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1961-04-11 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月十一日(火曜日)    午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君    理事 草野一郎平君 理事 高橋  等君    理事 宮澤 胤勇君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       大森 玉木君    服部 安司君       福田  一君    藤原 節夫君       保科善四郎君    前田 正男君       牧野 寛索君    井手 以誠君       緒方 孝男君    杉山元治郎君       田口 誠治君    原   茂君       山内  広君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君  委員外出席者         防衛庁書記官         (長官官房法制         調査官)    高瀬 忠雄君         防衛庁書記官         (防衛局防衛審         議官)     麻生  茂君         防衛庁書記官         (防衛局第一課         長)      久保 卓也君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 四月十日  委員柳田秀一君及び山花秀雄君辞任につき、そ  の補欠として横路節雄君及び井手以誠君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月十日  元南満州鉄道株式会社職員期間恩給年限通算  に関する請願内海清紹介)(第一九八〇  号)  同(赤澤正道紹介)(第二一二八号)  同(有馬輝武紹介)(第二一二九号)  同(村山喜一紹介)(第二一三〇号)  建国記念日制定に関する請願外二件(床次徳二  君紹介)(第一九八一号)  同(原田憲紹介)(第一九八二号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一九八三号)  同外六件(宇田國榮紹介)(第二〇七一号)  同(小平久雄紹介)(第二一九〇号)  建設省定員外職員定員化に関する請願外百五  十件(安宅常彦紹介)(第一九八四号)  同外十二件(足鹿覺紹介)(第一九八五号)  同外五件(春日一幸紹介)(第一九八六号)  同外二十三件(矢尾喜三郎紹介)(第一九八  七号)  同外十三件(吉村吉雄紹介)(第一九八  八号)  同(櫻内義雄紹介)(第二〇七五号)  同(西村力弥紹介)(第二〇七六号)  同(森本靖紹介)(第二一二七号)  建設省北海道開発局及び運輸省港湾建設局定  員外職員定員化に関する請願外二十七件(安  宅常彦紹介)(第一九八九号)  同外十三件(足鹿覺紹介)(第一九九〇号)  同(逢澤寛君紹介)(第一九九一号)  同外一件(石田宥全君紹介)(第一九九二号)  同外八件(石橋政嗣君紹介)(第一九九三号)  同外四件(石山權作君紹介)(第一九九四号)  同(川俣清音紹介)(第一九九五号)  同外一件(久保三郎紹介)(第一九九六号)  同外十七件(島本虎三紹介)(第一九九七  号)  同外二件(松井政吉紹介)(第一九九八号)  同外五十件(松本七郎紹介)(第一九九九  号)  同外二件(三木喜夫紹介)(第二〇〇〇号)  同外一件(門司亮紹介)(第二〇〇一号)  同外四件(森島守人紹介)(第二〇〇二号)  同外二件(吉村吉雄紹介)(第二〇〇三号)  同外十件(津雲國利紹介)(第二〇〇四号)  同外二件(中嶋英夫君紹介)(第二O〇五号)  同外一件(中村英男紹介)(第二〇〇六号)  同外三件(長谷川保紹介)(第二〇〇七号)  同(阪上安太郎紹介)(第二〇七二号)  同外一件(西村力弥紹介)(第二〇七三号)  同(藤井勝志紹介)(第二〇七四号)  同外一件(石川次夫君紹介)(第二一二〇号)  同外四件(石山權作君紹介)(第二一二一号)  同外三件(田川誠一紹介)(第二一二二号)  同外一件(滝井義高紹介)(第二一二三号)  同外九件(松井政吉紹介)(第二一二四号)  同外四件(前田榮之助君紹介)(第二一二五  号)  同外二十件(安井吉典紹介)(第二一二六  号)  文部省文化財保護委員会定員外職員定員化に  関する請願外四件(石橋政嗣君紹介)(第二〇  〇八号)  同(石山權作君紹介) (第二〇〇九号)  同外六件(田中武夫君紹介)(第二〇一〇号)  同外四件(堂森芳夫紹介)(第二〇一一号)  同外四件(中島巖紹介)(第二〇一二号)  同外四件(三木喜夫紹介)(第二〇一三号)  同外六件(山中吾郎紹介)(第二〇一四号)  恩給法等の一部を改正する法律案の一部修正に  関する請願保科善四郎紹介)(第二〇七七  号)  寒冷地手当増額に関する請願外十七件(堂森芳  夫君紹介)(第二一三一号)  同外九件(宇野宗佑紹介)(第二一八三号)  同(小川平二紹介) (第二一八四号)  同外一件(唐澤俊樹紹介)(第二一八五号)  同外七件(草野一郎平紹介)(第二一八六  号)  同外九件(黒金泰美紹介)(第二一八七号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第二一八八  号)  同外一件(宮澤胤男紹介)(第二一八九号)  旧軍人恩給加算制復元に関する請願外五件(  塚原俊郎紹介)(第二一九一号) は本委員会に付託された。      ————◇————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  二八号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 質問に入ります前に、先日の北海道上空におけるF86Fの事故の点について、その後防衛庁としていろいろの措置をとられたと思いますので、どういう措置をとったのか、あるいはその結果現在まで判明いたしました経緯なり何なり、一つ報告をお願いいたしたいと思います。
  4. 西村直己

    西村国務大臣 お答えいたします。非常に遺憾な事故を起こしたわけでありますが、一人だけ現在まで遺体がまだ見つからないのでございまして、十日の日に葬儀その他等を執行いたし、同時に事故状況調査につきましては、従来は地方の隊におきまして事故調査等の機関を置いたのでありますが、今回は空幕にその中心を置きまして、そして関係気象庁その他とも十分合同いたしました形において調査会を設け、その間に私としましては、防衛庁並びに関係の諸君に対しましてできる範囲、わかりました範囲は明らかに事実を申し上げる、こういうふうに国会に御報告するように私も指導いたしております。本日までにわかりました状況等につきまして、所管の局長から御報告いたしたい、こう考えます。
  5. 小幡久男

    小幡政府委員 先般の事故につきまして、その後入りました状況を、先般の御質問とも関連させながらお答え申し上げたいと思います。  この前、気象観測結果を報告するように、それと飛行機の離陸の関係がどういうふうになっておるかという点につきましていろいろ検討がございましたが、その後調べましたところ、気象は一時間ごと現地気象隊観測いたしまして予報を出しております。最終の第三編隊が飛び出しました時刻が十二時一分でございますが、十二時の千歳気象隊観測予報によりますと、一時間後に密雲が二千五百フィートの上空にくる可能性がある。それから視界が五マイルに下がり、にわか雨があるであろう。それから四十ノットの突風があるであろうというふうな観測をしております。これは決して好天候ではございませんが、訓練停止条件であります飛行の気象条件からいたしますと、まだ余裕のある観測をいたしております。この観測がちょうど第三編隊の飛び上がる直前の姿でございますが、その後十二時八分に、この前申し上げましたさらに悪い予報を発表しておりますが、この十二時八分の気象勧告というものが一番最後の経過になるわけでありますが、この十二時八分の気象報告は、これまでに入りました三沢とか秋田、その他の地方気象状況気象隊で分析をいたしまして、天気図に書き込んだ結果の結論といたしまして、十二時八分に次のような勧告をしております。密雲が千五百フィートになる、それから視界が二マイルに下がる可能性がある、それからにわか雨もあるかもしれない、四十ノットの突風が吹くであろう、こういう気象勧告を十二時八分に気象隊作成いたしまして、十二時十一分に管制塔から自衛隊機報告しております。これが十二時一分に舞い上がりました最終の第三編隊機が離陸する当時には、まだ天気図を分析している最終の段階でございまして、この結論が出ておらなかったのが大へん遺憾でありますが、そういろ時間的な差異がありまして、第三編隊はこの気象状況空中において知ったということになっております。  それからその次、第二の点でございました三沢へ行くように指示があった前後の飛行機行動いかんという問題でございますが、この点につきまして、その後判明いたしましたところを申し上げますと、最終結論を先に申し上げますと、三沢へ行くべき指示が出た時刻以後は、ほとんど千歳着陸を試みておりません。三沢へ行けという指示が出ましたのは十二時四十五分でございます。この時間と関係づけて各編隊行動を申し上げますと、二口編隊は一時以前に千歳進入を実施しております。そしてそれは失敗いたしまして、燃料ありと判断をして三沢に向かったものと推定されますが、これが海中に落ちまして事故となった編隊でございます。それから樋口編隊、これは指示以前に千歳進入しておりまして、その後千歳着陸をあきらめまして、三沢へ十三時四十五分に着陸に成功しております。それから第二編隊に属します大黒編隊三沢行きの指示が出る前に千歳着陸しております。なお副島編隊、これだけがその指示の後に千歳着陸をしておるのでありますが、これにつきましては副島編隊副島機長が非常に練達の士でございまして、自分自分より練度の劣る僚機を従えまして空中で待機しておりまして、着陸の姿勢に入ったのですが、一度は吹雪着陸できなかった。すぐに舞い上がりまして僚機燃料を調べたところ、燃料僚機は一千ポンドしか持っておりません。千三百ポンド程度ないと三沢へ行けないと判断いたしまして、エマージェンシーの緊急処置といたしまして、千歳着陸いたしております。これだけが例外的に三沢行きの指示が出ました後に緊急処置としまして千歳着陸する措置をとっておりまして成功しております。それから第三編隊、これは清田部隊でございますが、これは千歳進入は実施しようとした形跡がありません。そして三沢へ行くという決心をいたしまして、ATCのクリアランスをとっております。これは後ほど空中接触をしたと想定される原因によりまして、苫小牧の東北東に墜落した遭難でございます。それから最後に第三編隊相子編隊は、指示を受けましたときにはGCAのパターンの中におりまして、進入を続行中でございまして着陸不成功でございましたので、三沢行きを決心いたしまして、十四時〇三分に三沢着陸を成功いたしております。以上のように大体は指示の前に千歳進入を試みたのが大部分でございますが、副島編隊だけはこの僚機燃料を心配いたしまして緊急処置といたしまして、指示の後に千歳着陸しておる、こういう状況でございます。  それから国産機供与機かという御質問が出ましたが、調べましたところ国産機が三機とMAP機が一機でありました。このMAP機は二口機でございます。それからこの国産機MAP機との事故の過去の比率を調べましたところ、大体延べ機数にしましてMAP機は三十年以来六百五十三機でございまして、国産機は三十一年以来八百八機でございますが、このうちでMAP機事故は今回の事故を含めまして二十四、国産機は今回の事故を含めまして二十六機でございます。この比率をとりますと、MAP機は大体三・六%、国産機は三・二%となっておりまして、前会申しましたように総体した事故比率から見ましての差異はないという判断をしております。以上が大体の概況でございます。
  6. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私、先日の質問の際に指摘いたしました点、非常に大きな懸念を持ってお尋ねしたわけですが、やはりどうも裏づけられるような気がしてならないわけです。その第一の問題は、天気図作成気象上の問題ですね。この事故が発生して、直ちに発表されております源田空幕長の談話の中に全部入っておるのですが、この訓練計画は午前三時の天気図もとに行なわれておった、こういうようなことが言われておる。気象条件変化の激しい北海道上空で行なわれる訓練、それが特にこの日は変化が激しかったといわれておるのに、午前三時の天気図もとにしてのんべんだらりと訓練をやっておったのではないかという実は懸念を持ってお尋ねしたわけですが、今のお話ですと、一時間ごと予報はしておった。しかも第三編隊が出発するまでに天気図作成が間に合わなかったというようなお話でしたが、その間午前三時の天気図と、それから最後の十二時八分に勧告が出たときに作ろうとした天気図との間には、全然天気図作成は行なわれておらなかったわけですか。
  7. 小幡久男

    小幡政府委員 天気概況につきまして調査は午前三時に気象庁の大きな予報がございます。これはいろいろ作業をいたしまして、六時間くらいその結論を出すのにかかる。現地状況に当てはめるのにはかかる性質のきわめて大きなものでございます。従いましてそれだけにたよることはできませんので、秋田地方気象あるいは三沢状況とか、至近の距離にあります、近辺の距離にあって低気圧がその方からくるかもしれぬという方向気象を、絶えずとっておるわけでございます。その結果、十時五十七分あるいは十時十分、十一時四十二分、十一時五十分というふうに、いろいろ小刻みに予想をとっておりまして、気象隊が正式にそれをまとめて部内に発表いたしますのは、十一時と十二時に発表いたしております。最後に十二時〇八分に気象勧告をしたということになっております。従いまして午前三時からあと何らなかったかといいますと、その間には絶えずそういった局地気象判定の努力を現地ではしておるわけでございます。
  8. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もう少し調査していただかなければはっきりしないと思いますけれども、何となくこの気象条件というものを甘く見ておったのじゃないかという感じがしてなりません。そういう気象条件に備えての訓練というならまた別かもしれませんけれども、単なるスクランブルの訓練ということであれば、こういう日を選んでやる必要もなかろうと思いますし、どうも万全の燃料その他の準備もしてこういった訓練をやっておったような形跡も見られませんし、何か手落ちがあったような気持がするわけです。  それからもう一つの問題、千歳におりようとしたのかどうか、三沢に行けという指示を出したこと、この辺の問題ですが、実は四月八日の毎日新聞でしたか、全日空が非常に怒ったというような記事が出ておるわけですけれども、この全日空着陸がなかなかうまくいかないで、上空で長時間待機させられたというので怒ったという内容ですが、この記事によりますと、全日空飛行機着陸する前にF86Fジェット戦闘機が四機着陸しておる。その時間中どうも上空で待機させられたのではないかという感じを持つわけですけれども民間機でも着陸できるような気象条件であったような気がするわけです。そうしますと千歳着陸できなかったというのは、一体どういうわけだろうかという問題が一つ出てくるわけですね。技術的な問題なのか何なのか。民間機でもたやすく着陸しておるのに、なぜ着陸できなかったろうかという感じ一つ持つわけですが、この辺はどうなのか。  それから何度も着陸を試みてみて、失敗して三沢の方に向かった形跡があるということですが、この場合に燃料のことなどは十分に判断したのでしょうか。大丈夫三沢まで行ける。もちろん指令を出した側は、三沢まで行けという指令を出したからには、燃料の計算もちゃんとして、足りるというふうに計算した上で指令を出したものと思うのですが、その辺は一体どうなんですか。
  9. 小幡久男

