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1961-02-28 第38回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十八日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席分科員    主査 中野 四郎君       愛知 揆一君    羽田武嗣郎君       船田  中君    山崎  巖君       井手 以誠君    栗原 俊夫君       楯 兼次郎君    兼務 川俣 清音君 兼務 芳賀  貢君    兼務 井堀 繁雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     三橋 信一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  高野  務君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君         建 設 技 官         (営繕局長)  櫻井 良雄君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         建設事務官         (河川局水政課         長)      井上 義光君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    大津留 温君     ————————————— 二月二十八日  分科員小松幹委員辞任につき、その補欠とし  て栗原俊夫君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員栗原俊夫委員辞任につき、その補欠と  して小松幹君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  第三分科員川俣清音君、芳賀貢君及び第二分科  員井堀繁雄君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年度一般会計予算建設省所管  昭和三十六年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野主査 これより会議を開きます。  昭和三十六年度一般会計予算及び同特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣分科員 大臣がお見えになっておりませんけれども政府委員において責任を持って答弁できるならば質問をいたしておきたいと思いまするから、そのつもりで一つ答弁願いたいと思います。  今年度の三十六年度の予算の中に重要な役割を占めるであろう水資源に関して、建設省は案をお持ちになっておるようでございます。水資源開発について、建設省はどのような構想を持っておられますか、これを明らかにしてほしいと思うのです。その理由は、三十六年度予算関係する重要な案件であり、農林水産厚生自治省との関係も深いことであります。しかも予算委員会に対しましては、企画庁から水資源開発に関する要旨なるものが出ております。そこでこの三十六年度予算関係いたしまして、水資源開発に関する法案を用意されておるようでございますが、建設省見解を承っておきたいと思います。
  4. 山内一郎

    山内一郎政府委員 水資源開発につきましては、昨今の非常な水の利用の緊迫した状況から考えまして、早急に解決しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。従来も建設省におきまして、洪水調節とあわせまして、洪水を貯留し、その貯留した水を工業とか上水道、灌漑に使います多目的ダム、これらを建設して参ったのでございますが、従来のやり方よりさらに促進するために公団様式による方がいいというので、水資源開発公団、これはかりの名前でございますが、こういうものを作るべく現在農林水産厚生という関係各省庁と現在折衝中の段階でございます。
  5. 川俣清音

    川俣分科員 折衝中だというのですが、この国会に提出されるのですか、それとも、きのう自治省にお尋ねしたところが、公団案はおやめになったような説明であったわけです。建設省はあくまでもお出しになるという考えですか。予算審議の上から重要でありますので、明確に一つ答弁願いたいと思います。
  6. 山内一郎

    山内一郎政府委員 建設省といたしましては、各省との折衝をできるだけ早く解決いたしまして、今国会に出すべく準備をしている最中でございます。
  7. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますれば、出すという決意だ、こう了承してよろしゅうございますか。
  8. 山内一郎

    山内一郎政府委員 出すという決意でございます。
  9. 川俣清音

    川俣分科員 それでは、衆議院予算が大体打ち合わせの結果四日に打ち上げるということになっておりますが、それまでにお出しになるのでありますか。出せなければ衆議院予算審議終了がおくれるということになりますが、どちらをおとりになるつもりですか。この点を明らかにしてもらいたい。
  10. 山内一郎

    山内一郎政府委員 出すべく現在準備をいたしておりますが、予算の点につきましては、現在建設省でやっておりますダム予算、これはついております。それから調査費、これもついておりますが、それをできましたときに公団の方に移しがえをする。だから現在予算としては建設省でやるべく計上されている段階でございます。
  11. 川俣清音

    川俣分科員 予算編成の上に重大な変更を来たすのでありまするから、四日までにいずれか態度をおきめになることができるのかどうか。この点をお聞きしているのです。これは予算内容変更になりまするし、予算ができておりましても、これに伴うところの法律がなければ結局執行が不可能になるわけですから、そこでその法案の別意があるかないかということをお尋ねしておるわけです。もしも法律案が出なければ、この部分を削減するのか、あるいは予備費に回すのか、いろいろな問題が出てくると思います。そこで明確にしていただきたい。私が大臣を要求したのはその点なのです。あなたで責任持って答弁できますならば御答弁願いたい。できなければ、大臣出席までやめなければならぬ問題だ。事務当局においてはっきりできればけっこうですからどうぞ。
  12. 山内一郎

    山内一郎政府委員 先ほど移しかえと申し上げましたが、これは間違いでございまして、現在ダムについている建設費、これは予算がついております。それから調査費、これを新しくできます公団にできた場合に委託をする。政府交付金として交付をする、こういう形の公団を作るべく準備をしている次第でございます。なお大臣よりお答え願った方がいいという点があると思いますが、そういうふうに考えております。
  13. 川俣清音

    川俣分科員 移しかえでなくして交付する、交付することを前提として予算編成ができておるように思うのです。そこでこの公団ができるかできないかは予算の上に重要な要素になっておると思いまするので、この点を明確にしていただきたいと思うのです。これは大臣から答弁を願うことにいたしまして、事務当局にお尋ねいたしたいのですが、建設省所管でありまする河川上流は、どこまで及ぶのですか。普通の立法では、「河川とは」と意義が出ておる。河川なるものの説明法律に書いてあるのですが、河川法だけはかなり古いのでありまして、河川意義が明確になっていないわけです。結局指定したものが河川だ、こういうことですか。指定以外のところは河川でないと河川法では見なければならぬと思うのですが、河川上流はどこまで及ぶのですか。
  14. 山内一郎

    山内一郎政府委員 通常河川といいますと、水源から川口まで、こういうことでございますが、河川法による河川は、河川法を適用した区域適用河川、それから準用いたします準用河川区域、これを法律上からいえば河川、こういうふうに考えます。
  15. 川俣清音

    川俣分科員 河川法では「此ノ法律ニ於テ河川ト称スルハ主務大臣ニ於テ公共ノ利害ニ重大ノ関係アリト認定シタル河川謂フ」のであって、これは準用河川も当然入るでしょうが、水源まで及ぶのだという解釈はどこから出てきたのですか。認定があったから水源まで及ぶのだ、こういう解釈ですか。当然水の資源河川の源であるからして入るのだという解釈ですか、この点明らかにしていただきたい。
  16. 山内一郎

    山内一郎政府委員 河川普通水源から川口まででございますが、そのうち重要と認定をいたします区域河川法で適用いたします。従って、上流の方でも重要なところであれば河川法を適用する。従って、重要な適用したところを河川法でいう河川、こういうわけでございます。
  17. 川俣清音

    川俣分科員 従って、建設省所管としては指定した河川だ、こういうことになると思いますが、上流解釈ですが、どの程度の上流まで一体指定されておりますか。上流限界です。水源限界ですが、どこまで指定されておりますか。これは指定することになっておりますから、必ず指定がなければならないと思いますが。
  18. 山内一郎

    山内一郎政府委員 重要と判定をいたしますいろいろな観点がございますが、下流の方につきましては、洪水がはんらんをいたしますと非常な被害を受ける区域指定をいたしております。上流につきましては、そういう水系一帯といたしまして、下流河川堤防と合わせまして、上流ダム建設する、ダム建設によって洪水を調節する、こういう場合には、ダム地点付近もやはり重要と考えまして指定をしている次第でございます。従って、どこまでというより、そのいろいろ重要な観点によって区域指定いたしております。
  19. 川俣清音

    川俣分科員 上流限界をお尋ねしておるのです。下流の問題でなく、上流限界、重要だと指定される限界はどこに置いておるか。
  20. 山内一郎

    山内一郎政府委員 限界といいますより、河川全体を洪水防御あるいは利用の点からいきまして重大だと考えます区域、だからダム建設する必要があれば、上流はどこでも建設する地点はこれを指定いたしております。だから、上流限界といいますか、その重要性に応じてそれぞれ必要な、建設する地点がございましたら、そこを河川として指定する、こういう考えでございます。
  21. 川俣清音

    川俣分科員 そこでお尋ねいたしますが、私のお尋ねしている上流限界と申しますのは、上流になりますと、形態からいって、常識上の河川の領域を越えるわけです。そこで上流限界をお尋ねしたのですが、おそらくあなたの言う河川というのは敷地じゃないだろうと思うんです。流水を伴ったものだと思うんです。そうじゃないのですか。水流を伴ったものなんでしょう。河川というものは敷地を指すのじゃないのでしょう。この点どうなんですか。
  22. 山内一郎

    山内一郎政府委員 流水敷地と両方考えられます。
  23. 川俣清音

    川俣分科員 水利権というものは、それではどのように解釈されておりますか。敷地流水だということでしょうが。
  24. 山内一郎

    山内一郎政府委員 河川流水敷地と両方考えられますが、水利権につきましては、河川の水をやたらに利用するということは非常な混乱を招きますので、特に水利権を与えた方がいろいろな公益のためによろしいというものに対しまして、流水利用という点について水利権を付与する、こういうふうに考えております。
  25. 川俣清音

    川俣分科員 これはとんでもない話なんです。水利権というものは、必ずしもあなたの方の河川法適用地域でないところにも水利権はあるのです。そうじゃないのですか。
  26. 山内一郎

    山内一郎政府委員 河川法でない区域についても水利権はございます。
  27. 川俣清音

    川俣分科員 そういたしますると、あなたの言う河川というのは、河川法に基づかない河川をも指して河川と言われたのかどうか。あなたの所管は、河川法に基づく河川指定地域管轄であると思うんです。それ以外にも建設省所管が及ぶのですか。河川法適用以外の河川にも、指定されればもちろんですが、指定されない地域建設省行政所管の中にあるのですかどうか。この点をお尋ねしたい。わからなければ、私の方で一応——水利権というものは、私法的な水利権を公法的に制限をしておるのが河川法だというふうに私どもは理解するのです。従って、古来、徳川時代から持っております慣習上の水利権というものは、公法上も認められておるし、もちろん私法上も認められておる、こういうふうに私は理解するのですが、私の理解の仕方が悪うございますかどうか、建設省見解を承りたい。
  28. 山内一郎

    山内一郎政府委員 非常に法律の詳しいことでありまして、担当の者を呼びたいと思います。
  29. 川俣清音

    川俣分科員 それでは、御承知通り水利権は大体旧幕時代に成立したものでありまして、私の手元に河川法に基づくいろいろな紛争または水利権紛争の件数などを法務省から取り寄せておるのですが、まだ出て参りません。日本農業史の上におきましても、水利権紛争は非常に激しいものでありまして、従って水利慣行というものが徳川時代から成立して、明治、大正、昭和とずっと継続してきておるものであります。そのために農業経営をときに束縛するような結果も出て参りまして、新しい秩序が必要であるというふうにいわれておるのであります。それにいたしましても、慣行はなかなか根強いのでございまして、これらの慣行を無視することは大きな地方問題となるものであります。従って、水利秩序の変革を問題にするときは、こうした水利慣行固定性内容を、固定化し過ぎて近代化してないうらみはありますけれども、これらの水利慣行というものは血をもって守られてきたものであるだけに、なかなか秩序を変革することは容易じゃないと思うのです。これを軽率におやりになると、いろいろな問題が発生することを私は警告したかったのです。この固定性の強い水利慣行を、単に公団だからということでにわかに持っていかれますことは、いたずらに水利慣行紛争を巻き起こす結果になるのではないか。そこで、あなたも御承知通り水資源に関する調査会ができておりまして、二十九年の水制度に関する調査報告の中にも、この委員会満場一致はほとんどないのです。それほど水利権の問題については意見の分かれる問題なんです。それを建設省だけが公団でこれをやるのだということの軽率さを反省してもらわなければならぬじゃないか、もっと検討を要することではないか、こう思うのです。あえて水利権の問題を取り上げましたのはその点にあるわけです。建設省は何かしら一面において、あなた方の法律解釈を聞くと、指定された河川だ、こういって、その他にも管轄権があるような様子も見受けられるのです。そこでやかましく水利権の問題を追及したわけですが、それが私の本旨じゃないわけです。二十九年に国土総合開発審議会水制度部会水制度に関する調査報告がございます。これを見ましても、ごらんの通り、まだまだ満場一致はないのです。学者間でいろいろな意見が出ておる。これらのものを総合して判断されなければならないと思いますし、特に希望意見どもずいぶん出ておるわけなんです。このくらい意見の分かれておる審議会は、おそらくほかにないだろうと思います。大体審議会というものは、少数意見でありましても、少数が多数に屈して、最後は満場一致という形になっておるのです。ところがあくまでも自分の意見を主張されて、多数決にならない。希望意見を付したり、あるいは賛成何人、反対何人というふうに審議会で出ておるのは異例ではない、こういう例はありますけれども審議会としては異例のうちに入る。そこで、特に第六の水文等基礎資料に関する事項といたしまして、基礎資料を得ようとすることについては、賛成者が非常に多いのです。賛成者三十三ですか、これはまだ全部じゃないのですけれども、このように資料収集整備が十分なされていないうらみがあると思うのです。そこでこれらを検討するとすれば、今確かに下流にいろいろな問題が起きておりまするから、新しい水秩序を確立する必要がある。それは認めますよ。しかしながら、従来の慣行を無視してはなかなかできないじゃないか、いたずらに公団を作ることによって、建設省所管から公団に移すことによって紛争をさらに激化させる結果になるのじゃないかと思うのです。
  30. 山内一郎

    山内一郎政府委員 ただいまのお話よくわかりましたが、従来持っております慣行水利権を、今度新しく公団ができまして再配分するとかなんとかいう問題のようでございますが、今度新しく公団を作りますのは、新たにダム建設して洪水を貯溜して、できました水を使っていただこう、こういう考え方であります。従って、従来持っておる水利権を云々してそれをいろいろ操作をする、こういうことは全然公団として考えていないわけでございます。
  31. 川俣清音

    川俣分科員 大臣、あなたの留守に話を進めたわけですが、事務当局の方から大臣答弁を願いたいということですから、ここで大臣にお尋ねしたいのですが、今度の水資源開発について、建設省公団案になるものを持っておられるようです。この公団案になるものをそのままかどうかわかりせんが、この国会に提出される用意があるのかということをお尋ねしたいのです。経済企画庁からは、水資源に関する法案の要旨というものが出ておるのです。これは建設省の案とは違うようでございますが、出ております。そこで建設省建設省案であるところの公団案をこの国会へ出される決意があるのか。それともまだ検討を要するために出されないのか。これは三十六年度予算審議の上に重要な要素でもあるわけですから、あくまで出されるのか、あるいは出さないのか、この点を明確にしてほしいと思います。衆議院予算審議はもう四、五日で終わるわけですから、これは明らかにしてもらいたいと思います。
  32. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、御承知のように、日本現状に照らしまして、水資源総合開発ということは非常に私ども必要だと思っております。つきましては、水資源開発公団法も、どういう形でかできれば、今国会提案運びにしたいという私ども希望を持っておる次第でございます。従来考えて参りました考え方としましては、経済企画庁所管をすると申しますか、内閣総理大臣の直属と申しますか、水資源開発促進法公団法とはまた非常に密接な関係がありますが、場合によっては、公団法各省間の調整がつかない場合に促進法だけをとりあえず今国会に出すという手もあることはあるわけでありますが、できるならば、水資源開発促進法水資源開発公団法と、二つを今国会提案運びにいたしたいという希望を私ども持ち続けておる次第でございます。ただ、予算編成段階におきまして、御承知のようにいろいろ議論がございまして、結局意見の一致を見ませんでしたので、水資源開発公団出資金、その他予算措置は今提案をいたしておりまする予算にはできていないのでございます。幸いに国会に間に合うように調整がつきましたら、他の予備費の支出とか、何らかの他の方法でとりあえずの出資金のわずかの金額ぐらいは措置できるだろうから、意見の一致しないものは予算に組み込むことは見合わせようということで、予算自体には入っていないのでございます。しかしながら、私どもとしては、今日もなおそういう運びにいたしたいという熱意は持ち続けておるような次第でございます。
  33. 川俣清音

    川俣分科員 熱意のほどはよくわかったのですが、公団についての意見はあとで述べることにいたしまして、公団ができれば、当然予備費を使うとか、あるいは出資ということが伴ってくると思うのです。そうすると、予算審議中に予算変更ができてくるわけです。そうすると、審議中に変更するということもあり得ないことではありませんが、やはり先議権を持っておる衆議院において予算審議終了前に、政府としてはこの点を明確にしなければならないと思うのです。予算編成権を持っておる政府としましては、どうしても予算審議終了前に案が固まらなければならぬはずだと思うのです。旧国会時代は、中村さん御存じ通り、当然なことでございますが、法律案予算とが密接不可分な関係で取り扱ってきたのですが、戦後かなりルーズにはなっておりましても、やはり予算執行力を持つところの法律体系うしろになければならぬことは、私はその通りだと思うのです。そこで予算が先議されて法案が伴わなければ、この予算説明通り執行ができないことになると思うので、目下四日以前に衆議院終了しようといたしておるのでありますから、来月四日前にこの案が固まるのかどうか、この点を明らかにしてほしい。これは重要ですから、大臣責任を持って御答弁願いたい。
  34. 中村梅吉

    中村国務大臣 当面としましては、実は御議論のような事態が起きると困りますので、三十六年度予算には水資源開発公団の設立に要する経費というものを盛り込まないで参ったわけでございます。しかし水資源開発公団のようなものを作りまして、大規模に水資源総合開発をする必要性は感じられますので、できれば四日前にいたしましても、提案できる運びになればしたい気持はございまするが、目下のところまだその見通しがついておらないというような現状であります。
  35. 川俣清音

