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1961-03-03 第38回国会 衆議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三日(金曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 田中伊三次君 理事 林   博君    理事 牧野 寛索君 理事 山口六郎次君    理事 井伊 誠一君 理事 猪俣 浩三君       井村 重雄君    上村千一郎君       浦野 幸男君    唐沢 俊樹君       小島 徹三君    高橋 英吉君       羽田武嗣郎君    長谷川 峻君       阿部 五郎君    坪野 米男君       畑   和君    原   彪君       中村 高一君    鈴木 義男君       田中幾三郎君    志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 植木庚子郎君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備局         長)      三輪 良雄君         法務政務次官  古川 丈吉君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 津田  實君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         法務事務官         (矯正局長)  大澤 一郎君         公安調査庁次長 關   之君         文部政務次官  纐纈 彌三君  委員外出席者         最高裁判所事務         総長      石田 和外君         最高裁判所事務         総局事務次長  内藤 頼博君         判    事         (最高裁判所事         務総局総務局第         一課長)    長井  澄君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      守田  直君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 二月二十四日  委員長谷川峻君、山村治郎君及び坪野米男君  辞任につき、その補欠として綾部健太郎君、松  田鐵藏君及び二宮武夫君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員綾部健太郎君、松田鐵藏君及び二宮武夫君  辞任につき、その補欠として長谷川峻君、山村  新治郎君及び坪野米男君が議長指名委員に  選任された。 同月二十八日  委員川島正次郎君及び山村治郎辞任につき、  その補欠として高橋英吉君及び羽田武嗣郎君が  議長指名委員に選任された。 三月三日  委員鈴木義男辞任につき、その補欠として田  中幾三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十四日  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第一六号)(  参議院送付) 三月一日  会社更生法の一部を改正する法律案向井長年  君外三名提出参法第五号)(予) 二月二十四日  鹿児島地方家庭裁判所川内支部甲号昇格に  関する請願(池田清志君紹介)(第九二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十四日  手形訴訟復活に関する陳情書  (第二七〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第一六号)(  参議院送付)  矯正医官修学資金貸与法案内閣提出第六七  号)  裁判所司法行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  この際お諮りいたします。本案に対する質疑は、これで終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  4. 池田清志

    池田委員長 これより討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 池田清志

    池田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決せられました。  お諮りいたします。ただいま可決せられました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 池田清志

    池田委員長 次に、矯正医官修学資金貸与法案議題とし、まず提案理由説明を聴取いたします。古川法務政務次官。     —————————————
  8. 古川丈吉

    古川政府委員 矯正医官修学資金貸与法案について、その趣旨を御説明いたします。  刑務所少年刑務所拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院に収容される者には精神身体の不健康なものが多いのでありまして、これを健全な国民として社会に復帰させるためには、まずその精神及び身体健全化をはからなければなりません。また他面、集団拘禁生活においては、収容者保健医療の適正な管理が要請されますことも自明のことであります。  かように、矯正施設における保健医療矯正行政上重要なものであって、その業務を担当する医師たる職員の確保こそ肝要であるにかかわらず、現在の施設においては遺憾ながらその充足は十分とは申せない状況なのであります。  このような現状に対する対策として、すでに実施されている公衆衛生修学資金貸与及び自衛隊技術職員学資金貸与制度の例に準じ、将来矯正施設医師たる職員になろうとする優秀な医学生または実地修練生修学資金貸与し、これらの者が矯正施設職員として勤務した場合には、貸与金返還その他の点において有利な扱いをすることによって、医師たる職員を充足するためにこの法案を提案する次第であります。  次に、この法案要旨とするところを御説明いたします。  第一に、政府は、大学医学部医学専攻学生又は同学部を卒業した実地修練生で、将来矯正施設医師として勤務しようとする者に対し、無利息修学資金貸与することができるものとしております。  第二に、修学資金原則として毎月一定額貸与する方法によるものとしております。  第三に、修学資金貸与を受けた者につきましては、実地修練終了後直ちに矯正施設職員となり、医師として修学資金貸与期間の一倍半に当たる期間勤務した場合には、その返還債務免除することとしておりますほか、一定期間医師として矯正施設に勤務した場合にも、裁量による全部または一部の免除を認めております。  第四に、貸与契約解除したとき、修学生矯正職員とならなかったとき、矯正職員でなくなったとき、または矯正職員となってから二年以内に医師とならなかったときには、そのときから貸与期間の半ばに当る期間内に貸与資金返還しなければならないものとしております。  第五に、修学資金返還についてやむを得ない事情がある場合などには、これを猶予することができるものとする一方、正当な理由がなくて返還しないときには、日歩四銭の延滞利息を支払わせることといたしております。  第六に、右に申し述べましたほか、契約保証人契約解除事由貸与休止及び保留修学中の学業成績提出等について規定し、また貸与月額期間計算返還方法等実施細目については政令及び法務省令に委任する旨を定めております。  第七に、この法律施行期日については、昭和三十六年度予算との関係上、昭和三十六年四月一日とすることにいたしております。  以上が矯正医官修学資金貸与法案趣旨であります。  なお、この制度施行に要する経費といたしましては、貸費比五十人に対する貸与金として二百八十八万円が昭和三十六年度一般会計予算案に計上されております。なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  9. 池田清志

    池田委員長 次に、本案に対する逐条説明を聴取いたします。大沢政府委員
  10. 大澤一郎

    大澤政府委員 ただいま政務次官から概要の御説明がございましたので、逐条につきまして御説明申し上げたいと思います。  第一条は、この法律目的規定したものであります。矯正施設収容者に対する医療の適正な管理刑事政策上重要であり、かつ、これを担任する医師たる矯正施設職員を充実確保する必要性のきわめて大きいことにかんがみ、その方法として、医学を専攻する者で将来矯正施設に勤務しようとするものに対し、修単資金貸与することを規定したものでございます。  第二条は、矯正医官修学資金貸与する対象者規定するとともに、財政法上の国の財産無償貸付法定原則にのっとり、政府がこれらの者に無利息貸与する旨の契約を結ぶことができることを規定したものでございます。  第三条は、貸与方法について規定したものでございます。修学資金原則として一カ月ごとに貸与すること及び貸与額については政令で定めることとしているものでございます。なお、この額は、政令において、学生に対しては四千五百円、実地修練生に対しては六千円とする予定でございます。  第四条は、一年度に結ばれる修学資金貸与契約の総額が、あらかじめ予算で定める限度額をこえてはならないことを明示した規定でございます。  なお、昭和三十六年度一般会計予算案総則第十五条においては、この債務限度額は九百万円となっておるのでございます。  第五条は、保証人規定でございまして、本条第一項は、修学資金貸与を受けるには、保証人を立てる義務のあることを規定したものでございます。なお、政令においては、保証人は二人とし、そのうち一人は原則として父または母であることを要するものとする予定でございます。  第二項は、保証人が被貸与者連帯債務者となることを明示した規定でございます。  第六条は、契約解除並びに貸与休止及び保留に関する規定でございます。  第一項は、被貸与者修学をやめたときなど、修学資金貸与目的を達成する見込みがなくなったと認められるに至った場合、政府貸与契約解除する措置をとることを規定したものでございます。  第二項は、修学生が休学しまたは停学させられたときは、その期間貸与休止することを定めたものでございます。  第三項は、修学生が正当の理由がなくて学業成績表提出等を怠ったときは、貸与を一時保留することができることを定めたものでございます。  第七条は、返還債務の当然免除規定でございます。本条は、公衆衛生修学資金貸与の場合と同じく、貸与金返還債務免除する場合を定めるものでございます。  第一項は、被貸与者実地修練を終了した後直ちに矯正施設職員となった上、その日から二年以内に医師となり、かつ、矯正医官として被貸与期間の二分の三以上在職したとき、または在職期間公務により死亡しもしくは公務に起因する心身故障のため免職されたときは、被貸与者返還債務免除を受けることができることを規定したものであります。  第二項は、前項の免除条件である在職期間は、月数計算によること及びその計算方法細目政令に委任することを定めたものであります。  第八条は返還に関する規定でありまして、貸与された修学資金返還債務履行条件及びその期限を定めた規定であります。すなわち、貸与契約解除されましたとき、被貸与者実地修練終了後直ちに矯正施設職員とならなかったときなど修学資金貸与趣旨が全うされなかった場合には、被貸与者修学資金を被貸与期間の二分の一に相当する期間内に返還する義務のあることを明示したものであります。  第九条は返還債務裁量免除規定でありまして、第七条の返還債務免除の場合以外に、政府裁量によって返還債務免除できる場合を定めたものであります。  第一項は、被貸与者矯正医官として通算して貸与期間の二分の三に相当する期間以上在職しました場合には、返還債務の全部を免除することができることを規定したものであります。  第二項は、被貸与者矯正医官として通算して三年以上在職した場合には、政令の定めるところによりまして、返還債務の一部を免除することができることとした規定であります。なお、政令においては、大まかに申しまして、この免除の金額は、在職期間に比例する額とする予定でございます。  第三項は、前二項のほかに、被貸与者矯正職員として在職中に、公務により死亡しまたは公務に起因する心身故障のため免職された場合には、その事情に応じて、政府裁量により返還債務の全部または一部を免除することもできることとした規定でございます。  第四項は、本条裁量免除条件である在職期間計算につきましては、第七条の免除条件の場合と同じ方法によることを定めたものであります。  第十条は返還猶予規定でございまして、修学資金返還猶予することができる場合及び猶予する場合の、国の債権管理等に関する法律との関係規定したものであります。  第一項は、修学資金返還猶予することができる場合を、被貸与者矯正医官として在職している場合またはやむを得ない理由により修学資金返還することが困難であると認める場合といたしまして、また、猶予できる期間は、その在職する期間あるいはその理由が継続する期間であることを規定したものであります。  第二項は、修学資金返還猶予する場合には、修学資金貸与制度趣旨にかんがみまして、担保を提供させ、利息を付させる等の国の債権管理に関する一般的取り扱いにはよらないものといたしまして、国の債権管理等に関する法律特別規定を設けたものであります。  第十一条は延滞利息規定でありまして、被貸与者が正当な理由がなくて期日までに修学資金返還履行をしない場合には、延滞利息を支払う義務のあることといたしまして、その割合を日歩四銭と法定したものであります。  第十二条は修学資金貸与目的を確保するために、法務省令の定めるところによりまして、修学生に毎年定期的に学業成績表提出及び健康診断の受診を義務づけた規定であります。  第十三条は省令への委任でありまして、法務省令矯正医官修学資金貸与法実施に必要な細則を定めることを授権した規定であります。なお、省令におきましては、貸与申請手続貸費生の選考、貸与申請書提出期限貸与資金の送金、借用証書返還免除申請手続返還明細書返還猶予申請手続学業成績表提出健康診断、届出の各事項について定める予定といたしております。  附則は、第一項は、施行期日規定したものでありまして、昭和三十六年度の予算実施を予想されます昭和三十六年四月一日から施行するものとしたものでございます。  第二項は、他の修学資金福祉資金等貸与の場合と同じく、貸与に関する証書に関しては印紙税の納付を免除したいという規定であります。  以上、概略御説明を終わります。
  11. 池田清志

    池田委員長 以上で本案に対する政府説明は終わりました。  この際暫時休憩いたします。    午前十一時十五分休憩      ————◇—————    午後三時三十七分開議
  12. 池田清志

    池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。猪俣浩三君。
  13. 猪俣浩三

    猪俣委員 私は最高裁判所事務総長から事実をお聞きしてから法務大臣に御意見を承りたいと存じましたが、まだ見えられませんので、時間の都合上法務大臣にお聞きいたします。  問題は、今問題になっております飯守裁判官の異例な談話についてであります。この談話によりますと、嶋中事件皇室に対する名誉毀損事件だ、これは中央公論に載りました「風流夢譚」という小説に関することだと思うのであります。そうしてそれから殺人事件が起こった。この嶋中事件皇室に対する名誉毀損として正式な司法的措置をとるべきだということを、嶋中事件を教唆したと思われる赤尾敏氏の殺人教唆に対する拘置請求を却下した直後におきまして、かような発言があったわけであります。そこでこれも新聞の伝えるところによれば、この「風流夢譚」が雑誌に公表せられました以後、宮内庁から法務省に対しまして、この小説内容名誉毀損になるのかならぬのかというような照会が、あるいは鑑定と申しますか、そういうことがあったやに伝えられておりまするが、そのいきさつを御説明いただきたいと思います。
  14. 植木庚子郎

    植木国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の中で、私に対しての御質問要旨は、宮内庁当局から法務省当局に対して、あの事件について名誉毀損罪が成立するかどうかというお尋ねがあったのじゃないか、その間のいきさつをという御要望でございます。宮内庁当局から正式のそうした御照会なりあるいはお問い合わせばなかったのでありまして、事実は、宮内庁のある課長から法務省のある課長に対しまして、単に個人的な前からのつながりの関係で、個人的に意見を求められて、個人的の関係法務省課長が一応のそのときの自分の考えを申し述べておいたという事実はあるのでございます。しかしながら、正式には何らそうしたことはございません。その後にありまして、さらに嶋中社長さんですか、と中央公論社当局宮内庁に出られて、後にさらに宮内庁当局記者会見をしましたその際に、場合によっては法務省意見を徴する云々ということがあったそうでございますが、それもその後何ら正式には御照会も何もないというのが事実でございます。  以上でございます。
  15. 猪俣浩三