    小幡政府委員 第一の全日空機着陸できるような状況もとで、なぜ86Fが着陸できなかったかという問題でございますが、これは前会申し上げました通り、当日の気象は非常に変化しておりまして、ある瞬間には吹雪視野が全然見えないときがあったわけでございます。ちょうど自衛隊機着陸を試みましたときには、吹雪視野がほとんどゼロである、そういう非常に悪いめぐり合わせのときに誘導されておったということが判明しております。従いまして気象が断続しておりまして、全日空機の方は滞空時間も非常に長うございまして、気象条件がよくなるまで上空で旋回して待ち得るという安定感がございます。従いましてそういう断続の一番長いときに導入されて着陸した、かように考えております。  それから次の三沢行きの燃料飛行機にそれぞれ適当にあったかどうかという御質問に対しましては、これは当然問題になると思います。この点につきまして一番問題になりますのは二口編隊でございますが、これは三沢へ行く途中で海中に落ちた、この飛行機が一番問題になると思います。これにつきましては千歳進入を試みてからあとレーダーからはずれまして、おそらくホーマーによって進行しておったものと推定されております。従いまして方向はわかっておりますが、距離をつかむということができない時間が二、三十分、この二口機にはあとから見ますと想定されます。この二、三十分の間三沢へ直進するということになっていない公算がございます。この点は事故機でございまして、あとからなかなか調査しにくい状況もございますが、さらに調査委員会であらゆる関係の方を動員いたしまして、この機の動向を推定したいと思っておりますが、確かにこの機につきましては燃料はありましたが、途中で進路が多少疑問に思う節がございました。三沢レーダーに現われ始めた時分には相当時間がたっております。従いましてこの編隊につきましては、おそらく空中進路を失ったようなことがあったのではないかというふうに察しまして、これにつきましては燃料が途中で切れるということは、十分そういう理由からあったのではないかというふうに考えております。
  10. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 結果論になるわけですけれども、第一の条件からいくと、それではもう少し千歳上空でがんばっておれば、無事に進入できたかもしれぬということになるわけですね。ぎりぎりの燃料三沢に向かったというところに、やはり問題があるような気がします。しかしこの問題はまたもう少し詳しく調査報告が終わりましてから、私どもの方で質疑を続けることにしたいと思いますので、法案に即した質問に入りたいと思います。  防衛二法についての質問をするわけでございますが、この間私どもももらいました「政府の窓」三月十五日号を読みますと、「国民のための自衛隊を」という見出しで、西村長官奥野信太郎教授と対談をしておられるわけですが、その中で、どうも国会の論議が、特に野党質問憲法論争法律論争になることに御不満のようであります。その気持、わからぬこともございませんけれども、しかし何としても私どもは現在の防衛庁自衛隊というものを憲法上正しいものというようには考えられないので、勢い憲法論になる面が多く出てくるわけでございますが、しかしきょうは極力長官の望むところの実体論に入りたいと思います。しかしこれは何も私ども自衛隊を合憲なりと認めた上での質問ではございませんから、これは念のために申し上げておきたいと思います。最大の野党として、社会党には任務がございますから、どうせ認めていないのだから何をしてもかまわないというわけにはいかないので、政府がやろうとしているそういう施策ようも、とうした方がいいのではないかという一つの考え方を述べるとしても、それは決して認知した上での質問でないことを念のため申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、私ども実体論に入りにくい原因一つに、防衛庁当局の極端な秘密主義というところにも問題があるわけです。なるべくほんとうのことは言うまい、教えまい、そういう態度で終始されますので、こちらの方も十分なる材料を得ることができませんし、どうせ聞いてもまともな答えをしてくれないだろうという先入感を持ちやすくなる。そういう面から勢い法律論というものに片寄っていくきらいもあるわけです。この点は長官実体をお望みなんだからそれができるように、そういう秘密主義にならないように、これも御注文申し上げておきたい。  そとで質問の第一番目でございますが、今度この法律改正によって、従来の六管区隊、四混成団を十三の師団に改編するというのでございますが、一体何のために改編するのか。提案理由説明を読んでみますと、ただ一言、わが国の地形に適応させ、運用を軽快ならしめるためであります。これではちょっと納得できません。六管区、四混成団を作ろうという計画ができたときと現在と、日本地形に別に変化があったわけではございますまい。それだけを理由に、こんな大切な作戦基本単位の改編というようなことが行なわれるとは、私どもしろうとでも思わないわけです。よほどしっかりした根拠がなければ、手をつけられるはずがないと私ども思います。まさか長官お好みの言葉の上の、何といいますか、逆コースという言葉が当たるのではないかと思うのですが、特車ではわかりにくいから戦車にしよう、陸将ではわからないから中将、大将にしよう、まあそういうふうな一連の逆コースと軌を一にして、管区隊混成団なんというよりも昔なじみの、なつかしのメロディーではございませんけれども師団の方がいいじゃないか、それっぽっちのことでこういう編成の変革が行なわれたとは思わないのでございますが、もう少ししっかりした説明、何で十三個師団に改編しなくちゃならないのか、御説明をやっていただきたいと思います。
  11. 西村直己

    西村国務大臣 六管区隊、四混成団の十単位を、十三個の師団編成に変えましたことは、もちろん単に名称その他の思いつきではございません。御存じの通り自衛隊が増強いたしまして、そうしてかつては米国の一つ編成にならった面もありましょう。管区隊あるいは混成団、そして中心はどちらかというと片寄っておりました。北海道から東北方面九州方面、そうして特に中部と申しますか、関東を中心にし、東海を中心にしたものにつきましては割合に兵力がない、こういうふうな偏在した形もとられておったわけであります。それらから考えましたのが一つ。それでこれは当然地形にも関係して参りまして、一万二千七百名でございますか、そういう管区隊というようなものが装備もだんだんふえて参った場合に、はたしてあれだけの大きな長いものが、そういうような場合におきましても今のような日本地形からいって機動力が発揮できない。それから専門の面になりますが、戦闘単位と申しますか、そういうようなものも少し大隊といいますか、中間段階が多いというような編成の仕方から、やはりこれらも直さなければいかぬ。そこで警察予備隊以来ずっと十年の歳月を経まして運用を考えました結果、今日御提案申し上げ、御審議を願っております結論に達したと思います。  いま一つは、これは単に日本だけでなくて、世界各国の軍の最大規模の一つ戦闘単位、これがやはりそれぞれの国の国情と、それから今日の装備その他の変化、これらによりましてイギリスにおきましても、あるいは共産圏のソ連におきましても、あるいはアメリカにおきましても、その他各国におきまして最大の戦闘単位というものを相当工夫し、あるいは変化を加えておるのであります。どちらかと申しますと、私専門ではありませんが、多少小型化した機動力、こういうようなものを中心編成がえを行なっておる。そこでわが国の陸上自衛隊といたしましても、ちょうどその時期を得てこういう形をとるべきではないかというふうに考えて、今回師団改編のことも加えました防衛庁なり自衛隊法律改正をお願いしておるということであります。
  12. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 少しわかってきました。今長官のお答えの中に現在の自衛隊編成というものが、ややアメリカの編成にならった面があって、日本地形その他に必ずしもそぐわなかったというようなお言葉があったのでございますが、それでは今度の十三個師団の改編というものは、アメリカにならった面はないのかというと、これまたアメリカにならった面があるわけですね。今の御説明の中にもございましたアメリカその他各国においても、こういった作戦基本単位の改編が行なわれておるというお言葉があったように、今度もやはり右へならえなんですよ。なぜそれでは列国においてこういった作戦基本単位の変革が行なわれつつあるかといえば、これは言うまでもなく火力装備というものにおける革命的な飛躍、ここに一つ理由があろうかと思うのです。だからこれにならったということであると、日本の場合もやはりそういったいわゆる装備の面では革命的な変革、飛躍があったから、これに適合するような編成になったのだということになるのじゃないかと思う。わかりやすく言えば、結局今使われておる言葉で言えばペントミック化、ここに真のねらいがある、こう御説明になった方がはっきりするのじゃないかと思うのですよ。単に人員を減らしたということであっては、これは一つ作戦基本単位として弱体化したことになる。そうではないはずです。やはり力というものは維持するだけではなしに、さらに増強するということを絶えずお考えになっておる。人員を縮小するということになれば、結局火力なり機動力なりでそれを十分にカバーするというものが必ずつけ加わってこなければ意味をなさない。私どもはそういうふうに考えるわけです。そこでそれでは従来の管区隊混成団の火力、機動力というものと、新しく誕生しようとする師団の火力、機動力というものとを一つ比較して、どの程度維持されるものか、増強されるものか、あるいは弱体化するものであるか、その辺の御説明を、計画として今持っておられるものの中からでけっこうでございますから、一つお教えを願いたいと思うのです。
  13. 西村直己

    西村国務大臣 前段の問題ははっきり申し上げておきます。もちろん共同防衛という面はありましても、どちらかといいますと陸上自衛隊中心任務は——陸上については米軍はほとんど今日おらないのは御存じの通りでございます。五千人足らずの補給部隊がおるわけです。従って米軍との共同作戦とかそういう面よりは、むしろわが国の独自に基づいた一つ地形その他を考慮したことが一つであろうと思います。と同時に自衛隊の仕事はもちろん間接侵略、公共秩序の維持、もう一つは民生協力の仕事もございます。そうすると何と申しましても日本の行政区画というものを考えなければなりません。言いかえますれば、災害が起こりましても、中国、山陰方面から大阪まで、あるいは四国から大阪までというよりは広島方面へ中心が、一つ師団司令部がある方がいい。基本戦闘単位と申します行動単位中心がある方がいい。こういう面もわが国独自のものが多分にあると思います。それからペントミック師団は、私ども専門ではございませんが、これは原子力砲等を備えたものでございまして、だいぶわれわれの方の今度の師団とは火力その他においても違っておると思います。ただ世界の各国が、第二次大戦後における基本戦闘単位一つ機動力、これはもちろん石橋さんがおっしゃいますように火力の相当な発達、あるいは機動力の相当な発達等も考慮して、師団編成と申しますか、編成がえをやっておる。これらと歩調を合わせておる。ただ米国のペントミック師団ができたから、それに追随していくというわけでもございませんし、またこれはここ数年防衛庁事務当局におきまして、陸上自衛隊におきましても研究した結果でございます。  なお第二段の御質問等につきましては防衛局長から御説明申し上げます。
  14. 海原治

    ○海原政府委員 お答え申し上げます。その前に、今長官からお答えいたしましたことを若干補足して申し上げますと、先生のおっしゃいますペントミックというのは、アメリカのペントミック師団のことであります。御存じのようにペントという言葉は五つということでございます。その部隊が五つの単位をもって編成されておる。同時にトミックはアトミックでございまして、これは核の防衛力を持っておる。すなわち米軍におきましては、欧州その他の地域において何か事が起こった場合に、直ちに核報復力を持ちました戦闘団を空輸でもって現地に派遣するということから考えられましたものが、このペントミック師団であります。もう一度申し上げますと、核の報復力を持って、空輸によって同時に全部隊を一気に輸送する、こういうことが考えられた師団でございますので、私どもが現在考えております機械化混成団、すなわち第七混成団の考え方とは根本的に違っております。と同時にこのペントミックの師団編成につきましても、新聞等の報ずるところによりますと、アメリカにおきましてはさらにこれを修正しようというような動きも現在出てきております。すなわち欧州等に持って参ります場合には、むしろ軽過ぎるというような意見も出ておりますので、現在これが改編を研究中であるという新聞報道もございますように、部隊の編成装備ということにつきましては絶えず研究が行なわれておるわけでございます。従いまして北海道において編成いたしますこの第七混成団につきましても、従来から数カ年いろいろな編成の点を検討して参りまして、現在の計画で参りますと、先ほど先生のお言葉でございますが、特に画期的、革命的と申しますような装備は考えておりません。ただ従来の管区隊あるいは一般の混成団において持っております装備のうち、特に機動力、火力等においてすぐれておると思われますものを、ほかの部隊よりも率を多くして保有しておるということが、この第七混成団の特色でございます。一例を申し上げてみますと、たとえば六十ミリの迫撃砲につきましては管区隊が八十一門、一般の混成団が三十六門に対しまして、第七混成団は四十八門というものを定数として考えております。あるいは自走の迫撃砲、火砲等につきましてもこういう数をふやしまして、装甲車等につきましても、管区隊が二十七でございますのを、第七混成団につきましては二百三両というものを一応定数として考えております。そういうような措置をとりますことによりまして、混成団の定員は管区隊に比べまして御存じのように非常に少なくなりますが、火力におきましてはほぼ同等のものを持たしたいということで私どもは考えておる次第であります。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 第七混成団管区隊との比較をしておられるようですが、私が聞いているのは、現在の管区隊混成団と、新しく生まれようとする師団との火力、機動力の比較なんです。事務当局でけっとうですが、もう少し詳しくお尋ねをいたしましょう。  まず人員の面からです。現在の管一区隊は大体一万二千人ないし一万二千七百人ですか、混成団が六千人台ですか、その辺の正確な数字と、それから新しく作られようとする十三個師団というのが、Aのスケールの師団、これが人員でいって大体九千人ばかり、それからBのスケールの師団が七千人ばかりですか、その辺も一つ人員の面で正確に計画を明らかにしていただきたいということ。それから編成の面、先ほども御答弁の中でちょっと出ておりましたが、現在は管区隊混成団もとに連隊があり、大隊があり、中隊があり、小隊がある。それを今度の師団編成ではどこかの部門で圧縮するということですが、一体どの辺が抜けるのか、その辺の編成面も一つ詳しくお話を願いたい。三番目に、今お尋ねした火力、機動力の面で、管区隊と比較した場合に一体どの程度の水準になるのか。現在の混成団と比較した場合にどの程度の水準になるのか。火力、機動力は上がるのか、下がるのか、維持されるのか、そういった御説明を願いたいわけです。
  16. 海原治

