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1961-04-06 第38回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月六日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員   委員長 坂田英一君    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       亀岡 高夫君    川村善八郎君       小枝 一雄君    田邉 國男君       舘林三喜男君    谷垣 專一君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中山 榮一君    野原 正勝君       福永 一臣君    藤田 義光君       本名  武君    松浦 東介君       森田重次郎君    八木 徹雄君       有馬 輝武君    片島  港君       川俣 清音君    北山 愛郎君       東海林 稔君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西村 関一君       藤原豊次郎君    山田 長司君       湯山  勇君    内海  清君       玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 周東 英雄君         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  吉國 一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         林野庁長官   山崎  齊君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      植杉 哲夫君         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君         参  考  人         (森林開発公団         理事長)    石坂  弘君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月六日  委員金子岩三君、倉成正君、足鹿覺君、北山愛  郎君、東海林稔君及び稲富稜人君辞任につき、  その補欠として亀岡高夫君川村善八郎君、川  俣清音君、藤原豊次郎君、有馬輝武君及び内海  清君が議長指名委員に選任された。 同日  委員亀岡高夫君川村善八郎君、有馬輝武君、  川俣清音君、藤原豊次郎君及び内海清辞任に  つき、その補欠として金子岩三君、倉成正君、  東海林稔君、足鹿覺君、北山愛郎君及び稻富稜  人君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第四五号)  公有林野等勧造林法を廃止する法律案内閣  提出第四六号)  派遣委員より報告聴取      ————◇—————
  2. 坂田英一

    ○坂田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出森林開発公団法の一部を改正する法律案及び公有林野等官行造林法を廃止する法律案一括議題として、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。湯山男君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 昨日に引き続いて残りの質問をいたしたいと思います。  まず伺いたいことは、今回の森林開発公団による水源林造林事業計画及び事業費資料として提出されております。それで見ますと、三十六年度には二万町歩事業費は十億ということですが、四十四年度までそれぞれ造林面積事業費が一応計上されております。これについては、三十六年度の分はすでに予算として出ておりますからいいとして、三十七年度以降についての事業費については根拠があるのでございましょうか。
  4. 山崎齊

    山崎政府委員 これにつきましては、この法律にも掲上されておりますように、公団資本金は十億円としまして、政府がその全額出資するということを考えまして、三十六年度はこれによってやれるということになるのであります。また、政府が必要あると認めるときは予算で定める金額範囲内で公団に追加して出資することもできるというふうな規定を設けておるのであります。こういう規定によりまして、一般会計から必要な資金出資するということを考えて参りたいと考える次第であります。
  5. 湯山勇

    湯山委員 それでは、三十七年度には、そこに掲上されておる十四億何がし、それから将来四十四年度には二十五億、こういう金額出資されるということになっておるのか、あるいは、その間のいろいろな操作等もあるわけですから、そこで、それらの中のどれだけを政府出資するということになっておるのか、それはどうなてっおりましょうか。
  6. 山崎齊

    山崎政府委員 法律から申し上げまして、予算で定める金額範囲内で公団に追加して出資するということになっておるわけでありまして、今後長い期間にわたりまして一般会計出資が明確に何ぼとかいうふうな点は、正式にきまっておるという性格のものでもないように思いますが、これの出資ということを林野庁としては考えて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  7. 湯山勇

    湯山委員 それでは、結局、一般会計との関連において、三十七年度以降はこれは単に希望といいますか、それにすぎないのであって、三十六年度はいいとしても、それに対する三十七年度以降についての明確な保証はないというように解釈していいのでありますか。
  8. 山崎齊

    山崎政府委員 予算制度等から申し上げますと、今後、三十六年度を抜きまして、七年度以降八年間に何ぼ出資するという点を明確にすることは、事実上非常に困難なわけであるのであります。二十三万二千町歩造林を九カ年でやろうという線は、大蔵省の当局とも話し合って出発しておる線でありますので、この点の必要な資金というものはまかなっていくことができるのじゃないだろうかと考えておる次第でございます。
  9. 湯山勇

    湯山委員 予算の建前から言って、長官の御答弁は御答弁としては納得できると思います。しかし、造林というような長期にわたるものは、すでにダム工事とかああいう総合開発等継続費ということが認められていることから考えてみれば、こういう、ことしはいいけれども、来年はどうかわからないという不安定な状態では、なかなかできないのじゃないかと思うのです。そこで、昨日は自治省との間にはああいう文書で了解事項の取りつけがあったということも明らかになったわけですけれども、こういう問題こそ、もしほんとうにやる気であれば、大蔵省とどの程度お話があったのか存じませんけれども、もっと明確にしておかないと、この事業に対する一般の不安、私ども自身も不安だし、長官にしても、毎年々々この問題について予算折衝をしなければならないというようなことだと、これは非常に不安定だと思いますが、そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
  10. 山崎齊

    山崎政府委員 お話通り、現在の予算制度という面からいたしますと、継続費というようなものを組むという制度を、大きい工事等については考えられておるのであります。私たちといたしましても、こういう事業につきまして継続費というような考え方をとりまして進めていくことは非常に望ましいと考えておるのでありまして、今後大蔵省とそういう点もあわせて十分に折衝して参りたいと考えておる次第でございます。
  11. 湯山勇

    湯山委員 それについてさらにお尋ねいたしたいことは、同じ資料の中で、従来やっておる官行造林の場合の一ヘクタール当たり事業費、その単価はどれくらいになっておりますか。
  12. 山崎齊

    山崎政府委員 これは、新植の経費と、それから二年度以降数年間引き続いてやらなければならない保育経費、それから、いわゆる保護と申しますか、防火線を作ったり、あるいは害虫駆除をやるという経費、大ざっぱに考えまして三つに分かれると思っておるのであります。従来の地域でありますと、新植が大体三万五千円、それから、保育が、二年目から数年間のものを入れまして、手入れ等に大体同額程度要るという形になっております。ただ、この場合には、御存じ通り事業費の中に、いわゆる人件・事務費というようなものが割り振られて先ほど申し上げました金額の中に入っておるという形ではないという状態でありますので、そういうものを抜きました純粋の事業費というふうにお考え願いたいと思います。
  13. 湯山勇

    湯山委員 そういう御説明だけではちょっと了解しにくいのは、従来の資料によりますと、三十四年度までは造林面積というものが明確になっております。それによると、三十三年度では、造林面積が一万四千何がしヘクタール対して事業費は約十二億、それから、三十四年度では、同じように一万五千ヘクタール強に対して事業費は十四億、三十五年度は、見込みですけれども、大体一万六千ヘクタールに対して十六億。この造林面積からいきますと、単価は大体十万くらいについているということなのです。それに対して、今度の場合の単価は五万、大体半分くらいにしかなっていないわけです。この経費がどうも今の御説明ではわかりかねますので、この辺大へん心配な点でもあるし、十万と五万とでは大へんな違いですから、この点を明確にしていただきたい。
  14. 山崎齊

    山崎政府委員 お手元に配付しました資料は、新値面積官行造林費として支出します経費全額を載せてあるわけでありまして、数年前から植えましたものの保育等に対する手入れ金等も全部官行造林費には入っておるというわけであります。たとえば防火線を作る、あるいは歩道を作るとか間伐等を行ないます場合の調査費、こういうふうなものまでこの官行造林費という中に全部含まれているという形になっておりますので、お説の通り、一町歩当たり十万というような、新植だけからの面積からいけばそういう計算になるわけでありますが、内容的に申し上げますと、先ほど御説明したような単価内訳のもとに積算されておるという経過でありますので、その内容予算書等でこまかく資料として提出いたしたいというふうに考えております。
  15. 湯山勇

    湯山委員 造林面積というのはちゃんと年次別に何年度は幾ら造林したということが明瞭に出ているわけです。従って、その造林面積に対する事業費ということでなければ合わないと思うのです。何年も前にやったものを対象に入れるとすれば、造林面積が変わってこなければならないわけだし、ただ、三十五年度の造林面積は約一万六千ヘクタール、それに対する事業費はどれだけ、三十四年度の造林面積はこれだけ、それに対する事業費はこれだけと、ちゃんと資料に出ておるわけなのです。そうすると、前年度の分、あるいは数年前の分に今の保育費も含める  とすれば、それもまたこの面積にかぶってこなければ合わないわけです。この辺は、資料があいまいなのか、あるいは何かもっと別な要素が加わっておるのか、どうも今の御説明だけでは了解しかねますし、予算書を見ましてもそういう点が明瞭になる資料はないわけなので、お尋ねしておるわけです。
  16. 山崎齊

    山崎政府委員 お説の通り資料として載せました三十四年度一万五千ヘクタールですが、それはその年のいわゆる新植面積というふうに御了承をお願いしたいと思うのであります。そのほかに、その面積の数倍に達する手入れ面積事業費の中には含まれており、それから、間伐、主伐等に伴う調査費、簡単な歩道を作るような経費とかいうものが官行造林費の中には含まれておるのでありますが、林野庁大蔵省等予算を詳細に打ち合わせました内容におきましては、その内容的な区分ができておるわけであります。その点を資料として提出するようにいたしたいと考えております。
  17. 湯山勇

    湯山委員 その点は資料として御提出願いますが、いただいておる資料では、官行造林面積年次別幾らということと、その累計と、それから官行造林費支出実績の調べと、そういうものしか出ていないわけですから、そういう点が明瞭にならなければ、はたして二万町歩水源造林が十億の費用でできるかどうかということについての見通しが立たないわけです。それから、そのことと関連して、今のようにそれに伴ういろいろな経費が要るという点と、かりに公団の方で造林をやっていくとしても、やはりそういうものは同じようなことをやっていくわけで、官行造林の場合に要った経費は今度公団がやるから要らなくなる、そういう性質のものではないと思うのです。その辺にどうもわかりにくい点が多いので、もしこのままでいくと、事業費が少ないためにやりやすいところだけやっていくというような傾向が、公団がやっていく場合の水源造林では出てくるのではないかという心配がありますので、今の点を聞いておるわけです
  18. 山崎齊

    山崎政府委員 現在の資料がありますので、それについて御説明申し上げたいと存じます。  三十五年度につきましては、新値が一万六千ヘクタールになっておると思います。この新植一万六千ヘクタールに対しまする事業費は、小さいところを省略いたしまして五億九千七百万円、それから、前年度植えましたところの補植面積が一万五千六百十五ヘクタール、この経費が七千二百万円、それから、保育といたしまして、下刈りつる切り、除伐、枝打ち、その他の保育事業がありますが、この面積を合計いたしまして十万五千三百八十九ヘクタール、金額にいたしまして五億二千九百万円、それから、簡単な歩道と申しますか、そういうふうなものが、新設が三十キロ、修理が三百九十四キロメートル、これの経費が七千二百万円、それから、害虫駆除その他いろいろなものを含めました保護経費が九千二百万円、それから、立木調査経費間伐とか主伐等に伴う調査費というものが要るわけでありまして、この調査の数量が百三十二万五千立方メートル、調査経費が三千二百万円、それから、施業計画等を編成いたします面積が七万ヘクタールで、その経費が千二百万円、契約等事務に要します経費が二千五百万円、その他事業のいろいろな簡易な施設を必要といたしますので、その経費が三千二百万円、いわゆる雑費というようなものが共通として要るわけでありますが、これが一億三千万円、それから、いわゆる労務者退職手当というようなものも要りますので、これが約三千万円、これらを合計いたしまして十六億二千万円ということに三十五年度は相なっておるのであります。
  19. 湯山勇

    湯山委員 その十六億二千万円の内訳はわかりました。しかし、今お聞きしてみますと、立木調査だとか、あるいはそのほか官行造林であるために特別に要る費用、これは山林行政の立場から要るものもあることを認めますし、退職金等の問題もこれは確かに必要だということはわかります。しかし、その他の費用については、公団がやろうが国がやろうが、やはり要ることには間違いのない経費が、今お示しになったものの大部分であると思うわけです。そうすると、こんなに単価が違ってくるというのはどうも了解ができないので、三十七年度には三十六年度に植えたものの補植もしなければならないし、あるいは病虫害の駆除もやらなければならないし、そういうものは、たとい官行造林であろうと、公団がやることになろうと、同じじゃないかということを考えますと、どうも単価の開きというものが了解できかねるわけです。官行造林の場合は十六億二千四百九十二万八千円とこまかく数字が出ておりますが、今度の場合は事業費がぽっきり十億というようなことですから、ずいぶん腰だめだとは思いますけれども、とにかく、植えるためには道路のこともやらなければならないだろうし、いろいろしなければならないことがたくさんあるわけなので、一体この単価は今までの官行造林の場合と諸経費合わせて一致しておるのかどうか、その辺はどうなんでしょう。
  20. 山崎齊

    山崎政府委員 三十六年度におきましては、この三十六年度に新植をするわけでありまして、過去の年度に植えましたものの手入れ等はないわけでありますので、二万町歩を新しく植えるということの経費だけが計上されております。三十七年度には、二万二千町歩を新たに植えるという経費のほかに、三十六年度に植えました二万町歩手入れをするという経費が加わるというふうになって参るわけでありまして、先ほど申し上げました官行造林の三十五年度の予算と比較いたしますと、三十六年度といたしましては、立木調査経費とか、補植とか保育経費とか、そういうものはこの公団の方の造林事業には計上する必要がないわけであります。そこに一町歩当たり平均単価の大きい差が出てきているわけであります。三十六年度の事業経費といたしましては、先ほど申し上げましたように、官行造林におきましては、一万六千町歩を新たに植えまして、五億九千七百万円の経費が要る、一町歩当たり植付に約三万七千三百円程度経費を計上いたしておるわけでありますが、公団がこの事業を行なうという場合の考え方といたしましては、一町歩当たり単価を四万八百八十三円というふうに考えておるのであります。従来よりも場所がやはり奥地に入るわけで、苗木運搬費がよけいかかるとか、いろいろな点を計算いたしまして、そういうふうな単価を積算しておるという形に相なっておるのであります。
  21. 湯山勇

    湯山委員 大体一町歩の新値について延べ何人必要だというふうに見ておられますか。
  22. 山崎齊

    山崎政府委員 これはもちろん全国平均という形で考えておるわけでありますが、地ごしらえにつきましては一町歩当たり五十一人、苗木の仮植につきましては二人、植付には二十人というふうなものを計上いたしております。
  23. 湯山勇

    湯山委員 今の点、従来の官行造林の場合と今度の公団の場合とは、対象も相当違ってくるし、その扱い方も違ってくると思いますので、その点明瞭な資料を御提出願いたいと思います。今の御説明ではまだどうもわかりにくい点が多いように思いますから、両方対照した資料を、延べ人員幾ら、一方では幾ら、その作業内容はどう、それからその単価はどうという、その積算の基礎が明瞭になるような資料を御提示願いたいと思います。というのは、請負の場合と直営の場合とではやはり作業内容についての不安があるということは昨日も参考人の意見の中にも出ておりましたので、そういうことがはたしてあるかどうかということは、今の資料によって見なければ判断がつきかねますから、一つそういう資料を早く御提出願いたいと思います。
  24. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど申し上げましたように、公団事業をやる場合の内容考えておりますが、そういうものと既往の官行造林というものとどういうように変わってきたか、その内容をできるだけ早く資料として提出したいと思います。
  25. 湯山勇

    湯山委員 その点は資料をいただいて検討さしていただくことにしまして、次に、今のように、相当予算は窮屈で、三十七年度以降については相当綿密に千円のところまで出ておりますけれども、三十六年度いよいよ実施するという段階予算は十億というきわめて腰だめ予算になっております。むしろこれは資料が逆になっておるので、三十七年度以降についてはある程度腰だめであることもやむを得ないと思いますけれども、三十六年度は厳密な数字が出ることの方があり方としては望ましいと思うわけです。しかし、これは予算ですから仕方がありません。そこで、かなり窮屈な予算でやっていくということになれば、水源林といいながらも、採算に合うような、なるべく造林経費がかさまないようなところを手をつけていって、単価のかさむところ、経費のたくさん要るところはだんだんあとへ繰り延べられていくのじゃないかという心配が多分にあるわけです。こういう点については、従来の市町村有林優先という原則もこわれておりますわけですから、これは確かに参考人の言うようにその点の心配はあると思うわけで、それらの点についてはどのようにお考えでしょうか。
  26. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど御説明申し上げましたが、従来の官行造林等におきましても、新値だけについて考えてみますと、三万七千円程度単価考えておったのであります。公団の場合におきましては四万八百円の単価考えておるわけであります。造林費の実体という面から申し上げますと、必ずしも官行造林でやる場合よりも経費的に切り詰められておるというふうにも考えておらないのでありまして、実情に合うような線で組まれていると考えておるのであります。それで、便利なところを先やって不便なところは要望があっても受け付けぬといいますか、やらないのじゃないかと言われますが、そういうふうなことは考えておらないのでありまして、二十三万町歩というものを九カ年間にやるわけでありますし、これが水源林地帯という区域の中にそれぞれあるわけでありますので、そういうふうな経済的と申しますか、そういう見地にばかり立った運営をするというふうにはさらに考えておらないようなわけでございます。それぞれ町村等要望を十分に組み入れましてやって参りたいというふうに考えておるのであります。
  27. 湯山勇

    湯山委員 もし長官がただいまのような御認識でおられるとするならば、私は大へん大きな問題であると思うわけです。というのは、今度の公団がやる造林の場合は、客観条件が悪くなっておる。その方でどれくらい費用が多くなるかは別として、それ以外に、今単価を三万七千円を四万八百円と見たというのですから、これは大体一〇%程度の増にしかなっておりません。ところが、御存じのように、賃金一般的に大体そのくらい上がっておると思います。ことに、山林労務者はだんだん少なくなっている実情です。それから輸送賃も上がっております。そうして、それを運ぶガソリン税が上がってくるのですから、これも今までと同じに見ておったのでは大へんな間違いです。こういうことを考えてみますと、この際単価を一〇%上げたということは、実質的にちっともこれで経費を多く見たということにはなっていない。値上がり分を補うことさえも困難な状態である。それへもっていって、今のように小さいところまで見ていくということになってくると、条件が悪くなって、物価値上がりということをもとにして考えてみると、実際に単価は上がっていない、そして植林条件が悪くなっている、こういうふうな見方が経済全体の情勢から見て正しいと私は思うのです。そうすると、よけいにとるのだからそういうことはないという御認識は、私は甘過ぎるのではないかと感じますし、そういう前提に立てば、とうてい今長官の言われたような楽観はできないと考えるのでお聞きしておるのですから、今の御見解はちょっといた、だきかねますので、もう一回御答弁願いたいと思います。
  28. 山崎齊

    山崎政府委員 御存じ通り、三十六年度の予算を編成いたします段階におきまして、物価値上がり等をどの程度見ていくのか、あるいは賃金の向上その他をどの程度見ていくのかというような点は、もちろん非常な問題点であるわけであります。こういう、お説のような物価とか賃金その他の値上がりというものがどの程度上がるのかということを前提といたしまして三十六年度の予算というものが国有林におきましても一般官行造林に関係する予算等におきましても現実には組まれてないというところに、予算というものの問題点があるわけでありますが、われわれといたしましては、予算編成段階におきまして、従来の官行造林考えてやって参りましたものよりもやはり先ほど申し上げましたような地理的な不便なところにも入るというふうな点を考慮して単価というものに臨んだわけでありまして、その点は御了承願いたいと思うのであります。
  29. 湯山勇

    湯山委員 長官の御答弁は、今のように不便なところが入る、不便なところの造林をやらなければならないということで、物価値上がりというのを見ないで、運賃その他の値上がりということを見ないで、どうしても不便な地域植林するということだけで一〇%は必要だ、一割は必要だというのでこれを見込まれたわけで、そこまでの過程過程です。ところが、その後の条件は、今の運賃その他の値上がりで、長官考えておられたような状態でなくなったということは、これは認めなければならないと思うわけです。そうすると、当然不便なところの植林ということで見た一〇%が飛んでしまうわけです。そうすると、そういう条件予算の上からは消えてしまっている、こういうことになるわけで、意図したような植林がこれじゃできない、単価を切り下げない限り、無理をしない限り、予期したような植林ができないという結論に当然なるわけですね。それを何でカバーするのか、無理をするのか、結局、下請けに出して、そうして請負を押えていくというようにするのか、あるいは別途にこれへお金を出すか、そうする以外に予期したような植林はできないということになるわけですが、そうなんでしょう。
  30. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど御説明いたしました通り予算成立の過程であるわけでありまして、自後におきます物価あるいは賃金等値上がりという問題がもちろんある程度あるわけでありましてそれに伴いまして、この予算がこうきまっておるからこの単価で何としても、極端に言えば押しつけてやってもらわねばいかぬというふうなことでは、特に自然物を対象といたしましてやる仕事であるわけでありますし、そういういき方はきわめて不適当で、とるべき方策ではないというふうに私たちも考えております。やはり現実に即したものでやっていかなければ、逆にその植林の成績が悪くなるということにもなってくるわけでありますので、それぞれの現地の実情に適合するように単価等も十分考えていかなければならぬというように考えておるのであります。従いまして、この全体の考えておる事業費は足らないのじゃないかという問題になってくるわけであります。そういう事態におきましては、たとえばこの造林計画にある程度の修正を加えなければならぬのか、あるいは、国全体の立場でありますが、予算等を全体として賃金物価等の線によって直していくのかというような点をわれわれとしても考えていかなければいかぬというふうに思っておる次第であります。
  31. 湯山勇

    湯山委員 その点についてのもっと具体的な長官考えですが、どうしていこうという具体的なお考えがおありになるのでしょうか。
  32. 山崎齊

    山崎政府委員 予算等が修正されると申しますか、新しい物価賃金その他を前提として予算等が直されるというふうな段階になりますかどうか、そういう点は私たちとしても今直ちに予測することはできないのでありますが、この事業というものを、与えられた、きまりました事業費というものを前提にして、造林成績等に悪影響を及ぼさないように、また最も現実に即するような単価をもって事業をどうしてもやっていくという考え方に立っていかなければいかぬと考えておる次第であります。
  33. 湯山勇

    湯山委員 今の長官の御決意から言えば、事業はぜひこの通りやりたい、これはごもっともだと思います。ところが、今のような経済事情の変化によって、単価を引き下げていくか、あるいは予算の補正をするか修正をするか、それ以外に今のところ方法はない。こういうことであれば、予算の修正ができないというような事態が参った場合には、やはり単価を切り下げる以外に道はない。予算の補正もできないし、単価の切り下げもできない、そして造林面積は計画通りやりたいということになれば、結局、単価の安い、つまり無理のいかない造林だけをとりあえずやっていく、そうすれば、計画通りできて、しかも予算もこれで間に合っているということになる、そういう危険性があるということは長官もお認めにならなければならないと思うのですが、どうでしょう。
  34. 山崎齊

    山崎政府委員 現実の場、場というものに即応いたしました単価というものはやはり考えていかなければならぬわけでありまして、それによりまして無理に安い単価でやらすというふうなことはやりたくないというふうに考えておるわけであります。予算の補正等の機会がなければ、この造林の二万町歩というものをやろうという計画自体を再検討しなければいかぬということになってくるのじゃないかというふうに現在は考えておるのであります。
  35. 湯山勇

    湯山委員 今のように事態が非常にむずかしい情勢にあるときに、今まで練達しておる人をかかえた官行造林を今度新しい公団にやらせるということについては、今のような長官の意思もなかなか徹底しにくいと思うのです。長官の意図がどうあったにしても、その意図がその通り今度は公団によく徹底するかどうかということにも問題があると思います。そういうことから考えても、こういうふうに経済のかなり動いている、そして所得倍増のこともあるでしょうし、その他基本法の問題もありますし、そういうときに、あえてこれを切りかえなければならないという必要は私はないと思いますし、むしろ逆に、この際はやはり従来の経験を生かして官行造林を続けていって、そういうことの心配がなくなった段階でそういうことを再検討するということがいいのじゃないか。そうでないと、やはり市町村有林があと回しになって、そうして大きな私有林が先に取り上げられていく。理由はどんなにでもつくと思うのです。契約がなかなかうまくまとまらないとか、話し合いがつかないからあと回しになるとか、いろいろなことであと回しになっていく心配があるわけで、それについて、水源林というようなことである程度規制はできるのじゃないかというようなことも言っておられましたが、水源林というのは、どこを選んでもほとんど水源林ということになるのじゃないかと思うのです。海岸の防風林とかそういうものは別として、ぼとんどの山が水源林ということになるわけですから、そういうことに対する市町村の不安、心配はかなり大きい。このことは長官もおわかりだろうと思います。これらについて、具体的にどういうところを優先的にやっていくということについてお考えがあれば伺いたいと思います。
  36. 山崎齊

    山崎政府委員 第一点のお話でございますが、私たちといたしましては、この単価その他をもとといたしまして分収造林契約を公団が結ぶわけでありますので、この単価等の点は、公団等にも十分徹底いたしまして、それぞれ現地の町村等と、賃金がどれくらいの水準にあるのか、苗木の代がその地方で何ぼであるのかというふうな点を話し合いまして、先ほどお話のありましたような無理な単価でいたずらに予定の造林面積を何としても確保しなければならぬというふうな考え方に立たないで、現実に即応するような単価造林成績が十分に確保されるということを第一義として指導もして参り、また、林野庁等におきましてもその点を十分監督するという方向で進んで参りたいと思っておるのであります。  次に、いわゆる水源地帯の問題であります。一例について申し上げますと、安倍川等の流域を対象として検討いたしたのでありますが、この安倍川の状態を見てみますと、大ざっぱに言いまして、中流程度の地点までは河川の勾配が三%以上だというふうな状態であるのであります。それから下流は、河川勾配が一%か一%弱だというふうに相なっておるのであります。私たちといたしましては、この河川勾配が変わるという地点をもとといたしまして、それより上流地帯にあるものはいわゆる水源地帯というふうに考えまして、大きく林野庁が水源地として考えるべき地域を指定するという形をとって参りたいというふうに考えておるのであります。なお、公団が具体的に造林契約をいたします段階におきましては、それぞれの契約地がそういう地域に入っているかどうかというような点も十分にそれぞれチェックする、——チェックすると申しますか、承認を得なければならぬというふうな形にいたしまして、その点の徹底をはかって参りたいと考えておるのであります。それから、そういう地帯におきまして大きな私有林の所有者を優先するというふうなことは、もちろんこの趣旨からはさらに考えていないわけでありまして、二十三万町歩というものが、町村有林、部落有林、私有林というふうにそれぞれ大きく面積的にも分かれておるわけでありますので、私たちといたしましても、契約あるいは造林に対する市町村等要望がありますれば、やはりそういう所有者が公共団体であるとかあるいは部落民であるとかいうふうなものを重点的に考えて、その造林費が高いとか安いとかいうことでなしに、やはりやっていかなければいかぬと考えておる次第であります。
  37. 湯山勇

    湯山委員 今申し上げましたような点は、実際は単価の上がることによって計画面積が実施できないのじゃないか、そういう場合もあり得る。そうすると、どこを減すかという場合に、大きなワクがきまっておりましても、その中で特に困難なところ、単価の高いところが除かれていくというような心配はやはりあると思います。そういう町村の心配に対して、いろいろ御説明もなさるし、御説得もなさると思いますけれども、なかなかこの説明や説得が徹底しないということは、これは長官きのうもよくおわかりの通り、町村長会長がやはりああいう大きな誤解をしておるわけです。賛成だと言いながら、ああいう誤解の上に立った賛成で、もしああいうことだったら大へんなことになりますから、やはり、こういう点は非常に明確に、絶対そういうことの心配はないというような、これこそ覚書か何かのようなものが必要じゃないかというように思います。この点に関しては、長官のおっしゃったことを私は了承できると思いますので、御答弁は、あればしていただくし、なければけっこうです。
  38. 山崎齊

    山崎政府委員 その点、お説の通りでありまして、林野庁といたしましては、公団にはもちろん、民有林全体の造林その他の指導に当たっております県、必要でありますならば市町村というふうなものを対象にいたしまして、明確な厳密な指導方針と申しますか、通達というふうなものを出しまして、その辺の心配のないようにぜひとも私たちもやっていきたいというふうに考えております。
  39. 湯山勇