    川俣分科員 大臣おいでになる前に、公団ができれば今の予算の中で寄託をするか、委託をするとかいうことで予算を消化していきたいという説明があったわけです。言葉については適切な言葉でなかったので、言葉じりをとらえるという考え方はいたしておりませんけれども、やはり公団ができることを予想して、建設省予算ができておることはいなめないと思うのです。そこでやはり内容変更になりますから、四日以前に態度を明らかにしてほしい。これは要望でございます。  そこで大臣にお尋ねしたいのですが、水資源というからには、流水じゃないと思うのです。流水管理はもちろんだと思いますけれども下流に及ぼす洪水その他の影響を考えまして、流水管理をすることは当然だと思うのですが、水資源開発というからには、その上流資源を確保するということでなければならぬと思うのです。自然に流れてきた流水管理するだけでは、水資源開発であるとか確保であるとかいうことは言えないわけです。そこで建設省所管は、それではどこまで上流にさかのぼるのかという質問を、実は大臣おいでになる前にしておったのですが、事務当局答弁によりますと、すこぶるあいまいなのです。河川法適用区域と申しますか、指定区域水源にまで河川法は適用されるものだ、こういう説明であり、河川法適用以外の河川水源については建設省所管でなさそうな答弁で、私もまたその通りだと思います。そこで問題は、水資源というものは、大きな河川には幾多の小さい川が合流して大川をなすのであります。また小さい川の上流には幾多の沢がありまして、その沢水が小川になり準用河川になり、大河川になっておるわけです。水資源ということになると、渓谷の処理が水資源基礎であると思うのです。ところが、水資源なるものの法律用語もございませんし、河川の定義もありませんから、一体その上流渓谷土地所有者権限があるのか、流水になって初めて権限が生じてくるのか、たらたらと流れている水は権限下流にないのではないか、というのは夏の水がれのときには水一滴もなくなる、流水がないわけです。流水が発生すると権利が生ずる、ないときには生じないということになると、土地所有権者水利権を持っているような工合にも見えるわけです。さらに、おもに森林地帯からしみ出てくるものであり、あるいは降雨を一度森林が保水いたしまして流してくるということになると、土地所有者か、あるいは森林業者がその源泉を押えておるものなのかという問題もあると思います。そこで水資源開発ということは、口では簡単ですけれども、なかなかこれを法律規定の中に入れることは非常にむずかしい問題だと思うのです。何か建設省はこの水の資源開発——公団は別ですけれども、その公団所管に入るところの流水源泉はどこなのかという検討も十分行なわれていないのじゃないかという不安がある。  もう一つは、大臣は弁護士で御存じでしょうが、日本明治以来水利権紛争というものは絶えないのです。今の法曹界の大家になっている人などは、この大きな水利権紛争に入りまして大家の域に達した人もたくさんおありになるし、もうなくなられた方もあるわけですが、とにかく水利権紛争というものは、日本農業史上においては大きな問題点であったわけです。これは徳川時代から労力提供または物質的な提供をいたしまして守ってきた水利権でありますから、これを近代的に利用いたそうといたしますと、古い水利秩序と新しい秩序の衝突が起こるわけであります。最近の日本の産業の発達に伴いまして、水の需要が増大いたしましたのは当然であります。しかしながら、この水資源というものを確保して参りました、下流の者が上流にまでさかのぼって維持管理をして参りました慣習というものを無視しますと、ここに大きな紛争が起き、社会問題が起きると思います。現に愛知県と岐阜県の間に起きた紛争のごときも、両県ともあげて県会も動員しました大きな紛争であったわけです。黒部の上流についてもそうでありますし、信濃川の上流についても同様でございまして、非常な紛争の絶えないのが水利慣行だと見なければならぬ。それを下流の配分に都合がいいからということで、上流権限を十分確かめないで、流れてきた水だからおれのものだというふうに割り切ることができないのではないか。従って、河川法の改正等を伴わない公団というものは、権威がないばかりでなくして、むしろ公団という形で権利を持つことは、建設省が持っている権限よりも、公団に移れば移るほどかえって紛争が激化するのではないかということを憂うるのです。そこでにわかに公団に踏み切られることは、下流の要望に沿うて建設省考えておられるでありましょうが、それは大へんなものを背負い込むことになるのではないか、こう考えるのですが、大臣の所見を伺いたい。
  36. 中村梅吉

    中村国務大臣 御指摘のような事情がありますので、もし水資源開発に進んでいくといたしますならば、開発の総合的な調査及び企画等は、内閣総理大臣を中心とする水資源開発審議会のようなものを設けて、そこで農林省も、あるいは工業用水を使う通産省も、あるいは上水道を使います厚生省も、あるいは河川等に深い関係を持ち、現在の制度上、河川関係について重要な責任を持っておりますわれわれの建設省も、みなそこに参加をいたしまして、それぞれのあらゆる関係の知能を動員いたしまして、またそこで総合いたしまして、一方に偏しないようにその審議会開発の基本方針をきめていただくようにするのが妥当ではないか。ただ問題は、それから先に行きまして、そこで基本方針がきまったものを、今度はダム建設することによって水を作るという作業はどういうふうなことを中心に考えていったらよろしいかというようなことに相なってくると思うのであります。もちろん治山とも水は大いに関係がございますし、治水とも関係があるのであります。また利水官庁といたしましては、ただいま申し上げましたように、通産省にせよ、厚生省にせよ、あるいは農林省の昔からの水利権争いというのは主として農業用水の問題あるいは漁業関係、こういうことでございますから、そういう利水関係と、それから治水をやりますわれわれの方との関係、こういうものをどう結びつけていくかということが非常にむずかしい問題でございますので、なかなか意見の統一した名案が固まってこないというのが現状でございます。しかし、私どもといたしましては、水資源を工業用水とか、上水道とか、あるいは農業用水だけとかいうようにばらばらに使用するということは、国家の将来にとってどうしてもたえがたいことでございますから、できるならば水を総合的に利用できるような、また総合的に開発できるような構造を考えていきたいという角度で、目下研究を続けておるような次第でございます。
  37. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点だけ。流水を貯溜いたしまして配分をするということは、新しい水の秩序として考えられないわけではない。考えてしかるべきだと思う。どのようなあり方でいいかということは別問題として、あってしかるべきだと思う。しかし、御承知通り日本の天候を歴史的に見ますと、洪水と渇水の差が非常に激しいのであります。従いまして、今後この洪水と渇水の調和をどこに求めていくのかということが水資源開発基礎であると思うのです。ところが、当然流れてきた流量を配分するということが公団の主目的になっておるのじゃないかと思う。それでは一体どこまで上流に及ぶのかということがはっきりすれば別ですけれども、この見解がないのであるから、結局流量をどう配分をするかということを重要な役割として公団ができるのだと思うのです。そうではなくして、むしろ洪水、渇水の基礎であります上流にまでさかのぼって公団権限を行使するということになりますと、また問題は別に発生しますが、私は大体流量を下流に、工業用水あるいは上水道等に公平な配分をしていこう、時代に即応した配分をしていこうというのが主たるねらいだと思うのです。ただ上流における水資源の確保をどうするかということについて、これは建設省所管なのか、下流の配分についても自治省、通産省あるいは農林省と関係深いでしょうけれども上流に至りますればなお問題があると思うのです。そういうことですから、これは十分検討されないと、問題を将来に残しまして紛争のもとになるのではないか、こう思うのです。その紛争の点などについてのいろいろなものを、ここで時間をかけて申し上げることの方が大臣の認識を得るゆえんではあると思いますけれども、この予算審議中には時間も十分でないと思いますから、あらためて別の機会に申し上げることといたします。  一体、渓谷流水または渇水等における治山については、ある程度建設省がおやりになっている。砂防についても建設省農林省がやっておるわけですが、この砂防についての権限争いも毎年数件以上あるわけです。責任のなすり合いもあるわけです。権限は争うときには広めまするけれども、問題が起きて参りますると責任を回避するのです。洪水等の問題が起きた場合、あるいは集中豪雨などが起きた場合におけるその責任の問題になりますると、農林省だ、建設省だというわけで、責任をのがれるわけです。単なる抽象的な権限というとお互いに主張し合って、問題が起きますると責任を回避するというのが従来の例だと思うのです。私は例をもって申し上げることができまするけれども、時間がないから申し上げません。従って、公団につきましては、まだまだ日本水資源についての検討が十分行なわれていないときに、一つの措置として行なうことは軽率のきらいがあるのじゃないか。軽率ならまだしもいいのですが、紛争の種をまくのじゃないかと思うから、慎重な態度希望するわけですが、大臣の所見を伺っておきたい。
  38. 中村梅吉

    中村国務大臣 当然のことと思います。先ほど申し落としたわけでございますが、洪水調節ということも、水資源開発とは重要な関連があると思います。同時に、今お話しのように、洪水の逆に今度は非常な渇水で、農作物等その他異常な渇水災害ということもあるわけであります。水資源開発ということを進めて参りますのには、渇水の災害、それから多過ぎた場合の洪水の調節、こういった災害の防止ということとも大いに関連があると思うのであります。従来、御承知のように、多目的ダム法という法律ができまして、あちらこちらに多目的ダムを相当数作りつつございますが、これらも一面においては渇水あるいは洪水の調節を行ない、一面においては発電あるいは工業用水、水道その他農業用水等、利水関係を含めたものの考え方でございます。これを従来は建設省が専管をいたしまして、多目的ダム法による所管官庁として進めて参っておるのでございますが、考えようによりましては、もっと視野を広く、各方面の知識を総合して進めるということも一歩前進ではないか。私ども、実はさような考え方でおるわけでございますが、御承知通り関係するところが非常に大きいので、大いに熱意は実は持っておるわけでございますが、難航いたしておるようなわけでございます。これをやって参りますには、御指摘のように、いろいろ関係するところが多くて、下手にやればかえってそれが複雑になりまして、動きがつかないような危険性というか、むしろ悪条件を作ることともなりかねないのでありますから、この辺は十分あらゆる関係を考慮いたしまして慎重に進めて参りたい、かように思っております。
  39. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点だけ。慎重に進めるというのだから、これ以上もう議論をする必要はないのですが。ただ洪水の調節として多目的ダムを作るのは、机上的にはその通りです。しかし、従来多目的ダムをもって洪水の調節をしておるにかかわらず、かえって洪水を起こした例もあるというのは、有効貯水量をオーバーする場合に、上水を流さぬで、下の堆積土を流しておる場合がある。これは有効貯水量を減らさぬため、下の堆積土を抜いた、これはよく発電所あたりの電源ダムにおいても行なわれることでありますし、これは調査されるとわかるわけです。秋田県の集中豪雨の場合も、下の堆積土を抜いたようです。そうすると、これは洪水の調節ではなくなる。小さな洪水の調節にはなるが、集中豪雨でも起こった場合には、むしろこれを機会に堆積土の排泄を行なうというようなことになりますと、洪水の惨害を拡大したことになる。多目的ダム洪水の拡大に役立っておる、役立ったというか、損害を与えたという場合が出てきておるわけでございます。一番ひどいのは、私の見ておるところでは、今では使っておりませんが、関西電力の木曽の上流にありまする濁川というところであります。ここでは二回ほど抜きまして、下流に大損害を与えておる。今ではこれは発電を閉止しておるわけです。そのように堆積土が入って参りますると、有効貯水量が減りますために、堆積土を放出するということになりますと、惨害は非常なものでございます。だから、多目的ダム言葉ではまことに多目的ダムけっこうなんですが、上流の土砂の流出等を防いで参りませんければ、あるいは砂防等の治山が徹底して行なわれないと、多目的ダム洪水の要因をなすということにもなるんです。多目的ダムだからして洪水を防ぐのだというのは、とんでもないことであります。やはり上流に対する処置を誤りますると、多目的ダムはむしろ洪水の大きな要因となることを十分御承知にならなければならぬはずだと思います。これはまあ注意だけにとどめておきまして、例を申し上げませす。従って河川局長答弁のように、多目的ダム洪水の調節だといいまするけれども、調節の役割を果たしているときもありますが、洪水の被害をさらに激化さしておる場合もありますから、これは多目的ダムが効果があるのではなくて、上流の措置を講じなければ多目的ダムというものはむしろ効果がなくて、かえって被害を甚大にするものであるという警告をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 中野四郎

    中野主査 楯兼次郎君。
  41. 楯兼次郎

    ○楯分科員 過日の本会議に引き続いて道路問題で少し質問をいたしたいと思います。踏み切り事故が非常に多いというので、立体交差のできるところは立体交差、その他の保守維持について緊急な措置をとってもらいたい。こういうことをこの前本会議でも申したのでございますが、何といっても負担金の問題だろうと思います。国鉄あるいは私鉄あるいは建設省の方で負担金等の関係でなかなか進まないと思いますが、今後急速に整備をするためにどういうような方法をおとりになりますか、お聞きしたい。
  42. 中村梅吉

    中村国務大臣 先般も立体交差の促進について御熱心な御意見を拝聴いたしまして、私ども全く同感でございます。従いまして三十六年度から、立体交差の設置及び踏み切り除却につきましては従来よりもはるかに個所数もふやしまして、われわれとしては努力を続けていきたいと思うのでありますが、同時にその場合の費用分担についてでございますが、建設省と国鉄との間には協定がございまして、さほど異論なく進むのでありますが、私鉄との関係は、いろいろ私鉄の経済情勢が各社によって状勢が違うものですから、統一した協定というものが実は困難でございます。しかしこれも何とか規格をきめていただきませんと、個個のケース・バイ・ケースでいろいろ議論しておりましたのでは、非常に進行をおくらせますので、運輸省当局と相談をいたしまして、何とか一つ規格をきめるように、大体運輸省に骨折っていただかなければできないわけでありますので、われわれといたしましては、運輸省にも要請いたしましてそういうふうに進めて参りたいと思っているわけでございます。なお詳細につきましては道路局長から御答弁いたさせます。
  43. 楯兼次郎

    ○楯分科員 詳細はいいです。おそらくこれは協定ではなかなか実行が進渉しないと思うのです。だからやはり規格をきめて、法律ではっきりと命令をし、義務づけることが必要だと思うのです。われわれの聞いているところでは、数年前から運輸省で法案の作成に着手をしているようでありますが、なかなか建設省との話し合いがつかぬ、こういうことでまだ日の目を見ないのでありますが、今国会中には何らかの法律が上提されるかどうか、またされなければ困ると思うのですが、多くを言いませんが、その一点だけお答え願いたい。
  44. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は踏み切りの法律を作りたいと思いまして、運輸省と折衝いたしているのは事実でございます。今も聞きましたが、まだ多少意見の一致を見ない点がありますそうで、できることならば今国会に御審議を願うように話をつけるように、一そう努力をして参りたい。御指摘のように法律で踏み切り除却のための立体交差についての格づけができますと、非常に私どもの方も立案もしやすいし、実行もしやすくなりますので、非常にありがたい御注意だと思っております。
  45. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私の方ではできるだけ今国会一つ制定できますようにお願いしたい。それから費用の面で多少のごたごたがあると思いますが、やはり政府が頻発する事故防止の見地に立って、大乗的な立場から成立の方向に運んでいただきたい、こう希望を申し上げておきます。  それから次にお伺いしたいのは、二兆一千億で道路整備に非常な御熱意を示しておいでになります。これは小さい問題かもしれませんが、ただ道路だけ整備をされても、冬季間交通のできない個所がたくさんあると思います。私の知っておる限りでは、名古屋——富山間の四十一号線等は、たとえば路面を拡大し整備しましても、非常に山が接近をしておりますためになだれが多いわけです。だからなだれ防止の措置をしなければ冬季間の交通は不能だと思いますが、こういう点についての予算的な配慮が行なわれるかどうかという点をお伺いしたいと思います。
  46. 高野務

    ○高野政府委員 お答えいたします。冬季間の道路交通につきましては、積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法がございまして、三十二年から六カ年計画でやっているわけでございます。この事業の中に防雪事業というのがございます。このほかに除雪事業と凍雪害防止事業というのがございますが、この防雪事業で防雪さく等を作るということでございまして、この計画におきまして実施をしております。しかしながら現在の積善事業の規模という点につきまして考えますと、相当まだ行き渡らない面がありますので、道路整備緊急措置法を改正いたしまして、新しい五ケ年計画を作るという案と同時にこの積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する六カ年計画を三十六年度から新たな計画にいたしまして、事業を拡大して積寒地の冬季交通を確保したいという考え方を持っております。また四十一号国道等につきましては、この積寒事業で防雪さくを作るというだけでは足りないのでございまして、これの改修を早くいたしませんと冬季の除雪もできませんし、防雪も意にまかせない点がございますので、道路整備緊急措置法を改正いたしまして、新しい五カ年計画で道路整備をいたしますと同時に、積寒の五カ年計画で防雪措置をやるという考え方でございます。
  47. 楯兼次郎

    ○楯分科員 このなだれ防止は改修と同時に当該事業費の中に含めてやっていかないと、せっかくあとで、そちらがやるとおっしゃれば別でありますが、それでもせっかく直したところが完成しても通れない、こういうことになると思いますので、でき得べくんば道路の改修と同時に、なだれ防止その他障害物の撤去の費用も一括して作業を進めていく、こういうことが望ましいのではないかと思います。この点については一つ五カ年計画で冬季間一級国道が二カ月も三カ月も不通であるというような汚名が残らないように御検討願いたいと思います。それから毎回国会で高速自動車道のことを申し上げて恐縮でありますが、この点について少しくお聞きしたいと思います。私どもが数年前に大構想のもとに北海道から九州まで日本の二重構造の是正、あるいは地域格差の是正、産業開発というような大目的で法律を作って通したわけでありますが、最近われわれの作りました目標から違った、ゆがめられた方向に、この国土開発縦貫自動車道法の取り扱いが流れていくような気がしてならないわけです。そこで大臣一つ冒頭にお伺いしたいと思いますが、問題となっておりまする中央道というのは——これは東海道も作っていただけばけっこうだと思いますが、中央道というのはわれわれとしては最終な姿としては北海道から九州まで全日本をつなぐいわゆるバック・ボーン、大幹線である、こういうように、当時も今日も考えておるわけでありますが、中央道に対しまする高速自動車道としての評価、たとえば東海道あるいは中央道は、いずれが一体幹線かというような評価の見解について、一言おききをいたしたいと思います。
  48. 中村梅吉

