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1961-02-28 第38回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十八日(火曜日)     午前十時二十九分開議  出席分科員    主査 相川 勝六君       赤城 宗徳君    保科善四郎君       前田 正男君    岡  良一君       木原津與志君    楢崎弥之助君       横路 節雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         調達庁長官   丸山  佶君         調達庁次長   眞子 傳次君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   鐘江 士郎君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     柏原益太郎君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      小里  玲君  分科員外出席者         防衛庁技官         (技術研究本部         長)      青山秀三郎君     ————————————— 二月二十八日  分科員河野密君及び玉置一徳委員辞任につき、  その補欠として楢崎弥之助君及び佐々木良作君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員楢崎弥之助委員辞任につき、その補欠  として河野密君が委員長指名分科員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年度一般会計予算内閣総理府(  経済企画庁を除く)所管      ————◇—————
  2. 相川勝六

    相川主査 これより第一分科会を開会いたします。  昭和三十六年度一般会計予算中、内閣総理府所管を議題といたします。  質疑を続行いたします。木原津與志君
  3. 木原津與志

    木原分科員 私は、昭和三十六年度の調達庁予算に関連して、調達庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  この調達庁予算の中で、行政協定及び地位協定によって、在日合衆国軍隊に対する施設区域提供に伴って生ずる経費及び駐留軍の行為に基づき生じた損失補償に要する経費、そのために施設提供等諸費として五十六億六千二百三十七万円が予算に計上されておるようであります。そこで、この施設提供等諸費の中で特別損害補償費という項があるのでございますが、この特別損害補償費というのは、一体どういう損害に対して補償される予算措置でありますか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  4. 丸山佶

    丸山政府委員 特別損害補償は、御承知通り駐留米軍のいろいろの施設に関連しまして、その内外損害を与えたものに関する補償措置をとる、これは特別損失補償に関する法律がございまして、この法律によりまして損害補償をいたすのでございますが、具体的には、米軍施設を置くために周辺農業等被害を与えた場合の損失補償、あるいは河川等損害を与えた場合の補償、または飛行場、演習場等におきまして、その飛行機の爆音あるいは射撃の騒音、これらに関しまして学校などが授業に支障のあるような事態になる、これに対する措置をとる、これらのものが内容でございます。
  5. 木原津與志

    木原分科員 三十六年度の予算によれば、そういった駐留軍施設区域において与えた損害補償するための特別損失補償費が、七千百二十六万八千円減額になっておるようであります。そうすると、この損害補償の費用が減額したということは、これらの米軍からの基地提供要求が漸次減っておるということから、こういったような損失補償予算が漸次減額していくということになるのでございますか。
  6. 丸山佶

    丸山政府委員 お答えいたします。  米軍の使用しております施設及び区域状況は、御承知通り平和条約発効以来、漸次減少しつつあります。しかしながら、最近においては、ほぼ一定のところにとどまった状況にあります。これに関しましての、先ほど申し上げました損失補償関係も、調達庁では逐次毎年やって参りました。大体のところを申し上げますと、一定のところに施設区域状態が落ちついてきたとは申しながら、やはり傾向としては、ふえるものではなく、漸減の方向にあります。それに関します損失補償も逐年やって参りましたので、来年におきましては、本年と比較して、今お話しのような程度、若干の減額でもって間に合うだろう、このように見ておる次第でございます。
  7. 木原津與志

    木原分科員 特損補償費が三十六年度予算で減っておるということは、補償金額の算定が、漸次、あなた方の裁定の上で少なく見積もるというような傾向があるために、こういった補償費が減るというようなことになるのではないでしょうか。
  8. 丸山佶

    丸山政府委員 特別損失補償関係は、先ほども申し上げましたように、基地内外周辺におきます農業等被害とともに、学校防音等に対する処置も含まれておるわけでございます。先生のお話の、金額において約七千万円減っておる項目は、農業被害あるいは河川その他に関する措置事項でございまして、一方、学校騒音防止等に関する経費は、たしか来年の見積もりはよけいにふやしまして、七億数千万円に上っておると存じます。あわせて考えますと、この損害補償関係は、総体的には増額を見込んでおる次第でございます。従いまして、被害見積もりを年々少なくするとか、来年は特別に少なくするような考え方では決してございません。
  9. 木原津與志

    木原分科員 そういった防音あるいは農地の損害補償、こういうもろもろの施設提供に基づく損害額認定方法は、だれが、どういうような経過によって補償額決定するか、その補償額決定経過をちょっとお知らせ願いたい。
  10. 丸山佶

    丸山政府委員 認定方法に関しましては、まず第一に、現場調査でございますが、御承知通り調達庁は、全国各地調達局を置き、また、特別枢要なところにはその出先も置いております。これらのところでその損害関係向きからの要請を受けまして、これに対しまして実情に即した調査をいたします。これに関しまして、この認定に関するいろいろな規則あるいは要項を定めております。これらに照らし合わせて損害額決定する、このような手続をいたしております。
  11. 木原津與志

    木原分科員 この補償費損害額認定について、米軍当局と相談するとか、あるいは米軍当局意見を聞くとかいうようなことが、この認定経過においてあるのですか。
  12. 丸山佶

    丸山政府委員 施設提供に伴う損害に関する認定に関しましては、日本政府が全部処理いたしますので、米軍との協議という問題はございません。
  13. 木原津與志

    木原分科員 現在、あなた方がアメリカ駐留軍から施設提供要求されておるところ、これはどういうところがあるか、これをお示し願いたい。長官が詳しくなければ、ほかの方でもようございますから、ちょっと現在要求を受けているところがどこどこか、それをお示し願いたい。
  14. 丸山佶

    丸山政府委員 先ほど冒頭に申し上げましたように、米軍施設及び区域というものは逐次減少をいたしまして、ただいまほぼ一定状況に落ちついてきたような状態にありますので、大きなところの新しい要求というものは、数多くはございません。しかしながら、現在使っておるところに関しまして、日本側から、いろいろな必要からその返還を求めるような場合に、これに関して米側としては、もしそれをどうしても返還しなければならないならば、あらためて別なところを代替的にできないだろうか、そのような関係のものが相当ございます。その関係におきまして、いろいろ微妙な点もございまして、ここに一々場所内容を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、しかしながら、そのうちでもこれはやはり必要である、そのためには、日本側でもその妥当性について調査をしなければいかぬというようなことで、すでに地方県庁などにも調査を依頼し、意見を聞いておるようなものに関しましては、たとえば九州地方で申しますと、一昨年でございましたか、佐世保湾の港外で、米軍掃海訓練機雷掃海する訓練というようなことにつきまして、いろいろ漁業者等にも被害を与えた、このような事情のために、掃海訓練場というようなものをもっと双方にとって満足のいくような場所、すなわち、日本側にとっては与える被害も少なくて済み、米側にとってはより十分な演習の効果を上げ得るようなところ、こういうものはないかというような問題に関しまして、現在、県庁を通じて調査いたしておるような事例がその一つでございます。
  15. 木原津與志

    木原分科員 現在、米軍から施設提供要求されておる区域、そういうものを国会に報告し、あるいは当委員会において明らかにするということは、これはあなたの方の機密事項か何かになっておるのですか、明らかにすることはできないのですか、どうです。
  16. 丸山佶

    丸山政府委員 それはその事項段階によると存じます。米軍からかりに要望がありましても、調達庁が受けまして、その内容検討において、これを直ちに実施の必要があるか、あるいはこれに関しては、調査に至るまでもなく撤回を要求すべきようなものであるか、これはまことに合理的なものであり、必要だということで、こちらが調査にかかる必要があるか、このようにいろいろの種類と段階がございます。概して申しますならば、日米間のそのものに関しまして、こちらが要求に応じて着手すべき問題に関しましては、これは当然、ある時期においては地方庁を通じ、あるいは市町村にも話をし、関係向きにも協議申し上げる、このために当然外に出さなくちゃならないものもありますが、その段階に至らざるようなものもございますので、要望が、具体的にどこそこ全部これこれであるということは、私、申し上げることは適当でないと考えております。
  17. 木原津與志

    木原分科員 アメリカ軍施設提供要求した場合に、それを提供するかしないかということは、調達庁が任意に決定をして、そうしてこれを提供したりあるいは拒否する、あるいは他にこれを転換する、そういったようなことが自由にできるのですか。そういったようなことをやった事例、自由に提供提供をやった事例がありますかどうか、その点いかがですか。
  18. 丸山佶

    丸山政府委員 調達庁は、これを所掌する政府責任官庁でございますが、これに関する影響というものは非常に大きなものであり、また、関係する向きも多方面にわたります。従いまして、調達庁だけで提供云々決定するのではもちろんなくして、これは政府決定いたします。手続的に申しましても、閣議にかけて最終的な決定をいたすわけでございます。従いまして、その間におきまして、まず、政府部内において関係ある各省庁と協議し、意見を徴することはもちろん、その関係する地元の県あるいは市町村、あるいはその土地に関する所有者その他の権利者等にも協議申し上げた上、それが提供決定しかるべしということになりますと、それを、先ほど申しましたように、閣議にかけて決定して米軍提供する、このようにいたしております。
  19. 木原津與志

    木原分科員 提供するかしないかは、閣議にかけて決定することでございましょうが、アメリカ軍から要求のある提供地域を、日本政府としては提供できないと言う、アメリカ軍としてはぜひ提供してくれということになれば、その提供するかしないかということについて、両者の、日米意見が合致しないという場合においては、これはどういう手続によってそれを処理することになるのでございますか、それをお聞かせ願いたい。
  20. 丸山佶

    丸山政府委員 アメリカ側から要求がありましても、日本政府といたしまして、いろいろな事情のもとに、あるいはしかるべき理由のもとに提供できないということに関しましては、これはアメリカ側に断わる。断われば、アメリカ側も、それ以上に何ら提供を強要するすべを持たないわけでございます。手続的に申しますと、それらの米軍要求は、合同委員会を通じて向こうから出され、従いまして、こちらも、提供ができないという場合には合同委員会を通じて断わる、このような処置でございます。
  21. 木原津與志

    木原分科員 実際問題として、長官アメリカから提供要求をされた、日本ではそれを断わるということになって、日米合同委員会において、施設提供を事実上拒否したという事例がありますか。あるならば、場所々々は指摘は要りませんが、今日まで大体何件くらいあるか、それをお聞かせ願いたい。
  22. 丸山佶

    丸山政府委員 相当数ございます。正確な数字の統計を今持ってきておりませんが、御承知通り平和条約発効以来すでに八年以上、この間におきまして、合同委員会は、原則として二週間に一ぺん開かれておる。このようなことから見ましても、私は、数十件あるいはもっとそれ以上になっておるかと存じます。しかしながら、その内容は種々さまざまと申しますか、大小さまざまと申し上げておいた方がよろしいかと思いますが、一つの大きな、全然新たなものを提供してもらいたいというようなものもありますし、あるいは既設のものに、この辺はこういう工合で都合が悪いので、この形を整備するために、ごく一部を追加してもらいたいというものもございます。大小さまざまのものでございますので、それらを全部合わせますと、私は相当数になっておると存じます。
  23. 木原津與志

    木原分科員 実は私のところに照会がきておるので、この点について具体的にあなたにお尋ねいたします。  長崎県の千々石湾ですが、長官承知かどうか知りませんが、あまり大きな湾じゃないのです。在日米軍から、機雷掃海訓練のために、この千々石湾一定地域について施設提供要求があって、そのために、あなたの方でこれについていろいろと調査をやっておられるということですが、そういう事実はございますか。
  24. 丸山佶

    丸山政府委員 その事項は、私よく存じております。一昨年からありまする要求で、それに関しまして、ただいま長崎県庁を通じまして、実地に関する種々な調査をいたしております。この要求は、先ほどもちょっと申し上げたと思いますが、機雷掃海訓練場にいたしたいという内容でございまして、この機雷掃海訓練場は、現在、同じく長崎県の佐世保湾にあるわけです。しかしながら、佐世保湾の方は、水の深さの関係沿岸との距離、それから特にあそこは漁船の集結あるいは操業のひんぱんなところでございます。これにかわるべき適当なところはないかという事情に基づきまして、千々石溝と申しますか、私は、たしか橘湾というような言葉を聞きましたが、心配しておるのでございますが、この点についての、将来の掃海演習実施によって起こるであろう結果に対して、政府当局は一体どういう考えを持っておられるか、その点を私はここに長官に聞いておきたい単なる演習期間中の操業停止という問題じゃない。問題は、これを向こう何年間にわたってやられるか、おそらく期限の定めはあろうかと思いますが、相当長期間にわたって、毎月一カ月のうちに十日も十五日もこれをやられたら、ここの湾内の魚介類は一体どういうふうなことになるか、この点についてのあなた方の見通しはどうか。この沿岸人たちは、それだけが非常な心配の種になっておりますが、あなた方はこの点についてどういう考えを持っておられるか、その点の見通しについてございますならあなたのお考えを聞きたい。
  25. 丸山佶

    丸山政府委員 お話しにもありましたように、機雷掃海訓練場としては非常にいい場所であるが、それが現在要求されているような形でもし行なわれるならば、単にその制限期間における漁獲荷が減るということではなくて、漁場そのものとして未来永劫にもう役に立たないようなものになる、あるいは死の海と化するというようなことでございますなら、これは大へんな問題でございます。これらの点に関しまして、私自身ただいまのところ特別の知識も持っておりませんし、また、今までの調査結果において、この見通しはこれこれになるというものもまだ出ておりません。しかしながら、これに対する措置考え方といたしましては、そのような大きい影響のあるようなものであれば、今要求のあります点について十分な検討を加えなければいけない。たとえば訓練期間、口数の問題にしろ、あるいはその訓練やり方、つまり、係留機雷の敷設の仕方あるいはそれを掃海するもののやり方、これらのものの仕方の制限あるいは規制ということによって、そのような大きな影響を及ぼすような結果を招来することを防ぐ処置はできないかどうか、これらの点に関しましては、水産業に関する専門方々意見、あるいは場合によればそういう方々調査というもの、それから関係方々のいろいろな経験上からくるそれに関する御意見等もあると思いますので、それらの点は十分に調査いたしまして、そうして、たとえ訓練をやるとしても、こういうようなやり方、こういうような方法によればそれらの心配はないというような措置をきめ、また、なおかつ、それによってもある期間においての被害というものがある、これらに対しては当然完全に補償する措置をとらなければいけない、このような考え方のもとに、目下調査を進めておる次第でございます。
  26. 木原津與志

    木原分科員 いろいろなそういう被害がないように十分措置をするという御意見のようでありますが、魚だとか海草あるいは貝類、特に魚は生きものです。海の底を掃海する場所に魚が泳ぐはずがない。また、よそからその辺に入ってくるはずはない。私どもはしろうとでありますが、そういう考え方を持っておる。また、この沿岸漁業者の話を聞いても、これが広い海洋における底びきならば、その底びきが済むと、海流に沿うて魚が同じところに来るということはあるそうです。しかし、外海から一応中に入った湾、そこが漁場になっておる場所においてこういった大がかりな掃海、特に大型の艦船が来て、そうしてここで機雷掃海をやるという場合においては、これはもはや致命的なものです。これはその土地漁業者たちの過去の長い間の漁業経験に基づいて、学理上どうこうというものではございませんが、そういうことをやられたのでは、魚は一匹も泳がなくなるであろうという感じを率直に持っておる。もし、そういうことが事実上起こって魚が泳がなくなったら、これはもういかなる補償をしようとも、補償の仕方はないと私は思う。もし、これに対する補償政府がやるというならば何億何百億、何千億の補償をこれにつぎ込んでも、長い将来にわたる補償ということになるのでございますから、これはもう莫大な補償をあなた方はしなければならぬと思うのです。そういう補償は、とうていできる相談じゃない。特にこの漁業補償あるいは特撮の補償という補償金額は、わずかなものなんだ。ほんとうの一日の日当程度損失補償しかあなた方は考えておらない。どこの補償でも、補償というのは大体そんなものです。そうすれば、こんなわずかな金額の、漁業操業停止期間中における日当的な補償によって、この莫大な、将来ここで魚が泳がないという結果を招来した場合は、もう重大なる問題になるのですが、あなた方は、その重大な補償をどうしてやることができますか。私は、この点を特にあなた方に強く要望したい。一時の漁業停止期間中の補償の問題じゃない。永久に、将来にわたって、現在生業者四千五百の世帯だけじゃなく、これと関連するこの沿岸一帯住民を殺してしまうという結果を招来することは目に見えておる。だから、特に、私は、本日調達庁長官をここにお呼びして、この点について強い御注意を喚起したいのです。もう結果が現われてしまってからではおそいのです。結果が現われてからではもうおそい、現われる前にこそ、これを考えなければならぬ。  特に今長官お話によれば、この千々石湾の接収の要求というのが、すでに、佐世保にある掃海訓練場では米軍都合が悪いから、何かと不便だから、それにかわるものとしてここを要求しておる、こういうことでありますが、それならなおのこと——私は佐世保掃海訓練場を置いておるということを是認するものではない、できれば、ここも撤去してもらいたい。早くこれを漁民に返してもらいたいが、今の実情上、日本政府としてこの返還要求することができないという実情にあるならば、ここはここなりに十分な補償をしてやるべきだ。それがアメリカ軍演習場として不適であるから、特にこういうところを選んでここに要求をする、アメリカ軍のためにそういうことをやることは言語道断だということを言いたい。しかし、あえてそういう要求をするならば、幸いに、アメリカのそういう施設要求に対して、日本政府側でこれを拒否した例もたくさんあるということを先ほど長官はおっしゃった。それならば、こういう残酷な結果を招来する、沿岸一帯漁民ないし住民を皆殺しにしてしまうということが予想されるこういう施設提供だけは、絶対にやめていただきたい。これをやったらそれこそ大へんですよ。ほかにこの魚雷の掃海訓練場提供しておる地域がございますか。もしあれば、参考までに教えていただいて、さらに、そこにおける漁業制限状態、現在の補償状態等を一応聞かせていただきたい。
  27. 丸山佶

    丸山政府委員 機雷掃海訓練場といたしましては、現在のところ、ただいま申し上げました佐世保湾に一ヵ所、それから東京湾に一ヵ所、この二ヵ所だけでございます。  この掃海訓練によりまして、お話のごとく、将来にわたって魚がこの場所は泳がなくなる、あるいはそこには海産物等生物も生息しなくなる、このようなことになることは大へん重大な問題でございます。これに関しましては、関係漁業方々の御意見も十分に聞き、また、専門家意見も、調査も徴する、なお、そのやり方いかんによっては、このような結果を招来しないでできる方法があるのかどうかということも調査をする。とくと身長に調査検討の上、この問題は決定いたしたいと考えておる次第でございます。  なお、漁業補償関係で、日当程度補償額というお話でございますが、これの趣旨といたしましては、もし、その漁業制限がなかりせばどれだけの漁獲高またはそれに基づく収入があっただろうか、こういうことを原則に見ましてこの補償措置をとる、これがこの補償の要領でございます。
  28. 木原津與志

    木原分科員 漁業補償について十分たことをやっておるというお話ですが、今それについて私は資料を何も持っておりませんから、それが十分であるかどうかということについて、さらにあなたにお尋ねをすることができないのでありますが、私の知ってておる事例から申しますると、あなたが今おっしゃるような十分な補償というようなことは、とうていできておらないということをあなたに申し上げたいのです。特に、また、このほかのところの例として、東京湾機雷掃海について例をあげられましたが、東京湾においてもそうでしょう。一つ二つ具体的な例をあげますが、すし屋さんに赤貝すしがありますね。あの赤貝は、もとは東京湾でとれておったそうです。ところが、最近は、あのすしの原料になる赤貝東京湾から一つもとれない。そのほか、東京湾で多少とれておったいろいろな魚が最近全然姿を見せておらぬということは、私が調査したわけじゃないが、そういうことを聞いておる。あるいはノリその他についても全然収穫がない。こういう例を見ても、機雷掃海ということが、どれくらい魚族あるいは海草その他魚介類に及ぼす影響が甚大であるかということは、およそ常識からでも推測ができると思う。  特に、漁業補償ということをおっしゃいますが、たとえば、十日間操業できなかった、しかし、その人たちが、もし、その十日間操業をしたならばこれだけの漁獲を得たであろうという漁獲高を算定して、そうして、それに基づいて補償額決定される、いわゆる損害因果関係という法則を適用して補償をされることになるのでありましょうが、私が先ほどから何べんも繰り返して申しておりますように、魚がどだいおらなくなってしまったら、これはもう損害の算定の方法がないでしょう。一体何を基準にして、あなた方は損害の算定をやられようとするのか。おらなくなることは、これはもういろいろな事例によって予想できるのです。予想通りに魚が全然泳がなくなった場合における漁業補償は、操業を休んだから、その間得べかりし利益を喪失したであろうということに基づく算定では、損害補償の形にならないのですよ。ここのところを私はあなた方に申し上げたい。おらなくなってしまってからでは、補償という問題はもう起こりっこないじゃありませんか。しかも、この結果は、実に重大なんです。私は、この湾の様子をよく知っておるから申し上げるのですが、佐世保とか東京湾とかいうこの湾の形が全然違うのですよ。一ぺん長官千々石湾に行って見て下さい。国会中行くことができなければ、国会が済んでから、私があなたを案内してもいいから一ぺん見てごらんなさい。ここであれだけの掃海をやったらどういう結果になるだろうかということは、私どもでも想像がつくのだから、漁業専門家でないあなたでも大体の想像がつく。私が案内しますから、一ぺ行きなさいよ。こんなところで、何年間継続するか知らぬが、月に十日間、一年に百二十日以上でしょう。これが何年間継続するか。しかも、大型の掃海艇が十二隻入ってきて、キャタピラを海底に据え付けて、飛行機のプロペラみたいなものを据え付けているんですよ。そうして全速力で海の底をかきまぜるんです。プロペラの長さだけでも、およそ三間からあるんですよ、三間以上ある。それを両端につけて、これがぐうぐう、こうして回るんですよ。海域の設定は、縦三マイル、横五マイルというような設定区域かもしれませんけれども、訓練するのはアメリカ軍だけで、海の底をかっさらうのは、縦三マイル、横五マイルというその区域だけに限られるものではないでしょう。おそらく、全湾の全区域にわたる掃海が行なわれるだろうということは、これはもう想像がつく。こういう掃海をやられたのでは、もう全然魚はおらなくなる。これは私が断言していい。おらなくなってからの補償の仕方は、現在の法律ではしようがないじゃないか。何かそういうような場合の特別な補償措置がありますか、あったらどういうものか、一つ聞かせて下さい。
  29. 丸山佶

    丸山政府委員 東京湾赤貝その他の魚介類がいなくなったこと、あるいはノリの被害等まで、東京湾のある一部にアメリカ掃海訓練場を置いたためだとおっしゃられることは、はなはだ御無理かと存じます。しかしながら、先ほど来申し上げましたように、この掃海訓練場影響というものは漁業に非常に大きなものがあるということは重々認識いたしておりますので、この結果こうむるべき被害をいかに最小限度にとどめ得るか、これらの措置方法は十分に考えるとともに、関係向きの御意見は拝聴し、また、専門家調査意見も聞き、関係省庁の意見も総合した上でもって、この問題の措置は最終的にきまるようにいたしたいと存じております。  なお、漁業補償関係に対しましても、得べかりし漁獲高のことについて御意見もございましたが、これまで魚がとれました時期の状況というものを勘案いたしまして、そのようなことの資料を作るわけでございます。以上繰り返すようでありますが、この点は、十分に慎重な方法によって決定いたすとともに、お話にありましたように、私も事情が許すならば、ぜひ現場も一ぺん視察いたしたいと考えております。
  30. 木原津與志

    木原分科員 その補償に関して今いろいろ説明がありましたが、魚が湾内で泳がぬようになってしまったり、あるいは貝がとれない、あるいは海草がとれなくなる、そういうことになったときの補償措置というのは、どういう措置がありますか。
  31. 丸山佶

    丸山政府委員 現在あるいは今日に至るまでも十分に魚がとれ、また、海草その他の海産物もとれておる事実があるだけでございます。従いまして、そういう事実に基づきまして、もし将来ある時期に漁業制限し、そのために、その期間にいかほどの魚がとれなかったか、あるいは海草がとれなかったというものの算出、算定には、現在あるいはこれまでの実績というものが、必ず必要な資料によって役に立つものと考えます。
  32. 木原津與志

