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1961-02-27 第38回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十七日(月曜日)     午前十時二十八分開議  出席分科員    主査 中野 四郎君       愛知 揆一君    中村三之丞君       羽田武嗣郎君    船田  中君       山崎  巖君    井手 以誠君       石田 宥全君    阪上安太郎君       島本 虎三君    田口 誠治君       楯 兼次郎君    兼務 床次 徳二君 兼務 川俣 清音君    兼務 井堀 繁雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         自治事務官         (大臣官房長) 柴田  護君         自治事務官         (大臣官房会計         課長)     中西 陽一君         自治事務官         (行政局長)  藤井 貞夫君         自治事務官         (選挙局長)  松村 清之君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君         消防庁長官   鈴木 琢二君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君     ————————————— 二月二十七日  分科員小松幹君及び松井政吉委員辞任につき、  その補欠として阪上安太郎君及び石田宥全君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員石田宥全君及び阪上安太郎委員辞任に  つき、その補欠として島本虎三君及び田口誠治  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員島本虎三君及び田口誠治委員辞任につ  き、その補欠として松井政吉君及び小松幹君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  第二分科員床次徳二君及び井堀繁雄君が本分科  兼務となった。 同日  第三分科員川俣清音君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年度一般会計予算自治省所管  昭和三十六年度特別会計予算自治省所管      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野主査 これより会議を開きます。  昭和三十六年度一般会計予算及び同特別会計予算中、自治省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次分科員 三十六年度地方財政計画ができたのでありまするが、一兆九千百二十六億円でありますが、大体これは国の基調と同じゅういたしまして編成したと言っておられるのであります。この間において地方要望というものと、国の予算編成方針というものと、はたして合致しているかどうか。地方要望というものが国の予算編成方針以上になっておるものもあるのではないかと思うのでありますが、その間の調整をどういうふうにして作られたか、伺いたいと思います。
  4. 安井謙

    安井国務大臣 ちょっと恐縮ですが、地方要望といいますともうちょっと具体的に……。
  5. 床次徳二

    床次分科員 地方自治団体必要歳出が相当あると思うのですが、今回の財政計画は主として国の基本方針と申しまするか、所得倍増計画等を参酌して作ってあるのじゃないかと思うのであります。地方自治体行政水準向上というものは、地方自治体としてのかなり強い要望だったと思うのですが、そういうことに対して御配慮はどの程度されておりますか。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 お答え申し上げます。ことしの地方財政計画につきましては、今お話通り同じようなレベルで広がりを見せておるわけでございます。しかしその中でも、特に地方のいわゆる行政水準向上というものに対しましては、相当な配慮をやっておるつもりでございまして、ことしの投資的経費の中でも、本年度に比べますと一千五百億以上の増加を来たしております。しかもそのうちの約半数に当たりまする七百数十億というものは地方単独事業かさ上げと申しますか、いわゆる行政水準向上の方に振り向けておるというふうな構成をいたしておるつもりでございます。
  7. 床次徳二

    床次分科員 次に、ただいまの問題に関連いたしまして、地方税減税についてお尋ねいたしたいと思うのです。今回は主として国税減税を行なわれたのでありまするが、国民負担の全体から申しますると、もっと地方税というものを減税してよいのではないかということが考えられておるわけであります。本年の減税計画最小限度にとどまっておるのでありますが、将来の地方税減税に対して政府いかよう考えられるか、承りたいのであります。とかく地方財政の組み方から見ますると、国の交付税あるいはその他の財源がないという意味から、地方税減税も行なうべくして行なわなければならないと考えられながらも、これが行ない得ないということもあるのではないかと思うのでありまして、この点本年度は困難かと思いまするが、将来の国民負担軽減という意味におきまして、地方税というものに対していかように扱われるか。国の財源補てんがあるならばこれを減税しようとお考えか、あるいは国の財源補てんというものと別個に、やはり減税減税としてやっていくかどうかという点も残るのでありますが、どうしても必要があるならば、国からの財源をもらいましてでも地方税均衡を得た減税を実施すべきものと思うのでありますが、この点承りたいと思います。
  8. 安井謙

    安井国務大臣 お話通りでございまして、三十六年度地方税減免につきましては、国のレベルから申しまして非常に薄いといいますか、わずかな量しかできなかったようなわけでございます。従いまして全体から申しまして、国民税負担の建前から申しますと、将来も十分これは検討され、さらに軽減されるべきものであるというふうに私ども考えておるわけでございます。ただ実態的に見まして、今お話にもございましたが、地方税の占めておりまする割合地方財政に対する割合というものが、国と事情がいささか違いまして、全体の地方財政収入のうちの四〇%程度のものでしかないわけであります。これと同じような割合で落としていくということになりますと、非常に地方税地方財政収入との間の均衡を失するというような現状にも今相なっておるわけであります。しかし一方では、どうしても国民税負担現状というものから落としていかなければならぬという命題もございますので、この二つをかみ合わせまして将来どういうふうに考えていくかという問題になろうかと思いますが、私ども考えますのは、何と申しましても地方税国税との均衡を将来もう少しとっていきたい。そうしてその上で国税地方税との間と並行した減税も常に行なわれるような形をとりたい。そのためにはどうしても税制改正基本考えていくのでなければなるまいかというふうに考えております。幸いにしまして、ことしも税制調査会でいろいろと検討されておりまして、国と地方の税の均衡といったような問題も取り上げられるやに伺っておりますので、私どもはその答申を見ました上で、将来十分今の御指摘の点も考えていきたいと存じておる次第であります。
  9. 床次徳二

    床次分科員 次に地方格差是正の問題について意見を伺いたいと思います。今回予算編成におきましては、所得倍増に伴いまして格差是正について相当努力しておられる。自治省関係におきましては、後進地域開発促進のために、開発公共事業につきまして国庫補助率段階的引き上げを実施されるということにつきましては、これはけっこうだと思います。これは十分やっていただきたいと思いますが、なお格差是正につきましては交付税配分の問題があると思うのであります。従来までも多少ずつやっておられたが、今回政府のいわれるところによりますと、財源を傾斜的に増額いたしまして、そして財政貧弱な地方是正をはかるように言っておられるのでありますが、その程度はどの程度のことを考えておられるか、その交付税改正に対する御所見を伺いたいと思うのであります。
  10. 安井謙

    安井国務大臣 財政基準の修正に対しましては、交付税の方、それから国の公共事業に対する補助金の方、いずれもでき得る限り傾斜的な方式をとっていきたいと思っておる次第でございまして、たとえば農業関係の方につきましても、農業行政費といったようなものに相当交付税基準需要額増額を計算していくといったようなことも考えております。それから公共事業につきましては、今まだ完全に成案ができておりませんが、これも関係当局と打ち合わせながら今言った方式をとろうとしておるわけでありまして、計数的なものにつきましては事務当局から御説明させます。
  11. 柴田護

    柴田(護)政府委員 財政局所管でございますが、私が承知しております限りにおきましての現在考えておりまする考え方を申し上げたいと思います。一つは、従来二十種地に分かれておりまして計数をきめておりました態容補正係数の低種地間差を縮める。言いかえますならば、十種地から一種地までの間差を縮めるわけでございます。従って種地の低い市町村態容補正係数は反射的に上がってくる。それによって基準財政需要額が増す、こういうことになります。もう一つは、今まで特例債について考えておりました財政力補正という補正係数の名前でございますが、基準財政収入額基準財政需要額比率の逆数をとって、その特定債公債償還費基準財政需要額財政力の低いところに割増ししておったわけでございますが、その範囲単独災害復旧事業債まで広げて参りたい。この二つのことをやりますと、相当財政力の貧困な団体につきまして基準財政需要額が増して参りまして、財源配分均衡化が進んで参る、かような方向で考えております。
  12. 床次徳二

    床次分科員 今度の所得倍増計画が実施されますと、いろいろな方面において貧弱県に対して影響が大きいのでありまして、この交付税配分につきましては、ただいま例をおあげになりましたが、なお十分従来のものを検討して一つ格差是正に当たっていただきたいと思います。  なおこれに関連いたしまして、同じような問題でありまするが、実は御所見を承りたいのですが、教育費の問題であります。今回自治省所管におきましては、やはり投資的経費財源を充実しておられて、その中におきましては、産業の発展あるいは生活向上のため、産業関連事業文教費環境衛生施設費というようなものに対しまして相当財源を充実しておられるのでありまするが、しかし本来の義務教育費そのもの負担状態を見て参りますると、実は後進地方と他の地方とは非常に不均衡があるということが見られるのであります。なお国庫負担法によって二分の一の負担はしておるのでありまするが、貧弱県ほど実は教育費に金がかかる。かけた金がその団体に返ってきているかというと、せっかく青年を育てておきながら、この青年に対する教育費というものは、実はその利益を受けるのは、その県から出ていって富裕県に行って工場に勤める、あるいは商工業の盛んなところに行って勤めるということになりまして、後進地方青年養育ということにうんと金がかかる、父兄も負担をしておるが、財政的利益はほかの団体が占めるという傾向があるのではないかと思うのであります。最近は義務教育ばかりでなしに、一般高校充実等考えて参りますと、その点地方団体負担から申しましてさらに差ができてきておるように思うのであります。この点は直接には文部省関係の事柄ではございますが、地方財政という立場から申しますと、自治省といたしましてもこれに対してはいろいろお考えがあるべきだと思うのであります。私自身の私見から申しますならば、この際義務教育費半額負担というものをもっと増額しなければならぬことは当然でありまするが、一律にこれを半額負担をする——今日不交付団体というものが一部ありますが、全体的のいわゆる教育費の分担ということから申しますと、必ずしも公平なものではない。地方財政力にこれが均衡を得ているものではないように思うのでありまして、この点に関しまして自治省といたしまして地方財政立場からいかようにお考えになるか、承りたいと思うのでございます。
  13. 安井謙

    安井国務大臣 おっしゃる通り義務教育費全体の負担地方財政に及ぼす影響は、いわゆる後進地域におけるほど負担が大きい割合になってくるものであろうということはお話通りであろうと存じます。ただいま組み合わせております点では、いわゆる義務教育関係負担をして、国が都市に準じた扱いをいたしておるわけでございます。しかし一般行政費の問題あるいは施設費に対する起債の問題というような点からは、今後も現実において十分配慮いたしていきたいと思っております。ただ半額負担の率を今直ちに変えるかどうかという点につきましては、お話を伺いまして今後も十分検討いたして参りたいと思います。
  14. 床次徳二

    床次分科員 なおこの問題に関しましては、従来も自治省でだいぶ努力してこられたのでありますが、PTA並びに一般市町村義務教育費以上の負担義務教育に対してしておるということが、貧弱団体に対する隠れた財政上の圧力になっておったと思う。こういうことに対しましては、いわゆる行政水準向上という立場から漸次補給をしておられる努力は認めるのでありますが、まだずいぶん問題が残されておるのじゃないかと思いますので、さらに御努力を願いたいと思います。  なおこれに関連して、地方財政計画の中におきまして、私が地方実情政府の意図するところと多少異なるものがあるのじゃないかと思いますものは、いわゆる人件費と申しますか、給与に関する諸費であります。これは地方財政実情から見まして、財政計画において自治省が予期しておられる数字と実際に地方でやっておりますものとはかなり開きがある。この点は地方財政運営から見ましていかがなものかと思うのであります。これは地方自治団体がやっておるのだから仕方がないといえば仕方がないかもしれませんが、半面におきまして給与費の増大ということは、同時に担税者立場から見ますと批判の種になるというわけでありまして、この点に関しまして政府は、いかようにして本来政府考えておられる基準限度において給与費等人件費の膨脹を押えていくか。半面におきましてこれは同時に事務能率の増進ということも意味すると思うのでありますが、そういう指導に当たられるかということに対して意見を承りたいのであります。
  15. 安井謙

    安井国務大臣 実際に政府考えておりまする割合と、またそれ以上に地方負担をしなければならぬ現状というものがあるという御指摘であろうと思いますが、この調節はできるだけ機構的に見て政府方針にもマッチするような軌道で移すのが筋であろうと思う。しかし現実にはなかなかそう参らぬ点があるのでありまして、その点につきましては基準財政需要額の方から若干の補促もする。あるいはこれは給与に限りませんが、投資的経費なんかにつきましては、特にそういった観念があろうかと思います。そういうものは三十六年度におきましては、若干財政需要額補正も出して、その欠陥を埋めるというふうにしておる次第でございます。
  16. 床次徳二

    床次分科員 財政計画のあり方と現実市町村歳出と差があるということ、これはむしろ投資的経費につきましては、実情から見てやむを得ない。支出の対象がそういうものでありますから、納税者としてもこれはある程度まで理解ができると思うのであります。しかしこれが給与費等増額になるということになると、担税者立場はだいぶ異なるのじゃないかと思うのでありまして、この点は特にお考えをいただかなければならないと思いますが、そういういわゆる給与等基準に対しまして、自治省としてはある程度までの監督指導というものはやっておられると思いますが、どの程度におやりになっておりますか。
  17. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御指摘通り給与の問題については大へんむずかしい問題があるわけでございます。最近におきましても国家公務員に準じて給与改定を行なうということについて、相当これとは違った角度の給与改定を行なおうといたしました市が岐阜県下、三重県下等におきまして起こったわけでございます。その際に自治省といたしましては、特に低いものについてこれを切りかえにあたって、国家公務員の幅よりも大きくしていくということについては異論はないわけでございますが、特に国家公務員ベース以上に給与の額をきめていくということについては、強くその是正を希望して参ったわけでございまして、結果において改まったものもございますし、なおいろいろ残っている部分もあるわけでございます。今後といえどもこういう点については、自治省としては強い態度をとって参りたいと思っておるわけでございます。  なおまた再建団体等におきまして、職員をふやしていくというような問題につきましては、あとう限り類似の団体においてはどの程度職員でそのことを処理していくかというようなことを参考にしながら、それを上回らないように監督をしていくという態度を続けて参っておるわけであります。  もう一つは、常に職員構成を適正にしていくという問題があるわけでありまして、いたずらに老齢職員をたくさんかかえ込んでしまっておるということは、結果的には給与費増高にもなってくるわけであります。従いまして新陳代謝が円滑に行なわれるというような仕組みをとっていかなければなりませんし、またふだんからそういうような態勢に持っていかなければならないのだ、こう思うのであります。そういう意味においては、なるだけ早い機会定年制の問題を取り上げるべきだ、財政当局としてはこれを取り上げない限りは、その面から給与費がなお一そう増高を続けるであろう、こういうような心配を持っておるわけであります。
  18. 床次徳二

    床次分科員 次に自治省所管奄美群島復興信用基金の点について伺ってみたい。この創設は地元に非常に利益を与えておるのでありまして、復興を促進しておることは事実でありますが、ただその実態が必ずしも実情に即しないではないかと思う点は、その貸付年限というものが短きに失するのではないかと思います。復興事業等について、工場等を設けたものにつきまして、償却の期間が間に合わないというような地元からの意見を聞くのでありますが、この点に対しましては、実情に沿って多少年限を延長するというような余地があるものかないものか、伺いたい。
  19. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 奄美関係融資基金の実際の貸付条件等に関しまして、お話のような問題は確かにあると思います。これは融資業務方法書その他につきまして大蔵当局とも検討しながら決定をいたしておるのでありますが、まだ発足いたしても間もございませんけれども、すでに償還期限等につきまして、もう少し延ばした方がいいのではないかというような要望の出ておることは承知をいたしております。私たちといたしましては、過去二年間におきまする実績あるいは要望というような点にさらに検討を加えまして、今御指摘のような点につきましても、全体の運営等について根本的な支障が起きない範囲内において、できるだけ業者の有利な体制に持っていきたいというための努力は今後とも一つ続けて参りたい、かように考えております。
  20. 床次徳二

    床次分科員 最後に消防団員の問題について伺っておきたいと思います。消防団員の待遇の改善につきましては、これは多年要望されたものであります。今回退職団員報償に関して経費ができたことはまことにけっこうでありますが、当初予想されたものと比べますと、この点は内容におきまして金額等も著しく減っておるわけでありまして、この点一般団員の期待に反するものがあるのではないかと思うのであります。新しい制度におきましては、いかように運用されるつもりか、この点はかねて予想されたものとどの程度の差ができるか、あるいは差のないように運営していこうというお考えでありますか、それを承って私の質問を終わります。
  21. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 お話がありましたように一昨年から計画いたしました消防団員退職報償の問題は、当初われわれが計画いたしましたのは基金を作りまして、一定年限勤続した者に対して現金で退職金を支給するという計画で、その当時の計画は、市町村掛金が六億円、政府補助金が六億円ということで、大体十二億のワクの中で実施しようということでこの計画を立てたのでございますが、今回の予算審議事務折衝の途中いろいろな意見が出まして、結局問題は六億の市町村掛金を出させるということは事務的にむずかしい問題もあるものでありまして、従来たとえば災害補償基金の運用のための掛金等につきましても、六億の掛金を徴収するということは現在の段階では非常にむずかしいのではないか。もう少し様子を見て、下準備すべきものはしてからなら別でありましょうが、直ちには非常にむずかしい問題ではなかろうかといういろいろな議論が出まして、結局趣旨として消防団員国家のためにもいろいろ災害にあたって身命を賭して働いておるのであるから、せめて退職のときには政府が御苦労だったという程度意思表示をすべきではないか、こういうことでそういった掛金方式による考え方を改めまして、一方的に政府が永年勤続して退職する消防団員に対してその労に報いるために、御苦労だったという意味での報償を出そう、こういうことになりまして、その金額が七千万円予算に組まれたわけでございます。
  22. 床次徳二

    床次分科員 そうしますと根本的ないわゆる両方から掛金を出してやるというものにつきましては、なお将来機会があればこれを財源関係でもって実行する、検討するという将来問題を残されたわけですか。
  23. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 お話通りです。
  24. 中野四郎

  25. 石田宥全

    石田(宥)分科員 政府は、本年度所得倍増計画を主張し、農業に対してはその生産性がきわめて低いので、従来は他産業と比較いたしまして三分の一程度にあるという状態から、生産性において他産業均衡せしめ、同時に生活水準をも均衡せしめることを主たる目的とした農業基本法において、農民に大いなる夢を与えているのでありますが、しかし、具体的な政策の面で、至るところにこれと逆行するような政策を暴露しておるのであります。私が質問しようとする住民税に対する家族労働力、いわゆる専従者控除でありますが、その取り扱いはその一端の現われであると考えられ、まことに遺憾しごくと言わざるを得ないのであります。政府は今回所得税法人税並びに地方税事業税自家労力必要経費に算入するというような減免をしようとしておるようでありますが、まず第一に農民諸税公課現状を明らかにする必要があると思うのであります。この点について、農民諸税公課負担の中における国税地方税とその他の公租諸負担、こういうふうに分けて、その比率がどの程度であるか、これをまず一つ伺いたいと思うのであります。
  26. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 農民税負担現状がどういうようになっているかということでございますが、間接税を含めませんと全体の関係がわかりませんので、詳細なことはわかりませんが、現在の農家税負担は主たるものが固定資産税及び住民税、こういうことになっております。従いまして、それらの負担現状が他の産業とどういうことになっているかということにつきましては、資料をもってお答えをいたしたいと思います。
  27. 石田宥全

    石田(宥)分科員 この点は重要でありますから、あと資料で御提出を願いたいと思うのでありますが、私の持っている資料によりますと、昭和三十三年度の調べでは、国税が一一・二%、地方税が四八・七%、その他が四〇・一%で、国税の持つ比率はきわめて低いのであります。従って農民の最も負担に苦しむものは、地方税税外負担、これを合算したものであろうと思うのであります。  しかし、これはあとに譲るといたしまして、最近の、たとえば昨年と一昨年でけっこうでありますが、所得税対象農家の数はきわめて低いのでありまして、わずかしかないと思われるのでありますが、農家のうちで所得税を納入している農家の数がどのくらいであるか。それから政府税制調査会の答申に基づいて、米の生産者に対して従来長い間実施して参りました予約減税の制度をなくしようとしているようでありますが、予約減税を整理した場合における所得税対象農家の数と、二つに分けて御答弁を願いたい。
  28. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 所得税の方は実は国税関係でございまして、私の方は詳細な資料をただいま手元に持っておりませんが、現在農林省の調べによりますと、御承知の通り農家戸数が六百五万六千五百三十四戸でございますが、三十四年の所得税の納税義務者のうち主たる農業所得者が四十一万六千五百八十七人で六・八%、従たる農業所得者が十四万九千九百五十五人で二・六%、合計いたしまして五十六万六千五百四十二人でございまして、その比率は九・四%になっております。  第二点の予約米減税の問題でございますが、地方税につきましては、これは国税と同じ取り扱いをいたしたい。従いまして三十六年度改正にはこれは入っておりません。
  29. 石田宥全

    石田(宥)分科員 御説の通りであって、予約減税をなくしましても、課税されるのは明年度になりますから、その通りだと思うのでありますが、今の御答弁でも明らかでありますように、主たる農業というものの中で、所得税を納入するものはきわめて微々たるものだ。そういたしますると九三%ないし九四%の農民というものは、これは所得税を納めておりません。従って本年度減税措置というものは、農民の大部分にとっては全然恩恵がない、これはきわめて明瞭であります。農民の所得が他産業と比較して三分の一程度に低い。そういう農民に対してこそ、所得税を納める資格のないような低所得者にこそ減税をしなければならないのではないかと私どもは考えるのでありますが、法人税所得税を納入するような人たちに対しては減税をして、きわめて低所得であって、所得税を納入することのできないような人たちには、あとで申し上げますが、実は増税をやる。こういうふうなことで、政府が所得格差をなくしていく、生活水準均衡せしめる、そうしてそれがために減税措置をやるという池田内閣の方針をよく検討されて、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  30. 安井謙

    安井国務大臣 お話通りに、減税影響農家に非常に薄いと申しますか、減税そのものが直接、今度の減税の大宗をなす所得税あるいは法人税を中心に行なわれておりますために、影響が少ない事実は、御指摘通りであろうと思います。そこで、それじゃそのほかの面につきましても、もう少し農家減税をすべきものじゃないかということになると、地方税における固定資産税あるいは住民税等において十分考慮すべきものじゃないか、こういう御意見になろうかと存じますが、これも一応ごもっともだと存じますが、ただ、今の住民税の性格あるいは住民税の持っております今日の農村財政における地位というようなものから、これを今日大幅に減税するわけに参らぬというような事情が一つ。それから住民税の性格というものにつきまして、これは何分その地方における公益団体への分担金であるというような思想から、これに対して大幅な減税というものをこの際とるわけにいかなかったというような事情からも、減税の恩恵が農民に及ばなかったじゃないかという御意見はごもっともであろうかと思うのであります。しかし実態は、今申し上げましたような事情によりますのと、また一般にいう所得税をかけ得ないというような、現在所得税負担基本的に農民にかかっていないという現状からこの減税の幅が少なかったというようなことにもなろうかと思います。
  31. 石田宥全

    石田(宥)分科員 その大臣の考え方がおかしいと思うのですね。税金の大宗は所得税法人税だとおっしゃるが、大体国の財政地方財政とは一兆九千何百億で、ほぼ匹敵しておるじゃないですか。だから、どっちが中心だ、どっちが従だとかいうそういう考え方が私はおかしいと思う。所得税法人税というものを中心に考えられるというところに問題があろうと思うのです。だから、農民立場考えてごらんなさい。ことしは米価は、他の諸物価が上がっているにかかわらず引き下げる方針です。麦の統制は今度はずす、買い入れを制限しようと、こういうのですね。農民の不安というものは大きいですよ。その上に公共料金は引き上げられる。農業用資材は値段が上がる。先ほども話が出た酒やたばこや砂糖のような間接税減税をしない。固定資産税は、土地で五%、農地三%の引き上げをする。家屋の評価は据え置きになりますけれども、据え置きにするということは、これは消損分だけ上がるということになりますね。普通古くなれば下げなければならないのに、据え置きにするから上がるという結果になりますね。そういたしますと電気ガス税は若干下がるけれども、ガソリン税の引き上げというようなことで、農民の方には、減税が及ばないのではない、増税になる。そういうふうな、今の大臣の答弁の中に出ておるような考え方が、私は問題だと思うのです。もっと積極的に低所得階層の減税というものに力を注ぐお考えはございませんか。
  32. 安井謙