    湯山委員 最後にお尋ねしたい問題は、こういう重要な機構の改革を伴うし、それから事業内容変更、こういうものを伴うことについて労働組合と協議する必要は長官はないとお考えになっておられますか。あるいはまた、こういうものは協議する必要があるというふうにお考えになっておられますか。こうお尋ねするのは、この官行造林を廃止して、そうして公団にやらしていく、そういうことがほんとうにいいものならば、全林野の労働組合が反対するはずはないと思うのです。山を愛する、樹木を愛する、山林を愛するという点においては、全林野の組合の人たちは長官に決して劣っていないと思います。そういう観点に立てば、ほんとうにそういうことの理解ができたならば、私は、組合が反対するというようなことはあり得ないことだし、むしろ組合自体が末端の町村に行って、こうこうだから、いいのだから一つ協力してやってもらいたい、こういうことをやるはずだと思います。ところが、昨日も参考人が述べられたように、このことについては、実際に山林を愛するという観点からも、あるいは山林行政全般の面からも、あるいは山林の人たちの生活の上からも、あるいはみずからの生活、そういうものを守る上からも非常に問題が多いということで、これは法律でどうこうという問題でなくて、こういうことを進めていくためには、十分あなたの一番近い組合と、それは確かに対立もしますけれども、場合によってはやはり一番近い組合と十分な話し合いをして、その了解の上で、あるいはいろいろ協議、納得の上でこれを進めていく、こういうことが私は必要じゃないかと思いますが、こういう点について長官はどうお考えなんでしょうか。
  40. 山崎齊

    山崎政府委員 こういう問題につきまして、考え方等につきまして大きい事業方針というようなものは年度当初に毎年説明等もいたすことにしておりますが、この制度等が変わりまして労働条件に変更があるという問題になりますと、それは、その労働条件をどうするとかいうようないろいろな問題につきましては組合と団体交渉等で協議をするという建前になっておるのであります。総体的に考えまして、こういう変革によって雇用関係がどういうふうになるだろう、林野庁といたしまして職員あるいは労務者等にどういうふうな変化があるであろうか、解雇するとかあるいは国有林に転用して働いていただくというような問題につきましては、林野庁の関係者から組合にもお話し申し上げるという経緯になっておるのであります。これが、団体交渉というふうな形におきまして、全体として組合と折衝と申しますか、そういう形をとっていかなければならぬということにはならないように考えておるのであります。
  41. 湯山勇

    湯山委員 今までおやりになりましたでしょうか。長官は、ただ雇用関係だとかあるいは労働条件が変わるとか、そういうときだけ必要があるということでありましたけれども、その根本になる点は、官行造林の廃止ということが前提なのです。まずその前提になることの話し合いが十分になされて、その上に立って、それによって起こってくる勤務条件とかあるいは賃金とか、そういうものの話し合いにいくのが私は常道だと思います。それを、単に機械的に、首切りがなければいいじゃないかとか、あるいは配置転換がなければ、事業場の閉鎖がなければいいじゃないかというようなことでは、私はほんとうの意味の労使間の問題の解決にならないと思うのですが、その点どうお考えでしょうか。
  42. 山崎齊

    山崎政府委員 この事業の計画等につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる団体交渉というような形でなしに、事務当局から組合にも二回程度説明もいたしたというふうな経過もとっておるのであります。正式に団体交渉で協議すべきものといたしましては、先ほど申しましたように、労働条件ということについての問題をやっていくという形に相なるように思うのでありまして、こういう場合のいわゆる計画等の説明というふうなものは、今後とも十分やって参りたいというふうに考えております。
  43. 湯山勇

    湯山委員 よくわからないのは、つまり、首切りをするとか事業場閉鎖をするとか、それは団体交渉でやる、しかし、その根底になるこういう制度の変更については、これは極端に言えばもう組合には何も言わせない、ただ、了解するかしないかわからないけれども、団体交渉じゃなくて説明だけはする、こういう御意図なんですか。たとえば今の事業場が変わるとか、あるいは雇用条件が変わるとか、そういったことの根底になるこういう大きな変革そのものについては、もう組合には何も言わす必要はないのだというふうにお考えになっておられるのですか。その点がどうもはっきりしないので……。
  44. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほどお話し申し上げました通り、組合にもこの計画というものの全貌は説明をいたしておるわけでありますが、その段階におきましても、必ずしも両者の意見がぴったり一致するわというわけにも参らぬ場合もあるわけでありまして、この点は御了承願いたいと思います。
  45. 湯山勇

    湯山委員 どうもその問題については非常に長官の御答弁は誠意を欠いているような気がします。私がお尋ねしておるのは、規則とか法律とかいうことを離れて、実際に組合の人たちが反対しておるのは、山をつぶそうとか、山を荒そうとかいう気持でないことは、これは長官もおわかりだと思うのですが、その点はどうですか。
  46. 山崎齊

    山崎政府委員 国有林の仕事あるいは山の仕事というものを対象にいたしまして、これで長い一生とにかくもとにして暮らしていくという立場の人がそれぞれあるわけでありまして、そういうお話のような点につきまして、一般職員、特に私たちと組合の方々とはまるで考え方が違うというふうにはさらに考えていないのであります。
  47. 湯山勇

    湯山委員 そういう基本的な考え方の合っている人たちと基本的な点についての了解を得るということが団体交渉の前提になる、こう私は思うわけです。そうでないから、そういう一番よく理解される人たちとの話し合いがあと回しになって、なかなか理解しない町村長会の会長のような者と何か妙な話をする。——何回お話しになったのか存じませんけれども。そして、どんな受け取り方をしているかというと、きのうのように、栽植のときも公団が全部やってくれるのだ、あれで全国の町村会にその通り全部言われたらどうなさいますか。こういう問題を長官は単に労働対策というような形でお考えになったら大へんな誤りです。組合の人たちは、今だって山を歩いているし、盗伐の監視もしているし、ほとんど一生山にささげている人、こういう人たちが、この官行造林の廃止というのは困る、これでは工合が悪いのじゃないかということを言っておるのですから、それじゃどうしたらいいかということは、そういう町村長会長に何か妙なことを言うて理解を与えることより、もっと先に、とにかく、あなたと同じ仕事をしている人たち、この人たちに理解させる、これが大事じゃないですか。その上で、起こってくる人事の問題とか勤務条件、そういう問題はまた別個に、これこそほんとうに団体交渉でやったらいいことなんです。その根本になることを抜きにして進めるところに大きな間違いがある。基本的に一致するものを持っていながら、そのものを抜きにして、反対したってそれは仕方がない、一致しない場合もあるのだという、まことに一般論で事を片づけていくところに私は大きな問題があると思うのですが、その点どうお考えでしょうか。
  48. 山崎齊

    山崎政府委員 お話の趣旨につきましては、私たちももちろんよくわかると申しますか賛成であるのでありまして、十分に組合等とこの計画の趣旨とするところ、計画の全貌等を話し合いまして、組合も十分納得していただきまして、その上で物事が運ばれていくということがまことに適切だということは異論のないところであるのであります。今お話のありました町村長会でありますとかそういうところに対しまして私たちがいろいろ説明する前の段階におきまして、組合とも先ほど申し上げましたように話し合いをしておるわけでありまして、その点、先生のお話のように、十ぺんでも二十ぺんでもやってというところは、それほどの回数を重ねる努力をしなかったということは私たちもはなはだ不十分の点があったのじゃないかというふうには反省いたしておるわけであります。今後におきましてもお説のような趣旨に従いましてやって参りたいというように考えておる次第であります。
  49. 湯山勇

    湯山委員 いろいろまだお尋ねしたいこともありますけれども、一応これで終わることにいたしますが、特に今の問題は、長官最後に誠意をもって話し合われるということですから、それに大きい期待をかけまして、ぜひ今おっしゃったような趣旨で今後も進んでいただきたいと思います。これで終わります。
  50. 坂田英一

    ○坂田委員長 次は片島港君。
  51. 片島港

    ○片島委員 最初にお尋ねしたいのでありますが、ただ林野庁予算だけで見ましても、予算の増減、特に定員の増減が明確になっておらぬのでありますが、新しく年間の伐採量が非常にふえておる、また立木の処分業務が膨大になるといったような、いろいろ事務量の増加というのが項目別にあるわけで、それとまた、いわゆる非常勤要員を定員の中に組み入れたものも相当数あるわけであります。しかしまた事務の減に伴う減員も当然あるわけです。官行造林あたりを見れば、その分は何らかの形で、賃金の項で落ちますか、定員の項で落ちますか、とにかく金額で落ちるか定員で落ちるかで落ちて、差引何千人の増、こういうことが出ておるのでありますが、その事項別の増及び組みかえによる増、また事務事業減による減というものを項目別に御説明ができますならば伺いたい。    〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
  52. 山崎齊

    山崎政府委員 三十六年度の予算におきまして、国有林事業特別会計の定員は、常勤作業員から三千九百八十九名、常用の、林野庁の就業規則三十七条適用者と言っておりますが、それから六千七百四十五名を定員に繰り入れておるのであります。従いまして、常勤作業員はそれだけ減少する、三十七条適用者の常用もこれだけ減員するということに相なるのであります。それから、従来官行造林に従事しておりました定員内職員、それから、三十五年度におきましては今申し上げました常勤労務者作業員というものもおるわけでありまして、両者を合わせて五百八名おるのであります。この五百八名は、先ほどお話のありましたように、新しく植えるという仕事は減少するわけでありますが、逆に売り払いの数量がふえるというようなことにも関連いたす関係から、この五百八名の定員を従来の国有林事業全体の定員の中から減ずるという措置は講じてないのでありまして、この五百八名は従来と同様に国有林事業の定員にそのまま加わっておるという形になっておりますので、その点をお含み置き願いたいと思います。
  53. 片島港

    ○片島委員 大蔵省はおいでになっておりますか。——あなたの方では、官行造林廃止に伴う人員の点について、それを減員しないで、ほかに仕事がふえるのだから、これをそのままそちらに回すというような、そういうどんぶり勘定的な計算で定員の増減を認めておりますか。事業量がふえた場合にはそれを計算して事業量に即応する増員というものを考え、それと当然減員のものと差し引くということで合計が出てきますけれども、ほかの方の仕事で使いますからもう減らさないでそのままでいいというような計算を認めておりますか。
  54. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 こういった事業会計の定員につきましては、定員の予定数の見込み方にはいろいろ方式がございます。ただいま片島委員の御指摘のように、各事業の種類ごとに定員を把握していくという形が一番正確で望ましいと私どもも考えておりますが、実を申しますと、国有林事業等につきましては、そういった事項別あるいは事業別の定員の把握というようなことは予算のときにはやっておらないわけでございます。全体の事業とにらみまして定員の適否を見るというような形で予算の編成が行なわれております。これは、御承知のように、国有林事業におきましては実行上相当の異動がございます。そういった点もございますので、少し大きく全体で見込んでおる、こういった形になっております。
  55. 片島港

    ○片島委員 異動があるのは当然ですが、それでは今度どうしても仕事がふえたから人員をふやさなければならぬというような場合に、どういうような算定をやるのですか。たとえば、伐採をするためにどれだけの人間がふえてくる、あるいは新植をするためにどれだけの人員がふえる、減った場合にはこれだけ人員を減らすという、減らすときとふやすときはどうしても何か算定の根拠が要るでしょう。今みたいに、差引でお互い手をたたこうじゃないか、博労がやるようにこれでいいじゃないかというような差引計算で話し合いをつけようというのですか。この場合、あなたのおっしゃったように、これだけの五百八人くらいは何とかこちらで消化しましょう、よろしゅうございますということだと、それでは、仕事がふえたという場合には、また全体としてふえたのですから、ああそうですかということで、全体で三百人なら三百人ふやすのですか。これは国家公務員ですが、それを算定する場合に、事業量というものによってどれだけの人員が、手間が要るんだというそろばんをとらないままで林野庁の場合はやっておるのですか。
  56. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほどの官行造林の五百八名が現在三十五年度にはおるわけでありますが、それは、内訳を申し上げますと、契約関係の事務に二十四名、管理等の事務に百八名、新植関係に八十三名、保育に百七十名、収穫業務に百二十三名というふうになっておるのであります。これが、三十六年度におきましては、契約関係がなくなるわけでありますので、これが零になるわけであります。管理関係も面積の減少等によりまして減少いたしまして、百八名が九十五名になるということに相なるのであります。それから、新植の八十三名はもちろん零になるわけであります。保育の百七十名は、三十五年度におきます造林面積が一万六千というふうな数字に達しておりますので、三十六年度におきましては従来の百七十名よりもふえまして百七十五名に相なる。それから、収穫は、数量が非常にふえる関係で、これが二百三十八名に増加する。従いまして、官行造林といたしましても、三十六年度も五百八名の人数が要るという考え方に立っておるのであります。
  57. 片島港

    ○片島委員 やはりそうだろうと思いました。おそらく、ただこれだけはどこか私の方で使いますからということではいかぬと思うのですが、それは、しかし、今長官が御説明になったように、五百八名をちょうど合わして、うまく当てはめて、計算が合うように持っていかれたとしか考えられないのです。ちょうど官行造林が減った分とあなたの仕事がふえる分とがぴったりと、一、二名も違わないで計算が合うということは珍しいケースであります。しかし、そういうように計算を合わせられたというのならば、これは私たち何をか言わんやでありますけれども、こういうような形は、ちょうど労働組合あたりが、首にするのではないかとかいろいろ問題にするものだから、それに合わしてそういうようなそろばんをとった、こういうことにしか考えられないのでありますが、あなたの方のこれだけの要員というものは、そのまま職務転換などはできるのでありますか。今までやっておった仕事からだれでもかわれるような職務内容でありますか。
  58. 山崎齊

    山崎政府委員 御存じのように、ちょうど営林署のやっております仕事から申し上げましても、それぞれ植え付けることだけの専門家だというふうなわけではないのでありまして、造林の担当者にいたしましても、植付の方もやり、苗畑の方もやり、手入れの方の仕事も分担する、あるいはまた、収穫調査の仕事も繁閑に応じてそれぞれ人を配分してやるというふうな仕事をやってきておるわけであります。これらの人々のそれぞれに適応するようにいたしまして配置転換というものができるというふうに考えております。
  59. 片島港

    ○片島委員 今まで伐採の方をやらなかった者を大量に伐採の方に回すというようなことは、実際上なかなか無理があるのじゃないかと思います。そういうふうな無理がいかないようにされるというのなら、これはまた組合の方でも問題にはしないことだろうと思います。私は、配置転換の場合に相当混乱が来るのじゃないかというふうに感じましたので、一応お尋ねをしたわけであります。  次にお尋ねしておきますが、これは四月一日から実施ということに予定をされておったのでありますが、もし四月一日にこれが通過をしておるといえば、もう四月一日から直ちに公団の方に切りかえて、予定された二十三万ヘクタールというものを一年間に全部完了しよう、こういう予定でございましたか。
  60. 山崎齊

    山崎政府委員 二十三万二千町歩は三十六年度から四十四年度までの間に植付をやりたいというふうに考えておるのでありまして、三十六年度は二万町歩は予定といたしてはやりたいというふうに考えておったのであります。
  61. 片島港

    ○片島委員 そういたしますと、この二万町歩についても、——二十三万町歩全部についてはまだこれからの計画もあるかと思いますが、四月一日から実施を予定されておったといたしますならば、規模別、たとえば五町から十町まで、十町から何十町まで、何十町から百町、百町歩以上といったような規模別のその分と、さらにまた、四月一日から実施をされる予定でありますからもう準備もちゃんとできておったことと思いますが、地域、ブロック別でよろしゅうございます、北海道、東北、関東、九州、近畿といったようなところで規模別にどういうふうになっておるか、地域別、ブロック別にはどういうふうに割り当てておるか。おそらくもう四月一日から手をこまぬいて待っておられたのでしょうから、もう山もきまっておると思うのであります。その予定地域ははっきりいたしておりますか。
  62. 山崎齊

    山崎政府委員 三十六年度の計画といたしましては、府県別、所有別に計画を立てておるのでありまして、その点、府県別の詳細につきましては資料提出いたしたいと思います。
  63. 片島港

    ○片島委員 それでは、その府県別のは後ほどいただくといたしまして、先ほど言いました規模別、及び、所有形態といいますか、市町村有あるいは部落有、私有、そういったものは、これは簡単でございますから御説明願えると思うのでありますが……。
  64. 山崎齊

    山崎政府委員 現在の資料といたしましては、府県別、市町村有、部落有、私有という形で資料を準備いたしておりますので、提出いたしたいと思います。
  65. 片島港

    ○片島委員 たとえば十ヘクタール未満とか、この規模別ですね、十町から五十町、あるいは百町、百町以上といったようなものもそれに加えて御提出願います。
  66. 山崎齊

    山崎政府委員 五町歩、十町歩あるいは十町歩未満というふうなところまでは、まだ今すぐには資料を準備いたしていないのでありまして、検討いたしまして資料提出するようにいたしたいと考えます。
  67. 片島港

    ○片島委員 四月一日からもう直ちに実施をせられるということになれば、もうすでに具体的にその実施部分がきまっておらないと四月一日からの実施は困難ではないかと思うのですが、その点はどんなものでしょうか。
  68. 山崎齊

    山崎政府委員 四月に植栽を予定しておるものにつきましては、もちろんそれぞれ対象地の関係は作っておるわけでありまして、それの内容につきましては資料として御提出をいたしたいと思っております。
  69. 片島港

    ○片島委員 四月の分だけでなく、四月からやるということで一カ月一カ月計画を作るわけじゃございませんでしょう。
  70. 山崎齊

    山崎政府委員 これは、御存じ通り、春植え、秋植えというような形に分かれて計画いたしておるわけでありますから、それぞれの別に資料として提出をいたしたいと考えております。
  71. 片島港

    ○片島委員 それでは一つその植付別に資料の御提出をお願いいたしたいと存じます。できれば、きょう質問しておりますから、続いて質疑ができますように資料を整えていただきたいと思います。  それから、この官行造林をやった場合と、公団事業を移した場合に、まずどういう点が変わってくるか。第一は、官行造林の場合は、公有林、部落有林、さらに関連のある私有林という工合いに、だんだん拡大されてきたのでありますが、公有林、部落有林が優先されてきたの法の建て前から当然であったのでありますが、今度公団となった場合に、昨日参考人の話を聞いておりますと、どうもやはり公有林あたりを優先的に見てもらえるような理解をしておったようでありますが、選定順位というのが非常に変更せられて、さきの官行造林と逆のようなことになるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  72. 山崎齊

    山崎政府委員 その点につきましては、先ほど湯山先生から御趣旨のような御質問がありましたことと考えております。われわれといたしましては、もちろん、水源林という地域内でありましても、その所有というものが公共団体あるいは部落民というふうな方々が持っておられ、しかも水源林造林の希望を持っておられる場合におきましては、そういう方々を重点的に考えまして契約していくということをもちろん考えていかなければならぬというふうに考えております。それらの点につきましては、林野庁からの通達、指導方針というようなもので、公団はもちろん県警にも十分徹底させていきたいというふうに考えている次第であります。
  73. 片島港

    ○片島委員 この分収の割合の問題でありますが、公団に移った場合、五対五、また民有林の場合は四対六というような形を予定されておりますか。
  74. 山崎齊

    山崎政府委員 分収率というもののあり方を考えてみますと、土地所有者というものの取り分が大体三割ないし四割というようなところが標準であろうかと考えておるのであります。それぞれの場所に応じまして、その違い等がどれくらいであるのかというような点も十分調査し検討いたしまして、三割ないし四割というものを標準といたしまして契約して参りたいというふうに考えておるのであります。ただ、その場合に、市町村有林等の公共団体の持っておりますものにおきましては、官行造林等によりまして土地所有者の取り分が五割だというような昔からの四十年にもなる一つの経過もあるわけであります。また、地方公共団体の基本財産を育成していくというふうな面も考えあわせまして、官行造林で行なっておりました五割というようなものを標準としてやっていきたいというふうに考えておるのであります。
  75. 片島港

    ○片島委員 今までの分収率は、公有林及び部落有林まで五、五だったと思うのですが、今後もやはり五、五ですか。
  76. 山崎齊

    山崎政府委員 お説の通りでありまして、三十一年に法律を改正いたしまして私有林を加えたわけであります。その私有林に対しましては四割を標準とするということになっておる状況であります。
  77. 片島港

    ○片島委員 そうすると、あの覚書、了解事項に言うのは、市町村有林と部落有林も含めて五分・五分を標準とする、こういうふうに了解していいわけでありますか。
  78. 山崎齊

    山崎政府委員 部落有林という言葉が非常に法律的にも不明確な点があるのであります。現在の状態を見ますと、市町村有あるいは財産区有とかいろいろあるわけでありまして、そういうものは従来通り考え方でやっていきたいというように考えております。
  79. 片島港

    ○片島委員 いずれにしても、純粋の私有林でないものは、公けのものは五分・五分、こういうふうに理解してよいと思うのですが、その場合に、了解事項には五分・五分を標準とするとしてありますが、この標準という場合には、何を撃ちましてもなかなか的にぴったり当たらぬことがありますが、やはり上下がある、幅があるという意味に解釈してよろしゅうございますか。
  80. 山崎齊

    山崎政府委員 これの表現は、御存じ通り公有林野等官行造林法の施行令に、標準とするという言葉を使ってあるわけでありまして、それに準じてそういった表現をしようということにいたしたわけでありまして、実質上は従来の通りだというふうにお考えいただきたいと思うのでございます。
  81. 片島港

    ○片島委員 それでは、標準ということは五分・五分、標準をはずれないというふうに理解してよろしゅうございますね。  それから、お尋ねしますが、官行造林でやった場合と公団で施行した場合に、官行造林の場合は、造林業務一切、たとえば保育、管理などについても責任を持ってやられたと思うのですが、公団はその点はいかがでございましょうか。やっぱり官行造林と同じだけの事業をずっと、新穂ばかりではなくそれから後も同じようにやっていかれるのでありましょうか。
  82. 山崎齊

    山崎政府委員 公団が行なおうと考えております水源林造林につきましては、分収造林法によります出資者という形を原則としてとっていきたいというふうに考えておるわけでありまして、造林の業務、保育、管理等の経費公団が全部負担する、造林という仕事、それから、その造林地の保護、管理とかいうふうな仕事、そういうものは、土地所有者が造林者となってやってもらいます場合と、土地保有者のほかに土地所有者と公団とで話し合った適当な信頼できる造林者というものを置いてやるという場合とに分かれるのであります。
  83. 片島港

    ○片島委員 それでは、官行造林でやった場合よりも公団の場合の方が責任が薄れてくる、保育、管理についての責任を、官行造林の場合は最後まで持っていく、公団の場合は土地所有者なり造林者というものに責任を持ってもらう、こういうように変わるというように考えてよろしゅうございますか。
  84. 山崎齊

    山崎政府委員 そういうふうに変わるわけでありまして、公団といたしましても、もちろん、出資者といたしまして、その造林とか手入れその他の事業が契約に従って適正に行なわれておるかどうか、あるいはそれらの仕事を適正に行なうためにはこういうふうなことを考えてもらわなければいかぬ、こういうふうにしてもらいたいというふうな希望、指導というものを公団があわせてやるという形になるわけであります。
  85. 片島港

    ○片島委員 そうすると、公団はただ費用負担者というだけで、官行造林の場合は費用も負担し、保育、管理の責任まで持ってやっていながら五分・五分ないし四分六、こういうことですが、ただ費用を負担したというだけで四割ないし六割という取り前を取るのは、公団は少し取り過ぎじゃないでしょうか。
  86. 山崎齊

    山崎政府委員 一般的に申し上げますと、むしろ公団の方が少ないじゃないかというふうな議論もあるいは出るかと思うのであります。従来におきましては、国が造林ばかりでなくて維持、管理まで全部責任を持ってやったということに相なるのでありまして、しかも公有林に対しては国が五割しか取らなかったということに相なるわけでありますが、この場合に、たとえば市町村が契約いたしまして、市町村が造林者になってやっていただくというふうな場合には、土地所有の取り分のほかに、いわゆる造林者としての取り分というものがそこにプラスされなければいかぬというふうな形になってくるのでありまして、その公団費用負担による取り分というものも、御存じ通り、このそれぞれの土地の状態経費の関係等に応じまして、四割ないし六割という相当大きい幅を持った行き方がよいじゃないかというふうに考えておるのであります。
  87. 片島港

    ○片島委員 これは湯山委員からも質問があったことでありますが、あなたの力の選定順位というか、そういうものを伺ってみますと、土地所有者であるとか、森林の山を持っておる者の団体、あるいは、部落有林といいますか、市町村などに準じた財産区といったようなところ、あるいは市町村とか都道府県とかいうふうに予定をされておるようでありますが、そういう場合に、必要性というよりも、そういうふうにたくさんな対象がある場合に、費用負担者としては四割ないし六割、所有者としては三割ないし四割という、こういう幅がある場合に、一番自分のところに分け前のいい、都合のいいところを選定をするというような心配はないものでしょうか。
  88. 山崎齊

    山崎政府委員 今お話のありました、土地所有者にみずから造林の維持、管理の責任を持っていただくというのが一番望ましいように思っておるのでありまして、土地所有者が造林等がどうしてもできないという場合には、公団と土地所有者とが話し合いまして、その地域におきまして最も造林能力があり信頼できる者を選んでいく、造林者として選ぶというふうに考えておるのでありまして、この点は関係者の十分な了解のもとに造林者の選定をやっていかなければいかぬというふうに考えておるのであります。また、それぞれ土地所有者、費用負担者等の取り分と、造林する場所の選定と申しますか優先順位というようなものとを直接結びつけてこの事業を運営していかなければならぬというふうにはさらに考えていないのでありまして、この予定といたしましては、九年間にこういう地域造林というものを終わろうということを目標といたしておるわけでありますので、先ほど申し上げましたように、市町村とか、そういう公共的な性格のあるものをやはり優先に置いて契約を進め、造林を進めていくというふうにぜひともやって参りたいと考えて、おるのであります。
  89. 片島港

    ○片島委員 土地所有者というものを最優先的に考える場合には、市町村も土地所有者であり都道府県も土地所有者であるわけですが、その中には都道府県なり市町村の所有林も含む、こういうふうに理解をするといたしますならば、自分の土地でないものを市町村なり都道府県が造林者となって受ける場合のことを順位としてはおくらせるのであって、市町村なり都道府県が造林者でありまた土地所有者であった場合には最先順位に選定をするということに了解をしてよろしゅうございますか。
  90. 山崎齊

    山崎政府委員 もちろん、お話通り、市町村が土地所有者である、またみずから造林者になるというような場合が非常に望ましいと考えておるのでありますが、また、たとえば私有林等でありましても、市町村が造林者になるというようなことも決して望ましくないというふうに考えているわけではないのでありまして、市町村等がそういう仕事に協力して、自分の土地以外のところでも造林していただくということは、われわれとしても非常に歓迎していきたいというふうに考えております。
  91. 片島港

    ○片島委員 そういたしますと、長官が前々から言明せられておりますように、官行造林をこの際やめるのは、市町村有林などですでに造林をしたところで相当の分け前をもらって、また自分の方でやれる能力もだんだんできてきたので、一つ公有林の市町村有林の方は自分でやってもらおう、むしろこれから先はそういったところでないところへ広げていこうということをたびたび言明しておられたようでありますが、しかし、それは、そうしていただく方がけっこうというだけであって、市町村有林で、今主伐期にかかって、これから刈り取ったあとまた植えるという場合でも、やはり、前からおっしゃったことでなく、今おっしゃったように、優先的に公団の方で取り上げていただくということになるわけでありますか。
  92. 山崎齊

    山崎政府委員 私たちといたしましては、市町村が自分の持っております市町村有林を自主的に経営してやっていただくということが非常に望ましいというふうに考えておるのであります。それにいたしましても、現在の市町村の財政事情その他から考えまして、いわゆる里山地帯等の経済林地につきましては市町村が自主的に積極的にやっていただくということも大きく期待できる段階に来ておるのでありますが、奥地の水源地帯の、造林等も割合困難だ、技術的にも困難だし経済的にも必ずしも有利でないというような水源地帯の造林というものにつきましては、市町村の技術的能力というものを活用いたしまして、経済的な面その他指導の面におきまして公団がそこへ出資者として入っていくという形が望ましいんじゃないだろうかというふうに考えておる次第であります。
  93. 片島港

