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1961-02-20 第38回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十日(月曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 船田  中君    理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君    理事 重政 誠之君 理事 野田 卯一君    理事 保科善四郎君 理事 井手 以誠君    理事 川俣 清音君 理事 横路 節雄君       赤城 宗徳君    赤澤 正道君       井出一太郎君    稻葉  修君       臼井 莊一君    江崎 真澄君       小川 半次君    上林山榮吉君       仮谷 忠男君    菅  太郎君       北澤 直吉君    倉石 忠雄君       櫻内 義雄君    田中伊三次君       床次 徳二君    中野 四郎君       中村三之丞君    前田 正男君       前田 義雄君    松浦周太郎君       松野 頼三君    松本 俊一君       三浦 一雄君    山崎  巖君       淡谷 悠藏君    川村 継義君       小松  幹君    河野  密君       高田 富之君    楯 兼次郎君       堂森 芳夫君    長谷川 保君       堀  昌雄君    稲富 稜人君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         農 林 大 臣 周東 英雄君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         自 治 大 臣 安井  謙君         国 務 大 臣 迫水 久常君         国 務 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         総理府総務長官 藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         農林事務官         (大臣官房長) 昌谷  孝君         食糧庁長官   須賀 賢二君         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         専 門 員   岡林 清英君     ————————————— 二月二十日  委員羽田武嗣郎君、木原津與志君松井政吉君  及び西村榮一辞任につき、その補欠として前  田義雄君、堀昌雄君、川村継義君及び稲富稜人  君が議長の指名委員に選任された。 同 日  委員前田義雄君及び川村継義辞任につき、そ  の補欠として羽田武嗣郎君及び松井政吉君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年度一般会計予算  昭和三十六年度特別会計予算  昭和三十六年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 船田中

    船田委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。高田富之君。
  3. 高田富之

    高田富之委員 政府もいよいよこのたび農業基本法案を提出されまして、わが党もこれの対案を提案いたしました。いよいよ当面の国政の中でも最も重点的に扱わなければならない農業問題をこれから一そう深めていかなければならぬと思うのであります。  先般、わが党の淡谷委員から所得倍増計画の中における農業計画ということを中心に、構造政策生産政策等につきまして質疑をいたしました。その際の御答弁の中でも、必ずしも明確でない点が多々あったと思うのでありますが、本日私は、特に政府のお考えになっておる農業の新政策の実行にあたりまして、その中心となるのは何といっても価格政策ではないか、こう私は考えるのでありまして、農産物価格政策についての政府のお考えを明瞭にしていただきたいということが主たる目的でございます。政府の意図されますような自立農家を作るという構造政策を遂行するにしましても、あるいはまた、いわゆる選択的拡大と称しまして、畜産なり果樹なりを二倍、三倍というふうに大幅に増産させようとしまするにも、さらにまた農家所得をふやすということをやるにしましても、計画経済ではありませんし、統制経済でもないわけでありまして、政府の命令によって、強制力をもってどうこうするというわけには参らぬわけでありまして、すべての新政策を実行される基本点は、価格をどうするかということによって、流通経済の中で、政府の企図する方向農業を導いていく、促進していく、こういうようなことで、結局私は、今度の政府のお出しになりました基本法を遂行する上においても、今度の予算にも現われておりますが、やはり価格政策の遂行ということが一番大事な、そして最も直接政府のやれることではないか、こう思うわけでございます。もちろん金融等もそれに付随いたしまして、政府操作をして、それによってある方向に持っていくことのできる大事な部面でございます。従って、その関連においては多少触れるわけでありますが、そういうふうに考えますので、この価格政策あり方ということが、何といっても私は根本だろうと思います。  そこで、ただいままでやって参りました農産物価格政策あり方はどういうものであったか、やはりこれは大きく改められなければならない、今までのやり方を反省していかなければならないという立場に、政府は当然お立ちになっておると思うのであります。そうでなければ、新政策の意味も全然なくなってしまうわけでありますから、当然今までの価格政策あり方を反省して、新しい立場での価格政策をやっていくという基本的な態度が明瞭になっておるはずだと思うわけであります。御提案になりました基本法案を読みましても、価格政策あり方ということが述べられてございますが、これは従来やって参りました農産物価格政策とは、やはり相当大きく私は変わっておると思うわけであります。ただいままでの価格政策の中では、何といっても米麦中心といたしまして、直接国家が買い入れ売り渡しを行なうという食管制度、これが非常に重大な役割を演じておることは申し上げるまでもない。同時にまた、農産物価格安定法によって、幾つかの重要農産物を、やはり政府適当量買い入れ売り渡し操作を行ないまして、これによって価格を維持していく、こういうような方法が根幹になっておったと思うのであります。現在までの農産物販売総額に対しまして、これらの政府が直接操作をする支持価格制度の中にありますものが、大体七割ぐらいあろうかと思いますが、相当大きな部分を占めている。これによってわが国農産物価格政策を遂行されてきた。その陰にはやはり価格支持することによって農家所得を維持していく、また生産を確保していくというようなねらい、今までの農家あり方を是認した上に立ってこれの脱落を防止していくというような意味合いも相当含まれておったろうと思うのであります。いわゆる保護政策と一言でいわれておりますが、こういう政策を今までおとりになって現在に及んでおります。これを、今度の予算の中にも出ております、また基本法の中にも出ておりますように、今度はいささか違った方向価格問題を扱っていく、こういうことであろうと思いますので、まず、この点につきましての、今までのやり方はこういうわけでこれをとらない、今後はこういうわけでこういう方針でいくという根本的な考え方だけを、簡潔でけっこうですから最初に明らかにしておいていただきたい、こう思うわけでありまして、まず第一に農林大臣の明快なお答えをいただきたい。
  4. 周東英雄

    周東国務大臣 お答えをいたします。今後における農産物価格というものが、農家所得を構成する、またこれを向上させる上において大きな役割を占めるということはお話し通りだと思います。今後におきまして、やはり米麦等につきましては従来の方針をしばらく続けていくつもりでおりますが、大体の方針といたしましては、価格を安定させるについては、まず生産に対して需要と見合った形に生産を進めるということが第一点であります。御指摘のように生産選択的拡大と申しましても、これは従来の農業生産物あり方が大きく変わって参ります。そこで新しい方向に向けて将来需要伸びるというものについてこれを転換させていこうというのでありますが、そのものにつきましては、あくまでも将来の需給というものをよく見合った上で、地方的に、物別に転換をさせていきたい。ここに価格を安定させる第一の要点があると思います。  第二点は、あくまでも生産者から消費者まで渡る間における流通機構上における弱さというものを強めることのためにとるべき施策はあると思います。これは高田さんも御承知のように日本農家の、ものによって違いましょうけれども生産物を集荷あるいは売り出すについて小さい形の規模を、できるだけものによっては大きくしていくということが一つ方向であろうと思います。さらにそれによってまとまったものを共販態勢として農業協同組合等の大きな動きを確保することが価格を安定する要件の第二点と思います。  第三は、かくのごとくいたしましても、やはり市場等のいろいろの変化というものもございましょう。かかる場合に備えて、新しく畜産物等につきましては、やはり米麦にならいまして、政府が時に買い上げに出て市場価格を調整するということは起こると思いますが、そういうことも考えてみたいと思っております。  それから第四番目に、やはり必要やむを得ない場合において、価格支持をいかに何を考えるかということは考えていきたいと思います。これは、今まで申し上げたようなことがまず行なわれた後に考えられるものと考えております。
  5. 高田富之

    高田富之委員 ただいまの御答弁によりまして、やって参りました農産物価格支持政策基本とする今までの価格政策を変更いたしまして、そうしていろいろな流通施策をやるとか、需要に見合うような価格の安定をはかるとか、そういうことを基本にやっていって、最後にどうしても必要やむを得ざる場合には例外的に支持価格もやる、こういうふうに御答弁をいただいたというふうに私は理解したわけでございます。ただ、ただいま米麦は当分の間今まで通りとおっしゃいましたが、米麦は今まで通り食管会計で扱っていく、食管法でやっていく。こういうことではないと思うのですが、そこのところをちょっと御訂正をいただいておきたいと思います。
  6. 周東英雄

    周東国務大臣 ちょっと言葉が足りませんでしたが、米麦等につきましては、もとより生産合理化という方面において、つまり生産性向上によってコストを引き下げつつ手取りをよけいにするという方向考えられなければなりませんが、しかし、米につきましては消費者並び生産者というものの両面を見合って施策する必要がありますので、今の食管会計による価格支持、安定ということは当分続けていきたい、かように考えております。
  7. 高田富之

    高田富之委員 いずれにしましても支持価格ということが従来の基本であった。それが今度は例外的な場合に限るのであって、原則としてはそういうことはとらぬ、価格政策所得を保持していくということはとらぬ、こういうことでございましょう。もし違っておればまた御訂正願いますが、私は今の御答弁をそういうふうに受け取ります。はたしてそういうやり方でどうなるかということでありますが、ただいままでの、農産物価格動きを見ますと、何といいましても米の場合は、一応生産費所得補償方式というものが曲がりなりにも採用せられました結果、他産物と比べまして最も安定している。また所得も多いということになっておりますが、農産物価格安定法によって支持しておりましたもろもろの農産物につきましてこれを見ますと、やはり価格水準漸減傾向にある。そうしてその所得の中身も米と比較しますと格段に悪い、こういうことでございます。しかし、それにしましても一応制度がありますものですから、全体として米が半分くらい、その他のものをまぜて七割くらいが一応支持されているということでありまして、それで全体としての農産物価格水準漸落傾向をたどっている、だんだん下がってくるという傾向をとっておるわけでございます。今のお出しになりました農業基本法では、ただいまの大臣の御答弁によります方針でこれから需要に見合うやり方をやっていくというようなことを基本といたしまして、これらの支持価格制度が逐次解除されていく、取り払われていくという傾向にあると思いますが、そうなりました場合には、農産物価格下落傾向というものは今までよりも下落のピッチを早める、こう私は思うのですが、その点いかがでしょう。
  8. 周東英雄

    周東国務大臣 お答えいたします。私の申し上げておるのは、今の農産物価格安定法というものも、他の対策によって農産物価格は安定維持されるという見込みが立たなければ、これは今も残っております。これは適用ありますが、しかし私は、ただいま申しましたのは、何と申しましても価格を安定せしめる第一には、需要に見合う生産をする、しかもそれと並行して生産合理化して品種というものを多量に作るという生産性向上というものが当然伴わなければならぬと思う。そういう方面を捨てておいて、できたものはただ価格支持していくという形だけでは私は真の農政はとれないと思う。だから根本需要に見合うような生産をさせていくということに指導を置き、しかもその生産に関しては生産性を拡大向上させて、そうして生産費を下げつつ手取りも多くするというところに価格安定の一つ方向を持っていくのが今後の行き方である。それがなかなか困難なものがあると思います。品種改良その他いろいろなことをやるにしても時期がかかりましょう。その間は農家保護という立場から支持価格によって買い上げるということもありましょうが、基本は私の申し上げたような方向に持っていかなければならないと思います。
  9. 高田富之

    高田富之委員 原則問題でやりとりばかりしておりますと時間がなくなるわけでありますから、私は具体的な問題についてやっていきたいと思いますが、それにしましても、こういう考え方ははっきりさせておかなければならぬのではないかと思うのです。と申しますのは、今まで支持価格制度をやってきたことは間違いであった、こういうことは私はないと思うのでありまして、少なくともわが国のような特殊な農村構成のところでございますから、どうしても相当程度強力な支持価格制度を施行しなければ自由経済の中では立ち行かない。崩壊してしまう。どうしてもささえていかなければならぬという必要性からこれは生まれ、今日まで持続されてきたものであると思うのであります。そういうふうにしておいたのでは生産性も上がらないかといいますと、支持価格があるから生産性を上げなくてももうかるのだからサボッていようかという農民は一人もないのでありまして、むしろ支持価格によって安定しておる中で一生懸命増産に励みまして、より多くの利益を上げようとする。安定しておるからこそ一そう恒久的に腰を据えて生産性向上に尽力するわけであります。米の安定度が一番高いからこそ米の技術の発展、米の反当収量の増進等非常な生産性向上があったわけであります。ですから、支持価格制度をやれば生産性が高まらないから、これを自由経済の中にほうり込んでいってきびしい価格試練にあわせることの方が生産性が高まるというお考えは、日本の現在の農業構成には全く合わない。そういうやり方をされれば、最も過酷な流通経済試練の中で耐え切れないで崩壊していくのではないかということを私ども心配するのです。ですからこの価格政策根本点については、わが党と大臣基本法考え方とは非常に違うと思います。その点は大臣の方は、生産性向上するためには自由経済の中にできるだけ投げ込んでいって、需要に見合うような方向生産性向上していけばいいので、支持価格は二の次である。われわれはそうではない、逆だ。支持価格で安定させて、その中で指導して生産性を高めるのだ、こういう点でございます。この議論はあまり長くやっておりますと時間がありませんから具体的な問題点一つお尋ねしたいと思います。  まず第一は何といっても米であります。わが国販売農産物の半分を占める米の問題をどうするかということは決定的に重大だろうと思うのでありまして、何べんでもこれは各委員会で質問があったのではないかと思いますけれども、やはり順序として、どうしてもこれだけは一応お聞きしておかなければならぬと思うのであります。結論的にお伺いしますけれども、さっきも大臣が言われましたように、米麦と申しましたが、麦の方は何か管理をお変えになるということでありますが、米だけが最後に取り残されたただ一つ食管法の対象の農産物ということになりました。この米についても、しからばほんとうに今までのような所得補償方式による価格支持制度というものが食管によって続けられていくものであるかどうかという不安を農民は非常に持っております。これは非常な不安でございます。ですからしつこいようですが、どの委員会でもお聞きになるわけでありまして、私どももこの農民の不安には根拠はなくはないと思うのです。さっきおっしゃられた基本法の精神からいっても、今の米の需給状況食管の赤字の状況等いろいろ考えてみますと、農民心配はまことに無理からぬものがあると思いますので、大臣はここで新しい価格政策をおとりになる基本法提案に当たって、米の管理について今の制度をどこまでも続けていくのか、あるいは何か適当な方法を現在検討中であって、順次その方向へ切りかえていこうというお考えであるのか。これは一つ正直に、率直に言っていただきたい。それは大丈夫だ、大丈夫だと安心させておかれましても心配なんです。やはり四囲の情勢その他から心配なんですよ。もしお考えがあれば、いや、ここ三年は大丈夫だけれども、四年目ごろにはこんな方向にと考えているということをむしろ言っておいていただけば、それに対応する方法もあるわけですが、大丈夫だと思っておったらすぱっといきなり撤廃になったということになったら、これは大へんなことだと思う。食管制度がもし急に崩れるときには日本農村は大動揺を起こしますよ。とんでもないことになる。内閣は瓦解します。ですから、今のうちに、お考えがあるならば率直に一つ述べておいていただいた方が、むしろ私は安心感を与えるという親切な行き方ではないかと思うのであります。一つ大臣の率直なところをお聞かせ願いたい。
  10. 周東英雄

    周東国務大臣 率直な御答弁を申し上げますが、米について特別な制度あるいは処置ができない限りは、生産者から買い上げる現在の食管制度はやめる意思はございません。  それから一言つけ加えておきますけれども、何か高田さんは、先ほどから価格支持制度の問題について一方的に断定されておりますが、私どもが申し上げるのは、今日まではともかくも生産等に関しましても、ある年次の見通しのもとに、需給というものを目標に、どうしたらいいかという需給立場に立って、需要のふえるものの生産をさせていくという方法がややなおざりになっておったのではないか。そこに価格の安定を破る要素があるのだ、そういう点に力を入れたらどうか。また、各農家生産に当たって生産性向上ということがどっちかというとなおざりにされておったのではなかろうか。今日いろいろな形において農業もまた所得向上のためにその業態の近代化が要求されておるときに、当然にそれは内容的には合理化されつつ所得を上げるということが必要になってくる。その点に力を入れたい。そういうことに力を入れるが、しかしそれによって十分な保護ができない間は当然従来の支持価格制度は残さるべきものである、かように申し上げておるわけでありますから、誤解のないように願いたいと思います。
  11. 高田富之

    高田富之委員 米につきましては、他に適当な方法がない限り現状を維持していく、こういう御答弁だったと思うのですが、率直に言って、そのただし書きのところがやはりだいぶ気になるわけです。それでは生産費及び所得補償方式、せっかくああいうものが採用されるようになったのですが、この生産費及び所得補償方式による食管による買い入れ、これをどこまでも維持していきますか、それともこれは再検討いたしますか。その点だけを一つ……。
  12. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいま私は率直に申し上げたので、何のうそというか、けれんもございません。今お話ししたように続けて参ります。
  13. 高田富之

    高田富之委員 経済企画庁長官にお尋ねをいたしますが、所得倍増計画ですが、この前実は淡谷委員総理に質問いたしましたときに、ちょうど長官がお見えにならなかったわけですけれども総理はこの所得倍増計画書は読んでいないというわけで大へんびっくりしたわけなんです。農林大臣はお読みになっておられると思うのですけれども、これによりますと、十年後の見通しとしましては、米は一割増、こういうふうに見込んでおられるわけであります。米麦増産的な農業政策方向を反省するという言葉も使ってございます。こういうようなことで、十年後のあれを一割増と見込んでおるわけでございますが、これはどういうところから一割増というものを—すか生産伸び方というところからでございましょうか。一割増と見込んだ算定根拠について、簡単でけっこうですから一つ教えていただきたい。
  14. 迫水久常

    迫水国務大臣 計算のこまかい点については、必要があれば事務当局から御答弁をいたしますけれども人口増加、その他の需要増加の見地から見ておるわけであります。
  15. 高田富之

    高田富之委員 農林大臣は、これはもちろん閣議決定ですからこの通りにお考えになっておると思うのですけれども人口自然増需要状況というところから一割増、こうおっしゃられるのですね。そうしますと、結局、これは需要方面からきた生産見込みだと思うんですよ。人口がふえてもその割には米の方はふえない、食糧消費構造が変わっていくというようなことで算定をされたのだ。こういうふうに思うのですけれども、そういたしますと、需要に見合った形の米の生産ということに踏み切っていかれませんと、こういうふうにはならないと思うのです。農林大臣はやはりこの方針で、十年後一割ということでお進みになるお考えですか。
  16. 周東英雄

    周東国務大臣 私も先ほどから申し上げておるように、将来の生産需要に見合ったということを考えていきたい、こう申し上げておるわけであります。ただいま企画庁長官お話し通りであります。
  17. 高田富之

    高田富之委員 そうしますと、企画庁長官農林大臣とは完全に意見が一致しておるということでございます。需要伸びとか人口増加というところから見ますと、需要があまり伸びないのですから、十年たって一割増、一年間に一%増というようなことでないと、こういうことにはならないと思うのですよ。ところがただいま大臣は、生産費及び所得補償方式を堅持していく、そうして食管による買い入れも堅持していく、こう言っておられます。今までと変えないと言っておられます。そうすると、今までの米の伸び率は一体どのくらいですか。これはおそらく御質問するまでもないのですが、相当増産をしておると思うのです。大臣から一つ御説明願います。
  18. 周東英雄

    周東国務大臣 最近における農薬の発達農業技術発達から、単位生産量等が多く伸びておることはお話し通りであります。今、そのパーセンテージがどうかということについては、事務当局の方からお答えいたします。
  19. 高田富之

    高田富之委員 時間がもったいないですから言いますけれども政府のが今見つかりました。米は昭和三十一年から三十五年までの四年間に二割増加しております。それから政府買い入れ量の方はそれ以上でございまして、三十一年から三十五年までに四割ふえておる。毎年一割ずつふえておる。生産にしましても四年間に二割ですから、毎年五%ずつ伸びておる。一%ずつ伸びなければだめなところを五%ずつ伸びているのですよ。今までと同じような食管買い入れ方式を維持し、生産費所得補償方式を堅持するとあなたはお約束なすったのですが、そうしますと、今後はこの勢いで伸びていくことは必至でございます。十年後の目標に早くも今年達しているのじゃないかと私は思うのです。経済企画庁長官の計算されました十年後の一割増は、今年もうすでに達成してしまいますよ。今の方式をあなたは変えないとおっしゃった。そうすると、この調子で伸びていきますね。この調子で伸びていっても、なおかつさっきお約束されました通り生産費所得補償方式による食管会計による買い入れをどこまでも堅持する、こういうふうに約束されますか。
  20. 周東英雄

    周東国務大臣 私が今申し上げました通り、将来の需要に応じてと申しましたのは、将来の人口増あるいは消費構造の変化ということに応じて、大体米の需要はその辺でいいのじゃなかろうかということから申しておりますが、それなればこそ私どもは現在の技術及び農薬等の発達によって生産伸び、減産が防止されておるという事柄からいえば、能率的に生産を進めるならば、これは従来の面積をある程度米作については減してもそれだけの生産が上がるように指導し、そして余剰のたんぼにもうかる他の作物を植えさして、あわせて農業生産を上げることがいいのであって、ただ伸びるがままにまかせておくということが、農政として農家保護するゆえんでないと私は考えます。そして今お話しの点でありますが、私の申し上げたのは、先ほど言ったように、あくまで米作農家に対する保護所得の確保ということは考えていかなければなりませんから、ほかの保護制度というものが立てられない限りは、現在のものを維持していくと申し上げておる。もし将来の問題として、農家に迷惑を与えないで、しかも所得が米作についても確保せられるということのいい制度ができれば、当然それに応じて変わるべきであって、今の何年先までも確定不変なものであるということを申し上げていないのは、先ほどあなたが、ちょっと条件がつくから気になるとおっしゃる、私は現在において農家に不安を与えたくない、従って特殊な米作に対する保護制度が確立されない限り、事情が変わらない限り、ただいまの問題は堅持していくと申し上げている点であります。これはあくまでも私は農家に対する所得を安定し、確保させる方策というものを常に頭においてものを考えていきたいと思います。
  21. 高田富之

    高田富之委員 なかなか御苦心の御答弁なんですけれども、これはどうしたって理屈に合わないのですよ。そうでしょう。やっぱり率直じゃないと思うんです。ですから、もし経企長官と意見が一致しているということになりますと、これからは米の生産を減らすことを積極的に考えなければならぬ、今のままでほうっておけないということになります。米の生産を減らさなければ、これは追っつかないのですよ。ですから、食管制度をいつまでも維持していけないのじゃないか。生産費所得補償方式ももうここらであぶないのじゃないかという農民の不安は当然なんです。こういうふうに、米の生産については、今ちょっと申されましたね、場合によっては作付反別を減らすということも考えているというようなことを今おっしゃいましたが、その点もう一ぺんはっきりと御答弁願いたい。
  22. 周東英雄

    周東国務大臣 これはそういうふうな形に妙にお考えにならなくても、私どもは、農家に対するたんぼというものを、所得を確保するために最も効率的に使うということが必要だと思うんです。農家には従来通り生産を確保させつつ、そうして余ったたんぼに他の作物を植えてよけいな所得をあげるという方向に指導していくことこそ、私は今後の農政の中心であると思うんです。あなたのおっしゃるように、米を作るのが一番楽だからといって、そればかりを勧めることのみが、農家のためを考えているものとは私ども考えていない。従って、農家というものに対して、今までの努力、そうして農業技術の発展、土地の改良、農薬の活用ということでふえておるこの反当たりの収量がふえればふえるほど、それは現在の収量を維持するために狭い面積でやれるということなんです。そこが合理化だと思う。しかも、そのたんぼを、あとのものは何も使わぬでもよろしいというのじゃなくて、それにこれから伸び農産物を植えさせる、あるいは酪農に関する飼料の自給地とするとか、そういう問題をあわせて考えて、初めて私は農家の今後における生産合理化及び所得増加ということになる、かように考えております。
  23. 高田富之

    高田富之委員 そうしますと、米の作付反別を減らすように指導をする、その場合には、減らしてももっとよけいに収入の上がるようにしてやる、こういうけっこうなお話でございますが、一体それは何でございましょう。今は何といったって米だけが一番飛び離れて安定性もあり、所得も曲がりなりにもある程度高く補償されております。ほかにはないのです、これに比肩すべきものは。ほかに何かございますか。
  24. 周東英雄

    周東国務大臣 その点は、今、あしたからどうするというのじゃなくて、あなたのお話は、来年にももうわれわれの米の生産量は達するとおっしゃいますが、われわれは、十年後における総生産量というものは、今日の生産ではまだ足らないのです。だからその方面に向けて、まだ増産をなすべき余地は十分ありますし、やらなければならぬ。しかし、それをどういうふうにやっていくか、また同じ農家として、あるいは地方的に、ある地方は米作中心に進めていく場合もありましょうし、ある場合は米作と他の作物とを併用していくということもありましょう。そういう点は今後の農業基本政策の運用によって動いて参ります。ことに私どもは、今まで出しております需要構造の変化からいたしまして、新しい生産構造におきまして畜産あるいはてん菜、あるいは輸入小麦を防遏するための小麦とかいう方向へは、地域的にどこもかも一律にはいきませんでしょうけれども、地域的に適作を持って参ることができる、かように考えております。あなた方は、ともすると米の反別を減そうとするのかと言うが、私は、そうじゃなくて、農家所得を上げるために必要な、持っておる反別を最も有効に利用して生産を上げるように指導していくことが今後の農政の中心であるべきだ、かように考えております。
  25. 高田富之

    高田富之委員 ただいまお伺いしたのは、何にかえるか、米よりいいものとおっしゃる、大へんけっこうなんですが、ないじゃないか、こういうことを御質問したわけです。ですから、結局ないということですね。実はこういうことをやっていますと時間がなくなってしまうので、また農林委員会と分科会でやることにしまして、結局ないということですね。  そこで米の問題についてもう一つ念を押して聞きたいのです。さっき言われました生産費所得補償方式を堅持するということになりますと、ことしは御承知の通り、賃金水準——この間発表されました政府発表の都市勤労者世帯の収入を見ますと、一一%もふえているのです。それからパリティ指数もたしかふえているはずでございます。ですから、生産費を構成する要素は、労賃を初めとしまして、相当ふえております。ですから、この計算方式を堅持する限り、去年と同じ計算方法というものはできないと思うのです。当然一割一分上がった労賃を基準にし、パリティ価格は上がっておりますから、必要な資材類につきましてすべてそれを組み込みまして、そして計算をしなければならぬと思う。この間池田総理も言われましたけれども、床屋さんが理髪料を上げるのは、あれは労賃部分だからしようがない、労賃が上がっているんだからしようがない、こういうことをおっしゃっているのですが、農民の方はがまんしろとはまさかおっしゃるまいと思う。ですから、当然農家生産費所得補償方式による今年度産の米価決定にあたっては、この平均賃金が一割一分上がっているとすれば、それを織り込み、その他の物材費の上がったものを織り込んで、そして米価を算定する、こういうことになると思いますが、その点を一つはっきりお約束を願いたいと思います。
  26. 周東英雄

    周東国務大臣 本年度の米の価格を決定しますときにおきまして、事情は十分参酌して考えていきたいと思います。お話のように労賃が上がっておる、それは全体の平均賃金でありますが、農家の労働賃金を何に見合うかというような問題がまだ残されておりますが、とにかくいずれにいたしましても、これは本年産の米価決定の際において十分検討をされるべき問題だと思います。
  27. 高田富之

    高田富之委員 いずれにしましても、現在のままの態勢でいくとすれば、生産がどんどん過剰になっていく、食管会計は維持できなくなっていくというようなこと、それからそれを計画通りするためには生産を減らす措置を講ずる、さもなければ食管をはずしていく、価格を下げていく、何らかの手を打たなければならないというきわめて重要な段階に到達している。米の価格算定にあたっていろいろな、この前も与党の方から御質問がありましたけれども、陸稲の格差の問題であるとか、もち米の加算のことだとか、あるいは銘柄格差をつけることであるとか、あるいは時期別格差をだんだんにやめていく方向、いろいろお考えのようでございますが、すべてこれはやはり需要に見合った方向市場条件に適応した方向に、食管の中で順次適応したようなものに改めていっている、こういうことが私は言えると思う。従って今すぐに食管をやめてしまうということはおやりにならないとしても、それに向かっての準備態勢というものをだんだんに運用の中でやっていっておられる、こういうふうに私は考えるのでありますが、それはいかがですか。
  28. 周東英雄

    周東国務大臣 高田さんは何もかにもよく御存じでしょうけれども、しかし物は見方ですからね。私どもが今の買上統制をやめるためにいろいろな準備態勢を作ろうなどとしておる、こうごらんになるのはこれはあなたの自由ですけれども、私どもはやはりあくまでも生産者保護のために、消費者に対する生活水準を安定させるということの意味において、食管会計というものがあるのです。その上におきまして、その運用上不合理な点等はやはり改めていくように研究していくことが当然の政治家の職務だと思いますし、またそれを改めるにいたしましても、その改め方が農家に不利を与えぬようにする考慮を払っていくならば、何も今のままを、どんな状態に変わっても、そのままにやっていくことが一番いいとは私は考えません。
  29. 高田富之

    高田富之委員 いつまでも今のままでいいというようなことを私は別に申し上げているのではないのです。あなたが今のままでやっていくとおっしゃるから、やっていくといったって、こういう条件があるから、やっていけなくなるのではないかということをお聞きしているのであって、われわれの方は、われわれの出しました基本法一つ御検討願えばおわかりになります通り、総合的な徹底した施策を行ないますから、従ってそういうこともすべて計画的に行なえる、そうでなければ農民の犠牲においてはやりません、こういうのがわれわれの精神です。大体米は残された唯一の支持価格農産物でございますが、それもただいまお伺いしたところでは、きわめて御確約の中身があいまいである、あやふやであるということがわかりましたので、次に移ります。  今度は麦でございます。麦対策は、今度の予算の中でも一番重要なものです。おそらく政府の新農政、農業基本法に基づく新農政の第一着手は麦から、こう申してもいいじゃないかと私は思う。この麦をいよいよ食管からはずす、別の管理制度にするというようなことをおきめになられたようでありますが、その麦に対する特別措置法とか申します法律は、一体いつごろお出しになるお考えですか。
  30. 周東英雄

    周東国務大臣 きわめて近いうちに出す大体の準備は整っておりますが、一、二点まだ最後の意見の合わぬ点があります。法制局その他で審議中であります。もう数日ならずして提案できるかと思います。
  31. 高田富之

    高田富之委員 予算にも麦の対策費が大へん計上されておりますので、早く出してもらわないと内容がわかりませんけれども、仄聞するところによりますと、麦は食管からはずしてしまう。そうして小麦についてはさしあたり無制限買い入れを続けていかれる。しかし価格については今までのようにパリティ計算というものに縛られない、これを最低限とするというようなことに縛られないで、自由に上げ下げできる。まあ上げ下げといって、下げる方でしょうけれども、自由な価格操作ができるように管理体制を改める、それから大麦、裸麦につきましては、買上量を制限して、割当買い上げをなさる。もちろんその価格はやはり今までのような縛られない価格というようなことのようでございます。これは事はなかなかきわめて重大でございます。申すまでもなく、麦につきましては、米に次いで今日までわが国農家経済の上からいきましても、作付体系の上からいきましても、これはきわめて重大な問題でありますので、相当慎重にやってもらわなければならぬと思います。一体さっき私が一番初めにお聞きしたときに、米麦は今まで通りと間違っておっしゃったのですが、間違っておっしゃるほど大事な麦なんです。これを今度なぜ一ぺんに食管からはずしてしまうか、そうして大体今私が理解しておるようなことに改めるというのは何が原因ですか、どういう理由ですか、それをまずお聞きしたい。
  32. 周東英雄

    周東国務大臣 米麦につきまして買上統制を続けると申しましたが、その中で大・裸に関しましては、御承知の通り、ここ数年来ほとんど食用としての需要が減退の一途をたどっておるだけであります。従って実際上の需要面から申しますと、なかなか直接に農家から販売が困難なような状況になっております。それは市場価格と販売価格の違いから来ておるわけであります。しかし、われわれは、ずっと農家保護立場から、買い上げて、安く売らざるを得ない立場で来ております。これも当然保護政策としてやって参ったわけであります。むしろ今後の問題といたしましては、そういう市場需給関係と合わない作物はだんだん作付を転換させていって、市場需給に見合ってより有利な作物に転換させる必要があろう、こういう立場からまず麦の作付転換というものに関する政策を打ち出したのであります。同時に、政府に対して買い上げの形につきましては、大・裸に関しましてはやや違った形に考えていくのがほんとうである。その間に処しましても、大・裸に関しても、残される反別で作物を作る、大・裸についてでき得る限りこれを合理化した生産態勢に持っていく。高田さん御承知のように、麦にとって一番コストの高くかかっておるのは労賃であります。従って、そういうものについては、何らかここに特殊な技術の発展によりまして、生産費を下げる一つの指導を行ないつつ、しかも自由に需要に見合った形にこれを持っていきたい、そうして価格を今までのように違った形でなく、実際の取引においても、また当然直接に取引しても差しつかえない程度にまで持っていくことが農政の考えなくちゃならぬ点であるということが今度の改正の重要点であります。
  33. 高田富之

    高田富之委員 この麦類は、食管から小麦も大麦も裸麦も全部はずして別の価格の体系に持っていくわけであります。しかしこの買い上げの方法については、大麦、裸麦を分けたということでありまして、この大麦、裸麦の方は需要が特に減退しているというようなお話でございます。ただ問題は、大麦、裸麦が手持ちが多くなってきた、売り上げが少なくなってきているというのですけれども、今までの政府の買い上げ数量と政府が実際に売った、売れている数量というものを見ますと、買上数量よりは売上数量の方が多かった。ただ三十五年度は買上数量よりも売上数量の方が若干下回る見込みだというようなことでございます。そういう傾向にあることはわかりますけれども、一年ぐらいそういうことになったからといって、すぱっとこれを切り落とす。それはさっき私が申し上げたことなんですよ。安心していると、一ぺんにすぱっと来る。これが私は一番いかぬと思う。この前の繭の問題なんかのときも、大へんえらいことをやったのですが、十九万円を維持する、維持するといって、すぱっとおっことしてしまう。ああいうふうに、維持するよと言っておきながら、すぱっとやっていくのが一番いかぬ。こういう制度にして保護しておいて、これからこういうふうにするというときには、相当期間予告をして、その間に準備体制をいろいろ指導するという期間がないといけないと思うのです。たった一年、内地の大麦、裸麦については買い上げたものよりも売り上げた方が少なかったというわけでしょう。それまではそういうことじゃないのです。問題は輸入ですが、今度は国内麦で余ってしまうから入れないのはあたりまえだと思うのですけれども、今まではずっとやはり輸入をやってきていますね。ここへきて相当膨大な在庫ができたということは、これは政府が悪いと私は思う。そういう見通し傾向はわかるわけですから、輸入の減らし方をもっと減らしたらよかったんじゃないですか。そういうことをしませんと、だんだん残りが多くなってしまう。一年くらいでそういう傾向が出たから、急にこれを買上制限をするのだ、作付転換をやれ、これはあまり乱暴じゃないか。それで、さっきのお話にまた戻るわけですが、転換しろとおっしゃいますけれども、何に転換するか、これこそ米の問題とは違いまして、いよいよ現実の問題になってきたわけですね。何に転換するか、大臣提案理由の説明によりますと、小麦、飼料作物、菜種、てん菜というようなことになっておるようでございます。時間の関係もありますから、大臣に端的に伺います。大麦、裸麦の転換の方から先にお伺いします。面積にしてどれだけ他作物に転換させようという御計画であるか、これが第一点。それから、どれだけやめさせたいという、その面積は何からそういう数字が出てきたか。そしてそれをあなたの提案理由の説明には四種類か五種類の名前がちゃんとあげてあるのですが、何におおむねどれくらい転換できるだろうかというくらいのことはお考えになっていると思うのですが、その転換についての御計画のあらましを御説明願いたい。
  34. 周東英雄

    周東国務大臣 転換は大体初年度三十六年度には十二万町歩ほど転換する。それから三十七年度に八万町歩、それから三十八年度に六万町歩であったと思います。大体そういうふうな計画であります。  内容の、小麦、てん菜、菜種等に関する種類別反別につきましては、事務の方からお答えさせます。
  35. 昌谷孝

    昌谷政府委員 大・裸麦から転換いたします作物につきましては、それぞれの生産地におきます在来の生産事情、特に大・裸麦の生産費等の事情も地域によって区々でございますので、一律にどうのこうのというふうに運ぶべきではないと思います。一応きわめて客観的に将来の転換の可能性等を考えまして、現在検討しております土台にあります計画は、先ほど大臣がおっしゃいましたように、三十七年産が十二万町歩、三十八年産が八万町歩、三十九年産が六万町歩というふうな転換を一応めどとして検討いたしております。  なお、初年度の十二万町歩が何になるかという点につきましては、先ほど申しましたように、地域の実態によってこれからきまっていくわけでありますが、一応のめどは、小麦を四万町歩、菜種に三万町歩、飼料作物に二万町歩、果樹その他に約三万町歩といった程度を予定をして目下検討をいたしております。
  36. 高田富之

    高田富之委員 そうすると、一番多いのは小麦、こういうことでございます。問題は、小麦も食管からはずして、そしてパリティの制約を受けない価格操作ができるところへ移してしまう、こういうことは、今までならばまだしも、小麦についてはパリティの計算によって価格支持があるのだということが一つあるわけでございますが、これが取り払われてしまう小麦に一番多く転換をさせようということは、一体どういうことなんですか。今まででも反当労働報酬を見ましても、大麦よりも小麦の方が低いのです。今まででも低かったのですが、これをさらに今度価格を低くする体制をおとりになって、不安定なものになっておるそういうところへかえさせるということは、一体これはどういうことか。この間大内参考人の公聴会のときのお話によりますと、小麦にかえるというのは全然逆だという御意見を述べておられます。パン用の小麦なんというものは日本でなかなかできないし、価格においてもとてもそれは追いつけるものじゃありませんし、輸入はどんどんふえるし、これは全然将来性がない、むしろ小麦をやめて大麦にかわれ、大麦の飼料化をはかったらどうか、こういう御意見を公述人が述べておられるのですが、いずれにしましても、小麦にかえるというからには、小麦に対する体制というものは磐石のものにして、魅力あるものにして、そしてそちらへ指導しなければ、小麦にかえたのはいいけれども、いや、まだだめだ、今度は何にかえるか、こういうことになる。小麦にかわれということを、私はそういう点で非常に不親切もはなはだしいと思う。あなたはなぜ小麦にそんなに重点的に転換させようとお考えになるのか、その理由をお聞かせ願いたい。
  37. 周東英雄

    周東国務大臣 この点は高田さんは御承知だと思うのですが、今外国から小麦を二百万トンも入れておるわけであります。しかもあなたは今公述人のお話をお話しになりましたが、なるほどハードの小麦はなかなか品種改良が——これでも日本はかって品種改良に成功して、これからというときにいわゆる世界戦争が起きたもんですから、ごちゃごちゃになったのですが、これも見込みがないことはないのです。あきらめるのは早いと思いますが、しかし、その前にソフトの小麦が八十万トンもその中に入っている。これは当然日本ではできるのですから、そういう問題、輸入農作物を国産化していくということは、外貨支払いを節約し、農家手取りをふやすということになるのじゃなかろうか。これは一つの農政の新しい行き方だと考えて転作を考えたわけです。それにつきまして、今御指摘の点で小麦を転換させるならば、食管会計に残しておいたらどうかという点であります。この点はよく私ども御意見を承っておきます。かりに形として麦類ということを一貫して変えましても、運用上それはいろいろ処置ができる、こう考えて一応移してはありますが、御指摘のように、小麦の転作、ことに輸入を防遏するという立場からいえば、これに対する処置はなおさら運用上は慎重にやるべきであるというお説には、私は同感であります。
  38. 高田富之

    高田富之委員 大臣はただいま非常に大事なことをおっしゃられると思うのです。小麦は不必要に輸入に依存している部分がある。めん用の部分が相当ある。こういうものは日本のものでやれるじゃないか、だから外貨を節約するためにはますます増産するのだ、こうおっしゃる。私は大賛成なんです。だから小麦の生産をどんどん伸ばすべきだと思う。選択的拡大の中に小麦を入れていただきたい。小麦を選択的拡大の中にどうして入れなかったのですか。
  39. 周東英雄

    周東国務大臣 もちろんこれは考えていきたいと私は思っております。それにつきましてはただいま時間がありませんから簡潔に略したのですけれども、これはハード、ソフトともにもう少し試験研究というものをしっかりやらせたいと思います。ことしはその方の経費も一部考えておりますが、これと相待って年次的に多少時間がかかりましても、小麦の国産化というものについては十分考えていきたいと思います。
  40. 高田富之

    高田富之委員 品種改良その他いろいろやらなければならぬことはたくさんあると思うのです、もしそうなれば。それには今おっしゃる通り相当時間もかかり、経費もかかり、本腰を入れて取り組まなければならぬ。何しろアメリカから来る小麦なんかと比べたら問題にならない生産性の低さでありますから。品種においてもそうでしょう。大いに転換しなければならぬ。そういう重大な問題をかかえておるときに、これから増産をさせる、輸入防遏の態勢でいくというときに、食管からはずして、そうして国際価格にさや寄せをしていくようなことをお考えになったのでは、これはとても増産どころじゃないでしょう。おそらくこれは大内先生が心配される通り日本の小麦は洗いざらい流されてしまう。どうしてそういう逆行する政策をあなたはおとりになるのですか。食管のことは考えてもいいとあなたはさっきおっしゃいましたが、考えてもいいというところをもう一歩進めていただいて、小麦については現行の米と同じに扱う、絶対に管理やり方を変えない、大麦、裸麦とは別だ、米と一緒に扱うのだ、食管からはずさぬということを一つ御言明いただきたい。
  41. 周東英雄

    周東国務大臣 この点はただいま申しましたように、食管の中からはずして別個の臨時特例法ができたにいたしましても、これは運用上十分に考えられることであります。麦というものを考えたときに、大麦、裸麦は別な法律で、小麦だけ別な法律という形でなくて、一本にして、これは小麦については運用の上において十分考えていったらいいのじゃなかろうか、こういう考えで進めておるのでありまして、あなたのお話しのように、小麦というものは、これはうんと安くして国際価格に近寄せるというようなことは私は考えておらぬのです。むしろこれを増産を奨励していって国産化する以上は、これに対する保護を実は考えております。ただしそれは食管法によっていくか臨時特例法によっていくか、これは十分に考えられる余地があるので、一本にしていったらというのがただいままでの考え方でありますが、まだ法案を今準備中でありまして、よく研究はいたします。
  42. 高田富之

    高田富之委員 これは全国の麦作農民の要望でございます。各農業団体においても、県庁においてもそうだろうと思うのですが、転換させるとしても小麦に転換するのは一番やさしい、ですから何とか小麦に転換させればある程度転換させられるのではないか。しかし今のやり方では困る、どうしても輸入を防遏して、国産でやっていくという政府の大きな腹がまえとその対策がなければいかぬというのが、全国農民の声です。あなたのところへも陳情に行っていると思うのですが、食管からはずしてはいかぬということを強く要求しております。ですからこれは食管からはずさないように——検討するということでございますが、ぜひそういう方向で検討してやっていってもらいたい。  ついでにこの際お伺いしておきますが、そういうふうに外国の輸入のために、需要はあるけれども、国産で間に合わぬからということが理由で、大麦、裸麦とは別に小麦についてはやるのだ、輸入防遏の方向でだんだんに国産で間に合わせるように伸ばすのだと、こうおっしゃるならば大豆は一体どうなんですか。大豆について自由化したというのは、これは一体どういうわけですか。
  43. 周東英雄

    周東国務大臣 これは片一方国産に対しまして、やはり小麦と同じように今度はかなり大きく品種改良その他生産合理化に対する予算的な措置も講じるとともに、今日自由化した場合において、外国から入ってくる大豆の価格に押しつぶされないような保護考えて処置をする、こういう考えであります。何しろ今日、日本の国産大豆は、品質の上においても分量においても非常に少ない。これは何としても輸入に仰がなければ、今日国内の需要にマッチしないということは、あなたも十分御承知だと思う。その行き方といたしましては、一面消費者の面もあります。そこで必要量に対して、これを輸入に仰ぐということは、私は国の経済を立てる上に必要なことであると思います。だから問題は、自由化いたしましても国産の奨励をいたす政策と矛盾せぬように、一つ保護政策を立て、また生産合理化によってコストを下げ、品質及び反当収量を上げる施策と相待たなければ、何ぼ理論的によくたって間に合いません。しかしかなりこれは反当収量を上げる方策なり品質の改良というものが進んで参りますれば、相当に国内においても作ると思うのであります。それが証拠に今日反当から上がる間輪作物としての手取りが少ないためになかなか作らない現状であります。そこで品種改良もできていないというような形でございますから、この点については十分品種改良その他生産合理化に対する措置をとりつつ、一方不足なために必要量が輸入されるとしても、それがために国内大豆生産農家が悪影響を受けないような処置は十分に今度の予算措置によって考えていかれると私は考えております。
  44. 高田富之

    高田富之委員 おっしゃる通り、大豆を作っても収入が少ないからということをおっしゃるのですが、そういうときにこれを自由化すれば値段は下がるにきまっているのであって、ますます少なくなってしまう。だからさっきから私が申し上げるように、増産したいならば、価格支持をして安定をさして、その安定させた中で、技術の指導なり、機械化なり何でもどんどん政府が指導してやらせれば上がりますよ。けれどもそういうものをはずしていけば今度はつぶれてしまうじゃないですか。これはあなたの言うことは麦の場合と矛盾しているのです。小麦はこれから大いに増産する、外国の輸入をだんだん少なくするのだ、だから価格も下げないでやっていく、買い入れも無制限にやる、こう言っておきながら、今度大豆になったら同じような立場にあるのに、合理化するために、それについては自由化してしまうという。全然これは矛盾しているじゃありませんか。私は率直にお聞きしたいと思いますが、要するに大豆についてもあなたのおっしゃるようにほんとうは国産大豆を大いに奨励をして、そうしてどんどん生産を増強をしていきたいのだが、何しろ外国からの要請が強い、外国からの要請が強いという重大なことをあなたは御答弁の中から漏らしてしまっている。そうでしょう。貿易自由化をどんな順序でやっていくかということをあなた方が御検討をなすったときに、一番弱い部類に入っている。これはもう貿易が自由化されたらだめになるぞというイの一番に入っているのです。そういうものからまっ先に自由化したということは、これは何と言ったって輸出国側の強い要請、しかもそれは今後のいろいろな鉱工業方面の貿易とか、全体の関連において農業は目をつぶってもらわなければならぬということなんでしょう。どうなんですか、そこを一つはっきりしておいて下さい。
  45. 周東英雄

    周東国務大臣 だいぶいろいろ疑ってお考えになるけれども、私はそうは思わない。大豆につきましては、相当国が今後品種の改良並びに反当収量の増というような問題について手を入れなければ、これは自由化とかというものがあろうがなかろうが、あなたがそう言われるように、簡単には増加していかないと思うのです。ここに私は大事な点があると思う。そこで反当収量の増と品質の改良ということによって、国際競争力をつける。これは必要がある。だが今日数量的に国産大豆では間に合わぬ。そういうものについて自由化をいたしましても、それに対して対策が立てば、私は自由化してもいいと思うのです。その対策として、国内における試験研究、合理化に対する処置を進めるとともに、現在の安いものが入ってくるのに対して、その差額といいますか差損の額は国からこれを補助して、そうして損をかけないようにしようということです。これは行き方は何も一つだけじゃないと私は思います。
  46. 高田富之

    高田富之委員 まあ詳細なことは農林委員会でお聞きすることにしますが、あなたそうはおっしゃるけれども、自由化するということだけで、もうすでに大豆の値段が昨年あたりから相当暴落をしている。これからあなた方が支持しようとする価格にしましても、これは今までの方法でやった場合よりもはるかに値段が下がってくるというようなこと、これはもう明らかなんでありまして、何と言ったって、自由化して値が上がるなんということはありっこないのです。これは生産費が格段の開きがあるのでありまして、値を下げる。とうていこれは保護も何もできませんから、これは非常な打撃を受けます。  そこで、この際、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、自由化の問題については、つい最近、西欧十カ国がIMF八条国に入りまして、その関係で、わが国だけがいつまでも残っているわけにいかぬということから、自由化計画について、今まで三年間ぐらいの目安をつけまして御準備であったんでしょうけれども、さらにこれを一そう早めなければならなくなったということで、これはまた非常に大きな問題だろうと思うのであります。大臣としましては、貿易・為替自由化の今後の進め方等について、こういう四囲の情勢から、ただいまのところどういう御計画をお持ちでございますか。
  47. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 西欧諸国が今度十カ国、八条国に移行しましたが、八条国に移行しても、各国の輸入制限というものについては、これはそのまま置かれて別問題になりますので、そうしますというと、その点に関しては、八条国に西欧諸国がそろって移行しても、さしあたり別に特別の影響というものはございません。ただ、国際収支もよくなって、日本相当外貨を持っておるのですから、これを理由とする為替制限というものをいつまで日本が持っていることができるかどうかというような問題は、当然今後の趨勢として起こってきますので、日本に対するそういう点の自由化要請というものは強まろうと思いますが、一応西欧諸国が八条国に移行しても、今まで持っている輸入についての制限というようなものは別問題ですから、これをすぐとるという状態にはならないじゃないかと思っています。そうしますというと、この面においても、日本は、農産物というのは御承知のように特殊なものでございますから、これは自由化を迫られてもそう簡単にやれませんし、従って今政府の立てている農産物についてのプログラムというようなものは、事実上そう急いでやるわけには参らないと思いますので、そのほかの部分において急ぐべきものはやはり急ぐことがいいというふうには考えていますが、さしあたり大きい影響はないだろうと思っています。
  48. 高田富之

    高田富之委員 農林大臣は、農林水産物の貿易の自由化について——まあただいま大蔵大臣のお話では、ある程度ほかのものとは多少違った考え方ということでございますけれども、といって圏外に立っているわけではない。今度の基本法をお出しになるもとになった調査会あたりの御議論なんかを見ましても、やはりこれが一つの前提になっております。今おとりになっておる価格政策も、今すぐやるやらぬは別として、やはり自由化というものを前提にしておやりになっていることは、私は間違いないと思うのです。そういう点から見て、こういう四囲の情勢の中で、農林水産物についての貿易自由化について大体の御計画、何年先くらいにどの程度今までよりもふえていく、おもなものではどんなものが入るだろうというようなことのお考えの範囲を一つ御説明いただきたい。
  49. 周東英雄

    周東国務大臣 こまかい品目別の問題について御要望があれば、事務の方から答弁させますが、農産物につきましては、自由化計画に基づきまして、今日まで大体四九%くらいはもう済んでおります。これはむしろ日本の国内に入りまして一般大衆に好影響を与えるようなものばかりでございます。従って、今後の問題としては、大体において、大豆の自由化というものは御指摘のように近く行なわれると思いますが、その他の問題は、米麦はもとよりのこと、酪農製品、畜産物というようなものにつきましても、これは当分やらない、こういう考え方でおります。家畜の輸入等にも関係がございますから、そういう問題についても今考えておりません。大体広い意味における農産物といわれる中で、羊毛とか綿花というようなものは、近く自由化になると思います。そうすると、大体六九%くらいのものが自由化されることになります。他は当分実行に移されないと思います。
  50. 高田富之

    高田富之委員 まあこまかいことまではお伺いしている時間がありませんが、いずれにしましても、今私が自由化のことを申し上げましたのは、すでに大豆という一番脆弱なもの、競争に耐え得ないもの、その部類に入る大豆がまっ先にやられている。こういうことからしまして、今後の農産物の自由化につきましては、必ずしもこれは競争力がついてきたからやる、こういうのんびりしたことは言っていられない。おそらく輸出国側の要請がありますから、そうなりますと、輸出国側の要請の一番強いものは何であろうかというところから逆にわれわれは考えて、一番初めにあれがくるんじゃないか、次にあれがくるんじゃないかというふうに考えざるを得ないくらいなんです。そういうふうな点からいきましても、私は、やはり小麦でありますとかあるいは飼料作物でありますとか、相当過剰生産を外国でかかえているものはあぶないのじゃないかという気持がするのであります。大豆さえお断わりができなかったのですから、もし他のものでちょっと待ったと言いたいようなものでも、強く要請がありますというと、これはやはりすぱっと自由化だ。ですから、そういうときにあわてないように、今から自由化に備えたような価格の引き下げをだんだんやっていって、転換させるものは転換させていくというふうな、価格面からいやでも転換しなければならないように手を打っているのじゃないかと思うのです。今度の麦の転換ですが、転換と言ったって、なかなかそれは簡単に転換できませんよ。実際現地では、何に転換するのだと言ったら、何に転換したらいいかわからない。これはほんとうなんです。転換していいものがあれば、今までにとっくに転換しています。小麦なんか合わなくて、小麦を作らないで、日雇いに行っている。裏作を放棄してみんな日雇いに行っているのです。麦なんか一日中働いて二百円になるかならないかです。それよりも土方にでも行った方が幾らかましというようなことで、裏作を放棄してかせぎに出ているというのが現状なんですね。そのために兼業農家がふえるわけです。まあ構造政策では、そういう兼業農家をたくさんお作りになるような計画のようでございますけれども、現にそういうふうなことになっているような実情でございます。それで、これを無理に何かに転換させようといったって、強制力を発動するわけには参りません。まだ法案が出ていないからどうということはありませんけれども予算には出ているのですからお聞きするわけです。転換させるために買上制限をやる。買上制限から漏れると、いやでも転換せざるを得ない窮地に陥る、こういう方法で転換をさせるよりほかに、今として、実際に御計画がだいぶ大きいのですから——二十六万町歩も三年間でやろうという、これは大へんな量です。商品化されている部分で言えば何割に当たりますか。三十七万町歩くらいのところを二十六万町歩、半分以上、七割も転換させることにならないとも限らない、そういうことをおやりになろうといったって、なかなかこれはおいそれとできるものではありません。ことし十二万町歩と予算に組んでみたところで、実際にそういう転換計画が立ちますか。何に転換していいかわかりはしない。とてもこれは立たないのです。結局これを転換させようとすれば、買い上げを制限してやるよりしようがない。そういう方法でおやりになるお考えではないのですか、大臣
  51. 周東英雄

    周東国務大臣 いろいろ御心配をいただいて恐縮でありますが、私どもはそういうふうな権道を用いるつもりではございません。あくまで将来における農家所得の引き上げ、しかもそれは恒久的にと申しましては少し先の長いことですが、長きにわたって計画を立てて所得を上げるということをやる以上は、その転換される作物について十分考慮していかなければならぬと思います。従ってそういうふうな問題に対して、御指摘のようにむずかしさはあると思います。ここにあるものをそっちへ持っていくというように簡単にはいきませんが、転換することが農家にとって将来に向かっては非常に利益であるということをよく理解させねばならぬと思うのです。今度農業基本法等ができるといたしましても、これらの転換政策というようなことは十分に農家に理解させる方向をとりつつ、そうして転作を進めていきたい、こう考えております。何もあなたの御指摘のように、非常に容易に簡単にというような安易な気持は持っておりませんけれども、あくまで考え方としては、将来に向かっての農家の利益になるようにするためには、その方がよろしい、目の先とにかく作っておれば国家が買い上げてくれるというような安易な気持でなくて、農家も実際の需給状態なり経済の状態を知っていただいて、ともに将来の利益のある方向へ持っていきたいというのが私の考えであります。
  52. 高田富之

    高田富之委員 本年度予算に組まれております転作奨励金、反当二千五百円ですが、この反当二千五百円を、十二万町歩の予定でございましょうが、どういうふうにして年内にお支払いになるのですか。もし転換計画がそういうふうに立たなければ払わないのですか。
  53. 周東英雄

    周東国務大臣 事務局の方から御説明をいたさせます。
  54. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 来年度十二万町歩の予定をもちまして、反当二千五百円の転換奨励金を予算に計上いたしております。この実際の出し方等につきましては、いずれ法律で十分御検討いただくわけでございますが、私ども考えておりますのは、今回の大、裸麦の対策は、需要がここ数年急激に減って参っておりまして、どうしてもこの状態を続けますと、近い将来には大、裸麦の需給の不つり合いというものが非常に大きくなって参る、それで需要が減退をいたしておりますから、それに合わせまして生産を減らす、ほかのものに転換をしていただくということが前提とならなければならぬというふうに考えておるわけであります。それで今回の転換奨励金の交付の仕方も、国としても全体の大きな転換の目安を立てまして、これを府県、市町村等の段階を通じまして十分行政指導をしていく、それに合わせまして奨励金を出して参るというような考え方で、目下検討いたしておる段階であります。
  55. 高田富之

    高田富之委員 もうすでにこの間新聞にも発表されておるのですが、買上数量を府県別に割当をする、こういうことなんですね。そうしますと、買い上げから漏れた部分は、いやでも転換せざるを得ない方にいくと思うのです。ですから上から割り当てる基準は、今まで検査を受けた実績といいますか、そういったものを基準にいたしまして、按分比例的にずっと各府県別に割り当てる、府県はまたそれを市町村別に割り当てる、市町村はまた個人別に割り当てていくというふうになって、個人別にどうしてもそれでは幾らか転換せざるを得まい、こうなっていくんだというふうに受け取れるような御発表なんです。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  56. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 大麦、裸麦につきましては、現在私どもの方で考えておりまする考え方は、制限買い入れ方法をとって参りたいと思っておるわけでございます。それで制限買い入れという考え方は、大体これから先の大麦、裸麦のいわゆる精麦として使われまする需要見通し等、いろいろ過去の実績なりあるいはこれからの消費の動向等、いろいろな資料で勘案いたしまして見当をつけて参るわけでございます。それに見合いまして、政府買い上げをして参るという考え方であります。従いまして、制限買い入れという方法になりますと、どうしても割当という手続を伴わなければうまく参らないわけでございます。これにつきましてはいずれ具体的な考え方を法案御審議の際に十分詳しく申し述べるつもりでございますが、私どもその手続を踏みます場合におきましても、事前に地方の状況等を十分聞き取りまして、転換をして参ります度合いなり、また地方でそれぞれの生産事情がございますから、そういう点も前広に聞き取りまして、実際の扱いにいろいろ問題の起きないように十分注意して参りたい、かように考えております。
  57. 高田富之

    高田富之委員 法案のときに、法案のときにといって、お逃げになるのはいけないと思うのです。この予算にちゃんと出ておりますから、どういう使い方をするかということは重大なんです。それで本年度の買い上げの割当を上からいたします。それから明年度の割当もことしの秋かにやりますね。その差額、それだけ減ったのですから、その差額を減反したものとみなして、差額に対して二千五百円を払うのでしょう。今年度の買上割当ともっと減る来年度の買上割当との開きに対して、これを反別に換算いたしまして、反当二千五百円の割合でこの金を配ろうというのでしょう。どうなんですか。
  58. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 本年度の割当につきましては、三十六年産の大、裸麦につきましても割当による買い入れをするという建前をとって参りたいと思っております。三十六年産は私から申し上げるまでもなく、もう去年の秋にまきつけをいたしたものでございまして、当時私どもの方でもある程度の行政指導はいたしたわけでございますが、必ずしも全部の農家に十分徹底しておるというわけでもないわけでございます。それで三十六年産の大、裸麦の買い上げにつきましては、その辺の事情を十分考えまして、実際に農家が迷惑をいたしませんように、買い入れ数量につきましては過去の買い入れ数量、それからことしの実際の生産事情、そういうようなものを十分に勘案をいたしまして、適正にきめて参りたいと思っております。三十七年産はことしの夏ごろから十分準備をいたしまして、とれからの需要見通し等をいろいろ積み上げまして、具体的な検討を進めて参るわけであります。三十六年産の買い入れ数量、三十七年産に予定いたしまする買い入れ数量、そういったようなものが、実際に生産を調整いたしまする数量の目安となって参る場合は、十分考えられるわけでございます。そういう場合におきましては、ただいま御指摘がありましたように、そういうような点も十分参酌をいたしまして、転換奨励金の交付の方法を検討して参りたいと思います。
  59. 高田富之

    高田富之委員 一番大事なところなんです。これは大臣からお答え願いたいと思うのですが、つまり今の御説明も大体そういう意味なんです。私が今申しましたように、割当をしますね、来年度の割当をことしやるわけですね。その割当量の減った割合について、各府県別に割り振って、反当二千五百円をやるわけなんですよ。だから要するにこれは下から転換計画を立ててこい、うまい転換ができたらそいつは奨励金、そんなことをいったらいつになってもわからぬということが前提になっているのです。だから手っとり早く減反させるには、上から割り当ててしまうほかにないのですね。二千五百円をやるのは、割当額の差額に対してやるわけです。ほんとうに転換するからここへやるというやり方じゃないのですよ。そういうとんでもないことにこの金を使う。これでは実際に転換しなくても金をもらう人があるでしょう。転換してももらえない人もできるでしょう。第一上から押しつけて、実際上転換せざるを得ないところに追い込んでいって転換させるというような方法大臣はおとりになるのですか。
  60. 周東英雄

    周東国務大臣 押しつけてという言葉を使われると非常に恐縮ですが、指導をなしつつ転換したものに対して反当二千五百円ずつ出す。これが方針なんです。この実行方法につきましては、ただいま法案の制定に関連して慎重に考慮をいたしておるわけであります。
  61. 高田富之

    高田富之委員 とにかくもう方針はきめてしまってあるのです。予算も組んでしまってある。ところが金の出し方になりますと、これは桑や何かの場合は、この前、今の須賀さんが蚕糸局長のときにおやりになったわけですが、桑を抜け、どうも不景気でしょうがない、斜陽産業だから桑を抜けというわけで、これも急転直下なんです。大体これは一貫した農政の特徴ですね。きのうまでは十九万円堅持、買い上げますよ、そうかと思うと、今度は種をすぱっと配給しなくなっちゃった。今度は桑を抜け、抜けば反当奨励金を出す、こういうことをおやりになったのですが、またその方がこの方を担当されるのでは、これははなはだ心配なんですね。いずれにしましても、桑ならば抜いてそこへ置いておいたのを見に行くからわかるのです。なるほどこれは抜いた、それでは反当幾らの奨励金をやる、これはできますが、麦じゃわかりませんよ。作ったって、これは自家用に作っているのだからいいじゃないか。やろうと思えばいつでも植えられるのですからね。この夏あたりにおきめになるといったって、夏あたりじゃ植えるか植えないかわかりはしませんよ。そういうようなことで、ほんとうに転換計画を下から立てさせて、これならば大丈夫ですよという指導をして、必要な資金を出し、施設を出し——そういうような計画がずっと二十何万町歩ですから、大へんですから、そういうことをやって、それまでは価格支持をしておいてやれというのが、農民の要求なんです。当然の要求だと思うのですよ。農民だって転換をしたいのです。米麦にいつまでもこだわりたくない、特に麦にいつまでもこだわりたくないのですけれども、それを親切な指導をし、それだけの態勢を整えないで、いきなり割当でもって上からやるのです。桑のときだって割当なんです。桑のときはこんなひどい割当はしなかったのですけれども、奨励みたいなことを天下りにぱっとやってきたから、これはだめだろうというのでみな抜いた。抜いて何をやったか、陸田にでもなれた人はいいのです。さっきもお話の通り米が一番いいのですから、陸田にでも転換した人は上々の部なんです。大部分の人は何をやっていいかわからなかった。それで野菜を始めたらただになった。繭の方はどんどんいい値になってしまった。ごらんなさい、あのとき抜かなかった者は非常によかった。政府の言う通りにした者は政府を恨んでますよ。またその手じゃないですか。この間本会議でわが党の中澤君が言いましたけれども政府の言う逆をやっていれば間違いないということが通り相場になっちゃって、抜けと言ったら植える、植えろと言ったら抜く、そうやれば間違いなかろう、そのぐらい不信用を買っちゃっているのですから、よほど慎重におやりにならないとだめなんです。  そこでそういうようなことをやるのですが、これは一つ大臣農民の気持になって考えて下さい。かつて食糧が足らなかったとき、どうですか、強権発動をやるの何のといって、割当を上からやっている。これも割当だ、これは買う方の割当ですね。そしてありもしないものを買おうとしたのですよ。飯米まで出しちゃった。それでも足らなくてやみで買ってきて供出した。やみで買う金がないと不供出罪で裁判所に引っぱられたのじゃないですか。今度は逆なんだ。やめさせる方の割当ですよ。そういうとんでもない暴政が農村には加えられてきておるのです。だから青年がどんどん農村を逃げ出してしまう。これがすなわち首切りなんです。農民の首切り政策と批評されるのはそこなんです。もうあまり時間がなくなってしまったのですが、どうか一つこの転換につきましては天下り転換方式はやめて、そうして下からの転換計画が十分立ち、それの指導ができ、態勢ができるまでは精力的にそれをやるべきだと思います。絶対に上からの買上制限による割当、転換、こういうことはおやめになっていただきたい。私は強くこのことを要請いたしますが、それに対する御回答を一つここでいただきたい。
  62. 周東英雄

    周東国務大臣 非常に御心配の点はわかります。しかし先ほど事務当局から申し上げましたように、三十六年の五月にとれるものはすでに去年作付けしておる。問題は三十七年にとれる、ことしの夏秋にまかれる問題ですから、これに対しては十分農家の理解を得つつ指導もいたし、そうして転換を進める、すなわち私が先ほど申しましたように、現在の目先の問題でなくて、農家として将来の問題を考えつつどうしたらいいかということで私ども考えを進めておるのであり、農家にはその事柄をよく理解してもらって、その上に立って作付け転換をさせるように私は努力をいたしていきたいと思います。
  63. 高田富之

    高田富之委員 時間もぼつぼつ迫って参りましたので、大蔵大臣にお伺いします。  これは議論をしていればきりがありませんが、転換するにしましても、これは相当金が要るわけなのです。その方面にも幾らか予算にも顔を出しておるものもございます。合理化資金の問題と、それから自作農維持資金の問題がございますが、この自作農維持資金につきましては前にもちょっと御説明があったかと思いますが、総ワクとしては百三十億が百六十億になったのですか、ふえております。また一戸当たり貸し出しの限度も二十万円から三十万円にふえているのですが、この運用の仕方が、今までの自作農創設維持資金というものは、名前がいっております通り、零細なる自作農が脱落していくのを防止するという建前で、零細農を保護していくということから作った制度であり、今までの使用の内容を見ましても、病気をしたとか、災害にあったとか、いろいろなことで、非常に額は少な過ぎちゃったんですけれども、それにしましても、ともかくある程度そういう趣旨で役立ってきたものでございます。ところが今度は運用の方針を変えろというようなことを、そうして基本法の精神にのっとりまして、いわゆる自立経営を作っていくんだ、経営拡大をして自立経営を作っていくんだということの方へ使わなければいかぬというふうなことを大蔵省が強く主張されておるということでございますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  64. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 大体そうでございます。
  65. 高田富之

    高田富之委員 その通りですね。
  66. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そうです。
  67. 高田富之

    高田富之委員 大臣はその通りだと率直にお答えになっております。自作農維持資金は、この前が百三十億円、今度は百六十億円です。三十億ふえているんです。しかし中身は——もっとも提案理由の御説明の中にもあったかと思いますが、今年は百億円を経営拡大資金の方へ持っていく、こういうことでございます。ところが今まではどんなことであったかというと、去年あたりはちょっとここでわかりませんけれども、つい最近のあれを見ますと、病気、災害で七三%、自作地の拡張が一三%、小作地を購入した、小作人が買ったやつが一四%、こういうことなんですね。ですから、大部分の七、八割というものは、これで零細農が助けられているわけですよ。戸数にしては少ないですけれども、二カ年で五万五千戸ぐらいですね、一年間で二万戸ぐらい、こういうことなんですが、今度は、これはまるっきり変わっちゃって、今大臣が率直に御答弁になった通り基本法にいう構造改善の政策に準拠した扱いにしていく、自立経営を作るために大きい方へ貸してやるのであって、今までのような使い方をしない、こういうことになってしまったのですが、これでも零細農の首切りといわれるのは、そうじゃないとあなたは言われますか、どうなんですか、こういう方法でいいんですか。
  68. 周東英雄

    周東国務大臣 ただいま大蔵大臣が御答弁いたしましたのは、方針としてそう決定しておる。しかしこの相互の関係においては、彼此融通ができるのであります。具体的な必要、要求に応じてその間の関係は十分考慮して差しつかえないと思います。
  69. 高田富之

    高田富之委員 そういういいかげんな、でたらめな、彼此融通できるからいいというようなことでは、これは大蔵大臣が承知しません、そんなことを言ったら、大蔵大臣が承知しません。  これは金融公庫の月報でございまして、その中に業務報告を載せておるのであります。これを見ますと、農林省の要求百七十八億に対して百六十億円が認められた。三十億円増加になった。しかしこれは大蔵省から運用上次のような注文がついているので、農林省としても、公庫としても今後折衝を要する問題がある。一つは貸付の対象農家はできるだけ下層をしぼり、——下層をしぼりですよ、上層を拡大すること。それから貸付限度を二十万から三十万に上げる。それから経営拡大資金を百億、相続、維持資金を六十億、カッコして、農業基本法案の趣旨から、こうなっておる。こういうことでありまして、これは非常にはっきりしている。ですから、大蔵省からこういう運用上の注文がついておる。これを了承してあなたは百六十億が使えるということになったわけでしょう。だから、彼此融通してごまかしちゃうから、それで取るだけ取っておいて、あとはごまかして使う、こういうことなんですか。
  70. 周東英雄

    周東国務大臣 どうも言葉が荒っぽいんで、あるいは追い出すとか、ごまかしてとかいう話ですが、そうじゃないです。一応の方針はそうしてあるけれども、そこの間は具体的の事例によって必要が起これば、それは彼此融通することができるということに話をしておるわけです。その通りを申し上げたので、言葉が少しどうも荒っぽいと恐縮いたしますので、どうか……。
  71. 高田富之

    高田富之委員 それでは合理化資金の方、これは三百億ということなんで、利子補給をいたしまして三百億系統資金を使うということでございます。これもちょっと数字を見ますとなかなか魅力的に感ずるのでございますが、これは個人貸付の限度が二百万円、そうして三年据え置き、七年間で返還で、七・五%で貸す、こういうことになるわけです。これには今までの改良資金制度や有畜農家創設制度などがみな統合されるわけですね。問題は、ちょっと魅力的なようにこれは出されております。これは麦の転換にもこの中から使うのだとか、有畜農家を作るにも使うのだとか、どこにもこれを使う、これを使うと万能薬みたいに出てくるのですけれども、与党の委員さんも非常に心配しておられて、大臣に御質問があったようですけれども、七分五厘の利息で七年で返す、限度二百万円というのは、これは相当借りられるのですね。こういうことなんですが、これはおそらく、今の自作農資金の運用方法じゃありませんが、大規模の需要に充てるというためのものに当然なると思います。自立農家育成といったような方面でかなり有力な農家でなければこれは借りられないのじゃないか、この三百億ではたしてどのくらいのことをやれるか、どういうねらいで、大口需要平均一口当たりどのくらいのものを予定しておるのですか。
  72. 周東英雄

    周東国務大臣 平均といえば、ただいまあなたが御指摘のように、二百万円までは貸せるということであります。問題は、これは新しい試みでありますが、あくまでも農村にある農林漁業協同信用組合、いわゆる系統金融機関の金がたくさん集まっておりながら、また共同機関ということで呼号しておるにもかかわらず、その金が農村に還元されておらない実情にかんがみまして、これを有効に使おう、しかし将来はあくまでもこの金について自治的にも金利の低下をはかるように進めるのですが、経過的に、とにかく利子補給をして農村に使わせようという意図を持って立ち上がったわけであります。これはまあ社会党さんの方にも大いに賛成していただいておるわけで、あなたの方の法案にも入っておるようですが、私どもは、初めての試みでありますが、これはかなり広い部門に考えておりますので、決して高田さんの御指摘のように、大規模農業、大きなものだけに貸して小さなものには貸さないというような内容は考えておりません。私どもはむしろ農村にもう少し金を出せば零細農家の経営もうまくいく、また零細農が一緒に集まられて協業の仕事をするという場合においてもこれに金を出す、あるいはあなたが最初御指摘になりました、いかにして農産物価格を安定せしめていくかというようなためにする協同組合の共同施設といったようなものについても考えたいし、また畜産の家畜導入に関する金というようなものもそういう面を含めて考えていきたい。これは八百屋とおっしゃいましたけれども、なかなか意欲的に出て、あれもしたい、これもしたいと思っておりますが、これは必ずしも農業近代化資金融通法に基づくこれだけでなくて、別途に財政投融資から出る金も今度は六百億ほど考えておるのであります。これと両々相待って新しい農村行き方に対して必要な資金の供給に当たっていきたいと思っております。
  73. 高田富之

    高田富之委員 いずれにしましても、貸出限度二百万というのですし、それから名前も近代化資金でございますから、まあ相当大口を予定しており、かなりの収益率の高いところへ貸すということが目的であろうと思うのです。七・五%というのは相当の利息ですし、自作農維持資金なんかとちょっとこれは違うんですから、どうしたって小さい農家は手が出ませんよ。そうすると、これはどう考えましても、平均百万円ぐらいのところでかりに借りたといたします。有畜農家だとかなんとかいうことになって施設を作るということになると、二百万円、限度一ぱいということもかなりあるんじゃないかと思います。そういたしますと、かりに二百万円、限度一ぱい借りた人ならば、七年間で返すと、元金にしたって三十万ずつ毎年返さなければならぬ。百万円平均借りたとしましても、毎年十五、六万円ずつ返さなければならぬ。利息がつきますから、十六万円よりもっと上がるかもしれぬ。こういうふうなことで毎年返せるということはちょっと考えられないのです。これは農林省で出しておる統計を見ましても、農家の余剰というものは最高二町歩以上の一番有利な経営をしている人でも、年四万円くらいしかありはしない。そうでしょう。一番いいところだって最高四万円ですよ。それを毎年三十万ずつ返すの、十五、六万ずつ返すのなんということができる農家というのが一体あるだろうか。かりに何かどこかにあるとしましても、これはほんとうにわずかなものでしょう。かりに百万平均ということになれば、人数にしたって借りられる人数というものは三万人、一市町村当たり十人ということになりますから、村では  二人くらいしかいないということになるでしょう。しかしそれにしたって、これだけのものを借りて返すなんということはおそらくできない。だから与党の委員さんも心配なすって、三分くらいに下げろ、そうでなければ使えっこないとあれほど力説されている。これは要するに看板としてはなかなかりっぱな看板のようですが、ちょっと考えてみますと、これはとても一般農家の使うものじゃないし、かりにうっかりそれを借りますと払えなくなってしまう。これもごく上層の一村に一人か二人の人がそういう目にあうかあわぬかというようなしろものなんだ。こういうことであって、ほんとうに今あなたがおっしゃるように、どなたにでも貸せるようにするのだというのだったら、もっとうんと利息を下げて、長期のものにしなければならぬ。社会党も賛成しているとあなたはおっしゃいますけれども、社会党のは利息がうんと安くて長期なんだ、全然違いますよ。しかもそれは返済できるような体制をちゃんと整えている。こういうふうな資金制度というものは、そういう意味でほんとうに問題にならぬ。いわゆる自立経営育成のためといいながら、その方にだって大して役に立たないくらいのしろものである、こう私は思います。実は時間があまりなくなってしまったのですが、それに御異議ございましたら一言発言して下さい。
  74. 周東英雄

    周東国務大臣 とにかくあなたは極端から極端を話しておられるのだが、二百万円を最高限度ときめておるので、それ相応の規模に応じて金を貸せばいいので、それは私はそういう話でお話しになるのは無理だと思う。零細な方には零細な方の必要限度において貸そう。また零細なる現在の農家については、一人々々が、たとえば機械化をする場合において有効な、あるいは自動耕耘機でも買う、こういう場合に、いいことではありまするが、一戸一戸が持っておったのでは償却なんてできはしない。だから共同化して、数人寄ってそれを買うて共同利用する。そうすると負担も少なくなる。これはこれからの金の運用方法です。ただ問題は、利息の点については私どもも必ずしも現在の七分五厘ではまだ満足しておりませんが、漸進的であります。私どもも国からもう一分くらいふやした利子補給ができればいいと思っておりますが、今度はまず漸進で一分で、県が一分、二分補給していく、これは漸進でございます。それはただに近い金をやれば一番いいでしょうが、必ずしもただの金を貸した方がいいのか悪いのか、これは経営上の問題なり返済上の問題というようなものを考えて、イージーかもしれぬがそれがためにかえって毒するということがないでもないと思うのであります。私は金利というものについては、全般的に農村における信用協同組合の金利なんかも高過ぎると思う。そういうふうな問題について今後さらにメスを入れていく必要があろうと思います。私は二百万円については、二百万円借りればこうなるという御指摘はごもっともな仰せで、拝聴いたしておりますけれども、何もみんなが二百万円でなければ貸さぬのではなくて、十万円でも二十万円でも、規模別に必要な限度を貸していったらいい、こう思っております。
  75. 高田富之

    高田富之委員 この高い利息の金を農協から借りるなんというのはなかなかいないのでして、今までの実際の例がそうなんです。今耕耘機や何か買うにしましても、非常に無理をしている。土地を売って買ったり何かしておる例が多い。だからこういうふうなことになりましても、結局零細農の融通が一番つきやすいのは今度の信託制度で、主地を農協に持っていって離農資金を借りる、この道があいておるだけだと私は思う。  時間がございませんから最後一つだけ、せっかくおいでをいただいております総務長官農林大臣の御所見を伺っておきたいことがございます。それは昨年の例の岸内閣のときの安保国会のときでありますが、私ども全然知らない間に、農地被買収者問題調査会設置法案なるものがいつの間にか通過してしまっているのです。これは御承知の通りもう二回も国会へ出しまして、二度とも審議未了になっております。それを三度もまた同じものを出す方も出す方だと思うのですが、当然これは三度目に廃案になるべき運命にあったと私は思うのです。それをあのどさくさまぎれに、自民党さんだけで、与党だけで知らない間に通過させてしまったらしい。とにかく岸内閣がああいう議会政治無視のとんでもない空前の乱暴なことをおやりになったので、その責任を負っておやめになった。そのあとを受けた池田内閣においては、国会を正常化していく、政治をあるべき姿に返すということを使命として出られたのでありますから、当然岸内閣の国会をああいうふうに持っていきましたその置きみやげみたいなものでありますこのいわく因縁つきの調査会法案なんというものは、これをまともに取り上げて出発をよもやすまいと私どもは思った。きょうは総理がおらないでちょっと残念でありますけれども、池田さんが政権をとられたときに私が言ったら、その問題は言わぬでくれ、おれの腹の中にあるからというようなことをおっしゃっておりました。いずれにしましてもこれは廃止法案でも出してやめていく、こういうふうにおやりになっていただきたいことを強く御要請申し上げておいたのであります。おそらくあんなことに手をつけると思わなかった。ところがこれが発足を始めております。驚いたことなんです。もう会議も何回かやったそうでありますが、一体委員はどういうところから推薦をさせ、どういう基準で選んだか、これが第一点。第二点はどういうことを諮問し、これからどういう方針で会の仕事が進められていくか、この点について一つあらかじめお伺いしておきたいと思います。
  76. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 委員の選び方はできるだけ中正な方をと思いまして、大学の教授あるいは新聞社の論説委員等を選んだわけでございまして、特に推薦を受けたというよりは、総理府の責任におきまして選んだ次第でございます。  それから諮問の事項は次の通りでございます。農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会の意見を求めるということでございまして、農地改革で農地を買収された人々の中には、社会的、経済的な基盤の変動によりまして、いろいろ社会的問題が発生しているといわれておるのでありまして、旧地主の現在における困窮の状態あるいは生活上、生業上の問題の所在と性質を明らかにしていただき、さらにこれに対して何らかの処置をとる要があるかないかを諮問をいたしておるような次第でございます。
  77. 高田富之

    高田富之委員 この調査会はあれほど長い間、二回も三回も国会へ出してもなかなか通らぬというふうな、問題の多いものです。しかも政府においては補償はしません、地主団体の言うようなことをやるのじゃございませんというようなことを、何べんもこれはもうしつこいほど聞かれて、答弁をされてきておるのですね。そうして今度いよいよそういうものが発足した。ただいまあなたが何げないようなことを御説明なさいますが、選ばれた委員の中に従来地主団体と関係のあった人、それから地主団体の意見を支持する意見を常にお持ちであった人、こういうのは、政府考え方とすれば、そういう人が入って参りますと、結局地主団体の要請が一部通るのだ、こういうことになって、非常に曲げられてきます。その影響は非常に大きいです。そういう人が入っているかいないか。公式もしくは非公式たるを問わず、特定の政党から推薦があって、かってその種の会か何かに入っておって、その会の中で猛烈な農地改革反対論、農地改革違憲論というものを唱えたようなれっきとした人が一人も入っていないかどうか、一つ答弁願いたい。
  78. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、特定の政党その他の団体から御推薦は受けておりません。ただしこの中には、こういう調査会でございますから、その実態を知っておる団体の人が一人入っておることは事実でございますが、また新聞その他におきまして、こういう問題について反対の御意見、すなわち補償をすべからずという反対の御意見を持った方も入っておるような次第でございます。
  79. 高田富之

    高田富之委員 いずれにしましても、地主団体に関係した人が入っているということもお認めになった。それからかつて自民党の中の農地問題調査会に参加されて相当な御議論をなすっておる方々も入っておるように思います。そのためにどういう影響を及ぼしておりますか。この間だって農林省は香川県に飛んで行ったりなんかして大あわてでしょう。ああいうふうにどこへ行っても、今やわれわれの要求が通った、今のうちに地主団体に入っておかないと補償金はもらえないぞというので、ビラをまいたり、有線放送をしたり、あげくの果ては小作料何十倍値上げの訴訟を起こしたり、めちゃくちゃな運動が起こっているでしょう。これは一香川県だけの問題ではありません。香川県は大へんな問題なんですが、全国的にも、これは忘れ去られてはおりますが、地主、小作の関係というものは、こういうことがありますと、思わしからざる方向へまた逆戻りをする。去年あたりは大体至るところ小作契約の改訂期ですが、地主団体は一致して改訂に応じないのです。こういうふうなことになってきたということは、一つには政府がはっきりそういうものを押えないからです。押えないで、ずるずる押され押され、結局ああいうふうなものをでっち上げてしまった。でっち上げた以上は結論を出さなければならない。結論を出したらやらなければならない。こういうふうに追いまくられていく。その過程で農村に——そういうまるっきりの逆コースもいいところです。こういうふうな動きが起こりまして、非常に不安、動揺を与えておるわけなんです。農林大臣は今新しい農政に踏み切ろう、いよいよ近代化をやるのだということで、農業基本法までお出しになっておる。農地法も前進的な方向で、部分的ではあるが改めたいというところまで大きな展望を持っておられる。この農業基本法出して、さあ新しい農政に踏み切ろうというときに、さて農村の方をごらんなさい。こういう問題があるからまるっきり逆ですよ。旧地主、小作の問題でてんやわんやというような騒ぎが起こってくる。大臣は、いよいよ調査会を設置して仕事を始めたわけですが、これと今度の農業基本法との間には、あなたの方針考え方の上で共通の基盤があるのですか。大臣一つお願いします。
  80. 周東英雄

    周東国務大臣 私はあの調査会の関係が、私どもの抱懐する新しい農政に影響するとは思っておりません。ことに今総務長官からお答えをいたしたと思いますが、あくまでも従来の関係において補償をするとかなんとかいうことは考えておりません。しかしただ被買収地主等の社会的な、現在の生活状態等いろいろな面から見て、何かこれに救済といってはおかしいが、何か処置はないかということを研究しようというのが調査会であります。これを乱用して、今香川県のようなことが起こったということはまことに遺憾でございますが、これに対しては直ちにかくのごとき小作料増額要求は不当なものであるからという通牒もいたした次第でございます。私どもの方は政府一体となって、はっきりした、きぜんとした態度でこの調査会に臨むつもりであります。
  81. 高田富之

    高田富之委員 いずれにしても農業基本法を目ざそうという、新しい方向へというようなときに、こういう逆コースもはなはだしいような運動を鼓舞激励するような効果しかない法案を単独審議で通して、それをまともに仕事を始めさせるというようなことは、新内閣は岸内閣をそっくりそのまま引き継ぐことになる。すみやかに、岸内閣のあのめちゃくちゃな国会運営の結果、通るべからざるものが通ってしまったのですから、廃止法案を出して、すっきりとした形で、あなたは新しい農政と取り組んで、大いに社会党と御議論なさって、われわれもやりますから、よい方針を生み出そうじゃないですか。そういうとんでもない運動で農村をひっかき回されたら、農民は新しい方向へ前進しようとしても、前進どころの騒ぎではございません。すみやかにこれを廃止する法案を大臣がお出しになるように要請をいたします。一つ御決意を伺いたい。
  82. 周東英雄

    周東国務大臣 そういうふうにあまり旧地主々々々、もとの地主をかたき役にせぬでもよかろうと私は思う。やはりああいうふうな大改正がありまして、その通り価格で買い上げられておるのですから、補償ということはある、ないにしても、その後における生活が非常に困っておられる方、旧地主等についても何らかの同情的な考えを持って考えてやるということは、私は悪いことじゃないと思う。しかし旧地主旧地主とあまりたたいていくというのもいかがかと思う。私どもあくまでもこれがために、あの農地改革によってできた現在の自作農家、もとの小作農家というようなものを変動しようという考えはございませんし、私はいつか申しましたように、小作農があの土地改革によって自作農に変わったということは一つの前進であった。しかしそのままに、零細農のままで自作農になっておるところに今日の農村の弱さがあるから、これを今後とるべき新しい農村に対する方策として考えていこうという段階でありまして、これと今の調査会とは関係はない、私はかように考えております。
  83. 高田富之

    高田富之委員 それではこれで終わりますが、旧地主何のかんのとおっしゃいますが、とんでもない、それは逆ですよ。それは私どもは旧地主も旧小作もない、そういう関係を早く解消して、一致して新しい村作り運動をやれ、こういうことでやっております。ところが逆に地主団体の方や政府の方は、旧小作人が何だ、ただで土地を取りやがって、どうだとかこうだとかいうようなわけで、運動が起こり、こういう調査会ができたのじゃないですか。そういう故意に農村におかしな空気を醸成させておるのは政府の責任です。このことを強く申し上げまして、私の質問を一応これで終わります。
  84. 船田中

    船田委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ————◇—————    午後二時二十四分開議
  85. 船田中

    船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川村継義君。
  86. 川村継義

    川村(継)委員 私は本日国の予算、国の施策と地方財政の問題の関連等につきまして、二、三の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  池田内閣が今回の国家予算の編成にあたりまして、公共投資あるいは社会保障、減税というような三本の柱を立てて編成をされたということは、もうたびたび承っておるところであります。池田内閣の所得倍増計画に見合う経済成長という立場から今回の予算が編成されて、国の施策がそれに沿うて実行に移されようとしていることも承っているところであります。しかし本年度のこれらの予算施策が地方自治体の行政に及ぼす影響というものは、決して少なくないと考えられるのであります。私が申し上げるまでもなく、国の施策というものはただ国の予算だけで完全に遂行されるものではありませんし、地方団体の行財政を軽視していっては決してその目的を達することはできないと考えられるのであります。農林省であれ、建設省であれ、文部省であれ、厚生省であれ、各省がいかに国家予算を増額したとうたわれても、この国家の施策を完全に遂行するためにも、また国民の生活を安定させ、国民所得増加していくのも、経済成長を期待しようというのも、すべてやはり地方の行財政というものが完全にマッチしておることが必要だと考えておるものであります。私はそういう意味においては国が地方の財政の充実あるいは健全な運営を、国の予算編成と同時にあわせ考えていくことが根本の問題であると考えておるものであります。そこで私はまず第一にその年度の地方財政運営の指針となり、目標となりますところの地方の財政編成に大きな影響を持っております国の地方財政計画の基本方針を承りたいと思うのであります。  その基本方針を承る前に、ちょっと自治大臣のお考えをお聞きしておきたいと思いますが、それは交付税法等に示してあります条文のとらえ方であります。交付税法第七条に、あなたの方ですが、内閣が国会に対してこの財政計画を示さなければならない、提示する、あるいは一般に公表する義務がうたわれておるのでありますが、これを自治大臣はどのように受け取っておられるか、考えておられるか、解釈をしておられるか、あなたの所見を一つお聞きいたしたいと思います。
  87. 安井謙

    ○安井国務大臣 お答え申し上げます。交付税法の七条におきまして、今の地方財政計画につきまして国会に資料を提出して御審議を願わなければならないという点、よく存じておりますし、でき得る限り急いでこれを提出しなければならないと心得ておりますが、先週もちょっとお答え申し上げましたように、地方税の改正の関係につきましてまだ検討の終わらない面がありまして、おくれております点はまことに申しわけございません。早急に取りまとめまして資料を提出いたしたいと存じております。
  88. 川村継義

    川村(継)委員 大へんおくれておるというお話でありますが、その理由につきましてはまた後ほどお伺いいたしたいと思いますが、今私がお尋ねいたしております交付税法の第七条関係で「これを国会に提出するとともに、一般に公表しなければならない。」と書いてありますが、この提出する時期ですね。これは大臣、一体一番適当な時期はいつであるかということを十分御検討なさったことがあるかどうか。その点をもう少しあなたの心がまえというものをお聞かせ願いたい。
  89. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは国の三十六年度の予算を御審議を願っております間に十分御審議が願えるようにいたしたい、こう思って実は非常に急いでおるわけでございまするが、この点が先ほどのようなお話でおくれておりまして申しわけございません。
  90. 川村継義

    川村(継)委員 実は大臣も御承知でありましょうが、昨年もわれわれはそういう問題を指摘して、なるべく早く地方財政計画を策定し、国会に提出するように要望したのでありますけれども、昨年も大蔵省とのいろいろ財源調整の問題等が原因して非常におくれた。財政計画がおくれた上に、次から次に関係の法案を矢つぎばやに出してこられ、法案審議に全力を上げるような格好になって、財政計画そのものの中身についてわれわれは十分なる審議を尽し得なかったという記憶さえございます。これは最も遺憾なことでございまして、やはり地方財政計画の根本に触れてお互いに十分討議をしておきませんと、地方自治体の行財政に及ぼす影響というものは、これは非常に大きなものであることはもう私が申し上げるまでもありません。ところが本年は昨年度よりもずっとおくれております。もしもあなたの方でお出しになる関係法案が審議が延びてしまって、それが審議未了になるというようなことになって、それもかまわぬということであればいざ知らず、私はこういうようにおくれておるということについては、非常にやはり責任を感じていただかなければならぬ問題だと思うのです。今お話を聞きますならば、なるべく早く出すつもりでおったけれども、いろいろ減税等の問題等で、ひまがかかってまだできていないというようなことでありますが、一体そのおくれた理由は減税だけの問題でございますか。ほかに何か、その理由はありますか。今日までなぜ財政計画がこんなにおくれておるか。またおくれてしまっておるか。いつ提出なさるかもはっきりしないような状態では大へんなことだと思うのですが、その理由をもう少し詳しくこの際お聞かせおき願いたいと思います。
  91. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話の通りに、財源調整といったような問題も、ことしもなかなか難問があったわけでございます。しかしこれも大筋としては片づいております。現在この資料を整備できません直接の原因は、地方税がまだ本格的にきまらないという点で、これがきまりませんために、表の取りまとめがつきかねておる状況でございます。これもしかし取り急ぎまして、できる限り早くやりたいと思って、今懸命に努力中でございます。
  92. 川村継義

    川村(継)委員 今お話を聞くと、地方税の問題が一番根本の理由のようであります。それではもう少しお聞きしておかなければならぬと存じます。この際大蔵大臣にちょっとお聞きいたしますが、大臣は、国会において減税政策のお話がありましたときに、大体国税、地方税を合わせて平年度にいたして一千四百三十億程度の減税をやるのだ、こういうようなお話があったようであります。この予算書等を見て参りますと、平年度国税において一千百三十億の減税額になっておるようでありますから、私は二百九十億程度が地方税の、内閣で、あなたの政府考えられてはじき出されたところの減税額であろうと思うのですが、間違いございませんか。
  93. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 大体千四百三十億程度を予定しております。
  94. 川村継義

    川村(継)委員 もう一回お聞きいたしますが、国税、地方税合わせて千四百三十億程度の減税をやるのだ。そうしますとことしのこの予算を見て参りますと、国税において平年度一千百三十八億程度の減税が行なわれておりますから、残りの二百九十二億といいますか、二百九十億程度が地方税の減税額になりますねと、こういう意味でございます。
  95. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういうことでございます。
  96. 川村継義

    川村(継)委員 自治省の大臣にお尋ねいたしますが、今大蔵大臣のお話のように、また国会でそのような御説明をなさっておるわけでありますが、二百九十億程度が、あるいは所得税、法人税等の国の減税政策に基づいて、あるいは地方税独自の立場でお考えになっておる税額というものが二百九十億程度である。そうなるとあなたの方では、ちゃんとそれらをはじかれた積算の基礎というものは、これは明らかであると思うのです。それをあなたの方は、先ほどから地方税が固まらないというお話でありますが、どうしようと一体今なさっているのでございますか。それをちょっと初めにお聞かせおき願いたい。
  97. 安井謙

    ○安井国務大臣 今お話の二百九十億程度のものを減税いたしたいという、減税の面から申しますと、その点は大蔵大臣お答え通りでございます。ただその内訳、率、あるいは調整額、さらに若干調整を要するものも別にございますから、そういった問題についての検討がまだできないのでございます。
  98. 川村継義

    川村(継)委員 ちょっと大臣、今お話を聞きますと、私ふに落ちないところがあるのです。二百九十億程度のやはり減税というものをおはじきになったならば、あるいは住民税においてどれくらいの減税だとか、あるいは娯楽施設利用税においてどれだけの増税であると、いろいろと、これはやわりちゃんと基礎的に固めておられるものだと思うのです。そこでそういう数字が出てくると思うのですが、大体総額においてそれくらいなんだが、中身においていろいろ調整があるというのは何でございますか。それをもう少しお聞かせいただきたい。
  99. 安井謙

    ○安井国務大臣 むろんこの二百九十億につきましては、それぞれの税種目で一応の想定を立てておるわけであります。そこでそれをはたして今成文化して確定的なものにいたすかどうかの点につきまして、いろいろと検討がまだ終わっていないわけであります。内訳を…。(「二百九十億の積算の基礎があるはずじゃないか」と呼ぶ者あり)それはございます。それは今お話の平年度の減税額の総額というものは、そういう二百九十二億というものに相なっておるわけであります。
  100. 川村継義

    川村(継)委員 もう少しこまかにお聞きしますが、あなたの方では大体十項目か九項目にわたる地方税の改正をやられようとしているようであります。そこで今のようなばくとしたお答えでなくて、住民税においてどれだけの減税を考えておるか。あるいは事業税においてどうなんだ、固定資産税においてどうだ、電気ガス税においてどうだ、こういうように各税日ごとに大体の見通しと、それからどれがまだ計数的にいろいろ問題があるのか、それを一つはっきり聞かせていただきたい。
  101. 安井謙

    ○安井国務大臣 二百九十二億程度のものの積算の基礎はあるであろう、こういうお話でございましたが、これはむろんあるわけでございまして、つまみで二百九十億というものを出しているわけではないのであります。ただこれを内容的に、はたしてこういうものでやっていくかどうかという点につきましては、内部的な検討が政府部内として今まだ正式にきまりませんから、この点につきましては、財政計画の資料をお出しするまでにいかない点をおわびしておるのでございます。もし、仮定の問題といたしまして、この内訳を、大体どういうものだ、こういうふうに一応説明しろというお話でございますれば、この内容は申し上げてもよろしいのでございますが、これはお前言ったじゃないか、これより変わったらまたおかしいじゃないかと言われますと、この点は私困りますので、その点につきましては、一つ御了承賜われば、内容につきましては申し上げてもけっこうだろうと思います。  大体、都道府県におきまして、七十三億程度のものを予定すればできるわけでございます。それは、都道府県の県民税九億、事業税二十一億、遊興飲食税四十三億、こういうものを一応積算の基礎には持っております。それから町村税につきましても、村民税で三十三億、固定資産税の調整で八億、電気ガス税で二十五億といったようなものでございます。さらに国税の改正に伴いまして自動的に変わって参りますものが、府県税で約百六億、市町村税で四十七億、合わせまして二百九十二億ということに一応の積算はございます。しかし、これにはまださらに調整上税のふえる部分も一応はできるわけでございます。道路譲与税あるいはガソリン税というようなもの、これはまたむろん別問題でございます。そういうようなことでありますが、この内容の割り振り、適用の方法につきましては、まだなかなか最後の結論が今のところ出ておりませんものですから、これは一応仮定の数字としてお使いを願いたいと思います。
  102. 川村継義

    川村(継)委員 今大臣からお聞きしますと、あなたの方が、すでに早く考えをまとめて、計数的に出しておられる数字と同じではありませんか。そうしたら、なぜこれで財政計画の地方税の減収、増収の見込みを書いて出されないのですか。また、その調整をしなければならぬという今おっしゃった数字、これはもう、きのう、おとといの問題じゃないでしょう。これはずっと早くからすでにあなたの方ではちゃんとはじいておられるその数字だ。それが調整できないということは、どうも解せない。それでは、地方財政計画がおくれたという大きな理由にならないではありませんか。今あなたは遊興飲食税についても減税四十二億考えておるとおっしゃったのですが、これはこれで異同はないのでございますか。
  103. 安井謙

    ○安井国務大臣 そういった問題につきましては、財政計画がまだ正式に確定いたさないものでございますから、今申し上げております通り、これは一応想定の案でございまして、確定したものでない点を申し上げておるわけであります。
  104. 川村継義

    川村(継)委員 それで私は、住民税がどうだの、あるいは事業税がどうなっておるかという現在の段階をあえてお聞きしませんが、遊興飲食税について、あなたの方では、自民党の公約でもあったわけでありますが、免税点の二百円引き上げで計算をされて、そうして初年度三十八億の減税、平年度四十二億の減税ということを出しておられる。ところが、今おそらく調整がつかないとおっしゃることは、今日この遊興飲食税についてもっと免税点を引き上げろとかいうような動きが非常に出ておるということなんですが、そういうような調整、それが横たわっておるからということも、そのおくれておる一つの理由でございますね。
  105. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話のように、遊興飲食税につきましてもいろいろの問題がまだ伏在しておることも事実でございますが、その他の税種につきましても、いまだ検討をもう少し要する面もあるのでございます。
  106. 川村継義

    川村(継)委員 ほかの税種についていろいろこまかに聞く時間もないことでありますから聞きませんが、今の遊興飲食税について、自民党の公約通りに、また、長い間衆参両院の地方行政委員会等で検討されて決議にもなっている二百円の免税点引き上げという、このことはおそらく実現されるだろうが、そのほかの分も合わせてやろうとしておられるのですか、どうですか。この点について少し聞いておきたいと思う。
  107. 安井謙

    ○安井国務大臣 お答えいたします。その他の問題につきましてどういうふうにしてやろうか、どうしようかという点につきまして、目下検討中なんでございまして、もうしばらくお待ちをいただきたいと存じます。
  108. 川村継義

    川村(継)委員 検討を加えておるというお話でございますが、遊興飲食税の他の税率の問題とかあるいは基礎控除の問題等に検討を加えているというのですが、大臣、あなたの方では、二百円の免税点引き上げという一本でこれを考えてこられてきたのでありますし、自民党の公約にもちゃんとうたわれてきたのでありますから、どうしてこれであなたはやれないのでございますか。ほかのことにいろいろと耳をかす必要があるかどうか、私はこう思うのですがね。どうですか。
  109. 安井謙

    ○安井国務大臣 御承知のように、地方税そのものは国と並行してやるというふうに考えておりません。地方税独自の立場で、全体あるいは地方財政の収入の点その他をいろいろ検討いたしましてやっている次第でございます。先ほど申し上げましたような一応の案というものを基礎にいたしまして、これがはたして今日全体に適用するのにいいかどうかということを今検討中でございますので、もうしばらく時間的に御猶予を願いたいと存じます。
  110. 川村継義

    川村(継)委員 あなたの方で検討していただくのはいいと思いますが、たった一つの税種、遊興飲食税の免税点をどうするかとか、あるいは税率をどうするかとかいうことで、地方財政計画がこんなに狂ってしまったということについては、これは大問題だとわれわれは考えているわけなんです。しかも、あなたの方の党やあるいは自治省の方で、今まで遊興飲食税全体について検討が加えられてきて結論が出ないということならば、まだ話がわかる。ところが、自民党の方でも、大衆飲食について免税点を二百円上げる、こういう公約をなさっているし、自治省としても、遊興飲食税については、実はあまり手を触れたくなかったのであるけれども、大衆の飲食税という意味でこれを踏み切って考えてきたわけであります。それを今さらあなたがほかの税率の問題であるとか、あるいはさらに基礎控除を引き上げる問題にこだわって、こういうような減税額等がきまらないで地方財政計画がおくれてしまうということは、これはおかしいじゃございませんか。大臣、その点について、あなたは責任をお感じにならなければならない。ちゃんと初めにきまったように、さっさと減税額をはじいて、地方財政計画をお立てになってお出しになったらいいのじゃありませんか。なぜそんなにもたもたしておられるのか、その理由がはっきりしないと私は思うのであります。どうぞもう一回お聞かせ願いたい。
  111. 安井謙

    ○安井国務大臣 地方税の遊興飲食税その他の面につきまして、これは与党である党との政策上の調整も必要なわけでございます。ただ、事務案として一応の素案は先ほど申し上げましたように作りましたが、その後のいろいろな状況で、党の政策方面との照会あるいは打ち合わせ、検討といったようなものもやっておる最中でございまして、このためにおくれておる。おくれておる点につきましてはまことに申しわけないのでございますが、もうしばらく時間をかしていただきたい、こう思います。
  112. 川村継義

    川村(継)委員 まあ、できていないものを待てと言われれば、これはわれわれとしては待たざるを得ないかもしれませんが、くどくなりますけれども、何か大きな、たとえば大蔵省といろいろ根本的な財源調整等の問題あるいは国庫負担金の問題、そういうものが災いして財政計画ができないということならば、それは一応納得できるところはありますよ。ただ、たった一つの地方税法の一部改正の中の、しかも遊興飲食税のたった一つに大きな間違いが出て、あなたの方で踏み切っていかないということについては、われわれは納得がいかないわけです。大臣は、話に聞きますと、二百円の免税点引き上げばかりではなく、あるいは旅館の宿泊の基礎控除を八百円にしろとか、税率を一本にしろ、こういうことを盛んに言われておるそうでありますが、あなたの方の党の中も大へんなことらしいということは聞いておりますが、それに引きずり回されて、ずんずんそのまま日にちを過ごしていかれますか。この辺でおれは初めの通りに免税点の二百円引き上げで財政計画を組むのだ、こういうような決意はできないものですか。これさえきまれば、ほかの問題は、あなたがいろいろおっしゃっても、これはさっとできる問題だと思うのです。どうですか。
  113. 安井謙

    ○安井国務大臣 遊興飲食税その他の問題につきまして、今申し上げましたような調整の最中でございますが、しかしこれは今お話し通り、いつまでもそのままできまらないから延びればいいというものでないことも、万々承知をいたしております。従いまして、御意見の点も十分考えまして、なるべくこの予算の御審議に間に合うよう早急に取りまとめをやるつもりでおります。
  114. 川村継義

    川村(継)委員 これは自治省の大臣が、遊興飲食税のこれまでのあなたの公約等を考えられて、はっきり腰を据えていただくほかに方法はない。一部の業者やあるいは外部の力に引きずり回されてぐらぐらしておられると、いつまでたっても計数が固まらない。内部調整が云々というような弁解をされねばならなくなってしまう。そうすると地方財政計画がいつまでもできない。これがずっと延びてしまったら、迷惑するのはわれわれでなくて、地方の自治団体、市町村、こういうところの団体であります。そうなると、先ほど申し上げますように、私が言わなくてもおわかりのように、国がこれだけの大きな施策をしようとしておるときに、地方の予算が組めないということになったら、大へんなことだとわれわれは考える。今あなたは、私がそのような決意を固めていただいてはどうかというようなことを申し上げておるのについて、遊興飲食税だけではない、そのほかの理由もある、こういうことでありますが、そのほかの理由といって、何がございますか、その点あわせて一つ説明しておいて下さい。
  115. 安井謙

    ○安井国務大臣 遊興飲食税のほかにも、まだ電気ガス税等につきましても、はたしてこのままで適用するかどうか、あるいは住民税等につきましても、この方式は御承知の通り非常に複雑なものでございますので、この点についていま一歩検討を進めておる最中でございます。しかし、これも今お話し通り、いつまでも延ばしておくわけにはいかないことも重々承知いたしておりますので、しばらくの時間をおかしいただいて、御審議を願いたいと思っております。
  116. 川村継義

    川村(継)委員 あなたがそのようにおっしゃると、また私は一体住民税のどこがまだ調整ができていないのか電気ガス税をどうしようとしておるのかということを聞かなければならなくなりますけれども、とにかく私は、今長官がそのようにお答えでありますけれども、やはり遊興飲食税というものについてあなたが決意をするかどうか、これにかかっていると思うのです。  大蔵大臣、これはあなたに聞く筋道ではありませんけれども、今、安井大臣が言われたように、もしも遊興飲食税について二百円の免税点というものを捨てて、それだけでなくて、宿泊料の基礎控除を上げるとか、あるいは税率を一本化するということになりましたら、これは百億以上の遊興飲食税の減税になるはずだ、大蔵大臣としてはこれをどうお考えなさっておるか、あなたのお考えをこの際あわせてお聞かせおき願いたい。
  117. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 結局地方財政計画がどう立つかということでございまして、ことしの地方財政の自然増をどう見積もるか、それから国の交付税交付金は、大体予算がきまっておりますので、それとあわせてどういう地方財政計画を立てるか、それだけ減ることで財政計画が狂うということになりますか、それだけの余力があって、減税の余地があるという計画になりますか、私どもは、これを見てから意見を言いたいと思っております。
  118. 船田中

    船田委員長 関連質問を許します。井手以誠君。
  119. 井手以誠

    ○井手委員 自治大臣の御答弁がはなはだ明瞭を欠きますので、私から関連してお伺いをいたします。  ただいま地方税の減税は平年度で二百九十二億円、こうお話しになって、内訳もお述べになりました。これは試算でけっこうですが、初年度の場合はどういう試算になっておりますか。百五十五億かと承っておりますが、その内訳を国税の改正に伴うもの幾ら、地方単独のもの幾ら、これは試算でございますということでけっこうですから、簡単に……。
  120. 安井謙

    ○安井国務大臣 試算といたしまして、地方税独自のものが三十六年度におきましては六十七億、それから国税の改正に伴います分が八十八億、お話の百五十五億ということに相なります。
  121. 井手以誠

    ○井手委員 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、平年度、初年度この国税、地方税を通ずる減税の総額は、総理大臣並びに大蔵大臣から本会議並びに本委員会においてすでに言明をされておるのであります。従って、この平年度二百九十二億、初年度百五十五億のいわゆる地方税の減税の総ワクは、これは動かないものと理解してよろしゅうございますか、大蔵大臣
  122. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 大体私どもはそういう見込みでおりましたが、今自治省大臣からお答えがありましたように、当初考えておった地方税の問題に変更を加えられれば、この数字が全く動かないということは言えないだろうと思います。
  123. 井手以誠

    ○井手委員 それはおかしいですよ。それはとんでもないことをあなたはおっしゃいますよ。それでは、本会議における言明並びに当委員会における今までの言明は、そういう場合には訂正をなさいますか。本会議において総理大臣は、平年度国税、地方税を通じて一千四百三十億円の減税を確かにいたしますと公約されておる。いな説明をされておる。それが狂いますと、御訂正になりますか。これは絶対私はないと思いますが、どうですか。
  124. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私どもの予定では千四百三十億円ということを申しておりますので、地方税がどう変わっても、大体それだけの減税は今期待をいたしておるところでございます。
  125. 井手以誠

    ○井手委員 はっきり承りましょう。大体じゃいけませんよ。本会議においても、ここにおいても、平年度国税の減税は一千百三十八億円とまで、端数まで述べられておる。大体じゃいけませんよ。それは間違いございませんね。一千四百三十億円並びに一千百三十八億円という今までの言明は変わりありませんか。
  126. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今のところは変わりございません。
  127. 井手以誠

    ○井手委員 自治大臣にお伺いをいたしますが、大蔵大臣は総額は変わりないとおっしゃいます。そういたしますると地方税が今後検討の結果、遊興飲食税その他に移動があるかもしれぬとおっしゃいましたが、総額が変わらないといたしますれば、初年度六十七億の地方単独の減税の中に予定されておる遊興飲食税三十八億が業者の要望によって百億に達します場合には、予定された固定資産税と電気ガス税の減税はできないということになりますが、いかがでございますか。この点ははっきりしておいて下さい。
  128. 安井謙

    ○安井国務大臣 今の内容を中心に検討いたしておりまして、私どももその総額においてそう大きな変更があるようなことには相なるまいとは存じております。
  129. 井手以誠

    ○井手委員 もう多くは申し上げませんが、六十七億という地方単独——国税改正に伴う八十八億は変わりはないはずです。そうしますと変わるのは六十七億のこの地方単独の減税の内容になって参るおけですが、この遊興飲食税、固定資産税、電気ガス税、三税の減税の中で六十七億を操作すると理解してよろしゅうございますか。それだけですか。
  130. 安井謙

    ○安井国務大臣 大筋としてはそういうことになろうと思いますが、国税に伴う分につきましても、これはびた一文動かすことのできない数字であるというふうには考えられないと思います。しかし今お話しの筋としてはそういうことになろうと思います。
  131. 井手以誠

    ○井手委員 国税の改正に伴う八十八億というものは、いいかげんな計算で出たものではございません、それでは三十八億の遊興飲食税の大筋においては変わりはない、かように理解してよろしゅうございますね。
  132. 安井謙

    ○安井国務大臣 金額の大筋としてはそういう線を守ってやろうと思っております。
  133. 川村継義

    川村(継)委員 いろいろ自治大臣から何かとはっきりしないようなお話を承っておりますけれども、これはやはり大臣が腹をきめていただいて、あすにでも財政計画は提出できる、こうしていただくことだと思うのです。もしも地方税の改正の中の遊興飲食税の問題がありましたら、初めの通りに免税点を引き上げるなら引き上げるということで、地方税法の改正案として国会にお出しいただいていいわけでしょう。そうして今のキャバレーとかダンス・ホール、こういうところの味方をする人は税率を一本化しろ、あるいは免税点を引き上げろといって論議なさっていい。われわれは反対するわけですが、そうして国会でそういうように修正ができたり税法が修正できて自然それだけの減税が大きくなったということなら、これはやむを得ないかもしれない。今のうちからそういうようなことでもたもたしておって財政計画をおきめにならないことは、もってのほかだと考えざるを得ません。だからして初めの通りに初年度遊興飲食税について三十八億の減税、免税点を二百円引き上げる、こういうことで腹をきめて、そして財政計画をお出しいただいたらいいんじゃないかと思う。地方税法の改正は改正で別途法案としてお出しいただけば、その際またあらためて論議することが、それが妥当なことじゃありませんか。そういうところに国会の審議権というものが私はあると思う。御決意いかがです。
  134. 安井謙

    ○安井国務大臣 御意見重々承っております。私どもとしましても予算の御審議に間に合うように、至急に結論を出すようにしたいと思っております。しばらく時間をかしていただきたい。
  135. 川村継義

    川村(継)委員 大蔵大臣一つ所見をあわせてお聞きしますが、こういうように毎年地方財政計画の提出がおくれるという理由は、まあことしの理由はあまり大蔵大臣は関係ないようでもございますが、やはり大蔵大臣にも私は責任があると思うのですね。昨年もいろいろ地方の税収等についてなかなか意見が一致せずにおくれてしまった、こういうようなことでは困りますから何か予算編成のときに、あなたの方から国家の財政を説明なさるときにあわせて地方財政の重要なことをお考えいただいて、国として、内閣として説明できるという方法というものはないものでございましょうか。これはあるいは総理にお聞きすべき問題かもしれませんが、大蔵大臣一つそういう何かお考えがありましたらお聞かせおきを願いたいと思います。
  136. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国の歳入の見積もりはいろいろな資料をもってこれを行なって予算を作るのでございますから、地方においてもその年の歳入の見積もりとかいうようなものは当然できるわけでございまして、今でも私どもの方もこの見積もりと支出についての計画には協力してやっておりますが、別にむずかしい問題じゃない。国の予算編成のときにあわせて地方財政計画というものをきめるということは、これは私は全然むずかしいことではないと思っております。ただいつもいろいろ問題になりますのは、たとえば国が減税を行なうというときに、その減税によって地方が機械的に減収になるというようなものを、国が補てんするかしないかというようなものが、過去においてはいろいろ問題になりました。問題は地方財政の実態でございまして、その減収があってもやっていけるのかいけないのかというようなものの見方でいろいろ各省間に調整のとれなかったというようなことはございますが、そういう問題を抜けば、国の歳入歳出の見込みが立つときには、同時に傾向としても国の税収の多いときは地方税収も多いときでございますので、やはり計算によって大体の見込みが出るということになりますので、これは別に私はむずかしい問題じゃないと思っております。
  137. 川村継義

    川村(継)委員 大蔵大臣からむずかしいことじゃないというお話でございまして、大へん意を強うするわけですが、私もできるだけそうすべきであると考えるものです。しかしこれはやはり大蔵省にも十分考えていただきませんと、これまでの経過を考えてみますといろいろ問題が多いのであります。公共事業の地方負担がどうのこうの、まだきまらぬというような問題がよくいわれるわけです。ところが、これはそれぞれの適用される法律があって、負担額というものがはじき出されてくるものでありましょうから、これはやはり国で計数をはじかれるときに大体それは出てくる。ところがあなたの方でことしもそういうことがあったと思うのですけれども、今度地方には地方税収の自然増が一千五百億もあるんだ、こういうことをおっしゃる、自治省としてはいやそんなにはない、一千三百億程度じゃないか、そういうことで大蔵省と自治省とが角を突き合わせるということでは困る。こういうような地方税収の見込み等については、これはもう自治庁でありません、自治省になったんですから、やはり一つ自治省にまかせておかれるというようなことが必要じゃないか。また今日最も地方団体が考えております単独事業の問題にいたしましても、そんなに単独事業の規模をふくらましたら困るというようなことを大蔵省がおっしゃると、自然自治省としても何かしらんそういうものを考えていく場合に足踏みをして、あるいは財政計画の上にのせるのがおくれてしまうということもあり得るのじゃないかとわれわれ思うのであります。こういう点は大蔵大臣としてもこの地方自治団体の立場というもの、あるいはそのやるべき仕事の重要性というものをお考えいただきまして、一つぜひ地方財政計画等は早く提出できるように協力願いたい。でき得べくんば国家の予算の説明と時を同じくして、地方財政計画が提出され、予算委員会等においてやはり十分全般的な論議ができるようなことにしてもらいたい、私はそう考える。  そこで初めに返りまして、自治省の大臣に、財政計画の三十六年度の基本方針は一体どうお考えになっておるのか、それを承りたいと思います。それにあわせて、これは小さい数字は要りませんから、大体三十六年度の地方財政の見通し、歳出歳入の大体の見通し等について、説明をお願いしておきたいと思う。これはおくれておる地方財政計画のその責任を考えて、全国の地方自治団体に十分あなたが説明なさるという気持でぜひ説明をお願いしたい。
  138. 安井謙

    ○安井国務大臣 正確な数字につきましては近くお手元へ提出いたしましていろいろ御審議を願うと存じますが、大体におきまして三十六年度は、三十五年度の当初に比べまして、交付税におきまして当初同士の比較でありますと、約九百億の増加になります。それから税収におきまして今減税の問題を別にして考えますと、千四百五十億程度の見当がつくのじゃなかろうかと存じております。さらにそのほか政府のいろいろな補助金等もございますので、大体三千億以上の規模の増加に相なるというふうに心得ております。  しかし一方で支出の方から申しましても、定時昇給によります人件費の増あるいは起債またはせんだってのベース・アップといったようなものによります増額も相当なものが見込まれます。また社会保障費あるいは公共事業費、そういったものにつきましての国の施設に伴う地方の負担というものも相当増額ができ、あるいはその他地方のいわゆる行政水準の向上といったような問題につきましても、でき得る限りのかさ上げを見たいと存じておりますので、収入に見合う支出は大体でき上がるのじゃないかと思っております。従いまして三十五年度よりは相当上回った行政水準の向上も期待できるように存じております。
  139. 川村継義

    川村(継)委員 今大体の見通し、収支のバランス的なお話でありましたが、来年度地方財政を運営していく基本的な考え方はどのようにお持ちになっておるのか、方針一つお聞かせい一ただきたい。
  140. 安井謙

    ○安井国務大臣 地方財政につきましては前々いろいろと問題がございますが、何と申しましても一番大事なことは、この地方財源というものの固有財源を固めることが大事であろうと思うのでございます。しかし地方財源を固めようと思いますと、やはり都市と地方との均衡という問題が必ず出て参ります。いろいろ非常に複雑な問題も含んでおりますので、これを本年中の税制調査会の御答申を待ちましてこれは根本的にきめたい。それまでは先ほど申し上げましたような線で財政収入の見当をつけ、そしてやっていきたいと思っておる次第であります。しかし同時にそれだけじゃ不足でございますので、今度は後進地域の開発といったようなことにも相当重点支出をいたしまして、政府がいろいろ事業の補助をやります場合にも、こういうものについて特に重点配置を考えるといったようなもの、あるいは各地域的に総合的な立地条件の改正をやって、さらに後進地域の開発を心がけていくといったような、国としての補助手段を差し伸べる方法によってやっていきたいと思っておる次第であります。
  141. 川村継義

    川村(継)委員 せっかく基本方針をお示しいただきたいと言っているのですから、もう少し何かお話しできないものですか。何かばっとしたようなお考え方でありますね。それでは私の方から、いろいろ問題を考えてわれわれは心配しておるわけですから、一つ、二つお尋ねしますが、国の施策に伴って公共事業関係の地方負担というのも相当大きな問題であると思います。ところが今日まで御存じの通り、それぞれの地方団体はずいぶん行政水準の向上の問題、あるいは国民の福祉というような問題で、それぞれ行政上頭を悩ましておる。そういう点から考えると、一体今日までの地方財政計画でよろしいかという考え方を私たちは常に持っておる。そういう点に検討を加えられておるかどうか。その一つの例として単独事業についてはどういうような財政規模あるいは財政計画の上にのせられようとしておるのか。大臣のお考え一つお聞きしたいと思います。
  142. 安井謙

    ○安井国務大臣 単独事業につきましてもでき得る限りこの量を上げていきたいと思っております。今その義務的な経費あるいは国の仕事に伴います必然的な支出というものを計算いたしまして、残りを先ほど申し上げましたような財源に求めて単独事業のかさ上げに使いたい、こういうことでやっておる次第であります。  なお公共事業費の負担等につきまして、御説のように地方の負担が毎年相当額に上っております。いろいろ御指摘もいただいております通りに、これを徐々に合理化をしていきたい、こういうふうに考えておりまして、明年度はさしあたりまして後進地域を中心にしましてこの補助率のかさ上げといったようなことも現在計画し、関係省とも折衝中でございます。
  143. 川村継義

    川村(継)委員 何かつかみどころのないようなお話でございますが、単独事業については、ただ、なるたけたくさん考えたいということではどうも納得いかないのでありますが、ことしは一体何百億くらいの単独事業の計画規模を考えておられるか。それを一応お聞かせおきいただきたいのです。
  144. 安井謙

    ○安井国務大臣 単独事業につきましては、ことしはまあ四百億程度のものをやっていきたい、こういうふうに考えております。
  145. 川村継義

    川村(継)委員 これはこの前あなたの方からお聞きしたのでありませんが、単独事業の計画規模については、大蔵省とずいぶん意見の対立があるということを聞いたのですが、その点は大蔵省との話はついたのですか。私は必ずしも大蔵省の意見を待ってどうこうする必要はないと思うのですけれども、今までのいろいろの関係上それはやむを得ないかもしれませんが、大蔵省との話し合いはついたわけですか。
  146. 安井謙

    ○安井国務大臣 最後の計数整理中なもので、話が非常にばく然とした面があって申しわけございませんが、今の四百億程度のものをやりまして、その点につきましても大蔵省との話し合いは大体順調に進んでおるわけでございます。
  147. 川村継義

    川村(継)委員 この際、大臣にちょっとあわせて聞いておきますが、大体今お聞きすると、三千億程度の財政規模がふくれるということになりますと、昨年度よりも相当ふくれるわけですが、一兆九千億近くの規模になりますね。そうなると、それに見合うところの財政需要あるいは収入というものも大体の見通しを立てておられるだろうとは思いますけれども、単独事業が、いわゆる実際市町村がみずからの手で、みずからの判断で、みずからの計画に基づいて、みずからの要求を満たし得るその率というものは大体どれぐらいになりますか。単独事業といいましても、やはり公共事業なら公共事業に関連するやむを得ない仕事が出てくる。そうなりますと、行政水準という点から考えると、やはりよほど注意しなければならぬ問題が含まれているわけですね。その辺のところをお考えになっておられますならば、お聞かせおき願いたい。
  148. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話の通りに、地方行政水準の問題から申しますと、単独事業費は非常に重要な問題でありますし、また財源との関係でいろいろ議論が生じております。幾らぐらいがよろしいという数字につきましては、ただいまちょっと手元に持ち合わせがございませんが、十分これも検討いたしたいと思います。
  149. 川村継義

    川村(継)委員 私は今一つの例をあげましたが、そういう問題について、地方財政計画の方針としてお考えになっておるかどうか、従前通り考え方でおやりになるのか、三十六年度はどういうところに重点を置いて地方財政計画を策定し、地方の財政運営の目標にされるか、こういうことであります。今の行政水準の向上という点から考えて、これは単独事業の問題、単独事業にかかわる財政規模の策定という大きな問題でございます。そういうのは一つの重点施策になっておるかどうか、そのほかにどういうことをお考えになっておるか、その辺のところをやはり明らかにしていただきたい。
  150. 安井謙

    ○安井国務大臣 三十六年度におきましてのいろんな行政水準全般につきましては、それぞれ国との関連があるわけでございまして、今の公共事業、社会福祉、環境衛生等につきましては相当な増額が、今お話し申し上げました通り見込まれるわけでございます。そこで地方独自でやります分としての単独事業、いわゆる産業的な施設のかさ上げという問題が非常に大事になって参っておりますので、その点へ今申し上げました四百億程度の資金を回すことによって水準の向上をはかりたい、こう思っておるわけでありまして、来年度特にこの財政及び支出上の格別に非常に大きな変革をやって直していくという点は、まだ考えていないわけでございます。
  151. 川村継義

    川村(継)委員 これはもう今のようなお話でございましたら、あらためて地方行政の委員会等でこまかにお聞きしなければ、われわれ安心いかないわけであります。  もう一つお聞きしておきますが、税外負担の解消というのは、昨年度自治省の大きな努力目標でありました。本年度はこれはどういうふうに考えておられますか。
  152. 安井謙

    ○安井国務大臣 税外負担はでき得る限りこれを軽減していきたいと存じておりまして、三十六年度から法律も効力を発揮していく、こういう段取りに相なっております。
  153. 川村継義

    川村(継)委員 できるだけ軽減していくというのですが、ことしは一体どういう努力をしようとお考えになっておりますか。
  154. 安井謙

    ○安井国務大臣 計数的ないろいろな問題がございますので、事務当局から御返事申し上げます。
  155. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 御承知のように、昨年度特にこのために九十億円の財源を地方財政計画の上に計上したわけでございます。同時に地方交付税制度を通じまして、税外負担を解消しますかわりには、教育費がふえてくるとかいうような問題もございますので、関係部分の基準財政需要額を増額したわけでございます。同時に府県や市町村が負担の転嫁を行なう特定の部分については、法律的にそれを禁止するという地方財政法の改正を行なったわけでございますが、この部分は今大臣からお話がございましたように、三十六年度から適用する、こういうふうにいたしておるわけでございます。諸般の準備を三十五年度において行なったつもりでございまして、地方財源が全体として豊かになって参りますれば、このような無理な処置はおのずから解消されていくのじゃないだろうか、こういうふうに期待しておるのでございまして、ひっきょうは地方財源を充実するということにあろうかと思います。同時に、法的な整備でありますとか、あるいは地方交付税制度を通ずる財源の付与でありますとかいうようなことは昨年行ないましたし、また交付税制度を通ずる財源の充実は、全体の財源の増加と相待ちまして、三十六年度においてさらに一そうこれを推進していくという考え方でおるわけでございます。
  156. 川村継義

    川村(継)委員 大臣に申し上げておかねばなりませんが、今、奥野局長が説明なさったように、昨年度税外負担の軽減ということで、実は九十億程度の財源措置もされ、交付税の改正も手をつけられているわけです。ところが、この九十億という金は、これは税外負担、その実態からすると、まことに微々たるものである。今日いよいよ三十六年度から地方財政法一部改正が効力を発揮しようとするときに、地方では非常に大きな問題を起こしている。たとえば学校の給食婦の方は、もうPTAの負担にしていけない、これは市町村費に切りかえなければならぬ、ところが市町村ではいやだ、それでは給食婦を一つ三人おったところを二人にしてくれ、それはとてもおれたちは負担していけない、こういうようなことで、逆に教育上大きな問題を起こしてきている。あるいはいよいよ来年からは、校舎の維持、営繕その他の費用はPTAから寄付できない、さあ今のうちにやっておけと、盛んに三十五年度寄付のうまいところの募集をやって、父兄に大きな負担をかけて、学校の建築あるいは修繕、改築等をもくろんでいるという実態が出てきているわけですよ。ただ口先で税外負担をやると言ったことでも、やはりそれに見合うところの手当が十分でないと、こういうような逆な効果が出てくるということであります。おそらくこれをお調べいただけば、こういう実態は数限りなくあると思う。従って、今、奥野さんのお話ではないけれども、地方の財源が豊かになるとこういうものは自然に解消するだろうというようなことでは、私は甘いと思うのです。従って、この税外負担の解消の問題については、やはりこれは自治省としては、大きな問題として一つ全力を上げてやっていただくことが必要だと思うのです。そのようにお考えなさっていただけるかどうか、あるいはそういうものは財政計画の中にちゃんと考えられているかどうか、くるかどうか、その辺のところを、大臣考え一つ率直にお聞きしておきたいと思います。
  157. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話のように、税外負担を整理していきますには、やはりそれに見合う財源措置をやっていくのでなくてはなるまいと存じております。来年度の基準財政需要額には、町村分につきましてもそういったものを見込んで計算して、今お話のような弊害が起こらないようにこれからも努めていきたいと存じます。
  158. 川村継義

    川村(継)委員 とにかく今お話を聞いておりますと——財政計画の提出がおくれているから、これこれの方針で本年の財政計画は編成したいというようなことを大臣から聞きたかったのであります。どうもそういう点一向はっきりしたところのお答えをいただくわけにはいかなかったようであります。まことに遺憾であります。重ねて申し上げますけれども、早急に地方財政計画を策定して提出されることを要求したいと思っております。  次に、私は公共事業に伴う地方負担の問題について実はお聞きしたいと思いますが、時間もたくさんありませんから、いろいろの問題は別にして、道路の関係はどうなっていくのか、それを一つ建設大臣にお聞きしておきたいと思います。ことしは公共事業が相当大きくなっておりまして、るる国会で御説明いただいた通りでありますが、その中でずいぶんこの道路整備費用というものは大きくウエートを占めているようであります。ことしは新五カ年計画とでもいいましょうか、新しい道路五カ年計画をお立てになって、聞くところによりますと二兆一千億の計画をお立てになっておるそうでありますが、これに伴って、これは道路に限らず、港湾あるいは治山治水全部にわたって地方の負担ということがやはり問題になりますけれども、今この際道路を一つ問題としてお聞きして建設省の考え方等を明らかにしていきたいと思います。  この前三十三年度から始まった道路整備五カ年計画、これによりますと、大体総計が一兆円の計画であったようであります。そのうち国、地方団体、一般道路事業が六千百億、公団が二千億、それから地方団体の単独事業として一千九百億、こういうような配分になっておったかと思います。今度の新しい道路計画において、二兆一千億のこの一般道路事業あるいは公団事業あるいは地方の単独事業というものは、大体どういう配分になっておりますか、これを初めにちょっとお聞かせいただきたい。
  159. 中村梅吉

    中村国務大臣 五カ年計画の二兆一千億の内訳は、一般道路事業が一兆三千億、有料道路が四千五百億、地方単独三千五百億、こういうようにいたしております。
  160. 川村継義

    川村(継)委員 その事業資金の内訳に伴って、いわゆる資金の配分とでも申しましょうか、地方負担というものは私は総計六千億くらいと聞いたと思いますけれども、正確にどれくらいの額になっておりますか。
  161. 中村梅吉

    中村国務大臣 地方負担分は、来年度で申しますと大体一千億余りになります。それは内訳を申しますと、事業についての地方負担分が百二十四億円、これが大体建設省として見込んでおる数字でございます。補助事業地方負担分約四百億円。そのほかに補助率の差額の戻りと申しますか、再建整備団体でありますとか、東北開発その他地域開発等の補助率の高い分が約二十九億円ほどございます。ですから、これはただいま申し上げた二つの数字から差し引かれる数字でございます。それに東京都の首都高速道路公団に対する出資金及び交付金が三十二億円、そのほかに地方単独費が五百七十億円、合計いたしまして一千九十七億円ほどになる予定でございます。
  162. 川村継義

    川村(継)委員 自治省の大臣にお尋ねしますが、今建設大臣から数字の御説明がありましたが、新五カ年計画に基づく五カ年を通じて、地方の負担というもの、いわゆる地方が単独に負担する費用と国の施策に基づいて負担せねばならぬ額、その合計はどれくらいになるか。それから本年度地方の単独事業としてやるべき額は幾らになるか、あるいは一般道路事業として幾らの負担をするのか、ちょっと数字がわかっておりましたらお知らせいただきたいと思います。
  163. 安井謙

    ○安井国務大臣 新しい道路五カ年計画によります地方の負担分の合計は六千九百十億程度であろうと思います。本年度のその他の計算につきましては、今ちょっと資料を見まして……。
  164. 川村継義

    川村(継)委員 自治大臣にお尋ねしますが、この前の道路整備五カ年計画が進められてきた場合に、その計画で盛られておるのは、先ほど申しましたような一兆円の事業総額に対して、大体国は揮発油税の財源で九三・六%という額をまかなっておる。しかしこれは揮発油税の税率の改正がありましたから、あるいは数字がちょっと違っておるかもしれませんが、当初計画では九三%以上の財源をまかなっておる。ところが地方では、地方道路譲与税あるいは軽油引取税、そういうようなものを考えてみましても、全部で五三%しかまかなっていない。半分は地方団体の純持ち出しになるわけです。これは私としては大へんなことだと思うのです。国の道路整備に基づいていろいろ努力をされるわけですが、地方がやはり一般道路事業を受け合っていかなければならぬ。国の方はこういうようにして潤沢な財源でやっていく。ところが地方はそうでない。そういうような目的税等によって充当し得るものは半分余りしかない。一体こういうことでわれわれとしていいのか。前々から問題にしたわけでありますが、今度の新道路五カ年計画においては、これはどういうようになりますか。
  165. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話の通りに、従来から道路の財源は地方につきましては目的財源が非常に率が少ないという点では、遺憾に存じております。でき得る限りこれをふやして参りたいと存じておりますが、いろいろな全体の関係もございまして、今実現するまでに参っておりません。従いまして今回も揮発油税の増額と同じ率で地方譲与税も伸ばしていくという仕組みになっております。
  166. 川村継義

    川村(継)委員 こういうような問題を、自治省とされても大蔵省と協力をして、地方団体の財政を健全化するためにはやはり考えていただかねばならぬと思うのです。私が申し上げましたのは、過去のことでありますけれども、三十三年度策定されたところの道路五カ年計画の財源の問題がそういう形になっておるが、今度の新道路五カ年計画においてもそういう形が出てきはしないか。こういうことになると地方の財政負担というものは非常に多くなる。こういうことを考えて参りますと、自治省としても十分その点を考えてもらわねばならないし、地方財政計画をお立てになるときにも、やはり一つの大きな問題として研究していただくことが必要である、このように考えるわけであります。私は今大ざっぱに道路のことについてだけ申し上げましたけれども、ほかの公共事業関係等につきましてもこれはやはりそういうことが言えると思います。公共事業に伴う負担というものは相当大きいということをわれわれは常に考えておらねばならぬと思います。先ほども申し上げましたように、こういうように地方自治団体の財政運営というものは、何もかも国の施策に基づく——悪い言葉で申しますと、下請業者みたいなものになっている。そうしていわゆる単独事業というみずからの判断、みずからの力でやれる部面というのは、実に一〇%足らずの財源しか持たないということになってしまうわけですね。単独事業といっても、これはやはり公共事業に関連する仕事がたくさんありますから、そのものを差っ引いていったらおそらくこれは一〇%足らずの、みずから運営できるところの財源力というものを持たないじゃないか、こういう点を考えますと、やはりこの後の行政水準の向上、いろいろあなたたちが常に言っておられるような問題を解決するにはぜひとも一つ十分財政計画の上において考えてもらわねばならぬ、このように思うわけであります。  それからいま一つ先ほど自治大臣が私のお尋ねの中に、後進地域等についてのいろいろと国庫負担の問題等も考えておる、こういうようなお話がございましたが、これが一体どういうような形になって出てくるか、この際少しお聞きをしておきたいと思います。政府所得倍増、経済成長、非常にけっこうずくめのような政策によりまして運営できるわけですけれども、一番われわれのおそれているのは、やはり地域格差というものがだんだん増大するのじゃなかろうか、こういうことを非常におそれる。そこでやはり地方のおくれておるところの団体の産業開発、あるいは公共事業等についても、十分消化できるような財政力を付与するということは、これは申し上げるまでもないわけでありますが、私たちは、以前から未開発地域とでも申しますか、後進地域とでもいいましょうか、財政力の弱い地方団体について、特別に国庫負担の制度考えるべきである、このように要求してきているわけであります。ところがことしは、大蔵大臣の国会における趣旨説明にもそういうような制度考える、こうおっしゃったので大へん意を強うしておるわけでありますが、これは一体はっきり目鼻がついたのかどうか、私が聞いておるところでは、どうもまだ目鼻がついていないということのようでありますが、まず初めに大蔵大臣に一言お尋ねいたしますが、これはいろいろこまかに申し上げていると問題があると思いますけれども、この一月でございましたか、大蔵省から今の国庫負担率の問題についての特例案の内容として、率の大体適用についての発表があって、不交付団体どれだけ、Aグループ、Bグループ、Cグループ、Dグループ、Eグループ、こういうように分けて率が出ているわけでありますが、この通りにおやりになるお考えがあるのか、それと、この通りに自治省と話し合いがついたのかどうか、この点まず大蔵大臣から一つお聞かせいただきたい。
  167. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今のは一月何日でございますか。
  168. 川村継義

    川村(継)委員 私がいただいておる資料は、一月の七日でございますね。
  169. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そのとき、もし資料が出ておるとしますと、これは今白紙に返しまして、あらためて新しい案の相談を今関係省でしておるところでございます。
  170. 川村継義