    安井国務大臣 お話通り、私、今所得税あるいは法人税を中心に減税が行なわれておると申しました意味は、今の地方財政の規模が国の規模と同じであるということとは別の意味で申し上げたのでありますが、ただ地方財政における地方税の地位というものは、御承知の通りに全体の半分に足りない、四〇%程度のものしか持っていないわけです。国の方で申しますと、これは税金で大部分をまかなっておる。そういったようなものから、地方財政に対する援助は国から逆におりてきている。国の方で徴収した税が逆に地方に回ってきておる。いわゆる交付税の形式あるいは補助金の形式でおりてきているというふうに考えられますので、地方税そのものにつきましては、ちょうど法人税あるいは所得税でやりましたのと同じような幅で今日これを軽減するのには、地方財政事情がなかなか許しがたい事情にある。しかし私どもはそれがそのままでいいと思っているのではないのでございまして、将来は、地方と国とは財政の分任といいますか、負担の区分をもっと公平にいたしまして、国の税を下げます場合には地方税も同じような比率の恩恵をこうむるような仕組みにいたしたいと思っておりますが、現在のところ、そういうふうに国の減税を直ちに地方へおろしていくというふうな作業をやるのには、今の税金構成が非常に困難であるという事情を今申し上げたつもりであります。なおその他の税金あるいは諸公課について、今度恩恵が非常に薄いじゃないかという点は、現実におきましては、この税金の面あるいは公課の面から申しますとお説の通りでございまして、固定資産税等も、これはことし三年目に当たりまして、どうしても改正しなければならぬという年にありますために、若干の引き上げが行なわれておることも御指摘通り事実でございます。しかし、この点につきましても、実は家屋等の評価につきましてはさらに十分な検討をいたしまして、遊休不用部分については十分切り捨てを考え、評価高にならないように、あるいは現在より価格の評価が下がってもよろしいといったような通牒を出しまして、これはあまり値上がりあるいは負担増にならないような十分な配慮はいたしておるつもりであります。  そこで、農村全体の今後の振興あるいは倍増計画というような問題になって参りますと、これは今の地方税の面からだけではどうしても解決できにくい問題になりますので、いわゆる農業基本法の問題あるいは全体の公共投資に対するいろいろなかさ上げの問題、その他の面から十分の施策をやっていくというふうに相なろうかと思っておる次第でございます。
  33. 石田宥全

    石田(宥)分科員 その税制全体がしからしめているということは、言うまでもございません。そこで私はそういうふうな実態を申し上げて、根本的に税制改正をする一体御意思があるかどうかを伺いたい。地方団体としての財政との関係、いろいろ事情はありますが、それは制度が悪いからそうなる。いろいろ理由はございましょう。私はここで皆さんあまり専門で御承知でないかと思いまするから、国会図書館で出した昭和三十六年度版によって農家の所得がいかに低いかということを一つ申し上げたいと思うのでありますが、昭和三十三年度農家所得の総額は二十六万二千六百二十六円です。三十四年は二十九万千百四十七円なのです。その中で租税公課の諸負担が三十三年で二万六千六百九十三円、三十四年度は二万六千九百九十七円です。この総所得の中から租税公課諸負担を引いた場合に一体どんな生活が残るか、生活費がどの程度残るか、お考えになればすぐわかる。これはもちろん統計ですから総平均でありますけれども、しかし大部分の人がそのようなみじめな生活をしなければならないという状態のもとにありながら、この国税地方税を一貫したところの税体系に対する考慮が払われておらないということは、まことに遺憾にたえない。政府の諮問機関である税制調査会の答申を見ましても、こういう点には触れられておらない。政府はおそらくこの税制調査会の答申に基づいていろいろ作業をなさっておられるのではないかと思うのでありまするが、根本はちっともついていない。そうしてうんと低い生活もまかない得ないような人たちには増税をもって報いる。多少でも余裕のあるようなところへ減税をやっておる。それは大臣、あなたの所管なのですよ。地方自治体財政というものはあなたの所管なのです。だからあなたがそういう問題をよく認識し、把握して、根本的な是正をはかられなければ、この問題は片づかないと私は思うのです。これを一つ関係者がみなおられるからよく聞いておっていただきたいと思うのです。国の統計のどこをごらんになってもすぐ出てくる問題でございますから。  そこで、私は次に伺いたいのは、今度は同じ地方税の中でも、事業税に対しては、白色申告といえども家族労働賃金というものを損金算入をするということを税制調査会も答申をし、また政府もそれに従って措置をされようとしておる。一体事業税というのは住民税と同じように所得を課税標準としておるのに、事業税に限って専従者控除を五万円やって、農民やその他事業税を納めておらない低所得階層にはこれを適用しないというのは、一体どういうわけなのですか。特にどういう違いがあるのですか。
  34. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御趣旨の通りに、三十六年度税制改正の大きな問題点の一つは、住民税にあったわけでございますが、その際住民税の課税標準が国税のそれに依存している面が非常に多い。そういうことから、従来国の財政の状況から所得税改正をいたしますと、地方財政の実態いかんにかかわらず、自動的に住民税にその結果がはね返ってくるというようなことから、いろいろなむずかしい問題が起こっておったわけでございますが、私どもといたしましては、やはり住民税についてはこの際そういう国税の自動的影響も遮断をして、住民税住民税らしいいわゆる地方所得税らしい姿に改正するのが本来のあるべき建前ではなかろうか、こういうことで住民税改正考えたわけでございますが、その際にいろいろな考え方がございましょう。しかし問題は所得控除あるいは税率について、これは別個の観点にする、これはおそらく御異論のないところだと思いますが、問題は所得の範囲及び算定の問題であろうと思います。その際に、御指摘の専従控除をどう考えていくかということがあるわけでございますが、専従控除の性格そのものに、はたして経費なりや、あるいは特別の意味を持った控除かといったようなむずかしい議論もあり、そういう点についての根本的な改革というものは、今回の税制調査会の答申にも割り切れていないというふうになるわけでございます。それはそれといたしまして、住民税といたしましては、御承知の通り、広い範囲に、しかも薄く負担を求めるいわゆる負担の分任といいますか、そういう税制でなければならぬということが基本にあるわけでございます。そういうことを考えますと、専従控除をそのまま私どもの住民税に採用するわけにもいかない。やはり専従控除の拡充分はこれを遮断をする。またそのことが、現実の日本の社会生活の実態から見ましても、必ずしも間違ったやり方でもない。必ずしも家計が個人単位に全部分割になっておるものでもございませんので、やはりこれは事業主に合算をして課税をするということも、これは住民税のあり方として間違っておるとは考えない。やはり住民税としての負担分任その他を考え、社会生活の実態から見て、専従控除の拡充分は遮断をしてもいいのではないか、こういうふうに考えたわけでございます。つまり住民税の場合には、税の性格から見まして、いろいろな所得を分割するか、それともどこに——事業主に総合するか、いわゆる課税単位の問題はこれとして私どもは考えたわけでございます。その際に総合をして課税をするというのが正しいやり方であると考えたわけでございます。  ところが、事業税の方はどういうことかと申しますと、なるほど現在所得を課税の標準にとっておりますが、事業税の中にはそれ以外に外形課税のやり方をとっておる事業税もあるわけでございまして、私どもは事業税はやはり公益物税である、こういように考えておるのであります。つまり事業税は純粋の企業課税である。そういたしますと、事業の所得の中に労働の報酬分があるということになりますと、その労働報酬分は課税の対象から除くというのが一つの筋であろう、こういう考え方から私は事業税につきましては、現在の事業主の基礎控除と同様に、ある程度は専従者について、いわゆる専従者控除として控除することが適当である、こういうように考えたわけでございます。つまり住民税の場合には課税単位の問題、事業税の場合には、これは純粋の企業課税のあり方としては専従控除をある程度認める、こういう性格上の相違に基づいて区分けをして考えたのでございます。
  35. 石田宥全

    石田(宥)分科員 どうもおかしいですね。それじゃ本質的に法理論で伺いますが、一体家族専従者の報酬というものは必要経費であるかどうかという問題なんですが、農家でも、あるいは事業税を納める事業主でも、多くの場合は、家族である場合は、これは必ずしも月給を払っておりませんね。しかし一年じゅう生活を保障し、生活をまかなって、衣服を給して、そうして嫁にやるときにはちゃんとその衣装をやる。また分家をさせる。これは一つの物的給与と違いますか。物的給与でしょう。物的給与をしないということになれば、これは私は大へんな問題だと思う。同じ物的給与であって、そうして事業税には企業的性格があるからとおっしゃるけれども、農業だってどんどん企業化していますよ。どんどん企業化している。またそれを促進しなければならないと総理大臣も農林大臣も言っているのです。一体事業税には適用するけれども、住民税には適用できないといういかなる根拠があるのですか。そんな区別はあるべきはずがない。いいですか。一方では所得として算入しておる。一方では損金として引き落としておる。損金になるべきものを所得に計算するということになれば、一体どういうことになるのですか。農民の場合は、農機具の償却分も、肥料代も、農薬分も、家族専従者のものも、これは当然損金に算入さるべきものが損金に算入されないということで一体筋が通るのですか。どうですか。一つお答えを願います。
  36. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 専従者のいわゆる労働報酬というものが必要経費かどうかということでございますが、この点は先ほど申しましたように、必要経費ということには私は割り切れてないと思います。やはり現在の青色申告の制度におきましても、これは頭打ちの制度をとっておるのでございまして、必ずしも必要経費であるというように専従控除の性格をすべて割り切ってやっておるものではない。やはりいろいろな負担の面その他を考えて作られておるものである、私はこういうように思うのであります。また現実給与を支払ってなければ、これは現在も認めない、こういう建前に私はなっておると思います。また御指摘農業が企業化になればというお話でございますが、やはりそういう場合には現在の農家につきましては、これはいわゆる農業事業税の問題との関連からこの問題が考えられてくるのじゃないか、こういうように思います。
  37. 石田宥全

    石田(宥)分科員 税制調査会の答申でも、家族の従業員の報酬というものは、何も現実に支払っておるかどうかということをちっとも指摘しておりませんよ。四ページでも十ページでも、ちゃんとこの点は家族の労働報酬の取り扱いというふうにしておる。家族の労働報酬は、どこへ行ったって支払うものもあり、支払わないものもありますよ。あなたが企業と言うところの事業をやっておる人でも、必ずしも支払っておるとは言えない。にもかかわらず、事業税の方は労働報酬を必要経費に算入するのだ、農業の場合は、かりに払っておったとしてもこれは認めない、あなたはこう言ったでしょう。そういうわけですね。そういう考え方は、一体いかなる根拠に基づいてそういうことをおっしゃるのですか。税制調査会の答申でもはっきり言っておるじゃないですか。法人のようにこの報酬を払うとか払わないとかいうことなら、これははっきりしますよ。ところがそうじゃないのです。報酬を払う、払わないじゃなくて、それを労働報酬として見るから、だから、幾ら払っておろうとも、その金額は統一しているのじゃないですか。どこにその違いがあるのですか。
  38. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御質問の点は、青色の場合でなしに、白色の場合についての御質問と思います。白色の場合は、ただいま御質問にありましたように、払っておらなかろうと払っておろうと、ともかく一律に経費的なものとして見て、この際概算的に控除をしよう、こういうやり方が新しくとられようといたしておるわけでございます。つまり、その場合でも、それが必要経費かどうかということは、根本的な性格を割り切らないで、やはり青色等との負担均衡というような、いわば負担面から考えて、白色において一律控除を認めよう、こういう今回のやり方でございます。従って、それを住民税に取り入れるか取り入れぬかということにつきましては、これは先ほど申しました住民税制というものの立場から別個の観点がとられるのじゃないか、こういう意味でございます。
  39. 石田宥全

    石田(宥)分科員 次に今との関連がありますが、税制改正案による法人税減税のうち、耐用年数の改定がありました。それから配当課税の改正が行なわれました。それから同族会社の留保所得課税の軽減が行なわれました。一体これはそれぞれの減税額はどの程度なんですか。
  40. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 耐用年数の改定に基づきます地方税影響分でお答え申し上げたいと思いますが、耐用年数の改定分は、道府県民税で平年度十四億、配当課税分で十億、留保分課税の改正で二億、合計二十六億でございます。事業税の場合に、耐用年数の改定分か八十億でございます。従いまして、府県税合計で平年度百六億、市町村税の関係でございますが、耐用年数の改定分が二十一億、配当課税の改定分が十四億、事業税の改定分が三億、合計三十八億でございます。なお、固定資産税に耐用年数の改定分が移譲いたしまして、それが平年度九億でございます。以上総計いたしまして、市町村税の場合総計が四十七億でございます。地方税の総計といたしまして百五十三億でございます。
  41. 石田宥全

    石田(宥)分科員 税制調査会の答申によりますと、法人の課税と個人の課税のアンバランスが大きいので、これをバランスさせるために事業税専従者控除を認める必要があるんだ、こういう答申がありますね。これは一面から言えばそういうことが言えると思うのです。ところが、事業税の白申に対しても専従者控除を認めるということになりますると、農村における今度のこの改正による耐用年数の短縮、これは、農家の中にも一部この恩恵に浴するものがあります。ところが、今度は農家農家の不均衡が著しく大きくなる。私はきょう一々そんなのを申し上げませんけれども、二町歩程度作っておる人が、農機具や何か償却資産を持っておるから、そこで八反歩しか作らない人よりも住民税が少ない。こういう事実が起こっている。八反歩か一町歩の零細農家でそういうことが事実あるんですから、あとでお目にかけてもいいのですけれども、この農機具等の償却が入るか入らないか。小さな農民の方は全部自家労力だから、引き落とすべき何ものもない。大きな農家になると、雇用労賃が必要経費で控除される。その上機械の償却分が控除されていくのです。だから税金を納めるところがなくなっちゃうんです。そういうふうな問題が、もう次々と起こってくる。これは私は大臣から答弁を求めようと思いませんけれども、そういう現状を調べておられますか。政府は、二町ないし二町五反ならば自立経営農家とおっしゃるのだけれども、そういう人たちの方が八反か一町しか作らない者よりも税金の負担がうんと低い。今度耐用年数の改定を行なったから、もっとひどくなる。  そこで私は、大臣によく伺いたいのですが、今ここで質疑応答を繰り返しておる中でおわかりになったと思うのですが、実は、その自家労力必要経費に入れるか、所得に入れるかというようなことはきわめて重大な問題ですよ。私は、この点は憲法論にも発展すべき問題だと思っておる。個人的人格というものを尊重しておる今の憲法の中で、物的給与給与であるかないかという問題はある。物的給与給与です。家族労働に対しては、給与を与えておるにもかかわらず、それが全然必要経費として控除されないという不合理性、この問題を解決しなかったならば、これは大へんな問題になると思うのです。なぜ政府は、所得税を納めることができない低所得階層である全農民のうち九三%ないし九四%の者に対して増税をもって報いるか。そうでないとおっしゃるなら、私はここで数字をあげます。ことに総理大臣でも、農林大臣でも、経済企画庁長官でも、農民の所得格差是正するためにいろいろな法律も作り、あるいは政策も行なわなければならないと言っておるにもかかわらず、農業基本法を出した第一年度農民に対しては増税をもって報いる。そうして法人税事業税は相当多額の減税をして、これで一体政府は、所得格差をなくし、あるいは生活水準をバランスさせるなどと大きな口がきけるかどうか。農民は恨み骨髄に達しておる。先ほど申し上げたように、全体の収入が二十九万一千円、そのうち諸負担が二万六千九百九十七円ある。農家一軒の家族構成は五・八人です。そうしますと、一人一カ月の平均所得は四千円そこそこである。一人一カ月四千円で一体生活がカバーできるとお考えですか。できませんね。そういう重大な問題について大臣は一体どういうお考えであるか、御所見を伺いたい。
  42. 安井謙

    安井国務大臣 お話のように、農家住民税の場合に、たとえば二町歩以上といったような、いわば規模の大きい農家の方が今度耐用年数の改定その他で恩恵を受ける事情はあるだろうと思いますが、しかし、そのために平均二町歩以上の農家住民税が八反歩以下より下回るというような結果には、私は全体としてなるようなことはあり得まいというふうに考えておりますが、特殊の例というようなものがございましたら、これはまたあと資料でも拝見さしていただきまして、十分検討しなければならぬ問題であろうと思っております。  それから、今の白色専従の控除の適用をなぜ農民にやらぬか、こういうお話でございますが、これは今も税務局長が御説明申し上げましたように、専従の控除をどの税種に適用するかという問題で、これは農民だからしない、あるいは実業界といいますか、企業家だからするとかしないとかいう問題でございませんで、所得税でこの控除を今度新しく起こした。従いまして、地方税である事業税の面につきましても、これは事業の収益というものを考えます面から、それには一定の控除制度を適用するということを採用したわけでございます。同時に、住民税の性格はちょっと事業税所得税とは違うのじゃないか。やはりその土地で、それぞれの人が働いて、公共団体からいろいろな恩恵を受けておるという建前から、それぞれその人に対して課せられる公課である。これも普通の事業所得等から見れば非常に低い率のものでございまして、平均的にかけられる法人税といったようなものであるから、この場合には収益の面から課税をする税種と違って、控除をそのまま適用するについてはいかがであろうかというふうな解釈から、ことに今の白色専従の控除といったようなものについては、ほんとうに理論的に割り切れた面もないので、収益という面を中心に考えられてこれは適用されておるのだから、住民税にはこの際ちょっと適用しにくい問題であるという点を税務局長も御説明をしたのであろうと思います。  それともう一面、住民税の持つ性格、これは都市、農村にかかわりなく、その土地における公共団体に対するいろいろな費用負担を分任するという趣旨からかかっておるのであるから、この際はこれが適用できなかったのである。こういう結果としまして、全体で農村における減税が非常に行なわれてなく、むしろそのほかの方の減税の恩恵が多い結果になっておるという事実も、私どもは事実として現段階では認めなければならないかと思っておる次第でございます。
  43. 石田宥全

    石田(宥)分科員 いろいろ事情もございましょうけれども、端的に言って、先ほど申し上げた通りなんです。所得がきわめて低くて、所得税を納めることができないような農民に対して、白色申告に対する専従者控除を行なわないという措置がいかに不合理であるかということですね。これだけはおわかりになったと思うのですが、聞くところによると、明日の閣議でこれが本ぎまりになるそうでありますけれども、少なくとも、今回これができないとしても、このような不合理を再び繰り返してはならないと私は思うのです。多少のニュアンスの相違はあっても、事業税住民税とでどれだけの理論的な相違があるか、これは今も非常にむずかしいとおっしゃる通り、これはほとんどないのです。それならば、税金の負担に苦しんでおる非常に数多くの農民に——これは皆さん卸承知の通り農民外まで含めても、全体で八十六億しかないのです。八十六億ぐらいのものを低所得階層に対して一体どうして減税できないのか。そういうことと真剣に取り組んで、あすの閣議では自治大臣からそういうことを発言をされて、これは社会党の方で修正案等も考えておるようでありますけれども、今年できないにしても、来年はこれと同じような議論をしなくてもいいような心がまえを持っていただかなければならないと思うのです。  最後に一点だけちょっと伺っておきますが、先ほど申し上げたように、今年はちょうど固定資産の評価がえの年になります。それで、上地全体では五%、農地については三%の評価の引き上げが行なわれる。この場合に、特に私は伺いたいのは、先ほど床次さんからも特別交付税の問題などで触れられたようでありますけれども、雪の多い地方における固定資産の評価というものがどの程度取り入れられておるか。私はここで参考までに申し上げておきますが、特に豪雪地帯におきましては、坪当たりの木材の所要量が五百四十立方メートルかかるのです。雪の少ない地方では四百九十七立方メートルです。これほど違っておる。修繕費では、無雪地帯では二・七八%程度であるのに対して、積雪地帯では四・五六%である。約二倍になっております。また坪当たりの修繕費にすると、積雪度が二・五メートルくらいの地方では百五円かかっておるのが、三メートルになると百八十五円と、七六%もふえておる。これは維持管理費を含んでおりません。それからいいデータが一つある。これは国鉄の新潟支社で一九三一年から二十年間調査をしておるのでありますが、積雪二、三メートルの地帯の駅の舎屋、これの耐用年数は平均二十七年、無雪地帯では四十五年持つ、こういうのが出ておる。国鉄さんの方は同じ規格のものをあっちこっち建てておって、二十何年間見てこういう数字が出ておるのであります。ところが、固定資産の評価の面では、幾らもこれが取り入れられておらないのです。これは積雪地帯の諸君がややもするともうあきらめておるような観もあって、あまり問題にしませんから、結局こういうことになっておると思いますけれども、今度この機会にこの分を相当に見てもらわなければならないのではないかと考えますが、お考えはどうですか。
  44. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御質問は、積雪寒冷地帯におきます家屋の固定資産税の問題であろうと思いますが、現在は、家屋の評価上の指針として示しております御承知の平均価格の算定上、いろいろな考慮を払っております。一つは、損耗が積雪寒冷地帯の方は非常に大きいというようなことから、通常の他の地域の損耗減価のほかに、最高一五%程度までの特別減価を考慮いたしております。  次に、特殊な気象条件でございますので、どうしても屋内作業が多いというようなことから、他の地域よりは若干床面積が増大する傾向がある。こういうようなことで、一〇%の減価を現在考慮いたしております。  なお、積雪寒冷地帯は、お話のように、積雪の荷重をささえるために、柱であるとか、その他の主要構造部分が、他の地域のものよりは堅牢なものが必要である、こういうことでございまするので、構造木材の施工量が増大をいたしております。この部分につきましては、特に評価を見ないで、他の地域と同じような評価でいく、こういう配慮をいたしております。  なお、この固定資産につきましては、現在固定資産評価制度調査会で、評価の制度そのものについての検討が加えられておりますが、その際、現在のようないろいろな地域間の特殊性に応ずる不均衡がかりにあるといたしますれば、そういう点はさらに検討を加えまして、考慮すべき面があれば考慮をしていく、こういう考え方で現在審議をいたしております。
  45. 中野四郎

  46. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 私はここは予算分科会でありますので、地方財政計画について、国の予算との関連について、若干基本的な問題をお教え願いたい、かように思うわけであります。  三十六年度地方財政計画の提出が非常におくれまして、やっと三日ほど前に出てきたのでありますが、このおくれた原因につきましては、すでに予算委員会の一般質問、地方行政委員会等で明らかにされたわけであります。私はその問題を今触れようとは思いませんが、一体地方財政計画というものは、国の予算の提出よりもおくれて提出されてしかるべきものであるかどうか、この点について一つ大臣の見解を伺いたいと思います。
  47. 安井謙

    安井国務大臣 お話通り地方財政計画は本年非常におくれまして、予算の御審議その他についても非常に御迷惑をかけました点については、申しわけないと思っております。これは先般来お話し申し上げました通り地方税関係におきまして、非常に決定がおくれたような事情から、こう相なったわけであります。数日前に提出いたしまして、ただいまそれぞれの面で御審議を願っておるわけであります。そこで一般論としまして、地方財政計画が国の計画よりおくれることがやむを得ぬのかどうかという御質問でございますが、この点につきましては地方財政計画というのが、一般の国の予算の規模の決定に比べておくれることは、どうもやむを得ないのではなかろうか、こう思う次第であります。と申しますのは、交付税にいたしましても、あるいは国の補助金にしましても、これが内容的に確定をいたしまして、その上でありませんと地方財政の算定はできにくい状況にございますので、国の財政計画の決定よりおくれて参るということ、そのことはどうも一般論としてやむを得ないのではないか、こう思っておる次第であります。
  48. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 あまりごてごて議論をしても仕方がないと思いますが、私はその考えはちょっと困るのじゃないか、こういうふうに思います。たとえば予算案の提出にいたしましても、また一方において予算措置を伴う法案が確定していないという段階においてこれが出されている。従って法案との関係で、修正されるならば予算案は修正されるべきだ。それと同じように地方財政計画におきましても、そういう余裕を残して、当然国の予算提出と同時に提出されるべきものではなかろうか、そういうふうに私は考えるのでありまして、もし在来のように、大臣が御答弁になりましたように、おくれてしかるべきものだ、やむを得ないのではないかというような考え方で、地方財政計画を取り扱っておるということになりますと、大へんな問題が発生してくるのじゃないかと私は思います。そうなりますと全く地方財政計画というものは国の予算に縛られ、地方財政計画というものが地方自治体に対して押しつけがましい計画になってくるという性格を帯びてしまう。私はこれは地方自治上の重大な問題ではなかろうか、こういうふうに考えるのです。重ねて御見解を伺いたいと思います。
  49. 安井謙

    安井国務大臣 お話通り地方財政計画は国の財政計画の決定と相待って、できる限り早くやらなければならぬという御説に対しましては、われわれもその通りだと思いますし、急いでやりたいと存じておりますが、ただ作業の手順から申しますと、地方財政固有財源という地方税の占める割合は、地方財政全体の四〇%そこそこのものであるというような実情から、国からの平衡交付税あるいは国からの補助金というものと相待ちまして、初めて地方財政計画というものは立つという仕組みになっておりますので、その角度から申しますと、どうしても作業的に若干のずれが出てくることはやむを得ないのではなかろうか。しかしそれならといって地方財政が国のしわ寄せになって、いつでも受動的にやってよろしいかどうかという根本的な命題になって参りますと、これまた別でありまして、でき得る限り将来とも、いわゆる地方財源の確立というような目から、これは対等な地位に運ぶべく努力は今後もいたしていかなければなるまい、こう思っております。
  50. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 国庫支出検討の問題もありましょうけれども、交付税におきましては、別にそういう配慮をなさらなくても、交付税法においてはっきりときまっている。総額をふやすという問題のケースが一つ考えられるが、しかし一応積み重ねていかないといけない問題ではなかろうかと思うのです。  そういう論議は、いずれまた地方行政委員会でやるといたしまして、この際大臣に伺っておきたいのは、一体地方財政計画の効果といいますか、それはどんな効果を持っておりますか、法的根拠を示していただき、同時に地方財政計画が、そういったものと関連してどういう効果を持っているか。はっきり言いますと、それは地方自治体を縛るものであるか縛らないものであるか。この計画がきまったならば、地方自治体はこれに制限を受けて、この計画に盛られておる、いろいろ算定されたところの考え方によって、地方自治体というものは、徹底的にそれに順奉してやっていかなければならぬものであるかどうか。もしそうだとするならば、その法的根拠はどこにあるかということについて一つ伺いたい。
  51. 安井謙

