運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-03-01 第38回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月一日(水曜日)    午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 臼井 莊一君 理事 坂田 道太君    理事 竹下  登君 理事 米田 吉盛君    理事 前田榮之助君 理事 山崎 始男君    理事 山中 吾郎君       伊藤 郷一君    田川 誠一君       灘尾 弘吉君    花村 四郎君       原田  憲君    松永  東君       松山千惠子君    南  好雄君       八木 徹雄君    高津 正道君       三木 喜夫君    村山 喜一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君  出席政府委員         文部政務次官  纐纈 彌三君         文部事務官         (大臣官房長) 天城  勲君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 清水 康平君         農林事務官         (大臣官房審議         官)      大澤  融君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   佐々木達夫君         文化財保護委員         会委員長    河原 春作君         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 二月二十七日  委員井伊誠一辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松幹辞任につき、その補欠として井伊  誠一君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員高橋英吉君及び伊井誠一辞任につき、そ  の補欠として川島正次郎君及び高田富之君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員高田富之辞任につき、その補欠として井  伊誠一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十八日  国立工業教員養成所設置等に関する臨時措置  法案内閣提出第九六号) 同月二十四日  公立義務教育学校学級編成及び教職員定数  の標準に関する法律の一部改正に関する請願(  山中貞則紹介)(第九三二号)  義務教育施設費国庫補助増額等に関する請願(  浦野幸男君外二名紹介)(第一〇一七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十四日  義務教育費国庫負担法完全実施に関する陳情  書  (第二三八号)  幼稚園教育養成機関制度改善等に関する陳情  書  (第二三九号)  文教行政改善に関する陳情書  (第二四〇号)  小、中学校修学旅行補助費増額等に関する陳  情書  (第  二四一号)  義務教育施設の整備に関する陳情書  (第二四  二号)  日本学校安全会共済掛金全額国庫負担に関す  る陳情書  (第二七四号)  改訂教育課程実施に伴う施設設備充実に関する  陳情書  (第二七六号)  私学振興資金融資制度拡充に関する陳情書  (第二七七号)  学校教育法の一部改正等に関する陳情書  (第三六九号)  義務教育公立学校建築費国庫補助増額に関す  る陳情書  (第三七〇号)  教育課程改正に伴う技術家庭科施設設備費国  庫補助に関する陳情書  (第三  七一号)  小、中学校基準坪数補正に関する陳情書  (第四〇一号)  理科、数学及び工業担当教員確保に関する陳情  書(第四〇二  号)  国民体育振興法制定に関する陳情書  (第四〇三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及  び修学旅行費給与に対する国の補助に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第一三  号)  盲学校、聾(ろう学校及び養護学校への就学  奨励に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)  国立工業教員養成所設置等に関する臨時措置  法案内閣提出第九六号)  学校教育に関する件      ――――◇―――――
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  この際文化財保護委員会委員長に新たに就任されました河原春作君より発言を求められております。  これを許します。河原春作君。
  3. 河原春作

    河原説明員 私ただいま委員長から御紹介下さいました河原でございます。四、五日ほど前、二月の二十四日に文化財保護委員会におきまして、委員長として互選されて就任することに相なりました。もとより不敏であります上に、就任日浅いので、これから非常に勉強いたしまして職務をとって参りたいと思います。どうぞ委員会の方方の御指導と御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 国立工業教員養成所設置等に関する臨時措置法案議題とし、その提案理由説明を聴取いたします。
  5. 濱野清吾

  6. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 このたび政府から提出いたしました国立工業教員養成所設置等に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法案は、同等学校工業教員のすみやかな養成をはかるため、臨時に、国立工業教員養成所を設置することとし、もって同等学校における工業教育拡充に伴う工業教員需要増加に対処しようとするものであります。現在、高等学校工業教員養成は、国立公立及び私立の大学工学部等において行なわれておりますが、産業界需要と競合するため、これらの大学を中業して工業教員になる者は、年年減少しております。そこで、中学校または高等学校工業以外の教科を担任している現職教員または民間企業従事者等工業教員免許状を所有している者の転任、転職によって、辛うじて工業教員需要に対処している現状であります。  一方、今後は、経済の成長に伴う技術者需要増大と、昭和三十八年度以降における高等学校生徒の急激な増加に対応して、工業高等学校の急速な新増設が予測されます。従って、工業教員需要増大は、きわめて著しいものがあると考えられます。  このような工業教員の需給の状況にかんがみ、緊急の措置として、国立工業教員養成所を設置し、工業教員の急速な養成を行なう必要があると考えた次第であります。  次に、この法案概要について申し上げます。  まず、高等学校工業教員養成を行なう教育施設として、臨時に、国立工業教員養成所を設置することとし、その養成所は、地域別の配置を考慮し、また、養成所が行なう教育について、大学との協力関係を緊密ならしめるため、北海道大学、東北大学東京工業大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、京都大学、大阪大学、広島大学及び九州大学の九つの国立大学に、それぞれ、附置することといたしました。第二に、この養成所修業年限は三年とすることとし、その入学資格大学入学資格と同じにすることといたしております。  また、この養成所には、教育上、運営上必要な職員として、所長のほか教授、助教授、助手等職員を配置することといたしております。なお、教員身分取扱いにつきましては、教育公務員特例法所要規定を準用することといたしました。  第三に、この養成所における授業料その他の費用の免除及び猶予について特別の規定を設けることといたしました。すなわち、養成所学色に対し、授業料の一部の徴収を猶予し、かつ、これらの学生卒業後六カ月以内に工業教員となり、引き続き一定の期間工業教員として在職した場合には、その猶予された授業料納付を免除することができることといたしますとともに、学業優秀な学生で、経済的理由によって、授業料その他の費用納付が困難であると認められる場合につきましても、これらの費用を免除し、またはその徴収を猶予することができることといたしました。  第四に、養成所卒業した者に対して、高等学校教諭二級普通免許状を授与することができるよう教育職員免許法の一部を改正することといたしました。  以上が、この法案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  7. 濱野清吾