    中村国務大臣 すでに特別法も制定されておることでございますし、私どもといたしましても、皆さんの御熱意と同じような熱意を実は持っておる次第でございます。さようなわけでここ二、三年来調査費を計上いたしまして調査を進めて参っておりますが、三十六年度は一そう調査の促進をはかりたいということで調査費も増額してもらいまして、極力調査の促進をはかりまして、調査の整うのに従いまして緊要の地帯からできるだけすみやかに着工いたしたい、かように考えておる次第でございます。従いまして五カ年計画の閣議決定をいたしまする際にも、必ずその構想を織り込んで参りたい、かように考えております。
  49. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私の質問にお答えないようでありますが、私は全日本の中央道というのは、いろいろ建設についての支障はございますでしょうけれども、中心である、バック・ボーンである、こういう定義が建設当局としてなされなければ、東北道、あるいは中国道、九州、北海道等のあの法律に盛られました精神というものが生きてこない、こういうように考えておるわけです。でありまするから、中央道に対しまする高速自動車としてのあなたの位置づけといいますか、ただいま私が申し上げましたような考えについてどのようにお考えになっておるか、そういう点をお伺いしたい。
  50. 中村梅吉

    中村国務大臣 これは今申し上げたように、実はわれわれといたしましては御指摘のように、日本の将来の幹線道路として大いに重点を置いて進めていくべきものだ、こう考えておるのでございます。実は五カ年計画のいろいろな内部的な、予算成立後に閣議決定をいたしまする資料目下整えて検討いたしておるのでございまするが、実は二兆一千億ではなかなかこれを完成するまでの方法は立ちませんけれども、まあできるだけ緊要な部分からその考え方に立って進めていきたい、こう思っておるようなわけでございます。
  51. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それでは大臣は緊要を要する区間を再三言明なさいますが、一体あなたの方の基本方針でも、緊急を要する区間の供用開始ということがうたわれておりますし、けさいただきました五カ年計画の構想についても、緊急を要する区間の建設に着手する、こういうことをおっしゃっておりますが、われわれの方としては、緊急を要する個所とは、具体的に例をあげればどのようなことをおっしゃっているのか、ちょっとわからないわけですが、この基本方針をお作りになった考え方、あるいは大臣の言明から具体的にはどのような個所であるかという点を、一つお漏らし願いたいと思います。
  52. 中村梅吉

    中村国務大臣 実はまだ調査を進めておりまする段階で、三十六年度も御承知通り四千万円の調査費を計上いたしまして、着々調査を進行いたしておる段階でございます。この調査に基づきまして、また関係各省とも協議をいたしまして、結論を得たいと思うのであります。従ってまことに恐縮でございますが、目下のところ抽象的な表現以上に出ることは、いろいろな関係がございますので、やむを得ない段階だ、こう思っているわけでございます。どうぞ御了承願います。
  53. 楯兼次郎

    ○楯分科員 もう一回、くどいようですがお聞きしますが、あなたは本会議の中島君への答弁でも、緊急を要する個所の供用開始、ここの委員会でも今二回それを言明されたわけです。大臣はそう言われますが、緊急を要する個所の着工ということは、建設省内において具体的な案があると私は思うのです。それをまだ発表の時期ではない、こう言われるならそれでよろしいが、全然積算も具体的な構想もなくして、ただ本会議委員会で、緊急を要する個所だ、それはどういうことだ、それはわからぬということでは、どうもこれは質疑応答にもならぬと思います。その点を、あるけれども公表ができる段階ではないというなら、それでけっこうだと思うのですが、ないというはずはないと思うのですが、それを一つはっきりおっしゃっていただきたい。
  54. 中村梅吉

    中村国務大臣 目下熱心に検討をいたしておる段階でございます。しかしその検討段階にどのような考え方があるかといえば、事務当局あるいは技術専門家の間においては、ある程度の考え方はあるに違いないと思います。しかしこれは東海道との関係もございますし、あるいはまたよほど調査が進行し、また関係方面との連絡がある程度整いませんと、私どもが、技術当局等が考えておりますることをそのまま申し上げるということはまだ困難な段階である、こういうように御了承願いたいと思います。
  55. 楯兼次郎

    ○楯分科員 どうもわからぬ話ですね。そういたしますと、こういう場合もあり得るというふうに解釈しておいていいですか。連続をしないけれども、緊急の個所は、その区間だけ一部建設をすることもあり得る、こういうふうな場合も出てくる、その緊急個所の一例としては、そういう場合も出てくるというふうに解釈しても差しつかえないですか。
  56. 中村梅吉

    中村国務大臣 そういうこともあり得ると思います。調査をいたしまして、工事の難易ということもございますし、またどことどこを早く結んでおいたら、他の一般交通にも稗益することもできるというようなこともあり得ると思います。従いまして今後調査を進めて参りました結果、そのようなこともあり得ると申し上げて差しつかえないと思います。
  57. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それでは本年度予算に盛られております四千万円に関連してお伺いしたいと思いますが、一体あの法律ができましてから、調査費を今日まで幾らお使いになっておるか、すぐわかればお聞きします。わからなければけっこうですが……。
  58. 高野務

    ○高野政府委員 中央自動車道の調査費につきましては、三十二年から三十五年までで一億九千万円を使用しております。それから三十六年度は四千万円取っております。
  59. 楯兼次郎

    ○楯分科員 この四千万円で一体何を調査されるのか、われわれにはわからないのですが、一つお聞かせ願いたい。
  60. 高野務

    ○高野政府委員 お答えいたします。三十六年度の調査といたしましては、気象の調査、これは中部山岳地帯の観測あるいは実験研究を継続して参りたいと思います。それから計画線の調査、これはまだ多少比較線をとって検討する必要が出て参っておりますので、これを検討して参りたい。第三は経済調査でございますが、これは交通量調査をさらに進めて参りたいと思います。第四がトンネル、地質、橋梁の調査でございます。これはトンネル内の自動車の運行に関する調査とか、路面凍結の調査、煤煙除去に関する調査、地質調査、橋梁の調査をいたして、実施に近づいて参りたいと思います。第五が設計調査でございますが、これはインターチェンジ及び取りつけ道路の設計をして参りたい。第六が起点の調査、第七が防災対策調査、第八が関連公共事業の調査、第九が用地調査であります。
  61. 楯兼次郎

    ○楯分科員 今お聞きしますと、九項目か十項目にわたって調査内容を区別しておられますが、われわれとしては非常に不可解な感じを抱くわけです。といいますのは、昭和三十四年十二月に、今あなたの言われました調査は完了しておるわけです。その表を見ますと、第二の経済、交通調査もすでに完了している。これは昭和三十四年の十二月に出たあなたの方の調査資料でありますが、それによりますと三十四年、三十五年かかってそれらも完了している。さらにその上に四千万円も使って調査をするという個所はないように私は思うのです。しかも今あなたの言われました二、三の例をとってみますと、比較線の調査も、はっきりと道志線を比較線としてうたっておられる。こういう調査をやっていかれたのでは、これはいつまで調査してもきりがない。これはひがんだ見方かもしれませんけれども、ただ延引するために調査しているのだ、こういうことが言えます。しかも、いや、前の調査は粗漏であったということは、私は許されぬと思います。それはわれわれも審議会の委員をいたしておりまして、そういうものを今発表しては困るということを、あなたの方にも申し上げておいたわけです。ところが三千二百億円かかる、しかもわれわれは詳細に調査して間違いないと、あなた方は日本全国に向かって説明されておるはずです。そうすれば、一億五千万円使った過去の調査はでたらめであった、こういうことになるのじゃないかと思うのです。納得がいきませんが、どうですか。
  62. 高野務

    ○高野政府委員 今御指摘の通り、過去におきましても調査資料を作ったのでございますが、その調査は概算工事費、あるいはその道路の大体の経済採算性の調査をやったのでありまして、その大綱は、もちろん御報告申した通りであります。しかしさらにその工事を進めていく上におきましては、私どもの方で三十六年度四千万円の調査費をお願いしておるわけでございますが、これだけの仕事をやります上におきましては、十分調査して実施する必要があるのでございまして、ただいまお話のありました調査をさらに深めまして、実施に近づけるための調査をして参りましたし、三十六年度も引き続きまして調査をしたいということであります。
  63. 楯兼次郎

    ○楯分科員 道路局長、私は前任者のやっておられることだから責めようとは思いませんが、そういう説明ではわれわれは納得できないのです。ならば、なぜ今まで調査をしたこの膨大な一億五千万円もかけた調査は、中間報告なり最終結果ではないというただし書きがついておらなくてはならぬと思うのです。この目次によれば、これはもうほとんどあなたの方で、第二冊の経済交通調査は出てきておらないけれども、これも完了しておる、これは完璧なものであるという前提に立って、とにかく天下に説明をされ公表されておるのです。なお今道路局長説明をされましたさらに調査をする必要があるとおっしゃいますが、では今工事をやっておりまする名神間、名古屋−神戸間はどれだけの調査をやっておるか、大体工事前に基本計画と設備計画が出てくるはずでありますが、基本計画というのは、始点と終点と中間のおもなる経過地、それから車線、何車線か、速度、建設費、それから建設工事に着手と終了の日をもって基本計画になるわけです。しかもわれわれは、名神間の工事についてはきわめて簡単な基本計画によって、私もこの審議会には参加をいたしておりますが、建設をしたのです。設備計画に至っては一銭も金を使っておらぬのです。設備計画なんて一銭も金を使わずに、この基本計画のざっと調査をしたものをもって、両方の調査完了ということで工事が施行された。にもかかわらず中央道だけは一億五千万円の調査費を使い、しかもこれだけりっぱな、おそらくこれは日本の最高権威が——あなたの方に言わせれば、日本の道路関係の全知全能を集めて作った資料であると自負されておる。そういう説明をされておる。一体これ以上の調査が何がある、だれができる、こういうことを言わざるを得ないと思う。一体何を調査するのか。日本の最高の技術水準の人たちが作った調査でありますから、これに基づいて三千二百億円かかるから、財源的に不可能であるというような考えを全国民に与えておる。今工事を着工しておる名神間は、一体どれだけの費用をかけて、どれだけの日数を費やして調査をされたか、それを対比して考えてごらんなさい。全く何かの意図がなければ、本年度四千万円の調査費をもってやろうというふうには考えられないわけです。どうですか。はっきりおっしゃって下さいよ。あなたの責任じゃないでしょう。前の人の責任ですからいいと思うのですよ。
  64. 高野務

    ○高野政府委員 お答えいたします。ただいま名神高速道路の調査について御指摘をいただいたわけでございますが、名神高速道路につきましては、言い方を変えますと、戦争以前に一ぺん調査をしておりました。戦争後も、二十五年から三年間でございますか、さらに大体中央道の現在の調査程度以上の調査をいたしまして着工したのでございます。従いまして調査といたしましては大体同じ調査をしております。それからまた着工いたしますにあたりまして、さらに実測調査は続けて現在の仕事をしておるわけでございます。中央道につきましても調査をいたしまして、さらに実施設計を組みます場合には、さらにまた調査が必要であろうと思います。そういうことでございまして、名神国道は調査しなかったということではないと存じます。ただ中央道につきましては、山岳部の気象条件、そういうものは引き続いて調査をする必要がありますので、この点につきましては、名神国道とは多少違うのではないかと思っております。  それからただいま基本計画のことがお話に出たのでございますが、私どもといたしまして、調査だけでじんぜん日を延ばすということは、法律の建前からいきまして確かにまずいと思っておりますので、できるだけ早く基本計画も立てて参りたいということは、熱意を持っているわけでございます。
  65. 楯兼次郎

    ○楯分科員 道路局長がそう言われますと、これだけあなた方が権威づけて説明をされた調査というものは、正確ではない、これは中間的なものである、ずさんなものであるということを裏書きすることになると思いますが、それでいいですか。これは全部出ていますよ。とにかく建設費なんかは、その地域別に、たとえば購入資材でも、その地区別の価格によって算定をしたというので、読んでごらんなさい。微に入り細をうがって書いてある。これはいいかげんのものですか、どうですが。大臣、今の道路局長答弁でどうしても私は納得できぬのですがどうですか。今道路局長の言明をもってさらに調査する必要があるとすれば、これは中間報告である、正確なものでないという釈明がなされなくては私はうそだと思う。ところがこれが出た当時は、日本の最高権威が寄って作ったものであるから、これ以上のものはないという前提に立って説明をされておる。どちらをわれわれはとればいいのですか。大臣どう思いますか。
  66. 中村梅吉

    中村国務大臣 この報告書の出ましたいきさつは私よく存じませんけれども、実は率直に申しまして私どもといたしましては、できるだけ早く着工のできるところから、世論もあることだし、また必要性もあることだから、着工するようにということで督励をいたしておるのが現実でございます。しかしながら今お示しになりましたような報告書が出ているといたしましても、私ども昔、若いころ都市計画の委員などをいたしましたが、計画決定をいたしますまでには、一応の調査はして計画決定するわけでございますが、さてこれを実施に移して何号線をどうするということになりますと、相当にまた元を入れて具体的な調査が必要であることを承知いたしておりますので、この中央道につきましては、特に山岳地帯、あるいは気象関係等もございますし、あるいは他の既成道路等の関係もありますし、相当私は突っ込んだ調査をしてからでなければ実行には入れないのではないかというように、実は想定をいたしておるわけでございます。従いまして三十六年度の調査にいたしましても、すみやかに調査を完了するために、予算要求段階では、今御審議をいただいておる予算案の金額よりもはるか大きい要求を実はいたしておったのでありますが、いろいろな事情で三十六年度としましては四千万円ということになりましたわけでございます。できるだけこの与えられた金額によって有効な調査を技術的に進めさせまして、早く実行に移るようにさしたいという気持でおるわけでございます。
  67. 楯兼次郎

    ○楯分科員 だから質問をすればするほど、建設省の中央道に対する取り扱い方が、あまりにも懇切丁寧に、慣例を破ってあり過ぎるということです。たとえば、われわれの承知をいたしておるところでは、アメリカの高速道は一万二千分の地形図によってすぐ基本計画を作ってしまう。今国鉄の東海道の新幹線をやっておるわけでありますが、あれなんかも一万分の地形図によってすぐ基本計画を作って作業にかかっておるわけです。中央道は山あり谷ありというので、五千分の一の地形図を作ってやっておるわけです。それでもう基本計画ができなければうそなんです。それから今大臣道路局長答弁されたのは、これは道路公団がやる仕事なんだと私は思う。何で法律にきまっておるように五千分の一の地形図によって、基本計画を国会の方にお出しにならぬかということにわれわれは疑義を持つ。それをお出しにならぬから、日にちを延ばすために、もう再三掘り返した調査をまたやるというので、また四千万円も調査費を使う。ここに私は問題があると思います。先ほどずっと調査の対象を羅列されましたが、比較線等はすでにもう調査をしてこれに載っておるのですよ。一体何本比較線を作ればいいか。これならほんとうに一キロ刻みに比較線を作らなければ、最終の判断ができないということになる。しかも国鉄の問題、諸外国の例、あるいは他の国道を作る例には、おそらくこれだけの詳細な、まだ調査だまだ調査だなんということはやっておられないと思う。これは調べてみればわかるのです。なぜこの中央道だけにそれほどこまかいめんどうを見られるのかという点に、何か意図があるのではないか。また事実あるだろうと思うのです。これは常識に合わないのです。慣例に合わないのです。しかも縦貫自動車道の法律にうたってあるのは、建設省は基本計画を出せばいいのです。これを調査されるのはいいでしょうが、それを調査をされてどれだけかかるからどうというようなPRをされてやっておられることが、全く慣例無視のやり方である。例がない、こういう点で、あなたの方は何にもないとおっしゃれば、痛くもない腹を探られる、こういうことになるのだし、われわれの方としても、これは何かあるのじゃないか——私の言っておるのは間違っておらないと思いますが、あとでお調べ願いたいと思います。国鉄は東海道を作るために一万分の一の地形図で基本計画を作ってやっておりますよ。諸外国の例は一万分の一以上の地形図によって基本計画を作りますよ。日本だけですね。五千分の一の地形図を作って、なおこんなものを作って、そうしてさらにその調査をする。しかも比較線をやる。比較線は出ておるじゃありませんか。こういう点は、ここで時間を食って追及をしてもどうかと思いますので、相当今までの慣例を無視したやり方をやっておるという点を一つ考えいただいて、早急に工事に着工するようにお骨折りを願いたいと思います。  それから今工事をいたしておりまする名古屋−神戸間は、吹田までは中央道なんですね。中央道の法律によってやっておるわけです。その小牧−名古屋間の小牧をなぜ東京の方へ——これは常識としては一挙にできないとすれば、少なくとも小牧でとめておく必要はないのですから、東京寄りに予算の獲得に御尽力を願うのが、これが常識だと思うのでありますが、なぜできないのですか。新たに中央道を作るならこれは別でありますが、すでに小牧−吹田間は、これは中央道なんですね。それを拡大をするということは常識であり、仕事の進展上当然だと思う。なぜやっていただけないのですか。
  68. 高野務