    安井国務大臣 御承知の通りに、地方財政計画というものは、交付税法にきめられておりまして、予算の審議中に出して御審議を願うという建前になっておるわけであります。従いましてこの地方財政計画を出すことによって、地方が国の方針に従ってやる一定の事業ワクなり行政ワクの限度というもの、それから地方自体で彼此勘案して自主的にやる得る限度、こういったものを差し示す基準に、地方財政計画というものは相なろうかと思うのであります。  それから先ほどもう一つ申し落としましたが、国の決定を待って、単におくれて地方財政計画というものを作っていくというのはいかぬではないかという御指摘につきましては、これは私どもその通りであろうと思います。本来国の財政計画を立てます際、地方財政計画というものを両建にして国が立てるべきものである、この考え方は私どもも強く持っておるのであります。ただ作業の手順といたしまして、国の財政計画がきまりますと同時、その具体的な内容の整理が地方財政計画に及びますために、若干手順上おくれてくる、こういう次第になろうかと思っております。
  52. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 地方交付税法の七条によりますと、歳入歳出の見積もりを国会に報告する、こういうことになっておると思うのであります。今審議と言われたのですが、これは私はほんとうに大きな問題だと思って御質問申し上げているのですが、一体審議することが法的に根拠があるのですか、この点どうなんです。
  53. 安井謙

    安井国務大臣 詳しい法律解釈になりますと、財政局長一つ……。
  54. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方財政計画そのものずばりを、国会で議決を要するとか、承認を要するとかというようなことはございません。しかし内閣としては国会に提出を義務づけられておるのでございますので、国会がこれを中心にして、いろいろと内容を検討されることは当然の任務ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、地方財政計画というようなものがございませんと、国の予算地方団体補助金等として交付される、その行方がどういう姿になっていくのだろうかということもわかりませんし、また地方交付税配分計画をきめましても、その配分計画でよろしいのかどうかわかりませんし、あるいは地方税の増減税、あるいは地方債の全体の計画、そういうものがそれでいいのかどうかわからないと思うのであります。やはり地方財政計画で、地方財政全体の動向がはっきりしてくる。それを基礎にして、個々の地方交付税改正なり、あるいは地方税の増減税なり、あるいは地方債の計画が、それでよろしいかどうかということの判断ができるのではなかろうか、かように考えております。
  55. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そうしますと話はまたもとへ戻るのですが、自治省設置法に基づきまして、四条一項二十五号です。やはり地方財政計画というものは先に内閣に出されなければいけない、こういうことになるのじゃないかと秋は思うのであります。そういう措置がなかなかとられないというところに、現在の地方財政計画の問題点が一つあるのではないかというふうに思います。これは地方行政委員会等でよく検討いたすことにいたしたいと思うのでありますが、先ほどちょっとお伺いいたしました地方財政計画地方自治体財政的に縛ってしまうという権能を持っておるのかどうか、このことなんです。
  56. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方財政計画が個々の地方団体財政運営を制度的に拘束するといいますか、あるいは法的に拘束するといいますか、そういうことは原則としてないと思うのであります。ただしかしながら地方財政計画が基礎になって、個々の団体基準財政需要額も定まってくると考えます。そうしますと大体個々の地方団体の行政運営の標準的なものが、その中に示されてきていると思うのであります。御承知のように地方財政法には、地方団体は本来自治団体でありますから、自分の考え方で行財政運営をしていけばよろしいわけでありますけれども、やはり他の団体に累を及ぼすような政策をやってはならない、こういうような規定も入っておるわけでございますので、そういうことから参りますと、一応地方財政計画の内容というものを頭に置いて運営をしていきませんと、特別なやり方をすることによって他の団体に迷惑をかけるということにもなっていくわけでございます。そういう意味においては拘束力を持っているということは言えると思うわけでございます。従いまして広い意味においてはそういうことが言えるけれども、狭い意味においては別段法的に縛っておるという性格のものではない、こういうことでございます。
  57. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 地方財政計画についてわれわれが御質問申し上げて、かりに不合理な点が出てくるという場合の地方財政計画の変更です。こういうことがあり得ると思う。それはあり得るけれども、あり得ないということになるのですか。この点はどうなんですか。
  58. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方財政計画は先ほども申し上げましたように、一つの方向を示しておるわけでございます。従いまして示し方が正しいとか正しくないとかいう問題があろうかと思います。もとより正しい方向においてそれを編成していかなければならぬわけでありますから、いろいろと誤りが指摘された場合においては、それを正しい方向に将来修正していくべきものであろう、かように考えるわけでございます。ただ別に議決を要するとか、承認を要するとかいう性格のものではないわけでございますので、直ちにそれを刷りかえて提出し直さなければならないという性格のものにはなってこないということでございます。
  59. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこで現行法では地方財政計画というものは法的に、先ほど質問の過程で申し上げたような設置法であるとか、あるいは交付税法であるとかいうものに根拠が置かれている。しかしながらこれはきわめて重大なものであり、しかもその計画の内容あるいは地方財政計画の総額等をながめてみたら、今年も一兆九千百二十六億で国の予算に匹敵するものである。しかも国の予算と重なっている部分を整理いたしますれば、最終的に地方自治体が使うところの総額というものは、おそらく国との対比で七、三くらいになるのじゃないか。これほど大きな財源を使うのでありますから、こういったものが企画庁の施政の方針であるとか、あるいは大蔵大臣の施政方針であるとか、総理の施政方針であるとかいうようもの、それは当然やられるべきものであろうと思いますけれども、同時にこれだけの内容を持った、これだけの財源を含んだところの地方財政計画が本会議で当然報告され、説明さるべきものではなかろうかと私は思うのです。この点について在来から相当そういう意見もわれわれの方は持っておるのでありますけれども、この点について大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  60. 安井謙

    安井国務大臣 地方財政の実態につきまして政府が十分な認識を持ち、あるいは国会等で十分な御検討を願うということは、私は非常に必要なことであろうと存じます。同時に地方自治体というものは自治体という存在であります性格上、これを総合的に見ました地方財政計画というものを政府予算案と同じような形で扱うわけにもいかないのではなかろうか。しかしお話のように非常に大きなウエートを占めておる実態でございまするから、これはそういう角度からはむしろ国会において十分御検討願うべき性質のものであろう、こういう感じがいたしております。
  61. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 法的にこれをやれということになりますと、また自治体の自主権の侵害になっていくおそれもなきにしもあらずであります。ことに先ほどの奥野財政局長から言われたように、ある程度拘束力を持っておるということになりますと、これは大へん大きな問題になりましょうが、いずれにしても現在、現行法に基づいてもこれは委員会には報告されなければならぬことになっておるが、重要性を持っているから本会議に報告することも必要であろう、私はこういう意味のことを申し上げておるのであって、この点は御検討を願いたい、こういうように思うのであります。  そこで三十六年度地方財政計画について若干御質問申し上げたいと思いますが、すでに何回か先ほどから床次分科員その他から質問がありましたので、できるだけ重ならないように申し上げてみたいと思います。  この地方財政計画に関する自治大臣の説明要旨なんですが、私は非常にけげんに思っているのです。それは国の財政と同一の基調により編成した、こういうことであります。私はこれはどうも非常にもらえないという感じがするのであります。地方自治の本旨からいいましても、国の財政と同一の基調によって編成したということになってくると、基調という言葉はどう解釈するかということが問題になるかと思いますけれども、何か国の重要施策によってそれを地方自治体がしわ寄せを受けるという感じを私はこの言葉から、またこの方針から受け取るわけです。この点どうなんです。
  62. 安井謙

    安井国務大臣 この地方自治体の実態も申すまでもありませんが、国民全般なんでございまして、その国民全般が国のいろいろな福祉事業あるいは公共事業というような面で受ける恩典が地方自治体に直接及んでくるというような意味からは、国の財政基準というものについて一定の同じ線で進んでいくということは言わざるを得ないのではなかろうかと思うのであります。それをさらにそれぞれの地方自治体の自主性においてこれを彼此判断して、自主的な裁量の余地がそれぞれの自治体の中であるというように考えるべきものではなかろうかと思っております。
  63. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 私はやはり地方自治の本旨に基づいて、あるべき地方自治体行政水準というものを頭に置いて編成した、こう言ってもらいたかったのでありますけれども、こういう言い方になってきているわけです。そこでこの国の財政と同一の基調ということになりますと、一応減税、社会保障、公共投資というような格好になってくると思うのでありますが、減税の総額等については先ほどもお答えが出ておったようであります。その内容につきましていろいろと私は問題点があろうと思いますが、これはまた後日に譲ることにいたします。  公共投資の問題も、これはある程度大きく見ておられます。はたして地方自治体がそれを受け入れることができるかどうかという問題点が一つあるかと思います。それは別といたしまして、社会保障関係地方自治体におきましては福祉行政関係となってくるかと思うのでありますが、その総額は一体どのくらいになっておるか、昨年に比べて何%の上昇を示しておるかということについてちょっと伺ってみたいと思います。
  64. 安井謙

    安井国務大臣 財政局長から数字的なことを……。
  65. 奥野誠亮

    奥野政府委員 国庫補助負担金を受けて行ないますものは、その裏の地方負担額をそのまま地方財政計画に計上いたしておるわけでございます。そのの他の個々の仕事につきましては、国庫補助負担金を受けないで行なうものということで一括して財政計画に計上しておるわけでございますので、そのうち特にその部分だけを幾らにしたというような計算はしておらないわけでございます。国庫補助負担金を行ないませんで行ないます一般行政費におきましては、総額を二百四億円だけ増額しているということになっておるわけでございます。これは国の三十六年度の経済計画の大綱の経常支出の伸び率一〇・七%ということで立てておるわけでございますので、その比率を使いまして増加額を計算いたしておるのでございます。
  66. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 それでは減税と直接関係ありませんが、地方住民の負担軽減ということで——それが税の面においてこういうふうに減税されておると大臣は言っておられます。そこで毎年問題になります税外負担の問題でありますが、住民の負担軽減という建前からいうならば、減税よりはまずそれに先んじて税外負担の軽減を行なわなければならぬ、こういうことになろうかと私は思うのです。そのことの方が大事ではなかろうか。しかる後に減税の問題が取り上げられる、あるいは同時に取り上げられる、こういうことになろうと思います。今回の財政計画の中に税外負担の軽減に関する経費支出は見込んでおられますかどうか、それを伺いたいと思います。
  67. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十五年度地方財政計画を立てます場合には、御指摘のように税外負担を解消するために九十億円の財源が要るのだ、それだけのものがまた経費の増加になって現われてくる、そのかわりその他の負担がそれだけ軽減されていくのだというような内容のものにしたわけでございます。三十六年度は引き続いてはそういう方針はとっていないわけでございます。しかし将来再びそういうような方向をとらなければならないようになるかもしれませんけれども、今回は特に決算と財政計画との間に食い違いがある。言いかえれば、財政計画を立ててきたけれども、実態から見たら地方財政計画が過小にすぎるじゃないか、そういう点が事実あるわけでございまして、その修正にもっぱら意を用いたわけであります。そういう意味経費を今回は相当地方財政計画に盛り込んでおるわけでございます。しかし税外負担の問題も、地方財源が総体的にある程度豊かになってくる。今申し上げますように、計画が過小にすぎている、そういう点を補っていきますならば、結果的にはまた税外負担の解消にも相当な役割を演じていくはずのものであろうと存じております。今御指摘の点は、将来私たちとしてはさらに問題を取り上げて解決に当たらなければならないというふうには思っておるわけでございますけれども、今回やりました方向もまたそういう方向に一つの大きな役割を演じていくはずだ、かように考えております。
  68. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 昨年問題になりました税外負担の公費支弁当然分という考え方の分、これは少なくとも、任意支弁の分は別といたしまして——任意支弁の分は今奥野さんがおっしゃったような方式の中に自然に取り上げられる。しかし公費支弁の分だけはこれはどうしてもおやりいただかなければならないのじゃないかと私は思う。最近大蔵省関係の方から風のたよりでいろいろなことを聞いてみますと、とかく地方財源が豊かになってくる、税の自然増等とかいうような問題から豊かである、あるいはまた昨年問題になりました例の百十七億円、本年はさらに追加されて繰り越された約二百七億円の交付税の繰り越し、こういうような現象が一方において出てきておる。こういう段階においてこそ、これは当然公費支弁の分であるところの二百五十三億円——これくらいになるのじゃないか。これは自治省、あなたの方から出された調査ではないかと思うのですが、市町村経費に充当したところの給付金が五十六億円何ぼ、町内会あるいは部落会、消防団後援会に対するところの五十七億幾ら、PTAに百三十九億という程度のものが出ておるのであります。これは私は非常に小さく見積もられておるとは思いますけれども、それは任意支弁の分を含めてわれわれは大きく考えておったのでありまして、少なくともその程度のものはやはり解消に入ってもらわなければいけない。昨年は九十億程度が解消されたように私は聞いております。あるいは百二十億であったかもしれません。府県が当然やるべき分を市町村がやっておるというような面のものも出てきておると思いますが、なぜこれをことしおやりにならなかったのか、私非常に不思議に思うのです。将来考えると言われますが、この年度内にお考えいただくのですか、どうでしょう。これを伺っておきます。
  69. 奥野誠亮

    奥野政府委員 考え方は全く同じだと思うのであります。しかし私たちは、ただ地方政財計画の上にそういう数字を入れたからそれで問題は解決する、こうは思っていないわけであります。昨年も行ないましたように、地方財政計画に計上する、基準財政需要額に算入する、地方財政法を改善して負担転嫁の禁止規定を行なう、こういう三段がまえの方策をとったわけであります。私はやはり将来もう一回こういう問題を取り上げなければ解決しないだろう、こう思っております。たとえて申し上げますと、府県が市町村負担を転嫁する、これがまた市町村が住民に負担を転嫁する一つの大きな原因をなしているだろうと思います。府県が当然経費負担するのだ、従ってそれだけのものは基準財政需要額に算入されていく、にもかかわらず市町村に転嫁していくものがございます。昨年法律を改正いたしまして、その法律は三十六年度から適用することにいたしておるわけでございます。従いまして国土改修事業でありますとか、河川改修事業でありますとかいうものについて、市町村負担を転嫁できなくなったわけでありますが、先般も近県の財政担当者が来まして、あの法律の関係で一億何千万円府県の負担がふえたということを言っております。ふえたのではなくて、当然出すべきものを今まで転嫁しておったのでありまして、これは当然出すべきものでありますが、これは相当額に上るわけであります。でありますから法律を改正いたしましたけれども、直ちに適用いたしませんで、適用は一年送ったわけであります。私たちが一番心配しておりますそういう金額の大きなものは、府県立の高等学校の経費をもっぱら市町村に転嫁して増改築を行なっておる、こういうことであります。従って市町村財政計画は弱小でありますから、私たちほんとうに見るに見かねるような感じを持っておるわけであります。しかし今一挙にこれを法律的に禁止することになりますと、また相当いろいろな問題があるわけでございますので、近い機会においてやはりそこまで踏み切っていかなければならないだろう、そういう際には税外負担解消の主要財源財政計画に載せ、同時にまた法律的に転嫁の禁止規定を設けていかなければならないだろう、こういう感じも私は抱いておるわけでございます。しかし今回は決算と計画との関係の相当な是正を行なったわけでありまして、単独事業だけでも四百四十八億円という大きな金額を計上いたしておるわけでございます。そういうことが交付税基準財政需要額にも反映していくわけでございます。おっしゃっております点は全く同感でございます。将来ともそういう方向に向かいまして地方財政の改善に努力していきたい、かように考えておるわけでございます。
  70. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 この税外負担の分も含めて一つこれをお考えいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  引き続きまして、私先ほどの床次委員の御質問と関連しまして、もう一点伺っておきたいと思いますことは後進地域開発の問題であります。これに対しまして、自治省におかれては大体二つの方向を考えておられるように、私はこの説明から承知いたしております。一つは国庫支出金等に対する段階別の補助率といいますか、そういうものを考えておられる、これはいいと思います。いま一つの問題として、先ほどの質問に御答弁がありましたように、交付税配分において傾斜配分をしておるという考え方、私の聞き違いかもしれませんが、こういうふうに伺ったのであります。これは私はとんでもないものの考え方のように思われる。交付税の中で傾斜配分をやっていくという考え方は、もしそれが総額と関係なく傾斜配分をやるということでありますならば、これは大へんな問題になる。結局は高いところを削って低いところへ持っていくという、私に言わせればあの愚昧なる方針と同じものがそこに出ている。本年度予算編成の折衝の段階におきまして起こりましたところの、富裕県を削って貧弱後進県に持っていこうというあの不合理な考え方と同じようなものが、この中で生まれてきておる。自治省がこういう安易な考え方を持たれるということについて、私は非常な疑問を持つわけであります。それとも総額を、現在の二八・五%というものを、率を上げることによって、こういう今申し上げましたような矛盾を何とか打開していこうという考え方であるかどうか、一つこの点を大臣から伺いたい。
  71. 安井謙

    安井国務大臣 傾斜配分という言葉で、あるいは今のお話のような誤解を生じたかもしれませんが、私申し上げました意味は、先ほども例が出ておりますように、一般の規模是正をやるとか、あるいは農村地域で特に必要な経費基準財政で見ていくとかいう重点配置の計算のしがえをやっていく、こういう趣旨で申し上げたわけでございまして、一律に今のワクの一升ますの移し方を一方的に変えていこう、こういう性格のものではなかったわけでございます。従いまして今直ちに二八・五を修正して、さらにどうしようということまで言っておるわけでもないわけであります。
  72. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 先ほどの説明をさらに詳しく伺いたいと思うのでありますけれども、何か地域間の格差是正する意味において、交付税配分を、補正係数等の変更によって、後進地域に多くいくように配分するというふうに私は聞いたのですが、これは間違いございませんか。
  73. 安井謙

    安井国務大臣 そうではないのでありまして、今の文字通り純粋の意味の傾斜配分でありますと、これは例の補助率の特例といったような形でやっていく、さらに合理化する面がある結果、それが後進地域にさらに有利に展開するというような場合は、これは結果として一種の傾斜配分のような形になるかもしれません。たとえば農村における特別の費用の計算の仕方を考えていくとか、あるいは今の規模是正といったようなものについての計算をさらに合理化していくというようなことで、交付税配分はやっていくつもりでありまして、一律の傾斜配分を全体的に及ぼしていくというような考え方ではないわけでございます。
  74. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そうしますと、やはりそれにいたしましても、総額が変わらないということになれば、行政水準をどこかで——ゴムまりのどこかを一つへこまさなければならぬという結果になってくるのじゃないでしょうか。この点どうでしょうか。
  75. 安井謙

    安井国務大臣 詳しい話は財政局長からも説明をしてもらいたいと思いますが、総額自体が今度は相当額ふえてもきておる際でございますので、そのときの計算基準をより合理化したものにしたい、こういう趣旨で申し上げたわけであります。
  76. 奥野誠亮

    奥野政府委員 ちょっと誤解があるようでございますので、補足さしていただきます。荒っぽいものの言い方をいたしますと、国民所得がふえてくる、所得倍増計画を立てる。その場合でも、全部一律に二倍ではなくて、低所得者には三倍にも四倍にも持っていかなければならない。高所得者は二倍でなくて一・五倍とか、ちょっとその率は下がってもよろしい、こういう考え方があるのと同じように考えていただけばいいのじゃないかと思います。従来から地方交付税基準財政需要額を算定いたします場合に、地方団体の従来の実績、それを基礎にして基準財政需要額の算定を行なって参ってきておるわけでございます。言いかえれば、態容補正をもちまして標準的な団体の姿を基礎に単位費用を定めておるわけでございまして、種地の低いところは格下げする、種地の高いところは格上げをする、こういうような態度をとっておるわけでございます。しかし財源がふえて参りますと、格下げしておるものはだんだんやめていかなければならない、引き上げていかなければならない、こういうようにも考えられるわけでございますので、大臣のおっしゃいましたのもそういう点でございまして、一つはそういう意味のその他の行政費におきまして、十種地以下の市町村については基準財政需要額の算定を格下げしておったわけでありますが、その格下げを全部やめてしまいまして、そうすると三十六億円、十種地以下の市町村にだけ増額される、こういうことになるわけであります。別段それ以上の高いところの団体基準財政需要額を減額する考え方は持っておらないわけでございます。ただ交付税の計算では、これも御承知のように基準財政収入額の算定を、市町村分については七割、府県分については八割、こういう方針をとっておるわけであります。従いまして基準財政需要額を動かしませんでも、税の多い団体については、税のふえた部分について二割なり三割なりの増加財源、新しい財政需要に充てる財源を確保していくわけであります。そうしますとどうしても基準財政需要額の算定にあたりましては、そういうことも頭に置いて、今まで格落しをしておる部分は、だんだんそれを戻していく、というと語弊があるかもしれませんが、むしろ上げていくという考え方をとっていかなければ、全体として公平な財源配分を行なっていくということができなくなるのではないかと思っておるわけであります。そういう意味において、財源がふえた場合には、増加財源を傾斜的に配分していくのだ、こういう意味でございます。決して高いところから削ってくるのだという考え方は持っておらないわけであります。
  77. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 私は頭が悪いのか、よくのみ込めませんが、これはまた地方行政委員会で御質問申し上げましょう。いずれにしても後進地域開発の方法として今考えられているのは、各種公共事業にかかわる国の負担率を段階的に一つやっていこう、こういうことと、今のような傾斜的な配分一つ考えよう、こういうことだと思うのですが、私はしかし後進地域開発がこれだけで行なわれるということは言えませんし、自治省の方でも、もちろんこれだけで一切がっさいをまかなっていこうとは考えておられないと思うのです。これだけではどうも不十分だと思うのであります。この点について何か対策をお持ちですか。
  78. 安井謙

    安井国務大臣 おっしゃる通りに、それだけで決して片づく問題ではないと存じますので、この後進地域開発と申しますか、地域格差の解消ということは、これからの大きな政策一つになろうと思いますが、これには各方面の——自治省だけではできない面もたくさんございますが、自治省としましては、さしあたり今申し上げましたような交付税についても一種の合理化をできるだけやっていく。さらに公共投融資に対しては、補助率についての格差を設けてさらに有利な展開をしていく。さらにもっと基本的な問題になって参りますと、自治省ではいわゆる基幹都市という構想を持っております。同時にこれに似たような考え方として、企画庁でも工場分散の要綱を考えておるようであります。また建設省でも同様な方向でものを考えておるようなものがございます。そういったものを総合いたしまして、今後の地方格差の解消というものへ進めていきたいと思っておる次第であります。
  79. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 自治省が基幹都市建設促進法案を準備されておるように私も承っております。また企画庁でも国土総合開発的な面から取り上げていこう、あるいは産通省でも工場配置論等でほぼ見当がついておるのでありますが、ああいったものの考え方を持っておる。建設省では建設省でもって、とんでもない広域都市計画論を打ち出しておるように私は思うのです。五十万都市、百万都市というようなことを野放図もなく発表しておるように私は思うのであります。今大臣からは、自治省でもこれだけではいけないのでそういったものも考えておる、これは内容は別といたしまして、考え方としては非常にとうとい考え方である、こういうふうに考えますが、同時に今言われた言葉の中に、各省で考えておるから、それらとともに並行的にわれわれも地域開発をやっていくのだ、こういうふうに私は受け取るのですが、地域開発計画というものがそうばらばらでやられていくということになると、これは全然意味をなさない。世界各国の地域開発計画というものは、特に戦後著しくなってきているのであります。類型としては二通りあろうかと思います。いずれにいたしましても戦勝国といわず、戦敗国といわず、地域開発をやらなければならぬという段階に現在押し込まれておるのでありますが、そこへ自治省が目をつけられたということは非常に私はけっこうと思います。けれども各省がばらばらでこれをやっていく、自治省もこれは仕方のないことだ、こういうふうにあきらめておるような今大臣の言葉なんですが、これではおそらくかけ声だけで何にもならない。結局そういうところを何とか調整しようとするが、調整できないので仕方がない。本年は調査費くらいつけておいてみんなごまかそうじゃないかというのが、大体政府考え方ではなかったかと私は思うのであります。そんなことではとてもじゃないがやりきれない、こういうふうに思うのでありますけれども、もう少し何かこれは地域開発ですから、自治省が土性骨を一つ据えてやらなければいけないと私は思うのですが、どうですか、その辺の所信のほどは。
  80. 安井謙

