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石橋(政)
委員 昨年の八月八日ですか、この問題について合同
委員会が持たれておるように聞いております。これは地位協定が成立した後ですよ。だからそれまでは両国
政府の合意がなかったことははっきりしております。ないままに、新地位協定に基づく正式の提供施設として提供してしまっている。それであわててそのあとで合同
委員会が持たれておる。こんなばかな話はございませんですよ。下手したら、今度は刑事特別法の適用もあるかもしらぬという。あの悪いといわれた前の安保条約、行政協定のもとにおいても刑特法の適用がなかったのに、今度の新しい——皆さん方の説明によれば、日本の自主性がより
強化され、確保されたのだと言う、そういう条約、協定のもとにおいて刑特法の適用もあるという。こんなばかにした話はございません。そうしておいてあわてて合同
委員会が持たれて、日米両国から提案がされておる。ところがこの提案の内容たるや、全くでたらめじゃありませんか。占領中以上じゃありませんか。こんなものをお認めになるのですか。ここに地図もございますけれ
ども、米軍側の提案によると、一区、二区では一切の日本船舶は航行、操業を禁じられる。こういうことになると、港則法に定められた大型船航路も、SSKのドックに通ずる水路も、全部閉ざされてしまいます。それから立神の三号、四号、五号、六号の岸壁、これは全部日本側の倉庫地帯、それからSSKの修理船着岸地帯になっているのですが、これも完全制限水域になって、
一体どうしろというのですか。具体的に言えば何ぼでもありますよ。とにかくものすごい制限のきびしいものを出してきている。
これに対して日本側の案というのが、また全く自主性がないじゃありませんか。今は佐世保の港は米軍の艦船も、特別の場合以外あまり出入りしていないのです。三十五のブイもほとんどがらあきです。何のためにこんなにやかましいことを言って制限しなくちゃならないのでしょうか。このような理不尽なことに対して、なぜ日本
政府はもっと強硬にがんばらないのですか。八年間がんばったというならば、新地位協定のもとにおいては、それでは何でたやすく屈してしまうのですか。もっと日本の国民の利益というものを
考えてもらいたい、国民の
立場というものを尊重してもらいたい、そうしなければ、幾ら池田内閣が日本は自主性があるのだ、
西村長官が
アメリカ軍といえ
どもわれわれは決して屈するものではない、自主性はあるのだと胸を張ってみたところで、
一つ一つこういう具体的な例を見ていけば、どこに自主性があるのかと言わなくちゃならないような例がたくさんあるのです。佐世保の市民はこれでどれだけ困っているか。商港として、貿易港として、肝心なところは全部押えられてしまって成り立たないのです。これは二十数万の市民の生活の問題ですよ。しかもそれを米軍が現に使っているのだとか、必要だというならとにかく、ほとんど使っていない。こんなばかな話はないと思う。
私はこの問題をまず整理して申し上げますと、まず第一は岡崎・ラスク交換公文というもの
自体が国際法上違法のものだ、あくまでも暫定的なものであるにもかかわらず、八年間もずるずるっとこれを効力ありとして、不法に日本の施設及び区域を使ってきたのは全くけしからぬ。これを阻止し得なかった、何ともし得なかった日本の保守党
政府も、全くだらしないというととをまず申し上げたい。
それから第二に、今までとにもかくにも法務省あたりは法的根拠がない、
アメリカの不法使用、一歩譲っても暫定使用、こういう見解をとってきた。そしてある
意味ではほんの限られた部分として、検束されたとか検挙されたとかいう、そういう人たちだけですけれ
ども、そういう人たちの
立場はどうにか守られた——という
言葉が当たるかどうか知りませんけれ
ども、法務省が法的根拠がないから、そんなものでつかまえてきたってだめだといって釈放したということで守られた。ところが今度は新地位協定になったら、いつの間にか両国
政府の話し合いもないままに、ずるずると正式提供地域にしてしまっている。
一体自主性はどこにあるのかということを指摘したい。そうしておいて、あわてて昨年の八月から合同
委員会を持って話し合いに入った。ところが
アメリカが出してきておる制限の案というものは、占領中に匹敵するような過酷なものである。それに対する日本側の提案というものもまたまことに情けない、自主性のない提案だ、こういうことを申し上げたわけです。
そこで
長官に申し上げたいのですが、調達庁を担当する大臣として、また自主性を強調する池田内閣の閣僚として、こういう不合理なことをお認めになるのか。ならないとすれば、とにかく早急に、国民の利益、人権というものを尊重する
立場の上に立って、強硬に
アメリカ側に当たるということをここでお約束願いたいと思う。あなたができないなら、私は
総理大臣が来たときにまた
お尋ねします。