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1961-04-07 第38回国会 衆議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月七日(金曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員   委員長 池田 清志君    理事 田中伊三次君 理事 林   博君    理事 牧野 寛索君 理事 井伊 誠一君    理事 坪野 米男君       浦野 幸男君    楢橋  渡君       長谷川 峻君    三和 精一君       山村新治郎君    阿部 五郎君       猪俣 浩三君    畑   和君       中村 高一君    志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 植木庚子郎君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁警備局         長)      三輪 良雄君         法務政務次官  古川 丈吉君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         法務事務官         (人権擁護局長鈴木 才藏君         公安調査庁次長 關   之君  委員外出席者         内閣調査官         (調査室長)  古屋  亨君         法務事務官         (入国管理局次         長)      臼田彦太郎君         海上保安庁次長 和田  勇君         海上保安官         (警備救難監) 松野 清秀君         海上保安官         (警備救難部長)樋野 忠樹君         海上保安官         (警備救難部警         備第二課長)  若尾  宏君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 三月十七日  委員浦野幸男辞任につき、その補欠として原  健三郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員原健三郎辞任につき、その補欠として浦  野幸男君が議長指名委員に選任された。 四月七日  委員井村重雄辞任につき、その補欠として三  和精一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和精一辞任につき、その補欠として井  村重雄君が議長指名委員に選任された。 同日  理事猪俣浩三君同日理事辞任につき、その補欠  として坪野米男君が理事に当選した。     ————————————— 三月十七日  労働関係訴訟における労働組合当事者適格に  関する法律案(棚橋小虎君外二名提出参法第  一〇号)(予) 同月二十日  めいてい犯罪者に対する禁断処分法制定に関す  る請願田中伊三次君紹介)(第一五二八号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第一六三一号)  同(帆足計紹介)(第一六三二号)  同(床次徳二紹介)(第一六八二号)  同(片山哲紹介)(第一七二六号)  鹿児島地方家庭裁判所川内支郡甲号昇格に  関する請願池田清志紹介)(第一六一四  号)  裁判所代行書記官制度廃止に関する請願外三  十七件(肥田次郎紹介)(第一六四六号)  裁判所代行書記官等制度廃止に関する請願外  二十三件(肥田次郎紹介)(第一六五九号)  仙台法務局小野田出張所存置に関する請願(伊  藤宗一郎紹介)(第一七二三号)  皇室尊厳をおかす者を処罰する法律制定に  関する請願外四件(岡崎英城紹介)(第一七  二四号)  同外六件(米田吉盛紹介)(第一七二五号) 同月二十九日  鳥取地方裁判所庁舎新築に関する請願赤澤正  道君紹介)(第一七九九号)  鹿児島地方家庭裁判所川内支郡甲号昇格に  関する請願中馬辰猪紹介)(第一八〇〇  号)  皇室尊厳をおかす者を処罰する法律制定に  関する請願外二件(米田吉盛紹介)(第一八  〇一号)  同外十二件(小川半次紹介)(第一九三二  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任の件  法務行政に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。理事猪俣浩三君より、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。つきましては、補欠選任を行なうのでありますが、これは先例によりまして、委員長指名を御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。それでは理事坪野米男君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 池田清志

    池田委員長 次に法務行政に関する件について調査を進めます。  まず人権擁護局長より、旭洋丸問題について、調査の経過を聴取することにいたします。鈴本人権擁護局長
  6. 鈴木才藏

    鈴木(才)政府委員 お尋ね旭洋丸事件につきましては、本年の三月十四日に人権擁護局調査課に直接熊本牛深市に住んでおられます洲崎利秋という方から上申書提出がございます。その上申書の要旨は、洲崎という方が交易合作公社代表理事である渡邊清茂の依頼によりまして、昨年十二月二十四日ごろに船を仕立てまして、島根県温泉津港を出港いたしました。日鮮漁業合作協定締結をはかるという張永晋という人を、朝鮮民主主義人民共和国の新浦港に上陸させまして、本年一月十二日ころ、鳥取県の境港に帰港した。ところがその際に出入国管理令違反容疑で、海上保安庁浜田海上保安部によって逮捕され、その後起訴された。現在訴訟が係属中のようであります。ところが右の出入国というのは治安機関当局了解を得ていたものであって、一方ではそういう了解のもとに出港させ、そして他方で帰ってくると処罰する、起訴するというふうなことは、はなはだしい人権侵害である。どうかこの真相を明らかにして救済をしてもらいたい、こういうふうな趣旨の申告があったのであります。ただ、本件につきましては、この申告内容あるいは本人の言う以外にまだわれわれの方ではっきりとした事実を、今中間報告をいたす段階には至っておりません。
  7. 池田清志

    池田委員長 次に質疑の通告があります。順次これを許します。猪俣浩三君。
  8. 猪俣浩三

    猪俣委員 今人権擁護局長の御説明を聞きましたが、まだ調査ができておらないで、中間報告はできる段階じゃないということでありますので、それ以上お尋ねいたしましても無理かとも思います。ただ擁護局長お話のうちに、まだ目下裁判中だというふうなお話がありましたが、この容疑者は八人あるうち二人だけが裁判中でありまして、首魁と思われる渡邊清茂なる者は、もうすでに刑が確定いたしております。それから五人の何にも知らない乗組員たちは、一万円の略式命令を出されて、わけのわからぬうちにこれも確定してしまっておる。今二人の人間だけが、船長及び洲崎という人物だけ公判中でありますが、あと首魁その他の者は全部裁判は終わっちゃった、こういう事態でありますから、その点でなお進んで御調査願いたいと思います。きょうは、あなたは御多忙のようでありますので、私もこれ以上お尋ねはできませんが、問題はささやかなる問題のごとくにして、実に大きな問題だと思います。  昔、徳川幕府時代に、宇都宮につり天井を作らして将軍を殺そうとした、そういう仕かけをした大工どもはみんな殺されてしまった。そういうことをたびたび、正説であるか伝説であるかわかりませんが、われわれも耳にいたしますし、また現に近代の戦争中におきましても、中華辺に日本の軍人が相当そういう行動をやったようであります。洗えば何かそれと類似した点があるのでありまして、国策と称し、国のためと称しまして、無知な人たちをかり立てて、事がまずくいったときにはその者の責任にして、真にそれを動かした人間は泰然としておる。こういうことが相当あるとわれわれは思われます。そうしてそれに何らかの国家機関が一枚加わっておる。それが公式であるか、国家機関のある人物がみずから個人的にそういうことをやったか知りませんが、しかしその国家機関のある人物に会った人間からするならば、国家機関がちゃんと容認しているという印象を受けるわけであります。個人だ、公だといったって、人間一つであり、なま身のからだでありますから、これがさようなことの一端として、私どもは問題だと存ずるわけであります。これは人権擁護立場からいたしましても、今日国際謀略戦がたけなわなるときにおいて、ことに日本の東京は昔の上海以上の暴力、スパイの巣くつだと言われている、はなはだ不名誉なる立場に立っております。こういう場合におきまして、私どもは、こういう疑いを持つことにつきましては、徹底的に調査していただきたい。私もこの洲崎なる人物及び乗組員二人が訴えて参りまして、議員会館でつぶさに彼らの言うことを聞きまして、実に暗たんたるものがあった。これは容易ならざることだということで当法務委員会調査をお願いしたわけでありますが、あなたに対しては、どうぞ徹底的にこれを調査していただきたいことを要望いたしまして、別に質問はありませんから、どうぞお帰りいただいてもけっこうだと思います。  そこで、ただいま人権擁護局長洲崎利秋なる者が訴えてきた、私自身も訴えられましたし、乗組員二人からも訴えられたのでありまして、はなはだ奇怪な事実があると思われるわけであります。そこで私は、この事件に関しまして、国警長官お尋ねをしたいと思うのです。この洲崎その者たちは、彼が正式に検事に起訴されて裁判になるまでは一向口外しなかったことが、いよいよ裁判になっても何ら救援の手が伸びないということから、自分たちがだまされたというふうに考えまして、人権擁護局へ飛び込み、われわれのところへ飛び込んできたらしいのであります。この旭洋丸事件の前に二つ洲崎関係した事件がある。そのことを一つお尋ねしたいのですが、それは一つ昭光丸事件というものがある。これはやはりこの渡邊清茂なる者が音頭をとりまして、国策のためである、北朝鮮漁業協定を結ぶためなのだ、そこで一つ国家のために北朝鮮漁船を仕立てて行ってくれということを頼まれまして、この洲崎という男が昭光丸という船を整備いたしまして、乗組員を雇い入れて、そうして出港準備をした。しかしこの昭光丸という船を漁船にするには船籍変更手続が要るそうであるし、なおまた船員あるいは船長免状がなければならない。ところが、そんなことを心配しないでいい。全部上の人と了解済みであって、お前たちは決して罪にならぬからということで、この洲崎という男が船種変更を勝手にやるとともに、免状を勝手に偽造いたしまして、そうして船を出港しようとしたのでありますが、これが鳥取境港でもって出港直前警察に検挙されたという事件があります。これは公文書不実記載とか、いろいろ相当の刑罰に値する事案であったわけです。何の出航許可もなく、船種変更許可もなく、にわかに出発するというのでありますから、それを境港警察署で検挙いたしました。ところが、そういう指導をいたしました渡邊も何でもなかったし、洲崎それ自身免状等不実記載でもって追及せられたけれども、結局起訴もされないで、——彼の訴えるところによれば、起訴されたんだが起訴中止になった、こう言っているのであります。これは昭和三十四年のころですか、こういう昭光丸事件というのがあったかどうか。警察では御存じであるかどうか、それをまず第一に伺います。
  9. 三輪良雄

    三輪政府委員 お答えをいたします。昭光丸事件というのがありまして、警察において検挙した事実がございます。
  10. 猪俣浩三

    猪俣委員 これが一体全然起訴もされず、そのまま放免になりました理由はどこにありますか。
  11. 三輪良雄

    三輪政府委員 少しく詳しく御報告をいたしますが、鳥取警察におきまして、境港警察署密貿易容疑で検挙をいたしたわけでありますけれども、取り調べをいたしましたところが、関係者は、京都府の宮澤港に回航して、外航船変更し、韓国馬山向けの正式の通関手続をとるということを主張したのでありまして、具体的なそれをくつがえす資料がございませんために、また関税法には通関虚偽申請の未遂ないし予備を罰する規定がございませんので、その事件としては立件ができなかったのでございます。しかしながら、この捜査によりまして、櫻井繁と名乗る船員不法残留朝鮮人でございまして、これが宮澤港に潜行しているということがわかりましたので、これは京都府に通報いたしまして、京都府警察で検挙いたしております。この結果は、ただいま渡邊清茂について何らの措置がなかったということでございますけれども呉健八と申します朝鮮人日本人名船員手帳を不正に入手するのを教唆したという意味で、同年十月三日に渡邊清茂を検挙いたしまして、十月五日逮捕して、身柄付京都地検送致をいたしております。その後引き続き検察庁においてお調べがあったわけですけれども、否認したまま十月十三日、証拠不十分として起訴猶予処分になったのでございます。呉健八というその本人の方は、これは出入国管理令違反、つまり韓国船から脱船をして不法残留していたということと、それから櫻井繁名義船員手帳を不正に入手したということでございまして、これも京都地検身柄付送致をいたしました。本件につきましては、九月六日地検から京都地裁起訴をされまして、十一月八日懲役六カ月罰金三千円の判決があったのでございます。なおこれに関係をいたしました洲崎利秋氏につきましては、先ほど来おっしゃいましたような船籍票の交付につきまして不実の事実を述べましたということで、十月二十二日に鳥取地検米子支部警察からは書類送致をいたしております。二十四日、洲崎氏の住所地であります熊本地検天草支部送致されましたけれども、当時洲崎氏が所在不明でありまして、結局三十五年八月六日起訴猶予処分となったものであります。
  12. 猪俣浩三

    猪俣委員 この昭光丸事件渡邊清茂裁判になったということは今初めて聞いたわけでありますが、彼はそういうことをことごとく不問にして、自分は上の人と連絡があるから何も罪にならなかったんだというふうにこの洲崎たちに言い含めておった。それを洲崎は信じ切っておったのであります。この昭光丸事件は、昭和三十三年七月のことですが、その次に、今度は昭和三十四年五月になりまして、天神丸事件というのが起こった。やはりこの渡邊清茂関係いたしまして、同じようなことで、国策のために北朝鮮漁業協定に行くんだと称し、この洲崎に船の用意を頼んだので、洲崎は船を用意いたしまして出航準備をいたしましたが、資金のやりくりの手違いから出航が取りやめになった。ところが、境港でこの渡邊清茂洲崎たち出航を取りやめているときに、境港警察署警備係汐留係長景山、中田各部長が、この渡邊洲崎を呼んでごちそうして、大へん御苦労であったというようなことを言ったというのであります。ですから、洲崎は、すでに天神丸事件警察当局事前に知っておったものであると確信をした。そうして渡邊という男は何と政治力のある男だと思って渡邊を非常に尊敬をしておった、こう言うのでありますが、この天神丸事件のいきさつを御説明願いたい。
  13. 三輪良雄