    濱野委員長 本案についての質疑は次回よりいたすことといたします。      ――――◇―――――
  8. 濱野清吾

    濱野委員長 次に就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及び修学旅行費給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案、及び盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案一括議題とし、審査に入ります。  質疑の通告がございますから、順次これを許します。山中吾郎君。
  9. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ただいまの二法案に関連をいたしまして質問をいたしたいと思います。  この法案立法趣旨については大体において賛成をいたすものでありますけれども、その細部について疑問がありますので、当局の方から解明をしていただいて、納得をいたしたいと思います。  まず就学困難な児童生徒に関する法案でありますけれども、この題名変更いたしておりますが、この題名変更については文字の変更だけなのか、あるいはその立法基礎にどこか変化があるのか、それをお聞きしたいと思います。
  10. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 この題名就学困難な児童及び信徒のための教科用図書及び修学旅行費給与に対する国の補助に関する法律、ずいぶん長い名前になっておりまして、今回新たに学用品通学費援助を加えましたので、それを並べますと題名が非常に長くなりますから、簡略にするためにいたしただけでございます。
  11. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それは従来の題名が国の補助に関する法律としてあったものを、今度は国の援助という言葉を使っておるものだから、何か当局の方で私は補助というのはあまり好きじゃない、援助の方が好きなんだが、その辺にどこか文部省考え方進歩の跡が出ておるのじゃないかと思ってお聞きしておるのですが、無意識に書いただけですか。
  12. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 無意識というわけでもございませんが、本来就学奨励事務は市町村なり都道府県が行なうべき事務でございまして、それに対して国が積極的に援助する、こういうことでございます。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 日本補助政策というのは従来財政援助とかあるいは勧奨する機会に悪用する古い伝統が数十年来あった。補助という言葉の中には、ほんとうはしなくてもいいのであるけれども、恩恵としてやるのだという思想も大体長い慣用語の中にある。そこで文部省考えて、援助という言葉によって困窮児童に対する義務教育その他について国の責任をもっと当然のことであるという方向思想を一歩進めて題名まで考えておるのだと思って、私は心で実は敬意を表しておった。初中局長はそんなことは大して何ともないのだというのでは期待が一つはずれるのですが、その点どうですか。
  14. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 従来補助負担援助といろいろの言葉がございますが、負担の場合には国の責任を表わしておるのでございまして、補助という場合には大体今御指摘になりましたように奨励的な補助でございます。今回援助に改めたのは、地方が行なうべき就学奨励事務について国が積極的に援助する、こういう趣旨でございまして、内容的には変わっておりませんが、気分的には多少のニュアンスがあるかと思います。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ニュアンスとかムードの相違だけでは何ですが、やはり用語の中には歴史的な性格があるものですから、こういう補助から援助という言葉に変えたについては、その中に何か文部行政進歩があるはずだと私は思っておったのです。こういう用語の中に、もう少し分析をしてここまで書きかえてくるならば検討していただきたいと思うのですが、今のお話ではそうでもないというのですけれども補助援助考え方その他について文部省の方でも一つ自覚をして、使用区分についてはまたいつかの機会にもっと楽しく聞えるようなものにして下さるようお願いいたしておきます。それから補助対象交通費にまで拡大されたことは、非常に僻地学校については喜ばしいことでもあるわけでありますが、援助単価については十分なんですか。実態に即して考えられると思いますけれども、どういう資料、あるいはどういう統計のもとに単価をおきめになっておるのか、それが一つ。それからこういう就学困窮児童については、現在のいわゆる補助対象を七%まで上げておるわけでございますが、もう少し私はボーダー・ラインの救済しなければならぬものがあると思いますけれども、その点について、財政上一応ここまで持ってきておるのだが、財政の見通しにおいて、やはりもっと上げるべきだという意向のもとにこの法案が出ておるのか、これで十分だと思って出されておるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  16. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 単価につきましては、教科書のようなものは、現実採択部数がきまっておりますので、各教科書会社採択部数を加重平均してとった単価でございます。それから修学旅行費につきましては、今回新しい調査統計に基づきまして、小学校四百四十円を七百五十円に引き上げております。中学校単価は千六百円を千八百円に引き上げたのでございます。中学校についてはまだ私ども十分とは思いませんが、一応こういう資料でございましたので、これを基礎にいたして、特に調査局調査に基づいたわけでございます。それから学用品につきましては、厚生省単価と合わせまして、小学校が千百五十円、中学校が二千円。通学費につきましては、実態調査をいたしまして、小学校二千九百五十九円、中校学五千六百四十六円、これは実態調査に基づいた数字でございます。  次に、七%では不十分じゃないかというお尋ねでございますが、従来生活保護対象人員は二・五%でございましたが、厚生省の方で保護基準の引き上げがございましたのに対応いたしまして、三%に引き上げたわけでございます。それから準保護児童につきましては、文部省昭和三十二年に調査いたしました資料によりますと、生活保護を受けておる者及び何らかの形で公私援助を受けておる者、こういう者を調査した結果、一応四・一%という数字が出ておったわけでございます。しかし厚生省の低所得者階層調査から見ますと、一〇%が低所得者階層に属するという資料が一方にあるわけでございます。そこで文部省といたしましては、厚生省資料に基づきまして、一〇%を要求いたしました。しかし結論において七%の査定を受けたわけですが、これはこれなりの資料があったわけでございます。私どもは不十分ではあると思いますが、一応三十二年の調査に基づきまして、四%あれば公私の扶助を受けておる者は救われるという校長の証明もございましたので、とりあえず四%にしたわけでございます。四%にいたしまして、さらに調査いたしまして、十分でなければさらにこの率は上げたいと考えております。
  17. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大体説明でわかったのですが、厚生省資料が、やはり職掌がら一番正しいと思うのですが、来年においては、そこまで持っていくことを前提として、この法案というものは意義のあるものだと思うのです。こういう生活困窮というような関係ですから、やはりもっと実態に即してやっていただきたいと思います。  大臣、今私は局長質疑応答しておるわけですが、その実態に即するように一〇%まで、この法案が通過したあと来年度予算関係で引き上げるように御努力願いたいのでありますが、その点大臣は、今局長と私の話をしておる中から判断をして、一つその努力のほどをお答え願っておきたいと思う。
  18. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 大蔵省との折衝の段階におきまして、私どもが一応考えました線さえも実現できなかったことを遺憾に思っておりますが、さらにその後の実情等も十分把握いたしまして、捲土重来を期したいと思います。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それから修学旅行小学校の六年生、中学校の三年生に限らず補助対象にする、これは主として僻地小学校五年、六年の複式学級とか、あるいは僻地中学校の一年、二年、三年の単級学級とか、そういうことを考えてのものですか、そうではなくて、それも含むのかどうか。それから二年のときとかあるいは五年のときに卒業旅行のようにする、そういうときを含んでおるのですか。
  20. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 前の法律では、これは最高学年だけに限定しておったわけでございます。そういたしますと、お話のように僻地では数が少なくて団体旅行ができかねますので、一年から三年まで込みで、在学期間中一回行くという場合が相当多いのでございます。従って、これはむしろ実情に即しませんので、中学校におる間一回は行く、国が補助する、こういう建前に改めまして、僻地等修学旅行が円滑にいくように努力したわけでございます。
  21. 山中吾郎

