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鈴木(義)
委員 そういう点について私ども心配するとともに、どうも行政
当局としてもあまり確信のあるような、自信のあるようなお答えでないということを遺憾に存じます。これは
一つ真剣に
考えていただきたいと思うのであります。ことに今の
大学あるいは諸種の
学校に配分される
予算等を見ますると、いずれもスズメの涙式のものでありまして、とうてい
一つの営利
会社の研究所にも及ばない。個人の
待遇が悪いことはもちろんとして、弟子はみなりっぱな月給をもらって豊かにやっておる。
先生はいつまでも焼イモをかじりながら研究室に閉じこもっておるというような調子でありまして、これは仕方がないといえばそれまででありますが、
日本の
技術教育の伸展の上にしかく真剣に
考えていただかなければならない問題だと思うのであります。研究の設備等も、これはお話にならない貧弱なものばかりであります。現在すでに貧弱なところへ、またこういう
学校ができて、これに新しい設備をどれだけ
予算の上で提供し得るか、どうも従来の実績にかんがみますると、危惧なきを得ないのであります。どうかそういう点について十分に安心のできるようなお答えが望ましいと思うが、できないのじゃないかと思う。ことに
短大を圧迫することは
民間でも非常に心配をしておるところであります。
短大において
工業学校ができるならは、一そう研究設備の
充実、研究資金の供給、そういうことを豊かにしませんければ、結局
学生ができなくなる。先ほど
大学院が利用されないとおっしゃいましたが、今のような
制度では、よほどの物好きで道楽な者でもなければ
大学院に入るわけにはいかない。必ず二年間おれば修士にだけはするようでありますが、あと三年おれば必ず博士にするかというと、必ずしも
卒業論文等が通過するとは限っておらない。でありますから結局物好きにあそこに金持ちのむすこが行っているというだけのことになりまして、もっと
ほんとうに必要を感じて勉強することができるような国内留学みたいな
制度にして、各
企業体が学費を出す、あるいは優秀な者に対しては国家が学費を給して、そして
大学院程度の勉強をさせるというならば、
大学院が活用されると存じます。今のような
程度で
大学院に行くことはほとんど耐えがたい犠牲を負うことになります。
私がある
会社にお頼みしてとってもらった優秀な青年が、
高等工業学校を出てそこに
職工として就職したのでありますが、非常に向学心に燃えておるので、特に
会社に頼んで夜間の工科
大学に入れてもらったのであります。しかるにそこを優秀な成績で
卒業した。
会社にとってはもっと深い勉強をしてやってもらいたい。そこで化学の方でありますが、東京
工業大学の
大学院の試験を受けたのであります。なかなかむずかしいのでありますが、首尾よく合格しまして、そして
会社で前の普通の
大学までは仕事をした上で夜だけ通わせる夜学だったのですが、今度は
会社を休ませてそして学費を給して
大学院へ行くことを
会社は奨励しておる。そういうまれに見る例がありますが、そういうことが行なわれば初めて優秀な青年が
大学院という
制度を
ほんとうに活用できるのであります。そうでもなければちょっとむずかしいと思うのであります。ましてやこういう中途半端な
学校を出た後は、ただ実務について、そして
科学技術革新といいましょうか、非常な
変化と進歩であります。従来
基礎的
教養の足りない
職工あるいは
技手はついていけない。今日中年で失業する者が非常に多いのは、何ともどうも使い道にならぬ。若い者にどんどん押されて、どういうふうに
機械を扱っていいかわからない、こういうまことに気の毒な人が多いわけであります。そういう者こそ再
教育して、そして
技術革新についていけるようにすることが、私は
企業の使命であり、国家の任務であると存じます。中小
企業などではやはり同じ悩みがありますけれども、とても
自分の力で
学校に留学させて中年の
技術革新におくれた
職工の
教育をやるわけにいかない。これはどうしても国家と
企業とが共同してめんどうを見てやるほかはないのでありまして、そういう点にこそ、こういう
学校を出たらすぐに入る、少年時代、青年時代の
学校としてでなく、世の中に出た後その
教育の足りなさを感じておる者を再
教育する方途について
考えるべきではないか。そういう
制度を
一つお
考えになった方がなお実際的である、かように
考えるのでありますが、そういう点はいかがでありますか。