはもう回収できないのだ、まあ結論的に言えば、国損になってもやむを得ないというような、かような御判断があったことは、私昨年、これは記憶いたしております。まあ、いずれが正しいのかどうか、私たちみたいなしろうとには、当然判断がしかねるわけなんですが、また、ことしの場合でも、建設省としては不可抗力であって、予想外の出水によって崩壊したのだから、これは不可抗力だ。会計検査院の方では、もっと何かそういうことも事前に予想されなかったであろうか。かようなところに、やはり意見の食い違いがあるように承るのです。それが三百三十三と三百三十四は、そういうようなことにはっきりなっておる。  そこで、これは私たちは、一体どっちをとればいいがということに、いつも迷うのです。ですから、何か会計検査院も、いずれこういう事案にぶつかったら、建設当局ともいろいろやりとりがあると思うのですが、何か意見をまとめてお出しになることは会計検査院、できないのですか。その辺をちょっと伺いたいのですが。
  76. 白木康進

    説明員(白木康進君) 三百三十三、三百三十四号でありますけれども、これは、工事がこわれたあとで見て、さかのぼっていろいろな事情を判断する。まあ簡単に申しますと、結果論ということになるわけでありますが、いわゆる結果論だけの判断になってしまうというようなことは、私どもの検査の性質からいたしても、極力自戒しておる点でございます。  そとで、先ほど御指摘のございましたように、われわれの方で、こういったことを調査いたします場合には、事業主体、あるいは直轄工事であれば本省の担当の方と、具体的にいろいろな、われわれが想定し得る限りの条件について、いろいろお話を伺い、われわれの質問に対して回答をいただきまして、あるいは口頭でいろいろ補足説明もしていただきまして、その御回答の結果われわれが、なおこれは不十分であったという判定を下すには、相当手続的にも、時間的にも慎重にやっておるわけでございます。その過程は、この検査報告には掲記してございませんけれども、戦前の検査報告には当局の見解、それに対するわれわれの見解というものも出ておりましたけれども、最近は結論だけが出ておるということで、ただいまのような御疑問も起こると思いますが、実際はそういうようなことで、十分慎重を期しておる次第であります。
  77. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 先ほど田中委員の御発言は、もっぱら建設省の河川局が悪いのだ、かような実はお話を承りました。しかしながら、やはり人間のやることですから、最悪の場合の、どこが一体限界であるかというところまで考えますと、やはり工事費を節約しようとする建前から考えれば、常識では考えられないような災害の場合をも前提にして、しかもそこに基礎的なものを考えていかなければならないのかと、こういうところに、やはり問題があるのじゃないかという気がしてならないのです。  そこで、かような場合に今後もやはり、こういうことが出ないとも限らないし、何かもっと、私たちがほんとうにそうだったのかとわかるような両方もっと詳細な資料をお出しいただきたい。そして将来、もっと検討してみる資料を一つ、今度の場合はかまいませんけれども、また来年の決算の場合に、同じようなことがおそらく建設省には私は出るような気がする。去年もあった、ことしもあった、三十四年度の中にもあるいはないとも限らない。その際に、一体会計検査院を信じていいのか、建設省を信じていいのか、そういうようなことで惑わすことでは、私たちはどうにもならない。そこはそうであったかと、われわれが納得できるような、そういうような資料を、今後一つ両方でよく話し合って出していただけませんか。  そうでないと、聞いていてすっきり割り切れないような印象を残すことは残念ですから、お願い申し上げておきます。これはちょっと要望でございます。
  78. 中村順造

