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1961-03-03 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三日(金曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 高橋  等君    理事 宮澤 胤勇君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       大森 玉木君    島村 一郎君       服部 安司君    福田  一君       藤原 節夫君    保科善四郎君       牧野 寛索君    足鹿  覺君       田口 誠治君    山内  広君       山花 秀雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小澤佐重喜君         国 務 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         調達庁長官   丸山  佶君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         外務政務次官  津島 文治君         大蔵事務官         (管財局長)  山下 武利君         水産庁次長   高橋 泰彦君         建設事務官         (河川局長)  山内 一郎君  委員外出席者         防衛庁書記官         (経理局施設課         長)      大森 頼雄君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  三浦 道義君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第三課長)  下条進一郎君         文部事務官         (管理局教育施         設部計画課長) 中尾 竜彦君         厚 生 技 官         (医務局国立療         養所課長)   橋本寿三男君         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   萩原 幸雄君     ————————————— 三月三日  委員原茂辞任につき、その補欠として足鹿覺  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として原茂  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二日  国家行政組織法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二一号)  連合国占領軍等行為等による被害者等に対す  る給付金支給に関する法律案内閣提出第一  二三号)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二五号)  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第一二六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家行政組織法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二一号)  連合国占領軍等行為等による被害者等に対す  る給付金支給に関する法律案内閣提出第一  二三号)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二五号)  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第一二六号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  二八号)  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、政府より提案理由説明を求めます。津島外務政務次官
  3. 津島文治

    津島政府委員 外務省設置法の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。  この法律案におきましては、従来の欧亜局に新たに中近東アフリカ部を設置することを規定しております。  御承知の通り昨年はアフリカ地域においはて、わずか一カ年間に十七カ国が独立いたしまして、この結果中近東アフリカ地域独立国は三十六カ国の多きに達したのであります。さらになおまだ数カ国が独立を予想されている次第であります。これらの地域世界政治経済上においてきわめて重要な地位を占めることは多言を要しないところであります。ことにわが国は、アジア・アフリカ諸国の一員として、これら諸国動向には、特別に深い関心を有する次第であります。またこの地域は、わが国貿易及び経済協力相手国として重要な地位を占めておりますし、かつまた国連外交の面においてもきわめて重要であります。  しかるに現在外務省機構といたしましては、西欧諸国東欧共産圏諸国及び英連邦諸国とともにこれらの諸国ともあわせて、世界独立国の約三分の二に相当する六十八カ国に関する外交政策企画立案情報の収集、調査等きわめて多岐にわたる事務欧亜局で所掌している次第でございます。  以上のような情勢にかんがみまして、事務員の急激な増大は当然でありますが、加うるに中近東アフリカ諸国は、西欧東欧諸国後進国先進国の差があるばかりでなく、あらゆる面で国柄が異なっておりますし、またこれらの諸国は、植民地支配より独立した国であるだけに国民感情等におきましても独自の機構において処理することが適当と思われますので、よってこれらの事務の円滑かつ能率化をはかるため、中近東アフリカ部を設けようとするものであります。  以上のような理由によりまして、中近東アフリカ部を設けるための法的措置といたしまして、外務省設置法の一部を改正するための法案として本法律案を提出する次第であります。  次に、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。  この法律案におきましては、南米及びアフリカ諸国におけるわが国在外公館新設及び昇格規定しております。  南米におきましては、エクアドル、ボリビア、パラグァイ及びウルグァイの四公使館をそれぞれ大使館昇格するとともに、レシフェ総領事館新設し、またアフリカにおきましては、セネガル大使館新設するとともに兼轄大使館十六館を設置し、さらに南アフリカ連邦モロッコスーダンの各公使館及びナイロビ領事館をそれぞれ大使館及び総領事館昇格することにいたしております。  まず南米関係につき説明いたします。南米諸国わが国にとり貿易経済技術協力及び移住振興等の各分野においてきわめて重要な地位にあることは申し述べるまでもありませんが、エクアドル以下の四カ国はかねてよりわが国との大使・交換を強く希望しており、この際先方の希望にこたえることはきめて時宜にかなっているものと考えるのであります。またレシフェブラジル有数の都市であり、在留邦人も多く、経済上重要でありますので、同地方管轄総領事館を設置することといたしたい次第であります。次に、アフリカ関係でありますが、御承知のごとく近年アフリカ各地において、その民族的独立機運が急速に高まりました結果、昨年一年間に十七九国に及ぶ独立国が誕生いたしました。わが国といたしましては、これら諸国動向が今後の世界情勢に重要な意義を持っていること、またわが国貿易及び経済協力上の相手国としても重要であること等にかんがみ、これら諸国との関係の一そうの緊密化をはかるため、これら諸国大使館を設置し、そのうちセネガルには実館新設し、あとの十六公館近接諸国に置かれている大使館をして兼轄せしめることといたし、さらに、南ア連邦モロッコ及びスーダンの各公使館大使館に、またナイロビ領事館総領事館に、それぞれ昇格せしむることといたした次第であります。  このような在外公館新設及び昇格を行なうための法的措置といたしまして、在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正すると同時に、これらの在外公館に勤務する職員在勤俸の額を定める必要がありますので、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律にも所要改正を加えることとし、これら二つの法律の一部を改正するための法案として、本法律案を提出する次第であります。  以上二点について慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いします。      ————◇—————
  4. 久野忠治

    久野委員長 次に、国家行政組織法等の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。小澤国務大臣
  5. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 ただいま議題になりました国家行政組織法等の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  今回提案いたしました国家行政組織法等の一部を改正する法律案は、昭和三十六年度における内閣機関並びに各行政機関事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務増加に伴い所要増員業務の縮小に伴う余剰人員の縮減及び定員外職員定員繰り入れを行なうよう定員改正し、あわせて現行定員管理制度の欠陥を是正して、実効のある定員規制を行なうため、定員規制対象となる職員の範囲を明確にする定員規制方式を確立するとともに、行政機関の実体に即応して、定員規制弾力性を保持させる必要がある五現業の職員定員及び特別の事情により緊急に増加を必要とする職員定員については、政令で定めることができるようにするものであります。さらに定員というものは、本来組織規模を示す尺度であり、行政機関規模機構職員定員により規制されるべきものでありますから、従来のように定員のみを切り離して規定することは適当でないと思われますので、各省庁等の必要とする具体的な定員については、従来規制対象としていなかった特別職職員をあわせて、それぞれ当該省庁等設置法規定するようにいたしますとともに、行政機関職員定員法を廃止し、これに伴い関連法律所要改正を行なうものであります。  次に定員内容について御説明いたしますと、各行政機関定員は、現行行政機関職員定員法第二条第一項の定員六十九万九千二百七十八人と、同条第二項の定員千八百二十人の合計七十万千九十八人を、昭和三十六年度事業予定計画に伴う増七千七百七十四人、定員外職員定員化に伴う増四万七千六百九十三人を加えた七十五万六千五百六十五人とし、そのうち、国家行政組織法第十九条第一項に基づき各省庁設置法等規定することになります定員は、四十三万五百七十七人、国家行政組織法第二十一条第二項の規定に基づき政令規定することになります定員は、三十二万五千九百八十八人であります。  なお、事業計画に伴う増員のおもなものといたしましては、科学技術庁の付属研究所の拡充に伴うもの百七十七人、保護観察の強化に伴うもの百人、税関輸出入業務量増加に伴うもの四百人、国立学校学年進行学部増設等に伴うもの二千七百二十二人、国立病院療養所看護婦勤務条件改善に伴うもの三百七人、国立ガンセンター設置に伴うもの二百五十一人、労働者災害補償保険業務量増加に伴うもの百二十五人、公共事業等増加に伴うもの三百六十七人等がありますが、いずれも業務増加、拡張に伴う必要やむを得ないものであります。  また、事業計画に伴い減員となるおもなものとしたしましては、調達庁駐留軍提供施設等の減少に伴うもの七十五人、厚生省の国民年金業務の一部を地方公共団体へ移しかえすることに伴うもの百五十七人、農林省の公共事業の一部を愛知用水公団へ移しかえすることに伴うもの百十三人等であります。  次に内閣官房等におきましても定員外職員定員化等に伴う三十三人の増員をいたすものであります。  最後に、暫定定員等につきまして所要規定を設けますとともに、この改正法律は四月一日から施行することにいたしております。  以上がこの改正法律案のおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。      ————◇—————
  6. 久野忠治

    久野委員長 次に、連合国占領軍等行為等による被害者等に対する給付金支給に関する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。西村国務大臣
  7. 西村直己