    ○片島委員 私がお尋ねしておるのは少し意味が違うのです。官行造林の場合には、施行令の第何条かに基づいて、すでにこれから先の経営能力があると営林局長が認めたような場合には契約を解除して収益を分収することができる。一方的に営林局長から契約の解約を申し出て、これはいやおうなしです。そのかわり収益は分収して手を切る。こういう施行令が出ておったわけですが、今度官行造林法が廃止になれば施行令も廃止になるわけでしょう。あなたの方としては、今までは施行令の何項目かに該当する場合には有権的に契約を解除することができたのです。ところが、今度は、その施行令もなくなりますから、話し合いによってしかできないということになるわけです。そういたしますと、あなたの方では自主的にやってもらう方が望ましいとはいいながら、向こうでは、もうちゃんと自治省との了解事項にあるごとく、五分・五分ということで、期限付じゃございませんから、ずっと公団が引き受けても五分・五分、こういうことになれば、自主的に話をしても、従来通りやってもらった方がいいということになる。そうして、市町村はもう契約を途中で解除する心配もない非常に安全確実な有利なところにお願いをすると思うのですが、そういうときはどういうふうにしてそれを突っぱねるのでありますか。ただ、お前の方は経営能力もできたから適当にやってくれ、こう言うだけでは、今の林野庁長官の、市町村が所有者であり造林者である場合には優先的に見る、こういうお話とちょっと矛盾いたしませんか。
  94. 山崎齊

    山崎政府委員 この施行令におきましては、幾つの場合でありましたか、営林局長が造林契約の全部または一部を解除することができるという条項があるのであります。公団造林を行なうといたしました場合には、しかも契約によって市町村がその土地所有者である、市町村があわせて造林者となってもらうというときは、土地所有者としての取り分というもののほかに、造林者としての取り分が市町村にいくということになるわけでありまして、その点は、市町村が造林とあとの保育、維持、管理という仕事を通じまして、従来の官行造林の場合と違って、市町村が最も適当とするいろいろな事業計画をみずから作り、公団と相談して市町村の責任においてそういう仕事をやっていただくというようなことに相なるわけでありまして、そういう点から見まして、官行造林の場合よりも、やはり市町村というものがその森林の経営におきましても自主性を持って進んでいけるようになると考えております。
  95. 片島港

    ○片島委員 公団がこれから市町村と契約をしてやられる分収林については、この了解事項の五分・五分ということは適用しないで、今おっしゃったような造林者であり所有者であるという場合の分収率をもらう、こういうことになるわけですか。
  96. 山崎齊

    山崎政府委員 覚書におきましては土地所有者としての取り分ということを書いてあるわけでございますので、造林者になる場合には、それに造林者としての負担がどうなるかということを計算いたしまして、その取り分がプラスされるということになるわけであります。それで、市町村が造林者にならない、土地を出すだけだという場合にはその覚書の趣旨でいくということになるわけであります。
  97. 片島港

    ○片島委員 今私に言うのは、土地所有者であり造林者である市町村、公共団体のことを言っているわけです。そういう場合には五分・五分ですか、それとも造林者の一割ないし二割と、所有者の三割ないし四割というのと合計をしたものとなるんですか。
  98. 山崎齊

    山崎政府委員 土地所有者の取り分にその造林者としての取り分がプラスされる、こういうことになるわけであります。
  99. 片島港

    ○片島委員 そうすると、造林者が一ないし二割、所有者が三ないし四割、最低が四割、最高が六割、平均して五割だというように了解してよろしいですか。
  100. 山崎齊

    山崎政府委員 お説のように、もちろんその造林者としてどういう仕事を具体的にやっていただくかというようなことで造林者としての取り分が変わるわけでありますが、覚書に載っております土地所有者としての取り分に造林者としての取り分が加わってくるわけでありますので、その覚書通りの五割ではないということになるわけであります。
  101. 片島港

    ○片島委員 覚書通りではないが、最低が四割、最高六割ということですね。大体平均してみれば五割程度ということですか。
  102. 山崎齊

    山崎政府委員 この土地所有者が三ないし四、造林者が一ないし二というふうな面からいけばお説の通りになるわけでありますが、市町村につきましては、土地所有者としての取り分というものを五割を標準とするということになっておるわけでありますから、それにプラスされるということになるわけであります。
  103. 片島港

    ○片島委員 さらに進んでは資料をいただいてからお伺いしたいと思いますが、最後に、これは直接官行造林としての問題というよりも、やはり私有林、公有林というものについての考え方という面で関連がありますが、公有林なり部落有林といいますか、団体でみなで持っておるような山というのはだんだんと自立経営農家の方にこれを分散していこう、こういうようなお考えが一方にはあるようでありますが、それと、これから先の公団なり林野庁考えておるのには、できるだけ分散をして、そういうところには林野庁なり公団は手を加えないように早く分散をしてしまおうということになれば、自然と公有林なり部落有林に対するあなたの方の手はだんだんと引けてくる、こういうことになりましょうね。
  104. 山崎齊

    山崎政府委員 公有林等に対します考え方は、先ほどお話のありました自治省と林野庁との覚書等でも明らかでありますように、今後とも公有林の振興をはかっていく、法的にもあるいは融資その他いろいろな面で、自治省、林野庁とも、両者が十分に協議して公有林の振興をはかっていこうということを原則に考えておるのであります。そういう線で進んで参りたいと思っておるのであります。先生のお話のありました山は、いわゆる入会権というようなもののある山のことを言っておられるのじゃないかと思うのであります。入会権等の山にいたしましても、今までの長い間の歴史から、それが個々の人に事実上分けられて利用しておるというふうな場合もあるようにも思いますし、あるいは、そうでなしに、持ち分という形でほんとうに共同利用しておるという形態のものも非常に多いというふうな実態にあるわけでありまして、これらを一律に所有権まで分解していった方がいいのだというふうには、やはり結論づけることはできないように思うのであります。それぞれの実態に応じまして、必要ならば、やはり入会権というふうなものの権利を近代化すると申しますか、そういうふうな形を講じまして、現在までそれを使用収益しておる方々を中心としてその山を造林する、それに対しては国もやはり融資その他でめんどうを見るというふうな制度で今後とも進んでいきたいというふうに考えておるのであります。
  105. 片島港

    ○片島委員 あなたの方でも林業についての協業ということを考えておられるように、また答申にもあるのでありますが、そういう場合に、個人の所有の場合、あるいは会社の所有の場合といった場合は、計画造林、計画伐採といったようなこと、あるいは助長して協業をやらせようといっても、なかなか助長の指導がいきにくいような場合がある。そういう場合に、国有林は別といたしまして、公有林なりそういう団体で会員が持っておるといったようなところが協業としての対象としては最も適当で、これならば、個人の持っておる山でありませんから、計画造林なり計画伐採を進めて、ほんとうに山を育てていくのにいい対象になるのではないか。私有地を自立経営に分散をして持っていこうといってもなかなか困難で、また、私有地を合わせて協業の対象とするのには非常に困難でありますので、将来むしろそういうところを協業の対象として指導し助長していくべきではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  106. 山崎齊

    山崎政府委員 お説の通り、入会権の山というふうなものを対象にいたしまして、そこに協業と申しますか、その形にもあるいは段階にもいろいろあると思いますが、そういう考え方を取り入れて進めていくということが現実に即するという場合が非常に多かろうというふうに考えておりまして、われわれもそういう線を十分に考えて指導なり行政に当たっていきたいというふうに考えております。
  107. 片島港

    ○片島委員 それでは、もう一つだけ資料を要求いたしておきまして、私の質問を保留しておきたいと思うのですが、現在の森林公団理事長理事、あるいは部長といいますか課長といいますか、そういう幹部の方の名前と、それから、ほんとうの略歴でいいのですが、この前に何をしておられたかということの略歴、これはすぐわかることでありますから、印刷が間に合わなければ鉛筆書きでもよろしゅうございますから、氏名並びに略歴を午後に御提出願いたいと思います。課長なり支所長以上の方でよろしゅうございます。
  108. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ————◇—————    午後一時五十八分開議
  109. 坂田英一

    ○坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  最初に、去る四日静岡県由比町における地すべりによる農林被害状況調査のため当委員会より丹羽兵助君及び内海清君が現地に派遣せられましたので、その調査報告を聴取することといたします。丹羽兵助君。
  110. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 私は、今般の三委員会で行なわれました静岡県庵原郡由比町寺尾地内地すべりによる被害調査につきまして関係委員会の合同調査に参加いたしましたので、本委員会関係事項につき調査の概要を御報告いたします。  本調査班は、本委員会からは私のほかに内海清君、建設委員会からは二階堂進君、兒玉末男君、運輸委員会からは細田吉藏君、肥田次郎君が参加せられ、調査はわずか一日でありましたが、つぶさに現地におきまして被害状況を見て参ったのであります。  本地域は古来よりしばしば山くずれ、地すべりが繰り返され、近時においては昭和十六年の豪雨、二十三年のアイオン台風により山腹の崩落を起こし、国鉄、国道の通行が一時途絶された地域でありまして、今回の地すべりは中之沢と寺尾沢にはさまれた地域に発生したものであり、その原因につきましてはまだ明らかにされておりませんが、一応の誘因としては、本年二月に起こった小地震と前日の降雨が作用したものといわれており、地すべりは、国鉄、国道、人家から水平距離約七百メートル、標高約三百メートルの付近において、三月十四日黎明、滑落を起こし、その崩壊土砂は下段一帯に圧力をかけて約二百メートル滑動し、隆起陥没を伴って幅二百メートル余に及ぶ地すべり現象を惹起し、農林省がさきに昭和二十三年より三十年にわたる八カ年において実施いたしました直轄治山事業及び三十五年以降県が継続実施をいたしました県営治山及び地すべり防止事業による構造物を一挙に全壊するというすさまじい被害を与え、さらに、八、九ヘクタールに及ぶ農地、農作物、各種施設に損害を与えたものであります。その被害の概要は、農作物四ヘクタール千四百万円、畑八ヘクタール二千五百万円、農業経営施設九百万円、治山施設五千七百万円、計約一億円となっているのであります。  以下、本地すべりの実情について調査いたしましたことを簡単に御報告申し上げます。  まずわれわれ調査団一行は沼津に参り、沼津において県及び関係当局よりそれぞれ本地すべりの概況と陳情並びにその応急対策工事につき説明を聴取した後、直ちに現地に向かい、災害現場を視察したのであります。  本地域は、御承知のごとく、東南部は駿河湾に面し、西北部は東海道筋において屈指の急峻狭隘にして脆弱な地質構造を有する民有林地帯であり、さらに、山から五百メートルという至近の距離に民家が集落をしており、しかも、この地域はわが国産業の二大動脈ともいうべき国鉄東海道本線と国道一号線並びに海岸に高潮来襲の際の迂回路として重用される町道寺尾−倉沢線の三線が並行するという交通上要衝の地であり、今回の地すべりは寺尾沢と中之沢をはさむ地域において発生しており、この一角がむざんに、ほとんど山が半分えぐりとられたように地はだを現わし、その土砂はこの寺尾部落の近辺までずり落ちて、上部はさらにいつ落ちてくるかわからない急傾斜をなしており、部落民に脅威を与えていることはもとより、国の大動脈たる国鉄東海道線及び国道一号線等に与える被害を思うとき、まさにりつ然とせざるを得ない状況であったのであります。  一行はここで長ぐつとはきかえ、地元民の悲痛な声援を受けながら、立入禁止区域とされているこの一角の登攀を試みたのでありますが、この地域はそのほとんどが温州ミカン、夏ミカン及びビワ園でありまして、三十年生ほどの夏ミカンの木が根こそぎ掘り返され、平素は一つの木に三十貫はとれるといわれているのでありますが、これが移植もできないまま、あるものはたき木として処分されておるのであります。また、農地は隆起陥没により平素の面影は微塵だもとどめず、この百七十万立方メートルといわれる膨大な土砂は堰堤のほとんどを押し流し、現在わずかに一号堰堤によって辛うじて上部の土砂の流出をささえている、まことに寒心にたえない現状にあるのであります。しかも、その土砂の層はおよそ三段階に分かれ、上部においては傾斜面は激しく、特に中央部における九十万立方メートルといわれる何のささえも持たない土砂の流出が心配せられているのであります。  われわれが行きましたときは、天気もよく、土砂は乾燥して地はだにところどころ大きな亀裂を生じていたのでありますが、地質は泥岩または砂岩の互層からなっている関係から、これが一たび降雨ともなれば泥沼と化し、その土砂は流土と化すことは必至であり、六月の雨季を目前に控え、その地すべりの最先端より民家の集落まで約十メートルないし二十メートル、国鉄東海道本線並びに国道一号線までは五十メートルないし六十メートルと、その魔の手はひしひしと迫りつつあるのであり、その対策の早急なる実施が待たれている地元民の心境切なるものがあると同時に、国といたしましても、東海道本線、国道一号線の途絶ないしは東京−大阪間を通ずる電信電話のケーブル切断も憂慮され、産業活動は中断する重大性を持っているのでありまして、国全体の問題として早急な総合的恒久対策を今回の調査において痛感させられた次第であります。  現在、由比町は、災害警戒連絡所を設け、日夜警戒に当たり、一朝緊急の場合はサイレンを合図に避難を命ずる態勢をとっているのでありますが、住民はまさに戦々きょうきょうの日々を送っているのであり、これら地元住民が一日も早く安心して生業に復帰できるよう、住民の悲痛な陳情をわれわれは受けた次第であります。  以上、実情報告を終わりまして、最後に要望事項について簡単に申し述べます。  第一は、地すべり防止応旧措置費の全面的国庫補助と関係各省一体としての総合的・抜本的な恒久対策を可及的すみやかに講ぜられたい。  第二は、農地災害復旧については、地域全般にわたる地すべり防止の恒久対策決定後、地すべり防止を加味した機能的復旧計画を樹立するため、これに対する査定を早急に実施されたい。  第三は、国土保全上抜本的対策を必要とする特異な地点につき、災害復旧及び地すべり対策について、国庫負担率の引き上げ等の特別措置を講ぜられたい。  第四に、被災由比町における災害対策費の財政調整資金の調達に苦慮しつつあり、一方、税の減免、徴収猶予等の措置が考慮せられるので財政措置に困窮をきわめること必至であり、この場合における昭和三十六年度分四月及び六月の概算交付期を繰り上げ交付せられたい。  以上、御報告を終わります。(拍手)      ————◇—————
  111. 坂田英一

    ○坂田委員長 次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案及び公有林野等官行造林法を廃止する法律案に対する質疑を続行いたします。片島港君。
  112. 片島港

    ○片島委員 まだ資料が届きませんので、それまでの間大臣にちょっとお伺いをいたしたい。  農林省は、昭和三十二年度から、一般会計公共事業費の負担で水源林の造成事業を県でやっておったのを取り上げて、官行造林にこれを組み入れたのでございますが、そのときの林野庁からの御説明によりますと、奥地水源地帯の造林は、樹種の選定とか保育保護、管理等、造林技術あるいは森林経営上非常に困難であって、従来のような、ただ新植全額補助ということで、あとの保育保護、管理を一切県でやらない、土地の所有者にまかせるような方法であっては所期の目的は達成せられない、ほんとうは、県行造林、地方財政の建前からいくならば、おもに県が一つ力を入れてもらいたい、ところが、県にはそれだけの力がないので、やむを得ずこれを官行造林の方でやらなければならないというような説明で、一般会計からの水源林造林の仕事を県行造林から官行造林に取り上げた。そういたしますと、今度の公団方式によりまして、ただ金だけ出す、そうして保育や管理の責任はこれを土地の所有者あるいは造林者に責任を持たせるということであるならば、ちょうど昭和三十二年に官行造林に組み入れたときの理由を、今度公団の方に切りかえるのに逆の説明をしなければならぬようになるのでありますが、その点はどうでありますか。
  113. 周東英雄

    ○周東国務大臣 三十二年当時における事情は、私はただいま初めてお伺いするのですが、思うに、私は、三十二年ころにおきましての計画、——官行造林の方に一たん移しましたが、その目的はだんだん達して、今までたびたび林野庁長官から御説明申し上げておりますように、これからの個所はだんだん零細化し分散しておるという事態になって参りましたので、これはまとめて国でやるよりは、むしろそれぞれの零細化した地方の町村等にやらせて、そうして実効を上げていくことが必要であり、その方がうまく進むという形に今日の段階においては考えを新たにしたことと思います。そのことは、御指摘のように必ずしも矛盾する観念でなくて、三十二年当時においては、相当まとまった大きな地域において、それらを国が直接にやってあげた方が経済効力も上がり、仕事も金の面から見  てもうまくいくというような考えであったと思います。しかし、それはある程度目的を達して、先ほど申しましたように、今日残されている地方がかなり零細化し分散しておる、こういう事態になったから、これはむしろ国でやるよりは地元市町村等において責任を持たせてやらせる方がいい、こういうようになったものと私は考えております。
  114. 片島港

    ○片島委員 ちょっと答弁が食い違っておるのであります。そのときそのときに都合のいいような説明では困るのでありますが、県行造林として全額補助を出してやらしても、あとの保育、管理について造林者や所有者にまかせきりでは困るんだ、だから官行造林で最後まで責任を持つんだ、こういう理由だったのが、今度は保育や管理について責任を持たない公団の方に責任を持っておる官行造林を変更するのは、どうも説明の仕方が矛盾しておらないか、こういうことです。
  115. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ごもっともなお尋ねですが、ただいま申し上げましたように、だんだんと地域も分散し、場所が小さい部面になりましたから、そういうところになりますると、大体地元公共団体の市町村に責任を持ってやらしても、実際の仕事の上から申しましてもできまするし、また、その後における撫育、管理等におきましても狭い面積については十分やれる、かように考えた次第であります。
  116. 片島港

    ○片島委員 昭和三十二年からといいますと、まだ三、四年しかたっておらないのでありますが、三、四年の間におけるあなたの方の事業実績、しかも、県行造林から取り上げました分は、官行造林としてやる総量の事業量からすればほんの一部であります。それがわずか二、三年の間にそう大きな変化が起こるものかどうか。非常に長期の計画のもとに行なわれておる造林という事業が、わずか二、三年の間にそう大きな変化を来たしたのではない。極端に言うならば県行造林でやっておったと同じような形のことを、今度公団事業としてやらせるというのには、どうも矛盾があるのではないか、こう考えるわけですが、長官はその当時のことをよく知っておられるでありましょうから、これは長官から一つ……。
  117. 山崎齊

    山崎政府委員 県行造林においてこれを実施するという考え方もないわけじゃないと思うのであります。国がこの経費というものを、新値だけでなく、保育あるいは維持、管理等の全面的な経費というものをめんどう見まして、県が県行造林でやるというようなところには、非常に問題点があるように思うのであります。こういう形でやるといたしますと、国の方にも当然その分収というような形で収得分がなければならぬというふうな問題も出て参るのであります。そういう点からいたしまして、国が維持、管理一切の経費を県に出して県がやるというところには、やはり問題点があるように思うのであります。また、仕事を県に委託するというふうな点ももちろん考えられるわけであります。造林事業のような仕事は、たとえば道路をつけるとかいうふうな工事と同様な考えに立ちまして県に一切を委託してやらせるというふうなところには、やはり、造林事業の本質という面からしまして、その責任の所在あるいは仕事の内容というような点からもなかなか問題が多いように思うのでありまして、そういう点も種々検討いたしました結果、新しい行き方、公団による行き方が適当であると考えたのであります。また、当時と違いまして、市町村によります造林事業というものも、一昨年から融資制度を新たに設けたのでありまして、こういう制度の実施によりまして、当時二万町歩程度しか行なわれていなかった造林が、現在の時点におきましては五万町歩にも達しようというような造林が行なわれておる現実からいたしまして、市町村等造林者というふうに考えていくということが現実の問題として最も適応しているのではなかろうかというふうに考えたわけであります。
  118. 川俣清音

    川俣委員 関連して。  この際、農林大臣に一つお尋ねすると同時に、所見を伺っておきたいと思うのでございますが、周東農林大臣は治山治水にかけては長年の経験を持ち、森林事業についてはかなりの理解の深い方だという前提に立ってお尋ねをいたしたいと思うのです。今片島委員の質問に対する大臣の答弁で、どうも大臣の年来の主張というもの、考えというものと違った印象を受ける。はなはだ残念に存じまするので、この際関連してお尋ねしたいと思うのです。  今日の林政及び国有林事業が国民に多くの信頼を得ておるということは、信頼を得なければ長期計画を必要とする森林事業というものは立っていかないという点にある。従って、少し林野庁はがんこである、かた過ぎるという非難を受けておりますのも、こうした長期計画を必要とするためにそういう非難があるのだ、それに甘んじてなお国の保全のために努力をしておるのだということについて私は敬意を表しておる。すなわち、植林事業、森林事業というものは長期の計画を要し長期の保有を要するものだけに、新令暮改をするということは信頼を失うことになると思うのです。そのときどきの都合のいい方策をとるということになりますと、今日のような信頼は続けられないと思う。治山にいたしましても、造林にいたしましても、そのときどきの思いつきによりまして変更するということは、一面には国民の信頼を失うと同時に、こういう計画というものはときどき変えることによって大きな損失を来たすことになると思うのでございます。この点どうですか。大臣、あなたの年来の主張と私の今述べたこととは一致しておるはずだ、そう信用いたしますが、こういう信頼をしておったことが誤りであったかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  119. 周東英雄

    ○周東国務大臣 森林政策に関しましては相当長期の計画を必要とするものであり、従って、そこには動かすべからざる一つの方策というものが必要であることは、あなたの御指摘の通りだと思います。これに全く異存はございません。ただ、しかし、その政策実行にあたりましては、ものによりましては、だんだんと進歩する技術の面だとか、あるいは、たとえば今度の問題にいたしましても、一面、市町村等に対して、従来と違った形で、二、三年前からやっておりまする、市町村が仕事をいたしました場合においては特別に資金国有林野特別会計の利益をその方へ投入して市町村の植林その他に関して助成をするというような新しい道ができて参りますると、おのずから施策の運用に関しては変化を生じてくるということはあり得ると思う。すべての状態か同じ状態にあるときにいろいろの施策が朝令暮改されるということは困りますが、だんだんと他の条件なり他の施策というものが新しい方向に向かって、おのずから施策が変わるということは、これは決して根本を変えるものではないのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。
  120. 川俣清音

    川俣委員 この法案は十分検討されてこの国会に出されたというふうにはどうも聞き取りがたいのです。大臣もかなり関心を持っておられたでございましょうが、第二十四国会で公有林野宮行造林法の一部を改正いたしまして、「等」という字を入れた。そのときの提案理由の説明は、当時大石政務次官が大臣を代理して説明いたしておりますが、今後さらに官行造林対象をふやしまして、今まで公有林野をやっておったのだけれども、大体仕事ができたから、今度はさらに部落有林野及び水源涵養林のために造林を必要とする造林を行なうのだ、そして、「国有林事業一般林政に協力することにより、造林の促進に資することができますようにいたしたいのであります。」というわけで、三十二年から四十四年までの官行造林の計画書を添えて国会に提出したものでございます。四十四年までの計画書が説明についております。すなわち、四十四年までかかってこれを完成するという約束のもとに、国と土地の所有者との間に契約が結ばれ、地上権を設定して事業が開始されておるわけです。この国と国民との間で結んだ契約が途中で変更されるというふうなことは、今まで信頼しておった者から言えば夢想だにしなかったところであります。この官行造林につきましては、規則や細則を見ますると、国はこの契約を絶対に無視するものではないという建前で、この契約に違反する者は国民の側である、あるいは市町村の側であるというところから、市町村側が解約をする場合、あるいは国民が解約をする場合は厳重な規定を設けておるのであります。なぜ双務契約でありながら国に厳重な規定を設けなかったかという説明につきましては、国はこういう契約を結んだ以上裏切るものではないという国の信頼のもとにおいて、国には罰則規定がないのであります。普通の民法の規定でございますれば、双務契約でありますならば、一方が破棄した場合には必ず大きな負担行為がつくわけでありますが、この法律には、細則には負担行為がついておりません。そのことは、国は解約するようなことはない、あるいは違約をすることがないということで、国の信頼を期してほしいというのがこの規則、細則の本質であろうと思う。それにもかかわらず、それほど信頼を受けて事業を遂行しておる途中におきまして、大臣は、時代の変化だからして変えてもいいのだと言う。(「やめるのではない、変えるのだ」と呼ぶ者あり)当時、国が解約することを前提とした説明にはなっておらない。これからこうりつばにやりますと大臣が説明されておる。あるいは長官説明されておる。その法律すら変えて手直しがあり得るということになりますならば、国民は信頼することができない。前の国会で説明したことと次の国会では違うということでありますならば、どうして国民の信頼をつなぐことができるか。周東大臣の説明のときと違った大臣が来たならば——簡単な変更できる契約でありましたならば別です。長期契約が必要であるということを十分知っておられる立場にある人が、こう簡単に解約をするということになりますれば、その信頼を失う結果になるのではないか。私はほんとうに憂慮する。大臣も、林業について熱心であればあるほど、今日まで協力してくれればくれるほど、間違った態度をとりますと、これは一代の汚点ではなくして、将来国の信頼に関する大きな汚点を残すと思う。一部の人がヤジったからということでそれに乗せられておりますと、国民の信頼を失う。これは国民の権利義務に関する大きな問題でございます。これは単なる林政ではないのです。憲法に違反する問題です。国民の権利義務を一方的に変えようとするようなことは重大なことだと思う。こう質問しておると、答弁する側はこう言うのです。いや決して解約をするのではないのだ、契約を破棄するのではないのだ、話し合いでやめてもらうのだから法律違反を犯すのではない、こう言う。ところが、現在もう関西では植林が始まっておる。例年でありますならば、すでに緑化大会を開いて、陛下のおいでを願って植林大会を開いておる時期です。もう植林の時期に入っておる。そこで、大臣の部下であります林野庁は、早くきまらないと根腐れができて困る、こう言うのです。植え付けなければならぬのが、これがきまらぬためにおくれておる、こう言うのです。そうじゃないですか。そう言うようです。そうすると、契約を履行しないということになります。植え付ける契約をしておりながらおくらしておるということは、この契約に対して忠実じゃないということではないですか。野原君なども、早くこれを通してもらわないと植樹できないじゃないかと言う。できないじゃないかということは、明らかにこの法律を誠実に履行するという考えが実際にないということじゃないですか。どうです。
  121. 周東英雄

    ○周東国務大臣 なかなか川俣さんには私の答弁を先回りして教えていただきまして、まことに御親切ありがとうございます。しかし、あなたも今お話しのように、もう植付をやっているものについては、別に変えないでもとのままでやります。植付を終わらないものについて、これからやろうとするようなときには、よく相談をして、そして理解の上に立って新しい公団の方向でやる、こういうことにやって参るわけでございます。従って、契約ですでに国がやっていくというふうに約束されて植付が始まっているものを一方的に解約して公団に移すということではないのです。将来に向かっても、よく話し合いの上で、これからの植付をやるということに対して話し合いをつけたものから公団にやらせる、それからどうしてもつかぬときはもとのままでいこう、こういうことですから、そこのところは十分に考えて運用して参るつもりであります。
  122. 川俣清音

    川俣委員 ちょっとそれは理解が違います。すでに契約をして植栽の終わったものは、もう問題は一応ないと見てよろしい。三十三年からですから、植栽期間が十年になっておるものもございますし、七年のものもございます。そうすると、一年か二年か三年、早くて三年より経過してない。あと残存が七割なり六割なり残っておるわけです。その契約に基づいて国はなおことしも植えなければならぬ義務を負っておるわけです。それを、この法律ができたらやめることになるのだからということで植え付けないということは、国の方が違反行為をしておるじゃないかと指摘をしたのです。忠実にこの行為を履行しないじゃないか。法律が通ればやらなくてもいいのだということは、この効力を有効ならしめるという法案を出していながら、実際は現実的にはそれを裏切るということをやっておって、どうして国の責任が果たせると言えますか。この点をお伺いいたします。
  123. 周東英雄

    ○周東国務大臣 それは、ただいま申し上げましたように、四月一日以降まだ植付に着手していないところにつきましては、話し合いを進めて、どうしても話し合いのつかぬところは従来の形で参りますと、こう言っておるのであります。それから、どんなに話がつこうがつくまいが、一方的に打ち切るという形をとらない、こういうふうに考えております。
  124. 川俣清音

    川俣委員 また私の質問のときまで保留いたしまして、関連ですからこの程度にしておきます。
  125. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 関連して。  今大臣の御答弁で、話し合いのつかないものについては今まで通りの形でやるのだという御答弁がございました。ところが、林野庁の現在までの説明によりますと、いわゆる官行造林をやめるつもりで、そのための予算を組んでないから、高知あたりでは根腐れが出ておるのだという説明でありました。そこら辺の関連の矛盾はどういうことなのですか。この一点だけお伺いしておきます。
  126. 山崎齊