    猪俣委員 これはある宮内庁課長が個人的な立場法務省のある課長意見を求められてきたということでありますが、しかし非常に重大な問題として発展している今日におきまして、たとい個人的のお互いの交渉でありましょうとも、法務省課長がどういう答弁をこの宮内庁課長にしたのであろうかは、法務省としてはお調べになっておると思いまするが、それは、この中央公論に載せられましたる「風流夢譚」が、結局名誉毀損罪になるかならぬかという照会であったろうと思うのです。それに対しまして、法務省課長さんはどういうふうに返答をしたか。お調べがあったらお聞かせ願いたいと思います。
  16. 植木庚子郎

    植木国務大臣 その間御照会内容がどんなふうで、どうお答えをしたかは、私は当該課長に直接は聞いておりませんので、事は大へん大事な問題でございますから、課長から当時の模様を聞いております政府委員刑事局長をしてお答えいたさせます。
  17. 竹内壽平

    竹内政府委員 十一月三十日付の東京新聞の朝刊の切り抜きを私ここに持っております。ここにも書いてございますように、宮内庁橋本総務課長法務省人権擁護局小泉総務課長に電話で、法律問題、特に「風流夢譚」が何らかの刑法の犯罪に触れるかどうかという点を問い合わしてきたようでございます。小泉総務課長につきまして、後に私どもの方で調査をいたしましたところが、全く友人関係で尋ねてきて、自分法律家であるので尋ねてきたと思うのだが、自分も全く個人的な見解として、どうも名誉毀損の点については問題がありそうだ、疑問であるという答えをした、こういうことでございます。それは一つの個人の見解でございますので、それはそれとして事は過ぎたのでございますが、その後先ほど大臣がお答え申しましたように、十二月一日の東京新聞にやはり載っておりますが、「風流夢譚」については一応中央公論社との間で話し合いをつけたということに関連いたしまして、瓜生次長の話として、今後もこういうことがないとも言えないので、法務省に依頼して法律上の問題を研究してもらおうと思うという趣旨のことを新聞記者に話しておるやに報道されておるわけです。そこで、この報道を見ましたので、今度は私ども刑事局から、研究を依頼するというお話であるが、ほんとうにそういうつもりかということを内々問い合わせてみたところが、先ほど大臣がお答え申しましたように、結局これは正式には依頼しないということで今日に至っておる次第でございます。この問題につきましては、もちろん刑罰法令担当局といたしまして、私どもではいろいろと研究をいたしております。
  18. 猪俣浩三

    猪俣委員 法務大臣に対する質問はちょっとここで中止いたしまして、裁判所側お尋ねいたしまして、また再び法務省側お尋ねしたいと存じます。  最高裁判所では、裁判官会議をお開きになりまして、飯守裁判官発言について注意という処分をなされたと新聞に報道せられておるのでありますが、事務総長は終始その裁判官会議に御列席になっておったはずでありますので、その裁判官会議の経緯についてお尋ねしたいと思うのでありますが、私がお尋ねしたい中心点は、伝うるところによれば、飯守判事は、自分がああいう発言をいたしましたならば、相当の反響が巻き起こるであろうということを覚悟し、かつさようなことを計算に入れて発言をしたやに聞いているのであります。もちろん発言の様子を、新聞紙の伝うるところによるならば、新聞記者諸君が意外に思われるように、裁判官の方から積極的に、メモを手にしながら、自分殺人教唆を却下したことの話の直後にいわゆる飯守談話なるものが出されておるところがら見ましても、これは普通の失言ではない、十分計画的な談話であったことは争う余地がないわけであります。そこで私がお尋ねしたいことは、飯守判事が何がゆえに、いかなる動機によって、かような言わずもがなのことをことさら計画的に新聞記者に発表したのであるか。何のためであるか。いやしくも裁判官ともあろう者が、何の動機目的もなしに発言なさるはずはない。何がゆえにかような発言をことさら新聞記者になさったのであるか。これは裁判官会議で問題になったことであろうと思う。それをまた調べられないならば意味ないことでありまするから、裁判官会議におきましては、飯守判事のかような発言をなされた動機目的については十分調査なされたと思うのでありまして、その点について、そこに焦点を合わせて、この裁判官会議模様について御説明をいただきたいと存じます。
  19. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 裁判官会議経過等についてのお尋ねでございますし、それからまた後ほどいろいろの方から裁判所側に対しまして御質疑があろうかと思うのでございますが、それをお答えいたします前に、少し私ども立場を述べさしていただきたいと思うのであります。  それは、いわゆる三権分立という建前から申しまして、今度の問題をめぐって、特に考えられますのは、非常に微妙な関係があることでございます。確かに飯守判事が、二月の二十四日の午後、赤尾敏氏の被疑事件につきまして、勾留をいたしました後にああいう発言をいたしまして、これがいろいろな波紋を世間に呼んでおりますが、裁判官地位憲法に明らかに保障されていることでございまして、裁判所側といたしましては、八十条による監督権、あるいは分限法によります分限、それからそのほか弾劾制度が、これも憲法上認められておるのでございまして、あくまでこれは法律的に処理さるべきだと思うのでございます。裁判所側といたしましては、八十条に基づく監督並びに分限の問題を所管いたしておりますが、そのほか弾劾あるいはその前提の訴追という問題につきましては、それぞれの国会法に基づきます機関で御審議さるべき問題であるわけでございます。そこで私ども裁判所側といたしましては、民主主義の根本的な基礎と申すべき裁判の独立、並びに実存しております現実の裁判官地位の保障というふうな問題に関しましては、国会でいろいろ御論議になりますことはやむを得ないといたしましても、裁判所側といたしましては、おのずからお答え申し上げることに限界があろうかと思うのでございます。それで、いろいろお尋ねがあろうかと思いますから、もし御必要でございますなら、裁判所調査いたしました全貌をあるいは申し上げた方が、猪俣委員のおっしゃることに対しましても、また後ほど御質問予定されます方々に対しますことにつきましても便宜かとは思いますが、いかがなものでございましょうか。
  20. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたの三権分立論もっともであります。ですから私どもは最高裁の長官の御出席もきょうはないけれども、この審議を始めたわけであります。当の飯守判事の呼び出しもしないわけであります。事務総長であるいわゆる裁判行政の事務的な最も頭であるあなたを呼んだのは、その意味であります。  そこで、なお私が中心の問題を飯守判事がああいう異例なる談話をする動機目的にしぼってお答えを願うように言いましたのは、今あなたが心配されるように、あらゆる裁判官会議のすべてのことを申してくれというと御迷惑になるのじゃないかと思いまして、そこでそういう配慮の上から問題をしぼったわけであります。あなたができる限りの経緯をここで説明していただけるならば、まことに幸いなことだと存じますから、どうぞ。もうこれだけ新聞に書かれ、そうして天下の問題になっていることでありますから、どうぞ差しつかえない限りにおいて詳細に、国民の代表である国会に御報告いただきたいと思うわけであります。
  21. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 それでは、当時新聞紙等にいろいろ報道はされましたが、一応裁判所側調査いたしました問題につきまして、ごく簡略に御説明をいたしたいと思います。これは国民の方々に対しまして真相を申し上げて誤解を防ぎたいという趣旨によるものでございますが、裁判官会議内容自体については、これは裁判所側としては、国会に対して申し上げるわけにいきません。調査いたしました点について申し上げます。  飯守裁判官は、昭和三十六年二月二十四日午後五時過ぎごろに、東京地方裁判所刑事第十四部の裁判官室におきまして、被疑者赤尾敏に対する勾留状を発付いたしました。ところが、午後五時二十分ごろに、最高裁判所内の司法記者クラブから右裁判官室に電話がありまして、勾留状の発付について聞きたいということでございました。同裁判官はこれを承諾いたしまして、右裁判官室で十数名の記者の方々と会見をいたしました。その際、同裁判官は、記者の質問に応じまして、赤尾敏に対する検察官の勾留請求は、殺人等教唆及び暴力行為等処罰に関する法律違反の罪を被疑事実としてなされたが、検察官提出の資料だけでは、教唆罪の方は勾留するに足る嫌疑がないものと認めて勾留の事由から除外いたしまして、単に暴力行為等処罰に関する法律違反の罪だけを勾留の理由として認めた旨を述べまして、記者団のこの問題に対する質疑は一応終了したわけでございます。  ところが、さらに引き続いて、右会見の直前に用意いたしましたメモに基づきまして、感想を述べた由でございます。この記者会見は約十分間で終わったと聞いております。  感想の内容は、新聞紙にもございましたように、メモに基づいて述べられたということでございますが、多少新聞と違った点もございますので、もし何ならば、そのメモの内容調査いたしてございますから、ここで読みたいと思います。メモの内容は次のようでございます。  「最近続発した山口二矢、小林一孝その他の一連のテロ事件の根本原因は、昨年来の集団暴力の横行に表われた破壊工作に在る。深沢七郎氏及び中央公論社名誉毀損事件が直接の原因である。これらの原因を政府国会が一つ一つ除いて行かなければ何等の解決にならない。警察責任者の辞任などで解決のつくことではない。解決の方向を誤ると却って政治テロの発生を助長し、益々混乱を来たし危機を招く。私個人の意見としては、当然、中央公論社皇室名誉毀損事件については、正式の司法的措置を講ずべきであり、又テロ発色の原因となった集団暴力に対する必要な立法上の措置と現行法運用上の措置を講ずべきだと考える。政治テロに対する刑罰の強化も考えられるが、同時に集団暴力に対する取締強化を実施しなければ、片手落となり、却って危機を招来する。政治テロが原因で集団暴力が起ったのではなく、集団暴力に対する諸対策の足りなさから政治テロが起ったのである。蝋山政道氏が昨日の毎日新聞の夕刊の憂楽帳欄に、『政治の喪失』という題で批評を書いておられたが、このような批評をされないようにしなければならないと思う。」というものでございます。  さような感想を述べました意図でございますが、これは飯守裁判官の報告するところによりますと、同裁判官はかねてから民主日本確立の基礎条件ともいうべきいわゆる法の支配の確立を念願しているものであり、現下の左右両翼の先鋭な対立を心から心配して、最近続発したテロ行為を憂い、その原因について深く思いを払っていたものでありますが、たまたま赤尾敏の勾留取り調べにあたって、いよいよその感を深くし、従来から抱いていた感想をこの機会に述べるに至ったものだというのでございます。そして同裁判官は、右の感想を前記の勾留事件そのものの感想として述べたのではなく、これを機会に前記一連の右翼テロ事件についての一国民としての個人的見解として、いわば一般的な刑事政策上の意見ないし感想を発表したと申しておる次第でございます。  ただいま猪俣委員からお尋ねがありましたいかなる動機でという点も、ただいま申し上げました点につきまして、おのずからおわかりいただけるのではないかと考えておるわけであります。
  22. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたの今発表された飯守裁判官のその当時の発言がその通りであるかどうか、あなた方を疑うわけじゃないけれども、相当ニュアンスは違っておるのじゃないかと思われるのであります。しかし、それはそれといたしまして、今あなたのお取り上げになりました飯守裁判官の自白、どういう意味で言ったか、自白を見ましても、とにかく、今重大な政治問題になっていることに対して非常に批判がある。そこで裁判官会議の結果、注意処分をなされた。注意という処分をなさった理由はどこにあるか。この飯守裁判官発言のどういうところが裁判官会議では処分に値すると認定をされたのであるか。これをお聞かせ願いたい。
  23. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 大体裁判官という職責にある以上は、あくまでも公正で、中立性を保っていかなければならないわけであります。いやしくもその言動によりまして、さようなことに一まつでも疑いを持たれるようなことがあっては相ならぬわけでございまして、これは裁判官たる者の守るべきいわば倫理の第一歩だろうと思うのでございます。ところが、飯守裁判官の場合は、ああいうことをああいう時期において、新聞記者も一部の方々であるとはいえ、表明するということは、やはりこれは穏当でない。発言内容の云々ということよりも、ああいう内容のことをああいう時期にああいうふうに言うことは、ともかくさような裁判官の守るべき節度を逸脱しておる。そこは裁判官たる者はあくまで慎重であらねばならないという趣旨でございます。
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 裁判というものが中正でなければならぬことは、裁判の基本原則です。これが疑われたら、裁判なんというものは有害無益である。またこれが疑われたら、裁判ぐらいおそろしいものはないわけです。ですから、あらゆる裁判官が中立の態度をとり得るような憲法上、法制上の規定になっておる。その中立性を疑われるような言動があったら、これはもう裁判官としてゼロですよ。ことに飯守判事は、前のハガチー事件におきましても、異例なる法廷の秩序を守る法律か何かを適用して、被告人の弁護人を二十日間も拘置した人物です。今から考えれば、こういうはなはだ右翼的な考えを持っておる判事であったからああいう行動をとったんだなと疑われても無理もない行動をやりました。こういうふうに裁判の公正を疑われるようなことなら、裁判官としてはまるで価値なしです。裁判官会議でそういうふうに御認定になりながら、ただ注意にとどめおいたということは、私どもはどうもふに落ちない。裁判官分限法もあるはずです。罷免権はないかもしれませんが、とにかくそういうことに対する確固たる裁判官会議の意思が表明されてよかったのじゃないだろうか。全国の裁判官でも相当迷惑をこうむっておる人が多々ある。また一般の人は、裁判官の判事といえども、右もあったり左もあったり大へんだという頭になっておる。わが国の裁判制度を破壊するものである。それに対して最高裁判所の態度は僕はどうもふに落ちない。今あなたがおっしゃったように、裁判の中正を害するというような認定をされたならば、いわゆる裁判官会議でできるだけの制裁を加えるべきものでなかったかと思うのでありますが、そうなさらなかった理由はどこにあるのですか。
  25. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 ちょっと、言葉だけの問題でございますが、裁判の中正を害したというのではございませんので、裁判官として中正を疑われるような行ないではないかという趣旨でございます。  それで、この際飯守判事のためにちょっと弁解させていただきますが、いろいろな報道に現われましたいろいろな方の御意見の中に、飯守判事赤尾敏氏を勾留尋問しておる際に、赤尾敏氏の思想に共鳴したのじゃないかとか、あるいはその影響を受けたのじゃないかとか、あるいは飯守判事赤尾敏氏と同じ主義じゃないかというような御意見もございますが、これは全く真相を誤った御意見でございまして、たとえばその当日の毎日新聞の記事がここにございますが、飯守判事がいろいろ申しましたあと、裁判官談話は政治テロもやむをえないという印象を与えるがどうかという問に対しまして、そういう意味ではない、要するに政治テロを根絶するために云々ということを申しておることによりましても、その点は明らかであろうと思います。  それで、ただいま最高裁判所裁判官会議の、いわゆる司法行政としての最終的なものでございますが、これについていろいろ御批判があるようでございますけれども、いわゆる裁判所側といたしましては、三権分立という建前から申しまして、そのお尋ねにはここでお答えするわけにはいかないように存ずるのであります。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 三権分立を隠れみのにしてはいかぬと思うのであります。それは別な意味において三権分立が論議されておるのであって、三権分立の思想を破壊したのは飯守自身ではありませんか。彼は内閣が「風流夢譚」を問題にしないのを批判し、そうして国会がデモの取り締まりの法を作らぬことを批判し、裁判官自身が三権分立の原則を打ち破りて、そうして内閣なり国会なりを批判したじゃありませんか。あなたが三権分立を言うならば、その意味からも、この飯守発言というものは全く三権分立の根本思想を侵害したものですよ。それに対して、三権分立のために、それ以上のことはできないなんという答弁は、私どもはどうも納得いたしかねる。しかし、事務総長たるあなたとそういうことを言い合いましてもいかがであろうかと思いますから、それは御説明を聞くだけにとどめておきます。あなたの立場としても、それ以上御説明できないかもしれません。  そこで、この飯守判事は非常に特別なる経歴を持っております。満州国の参事官あるいは高等法院の部長判事、そういう経歴、それから終戦後捕えられてソ連あるいは中国に長い間抑留せられた。こういう立場の人を直ちに裁判官に採用ざれるということについて、われわれは多少疑義があるわけですが、これはいつどういう基準で裁判官に採用されたのであるか、それを説明して下さい。
  27. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 飯守判事昭和三十一年八月一日に、非常に長い拘禁生活から解放されまして、内地へ帰って参りました。同裁判官昭和五年の司法官試補でありまして、昭和七年に判事に採用されました。ただいま同判事の同僚はたくさん裁判所の中にもおるわけであります。そういう連中の間でも、何ら従来から妙な悪評等はなかったのであります。帰りまして、長い間の拘禁生活を持ち、生活の道にも困っておるというような状況でございまして、裁判所といたしましてもあたたかく迎えますことは当然でございました。しかし、同判事をすぐに裁判官の中の判事にすることはしばらく差し控えまして、判事の資格は十分あったのでございますが、まず多少様子を見てという意味で、最初八月の末に簡易裁判所判事として採用をいたしました。その後御本人の心身の回復並びに状況をよく勘案いたしました上、昭和三十三年四月四日判事に、任命は内閣でありますが、裁判所の方から内閣へ任命しかるべしといういわゆる名簿を提出した次第でございます。
  28. 猪俣浩三