    西村国務大臣 連合国占領軍等行為等による被害者等に対する給付金支給に関する法律案提案理由及び概要について御説明申し上げます。  占領期間中における連合国占領軍等行為により、死亡し、負傷し、または疾病にかかった被害者に対しましては、昭和二十一年五月、閣議決定により見舞金支給措置を講じ、さらに昭和二十七年五月、閣議了解により追給措置を講じてきたのでありますが、これについてその金額が少なきに過ぎるという理由をもって、被害者より政府並びに国会に対し、しばしば救済の陳情並びに請願が行なわれてきたところであります。  政府は、昭和三十四年度に調達庁をして全国的に実態を調査せしめました結果、被害者数占領時代前期において最も多く、なかんずく死亡者数も同様であることが判明し、かつ見舞金額も少額で、お気の毒な状況にあると考えますので、これらの者に対する救済立法措置により講ずることが、必要かつ適切であると確信するのであります。以上がこの法律案を提出するに至った理由であります。  次にこの法律案具体的内容について、その概要を御説明申し上げます。  まずこの法律案による給付金は、本邦内における昭和二十年九月二日から昭和二十七年四月二十八日までの占領期間中に発生した連合国占領軍等行為等によって負傷し、または疾病にかかった者及び連合国占領軍等行為等によって死亡した者の遺族であって、日本国籍を有する者に対し支給することとした次第であります。  給付金種類といたしましては、療養給付金休業給付金障害給付金遺族給付金葬祭給付金及び打切給付金の六種類となっており、またその支給額は、療養給付金につきましては、一定の基準政令によって定めることといたしましたほか、休業給付金につきましては、この法律施行前の休業期間六十日未満にあっては二千円、六十日以上にあっては五千五百円、この法律施行後の休業期間にあっては一日につき百二十円を乗じた額とし、また障害給付金につきましては、労働基準法に定める障害の等級に応じて定めた一万八千円から十七万八千円までの額、遺族給付金につきましては定額十五万円、葬祭給付金につきましては同様定額五千円とし、打切給付金につきましても定額十八万円といたしております。  なお、これらの給付金を現実に支給する際には、すでに他の法令あるいは行政措置により何らかの給付を受けた者あるいは受けることができる者に対しましては、この法律による給付金の額からこれらの相当給付金額を控除した金額支給することとした次第であります。  さらに、この法律に基づく給付金支給を受ける権利の認定は、調達庁長官が行なうこととしたのでありますが、調達庁長官の処分に対し不服のある者は六十日以内に不服の申し立てを行なうことができることとし、再審査の方途を講じております。この再審査にあたっては被害者給付金審査会調達庁に設置いたしまして、調査審議せしめることとし、これによって万全を期することといたしております。  またこの法律による給付金を受ける権利の時効は三年といたしましたほか、この給付金はすべて非課税とするとともに、給付金権利については、譲渡、担保または差し押え等の行為を禁止し、権利保護についても十分な配慮を講じております。  なお、遺族の順位その他手続に関する規定等必要な措置規定し、さらに細部必要手続については、総理府令にゆだねることといたしております。  以上、この法律案提案理由及びその内容概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  8. 久野忠治

    久野委員長 各案についての質疑は次回に譲ることといたします。      ————◇—————
  9. 久野忠治

    久野委員長 次に防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。保科善四郎君。
  10. 保科善四郎

    保科委員 防衛法案関連をいたしまして防衛庁長官、そのほか関係の所管に若干の御質問を申し上げたいと思います。  第一に自衛隊任務の中で、直接侵略及び間接侵略に対しわが国防衛することを主なる任務とする、こういうように自衛隊法に書いてありますが、二月十三日の私の治安に関する質問に対して長官は、間接侵略自衛隊補足任務であるという答弁をされております。この点に関する長官間接侵略と直接侵略に関する自衛隊任務について御所見を伺いたい。
  11. 西村直己

    西村国務大臣 あるいはその際の速記録を拝見いたさなければなりませんが、私の申しましたのは、治安という点におきましてはいわゆる公共秩序維持補足任務でありまして、侵略ということに対しては直接の任務になるとあわせて書いてありますので、後段の治安面でありますが、直接侵略及び間接侵略に対しわが国防衛するということは、侵略という点では同等で主任務と私は考えております。
  12. 保科善四郎

    保科委員 そこで一つ伺いたいのですが、日本に対する間接侵略というのは一体どういう形でくると想定されておりますか。
  13. 西村直己

    西村国務大臣 細部のことにつきましては防衛局担当の者から御説明さしてよいのでありますが、根本におきましては、私は間接侵略と申しましても規模はいろいろあろうと思いますが、しかしながら質におきましては侵略である以上は、単に日本人の内部の秩序が乱れたという程度よりはさらに攻撃的な性格が強いということであります。それでその攻撃が強い場合においては、ある限度においては間接に、あるいは武器等、あるいは日本人でない者までか侵入する——軍隊の形でなくして入ってくる、こういうような形もあろうかと思うのであります。もちろんこの間接侵略という言葉は、広く解釈すればいろいろな意味にもとれますが、私の考え方では攻撃的なものであって、しかも直接軍として入ってこないというようなものであります。でありますから純然たる国内日本人同士公共秩序が乱れたよりは、そこに攻撃性が加わってきておる、その規模の大小についてはいろいろあろうと思う、こういうふうな考え方であります。
  14. 保科善四郎

    保科委員 思想侵略のようなものは間接侵略と考えておられますか。
  15. 西村直己

    西村国務大臣 憲法で思想そのものに対しましては自由というものを許している。言論思想、結社の自由というものは確立した基本的人権でございます。従いまして私は思想に対してはやはり思想言論に対しては言論でいくべきであって、私は自衛隊そのもの任務とは考えておらないのであります。
  16. 保科善四郎

    保科委員 間接侵略はいろいろな形でくると思うのであります。現にきておると思うのです。こういうものに対して一体これは自衛隊の主任務一つですか。侵略を受けないようにするということが一番大事な点で、受けてしまったら大へんですから、一体どういうような対策を講じておられるか。
  17. 西村直己

    西村国務大臣 ただいま保科議員のおっしゃいました間接侵略の中に思想その他宣伝等、あるいは広く申せば経済戦等による侵略ということも入るかと思いますが、私はここに書いてあります自衛隊間接侵略という法律用語によりますものは——これは法制担当の専門の者もおりますが、政治として解釈いたします場合にはそれは含んでいない。しかしながらもちろんこれは政府全体といたしまして、破壊的な思想あるいはその他国の基本的政策に対して乱れを起こす者に対しましては、政策なり思想なりあるいは他のそれぞれの分野において、広い意味で国を守り国民を守るということは、それぞれの分野でやってもらうべきではないか。従って自衛隊としては、この法律に書いてある直接侵略間接侵略内乱あるいは大規模のいわゆる行動を起こす内乱的なもの、攻撃的なもの、こういうものを中心に自衛をしていく、こういう考え方であります。
  18. 保科善四郎

    保科委員 国際共産主義の運動の仕方は非常に形態を変えてきております。むしろ間接侵略の方が非常に重要性を帯びてきておると私は思うのであります。やはりこれを受けないように態勢を整えていくということが、ほんとうに日本を安全に持っていく重要な要素になるのじゃないかと私は考えておるのであります。従ってこれに対する対策が必要であると思う。情報の問題もあり、いろいろな問題もあるだろうと思いますが、少なくともこれは主任務であるのですから、何かいろいろなことを検討され、あるいはそれに対する準備をされておくということが必要だと思うのです。これは事務当局でもけっこうですから、主任務を遂行する上において一体どういうようなことを考えておられるか、伺いたい。
  19. 加藤陽三

    加藤政府委員 ただいま大臣からお答えになりましたが、自衛隊法に書いております直接侵略及び間接侵略ということでございますが、間接侵略というものにつきましては、私ども知っておる限りにおきまして国際的に定義はございません。ただ自衛隊法制定当時において考えておりましたことは、この前の日米安全保障条約の第一条にございましたが、外部からの教唆または扇動による大規模騒擾または内乱、そういうようなものを頭に置きまして間接侵略という言葉を使ったわけであります。これを一つ形態として見ますと、国内における内乱騒擾というようなものでございますが、それが純然たる国内的なものでなしに、外部からきた教唆または扇動であるということを前提にして間接侵略という概念があるわけでありまして、これに対する対策といたしましては、直接侵略の場合及び国内治安維持につきまして警察の能力が足りない場合には、自衛隊治安出動するという規定もございますから、それらとの関連におきまして一つの実力の行動に対するわれわれの方の措置、こういう観点から考えておるわけでございます。
  20. 保科善四郎

    保科委員 間接侵略は全然目に見えないいろいろな形で来ますので、国家としては注意をしなければならぬ問題であることは申すまでもございません。従ってこういうものが起こらぬようにするということが自衛隊の重要なる任務であると思いますので、どういうふうにしたならばこういう侵略を受けないようにすることができるかということは、国家全般の問題として、主任務を持っておられる自衛隊が主になって、こういう点について積極的にいろいろな対策を講ずる必要がある。そういう対策があってこそ初めて侵略を受けずに済むのである、こういうように考えておるのでありますが、そういう点において他の治安当局と平素から綿密なる連絡をとられて、知らない間にそういうような事態が起こって、国民に迷惑をかける、不安を起こすというようなことがないように、やはり十分なる対策なり準備なり演練というようなものが私は必要でないかと思うのであります。そういう準備がないとできないのです。こういう点について、直接侵略に対しては相当御勉強なされておると思うのですが、間接侵略に対する準備が私の見るところでは少し不足なように思うのでございます。そういう点について一つ十分なる注意準備とをされて、日本国民に不安のないような状態を作ることに、一そうの努力をされることを御要望申し上げておきたいと思います。  次にお伺いいたしたいことは防衛庁機構の問題でありますが、御案内のごとく防衛庁ができましてからだいぶ時代も変わって参りまして、兵器は非常に革命的な進歩を遂げました。これを運用するということはいろいろな面から考えていかなくちゃいかぬと思います。特に他の官庁が最も協力しやすいような体制を整えるということも、非常に必要だと思います。そういう点において、現在の防衛庁のこの形はもう再検討をして、そしてこれは金が要らないのですから、直接並びに間接侵略を防止して、戦争のない事態を日本に作り上げるような、そういう面の改善努力ということが最も必要で拠ると思います。こういう点について、今度統幕の権限強化の問題、あるいは陸上自衛隊の編成の問題、あるいは海上、各種の問題が出ておりますが、もっと根本的な防衛庁自体の機構の改善ということが喫緊な要事でないかと考えておるのでありますが、その点に関する長官の御意見を伺いたい。
  21. 西村直己