    三輪政府委員 天神丸事件につきましては、お話のように、三十四年の五月のころでございます。これがやはり北鮮に行くものと計画したようでございますけれども、二カ月ほどいろいろ手続をやったようでしたが、うまくいかずに、そのことは進まずに失敗に終わったようでございます。先ほど申し上げました昭光丸事件のことがございますので、境港に入って参りましたときに、関係警察官としては、また北鮮に行くことを企てるということを考えて、これに接触をし、その動きを知るために、あるときは食事をともにして話を聞いたようでございます。しかしながら、その後も景山部長は数回本人に会って、いろいろ今度出る意図について聞いておるのでありまして、これが実際にもっと進行いたしまして密航が確実に立証できる段階になればもちろん検挙したわけでございますけれども、先ほど申したような事情で、これは全く船を泊めたまま準備が進行しませんで終わってしまったわけでございますから、事件にならなかったわけでございます。しかし、そのときも、こちらとしてはそういう密出国意図を知るために会うわけでございますから、御苦労であるというようなことを言ったはずはなかろうと思うのでございます。
  14. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、渡邊清茂あるいは洲崎、その者たちと、今申しましたような境港署警察官が飲食をともにしたということはお認めですね。
  15. 三輪良雄

    三輪政府委員 最初にそれを発見して接触する機会に食事をしたということは聞いております。
  16. 猪俣浩三

    猪俣委員 そういうことがたび重なりまして、この洲崎なる人物は、警察了解の上のものであるということを確信するに至りまして、ついに旭洋丸事件を引き起こしたわけであります。  この旭洋丸事件につきまして今度はお尋ねしてみたいと思いますが、一体こういう北朝鮮出航するというようなことが、しかも無免許で出航するというようなことがわかりましたならば、警察としては事前にそれを阻止すべきものであろうかと思いますが、それはどういうことになっておりますか。
  17. 三輪良雄

    三輪政府委員 もちろん防犯的見地から阻止すべきものと考えます。
  18. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかるにこの旭洋丸出発に際しましては、私どものはなはだ理解できない現象が起こった。それは、警察が十分知っておった、知っておったにかかわらず、それを阻止しないで出航させておる、そして帰ってきたやつをつかまえて処罰する、そこではなはだ疑問が生ずるわけであります。今あなたがおっしゃるように、事前に知っておって、阻止しなければならぬならば、ここに不思義な現象がある。この旭洋丸出航いたしましたのは、この洲崎という人物熊本県の牛深というところにおりまして、そこで船を用意いたしまして、そして出かけたわけであります。しかるにこの熊本県の牛深海上保安部分室長中尾という人、これなんかもよく知っておって、その乗組員のうちの最年少者である大野広美という人間に、ちょっとあぶないから、お前なんか若いんだからやめたらよかろうという忠告までしたそうであります。そしてこの旭洋丸の船主は野元という人でありますが、これと中尾という人は非常に懇意であり、しょっちゅう食事なんかともにしておる。そしてその若い船員には、お前なんかまだ若いからやめろという忠告をしておったというのであります。これがどうも私どもの不思議の一つ。いま一つは、この七人の船員のうらに、今名前は言いませんが、窃盗嫌疑をかけられた者がある。それが出航前に警察に逮捕せられ、だんだん調べている間に、この旭洋丸に乗って朝鮮へ行くということをその人間がしゃべっておる。そして、これは警察の調書にあるかないかわかりませんが、窃盗嫌疑で、お前これからどうするとかなんとか聞かれた際に、実はあの旭洋丸に乗って北朝鮮に行くんだ、これは国家のために行くんだから一つ見のがしてくれという。ようなことを警察に訴えておる。そういうことであるから、警察でも知っているはずです。なお一点は、いよいよ島根県の浜田へ参りまして、浜田から出航する際に、米や油を多分に買い込んで積み込んでおります。それを警察調べておるそうであります。まず出すだけは出して、やることだけはやらせておいて、帰ってきたところでつかまえてこれを処分するために、いろいろの証拠をまず出発前に作っておるというふうに思われる。こういう渡航に要する物資を全部買い集めていることを、浜田警察で全部調べてあることは明らかであります。こういうことは一体どういうわけであるか。これは海上保安庁の人にもお尋ねしたい。三角海上保安部牛深分室長中尾という人物が一体いるのかいないのか、そして海上保安庁、あるいは少なくとも牛深分室ではそういう出航の事実を知っておったのじゃないか。警察につきましては、今言うような状態で、出航前にわかっていたはずだ。これをなぜそのまま出航させてしまったか。洲崎は、そういうことがわかりながら、自分たち出発するについて何らのあれがなかったから、これは海上保安部なり警察の上級の人たち連絡があるんだなと思った、こういう陳述をしているわけでありますが、この点につきまして、海上保安部及び警察の御答弁を願います。
  19. 三輪良雄

    三輪政府委員 警察から先にお答えいたします。  お話のように、事前に、地元の警察といたしましては、北鮮に行くという容疑をもって捜査をいたしたわけであります。そこで渡邊清茂なる人物が言っておりましたのは、将来北鮮との間に漁業協定を結ぶ、今度は北鮮海域漁業調査に行くんだということを言っておったようでございます。しかし、こちらがいろいろ問いかけているうちに、新浦に行くような言葉も出まして、そこでこれはいよいよ向こうに行くという容疑を深めたわけでございますが、それから境港を出て浜田に行っております。それまでにこれを逮捕するというような段取りになりません。鳥取から島根に移牒いたしまして、島根警察では、松江の地検にも御相談いたしましたけれども、そこの程度のことでは、まだこれは公判段階事件として固まるわけにはいかない、もう少しはっきりしなければ事件として立てるわけにいかないというようなことで、事件には立ちませんでした。しかしながら御指摘のようないろいろな状況から見ますと、向こうに行くおそれもあって、さらに浜田では、船に臨検をし、洲崎並び江篭平という船長を、北鮮に行くのではないかということで、派出所に呼びまして強く確かめたのであります。その際に、洲崎は、境港に行って冷凍機を積んで熊本県の牛深港に帰る予定で、北鮮には絶対に行かないということを終始言い張っておったようでございます。そこでこれ以上押し問答いたしましても、具体的な事実ということになりませんから、その当時、今のようなことを本人から上申書と申しますか、俗な言葉で言えば誓約書と申しますか、そういうことはしないということを本人に書かせまして、そこでは逮捕するに至らなかったわけでございます。  そこで、ある事柄をとらえて、警察に通じておったということでございますけれども、今のように、浜田警察では、呼びましてそれほど追究をし、さらに一札書かせておるのでございますから、そういうことも含めて、どうして警察了解をしているという意味に考えたのか、私ども理解に苦しむところでございます。
  20. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは警察の言うことが正しいか、本人たちの言うことが正しいか、徹底的に調査すればおのずから出てくると思いまするけれども、私の聞いた範囲においては、実に用意周到なる謀略をやっておった。あなたがおっしゃるように、いや、これは浜田港に行くので、北鮮には行かぬという一札を、何かレストランの、置いてあった紙みたいなものにちょこちょこと書かせたそうです。しかも渡邊が介添えで書かせた。これなども、深刻に考えれば、万一の場合の警察責任のがれの証拠としたのではなかろうかという疑いもあります。しかし、皆さんの言うことは全部間違いないと断定する心証をまだ得ておりませんが、彼らの言うことはそうなんです。そうして浜田を出るときは、警察署員が波止場まで見送りに来ている。そういう事実もあります。私は当法務委員会にそういう関係者を全部呼んで徹底的に調査してもらいたいと思っておるのでありますが、われわれは今それだけしか言い切れない。ただしこの洲崎なる人物が徹底的にだまされたと思っていることだけは確実でありまして、これはおいおい調査をすれば明らかになることだと思いまするが、どうも私は何らかそこに割り切れないところがある。  そこで、またあとでそれはお尋ねすることにしまして、この旭洋丸北朝鮮人間の張何がしが一人乗り込んで、それを北朝鮮の新浦港におろしたわけであります。そこで警察でもこれはお調べになっていると思いますが、一体張という人物はどういう人物ですか。
  21. 三輪良雄

    三輪政府委員 張永晋という人物につきましては、李承晩政権の特務機関と言う人もおりますし、また北に通じておって今回そういう職分で行ったと言う者もありますし、その実体はよくわかりません。現在どういうふうに扱われておりますかもわかりませんが、本体がいずれの側に立つ人であるかも私たちはよく理解できません。
  22. 猪俣浩三

    猪俣委員 この張という人物は、私ども調べによれば、密航してきて日本へ来て大村収容所に収容された人物であるのが、どういう理由か釈放になって、そして公安調査庁や警察へしょっちゅう出入りしている、こういうことを聞かされております。これが旭洋丸に乗り込んだ。洲崎たちの聞いたところによれば、この人物北鮮との漁業協定を結ぶ責任者であるから、これをどうしても連れて北朝鮮へ渡らなければだめなんだ、こういうふうに聞かされて、その張という人間もその船に乗っている。そこで警察がちゃんと立ち会っておるわけなんです。出発するときは見送りにまで来たという。またそういう不可解な人物があるなら、警察調べないはずもないし、海上保安庁調査しないはずもないと思う。そこらにどうも私どもが理解できない疑点が残るわけです。公安調査庁ではこの張なる人物を御存じですか。
  23. 關之

    ○關(之)政府委員 本件のことが明るみに出まして、本庁において初めて知ったような次第でありまして、管轄の地方局におきましても、まだこれと関係があったという報告は来ておりません。
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 海上保安庁の方はこういう人物を御存じですか。
  25. 松野清秀

    ○松野説明員 張永晋につきましては、今回向こうへ出まして帰って参りましてから、出たことを海上保安庁は知ったのでございます。この件に関しまして、張永晋につきましては、海上保安庁の知ったのはただいま申し上げたような経過でございます。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお私ども調査したところによりますれば、この旭洋丸が帰ってきたときに——もちろん洲崎の言うことでありますからどこまで真実かわかりませんが、境港警察署におきまして、彼らは被疑者あるいは被告人になるとは思わぬ、景山という警察の巡査部長が来て一緒に会食をしておる。そして御苦労さまであると言っておる。そうして、何か向こうから持ってきたものがあるか、その際に海図と、張という人物が新浦港で上がって北朝鮮へ置いてきたわけですが、張が渡した手紙、こういうものがあると言ったところが、船に警察がみずから行ってそれを二品持ってきて、こんなものは適当に処分したがいいなと言って本人に渡した。そうしてはばかりに行くなら今のうちに行ってこいというようなことを言って、この二つの品物を破棄、壊滅せしめることを暗に示唆した、これがどうしてもわからないと洲崎は言っております。これも洲崎自身あるいは警察のそういう景山とか中田という巡査部長関係しておりますが、それを調べないとわからぬということでありますし、皆さんはそんなことは知らないと御答弁になるだろうと思いますが、非常に私ども疑惑があります。それで警察におきましても調べていただきたい。どうもこの出港する際、帰ってきてからの境港警察署の態度というものにはなはだ疑惑がある。本庁では御存じないかもしれないのですが、何かそこに私ども理解できないことがある。そのときの言いぐさでは、海上保安部に見つかるとうるさいから、これは何か適当に処置した方がいいということを言ったという、その辺がわけがわからない。そういう事実が洲崎から指摘せられておりますので、それに対しても御調査願いたい。今直ちにここで御答弁もむずかしかろうと存じます。ただ私ども、はなはだ疑惑に思うわけであります。  そこで私が警察の方に要望したいことは、それは治安維持は大切でございますが、今国際のスパイ活動なんかに警察が興味をお持ちになりますと、これはまたとんでもない警察が誤解を受けるおそれがある。だからこういうことについては、十分なる御注意を願いたい。私は限られた時間ですから、詳しく彼から二時間にわたって聞きましたことを一々ここで反芻して皆さんに御質問ができない。どうしてもこれはこの委員会洲崎あるいは江篭平という船長その他乗組員をお呼び出しになって、その実情を聞いていただきたいと思うので、私はただ口火を切ったにすぎないのであります。  それから、これは警察についても、近ごろ治安を保つためという口実でありますが、右翼団体なりに深入りをしてしもうて、どうも疑惑を持たれる行動があることを厳に慎んでいただきたい。たとえば六・一五事件のときの維新行動隊の石井一昌のなぐり込み事件——彼は、刑務所におりました際に、私に数回面会を願いたいと言うてきました。それは何の理由であるかと言ったら、警察に頼まれてやったんだ、だからその真相を申し上げたいと言うてきましたけれども、ああいう人物でありますので、私はとうとう行かなかった。数回執拗に頼んで参りました。絶対間違いない、私は警察にだまされたんだ、こういうことを言うて参りました。しかし彼らの言うことをすぐ私どもが受け取ることも軽率だと存じまして、私は面会もしませんでしたし、警察に質問もしません。彼は裁判所に発表したのですから、裁判所がしかるべき真相を出すだろうと思いまして、思いとどまったのでありますが、先般も私のところへ参りまして、詳細にそれを述べたいと言う。そういう右翼団体の情勢を探るためにある程度彼らと近づきになる必要もございましょうけれども、よほどその辺を御注意なさらぬと、とんだ迷惑を警察がこうむるおそれがある。  あるいは新潟の日赤センター爆破事件、これに対しても私どもにいろいろなことを言うてきておるのであります。やはり車進という人物警察と一緒になって書いた芝居である、そして逮捕せられた人間はみんな犠牲者なんだということを、車進のごときは公判廷で述べておるそうであります。現に車進を逮捕にいくときには、警視庁のしかるべき人が同行していって、おとり捜査みたいなことをやられたはずです。このおとり捜査も、極端に全部いけないとも言い切れませんが、少し深入りし過ぎているような気がする。こういう事案がありますので、警察でも、困難でございましょうけれども、あまり深入りなさると人権じゅうりん問題にまで発展いたしますので、よほど御注意をしていただきたいと思うわけであります。  私はなおここで海上保安庁の方にお尋ねしたいと思います。この洲崎利秋という人物、これが北朝鮮へ参りますときに、冷凍機を一台持ち込むことにして、その冷凍機洲崎の手に入った。この冷凍機は進駐軍の払い下げ品だそうでありまして、何人がその所有者かわかっておりますが、どういう事情でこれをこの北鮮行きの人間に渡したか、不可解でございますが、アメリカ製の払い下げ品であることは事実であります。この冷凍機北朝鮮へ持っていくことになって、そこでこの州崎という人物冷凍機と一緒に写真をとっておる。そうしますと、洲崎の上半身だけを写真に引き伸ばしまして、これを中島なる人物海上保安庁その他へ回して、これは北鮮のスパイである、そして彼は新潟県知事の北村さんのところへもぐっておる人物だということで、海上保安庁や公安調査庁、そういうところへこの写真を持って回る。そこで呉憲根という架空の人物、これが新潟県知事の北村さんの宅へもぐり込んでおる北鮮のスパイだ、これがその人物の写真だと言って、この洲崎利秋の上半身だけを引き伸ばしまして各所へ持ち回った。これは海上保安庁警備第二課にも行っているはずであります。ごらんになったかどうか、その事情を説明して下さい。
  27. 若尾宏