    山中(吾)委員 卒業するまで一回だけなんですか。毎年一回は修学旅行としてあるのですが、卒業旅行のことですか。
  22. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 大体卒業期にあたりまして、今まで教科書その他で勉強いたしましたことを実地に確かめるという趣旨でございまして、在学期間中一回の卒業旅行のような意味も含めてそれに対して国が補助する、こういう建前でございます。
  23. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうですが、わかりましたが、これはどうせ就学困難な児童生徒です。そして各学校では一年から二年、三年と一つ修学旅行スケジュールを立てて、第一学年はどこどこ、第二学年どこどこと、教科課程の進行に従って見聞をするというふうな教育的な一つのプログラムだと思うのです。これはどうですか、各学年修学旅行援助対象にして改めていく方が教育的であるし、実際に即する。小学校の場合にはやはり毎年行っておると思うのです。そういう方向に持っていくべきだと思うのですが、文部省の基本的な考え方はこれを進めていこうというお考えになっておられるかどうか、これは将来の問題ですが。
  24. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 一般的な修学旅行はむしろ見学旅行というべき性質のものであろうと思う。もちろん教室で学習したことを実地見聞し、正確に知識おりますのは、卒業期にまとめて長期の修学旅行を行なう、これを国の援助にしようということでございまして、今お話しのような学習過程における見学までは今のところ無理かと思っておりますし、現実に国鉄の輸送面考えましても、そこまで範囲を広げますと大へんなことになると思うのでございます。
  25. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大へんなことになるという考え大蔵省にまかしまして、行育行政の立場から、修学旅行は学をおさめる旅行でありますし、ことに貧困家庭の場合には、学校から連れていかれる以外には県の外に行く力のない子供だと思うのです。従って非常に大事な教育の行事だと思います。従って文部省思想としては、やはり毎年計画を立てて、第一学年については県内のどこ、第三学年は一晩泊まりのどこ、第三学年については東京その他というふうに順序よくスケジュールを立ててこそ教育的意味があるので、卒業旅行だけという考え方補助というのは、逆に非教育的になるのではないか。まず外政的なことはお考えにならないで、毎年行なわれる学年旅行といいますか、一年間の教育進度に応じて見せるべきところを見せるという、いわゆる学をおさめる旅行についてはやはり補助をやるべきものであるかどうかという思想を確認したいと思います。金のあるなしは今は考えないで、そういうことに雑念を持たないで、お聞きしたい。
  26. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 小学校中学校義務教育過程において、学校でいろいろ学習する知識を実見し、観察し、あるいは見学するということは、必要かと思うのですが、それは近くのものを見学すればいいと思っております。ですからそう多額な経費を必要としないことが建前であろう修学旅行の場合には、平素見ること聞くことができないような相当大がかりなものを考えておりますので、その場合にはなかなか経費もかさみますので、国が援助対象にしたい、こういう趣旨でございます。一般的なものは、あまり見学費を使いますと、これはかえって学習の妨げになる場合もあろうかと思うのです。その限度が非常にむずかしいのであります。今日までのところ、小学校の場合でも、実は修学旅行は日帰りを建前にいたしておりまして、宿泊は認めないという方針指導をいたしておるわけでございます。
  27. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そういたしますと、少し僕と思想が変わってくるのですね。修学旅行のあり方をでたらめであるとか物見遊山のようなものでなく、もっと教育的なものに指導していくことが文部省の任務ですから、それをあるべき修学旅行に持っていくべきだと思うのです。それをすべきだということをまず前提として、次に修学旅行の場合に小学校のときは泊まらないとか、中学のときは一泊限りということは、私は実態に合わないのじゃないか。少なくとも中学校の場合はこういう貧困家庭児童というのは、中学校卒業するとどっかに就職して高等学校に行けないということもあるし、子供だけの問題じゃなくて、中学校卒業することが義務教育最終階程だから、学校方針としては、その付近はいつでも行けるんだ、東北の中学校生徒は家の関係から東京とか関西とかあるいは北海道とか、二泊、三泊かかる遠いところへは一生行けないから、そういうところを見せて、親の力ではやれないから逆に遠隔の地に最後は行って見聞を広めたいということが、僻地に行けば行くほど学校教育的なものを含んだ要請だと思うのです。そこで今のお考えのように、年令に応じて修学旅行の日程も長短をきめるというような考えは実際に即しないと思う。そういうことも含んで局長のお考えは少し修正をしないと実際に合わないのじゃないか。そういう方向にやはり将来この法律改正していくんだという展望的な考えをお示し願っておいて、この法案賛成いたしたいと思います。
  28. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 御趣旨の点はよく十分検討させていただきたいと思います。
  29. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は局長と問答しておったのですが、大臣最後に御意見を聞いて、私はこの法案質疑を終わりたいと思います。
  30. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 今即座に御意見に全幅的に賛成すると申しかねますから、私もあわせて検討させていただきたいと思います。
  31. 濱野清吾