    西村国務大臣 防衛庁はいわゆる軍隊的性格のものを第一線に持っておる。また直接侵略間接侵略に対する防衛が主任務でございまして、他官庁とその性格が異なっておることは御存じの通りでございます。従ってこれがきわめて有効適切に、また機動的に普通官庁以上に動けるというような体制は、不断に検討を加えていかなければならぬと思うのであります。その一つの現われが、小さいながら今般防衛法案の中で、統幕の権限強化と申しますか、統幕の執行部の機能化というものをはかっておることであろうと思います。しかし防衛庁全体といたしまして、さらに時代の要請に応じ、自衛隊のあり方というものと相合わせまして、これらを再検討して参る時期は来ておると思います。幸い政府の他の行政官庁等でも、行政運営、行政制度諸般に関する調査会も作ろうという段階でありますから、これらの実現と平仄を合わせつつ、内部においてさらに熱心な検討を加えて参りたいという考えでおります。
  22. 保科善四郎

    保科委員 私は防衛庁の現在の機構の大本は、その主義においては世界で最も進んだりっぱなものになっておると思います。これは長官がほんとうにシビリアン・コントロールをやる能力があれば、りっぱにシビリアン・コントロールができる体制にある。これは世界で最も進んだ防衛機構であると思うのであります。ことに三軍のバランスをとって、それを統幕でもって必要に応じて一挙に国の防衛ができるような体制をとっているということは、非常にいい体制だと思うのですが、しかしこの防衛庁という、総理府の一隅におるという居そうろう的存在のようなものでは、この重大な国家安全保障の任務が果たせるとは私は思いません。非常に防衛庁長官が苦労しておられる。憲法上日本の自衛権はちゃんと許されているわけですから、その自衛の目的を達成するに必要な最小限度の機構の改善というようなものは、これは当然勇敢に行なっていい。そういう意味合いにおいて、われわれが多年必要であると考えて主張しております国防省に昇格いたしまして、そうして予算でも何でも機動的に動かしてりっぱにそれを能率的にやっていく、あるいは三軍の運用も能率的にできるような体制にするという、この姿を整えるということがまず第一に必要じゃないかと私は思うのですが、この点に関する長官の御意見を一つ伺いたい。
  23. 西村直己

    西村国務大臣 私も防衛庁の省昇格の問題につきましては、かなり熱意を持っておるものであります。特に防衛庁といたしましては、従来とも予算が多く、あれだけの人員、機構をかかえておる。これが総理府の一局に——今居そうろうという言葉がありましたが、行政庁長官としての総理大臣のもとにあって、政令を作るにも、あるいは予算要求をいたしますにも、すべてその責任の所在は最終段階においては行政庁長官としての総理大臣にあるということはいかがかという意味から、国防省論が起こっております。あるいは省昇格論が起こっておるのであります。これも一つの意見だと思います。と同時に私といたしましては、いま一つは従来の発生の経緯から見まして、防衛庁はただいまの世界の各国の趨勢から見ましたものと歩調が合っております。いわゆるシビリアン・コントロール、政治優位の原則がはっきり立っております。自衛隊は運用あるいはすべてにおきまして、国民の手によって、国民の意思によってこれが運用されなければならない。そこに私、長官のいすをいただいております場合に、内局というものが存在して、いわゆる文官の優秀な諸君が集まって補佐してくれておるのでありますが、ただ問題は、何と申しましても総理府の出店というような形から、各省から交互に交流されるような形になります。私はこのシビリアン・コントロールの原則、言いかえれば政治優位の原則を立てる意味におきましても、その責任の所在をはっきりするという意味におきまして、交流されてくる人事を中心にいく内局よりは、将来は防衛大学等が漸次卒業生を出して参ります。この諸君は、新しい民主主義のもとにおける自衛隊一つの気風というものをおのずから作り上げるだろうという場合に、彼らの意欲と、シビリアンとして内局を通して補佐していく諸君が、唇歯輔車で防衛庁長官たるものを補佐し、そうしてそれが国民あるいは国会の手を通じて運用されていくというような意味から、私は落ちついた考え方のもとにおいて運用される自衛隊国民的な基盤の上において運用される自衛隊という意味からも、御批判はありましょうが、むしろ省に昇格すべきだ、こういう考え方を持って熱望しておる一人でもございます。
  24. 保科善四郎

    保科委員 長官は今の防衛庁を省に昇格させることに御同意のようでありますが、この防衛機構のうちで最も大事なのはシビリアン・コントロールであると思いますが、このシビリアン・コントロールをほんとうに果たし得るかどうかということが、統帥の問題と非常に重要な関連を持っておると思うのであります。現在の自衛隊は昔とは非常に考え方も違っており、国民のために国家を守る自衛隊でありますが、自衛隊がほんとうに国家の安寧と平和を守るという任務を達成するということは大へんむずかしい。おそらく非常に苦心をされているところだろうと思うのであります。特にこれはほんとうに自分の任務に忠実で、国家のためには一命も捨てて働かなければならぬという場合があるのですから、それには新しい民主主義国家としてどういうように義務づけていくか、いわゆる自衛隊の軍紀とか士気とか、そういうような問題は長官の最も苦心しなければならない問題で、おそらく苦心されている点だと思うのであります。そういう点について、一体どういう方針で苦心を払われているか、その点をちょっと伺いたい。
  25. 西村直己

    西村国務大臣 前段の御質問にさらにつけ加えて申し上げたい点がございますので、お許し願います。省昇格には、あわせまして調達庁の問題が一つあります。これも省昇格の問題とあわせて検討して参りたいと思います。御存じの通り、社会党の委員の諸君からも、前に委員会で御質問を受けましたが、調達庁はどうするのだ、自由圏において基地を提供している国々においては、国防省の中に基地関係のものがございます。自衛隊にも基地がございます。同時に騒音対策とかなんとか考えましても、できる限りこういうものが一本化されていくような形をとるべきではないか、こういうようなものも勘案しつつ、シビリアン・コントロールをしっかり立てるというような意味、またこれだけの世帯をしょっておりますから、それらの責任の所在というものも直接防衛庁長官が、まず第一により以上はっきりしょい得る、こういうような建前のもとに、省昇格という問題を検討すべきではないか、こう考えます。  それからただいまの御質問でございますが、士気、規律等でございます。これだけの数の青年の集まりでありまして、しかも武装をいたしております。それだけにこれはあくまでもシビリアン・・コントロールの原則を浸透させながら、民主主義のもとにおいて訓練されていく、従って自衛隊というものは動かないことが——動かない状態と申しますか、移動しないこと自体が万全であり、理想であります。しかしながら同時にまた貴重な国民の税金を使って隊が存在する以上は、一たん最悪の場合、法律にきめられたる任務につく場合におきましては、その任務を十分に尽くす、そのためには平素の規律と訓練ということが大事だと思います。私の考え方は、従って自衛隊に対しましてはまず国民になじむ自衛隊、わかりやすい自衛隊、親しめる自衛隊にしたい。その次には信頼できる自衛隊、言いかえますれば、平素の規律と訓練というものが厳正でなければならぬ、こう思うのであります。この意味で各系統々々、言いかえますれば、空幕、陸幕、海幕、それぞれその主任務に従った規律、精神の制度をいろいろ起こしまして、やっていると思います。と同時に、三隊の共通した分野におきまして、さらに精神的に、十年たちました自衛隊でありますから、基準等ももっともっとしっかりしたものをきめたい、部内において今後検討を続けて参りたいと思うのであります。なおこれらの規律、訓練の基準等につきましては、教育局長も参っておりますから、必要に応じ御説明をさせたいと思うのであります。
  26. 保科善四郎

    保科委員 かつての軍の時代でも、ほんとうに国家の重大事に際して義務を完全に遂行するという教育訓練というものは非常にむずかしくて、これがわれわれの仕事のほとんど大半であったわけであります。ことに民主主義のもとにおいてそういうような事態を作り出すということは、非常にむずかしいと思うのであります。従って長官の最も重要な任務一つではないかと私は考えておるのでありますが、こういう非常に大事な任務を遂行するためには、やはり今長官がおっしゃったように国民の真の理解を得るということ、国民に心からサポートされておるということが非常に必要である。これは国民全体がやることでありますが、そういう点から、軍服を着て歩いたのではきまりが悪いというような感じを自衛隊に与えるようでは非常に工合が悪い。従って、待遇の面、精神的な面はもちろんですが、物質の面においても、そういうことで露骨にストをやるわけにもいかないのですから、十分にいろいろなことを考えて、国家を守り得る自衛隊を作り上げるということに対して、長官自体としてもやることが多いのみならず、国民全体の理解と信用を得ることが非常に必要である、こういう面において一体どういうような施策をとられておるのか、そういう点を要点だけ承っておきたいと思います。
  27. 西村直己