    木原分科員 長官、冗談言いなさんな、そういう魚介類海草、そういうものがとれなくなったときの補償を一体どうしてやるか。また、何年間にわたって、その漁民あるいは関係者に、どういう方法でやることができますか。これこそ損害補償認定のしようはないじゃありませんか。あなたは、やると言っているが、そういう方法はありませんよ。何年間それをやるんですか。やる方法はないじゃありませんか。今までやったというような歴史はないでしょう。そういうことがやれるものですかどうですか。
  33. 丸山佶

    丸山政府委員 演習の結果、そこにはまるっきり魚が泳がなくなってしまった、あるいは海草がなくなってしまった、水産物が全然死滅しちゃったというような事態が起き、それに対する補償は、確かに今まで実例はございません。そのような事態の起こらぬような方法処置においてこの演習というものが成り立たないものであるか、漁業関係者の方々の利益とともに、この演習の必要性を、どこかの時点において調整いたしまして、両立し得るような方法がないかどうか、これらに対して慎重なる調査検討を加えたいと考えておるのでございまして、全然今の、魚は一匹も泳がなくなった、あるいは海草が生じない、海産物も、従って何もなくなったというような事態を招来するようなこと、また、招来した場合にはどういうような補償措置をとるかというところまでは、現在のところ考えておらない次第でございます。
  34. 木原津與志

    木原分科員 これは重大な問題で、そういうような魚が死滅してしまうという結果が起これば、あなたは考えておられぬと言っておられましたが、これはもう補償のしようがないのです。しようがないということになれば、沿岸一帯が、これはもう住民といわず、漁民といわず、一切枯渇してしまうという結果を招来することになるのであります。だから問題は非常に重大でありますし、それがゆえに、また関係業者のこれに対する心痛は非常に深刻なものがある。特に自分たち一代だけではない。この漁場は、子々孫々までやって、これを唯一のなりわいとして生きていかねばならぬように運命づけられた人たちばかり、あそこにおるのです。それがもう、自分たちの一代、だけでなくて、孫々に至るまでこれができなくなったらどうしようか、そういう場合の補償措置政府ではよもややるまい、また、やることもできないというところに非常に心痛があるわけなんであります。そこのところをあなた方もよく勘案されまして、特にくどいようですが、どうしてもそこが必要だという関係のものじゃないように、私は先ほど長官の口ぶりから承った。佐世保に現にある。そのあるところでは十分な演習効果が上げ得られないから、もっとよりよいところを要求しようということのようでありますが、それならば、多少不便でも、現在あるところでがまんしてもらいたい。新たに日本国民を泣かせるような措置アメリカがとるということは、どうしても、千千石湾の沿岸一帯人たちには、この点だけでも納得がいくまいと思う。私どもも納得いたしません。どうか一つそういうところをよく勘案していただいて、この新たな接収ということについては、断固とした一つ決意を持って、四千五百の漁業者のみならず、この一帯の人たちの生活のために特別な御考慮を賜わって、ぜひともこういう施設要求に対しては断固として拒否する。しかも、それが、拒否した例は幾つもあるというのでございますから、私は非常に心強い。どうかこの件に関しては、あなた方の断固たる処置一つ要望いたして、私の質問を終わりたいと思いますが、最後に長官も、一ぺん千々石湾を兄に行こうということもおっしゃいましたから、私が御案内しますから、御一緒に一ぺんその実情をよく調査してやって下さい。  これで私の質問を終わります。
  35. 丸山佶

    丸山政府委員 現在ある佐世保のものが不適当であって、今御質問のありました橘湾が適当であるということで調査を進めておりますのですが、関係漁業民の方にいろいろな影響も大きい問題でございますので、御意見関係筋から十分に承りまして、慎重に処置いたしたいと存じます。私も、事情が許しますならば、現場も調査に参りたいと存じております。
  36. 相川勝六

    相川主査 岡良一君。
  37. 岡良一

    ○岡分科員 木原委員の質問に関連して、一点お伺いいたしたいと思います。  アメリカの第七艦隊に対して、日本の横須賀、佐世保区域施設その他において、どのような利便を現在日本は供与しておるのか。タウンゼント・フープスあたりの意見を見ると、日本の艦船修理施設、補給基地としての使命は、高く評価しなければならないというようなことを強調しておるようでございますが、具体的にどのような利便を供与されておるのですか、この機会にお示し願いたい。
  38. 丸山佶

    丸山政府委員 第七艦隊と、日本の近くの海におります米国の海軍の艦艇は、私の知る限りにおきましては、横須賀並びに佐世保の港におきまして、船体の修理はもちろん、それに必要な物資の補給、あるいはその乗組員が上陸して一定の休養をとる、これらのものに通常においては港が利用されておる、かように思っております。
  39. 岡良一

    ○岡分科員 第七艦隊を維持する上ににおいて、このような日本の港の利用というものは不可欠なものでございましょうか。どういうふうに判断されますか。
  40. 丸山佶

    丸山政府委員 日本佐世保あるいは横須賀という両方の港は、沖繩または台湾、フィリピン等を通じ摂する米国海軍艦隊の活動において、絶対に必要なものと私は承っております。
  41. 岡良一

    ○岡分科員 その次に、これは昨年いろいろわれわれも問題として討議した問題でありますが、東海村の上空がアメリカの爆撃機の制限区域になっておるということ、これはその後、原子炉の安全性のために、アメリカ側と当時の中曽根長官との間にも若干交渉が進められたやにお聞きしておるのでありますが、その後具体的にはどういう取りきめになったでございましょうか。
  42. 丸山佶

    丸山政府委員 東海村の原子力関係施設と、あそこの近くにありますところの飛行機からの対地爆撃場の関連に関しましては、たしか一昨年、だと思います、中曽根さんが科学技術庁の一長官の当時でございましたが、もし万一、飛行機から誤って物がその地域に落ちる、あるいは飛行機自体が事故でも起こして東海村の関係施設に落っこちる、こういうことになったら大へんであるので、その対地爆撃場の関連処置を、安全を目途とする変更調整の方法を一とる、それらの目的のために、米国の軍の飛行機はあの上を飛ばない、従来の飛行ルートを改めて、あの上を飛ばないことにするということが一つの取りきめ、それからそれを実行可能ならしめる手段として、演習場の射撃目標を海上に移すという方法を講ずる、従って、その射撃目標を海上に移しまして、あの東海村の上空は飛ばないでも演習ができるという処置を、日米双方の間に取りきめて、現在実施されておるわけでございます。
  43. 岡良一

    ○岡分科員 この東海村では、さらにコールダーホール改良型の大型の動力炉の運転が、ここ三年もすれば開始される、二号炉も臨界実験に到達したといわれて、今若干停滞しておるようでありますが、さらに、国産炉もここ三年すればという状態、動力試験炉も三年後にはというふうに、あそこに原子炉が密集しておるわけです。ところが、一昨年、ローマで、国際的に、原子炉を設置する場所の安全性の立地条件は何かという検討があって、その場合、民間の飛行場でも、滑走路の延長線上には絶対に原子炉を置いてはいけないということが決定された。ところが、これは爆撃演習のために制限区域になっているということになりますと、民間の飛行場の滑走路の延長線以上に一枚が起こる可能性も私はあると思う。そういう意味で、あなた方の方でも、日本の原子力の平和利用、研究開発が大事だと思われたら、こういう危険はやはりできるだけ避けるようにしていただたかなければならないと思いますか、今おっしゃったような程度で、それ以上に動きがつかない。演習場を移転するというようなわけにはいかないのでございますか。
  44. 丸山佶

    丸山政府委員 東海村の原子力関係施設とあの演習場関係というものは、これは非常に困難な問題でございます。歴史的と申しますか、時間的に申しますと、あそこの対地訓練場というものはもとも一とからあったわけで、あとから東海村の方へ、原子力研究所ができた、そのような事態もございます。従って、とりあえずと申しますか、絶対必要な調整方法として、先ほど申し上げましたように、飛行機の演掛ルートなり、あるいは目標物なりというものの変更をいたしまして、安全の確保をはかっているわけでございます。あの演習場は、米軍のこの地方における最も重要な演習場になっておりますので、ただいまのところの見通しにおいては、その返還は非常に困難だと考えております。
  45. 岡良一

    ○岡分科員 私ども、専門の諸君をわずらわしまして、現在あの上空で爆撃演習をしている飛行機の重量トン、それからそれをマッハの速度にしまして、それが現在の設計によるコールダーホール改良型に横から当たったとき、上から落ちたとき、あるいは三百メートル以内の近地点に落下したとき、どういう衝撃が起こるかということを力学的に検討してもらったが、その結果によると、炉の本体に亀裂が生ずるのではないかという危険がある。炉の本体に亀裂が生ずるということは重大な問題であります。もしコールダーホール型を一年間運転しますと、炉の本体の中には少なくとも四百万キューリー程度のラジウムが充満するわけであります。炉の本体に亀裂が生ずるということになると、これは大へんな問題が起こり得るわけであります。こういう点から考えまして、あなた方のおっしゃるように、どうしてもあれは他に移転し得ないものだということになりますと、日本の原子力開発は大きな影響を受けることになりますので、今後一つそのような科学的根拠というものを十分参考にし、また、調査になって、できるだけ御努力を願いたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  46. 相川勝六

    相川主査 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ————◇—————    午後二時四分開議
  47. 相川勝六

    相川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横路節雄君。
  48. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛庁長官にお尋ねしますが、きのう井手委員の質問に答えられて、現在の防衛庁の職員の定員についていろいろお答え願いました。それで、きのう数字を御発表いただいたのですが、ここに私去年の九月末現在の調べをいただいておりますので、人事局長からもう一度お答え願いたい。私たちいただいておるのは、こういうようになっているのです。陸上自衛隊自衛官、非自衛官、海上自衛隊自衛官、非自衛官、航空自衛隊自衛官、非自衛官、その他自衛官、非自衛官、小計、自衛官、非自衛官、総計、こうなっているわけです。これは去年の暮れの当委員会でいただいたわけです。従って、これに合わせて、十二月末現在となりますか、一月末現在となりますか、恐縮ですが、現在の欠員の数について、もう一ぺんここでお答えをいただきたいと思います。なお、防衛庁の方に前もってお願いをしておきますが、私の方でもいろいろ皆さん方と折衝していただいた資料等もあって、きょうは具体的にこまかな数字でお聞きをしますから、ぜひ一つ、数字等については的確にお答えできるようにしていただきたい。人事局長にお願いします。
  49. 小野裕

    ○小野政府委員 お答えいたします。  ただいま正確に数字が出ておりますのは十一月末現在でございます。陸上自衛隊欠員二万十一名、海上自衛隊欠員九百三十九名、航空自衛隊欠員六百六十二名、三自衛隊を通じまして合計二万一千六百十二名であります。
  50. 横路節雄

    ○横路分科員 私は、そのほかに、陸上自衛隊の非自衛官、海上自衛隊の非自衛官、航空自衛隊の非自衛官、その他の自衛官、非自衛官、こういうように皆さんの方からいただいた資料が九月末でなっている。ですから、それに基づいて一つお答えいただきたいと思います。
  51. 小野裕

    ○小野政府委員 失礼いたしました。十一月末現在の一般職員、これは非自衛官でありますが、これの充員状況は、陸上自衛隊につきまして欠員として二百十八名、海上自衛隊につきまして四十一名、航空自衛隊につきまして百九十五名、その他内局及び付属機関で七十名、こういう数字であります。
  52. 横路節雄

    ○横路分科員 長官にお尋ねしますが、去年の九月末現在の陸上自衛隊自衛官の欠員は二万八千六十四名、それが十一月にはわずか二ヵ月で二万十一名にふえたわけです。なぜこういうようにどんどん欠員が生ずるのでしょうか。定員十七万のうちで二万名も欠員が出る。これはとても考えられないことなんです。この陸上自衛隊の自衛官についてなぜ充足できないのか、その原因はどこにあるのか、どういうように長官はお考えになっていらっしゃるのか、その点についての見解を一つお尋ねをしたいと思います。
  53. 西村直己

    ○西村国務大臣 細部にわたりましては政府委員から御説明いたしますが、海上、航空は別といたしまして、陸上について特にお尋ねがあったように、自衛官の欠員が多い。確かに十一月現在では二万、九月では一万八千でございますか、そういう数字が出ておることは事実でございます。そこで、万台の一万とか二万とか欠員があるのはどういう理由かと申しますが、一応従来の事例を申し上げますと、欠員は三十一年度で四千、三十二年度が九千六百、三十三年度が六千三百、三十四年度が九千五百、こういうようなのでありますが、昨今は、特に法律上の定員に対する欠員が多いことは事実でございます。これは一つは、国内の諸情勢に基づきまして、好況であって、応募者はある程度ありますが、応募率も少し減っておりますのと、その中で、ある程度質のそろった者をそろえるには、やはり適格者が少ない、こういう点が一つあろうと思います。言いかえますれば、経済の好況が影響している点もあろうと思います。いま一つは、法律上の定員と予算の充足率と違っておるという点で、普通の官庁とは違って、任期制の志願制度であります自衛隊においては、先ほど来申し上げましたように、五千前後から九千前後の常時欠員と申しますか、毎年出ております。それにプラス昨今の状況、退職者、それから募集についての応募の状況が変化しております。これらの諸点から、こういう状況が出てきたというふうに申し上げたいと思います。
  54. 横路節雄

    ○横路分科員 今の長官の答弁を聞いていると、ますますこれは充足されないではありませんか。長官御存じのように、予算委員会では今まで終始何を議論したかというと、池田内閣の一枚看板である所得倍増計画、高度の成長率、それについて議論したではありませんか。そうすれば、今あなたが答弁された、今までは五千ないし九千というのが大体欠員であったが、今度のように二万にわたる欠員というのは経済の好況が反映しているということになれば、三十六年度は九%以上、三十七年度も九%以上、三十八年度も九%以上の好況ということになると、その他の重化学工業であるとか、機械工業であるとか、好況の面に優秀な者が行くということになれば、ますます充足できないではありませんか、今あなたのおっしゃったことでは。この点はどうですか。経済の好況によってこれだけの大きな差が出てきたということになれば、所得倍増計画と高度の経済成長率とあわせてできないではありませんか。
  55. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、お説の点も一つの要素でありますが、それだけではありません。自衛隊内部における募集技術の改善、いま一つは、任期制隊員の将来に対しての職業の開き方、隊を終わって二年なり三年なり、特に二年の任期を終わって後の職業のあり方等についてもこれらを改善していく、こういうことも私は必要であると思うのでありまして、経済が好況だから直ちに充員は困難だ、こういうふうな断定は、私は一口には言えないと思います。いわんや、自衛というものに対するものの考え方等の高揚、また、一面自衛を通して公共に奉仕していくという観念の高揚等もあわせて、私は、募集難の緩和という一つの大きな要素であろうと思います。単なる経済の計算だけで解決すべきものではない、こういう考え方でございます。
  56. 横路節雄

    ○横路分科員 これは人事局長にお尋ねしますが、陸上自衛隊の自衛官の出身県——実は、これは前もって御連絡しておくとよかったのですが、御連絡しないで、こまかな数字になって恐縮ですが、出身県、大体全部というても容易でないでしょうから、隊長の出身県について、できれば一番目はどこどこの県どれだけ、五番目ぐらいまでここで一つお話をしていただくといいと思うのです。今すぐここで答弁して下さいといっても大へんでしょうが、もしも資料があれば、人事局長すぐ答弁して下さい。
  57. 小野裕

    ○小野政府委員 まことに恐縮でございますが、ただいま正確な資料がございません。概況を申し上げますれば、九州の地区におきまして三分の一ないし四分の一の入隊員を得ております。なお、御必要でございましたら至急お知らせします。
  58. 横路節雄

    ○横路分科員 これは必要ですし、どうせ、この質問は相当時間がかかりますから、一つその間資料を用意してもらいたい。  これは一つ長官に私から申し上げておきますが、今人事局長からお話がありましたように、九州地区が三分の一であろう、それから、わかりませんが、おそらく東北地区が三分の一ぐらいあるのではないかと思うのですが、今私の手元にありますのは「国民生活の地域別分析」というので、これは経済企画庁で作ったものです。「生活水準の地域差と人口流動」というので、ここにこまかな分析をして出ていますが、その中に一体どういうことが出ているかというと県民一人当たりの平均分配所得というので、これは今人事局長からお話の九州地帯はどれだけになっているか、とりわけ、これは宮崎、鹿児島、それから熊本、こういうところの、大体南九州における県民一人当たりの平均の分配所得は、全国を一〇〇にした場合に、東京を入れた南関東は約一五〇、南九州は五七・三にしかなっていない。言いかえたら三分の一にしかなっていないわけですよ。東北にしてしかり。東北は、東京が一五〇の場合に七六にしかなっていない。だから、言うなれば、今日わが国における地域開発が進んでいないところ、世にいう後進地域から応募者が多いということなのです。いいですか、後進地域からの応募者が多いんですよ。これを、今政府考え方は、この地域格差をなくしていこうというのです。そうして、今自衛隊に応募されている熊本なり、鹿児島なり、宮崎なり、あるいは東北地方、いわゆる南関東の約半分にしか当たらない地域についての地域格差をなくしていこうという努力をしておるわけです。この努力が所得倍増計画の中に含まれている。この計画が進めば進むほど、ますます私は自衛隊の応募というものは困難になると思います。今日自衛隊のいわゆる自衛官というものの、人的資源はここに仰いでいるわけです。こういう点、お考えになったことがありますか。こういう点からいって、一つきょうは長官分科会ですから、ほんとうにあなたの本心を言ってもらわぬといかぬ。私ども心配するのは、私どもこういう立場で、これからきのうの井手委員との応答もありますから、それとの関連で次々聞きますが、こういう点一体応募は、あなたの方で考えている、今その二万の欠員についても充足するならば、具体的なことはどういうようにしてやるのですか。
  59. 西村直己

    ○西村国務大臣 私は、自衛官というものは単に飯を食うだけの仕事ではないと思うのであります。根本は、やはり国の自衛を通して奉仕していくという、これが基本概念として、基本的な態度として応募して参ると思います。ただ、九州方面が特に多いということは、それだけやはり先輩、後輩、仲間等の考え方というものが、自衛隊に対して入りたいという気持が比較的旺盛な地域だ、もちろん、人間のことでありますから、経済生活も当然うらはらにはなって参りますが、基本においては、私は必ずしも給料が安いとか高いとか、それだけで自衛隊に対する考え方がきまっていくとは考えておらないのであります。
  60. 横路節雄

    ○横路分科員 長官は、一般の就職とは違うから、自衛意識とか国防観念とかいうことで違うと言うんだけれども、私が現に聞いているのは、この二万の欠員はどういう方法で充足するんですか、その具体的な対策はありますか、あればお答えをいただきたい、こう聞いているのですよ。国防意識がどうとか、自衛の意識がどうとかいうことでなくて、二万の欠員をどうするんですかと聞いている。具体的な方途についてお尋ねします。
  61. 西村直己

    ○西村国務大臣 昨日も分科会政府委員から御説明があったと思いますが、二万のうち、常時の予算面からくる制約は当然一万前後あると思います。一万の欠員をどのようにして埋めていくかという問題になろうと思うのであります。そこで、この一万に対しましては、もちろん経済情勢も影響いたしております。しかし、同時に、われわれとしては、やはり自衛官の本来のあり方、こういうものに対して趣旨を徹底していくという募集の技術の問題もあろうと思うわけであります。それから同時に、入ってから後の扱い方、また、入隊する場合の手続等、いろいろな技術上の問題も解決することによって充足に努めていきたい、こういう考え方であります。
  62. 横路節雄

    ○横路分科員 きのう私は、井手委員と経理局長との応答を聞いておったのです。きのう経理局長は、一般の官庁においても、予算は組んでおっても、実際的には予算上の定員から三%くらいは欠員が生ずる、こういう見方だ、しかし、陸上自衛隊については、予算定員との関係においては一二%の欠員を見ているんだ、こう言うのです。私は、ちょっとこの点について概算をしてみましたが、なるほど、先ほど長官が言われた五千程度というのは、十七万についての三%ということになれば五千百です。だから、五千程度であるならば一般官庁並み。しかし、八八%ということになると、一体常時防衛庁ではどれだけ欠員を見ているかというと、陸上自衛隊については約一万五千程度は見ているのじゃありませんか。いいですか長官、一般官庁では九七%ですから三%ですよ。だから五千程度は見ている。しかし、きのうの経理局長の八八%を見ているということは、一二%落としている。今あなたの方では防衛二法案を出して、ことしは陸上自衛隊については自衛官は十七万一千五百にしたいという。十七万一千五百から一二%落としてごらんなさい。一二%落としますと、約二万五百八十人落ちるのですよ。あなたの方では、今長官は、ことしは一万程度は充足できると言ったが、きのうの経理局長の答弁を聞いていると一二%落としている。一二%落とせば二万五百八十だ。そうすると、十七万一千五百から二万五百八十を引けば約十五万九百二十、大体こういう数になる。初めから二万程度はできないと見込んでいるじゃないですか、この点はどうなんですか。
  63. 西村直己

    ○西村国務大臣 これは、おそらく予算上の措置として八八%の充足率ということから、平均計算でお立てになったろうと思いますが、そうではなくて、任期制の隊員であって、ふだんにやめたり、また、ある年に何回も入れますから、そこで、平均としてそういう数字が出てくるのであります。従って、それの細部の動きにつきましては、もっと私は詰まってくると思います。これらについては政府委員から御説明させますが、平均すると一二%ということです。
  64. 横路節雄

    ○横路分科員 人事局長にお尋ねしますが、なるほど、これはきのうの経理局長の答弁で、一二%落として八八%だ、それは年間通しての平均値であることは私もわかります。しかし、平均値であっても、これは二万五百八十です。平均値であれば、これを十二倍してごらんなさい。十二倍したら何ぼになるのです。私はちょっと概算できないが、おそらく延べにして年間三十万からの欠員ということになりませんか。私が今これをお尋ねしているのは、あなたの方ではわざわざ防衛二法案を出して、ことしは十三個師団にするのだ、こういって、十七万の定員について千五百を上げて、十七万一千五百にしてきた。しかし、十七万一千五百にしてきたが、延べ人員にして年間約三十万は欠員が出る、こういう計算でないですか。こういう計算を立てておいて、何で一体千五百必要だと出してくるのです。それなら、初めから十七万でいいじゃないですか。十七万ですら、今日二万も充足されないで欠員である。これは募集の技術とかそういうものではないですよ。私はこれから募集の技術が悪いというのだから、どんな募集の技術をこれからおやりになるのか聞きますが、初めからこの定員については無理がある。人事局長どうですか。あなたは答弁がつらいということはないでしょう、あなたは局長ですからね。長官はそんなこまかいことは知らぬかもしれぬ。しかしあなたの方では人数をはじいて出されたのですから、わかります。何で一体十七万を千五百伸ばして十七万一千五百にしたのです。しかも、一二%の欠員が充足できなくて、平均にして毎月二万五百八十、延べにしたら年間約三十万近くでしょう。こういうものをかかえておりながら、何で一体陸上自衛隊について千五百の定員の増をしなければならないか。こういうことをなぜ一体出してきたのですか。これはできますか。私は、きのうの経理局長の答弁を聞いてないときはそうは思わなかったけれども、きのうの経理局長の答弁を聞いておりますと、いわゆる自衛隊の増員というのは、初めから充足できないのに、そういうように予算に組んである、そういう出し方をしてくるということは遺憾ですね。人事局長、何かお考えがあれば、一つここでお述べいただきたいのです。
  65. 小野裕