    濱野委員長 次に前田榮之助君。
  32. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私は主として今議題になっております盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律改正案についてごく簡単にお尋ねを申し上げたいと思うのであります。この改正案はごく簡単にできておりまして、一目ですぐ明瞭にわかるようになっております。私はこの改正案学用品購入費補助対象にするというこのことは賛成であります。しかし、ただ盲ろう特殊教育であるものにはもう少し積極的な愛情を加えて教育をしなければならぬと思うのであります。そういう観点に立ってお尋ねを申し上げますが、本年度の予算の中に新しく盲ろう学校の新職業開拓に対する費用が五百八十五万六千円計上されておるのであります。これは盲学校五百、ろう学校三百で、一校当たりの施設設備費等が平均百十七万二千円と、二分の一補助でありますと説明が加えられております。これは内容はどういうものであるかお尋ね申し上げます。
  33. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 従来盲学校ろう学校生徒職業が非常に限られております。御承知の通り盲学校の場合ははり、きゅう、あんまというようなものが主でございましたので、もう少し範囲を広げていきたいという点で、モデル的にやってみたいという趣旨のものでございまして、職種としては金属工作とかあるいは彫金とか装身具、果樹、園芸、養鶏、養豚、こういうものでございます。
  34. 前田榮之助

    前田(榮)委員 この盲ろう学生諸君は非常に六感が発達いたしておりまして、これを十分に活用いたしまするならば、普通人よりも非常に神経が発達いたしておることはだれしも認められることだと思うのであります。そういう点について、近代的社会において、科学技術振興を全面的に文部省は集めようとされておるのでありますが、こういう盲ろうの不幸な立場におる者こそ、ほんとうに近代的科学技術の中で六感によって非常に国家社会に有効に使われる部面がたくさんあると思うのであります。そういう点で、この点を積極的にやるべきであると私は思うのでありますが、それには一校百数十万円の――これは半額ではありまするけれども、それで二百万円やそこらではほんとうに指導教育ということは私は困難だと思うのでありますが、そんなものがどんな機械で、どういうのでもやられる考えか、もう少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  35. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 実は、この方の分野は、ほんとうにまだ日本の場合未開拓の分野でございまして、どういう職種がこの盲ろうのような肢体不自由な子供たちに適するかという点について、外国等の事情もいろいろ検討いたしております。今回初めて予算に計上いたしましたので、これもやってみないと実はまだわからぬわけであります。試験的に数カ所にそういう新しい分野を開いたわけでございまして、実際やってみた結果、不十分ならばさらにまた検討いたしまして、より完全なものにしていきたい、こういうことでございます。
  36. 前田榮之助

    前田(榮)委員 一時にたくさんの望みを嘱することもどうかと思いますが、もう少し積極的にやってもらいたいと思います。  広島で私の知っておるろう学校卒業生で洋服屋がございますが、同じ学校の後進の生徒まで数人そこで収容して、洋服を作っておる。評判を聞きますと、非常に仕立てが丁寧で綿密で、顧客に対して非常な信用がある。従って郵政関係の労組やその他の指定店等にもされておる。これは現実は私の親戚の者でありまして、よく知っておるのでありますが、そういうように実際にやらせれば非常にいい点があると思う。この点くらいは現在でもやっておられると思うのですが、もっと積極的に一つ御研究されんことを希望いたしておきます。  それからこの法案でありますが、この改正案では要するに学用品の購入でありまして、現行法の中では、たとえば終わりごろに、「これらの学校の高等部(専攻科を除く。)の生徒に係るものにあっては第一号から第四号までに掲げるもの(付添人の付添に要する交通費を除く。)」、こういうようにカッコの中で専攻科を除いたり、あるいはつき添い人の交通費を制限したりということがあるのでありますが、こういう制限は要らないのではないかと思うのです。ことに盲学校等でつき添い人が必ず必要だと考えられる者については、つき添い人の交通費を当然補助対象にすべきものであって、必要であるかないかということだけが問題点であって、つき添い人である限りにおいてはこういうカッコを作るなんというのはあまりにもしゃくし定木ではないかと思う。ことに高等部の専攻科でも何でも、これらの青ろう学生諸君については特にあたたかい愛情の手を差し伸べるべきではないかと思うので、こういう学用品購入費補助対象にすることは大へんよいことでありまして、そういう機会にあわせてこういうものまでいわゆるカッコで制限をしておるものをなぜ除かなかったか、また除くべきではないか、こういう点についての御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  37. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 盲学校ろう学校等の学校におきましては、事実上高等学校あるいは専攻科まで出ませんと就職の機会もないので、義務制と非義務のものに差別をつけるのはおかしいじゃないかという御意見でございます。大へんどもも同感に思っておりますが、現在のところ義務制の援助範囲高等学校その他の非義務の場合の援助範囲に若干の食い違いがあるわけですが、気持としてはできるだけ義務教育と同じようにしていきたいということで逐年努力をいたしておりまして、おいおい義務制の方の範囲を広げながら、同時に高等部の場合にもそれに準ずるように努力をいたしておるわけでございます。特に今回の予算では、盲学校ろう学校の場合には寄宿舎がございますが、通学の場合にはスクール・バスを今回新たに認めていただきましたので、できるだけ就学の困難を省きたい。こういう気持で、お説の通り小中学校範囲を拡大しながら高等部にそれを及ぼしていく、こういう趣旨でございます。
  38. 前田榮之助

    前田(榮)委員 今御説明になりました趣旨はわれわれにもよくわかるのでありますが、現在の教育程度では、この盲ろう関係については小学校中学校だけでは社会へ出てきわめて不十分である。これはだれしもうなずける問題だと思う。やはり高等部等までやらないと、一貫した完成された盲ろう教育でないということがいえるわけであります。そこで今私は特にこのカッコを除いてもらいたいという意見を申し上げたのですが、もしこの高等部の専攻科を除くというカッコを除いて、これらのものも補助対象とし、またこの交通費補助対象とした場合にどのくらい予算が要るか、それは見当がつきますか。そう大したものじゃないと思いますが……。
  39. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 今年度は多年の懸案でありました高等部に給食費を出すということで、この金が約二千万近かったと思うのですが、一度になかなか全部を対象にできませんので、逐年義務制と同じような歩調にしたい、こういうことで、金額といたしましては、私どももそう多額な経費とは考えておりません。
  40. 前田榮之助