    ○海原政府委員 お答え申し上げます。最初に現在の管区隊及び混成団の定数等でございますが、先生おっしゃいましたように、現在の管区隊は一万二千七百名というもので編成いたしております。混成団は約六千百名でございます。約と申し上げておりますのは、各混成団によりまして若干この数字が動いております。これを十三個師団編成によりまして、やはりお言葉にございましたように、九千名の師団、七千名の師団、それから機械化師団、これも約六千八百名、このように第七混成団編成がえいたします。こういう三つのものに編成改正をいたす予定でおります。  それからこの編成改正の主たるねらいでございますが、先ほど長官からも御説明申し上げましたように、従来たとえば、例を普通科の連隊にとって申し上げてみますと、師団の下に連隊がある、さらに大隊があり、中隊があり、小隊がある、こういうことで編成されます。しかもこれは一応三単位編成になっておりまして、このところを従来の大隊と考えられておるものと連隊との中間的な編成を一応考えました。これを一応連隊、昔の編成の人員から申しますと、大隊と連隊とのちょうど中間ぐらいになると思います。その程度のものが直ちに師団の下にくるわけでございます。その下に中隊を作る。そういう編成改正をいたしますということは、それを軽快にするということがねらいでございます。同時に編成の基本的な原則といたしましては、三単位制を四単位制に改めた。師団の中で、九千師団で申し上げますと、九千師団の中には連隊が四つできるわけです。なぜ四つにしたかといいますと、これは専門家の間で三単位編成がいいのか、四単位編成がいいのかということを、わが国の地形、道路の状況等に即しまして、いろいろと兵員その他の運用を研究いたしました結果、三単位制よりは四単位制の方が総合的な機動力、運用力等におきましてはるかにまさるという結論が出ましたために、四単位制に切りかえることを決心したわけでございます。ただし七千師団につきましては、この四単位制を一時三単位で補うという、臨時の手段を講じております。と申しますのは、この十三個師団編成は、あくまで従来の六管区隊、四混成団の定数の範囲内で、編成の改正を実施するということを作業の大前提といたしましたために、理想的に申しますならば九千師団に全部をそろえたいわけでございますが、そういうことが相かないませんために九千師団と七千師団、この二つの編成でいくということを現在考えております。  第三は火力その他がどうなるかということでございますが、これは定数につきましてはいまだ最終案の検討を終えておりませんので、現在私どもの手元で作業中の案であることをお断わり申し上げまして申し上げますと、一応現在の管区隊の火力を一といたしました場合に、新師団におきましてはほぼそれに近い火力を持たせる。第七混成団は先ほど申しました率で申しますと約九八%程度になる。一般の混成団管区隊に比べてその約半ば程度の火力だ、このようお考えいただきたいと思います。
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その火力ですが、いつを目標としてですか。第二防衛計画の達成時を目標としてですか、それとも三十六年度から三十七年度、二カ年間で改編を終わるわけですが、終わったときにはそれだけの火力を持つことになるわけですか。
  18. 海原治

    ○海原政府委員 十三個師団編成装備表というのを現在検討中でございますが、その編成装備表を完全に充足すると申しますか、新しい装備を持ちます時期は、私どもの手元では昭和四十二年度以降になろうかと思いますが、さらに申し上げますと、さしあたり十三個師団というものの編成改正は、現在の六管区隊、四混成団が持っております装備をそのまま用いまして、ここ四、五年の間は現在の編成装備の切りかえによって十三個師団を埋めていく。新しい装備表に切りかえていただくのは、先ほど申しましたように四十二年以降のことになろうというふうに考えております。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは改編されて、当分の間、昭和四十二年ころまでは新しい編成になることによって、現在の作戦単位よりもずいぶん火力の面で落ちるわけですね、そういうふうに了解していいわけですか。
  20. 海原治

    ○海原政府委員 これは現在持っております各火砲その他の装備を一切点検いたしまして、これがどの程度の能率があるかということと、どういうふうな基準で新師団編成改正をするかというようなことは、具体的に隊員の充足の問題も影響いたしますので、抽象的に非常に下がるということをお答えするわけには参らないと思うのです。ただ現在の師団単位のものが十三単位に分かれますので、当然その一単位をつかまえた場合には、十三分の十的な火力の差というものが一時的には出て参る、こう考えております。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一時的にではなしに、昭和四十二年ごろまでは出てくるわけですよ。あなたがおっしゃるように、現在の管区隊混成団が持っておる火力、それと対等の力を持つようになるのは昭和四十二年以降だというのですから、それまでは今の水準より下回る時期が続くというふうに了解するのが正しいのじゃないですか。
  22. 海原治

    ○海原政府委員 先ほど申し上げましたように、一応数の上では十三対十の差はございます。ただ従来から申し上げておりますように、現在の管区隊混成団につきましても、現有の装備品は逐次新しいものを更新する計画で、そのための予算もいただいております。従いましてたとえば同じ迫撃砲にしましても、従来六十ミリの迫撃砲を持っていたのを、八十一ミリに切りかえるというような装備更新というものは、従来の線で継続されますので、たとえば今日の管区隊と来年の管区隊とを比較してみました場合には、その具体的な装備の差というものを考慮に入れなければなりません。その新しい装備を持ったもので新師団編成して参りますので、その新師団の火力、現在の管区隊の火力という比較は、先ほど申しましたように、個々的に詰めて参りませんと具体的な数字は出て参らない、このように考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 正確な数字は出てこないかもしれませんけれども、さしあたり改編した当時の勢力からいけば、一つ作戦基本単位としては、戦闘能力というものがうんと落ちるということははっきりしでおりますよ。それはやむを得ない、かまわないのだというふうな考えがどうもあるような気がするわけです。ここに何か防衛庁の中に、現在の自衛隊というものについての考え方に、重大な変革があるのじゃないかという感じを私ども持つわけです。それが往々言われておるところの治安中心の部隊に切りかえるという考え方です。これは長官も御承知だと思いますけれども、現に陸幕長が談話を発表したこともあるわけです。昨年の十二月二十二日の記者会見において、杉田陸幕長は、「第二次防衛計画で現行の六管区、四混成団の十個単位編成を十三個師団に改編することになっているが、これは国内治安対策と災害出動がねらいである」、こういう談話を発表いたしておりますが、これを裏づけるのじゃないかと思うのです。すなわち直接侵略に備えるというところに今までウエートを置いて装備その他編成を考えてきたけれども、これを切りかえて、そうして全国的に配置をうまく考えていく、一個当たりの作戦単位の火力等は落ちても、いわゆる内乱とか間接侵略とかいうものに対処するには十分な力だから差しつかえない、こういうふうに考え方に変化があったからこそ出てきたのじゃないか。私は今のお答えを聞いても、どうもこの杉田談話というものを裏づけるような感じを持つわけでございますが、その点長官いかがですか。
  24. 西村直己

    西村国務大臣 杉田談話というものが、たしか十二月の末ですか、出たことは私も記憶はいたしております。と同時に、その面を一面強調されたかのごとき印象を与えましたので、翌日の閣議の席を通しまして、従来の自衛隊法にある自衛隊の任務に変化が来たわけではない。御存じの通り自衛隊は直接侵略、間接侵略、そうして公共秩序等の保持、こういうようなことを当然任務といたしております。ただ治安維持というものを表面に出すというのではなしに、やはり外敵防衛と間接侵略、あるいはそれに伴うところの、また伴わない純粋の国内の警察力の支援としての治安維持、こういうふうに考えておるのでありまして、今回の師団編成等を考えましてもそれと直接の関係はないわけであります。ただ師団編成をいたしますと火力が落ちる。なるほど計数的には十のものが十三に分かれる。しかもその間に装備の更新はいたして参ります。四十一年までの間にも、当然現在も、本年度の予算におきましても装備の更新をやっていく。またこれからも当然装備の更新はやって参りますが、その面から火力の保持ということは私はできるのではないか、かように考えております。必ずしも治安維持のためにのみ変革を加えるというふうには私は考えておりません。
  25. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣は閣議でその杉田談話を取り消すような発言をされたとおっしゃいますけれども、御本人が何かこれを取り消すようなことをおっしゃったことがございますか。私どもは聞いてないのですが……。
  26. 西村直己

    西村国務大臣 杉田幕僚長も私の統轄下にございまして、その後におきましても、その記者会見の内容等を詳細に聞きますと、もちろんそれらが一部入っておることは事実でありますけれども、しかし自分の真意というものは私の考え方と変わらない、こういうことでございます。
  27. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣は変わらないと言ったって、それでは杉田陸幕長はうそを言ったのかということになる。よもや政府の責任者として、陸上幕僚長としてそれを言うはずはない。そうすると、ここに幕僚長を呼んで聞いてみるという機会を、私どもは持たなければならぬことになります。本人の取り消したということを聞かない以上——あなたは形式的に、陸幕長の上にあるのだから、おれが言ったからもう取り消したと同じだと言うかもしれないけれども、はたしてそういうふうにとっていいものか。とっていいものなら、私たちもその面では安心できるわけですけれども、過去の日本のいわゆる軍というもののおい立ちを考えてみた場合にも、そういう安易な気持というものが失敗しているわけです。押えたつもりで押えておらないということも現にあったわけですし、私たちとしては大いに懸念するわけですが、この際、本委員会に陸幕長の出席を求めて、実際こういう改編の計画に当たった御本人の責任者の口から、一つ真意をお聞きしたいと思うのですが、委員長の方でお取り計らいを願いたいのですが、いかがでしょうか。
  28. 久野忠治