    西村国務大臣 私といたしましては内部におきましては内局のいわゆるシビリアンもおりますが、同時に何と申しましても自衛隊と申しますものは隊員が本体であります。従いまして、私は自分自体は至らない人間ではありますが、しかし、長官といたしましてはやはり自衛隊に対しては愛情と厳正な規律、訓練、この三点からこれを指導して参りたいと思います。従いまして、自衛隊にあやまちがあった場合には、できるだけ私どもは責任を持って国民にもおわびする場合もありましょう。しかしながら同時にまた自衛隊のよさというものも国民に知っていただく。たとえば災害救助あるいは建設、こういう民生協力の面におきましてもかなりまた自衛隊が感謝されている面もあるし、国民に好まれておる面もあります。またその他航空機による救難活動、海上における救難活動等、平素の任務外あるいは任務に支障を来たさない限度においてはあくまでも国民のためになりつつ、しかも最悪の事態の訓練と規律というものはそれを主任務にして厳正にやって参りたい、これが考え方であります。なお、さらに広げまして、今回の法案の中にも、オリンピック等が迫っております場合におきましては、イタリアにおいて非常に国民の好評を博しました例にならっておるわけでもありますが、自衛隊等が主任務を害しない限度におきましては国民の前において、国際的行事が円満、りっぱに行なわれますようにも協力をいたすよう準備もいたして参りたい、こういうような考え方でおるわけでございます。と同時に、自衛隊は決して隠れておるものではない、不安なものではないという意味から、国民にわかっていただくように用語等も平易化すると同時に、また自衛隊を開放して見ていただく場合には、できるだけ見ていただく、こういうように考えていきたいと思います。私は、自衛隊というものは存在をしております以上は、国民に知っていただいて、悪い点は厳正な御批判を受ける、同時にそのかわりよい点については卒直にお認め願って御支援をいただきたいという考えで、自衛隊を指導して参りたいという考え方であります。
  28. 保科善四郎

    保科委員 ただいま名称の問題がちょっと出ましたが、私は長官名称変更に対する考えを心からサポートする一人でありますが、こういうものはインターナショナルなものですから、わかりやすいようにいろいろなものを改められるということが、国家を守る自衛隊国民に親しまれ、あるいは国際的にも認められるというような意味合いにおいても必要だと思うので、今検討中と承っておりますが、ぜひ御実行をお願いいたしたいと思います。  それからこれは教育局長に伺いますが、新聞にも出ておりましたが、民主主義下における自衛隊のあり方というものに対して、何かいろいろ検討されておるように聞いておりますが、その要点をごくかいつまんで承りたいと思います。
  29. 小幡久男

    ○小幡政府委員 現在自衛隊におきましては、三自衛隊共通の精神要項と申しますものは、まず第一に自衛隊法五十二条に本質として規定しております簡潔な条文がございます。それによりましてはあまり簡潔でありますので、さらにそれを敷衍いたしまして、先ほど長官が申しましたように、国民に親しまれ、また信頼される自衛隊の基本精神は何であろうかということにつきまして検討をしておるわけでございます。現在までの検討の結果、事務的な結論といたしましては、基本におきましてはやはり民主国民としての精神を基調とする、つまり自己を高め、人を愛し、祖国を思う、この三点を基調とする。それに従いまして信頼される精強なる自衛隊となるためには、使命の自覚、あるいは責任の遂行、あるいは規律の厳守、あるいは団結の強化といったふうなことにつきまして、それぞれ新しい感覚を持って部隊の精強を築き上げていくような内容のものを作っていきたい、かように考えておる次第であります。
  30. 保科善四郎

    保科委員 ほんとうにいい自衛隊になってもらいたいということを心から念願しておるわけでありますが、長官、今の事態は、今のような方針で十分に一つそういうふうに仕上げていく、そういうようにインプルーブされておる状態と見ておられますか。
  31. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん自衛隊に対して一部政策的な立場、あるいは思想的な立場から、まっこうからこれを御否認なさる面もあるわけであります。従って私は国民の中にもまだそういう分野があるだけに、自衛隊の存在についてはあるいは自衛隊員の人によっては気持が多少動揺する人もあるかもしれません。しかし私は全隊員はやはり国の自衛というものを中心に、日夜訓練し、勤務についておると信じております。従ってまだ十年の歳月しか今日に至るまで持っておりませんから、不十分な点はありますが、日夜漸次改善を加えられておる。私時おりは部隊の査閲等に参り、事情等もいろいろ見ますが、私が長官になるまでに想像していたよりはるかによく育成されてきた自衛隊であると考えております。今後さらに私はこの育成に向かって真剣な努力を払って参りたい、こういう覚悟でございます。
  32. 保科善四郎

    保科委員 今の点は、従来あまり触れられない点でありますが、非常に重要な点でございますので、どうぞ一つ国民によく自衛隊をわかってもらう。自衛隊の人たちがいかなる団体訓練を受けて、りっぱな国民の中核になっているか、視野の広い新しい日本人がここからでき上がってくるだろうという工合に、進んで自衛隊から出た人を国民が受け入れて、各機関に入って——今野放図な自由が行なわれておるわけでありますから、もっと良識あるほんとうの団体生活の中にりっぱな訓練を受けてきた者として、日本国家全体をよくするような工合になるように、この上とも国民の御理解と長官の御奮闘を心からお願いするわけであります。  次に、日米安全保障条約についてお伺いいたしたいのでありますが、日米安全保障条約は、これは私から申し上げるまでもなく、この方面から戦争が起らない事態を作るというために、この防衛経済の提携をはかっていくということが主眼点であったと思うのでありますが、問題は戦争を起こさないようにする。起こさないようにするためには、これは形だけではだめだ、やはり実質的にそういうようなことを企てては大へんなことになるというので、そこに現実のしっかりしたものがなければいかないと思う。そういう面からいうと、当然共同の状況判断をしたり、あるいはどういうようにしたならば直接、間接侵略に備えられるかというような共同の計画もなくちゃならない。それで初めて戦争の抑制ができるのだと思う。そういう点からいうと、これはそういう面の連絡をはかる専門家の会議みたいなものが当然必要だと思うのですが、今もってそういうようなものは、この新条約によって作られたということを聞かないのでありますが、これは一体どういうことでありますか。その実態を伺いたいと思う。
  33. 西村直己

    西村国務大臣 私の代になりましてから、まだ機会を得ませんで、安全保障協議会と申しますか、トップ・レベルの会合はいたしませんが、前長官時代に意見の交換をいたしております。さらに私といたしましては、これは外務大臣その他関係大臣とかアメリカ側の都合もありましょうが、それらと打ち合わせてなるべくすみやかなる機会に、そういう意見の交換の会合をやっていきたい。さらにまた私の方には、御存じの通り陸海空各ユニホームの長がおります。これやあるいは幕僚監部の長が時おり諸般のそういった事情につきまして、緊密な連絡をとっておると私は聞いておるわけであります。そうしてそれらのいわゆる共同任務と申しますか、安保条約からくるところの共同任務に対しての意見の交換あるいは打ち合わせ、こういうようなものは不断に行なっておるというふうに考えております。
  34. 保科善四郎

    保科委員 これはああいう事態を起こしてまでやらなくちゃならぬ事態になって、こういうものができたのですから、これは十分に活用して、戦争をほんとうに抑制するような具体的な手段を——こういうことは低姿勢でいく必要はない、ちゃんとやるべきことをおやりになった方が私はいいと思う。御遠慮なさる必要はないですから、こういうことはどんどんやって、そこでほんとうの任務を達成していくようにしていただきたいと思います。  国防会議事務局長おりますか。——それでは私の質問は一応これで打ち切りまして、また後に機会があったら質問を続行することにして、一応これで打ち切ります。     —————————————
  35. 久野忠治

    久野委員長 この際国の防衛に関する件について、あわせて調査を進めることといたします。足鹿覺君。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 防衛庁長官並びに関係方面に若干お尋ねを申し上げたいと存じます。実は昨日の予算分科会におきまして、長官の御出席を要求したのでありますが、ありませんので、本日発言の機会をお与え願ったわけであります。できる限り昨日の質問と重複を避けたいと思っておりますが、若干重複する点はお許しをいただきたいと存じます。  三十六年度の防衛庁関係の予算は相当増額計上されておるようでありますが、これは単に防衛庁のみならず、各省にも共通した事柄ではございますが、なかんずく防衛庁関係自衛隊の施設整備費等につきましては、四つのファクターと申しますか、それによって相当弾力性のある予算が組まれておるように思います。すなわち一般会計の計上額、また国庫債務負担行為、繰越明許、施設等については調達庁施設提供等諸費の移用、こういう四つの内容が具体的に明示されないままに計上されておりますが、私は健全財政の建前から単年度会計を堅持していく意味におきまして、でき得る限り国庫債務負担行為、繰越明許あるいは調達庁施設提供等諸費の移用といったようなことは、極力これを避くるべきものだと思います。それがだんだんこの傾向が強くなって参りまして、最近、特に防衛庁については著しいように見受けられるのであります。これは国会の審議権とも関係いたしまして、きわめて重大な問題だと存じますが、防衛庁長官は、特に自衛隊関係の施設整備費等を中心にこのような傾向に対して極力これを押えて、単年度会計を堅持していく建前に立って予算を編成されなければならぬと存ずるのであります。しかし継続事業等についてはやむを得ないことは私も存じておりますが、少しその度を逸していはしないか、かように考えるのでありますが、大臣としてはこれらの点について、いかなる予算編成の基本方針をもって対処されましたか。最初にその点を伺いたいと存じます。
  37. 西村直己