    ○小野政府委員 御指摘のように、欠員の対策には非常に腐心をしておるわけでございますが、できるだけ努力をいたしまして、所定の定員に近い数字を埋めたいと考えております。ただ、現実の問題といたしまして、今日相当の欠員を持ちまして、予算を定員一ぱいちょうだいいたしましても年度内にまかない切れない、これは当然でございます。そういう意味から、予算編成、予算要求にあたりましては、予算の効率的使用というような点も考え、大体年間平均いたしましてある金額、これを率に直しますと八八%に当たります程度金額があれば、今年度内の最大限の努力をして埋めました者の人件費がまかない得るというようなことで、明年度の予算といたしましては、定員全体に対する所要額の八八%分の予算をお願いしているわけでございます。これにつきまして、こういう欠員があるのに、なぜ、さらにふやしてきたかということにつきましては、私から申し上げるのは控えまして、関係の方からお答えいたします。
  66. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは防衛局長にお尋ねします。今、人事局長は、私では答弁できないという。いいですか、十七万千五百が予算定員ですよ。十七万千五百について八八%を見ていきますと、あなたの方で予算定員はもらったけれども、いわゆる人件費として組んであるのは十五万九百二十、これは月ならしてですよ。だから、年間はこれの十二倍。そこで月では少し移動はするでしょうが、十五万九百二十だから、これを一つ十五万と押えましょう。そうすると、今日の十七万であっても、十五万しかあなたの方では充足できない。今、人事局長は、予算定員はもらったけれども充足できないのだ、充足できないから、従って八八%の予算を組んだのだという。十七万の現在ですら、大体の見通しとしては十七万プラス千五百としても、十五万程度しかできないというものを、何で千五百加えて出したのですか。初めから充足されることができないのに、何で一体十三個師団などという、こういう編成をやるのですか。初めからできない計画でないですか。これは人事局長ではなしに、防衛局長から答弁してもらいたい。
  67. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。昨日井手先生に御説明申し上げましたように、法律上の定員の千五百人の増加ということを私どもとしてお願いいたしておりますのは、部隊を編成して参りますその手続的な、事務的な面につきまして、きのう申し上げたところでございますが、さらに繰り返して御説明申し上げますと、たとえば、例を普通科の連隊にとってみますと、小銃中隊につきましては、一個分隊の分隊員は九名ということになっております。一個分隊が九名がいいのか、八名がいいのか、七名がいいのか、あるいはこの九名につきまして、装備品としましては、小銃を持つ者が七名、狙撃銃を持つ者が一名というような、装備の点までいろいろと専門的に検討して参ります。そういうことから各部隊の組織、編成、装備の定数がきまって参ります。これを積み上げて参りますと、総計十七万という数字が出て参るわけでございます。それで千五百名の増ということにつきましては、先般長官からも御説明ありましたように、特に施設部隊を増強いたしまして民生に協力し、平素の国民生活に積極的に貢献していこうということもございます。これらの部隊を編成いたしますには、先ほど申しましたような積み上げ計算をして参りますと、どうしても千五百名ほしくなるわけであります。そこで、合わせて十七万一千五百名の定員をもちまして十三個師団に改編をいたしますが、これも十三個師団につきましては、現在六管区隊、四混成団と申します十の単位からなっておりますものを、いろいろ研究を重ねて参りました結論として十三個師団に編成がえしていただきます。これも七千人の師団、九千人の師団と、一種類の師団を持って参るのでありますが、それぞれの細部につきましては、先ほど申し上げましたような、具体的に部隊を動かします動かし方等の研究の結論がそこに出てきておるわけであります。以上のようなことで、法律上の定員は十七万一千五百人と相なるわけでございまして、現実に隊員が陸上自衛隊につきましては二万程度欠員の状況であるということは、まことに遺憾な事実でございます。私どもは、来年度の予算をいただきました場合には、この欠員の差をできるだけ縮めていくということに努力いたして参りたい、このように考えております。たとえば、本年度末の欠員の状況と来年度末の欠員の状況を比べました場合には、そこに多少の改善努力の跡が認められるようなことになりたい、このように考えておるわけでございます。
  68. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛局長、なるほど、部隊編成のための積算の数字というものはわかりますよ。しかし、あなたの方では、今何とか二万の欠員については充足したいといったって、予算は、初めからあなたの方で二万五百八十は落として組んであるじゃないですか。二万五百八十は初めから落として予算を組んであるのに、何で二万の充足ができますか、落として組んであるのでしょう。予算定員上の一二%を落として八八%で組んだのだから、いわゆる予算定員上は十七万一千五百だけれども、そういう意味では、予算上の措置としては二万五百八十を落としてあるじゃないですか。落としてあるものを何で充足できるのですか。
  69. 小野裕

    ○小野政府委員 御指摘の点でございますが、一応年間を平均いたしまして八八%に組んでございしますのは、先ほど長官から御説明申し上げましたように、充足度の高い時期におきましては、あるいは二万五千という欠員になる時期もあろうかと思います。あるいは充足度の下がりました時期におきましては、さらに欠員がふえまして八十数%という時期もあろうかと思います。そういうような状況で、今後一年間努力をいたしまして、一、一十六年度末におきまする定員というものを最高度に充員いたしまして、私どもできる範囲でございますが、できるだけ高めまして、次の年度につきましては、予算をさらに高めたものをお願いする、そういうふうにいたしまして、ここ一両年のうちに希望の数字、期待の数字まで高めて参りたい、こういうふうに考えております。
  70. 横路節雄

    ○横路分科員 人事局長、あなたがこれから努力をしますといっても、初めから予算上の措置として、予算定員の十七万一千五百から一二%落としたのだから、月平均にすれば二万五百八十落ちているわけです。今概算しましたら、年間約三十七万千二、三百ですよ。それは、なるほど、今あなたがおっしゃったように、ある月では二万になった、ある月では二万一千になった、ある月では一万九千になった、こう言われるけれども、全体の予算としては、あなたが努力する努力するといっても、予算は組んでないのですよ。あなたの方で二万五百八十落として予算を組んであるのに、どうしてこれから努力をして二万人埋めますと言えますか。そのときには補正予算を組むのですか。
  71. 小野裕

    ○小野政府委員 仰せの通り予算は定められました予算の範囲内で経理をいたします。ただ、ただいま申し上げましたように、低いときと高いときとございます。本年度は平均八八%の線で充員して参りますが、さらに、三十六年度は八八%の平均になるような範囲で予算を経理して参りまして、三十六年度の後半以降におきまして、いろいろな努力の結果を結実させまして、後半期におきまして高い波の方へ持って参りますならば、次の年度におきましては、さらに充足率の高い予算をいただけるというふうに考えているわけであります。
  72. 横路節雄

    ○横路分科員 長官は長い間予算理事をやられて予算の権威者ですが、今数字のことについては、長官に聞いても理解できないかもしれませんから、それで私は、最初にそれぞれの局長に聞いたわけです。西村さん、どうですか、初めから二万五百八十落ちているのですよ。だから、今年は防衛庁全体としては十七万一千五百と定員は組んだけれども、実際の充足は、先ほどあなたが言ったように、平均にすると十五万九百二千にしかならない。あなた自身、ここで、すなおにこう組んだと言うのだから——きのう答弁がなかったら私知らないことだけれども、きのう答弁されたのだから——。どんなに努力をしても、防衛庁としては、初めから二万一千については充足されない、こういうようにあなたがここで御答弁されれば、これは終えて、次の問題に移ります。
  73. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、私先ほど申し上げましたように、法律上の要求しております定員は十七万一千五百でありまして、それに対しまして、予算の充足率は、年間を平均いたしまして八八%でございます。もちろんその間には波がございます。従って、募集方法等を改善いたしまして、後年度におきましてはできるだけその波を高めて参るならば、もちろん法制定員まではいかないと思いますけれども、法制定員に近いような線に隊の編成を満たしていきたい、こういう気持でおるわけであります。
  74. 横路節雄

    ○横路分科員 長官にしてはおかしいじゃないですか。その努力はわかりますよ。あなたは、われわれと一緒に長年予算委員会でやってきたが、私の言うているのは、予算は初めから二万五百八十落としているんだから、あなたがこれからどんなに努力をして充足すると言うても、予算に組んでないものを何でやれるのです。補正予算を組むのですか、どうなんです。その点は長官率直に話をされていかれないと、この問題、だけでもう一日かかりますよ。だから、率直に言われた方がいいんです。
  75. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、編成は編成で、いわゆる軍隊的隊の性格として、やむを得ずああいう編成になろうと思います。そのもとにおいて予算、財政を勘案いたしまして、しかも、募集状況等も勘案して、国民の貴重な税金をいただくのでありますから——この充足率というものが毎年きまっておる。ことしは、その充足率が、募集状況等も勘案して低いわけであります。しかし、これは年間の平均値でありますから、募集努力によりまして、ある程度充員というものは上がってくるわけであります。その場合に、多少定員と実人員との差というものがあるのは、これは予算で押えられている以上はやむを得ない。ですから、十七万一千五百を満度に満たし得るということは困難であろう、これはわかっております。
  76. 横路節雄

    ○横路分科員 西村さん、あなた、そういう言葉で私に何べん答弁をされても、私は、それで、ああそうですかとは引き下がらないのですよ。どうしてかというと、これはごまかしができないのです。そうでしょう。なるほど、定員は十七万一千五百と組んだ。しかし、現に、きのう井手君に対する経理局長の答弁は八八%なんだ。だから予算上は、十五万九百二十というのは、いわゆる月平均の組み方だ。あなたの言われるように、月で移動があることは私もそう思いますよ。しかし、月平均二万五百八十、年間通して約二十七、万というものは充足されないのです。もしもあなたが努力を、して充足ということになれば、まさか予算の流用はできないから、補正予算を組まなければならぬ。だから、今あなたがここで一生懸命努力をして、八八%を上回って九〇%、九二%になれば、お願いをして補正予算を組ましていただきますと、こういうように言うならば、ああそうか、それならば防衛庁の考えはそれでわかったということになるけれども、それを努力をします、努力をしますと言う。努力のことは、これから聞くのです。私が聞いているのは、この二万五百八十、年間通して二十七万というのは、予算上落としてあるじゃないか、こういうんです。それは、初めからあなたの方では、いわゆる定員は十七万一千五百だが、予算上はこれだけの措置をしたということは、実際は二万一千ないし二万二千は充足が困難だ、こういうように率直にお認めになった方がいいんですよ。今のような答弁なら、何べん繰り返しても、私は何べんでも聞きますよ。
  77. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、これは一つの編成上の定員であります。従って、編成が満度に予算措置をとられることは理想であります。しかしながら、御存じの通り、私が繰り返すまでもなく、任期制の隊員であって、採用の時期がまた年間に何回かに分かれていますから、繰り返し繰り返し出入りがあるわけであります。従って、そのピークのときに至りますれば、予算編成のところに近づいてくる場合もあります。また、下がる場合には、予算編成の定員より下がる場合もあるわけで、これは過去の例におきましても、五千前後から一万くらいの欠員というものを生じていた一部の要素であろうと思うのであります。従って、予算上の制約からくるその部分というものは、ある程度従来とも欠員があった部分だけは欠員はずっと残っていくんじゃないか、こういうふうに考えております。
  78. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは長官、もう一ぺんお尋ねしますが、結局二万五百八十については、予算上落としてあるんだから、これはなかなか充足困難だ。なるほど、月によって伸びる月があることは百も承知しておりますよ。しかし、月によっては減る。年間通せば大体平均が二万五百八十、二万五百八十というのは計算上のことだが、二万一千から二万二千程度のところは本年は充足困難だ、こういうふうに考えることが妥当じゃないですか。もしもその考えが成り立たないならば、何でこういう予算の組み方をしたのか、その点を一つお答えいただきたい。そうなんですと、こう言えば、次に移りますから……。
  79. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、月によりましては、確かにピーク時においては予算編成の八八%以上にこえていく場合もありますし、また、下がる場合もあるということは、お認め願ったわけであります。ただ、事実上そういう平均しての欠員があるということは、私もこれは当然だと思います。
  80. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで、これは議論になりますから、ただ私の方の考えだけ申し上げておきますが、実際には、今度の防衛二法で千五百を陸上自衛隊で伸ばして十七万一千五百だが、今長官の御答弁のように、ならして月約二万一千から二千というものは欠員を生じてくる。ですから、全くこの組み方というのは、われわれの言葉からすれば、から定員ということになる。ですから、そういう意味で防衛庁自体としては、この定員の組み方というものは、頭から十三個師団というものを考えて、先ほど防衛局長から話のあったようなそういう組み方をしたのだろうが、しかし、現在の自衛官の応募の実態その他からいって、もっとそういう実態に即した組み方をするのが、私は当然しかるべきではないかと思うし、また、そういう意味で、ことし無理にこういうように定員を増さなければならぬという考え方は、われわれ絶対に了承できないわけです。納得できないわけです。ですから、先ほどから聞いているように、最初、二万の充足についてどうするのだ、欠員についてどうするのだという場合に、いろいろあるというが、結果的には二万一千から二千の欠員は認めたわけです。ですから、そういう意味で、十三個師団の編成というのは初めから無理があるということです。  次に、私は、これは人事局長にお尋ねしますが、防衛庁は、自衛官の募集難と欠員問題を打開する方法として、三十六年度の第一次自衛官募集——四月から、五月——から、応募年令を現行の満十八才以上から満十七才以上に、一年引き下げることを考えている。これは私は新聞で見たわけです。さらに、この応募年令引き下げは、内局の人事局と陸幕が中心となって準備を進めているが、これは自衛隊法の施行令を改正すればできるので、防衛庁としては、準備が整い次第着手したい意向であるといわれている、こういうように、これも私は新聞を見てのことなんであります。そこで、私は人事局長にお尋ねをしたいのは、自衛隊法の施行令を改正すればできるというようにこれには書いてあるが、するかしないかは別として、その一つ前の、自衛隊法の施行令を改正すればできるというが、法令上はそのようになるのかどうか、この点をまず専門家である人事局長から一つお聞かせをいただきたい。
  81. 小野裕

    ○小野政府委員 法令上と申しますと、手続きの問題、形式の問題でございますが、してできないことはないと思うのでございますが、することが適当であるかどうか、いろいろ問題はあると思います。
  82. 横路節雄

    ○横路分科員 今の人事局長の答弁で、法令上は自衛隊法の施行令を改正すればできる。そこで、次は、長官にお尋ねをたいのですが、これも新聞ですけれども、西村長官は、一年間の短期任用制度を実施したい意向であったが、予算の面で大蔵省は反対、陸幕は、一年間では自衛官の訓練ができないというので難色を示して見送りになった、こういうのだが、長官の意向としては、実に二万一千から二万二千の欠員というのは大問題ですから、そういう意味で長官はお考えになられたと思うのですが、この点についての長官考え一つお聞かせいただきたい。
  83. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、私防衛庁長官といたしまして、自衛隊の予算上の措置は別といたしまして、できる限り質のいいものを常時充足していくということは、私の責任と考えております。従いまして、私は、あるいは年令の低下、十七才の問題、あるいは一年短期の自衛官、こういうようなことにつきまして、庁内に検討を命じておることは事実でございます。ただ、これらはすべて専門的な分野においてのいろいろな検討が必要でありますから、私の単なる方針だけではなくして、その検討がもし差しつかえがない場合においては、また、諸般の状況考えて、やる場合もありましょうが、ただいまのところは、検討をさした段階だけでございます。
  84. 横路節雄

    ○横路分科員 長官考え方は、だいぶはっきりここで承れたわけです。そうすると、検討を命じているということは、応募年令を下げる、満十八才を満十七才に下げる、それとあわせて、訓練期間を短縮するということも検討しているわけですか、その点一つ
  85. 西村直己

    ○西村国務大臣 応募年令と必ずしも一年のあれが——全体を一年に下げるとか、そういう技術的な問題はいろいろありますから、ものによって一年下げてみたらどうか。ものによってというのは、非常に表現が悪いのですが、種別によりまして年令を下げるとか、たとえば海空でははたしてそれがいいのか悪いのか、陸でもどういうものがいいのか悪いのか、そういうようなところは技術面でありますから、十分部隊の専門の知識を持った諸君に可否を検討してもらいたい、こういう趣旨でございます。
  86. 横路節雄

    ○横路分科員 長官にお尋ねしますが、次は、沖繩における自衛官の募集問題です。これは、この間予算委員会で岡田春夫委員の質問に答えられて、西村さんは、高等弁務官に対して、沖繩の自衛隊募集に便宜をはからってもらいたい、こういうように言われました。その中で、たしかこういうように答弁されておると思うのです。二十八年にたった一回だけ行なわれた、こういうふうにあのとき答弁されましたが、そのときはどういうようにして沖繩において募集したのか、あのとき、岡田君は、別にその問題について重ねてお尋ねをしていなかったように思いますので、ここで一つ御答弁いただきたいと思います。
  87. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、私は、沖繩においては米国政府が施政権というものを持っておることは、承知しておりますが、これは経緯を申し上げますと、沖繩から日本へ参りまして、そして応募する者が、自衛官としては相当あるわけであります。しかも、その諸君あるいは沖繩方面の諸君の意見でも、現地で試験をやってもらえると、旅費その他がむだにならぬで済む、こういう要望も相当ありますので、私の記憶するところでは、かつて奄美大島がまだ復帰以前でありますか、そういう方面でやったような場合もありますので、キャラウェー中将がやられる場合に、万一了解が琉球政府なりあるいは沖繩等で行なわれる場合には、そういう要望にこたえる便宜もはからってもらえないかという希望を申したのが、この間の応答でございます。
  88. 横路節雄

    ○横路分科員 長官、私のところに向こうの琉球新報という新聞がきております。これは向こうでも非常に問題になっておるわけです。二十八年の応募というのは、こういうようにわれわれ承知しておるわけです。防衛庁から二人の試験官が那覇に出張して、南方連絡事務局の協力を得て、一般に呼びかけ、志願者百人のうちから三十人を採用して、うち一名は防衛大学に入った、試験もやったし、身体検査もやった、こういう状態で、この点は間違いございませんね。人事局長でいいです。
  89. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいまお尋ねの昭和二十八年のケースは、大体お話通りでございます。人数につきましては、多少違いがあるかと思いますが、試験を施行いたしましたのは、防衛庁が——当時防衛庁でこざいませんが、南方連絡事務局に委託をいたしまして、こちらの係官も出張して、試験を施行したわけでございますが、これにつきましては、現地の米軍政府並びに琉球政府の同意を得てやりましたことは、御承知通りであります。
  90. 横路節雄

    ○横路分科員 人事局長、なぜそれが一回切りで、その後中止をしたのですか。
  91. 小野裕

    ○小野政府委員 ざっくばらんに申し上げますと、当時の二十八年の採用にあたりましては、所期の成果を上げて——といいますと語弊がありますが、必ずしもまとまった採用者を得なかったのでございます。そういう事情でその後はございません。また、そのときは、琉球政府側の希望もございまして実施したのでございますが、その後におきましては、こちらが主導的には考えなかったのでございます。  なお、その後、昭和三十一年に一度、こちらの方の発意で、沖繩において現地募集をしようじゃないかという計画がございました。関係方面と連絡いたしましたが、当時は沖繩琉球政府の同意が得られませんので、そのままになったことがございます。そういうことでございます。
  92. 横路節雄

    ○横路分科員 長官にお尋ねしますが、長官が今御答弁されましたように、キャラウェー中将、高等弁務官に対して、沖繩の自衛隊募集の便宜をはかってほしい——便宜をはかってほしいというのは、どういう内容のことをお考えになって言われたのですか。
  93. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、沖繩政府としては、施政権があちらにあることは、私も十分存じております。従って、従来、どういう形で奄美大島復帰以前にそういうことをやったか、向こうの了解を得たか、それらは私ども存じません。方針といたしまして、内地まできて応募するよりは、現地で試験をどういう形でもしてもらいたいという希望も、地元に相当賛成者もいるということを聞いておりますから、それならば、そういう応募者に対する便宜をはかる方法があればやってもらいたい、そのあとの具体的な方法については、法律上の諸問題が残るでありましょうが、それはまたそれぞれの機関において検討していくべきことである、こういうことであります。
  94. 横路節雄

    ○横路分科員 今長官は、法律検討してやれるものならばやりたい、こういうことです。ところが、きょうの朝刊にも出ておりますが、二月十三日にすでに、アンドリックという民政官が記者団との会見で、沖繩からの自衛隊募集については、恒久的な制度はアメリカの施政権を損ずることになろう、こういうように言っているわけです。だから西村長官は、この沖繩におけるところの自衛隊の募集は、何らかの法律の制定があればできるという考えだ。アンドリックという民政官は、あなたとキャラウェー中将との会見の報道にも、やはり現地においては相当関心を持たれて、今言ったように、この民政官は、沖繩からの自衛隊募集については、恒久的な制度は、アメリカの施政権を損ずることになろう、こう言っているのだが、あなたは、この点については、アンドリックという民政官のこの考え方はどうですか。
  95. 西村直己

    ○西村国務大臣 私はその報道は見ておりませんが、ただ、そのつどそのつど、沖繩政府なりあるいは米軍の代表機関の了解を求めれば、事実上方法があり得るのじゃないか、私はこういう意味で話し合いをしたわけであります。
  96. 横路節雄

    ○横路分科員 あなた、ごらんにならなければ、それをごらんいただいてもいいのですが、あなた御自身としては、現地において自衛隊の募集は、法律改正までやればできる、しかし、アメリカ側では、恒久的な制度というものは、いわゆる施政権を損ずることになる、こういう考え方が向こうにありますが、あなたはこれについてどうお思いになるか。
  97. 西村直己

    ○西村国務大臣 私は、何も日本の国内法の問題でなくて、沖繩政府の同意とか、あるいは米代表機関の同意を得れば、そのつどそのつど、この問答弁申し上げたように、御了解をいただければその募集をやらせていただきたい、あるいは委託なり、何らかの便宜方法をはかってもらいたい、こういう意味であります。
  98. 横路節雄

    ○横路分科員 私がお尋ねしておるのは、長官が言う、そのつどそのつど、便宜をはかってもらいたいというのは、あなたの希望だが、しかし、向こう側の考え方としては、恒久的な制度というものは、アメリカの施政権が損ぜられるのだ。いわゆる安保条約の審議のときにもここでいろいろお聞きのように、アメリカ側としては施政権の一部がへこむのだ。だから、恒久的な制度というもは施政権の一部返還というものとの関連があるからそれは困難だ、こういう意味だと思うのです。だから、私があなたに聞いておるのは、そのつどそのつどといっても、それは、法律改正をしてやるということは恒久的なことですね。その恒久的な制度については、アンドリック民政官ば、いわゆる施政権の一部がそこなわれることになる、こういうように考えておるが、この点について、長官考えはどうか。
  99. 西村直己

    ○西村国務大臣 私といたしましては、キャラウェー中将があいさつに見えました際に、表現といたしましては、何らか便宜をはかってもらいたい、こういうことを言ったのであります。向こうとしては、その内容については、赴任の途次でありますし、沖繩には初めてこれから行く人でありますから、詳細はわからぬ。われわれとしては、これを恒久的に制度化しろという、こういう含みで言ったのではない。また、あちらも、どういう方ですか、そういう発言をしていると今おっしゃいますが、私はまだ聞いておりません。私の発言は、要するに、便宜をはかってもらう方法があれば便宜をはかってもらいたい、こいうことであります。
  100. 横路節雄

    ○横路分科員 人事局長にお尋ねしますが、長官は、そんなもの知らない、こう言うのだけれども、これはきょうの朝日新聞ですが、その他の新聞にも出ていますよ。「沖繩の米民政耳アンドリック準将は二十七日の記者会見で、沖繩での自衛官募集について質問があったのに対し「現地米軍が許可したという話は知らない。沖繩で自衛官を募集するとしても、だれの管理下に行なうのか、どんな行政権下に行なうのか、いろいろな問題がある。住民意見もいろいろ分かれているので、それをきいてみなければはっきりした意見は言えない」」ということが一つ。それから、ここに琉球新報といって向こうのものがございますが、この点については、二月十四日の新聞で「アンドリック民政官は、十三研の定例記者会見で沖繩からの自衛隊員募集については「恒久的な制度は米の施政権を損ずることになろう」」こう言っておる。あなたは全然知りませんか。あなたは、こういうことについては、全然承知していないのですか。承知というのは、そういう新聞は見たこともない、そんな情報も聞いたことがない、今初めてお前から聞くんだ、こういうことなんですか。長官は全然知らないと言う。せめて人事局長ぐらいは知っておるのじゃないかと思う。
  101. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいまの新聞記事のことにつきましては、私も読みました。なお、そのほか、私どもといたしましては、こうしたことについてはたして適当であるかどうか、できるかどうかということにつきまして、事務的には二、三の方面と接触をいたし、いろいろ検討はいたしました。ただいま米軍の司令百等が申しておりますような事柄は、確かに一つの問題であろうと思うのであります。そういう問題を解決して、沖繩における現地募集ができるかどうか、これはまた結論を得ておりません。ただ、ここで私ども考えられますことは、沖繩で隊員募集をいたしますことは、これは募集を行なう一つの事実行為のようなものでございますので、法律論として私が大きいことは申されませんけれども、私どもの今の検討段階では、いわゆる国家権力の行使ではないのじゃないか。だから米軍が同意をすれば、そういうこともできるのじゃないか。かりにそれができない、やはり法理上もむずかしいということになれば、あるいは志願者を予選してもらう——と言うと語弊がありますが、沖繩の政府にお願いをして、希望者があったらそれを一応まとめておいてもらう、こちらへそれを引き継いでもらうというようなことも考えれば考えられる。こういう点については、具体的にまだ進んでおりません。ただ、いろいろ検討段階でそのようなことを考えたことがあるわけでございます。
  102. 横路節雄