    中村順造君 今の谷口委員の要望に関連をいたしまして、私は一、二お尋ねをしたいのですが、出された資料によりますと、二十七年に三百二件、いわゆる指摘事項ですか、これは検査院の方にお尋ねしますが、三百二件ある。二十八年に四百五十一件、それからずっと参りまして、三十三年に十六件、こういう数字が示されておるわけですが、今の説明を聞きますと、従来は、この案件の対象になったのを示しておったけれども、最近は、それをやらない、こういうお話もありましたが、常識で考えまして、特に昨年、本年あたりの政府予算につきましては、この建設省関係の予算は非常に大きくなっているわけです。逆に、普通常識、一般常識で判断をいたしますならば、そういう情勢の中では、必然指摘事項も多くなるというのが大体の常識なんです。ところがこれは漸減というよりか、むしろ百分の五と、こういうふうな状態にまで、これは一面から見ますと、非常に成績がいい、指摘する案件がなくなった、こういうことに答弁されるかもしれませんけれども一般常識としては、私どもは、それほどに、わずか七、八年の間におきまして、三百件あったのを、あるいは四百五十件に上る案件が、わずかに十六件になる、こういうことは考えられないことです。  これは何かそれによって、そういうふうな形になる一つの因子といいますか、原因というものがあるに違いないと思います。今谷口委員質問に対してお答えになった、いろいろ指摘事項はあったけれども、話し合いによって、それを国会報告するようなことにならなかった、そういう結果によって、こういうふうな指摘案件が減ったのか、それとも建設省のきわめて良心的な、そういう工事監督その他につきまして万全の措置をとったから、こういうふうになったのか、こういう点について、一つ会計検査院なり、あるいは建設省当局からお答えをいただきたいと思います。  それから先ほど田中委員の指摘をされました事項につきましては、これは私伺っておりまして、必ずしも河川局長あるいは道路局長だけの分野だとは考えません。やはり建設省全体の心がまえなり、将来のやはり一つの大きな根本的な、この施策の根幹にならなければならぬ問題だと思う、国民的な立場に立ちますと、政務次官も来ておられるようでありますから、どうか一局長ということでなくして、一つ政治的な配慮の上から私は答弁をお願いしたいと思います。
  79. 白木康進

    説明員(白木康進君) ただいまの前段について、お答え申し上げます。  先ほど私お答えしましたことが、多少申し上げるのが不十分で、あるいはお聞き違いを願ったのじゃないかと思いますが、先ほど申しましたのは、私どもの方の見解と、各省側の見解と非常に食い違った場合に、どっちが正しいか判断に迷う、結局、そういう結論が出るに至った経緯を、もう少し詳しく書類なりなんなりで説明してもらえないかというお話と私は承ってお答えしたのですが、私が申し上げましたのは、検査報告の記述の体裁でございまして、以前の検査報告には、われわれが問題を取り上げまして、この検査報告に記述する場合に当局の見解というものを詳細にここへ、表へ出しまして、そしてその当局の見解に対しまして、会計検査院はこういうふうに判断して、なおこれは不当と断ずる、こういう記述の経過をたどっておった点を申し上げたわけです。当局と話し合いして検査報告に掲げなかったということは、毛頭申し上げたつもりはございませんので、御了承を願いたいと思います。  それから件数が非常に、二十七、八年ころから減っておるということでございますが、御承知のように戦後、これは補助金に限らず、一般に各公共団体の経理は相当に、まあ極端に近いくらい乱れておったのであります。かてて加えまして、二十八年は、御承知の九州から関西のいわゆる二十八年災、未曾有の災害がございまして、災害復旧工事の補助工事も非常に金額、件数ともにふえまして、われわれも超重点的に、その検査を執行したわけでございまして、その結果は、相当の件数になっておる。その後非常に著しく減少しておりますことは、これは災害が、その後それほど大きいものが——これは比較的な話でございますけれども、なかったということも原因でありましょうが、やはり私どもとしましては、二十七、八年ごろまでの特に補助金の経理が非常にまずいということで、建設省、農林省あるいは運輸省というような、特に公共事業担当の各省に対しまして、こういう点を改めてもらいたいということで、相当に具体的に補助金経理の改善策を申し上げまして、まあ相前後しまして、御承知の補助金適正化法というような法律もできまして、一般に各省の監督、あるいは事業主体の自覚というようなものも、以前に比べますと、われわれとしても非常に御努力の跡が見受けられる。そういうことで、改善の面も私は確かにあろうかと思います。  なお、これは私どもの方の検査の都合を申し上げて恐縮でございますが、やはり災害の発生とか、あるいは経理の良否の判断に基づきまして、多少毎年の検査の浸透度も変わっております。去年何%であったのが、ことし何%ふえたとか減ったとか、必ずしも一様でございませんので、検査の浸透率が、やはりこの検査の指摘に多少影響する場合もあるわけでございます。  大体まあ、以上のようなことで、基本的には、やはり相当改善の跡が、こういう結果にあずかって力があったと私どもは考えております。