    久野委員長 理事会で協議いたしたいと思います。
  29. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは理事会で御相談をすることにいたしますが、どうもこの改編にあたって、私は何となく筋が通らないと思うのです。冒頭に申し上げたように、単に日本地形に適応させるために改編を考えたのだというようなごまかしの説明を加えるところに問題があるわけだ。やはり直接侵略というものに対処するということに重点を置いて進んでいくというのであれば、改編された部隊の火力というものはあくまでも落ちないようにしようというところに、ポイントが置かれてくると私どもは思う。ところがそうでもない。それをゆうゆうと五年も六年も七年もかかって今からやる。現状の水準に達するまでに相当の期間をどうも必要とするようである。さしあたって十対十三という関係で、力が低下しても支障ないという、その言葉の裏からいくと、それではやはり陸幕長が言っているように、国内治安対策というものには万全を期すことができるのだから、大丈夫なんだというふうにだんだん焦点が変わってきて、どうも自衛隊の筒先は、国内の日本国民同胞の方に向き始めたのではないかという懸念を国民が持つのはあたりまえですよ。明確な説明がないのですからね。現に陸幕長あたりもそんなことを言っているのですからね。これをはっきりと解明する責任がありますよ。そうでないならそうでないように、陸幕長の言うことがおかしいならおかしいというように、本人から取り消させるなり、本委員会に出席さして弁明させるなり、それだけの措置をはっきりとらないことには、どうも国民は納得できないと思うのですが、この点、大臣いかがですか。
  30. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどの火力が落ちるか落ちないかということに関連いたしました私の説明が不十分なために、先生の誤解と申しますか、御了解を得られないのはきわめて残念でございますが、実は陸上自衛隊全般といたしましては、十三個師団編成改正によって火力というものが落ちないととは御存じの通りであります。同時に十三の単位に分けますので、人員、装備の点で、先ほど申しました十三対十的な差が出てくるととは当然のことであります。ただ先ほど申し上げましたように機動力というものが、新しい師団編成によってふえて参ります。私どもが火力というものを考えます場合には、一例を師団にとってみますと、師団の全隊員の持っております全装備を同時に撃つということはあり得ないことであります。具体的に、いわゆる部隊の運用と申しますか、機動力を加味いたしました第一線における発射下の弾数というところから火力云々の比較が出てくるわけであります。これは御存じのように地形その他いろいろ動きますところの様相に従いまして、おのずから変わって参ります。従いまして装備表に砲が何門、たとえば百門ある。それが八十門になるから、新師団は当然十分の八に落ちるという計算にはなって参りません。先ほどから申し上げましたように、わが国の地形、道路の状況等に応じまして、もっと有効な火力が発揮できますようにという点から専門家が研究いたしまして、今度の師団改編を実施することになっております。その過程におきましては、新しい砲に取りかえるということもございますし、完全な装備表の充足というものは、先ほど申しましたように昭和四十二年あるいは四十一年以降になるかと思いますが、その過程におきましても、現在の管区隊の有事の場合に発揮いたします火力に劣らない程度のものが発揮できますようなやり方で、今の装備表の改定を考えております。その間には先ほど申しましたように、新しい装備で置きかえていく面も多々ございます。従いまして厳密に火力が落ちるか落ちないかという御質問に、直ちに数字でもってお答えいたしますだけの資料は、私現在手元に持ち合わせておりませんが、従来の検討の結果というものは、だたいま申し上げましたようにその編成改正の過程におきましても、現実に部隊が動きますときの火力を考えました場合には、そう大きく落ちるということにはならないと確信いたしております。
  31. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 装備の問題は、この次の第二次防衛計画の中でまたいろいろお尋ねしたいと思うのです。  それではお尋ねしますけれども、先ほど大臣の御説明の中に、従来は北海道に重点が置かれておった、これを全国の地域にうまく配分するようにしたのだという御説明もあった。ここにもやはり私が今言っている国内治安対策というものにウエートが移ってきたのじゃないか。直接侵略に対処する、間接侵略に対処する、両面の任務を持っていることはわかっているのです。しかしどちらかにウエートがかかる。今度はこの間接侵略に対処するという方向にウエートがかかってきたのじゃないか、こう言っているのです。その裏づけになるようなものとして私は一つ一つお尋ねをしているわけです。いま一つの裏づけというのが、北海道重点であったのを——まあこれも根本的に私はそうくずれているとは思いませんけれども、大臣のお話のように全国的にうまく配置したという表現がとられているのを見ても、やはり治安対策重点という方向に移行しつつあるのじゃないかという感じを持つわけですが、それでは今までは何のために北海道に重点を置いてきたわけですか。
  32. 西村直己

    西村国務大臣 私申し上げました通り自衛隊の任務そのものには変化はきておりません。ただ警察予備隊、それから保安隊、それから自衛隊、こう変化を受けました結果、運用上長いものが一カ所にまとまっているということはまずいし、日本地形等にも合わない。同時に自衛隊は、御存じの通り直接侵略、間接侵略、それから警察の後方支援としての治安維持がございます。従って率直に申し上げますれば、間接侵略の面に多少のウエートがかかってきているということは、私も当然これは認めてけっこうだと思います。従来の予想よりは少し間接侵略面も重視しつつやっている。ただ杉田談話は、治安維持の中には、むしろ内乱とかあるいは騒擾とか、こういうものを中心に動くようになるならば、それならば海上任務は要らぬ、航空任務も要らぬというふうに誤解をされますが、そうではないのであります。また本人の気持もそういう気持ではありません。そこで私は自分の責任において、また杉田陸幕長にも十分話し合いをして、そうして私どもとして、国会を通して国民の誤解なきように、治安維持だけではない、やはり自衛隊の本来の任務、こういうことを考えつつ改編を行なうのだ、こういうふうに申し上げたいのでございます。
  33. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣は間接侵略に対処するということに重点が移っていく面はあるということを率直にお認めになったわけですが、とれがやはり非常に問題だと思うのです。それをもっと端的に、正直に言ったのが、私は杉田談話だと思う。私が先ほど申し上げましたように、自衛隊の筒先がどうも同胞の方に向きつつあるのではないかという感じは、やや今の言葉でも裏づけられるような感じがいたします。なぜそういうものが出てきたかというと、新安保体制というものに私は根があると思う。旧安保条約においては、米軍が直接いわゆる内乱条項というものを持っておりまして、日本の国内の紛争、騒擾というものに対しても対処できる道があったけれども、新しい安保条約ではそれがなくなったわけです。この点確認しておきたいと思いますが、新安保条約においては、いわゆる内乱条項というものに相当するものがなくなった、従って日本の国内における問題については、それがかりに間接侵略であろうとも、米軍が対処する道は断たれている、この点いかがですか。
  34. 西村直己

    西村国務大臣 それはお説の通りでございます。
  35. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこにやはり米軍自体の不安、アメリカ自体の不安というものも私はあると思う。結局日本をいわゆる補給基地として、前線基地として確保しておきたい。ところが昨年の安保条約のいわゆる国会審議を中心に非常に問題が起きた。何となく不安をかもし出してきた。どうも安心がならない。もう少し日本自衛隊はそういうものに力を注げというような圧力がかかってきて、その一つの現われとして、今度の措置ども出てきたのではないかというふうに、これは感じとして国民も持っているわけです。それを裏づけられてきているような気がするわけです。しかしこの国内の問題、安保条約で内乱条項が削除されたから、全然アメリカがタッチしないかというと、この点でも私自身はやや疑問を持っている。  そこで確認しておきたいと思いますが、第四条において、日米両国は、この新安保条約の実施に関して随時協議する、あるいは日本国の安全または極東における国際の平和及び安全に脅威が生じたときは、いつでもこれまた協議するという条項があるわけですが、この条項に引っかけて、国内で紛争が起きた場合に協議が行なわれるわけですが、この過程の中で、日米安全保障協議会の中で、日本政府がもし米軍の出動を要請した場合にも、米軍は絶対に出て参りませんか。その点を一つ確認しておきたい。
  36. 西村直己

    西村国務大臣 アメリカの圧力でもって自衛隊師団編成において、間接侵略にも多少考慮をしたという、その圧力でということは全然ございません。これは御存じの通り内乱条項を削除したのは、それを発意したのは日本の方であります。むしろ日本の希望から内乱条項を削除したのであります。従って独立国といたしまして、外敵からの直接防衛並びに間接侵略に対する防衛を考えるのは当然であります。従ってわれわれとしては、直接防衛はもちろん本来の任務であると同時に、間接侵略というものも考慮に入れながら、この師団改編が行なわれているわけであります。  それから四条によりまして、かりに今のようなそういう御設問がありましても、われわれとしてはアメリカの武力行動は期待いたしません。
  37. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 圧力はなかったとおっしゃいますが、日本政府の要請によって内乱条項が削除ざれたそのときに、アメリカの国防省の方では一応抵抗があったわけです。国務省がいわゆる外交的な感覚でこれの削除に応じたという話もあるくらいです。そこで削除した、しかしどうも不安だ、だから自衛隊よ、もう少し国内の治安対策というものにウエートを置いて対処しろというふうな、何らかの形があったのではないか。それを受け入れて、こういうような動きが出てきたのではないかということを私は申し上げているわけですが、一応長官が間接侵略に対処するという方にウエートがかかってきたのだということを率直にお認めになっておりますから、国民がこの点については審判を下すと思いますので、次に移ります。  というのは、どのような改編をやろうとも、今のような人員では、全く計算された能力というものを発揮できないのが、陸上自衛隊の実情だということを私は指摘したい。今までもわが党の委員がいろいろな形で質問をいたしておりますけれども、定員は十七万というけれども、実質十五万を割っている、日本の陸上自衛隊は。だから十七万人で編成した部隊で、初めて一つ作戦基本単位としての能力を発揮できるという計算であっても、実情はそれを穴埋めしていないわけですね。人員の面で充足されていないわけです。だから予定された能力よりも、うんと落ちたものが実際にできているというのが、実情じゃないかと思うのですが、一体この欠員のしわ寄せはどこにいっているのですか。分隊は九人、そういうところから出発して、ずっと積み重ねられてきたというのですけれども、その編成の過程では、しわ寄せはどこにもいっていないのですか。
  38. 西村直己

    西村国務大臣 陸上におきまして二万人の欠員があることは、事実でございます。しかしながら師団編成は、御存じの通り一応後方支援と関連して十五万前後でありますが、これが十七万のうちの人員であります。従って後方支援において多少、欠員のしわ寄せを多くするという方法もありますし、いま一つはわれわれは予備自衛官というものを、一応最悪の場合においては考慮に入れて、編成も考えることができると思うのであります。
  39. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いわゆるしわ寄せは後方支援体制にいっているということなんですか。後方支援体制だから、多少そこにしわ寄せがいったってかまわぬというのは、成り立ちませんですよ。後方支援体制が確立していないということは、いわゆる前線部隊として完全な活動ができないということじゃありませんか。そんなばかな説明は私はないと思います。そんなに必要のないものなら、何で二万人初めから充足もできないものを定員として残そうとなさるのですか。削ってしまえばいいじゃないですか。十七万人とおっしゃっても、絶対に充足できないですよ。応募者がおったって予算がついていないのですから……。
  40. 海原治

    ○海原政府委員 今長官から後方支援体制という言葉でお答え申し上げました点は、さらに補足して申し上げますと、どこにしわ寄せがいっているかという御質問でございますが、これは全部自衛隊の各部面に一応欠員はございます。ただ編成上申し上げますと、たとえばきわめてわかりやすい例をとって申し上げますと、駐屯地業務部隊とか、あるいは部隊の炊事、補給関係というところの定員というものは、有事出動いたしました場合の想定で一応編成はできております。かりにその部隊の炊事要員が十名いなければならないという場合に、現実に現在駐屯地において部隊が日々の業務を行ないますためには、あるいは炊事その他の施設は、よろしゅうございます、十名は八名ないしは六名でもいいという場合がございます。このような点が自衛隊の各部面にわたりまして、いろいろと有事出動の場合、現在駐屯地において日々の勤務をやります場合、若干の差が認められる点がございます。そういうところをそれぞれ専門のところで検討いたしまして、部隊の日常の教育、訓練には影響のない面を欠員を多くして現在やってきておる、これが実情でございます。なお一部には一般職員に切りかえまして、いわゆる有事転換契約といわれておりますが、一般職員をもって充当して、その面から制服をほかの方面に抽出してくる、こういうような操作もいたしております。
  41. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まあそういう理屈を述べてみても、苦しいことは間違いないです。  それからもう一つ、予備自衛官を予想しておりますというお話ですが、その肝心な予備自衛官も、現在陸上自衛官としてやめた予備自衛官何人おりますか。特に曹、士、この面で何人おりますか。足りないのは士だと思いますから、士の分だけでけっこうです。
  42. 小野裕

    ○小野政府委員 予備自衛官として任用しておりますものは現在一万四千七、八百、一万五千に近い数字でございますが、全部が曹と士でありまして、そのうら士が大部分でございます。
  43. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それを全部充当しても現在の欠員というものはまだ足りぬわけですね。  それからもう一つ、この欠員の問題でございますけれども、定員上は変わらない。千五百人三十五年度に比べて三十六年度ふえるというわけでございますけれども、実際は減っておるのじゃないですか。なぜそういうことを言うかというと、充足率からいって、十七万人に対して昨年度の充足率は、予算で認められたのはたしか九六・四%ですね。ことしはそれに千五百人定員がふえ十七万一千五百人に定員がなる、充足率は八八%、そうなると実人員は減る、実際定員は減るということになると思うのですが、陸上自衛隊の面では幸いにも軍縮が行なわれるということなんですか。
  44. 小野裕

    ○小野政府委員 お話通りでありまして、十七万一千五百にお願いしておりますけれども、予算としてはその八八%をお願いしておるわけでございます。
  45. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 非常におつらいところでしょうね。池田さんが特にアメリカに行くのだそうですが、そういう実情では説明になかなかむずかしいという苦衷は十分に察しますけれども、一部分でも国民の抵抗によってそういうふうに減っていくということは、まことにけっこうな傾向だと私どもは考えております。  そこで第二次防衛計画に入りたいのですが、きょうの新聞にもちょっと出ておりますが、いよいよ第二次防衛計画が固まりつつあるようでありますけれども、まず最初にお伺いしたいのは、池田総理が渡米する際までに、この防衛計画というものは間に合わせるおつもりなのかとうか。固まった、国防会議の決定を見た最終的なものを持っていくか、あるいは国防会議にかける前の防衛庁段階における案を持っていくか、あるいはもっと骨子程度のものを持っていくかは別として、ある程度池田さんがケネディと話し合いをする際に間に合う程度の構想はまとめようという気持で作業を進めておられるのかどうか、これからまずお尋ねをしたいと思います。
  46. 西村直己

