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1961-04-07 第38回国会 衆議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月七日(金曜日)     —————————————  議事日程 第二十号   昭和三十六年四月七日    午後一時開議  第一 国民年金特別会計法案内閣提出)  第二 精神衛生法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第三 郵便為替法の一部を改正する法律案(内   閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十   九条但書規定により議決を求めるの件  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内   閣提出参議院回付)  日程第一 国民年金特別会計法案内閣提出)  日程第二 精神衛生法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第三 郵便為替法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  海上保安官協力援助した者等災害給付に関   する法律の一部を改正する法律案關谷勝利   君外六名提出)  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣   提出)  公有林野等官行造林法廃止する法律案内閣   提出)    午後二時十七分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件
  3. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) お諮りいたします。  内閣から、蚕糸業振興審議会委員参議院議員清澤俊英君を任命するため、国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し出がございます。右申し出通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付
  5. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) さらに、お諮りいたします。  参議院から、内閣提出皇室経済法施行法の一部を改正する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して、右回付案議題とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。     —————————————
  7. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案参議院修正に同意の諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数。よって、参議院修正に同意するに決しました。      ————◇—————  日程第一 国民年金特別会計法案内閣提出
  9. 清瀬一郎

  10. 清瀬一郎

  11. 鴨田宗一

    鴨田宗一君 ただいま議題となりました国民年金特別会計法案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、国民年金法に基づく国民年金事業を経営するため、新たに国民年金特別会計を設置しようとするものでありまして、おもなる内容は次の通りであります。  まず、第一に、この会計におきましては、国民年金法に基づく国民年金事業に関するすべての経理を行なうことといたしております。すなわち、同法に基づく拠出制年金に関する経理に限らず、無拠出福祉年金に関する経理をも行なうことといたしております。  第二に、この会計は、厚生大臣が管理することとし、国民年金勘定福祉年金勘定及び業務勘定という三つの勘定に区分、経理することといたしております。  国民年金勘定歳入は、国民年金事業にかかる保険料国民年金印紙により納付された保険料に相当する額の業務勘定からの受入金拠出制年金事業に要する費用に充てるための一般会計からの受入金積立金からの受入金及び積立金運用収入等とし、同勘定歳出は、拠出制年金給付費及び国民年金事業福祉施設に要する経費に充てるための業務勘定への繰入金等といたしております。  次に、福祉年金勘定歳入は、福祉年金年金給付に要する費用に充てるための一般会計からの受入金等とし、同勘定歳出福祉年金年金給付費等といたしております。  また、業務勘定歳入は、国民年金事業事務の執行に要する費用に充てるための一般会計からの受入金国民年金印紙の売りさばき収入及び国民年金事業福祉施設に要する経費に充てるための国民年金勘定からの受入金等とし、同勘定歳出は、国民年金事業業務取り扱いに関する諸費、国民年金印紙により納付された保険料に相当する額の国民年金勘定への繰入金及び国民年金事業福祉施設に要する経費等といたしております。  第三に、以上のほか、この法律案におきましては、この会計予算及び決算に関して必要な事項を定めるとともに、国民年金印紙の売りさばき等に関する規定を整備するため、附則において、印紙をもってする歳入金納付に関する法律の一部を改正することといたしております。  本案に対しましては、高田富與君より次のような修正案提出されました。  すなわち、修正の趣旨は、原案におきまして、「昭和三十六年四月一日から」と定められておりまする本案施行期日を、「公布の日から」に改めるとともに、これに伴い必要なる規定の整備をはかることといたそうとするものであります。  本案並びに修正案につきましては、去る五日、質疑を終了し、採決を行ないましたところ、起立多数をもって修正議決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  13. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り決しました。      ————◇—————  日程第二 精神衛生法の一部を改正する法律案内閣提出
  14. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第二、精神衛生法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  15. 清瀬一郎