    前田(榮)委員 最後大臣にちょっと御意見を聞かしていただきたいと思うのですが、今申し上げましたようなことは、今日の日本が非常に景気が上昇いたしまして所得を倍増するというほどに一般国民はよくなるとお考えになっておりますし、またそういうことを望むのは当然でありますが、そういう時代にこの盲ろう教育は一そう愛情を積極的に注ぐべきである、こう思うのでありまして、今私が希望申し上げました事項等について、大臣としてできるだけ早い機会に実現するように努力する御意思がございますか。またその点についての大臣の御熱意を一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  41. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 先ほど来の前田さんの御意見は、私も趣旨において全く同感でございます。所得倍増、三倍増になりましょうとも、あるいはそうでないにいたしましても、こういう身体の不自由な学童が、教育面における積極的な援助を受けることによって――もしそうでないならば社会の厄介者になるおそれがある、しかるに五感、六感がまともな者よりはもっと鋭敏である本質的なものを持っておりますのが一般であることは御指摘の通りだと思いますが、それが教育を通じて、厄介者でなしに、まともな者よりはかえって社会に貢献するという例が非常に多いことも私も聞いております。そういうことからいたしまして、景気、不景気にかかわらず、もっと愛情を込めて、育成に国として協力すべきものと存じます。のみならず、聞きますれば、盲ろう、特にろう学校に行くような子供たちは、ほんとうはもっと三才、四才くらいから手塩にかけていった方がいいのだということも聞いております。そういうことまであわせまして、お説の通り積極的に愛情の手を差し伸べていくべきものと心得ております。
  42. 濱野清吾

    濱野委員長 村山君。
  43. 村山喜一

    ○村山委員 要保護、並びに準要保護児童生徒に対する国庫補助のことでありますが、今回予算に計上されまして、従来の教科書補助率は国の方が八割であったものが二分の一に切り下げになっているわけでございます。そのほかの補助率は二分の一に全部統一をされているわけでございますが、これが末端の各市町村になりましたときに、これは父兄の負担はないという説明を聞いておりますけれども、一方地方の各市町村の財政の状況から申しまして、直接このこと自体に関連をして二分の一の裏づけをしないということはおそらくないだろうと思うのですが、交付税の中で示されております基準財政需要額の計算の上において三〇%、四〇%しか文教関係予算として出していない市町村が僻地においてはあるようでございます。そういうような点から、今回の地方財政計画の中において、これらの当然国庫補助に基づく一般経費増加については見られておるものだと思うのでありますが、それらがどういうようなところで織り込まれておるのかという点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  44. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 これは近く国会に提案されることになっております地方交付税の改正の中で、教育聾の単位費用の改訂となって現われるわけでございますが、その中で準保護児童関係として十億を見込んでおります。
  45. 村山喜一

    ○村山委員 単位費用改訂で十億が予算に計上されておるということでございますが、これに関連をしまして、通学費というのがございますが、これは離島、僻地の地域に当然対象は出てくるものだと思うのですが、この予算説明を見てみますと、小学校においては四キロ、中学校においては六キロ以上のところに通学費補助をするのだということになっておるようでございますが、離島並びに僻地にありましては、そういうような従来から通学費をただ保護児童並びに準保護児童だけに限らず、各市町村自体において補助しておるところがあるわけでございます。そういうようにして就学奨励といいますか、学校に通うのに父兄の負担が軽くなるような方向ということで地方自治体は非常に優位な方法をとっておるようでございますが、今回出されましたこの要援護児童だけではなしに、もっとこの対象を広げていくというお考えはないかということをお尋ねしたいと思います。
  46. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 先ほど十億と申しましたのは、十億を増額したという意味でございまして、十億だけではございませんので、この点説明が不十分でありましたので、訂正させていただきます。  それから今お尋ね僻地等における通学費の問題でございますが、一応一般の援護と同じように七%にいたしたわけでございますけれども、地方の僻地等で特に生活の困窮しているものがございますれば、これは別途考えてみたいということでございます。決してこの額で十分とは私ども考えておりませんし、またこれは新しく本年度予算に計上された経費でございますので、できるだけ山間僻地、離島等の就学困難な児童がございますれば、漏れなく救いたいということでございます。
  47. 村山喜一

    ○村山委員 内藤局長の御答弁でやや満足をいたすわけでございますが、先ほど私触れました基準財政需要額に対して三〇%、四〇%しか支出をしていないような地域もあるのでございます。中でも特に離島の市町村の場合には、財源が非常に少ないということもありまして、港湾その他の産業に重点を置かなければならない、こういうようなことの特殊事情があるわけです。そういうような点から、やはり教育費にしわ寄せがきて、そしてそのためになかなか教育条件がよくなっていない、こういうような実情がございますが、例の標準定数の問題にいたしましても、小学校五十六名、中学校五十四名という線があるにもかかわらず、ほかの地域、青森県等におきましては、これが五十八名とか五十六名というような線でことしも実施されるやに聞いているのであります。北海道においてもそういうような条件が出ているようでございます。そういうようなふうにして、いわゆる交付税の中で示されました基準財政需要額は、その地方自治体において自由に処理できるという建前にはなっているものの、やはり教育条件をほかの地域に比べて非常に低下さしていくような方向は、文教政策の上から考えても好ましいことではございませんので、それに対しては何らかの手を、行政的な措置を講ぜられる必要があると思うのでありますが、教育条件が低下しないようなふうに措置される御意思はございませんか、お尋ねいたします。
  48. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 僻地等におきまして、単級学校の場合には生徒二十人ということで基準をきめておりますので、僻地の場合も相当考慮しておるわけでございます。ただ、現実に北海道等では二十人のところに先生が二人行っているような事情もございまして、なかなか、今度はすし詰めの方の解消がにぶっているような実情があるようでございます。できるだけ教育条件の低下しないように配慮して参りたいと考えております。
  49. 山中吾郎