    ○若尾説明員 お答え申し上げます。この事件がございました前後に、ただいま仰せの呉憲根なる、北鮮からの帰還船に乗って密入国したといわれる人物についての情報があったことは事実でございます。それに基づきまして、呉憲根と称するような写真が入って参りましたので、私どもは、真偽不明でございましたが、見た事実はございます。
  28. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは何人が海上保安庁へ持っていきましたか。
  29. 若尾宏

    ○若尾説明員 情報源については、よく承知いたしておりません。
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは調べて下さい。承知しておらなければ困るのです。日本の治安に重大な関係があるのです。
  31. 若尾宏

    ○若尾説明員 調査の上お答えすることにいたします。
  32. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお私は御参考に申し上げておきますが、これは中島辰次郎なる人物が持って行ったに違いない。この人物は満州事変の当時の特務機関であります。これがどうも海上保安庁、公安調査庁、そういう上層部と連関があるらしい。そうして何か持っていっては金にしているのじゃないだろうかと思う。これは洲崎利秋なる者の写真をそういうふうに偽造しまして、呉憲根なんて全く架空の人物で、北村知事のところに、——私も新潟県ですが、そんな者がいようはずがない。この写真は境港警察官も持っておったそうです。ですから公安調査庁だの海上保安庁だの警察庁にばらまいて歩いたのではないか。これは何人が持っていったか、徹底的に調査していただきたい。  それから、これは検察庁にお尋ねしますが、この件につきまして洲崎利秋が中島辰次郎を名誉毀損で告訴しております。昭和三十六年二月二十二日付で松江地方検察庁へ告訴しております。これはどういうお調べになっておるか。その理由は、今申しましたように自分の上半身を写真にとって呉憲根だと称して、そして警察機関あるいは海上保安庁等へ配付して、自分の名誉を非常に傷つけた、この呉憲根は北鮮のスパイである、こういうふうに宣伝したということで彼は告訴しております。この取り調べがあったのかないのか。検察庁から何らのお調べがないそうでありますが、これを徹底的に調べていただくならば、こういう不法なるデマ宣伝を流しまして、わが国の治安を撹乱いたしておりますものが出てくる。この中島辰次郎という人物は私どもが問題にいたしておりまして、当法務委員会調査をお願いをいたしましたけれども通じませんでしたが、いわゆる浅沼テロ事件の原因をなしました中共のにせ文書、それにも関係していることが週刊読売に出ている。こういうことを徹底的に洗っていただきますとわかるのです。そこで公安調査庁にお聞きしますが、中島辰次郎という人を調べたことがありますか。
  33. 關之

    ○關(之)政府委員 今日までありません。
  34. 猪俣浩三

    猪俣委員 この人は哈爾賓学院という、日本の中野学校みたいなものの第三期生であります。そうして上海の特務機関をやり、後に台湾へ渡りまして国民党政府に仕え、なおアメリカのOSSの機関にも仕えておって、そこから日本へ出張を命じられてきておるという話であります。例のにせ文書事件につきましても、金達夫という公安調査庁で発表なさいました人名のほかに、日本人が数名関係しているけれども、その名前は発表できないと公安調査庁がおっしゃった。この日本人の中にこの人は入っているんですか、入っていないんですか、公安調査庁にお聞きします。
  35. 關之

    ○關(之)政府委員 一群の関係者の中にそういう名前を見出すのであります。
  36. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで、検察庁の名誉毀損の告訴はどう取り扱っておられるのですか。報告はありますか、ありませんか。
  37. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 松江地検に中島に対する名誉毀損の告訴が出ているというお話でございましたが、私の方はその事件について報告を受けておりませんが、今いろいろ伺いましたので、その事件につきましての報告も求めたいと思いますし、なお、取り調べが進んでおらないのでありますならば、至急着手をして徹底的に調査をしてもらうように指示いたしたいと思います。
  38. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは二月の二十二日に出ておりますから、もう一カ月半もたっておるわけであります。一つどういう処置をしたか報告を求めるとともに、徹底的に調査することを御指示願いたいと思います。こういうことがたびたび起こりますと、人権擁護の上においても私ども容易ならぬことだと思うのであります。  それから、飛び飛びになりますが、この告訴に関連いたしまして、証拠証人として洲崎があげておりますのに、海上保安庁本庁の警備二課の児玉兼昌、こういう人の名前が出ておりますが、こういう人は存在しますかどうか、それをお聞きします。
  39. 松野清秀

    ○松野説明員 おります。
  40. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで、海上保安庁にお聞きしますが、この児玉君なんかからよく事情を聞いていただきたい。これは洲崎に直接いろいろ話を聞いた人であります。そうしてだれが持ってきたか児玉さんは知っているはずです。だから、あなた方からじかに聞いて、当法務委員会に発表していただきたいと思うのです。  そこで、以下私はもう少し公安調査庁にお聞きいたします。先般浅沼テロ事件が起こりました直後の地方行政法務連合審査会におきまして、私は公安調査庁に対しまして、右翼と左翼の取り締まりはどういうふうな機構になっているかをお尋ねいたしました。そのときに關次長から、千三百人ばかり調査官があるが、そのうちの一割が右翼係だという御答弁がありました。この千三百人というのは、公安調査庁全国、全部の人数でございますか、本庁だけの人数なんですか。
  41. 關之

    ○關(之)政府委員 全国の公安調査官の総数でございます。
  42. 猪俣浩三

    猪俣委員 これに対しまして私どもは、こういう右翼テロの破壊活動が盛んの時分には、もう少し公安調査庁それ自身も機構を改めなければならぬじゃないか、もっと右翼に対する体制を強化しなければならぬじゃないかという質問を池田総理大臣にいたしました。よく検討して善処しますという御答弁があったわけでありますが、その後公安調査庁は一体どういう機構の改革をされたのであるか、それをお尋ねいたします。
  43. 關之

    ○關(之)政府委員 昨年の暮れから本年の初頭にかけまして、右翼問題の調査について再検討を加えまして、従来約一割というふうに申し上げておきましたが、その右翼調査人員をその約二割方を増強し、主要地に増強いたしました。同時に、その右翼陣営の調査責任者ないしは主要な地位にある者の若干の配置転換をいたしまして、能力ある者をそこに配置いたす、こういう措置を講じました。それから、全般に対しまして、右翼の問題についての着眼点、調査の方法ないしは重点というような問題につきまして、二回ほど研修を遂げまして、全体の能力の向上をはかって今日に至っておるわけであります。
  44. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたは千三百人のうち一割が右翼係だと申されたのでございます。それに対しまして、実はこれは公安調査庁の内部から来た投書だと思われますが、詳細をきわめたものが私の手元に入った。しかし投書をそのまま信用するというわけにいきませんけれども、一応お尋ねをしなければならない。あなたの説明によると、百三十人ということになっておりますが、この人の投書によりますと、そんな人数はないのだということが詳細に書いてある。その点にどうも私ども不思議な点があるのであります。この人の説明によると、本庁には課長以下十五名、関東局に六名、それから各ブロック局に各一名で計八名、全部で二十九名しかいない。これが右翼専従の調査官だ。しかもそのうち右翼問題について多少の知識を持っておる者が十二、三名で、あと全部学校出たての青年かあるいはやみ会社かなんかでつぶれてしまって就職のため入って来たような者が動いているのだ、こういうふうに発表しております。あなたの百三十名と相当違うと思うのです。どちらがほんとうなんですか。
  45. 關之

    ○關(之)政府委員 右翼問題の調査体制につきましては、これはもちろん、東京、大阪あるいは各ブロック以外にも全国的にこの問題があるわけであります。そこで、私が申し上げました一割と申しますのは、専従の者が一割というわけではないのでありまして、御承知の通りに、千三百人が全国にばらまかれていて、そうしてしばしばこの席で御説明申し上げたような、左右両翼の対象団体について調査いたしたわけであります。そういたしますと、そこに兼務ということを当然にいたさなければ、どうもまかなえないような状況にあるわけであります。そこで、中央並びに各地方におきましての兼務の総体を合算していきますと、大体私が申し上げたような数字に相なるのであります。
  46. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、あなたの百三十名というのは、右翼係、左翼係みんな兼務している者を入れての話だ、こういうことになるわけですか。
  47. 關之

    ○關(之)政府委員 他のたとえば朝鮮総連の係というような者が、現地におきましてはやはり右翼を兼務してやらなければ、人のやりくり上できないのでありまして、そういう兼務の者をとにかく合算いたしますと、大体その数字に相なる、こういうふうに申し上げたわけであります。
  48. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、現在ではそういう趣旨のもとに全体で何人くらいになったわけですか。
  49. 關之

    ○關(之)政府委員 大体百六十人ほどに全体の数が相なっておるかと考えるのであります。
  50. 猪俣浩三

    猪俣委員 六十人ですか。そうすると減っているじゃないですか。
  51. 關之

    ○關(之)政府委員 百三十人のところに、その約二割を全国的に兼務その他の形式によって増強いたしましたから、二十三人になるわけであります。そうすると約百五十人前後、そういうような数字に相なるものと承知いたしておるのであります。
  52. 猪俣浩三

    猪俣委員 公安調査庁は六億、七億の機密費を使っていらっしゃる。その用途は明らかになっておりません。それはある程度は発表できない立場もあるでございましょう。ただし、こういうことがあるのかないのかお尋ねしたいのです。公安調査庁には、たとえば調査第一部長、その下に第一課長、第二課長、第三課長、第四課長、そのまた下に課長補佐というものがある。それから調査第二部長というものがある。やはり第一課長、第二課長、第三課長とあって、課長補佐というものがある。課長補佐の次には係長というものがある、こういうふうになっているようであります。ところが毎月係長級が月給のほかに三千円、補佐は五千円、課長は一万円、部長が三万円、次長と長官は確認ができないが、この累進でいくと次長が四万円で長官が五万円だろうというのであります。こういう何か月給のほかの給料が出ているということでありますが、これは一体俸給以外にどういう名目の金で、どういう方面に使われているのですか。
  53. 關之

    ○關(之)政府委員 お答えいたします。私はもとより、また各部長、課長も公安調査官でありまして、それぞれの地位、立場におきまして、重要度その他問題のいかんによって調査の実際事務に当たっているわけであります。その調査の実際事務に当たる上において、何がしかの実際の活動費が必要と相なるわけであります。従いまして、その意味におきまして、それぞれの者に若干の金が出され、それらの人々が調査上の必要に応じてそれを使う、こういう趣旨の金に相なるわけであります。
  54. 猪俣浩三

    猪俣委員 どうも答弁がよくわかりませんが、あまりみみっちい話をやるのもいかがかと思います。そうすると、こういう金が出ていることはお認めでございますね。
  55. 關之

    ○關(之)政府委員 額においては必ずしも当を得ておりませんが、活動費が私のところに、また各部長、課長のところに出ていることは当然のことでございまして、金がそれらのところに出ていることはもちろん承認いたしております。
  56. 猪俣浩三

    猪俣委員 実はこの投書によりますれば、全部私生活に使われているものであるというふうですが、しかしそれは今そんなことを申しても、私生活か活動費か区別ができませんので、やぼなことは言わぬつもりでありますが、ただここで見のがし得ないことは、私は人名をはばかりますが、三名ほどの人名をあげまして、その私生活が非常に豪奢をきわめている。おもに入国管理に関する人たちのようであります。これはあとで法務大臣にお願いいたしますが、とにかく不良外人と相当の連絡がある人が三人あるといって人名を言うてきております。しかしそれはここで発表しませんから、部内において十分御検討いただきたい、こう思うわけであります。  そこで、法務大臣にお尋ねいたします。法務大臣も何か御用があるようでありますから、なるべく早く終わりますが、ただいまお聞きのような警察の活動、あるいは公安調査庁の活動、これは十分活動していただかなければなりませんけれども、これが人権問題に発展しないように十分な御監督をいただきたい。これは要望として申し上げておきます。これは当然なことでありますから、別にあなたの御答弁を求めようといたしません。  それと並行いたしまして、ただいま申しましたような、公安調査庁の中に相当生活の派手な人がいる。他の目につくような生活をやっておる。御存じのように、ある会社、銀行等でも、行員なり社員なりが身分不相応な生活をやっている陰には、必ず汚職がひそんでいることは明らかであります。それに対して社長なり頭取あるいは幹部級が、個人の生活までは監督できないということで見て見ぬふりをしている。そこに若いものをあやまらしめる陥穽があると思うのでありますが、大体お役人の俸給というものは一覧表になってわかっているはずであります。ほんとうに薄給に甘んじて御活動いただいているもので私ども感謝をいたしておりますが、これが実業家やその他のやみ成金とは違うところでありまして、従ってその生活は清潔で——役人のみならず、公務員全部、国会議員なんかもしかあるべきだと思うのです。だから美食を口にし、美服をまとい、広壮な邸宅に住むという希望の者はほかの世界へ進出すべきで、国会議員や役人なんていうものになるべきではない。しかるに国会議員や役人が一般の実業人よりも豪奢な生活をするということは、必ずそこに陰があるに違いありません。公安調査庁の中に相当派手な生活をしている者があることを——これは公安調査庁の内部の人に違いありません。指摘して人名をあげて申告してきているのでありますが、これはここに次長もおいでになりますが、長官、次長あるいはその最高責任者は法務大臣でございますから、ことに司法官の部内の綱紀の粛正は何よりも大切なことだと思います。あなたは定評のある人格者として私どもも尊敬しておりますが、いやしくも他からかれこれ言われないように、徹底的に綱紀の粛正をしていただきたい。その決意のほどを承りたいと思うのであります。
  57. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 先刻来人権侵害等の問題について、あるいはわれわれ公務員の地位にある者の生活態度なり、あるいは役所の公費の使い方等についての質疑応答を拝聴いたしておりまして、おおむねその意図しておられるところは十分に私も拝聴できた、お察しできたのでございます。ただいま最後の御発言で、私に今後の方針の決意を語れということでございますが、申すまでもなく人権問題につきましては、——あえて人権ばかりじゃなしに、われわれが憲法上認められたるたくさんの権利がございますが、こうした権利とそうして調査活動との場合における、いろいろそこにむずかしい折衝の部面があると思います。そうした部面については十二分に意を用いまして、われわれの基本的権利を阻害されるようなことのないように十分今後とも注意をして参りたいと思います。また、役所の経費の使い方につきましても、さらにまた反省を加えて、今後の指針にして参りたい、こう思いますし、ことに私生活等の問題についても、公務員としてはおのずからそこに十二分に他の範とせられるような行動をすることが必要と考えますので、こうした問題についても一そう意を用いて誤りなきを期したい、かように考える次第でございます。
  58. 猪俣浩三