    ○高野政府委員 お答えいたします。ただいまお話の通り小牧−吹田間は国土開発縦貫自動車道の中央道の一部としてやっておるわけでございます。ただ名神高速道路工事をいたしますにあたりまして、いわゆる世界銀行からの借款がございまして、その点で着工の区間を区切ったわけでございます。尼崎−栗東間を第一区間といたしまして区切ったわけでございました、現在では尼崎−栗東を重点的に仕事をしているわけでございます。さらにこれを東の方に延ばす準備をしておりまして、ただいま一部に着工しているわけでございます。また一宮−小牧間につきましては、着工の区間としてあとの区間になっていたわけでございますが、最近におきまして地元の御了承も得まして、測量を開始しているわけでございまして、決して小牧−吹田間のうち、小牧−一宮間は別だという考え方を持っておるわけではございません。ただ着工がおくれていたということでございます。
  69. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は今時間の節約上、簡単に私の考えておる要点だけ申し上げましたので、御了解願ったと思います。だから将来の交通の基幹となる自動車道については、われわれは今までに申し上げましたような考え方を持っておる。この考え方は党派を越えて同じだろうと思うのです。そうせなければ、あの予算委員会でもたびたび申し上げましたように、地域格差あるいは産業の適正配置なんということはあり得ないのです。だからぜひ一つ大臣の御尽力によって、一ぺんにできなくても、たとえば両方からというふうにでも仕事が進むようにお願いをしておきたいと思います。  それからいま一つは、繰り返しますが、昨年中は、池田総理大臣もあなたもそれから保守党の幹部の諸君も、選挙があったという点もありまするが、もう中央道はやるのだという宣伝を日本全国に、特に中部地帯の関係の個所に宣伝をして、なべに入ったのだという印象を与えておるのです。だからその道義的な責任からもこれはやっていただかなければ、あなたの方の、無形ではあるけれども、公約違反だ、私はこういうふうに考えますので、この二つの面から四千五百億円の予算の中で建設費出していただかなくちゃならぬのじゃないか、こういうふうに思います。この点をお願いしておきたい。  それから今までこの調査費四千万円についてお伺いをしたのですが、なお不思議なことがあるのです。といいますのは、総理やあなた方は、あるいは自民党の幹部の諸君は、盛んになべに入ったという宣伝をしておる。ところが、今ここに高速道路課長が来ておりますかどうか知りませんが、建設省のこの仕事の担当責任者である課長さんが、私の聞く限りでは、各所へ行って中央道排撃の演説をされておる。これは言えとおっしゃれば、日にちから何から全部私申し上げますが、そこまでは私申し上げませんけれども、こういう点についてどうお考えになりますか。総理初め幹部は、国会で通過した法律に基づいてと盛んに宣伝をしておられるところで、建設省でおやりになる担当の課長は、そんなものはできるか、こう言って各所で反対演説をされておる、こういう点はどうですか。具体的に言えとおっしゃれば申し上げますけれども、そこまでは言う必要はないでしょう。こういう人が現実におるのです。どうされますか。建設大臣決意を伺っておきます。
  70. 中村梅吉

    中村国務大臣 さようなことはないと思いますが、万一ありましたら、大いに注意をいたしまして、われわれの熱意と相反するようなことは言わせないように注意いたします。
  71. 楯兼次郎

    ○楯分科員 これは私も当人の迷惑のために申し上げませんが、日にちから場所からいった言動までわかっておるのです。だから私が先ほど来申し上げますような食い違いが起きてくるのだ。こういう点は深くは追及いたしませんけれども一つ御了承願ってやっていただきたいと思います。  それから次にお伺いいたしたいのは、道路公団の仕事の内容を変える必要がないか、こういうふうに思います。名神高速道路は一名繰り越し公団なんという悪口をいわれておったわけでありますが、どだい能力がないのかどうか知りませんが、よそでは予算が足らないので四苦八苦しておるのに、毎年百億近いような予算を繰り越しておる。こんなばかなことは私はないと思う。それからもう一つは、道路公団というのはやはり国策に沿った高速自動車道の仕事に専念すべきだと思います。地方の観光道路なんというものは、これは資金のめんどうさえ見てやれば地方業者で幾らでもできるのです、もうかりますから。そんなところを盛んにやっておって、国策上の高速道路というものを繰り越し繰り越して、あまりやらない。だから、私は多くを申し上げませんけれども、道路公団は国土開発、産業開発を重点として、目的、仕事の内容を将来は変えていく必要があるのじゃないか、こういうふうに思いますが、大臣の所感はどうですか。
  72. 中村梅吉

    中村国務大臣 観光道路が目立っていろいろ御意見があるようでございますが、今までに事業をいたしました開通の個所、あるいは目下工事中の個所等を見ますると、実を申しますと産業的道路、橋梁が大部分でございまして、なるほど三分の一か四分の一ぐらいの観光関係もありますが、ただ日本の国情から見まして、観光ということも産業に匹敵した一つの事業として考慮する必要性等を考えますと、ある程度は観光関係等の施設を整備するということも、道路公団の使命として入っていってよろしいのではないかと、私どもは実は反論をいたすわけではございませんが、そういうように考えておる次第でございます。また一面、この道路公団について制約のありますることは、道路公団は採算をとっていくということが、公団法できて以来の建前になっておりますものですから、そういう点もにらみ合っていく。もっともこれは公的な性格のものでございますから、採算といいましても、即時に三年や五年で採算をとるというのも無理なのでありまして、二十年、三十年あるいは四十年の長きにわたって、その間に産業開発が行なわれ、いろいろいたしまして採算がとれるようになっていけばよろしいのでございます。ではありまするが、そういう点も全然無視することもできないような事情にありますので、私といたしましては、今道路公団の使命につきまして格別変更を要するものとは実は考えていないのでございます。ただ事業の実施や運用につきましては、まだまだ改善すべき余地があると思うのです。九十億とか百億の繰り越し等がありました事情も、私就任以来そういうことのないように注意をいたしますと同時に、過去の経過等も聴取いたしましたが、そうなりました年が二、三あるわけでございますが、これらは道路公団債を相当の財源といたしておりますので、公団債発行の手続のおくれたこと、あるいは外債を利用いたしておりますので、外債の手続がおくれまして、その年度内に間に合わなかった。そこでその年は一応不用にいたしまして、その翌年度にそれが入りまして、翌年度の事業で実行しておるというようなこと、あるいは用地の取得がごらんの通りはかばかしく参りませんので、そのためにおくれた、こういうような事情もあるようです。しかし用地取得等も、先を見越してどんどん準備をしていけば工事に差しつかえないようにいけるはずでございますから、これらの点は重々私ども今後とも注意いたしまして、繰り越しや不用額の出ませんように督励して参りたいと思います。
  73. 楯兼次郎

    ○楯分科員 もう一点簡単にお伺いしたいと思いますが、今大臣の言われました用地取得が一番問題だろうと思います。これには何らかの考慮が必要だと思うのですが、こういう点は最近新聞等でちょいちょい拝見しておるのですが、用地取得が円満にいかなければ、これは都市の問題もその他の問題も解決しないと思います。こういう点についてどういうような対策をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  74. 中村梅吉

    中村国務大臣 用地取得の促進をはかりたい気持は、全く私ども一ぱいなんでありますが、ただ用地の取得ということは、個人の権利にも大いに関係をいたす点でございますから、それらの点を考慮しながら特別の配慮を考えなければならない。現在土地収用法というものもございますが、これは相当に手間取るような組織になっております。そこで御承知のように目下公共用地取得制度調査会を作りまして、この調査会のメンバーになっていただいておる学識経験者の方々に、非常に熱心に、あらゆる知能を動員していただいておるわけでございます。従って用地の取得をすみやかにやるという観点一つと、もう一つは個人の私益というものを保護して、どういうようにそれを調整していくかという点が一つと、この大きなポイントにわたりまして、各委員の方々に熱心に御研究をいただき、最近小委員会ができまして、小委員会でしぼった案を作成願っておる次第でございます。近くこの小委員会案が最終的に総会にかけられまして、政府に答申をしていただける段階になると思います。これは答申を得ましたならば、こういう学識経験者その他全く公平の立場にある方々の御意見を十分に組み入れまして、私どもといたしましてはすみやかに成案を得たい、かように思っておる次第でございます。
  75. 楯兼次郎

    ○楯分科員 用地取得について諸外国の例を聞きますと、二、三年前に計画を発表して、大衆討議といいますか、大体そうせざるを得ないというような世論の決定を待って、工事に着手をするというような方法をとっておりますので、日本も、思いつきといいますか、そういうことでなくて、相当公表して——これは家なり土地を取られる人はどこまでいっても反対だと思います。そういう大衆的なやり方をやっていただいた方がいいのじゃないかと思いますし、それから国土開発縦貫自動車道路も、私ども提案したときに、土地その他を失う者は、とにかく失う以前の環境以上の生活を保障せよ、こういうようなことをうたってあるわけです。そのためには、ある場所においては補償価額の引き上げ、それから土地に対しては換地のあっせん、それから公共団体の公共負担、あるいは地方団体としては、ここに道路を作るからこっちの砂防をやるというような振りかえ工事等の問題もあろうと思いますが、こういう点については一つよく、公共用地取得制度調査会ですか、それらの意見を聞いて、なるべく土地その他を失う人が以前の生活以上の環境になり得るように措置をしていただきたいと思います。  それから、これで終わりますが、先ほどの問題は、うそを言わない池田内閣の公約でありますから、私はくどいことは申し上げません。ぜひ一つ部分的にも着工のできるように措置をしていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  76. 中野四郎

  77. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は多目的ダムの中の下久保ダムについて少しお聞きいたしたいと思います。  河川総合開発事業の中で、三十六年度には直轄工事として二つの新規ダムを始める。その中に利根川水系の下久保ダムが入っておるわけでありますが、聞くところによれば、この下久保ダムは直轄の工事としては一番大きいダムだというお話を伺っておりますが、まず最初に、この多目的ダムの目的は具体的にどういうことなのか。
  78. 山内一郎

    山内一郎政府委員 下久保ダムの目的でございますが、利根川水系の洪水調節の一環といたしまして、洪水調節灌漑、上水道、こういうような目的で作ることになった次第でございます。
  79. 栗原俊夫

    栗原分科員 聞くところによると、この多目的ダムの一番中心をなす目的は、利根川水系の矢木沢ダムの水の配分にからんで、上水の配分関係、具体的にいえば東京の水の配分が主たる目的で構想が立てられた、こういう話を聞いておるわけですが、こういうダムができれば洪水調節になることはもちろんでしょうけれども、上水を確保する方法と洪水調節関係等もございましょう。特に農用水の問題もうたわれておるわけですが、農用水関係等の話し合いも十分完了して着工に入る段取りなんでございましょうか。この辺の事情を……。
  80. 山内一郎

    山内一郎政府委員 ダム建設いたす場合に、洪水調節、それからその水を使うという利用の面がございましたら、関係の方面といろいろ折衝いたしまして基本計画を作って着工する、こういうふうにいたしておる次第でございます。
  81. 栗原俊夫

    栗原分科員 基本計画だといいますが、農用関係の方はすでに水の配分、負担の分担、こういう点などは十分調整し、そうして話し合いがついて着工に入る段階になっておるのですか。この辺はどうなのですか。
  82. 山内一郎

    山内一郎政府委員 現在関係方面と折衝中でございまして、基本計画の確定までまだ至ってない状況でございます。
  83. 栗原俊夫

    栗原分科員 また先般新聞の報ずるところによると、下久保ダムの本体の下に第二ダムを作って発電をするやの報道がございましたが、これらの関係はどんな工合になっておりますか。
  84. 山内一郎

    山内一郎政府委員 発電の点につきましても、現在発電の関係折衝いたしまして、具体的にどういうふうにするかというところの確定まで至ってない状態でございます。
  85. 栗原俊夫

    栗原分科員 その第二ダムの方は、電力発電ははたして民間にやらせるのか、あるいは公的な立場のところがやるのか、このあたりもわからぬのですが、方向はすでにあそこで東電が一つ発電所を持っておって、下久保ができると現在ある発電所が工合が悪くなる、こういうことなので、おそらく新たに発電をやるとすれば、東電が優先的にその水利権をもらうような立場になるだろうと思いますが、第二ダムは発電との関係で作る、こういうことなんでございましょうか。それとは別に第二ダムは第二ダムとして作って、そして電気が起こせれば電気も起こす、こういうことなんでしょうか。この辺の関係はどうなのですか。
  86. 山内一郎

    山内一郎政府委員 その辺につきましても現在検討いたしておりまして、まだ確定した計画はきまってない状態であります。
  87. 栗原俊夫

    栗原分科員 今年いよいよ着工するということで予算が盛られるようでございますが、実は地元の人たちの意向は、今日まで、こういうものを国策としてやることについては異議はない。珍しくここには絶対反対という人は一人もおりません。しかし、だからといって何でも唯々諾々とおまかせしてあるわけではない。従って、十分調査の上、納得のいく補償が完全に成立した上で着工してもらいたいんだ、非常におとなしいような住民に見えるけれども、事着工については、補償のない限り着工をするようなことになると、これは大爆発をする方向をとる、こう決意を固めておる様子でございますが、これらの関係は当局としてどんな心がまえでございますか。
  88. 山内一郎

    山内一郎政府委員 ダム建設いたす場合に、相当水没地ができることになりますが、それらの水没のためいろいろな御迷惑をかける方々とも十分協議をいたしまして、その上で着工することにしておる次第でございます。
  89. 栗原俊夫

    栗原分科員 十分協議をした上で着工する、非常にわかったような説明でありますが、具体的にはどうも一向わかっておらぬわけです。従って率直にお聞きしますが、それはある時期が来ればもちろん着工する、それまでは手を尽くして協議を進めていくが、ある時期が来れば着工するのだ、こういうようなことなのか、十分協議を進めてほんとうに了解点に達した上で着工するのか、これは言葉の上ではきわめて似ておるけれども、全然これは違うのです。この点明確にならないと、実は私も地元でありますので、せっかくこういう国策が行なわれるときに、あまり問題も起こしたくありません。このあたりのほんとうの腹のうちをきめていただきたいと思います。それは協議が完全にできた上で着工するという立場をとれば、補償の協議の方が精力的に進められる。そうでなくて、本体の工事と並行した中で補償問題が解決していけばいいのだ、こういう建前をとると、これはその中に大きな問題が入ってくる。こういうことを心配するので、この点を一つ明確にしていただきたいと思うのです。
  90. 山内一郎

    山内一郎政府委員 お説の点はもっともでございまして、地元と了解がついてから着工する、こういうようにしたいと思います。
  91. 栗原俊夫

    栗原分科員 そこで、水没する人たちの数は大体三百五、六十とか聞いておるわけでございますが、この人たちは、地元の人たちとやはり非常な人縁地縁と申しますか、祖父の地を離れなければならないことは了承するのだが、あまり遠くへは行きたくないということ、いま一つは、やはりなるべく今までともに暮らした人たちとはできる限り一緒に暮らしたいということ、これはなかなかむずかしい条件ではありますけれども、やはりそういうものを持っております。といって近辺に今まで農耕を営んでおった人たちに、そのまま農耕を与えるだけの地積はないだろうと思うのですが、私も前回のこの分科会でいろいろ時の大臣にもお願いしたのですが、農民でもやられるような仕事を与える方法はないだろうか。昨今は特に家畜あるいは養鶏等の多頭飼育あるいは何十万羽飼育というようなことなどもあります。農耕地を与えなくても、農民に職場を与える方法は必ずしもないわけではありません。あるいはまた住宅地にいたしましても、今日まで非常に大きな農家に住んでおったが、住居は住居として与え職場が与えられれば、かなり集団的に住民を移転させる方向も考えられると思うのですが、これらについて何か進められている過程の中で具体的な方向が考えられておるかどうか、これらの状態を説明願いたいと思います。
  92. 山内一郎

    山内一郎政府委員 具体的にはまだそこまではいっていないと思いますが、今お述べになりましたことはごもっともでございまして、できるだけ移転先も集中的に団として移転する。それからもし転業せざるを得ないという場合には、転業に関してできるだけのお世話をする。そういうふうに誠意を尽くしまして、水没される方々の補償をして参りたいと考えております。
  93. 栗原俊夫

    栗原分科員 こうしたダム工事が国営あるいは民間所々で行なわれておりますが、もちろん民間の中には補償問題についてかなり高額な支払いをしているところがある。特に福島県の只見川関係などは、最近までがんばって、かなり莫大なものを取ったなどということが、やっぱり水没者の人たちの耳には入っております。しかし、そういう特別な民間の営利事業のものを一つのものさしにするということは行き過ぎだぞということを話しておるわけですが、今日まで国の方で補償をなし遂げた中で、一番理想的に、これはどこにいっても模範になる、これならばどこでも納得できるのだ、こういうような地域はどこであって、そこを見て一つやってもらいたいというようなところがありましたら、一つお示しを願いたいと思うのです。
  94. 山内一郎

    山内一郎政府委員 補償関係についてはいろいろ問題がございましたが、最初は折衝段階で難航しておりましたのを、逐次いろいろ話し合いをしておりまして、その具体的の個所はただいま覚えておりませんが、移転してよかったと喜んでいただいておるダム地点もございます。下久保ダムについてもこういうふうにやっていきたいと考えております。
  95. 栗原俊夫

    栗原分科員 そういう地点もございますではなくて、そういう地点はどこなんですか。ということは、そういうところも参考に、やはり三百五十の戸数が心を一にして動こうとするには、かなり納得した線を出してやらぬといかぬので、こことここを見てもらえばよかろうという点を一つ具体的にあげていただけませんでしょうか。
  96. 山内一郎

    山内一郎政府委員 その点につきましては、後ほど調査をいたしましてお知らせをしたいと思います。
  97. 栗原俊夫

    栗原分科員 これは特に政策的な問題ではなくて、地元の具体的な問題でお伺いしておるので、先ほど局長からお答えがあった、やはり補償問題で十分納得したことがない限り本工事には着工しないという基本方針なんだ、このことは大臣考えもその通りだ、このように了承してよろしゅうございますか。
  98. 中村梅吉