  16. 永山忠則

    永山忠則君 ただいま議題となりました精神衛生法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  精神障害者治療には、一般に、長期に入院して高額の医療費を必要とするため、十分な入院治療が行なわれず、また、患者世帯貧困階層へ転落していく場合が多い実情であります。また、精神障害者は、自身を傷つけ、または他人に害を及ぼすおそれがあり、社会不安の一因ともなっているのであります。今回、精神障害者医療費負担の軽減をはかるとともに、社会不安を除去する見地から、精神衛生法に定める都道府県知事の行なう措置入院制度を強力に推進して、精神障害者医療及び保護の徹底をはかろうとするのが、本改正法律案の目的であります。  そのおもなる内容について申し上げますれば、第一は、措置患者入院に要する費用についての従来の二分の一の国庫補助率を十分の八の国庫負担率に引き上げることであり、第二は、措置患者医療に関する診療方針及び費用について、その規定を整備するとともに、医療費支払い事務等を円滑に処理するため、これを社会保険診療報酬支払基金に委託し得ることとすることであります。  本法案は、去る二月二十日付託となりましたが、四月五日の委員会において質疑を終了し、次いで採決いたしましたところ、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出
  19. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第三、郵便為替法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  20. 清瀬一郎

  21. 山手滿男

    山手滿男君 ただいま議題となりました郵便為替法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は去る二月二十四日内閣から提出されたものでありますが、主要な改正点といたしましては、第一に、郵便為替料金は、昭和二十六年以降、およそ十カ年にわたって、改定されることなく今日に及んでおり、その間、人件費増加等により事業収支が著しく不均衡を来たしているので、その改善をはかるため、普通為替及び電信為替料金を改定すること、第二に、新たに、百円以上三千円までの百円未満の端数のない金額の送金につき、簡便で低料金定額小為替制度を設けて利用者の利便をはかること、その他、郵便為替証書の一枚の金額制限額を五万円から十万円に引き上げること、代金引きかえの普通為替証書につき速達送達取り扱いを開始すること、郵便為替証書の再交付等料金廃止すること等であります。  なお、施行期日は本年七月一日となっております。  逓信委員会におきましては、本案付託を受けまして以来、数度にわたり会議を開いて慎重審議を重ね、昨四月六日質疑を終了、討論を省略して直ちに採決の結果、賛成多数をもって本案はこれを原案通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  以上をもって御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  22. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  23. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数、よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  24. 田邉國男

    田邉國男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、關谷勝利君外六名提出海上保安官協力援助した者等災害給付に関する法律の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  25. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  海上保安官協力援助した者等災害給付に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  27. 清瀬一郎

  28. 川野芳滿

    川野芳滿君 ただいま議題となりました、海上保安官協力援助した者等災害給付に関する法律の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案の要旨を説明いたします。  現行法によりますると、海上保安官協力援助した者等災害を受け、療養を開始してから三年を経過しても治癒しなかった場合は、打ち切り補償として一時金を給付して、以後国は給付を行なわないことになっておりますが、昭和三十五年に国家公務員災害補償法改正があり、打ち切り補償制度廃止され、治癒するまで国が療養給付を行なうことになりましたので、これと同一歩調をとるため、打ち切り給付廃止して、治癒するまで療養給付を行なうことができるようにしようとするものでございます。  本法案は、三月二十九日本委員会付託され、四月四日、提出者代表關谷勝利君より提案理由説明を聴取し、本日質疑を行ないましたが、内容会議録により御承知願いたいと存じます。  かくて、本日討論を省略して採決の結果、本法案起立総員をもって原案通り可決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  29. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  30. 清瀬一郎

  31. 田邉國男

    田邉國男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出森林開発公団法の一部を改正する法律案公有林野等官行造林法廃止する法律案、右両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  32. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  森林開発公団法の一部を改正する法律案公有林野等官行造林法廃止する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  34. 清瀬一郎

  35. 坂田英一

    坂田英一君 ただいま議題となりました両案について、農林水産委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、森林開発公団法の一部を改正する法律案について申し上げます。  公有林野等造林につきましては、従来、国が直接施行者となって造林を行ない、水源林造成等に努めて参ったのでありますが、官行造林地も最近いよいよ本格的主伐期に入ることになり、伐採業務は急激に増加し、また、造林対象地が漸次分散化ないしは零細化し、国みずからその事業を担当していくことが必ずしも適当でなくなりましたので、この際、この水源林造林にかかわる事業は、他の事業とあわせ、森林開発公団をして収益分収方式によりこれを行なわしめることとするため、本案提出せられたのであります。  次に、公有林野等官行造林法廃止する法律案でありますが、本案は、ただいま御報告いたしましたように、官行造林事業と同種の事業を今後公団方式で行なうことになりましたので、この際同法を廃止しようとして提出せられたものであります。  以上二法案につきましては、三月三十一日から五日間にわたって質疑を行ない、また、その間、森林開発公団理事長を初め数人の参考人意見を聴取する等、審査には十分慎重を期し、四月七日、すべての質疑を終了したのであります。  しこうして、自由民主党から、両案の施行期日公布の日からとするための修正案提出せられましたので、この修正案並びに原案討論に付しましたところ、自由民主党及び民主社会党からは賛成の、日本社会党からは反対意見がそれぞれ表明せられたのであります。引き続き採決の結果、いずれも多数をもって修正議決すべきものと決した次第でございます。  右、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  36. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これについて討論の通告がありますから、これを許します。湯山勇君。   〔湯山勇登壇
  37. 湯山勇