    西村国務大臣 先般来、私も時おり御意見があることを聞いておりますことは、防衛庁の国防費予算が、繰越明許であるとか、国庫債務負担行為、継続費等々、そういう後年度会計にわたるものが多いではないかということで、事実他官庁よりは少し多いと思っております。ただこれらのものは、事柄の性質によっては、今足鹿委員のおっしゃいますようにやむを得ないというよりは、たとえば艦船の建造等が継続になっている、あるいは後年度に生産計画等がまたがるものは、国庫債務負担行為になっておるものもあろうと思います。もう一つは、施設提供あるいは物件の購入等におきましては、防衛庁の特色があるのでありまして、輸入物品あるいはMAPと申しますか、無償援助等からくる貸与との組み合わせで、一部の部分は日本で作りましても一部は外国から購入する、こういうようなもの、あるいはその品物が市中では簡単に市販されていないような特殊性のもの、こういうような性格があって、納期等がその間に変化して参るという状況、それから施設提供等におきましても、御存じの通り土地の取得において非常に困難な場合もあり得るのでありまして、何カ所かにおいて行なわれている事実をすでに御存じと思います。こういうような事柄から、繰り越しなり後年度会計へわたるのが比較的多いのではないか。ただ最近ここ数年の間には、私どもは漸次この繰り越しなどが少なくなるような形におきまして、三十三、三十四と減らして参っておることだけは事実でございます。これは自衛隊が発足しまして、漸次それらの方向づけもやや明確化するに従って、そういうような方向はたどれると思うのでありますが、同時に事柄の性質上それもやむを得ない、またそういう特色があるという点も御考慮願いたい、こういうふうに考えて予算編成に当たって参りたいと思うのでございます。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 特に本委員会に付託になっております防衛法案関係は、次の防衛計画等とも密接な関係を持ちまして、そのことに対する見解は別といたしましても、漸次膨張化の一途をたどっておるように見受けるのであります。今長官の御答弁で、それを避けたいというお気持は一応わかりましたが、かつての帝国議会において、軍事費が国の予算の四割五分を占めるような状態になったとき、ついに国会の審議権がそれに及ばなかった。まるのみの状態で、いわゆる軍の秘密とかいろいろな立場から、ほとんど国会の審議権が及ばないところに軍部の跳梁となり、ひいては日本をあのような太平洋戦争の末を遂げせしめた基因になっておると思うのであります。そういう観点から私どもはこれから伺うことにつきましても、十分計上費の内容等について御答弁を願い、かつお尋ねをするのに関連した資料等の御配付にも御善処を要望しておきたいと思います。  そこで第一にお伺いいたしますのは、私は去る二月一日に国会法七十四条に基づきまして、航空自衛隊の施設整備費を中心に質問主意書を提出いたしました。これに対して去る二月十四日、池田総理大臣名をもって答弁書が送達されました。それによりますと、たくさん項目がございますが、ある項で、今非常に問題になっております鳥取県境港市所在の輸送航空団基地を、昭和三十八年度を期してジェット機実戦戦闘基地とすることについて、答弁書の施設整備費の内訳として八項目あります中に、その七、航空団基地建設として七億二千五百万円、別に国庫債務負担行為額四億五千二百万円、合わせて十一億七千七百万円を計上しておる旨の答弁がありましたが、これに関連して、これは昭和三十一年、二年にアメリカ駐留軍が通信施設等を強化するというので大きな紛争が起きた地帯で、当時アメリカの戦略の転換あるいは地元民の反対等によって、通信基地拡張をアメリカ軍は断念したといういわくつきのところでありますが、そういった経過から見まして、当局がこの輸送航空団基地をジェット機の実戦戦闘基地化していくことについては、ずっとそれ以来考えておられたようでありますが、そういう立場から、繰越明許に基づく前年度よりの残のこの基地に対しての予算は若干ありますか。あれば幾らでありますか。調達庁施設提供等諸費の移用等の問題もありますが、この点についてもどのような見込みを持っておいでになりますか。数字でけっこうでありますから、あるならある、ないならない、あるなら幾らということを明確に言っていただきたい。
  39. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 次期航空団建設のための施設整備費につきましては、日本については繰り越ししておるものはございません。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 あなた方の考えをもってすれば、問題は今後にあるわけでありますが、従来はないというわけでありますね。それからジェット機の実戦戦闘基地に必要な拡張または新設を考えておられますが、現在松島等に飛んでおりますF86D、これを想定しておると昨日も経理局長は申されました。しかしF104Jジェット機の国産化も本年は一機とか二機とかできるやに聞いておりますが、そういった点から、将来どこどこにそのF104Jの機種を配置しようとしておられますか。美保はその予定地に入っておりますか。そういう想定で計画を立てておられますか。その個所を御明示願いたい。
  41. 海原治

    ○海原政府委員 104の配置予定場所につきましては、先般の分科会でもお答え申しましたように、ただいま二次計画というものを事務的に検討いたしております。この過程において予定をいたしておるのであります。ただいまは何とも申し上げられませんことを一つ御了解願いたいと思います。ただ美保には86Fを持って参る予定で現在おります。Dではございません。松島に飛んでおりますのも、これはF86Fでございます。美保は104は持って参りません。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員 長官に伺いますが、現在国産化が具体化しておるときに、どこへ持ってくるかわからぬいう防衛局長の御答弁でありますが、どこかへその機種を配置せられることは間違いない。現在美保基地がジェット実戦戦闘基地として予定されておるということは、F86Fだと今お話しになりました。ゆうべの経理局長の御答弁ではF86Dと私は聞いたのであります。防衛局長の御答弁が正しいと一応理解しておきますが、全然検討もつかぬというようなことではなしに、国民の前に第二次防衛計画等との関係とにらみ合わせて、事態を明らかにせられたいと思いますが、いかがでありますか。
  43. 西村直己

    西村国務大臣 いわゆるロッキードの方は104Jは来年の四月以降に初めて実際には一機出てくるわけです。三十七年度の一月に生産が一機できるわけでございます。従いましてこの104Jは配置の個所は、飛行隊の編成であるとか、パイロットの編成、いろいろそういうものと関連しまして、次期の整備計画の一環の中で、いわゆる空軍というとおしかりを受けますが、何といいますか、航空自衛隊ですか、航空自衛隊の長期計画の中へ当然織り込まれていきますから、それは千歳であるとか、あるいは百里が完成したら百里になるのか、そこら辺のところは飛行場の滑走路とか、いろいろ周辺の環境も考えていかなければならぬと思います。そこで問題になります美保につきましては、今輸送機隊に、さらに滑走路を拡充していった場合でも、立地条件等を考えて、あそこは104は使わないということはここではっきり明言ができるわけであります。それからF86Fといういわゆる昼間を飛ぶ飛行機だということも、これも部内の諸君の意見は一致して、Dではございません。夜間戦闘機ではないわけでございます。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 私が最も遺憾に存じますことは当局が美保基地の新設または拡張をお考えになっておることにつきまして、私が国会法に基づく成規の質問書を出しましても、また陳情隊と一緒にいろいろとお話を申し上げに参りましても、また事務当局にいろいろ実情をお聞かせ願うことを申しましても、なかなか事態を明らかにされない、これが今までの実情でありまして、非常に残念に思っておるものでありますが、しかるに、くどくは申し上げませんが、二、三日前に私はやむなき所用で国へ帰りました。ところが庄子美保基地司令と称する人が二十八日に談話をして、それによりますと、来たる三月十日ごろに、現地において美保ジェット基地計画の内容を発表する、こういうことを新聞に堂々と公表いたしております。私が質問主意書を出し、その後も長官にも先般地元の陳情を御案内してお願いに上がりましたが、その当時はまだわからぬと言いながら、わずかの期間に地元の司令が地方紙に内容を発表するのだ、しかも国会の予算の審議もまださなかにある中に、出先がそのようなことを言われるということは非常に私どもは遺憾に思います。国会のこの場において、見解の相違は別として、事態を明らかにされるならばもっともでありましょうが、それに対しては質問主意書に対しても、調査その他が完了しておらない、まだ計画もきまっておらないと言いながら、地元においてさような発表をされるということは不謹慎ではないか。厳正な規律といいますか、そして公正な国家の公務員としての立場を逸脱していはしないか。地元に賛否いろいろな議論のあることはもちろんでありますが、それに対して一つ規制を加えるような目的を持ったと推定もできないことはございませんが、このような事態に対して、長官は司令に対してかようなことを発表することを命じられたのでありますか、この点を伺いたい。
  45. 西村直己

    西村国務大臣 基地の問類はなかなか現地の御協力を得ることは易々たることでないことは、いろいろな場合によく起こることであります。もちろんこれは国の目的と現地の住んでいらっしゃる住民の方々との利益、希望、国の意図する希望、こういうものの調節がうまくいかなければいかないということは私も重々存じております。従いまして防衛庁としては、美保に104でないF86Fを使わしていただいた場合に、どういう構想でいき得るかという希望的なものはいろいろある。私どもあそこの地勢はよく存じませんが、中海という湖があって、大根島という島がございますか、そういうものに対しての方向とかいろいろな角度から考えた各種の考え方というものは、当然国の方で希望する場合には希望を持って、準え方を幾種類か持つということは、私としてあり得ると思うのでございます。ただこれを実際に現場に即してどういう形にするかということは、測量とか調査することに御協力願わなければ、具体的にこういうような一つ防衛庁の案だということは確定はしないわけでございます。従って一つ防衛庁案にまだいかない段階において、こういうふうにした場合にはこういうふうな被害が起こるかあるいはないかという意見交換のような気持で、現地の部隊あるいは空幕の局においてやるという場合はあり得るのではないか。それを、ただ防衛庁がそういう案を確定して長官がすっかり決裁まで終わったものを国会に発表しないで、現地だけでやっているのだ、こういうふうには私は解していないのでございまして、おそらく新聞あるいは現地の受け取り方に——現地のものの言い方が事態を紛糾させるということは好ましくないのでございますが、基地業務をやっていく場合におきまして、一応この土地を使うならばこういうふうな形にも使えるし、こういうふうな形にも使えるが、いかがでございましょうかといって出先の機関が打診することも、またお許し願わなければならぬ。初めからこっちが勝手に案をきめて押しつけていく、それから討論を始めるという前に、お互い同士が弾力性を持った考え方で、できるできないは別でございますが、やるということもまたお認めを願わなければならぬのじゃないか、こいう考え方でございます。ただその発表の仕方であるとかやり方については、現地の部隊の諸君と申しますか、その系統の諸君が、よほど慎重な態度で臨むことが私としては望ましいわけであります。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 これは地方住民、なかんずく鳥取、島根両県の基地の周辺におります国民の、非常に関心の高い問題であります。ただ単にどのような意図で司令がさような言明をされたか、命令をされたかどうかということを伺っておるのでありまして、それが一つと、それから今週中に計画案を防衛庁が現地で発表すると言っておるのであります。おそくとも十日ごろまでにやると言っておるのでありますが、そのような考え方で対処しておられますか。
  47. 西村直己

