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重盛壽治君 どうも
質問の
方法が悪いかもしれませんがね、私はそうじゃないのです。もっと大幅に、ただ
運輸大臣というお
立場でなくて
——それですからきのう大
へん用事があったかもしらぬが、
大蔵大臣あるいは
総理大臣を呼んでいらっしゃい、そうして基本的な問題からお聞きをしなければ問題の解決が進まぬではないかということを申し上げた。ということは、ただ
国鉄の
運賃値上げ、
国鉄経営だけはあるいは仰せのような
状態で進み得るかもしれない。しかしそれも私は、五カ年の
計画の
内容に入る場合、これは後段で
質問をさせていただきまするが、これから五カ年間の
物価の
上昇率あるいは
社会情勢の
変化等どういうふうに織り込んであるか、ということに言及いたしますならば、これでも私はかなり危惧を持たなければならぬと
考える。けれ
どもそれだけでなくて、今の
日本の
経済全般ということをこの間も非常に
心配し、よけいな
心配だと、これはどうも
内閣がやることであるから野党の君が
心配してくれぬでもいいということになろうかと存じますが、しかし
国会議員としてはそうはいかぬのじゃないか、いわんや参議院の
立場からいきますならば、これはやはり
日本の
経済に、大きくどういう面に悪
影響を及ぼしていくかということを
考えると、私はただ単に
値上げという問題だけで取り上げたくない。ですから
経済企画庁長官が来たときに、先ほ
ども言いましたように、私が
質問しましたならば、あなたはおいでにならない、次官は黙っている、それから
企画庁長官は全く今あなたの
答弁なさるようなところに
答弁を落ちつけたんですが、私が今申し上げるようなことで何の
心配もないんだという結論がもしあるならば、それをお聞かせ願えればいい。私はいわゆる
値上げムードというようなもの、またあなた方が今何度も言っておる、一の
物価の
値上がりである、そうして
卸物価にはあまり
影響がない、そういうものの言い方をしているが、それは
国鉄の
値上げという
一つのところから見る場合には、あるいはそういう
理屈も成り立つかもしれない、しかしそうではないのです。これは
値上げムードというものは、いわばいわゆる
所得倍増というような問題、多くのものからきている。それをもっと砕いて言うならば、
ほんとうに五年十年に
所得の
倍増をはかろうとするならば、
一体なぜ
総理大臣初め各級の
議員の
給与の
引き上げ、
特別職の
給与の
引き上げというようなことを思い切って三〇%やらなければならなかったか、こういうことがまず非常に大きな
反響を持っている。これはきのうも一昨日も申し上げましたけれ
ども、それに便乗して
東京、
大阪を初め各市町村のいわゆる各級の
議員が全部
値上げをしたじゃありまんか、これは三〇%から三五%に該当する、あるいはもっと多いのもあるんですね、そういうものの
値上げがある、これがいろゆる歳費の
値上げをしたというところにこの
物価の
値上がりが出る
根幹があります。私はこの点に非常に驚いたということをこの間も申し上げたのです。非常に驚いた、こんなことをして
ほんとうに
日本の
経済がこれに準じてすべてのものがやり得る体制ができておるか、場合によれば
日本の
貨幣価値も下落し、
国際信用にも波及するのではないかということを申し上げたのですが、非常にそういうことをおそれる。ですからせめてそういう中で
公共料金の
引き上げということだけは一年でも見送って、この見送るにも理由がないわけではない、
国鉄のような場合、この間から聞いていると、あの大戦争、あの時代に
輸送力の
増強を、われわれも
交通関係に若干
関係させられてやらされた一人なんですが、お国のためだ、やりなさい、やりなさいといって、レールがすり減り汽車が、ぶっこわされるまで協力してきた。それに対しそれならば
補助金制度を作ったか、あるいは別な
方法でそれの立ち直りをしたか、それを主として
乗客の