    ○横路分科員 私が長官にお尋ねしておるのは、あなたがそのつどそのつどというのであれば、私もそう聞かなければならぬ。法律の改正を行なってできるものならば、こういうことなんです。法律の改正を行なってやるようにするということは恒久的な制度をやるということ、そこで、私がこれからお尋ねする点は、恒久的な法律改正に基づいて、恒久的な制度によって沖繩で自衛隊員を募集することはそれはアメリカの施政権をそこなうことになるのか、いわゆるアメリカの施政権の一部がへこむことになるのかどうかということについての長官の見解をお尋ねしたい、こういうわけなんです。
  103. 西村直己

    ○西村国務大臣 沖繩で自衛官をかりに委嘱して、話し合い、了解のもとにやる場合において、そのつどそのつど話し合いをするならば、別に日本において法律の改正というものは要らないと私は思うのでありますが、その点、ちょっと御質問の趣旨がわからないのですが……。
  104. 横路節雄

    ○横路分科員 いや、長官先ほどあなたが、法律の改正等を行なって、法律等の改正によってやれるものならやろう、と言うたかどうかは速記を見なければわかりませんが、あなたは、沖繩の自衛隊員の募集について、法律改正について検討されておる、こういう点について先ほど御答弁がありました。それがなければ、私聞かないのですよ。あなたがそう言ったから、私が聞いておる。
  105. 西村直己

    ○西村国務大臣 それはお聞き違いか、あるいは私の発言が不十分であったかもしれませんが、こういうふうに直しておきましょう。私は、便宜をはかってもらいたい、こういう発言をしたのでありますが、あなたからのお問いでありますから、その際に、先ほど答えたのは、もちろんアメリカの施政権に影響するかどうか、法律上の問題も起こるかもしれぬから、それらは検討するであろう、私としてはこういう一つ考えを持って、便宜をはかってもらいたい、しかし、法律上の問題ということはその席ではなくて、単に便宜をはかる方法があれば、従来もそういう方法もあったから、この程度の発言で折衝を終わったわけであります。
  106. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは、今のところはそのつどそのつどお願いする、こういうわけですね。
  107. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、先ほど申し上げましたように、施政権等という、一つの大きな条約上なり、あるいは国際法上なりの問題がありますから、それで私の方といたしましては、事実行為として、そのつどそのつど了解を得ることによって方法が立てばというのが、今の私の考えでございます。
  108. 横路節雄

    ○横路分科員 次に、お尋ねをしたい点は、去年予算委員会でもずいぶん問題になりましたF104についてであります。これは装備局長の方から資料を私の方でもいただいておるわけですが、あなたの方からいただいた資料として、三十六年度は一機、三十七年度は四十四機、三十八年度は八十五機、三十九年度は七十機、そこで四十年の一月末には二百機が完成する。装備局長、そうですね。
  109. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 その通りであります。
  110. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで私はあなたにお尋ねしたいのは、予算上の措置の問題なんですが、ことしは全部で予算は五十七億円を組んだわけですね。そこで、三十七年度は幾ら、三十八年度は幾ら、三十九年度は幾らになるのか。ことしは、五十七億組んだ。当然あなたの方としては年次計画があるわけで、ここに機数が出ているのだから、大体それで一つお答えをいただきたい。
  111. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 三十七年度以降の分につきましては、われわれといたしましては大体の積算をいたしておりますが、大蔵省と最終的に取りきめをいたしておるわけではありませんので、その点はまだ最終的な数字としては申し上げかねると思います。
  112. 横路節雄

    ○横路分科員 私があなたに聞いているのは——機数がきまっているじゃないですか。三十七年度四十四機、三十八年度八十五機、三十九年度七十機と一出ているじゃないですか。だから、概算でいいんです。私は何もあなたに、大蔵省と交渉して何千何百何十何万何千円まできめたということを聞いておるのじゃない。その程度のこともお答えできないのですか。機数があなたの方ではきまっているじゃないですか。私はあとであなたの責任を問うとかなんとかいうことはないですよ。どうぞ御心配なく答弁していただきたい。機数はきまっているじゃないですか。その機数に一機当たり何ばかげればいいんだというなら、それでもいいですよ。大体のところはどうなんですか。
  113. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 これは大体のわれわれの腹づもりだけでありまして、もちろん大蔵省と最終的に打ち合わせできておる数字ではありませんので、御了承を願いたいと思います。大体三十七年度百七十億程度、三十八年度二百二十億程度、三十九年度二百五十億程度、これは概数でありますが、大体そういうような見当をつけております。
  114. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで私があなたにお尋ねをしたいのは、これは去年もお尋ねをしたことなんですが、その後いろいろ物価も上がっていますから、このF104Jの一機当たりの年間の維持費というのは、大体幾らと見ておけばいいんですか。
  115. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ちょっと正確な数字——今探しておりますが、大体年間五千四百万程度だったと思います。すぐ調べまして、正確に申し上げます。
  116. 横路節雄

    ○横路分科員 去年の二月の二十六日にあなたから出していただいた資料を今でも持っていますが、これによりますと、一機当たり五千四百三十万となっている。これは修理費が四千万、燃料費が八百八十万、人件費が五百五十万、これはやはり変わりはないですか。
  117. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 これはあくまで予定でありまして、大体われわれとしましては、その程度の維持費でやっていけると現在も思っております。
  118. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると、先ほどあなたから、三十七年度のF104J等について百七十億、三十八年度は二百二十億、三十九年度は二百五十億とあったが、三十八年度は、二百二十億の生産に、要する費用のほかに、三十七年度でできた四十四機の分として、一機当たりの年間維持費五千五百万の四十四倍というものが当然そこに止まれてくるわけですね。それから、三十七、八年度両方で百三十機できますから、そうすると、三十九年度では、二百五十億円プラス五千九百万の百三十倍という合計金額が当然そこに出てきますね。そういう計算をして間違いざいませんね。
  119. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ただいまの数字、私チェックいたしておりませんから、数字の正確さはちょっと私としてもまだ自信がありませんが、そういう計算になるということだけは確かでございます。なお、年割は、さっきも申しましたように、まだわれわれだけの腹づもりでありまして、年度別に最終的に大蔵省とどういうふうにするかということはまだ残されている問題であります。それで全部がきまったというようにお考えになるのはまだ早い、かように考えます。
  120. 横路節雄

    ○横路分科員 私が聞いているのは、数字が少し動くのは百も承知している。だから、あなたも億単位で言っている。  それからこの契約ですが、防衛庁と新三菱重工との間の契約は三月末までにできるわけですね。
  121. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 大体三月末の予定、三月末ぎりぎりになるかと思います。
  122. 横路節雄

    ○横路分科員 次に、新三菱重工とロッキード製作会社との間のF104J戦闘機に関する技術援助契約というものがすでに結ばれている。これはただ単にF104Jだけの問題ではなしに、このごろ、技術援助契約というものがあって相当な支払いになっているわけだが、この点についてどういう技術援助契約をしたのか、ここで一つお話をしていただきたいと思うのです。
  123. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 F104につきまして、新三菱重工とロッキードの間で技術援助契約を結んでおります。これは昨年の七月八日に政府の認可を得たものでありまして、その内容は、大体新三菱が日本におけるF104の独占的な製造権、日本政府に対する独占的な販売権、それから一般にロッキードが独占的に販元権を持っております以外の国に対するところの非独占的な販売権、それからロッキードが工業所有権、いわゆる特許権等を持っておりますればその特許権の使用権、契約の期間が十年、対価といたしましては、ライセンス料が百五十万ドル、ロイアリティが一号機から百号機までば一機当たり三万二千五百ドル、百一号機から二百号機までは一機当たり三万ドル、二百一号機からは一機当たり二万五千ドル、それから技術使用費が十二万九千ドル、そのほか、ロッキードといたしましては、技術指導のために必要な技術者を日本に派遣する、なお、開発について必要な事項を定めておる、そういった大体の内容になっております。
  124. 横路節雄

    ○横路分科員 今の技術援助、契約による支払いなどは、全部で大体どれだけになりますか。
  125. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ただいま申しましたように、ライセンス料、これはイニシアル・ペイメントで、これが百五十万ドル、それから一号機から百号機までが三万二千五百ドルでありますから、三百二十五万ドル、それからD、Jはライセンス、ロイアリティがかかりませんで、あとの八十機につきまして三万ドルかげた数字、それからあと開発関係が幾らかあると思います。
  126. 横路節雄

    ○横路分科員 技術使用費というのはどうなっていますか。
  127. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 申し落しましたが、そのほかに、技術使用費が十二万九千ドル、それだけの合計になります。
  128. 横路節雄

    ○横路分科員 それからいろいろな問題があるようだが、開発費についても相当な金額があるわけですね。
  129. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 開発費につきましても、ある程度金額はあります。
  130. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛局長にお尋ねしますが、このF104Jについては、最終的にどういう隊の編成になさるのですか。
  131. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。  順調に生産が進みまして、かつ、操縦士の養成も計画通り進捗すると仮定いたしました場合に、三十七年度に二飛行隊、三十八年度に二飛行隊、三十九年度にさらに二飛行隊、四十年度に一飛行隊、このような順序で編成して参るという一応の計画を持っております。
  132. 横路節雄

    ○横路分科員 大へん恐縮ですが、二飛行隊というのは、何機編成でどうなっているのか、ただ二飛行隊ですと言われてもわかりませんので、一つ……。それからこのF104Jというのが単独で編成されるものかどうか。それにF86FあるいはF86Dというものとの関係において、どういう隊の編成になるのか、そういう点も一つお聞かせいただきたい。
  133. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。  最初にあらかじめお断わりいたしますが、この104の編成につきましては、現在事務的には第二次の防衛力整備計画の検討とあわせて実施いたしておりますので、ただいま申し上げます数は計画の数字でございます。御存じのように、パイロットの出力とか整備員の養成の状況とかが変わって参りますので、一応104は、先ほども申し上げましたように、私どもの考えておりますような形でものが進みます場合には、一飛行隊二十機で編成して参りたいと思います。これはそれぞれの飛行団に分けまして、飛行場の設備とも考えあわせまして、それぞれ配置の場所を今後きめていきたい、このように考えております。
  134. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは、一飛行団に配置されるF104J二十機が一飛行隊、これはわかりましたが、この飛行団というのは、F104Jのほかに、どういうものがその計画の中では配置されるわけですか。
  135. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。  第二次計画の中で編成を予定しております飛行隊の飛行機の種類は、F104と、現在持っておりますF86F、F86D、それから輸送飛行隊、このような形になります。これはそれぞれ計画的には二十機ないし十六機程度の飛行隊を編成いたしまして、特にF86FとかF86Dの部隊には、T33と申します現在訓練に使っております飛行機を、訓練をかねまして、連絡用ともいたしまして、二機程度ずつが配属される、そのような形で、一飛行場当たり二ないし三飛行隊が配置されることになろうか、このように考えております。
  136. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛局長、恐縮ですが、今、飛行団というのはどういう編成になるのか、ちょっと聞いたのです。私の聞き間違いがあると困りますので、ちょっとお尋ねしますが、一飛行団というのは、F104の一飛行隊二十機、そのほかにF86Fが十六機、F86Dが十六機、輸送飛行隊が十六機、T33が二機、こういうことですか。どうも私、今あなたの数字が理解できなかったものですから、間違いがあろうかと思いますので、もう一ぺんただしておきます。
  137. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま申し上げました数字を、機種別に各航空隊別にさらに詳しく申し上げますと、計画の数字といたしましては、F86Fの部隊は、一応二十五機を編成の基本と考えております。104につきましては二十機が基本、すなわち、一飛行隊でございます。それからF86Dにつきましてはやはり二十機、それから偵察機の部隊、これはF86Fを改造いたしましたRF86Fでございますが、十八機、輸送機部隊は十六機をもって一飛行隊、先ほどT33と申しましたのは、86Fとか104とかそれぞれの飛行隊に、二機程度さらに加わって現実の部隊編成になる、こういうことでございます。  なお、御参考までに申し上げますと、三十六年度の予定といたしましては、F86Fの部隊は二十六機、F86Dの部隊は二十四機、こういう形で現実にはでき上がって参るかと考えております。
  138. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで、防衛局長にお尋ねしますが、予算の説明にございました、航空自衛隊が今年新たに第六航空団、第七航空団を新設する、これは場所はどこなんです。あのときの御説明では、場所についてはなかったように思います。ただ第六航空団、第七航空団について新設をする、こういうお話でございましたから、あらためて一つ伺いたい。
  139. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。  第六航空団につきましては、小松を予定しております。第七が松島でございます。
  140. 横路節雄

    ○横路分科員 ここで私は一つ疑問を持つのですが、その前に、F104Jの爆音、もちろんそれは早さとの関係がございますが、一体F86Fに比べて、F104Jの爆音というのは、大体何倍程度のものなのでしょうか。これは防衛局長でも装備局長でも、専門の方にお願いいたします。
  141. 海原治

    ○海原政府委員 別に専門家ではございませんが、お答えいたしますと、爆音が何倍かということは、実は非常にむずかしい問題でございます。御存じのように、それぞれの飛行機がどういう状態で発進するかということによりまして、出てくる爆音のいわゆる測定値も違って参りますし、現実にそれを聞きました場合に何倍くらいになるかということは非常にむずかしゅうございます。ただ、従来、国会等の説明に際しましては、一応86Fの三倍程度になろうかという数字が出ておることは事実でございますが、これも現実に、86Fのどういう状態と104のどういう状態とを比較したかという点が明らかでございません。従いまして、現実に私どもは、ただいまどのような数値が正しいのかということを調査いたしております。一例を申し上げますと、全備重量でと申しますか、完全な行動を前提としまして、満載と申しますか、全備重量で飛び出す場合の音と、平素訓練等におきまして使います音と、おのずから制限がございます。平素の訓練におきましては、いわゆる行動時間がかりに一時間となっておりましても、大体二、三十分程度の燃料を積んで飛び出すということが普通になろうかと考えます。そういうような場合には、どういうことになるか、これは検討いたさねばならない問題でございますので、たとえば707というような大型のジェット機の爆音と比べましても、それほど大きな違いはないのではないだろうか、むしろ、ジェット旅客機なんかよりは低いのではなかろうかというような見方も現在一部にありますように、はっきりいたしておりません。現在検討いたしております。
  142. 横路節雄

    ○横路分科員 私がこれをお尋ねしているのは、たとえば北海道の恵庭で、あそこは第二航空団でしたか何でしたか、あそこの航空団で、いわゆるF86Fによる射撃訓練をやった。ところが、いわゆる九十フォン以上出たというので、現地の農民からやかましく抗議が出て、協定を結ぶためにいろいろな問題が起きて、たしか八十八フォン以上というか、八十フォン以上は絶対出さない、こういうことになった。今私がお尋ねしたのは、三倍だということになると、もう104Jの訓練は、少なくとも今日の飛行場周辺においてはできないということになる。これは大へんなことになるわけです。この点については、どういうようになさるおつもりですか。今私が申し上げておるのは、F86Fの訓練に際しても、すでにそれぞれ現地の農民との間に相当な被害——牛に対する被害とか、あるいは人に対する被害、そういうものがあって、現地の農民との協定は、九十フォン以上はだめだとなっている。それを今三倍だということになると、一体どうやってこれを訓練するのでしょうか。しかも、私が今あなたにお聞きをしてわかったのですが、F86F、F86D、あわせてF104J、輸送機、こういうように組んで隊の編成をしているわけです。これでは大へんなことになりませんか。この点はどうですか。
  143. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします前に、私の説明が不十分でありまして、今、先生のお言葉では、86FとDと104と輸送機が組んでと申しますか、一組で配置される、このようにお考えになっておるようなお話がございましたが、実はそれはそうではございません。それぞれ別個の飛行場でございます。その点は、まず、私の説明をさらに明らかにしておきたいと思います。
  144. 横路節雄

    ○横路分科員 それではもう一つ聞きたいのです。そうすると、F104Jは、先ほどお話で、七飛行隊編成するわけですね。そうすると、今日、七飛行団まで考えておる。今日第五まであって、第六、第七と新しく作るのですから、当然そこに一飛行隊ずつ配置するというふうに考えてよいわけですね。
  145. 海原治

    ○海原政府委員 まことに恐縮でございますが、各飛行場に一つずつ配置するということではございません。と申しますのは、それぞれの飛行機は、整備、維持の関係がございますので、同種の飛行機は二隊くらいが一飛行団になりまして、一組となって配置されることになることであろうと私は考えておりますが、これも先ほど申しましたように、現在二次計画の過程におきまして、具体的に各飛行場の状況その他の検討の結果を待ちまして決定したい、このように考えております。
  146. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると。あなたのお話で、二隊ずつ組んで配置する。そうすると、これは三ないし四の飛行場ということになります。それで防衛局長にお尋ねしたいのは、その主ないし四の飛行場——四ということになりましょうが、これは大体制限されるでしょうね。F104Jが配置される飛行場ということになると、今日の国内における飛行場からすれば、大体どういうところが予定されるのか。たとえば北海道の千歳、小牧会々と、こうなるのでしょうね。それとも、新たに飛行場を建設するのか、現在の飛行場において、ある程度滑走路を延ばすとかいうことで配置するのですか、その点はどうですか。
  147. 海原治

    ○海原政府委員 今、新しく飛行場を建設して、104の部隊を収容するのかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、現在の計画では、一応現在の飛行場につきまして104が配置できる条件のものを考え合わせまして、具体的に飛行場の設備状況等々を考えて、今後それぞれの配置を決定していきたい。場所によっては、若干滑走距離を延長いたしまして、新しい飛行機部隊を収容できるところが出てくることもあろうかと思います。その他の既存の飛行場につきましても、いろいろと現在とは条件が変わってくることもあり得るかということも考えております。何分にもさき申しましたように、具体的には今、第二次計画の作成過程におきまして、それぞれの飛行場についての、先生のおっしゃいましたような滑走路の延長の可能性等も、あわせて検討しております。こういう状況であります。
  148. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると、防衛局長、今あなたの答弁で、ある程度滑走路を延ばす場合もあるでしょうが、現在の飛行場に配置する、現在の飛行場を使う。そうすると、限定されてきますね。たとえば北海道の千歳だとか、あるいは小牧だとか、こういうように限定されてくるのでないですか。この点はどうでしょう。防衛局長、今あなたは、二次計画との関係があるから言われないと言うけれども、言われないと言うてみたところで、現在の飛行場を使うということになれば、大体予定されているところがあるでしょう。ある程度あなたの方で腹案があれば、一つお答えをいただきたい。
  149. 海原治

    ○海原政府委員 私がお答えいたしましたところを要約されますと、今先生のおっしゃった通りになろうかと思います。ただ、現在の飛行場につきましても、滑走距離その他104を直ちに収容し得るところでございますが、そういうところにおります86Fとか86Dの部隊は、ほかへ持っていかなければならないということに相なるわけでございます。かたがた、私どもといたしましては、日米共同防衛の立場から、現にアメリカが使用しております飛行場等につきましても、もし事情が許すならば、これにわが方の飛行機部隊を配置するということの可能性等についても、今後は検討していかねばならないことに相なるかということを、一応事務的に現在検討いたしております。そういう意味で、事務的に二次計画の過程において検討しておると申し上げた次第でございます。
  150. 横路節雄

    ○横路分科員 今のあなたのお話で、だいぶ問題がはっきりしてきたわけです。そうすると、今アメリカ軍が使用している、三沢の飛行場、それから立川の飛行場、こういうところ等についても共同使用していく、こういうことも当然防衛局としては考えるわけですね。
  151. 海原治

    ○海原政府委員 共同使用ということでございますが、これは、先ほども申し上げましたように、飛行隊を配置いたしますときには、その飛行機を常時行動可能なように整備、維持しなければならない部隊が当然随伴いたします。従いまして、かりに一つの飛行場にいろいろな機種の飛行機が共存いたしますと、その整備の点からかえってマイナスも出て参ります。そういうようなことをいろいろと検討を重ねていかねばなりませんので、簡単に、かりにスペースが余っておるからそこへ一飛行隊だけ配置するということは、実は技術的にはいろいろと問題がございます。従いまして、余裕ができたから直ちにそこへ入り込むということには、なかなかいきかねる事情がございますことを一つ御了解願いたいと思います。
  152. 横路節雄

    ○横路分科員 ただ、私が三沢とか立川という名をあげたものですから、あなたの方で、あとあと問題があってはという御心配もあろうかと思うのですが、日米共同防衛という立場で、今日アメリカが使用している飛行場についても、使用するというか、配置することがあり得る。使わしてもらうというか、本来からいえば、向こうに帰ってもらって、その基地を使うということになるのでしょうが、今の段階においては、日米共同防衛という形で今日アメリカ軍が使用している飛行場についても、アメリカの空軍の指揮を受けるということはなしに、そこに配置するということがあり得る、こういうふうに考えていいわけですね。
  153. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま私がお答えいたしましたのは、あくまで私どもの部内の事務的な検討でございますので、先生も十分御了解いただけますように、この問題はやはり日米の間の問題となります。従いまして、事務的にはそういうこともあり得るということは申し上げられますが、これはおのずから先方の十分な了解もいただかなければなりませんので、公の意見としては一つそのようにお考えいただきたい。と申しますのは、あくまで事務的には、そういう可能性についても将来のことを考え検討いたしておる、こういうことでございます。
  154. 横路節雄

    ○横路分科員 BADGE方式といいますか、地域的防空警戒管制というのですか、この点については、昭和四十年の一月末ににいよいよJ104Jについて完成する。それから各飛行隊についても、一応防衛庁が考えておる点について、それぞれ配置編成が終わる。そうなれば、これは当然BADGE方式を取り入れていかなければならぬ、こういう点については、防衛局としては当然考えていらっしゃると思うのですが、その点はどうなんですか。
  155. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。  BADGE方式として伝えられておりますものをその通り訳しますと、半自動的な警戒通信組織ということになろうかと思いますが、これにもいろいろな種類がございます。米国におきまして空軍が現有しておりますものとか、あるいは海兵隊とか陸とか、それぞれ種類が異なるように私どもは現在聞いておりますので、日本の現実の地形、飛行場の配置等から考えまして、はたしてどういうシステムが最も適当であるかということについては、ただいま技術的に検討をいたしておる段階でございます。この組織が、私どもの航空機部隊を運用いたしますために適当なものであるということがわかり、かつこれに投じます費用も案外かからないということになりました場合には、先ほど来申し上げております第二次防衛力整備計画の過程において取り入れて参りたい、このように考えております。ただ、具体的にどの方式を、いかなる時期に、どの程度経費で取り入れるかということにつきましては、ただいままだ結論を得ておりません。
  156. 横路節雄

    ○横路分科員 今のBADGE方式は、金額にして約三百億程度かかるといわれておりますが、この点どうでしょうか。
  157. 海原治

    ○海原政府委員 今申されました三百億程度という数字は、実は私は承知いたしておりません。あるいは米空軍が現在開発中のJPA73と記憶いたしますが、これの費用が三百六十億くらいかかるのではないかということを、非公式に、かつ一応の情報として聞いたことはございます。防衛庁として、あるいは防衛局としてどういうデータを持っておりますか、その点は調査をいたしましてからお答えいたします。
  158. 横路節雄