    安井国務大臣 これはおっしゃる通りでございまして、私の言葉が足りませんで、各省も考えておるということは、各省もそれぞれいろいろな分野で地域開発なり格差是正に協力してもらわなければ困るのだという趣旨で申し上げたわけでありまして、私どもとしては大体基幹都市というものの考え方を中心にしまして、企画庁で考えておりますもの、あるいは建設省で考えておりますもの、または通産省で考えておりますもの、こういったものを全体的に、総合的に調整をいたしまして、最も合理的で効果のある方法を採用していきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  81. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 地域開発の構想というものの主要な部分を占めますのは、結局都市開発市町村開発、それの再開発ではなかろうか、私はこういうふうに思うのであります。世界的な類型から見ましても、大きな地域で開発をやっていこうというのと、小さな地域で開発をやっていこうという、二通りあるようであります。そして大体国民経済の高度に伸びたところにおきましては、大きな地域というものを考えていない。たとえばイタリアの南部開発のような考え方、ソ連のシベリアのコンビナート方式による開発考え方というようなものは、やはり私は未開発の地域だと思います。しかし英国その他がやっておるものは比較的小さなセンターを設けて、そうしてほんとうに国民経済がある程度まで伸びたところにおいては、いわゆる大ざっぱに言う未開発地域というようなものの考え方ではなくして、さらに完璧なものにしていこうという考え方に基づく地域開発であって、それはほとんどが新都市建設計画であるとか、あるいは市町村地方都市の小さな区域におけるところの開発というようなもので、相当繊細な配慮を払った計画に入っていっておる。日本がとっていく方向はどういういう方向であるかということは、おのずから日本の国民経済の現況から見てわかるはずであります。そういう点で基幹都市というようなものの考え方に進まれていくということはいいのでありますが、一方において先ほど言いましたような、そういったものの考え方と逆行する方向が同じ政府部内にある。たとえばこれは非常に特殊な問題でありましょうけれども、北九州五市の合併をこの際やろうというような考え方を持っておる。あるいは大阪におきましては、大阪郊外の千里山あたりに膨大なニュー・タウン計画をやっておる。しかもその内容を見ると、大都市救済の方向まで打ち出されておる。きわめて単純なベッド・タウンしか頭に置いてないというような考え方でやっておる。こんなものは地域格差是正にも何にも役に立ちはしない。ああいうふうなものの考え方で進んでいる。あの財源が一体どこから出てくるか。自治省はこういったものに対して、もちろん賛意を表しておられるのじゃないかと思うのですが、そうすると基幹都市のものの考え方の間に大きな開きが出ておる。現実にやっていることは逆行しているのじゃないか。何らそこに産業の再配置というものを考えていない。単なるベッド・タウンというのには少しこれはおこがましいし、またこそばゆいので、仕方がないので何かコミュニティというようなものの考え方でごまかしておる。ほんとうに腹をきめたところの地域開発としてのものの考え方の都市建設というようなことは全然考えられていない。ああいう何百億に相当する財源が一体どこからどういうように出されてくるのか。こういったことに対しても私は非常に疑問を持つのです。  そこで大臣はこまかいことは御存じないかと思いますが、藤井行政局長さんに、これらの二つの問題について、一体ああいうもののやり方について、自治省としては極力推していかなければならぬという考え方が依然としておありになるのかどうか。基幹都市を一方においてやっておる。他方においてああいうようなものをやっておる。しかも大都市集中を排除しなければならぬ、あるいは高度な地方の雇用の安定と水準を維持していかなければならぬという段階にきておるときに、一方においてああいうベッド・タウンみたいなものを作っていく。そうして大都市が地面の上を平面的にずるずるべったりに何らの計画もなく、ただ伸びていっておる。現在の都市計画などを見まみしても、ほとんど産業経済に根をおろした、立脚したところの都市計画などは進めておられない。単純な土木建築的なものばかり頭に置いて、そうして経済開発的な、あるいは地域格差是正というものの考え方で都市開発が全然行なわれてない。全く平面的にただ伸びておる。そういうむぞうさな伸び方のその先端に、必ず農村関係との間に問題を起こしておる。今日の農村問題というのは、ほとんど土地問題、そういうところからきております。こんなことを野放図に認めておる。それから一方においては御承知のように住宅公団があって、地方自治体との間に何らの関係もなく、勝手な計画を立てて、安い土地をどんどんあさっておる。こういうような現象が今出てきておるのであります。また大都市をできるだけ集中排除しようとかかっておるときに、一方において膨大もない百万都市とか五十万都市を頭に置いてその実現を推進されていく。どこが推進しておるか知らないが、こういうことにつきまして、今申し上げました北九州の問題とか、あるいは千里山のニュー・タウンの問題、これについて自治省は在来どういう態度をとってこられたか、このことについて一つ行政局長さんに伺いたい。
  82. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 地域格差是正なりあるいは低開発地域の工業振興なり、こういうものに対処をいたしますための大きな方向といたしましては、私は三つあると思うのであります。その一つは先刻来お話のございました、また私たちの考えております通称の基幹都市の建設促進の問題、これがあろうかと思います。詳しいことは申し上げませんが、この考え方は、大都市へのこれ以上の集中というものを排除していく、あるいは地域格差是正していくというような点をおもなるねらいといたしまして、そのためにはやはり基本的な立地条件の整備というものを中心としながら、地方経済の拠点を建設していこうという考え方でございます。この点は直ちにこれは五十万とか百万でなければならぬというような、弾力性のない考え方を私たちはとっておるわけではないのであります。相当程度の大都市となり得る基盤を持っていなければならぬけれども、直ちに現在のところ三十万でなければならぬ、五十万でなければならぬというようなものではあり得ないと私は考えるのであります。第二の方向といたしましては、既存の大都市あるいは既存の大都市圏というものを頭に置きまして、これの再開発を行なっていくという考え方一つあり得るだろうと思うのであります。これは既存の大都市である東京、大阪というようなものを頭に置く場合におきましても、基幹都市の建設とは違いますけれども、これをこのままに放置をしておくことは、やはり許されない。そういう意味でもう少し合理化された、改善された環境のもとに大都市を整備していく。そのためには大都市内自体の再開発をはかりますとともに、また大都市圏というものを頭に置きまして、衛星都市等を含めてこれの開発を促進していくという考え方が第二であろうと思われます。第三の考え方といたしましては、もう少し小規模な、むしろ小さい地方、地区というものを対象にいたしまして、そこに工場誘致を促進していくための行政的な、あるいは財政的な措置を講じていく。現在行なわれておりまする工場誘致のための諸施策というものに、もう少し合理的な根拠を与えていくという方向、大体この三つの方向があり得るというふうに考えております。  私たちはどちらかといえば重点を第一の基幹都市の建設の方向というところに向けていくべき筋合いのものではないか。必要があると申しましても、あらゆるものに手をつけていくということになりますと、これは総花式になって効果も上がってこないというような点もございますので、最も効果的な手段として重点を置くべきものとしては、基幹都市的な構想を推し進めるということが一番いいのではないか、かように考えておるのでありまして、この方向のもとに関係各省と調整をはかっておる段階でございます。先刻もお話がございましたように、われわれといたしましては、基礎条件の整備、立地条件の改善整備というような点からいたしまして、どうしてもこれは地方自治体というものが中心になってやらなければならない総合的な仕事でありますので、土性骨を据えてかかって参りたい、かように考えておる次第でございます。  その問題と今具体的に御指摘のございました北九州の五市の合併の問題、あるいは大阪市の近郊におきまする団地の新たなる形成の問題、これについてお尋ねがございましたので、考え方を申し上げておきたいと思いますが、北九州五市の合併の問題というのは、私は基幹都市の構想とは直接に関係がないというふうに見ておるのであります。これは沿革的にもかなり古い歴史を持っておりまして、従来からも二回くらい合併の機運というものが相当盛んになった時期がございます。いろいろな事情がございまして、それがそれぞれ立ち消えになっておりましたが、今度出て参っておりますのは、やはり一面において基幹都市とか、そういったことに刺激されたことは事実でございますけれども、もともとあった合併の合理性というものがもう一度再燃をしてきたというふうに見るのがいいのではないかと私は考えておるのでありまして、現地の状況等について見ますると、これは阪上委員もよく御承知のように、あそこの地理的、自然的、経済的な条件と申しますのは非常に一体性が強い。地区の境界その他にわたりましてもさだかなものがないという工合に、地理的、自然的条件が一体性を完備しております。そういう意味では広域都市の再合併というような方向に進んでおるのでありまして、私はこれ自体といたしましては地元の要請が高まり、みなが理解してその建設に乗り出していくというのであれば、あえて反対をする必要はないのではないか。またそれ自体の建設が九州全般の工業の一つの拠点となり得るという面からいたしましても、要請が出て参りました場合にこれを支援していく態勢をとることはけっこうではないか、かように考えております。ただこれと基幹都市の問題というものを直接に結びつけるということにつきましては、いかがかというような考え方も実はあり得るのであります。その点今御指摘があった通りでございます。  それから大阪近郊の団地形成の問題でございますが、これはなるほど根本的に将来の見通し等を考えて参ります場合に、あれを単なるベッド・タウンとして構成をしていくということははたしていいのか悪いのか。その場合にただ平面的に住居地帯というものを近郊に作ったということだけでは、交通難の緩和その他からいって、かえって悪くなりはせぬかという面も考えられるのであります。従ってあの団地自体につきましても、やはり週辺に工場地帯を含めて団地形成をやっていくというようなことも考えていかなければならぬ面があると思います。ただこの点も基幹都市の問題とは、私は別個であると思っておるのでありまして、先刻申し上げました第二の方向であります既成大都市の再開発一つの方向として考えていいものではないかというふうに理解をいたしておるのであります。これを具体的にどう持っていくかということにつきましては、また過去のあやまちをさらに大きくして繰り返すということのないように、大阪府当局とも十分に打ち合わせをいたしまして、それらの点については遺漏のないように措置をするという点につきましては、今後も一つ研究調査を続けたい、かように考えております。
  83. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 ニュー・タウンの財源は……。
  84. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 財源の問題につきましては、現在のところ、たとえば北九州の場合で申しますれば、これでもって建設計画等を作って参るのでありましょが、それに対して現在のところ特別に財政上の措置等を用意をいたしておるわけではございません。ただおのずからそこに重点的にやっていくというような要望が出て参りますれば公共事業の面とか、あるいは補助事業の優先配分の問題とか、あるいは起債の配分の点につきまして考慮をされることはございますけれども、そのために特別に財源措置を講ずるということを考えておるわけではございません。
  85. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 財源措置を考えていられなくても、もう現実に二百億ないし三百億要るところのニュー・タウン計画というものは、すでに工事が始まっておる。これは一体財源をどこに求めておるのですか。自治省の方でおわかりになりませんか。
  86. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話の点が大阪の千里山の宅地造成の問題であるといたしますならば、二年ほど前でございましょうか、土地の所有者から土地を購入して、それを宅地化してさらに再譲渡していく。その土地の購入にあたって交付公債を相手方に渡す、それによって所有権を譲り受ける、こういう方式で、交付公債の許可申請があったことがございます。何十億円でございましたか、正確な数字を覚えておりませんが、交付公債の発行を許可いたしておるわけであります。
  87. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 すでにそういう財源付与が行なわれておるということなのでありますが、先ほど申し上げましたようにこれはぜひ一つ早く基幹都市構想というものを固められて、今言ったようなベッド・タウンを作っていく方向に財源手当をするということよりも、むしろやはり小さな地区における工業開発、あるいは農村の都市化、そういった方向も考えられる基幹都市の内容に合致するような投資が行なわれていかなければならぬのではないか。ベッド・タウン地域の開発というようなものは、ほうっておいてもだれかやるのだし、ほうっておいてもやれるところにどんどん金がいく。大都市の付近のほうっておいてもできるところにどんどん投資していくというようなものの考え方でなくて、やはり同じ府県の中でもほんとうに格差というものがあるということは、みなさん御存じだと思う。たとえば大都市の衛星都市が構成されておりますけれども、衛星都市の中でもやはり捨てておいてはならぬところ、再開発を必要とするところの地方都市がたくさんあるわけなんです。そういうものに重点的に開発させていくための財政的な措置等も、やはり、この際考えてもらわなくてはいけないのではないかと思うのです。聞くところによりますと、今回の予算には調査費が含まれております。これは自治省関係としての予算だと思いますが、あんな額ではとても足りないと私は思います。自治省だけでおやりになるならばいいかもしれませんが、こうした問題はやはり地方におろして考えなければならぬ問題ではないかと私は思う。この点について将来そういった方向の調査を進め、各都市の開発意欲をもっと高めていくという意味においても、各都市がそういう調査に乗り出す費用をある程度見てやるというような、そういう思い切った推進的な考え方による財政措置というものを考えておられるかどうか、それを一つお伺いしたいと思うのです。
  88. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 来年度予算案におきましては、約一千万円の調査費が当省関係では計上されておるのであります。これで足るとは私たちも考えておりません。ただ来年度は、それと経済企画庁関係で五千万円の調整費がついております。この調整費につきましても、各省には関係いたしますが、自治省といたしましても、できるだけ所要の財源というものを確保するために、これを使うような交渉はいたしたいと考えておりますし、なお将来構想といたしましては、全国的に、今御指摘のありましたような機運が出てきておる段階でございますので、その機運に乗って一つの大きな方向に推し進めて参りまするために、基本的な調査、建設的な調査ということをやりまする場合に、政府としても何らかのそれについての助成措置を講ずるということは、さらにもう少し広範な見地において考えていきたいと考えております。
  89. 中野四郎

    中野主査 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後、零時五十二分休憩      ————◇—————    午後二時十分開議
  90. 中野四郎

    中野主査 休憩前に引き続いて会議を開きます。  質疑を続行いたします。楯兼次郎君。
  91. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は、三十四年三月に施行したと記憶しておりますが、合併促進法によって越県合併をした合併町村が当時非常な紛争を起こしておりましたけれども、その紛争状態が今日まで続いておる個所が全国でどのくらいあるかということをまずお聞きしたいと思います。
  92. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 越県合併関係でなお未解決になっておりますものにつきましては、あと二件ございます。すなわち岡山県の日生町の福浦部落、それからもう一つは栃木県の桑絹村の一部地区、この二つは法的にもなお未解決になっておりまして、この点がまだ残っております。その他の点につきましては、一応法的には解決したことになっておるのでありますが、なおそれらの中について紛争が継続しておると認められるものは、これも二つございます。その中でなかんずく最も紛争状態が激しいというふうに認められますものは、長野県と岐阜県の県境合併の問題で、だいぶ問題が大きくなっておりました例の神坂村の関係、この点がなお一番未解決の問題として紛争が残っている最たるものではないかと考えております。
  93. 楯兼次郎

    ○楯分科員 前者の法的に紛争状態にあるという内容を、簡単に一つお知らせいただきたいと思います。
  94. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 日生町の福浦部落と、それから桑絹村の一部部落の関係でございますが、これは一部合併の問題でございます。取り扱い方が全村合併の場合と全然違いまして、手続といたしましては調整委員の調整にかかっておるのであります。この調整委員は、県境の問題でございますので、中央にございます新市町村建設促進の中央審議会の委員の中から、それぞれの案件について三名ずつ委員をお願い申し上げまして、これらの人が調整委員となって、問題のあっせん、調停に努めておられる段階でございます。現在のところ最終段階に入っておりまして、私たち事務当局といたしましては、大体三月一ぱいに調整委員の調停の結論をつけていただきたいというふうに希望いたしておりますし、調整委員におかれましても、大体そのような方向で目下実際上の作業を継続中でございます。
  95. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私が質問をするのは、法的に措置はされたけれども、法的に措置をされる以前と同じ状態である最たるものとして、長野県と岐阜県の旧神坂村ということになるわけでありますが、そのほかにも二、三あるように私は聞いております。私はこの神坂の現地をよく知っておりますので、ただ自治省の方で法的に措置をしたというだけのことではこれは解決をしないし、また現状をこのままに放置しておきますると、それこれ流血の惨事が起こるような気がするわけです。従ってこの地域に何らかの行政指導をしなければならないと考えておりますが、そういう点はどのようにお考えになっておるか。
  96. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 旧神坂村の長野県に残留いたしました三部落の措置につきましては、以前から楯委員に大へん御心配をかけておるのであります。この点につきましては、われわれといたしましても、その後なお善後措置にできるだけの努力をして参っておるつもりでございますけれども、法的には一応落着いたしましたとはいうものの、実際問題としてなお紛争が継続しておるということは、これは疑いのない事実でございます。従いまして、われわれといたしましては、法的に済んだから事は終われりというような態度でおるわけには参らない筋合いのものであろうと考えております。だいぶ時間が長くなっておりますけれども、なお問題が継続をいたしておりますという現状にかんがみまして、私たちといたしましては、事態の鎮静ということも必要でございますし、また問題をあらためて提起をしていく、それによって騒ぎがさらに大きくなるというようなことは、これは心して考えて参らなければなりませんけれども、それらの点を考慮しながら事態の円満解決ということにつきましては、なかんずく両県当局がその建前になってもらわないと事柄はなかなか進みませんので、それらを骨子としながら、なお地元の住民の動向とにらみ合わせながら、本件の円満な解決ということにつきましては、今後ともさらに積極的な努力を継続いたして参りたいと考えておる次第でございます。
  97. 楯兼次郎

    ○楯分科員 積極的な措置をとられるという意図は御答弁によってわかるのですが、問題は、具体的に措置をしなければこの紛争は永久に解決をしないと思う。そこで、紛争解決の手段としては、やはり岐阜県と長野県両県にあなたの方から積極的に呼びかけて、解決の方途を講ずる以外には手がない、こういうふうに私は考えておるわけです。従って、ただこの委員会であなたが将来措置をする、措置をするということを言っておられるだけでは、これは解決しないと思う。両県当局に対してどのような——すでに一年半、二年たっておりますが、どのような具体的な指示といいますか、措置をされたか、お聞きしたいと思います。
  98. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 法的な解決に至りましたそのいきさつなり何なりがあるものでございますから、われわれといたしましては、その解決の方向と全く違ったような提案を具体的にやるわけには参りません。しかしながら、紛争がなお現在継続いたしておりますことは事実でございますので、それには今御指摘もございましたように、両県当局が問題を解決するというつもりにならないとこれは前進をいたしません。そういうところから前々からも御指摘の次第もあり、われわれといたしましてもその以外に方法がないということで、しばしば両県知事あるいは両県の事務当局、なかんずく総務部長、地方課長らを招致をいたしましてその旨について申し入れをし、その線に沿って両県の事務当局等においては従来から数回にわたって話し合いをして、問題の糸口を見つけるという努力をした方向には来ておるのであります。ただ、今までのところは、遺憾ながら、正直のところを申しますと、まだその糸口を発見するに至っておらない、そういう段階でございます。
  99. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は岐阜県の方に住んでおりますが、長野県の立場もよくわかると思うのです。だから今までのところは非常に上ってきたといいますか、そういう感情の中にあったのでむずかしいと思いますが、今日では住民も相当冷静になっておるので、ぼつぼつ解決の方向に踏み進まなければならぬと思う。  そこでまず私が考えますには、あなたの方で、残った三部落が地勢あるいはその他からいってどちらの方に所属といいますか、合併といいますか、つくべきが至当である、こういう基本的な考え方をまず確立をされなければ、この問題は解決をしないと思うのです。だから、この問題を解決するためには相当時間もかかるし、めんどうな問題もあると思いますが、あなたは十分現地をお知りと思いますし、一体残った三部落は将来どちらに帰属すべきが至当だ、住民がしあわせだ、幸福だとお考えになりますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  100. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点は、あのような結論が出ました経緯から見まして、この席上で、あの三部落について、今御指摘になりましたような点について私の見解を述べるということは、私は差し控えさしていだたきたい。非常に微妙でございますので、差し控えさせていただきたいと思うわけであります。ただ、固定的な考え方ではなかなか解決しないというのはお話通りでありまして、私どもといたしましては、現地の情勢あるいは両県の立場等を——一時のようなことではなくなってきておる。ある程度冷静に考えていくという機運も出てきておる段階でございますので、客観的に見て、さらに弾力性のある態度をもって、われわれとしては中に入っていく、それによって事態の進展をはかりたい、こういう基本的な態度だけを申し上げておきたいと思います。
  101. 楯兼次郎

    ○楯分科員 行政局長としては、ちょっと発言しにくいと思います。だから私は別に我田引水で申し上げるのではないのでありますが、地勢あるいは経済事情等を考えて、当然これは湯舟沢と同じように岐阜県側に合併をしなければ、この問題はおさまらないと思います。法的措置をされて相当に日数がたっておるにもかかわらず、なぜ今日もあの当時と同じような状態におるかといえば、現地の実情はこうだ、それから郵便局の関係、新聞の配達、それから農協の活動、すべて長野県の方に半分は分割をされたけれども、この三部落は、ただいま申し上げました関係は、全部岐阜県の関係にあるわけです。これは何も私は感情的ではないと思います。もうそうしなければ、あそこの村としては日常生活がやっていけない。それを無理に分割をして、そうして大きな山と谷のある山口村に合併をさしたというところに、私はこの紛争がいつまでたっても解決をしないという真の原因があると思うのです。しかしそれをはぐらかすということは、なかなか技術的にむずかしいと思いますので、自治省としては、とにかく地域条件あるいは経済事情からいって、こちらの方に合併を将来しなければいけない、解決をしない、こういう基本線の確立をしてからその問題をほぐす。やり方についてはいろいろのむずかしい問題があるかと思いますが、そういう前提に立ってやっていただかなければ、これは将来長野県の方でもしまいには始末に困って手をあげてしまう、こういうことになるだろうと思います。私の見るところでは、三部落が合併をいたしました山口村は、すでにもう片手くらいは私はあげておると思います。といいますのは、せっかく作りました学校へはほとんど通学をしない、それから税金は二年間滞納で一銭も納めておらない、こういう状態です。だんだんと日にちがたって参りますと、これは自治省全体の政治として非難をされると思います。たとえば二、三の例を申し上げますと、今三部落に小学校が建ちました。その総工費は七千万円です。その七千万円の学校に生徒が何人行っておるかというと、六十名です。そうなると一人当たり百二十万円です。一方においては、すし詰め教室だ、あるいは中学校あたりは、入学生が非常に激増をしてきたので、校舎の新築をやらなければならない、予算がないといっておるにもかかわらず、この地区は六十名で七千万円の学校を作ったのだが、将来どんどんと減っていく見通しにあるわけです。現地の調査によると、おそらく昭和四十年度には二十八名しか通学をしないだろう、こういう見通しであるし、これは私は事実そうなっていくと思います。そういう片手落ちな、片寄った政治というものが許されるかどうか、こういう面も考えなくてはなりませんし、それから長野県山口村の方から道路を作りましたが、冬季間は雪と雨でバスも通わない。従って、中学生が、すぐ目の前に中学校があるにかかわらず、山口村の四キロ、五キロ離れた学校に行っておるわけです。ところが冬季間はバスが通わないから、いわゆる中津川市に入って、そうして一年間九千六百円もバス代を負担して通っておる。こういうばかなことが将来放置されていいものであるかどうか。こういう点も考えていただかなければなりませんし、それから幼稚園もそうです。五百万円もかけて作ったわけですが、現在行っておるのは十名です。十名に五百万円もかけておる。三十七年度の入園児の予想は三名しかない。こういうところに五百万円もかけておる。一方においては、要求があるけれども金がないというので、なかなか建たない。こういうことは、長野県自体としても将来の大きな政治問題になってくるのではないか、こう思います。そこで、この税金の滞納をずっとやっておるわけであります。特別交付税によって補てんをしておるらしいのですが、特別交付税というのは、こういう場合に滞納して、村財政が赤字になった場合にそれを埋めるというようなことができるわけですか。この点を一つお聞きしたい。
  102. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点は、滞納というようなことで意識的にやっておりますので、そういうことに対する措置といたしまして、特別交付税で特別措置を講ずるということはやっておりません。
  103. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私がちょっと仄聞したところによりますと、三部落はあの法的措置がなされてから全部滞納しておる。山口村の村財政が非常に困る。それは特別交付税によって操作をしておる。こういうことを聞いております。これも私はあと質問の関係で深くはお聞きをいたしませんけれども、やっておらなければこれは別でありますが、私の聞いたところでは、そういうことを言っておりまするから、これも将来大きな問題になってくる。それから七千万円もかけて学校をお作りになった。ところが六十名しか生徒がおらない。そのあとの空席はどういうような措置がされておるかということを聞きますると、長期欠席、こういうようなことで手続上の措置がなされておる。こういうことも聞いておりますが、これもまた一時的な現象であって、将来は許されない問題だと思うわけです。私は長野県にどうの、岐阜県にどうのということは言いませんけれども、現地を知っておりますから、当然こちらへ人の流れがあるにもかかわらず、それを区切って山、谷を隔てたこちらの方へ合併をしたという結果になっておりまするから、この問題はいつまでたっても解決しないと思うのです。こういう点を十分お考えになりまして、毎国会私は一言ずつこういうことを言っておりますが、これは私が国会議員になっておるうちは自治省といつもこの話をしなければいかぬと思いますし、もう数え上げればふに落ちないこと、許されない事柄が連続をしておるわけです。これを放置しておけば、あの付近の住民全体は政治に対する——現在でも非難をいたしておりまするが、非常に非難の声が強まってくると思いますので、一つ積極的に解決の方途を考えていただきたい、こう思います。
  104. 中野四郎