    山崎政府委員 昨日も湯山先生からその点について大蔵省並びに林野庁に対して御質問があったわけでありますが、それに対しまして、今大臣から答弁がありましたように、この法律の施行に伴いまして、一方的な解除、強制的な解除というものはもちろん考えていないわけでありまして、関係の方々に、新しい制度によれば従来とどういうように変わっていくのか、利害関係はどうか、それから、市町村等の……
  127. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そんなことではなくて、できるのかできないのか聞いているのです。林野庁では、今まで私に、もう今年は予算官行造林を組んでいないのだから、公団にやらせないと立ち腐れになると説明しているじゃないですか。それについてだけ答弁して下さい。
  128. 山崎齊

    山崎政府委員 その点について御説明申し上げたいと存じますが、昨日大蔵省の関係からも御説明があったのでありますが、現在の官行造林事業費というのは、予算の中で申しますと節になっておるのでありまして、既往の植付を終わり手入れをしなければいかぬもの、あるいは保護、管理等に要します経費が十四億か十五億計上をされておるのであります。これが節という中でありますので、これの中におきまして事業を組みかえると申しますか、そういうことも制度上は不可能ではないというふうなお話もあったのでありまして、先ほど大臣から答弁がありましたように、今後既契約でまだ植栽されていないものにつきまして、それぞれの所有者の方々と十分にお話し合いをいたしまして、公団に移されるという方はそういうようにやっていただくようになるわけであります。十分に御説明をいたしましても、何としても公団ではいかぬという方については、先ほど申し上げました官行造林費というようなものを使いまして国の義務を果たしていくことも考えなければいかぬというふうに考えておる次第であります。
  129. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 関連質問でありますので、私これでやめたいと思いますが、私がしろうとだと思って、そのときどきによってあなた方は説明を変えられる。確かに私は知りませんよ。けれども、前に説明していただいたことくらいは記憶いたす能力はあります。ある委員会ではこう言い、ある委員会ではこう言う。きょう安井さんも見えていらっしゃいますが、覚書の問題にしても、自治省と話し合いをするときには勝手なことをして、基本問題調査会の答申もまた尊重するんだ、——あなた方の一つ一つやることは、一つも首尾一貫していないじゃありませんか。これは関連質問でありますから、あとでゆっくりこの点についてはお伺いをしたいと思います。
  130. 片島港

    ○片島委員 午前中にお願いをした三十六年度の公団造林計画というものの府県別の資料が出て参りました。ちょうど二万町歩でありますが、この計画書は官行造林の既契約の中の造林未済の二万ヘクタールというものと同じでありますか、これは全然別なものでありますか。
  131. 山崎齊

    山崎政府委員 その中には既契約で植栽を終わっていないというものも入っているわけであります。
  132. 片島港

    ○片島委員 その造林未済の既契約分でこの二万町歩の中に入っておる分はどの程度ありますか。ダブっておるものはどれくらいですか。
  133. 山崎齊

    山崎政府委員 春植え、秋植え等を全部合わせまして、二万町歩対象考えますと、約半分くらいかと考えております。
  134. 片島港

    ○片島委員 それでは、既契約の中でこれに入っておらない一万町歩というものはどういうふうにされるつもりでありますか。
  135. 山崎齊

    山崎政府委員 契約いたしまして、その団地の造林が、たとえば四年とか五年とかいうふうな計画で植えられていくということに相なるわけであります。その二万町歩の中に入っていないものは、三十七年度あるいは場所によっては八年度というふうになっていくわけであります。
  136. 片島港

    ○片島委員 それじゃ、三十六年度の分には既契約の造林未済のものは全部入っておるのでありますか、半分入っておって、あとの半分は三十七年、三十八年とずれて入っていくわけでありますか。
  137. 山崎齊

    山崎政府委員 既契約が二万町歩の約半分入っておるわけでありまして、残りの既契約のものは、三十七年度、場所によっては八年度というようなところにずれていく、こういうことになるわけであります。
  138. 片島港

    ○片島委員 そうすると、三十六年度ばかりでなく、七年度も八年度も、先ほど大臣からも御答弁がありましたように合意の上で公団の方に契約を移行させるということでありますが、合意がととのわなかった場合には、長官も言われたように、いわゆる目節でありますか、そういうところで移流用をしてやられるというわけですか。
  139. 山崎齊

    山崎政府委員 三十六年度につきましては、先ほど申し上げました通り、どうしても移行ということに賛成を願えない方に対しましては、この官行造林費という中で考えていかなければならぬということになるように考えております。
  140. 片島港

    ○片島委員 そうすると、公団はまたこれとは別に、どこかその減った分だけ選定するわけでありますか。
  141. 山崎齊

    山崎政府委員 二十三万町歩というふうなものを対象にして考えておるわけでありますので、秋植え等を対象にいたしまして契約は団地ごとにやるわけでありまして、二万町歩契約するというふうな工合になるわけではありません。二万町歩やるとすれば、たとえば三万五千町歩というような契約が成立するわけでありますので、そういうものを早急にやるように考えていかなければならぬと思っております。
  142. 片島港

    ○片島委員 それはわかっております。しかし、とにかく一年間で二万町歩やる。しかし、この半分はあなたの方の既契約分がまじっておる。かりに合意がととのわなかった場合には、一万町歩は新たに公団がこの造林者なり所有者を選定してやらないと、十億円の金が余るでしょう。手もすくわけですし、機構もすくわけですから、そうすると、これは極端な場合ですが、どうしても合意ができなかった場合は、あなたの方は一万町歩移流用でやり、公団はさらに一万町歩を見つけてやる。そうした場合には三万町歩になりますか。
  143. 山崎齊

    山崎政府委員 先生のお話のような場合にはそういう形になってくるわけであります。
  144. 片島港

    ○片島委員 そうすると、あなたの方は、すでに現在あなたの方限りでやっている造林事業費、その分はそれだけ減ります。かりに五億円としましょう。しかし、けさからのお話によりますと、いろいろ今までの新柏をした分の経緯とかなんとかあるので、官行造林の場合は町歩当たり十万円ばかりかかるということでありましたが、そうすると、少なくとも五億ないし十億の間においてあなたの方はほかの事業を縮減して、その合意がととのわなかった分はやる。しかし、一方公団の方は、今すでに四月からやろうとしておるこの各府県別の計画書を変更して、新たに一万町歩を選定して計画をし直すというだけのことが実際問題としてできますか。私は困難だと思う。そうすると、みなが断わって、今までの既契約をあなたの方が移流用でまかなってやる、公団は、二万町歩、二万二千、二万四千というこの資金計画によって、どれだけ穴があくかわからぬのに、その穴を埋めて、また次の仕事をしていくことができますか。
  145. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほどお話し申し上げました通り、その年々に造林するところだけを対象にして契約が変わるというようなことではないのでありまして、その団地といたしまして公団に移すとか移さぬとかいう問題ができるように考えておるのであります。早急に関係者の方々、既契約の方々と打ち合わせをいたしますとともに、新しい契約にも積極的に努力するわけでありますので、その対象地というものは、秋植え等を対象にして相当量が可能であるというように考えております。
  146. 片島港

    ○片島委員 非常にあいまいなんですが、私が指摘しておりますのは、あなたの方で契約を今までずっとやっている。すでに契約したものについては、あなたの方は、公団がやるよりも割がいいのですから、官行造林でやってもらった方が割がいいというので、かりに今までの契約を取り消さないということになれば、最悪の場合は一万町歩というものが残る。そうすると、この契約を変更するということは、これは年度内においては容易なことではないと思う。これはあなたの方が今まで大体官行造林として予定せられたものの中から選定をされている部分が大部分だと思う。そうすれば、新たにどこが穴があくかわからないのですよ。今はまだ合意に達するか達しないかよく相談してみなければわからないのに、穴のあいたものは、穴埋めを公団の方でやっていくだけの能力と、またそれだけの仕事が実際問題としてできるのかどうか。そうすれば、二十三万町歩というのは、もし合意がととのわなければ二十五万町歩にもなり二十八万町歩にもなって、造林が非常な成績を上げていくことになるのです。公団の穴のあいた分だけをさらにまた選定をして造林を実行することになると、そういうことになりましょう。あなたの方は、一方林野庁内部の事業は減らしていかなければならぬが、合意がととのわなかった分だけを官公造林の方に手を回さなければなりませんから、予算で一応削ってしまったところの五百八名を配置転換するためにいろいろ五百八名に合うように計算が合わせてありましたが、それをまた逆に入れかえをしていかなければならぬでしょう。配転しようとしたものを逆に前のところにはめ込みながら、しかも予算は五億ないし十億滅ってくる。しかし、公団が幸いに非常な実力を持っているので、あなたの方が穴をぽんぽんあけられてもぽんとまた穴を埋めていくということになれば、金はあるのですから……。ただ、やる仕事が、合意がととのわなかったためにそれだけ抜けていって穴があく。それだけの実力を持っていても、穴を埋めていくということが実際問題としてできますか。
  147. 山崎齊

    山崎政府委員 お話のように、一万町歩というような面積が全部穴があくというふうに理解することはできないと思うのでありますが、今お話しいたしました通り、その契約と申し上げましたのは、その年に、たとえば三十六年度に造林するところだけ三十六年度に契約するというものではないのでありまして、一団地としての契約をするわけでありますから、新たな契約におきましても、面積的には二年分、三年分契約されるわけでありますから、そういうところで相当な弾力性を事業の面では持ち得るものだと考えております。
  148. 片島港

    ○片島委員 もう一回念を押しておきますが、あなたの方で、既契約分の解消ができなかったために無理をしてやる、これは、あなたの方は、今までも人員もととのっておったし、また、自分の方の仕事の量を減らして官行造林事業をやろうとすれば、これはそれだけの実力、能力があるわけなんです。それはあります。今までの予算が減っておりません。ところが、新たにやることになった公団の方は、その穴のあいた分をやらないということになると、資金が余ってくるわけです。しかし、二万町歩という計画を立てておるならば、もしこれが一万町歩に減らなくても、一万五千町歩でありましても、一万七千町歩でありましても、なおその穴があく。そのあいた分は公団の方で金もあるから穴埋めをしていく。そうすると、それがずっと続いていった場合には、計画年度終了のときには、二十三万ではなしに、二十五万にもあるいは二十八万にもなるのだ、こういうことですか。
  149. 山崎齊

    山崎政府委員 現在特に問題となりますことは、三十六年度の仕事という問題になるわけでありまして、三十七年度、三十八年度というふうにいきますに従って、既契約地との関係というものはますます明確になって、計画というものに乗ってくるという形になるわけでありまして、お説のような、二十三万町歩というのが二十五万町歩にも六万町歩にもなるというようなことにはならぬように考えております。
  150. 片島港

    ○片島委員 二十五万にも二十八万にも理論上なるでしょう。あなたの方は、既契約分を合意がととのわなかった場合には官行造林としてやると言っておる。それなら、公団の方を、その合意のととのわなかった分だけは計画変更して、造林面積を年々減らしていくのですか。そうでなければ、その穴埋めをしていく分だけはふえていくじゃないですか。
  151. 山崎齊

    山崎政府委員 そういう既契約の水源地等も含めまして二十三万二千町歩をやろう、こう考えておるわけでありますから、公団でそれだけの面積をやる必要がないということになれば、公団事業計画はその分だけ将来にわたって減少するということになってくるように思います。
  152. 片島港

    ○片島委員 三十六年度において、これは一万町歩は重複しておるというが、そのうちの五千町歩でもかりに合意がととのわなかった場合には、今年度内においても公団は二万町歩でなくて一万五千町歩に計画を変更されるのですね。そうしないと計画が狂うじゃありませんか。ほんとうを言うならば、あなたの方の予算内において目節の流用ではなしに、公団出資をしている十億の中から引き揚げるべきでしょう。あなたの方は全部合意がととのうものとして官行造林予算を全部削っておるじゃありませんか。しかしながら、契約がどうしても合意に入っていかないという場合には自分のところでやるというのですよ。やったならば、あなたの方のすでにきめた計画も変更しなければならぬ。公団公団として計画が狂うから、むしろあなたの方が、契約がどうしても解約ができない分は公団から資金を引き揚げるべきじゃないですか。それが一番あなたの方の長い計画に即応した造林ができることになりはしませんか。
  153. 山崎齊

    山崎政府委員 公団に対しますのは、公団に対する出資という形で出ておるわけでありまして、それが事業との関連等におきましてやむを得ない場合に、事業計画等も一部分年度を越すとか、あるいは事業費幾らか余ってくるとかいうふうなことは、これはあり得るかと思っております。出資という形のものであり、また、予算という制度の何からいきまして、多少の余り、あるいは年度越しというようなものが出ることはあり得るように思います。
  154. 片島港

    ○片島委員 私ははっきりと数字を言っているのです。全部が合意がととのわないのじゃない。一万町歩のうち、かりに五千町歩了解がついて公団へ契約を移管した、しかしながら、あと五千町歩はかりに移管しなかったという場合には、二万町歩のうち五千町歩公団は仕事をやらないのですから、あなたの方の予算内における移流用というよりも、公団事業をそれだけ減らして計画を変更すべきじゃないか。というのは、ちゃんと三十六年、七年、八年について契約、新植、補植保育保護その他管理までずっと公団経費の支出計画がついている。さらにまた、年度別の造林面積保育面積保護面積というものもついているわけです。これが全面的に狂っていくわけですから、来年度から少々とかいうことではなくて、今年度においてそれがととのわなかった分だけは、もう直ちに計画を変更していかないと、その次の年度の計画が立たない。翌年からやろうといっても、その計画が立たないということになるでしょう。
  155. 山崎齊

    山崎政府委員 御説の通り公団が既契約約一万町歩を予定して三十六年度に造林するというふうに考えているわけでありますから、その分が話し合いの結果公団としてできないという場合には、公団としましても、新たな契約等対象としまして、秋植え等で可能なものは極力やっていくというように考えていかなければならぬように思います。
  156. 片島港

    ○片島委員 どうも答弁がおかしいのですが、私の言っているのは、秋植えのことではない。もっと根本的な問題を聞いているのです。秋植えで穴埋めをしてごまかそうというのではない。私が言っているのは、秋も春もない。二万町歩をやる計画で、そのうち五千町歩は合意ができたから公団に移管した、あと五千町歩は、どうにもならぬ場合は林野庁官行造林でやるというなら、五千町歩は新たに公団がやる必要がない。公団がやると二万五千町歩になる。そうしたら、計画の二十三万何千町歩よりも二十五万にもなり二十八万にもなる。それを、あなたは、二十五万にも二十八万にもならぬ、二十三万でいいというのか、それとも、十年のものを六年か七年で打ち切って、あとは知らぬ顔だ、ただ公団の計画だけを切りかえていくというのですか。
  157. 山崎齊

    山崎政府委員 もしもそういうふうな場合がありまして、五千町歩公団が穴のあいた分をやったとしますと、現在公団がやろうと考えております二十三万二千町歩のうちから五千町歩減らしたものを公団でやるという考え方になってくるわけであります。
  158. 片島港

    ○片島委員 そうなってくると金は余ってきますね。
  159. 周東英雄

    ○周東国務大臣 こうじゃないですかね。その点を非常に突き詰めてのお話ですが、十億円というものの出資は、ほかのときには、それで足らぬときはどうするかという御質問さえ受けたのです。それはそのときの状況によって今後必要ならばさらに追加出資をやる場合もあるということを申し上げておりましたし、従って、十億円の出資というものは、三十六年度にかりに今のお話のようなことがありまして、ととのわないで五千町歩減ったから、それでは十億の出資を減らすかというのは、少し気が早過ぎるのではないか。十年間にやって参ります間、国家の直接にやるものと公団と、同じようにして、お金には心配をかけないということでやっておりますので、かりに今のお話のようなことがあって、二十三万二千町歩の中から五千町歩が減るということがあれば、全体の計画は減るかもしれません。こういう問題は、全体の一部として見なければなりませんし、もう一つは、ただいま、常に公団の方が官行造林よりも不利だからみな断わるだろうというようなお話でございますが、私どもの見方は、公団でやりましても官行造林でやりましても、その利害関係というものは同じ、だと思っておるのであります。そこらをよく理解を求めていけば、そう極端なことにならぬじゃないかと思っております。しかし、もし御指摘のようなことが起こった場合には、それに対して将来にわたって考えればいいと思っております。
  160. 片島港

    ○片島委員 それでは、今のところ既契約分で植林未済の全面積はどのくらいですか。
  161. 山崎齊

    山崎政府委員 約二万町歩くらい、二万二、三千町歩考えております。
  162. 片島港

    ○片島委員 二万二、三千町歩というものが二十三万何千町歩の中に入っている、こういうことでございますか。
  163. 坂田英一

    ○坂田委員長 ちょっと、安井自治大臣がすぐ出かけられるので、ぜひ一つその方に御協力を願いたいと思います。
  164. 片島港

    ○片島委員 私が言った、二万三千町歩ですか、それが二十三万町歩の中に入っている、最悪の場合に、了解がつかなかった場合に、二万三千町歩というものは官行造林でかぶる、その分だけは公団がやらなくてもいい、こういうことになりますか。
  165. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、極端な御議論ですけれども、そういうことがありましたらそれだけ減ることになりましょう、こう思います。だが、しかし、それだから直ちに十億の出資を減したらどうかということにはならぬと思う。これはすでにほかの場合でもいろいろお尋ねを受けております。一体それは少な過ぎるのじゃないか、二十三万ヘクタールやるということは、それは官行でやればもう少し金が出る心配があるという御指摘がありまして、ふやすのかふやさないのかという御指摘さえ受けております。しかしながら、それに対して、今後の状態で必要があれば追加出資もするということを言っておりますから、私は、かりに片島さん御指摘のようなことが起こりましても、将来十カ年間における状況を見て、ほんとうに要らなければ最後に返済させてもいいのであります。今日の場合直ちに返還させることもないのじゃないか、こう思います。
  166. 片島港

    ○片島委員 私が言っておるのは、少ないとか多いとかこの計画で言っておるのじゃないのです。林野庁でやるよりも少ないだろうといってけさ湯山委員から追及があったのです。しかし、あなたの方はこれでやれると言っているのだから計画を出された。そうすれば、極端に言って、最悪の場合は二万三千町歩というものを実際にやる。その場合は官行造林がやるということになれば、これは多い少ないは別です。この計画ができないと信ずれば、その場合には二万三千町歩の方は公団の方はやらないでいい。それだけ金が要らない、単価が将来上がるとかいろいろ状況の変化があれば別だが、しかし、その分だけは全体の資金計画としては要らない、こういうことになるわけですか。それだけ……。
  167. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ただいまの資金計画がそのまま二十三万二千ヘクタールに関する問題として考えたときに、もし御指摘のような場合が起これば、それだけに関連する金は切らなければならぬ。それは当然です。
  168. 坂田英一

    ○坂田委員長 次は、芳賀貢君。
  169. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林大臣と自治省大臣にあわせてお尋ねするわけですが、まず自治省大臣にお尋ねします。  現在当委員会で審議しておる二法案について、大臣は法案を読んでこられておるかどうかという点と、それから、もう一点は、二月二十一日に自治省の行政局長と農林省の林野庁長官との間において、本件についての覚書が取りかわされておるわけです。ですから、当然、覚書の内容についても、これは自治省大臣の意思としてこれが取りかわされたものと思うが、この二点についていかがですか。    〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
  170. 安井謙

    ○安井国務大臣 法案は十分読んでおりませんが、大体そういう事柄については報告を受けております。なお、この覚書につきましても、実は事後にこういう覚書をしたという報告を受けておる程度でございます。
  171. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、両大臣にお尋ねしますが、公有林野等の官行造林制度が四十年たった今日、これは制度として廃止されるわけですが、廃止する場合にやはり国としての大きな廃止の理由がなければならぬと思うが、われわれが理由として考えられることは、この法律制度が一応の目的を達したという場合の発展的な廃止の場合と、また、何らかの理由によってこの法律が必要でないという場合の理由と、二様あると思うのです。政府が廃止する意図というものはそのいずれでありますか。
  172. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、今日まで官行造林制度をしかれて四十年間たっておりまして、その目的とするところは大体完遂してきたと思います。そのことが一点と、しかしながら、今後まだ残されておる、たとえば水源林造林というような問題がございます。これらにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、非常に面積等が小さくて分散した形になっております。これを同じように官行造林として進めていくよりも、今日の実態としては相当市町村等の自力によりやらせていくことが適当であり、それに対しましては、公共団体に対する造林に対する必要なる融資の道も、昨年からでございますが、特に政府は開いております。そういうことと両々相待ちつつこれを指導していこう、こういうことであります。それに対してやるについて、国がそれに関する資金なり監督なりというような面につきましては、直接やらなくても、公団という形でやって十分である、かように考えて、官行造林関係をはずしたわけでございます。
  173. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、自治大臣におかれては、この制度が廃止される場合の全国の市町村あるいは部落あるいはその住民に及ぼす影響というものは軽いものではないわけで、そういうことを考えた場合に、今農林大臣の言われたと同様に、この制度というものは廃止すべきものであるというようにお考えですか。
  174. 安井謙

    ○安井国務大臣 この問題につきましては主管庁である農林大臣が御判断を下されたわけでございまして、それをみだりに私どもが批評するのもどうかと思います。自治省といたしましては、地方団体が十分に従来と同じような公有林野の発展育成に不利のないようにという点を確認されるなら、さらにその点によって能率が上がるということならば、これは非常にけっこうなことじゃないかと思っておる次第であります。
  175. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは違うじゃないですか。あなたも国務大臣であり、周東さんも国務大臣なんです。ですから、内閣が法案を提出する場合、農林大臣の所管だから自治省大臣は意見をはさむべきでないということはないと思うのですよ。内閣全体の責任において法案を出すわけですからして、当然これは連帯の責任があってしかるべきである。そういう場合には、農林大臣がこの法律制度は廃止する必要があるということは、すなわち現在の内閣がそのことを認めて法案を出したことになるのです。ですから、あなたがとやかくくちばしを入れる筋でないということは、おかしいじゃないですか。
  176. 安井謙

    ○安井国務大臣 とやかく入れる筋じゃないという意味は、先ばしってああだこうだという議論を卒先して言う筋はないので、自治省という立場からいきまして、この点が地方自治団体に不利なような点がないということが確認されますならば、主管大臣の御発議になっております法律案にわれわれも賛成をいたしておる、こういう趣旨であります。
  177. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この法律は農林省の所管にはなっておるが、その対象になる実体というものは、これはむしろあなたの方の地方公共団体の林野に関する、そういう問題が中心になっておるわけです。ですから、従来四十年の歴史的な経過がある、しかも、昭和三十一年にはこの法の根本改正を行なって、それ以前は公有林だけに限定してこの官行造林が行なわれたのを、三十一年以降は部落の共有林並びに水源涵養の必要のある地域の私有林等についてもこの制度を及ぼすというそういう大きな改正が行なわれておるわけです。ですから、そのことを考えた場合に、この法律を廃止する必要があるとすれば、この官行造林法の主要目的である市町村有林の今後の造林とか森林経営というものは、全く国の助力に依存しない、公共団体自身の力で十分国民経済的な目的を達成できる、林業の経営が自治体自身で行なわれる条件が具備されたからもう国の協力は要らないという、そういう建前の上に立ってこそ初めてこの制度が要らないということをあなたが言う場合であるとわれわれは考えておるわけです。そういうことを十分理解しないでおられるということは、これは非常に遺憾にたえないことなんです。全国の公共団体においても、あるいはその区域の部落等においても、あるいは私有林を持っておる住民等においても、これは自立して経営をするのが当然であるということから、こういうことになることをもっともとされておるかどうか、その点はどうです。
  178. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話通りに、これは、制度を変えることによりまして、公共団体が突っ放されて独自でやれ、こういう筋ではないように私どもは心得ております。融資でありますとか補助でありますとかいうような協力関係を結びまして、将来地方自治体自体も従来以上に独自に力を入れて保護育成をしていくというように考えております。
  179. 芳賀貢

    ○芳賀委員 融資と言われたが、これは農林漁業金融公庫からの造林融資が一部地方公共団体にも流れるという道は開かれておるが、それをもってこの官行造林にかわる造林事業ができるという裏づけは全然ないんですよ。それから、もう一つは、法律を読めばわかるが、この制度が官行事業として廃止された場合、そのすべてが森林公団事業に移行するということでないことは、自治省大臣も御存じと思いますが、いかがですか。
  180. 安井謙

    ○安井国務大臣 融資はなるほど考え方によれば大したことはないという御見当もあるかもしれませんが、ことしも新しい予算で農林漁業金融公庫から公営企業金融公庫が委託を受けます金額も相当ふえております。さらに公団等からも十分いろいろ援助も受けて、これはやれるものだと心得ております。また、地方自治体自体も、従来のような財政に詰まってこういう方面へ目も向けられなかったというような時代から見ますと、最近は非常に積極的に力を入れるというふうにもなっておるように了解しております。
  181. 芳賀貢

    ○芳賀委員 融資の場合は、官行造林制度があったほかに融資の道があるわけです。これがなくなって、その分の融資がふえておるということはいささかもないのです。これは間違っちゃ困るですよ。現在までその制度があって、そのほかに公共団体等についても造林融資の道が制度金融として開かれておるというだけなんですよ。これがなくなった分を全部町村に融資した場合には、それ以外のほんとうの融資の対象になる農業者の融資はなくなってしまうのですよ。その点は間違わないようにしてもらいたい。  もう一点は、今度の制度の廃止によって、これは森林公団法の改正の内容を見ながらおられるならばわかるのですが、今までの公有林野等の造林対象は、主たる対象をその市町村の公共団体の普通林いわゆる経済林に置いたわけなんです。それが、三十一年以降は、水源涵養を目的とする地帯についても造林を行なうということになったわけですね。今度の森林公団は水源涵養林以外は造林事業をやらないのでしょう。普通林、経済林等に対しては公団造林事業をやることができないということが公団法に限定されているわけです。そうなると、全体の官行造林の現在の契約あるいは造林面積の中で占める水源林の割合というものは、これは一〇%にもすぎない微少なもんなんです。そういうことを考えた場合、水源涵養林に指定された以外の地域の森林というものは、全然これは官行造林でもやらない、森林公団でもやらない、全部これは町村の自力あるいは部落の自力ですね。私有林を持っておる人たちの自力でやるということになれば、これは非常に大きな影響が来ると思うのです。従来と変わりないなんという甘い考えでおっては、これはとんでもないことになるのですよ。その理解があって、たとえば覚書で賛成したり閣議で無条件で賛成されたのか、その点はどうなんです。
  182. 安井謙

    ○安井国務大臣 私の方は、地方団体としてはこの点は今後の経営にそう不利な影響はなかろうというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  183. 芳賀貢

    ○芳賀委員 おかしいじゃないですか。法律に不利な点が書いてあるじゃないですか。森林開発公団法の一部を改正する法律案というのがあるでしょう。大臣に見してやりなさい。その第一条の中で、「水源をかん養するため急速かつ計画的に森林の造成を行なう必要がある地域内における当該森林の造成に係る事業」を森林公団は行なうという。公団事業というものは、造林部面においては明らかにこれは限定されておるのですよ。これ以外のことはやらせないのですよ、森林公団に。もしあえてやる場合には、分収造林法に基づいてやらなければならぬということになるのであって、この二法案の関連の中において、損がないとか不利益がないなんという、そんなばかなことはないのですよ。もしそうのみ込んでおるとすれば、これは農林省の謀略にひっかかっちゃって、そう思っているだけなんです。
  184. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ちょっと、今自治大臣の方に対するお尋ねですけれども、謀略にかかったというお話があったから、その話の御答弁を願う前に申し上げておきたい。私はこう思うのですよ。もう芳賀さんよく御存じだと思うのだけれども、大体、官行造林事業対象になっておるものは、四十年の、この間ちょっと質問がありましたが、あのとき六十万町歩くらいがその対象になっておる。その中で半分を大体補助造林、半分の三十万町歩官行造林にしておる。それで、その点は大体目的を終わっておるわけです。残る問題についても非常に小さい面積になる。そうして、水源林造林についても、それは従来官行造林としてやっておったと違いのないように、必要な資金は従来通り国の方で公団を通じて出します。従って、非常に不利のように——信用がないからそれは先ほどから芳賀さん御指摘のようにあるいはありましょう。しかし、問題は実行に移されてみますれば、一般に同様な形で金が出て参りまするし、そうして、それに対して不利をなくすれば、私は市町村に迷惑がかかることはないと思う。また、先ほどから言う融資造林については、これは水源林造林の関係ではございませんけれども、むしろ市町村の自立育成の面から申しましても、市町村関係が従来の官行造林で完成したものから上がってくる利益が二十五億円ずつくらいあるわけです。そういうものをにらみ合わせつつ、むしろ市町村としては融資造林の方を金をふやしてくれ、こういうふうな要求もあるような次第でございまして、従って、私は、抽象的に言えば、従来のものをなくしたから急に市町村が損をするような格好になりますけれども、大体目安のものは達成し、あとに残ったものとして水源林造林が出てきている、これにつきましては従来と同じように公団を通じて国がめんどうを見る、その他の造林に関しましては、御指摘のように、やはり融資造林について国としては金をふやす、また、ただいま御指摘のような分収造林的な形でいく場合におきましても、当然それらに対する市町村負担分についても今度はこれに入れてございますので、私は、そう非常な不利益が出て市町村に迷惑がかかるから自治体のことも考えてくれということもなかろうかと思うのであります。決して、私どもは、自治省の方にいいころかげんなことを言うて、そうしてむやみやたらに官行造林をやめて公団にやるということは考えておりません。これは御了解と思いますけれども、そういう意味合いにおきまして、ちょっと萩中に入りましたが、そう御了承を願います。
  185. 芳賀貢

