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1961-03-31 第38回国会 参議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三十一日(金曜日)   午後二時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三木與吉郎君    理事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            村上 春藏君            大倉 精一君    委員            井野 碩哉君            重宗 雄三君            谷口 慶吉君            鳥畠徳次郎君            野上  進君            平島 敏夫君            小酒井義男君            重盛 壽治君            中村 順造君            大和 与一君            片岡 文重君            白木義一郎君            加賀山之雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 木暮武太夫君   政府委員    運輸政務次官  福家 俊一君    運輸大臣官房長 辻  章男君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 広瀬 真一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会に関する件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより委員会開会いたします。  まず、連合審査開会についてお諮りいたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、農林水産商工委員会からそれぞれ連合審査会を四月一日に開会されたい旨の申し入れがございました。農林水産商工委員会申し入れ通り、四月一日に連合審査会開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 大和与一

    大和与一君 理事会連合審査会をあしたやるということを、大体話がまとまりましたそうですから、今、賛成をいたしたわけですが、本来であれば私たち、やはり衆議院申し合わせもありましたのですから、院内の慣例に従う立場からすれば、公聴会が先で連合審査会がその次と、こういうふうな心ずもりでおったわけであります。しかしきまったことについては異議を申し上げるわけじゃありませんが、なおこれからも、連合審査会は一日になったけれども、あくまでも審査審議——委員長の今日までの議事運営の公正なことについては、もう心から敬意を表し、できるだけの協力を申し上げておるつもりでありますから、どうかそういうおつもりで今後の議事のお取り計らいをいただくように要望申し上げたいと思います。   —————————————
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
  6. 重盛壽治

    重盛壽治君 私はこの国有鉄道運賃値上げ関連して、今まで同僚議員大倉委員を初めその他の委員諸君から関連問題として、日本経済状態に対して国鉄運賃値上げということによって、どういう反響を及ぼすかという問題を中心としていろいろ論議がされた。私自身もまた先般迫水氏がお見えになったときに、それらに関連して若干の質問を申し上げたのでありますが、残念ながらその基本線ははずされて、国鉄運賃だけは値上げをしていただきたいというところにうまくしぼられてしまったのであります。決して私はそういう言葉じりをつかまえたりしていろいろ申し上げるのではないが、どうも国鉄運賃値上げするということの影響性というものが、非常に日本経済の多くの面に影響するように考えられる。従って、私はムードがどこから出たとかどうとかということを今さらあらためてお聞きしなければならぬとは思いませんけれども、そういう値上げムードというような関連についてもやっぱりもうちょっと運輸大臣一言でもいいんだが、ずばりと、どういう感じから出てきて、どうして国鉄運賃値上げしなければならぬかということを、いま一度大臣の所感をお聞きしたいし、さらに突き詰めて申し上げるならば、それをお聞きしてから申し上げた方がいいと思いますが、時間の節約上私は一緒に申し上げまするが、国鉄運賃値上げ関連して、運輸大臣としては閣議の中でどういう態度をおとりになったのか。  もう一つは、どうもこの間あたり給与ベースが上がったというと非常に反対したというが、これは私は新聞で見たのでよくわかりませんが、あまり喜んで給与ベース値上げには——運賃値上げの方は積極的にやるが、給与ベース値上げの方はあまり喜んでおられないということも漏れ承っておりまするが、そういうときの態度、これを一応先に聞かしていただければ、それに準じてまたいろいろお伺いしたいと思います。
  7. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) たびたび申し上げまするように、現在の国民輸送需要に対応し切れないような国鉄輸送状況でございますので、今後、政府計画いたしました所得倍増計画関連いたしまして、これが日本経済成長発展隘路となることを考えまして、この際は、三十六年度から五カ年間の国鉄輸送力整備増強計画をいたさなければ相ならぬということになりました。従いまして、この中には、御承知通り採算考えますとペイしない、たとえば踏切の改善であるとか、あるいは朽廃施設の取りかえでありますとか、あるいはまた複線化であるとか、あるいはまた近代化の電化、ディーゼル化というようなものが三十六年度におきましては千億円以上に及ぶというわけでございますので、国鉄従来からの経営方針に従いまして、一つの柱としては借入金でやり、一つの柱としては国鉄みずから捻出する自己資金でやらなければならぬ。その意味から捻出する自己資金は、減価償却費の繰り入れ六百億円のものがございますので、大体それの残りの四百八十六億円程度利用者の方に負担していただくということにごがまんを願うことにいたそうと。しかも国鉄運賃は諸物価に比較いたしまして、長い間きわめて低いところに置かれておることは御承知通りでございます。また最近三回の国鉄運賃改定を見ましても、卸売物価等におきましてはほとんど物価にも影響をいたさぬというような点を統計の上で見ましたものですから、この程度利用者の方の御負担を願うことによって、むしろ国鉄輸送力が整備強化されて輸送が円滑になりますということは、利用者のお方々にとりまして御便利を与えることで、それだけの運賃改定のものに対しましてはサービスの点で還元することができる、こういうふうにひそかに考えましてこれに踏み切りましたようなわけでございます。  また第二の御質問の今回の公労協の委員会仲裁裁定が出ました場合に、お前はどういう態度であったかというお話でございますが、御承知通り政府といたしましては、仲裁裁定が出ましたならばこれを尊重して実施する、という態度を早くからきめましたわけでございまして、これに閣内におきましても反対する者はなかったような次第でございます。ただ、人おのおの気持とか考えとかというものは別々に持っておりますから、この仲裁裁定が、払う方の側からするとやや高きに失したではないか、というようなことを考えた者もあるわけでございます。新聞などにも予想以上に高かったということを書いてあるものもございますが、しかしそれは途中における考え方でございまして、われわれは閣議決定いたしました、仲裁裁定の結果を尊重いたしまして、これを完全に実施するということに決定をいたしましたようなわけでございます。
  8. 重盛壽治

    重盛壽治君 私の質問が悪かったかもしれませんが、一言で言えば、運輸大臣、こういうことをお聞きしているのですよ。値上げをしなければならぬいろいろな、もろもろの実情ということはよくわかりますよ。値上げは私はよろしいどころじゃない、あなたの説明あるいは国鉄立場から、国鉄諸君がこういう方向に国鉄経営していくという場合には、今のような方法値上げをしなければならぬであろうということは、これはわかるのですが、われわれは、そういうこと自体が日本経済にどういう影響を及ぼすのか、あらゆる物価値上げムードには関係ないというようなことを言われているが、私は非常にあると思うが、その点はどうか。もっとずばり言えば、値上げムード根幹は何と何と何とお考えになりますか。
  9. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げますが、私はこの程度運賃改定利用者に御預担を願いますことによって、あるいは問題になっておる都市周辺の混雑した通勤輸送緩和されたり、あるいは貨物輸送が円滑に参りますならば、これは国民生活の上から見て喜ぶべきことであるし、このごがまんによって、おそらく利用者の方は、その結果をよくすることにわれわれが努力いたしまするならば、がまんして喜んでいただけるものであると実は考えております。
  10. 重盛壽治

    重盛壽治君 どうも質問方法が悪いかもしれませんがね、私はそうじゃないのです。もっと大幅に、ただ運輸大臣というお立場でなくて——それですからきのう大へん用事があったかもしらぬが、大蔵大臣あるいは総理大臣を呼んでいらっしゃい、そうして基本的な問題からお聞きをしなければ問題の解決が進まぬではないかということを申し上げた。ということは、ただ国鉄運賃値上げ国鉄経営だけはあるいは仰せのような状態で進み得るかもしれない。しかしそれも私は、五カ年の計画内容に入る場合、これは後段で質問をさせていただきまするが、これから五カ年間の物価上昇率あるいは社会情勢変化等どういうふうに織り込んであるか、ということに言及いたしますならば、これでも私はかなり危惧を持たなければならぬと考える。けれどもそれだけでなくて、今の日本経済全般ということをこの間も非常に心配し、よけいな心配だと、これはどうも内閣がやることであるから野党の君が心配してくれぬでもいいということになろうかと存じますが、しかし国会議員としてはそうはいかぬのじゃないか、いわんや参議院の立場からいきますならば、これはやはり日本経済に、大きくどういう面に悪影響を及ぼしていくかということを考えると、私はただ単に値上げという問題だけで取り上げたくない。ですから経済企画庁長官が来たときに、先ほども言いましたように、私が質問しましたならば、あなたはおいでにならない、次官は黙っている、それから企画庁長官は全く今あなたの答弁なさるようなところに答弁を落ちつけたんですが、私が今申し上げるようなことで何の心配もないんだという結論がもしあるならば、それをお聞かせ願えればいい。私はいわゆる値上げムードというようなもの、またあなた方が今何度も言っておる、一の物価値上がりである、そうして卸物価にはあまり影響がない、そういうものの言い方をしているが、それは国鉄値上げとい一つのところから見る場合には、あるいはそういう理屈も成り立つかもしれない、しかしそうではないのです。これは値上げムードというものは、いわばいわゆる所得倍増というような問題、多くのものからきている。それをもっと砕いて言うならば、ほんとうに五年十年に所得倍増をはかろうとするならば、一体なぜ総理大臣初め各級の議員給与引き上げ特別職給与引き上げというようなことを思い切って三〇%やらなければならなかったか、こういうことがまず非常に大きな反響を持っている。これはきのうも一昨日も申し上げましたけれども、それに便乗して東京大阪を初め各市町村のいわゆる各級の議員が全部値上げをしたじゃありまんか、これは三〇%から三五%に該当する、あるいはもっと多いのもあるんですね、そういうものの値上げがある、これがいろゆる歳費の値上げをしたというところにこの物価値上がりが出る根幹があります。私はこの点に非常に驚いたということをこの間も申し上げたのです。非常に驚いた、こんなことをしてほんとう日本経済がこれに準じてすべてのものがやり得る体制ができておるか、場合によれば日本貨幣価値も下落し、国際信用にも波及するのではないかということを申し上げたのですが、非常にそういうことをおそれる。ですからせめてそういう中で公共料金引き上げということだけは一年でも見送って、この見送るにも理由がないわけではない、国鉄のような場合、この間から聞いていると、あの大戦争、あの時代に輸送力増強を、われわれも交通関係に若干関係させられてやらされた一人なんですが、お国のためだ、やりなさい、やりなさいといって、レールがすり減り汽車が、ぶっこわされるまで協力してきた。それに対しそれならば補助金制度を作ったか、あるいは別な方法でそれの立ち直りをしたか、それを主として乗客賃金で今日まで営々として仕上げてきておる。それはその中におって、国鉄の中でそういう仕事をやってこられた諸君は非常にお気の毒でもあり、またいろいろ考えてやらなければならぬ面もあると思います。国の政治として全般からいえばそうであってはならぬのじゃないか、今度もやはりそういう値上げといような方法でなくて、今言うようないろんなムードが出ているときには国鉄に対しては別途考慮して、さかのぼって、私はたとえば戦災を補償するというような意味合いから出発してもいいと思う。何らかの補償をしなければ、公共性を持つが、この企業体の中で、一つお互いにつじつまの合うような独立採算制方針をとってゆきたい、こんなことはやはりだめです。ですからそこらが非常にムード原因になってきているということ、それをあなたは国鉄値上げきり描いて、その中でものをおっしゃるものだから〇・一だと、あるいは卸物価は上がらぬと言うけれども、そういうことがまず非常に大きく影響をしておる。  もう一つ、私はこの際立ったついでに申し上げておくが、非常に不可解なことをあなたは言っておる。国鉄値上げはするが、その他のやはり公共性を持つ交通機関、いろいろなものに対してはしばらくの間がまんをしてもらわなければならぬ、こういう答弁があったように聞いておる。これは企画庁長官もやや似たことを言った。企画庁長官はまあ実情に沿って調査をし、上げなければならぬものは考えなければならぬだろうと言ったが、そんなばかな理屈が大体成り立ちますか。国鉄は上げた——運輸大臣国鉄だけの大臣じゃないんで、国鉄の方には十河さんというりっぱな総裁がおられて、それを中心にして国鉄運営をしてやっておる。ですから国鉄だけから今いいますならば、今度の給与改定の問題もあるいはうなずかれるかもしれませんが、あなたの場合はやはり運輸大臣として全部の、いわば国鉄動脈であるならば、その他の小さな動脈、毛細管に至るまで全部を掌握して、それを一体として国の交通作業を進めていかなければならぬ立場にある方が、国鉄は上げたが、ほかのものはストップさせ、あるいは上げさせない予定だ、これでそれじゃ全部の機構が動くとお考えになるかどうか、それは動きませんですよ。従ってそれらも当然やはり国鉄の上がる比率までは上がり得るものなりという見込みをつけて、経済全般の御検討をなされなければならぬのではないか、ということが私の申し上げたいところなんですね。そうして初めて出てくるこの物価値上げムードというものが押えられるかどうか、その場合押えられないんじゃないか。あなたは今、わずかながら職員の給与が上がっただけで少し上がり過ぎたような感じを持ったと、自分が持ったとはなかなかお上手にお言いにならなかったが、持った向きもあるようだと、これはしかし各級の議員、首長、そういう人たち給与引き上げからいうと、まことに微々たるものである。従ってこれに準じて日本中小企業弱小企業がやはり全部値上げをしていかなければならぬその場合に、果たして中小企業弱小企業がこれについてゆき得るか。中に私は賃金構成その他物価値上がり等からいって破産をしてくる商社が出てくるような悲惨な状態が現われてくるのではないか、こういうことも考えられる。ですから私どもが言うことは、国鉄運賃引き上げるということによって、日本経済の将来、いわゆる所得倍増のこの基本方針に向かって必ずやり遂げられますと、やってゆくんだということであるならば私は安心する。そうでなくて、だんだん一つ一つやれるものからやってゆくということは、お仕事の方でなくて賃金引き上げの方あるいは乗車料引き上げ貨物運賃引き上げという、そういう引き上げだけをやってゆくという形では、私はこれはどうしても経済の均衡はとれぬと思うんですが、その点をあなたから、はっきり伺ってから問題に入ってゆきたい、このように私は考えております。
  11. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) いろいろ御意見を拝聴いたしましたが、先ほど来申し上げますように、日本経済成長繁栄隘路となるおそれのある国鉄というものをこの際整備増強いたしますために、この程度運賃改定というものはやむを得ないものであると私は考えておるのでございまして、この程度利用者のごがまんを願うことによって、国鉄輸送力が整備充実強化されて輸送が円滑になりますならば、かえって経済成長繁栄に役立つものであるというふうに考えておる次第でございます。  それから第二の御質問でございますが、昨日も企画庁長官からもお話がございましたように、過日の閣議におきまして、この値上げムードというもののありまする現在を勘案いたしまして、この際公共料金というものは当分抑制してもらうという閣議決定をいたしましたわけでございます。この趣旨に従いまして、私どもは、ただいま重盛委員も御心配になっております、値上げムードというものが現在ありますのですから、この際国鉄運賃改定したからということで、これに藉口いたしましていろいろの公共料金が便乗して一せいに値上がりをいたしますということは、これは好ましからぬことで、現在ある値上げムードをいやが上にも激化促進するようなおそれがなきにしもあらずと考えますので、この際は当分こういうものにつきましては一つがまんを願う。しかしながら運輸省に申請がありました場合には、この一つ一つケース・バイ・ケースに調べまして、そうしてその経理の内容等をよく検討をいたしまして、その上で企画庁とよく連絡をとって消費者の利益を勘案いたしまして、適当なときにこれを改定することにはやぶさかでないということを申し上げたわけでございまして、当分はただいまの閣議申し合わせの線に沿いまして値上げムードを激成促進するような勢いを作るような、便乗的に一せいに公共料金が上がるということは、これはだれが考えても好ましくないことであると、こういうふうに考えて、これは昨日も説明がございましたように、法律的に効果があるわけではございませんが、行政上の指導によりましてこの方法に出るということが、政局をあずかる者としては当然なすべきことであると、こう考えておる次第でございます。
  12. 重盛壽治

    重盛壽治君 世の中がだいぶ変わってきたから、そういうおれたち給料をよけいとるし、おれの経営してる大国鉄は貨金の引き上げもするんだが、お前たちは低給料がまんし、あるいは安い輸送料がまんして、その中でさらに交通輸送に協力するような方針をとりなさいというように聞こえますがね。  それからもう一つは、どうもあなたのお考えからいくと、一般経済には影響を及ぼさないんだと言われますが、これは一つ一つ私はあとで数字を対象にして指摘さしていただきますが、私はそうでないと思うのですね。これはあなた貨物五%、乗客一二%上げる、乗客の方はかりに一応除くとしても、貨物が、あらゆるものが一〇%なり一五%上がれば、それだけ今の卸売原価へかけられることを政府は抑制する力を何も持っておりません。それは申し合わせでそうしてもらえばいいという御都合主義であって、そんなにうまくいきませんよ。  もう一つ。若干問題がそれるかもしれませんが、あなたはやっぱり東京におられると思うんだが、東京で朝乗ってここへ出勤なさる場合あるいは退庁なさる場合、東京都内をお歩きになった場合に、一体どうお考えになるか。この行き詰った東京交通事情はどうすれば解決するとお考えになりますか。関連でえらいすまぬけれども、お考えをちょっと聞かしてもらいたいのですが、運輸大臣としての立場から、東京交通を処理するとしたら、どうするかということを一斉、何かお考えがあるなら。
  13. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) これは私、運輸大臣としての所見ということをお聞きになりましたが、もう今日は東京周辺交通が非常に混乱しておるということは困ったものであるということは、これは一般の定論になっておるので、私は別にそれと反対の意見を持っているわけではございません。やはり何とかしてこの輸送緩和いたさなければならぬと思うのでございます。もちろん東京に年々三十万人も人口が集中してきて、東京をいわゆる過大人口と申しますか、超過大人口都市にしておるということが大きな原因でございましょうけれども、これは国が全体の政策として人口の分散の仕事をやらんけりゃならぬことは論を持ちません。しかしながら一方、交通機関といたしましては、できるだけこの輸送難緩和していきたいと考える次第でございまして、これは国鉄から御説明申し上げますけれども、今度の三十六年を初めとする五カ年計画におきましても、東京大阪のような大きな都市中心といたしまする輸送難緩和に、いろいろと電車の車両を増備するとか、あるいは現在の複線にさらに、一番問題になっておりまする中央線のごときところは、中野から三鷹までことしから複線をさらにやるとかというようなことでこの緩和には全力を注ぎたい。これがすなわち今回の五カ年計画の一部分に実はなっておりますことは、すでに御承知通りでございまして、決してわれわれは東京等の大都市中心とする輸送が、現在これでいいというふうには考えておりません。国鉄ばかりではございません。地下鉄においても、また近郊の鉄道におきましても、バス等におきましても、何とか協力いたして、この混雑を緩和して参りたいと思って、いろいろの対策本部などを内閣にも設けまして、いろいろのことを手配をいたしておりますることも、すでに幾たびか御説明申し上げたような次第でございます。
  14. 重盛壽治