  105. 井堀繁雄

    井堀分科員 消防関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  本年度自治省予算の中で、消防関係で特に目立った変化は、消防団員退職に対する七千万円ばかりの礼金が組まれておるようでありますが、実は消防団と消防署の関係は、近代都市におきましてはだんだんと複雑になるのみならず、いろいろ大きな問題が起こりつつあると思うのであります。至急にこういう問題の処置をはかるべき時期に当面しておるのではないかと思いますが、その方面に対する予算の面では何らの処置がうかがわれません。この点について御見解をお尋ねいたしておきたいと思います。
  106. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防組織法によりますと、消防署あるいは消防団、その一個または二つを、それぞれの市町村に置くという規定だけであります。現実には、消防本部、消防署、つまり地方公務員としての消防職員だけでやっておりますところ、これはごくわずかです。それで消防団だけのところ、並びにその両方があるところ、こういう三様になっております。消防署と消防団のある併存地域におきまして、ややもすると消防団と消防署がしっくりいかないようなところも時おりあるのでございますが、結局同じ目的で存在する機関でございます。またそういう併存地域は、その町の状況によってどうしても併存を必要とする状態にあるわけでございますので、結局これは人の問題になるかと思いますけれども、消防署と消防団とはよく緊密に連絡をとって、法律上のいろいろな区処関係はございますけれども、結局人と人との関係で仲よく円満にやっていくようにということで、全力を尽くして指導しておる次第でございます。そのために予算上の措置というものは特にやってございません。
  107. 井堀繁雄

    井堀分科員 今日の消防団と消防署との関係は、地方の都市はともかくとして——地方でも最近近代的な装いが急に活発になってきておるわけですが、こういう場合に、今の消防法もしくは消防組織法によりますると、指揮権はあなたの手元にあって、団はこれに協力する形が建前のようであります。ところが、お仕事は同じお仕事をするわけです。特に国民の生命、財産を守るために、消防だけではなくて、震災その他の場合にも、非常時に備えて活発な迅速な行動をやってもらうことになっておるわけでございます。その場合には、消防署の関係は、言うまでもなく、これは公務員として一つの規律があるし、処遇も明らかであります。団の場合は、幹部には犠牲的な奉仕あるいはそういう能力も今日の場合そう問題でないかもしれませんが、団員の場合においては、問題が非常に大きくなっておる。ここでは災害の場合の補償でありますとか、退職の場合の慰労金を出すとかいう程度で、多少芽を出したようには見えますけれども、もっと抜本的な対策が望まれておるのじゃないか、これらがみな実際問題になっておると思うのです。今日大都市においてはかなり徹底した消防の施設なりあるいは組織が拡充してきておりますが、地方の場合は、表は混然一体という形に見えますけれども、実質は異質のものが一つの行動を起こすのでありますから、問題が起こるのがあたりまえだと思うのです。これを長年このまま放置するというわけにはいかぬのじゃないか。私は至急に対策を立てる時期が到来しておると思うのです。この点に対して、あなたは現状でやっていけるというふうにお考えでありますか、あるいはそうでないとするならば、どういう方法が望ましいか、その辺の点について一つ所見を伺いたい。
  108. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防署員と消防団員のいろいろな摩擦なり不平が起きる原因は、御指摘のように、結局消防の現場活動におきましては、消防署員も消防団員も同じような危険な場面に活動するわけでございます。一方は地方公務員としての処遇を受けており、消防団員の方は非常勤であり、義勇消防であるがために、消防署員に比べますといろいろな処遇が不備であるという点が、一番大きな不平のもとじゃないかと思うのでございます。これは消防団の機能あるいは組織というものが、古い時代から義勇消防、非常勤でその町のために犠牲的に奉公するという考え方で御承知のように育ってきた消防団でありますし、消防職員の方は、われわれも密集市街地のようなところにはなるべく常設消防を置いてもらいたいというふうに指導しておるわけでございまして、これは純粋に地方公務員の職務としてやっておるようなわけでございますから、その間にいろいろ違いがあることはやむを得ない、当然のことであろうと思うのであります。しかし、ただいま御指摘のありましたような活動面からいきますと、同じような非常に危険な仕事に同じような立場において働いておりながら、何か消防団員の方は処遇が思うようにいかぬ、これはまことに御指摘通りでございまして、われわれも今後の消防団育成のために、また消防団の内容を充実するためには、消防団員の処遇をどう考えていくべきかということがわれわれの非常に大きな研究問題でございます。かねて消防団員の処遇問題というものを相当強くわれわれといたしましては取り上げました。なかなか思うようには進みませんけれども、毎年消防団員の処遇、たとえば出動手当とか年手当というようなものについても、交付税で見る額をごくわずかではございますが、だんだん上げて参ってきております。しかし、これとてもまだまだ不十分でございまして、将来とも、この点十分考慮しなければならない問題と考えております。それから五年前におきめいただきましてでき上がりました非常勤消防団員の公務災害補償責任の共済基金、これはすでに発足してから五年目になっておりますが、これなんかは現場においていろいろ障害を受けた場合、あるいは死亡した場合の処遇について、五年前に新しくそういう制度を設けたわけでございます。今度の予算に盛り込みました七千万円のこれは、永年勤続して退職する消防団員に対して、わずかではございますけれども、国家が感謝の意を表するという意味で、長い間国家のためにも大へん御努力願ったというその御努力に対して感謝するという意味におきまして、七千万円を報償費として組まれたわけでございます。年々そういった工合にわれわれとしては消防団員の処遇問題を考えておるわけでございますが、まだまだ不十分でございますので、今後もあらゆる面から現代の時代に適応した方法によって、しかも消防団員の義勇奉公の義勇消防だという精神を失わないような方法で、近代的な処遇というものを十分研究していきたい、さように考えております。
  109. 井堀繁雄

    ○井掘分科員 本質論になるかと思いますが、私は消防署の職員消防団員関係というものは、本質的に問題があると思う。一つには、あなたもおっしゃられるように、奉仕の精神あるいは自治民の共助の精神というようなものは、私も相当尊重していかなければならないと思うのです。しかし消防に関する場合においては、その点についてあなたもおぼろげながら何かお気づきのような御説明がありましたが、そうではなくて、具体的に、地方都市の場合はしばらくテンポがおそいかもしれぬが、大都市の周辺の衛星都市、もしくは近代工業などを中心にして都市化しつつある近代的な都市、そういうところでは、法律にもそう書いてありますけれども、こういう奉仕の限界というものが出てきている。この点をどう改善するかということは、抽象論ではいけないと思う。具体的に措置がとられるべき時期が来ておると思うのですが、一向にそういう点が現われておりませんので、実はお尋ねしておるわけです。一々事例を引くまでもなく、あなたもお気づきのようでありますが、今日これをカバーしておりますのは、あまりいい傾向でないと私は思うのであります。見方によりましては、これは地方の一種の伝統的美徳というふうに考えておる向きもあるようであります。たとえば、団の幹部になりますと、ある程度名誉欲も満足させることができるという風習がまだ残っておるが、これもだんだん希薄になりつつある。団員に至りましては、ある場合においては消防署員以上に、非常時に備えて危険を顧みず犠牲的な奉仕をさせられておるわけです。その結果、生活にかなりのしわ寄せがされている。たとえば農閑期のような余裕のある場合に起こったらいいのですが、農繁期のような場合は、農村にとっても非常な問題です。近代都市におきましては、昼は勤めて夜は協力するというような場合が起こっている。こういうような犠牲というものは、かなり限界に来ている。ところが、一方は都市化によって、大都市にならって消防制度というものがだんだん常設的になって、すなわち法律で言いますと、消防署の充実になっていきつつあるわけです。この関係というものを、今あなたもお気づきのようでありますが、至急に措置を講ずる時期だと思う。予算がなければやれないというものでもないかもしれませんけれども、もうそろそろ予算の中にそういうものが頭を出してきていい時期ではないか、すでにおくれておるのではないかと思うわけで、お尋ねしておるわけです。何かこれに対する構想がありましたら、この機会に伺いたい。
  110. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 かねがねわれわれも消防団員のあり方、今後の消防団員の編成の仕方、仕事の内容を近代的にどういうふうに改造していったらいいかということを考えておるわけでございます。何しろ消防団というのは、消防機関としては、御承知の通り古い歴史を持っております。全国的には現在でもざっと百七十万の団員がおります。それで、地方によってはそれぞれ生い立ちと申しますか、伝統の違った点がありますので、これをいかに改造していくかということは、その実情をよく調べて、それぞれの実情と食い違わないような方法を考えていかなければならないと思うのでございます。いずれにしましても、御指摘のように、消防団の今後のあり方、また消防団員の処遇の問題というものは、真剣に考えていかなければならない。もちろんわれわれもお話ごもっともに伺っておるわけでございますし、またわれわれも同様に考えておるわけでございますが、そういった観点から、消防団員のあり方につきましても、また処遇の問題につきましても、今後極力近代化に向くように努力していきたいと考えております。
  111. 井堀繁雄

    井堀分科員 実情に即して改革していくことは当然だと思いますが、もうその実情はかなり発酵しておる。一つ消防団員の処遇の問題であります。一つにはこれが社会的な問題を起こしつつある。たとえば、地方市町村の悩みの種のようでありますが、物質的に恵まれないものに対しては、それにかわるべき何かの処遇をというわけで、たとえば幹部には名誉を表徴するものになるかならぬか知りませんが、なかなか派手な服装などを与えることによって、幾らかその意を迎えようという苦心のほどをわれわれ認めるわけであります。しかし、そこには昔と違いまして、もう封建的なああいうやり方では、団員をつかむということに困難を生じておることは事実なんです。でありますから、私財を投じましたり、ひどいのになると、消防のいろいろなことに事を寄せて、私財まで投じて宴会を催してみたり、あるいは旅行その他の慰安をやったりして、これが自治体でもかなりの負担になっておるようであります。そういう弊害が方々に現われてきておる。この委員会にも関係のあることで、あとでお尋ねしようと思う選挙なんかにも、この問題が関係してくる。これはいい、悪いということではないかもしれませんが、消防団員、消防署員の問題は、さっき明らかにいたしましたように、その職務の上では全く同じ、片方はそういう封建的な伝統の中のいいものがある場合はいいのですが、くずれてきた場合に、署員と比べましてあまりにも違い過ぎる。それを今言うような古い形の中で守り通そうとするもがきは、自然にほかの面に悪影響を与え、第三者に非常な迷惑を与えつつあるわけです。たとえば、選挙制度なんかについても、消防団の団員がこれと結びつくことによって、今のような問題を合理化しようとする傾向がかなり強くなってきておる。そうすることは、せっかくその目的とする、自治民に対する奉仕のとうとい使命が全く汚されてしまう。こういうような傾向が各方面に現われつつあることはお気づきだと思う。至急にお調べになったらいい。これはもうすみやかに処置を講ずる時期に来ていると思うのであります。お気づきのようでありますから、適切な措置を要求しておきたい。われわれも具体的にできるなら提案をいたしたいと思っておるわけであります。  そこで問題は、段階的にやっていこうというお考えについては、私は必ずしも否定するものではありませんけれども、しかし制度としてはこれは抜本的に改めていくべきだと思うので、これに対する御準備を一つ希望しておきたい。またあと一つ、大臣が来たらその点は要望しておこうと思っておりますが、あなたからも具体的な提案をなされることを私は希望するものでありますが、何かそういうことについて具体的な御提案をなされる御用意があるかどうか、伺いたいと思います。
  112. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防団員の資質の問題と、それから処遇の問題に関連いたしまして、御指摘のようないろいろなむずかしい問題があることは、われわれも承知いたし、またこれをいかにして解決するかというような問題につきましては、かねがね肝胆をくだいておるわけでございます。そのいずれの問題につきましても、ここ数年来相当実績をあげておるのでございますが、しかしまだまだ解決すべき問題はたくさんございます。今後とも極力これの改善に努力していきたい、さように考えております。
  113. 井堀繁雄

    井堀分科員 この問題はあと二、三点、大臣が来てから一緒にお尋ねしようと思ったのですが、あなたのお考え方をちょっと伺っておきたいと思います。  私は、消防関係については、自治の中でもよほどこれは工夫して刷新していかなければならぬものの一つと思うのであります。たとえば、今地方自治体の中では、表向きは補助金額というものは動かせぬものですから、いろいろな苦心をいたしまして、地方では寄付金のような形をとりましたり、いろいろ無理なことをしておる思うのです。それは、結果においては、地方自治体の目に見えない大きな負担になる。でありますから、正面切って自治省との間の折衝なんかが地方自治体としてやり得ないというようなことが、結果において私は地方自治の成長を大きくはばむ一つの事柄だと思うのです。これをただ消防という限られた公の任務だけから判断するのではなく、この自治体の中における要素というものは非常に多角形になっておる。——幾つか具体的な事例がありますが、他の質問がありますので、多くこれに時間を取ることができませんので、できるだけ具体的にそういう問題を拾い上げて、次会にはしかるべき具体的提案がなされるように一つ準備を希望しておきたいと思います。そういう点に対する何かお考えがありますなら、お伺いしたいと思います。
  114. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防施設の補助につきましては、昭和二十八年から実施されておるわけでございますが、この補助が、ポンプ、水槽、通信機材、この三点につきまして三分の一補助ということで、三十六年度予算には六億八千万円盛られておるわけでございます。二十八年当初から比べればだんだんと増額されて参ったわけでございますが、しかし三分の一補助ということではなかなか地方負担が多うございますし、また相当消防施設には高い金がかかる関係上、地方負担も相当かかるので、その間に寄付金というような弊害も出てくる場合もあるわけでございます。これを二分の一補助にしたい気持は、われわれ事務当局としては持っておりますが、なかなか財政の都合でそこまではいかない。従って三分の二は地元負担ということになるわけでございます。従ってそういう弊害も間々出てくるわけでございますが、幸いに消防庁も、昨年七月外局として自治省に入りました中で、全般的財政問題から、財政上から見た消防のあり方、財政的なあり方というものも、今後自治省本省のそれぞれの担当局とも十分連絡をとって研究していきたい、さように考えております。
  115. 井堀繁雄

    井堀分科員 今本年度予算の数字を言われましたけれども、これは結局施設整備費の補助金だけでしょう。消防団員の処遇については、このうちから割愛するものは何もないのでございましょう。だから、私の言っているのは、この予算増額するということも大切かもしれません。でありますけれども、消防団員と消防署の今の不合理というものをどう解決するかということについては、これは相当予算を持たなければ提案ができないのじゃないかということを実はお尋ねしておるわけです。今予算のいずれの面を見ましても、これに該当するようなものは見当たりませんし、地方自治体では、先ほど申し上げましたように、かなり苦しい、やみではないけれども、やりくり算段をして消防団の組織を維持しておることは、あなたもお認めの通りであります。こういうものに対しては、やはり具体的な措置が必要だということを私申し上げ、あなたも同感のようでございました。そういうものに対してはやはり具体的な方針を、今日、この予算で間に合わなければ、来年度予算でどうするかということでなければ、ただ思うというだけの話になりますので、実はお尋ねしておるのです。そういう点に対するあなたの見解でけっこうですから、一つ……。
  116. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 この施設補助の中には、一部県の消防学校のものも、わずかでございますが、入っております。このほか、この消防予算の中に含まれておる消防団関係は、公務災害補償責任共済基金に対する補助と、それから先ほど申し上げました新しい予算の七千万円の退職報償金と消防協会の委託費と、われわれの予算に組まれておるのはそれだけでございますが、そのほか、交付税関係は、今まで一般交付税の中に消防関係として含まれております。将来の問題としましては、先ほど申し上げましたように、消防団の資質の向上、教養訓練の問題、それから処遇の問題というような問題については、今後とも十分方策を考え、また予算の面においても十分考慮していきたい、かように考えます。
  117. 井堀繁雄

    ○井掘分科員 ちょうど大臣がお見えになりましたから、今消防のことをお尋ねしておりますが、これは政策関係のあることですからお尋ねをするのでありますが、今消防署と消防団との調整の問題は、これは程度の差はありこそすれ、問題が非常に窮迫しておるという点は、意見が一致いたしました。そういうことのために予算措置がなければならぬじゃないか、今日出ていないが、この次どうかということを今お尋ねしていたわけです。  そこで、これに関係して、消防制度の充実は、もちろんこれは国民の生命財産を守る重要な公の仕事でありますから、これを徹底することは言うまでもない。その財源一つとして、今日火災保険会社というものは、その充実に正比例して大きな保護を受ける一番具体的な対象ではないかと私は思うので、こういうところには目的税を設定して、そうして消防団員の処遇その他の財源をそういう目的税の中から考えるということが、さっきの段階的な、実情に沿うた改善ということになると、ふさわしい一つのやり方ではないかと思うのです。一つ大臣の見解をお尋ねいたします。
  118. 安井謙

    安井国務大臣 消防の関係でございますが、御承知のように、都市における——都市といっても大都市、東京とか大阪のような都市における消防機構というものは、どうやら形ができておると思います。しかしその他の一般の自治体については、今のような、地方の住民に名誉職的な仕事を押しつけて、そして国なり地方団体でやるべき仕事に援助を求めておるというような段階で、非常に原始的な形になっておる。この点につきましては、おそらく消防庁長官からお話があったと思いますが、将来基本的にいろいろ考えていかなければなりますまいと思っております。  それから、そういう措置をやりますについての今御提案の、保険会社といったようなものが、消防の制度が進むに従ってますます有利な収益をあげるのだから、こういうものに特定の財源負担をかぶせてはどうか、こういう御意見だと思いますが、私はこれも確かに一つの方法だと思います。将来これは当然考えていいものだと思うのであります。同時に、今でも一部で行なわれておると思いますが、消防関係自体の自家保険のような形のものも併用して考えていって、そういった問題の今後の検討に資していきたいと思っておる次第でございます。
  119. 井堀繁雄

    井堀分科員 ぜひ一つ具体的な推進を希望いたしておきたいと思います。  それで、次にお尋ねをいたしたいのは、本年度予算で、選挙関係予算について、前回もちょっと公職選挙の特別委員会で大臣に要望いたしておきましたが、拝見いたしますと、一億六千九百余万円の委託費の増額が常時啓発の費用として拠出されておりますが、これは非常にけっこうなことだと思うのであります。ただ惜しむらくは、池田内閣の方針の中で一番声を大にしたものは政治の正常化のために姿勢を正すというようなことを度々繰り返しておられるそのやり方の対象としては、あまりにこれはお粗末だと思うのであります。公明選挙運動を推進していく委託費としては、これを各府県にそれぞれ分散をしたり、あるいは他の団体にも割愛することになっておりますが、ほんの申しわけになってしまう。しかし意思表示はしておることになる。そういう面では確かに一つの誠意だと見ていいのでありますが、これでは五十歩百歩じゃないか。もう少しこういうところには、さすがにという数字を表わすべきだし、またそれだけの余力は十分あるとわれわれは考えて、この前要望しておきました。非常にこれは遺憾だと思います。  それからもう一つは、 この前もちょっと私は要望しておきましたが、一向考慮が払われておりませんが、選管の独立は法律で規定してあるところなんです。でありますから、選挙管理委員会というものが自主性を持ちますためには、選挙管理委員会の事務局ぐらいは、少なくとも府県あるいは大きな都市には確立をいたしませんと、これはさっきも話がありましたが、地方自治体の正々堂々と拠出できるものであるし、しかもやはり一番大きな費用というものは、地方議員の選挙の場合はとにかくといたしまして、参議院だとか衆議院のような国の全体を見て行なわれる大選挙というものが一番金がかかるわけでありますから、そういう費用はやはり国が出して、選挙管理委員会が独立に行動できる最低の保障はする義務があると思うのです。まあそれは考え方の上で異論はないのでありますが、弊害が今現われてきている。たとえば、地方の選管に行きますと、選挙の際に臨時雇いをかなり使っております。あるいは他の職員兼務させる。そのため、過労のために事故を起こしたという例が非常に多いわけでありまして、これはこの前も私は申しあげておきました。臨時に採用するために一これは選挙法で現に禁止しております。極端な言葉を使いますと、ある特定の人々や、あるいは特定の勢力のもとに公然と奉仕している人が、臨時だからいいだろうということで、人手が足りないものだから採用するということになる。だから、独立どころではなくて、選挙管理委員会自身が、一般の選挙民はもちろん、選挙関係者の間にも非難を受けるような実態がかもし出されているわけです。これは本質論から言いましても、またそういう実害から言いましても、選挙管理委員会というものの最小限度の独立が維持できるだけの事務局、スタックフぐらいはつけてあげなければ、意味がないということをこの前申し上げたのですが、今度出ておりません。これは池田内閣としては私はとんでもない失態だと思うんですが、あなたのお考え方を伺い、またそれに対する便法でもお考えになっておりますならば、一つ伺っておきたい。
  120. 安井謙

    安井国務大臣 前回にも井堀委員から御指摘になりまして、私どももその御趣旨には同感をいたして御答弁申し上げた通りであります。これが予算面においてまだ十分に出ておらぬじゃないか、あるいは具体的な面でまだ不十分じゃないか、こういう御指摘も一応私どもごもっともだろうと思うのでありますが、たとえば今の選挙の関係予算にいたしましても、昨年は総選挙がありましたために一億円というものが臨時に追加になっておるために、一億数千万円という予算であったわけであります。これが普通でありますと、常時の年なら数千万円にとどまるというものが、今回はとにかく増額いたしまして三億円というものを計上しまして、従来のノルマルなベースからいうと、数倍ないし十数倍に近いものを一応計上したというふうにわれわれは考えておるわけであります。しかし、それによって、常時啓発の費用にしましても、あるいは末端の選挙管理委員会にしましても、決して十分であるとは私ども思っておりません。常時啓発につきましては、一つこれはマス・コミを動員し、さらに地方の府県自身にも協力を求めまして、交付税の方からもそういった財源を捻出できるような仕組みにして、国の方の予算地方自治体自体の持つ予算とを合わせて大いに活躍を期していきたい、これも十分じゃないかもしれませんが、ことしから実現の一歩を踏み出したい、こういうふうに考えておる次第であります。  それからなお、地方の管理委員会、地方の中でも府県あるいは大都市に事務局ぐらいは設けるべきじゃないか、こういうお説に対しましては、私ども全く同感でありまして、これは一つ拡充していきたいと思っております。現に大都市につきましては事務局を持ってやっておるところも御承知の通りあるわけでありますが、これをさらに範囲を広げていくということはぜひ必要であろうと思います。この点につきましても、今まで交付税基準財政需要というものの中で見込んであるから、府県なり自治体で当然費用を持てばいいのだという考えでありましたが、これが実際問題になると費用が捻出されないというようなことから、ことしは一つ不十分ではありますが、そういった管理委員会に対する補助金も、国の方から直接のひもをつけたものを出す、同時に財政需要の面からも、これは十分加算してあるのだから、地方団体からも十分出すようにという措置と合わせまして、御趣旨の線を漸次実現をしていきたいと思っておる次第でございます。
  121. 井堀繁雄