    湯山勇君 私は、日本社会党代表いたしまして、ただいま議題となりました二つの法案反対討論をいたします。  もともと、市町村有林というような公有林は、条件の悪い、生産性の低いところが多いのでございまして、財政力の弱い市町村がこれに木を植え、これを維持管理するということは、とうていできないことでございます。そこで、これらの市町村有林部落有林等公有林は、国がこれに造林を行なって、その上がった収益は国と市町村が半々に分ける、こういう分収の制度を設けておったのでございます。国はこれによって国土保全をはかり、分収によって市町村部落を潤す、こういう制度でございますから、市町村にとっては大きな魅力でございますし、後には、この官行造林制度民有林にまで拡大されて参ったのでございます。大正九年に官行造林が実施されてからすでに四十年の歴史を持っておりまして、その間、三十四万町歩造林が行なわれ、今後なお昭和四十四年までの九年間に二十三万町歩余造林を行なう計画を立て、すでに国が契約をしておる面積も三万町歩に及んでいるのでございます。ところが、今回、突然、国が行なう官行造林をやめて、これを森林開発公団に移そうというのでございまして、以下、数点にわたって反対理由を申し述べたいと思います。  その第一は、この法律の立案の動機がきわめて不純であって、民意に反するものであるという点でございます。  官行造林廃止反対請願やあるいは署名はすでに十万をこえておるのでございますけれども、官行造林廃止してもらいたいという請願は、いまだ国会に一件も出ていないのでございます。(拍手)その反対意見というのは、すべて山を愛し、森を愛する、そういう至情に出ておることは申すまでもないのでございますけれども、その内容とするところは、第一は、官行造林廃止されて公団契約することになれば、今までよりも不利になるのではないか、第二は、長年にわたって親しみ、しかも、信頼をしてきた官行造林を、土木事業専門森林開発公団に安心してまかすことができない、こういうことでございます。そもそも、森林開発公団というのは、奥地林道を開発する、これがおもな仕事でございまして、昭和三十一年から、約五十億の費用を使って、土木事業専門に行なってきたのでございます。しかも、この五十億の大事業を、人員がわずか百三十八名、そして、五十億の大きな仕事をするのに、持っている道具はわずかにダンプカー一台というのでございますから、まことに驚くべき公団でございます。従って、この公団のやった事業についてもいろいろな批判があるのでございまして、この公団にまかし切れないという国民の声は決して無視できないと思うのでございます。(拍手)さらに、心配の第三は、官行造林廃止によって、長年山林とともに生きてきた人たちが山を追われ、生活を脅かされる、こういうことでございます。こういう国民の間に不安があるだけではございません。自治体の間にも、あるいは政府部内でも、幾らか実情を知っておる自治省は、官行造林廃止に大きな不安を持っておるのでございます。法案が提案される前、一カ月にわたって自治省と農林省とが折衝を重ねましたが、その最後の二月の二十一日に、林野庁は、市町村にとって不利にならないように森林開発公団を指導監督することを基本的な方針として、従来通りに、市町村の取り分、すなわち、分収率を五〇%を標準とすること、さらに、市町村等公有林野については勝手なことをさせない、こういう立場から、林野庁自治省十分連絡協議をする、こういうことを内容とした了解事項公文書で約束して、しぶしぶ了承したことになっているのでございます。つまり、政府提案法律に、政府部内でこれだけ心配しなければならないという事実は、この法律がどんなによくない法律であるか、これを政府みずからが証明しておるものといわなければなりません。(拍手)  思うに、この法律のねらいは、国土保全山村人たちのためのものではなくて、予定の事業がもう終わってしまって、当然廃止さるべき森林開発公団の延命の策である、さらにまた、これは、将来退職した高級公務員が、ここへ退職後の身を引き受けてもらう、そういう場所を作るためのものでしかないと私どもは考えざるを得ないのでございます。(拍手)おそらく、与党皆さんの中でも、官行造林をどうしても廃止しなければならない、こういうふうに考えておられる方はほとんどおられないのではないでしょうか。国民が希望していないで、このように不安を感じている法律が、一部の者の策動によって、しかも、この法律が特殊な法律であるために多くの人が関心が薄いままに、それに乗じて手続が進められ、そして、政府提案となり、政府提案だからというので与党皆さんが多数でこれを議決する、こういうことになれば、一体、議会の権威はどこにあるのでしょうか。