    猪俣委員 飯守裁判官の行為に対しましては、私どもこの裁判官自身の人格に対して疑いを持たなければならないことを実は悲しむものであります。飯守裁判官は一九五五年四月二十五日、撫順のどういう場合における演説かは知りませんが、およそ四十分にわたる演説をなさっておる。それがテープレコーダーにとられておるのであります。私どもそれを聞いたわけでありますが、それによりますと、かような文句を言っておられるのであります。これは相当長い堂々たる演説でありますが、自分の満州国における経歴を述べ、在任地における自分の犯罪行為を詳しく述べておる。参事官としての行為あるいは高等法院の判事としての行為、それからそういう自己批判をなされ、それから日本の平和と独立のために闘うための決意として相当決意を披瀝されておるのであります。それは非常に堂々たるものでありまして、実に独占資本をつき、日本の帝国主義をつき、彼らのかいらいとなった自己の不明を謝し、中国人民に与えたはかり知れない惨害に対して実に後悔することを表わされまして、そうして日本人の行く道は結局において天皇制をやめて、古い君主制度を廃止して、民主共和国となすよう各方面より民主化の政策を実行すべきものであります、というような言葉も吐かれておるのであります。これはどういう場合にされたのであるか直接わかりませんが、この週刊朝日におきまする記事を見ますると、この飯守判事とともに撫順にとらわれの身となって七年間も一緒に起居をともにしておった藤田茂元という元第五十九師団の師団長、中将であります。この人が説明しておることを見ると、「千余人の日本人を前にして、演壇の上で自分の罪悪を語り、みんなの感涙をさそったあの飯守君の涙は、そら涙か。飯守君は、しいられた作文で、中国をあざむいたといっているらしい。じゃが、実は中国よりも、われわれ帰国者をあざむき、侮辱しているのではないか。」そうしてなおこのテープレコーダーのほかに、いわゆる手記なるものが世の中に発表せられました。それに対して飯守さんは「犬死にするのもつまらないと思いまして、自分の宗教的な主張だけは保持して、向こうのいいなりに作った作文ですよ」こう言った。これに対してこの藤田茂元中将は非常に怒って、ここに長文のあれが書いてある。この藤田さんの説明によれば、手記が書かれたのは、すでに戦犯容疑者の調査は完了し、刑もきまった後だった。もちろん中国側に提出するためでもない。帰国を目前にして、日本人の間からだれ言うとなく、「日本に帰ったら、同胞に戦争の罪悪だけは理解してもらおう。そのために、みなで文章を書いて、帰国後、出版しよう」という声が出たのだそうです。これに反対をして、どこまでもやはり軍事体制を賛美している人もあって、そういう人は書かなかったけれども、しかし多数の人の中にはそれはよかろうということで、同胞に読んでもらうために、ありのままを読みやすく書こうということで書いたのだ。千余人の日本人の間から互選された委員が編集に当たり、帰国の際に持ち帰ったのです。飯守氏の手記もその一編なんです、こういうことをはっきり言っております。ですから向こうに脅迫せられて書いたなんてうそ八百、こういうふうにこれを読んでみますると、実に共産主議でなければならぬというようなことを言い、そうして天皇制を廃止して、民主共和国にしなければならぬ、そうして自分もそういう方向に努力するというようなことで結論をつけておる。こういう判事が日本に帰って今日裁判官になり、「風流夢譚」は名誉毀損だ、なぜあれを告訴しないのか、そんなことをしておるからテロが起こるというようなことを放言しておる。しかし、私はとらわれの身で何かいろいろ四方の事情があったかもしれません。藤田元中将の言によれば、全くそれとは関係ないことであっても、まだ向こうの領土におる以上は、幾らかやはり向こうにおもねった心境になって、自分の本心でないことを言ったとたとい了解したといたしましても、人格者として、ゼントルマンとして、これだけの誓いを立てた人間は、良心にやはり何かやましい感じを持って謹慎すべきものだと思うのです。それをまるで正反対の、赤尾敏と同じような思想を持っているのじゃないかと疑われるような言行をやっていることは、飯守氏自身の人格を私は疑わざるを得ない。これはテープレコーダーも何でもあるから、あとで参考のために裁判所側もお聞きになった方がいいと思う。しかし、こういう人は何か圧迫がかかると、またまるでそれと違ったことを言い出すかもしれないので、たよりないことはなはだしい。志賀義雄君なんて十八年間も刑務所の中に置いても転向しなかった。それは志賀君は特別な人であるかもしれませんが、しかし、とにかく私はこういうことを言うたことそれ自身はとがめませせんけれども、少なくとも良心のある人ならば、これほど言うてきた以上は、日本に帰ってきても多少謹慎しておるのが、僕は人の道じゃないかと思うのだ。こういうことを言うてきてからに、まるでこれと逆なことで、赤尾敏と同じような一体態度をとっているということは、これは裁判官としては人格的にもなっていないと私どもは思う。あなた方はそれをどう考えるか。
  29. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 ただいま御発言のありましたような事柄は、劈頭に申し上げましたように、弾劾裁判所あるいは訴追委員会で十分御究明になりまして、もし飯守判事裁判官に値しない、罷免の事由があるということならば、そういうふうに御処置相なるべきものと考えます。裁判所側といたしましては、かりにさような事実がわかりましても、当局者といたしましては、法律的には何ら措置がないわけであります。
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 これもまたあなたと議論してみても仕方がないからやめておきます。お説のように訴追委員会でもって徹底的に究明せられるでございましょう。ただあなたも司法行政の事務を取り扱っていられるのであるから、一体こういうふうに問題になるような政治的発言裁判官がやるということに対して、裁判行政の一端として全国の裁判官に何らかの注意なりを促されたのであるかどうか。今後こういうことを二度と派生しないように、裁判官が行政権を侵害するような発言をしないということに対して、最高裁判所はいかなる処置をとられたのであるか、それをお聞きいたしたい。
  31. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 さればこそ、最高裁判所におきまして、裁判所法第八十条に基づきまして、飯守判事を最高裁長官から厳重に注意をしたわけでございますが、このことは、とりもなおさず全国の裁判官に、やはりさようなことを裁判官としては、慎むべきであるということを無言の間に申しているわけでございます。
  32. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで私は法務大臣にお伺いいたしますが、飯守裁判官は、「風流夢譚」に対して処置しないのが悪いのだというふうな発言をせられております。そこで世の中のいわゆる右翼団体の中には、さような飯守さんと同じような考えを持っている者が相当おると思う。そこで法務省は正式に宮内庁から照会をせられたことはないということは、ただいまわかりましたが、とにかく内閣総理大臣が天皇にかわって告訴権を持っている。これも疑義があるわけでありますが、一体天皇の意思に反して、あるいは皇太子の意思に反してまでも、任意に総理大臣が告訴できるのであるかどうか。この告訴の代理という法関係が実ははっきりしないのであります。天皇、皇太子と関係なく、宮中における名誉毀損は、直ちに総理大臣が独立して一体告訴できるのかどうか。あるいは独立してできるとしても、天皇なり、あるいは皇太子なり、被害者の意思にかかわらずできるのであるかどうか、どうぞその点について法務省の御見解を承りたい。
  33. 植木庚子郎

    植木国務大臣 お答え申し上げます。天皇、皇太子、皇太后等に対する告訴権の問題につきましては、総理大臣がかわってこれを行なうように規定されておりますが、そのかわってこれを行なうという意味は、代理として行なうという意味ではないと従来解釈せられておるようでありまして、われわれは今もその考えでございます。従いまして、ただいまお尋ねになりました天皇様、ほかの方々の御意思に関係なく、総理大臣がその判断するところによって措置し得るもの、かようにわれわれは解釈をいたしておる次第でございます。
  34. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、今日までこの「風流夢譚」について告訴の提起がないことは、総理大臣においては、これは名誉毀損として告訴すべきものじゃないという見解のもとに告訴がなされないでおるということになりますか、どうなりますか。
  35. 植木庚子郎

    植木国務大臣 「風流夢譚」につきましては、先般どの委員会かで総理がお答えになりましたように、目下諸般の事情を詳細に慎重に考慮をしておる、そうしてその上で最後の結論を下したいと思う、こういうことを総理は答えられております。従いまして、私といたしましては、総理はただいまなお慎重に御考慮の最中であろう、こういうふうに存じておる次第でございます。
  36. 猪俣浩三

    猪俣委員 現在赤尾敏なる者に対して殺人教唆で検察庁が拘置請求をやったところが、裁判官はその容疑なしとして却下された。これは裁判官の権限ですから、かれこれ言われる筋合いはありませんけれども、その直後発表せられたテロの原因論、こんなテロの原因なんというものは、この裁判官が考えるように単純なものじゃない。いろいろのデマが飛んだりいろいろな中傷があったりして、頭の固まらぬ連中が扇動されてこういうことをやっておるわけでありますが、デモの行き過ぎから直ちにテロが起こるだなんて、そういうふうに考えること自身がはなはだ頭の粗雑さを表わしているものでありますが、とにかくさようなことを、自分殺人教唆の点がないと言って却下した直後に、このような判事が、裁判の衝に当たっている人がその意見を発表する、これが殺人教唆の捜査にどういう影響があるだろうか、これは法務省なり検察庁としてはどうお考えになりますか、それをお聞かせ願います。
  37. 植木庚子郎

    植木国務大臣 ただいまの御質問に対しまして、われわれ法務当局、検察当局といたしましては、何ら影響を受けることなく確固たる信念のもとに今後の事務を進めて参りたい、かように思っておる次第でございます。いろいろな発言がございましたようですが、それに対してわれわれとしては、今とやかく意見を申し上げることは差し控えたいと思うのであります。検察当局はあくまでもその信念のもとに十分今後反省も加え、また調査も進めまして今後善処して参りたい、かように考えておる次第であります。
  38. 猪俣浩三