    ○井掘分科員 地方の自治体が事実上経費負担をするという結果になってしまっておりますが、それが弊害になっているという顕著な場合は、知事の選挙です。知事の場合は、自分の選挙を管理監督する県の管理委員会が、人も貸してもらうし、費用も出してもらう。今、予算の折衝で、大蔵省が、予算前になるといい地位につかれることは当然のことです。今の選挙法でいきますと、現職の知事が次に立候補できるということになっている、自分でちゃんと選挙管理委員会を格好をつけている、それで選挙をやらせるということで、公正な選挙がやれるはずはありませんよ。だから、こんな下らぬことをいつまでもやらしておいて、選挙法改正も問題になりましょうけれども、もっと国の責任において選挙管理委員会の自主性を保障する、それも莫大な金がかかるというならとにかく、現に実質的にはあなたも御指摘のように、大きな都市あるいは府県においては事務局を常置しているところがあるわけだ。しかし、その経費は依然としてその知事の権限に属したり、あるいは市町村長の権限に属したりする。要するに人事やあるいは事務費の御厄介になるのでありますから、こんな不合理なものをいつまでも放置すべきじゃないと思うのです。至急にこういう問題の解決をすべきだと思って、私はこの予算策定の前に要望申し上げておいたのでございます。はなはだ遺憾でございますが、しかしせっかくの機会でありますので、やりくりをするにしても、できるだけそういうものに対しては、行政的指導をやって、弊害が起こらないようにする、次には予算を当然策定すべきではないか、こういうふうに思いますので、要望いたしておきます。時間がありませんので、次の二、三点お尋ねをいたしたいと思います。それは今度の地方関係でいろいろ大きく変化が起こるであろうと思いますものの中で、政府政策が従来と非常に大きく変わると思われる点が二、三あります。それが地方財政にどういうふうな影響を与えるかということは非常に大きな問題だと思うのでありまして、政府のいろいろな見込みは出ておるようでありますが、さらにこの機会に、具体的に二、三明らかにしておく必要があると思いますので、お尋ねをいたしたいと思います。  先ほども二、三の方がお尋ねになっておりましたが、日本の自治制というものがどうなるかという理想論はいろいろあるようでありますけれども、一方には、今日政府が、たとえば国税減税政策を実行するにあたりましても、国税に付加される地方税もありましょうし、あるいは今の税制からいいますと、地方には完全な——という言葉は過ぎるかもしれませんが、よき財源となるべき税制なんというものはほとんど見られませんし、また出ようとしてもおりません。交付税のようなものや、あるいは地方団体に交付されるという政策というものがいいか悪いかという問題は別にいたしまして、こういう中ですぐ影響してくると思いますのは、国税減税に伴って地方がどれだけの減収が見込めるか。あるいは今度政府のお取り上げになっておりまする政策の中で、地方制度に影響するものがかなりいろいろあるようでありますが、具体的には申し上げませんが、そういうもので、一体地方自治体の減収の見込みがどういうふうなお見通しであるか。また逆に政府所得倍増計画や、あるいは公共投資などに対する具体的な政策も出てきておるようではありますが、それによって潤う分ももちろん出てくると思います。増収になる分もわれわれ計算してみております。そのバランスについてどうも政府の見方は甘いじゃないか。一方では確定的なものにおいては減収するが、不確定な要素のものについては相当増収の見込みがあるよというようなふれ込みのようにしかとれないのであって、これではかつてのように地方自治体から突き上げられてくる要因が、私どもから計算していくとあると思われるのですが、この機会自治省大臣はこの点に対してどのように措置されるつもりでおいでになりますか。
  122. 安井謙

    安井国務大臣 確かにおっしゃるように、国の税の減収のはね返りが交付税の面で現われてくるということは、所得税法人税の減収が税率上そのまま響いてくると思いますが、しかし総額の絶対額としては相当ふえておるというようなことで、実質上のカバーができておろうかと思います。  今の数字のバランスといったようなものにつきましては税務局長から……。
  123. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の国税改正に伴います地方税への影響分について、数字的に御説明を申し上げます。  御承知の通り、現在の地方税の体系は、ことに基幹の税については、課税標準等が国税に依存をしておるということで、増収の影響で必然的に地方税が動くという点もあると思いますが、できる限りそういう影響は遮断をしたい、地方税制の自主性といいますか、国の立場なり、あるいは納税者立場、あるいは地方自治の発展というような点もからめ合わせまして、新しい税制を作っていきたい、こういうことで案を考えておるのでございます。  そこで三十六年度国税改正に伴います地方税影響の数字でありますが、国税改正に伴うものといたしまして、初年度が八十三億、平年度が百五十三億でございます。増収分が初年度が三十八億、平年度が四十六億でございます。従いまして、差引いたしますと、初年度が四十五億、平年度が百七億、こういう数字に相なっております。
  124. 井堀繁雄

    井堀分科員 時間の都合がありますので、こまかい数字はまたあと資料をお願いをいたしますが、ただこの機会に明らかにしておきたいと思いますことは、地方の減収になるものについては、先ほど申し上げるように、確定的な要素が非常に強いのです。それから反対に収入が増大するであろうと思われるものは、不確定な要素に基づくものが非常に多いようにわれわれは拝見しておるわけです。でありますから、予算の出発前にある程度明確なものを地方自治体に示すことが地方の自治を健全化するゆえんのものだと思いますので、そういう数字を、一つできるだけ地方自治体の便宜をはかる意味で、われわれに資料として提供していただきたいと思います。私の方も詳しく数字を出して聞けばいいのですが、きょうは時間がありませんので、次に進みたいと思います。  次に、これはきょうのあれではないかもしれませんけれども、国の直轄事業がこれからかなりひんぱんに地方自治体との関係が起こってくるのでありますが、その場合に、負担金の制度の中でいつも問題を起こしておるようであります。特に道路や治山治水の問題は、金額も張りますから、地方の利害との関係なども非常にめんどうになってくると思うのであります。そういう点で府県の単位による格差の問題を、今のままの都道府県の単位が、はたしてそういう問題を解決していくためにふさわしい地域かどうかということが、前から問題になっておるのであります。そういうものを踏み越えて、地方自治と国の予算、国の事業地方負担というものを考えなければならないときだと思うのであります。どうもそのときそのときというような感じが強くいたすのでありますが、今度の場合に、所得倍増計画というような長期計画等にいたしましても、政府がこういう政策の大きな転換をやるときには、当然地方財政と国の財政の調和というものについても、これに歩調を合わした政策が打ち出されなければならぬと思いますが、自治省地方自治に対する方針は一向変わってない。わずかばかりの助成金をふやしてみたり、いじってみたりというようなことでお茶をにごしておるという感じであります。こういう点に対して、私はきっと摩擦が強く起こってくると思うのです。そういうものに対してどういう措置を今からお考えになっておるか、この際ちょっと伺っておきたいと思います。
  125. 安井謙

    安井国務大臣 お話通りに、地方自治体財政規模を確立していきます上から、今の都道府県の区域あるいは市町村の区域がはたしてそのまま妥当であるかどうかという問題につきましては、私は確かに相当根本的に御議論があろうと思うのでありまして、その意味では、これから将来の考え方といたしましては、府県合併なら府県合併ができる状況にあるものは、これはむしろ促進をする、あるいは町村連合ができるものは、これを促進をするということで、地域を対象にした一つの総合的な計画というものを今後考えていくべきものであろう。基幹都市の構想にしましても、一部はそういったことを考えておるわけなんでございますが、それは今直ちに右から左へ解決のつく問題ではございませんので、これは徐々に今のお話のような線を今後も総合的に考えていきたいと思っております。  それから、今年特に財源配分の問題につきましては、たしか国の公共事業が非常にふえておりますので、これに伴う地方負担が非常にふえるということも当然でございますが、同時にことしは交付税なり税源に、従来に比べれば比較的余裕があるといいますか、従来よりはふえておるというような観点から、地方における事業実態の格差をなくする、あるいは単独事業をでき得る限り盛り込んで考えるというふうな構想を持っておりまして、たとえば公共事業に対する増額は本年は千五百億有余でございまするが、そのうちで約半分にわたります部分は地方自体の独自の見解で七、八百万円も単独に振り向ける、あるいは格差是正に振り向けるといったような修正を逐次やって、今度の三十六年度計画にも盛り込んでおるわけでございます。
  126. 井堀繁雄

    井堀分科員 そこで地方団体格差の問題がずっと前から——きょうも質問がたびたび出ておりましたが、首都圏近郷の首都圏整備法との関連も出てくると思いますが、どうもこれはやかましく言われているけれども、一向に具体的に進捗しない。これは先ほどもちょっと申し上げましたように、今の行政区域がはたしてそういう問題を解決するために障害になるかならぬかという問題もありましょうけれども、そういう問題はこの際おいて、少なくとも地方自治体と国との関係というものはあらゆるものと関係してきますから、個々の場合には、さっきもちょっとお話がありましたが、都市計画をやる場合にいたしましても、これは自由主義を土台にする一つの大きな方針からいきますと、あまりきびしい計画的なものは好まぬかもしれませんが、しかし、少なくとも今度の池田内閣の打ち出しました長期計画、しかもそれが具体的に所得を倍増するとか、あるいは国民総生産を倍にするとかいったような、経済構造を大きく動かしてくるような政策をとる場合には、どうしても地方自治体、特にそういう経済行為の中で変化が起こってくるということは予定できるわけです。そういう予測がこの自治行政の中に数字となって現われてくる傾向が見られなければ——もっとも十年も内閣が続くわけじゃありませんから、内閣が変われば責任も変わるというような考え方でないにいたしましても、何か無責任だという感じを国民一般が持っていると思う。でありますから、自治省がそういう問題のイニシアを握っておるかどうか問題はあるかもしれませんが、しかし一応今の場合、責任当局になると思うのであります。今一番問題になっているのは、この分科会でほかのあれでお尋ねする予定でありますが、ここで関係する部分だけちょっとお尋ねしてみますと、さっきもどなたかの質問にありましたけれども、たとえば住宅の問題にしても、交通機関の問題にいたしましても、むちゃくちゃになってきておる。東京にビルがどんどんできておりますが、住宅は逆に地方に分散しているということは、ひどいスピードでどんどん拡大していっておる。ところが、もう中央線にいたしましても、京浜東北にいたしましても、電車に乗れませんよ。時差出勤というような不合理なことをやって、一体経済拡大の基盤になるか、ならぬかということは、三才の童子でもわかると思う。こういう点は、自治行政の中にも問題があると思うのであります。たとえば住宅ができれば、その住宅の人口はどこから移動してくるかというようなことも予定ができるはずです。これは私運輸省にもお尋ねしようと思っておるが、ビルがあんなにできても、一体ビルに働くサラリーマンはどこから引っぱってくるのですか。結局は、どうかというと、遠距離から運ぶとかいうことになる。短距離の間はまだいいけれども、二時間なり三時間というものをエネルギーの大部分を費やして、職場に着いてから二時間くらいは冷静になれないだろうというようなことが想像できるような、ああいう状態の中からは、決して近代的な生産とか、あるいは経済の基盤を拡張するような労働力というようなものは生まれてきっこはないと思う。もうはっきりしている。そういうものに対して、自治省としては、各省との調整といいますか、そういうものに対して何か予算の上で見られるかと申しますと、出ておりませんけれども、何かそういうことについて御計画があるならば、この機会に明らかにしていただきたい。
  127. 安井謙

    安井国務大臣 おっしゃる通りに、今の過大都市の現状というものは目に余るものがあるわけでございます。そこで、私ども今考えておりますのは、たとえば同じ自治体に対する行政の指導と申しますか、財政的な措置、援助にしましても、いわゆる大都市を中心にした対策と、それから地方開発というものを考える場合の財政の按分というものとは、これは別個に分けて考えなければならぬのじゃないか、もうそういう段階がはっきり来ておる、こう思う次第でありまして、これが従来均等な地方基準財政需要といったような計算基準から問題を解決しようとしていたところには、今日は非常な無理が来ておるということははっきり認識しておるわけであります。そこで、たとえば首都圏といったような地域で、東京都を中心にこの近郷の府県まで総合した一つ地方開発といいますか、地方の整備というものを考えます際にも、地方衛星都市のようなものを作って、あるいはその付近に住宅をどんどん作って、そこから通わせればいいというような考え方はもうだめであろうと思うのでありまして、むしろこれは都会の中に必要な最小限度の入れものは作っていく、たとえばアパートといったような形のものを都会の中心地に作っていくことによって、交通の緩和をはかるようなものをこれからやらなければならないというふうに考えております。同時に、大都市については、これ以上業務分量をふやさない、工場もたとえば東京湾を埋め立てていって、あそこに工場がどんどん新しくできて、そうしてまた人口が集中していくというような方策はとらない、東京湾を埋め立ていたしますのは、現在ある東京都の入れものの中で働いておる部分であまり混雑しているものをあの地域に移すことによって多少緩和をするという程度以上に、工場なんぞは新しく起こさないで、大都市の再編成をやっていかなければならない、さらに必要な工業のこれからの推進とか、あるいは増設というようなものは、むしろ地方に分けていくというふうに区分をした考え方でこれから進みたいと思っております。
  128. 井堀繁雄

    ○井掘分科員 この問題は分科会ではちょっと時間もありませんので何ですが、しかし、こういう問題は、大局的な論議というよりは、むしろ具体的に一つ一つ積み上げていく性質のもので、また努力の仕方によっては解決のめども割合見やすいものだと思う。そういう意味で実はここに持ち込んだわけでありますが、時間の関係がありますから、そういう点についてぜひ具体的な措置をそれぞれの部署において、特に自治省においては計画をわれわれに示していただきたいということを要望いたしておきたいと思います。  それから、今度新しい予算を出しておるようでありますが、市町村の合併が促進され、大体落ちついてきたと思うわけです。そこで統合の目的に掲げられておりました長所はある程度私は生きたと思いますが、思わざる弊害が見落とされていたんじゃないか、そういう意味で、ここでは市町村の経営改善のための新しい経費を見込んだんじゃないか、こういうように私は想像しておったのですが、違えば御指摘を願いたい。そこで御説明の中にも言われておりましたが、市町村の事務運営を刷新するという前提のようでありますが、とにかく行政の効率を高めるということも言っておりますし、モデルの市町村を作ろう、こう言っておられますね。私もこれについては非常に強く関心を寄せておるわけでありますが、そのモデルというからには、それぞれのモデルを指定して、そこに指導要綱のようなものをお示しになるつもりであると思うが、そういうつもりがありますなら、この機会に伺っておきたいと思うのであります。
  129. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 市町村の事務経営改善に関しましては、ただいまお話のありましたような方向で指導の徹底を期して参りたいと考えておるのであります。やり方といたしましては、一応県に二カ所程度市町村を指定いたしまして、これをモデルとして育成をして参りたい。県内では、事務改善等について何かやろうとすれば、その指定のモデル市町村へ行けば、大体のやり方なりというものがわかる、そういう方向に育成をして参りたい、かように考えておるのであります。その具体的な内容につきましては、新市町村建設促進中央審議会というのが中央にございまして、そこで一般基準というものを定めることに相なっております。一応事務的な案はできておりまして、これを審議会に諮問をいたしておる段階でございまして、近く答申が得られますれば、これをもとにいたしまして、各市町村にも通達を出しまするし、指定を受けましたモデル市町村については、なかんずくそれらの方針に従いつつ、なおあまり画一的、形式的に流れるのもいかがかと思いますので、具体的な個々の町村の実情に即した最も有効適切な方法を考えて参りたい、かように考えておる次第であります。
  130. 井堀繁雄

    ○井掘分科員 審議会で指定をしたり、それから基準を定めるための諮問をなされるようでありますが、いずれにしましても、原案がなかなかそういう場合は大きな働きをいたします。私はなぜそういうことを尋ねたかといえば、この一億六百余万円というのはその経費なんでしょう。せっかく貴重な経費を割愛しておられるので、いろいろなモデル・ケースを政府がきめる場合に、その諮問委員会は民主的な制度でしょうから、きっといい結論が出るものとわれわれは信じておりますけれども、従来の経過から見ますと、原案がなかなか強いものなんです。それで、実はきょうは原案をお示しいただこうと思ってお尋ねしたわけです。差しつかえなければ資料としてでもけっこうでありますし、それによりましてお尋ねをいたしたいと思っておったわけですが、きょうはお示し願えませんか。
  131. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 原案は一応できておりますが、これを印刷物等にいたしましてお示しをいたすのは若干時間がかかると思いますので、きょうのところは間に合わないと思います。
  132. 井堀繁雄

    井堀分科員 それを伺って、二、三私の意見も申し述べ、お尋ねをしたいと思っておりましたが、間に合わないようでありますから、資料で伺って、間に合わぬところは文書でまたお尋ねをいたしましょう。時間が大へん過ぎて恐縮でありますが、もう一問だけお答えをいただいておきたいと思います。  それはさっきもちょっと出ておりましたが、今度の政府の公共投資あるいは拡大政策に並行して予算がそれぞれ実施に移されてくる段階において起こってくるいろいろな問題は、自治省関係が非常に多いようであります。その中で、さっきは首都圏の問題でちょっとお尋ねをいたしましたが、もう一つは、何といいましても、道路の関係だと思います。さっきのお話のように、ある程度大きな都市に集中しておりまする事業場やあるいはその他の経済施設というものを地方に移すとはいってみても、そんなものはにわかに実施できるものではございませんから、今現存しておるものについては、やはりしかるべき措置をとるということが当面のあり方ではないかと私は思うわけであります。その中で一番出てきますのは、道路関係であります。たとえば、東京とか大阪とか名古屋とか大きな都市へ集中してくる傾向というものがある。道路は地方の方は割にいいけれども、都市の周辺に来ますと、同じ程度のもので高率な使用が加速度的に重なってきておる。これはもっと上がってくると思う。ところがこれは建設省その他の予算でありますけれども、そういう面にはそれに見合うような政策が一向行なわれていない。そこで、どうしても国道に見合う地方の、たとえば都道府県道というようなものに補助的な役割を強制されてきておる。しかし、そういう点について、自治省としては一向に新しい予算を見込んでいないようであります。これは大丈夫なのですか。それとも国道一本にたよられるおつもりなのですか。そこら辺についてこの際ちょっと伺いたい。
  133. 安井謙

    安井国務大臣 具体的な問題につきましては財政局長からも話があろうかと思いますが、おっしゃる通り、道路の効率に比例して、それに対する投資の基準というものは、むしろ計算していきますと、必要面に存外薄いというような結論が出ておることは御指摘通りだろうと思います。そこで、今年は特に地方の単独事業あるいは公共事業のいろいろな格差是正といったようなものによって、それを徐々に補う方式を現在三十六年度予算では織り込んでおるわけでございまして、今のような問題は逐次これから解決していかなければならないと思っております。
  134. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御承知のように、新道路整備五カ年計画におきましても、相当大幅な地方単独道路事業費の増加が計画されておるわけでございます。これに対応いたしまして、地方財源も充実していきたい。そういう意味地方の目的税の税率引き上げを行なうわけでございまして、こういうようなことを背景に道路に関する基準財政需要額も大幅に引き上げたい、こう考えておるわけでございます。具体的に申し上げますと、道路に関する単位費用を引き上げるわけでございまして、国道に関する部分だけを引き上げるのではございませんで、府県や市町村道に関する部分も大幅に引き上げたい。そうして各地方団体に道路財源を与えていく、かように考えておるわけでございます。
  135. 井堀繁雄

    井堀分科員 数字をあげてお尋ねすべきであったのですが、今、残念ながら局長の御答弁と私どもの調べておるところとえらい食い違いがあるようです。今日の国道のまかない切れないものを地方の町村あるいは府県等でカバーしようという政策とは、およそあの予算では、むしろ補修に精一ぱいで、そういうことを言っては、かえって国民を惑わせると思う。まあ議論はいたしません。しかし、この問題は事実となって現われてくるでありましょう。地方自治体によって格差と言いますけれども、機械的な格差の相違を縮めるということは、机上の計画では可能だと思います。しかし、今言う政策の変更に伴う移動というものについては、これはあくまで想定でしょうから、私どもがあらゆる面で政府の長期計画というものを分析していきますと、あらゆるところで障害を感ずるのです。しかし、こういうところに障害を感じますことは、ただ単に政府政策が行き詰まるということでおしまいになるならそうなんですけれども、そのために取り返しのつかない国民の大きな損害というものは軽視できないと思います。実はただそのときのがれの答弁を求めようというつもりでお尋ねしたのではありません。今からでもいろいろ対策を立てて、今年できなければ来年もありますから、そういう意味でお尋ねしたのです。時間も参りましたので、ぜひ一つ自治行政は、従来の狭い範囲といっては失礼ですけれども、やはりもっと大局的な、政策の大きな転換に見合うような自治行政というものが望ましいということを前提にして実は二、三お尋ねした次第であります。今後またいろいろと資料をお願いすることになると思いますが、そういう意味でどんどん迅速に資料を提供してもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  136. 中野四郎

  137. 川俣清音

    川俣分科員 私はこの際自治省に二点だけお尋ねしたいと思います。前もって二点だけを申し上げます。一つは水資源の開発について自治省の構想を承りたいという点が一つ、もう一つは国有資産の所在町村に対する交付金の問題、この二点をお尋ねしたいと思います。  まず水資源の問題からお尋ねいたします。水資源については自治省はどんな構想を持っておられるのか、これを明らかにしていただきたいと思うのです。この問題は三十六年度予算関係のある重要な問題であり、農林、通産、建設、厚生、四省と自治省の案がいまだまとまっていないように聞いておるのでございますが、どういう構想であるかということです。理由のその二は、何と申しましても水資源は地方の町村の産業と密接な関係のある資源でありますし、また町村の経済の発展の基礎をなしておるわけです。また水利は町村の住民と従来から密接な関係を持っておるものでありますだけに、これを切り難すことができない問題だと思うわけです。それだけに自治省としては無関心ではおられないはずだと思うのです。徳川時代から水利権に対しては長い地方住民の慣習がありまして、公法的にも、私法的にも、大体慣習が認められてきておるわけであります。従来の判決例から見ましても、特に大きな公共の利益に反するようなものでない限りにおきましては、慣習法が認められてきたのが判例の大体の趣旨であります。それだけに地方住民と非常に関係が深いわけですから、自治省が関心を持たれるのは当然だと思うのです。ところが一般には今度の水資源開発については何か自治省あとから出てきて、権限に割り込みをしたのだという悪評もあるようですが、これはとんだ間違いだと思うので、そこであなたの方の見解を聞いておきたい。
  138. 安井謙

    安井国務大臣 お話通りに水資源の配分をいかにするかという問題は、これからの非常に大事な国家的な事業であろうと思うのであります。そこで国といたしましては、この水資源を全体的な立場から総合的な配分計画を立てる、また配分計画を推進する、この考え方に沿って今計画が進められておるわけでありまして、この点につきましては自治省としても全面的に賛成をいたすという立場にあるわけであります。ただ今御指摘のありました水利権という問題は、何と申しましても自治体の固有の権限でございます。しかもその住民に非常に密接な関係のある問題でありますので、この全体の配分計画を国が立てるという際に、単に自治体から水利権を巻き上げるとか、取り上げて国が勝手にやるというような弊に陥っては困る。実はこの点を自治省としては大いに主張いたしまして、今度の配分計画の際には十分自治省の主張をいれて、あくまで水利権は自治体に残していくという方針は確立いたしたわけでございます。  もう一つの第二点は、今の厚生省あるいは建設省また農林省等が考えておりまする公団問題でございますが、これもその各省々々の立場からそれぞれの公団を作るということでは、やはり総合的な計画を実施する上からむしろ弊害が生まれてくるのではなかろうかという見地から、自治省といたしましては、この公団をただ急いでやたらに作るということよりも、配分計画を十分に立てて、あと実際の実施については、できるだけ自治体を中心に、その地方の利害を考えながら遂行していく方策の方が、よりベターではないかという話をいたしておりまして、そういった調整問題がありまして公団問題はまだ解決しないということでございますが、今御指摘のような方向でできるだけ水資源の問題は解決に向けていたきいと思っております。
  139. 川俣清音

    川俣分科員 ちょっと説明がどうも不十分な感じがするのですが、大いに努力をされようということですから、私はあえて追及はしませんが、本来どの法律もそうですが、法律というものは定義があるのですね。ところが河川法だけは、河川とはいかなるものかという定義がないのです。ただ河川と指定したものだけが河川だという言い分でありまして、河川なるものの定義がない。従って水利権に対する解釈もない。ただ水利については、徳川時代から一つの慣習がございまして、慣習を重んずるという建前でおるわけでございます。今秋の手元に水利権の争いの明治時代からの件数を法務省に請求して、まだ出て参りませんが、非常に水利権の争いというものは多いわけです。住民の生活に非常に関係深いだけに、水利で血で血を洗うような紛争も起きます。市町村内でも起きますし、隣県との間においても起こるというような、非常な根強い習慣法であります。それも建設省が河川を持っておるからということで、単に建設省本位で考えられるといたしますと、大きな抵抗が出てくるのではないかということはあなた方も考えなければならぬ。これは徳川時代の慣習をそのまま認めてよいかどうか、いろいろな議論がありましょうけれども、なかなか住民としては根強い権利を主張するものであることだけはお認めになっておるのだろうと思う。あなたの方でも県と県の争いに対して仲裁に入られてなかなか困難をされておる例もあるように、ほかの問題だと割合調整がつけやすいが、水利権の争いだけは自治省も従来手を焼かれておるほど、なかなか根強い権利の主張でありますだけに、いたずらに建設省にまかせるというようなことになると、住民からの信頼を自治省が失う結果になるのではないかと思うのです。これは自治省としても単にこれに割り込むというようなけちな考え方ではなくて、従来の住民が持っております権利を尊重し、どうして今の時代に合わせるかということを十分考慮しなければならぬものだと思うだけに、十分御検討を願いたいと思いますが、もう一度御答弁願います。
  140. 安井謙

    安井国務大臣 お話通りでありまして、水利権がどこに帰属しておるかという法律的な検討になって参りますと、確かにいろいろの問題を生じて参ると思いますが、先ほども申し上げましたように、今御懸念のたとえば水利権を全体的に国が取り上げ、あるいは建設省が自分の立場で全部を支配できるというふうな考え方があったかどうかは知りませんが、あったといたしますれば、われわれはそれに対しましてはそういうことがあってはならぬという強い今の主張をいたしました結果、水利権を尊重するという建前はあくまでくずさない、今後水配分計画を進める上からも、この原則だけははっきりしたということだけは申し上げられると思います。
  141. 川俣清音