さらに、こういうことは民主主義の原則にも反することだと思います。(拍手)  反対の第二の理由は、官行造林廃止国民の国に対する信頼を失墜させるということでございます。官行造林契約は、法律によって、国と市町村あるいは国と部落、国と個人の間で結ばれております。すでに、今後官行造林をやってもらうという契約を完了している面積も三万町歩に達しておりますし、さらに、今後九年間にわたって契約できることを期待して用意をしている山林面積は約二十万町歩に達しております。しかも、昨年の十月には、農林大臣は、官行造林法施行四十周年記念の全国大会に出席いたしまして、全国代表に、官行造林成果を大いにたたえまして、さらに、この事業国土保全水資源確保に輝かしい成果をおさめ、ひいては、わが国の繁栄に大きな貢献をもたらすよう、これを契機に一そうの御協力を賜わりますよう衷心からお願い申し上げます、こういうあいさつをしておるのでございます。その舌の根もかわかないうちに、しかも、何らの事前の了解もなく、突然、法律改正によって、この契約を解消しようというのでありますから、関係者にとっては全く青天のへきれきであります。(拍手)本来、国が契約を結ぶ場合には、国は契約違反をしない、そういうことが立法の前提でございます。そういう信頼があればこそ、山村人たちは、この事業協力もするし、契約も結んできたのでありますが、これを一方的に法律によって廃止しようとするのでありますから、これは、国民契約によって生じた権利、利益を一方的に侵害することになって、憲法違反のおそれもあるのでございます。(拍手)  そこで、官行造林廃止する法律では、その附則の中に「この法律施行前に公有林野等官行造林法に基づき締結された契約については、同法は、なおその効力を有する。」こういう規定を入れております。しかし、忠実にこの規定を守るかというと、政府説明によれば、契約者と話し合いをして、その了解を得て、これを公団にやらせる、どうしても了解のつかないものについてのみ従来通り官行造林を国でやっていく、こういう答弁をいたしておるのでございますけれども、さて、これを裏づけるための予算は、三十六年度の予算には一文も組まれていないのでございます。つまり、予算の裏づけを全然持たないで事業をやるということは、これは全くほんとうの空文の見本のようなものでございます。  思うに、これは、おそらく、法律施行されたならば、この法律をたてにとって、権力を振りかざして、そうして、契約解消を強要する。こういうことしか考えられません。これは、明らかに、民主政治の破壊であるし、ファッショへの道に通ずるものと思うわけでございます。(拍手)現に、今日、ただいまの段階で、植林の非常にいい好機を迎えまして、東京の町にも、あちらこちら植木の市が立っております。その植木市も、もう終わろうとしております。そうして、山村では、その官行造林に備えて、せっかくこの春に備えて用意しておった丹精の苗木が、今、腐れかかっております。にもかかわらず、国は約束をしておりながら、一本も植えてくれていないというのが今日の状態でございまして、この事実だけでも、明らかにこれは契約違反法律違反だと断ぜざるを得ません。(拍手)絶対に法律契約は破らない、こう信じておったその国が、約束を守らないで、生きた苗を殺してしまう、そういうことをしたのでは、これは、国の信頼を傷つけるばかりではなく、純朴な山村の人々の怒りを買うことになるのであって、このような無責任な態度は、私どもはとうてい容認できないのでございます。(拍手)  反対の第三番目の理由は、山村の人人や山で働く人々の生活を脅かすということでございます。  公団が今回の造林に出す金十億円は、国有林野の特別会計から公団に出されることになっております。従来ならば、林野庁から直接その現場にいっておった金が、今度は公団を通ることになり、中間機関を通って、そこで幾らかの利潤を取って、それが公団の運営に使われるというのでございますから、直接事業にいく金が少なくなることは、これはもう当然であります。  そこで、予算の単価を見ましても、三十五年度の官行造林では一町歩当たり約十万円を見ておりましたのが、今度の公団造林では、その半分の、一町歩当たり五万円しか見ておりません。これについて、政府説明では、昨年の場合は、植えかえ、枯れたものの補植等を含んでいるから単価が高いのだ、今年度の場合と同じ条件で比べれば約一〇%多く見ているというのでございます。その一〇%の内容は、大体、今度の場合は、奥地、不便なところ、そういうところが対象になるから、自然それだけの費用が必要だというのでございますけれども、そうだとしても、鉄道運賃の値上がり、ガソリンの値上がり、その他物価の値上がりに対する分は全然見込まれておりません。