  80. 田村元

    政府委員(田村元君) 先ほどの田中先生の御指摘の件でございますが、実は私も、まだ就任日も浅うございまして、特に予算案の編成等で忙殺されておりましたものでありますから、しかも工事そのものに対して、全くしろうとでありまして、いささか不勉強があったわけでありますが、今お話を承りまして、非常に考える面が多かったわけであります。さっそく大臣ともよく相談をいたしまして、各局あるいは課に対して、きびしい忠告と指導をいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。  なお、今補助金等における不当事項が非常に減少しておるという、これはどういうわけかというお話でありますが、先ほども政府委員室で各局長から、実はこの点を自慢されたわけであります。建設省という省が、独立をして毎年機構がだんだんと充実をして参りました。しかも補助金制度に対して非常な細心の注意を払って参り、かつ検査院の御忠告も相当具体化したものがありまして、そういう点でいろいろと十分気をつけて今日のような成績の向上をみて参ったものと、私は先ほど来の政府委員室での局長連中の自慢話をうれしく聞いておったような次第でございまして、今後とも、十分この成績をますます上げるように指導いたしたいと思っております。
  81. 中村順造

    中村順造君 私は関連質問ですから、やめたいと思うのですが、今検査院の方のお話を承っておりますと、まず件数が非常に減っておる、全体の災害件数が減っておるという意味だろうと思いますが、それから補助金制度も、これは制度上の問題、あるいは検査の浸透の問題等を含めて、制度が非常によくなった、こういうような私は理解をいたしておりますが、これは本来、今次官がお話ありましたように、これはゼロになってしかるべきものだと思う。これは減っておることを私はやかましく言っておるわけではないのですが、あまりに一見して不自然な減り方だ。少なくとも百分の五という、百対五だというような減り方では、何かそこに作為的なものがあるのじゃないか。今谷口委員の御意見も拝聴いたしまして、そういう感じがしたのでお尋ねしたわけですが、ただ一点、私が非常に心配しておりますのは、なるほど総体の案件が減る、それから制度もよくなる、これは政治としては非常に好ましいことで、そのことについては私は別に心配ないわけですが、いろいろ予算が大きくなり、あるいは規模が大きくなり、しかも会計検査院の制度はそれに伴わない。お言葉の中にもちょっとありましたが、ややもすればこわれたあとが検査の対象になる、こういうこともちょっと言われたようですが、そういうことでは、われわれはやはり国民のためということから考えまするならば非常に不安になるわけであります。  これは最後に一つだけお尋ねしますが、こういう予算規模が大きくなる、あるいは政府事業がだんだん大きくなる、これに対しまして会計検査院の仕組みとしては、先ほど来、武内委員からもお話がございましたように、やはり技術上のことは、どうしても専門家の技術者が検査をしなければわからぬ、これは当然のことでありますが、そういう意味を含めて、検査院が将来どういうふうな方向で進んでいかれる考え方なのか、それを最後に私はお尋ねしまして、私の関連質問を終わります。
  82. 白木康進

    説明員(白木康進君) ただいまの御質問の点は、私一局長として申し上げるのはどうかと思いますが、御承知のように私どもの方では、基本的には、各官庁から経理関係の書類を出していただきまして、書面検査を基本にいたしておりまして、補足的にと申しますか、必要に従って実地検査を施行するということでございまして、なるほど補助工事のように、現場を見なければなかなか実態がつかみにくいというようなものは、これは極力実地検査に重点を置いてやっているわけでございまして、事業量が増加いたしますと、どうしても人や経費の不足というようなことを感ずるようなこともないわけではございませんで、従来たびたび増員要求いたしまして、政府当局におかれましても、その趣旨を了解されて増員したこともたびたびでございました。