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木原分科員 漁業補償について十分たことをやっておるという
お話ですが、今それについて私は資料を何も持っておりませんから、それが十分であるかどうかということについて、さらにあなたにお尋ねをすることができないのでありますが、私の知ってておる
事例から申しますると、あなたが今おっしゃるような十分な
補償というようなことは、とうていできておらないということをあなたに申し上げたいのです。特に、また、このほかのところの例として、
東京湾の
機雷の
掃海について例をあげられましたが、
東京湾においてもそうでしょう。
一つ二つ具体的な例をあげますが、
すし屋さんに
赤貝の
すしがありますね。あの
赤貝は、もとは
東京湾でとれておったそうです。ところが、最近は、あの
すしの原料になる
赤貝は
東京湾から
一つもとれない。そのほか、
東京湾で多少とれておったいろいろな魚が最近全然姿を見せておらぬということは、私が
調査したわけじゃないが、そういうことを聞いておる。あるいはノリその他についても全然収穫がない。こういう例を見ても、
機雷の
掃海ということが、どれくらい魚族あるいは
海草その他
魚介類に及ぼす
影響が甚大であるかということは、およそ常識からでも推測ができると思う。
特に、
漁業の
補償ということをおっしゃいますが、たとえば、十日間
操業できなかった、しかし、その
人たちが、もし、その十日間
操業をしたならばこれだけの
漁獲を得たであろうという
漁獲高を算定して、そうして、それに基づいて
補償額を
決定される、いわゆる
損害の
因果関係という法則を適用して
補償をされることになるのでありましょうが、私が
先ほどから何べんも繰り返して申しておりますように、魚がどだいおらなくなってしまったら、これはもう
損害の算定の
方法がないでしょう。一体何を基準にして、あなた方は
損害の算定をやられようとするのか。おらなくなることは、これはもういろいろな
事例によって予想できるのです。予想
通りに魚が全然泳がなくなった場合における
漁業の
補償は、
操業を休んだから、その間得べかりし利益を喪失したであろうということに基づく算定では、
損害の
補償の形にならないのですよ。ここのところを私はあなた方に申し上げたい。おらなくなってしまってからでは、
補償という問題はもう起こりっこないじゃありませんか。しかも、この結果は、実に重大なんです。私は、この湾の様子をよく知っておるから申し上げるのですが、
佐世保とか
東京湾とかいうこの湾の形が全然違うのですよ。一ぺん
長官も
千々石湾に行って見て下さい。国会中行くことができなければ、国会が済んでから、私があなたを案内してもいいから一ぺん見てごらんなさい。ここであれだけの
掃海をやったらどういう結果になるだろうかということは、私どもでも想像がつくのだから、
漁業の
専門家でないあなたでも大体の想像がつく。私が案内しますから、一ぺ行きなさいよ。こんなところで、何年間継続するか知らぬが、月に十日間、一年に百二十日以上でしょう。これが何年間継続するか。しかも、大型の
掃海艇が十二隻入ってきて、キャタピラを海底に据え付けて、飛行機のプロペラみたいなものを据え付けているんですよ。そうして全速力で海の底をかきまぜるんです。プロペラの長さだけでも、およそ三間からあるんですよ、三間以上ある。それを両端につけて、これがぐうぐう、こうして回るんですよ。海域の設定は、縦三マイル、横五マイルというような設定
区域かもしれませんけれども、
訓練するのは
アメリカ軍だけで、海の底をかっさらうのは、縦三マイル、横五マイルというその
区域だけに限られるものではないでしょう。おそらく、全湾の全
区域にわたる
掃海が行なわれるだろうということは、これはもう想像がつく。こういう
掃海をやられたのでは、もう全然魚はおらなくなる。これは私が断言していい。おらなくなってからの
補償の仕方は、現在の
法律ではしようがないじゃないか。何かそういうような場合の特別な
補償の
措置がありますか、あったらどういうものか、
一つ聞かせて下さい。