    重盛壽治君 これは直接運輸大臣関係のあることではありませんから、そこは私はいろいろ申し上げませんが、ちょうど今東京があれだけ行き詰った状態になっているということは、私どもは従来唱えているようなことで、もちろん社会党の立場におるわれわれか申すこととあなた方の考え方とは基本的に違うかもしれませんけれども、何といっても常にわれわれが主張しておる総合施策に欠けておったことが今日の行き詰りを来たした、もっと露骨に言うならば、やはり自治省運輸省建設省あたり一体になって、東京を戦後どうあるべきか、もちろん東京は都民のものだから東京都にまかしたといえばそうかもしれませんが、まかしたらまた東京都に対する政府のあり方が少し角度が違っていたのじゃないか。政府は毎年予算のたびに僻地開発資金というものを作る。これはまたけっこうなことで、やらなければならぬことでありますが、やってもらわなければならぬが、やはりひざ元の東京富裕都市というようなことにきめ込んで、何もやることをやらんで、都市計画もやらなければ道路も作らなければ、自動車が行き詰っても、地下鉄が行き詰っても、下水が行き詰ってもその仕事をしないでやっていれば富裕都市になるにきまっている。それで富裕都市ということで金は取り上げておる。それは交通問題、都市計画の問題を国なり建設省が、あるいは運輸省が、自治省一体になってやるかというと、それは放置して東京都知事にまかしている。こういう政治のあり方からいうならば、これは東京交通問題一つ私は打開できないと思う。ますます混乱の状態になって、それこそ三年後にオリンピックを招致してやるけれども、それは醜い東京の姿ができるのじゃないか。これは運輸大臣なんかも、こういう国鉄運賃値上げをして交通輸送の強化をはかって、そうして経済の向上をはかるということであるならば、そういう理屈ばかりではなくて、目の先に見えるところの問題までもやはりひっくるめて、運輸省としては、あるいは国鉄としては、どうあらねばならぬかということが一本かなり強固のものが入り、そういうものを契機として建て直しをしなければ、よけいな心配かもしれませんけれども東京なんかはもっと行き詰まってひどいことになる。車だけはどんどんふえても、たとえば必要なタクシーなんかふやすことはこれは相当抑制する。しかし一方において自家用車が一日に何ぼというぼこぼこふえていく。それはふえちゃいかぬとは言わないが、そういう点で、交通事業に携わる運輸省としては、運輸大臣としては、どうあるべきかということをやはり考えながら、国鉄の五カ年計画考えるという形でなければならぬと私は思うのですがね。この点は運輸大臣、どうですか。
  15. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま申し上げましたように、私どもといたしましても、東京輸送難をこのままにしておいてはいかぬ、どうしても十分の手を打たなくてはならぬということは、重盛委員と全く御同感でございます。従いまして、先ほど申し上げましたように、内閣におきましても、交通難を緩和するための、各省が緊密な連絡をとりましていろいろ手配をいたすために、対策本部を作るようなこともいたしておるのでございます。また国鉄輸送につきましては、常に国鉄におきまして、これまた時に応じまして対策本部を作って、国鉄の方でも中央線のごときにつきましては、三分おきに十両編成の革を出すという、これ以上なかなか技術上できかねるようなことまでやり、あるいは駅の拡張をいたしますとか、できるだけのことを今やっておるわけでございますが、しかしこれだけでは、とうてい国鉄だけに考えてみましても、今日の輸送難緩和するということはできない。それには至急に車両を増強する、増備するとかあるいはまた複々線を作るとかというようなことをやらなければならない。それには今回の第二次五カ年計画において資金を調達して、投資して、こういうことをやっていかなくちゃならぬ。こういうふうなことを考えましたことも、今回の第二次五カ年計画一つの具象化として現われてくる解決策であると思うのでございます。
  16. 重盛壽治

    重盛壽治君 運輸大臣は、御答弁のための答弁というやつであって、国鉄吾孫子さんでもどなたでもいいが、それじゃ五カ年計画の中に、東京周辺のそういう問題が解決できるようなものが織り込んであるとおっしゃるけれども、私はそれは何もないとは言わないが、私どもの知る限りにおいては、もう国鉄、たとえば中央線も二分間隔ですから、それより間隔を詰めるわけにはいかない、車両も十両だからそれをふやすわけにはいかない。極端なことをいうと、どうしようもないということなんです。さればといって、新しい予算をとって複々線にするということは、これは夢のようなことで、東京からお茶の水まで作ろうとしても、土地の買収ができないというほど地価が値上がりして、土地の買収ができないというときに、そんなことは不可能であります。不可能でありますし、またやることも必要でないことはない、やるにこしたことはないけれども、昼はどうかというとがらがらのこともたくさんある状態だから、それじゃ独立採算でやるというなら——公共事業で、どういう赤字が出てもやりますということならやれますけれども、やはり賃金によって、乗客から回収してもっとやれというなら、そういうことは言うべくしてできないのだがね。それは私はそのことまでは大臣が何を言おうと当てにはしない。あてにはしないが、もう少しやはりこの五カ年計画の中には、具体的にほんとうに解決のつくものがあるのか。さらにもっといえば、第二次か第三次か知りませんけれども交通調整でもやる考えがあるか。何か手を打たなければどうにもならぬ段階にきている。私はそうかといって、重盛君は値上げをまず認めたのかといえば、値上げを認めて申し上げているわけではない。値上げをするとしても、そういう問題が含まれるであろうし、それに関連した問題まで一緒になって解決をつけていくというお考えがなければ、国鉄だけ値上げしてみても、交通輸送緩和経済の自立ということはできないということを申し上げておる。
  17. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 政府委員の方から、それでは具体的に一つ申し上げることをお許しを願いたい。
  18. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 特に東京都の都市交通の打開につきましては仰せの通りでございまして、単に運輸省だけがいろいろ施策を立てましても十分ではございませんで、御指摘のように建設省なりあるいは自治省なり、関係方面とよく緊密な連係をとりまして、総合的な政策のもとに、この対策の急速な実施をいたして参りませんことにはどうにもならない問題でございます。また実施面におきましても、御承知のように国有鉄道を初めといたしまして、東京都の交通局が持っております路面交通機関がございますし、あるいは地下鉄におきましては、帝都高速度交通営団が担当いたしております。また最近ではこの地下鉄の建設に、東京都が協力するという体制にもなって参りましたし、あるいはまた私鉄も大きな役割を持っているわけでございまして、そういうものが総合的に和提携しまして、やるべきことは当然であろうと思います。それぞれの関係交通機関というものが、それぞれまた能力を充実整備させることによりまして、この都市交通の打開ということができることはもちろんでございます。
  19. 重盛壽治

    重盛壽治君 ちょっと前に返るが、この間の閣議国鉄運賃引き上げをしてもらうが、その他の交通料金と名のつくもの、あるいは一般のたとえばバスなり私鉄なり、これも私はかなり、国鉄以上の苦しい状態に置かれているものがあると思う。もっと率直にいうと、値上げをしなければ給料も払えない、値上げをしなければ古いものが取りかえられないとか、そういうものがある。そういうものが当然出てきた場合には、一つ一つケースに応じて調査をして善処、処理をするということですか。そういうものはどういうものであろうとも、賃金値上げはストップをするということですか。私は値上げをしなさいということではありませんよ。しかしそういう空気が起こるということは当然考えなければならぬ。自分だけ上げてあとは何にも出てこないなんていう甘い考えではいけない。それは政治的圧力で押えつけるなんていうことは、民主主義の時代にそぐわないと私は考える。ですからそういう点はどういうふうに考えるか。
  20. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) これはしばしば大臣から御答弁申し上げました通りでございまして、いわゆる当分の間という点につきましては、いろいろこれは解釈が成り立つであろうと存じます。従いましてわれわれ運輸省当局といたしましては、それぞれの企業というものが健全な経営の基盤に立って、初めてその使命を遂行できることは十分承知いたしておるわけでございます。従いまして、大臣が申し上げましたように、ケース・バイ・ケース、それぞれのケースをよく検討いたしまして、当分の間という御方針をよく体しまして善処いたしたい、かように考えているような次第でございます。
  21. 重盛壽治

    重盛壽治君 この間大倉委員がやったことに戻ってきたようだからあまりやりたくないが、当分の間というのは、文字のしばらくとか何とかというと、一月か二月もたてばいいということになるし、当分の間となると年になるのじゃないか。そういう解釈は一体どこにあるのか。それは大臣でなくてもいいが、そんなことは。常識的にどこに置くのだね、当分の間というのは。
  22. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) これはやはり大臣が申し上げましたように、当分の間と申しますのは、暦の上で何月何日から何月何日までということじゃないように考えております。いわゆるそれこそ良識を働かせまして、常識の上に立って判断すべきもの、また個々のケースに応じて当分の間ということもまた変わってくるべきではないかというふうにも考えられると存じます。
  23. 重盛壽治

    重盛壽治君 まあ私は、運輸大臣にむしろ要望もしておきたいし、最後に一言いうておきたいが、この閥からの質疑の様子を聞いていると、ちょうど運輸大臣国鉄総裁になったような御答弁をして、国鉄は上げる、その他はがまんしてもらうのだ、この考え方とこの理屈というものは、私はやはり運輸大臣というものは、あるいは閣議全体としてはそういう空気が出たかもしれぬ、あるいはまたそういう申し合せわをしたかもしれぬ。しかし運輸大臣は運輸行政全般にわたって広く掌握して、これはやっぱりその中に困っておるものがあれば考えてやらなければならぬだろうし、値上げをしなければならぬものは値上げをしなければならぬ。私は値上げに反対していますよ。反対だけれども、何でもかんでも、どんな実情にあろうと、どんな窮状に追い込まれておるものであっても、これは値上げをしてはならないというばかげたことはないと思いますよ。そういうものがやっぱり、つまり平均して均衡をとった上で経済政策が成り立つということを当初から申し上げているわけです。これはやっぱり、かなり理屈が私の方とあなたの方とは違うから、こればかり追及するのもあれですから先へ進みますが、運輸大臣としては先ほど来から私が申し上げましたように、これは補助金をとってやらなければならぬところもあるし、事業は、飛行機の問題もあるし、船の問題もあるし、港湾の問題もあるし、あらゆる問題に関連をしていくわけでございますので、そういう問題と全部をにらみ合わしてやっぱり日本の運輸行政がどう円滑にいくかということを、この国鉄の五カ年計画をやると同時に私は考えてもらいたいということを申し上げたいのです。どうですかこの点については。
  24. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 再三国鉄運賃のこの程度値上げはどうもやむを得ないということを申し上げておるわけでございます。(「それはもうだいぶ聞きましたからよくわかっていますよ」と呼ぶ者あり)このことは閣議におきましても決定を見まして、今の池田内閣所得倍増計画というものに関連いたしまして、隘路となるおそれのある鉄道輸送力をこの際整備拡充するためには、この程度利用者負担はがまんしてもらうことは真にやむを得ないところである、ということが決定いたしました次第でございまして、ただ運輸大臣として国鉄総裁のようなことを言うておるというようなさっきお話がございましたが、そういう意味でなく大所高所からいたしまして、今回の国鉄運賃値上げはどうもこの程度はやむを得ないものであるということに考えて、この内閣として閣議決定をいたしましてこの方針に踏み切ったようなわけであります。
  25. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連をしてちょっとお尋ねをしたいのですが、この所得倍増計画に基づいた輸送力増強ということで、国鉄運賃値上げを行なって、輸送力増強をしていこうと、こういう考え方運賃値上げのもとをなしておると思うのですが、そういう場合に、この国鉄の長距離輸送というものも、確かに貨物その他の面で国内の生産力の増強に必要になりますが、実際この各生産部面に携わっておる人間を——人間と言っちゃ悪いですが、生産に携わっておる者の輸送を担当しておる面は、むしろこの地方の、あるいは都会の、ローカルの面に大きなウエートがあるのじゃないかと思うのです。そういう点に対して政府は民営鉄道なりあるいは都市交通の担当しておる部面の輸送力増強というようなことを、どのくらい重要な考え方でこれを見ておられるのかどうか。国鉄さえ輸送力増強できればその他のものは大して考えなくていいということなのか、そういう点に対する政府の見解を承っておきたいと思うのです。
  26. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 五カ年計画におきましては——数字は後ほど政府委員から申し上げますが、輸送分量というものがどういうふうに増加するかと、その中で国鉄の担当すべき旅客の輸送量の増加がどうであるか、貨物輸送量がどうであるかというようなことをみな想定をいたしておるのでございます。国鉄ばかりではございませんで、その他のものが分担すべき輸送量というものを想定いたしまして、そうして国鉄が担当すべき輸送量は十年後にはこれだけになる、五年後にはこれだけになる、そこでそれを基礎として今回の国鉄輸送力の整備拡充の全般の五カ年計画を作る、というふうな仕組みで出発をいたしておりますわけでございまして、数字等につきましては政府委員から御説明申し上げることにいたします。
  27. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 大都市中心とします御指摘の通勤輸送につきましては、仰せの通り地方鉄道、いわゆる私鉄も大きな役割を持っておりますことは今さら申し上げるまでもないところでございます。政府の立てました所得倍増計画におきましても、旅客輸送の面におきましては、ただいま大臣が申し上げましたように、私鉄のウエートを相当高く見ておることはもちろんでございまして、昭和四十五年におきましては、昭和三十三年に五百三十四億人キロ運んでおりますものが、九百八十一億人キロに伸びるであろうということを想定いたしております。もちろんこれは全国半均でございますので、都市交通に携わる私鉄におきましては、もっとはるかにこの率にいたしますと伸びは著しいものであることは間違いございません。従いまして、この面における輸送力増強につきましては、政府としても当然配慮すべきはもちろんでございまして、すでに御承知のように昭和三十二年から五カ年計画をもって、それぞれ大私鉄は輸送力の拡充整備に懸命の努力を払っておりますが、最近一例を申し上げますと、東京都におきまして都市交通輸送量の伸びが予想外に多く伸びておりまして、これでは今までの計画でとても対応できないという判断をいたしまして、すでに昨年九月に運輸大臣の諮問機関でございます都市交通審議会に対しまして、従来、都市交通審議会が検討いたしまして答申いたしております、東京都の都市交通整備計画に再検討を加えてもらっておるような次第でございますが、昭和二十九年を基準といたします数量からいたしますと、どの交通機関においてもこの輸送需要はその当時の推定をはるかに上回っておるのが実情でございます。早急に再検討をいたして、あらためてもっと強力な整備計画を立てまして推進すべき必要があるものと考えております。
  28. 小酒井義男

    小酒井義男君 今私鉄とおっしゃったのですが、私は私鉄だけを考えて言っておるのではないので、都市交通の場合もありますし、あるいは民営のバスの担当する部面もあると思うのです。それで輸送力を全体的に需要量に応じた増強をしていく場合に、やはり国鉄輸送力だけでは、最終的に、全体的な需要を満足させるということは不可能であると思いますし、特に直接の生産面に携わる通勤輸送ということになりますと、国鉄も非常に大きな役割りを果たしておることは申すまでもありませんが、その他の交通関係の果たしておる役割りも多いのですから、そういうものが全体的に高まっていかないと、交通難の隘路の解決にはならぬのじゃないかと、こういうふうに考えておりますから、私はそういう点に対する積極的な、計画的な方針政府はお持ちになっておるだろうかということを実はお尋ねしているのです。そうすると今の鉄監局長の御答弁ですと、大体最近の需要の伸びの非常に急激にふえつつあるものに対処するような、新しい五カ年計画というようなものを立てなければならぬ、というふうに御答弁をしていただいたんだというふうに思ってよろしゅうございますか。
  29. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) この全国的な最近の実情を全部把握いたしておるわけではありませんが、一例を東京都にとりまして申し上げたのでございまして、東京都に関する限りにおきましては、目下都市交通審議会に諮問いたしまして、従来立てました東京都の都市交通の整備計画を再検討いたしまして、新しい整備増強計画を立てるべく、鋭意検討いたしてもらっておるわけでございますが、その他の都市あるいは御指摘のようなバスにつきましても、そういう計画を立てる必要は十分あるように考えております。
  30. 重盛壽治

    重盛壽治君 どうも私がお聞きした結論からいくと、運輸大臣のお考えでは、国鉄運賃値上げというものが日本経済に支障を来たすようなことはない、結論的に言ってそういうことになるのですね。  それからもう一点は、今申しますように、小酒井委員が言われたことと同じですが、その他の交通機関の問題もやはり十分考えて処置をしていかなければならぬ。しかしこれらのたとえば値上げ問題というようなことについては、その一つ一つを考慮して処置をしていきたい、しかし基本的には当分の間、上げないということがきめられておるのだ、こういうわけなんですか。
  31. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいまあなたのおっしゃる通り考えをもっております。
  32. 重盛壽治

    重盛壽治君 私は決してその他のものを値上げをせよということではありませんが、それはやはり十分に考慮をして、当分の間ということは使い分けはできるのじゃなかろうかと考えるのですが、やはり実情に即した処理をしていくというお考えがなければ、交通輸送機関というものは、国鉄だけが幹線なり五カ年計画ができても、今あなたの言われるような全般的なものに考えて、これがきょうかりにできたとすれば、あすはその他のものに手をつける……、当分の間というものに対して、どう処理していくかということについてお考えになる基本方針ができなければ、交通輸送全般的な成果は上げられないというふうに考えるのですが、その点はどうですか。
  33. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま私が、あなたのお話通りであるというように申し上げましたのは、その方針に従ってやりまして、国鉄以外の輸送力の必要がありまするならば、整備ということもでき得るものと考えておるわけでございます。
  34. 重盛壽治

    重盛壽治君 それは一応国鉄諸君にお聞きしたいのだが、これは総裁がこの前の五カ年計画をおやりになって四カ年でやめた、そうして今度また新しく五カ年計画を立てられたのですが、この五カ年計画を立てられる場合に、どうも私ども感じでは、公共企業だし、しかもかなり政府に相当な権限を持っているということならば、そうその権利だけ主張してもらわなくて、もうちょっと何か別な方法政府の方にもやってもらう手がなかったか。運賃だけで赤字を一つカバーしていくというような考え方でなくて、どういう手をこれをお出しになるまでにお打ちになったか、どういうことを考えられたか、一度一つ総裁から承っておきたいと思います。
  35. 十河信二

    説明員十河信二君) この計画を立てまするにあたりまして、先ほど来運輸大臣からお話のありましたように巨額の資金を必要とする。その資金を生み出す方法は、自己資金か外部資金かということになるわけです。自己資金は自分の部内において合理化をして生み出す金、その他は運賃から得る収入ということになるわけであります。それから外部資金につきましては、たびたび世間でも問題にされております公共負担というものが、相当巨額になっております。この公共負担は、御承知のように、大部分は運賃の特別の割引率の高いところ、国鉄で一定の限度をきめて、この程度運賃割引をしろということになっておりますが、それを超過した運賃の割引が、五百数十億に上る公共負担の大部分であります。そういうふうなものも少し緩和してもらいたい。われわれは自分で合理化はして、できるだけ収入を上げ、経費を押えて資金を生み出しますが、その点においても少し緩和してほしいということも申し上げまするし、また政府の方でたとえば新線建設の資金のごときは、建設審議会でも政府出資、利子補給ということを決議されておりますから、その点も政府にお願いします。財政投融資等の増額をもお願いいたしました。それらの資金をお願いいたしましても、政府の方でいろいろ全体を勘案せられて、今回予算で提出いたしております程度にしか政府の補給もできない、財政投融資もこの程度以上はできないということで、やむを得ずその残りの約五百億足らずの資金を運賃収入に求めなくちゃならぬということに相なった次第であります。
  36. 重盛壽治