    猪俣委員 先ほども申しましたが、昨年十月二十四日、テロ事件に対しまする委員会の質問におきまして、池田総理大臣は、右翼の調査にこれから機構を考えて善処する、今まで右翼の方の調査が足らなかったじゃないかという私の質問に対しまして、さような答弁をされておるのでありますが、これがどういうふうに実際問題として発展しておるか。今公安調査庁に聞きましたら、人数をふやして、百三十人だったのが今度は百五十人になった、こういうような御答弁、私どもはこれにも不満でありますけれども、今次長を責めても仕方がない。そこで公安調査庁なりあるいは警察なり——もちろん警察はあなたの管轄外にしても、閣議で、総理が言ったことですから何らかの対策が話し合われたことだと存じます。そこでこの右翼団体、こういうものに対する調査、経費、そういう体制について今までよりどういうふうに強化したのであるか、その具体的な点について、これは法務大臣及び法務大臣の管轄外のことならば警察庁長官に御答弁をお願いしたいと思います。
  59. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 右翼対策の問題につきましては、私の法務省所管の問題といたしましては、先ほど關次長からお答えいたしましたような陣容の整備、再訓練等に意を用いまして、今後に処しようと考えておる次第でございます。しかしなおいろいろとその後の情勢と実際の運営をよく考えまして、不十分な点があれば、なおさらにこれを研究をして、万遺漏なきを期して参らなければならぬ、これは常に私も心がけておるところでございます。警察方面等の問題につきましては、長官もおられますからお聞き願いたいのでございますが、われわれ関係閣僚と常にその問題についても相談をし合いまして、そうして誤りなきを期し、皆様の御期待に沿いたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警察におきましても、右翼の行動が激化して参るという情勢にかんがみまして、これに対する視察警戒というものを厳にするというために、要員の増強をはかり、また危険に陥るおそれのある方々に対しては、必要に応じてその身辺護衛等に意を用いておる次第でございます。全体として右翼に対する警備の態勢を強化して参っておるわけでございますが、特に警視庁初め大都市、特に右翼の行動の盛んなところにつきましては、特に力をいたしておるわけでございまして、警視庁におきましてはこの三月から右翼担当の専門の課を増設して力を注いでおるような次第でございます。今後もこの体制を持続して、さらに遺憾なきを期して参りたい、こう考えております。
  61. 猪俣浩三

    猪俣委員 私はきょう警視総監を呼ぶのを忘れてしまった、あなたは警視庁のことは直接詳しく御存じないので、あなたから連絡していただきたいことは、先ほどの十月二十四日の私の質問に対しまして石岡さんが答弁しておられるのですが、左翼係、右翼係の人数についての発表は、百七十八名が左翼係で、三十四名だけが右翼係だということがあった。私は、経費がどうなっておるか、左翼の取り締まりに使う経費と右翼の取り締まりに使う経費はどうなっておるかと質問したときに、手元に資料がないからあとでというようなことになっておって、その答弁をまだ聞いておりません。それをあなたにはすぐわからぬかと思いますが、この次にでもお答え願いたいと思うのです。  そこで今のお言葉、お二人とも非常に抽象論です。私の聞きたかったことは具体的なことです。警視庁が具体的にやっておることは目の前にわかっております。議員会館なんかの前におまわりさんなんか突っ立っておりまして、相当ああいうふうに警備をやってきていると思われるのですが、機構として左翼係、右翼係のように、そして公安第何課、何課なんというようにやっておりましたが、機構としてもう少し右翼の方面の調査を充実させるような機構の改革が一体なされておるのかどうか。これは法務省にいたしましても、検察陣その他についても、何か右翼、左翼というふうなものを区別した際に、右翼の取り締まり、検挙というものを充実させるというような、何かそういう機構を改革されたのか。公安調査庁、今聞いたら二十名ばかりふやしたようなお話でありましたが、これも具体的にははっきりわからない。もう少し具体的にどうでしょうか。法務省、それから公安調査庁、警察庁長官に、世論にこたえてこういうふうに右翼暴力団に対する対策を機構的に充実したというような、もっと具体的な御説明がないでしょうか。ただ議員会館の前に制服のおまわりさんが立ったという臨時的のものじゃなくて、機構的に人員の配置、経費、それから機構の改変、そういうようなことについて何か具体的の計画がおありであろうか、なかろうか、その辺を法務大臣は、主として検察庁になりましょうが、それから公安調査庁、警察庁、おのおの具体案がおありであるかどうか、それをちょっと御説明いただきたいと思います。
  62. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 まず検察庁関係について申し上げますと、御承知のように、検察庁は警備という段階を離れまして、刑事事件になりました場合にこれを処理するのでございますが、一応検察庁には刑事部とか公判部とか公安部とかということで大きな区切りをいたしておりますが、左一翼とか右翼とかいうような事件は、主として公安部の担当ということになっております。しかし左翼係とか右翼係とかというのは、従来も区別しておりませんので、もし事件がございますならば、あげてその事件に集中して処理するという体制でございます。特に右翼関係事件が出てくる可能性のあります場合を考慮いたしまして、いろいろな技術的な面で教養をさせる必要もあると考えまして、いろいろ過去におきましての右翼事件調査などをいたしました資料などを関係の検事にも配付いたしまして、処理に遺憾なきを期しておるわけでございます。なお、検察庁の性質といたしまして、もし手が一ぱいになって参りますならば、刑事部の検事もあげてそれに注入するということは、従来のやり方に徴しましてもそういう処置をとっておるわけでございます。そういたしますると、刑事部の検事も公安事件について、特に右翼の関係についての事情を承知しておる必要があるわけでございまして、そういう面につきましても十分教養を積みまして、場合によりましては、高検管内の検事の機動的な出張をも認めるといったような予算的措置も講じまして、当面起こってくる事態に対処していくという体制を整えておる次第でございます。
  63. 三輪良雄

    三輪政府委員 警察に関しましては、先ほどもちょっと長官から触れましたけれども、一番大きな対象が東京でございますので、機構的には公安部の中に右翼専門の課を設けたわけでございます。これに非常に有能な、課長を含みます六十二名と記憶いたしますが、課を作りまして、先ほど御指摘の三十四名ということから見ると、相当の増強をいたしたわけでございます。それから、右翼の方は全国各県同じようにあるわけでございませんので、主たるところが大都市が多うございます。大阪の増強いたしました数は、総体で記憶いたしませんが、さっそく本部に三名増加したということを記憶いたしております。なお御承知のように、警察が実際に偵察に当たりますのは、第一線の署におります警備公安係、大きな署では公安課といっておりますけれども、そういうところでございまして、これはごく特異な事例を除きますと、右翼、左翼という区別はいたしておりませんので、そこで本庁側の、それぞれ都道府県側の本部側からする力の入れ方によりまして、その第一線の活動の重点が変わってくるわけでございます。そういうことのために、警察庁といたしましても、さっそくに関係の多い府県の右翼係の担当官を集めて講習をやり、それからまあ当然のことでございましょうけれども、従来右翼に対しまする情報の収集というものは面接によるものが多い、そういうことで非常に深入りするのではないかという御心配をかけたわけでございますけれども、近ごろは警察に対する警戒心というものが非常に強くなりまして、情報のとり方についてもいろいろ新しい工夫をしなければならぬといったような意味で、第一線でそれぞれ訓練をいたしておるところでございます。
  64. 關之

    ○關(之)政府委員 公安調査庁におきましては、何分にも総体の人員が全国合しまして千三百人、小さいととろになりますと十人ぐらいでやっておったのでございます。そこで、新たな機構という問題も一応の課題として考えてみたのでありますが、ここに新しい部を作るとかあるいは課を作るというようなことになりますと、そこだけまた役付がふえたり、いわゆる遊びこまがふえるわけでございまして、結局、現状においては第一線に対して強化することと、そうして第一線に右翼問題についてより優秀な人員を配置する。そうして、全体として、一年来の右翼の傾向を見まして、どういうところに問題点が生ずるかという点について、われわれがセンスを敏感にし、的確にそこの問題をつかむ、こういったようなところが大体の考え方のおもなるところでございまして、そういう線に沿って、以上申し上げたような陣容を整備したと申しましょうか、大へん貧弱でございますが、やっておるわけでございます。  なお、私どもとしては、ここで一応やってみまして、そして職員の研修あるいは幹部じきじき問題にタッチいたしまして、調査の面についてさらに推進する。しばらくやってみまして、さらに事態の推移その他を見まして、有能者の転換その他を考えてみたいと思っておるわけでございます。  なお、ただいま三輪局長がおっしゃいましたように、最近の事態は、たとえば警察官及び公安調査官立ち入り禁止という態度をとる右翼団体が非常に多くなりまして、調査に非常な困難を来たしておる段階にあるのでございます。そういうような事態でございますが、何とかできるだけの努力をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  65. 猪俣浩三

    猪俣委員 私どもがこれをやかましく申しますのは、要するに世上不安の一つとして、何か右翼団体のクーデターが計画せられておるという、相当妙な情報が入ってくるわけであります。こういう右翼のクーデターというものは、また場合によると左翼のクーデターと合体いたしまして、わが国の民主政治をことごとく破壊するおそれが出てくるわけであります。私どもがテロ処罰法を出しますのもそういうことを未然に防いで、わが国の民主政治を確立しなければならないということからでありますが、今まで日本の官憲はどうも左翼、共産暴力の方を非常におそれられまして、それに必要以上の精力を費やされ、やっている間に、なお危険なものが出てきたという形になっております。今後はあらゆる機関を整備されまして、こういう右翼のテロ、進んでは集団テロ、クーデターを考えるような気配に対して、十二分なる取り締まりをしていただきたい。そうしないと、一人一殺の血盟団事件から五・一五事件になり、二・二六事件になって、ついに日本国を不幸に陥れましたような事態がまた再生せられぬとも限らぬのであります。これは強く要望いたしておきます。  なお、私どもは、こういう意味におきまして、政治テロ処罰法なる法案を衆議院に提出いたしました。ところが、けさの新聞を見ますと、法務大臣も、単独立法でもこういうテロ処罰の立法をやりたいというような御意向があるやにも承っておるのでありますが、そこで、その点に関係いたしまして、一点は、政府といたしまして、一般刑法の特別法といたしまして、特に思想あるいは信条が違うということでもって相手を殺してしまうという、あるいは相手を傷害するという最も凶悪なる犯罪に対して、特別法として何らかの立法をなさる意思があるのかないのか、その点を承りたいと思います。
  66. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 近時頻発いたしました忌まわしい事件、それは最近において特に右翼系統にあったことも事実でございますが、しかし、他面左翼方面におきましても行き過ぎの問題があったこと、これまた御承知の通りであります。そこで、私の考えといたしましては、やはりこの際何らかの法的措置を講ずる必要がある。その法的措置につきましては、この際、暴力問題については右、左を問わず、あるいは個人、集団を問わず、適当なる法制を考えるべきである。しかも、その法制は、あるいは既存法制に対しての改正の方法も考えられますし、あるいは単独に何らかの法律をこしらえることも考えられる。従って、これらの利害得失等につきまして、なお今日鋭意研究をいたしております。また、われわれといたしましては、ことに私の立場は自由民主党出身でございますから、自由民主党の党として指向せられておるところが那辺にあるかということも、十分その意を察して動かなければならぬと考えておるのであります。新聞紙上等においても伝えられておりますように、自由民主党におきましても、ようやくある程度の案を得ようと今しておられる段階と聞いております。従ってこれとも密接な連絡をとりつつ、われわれの最後の態度をきめたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、今あなたの申しましたような左右の暴力に対する特別立法の計画を、今法務省としてはしておるというふうに受け取ってよろしいですか。
  68. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 特別の立法にいたしますか、既存の法律の改正でいきますかということについても、なお十分今検討を重ねておる最中でございます。
  69. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、それで説明は尽きておるようでありますけれども、破壊活動防止法の一部改正法律案、これを政府あるいは自民党側から提出するやに新聞で伺ったのでありますが、この破壊活動防止法の一部改正法律案なるものの提出の用意があるわけですか、ないわけですか。
  70. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 その点も今研究しておる段階でありまして、破壊活動防止法の改正でいけば、私が先ほどお答えしたような目的を達することができるかどうかという点についても、検討の内容にいたしておる次第でございます。
  71. 猪俣浩三