    ○芳賀委員 自治大臣に聞いておるんです。
  186. 安井謙

    ○安井国務大臣 すでに、水源涵養につきましては、昭和三十一年の改正以来官行造林は水源涵養林を対象にするというふうに変えられております。今度公団に移りまして、この第一ですか。第一の目的の内容とそう大きな変化はないように私どもは心得ております。
  187. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、数字を申し上げますと、全国の営林局別の官行造林の総体の造林面積は約二十四万八千町歩あるんですね。それでは、今あなたが言われた水源涵養林の面積はその中で幾らあるかというと、わずかに二万八千町歩しかない。ですから、これは割合にすれば総体の一〇%程度水源林ということになるわけです。だから、この制度が廃止になって公団に移行する分はこの分なんですよ。それを、先ほどの長官お話では、契約分についてはまだ実施未了のものが二万三千町歩あるということになっておるんだから、一割さえやってもらえばあとの九割はもうどうなってもかまわぬ、そういう計算で不利益にも損にもならぬということであれば、これは話が別なんですが、そこらを自治大臣として十分なる答弁を願いたいと思うのです。自治大臣に聞いているんです。
  188. 安井謙

    ○安井国務大臣 何万町歩でございまして、その森林がどういう工合になっておりますかといったような具体的な問題につきましては、私も十分な知識を持ち合わせておりませんが、建前といたしましては、この法律の改正によって従来と変わることはないというふうに了解しております。なお、いろいろな点につきまして不利益があってはいかぬというようなことで、当事者同士の農林省と自治省の間でも十分検討されて、申し合わせも取りかわされておるというふうに考えております。
  189. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、あなたがそう言われても、あなたは政府の出した法律を無視するんですか。水源涵養林に限定した公団事業というものがこれにちゃんと書いてあるじゃないですか。それ以外はやってはいけないということになっている。一方で官行造林制度が廃止になった場合に、従来と同じだとは何を言うんですか。
  190. 安井謙

    ○安井国務大臣 私は、三十二年以来もうすでにそういう方式でやってきておるという工合に考えております。
  191. 芳賀貢

    ○芳賀委員 冗談じゃないですよ。公有林野等官行造林法の一条の一号、二号、三号を読んでみたらいいじゃないですか。第一条の第一号は、市町村有林に対して普通林を対象にして造林事業を行なう、第二号は、部落の共有林に対して造林事業を行なう、第三号については、一号、二号の造林地区において水源涵養を必要とする地区については水源涵養の目的で造林を行なうと同時に、それに近接した地域の私有林についても水源涵養造林を行なうということが、現在まで生きておるところの公有林野等官行造林法内容なんですよ。三十一年以降は、水源林造林もやれるということがちょっぴり加わっただけなんです。事業の主体というものは、あくまでも市町村有林のいわゆる普通林、経済林を中心にして、そうして造林事業が官行において行なわれてきている。この厳然たる事実を、三十一年から変わっておらぬというような、そういうばかなことを、一国の国務大臣ともあるものが、しかもこの国会の席上において言うということは、けしからぬと思うのですよ。どうなんです。あなたは自治省の役人じゃないですか。
  192. 安井謙

    ○安井国務大臣 私の専門でございませんので、この具体的な事情は、個々についてはあるいは知識不足でよく知らない点もたくさんあると思いますが、私の了承いたしておることは、昭和三十二年以来、官行造林は水源涵養林を対象としておる、こういう方針で臨んでありまして、今度の法律改正によりまして、この第一の目的と、従来のこの二、三年来の計画と、そう大きな食い違いにはなっていない、そういうふうに心得ております。
  193. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは、あなただけが心得ておっても、これは大きな違いがあるのですよ。たとえば、昭和三十一年の官行造林法の改正案が出たとき、昭和三十一年の二月二十一日に、提案者を代表して時の林野庁長官の石谷政府委員が提案理由の説明を行なっておるわけです。これを速記録のつづりでも持ってきて読めば、これはわかるのですよ。これは従来の官行造林制度の中に水源涵養を目的とした造林事業を加えるという改正が行なわれておる。それに合わして、部落有林も対象にする、そういう改正であって、それ以前と制度が変わったということでない。制度を広げたのですよ。その目的というものは、水源涵養林は、これは、たとえば森林法の規定あるいは保安林の臨時措置法の規定等によって、国土保全の必要上官行造林を保安林であるところの水源涵養の造林に及ぼすということで、国の行なう造林事業を当然のことである方向にこれは拡大したわけです。だから、現行の官行造林法というものは、これは決して水源涵養林だけを主目的としてやっておるわけではない。主目的にやっておるとすれば、何も今日法律の改正の必要はないということにこれは当然なると思うのですね。長官、私が言っているのですからね、あなたの説明よりこちらの言う方が正確なんだから。どうなんです、この点は。これは議事録を見ればわかる。昭和三十一年二月二十一日に、当委員会において石谷林野庁長官官行造林法の改正の提案理由の説明を行なった。これは速記録がある。こういうものをちゃんと読んでこなければ、事の経過がどうなっているかというようなことはわからないのですよ。これは農林大臣も長官もそういうことはわからぬでしょう。
  194. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私先ほど申しましたように、芳賀さん御指摘になっておる官行造林の計画というものは大体目的を達してきた、そこへ三十一年の法律改正で新たに水源林造林に関するものを官行造林に入れて、そのときに、なお水源林以外の関係で官行造林として残っているものが一部あります。それは契約していたものの実行が残っているわけです。それが新たに三十一年に立てられたものが三十五万町歩というものを官行造林として進めていくということで、今日まで九万九千町歩できてきた。その残りが二十三万何がしになっている。それを今度公団に移そうということでありまして、従って、御心配の点は、公団に移した水源林造林はかりに是認するとしても、その他のものはおっぽり出されたから市町村が困るじゃないかというような御趣旨のように伺いますが、その他のものについては、先ほどから申し上げているように、大体目的を達して、もうあまり多くの場所はないのじゃないか。それは、先ほど言った六十万町歩の中で三十万というのが補助造林でいき、三十万が四十年の計画でやられ、それが二十八万何がしというものが実行されて、残りがわずかになっておる、こういうことを申し上げておるのです。従って御心配は私はよくわかります。あなたはその点は自治体のことを考えていらっしゃるのだと思いますが、こういう計画を進める場合に、大体二十三万町歩何がしのものをこれからやり、ただ、二万何千町歩は残っておりますので、その点についてはどうするかという先ほどの片島さんの御質問については、もしも公団にいくのがどうしてもがえんじないという点については、官行造林の関係でいき、そして迷惑をかけぬようにするし、それから、水源林について官行造林公団に移しましても、その公団から流れる資金なりというものは従来通り全部国が持つのでありますから、あとは管理とそれから直接造林とを担当するものが市町村になってくるだけでありまして、負担をかけるものでない、私はかように考えております。その点を先ほどから自治大臣は申されておるのでありまして、これができたそのことによって非常な影響が自治体に及ぶのではなかろう、こういう御答弁があったように私は考えておるのであります。
  195. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は自治大臣にも考えてもらいたいのです。たとえば、全国の森林の様相を見ると、国有林、公有林、私有林と分けると、公有林の関係が一番林業として見た場合に質的にも成果というものは上がっていないのです。ですから、この場合一番経済効果の低い水源涵養林については、官行造林よりは弱体化するが公団方式の分収造林事業でやるとしても、それ以外のたとえば全体の九割以上を占める一般の普通林、いわゆる経済目的を持って市町村が保持しておるそういう森林の経営というものは、この制度の廃止によって意欲が高まるものであるか低下するものであるかという判断は非常に大事だと思うのです。とにかく、植栽してから三十年以上もたたなければ伐採に入れない、三十年もたたなければ収益が上がらない、その長期の投資をはたして今日の特に山村関係の市町村が積極的に行なう完全なる自治体としての財政力、経済力というものがありやいなやということを考えなければ、この法案に対してはみだりに無条件賛成の態度は示すべきでないとわれわれは考えておった。ところが、あなたがこれを賛成するという場合には、もうすでに、全国の市町村において、水源涵養林という経済効果の上がらない、むしろ国家として国土保全上必要とする地域以外は、当然地方公共団体の責任において自力で森林経営を行なう段階に来たからこの制度は要らないということであれば、これは趣旨も明らかになるし、筋も通ると思う。これがなくなったから損がないとか得があるとか、そういういわゆる計算上賛成したというようなことは理由にならないと思うのです。ですから、はたして、今日の地方公共団体の力をもって、この制度が廃止されても、それ以上に意欲的に公有林の事業あるいは部落有林の事業というものは拡大生産の方向に向かう見通しがあるかどうかという点については、責任のある答弁を願いたい。
  196. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話通りに、今まで公有林の経営が自治体において非常に不十分である、これは私どもも耳にしておるわけであります。ことに、こういう改正にあたりまして、それがますます不利になるというようなことがあってはいかぬという点については、十分全体として心がけておったつもりでございます。この融資の増額といったようなものをことし特にやっておりますのも、その気持の一つでございます。それから、さらに、地方財政自身がだんだんとそういった面でも相当手を伸ばし得るような状況の見通しもございますので、今後も、今の御心配、御注意のような点については十分気をつけまして、荒れたり非常に不利になるようなことのないように、十分心がけていきたいと思っております。
  197. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣の時間の都合もあると思いますが、それでは、次に、行政局長と林野庁長官との間にかわした覚書の内容について、非常に不当な文言があるわけです。それは、官行造林制度としてなくなって公団方式になった場合に、公団と市町村有林だけの分収歩合の点については、これはその基準を五分・五分にするという了解事項になっておりますね。この官行造林制度がなくなると、今度は依存する法律というものは主として分収造林法に移るわけです。その場合、今度は、市町村有林であるとか部落有林であるとか私有林であるというような差別というものは許されないわけですね。今までは、国としては、官行造林法の一条一号、二号については、これは施行令によって五分・五分、それから私有林の水源涵養分については国が六分、土地所有者が四分という、そういう分収歩合というものは、これは省令によって明らかになっておるわけです。ところが、分収造林法にはそういう規定というものはないわけです。ですから、今度の公団法の改正を見ても、分収造林法の適用を受ける部面も多々出てくるわけです。そういう中において、市町村有林だけが五分・五分であって、それ以外のものは差別を受けてもいいというようなそういう根拠というものは、絶対にこれはあり得ないと思うのです。そういうことをわきまえておりながら、自治省と林野庁との間において、市町村有林だけについては五分・五分の基準でやるというような不当な覚書をかわすということは、これはわれわれとしては絶対了承できない点でありますが、どういうような意図でそういう不都合な取りかわしをしてあるのか。この点は、あとで聞いたかどうか知りませんが、当然責任は両大臣にある点ですからして、この際農林大臣、自治省大臣からその点を明らかにしてもらいたいと思います。
  198. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、芳賀さんのお尋ね、ちょっと意外に思っている。いろいろと御心配の点はわかりますけれども、あの覚書の分収率というものは、むしろ市町村の経済的な確立を助けるために書かれたと思います。と申しますのは、御承知のように、官行造林法におきましてもこれは区別をいたしておりまして、市町村との契約の場合においては国は市町村に対して五分・五分を標準として分収する、その他のものは四分以下になる。しかし、今度は、形は国でありませんで公団でありますから、もしその点について安くされてはならぬ。これは、大体従来のいろいろな慣行が、民間等から金を出した場合には、金を出した方が土地を持っている者よりよけい取っておる。これは皆さん御承知の通りであります。そのことを、むしろよけい取らして、従来通りの五分・五分に持っていこうということの話し合いであったと思う。ですから、むしろその点は市町村のことを考えてやっておるわけです。その他のものと区別しちゃいかぬというお話ですが、分収契約に基づいて将来どういうふうに分けるかという問題については、これは数字的には相談したらいいと私は思います。
  199. 安井謙

    ○安井国務大臣 市町村だけでなくて、今の分収率の問題からその他の部門につきましても従来より不利になることはなかろうというように、当事者同士で話は取りきめをしておると心得ております。
  200. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なかろうというようなばく然としたものじゃないのですよ。これは読まれたと思うのですが、この覚書の1のまたその(1)に、「森林開発公団が市町村との間に締結する森林開発公団法第十八条第一項第六号の規定に基づく分収造林契約における市町村の土地所有者としての分収割合は、五〇%を標準とすること。」、ですから、これは市町村有林に限定しておるんですよ。市町村の公共団体が土地所有者として公団と分収契約を結ぶ場合のいわゆる市町村有林については、これはこの官行造林法は一条一号の規定が五分・五分ですからして、それをくずさないようにするということを書いてあるが、それはこの官行造林法の二号の部落共有林、三号の私有林等についてはどうするかということがこれではいささかも書いてない。今度は、普通林ではなくて、国土保全上の必要から、森林法あるいは保安林法の規定に基づいて農林大臣が保安林地区を指定して、その指定地域内において水源涵養の造林事業が行なわれる場合において、国家的な立場から見た場合に、これが市町村の所有地であるからして、部落の共有所有地であるからして、私有地であるからしてというような区別をつけて分収歩合を異にするということは、これは今度は許されないと思うのです。それをあえて市町村分についてのみ官行造林法の規定に基づいて五〇%にする、それ以外の分についてはどうするという考え方の上に立っておられるのか。
  201. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私はどうもその点はよく御質問の趣旨がわからないのです。あなたが御承知の通り、今の官行造林法でも、法律規定でありますけれども、市町村以外のものは率は変わっております。分収造林法に基づいてやる造林については、御承知の通り、何も歩合は書いてない。この分収造林計画については、私は、契約によって成り立っておるものは、契約当事者がきめればいい。しかし、この場合において、どうしても今後において造林というものを通じて地方自治団体の経済の育成をはかるために、特に市町村についてはそういう申し合わせ事項ということがきめられた、その他については、私は契約する場合における当事者が事情に応じて分収歩合をきめるということでいいんじゃないかと思います。しかし、おのずから、私は、今までの官行造林関係に出て参りまする関係におきましては、市町村以外の部落有林野等に関する契約とかあるいは財産区の設定によってやられておる部門が、市町村にあらざる場合というようなものが、今の申し合わせというものに準じて考えられるものだと私は考えております。そういたしますと、残る問題は、ほかの問題をあまり書いてないのはけしからぬ、こういうことのお尋ねのようであります。これは、本来、私は、そういうものの契約というものは一律に契約の内容として分収歩合をきめたらいい、そのきめるべき標準を一体どういうふうに持っていくかということを今後の指導でやっていくことが必要だと思っております。それに対しては、皆さんの御意見も十分に聞きまして、市町村、部落、財産区以外のものについては、今後における地方の農山村の育成をも考え合わせつつ、公団との間にする契約で分収歩合というものをきめていくという行政上の指導方針をとればいい、かように考えております。
  202. 安井謙

    ○安井国務大臣 農林大臣が今お答えになった趣旨と同じでございます。
  203. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、問題は、官行造林法の第二号の規定は、これは部落有林なんですが、それでは、覚書の中では、部落有林は町村有林に準ずるという、そういう了解になっているのですか。それが一点と、それから、官公造林法の第三号による私有林の水源涵養造林については、官行造林はこれは四分ということになっている。土地所有者が四分で国が六分ですね。ですから、従来の官行造林では、市町村に重点を置いて、部落がそれに準じて、私有林は一分それより下回るという、そういう差別がついておったのだが、今度官行造林法がもう要らなくなった、今後は市町村のみずからの力で森林経営はやれるということが主体になっていけば、残っているのは、これは国土保全上の理由と必要性で市町村あるいは部落、個人のその林地を指定して水源涵養の造林事業を行なうということになれば、これは非常に目的と趣旨が変わってくるわけで、そういう場合においてもなおかつ市町村を優位に置いて住民を不利益に置く、そういう分収契約というものはあり得ないのではないかというのがわれわれの指摘する点なんです。むしろ、今度の場合は、この私有林を主にして、公共団体の場合は、むしろ、国家目的に協力する場合において分収歩合を異にする場合には、市町村の分収歩合が一番下位に置かれるというような、そこまで協力体制が出てこなければいけないと思うのですよ。そうでしょう。住民は不利益になってもかまわない、町村だけ有利になればいいというような、そういう心得違いの市町村というものはあまりないと思うのです。そこらにあなた方行政官の首脳者としての大きな頭の狂いというものがあるわけです。社会性とか国家性というものを考え法律を出す場合にはそういうことになるんですよ。ですから、この対象になる町村、部落、個人の場合の分収歩合というものを単一のものにする考え方であるか、それをその人格の相違によって異にする考え方で運営をしようとするか、この点はどうなんですか。この点については、公団法によると、省令に規定する事項、業務方法書に規定する事項というものがこの森林公団法の改正案に明らかになっておるので、当然これはこの審議の中において政府当局から省令の内容あるいは業務方法書の内容というものは示されてしかるべきであるにもかかわらず、まだ出していないのじゃないですか。ですから、そういう点にわれわれの疑問を解明する根拠がないとすれば、この際、すみやかに省令及び業務方法書をここに示してもらいたい。そういうものが出てこなければまじめな審議はできないですよ。どうですか、その点は。
  204. 周東英雄

    ○周東国務大臣 すでに私はお答えを申し上げております。決して、市町村だけで、部落住民の利害はどうなってもいいということは考えておりません。    〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕 従って、ただいま申し上げましたように、市町村ということで申し合わされておりますが、申し合わせばあくまでも申し合わせで、市町村に部落有林あるいは財産区等の形で設定している住民のためには同様な処置をとっていくつもりであります。しかし、それ以外の個人々々の問題については、ただいまの芳賀さんのお言葉でありますけれども、なかなか、大きな人にまでも、国が出して、分収歩合をよけいにするということは、どういうことかわかりません。私どもとしては、部落有林を入会等によって使っている人、あるいはその部落有林の財産区、——植林造林ということによって部落民がよくなるためには、同様な分収歩合をもって考えていきたいと思っておりますし、決して農山村における小さい方々の不利益をはかろうとは思っておりません。むしろ、私どもは、芳賀さんのただいまの御質問によりますと、どんな大きな山を持っていても、それもやはり分収歩合をよけいやる方がよろしいという御意見のように伺いますが、それらのことにつきましては、具体的な場合において十分考えて処置はいたしたいし、この申し合わせば、常に地方々々の町村の実態を考えつつ、不利のないようにしていこうという自治省あるいは林野庁考え方の一つの現われであって、これは確定不変のものではない。これは御意見を聞きまして十分今後考えていきたいと思います。
  205. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣の感覚が少しずれておるので、私の質問にピントが合わない。ですから、繰り返してもしようがない。それは覚書をかわした当事者というものがおるのですから、これは山崎林野庁長官と、それから自治省の行政局長ですね。この町村有林以外の部落有林並びに私有林等については、この法律がもし通った場合には分収歩合をどするかという話し合いは全然なかったのですか。
  206. 山崎齊

    山崎政府委員 自治省といろいろ打ち合わせ折衝いたしたのでありますが、その段階におきまして、もちろん私有林をどうするとかいうふうな問題は出なかったわけであります。部落有林、特に財産区とかいうふうなものにつきましては、この趣旨に準じていくという申し合わせをしたのであります。
  207. 川俣清音

    川俣委員 関連して。  自治大臣にお尋ねしたいのですが、あなたの方の関係が非常に薄いように考えておられますことは、非常なあやまちだと思います。それを指摘しますから、御答弁願いたい。  官行造林法が大正九年にできました際に、国と民間との契約であるために、国の方は解約とか違約とかあるいは不履行というものをしないのであるという前提に立っておるわけです。しかし、それでもなお一方にだけ義務を負わしておることは危険であるからという議論が出まして、公有林野等官行造林法施行規則の第二条にこのチェックの条項があるわけです。それは、   「造林契約成立シタルトキ造林地ノ面積ニ変更アリタルトキ造林契約ノ全部ヲ解除シタルトキ又ハ造林契約ノ存続期間満了シタルトキハ営林局長ハ都道府県知事ニ其ノ旨通知スヘシ」ということになっておる。これは、各自治団体が勝手に不利益をこうむるような契約をした場合には、当時の監督官庁でありまする府県知事はそれに制約を加えようという規定を入れまして、これならば、国を信用し、自治体側の監督機関も賛成するならば間違いなかろうということで規定ができておるわけです。だから、関係がないわけじゃない。大正年間は内務省でありまするから、府県知事は公の機関です。今日は各府県は自治体になっておりまするから、本来でありまするならば、この法律は生きておりまするから、当然この法律が改正になる場合には知事会の意見を聞くのが自治省としても正しい行き方でありまするし、林野庁としても、当然、この法律が廃止になるのでありまするから、利害関係の多い知事会の意見を求めるのが私は至当であったと思うけれども、自治大臣はどのようなお考えでありますか。
  208. 安井謙

    ○安井国務大臣 従来の法律の関係もありますし、また、山林の造成が非常に自治体にとって大事であるという点は、御注意のお話もよく承りまして、今後も大いに気をつけたいと思います。  ただ、知事会へ諮るべきかどうか、これは、そういう点を十分に事務当局も心配をいたしまして、そういうことのないような配慮のもとに林野庁といろいろな申し合わせも取りかわしておるのであろうと思いまして、これはあるいは話した方がよかったというようなことも言えるかもしれませんが、そういう措置をとらなかったわけであります。
  209. 川俣清音

    川俣委員 大臣、参考のために、公有林野等百行造林の標準契約書、これによりますると、造林をする国の方も、また、分収歩合を受けるところの町村も、「公有林野等官行造林法施行令、公有林野等官行造林法施行規則及び次の条項を承認し公有林野等官行造林により上記の造林契約を締結したので双方署名捺印の上各一通を領収し置くものとする。」となっている。国も契約者の相手方である町村も個人も、この施行令及び施行規則を承認して契約を結んでおる。この法律がなくなるということになって、この根拠に基づいて結んだ契約というものをみずから破棄するとなると重大なことなんです。しかも知事が一応承認を与えあるいは黙認をしておったものを今変更されるということについてその権限を奪うということは重大です。この契約を誠実に守るという約束をしておるのです。そのために非常な義務を負っておるのです。施行令によると一方的な義務を負っておる。国は義務を負っておらない。この施行令、施行規則は、全部相手方が義務を負っておる施行令及び規則である。相手方にだけ強要しておる。施行令、規則を一方においては誠実に守ることを勧めておるのはなぜか。国はこういうものに違反することがないのだという前提に立っておる。それを解約をする勧誘をするというから、勧誘をするということはみずからこの契約を守らないということになるのです。自治大臣、どうですか。
  210. 安井謙

    ○安井国務大臣 附則の二の、「この法律の施行前に公有林野等官行造林法に基づき締結された契約については、同法は、なおその効力を有する。」ということによって、今のような問題につきましては解決できるんじゃないだろうかと思っております。
  211. 川俣清音

    川俣委員 農林大臣にお尋ねいたします。こういうふうに契約を結んでおるものを解約するのだという前提公団法の一部改正も行なわれておるし、予算的措置もそのようになっておるのです。全面解約ができるという自信のもとでなければ公団法の一部改正及び予算措置はできなかった。全面解約を前提にしておるわけです、法律は。これは法制局へ行って聞いたのですが、ほんとうは公団法に打ち変えたい、それであると憲法違反の問題が出る、または既得権の侵害の問題が起こるから、従来の効力を存続しなければ法律上体裁にならないということで、そのままにきておる。その通りでしょう。ところが、法律がそのまま効力を有するというのであれば、廃止しなければならぬということにならないのだ。新しい植栽については三十二年からあまりやらないのだ、法律があったってやらないのだということになれば、これからだって新植をやらない。契約を結ばなければこの法律は何も障害にならないんじゃないですか。どうしても公団に移したい、それには、この法律をやめたということによって、法律がもうなくなったのだから、だれもやり手がないのだから公団に移すよりやむを得ないのじゃないかという勧誘のてこ入れとしてこの法律を廃止したいというんでしょう。そうでなければ、契約に基づいて誠実に行なうならば、もしもほんとうにこの契約を履行する誠意がありまするならば、植栽の時期に入ったならば植栽をする、していながら今後は一つ公団に移しかえしてはどうだということを示すことが誠実な履行である、私はそう思う。一般の世間もそう理解するであろうと思う。大臣、そう思いませんか。役所というものはうそを言わぬものだと思っておりませんか、うそを言うものだと思われておりますか。
  212. 周東英雄

    ○周東国務大臣 その点は、お話ですけれども、私の方は、一方的に既契約の分も廃止して公団に持ってくるということは言っていないのです。それは附則に書いてある。既契約の分はなお従来のままでいくと書いてある。それを、今川俣さんは、法制局で聞いたら体裁が悪いからああいうふうにごしらえておいた、こういうお話ですけれども、法律は、体裁や何かでなく、きちっと書いてちゃんとやっていきます。  それから、芳賀さんのお尋ねにお答えいたしましたように、それでは実行問題はどうするか。問題はなお残っているけれども、希望としてはだんだんそれに移したい意向はありますから、話し合いに持っていこう、効力があるかどうですか、とにかく従来契約しておりますが、新しく公団の方でやっていただけませんか、こういう相談を持ちかけることになっている。それでいやだとおっしゃれば従来通りやっていきましょうということですから、全く、憲法違反でもなく、契約について実行していくわけです。どうぞよろしくお願いいたします。
  213. 川俣清音

    川俣委員 これはあらためてあなたにやりますが、契約しておるのだから、この契約を履行させるということが、自治省としての責任であると同時に農林大臣としての責任だと思う。農林省初め非常な間違いは、林野庁が契約しておるという錯覚に陥っておる。国が契約をして、国の代表機関としてやるのであるから、国の立場というものを理解しないということになりますれば、これは公務員としての資格がないものだと言わなければならぬ。公務員法違反だなんとよく言うけれども、みずから公務員としての立場を没却するものでないかと思います。ですから、大臣、よく御研究願っておかなければならぬ。またあらためて質問いたします。
  214. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど提起しました分収歩合の問題ですが、分収造林法には、農林大臣が言われた通り、分収歩合を土地所有者あるいは費用負担者、造林者に幾らにするということは示されていないわけです。しかし、公団法の改正案の中には、そのことを業務方法書で定めなければならぬということがうたってある。これは、御承知の通り、改正案の「第十八条に次の一項を加える。」として、四項の四号に、「収益分収の方法に関する事項」というのが今度公団法に出てくるわけですが、この「収益分収の方法に関する事項」というものは、業務方法書にそれを示さなければならぬということになっている。しからば、業務方法書というのは、「業務方法書に定めるべき事項は、農林省令で定める。」と書いてある。そうなれば、この法律には当然分収歩合の問題も出てくるわけです。ですから、そうなると、この法案に附帯して、これに関する農林省令と業務方法書というものは、この法案を国会に提案するときにもうすでに農林省は用意しておかなければならぬ。それを、二月の上旬に法案を当委員会に付託しておきながら、一カ月も二カ月もこれを放置しておいて、省令も業務方法書も出さないというのは、一体どういう理由であるか。この点についてお尋ねいたします。
  215. 周東英雄