    重盛壽治君 私のお聞きしたいことは、それも一つ方法であるが、総裁もかなり長くなられるのだが、私は率直に言って国鉄の問題をそうよく存じません。ということは、私ばかりでなく、その他の諸君国鉄から優秀な関係議員がたくさん出ているので、従来率直に言ってそういう方々に国鉄の問題はおまかせしたというとおかしいが、大体御質問願うなり、そういう人たちでやっていただいた。そういう中に、国鉄というものはほんとうに上から下まで血が流れて、俗にいう国鉄一家というような円満な姿で国鉄運営をしていかれる、人の和があるところには能率の増進をはかり得る。こういうこと等をも考えて、よけいのお口出しをすべきではないというくらいまで考えて、実は今まで非常に信頼をして、そうしてやってきたつもりです。しかしこの五カ年計画に、あるいは最近のいろんな賃金値上げに対する問題で、中村さんと職員局長にちょっと私もいやなことを申し上げたことがあるが、そういうケースをいろいろ見ると、なんかあたたかい血の流れない、機械的の立場にだんだんなってきておるのではないか。もしそうだとするならば、私はこれはしろうと考えかもしらぬが、あれだけ大きな犠牲を戦災でこうむった国鉄が、何で自分の力だけで、この復旧を自分の資金でやらなければならなかったか、政府にかなり圧力を加えられて、常に政府に引きずられておる国鉄だとするならば、政府に全部補助金を出してもらう、借入金の利子どころだけじゃなくて、もっとどんどん出してもらうという構想を持つべきであったと思うし、したことがあるかないか、そういうことをお考えになったことがあるのかどうか。これは妙なことを言うようですけれども、別に扇動するわけじゃないが、この間も言ったように、外国に対する戦争補償は全部国はやった。われわれがやらぬでいいというところまでやったわけだ。さらにまた国内においても戦争犠牲というものに対しては、これは誤まった戦争をやった、気の毒だったということで、すべての補償が大体なされた。しかし国鉄や私鉄や交通機関は一番努力をし、一番酷使されたけれども、これはあまりどうも戦争の見返り金がきたとは私は聞いておらぬが、そういう点は幾らかでも従来おやりになったことがあるのですか。考えられたことがあるのですか。
  37. 十河信二

    説明員十河信二君) 先ほど申し上げましたように、政府に対してもいろいろとお願いを申し上げたのであります。政府の方では日本の財政経済全体を総合的に勘案せられまして、この程度にとどめたらよかろうということできまったような次第であります。今後も政府にお願いできる限りお願いいたしたいと思っている次第であります。
  38. 重盛壽治

    重盛壽治君 その七十九億程度政府資金だということじゃないですか。実際の国鉄の財産というものは二兆円近くあるわけでしょう。そういううち政府が出したときめつけられるものは幾らもないわけでしょう。そういう点はどういう工合になっているのですか。
  39. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 政府から出資いたしておりますのが資本金になっておりますが、これは八十九億でございます。
  40. 重盛壽治

    重盛壽治君 八十九億、そうすると二兆円に比較すると何パーセントになるか。きわめて微々たるものですね。それはまあいいが、私はそういういろいろなケース考えて、今覆ったようなばかげた話だということでお取り上げにならぬが、戦争賠償は決してやらなかったということですね。そういう案は練ったこともなかった、営々として自分がかせいで自分で直してきた、こういう結論になるわけですね。そうですか。
  41. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 戦時中の災害をこうむった復旧その他は、別に政府から御出資をいただくというようなことでなく、国鉄経営努力、それと政府の御指導によってやってきた、こういうことでございます。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 関連して総裁にお伺いしたいんですけれども国鉄の経理状態が非常に悪い。このままでいけば破綻することを免かれない、そういうニュアンスの答弁がありましたが、これは久しい以前からそういうことを耳にするんです。それで現在の五カ年計画は、本来ならば、これはそういうような国鉄の経理に対しまして確固たる基盤を作るというのも、あわせて今まで、の五カ年計画の目標であったはずなんですね。にもかかわらず実際にはこのままでいけば国鉄経理は破綻する、ということになれば五カ年計画は完全な失敗であるという工合になるんですが、完全な失敗の原因は何ですか、それを一つ端的にお答え願いたいと思います。
  43. 十河信二

    説明員十河信二君) 失敗の原因はいろいろありますが、まずもって、最初に私どもの立てた計画日本経済の発展はこの程度であろう、この程度輸送を引き受けたらよかろう、という想定をいたしておりました輸送需要というものが非常に小さ過ぎた、ということがこれが一つの大きな原因で、これは私ども失敗です。  それから筋二に、最初は一制八分の運賃値上げをしていただきたいということをお願いしておったのですが、それが一割三分になってそれで資金がだいぶ減ったんであります。その際に計画をもう少し思い切って縮小すべきであった、それを需要の方が大きいものですから、どうしてもこういう仕事をやりたいという方が私どもの頭の中で、そういう国民の方がこれだけ要望していることだから、これを早くやらなければいかぬという方が勝って縮小する程度が小さ過ぎた。従って、資金に対して計画が少し大き過ぎた、経済の発展に対しては計画が少なかった。その上にさらに資金が減ったんだから、もっと縮小すべきであった計画を縮小することをしなかった、これも誤まりであります。その上にわれわれの予想しておった収入があがらず、収入の面で相当七、八十億合計で少なくなっている。収入が少なくなって経費が減ってくればそれでまたつじつまが合うんですが経費の方はかえって膨張してきたということで、計画が四年目の終わりには八割できていなければならぬのが、資金の面でも六割七分、実際の事業の面ではそれ以下になっているというふうなことに相なったのであります。それで鉄道は申し上げるまでもないのでありますが、輸送力においても弾力性がなければ——経済は動いておるものでありまして、あるときは非常に大きな輸送需要があり、あるときはそれがうんと減ってくる、いわゆるピークが上がったり下がったりするのであります。その弾力性を持たなければならぬ輸送が弾力性を持ち得ない。そこで国民の皆さんに非常な御迷惑をかけ、日本経済の発展の大きな障害になってくる。それでこれが金があれば、財政が豊かならば借金をしても何をしてもこれはできるのでありますが、財政が豊かでないためにそれだけ需要がありながら、その需要をまかなうことができないといういわゆる悪循環といいますか、そういう状態に陥っておるわけです。これが国鉄の今日直面しておる非常な大きな、何といいますか危機といわれるような状態がそこから出てきておるのであります。これはわれわれの第一次五カ年計画が予定通り進行しなかったということは、今のようないろんな原因で収入の減った際に、政府からも若干の資金増加の手を差し述べてくれましたけれども、それだけじゃとうていまかない切れないで、それで今日のような状態に相なったんであります。私どもはそれについて深く反省して、責任を感じておるものであります。実情は、今申し上げるようないろんな実情でそういうふうなことに相なったのであります。
  44. 大倉精一

    大倉精一君 私はこういう問題につき、さらにまた新五カ年計画についての発言はゆうべお許し願えると思っておりましたが、関連質問でありますので、簡単に、これは非常に重大な点でありますからお聞きしたいのですが、一割三分を値上げするときに私の記憶からすると、そのとき国鉄当局は一割八分の値上げ案を出した、それが一割三分になって出てきた。私は総裁に、あなたは一割八分で五カ年計画の立案をされたんだが、一割三分でやれますか、何度も念を押した、やれます、こういう御答弁があったと記憶しております。そこで、私は、これは国鉄というような非常に膨大な重要な国家の財産をあずかっておいでになる国鉄幹部の皆さんが、この国鉄経理の基盤を作り上げていこうとする計画に完全に失敗して、今やまさに国鉄の経理というものは長期的に見て破綻に瀕しておる。こういう状態に追い込んだということは重大な責任であると思います。これは私はこの責任を今ここで端的に追及しようとは思いませんけれども、少なくとも運賃値上げに際してこの失敗を再び繰り返さないという確信がおありになるかどうか、原因はいろいろおあげになりました、なりましたが、第一番にはいわゆる収入の見込みが狂ったと、こうおっしゃる、三十三年度の不況によって収入見込みが狂ったとおっしゃる、これは明らかに国鉄という大きな企業体をあずかっておいでになる皆さん方が、経済の見通しを誤まるということは、これは企業体をあずかる皆さんとして大へんな私は失態であると思うのですね。経済の見通しを誤まる、しかもいわゆるピークがあるとおっしゃるけれども、これは資本主義経済の中においてはあたりまえなのです。さらにまた、思わぬ仲裁裁定によってというふうにこのPRにも書いてあるけれども仲裁裁定によってといいますけれども、これは給料は上がっていきますよ、人件費というものは、そういうものの見通しが立っておいでにならぬ、そういうことで収入の見通しは狂ってくる、支出の見通しも狂ってくる、これじゃ五カ年計画ができるはずがないです。しかもこのPRの資料の中には実に初めから実行不可能なことまで組んであった、計画してあったとかいう。ですからあのとき私はできますかと言ったら、やれます、できますと言った。これはうその答弁だったと言うても差しつかえないのですね。ですから今の重盛さんの質問関連して、私は非常に重大であると思ってお尋ねしたんですけれども、今度の五カ年計画に対しまして私はあとからまた質問しますけれども、この失敗を再び繰り返さないというそういう確信はおありになりますか。
  45. 十河信二

    説明員十河信二君) 第一次五カ年計画は私失敗をした点は今申し上げまするように、多々私は深く反得しておるということを申し上げておるんです。今度の新計画はその反省によって、再びあやまちを繰り返さないように修正いたしておるつもりであります。ただしこれは今申し上げまするように、われわれの想定し得る、われわれが想定して、そうして現在のこの状態で許される範囲内においてやらなければならぬ。幾ら私が大きく想定してこれをあれしても、どうも自分一人の判断ではいかない。世間一般ではもっと小さいと判断される場合はこれは下げなければならない。そういうこともありますから、だからまあいろいろな大きな変動があればこれはやむを得ません。大体その今日われわれが想定し得る普通の状態ではやっていける、こう思って計画をしておるのであります。
  46. 大倉精一

    大倉精一君 非常に抽象的な御答弁になりますけれども、たとえば私はあの一側三分の値上げのときも、一体それではこれから三年先の鉄鋼の相場は幾らになるのだ、セメントの相場は幾らになるのだ、人件費は幾らに想定するのだというお尋ねをしたこともあるのです。それに対しましてまあ計画通りいかなかったんですけれども、たとえば今度の五カ年計画に対しましても、政府所得倍増計画に見合ってというお話があるんですけれども、この五カ年後においてあるいは十カ年後において、国鉄職員の人件費はどのくらいに見積もっておるんですか。この見積もり予定はあるんですか。今後も仲裁裁定が出て思わぬ支出が出たから、だから失敗したとこういうことはないでしょうね。これはいかがでしょう。
  47. 十河信二

    説明員十河信二君) 私たちはある想定はいたしますけれども、非常にその変動の多い時期に五カ年先まで正確な想定をしろということは、これは少し酷じゃないかと思うのですね。今外国で五カ年計画を立てておるのを見ましても、大体まあ物価は横ばいだ、インフレで物価がどんどん上がっておるときは別ですけれども、大体物価は多少の値上がりはありましょうけれどもそう大きな変化がない。それから人件費についても所得倍増計画に見合った人件費を想定して一応計画を立ててある。年々の予算はまたその年の実情に応じた予算を組みますから、今の想定は大体五カ年先の物価はこれだけ、所得倍増という計画がありますから、人件費はある程度普通の昇給以上に見ておりますから、それで天体差しつかえなくできると、こう申し上げておる次第であります。
  48. 大倉精一

    大倉精一君 まあ関連ですから私はあまり深く入りませんが、運輸大臣にお尋ねしますけれども、今国鉄総裁はとてもそんな五カ年先の見通しはつかぬ、これは無理だとおっしゃるが、物事が一厘一毛も間違いなくということは私は申しておりません。ただこのPRにも書いてあるように、思わぬ仲裁裁定が出てこれで支出がぽんとふえて計画に狂いが出た。思わぬ裁定——これは世間並みです、あるいは世間並み以下かもしれない、こういうことでも思わぬ裁定ということであって計画に狂いが出る。そこで私は運輸大臣にお聞きするのですが、政府の五カ年計画あるいは十カ年計画、こういうものに見合った輸送計画がなければならぬ。あるいは国鉄経営計画がなければならぬ。政府はおそらく国鉄の五カ年計画というものの内容も御検討なさっておると思う。それの指導に当たっておられると思うのですね。ですから、この見込みは違うぞよ、政府計画はこうであるから、これはこうせいということを具体的に指導なさっておると思うのですが、そういう指導をなさっておらぬのですか、政府の方では。
  49. 十河信二

    説明員十河信二君) その前に補足してお答えいたしますが、今度の仲裁裁出足は思わぬ……
  50. 大倉精一

    大倉精一君 今度じゃない、ずっと前の……
  51. 十河信二

    説明員十河信二君) 前のやつは初めから何を見ていなかったのですが、今度の裁定は、普通の仲裁裁定は六百円とか八百円であったけれども、一番高い裁定は千二行円であったかと思います。今度はそれをだいぶ大きく上回っておる。そこで私は思わぬ大きな裁定であって——が、ついておるということを、感じで率直に申し上げておるのです。
  52. 大倉精一

    大倉精一君 いや、今度のことを言っておるのじゃありません。それはPRにも書いてある。これは違うのです。総裁は何か誤解をなさっておるようですけれども、あなたの方のPRの中に、計画と実行のずれはどこからきたかという中に、「三十三年の不況のため収入累計に於いて計画に対して約七〇億円の収入減を生じたが、支出面においては当初考慮されていなかった仲裁裁定の実施等による人件費の膨脹により、支出累計に於いて約九七〇億円の支出増々生じた。」こうなっておるのですね。私はこれを言っている。あなたの言っておることを言っておるのです。でありますからこういう点についても、政府としては国鉄の五カ年計画内容にわたって指導をなさっておるのかどうか。政府も五カ年計画、あるいは十カ年計画を立てている以上は、年度別の計画があると思うのです。ですからそれと見合った国鉄経営計画なり、あるいは輸送増強計画でないとそれはもう間尺に合ってこないことになるんだが、そういう御指導はなさっておるのかどうかということを大臣にお伺いしているのです。
  53. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) もちろん政府といたしましても、所得倍増汁両を立てるにあたりましては、十年先こうなるであろう、つまり国内貨物輸送最はこうなるであろう、あるいは旅客輸送量はこうなるであろう、その中で、国鉄はどのくらい、あるいは私鉄はどのくらい、あるいはトラックはどのくらいということをいろいろ想定いたしております。しかし政府計画におきましては、年々の具体的な計画は作っておりません。つまり十年後の目標の数字は策定いたしますけれども、毎年毎年の計画はそのつど作る、こういう建前になっております。従いまして、国鉄が作っております五カ年計画に見合う目標数字も、つまり昭和四十年の目標数字も、実は出しておらないのであります。従いまして、運輸省としましては、いろいろ検討いたしました結果、まあ、国鉄の出しております数字程度を対象にして輸送力の整備一画を作れば、まずまず大過なくいけるのじゃないか、こういうふうに判断いたしたわけでございます。しかしこの五カ年計画の年々の計画につきましては、先ほど国鉄総裁の方からもお話がありましたように、やはりこれも一応の目標の数字でございまして、具体的に実際的には毎年度、毎年度の予算編成の問題になるわけでございます。従いまして、たとえば自己資金は幾ら——もちろん五カ年間にわたっての自己資金は幾ら、あるいは借入金は幾らと想定いたしておりましても、この借入金につきましてもやはり財政投融資において幾ら仰ぐか、あるいは公募債をどうするか、あるいは利用債券の量をどのくらいに見ておるか、これについてはやはりその年次々々の予算編成の問題となる、かように考えております。と申しましても、これは全体のこの五カ年を見通しての数字でございまして、この程度のことはどうしても運輸省といたしましては確保しなければ、経済成長に見合う輸送力の整備拡充がおくれると、こういうふうに判断しておりますから、全力をあげてこの資金量は確保するように措置したい、かように考えておるわけでございます。
  54. 大倉精一

    大倉精一君 まああまり長くなるから、次の機会にやりますが、輸送力増強もさることながら、同時に経済の見通しを誤まることによって、国鉄経営基盤を危殆に陥らせるという非常に重大な問題があるわけなんですね。今のこのPRにも書いてあるように、今の第一次一五カ年計画によって、国鉄の経理は着実なる基礎を作るべきはずであったのが、かえってますます危殆に瀕してこのままでは破綻以外にないと思う。というのは経済の見通しの問題等について、たとえばきのうも私は物価運賃の問題等についていろいろ質問しましたけれども、これが非常に大きな問題になってくるのですよ。ですから、今監督局長の御答弁ではこの国鉄五カ年計画に対する政府の指導はないようですけれども、指導というよりもむしろ政府のやはり計画に見合ったものをやっていかなければ、逆に国鉄輸送力を注文するなら注文するように措置をしなければならぬと思いますね。ですから、今後の所得倍増計画からいって、物価あるいは所得のいろいろな面において計画ができておると思うのですけれども、そういうものに見合ったものでないと、また国民運賃値上げをやられて、これで輸送が楽になるのだ、新聞を読んで通勤ができるのだという工合に思っておったところが、どっこいそうじゃなかった、見込みが違った、輸送力はさようにならなかった、これではどうにもならぬ。ですからこの問題は私またあとで質問しますが、資料として国鉄の正方年計画の年次別計画一つ出していただきたい、年次別計画を。これはこの国会の審議に間に合うように一つ年次別計画を出していただきたい。この資料要求をしてこの質問は保留をいたします。今のはいいですか、出してくれるかどうか。
  55. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) どうですか。
  56. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今回新五カ年計画を策定いたしましてこれを御審議いただくにあたりましては、当然五カ年はむろんのことそれよりもさらにその先がどうなるかということについて、ある程度の見通しをつけまして新五カ年計画を策定いたした次第でございますが、従いまして、その概要をお示しする程度の資料は準備いたしたいと思いますが、明細と申しますか、あまりこまかいところまでは、将来の見通しの問題でもございますので、非常にこまかいものはできておりませんけれども、概要について御準備申し上げたいと思います。
  57. 大倉精一

    大倉精一君 この資料は、今私が心配しておったようなことについて、しろうとの私がわかるように、たとえば年次別計画——物価の上昇はどのくらいのパーセントでいくのか、あるいは今度の失敗の原因も、計画と工事の内容、あるいは単価の見積もりと全然食い違っておるのですよ。そういうことが失敗の原因になってきておる。ですから、一体年次別に——皆さんの所得倍増計画もあるのだから、大体そういうふうなものの上昇率なり、それに見合うところの国鉄計画なり、そういうものを一つわれわれにわかるように出してもらいたい。  それからもう一つ要求します。今度提案理由説明の中で、企業努力と合理化によって、という言葉がありますけれども、これはいつでもついておる。この前にも企業合理化といっておられるから、もう合理化する余地がないだろうと思ったらまだあるらしいのですが、企業努力と合理化の具体的な計画を、そういうものを一つ資料として出してもらいたい。どういう合理化をやって、どういう企業努力をやって、その結果どういう効果を期待するかと、この一つ資料を出してもらいたい。
  58. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 御注文の資料につきましては、いろいろ特にまあ合理化の問題等につきましては問題がある点もございますけれども、できるだけ御期待に沿えるようなものを至急まとめてみたいと思います。
  59. 大倉精一

    大倉精一君 国会審議に間に合うように……。
  60. 小酒井義男

    小酒井義男君 今資料の要求が出ましたので、私からも一つ資料をお願いしたいと思うのですが、これは後日質問をする際の参考にしたいと思う資料ですが、過日の予算委員会の分科会で運輸大臣国鉄の固定資産税の減免を考えるというような御答弁がされたようでありますが、国鉄が一カ年間に納める税負担、これは地方税が中心だと思いますが、税負担の総額と、総額の中で赤字線区の納めておる税負担がどのくらいになっているかという、それの採算線区でどれだけ、赤字線区でどれだけというような資料が出ないものかと思うのですが、どうでしょう。
  61. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 納付金の総額並びに赤字線区の中で、特にまあ赤字の程度のひどい線区における納付金の額がどうなっておるかといった資料は、一応ございますから用点いたします。
  62. 大和与一