賃金で今日まで営々として仕上げてきておる。それはその中におって、
国鉄の中でそういう
仕事をやってこられた
諸君は非常にお気の毒でもあり、またいろいろ
考えてやらなければならぬ面もあると思います。国の政治として
全般からいえばそうであってはならぬのじゃないか、今度もやはりそういう
値上げといような
方法でなくて、今言うようないろんな
ムードが出ているときには
国鉄に対しては別途考慮して、さかのぼって、私はたとえば戦災を補償するというような意味合いから出発してもいいと思う。何らかの補償をしなければ、
公共性を持つが、この
企業体の中で、
一つお互いにつじつまの合うような
独立採算制の
方針をとってゆきたい、こんなことはやはりだめです。ですからそこらが非常に
ムードの
原因になってきているということ、それをあなたは
国鉄の
値上げきり描いて、その中でものをおっしゃるものだから〇・一だと、あるいは
卸物価は上がらぬと言うけれ
ども、そういうことがまず非常に大きく
影響をしておる。
もう
一つ、私はこの際立ったついでに申し上げておくが、非常に不可解なことをあなたは言っておる。
国鉄の
値上げはするが、その他のやはり
公共性を持つ
交通機関、いろいろなものに対してはしばらくの
間がまんをしてもらわなければならぬ、こういう
答弁があったように聞いておる。これは
企画庁長官もやや似たことを言った。
企画庁長官はまあ
実情に沿って調査をし、上げなければならぬものは
考えなければならぬだろうと言ったが、そんなばかな
理屈が大体成り立ちますか。
国鉄は上げた
——運輸大臣は
国鉄だけの
大臣じゃないんで、
国鉄の方には
十河さんというりっぱな
総裁がおられて、それを
中心にして
国鉄の
運営をしてやっておる。ですから
国鉄だけから今いいますならば、今度の
給与改定の問題もあるいはうなずかれるかもしれませんが、あなたの場合はやはり
運輸大臣として全部の、いわば
国鉄が
動脈であるならば、その他の小さな
動脈、毛細管に至るまで全部を掌握して、それを
一体として国の
交通作業を進めていかなければならぬ
立場にある方が、
国鉄は上げたが、ほかのものはストップさせ、あるいは上げさせない予定だ、これでそれじゃ全部の機構が動くとお
考えになるかどうか、それは動きませんですよ。従ってそれらも当然やはり
国鉄の上がる比率までは上がり得るものなりという見込みをつけて、
経済全般の御
検討をなされなければならぬのではないか、ということが私の申し上げたいところなんですね。そうして初めて出てくるこの
物価値上げの
ムードというものが押えられるかどうか、その場合押えられないんじゃないか。あなたは今、わずかながら職員の
給与が上がっただけで少し上がり過ぎたような
感じを持ったと、自分が持ったとはなかなかお上手にお言いにならなかったが、持った向きもあるようだと、これはしかし各級の
議員、首長、そういう
人たちの
給与の
引き上げからいうと、まことに微々たるものである。従ってこれに準じて
日本の
中小企業、
弱小企業がやはり全部
値上げをしていかなければならぬその場合に、果たして
中小企業、
弱小企業がこれについてゆき得るか。中に私は
賃金構成その他
物価の
値上がり等からいって破産をしてくる商社が出てくるような悲惨な
状態が現われてくるのではないか、こういうことも
考えられる。ですから私
どもが言うことは、
国鉄の
運賃を
引き上げるということによって、
日本の
経済の将来、いわゆる
所得倍増のこの
基本方針に向かって必ずやり遂げられますと、やってゆくんだということであるならば私は安心する。そうでなくて、だんだん
一つ一つやれるものからやってゆくということは、お
仕事の方でなくて
賃金の
引き上げの方あるいは
乗車料の
引き上げ、
貨物運賃の
引き上げという、そういう
引き上げだけをやってゆくという形では、私はこれはどうしても
経済の均衡はとれぬと思うんですが、その点をあなたから、はっきり伺ってから問題に入ってゆきたい、このように私は
考えております。