    西村国務大臣 池田総理が訪米されることと次期防衛力整備計画をやるということは、直接の関係はないのでございます。御存じの通り、もちろん今日安保条約による共同防衛の面はございますし、またアメリカのMAPと申しますか、無償援助によって供与も受けるのであります。しかし供与の方はかなり減ってきておるのであります。自主防衛努力というものを今後日本は続けて参らなければなりません。しかし全然関係ないかと申しますれば、安全保障体制がある以上は、やはり一国の代表者が向こうの代表者と話す場合に、万一話でも出た場合におきましては、その心組みというものは、長期の見通しは持ってしかるべきではないか。そこで私はこれは総理と直接お話ししたわけではありませんが、国防会議の懇談会等を通じまして、政府全体として長期の見通しを持つ努力をしていこう、一月以来その会合を重ねております。明日も国防会議の懇談会を開いていただく予定でございます。そのめどはいつごろまでにやったらいいか、しかし私としましては、できれば長期防衛力整備計画というものがあるべきだし、また長期の見通しがあった方があらゆる面からよろしいと考えております。そこでたまたま池田総理も一国の代表としていかれる場合に、やはりそのめど、骨子、こういう程度のものは腹組みとしてできておれば、より以上に私は日米間の安保体制の関係から考えてもよい、こういう意味で一つのめどとして骨子を考えて固めていきたい、こういう考えを持っておるのであります。しかしこれも国の財政にも関係いたします。またその他にも関係いたしますから、政府全体としてはたしてそこまでびしっときまるかどうかは、今後の問題になるわけであります。
  47. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 独立国として体面もあることだし、みえを張られる気持はわかるのですけれども、何といったってアメリカに依存している度合いが強いのですから、これは率直に私はお答えになってしかるべきだと思う。従来だって自衛隊装備その他経費の半分以上を、アメリカ側に負担してもらっている関係がある。今度の第二次防衛計画においても、やはり相当の期待額というものを予定しておられるはずだと思う。そういうことになると、アメリカの方ではドルの節約というようなことから対日援助額も削減したいでしょうし、こちらの方はたくさんもらいたいだろうし、そういう話し合いが行なわれるのは私どもは当然だと常識的に思うわけなんです。そういう話し合いをする場合に、何らの計画もなしに話し合いをしようといったって、これはできっこないのは常識ですから、そういうところは率直にお認めになっていいのではないかと思うのです。  そこで第二次防衛計画ですが、今直接関係の面からお尋ねしておきますけれども、アメリカの援助額というものは、一体期待額としてどのくらい見積もっておられるわけですか。
  48. 海原治

    ○海原政府委員 従来いろいろな機会でお答え申し上げておりますように、二次計画はただいま私ども手元で検討中の過程でございまして、その前提といたしましてアメリカの援助をどう見るかということは、今後一応計画というものがきまりましてからのことになると思います。ただ私どもが考えます大体の基準といたしましては、従来の線、すなわち三十六年度につきましては約二百十三億というものが一応の推定になっておりますから、およそその程度の援助は期待できるのではないか。ただしこれはわが国の経済が御存じのような状況でありますので、逐次漸減の方向にいくということで考えております。
  49. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ところで第二次防衛計画ですが、今のところ三十七年度から五カ年という計画ですか。
  50. 西村直己

    西村国務大臣 その通りでございます。
  51. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 赤城構想なるものによりますと、陸上自衛隊十八万人、海上自衛隊十五万六千トン、航空自衛隊千百機というふうな数字が出されておった。それに予備自衛官が八万ですか、そういう数字が出されておったと思うのですが、この基本的な数字には何か変更がありますか。
  52. 西村直己

    西村国務大臣 ただいままだ数字あるいは目標等におきましては、固まっていないのがほんとうのところでございます。私はきょうも委員会を通しましてむしろ国民に聞いていただくという意味から、かなり率直にいろいろお答えしているつもりでございまして、決して私はそれで逃げて歩いているつもりはないのでございますが、事実事務当局の段階、しかもこれは防衛庁だけが勝手にひとりでこういう構想を練っていくべきものではなくて、それぞれの関係当局ともできる範囲においてはお互いが意見を交換しながら、同時に国防会議懇談会等のトップ・レベルにおきましても、抽象論から漸次事務当局の案が固まるに従って具体論に入ってきておる、こういう段階でございまして、陸上を今のところ幾らにするとか、艦艇を五年後には幾らにするとか、そこまで固まった段階でない。これもまだ私どもとしては申し上げる段階でないわけであります。
  53. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あと一カ月のうちに第二次計画を作ろうというのに、この基本的な数字もまだ固まっていないというのは、どうも納得がいかないのです。しかしそれはおっしゃらないならおっしゃらないでけっこうですが、それでは赤城さんが長官をしておられた当時考えておったものとずいぶん根本的に変わったものが出てくる。もう積み重ねてくる最初の基礎の数字から、全部変わったものが出てくると考えざるを得ないのですが、そういうことなんですか。
  54. 西村直己

    西村国務大臣 昭和三十四年のたしか七月に北海道で発表したのが、赤城構想だと言われるのだと思うのであります。これは一つの大きな参考ではございます。しかし同時に、日本の国力もその当時の見通しと今日の見通し、現在実際に立っておる国力とその当時想像した国力と、どう違っておるかということも考えなければなりませんし、それから日本をめぐる防衛状況、これに対する断定もございます。ただ率直に申しまして、あまり飛躍的なものの変化は私はないと思います。飛躍的な変化あるいは非常に派手なものがぱっと打ち出るようなことはない。またそれよりも、私の気持といたしましては、できる限りやはり質の改善と申しますか、そういうものから入っていくのが、二次計画の国民に対して期待に沿うと申しては、あるいは言葉が強いかもしれませんが、国民の期待に沿うような自衛隊という面から、飛躍的な構想をもって変化するというほどのものはないと私は考えております。
  55. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 けさの新聞報道などを読みますと、確かに今大臣がおっしゃっている通りだと思うのです。どうもあまり大した変化がないのじゃないかと思うのですが、それにもかかわらず基礎的な数字になると、まだ発表の段階じゃない、大よそのところでも発表できないというのは、私にはわからないわけです。この点何も、この間言った数字と五十機違っているのじゃないか、百人違っているじゃないかということを、あとで私ども言おうというわけではございません。一つの参考として、これから先いろいろ私が質疑していく過程においてもあった方が便利ですから、できればお漏らし願いたい、こう申し上げているのです。
  56. 海原治

    ○海原政府委員 現在の作業の段階は先ほど長官からお答えした通りでございまして、これをさらにもう少し具体的に例をとって申し上げますと、何分にも多額の経費を必要とするいろいろな事業でございますので、それぞれの事業に要する経費というものを詳細に検討いたしておる段階でございます。と申しますのは、たとえば一航空団が実際に飛ぶ月間飛行時間というものがございますが、これを二十三時間と見るか、あるいは二十時間と見るかということによりまして、いろいろと関連の経費が非常に違って参ります。そういう具体的な経費の推定は、当時赤城構想と称せられますものは、先ほど長官から申されました通り二年前に発表されたものであります。具体的にはそれよりも先に計画されたものでございます。従いましてその当時に一応推定で考えておりましたいろいろな所要経費というものは、今日に至りましていろいろな面におきまして相当な変化がございます。そういう点を事こまかに現在事務的に詰めております。これがここしばらくで終わりましてから、今度は具体的にどのような構想で二次計画を作り上げていくかということにつきまして、防衛庁内で御審議をいただく、このように私どもの事務的な段階で現在作業しておりますのが実態でございます。従いましてただいまでは具体的に陸海空についての目標というようなものはございません。
  57. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 おっしゃらないならいいですが、それではこういった第二次防衛計画策定にあたっての統合情勢見積もりと申しますか、国際情勢の分析と申しますか、そういうものがないとはよもやおっしゃいますまい。その点について第一次防衛計画策定当時と比較しながら、一つどういう分析をされておるのかをお話し願いたいと思います。参考のために私、第一次防衛三カ年計画策定当時の情勢見積もりの概要をここに書いてきておりますから、これと比較しながら、どういう点でどういうように変わってきた、あるいは大体同じだというようなことをお答え願いたいと思います。  当時のは、比較的予測可能の時期において、おおむね十年間米ソ両陣営の対立は解消せず、危機の一致期間があり、また場合により局地戦が展開されることはあるが、原子戦による全面的武力戦は両者の共倒れを意味するから、その公算はきわめて少ない。二、戦争は合理的判断のほかに発生するから、全面武力戦の公算も絶無とはいえない。三、また局地戦の可能性は、中近東、東南アジア等、極東においても不断に存在するが、日本自体における内部的矛盾の成熟ということはあまり考えられない。こういうような分析が柱になっておったように聞いておるのですが、この辺と全然切り離して、それは知らぬなら知らぬでもいい。新しい第二次計画においては、どういう見積もりなり分析なりをされて計画を立てておられるか。そちらの方に私の質問のウエートがあるのですから、そういうところに焦点を合わせて一つお話し願いたいと思います。
  58. 海原治

    ○海原政府委員 第二次の防衛力整備計画のいわば前提となります情勢判断については、新聞紙上に出ておりましたように、現在私の手元で一案を用意しておる段階でございます。これはまだ大臣に御報告して、防衛庁としての考え方をきめたという段階になっておりません。防衛庁としてこのように見るということが一応きまりましてから、国防会議事務局の方に提出いたしまして、今度は国防会議事務局としてこれについての検討を加えるわけでございます。その作業の準備がほば完成しかかっておる段階であるというのが現在の姿でございます。二、三の新聞にどう出ましたか、あるいは現在防衛局の段階で考えておるというふうに報道されておると私は記憶いたしております。それはその通りでございます。従いましてまだ長官の御承認も得ておりせんので、その内容につきましては発表することを御容赦願いたいと思います。先ほど先生の言われましたようなことについて触れて参ることは当然であろうと考えております。
  59. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 最初に申し上げたように、長官、これで実体論議をやれとおっしゃるのですか。何を聞いても知らぬ、存ぜぬの一点ばり、お前ら黙っておれ、おれたちにまかしておけということなんですか。一体何を論議しろというのですか。どういうふうに国際情勢を分析しているのか、そういう基礎もなしに、むやみやたらにそんな数字を積み合わせておるのですが、そういうでたらめな計画を作るから達成できないのです。それでは空中の楼閣じゃありませんか。分析もない、そういうところにこちらとしてどういう対処する方法がありますか。そこからどうして数字が出てきますか。私たちも何を尋ねればいいのですか。委員長、私たちはこういう無責任な審議はできないのですよ。冒頭に断わったじゃありませんか。だから実体論議をやってくれと言ったってできっこない。もう少し率直に私は実のある審議ができるような方法を委員会としても講じてもらいたいし、防衛庁としても協力してもらいたいと思うのですが、いかがです、大臣。
  60. 西村直己

    西村国務大臣 御設問は二次計画、次期防衛力整備計画の前提になる五年後を見渡しての、いわゆる防衛構想と申しますか、あるいは国際情勢の見積もりでございます。従ってこれは案が固まり、そして国防会議においても練れば、もちろん私どもは申し上げたい。二次防衛計画というのはまだ一つの草案にもならぬ段階でございますから、正式のものとして国会を通して公式に御報告するということはちょっと無理なんであります。
  61. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それも半年先にできるか、一年先にできるかわからぬものを私が聞いているなら別ですよ。先ほどもお答えになっているように、もう一カ月先には大体固まろうというときに、防衛庁としての案も出せないというばかなことがありますか。とにかく国民の前にすべてのものを隠そうという態度をとる限り、自衛隊が支持を受けられるはずはありませんよ。けさの新聞あたりでも、婦人層からどうも総すかんだったということを書かれておりましたけれども、婦人層だけじゃありませんよ。自衛隊に来る青年がおらぬということも考えてみて下さい。こういうところに問題があるのです。  それでは私はもう少し具体的にお尋ねをしましょう。赤城構想では、自衛隊の均衡ある防衛力を整備したい、従って新しい長期計画においては、整備の優先順位は空海陸の順番になるだろうというようなことを言っておられました。そうしなければいわゆる三軍の均衡がとれないという考えを述べておられたように思うのでございますけれども、それではこの第二次防衛計画において取り上げられる優先順位、この空海陸という順位には変革がございますか。
  62. 海原治

    ○海原政府委員 優先順位というお言葉でございますが、陸海空それぞれに、先生御存じのように現在の状況におきましていろいろ問題をかかえております。従いまして二次計画におきましては、それぞれの問題を整理して現在ある姿を充実していくということになろうかと考えます。そのときに、第一次計画におきまして、一応陸が最優先度を与えられるというような形で一般に見られましたと同じような考え方で申しますと、今先生のおっしゃったようなことになろうかと思います。しかし私どもは優先度という言葉につきましては、いろいろな意味がございますので、部内におきましてはそういう表現を使っておりません点を一つ御了承願いたいと存じます。
  63. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういう言葉を使っておられるかどうかは別として、従来の考え方は、赤城さんの場合も、その前の左藤さんの場合も、空に今後は重点を置かなくちゃならぬということが、しばしば本委員会で述べられておるわけです。なぜかというと、日本に対してもし侵略的なものが行なわれるとするならば、それはおそらく最初は空からだろう。そういうことを考えた場合に、やはり防空第一でなくちゃならぬということを、歴代の長官が本委員会で責任を持って答弁しておられる。これはロッキードを認めてもらうために便宜的にそういうことを言ったというのだったら別ですよ。そんなことじゃないと思います。従ってそういう歴代長官が本委員会において述べてきた基本的な考え方というものに差異があるのかどうか。新しい西村長官は、それでは赤城さんやその前の左藤さんあたりが本委員会で述べておったものと、異なった見解を持っておられるのかどうかということをお伺いしておるわけです。だから率直にその点、大臣からもお聞かせ願いたいと思うのです。
  64. 海原治