    猪俣委員 こういうふうな裁判官によって検察庁の捜査それ自体に影響がないとあなたはおっしゃるけれども、実際問題としては相当の影響があると思う。少なくともかような犯罪の捜査の途中にありまして、かような談話を発表せられるということに対しましては、法務省としては好ましからぬことだと思われるでしょうが、飯守裁判官のこの発言に対して法務省としては一体どういうふうにお考えになりますか、法務省のお考えを承りたい。
  39. 植木庚子郎

    植木国務大臣 せっかくの御質問でございますが、その点に対する感想なり批判なりというものも、われわれ当局といたしまして差し控えて参りたいと思います。
  40. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかし飯守裁判官発言が異例なものであり、そうして不謹慎なものであることは全部の新聞が書いております。そうして最高裁判所裁判官会議でも、裁判の中立性を疑う事実だとして特に注意処分をした。これに対して政府なり内閣あるいは法務省として何らの意見の表明ができないというのは不思議だと思うのです。私はやはりかようなことに対しては、政府当局としては、かようなことは望ましくないなら、ないということをはっきりすべきものじゃないかと思うのです。どういうわけでそういうことが言い得ないのか。そうなりますと、飯守発言に対して、その通りだ、デモの行き過ぎがテロになったのだ、飯守は非常に勇敢にいいことを言ってくれたという共鳴者が(「その通り」と呼ぶ者あり)この通り自民党の中に多いんです。問題は、やはりあなたはその自民党の空気を反映してこういうことを言えないのですか。やはり飯守さんに対しては敬意を表することになるのか。(「三権分立だ。」と呼ぶ者あり)三権分立といったって、片方はああいうことを言っているじゃないですか。そういうことに対しては、こちらとしても意見がありそうなものだ。やはり飯守さんははなはだけっこうなことを自分たちにかわって言ってくれたと思っていらっしゃるのか。それでなければ、意見がなければならぬと思うんだ。こういうふうな要らないことを言うている以上は、政府としては敢然としてそれに対して意見を言うべきじゃありませんか。意見がないってどういうわけですか。意見がありそうなものだと思う。
  41. 植木庚子郎

    植木国務大臣 私、もちろん自分としての考えがないことはありませんけれども、こうした際に、これに対しての感想なり批判なりを申し上げることは適当でないと考えておりますので、それで差し控えさせていただきたい、こう申し上げておるのであります。
  42. 猪俣浩三

    猪俣委員 私はこれで終わります。
  43. 池田清志

  44. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 御承知のように、三権分立の立場から、この問題を論議することが非常に困難なことは、私も十分承知をいたしております。すでに行政処分といたしましては注意処分をいたしておるのであります。罷免のことにつきましては、すでに訴追委員会に提訴されておるのでありますが、その限りにおいては、われわれはその決定を見なければならぬわけであります。しかし、今回の事件は、裁判官のあり方、態度というものについて、すでに注意処分にもありまする通り、非常に疑惑を受けるような態度をとったということが問題の中心であります。しかし私はそれのみではない、裁判所の部内にもこれは非常な衝撃を与えておると思うのであります。本日の新聞を拝見いたしますると、昨日東京地方裁判所刑事第八部の横川裁判長の係の全学連四・二六国会デモ事件について、被告は裁判所に対して非常に疑いを持っておる、この際質疑を許されたいというので被告から質疑が出ました。それに対して、新聞の報道によりますると、裁判所の所信といたしまして声明にひとしいようなことが発表されておるのであります。ここで裁判所が被告の質疑に答えて、裁判の途中において裁判所立場を弁明しなければならぬというようなことは、重大事件ではないかと私は思う。裁判所はきぜんとして立っておるのなら、一被告に対して法廷において所信を表明するというようなことはもってのほかだと私は思う。私はこの声明したという裁判所の態度自体が、裁判所全部に対する威信を傷つけてはいないか、かように思うのでありまして、もしかようなことが今後法廷において行なわれまするならば、どんな罪悪人でも、われは裁判所の態度を疑うというような質疑を行なったときに、一々被告に向かってこういう弁明をした後に裁判をしなければならぬというようなことになったら一体どうなりますか。事務総長は、昨日の裁判所の所信を表明したということに対して、一体どのようにお考えになっておりますか。
  45. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 先ほど猪俣委員の御質問に対しまして申し上げましたように、ともかく飯守判事裁判官としてはああいうような意見を述べることは——個人的に意見を述べることは何ら差しつかえないことだと思いますが、ああいう機会にああいう内容のことを言ったということについては、最高裁判所でも遺憾であるということは申し上げた通りでありますが、これについては、全国の裁判官の中にも、程度の差はありますが、裁判官が節度を破ったという意見があることは、おそらくやむを得ないところと思います。ただ昨日の横川判事の法廷で、被告人、弁護人側にああいうような釈明のあったことは新聞でも知りましたが、これはもちろん飯守判事意見の一つの波紋と見るよりほかはないと思いますが、しかし被告人、弁護人側の方でも、相当あれを法廷でいわゆる積極的にそういう作為をされたのではないかというふうにも実は考えるわけであります。
  46. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 昨日の所信の表明の内容のものはあなたの方に届いておりますか。これは新聞に書いてある通りの所信の表明になっておりましたか。
  47. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 まだ調査中でございまして、私ども新聞記事で見ただけでございますから、正確な事実は存じません。
  48. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 これは裁判官は弁明せずにあらずして、大いに裁判所立場を弁明しなければならぬというところまで、裁判の威信というものが今落ちてきておるわけです。私は、直接に飯守事件がこの裁判所の所信表明と関係があるとは思いません。しかしながら、かくのごとくにして裁判所に対する国民の信頼というものが消えていったならば、これは非常に大きな問題であると思うのです。飯守裁判官の言動が問題になっておりまするけれども、私が問題に考えておりまするのは、態度そのものではありません。裁判官は良心に従って裁判を行なうという憲法の条章が、はたしてこういう飯守裁判官のような裁判官によって、一体何の良心に従って裁判をしておるのであるかということが、私は非常に問題になろうと思うのでありまして、最高裁もそこまで私は論議していないのではないかと思いますから、本論はそこに触れますけれども、この飯守裁判官の今度最高裁でとられた処置と、過去における裁判官に対するいろいろ分限法に基づく事件との比較におきまして、二、三過去の取り扱った事件についてお伺いをしたいと思うのであります。   〔委員長退席、林委員長代理着席〕  まず近いところから言いまするならば、昭和三十一年に帯広の簡易裁判所の判事が威信失墜で罷免になっております。弾劾裁判所の判決を受けております。それから昭和二十九年に川口の簡易裁判所の判事が品位失墜ということで、東京の高裁から過料七千円の処分に付されております。それから昭和二十五年には大月簡易裁判所の判事が品位失墜ということで過料九千円、それから臨御三十三年には静岡地方裁判所浜松支部の判事が威信失墜ということで弾劾裁判所にかけられましたけれども、罷免しないということになっておりますが、おそらくこれは懲戒もしくは過料に処されておると思うのでありますが、これらの事件の威信失墜とは一体いかなる行為をやったことが対象になっておりますか、その事実を簡単にお伺いしたいと思います。簡単でよろしい。たとえば酒を飲んで町で酔っぱらっていたとか、そういう簡単なことでよろしい。
  49. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 これまで新しい制度ができまして以来、いわゆる弾劾をされまして罷免という判定を受けましたのは、ただいまお話がございましたように二人でございます。一人は川口簡易裁判所の高井判事、もう一人は厚木簡裁の寺迫という裁判官でございますが、これはいずれも特別任用の簡易裁判所難事でございます。高井裁判官につきましては、これはいろいろございまして、当時騒がれましたが、川口の簡易裁判所におりまして、交通事件の略式事件を四百件足らずも公訴棄却しなければならないようなことにしてしまったというようなこと、あるいはさらに不都合なのは、逮捕状を白紙で何枚か出しておいたとか、それからまた知人の紛争に裁判官でありながら介入したとか、さようなことでございまして、これはかようなことが理由で罷免になったわけでございます。品位を著しく落としたということであります。それから寺迫という厚木の簡易裁判所裁判官は、これまた自分関係した調停の帰り道に、申立人から酒食の供応を受けたとか、そういうような裁判官としてとうてい許されないいわゆる破廉恥的な非行ということで、これはいずれも弾劾の判定を受けたのであります。さらに先ほどお話しの静岡の問題は、これは当時やはり騒がれましたが、スルメか何かのやみ売買のことに介入した。これも訴追を受けまして弾劾裁判所で審理されたのでございますが、判定の結果そのいろいろな事情がくまれて、罷免にはならたかったというふうな案件でございます。お尋ねの点は以上であります。
  50. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 これらの事件は、その人の素行に関係するとか、あるいは事務を怠慢するようなことがあったとかいう個人の特殊な性格に基づいた事件であって、私はこれはきわめて簡単だと思うのです。ところが今度の飯守判事事件は、裁判官としてとるべき態度、裁判官としてどういう裁判をする人であるかということが大きく取り上げられておるわけでありまして、本件の問題は、過去にすでにそういう処分をなさった事件よりも私は重大視すべき事件だと考えますが、総長はいかがにお考えになりますか。
  51. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 これはやはり訴追委員会あるいは弾劾裁判所でお考えになるべきことでございまして、私ども裁判所側といたしましては、罷免の事由には当たらないと申しますか、罷免の申し立てばしないという態度でございますから、それによって御判定を願いたいと思います。
  52. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 私の申しておるのは、そういういなかの判事がスルメをもらったとか、あるいは調停関係者と飲食をともにしたとかいう問題ではなくて、本件は裁判所で判事のとるべき態度をああいう公の席で堂々と示したものです。ですから、一般の国民に与える影響もしくは裁判官全部に与える影響の上において、これはどういうように比較してお考えになっておるかということを私はお伺いしておるわけです。
  53. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 お尋ねの点は、一昨日でございましたか、最高裁判所でいたしました司法行政の処分によりましてお察しを願いたいと思います。
  54. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 この注意処分というのは、裁判官全員の意見が注意処分ということに一致したのでありますか、あるいはもっと強硬な意見も中にはあったのか。これは部内のことかもしれませんけれども、おっしゃっていただける範囲において……。
  55. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 はなはだ遺憾でございますが、先ほど申しましたような観点からお答えいたしかねるのでございます。
  56. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 憲法第七十六条に、裁判官は自己の良心に従って独立してその職務を行なうという規定のあることは御承知の通りであります。この良心に従って裁判を行なうということには非常なむずかしい議論があるのでありまして、昭和二十七年の四月十五日に発行されました「ジュリスト」八号の「裁判官と良心」、それから飯守判事のにいさんであります田中耕太郎氏の「司法官論」の中に、この点を非常に論議をいたしまして、良心とは一体何かといえば、これは自分個人の良心をいうのではない。裁判官としてあるべき良心をいうのである。もし自分の個人の良心と裁判官としての良心にそごをきたすようなことがあれば、自分裁判官をむしろやめるべきであろうというような議論をなさっております。もし自己の良心、個人の思想、人生観に基づいて、裁判が独善的に行なわれるということになりますならば、私は憲法にいう良心に従ってということが非常にゆがめられると思うのでありまして、勢い裁判は独善的にならざるを得ないのであって、そういうことが国民に一般にわかってきますならば、裁判官に対する信頼というものは非常に後退するわけであります。そこで、裁判官が良心に従って裁判を行なうかどうかということは、この飯守判事の所見が正しいか正しくないかということとは別問題です。本人は今でも正しいと思っておるのですから……。記者会見においても私の所信は正しいんだということを、注意を受けた後にも彼はこれを曲げずに言っておる。自分の所信として正しいと考えること自体は、これは自由だからよろしい。よろしいけれども自分の、個人の正しいと思うそのことによって裁判を行なう人であるということが、国民にわかりますならば、この人は非常に片寄った裁判をする人であるということが認められて、裁判所の独立性、中立性というものは私は非常に危険になると思います。事務総長は、この独立あるいは良心に従って行なうということを、裁判官として一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  57. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 その良心に従って独立して云々という点につきましては、ただいま御所見がございました通りに大体考えておるわけでございます。かりに自分の人生観や世界観あるいは宗教、いろいろな点がございましても、やはりこれは自分だけのさようなもので動くべきではなく、さらに客観的な、それを乗り越えた一つの裁判官の良心というものがあると思うのでございます。飯守判事の場合、中立性を疑われるような行為はありましたけれども飯守判事は決しで良心に反して何か裁判をしたというふうな事実はさらにないわけでございます。
  58. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 良心に従って裁判を行なうということ、これはわれわれさようにありたいと思うのであります。飯守判事の場合は、具体的な事件自分の個人の意見を差しはさんだとは私は申しません。そこまでわれわれは立ら入るべき立場でもないし、裁判の内容には立ち入ることはできませんけれども自分の個人の信念を一つのよりどころとしてこの人は裁判をするのではないか、そういうところからあの勝手な行動、言動を起こした、こういうところから見て、最高裁も注意をなさったのでございましょうけれども、もう一歩突っ込んで、こういうところから、ほかの裁判官もこうではないかという疑惑の種をまいた事実、これは私は争えないと思うのでありまして、その意味におきまして、私は裁判官の威信を非常に害したと考えておるのでありまして、私はこういう裁判官の司法界におられるということをまことに悲しむのであります。この点をあなたにそうだろうという御答弁を伺うことは少し突っ込んでおりますから、私はそこまで御答弁は求めませんけれども、この注意の処分を見まして私の感じたことは、これは裁判官全部に大きな疑惑を与える、飯守裁判官自身だけではありません。裁判官全部に対して大きな威信を失ったのではないか。従いまして、裁判所があのような所信を述べたければならぬというところまで司法官が追い込まれてきたのである。かように考えますので、ここで私は責任を追及しようとは思いませんけれども、こういうところまで司法官が国民の疑惑を呼んできたということに対して非常に遺憾の意を表しまして、私の質問を終わります。
  59. 林博

