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政府委員(
牛場信彦君)
日本のこの
輸出延べ払いの財源は、これは、御
承知の
通り、大
部分輸出入銀行、つまり
財政資金によっておるわけでございまして、
民間の方にはまだそれほどの金があまりありませんので、もちろん
協調融資ということで、一部は
民間でも負担をいたしておりますけれども、大
部分輸出入銀行によるということであります。従いまして、
財政資金の量によりまして、
輸出入銀行に向けられる差引の量によりまして、おのずから
規模が制限されて参るわけでございます。
条件につきましては、
輸出入銀行は、従来まあ普通の
商業輸出につきましては、大体
頭金が一〇%ないし三〇%、それから
期間は五年ないし七年というような
標準でやっておったのでありますが、それがまあだんだん伸びて参りまして、最近は、七年ないし八年というようなところまでは場合によっては認めてきておる。それからまた、これから先はおそらく十年、あるいは非常にその必要のある場合には十五年
程度までは認めていこうというようなところまでは来ておるのが現状でございます。それ以上ということになりますと、これは、
日本のただいまの
経済状況ではちよっとおつき合いしかねるのじゃないかということでありまして、
世界的に見ましても、非常に長い
信用を出しておりますのは
アメリカぐらいのものでありまして、もちろん
国際機関による、今度ことに第二
世界銀行というのができたことは御
承知の
通りでありますが、ああいうものによるのは別といたしまして、
アメリカの場合は三十五年とか五十年とかということを言っておりますほかは、大体十五年
程度ではないか。
ドイツあたりがもう少し長い
信用を出すということはあり得るかと思います。そういうふうに
考えておりまして、まあ当分の間は、その
程度でもっていくほかはないのじゃないかと思っておる次第であります。
もう
一つの問題は、
資金を
自分の国の
輸出に結びつけないで、
後進国が自由に使えるような格好でもって貸してやるということ、いわゆるアンタイド・ローンというのでありますが、これが最近
世界銀行あるいは
アメリカ政府あたりから唱えられております。しかし、これにつきましても、わが国といたしましては、まだそういう
段階までは
日本の
経済は来ておらないというように
考えておる次第であります。それから、
延べ払いにつきましては、
羽生委員御指摘の
通り、確かに、さし
あたりの
外貨の手取りという点から見ますれば、それほど有効ではないのでありますが、何分にも
世界の
趨勢といたしまして列国がこういうことをやっておりますので、
日本もこれと歩調を合わしていかないというと、結局
輸出競争においておくれをとる。そうして
日本は、これから
経済を伸ばしていきますためには、どうしても
重化学工業関係の
輸出をふやさなければならぬわけでありますので、他方こういう
重化学工業関係製品を非常に重要視する
後進国側におきましては、
外貨事情が非常に悪いということでありまして、従いまして、どうしても将来の
輸出の伸びということを見込みまして、
延べ払いということは行なっていかなければならない。まあむしろわれわれの
感じから申しますれば、
輸出振興の策はいろいろあるかと存じますが、この
輸出入銀行の
資金を充実していくということが一番有効な手段ではないかというふうに
考えておる次第でございます。それから、またさらに、最近発足いたしました
開発基金におきまして、この分につきましては、あるいは十五年というような制限をさらにこえた長い
期間の金も出せるようになってくるのではないか、これは、まだ
業務が始まったばかりでありまして、はっきりしたことはこれからの問題となると存じますが、この方の
資金を充実して参ることもまた、
日本としては
考えていく必要があるのではないかというふうに
考えております。