    川俣分科員 十分ではないけれども、きょうはこれで論争を避けます。法令やいろいろなものを持ってきておりますけれども、自治省の決意だけうながしておけばよいと思いますので、御勉強を願いたいと思います。  次に国有財産所在町村の交付金でございますが、これは旧来起こって参りましたのは、最初の起こりは、戦前は山村にありました国有林野が所在町村に対して何らの恩恵を与えていないというところから、交付金に類似したものを交付しておったのが先例になりまして、戦後新しくできた制度でございます。従って最初は非常に町村に対して恩恵的なものであったのでございますが、現在の情勢から申しますると、必ずしも恩恵的なものではなくして、当然国有資産が町村に及ぼすいろいろないい意味影響もありましょうが、しかしながら国の財産として大きく経済的に占める利用率を制限いたしておるわけでありますから、そこに固定資産税と同一でなくても、同一のような交付金を出そうという考え方は妥当だと思うのです。ところが一方固定資産税はどんどんあなたの方では上げていかれるが、所在町村に対する交付金はその割に上がっていかないという問題もありまして、今度改正されたわけでございますが、問題は私の調べたところによりますと、国有資産でございまするから、どこの省の所管でありましても、大体資産評価は似ていなければならないはずだと思うのに、各省にまたがって非常にまちまちです。これはお調べになったことはございますか。官庁によりましては台帳主義をとっておりましたり、時価主義をとりましたり、いろいろしておるようですが、自治省として無関心でおられないはずですから、これをお調べになったことはございますか。そういう不均衡がないかどうか、御検討になったことはありますかどうか、この点を伺いたい。
  142. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御質問のいわゆる交納付金の関係は、国有の貸付資産と国有林野と国有の発電所、これが交付金対象、こういうことになっておるわけです。それから三公社所有の固定資産、これがいわゆる納付金ということに相なっておるわけです。交付金の方につきましては、これは資産の所在市町村が私の方の固定資産税一般の評価基準に基づいて評価をいたしまして、そしてそれぞれの林野なり貸付資産であればそれぞれの所管の役所から交付金をいただく、こういう姿になっておるわけでございます。納付金の方は、これは三公社有の固定資産については自治省の方で評価をし、配分をしていく、こういう建前になっておるわけでございます。その際に、交付金対象の方のいわゆる国有の貸付資産とかあるいは国有林野、国有の発電所というものにつきましては、これはいわゆる台帳価額によってやる、こういうことになっておるわけでございます。  そこで御質問のように、私どもといたしましてもこれは非常な関心があるわけでございますので、市町村からもいろいろな話も聞きますし、私どもとしてはあるいは不均衡になっていなくとも、当然こういうように値段が上がっておるわけですから、そういう台帳価額を訂正すべきものはそれぞれの所管庁と相談をして訂正をしていただくということは、従来からいたしておるのでございます。ただ国有資産の方は、現在の建前が五年間据え置きということになっております。ただし国有林野についてはそういう据置期間の制度もないということで、これらの資産において特に最近やかましく言われますのは、国有林野の台帳価額が付近の一般の民有の山よりは非常に安くなっておるということで、市町村からいろいろな苦情があるのでございます。ただ制度的に申しますと、その場合には市町村長といたしましては、どうもこれは不工合だというときには、所管の大臣に修正の申し出ができるということになるわけでございます。その際に、なおかつ所管大臣が修正してくれないというときには、自治大臣に不服の申し出をする、そうすると私の方から所管大臣に折衝して解決をする、こういう建前になっております。ただいかにも安いので不工合だという声は聞きますが、現実にこういう法律に定めた手続を踏んで私どもの方に不服の申し出があったという事例は実はございません。現実の姿はおっしゃるように、私自身も特に国有林野については少し評価が安過ぎるのではないか、こういう気がいたします。ただこれも所管省に聞いてみますれば、国有林野はおおむね搬出条件の非常に悪い奥の方にあって、一般の民有地とは事情が違うし、それぞれごもっともな理由もあるような気もいたします。しかしそれらの事情を考えましても、やはり私は適当な機会にはこれは評価がえをしていただくというのが筋道ではなかろうか、こういうように考えまして、ときどき私どもも林野庁の方とはそういうことで話し合いをいたしております。
  143. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点だけお尋ねいたします。国有林野が非常に台帳価額が安過ぎるものですから、評価が低位になっておるという非難があることは、御指摘通りであります。一方大蔵省の国有資産におきましても、民有宅地であるとか民有地でありますれば、評価がえを要求いたしましたりして課税対象にいたしまして、なかなかやかましいにかかわらず、自分の持っておる資産はほうりっぱなしにしておいて、五年に一回だというようなことであぐらをかいておるようなことは、自治省として考えなければならないのではないか。また地方団体にいたしましても、民有地については非常に評価がやかましいのに、国有地については評価が五年——もちろん固定資産も五年ですからいいのですが、それにしてみても、評価がえのときに当然付近と均衡をとるような評価にすべきだと思うのです。官庁のすぐそばにある民有地は非常に高い評価をしておいて、一方だけは官庁の所有地だからということで安い評価をすることは、今後なかなか許されないのではないか。従来であれば、お上のことであるからということで寛大に、あるいは誘致運動をしたのだからということで寛大にするのかもしれませんけれども、誘致運動をしたときの当事者はあるいはそれで済むかもしれませんけれども、現状ではなかなかそういう事態は許されなくなってきたのではないかと思うのです。やはり税の公正な負担の上からいきましても、これは十分検討しなければならぬのではないか。私ども大蔵省の台帳のあれを調べたのですけれども、私のところへ持ってこられて、これはあまり表向きに出されると困るということすら言いながら持ってくるところを見ましても、みずから恥じる点があるであろうということが想像されるわけです。そういうことが今後の市町村財政の上にやはり不安を与えるようなことがあってはならないと思いまするので、十分自治省において検討される用意があるかどうか、これをお尋ねしておけばそれでよろしいのです。
  144. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 固定資産税の方は三年ごとの評価がえ、国有資産の方は先ほど申しましたように五年据え置き、こういうことになっておるわけでございますが、おっしゃるように国有財産の方が一般よりも低いということは事実であります。これもやはり時価に応じて適正に修正していかなければならぬことは当然のことでありますが、またたまたま本年三月が五年目に当たります。そういうようなことで、現在大蔵省の方でもでき得る限り評価がえにあたっては、適正な価額にするということでやっておられるように聞いております。私どもももちろんこれは市町村影響することでございますので、十分連絡をとって現在措置をいたしておるような次第でございます。
  145. 川俣清音

    川俣分科員 今の答弁はおかしいですよ。十分検討されておるというのですが、今度の予算書をごらんなさい。各省にまたがってこれだけが項目として出ておりましょう。もちろん移動がありますから金額だけでは必ずしもわかりませんけれども、一・八くらいの上昇です。ですから十分見たなんということは——五年間に一・八、百分の十八です。土地の場合そのくらいの評価の上昇だということは、常識で考えられないじゃないですか。建物は別です。この点どうですか。
  146. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 評価がえに際しましては、国有財産の方も資産の種別によってそれぞれ違うと思いますので、平均率がどのようになっておりますか、私数字を所持しておりませんので、その点はあるいは一・八%ということであれば、これは今回三年ごとで時期がずれておりますけれども、三年間に、私の方は土地について言いますれば平均五%上がっておりますので、均衡は必ずしもとれていないとは言えないと考えます。
  147. 川俣清音

    川俣分科員 さっきの答弁では、私の方で十分評価もして指示をしておるということになっておるが、今の答弁だと大蔵省がどういうことをやっているかわからないという答弁になっております。国有地については十分あなたの方で評価をして指示しておるように御説明があったと思うのですがね。
  148. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 それではあらためて御説明申し上げます。国有資産の方のいわゆる交付金の方は、国有財産の台帳価額を基準にいたしまして所在市町村が課税をするということになっております。私どもの方で評価をいたしますのは、いわゆる納付金の対象の方を私どもの方で評価をする、こういうことになっておるわけでございます。
  149. 川俣清音

    川俣分科員 納付金は今年度改正せられたのですが、上がる率はどのくらいになっておりますか。
  150. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 いわゆる納付金の方は、私どもの方で三公社所有の固定資産、土地、建物、償却資産、それぞれに評価をいたすわけでございます。償却資産の方はこれは台帳価額におおむねよっているわけでございます。それ以外の資産につきましては、これは本年度予算には一年おくれて入りますので関係をさしておりません。
  151. 川俣清音

    川俣分科員 そうすると、三十六年度予算には納付金の方は見積もられておらない、こういうことですか。
  152. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 評価がえは見積もられておりません。
  153. 川俣清音

    川俣分科員 終わります。
  154. 中野四郎

  155. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 私は後進地域公共事業に係る国庫負担特例法案の要綱について二、三疑問の点を質問いたしたいと思います。  御配付いただきました後進地域公共事業に係る国庫負担の特例法の要綱につき、まず第一に対象団体についてでありますが、この要綱によりますと、財政力指数の一定率以下の県とする、こういうことだけが書いてございますが、聞くところによりますと、自治省財政指数五〇%以下、大蔵省は当初五〇%以下、それが第二次案で四〇%以下の県にするというようになり、また経済企画庁では四六%以下の団体とする、こういうふうに聞いているのでございますが、きょう大蔵省と自治省との交渉によって四五%まで大蔵省が上がってきたということを承っているのでございます。この点について交渉の状態なんかを承りたいと思います。
  156. 安井謙

    安井国務大臣 お話通り、当初五〇%以下の団体に適用したいということで折衝いたしておったわけで、それが今話の妥結している段階ではお話通り四五%でございますが、もう少し折衝を続けまして、こういったものの結末をつけたいと思って今折衝中でございます。
  157. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 財政力財政需要の半ばにも達しないようなものは、未開発考えていいのではないかと私は考えるのでございます。従って私といたしましては、大蔵省で最初に示された五〇%以下を率直に認めて、それでまた四五%をさらに五%ふやしていく、こういうようにしていただきたいと心から願いますが、大蔵省の高柳主計官の御答弁を求めます。
  158. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 ただいま財政力指数を中心としての未開発地域をどの辺の範囲にしたらいいかということでは、自治省とまだ最終的には決定いたしておりませんが、やはり一応未開発地域というものを考える場合には、財政力指数をとる限りにおいては、あまり高い範囲でとるのは適当ではないのではないかというふうな考え方から、一応私たちは当初四〇%ということを予算編成後でございますが、申し上げて、随時自治省と折衝いたしておりますが、ある程度その辺の折り合いを考えて至急決定いたしたいと思っている次第であります。
  159. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 今予算編成後四〇%というお話でございましたが、これは予算編成中に大蔵省としては五〇%以下ということをお認めになっておったのではないですか。
  160. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 予算編成の過程におきましては、五〇%という線を考えた場合には、いわゆる財政力の一三〇%とか一二〇%とかいう非常に財政力の高い団体との総体を考えて、一応私たちは五〇%を考えたわけでございます。その際には財政力の非常に高い一〇〇%をこえておる団体も含めた場合に、その団体に対する国庫支出金のある程度の減額ということを考慮して、未開発地域の開発ということを考えたのでございますが、それらを除かれた今日におきましては、やはり交付団体の総合平均が大体四四%程度になっておりますので、めどはその辺ではなかろうか、こんなふうに考えておるわけであります。
  161. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 とにかく池田内閣の所得倍増計画のねらいの一つは、後進地域格差をなくするということが一番大きなものでございます。そのためには、財政力の乏しい後進地域の県の公共事業の実施を円滑ならしめるために、今回の法案が立案をされたのでございますから、ぜひとも一度は考えた五〇%という線を、画竜点睛の意味において、またさらに自治省との交渉において五〇%を実現をしていただきたいということを切にお願いをいたす次第でございます。ことに後進地域のうちでも辺地地帯は、小学校の複式学級の問題とか、あるいは小学校、中学校に通うためのスクール・バスの運転をするとか、あるいは無医村で何カ村も医者を回らせるとか、あるいは段々畑地帯の土地改良とか、農道とか林道とかなすべきことがあまりに多いのでありまして、これをなさなかったならば所得格差はますます大となるのでございます。従って直轄事業については今は十六億の計上になっておるということでございますが、これでは不足でございますから予備費を使うとか、あるいはやがてまた補正予算ができるというような場合に計上して、ぜひともやっていただきたい。さもないと結局所得倍増富裕県だけが独占をするという結果になり、貧乏県はますます貧乏する。池田内閣の格差是正するという方策は、全然所期の目的を達しないということになると思うのでございまして、この点については大蔵当局においては特に留意をせられて、五〇%という方向にしていただきたいということを切にお願いをいたす次第でございます。また補助事業については翌年度精算方式によれば、三十六年の予算には何にも関係がございません。そういうようなことも十分考慮をいたして、とにかく五〇%の自治省案、また少なくとも今五〇%という財政力を持たない県は後進国であるという点を深く認識をしていただきたいということを、切にお願いをいたす次第でございます。それから今のように四五%になってくると、その団体数においても私が申し上げる数とはやや変わってくると思いますが、自治省案によれば五〇%の県は三十五道県ということになりますし、また大蔵省の初めの、今までのように四〇%の案によりますと二十九県、それから企画庁では自治省と大蔵省の中間となっておりますから、この数字ははっきりいたしませんが、とにかく自治省と、今までの四〇%といたしまして考えてみると、自治省案と大蔵省との間においては北海道、茨城県、富山県、岐阜県、三重県、滋賀県、この六つの県が落ちてしまうということになるのでございまして、これらの県下にとりましては五〇%か四〇%かということは、すこぶる重大な関係がございますということをこの際明らかにしておきたいと思うのでございます。そうしてこれらの県とほかの補助される県と比較いたしまして、開発援助の要なしと認めることは絶対にできない情勢にあると私は考えておるのでございます。それから大蔵省案によれば四〇%の、今度は四五%になりましたが、四五%及び五〇%未満の再建適用団体及び準用団体を含めるとあるのでございますが、この再建適用団体及び準用団体の中には千葉県、和歌山県、長崎県、こういうような三つの県が数えられると思うのでございますが、一体後進地域開発問題と再建法との間にどういう関係があるかということを、まず高柳主計官にお尋ねいたします。
  162. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 再建団体に対する国庫負担の特例措置と申しますのは、一応立法の趣旨から申しますと、これは必ずしも未開発促進という制度ではないかと承知いたしております。むしろ再建団体に指定されることによって、財政負担をできる限り軽減してやるということに重点を置いて、その一定の事業につきまして国庫負担の特例を設けてきたわけでございますから、考え方といたしましては、今回提案されているような未開発の国庫負担特例とは関係がないかとは思いますが、現実に未開発特例法案をいろいろ作業を進めて考えて参りますと、従来の再建団体に認められております特例措置と今回の未開発の特例措置とは、おおむね一致する分野が多い。こういうふうな県が多いということから、いずれ再建団体の再建期間が完了しても、依然としてやはり未開発の特例措置を与えないと、これら団体は相当財政負担としては困難を感ずるであろう、こういう思想から現段階の案におきましては、今回の未開発の特例法による国庫負担の率と、それから再建団体による率と、いずれか有利の方をしばらくの間採用させる、こんなふうな考え方をとっておるわけでございます。
  163. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 まじめにみずから苦しい時期を乗り越えて努力を続けてきた団体に対しても、均衡ある政府の方策が必要ではないかと思う。そういうことを考えるにつきましても、この三つの県を含めるについては、五〇%以下であるならば三つも入るわけです。再建の問題も全然解消しまして、そして先ほどの北海道、茨城、富山、岐阜、三重、滋賀及び千葉、和歌山、長崎、こういう県の全部が本法案の恩典に浴することになるのでございますから、ぜひとも五〇%という線を、画竜点睛でもう五%だけ上げて五〇%以下ということに折り合っていただきたいということを、切に要望いたす次第でございます。  それから対象事業についてでございますが、対象事業にはこの要綱に従うと道路、港湾、漁港、治山及び治水、林道、土地改良等の後進地域開発のための公共事業開発指定事業として指定する事業とする、こういうふうになっておるのでございますが、一体この開発指定事業という、指定するのは地方財政再建促進特別措置法の指定事業及び各地区別の総合開発の特例法の重要事業、こういう二つのものがあるわけですが、それらのものを調整をするということになるわけですが、一体本法で指定する開発指定事業というものはどういうところをねらっているのか。
  164. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 その範囲につきましても、ただいま経済企画庁、自治省並びに関係の各省とせっかく折衝中でございまして、もう今、明日中のうちにはきめなければならぬと思っております。そのきめる考え方としましては、従来の促進法の重要事業範囲、大体全公共事業の七割程度でございますが、それよりも若干上回ったところに事業範囲を広げて参りたい、こんなつもりで考えております。
  165. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 とにかくこうして後進地域格差をなくしよう、こういうことが本法の目的である限りにおきましては、現行法の最小限度のものはぜひとも認めていただきたいということを希望をいたしておく次第でございます。  次には財源の問題でございますが、後進地域開発のために国が積極的な助成を与えることを立法の趣旨としております以上は、こそくの考えではいつまでたっても未開発後進地帯は日の目を見ることはできない、こういうふうに思うのであります。聞くところによりますと、自治省は三十五年度事業基準として試算しますと百四十七億、三十六年度の新年度においては百八十億くらいのものを考えておるということでございますが、大蔵省は最初は百二十九億、それで三十三億円の減額をしました第二次案では九十六億、こういうことになっておるのでございますが、この百四十七億という自治省の案だけでも、これは三十五年度事業基準として試算をいたしたものでございまして、三十六年度は百八十億、こういう形になるのであって、それを九十六億というような形であっては、これはあまりに少な過ぎるのではないか、こういうふうに考えますが、これについてはどういうふうになっておりますか。
  166. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 ただいまのお話は、九十六億という数字は外部に申し上げたことはないのでございまして、また先ほどお話がありましたような案で参りますと、必ずしも九十六億という数字にはならない、こう思うわけでございます。それから自治省の約百四十六億という数字は、これは事業量の対象が全公共事業にまたがっているという点と、それから事業量を基準に、事業量と財政力指数とを両方かみ合わせて、根っこから一定部分を引き上げていく、こういう計算をした数字でございますので、金額の開きが、算定方式そのものが違っておりますので、非常にきわだって見えるのじゃないかと思います。従いまして、冒頭にお話のあったような要綱にございますような算式を両者で持ち合いまして計算いたしますと、その数字の開きはもっと縮まったものになるのじゃないかと思うのであります。ちなみに、そういうように率の問題もございますが、ただいまお話のありました未開発事業にあたりましては、やはり従来の重要事業よりも各未開発団体からの要望にこたえて、事業範囲を約一割程度広げるということを考えておりますので、それに伴うところの国庫負担の当該年度の増もさることながら、今後そういった事業が、逐年事業量においても増加して参るということになりまするので、三十六年度以降の国庫負担が、われわれが三十五年度ベースで試算したいろいろの数字よりも相当上回ったものになるかと存じております。
  167. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 そういうふうに上回った方向に数字がなるということを承りまして、必ずしも九十六億というのは正式に発表した数字ではないというお話でございますが、とにかく上回った数字になるということを了解をいたして、その点はとどめます。  かさ上げ率の問題でございますが、かさ上げ率の最高についても、初め大蔵省は二五%までは認めておるというわけでございましたが、第二次案ではこれを二〇%に切り下げた模様でございますが、この理由についてもよく御説明をいただきたいと思います。
  168. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 これは予算の編成時におきまして提案いたしました大蔵省の案自体が、いわゆる富裕団体に対する国庫負担の支出限の最高限度を二五%、こういたしまして、それと相関関係にあります未開発県、最もおくれておる末端の方の機関に二五%、上限下限を合わせて二五、二五という数字が出たのでございまして、二五%という数字を提案したことはございません。しかし今回われわれの考えておるのは、もう富裕団体並びに準富裕団体は未開発特例法の適用を受けない。適用を受ける団体間のかさ上げ率だけを考えますと、先ほどの四〇ないし四五をスタートにいたしますと、最終のところが二〇%のところで大体おさまるのじゃないか、こう考えておるわけでございます。  それからついででございますが、四五%がいいか五〇%がいいかという点については、いろいろ議論はあろうかと思いますが、われわれが技術的にこまかい試算をいたしますと、五〇に上げることによって、五〇以下の団体に薄く広くかさ上げが及んでいくわけでございます。未開発特例法の精神から申しますと、やはりほんとうの未開発県に、下位団体に厚くというふうなことも考えて、薄く広くはやはり本法の趣旨ではない、こんなふうに考えて、四十六団体のうち三十五団体までが未開発特例法の適用団体だというようなことも若干いかがか、こんなふうにも考えておるわけであります。
  169. 羽田武嗣郎

    ○羽田分科員 一応それで話を終わる次第でございますが、なお私としては、道県側で三十六年度においては二百億を希望しておるのでございます。そういうようなことを考えてみると、どうしてもこの所得倍増計画に乗りおくれないように、後進地域格差是正に真剣に取り組まなければならぬ。これは大蔵省としては、ほんとうに財政の許す限りにおいて最大限めんどうを見て、そうして未開発の後進地帯のためにやらないと、十年後には完全に猛烈な格差になってしまうということを深く考えるのでございまして、そういう意味において、先ほど申しましたように、直轄事業については予備費から支出するとか、あるいはまた将来補正予算が組まれる場合においては、補正予算でこれを組むとか、あるいは補助事業については翌年度の精算方式によるとか、こういうことをぜひともやっていただいて、そうして格差をなくして、すみやかに日本全国がこの所得倍増の恩沢に浴するようにということを切に希望いたす次第でございます。  それから開発公庫のワクもだいぶことしは大きくなっておるようでございますけれども、さらに開発公庫のワクを広げて、十二分に府県の要望にこたえて、そうして府県の開発後進地域開発に資していけるというふうに、一つ配慮いただきたいということを切に希望いたしまして、私の質問を終わります。
  170. 中野四郎

  171. 田口誠治

    田口(誠)分科員 一点だけ端的にお伺いをいたしたいと思いますが、国有財産の台帳価額の問題についてでございます。これは御承知の通り、自衛隊等の使用する軍事基地にある土地とか建物あるいは工作物、こういうものに対するところの交付金の額が、地方税法に基づく固定資産評価額率より率も低いし、額も安い。地方自治体ではこの点について非常に不満を持っておるわけです。考え方によりましては、地方の軍事基地なり、いろいろなそうした施設のあった場合には、地方自治にも迷惑をかけておるし、住民にも迷惑をかけておるわけです。それにもかかわらず、交付金というものが大体において三分の一くらいの金額にもなっておらないということは、非常に矛盾していると思う。こういう点についてまず理由を説明願いたいと思います。
  172. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 国有資産所在市町村交付金につきましては、この制度を設ける場合の最初におきましては、一般のものについては固定資産税を取っているのだから、米軍関係の資産のうち、住宅施設とか、あるいは企業関係の施設あるいは飛行場、演習地といったものに非常に迷惑を受けておる所在市町村については、固定資産税の税率の一・四%程度をかけた金額を交付すべきではなかろうか、こういう話で出発をいたしたわけでございます。そしてただいま申しましたような施設のうち、住宅施設と企業関係施設につきましては、固定資産税の課税客体になっております。ところが飛行場、演習場といったようなものは、これは国の場合に課税できないということになっておったわけですが、ただこれらについては市町村に非常に迷惑をかけるのだから、やはり交付金の対象にすべきであろう、こういう考え方であったわけであります。ところがこの固定資産税の課税の客体になります施設のうち、住宅施設、企業関係施設、これだけではたしていいのかといいますと、固定資産税の課税客体には一般の場合なりませんけれども、駐留軍関係の施設の中には兵舎とかあるいは病院、通信施設、こういうものがあって、やはり所在の市町村に相当御迷惑もかけ、財政的な負担も看過し得ないものがあるということで、最終段階では基地施設の所在する市町村に対して広く財政措置を講ずる必要がある、こういう趣旨から交付金制度を設けよう、こういうことになったわけでございます。従って出発点は固定資産税相当のものということになりましたけれども、対象施設その他の面からこれはやはり一応それらを離れてきたという事情が実はあるのです。そこでこの制度ができましたとき、初年度は五億、平年度は十億ということになりまして、現在十億円をいゆわる基地施設所在市町村に交付する、こういうことになったわけでございます。そこで問題はこの十億円が少ない、こういう問題であるわけでございますが、これらにつきましては、私どもとしてはできる限り機会を見て増額をしていただきたい、こういう気持はございますけれども、現在の制度のものでは予算範囲内で交付をするということに相なっておりまするので、御説のように所在市町村としては少ないという不満が出ておるのだろう、こういうように考えるのであります。
  173. 田口誠治