    山中(吾)委員 関連。今の御答弁について、たとえば二十人しかいないというところは単級学校だと思うのです、分校だと思うのです。そういうところは、実態は、夫婦でやらして寺子屋式の教育をしなければこれはだめなので、そこへ一人若い女の先生が行けば、これは夜は暴漢に襲われる危険があって、とても教育ができない。子供に教える前に、まず自分を守らなければならぬことになる。それから、青年教師が行っても、これは僻地ぼけで教育ができない。二人が家庭を持って、その中で、子供学校教育と社会教育一つにしたようなやり方でしなければできないのですからね。それを今のように、二十人しかいないところに二人先生を派遣しておるからこうなるのだということは、僕は認めるわけにいかない。もしそういう考えで、定員は十五人の定員があるけれども、こちらの趣旨に反して、そういう電燈もない僻地学校で一年から六年まで二十人しかいないところへ夫婦をやる、だからいけないのだ、これは地方の委員会が悪いのだという考えを持っているのでは、私も黙っておれないので、質問したのですが、それについては認識を改めてほしい。大蔵省主計官もこられたから、この点定員の査定については、実除の僻地の無電燈地区ですね。二十名というのは電灯のない地区ですね。これは夫婦でやらなければとてもできない。また人間性にも反する。そういうところに行きますと、先生は夜になると子供がいなくてさびしくなる。それから電灯がない。これでは酒でも飲むほかはないというので、だんだんと酒でどこかまぎらすというところから、またその人間性が破壊されていく。どうしても夫婦というものを前提として二名は出さなければいけない。こういう学校定員のきめ方についてはもっと実態に即して、ヒューマニティを持っておきめ願わなければならぬと思うので、この辺の査定の過程における論議をお聞きしておきたいと思うのです。そうして、ぜひそういう実態に即して定員の配置をしてもらいたいと思います。
  50. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 義務教育費国庫負担法は実積に基づいておりますから、二人で担当しておる場合には二人の定員はつけております。ただ先ほど五十六と五十三のお話が出ましたので、の場合、北海道はそういうことでなかなかすし詰めの解消がにぶっておるという実情を申し上げただけでございます。
  51. 濱野清吾

    濱野委員長 竹下君。
  52. 竹下登

    ○竹下委員 ただいま議題となっております、俗に就学困難法、盲ろう法、この二つにつきましてごく簡単に質疑を行ないたいと思います。  このたびの法律改正によりまして、特殊教育関係がそれだけ前進するということには、私も全幅的な賛意を表するものであります。ただ、ここで私どもが普通政府の青少年対策等に関係して考えておりますものが、盲ろうそしていま一つ、いわゆる精薄児の問題であります。そこでこの出生率と申しましょうか、出現率が、盲ろうに関してはおよそ一%、精薄はこれを上回って四%といわれております。ところが、これについて、盲ろうについては都道府県の義務設置となっておるわけでありますけれども養護学校につきましては厚生省のいろいろな施設あるいろ養護学級、養護学校等、施策としてはこれが行なわれておりますものの、将来養護学校についても義務設置をする必要がありはしないか。ただし、これは一がいに精薄と申しましてもIQ何ぼとか非常な段階がありますので、その取り扱いにむずかしい点が多いということは私も十分了解するのでありますけれども、この義務設置とするといったことについて今後の対策を承りたいのであります。
  53. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 養護学校の義務制についてはすでに学校教育法で設置義務が課せられておるわけでございます。ただ、これを政令で延ばしているというのが実情でございます。そこで、私どももできるだけ養護学校についての義務制を推進して参りたい、こういうことから、今日まで教員給与費、教材費その他、あるいは建物につきましても義務制と同様に二分の一の負担をいたして、推進をはかっておるのでありますが、なお養護学校の場合には、これは県に設置義務を負わせることに法律上はなっておりますので、盲ろうと同じように、養護学校の設置義務を課していきたい。これは政令でできるわけでございますが、現実に今できておりますのが約四十校ぐらいできておるのでございます。本年度、三十五年度に九校の設置を見たわけでございまして、三十六年度には十二校を設置すべく予算に計上されておるのでございまして、これが五カ年後には、各府県に少なくとも肢体不自由児学校については一校ずつできる予定でございますし、精薄、病弱等につきましてもある程度の設置が促進されますので、五カ年計画を立てまして、その後におきまして都道府県に設置義務を明確にいたしたい、かように考えておるわけでございます。なお精薄の方につきましてはむしろ小、中学校の精薄学級でこれを推進した方がいいのではなかろうかという考えを持っておるわけでございます。
  54. 竹下登

    ○竹下委員 次に、前田委員から出ました質問と重複する点もございますが、社会生活が複雑化いたして参りました今日において、いわゆる高等学校卒業しなければ一人前でないと申しましようか、社会生活に適応できないという状態が非常に醸成されておる。そこで、この盲ろう養護学校はあくまでも小、中は義務制であるけれども高等学校、高等科についてはこれを準義務制として取り扱っていきたいというような御答弁を今伺ったわけでありますが、これについての確認と申しますか、それについてさらに御意見を承りたい。  また、ただいま前田委員の御質問にもございましたので、ついでに二つ一緒にと申しますか、いわゆる従来盲学校ろう学校、はり、きゅう、あんまというのがわれわれの常識であったわけでありますけれども、本年からテスト・ケースとして、広範に言えば科学技術、もっと小範囲に言えば軽金属の手工業とでも申しましようか、そういうことについて、これをテスト・ケースとして進めつつ、さらに今後はり、きゅう、あんまというのも、近ごろは御承知のように身体健全、満足な方の仕事の分野が非常に多くなって参っておりますので、そうしたところヘウェートが将来よけいかかっていくような方向でこれを進めていく考えがあるかないか、この二つ、いささか重複いたしますので、まとめて承りたいと思います。
  55. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 盲学校ろう学校の場合には、義務教育だけでは不完全なことは先ほど申し上げた通りでありまして、高等学校を出ませんとマッサージもできませんし、はり、きゅうに至っては専攻科まで出ないとはり、きゅうの免状がもらえない。そういうわけでございますから、事実上、義務制にはなっておりませんが、義務制と同様な扱いをして参りたいということで、本年は特に高等部の給食、これは政令で出すことになっておりますが、予算には計上したわけでございます。それから新職業の開拓のことと関連がございますが、ただいまお尋ねの点のはり、きゅう、あんまを推進するということは、これは今日の段階で確かに晴眼者が相当ふえて参りましたので、なかなかその面で競合を来たしておりますけれども、これはこれとしてやはり従来から伝統もあるし、また経験もございますので、これは伸ばしていきたい。同時に、できるだけ新しい分野を開拓して、他人に御迷惑にならぬように、自活できるような方法で、今後ますます新職業の開拓に努力して参りたいと思うのでございます。
  56. 竹下登