    猪俣委員 すでに会期も半ばを過ぎておりまして、もう幾ばくもないわけであります。今研究の途上では、どうも政府案なるものが出されるということは、私どもも不可能ではないかというふうに考えられるのですが、私どもの社会党からも、民社党からも、それぞれ処罰法が出ております。私どもは今あなたの言ったように、あるいは自民党諸君の言うように、この政治テロそれ自身もいけないが、また集団暴力もいけない。この考えについては決定的に違うわけです。しかしこれはあなたとここで議論する意思はありません。集団暴力取り締まりは、それはそれとして関係法律で強化するなり何なり、それはそれでいいでしょう。憲法に許されたるデモであるからといって、その行き過ぎまで私どもは是認する気持は決してありません。しかし政治テロとは本質的に違うという立脚点に立たないと、戦前のようになってしまって、暗殺もいけないが、政治家も腐敗しておる、財界も腐敗しておるというようなことで取引してしまう、これは相殺論法というのです。どうも日本人には幾分そういう思想があるので、個人テロが世界の文明国に比較して相当多い。アメリカやイギリス、フランスあたりはありません。その根源は天誅思想なんです。この天誅思想なるものはどういう因縁で出たかは研究を要しますが、右翼団体の連中の中には、相当の天誅思想がある。こういう言論、行動の自由な民主政治のもとにおいて、天誅思想なんというものは絶対にいれることはできない。非常な独裁、専制政治下においては、言わんとしても、何としても自分の行為が届かぬということから、あるいは一人一殺というようなことも万やむを得ない場合もあり得ましょうけれども、われわれの自由なる活動ができる今日において、自分たちと考えが違うからといって命をとってしまうなんという天誅思想なるものは、絶対に許されない。それとデモの行き過ぎというものを対象において事を論ぜられることに私どもは非常に疑問を持つのです。しかしあなたが正直におっしゃったように、自民党の議員さんで大臣になっていられるので、自民党の考え方とかけ離れた措置はできないというのは、もっともな話であります。そこで、今あなたとここで議論しても仕方がないが、しかし大臣の頭の中で、これはもう少し掘り下げて考えてもらいたい。集団デモもいけない、テロもいけないということは、次元の違うものを同じ次元で論ずるのであって、そういう法案が出ましても、国会ですなおに通るはずがありませんよ。それはそれとして、特別に審議すべきものである。さしあたってわれわれが何としても民主社会防衛のために立ち上がらなければならぬのは、思想が違う、言動が違うといって、人の命をとることに対してです。どうも私どものテロ処罰法案に対して、刑法に殺人罪があるので特別法は要らないというようなことを言っている。とんでもない間違いである。法務大臣がそんな頭では困る。警察庁長官もいらっしゃるから言うが、これは強盗殺人犯人よりも凶悪だと思うのです。強盗殺人犯人は物をとるのが目的です。物を与えられれば命まではとらない。大野伴睦さんを見てごらんなさい。やいばを突きつけられたが、六十万円の金をやって、手にちっとかすり傷を受けただけで助かった。だから大野さんは賢明だ。お前は政治のためか、命のためかと言ったら、金だ、それじゃというので助かった。政治のためなら殺されていますよ。そこをよく考えて下さい。強盗犯人は命をとるのが目的ではない。騒がれたり何なりして、保身のためにやるわけです。証拠隠滅のためにやるわけです。ところがテロ犯人というものは、自分と考えが違うからというので、人の命をとるのが目的なんですよ。人命は全地球より重いという最高裁判所の判決があります。その全地球より重いものをとろうとするのがテロ犯人じゃありませんか。これは強盗殺人よりはなお凶悪ですよ。そうして確信犯人だから仕方がないといって、人の命をとるのを確信しているような者をしゃばに置いて、社会の防衛になると思いますか。少なくとも隔離をするか、永久に他の方へ行ってもらわなければならぬ。人の命をとるのが確信だ、そのほかに何も用がないというような、確信犯人だから仕方がないというような議論というものはなっていないと思う。ある目的を実現するために人の命をとる以外に方法がないということを確信しているようなことが、この民主政治下において、そういう人物の存在が許されますか。それで民主社会が防衛できると思いますか。私どもはそういう議論というものは全くの無考えの議論だと思うのであります。今ここでけんかしても始まりませんが、法務大臣も警察庁長官もおりますので、デモの行き過ぎもいけないと思いますが、それはそれでまたお考えもありましょう。しかし何としても政治言論や政治活動をやっている者を、自分の考えと違うといって殺してしまう。これはもう民主政治下においては絶対に抹殺しなければ、民主政治なんというものは育成強化できるはずはありません。その意味においてどうか自民党におかれましても、政府におかれましても、テロも悪いがデモも悪いというような思想に立脚した法案はなされずに、まずこのテロ処罰法を——私どもも修正してもよろしゅうございます、自民党と同調してもよろしゅうございますし、政府案と同調してよろしい、何らかの形でテロそれ自体を目標にした処罰法案を成立せしめたいと考えておるわけでありまして、これは大臣の特別なる御配慮を、あるいは警察庁長官の御配慮をいただきたいと思う。これは要望として申し上げておきまして、議論するつもりはありません。  私の質問はこれで終わります。
  72. 池田清志

  73. 坪野米男

    坪野委員 猪俣委員からの御質問で大体尽きているかと思いますが、若干補足してお尋ねしておきます。  警察庁警備局長にお尋ねいたしますが、昭光丸事件に関連をいたしまして、渡邊清茂京都地検身柄付で送検したが、証拠不十分起訴猶予になった、こういう御答弁があったのですが、証拠不十分起訴猶予というのはどういうことかということです。証拠不十分であれば起訴し得ない。要するに起訴しても無罪になるということであれば、不起訴という処分が相当ではないかと思うのであります。証拠不十分起訴猶予にした、こういうことでありますが、何か間違いではないか。その点ちょっと正確にお答え願いたいと思います。
  74. 三輪良雄

    三輪政府委員 ただいまその当時の記録から受けた報告証拠不十分として起訴猶予処分になった、こういうことでございましたのでお答えをいたしたのでございます。これは刑事局長からお答えいただいた方がいいと思いますが、私どもの承知するところが間違いでございませんければ、全くそういう事実がないということではないけれども起訴をして公訴ができないというある種の段階のものを起訴猶予処分にすることがあるようにいわれておるのでございますが、これは一つ法務省の刑事局長から正確にお聞きとりを願いたいと思います。
  75. 坪野米男

    坪野委員 刑事局長から正確にお答えを願いたいと思います。
  76. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 私どもの取り扱いといたしましては、仰せのように公訴を維持するだけの証拠が十分ではないという場合には、証拠が不十分あるいは嫌疑が十分でないという意味におきまして不起訴処分をいたしますが、その内容は、嫌疑なしとかあるいは嫌疑不十分、こういう処置にいたしております。証拠は一応あるが起訴価値がない、と申しますか、刑罰を課するよりも刑事政策的に考えて不起訴にした方がいいというような場合には、嫌疑はあるが起訴を猶予するという意味で、起訴猶予の処分をいたしております。ただし京都事件が現実にどういうふうになっておりますかは、調査いたしませんとはっきりしたことはお答えできないのであります。
  77. 坪野米男

    坪野委員 そうしますと、今の警察庁の報告は非常に正確でないと思うのでありまして、やはり起訴するのは相当でないということで、嫌疑はあったけれども起訴猶予になったということではないか、こういうように考えられるのであります。あるいはまた起訴するに足る十分な証拠がなかったから不起訴処分になったのか、そのいずれかであろうと思うのであります。この渡邊何がしなる者は、内閣調査室に出入りをして情報を提供しておるという人物のようでありますが、そういった人物のこの種の事件について、警察あるいは検察庁が非常に手ぬるい調べをしている。嫌疑はあるけれども、軽いというか起訴に値しないということで起訴猶予になったのではないかという疑いもかけられるわけでありまして、この点次会に機会があれば、起訴猶予であったのか不起訴処分であったのか、正確に調査の結果をお答え願いたいと思うわけであります。  それから次に天神丸事件でありますが、先ほどの警備局長のお答えでは、事前に情報をとるために食事をともにした事実はある、こういうことでありましたが、洲崎の申し立てによりますと、境港署の警備係の汐留係長、景山、中田部長と某旅館で酒肴の接待を受けた、こういう申し立てをしておるわけであります。食事をともにしたし、旅館で一ぱい出た、しかもそれを警察当局から提供を受けた、どういう申し立てをしておるのですが、その点の正確なところをお答えを願いたいと思います。
  78. 三輪良雄

    三輪政府委員 私の受けておりますのは、境港市の風月という家で食事をしたようでございます。夜でございますので、酒も飲み食事もしたということでございますけれども、どの程度のものであったかはわかりません。その経費は警察から出まして、先ほど申しましたように情報入手のためということを聞いておるのでございます。
  79. 坪野米男

    坪野委員 警察から経費が出たということでありますが、それはいわゆる警察捜査費から出たのかあるいは接待費というような名目で出たのか、その辺はどうなのですか。
  80. 三輪良雄

    三輪政府委員 この資料ではつまびらかでございませんけれども、いわゆる接待費というのは県で申すと本部長のところにあるだけでありまして、末端でそういう接待費というものはございません。また目的もそういうことでありますから、捜査費で出たものと考えます。
  81. 坪野米男

    坪野委員 私は、こういう情報収集のために関係者に近づいていって、しかも酒食をともにする、それだけでも相当不明朗なものを感ずるわけですが、いわんや警察捜査費あるいは調査費からそういったものを出して情報を収集するというととは、非常に不明朗きわまると思うのであります。特に本件の場合は情報収集を警察がやっておる、こういうことでございますけれども、酒食をともにすれば、この密出入国する連中は警察了解を得ておるというように理解するのも、これも当然のことであろうと思うわけであります。これは非常に不明朗な捜査方針であると思うのでありますが、こういう捜査方法がほかにもたびたび見受けられるわけであります。こういう被疑者あるいは被疑者になろうとする、犯罪が行なわれるかもしれないという連中と情報収集のために酒食をともにするというような捜査方針、あるいは捜査方法、こういったことを警察本庁として大体認めておられるのかどうか、そういう点について一つお尋ねしたい。
  82. 三輪良雄

    三輪政府委員 今回のこの御指摘のような事件につきまして、将来それが明らかになったときに検挙に至るような者と酒食をともにするというようなことは、一般的に申して望ましいことではない、すべきでないという感じがいたします。これは前の昭光丸事件のときに互いに顔見知りというか、そういうことになっておりました関係で、どういういきさつから飲むことになりましたのか、やりとりの点が詳しくわかりませんけれども、一般論として申しますならば、御指摘の通り、望ましくないことと思います。
  83. 坪野米男

    坪野委員 望ましくない、好ましくないという問題じゃないと思います。こういう方法で近づいて酒食をともにすれば、かりに犯罪を犯したという場合に、警察当局としてこれを検挙するということは情においても忍びないことであろうし、また現実に非常に検挙がしにくいということが予想されるわけであります。現にこの浜田港の事件も、警察が検挙するのでなしに、海上保安庁が検挙しておるというように、特に情報収集の警備係官がこういう形で関係者に接近して情報をとるということは、非常にけしからぬことだと思うわけであります。今後こういう点について警備警察の面で十分これは注意をしてもらいたいと思うわけでございます。  それに関連しまして、内閣調査室長見えておりますか。——それでは渡邊清茂という人物はどういう人物かということについてお調べになっておるかどうか、お尋ねします。
  84. 古屋亨

    ○古屋説明員 お答えいたします。私の方は、実はこの話を承りまして、理解に苦しんでおるのでありますが、全然関知しておりません。
  85. 坪野米男

    坪野委員 渡邊清茂という人物の名前も承知しておりませんかどうか。
  86. 古屋亨

    ○古屋説明員 事件になりましてからそういう名前を初めて知ったような次第であります。
  87. 坪野米男

    坪野委員 その後にこの人物の経歴その他お調べになりましたか。
  88. 古屋亨

    ○古屋説明員 そういうような次第でありまして、私どもは知っておりませんので、特に調べてはおりません。
  89. 坪野米男

    坪野委員 内閣調査室では、こういった情報収集活動もしておられると承知しておりますが、情報収集をする場合に、そういった情報提供者に資金を出すということはなさいますか。
  90. 古屋亨

    ○古屋説明員 情報収集、一般的に——御承知のように、私どもは内閣法に基づきまして調査はできるということになっておりますが、相手方の自発的な御協力を得なければ調査できないという建前になっております。従いまして、いろいろ相手の方に出ていただき、お話を承って御教示いただいたという場合に、実費的な、車賃程度のものを差し上げることは、遠いところから出てこられたというような場合についてはございます。
  91. 坪野米男

    坪野委員 情報収集と申しましても、ただ提供者の任意に提供するものを受動的に受けるというだけでなしに、ある特定の事項について調査室の方から情報を知りたいという場合に、そういった関係者の情報を積極的に求めるということもありますかどうか。
  92. 古屋亨