    ○横路分科員 次に、ナイキの訓練のため、三十五年度予算で四十二名組んである。今度の三十六年度予算の中で、外国における集団訓練旅費として、二百四十二名になっております。これは、あるいは私の数子に間違いがあるかもしれませんが、それについて私たちが承知しておるところでは、アメリカに行って二カ年の訓練を受けるのだ、こういうようになっておるわけですが、その点について、教育局長の方から一つお答えいただきたい。
  159. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。  三十六年度の渡米人員は、百流十六名の予算をとっております。それから訓練期間は、御承知のように、コースによって長い短いはございますが、チームとして向こうで完成する総体の締めくくりは二カ年というように考えております。
  160. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで、これは一次計画としては、二カ年間の訓練を終えて帰ってくると一個大隊を作るのだ。その一個大隊の編成というのは、指揮中隊が一、実戦中隊が四で、そうしてそれは百都防衛部隊として、木更津、武山、下志津に配置されるのだということですか、この点は、どうですか。
  161. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。  一個大隊は、今申されましたように、指揮中隊が一個中隊、射撃中隊が四個中隊、合計五個中隊で編成いたします。場所は、今お話がありましたような自衛隊の施設内に配置することを現在検討いたしております。
  162. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで、さらにお尋ねしたいのですが、一個中隊というのは、これは発射機は幾つあるんでしたかね。
  163. 海原治

    ○海原政府委員 今度自衛隊において編成いたします中隊につきましては、全部で三十六ランチャーと一応計画されております。
  164. 横路節雄

    ○横路分科員 これは防衛局長、今の実戦の中隊は四つ、三十六発射機ということになれば一中隊は九だが、編成としては、先ほどの十三個師団十七万一千五百の編成じゃないけれども、これは中隊としては十二の発射機を持つというのでなしに、九つでやるというのですか。
  165. 海原治

    ○海原政府委員 先般御連絡申しました十二という数字は、アメリカ国内のナイキの発射機の数でこざいました。
  166. 横路節雄

    ○横路分科員 次に、第一陣が向こうで訓練を受けて、帰るときはただでもらってくるのですか。それとも買ってくるのですかそれともF1O4のように、割合をきめて、半分々々とか幾らとかいうふうになってくるのですか。ただでもらうようにも思われるし、その点はどうなんですか。
  167. 海原治

    ○海原政府委員 ナイキ一個大隊を編成配置いたしますいろいろな施設と装備用の資材、一切を含めまして、アメリカ日本との間である程度の分担の比率をきめたり、受領することを、現在先方と交渉中でございます。
  168. 横路節雄

    ○横路分科員 ちょっと私はわかりません。わかりませんというのは、私も次にお尋ねしますが、一個中隊が要する面積といいますか、九発射機に要する面積はどれだけ必要なんでしょうか。  それから、あわせてもう一つ。その一個中隊九発射機に要する面積とあわせて、それの建設費用は大体どの程度になるんですか。
  169. 海原治

    ○海原政府委員 一個中隊の配置の仕方でございますが、これは場所等によりましていろいろと異なっておりますが、一応の私どもの承知しております標準の面積は、一個中隊七万坪程度ということでございます。  さらに、費用の概算につきましては、一応の数字としまして、土地の購入費、建設費を除きまして、約六、七十億程度のものではないかという推算でございます。
  170. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛局長、今のは土地の購入費や建設費を入れて……。
  171. 海原治

    ○海原政府委員 除きましてです。
  172. 横路節雄

    ○横路分科員 除きましてですか。土地の購入費を除いて、建設費だけという意味ですか。どうもそこのところ、よく——私は今、発射機についての建設の費用を聞いたんです。発射機を聞いているのじゃないんですよ。発射機の方も聞きますけれども。
  173. 海原治

    ○海原政府委員 さらにお答えいたします。  ナイキ一個大隊を編成配置いたしますための関係装備品費一切を含めましてという意味でございまして、土地の購入費とか、建設費用とか、あるいはその部隊との通信関係の設備とか、こういうものは一応除外して、その程度の金がかかるというふうに推算いたしました。
  174. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると、今のお話で、装備品代が七十億、土地の購入費、建設費は別だというわけですね。  そこで、次にお尋ねしたいのです。これは一次の計画で一個大隊ということになっているが、ちょうどここに赤城さんかおるとよかったんだが、赤城前長官が一昨年の七月に、札幌で記者団との会見で、第二次防衛計画といいますか、このナイキの部隊は四個大隊を設置する、こういうことを言っている。一次計画で一個大隊ですから、これだけにはとどまらないわけですね。あなたは、今、首都防衛について一個大隊配置するというわけです。当然そうなれば、われわれはしろうとですけれども、名古屋あるいは阪神、あるいは北九州という工業地帯、こういう点は、首都防衛部隊とあわせて、このナイキ部隊が当然二次計画では配置されてこなければならないと、しろうとの考えですが、そう思うのですが、どんなものでしょうか。
  175. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま御質問の点は、先ほど来申し上げております二次計画の過程で、現に検討しておる段階でございまして、いずれともお答え申し上げられません点を一つ御了解願いたいと思います。
  176. 横路節雄

    ○横路分科員 二次計画で検討する。そこで、私はもう一つお尋ねしたいのですが、北海道においては、きのうですか、経理局長から、北海道札幌の真駒内にある第七混成団についての百十八億円にわたる、いわゆる整備計画について私は聞いておった。そこで、十三個師団の編成の中で北海道は重点地区になっている。ところが、私が防衛局長にお尋ねしたいのは、今のナイキ一次訓練、一次計画で首都防衛部隊としての一個大隊、それが第二次計画では、私の考えでは、名古屋とか阪神とか北九州等にも配置されるであろうと思う。しかし、北海道にはこのナイキではなしに、野戦部隊としてホークについてこれは別に配置する、こういうようにわれわれは承知しているのですが、この点は、北海道は第七混成団の機械化、あわせて四個師団の配置、そうして、あわせて北海道においてはこのナイキでなしに、ホークについてあなたの方では配置する計画があるか。これは野戦部隊としてという意味で。
  177. 海原治

    ○海原政府委員 今申されましたような事実は、いまだ方針として決定いたしておりません。
  178. 横路節雄

    ○横路分科員 一次の訓練については、先ほど教育局長からお話があったわけですが、これは三十五年度の四十二名、三十六年度百五十六名、一緒にして派遣するという意味ですか。三十五年度も入れて百五十六名あるというのですか。
  179. 小幡久男

    ○小幡政府委員 予算といたしましては、三十五年度に四十五名計上いたしてありますが、手続の遅延の関係上、年内に渡米いたしますのは三名になる予定であります。一応、年度はそれで打ち切りまして、三十六年度は、あらためて百五十六名予算要求しております。
  180. 横路節雄

    ○横路分科員 一緒にやるわけですね。
  181. 小幡久男

    ○小幡政府委員 そうであります。
  182. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで、防衛局長にお尋ねしたいのですが、今度訓練を受けて帰られるときのナイキは、ナイキ・アジャックス、ナイキ・八一キュリーズを両方一緒に——といっても両方一緒にやるわけではないけれども、このナイキ・アジャックスについても、ナイキ・ハーキュリーズについても、発射できる発射機ですね。その点一つお答え願いたい。
  183. 海原治

    ○海原政府委員 発射装置は、御説の通りユニバーサル型、アジャックスもハーキュリーズも両方発射できると承知いたしております。
  184. 横路節雄

    ○横路分科員 今お話しのように、ユニバーサル型で、ナイキ・アジャックスもハーキュリーズも、ともに発射できる。それを訓練を受けて、購入して配置するわけですが、アメリカにおいても、ナイキ・アジャックスからナイキ・ハーキュリーズに変わっているわけです。沖繩も、すでにもうナイキ・アジャックスからハーキュリーズの段階に、訓練するのでなしに、現にナイキ・ハーキュリーズがあそこに配置されているわけです。そうすると、発射機はナイキ・ハーキュリーズについても発射できる、ナイキ・アジャックスについても発射できるということになれば、もしも防衛庁において、ナイキについて整備計画をしていくということになれば、いずれはナイキ・ハーキュリーズというものが取り入れられてこなければならない。だから向こうへ行っての訓練は、ナイキ・アジヤックスの訓練もナイキ・ハーキュリーズの訓練も、両方受けてくるのでしょう。これは、どうなんですか。両方とも発射できるのに、片一方だけしか訓練を受けてこないというのではないのでございましょう。この点はどうなっているのですか。
  185. 海原治

    ○海原政府委員 御説のように、アメリカ、沖繩のみならず、ヨーロッパ等も、西独その他の各国は、現在ハーキュリーズ型を装備いたしております。しかし、私どもといたしましては、アジャックスをもらうことになっておりまして、従いまして、アメリカにおきましてもアジャックスについての訓練を受けて参ることになっております。
  186. 横路節雄

    ○横路分科員 これはしかし、今までアメリカでナイキ・アジャックスだけを発射するというのもあるのでしょう。
  187. 海原治

    ○海原政府委員 ハーキュリーズ型はアジャックスから進歩いたしましたものでございまして、もともとアジャックスだけのときにはそれ専用の発射機がございましたが、その後アジャックス型の発射機は製造いたしておりません。従いまして、この両用に使えますユニバーサル型を持ち帰らざるを得ない、こういうことに相なっております。
  188. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると、今のお話で、ナイキ・アジャックスだけを発射する発射機はあったが、今アメリカでは生産をしてないので、訓練はナイキ・アジャックスの訓練を受けてくるか、発射機はアジャックスでもハーキュリーズでも発射できる。西ドイツにおいてもすでにナイキ・ハーキュリーズだ、沖繩でもナイキ・ハーキュリーズだ、こういうことになると、ちょうどF86Fで足りなくてF104Jといったように、ナイキ・アジャックスから次の段階はナイキ・ハーキュリーズと、こういうようにくることは、軍の兵器進歩の過程からいって、当然そういうことが行なわれるのではないでしょうか。専門家一つ
  189. 海原治

    ○海原政府委員 私どもといたしましてはそのようなことは考えておりません。
  190. 横路節雄

    ○横路分科員 ちょっと長官にお尋ねしますが、自衛隊が核武装するということはできるのですか、できないのですか。
  191. 西村直己

    ○西村国務大臣 自衛隊の目的は、あくまでも必要最小限度の自衛、言いかえれば、防衛的な任務であります。従いまして、そういう意味から申しましても、われわれは、従来核武装はいたさないという方針を一貫し、今後ともそれを続けていこう、こういう方針でございます。
  192. 横路節雄

    ○横路分科員 それは長官、自衛隊の核武装は憲法上できない、こういうお考えに立っておっしゃっているわけですか。その点どうなんです。
  193. 西村直己

    ○西村国務大臣 憲法上の解釈になって参りますと、憲法そのものの解釈でありますが、憲法としては、陸、海、空三軍の戦力を保持しない、この戦力の中に入るということでありますれば、もちろん核というものは、われわれは持てないことになると思います。これは政府としてのその解釈いかんによると思います。
  194. 横路節雄

    ○横路分科員 いや、長官考えです。あなたは国務大臣ですよ。政府がほかにあるようなことを言うが、それはだめですよ。
  195. 西村直己

    ○西村国務大臣 問題は、核武装の核の定義の問題でございます。核というものが将来いろいろ研究されて、理論の上において、小型の、しかも防御的のものであるならば、あるいは理論として、核というものか必ずしも憲法には抵触しないという段階もくるかもしれません。しかし、そういう問題は理論上の問題であって、現実問題としては、われわれは、核武装というものは絶対にいたしませんという方針をとっておるのであります。
  196. 横路節雄

    ○横路分科員 長官にお尋ねしたいのですが、あなたは国務大臣としての防衛庁長官として自衛隊の核武装というものは憲法上はできるのだ、しかし、今は持たない、こう言うのか。そうなれば、今持たないといえば、やがて第二次防衛計画で持つかもしれない。憲法上持たないということになるならば、憲法の存する限り持たないわけだから、その点を一つ明確にしてもらいたい。
  197. 西村直己

    ○西村国務大臣 これは、核というもののあり方の問題と、もう一つは、日本の憲法という、二つの面から考えて参らなければならぬと思います。日本の憲法としては、自衛ということで、私どもは、その意味において自衛上の実力というものは憲法上持てるという解釈のもとに自衛隊があると思うのであります。従って、その自衛隊の憲法の範囲内において持つ実力というものは、あくまでも防御的なものである。そういう解釈から、この核というものが将来小型な、しかも防御的なものであるという観念がかりに成立するならば、あるいは憲法上の解釈でそういうものも入り得る余地があろうと思います。しかしながら、現在考えられておる核というものは、われわれはそう考えておりませんから、防御的な意味において核武装はしない、そういう考えであります。
  198. 横路節雄

    ○横路分科員 長官、いずれこの問題は、また機会を改めてお尋ねをします。  次にお尋ねしたいのは、昭和三十六年度の予算編成過程で、防衛庁では、ヘリコプターを搭載する航空母艦について、非常に予算折衝をされたようであります。これはわれわれも、予算折衝の過程で、どういうことになるであろうかというので重大な関心を持っていたが、見送りになった。しかし、見送りになったということは、防衛庁長官としては、三十七年度の予算の中では、ぜひこれは確保したいというお考えだろうと私は思うのでありますが、これはまるきりやめてしまったのか、いや、三十七年度から海上自衛隊強化のために、ヘリコプター搭載の航空母艦についてはぜひ確保したいというのか、その点はどうですか。
  199. 西村直己

    ○西村国務大臣 現在の海上自衛力のあり方から申しまして、一つの中心は、海上におけるところの対潜哨戒能力であります。この対潜哨戒能力に対するものとしては、いわゆる当時いわれましたヘリ空母、ヘリコプターを載せた小型空母であります。これを考えるべきではないかという一つ考え方がございました。しかし、われわれとしては、今年度の予算には現われておりません。と同時に、予算には入っておりませんが、将来もしこれをやるといたしますならば、これは当然第二次計画の中であわせて検討して参りたい、こういうことに考えております。
  200. 横路節雄

    ○横路分科員 このヘリコプター搭載の航空母艦については、今おっしゃるように、対潜水艦の哨戒のためであろうと思います。これは、われわれの承知しておるところでは、ことしは一隻の要求をしたのでしょうが、しかし、これは第二次計画の中では二隻になるのですか、三隻になるのですか。たとえば津軽海峡に配置する、あるいは対馬海峡に配置するのであれば、二隻で済むわけです。しかし、宗谷海峡に対してどういうように考えられているかは別として、もしも宗谷海峡というものが考えられる対象の一つに出てくれば、ヘリコプター搭載の航空母艦を中心にして、対潜水艦哨戒のそれが三群できるということになる。あなたの方の基本的な考え方としては、これは二群でいくのか三群でいくのか、その点はどうなっておりますか。
  201. 西村直己

    ○西村国務大臣 それに対しましては、われわれ部内の意志はまだ決定いたしておりません。
  202. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは、とりあえず一群については三十六年度要求したのですから、三十七年度も要求なさるわけですね。
  203. 西村直己

    ○西村国務大臣 三十七年度は、おそらく、私どもの努力と国防会議の決定等を得まして、第三次計画における基本方針に基づいて予算要求されるだろうと思います。従って、かりに今のヘリ空母が、われわれがやるにいたしましても、二次計画の中において検討して、いわゆる防衛力整備の基本方針を立てて、それに基づいて必要があれば予算要求もいたしたい、こういう考え方でございます。
  204. 横路節雄

    ○横路分科員 必要があればと言うけれども、あなたの方は、三十六年度予算要求をしたのだから、やめてしまったわけではないでしょう。もちろん、第二次計画全体の一環ではあるけれども、三十六年度要求したということは、三十七年度も必然要求なさるわけですよね。ただ、それが二群になるか三郡になるかということは、第二次防衛計画全体の中に入るわけだけれども、当然それは要求の中に入るわけでしょう。
  205. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、二次計画は、今後の長期における陸、海、空、特に海上自衛力がどういう形であるべきかということから、今のヘリ空母等のおさめ方と申しますか、あり方も考えて参らなければなりませんけれども、さしあたりわれわれは、やはりヘリ空母の概念、考え方というものは、もちろんその中に織り込んで参りたい考え方で、検討を続けておるわけであります。
  206. 横路節雄

    ○横路分科員 私は、きのうの装備局長と井手委員との質疑を聞いておりまして、こういう点を強く感じたのです。これはあなたの方からいただいた資料でもそうですか、昭和三十六年度のアメリカからのMAPの供与見込みは、弾薬が二千六百六十六トンで十六億円、こうなっているわけです。私の計算に誤りがあれば一つ御指摘下さってけっこうですが、一トンについて、これは四十万円程度になるのではないでしょうか。ところが、本年度の予算を見ますと、弾丸について二十六億円は組んであるが、陸上自衛隊使用の弾丸は、きのうの答弁にありましたが、千百七十八トン、そうでしたね。そして費用については十六億三千二百万円、たしかそういうのでなかったかと思う。そうすると、この千百七十八トンで十六億三千二百万というものを計算してみると、私の計算に間違いがあればこれは別ですが、なければ、これはトン当たり百六十万ぐらいになるんじゃないですか。そうすると、アメリカからもらってくるものは、これはトン当たり四十万、国内で生産するものはトン当たり百六十万、弾丸については国内生産というのは非常に高くついている。三十五年度の予算を見ても、三十五年度は、たしか陸上自衛隊は千二十三トンの生産で、金額にして九億六千七百万円。そうすると、これはトン当たり八十万円くらいであろうと思う。アメリカのMAPで供与されるものはトン当たり四十万円。これは計算が間違っておったら、間違いだと言うて下さい。三十五年度の陸上自衛隊の予算を見れば、トン当たり八十万円、本年度の予算を見るとトン当たり百六十万円、こういうように弾丸の価格が非常に上がっているというのは、どういうところなんです。このトン当たりの価格は、私もきのう、あなたと井手委員との質疑応答を聞きながら、ちょっと紙で計算した程度ですから、数字については、単位が違うなら違うと言っていただけばいいが、しかし、その総体の金額というものが非常に違っているわけです。この点はどういうのでしょうか。
  207. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 確かに、米側からいわゆる無償供与でもらいます評価、それから来年度の予算要求いたしております評価、それからことしの予算で出しました弾丸の一トン当たりの評価、これが非常に違っております。これは、私もまだ正確に計算いたしておりませんが、米側との違いは、根本的には、もちろん米側は相当多量に作っておりますので、その量産的な面で安いのと、それから軍の評価でありまして、実際にわれわれが国内で市販で買うという評価ではありません、当然これは無償供与でもらう分の単なる評価にすぎませんので、そういうような評価で従来やっているという違いであります。それから、ことしと来年度との違い、これは私もまだこまかく計算いたしておりませんが、大体は、本年度は小口径のものが多いわけでありまして、来年度におきましては中口径、大口径を相当考えております。なお、機雷等も、きのうの経理局長の説明のように、弾薬に入れて計算いたしておりますので、そういった面の評価の違いが出ておる、かように承知いたしております。
  208. 横路節雄

    ○横路分科員 装備局長、今のあなたの答弁で、私はちょっとふに落ちませんのは、アメリカのが非常に安い。今私が申し上げたように、二千六百六十六トンで十六億円、これはトン当りで四十万円。去年は八十万だった。ことしは百六十万だ。国内生産はトン百六十万だ、アメリカのはなぜ安いかというと、ただでもらってくるからだ、あなたの方で、三十六年度二百十二億六千五百万のいわゆるMAPの供与を見込んであるのだという中にあるので、もちろんただでもらうには違いないが、しかし、これは金額にしてどうなっているのかということは、やっぱりしっかりした計算で出てくるわけでしょう。だから私が聞いているのは、トン四十万、去年の国内の生産はトン八十万、ことしの生産はトンで百六十万、なぜこういうように違ってくるのか、アメリカとこちらとなぜこんなに違うのかという点についてお聞きをしたいのです。
  209. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 アメリカのいわゆるMAPの評価と、われわれが国内で、予算をもちまして購入いたしますものの評価が違うのは、さっきも申しましたように、根本的には、アメリカが非常に量産をやっておりますので、われわれが国内で作ります数より相当膨大な数字を向こうで発注いたして作っておりますので、そういった違いと、それからなお、これは向こうからMAPで無償供与される分でありまして、われわれが向こうからもらった場合に、どれくらいの評価だという評価の方法を、向こうのいわゆるミリタリー・プライスをもって評価いたしておりますので、そういった点でわれわれが国内で市販で買いますものよりも安い、こういうようなことであります。
  210. 横路節雄

    ○横路分科員 長官先ほどの第二次防衛計画との関連でちょっとお尋ねしたいのですが、これも、あなたの方からいただいた資料で私お尋ねをします。きのうも、これは防衛局長ですか経理局長ですかから御答弁があったのですが、自衛艦の貸与分、借りたり供与された分が昭和三十五年十二月三十一日で百四隻ある、これが五万二千六百十二トンだ、これが年次別で損耗されていく、三十六年度では三隻だ、これは四千三百五十トンだ、こういうようになって、四十年末には二十七隻、二万八千二百九十五トンについては更新しなければならぬ、こうなっているのですが、この更新の計画は、これは国内で建造するのか、それともやはり、またアメリカからもらってくるのか、その点は一体どうなっているのですか。   〔主査退席、保科主査代理着席〕
  211. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 艦船の更新につきましては、従来はMAPによります供与貸与を受けておったわけでありますか、漸次、艦艇につきましては貸与、供与が非常に困難になっております。でありますから、今後は、ほとんど大部分は国産によるということになるかと思います。
  212. 横路節雄

    ○横路分科員 装備局長、これはいろいろ艦艇の種類によると思いますが、二万八千二百九十五トン、二十七隻というものを更新するということになると、大体総額でどれくらいかかるのですか。
  213. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 これは、概略で恐縮でございますが、大体トン百万、従来の実績から見まして、その程度のものだろうと思います。
  214. 横路節雄

    ○横路分科員 次に、これもいただいた資料ですが、特車については、M4、M24が去年の暮れまでに七百七十三両、これが四十年度の終わりまで三百三十三両については更新しなければならぬ、こういうふうになっているわけですね。これは大体どの程度金額が要るものですか。
  215. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 これは御了解願いたいのでありますが、この減耗はあくまで減耗でありまして、これを必ず更新するかどうかという問題は、二次計画の問題になるかと思います。でありますから、そのうち何両作るかという問題は、二次計画によって決定されるということになると思います。ただ、減耗の分をそのままもし国内で作るといたしますと、大体一両八千万から一億、大体八千万程度のものがかかかるのじゃないか、かように考えております。
  216. 横路節雄

    ○横路分科員 実は長官、もっと防衛庁の予算についてお尋ねをしたいのですが、先ほど主査の方から注意があって、私一人で質問ばかりやってもあとに質問があるというので、あと一つ、二つ質問して終わりたいと思います。調達庁には大へん済みませんけれども、これはあすの朝にでもしようかと思うのです。  実は長官、私、今度の予算の中を見まして、今まで毎年予算書を見ていたはずだったのですが、今度見ておやっと思うのが一つあるのです。それは総理府主管歳入明細書という中に、防衛庁の残飯売払代というのが載っている。これを見ましたら、ほかの刑務所だとかそっちの方にないわけです。それで防衛庁にだけ残飯売払代というのがありまして、去年、三十五年度の予算歳入では七千百十五万七千円となっております。そうすると、概算で一日二十万円ずつ残飯代が出ている、こういうわけですね。私はちょっとびっくりしたわけです。一日二十万円ずつの残飯が出て、年間約七千二百万円の残飯が出る。ことしは、きのう経理局長からもちょっとお話がありましたが、これは八八%を組んだせいだろうと思うのですが、それでも六千七百二十六万四千円というものをこの中に計上しているわけです。私はずっと歳入を見た中に、これは他のところにはない歳入予算、歳入見積もりだ。これは、どうしてこんなに出るものでしょうか、ちょっと多くないでしょうか。こんな食べ盛りの青年ですね、食べ盛りの青年である人から毎日二十万円ずつの残飯が出て、年間七千二百万円も出るというのは、一体どういう食事経理その他をしているのか。長官は赴任されて、隊に行って食事も召し上がったでしょうから、これはどういうことになっているのでしょうか。   〔保科主査代理退席、主査着席〕
  217. 西村直己

