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山中(吾)
委員 夜間の
高等学校生徒の保健に関する決議案の提案趣旨説明を申し上げたいと思います。
夜間
高等学校の生徒はいわゆる勤労青年でございまして、昼は働きながら夜学問をするという変態的な状況でありますので、生徒の保健問題については、特に、文教政策として重視をし、保護しなければならない問題であると思うのであります。そういう立場から、夜間の
高等学校生徒に対する給食関係については十全の措置をすべきである。ことに生活その他について豊かな青年でないので、給食に対する
国庫補助率を大幅に引き上げてあげるということが非常に重要であると同時に、保健の立場から給食あるいは休憩の施設、診療の施設をその
学校内に作ってやるということが必要であると考えましたので、提案を申しましたのであります。その意味において、次の決議案の提案をいたしたのでお諮りを願いたいと存じます。
勤労しつつ夜間の
高等学校に通学する生徒の保健問題の重要性にかんがみ、政府はすみやかに、次の措置を講ずべきである。
一、給食、休憩、診療等に必要な施設、設備の整備
二、給食費に対する
国庫補助率の大幅引き上げ
右要望する。
以上であります。
次に、
義務教育諸
学校の
施設費等に関する決議案の提案をいたします。
その内容をまず読ましていただきたいと思います。
地方財政と父兄の負担とを考慮して、政府はすみやかに、
義務教育諸
学校の施設費について、国庫の負担率を引き上げ、教材費についても単価の引き上げをはかるとともに、敷地に関する経費をも国
庫負担の対象とする等の措置を講ずべきである。
右要望する。
提案の趣旨は、御承知のように父兄の負担は文教関係において過重であるということは常識になっておるのであり、また地方財政へのしわ寄せも常識になっております。そうして
義務教育関係の施設費については、現在形式的には二分の一負担という原則が大体認められておりますけれども、実質上はそれ以下に低下をしておる。そういう意味において、実質上国
庫負担率を二分の一
確保するということは、少なくとも直ちに
文部省においても責任を持って実現すべき問題であると考えるのでありますし、教材費についても、
義務教育の無償の原則の上に立って単価の引き上げをすることも、これも当然の文教行政の責任者の義務であると考えますので、その点をここに強調したこと。同時に、敷地に対する経費は、これは地方の市町村等においては非常に大きい負担であり、また解決については困難をきわめておるのでございますけれども、これが補助対象になっていないということはきわめて不合理である。そういう意味において、敷地に関する経費は国
庫負担の対象にすべきであるということをわれわれは痛切に感じているので、この決議案を提案した次第でございます。
次に、
養護教諭等充実に関する決議案について申し上げます。
内容についてまず読み上げたいと存じます。
児童、生徒の保健の完璧を期し、
学校運営に支障なからしめるため、政府は、次の措置を講ずべきである。
一、小、中、
高等学校における
養護教諭の近い将来においての必置制を期し、その年次計画的充実をはかること。
二、へき地
学校における数校兼務の
養護教諭を解消するよう努めること。
三、
学校運営の支障なからしめるため事務職員の充実を期すること。
右要望する。
提案内容の説明をいたします。
生徒の保健の完璧を期する立場からいっても、また
学校教育法の基本的精神からいっても、小、中、
高等学校の
養護教諭はできるだけ早く必置制に持っていくということは、これは法の精神から当然でございます。しかし実際問題として、養護教員の養成計画の充実というものを伴わなければできないのであり、財政的な考慮も必要でございますから、年次的充実をはかるということは当然現実問題として避くることができないのでありますから、その意味において、責任を持って政府において年次計画を立てて、必置の方向にすみやかに持っていくことをわれわれは期待するがゆえに、一の重要項目としたのであります。さらに、僻地
学校における
養護教諭の配置を見ますると、二校ないし三校を兼務している
養護教諭があり、労働過重あると同時に、保健の職務が十分に行なわれていない。しかも現実においては、大きな
学校に
養護教諭が充実する反面において、小規模の
学校においてはむしろ
養護教諭の数を少なくするという行政措置をとっている。そういうように
養護教諭について十分の理解のない地方があるのでありますから、
養護教諭を充実するという大きい基本的計画と同時に現実の処理として、数校兼務の
養護教諭を解消することを現在の課題として、特に留意をして行政指導をされることが必要であると考えておるのであります。
さらに、
学校運営の支障をなからしめる立場から、事務職員を漸次充実するということも、
学校経営の能率向上上非常に重要であります。
以上のような理由で三項目をあげて提案をしたのであります。
以上三つの決議案につきまして、その重要性を認識されて全員これに賛意を表していただくことをお願いして提案の理由の説明を終わります。(拍手)