    ○古屋説明員 海外旅行者等につきましては、そういう方の自発的協力によりまして、御教示をいただくことはございます。
  93. 坪野米男

    坪野委員 積極的にそういう情報収集をする場合に、資金を関係者に提供するということもあるわけですか。
  94. 古屋亨

    ○古屋説明員 何といいますか、車馬賃程度のものを実費弁償的な形において差し上げるととはございます。
  95. 坪野米男

    坪野委員 その程度を出ないという意味ですね。そういった情報を収集する際に、違法な手段、たとえば密出国その他の違法な手段、国法を犯して行なう、冒険を冒して行なう違法な手段によっても情報を収集してほしいというような無理な注文といいますか、そういう強い要請をするようなことは絶対にありませんか。
  96. 古屋亨

    ○古屋説明員 お話の通り、国法に反しましてそういうような方法によってお願いするということは絶対に私関知しておりません。
  97. 坪野米男

    坪野委員 そういった違法な手段で情報を収集してくるからということを申し入れてきて、そしてその実費か何か知りませんが、情報収集の資金を要求するような情報提供者はないかどうか、その点……。
  98. 古屋亨

    ○古屋説明員 やはり情報提供者のうちには、お話のようにいろいろの種類がございまして、やはりそういうような場合には、そういうことがわかりますれば、こちらはお断わりをするという建前をとっております。
  99. 坪野米男

    坪野委員 同一の質問になりますが、公安調査庁次長お尋ねしたいと思うのです。  最初に、先ほど名前の出ました中島辰次郎でありますが、この中島辰次郎というのが、何か公安調査庁のリストに載っているように伺ったのですが、この人物について御承知であるかどうかお尋ねします。
  100. 關之

    ○關(之)政府委員 中島辰次郎という名称につきましては、ただいま猪俣委員から御質問がありましたごとく、この委員会の前々回あたりでしたか、例の違法の情報問題に関連しまして、これの関係者の中にそういう名前を見出したわけであります。現在私どもが承知しておりますものはその程度のものだけでございます。
  101. 坪野米男

    坪野委員 この中島辰次郎から公安調査庁が情報の提供を受ける、あるいは情報の収集の協力を求めるというようなことをしたことはありませんか。
  102. 關之

    ○關(之)政府委員 今日まで直接中島辰次郎氏から情報の提供を受けたというふうなことは、私はまだ聞いておりません。
  103. 坪野米男

    坪野委員 大体公安調査庁はこういった情報源については部外に発表なさらない、極秘にしておられる、こういう慣例になっておるのか、あるいはそういった情報収集源についても、国会その他しかるべき機関では発表するという建前をとっておられるのか、その点お伺いします。
  104. 關之

    ○關(之)政府委員 情報源につきましては申し上げかねるという方針をとっておるわけであります。と申しまするのは、情報源を明らかにいたしますと、明らかにされた者はもとより、その他一般の情報において協力されておる方々の協力が得られなくなる、こういう結果を来たすのでありまして、との点につきましては、単に私の役所のみならず、おそらく東西古今にわたって、情報活動においてはもう通常の常識的な原則になっておる、こういうふうに私どもは承知しておる次第であります。
  105. 坪野米男

    坪野委員 そうしますと、公安調査庁が国会で答弁をなさっておっても、われわれとしては真実を聞かしてもらってない、あまり信用ならぬというように承知していいわけですね。
  106. 關之

    ○關(之)政府委員 私ども国家の行政事務、破防法実施の行政事務を担任しておるわけでございまして、国家の最高機関である国会の当委員会その他の委員会において御質問がありますならば、できるだけ御答弁申し上げ、おわかりいただきたく申し上げるのであります。しかし、また反面、しからば全部申し上げた場合にどうなるか、こう申しますと、これは破防法の実施は不可能だ、ないしはきわめて困難になる、そういう結果を招来いたすわけであります。問題は、要するにそのかね合いの問題だろうと考えるのであります。私どもは何も故意に——きわめて重大なことは、何ら影響がないことであるならば、率直に申し上げて御理解をいただきたく思うのでありますが、さてそれらの問題をすべて申し上げると、今申し上げたような破防法の実施ということがおそらくきわめて困難になる。またもともと私どもに対しましては、破防法の実施ということが、国家の、また国会の至上命令であると承知いたしておるわけであります。そうしますと、そのかね合いの問題で、どうも今の情報源ないしはそれらのきわめてデリケートな問題になりますると、詳細に申し上げかねるのであります。抽象的な問題としてはできるだけ申し上げて御理解をいただきたく、こういう方針で申し上げておる次第であります。
  107. 坪野米男

    坪野委員 ですから、今さきに私が質問した中島辰次郎について知っているか云々あるいは渡邊清茂について知っているかどうかということについては、承知をしない、知らない、あるいは情報提供がなかったというような御答弁は、私はまともに受け取れない。あるいはあったかもしれない、なかったかもしれないが、そういったことは国会では申し上げられません、情報資金源についてはここで申し上げられない、こういうように伺っていいわけですね。そういうことがなかったということを最初に言明されましたが、今のそういう情報源については発表しないという方針を伺うと、なかったとわれわれがまともに受け取るわけにもいかないわけでありますから、発表できないならできないでわれわれはけっこうなんです。あるいは公安調査庁が知っているかもしれないというわれわれの疑惑なり推定は持ちますが、知らないということ——われわれ国会ではほんとうのことを言う、うそを言わないものだと承知をしておったものですが、今のお答えですと、やはりそういう人物は知らないという答弁はまともには受け取らない方がいい、こういうように理解して、今後公安調査庁なりあるいは内閣調査室なりに対してわれわれが対処すればいいということになるかどうか、この点一つはっきりお答え願いたいと思います。
  108. 關之

    ○關(之)政府委員 ただいまの御質問に対しまして、今まで申し上げた私の答弁をさらに再確認的にあらためて申し上げてみたいと思います。  渡邊何がしなる者については、全然今日まで存じません。この事件がありまして初めて、なるほどそういうような人物が介在したかというような程度であります。また中島辰次郎につきましては、今申し上げたように、擬装指令事件に関連しまして、その一群の関係者の中にそういうような名前を見出した、こういうふうに申し上げたのであります。それに対して公安調査庁に本日まで情報を提供したかどうかということについては、私はまだ今日まで聞いておりません、こういうふうに申し上げた次第であります。
  109. 坪野米男

    坪野委員 そういうふうに伺いますが、ほんとうのことは言えないところがたくさんあるから、それもほんとうかどうか、われわれは疑問といたしておきます。  それからもう一つお尋ねいたしますが、先ほどの公安調査庁の調査費ですが、調査活動費、係長以上に月額の活動費があるんだ、こういうことでありますが、これ以外にも予算で認められた機密費としての調査活動費があるわけですね。あるいはこういうように分配した、これだけに尽きるということですか。
  110. 關之

    ○關(之)政府委員 予算面におきましては、調査活動費は年間総額約五億九千万円あるわけであります。その費用によりまして、破防法に基づく調査活動を実施いたす、こういうことに相なるわけであります。そこで、これは左右両翼五団体を中心にしての活動によって資料、情報というものを収集いたすわけであります。その資料、情報を収集するについて金を使うわけでありますが、千三百人前後おります公安調査官がこの資料、情報の収集について活動する、そのために金を使う、こういう体制になっておりまして、いわば多くの部下を指揮監督した立場において情報の収集活動に従事しておりまして、その立場それぞれに応じていろいろ情報、資料の収集活動についての経費なりを必要とするのでありまして、ある場合におきましては非常に多額な金が要る。課長が必要とする場合もありましょうし、あるいは特定の係長が活動が無能であれば全然要らないところもありましょうし、その要素はさまざまなのであります。
  111. 坪野米男

    坪野委員 終わります。
  112. 猪俣浩三

    猪俣委員 関連して。——さっき私がお尋ねしましたことで念を押すのを忘れましたが、熊本県の三角海上保安部牛深分室というのがありますかどうか、それでその分室長は中尾辰雄という人であるかどうか、ちょっと伺いたい。
  113. 松野清秀

    ○松野説明員 三角海上保安部牛深分室長中尾辰雄でございます。
  114. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで、これは海上保安庁の本庁で御存じであるかどうかわかりません。だから皆さんが御存じないからといってすぐお責めするわけじゃないが、調査していただきたいのです。この中尾辰雄という男が、例の旭洋丸の船主の野元というのと非常に仲がよくて、そうして飯を食べた。それで北の方へ行くというのであるが大丈夫だろうかなと言ったら、大丈夫だ、了解がついているのだからということを中尾が言って、ただし二十才か何かの小僧は、若いから気の毒だから、あれは乗せない方がいいじゃないかというような話をやっておるわけです。そこでそういう事実について調べていただきたい。その同じ海上保安庁が今度は帰ってきたら逮捕しているのです。どうも宇都宮のつり天井のような感じが出ている。ですから、その辺をよく調査してもらいたいのです。場合によっては、私はこういう人たちを当法務委員会へ呼んで真相を明らかにしたいと思うのですが、まず官庁の方からそういうことをよく調べていただきたい。
  115. 松野清秀

    ○松野説明員 当時の模様につきまして若干は聞いておりますけれども、詳細は聞いておりませんので、なお十分調査したいと思います。
  116. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから内閣調査室長さんにちょっお尋ねしますが、今名前の出ております中島辰次郎という人物を御存じであるかどうか、知っておったならどういう事情でお知りになったか、それをちょっと承りたい。
  117. 古屋亨

    ○古屋説明員 全然存じておりません。この事件がありましてから、名前を聞いた次第でございます。
  118. 猪俣浩三

    猪俣委員 内閣調査室というものが世上に何かうわさが出ておりますが、私どもも一体これはどういうことをやっておるのかよくわからない。昔の内閣情報局というものとどう違うのであるかもよくわからないのですが、ごく簡単に要点をちょっとお話しいただきたい。
  119. 古屋亨

    ○古屋説明員 内閣法の十二条によりまして、内閣の重要政策についての情報の収集、調査、そういうような問題についての各行政機関の行ないまする調査についての連絡調整をする、この二つの点が内閣調査室の法律的というか、内閣法に規定されておるところであります。従いまして、業務内容といたしましては、刻々変わりまする内外の情勢につきまして、ニュースそれから論評を収集しております。それからこういうものについての情報も関係各省からいただいております。そしてその結果を一部公開をするといいますか、資料として提示しておりまして、つまり基礎資料というものを収集調査するというのが役割でございます。
  120. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから警察庁長官にお願いいたしますが、浜田から旭洋丸が出ていく際の模様、帰ってきてからの模様、皆さんの耳に達していない点があるかもしれませんから、私はあまり聞かなかったのですが、先ほど申しましたような多少疑惑の行動をやっている。景山という巡査部長それから中田という巡査、こういう人たちから事情をお聞き下さると詳しくわかると思うのですが、もう少し具体的に、監察官でも何でもいいのですが、一つ派遣されまして、詳細に調べてもらいたい。どうも何かおかしい点があるのです。それから出航するときに知らないというが、波止場へ送りに行っているというのですから、そういう事実も調べてもらいたい。それは洲崎その他の乗組員がみな言っておる。ですから、そういうことをもっと本庁で詳細に調べて、次に御報告いただきたい。これだけ要望しておきます。
  121. 池田清志

    池田委員長 志賀義雄君。
  122. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 まず和田さんに伺います。海上保安庁はこの事件について洲崎利秋江篭平船長などに対する逮捕状を請求したのは何月何日で、いかなる理由によられたものでしょうか。
  123. 和田勇

    ○和田説明員 本件につきましては、私どもよりも、隣におります松野警備救難監の方がよく詳細を存じておりますので、松野警備救難監から御答弁いたさせます。
  124. 松野清秀

    ○松野説明員 それでは、旭洋丸捜査を開始するに至りますまでの経過について申し上げます。  第八管区海上保安本部の浜田海上保安部所属の巡視艇が、昨年の十二月二十三日に浜田港内で見なれない漁船旭洋丸を発見いたしましたので、立ち入り検査をいたしましたのでありますが、その際、旭洋丸では製氷機を積むために牛深港から境港に行く途中燃料補給等のために、浜田港に寄った、こういうふうに申し立てたのでございますが、その際、製氷機の荷主が不明であるとか、その他いろいろ不審な点がございましたので、その後浜田海上保安部におきましては、引き続きまして、この旭洋丸に対する警戒、監視をいたしますとともに、関係の保安部署に対しまして、旭洋丸に関する照会を行なったのでございます。ところが、旭洋丸境港へ行くということを申しておりましたが、実際には境港へは寄らないで、二十四日にはひそかに温泉津港からどこかに出航した、こういうことが判明しております。またこの旭洋丸と申しますのは、かねてから密輸容疑船、要注意船であるととも判明いたしたのでございます。それから、さらにまたその用船者は渡邊清茂でありまして、これらは過去におきまして、対北鮮密輸事件関係した人物であるというようなことが判明いたしまして、それらの事情から、どうもとの旭洋丸北鮮へ不法に航海したのではないか、そういう疑いが濃厚になりましたので、本年の一月上旬でございますが、浜田の簡易裁判所から逮捕令状の発行を受けました。そして船の捜査を開始したというのが経過でございます。
  125. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 海上保安庁は、何ですか、この事件事前警察から何らかの連絡を受けられたのでしょうか。
  126. 松野清秀

    ○松野説明員 何も連絡は受けておりません。
  127. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そうしますと、逮捕状請求は、警察と相談の上でしょうか、それとも独自でしょうか。
  128. 松野清秀

    ○松野説明員 これは海上保安庁独自の立場で逮捕令状の発行を受けたわけであります。
  129. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それでは三輪局長にお伺いいたしますが、警察では渡邊清茂洲崎利秋から、北朝鮮へ行く、新浦へ行くというような聞き込みでありますね、あったようにさっき猪俣委員の質問に御答弁でございましたが、これはどこでどういう資格の警察の人が聞かれたんでしょうか。
  130. 三輪良雄