    田口(誠)分科員 予算範囲内と言われるけれども、予算は結局あなた方がお作りになるわけなんです。十億にしようが十五億にしようが、これはできるわけです。それでこの問題は今私が質問申し上げて小言を言うたけでなしに、全国の基地連盟の方から陳情も行っておると思うし、それから請願も出ておるじゃないですか。こういうことであるから、それに対してどういうように努力をされたのですか。去年も十億、三十六年度も十億というと、何も努力の跡がないのですが、必要ないと思われるのですか。その点どうです。
  174. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私どもはもちろんこれで十分だと考えておるわけではございません。でき得る限り増額をしていただきたい、こう考えておるわけであります。そこで本年度予算の要求は、国有の資産の評価がえの時期でもありまするしするので、少なくともこの程度増額していただきたいということで、十四億の要求をいたしたのでございます。しこうしてこの折衝は、私どもとしては実は予算の際に最終段階まで持ち上げて、鋭意実現に努力をしたわけでございますけれども、遺憾ながら財政上の事情のために承認が得られなかった、こういうことでございます。従って私どもとしては、やはり明年度はまた明年度立場でぜひ増額をしていただきたいということで、予算折衝に当たるつもりでおります。
  175. 田口誠治

    田口(誠)分科員 努力をするというお答えで、努力はされると思いますけれども、自治省、大蔵省、両省ともそういう点はやはり努力をされるという点について一致していますか、どうですか。
  176. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 なかなか折衝は将来とも難航が予想せられております。
  177. 田口誠治

    田口(誠)分科員 難航する理由を説明して下さい。
  178. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 正確なことは大蔵省の予算査定当局でございませんとわかりませんが、従来向こうが申しておりますことは、要するにこれは固定資産税にかわるものではないのだから、基地所在市町村に迷惑をかけておるので、そういう面を考えて交付する金なんだから、十億以上は出せない、こういう御趣旨で私どもの主張がいれられない、こういうような事情でございます。
  179. 田口誠治

    田口(誠)分科員 現在ですらお情けでだいておるのだから、これを増額するということは、大蔵省としてはまず困難ということなんですね。そうしますると、今全国から要望されておる要望の点に対しましての努力目標というものは、やはり自信があるのですか。もうあきらめなんですか。その点どうなんでしょう。
  180. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ただいまお答えいたしましたのは大蔵省側の主張でございます。私どもとしてはあくまで増額要求をして、ぜひ実現いたしたい、こういうことでございます。
  181. 田口誠治

    田口(誠)分科員 なお続いてお伺いいたしたいことは、一つの飛行場がありますと相当広い範囲の面積を擁しておる。そうするとこれだけの面積を擁しておれば、わずかその中の滑走路と、それから飛行機を修理する格納庫、その範囲内しか対象になっておらないわけなんですが、僕らが考えてみれば、全部の面積に対して、その率が低ければ低い率で全面積にかけて当然交付すべきであると考えるのですけれども、その中のわずか一部の、たとえば飛行場でいえば滑走路とそれから修理する格納庫だけついておるということは、あまりにも市町村を無視した、また市町村要望を全然勘案しておらない一つの評価措置、そうした予算措置が講ぜられておるのだというように考えられるのですが、そういう点についての要望の今後の可能、不可能という点について一つお答え願いたいと思うのです。
  182. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 飛行場につきましてはお尋ねのようなことでなく、土地全体が入っておるのでございます。
  183. 田口誠治

    田口(誠)分科員 全部入っていますか。飛行場があるでしょう。そうすると、その中のコンクリートが打ってあるいわゆる滑走路、それと一部飛行機の修理をする格納庫、こういうところは対象になっておるけれども、その他の草っ原のところがたくさんあるわけです。そういうところに全然かかっておらない。それはかかっておるということなんですか。僕らの把握ではかかっておらぬということです。
  184. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 やはり土地は入っております。土地はこうした交付金の対象になっております。
  185. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ちょっと相違がありますが、そうお答えになれば、そのようにきょうは受け取っておきますが、一応確認しておきたいことは、今対象になっておるものは何と何と何だということです。たとえば自衛隊の官署、それから自衛隊の建物というものは、県庁なんかと同じように公共施設というようなことで対象を除外してあると思うのですが、除外されておるものと、それから除外されておらぬ、対象になっておるものを、ちょっと明確にしていただけませんか。
  186. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 自衛隊が使用する飛行場及び演習の用に供する土地が一つ対象、いま一つは自衛隊が使用する弾薬庫あるいは燃料庫の用に供する土地建物及び工作物、これだけが対象になっております。
  187. 田口誠治

    田口(誠)分科員 建物の範囲はどうですか。建物と簡単に言われてもいろいろありますが……。
  188. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 弾薬庫及び燃料庫の用に供する土地、建物及び工作物、こういうことです。
  189. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうすると住宅とかあるいは自衛隊の人たちがしょっちゅう勤務しておるという建物はついてないのですか。
  190. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 そういった種類の建物あるいは兵舎、こういうものは入っておりません。
  191. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこでこの点については大蔵省の方としても、また自治省の方としてもお考えをいただきたいと思うのですが、やはり地方自治体から言わせれば、飛行場にしても、演習地にしても、射撃場にしても、そうしたものが土地にあるということは非常に迷惑なわけです。そういう迷惑なものに非常に重要な、土地としては特に使用するに効果のあるところを提供しておるものに対しての評価対象が全部なされておらぬということと、それから評価率が低い、額が低いということ、これに対して実際においては不満というか、矛盾を非常に感じておるわけです。それでただいま努力をするという御回答でございましたが、この点はぜひとも自治省、大蔵省ともに努力していただいて実を結ばしていただきたいと思うのです。十四億を去年と同じように十億にして、四億くらいのものをこんなところで削って、地方のそうした不満をよう受け入れしないというようなことでは、何だかそういう一つの軍事基地というものに対して、政府は特権的な力を持っておるというように地方では考えるわけなんです。だから、実際はそういうものを地方に作らしてもらっておるのだから、どうかといえば、地方自治体によけい利益を得させしめなければならないわけです。こういう考え方の上に立って、ぜひとも次の予算編成あるいは追加予算のときにお話し合いをしていただいて、そしてこれを実現されるように努力をお願いしたいと思うわけです。以上で終わります。
  192. 中野四郎

  193. 島本虎三

    島本分科員 私の場合は二点にしぼってであります。その一つは日本消防協会、その運営機構並びに綱紀の粛正の問題、もう一つは消防組織法の運用の問題、この二つで、これはおもに大臣に明確な見解を伺いたい。  まず消防組織法の問題ですが、今回裏日本一帯にかけて大雪に見舞われて、交通機関が途絶したり、国道でさえも何十日か開通不能になったという事態があったことは御存じの通りです。そういうような場合に、消防組織法二十四条の二によると、都道府県知事は地震と台風、水害、火災等の非常事態において、緊急の必要ありと認めるときは、市町村長、市町村の消防長、または水防法に規定する管理者に対して、災害防御の措置に対して必要な指示をすることができるようになっているわけです。こういうような問題を考えますと、今回のあの積雪の場合は異常な事態であって、これは完全にこういうものの利用が必要なはずなんです。しかし法の不備というか、不完全というか、これには積雪ということが載っておらない。しかしやはり緊急の場合になると、伊勢湾台風のように大幅な拡大解釈を認めてこれを利用するのが正しいのではないかと思いますが、私が調べたところによりますと、今まで直接出動を認めたことはまだないという事務当局の見解を承りました。大臣としても、この問題を管理する以上、やはり重大な決意をもって当たらなければならないと思っておるわけですが、これに対してどのようにお考えでしょうか。ちょっとお伺いしたいと思います。
  194. 安井謙

    安井国務大臣 消防組織法に、今御指摘の雪害と申しますか、これがうたってないという点につきましては、将来十分考慮してみたいと思っております。実際問題といたしましては、雪害の排除について地方で相当な労力費がかかる、あるいはその他の需用費がかかるという問題につきましては、特別交付税の方で十分めんどうを見るように措置いたしております。
  195. 島本虎三

    島本分科員 今のような見解で、私も今後の対策としては一応前進したようないき方を認めることができると思うのです。この場合には、現在はかかった費用全部が相互の市町村自治体、その要請した側の方にかかるようになっている。しかしながら地域格差というのか、そういうところは必ずしも富裕市町村ではないところが多いわけです。そういうような場合には、現在のままにしておくと、費用の点からして往々にこれが発動されないようなうらみもあるわけです。その費用の問題について、今後完全に消防組織法の二十四条の二に、大臣としては積雪という二字を入れるように改正し、なおあわせて、今のような特別交付税で見てやる程度のものであると、見てもらえない場合も予想して、なかなか発動がしにくいようなことになりますから、そういう点等につきましては、早急に二十四条の二を改めるようにしてもらいたい。費用の点等については、国がそういうような場合には直接指導して、特別交付税で見てやるというようなPRをしてもらいたい。こういうことが私は災害に対しての正しい行政指導じゃないかと思うのですが、大臣としてはその辺までやる決意でございますかどうか、お伺いします。
  196. 安井謙

    安井国務大臣 今、雪害の方が入っていないという御答弁を申し上げましたが、文字として入っておりませんが、たとえば「地震、颱風、水火災等」というもので、当然そういった非常な雪害について、国としてもめんどうを見なくてはならぬというふうに心得ております。相互の援助関係につきましては、事務的な問題ですから、官房長からでも御説明いたします。
  197. 柴田護

    柴田(護)政府委員 財政局長がおりませんので、私が便宜かわってお答え申し上げます。雪に関するいろいろな費用は、普通交付税の場合の中の積雪寒冷補正という計数の中に普通一般に含まれております。少々の雪害でございますれば、一応それでまかなえるという程度になっております。この積雪補正は、相当多く計数化されております。従いまして一般的な場合では、消防の相互応援の場合は、相互にそれぞれ負担するのだからということで、結局交付税配分を通じてその辺は操作されていくという形になっております。しかし特別異常な雪害があったという場合には、そういった通常の操作ではきかないということになりますので、そういう場合には、特別交付税を交付する場合に特に考えていかなければならぬ、こういうことであります。これは在来からやっておることで、今さらPRしなくても当然わかっておることなんで、ただ私どものところに、雪害があったのだからこの分については認めてほしいという要望がありますれば、それを調査の上善処する、そういう方法をとっておりますし、今後もそのような方法でやりたいと思っております。
  198. 島本虎三

    島本分科員 そのような考えを持っていることはわかります。今大臣も申しましたが、私の方でもそれは知っているのです。直接国の方に対して出動を求めたことはないという事務当局考えを、私は調べてあるのです。あの旧臘の三十一日から降り続いた大雪で、新潟県下では異常な状態を現出したのです。それで汽車は動かない、国道でさえもとまっておる状態のもとに、県の知事が自分の責任でこれを発動したのです。けれども、こっちの方ではやっていないという調べですから、それまで私はあえて言及しなかったのですが、この問題ははっきりした事実です。県知事はもうすでにこれを発動して、これによって消防団員並びに消防機関を動員して、除雪、それから汽車のとまったその旅客の指導並びに宿舎のあっせん、こういうようなことからいろいろなことまでやっておるのです。そして三十一日から三日までの間の出動人員が、これは不的確なものですけれども、大体九千人近くの人を動員しておるというような事実もわかっておりますけれども、皆さんの方で、ただ単にこういうような状態で拡大解釈すればできるのだとそのままにほうったらかしておいても、一部の知事はそれをやれるけれども、おそらく石川県、富山県、福井県、この方面では発動があったということは聞いていない。ところが積雪の状態や被害の状態を見ると、兄たりがたく弟たりがたい状態でありましょう。そういう場合には、はっきりとこれを利用できるように、大臣としてはその辺まで考えてやるのが当然で、拡大解釈ができるのだからいいじゃないかというようなことでほうったらかしておくのは、これは怠慢とは言いませんが、親切なやり方とは言えないと思います。今の事実によって了承願いたいのです。特別交付税で見てやることが正しいのだというようなことをPRする必要はないということですけれども、今のように進んで行なわないのは、割合裏日本では富裕な自治体は少なうございますから、費用等いろいろなことを考えて、措置上遠慮していなさる点があるということも、考えてみないといけないと思います。これでいいのだからとほうったらかすのは、官僚的な考え方で親切なやり方ではないのです。少なくとも柴田さんは、北海道の優秀な総務部長をしておったころは、こういうようなつっけんどんな答弁をする人ではなかった。ここでは今のような答弁をして、これは大臣の影響じゃないと思いますけれども、もう一回この点についてはっきりしてもらいたいと思います。
  199. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘の御注意は、十分ごもっともだと存じます。官房長の申し上げました意味も、いつでもそういうことはやる用意があるのだという、むしろ決意を示したものであろうと思いまして、突っ放したつもりではなかろうと思います。それから「等」という言葉の中にあるから、ほうっておけばいいということではないのでありまして、そういう点は行政措置としても、今後十分気をつけてやるべきものだと思っております。
  200. 島本虎三

    島本分科員 それではこの問題については最後に要請しておきますが、おそらく運輸大臣その他の関係大臣では、これを重大視してあなたの方に相談にくるか、または何らかこれに対する措置をお互いに話し合うような機会があるだろうと思います。その際には、この二十四条の二の改正の面とあわせて、これらの措置の完全を期してもらいたい、こういうふうに思いますから、その点よろしくお願いをしておきたいと思います。その通りでよければ答弁は要りません。  次に移ります。日本消防協会事業依託に必要な経費として千五百万円組まれて、昨年度と同じような状態になっておりますが、この日本消防協会というのはいかなる事業を行なうものであるか、こういうような点とあわせて、その役員構成の点を御発表願いたいと思います。
  201. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防協会の事業内容は、消防団員の福祉厚生とか、あるいは表彰、あるいは共済共助、あるいは火災予防の宣伝、その他市町村の単位消防団の育成強化というようなことが事業の内容でございます。大体年間の経費は一人当たり五円というところですから、七、八百万円程度予算であります。ただ国の事業依託費が予算に千五百万円組まれておりますので、それを合わせた二千三、四百万円が事業費の内容でございます。それで消防協会の運営の中心は、地方選出の理事、これは各ブロックから二名ないし三名、総数二十二、三名だったと思いますが、その理事が事務執行の中心の責任を負っております。そしてふだんの仕事は、消防協会の事務当局と申しますと、理事長以下事務局長、各部長等がございまして、その人々が通常の事務をとっております。事業の最高責任はもちろん協会長ですが、実際上の運営は理事会が中心になっております。
  202. 島本虎三

    島本分科員 それで大臣にお伺いいたしますが、これは本会議において池田総理も、安井大臣も、ある右翼の暴力の対策の問題等についていろいろと答弁されたのを聞いております。それによると政治の姿勢を正し、選挙違反等に対して厳正な態度をもって臨むのである、これがやはり基本的な考え方のように思います。そうでなければならないと思うのです。私はここで今一つの具体的な例を申し上げて、こういうようなことに対してどういうような考えを持っているかをお伺いしたいのですが、この前のわれわれが出てきた選挙は、百日選挙といわれるような長い選挙準備期間のあった苦しい戦いであったのは御同様なんです。その中で消防協会の、これは現存の人でありますから名前は省略いたします。著名な人です。その人が北海道へ来たわけです。北海道へ参りまして、そして消防協会の何らかの指示があったのかないのかはわかりませんが、北海道の岩内町で講演会を開くという名目で、消防団員並びに消防関係の人を全部公民館に集めて、制服制帽で来賓受付その他を全部やった中で、堂々と特定候補者の選挙演説をやって帰った。そのことがはしなくも問題になって、町議会ではこの問題のためにてんやわんやの騒ぎになった。何のためにそういうようなことをしなければならないのであるかということで、だいぶこれが問題になって、私どもその新聞も見ました。去年の九月の半ば過ぎじゃないかと思いますが、はっきりした日にちは調べればわかります。そういうふうにしてそれが町議会の問題になって、特別それに対して責任者を処罰することができないで、おそらく将来気をつけるように自粛を申し合わせたままで、何日間かの議会は終わったようです。  しかしそういうようなことを見る場合に、ここにまた昨年度と同じような予算も計上され、今言うように福祉厚生、育成強化の点なんかもやると言っている。それが選挙にこういうふうに利用されるようなことがある場合には、これはやはりゆゆしい問題じゃないかと私は思うのです。そういうこと自身が、大臣は知らないかもしれませんが、もうすでに事実となって現われて、議会の問題になっておったということがあるのです。現にそういう人がおりますから名前はあげません。しかし選挙の違反には厳正な態度をもって臨むのだというこの大臣が、やはりこういうような問題に対して、同じような組織で、同じような予算を組んで、同じような指導をするようなことがあったならば、これからどういうことになるか、われわれとしてわからない。危惧される、心配なんです。こういうようなことについて聞いているかどうか、聞いていたならばそれに対してどのような措置をしたか、またそうでなければ今後どういうふうにする考えであるのか、はっきりした態度を伺いたい。
  203. 安井謙

    安井国務大臣 お話消防団員が選挙にあるいは選挙活動に直接関係すること自体につきましては、これは御承知の通り特別職であり、非常勤職員でございまするから、個人としての活動を制約することはできまいと存じます。ただしかしこれが消防団というものになりますと、これはいわゆる公的な政治団体ではないのでありまして、消防を側面的にいろいろな意味から助けていこうという団体でございますから、国からの補助金、委託費も出ておるという団体でございますので、これが団として公的にそういった政治活動、選挙活動をやるということは許されないことであろうと存じます。そこで今御指摘のような問題につきましては、私どもも一応その報告も受けておりますし、今後そういったことは起こらないように、これは十分戒心をしていきたいと思っております。
  204. 島本虎三

    島本分科員 十分に戒心をしていきたいと思うのであるから、それを実施に移せばそれでいいようなものです。しかし口は何とでも言えるわけですが、しかし私は信用しないわけでない。やはりその通りやってもらわなければならない問題ですから、それは責任を持って実施してもらいたい。しかしその中で消防団の個々が動く、そういうような基本的な問題にまで触れて私が言っているのではない。集めたその席上で、この特定の候補は優秀な者であるからこれに入れなさいよと言っていったその行為は、国から補助を受けてやっているそういう団体職員態度であるまい、こういうようなことからして問題になったのです。個々のそういうような団員の行動ではないわけです。そういうように指導し、そういうように指示した役職員があるということも問題だ、こういうようなことで名前をあげろといえばあげましょう。あげろといえばあげますけれども、現存の人です。そのやられた人も来ておりますから、従って私は今名前をあげないのです。これは消防団の基本的な問題である、かようなことで自粛を要望し、今後を指導するという問題ではないと思う。幹部の問題で、国から費用を受けてやっておるこの協会の責任者なんです。こういうような場合にははっきりした厳正な態度をもって臨まなければならないし、そういうような事情を知っておるというならば、今の言葉の答弁だけでは少しなまぬるいと思う。その問題はどうですか。
  205. 安井謙

    安井国務大臣 おっしゃる通り消防団が団としてそういったような特定の政治活動、選挙活動をやるということについては、今後とも十分に戒心をし、厳重に戒めて参るつもりでございます。
  206. 島本虎三

    島本分科員 そのことではないのです。国から千五百万円の補助金を受けている消防協会の役員の者がそれをやっておる。指示した、やらしめた、国から補助金を受けているその役員がやらせた。それをそのままにしておいて、団の方ばかりそれをやるのはまずい。やった人が現にいるのだから、選挙の違反の問題に対しても厳正な態度をもって臨むというように本会議であなたが言っているのですから、そういうような補助金対象になり、補助金をあなたが出しておる団体の役職員の人が、そういうようにして特定の人を、これをやった方がいいぞ。それも制服制帽ですよ。それで集めてやる、そういうような人のいる団体に交付金を出すということはおかしいじゃないか。従ってその団体の人がはっきりしておったならば、その団体の人に対してあなたはどのような処置をするのだと聞いているのです。その消防団ではないのです。この補助金を受けている日本消防協会の役職員のことを聞いているのです。
  207. 安井謙

    安井国務大臣 消防協会の問題につきましては、御承知のように今の委託費が国から出ておることは事実でございますが、あくまで民間の自主的な団体でございますので、役所の方から人事をどうするこうするということはできないことでございます。しかし同時に今御指摘のような事情がありますれば、当然これは当時あるいはその後におきまして選挙法と申しますか、そういう立場から究明されておるべき問題であろうと存じますが、今後ともそういうまぎらわしいことが起こらないように、できるだけわれわれの方としては行政指導をいたしていきたい、こう思っておりますので、今の協会の人事そのものを役所で直ちにどう支配する、これはちょっと直ちにはいたしかねる問題でございますが、しかし今後ともそういう問題が起こらないように、行政指導は十分心がけてやって参りたいと思っております。
  208. 中野四郎

    中野主査 関連質問を許します。楯兼次郎君。
  209. 楯兼次郎

    ○楯分科員 今島本君から消防団の集会で選挙運動をやっておるという質問が出たわけですが、どこだと言えば私はあとではっきり場所も人も明示をいたしますが、あなた方が考えておられる以上にこの組織というものは選挙運動に利用されておるのです。一つの例を申し上げますと、市長選挙がありましたところが、投票日の二日前、急に非常招集をかけまして、乾燥をするから火災予防のために、投票日の前二日間徹宵で警戒せよ。やることは、消防車に乗って、反対の候補の個人演説会等を、あのサイレンを鳴らして、四回も五回も飛んで歩いていく、これは明らかに妨害なんです。その選挙の当時非常に曇天続きで、われわれが考えますと、乾燥して火災予防の必要なんかないのですが、そういう指令書を出しましてやっておった例があります。一晩は徹宵警戒をした。ところが二日目に雨が降ってきましたので、もう火災予防のためという理由は通らなくなって中止をした。かえってマイナスになったという例を私は記憶しておるわけです。これはあとで、どこだと言えば、名前もはっきり申し上げますが、そういうふうに選挙の妨害に使われておるのですから、ただ北海道の例だけではないのですから、十分一つ取り締まりをやっていただきたい。
  210. 安井謙

    安井国務大臣 お話通りに、そういった消防団あるいは消防協会自体に非常に行き過ぎがあるとすれば、非常に遺憾なことでございまして、こういった事実は、できるだけわれわれも調査を十分にもいたしますし、また今後そういったことがないように、十分な戒慎をするよう指導いたしたいと存じております。ただこの人事を右から左へどうしろ、こういうお話になって参りますと、これは自治体あるいは民間の組織でございますので、役所で命令するわけに参りませんで、それぞれの筋でしかるべく善処されなければなるまいかと存じております。
  211. 島本虎三

    島本分科員 わかりましたが、そういうような点で私があえて申し上げますのは、大臣がそこまで言ったのであるから、それは信じましょう。今楯さんが申しましたように、こういうような例が、一北海道だけの例ではなく、全国にもこういうような点が散見しているという点も御存じの通りなんです。ただそういうようにしてどこかの部分でそれをやっているだけの問題にとどまらないで、国が補助金を出している日本消防協会の役職員がこれをやっている。もしそうだという事実がわかって善処するというなら、善処するまでの間は、その団体そのものは、国から補助金を受けるに不適当な団体ということになるじゃないか。そういうふうなことについて、大臣としても十分考えておかなければならない問題なんだ。その特定の人とはだれか。それはあなたが言って引き下げられるような人であるかどうかわからぬほどなのです。大体わかったろうと思うけれども、そういう人なのです。あなたが注意して、はいそうですかと聞く人であるかどうかわからぬのです。私はそこまで言ったならばおわかりだと思うのです。そういう役職員を持っている団体には、補助金をやるに不適当な団体であると認定せざるを得ないじゃありませんか。あなたどう考えますか。
  212. 安井謙

    安井国務大臣 大へんデリケートな問題であるようでもございますが、これは補助金ではなくて例の事業委託費でございますから、これは性格上相似たところはございますが、今の補助金団体と同じような扱いを役所側でするわけにも参らぬ点もあるわけであります。しかしいずれにしましてもそういう事情は決していいことではないのでございまするから、今後とも十分に気をつけまして、行政指導もいたし、そういうことのないように……。
  213. 島本虎三

    島本分科員 できますか。
  214. 安井謙

    安井国務大臣 これからも大いに行政指導を強めていきたいと思っておりますので、御了承願います。
  215. 島本虎三

    島本分科員 責任を持って言えますか。
  216. 安井謙

    安井国務大臣 これは十分やっていきたいと思います。
  217. 島本虎三

    島本分科員 最後に要望して終わります。責任を持ってやるという言葉を最後まで期待して、大臣在任の限り、それを一つ一つ、私も皆さんのこの行動を監視さしていただきますから、一つよろしくその点をお願いいたします。委託に必要な経費を出している団体に該当しない。——補助金というのは、そういう意味で大がいわれわれの場合一緒にしていますから、通俗な言葉で言っただけの問題です。今後なおこういう問題等については、大臣は今言ったような言葉を十分理解されまして、消防法二十四条の二の改正の問題等に合わして、おそらくこの消防関係の役職員の人の粛正というか、綱紀粛正の問題とからんで、重大なる決意をもって今後臨んでもらいたいし、それだけの確認を得ましたので、私はそれでやめます。今後の奮起を要望いたします。
  218. 中野四郎

    中野主査 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がないようでありまするから、自治省所管に対する質疑は終了いたしました。  明二十八日午前十時より開会し、建設省所管の審査を行ないます。本日はこれにて散会いたします。   午後五時十六分散会