    ○竹下委員 最後に、いささか事務的な質問でありますが、学用品は現物支給でありますか、あるいは、それに見合う金をやるのか、どちらですか。
  57. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 これは、どちらでもけっこうでございます。
  58. 竹下登

    ○竹下委員 貧困者の多い地区とか少ない地区とか、いろいろあろうと思いますが、配分方法の概要を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 内藤譽三郎

    内藤政府委員 これは対象人員の半分は生活保護児童に比例していきたい。と申しますのは、大体生活保護児童の多いところは、それに比例して準保護児童も多いという考え方でございます。残りの半分は児輩生徒の総数に按分していく、こういう方式をとっておるわけでございます。
  60. 竹下登

    ○竹下委員 けっこうです。
  61. 濱野清吾

    濱野委員長 他に質疑はございませんか。――他に質疑がないようですから、これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
  62. 濱野清吾

    濱野委員長 これより討論に入ります。別に討論の通告がございませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、討論を省略するに決しました。  これより採決に入るわけでありますが、まず、就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及び修学旅行費給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  64. 濱野清吾

    濱野委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、先例により、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案について、採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  66. 濱野清吾

    濱野委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ―――――――――――――
  68. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、学校教育等に関する件について、調査を進めます。質疑の通告がございます。これを許します。山中吾郎君。
  69. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣にお伺いしたいのですが、今度政府から農業基本法案提案になっております。その第十九条に「国は、近代的な農業経営を担当するのにふさわしい者の養成及び確保並びに農業経営の近代化及び農業従事者の生活改善を図るため、教育、研究及び普及の事業の充実等必要な施策を講ずるものとする。」農業基本法の中にこういう文教政策のあり方についての一項があるわけであります。私は、こういう産業関係法案の中に教育関係規定しておる着眼に対して、敬意を表しておるわけですが、この法案が作成されるまでに、政府が重要法案としていろいろと多角的に審議されたはずでありますが、どういう程度に参画されて、そして文部大臣意見が入ってこの十九条になっておるのか。それから、この十九条に基づいて、今後具体的な農業教育内容というものがなければ、農業振興そのものも魂が入らないし、これは非常に重要なものだと思います。その意味において大臣の御意見、それから今までの経過についてお教えいただきたい。
  70. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 今までの経過でございますが、農業基本法作案に際しましては、関係省に農林省から相談がございまして、その相談にあずかってこの原案ができておる次第でございます。そこで第十九条に関連して、問題の一つは農業の近代化、合理化ということが要請されるわけでありますが、それに応ずる教育をやっていこうということと、さらに、直接的にはこれに表面には出ていないかとも思いますが、農業の近代化、合理化は必然的に農業が産業の一種として企業として成り立つことを意図する面があると承知しておりますが、そういうことは必然的に、いわば今まで非常に一人当たり非能率であった営農方法が能率的になることによって、農業労働人口が少なくなっていく傾向を帯びると思うのであります。従って、たださえ次三男対策が叫ばれておる際、従来のままならば、非常に薄給に甘んじておった次三男が他産業に移行していくという情勢は、さらにきつくなってくることと想像されるわけであります。その意味で、余剰労働を吸収して新たな職場につける課題があろうかと思いますが、その二つのことに対して文部省所管の事項に関連をしてくるいと思ます。  第一の近代化、合理化に対しましては、これは一般的に、小、中学校教育から、世界的な傾向になっております。科学技術教育の充実ということをやるとともに、農業同等学校における教育内容も、将来の農業の近代化、合理化にふさわしい教育内容に改め充実していくという要請があろうかと思います。そのことは一応新しい教育課程におきましても考慮されておると承知いたしております。それと同時に、生徒急増対策の一端でもございますが、すでに御案内の通り、工業高等学校を積極的に拡充していこう。新たに設置する工業高等学校のごときは、今御指摘の農業基本法の関連におきましてその配置を考えていく。また産業立地の関係においても担当の省において考えていくこととは思いますが、たとえば農村に新たな工業が誘致される。それに就労する中堅技術者として、必然的に出てくるであろうと予想される過剰労働力を吸収していくというめどのもとに、農村地帯に工業高等学校を配置するというふうなことも考えまして、教育面からする農業基本法の意図する方向に協力をし、農村子弟に新たな就労の場所を与える方向に努力していきたい、こんなふうなことを考えているわけであります。それからさらに学校教育以外におきましても、青年学級あるいは婦人学級ないしは公民館活動等を通じまして、学校教育の足らざるところを補充するような機能も果たさせていくべきであろう、そういうふうなことを一応考えておる次第であります。
  71. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣は参議院の方に行かれるそうですからまず大臣だけにお聞きします。今お話を聞いておるのでは、私にはよそごとのように農業基本法についての文教政策が聞こえてならないのですが、これはこれこれの充実のために必要な施策を講ずるものとすると義務づけられたように十九条はなっておるので、この十九条を入れるについては、文部大臣の発想が入って作られたのではないでしょうか。従って具体案が、基本法のあとには当然に法案その他必要な措置が準備さるべきだ、他の条文についてほとんど準備されていると思うので。大臣の御答えを聞きますと、こういうことも考えられる考えられるということなので、私は非常にさびしさを感ずるのです。こういう産業関係振興法、ことに基本法的なものについては、教育的立場としては、もっと大きな発言権を持って、そして法案作成のときから指導性を持つべきである、そういうふうに私は思うのです。必要な施策を講ずるということを十九条にうたっておるのでありますから、もう少し具体的な、何か農業教育振興について、農業基本法の中にすでに織り込まれておられると思うのですが、ほんとうは何もないのですか。ほんとうのところろをお伺いいたしたいと思います。