    三輪政府委員 境港署におきまして、十二月の二十三日であったと思いますが、二十二日に景山という部長で、ございますが、これは警備係でございますけれども、第一線の署では、外事関係、右、左、そういったものを別に区別いたしておりません。そのために、これは密出国容疑をもって、これの捜査をいたしたわけでございます。聞きましたのは、前からの顔見知りであります関係もあって、直接に会って、先ほどお答えいたしましたように、北鮮近海の漁業調査に行く、なお話の途中で新浦に行くというようなこともありましたので、これを逮捕すべく努力したということは、先ほど申し上げた通りであります。
  131. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そうしますと、警察ではそういう嫌疑を持たれてお調べになった。境港署と言われますが、旅館でたしか今の警備の景山部長が会っておりますが、そのことは海上保安庁に直らに、法律上、海上保安法にも明示がありますが、その点は御連絡なさらなかったのでございますか。
  132. 三輪良雄

    三輪政府委員 捜査機関として相互に独立をいたしておりまして、警察が探知をいたしましたものは、警察が検挙をいたすわけでございます。先ほど来何回もお答えいたしております通り、証拠が確実でない、帰って参りましたときに、任意取り調べをいたしまして、それから強制の捜査に入る前に、海上保安庁で令状の発付があったからこちらでやるという御連絡があって、身柄を引き渡したのでございます。
  133. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 私がそういうことを海上保安庁なり警察庁にお伺いするのは、ことしの三月十三日の山陽新聞に、きょうここでしきりに問題になっております中島辰次郎という人物、またきょうしきりに問題になっている当局が了解したかどうかの問題、こういう話を載せております。「当局の了解というのは、横を向いているという意味だ。役人はお互いに仲が悪いから、面白がってつついた人がいるのだろう。」こういうことをこの中島という人物が言っております。どうもお話を伺っていて嫌疑が十分に証拠も云々ということでございますが、こういうことで、先ほど来猪俣委員なんかも非常に不信を持つでおられた当の中島という問題になっている本人が、新聞紙でこういうことを言っている。そうしますと、海上保安庁なり警察なりが仲が悪い、あるいはなわ張り争いがあるということを十分計算に入れてやっていたのではなかろうかということも推察されるのでありまして、そういうことを一つ関係官庁の方々があらかじめ頭に入れて、これから伺うことに御答弁願いたいと思います。  続けてやります。——警察渡邊清茂洲崎利秋らから聞いたことについては今お伺いしたのでありますが、海上保安庁はこの渡邊清茂並びに洲崎利秋とこれまでいかなる関係を持っておられたか、そういう点は御答弁願えましょうか。それとも、これも他の官庁と同じように、今度初めて知られたのでしょうか。
  134. 松野清秀

    ○松野説明員 渡邊清茂につきましては、昭和三十三年であったと思いますが、ある事件の参考人として第三管区海上保安本部へ出頭させまして、いろいろ事情を聞いたことがございます。その後第三管区海上保安本部の警備課の職員が何回かは会ったことがあるように聞いております。そして渡邊清茂が対北鮮関係の漁業合作を計画しておったというようなことも聞いております。またそのほかに、これは現在海上保安大学の教官であります飯田という職員がおりますが、これがやはり昭和二十七年ごろから渡邊清茂とは面識があったということも聞いております。これはやはり何か漁業合作について話を聞いたことがある……。
  135. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そのほかにございませんか。——お答えがないのですが、それでは今言われました海上保安庁第三管区、横浜でございますね。そこの警備課長に金丸さんという方がおられた。最近海上保安庁本庁警備第二課係長にかわられましたね。この方が渡邊清茂とどういう関係にあるか御存じでしょうか。
  136. 松野清秀

    ○松野説明員 ただいま申し上げましたある事件で参考人として呼んで、以後面識がございます。
  137. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どうも因縁が残くないように私どもは見ておりますから、お帰りになりましたらよくその金丸氏にお聞き下さるようにお願いしておきます。いずれまたお聞きするときがありましょうから。  そこで、密出国で逮捕、起訴されている人間を、海上保安庁はごちそうして情報をとるのに活用するというようなことがこれまでございましたか、どうでしょうか。
  138. 松野清秀

    ○松野説明員 そういうことはございません。
  139. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ございませんね。では伺いますが、警備二課に児玉さんという方がおられますね。これが洲崎利秋を新橋小料理屋で供応したことがあると洲崎本人は申し立てておりますが、今あなたはそういうことはないとおっしゃったが、これはどうなりますか。
  140. 松野清秀

    ○松野説明員 その点につきましては、確かに本庁警備第二課の第二係長児玉が食事をともにしたことはございます。そのときの経緯について申しますと、たまたまこの洲崎利秋が上京して、渡邊清茂の宅に滞在しておるということが判明いたしましたので、旭洋丸密出国をいたしまして北鮮に残留をいたしました尾崎清次郎こと張永晋でございますが、これにつきましていろいろ事情を聴取いたしたいということで本庁に来てもらいまして、本年の二月十七日でございますが、本庁の庁舎内でいろいろ事情の聴取を行なったのでございます。そのあとでまあ御苦労という意味食事をともにした、こういうことでございます。
  141. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 これは二月となりますと、起訴されたあとでございますか、前でございますか。
  142. 松野清秀

    ○松野説明員 検事勾留が過ぎまして上京された際に、これは被疑者としてということでなしに、任意に来ていただいて事情を聞いたということでございます。
  143. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 被疑者として一応逮捕されて出てきた人間ですね。これはもう起訴された人間ですね。起訴された人間に対してそういうことをやられていいものでしょうか。まあ供応というのはどうせ一緒に飯を食うことですがね。ここで定義を言う必要はありません。起訴したあとで、これはもう裁判所と検察庁の方の管轄になるのですが、そういうときに海上保安庁がどうしてそういうことをされるのですか。おかしいじゃないですか。あなたの御答弁のあと刑事局長にちょっと伺ってみようと思いますがね。
  144. 松野清秀

    ○松野説明員 まあ御苦労をかけましたので、そういう意味におきまして食事をともにしたということでございまして、ともにしておりますのはこれは三人でございますが、金額から申しまして千五百円ということでございます。
  145. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 御苦労という意味がわからないのでございますが、何の御苦労をかけたんでしょうか。御苦労というのはどういう意味ですか。これはきわめて意味深長ですが、御苦労を一つ説明して下さ、どういうことですか。
  146. 若尾宏

    ○若尾説明員 私から補足説明させていただきます。  御苦労ということが問題になったようですが、別に意味はございません。先ほども話がございましたように、検事勾留が済みまして、当時起訴になったかどうか、私ども承知いたしておりませんでしたが、たまたま洲崎氏が上京されて渡邊宅におられるということを聞きましたので、まだ未逮捕になっております張永晋氏その他の事情を聞きたいことがございましたので、来庁を求めましたところが、快く応じていただきまして、半日いろいろお聞きをいたしましたので、大へんありがとうございましたという意味食事を簡単にいたしたというだけのことでございます。
  147. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 洲崎利秋の手記がありますから読みます。あなた方の方が訴えたので、やられたというので本人は非常に怒っておられる。今の御説明を伺うと、二つ返事で来て快く応じたようなことが書いてありますけれども、こういうことを言っていますよ。「同じ政府機関でありながら、一方は協力させ、他方はそれを処罰する、このような仕打ちを私らは一体どう考えたらよいのでしょうか。法律を犯させたのは政府諸機関であり、私らはわなにかかったようなものです。」こういうふうに言っております。「何とぞ私の潔白を証明し、私の苦しみが一刻も早く取り除かれるよう当局及び渡邊氏ら関係者が真実を明らかにされることを強く要求いたします。」そうしますと、海上保安庁で、起訴して調べてみるとどうもおかしいことがある、裏に何かからくりがある、そういう意味で、御苦労だったというのは、海上保安庁の方で、起訴して気の毒だ、ついてはもう少し聞きたいことがある、こういうので食事をともにされたんでしょう。そうでなかったら、何で張云々のことを今さら聞かれる必要があるか。これは裁判で明らかにされればいいじゃないですか。こういうふうに検事の方から起訴されて未決から出てきたもの、被疑者としてあるもの——そんなことを洲崎が当時言わない、こういう心境の人間が言わない、それを説明があったように、まだ起訴されたかどうか知りません、そんなことが常識で通りますか。海上保安庁では通るかもしれませんけれども、日本人の間ではそういう常識は通りません。どういう意味でこの洲崎を呼ばれたのか。もう少しこれを悪どく利用してやろうという意味か。現に起訴されておる人間じゃないですか。あなた方の方から逮捕状を請求した人間ですよ。それを起訴されたかどうか知らないなんて、そういうことがこの法務委員会で通るとあなた方はお考えですか。逮捕状をほかが請求したのなら、あなた方が行政機関連絡上知らないということもあり得るでしょう。あなた方の方から逮捕状を請求しておるじゃありませんか。それについて、これが起訴されたかどうか、あなた方絶えずそれを見守っておられるはずですよ。今の御答弁では、起訴されたかどうか知らなかった、そんなことで通りますか。もう一度そこのところをはっきり言って下さい。何のために逮捕状を請求されたのですか。
  148. 若尾宏

    ○若尾説明員 誤解を招いたかと思いますが、この事件につきましては、逮捕令状を受け、それから処分までに、乗組員、それから渡邊、中島と事実がまらまちでございまして、従いまして、一括処分についてお話がある間ずれがあったわけでございます。従いまして、洲崎氏を呼んだときに洲崎氏が起訴になっておったかどうか、そのときははっきりわかっていなかった、こういうことでございます。
  149. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その席上で洲崎自分起訴されたことを言われなかったとおっしゃるのですが、御苦労であったとあなた方が言われるときに、この心境並びにこの経過から見ますと、そういうことはとうてい信じがたいことです。どうでしょう、その点は。
  150. 若尾宏

    ○若尾説明員 その点につきましてはなお調査いたしますが、洲崎氏が快く応じてくれました一つの理由といたしまして、洲崎氏も私どもに話がしたいというようなことがあったと聞いております。従いまして、出てきていただいてお話を聞いたわけでございます。
  151. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 では洲崎君が起訴されたことはその直後でもわかりましたか。知らないままでずっと来られたのですか。いつ起訴されたことをあなた方はお知りになりましたか。これは重要な点ですから……。
  152. 若尾宏

    ○若尾説明員 調査いたしますから、しばらくお待ちを願います。
  153. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その前にもう一点聞きたいことがある。なぜ私がこの点を少ししつこく聞くかと申しますと、そのまたあとの事実があるのです。海上保安庁第三管区、当時警備課長であった金丸さん、課長補佐に坂本さんという方がおられますが、横浜の管区内または横浜の料理屋に前後三回あるいは四回呼び出して、朝鮮の新浦港の地図を書かせております。港内警備艇の数及び大きさを聞いております。新浦の無電柱と工場地帯の状況、民家の分布、生活程度、労働者の労働意欲の程度などを聞いておられます。そういう報告がありましたかどうか、その点を伺います。この事実を認められるかどうか。その報告は確かにいっているはずですから。
  154. 松野清秀

    ○松野説明員 ただいまお話しの、新浦港の地図を書かせたとか、そういうような点につきましては、私まだ聞いておりませんので、調査をいたしたいと思います。
  155. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それでは、その調査の結果は後刻伺うことにしまして、一体海上保安庁にこういうことを聞く権限は法律上どういうところに基づいてできるのでございましょうか。その点を御答弁願いたいと思います。何という法律の第何条第何項に基づくか。もし根拠がありましたら、それを示して下さい。
  156. 若尾宏

    ○若尾説明員 本事件捜査に必要な北鮮での入港日時、入港状況、北鮮への上陸状況等、出入国管理令違反事件についての必要なことについて調査いたしました。
  157. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そうしますと、港内の警備艇の船数、大きさとか、無電柱の数とか有無とか、工場地帯の状況、民家の分布、生活程度、労働者の労働意欲の程度などというのが出入国管理にどういう関係がありますか。全然ないじゃありませんか。おかしいでしょう。そんなことが何か関係がありますか。港を調べたり、これもおかしいことですが、民家の分布状態などというのが出入国管理法にどういう関係がありますか。そんなことを調べていい、また聞いていいということは法律のどこにもありませんよ。何のためにこういうことをやられるのですか。まあいいです、それも法律上の理由があるなら、一緒に調べて、池田委員長のところへ提出して下さい。そうすれば、あとお尋ねしますから。
  158. 池田清志

    池田委員長 志賀君に申し上げますが、法務大臣お急ぎのようでございますから……。
  159. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 法務大臣御用だそうですから伺いますが、先ほど来聞いてみますと、起訴されて、検察庁並びに裁判所の方で取調べに当たることになっていたのが、今のようなことが引き続いて、海上保安庁から私どもの伺った点では、法律上の理由のないことがやられているのでございますが、一体起訴された人間を他の官庁がそういうことをされることはいいことでございましょうか、どうでしょうか。お立ちになる前にそれだけ法務大臣から伺っておきたいと思います。
  160. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 私法律論はよくわかりませんから、ただ承っておる程度で常識的な判断をいたしますと、あまり好ましくないことじゃないかと思いますけれども、しかし刑事局長もおりますから、法務省当局の法律的見解をお答えさせます。
  161. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 法務大臣、もうよろしゅうございますから……。  さらにこの際、御苦労であったという意味を私の方から説明いたしましょう。その際、洲崎利秋に対して、先ほど申し上げた名前の海上保安庁の役人の方が、渡邊からの依頼で手を打ったがおそかった、そのときは身柄が検察庁に渡っていたのでどうもできなかった、とわびている。御苦労という意味はこういうことでしょう、どうです。
  162. 松野清秀