    中村国務大臣 そういうふうに進めたいと思います。
  99. 栗原俊夫

    栗原分科員 いま一つ、これはダムとは別なんでございますが、やはり同じ群馬県に高崎市内の少林山の地すべり問題というのがございます。これは建設省として直接手を出す仕事ではないかもしれませんけれども、直轄河川ではありませんが、碓氷川という川をよぎって国道線にまで被害が及んでおる。こういうことで、現に河床が二メートル五十センチも上がり、国道線も国道敷が二メートル五十センチも上がる、こういう事態が出てきておるわけです。これまた地元の地すべりを受ける住民は、住んでおることができぬというようなことで大問題が起こっておる。一方は河床が上がってくる、ことしの出水期にはどうなるかというようなことで、その堤防から下に位する人たちは戦々きょうきょうとしておるわけなんですが、これに対しては先般県との打ち合わせでいろいろと方法を講じてくれというお話を聞きました。ただ非常に問題なのは、地すべりをして家がつぶれてしまった、こういうことならば、これはこれで残念ながら出た被害に対しては災害復旧をする、被害民をどうする、こういう形でいいのですか、毎日毎日動いておるという形で、これでは何としても安心して住んでおられない。これに対しては、聞くところによると、土地の長が勧告をして、勧告を受けた者は移動するために三十万円を限度として融資を受けられる、こういうような制度があると聞いておるのですが、地元の人たちの希望では、やはり三十万円という金額についてもいま少しめんどうを見てもらいたい、そして低金利というけれども、低金利としてはこれは少しく高い、また期限についてもどうも納得がいかぬ、こういう希望が実はたくさんあるわけなのであります。住宅の非常に稠密した地帯に起こる地すべり——普通山間とかそういう中で地すべりは考えられるのですが、そういう非常に人口、家屋の稠密したところなので、何とかせめて五十万円にして、金利も五分以下で、そしてかなり長期にわたっためんどうを見る方法を考えてもらいたい、こういう熱望があるわけなんです。これらについてどんなお考えをお持ちでしょうか。地すべりについての制度の内容を変えていってもらいたいという要望なんです。
  100. 大津留温

    ○大津留説明員 ただいまの御質問につきましては、住宅金融公庫法によりまして、住宅金融公庫は地すべり等防止法によります都道府県知事の承認を得ました関連事業計画、これに基づきまして、危険地域の家屋を移転するという場合におきましては、その新たな土地の取得費並びにその家屋の移転もしくは建設費を公庫から貸し出すことができる、こういう規定になっております。その場合の費用につきましては、省令で三十万円までということになっておるわけでございます。金利は年五分五厘であります。償還期間は、据え置き期間を含めまして十八年であります。
  101. 栗原俊夫

    栗原分科員 ただいま、地すべりに関連しての住宅関係の現在の制度といいますか、建前のお話があったわけなんですが、どうもこれでは地元の人たちはやはりやっていけぬということなんです。この三十万円、こういうことが妥当であるかどうか。地元ではせめて五十万円、こういうことを言うておるのですけれども、こういう点について何とかこれを拡大していく方向を一つ打ち出してもらいたいと思いますけれども、具体的に大臣のお考えはいかがでしょうか。
  102. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいま事務当局からお答えを申し上げましたように、現在のところは最高額三十万円ということになっておる次第であります。これは先般の長岡の雪で、だいぶ家がつぶれたりいたしまして、この方にもさっそく金融公庫から人を派遣するようにいたしまして、この措置を講じたわけでございますが、そのときに、私も限度額が三十万円であるということを聞きまして、応急の何かがまんをする程度のことならそれで可能ではあろうと思いますけれども、やはり恒久的な住居ということになれば、どうも金額的に気の毒だなという感じがいたしました。しかし現在の制度がそういうふうになっておりますので、直ちに私としてこれを増額いたしますとも申し上げかねるのでありますが、十分検討いたしたいと思います。
  103. 栗原俊夫

    栗原分科員 今この場でどうするかということは言明し切れないことはよくわかっております。災害によって、どうしても家を新たに建てなければならない。あるいはまだ災害が起きなくとも、地すべりというやつは災害進行過程なので、できた災害は気の毒であるが、それで勝負がついたわけですけれども、毎日ゆすぶられておるという姿では神経衰弱になる。こういうことなので、一つそういう工合に限度を拡大するような万全の御努力をお願いしたいと思います。  なお、河川局長にお尋ねするのですが、先般群馬の県当局と打ち合わせられて、これの対応策をお立て下さったようであります。そういうことで、地元民が十分安堵していける万全の策を講じられていただいておると思うのですが、あらためてこの席上で地元民は安心していいのだということを御言明できる段取りがついておるかどうか。できておれば御言明をして、地元民を安心させてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  104. 山内一郎

    山内一郎政府委員 ただいまお話しの地すべりの個所につきましては、現在県当局と打ち合わせをやっておりますが、地すべりを防止するというのは技術的にもむずかしい仕事でございますが、極力やりまして御安心をいただくように、こういうつもりでやっておる次第でございます。
  105. 栗原俊夫

    栗原分科員 局長の答弁は、どの答弁答弁の方向は親切でけっこうなんですが、具体性を欠いておるのです。毎日すべって河床が上がっておるわけです。すでに二メートル半も上がって、これに関連した堤防は護岸の石積みもみなぐずぐずになって、堤防自体も姿はあっても水が出たときには役に立たぬというような状況ですが、どうも具体的な場面で、さてそれではどうしてくれるかという具体的な要求をといっても、しろうとからそういうことは言えないのです。今の県並びに建設省の打ち合わせによるところの具体的な対策というものは、どういう姿になって出ていったのでありますか。
  106. 山内一郎

    山内一郎政府委員 現在各県と折衝いたしまして、来年度の事業をきめる段階になっているわけでございますが、大体打ち合わせを終わっておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、地すべりを防止するという非常にむずかしい仕事でございます。われわれとしては、これで万全だと思う程度まで手当をしておりますがそれでもなお地すべりを完全に防止することはあるいはできない場合もあり得るのじゃないか、しかし、われわれの考えておる程度では万全を期しておる、こういうことでございます。
  107. 栗原俊夫

    栗原分科員 普通の地すべりだけでしたら、まだそのすべる地面の上におる人たちだけが被害を受け、また心配もするという状況なんですが、これが川の中に突入して、川が隆起して、河床が上がっておるということだけに、これが出水期になって万一のことがあったら大へんだというのが、実はその地点から下流に住んでおる人たちをあげての心配事なのです。もちろん技術的にはあげて建設省あるいは県の土木陣営にまかせて万全を期してもらう以外にはございませんが、特にそういう非常に心配をしておるということに心を配って、万全を期していただきたい、かように思います。  いま一つ、こういうことをお聞きすると皆さんばかばかしいと思われることかもしれませんが、わからない点がありますので、一つだけ聞いて質問を終わりたいと思います。国道等を改修し、あるいは拡張する場合に、国道が通過するその地点がたまたま市街地である場合に、都市計画の中の区画整理とかみ合って、道路敷移転等を区画整理に御一任なさるというようなことが行なわれておると思うのです。こういうときに問題が起こりまして、私も実は群馬でも二つ関係したのですが、例の群馬大橋のところの問題それからただいま群馬県下の新町でも問題が起こっておるわけでございます。建設省自体は、当然これに要する金、移転する金、それを区画整理の執行部に払い込んで、区画整理の中で道路敷をとる、こういうことになっていると思うのです。ここでいつも問題が起こるのは、区画整理全体の計画がなかなかはかばかしくいかない。しかし道路だけは通さなければならぬということで、道路面だけは強行的に広げられるわけです。ところが、それが換地の形でもって道路敷が出ている。これを出した人と、あと手のつかない部面とが計画通りに完了すれば、最後には適当な均衡がとれる形にはなるのですが、道路敷は、初年度に出して、残余の分はいつおしまいになるかわからぬということになると、もっと端的にいえば、そこだけあけば大体これでいいんだというような考え方でやられると、道路敷を建設省との相対でやれば買ってもらえるものが、減歩という姿で出しっぱなしで、いつまでも放置されるという事態が起こったりするのです。これらについては一体どんな工合に処理していったらいいと考え、指導されておられるのか。つまり先に出したものと、区画整理全体が完了するまで五年も十年も完全な換地ができないもの、こういうような事態が出ているのですけれども、これらについての御見解をお伺いしたいと思います。
  108. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお話しの点は、土地区画整理法で実施いたします事業のことに関係した御質問かと思いますが、土地区画整理事業といたしましては、公共施設の整備とそれから宅地の利用の増進、この二つを目的とした事業でございまして、既成の市街地におきましては、関係の地区内のいわゆる公共施設の整備もこの事業の一部として実施するわけでございます。従って、事業の実施につきましては、事業主体が地方公共団体である場合につきましては、その地方公共団体が関係の住民の代表者をもって構成する審議会に、換地あるいは評価等の基準をかけまして事業を実施いたすわけでございますが、関係住民との公共施設の整備と利害の調整につきましては、十分遺憾のないようにいたしておるつもりでございます。
  109. 栗原俊夫

    栗原分科員 説明はそれでいいのだろうと思うのですけれども、実際はそういかないところに問題があるわけなんです。特にさら地でもって区画整理をやるなら事は簡単なのですが、市街地で区画整理をやろうという方向を立て、それから一方国道が道路敷を求めてくる、これがかみ合ってそして道路敷が区画整理の中へはまっていく、従って建設省の出す金は区画整理の費用の中へプールされてしまう、こういう形で具体的に道路敷を出した人たちは減歩だという姿で、そのまま道はできる。ところが実際において計画をしても、なかなか一般市街地そのものの区画整理というものはさら地と違って進まないのです。こういう場面のときに、お前のところは先に道路敷地になって、これは減歩になったんだという形でたな上げされておるところに非常に問題点があるので、そういう関係のときには、何とかそういう人たちの時間的なといいますか、期間的に不利な場面——最終的には工事が完了すればそれでいいわけなんですが、これを何とか救済する方法、またもし完了しなかった場合に、一体どうなるかというような場面、こういう場面等について、そんなことを想定すること自体が誤りだと言えばそれまでなんですが、現に私の方で起こっておる新町の場面あたりは、ことによると駅前の広い道と国道が通れば、あとは手がつかぬだろうというような見通しさえある、こういうときに一体どう理解して、どんな処置をとらせるのが一番いいのだろうか、こんな工合に考えておるのでお教えを受けたいのです。
  110. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまのお話は、具体の事実につきましては、よくお話を承りませんと正確なお答えができかねると思いますけれども、元来区画整理事業は少なくとも三年ないし五年の年月がかかるのが通常の事例でございます。そのほかに、ただいまお話がありましたように、戦災復興等の事業につきましては、一応換地計画全部を終わりましたが、また評価が済まない、あるいは物件の移転その他の関係が当初の計画に比しましておくれる、こういうふうなことがかなりあるのが通例でございます。そこで当初計画しておりましたときに比較いたしまして、公共施設の方の用地ができて、押せ押せの格好で換地を受ける人が、つまり従前の土地から仮換地を受けたところに移転をしないと、またその移転先に予定されておる人が先にどこかへ行かないと、本来の形になってこないわけなんでございます。その間の要するに従前の権利者相互間の土地利用関係につきましては、事業者の方におきまして、一時使用関係の実際に即した処理を金銭的にいたしておるところもございます。しかし、こういう期間はなるべく早く短縮いたしまして、仮設の建築物等を作りまして、そして移転を容易ならしめるとか、そういうふうな工事区域内の関係住民の移転についての措置等も、場所によりましては施行者の配慮で行なわれておるところもあるわけでございますが、なお具体的な詳細のことにつきましては、現地の実情についてお話を承りまして御相談申し上げたい、こういうふうに考えております。
  111. 栗原俊夫

    栗原分科員 ただいま私が具体的な問題を出してお尋ねしましたのは、竣工祝いも済んだ中仙道の新町地区がたまたまそういう場面にぶち当っているわけなんです。そして昨年度の予算で、ことしの年度内には仕上げようというので、先般問題も起こりながら仕上がる見通しになってきたわけなんですが、道路の方は仕上がっても、あと区画整理の方で問題が非常に残る危険性のある地区なわけで、またなお詳しいことはいずれ局の方へ参りまして御指導いただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  112. 中野四郎

  113. 井堀繁雄

    井堀分科員 時間も大へん詰まっておりますから、ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。二、三ありますが、一つは住宅の問題であります。住宅政策は御案内のように非常に多面的な、複雑な要素を含んでおります。問題が非常に多くなったと思うのです。その中で私どもの一番懸念いたしますのは、今度政府の基本的な政策でありまする所得倍増計画による住宅問題の需要供給の関係というものが、著しく変化を遂げてくると思うのであります。そういう点で実は基礎的な数字をつかんでおきたいと思いまして、政府のいろいろな資料検討いたしたのでありますが、一体政府はどれだけ住宅の需要供給に正確な調査をなさっておいでになるか、できるならば数字的にきょうはお尋ねをいたしたいと思っておりましたが、もし用急がなければあとで文書でお願いしてもけっこうだと思いますが、一応伺っておきたいと思いますのは、政府も本年度は低所得者向けの住宅にかなり積極的な意向をたびたび表明されておりますし、私はこの問題と、もう一つは低所得者の中にも入るかもしれませんけれども、雇用の流動性、ことに労働力の移動の問題は住宅政策と切っても切り離すことのできない重大な関係を持つものでありまして、こういう政策がはたして政府の意図としておるように進行していくかどうかということは、私は住宅政策の大きな問題として課せられておると思うのであります。そういう意味で実はお尋ねをいたすのであります。でありますからできるだけ正確な数字が得られればと思いましてお尋ねをしておるのであります。もし需要供給その他の住宅の過不足などについて調査をなさっておいでになりますならば、その結論だけお伺いしたいと思います。
  114. 大津留温

    ○大津留説明員 住宅対策の基礎資料といたしましては、昭和三十三年の十月一日に総理府の統計局で住宅統計調査というのを全国にわたって実施いたしました。これが約一年かかりましてその集計の詳細な結果が出ておりますので、私どもが今日住宅政策を立案して参ります場合の基礎的な資料といたしましては、その住宅統計資料によっておる次第でございます。
  115. 井堀繁雄

    井堀分科員 私もその資料を拝見いたしております。しかしこれは統計をとる目的にも相違があったと思うのであります。これをもし基礎にされて住宅対策をお立てになるとするならば、私は政府のいう所得の倍増の前提になる国民総生産を倍化していくという政策は、ここから崩壊するのではないか。労働力の移動の問題は非常に大きな生産力の要素になることは、今さら言うまでもないのであります。ことに総理大臣や労働大臣答弁に従いますと、労働力の流通過程をかなり高く評価しておるのであります。このケースをどこから調べてみましても、私は二つの要素からこわれてくると思う。一つは労働者の意識的、総意的、統計的な協力が得られるかどうかという問題は、これは別の政策であります。物的な条件としては、今日の労働力を高率に倍養し、保護し、そうして生産性を上げていこうということになりますならば、住宅の問題は絶対的な条件になってくると思う。今のような日本の労働者の住宅をそのままにしておいて、高い生産意欲を求めるということは、木によって魚を求めるよりも困難なことだと思うのであります。そういう意味できっと建設省の住宅政策の中には、もちろん長期計画でありますから、三十六年に直ちに大きな計画が推進されるなどとは私は期待しておりません。しかし五カ年計画あるいは十カ年計画といっておりますから、少なくとも三十六年度には、この計画が今言う政府の所得倍増計画とマッチしたものがなければ、ただ単に選挙前の人気取りのスローガンに終わってしまうわけです。のみならずこのことは私は、心理的にもあるいは経済の基礎にも、いろいろな形において政府の政策というものが大きく動き出してきておる。その影響は非常に深刻だと思うのであります。決して私は政府の失敗を喜ぶものではなくて、むしろその被害は、結局労働者にしわ寄せがくるであろうということを見通せるから、そういうことのないことを願って、実はいろいろな点をお尋ねをしておるわけであります。私は今の課長答弁を聞いておりますと、三十三年の住宅統計などを基礎にされて、もしも五カ年計画、十カ年計画を立てるとするならば、非常に危険だと思うのであります。もし私の考えが間違いなら、政府のこれに相応する住宅計画のあり方について、一ついい機会でありますから明らかにしていただきたい。
  116. 大津留温

    ○大津留説明員 建設省といたしましては、これからの国民所得の向上あるいはただいまおっしゃいました労働力の移動というようなことを考慮に入れまして、三十三年の調査から推定いたしますと、三十六年度から向こう十カ年間に約一千万戸の住宅を建設する必要がある、こういう見通しに立っておるわけでございます。約一千万戸の住宅を建設する必要があると申しますのは、ただいま住宅が不足しておる状況並びに今後十年間に世帯がふえて参ります、その世帯の増加に伴う需要及びその間における住宅の滅失除却、そういったマイナスを補うということ、さらに産業の構造変化に伴います労働者の移動、これを加味いたしまして、十年間に約一千万戸の住宅が必要である、こういう想定に立ちまして、昭和三十六年度から四十年度に至る五カ年間に約四百万戸の住宅を建設しよう、こういう計画に立っておるわけでございます。
  117. 井堀繁雄

    井堀分科員 多く申し上げるまでもないと思いますが、住宅計画の場合は所得倍増をいたします前提条件になるわけでありますから、十年後にたとえば一千万戸の住宅で所得倍増に見合うといたしましても、住宅があとからできたのでは意味がないのです。実は計画は他のものと違いまして、住宅の問題は労働力を倍養する前提条件でありますから、五年計画を立てる場合においては前の一年なり二年の間に住宅を建ててしまう、それから次に他の経済政策というものが活動を開始していくというのが常識なんです。世界のいずれの先進国の経済の拡大政策を見ましても、労働者住宅については優先的に、しかもあらゆる政策に先だって計画が実施されてくるというのが建前であります。十年後に一千万戸の住宅を建てたところで——それから先の十年計画なら別であります。でありますから、他の十年計画よりは、住宅の問題は一、二年のうちにある程度の成績を上げて——ところが今あなたの説明を聞きますると、十カ年計画のうちの前半期の五カ年計画で一千万戸のうちの四百万戸です。あべこべですよ。少なくとも十カ年で一千万戸の住宅を持とうとするならば、前半期の五カ年計画に八百万戸くらいできていなければ、あるいは九百万戸くらいできていなければ、それは十カ年計画に見合う政策とは言えない。これは議論になりますから、政府の計画がずさんだという一つの生きた事実のように私は思われまして、非常に悲観的な感じを強く受けました。しかし、時間がありますといろいろお尋ねをしたいと思いますけれども一つ政府の言っております中で、今度の計画で、すぐ当面してきまするものは、一体低所得者に昭和三十六年度でどのくらいの住宅が提供できるかということを、試みに一つ伺ってみましょう。政府は低所得者、こう言っておりますけれども、これは抽象的でいけません。住宅の場合は具体的になってくる。幾らの家賃でどれくらいの世帯の人を収容するかということが前提でなければ、こんな計画というものは意味をなさぬわけであります。一体幾らくらいの所得の人をどういう住宅の中に収容されるのでありますか。たとえば第二種とかいうような計画がここに述べられておりますが、家賃はどれくらいで、その負担能力は今の低所得者にどれだけの、これはもちろん政府の所得倍増十カ年計画に見合って、そういう御用意があるなら、この機会にちょっと伺っておきましょう。
  118. 大津留温