    ○西村国務大臣 詳細私、存じませんが、自衛隊では、とにかく普通残飯というものは、従来の軍でありますれば、これは適当に消耗されておったんじゃないかと思いますが、これをちゃんと払い下げまして、そうして、経理をきちんと国庫の雑収入の中に入れておる。これは経理が明確でいいかと思います。ただ、数字がどういう数字になっておりますか、部隊の数、人員等も多うございますから、これらにつきまして、もし政府委員から説明がありますれば、お聞きいただきたいと思います。
  218. 相川勝六

    相川主査 横路さん、だいぶ質問も多いから、なるべく簡潔に願いたい。きのうもたくさんお許ししたし、あなた一人でやるわけにいかないから……。
  219. 横路節雄

    ○横路分科員 今あなたがちょっと退席している間に、こちらの人にも、あと一、二問で終わると言ったのです。そういうようにします。  私が長官にお尋ねしておるのは、たとえば、この国会でも問題になったように、今生活保護者であるとかその他のように、非常に食費のあれが少ないということで問題になっているときに、これだけの残飯が出るのは一体どういう状態なんでしょうかということを言っているのです。こまかなことは、もちろん経理局長に聞きますよ。だけれども、こういう点については、やはり国の税金なんですから、この点についてはもっと注意をしてもらいたい。長官は初めてごらんになったんじゃないかと思うのです。経理局長でいいですよ。
  220. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 残飯につきましては、ただいま御指摘になりましたように、三十六年度歳入で残飯売り払いの代金六千七百二十六万四千円を見込んでおります。前年度は七千百十五万七千円でございます。それで、これを全体の糧食費で見ますと約一%でございまして、三十六年度の糧食費が七十三億六千五百五十八万七千円、三十五年度が七十九億九千八十九万二千円というので、大体全体の一%でございます。それから量で見ますと、一日の残飯の量が百グラムでございまして、全体の消費するものが三キロでございますから、そのうちの百グラムということで、異常に残飯の量が多いというふうには考えておりません。しかし、今後とも十分残飯の発生しないように、むだを省くように努力いたしたいと思います。
  221. 横路節雄

    ○横路分科員 経理局長、私も会計検査院にお尋ねしてみたわけです。そう  しましたら、これは上、中、下と三つに分けてあるんですね。上については、大体たき上がり一キログラム三十円というものを、たしか十五円十七銭くらいで払い下げをしております。その次に、中というのは、これは豚に食べさせるのだそうですか、これもたき上がり一キログラム三十円というのを、実際はこれは八円五十銭で売っている。そうして、その次の下は、これは一般の厨芥として売っているわけです。そうすると、大体中を標準にとると、たき上がり一キログラム三十円のも一のが、このときには一キロ八円五十銭ということになると、大体三・五分の一ということになるわけですね。だから、今あなたは、六千七百万円組んだのです、だから総体の予算の一%ですと言うのですが、これを六千七百万の三・五倍をしていくというのが、これは実際にはそれだけむだになっているということです。ですから、そういう点からいけば、六千七百万円がいわゆる処理されたのではなくて、もとの価格は、二億二、三千万程度のものがいわゆる残飯として出される、こういう点なんです。この点につきましては、私はそういう意味で、これはささいなことのようですけれども、この点については、なお、もしほんとうに食べられない食事だったら、それはもっと食べられるようにした方がいい。食べ盛りの青年諸君がそれだけ残すというのは、どこかに経理の面でまずいところがあるのか、調理の面でまずいところがあるのか、こういう点は、長官も一ぺん行って隊内で食べてみて、そういうむだがないように——これは決して一%ではないんですよ。この点は、経理局長、十分一つ御注意いただきたいと思います。  なお、調達庁長官にほんとうはお尋ねしたいのですが、あすの朝聞きますから……。防衛庁について引き続きお尋ねする方がありまして、丸山さんには、大へんどうも長時間待っていただいて恐縮ですが、そういう意味で、あしからず一つ御了解いただきたいと思います。
  222. 相川勝六

    相川主査 岡良一君。
  223. 岡良一

    ○岡分科員 横路委員から、防衛庁予算については微に入り細に入って御質問がございまして、ただ、この御質疑に対して、若干政府側の御答弁の中でもなお了解いたしがたい点がありましたので、私は関連して質疑をいたす、こういうことにいたしたいと思います。  第一は、防衛局長にお伺いいたしますが、第六航空団は小松、第七は松島ということでございました。この小松における第六航空団の、いわば完全な編成はいつできるのでございますか。また、年次的にどういう順序で機数がそろえられるのか、まず、この点をお伺いいたします。
  224. 海原治

    ○海原政府委員 ただいまのところでは、ことしの五月から六月にかけまして一応飛行場の整備が終わるのではないか、このように考えております。飛行場の整備が終わりましてから部隊を配置するわけでございますが、完全に部隊の配置が終わりますのは、年度末近くになろう、このように考えております。
  225. 岡良一

    ○岡分科員 先ほど、86Fに比べて104Fの方の音響が相当なものだということでございました。なお、その音響の度合いについては専門的な検討をする、こういうことでございましたが、御存じのように、航空団を設置する場合、地元の一番心配しておることは、この音の問題でございます。そこで、あるいは松崎なり小松に対しての防音装置というものについては、防衛庁の方でも、一応地元に対して約束を与えておられるはずでございますが、これは86Fの防音装置という基準で、その約束を果たされるのでしょうか、それとも、新しく検討された音響に基づいて装置を考えられるのでございましょか。
  226. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 小松につきましては、現在大体七十フォン程度以上の騒音が、一時間について十回程度出る地域考えまして、そうして、その範囲内における学校等について、防音装置を施すという考えで進めております。
  227. 岡良一

    ○岡分科員 小松には104Fが配置されることになっておるのじゃございませんか。
  228. 海原治

    ○海原政府委員 ただいまそういう計画はございません。
  229. 岡良一

    ○岡分科員 それでは、もう一つ音響のことでお伺いしますが、現地について見ますと、たとえば学校のごときは、あるいは病院でもですが、夏は戸をあけておる。それから冬は締めておる。そこで、戸をあけておくと、これまでの防音のための装置では、やはりなかなかそうはいかぬ。特に学校のごとく、やはり戸外でいろいろな授業もあり、朝礼もありというような場合には、非常な妨害になるということがいわれておるが、そういう非常なこまかいところまで、この防音についてははからっておられるわけですか。
  230. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 もちろん、防音装置をいたします場合に、冬における暖房、夏における冷房等を考慮いたしましてやるということは、理想ではございますけれども、しかし、まだまだ相当たくさんの学校等に防音装置をするほど行き届いておりませんので、現在のところは、たとえば、今御指摘になりましたように、冬でありますと、ときどき換気をするために、やはり戸を開かなくちゃならぬというような御不便を与えておる次第でございますけれども、現在のところは、予算的に見ましても、そこまで十分の手が行き届いていないというのが実情でございます。
  231. 岡良一

    ○岡分科員 それから、たとえば小松の場合、裏日本縦貫ルートのローカル・ラインも、民間航空として地元では希望しておるというようなことになりますと、あの飛行場の民間飛行機の離着陸というものも、現在の一日一回が三回になるか、四回になるか、相当ふえるかもしれない。ところが、地元に対するお約束としては、共用はするということで約束をしておられるわけなんですが、行く行くそういうふうに民間の飛行機の利用の頻度が高まってきた場合にも、なお共用し得るものかどうか。しばしば、あちこちの飛行基地においては、民間機との飛行場の分離というような声が相当出ておりまするので、将来についての見通しについてお伺いしたい。
  232. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま申されましたように、あの飛行場は運輸省との間で協定を結びまして、公共用の飛行場として指定をいたす段取りで話が今進んでおります。従いまして、その場合に、当然民間機との共用という状態になります。頻度その他につきましては、今後の問題かと思います。
  233. 岡良一

    ○岡分科員 それからいま一つ、自衛隊機の事故による民間側の損害についての賠償、これは聞くところによると、これまでは、いわば見舞金程度で事が済まされておるというようなことであったというふうに聞いておりますが、これは、やはりそういう取り扱いで今後もいかれるわけでございますか。
  234. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 自衛隊機の与えた損害に対する補償につきましては、その原因がどちらにあったかというようなこと、あるいは損害程度等につきましていろいろの場合がございますけれども、ただいまのところは、国家賠償法あるいは民法の不法行為による損害賠償の規定によって補償をいたしております。
  235. 岡良一

    ○岡分科員 調達庁長官にお伺いしますが、米軍機の場合は、損害については、その程度その他諸般の要素を含めての基準ができておる。その基準を適用して、いわば非常に合理的な損害の賠償がなされておるというふうなことを聞いておるのですが、いかがなんでしょうか。
  236. 丸山佶

    丸山政府委員 御承知通り米軍機が日本の国民に与えましたところの損害につきましては、地位協定の十八条にその根拠がございまして、それに基づきまして民下特別法も制定されております。それによりまして、調達庁でその損害補償する業務を行なっております。その業務の執行に当たる基準その他今までの経験等、いろいろ関係法令を参酌いたしまして、まずは合理的の措置であるというものを作っておる次第でございます。
  237. 岡良一

    ○岡分科員 いずれにいたしましても、民間機と共用し得るように、それから、損害が起こったときにおける賠償の点についても、住民の納得のいくように、それから音響についても、今はF86Fでも、将来104Fにならないとも限らないと私は思うのだが、その場合における防音について、やはり今後とも十分地元の要求を満たすように誠意を示していただきたいと思います。  そこで、さらに、横路さんの質疑に対しての御答弁の中で、ナイキ・アジャックスに今度持ち帰るのは限る、訓練もそれに限っておるのだということでございますが、ナイキ・アジャックスというものの性能、それから、日本がそれを必要とする戦術的な理由を、この機会にお示しを願いたいと思います。
  238. 海原治

    ○海原政府委員 ナイキ・アジャックスの性能は、次のようになっております。射程は最大で五十五キロでございます。速度は一・九マッハ、全備重量が千三十キログラム、全長十メートル六十センチ、直径三十センチ四ミリでございます。誘導方式はコマンド方式で、核装備は不可能、こういうことであります。ナイキを装備いたしますのは、ナイキは、いわば防空用の高射砲が進歩したものであります。従来、防衛庁は、自衛隊におきまして高射砲部隊を持っておりました。それにかわるものとしてこれを装備いたす、こういうことでございます。
  239. 岡良一

    ○岡分科員 ナイキ・アジャックスは、米国では生産が停止になっておるということでございます。そういたしますると、日本がそれを三十六基持って帰ったとして、それを維持するための修理、補給などは日本でしなければならない、こういうことに相なるわけでございますが、この点はいかに御方針をお持ちですか。
  240. 海原治

    ○海原政府委員 ただいまお言葉の中に、アジャックスが生産中止ということでございますが、私が先ほど申し上げましたのは、アジャックス専用の発射装置は現在ないということでございます。アジャックスは依然として作っておる、このように聞いております。
  241. 岡良一

    ○岡分科員 それでは私の聞き間違いでございました。  ハーキュリーズをなぜ御採用にならないのでございますか。
  242. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。先ほども申し上げましたように、ハーキュリーズの方は、普通弾頭と核弾頭と両用できることになっておりますので、私どもといたしましては、誤解をおそれる立場もございまして、核弾頭のつけられませんアジャックスだけをもらう、こう考えております。
  243. 岡良一

    ○岡分科員 誤解の問題ですが一もうすでに防衛庁長官の御発言も大きな誤解を国民に呼ぶのじゃないかと私は心配しております。  そこで、重ねてお聞きをいたしますが、先ほど防衛庁長官は、横路委員のお尋ねに対して、核兵器がますます小型になる、そして、それが防御の目的というようなことに相なるならば、憲法の解釈上、小型の核兵器はこれを保有することも許され得るのだ、こういう御見解を漏らされたように聞いておったのでございますが、そのような御所見でございますか。
  244. 西村直己

    ○西村国務大臣 憲法の解釈をお求めになりますれば、現在の憲法は戦力を禁止しておりますし、また、陸海空の三軍による戦力の保持を禁止しております。従って、自衛によるところの実力ということでわれわれ言っておるのであります。ただ、憲法を解釈いたしましても、あくまでも自衛のための実力ということと、核というものとをどう解釈するかの問題になってくるだろうと思います。そこで、今、もちろんわれわれとしては、原水爆であるとか、あるいは現在世間でいわれている核兵器というものは、攻撃的性質を非常に強く持っておる。しかし、憲法の理論上の問題として、将来いろいろ核に対する研究が進み、そして兵器等もいろいろ変化して参りました場合において、絶対核というものは許されないのだということも言い切れないというのが、私の憲法九条に対する解釈であります。いかなる核でも絶対に憲法は禁止しているものではない、こういう意味であります。
  245. 岡良一

    ○岡分科員 それでは、憲法で許され得る核兵器というものは、一体どういう限度をさすものでございますか。
  246. 西村直己

    ○西村国務大臣 あくまでもこれは理論上の問題でございまして、また、将来の核といいますか、兵器と申しますか、そういうものの発達においての結果でございますから、私はこれを具体的には申し上げませんが、ただ、核というものは、現在はきわめて攻撃的性格が強いのであります。また、もしくは攻撃を主目的にしております。しかし、われわれとしては、自衛ということを憲法上許されておりますから、自衛のためならばというところで、将来何らかの形で核兵器というものがいろいろ近代科学のもとにおいて研究された結果において、一応妥当であるものがあり得るとするならば、憲法の理論上の解釈としては、そういうものは憲法に抵触しないのじゃないか。あくまでも理論上の問題であります。
  247. 岡良一

    ○岡分科員 しかし、これは理論上の問題じゃないと私は思うのです。これは御承知のように、最近における核兵器の進歩というものは、言葉をかえていえば、ますます小型化しておるということも核兵器の進歩の大きな方向じゃないか、そのような情報もしばしばわれわれは伝え聞いておるのです。でありまするから、核兵器が防御の目的に使用し得るような小型なものになれば、憲法の解釈上は、これは自衛のためのものであるから使用し得るのである、私どもはこういうふうにあなたの御所見は解釈せざるを得ない。理論上の問題じゃなく、実際に核兵器というものが小型化して防御の目的であるということであれば、これを使用してもいい、憲法解釈上し使用してもいいということになる、そういうことでございますか。理論上じゃなく、実際上の問題として私は言っているのです。
  248. 西村直己

    ○西村国務大臣 あくまでも、私どもとしては、正面の解釈から参りますれば、一応現在、いわれておるような核というものは、憲法上容認はできないと思います。しかしながら、核と申しましても、いろいろ将来変化して参りました場合におきまして、憲法のいわゆる自衛力というものは、絶対にそれではいかなる場合でも、核という名前さえもついたらいかぬというふうには私は解釈はできない、こういう意味であります。
  249. 岡良一

    ○岡分科員 それでは、あらためてお聞きいたしますが、原子力基本法第二条には、原子力の利用は平和の目的に限るということが規定されております。従って、この条文の解釈から見ても、自衛隊は、少なくとも核装備というものは、たとえ自衛の目的と認められるものであって、もこれを使用することはできない、こう私は解釈いたしますが、いかがですか。
  250. 西村直己

    ○西村国務大臣 先ほどお問いになりましたのは、憲法上の問題でございますから、私の国務大臣としての解釈を申し上げたのでありますが、もちろん、これを仮定問題として、かりに、そういうような核というものが利用されるということがありましても、原子力基本法では明らかに平和利用ということで目的を限定いたしておりますから、原子力基本法というものをまず、どうするかという問題を、もう一つ考えていかなければならぬ、この制約があることは、私も知っております。
  251. 岡良一

    ○岡分科員 それで一応安堵をいたしましたが、原子力基本法は、御存じのように、議員提出立法で、当時、与党の中曽根君と私どもが、この平和の目的に限るという解釈を意思統一をしました。そのときに、平和の目的に限るとは、あらゆる軍事目的を排除する、軍事目的とは、単に侵略的な意図だけではない、防御のものも含まれるのであるということを、はっきり意思統一したわけです。そこで、一昨年、防衛庁の辻次官に内閣委員会に御出席を求めまして、さらにこの解釈について防衛庁の見解をただしました。結局、原子力基本法が現存する限りは、いかに小型の核兵群といえども、自衛隊はこれを装備することができないのであるという解釈に統一をされたわけでございますので、この原則はあくまでも守っていただきたい。このことを強く申し上げておきたいと思います。  それから、三十一年度からの例の技術研究本部のミサイル予算でございますが、先般の予算委員会では三十三億五千万円、そのほか若干の国庫債務負担行為の予算があるということでございましたが、この五カ年間余りの研究の成果は、どの程度に達しておりますか。
  252. 青山秀三郎

    ○青山説明員 お答え申し上げます。ただいま御査問のございました私ども技術研究本部関係あります予算は、三十五年度、ただいま実行いたしております段階までのことを考えますと、まだ、実は技術研究本部となりましたのはようやくこの五月で三年でありまして、その前、研究所時代を通して仕事をして参ったわけでありますが、ようやく、二、三年以来、多少各自衛隊の御期待に沿い得るものが、幾らか技術的試験あるいは実用試験の段階に入って参りました。ことに、先ほどお話のありましたGM関係等も、この二、三年幾らか形がついて参りました次第でございます。全体について申し上げましょうか、あるいはGMについて……。
  253. 岡良一

    ○岡分科員 GMだけでけっこうです。
  254. 青山秀三郎

    ○青山説明員 GMの力では、大体私どもの方で、初めは内局その他の御指示に従いまして、その方向をいろいろ考えておったのでございますが、一番最初、防空の意味をもちまして空対空のロケットを研究いたしまして、次いで空対空のミサイル、AAMの段階にただいま入ろうといたしております。また、地対空の方は、先ほど来いろいろお話がございましたが、私どもの方では、その基礎的な研究あるいは部分的な研究、たとえば噴進はどうするか、火薬はどういうものがよかろう、あるいは中の計測はどうしようかというような部分的研究を進めております。ただ一つ、小さいものでございますが、特殊なものといたしまして、対戦車のミサイルでありますが、御承知のATMであります。これは比較的おそく手にかけたのでございますが、ただいまある程度技術的試験を終わろうとする段階まで進んで参りました。
  255. 岡良一

    ○岡分科員 新聞の報道でございますが、対戦車のミサイルは川崎航空機グループ、空対空のミサイルは富士精密グループ、地対空のミサイルは三菱グループ、この三つのグループにそれぞれ防衛庁が指定をして研究開発、試作を進めておられる、こういうような報道を聞いておりますが、そのようでございますか。
  256. 青山秀三郎

    ○青山説明員 ただいま御指摘の通り、ATM、アンチ・タンクの方は川崎重岐阜で進めております。それからAARからAAMに移ります段階におきまして富士精密重工で進めております。
  257. 岡良一

    ○岡分科員 そうしますと、予算に計上されておる技術研究本部の研究開発予算というものは、これらのメーカーあるいはグループに対する研究の委託費に主として使われる、そういうことになるわけでございますか。
  258. 青山秀三郎

    ○青山説明員 非常に大まかに申し上げますと、たとえば、本年度の予算にいたしましても、大体その傾向でございますが、予算のほとんど三分の一近いものが、私どもの方では試作費と称する名義でございます。たとえば、二十億ございますと六、七億は試作費でございます。この試作の方は、研究開発いたしましたものについて設計をいたしまして会社に委託して試作してもらう、これを会社にお願いするわけでございます。  それから、その前の段階といたしまして、設計に入ります前に、あるいは研究試験をやらなければならない、これは所内研究もございます。所内研究施設等の便がある。あるいはほかにもっといい施設が利用できるというような場合には、研究を委託いたしまして、委託研究としてほかにお願いしてあります。その委託と試作が、大体私どもの予算においては、今言ったような試作が大部分でございますか、そのほかに、私どもの予算としましては、今申しましたような所内研究あるいは試験のための経費、また、いろいろな研究用の機械器具を買わなければなりません。研究費そのものも必要といたします。また、所要の施設を作って参らなければなりません。そういうものを入れました総額が、申し上げました私どもの方の技術研究所の本部の予算として成立しておるわけであります。
  259. 岡良一

    ○岡分科員 一昨年でございましたか、伊能防衛庁長官の、大学の教授の中には防衛庁のミサイルの研究開発にきわめて協力的な学者もある、しからざる者もいるというような御発言もあり、大学に造兵科を復活させるというような御発言もあって物議をかもしたこともあります。専門家あるいは技術屋の御意見を聞きますと、特にロケットのノズルなんかは、軍事用であろうと、平和利用であろうと、ほとんど生命線として大体同一方向への研究で進められている。そこで、これらの川崎グループにしても、富士精密グループにしても、三菱グループにしても、なかなか緻密な研究施設まで持っておらない。そこで、大学の教室に対してその研究を委託する、委嘱する。ところが、これを文部省の方で調べてみると、このような一種の大学の教授とメーカーとのある意味におけるプライベートな委託研究というようなものが、委託研究費として文部省の予算に出てきておらない、大学の予算に出てきておらないので、私どもしっかりつかめないが、事実、現場にいる者はそういう委託を受けているというような疑惑を非常に持っておるわけです。これは防衛庁の方では、事実、そういう形で大学にどうも委託されておるのではないかという疑問を非常に強く持っておるのですが、あなた方の方のお考えではどうでしょう。
  260. 青山秀三郎

    ○青山説明員 御指摘のように、ただいまの日本の、ことに大学等の、そういうわれわれの方面の研究ということにおきましては、多少大学によって、あるいは地域によって相違もあります。また、専門によりましても相違があるように思います。たとえば、医学方面などは、これはかなり高い立場から、人道的立場と申しましょうか、そういう立場で衛生心理といった方面には、前から、研究を推進いたすために、私どもが非常に感激するほど協力態勢が整っております。ところが、ほかの理学方面になりますと、かなり学校によりまして差もあります。私どもは協力を願いたいという気持はございますけれども、御迷惑をかけてもならず、できるだけ私どもの方の力で開発していきたい。まあ、問題によりましては、国の他の研究機関もございますし、あるいは会社等の研究機関もあり、そこにそれ相当な人材もおられますので、そういうところにお願いするとが多いのでありますが、場合によりますと、直接大学の先生ではございませんが、学術的な協会がありますが、そういうところへお願いして、そこの協会の責任において御協力願うということも多少ございます。けれども、直接お好みにならない先生に、私どもの方から無理にお願いするということは、これは私どもの方で御遠慮いたしております。
  261. 岡良一

    ○岡分科員 先般と過去二回、大学の付置研究所、防衛庁の技研あるいはアメリカのミサイル関係専門家、それからメーカーの技術屋等で、東京でシンポジウムのようなものを持っておられる。ああいう関係から見ても、やはり技術提携においては大学の研究というものがある程度まで参画しつつある、また、それを求めているというような印象を私ども強く受けるわけです。これは学問の自由独立という観点から、また、特に日本の憲法の建前からも、私どもとしては、そういう事実はあくまでも排撃しなければなるまいと考えております。  それはそうといたしまして、これも報道によれば、対戦車ミサイルは、三十六年になりますれば、自衛隊は装備するに至るであろうというようなことも去年あたり伝え聞いておりましたが、どうでございますか。
  262. 青山秀三郎

    ○青山説明員 これはお話通りでございます。ただ、今問題になっておりますのは、ジャイロ関係が、従来の電気ジャイロから科学ジャイロに移ろうというような計画もありまして、それで従来のこの棟の外国の製品に比べまして、私が申し上げてはまことに失礼でございますが、かなり自衛隊でも御満足のいくようなところに近づいて参ったと喜んでおるのであります。その結果、おそらく三十六年にもう少し実験を重ねますれば、ただいまお話のような状態になるのじゃないかと期待いたしております。
  263. 岡良一

    ○岡分科員 先ほど防衛局長のお活もありましたが、しかし、要は、やはりミサイルの主力といいますか、中心は、何と申しましても、地対空のミサイルかと思うのです。日本の戦略的な環境を見ましても、また、現実に武器の発達した現状からしても、おそらく十キロくらいの高度から音速機あたりで襲撃を受けるということになれば、これを実力でもって排除しようとすれば、相当長距離の射程距離々持つミサイルでなければ、これはもう防空は全きを得ない。そういう意味で、あなた方技術研究本部としては、このような地対空防空ミサイル、こういう方向にどんどん力点を入れていかなければならぬのではないか。まあ、エリコンをいじってみたり、細々と対戦車ミサイルをやるというような段階ではない。技研の本部の方針としては、地対空ミサイルの国産化、こういう方針をとっておられるやに聞いておるのでございますが、この点はいかがでしょうか。
  264. 青山秀三郎