    大和与一君 先ほどからの国鉄総裁との質疑応管を承っておりますと、仲裁裁定に対する御発言が私は不穏当だと思うのですよ。仲裁裁定に対してどう考えておるのか、裁定が出たら……、茶のみ話ならいいですよ。だけれどもこういうやはり時と場所があると思う。裁定に対して高いとか低いとか、思ったとか、思っておらぬとか、こういうことは私は適当でないと思う。それならば今まで裁定が不完全実施されたときに、一体当局は何をしたか。何もしないじゃないか。安くて不完全実施するときは知らぬ顔しておって、そんなものはあたりまえだが、あたりまえのことが出かかったらそれはちょっと困ると、こういう発言はこの際適当でない、そういうふうに私は思うので、あえて苦言を呈しておきます。
  63. 中村順造

    ○中村順造君 今大和委員から裁定について、先ほど総裁が今回の裁定は若干高いと、こういうふうなことでありまして、これに関連をすると思いますが、そういう考え方自身に大きな問題があると思うのですよ。これはちょっと話が運賃と直接関係がないようですけれども国鉄経営なり運営をしていく場合に、総裁、副総裁あるいは国鉄幹部のものの考え方というものが、国鉄経営自体に密接不可分な関係があると思うのですよ。蒸し返して恐縮なんですが、三月の二十三日に、私があの三月十五日に行なった動力車のいわゆる休暇闘争、これの、三月三十一日の予想されるこのストライキの予防措置として大量の処分が出されておる、今まで例のないほどの大量な犠牲を出さしておる。その点について三月二十三日に本委員会で、私は中村理事なり、あるいは職員局長にここに来ていただいて、そういう点についての私は真意をただしたときに、あとで議事録ができたら内容については問題があるぞ、こういうことを言っておいたのですよ、保留しておったのです。議事録を調べてみますと、職員局長は今問題のある人ですが、こういうことを言っておる。総裁は初めてですから、私は十分聞いておいていただきたいと思うのですが、団体交渉を行なう際に、団体交渉中は実力行使はやらないと、こういう約束を組合がしておった。これは団体交渉だからいろいろやりとりはあるでしょう、それはどの程度の約束かどうか知りませんけれども……。それでそこまでは問題がないにしても、「これは信義に違反することですから、これは処分することは当然だろうと思います。」と、こういっているのですよ。これは後の身分存続の裁判のときやはり問題になると思うのですが、一体公労法で解雇して……、公労法の十八条というものは、十七条によってこういう場合には解雇されるということが書いてある。そのこと自体は認める、認めないは別として、一体、法律で業務の正常な運営を阻害した場合には解雇される、という法律にはなっておるけれども、信義に違反をしたからこれを処分するというような法律は一体どこにありますか。こういう考え方総裁の部下にあるわけですよ。いみじくも今、大和委員仲裁裁定に対するものの考え方、評価の仕方、それから表現の場所等適切でないということを指摘されましたけれども、こういう今私が申し上げたようなことが、あなたの部下の職員局長は、そういう考え方で……、これは二十三日の委員会では私だけでなくて同僚の議員ひとしくこの不遜な態度については憤激をしておるのです。そういう考え方の人が、大事な、いわゆるいつも私が言っているように、職員に理解と協力を求める立場にある労働問題の処理をする窓口の責任者か、このことを私は大和委員から今お話がございましたからつけ加えて、ものの考え方なり、あり方が非常に大切なことなんですから、私はあえてこの際申し添えておきますから、十分一つ総裁もそういう点については今後留意をしていただきたいと思う。
  64. 十河信二

    説明員十河信二君) 御忠言ありがたく拝聴いたしました。私自身も注意いたします。私の部下にも注意いたさせます。
  65. 重盛壽治

    重盛壽治君 私は実は最後に申し上げようと思ったことが、たまたま中途に出てきたから、私も一言その問題の結末として申し上げておきますが、これは私が冒頭に申し上げたように、運輸大臣にも言ったように、やっぱり国鉄運営する人が上から下まで一貫して国鉄をどうしてよりよくするかという考え方の上に立ってやらなければ、いわゆる人の和ができない、能率の増進をはかれないのじゃないかということを申し上げたのですが、それがたまたま今のあなたのお話を聞いていると意外なことだと思ったのです。私は逆によくぞ労働組合の諸君がまんをして下すったと、国鉄の現状あるいはその波及する多くの問題を考えられて、労組の諸君がまんをしてくれたのではなかろうか、いたずらに、事が起きれば自分の職責によって、法によって首を切っていく国鉄幹部に比べるならば、実にりっぱな態度だったと私は実は敬服しておる。それがもし国鉄諸君がまんせず、仲裁裁定をよろしいといわなかったとするならば、きょうこのごろは一体どういう事態になっておるか。このことを考えるならば、それこそ先般来いわれるところの日本経済の上に大きな悪影響を残す、これは労働組合がストライキをやったのだからそうなったということでは、片づけられないと思う。政府としても重大な問題になってくる要素がある。そうしたものを国鉄諸君がまんをし、私はよく三千円や二千二百円の線で承知をしていただいたと、まあそれこそ運輸大臣のいう当分これでがまんをしていただいて、それからあといろいろと御相談を願ってやっていくという方針をおとりになったろうと私は思うのだが、そういう意味からいくならば、実際私は、総裁のようなお考え方、あるいはこの間来国鉄諸君のいわれるような考え方を聞く場合に、私は冒頭申し上げた国鉄の上と下との一貫したつながりが少し欠除してきたのではないかということにやっぱりなっていくと思う。十分その点は一つ気をつけておやりにならぬと、せっかく五カ年計画計画し、これがかりにでき上がったと仮定いたしましても、ただ自分の立場、職権、権力だけでものをしようというお考え方がある限りにおいては、私は国鉄事業は決して円満に遂行しないと、このように考えますので、この際私も一言申し上げておきます。  そこで問題に若干入っていきますが、これて私はやっぱり国鉄の赤字というものが公共負担によって生まれてくるのだ。公共事業の性格からいってどうしても赤字が生まれざるを得ないのだということをまま言われております。ただ私はここでやっぱり問題を国鉄総裁運輸大臣考えて、これをどういう形で処理するかということを考えなければ、今から幾ら議論をして、それから五カ年計画をきめ、運賃引き上げがきまったと仮定しても、私は国鉄運営は軌道にのらないように思いますが、たとえば国鉄の公共負担という部面、赤字の部面に対しては国庫がやっぱり補助をしていく、あるいは国庫負担にする、私どもがよくいう国庫負担にするという基本方針がきょうなされなくても、必ずやそういうことをお考えにならなければ、これは国鉄ほんとう経営国鉄の合理的運営というものは未来永劫にあり得ないと私は考えますが、どうですか、その点に対しては。総裁でも大臣でもけっこうです。
  66. 十河信二

    説明員十河信二君) 先ほどもその点にちょっと触れて申し上げましたが、公共負担の五百数十億のうちの大部分は運賃の問題、法定の限度以上の割引が大部分のものであります。私もあまり割引率の高いものは少し割引率を下げてもらいたいということを希望いたしたのであります。このたびは一律に運賃を上げるので、そこでまた割引率を下げると、割引をしてもらっておった人々の運賃負担が急に増加するから、それは見合わせたがよかろうということで見合わせることにいたしたのであります。今後は今お話のように、そういう点をだんだん考えていかなければならぬことになる場合が起こってくるかもしれないと考えております。
  67. 重盛壽治

    重盛壽治君 起こってくるかもしれないじゃないですよ。何かというとやっぱり料金の値上げによってそれを埋め合わしていかなければならないという御答弁のようでありまするが、私はそうではなくて、やっぱり公共負担というものが、国鉄経営にとって非常に赤字の一切がそういうことになろうと私は考えますが、そうだとするならば、別の方法考えなければならない。もし国庫負担ということが考えられないとするならば、何かで増収をはかる。たとえば別なこういう消極的な運賃引き上げだけで赤字を克服していくのだ、それだけで五カ年計画をするのだというようなことではなくて、もっと積極的な政策、ほかの方法——これは私鉄のまねをするわけじゃないが、私鉄は駅をデパートにしたり、あるいはまた土地会社を別に持ったり、いろいろな方法によって償っておるが、国鉄にそれができるかどうかは別として、もう一つ幅広くやっぱり収入を考え、あるいは借財にしても国鉄債券を発行するというようなことも考える、いろいろのことが私は考えられると思います。この法案だけであなた方が五カ年計画をどのように説明しても、私は、百年河清を待つものででき得ない、率直に言って。先ほどからいろいろ数字を出していろいろのことを言われておるが、もう一歩飛躍した積極的な五カ年計画でなければ、消極的な運賃値上げによる五カ年計画というものであっては、私はできないと思いますが、総裁は確信を持てますか。
  68. 十河信二

    説明員十河信二君) 今お話のありましたように、私鉄がやっておるような関連産業に投資をするとか、兼業を持つとかというようなことをすべきであるというような意見も出ておりますが、そういうことも検討いたしております。
  69. 重盛壽治

    重盛壽治君 どうも私が一人でやると相済まぬから飛ばしますが、五カ年計画のやはり要員計画はどうなるのか。それから資材の計画はどうなるのか。そういうものが一体どの程度上がっていくのか。当然賃金もスライドしていかなければならぬが、それはどの程度に見込むかというようなことは、先ほど大倉委員の言った表が出た上でまた質疑をしたいと思うのですが、いずれにしても私の考えからいくならば、こういう形で五カ年計画において九千五百七十億で足りるとは考えない。そういうときにはまた運賃値上げということを結局言い出してくるのではないかと思うのですが、その点は今度の五カ年計画はもう運賃値上げというようなことにいかぬでもやれるのだということは言えますか。十河さん。
  70. 十河信二

    説明員十河信二君) 大体この五カ年間に運賃値上げするなんということは考えておりませんし、運賃値上げというものにも限度があることは御承知通りでありまして、そう運賃値上げに多くの財源を求めることはだんだん困難になってきて、もうできなくなるのじゃないかと考えております。
  71. 重盛壽治

    重盛壽治君 それは大へんけっこうなことですし、自信のある計画ですからよろしいでしょうが、しかし私はそういうことではなくて、さらにそれに関連して言うならば産業部門に与えるところの、先ほど来から言う影響というものは非常に大きいと思う。これはあしたいわゆる合同委員会があるようでありまするから、そういう諸君から一々農林水産物に与える影響、そのパーセンテージ、そういうものが聞かれると思いますから、私はきょう全部やるつもりでいたのを、それはやめますが、ただ次に一、二点だけを聞いておきたいことは、石炭合理化が叫ばれて石炭は単価を千二百円くらい引き下げをしようと言っているわけですね。そのときに運賃が片方で二五%上がるという場合に一石炭政策が一体どうなるか。あるいはこういうものに対しては特別な方法を考慮するのか。そういう用意があるのか。その点を結論だけお答えして下さい。
  72. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 今回の運賃値下げは御承知通り、すべての品目につきまして一率に改定しましたわけでございます。従いましてこの際石炭はどうだなにはどうだ、という一つの品目を取り上げて、それを考慮いたすというようなことはこの運賃改定を根底からくずすことになるように私ども考えられるものですから、そういうことは考えない次第でございます。
  73. 重盛壽治

    重盛壽治君 そこが私の最初から言うことであって、運輸大臣はただ国鉄立場からだけものをお考えになると大へんなことになりますよと、返ってきたじゃありませんか。そういうことでなくて、何で〇・一%やそこらで物価値上がりがとどめられますか。そういうことばかりではなくて、すべてのものがこれだけの運賃がかけられたら、中にはそれは破産、倒産に瀕するものが出てくる状態になってきますよ。そういうことを私は最初お聞きしたのだが、それをあなたは逃げている。そういうことはない、むしろきのうなどの説明では卸売物価は値下がりをするだろう。これはまあ平常な、通常の観念のある人が聞けばおかしいと思うのですが、まあそういういいところがどこかにあるかと思って、あとで勉強させてもらおうと思って楽しみにしていたのだが、卸売物価に何の値下がりがあったかと聞きたいのだけれども、こういうすべての問題等を考えてみますと、国鉄の位上げというようなことは私が冒頭から言うように一年なり二年なり見送って、別な財源を作る。国鉄の新線計画や新しい計画交通輸送緩和をはかることをおやめなさいというのじゃない。そんな賃金による国鉄運営の五カ年計画を立てるということは、それはやってみてもでき得ない。これはことしの予算だけを通して、ことしの国鉄仕事の形だけを作り上げられるということでやったら、実際の永久的なものにならぬのじゃないかというのが私の考えです。私はまだ質問がありますけれども、どうか運輸大臣にお願いしたいことは、冒頭に申しますように、運輸大臣全般的な立場に立って、運輸行政全般にわたって、その面からの五カ年計画なり十カ年計画なりを樹立せられることが、一つ。  それから日本国民生活の上に圧迫を加えない、あらゆる産業に圧迫を加えない立場に立ってものを処理されることを、こういうことをお願いして、一応私の質問を保留いたします。その他は資料等が出てからにいたしたいと思います。これについて委員長大臣意見をちょっとこの結論についての意見、この二点について聞きたいんです。
  74. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 今運輸大臣国鉄運賃改定のことだけ考えて、産業のことを考えないというような御非難がございましたが、国鉄運賃改定によりまして投資をして、繰り返し申し上げますように、国鉄輸送力を強化整備をするということが今の時代に一番必要で、それがためにある一部分の資金を得るために、最小限度の運賃改定を行なったようなわけでございまして、ただいま御指摘の石炭の合理化等につきましては、これは通産省の所管でございますので、通産省としては、今回の運賃値上がりはできるだけ企業の合理化によって吸収するという考えをお持ちのようでございます。また私はこの程度運賃改定による負担というものは、企業家の創意と工夫によって、合理化をして吸収していくということが、やはり日米の経済の発展の上に必要なんである。運賃が上がったからそれだけは物価を上げなくちゃならぬ、こういうきわめて簡単なイージーゴーイングのいき方にいかずに、この程度運賃改定というものは、それを経営する人たちが企業の合理化によって吸収して、それが一般物価影響を及ぼさないようにやってほしい、またそうなすことができるのだろうと、こういうふうに私ども考えております次第でございます。
  75. 重盛壽治

    重盛壽治君 やめる約束だったけれども、だいぶ答弁が違いますので、私の言うのは交通全般にわたって、国鉄運賃値上げばかりでなくて、交通企業全般にわたって、五カ年計画なり十カ年計画を立てなければならぬ段階にきていますよということが一点、よろしゅうございますか。  それからそれを今度の値上げ関連して、石炭とか一応の例として申し上げたのですが、経済混乱が起きないように、閣内において努力してほしい、そういうことを申し上げたのであります、よろしゅうございますか、運輸大臣どうですか。交通全般にわたって国鉄運賃の問題がここで論議されますね、これはどうなるか、結論が出るか出ないかは別として、国鉄全般の問題に対しての五カ年計画なり十カ年計画なりを……。
  76. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) もちろん交通全般についての今の、これから十カ年間における経済成長に見合うような各種の交通機関は、それぞれその分に応じて輸送力を強化拡充するようにわれわれは指導いたしたい、というふうに考えておる次第でございます。  また、今の運賃改定によって産業界に混乱を生じないようにというお話でございますが、まことにごもっともな話でございまいまして、まあ私どもはこの程度運賃改定ならば起らぬというふうに初めから考えておりましたが、御心配の点はしごくごもっともでございますので、ただいま私が申し上げましたような運賃改定によって影響を受けるものは、あるいは産業の合理化等によって吸収してもらう等のことをやっていただきたいと、こういうふうに考える次第でございます。
  77. 大倉精一

    大倉精一君 関連して。これは特に運輸大臣に念を入れて聞いておきたいのですけれども、先ほどの重盛君の質問総裁答弁の中で、きわめて簡単な言葉でありましたが、これから国鉄は私鉄のようにデパートなり何なり、そういうような経営にも乗り出していくということを考えておると、こういう発言がありましたが、これは今の国鉄経済のあり方あるいは先般も問題になった、公共性と企業性が問題になりましたが、これは発展すると、あるいは民業圧迫とか何とかいうような物議をかもす問題にも発展してきますので、運輸大臣として国鉄のそういう経営のあり方について、基本的にはどういうようなお考えをもっておいでになるのか、あるいは現在すでに国鉄におきましては、聞くところによるとバス経営計画しておいでになるようですけれども、そういう点について、運輸大臣としての所見を一つこの際聞いておきたいと思います。
  78. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 御承知通り日本国有鉄道の営業はどういうことをやるのだという範囲は、法律ですでにいろいろきまっておりますわけでございまして、近ごろある一部では国鉄経営内容を堅実にするために、多角経営的な投資を行なって、そうして多角経営的な経営に乗り出すべきものであるというお説があることは、私どもも拝承をいたすのでございます。しかしながら日本国有鉄道というものが公共福祉を増進するための輸送をやることを目的として出ておりまする以上は、これはにわかに多角経常的の経営に乗り出すということに軽々に踏み切るということは、私はいかがなものであるかと考えるのでございます。これだけの大資本を持っておりますものが、もし民間でできるような仕事と同じことをやるということになりますならば、これは必然的に民業を圧迫するというような結果になり、一般の非難の中心になるということを覚悟しなければならないような、大きな世間にセンセーションを起こす問題でございますから、私どもはこういう問題についてはにわかにこれに踏み切っていくんだというような考えは持たずに、よく国鉄の事業目的を胸におきまして、十分にそういうお説が出ましたならば、これに検討を加えていきたいと思うのでございます。現在国鉄が投資しておりますのは、これはいわゆる地下鉄のようなものに投資をいたしておりますとか、どこか広島の方のバスターミナルかなんかにも二千五百万円ぐらい投資をしておる。これはまあ国鉄が公共福祉を増進するということを目的とする仕事の派生的な仕事として、この程度までは私は世間一般から認めていただけるものじゃなかろうかと思いますが、現在私鉄がデパートをやっているからやったらどうだとか、いろいろのことがいわれておりますんですが、そういう多角形的な経営というものに軽々しく乗り出すものではない。本来の仕事をよく勘案いたしまして、慎重に検討すべきものであるというふうに私は考えております。
  79. 大倉精一

    大倉精一君 私は、この是非をきょうは論ずるわけじゃありませんが、国鉄がそういうような考え検討中ということは、これは国鉄の帯しみを私は表現しておるものだと思うんです。こういう苦しみを与えておることは、これは政府の責任です。政府はもっと国鉄という経営体、企業体に対しまして、積極的な施策を講じなきゃならぬと私は思うんです。ですから、その施策が足りないから、国鉄は多角経営というものを考える。これは一つ国鉄の苦悩の表現だと私は思うんです。その多角経営ということについて是非は論じませんけれども政府もそういう事態になっておるということの責任を、この際とくとお考えになる必要があると思うんですが、この点についての御感想はいかがでございますか。
  80. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 大倉委員のただいまおさとしのように、国鉄が公共負担が五百二十五億にもなってどうも非常に苦しいと、そういうことから、こういうような多角形的な経営によって経理の安全性、堅実性を保てというような一部に議論があるということは、そうだろうと思います。これは、本委員会におきまして、いわゆる公共負担と国鉄独立採算制、健全なる経理内容というものとのいわゆる調和の問題につきまして、多くの委員さんから御指摘を受けた重大なこれは問題だと思うのでございます。多くは申しませんが、政府におきましても、これにかんがみまして、いわゆる新線建設の借入金の利子補給をわずかながら出し、あるいは戦傷病者の無賃輸送に対しての補助金も、従来よりはまあ幾らかよけいに出したというようなことをいたしておりますわけでございまして、この問題につきましては、十分私ども検討をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  81. 大倉精一