    ○大津留説明員 来年度は公営住宅五万二千戸と、それから住宅地区の改良住宅四千戸、これが低所得者に対して供給する戸数ということであります。このうち第一種公営住宅が二万一千戸でございますが、これは御承知のように月収が一万六千以上三万二千円以下の人がこれに入居する資格がございます。これの家賃でございますが、これは公営住宅、鉄骨のアパートの構造のものもございますし、木造もございますので、その間多少の相違がございますけれども、平均いたしますと全国で二千六十円になります。それから第二種公営住宅というのは三万一千戸でございますが、これは月収が一万六千円以下の方でございます。これの家賃は同様に構造によっていろいろでございますけれども、平均いたしますと月に千二百八十円ということに相なります。それから改良住宅の四千戸というのは、これは改良する地区にお住まいになっておる方がお入りになるわけですが、大体低所得の方が多いわけでございますが、この改良住宅の家賃は、これは全部鉄骨のアパートでございますので、月に千七百五十円、第二種公営住宅におきましても、また改良住宅におきましても、ただいま申しました家賃の支払いが困難な方も中にはあろうと思いますので、それらの方々に対しましてはさらに家賃の減額ということができるようにいたしております。
  119. 井堀繁雄

    井堀分科員 大臣一つこの点についてはっきりした見解を伺っておきたいと思いますが、今の課長のお話は私もある程度理解しております。ただ私のお尋ねしようとしておるのは、低所得者の問題については、さきの予算委員会でも、総理大臣と労働大臣答弁は数字の上で非常な開きはありましたが、いずれにいたしましても総理の言葉をかりて言えば、低所得者というものは五、六百万に及ぶだろう。労働大臣はいろいろな統計を言っておられましたが、しかし一番信憑力の高いものは総理府の統計の中でも、就業構造基本調査を今とるよりしょうがないじゃないか。そうしますと今一種の入居資格のある者よりも、それ以下の者というのが圧倒的に多いのです。あの統計からいきますと一千万から一千二百万になります。しかもそれが日本の産業の中核をなすような重要な生産をになっている。だからこの実態に見合うような住宅政策でなければ、低所得者住宅なんて言ってみたって、それは縁なき衆生になってしまう。実際問題はもう説明するまでもありません。ただ家賃を安くすればいいということは抽象的には言えますけれども、実際的にはいろいろな政策が盛り上がってこなければ実現できないと思う。時間があるとお尋ねいたしたいと思っておりますが、政府の今施策の中にかかる住宅は、たとえば住宅公団、あるいは住宅金融公庫あるいは、産労住宅政策、いろいろ公のものもありますけれども、いずれも今日の仕組みの上でいきますとコスト高になるのであります。だから原価をどうするか、お尋ねをしたかったのでありますがたとえば公団の中で問題になりますのは、ことしの政府の計画を見ましても民間資本が圧倒的にふえてきておるわけです。公団の本年度の計画を見ましても、民間資金が二百億ですか、政府の低利資金は百六十五億なんです。これは金利を聞けばすぐわかるのでありますが一体民間資金の金利の利率を幾ら見込んでおりますか。
  120. 大津留温

    ○大津留説明員 七分五厘でございます。
  121. 井堀繁雄

    井堀分科員 七分五厘の利率を見込んで住宅を建てて、しかもあなたの方の発表を見ますと、今度は値上がりを四〇%見込んでおる。それから用地費に一一%の値上がりを見込んでおるのですね。ですから、こういう原価を加算されて家賃が出てくることは今の状態ではやむを得ないでしょう。ますます高額所得者しか公団住宅には入れないということになります。もう低所得者どころじゃないのです。そういう点をこれはあいまいにしておる。この点を私は指摘をしていきたいと思ってお尋ねをしたわけです。こういうことでは、何か国民は政府は低額所得者のための住宅をどんどん建ててくれるような感じをそのまますなおに受け取っておるが、今度はでき上がってみたら指をくわえて見ていなければならぬなんということは、ひとり政府の政策が食い違ってくるというだけではなしに、心理的な影響はきわめて重大なんです。こういう点に対して建設大臣としてはどのような処置を講じられるか。国民の、特にこれは低所得者の非常に多い現状に対して、ここら辺が非常に大切だと思うので、事実を二、三お尋ねしたので、明らかになったと思う。建設大臣としても政策遂行上の重大な責任をお持ちになっておいでになると思うのですが、この住宅政策をどのように転換されていこうとするか、一つあなたのお考えを伺っておきたい。
  122. 中村梅吉

    中村国務大臣 私ども考え方としましては、低所得層の住宅を充足することについては、特に努力をして参りたい気持でおるわけでございますが、三十六年度の予算編成段階におきましては、相当増強はできましたというものの、非常に不十分であることはわれわれも自覚をいたしておるわけでございます。特にこれから産業の分布状態等を考えて参りまする上におきましては、それらの地区に向けたところの一種、二種の公営住宅あるいは産労住宅等は、特に重要性があると思うのであります。従いまして今後とも一そう努力をして参りたいと思いますが、ただ基礎的な数字のつかみ方等につきましては、なお事務当局を督励いたしまして、あるいは内閣の調査室等とも連絡いたしまして、十分実態を把握して参りたいと思うのであります。低所得の労働者数がありましても、それだけでは実態ではありませんので、その中にはまだ家族でありまして、親なり兄弟なりの住宅に居住しておる者もありますし、あるいは自己の個人住宅をすでに持っておる者もあるしいたしまょうが、住宅を所要する低所得階級の実態というものをなお一そう確実に把握することに努めまして、今後の予算要求等をいたしまする場合に、十分に一つわれわれの主張の通るような地ごしらえに、資料を整えていくことも非常に大事かと思います。従いまして私といたしましては、三十六年度としては努力をいたしましたが、御承知のような数字の結果に終わっておる次第でございますが、今後にあたりましては一そう御趣意のような方向に努力して参りたいと思います。
  123. 井堀繁雄

    井堀分科員 ついでにもう一つ建設大臣に所見を伺っておきたいと思います。住宅施策について、たとえばこの国会に労働省から提案されておりまする雇用促進事業団法の中でも住宅問題に言及しており、しかも産労住宅あるいは厚生年金の還元融資、いろいろ各省との連絡が、この住宅だけを限定してみても非常にあると思うのです。そのことを私はどうこう言うのじゃありせん。問題はやはり政策にマッチできるような住宅政策ということから判断していきますなら、それは抜本的に変えなければいけないという点、お気づきのようでありましたから、これ以上追及はいたしません。きょうは時間も大へん過ぎ、食事もしないで迷惑でしょうから、長く続ける意思はございません。しかし大事なことですから要求だけをいたしておきたいと思います。  低所得者に対する数字はある程度各省との連絡においてつかんで、それに見合うような計画を次の年に立てる。本年は予算の運営上やる。あるいは公団や公庫などの行政的なかなり幅のある裁量を持っておるそれぞれの機関があるようですが、ことに私は公団や事業団というものの性格について、最近いろいろと疑いを持ち始めておるわけです。事業団のごときは国会と離れてしまい、大臣の直接監督下にあります。大臣の地位は非常に重くなっている。住宅公団の今の運営を見ていますと、いろいろな不満をわれわれのところに訴えてきておる。外見は非常にりっぱなものでありますが、入っておる人からいいますと、所得と今の公団の家賃はなかなかマッチしません。これは過重な負担になりまして、私はかなり生活を圧迫していると見ている。これは住宅政策の根本にメスを入れてこなければいけないので、たとえば米価の二重制度をとってみたり、あるいは赤字補給金を出してみたり、いろいろな重要な産業に対しては、政府が助成金、補助金等で一時を糊塗した例があるわけです。現在まだそのまま残っているものもあるようです。こういう政策が住宅政策の場合には一番先に出てこなければならぬものではないかと思っておったわけです。一番おくれているという感じを、今わずかの質疑応答の中でお気づきになったと思います。でありますから今日の住宅をもし低利資金にいたしましても、金利がかさんでいく。しかも長期になれば、長期の間に非常なものになるわけであります。失敬な言い方でありますが、私は先進国の例で見てみましても、もう金利というものはほとんど低利とは名ばかりであって、元金が確実に返ってくればよいというくらいの資金を供給しておる。あるいはいろいろな便益をはかってやっておるわけであります。今公団住宅でも御存じのように、ばかな話でありますけれども、固定資産税の問題をめぐって問題が起こるに至ってはナンセンスだと思う。こういう点に御留意なされば、いろいろ改善の道があると思う。  公団の問題については、私は幾つかのものをお尋ねしようと思って用意をしておったのでありますが、またあとで文書ででもお尋ねをいたしたいと思っております。ぜひ次のことだけを調べていただきたいと思う。今の公団住宅の運営上の問題で非常な不平、不満があります。ですから住居者の中からどういう形でか御調査をなさる必要があると思う。それは公団がやることを命ぜられればよいのでありましょう。率直に声を聞く必要がある。その声に従って運営上の改善すべき問題がたくさんある。  それからどうして今の所得と家賃の負担との均衡をはかるために住宅にしたらいいかということについては、公団住宅の運営の抜本的な方針を指導する必要に迫られているのじゃないか。あるいは法の改正も必要かもしれません。こういうものに対して一つ至急に御調査を願って、今の公団住宅方式が今後の住宅対策の上にどういう役割を持つかということを、一つ明らかにする資料を要求いたしたいと思います。その他いろいろな資料を要求いたしたい。  それから政府は不良、腐朽の住宅という言葉を使われております。これは私はむしろ他の政策の中から重要視されてくると思う。これは青少年の犯罪の多くの部分が、住宅の環境に支配されるといいますか、成年に達した男女が夫婦一緒に四人も五人も一つの部屋で寝ているなんということ自体、これは言うまでもないと思うのです。そういう意味のものもやはり今日不良住宅のうちに加えて調査をしていくべきだと思う。そういう調査をされて、そういうものがどのくらい散在しておるか。これは特に都市に多いようであります。そういうものを一つ数字の上でつかめるように、どちらがおやりになるかわかりませんが……。  それから都市は最近むやみやたらと分譲住宅、建売住宅とか、住宅がないものですから非常な勢いで余地も何もないところへ危険な、消防なんかの点からも非常に危険だというようなものがどんどん建っているのです。これを制限するということはむずかしいかもしれませんが、そういうものに対してどうすればいいか。一方の旺盛な需要にこたえているわけでありますから、この関係も解決しなければならぬ。こういうものがもうすでにできております。そういう悪条件といいますか、政府は今これで見ますと、過度の密集住宅地区といったような言葉づかいをしておりますが、そういう意味だろうと思います。そういうものを一つ数字の上で表へ出してもらいたい。  それから労働力の移動の問題ですが、政府は雇用の流通をよくする円滑にすると言っております。これはなんか石炭労働者のことばかり労働大臣言っておられますが、そうじゃありません。政府の経済政策の大きな転換になりますと、地域的な移動やあるいは工場の移転その他によりまして、労働力が大きく動かなければいかぬ。その場合は今のところは産労住宅があります。そういう住宅をどのくらい見込んだらいいかというような数字を一つ提供していただきたいと思う。  それから中小企業向けの住宅ということを言っておりますね。今日中小企業という言葉は非常に乱用されておると思う。住宅政策の立場からいえば、中小企業といったらどういう中小企業の従業員をさしておるか。そしてそれをどのくらいつかんで、そういうものをどのくらい必要とするかという前提条件が数字の上に出てきませんと、われわれも批判のしようがありません。そういう点を一つ出してもらいたい。  それから一番問題は住宅公団の指導でありますが、さっきだれかからも質問がございましたが、無計画なんですね。というよりは、土地の安いところを早く手に入れようという問題に追いかけられておると言った方が実際かもしれません。そういうことは公共性を持つ住宅政策としてはおかしいと思う。だから一つには、今日用地の入手について、ああいう公共的な性格を持つ団体は、政府の政策とマッチして、所有権を侵害するようなことはもちろんいけません。財産権に及ぶようなことはいけないと思いますけれども、やはり適切な用地の価格というものについて、しかるべき道を立てるときに来ていると思う。ただ用地の代金が上がってきたから一一%引き上げたなんて、そんな無定見な公共的な住宅政策なんてあり得るものではないと思うのです。ぜひ用地の問題についての解決をはかる必要があると思う。  それからもっと卑近な問題で、東京都を中心に考えてみるとおわかりになるように、どんどんビルが建っておる。そして昼間の人口というものは東京はどんどんふえてくる。その人口を夜間どこに収容するかということになると手放しの状態。傾向としては東京都をとり巻く衛星都市といいますか、そういう近郊にむやみやたらと住宅がふえてきておる。その一番顕著な表面に現われたものは、通勤時間のあの混雑です。時差出勤などというものはまことに笑うべき結果だと思う。ビルができれば、どのくらいの人員がどうということはつかめるわけです。そういう人口は一体どこに住居を持って、どういう生活の関係が起ってくるかというようなことが、あらかじめ住宅政策の前提条件にならないようでは、計画とは言えないと思う。でありますから、今当面しております東京都を中心にして、中央線あるいは東海道、常磐あるいは京浜東北線というものは、これは国鉄の統計を見ましても、東海道ではラッシュ時には二六〇%、常磐は二四五%、それよりもはるかに高いのは京浜東北、中央線であります。定員の三倍以上乗っておる。荷物だったらとても入らない。人間ですから入る。それに相当所要時間が長いものですから、ひどいのになると土曜日なんか半どんでしょう。四時間ばかり働くのに六時間もいやな思いをしなければならぬ。そういう労働力の消耗というものは、日本だけに見られる一つのいい見本だと思う。もっと労働力を尊重するということが、政府の政策の中にみじんでもあれば、そんな労働力の無意味な消滅をどうして救っていくかというようなことが、住宅政策の中で考えられていないなんというようなことは、それは無定見というより、むしろ愚かなことではないかと——それは極言だけれども、ぜひそういうものについて、一つ調査をなさいましたものを前提にして政策をお示し願いたい。そういう調査を十二分にせられて、数字を御提供願いたいと思っております。時間がございませんので、多くを伺えないのは非常に残念ですが、これは非常に重大なことで、非常に卑近な問題になっておるということだけを強調いたしておきます。  それから住宅金融公庫の問題についてもありますし、また市町村、府県の公営住宅なども問題があります。これはてんでんばらばらなんですね。総合的な何らのあれがない。ですから、こういう関係をもっと住宅政策としてまとまったものにしていかないといけないと思うので、この際一つこういうものをそれぞれの関係団体、公団や公庫などについても、総裁や理事にまかせないで、もうちょっと実態調査をなさいまして、国会公団にかわって報告していただきたいと思っております。  以上要求をしておきまして、住宅関係についてはこれで終わりたいと思いますが、これと並行して今重大な案件一つ起こっております。それは道路の対策がそうであります。これもいろいろお尋ねしたいことはたくさんあるのでありますが、一括して一つ答弁をいただけばと思います。それは東京都を中心に、都市中心主義といいますか、あまり都市にいろいろなものが集中されて、分散する分散するとは言っておりますけれども、何も計画性がございません。道路にいたしましても追っかけられて作っているという感じで、そういうものについて国道は、地方の市町村を初め、都道府県関係の経営する道路との相関関係において、どこからどこを順次どうしていこうというような総括的な、これも政府の長期計画に見合ったものがでてきていいころじゃないか。そろそろおやりになっているかもしれません。そういうものについて一つ御計画をお示しいただきたいと思っております。この住宅と道路の関係は不可分の関係でございましょう。しかも特に最近鉄道通勤が困難なものでございますから、バスを利用するようになった。バスの問題がまた非常に問題を起こしている。道路とも関係がある。これは所管が違うかもしれません。この二つの問題について一つ具体的なものを調査してお示しいただきたいと思います。  それから最近治水関係の問題を見てみましても、問題がたくさんあるようでありますが、一つ具体的な点をお尋ねをいたして御回答をいただきたいと思うのですが、それは荒川、利根川等の、東京都を中心とする治水対策というものは、問題があるようでありますが、ある程度進行しているように思われます。しかしその計画がやはりばらばらではないか。あるいは利根川や荒川に中心が移っておるけれども、それに関連してくる非常なでこぼこができている。一例をあげますと、荒川放水路に落ちております芝川のようなものは、これはまことに不自然、しろうとが考えてもすぐわかることでありますが、荒川の水位が上がりますと水門を締めるわけです。水位の上がるころというものは、川上に豪雨があったとかそういう事情によることでありますから、当然芝川にも地水がはんらんしてくることはわかり切ったことだ。その水門を締めて地水のたまるのを待ってポンプ・アップすると言っているが、そのポンプが問題にならない。こういう状態で少し雨季になってきますと、必ず幾つかの工場や住宅が浸水する。この前の二十二号台風のときなどは、町の七割までが水びたしになってしまったが、それを指をくわえて見ているといったような、こういう治水計画なんというものはいかがなものであろうかと私は思っております。またこれは少し雨が降りますと、すぐ住宅や工場が、特に工場が水びたしになりますことは、経済的にもそれはとても大きなものになると思うのであります。こういうものに対する何か緊急の対策をお立てになっておればお尋ねをいたしたい。
  124. 中村梅吉