    ○青山説明員 ただいまの対戦車ATMの方は、これは特に加速に開発したいといことから進めて参ったのでありますが、それに空対空の方も、ロケットが大体終わり、今いよいよミサイルの総合研究に入りたいということであります。地対空につきましては、今、御承知の誘導方式にいたしましても、今のコマンド方式がいいか、あるいはビーム・ライダーがいいかという根本に問題がございますので、私どもの方としましては、そういう御方針が定まりますに先だって、基礎的な研究をあるいは部分的に進めて何かのお役に立ちたい、ことにこういう問題になりますと、最近の電子工学の最も先端を総合しなければならない高度の科学技術でありますので、これが私どもの研究に役立たしめたいのみならず、私は、少し言い過ぎかもしれませんが、そういう科学技術の新しい進み方に何かまたお役に立つこともあれば、この意味でも研究は意義があるのじゃないかということで、これは非常にむずかしい研究でありますのみならず、また困難なばかりでなしに、非常に新しい研究でもありますので、そういう準備態勢に今入ろうとしておるという状態であります。
  265. 岡良一

    ○岡分科員 先般、予算委員会でもこの点についての方針を承りました。要するに、地対空のアジャックス級のミサイル開発ということになれば、必然的に、これはやはりライセンスをとらなければならぬ。技術導入をしなければならぬ。ところが、技術導入をするということになれば、これは当然、まず常識的に考えられることは、秘密保護法というものの制定が必要である。せっかく公開の原則の上に進められている日本の科学技術の研究が、再び秘密のベールの中に閉じ込められることは、われわれとしてもたえられないということで、総理や通産大臣の所信を承ったところが、秘密保護法を制定して技術導入をするという意思は毛頭ないということで、安心をいたしました。しかしながら、私どもは、そういう観点からいたしまして、でき得べくんば、これも問題となったのでございますが、やはり大気圏外の平和利用という観点から、この宇宙開発という平和の目的から、予算があなた方の方は三十三億五千万円、平和利用の方は七億五千万円というような、非常な片手落ちの額であってはならないという気持を強く持っておるわけでございますから、このことを言い添えておきます。  なお、この機会に防衛庁長官にちょっとお尋ねしますが、けさ毎日新聞を見ますと、昨日の発表でございますが、アメリカの国防総省の特別委員会は、その報告書の中で、「限定戦争に間接的にも日本を巻き込むことを避けるために、在日米軍基地の使用の限定を勧告しておるので、自衛隊自身もこれに巻き込まれることはない」云々と書いて発表されておりますが、もう少し具体的な内容を、この機会にお示しを願いたいと思います。
  266. 西村直己

    ○西村国務大臣 ちょっと御質問の意味がわかりませんが、アメリカの国防総省の中における特別委員会の何か勧告でございますか。ちょっと御質問の趣旨がわかりませんでしたが……。
  267. 岡良一

    ○岡分科員 毎日新聞に出ておるのです。きょうの一面に、今申しましたように、「米国防総省特別委員会の報告書では、限定戦争に間接的にも日本を巻きこむことをさけるために「在日米軍基地の使用限定」を勧告しているので、自衛隊自身もこれに巻きこまれる危険性はない。」ということが報じられておるわけです。そこで、この国防総省特別委員会の報告書の内容を、なお詳しく具体的にこの機会に御発表を願いたい、こう思っておるわけです。
  268. 西村直己

    ○西村国務大臣 私よくその新聞記事内容が——けさ毎日新聞を私も見ましたが、その真意がわかりません。ということは、たしか国防総省の特別委員会が、月末までに報告か何かを出すことになっております。私の方へもそういう報告等はもちろんまだ参っている段階ではないわけであります。
  269. 岡良一

    ○岡分科員 それでは、先般アメリカのH・A・キッシンジャー氏が来られまして、防衛庁の方々も交えた席上で講演をしておりました。講演の趣旨がいろいろ誤解されておるようでありますが、要旨を一つこの機会に御発表願いたい。実はH・A・キッシンジャーの講演内容というものは、日本といえども、今日の戦争ということになれば、局地戦争でも核兵器を持たなければなるまい、こういうふうに伝えられておる。これに対して防衛庁の方が、ある雑誌で——「国防」という雑誌かと思いますが、その中で、H・A・キッシンジャーは、日本が核兵器を持たなければならないと言ったのではなくして、日本はやはり日本を守るためには、現在の核兵器時代においては、局地戦争といえども、核兵器によってカバーされなければならないということを言っておる、従って、一部新聞の報道は、キッシンジャーの真意を誤っておるのだということを、防衛庁の方が肩書き付で発表しておられます。従って、私は、この点について親しく防衛庁の方から御見解をお聞きしたい、こう思ってお尋ねするわけです。
  270. 西村直己

    ○西村国務大臣 私の就任以前のことで、ただ、キッシンジャー博士が見えたということと、キッシンジャー博士の意見が巷間少し間違って伝えられたという——これは私の気持程度のことで恐縮でございますが、私も防衛を担当いたしまして、多少そういういろいろな論議が巷間に伝わったという話は聞いております。それは、論文を書いたのは、あるいは防衛研修所勤務の者か何かが、キッシンジャー博士の話を聞いて、同時に多少それに対する意見も書いたのではないかと私は感じておりますが……。
  271. 小幡久男

    ○小幡政府委員 私も詳細は聞いておりませんが、防衛研修所でキッシンジャー博士が講演されまして、そのことにつきまして、おそらく「国防」に意見を発表されたのは、防衛研修所の所員でなかろうかというふうに考えておりますが、キッシンジャー博士の発言にも若干誤解を呼ぶ節があったということを、あとからいろいろ気を使いまして、修正をせられたということも聞いております。それ以上のことは、詳しくは聞いておりません。
  272. 岡良一

    ○岡分科員 その修正というのは、新聞はキッシンジャー博士の講演というものを少し誤って受け取った。キッシンジャー氏は、日本は核兵器を持つべきだと言ったと伝えられておる。しかし、キッシンジャーはそう言ったのではなくて、キッシンジャー氏の言われたのは、核兵器を日本が持たないとしても、現実に核兵器の時代であるから、万一局地戦争が起こった場合、日本はやはり核兵器によってバック・アップされなければならぬ、核兵器によって支援されなければならぬ、こう言っておられた。だから、日本が持つべき必要があると言われたのではないという訂正的な意見を、防衛研修所の方が「国防」に書いておる。この核兵器によって支援されなければならないというキッシンジャー博士の意見を、防衛庁は御承認になるのかどうか、この点を私はお聞きしておる。長官、いかがですか。
  273. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、これは局地戦と申しましても、規模によりましょうと思います。あるいはこれが全面戦争とか、あるいは日本の自衛力でもって日本の安全が保ち得ないというような段階におきましては、もちろん、これは日米間の安全保障条約の問題になります。しかし、その場合におきましても、核兵器を使うか使わぬかということは、当然事前協議の重要な対象事項になるわけであります。一応私は、局地戦の場合におきましても、外から核兵器で支援を日本は受けるべきであるという断定はできない。当然これは安保条約の発動の対象事項になると私は考えております。
  274. 岡良一

    ○岡分科員 そうしますと、昨年の赤城防衛庁長官の御答弁と非常に違ってくる。終局的には、日本の安全というものは何によって維持されるのか、当時赤城長官も藤山外相もはっきり言われたことは、アメリカの大量報復兵器であるICBM等、これが抑制力としてあるいは局地戦争を抑え、あるいはまた日本そのものの安全を保障し得るのだ、あくまでもICBMということを強調しておられる。要するに、日本の安全というものは、原子兵器によって支援されることによって維持されるのだと言っておられる。そうすると、あなたのお考えとかなり食い違ってくるわけです。いかがですか。
  275. 西村直己

    ○西村国務大臣 いや、食い違っておるのではなく、やや私の理解の仕方が違っておるのかもしれません。要する  ICBM等をいろいろ持っておること自体は、一つの大きな世界の戦争抑制力になるということは、私どもも認めるわけであります。問題は、先ほどの私の受け取り方は、局地戦が日本に起こった場合において、核兵器で現実にそれを国内的に支援するかというような場合においては、これは安保条約上の一つの大きな重要事項になる、こういう意味で申し上げたのであります。平和とか戦争抑制力としましては、これは見方にもよりますけれども、一応軍縮の方法考えつつ、お互いにまた巨大なる国家が、戦争抑制力として一つの大きな核兵器というものを研究し合っておること自体も、これも一つの戦争抑制力にはなる、こう思うのであります。
  276. 岡良一

    ○岡分科員 そこで、キッセンジャー氏の御所見、それに対する防衛研修所の方の御所見、それからナイキ・八一キュリーズあるいはアジャックスというふうな、かなり高度なミサイルを誘導しようというような動きの中から、私は率直に申し上げて、若干の疑義を持たざるを得ないわけです。  それで、まず第一に、私は率直に私の所見を申し上げてみたいと思うのですが、このICBMを双方が持つ、たびたびの実験によって照準度も相当正確になってきたというような状態になって参りますと、安保条約というものに一つの限度ができた、限界ができたということです。どういうことかというと、ICBMを双方いざとなれば使う、使うとなれば、これは双方の共倒れ以上に、人類は絶滅するかもしれないことは自覚しておる。そこで、抑制力がICBMからIRBMという方向にくるということなんです。そこで、心配になるのは、たとえば日本海の向こう側にIRBMの基地はどの程度あるか。新聞ではいろいろなことを伝えておりますが、防衛庁としては、一体どの程度のIRBM基地があると思っておられますか。
  277. 西村直己

    ○西村国務大臣 ただいまお尋ねのございましたIRBMの基地につきましては、私どもいろいろと研究いたしておりますが、まことに申しわけないことでございますが、具体的な資料はございません。これはアメリカのみならず、イギリスあたりの非常に権威のあります文献等を見ましても、IRBMにつきましては具体的にございません。ただ、最近のニューヨーク・タイムズの日曜版にハンソン・ボールドウィン氏が言っておりますのは、約百五のIRBM基地が現在ソ連領域等においてあるのじゃなかろうかという、一応の推定があるという数字が、私どもの資料によります唯一の数字でございます。
  278. 岡良一

    ○岡分科員 これは、やはり日本の防衛という立場から、あなた方にとっては重大な関心事だと思うわけです。U2事件のときには、アイゼンハワー大統領も、四年越しU2で十分調べておるというようなことも言明しておられる。これは最近のことではありますが、偵察衛星や通信衛星を飛ばしているわけです。しかも、日本の防衛については、日米間に十分の打ち合わせもあることだから、たとえ推定であろうとも、日本海の向こう側には日本を攻撃するIRBMがどれだけあるか、ICBMを使わないということになれば、IRBMの存在というものは、当然防衛庁の非常に大きな関心事でなければならぬと思う。だから、全体としての百五じゃなくて、大体日本を射程距離に含むIRBM基地というものは、どれくらいあると思っておられますか。
  279. 海原治

    ○海原政府委員 私どもの方としては、先様の基地は存じません。
  280. 岡良一

    ○岡分科員 それでは、先ほど申しましたように、安保体制というものに一つの限度がある。要するに、ICBMは双方が使いたくない、使わないという方向にどんどん進んでおる。そうしてみれば、昨年の予算委員会では、赤城防衛庁長官なり藤山外務大臣は、全面戦争の抑制力であり、ひいてはまた局地戦争の抑制力であり、日本が攻撃されない抑制力としても、アメリカの大量報復力というものに期待をしたい、こう言っておられた。しかし、ICBMを使わない。あってはならないことだが、かりに日本の都会がIRBMによって若干攻撃を受けたとしましょう。しかし、アメリカはICBMでこれに対して報復をしない、ICBMを使ったら、自分の国もやられてしまう、人類も絶滅するかもしれないということがわかった以上、破壊された日本に、ICBMでもって日本の復讐やってくれない。ここに安保体制というものに限度が出てきたのじゃないか。そこで、最近NATO加盟諸国が、いわゆるポラリス潜水艦とか、あるいは陸上のポラリスの装備を急いでおる、あるいはIRBMに対するIRBMを持ってくるあの動きが、そこで理解できるのではないか。これは私の独断かもしれませんが、日本の防衛についての私の考え方一つなんでございますが、西村防衛庁長官、どう思われますか。
  281. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、非常に大きな核兵器、特にICBMに代表されておる核兵器は、戦争の抑制力であって、なかなか全面戦争でお互いが撃ち合うということはあり得ない。しかし、抑制力にはなっておる。同時に、安保体制はそれだけではありません。海上の兵力もあります。海上の兵力、特に潜水艦あるいは空母等の一つの大きな機動力を持ったもので、日本の外側を守るということ自体によって日本を防衛するということ、また、それが同時に、他の日本に対して侵略行動を起こすような脅威に対しては、常時においては一つの抑制力にもなると私は考えております。そういう意味から、日米間の安保体制というものは、やはり日本の安全保障に寄与する、こういう意味で、私どもは安保体制の支持をいたしておるわけであります。
  282. 岡良一

    ○岡分科員 どうも分科会予算をすっかりはずれた、こういう抽象的な論議をすることは、非常に恐縮なんですけれども、予算については横路委員から十分尽くされましたので、お許しを得まして、私が申し上げたいことは、安保体制は、なるほどあなた方の言われるような判断の上に立てば、若干の寄与はするかもしれない。しかし、それにしても、昨年の予算委員会では、アメリカの持つ大量報復力というものが局地戦争を抑制し、また、日本にIRBMを撃ち込まれたらどうしますかと言ったら、そうしたら、ICBMでアメリカは相手をたたくから、IRBMの攻撃は回避できると言っておるのです。ところが、ICBMを双方が持ってこれを使うことは大へんなことになるということになれば、日本がIRBMの攻撃を受けることを防ぐためには、ICBMではだめなんです。だからIRBMでなければならない。これがキッシンジャー博士の、日本は核兵器によってカバーされなければならないということの具体的な事実は、そうなるのではないか、その結論せざるを得ない。というのは、NATO加盟諸国が、ポラリス潜水艦の配置を要求する、あるいは陸上にポラリスを設置するという傾向に動いておる。  そこで、私はお聞きしたいのは、実はこれもアメリカの新聞を見ると、第七艦隊に行く行くはポラリス潜水艦をという意見が一部にあるということです。それは必然的に、先ほど来申しましたアメリカの世界戦略体制の一環として理解できるわけです。ICBMは使わない、しかし、自分と防衛上相互防衛条約を結んだ国の安全をということになれば、今度はポラリス潜水艦を配置しなければならないということになってくる。すでにヨーロッパではその事実が起こってきておる。やがてはアジアの地域においても、それが起こり得るのではないかということなんです。ポラリス潜水艦を増産しようということは、ケネディ大統領も言明しておるようです。だから、これがどんどんできてくるということになって、極東水城に配備される第七艦隊に配置されるということになってくれば、これはやはり安保条約によって当然事前協議の対象になるものですか。
  283. 西村直己

    ○西村国務大臣 安保条約の協議の対象ですか、そういう意味でようございますか。——これは私どもといたしましては、例の装備を国内へ持ち込むとか、そういう段階におきましては、協議の段階になります。しかし、アメリカが国外においてそういうポラリス等に特殊の装備をするということ自体は、直接協議の対象とは考えられないのであります。
  284. 岡良一

    ○岡分科員 きょうお昼前に調達庁長官にお聞きすると、第七艦隊にとっては横須賀、佐世保基地は不可決な基地である、こう言っておられる。そこで、この第七艦隊にポラリス潜水艦を、将来のことではありまするが、この機会にお聞きしておきますが、配備をされるということになれば、当然佐世保、横須賀というものを、ポラリス潜水艦は補給なら補給の基地として使用するということになる。こういう事実が万一起こったとすれば、私は起こり得る可能性が出ておるから心配するのですが、起こったときに事前協議の対象になるかということなんです。
  285. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、これは将来の一つの仮定でございますが、万一第七艦隊がポラリスを率いて、しかも、これに核弾頭をつけて基地に入って参りますれば、これは一つ基地を装備の変更で使ったということになりますから、事前協議の対象となるだろうと私は考えております。
  286. 岡良一

    ○岡分科員 ポラリス潜水艦は事実横須賀や佐世保を使用しないかもしれない。しかし、第七艦隊に配備されれば沖繩を使用する。あるいは基隆を使用するかわかりません。そういう場合には、これは事前協議の対象にはならないということになるのですか。
  287. 西村直己

    ○西村国務大臣 私どもは、現実に第七艦隊がポラリスの装備された潜水艦を率いて、横須賀なり佐世保基地とするならば、これは事前協議の対象となりましょう。ただ、第七艦隊がそういう潜水艦をよそに配置しておる、指揮下に持っておるということだけでは、何らわが国の事前協議の対象とはならない、こう解釈しております。
  288. 岡良一

    ○岡分科員 とにかく海の底をくぐって歩くものであり、第七艦隊の基地として不可欠な佐世保、横須賀があるということになれば、これはいつどこで佐世保、横須賀に投錨するかもしれないということは、事実上認めたことになる。少なくとも相手国からすればそういう判断に立ったとしても、われわれとしては否定し得ないと思います。これはしかし見解の相違ですから、これ以上あなたに申し上げたところで、意見の分れるところであろうかと思います。ただ、私が繰り返し申し上げたいことは、そういう状態においてキッシンジャー氏の言われること、ヨーロッパにおけるNATO加盟諸国などを含めますと、そういう可能性が非常に考えられる。一方国内においては、まだミサイルは対戦車ミサイルもやっとよちよち歩きのときに、一方では地対空ミサイルを装備している。これもハーキュリーズに展開し得る可能性を持っておるというような状態に動いておるということについて、私どもとしては、日本の防衛施策というものについていろいろ納得しがたいところがある。いずれまたあらためて、時間もおそうございますから、適当な委員会でお伺いしたいと思います。
  289. 相川勝六

  290. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、米軍基地のうち、主として板付の基地に焦点を合わせて御質問申し上げたいのであります。板付基地は、御承知通り、三沢、千歳と並んで日本の三大基地といわれております。従って、板付基地のいろいろな状況というものは、アメリカの戦略体制なり日本の防衛計画と重大な関係があると思いますが、現在、板付基地日本の航空自衛隊は使用しておりますか。
  291. 西村直己

    ○西村国務大臣 ただいま使っておりません。
  292. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 過去全然使ったことがないのか、今後使う可能性があるか、御質問いたします。
  293. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 板付の飛行場を自衛隊が使用したことはございます。
  294. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 現在は使ってないのですか。
  295. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 板付につきましては、飛行場ないしは基地としては自衛隊は使っておりません。ただ、米軍に一部使用をさしてもらっている建物が百坪ばかりございます。
  296. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今後航空自衛隊の飛行機が使う予定はないのですか、あり得るのですか。
  297. 海原治

    ○海原政府委員 お尋ねの趣旨が、先ほど御説明いたしましたような、航空部隊を配置することかあるかということでございますと、ただいまはそのような計画はございません。ただ、飛行場としまして自衛隊の飛行機が発着することは、将来ともあり得ると考えております。
  298. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 現在板付基地に配置されております米軍の飛行機について、御説明をいただきたい。
  299. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 現在配備されておりまする機種につきましては、F100及び101だと承知いたしております。
  300. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 F102も配置されていると、われわれの調査によるとなっておりますが、その点はどうですか。
  301. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 102も配備されております。
  302. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 F102はいつごろ配置されましたか。
  303. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 F102は、昨年の秋ごろ配備されていると承知します。
  304. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私どもの調査によりますと、三十三年から配置をされているように把握しているのですが、そういう米軍基地にどのような戦闘機があるか、そういう調査は、公的にどういう窓口を通じてなされるのですか。
  305. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 外務省または調達庁におきまして、合同委員会その他の機関を通じまして、米軍の方に問い合わせをいたしております。
  306. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 現在、板付の基地で新しい拡張の予定があるかどうか、これをお伺いいたします。
  307. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 板付の飛行場の北部に当たるところに、進入灯の設置のために必要な土地提供要求がございます。
  308. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そういう要求がいつごろから、どういう経路を経て、現在どうなっておるか、それについてお答えを願いたい。
  309. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 ただいま申しました要求は、昨年の二月だったと承知しております。合同委員会の下部機関であります施設特別委員会を通じまして、日本政府の方へ、要求がございました。その要求につきましては、いろいろ検討を加えておる過程でございます。御承知のように、板付飛行場は、博多の市街地にも非常に近接しておりまするし、また、すでに従来、農地につきましても相当の買収も接収もいたしておるという関係もございますので、そういった農家のこと、その他のことにつきましてもいろいろと考慮しなければいけないということもございまするし、また、軍の要求としての進入灯を設置するための土地というものの軍の必要性ということも考慮いたしまして、関係者の方にもいろいろ御相談を申し上げておる過程でございます。
  310. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 現地の福岡調達局として、その問題について、現在どういう作業が具体的に行なわれておりますか。
  311. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 福岡の調達局におきましては、関係者の方に対しまして、軍の要求に基づきます日本政府として、の説明をいたしております。それに基づきまして地元関係者の方々の御要求もいろいろあるようでありまして、そういった地元の御要望につきまして、調達局におきまして、具体的な対策というものを目下検討中でございます。
  312. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 地元の関係者というのは、単に関係土地所有者だけなのか、あるいは福岡市当局も含めて、そういう検討なり、相談がなされておるのですか。
  313. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 ただいまのところ、中心は地元の土地所有者、その他の権利者が中心でございますが、福岡市の御当局に対しましても、そういったことのお話は申し上げてございます。
  314. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 福岡市当局へそういうお話をなされましたのはいつごろです。
  315. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 ことしに入って早々だったと思います。
  316. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 早々というのは、はっきりわかりませんか。
  317. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 調達局の方から市当局へお話を申し上げたはずでございまして、一月の何日ということは、はっきりと承知しておりません。
  318. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 拡張予定地の面積、拡張の内容、位置について御説明をいただきたい。
  319. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 進入灯を設置いたしまする土地、面積といたしましては約二千六百坪程度でございます。その周囲に、航空障害物の制限区域といたしまして約六万坪程度土地がほしいという要求がございまするので、そういったことについて土地所有者の方に今相談をしておるところでございまして、軍が、ただいま申し出ました土地提供を申し出ております理由といたしましては、御承知と思いますが、板付の飛行場におきましては、現在の滑走路の延長が一万フィートございます。しかし、純然たる滑走路と申しますか、滑走路本体といたしまして、約八千三百フィートでございます。オーバーランが千七百フィートあるのでございます。それで、先ほどお尋ねになりましたように、ただいま配備されております飛行機の機種が101あるいは102というような機種になりまして、滑走路の八千六百フィートということでは、そういった進歩したジェット機になりますと離着陸についてかなりの危険を伴うということが心配されるので、滑走路を一万フィートにいたしまして、さらに、オーバーランとして千フィートふやすということにしたいということでございます。それで、その先にさらに近接灯を設置するという用地として、先ほど申しましたように、今回の要求があったわけであります。
  320. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 位置についての御説明がないですが、位置と、今度新しく買収をされようとする滑走路の長さ、フィートでも一メートルでもけっこうです。
  321. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 位置は、飛行場の北端部でございます。蓆田地区の方でございます。ただいまお話し申しましたように、一万フィートの長さはあるのでございまするが、そのうちで、千七百フィートというものはオーバーランでございます。それで、オーバーランを今回は一万フィートにするための滑走路にしまして、今までのオーバーランに相当する分が、前回、三十二年度だと思いますが、そのときに買収いたしました土地に伸ばしていく、その方向へ伸びていくということになるわけでございます。そうして、その先に進入灯を設置するところを必要とするということになっております。
  322. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、新しく拡張される滑走路の長さというものは千フィートですね。
  323. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 オーバーランは千フィートであります。
  324. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、これに対する買収もしくは所有権の制限に対する費用は、どういうふうになっておりますか。
  325. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 借料と土地の購入費の予算を三十六年度に要求いたしておりまして、その他買収に伴いまして立毛補償とか、あるいは建物の移転補償ということも必要になりますので、そういった予算要求いたしております。
  326. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 具体的に額が幾らであって、その額を出した根拠についてお尋ねをいたします。
  327. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 借料が約四百六十万、不動産購入費が約一億四千五百万でございます。その他立毛補償あるいは建物移転費が五百七十万でございます。
  328. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 所有権の制限の方が借料に当たっておるわけですか、そうしますと、結局、その金額を出された根拠、反当たりでもいいですけれども、どういうふうに見積もりを出されておるか。
  329. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 具体的な数字を持っておりませんので、はなはだ恐縮でございますが、買収単価につきましては、近傍類似の単価等を参考にして単価をはじき出しております。
  330. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、重ねてお尋ねをいたしますが、昭和三十二年に、ただいまのお答えの中にありました通り、滑走路の南北両端に二万坪ずつ、計四万坪の拡張が行なわれた。そのときには、方向指示機あるいは標識灯を設置するという理由でございます。ちょうどF100が入ってきたころでございます。今度私どもの調査によりますと、二、三年前からF102が入っている。そうして、ここに重ねて六万坪に及ぶ拡張が計画されておるということは、今後F104AとかあるいはF104Cとかいう種類の新しいジェット機が入ってくるという予定のもとに、こういう計画がなされておると、私ども、過去の経験によって判断をいたしますが、この点は、単にF102のためだけにこういう措置が行なわれるのか、もうF102が入ってきて二、三年経過しておるのですが、この点について重ねてお答えをいただきたい。
  331. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 私どもといたしましては、ただいま配備されておりますF102の離着陸の場合に、先ほど来申し上げておりまする滑走路の長さでは危険を伴うということが心配されるので、先ほど申し上げましたような要求を軍としては出していたというふうに承知いたしております。
  332. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私どもの調査によりますと、先ほど申しましたF104AなりあるいはF104Cなりが、三十六年度以降持ち込まれるという情報をキャッチをしておるわけです。これはそういうために起こった拡張問題ではないか、重ねてお伺いいたします。
  333. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 ただいま申し上げました通りに、将来の配備機種ということにつきましては、軍といたしましては日本政府の方に何らの意思表示もないのでございまして、現在の状態におきましても、離着陸に安全性を期せられないということのために要求をいたしておるのであります。
  334. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは今後考えられる新しい防衛計画と関連しておるのではないのでしょうか。重ねてお伺いいたしますが、この板付にこういう拡張問題が起こっておる——それでは問題を変えまして、ほかの基地にこういう拡張問題がどこか起こっておりましょうか。
  335. 丸山佶

