○石田(宥)
委員 総理の腹の中はよくわかりました。かわいい子には旅をさせろということで苦難な道を歩かせようと、こういうことであるようであります。
そこで、私は、以下具体的にお尋ねをいたしますが、
先ほども申しましたように、
農業の
所得は他
産業の三分の一以下の
状況である。とするならば、
国民所得を倍増するにあたっては、まず
農民所得を三倍にする
考え方が先行されなければならないと思うのです。ところが、今のようなお心がまえであるから、結局次に申し上げるようなことになったと思うのでありますが、
農民所得三倍策というものをほうっておいて
所得倍増論をおやりになりますから、物価は軒並みにどんどん上がって参ります。公共料金も上げようとしております。
農業資材を初め家計費は大幅に値上がりを招来しておりますことは御案内の
通り。
そこで、
農産物価格はどうするか。これは、大・はだか麦については、今
総理から
お話がありましたけれども、かわいい子に旅だそうであります。小麦はパリティ価格を放棄するということであります。米についてはどうか。これは、
農林大臣の答弁によると、百五十キロ
当たり一万四百五円で、前年度を下回らないという公約をしておられる。米の産額が
わが国の
農業生産額の五〇%を占めておりますから、これはまあ
一つの典型的なものでありますが、ほかの物価はどんどん上がっておる、ほかの
産業所得はどんどん上がっておる、
農民の必要資材や
生活費は上がっておる、にもかかわらず米価については据え置きをされる。そうすれば、そのことだけで総体的に
農民の
所得というものはずっと結果的に低下する。まずこれが第一点。
それから、次に、
政府は本年度
予算編成にあたって税法の改正を行なっております。いわゆる一千億減税の公約履行ということでありましょうが、金額は変わりましたけれども、
税制調査会の答申に基づいてすべて行なわれておるようであります。この
税制調査会の答申によると、従来の米価との関連にありました、予約減税を廃止すると答申しておる。
政府はまだこれに対しては最終決定をしておらないようでありまして、米価決定の際までこれを見送ると言っておるのであります。これは租税特別
措置法の一部でございまして、問題はありましょうが、しかし、これは地域によって若干違いますけれども、私の県である新潟県などでは、この予約減税が、
政府の言うところの自営
農業というような二町歩程度の
経営規模でありますと、米一石
当たり六百円ないし七百円の手取り不足になるのであります。さらに、時期別格差も廃止すると伝えられておる。もちろんまだこれは最終決定ではないようでありますけれども、そのように準備は進められております。そういたしますと、これがやはり石
当たり三百円ないし四百円となりますから、そういたしますと、米一石
当たり約千円程度の引き下げになるという結果になるのであります。
それから、次に、やはりこの
税制調査会の答申との関連でございますが、ことしの減税の中では、法人税の減税をやり、
所得税の減税をやり、事業税に対して家族専従者控除の適用をすることに決定をしております。ところが、
所得税について白色申告の場合における家族専従者控除をやり、それから地方税である事業税に対しても家族専従者控除をやっておるにもかかわらず、
農民が一番
関係のある住民税
所得割に対しては、白色申告に対しては家族専従者控除の適用を除外する。これは
総理もよく御
承知なんでありますが、一体、
農民の税負担というものは、
総理大臣、かつては専門家でいらっしゃったからよくおわかりの
通りで、
農民の租税公課を国税と地方税とその他で分けてみますると、国税は一一・二%しかないのです。地方税が四八・七%で、地方税の比率が非常に多い。さらにその他の諸賦課が四〇・一%あるわけです。従って、
農民の
所得税の対象になる者はきわめて少ないのです。これは六十万戸のうちわずか七%程度しか
所得税の対象農家はないわけです。そういたしますると、
所得税を納めることのできないような低
所得の
農民に対してのみ、この減税のいわゆる家族専従者控除の適用を除外するという、一体これくらい無慈悲な仕打ちがありますか。これはまことにわれわれの忍びがたい問題の
一つであります。
ところが、そのように低
所得の
農民に対して減税の恩典を全然適用しないだけでなしに、固定資産の評価は三年ごとに行なわれまして、ことしは評価がえの年です。
土地については五%の評価の引き上げをやりました。農地については平均三%引き上げをやっておるのです。それから、家屋については、これは据え置きです。ところが、家屋の評価の据え置きということは、建物は、ことに農家の古い建物などは、年々この消損分が引き下げられなければならない。だから、これを据え置きにするということは、家屋に対する評価の引き上げという結果になる。さらにその上にガソリン税の引き上げをやられて、
池田さんが
考えておられる自立
経営農家といわれるような自動耕転機を持っておるような農家はガソリン税の引き上げ分を負担しなければならないということになれば、これらの諸税、諸負担の伸びというものは相当なものです。一面、
政府は、本年は間接税については全然触れない。一体、減税などというものは、相当
所得の大きい者よりは、むしろ
所得税を納入することのできないような低
所得階層の減税こそが優先的に行なわれなければならない。にもかかわらず、ほとんど
所得税すら納入する資格のない低
所得階層である
農民に対して増税をするということは、一体これはどういうことです。これもやはりかわいい子には旅で苦しませる、苦しんでも仕方がないということなのか。どういうことなんですか。
これは、要するに、私が最初に申し上げたように、
保護政策をやめて
農業というものが立ちいかないような姿にすれば、
農民はさっさと逃げ出してしまうから、まず逃げ出すときには
一つ逃げ出させよう、こういう意図でもない限り、こんな無慈悲なことが行なわれるはずがない。
もう
一つあります。住民税の課税方式を統一して、今までの第二方式本文とただし書き、これは、今まで五つの課税方式があったうち、この二つが一番高いのです。全部高いところに統一しちゃって安いところはみな取り上げちゃって、高いところへ統一しちゃっている。
こういうことを全部
考えてごらんなさい。どれだけ増税になり、どれだけ負担が重くなるのか。その分だけ相対的に
農民の
所得は低下するのですよ。
一つ総理の所信を伺いたい。