    ○林委員長代理 井伊誠一君。
  60. 井伊誠一

    ○井伊委員 私は簡単に一点を最高裁の事務総長にお伺いしたいと思います。  今多くの委員の方々から述べられたのでありますが、今度の飯守判事発言というものは、裁判所の内部あるいはそのほかに対して、両面に対して大きな問題を起こし、法の威信に対して大きな疑惑を持たせるようになったということを考えるのであります。また同時に、これに対して裁判所においては、これをどういうふうに扱われたかという、そのことに対しても、非常に大きな両面においての関心を持っておると思うのでありまして、そのことについて私は、今度の最高裁のとられた注意という処分、かような処分をされたほんとうの趣意はどこにあるのであるかということをお聞きしたいのであります。   〔林委員長代理退席、委員長着席〕  飯守裁判官のその発言というものは、裁判官分限法によっては、何も申し立てがあったというふうには見えておりません。しかし、そうすると、そこにはそれに当たらないという内部においての一つの判定が私はあると思う。しかしそれにもかかわらず、これは特に一般行政監督立場からして、最高裁において裁判官会議を開いて、そうしてその結果としてこの注意をしたというところに、私はその特別なる意味があると考えるのであります。その点をお聞きしたいのです。
  61. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 最高裁判所裁判官会議を二回開きまして慎重に審議した結果が、この注意となったわけでございますが、この理由とするところは結局これにもございますように、「裁判官は、個人的な感想を発表するに当っても、その地位と職責の重大性に鑑み、世人に与える影響等を考慮し、その時期および方法について慎重であり、特に裁判官の公正を疑われるような誤解の起ることのないように注意しなければならないところ、」という一節がございますが、要するに、かような観点からこの注意となったわけでございます。根拠は先ほど申しましたように、裁判所法の第八十条に基づきまして最高裁判所が最終の監督権限を行使するところでございますから、かような注意をしよう——裁判官会議内容については申し上げるわけには参りませんけれども、しかし、結局申し上げてもいいことは、訴追の請求はしない、それから分限の申し立てもしないという結論は出ております。それは申し上げてもいいわけでございます。
  62. 井伊誠一

    ○井伊委員 この注意の処分をされましての影響、裁判官内部における影響、こういうものについてはどういうようにお考えになっておりますか。
  63. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 今回の飯守裁判官発言が巻き起こしましたようなことは、もとより好ましくないことでございます。結局今回の一連のものに対して最高裁もはっきり監督権を行使いたしましたが、かようなことが契機になって、むしろ全国の裁判官がさような問題について深く掘り下げてめいめいがよく反省されるという機会を与えたもので、その意味においてはむしろ、何と申しますか、さような契機にはなったと思っております。
  64. 井伊誠一

    ○井伊委員 飯守裁判官発言に対する態度というか、決意というか、そのときに、われわれは職務の上において得た知識を、立法あるいは行政に役立つと思うようなときは発言を許される場合もあれば、また積極的に発言をすべきである、こういうように思う、そういう場合もあると思う。自分発言はその後者であるということを言っておるのであります。こういう態度、その職務の上から得た知識を、どうしても発言をしなければならぬ、積極的にすべきである、そういうときには発言をしてもいいということが許されるかどうか、それが裁判官の態度として、考えとして許されるかどうか、それはどうでありましょうか。
  65. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 裁判官といえどもいろいろなことを考え、いろいろな機会に意見を述べることは許されていると思いますが、やはり裁判官として述べる場合には、時と場合とを十分に考えて述べるべきであろうと思います。飯守裁判官がさようなことを何か表明しておられたようでございますが、これは飯守判事のお考えでございますが、私といたしましては、やはりさような問題については、裁判官は十分慎重であらねばならぬと考えます。
  66. 井伊誠一

    ○井伊委員 今の最高裁におけるところの注意処分というものが、先ほどこれに対しての影響をお聞きしたのですが、内部におきましては、これはあまりに強いところの処分であるというような意見もあるやに聞いておるのであります。それと反対に、このことはきわめて弱いというようなことを批判するところの者もおると聞いております。これに対しましては、実際上はそういうことがありますか、ありませんか。
  67. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 まだ私どもそういう意見を聞いておりませんけれども、重いとか軽いとかいろいろな意見はあろうかと思いますが、これはそれぞれの人によることでございますので、何とも申し上げられないと思います。
  68. 池田清志

    池田委員長 志賀義雄君。
  69. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先ほど石田事務総長が、最初にこのたびの審議の便宜のためにおっしゃって下さったところの中川に、飯守判事が言われたことは、あれは何か正式の文書でお出しになったのですか。あれは飯守判事が言ったことが問題になってから、後刻飯守判事に書類でお問い合わせになる、あるいは口頭でお問い合わせになって、飯守判事が言ったことを、あなたの方で再録されてここで発表なさったのでございましょうか。
  70. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 いわゆるメモのことだろうと思いますが、あのメモに基づきまして飯守判事が松田地方裁判所所長に、あの直後すぐ報告いたしまして、たしか二十六、七日だったと思います。それを見たわけでございます。
  71. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 これは最後にお尋ねすることに重大な関係がありますから申しておきますが、飯守判事が発表したものが各新聞に出ております。たとえば二月二十五日の毎日新聞の、飯守裁判官談話の中に、この事件に関して政府国会は、真の原因を一つも解決しようとせず云々ということがありますが、あなたの読み上げられたところには、そういう個所がなかったかのような気がしたが、ございましたか。
  72. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 ございます。
  73. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ありますか。それでは、それをあとで質問いたしますが、まず、飯守判事はハガチー事件のときにも担当しておられました。現に私はその法廷に居合わせましたので、後日、当法務委員会において、どうもこの人は少し正常でないというような、モノマニアという言葉ですね。偏執狂ではないかということで御注意を申し上げたときに、事務次長は憤然とした態度で私に抗議なさった。これは記録にちゃんと残っております。案の定、今度のようなことを引き起こしているのですね。私の心配したことの方が当たっているのですよ。ところで、刑事十四部の担当は、あれは順番に機械的に割り当てられるものですか、一つこれは私が担当してやりましょうという勇気のある人に割り当てていくのですか。どちらでございましょうか。
  74. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 十四部に飯守判事が配属されたことは、これは東京地方裁判所裁判官会議できめてあることであります。
  75. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 いや、刑事十四部に配属されたそれは、裁判官会議でやられることは当然のことですが、私がお伺いしているのはそうじゃないのです。次々に事件があるでしょう。これをどう処理するかというその順番が機械的にやられるかどうか、それともこれは私がやりたいというふうに申し出てやられるのですか。ということは、普通は機械的にやるのが慣習になっておりますね。むしろ公正を期する意味でしょう。ところが松川事件の控訴審のときに、前最高裁判事である石坂さん、この方が特にあなたを選んだという激励の手紙を出している。それが後日当法務委員会でも非常に問題になったことがありました。この飯守判事が武勇伝をやるためにみずから買って出たのか、順序で機械的に割り当てられて、偶然ハガチー事件もやり、今度の事件も取り扱われたのか、それを伺っているのです。
  76. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 たしか東京地方裁判所の刑事十四部には、飯守判事のほかに三人か四人……。(志賀(義)委員「六人でしょう。」と呼ぶ)六人ですか。大体は順点でやりますが、しかし事柄の難易というのがございますから、そこは相談して、多少変える場合があるのではないか、実は大へん申しわけないのでございますが、私正確には知らないのでありますけれども、大体そんなところではなかろうかと思います。
  77. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 石田事務総長よく御存じないようでございますから、その点一つよくお調べになって、後日ここで御報告を願いたいと思います。今の答弁ではあまり自信がないようでございます。判事の数も私の方がよく知っている。  ところで、今度飯守判事が最高裁から異例の注意をされるような事態になったことは、決して偶然ではございません。原因があります。飯守判事自体に原因があるのではございません。飯守判事のお兄さんである田中耕太郎元長官は、いろいろ話題をまいた人でありますが、今度の横田喜三郎長官も、就任に際して、ことしの新年の言葉に、裁判所時報の一月一日号ですが、「一九六〇年は、まことに多事な年でありました。政治の方面では安保条約をめぐって、暴力的なデモがいくたびもくりかえされ、」(「その通り」と呼ぶ者あり)それは反動団体が言う。「経済の分野でも、三池争議のように、腕力的な闘争が長く長く続きました。」(「その通り」と呼ぶ者あり)君たちのやり方が悪いからこういうことになる。「戦争が終ってから十五年もたちまして、もう常態に復したとおもっていましたのに、まことに意外でもあり、遺憾でもありました。」これはまあ長官の一つのものの見方で、これ自体もあまりよくはありませんが、問題はこれからあとにあります。「裁判所としては、新しい年のはじめに、十分に事態を認識し、適切に職責を遂行するように心掛けなければならないとおもいます。わけても、法廷の秩序をどこまでも維持するとともに、裁判をできるだけ早く進めるように工夫することが肝要であります。」こういうふうに言っております。(「その通りだ、どこが悪い」と呼ぶ者あり)もう少しよく聞きなさい。今に赤面するよ。  裁判の迅速化とそれから法廷秩序維持の前に、裁判の根本原則として真実の追求ということがあります。真実の追求という根本原則が忘れられては、何ほど裁判を迅速化しようと、法廷の秩序を維持してかかろうとしても、それは逆効果になるだけであります。ところが、長官のこの訓示にはそういうことが一言半句もない。ここから飯守判事のようなことが起こってくるのです。ことに「裁判官がその気になりますれば、右のような困難な問題も、解決がかならずしも不可能ではないとおもいます。たとえば、法廷の秩序の問題にしましても、ハガチー事件で、担当の裁判官がきぜんとした態度で秩序の維持に努力したことは、やがて東京地方裁判所裁判官一同の総意をもりあげ、弁護士倫理の確立を日本弁護士連合会に要請することになりました。」こう言っている。(「りっぱなことだ」と呼ぶ者あり)いいですか、このハガチー事件の担当判事は飯守君でした。こういうような、長官が激励するようなことを言うから、今度は新聞でも、最高裁判所が今度の取り扱いに非常に苦慮すると新聞にみな書いてある。そういうことになってくるのです。あなたは裁判の真実の追求ということが根本原則であるということを否定されますかどうか、それをまず伺いたい。
  78. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 裁判は、いわゆる適正迅速、いつもこれは二つ対言葉になっておりますが、適正という——志賀委員の言われた真実追求ということは、これはもう一番大事なこととして何人も頭から離れておりません。ただ遺憾ながら、ややともいたしますと、迅速という点が欠けまして、裁判がおくれがちである。でございますから、こういうふうな場合には、いつも裁判を早くということが出て参ります。それから法廷秩序維持の問題は、この委員会でもあるいは問題にしていただいたことがあるのかもしらぬと存じますが、ためにする、何と申しますか、法廷における一部の弁護人の御連中とかあるいは被告になった御連中が、ややもすると法廷を軽視いたしまして、戦前のいわゆる法廷戦術、法廷闘争というものの亜流がいまだに絶えませんので、それでは真実を探求すべき神聖な法廷で、そういういわゆる公判闘争式なことが行なわれますと、ほんとうに真実探求ができませんので、裁判所側としては、法廷の秩序維持ということについては伝統的に戦後非常に努力をいたしております。
  79. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ところがその横田長官は、この二月六日の全国高裁長官、地裁、家裁所長会同でこう言っております。「事態に応じて果断な処置をとることが何よりも大切である。一時の困難が免ずるかもしれないが、」こういうことを言っております。何でもかんでも急いでやろうとするから、どうです、やはり裁判所側で真実の追求、適正迅速——迅速の頭についた適正を忘れるものだから、あなたは法廷闘争がいけないの、あるいは裁判所に対する闘争がいけないのということになる。それがあったからこそ、菅生事件だって真実が発見されたじゃありませんか。裁判所の外で菅生事件の真実が発見されたでしょう。一審で大誤審をやっておった。私も参加して努力したからこそ、真犯人がだれであるかということがわかってきたのです。また有名な松川事件にしても、諏訪メモの問題で、これが最高裁の原審差し戻しという判決の大きな動力になったことは、判決理由書を見れば明らかであります。今あなたが言われたように、何でもかんでも裁判に食ってかかるものだ——なぜ民衆の力を集めて真実発見に努力する者に対して、そのことを忘れて、迅速々々というようなことを言われるか。新任されたばかりの横田長官が、これを鼓舞激励されたから今度のような事件が起こり、最高裁でも苦慮されて今度のような注意をされるということになったんじゃありませんか。私は飯守判事が、ただ彼が個人的に性格が変であるから、頭がどうかしているから、それでああいうことを個人でやった、慎重な態度を欠いたという注意ではない、実は最高裁の態度そのものに今度の原因があるということを言いたいのです。  そこで、私は次に伺いますが、最高裁はなるほどそういう注意をなさったようですが、地方裁判所も独自に弾劾法第十五条第二項によって罷免要求をすることさえできることが規定されておりますが、飯守判事が直属している東京地裁は何か態度を決定されたのか、これから態度を決定されるつもりかどうか。すでに先ほど田中委員発言にありましたが、昨日の法廷でも個々の判事は被告及び弁護人側の心配に対して意見を述べております。最高裁がやられて、それでもって地裁の方では何かやられるかどうか、そういうことはお聞きになっておりませんか。
  80. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 全然今のところ聞いておりません。
  81. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 本来は飯守判事の直属するところの地裁でもってやられるのが順序と思って、私どもはそれを待っておりました。どうも最高裁は、きょう法務委員会が開かれ、これが政治問題化するのをおそれ、先手を打って異例の注意、今まで前例のない注意をされたのだろうということは、消息通の間でだいぶうわさが出ております。  そこで、この飯守判事のことについて、もと中国にいたときの戦争犯罪人としての問題が猪俣委員から出されました。幸い私はことに飯守判事が——法務大臣もよく聞いて下さい。向こうで自発的に日本人の間で述べたことがテープレコーダーにとってあります。これをお聞きになると、今度異例の発言飯守判事自身がしたことが非常にはっきりよくわかるのであります。実は、私はきょう法務委員会理事会に出席して、これを法務委員会で参考のために聞かれることを言った理由は、前例があるからであります。ことに自民党の方の委員の方から請求があったことは、吹田事件について、法廷で被告が黙祷したという事件が、かつてこの法務委員会で取り上げられたことがあります。そのときに、自民党委員諸君の強力な主張によって、これは法廷の録音であったものをわざわざここで読んだごとがあるのであります。(「出所不明だよ、そんなものは」と呼ぶ者あり)出所不明かどうか、一つ聞いてやろうじゃないか。これが飯守判事の言ったものであることは……。   〔発言する者多し〕
  82. 池田清志