    西村国務大臣 もちろんこの問題は足鹿先生も非常に御苦心をしておられる問題とかねがね承っておりますが、地元の関係者には、基地ができた場合にはどういう利便があるかという面から、賛成的な考え方もあろうと思います。従っていろいろな意見が現地関係者並びに住んでいらっしゃる方々には流れていると思います。そこで防衛庁としては、もしこういうふうな考え方であったらどうだろうか、またはこういうふうな点については実際はこういうふうに自分の方は考えておるのだ。たとえば牛や羊が子供を産まないとか、いろいろ被害に対する予想以上の想像をし過ぎる。悪い言葉でありますが妄想等も起こり過ぎている場合もありましょうし、また実際上防衛庁側の考え方に間違っている点もありましょう。そこらの意見は、防衛庁側としてはこういうような気持でやらしていただく場合は、こういうふうなことでやりたいのだがいうぐらいのことは、基地折衡の場合に出しますが、これは住民が全部反対であるならばいざ知らず、やってもいいじゃないかという声もある場合には、当然お許しを願えるのじゃないか。そういう意味で、どの方面の諸君がそういう発言をしたか私は知りませんが、部内か出先では当然許されてしかるべき行為であると考えてやっていることと私は思います。言いかえますれば、防衛庁側としては御納得をいただく意味で、一つの仮案等をある段階においていろいろな角度から持って上がる。同時に今度は地元の賛成の方、反対の方に十分御意見を吐いていただく。できるできないは別でありますが、そういうことは当然あってしかるべきことではないかと考えております。
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 いつごろおやりになりますか。
  49. 西村直己

    西村国務大臣 私自体は率直に申しまして具体的作業は存じておりませんが、おそらく関係者としては現地の状況とあわせまして、こちらからも人が参りまして、できるだけすなおな形で、こんなことがあるがどうだろうかとやりますので、ここ十日ぐらいになりますか、一週間になりますか、わかりませんが、おそらく現地で御理解を願うということで、防衛庁関係者としては急いでおるのではないかと思います。現地が十日と言ったか、何と言ったか私は存じませんが、そういう機会がほしいということはかねがね言っておりました。逆に島根県地方では一部にむしろ何か一つ考え方があれば、それがきまったものでなくてもよろしい、仮草案でもよろしいから説明したらどうかという希望もあります。おそらくその前に鳥取県の方に上がる機会があるかもしれません。これはうそ偽りもありません。率直に申しますが、もちろん全面拒否だとおっしゃれば別でありますが、そういう機会に話さしていただく、こういうふうなお願いがきっと出ておるのじゃないかと思います。だからいつまでということは私は聞いておりませんが、できるだけ早い機会にという希望があるのじゃないか、こう思っております。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員 とにかくあなた方が急いでおられるということはわれわれも仄聞をしておりますが、地元がこの問題で非常にもめておるときに、本庁とも連絡も持たないそのような勝手な言動を、しかも施設整備でありますから、司令自体には自衛隊法上においてそういう権限はないと思う。そういうことを発表せしめるというようなことについては、今後厳重に対処してもらいたいと思います。  そういうことは別としまして、去る二月二十七日に島根県議会が特別調査委員会を設けまして、三島委員長が現地調査の上帰って報告をいたしております。それによりますと、御存じのようにあの地帯は昭和三十七年を実施の目途としまして、われわれが過去十数年間にわたって山陰の僻地の中に、一番将来性のある臨海工業地帯あるいは淡水化干拓等によって理想郷を建設しようということで農林省もそれを認め、長官も御存じでありましょうが、二千五百町歩の埋立干拓を行ない、樋門を設けて中海を真水にして臨海工業地帯を建設する。また一方昭和十六年、大東亜戦争の初頭におきまして当時の海軍の軍事基地ができました、そのときに約三百町歩以上を、当時の金で三百六十円程度で、お国が勝つためにというので地元民は涙をのんでほとんど強制的に飛行場の用地に提供いたしました。その後アメリカ軍がさらに通信施設を拡充しようというので、これも二年越しの大紛争をいたしましてやめられた地帯であります。その三百数十町歩を奪われた農民たちに農地をいかにして提供するかということで、現在も代行干拓等によってこの沿岸には干拓、埋め立てが行なわれ、すでに耕作に入ったものもございます。そうして中海干拓淡水化の問題では、国費八十六億を概算として計画がすでに着手寸前にまで進んでおる地帯であります。   〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕 地元の事情を長官は御存じかどうか存じませんが、これは島根半島と弓が浜半島に抱かれた内海でありまして、この弓が浜半島は一番狭いところは一里に足りません。そしてこの地帯は日本の農村としては全国一の人口稠密地帯であります。平均耕作面積は三反余り、特に飛行場等で農地を奪われましたために、営農方針を変えて酪農、養豚、養鶏あるいは高度の蔬菜園芸等によって、辛うじて生計を維持しておる地帯であります。しかも現在輸送航空団が使用されております飛行場は、米子−境港線の国鉄に約二、三十メートルの差で飛行場の末端が接近をし、県道がその周辺を通り、交通もきわめていいところであります。しかも民家には五十メートルというところであります。おそらくこのようなものも戦争中なるがゆえに、軍の至上命令なるがゆえに、また当時の地方住民は日本が勝つためにというので、すべてを忍んで犠牲を払ったと申しております。そのものを実は持って逃げてもらいたい、これがほんとうの私どもの気持でありますが、すでに現在設置されておるものについては、今にわかにこれを撤去といっても、なかなかそれはむずかしいことであろう。少なくともこれ以上地元民に迷惑を与えないようなことが好ましい。それが思想やイデオロギーを越えた一般の住民の声であります。騒音のために住宅を移転される。その場合は一戸三百万円もらえるそうだ、はなはだしきに至っては一戸千五百万円もらえるそうだというような宣伝を一部にしつつある者があり、またその宣伝を真に受けておる者がありまして、そしてアメリカが朝鮮爆撃の基地として使ったときに、これについてきた特殊な婦人や、あるいは飲食店等の流れついた人々がおります。そういう人々は当時の味が忘れられなくて、そうしてこの事情のわからない素朴な農民や、地方住民が困っておるのにつけ込んで、莫大な補償金がもらえるのだから賛成をせよ、こういうような事情であります。そして賛成署名が若干あったようでありますが、判こを押した人に直接聞いてみると−そういうものはない、今の防衛庁の補償基準あるいはその他の基準によりますと、そういうものはないのだと言いますと、そんなものがもらえぬならいやだ、何でこれ以上われわれが痛めつけられなければならぬのか、こういう気持であります。これは決して私は一つのイデオロギーや思想に基づいて申し上げておるのではない。素朴は地方住民の声を私は長官に申し上げておるのでありまし、て、私どもとしては、ほんとうの気持としては、一番耕地の少ないところでありますから、持って逃げてもらいたいが、今あるものはこれはもう泣き寝入り、こういった気持にほかならぬと思うのであります。それをいいことにして、全国にも例のない、海面を埋め立て、しかも中海干拓淡水化のそのどまん中へ埋立工事をする、こういうことは地方民としては、これは先ほど申し上げましたように絶対反対であります。  すなわち安来の市議会が二月六日、その前後、東出雲町外八ヵ村が続いて議会で反対議決をし、昭和三十一年には境港、米子市ともに市議会は党派を越えて反対の意思を決定して、今日に至っておるのであります。そういう自然的、地理的、経済的、社会的諸条件が整わないところに、何を苦しんであなた方は地方民の抵抗を排除して、これを強行されなければならない理由がどこにあるのでありましょうか。私はそういう点から、私ども地方民の夢を託したこの中海干拓淡水化に伴う臨海工業地帯、そうして家畜を主体とするところの新しい農業経営の建設ということこそが、今後における山陰の、僻地で、他に見るべき資源のないこの地帯としては、その方針で進むべきものである。この見地に立って、私も一議員として過去十カ年間中海干拓淡水化の推進に当たって、昨年五百万円の実施設計、本年も千八百万円の実施設計が現に組まれ、八十六億の概算経費でもって来年はこれがすでに実施に入ろうとしておる。そういう今までの経過と現状、将来の上に立たれましたならば、防衛庁はこの計画を断念せられるのが私は至当であると思う。地方の住民の協力を得られない、その反対の上に立つ、いわゆる国土防衛上の施設がはたしてどの程度の意義を持つものでありますか、よくお考えを願いたい。  また昭和三十二年にはアメリカの無人機が人家の上に墜落し、また現在の輸送航空団のダグラス輸送機が中海に墜落し、多大の被害を与え、また地方民に衝撃を与えております。今の状態は、飛行機が始動を開始するときには鉄道も一時停止をする。人馬の通行は全部制限をする。そういったまことに狭小なところにことさらにこのような大計画を持たれるということは、しかもF104Jのロッキードの配置も、ないとはおっしゃいますが、はたしてその保障もない。そういうことは私どもとしてはとられざるところではないかと思いますが、そういう点について、過去の状態、そして現在の状態というものを、もっとあなた方は虚心たんかいに把握されまして、この問題に対処されることが、私は最も妥当であり、正しい問題ではないかと思う。当初はこの大根島上空へ航路を向けられた。村民の絶対反対で、今度は島根県の松江市へ航路を向けられた。今度は農林省が二百数十町歩の干拓をしようという揖屋干拓の工区の上を上昇するような航路を定められた。もうこれ以上どこへ航路を変更する余地がありますか。おそらくこのような無理なところへ持ってこられること自体が誤っておる。話し合いなり調整の余地というものはおそらく限定されておると私は思います。それを、あとのこまかいことは申し上げませんが、長きにわたって、秘密裏にいろいろな調査をされ、しかも昨年の暮れから本年の三月にかけて、大蔵省の行政一般財産を防衛庁の行政財産に移管のための実地測量を行なわれたり、あるいは数年前から海底地盤の調査、水深その他の調査をされた疑いもございます。そういうふうにして地元民には秘密裏に秘密裏にし、しかも一方においては莫大な補償が出るような宣伝がどこからともなく出て参ります。そういう責任は、昨日も私は経理局長に申し上げましたが、地元住民の誤解だということをおっしゃいますが、地元住民の誤解ではない。これは大東亜戦争以来、地元住民はこの飛行場をめぐって非常な迷惑を受けておる。何ら得るところはない。外来の、よそから流れてきた人は別として、何ら利益を受けておらない。迷惑こそ受けておれ、利益を受けておらない。従ってその人々は、金がもらえるなどといったそういう一部の人々の盲動に乗って、困っておりますから、わらをもつかむ気持から、そういうことを言っておるのであります。ほとんど全部といってよろしい住民は反対であります。そういう点をあなた方防衛庁事務当局は、まず昨日の質疑で意向はわかりましたが、防衛庁長官として、国務大臣として、同じ国土の一部をなす地方住民、しかも政府は所得倍増を唱え、産業間、地域間の格差の解消、均衡をはかるのだといって、現にそこは通産省の工場立地調査の対象になり、自治庁の基幹都市の構想の対象となり、あるいは経済企画庁の大山出雲総合開発地域計画の中心点であります。われわれは、もしそこにそのようなものを設けられたならば、国が今まで巨費を投じたものはすべてなくなるとは申し上げませんが、その効果はほとんど半減され、あるいはあるものによっては全くその目的に反する事態を招来しはしないか。そのような立地条件や経過について、長官は事態をどのように認識しておられますか。いわゆる未来永劫に長官をやられるわけでもございますまい。少なくとも民意把握の上に立って、この問題に対処されることが、私は最も妥当な考え方だと存じますが、そういった私がるる申し上げましたような最近における、また過去の経過から見た地元住民の感情、気持、また自然的、経済的、社会的な諸条件から判断して、これが適地だと考えておられますか。その点について真摯な態度で、この際御所信を承っておきたいと思います。
  51. 西村直己