  72. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 農業基本法は政府が一体をなして提案したわけでありますが、具体的に何かというお尋ねだと思いますけれども、今申しましたことは、三十六年度の予算にも計上をいたしておりますし、法律案としましては、工業高等学校に対する活動等の法案を、あるいは工業教員養成等の法案を御審議願うということで、具体的に今国会に御審議願う内容が、今申し上げたことに関連をしておるわけでございます。むしろ農業基本法よりも、今申し上げたことは先行しておるくらいに考えております。むろん十分でないことはわかっておりますけれども、この方向で年々拡充して、農業基本法の面から要請される課題にもこたえていきたい、こういう趣旨で申し上げたつもりでおります。
  73. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣のおっしゃられているのは、所得倍増計画に関連した文教政策としての工業教育振興なので、私の質問をまだ御理解なさっておられない。十九条は次三男対策というものではないのです。それから過剰人口の吸収のための教育とか指導じゃなしに、農業そのものを振興するために――いま一度読みますから聞いていただきたいと思います。「国は、近代的な農業経営を担当するのにふさわしい者の養成及び確保並びに農業経営の近代化及び農業従事者の生活改善を図るため、教育、研究及び普及の事業の充実等必要な施策を講ずるものとする。」というので、大臣の言われました工業教育というものはこの条文には無関係なんです。それからこれはあくまでも農業経営者の資質の向上と農業の近代化であるとかあるいは自立経営をしていくのには相当な知識と技術と認識も必要なので、そういう農業経営者を養成しない限りは、農業基本法というものは私は実現しないと思っている。だから非常に重大な問題です。そこで私は、実はこのことだけを言っているのではなくて、文部省というものは産業教育関係についてはいつも無視されてきている。工業関係、農業関係振興については実際には教育が先行しなければならないが、大てい無視されて、相談もされていない。農業基本法にははしなくも十九条に入っているんです。今まで無関係のままに文部省が無視されておって、勝手に十九条が入っておるならば、今からでもおそくないから、もっとはっきりとこの機会に堂々と農業教育振興予算をとるべきだ、私はこう思うのです。大臣の今言われているのは、少しぼくの考えとずれがあるんですが、おわかり願えますか。
  74. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 農業基本法は、日本の農業の置かれた宿命的な不利な条件から逸脱して、農業それ自体として一本立ちができるようにしたいものだという希望が盛られていると思いますが、その問題それ自体が所得倍増計画に刺激され、もしくは相関連して出てきた問題でもあるわけです。私が申し上げましたのは、むしろこういう農業基本法が提案されるに至った事情以前に、御指摘の通り、日本の農業というものはもっと近代化され、合理化さるべきであるということは予想されることでございますので、新しい教育課程におきましてもその角度から検討され、新教育課程も作り上げられていると承知しているわけであります。ですから農業基本法案考えられたからあわててどうだということでなく、もっとそれ以前の、一般に産業教育の中の農業関係教育がいかにあるべきかということからスタートして、それがたまたま農業基本法が出ましても第十九条との関連においても先行しておったから、ありがたかったくらいのことであろうと思います。のみならず工業高等学校を増設しよう、充実していこうといいますことも、科学技術教育の面から、その教育課程自体に農業について申し上げたのと同じ綱領が、これまた農業基本法提案の風潮以前から慎重に検討された結論として出てきているわけでございます。工業高等学校をたくさん作るということは、所得倍増との関連はむろんございますが、これとても所得倍増という政治課題を掲げたから、工業学校の増置ががぜん必要になってきたということだけでなしに、世界的な産業の動向からいたしましても、日本自体の将来の発展を念頭に置きまして、科学技術教育ないしは工業教育に身を入れていくべきことが、必然的な要請であるがゆえの理由もあるわけでございまして、それがたまたま所得倍増とも一致する。政治的に言えばその機会をとらえて、いわば今までに比べれば急激に工業高等学校を造成し、もしくは大学における科学技術教育面を増設するというチャンスに恵まれた意味は少しございますけれども、本質的にはそれ以前からの問題であり、かりに農業基本法が思うようにいかなかったと仮定いたしましても、続けていくべき課題であり、また所得倍増という政治目標がないといたしましても、続けていって一向差しつかえない、むしろもっと拡充していくべき課題としてとらえておると御理解いただいてよろしいかと思います。
  75. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それではもう終わりますが、今の文部大臣の御意見に不満なので、私一言意見を述べておきますから検討願いたいと思います。  この農業基本法の十九条が出た限りについては、私は農業高等学校をもっと充実して、そうしていわゆる農業近代化に耐え得る農業人を養成する、今の状態では絶対に不可能なのです。これははっきり断言できます。このままでは今大臣の言うように、これからの課題としてこれでいいのだ、農業基本法ができたからもうあわてたのでも何でもないとおっしゃいますけれども、私はそうではないと思う。検討願いたい。それから検討の方向は二三男でなくて現在は均分相続であって、だれかが農業経営者になって土地を引き受けてやる、だから長男ないし親の意思によって農業経営者になる者は、農業高等学校だけは義務的と、むしろ入れる。授業料を免除して、土地を有効に利用するというのは国家的公共性を帯びているのでありますから、農業高等学校に入学する生徒は土地を与えられる生徒であるということが前提である限りにおいては、授業料を免除する、そうして農業従事者というものはすべて農業高等学校卒業したものでなければ、このとうとい土地は使えないんだというくらいの画期的な農業教育についての施策が検討されるべきではないかということが一つ、それから県立の農業試験場と県立農業高等学校というのは別々にあるのです。教育機関と研究機関は不統一で、民衆に結びついていないのですから、教育機関と研究機関の一体化をはかるような施策を考えなければ、この農業基本法十九条の意味するところがないのではないか。最後に必要な施策を講ずるというような内容を頭に置かれればそういうことをされなければ、この内容を盛ったことにならないのであって、大臣のおっしゃることは私は不満足で少しも有意義に感じないのですから、その点弁解される必要はないので、未来に向かって文部大臣の識見をこの法案を活用して出していくように検討願いたい。いつかはこの国会中に具体的な方向をここでお答え願いたいと思いますから、その点も希望を申し上げておきます。
  76. 濱野清吾

    濱野委員長 山中君に伺いますが、農林大臣官房から審議官が来ておりますが、審議官でいいですか。
  77. 山中吾郎

    山中(吾)委員 審議官では困るのです。ほんとうは基本法作成の責任者として農林大臣教育についての何を聞きたいのですが、次の機会に呼んでもらいたい。  審議官に申し上げておきますが、今のことを伝言してもらいたい。大臣に農業基本法の十九条についての責任をお聞きしたいのですから、申し上げておきます。
  78. 濱野清吾

    濱野委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後零時二十六分散会      ――――◇―――――