    大倉精一君 けっこうですけれども、しかしながら、前々からこの問題になるというと、新線建設の利子補給と戦傷病者の云々ということを金科玉条にしておいでになるようですけれども、さらに、もっと積極的な国鉄に対する施策をされる必要があると思うのです。そうでないというと、先ほど私は総裁をいじめたような格好に見えましたけれども、このままでいけば、国鉄経世が破綻に瀕するという、そういう状態に近い込んでいったということは、これは私は政府も大きな責任の一端をしょわなければならぬと思うんです。国鉄総裁だけに責任を喰わせるということはいけない。私は、やはり政府としても反省し、責任を感じなきゃならぬと思う。国鉄総裁が大きに反省をいたしておりますと、こういうお言葉がありましたが、政府としても大きく反省すると、こういうことでなければならぬと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
  82. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) そういう御意見も毎々聞いておるのでございますけれども、御承知通り、公共という名前を頭へ乗せておりますけれども、これは戦後におきましては一つ企業体として発足をいたしましたので、公共機関に対して従来やらなかった一般会計からの補助の多きを出すということは、また一方からいうといろいろ議論のあるところでございます。そこが非常にむずかしいところなんで、このままで国鉄が赤字累増になれば、政府が補助しないから、お前の責任ではないかというような御議論も一方にあります。一つ企業体であって、従来政府が市営卒業として、特別会計においてさえも一般会計からの補助をいたさないで、一部は利用者の負担をお願いして、運賃と、それから借入金でやってきたという古い沿革等を考えてみますると、これは慎重にそのときの財政事情等を検討いたしませんければ、ここでどうするということを私からはっきりと申し上げるということはきわめて不適当であると、こういうふにどうぞ御了解を願いたいと思います。
  83. 大倉精一

    大倉精一君 きょうは関連ですから、これでやめますけれども、おりに触れ時に触れてまたこの問題についてはお尋ねしたいと思う。要するに、あなたは独立採算制、企業制と言っておきながら、あれはやっちゃいかぬ、これもやっちゃいかぬ、向こうはやっちゃいかぬぞ、そうしてお前自分でまかなっておけ、これじゃ少し責任がなさ過ぎると思いますから、本日はこの程度にして、おりに触れてまたお尋ねを申し上げます。
  84. 片岡文重

    ○片岡文重君 今ここで山手答弁というささやきをしておりましたが、どうも問題が山手線のようにぐるぐる回ってきて、進歩しないので、少し前進をしたいのですけれども、どうも伺っておりますと、御答弁がその場だけの御答弁のように思われてなりません。大臣は今後どの程度に長く大臣の席におつきになっておられるかわかりませんが、とにかく歴代の内閣で、先日も申し上げました通りに、国鉄ほど冷淡な考えを持たれておる企業はない。これをもう少し真剣に親身になって国鉄経営を改善できるような基盤を築いてやるという熱意を示す大臣がぜひ出てほしいと思う。幸いにして木暮大臣は御自身事業もしておられるよしでありまするし、他面、企業経営の御経験もお持ちになっておるのでありますから、企業の経営者の苦しみというものは、十分御案内のことと存じますので、この際御就任を機会に、ぜひこれは木暮がやったという将来への基盤を作っていただきたい。私はまず冒頭にお願いを申し上げまして御質問に移りたいと思うのですが、一体、第一次五カ年計画ではとてもだめだということをお考えになって、第二次五カ年計画でやっていこうという考え方になったということを運輸大臣がお聞きになったのはいつごろなのか。これは木暮さんではなくて前任者ということでこの前御答弁がありましたが、当然、こういう重大な問題——少なくとも運賃値上げを伴わなければならないような重大な問題については、前任者からの引き継ぎが私はあってしかるべきだと思うのです。しかるに、その点について全然触れておられなかったのかどうか、その点をちょっとお聞きしておきたいのです。
  85. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 私は正直に申し上げますが、前任者からの運賃改定の引き継ぎがございませんでした。前は衆議院の南さんというお方でしたが、引き継ぎがございませんでした。それで、私が就任いたしましたのは十二月八日でございまして、その後二週間ぐらいというものは、いろいろ方々歩いたり、説明を聞いたりすることが忙しかったんですが、今度、国鉄で五カ年計画をいよいよ樹立して、輸送力増強に乗り出す。その場合に、一部やむを得ず運賃改定を行なわなければならぬということを私が聞いたのは、十二月の二十日過ぎでございました。ですから、新聞をごらん下さるとわかるのですが、私は就任しまして、その後、新聞社のお方々から、国鉄運賃値上げするという話があるがどうだということは、たびたび聞かれたのでございますが、事実そういう話を聞いておりませんものですから、私は、国鉄運賃はこれは上げずに済むならば上げないでほしい。どうしても上げなくちゃならないのなら、それは最低限度で上げるのであるが、私は国鉄運賃経営上、計画の上から見て、どうも赤字が出るから、そろばんがうまくいかないからというようなことに口をかって、イージー・ゴーイングに国鉄運賃をすぐ改定するというようなことをやるということは不賛成で、まず自分の方で大いに経理内容を改善するように、いろいろ世間で国鉄の当局のやり方に対しては非難がありますから、そういう点をまずすっきりとしてみて、そういうことが先決問題で、何でもすぐ簡単な、たやすい運賃改定にたよるというようなことは私は反対で、できるならば運賃改定をしたくないんだということを、当時新聞などにも私の言として引用されたことがありますが、実はそれがほんとうなんでございまして、十二月の二十日過ぎになって、運賃改定というようなことをやらなくちゃならぬといういろいろ計数的な話を聞きまして、われわれもその検討に乗り出しましたが、まずそのときも、運賃改定という国民の負担になることをお願いをするならば、国鉄自身としてもすっきりした姿で出直していかなければ、こういうことを国民に訴えるわけにはいかぬということを、私は国鉄の人にお話をしたような中火があるのですが、多分十二月二十日過ぎだろうと私は思っております。引き継ぎはございませんでした。
  86. 片岡文重

    ○片岡文重君 おそらく、御答弁通りだと私は思います。そのことが、いかに池田内閣国民に対して冷淡であるかということを物語っている最もいい例だと思う。とにかく、これだけの値上げをするということについて、池田内閣として十分真剣な討議が尽くされてすべきもので、内閣としてもきわめてもう大きな問題である。従って、この引き継ぎ事項の最重要問題の一つとして数えられておってしかるべきであったと思う。それが引き継ぎがされないということは、国鉄に対する冷淡であり、国民生活を思わないという一因になると、私は思う。しかし、これは大臣がおっしゃられる通りに、池田内閣の性格がそういう性格であるならば、これはそういうことであったというのですから、やむを得ない。私はきわめて遺憾なことと思うのですが、そういう考え方では今後の国鉄経営に対してあたたかみのある、国民の生活を心から考えていくという施策は望み得べくもないと思う。きわめて遺憾だということをはっきり申し上げておきたいのです。  国鉄総裁にお尋ねをしたいのですが、第一次五カ年計画からどうしても第二次五カ年計画考えなければいけないということは、いつごろお考えになられたのですか、作業に一体取りかかられたのはいつごろなんでしょう。その点をお伺いしたい。
  87. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私から申し上げたいと思います。新五カ年計画というものを国鉄として一応まとめましたのは、昨年の九月でございます。その九月になります前から、もちろん部内でもいろいろ検討を重ねておったわけでございますが、それは経済企画庁の方に付置されておりました経済審議会で、いろいろ今後の経済成長の問題を検討を加えられておりました際に、国鉄からも関係者がそこに出ておりましていろいろ経済審議会の方でお調べになっておりますのと並行して、国鉄としてもそれに対応するような態勢をどうしたらいいかということを検討しておったわけであります。同時に、そういうような問題がありましたので、国鉄の今後の経営問題についてどうすべきかという、これは重大問題でありましたので、国鉄といたしましては、総裁の諮問機関であります諮問委員会に、いかにして国鉄経営を改善すべきかというような問題について御諮問申し上げておりました。その諮問委員会意見をまとめて国鉄にお示し下さいましたのが、たまたま、やはり九月の上旬になったわけでございますが、その諮問委員会でいろいろそれまでに御意見をまとめられるにあたって審議願っておりましたその間にも、いろいろ川鉄当局に対してお尋ねのあった問題もございまして、そういうような各方面の御意見を参考にいたしまして、国鉄として新五カ年計画というものを昨年の九月にまとめたようなわけでございます。大体の経過はそういうことでございます。
  88. 片岡文重

    ○片岡文重君 その九月にまとめられた第二次五カ年計画というものは、今ここに運賃値上げの資料として国鉄から旧会にお出しになりました案の内容とは大へんな相違がおありになるのですか、それとも大体、小さな点は別として、大よその線においてはこれと変わりがないのかどうですか。
  89. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 輸送量の想定とか、その他の点について若干変わった点はございますけれども、その計画の骨子につきましては大して変わっておりません。
  90. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうしますと原資等についても当然問題になるわけですが、その原資を求めるにあたって、値上げをしなければならないということは、九月にまとめられました案にすでに載っておられたのでしょうか。九月の案には、値上げによらないで、何かほかの方法でやるということになっておったのでしょうか。
  91. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) これは、たまたま諮問委員会等の御意見によりましても、国鉄は至急に適正な規模を持った新しい計画を立てなきゃいけないということを御勧告になったわけでありますが、そのためには、国鉄がそれに必要な財源を取得できるように適宜の措置を考えなければいけない、こういうことを言うておられまして、運賃の問題については、現在の運賃制度というものについて、これはその根本にさかのぼって再検討をし、国鉄が機動的に需給関係に対処できるようにすると同時に、その経理の改善に処し得るような合理的な制度に置きかえることが必要であるという抽象的な御意見がございました。運賃改定のみによってこの財源を調達すべきであるというようにはっきり申してはおられませんでした。国鉄といたしましては、とにかく新五カ年計画内容に当たります事柄を、これはぜひ実行しなければならないということは考えておりましたけれども、その財源の調達の方法につきましては、いろいろと考究をしておったような次第でございます。
  92. 片岡文重

    ○片岡文重君 根本的な改善計画を、立てられることは、きわめて大切ですけれども、その立てられた計画を遂行するために、原資をどうするか、財源をどうするかということは、それにまさるとも劣らない重要な問題であることは申し上げるまでもないことですけれども、当然この原資をどうするかということについては、慎重な考慮がなされて、しかも具体的にこれはそろばんをはじいたんじゃないかと思うのです。その場合に、抽象的な勧告だけをたよりにして、しかもそれが適宜な措置をというがごとき、抽象的というより、むしろばく然としたようなことで五カ年計画をまとめるということは私はできないと思う。従って大体において、どの程度は借り入れ、どの程度は補助を受ける、どの程度は世銀から、どの程度は増収あるいは増送あるいはどの程度運賃値上げということの大まかな線を、私はこの際まとめておったんではないかと思うのですが、九月の結論にはそこまでいっておらなかったんですか。
  93. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 九月に新五カ年計画をまとめました際に、国鉄が負わされておる責務を果たすために、どれだけの輸送力増強その他の改善をしなければならないかということは審議いたしておったわけでございますが、そのために必要な所要財源をいかなる方法によって、それをどの程度ずつ割り当てるかというようなところまではきまっておりませんでした。いろいろな考え方があるということは、そのときにも考えておりましたし、後に政府御当局に御相談申し上げた際にも、いろいろな考え方がございますがということでお願いを申し上げたような次第であります。
  94. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうすると九月にまとめたというのは、ただ、たとえば東海道新幹線を四十年までにやりたい、あるいは電車は何何ふやしたい、老朽施設はどの程度にかえたいという程度の項目をあげただけであって、その財源は一体どこから求めるということについての具体的な検討は全然されないでまとめたということになるんですか。
  95. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 新五カ年計画を作ります際に、たとえば東海道の輸送量の見通しがどういうふうであるから、これはどうしても四十年までに新しい新幹線を作り上げなければいけないというようなことでございますとか、全般的に申しますと、国全体の経済成長に見合って、それに追随していけるだけの輸送力を整備するためには、どれだけのことをやらなければならないかというようなことは、はっきりいたしておりました。しかし、そのために必要な財源をどうやって出すかということについては、これは諮問委員会等の御意見でもいろいろなことが指摘されております。  まあ、運賃制度のことは、先ほど申し上げたように、根本にさかのぼって検討するようにというようなことをおっしゃられたわけでありますが、そのほかのこともいろいろ御指摘になっておられましたので、むろん何も考えなかったということではございません。いろいろな考え方があると思いますので、いろんな角度から検討はいたしておりましたけれども、この方法でいくんだというようなことは、これは国鉄だけできめることもできない問題の性質もございまするし、そういうようなことで、これだということをはっきりきめる段階には達しておりませんでした。
  96. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうすると運賃値上げをしなければどうしてもやっていけないというようなところまで具体化されてきたのは、一体いつごろからなんですか。
  97. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) この問題につきましては、むしろ運輸省の方から申し上げた方が適切かと存じますので、お許しいただきたいと存じます。  実は五カ年計画につきまして私が聞きましたのは、すでに昨年、私が七月に局長にかわりましたので、そのときにもう作業が進行しておるということは聞いておりました。と申しますのは、御承知のように所得倍増十カ年計画は、昨年の初めごろからもう作業を始めておったと思います。相当進んでいるということは聞いておりまして、ぼんやりではございますが、新しい五カ年計画を作って、これに切りかえなければ、とても国鉄輸送力は、経済成長の伸びについていけないという、こういうお話があったことは記憶いたしておます。それから前期の五カ年計画が新しい五カ年計画にまとまったのは、先ほど国鉄の副総裁が申された通りでございます。  そこで問題は、所要原資をどうして調達するかということが大問題であります。これは大へんだということは、われわれも申しておりまして、ところが問題は、やはり高度の政治的判断になりますから、われわれ事務当局ではこういう案で、たとえば借入金でいく場合は、たとえば年間にいたしまして千六百億程度の借入金でいく、あとは自己資金で二千億程度出すということになりますと、この場合に国鉄財政に対する影響はこういうふうになります。それから運賃値上げは、このくらい原資を調達すると、こういうふうな運賃値上げになりましょう。こういうことを準備して、事務当局とは十分検討した上で準備して、そうして内閣の御判断を求めるということが必要ではないか、それよりほかに方法がないのじゃないかということで、その準備をいたしておったわけでございます。そこで、私の記憶では、たしか十月に、所得倍増計画に見合う前期五カ年計画につきまして、経済企画庁運輸省国鉄の間において、やれ見積りが大きいの少ないのと、さんざんやったように記憶いたしております。それから十一月に入りまして、今度は原資の調達の案につきまして、いろいろ、ああでもない、こうでもないということをやっておったと思います。ところが、十二月に入りまして、新らしい内閣もできましたので、ここらで御判断をいただかなければならない。つまり、主管大臣である運輸大臣としては御判断をいただいて、いずれかにその方途を決して、そうして政府全体の態度をきめていただく、こういうことにしなければならぬというので、いろいろ大臣には御説明申し上げておったのですが、もちろん、御就任早々でございまして、いろいろなごあいさつ回りのための時間もとられまして、先ほど大臣お話し申し上げましたように、大臣のお耳に入ったのはそれからややしばらくたってからでございます。いよいよ意を決しまして、こういう方法しかないというので、一部原資を運賃改定に求めることにいたしまして、正式に国鉄運輸大臣に申請して参りましたのは、たしか昨年暮れの十二月二十四、五日ごろであったかと思います。と同時に国鉄におきまして新聞発表いたしたような次第でございます。
  98. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうすると、第二次五カ年計画をまとめられたというのは、九月にまとめた案というのは、財源に対する具体的な考え方というのは全然なくて、いわば計画というよりも、こんなふうにしてみたらどうかなぐらいの、結局筋を引いてみたという程度であって、具体的に計画を遂行する、完遂する。第一次五カ年計画の失敗にかんがみて、二度とこのような失敗は繰り返さないという決意の上に立って、具体的な完遂方法をまとめたということまではいかないのではないか、ということは、これは釈迦に説法になるかもしれませんが、どんなにいい青写真を作られても、その具体化は財源がなければできぬわけです。従って、むしろ、一体財源はどのくらいあるかということが、まず私企業であるなら考えられて、そうしてこのくらいならこのくらいのことはできるということが一つの企業経営の行き方ではなかろうかと思う。ことに、国鉄のような場合には、なおさらもって私は財源というものが問題になったと思うのです。今お話を伺っておると、財源ということについてほとんど具体的検討はなされないで、諮問委員会の御答申を見ても、なるほど、それは副総裁のおっしゃったように明確に運賃値上げをしろと言っておらない。運賃値上げをしろと言っておらないが、しかし、これは明らかに運賃値上げをせよということを、そういう言葉は使っておらないけれども、機動性を持たす云々ということを明確に言っておるわけです。だから当然この計画を立てるときには、それらのことも勘案されて、私は財源というものを十分、具体的にどこからどうやってくるということを考えられて、それが裏づけとなってこの五カ年計画ができたものと理解しておりましたが、そういうことではなかったのですか。
  99. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) もちろん、所得倍増十カ年計画におきましては御承知のように公共投資に要する資金がどれだけ総額で要るか、あるいは交通投資については、海、空に分けまして、どのくらい要るかというおよその目安は立てられております。ただ、具体的に、たとえば国鉄につきましていかなる方法をもってその財源を調達するかということにつきましては、はっきりした何ものをも私は示されておりません。そこで運輸省の事務当局の立場から申し上げますと、もし万一所要財源の調達ができない場合には一体どうなるのだ、この国鉄輸送力の不足ということは今に始まったことではない。日本経済が非常にすこやかな成長をしておるのに比べて、まるでびっこが足を引きずりながらあとについていくような格好であったわけです。それに増して、今度はもっと高度の成長を遂げようというのでございますから、一体このくらいの輸送力整備計画というのは、ぜひとも完遂しないと、日本経済成長にとって大へんなことになるのではないかということを心配しておったわけであります。従いまして、この所要財源について予定通り調達できなかった場合には、一体五カ年計画を切るのか。そこで、御案内のように、所要財源につきましては、かりに運賃値上げをすると言ってみましたところで、あるいは全部借入金によっていくのだと言ってみましたところで、運輸省の事務当局でひとりできめたところでどうにもなるものでもないので、これはやはり政府の全体の決定において、どの方策をとっていただくかということをきめていただかぬことには、どうにもならない問題でございます。従いまして、もう運賃値上げでこれだけやるのだ、借入金でこれだけまかなうのだと言ってみたところで、架空のものでしかないわけです。まあ先ほど申し上げましたようないきさつでもって、最後は運輸大臣の腹をきめていただき、そうしてまた、その案を持ち出して、内閣全体の態度方針をきめていただいたような次第でございます。
  100. 片岡文重