ただ、全体的に国費が非常にふえたから、検査の機構も、すぐそれに即応して拡充するという、まあ量的な比例の関係は、これは必ずしも実態その通りではございませんで、われわれはやはり、経理の良否の状況とにらみ合わせまして、たとえば補助工事の場合も、浸透率は建設省の場合で申しますと、補助工事で約一〇%ぐらいになっておりますけれども、やはり従来の指摘率の状況その他を勘案しまして、比較的に問題の多いんではなかろうかと思うようなところ、あるいは比較的に工事の大きなもの、いろいろ重点的に、工夫をいたしまして実施しておるわけでありまして、まあ、今後もその方針でやるわけでありますが、どうしても機構が足りないとか、検査の重責を果たすことができないという場合には、これは、もちろん予算の面で政府にまたお願いすることになるわけでございます。なお、技術面の検査という面は、これは先ほど来御議論ございましたが、私どもも、その点を十分に検査院として特に考慮を要する点と考えております。まあ制度上、私どものような役所で技官を大量に募集するということが、いろいろな面で、うまくいくかどうか、そういう問題もございますが、まあ技術的な面においても、実質的に検査能力を増進するためには、現在もやっておりますし、今後も御趣旨を体しまして、十分に遺憾のないようにいたしたいと考えております。
  83. 山田節男

    ○山田節男君 今の質問に関連してですが、会計検査院につきましては、たとえば三十三年度の検査報告を見ると、建設省に関する限りにおいて、会計検査院の現地調査した現場の数はどのくらいかというと、建設省の持っている現場の九%半という、一割に満たない現場しか調査ていない。三十一年、三十二年度を見るというと一五%、一六%、こういう現場を実地に検査をしておるわけですね。三十三年度に限って、どうしてこの建設省の検査した現場数が減ったのか。これは三十三年は、御承知のように二十五年、二十六年、二十七年というのは非常に批難事項、不当事項が多いので、特に参議院の決算委員会では、会計検査院の要員を増加しようということを本委員会は全会一致をもって、予算まで世話しようということであった。しかし一時には、多数の養成に応じ切れない、少くとも三年間の養成を要するから、それまでにわれわれが予想した人員は補充できなかった。しかしながら多少の人員は増加できた。  これは、われわれのそのときの意図というものは、ことに農林省と建設省は、現場が非常に多い。ことにその当時農林省におきまして、現場が十数万にわたる。わずかその五、六%しか調べない。それを本決算委員会に出した。これはあまりひどいじゃないか。ほんとうに氷山の一角しか国会に反映しないじゃないか。こういうことで、参議院の決算委員会は、特に会計検査院の要員の充実から予算の裏付けまで、本委員会は世話をしたはずです。先ほど、今のお話で、中村君からお話があったように、そうしておる、おるにもかかわらず、三十三年度は、特に建設省に関しては、現場の一割に満たないものしか検査されないのですね。  そうなると、このわずか一〇%足らないもので、批難事項にこれだけあげられるということは、氷山の一角で、第三局長が言うように、重要な個所だけとしても、これは私は、何かそこに理由があるのじゃないかと思うんですが、これは検査院当局として、一体どうして特に三十三年度は、その前年度よりも減ったのか、この点の理由を承りたい。
  84. 白木康進

    説明員(白木康進君) この現場の実地検査の施行率が多少下がっておるわけでございますが、これは特に三十三年度、検査個所を減少させたというわけではございませんで、御承知通りに、三十三年度には、狩野川台風という大きな台風がございまして、それから東北地方が、それまで数年来災害がほとんどなかったのでありますが、三十三年度には東北地方にも相当の災害がございまして、従来の検査の是正効果という点からみまして、着工前の早期検査を相当強化する必要があるということで、建設省の査定に対する早期検査は、三十三年度はかなり伸びておる。その結果と申しますか、事後検査の分が、多少低下したということになろうかと思います。
  85. 山田節男