    中村国務大臣 道路につきましては一応御承知のような方向がきまって参りまして、私どもといたしましてはこれから予算の確定を待ちまして、五カ年間の事業の方向づけ及び分量等の方針をきめまして、道路整備緊急措置法の命ずるところに従いまして閣議決定に持ち込みたい、かように考えておる次第でございますが、ただ確かにいかにも追いかけられている格好じゃないかという御指摘の通りでございまして、こういう点をわれわれも憂慮いたしまして、実は道路整備費の長期計画等につきましても、政府部内において、また党内において、できるだけワクを大きく持ちたいということで微力を尽くして参ったような次第でございます。戦争で荒廃をいたしました国土に、幸いなことに非常に急速度に、国民の熱意と勤勉さによりまして産業が成長して参りました関係等もございまして、戦後の当座としてはおそらくだれが政治をとりましても、まず食べること、産業が興ること、こういうようなことに重点を置いてきたと思いますので、従って道路等は、非常に大事なものでありながら、置いていかれておる格好である。確かにその通りであると私ども考えまして、できるだけこのおくれを取り戻し、公共事業の先行性を打ち立てなければならないという角度に向かいまして、微力を尽くして参りたいと思っておるような次第でございます。また所得格差是正等の関係におきましては、できるだけ産業の立地条件あるいは分布状態、あるいは今後の地方開発ともにらみ合った道路施策を進めたいと思うのでありますが、これらにつきましては昨年、まだ所得倍増計画を政府として決定をしたばかりでございまして、通産省にもまたわれわれの省にも、それぞれ産業立地条件あるいは地方開発等に関する予算措置も若干できましたので、極力努力をしてそういう基礎調査をいたします。この調査の整うに伴いまして、これとみらみ合った道路整備計画を進めて参りたい。さしあたりとにかく一級国道、二級国道等は、全国主要の地点を結び合っておる道路でございますから、これらの整備にはもうそういう基礎調査を待たずして、早く整備をいたしまして、全国主要地点が道路を通して円滑に結び合えるような態勢を整えて参りたい、かように考えておる次第でございます。  それからただいま御指摘のありました芝川の問題につきましては、私どももあまりつまびらかではありませんが、ごく近い関係もございまして、例年、私ども在野当時から、芝川の予算につきましてはできるだけ多く確保するように——いつも予算査定を受けた復活要求にも素通りをいたして参ったのでございますが、今年も十分とは参りませんが、予算措置ができておる次第でございます。実際に技術的にこれをどう処理するかということは、私ども十分承知をいたしておりませんので、これは専門の河川局長から芝川の状態についてお答えいたさせます。
  125. 山内一郎

    山内一郎政府委員 芝川の改修が荒川放水路の改修よりおくれているではないかという御指摘は、御指摘の通りでございます。それで芝川自体の問題といたしましては、御承知のように川口の市内を川幅を広げるということは非常に困難でございますので、昨年から芝川放水路、あの市街地を遠回りいたしまして、新しく洪水をはける工事を現在極力やっておるわけでございます。荒川放水路よりもおくれているのでございますが、やはり荒川放水路の方が、切れた場合に非常に洪水の被害が甚大であるという点で、先行をしておるわけでございます。といって、芝川の方も現在工業の開発からいって非常に重要な川でございますので、芝川の放水路の工事ということも極力進めていきたい、こういうふうに考えております。
  126. 井堀繁雄

    井堀分科員 あと一問で終わりますが、さっき建設大臣は道路計画の問題について苦心なさっておるということでありますが、たしか昭和二十八年に二級国道に指定された埼玉県と山梨県ですか、あれを見てくれというので、この間見てきたのですが、シカが通るのがやっとという二級国道がありますね。一例でしょうが、ああいうものは一体どういうものでしょうか。二十八年に指定しておいて、二級国道と名のつく以上は、自動車はとにかくとして、せめて荷車ぐらいは通れなければいかぬのに、ああいう状態というものはどこからくるのですか。ああいう渋滞といいますか、無計画といいますか、これはどういうことですか。一例ですから、お答えいただきたいと思います。
  127. 高野務

    ○高野政府委員 ただいま御指摘の線は熊谷から甲府に参ります二級国道、熊谷−甲府線でございますが、これは昭和二十八年の五月、他の二百四十三の路線と同時に二級国道として指定になったものであります。このほかに二十七年の十二月に四十路線一級国道として指定になった路線があるわけでありますが、これは新しい道路法ができまして、全国の幹線網をまずきめようということで、この路線が指定になったわけでございます。当時といたしまして、整備はもちろん希望したのでございますが、先ほど大臣からの説明にもございましたように、何しろ道路費がまだ比較的少ない時期でございましたので、この路線につきましては、熊谷から秩父あるいは二瀬ダム地点までは何とかやれたのでございますが、それからあと雁峠の不通個所はどうしても通れないという状態がまだ続いているのでございます。それで昭和三十六年から新しい五カ年計画に入りますので、この期間中に何とかあの不通個所を抜けたいという希望を持っているわけでございます。
  128. 井堀繁雄

    井堀分科員 あまりいい話じゃありませんのでなんですが、ああいうものは早く解決づけることだと思います。  最後にちょっとお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、非常に遺憾なことでありますが、日向灘の地震で、宮崎はだいぶん大きな被害があるように新聞が報道いたしております。もちろん予備費などの準備はあると思います。また建設省関係予算では相当お骨折りを願うようなことになると思うのでありますが、何か適当な処置をもお考えになっておりますか、ちょっとお尋ねしておきたい。
  129. 中村梅吉

    中村国務大臣 まだ被害報告も十分ではないと思いますが、これは宮崎県が相当の被害でございまして、道路が七カ所、橋梁一カ所でございますが、大体今報告がきておりますだけでも七百八十三万程度の被害のようでございます。そのほかに住宅関係もございまして、全壊一、半壊は宮崎が三、鹿児島が一、一部損壊が九十八、非住宅の損壊が三十一、堤防が二、三損壊をいたしておるようでございます。詳細な被害報告をできるだけすみやかにとりまして、急速に予備費その他によって対処いたしたいと思います。
  130. 井堀繁雄

    井堀分科員 一つなるべく早く御調査を願って、迅速な救済政策あるいは復興対策などに努力していただきたいと思っておりますが、七百八十三万というのは何ですか。
  131. 山内一郎

    山内一郎政府委員 宮崎県の公共土木施設の被害でございまして、道路七カ所、橋梁一カ所、これの被害金額が七百八十三万円というふうになっております。
  132. 井堀繁雄

    井堀分科員 長時間失礼いたしました。宮崎の問題も緊急な問題でございましょうから、早く手当をすれば割合に少ない経費で効果的な救済ができるという話を、よくわれわれは被害地を調査して現地の人に教えられますけれども、手おくれのないように一つこの点御留意下さい。これで私の質問を終わります。
  133. 中野四郎

  134. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 時間が大へんおくれておるようでございますから、二点だけ道路関係及び治水関係についてお尋ねをいたしたいと思うのでございます。  まず第一に道路局長にお尋ねいたしたいのでございますが、現在の一級国道の数及び二級国道の数がどのくらいになっておるか、及び両方合わせての総キロ数はどのくらいか、これをお尋ねいたします。
  135. 高野務

    ○高野政府委員 お答えいたします。現在の一級国道は、昭和二十七年に指定になりました四十路線、三十三年に指定になりました三路線、合計いたしまして四十三路線ございます。延長は九千九百五キロございます。また二級国道は、二十八年に指定になりました二百四十四路線と三十一年に指定になりました七路線、合計いたしまして二百五十一路線あるわけでございますが、その中から一級国道に三路線上がりましたので、現在では二百四十八路線ございます。延長は一万五千三十一キロメートルでございます。
  136. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 全国各地から、県道の二級国道への昇格、あるいはまた二級国道の一級国道昇格というような要望が非常に多いのでございますが、今一級国道に昇格を希望する数及び二級国道に昇格を希望する数及びキロ数をお知らせ願いたい。
  137. 高野務

    ○高野政府委員 地方道から二級国道あるいは二級国道から一級国道への昇格の希望は、ただいま申し上げましたこの前の国道の指定昭和三十一年以来引き続いて出て参っておりまして、三十六年一月末現在では一級国道に昇格要望の路線数は四十五路線ございまして、延長は六千四十七キロメートルでございます。二級国道への昇格要望の路線は八十三路線でございまして、六千七百七十八キロメートルでございます。
  138. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 そういうように地方からの要望が非常に多いのでございます。三十六年度から改定されます道路整備五カ年計画の策定にあたって、積算の基礎になっているのは、現在の一国または二国及び地方道の改良ということであると思うのでございますが、今新たにこうして一級国道、二級国道合わせて百二十八路線というものが昇格をするということに——実際はそれは検討しなければなりませんが、昇格するというようなことになったならば、積算の基礎が狂ってくるのではないか。従って国道の整備の方に金がたくさんかかってしまって、地方道の整備に非常に食い込んでしまいやしないか、こういうことを心配をいたすのでございます。私としては、先ほども大臣のお話のように、第二次五カ年計画までに産業の立地条件の検討をされたり、あるいは所得格差の是正の見地から、いろいろの角度から計画的に、しかも十分審査をして、第二次五カ年計画のときにこの昇格問題を一挙に片づけるというか、そのときに織り込んで考えるということが適切ではないかと思いますが、これについて大臣の御所見を承りたいと思います。
  139. 中村梅吉

    中村国務大臣 先ほど道路局長から申し上げましたように、昇格問題はなかなか熾烈な要望が各地方からございますわけで、私どもも頭を悩ましておるわけでございますが、これは地元としてはやはり非常に重要に考えられる線でも、全国的な視野に立って検討しなければならぬと思うのです。今羽田さんの御指摘のように、今後産業の地方分散あるいは立地条件というようなことと関連をいたしまして、努めてそういう産業関係の分布状態をよくすることに寄与できるようなものから選んで、きわめて慎重に進めた方がいいんじゃないか、こう思っておるわけでございます。確かに急遽たくさんの昇格等をいたしますと、国道に経費が食われまして、地方道の手当等が圧迫される危険性もございますし、これらの調整にはよほどあんばいのよろしきを得る必要があると思いますから、そういう配慮で慎重にやっていきたいと思っております。
  140. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 大臣の御答弁で、慎重におやりになるというお話でございますから、ぜひそういう方向で一つお進めをいただきたい、こういうふうに考える次第であります。  それから、治水五カ年計画でございますが、昨年末に総額四千億に決定をいたしたのでございます。しかし、この四千億というような額であっては、年々発生するところの災害の根本的な防除のためにはとうてい不足ではないかと考えるのでございます。これはちょうど宮崎主計官おいででございますが、とにかく治水計画についてはもっとワクを広めて予算を大きく盛り上げていくようにする必要があると存じますが、これについて大臣の御所見を承りたいと思うのでございます。
  141. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、治水の問題は、災害の防除との関係もございまして、きわめて重要であることはもう申すまでもない次第でございます。現在、今お話しのような五カ年計画がきまりましたので、私どもは、この五カ年計画をもっと延ばしていきたい気持はございますが、国の財政との関係もございますから、この五カ年計画を忠実に最も効果的に運用して参りたいと思っておるような次第でございます。同時に、災害関係は、おくれてやりますよりはできるだけ早くピッチを上げて進行した方が、それだけ災害を防ぐことができますから、そういうような意味で、三十六年度予算編成にあたりましても、大蔵省にかなり無理を願いまして、同じ五カ年計画でも初めのうちの伸び率をできるだけ高くしてもらいたいというようなことで努力をいたしまして、三十六年度予算といたしましては、従前にない事業規模の伸び率を示したわけでございますが、今後ともこの治水の重要性にかんがみまして、一そう努力をしていきたいと思います。
  142. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 それからなお災害の根本対策といたしましては、どうしても奥地の水源地の砂防ということが一番肝心であると思うのでございます。この砂防の予算が五カ年で総額七百三十億というような、私どもから考えますと非常に少ない予算でございます。これは農林省の治山の予算に比べましても、あまりに少額に過ぎると思うのでございます。これについてやはり治水計画全体の中でございますが、この砂防の予算をもっとふやしていくということが根本の防災対策ではないか、こういうふうに考えるのでございまして、これについて大臣の御所見を承りたいと思います。
  143. 中村梅吉

    中村国務大臣 五カ年計画のワクといたしましては、御承知通り河川改修、砂防、多目的ダム等に一応の配分が閣議決定されてできておる次第でございますが、私どもの方といたしましては、事業の実施にあたりまして、その実情を十分に検討して、河川の流域でありますとか災害の関係等いろいろにらみ合わせまして、総合的にある程度融通をして、砂防についても遺憾のないようにやって参りたいと思っております。
  144. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 ちょうど直接担当官の宮崎主計官おいででございますが、ただいまのような私の希望を、また三十七年度の予算のときはそういう四千億を改定するというような意気込みを持って一つぜひ増額をはかっていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  145. 中野四郎

  146. 芳賀貢

    芳賀分科員 建設大臣にお尋ねしますが、昨年の国会で治山治水緊急措置法が通りまして、これに基づいて十カ年計画、前期、後期、それぞれ五カ年計画が策定されて、効果を進めようとしておることは言うまでもないことなんです。この点につきまして、特に治水事業の長期計画を立てる場合は、法律におきましても、建設大臣農林大臣と合議して計画を策定する、あわせてこれは経済企画庁長官との協議も必要であるという議を経て、これは閣議で決定することになっておるわけですが、すでに前期五カ年計画は具体的な案というものを樹立されて、それぞれ関係都道府県知事に対して内容が通達されておるのであるかどうか、その点はいかがでしょうか。
  147. 中村梅吉

    中村国務大臣 河川局長から……。
  148. 山内一郎

    山内一郎政府委員 治山治水五カ年計画につきましては、治山治水緊急措置法によりまして、ただいまお述べになりましたように、農林省との協議、それから経済企画庁との協議によりまして一昨年の十二月に閣議決定を得た次第でございます。それの概要につきましては、府県に通知をすでにやっておるわけでございます。詳細についてはさらに検討して、都道府県知事に通知するということになっておる次第でございます。
  149. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、法律に基づき具体的に流域別、河川別の計画が決定した場合には、それを関係の知事に通達する、そういうことになっておるのですが、それはまだできてないわけですね。
  150. 山内一郎

    山内一郎政府委員 そこの段階につきましては、現在府県と総額の内訳について打ち合わせ中でございます。きまれば通知をする、こういうことになっておるわけであります。
  151. 芳賀貢

    芳賀分科員 それはいつごろ最終的な計画の決定を見るわけですか。
  152. 山内一郎

    山内一郎政府委員 その点につきましては、できるだけ早くやりたいと思っておりますが、来年度の予算の配分にも関連がございますので、それとあわせまして並行的にやっていきたい、こういうふうに考えております。
  153. 芳賀貢

    芳賀分科員 それではおそくとも来年度の予算が成立した直後ということになるのですか。
  154. 山内一郎

    山内一郎政府委員 三十六年の予算の配分につきましては、予算国会通過後さっそく府県に通知をするわけでございますが、そのときにあわせましてそういう準備を現在しているわけでございます。ただ多少来年度の予算の配分によりおくれるかもしれませんが、極力それに近づけてやりたい、こういうふうに考えております。
  155. 芳賀貢

    芳賀分科員 五カ年計画は昭和三十五年度を初年度とすることになっておるので、そうなると結局三十五年一年間は緊急措置法に基づく計画ということには実質上なっていないわけですね。
  156. 山内一郎

    山内一郎政府委員 そういう手続の点が多少そごいたしておりますが、治山治水緊急措置法によりまして、三十五年度を初年度として五カ年計画を作る、こういうふうになっておるわけでございます。いろいろな手続上閣議決定が昨年十二月にあった、こういう次第でございまして、多少府県等への通知もおくれておる次第でございますが、極力早目にやりたいと思っております。
  157. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に治山治水の緊急措置法に沿って、たとえば、かつてありました多目的ダムの特別会計のごときは、河川特別会計の中に統合することになっておるので、今度の治水五カ年計画の中には、従来の多目的ダム建設関係は当然計画の一環として明らかになってこなければならぬと思います。これらのダム建設の問題等については、今度の計画の中ではどのように具体的になっておるか、こういう点については建設大臣からできるだけ御答弁を願いたいと思います。
  158. 中村梅吉

    中村国務大臣 三十六年度分につきましては、個所及び事業の分量等大体予定をいたしておるのでございますが、それから先の分につきましては、今河川局長がお答えいたしましたように、他の治水事業と並行いたしまして、基本計画を立てまして、府県に連絡をする、こういうようにいたしたいと思っております。
  159. 芳賀貢

    芳賀分科員 多目的ダムの場合、特に洪水調整等の利水の目的、あるいは工業用水とか発電とか、特に農業関係の利水目的というものを軽視できないと思うのですが、特にダムの場合は、最近の政府の方針によりますと、所得倍増計画からいっても、水稲の今後の生産拡大については、できるだけこれを抑制するということで、ほとんど新規事業等がストップの状態におかれておるわけです。そうなりますと、今後この治水五カ年計画の線に沿って、上流に多目的ダム建設が当然行なわれるわけでありますが、ダムの多目的の中で特に農業水利の関係をどういうふうに扱うかということは、重要な点だと思うのです。ダム建設した場合、それを高度利用するということは当然なことですが、その場合に、米の増産に対して期待を持たない、抑制するということになると、多目的ダムの最大の効果というものは減殺される結果も出てくるのですが、こういう点に対しては主管の建設省としてはどのように考えておるか、大臣にお伺いしたいと思います。
  160. 中村梅吉

