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国務大臣(
木暮武太夫君) 結論におきましては、今
長官の言われたこと、まあ私は同じだと思うのですけれ
ども、(「そんなことはないでしょう」と呼ぶ者あり)これは人間の
言葉ですから、てにおはやなんかいろいろ違ったりなんかするが、片言隻句でなく、よく大体の
意味をとっていただけば、大体わかると思うのです。私は、昨日物価のことを申し上げましたのは、御
承知の
通り前回二十六年のときと、二十八年と三十二年のとき、
国鉄運賃の改定がありました。その結果を見ると卸売物価にはほとんど影響しないで、場合によると卸売物価は下がっているような状態になっている。しかしこれは
国鉄運賃を改定して値上げしたから物価が下がったのではなくして、そのときの需要供給とか、あるいは金融の梗塞による景気の下降であるとかいろいろな問題がそこに作用したということから、おそらく前回三回のときも物価に対しては影響がなかった、場合によっては下がったようなものもあるのだ。で、それでわかるように一定物価の問題というものは
国鉄運賃が改定されたからすぐはね返って上がるというようなものには私
どもは
考えておらぬで、それよりも需要供給とかその他その時におけるいわゆる景気の好況とか不況とかいうようなものであるとか、場合によっては金利を上げたとか金融が梗塞したとかいうようなことのいろいろのエレメントが物価というものを左右するものだから、世間よく言うように
国鉄運賃改定があればすぐ物価が上向きになるというようなことには、私はにわかに賛意を表するわけにはいかないということを物価の問題については申し上げたわけで、おそらく私が
考えていることは、
大倉委員も御賛成下さることじゃないかと思いますけれ
ども、そういうことを私は言ったわけなのです。ただ、昨日申し上げましたのは、これはだれが作ったかしりませんけれ
ども、とにかくいわゆるマスコミとかなんとかいう魔法の手かなんかから(笑声)そういうことになったのかもしれませんが、世の中に現在値上げムードというようなものがあるということは——それじゃ値上げムードというものはどんなものかと言われましたから、価上げムードというものは、どうもはっきりしないで、何かこう、風のような空気のようなものがあるらしいと、しかしすでに値上げムードというものがあるときに、この際いろいろの
公共料金を上げるというようなことは、現在ある値上げムードというものに拍車をかけるような結果になることをおそれて、当分の間はそういうものを認可しないような行政的な
方法をとって、そうして、ぜひこの際上げたいとか何とかいう人があっても、まあ
一つごがまんを願うということが、これが政治のいいやり方じゃないかというふうに思うと。
それからもう
一つは、バスの問題がありましたから、バスの問題につきましては、いわゆるガソリン税の値上げや、地方道路税の上がったことや、あるいは軽油引取税などの上がりましたことは、一方におきましては、料金を上げるところの因子をそこに含んでおることはもちろんであるけれ
ども、それによって道路がよくなって、あるいは舗装されるようなことになってくると、バスであるとか自動車を動かす者から見れば、車体であるとかあるいはタイヤの摩滅は非常に減ってきて、また使用する燃料の使用量というものも減ってきて、一方ではこのガソリン税のね上げによってできた道路のいいことが、料金を下げる方の因子になるようなことにも
一つはなるから、必ずしも、今のガソリン税等の他上げというものが直ちにバス料金の値上げというものに響いていくというふうに
考えることも無理だと。しかしながら、運輸省に、もし申請がありまするならばケース・バイ・ケースに調べてみて、勤労者の待遇が非常にこれじゃまだ悪いとか、あるいは経理の点から見てこれではとてもやりきれないというような、個々別々に検討した上で、そういうものは将来私はよく経済企画庁と緊密な連絡をとって、消費者の利益をまず勘案した上で、そういうものは許可すべきものであると思うと。しかし、そういうものは、申請があってもここ当分の間は、今のような値上げムードがあるときにこれを許可するということは、好ましくない影響を及ぼすことをおそれますので、がまんをしてもらうのが
政府のやり方としてはこれは当然ではないかと、こういうことを申し上げたわけで、言い方が下手ですから、ふなれのために、あるいは今の
長官の
言葉と非常に
考え方が違うようなものが出てくるかもしれませんけれ
ども、よく、まあなるべく同じようにこれを見ていただくような
気持で聞いていただけば、同じだと思いますが、何か違っているところがありはせぬかというふうにごらんになったり、聞いたりすると、二人の人の
言葉でございますから、顔の違うごとく
言葉の使い方にも差がありますもんですから、そういう片言隻句をとらえられた場合には違っているようですが、御親切にどうぞお
考え下されば、大して違いがないと、こう
考える次第でございます。