    ○片岡文重君 おっしゃることはよくわかります。いわゆる事務当局としての立場から決定をしておらないことはわかります。しかし、決定はできないのですから、それは決定しておらないでしょう。けれども、この財源の求め方について、たとえば第一案としてはこう、第二案としてはこう、第三としてはこうと、少なくともその程度のものはお示しになって、初めて閣議にかけるなり、あるいは経済審議会に持ち込まれて、それが検討されるなりされるのではないでしょうか。全然決定権がないのだから、高度の政治性だからというので、計画は立てました、しかし、私は、計画という言葉の中には、当然何といいますか、項目といいますか、要綱を具体化する裏づけとなるべき財源があって、初めて計画というものが成り立つと思うのですけれども、今のお話を伺っていると、財源については全然きめられない。ただ国鉄経営立場からいって、今のままでは東海道新幹線はどうだ、車両の増備はどうだというように、事業だけを考えて、財源の方は決定権がないということできめられなかった、こういうふうに伺えるのですが、やはり少なくとも、第一案としてはこういうことが考えられる、第二案としてはこういうことが考えられるという程度のことは私はあったと思うのですけれども、それもなかったのでしょうか。
  101. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 先ほど申し上げましたように、所得倍増計画を立てました経済企画庁経済審議会におきましては、交通体系小委員会におきまして、輸送量の総計をいたしたわけでございます。それから投資配分委員会におきまして、一体どれだけのそういう計画達成に資金量が要るであろうかということをはじいたわけでございます。そこで、投資配分小委員会におきましては、十年間に一兆四千億ないし一兆六千億あれば、まずまずこの十カ年計画はできるのではないかということを、それから交通体系小委員会におきましては、御承知のように二兆一千億くらい要るだろう、こういうことを考えておったわけでございますが、しかし、具体的にいずれの方法においてこの財源を調達するかということは全然触れておりません。これはもちろん、そのときにきめ得るわけがないのでございます。たとえば全部借入金でやるかどうかということにつきましても、あるいは一部運賃改定によるところの原資の調達ということにいたしましても、これはそれぞれ、やはりいろいろな角度からその方法について検討しなければ、結論が出てこない問題でございますので、そのときにすでに確実なる所要資金の裏づけをせよということは、ちょっと御無理じゃないかというような気がいたすのでございます。
  102. 片岡文重

    ○片岡文重君 私は何億何千万という、どんぴしゃりの数字は出せないまでも、大体所要資金全額を借り入れにするということも、今日の政府財政では許されない。あるいは旅客貨物の増送だけでは、これは計画はできない。世界銀行からの借款もどのくらいしか出ないだろうという大まかの見通しというものは、当然事務当局としてお出しになるはずであるし、そういう見通しの上に立って、一応事務当局としての案を立てられて、それを大臣に示され、いわゆる、あなたのおっしゃる高度の政治性によって決定をされていく、こういうことに私はなるのだと思う。だから、九月にまとめられた案の中には、少なくともその文書として、最大限——最大限といいますか、最小限といいますか、文書にまでならなくとも、その案の具体化をめぐって御討議をなされる場合には、財源についてはこういうふうに考えるという程度のことは、私はあってしかるべきだったと思うのです。それすらもなかったのでしょうか。
  103. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) むしろそのときにおける論議は、五カ年計画が、前期五カ年計画なり、あるいは十カ年計画全体の想定が、正しいかどうかということの論議、それから、それに要するところの所要賞金量の全体のワクがどうであるかというふうなことについて、いろいろ論議がございました。で、その財源の調達をどうするかということは、これは年度割りの問題でございまして、年々の予算においてこれは具体化されていくわけでございますので、そのときには全然論議がなかったわけでございます。御承知のように、所得倍増十カ年計画におきましては、国鉄が立てておりますような前期五カ年にわたってのめども出されていないような作り方でございまして、国鉄の新五カ年計画は、これは国鉄自体で、十カ年計画における中間の想定数値を出しまして、一応作ったような状況でございます。そこで、具体的な財源の調達方法については論議はございませんでした。ただ、われわれ事務当局といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、十一月に入りましてからは、いずれにするか、事務当局としては当然いろいろな案について準備すべきであると思いますので、その準備に取りかかっておったような次第でございます。
  104. 片岡文重

    ○片岡文重君 どうも私はお話を伺って、実にあきれるばかりですが、今までの国鉄経営に対して、歴代の内閣国鉄経営打開のための財政的な援助について、もっと積極的に考慮しておられたのなら、あるいはそういう全面的なおんぶということも考えられるかもしれませんけれども、おそかれ早かれ、この計画が具体化される前提としては、国鉄みずからがその財源をどうするかということを考えなければならない事態にあるのじゃないですか。それはどの程度運賃値上げをするか、どの程度の借り入れをするかということについては、それは多少けたが上がったり、違ったりするでしょう。数字の動きはあるでしょうけれども、大まかな財源の調達方法については、これは国鉄考えて案を作って示して、初めてそこに討議の資料として提供されるのである。それをしもなされないということは、私はこれは計画とは言えないと思うのです。で、もちろん、この所得倍増計画も、経済企画庁長官や池田総理によれば、これは計画ではございません、計画という言葉は使っておりませんということを何べんも繰り返されました。よく聞いてみると、これは倍増構想だそうです。だんだんやっぱり具体的に突っ込んで聞いてみると、ほんとうに、もう何といいますか、朝の目ざめにひょっと頭に浮かんだような程度のものであって、全くたよりにならないような、具体性のないものだ。しかし、国鉄の五カ年計画というものは、これは構想ではなくて、明らかに、私は具体性を持った計画であると思う。第一次五カ年計画というのはすでに実施に移されている。そしてたまたま、その五カ年間をやるだけの状態にはなかった。成功を見るわけにはいかなかった。従って、やむを得ず第二次五カ年計画というものを立てられた。この五カ年計画を立てられたについては、くどいようですが、第一次五カ年計画の失敗ということについて、国鉄の当事者というものは、きわめて真剣に、謙虚に私は国民に対するやはり責任というものを痛感すべきである。その上に立って立てられた第二次五カ年計画であるならば、最初から失敗を繰り返さないためには、その失敗の原因となった財源については、もっと慎重な態度で配慮があって当然じゃなかったかと思うのです。ただ工事項目だけをあげて、財源はあなたまかせということでは、これは真実、その通りであったとするならば、きわめて無責任であるし、また何らかの意図があって、それを正直に発表できないというのであるならば、また私は何をか言わんや。ほんとうは財源の裏づけということは全然考えなかったのでしょうか。それじゃ、いつから財源ということについての討議がなされたか、国鉄としての案をお示しになられたか。また、運輸省としては、いつごろからその財源というものの具体化された案というもの、数字の入った案というものを国鉄から受け取られたでしょうか。
  105. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 御承知のように、所得倍増十カ年計画というものは、もちろん一応の目標でございまして、これを毎年々々具体化するのが、行政官庁であり、また国鉄の関する限りは日本国有鉄道の責任でもあるわけでございます。御承知通り、具体的には毎年度の予算として具体的に姿が出てくるわけでございます。そこで、われわれ、来年度がこの新五カ年計画の第一年でございますので、とりあえず、年間二千億の所要投資と見まして、少なくとも当時捻出し得る自己資金、つまり減価償却の引当金を除きまして、千五百億円以上のものは借入金に依存するか、あるいは一部運賃改定によるか、わかりませんが、とにかく、いずれにいたしましても、重要な政策的な判断によらなければならない問題を含んでおりますので、詳細な検討はその後にいたしまして、九月における概算要求としては、全部借入金によってまかなう、こういう格好で一まず出しておいたわけでございます。そこで、まず前提になっております新五カ年計画検討から入りまして、そうして先ほど申し上げましたようないろいろな論議、作業を経まして、具体的にわれわれが財源調達の方法につきまして案を作成し始めましたのが十一月の半ば以降であったかと存じます。ああでもない、こうでもないということでやっております。十三月の初めには、全部借入金でいく場合にはこうなります。それから一部借入金の増により、一部は運賃改定によりますと、こうなります。それから運賃改定による場合にしましても、御承知のように、何%上げた場合はこうなる。何%上げた場合はまたこうなるというふうな、まあ三段階ぐらいの案を作ったかと思いますが、そういうものを全部準備いたしまして、先ほど来申し上げておりますように、内閣全体の高度の政策決定による終局的な御決定をいただいたわけでございます。
  106. 片岡文重

    ○片岡文重君 所得倍増構想というものが、たしか案として発表されたのは三十五年の私は十月の初句だったと記憶しております。この中には、すでに、国鉄が負担をする輸送についてどうなければならないかということは、きわめて抽象的といいますか、概括的に述べられておる。この倍増構想、全体の十カ年構想というものを立てられる場合には、当然各年度における国民所得というものも考えられて立てたと思うのです。その場合には、その運賃なり物価なりというものも一応計算をされたものと思う。そうしてその部門、その部門に分かれて、それぞれ専門の方々が持ち寄った案というものが、あの十月の初句になって発表された案でありましょう。そのときには当然国鉄だけのことで事業を遂行する、国鉄だけの経営改善であるということならば、百歩譲って、私はあなたの御説明に納得いたしましょう。けれども、こういう所得倍増構想の一環として、すでに十月の初句に発表される段階にあったわけですね。そのときにはこの五カ年計画というものは、一応工平計画なりがまとまって、中に含まれてきたわけでしょう。しかも、一方において所得倍増というものは、当然国民所得なり、消費というものが計算をされて出てきておるわけですから、国鉄の工事の五カ年計画の遂行とマッチしておるわけですから、当然その間にはこの財源も考えられなければならない。その財源ということになれば、国鉄としてはどういうふうにしなければならぬかということも、当然国民の生活に大きく影響を与えるんですから、考えざるを得ないのだと思うのですよ。それなのに、そういうことを全然お考えにならないで、ただ工事項目をあげたんだということであるなら、これはもう第二次五カ年計画というものが今にして——せっかくあなた方御努力をされたのに相済まぬ言葉を使いますけれども、前途が思いやられる私は状態だと思う、内容が。もっと真剣に私は工事遂行に対する熱意、具体性があってしかるべきだったと思うのです。まあせっかく鉄監局長御答弁中ですが、一体国鉄として、今鉄監局の答弁をされておる通りに、大体資金というものについてのお考えというか、具体的にお考えになられたことはなかったのか、国鉄当局から一つ聞いておきたい。
  107. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 先ほど鉄監局長からお答えがありましたように、とにかく新五カ年計画というものを遂行するために必要な予算の総ワクというものはきまってきたわけでございますが、それに必要な原資というものを、現在の国鉄経営状態からどれだけ調弁できるかということは、いろいろな角度から検討いたしました。その結果どうしても足りない分がある。その足りない部分は、先ほどこれも鉄監局長からお話がありましたように、一応政府当局としては全額借入金でその不足な分はお願いしたいということで、これは形式的と申せば形式的な手続をいたしておりました。しかし、その中身につきまして、全部借入金でいくというようなことで、かりに続けていくといたしますれば、今でさえ相当大きな長期借入金というものがあるのに、収拾すべからざる大きさのものに将来なってしまう。そこで当時まあ私どもいろいろ考えまして、少なくとも今よりも、現在の状態よりは六百億円くらいのものが何らかの形で自己資金と申しますか、利子を払わないで済むような原資が六百億円ほどほしいということは、検討の結果答えは出ておったわけでございます。しかしながら、その六百億円という、国鉄としてはその当時そういう、その程度自己資金がほしいということを考えておったわけでございますが、その当時そのままお認め願えるようになるかどうか、また自己資金としてそれだけのものを獲得する方法として、まあ全部運賃改定ということでお願いするのが適当であるかどうか、その他の方法があるかどうか、たとえば先ほど詳細な、ちょっと他の委員の御質問の際に話を申し上げました、いわゆる公共負担の五百二十五億というような問題もありまするし、また、固定資産税納付金のような問題もありまするし、いろいろ問題はありまするが、要するに利子のない、利子を負担しないで済む資金がおおむね五百億ないし六百億くらい確保できないと、将来の経営の安定ということも期し得られないし、また新五カ年計画の遂行の上にも支障があるというふうに考えまして、最後の結論は、これは高度の政治的な御判断に待たなければならぬ問題でありますので、その辺にめどをつけて政府御当局等とも、いろいろこれは御決定を願う前段階において、御相談を申し上げておったようなわけであります。
  108. 片岡文重

    ○片岡文重君 御両者の御答弁を伺っていると、もしその御答弁に誤りがないとされるならば、少なくとも資金に対する具体的な計画というものは全然お持ちにならなかったと、私は申し上げられると思うのです。不足分全額を借入金に、そのおつもりであったようなお話ですけれども、今副総裁御自身おっしゃったように、今でさえこの多額の負債があって困っているのに、将来五カ年間にわたって大きな事業をやっていくのに、全額それを長期借入金でまかなうこと自体が、すでにもう当初から破綻を来たすであろうことぐらいは、これは私が指摘申し上げなくたって十分お考えになれると思う。あまりにも私は何か御答弁に見えすいたからくりがあるように思うのです。決定権はなるほどそれは事務当局にないとしても、もう少し何か私はすっきりしたところがあっていいのじゃないかと思う。どうしても私は今までの御答弁では納得できません、こんなことで。もしかりに、先ほど申し上げた通りほんとうにそういうふうな程度のことでこの五カ年計画組まれたとするならば、この内容たるや、推して知るべしだと私は思う。原資についての私はやはり明確な見通しというものが当然立てられてよかったのじゃないかと思う。何か私はこの御答弁には納得できない。私は別に引き延ばしのために御質問しているのじゃありませんから、これ以上押し問答続けても仕方がないので、いずれこれは機会を見て私は再度御質問したい。  さらにこの所得倍増構想等についての関連性もありますから、経済企画庁長官等も一つ御一緒においでいただいてお尋ねしたいと思うのです。それから次に、これは運輸大臣と、国鉄総裁と、御両者から御答弁をいただきたい。  特にまず運輸大臣から御答弁いただきたいのですが、それは先ほども、また今までも何回か、この程度運賃値上げでは物価影響しないということを言われております。〇・一%程度だと言うておられます。しかし問題は、こういう家庭経済に直接影響をするような問題は、九千万国民全般を一律に並べて計算をしたのでは、私は国民生活に与える影響というものが出てこないと思うのです。たとえば日雇い労務者の諸君は、あれは一カ月とか三カ月とかという定期はとても買えないのです。毎日電車賃買うわけです。そうすると今度の運賃値上げで、たとえば五反田に住んでいる日雇い労務者が東京駅へ通います。役所へ行くというと、今度のでは、つまり現行では、東京から五反田までは十円です。これが改定されると二十円になるのです。百パーセントの倍額になるわけです。こういうつまり現象が出てくるわけです。さらに全然もう汽車は利用しません。皆さんのように、自家用車をお持ちになって、全然電車、汽車は御利用なさらぬという方は、少なくとも運賃に関する限りは全然ゼロでしょう。だが、これから高校へ通うと、自分の住んでいる町には高等学校はない。これから高校へ通うという子供さんを持つ親たちにとっては、その値上り分そっくり百パーセントの影響を受けるわけです。現に、国鉄職員で、この三月五十五歳で定年退職を強要される職員があります。この人たちの子供さんが、今度は高校へ行きたい、収入はなくなる、定期券は上がる、結局高校は無理だからということで、中学だけでやめて実社会にほうり出されるという現実があるわけです。なるほど、こういう総理府で調べられた数字では〇・一でしょうけれども、現実に、今日、生活困窮な状態にある方々の生活には、値上がりは群パーセント、それに加えて諸物価の位上がりというものがかかってくるわけです。こういう現実に対して、一体運輸大臣は、閣僚の一員として、どういうお考えをお持ちになりますか。
  109. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 今回の運賃改定が及ぼす影響につきまして、個々に見ますと、ただいま御指摘のようなことがあると存ずるのでございます。あるいはまた貨物等につきましても、個々に見ますれば、いろいろのそこに影響する事情があると思うのでございますが、私どもは、こういう国鉄運賃改定というようなことをいたす場合には、全体の、国民経済的の、全般的の見地に立ちまして、それが国鉄輸送力増強、整備いたすことによって、日本経済成長を促進すると、こういうような見地から、やはり判断して参るべきものであると考えまして、判断いたしたわけでございます。今御指摘のような自由労務者の方々にとりましては、そういうことも現実に生じておると考えるのでございますが、これは自然、賃金引き上げというようなことによって、あるいはその人の生活を補助して上げるというようなことに、労働省関係の方で自然で、きていくことではなかろうかと存じますが、私どもとしては、国鉄運賃改定というものを、国民経済全般の見地に立ちまして判断を下しておりますようなわけでございます。
  110. 片岡文重

    ○片岡文重君 大臣はあまり労働省の所等を、あまりという言葉は取り消しますが、何かだいぶ権限があるようにお考えですけれども、労働省だけの考えで労賃を急に、生活が楽になるように引き上げができるならば、別に因るわけじゃないのです。私ども問題にしないのです。せんだって出た仲裁裁定も、労働右の要求の五〇%にも及んでおらない。それでもなおかつ高過ぎるといって驚いておられる。そういう状況の中で、とにかくこれだけの影響を与える、これは個々に、少なくとも最高の影響を与えるような数字を拾ってみたら、私は驚くようなことが出てくると思うのです。問題は九千万、一億近い人口をおしなべて、すでに人生を終わらんとしている人たち、今生まれたばかりの人たち、これらを全部ひっくるめて、そうしてそれらの人に影響する数字というものが〇・一%だという計算で物価というものをお考えになられたのでは、日常生活に何ら御不足のない大臣諸公にとってはいささかの苦痛もないのでありましょうけれども、少なくとも日々の生活に追われている国民大衆、特に減税の対象にもならないような一千万をこえるといういわゆるボーター・ライン層の人たち、こういう人たちのことを考えると、いかにこの値上げというものが大きく響くかということを、私はもっと真剣に考えていただきたいのです。先ほどもお聞きいただきました通りに、この第二次五カ年計画によって輸送緩和をする、その御希望、そのお考えは、私も全面的に賛成であります。しかし、その計画を立てるにあたっても、原資の裏づけもろくろく考えられなかったというありさまである。どうも今、少し私の言葉は過ぎるかもしれませんが、これが私企業であって、利益があがれば、そのあがっただけのものが配当になってくる、あるいは、その企業の消長が自分の生活に影響してくるというようなことであったら、そんな安閑とした経営はできないのじゃないかと思います。もっと真剣になってほしい。閣僚としては、もっと私はやはり国民生活に対して思いやりというものがあってほしいと思うのです。せんだっても申し上げました通りに、私は、国鉄があらゆる方途を講じて、なおかつ上げざるを得ない、しかも、その上げる率に耐え得る国民生活が今行なわれているというなら、それはあえて反対はしない。今日の状態では残念ながら、私はそういうわけにいかない、こう考えざるを得ないのです。先ほどの同僚の質問にもあったようですが、私うっかりしておりましたので、詳しく聞き漏らしましたから、あるいは、タブったら簡単に御答弁いただいてけっこうですが、定期旅客の割引率について、大臣はこのまま長く押えておくつもりなのかどうか、国鉄で出されました資料を拝見すると、定期旅客の数といいますか、比率は六四%である。定期外旅客が三六%である。これは私は国鉄からいただいた資料を拝見しての数字ですから、もし私の見方が誤っておったら御訂正いただきたいが、とにかく定期旅客の比率は六四%、短期外旅客の比率は三六%、しかるに、定期旅客による収入は一七%である。六四%のお客さんが一七%の収入である。定期外旅客三六%が八三%の収入をあげているのである。いかに矛盾しているかということはわかるのであります。こういう経営を今日政府は強要しているわけであります。これについて一つ運輸大臣はどうお考えになられるか。なお、もう今までのような抽象的な御答弁ではなしに、定期旅客について割引率をいつまで押えておかれるつもりなのかどうか、その点が一つと、それから——それだけ一つお伺いいたしましょう。この定期旅客の割引率をこのまま等分据え置くか、いつまで据え置くのか。
  111. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 定期の割引率は、どなたが考えましても大きな割引率でありますので、いろいろ国鉄経営独立採算制の見地から改善することを研究いたしまする運輸審議会あるいは経営に関する調査会などにおきましては、これはいつも実は問題になるのでありまして、漸次この割引率の高いものを適正に是正していくべしという意見が、国鉄の諮問委員会、また運輸省の諮問委員会からは出ておりますわけでございます。国鉄といたしましても、今回の運賃改定にあたりまして、ある程度この過大なる割引率を適正に是正したいという気持を持っておったのでございまするが、政府いたしましては、この形はいかにも過大なる割引率でございまするが、すでに長い間国民の生活費にとけ込んでおること等を考えまして、今回このまま据え置くということにいたした次第でございます。従いまして、今直ちにこれを是正するという考えは持っておりません。当分はこの割引率のいろいろ御批判はありますけれども、これを当分は据え置いていくと、こういう考えを持っておる次第でございます。
  112. 片岡文重