    池田委員長 質問を続けて下さい。
  83. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 言ったものであることは、音声学上からも科学的に証明される。聞かないでそういうことを言ったってだめだ。(「どこから持ってきたんだ」と呼ぶ者あり)中国から持ってきたんだ。しかもこれは日本に帰ってきて全国のカトリックの親友に訴えるということで手記を発表しているが、それと全く同じなんです。日本に帰って彼が発表した文書と全く同じものなんです。法務委員会だから、証拠が必要なら、そういうこともはっきり言うことができる。ところがきょうこれがかけられることを理事会で自民党の諸君によって否決された。大体訴訟事件に関することまでも三権分立の原則に従っていけないと言われるのに、吹田事件ではあえてここへ検事総長までが出席して、委員長委員会に諮ってこの吹田事件のものを発表している。これをお聞きになれば、飯守判事という人がどういう人であるかということがよくわかるし、今度の彼の軽率な発言、あるいは慎重を欠いた発言、あるいは裁判官としてあるまじき発言が偶然ではないということがわかる。(「訴追委員会でやれよ。」と呼ぶ者あり)だからこれを訴追委員会に出すばかりでなく、私はこれをきょうここで皆さん聞かれるならば、非常に参考になると思ったんだが、どうもこれを聞くことのこわい方がだいぶいるようであります。それで、これは後日訴追委員会でも聞かれるそうでありますから、石田さんたちも十分そのときにお聞き下さることを希望するのであります。大体こういうものをおそれるなんて……。(「おそれやしないよ。」「日本の国会じゃないの。」と呼ぶ者あり)外部のことだって、暁に祈る事件だってここでやったんだ。みなここで証言をとっておるんだ。そんなことをおそれると、自民党の多数政党の権威にかかわりますよ。  そこで、飲守判事は最高裁の裁判官会同で注意を受けたあとで、またぞろ談話を発表していることが昨日の日本経済新聞に出ておりました。石田さんも御承知でございましょう。そこで伺いたいのでありますが、飯守判事に対する最高裁の注意は、時期及び方法について慎重でなければならないというのが一つありますね。もう一つ、特に裁判官の公正を疑われるような誤解の起こることのないように注意しなければならない、この二つの内容がありますね。はたしてそうかどうか、そのことを石田総長に伺います。
  84. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 これは先ほど申し上げた通りでございまして、今のは、この注意の内容でございましょう。
  85. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 石田総長よくおわかりにならないようだが、注意の中から読み上げたのでありますが、「裁判官は、個人的な感想を発表するに当っても、その地位と職責の重大性に鑑み、世人に与える影響等を考慮し、その時期および方法について慎重であり、」ここで一区切りになっておる。その次に「特に裁判官の公正を疑われるような誤解の起ることのないように注意しなければならないところ、貴官はこの点の配慮を欠き、右感想の発表を勾留決定の質疑終了直後、しかも裁判官室においてしたため、あたかも右の公正について疑いを起こさせるような誤解を招いたことは、極めて遺憾である。」こういうふうになっておりますね。そこで今私が読み上げた注意の内容は、時期及び方法が慎重を欠いたということと、裁判官の公正を疑われるような誤解の起こる点について配慮がなかったということ、ただいまのところこの二点になりますね。
  86. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 二点と申しますか、お尋ね趣旨がよく了解できないのでございますけれども、結論するところは、公正を疑われるような行ないはいけない、時期と方法の配慮がなかったからそういう結果になったのだ、そういった趣旨でございまして、二つのことではないと思います。
  87. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 今の御答弁では、時期及び方法が悪かった。そうすると発言内容については何ら問題にしないと明言されるわけですか。そこをはっきり言って下さい。
  88. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 あの発言内容につきましては、大体あの場合飯守判事がああいう機会に申しましたから、また裁判官の口から出ましたから非常な波紋を呼んだわけでございますが、ああいうふうな意見は私ども新聞等でもときどき目についております。それで内容自体は、これは見る人によってずいぶん価値評価が違うのではないかというふうに私は考えます。最高裁としては別にその問題には触れておらず、ただああいう内容のことをああいう時期と方法でやったのがつまり公正を疑われるような誤解を招いた、そういう意味でございまして、内容自体については何ら判定はしてないわけでございます。
  89. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 猪俣委員質問に対して、私が最初に申しましたことについて、石田総長は、三権分立の建前からということを言われるので、当法務委員会で、立法府として司法府に対して、特に裁判、訴訟指示等の問題について立ち入ることは、われわれの側では控えておるのであります。しかしながら先ほど私がお尋ねした際、メモに基づいてあなたが報告されたところによると、政府また国会についての表現もあります。三権分立の建前から裁判所のことについては立ち入っては困る。また逆にいえば、国会のことについて一裁判官がこういうことを言うのは妥当であるかどうか、こういう内容は問題になりましたかどうか、その点を伺います。
  90. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 裁判官会議内容にわたることでございますから、お答えはできないわけでございますが、さような点は特に論議には出なかったのではないかと思います。
  91. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 今裁判官会同のことについて内容は言わないが、特に論議には出なかったと言われる。そうしますと、あなたは三権分立の建前で国会内容のことは言えない、また行政上のことについてならいいけれども裁判所のやることについてあれこれ言われては困ると言われる。しかし飯守判事は、ほかでもない、赤尾敏の勾留のことについて、その直後裁判官室でこういう意見を発表しておりますね。これはそもそもあなた方の固執なさる三権分立からいって正しい発言であったかどうか、そのことはどうでございましょう。
  92. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 要するに、飯守判事の個人的な意見でございまして、いわゆる裁判所の側の意見として述べておるわけではございませんから、それは問題はなかろうと思います。
  93. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 飯守判事の個人的意見だから、裁判所としては問題にしない……。
  94. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 問題にしないというよりも……。
  95. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 内容と時期と方法、これをしいて無理に切り離そうとなさるから、あなたの御答弁は無理がいくわけであります。現に、飯守判事は、三月二日の日本経済新聞によりますと、今度の注意処分をどう思うかという問いに対して、「裁判官である限りにおいで最高裁の注意に傾聴します。今度の注意は私の談話内容をいけないと言っているのではないと解釈している。問題は発表の時期、場所、方法が穏当を欠いたということで、私は談話内容の正当性については絶対の確信を持っている。」と言っておるのです。この飯守判事という人は、今後とも予断と偏見を持って裁判に臨む、こういうおそれがあるからこそ、昨日の全学連の事件でも被告及び弁護人側が問題にして、現に問題が起こっておるのです。そんなこと問題にならぬとあなた方は言うけれども、現にそういうことが起こっておる。それで裁判長が特にその点について釈明しなければならないことになっているのであります。大体、最高裁は、三権分立で、こっちに干渉してくれては困ると言う、しかし勝手な批評をする、こういうことになると非常に困るのであります。だから、私どもはその点について今質問しているわけであります。その点をもう一度はっきり言っていただきたい。
  96. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 先刻来御質問の出ておりますのは、要するに飯守判事個人の問題でございまして、もし、裁判官としてそういう言動をする者は罷免せざるを得ない、それが罷免の事由になるということであれば、これは何人でも訴追の請求ができるわけであります。でありますから、これは訴追委員会で究明すべき問題だろうと思います。
  97. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 罷免云々の問題を私が質問したのなら、ただいまの御答弁でも一つの答弁になります。私はまださっきから罷免云々の問題を出してはいない。これまでも、裁判官が予断と偏見を持ってやったために、真実が発見されず、困った事件が幾つもあったじゃありませんか。そういう事件についてこの法務委員会でも問題にして、真実が明らかになった事件は幾つもあるじゃありませんか。まだまだこれから取り上げるべき問題には、徳島のラジオ商殺しの問題もあります。昨年特に法務委員会から国政調査のために和歌山の刑務所に行って見ております。私どもの見るところでは、これは明らかに警察も検察庁も裁判所も誤った判断であの婦人を懲役十五年に処しておると確信しております。そういう事件が幾つもある。これは法務省裁判所も法務委員会も協力して真実を発見すべき問題です。今日まで法務委員会でもそういうことで事態が明らかになっている。しかるに、この飯守判事は、明らかに予断と偏見を持ってかかっておるから、今度のような事態を引き起こすのです。そのおそれがなかったら、何の必要があって最高裁は裁判官会同まで開いて、苦慮して、こういう異例の注意を発表されるのですか。  では最後に伺いますが、なぜ今度のような異例な注意を発表されたのですか、その真意をもう一度伺います。裁判の公正を疑われるから、そういうことのないように出されたのでしょう。それ以外ないでしょう。その点をはっきり言って下さい。
  98. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 先刻大体申し上げたことに尽きるかと思います。
  99. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 大体今のようなことで、最高裁判所のやることもわれわれ信頼できません。今後とも長官を初め忘れておられる真実の追求ということについては私どもはどこまでもやって、最高裁判所が往々間違いをやることについても、下級裁判所でも、そういうことについてはどこまでもやるつもりであります。今後ともこの問題は尾を引きますから、そのことだけ申し上げて私の質問を終わります。
  100. 池田清志