    ○山田節男君 これは私どもの今見ているのは、参議院の決算委員会の専門員室から出したもので、建設省に関する限りの資料として出してもらったものですが、それを見ると三十三年度と前年度と比べて——二十二年度が一三・八%、三十三年度が九・五%、三十一年度が一六・一%——こういうものです。ですから、全体に対する数が多い少いという問題よりも、また会計検査院が言われるように、重点主義でいかざるを得ない。これはわかりますけれども、しかし、建設省と農林省というものが、とにかく国会としては、最も金額も大きいし、また、えてそういうことの起りやすい部局を持っているから、参議院の決算委員会としては、特にこの点に意を用いているはずです。  それからみると、今の、当時の水害云々と言われますけれども、あまり過去五カ年間を見て、現場の検査が減っているじゃないか。しかもあげられてきている会計検査院の報告を見ると、非常に会計が、建設省の方で特に悪かったために非常な努力をして、今日までこうなったということも、努力は認めますが、ほんとうに氷山の一角しか出てないのじゃないかという、そういう気がします。不安といってはおかしいが、そういう考えも出てくるわけですね。  ですから、三十四年度の決算報告は見ないけれども、少なくとも金は幾らでも出すから、国損を少なくするという意味ならば、会計検査院の人員と予算を増していくということは、決して不経済でないということを、参議院のわれわれ決算委員会毛、国家から見てペイするのだ、国家のために、会計検査院を拡張していいのだが、しかし人員の養成に非常に時間がかかる。それから、ことに今第三局長の言われるように、技術面の者は、なかなか養成しにくい。しかし、これは、漸次伸ばしていいのです。ですから、昔の会計検査院とは違って今日は、天皇に責任があるわけでないのです。国会に対して会計検査院というものが、唯一の密接な関係があり、政府に対してでなく、国会に対するあなたたちは義務を持っている。そういうことになれば、遠慮なく、これはあなたに言うのは無理だが、事務総長なり、会計検査院長に言うべきことであるが、本委員会の趣旨として、伝統的に会計検査院については、この点は好意を持ってやっているのです。今日まで遅々として進まぬ。氷山の一角的な会計検査院の検査が、ことに三十三年度から現われているということは、非常にわれわれとしては不安を持たざるを得ない。  これは質問にならぬようですけれども、このことは一つ、会計検査院長なり、あるいは会計検査院なり、よほど注意をしていただきたい。そういう態度を今日までとってきた会計検査院の検査に対するそういう体制整備を、どのくらいまでやっているかということを、あらためてこの問題に関係し、あるいは関係しないでも、本委員会報告する義務がある。意見は申しませんが、首脳部に伝えてもらって、一度機会を見て、本委員会報告してもらいたい。  こういうような、きわめて検査の現場数が減ったということは、本委員会として不満です。悪いことがないということじゃないのです。ただ一割以下の現場を見ているだけで、あとは類推するというようなことは、会計検査院の事、検査に関する限り、私は本委員会においては許すべきでないと思う。この点は委員長から、他日の機会において、会計検査院に経過を一つ、本委員会報告ていただくようにお取り計らい願いたいと思う。
  86. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 山田委員のただいまの会計検査院に対する要望は、委員長において、後日適当に取り計らいたいと思います。
  87. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 相当御質問がありましたので、重複の点を避けて、根本的な問題を一つ二つお尋ねしたいと思います。しかもお尋ねすることは、きょう御出席の会計検査院また政務次官、この方だけで御答弁を願えないという点もあると思いますが、一応、お考えをお尋ねしたいと思います。  きょうの質問の全体から見ましても、ここ五カ年ほどの不当あるいは不正支出、これらの件数あるいは金額から申しますと、毎年々々漸減しておるということは非常にけっこうなことであって、さっきの政務次官の御答弁をすなおにわれわれは聞いて喜んでいい、かように考えておるものでありますが、何分、今度の議案となっておる報告書も、昭和三十三年といえば、大体三年前であります。