    ○松野説明員 私が申し上げました御苦労というのは、そういうことではございません。全く単に、出てきていただいたのでありがとうございました、こういう意味でありまして、他意はございません。
  163. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 まあ検事でも、自分起訴して懲役の刑になった人あるいはその家族の人に気の毒だというのは、これはテレビのドラマにもよく筋が出てくることですが、先ほど金額のことをちらっと言われたが、ああいうことはみんな官庁の費用でやられるのですか、個人でやられるのですか、どうでしょうか。
  164. 松野清秀

    ○松野説明員 官庁の費用でございます。
  165. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そうしますと、ますます奇怪なことになりますね。官庁費用で新浦の民主化の状態、無電柱のこと、そういうことまでも、聞かれる権限にないことに官庁の公の費用を使われたということになりますね。その点もこの次までに答弁を御用意願いたいと思います。全く奇々怪々のことが行なわれているじゃありませんか。  次に三輪さんにお伺いします。境港署浜田署が動き出した動機は何だったでしょうか。今海上保安庁の方からは伺いましたが……。
  166. 三輪良雄

    三輪政府委員 この関係者は、繰り返し申しますような前からの事件関係者でございまして、当時調べました景山部長とは顔見知りでございます。十二月の二十二日に署にやって参りまして、またこっちへ来たというようなことを言ってきたようでございます。翌日旅館で話がしたいというようなことであったようでございまして、こちらとしてはその意図を知るために、景山部長が上司の了解を受けて行ったということでございます。それ以後の経過につきましては、先ほど申し上げた通りでございます。
  167. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それ以後のことは先ほど伺いましたが、それ以前のことで警察庁から何か情報を入手されて現地の警察に指示されたのでございますか。それとも現地判断でこういうことが起こったのか、あるいは渡邊の売り込みがあったのでしょうか、その三つのうちどれでございましょうか。
  168. 三輪良雄

    三輪政府委員 申し上げましたように、向こうから署に出てきて話を、口を切ったのでございます。
  169. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 午前猪俣委員の質問に対しての御答弁では、洲崎誓約書を書かせたということでございますが、これはだれがどこで書かせたものでございましょうか。
  170. 三輪良雄

    三輪政府委員 これは十二月の二十三口、島根浜田警察署におきまして、江篭平洲崎両氏を任意に取り調べたのでございます。つまり先ほども申しましたように、鳥取からの通報で、北鮮に行く疑いを持っている。しかしながらまだ証拠が十分でない。そこで北鮮向けの話を聞き出すべく努力をいたしましたが、同人らは境港冷凍機を積みに行き、熊本県の牛深港に帰る予定だ。北鮮には絶対に行かないという供述をしたのであります。そこでこれを調べた結果それ以上出ませんので、それを書かしたということを聞いております。
  171. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先ほど午前からもお話を伺いましたが、景山部長がこの当事者でございますね。それを景山部長が書かせずに別の方が書かせておりますね。これはどういうことですか。
  172. 三輪良雄

    三輪政府委員 これは所管が違いますので、景山部長鳥取県の警察官でございますし、第二回目に調べましたのは浜田島根県の警察でございますから、景山部長が行くわけにはいかないのでございます。
  173. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 まず警察に伺いますが、なぜ渡邊がこういう旭洋丸のようなことを仕組み、洲崎、張が北朝鮮に行ったか。今ここで起訴された事件、この点についての御判断いかがでございましょうか。何かそこにこういうことだ、あるいはこういうことだろうという御判断がございましたらお聞かせ願いたい。
  174. 三輪良雄

    三輪政府委員 事件のその後の調査は他の官庁でございますし、なお裁判にかかっておりますことでございますから、私の方がお答えすることは適当でございませんけれども、しかし裁判上、公判廷で渡邊被告が述べておりますところによりますと、北鮮との間の漁業協定ができる、つまり李ラインの問題で漁業が不自由であるのに、北鮮側との協定ができれば北鮮の漁獲高の非常に多いところで自由に漁業ができる、これは日本の漁業にとっても有利であるし、その一部が北鮮に入るということで北鮮側とも話がつくというような考えで、北鮮に帰還する者を通じて北鮮側の意向を聞いておった、それができそうであったので、今回こういうことを考えたということを述べておるようでございまして、そういうことでもあろうかと考えるほかはないのでございます。
  175. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 この渡邊の資金源ですね。昭和三十三年に昭光丸事件が起こり、三十四年天神丸事件が起こりました。数次にわたって密航企図をやっておった、この渡邊はお調べになりましたか。また資金源までお調べになりましたかどうか。
  176. 三輪良雄

    三輪政府委員 昭光丸事件につきまして調べましたことは、先ほどお答えした通りでございます。今回は私の方で扱っておりませんので調べておりません。
  177. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 製氷機ということが問題になっておりますね。あの製氷機は境港に東京亀有から送ったことは確認されておりますね。
  178. 三輪良雄

    三輪政府委員 現地にあったように聞いております。
  179. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 この製氷機はアメリカ軍の払い下げ云々ということが猪俣さんの質問にもありましたが、この点についてお調べになりましたか。
  180. 三輪良雄

    三輪政府委員 この事件そのものを私どもは扱っておりませんので、調べておりません。
  181. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 刑事局長に伺いますが、現地の方で起訴されましたこの製氷機については、これはアメリカ軍の方のものですが、何かその点についてお調べになりましたか。
  182. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 私の方へは詳細な報告が参っておりませんので、きょうの委員会に備えまして至急調査方を電報で打ってあるのでございますが、まだこの委員会に間に合わなかったような事情でございます。
  183. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 では私の方から申し上げておきますから、事実をよくお調べ願いたい。これは四トンの製氷機でございます。それから一九五一年にアメリカの陸軍で作ったものでございます。二十四馬力、ガソリンによる製氷機であります。戦争中は野戦用として使用しておったものでございます。これが一体どういう経路で手に入ってきたのか、そういう点は一つ調べになる必要のある事項だと思います。きょういらっしゃるからには、そういう点は十分お調べになっているかと思いましたら、まだお調べになっていないようであります。私ども調べでは今申上げたようになっておりますから、この点をはっきりとお調べ願いたいと思います。海上保安庁の方でも前もって調べられて、警察も前もって調べられた。こういうものが載っかったら、これはえらいことなんですがね。皆さんはもう事件向こうへ行ったから知らないと言われるけれども、前に調べているのでしょう。密輸の嫌疑があるので、北鮮まで行く危険がある。誓約書まで書かせて、その積荷がこういうしろものですよ。どうも少しおかしいですな。あなたのおっしゃることも、海上保安庁のお調べの工合も、何だか裏にからくりがあるとしか私ども考えられません。刑事局長の方でこの点はお調べ願いたい。  次に、もう時間がありませんので簡単に伺いますが、内閣調査室の古屋さんに伺います。渡邊清茂関係がございましょうか。
  184. 古屋亨

    ○古屋説明員 先ほど申し上げたように全然……。
  185. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ところでこれもやっぱり山陽新聞でございます。先ほど引用しました「旭洋丸出航計画に際しては内閣調査室の出先である福島機関(東京都中央区銀座西六丁目)を通じ政府機関連絡していたとの関係者の供述から」云々となっておりますが、どうです、古屋さん、福島機関というのは銀座西六丁目にございますか。
  186. 古屋亨

    ○古屋説明員 私も銀座西六丁目に福島機関があるかどうかということは全然存じません。
  187. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 刑事局長に伺いますが、松江地検から内閣調査室、警察庁、海上保安庁、公安調査庁に、この福島機関というのが出たので照会されているようですが、今古屋さんは何にも知らない、こうおっしゃったのですが、松江地検に対してはどういう返事が内閣調査室から参っておりますか、その点はいかがですか。
  188. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 関係者がそういう供述をいたしておりますので、御承知のようにこれは刑事責任にも関連する問題でございますから、松江地検から東京地検に嘱託をいたしまして、その間の事項の調査を依頼した模様でございます。その結果、松江地検に東京地検から調査結果が報告されておるわけでございます。内容をこまかく申し上げますことは、今その両名について公判中でございますので、それらの資料は証拠資料として当然公判廷に現われるわけでございますので、それによりまして裁判所も判断すると思います。その結果を待つべきものであろうと思っております。内容をこまかくは申し上げられませんが、私ども概要として承知いたしておりますところは、今、古屋室長がおっしゃったような事情に聞いております。それから警察庁の関係におきましても、先ほど三輪局長がお答えになったような趣旨の内容と私聞いております。
  189. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 内閣調査室にまだ伺いたいことがございますけれども、時間の関係で公安調査庁の關さんにお伺いしたいと思います。  關さんは、先ほど洲崎たちが帰国後初めて事件を知り、何の関係もないと言われますが、御存じの向こうにつかまって残されている張永晋でございますね、あれと公安調査庁とは関係はありませんか。
  190. 關之

    ○關(之)政府委員 今日まで私はまだそれと関係があるということは聞いておりません。
  191. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 関東公安調査局に風間調査官という方がおられますね。これと今問題になっている張とは長いつきあいがあるようです。私、どういうつきあいかは存じませんが。そして張は細君に、自分北朝鮮へ行ったあとは、この風間調査官がめんどうを見てくれると言ったそうですが、金が出ておるでしょうか、どうでしょうか。
  192. 關之

    ○關(之)政府委員 今申し上げましたように、私はまだ聞いておりませんから、帰りましてから調べてみたいと思います。
  193. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 この事件に全然関係がないと言われるが、今おっしゃるところによると、まだそういうことを全然知らないと言われる。そうしますとあなたはほんとうはよく御存じないのですね。全然関係がありません、この事件が起こって初めて知ったと言われるけれども、関東公安調査局というのは關次長の指示されるところですね。そこで何をやっているか報告もない。またそれをあなたもごらんにならない。それでもってあなたは、ここでこの事件については、事件が起こって初めて知った、こうおっしゃるのは、根拠がはなはだ薄弱だということになりますが、よろしゅうございますか。
  194. 關之

    ○關(之)政府委員 ただいま申し上げましたように、とにかく私は部下の方からの報告、こういうことがあるかないかということを一応確かめて参りましたが、今までのところそういうような事例については聞いておりませんから、帰りましてから調べたいと思います。
  195. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 もしこの風間調査官が細君に金を出しているとして、先ほど海上保安庁にも伺いましたが、彼が一個人でめんどうを見る場合は仕方がないと言われてそれを放任しておかれるが、もし公安調査庁の金を使われるならば、これは重大なことになりますが、その点もあわせてお調べ願いたい。  なお、全然知らないと言われるが、洲崎利秋が帰国後、渡邊清茂を通じて公安調査庁から面会を求められ、場所は東京駅前国際観光会館地下の喫茶室で、この風間調査官ともう一人榎田七男が渡邊清茂立ち会いで会っておりますが、そういう報告は来ておりますか。
  196. 關之

    ○關(之)政府委員 その報告はまだ私は聞いておりません。
  197. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その後この風間調査官が洲崎と上野のあるすし屋で会ってごちそうをして、張永晋のことについてあれやこれや聞きただしています。そのときに風間君は、張は南朝鮮、いわゆる韓国の者で、絶対に北朝鮮ではないという話をしておりますが、この点については御存じでしょうか。
  198. 關之

    ○關(之)政府委員 まだ聞いておりません。
  199. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 これは公安調査庁ではよく御存じでございましょう。警察庁でも御存じでございましょう。風間君の名前を出すからには、私は証拠なしには申しません。今話をしたことはあなた方の方であるいは否定されるかもしれません。しかし私が法務委員会で発言するからには、ちゃんと物的証拠を持って、その裏づけで発言しております。  ここに一枚の紙きれがあります。これは風間調査官が洲崎連絡するとき、電話番号を洲崎に書いて渡したものです。関東公安調査局の電話番号は一三一二、八五八一の内三二六と、こういうようになっております。これは確かに私も今ここに来る前に電話帳を調べてみましたら、公安調査庁です。たばこの紙に、ここへ連絡しろということを書いて、風間調査官が洲崎利秋に渡しております。あなた方が否定されるなら、この筆跡鑑定をやってもよろしい。ちゃんと合っております。だから後日調査してみると言われて、全然会ったことがないの、関係がないのというようなことは言えませんよ、ここに証拠がありますから。  委員長、きょう伺いましたところ、追って調査をいたしましてという事項が非常に多いのです。猪俣委員坪野委員お尋ねになったところで、不明確な点が非常にあります。私が質問いたしましても、ますますその感を深くするのでございます。あなたは名委員長だから、これをここで打ち切らずに、向こう調査してくる、こういうことでございますから、今国会もう少しこれを続けていただきたいと思うのです。いろいろまだ申したいこともありますけれども、これでやめますが、一つ今後ぜひともこの事件は続けていただかなければならないと思います。  最後に一つ、内閣調査室に伺います。久我という人物がこの事件に出てきますが、久我という人物は御存じでしょうか。
  200. 古屋亨

    ○古屋説明員 私は初めてでございますが、もしおわかりでございましたら、久我何というのか、その名前を教えていただきたいと思います。
  201. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 渡邊清茂から紹介されて、久我という人物と第一ホテルで、洲崎利秋江篭平船長が、そのときも渡邊立ち会いで、去年十二月二十五、六日ごろでありますが、百万円の銀行通帳などを出して話し合っております。というのは、ここに百万円ある、成功してきたら二百万円渡す、こういう約束だったのであります。どうもこれも内閣調査室と御縁のありそうな人物であります。一つ調べを願いたいと思います。
  202. 古屋亨

    ○古屋説明員 調べますが、私は今のところでは記憶がございませんが、調べまして、あるなしをもう一度確認させていただきます。
  203. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 きょうは本会議がもうすぐ始まりそうですからこれで打ち切りますが、最後にもう一度重ねてお願いいたします。
  204. 池田清志

    池田委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十一分散会