こういうことになってくると、奥地で不便なところは見ておりますけれども、物価の値上がりの分を見ておりませんから、当然、単価の切り下げになって参ります。そのしわ寄せは、結局、その中で一番大きい比重を占める人件費にしわ寄せしてくるのでございまして、働く人の賃金を下げるか、あるいは下請代金をうんと値切って、結局働く人を苦しめていく、こういうことになる以外に方法はないと思うのでございます。所得倍増の中で、ほんとうに苦労している山の人たちだけが所得が切り下げられる、こういうことになってしまうのでございます。さらに、こういうふうに予算が切り詰められておりますから、実際に計画通り造林ができないかもしれない。しかし、公団は、やらなければもうかりませんから、無理をしてやっていくことになると思います。その場合には、これは、水源涵養林とか、いろいろな条件がかりにつけられるといたしましても、従来の官行造林法によって市町村有林が優先する、こういう規定があったのが、今度なくなりますから、公団は、そういう条件の中でやりやすいところ、つまり、大山林地主の私有林に手をつけていくことになることは、これは当然でございます。ことに、私有林の場合は、分取率、つまり、公団の取り分も普通の市町村有林よりも約一〇%方多いことになっておりますから、結局、もうけ主義の公団がそういうことにいくことは、これはもう当然でございます。こういうことになって参りますと、大山林地主は喜ぶかもしれませんけれども、山村の人や山で働く人の生活はだんだん苦しくなってくる。それだけじゃなくて、今日まで長い間官行造林で働いていた人たちは失業の心配も出て参ります。政府は、これについて、官行造林で働いていた人たちを全部国有林に吸収する、こういうことを申しておりまして、だから失業の心配はない、こう言明しておりますけれども、地元の労務者、こういう人たちは、国有林へ移るために生活根拠地を変えなくてはならない、こういう人もたくさんございます。あるいは、それによって、従来木を植える仕事をしていた人が、木を切るという別な仕事にかわらなければならない、こういう人も出て参ります。さらに、婦人の労務者とか、あるいは農業と兼業しておる人たちは、とうてい遠方の国有林まで働きにいくことはできません。幾ら政府が首を切らないといっても、結局やめなければならない、やめさせられることになってしまうのでございまして、農民の首切りということでいろいろ批判を受けている池田内閣の政策は、ここに山の人の切り捨ても行なう、こういうことになってしまうわけでございます。(拍手)これが、一体、山に生き山を愛してきた人を遇する道でしょうか。  最後に指摘したい点は、公団事業は、何といっても、企業性が優先いたします。もうけることを考えていかなければなりません。このことは、近きに例を求めるならば、公営住宅と公団住宅を比べてみるときに、公団住宅の評判が悪いことは、皆さんよく御存じのことであります。もうけるためには、治山治水上の最も必要なところをあと回しにして、もうかる方を先にやっていく、こういうことも決してないとはいえません。そして、そのために、水害、河川の堤防の決壊とか、はんらんとか、そういうことが起こることは絶対ないと、だれが一体保障するでしょうか。こうなって参りますと、森林開発公団は、ひょっとすると、災害誘発公団にもなりかねないのでございます。(拍手)  どうか、自民党の皆さんも、民社党の皆さんも、国会の権威と議員の良識を守る意味において、さらに慎重な御検討をいただいて、この二法案反対の立場をとられんことを切望して、私の反対討論を終わります。(拍手
  38. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 討論はこれをもって終局いたしました。  両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  39. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  40. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午前二時五十五分散会      ————◇—————  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         厚 生 大 臣 古井 善喜君         農 林 大 臣 周東 英雄君         運 輸 大 臣 小暮武太夫君         郵 政 大 臣 小金 義照君  出席政府委員         総理府総務長官 藤枝 泉介君