三年前のことを今想起して、そうして、さっきの会計検査院の言われるような答えから見た判断といいますか、しかもそれが国家の予算が、もうすでに一兆四千億だ、もう来年にいけばまさに二兆になんなんとするというような大きな膨大な予算を計上しておるという、今日のわが国の財政状態から見まして、三年前のものを今ごろこれを審議するということは、どうも……。いつもこれは問題にはなっておる。しかしながら一こうにこれが改められないというところに、こういう……も時間的に三十三年のものを今ごろ審議しなければならぬ。  われわれは少なくとも、三十四年度のものを今日いろいろ検討するというくらいに、一年くらいは繰り上げて当然できるのじゃないかというふうに考えておるのでありますが、そういう点につきまして検査院の局長の方と、それから政務次官の方との、これに対してどうお考えであるか。また政務次官は、政党内閣の政党から出られた次官である以上は、ぜひ一つその間の事情をもっとはっきり、こういう理由で、どうしても三年前でなければだめだというような理由があれば、それをはっきりしていただきたい。  私はその当時の、ことに最近政変もずいぶん激しいおりでもあるし、三年前といえば、内閣も変わっておれば、あるいは当時の局長、課長までも変わっておるというようなことで、全くその仕事の取り扱いなり運営にノータッチの人たちが、今ここに形式的な書類の上で検討するというようなことは、あまりに国民に対して不親切でないか、こういうふうに考える一人であります。  またもう一点は、先刻どなたかからも御質問がありましたが、予算が年々歳々こういうふうに膨張して参ります。そうして事案が減ってくるということは非常にけっこうなことで、望ましいことでありますが、簡単に報告書を見ただけでも、昨年も一昨年もこれの倍か三倍くらいのページで非常に詳細に検査された経過というものが、われわれがちょっと見ただけでもある程度わかる。ところが今度のやつは、なるほど十三億ほどの、金高でいえば実体であって、漸減しておることは間違いないのであって、いいことであるが、この内容が、ますます何といいますか、粗雑なといいますか、親切でない、こういうふうに考えられるが、こういうふうに内容をあまり公開しないというか、あるいはまた経過の報告が十分でないといいますか、そういう点について、何か理由があって、そういうふうな政府との折衝とか、そういう経過があるならば、その点を検査院に一つ御答弁を願いたい。  この二点を伺っておきたいと思います。
  88. 白木康進

    説明員(白木康進君) ただいまの御質問の点でございますが、私どもの方から申し上げますと、毎年度の決算を検査いたしまして、検査報告という形でまとめて、御審議を願うことが非常におくれるということでございますが、御理解に便利かと思いますので、現在最近にお手元に届けてあると思いますが、三十四年度の決算検査報告について申し上げますと、三十四年度の決算は、御承知通りに、昨年の三月をもって結了しておるわけでございます。これに対する検査は、大体書面検査におきましては、経理のあった翌月、おそくも翌々月までには、書類が私どもの方に届くことになっておりまして、常時検査をやっております。  ところがやはり決算のいろいろな手続上の関係から、各省の決算が確定いたしまして、大蔵省で大体一般会計、各特別会計の決算という形で結了されますのは、翌年度の七月の主計簿締め切りで、一応区切りがつくわけでありまして、これを私の方に表向きに当該年度の決算として提出されますのは、法律上は翌年度の十一月末日まで、実際は、十月ごろ参ります。つまり翌年度の十月であります。  それまでに私どもの方では、書面検査及び実地検査の大部分を終了しまして、決算を受領しました翌々月、具体的に申しますと、その年度の翌年の十二月までに大体検査報告をまとめまして、実際に決算の確認を了しまして、十二月の末までに、国会に内閣から提出されておるわけでございます。  でありますから、私どもの方の立場から申しますと、約一年足らずおくれるぐらいで出ておりまして、これは国会のたびたびの早期提出の御要望もございまして、大蔵省当局、私どもの方でも、できるだけすみやかに決算の確認あるいは検査報告の提出のできますように努力して、数年前に比べますと、これでも数カ月は早くなっておるのであります。  