    ○周東国務大臣 その点は、先ほど申し上げておりますように、一番大事な点は、市町村の公共団体の問題もありますし、それから、たくさんの方々が集まって経営されている部落有林とか財産区の問題がございます。そういう面につきましては、先ほど申し上げましたように、大体五割を標準としてやっていくということを申し上げておるわけでございます。その他のものにつきましては、具体的な場合々々によって違うと思うのです。先ほど御指摘がございまして、芳賀さんのお言葉ですが、むしろ個人でもとにかく分収歩合をうんと上げたらよかろうという御指摘であります。私は、それはいつもの御主張と多少違っておるように思います。大きな山持ちに金を融資して、分収歩合をよけい上げるということは、いかがであろうか。それは要らぬかもしれぬ。あるいは四割、三割でいいかもしれぬ。しかし、個人の山持ちといたしましても、これを育成していくことがよろしいという場合には、分収歩合を上げることもできるじゃないか。だから、地方及び各個人々々の契約の内容においてそういうことをきめなければならぬと思うのです。そういう方向で業務方法書というものをきめるのでありまして、一律何ぼということをきめることは、琴柱ににかわすることであって、かえって実際に合わないのじゃないか。農山村における実態をどういうふうに育成していくかということを考えまして、個人の山持ちにつきましては具体的な場合に分収歩合をきめるという方向で指導して参り、そういう方向で業務方法書にきめるように書いたらいい。むしろ一番大事な点は、今申し上げましたように、公共団体、部落有林、財産区という問題になると思います。それはいずれ業務方法書の中に書きたいと思っております。
  216. 芳賀貢

    ○芳賀委員 周東さん、われわれは社会党ですから、大きな山林地主を有利にするなんということは毛頭考えていない。また、そういうものを国民の中で優位に置くべきでないということははっきりしておるわけです。ただ、国の法律規定する場合、やはり、国民を対象として、国民の利益とかしあわせを守るというのが法律の主眼でしょう。そういう場合、この主権者である国民を従たる立場に置いて、どこまでも公共団体が優位に立たなければならぬということは、逆だと思う。そうでしょう。その原則を私は指摘しておるだけなんです。それで、この法律に基づくと、省令と業務方法書というものは当然この法案に沿って示されなければならぬ。ですから、それをすでに用意してあると思うが、省令案と業務方法書の案というものを林野庁において用意してあるかどうか、その点はどうなんですか。
  217. 山崎齊

    山崎政府委員 業務方法書も林野庁としての案はできておるのであります。大蔵省とこまかい点を協議しておるという段階でございます。
  218. 芳賀貢

    ○芳賀委員 では、案が出ておれば、当委員会に出せますね。そういうものを出さないでおいて早く審議してくれなんということはふらちですよ。そういうものは、用意されたら、言われなくてもすぐ出して、省令並びに業務方法書の内容はしかじかになっておるということを進んで明らかにしていれば審議は促進されるが、あっても出さぬという態度だから、これがえんえんとして延びている。すぐ出せますか。
  219. 周東英雄

    ○周東国務大臣 おしかりですが、これはできるだけ早く一緒に出してその審議を願うということがよろしいと思いますが、ただ、今のような点につきましては、具体的な場合に多くの場合は個々の契約に譲るということになると思います。それから、私ども必ずしも市町村というものが優先するとかいうことばかりを考えているのではありませんが、市町村の山というものは、即その市町村におる住民の関係が密接なものであります。市町村の持っている山がりっぱに経営され、そのものの利益を上げることによって、やはり市町村住民の利益になる。そういう問題で、私は、そうものについては考えてもよろしいし、また、今お話のように、部落有林とか財産区のようなものは、もっと密接にその部落の住民の方々なり財産区に属する零細な方々に関係するものでありますから、むしろそういうものについては市町村に準じてやっていこう、こういうことを考えて、大きくあなたのお考えのように進めようとしているわけです。ところが、それ以外に個人の山をどうするかということになると、今あなたの御指摘のように、社会党は大きなものは考えていないとおっしゃるが、そうだろうと思う。そこで、個々の小さな農山村を育成していくについて、その住民の利益をはかるについては契約ごとにきめていきましょうというふうに考えております。これは一挙に一律に書けません。そういうこともあって、また大蔵省とも相談しておりますので、大体見通しは十分御承知だと思いますので、どうかこの辺でよろしく御審議をお願いいたします。
  220. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長から注意してもらいたいと思うが、委員の質問に対しての答弁政府委員からやってもらわぬと、今私の尋ねておるのは、省令や業務方法書の案が用意してあれば、ここに出しなさいということを言っている。それを周東さんはとんでもないことを言っておるから時間がかかる。これは委員長から注意してもらえばいいのですが、ただ、問題は、この政府案の施行期日というものが附則で示されておるわけなんです。三十六年の四月一日から施行するとなれば、順調にいけば通っているはずです。四月一日からこれが実施に入れば、当然そのとたんに省令と業務方法書というものは用意されていなければ、この法律の実施はできないでしょう。もう四月に入っておるのだから、長官があると言うから、それでは審議を促進する関係上この公団法の十八条に加えることになっておるたとえば当該契約の存続期間に関する事項、植栽の期間に関する事項、伐採の時期及び方法に関する事項、収益分収の方法に関する事項、その他農林省令で定める事項、これらはすべて農林省令に基づいて業務方法書に定めなければならぬということが法律に書いてあるわけなんです。ですから、これだけはやはり政府の責任においてその用意した省令並びに業務方法書というものを委員会に提出する義務があるでしょう。その点を私は言っているのですが、自治大臣がお急ぎのようですから、これはあとでただすことにします。  それで、自治省大臣にお尋ねしたい点は、今度の公団法の改正と官行造林法の廃止によって、今後公団の分収造林事業が行なわれる場合、これは分収造林法規定を受ける部面も多々あるわけです。そういう場合には、当然、都道府県の知事が行政的に指導したり行政的に処理する事項というものが分収造林法で示されておるわけです。そうなるとすれば、すなわち自治省所管にも関する問題が出てくるわけなんですが、分収造林法のそれらの規定に基づいた場合、この公団の行なう造林事業というものについて自治省所管のいわゆる都道府県の行政権限というものがどこまで及ぶかということは、これは大事な点だと思う。その点に対する大臣の所見を聞いておきたい。
  221. 安井謙

    ○安井国務大臣 公団そのものは農林大臣の主管でございますので、都道府県の知事が直接これに対していろいろ介入する権限は当方にはないと存じますが、御指摘のように、地方団体に非常に重要な関係の問題でございまするから、知事は常時これは気をつけまして、また自治省と農林省当事者同士でも十分連絡をいたしまして、御心配のないようにはかりたいと思います。
  222. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう抽象的なことではないのです。たとえば、分収造林事業公団が行なう根拠というものは、これは公団法の中にも特に示してあるが、この制度の本質というものは、これは分収造林法によるわけなんですね。たとえば、分収造林の契約を結ぶ場合にも、官行造林にはないが、分収造林の方では、土地所有者あるいは造林者、費用負担者、こういう三者が分収契約を結んで造林事業を行なうこともできるし、それから、土地所有者と一方は造林費用を負担する者との二者の契約において分収造林を行なうことも、これはできるわけです。それをやはり公団事業というものはそこに適用を受けるということは、これは否定できないと思う。それと、もう一つは、分収造林法によると分収歩合の根拠というものは明らかになっておらぬが、これは都道府県知事が契約あっせんの労をとるということになっておるわけです。それからまた、市町村の所有する林地等においてこの分収造林の契約を締結する場合においては、これは地方自治法上の特例事項というものが分収造林法の中に示されておるわけです。いわゆる議会の同意を受ける場合の特例事項というものは、これは示されておる。あるいはまた、道都府県や市町村がみずから造林者となって分収造林事業を行なうことができるということにもなっておるわけです。ですから、これらの点は、やはり、今度の公団法によって分収造林事業をやる場合においても、これは分収造林法との関連において都道府県の知事というものは善意なる行政上の関与をするということは当然あり得ることだと思うのです。この点に対する自治省大臣の意見と、もう一つは、同じ現地における分収造林事業の場合においても、農林省の資料によりますと、過去三十三年、三十四年度に全国で行なわれた分収造林における分収歩合の内容というものは、土地所有者の場合の受ける分収割合というものは全体の三分ないし四分ということで契約が締結されていますね。ですから、これは明らかに官行造林の場合よりも収益歩合というものは土地所有者の方が低いということが言われるわけです。これは地代論から言うと低いのが当然であるが、一方において、すでにもう二カ年間そういう分収造林事業というものが行なわれて、既成事実として分収歩合というものは明らかになりつつあって、これが固まってきておる。そういう場合に、今度は公団がそれらの土地所有者を対象にして分収造林を行なう場合の均衡という問題は、今後大事な問題として当然生じてくるわけなんです。ですから、そういう調整等は当然自治省においても真剣に行なわなければ、公団方式だけが従来と同様に不利益にならなければそれでいいということにはならない。これが今度分収造林事業等に対しても悪い影響を及ぼすことは当然だと思う。そういう点についてはどのような配慮をもってこれを行政的に進めていくかという点については、これは覚書を結ぶ場合、あるいはこの法案に閣議で賛成する場合には当然はっきりした信念というものがなければいけないとわれわれは考えておるのですが、その点はどうですか。
  223. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話通り、いろいろ大事な問題がございます。ただ、この分収造林法自体の権限は農林大臣にあることは御承知の通りでございますが、しかし、それは、実施するにあたりまして都道府県の知事がこれをあっせんしたり、いろいろ調停する実際上の必要がある点はお話通りでございまして、今後とも十分に気をつけて、この点には抜かりないようにやりたいと思っております。
  224. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なお、この際申し上げますが、昨日当委員会においてはこの法案に関する参考人の招致を行なって、それぞれの立場から意見を述べてもらったわけです。たとえば、秋田県の知事であるとか、あるいは市町村を代表する市町村の首長、あるいはまた全国町村会の会長、それぞれの意見を聞いたのでありますが、やはり、この制度の廃止に対しては重大なる不安と危惧を持っておられる。ただ、期待は、従来の官行造林事業よりも不利益にならないと言われておるから、そういう説明を自治省や林野庁から受けておるので、それにだけ期待を持っておる、しかし、やはり不安というものは除去されぬ、そういう意見の開陳が行なわれたわけですが、こういう点については、先ほども言ったが、その農林省の言い分をうのみにして、それをただ関係の知事や市町村に伝えて、まあ農林省がそう言うから心配するなという程度の啓蒙啓発を行なったんですか。
  225. 安井謙

    ○安井国務大臣 いろいろそういった点で地方団体も不利になってはならぬということから、林野庁長官と行政局長との間の申し合わせもいたしたわけでありまして、事務当局としても相当十分に内容を突っ込んで検討いたしておると思います。
  226. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、農林大臣にお尋ねしますが、この官行造林の廃止法案の中には、すでに官行造林法に基づいて契約した分についてはなお効力を有するということが書いてあるが、この効力があるということは、すでに契約された分ということになっておるわけですからして、この点に対してはいささかの疑点もないと思うのです。ところが、それについて数日間非常に疑義が生じて議論が行なわれておるわけです。そこで、これは聞くまでもないことなんですが、公団事業の場合は、これは水源涵養林の造林事業を行なうということに間違いはないですか。
  227. 周東英雄

    ○周東国務大臣 さようでございます。
  228. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、たとえば公団事業に移すものが契約分の中においてもいささかあるとしても、それは単に官行造林の契約されてまだ実施されない部分のうちのわずかに水源涵養林に当たる分だけが公団が行なうものであって、普通林の場合には、いかように公団が行なおうとしてもこれはやらすわけにいかないということになると思うのですが、いかがですか。
  229. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お話通りです。
  230. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは間違いないですか。
  231. 周東英雄

    ○周東国務大臣 その通りです。
  232. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、先日来林野庁長官は、国と土地所有者との間に締結されたすべての契約の中のまだ実施されない部面については、話し合いで公団事業に移せるものは移すということを言うておったが、それは間違いじゃないですか。公団の行なう事業というものは、全体の一割にもすぎないわずかの部分のまだ実施されていないものが話し合いがついただけそちらに移行することができるということになっておって、大部分のまだ実施されておらない契約分については、これは当然官行事業で行なうということに法律上なっておるじゃありませんか。どうなんですか。
  233. 周東英雄

    ○周東国務大臣 先ほどから片島さんの御質問のときお答えいたしましたように、大体、従来から、三十二年以来計画された中で残っているものが二万三千町歩あって、そこへ新しい水源林造林というものを加えて今度の計画を進めようとするのでありますから、全部ではないはずであります。
  234. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点がまず明らかにされなければならぬと思うのですね。従来契約されて、いまだ造林が実施されていない全体の中の水源涵養林だけについては、あるいは契約当事者との了解のもとにそれを公団事業に移すことはできるとしても、法律で示されてやることのできない、水源涵養林造林事業以外のものは、当然これは公団ができないのですからして、その分については官行造林でこれを完全に実施するということはいささかも疑点のないところなんです。これは大臣はその通りだと確認されたが、ところが、林野庁長官の方はそうは考えていない。こういうところに問題がある。ですから、長官の数日間の答弁は全くでたらめだということになる。この点をもう二度ここで明らかにしてもらいたい。
  235. 山崎齊

    山崎政府委員 御存じ通り、契約で残っておりますものは今二万三千町歩あります。これも昭和三十一年法律改正いたしまして以来自後に残っておるものであるわけでありまして、われわれが現在考えております水源林地帯というものに入るというふうに考えておるのであります。
  236. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことよりも、原則としてどうなっておるかということなんです。森林公団は水源涵養の造林しか、やらせようと思ってもできないでしょう。だから、それ以外は結局官行造林で残るわけでしょう。そういう点が明らかになっていないのですよ。
  237. 山崎齊

    山崎政府委員 今お話しいたしました通り、残っておりますものも、三十一年度の中ごろでありますが、法律改正後の契約のものであるわけでありまして、この新しい公団対象として法律規定いたしております水源林に全部該当するものであるわけであります。
  238. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことはないですよ。全部水源林ということになれば、それは、三十一年の改正当時、官行造林水源林に限るというふうな改正をすべきじゃないですか。あの促進要綱というものは何のために作ったのですいろあるでしょう。そういう場合には何も水源涵養林の地区に限るという限定はないじゃないですか。
  239. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど大臣から答弁がありましたように、昭和三十一年度に法律を改正いたしますときに、昭和四十四年までに三十五万町歩造林を実施したいということを説明いたしておるわけであります。その三十五万町歩につきましては、同時に、水源地におきます一般経済林等の既契約として残っておりましたものを除きまして、水源地帯の造林であるということに御説明申し上げておるはずであります。
  240. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たとえば、この政府から出た資料によると、現在の官行造林の契約面積は三十万四千八百町歩ですね。その中で造林面積が二十四万七千六百町歩。この二点は間違いないですか。
  241. 山崎齊

    山崎政府委員 資料提出いたしましたその統計は間違いないと思います。
  242. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、契約面積造林面積と対比すると、五万七千町歩まだ残っておるということになると思うのですが、いかがですか。
  243. 山崎齊

    山崎政府委員 御存じ通り、団地を対象にして契約をいたすわけでありまして、その団地の中に河川とかあるいは岩石地というものがあるわけでありまして、現実に造林可能面積は、契約面積に対しまして一割とか、場合によっては一五%くらいも減るというふうな形になるわけでありますので、造林計画といたしましては、その差だけがあとに残るということでなしに、その残の区域面積のうち、造林をほんとうにできる、またやらなければいけない面積がなんぼあるかというふうに考え幾らという数字を申し上げておるわけであります。
  244. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、三十一年の法改正以後は全部これは水源涵養林に限定してやってきたということであれば、一体それ以降の百行造林事業というものはどれだけ進捗しているわけですか。これが全部水源涵養林だとすれば、どういうことになりますか。
  245. 山崎齊

    山崎政府委員 法改正以降に官行造林によりまして植栽いたしました面積は、三十五年度末までを合わせまして四万二千六百町歩余になるのであります。
  246. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは違うじゃないですか。この営林局署別の造林面積の中の水源林というのは二万七千九百町歩ということになっているでしょう。そうすると、五年間でわずか二万七千町歩しか水源涵養林は造林しなかった。これはどういう事実なんですか。
  247. 山崎齊

    山崎政府委員 今私が申し上げましたのは三十五年度末までをお話し申し上げたわけであります。資料としては三十四年度末が掲上されておるのじゃないかというふうに考えるのであります。で、三十一年に法律改正をしまして、自来造林をやったわけでありまして、契約面積といたしましてはこの実行面積を上回る面積を契約しておる。その契約した団地に対しまして年度計画を立てて造林を実行するという形に相なっておるわけであります。今後に植えるべきものが、先ほど申し上げました水源林で二万何千町歩あるという経緯になっておるのであります。
  248. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣にお尋ねしますが、昨年の国会で治山治水緊急措置が通ったことは御承知の通りです。治山事業、治水事業等についても、それぞれ十カ年間の長期計画を立てて、特に国有林野関係については、林野の特別会計の中で治山勘定を特に設けるということで、長期的な治山治水事業が進められておる。そういう場合に、この保安林の事業というものは重要な要素の一つだと思うのです。ですから、その関連において、今官行造林の国の責任を回避するような制度の改正というものは、国の治山治水の大きな目的に対して沿わないとわれわれは考えるのですが、その点はいかがですか。
  249. 周東英雄

    ○周東国務大臣 昨年度立てました治山十カ年計画というものは、御指摘の通り、重要な目的は国土保全が中心になっており、それをやるための造林その他であります。水源林造林もとより国土保全に必要な問題でありますが、私の立てました治山計画から申しますと、当然国土保全を補完するものではありますが、あの十カ年計画の外にこの水源林造林は出ておるわけであります。
  250. 芳賀貢

    ○芳賀委員 国土保全と違うと言うのですか、水源林造林というのは。
  251. 山崎齊

    山崎政府委員 もちろん、国土保全にも関係いたしますし、大きく申しますと、造林事業というものは国土保全全体にも関係するのじゃないかというふうな議論もあるかと思うのでありますが、治山十カ年計画におきましては、災害の崩壊地の復旧あるいは崩壊地の予防治山造林等をするわけであります。それに、なだれ防止とかいうふうな、いわゆる防災林というものを主体にして考えたわけでありまして、水源林造林はそういうものを補完する意味のものであるというふうに考えておるのであります。
  252. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで、この法律で水源涵養のための必要のある地域の指定を農林大臣が行なうわけなんですが、これは、たとえば森林法の二十五条の規定、あるいは保安林整備臨時措置法の第一条の規定に、それぞれ保安林の指定を国あるいは農林大臣が行なうということを示してあるわけですね。今度の農林大臣の指定の根拠はいずれを根拠にしてこの水源涵養林の必要地域の指定というものをやるのですか。
  253. 周東英雄

    ○周東国務大臣 お尋ねの点は、私が今聞いて話すよりは、直接に林野庁長官からお話し申し上げた方がよかろうかと思います。
  254. 山崎齊

    山崎政府委員 これの指定のやり方を簡単に申し上げますと、水源林地帯というのは一体どういう地帯であるかということをまずきめまして、その水源林地帯の中で水源林造林としてやらるべき個所というものを大臣がきめていくという措置をとっていくわけであります。
  255. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、森林法並びに保安林整備措置法との関係はどうなるのですか。それとは違うのですか、この公団法でいうところのこの水源林というのは。
  256. 山崎齊

    山崎政府委員 保安林整備臨時措置法におきましては、当時二百万町歩前後だったと思いますが、その保安林を四百万町歩程度まで拡大するということを第一点の目標にいたして、その線に沿って保安林の整備計画を実施いたしておるのであります。指定は三十六年度中に大体終わることができるので、はないかという見通しに立ってやっておるのであります。もう一点、整備措置法によりましては、重要な民有保安林につきましてはそれを国が買い上げるという、両方の措置をこれで規定いたしておるわけであります。この国で買い上げました地点の造林は、もちろん国が全部責任を負ってやるわけでありますから、これは今度の分収造林等に何ら関係はないわけであります。今後やっていこうとする分収造林の具体的のそれぞれの個所につきましては、この保安林整備臨時措置法とはもちろん関係を持っておるというふうに考えております。
  257. 芳賀貢

    ○芳賀委員 おかしいじゃないですか。森林法があることはあなたも知っているでしょう。森林法の第二十五条の保安林の指定地区という中の一項一号には冒頭に、水源涵養林ということがうたってあるでしょう。それから、保安林の臨時措置法にも、第一条の保安林指定の中の一号に水源涵養林というものはうたってある。この両方とも、やはり、私有林であっても、これは国または農林大臣が保安林の指定を行なう、その保安林なるものの中では一番最初にそれぞれ水源涵養林というものが明記されておるわけです。ですから、たとえば、公団が水源涵養のための造林を行なう場合においても、この二つの法律のいずれかの保安林としての指定地域内においてこの造林が行なわれるということについては疑いの余地がないと思うのですが、今の長官答弁だと、いや、そのいずれとも違うと言う。一体、どういうものをこの公団法では水源涵養林というのですか。
  258. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど申し上げましたように、保安林整備指定等の業務というものがいまだ完了していないわけであります。現に保安林になっているもの、それから保安林として今後指定する予定の場所というふうに、全体の保安林整備計画はなっておるわけでありまして、その水源涵養というものは、現に保安林であるもの、あるいは今後保安林として指定する予定のものというようなものになるわけであります。
  259. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、この公団法に取り入れる水源涵養林というものは、いわゆる森林法並びに保安林整備法による保安林の中に入るのか入らないのかぐらいのことがわからないのですか、あなたは。入らなければ入らないと明らかにしてもらいたい。
  260. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど申し上げましたように、保安林並びに保安林予定地というものがこの対象になるわけでありますから、予定地が保安林に編入されるということに相なる順序になるわけでありますが、この保安林ということと森林法のいう保安林というものと、関連はもちろん持ちますが、この法律による保安林という形になってくるわけであります。
  261. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、関連でなくて、この造林事業を行なう時限においては、これは保安林になっておるのでしょう。指定されておるのでしょう。されないうちに造林して、それから保安林にするのですか。それくらいのことをはっきりできないですかね。
  262. 山崎齊

    山崎政府委員 保安林予定地というふうなものも厳として存在し、それを順次保安林にするという手続がやはり進んでおるわけであります。造林が必要だという地域は、保安林だけだというわけではもちろん御存じ通りないわけであります。保安林についてももちろんやるわけであります。保安林予定地というものについてもこの造林というものをやるというふうに大臣の指定の場合に考えていかなければいかぬというふうに私は思います。
  263. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、四百万町歩にも及ぶ保安林の中でも涵養林を九カ年計画で二十三万町歩公団にやらせるわけでしょう。その二十三万町歩はすでに保安林としての指定を受けておる地区であるのか、それが予定地区であるのか、あるいは全く予定もされておらない地区であるのか、その内訳というものがあればはっきり示していただきたい。
  264. 山崎齊

    山崎政府委員 この二十三万のうちで約六万町歩はすでに保安林として指定されておるものであるわけであります。残りが保安林の予定地という形になっておるのであります。
  265. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ、今度大臣が指定する場合には、それは予定地じゃなくて指定地にして、それから造林適地として指定するわけですね。
  266. 山崎齊

    山崎政府委員 御存じ通り、保安林の指定につきましては法律的に相当長期を要するような手続も要るという事態にも相なっておるわけでありまして、造林事業を行なって参ります場合に、大臣の指定は、保安林予定地についても、水源涵養上造林を必要とする地域だということで指定ができるというふうに考えておるのであります。
  267. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は大事な点なんですよ。それでは、予定地に造林をさせて、造林した地域もやはり予定地で過ごすのか、その点はどうなんですか。
  268. 山崎齊

    山崎政府委員 予定地につきまして造林を行ない、それが保安林としての手続を進めて参りまして、それが保安林に編入される、正式に法律上の保安林になるという順序を踏んで参るわけであります。
  269. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、予定地の場合は、予定地のままで造林をして、造林が完了してから指定地にする、そういうことなんですか。おかしいじゃないですか。造林する前に、これは保安林としての指定を行なって、指定された地域造林を行なうということであれば話がわかりますが、予定地で過ごすということになれば、何も無理をして国が相当の負担をしてやる必要はないじゃないかということになる。それでは、それほど重要性のないところに公団造林をやらせるわけですか。
  270. 山崎齊

    山崎政府委員 保安林になっておりますところの重要性というものは私からお話し申すまでもないのでありますが、国の立場におきまして保安林にぜひともこういう地域はしなければいかぬという予定地の造林というものも早急に行なっていくということが、やはり、治山治水、特に治水上の必要性が大きいように考えております。
  271. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は僕の方が学があるかもしれぬが、予定地でおかなければならぬという理由はあると思うのですよ。たとえば、官行造林をやる場合でも、選定の基準というものがあるでしょう。たとえば無立木地帯であるとか、瘠悪の土地であるとか、団地でなければならぬというようなことがあるのです。ですから、たとえばこれは保安林として当然必要であっても、立木のない様相の場合においては、これは保安林として指定しても林ではないのです。ですから、そういう必要性の場合には、まず保安林の予定地としてこれを認定しておいて、そこに重点を置いてそれを保安林として育成することによって、初めて保安林としての資格が生ずる。ですから、予定地という場合は、そういう理由で林相をなしていないから予定だということで置いてあるのじゃないですか。
  272. 山崎齊

    山崎政府委員 森林法によりまして、森林原野とはどういうものかという定義を下しておるのであります。それによりまして、現に森林という形でない場合におきましても、林業の用に供するというような場所は森林だという考えでやっていけるように存じておるのであります。
  273. 川俣清音

    川俣委員 山崎長官にちょっと関連してお尋ねします。今の計画というのは、林野庁が従来立てておられます森林計画に基づいて作成いたしましたものと違うのですか。あらためて別にやるのですか。従来立てておりました森林計画に基づいた計画ではないのでしょうか。この点一つ明らかにしていただきたい。
  274. 山崎齊

    山崎政府委員 森林計画におきましてこの保安林をどういうふうに組んでいく、森林経営をどうしていくという点は、もちろん森林計画でそれぞれの具体的な場所に応じてきめられていくわけであります。
  275. 川俣清音

    川俣委員 いや、私の聞いたのは、従来立てた計画を言っているのじゃないかということ。計画というのは従来立てた計画と違うのかどうか。
  276. 山崎齊

    山崎政府委員 その点につきましては、保安林整備措置法で、約四百万町歩を目標にして保安林を作るという計画を立てまして、それの該当の地域はどういうところだということができておるわけであります。それをもとにして、それぞれの森林計画が今までにも立てられたという形になっておるわけであります。
  277. 川俣清音

    川俣委員 従来検討して立てたところの計画である、こう理解してよろしゅうございましょうか。あらためて立てるのではなく、従来非常に検討されてできた計画を載せていくのだ、こう理解してよろしいのですか。
  278. 山崎齊

    山崎政府委員 当初申し上げました通り、三十一年度におきましても、三十何万町歩の計画を持っておったわけでありますから、そういうものから、官行造林で今まで植えたもの、それから特に保安林等の中で治山事業として重要な地域で植栽をやったものを控除いたして、二十三万町歩というものを予定しておるわけであります。
  279. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、三十四年から治山計画に付属する造林としての計画があったのも引き継ぐ、こういうように理解してよろしゅうございますか。もちろん、植栽の終わったものもございましょうし、まだ未済のものもございますが、これも計画の中に入っておる、こう理解してよろしゅうございますか。
  280. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど治山事業としてやったと申し上げましたのは、当時におきまして、治山事業の中で、水源林造成事業というものを国と県が新植に対しまして全額を補助するという制度でやったわけでありますから、その分を控除しておるということを御説明申し上げたわけであります。
  281. 川俣清音

    川俣委員 私がお尋ねしておるのは、治山事業の付属造林として遂行しておったのだが、まだ未済のものも残っておる、それも計画の中に入っておるかどうか、こうお尋ねしておる。
  282. 山崎齊

    山崎政府委員 当時におきましても、治山事業として、御存じ通り、山腹工事をやる、そのあとにいわゆる治山というものを目標にしたいろいろなものを植えるわけでありますが、そういうものは含まれていないというふうに御了承願いたいと思います。
  283. 川俣清音