    西村国務大臣 御存じの通り国土防衛上、防空の立場から、防衛庁長官といたしては、基地を獲得いたさねばなりません。と同時にこれは国土全般の建設また地方住民の協力、これらの点を調整しつつやっていく。これは私の当然の基本的な考え方でございます。そこでただいまお話をいろいろ承りました。特に農政に非常に挺進しておられる足鹿さんが、しかも郷土についてこの問題を背負っておられるということに対しては、私も十分に理解し得る面もあるのであります。  ただ問題は、ただいまお述べになりましたうちでも、必ずしもそれに該当しない面もあります。たとえば松江が騒音で大へんだ、こうおっしゃいますが、かりにその中海の中へ滑走路ができましても、わずか五百メートルか千メートルばかり滑走路が出るのでありましょう。それから松江までは二十キロ前後の距離があるのではないか。あのジェットF86Fが二十キロ飛ぶ間においては、はるか高い八千フィート以上の上空をそれて、松江のはるかはずれを通る場合には、騒音どころか松江あたりは音響さえ気がつかないというような状況に立つのではないか。また臨海工業地帯だから絶対にというわけにはいかないと思う。たとえば静岡県の浜松、ここにはF86Fが今日教育隊として訓練をいたしております。日本楽器等のあの楽器のような工場までたくさん周辺にあるのでありますが、何らそこに飛行場立ちのき運動はないのでございます。むしろあそこの基地というものは、市民と相提携してやっておるという実際もございます。それから海の中に滑走路を作った例はないじゃないかとおっしゃいますが、現在福岡県の築城飛行場では建設中でございます。そういうような例もございまして、私どもは、もちろん地元の代表の気持を御熱心にお訴えになるお気持も大事でございますが、同時に国土防衛の必要性からくる立地条件等々も考え合わせまして、どこかに調整点を発見して参りたい。ことに美保の飛行場は、御存じの通り軍用だけではございませんで、現在も全日空の飛行機が日夜と申しますか、発着をいたしております。従いましてこの飛行場が将来整備されるということによって、むしろ臨海工業地帯の拠点としての一つの発展ということを考えていらっしゃる方々もまた同様にあるわけでございまして、必ず全部が全部反対ということではございません。決して足鹿議員が一つのイデオロギーの立場でやっておられるのではなく、農政の立場から郷土を愛し、御心配をされている点は私は敬意を表します。しかしながら同時に防衛庁長官といたして、国土自衛上、基地設定というものも私は全般の立場から責任を持っておるわけであります。もちろん中海の干拓計画というものとこの飛行滑走路を海中に出すこととは、これらは十分関係の農林省と調節をはかって参らなければならぬと思います。また内閣にも御存じの通り、私着任いたしまして以来、単に基地の問題は防衛庁だけの考え方でなしに、同時にまた建設省、農林省関係省が打って一丸となって、お互いの利害を調節する、また場合によっては義務を負担して促進をしてもらう、あるいは建設をはかるというような意味で、内閣にも基地等の環境改善対策協議会というものを設けさせて、スタートを切り出した次第であります。これらとも連絡をとりながら、十分私としては考えて参りたい。断念するかという考えにつきましては、私は卒直に申しますが、調査等の御協力をいただければ調査をやる。その間に話し合いは進めて参りたい、こういう考え方でございますのを御了承いただきたいと思います。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほど申し上げましたように、かって無人機の墜落あるいは航空自衛隊の輸送機の墜落等、数々の事故を起こしておりますが、最近アメリカ駐留軍所属の飛行機あるいは自衛隊の飛行機また民間の飛行機、ジェット機等の墜落あるいは事故が頻発しておりますが、この際自衛隊機の墜落事故に関する資料、また擬爆弾の投下の際にあやまって投下された場合が相当あるように思いますが、そういった事態を明らかにする資料の御提示をお願い申し上げておきます。  それから建設省はおいでにならないそうですから、自治省の方にお伺いします。御存じのようにこの中海は、これが弓が浜半島、これが島根半島でありまして、その内海が中海になっておる。ここのところから今滑走路の延長が行われようとしておりますが、境界が明らかでない。鳥取、島根に抱かれた内海でありますから、境界が明らかでない。これは施設を計画される場合におきましても、公有水面埋立法の二条か三条の規定でありますか、国がやる場合におきましては地方長官の認可を必要とする。また地方長官が承認をせんとするときは、地元市町村議会の意見を期間を付して聞かなければならぬという明文があることは御存じの通りでありますが、この問題をめぐって島根県側は史実に基づいて、鳥取県は漸次中海を埋め立てておりますので、県境はもっと陸地と化したところにあるのだ、それは捨て石等に基づいて明らかであるということを主張し、またそれに反論を加える史実調査家から意見が出ておりますが、いずれにいたしましても相当大きな埋め立てが計画されます以上は、当然この境界をめぐって、公有水面の免許あるいは承認権はいずれの県に属するや、また両県であるか、こういうようないろいろな話が毎日新聞紙上その他をにぎわしているわけであります。それで昨日私時間がないので簡単に質問いたしましたところが、地続きである鳥取県側であると、経理局長はきわめて簡単に断を下されましたが、これはあなた方はその方が都合がいいという常識上の判断に立っておられると思いますが、最近の都市周辺の団地が数ケ町村にまたがるとか、あるいはその他幾多の境界問題をめぐって、地方自治法あるいはその他自治省関係の法令について、処断のできない事態が起きているやに伺っておるのでありますが、こういう境界問題については自治省当局としてはどのように根拠を定めるべきかということを検討されておりますか。おるとすれば、どういう対策を持っておられますか。またそういう見地から、この中海の鳥取、島根の県境についてのあなた方の御所見を、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  53. 岸昌