    池田委員長 この際一言申し上げます。  午後の理事会におきましてあらためて質疑者の順序通告を受けたのでありますが、たまたま羽田武嗣郎委員からの通告が漏れておりましたので、ここに追加いたしまして発言を許します。これにつきましては、各党の理事諸君の同意を得たものです。従いまして、理事会において六時までと時間も切っておりましたが、しばらく延長することをお認め願います。  羽田武嗣郎君。
  101. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 まず第一に裁判官の身分についてお尋ねをいたしますが、これは植木法務大臣あるいは事務総長お尋ねをいたすのであります。  飯守裁判官が、赤尾敏君の問題で新聞記者に発表した際に、所感をつけ加えたことは、先ほど来、るる言われた通りでありますが、もともと日本憲法は立法、司法、行政の三権分立主義をはっきりととっておるのでありまして、もし裁判官に不適任があれば、憲法第七十八条及び第七十六条三項に従いましてこれを処置すべきものでありまして、国会というものは一切裁判官の身分については言及してはならない、これがわれわれ自由民主党としてのはっきりとした立場でございます。かくのごとく裁判官の身分は完全に保障されておるのでございます。従って、独立した裁判官の言動、身分を取り扱うのであるから、憲法並びに法律の条章に従って慎重に審議すべきものであって、政治的に取り扱うべきことでないことは自明の理であります。法を作る国会は、あくまでみずから作った法律を忠実に順守しなければならないと存じます。従って、本件は、国会で取り扱うに非常に不適当な事案であると考えるのでございます。以上裁判官の身分に関する見解に対して、法務大臣並びに事務総長の御所見を承りたいと思います。
  102. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねの通りでございます。裁判官憲法によりまして罷免の事由がはっきりいたしております。憲法規定によりますと、「心身故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。」というふうになっております。また裁判官の懲戒は、行政機関がこれを行なうことができないという憲法規定になっておりまして、結局裁判官分限法規というものがきまっておるわけでございます。従いまして、ただいまお尋ねの通りでございまして、私どもといたしましては、劈頭に申し上げました通り、裁判官に関しましては裁判所自体が裁判所法第八十条で監督権を行使するその問題と、それから分限の事由があると考えた場合、その監督機関である裁判所裁判官に対して分限の申し立てをすることができます。地方裁判所裁判官ならば、地方裁判所裁判官会議、高等裁判所裁判官会議、最高裁の裁判官会議がダブって監督権を持っておりますが、最高裁判所監督権が一番最終的なものでございます。分限の申し立てをする場合も、その監督権を持っている裁判所分限の申し立てをする。そうするとその分限を裁判で行なわれるわけでございます。  もう一つは弾劾でございますが、弾劾の事由がありと考えられればこれは何人でも訴追請求ができますし、裁判所が適当と考えれば最高裁判所の長官を通じて訴追の申し立てをするという建前になっておるわけでございます。  実はけさほど来飯守判事のことについて個人的ないろいろ御批判がございましたが、私は聞いておりまして、これが実存する裁判官に対する一つの大きな圧力になることを非常におそれました。これはやはり裁判官地位を危うくするものでございますから、さような問題は、もし罷免の事由がありとお考えになるならば、訴追あるいは弾劾で十分御論議を願うわけで、国会で御審議をいただくのは、裁判所側といたしましては実は非常に困ると申しますか、迷惑と申しますか、裁判官に対するさような圧迫を憂えるのであります。
  103. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ただいまもお話しのように、訴追委員会あるいは弾劾裁判所によって裁判をする、こういうことでございますが、この訴追委員会弾劾裁判所も国会議員だけで構成されておるのでございまして、日本の憲法が三権分立といいながら、お互いに相互に監督しあう、こういう立場で、この訴追委員会あるいは弾劾裁判所は特に国会議員だけを委員にいたしておるような次第でございまして、とにかくそういう立場から申しましても、ほんとうに国家の一番公正なものは最後は裁判所以外にはないと思います。その裁判所の構成をしまする裁判官の身分については、ほんとうにわれわれも厳粛に考えていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。  第二に、国会の警戒態勢について警察庁の警備局長にお尋ねをいたします。  飯守裁判官発言内容に触れるのでありますが、嶋中事件以来、国会議事堂、議員会館あるいは議員宿舎等の、ものものしい警察官の警戒、若干の議員諸君の身辺の警戒は、七十一年のわが議会政治始まって以来未曾有できごとでございまして、全く今までかってないような厳重なる警備態勢になっておるのでございます。これは警察官ぎらいの社会党から清瀬議長に要請した結果によるものでありまして、社会党の諸君も最後は警察官によって身体の保護を受くることが一番安心だと考えられた結果と存ずる次第でございます。一体この警戒態勢はいつまで続けていかれるのであるか。  さらに最近始まった総評の春季スケジュール闘争の集団デモでございますが、あすはその第一波七万人と称するものが国会の周辺、あるいは国会に請願デモをする、あるいはわれわれのところにもまた請願に来るかもしれない。こういう集団的なデモに対しても、警察官の警戒は同様に行なうのであるかどうか、これをお尋ねいたします。
  104. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 第一点のいつまでただいまのような警備態勢をしくかということでございます。一般的に申しますならば、できるだけすみやかにこういう態勢は解きたいと思うのでございますけれども、なおしばらく情勢を見つつ、実情に即しますような縮減をしていきたいと考えておるわけでございます。  第二点の、右翼ばかりでなく、他の集団的な危険がある場合にも、同様に警備するかというお尋ねでありますが、いずれの場合でも具体的危険性に応じた警備をいたすつもりでございます。
  105. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 左右両翼の集団暴力あるいは単独暴力、こういうものに対して警備をやるという御答弁で、私は満足をいたします。  第三には、右翼テロの根本的な原因についてでございます。本会議、あるいはまた法務、地方行政連合審査会、あるいは予算委員会等におきまして、右翼テロ問題について熱心な論議が行なわれたのでございます。しかし帰するところは、右翼に対する攻撃と警察当局に対する非難に終始いたしておりまして、テロ事件発生の根本原因については、ほとんど触れておらなかったと私は思うのでございます。これではくつを隔ててかゆきをかく感がありまして、赤尾敏君一人つかまえただけでは、テロ発生の危険は絶対に去るものではございません。第二の小森、第三の小森が出現しないと、だれが保証するものがございましょうか。問題の核心は、中央公論十二月号所載の深沢七郎君の「風流夢譚」そのものに対する処置の問題でございます。また少年を教育する教師の暴行の問題、あるいはさらに法律を平気で破っておる公労組のストライキの問題、こういう問題をあげていきますと、幾多の問題があると私は考えておるのでございます。十二月一日付の朝日新聞の天声人語氏は、「読んでみるとなるほどひどいものだ。」「過去の歴史上の人物なら、たとえ皇室であっても、それほど問題にはなるまい。が、現にいま生きている実在の人物を、実名のまま、処刑の対象として、首を落とされる描写までするのは、まったく人道に反するものというほかない」、「天皇一家だからかまわないと考えてのことだろうか。国の象徴、またやがて象徴になる人、その夫妻は、普通の人間とはちがうから、人権を考慮する必要がない、と考えたのだろうか。とすれば非常識な話である。天皇ご夫妻や皇太子ご夫妻にも、人権の点では、どの人間ともちっとも変わらぬ人権がある」、「問題の中心点は人権である。天皇であろうが皇太子であろうが、有名人であろうが、無名の人であろうが、実在の人物をとらえてこんな風に書くのは、ヒューマニティに反する。小説だからよい、夢物語だから許されるというものではなかろう。」、こういうふうに言うておるのでございます。私は「風流夢譚」こそ最も悪質なる人権をじゅうりんする「筆の暴力」であり、名誉毀損であり、大なる侮辱であると考えるものでございます。中央公論の内部の事情に通ずる者の情報によりますと、中央公論の編集部には共産党細胞がありまして、昭和二十二、三年ごろには最もその数が多かったが、その後弱くなって昭和三十年の六全協後に共産党本部文化部長蔵原惟人君指導のもとに細胞を再建して、編集の予備会議を旅館やアジトで開き、細胞会議には日共党員が出席指導しておる。中央公論の細胞は社の実権を握っているのが特色で、細胞の目的は編集を通じて日共の政策を国民に浸透するにありというようなことが伝えられておりますが、これについて関公安調査庁次長の得ておりまする情報を承りたいと思います。
  106. 關之

    ○關(之)政府委員 お答えいたします。情報上におきましては、中央公論社の編集部系統に数名の共産党員がいて、細胞がある、こういうことになっておるわけであります。さてそれを私ども立場で確認できるかどうかという問題でありまするが、ただいまのところはその存在があるかないかということについて調査中でありまして、遺憾ながらまだ終局的にどうこうと申し上げる段階には至っていないので、御了承いただきたいと思います。
  107. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 今回の「風流夢譚」も深沢君が一人で作ったものでなくて、どうも共産党あるいは編集部員と一緒に共同謀議をしたというようなうわさがあるのでございます。ことに中公の細胞は、印刷工場に回す前に、原稿を日共文化部に持っていって検分してもらったということでございますが、とれについて関次長のお知りになった情報を承りたいと思います。
  108. 關之

    ○關(之)政府委員 情報上は、そういうことがあるとも私は聞いておりまするけれども、今のお話の点についていずれも私の方として確認するとかいうようなところまでには至っておらないのであります。
  109. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 とにかくこういうふうに考えてみますると、この「風流夢譚」というものは、単なる文芸作品でなくて、天皇の権威を地に落として、日本の天皇制を否定する意図があると考えられるのでございますが、これに対して植木大臣の所感を承りたいと思います。
  110. 植木庚子郎

    植木国務大臣 いわゆる深沢氏の作りましたあの「風流夢譚」について、その意図するところがどこにあるかということについての御質問のようでございますが、私といたしましては、この際これに対する所感なり批判なりを申し上げることを差し控えたいと思いまするから、御了承願います。
  111. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 もっと大臣としては勇気を持って、所信に邁進をするということが——低姿勢が池田内閣の考え方であるということは——いわゆる野党やなんかに対していたずらにけんかを売るということはいけない。これは低姿勢でなければならぬと思いますが、要するに、自分の所管について、あるいはまた国会議員の質問に対して勇敢に所信を申し述べるということが、国務大臣としての重大なる責任であると私は思っておるのでございますが、あえてこれは深追いをいたさないのでございます。  次に、言論の自由について植木大臣お尋ねをいたしたいと思います。戦時中ならば情報局総裁というようなものがございましたが、そういうものがないのでございます。従って、植木大臣の所管外ではございますが、申し上げたいと思うのでございます。  とにかく以上の細胞のことは別といたしましても、この小説を掲載した中央公論の責任はすこぶる重大なものがあると思うのでございます。総合雑誌中最古を誇る中央公論が、取捨選択自由の編集権を持ちながら、あえてかかる人権じゅうりん、国家の象徴冒濱の原稿をマスコミの雑誌に掲載した責任は、筆者以上に重大と言わなければならないと思うのでございます。憲法第二十一条の言論、出版その他一切の表現の自由は、憲法第十一条の基本的人権と、第十二条の公共の福祉に反せざる限度内において許されておるべきもめでありまして、放縦無制限な自由を、憲法は許していないのでございます。それを、口を開けば言論の自由を侵犯するものだと鼓を鳴らして反対するいわゆる革新的学者、評論家があまりに多いことは、遺憾千万と私は考えておるのでございます。一体世界のどこにわが国ほど言論の自由が許されておるところの国がございましょうか。もしソ連や中共の小説家が、その作品において、たとい夢物語にせよ、反革命が成功して、フルシチョフ首相や毛沢東首席が斬殺されたというような話でも載せたら、直ちに粛清されることは火を見るよりも明らかでございます。ソ連の小説家パステルナークの「ドクトル・ジバコ」という小説が反共的だというのでノーベル賞の受賞を拒否させられ、ソ連作家群から除名せられ、悶死することになったことによっても明らかなところでございます。これに対して植木大臣の御所見を承りたいと思います。
  112. 植木庚子郎

    植木国務大臣 あえて深追いはしないから、答弁表する必要なしというようなお話でございましたが、第一点のその分についてお答え申し上げたい。  それは例の深沢氏の意図そのものにつきましては、どこにあるかという問題をこの際私が感想なり批判を申し述べることを差し控えますのは、目下これらの問題について総理としては慎重に考慮中なんで、従いまして私どもといたしましても、この際意見を申し上げるととは適当じゃない、こう考えたからでございます。この点御了承願います。  それから言論の自由につきましては、これは申すまでもなく、御所見の通り、われわれ憲法によって認められた重大なる基本的な権利でございまして、この点についてこれをできるだけ守り通していくことは当然必要であります。しかしながら、憲法上認められた基本的な重要な権利ではありますけれども、この自由の享受につきまして、これを行使するにつきましては、またおのずから憲法上限度があるのであります。言いかえれば、それは公共の福祉に違反しない程度においてこれを行使しなければならぬというととが言われております。従って、言論の自由あるいは表現の自由等につきましても、おのずから健全なる良識と節度を守って、その上にこの自由をお互いに行使して参るというふうにありたいもの、かように私は考える次第でございます。
  113. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 よくわかりました。  次に、この重大なる人権じゅうりん問題を、朝日の天声人語は別といたしましても、一般の新聞が取り上げない、国会でもほとんど取り上げない、政府も取り上げないというようなことに対して、良識ある国民多数の人たちは、切歯扼腕をいたしているのでございます。私のところにも元知事をした人やその他が参り、あるいは高等学校や大学の友人等に会いましても、なぜ国会はこういうことについて質問をしないかといってわれわれの胸をとってかかるような諸君が相当多いということをよく御理解いただきたいと思うのでございます。飯守裁判官もその一人にしかすぎないと私は思っているのでございます。ましてこれを専門の仕事としております右翼の赤尾敏君が痛憤することは、当然の帰趨でございます。彼にすれば、社会主義革命が成れば、自分たちはまっ先に殺されるのだという考えに立っているからであります。小森少年が嶋中家に侵入して夫人に傷を負わせ、お手伝いの婦人を殺害したことは全く許せぬ非行でございますが、そのよって来たるところに深い原因があるということを、この際私ははっきり認識すべきではないかと思うのでございます。  次にお尋ねいたしたいのは、深沢七郎君と嶋中社長を告訴するということでございますが、天皇と国民の関係はもちろんのこと、はたして検事が起訴するかどうか、さらに裁判所において革新陣営の弁護士から天皇及び皇太子の証人喚問の要求があり、万一裁判長がこれを許すというような場合が起こったことを考えると、軽々しく告訴するということができないで、おそらく池田総理も非常に心中悩まれておる、植木大臣もその補助をいたす方として非常に悩まれておると存ずる次第でありますから、あえてこのことについては質問はいたしません。ただ、非常に悩まれておる問題であろう、どういうふうに考えるのでございます。そこへ持ってきて、日教組発行の雑誌「教育評論」臨時号の「教師の文芸」の中に、「御璽」という第二の「風流夢譚」が世の中に出まして、世の慎慨を買っておるような次第でございます。将来再びかかる重大な侮辱を国民の象徴たる皇室に加えるというようなことが起こった場合に備えて、刑法を改正して、総理大臣がかわって告訴するというような回り道をやめて、自動的に 国原の象徴を侮辱する罪の一条を新たに設ける意思があるかどうか。(「不敬罪か」と呼ぶ者あり)このことについて、不敬罪とはあえて申しませんが、とにかく国家の象徴を侮辱する、あるいは名誉を毀損するということの罪を、一条刑法に加える意思があるかどうかということを法務大臣お尋ねをいたします。
  114. 植木庚子郎