それから検査報告が、どうもだんだん薄くなって、何といいますか、簡単と申しますか、そっけないというか、そういうお感じをお持ちかと思いますが、これは全般的に経理が、国の経理あるいは各公社と政府関係機関等の経理も、全般的に改善されておる結果、指摘事項も漸減しておるというふうに私どもは見ておりますが、それにしましても各個別の事実が非常に、よく言えば簡潔、悪く言えばあまり簡単過ぎて意を尽くさない、こういう御意見と思いますが、この点も、実は国会からたびたび従来御要望もございまして、もっと検査報告の内容を具体的にわかりやすく、また経理全般がわかるようにしたらどうかというような御指摘あるいは御要望も、たびたび受けておるわけでありますが、私どもも、できるだけ記述は具体的に意を尽くすようにというふうに心がけております。  ただこの検査報告が一応違法あるいは不当事項を取りまとめて御報告するという事柄の性質上、一般の、政府がよく出しておられます白書のたぐいのように、総体的見地から全般にわたる見解、事実を取り上げるというところまでは、どうも性質上いきかねるのでございまして、現在のような形になっておりますが、なお、記述もなるべく具体的にわかりやすく、ほかの方との関連もわかりやすくというようなことは、私どもの方もなお研究しておきたいと、そういうふうに努力したいと思います。
  89. 田村元

    政府委員(田村元君) この決算がおくれておるというお話でありますが、建設省としましては、大体年度末からほほ七カ月ぐらいで報告を出しておるというような工合だと思いますが、これは審議の模様とか、あるいは検査院の方のいろいろの手数の関係で、そういうふうに長くなるのじゃないかと思いますが、私どもの方としましては、一応指摘の通りに、検査院に報告しておるというような現状でございます。
  90. 武内五郎

    武内五郎君 私は、これで質問を終わりたいと思うのですが、なるべく予算の関係のない部分に限って御質問したいと思うのであります。  それは、国土総合開発法が昭和二十五年に施行されてから、今日までだいぶ公共工事の変遷がございました。特に昭和二十八年には、治山治水基本対策要綱が策定されて、さらに三十一年治山治水対策要綱に基づいた治山治水事業に関する五カ年計画ができ上がって逐次年々、年を追うてそれが変化して参りまして、昭和三十三年には、新しくさらに治水事業五カ年計画が策定されました。三十四年には、さらにそれを改めて、三十五年には御承知通りいろいろな災害に伴いまして、治山治水緊急措置法あるいは治水特別会計法等が制定されて、さらにそれに伴って治水事業十カ年計画の策定を見たのであります。  ところが、これらの策定の実施にあたりまして、いろいろ私のふに落ちない点もたくさんありますが、特に昭和三十四年度版の国土建設の現況、いわゆる建設白書の中で、これを謙虚な態度だと私は解釈しておりまするが、謙虚な態度で自己批判されておるのであります。それによりますると、しかしながら今後も、この程度の投資額でゆくとすれば、基本計画の達成には、なお三十数年を必要とし、その間土地利用開発と保全との不均衡が一そう助長されて水害を激発するであろうと、こういうふうな、きわめて謙虚な態度で自己批判をされておるわけなんであります。  これらの計画を私は大観してみますると、たとえば電源開発を主軸とするB種の公共事業、その達成率がB種は一一四・二%、ところが一般治水等に関するA種公共事業の達成率というものは、きわめて低い五四・六%、こういうような、これはまあ年度の差もあろうと思うのでありまするが、こういうような達成率で参りますると、私は、せっかく謙虚な態度で自己批判されましたこういう不均衡が、一そう助長されて水害の激発を防止することができないのではないかというおそれを感ぜざるを得ないのであります。  そこで私はお伺いしたいのは、これらの治山治水対策の変遷について、それからその施策の施行の重点は、治山治水によって一般国民に被害を与えたいような、洪水やその他の災害を防止するような立場で施行されておるのかどうか。あるいはまた電源開発とかいうような事業に重点を置いて工事の施策の施行が行なわれておるものかどうか、それらを含めましてお答えを願いたいと思うのであります。