    中村国務大臣 この点は、食糧政策との関係から非常に重要だと思います。近年米が非常に増産されまして、十分に豊富な状態にありますけれども、しかしこれは連続豊作というものの影響しておると思うのです。かような点につきましては、農林当局とも十分打ち合わせしまして、多目的ダムを作ります以上は、やはり農業水利との関係も確かに御指摘の通りございまして、工業用水の問題、水道の問題等もありますけれども、非常に重要な一環をなしておりますので、今後の農業政策、ことに農業基本法ができまして、農業政策の進め方の基本がきまって参りますのに伴いまして、十分遺憾のないように協議をしてやっていきたいと思います。
  161. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは私が言うまでもなく、国の経済成長の上から見ても、水資源の確保という点からいっても、ダム建設は非常に大事な役割を果たすと思うのです。従って、ダム建設する場合は、そういう高度の目標というものを頭の中に置いて、完全な多目的ダム建設を行なう。その後に水をどのように活用するかということが具体的な問題になってくると思うのですが、基本的には、大臣の言われたような方針で進めるべきだと思うのです。  そこで具体的な事例を申し上げて質問したいのですが、たとえば北海道関係については、北海道分の建設農林関係の公共事業は北海道開発庁が企画とか予算関係所管しておる関係があって、内地の府県とは実情が違うわけです。しかし一たん予算が成立しますと、これらの実施については建設省とか農林省にその実施すべき予算移しがえして、そうしてそれぞれ農林建設両省の責任において事業を実施するという形がとられておるわけですが、三十六年度の予算案の編成の過程において、たとえば北海道の金山ダム建設予算づけについても、これは政府部内あるいは与党内部においても非常に議論があったところだと思う。これは実は昨年度すでに事業実施に入るべきであったのが、これは一年間ずれまして、ことしの予算を見ますと一億円だけ計上されておるわけですが、多目的ダムの場合でも、ダム関係の工事は建設省が担当するということになっておるので、特に北海道開発予算との関連において、この金山ダムのことしの一億円の予算というものは、何に使用するために計上されたかという点、これは最後に各大臣折衝で一億円の確保が行なわれたということも聞いておるので、この点は建設大臣も苦労なすったと思うのですが、一体一億円を何に使うために計上されたかという点について御説明願います。
  162. 中村梅吉

    中村国務大臣 御承知通り、金山ダム予算につきましては、先ほど御指摘のありましたように、多目的ダムでございますから、もちろんあそこに開田ということが関連をしておったわけでございますが、開田については、食糧事情から見て、もう少し考えたらいいじゃないかという意見も部内の一部にございまして、そのために相当議論に花が咲いたわけでございます。しかしすでに調査も完了いたしておりますし、開田ということも、これは農林省の将来の方針として必要がなくなったということはあり得ないことだとも思います。同時にまた洪水調節その他の目的にも利用できるダムでございますから、すでに調査が完了いたしておりますので、やはり着工をすべきであるという角度で、三十六年度一億円を予算中に計上ができたような次第でございます。これについてはすでに調査が終わりまして、設計等もできておりますので、ダム建設に緊急に要する用地の買収及び工事施工の諸準備をこの予算において、三十六年度をダム建設の初年度として進めていきたい、こういうようなつもりでおるわけでございます。
  163. 芳賀貢

    芳賀分科員 話が少し具体的になるのですが、北海道の開発局というのは、御存じ通り建設省あるいは農林省の工事実施の出先機関であるというようにわれわれは理解しているのですが、それに間違いないですか。
  164. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 北海道の開発予算関係でありますので、便宜お答え申し上げます。現在北海道総合開発法によりまして、北海道開発局は開発庁の支分部局として設置されております。従いまして、一応組織上は北海道開発庁の下部機関ということになりますが、御承知のように、北海道開発局は、北海道の開発事業を実施する機関でございまして、そのうちの直轄事業をすべて開発局で実施いたす、その開発事業の実施につきましては、先ほど御指摘の通り建設省あるいは農林省の各主務大臣のみがこれを監督するという規定がございます。従いまして、事業の実施という関係では、建設省農林省の各大臣の区処を受ける機関ということになります。予算上の問題といたしましては、御承知通り開発庁に北海道開発事業費というものが計上されますけれども、これを建設省農林省に移しかえをいたしまして、そして建設省農林省の予算として実施をする。従って、移しかえ後の関係におきましては、たとえば建設省の下部機関である地方建設局と全く同様であります。
  165. 芳賀貢

    芳賀分科員 その通りですが、そこで、実はこの金山ダムの補償問題については、すでに御承知通り、これは約二百四十戸水没することになっておりまして、全国的に見ても、その規模においてちょっと例のないような実情です。従って工事を進める場合には、この水没被害者の完全なる理解と協力というものがなければ、これは実行に移せないわけです。そういう関係もありまして、出先機関である北海道開発局が現地におもむいて、そして現地の水没者の皆さん方と数度にわたって折衝して、大体十二月にいたって補償基準なるものを、両者話し合いのもとに妥結したという事実がある。正式調印には至っておらぬが、これは現地側においては、工事施行の責任のある、これは建設省の出先機関としての責任においての開発局が現地と折衝して補償基準なるものを作った。現地もそれに応じて、これならやむを得ぬというので妥結に至ったわけです。この妥結するということは、結局昭和三十六年度から補償の支払い、あるいは工事の実施にあたって、これをやっておかなければ予算の獲得もなかなかできないのだからということで、現地も相当主張すべき点も譲って妥結したことになっているのです。ところが今回の政府予算を見ると、わずか一億円ですが、少なくとも四億円程度の補償費が必要になってくるわけです。そうなると、大臣はこの一億円というものを補償に使ってからと言われたが、一体四億円以上も必要とする政府の補償を、わずか一億円くらいにこま切れして、ことし予算に計上した場合には、一体熱意を持ってすみやかに補償を行なって、そして農業者の場合には他にかえ地を求めて転出するとか、それから農業以外の人たちについても住居を移転するとか、いろいろな準備が必要になってくるわけですが、これらの人たちは政府責任というものに信頼を持って、すでに事前的に準備を進めている人たちも相当多いというふうにわれわれは承知しているわけですけれども、それがわずか一億円しかつかぬ。しかも最後の大臣折衝で一億円だけついたという経緯から見ると、一体今後これをどうやるかということは実に重大な問題で、現地においても不安動揺がどんどん高まって、社会問題にまでも発展するような様相を持っているわけですが、こういう点に対しては、この際責任ある大臣の御答弁をいただきたい。
  166. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、主として所管しておられますのは小澤国務大臣でございますから、私から申すのは少し僭越のような気もいたしますが、三十六年度に計上いたしました一億円で、ダム建設上直ちに用地回収をしなければならないところの補償等を行ないまして、その他の水没地域の分につきましては、今お話を承りますと、だいぶ地元の御協力をいただきまして、基本的な協定等も進行いたしておるようでございますが、ダム建設されまするまでの間は、現状で職に従事していただけるわけでございますから、これらの部分につきましては、もちろん御指摘の通りばらばらにこれを年度別に補償するというようなことは、非常に部落としては一括して他の場所に転じて職につくという形でなければ困ると思いますから、来年度、次の年度でこれは措置するようにわれわれとしては努めていきたい、こういうように考えます。
  167. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは大事な点ですが、それではことしはわずか一億円で遺憾にたえないが、しかし来年度においてはこの補償関係は必ず全部完了さして工事を進める、そういうことに間違いはないのですか。これは大事な点ですから、御答弁願います。
  168. 中村梅吉

    中村国務大臣 今申し上げたような次第で、もちろんこの水没地帯につきましては、ばらばらでないように、一括して処理できるように、われわれとしては努めていきたいと思います。
  169. 芳賀貢

    芳賀分科員 ですから昭和三十七年度には補償関係は全部完了さして、すみやかに建設が進むようにする、そういうことを政府責任で御言明できるのですか。
  170. 中村梅吉

    中村国務大臣 財布のもとを握っておる大蔵省があることでございますから、大蔵省も幸い出席されておりますから、ぜひわれわれはそういうように実行いたしたいと思います。
  171. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは大蔵大臣は見えておりませんが、大蔵省の主計官からこの点に対する答弁を……。
  172. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいま建設大臣のおっしゃった方向であろうと思いますが、御承知のようにダム建設につきましては、先ほど別の委員からの御質問もありましたように、手続といたしまして、まず着工前に基本計画を策定することになります。この基本計画が金山ダムにつきましてはまだできておりませんが、これが三十六年度できるだけ早い期間に策定されることになると思います。その際に予算編成段階でいろいろ問題になりました農業計画につきましても策定が行なわれるわけであります。御承知のようにこのダムの農業計画は非常に大きな計画でございますので、農林省の方としても非常に重視しておる問題でございますから、その辺の検討にどの程度の時間を要するか、これはちょっと今のところ予測は申し上げられませんけれども、いずれにしましても、三十六年度中には基本計画の決定ということに持っていかなければならぬだろうと思います。そういうことで計画が決定いたしますると、ダムの事業が着工されて参るわけでありますが、すでに御承知通り、数年調査もいたしておりますので、この地区に対する工事用道路の問題あるいは地質の問題というようなものは相当程度わかっておりますけれども、やはり実際に着工ということに相なりますと、地質調査などにつきましても今後また相当の金をかけるという事態も生ずるかと思います。補償の進捗と申しますのはそういった事業の方の進捗とにらみ合わせてやるということが普通の形でございますけれども、最近は御承知のように、この補償問題というのは一括してやってくれという要望も非常にございますので、そういう場合にはこれを一括決定するということもけっこうかと思います。いずれにしましても現在予算がきまってこれから着工するという段階でございますので、そういったいろいろの手続の進み工合、さらに補償の具体的な計画の決定の状況というようなものを見まして予算措置をしていかなければならないと考えております。もちろんこの問題は、先ほど御議論も出ました治山治水の五カ年計画にも入ってくる問題でございますから、そういうところで全体のタイミングもやがてきまることと思いますが、それがきまりましたならば、それに応じて予算措置をして参りたい、こういうふうに考えております。
  173. 芳賀貢

    芳賀分科員 そういう迂遠な答弁を聞いておるのではないのです。すでに事業が実施ということになって、一億円のわずかの予算がついておるようだが、これは当然順序としては補償に充てるものなんです。補償の場合には四億円以上必要ということはわかっておるのです。しかもその補償の点については、これは現地が協力した体勢になって、昨年の十二月、開発局という政府の出先機関が政府責任において現地側と幾多折衝をして、大体現地もやむを得ないという二とで、基準案なるものは妥結しておるわけです。他のダム問題のような場合には、なかなか全体の妥結に至らないからして、やむを得ず一部工事を実施しながら、それに並行して補償問題を片づけるのが通例であるのに、この金山の場合は、事前に全部妥結ということになっておるわけです。これだけ形が違うわけです。ですから今ごろ今後検討してというようなことを言う必要はないのです。それではあらためてお尋ねしておきますが、この開発局が行なった基準案の妥結という点に対しては、建設省等においては当然責任を持っておるわけですが、どう考えておられるか。  それからまた今主計官の言った点ですが、すでに金山ダムの場合は昭和三十四年に全体設計が終わって、三十五年から着工すべきだったのが、去年は一年間これが延ばされて、そうして架空な実績経費というのが計上されたのにすぎないのであって、これから地質調査をやるとか、実行の計画を立てるというような必要は全然ないわけです。だから現地で二百数十戸の人たちが非常に不安動揺しておるという、この事実を取り上げた場合、まず順序として補償問題に対してはどうするということを、当然政府責任で明らかにしておく必要があるわけです。建設大臣はただいま今明年これは完了させるということを言明されたのですが、今の大蔵省の答弁からいうと、それさえ明らかでないようなことなんです。答弁をもっと集約して補償問題に対しては三十七年度で全部終わらすなら終わらす、補償しないならしないということをここで明らかにしてもらいたい。
  174. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 説明が少し回りくどかったことでおしかりをこうむって恐縮でございますが、やはり必要な手続は踏まなければならないと思います。補償の基準についてどうというお話がございましたが、この点は私聞いておりませんので、なお北海道開発庁当局からも聞いてみますが、いずれにしましても、基本計画が決定いたしました後において工事が始まるわけであります。補償の問題といいますのは、それは一括金を払ってしまえばそれでいいじゃないかというふうに、簡単には私は参らぬものと思っております。といいますのが、御承知のように水没地の方はよそに移るわけでありますから、その移るところの実際の場所とか、あるいはそこでどうするというようなことを、通常の場合ですと、それを個々にきめまして、そして具体的な移転が行なわれていく、この移転が行なわれていくのは一年間で全部できるというような場合は非常に少のうございまして、通常の場合は二年なり三年、あるいは場合によると四年程度の日子を要する。その間に逐次それぞれの人の計画によって動いていくというような形になるのが通常であります。従いまして、補償の契約、たとえばそれを全額契約するということは、これは全部きまるのであればけっこうだと思いますが、具体的な予算措置として、それに資金をつけていくというやり方は、これは進行状況というのが問題になるわけであります。三十六年度、三十七年度で全部移るのだという計画がきちっとできるのであれば、これに応じて措置をいたしたいと考えます。
  175. 芳賀貢

    芳賀分科員 ただいま現地で行なわれた基準の内容等については知らないということなので、これは委員長にお願いしますが、資料として要求します。北海道開発局が金山ダムの補償について現地と協議して妥結した補償基準案なるものを、政府責任で提出していただきたい。これを委員長からお取り計らい願いたい。
  176. 中野四郎

    中野主査 そのように処置いたします。
  177. 芳賀貢

    芳賀分科員 時間の関係があるので、この際補償基準をきめた場合の開発局の基本的な態度のおもなる点だけをここで申し上げておくと、第一は補償基準を妥結して、新年度——これは三十六年度のことを言うのですが、新年度の予算確保に持ち込めば事態を円滑に処理することが可能であるから、これはどうしても十二月中にきめる必要があるということで現地は望んだわけです。それから新年度直ちに支払いできるものについては、これは順序があるわけですが、まず水没者の立ちのき先のせんさく旅費と、所有権を国に移転することにより、宅地代金、耕地代金——これは農地とか採草、放牧地も含むわけですが、それらの土地の対価、さらにまた離作する場合の離作補償料等も含めて、これは新年度に支払いするようにする。次には、実際には現地から立ちのきを必要とするのはダム建設状態とも関係するわけでありますが、立ちのきを必要とする時期は昭和三十九年度末でよろしい、この間は国有地となった土地利用は無条件でこれを認める。たとえば所有権が国に移転された場合、この三十九年度に立ちのくまでの間のその土地利用等については、所有者がそれを無条件で利用することを認める。従って昭和三十七年、三十八年、三十九年の三カ年間、国有地となった土地については無年貢、無公課で使用できること。三カ年間そのような利用が許容されることは、見方によれば事実上土地代金が前払いされたことになり、この間の金利を計算しても相当額に達するものであるということ。こういうことが交渉の過程で当局からも相当、——条件ともみなされるわけでありますが、強調されておるわけです。ですから、補償を受ける関係者も、この開発局当局側の補償基準の提示価額と、関係者の間の主張する価額との間には相当の開きは当初あったのでありますが、こういうような具体的な条件、あるいは立ちのきの時期等の提示があったので、これは相当大幅に歩み寄りを示して、それで妥結するようなことになったわけであります。それから年がかわって、ことしの一月の予算編成の時期においてもいろいろ当局側との間に話し合いが進んで、予算がつけば、補償金についてはその八〇%以上の支払いを三十六年度において開始する、そういうことがるる述べられておるわけです。こういうことを、予算編成した当事者の大蔵省も全然知らぬとか、建設省農林省も知らぬというようなことは、こういう国会答弁としては当を得ないのです。それでは開発局が勝手に現地でやったかということになりますと、そういう無責任なことは決してやっていないと思うのです。ですから、そういう意味においてただいま私から委員長にお願いしたような基準案の内容をお出し願うと同時に、それを大蔵省、建設省側においても十分精査して、それに対しては責任を持ってもらいたいと思う。どうですか、建設大臣
  178. 中村梅吉

    中村国務大臣 お話のようなところまで進んでおるといたしますれば、多分直接の上級官庁であります北海道開発庁には来ておると思うのであります。しかしまだ私どもつまびらかにいたしませんので、よく開発庁と連絡をいたしまして確かめてみたいと思います。
  179. 芳賀貢

    芳賀分科員 最後に、それではこの一億円の使途については、これは主として補償に充てるということには間違いないわけですね。
  180. 山内一郎

    山内一郎政府委員 一億円の使い道につきましては、開発庁並びに開発局とよく打ち合わせをしている段階でございますが、今までのお話のような状況でございますので、補償に極力充てたい、こういうふうに考えております。
  181. 芳賀貢

    芳賀分科員 その点については、これは工事実施ということになれば、建設省の全面的な責任において行なわれるわけですから、開発庁等と相談なさるのは御随意であります、あるいは農林省と相談することもいいが、とにかく主管の省はあくまでも建設省として金山の地点に多目的ダムを作るということは間違いない厳然たる事実だと思う。ですから当然これは補償費に充てるとか、来年度においては補償を完了させるとか、こういうことを現地の水没地域の住民の人たちにすみやかに知らせる必要があると思うのです。政府はこういう方針で、こういう責任で行なうのだからして了解してもらいたい、今までおくれて申しわけなかった、ことしの一億円はまことに微々たるもので済まなかったというくらいの熱意を披瀝して、現地の十分なる理解と協力を得ておく必要があると思うのですが、建設大臣はどのようにお考えになりますか。
  182. 中村梅吉

    中村国務大臣 考え方といたしましてはそのように進めていきたいと思います。ただ先ほど宮崎主計官からもお答えがありましたように、いろいろ基本計画を策定いたしまする手続、順序等もございます。その順序も必ず三十六年度中にはできると思いまするけれども農林省その他他省との関係もございますし、ことに北海道開発庁とは緊密な連絡をとって参らなければなりませんので、私どもといたしましては、そういたしたい気持であるということを申し上げまして御了承いただきたいと思います。
  183. 芳賀貢

    芳賀分科員 時間の関係できょうは以上でとどめておきますが、特に補償の基準の問題については、政府側においても、現地でどういう基準案を作成したものであるかということを御調査になって、調査の結果についてはまた私どもの方に説明なりあるいは資料を御提出願いたいと思います。それはいかがですか。
  184. 山内一郎

    山内一郎政府委員 現地の開発局が水没される方々との間にいろいろな補償の折衝をしておりますが、その間に一応示しました基準につきましては、私どもにおきまして資料を御提出したいと思います。
  185. 中野四郎

    中野主査 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がないようでありまするから、建設省所管に対する質疑終了いたしました。  明三月一日は午前十時より開会し、運輸省所管の審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十九分散会