    ○片岡文重君 今日の国民所得の低さからいえば、私はやむを得ない措置だと思うのです。決して、誤解があっては困りますけれども、定期運賃引き上げなさいと、割引率を引き上げなさい、こういうことを言っておるのでは毛頭ないのです。そこで、今日の国民生活の実態から見れば、おそらくこれがもう最高の負担でありましょう。まあ最高とまでいわなくても、これ以上引き上げるということは相当な困難が加わる。先ほどから私は二、三の実例を申し上げている。ですからこれはやむを得ないと思う。ということになれば、これにこの破格の割引率を強要しておるということは、政府の政治がよろしきを得て、国民所得がもっと高額になり、日々の生活に不自由を来たさないということになるならば、これはもっと引き上げられて私はしかるべきである。むしろこのような、およそ企業経営の常識を離れたやり方に対しては、国民の中からさえ私は賃率の引き上げの声が起こるかもしれないと思う。しかも、これを承知しながら、国民があえて賃率を引き上げよと言えないのは、やはり国民の生活がそれだけゆとりがないということを示すものです。明らかにこれは社会政策的な割引率であると私は思う。ということになれば、これはやはり諸外国と同じように何らかの措置を政府としては当然講ずべきである、私は考えるのです。で、将来にわたってこういう政策的に国鉄に押しつけてある経費の肩がわりについて、なお今後も全然考える意思はないのかどうか。御承知のように日鉄法ではこういう定期旅客の割引率は、国鉄総裁が行なわんとすればできるわけです。運輸大臣の認可さえあればできるわけなんです、国会を通さなくとも。しかし運輸大臣がこれをいかぬといって押えているわけです。押えておって、しかもこれをカバーしてやることについては、押えてはいるけれども、そのかわりにこちらではめんどう見ようという、そのかわりというものを何にも示されておらないでしょう。こういうやり方は、どう考えたって私は妥当なものだとは思えない。で、将来もこういう矛盾した政策を長くお続けになるおつもりなのか、近い将来にこの公共負担の問題については何らかのことを、少なくとも諸外国ですでに行なわれておるのですから、そのくらいのことはされる御用意があるかどうか。
  113. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 国有鉄道は、御承知のように公共企業体ではございますが、きわめて高度の公共性を持っております。そのために、長年にわたりまして、以前国が直営しておりました時代から、いろいろな公共負担を背負ってきておるわけでございます。つまり、国鉄というものは、そういう公共負担をするのは当然である、こういう国民感情はやはり年間としてあると思います。そこで、今の公共負担というものは、言うなれば運賃収入、利用者の負担においてまかなっておるわけでございます。つまり原価的に申しますと、ある人は原価よりは高い運賃を払っている、ある人は公共負担という名におきまして、公共政策ということによりまして、低い運賃でもって運送給付を受けておるわけでございます。こういったことが、やはり高く原価を支払わなければならない利用者も、一応長年そういう仕組みで参っておるということについては、一応是認したものと考えます。ただ、御指摘のように、公共企業体としての国有鉄道は、独立採算をとっておりますので、全体としてペイすればいい、総括原価主義でいっている。その中で、どこからどういうふうに運賃を割りつけるかということになりますと、これはいろいろ政策の問題でございますから、利用者の感情というものもいろいろ考えまして、そのときどきに応じて変えていく必要があると思うのでございます。つまり、高度の割引を受けておる通勤客というものは、これはあまり虫がよ過ぎるじゃないか、もう少し負担を増して、そうして普通旅客の負担を怪くすべきじゃないか、こういう御意見ということになれば、そういうことが支配的に是認されるならば、私はやはり是正していくべきであろうと思うのでございます。しかも、私の私見でございますけれども、こういう声が非常に強くなってきておるということが言えるのじゃないかと思います。ただし、公共負担を国庫の負担にすべしという議論は、また、おのずから別個のものだと考えております。  御承知のように、西独におきましてはプラント委員会というものができまして、いろいろ西独連邦鉄道の財政的再建につきましては、いろいろな案が出されておりますが、この財政的な窮迫の度合いは、はるかに日本国有鉄道よりはひどいのじゃないかというふうに想像いたします。しかし、その西独の連邦鉄道におきましても、たしか一九五八年でございましたか、定期運賃の相当大きな是正をしております。たしか一般の旅客運賃の位上げ率が八%でありましたにもかかわらず、定期旅客運賃については五〇%の値上げをいたしております。こういうこともございまして、やはり西独あるいはイギリスにおきましても、フランスにおきましても、全部か全部国庫負担をやっておるというわけではございませんが、対抗機関の競争関係からいたしまして、窮迫度はひどいわけでごいざまして、利用者運賃の格好で負担していただくという限界が非常に狭まりつつある。そこで積り積りました財政上の赤字というものは、何らかの形で国民の税金によりまして、大きな一般会計の中において負担してやらないと、まさか鉄道をやめてしまうわけにも参りませんので、何らかの形において維持していくべき必要があるとすれば、そういう方法しかない、こういうことであろうと思いますが、わが国におきましては、やはり今まであまりにも低位に置かれたという関係から、利用者に負担していただくという原則をとっていくべきであるのが現段階であり、ここ当分の姿ではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  114. 片岡文重

    ○片岡文重君 現行日鉄法が制定されました当時は、今と同じように、黒字の場合は剰余金は国庫に納める、そのかわりに国鉄が赤字を出したときには、これは国庫から支出してやるということになっておったはずです。それが二十八年でしたか、たしか、もし記憶が違っておったらなんですが、二十八年の改正だったと思うんですが、この赤字補てんはなくなりました。で、この赤字を国庫で負担をしてやるということは、要するに公共負担を国鉄にしいておるということが私は大きな原因であったと思うんです。ところが、この国庫から赤字負担はとってしまって、消してしまって、もうけたら国庫へよこしなさいよと、で、そればかりでない。お前さんは企業なんだから固定資産税も納めなさい、そして公共負担も従来通りやりなさい、これが今日の日鉄法である。こういうやり方は、どう考えたって、どんなに上手に説明をしたって、これは企業常識に合わないですよ。世界のどこを見たってそういうばかげたことはやっておらない。それは今局長はうまいこと説明をされたようですけれども、しかし、それは少しも納得をさせる力を私は失礼ながらお持ちにならないと思うんです。で、この際私は思い切ってもっと、経営責任を国鉄に持たせることはけっこうですけれども、責任を負うに十分なやはりやり方を、私は仕組みにすべきだと思う。そのためには、私はこの少なくとも日鉄法の会計に関する部面を改定すべきではないかと考えるのですが、この法律に対してそういう面に対する改定のお考えはありませんか。
  115. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) たしか、御指摘のように、昭和三十八年に現行法のように改定されたのでございます。で、その改定の理由とするところは、やはり日本国有鉄道というものな公共企業体として独立採算制をとるということの建前から、改定前のように、あるときには一般会計から補てんし、それからあるときには、つまり利益が出たときには一般会計に繰り入れる、こういうのでは、この国有鉄道経営責任者の経営意欲をそぐではないか、それじゃあ国が直営しておる格好とちっとも変わらない。そこでやはり独立採算制を持った企業体として経営能率を上げると、こういうことにしなければならぬというので、こういうふうに改定されたように承っております。  そこでお尋ねの点でございますが、しからば、これをもとに返すようにできないかということでございますが、これはもちろん政策論でございますから、いや、今のようにすっきりしないというような判断の方は、あっさりこれはもとの姿に戻した方がよいという考え方を持たれる方もございましょうし、それから、やはりこういう格好で能率的に経営して独立採算制でいった方がいいのだ、国民全体の立場から、国家全体の福祉を増進する上からいいのだという判断の場合には、これはやっぱり現行の方がいいということではないかと思います。そこで政府としては、これを改定する意思があるかどうかというお尋ねでございますが、ただいまのところではそういう考え方は持っておりません。もちろん、個人的にはいろいろな意見を持っておる者も政府部内にあることはもちろんでございますが、しかしこうして公式的な態度といたしましては、そういう方針はただいまのところ持ち合わせておらないわけでございます。
  116. 片岡文重

    ○片岡文重君 独立採算制をとっておるから、この赤字を補てんするわけにいかぬのだとおっしゃるなら、その独立採算制ということに重きを置かれるなら、公共負担等については、当然負うべきものは食うてやらなければ、独立採算制というのはならぬじゃないですか。つまり企業としての独立制を高く規定づけるなら、当然その企業自体として負うべきもの、企業自体として行なうべきものについては、それはそれを講ぜしめるべきである。しかし、それによって生ずる赤字を国庫が負担をしてやる、こういうことは、これはおっしゃる通り経営意欲もそがれるでありましょうし、許されることではないと思います。やはり国庫が負担するといっても、それは国民の血税です。それは許されることじゃない。しかし今のように、独立採用制だといっておるけれども経営責任を追及するときだけは独立採算制を強調するけれども、この不当に負わされているところの公共負担等については少しもめんどうを見ておらない、そういうやり方は、少し不公平ではないですかということです。
  117. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 独立採算制を持った公共企業体でございますので、当然所要の経費というものは運賃収入でまかなうべきものだと判断いたします。つまり日本国有鉄道運賃法にございますように、「原価を償うものであること。」ということを申しておりますから、全体として経営上のバランスがとれればよろしい。で、その範囲内において、公共企業体としての本質的使命である公共負担をいろいろやっていくということが、これが現在の国有鉄道の使命であると、こういうふうに考える次第でございます。
  118. 片岡文重

    ○片岡文重君 さらに質問を続けたいのですけれども、今本会議の予鈴が鳴ったようですから、続けてよろしいですか、本会議と並行することはできないのじゃないですか。
  119. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  120. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記つけて下さい。  休憩いたします。    午後六時七分休憩    ————————    午後七時五十一分開会
  121. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。
  122. 片岡文重

    ○片岡文重君 質問の腰を折られたような形で、ちょっと前の何を、非常に重大な御答弁だったと思いまするので、でき得ればもう一度御答弁を、そちらでおわかりになるならば聞かしていただきたいと思うのですが、何か独採制に重点を置いて、それを通すためには運賃負担でやっていく、従って公共的な経費というものは、その利用者が全面的に負担をすべきである、こういう結論になるような御答弁であったと思うのですが、そのように理解してよろしいですか。
  123. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 日本国有鉄道は公共企業体でございまして、きわめて高度の公共性を持っておりますことは、その本質的な基本的な性格であろうかと存じます。もちろん企業体でございまして、独立採算制をその基調といたしまして経営されておる企業体でございますので、原則といたしまして、その経費を運賃収入によってまかなうということであろうかと存じます。もちろん経営の実際に当たりましては、御承知のように相当多額の借入金もいたしておりますけれども、しかしこの借入金に対します利息の支払いであるとか、あるいは元金の返済であるとか、そういうものは、すべてやはり独立採算制をとっております公共企業体といたしましては、その利用者から負担していただく運賃収入をもって充てるべきだというのが基本的な考えであるということを申し上げたのでございます。
  124. 片岡文重

    ○片岡文重君 高度の公共性を持った企業であり、かつ公共企業としての独旅制を強く要求されておる、この点はわかります。ただ国鉄が、御承知のように戦前と戦後では非常な企業的な立場が違ってきておりますから、国鉄だけにその公共的な負担を負わせておくということは、国鉄を利用する国民に、当然政府として考慮すべき経費の負担を強制するという結果になると思うのです。だから、そういうことは、特にこれが優等車のみを利用するお客だけに考えられるとか、高領所得者だけについてそれが考えられるというのであるならばまだしものこと、現に収入の内訳を見ましても、二等旅客がこれを負担をする結果になっておるわけです。こういうやり方は、社会生活の面から言っても、はなはだ私はまずいと思うのです。従って国鉄の高度の公共性については認めますけれども、認めればこそ、なおさらこれは国鉄だけの責任ではなしに、政府としての責任においてその公共性を完遂させるという措置をとるべきではないか、こういうことを考えるわけです。これは質問というよりも、むしろこれからになると、だんだん議論になってくると思いますので、別に私は引き延ばしする意図ではないのですから、これ以上の議論はいたしません。いたしませんが、ともかく政府としてこの公共性ということについて、特に国鉄の企業が、幾度も申し上げますように、もはや独占的な立場にはないのでありまして、この点は政府として十分考えて、近代的な経営方法を講ずべきである。経営方法とは、収入の面でですね、政府が考慮すべきであると考えるわけです。この点についてはぜひ一つ政府において考慮していただきたい。  それからもう一つ関連をしてこれに続いて考えられるのは、運賃値上げをしなければならないほど、とにかく今日の国鉄は困るわけである。第二次五カ年計画をやるについて、赤字だから上げるということではなくても、第二次五カ年計画を進める上にあたって、運賃値上げをしなければやっていけないということになったわけです。ということになれば、そしてなお、今申しましたように、その公共性ということについても、従来の慣行からというか、惰性から政府としては考慮できない。で国民にそのなれるがままにまかしておく、こういう状態のようですが、それほど困っておる国鉄財政の中でですね、今度一等運賃というものは、現実に絶対額において安くなっておるんです。たとえば東京から大阪間で二等の方は現実に上がるわけです。それが東京大阪間百五十円、急行で行った場合には現実に上がる。これは国鉄でお出しになった資料で上がっておる。しかるに一等の運賃は現実に百円安くなります、大阪までで。これはどうしてこういうことになるかといえば、この運賃法を改正して、今まで二等の上に通行税が積み重ねられておった一等運賃に対して、この通行税を内訳にしたわけです。ほんとうに困るということであるならば、少しでも多く国鉄のために収入をはかるべきが政府の親心ではないかと思う。しかるに、それを税金を積み重ねるのじゃなくて、引っこめて、二割ということにしたことは、まあ言葉は適切かどうかわかりませんけれども、借金で首の回らないものに、さらに借金を負わせるようなことであり、もっと極端なことをいえば、首つりの足を引っぱるようなやり方であると思う。なぜ今まで通り二等の二倍にして、その上に政府のほしいという通行税を加えないのか。この通行税を内訳にした理由はどこにあるんですか。
  125. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) この点につきましては、むしろ政府でそういうふうに強制いたしたのではございませんので、国鉄が、もともとこの一等運賃の二等運賃に対する倍率をもう少し下げたい、そういたしまして、一等客の利用率というものをもう少し上げたい。と申しますのは、一等客というのが絶対数が年々大体減って参っておるわけであります。そこで長い目で見ますと倍率を下げました方が、もっと利用率が高まる、そして結局においてはその方が増収になるのではないか。また片方では、御承知のように、今冬急にということには参りませんけれども一等のサービスの内容というものと二等のサービスの内容が、車両などにおきましては特にだんだん近づいて参りまして、よくなっておりますので、そういうことから申しましても、将来この等級制度につきましては、これを単一にした方がいいと、こういう考慮もあったわけでございまして、あとサービスの多少の違いというものは、料金によって調整すればいいのじゃないか、このことは国鉄が設けました運賃制度審議会においてもそういう方向が打ち出されたようでございまして、従いまして、運輸省といたしましても、その意見に賛成いたしましてその案を取り入れたわけでございます。
  126. 片岡文重

    ○片岡文重君 もし、等運賃の倍率を高くすることが、おっしゃられるような理由でまずいというのなら、私は通行税なんという悪税はやめたらいいのじゃないかと思うのですね。で、これが国鉄に還元をされて——たとえばガソリン税のごとく、目的税のように、国鉄に還元されるというのなら、これまた考えようもあると思うのですね。そうではなくて、その倍率を安くしてまでも一等旅客も取りたいのだというのなら、増収をつまり目的としておるわけですから、それに政府がわざわざ通行税を、しかも、これは政府自身しばしば悪税であると言っておるように、それをかける必要はないではないか。これは総額としてはたしか二十億円くらいのものを政府としてはなお取り立てなければならぬか、これを一つ伺いたい。
  127. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 通行税につきましては、すでに御承知のように、二等寝台に対する通行税は来年度、つまり四月一日から廃止することになっておりますが、従いまして、政府としての意向はやはり漸次廃止の方向に向かっておるものと私どもは心得ております。ただ一等に対する通行税も、しからばすぐ直ちに廃止したらいいじゃないか、こういう御意見になるかと存じますけれども、やはり国全体の税収の問題もございまして、平急にはいかないのが実情ではないかと存じておりますが、この通行税の成り立ちであるとか、そういうことについては、私どもも十分承知いたしておりますので、御趣旨に沿うような方向に持っていけるのではないかというふうにも期待いたしております。
  128. 片岡文重

    ○片岡文重君 とりあえず、この通行税を含めて二倍になるわけですね、結局。従ってこのままでこの通行税を廃止すれば、その通行税相当額というものが国鉄の収入になるわけであります。つまり通行税を廃止して運賃率を倍にする、一等の運賃を二等の倍にする。通行税を廃止して、一・六六倍ではなしに、二等の三倍に一等運賃をして、通行税を廃止すれば、この改正案にいう通行税の相当額というものがそのまま国鉄の収入になってくるわけです。しかも一等の客にかける負担というものは変わらないわけです。そういう措置は政府としてとれないものかどうか。とにかく国鉄にとっての二十億は相当な価値があったとしても、政府全体の税収から見れば、特に今日の経済企画庁から発表されておるところの増収見込みからすれば、年間二十億程度の税収というものはそれほど大きな価値を持つものではないと思う。せめてこの程度のことは、私は政府として考えられてしかるべきではないかと思うのですが、この点についてもやはり考慮の余地はないのですか。
  129. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) すでに今回の通行税の改正につきましては、国会において議決されまして、来月一日から改正法が施行になるわけでございます。まあ今直ちにこの段階において一等の通行税を廃止しろというふうにおっしゃいましても、もちろん手続的にも間に合いませんし、現段階においては不可能でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、全体の方向としては、逐次通行税といったようなものは、その成立の経緯から見まして、だんだんなくしていくような方向にあるものとわれわれ心得ておりますので、いずれまた近い機会におきまして御趣旨に沿えるようなチャンスがあるかと期待いたしております。
  130. 片岡文重