    川俣委員 含まれていない……。
  284. 山崎齊

    山崎政府委員 私が先ほど治山事業としてやったと申し上げましたのは、水源林造成事業という項目を治山事業費の中に作りまして、国と県で新植費の全額補助するという制度が当時ありましたので、それでやったものは控除したということを申し上げたのであります。
  285. 川俣清音

    川俣委員 すでに終わったものでなくて、未済のものがあるはずなんです。新しい計画のものもあるはずだと思うのです。そういうものも含まれるのかどうか、それをお尋ねしておるのです。
  286. 山崎齊

    山崎政府委員 山腹工事等を行ないまして、そこに山の安定というようなものを直接の目的としてヤシャブシ等を植えるというものは、今度の二十三万町歩の計画には入っていないと御了承願いたいと思います。
  287. 川俣清音

    川俣委員 この計画の中に入っていないとすれば、その計画は別に実施する、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  288. 山崎齊

    山崎政府委員 その分は治山治水事業十カ年計画の中に入っているということになっておるのであります。
  289. 川俣清音

    川俣委員 それは治山事業の付属事業として治山事業の特別会計の中において植林を行なうのだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  290. 山崎齊

    山崎政府委員 崩壊地の山腹工事等をやりまして、そこに木を植えるということがお説の趣旨だと思うのでありますが、民有林につきましては、治山治水事業費国有林事業の治山勘定という中でやるようになっておるのであります。
  291. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、結局保安林指定地と予定地ということに分かれておるわけですが、ただいまの長官答弁によると、予定地に造林した場合にはそれは指定地になるということは明らかになったわけであります。この点は造林契約を行なう場合には土地所有者との間において明らかにしておく事項だと思うのですが、いかがですか。
  292. 山崎齊

    山崎政府委員 もちろん、国が概要の計画を立てまして、県当局におきましてどういう地域であるということを具体的にやっておるわけであります。この予定地というものも大体はっきりしているということになるわけでありますから、契約にあたりましてはそういう点を明らかにしていかなければならぬというふうに思っております。
  293. 芳賀貢

    ○芳賀委員 くどいようですが、予定地に造林した場合にはそれを指定地にするということをあなたは言明したのですから、それは間違いないですね。
  294. 山崎齊

    山崎政府委員 予定地に植えますものはそういうことになります。
  295. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、指定地でもない、予定地でもないところにこの水源涵養の造林をやる場合はないでしょう。
  296. 山崎齊

    山崎政府委員 現在の計画ではもちろんないのであります。
  297. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、保安林の指定地は法律上伐採の制限等を受けることは言うまでもないが、制限を受けるかわりに、受益者に対してはその制限によって生ずる損失の補償というものがやはり法律で確保されておる、そういうことも契約当事者に明らかにする必要があると思うのですが、いかがですか。
  298. 山崎齊

    山崎政府委員 現在におきましても、保安林につきまして損失の補償という制度は、両三年来実施いたしておるのであります。いわゆる水源林というものにつきましては、施業の制限の程度というものが非常にゆるいと申しますか、つまり、林業経営から申しますと、その土地を適正伐期齢級というものをもとにいたしまして輪伐するというふうなことが一応原則になっておりますし、また、そういう制限を個々の小さな所有者まで広げていくということには非常に経営上の無理がある。従いまして、一つの流域におきます水源林等を一括いたしまして、それで今申しましたような大きい意味での制限を加えていくというふうな形を現在とっておるわけであります。土砂打止保安林のように、択伐的な伐採を続けなければいかぬ、あるいはまるで禁伐だというような制限はこれにはないのでありまして、現在の保安林で補償いたしておりますのは択伐と禁伐というものについてやっているのでありますが、今申し上げましたような制限の水源林というものまで補償するかどうかという点につきましては、今後なお十分に検討をわれわれとしてもしなければいかぬ残された問題であるというように思うのであります。
  299. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点が明らかにならなければ、——水源涵養を速急に行なわなければならぬ必要を感じてこの公団造林事業をやらすわけですからね。ですから、普通林と同じように、主伐期に達した場合にはそれは皆伐して収益分配をやるというような目的で水源涵養林や保安林というものは経営すべきでないということくらいは、大臣も長官もおわかりでしょう。
  300. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど申し上げましたような規制のもとにおいて伐採等を行なわなければいかぬということは当然考えておるわけであります。たとえば、その契約地で十町歩ないし五町歩程度のものであるというふうな場合においては、先ほど申し上げました流域全体の水源林に対する規制の仕方というような面から、一年で全部切ってもいいという場合ももちろん出てくるわけであります。それが三十町歩、四十町歩というような場合には、二年とか三年とかいうような期間を置いて皆伐しなければいかぬというふうな制限とか、そういうものも出てくる場合もあるわけであります。
  301. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう点は今後明らかにする必要があると思うのです。たとえば、この水源涵養の必要な地域という問題についても、定義づけるということになれば非常に問題があると思う。そういう認定というものは今後非常に大事な点になると思うのですが、当然これは省令等においても明らかにする必要があると思うのですが、いかがですか。
  302. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど申し上げました通り、この水源林というものを施行すべききわめて大局的に見た地域はどういう地域であるか、その中の個々の造林すべきところは大臣が指定する、契約というものが成り立つ時点におきまして、これはよろしいという措置を並行してとっていくということでやっていきたいと思います。
  303. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお伺いしたいことは、現在、公団法においても、法律の趣旨では造林事業もやれるということになっている。今回の法律改正によって、公団はたとえば林道事業造林事業を実行体として行なう能力というものは備わっておるかどうかということが非常に大事だと思うのです。われわれはないと認めておるが、農林大臣はどう考えておるか。
  304. 周東英雄

    ○周東国務大臣 御指摘の点は、大体公団事業執行の場合における費用負担者としての立場をとるわけであります。原則としては公団が直接事業をするわけではございません。
  305. 芳賀貢

    ○芳賀委員 公団造林事業をやらせるのでしょう。造林事業の実施体あるいは林道事業の実施体として森林開発・公団というものはあるのじゃないですか。その点はどうなんです。
  306. 周東英雄

    ○周東国務大臣 ただいま申し上げましたように、原則として公団費用負担者としての仕事をいたしておりますので、造林事業を原則としてはやらないということになっております。
  307. 芳賀貢

    ○芳賀委員 森林開発公団法というのがあるのですが、その法律によれば、これは林道事業を行なうということになっておる。今度の法律改正の中でも、造林事業を行なうということになっている。行なうということは、実施体ということになる。公団の性格にまで及ぶわけなんですが、今大臣の言ったように、費用負担者としての公団であるということになれば、これは公団そのものに大きな問題が出てくると思うのですが、いかがでしょう。
  308. 山崎齊

    山崎政府委員 従来の十八条の規定によりますと、熊野、剣山両地域におきまして、林道等の施行によって「森林の造成の事業を行うことが経済的かつ技術的に可能となった地域内における森林の造成の事業を当該土地の所有者の委託により行うこと。」ができるということになっておるのであります。御存じ通り、この熊野、剣山両地域におきましては、全体的に見ましても、全国まれに見るいわゆる人工造林の民有林というものがきわめて多いということを、この公団法設置の当初におきましても計数的にも御説明したように記憶いたしております。そういう点からいたしまして、林道の開設に伴いまして、奥地の広葉樹林等が利用できる、伐採されるということになるわけでありますが、これらの地区におきましては、公団委託ということでなしに、みずからが造林を積極的に行なうというふうな現実になっておるのでありまして、この条項による造林というものは従来ともなかったというように思います。
  309. 芳賀貢

    ○芳賀委員 公団というものは一体何のために作ったかということなんです。その当時あなたは治山課長か林道課長だったでしょう。あのときは、費用負担者とかトンネル機関として公団が必要だというような政府説明はなかったですよ。事業の実施体として公団が必要である、そういうことでわれわれは認めたわけなんでして、今の大臣の答弁を聞くと、いや、公団というものは費用負担者としてあるんだということになると、全く公団の性格が変わってくるじゃないですか。
  310. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私の申し上げたのは、改正法に基づく今後の問題でありますが、これに対しては、費用負担者ということだけでなくて、造林契約の当事者として相手方と契約するというような面が出て参ります。水源林涵養を必要とする部門における指定に基づいてその地域造林をやるということに対しましては、先ほどからたびたび質問応答が繰り返されましたが、大体市町村等がその事業の主体になり、それに対して資金を出す。そうしてその分収の結果は分配するというような形で進めていこうというのが、今度の改正法の要点であります。
  311. 芳賀貢

    ○芳賀委員 事業の実施体として公団がまだ必要なのか、実施体としてはもう要らないが、トンネル機関としてこれはあった方がいいというのか、どういうわけですか。これは農林大臣に聞きたいのです。政府として要るか要らぬかということを聞くのです。
  312. 周東英雄

    ○周東国務大臣 これは、従来からの経過は御存じ通りで、従来できたのは、林道等についての事業をやっておりますが、今後の問題については、造林については、造林契約の主体になって、造林はむしろ市町村等にやらせるというのが至当だと思ってこれに改正を加えたわけでありまして、一部は事業の主体としてある部分は林道というものについては従来通り進んでいくわけであります。
  313. 芳賀貢

    ○芳賀委員 性格の問題なんです。森林開発公団ができたときは、これは林道事業の実行体として公団が必要であるということで、われわれはこれを認めたわけです。ところが、今度の場合は、実行体ではなくして、単にトンネル機関として何か仕事をやりたいということだけなんです。費用負担者といっても、負担能力も何もないでしょう。これは、林野特別会計の益金を一般会計に繰り入れて、一般会計の中から森林開発公団に対して十億円の出資を行なう。経済能力も実行能力もこの公団は何もないですよ。しかも、造林事業はやらないということになれば、一体何のために、公団というものを事業の実施体のごとくよそおうて、官行造林をやめて、今までの事業の実行体であった林野庁が手を引いてしまうのか、そういうことは変じゃないか。
  314. 山崎齊

    山崎政府委員 この造林事業につきましては、先ほど大臣から御説明がありました通り公団出資者という形になるわけであります。出資者といいましても、土地所有者とのいわゆる契約関係の仕事、それから、造林の実行、維持、管理につきましての指導監督というような問題が公団には重要な業務として残るということに相なるのであります。また、公団の仕事といたしまして、関連林道の仕事というものも今後数年間は残るわけであります。それから、公団が熊野、剣山両地域におきまして林道の開設を終わりますと、それの受益者負担金の徴収の仕事あるいは維持、管理というような仕事が公団に残る。それらを合わせて今後公団が仕事をしていくということに相なるのであります。
  315. 芳賀貢

    ○芳賀委員 問題は、造林事業の実施能力があるかないかという点であります。費用の点についても公団は何も財政能力もないのですよ。現在までの林道事業というものは借入金によってやってきたわけです。今後の事業というものは、公団自身には何ら財政的な根拠は持っていない。これを九カ年計画でやる場合には、この支出計画によると、百八十億円以上毎年心々事業の資本投下をしなければならぬということになるが、これは全部国の出資金かあるいは公団自身の借入金でしかやれないということになるわけです。公団としての経済能力というものは全く無能力者であるということは、これは議論の余地がない。それでは、事業を行なう能力があるかというと、これは技術の面においても構成の面においてもその能力というものはなおさらないということでありますけれども、これは、政府から出資をしてもらったり、あるいは公団が借入金を行なって、そうしてただ融資機関的な立場に立って造林事業を行なうということになるのではないか。そういうことになれば、従来の林道事業の実施者としての公団の性格というものは根本的に変貌するということになる。そうなれば、この際むしろ公団を廃止すべきかどうかということの方が先決の議論であるとわれわれは考えるのですが、どうですか。
  316. 周東英雄

    ○周東国務大臣 御意見でありますが、公団としての従来の仕事と関連林道というようなものについては従来通りやります。また、改正法によって加えられた業務としては、やはり分収造林者としての契約をいたしまするし、費用負担をすると書いてありますが、これはやはり造林契約の当事者となって、しかも、費用負担をするということに関連をいたしますが、理論上はやはり造林に関しての共同施行者といいますか共同責任者になるのだと思うのです。当然、費用負担をやりますから、事実自分がやるという場合も例外的に出てくると思いますが、造林の実行行為というものは、これを原則として土地所有者と申しますか町村等にあるいは部落等にやらせよう、こういうことであって、片一方は造林行為というものはやりませんけれども、造林契約の当事者としてはやはり共同責任者であり、造林の共同施行者と見て、私は差しつかえないと思うのです。その間厳重な監督、指導というものをやりながら、造林行為というものがりっぱに成り立っていくように責任者としての権限を行なうということができるのじゃないかと私は思っております。
  317. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。この分収造林の契約の機構ははっきりしておるのですよ。土地所有者と費用負担者と造林者、こういう三本建になっておるわけです。二本建であるとすれば、これは土地所有者と造林者ということにして、造林者というものが費用も負担し造林も行なうということであれば、これは話がわかる。この二者間における分収造林というのが今までの官行造林の姿だった。今度はそれをやめたわけですね。そうして今度は造林の全体の実施の組み合わせというものはこの三者を基礎にしているわけです。そうでしょう。三者があって、三者契約にするとかあるいはそのうち二者契約にするという場合はいろいろあるとしても、従来の土地所有者と造林者という二者関係というものは、もうすでに公団方式の場合にはなくなってしまっておるわけです。この法律には、公団費用負担者ともなれるし、造林者ともなれるし、そのいずれもかねることができるというふうにここでうたってあるじゃないですか。ところが、大臣や長官説明によると、公団造林事業そのものを行なう能力はない、結局公団というものは費用負担者という立場だけの仕事しかできないということをあなた方は明らかにされておるわけです。そういうことになると、これは非常に公団の性格そのものに関係のあることになるわけですね。事業の実施能力がない公団ということになると、われわれはこういう公団がはたして必要ありやいなやということをまずたださなければならぬということになる。そうでしょう。
  318. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私はそう思わないのです。今芳賀さんがいろいろと御指摘になりますけれども、私が先ほどから申しますように、この法律には、造林者ともあるいは分収契約の当事者ともなり、また費用負担の当事者ともなっている。それで、これを実施面に移す場合に、造林の部門については土地所有者なりにこれをやらしていこう、こういうことであります。しかし、根本におきましては、費用負担をするというて、しかも分収に対して何割かの分収を得るのでありますから、その間には仕事の上のうまくいくかいかぬかという相当重大な責任があると思うのであります。原則として実行面においてはそれをやらせるということだけであって、それに対し指導、監督をやっていくというのが一つの建前であります。法律の建前から言って、これは造林の能力が全然ないという意味ではなくて、やり得るが、そのものの実行行為は土地所有者に移してやらした方がよろしかろうということで考えておるわけであります。
  319. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、造林能力があるのですか。今度は実施能力があるというのですか。今まではないと言ったのですよ。造林能力がないから費用負担者としての能力の限界でやる以外にしょうがないということで、そういう場合には、国から出資をしてもらって、借入金に依存して、まだ融資機関としての立場で費用負担をやるという、トンネル機関ですね。今度は、大臣が造林者としての実施能力があるということになると、また話が違ってくる。一体能力があるのですかないのですか。
  320. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、先ほどから、ほかの人がどう言ったか知りませんが、能力がないということは言ってないですよ。つまり、原則として実行行為を土地所有者にやらせるということであって、原則としてと申し上げているのは、この法律上の関係から言えばやり得る形になっておる、それは実際どっちがやっていった方がよろしいかと言えば、原則としてこれは土地を持っておる方にやらしていこう、実際の運用面でそう考えておるということを申し上げておるのであります。  なおこまかいことは林野庁長官からお答えさせます。
  321. 山崎齊

    山崎政府委員 今大臣から答弁がありましたことを補足いたしたいと思います。  当初から申し上げております通り、実行上の問題といたしまして、公団がみずから造林をするというよりも、やはり、土地所有者等に造林の維持、管理の責任を持っていただくということが、この分散化しており零細化しておる実態から好ましいというふうにわれわれは考えておるのであります。ただ、そういう造林者あるいは土地所有者に造林等をいたさせるにいたしましても、事後の手入れ、あるいはその他の部面におきまして現実に造林者がその責任を十分に果たさないというふうな問題も今後起きるのではなかろうかということは予想されるのでありまして、そういう現実の事態に対応いたしまして、実行能力をほんとうに費用負担者の公団も持ってやらなければいかぬという場合も全然ないとはもちろん言い切れないように私は思うのであります。
  322. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう点ははっきりしておかぬと困るのですよ。これは議員が出した法律じゃないのです。政府が作って法律を出して、法律に書いてあることがわからぬようじゃしようがないじゃないですか。一体、大臣や長官が今言ったようなことがこの改正法案のどこに書いてあるのか。たとえば「第十八条第一項中」云々という前段があって、その六に、「水源をかん養するため急速かつ計画的に森林の造成を行なう必要があるものとして農林大臣が指定する地域内の土地につき、」、これからが大事ですよ。「分収造林特別措置法(昭和三十三年法律第五十七号)第一条に規定する」——これは分収造林法を見ればわかるのです。いいですか。「第一条に規定する造林者又は費用負担者として同条に規定する分収造林契約の当事者」に公団がなれると書いてあるじゃないですか。そうですよ。何も公団が当事者以上に優位に立ってこの造林事業を行なうというのじゃないですよ。契約の当事者に公団がなれる、しかも費用負担者かあるいは造林者としての当事者に公団がなれるということを明らかにしておるじゃないですか。その上に立って優位性を持ってこれを指導するとか監督するなんということは、何も書いてないじゃないですか。ですから、当事者という場合は、費用負担者だけとしての当事者として事業に参加する能力を持っておるのか、あるいはこの法律規定する造林を実際に行なう当事者としての実施能力を公団が持って契約の当事者になるのか、その能力がどうかということを繰り返し繰り返し尋ねておるのじゃないですか。この法律に基づいて説明して下さいよ。
  323. 山崎齊

    山崎政府委員 お説の通り、この法律によりましては、公団費用負担者にもなることができる、それから、費用負担もし、かつ造林者にもなるということはできるということを、両方規定してあるように思うのであります。
  324. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その程度にわかっていればいいじゃないですか。そのままでいけば、費用負担者としては、国に出資をしてもらったり、借入金を回してもらったりするからして、融資機関的なトンネル機関としての行為は行なえるかもしれぬが、しかし、造林者としての実行能力というものがあるのかないのかという点についてはどうなんです。
  325. 周東英雄

    ○周東国務大臣 法律上の能力はあるように規定されている。これは、先ほど、大臣どこに書いてあるかとおっしゃいますが、これはこのたびの改正の対照条文をごらんになれば、私は書いてあると思います。ですから、その点はあるのですけれども、それを実行します場合においては、土地所有者にやらした方がよろしい、こういうことでやっておりますが、必要が起こればこちらが直接やる場合もあり得る。そこで、私は、原則として植林行為を土地所有者にやらせるという方針でありますと、こうお答えしておるわけであります。
  326. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは大臣重大発言ですよ。それではまた別の法律を出さなければならないですよ。あなたの今の説明は、土地所有者に造林者としての能力を持たせて、土地所有者が土地所有者であり造林者であるというそういう立場を土地所有者の方に預けて、公団費用負担者の立場をとって契約の当事者になるということであれば、そう書いたらいいじゃないですか。それは書いてないじゃないですか。土地所有者が造林者になるということであれば、はっきりそういうふうに書いて、土地所有者が造林を行なう、公団費用負担者になるということであれば、これは二者間において契約の当事者としての分収契約が成立する。そういうことになるのですよ。そういうふうに直すなら、法律を出しなさいよ。
  327. 周東英雄

    ○周東国務大臣 十八条の六号ですか、この規定によりましてごらんいただけばわかるように、この規定は、私は法律公団も能力を持っておると思う。しかし、それを実際植林させる場合においては、分収契約に基づいて土地所有者に造植林等をやらせる方が至当であるということでやっておるわけであります。
  328. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、そういうふうに法律に書かなければだめじゃないですか。
  329. 山崎齊

    山崎政府委員 分収造林法に基づきまして規定をされておるわけでありまして、費用負担者という単独の立場にもなることができる、費用の負担者でありかつ造林者であるという立場にも立てるということがこの法律の条文からわかるわけであります。
  330. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、造林者としての立場に立った場合、造林者としての実行能力があるのかないのかということを聞いておるのですよ。それはないわけでしょう。実行能力がないわけですよ。いかに立てようとしても立たなければしょうがないじゃないですか。どうなんです。
  331. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、先ほどからたびたび繰り返しておるように、能力がないとは申しておらないのです。(芳賀委員「言っているじゃないか。」と呼ぶ)いや、能力がないとは言わない。法律上能力があると言っておる。しかし、それを実行に移す場合においてのなには、分収契約に基づいて土地所有者にやらした方が適当であるということでやらしておるのであって、今後における公団の行き方において、あたかも実際上関連林道の造成をやっておると同じように、必要があった場合において公団が直接に植林を行なうという場合が出てくると思うのです。その場合にちゃんと法律には規定を置いてあるわけです。それを申し上げておるわけです。あなたの方は、現在能力がないだろうとかあるだろうとか議論をされるけれども、法律上は認めておる。
  332. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少し私は平易に言いますが、たとえば、土地所有者と公団がいよいよ契約を結ぶことになって話し合いに入る。公団の方では、まさか、法律に能力があるといっているのに、私は無能力者ですから何もできませんとは言えないですよ。しかし、そうであっても、土地の所有者が造林については法律通り公団の方で造林して下さい、私は土地所有者としての当事者で契約をしたいから、ぜひ公団が直接費用の方と造林の方をやってもらいたいという場合に、これは断わりますか、やりますか。
  333. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、芳賀さんのお言葉ですけれども、できぬことにして頭をきめてかかられることはいかがかと思います。私は、現在関連林道というようなものについては施行体となってやっておりますが、こういう面を考えますときに、何もかもすぐにやるということよりは、とにかく、実際問題として土地所有者、分収造林契約の当事者にやらした方が適当であり、そのことがまた地元を潤すことにもなるというので、指導方針をそう立てております。しかし、関連林道と関連して、ごく少数の面積等で全然私は事実問題としての能力はないとは言えないと思います。
  334. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、土地所有者が公団の方で造林もやって下さいと言ったときに、三十六年度の事業実施の場合に公団はやれる能力を備えておるかどうかという点はどうなんですか。
  335. 山崎齊

    山崎政府委員 分収造林の趣旨から申し上げまして、造林者というものがほんとうに能力のある適当な造林者がおれば、分収造林におきましは造林者というものをここへ加えていくという趣旨の分収造林特別措置法ではあるわけでありまして、この契約にあたりまして、やってくれと言われ、またそこに適当な造林者がどうしてもないというふうな場合におきましては、公団がまたやるということを考えなければいかぬと思っております。
  336. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、考えるどころじゃないですよ。もしこの法律が通れば、四月一日から造林公団がやらなければならぬのですよ。そんなゆうちょうなことを言っているなら、こんな法案を出さなければいい。法律に基づいて、土地所有者が、造林法律通りあなたの方でやって下さいと言われた場合、これは当然公団がやらなければならぬでしょう。できないというなら、こういう法律を出さなければいいのです。しかも、農林省や林野庁の地方に対する宣伝、説明は、今までの官行造林制度公団方式に移したのだから心配はないということを言っているじゃないですか。官行造林制度というものは、国が費用負担者であり造林者であるという立場に立って土地所有者との間における二者契約を結んでやってきたのが内容じゃないですか。そういうことであれば、その趣旨を公団に生かすとすれば、これは費用負担と造林というものは公団が当然やるという建前にならなければならぬということになるでしょう。その造林をするという能力を最初から持っていない者に仕事を預けるということが、どだいこれは無理なんですよ。費用負担の能力のない者にこういうことをやらすということは、これは無理なんですよ。だから、何回尋ねても明快な答弁ができないでしょう。最初からこれはおかしいんですよ。自信があれば明快に言ったらどうですか。土地所有者が造林してくれと言えば完全にやりますと、どうしてそういうことが答弁できないのですか。
  337. 山崎齊

    山崎政府委員 大臣からもたびたびお話がありました通り、分収造林特別措置法から考えまして、公団も分収造林措置法によってこの仕事をやっていくということを趣旨といたしておるわけであります。造林という行為につきましては、土地所有者がやるという場合、新たに造林者を置いてやるという場合、それから公団がみずからやるという三つの場合がこの場合は考えられるわけであります。それから、今お話のありましたように、公団がぜひともこの造林というものをやった方がいい、造林というものをやらなければいかぬという場合には、これは公団としてやはり考えていかなければならぬ。
  338. 芳賀貢

    ○芳賀委員 考えなくてもいい。やるかやらぬかということです。考えたってしょうがないんです。
  339. 山崎齊

    山崎政府委員 そういう場合には、公団はやらなければいかぬというふうに考えております。
  340. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣、ここが大事です。造林をしてくれと公団に言われた場合、やるんならやる、やらぬならやらぬということを明らかにしなかったら、審議は進まぬじゃないですか。考えるとか、そうしなければならぬでしょうということでは、これは進まないでしょう。
  341. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、そういうふうに詰き突めて——すでに極端が極端な話になっているのです。私は、今お話のように、官行造林として直接にやらないと不安があるということだけではなくて、本来は、それらのことが官行造林をやっていると同じように金の面も続くか、地元で仕事はやりますけれども、一体金はしっかりやってくれるかというところに不安があるんであって、その面については、国から必要な金を支出しそれをやらせるということについては、費用については従来やっていると同じだけの金を出そう、こういう格好になっておりますから、そういう意味合いにおいては、私は、地元の方も不安はなくなってくると思うのです。たまたまいろいろお話になるように、直接やらなければいかぬ、そういう形だけじゃないのですよ。それで、今、やるかやらぬか、やらなければ要らぬじゃないかということにならないんですよ。やはり、実際の具体的な場合々々に応じて、ぜひやってくれという小さい部面の場所があったりすれば、やはり全然実際上やらぬというわけではないと私は思う。むしろ、私どもの聞いておるところでは、市町村等がみずから土地を持っていてやらせてくれという場合において、分収についての歩合を考えてくれ、費用は国でやっているときと間違わぬように継続してちゃんと金を出してくれというのが目的であって、それについてはやろうとしているのでありますから、私は、もちろんそれに対しては理解を求めて、そうしてやって、国から金を出してくれということで進むんではないか、かように考えております。
  342. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長、注意をして下さい。
  343. 坂田英一

    ○坂田委員長 意見と質問とを区別をして、順調に審議が進むようにお願いします。委員長から特に……。
  344. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長に申し上げますが、ただいまの私の質問の要旨は、この政府が提案した公団法の改正案の示すところは、公団が分収造林事業を行なう場合は、これは分収造林法規定に基づいて、費用負担者にもなれるし造林者にもなれる、そうして、土地所有者との間において、当事者として契約を締結することができるということが十八条の改正の中に示されておるわけです。ですから、当然公団費用負担者と造林者としての資格を法律によって与えられておるわけです。ですから、契約の場合に、土地所有者が公団に対して、費用の負担と造林の実施をやってもらいたい、こういう契約上の主張を述べた場合においては、公団はそれを拒むことができないと思うんですよ。いいですか。その場合、公団は、これを造林者として行なう能力を持って、造林者としての当事者としての契約を当然結ばなければならぬ。その場合、これをやるかやらぬかということを繰り返し繰り返し質問しているんですからして、委員長の立場からその点を政府にただしてもらいたい。委員長、その点がはっきりしなければ審議は進まないんですよ。
  345. 山崎齊

    山崎政府委員 契約に対しまして土地所有者等と十分お話し合いをすることはもちろんでありますが、その場合におきまして、土地所有者に造林する能力がないという場合がもちろんあり得るわけであります。そういう場合におきまして、この森林組合あるいは地元の山村民が相談をして、それでは造林者を置こうか置くまいかという相談はもちろん順序としてするわけでありまして、それでも適当な造林者がないというふうな場合におきましては、造林者として適当な人を選ぶという話し合いにならないという段階におきましては、公団造林をするということになるのであります。
  346. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ、やるということですね。それは、契約を結ぶ当事者として、費用負担者の公団造林者の公団、そうして、たとえは土地所得者山崎長官であれば山崎君、こういうことで契約を締結するということになるのですね。締結した以上は公団が当然造林をするわけですから、この点はもうやるということには絶対間違いないですね。
  347. 山崎齊

    山崎政府委員 お話通り公団造林者になるという契約が成立いたしました場合は、当然公団造林をやらなければいかぬ。そのために事業費等で末端にもそれぞれ職員を置くということも考えておるわけであります。
  348. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最初からそう言えばいいじゃないですか。
  349. 北山愛郎