    ○海原政府委員 今先生の御発言にもございましたように、F104の生産がすでに決定いたしました二次計画の過程におきまして、それらの部隊が現実に編成されて参りますから、そういう面をとりますと、近代的な防空通信組織の充実ということをあわせ考えまして、第二次計画の期間中における優先度と申しますか、重点は空にあるということは一応言えるかと思います。従来国会におきまして歴代の長官が御発言になりました趣旨は、第二次計画におきましても受け継がれていくと、このように私どもは考えております。
  65. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ただ重点が空にあっても、有人戦闘機とミサイルとにかける比重はだんだん変わってきておるような感じを私ども受けてきておるわけです。左藤長官の時代には、有人機とミサイルとの併用は十分に考えていかなくちゃならぬ。しかし現在の段階においてはやはり有人機優先だという思想があったように思います。それはどういうところに現われているかというと、防衛力整備目標における航空自衛隊計画、すなわち戦闘機二十七隊の整備はすみやかに達成しなければならぬと存じますと、こういう説明がなされているところから推して考えて、私そう申し上げるわけです。戦闘機二十七隊編成というところに非常に重点を置いて発言しておられる。そうしてミサイルの併用も考えなくちゃならぬと、こう言っておられる。ところが赤城構想の発表の段階になってくると、戦闘機部隊は目標よりもこれを縮小する、そして防空誘導弾の装備というものに計画の重点を移したいというように発言が変わってきております。そしてどうもこの二十七隊というものも完成しそうもありませんし、完成する意図ももう放棄しておられるような感じを私ども受けておる。それで最初にこの戦闘機二十七隊の構想は現在どういうふうに変わってきておるのかということからお尋ねをしたいと思います。
  66. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどから申し上げておりますように、二十七隊の編成がどうなっておるかということに関連いたしましても、現実に現在自衛隊が持っておりますF86FあるいはF86D、これらの可動率あるいはその整備補給の問題等いろいろな面がございますので、はたして今後五年間を見渡しましてどの程度の部隊が実質的に編成されていくかということは、パイロットの養成計画及びその飛行機部隊を支持します整備補給員の教育、これの出てくる状況の見積りというものに関連いたしますので、その点につきましては先ほど申し上げましたように、ただいましっかりしたデータをいろいろ集めておる段階でございます。私どもは陸海空それぞれの担当者とそれぞれに第二次計画の基礎となります資料を手分けいたしまして、最も権威あるデータを取りそろえて、それがやがて集まってくるということになっておりますので、ただいまどういうことになるかということにつきましては、お答えいたす数字を持ち合わせておりません点を御了承いただきたいと思います。
  67. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 御了承できませんですよ。私が今言っているのは、これは質疑応答の中で左藤長官が言った言葉ではございませんですよ。ロッキードを何のために必要とするかという説明防衛庁の中で文書にまとめてきて、長官がそれをここで読んだだけですよ。その中で、とにかく戦闘機二十七隊の整備は早急にやらなければいかぬのだ、そしてその主力をF104Jに置かなければならぬのだと、ロッキードを国民に買わせるために一生懸命宣伝した言葉ですよ。あれから何年たっておりますか。当時二十七隊を一生懸命早く作らなければならぬと言ったその考え方に変化があるのかどうか。ないとすればどの程度まで達成されているのか。そういうことも説明できないというのですか。
  68. 海原治

    ○海原政府委員 私が申し上げましたのは、先ほど来の私のお答えで御了承いただけると思いますが、防衛庁として正式に認められたものでないという点で、お答えを御遠慮申し上げておったわけでございますが、一応私どもの手元で現在検討いたしております数字は持ち合わせております。こういうものでよろしければ私がただいまから申し上げます。現在の検討の数字で申し上げますと、昭和四十年度ごろには、F86Fが八スコードロン、F86Dが四スコードロン、F104Jが七スコードロン、偵察飛行隊が一スコードロン等でございまして、そのほかに輸送機隊も合わせまして、総合計一応二十四隊ということが現在の検討の案としてございます。
  69. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると戦闘機だけで二十七隊の予定だったのが、戦闘機だけではなしに、いわゆる輸送機も偵察機も全部含めて二十四隊というものに大体変わる構想——これは防衛局だけでもいいですよ、そういう構想で今作業しているということなのですか。
  70. 海原治

    ○海原政府委員 そのように御了解いただきます。お断わり申し上げましたように、あくまで私の手元の案でございます。
  71. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは偵察機ですが、これは86Fを改装するというあのRF86Fというのが主力のものですか。
  72. 海原治

    ○海原政府委員 その通りでございます。
  73. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 主力をまだ86Fにもずいぶん置いておるようですが、だんだん104Jの方に移していく。この86Fが一つは役に立たなくなってきておるということにもなろうかと思いますが、だからといってこれを偵察機に利用して、百パーセント偵察機としての能力を発揮させることができるわけですか。足が非常に短いというようなこともありましょうし、偵察機として十分な能力を持つことができるわけですか。今どの程度改装が行なわれておるわけですか。
  74. 海原治

    ○海原政府委員 先生のお言葉の偵察機としての完全な能力ということになりましては、いろいろと問題もあろうかと存じます。しかし私ども航空自衛隊の現在与えられております任務、保有機数等から考えますと、このRF86Fというものが一応の私どもの偵察機としての解決策であることは事実でございます。
  75. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 せっかく作ったのだから、でき上がってみたら役に立たぬというのでは申しわけないから、間に合わせに偵察機に使っておけという言葉もとれますよ。
  76. 海原治

    ○海原政府委員 私の申し上げたのはそういうことでございません。りっぱに偵察機として役に立つものでございます。
  77. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 どの程度使えるが知りませんが……。もう一つ輸送機ですが、これも今C46というがたがたを使っておられるわけですが、これも新しい機種に変えるという計画があるように聞いておりますが、これは国産の中型輸送機YS11ですか、これと何か新しい機種と関係ございますか。
  78. 海原治

    ○海原政府委員 現在まだ結論は得ておりません。C46というものがやがて——先生はがたがたとおっしゃいましたが、りっぱにこれも飛んでおりますが、年数が尽きました場合には新しいものに置きかえなければならぬ。それは何で置きかえなければならぬかにつきましては、現在検討しております。
  79. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それからもう一つ、86Fはもはや旧式戦闘機になっておると私は思うのですが、サイドワインダーをつけるから大丈夫だとかなんとか言っておりますが、飛行機自体のスピード・アップをはかるために、ロケット・エンジンをつけるということが一時考えられておったようですけれども、そういう計画は全然放棄しているわけですね。
  80. 海原治

    ○海原政府委員 現在そのようなことは考えておりません。
  81. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、空に重点を置くという考え方には変化はない。しかしそれは戦闘機に重点を置いた従来の考え方ではなくして、防空誘導弾にウエートをかけていく、これが新しい第二次防衛計画の根幹になる思想ではないかと私は思います。そこで空に重点を置くとはいいながら、それは必ずしも航空自衛隊に重点を置くということではない。それは陸上自衛隊の強化になるかもしれぬ。なぜかというと、防空ミサイルの所管、これをどこに置くかということによって言えるわけですから……。だから私が今使ったような表現で当たらぬことはないと思うのですが、さしあたり第二次計画の中で装備を予定しております防空ミサイルといえば、地対空のホーク、ナイキ、ボマーク、その辺だと思うわけですが、これの所管は、今のところ陸幕ですか、空幕ですか。
  82. 海原治

    ○海原政府委員 一応私どもの考えておりますのは、ホークは陸上自衛隊、ナイキとボマークは航空自衛隊という考えはございます。しかし第二次計画の過程におきまして、ボマークがはたして装備できるかどうかという点は問題でございます。従いまして現在はっきりいたしますには、おしかりを受けるかもしれませんが、第二次計画結論を待たねばならない、このように考えております。
  83. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ボマークは何でむずかしいのですか。
  84. 海原治

    ○海原政府委員 非常に多額の金がかかるものでございますし、さらに教育訓練等にも時間を要するようでございますので、はたして次期の五年間に装備することができるかどうかという点につきましては、現在検討いたしておる次第でございます。
  85. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 陸幕にホーク、空幕にナイキ、ボマークというふうに、半分ずつ分けてやるからけんかをするなということなんでしょうが、こういうところにやはり問題があると思う。私はあとで統幕の強化という問題に関連してお尋ねしようと思っておりますから、ここであまり言うつもりはなかったのですけれども、一体こういうふうに分けて、日本の防空を第一次に考えておりますと言えますか。それは統合部隊に対しては統幕を通じてやるから支障がないとおっしゃるが、最初からそんな無理をしなくても、一つの陸幕なら陸幕、空幕なら空幕に一本にしておけば、能率はうんと上がることははっきりしておるじゃありませんか。それができないのですか。
  86. 海原治

    ○海原政府委員 お言葉ではございますが、ナイキにしろホークにしろ、それぞれこれを完全に操作いたしますためには、先般御説明してございますように、十分な教育訓練の期間が必要でございます。かつナイキとホークにつきましては、その用法等にも若干の相違がございます。一般的には、ナイキというものは高度である、ホークであれば低高度のものであるということもございますし、運用的にはいわばホークは陸上自衛隊の野戦防空と申しますか、そういう方に使うことが効果が多いというような考え方もございます。そういう点をかみ合わせまして、一応現在では先ほど申し上げましたような所属にいたすことが適当であるということになっております。しかしこれはいろいろとまだ検討を続けていくべき問題もございますので、最終的なものということはございません。
  87. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 射程のナイキの場合アジャックスで約三十キロですか、ハーキュリーズで百十キロぐらい、ジュースは三百二十キロ、ボマークになると七百四十キロ、私の調べた資料ではそういう程度の射程ということになっておりますが、その点大体同じですか。
  88. 海原治

    ○海原政府委員 ちょっと今申されました数字を聞き取れなかったのでございますが、私どもの資料によりますとホーク、これは最大でございますが、射程が三十五キロ、ナイキ・アジャックスはやはり最大が五十六キロ、同じくナイキ・ハーキュリーズにつきましては百二十キロ、こういう数字でございます。それからさらにボマークのA型につきましては三百二十キロから四百キロというのが、一応私どもの持っております数字でございます。
  89. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ナイキのジュースを抜かしておられます。それからボマークが製造中止しておる方のA型だけ言って、現にあるB型の方を言わないのはどういうわけですか。
  90. 海原治

    ○海原政府委員 ナイキ・ジュースというのは全然私どもとしては今検討しておりません。それからボマークの方につきましてはB型があるのは事実でございます。ところが製造中止ということは私実は承知いたしておりません。あるいは私の記憶違いかと思いますけれども、これは調査いたしましてお答え申し上げます。
  91. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ボマークのA型は量産していませんよ。ここに私はやはりもう一つの問題があると思うのです。というのは、自衛隊は第二次防衛計画の中で戦闘機から防空ミサイルに重点を移していく。しかもそのミサイルの装備に予定されておりますホーク、ナイキ、ボマーク、そのうちホークもナイキ・ハーキュリーズもボマークB型も全部これは核弾頭つきだということですね。いわゆる核装備ということに踏み切りつつある。第二次防衛計画の一番の柱はここにある。すなわち量の増強はもはややらぬ。陸上自衛隊においても十八万人という定数を第一次計画よりもふやそうという案はない。航空自衛隊に至っては保有飛行機は逆に二百機ばかり減らす。海の場合若干トン数はふやすかもしれないが、総体的に量の面では増強はもう行なわぬ。質の増強をはかる。その質の増強の中の一本の柱は、いわゆるがたがたの戦車や軍艦や輸送機やそういうものを新しいものに置きかえるという、それも質の強化、もう一つの柱は核兵器の装備ということにあると私は思う。この点は幕僚部においても率直に認めておるじゃありませんか。特に今自衛隊が問題にしておるのは中国の核装備です。中国が核装備することは、もはや遠い将来のことではないというような見通しを立てておられるようです。この点中国の核装備というものが大体いつごろになる見通しを自衛隊としては持っておるのかということ、これからまずお尋ねをいたしましょう。
  92. 海原治

    ○海原政府委員 最初に一つ御了解を願いたいと思いますのは、先般の予算委員会の分科会で横路委員の御質問でございましたか、あるいは関連質問でございましたか、なぜナイキ・アジャックスを導入するのだということがございましたので、私どもの方といたしましてはハーキュリーズの方が先ほどお答えいたしましたように性能がいいのでございます。ハーキュリーズすなわち核弾頭ということに参らないわけでございますが、誤解をおそれましてあえて古いアジャックスの方を導入するのだということをお答えした次第でございます。それによりましてもおわかりいただけると思いますが、核装備云々との関係は全然ございません。なお御参考までに申し上げますと、イタリア、デンマーク、ノルウエー、フランス、ベルギー、オランダ、西独等、こういう国は全部ナイキ・ハーキュリーズ型を現在装備しております。こういうことで一つどもの考え方を御了解願いたいと思うのでございます。  次には中共の核装備の時期はいつかということにつきましては、私ども確たる推定をいたす資料を持っておりません。やがて原子炉を開発するというような報道はございますが、それが核装備にどのようにつながるものであるかということにつきましては、私ども国会に御説明するような根拠のある資料は持ち合わしておりません。
  93. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ナイキ・アジャックスを導入するのだとおっしゃいますけれども、ナイキ・アジャックスも製造はやめておるじゃありませんか。
  94. 海原治

