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飛鳥田委員 実に悲しむべきことです。丸山さんがその程度のことしか池子の弾薬庫の活動について御存じにならないとすれば、これは全く野放図なやり方をさせているとしか思えないわけです。この池子の弾薬庫について三つの事実をそれでは私は申し上げましょう。
第一は、一昨々年です。丸山
長官も御存じのように、池子の弾薬庫に対応すベきもう
一つの弾薬庫として横浜に田奈という弾薬庫がありました。これが閉鎖ということにきまって、ここから約六千箱の弾薬を池子に運んだわけです。これはもう
長官御存じの通りです。この弾薬というものはすべて朝鮮動乱の当時
日本から特需として買い上げたものです。従ってすべては
日本製です。一部バズーカ砲については信管の取りはずし作業をやって運びました。従って田奈では閉鎖になりましたので労務者が失業いたしました。弾薬庫を池子に持っていったのだから、仕事の量がそっちでふえるだろうから、ぜひそっちで使ってくれぬだろうかということを、神奈川県の渉外部を通じて米軍に申し入れたわけです。すると米軍は、だめだ。今運んできたものは将来MAPの対象とすべきもの、すなわち無償援助の対象とすべきものとMDAP、有償援助の対象とすべきものと、さらには信管をはずしたバズーカ砲は
日本国内に売るのだ、こういう三つに分類作業中である。無償援助にすべきMAPに相当するものはこのまま貯蔵する。だがMDAPに相当するものは東南アジア向けに売りさばいてしまう。こういうことを神奈川県の渉外部を通じて、私
たちにきちっと答えてきたわけです。信管をはずしたものはそのまま東洋化工という会社に払い下げました。東洋化工はこの払い下げを受けまして、御存じのように金沢で大爆発を起こして事件を起こしたわけです。すなわちこの際でも池子を通じて
日本製の銃砲弾が東南アジアに売りさばかれたという事実が
一つあります。それは一昨年の後半から昨年一ぱいにかけてのことです。
同時にまた昨年の十二月二十八日からことしのお正月の三日までにかけて池子の弾薬庫は戦時状態に入りました。しまってありました弾薬をどんどん持ち
出して、梱包をして横須賀の長浦という港から海外に向かってどんどん持ち
出していきました。こういう事実があります。しかもこれを梱包いたしました労働者
たちに聞きますと、信管は日平産業製、そうして弾体、たまの本体は小松製作所あるいはその他大阪のメーカーのものであった、こういうことをはっきり証言しております。今からわずか二カ月ばかり、いや二カ月もたたないころでありますが、池子の弾薬庫は戦時状態と同様の繁忙な状態で梱包し、これを海外に運び
出した。朝鮮動乱当時に特需で買い付けたような弾薬がアメリカ本国に運ばれていくでしょうか、あるいはその他のところへ運ばれていくでしょうか。当然これもまた東南アジア向けであることは明らかでありますし、すでに横須賀におりました第七艦隊が昨年の十一月に展開を終わって南支那海に集結をしているということも否定できない事実です。こういうことを
考えてみますと、池子の弾薬庫からアメリカ軍が武器弾薬を持っていってラオス軍に供給している、そうしてしかもそれは
日本製である、こういうルートがわかって参ります。
それだけではありません。二月の十日でありますが、今丸山
長官が
お答えになりましたロケット砲の話、朝八時でありました。急に命令が下ってロケット砲及びロケット砲弾を梱包する、しかも梱包するだけでなくて、飛行機から落下傘をつけて落とせるように、アメリカ軍の落下傘部隊がやって参りまして梱包をいたしました。そうしてでき上がったものはトレーラーに乗せて立川に向かって出発したわけです。午後三時ごろになりますと、今のは演習であったというので、全部梱包を解いて再びしまった。すなわちラオス戦線の様相から
考えてみますと、少なくともコン・レ軍とバテト・ラオ軍の背後にそういうものを落とす戦術的な必要性が出てきたものと
考えて少しも不思議ではありません。またアサヒ・イブニングを読みますと、沖繩には千二百名の特殊部隊が結成せられ、これは敵戦線の背後に降下し、白兵戦をやり、いろいろのことをやる特殊部隊として訓練されている、こういうことがニューヨーク・タイムズの特派員によって明らかにされております。こういう点から
考えてみましても、池子の弾薬庫で、落下傘で降下させるようにロケット砲及びロケット砲弾を梱包した、そういうことをやっているという事実は、かなり重大なものとして私
たちは見ていかなければならないだろう、こう思います。少なくともラオス戦線に
日本製の武器が現われたということを存じません、報告がございませんという形で、かなり国際的に明確になった事実を、
自分だけの耳をおおってみたところで問題は解決しない。少なくとも
日本の
軍事基地というものがどのように動いているかということをあなた方は常時観察をなさり、この点についてあなた方のお説に従えば、補給行為でしょうから事前協議の対象にならぬときっとおっしゃるだろうと思います。事前協議の対象にならぬという
態度をおとりにたるならばなるとして、少なくともラオスに現われた
日本製の武器はかくして現われたのだというルートを明白にすることが
日本政府の
責任じゃないか、そして同時にまたアメリカ軍に対しては、そのように池子に貯蔵してある弾薬をどしどし
日本の弾薬庫から持ち
出して長浦港を通して持ち出すなどということは御遠慮願いたいということを少なくともあなた方がおっしゃるのが、安保条約下におけるあなた方の義務じゃないだろうか。
国民は少なくともラオスに対してどっちの軍を支援したい、こういうことを明白に言っていないわけです。と同時に、なるべくそんなものに介入したくない、巻き込まれたくない、こういうことを言っているわけです。そういう
国民の
意見を正しく反映する
意味でも、あなた方は安保条約下における
軍事基地というものを正確にとらえて、その動きを終始観察をし、適切な手を打つべきじゃないでしょうか。このことについて、私ですら知っておる動きを何で
調達庁長官は御存じないのですか。ただ二人がけがをしたなんてばかなことをおっしゃって、それで
国民が新しい安保条約というものを
納得するとあなたはお
考えでしょうか。それではあまり虫がよ過ぎやしないでしょうか。安保条約をあなた方が強行なすった、そしてそれをいいものとして
国民に押しつけていこうとせられる限り、これに対してちゃんとした手を打っていかなければならぬはずです。なまけ者で、サボッておって、それでごまかして、
自分の思うような形に問題が進むなどとお
考えになるのでしょうか、こういう問題は
外交問題ですから、やはり
外務大臣にきちっと
お答えをいただきたいと思います。