    丸山政府委員 米軍の使用しております飛行場は、御承知通り、全国で大きなものが八つあると存じます。最も安全度合いを確保し得る滑走路を有する程度のものといたしまして、九千フィートから一万フィートの滑走路が必要である。このような標準のもとにすでに整備されておりますのは、青森県の三沢の飛行場でございます。また、東京都下の横田の飛行場もその通りでございます。それらのものにつきましても、末端におきまして安全度合いを確保するための進入灯の設置個所等の問題がございます。また、なお御承知だと存じますが、これは目下裁判中でございまして着手をいたしておりませんが、立川の飛行場の拡張もまだペンディングのケースでございます。板付の関係も、そのような事情のもとに九千から一万の滑走路を整備し、その両端にオーバーランというものを一千フィート設けることによって完備される、このための必要な措置の問題でございます。今まで不動産部長が説明いたしました通り、地元の土地所有関係方々はもちろん、市当局にも御相談申し上げて、契約が円満に実行し得るかどうかという御相談を申し上げておる最中であります。
  336. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 現在拡張予定の基地は、三十六年度の予算と関連して、板付以外にないということですか。
  337. 丸山佶

    丸山政府委員 ただいま申し上げました通り、ペンディングのケースとして立川の飛行場がございます。これが裁判の進行により、あるいは関係の方との話し合いが済みますならば、これも拡張の計画に入っておるわけでございます。また、横田の飛行場に関しましても、先ほど申しました通りオーバーランの端に設ける侵入灯の設置の問題で、この予定がございます。主要の飛行場に関するものは以上の通りでございます。
  338. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私がお伺いしておるのは、三十六年度予算と関連をして、そういう予定のところがあるかどうかということです。今答えられました点は、二十六年度の予算に含められておるのかどうかということなんです。
  339. 丸山佶

    丸山政府委員 横田関係並びに立川関係に関する予算は、もちろん予算中に含まれております。(「板付はどうだ」と呼ぶ者あり)板付に関しましても、先ほど不動産部長が申し上げたと思いますが、一億五千四百万円ほど計上して要求してございます。
  340. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、私どもは、今回の板付の拡張の問題は、今後の新しい防衛計画の一連の措置だと見ざるを得ないわけです。この板付の基地というのは、先ほども不動産部長がおっしゃっておりますように、都心部から三キロしか離れていない。そして、これをほかの基地で見てみますと、千歳が札幌市街から四十キロのところ、三沢が六十キロ、横田が三十キロ、小牧が名古屋から十六キロ、岩国が広島から四十キロ、こういう基地に比べて、板付の場合は市街地から三キロのところにあるのはすでに御承知通りです。そして、基地の滑走路の端から五キロ以内の面積というもの、いわゆる基地周辺は、福岡市の三分の一を占めておるわけです。そこに住んでおる人口は、福岡市の約六十万の人口の六三%の人が住んでおる 非常に市街地に近接しておるわけです。また、この基地周辺のいわゆる五キロ以内の中に、教育施設が百八あります。医療施設が五十四院ある。社会福祉施設が三十四局、合計して百九十六の施設があり、そこに関係する人の数は九万六千五百七十九人という数字が三十三年の調査で出ております。従って、板付基地については、福岡市民に与える有形無形のいろんな被害、不安について、福岡市としては、超党派的に板付基地移転促進協議会が昭和三十年六月に結成をされまして、自来、今日まで移転の陳情を続けてきておる。そうして、昭和三十一年一月十一日に、衆議院の内閣委員会から板付基地調査団が派遣をされております。そして、その調査の結果が同年の二月八日の内閣委員会で報告をされ、政府要望するということになっておりますが、この内閣委員会調査団の報告の結論を御存じでしょうか。
  341. 丸山佶

    丸山政府委員 その報告書の原本もただいま手元にございませんので、詳細には存じておりませんが、たしか、この板付の飛行場をよそに持っていくことの非常な困難性と、この存置に伴う周辺の——今、先生の御指摘の通り、福岡市に至近距離に位置するための住民方々に迷惑をかけるような状況、これらに関して十分な措置政府かとるべきである、こういうことが含まれたものと、私の記憶で申し上げておきます。
  342. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、念のために、このときの内閣委員会調査の結論を申し上げます。「第一、板付飛行場のごとき大飛行場が、人口五十四万もある大都市のただ中にあることは、世界希有のことであって、その影響するところきわめて甚大なることを重視し、できるだけすみやかに他に移転さすべきものと認める。第二、同飛行場移転のためのかえ地と費用とは、同地米軍の任務と防衛上の条件とをできるだけ尊重し、日米合同の委員会で合議の上すみやかに決定すべきものと認める。第三、板付飛行場のごとき大飛行場の移転については、相当の年月を要するものと考えられるので、同飛行場の活用によって官民がこうむったこれまでの被害並びに将来の被害補償については、政府はなお一そう調達庁を督励して万遺憾なきを期すべきものと認める。第四、同飛行場の移転までは、政府は極力米軍と交渉の上、この上の施設の拡張、なかんずく官民の生活を脅かすような新しい危険施設をなさしむべきではないことを警告する。以上の四点がわれわれ調査団の一致した結論であります。右をもってわれわれの調査経過並びに結果の大要を御報告する次第であります。」と、調査団の団長は自民党の真崎勝次氏でございますが、言っている。そして、この結論は内閣委員会によって了承されまして、政府要望するということになりました。この衆議院の内閣委員会の結論が出て一年後の昭和三十二年に、先ほど申しました南北四万坪の拡張が行なわれ、今回さらに北方に六万坪に及ぶ拡張が行なわれる。一体この衆議院の内閣委員会の結論と今回の拡張の問題、これはどういう関係になるのですか、こういう内閣委員会の結論は尊重されるのですか、されないのですか、お伺いいたします。
  343. 丸山佶

    丸山政府委員 この当時の内閣委員会においても当局は申し上げたと存じますが、この大きな主要の飛行場の移転というものは非常に困難である、従いまして、これがあるために被害をこうむるところの周辺に関しましては、十分な措置をいたしたいというような方針で進んで参っております。今回の拡張の問題でございますが、先ほど来御説明申し上げました通り、飛行場の安全、飛行機の発着によるところの事故防止、すなわち、飛行機のみならずその飛行機の事故等から生ずる周辺の安全等を確保するために、その滑走路とともに、その両端にオーバーランを設けることが必要である、このことによって一そうその周辺の安全度合いを確保し得るという趣旨に立っているものでございます。なお、被害損害あるいは周辺の整備に関しましては、これまで調達庁としてもできるだけの努力をいたして参りました。お述べになりました学校等にいたしましても、おそらく全国各地各飛行場の周辺に比べまして最大の力を今日まで払ってきておりますし、今後も払うつもりで努力いたしておる次第でございます。
  344. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今の御答弁は、結局衆議院の内閣委員会決定は無視をされておると思わざるを得ないのですが、どうでしょうか。
  345. 丸山佶

    丸山政府委員 決して無視しておるというようなものではないと私は思っております。十分に尊重いたしまして、その趣旨を尊重した措置で、できるだけのことをやっていこう、こういう方針で今日までやって参り、今後も臨むつもりでおる次第でございます。
  346. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 尊重しているとおっしゃいますけれども、第一点も無視されておるし、第四点の、新しい拡張はしない、あるいは移転までは危険な施設を設置しない、そういう第四点も無視されておる。それから補償の点については後ほど述べますけれども、これも決して満足に行なわれていない。  そこで、私は、重ねてお伺いをいたしますが、先ほど不動産部長は、昨年の二月、米軍から日米合同委員会施設特別委員会に新しい拡張の申し入れがあった、これについてはいろいろ検討を要する問題があるので、現地においても検討さしておるとおっしゃいました。ところが、その後の私の質問で、いや、もう現地の土地所有者とすでに買収についての相談が行なわれておるとおっしゃいます。それから福岡市当局には、ことしの初めに話し合いをしておるということは、もう拡張がいいのか悪いのかの検討段階は過ぎて、すでにそういう額の問題あるいは補償の問題にこの事件は移っておると思わざるを得ないのですが、そうですか。
  347. 丸山佶

    丸山政府委員 危険なものを設置するために、なお拡充を続けておる、これは内閣委員会の趣旨に矛盾するものであるというお話でございますが、そういう趣旨のものではなく、むしろ安全度合いを確保しようというのが、今回のオーバーランの設置の問題でございます。従いまして、検討の結果、やはりこのオーバーランを設けることが、あの飛行場の使用に関して、飛行機のみならず、周辺の危険を防止し、安全度合いを確保するところの道であるという結論のもとに、さらば、これに関しまして地元の土地所有の方々あるいはその団体の方々はもちろんのこと、市当局の御了解を得られるかどうかということで、お話を進めておる次第でございます。
  348. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今申し上げましたように、板付基地はほかの基地と違いまして、福岡市のどまん中にある。そして、過去何年も市民の陳情が行なわれておる。そういう特殊な条件にある板付基地ですが、この板付基地の新しい拡張の問題のときに、この問題の検討については、ただ単に調達局関係土地所有者だけの問題ではないと私は思うわけです。ところが実際には、昭和三十二年の拡張のときにも関係土地所有者だけと話がなされて、その買収の取り付けを終わった後に、ちょうど拡張地内にあった市の道路の問題と関連をして表面化した。今度も昨年の二月にこの問題が起こりながら、福岡市に御相談があったのが一年たった今年の一月というのは一体どういう考えなのか、妥当なのかどうか。板付のような基地の場合に、拡張するのに、単なる福岡調達局と地元の関係土地所有者だけの問題だとお考えですか。もし、そうでないとお考えならば、なぜ一年間もそれをひそかにやられて、一年過ぎて、一月になって市当局の方へ御相談するというような措置をとられたか、お伺いをいたします。
  349. 丸山佶

    丸山政府委員 福岡の調達局が市当局に御相談申し上げた日時については、私つまびらかにいたしておりませんが、私の指示といたしましては、直接に土地関係の方はもちろんのこと、周辺事情もわれわれも十分に承知しておることでありますから、市当局には十分に御相談申し上げて、処理するように指示いたしておる次第でございます。実はこれに関しまして、つい最近も、直接の地域である蓆田及び月隈の方々が私のところに参られまして、そのようなお話も承っております。これに関しまして、私は今申し上げましたように、この問題はいろいろ周辺に及ぼす影響も大きい問題であるから、単に土地の値段その他のことで処理していいものと考えておらない、調達局からはよく市当局にも相談申し上げるとともに、関係のその土地、部落の事情、あるいはその御要望に応ぜられるような措置、これらも要望の点を詳細に検討調査した上措置するようにいたしましょう、このようにお答え申し上げておる次第でございます。
  350. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、重ねてお尋ねしますが、調達局関係土地所有者に買収の交渉を具体的に始められたのは、一体いつごろですか。
  351. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 具体的に地元関係者の方に御相談申し上げました日付につきましては、つまびらかにいたしておりませんが、これもきわめて最近のことだと承知しております。
  352. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、調達庁長官のお答え、あるいはただいまの不動産部長のお答えから判断をいたしますと、現地の福岡調達局が、昨年の二月にこの問題が日米合同委員会で表面化して、一年たったことしの一月になって、市当局と話し合いをやっと持ったというような、こういう福岡調達局やり方は、非常に妥当を欠いておる、けしからぬ話だと思うわけですが、その点についてはどうお考えなんですか。
  353. 丸山佶

    丸山政府委員 昨年の春に軍から要求がございましても、本庁におきましてまず全般的な問題の十分な検討をいたしておりますので、直ちにそのような趣旨に従って仕事を進めろと福岡調達局に命じたわけではございません。福岡調達局にそのような措置を進めるように指示したのは、おそらくもっとあとの月日になっておると思います。その指示に基づきまして、福岡調達局は、現場の事情等を十分に調べた上で、初めて関係向きに御相談申し上げた、このようなことになっておりますので、決して福岡調達局が仕事の怠慢等で延引しておるような事情ではないと私は思います。
  354. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私がお伺いをしておるのは、その仕事が停滞をしておるからおくれておる、だから、けしからぬと言っておるのじゃないのです。これほどの重大な問題を市当局に相談なすった時期が非常におくれておる、これは日本の国民の土地なり財産と非常に関連のある問題を取り扱う日本調達局として、あるいは調達庁として、こういう態度でいいと思われるか、悪いと思われるかということを聞いておるのです。長官は、それはもう重大な問題だから、直ちに市当局ともよく相談をしてこれを進めなくてはいけない、自分はそのように指示しておるとおっしゃいましたけれども、福岡の調達局が実際にそういうふうに市当局と相談をするのがおくれてきておる。こういう福岡調達局やり方について、これがいいと思われるのか、悪いと思われるのか、これを私はお伺いしておるわけです。
  355. 丸山佶

    丸山政府委員 福岡の調達局が市当局に相談申し上げたのが、実際日時としていつであったかということを、私は今つまびらかにいたしておりませんので、その点に関していろいろ申すことはできませんけれども、もし市当局への話が非常におくれたような時期であれば、私はまことに遺憾なことだと思っております。
  356. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで私は、重ねて、はっきりした日時を、今わからないならば、後ほど御提出をいただきたいのですが、米軍から日米合同委員会に申し出があった月日、それから福岡調達局にその指示をされた月日、それから福岡調達局が実際に地元の方々と折衝を始められた——地元の方々というのは所有者です。土地所有者と折衝を始められた月日、福岡市当局に相談を申し出られた月日、以上の点について明確な御調査をいただいて、出してもらいたい。  次に予算の問題に移りますけれども、先ほど、この新拡張の予算について借料が四百六十万、購入費が一億四千五百万とお答えになりましたが、この予算は防衛庁関係ですか、調達庁関係として出ておるのですか。
  357. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 調達庁施設提供等諸費として計上してあります。
  358. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 施設提供費をずっと分けておられますね。その中のどの部分に入っておるのですか。
  359. 柏原益太郎

    ○柏原政府委員 施設提供等諸費の中の、日の施設提供等管理費であります。
  360. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、先ほどもお伺いをしましたが、お答えがなかったのです。この借料四百六十万の計算の基礎、購入費の一億四千、五百万の計算の基礎について、具体的にその資料を御提出いただきたい。  なお、私は、昭和三十二年の拡張のときにも、いろいろな問題に当時当面をしたのですが、そのときも、福岡調達局はあらかじめ極秘裏に関係土地所有者と交渉を進められ、そして当時いわゆる時価の三倍の価段を示して買取に取りかかられた、そしてその取りつけが済んで市当局へ市道の問題についての御相談があった。そのときに、この買収に反対をした二、三人の方が最後まであったわけであります。ところが、その二、三人の方はいわゆる村八分のような格好になって、非常な圧力を受けて、とうとう最後に強制的に承知をさせられたという事例があるのですが、今度の新拡張の場合も、全く四年前のやり方と同じような方法でやられておるという感じがするわけです。そこで、今、借料と購入費と分けられておりますが、千フィートのオーバーランの拡張の買収が行なわれれば、その周辺の所有権を制限するというやり方、それが借料になっておるという御説明ですが、そういう交渉は、過去のいきさつから見まして、とても地元の人は納得しない。これはそういう買収地がまん中に千フィートもできれば、むしろ何にもできないから、調達庁としては、当然六万二千百九十一坪全部についても最後には買収をせざるを得ぬのではなかろうかという考えではないだろうか、この点について、そういうことも含めた想定のもとにこの予算が組まれておるかどうか、これをお尋ねいたします。
  361. 丸山佶

    丸山政府委員 重ねて申し上げますが、私の方針といたしましては、直接の土地所有者あるいは権利の関係者のみならず、市当局には十分に御相談申し上げて、その上で実行に移す考えでございます。もし、今までの調達局やり方等に、その趣旨にもとるようなものがあれば、これから直ちに直させて、そのように仕事を進めさせるつもりでございます。  なお、お話しの資料等は、整備いたしまして、後ほどお手元に差し上げます。  この拡充に関します現在の計画、ある場所を購入し、その周辺に関してはある作業を制限する、そのために借料によって措置する、この方針が今後また変わってそうして全面的に買収のようなことになるのではないか、このお尋ねでございますが、現在私どもが検討を加えているところでありまするならば、現在進めておるこの措置をもって、この飛行場の整備に関することは十分にできるもの、かように考えております。
  362. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、今の長官の御説明によりますと、もしどうしても地元の人が反対をすれば、これはもうやめる、中止をせざるを得ないというような、余裕のある拡張の問題でしょうか、その点を重ねてお伺いします。
  363. 丸山佶

    丸山政府委員 そのことも重ねて申し上げますが、あの飛行場の利用に関して、周辺全般をも含めたところの安全度の確保のためには、これらの処置が必要と考えておるのであります。従いまして、この必要な整備をすることは、私は、飛行場あるいは飛行機のみならず、周辺に対しまして最も必要なことだと思っておりますので、実行に移したいと考えておりますが、そのやり方に関しましては、繰り返して申し上げますように、直接の関係者はもちろんのこと、市当局とも話し合いの上、十分に御納得のいく筋によって処置したいと考えております。
  364. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、もし地元の人で反対するような人があったら、土地収用法及び行政協定関係の特別措置法に訴えてでもこの拡張はなし遂げるというつもりかどうか、これをお伺いいたします。
  365. 丸山佶

    丸山政府委員 先ほど申しましたように、関係の方とは十分に話し合いを済ませ、市当局とも話し合いをいたしまして、納得づくにおいて処置をしたいと考えておりますので、土地収用法に訴えてでもやるというような考えは持っておりません。
  366. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、この拡張は危険があるから必要だとおっしゃっているのですから、早くなさりたいのでしょうが、交渉成立のめどを大体いつごろに置いておられますか、お伺いいたします。
  367. 丸山佶

    丸山政府委員 必要性から申しまして、できるだけすみやかにと存じておりますが、土地所有者の組合の方、市当局との話し合いというものにもなお数カ月は要すると存じます。従いまして、いつ何日までというようなことを具体的に予定することはできません。この二、三カ月中にはできるだけその筋による努力を進めていきたい、このように考えております。
  368. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 先ほど申しましたように、この板付基地というものは福岡市民に非常に不安を与え、実際に生命の犠牲者も出るし、いろいろな被害が出ているのです。単に、新しい飛行機が来て、その安全のためという理由で拡張が行なわれるとするならば、戦闘機の発達、ジェット機の発達というものははかり知れないのですから、今後その機種の進歩に応じてどんどん拡張がされるということになるわけです。この福岡の場合、特に板付の場合は、衆議院内閣委員会決定もあるし、あるいは毎年の市民の超党派的な陳情もあるし、こういう形で板付基地が強化されていくということについては、福岡市民としても非常にこれは不安があり、問題があるところであるし、市民の願いと逆行するものであると私は思うのです。従いまして、今度の新拡張も、長官が言われた通りに、福岡調達局もほんとうに住民の声をよく聞いて、話し合いに十分に持っていき、各層の意見も聞いてこれを処置していただきたい、このように思うわけです。  最後に、これは全国の基地でもそうですか、F102、あるいは今後考えられるF104、こういった機種の基地への配置をめぐって、新しい被害あるいは騒音防止の問題が起こってくる。あるいは、福岡の場合なんか、特に特損法関係にも盛られないもの、あるいは民特法に関係するいろいろな問題があるわけです。こういう総合的な調査について、福岡市としては、その総合調査費を千四百万円ほど要求しているが、一体、その要求に対して、結局どのような予算措置になったのか、それをお伺いします。
  369. 丸山佶

    丸山政府委員 お話し通り、福岡市の中の最も人家の稠密している地帯に至近の距離にありまするあの大きな飛行場でございますので、周辺にいろいろな影響を及ぼし、非常な迷惑をおかけしている状況も、私どもはよく理解いたしております。市当局からも、これが対策に関して、従来いろいろの要望、要請もございますし、それに関する調査要望、要請も見ております。この筋について、これまでも調達庁としてできる限りの処置、すなわち、特別損失補償法に基づくいろいろの特損補償なり、学校防音装置の仕事なりを進めて参ったのでございますが、なお調達庁の権限あるいは予算等の範囲内だけでは、これに対して十分に応じ得るようなこともできないわけでございますので、これは政府全体をあげてこれの総合対策に関する処置が必要だろうと考えておるのでございます。従いまして、これは西村大臣も申し上げたと思いますが、この周辺の環境整備等に関する総合的な協議会というものを内閣総理府に設けまして、関係省のものにも参画していただいて、それぞれその権限、業務の範囲においてできることを総合的に措置していただくような方策で進めたいと考えておる次第でございます。調査費に関しましても、調達庁についております調査費のうちから福岡のためにどの程度のものを与えていくか、これらも近く具体的に計画を立てたいと存じておる次第でございます。
  370. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 長くなりましたので、要領よくお答えをいただいて終わりたいと思うのですが、板付の今回の措置は、今後の日本における米軍の全基地の今後のあり方を象徴するものだと思うわけです。そこで、今回の板付基地新拡張問題について、私どもは、先ほど申しましたような点を十分考慮あって問題の処理をしていただきたいと思うわけでございます。板付に限らず、基地の所在するところは全部そうでしょうが、基地があるために、特に市町村がそのゆえに余分の財政負担を負っておる。福岡のごときは、過去数年、この板付基地なかりせば、学校の教室にしても、百七十の教室ができておるという計算が出ております。このためにあえて二部授業が行なわれる、こういう基地あるがための特別の被害がある。そこで、国有提供施設等所在市町村助成交付金ですか、通常いわれておる基地交付金、これの考え方ももう少しはっきり正確にしていただいて、ほんとうに補償になるような、見合うような措置を今後とも考えていっていただきたい、このように要望いたし、先ほどお願いをいたしました資料を、早急に提出いただきますようにお願いをして、終わりたいと思います。
  371. 相川勝六

    相川主査 明三月一日は正午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十三分散会