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横山委員 やっていきたいということと実情がどうであるかということとは別なんです。失礼な話でありますけれ
ども、私が申し上げたことについてまだ御認識が足らないような気が私はするのです。裁判では疑わしきは罰せずということになっております。けれ
ども税法では、残念ながら疑わしきは課税するという
立場を原則的には立てております。推計課税方式がとられておるのも、そのゆえんであります。おたくは帳面がどうもはっきりせぬとか何がはっきりせぬ、大体この辺が法律上標準率表で、うどん屋さんで腰かけがこのくらい、どんぶりがこのくらいならば、このくらいのお客さんが来るはずだ、おふろ屋さんなら、大体ふろおけが幾つで電力料が幾らならば、このくらいのお客さんが来るはずだという推計課税が許されておるわけです。つまり裁判では疑わしきは罰せずだけれ
ども、税法では、税務行政では、疑わしきは課税するということになっているのです。片や
質問検査権の乱用だと私は言うのですけれ
ども、結局は
質問検査権というものは自由勝手になっているわけなんです。ただ口先だけでそういうことのないようにと言っても、法律上あるいは規則の上からリミットをつけなければ、何の足しにもならぬと私は
考えておるのです。その中間に立つ税務職員も、そういう矛盾と悩みをしながらやっておるのであって、あなたが親しみやすい税務行政にしろということは、それ自身私も何らの異存はございません、そういうふうにしてもらいたいと思うんですけれ
ども、口先だけでなくして実際に親しみやすくするためにはどうあるべきか。
質問検査権を制限をする、こういうことも大事ですし、あるいは夜間
調査等は断わってやるということも大事ですし、あるいは
調査をするときには税理士に通知して立ち会いをしてもらうということになっているのですけれ
ども、これもなされておりませんし、そういうようなことを
考えますと、もうこの辺で税務行政について、あなたもほんとうに納得のいく民主的な税務行政をおやりになるとするならば、権力的な要素を少しなくして合理的な民主的なやり方にするべきです。そのためには人もふやすべきです。そうして苦情
処理の機構も充実すべきです。私は大蔵
委員会でかねてから協議団制度について意見を言うてきましたけれ
ども、これは改善の余地はありました。ありましたけれ
ども、まだこれは不十分であります。租税裁判所のような構想も
考えてみるべきです。そういうようなことに、かてて加えて私が最後に意見として言いたいのは、先ほどから、るる納税者の権利が侵されておる、
質問検査権が乱用されておると言ったのですけれ
ども、先ほどのブドウ糖を納めたうちは商売に差しつかえ、自分のところの脱税の問題でないのに夜までとめ置かれて、そうして病気のからだで判こを押しておる。こういう
状況なんですが、それに対して何ら国家は補償のあれがありません。税務行政のやり方によって被害を受けた、しかもそれが脱税ではなくして初めから白である、
調査をした結果白である、信用にも営業にも差しつかえたにもかかわらず、それでしまいということになっておるわけであります。これについて大臣はどうお
考えでございましょうか。私はそういう例は少ないと思います。しかし少なくても、
質問検査権の乱用なり税務署の必要に基づいて行なわれて、納税者にあり得べからざる不利を招き信用を失墜した者に対して、どういう補償があるべきかという点であります。それは国家賠償法の問題はありますけれ
ども、そんなことで今議論をしたところで、これは問題にならぬのであります。もう少し納税者に対する利益、権利というものを守り、補償をするという
考えにならなければならぬのではないか。そうしてこそおのずからリミットができると私は思います。税務職員が不当に納税者に不利を招き、そうして損失を招いたときにおいては、その責任をとる、ないしはその補償をするという制度を確立してこそ、初めて税務職員も、これはまあほどほどにしなければいかぬという問題も起こるでありましょう。今そういうことは全然ないのですから、結局オールマイティということになるのであります。いかがでございますか。私が申し上げたのはいろいろございますけれ
ども、苦情
処理機構をさらに充実しなければならぬし、そして、また税理士に通知をしてから
調査をすべきだ、きちんと税理士に通知のあるものはそういうことも実情
通り、規定
通りやるべきだし、それからこの補償制度を
考えるべきだし、人はふやすべきだ、こういう点を、私は、自然増収の実際の徴収にあたってあなたが民主的な合理的な徴税制度をやるためにお
考えになるべきときである、それでこそ納税者は信頼するであろう、こう申しておるのでありますが、いかがでありますか。