    ○海原政府委員 今先生のおっしゃいました製造をやめておるというのは、おそらくその発射機だと思います。アジャックスそのものは現在アメリカでもございます。御参考までに申し上げますと、ハーキュリーズを持っておりましても、ハーキュリーズの普通弾頭と核弾頭を併用いたします。それで単機で参ります目標に対しましては核弾頭というものは使用いたしません。それはその効果が無意味でございます。従いまして一般的に考えられますのは単機の目標に対しましては普通の爆弾的なもので弾頭を装備する。それから多数目標、大編隊に対しましては核弾頭でそのまん中にぶち込むというのが一般の用法でございます。従いましてハーキュリーズ必ずしも直ちに核装備ということでもございません。アジャックスは核弾頭の装備は不可能でございます。
  95. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ナイキ・アジャックスが核装備不可能だということは知っております。問題は発射機、ランチャーの方にある。こちらの方は両用撃てるようなものを持ってこようという計画はちゃんとあるじゃありませんか。
  96. 海原治

    ○海原政府委員 ランチャーにつきましては、先ほど申しましたようにアジャックス専用のランチャーが現在もございません。従いまして発射機は両用になっておりますユニバーサル型というものを導入して参る。これも先般お答えした通りでございます。
  97. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いわゆるアジャックス専用のものがないということが時代の趨勢を物語っておるのですよ。経済的にも引き合わない。戦術的にも戦略的にもあまり意義はなくなってきたから、重点がやはり核弾頭用に移りつつあるということを物語っておるでしょう。いわゆる専用の発射機が製造をやめておるということは、ここに問題があると思う。  そこで私は長官にお尋ねしたいのですけれども、この自衛力というものの概念と関連を持ってくるわけですが、自衛隊を持つという考え方の中には、もし侵略が行なわれたらこれにどう対処するかということが一つあると同時に、いわゆる戦争抑制力といったような働きをも持たせるのが、世界の通念だというふうに言われておる。特に源田さんあたりは非公式な場所でしょうけれども、これをさらに発展させて、仮想敵国が核装備を持っておるような段階に、核装備を持たずして何の自衛力か、それでは第一抑制力にもならないじゃないか、こういうことも議論として述べておられるように聞いておるわけですが、自衛力と戦争抑止勢力というものとの関係、この辺をどういうふうにお考えになっておられますか。
  98. 西村直己

    西村国務大臣 たびたびお答えをしておりますように、あくまでも自衛力というものは消極防御でございます。従って防御ということ自体も私は、消極的な意味ではありますけれども、しかし同時に戦争を抑制するという力になる、こういう意味ではやはり抑制力であるとは思います。自衛隊が存在すること自体、やはり局地戦あるいは間接侵略を防ぐ存在自体が、こういう意味ではやはり自衛であると同時にそれは抑制力でございますが、しかしその抑制力というものはきわめて消極的な抵抗力と申しますか、抵抗力があるから同時にまたそれに対して攻撃を加えるものは抑制される、こういう意味ではやはり抑制力にはなっておると思います。
  99. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういう点からいって、この仮想敵国というものが問題になってくるわけです。公の場所では長官あたりも仮想敵国はないというようなことを言いますけれども、こういった長期防衛計画ができる場合にも、仮想敵国がなくて防衛計画ができるはずがないと私ども思う。長官はこういう委員会なとでは仮想敵国はないと言い抜けますけれども、こういう座談会などになると、案外安心してぽっと本心を出している。御参考までに政府のPR雑誌である「政府の窓」、これを思い出していただきたい。この中でヘリ空母の問題で長官は、「ソ連はたくさん潜水艦を持っています。しかも「スノーケル」といって、水中にもぐったまま幾らでも走れる。私もこの間初めて教えられたのですが、海中を走る方が速度が早いというのです。そういうものを押えるためには、ヘリコプターみたいなものでとまって海中を探らなければならない。それには移動する基地としての小型のヘリコプター空母がほしいということを、海上自衛隊は非常に熱望されております。」こういうふうに案外本心をぽっと出しておるのです。この点は私はやはり本心が出たものと思うのですけれども、それでは海上自衛隊が熱心にほしがっているヘリ空母というものを採用する意思を持って、今第二次計画を作っておられるわけですか。
  100. 西村直己

    西村国務大臣 これは前回の予算折衝の前の国防会議の懇談会までは一応議論がありまして、第二次計画の過程において検討してきた。もちろんヘリ空母はある程度金は必要でございます。従ってまた代艦建造、御存じのように古い船を更新していくという費用もございますが、ここらと三自衛隊の変更と申しますかと合わせた中で、このヘリ空母は考えて参りたいという気持でございます。従って必ずこれは実現するのだと言いましても、国の財政力と申しますか、国民の負担力というものもまた考えつつ、しかし同時に抑制力、あるいはそういった自衛力の観点から、必要であればそれらも考えて参らなければならぬ、検討の段階でございます。
  101. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一体このヘリ空母の一つのハンター・グループを作るのにどれくらいの金がかかるのですか。空母一隻幾ら、それを護衛する駆逐艦が四隻ばかり要るのですが、これが幾ら、それから搭載するヘリコプターが幾ら、大体その辺でおよそ何百億くらいの経費がかかるものですか。
  102. 海原治

    ○海原政府委員 これはあくまで私どもの推定でございますが——なお私どもはヘリ航空母艦とは申しておりません。ヘリコプター母艦でございます。ヘリコプター母艦につきましては、母艦自体とそれに搭載しますヘリコプターを入れまして、概算百九十五億くらいかかるものと一応推算いたします。それを実現いたしますためには、日本と米国とがある程度の率でもってお互いに負担し合う。その率も大体四分六から七分三分という程度を一応現在推定いたしております。それからさらに、それに随伴する駆逐艦についてはどうかという御質問でございますが、これは現在海上自衛隊編成しておりますいわゆる外航護衛と申しますか、そういう護衛的に使いますDDというものを充当いたします。従いましてこれは何もヘリコプター母艦のために特に必要であるということではございません。むしろ本来潜水艦に対処するために持っております駆逐艦というものに、さらにヘリコプター母艦、それにつきますヘリコプターの力を加えまして、いわゆる対潜掃討の力を飛躍的に増大しようというのが、この案の骨子であります。
  103. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この駆逐艦にターターを装備するということをこの間もこの委員会で言っておられましたが、ターターはアメリカ海軍でもまだ新鋭の兵器だという御説明もこの間ありましたけれども、そういった新鋭の兵器を実際に供与される見通しがあるわけですか。しかもあるとすれば、この点に関連して秘密保護法の改正などを要求してくるおそれはないのですか。
  104. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ターターにつきましては、米側は供与することをはっきり承認いたしております。そのためにさらに現在の秘密保護法を改正するという考えは持っておりません。
  105. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると、今のMSA秘密保護法で十分足りると防衛庁は考えておられるわけですね。
  106. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 その通りでございます。
  107. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もう一つ、ちらちらと出されておるのがBADGEシステムですが、これも第二次防衛計画の中には織り込む想定のもとに今作業しておられるわけですか。
  108. 海原治

    ○海原政府委員 そのように考えております。
  109. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これの経費は大体どの程度見込んでおられますか。
  110. 海原治

    ○海原政府委員 BADGEシステムと申しておりますものも、具体的にはいろいろな種類がございます。すなわちBADGEシステムと申しますのは、具体的に申しますと、アメリカで使っております大規模なSAGEシステムをさらに小型にした地方的に動き得る防空警戒組織のための機器、こういうことになろうかと思いますが、これにつきましては米空軍の持っておりますもの、あるいは米陸軍の持っておりますもの、いろいろとその性能、経費等も違っております。ただ一番高い米空軍のものをかりに採用するとしますと、これはやはり二、三百億円程度のものになろうかということでございますが、これにつきましては現在詳細なデータを米側に要求いたしておりまして、不日、入手する予定でございます。
  111. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 おもなものだけちょっとあげてみたわけですが、大した経費がかかるわけですね。ヘリコプター母艦を作るにしても、BADGEシステムを採用するにしても、あるいは防空ミサイルを持ってくるにしても、経費の面で非常に問題がある。もう一つ、この防空ミサイルの面では土地の問題が出てくるわけです。膨大な土地を必要とする。そこでまず第一にお伺いしたいのですが、この防空ミサイルの土地の面で自信がおありになるのかどうか。それから何も作りたい、どれも装備したい、いろいろな希望を全部織り込んでおられるようですが、相当の経費を必要とすると思われるのですけれども、一体長官はどの程度のものを経費として考えておられるのか、一体第二次防衛計画はどれぐらいの金額の中で考えておられるのか。特に最終年度の四十一年度における防衛予算というものの規模をどの程度に考えておられるのか。この「国民のための自衛隊を」というところで、日本防衛費が非常に少ないという御不満を漏らしておられるようでございますけれども、それは多いに越したことはないでしょうが、やはり国務大臣として国民の生活中心に考えなくちゃならぬ面もあろうかと思いますので、その点を一つお尋ねしたいと思います。
  112. 西村直己

    西村国務大臣 われわれといたしましては、第一回の国防会議で決定いたしました国防の基本方針はもちろん堅持して参るつもりでございます。言いかえますれば、国力、国情に応じた自衛力漸増主義をとるということが第一の基本でございます。かたわらどうしても日本のMAP期待額が漸減するということも、その一つの要素になると存じます。一方国の財政力としましては、各国と比べまして、日本が戦後ではあっても、また戦敗国ではありましても、相当国力が伸びておるということを世界各国も見ておるのであります。その間にありまして、どうしたら日本の国において必要最小限度の自衛を伸ばすか、こういう問題になって参ります。そうすると、ドイツと環境は違いますけれども、ドイツでは御存じの通り五%とか七%とか相当なつり合いを持っておるわけであります。日本が世界各国から見てきわめて低い防衛費であるということは、財政当局である大蔵大臣も認めておるのであります。私どもとしましては、ただそれを長期計画最終年度においてどの程度の見通しを立てるかというのは、これはいろいろ議論は出やすいところでありますが、従来防衛庁長官も、大体常識的に考えて国民所得の二%くらいをめどにしていったらどうか、こういうところが一つの考え方になって、そうなれば、民生安定その他を圧迫したり、あるいは経済拡大、いわゆる産業基盤の育成というようなものにも影響を与えないだろう、こういうふうにわれわれは考えておるのでありまして、必ずしも防衛担当の者として、二%でも十分だとは私は考えませんけれども、しかし全体の政治を考えていく場合に、少なくとも二%というものを一つのめどにして、今後関係閣僚あるいはその他と十分話し合って参りたい、こういうことでございます。
  113. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 赤城さんが構想を発表されたときには、少なくとも最終年度の予算規模は三千億程度というふうにおっしゃっておられましたが、西村長官は二%という数字だけを述べておられますけれども、二%ということになりますと、四十年ないし四十一年ごろになると三千六百億をこすのではないかと思いますが、そんなに膨大なものをお考えになっておるわけですか。
  114. 西村直己

    西村国務大臣 これは折衝の過程におきまして、理解を得ていくのになかなか困難な面もあります。従って希望というものはある程度しっかりしたものを持っている方が私はいいと思います。
  115. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 お人柄の現われですかね。赤城さんは掛値なしで三千億ぐらいを言ったが、西村長官はちょっとふっかけて三千六、七百億から出発する、こういうことですか。
  116. 西村直己

    西村国務大臣 いや、これは国務でございますから、決してそういうはったりとかかけ引きを考えるわけではございませんが、しかしながら同時に、その間における多少の物価の値上がり、国民所得の伸び、当時推定した国民所得の伸びよりは今日の伸びの方が私ははるかに大きく推定されておると思います。それらも勘案して、国力、国情に相応した線を防衛庁当局としては考え、私どもはそういう方向で進めていきたいということであります。
  117. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それからもう一つ答弁がないのですが、ホーク・ミサイルの用地の面です。一大隊で大体二十三万平方メートルも必要とするといわれておるわけですけれども、大体今のところ五カ年計画の中でナイキは四個大隊、ホークも四個大隊編成予定ですか、できればボマークも四個中隊ばかりということも聞いておりますが、一体何個大隊くらい編成される計画で進もうとしておられるのか。そういうことになりますと、今言ったように実に膨大な土地を必要とするわけですが、この面の計画は一体どうなっているのか。
  118. 海原治

    ○海原政府委員 今ナイキ大隊その他についてのお話がございましたが、四個大隊の編成ということは実は困難ではないかと私ども今事務的には考えております。すなわち二ないし四ということが正しいことになるかと思います。ホークその他につきましても、先ほどから申し上げておりますようなことで検討の過程でございます。なおどこに配置するかということにつきましては、先般予算委員会の分科会で申し上げましたように、自衛隊の施設の中に配置するということで計画を進めております。なおナイキにつきましては、非常に大きなものとお考えでございますが、私どもはあくまで高射砲が近代化したものというふうな考え方でおります。高射砲を現在自衛隊の施設の中に置いてあると同じようなことでナイキを配置する。もちろんそこで撃つわけではございません。試射をするのはまた別の土地を選ぶわけでございます。
  119. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もう一つ防空という面からお尋ねするわけですが、今いろいろ質疑の中でも明らかになったようなことは、これは全部有人機の侵略に備えるということだろうと思う。一体それではミサイルの襲来といいますか、ミサイルがやってきた場合の防衛というものはどうするつもりなのか、この点も十分に御検討になっておられると思いまするので、その点一つ説明願いたいと思います。
  120. 海原治

    ○海原政府委員 今お示しのありましたような場合は、私どもといたしましては、あくまでも日米安全保障体制というものを前提といたしまして、かつて長官が申されましたように、野球にたとえてみまするならば、外野的な力はアメリカに、内野的な守備は日本にということで考えております。その外野の面に当たるかと考えます。
  121. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではミサイルの攻撃を受けた場合には、日本自衛隊は完全にお手上げでございます、こういうことですね。
  122. 海原治

    ○海原政府委員 国会の方で、先ほどお話がございましたような、ナイキ・ジュースのようにミサイルを殺す力のあるミサイルを持つことをお認めいただきましたら事態は別でございますが、現在の自衛隊の能力としましては、大規模な敵と申しますか、外国からのミサイル攻撃に対しては、自衛隊のみの力では無力でございます。
  123. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこで、無力という言葉一つ出てきたのですが、この第二次防衛計画ではいろいろなものをお立てになると思うのですけれども、いろいろな面で困難性が予想されていると思うのです。現に国防会議懇談会においても、防衛庁当局からその困難性をいろいろの面から指摘されておったようですが、どういう点で計画達成に困難が予想されるか、それをどういうふうに克服していくつもりであるか、その辺を一つお示し願いたいと思う。私の聞くところによると、まず予備兵力の問題、対日援助の問題、防衛生産の問題、後方支援体制の問題、隊員不足の問題国民の国防意識の問題というふうなものを列挙して、懇談会で説明されたようでございますが、その辺のところを一つ委員会においても御説明願いたい。
  124. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん自衛隊がことまで一応組織ができました今日までの御協力に対しましては、非常に厚く感謝するのでありまして、一応骨幹はできつつあります。ただいつも言われますように、骨幹でも完成していない面が多分にありまして、それに対して二次防衛力整備計画におきまして、それらを直していかなければならぬわけであります。しかし一面におきまして国の財政力というものを考え、それから国民のこれに対する見方というものも考えて参らねばなりません。従って私どもといたしましては、国土の自衛ということに対してはより以上御協力を願えるように政府全般を進めつつ、またかたわら自衛の任務を担当いたしますわれわれとしても、それを十分に御理解願うような方法でいかなければならぬと思うのであります。特にミサイルのごときは、近代兵器としての意義あるいは価値というものをまだ御理解なさらない方々も多分にあろうと思うのでありますが、われわれとしては兵器の近代化、近代防空としては、ミサイル導入等についても十分な御了解なり御納得をいただく努力をして参りたいと思います。かたわら国の財政力におきましても、現在の政府が意図いたしております所得倍増、いわゆる産業基盤その他の拡大という面からも、これらの費用というものを十分吸収し得るのではないか、われわれはこう考えておる次第であります。
  125. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が今あげました中に、予備兵力の問題、隊員の不足の問題というようなものがあるわけですが、こういうものはなかなか解決困難だと思うのです。世の中を不景気にしさえすれば集まるというような安易なことでいくわけにもいきますまい。そうなってくると、この方面から憲法改正を急がれるとか、徴兵制度を考えるとかいうようなことが出てくるおそれも多分にあるわけですが、そういうことは全然お考えになっておりませんか。
  126. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん防衛の観点からだけ憲法改正ということは意図しておりませんが、政府といたしましては、憲法改正すべしとなったらどういう点が考えられるか、あるいは改正しないでいくならどうするか、とにかくそういった意味で御存じの通り憲法調査会というものを作って、それぞれの分野においての中間報告等を現在いたしつつあるのが、その調査会の現状でございます。かたわら憲法範囲内におきましても、法制的に、あるいは法制外の面におきまして、国民の御了解、御協力をいただいて漸次整備して参りたい、われわれはこう考えております。  徴兵制度につきましては、今のところわれわれはそういう考えは何らございません。あくまでも国民の協力体制においての予備兵力と申しますか、そういう面を考えるのでございます。徴兵というものは今のところわれわれは考えているわけではございません。
  127. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ちょっと関連して。今ミサイル攻撃を受けたような場合には日本自衛隊ではほとんど能力がない、こう今防衛局長がお答えになったわけです。そしてそういう場合には外野のアメリカ班に出てもらうのだというお話だったのですが、一体日本における米軍は、ミサイル攻撃に対処するような部隊あるいは設備などをちゃんと持っていますか。
  128. 海原治

    ○海原政府委員 私のお答えがきわめて不十分で申しわけございませんが、先ほど申し上げました趣旨は、そのようなミサイルがわが国に攻撃してくることは、私どもといたしましてはいわゆる全面戦的な様相ではないかということでございまして、私どもは先ほど申しましたように日米安全保障体制というものを持っておりますので、わが自衛隊としてはそのようなものに対する力はございませんが、その集団安全保障体制を結んでおります与国であるアメリカの報復力と申しますか、打撃力と申しますか、そういうものに期待せざるを得ない、こういう意味でございます。
  129. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 報復力に期待せざるを得ないと言ってみたところで、日本を守る力はないのじゃないか。現実に日本の国内あるいはその周辺に何か報復力がありますか。
  130. 海原治

    ○海原政府委員 一応ある事態を御想定になっての御質問かと思いますが、そういう前提となる事態を確定することがなかなかむずかしゅうございます。日本にどの程度のミサイルがどういうふうに来るかということにも関連いたしますし、私の米軍の報復力と申しますか、打撃力に期待せざるを得ないということが十分御了解願えないといたしますならば、自衛隊としては無力であるということだけを申し上げておいた方が安全かと思います。
  131. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 どうも驚いた話ですが、無力でございますと言って国会でたんかを切って、二十四万も兵隊さんを持っているのははなはだ疑問に思うわけです。そんな不見識な軍隊ならおよしになったらどうかと言いたくなるのです。それはある事態を想定なすってとあなたがおっしゃったから、一つの事態を想定して御質問いたしましょう。内閣調査室の調査によりますと、サハリンすなわち樺太にはミサイル基地があるということが報道されています。樺太からミサイルをぶち込まれたら一体どうしますか。日本は無力であると今お認めになった。アメリカの報復力はどういうふうに作用しますか。私自身の計算によれば、樺太からミサイルを撃ち込めば、偏西風が吹いておりますから、少なくとも四秒ないし五秒にして北海道ないし東北に到達するはずです。四秒ないし五秒ではBADGEのきく範囲でもなし、SAGEシステムのきく範囲でもなし、一体どうなるのですか。無力でございますと言って、天井を向いて腕を組んでいればそれでいいのですか。
  132. 海原治

    ○海原政府委員 私のお答えがきわめてまずくて申しわけないのでございますが、日本がミサイル攻撃を受けた場合といいましても、先ほど申しましたようないろいろな事態があると思います。今お話のように樺太からということになりますと、ソ連ということになると思いますが、そういう例を設定することは決して不適当とは思いませんけれども、しかしどこかから北海道だけにくるのか、あるいは日本全土にくるのか、日本のこの四つの島全部が同時に壊滅的な打撃をこうむるというようなことはちょっと考えられないのでございますから、自衛隊は無力でございますと決してたんかを切ったわけではございません。ミサイルを飛翔寸前、わが国土に到達前にこれを殺す、いわゆるキル・ケーパビリティということは全然持っておりませんということを申し上げたのであります。それはあくまで外敵の襲来となりますから、その場合には自衛隊も全力をあげてこれに対処するということは当然のことだということで、あえて御説明を申し上げなかった次第であります。なおお答えいたしておきますが、無力であるというのは、あくまでミサイルがかりにどこからか日本に降り注ぐというときに、そのミサイルを空中において破壊するような能力は、先ほど申しましたように国会がナイキ・ジュースのようなものを持ってよろしいということをお認めにならない限り、現在の自衛隊の力では無力でございます、どういうことでございます。
  133. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ナイキ・ジュ一スだってミサイルを空中においてとらえて、これを破壊するということは不可能ですよ。あなたのこれから作ろうとするBADGEだって四秒ないし五秒のうちにこれをとらえて自動的に操作できますか。そんなはずはないです。アメリカだって今三秒、四秒なんという範囲でこれをとらえて破壊できるシステムを持っていないはずです。そこであなたは本音を吐かれたわけです。飛んでくる飛翔体に対してはもうなすすべはないけれども、しかし自衛隊は全力をあげてこれに対処する、こうおっしゃるのですが、自衛隊は全力をあげて対処するというのはどういう方法ですか。先制攻撃以外にありますか。
  134. 海原治

    ○海原政府委員 今のナイキ・ジュースがミサイルを殺す力がないということにつきましては、やはりこれもいろいろな前提があってのことかと存じます。現にアメリカあたりでは実験で飛翔体を落としている例はテレビでも放送されております。また今御質問のようなことを想定いたしますと、おそらく地球上の国というものはほとんど無力ではないか。御参考までに申し上げますが、つい先だって英国の国会におきまして、先般NATOにできました早期警戒網組織というものの完成が、どのようにイギリスの国防に寄与するかということを野党の議員の方が質問されました場合に、イギリスの大臣は、この早期警戒網組織によって五分間の余裕ができるのだ、五分間の余裕というのは、かりにイギリス全土が壊滅に帰しても、イギリスの持っている爆撃機はその間に飛び上がれるのだということを答弁しております。現在非常に進歩いたしました武器というものは、それほどの効果があるのでございますから、ミサイル攻撃を受けた場合どうかということにつきましては、私がお答えしましたようなその限りにおきましては無力であるということが真実だと思います。しかし攻撃を受けた場合には、それでは先制攻撃かという御質問でございますが、こちらが攻撃を受けたあとでございますので、これはどういうふうに対処するかということは、先ほどから申しておりますようにいろいろなその場合の想定がございます。決して先制攻撃ということにはならないのではないかと私は考えております。
  135. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 一体それを防ぐ方法として、先にミサイル発射基地をたたく先制攻撃をやる以外に、どうやって防ぐのですか。来てこちらがつぶれてしまってからたたく方法はないのじゃないですか。一体こういう問題を長官、どうお考えになっておるか。
  136. 西村直己

    西村国務大臣 お説のような場合は、言いかえれば大きなミサイルであろうと思います。かりに設問されたようになる場合には、一応自衛隊の任務として考えておる局地戦対象の自衛隊ではなく、むしろ日米安全保障体制のもとにおいての全面戦争的なものであろう、それに近い形になってくると思うのであります。従って突然こういう平和状態で樺太からぽんと大きなミサイルが飛んできた、どうするかというような設問ではなくて、全面戦争的な様相のもとにおいて日米安全保障体制がどう動いていくかという考えで判断していかなければならぬ。従ってわれわれとしては、全面戦争というものは、これはアメリカ自体も言っており、世界の風潮ではあるが、まず当分あり得ない。しかしながら同時にアメリカにしてもソ連にしても戦争の抑制力としては、一応軍備はしっかり持っていかなければならぬ、ミサイル装備はやらなければいかぬ、そういうような戦争抑制力の意味において考えておる。そういうような前提において、今度は局地を対象にした日本の自衛力、こういうものを考えるということでありますから、設問を非常にお広げになって、ミサイルの大きなものがぽんと出てくるような答弁をやっていると、その部分だけを切り離して考えれば、確かに日本のミサイル攻撃に対処する能力というものは不可能であろう、こういうふうに答弁があったと私は考えております。
  137. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 関連質問ですから、いずれあらためて詳しく伺いますが、大きなミサイルだけが飛んでくると考えることは間違いではないでしょうか。北海道で何べんも大演習をやっているわけです。それは上陸、さらには対上陸演習ということでやっているわけですが、空挺隊がやってくるとかいう想定だそうです。その空挺隊援護のためにごく距離の短い、しかも普通の兵器によるミサイル、そういうものもあり得るのじゃないでしょうか。ミサイルというと何でも大きなものばかり考えますが、しかしあなたは大きくそれは全面戦争の場合だというのですが、局地戦はかくして始まる場合もあり得るのじゃないでしょうか。だからそういう意味で問題をそらしてしまわずに、一つ十分にそういう点についての御答弁をいただきたいと思います。きょうは自衛隊はミサイル攻撃には無力だ、あとはアメリカに依存するだけだ、こういう話でけっこうです。そしてアメリカがどれだけのそれに対処する能力を持っているかということを伺ったらお答えなし、こういうことで私はけっこうです。
  138. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん私どもは、日米の共同防衛の線におきましては、大きなミサイルあるいはその他のミサイルに対しましても、七艦隊を初めその他有人機その他によってこれをある程度防いで参るということもありまして、極端な場合には、攻撃が始まれば米軍としては相手方の基地攻撃という問題も出てくるでありましょう。従って自衛隊としては、しかしそういう全面戦争下においての自衛隊自衛隊なりの、また外敵あるいは間接侵略もその前に付随してくるというような、それぞれの任務というものがあり、当然従来の自衛隊訓練をこの際いたしておかなければならぬ、こう考えているわけであります。
  139. 久野忠治

    久野委員長 両案についての残余の質疑は、次会に譲ることといたします。  次会は明後十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会