    ○片岡文重君 これは一つ運輸大臣にお伺いするのですが、今監督局長からの御答弁で、近い将来に通行税の廃止について考えられる機会もあるであろうということでありましたけれども運賃値上げは、少なくとも木暮運輸大臣が在職中は行なわない方針である、国鉄総裁総裁御在職中は行なわないと言われております。しかし、おそらく、これは財源の面において、来年度あたりは私は相当困難な状態に追い込まれるだろうと思う、今のような状態でいけば。今すぐにこの席でこの通行税を廃止もしくは、私は、むしろ従来通りに一等運賃は二等の二倍ということにして、その通行税相当額というものは国鉄に入るような措置を講ぜらるべきであると思うが、これを少なくとも、三十六年度早々においてできないとしても、おそくとも三十七年度から、でき得ればその年度の中間においても適切な措置をとられたらいいではないかと思うのですが、運輸大臣としてはその点全然考慮の余地ございませんか。
  131. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 私どもが聞いておりますところによると、諸外国の例を見ましても、大体一等は二等の一・四五倍ぐらいが普通であるようなことも聞いておりまして、従来の日本の一等と二等——まあ以前の二等と三等の倍率が少し高かったようなことも伺っているわけでございます。それに今鉄監局長から申しましたように、車台なども漸次接近して参りまして、二等と一等とのサービスなどもだんだんこう近づいて参りましたようなわけでございまして、まあ中には二等と一等というものを区別をなくした方がいいというような、近いところはなくした方がよかろうというふうな御意見もあるのでございます。現に私は上野から群馬県の方に行くのですが、電車には二等というのはもう群馬県の方はなくて、われわれは始終その電車に乗っていて少しも座席やその他のことについて不便を感じないような状態になっておるわけでございますが、こういうふうにすべきだというような御意見もあります。で、かれこれ勘案いたしまして、一等の料金を今回下げましたようなわけでございます。通行税につきましては、御承知通り沿革を見ますと、通行税というものは、これはたぶん日露戦争のときに始まったように記憶するので、古い話でおそれ入りますが、そういうようなものは、実際言うと、通行税というものは、今はあまり議論はありませんけれども一つの悪税だというような声が在野の政党からは常に叫ばれておったようなものでございますので、私どもも、ただいま鉄監局長が言ったように、これはだんだんと過去において整理されて参りまして、今度の四月一日から一等のみに課せられるということになって、二等の方はなくなったということに相なっておるわけでございます。今後も、いろいろ大蔵省の財政の都合がございましょうから、われわれの期待するようにのみ参ろうとは思いませんけれども、通行税というものの沿革とか成り立ちとかいうものを考えてみますると、だんだんにこれが廃止に向かっているような気もいたすわけでございます。ことに、運輸省といたしましては、こうあることを期待をして今後も努力をいたしたいものであると考えておる次第でございます。
  132. 片岡文重

    ○片岡文重君 通行税は、おっしゃる通り、日露戦争のときの戦費に困って作られたんだそうですから、今後日本が戦争をする希望を持たないということであるなら、もうなるべく早くこれはおやめになった方がいいと思うので、しかもそれを、財政に困っておる、運賃値上げをしなければならぬというほど困っておる国鉄に便乗をして、こういう悪税、わずか二十億ぐらいをしいて取り立てていかなければならぬという理屈は、どう考えてもないわけです。従って、もしどうしてもそれだけの額をほしいというのなら、それは一本にして国鉄の収人になるように考えるべきであるし、そうでないならば、少しでも安くして、一等の旅客を多く取りたいというのならば、それは廃止して、一・六七倍に一等運賃をすべきである。いずれにせよ、この通行税については早急に廃止をすべきである。私は、この点については、大蔵大臣意見も明確にしていただきたいと思うのです。運輸大臣としては、所管の大臣として、この点については、ぜひなるべく近い機会に、でき得るならば三十七年度からでも、これは国鉄に還元をされるような方法に、その収入が入るように、ぜひ政府部内において強い努力を払っていただきたいということを申し上げて、さらに、この問題については大蔵大臣意見も聞く必要がありまするので、この点に関する質問は一応打ち切りではなくて、さらに留保しておきたいと思います。  それから、先ほどの五カ年計画についてさらにお尋ねをしたいのですが、これは、先ほど大倉委員からも資料の要求が出されておりますから、その資料の提出せられましたときに、それを拝見した上でさらに御質問を申し上げることにいたしたいと思います。  それから、これは今直ちに問題点ではないでしょうが、職員の身分保障とあえて申しましょうか、この四十年度から十年間にわたって、四十才以上の職員を年間一万五千人ずつ整理をしていくという考えであるということが、国鉄総裁からかつて発表せられました。これは、当時の運輸委員会あるいは社会労働委員会等においても少しく議論をせられまして、そのままになっております。で、四十年度と申しますと、ちょうど第二次五カ年計画が完成をする年になるわけでしょう。で、その間に合理化と機械化とを行なって、そうして四十才以上の、まさにこれからという職員をもう整理をしていこうというお考え国鉄総裁はお持ちになっておられるようです。この考え方は今もなお変わりがないのかどうか、さらに五カ年計画と並行してこれをお続けになられるお考えなのかどうか、この点を一つ、これは国鉄総裁にむしろ伺った方がよろしいと思いますが。
  133. 十河信二

    説明員十河信二君) ただいまお話しの点は、私が申したことじゃなく、御承知のように、国鉄の職員の年令層の異常な、何といいますか、正常な形でない、いわゆるちょうちん型といいますか、中ぶくれのちょうちん型というふうになっておることをどうしたらいいかというので、要員対策委員会という部外の方々のお知恵を拝借して、何かうまい方法がないものかということをお尋ねしたのでありますが、その答申にそういうふうな意見が出たのでありまして、それにも、やめさせろということでなく、何とか景気のいいときに、仕事のふえるときに何とか一万五千人程度減るように処置すべきじゃないかというふうな意見でありましたけれども、私どももこの問題は非常に重要な問題であります。どうしていいか、うまい案が出ませんので、ただそれを承って検討をしておるというところでありまして、今一万五千人減すとかどうするとかいうことを言っておるわけではないのでございます。
  134. 片岡文重

    ○片岡文重君 国鉄要員対策委員会の答申に基づいたとは、確かに伺っております。しかし、この要員対策委員会の答申がなされる前提となった今日の国鉄職員の年令層、いわゆるちょうちん型というのですか、この中ふくらみの状態、これは今日こういう状態に突如としてなったのではなくて、従来の国鉄経営の衝に当たられた方々の当然承知した上に立っての対策である。年少者を多く整理し、そうして採用を停止してきて、また老令者を整理するということになれば、こういう現象の起こるのは当然である。その現実の上に立って、これをどうするか。その人件費のふくらみにおびえて今までとってきた経営方針の誤りというもののしわ寄せを職員にしていく。しかもこれ四十才からということになると、人生最も家庭経済の面で、子供の養育その他に困難を来たす時期である。これは私はるる申し上げるまでもなく、十分御推察いただけると思うのだが、この答申案に基づいてそういう整理を行なう希望をお持ちになっておられるように私どもは伺っておるのでありまして、でき得るならば、私はこの機会に、この答申に基づくこの四十才以上の職員の整理というものは行なわないという明確な御意思の表明をこの際伺っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  135. 十河信二

    説明員十河信二君) 今これをどうこうしようということでなく、この問題は、私の伺っておるところでは、戦時中あるいは戦争直後、人がなくて因ってたくさん人をとった。ところが、アメリカの進駐軍が支配しておった際に、多過ぎるから整理をしろということで整理をする際に、何といいますか、経験者、年令の高い経験の積んだ者を残して、若い人を整理をしたということが原因になって今日のような異常な年令層の形態になったんだと承知しておるのであります。それでこれをずっと続けて参りますと、だんだん年々の人件費がふえるだけで、また一面には若い人が次々とかわっていくようなことができないから、それでそういうところに多少の問題があるということで、要員対策委員会がああいうふうな意見を出したのでありますが、これをどうしていいかということは、いろいろ諮問委員会にも諮問いたしたのでありまますが、どうしても名案がない、監査委員会も名案がないということで、今どうしたらいいという考えをきめてお話を申し上げるところまで至っていないのであります。さよう御了承を願いたいと思います。
  136. 片岡文重

    ○片岡文重君 さらに御質問申し上げたい内容というのが、五カ年計画になっていますので、この資料等が出てからということで、きょうは一応私はこの程度質問を保留しておきたいと思います。
  137. 大和与一

    大和与一君 関連一つ。先ほど鉄監局長のお話で、建前としては受益者負担といいますか、運賃によってまかなうべきである。そうなると、もしもそれじゃほんとう運賃でもって経営をするとなったら、運賃は幾らにしたらいいのか、それは、それじゃ研物価の今までのバランスとの上において、一体何百倍になるのか、こういう資料もあしたまでに出してくれということは、まあきょうは言わないのです。それよりも私は、国鉄当局は全国的な国鉄の抜本的な経営の健全化のために、たとえば人口がまあ何十万か東京なら東京だけでもふえる。それに対する対策だけでも手が込んでどうしようもない。こういうことは、しかし数字の変動はありますけれども国鉄全体の健全なる経営のために、諮問委員会の答申を待つまでもなく、国鉄自体がやはり雄大なるスケールによって、国鉄再建、健全化のための内容が当然僕はあると思う。そういのものを聞きたいと思う。けれども、それもきょうは関連ですからやめて、吾孫子総裁が、西独へ先年おいでになって大へん勉強しておいでになったことは聞いているのですが、私は正確な年代の記憶はないのですが、ドイツにおいて終戦後国鉄経営改革のために大へんな努力をされて、一マルクも運賃を上げないで、しかも前年までの赤字が一挙に黒字になった。こういう起死回生の妙薬があったと記憶しているのです。そうすると、一体吾孫子総裁は勉強においでになって、そのことを勉強されてきたか、あるいはまた、資料を、何か参考資料でもお持ち帰りになったか、それがまた、今回の運賃値上げ一つ方法にすぎないのであって、方便ですから、これの今回の考え方にそういうことが何か参考になっているのではなかろうか、その辺の、そこの最後のところ、だけちょっとお伺いしたいと思います。
  138. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私が参りましたのはだいぶ前になります。今度の運賃値上げをやるつもりで行ったわけでもございませんでしたので、当時係も違った、職員関係仕事をしておりました時代に参りましたことでございますので、まことに申しわけございませんけれども、あまり運賃制度の方はよく勉強してきたということは申し上げられません。ただ、今お話の中で、ドイツの国鉄が最近黒字の決算ができるというお言葉がございましたが、この間のルフトハンザの飛行機が初めて処女飛行でこっちへ参りましたときに、たまたまドイツの国鉄の広報部長の仕事、こちらの広報部長のような仕事をしておりまするドクター・ワルツという人が来まして、この人に会って話を聞きましたが、今度初めてドイツの国鉄は黒字の決算ができる、今までずっと赤字続きだったが、ことし初めて一応黒字の決算ができるということを申しておりました。それで、どうしてそれじゃ黒字の決算ができるようになったのかといってよく聞きましたらば、実際はやっぱり赤字なんでありまして、赤字の分を政府から補てんしてもらうことになったので、それで決算面は黒字に初めてなることになったのだ。こういうようなことをドクター・ワルツという人は申しておりました。それでもまあドイツの国鉄の連中は非常に富んでおるということは申しておりました。その程度のことで申しわけないのですが……。
  139. 大和与一

    大和与一君 今の去年、おととし、ことしの話であるかどうか、私は年代を忘れたものですから、そこら辺が正確でないが、ひょっとしたらもう少し前の話かもしれないが、なぜ一体そういうことができたかということに重点があるのです。それは一つの要素はあるのです。要素はあるのですけれども、それは私は言わないのですけれども、それはドイツ式の合理的な理論も内容もあると思いますから、そういうことはさっきから盛んに諸外国の例を大臣がおっしゃるから、当然そういうことも勉強されてここに持っている、検討されてしまった話だ、こういうようなうまい話かと思って聞いたのですが、もしそういうものがなければやむを得ません。一応きょうはこれで終わります。
  140. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 先ほどから定期券の話が出ておったのですが、何と考えても、定期券の運賃は不合理そのものではないかと思うのですが、そうして一番直接に国民の生活に影響があるものだから、いつの運賃改正でも割引率を直すことがなかなかできなかった。これは今度もフラット・インクリーズになって、割引率までは及ばないということに決定を見たのであります。これは私は考え方によっちゃ定期券だけ上げることは非常にむずかしいということはよくわかるのですが、先ほどお話が出ているように、一方それで激増していく、ことに人員からいったら普通旅客の倍くらいになっている。運賃はもう全体の一割七分くらい、非常に少ない。こういうことで、国鉄経営一つのガンをなしていると思うのです。そこで私は利用債というものが最近になって特に非常によく利用されている。それから一方まあ道路の方からいうと目的税という、いわゆるガソリン、今度も税法の改正で増徴される。これはまあ反対がずいぶんありますけれども、そういう考え方がある。そこで定期券についてはそういった観念を一つ取り入れて、何年後にはこんなによくするのだと、それは目的税的に使うということで、定期券には暫定的な税、まあ通行税でとるというようなことは非常にむずかしいと思うのですが、そういう考え方ができないか。そうすると中央線なら中央線は何年後には複々線になってこれだけ楽になるのだと、そういうことの楽しみがあれば、通勤者あるいは学生諸君も、まあ辛いには違いないけれども、何年後にはこういう楽しみがおれたちに直接返ってくるのだといえば、高くなることが——新五カ年計画はいいんですが、一体それじゃおれたちの旅行あるいは生活にどこにはね返ってくるのかということがぴんとこない。これは私はこの運賃改正の場合の国民感情として反対が多い一番大きな原因ではなかろうか。これが直截簡明に、自分たちの福祉、便益に明らかにはね返ってくるというようなことがあれば、これは私は国民がまあしぶしぶながらも納得していただけるためにいいんじゃないかというような気がするんですが、運輸大臣、先ほどの通行税の問題、それから定期券の問題が出ておりましたので、そういう問題について、大臣としていかなる御所見をお持ちか、承っておきたい。これは国鉄側……。
  141. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 非常にむずかしい問題のようなので、一つ長くその方を研究している政府委員から答弁させます。
  142. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 定期券旅客に対しまして、仰せのように目的税的な考え方を適用して、まあおそらくその御趣旨は、一定期間特別運賃を加算していただくと、そのかわりに何年後には通勤輸送はこういうふうに楽にしますと、そのかわりその特別加算されました運賃はほかに使わないと、その通勤輸送の改善に使うという考え方をとってみたらどうかということでございますが、まあ今まで全然研究したことはございませんので、一つここではお許しいただいて、今後研究することにいたしたいと存じます。もちろん、仰せのように、今度の運賃改定につきまして、これは全部国有鉄道という一家がふところに入れてしまうわけではございませんで、全部サービスの改善として利用者あるいは国民一般に還元されるものでございます。従いまして、どういうふうに運賃改定によって国有鉄道が改善されるかということにつきましては、国有鉄道が懸命にPRいたしておりますことは、御承知通りでございまして、旅客におきましても、もう少し楽に旅行ができると、いつでも乗車券が購入できると、まあ好きなときに旅行ができるのだと、こういう態勢に持っていってほしいというのが国民一般の願いじゃなかろうか。あるいは貨物輸送におきましても、年がら年じゅう貨車の配給について陳情しておるというふうな体たらくでは、第一商売ができぬじゃないか。まあこういうことを一日も早く解消して差し上げるというのが、やはり国有鉄道の使命でございますから、そういうことをぜひともこの五カ年計画によって実現するようお約束いたしますということを申し上げておりますのでございますから、まあ、そういうサービスの改善ということについては、国民に対しまして十分PRをいたしますれば、御納得がいただけるのじゃないか、かように考えておりまして、運輸省といたしましても、すでに国鉄に対しましてはその点についての指示を与えまして、御承知かもしれませんが、相当大規模なPRを展開しておるような次第でございます。
  143. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 もう一つ、これも運輸大臣に伺いたいと思うのですが、もう一つのガンは、私はこの利子負担というものがあまりに重いと思うのです。このふえ方が二十七年以降急激にふえて三千億をこしておる。これがまあ今後さらにふえていって、この五カ年計画、あるいはそれ以後においては利子負担が一千億をこすというようなことが予想されるわけです、今のままでいけば。これではいかに非常な才能のある人、あるいはどんな人が出てきても、国鉄経営が健全にいくということは、私は財政的にむずかしい。まあそこで一方資本金を八十九億のまま据え置かれておる。いわゆる公共負担的な投資というものについて、これを資本に組み直すと、政府出資にするというような考え方も、監査委員会の報告や、あるいはその他の諮問委員会等からも提示されているように思うのですが、これは一体政府においてはどういうふうに考えておられるか。私はそういうふうにして国鉄の利子負担を減らしていくということをぜひ考えないと、これは今回の運賃改正の場合だけでなくて、今後ますます国鉄が窮境に陥るということは目に見えておるというように思うわけです。まあそういう点について運輸大臣として、政府としていかようにお考えになっておるか、御所見があれば承りたい。
  144. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) まことにごもっともな御意見でございまして、現在三千七百億円ぐらいの借金を背負っておるわけでございます。今後におきましてこの五カ年計画をやるということになれば、大きな借金を背負うわけでございまして、この利子負担というものが国鉄経営に対して非常な圧迫になるということは申すまでもないのでございます。それで現在国鉄が借り入れておりまする財政融資などを見ますると、十五カ年の期限で六分五厘というようなのでございまして、これなどを見ますると、普通の市中銀行の金利から見れば、非常に低いようにも考えられるのでございますけれども、しかし御承知通り、一方わが国の海運業を盛んにするためには、ことしからは日本開発銀行の方、開銀の方から借ります利息を一分五厘引き下げる、利子補給をやる。また一方市中銀行の方に対しましても利子補給をやるというような政策をとっておるわけでございますから、普通の市中銀行に比べて六分五厘が安いからといって、国鉄の負担となる金利をこのままにしておくということは、国鉄を指導育成する立場運輸省としては、今お話のような金利を何とかするように骨を折らぬかということは、まことにごもっともなことと思うのでございます。政府からの財政融資は六分五厘でございますが、ほかのいろいろの債券などを調べてみますると、それ以上の金利で七分をこしておるものがあるような状態でございまして、国鉄の支払う金利負担というものは、世間並みから見て不相当に多くなるように考える次第でございます。本日から政府の画期的な、今後の一般産業経済の伸展をはかるために金利引き下げを実行いたしましたようなわけでございまして、だんだんこれから金利低下の方向に向かいますことは確かでございますが、金利の問題は、国鉄が背負う借金が多いだけに、非常に重要な問題と考えるのでございまして、ここで私がどう希望するとか、どういたしたいとかというようなことを申すのは、すこぶる簡単でございますけれども、実効のない話でございますが、今のような心組みで、今後国鉄の指導に当たる上から見まして、政府部内におきまして、大蔵省その他ともよく協議を遂げまして、何とか国鉄の金利の負担を減らしていくように一つやりたいものであるということは、今御質問を受けて私は考えたわけではございません。国鉄の経理内容を調べましたときに、現在二百五十億に余る金利を年々支払っておるというようなことを考えて参りますると、国鉄の経理を楽にするというためには、まず第一に、この過重なる金利負担にメスを入れることが必要であるということを、実は前々から考えたような次第でございますが、今しからばこれの利子補給を政府に追って、すぐそれが実行できるかというと、必ずしもできる問題ではないようにも考えられますので、ただいままことに示唆に富んだお話を伺いましたので、これを胸に畳みまして、今後国鉄の過重なる金利負担を軽減するために一つ努力をいたしたい。こういうふうに考える次第でございます。
  145. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  146. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記つけて下さい。  休憩いたします。    午後八時四十三分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕    ————————