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松浦(周)
委員 おっしゃるようにやりますと、結局今よりも兼業農家がふえやしないかということであります。兼業農家がふえるということは、私は
日本農業の健全な発達じゃないと思います。でありますからこれは
ヨーロッパ諸国におきましてもいろいろ
制度をやっておりますが、そういう場合に自由主義の
世の中でやることは少し困難かと思いますけれども、他国ではやっておりますが、小農統合法のようなものを作って、そこで適正規模に直して、しかも適正規模になれば非常な人口が余る、余るものをどこに持っていくか、これは
農業構造の中に
考えられなければならないと思います。
私はこの
農業基本法の問題について非常な責任を感じまして、三カ月半ばかり先進国を歩いてみました。ところが
日本のように国土の
農業利用を軽んじておる国はないです。大体一五%、国土の一五%であります。他国は一五%なんていう国は、カナダが一〇%でありますが、アメリカでも二〇%以上の状況であります。スイスのような山国であっても二五ないし三〇%の利用をいたしております。
日本はどうかというと一五%。それはどこからきたかといえば三千年来の穀菽
農業、瑞穂の国という
考え方、地形の上においてこれ以上利用することができないというところにあると思います。従って地形は平らであっても冷害その他気候、自然条件の
関係において穀菽
農業ができないというところは放置してあります。こういう状況で
国民の四割も保有する
農民の
生活を他
産業に一致させるなんということは、とても私は思いも寄らぬことであると思う。でありますからもっと思い切って国土の
農業利用ということを
政府の
政策の中に入れてそして農地の拡大をしていく以外に道はないと思うのです。現在開墾されている、利用されている国土は一五%であって、大体六百十万町歩くらいのものが利用されておりますが、さらに一五%ぐらいのものが、新しい
農業を
考えるならば利用する道がある。それはどういうところにあるかといえば、まず泥炭地、火山灰地帯、高原、重粘土あるいは海岸線、海岸線といいましても、四国、九州や中国では海岸線は利用されておりますが、茨城県から北の方、つまり冷風と潮風にたたかれて、受粉作用のできない海岸線というものは、莫大な高地、平原が残されております。さらに国有林、民有林その他の林業地帯におきましても、百万町歩以上の未立木地がある。こういうものを他国の国土利用と比べますならば、新しい畜産
農業をやろうとするならば、幾らでも開拓の余地はあると思うのです。ただそれが放置してある。今まで
日本の開拓
農民のやり方というものは、穀菽
農業のできないところへ持っていって、散発的に全国的に十七万戸も入れた。そういう行き方では全然成功しません。やはり集団的な
一つの構想の
農業が、
一つの経済圏を作るような工合に仕上げていくのでなければ、ほんとうのものはできないと思うのです。そういう
意味において、まあ六百万町歩ぐらいでありますけれども、これは畜産の需給
関係も
考えなければなりませんが、あるいは高位の泥炭地あるいは高位の火山灰地あるいは自然条件の悪い高原というようなものはやめても、三百万町歩や三百五十万町歩はりっぱな新しい畜産
農業を経営することができると思うのです。今までの開拓
農業をやるやり方、そういうことではだめなんです。初めからパイロット・ファームのように、国費をもって全部やってしまうのです。
農民を入れたならば必ず畜産
農業の経営ができるというところまで
政府がやってしまって、その面積の広さは大体十五町歩より少なかったらだめだと思う。そういうものを一方に作りながら他面において小農統合をやって、その小農統合をやったものをこっちに持っていって、これも全部を国費でやる。こちらの方もあとを引き受ける人には低利長期の
資金を貸すという
方向に
考えなければ、ただ
企業に吸収されるから、人間が要るから、
生活がよくなるというだけでは、これは締め出しだと言われても仕方がない。そうでなくて、さらに国土の一五%ぐらいのものを新しく開拓して、適地適作的なものを行なわしめることによって、
農業全体の
収入を
均衡をとるという構想がなければならないと思いますが、これに対しまして
農林大臣はどういうお
考えを持っておられますか。