    川村(継)委員 まだ話の途中だということでありますが、われわれも予算編成の過程で、かさ上げをする財源の一部を若干の団体から取り上げる、というと言葉が悪うございますけれども、さいて、そうして充てるかどうかということで、あなたの方ではずいぶん論争があったと聞いております。国が開発を進め、それからそういう地域の格差是正をやろうというのに、一部にもせよ、地方団体から財源を、こっちのやつを削り取ってこっちに持ってくるということは、これはちょっと大きな問題であると思うのですね。幸いあとで聞きますと、大蔵省の意見は、それはお取りやめになったということだそうであります。しかし、府県の立場からいたしますと、その後大蔵省がどういうような出方をしてくるだろうか、ずいぶん疑心暗鬼といいましょうか、大蔵省が少し意地悪いことをやるんじゃなかろうかなどとも考えているように聞いておりますが、その点について大蔵大臣のお考え一つはっきりお聞かせおきいただきたいと思います。
  171. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は撤回はいたしましたが、考え方はそう悪いものではないと、まだ今も思っておるわけでございますが、今の地方税制でいきましても、財源は富裕県に集中して、財源の偏在度というものは今後ますます開いていくという傾向がございますので、地方財政で今後必要なのは、この後進地域をどう開発していって、地方格差をなくするかということは大きい問題でございますので、このやり方としてはやはり財源調整という考えをもって臨むのが一番妥当ではないかと思っております。従来はどうなっておるかと申しますと、貧弱県は当然に財源が少ないんですから、ここには起債を多く認めて借金でやらせておる。財源のある県はむしろ借金が少ない、それでやっていけるのですから。そうしますと、今の現状を見ますと、富裕県の債務というようなものは、一年の予算の三割、四割というところにとどまっていますし、貧弱県は九十何%という債務を持っておる。この姿は非常に悪いことでございまして、今後むしろ財政力のない県には補助率を増して、現金でこれを多く支給することによって、できるだけ起債を減らしていく方向に持っていきますし、富裕県は反対に他の府県に比べて借金が非常に少ないですから、公共事業を進めるにしましても、できるだけ将来返済能力というものは非常にあることがはっきりしておるのですから、ここには起債を多く認めるというようなことをやって、今の姿を変えさせていくことがいいんだと私は考えています。そうしますと、そこに一定の基準を置いて、富裕県に対しては補助率を少なくする。同時に反対に後進県に対しては補助率をそれだけ多く増していく、そこに差をつけていくことがいいんではないかというのが私ども考えでございましたが、従来の補助率を富裕県に対して変えるということは、御承知の通りなかなか大へんな問題でございまして、早急な間に関係者の了解を得るところまではいきませんでしたので、一ぺん私どもは白紙に戻しました。従って富裕県に対する補助率は変えませんが、一方的に後進県に対する補助率を多くするということをして一時対処するほかないと思いますので、今、その方向で関係省で案をまとめておる最中でございます。
  172. 川村継義

    川村(継)委員 自治省は今の問題について法案をすでに用意しておられるようでありますが、大体の骨子は大臣どういうふうになっておりますか。今大蔵大臣のお話とあわせてあなたのお考えをお聞かせ願いたい。
  173. 安井謙

    ○安井国務大臣 後進地域に対しまして今後開発のための政府の補助率を上げていくという法案はぜひ出したいと思って、目下案の作成中でございます。この率、内訳につきましては、今大蔵大臣お話し通りに、一応地方団体間の財源調整という問題を御破算にいたしまして、新しい見地から格上げのランクをつけていく、こういうことで今関係省と折衝中でございます。
  174. 川村継義

    川村(継)委員 今大臣のお話は関係省と折衝中ということであるが、一体自治省の考え方というのがどう進んでおるか明らかでありません。大蔵省と自治省との今折衝の段階は、おそらくこれはこの前府県知事会にお話があったそうでありますが、金額の面で相当食い違っておるということであります。自治大臣、その点御存じでございましたら——大蔵省は現在大体百億余り、百四億ですか、こういう負担を出しておるが、それをぐっと下げていきたいという考えがあるらしい。あなたの方では、あなたの方の法案の骨子に基づいて支出をするならば、やはり百二、三十億程度は出してもらわなければならぬというような、意見の食い違いがあると聞いておりますが、その点についてあなたのお考えを聞かせていただきたい。
  175. 安井謙

    ○安井国務大臣 先ほど申し上げましたように、この調整の問題を一応白紙へ返しまして、新しく自治省と大蔵省その他の関係で今調整中でございますが、自治省の考え方といたしましては、大体基準財政需要の半分にも基準収入が満たない府県を対象にいたしまして、それにそれぞれしかるべくかさ上げをしていきたい、さらにその率も二割五分程度のものをぜひ見ていきたいといろ線で目下折衝中でございますが、この点はまだ最後的な結論に達しておりませんので、数字の点についてはただいまちょっと言明申し上げかねるかと思います。
  176. 川村継義

    川村(継)委員 先ほど大蔵大臣から大体の考え方をいただいたわけでありますが、私が申し上げるまでもなく、もうこれは地方の後進府県地域の開発のためには、このような財政制度を打ち立ててもらうことは大へんわれわれも大きな期待を持っておるわけであります。この促進に伴って必要な財源、その総額は相当に増額していただけるものだとわれわれは期待をいたしております。これについて大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  177. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 できるだけ額を多くしたいと思っておりますが、ただ、私ども考えを申しますと、今言った特例法を出すだけで問題は解決するのではなくて、地方財政については、この財源調整というものはどうしてもやらなければ今後格差をなくすることができません。そのやり方としましては、今何といっても財源調整に一番役に立っておるのは交付金制度でございますが、この交付金による財源調整だけでも今十分でない、今後この問題の合理化がまだ問題としては残っておると思います。と同時に、税制からくる問題がありまして、現行税制によりますと、これはどうしても富裕県に財源が集中せざるを得ないごとにもなっておりますので、この国、地方を通ずる財源の配分問題というものは、やはりどうしても一ぺんここで私どもが大きい検討をしなければならぬときに来ておると思いますので、今税制調査会にはこれをお願いしまして、今後の税制調査会の検討のこれが大きい題目になっておりますから、これは将来合理的に必ず解決されるものと私は思っております。それともう一つは、国庫から地方に支出するところの、今の二つの問題でない支出金、これがやはり地方財源として大きい問題でございますので、この支出の仕方というものについてもここで合理化をやらなければいけない。この三つの地方財源をどう総合調整するかという点によって、この後進地域の開発というものも、初めて大きい効果を生んでくることと思いますので、今度出す特例法一つでなくて、やはり地方財政についてはこの大きい三つの問題をかみ合わせて、ここで検討するのが一番いい。私はそういう考え方で税制調査会ともやっておりまし、また関係省内でただいまもやっておるところでありますが、十分の検討をしたいと思っております。
  178. 川村継義

    川村(継)委員 いろいろ問題が大きい要素を持っておりますが、これはいずれまた大蔵大臣、地方行政委員会等にぜひおいでをいただきまして、いろいろ詳しく一つ考えを述べていただきたい、またわれわれもお聞きしたいと思います。  自治大臣にお聞きしますが、あなたの方でお考えになっておりますいわゆる後進地域開発のこの構想、これと現在ありますところの東北開発、あるいはこの前できたのは四国開発、それから九州開発、こういう開発促進法に基づいて、いわゆる高率補助の適用を受けておる団体があるのでありますが、これらの取り扱いと、今度新しく出て参りますところのこの法案との関係、つまり財源負担の問題等についてどうお考えになっておられますか、それをお聞かせおきいただきたい。
  179. 安井謙

    ○安井国務大臣 現在再建団体の規制を受けておりますもの、それから開発法の適用を受けておりますもの、こういうものが持っております現在までの既得権と申しますか、これにつきましては十分に尊重していく建前でありま、す。しかし、それ以外の地域につきましても、今の後進地域の開発について相当なかさ上げをやっていく、こういうふうに考えておりますが、技術的には再建団体の期限が切れる、あるいはその他の事情がありまして、これは将来はまた一本の法律に吸収するといったようなこともあわせて考えております。
  180. 川村継義

    川村(継)委員 私に与えられた時間が参ったそうでございますが、最後に通産省それから企画庁、実はいろいろお聞きしなければなりませんでしたが、自治省の考えておられますいわゆる低開発地域の開発の問題、あるいは自治省の考えておる基幹都市開発の問題、それから企画庁の工場分散配置法ですか、配置問題、これらについてそれぞれ関係省から大綱だけでもよろしゅうございますから、この際聞かしておいていただきたい。
  181. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 私の方の所管問題につきまして、大体腹案を申し上げてみたいと思います。  大体六大工業地帯につきましては、すでに相当の程度まで発達して、限界にきたところもございますし、また、まだまだ余地のあるところもございますが、六大地帯は大体重化学工業の地帯に考えております。それから各県に一カ所くらい一般の工業開発地帯を設けるということはどうか、さらにその衛星地帯といたしまして、重化学工業あるいは各県に設定される一般工業の衛星地帯というものをともに考えていかなければならないのではないか。これらの問題につきましては、すでに従来の開発促進法に基づいて経済企画庁において施行しております制度もございますし、自治省、建設省においてそれぞれ基幹都市あるいは百万都市工業地帯といったようなそれぞれの腹案がございますので、今後十分に各省と連絡をとりまして、総合的に調和のとれた案を作って参りたい、かように考えております。
  182. 迫水久常

    迫水国務大臣 低開発地域の開発というのは、農林漁業自体の生産性向上をはかることももちろんでありますが、未開発地域に生産性の高い工業を興すということも一つの大きな方法考えましたので、その目的を達成するために、申せば低開発地域工業開発促進法とでもいうべきものを提案する予定で、現在各省間と打ち合わせをいたしておりますが、まだ最終的な結論は出ておりません。ただ概略の内容を申し上げますと、総理大臣が地区を指定し、その地区においては国が立地条件の整備を進める、企業に対してある程度税制上特別の措置を行なうとともに、金融面でできるだけ援助をする。このことを推進するために特別の審議会を設置する。こういうことを考えております。
  183. 川村継義

    川村(継)委員 大蔵大臣にちょっと聞いておきますが、いわゆる企画庁の考え方、通産省の考え方、それから私たちが資料もいただいておりますが、自治省の基幹都市の考え方、建設省の考え方、それぞれやはり何か違いが考えられるようです。今経済企画庁の方では、特におくれた地域に工業を興すというような考え方がありますし、通産省の方では何かベルト地帯とでもいいますか、そういう工業開発というようなものが構想されておるようです。そしてことしは、聞きますと四省ともにそれぞれ調査費を取ってやられるそうですが、大蔵大臣、このあとはやはり四省それぞれに仕事を進められるわけですか、あるいは国で何か一本ぽんとまとめて仕事をされようというお考えですか、これは大蔵大臣一つお聞かせいただきたいと思います。
  184. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 所得倍増計画の中にもございますが、工業の分散化と大都市集中主義を避けるということについては、まず最初にやることは、全く関連産業もない下請工業もないというところへ、ぽつり工場を持っていくというようなことをやることは非常に不適当であって、やはり現在工業地帯として成り立っておるところに接近しないで、一定の距離を持ったところに新工場地帯を作るということの方が、輸送から考えても、あらゆる条件から考えても有効である。しかし、全然工場のないという地帯に、今企画庁長官が言われましたように、新規の工場地帯を作るということも、地方格差を是正する上に必要なことで、こういう計画も当然立てるべきだ。ただ順序としては、その方が倍増計画では後期の計画に属するというようなことを言っておりますが、私もそうだと思います。十年間に全部日本の僻地まで工場化していくというようなことはできませんので、この地方工業の分散化というものは、最も効率的な考え方で順々にやっていくべき問題だと私は考えています。従って各省がそれぞれそういう線に沿ったいろいろな施策の調査をする必要がございますので、各省ごとにそういう調査対策は立てていただきますが、全体の国の計画としての最後の総合は企画庁にお願いして、企画庁が全部の統制をとった計画を立てるべきものだと考えております。
  185. 川村継義

    川村(継)委員 企画庁長官にちょっと聞いておきます。今大蔵大臣からお話があったのですが、池田内閣の所得倍増計画、経済成長、この大資本、大企業中心の政治というのが進めば、これは大蔵大臣のおっしゃる通りだと思うのですね。そうなりますと、企画庁の方で考えておりますこの問題というのは、われわれは一体どう考えていったらよろしゅうございましょうか。あなたの考え方一つ聞いておきたい。
  186. 迫水久常

    迫水国務大臣 所得倍増計画のものの考え方は、大体今大蔵大臣が最初に言われたように、経済効率を中心にした考え方が出ておるのですけれども、同時に閣議決定をいたしました所得倍増計画の構想というものでは、地方的な、地域的な格差是正ということをもう少しウエートを大きく取り上げておりますので、そういう関係から、できるものならば工場を地方に分散したいというふうに考えておるのであります。そのほか基幹都市の問題とか、あるいは通産省の考えております中小企業の団地の問題とか、いろいろありますが、それぞれ調査費がつきましたけれども、私のところの経済企画庁にまたそれらの調整費というのが五千万円かついておりまして、それで所得倍増計画の構想、そういうようなものを全部総合をして私のところで調整をする役目を引き受けることになっておる次第でございます。
  187. 川村継義

    川村(継)委員 実に大きな問題だと思いますが、それぞれ各省の考え方が今は並立しておると受け取っておかなければならない。これが、大蔵大臣の話によりますと、どうせあとでは企画庁が中心になって、これをしぼって一つの国家施策に移すであろうという御意見であったと思いますが、何しろこういうような大きな計画をあなたたちはお持ちである。またことしの国の予算あるいは施策が進行して参ると、常に忘れていただいて困るのは、やはり地方団体の財政問題あるいはその他の行政の問題であります。従って、先ほども私は国庫負担の問題をちょっとお聞きしましたが、そういう点は十分一つ考えていただいて、地方の財政が左前にならないように、健全に発達をしていくように、しかも国の施策に対応できる力を持っていくように、ぜひ一つ考えていただきたいと思います。  最後に通産大臣に一言お尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのですが、今度自治省は、電気ガス税の税率引き下げを考えているようです。先ほどから私いろいろ聞いておりますけれども、内容はまだよく存じませんが、私が聞いたところでは、電気ガス税の免税点の設定というようなことのようであります。これによって計数の上では減税の額が出てくるわけでありますが、今あなたの方では電気料金等の申請について、これを認可するかしないかというような立場に立っております。今ここでいろいろ問答しようと思いませんが、私が一番おそれるものは、たとえば九州電力の値上げ申請について、あれを認可されるということになりますと、現状でもものすごい電力料金の引き上げになることは、もうたびたびあなたに各方面からの資料が提供され、御存じの通りであります。ところが、せっかく大衆の負担を軽減するなどという口実で電気ガス税を下げていっても、そういう一方で九州電力が上がる、次に関東電力の引き上げの申請が出る、こういうようなことになりましたら、この面からだけ考えても、これは何だということにならざるを得ない。負担軽減にも何にもならないじゃないか。電力料金の値上げそのものにもいろいろと問題は多うございますけれども、この地方住民の負担ということから考えると、これは無意味なことになりはしないかと思うのです。この点について、通産大臣の現在のお気持、これを一つ聞かせておいていただきたい。われわれが最もおそれるのは、いろいろ理屈はありましょう、理由はありましょうけれども、後進地域の開発の問題あるいは地方のそれぞれの開発の問題、住民の負担の問題、生活状態等を考えると、いろいろ申請側には、会社側には理由があっても、やはりこの際通産大臣が腹をきめて、この公共料金、電力料金の値上げを押えていくということが必要じゃないか。それが地方税において相当額の減税を考えておることにも対応するものじゃないかと私は思うのでありますが、大臣の所見はいかがでありましょう。
  188. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 電気ガス税の問題につきましては、自治大臣からお話がありましたように、まだ決定はしておりませんが、私どもといたしましては、これに対して一定の主張を持っておっていろいろ協議を続けておるような状況であります。  それから、電気ガス税を軽減しようという段階において、一体料金を一方において上げるということはどうしたことかというお話でありましたが、御承知の通り、最近の電気に対する需用は非常な速度をもって増しておるのであります。この需用によくこたえられぬということになると、一般の国民生活はもとより、産業全般が麻痺状態に陥るということになりますので、この非常にすばらしい速度をもって上昇しつつある電力に対する供給をどうするかということが、非常に大きな問題であります。所得倍増の中心の問題の一つではないかと私は考えるのであります。さような意味におきまして、いろいろこの料金の問題につきましては各角度から研究いたしたのでありますが、ある程度の値上げを認めないことには、供給が行き詰まるというような事態になることを考えまして、ある程度の料金は上げざるを得ないのではないか、かように考えてただいま研究中でございます。ただしかし、その需用者の実情にかんがみて、負担力の少ないところに非常に段のついた値上げを認めるというようなことのないように、極力各需用層の情勢を検討いたしまして、負担に耐えられるようにいたしたい、この点を重点としてただいま検討中でございます。
  189. 川村継義

    川村(継)委員 そういうようなある程度の値上げを認めなければならぬ、その反対給付として自治省に電気ガス税の税金を安くさせよう、そういうようなことでなさったとは考えませんけれども、お聞きになっておると思いますけれども、九州地方は需用者の人たちがものすごい怒りをもって対処しておる。これが立ち上がったら、お医者さんあたりの一斉休診どころじゃないですよ。それには、あなたのおっしゃるように、いろいろ理由はありましょう。われわれも耳が痛いほど理由は聞いておりますが、電力の需用に応ずるところの問題については、国としてやはりある点打つべき施策があると思うのです。しかも、ここではいろいろ申し上げませんが、九電などは三十四年のごときは相当の黒字を出して、配当も一割やっておる。そしてあなたたちに見せるところの資料は赤字だ、こういっておる。そういうようなことで、一般の消費者に大きな負担をかけるということは許せません。これは一つ通産大臣はぜひ大きな政治力を発揮して考えてもらいたい。  ときに、あなたは今ある程度やむを得ないとおっしゃったのですが、どれくらい考えておるのですか。九州電力の申請に対してどれくらいの値上げはやむを得ないとお考えになっておるのですか。
  190. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 まだ結論に到達しておりませんので、どれくらいに考えておるかということにつきましては、ただいま申し上げる段階ではございません。
  191. 川村継義

    川村(継)委員 時間がきたようでございますが、私はここに九電の出しておる申請の資料とか、あるいはそれについていろいろ大臣とここで論議をすべきでもないと思いますし、したくもありませんけれども、この九電の申請というのは、御承知の通り、一七%以上の高率でありまして、この申請をあなたが認められると、これはおそらく日本で一番高い電力料金になる。そうなりますと、九州という特におくれたところのいわゆる地方開発あるいは農業近代化というような点から考えても、実に大きな支障を来たすわけであります。特に申請のあれにも出ておりますように、農業関係への引き上げられるところの料金というものが実に大きい、どういうことを考えますと、これはやはり大きな問題でございます。従って、これはもう十分当局で検討はしておられると思いますけれども、この際そういうようなことを軽々しくなさらぬように、あなたは今所得倍増のためにはとおっしゃったのですが、それはある点産業のために電気を作るということは必要でございましょうけれども、こんな電気料金が上がって、ほかの公共料金が上がりますと、一体国民生活というものはどうなるか、特に九州のごときは、非常に県民の所得からいっても低いところが並んでおる。ますます苦しい状態に追い込むわけであります。この点は十分お考えいただきまして、あの地元の人たちの要求もこの際聞いていただかなければ、ただお医者さん方の要求や、その他の圧力団体といわれる諸君の言うことだけ聞いて政治はやるべきではないと私は思うのであります。この点、通産大臣の賢明なる御決意をお聞きしておきたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  192. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 申請の額、申請の料率につきましては、鋭い検討を各方面から加えまして、そして決して九州地方の発展の阻害になるようなことのないように、十分に心がけたいと思います。
  193. 船田中

    船田委員長 明二十一日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会