    北山委員 関連して。  ただいまの質疑をいろいろ拝聴しておりますと、非常に今度の改正案の重大な疑問点がだれにも残ると思うのです。今度官行造林を従来林野庁がやっておったことを改めて公団の方にその仕事を移管したということの納得のできる理由がなければならぬと思うのです。それには、林野庁がやっておった当時よりも公団に移した方が仕事がうまくいくとか、あるいは公団がどれだけの適格性を持っておる、造林者としても費用負担者としても十分な能力を持っておるということ、従来よりもよくなるのだという納得のできる理由がなければ、この法案の意味がないと思うのです。今の農林大臣あるいは長官説明を聞くというと、何かもうすでにこの法案ができ上がったものとして、こういうふうに書いてあるのだからこういう立場に立つのだ、こういうふうな説明なんですけれども、この法案は政府の案として出てきて、これがいいか悪いかということをここで審議して決定する段階なんです。従って、なぜこういうような法案を出してきたのか、なぜ公団にやらせるのが適当であるか、そういう点の積極的な説明がなければ、われわれとしては納得できないのですよ。ところが、今のお話を聞いてみると、この森林開発公団は、今度のいろいろな資金というものは結局林野庁の方から回り回ってもらってその金を使う。だからして、費用負担関係から言っても、従来の林野庁ではなぜ悪いのかという理由がさっぱりわからない。林野庁で金を出すなら、これをわざわざぐるっと回して公団まで持っていって公団の窓口から出す必要がどこにあるか、それを国民は納得できないのですよ。だれが聞いてもこれはわからない。それから、それならば、造林者としての能力が従来の林野庁よりもあるのかどうか。これもおぼつかないような話をして、なるべくは土地所有者にやってもらうのだ、万やむを得ない場合にはまあ仕方なくやるのだ、こんな答弁ではこの法案の意味がわからない。その点を納得のできるように説明してもらわなければならぬ。一番大事な点なんです。私ども不思議に思うのは、林野庁というのは事業官庁なんです。事務をやる役所じゃないのです。事務をやる役所であるならば、現場の仕事をやらせるために仕事を公団に移すということがよくあるのです。しかし、林野庁というのは、二万人以上の人を擁して現場の仕事をやっている事業官庁なんです。それが、従来やっておったものを、むしろそういう能力のない公団に仕事を移すというのは、どういうわけか。これは納得できない方があたりまえだと思うのです。これをわれわれに納得のできるように、公団に移す方がいいのだ、それだからこういう法案を出したのだ、こういう説明をしっかりと、してもらいたい。どうです。
  350. 周東英雄

    ○周東国務大臣 どうもこれはたびたび私や林野庁長官からも話しておるはずだと思います。私の申し上げたのは、なるほど官行造林でやることも一つの行き方でしょう。しかし、林野庁行政としてたくさんな仕事を持っておる場合に、今日一応水源林造林に関する仕事、保安林関係の仕事、こういうようなものは相当に目的を達して、残っておる部面が非常に分散して小さくなっておる、しかも今日の地方自治体というものが相当に力を持ってきて、それをしてやらしめるということも適当であるというような事態になってきたときに、国全体が監督指導をやるほかに、公団というものがあって、それが一つの計画のもとに、あるいは直接に、あるいは契約に基づいて地方の自治体にやらしめることが、私は、こまかい分散をした時期においては適当であると考えて、これが実行に移されたわけであります。私どもは決して官行造林というものだけが全部でないと思います。皆さんのお話を非常に尊重して拝聴しておりますけれども、あたかも官行造林をやめると非常に不安になって地方においては困るというようなお考えでありますけれども、先ほどもちょっとお話を申し上げたように、実際自治体等が自分の持ち山について水源林造林をやる、地方の問題についてはむしろ敏速になるというような場合において、それに対して必要な資金というものをしっかりと確保して出すような形にすればよろしいんじゃないか、こういうことができれば不安は解消する。もしそういう面において不安ができればこれは問題でありますが、今後におきまして、皆様もずいぶんいろいろな点で御指摘になっておりますが、十億円の出資は一体増加するかしないのかという御議論も出て、御質問も受けておりますが、これなどは、私は、今後における発展の状況に応じて追加増資もしていきます。資金については従来の官行造林が直接やっておった場合と同じように迷惑をかけぬというようなことになって参りますと、私は、やはり、今日相当に水源林造林関係においては目的を達成して、あと残りは少なくなって分散されてある地域、小面積であるところは、むしろ原則として自治体にやらし、それを指導監督し、それに資金を与えてやるということがなぜ悪いのたろうかという気がするのであります。私は、そういう意味において、公団を一つこしらえることは正しい行き方だと考えております。
  351. 北山愛郎

    北山委員 今の大臣の御説明ではだれも納得しないと思うのです。われわれの質問に対して答えてないですよ。私の言っておるのは、その資金にしても、やはり林野庁の特別会計から回り回って公団にいくのではないのですか。なぜそれでは林野庁が直接市町村を造林者にするのか、するにしても直接の関係でできないのか。それをわざわざ公団へ移すのはなぜか。そういう積極的な理由がなければ、この改正案を出した意味がない。こういう制度改正をやった意味がだれにもわからないと思うのです。大臣は、こうしたのがなぜ悪いのだ、こう反問されますけれども、われわれからすれば、従来四十年も続いてきた制度というものをここでやめて、しかも公団に移すのだという以上は、なぜ林野庁でできないのか、あるいは林野庁に金がなくて公団の方に金があるのか、そういう、何かだれもが聞いてわかるような積極的な理由をつけなければ納得できないと思うのです。なぜ悪いのか、こういうことでは、その程度の消極的な理由では、だれもわからないと思うのです。もう少し積極的な理由を述べてもらいたいと思います。しかも、お話を聞いてみると、公団の方が造林の実行能力も非常におぼつかない。だから、なるべくは土地所有者に話をして、契約の方は一応名前だけは連らねるが、実際の実行部面は自分がやらないで人にやらせよう、こういうようなことでは、いよいよもって公団がこの仕事を引き継いでやるという適格性が乏しいのではないか。政府自身がそれを認めているのではないか。そうしておいてこういう法律を出してくる。これではわかりませんよ。もう一ぺん納得できるような答弁をしていただきたい。
  352. 周東英雄

    ○周東国務大臣 私は、今日の場合、大きな部面における保安林関係、水源林造林関係の大部分は目的を達しておりますので、今日小さい地域に分散しているものに対しては、実質的に実際的に促進ができるように地方自治体等にやらしめることが一つの行き方だと思う。いつまでも官行造林だけでやっていくということは、地方のためになることであるとは思いません。その意味において、私は、積極的にそういうふうな実行面において効果の早く上がるような格好に持っていくということが一つの行き方だと思います。その間に、御指摘の点にありますように、公団を作らぬでもという話ですが、公団自体も、一つの事業、分業的と申しますか、そういう面においては、一つの国の示す計画に基づいて、ある場合においてはみずからやる、ある場合においては分収計画の当事者となって、将来において地方のやるものをうまく指導監督していく、それを兼ねたものと見て差しつかえないと思います。
  353. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 森林開発公団官行造林をあえてやらせるという理由に、分散をしていくんだ、零細化していくんだということがしばしば大臣からも言われ、長官からも言われるのですが、しかし、水源造林事業対象地の実態を資料によって拝見をいたしますと、二十三万二千ヘクタールのうちで、百ヘクタール以上のところが四万六千四百ヘクタールある。あるいはまた、五十ヘクタール以上百ヘクタール未満のところが七万三千百ヘクタールある。あるいはまた、十ヘクタール以上五十ヘクタール未満のところが三万七千四百ヘクタールある。つまり、今まで官行造林事業は、当初段階は相当規模のものをやり、さらに十ヘクタールの改正を三十一年にやりましたが、今度十ヘクタール未満五ヘクタールまでのものを加えようというわけですが、今度加えようという対象の十ヘクタール未満というものは七万五千百ヘクタールであって、他は従来の十ヘクタール以上の対象がほとんど全部である。そういうふうな実態に資料として把握しておるわけです。従って、私ども、従来のように官行造林事業としてやっていくことは決して支障は起こらないと考える。それは、人員その他の面で考えれば支障は起こらないし、零細の面については、農林漁業金融公庫の造林融資の面で、特に利率あるいは融資期間、いろんな問題で収益率を十分にまかなえるような形で配慮していくならば、それも一つの方法であろうというふうにも考えられるわけであって、四十年もとにかく零細なそういうところでつき合いをするということでなしに、危険分散等を考えてめんどうを見ていくべきであるということでありますけれども、そういう面を配慮して、利率なりあるいは据置、償還ということで考えていくならば、これはやはり十町以下の零細なところは当然やらなければならぬし、配慮することはよいと思いますが、農林漁業金融公庫の造林融資という道だって、従来の条件をよりよくしていくということによって考えていく道もあると思う。だから、官行造林の続行ということについては、何ら積極的にこれを廃止しなければならぬという理由はないというように考えるのでありますが、その点いかがですか。
  354. 周東英雄

    ○周東国務大臣 これは見方の相違だと私は思うのです。今の御指摘のように、十ヘクタール未満は全体で七万幾らとおっしゃいますが、実は、件数においてはこれはたしか八〇%を占めておる。しかもその零細なところを早くやってあげることがよいので、そういう面においては各自治体等においてやってもらう。それに対して公団が中に介在しつつ計画を推進、指導監督していくことは差しつかえないし、また、その方が促進する一つのゆえんだと思うのであります。これは、そこまで言うと、議論ではなくて、私はどうもいろいろの見方の相違じゃないかとも思います。私は、しかし、この問題は、これをやって実際迷惑を地元に及ぼし、ほんとうに困る事態が生ずるというならば考え直さなければならぬが、それによってやりましても決して迷惑は及ぼさず、むしろ多くの場合喜ばれる、かように考えております。
  355. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、農林大臣も苦しまぎれに、造林もやれるというようなことを言いましたが、ここに公団の石坂理事長が来ていますが、一体、石坂さん、今大臣や長官は、われわれの追及にあって、苦しまぎれに、公団が契約の当事者としての造林をやれますということを言ったわけですが、理事長としての良心的な立場から、造林事業をみずからやるという能力、これはあなた自身が判断すればわかるのですが、われわれは絶対ないと思っているのです。思うというより断定しているのですが、土地所有者は造林事業をやってくれとみな言うでしょうけれども、その場合あなたは直ちにやりますか。
  356. 石坂弘

    ○石坂参考人 私どもの立場は国の方針を忠実に実行するということが立場でありますから、それに即応する体制を整えてやって参ります。
  357. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、政府造林者  としてやりなさいと言えば、あなたは万難を排してやるわけですね。
  358. 石坂弘

    ○石坂参考人 そういう心がまえでおります。
  359. 芳賀貢

    ○芳賀委員 心がまえではだめですよ。太平洋戦争でも必勝の信念で戦ったけれども破れたという大きな教訓があるのですから、あなたが幾ら大和魂でぶつかろうとしても、全国で三十六年度二万町歩造林をやるとなれば、精神力だけではなかなかやっていけない。命令があれば命令一下やりますか。
  360. 石坂弘

    ○石坂参考人 心がまえだけでやれると申しましたわけではないのでありまして、それをやるについてはもちろん必要な陣容も整えなければならない。ただ、現在の新規増加の人員は六十人ということになっておりますが、これにつきましては、林野庁のごあっせんによりまして、長い間の経験と技術を身につけた優秀な営林署の職員なりあるいはまた府県の職員なりを配置していただくことになっております。それから、また、必要に応じて再門家を雇うようにするというようなことにもなっておりますので、そういうことになればそれに即応する体制を整えてやるつもりでおります。
  361. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは重大なことですよ。現在の林野庁の職員の配置転換はやりませんということを林野庁長官は当委員会において言明しているのですよ。どういう内約や密約があるといたしましても、はっきり、長官は、労働組合との間においても、当局としての立場に立って、そういう公団方式に変わって官行造林制度がなくなった場合においても他に配置転換をするようなことはしないということを、これは組合との話し合いの中においても、当委員会における答弁の中においてもそういう点は明らかにされておるのですからして、幾らでも必要なだけ林野庁から優秀な職員をもらえるなんということを考えては、とんでもないことになるということだけ指摘しておくわけです。  次にお尋ねしたいのでありますが、一体、現在までの林道事業についても、公団自身が林道事業の工事を行なったかどうかという点についてはいかがですか。
  362. 周東英雄

    ○周東国務大臣 詳しいことを私も存じませんが、大体、関連林道というものに関して公団でやらせるということを計画いたしました場合は、事業主体者として公団が実行しております。  それから、もう一つ、立ったついでですから、私は皆さんいろいろもうわかっておるはずと思うのですけれども、それを極端な話をして抽象論を出してきて、みなやってくれと言ったら、みなやるか、これでは石坂君もちょっと困るでしょう。そういうものではなくて、私どもの方から言うと、地元では早くやらしてくれというのが多いのですよ。だから、そこのところはおのずから実際には解決すると思うのです。実際問題として話をすると、たくさんの市町村ではやらしてくれ、むしろこういうふうにやってくる。ただ金だけは大丈夫でしょうねと念を押してくるのです。法律の審議にあたって、やはりそういう実際問題というものを考えつつやっていかないと、議論倒れになるのではないか、こう思うのです。
  363. 坂田英一

    ○坂田委員長 私語を禁じます。
  364. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だんだん苦しくなると窮鼠ネコをかむというところだが、私は事実に基づいて質問しているのですから、もう少し冷静にやってほしい。  今、大臣は、公団は林道工事をやったと言うが、これはやってないのですよ。それでは、林道事業を行なうための工事機械を一体どれくらい持っているか。大きなものだけでいいですよ。小さなものはいいです。その点はどうですか。
  365. 山崎齊

    山崎政府委員 一般の土木事業というものを見てみました場合に、事業の実行主体というものが機械とかいろいろなものを全部持たなければいかぬというふうなことではないように思うのであります。土木事業等に関しましては、国有林事業におきましても、あるいは建設省その他のやっております事業におきましても、やはり請負という形態が相当多いことは御承知の通りでありまして、公団が設計、監督というものを十分やる、それから、請負にいたしましても、それの工事監督、検収等の仕事を十分やるだけの能力があるというふうに考えております。
  366. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは、建設省にしても農林省にしても、全部直営でやっていないということはわかりますよ。一部請負に付するということは、これはわれわれも認めております。しかし、自分で全然やらないで、一〇〇%請負でやるというような実行主体というのは世界に例がないと思いますけれども、そういう例がありますか。事業の実施体として公団ができて、自分が一〇〇%工事を行なえないというような事業体というものが、これは日本だけでなくてもいいですよ、世界にそういう例が一つでもあればお示し願いたい。
  367. 山崎齊

    山崎政府委員 土木事業等につきまして、世界に例があるかどうかということは、ちょっと寡聞にして存じていないのでありますが、公団が機械を持ちまして、それをたとえば請負業者等に貸与するというようなことが、この工事を実行する上においてきわめて重要不可欠のものだというふうにも考えられないのであります。特に林道等の工事におきましては、ダム工事等のように大きな機械を使ってやるというふうな立地でもないわけでありますし、それらの点は、現実に即して請負業者等の能力を十分活用してやっていくことが適当じゃないかというふうに考えております。
  368. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうのは答弁にならない。いいですか、大臣、公団が持っておる工事用の機械というのは、わずかにダンプ・トラック一台ということになっている。ちょいちょい電車にぶつかるダンプ・トラックですね。あれ一台しかないのですよ。公団は発足以来工事用のダンプ・トラックが一台、しかし、この公団の首脳部が乗って歩く乗用車等は相当あるでしょう。工事の実行体である公団が工事用の機械をほとんど持っておらないということは、今までの林道事業というのは全部トンネル的な、ただ請負人を選定して工事を請負に付する、そういうことしかやっていないのですよ。ですから、こういう公団であるならば、当時われわれは公団を作るべきではないということであったけれども、当時の政府は、いやそうじゃない、これは特定地域に林道事業を国家目的に沿って必ず公団がみずから工事を行なうのだから、ぜひやらしてもらいたい、そういうことで、余剰農産物の特別会計からの借り入れとか、これは今までは全部借り入れ金によってまかなってきているわけです。ですから、われわれが生まれることを予期した公団というものは、生まれてから全く国の意思にも沿わないし親の意思にも沿わないような、全く無届け的な、そういうピンはね的な仕事だけをやってきたというのがこの公団というせがれの経歴なわけです。だから、造林事業をやりますと言っても、造林事業を行なう経験も技量も何もないのですよ。これはやはり真剣に考える必要があるのですが、ダンプ・トラック一台などという事業実施体はないと思うのです。長官も世界にその例はないと言ったのですよ。日本にだけただ一つ森林開発公団というものがあるということになりますると、やはりこの際公団というものに対して根本的な検討を加える必要があると思いますが、どう思いますか。
  369. 坂田英一

    ○坂田委員長 意見の相違は相違として、はっきりとお答え願います。
  370. 周東英雄

    ○周東国務大臣 とにかく、いろいろとお話がございますけれども、私は、これは事業の態様によるんであって、すべての機械をそろえてやることも一つでありましょうが、やはり問題は、その計画をいかに立てるかということ、その計画が実際に計画通り行なわれるかという、実施、設計その他これの遂行にあたってのりっぱな監督をするということは、やはり事業をやることであります。それに関して、人夫を使い、請負業者を監督してやるということも一つの事業体としてやっていくことになる、私はかように考えます。
  371. 坂田英一

    ○坂田委員長 芳賀君にも申しますが、意見の相違はもういいかげんにして、質問をやることは大いにやって下さい。
  372. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣にお尋ねいたしますが、それでは、いよいよ公団造林者として事業をやる場合、今までの官行造林法の規定によりますと、土地所有者と国との契約はどの段階で契約を結んだものであるか、あるいは事業の実施はどの段階で行なったものであるか。これは農林省の先輩である大臣もおわかりと思います。契約の当事者というものは、たとえば林野庁とか営林局とか営林署というものがあるでしょう。契約締結の当事者はこの農林省の機構の中でどこでやったという点と、それから、事業の実施はどの段階で行なったということは、これはおわかりと思いますが、いかがですか。農林大臣に聞いているのです。農林大臣は元事務次官をやった経験があるでしょう。
  373. 周東英雄

    ○周東国務大臣 それは間違ったら修正してもらいますが、私の記憶に誤りなければ、局長が契約の当事者、実行は営林署長であったと思います。
  374. 芳賀貢

    ○芳賀委員 まことに御名答ですよ。そういうようにやってもらえばいいんですよ。ですから、官行造林の場合には、営林局長が契約の当事者になり、その実行についてはその営林局の管下における営林署長が行なって、さらにその下には、林野庁の機構には担当区とあるいは事業区があるからして、そういう完全なる機構のもとにおいて官行造林というものは実施されてきたわけです。それに比較して、今度公団がいよいよ造林をやるという場合においては、一体現在のこの公団の機構の中においてどういう段階で契約を結び、どのような段階において事業の直接の実行を行なうかという点については、これは重大な点ですからして、長官から説明してもらいたいと思います。
  375. 山崎齊

    山崎政府委員 契約の締結者は公団理事長となるわけであります。それで、契約の事務につきましては、支所、出張所、これがこの事務に当たるということになるのであります。
  376. 芳賀貢

    ○芳賀委員 実行については……。
  377. 山崎齊

    山崎政府委員 実行の必要な場合におきましては、支所あるいは出張所の下部機関としての現場を持つわけであります。
  378. 芳賀貢

    ○芳賀委員 まじめにそう言っているんですか、あなたは。官行造林の場合は、林野庁長官ではないですよ。全国に散在しておる営林局長が契約の当事者になる。また、その下に分散しておる営林署長が実際の造林事業を担当して行なって、さらにその下にまた散在しておるところの担当区や事業所が造林事業を遺憾なくやってきた。ところが、今度は、契約の当事者は東京にすわっておる理事長との間に結ぶということになると、これは大へんなことになるわけですね。それから、また、事業の実施も、官行造林の場合の営林署管内に比べて、今度は支所ということになると、全国に支所が四つしかないのですよ。たとえば、東北、北海道については、東北支所というのが仙台にあるわけですね。仙台から北海道の広大な地域、あるいは東北六県等に対しまして、事業の実施責任者としてその支所長ががんばってみても、ほんとうにこれは責任を持ってやれるのですか。しかもその支所には庶務課で三名と造林課で四名しかいないのですから、そういう陣容ではたして造林者としての完全なる事業の実施が行なわれるかということは、常識で考えてみてもわかるじゃないですか。
  379. 山崎齊

    山崎政府委員 先ほど私から申し上げましたのは、支所あるいは出張所、出張所は全国に九カ所置くつもりでありますが、これがそれぞれ担当になるわけであります。さらに、その下部として、必要な場合は事業地というものを持つこともできるわけであります。御承知のように、公団事業が、全部とにかく直営で、公団造林者にしてやるんだというふうな場合におきましては、機構上はまことに問題があるということにもなるかと思いまするが、先ほど大臣もお話しいたしましたように、やはり全部やるというようなことには現実の問題はならないように思うのであります。必要な地域に現場というもの、事業所のようなものを設けてやるというような考え方で、そこにしかも事業費等で支弁できます職員というものも置けるわけであります。そういうことでやって参りたいというふうに思っております。
  380. 芳賀貢

    ○芳賀委員 特に東北支所の場合には、仙台に支所があって、その下に、今言った出張所を、札幌に一カ所と岩手に一カ所ということになっておるのですよ。その出張所にはそれぞれ二名ずつの職員がおるということになるわけですね。だから、北海道全体では札幌出張所に職員が二名、東北全体に対しては岩手出張所に職員が二名おるということになるのですよ。これから見ても、造林なんということはやる気がなくてこういう機構というものを作っているのですよ。だから問題があるのですよ。これを官行造林をやった林野庁の機構と比べた場合、これは現実の問題としては全然あり得ないような体制ですね。大事な水源林造林なんか、これはできないですよ。できなければできないということを明確にした方がいいんじゃないですか。
  381. 山崎齊

    山崎政府委員 今までるる御説明申し上げまする通り、この公団には、造林者となりまして全部をやるというふうなことはないのが原則であるというふうにお考え願いたいのでありまして、公団といたしましては、契約等の面に関しましては、支所、出張所等だけではやはり所有者の方々にも不便をかけるということもあるように思うのであります。民有林の行政という面から考えますと、支所、出張所等のない府県につきましては、県のそういう方面を担当しておる職員等にも嘱託というような制度をも設けまして、民有林の造林計画の推進というようなことを歩調をそろえてこの契約等の促進に当たっていただく、そういうものを受けまして、支所、出張所が責任を持って所有者と話し合っていく、契約事務は、判を押すというふうな事務はもちろん支所あるいは出張所と本署との関係というふうな関係になるわけでありまして、土地所有者に著しい御迷惑をかけるというようなことにはならないというふうに考えておるのであります。
  382. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことになれば、今まで国有林でやった場合には、これは林野庁がやった場合には完全に行なわれたことがこれではできないということになるんじゃないですか。しかも、この造林者である公団が地方公共団体に委託するなんということは、これはあり得ないと思います。国や農林省が都道府県とか地方公共団体に行政事務の一部を委託するということはあり得るとしても、この事業実施の当事者である公団が行政庁に対して仕事の委託をするなんという、こんなばかげたことはないじゃないですか。これじゃでたらめですよ。
  383. 山崎齊

    山崎政府委員 事業の実行等をお願いするということは考えてないのでありまして、契約等の促進と申しますか、そういう面をお願いする、協力していただくということを考えておるわけであります。
  384. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、府県の職員が造林に出かけて手伝うのですか。苗木を運んだり、苗畑を経営したり……。
  385. 山崎齊

    山崎政府委員 それはどこまでも契約という面の補助をお願いするということでありますので、造林事業実行について現地に出かけていって指導監督するということをお願いするわけではないのであります。県の職員にいたしましても、改良指導員等が現場にそれぞれおるのでありますが、これらの職員も、公団に頼まれたからというようなことではなしに、造林事業の技術面の指導をするというようなことは本来の業務としてやっているわけでありますから、そういう面の指導は受けていくというふうに考えております。
  386. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことを聞いているのではないのですよ。国全体の林業行政上の行為というものは、国が行なう部面、あるいは地方公共団体が行なう部面、あるいは両者が協力する部面というのが当然あるわけです。実際造林者として現地に造林するという場合に、これでは手薄じゃないか。何もやれぬじゃないか。やる場合にまさか県庁や町村に頼んでやってくれと言うことはできないでしょう。そうすると、かつての林野庁の機構に見合ったような実施機構を全国に作るとすれば、これは大へんなことになるわけです。そういう国の冗費を費やすようなことであれば、完全に今まで行なってきた林野庁がやはりこれを行なうということが当然だと思うのですが、その点はいかがですか。  それから、もう一つは、公団が今度は法律に基づいてやるということになれば、まさか地方の営林局や営林署がこの公団事業のお手伝いをするようなことはないと思いますが、その点はいかがですか。
  387. 山崎齊

    山崎政府委員 お説の通り、後段の点につきましては、営林局署が公団の仕事の代行をするというようなことは絶対やるという考え方は持っていないのであります。  それから、前段の点につきましては、分収造林措置法によりまして、公団費用負担者になるということ、また、必要な場合には造林者にもなるというそれぞれの場合を規定しておるわけでありまして、全国に営林局署のような網をかけなければこの仕事ができないというふうなものではないように思うのであります。
  388. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではお尋ねします。たとえは、造林をやる場合には、これは苗畑の経営というものが必要になりますね。(「そうじゃないよ」と呼ぶ者あり)冗談じゃない。だめだよ、詰まらぬことを言っては。いいですか、造林をやる場合に苗畑がなかったら、できないでしょう。それでは、第一段階として、公団は苗畑の経営についてはどういう計画を持っておりますか。
  389. 山崎齊

    山崎政府委員 国営の造林につきましても一部そうでありますが、民間の苗木というようなものも現に買ってやっておるわけであります。民間におきましては苗木高等から優良な苗木を買って植えるというようなことがその大部分を占めているというような現状からいたしまして、公団等におきましても、みずから苗木を全部養成しなければいかぬというふうなことはないように考えております。
  390. 芳賀貢

    ○芳賀委員 全部でなくとも、苗畑経営をやるのですかやらぬのですか。
  391. 山崎齊

    山崎政府委員 苗畑経営等はやらない趣旨であります。
  392. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。それでは公団に対して林野庁から無償で提供するのですか。
  393. 山崎齊

    山崎政府委員 林野庁におきまして余剰の苗木というようなものが出ます場合もあるわけでありまして、そういうものは正規の価格によって必要ならば払い下げるという措置を考えております。
  394. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうなると、公団は苗畑の経営能力もない、実際に現地では造林する陣容も全くないということになりますね。そういう見通しがつかないで現在の官行造林制度を一挙に廃止するというのは、これは非常に軽卒なそしりを免れないと思う。千載に悔いを残すと思いますが、いかがですか。
  395. 山崎齊

    山崎政府委員 お説のように苗木というものを自分で作らなければならぬというようには考えていないのであります。
  396. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、審議を進めれば進めるほど、国が全く無責任な態度をとって、結局は公団に無理な荷物を背負わせて、そうして国が無能力者に対して毎年数十億の出資をしたり、あるいは貸付金を行なって、そうして全く経済効果の少ないような分収造林事業をやらすということになるのですから、こういう点はやはり慎んでもらいたいと思います。これは、政府の金といったって、自民党が作った金でも何でもないわけです。国民の負担で全部やっておるのですから、こういう点に対しては、これは非常に軽卒な法案の出し方だったと思いますが、農林大臣はどう考えていますか。
  397. 周東英雄

    ○周東国務大臣 どうも私はよくわからないのですがね。あなたのお話を聞いておると、官行造林でやると苗木はただのお話のように聞こえるのですが、官行でやっても、やはり苗は買う場合もあるのです。苗畑を持たないということが、これをやらせるのに軽卒だという理由にはならぬと思う。できるだけいろいろなものを持ったらいいでしょうけれども、苗を育成したら、その育成者に対して払う。いわんや、官行造林でやった場合でも苗木を購入した場合もあります。ですから、そういうことは、いろいろおっしゃいますけれども、そういうことだけでもって計画がどうとかいうことにはならないのではないか。これは決してあげ足をとるわけではございませんけれども、私はさように考えます。
  398. 坂田英一

    ○坂田委員長 次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十八分散会