  91. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 治水事業の長期計画といいますか、こういう点につきまして二十八年の大災害の後、いろいろ変遷がございまして現在に至っているわけでございますが、二十八年に治山治水基本対策要綱というものが治山治水対策協議会においてきめられまして、今後これをもととして治山治水事業を抜本的にやっていこう、こういうようなことが決定をして閣議に報告をされたわけであります。その後昭和三十一年に五カ年計画というものが、これは建設省において基本要綱に基づきまして、これを作りまして、これをさっそく着工して参ったのでございますが、二十八年の基本対策に比較をいたしまして三十二年度までの四カ年にわずか二%しか施行できない。それからそういうような状況でございまして、この状況では、今後治山治水基本対策は、三十年以上かかるというようなスピードで参ったわけでございます。  これでは、どうしても洪水に対する災害というものを根本的に解決できないというので、さらに三十三年度に、新しく治水事業の五カ年計画を策定して参ったのでございますが、やはりこれは建設省ひとりとして、自分の立場として作った計画でございまして、政府全般に認められた計画ではなかったのでございます。その後、三十三年十二月三十一日になりまして、こういう状況を打破するために、閣議了解によりまして、その根本的な解決策として治山治水対策関係閣僚懇談会、これが設けられたわけでございまして、この懇談会で、いろいろ懇談されました結果、三十王年度に治山治水緊急措置法という法律が制定をしまして、これに基づいて五カ年計画を作る、つまり昭和三十五年度を初年度といたします法律に基づく前期五カ年計画、後期五カ年計画——十カ年計画でございますが、これを作るということに相なったわけでございます。つまり従来は建設省独自の立場で五カ年計画を作って実施をして参ったのでございますが、三十五年度からは、政府全般の責任において、治山治水緊急措置法に基づく五カ年計画ないし十カ年計画を作る、こういうふうに非常にその計画自体が、ほかのいろいろな公共事業の関係とか、財政投融資の関係とか、財政投資の関係とか、いろいろな関連上いろいろ検討されました結果、三十五年の十二月の二十七日に閣議が決定されたのでございます。従って今後はそれで十カ年計画を実施して参るわけでございますが、昭和三十六年度の来年度の予算につきましても、この点を十分考慮されまして、治山治水緊急措置法に基づく五カ年計画に基づく来年度予算が計上される、こういうふうに従来より、さらに一そう基本的な対策として確立をされた、こういうことが言えると思います。  従って洪水を防御するという、それから一般的な人的その他の被害を軽減する、あるいは絶滅するという方向に参っているわけでございますが、これらの計画によりまして、そういう点を十分考慮されまして、現在やって参っている段階の途中でございます。  従って、とれが十カ年計画が完成されますと、今後の洪水の被害の起こりそうな重要な地区は、ほとんどこれで解決をされる、そういうわけでございます。  ただいま御質問の、電源開発との関係はどうかという御質問でございますが、電源開発につきましても、これはまあ建設省の所管ではございませんが、電気の事業におきましても、それぞれやはり必要な計画はなされるのでありますし、建設省の治水事業につきましても、洪水防御、民心の安定からやるべきものでありまして、財政の全般のバランスの上にのっとって、今後両事業とも進められていくべきものであると、こういうふうに考える次第であります。
  92. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) ほかに御質疑はございませんか。——御発言もないようでございますから、建設省の部に関する質疑は、これにて終了いたします。  次回は明後八日、防衛庁の部の審査を進めます。  なお、この際、先ほど質疑応答にも表われましたように、三十三年度の決算審査は、冒頭に御報告申し上げましたあの日程によって進めましても、四月の末までかかることに相なります。なお三十四年度の決算報告書も、すでに受け取っておるのでございますが、これは五月初めから審査をいたす予定と相なっております。従いましてあの日程書を、一日一省といたしましても、かくの通りの進行工合でございますので、短時間に十分の質疑を行なっていただきまして、その後に総括質問、討論、採決等を行ないたいと思いますので、そのお心組みで、一つ何分委員各位の御精励をひたすらお願いいたす次第でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十四分散会    ————・————