    植木国務大臣 御質問の点につきましては、われわれといたしまして、それぞれいろいろな場合を考え、かつまた現行法の運用等も考えて、いろいろ今研究をいたしております。従いまして、今御質問のような象徴に対しての侮辱について、特別なる立法をするかどうかというようなことについては、まだお答え申すべき時期に達しておりませんのを遺憾に存じます。
  115. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 とにかく諸外国におきましても、君主国であると、あるいは共和国であるとを問わず、国王あるいは大統領等、一国の元首については特別の名誉毀損罪規定しておる国が少なくないのであります。たとえば、西ドイツ、あるいはイタリア、スペイン、チェコスロバキア、ギリシャ、オランダ、スエーデン等の刑法典及び英国の反逆罪法の特別法においては、それぞれ元首に対する名誉毀損を処罰する法律があることを、この際大臣によくお考えを願って、そしてできるだけ早く——これらについては総理がかわってやるというようなことで、一体総理が天皇あるいは皇太子に御所見を聞いたのかどうか、というような先ほどの猪俣君から質問がありましたが、そういうような回り道をしないで、まっすぐに、この象徴を冒涜するということに対して厳粛な態度でやらないと、国の基が立たないと私は思うのでございます。  次に、学校教師の集団暴力の問題について、纐纈文部次官にお尋ねをいたすのでございます。学校の卒業期もいよいよ近づいてきました。この二、三年、全国の中学校、高等学校において、卒業式後、卒業生が集団的に平素気にくわぬ先生に対して暴力を加える風潮がますます激しくなりつつあることは、教育の場だけに、真に悲しむべきことであると思うのであります。そして新聞は、一週に一、二回はティーン・エージャーの少年によって人の命が、ダイコンでも切られるごとくに、事もなげに奪われていくことを報じておるのでございます。これらのティーン・エージャーのうち、右翼思想にかぶれた者が実に山口二矢少年であり、小森少年でありまして、従って、こんな社会の状態が続いたならば、幾人の山口少年、小森少年が出現するか、予断を許さぬものがあると私は思うのでございます。  しからば、一体なぜ少年たちをして暴力行為を平気の平左でやらせておるのかということについて、私は深く反省をいたしてみたいと思うのでございます。それは、教師が暴力行為を身をもって教えるからであります。勤務評定反対、道徳教育講習会の反対で、教師みずからが法律をじゅうりんして、目に余る集団暴力行為を実演してみせる。これが直ちに無心な生徒たちに反映をいたして、暴力行為を日常茶飯事のごとく、無反省に実行に至らしめておると思うのでございます。戦後の教育は、人の踏むべき道を教える道徳教育がなかった。家庭におけるきびしいしつけ、学校における道徳教育の復活がない限り、ティーン・エージャーのテロは絶対にやまないと私は考えておるわけでございます。人を教える教師たるものは、みずからをきびしく律しなければなりません。神聖な教師たる身分を忘れ、一労働者となって、革命を指向する日教組の集団暴力に身を投じつつあるところに、少年テロを生むところの根本原因があると私は思うのでございます。これについて纐纈政務次官の御所見を承りたいと思います。
  116. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 お答えいたします。羽田委員が御指摘になりましたような学生のいわゆる集団暴力というようなものが間々見られるような状態は、遺憾にたえない次第ございます。もとよりこれらにつきましては、ちょうどティーン・エージャーの時代は非常に過激しやすい時期でございまして、教育の問題も社会環境の問題も、あるいは家庭教育の問題、いろいろの点がそうした状態を持ち来たしておることだろうと考えておりまして、文教行政を扱っております文部省といたしましても、これらの問題につきましては特に意を用い、道徳教育等につきましても、いよいよそれに対する踏み出しをいたすというようなことに相なっておるわけでございます。ただいま、日教組の先生達がいわゆる集団デモ等をやりまして、そうした集団暴力の手本を示すというようなことを申されましたが、私ども、教育者といたしましては、いわゆる法を逸脱するような行動に対しましては、厳にこれを取り締まらなければなりませんし、そういうことが学校の児童生徒に非常な影響を及ぼすということは、父兄の方々から、非常に心配しておることをわれわれも聞いておるわけでございます。従いまして、教育の面からいたしましても、また社会環境、家庭の状況、そうした総合的の観点からいたしまして、これらのちょうど思想の固まりつつありますティーン・エージャーの——ローの場合もあり、ハイの場合もありますが、その辺の教育という点につきましては、御指摘のような点を十分に考慮いたしまして、今後とも、もちろん取り締まりの関係もありますし、補導の関係もありますので、そういう方面とも十分に協力いたしまして、御期待に沿うような点に努力をいたしたいということを考えておる次第でございます。
  117. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 よくわかりましたが、どうぞ一つしっかりとおやりをいただきたいと思うのでございます。ことに驚くべきことは、日教組の救援規定並びにその施行細則であります。その第一条には「組合運動のため損害をこうむった組合員及びその家族に対する救援に関する基準を定める」と規定しておりまして、その施行細則には、第一には、見舞金といたしまして、その一つには、逮捕された場合には五千円、その二つには、家宅捜索された場合には二千円、それから三番目には、容疑者として任意出頭をした場合に二千円と、こういうような見舞金の規定がございます。それから第二には、起訴されたときには、一事件について一時見舞金一万円、それから第三は、差入料といたしまして一日に一千円という、大きな差し入れをいたすような規定があるのでございます。第四は、逮捕収監後、起訴前の費用は全額日教組が持つ。それから裁判所の費用はその全額を負担をする。刑の確定による見舞金、たとえば罰金刑は二万円以下、体刑の場合には十万円以下、ただし執行猶予の場合には半額とする。こういうような見舞金の規定があるのでございます。中でも驚くべきことは特別救援金でございまして、当該県の普通退職金の手当相当額に百分の二百を乗じたものとして、支給時における退職一時金あるいは一時金に換算した退職年金相当額を加え、さらに二百万円を加算したものとする、こういう規定があるのであります。これで計算をいたしますと、三十七年間勤めて五十六才の旧師範学校卒業生で、本俸四万八千円の校長がやめた場合においては、普通に平穏にやめた場合には二百三十五万三千二百十二円でありますが、日教組の闘争によって首を切られたという場合、つまり一部の校長が勤務評定提出を拒否して首になった場合には、実に六百十八万四千七百五十二円、こういうような三倍くらいの巨額の金が見舞金というか、この特別救援金として支給せられる。こういう規定になっておるのでございます。これを年利回り七分の信託会社に預けた場合においては利子だけで月に三万六千円、これでは利子だけで完全に楽に食っていけるというありがたい身分になる。こういうような規定があることは実に驚くべきことでございます。しかもこの救援資金特別会計予算書がございまして、昭和三十五年の日教組救援資金特別会計予算書によれば、日教組内の暴力行使者救援のために用意した金は、実に一億七千百四十六万五千七百六十円の巨額に上っておるのでございます。一体どこの国に犯罪者に対する手当を予算化して、あらかじめその人数と経費を計上しておくような学校の教師の団体がありますか。かくのごとく教師の組合が民主社会に集団テロをもって挑戦しておるのでありまして、これは文部大臣が日教組はテロの団体だ、こういうようなことを極端に言われたのでございますが、あるいはこういうことは当らずといえども遠からざるところの言葉ではなかろうかと思うのでございます。こういうような工合では、はたして少年右翼テロをどうして救うことができましょうか。学校の先生がそんな集団暴力をして、これだけの救援資金を得、それから見舞金だ、ほら差入料、こういうような詳細な規定を持っておるようなことで、一体学校の生徒が先生というものは暴力——全部の先生、五十万の先生ではございませんが、五千か一万そこらの先生でございましょうが、とにかくそういうようなことであっては、学校の教育は全然できない。私は深く憂えるものでございます。この救援規定等に対して文部省は強い態度でもってこういうものを取り消しをするということが必要でございます。そうしなければ、少年テロというものはなくすことができないと、私は深く心痛いたしておるものでございますが、これについて纐纈次官の御所見を承りたいと思います。
  118. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 ただいま日教組の救援規定についていろいろお示しがありまして、これに対する所見を問われた次第であります。ただいまお示しになりました通りの大体内容のように私ども承知いたしております。が、この規定は、御承知のように組合の自主的に作られました規定でございまして、ただいまお話しのような、心配と申しますか、点は非常にある。私どもはこれをつぶさに検討いたしてみまして、私どもは好ましくないような感じがいたすのでありまするけれども、しかし自主的にこれが定められたものでありますから、教育委員会としましても、また文部省といたしましても、これをどうこうするということはちょっとむずかしいことではないかと思います。ただ私どもは組合の方々が大いに反省せられ、その良識によりまして、この規定に対する検討をしていただくということを希望するわけでございまして、文部省といたしましては、この自主的の規定、規約に対しましてどうこうという指図をすることができる立場でないということを御了解願いたいと思います。
  119. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 それは、文部省というものは、今の制度の上から直接日教組に対して指図ができないということは私も承知しておりますが、少なくとも教育委員会やその他を通じまして、一つ善処せられんことを心から祈っておるのでございます。  それから、元来思想右翼の台頭というものは、結局左翼の台頭に対する反作用として起こってくるものと、私は考えておるものでございます。左右の、アクションはリアクションを生ずるという物理関係から生じてくるものではなかろうかと私は思っておるものでございます。従って、右翼を押えるには、左翼活動が静かになること以外には方法がないと思います。総評は春季闘争のトップバッターとして、国鉄、全逓、全電通を立てまして、三月中旬以後に半日ストをやることをきめておるのでございます。これらの組合は、法律上はストライキ権は認められておりません。それで今までは職場大会とか、あるいは実力行使だとかいうような名前のもとに、実質的のストライキ、あるいはサボタージュを行なってきておるのでございますが、今度の春季闘争には堂々と半日ストをやるということを、正面切って法律違反を宣言いたしておるのでございます。ことにこの結果といたしまして、交通、通信の大浪乱を来たそうという計画をいたしておるのでございますが、これらについては、昨日予算分科会で石田労働大臣から対策を承ったのでありますが、世はとうとうとしまして、日教組といい、あるいは総評といい、法を無視して集団暴力をほしいままにするととろに、右翼テロの温床があることを私ははっきりと認識をしておかなければならぬと思う。取り締まり当局、あるいは法務当局におきましても、このことをはっきりと認識をしてかかる必要があると思いますが、この点について植木大臣の御所感を承りたいと思います。
  120. 植木庚子郎

    植木国務大臣 御指摘の点につきましては、われわれといたしましても、十分に注意をして参りたいと思います。いろいろと忌まわしい事件の続発する原因につきましては、仰せの通り、いろいろたくさんのよってきたる原因があると思います。一つや二つでないのでありまして、政府といたしましても、目下犯罪等の取り締まりにつきまして、いかに善処するかについて、行政上の措置、あるいは立法上の措置等に分けまして、今関係当局において熟議を遂げている最中でございます。なるべく早く結論を得まして、その絶滅を期して参りたい、かように考えている次第でございます。
  121. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 これは質問ではございませんけれども、特に結論として私の所感を申し上げておくのでございますが、昨年の安保闘争でまざまざと見せられたのは、天下の公器であるところの大新聞が、安保反対の革新方面の動きについては大きく紙面をさきますが、安保賛成の大学教授や弁護士あるいは婦人会、学年の動きについてはほとんど新聞に載せないのであります。まして右翼については、完全にやっつけるだけという傾向があったのであります。私は昭和の初めに朝日新聞に記者として入社したのでありますが、最初の日に、今は全日空の社長をしております美土路昌丘氏から、記者の心かまえについて訓話を受けたのであります。それは、「新聞は天下の公器である、公器を預かるものには倫理がなければならない。従って、諸君は取材にあたっても、編集にあたっても、事件についてはあるがままに、真澄みの鏡のごとく、主観を交えずに、紙面では公平に取り扱わなければならない。よしあしは読者がこれを判断する」、こういう教えを受けまして、新聞記者としての出発の第一日を意義深く送ったのでございますが、現在の新聞を見ますと、まことに今昔の感にたえないのでございます。新聞、雑誌及び放送関係等、マスコミの重責にある諸君の猛省をほんとうに促してやまない次第でございます。  それから、こうして、平和にして自由なる日本が次第に社会主義革命に一歩々々近づいていくのではないかと、自由を愛する良識ある国民多数は心痛しておるのでございます。との良識ある多数国民の心痛が、たまたま飯守裁判官発言となって現われたのでありまして、なるほど時と場所が悪くて、最高裁判所の緊急裁判官会議の結果、「厳重に注意する」との異例の司法行政上の監督権の発動を見た次第でありますが、しかし飯守裁判官は何も赤尾敏君をかばったものでもなければ、右翼を支持したものでもないということは、私ははっきり確信いたしておるのでございます。この点について、最後に最高裁判所事務総長から御所見を承りたいと存じます。
  122. 石田和外

    石田最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねの点につきましては、先ほども申し上げましたように、飯守裁判官といたしましては、いわゆる民主社会の成立の根本理念とも申すべき法の支配ということを徹底し、法秩序を確立したいという意図に出たものであることは、先ほど申し上げました通りでございまして、最近親発いたしました暴行事件につきまして深く考えをいたしました結果、結局あのような意見になって、時と場所は非常に悪うございましたが、飯守判事といたしましては、さようなほんとうに国を憂えるというような非常に緊迫した気持からああいう発言をああいう機会にしたのだという次第でございます。
  123. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 以上をもって私の質問を終わるのでございますが、追加して質問の機会を与えられたことに対して心から感謝をいたして、私の質問を終わる次第であります。
  124. 池田清志

    池田委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十四分散会      ————◇—————