    ○岸説明員 お答えいたします。公有水面の埋め立てをいたします場合に、しばしば関係地方公共団体の間において公有水面の所属が問題になっておることは御指摘の通りでございまして、現在までにまだ解決を見るに至っていない例も若干ございます。これにつきましての基本的な考え方といたしましては、私どもは地方公共団体の区域の中には、陸地だけではなくて海面なり水面も含んでおる、こういう考えに立っておるわけです。従いまして古来からの古文書その他によって明快に水面上の境界がきまっておる場合には、その境界によるということになっておるわけです。それによって解決した例もだんだんあるわけでございますが、何分海面上の境界ということについてはそういう古文書等の資料も乏しいわけでございますので、最初に申しましたようにまだ解決を見ていない例が若干あるわけでございます。それらにつきましては極力知事が中に入りまして、あっせんなり調停をいたすようにいたしておりまして、これによって解決しました例が、最近では神奈川県の追浜でございますとか、千葉県の五井、市原の埋立地というふうに例がございますが、まだそれによって根本的に解決を見るに至っておらない例もございます。そういう例にかんがみまして、今日の公有水面埋立地の境界の問題をもう少し根本的に解決することができるように目下検討中でございまして、成案を得次第一応の改正というようなことにいたしたいと考えておる次第でございます。  ただいまの中海の具体的な境界の問題につきましては、ただいま申し上げた一般論によりまして、もし明快な古文書等の資料があればそれによるわけでございますが、それらの資料は私どもの方に参っておりませんし、具体的な確定につきましては、私どもとしては現在ここが両県の境界だというような十分な資料を持ち合わせておりません。従いまして具体的の境界について見解を申し上げる準備はございません。
  54. 足鹿覺

    足鹿委員 伝え聞くところによりますと、その裁定の根拠を作るために法的な措置が検討されておるやに伺いますが、それはこの国会に御提出になるのでありますか。大体その模様をお聞かせ願いたい。
  55. 岸昌

    ○岸説明員 まだ検討中でございまして、成案を得次第立法措置をいたしたいと考えておりますが、まだただいまの段階では、今国会に提案いたしますと明確にお約束できる段階には至っておりません。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 地方自治法については私は十分勉強ができておりませんが、現在の地方自治法等によりますと、紛争があったときには内閣が裁定する、こういう条項があるように存じますが、その他に何か法的根拠がございますか。
  57. 岸昌

    ○岸説明員 境界について紛争がございます場合には、地方自治法の第九条によりまして知事が調停をいたしまして、その上でなお一定の要件が満たされました場合には裁定をする、こういうことになっておるわけでございます。従いまして原則は、市町村の境界がきまりまして、市町村の境界がきまれば都道府県の境界が自動的にそれに従ってきまるということでございますので、まず市町村の境界をきめるのが第一段階の作業になるわけであります。これは知事がいたすことになっております。
  58. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは時間があまりありませんので、建設省当局に公有水面埋立法の点についてお伺いをいたしますが、公有水面埋立法によりますと、先ほども申し上げましたように五十町歩以上は国が許可権を持ち、未満は都道府県知事の免許、ただし国がその埋め立て等を行なう場合は知事の承認ということになっておる。そしてその件について地元市町村議会の意見を期限を付して聞かなければならぬということになっておるようでございますが、この先ほど来問題にしております美保の飛行場の拡張または新設の問題につきましては、ただいまも自治庁が見解を述べられましたように、もしこの境界が一応きまって、その埋め立てが両県にまたがる場合は、当然両県知事の承認、またその関係市町村の議会の意見を聞くこととなろうかと思いますが、河川等においては流心または最深部ということが境界になっておるようでありますけれども、こういった内海または湖沼というような場合における公有水面の許可の担当をしておられます建設省河川局としては、過去にこの種の類例があったかなかったか、今後そういった法の建前なり過去の実情から見まして、両県に承認を求められた事実があるかどうか、それらの事実からしてこの中海に対する取り扱い、公有水面の適用上の問題について、御所見を承っておきたいと思います。
  59. 山内一郎

    山内一郎政府委員 ただいまお話の両県にまたがる埋め立ての問題でございますが、そういう事例が過去にあったかどうか、この点は調査の上お知らせをしたいと思います。なお、そういう場合に両県の知事の意見が違うような点もあるいは出てくる場合があるかもしれませんが、そういう場合には関係県とよく相談をして、この法律に基づきまして埋め立ての免許あるいは許可をしたいと思っております。
  60. 足鹿覺

    足鹿委員 経理局長に伺いますが、あなたは昨日私の質問に対して、これは鳥取県だ、鳥取県知事か承認をし免許権を持っておるのだと言われましたが、あなたはどういう事情に基づいてさような判断を端的に言われたのでありますか。少し不穏当ではありませんか。あなた方のおやりになることはとにかく慎重を欠いておると私は思います。今自治庁当局また建設省当局関係の国の行政機関の御意見をお聞きになったわけでございますが、何を根拠として昨日あのような御答弁になったか、それを伺いたい。
  61. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 昨日もお答え申し上げましたときに、これは速記録をごらんいただくと出ておると思いますが、現在のところ鳥取県とわれわれは考えておりますとお答えを申し上げておるはずでございます。それでは現在のところなぜ鳥取県とお答え申し上げたかと申しますと、陸地測量部で出しております地図によりまして——ちょっと地図がないので恐縮でございますが、その陸地測量部の地図に基づいて一応そういうふうに考えたわけでございます。
  62. 足鹿覺

    足鹿委員 よるべき根拠は陸地測量部——それはいつのものですか。どこが出しておるのですか。戦後、参謀本部の五万分の一以上の詳細なそういう地図がありますか。
  63. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは明治何年ですか、ちょっと年は覚えておりませんか、もちろん古くから陸地測量部——国が調べました地図でございまして、それにははっきり県境が線で入っておるわけでございます。
  64. 足鹿覺

    足鹿委員 それを資料として御提示を願いたい。いつ、どのような形で発行されたものにそのようなものが載っておるか。史実に基づけば何年先なのがほんとうなのかということはわからない。鳥取県と島根県は合併をして、また分離して、また合併をするというような、過法において長い経過を持っておるわけでありまして、あなた方そう簡単に踏み切ってもらっては、地方住民としては迷惑をいたしますので、その資料等もあわせて御提示を願いたいと思います。  時間がありませんので御迷惑をかけて恐縮でありますが、もう一、二問だけ、委員長、お許しをいただきたいと思います。  長官に伺いますが、来年度の一般会計予算を見ますと、二百四ページ、防衛庁本庁の施設整備費の二十項、移転等補償金千六百四十万円が計上されており、昨日私がこの点を経理局長にお話ししましたところが、これはあなた方が法に基づいて作られましたところの昭和三十年七月十一日「陸上、海上、航空各自衛隊等における土地等の購入又は使用に関する対価及び補償基準要綱、防衛庁経理局」という相当部厚い基準要綱を示しております。これにも基づかないと経理局長は言う。それでは昭和三十三年十一月二十一日、当時の防衛庁長官左藤義詮氏の名前によって教育施設騒音防止対策工事費補助金の交付に関する訓令、これにもよらない。それは予算上の措置だということであります。これは同僚議員に聞きますと、今まではこういうものはなかったそうであります。前年度、昭和三十五年の予算にはゼロでありますが、これが出てきております。このような基準や訓令、法規に基づいた補償基準あるいは訓令というようなものに基づかない、いわゆる補償金というものをつかみ金的に配ることは、これはきょう大蔵省に来てもらっていろいろと予算総則の上からも検討するつもりでありましたが、他の委員会関係でおられませんので、これはまた別の機会に伺いますが、それは公正を欠くではないか。農林省の干拓淡水化に基づく一反当たりの経費は十五万円程度、防衛庁の今度の計画によりますものは三百万円もかかるようにざっと概算で思います。そのような国民の血税を使われる一方の、生産上必要な農地その他宅地の造成は十万や二十万そこそこでできる。飛行機を飛ばすものについてはその何十倍を要するというような基本的に経費を使い、さらにまたみずから作った要綱や訓令に基づかずして、特に移転等補償金等を組まれるというようなことは、長官はそこまでいろいろこまかくはタッチしておられないと思いますが、事務当局の行き過ぎではないか。こういう問題については予算総則の上において明確にされております。一般予算、債務負担行為、繰越明許、流用金、この四つの大きな弾力性のある予算運用をしておきながら、なおそういう根拠の明確でないものを予算に計上されることは不穏当ではないか。私はそういう疑念を持つものでありますが、昨日聞きますとこれは美保には適用しないのだ、今まで一件あったという経理局長の御答弁でありますが、それを本年度に限って新規計上され、また今後も継続されると思いますが、それに対する防衛庁長官の御所見はいかがでありますか。
  65. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん総括の責任は私にございますが、実は予算の細部につきましては私も存じておりません。ただ千六百万の貴重な経費を計上している以上は——ただいま事務当局から承ったところによれば、新田原に何か充てるための大蔵省との予算編成過程において計算をして出したものだ。御審議を願う国の予算案である以上は、根拠なくただつかみ金を入れるということはあり得ない。財務当局との間において原案を作る過程におきまして、積み上げられて金額が計算されておると思うのであります。もし細部にわたっての経緯等が必要でございますならば、いずれ事務当局に時間をお与えいただきましてまた説明させていただきたいと思います。そういうふうに私は考えております。
  66. 足鹿覺

    足鹿委員 こまかいことでありますから、長官をわずらわすまでもございませんが、新田原とかいうことは昨日も聞きました。それは補償の対象となるもの、あるいはそれに基づく算定の基礎、そういうものもおそらくあろうと思います。予算上の措置とはいえあろうかと思いますが、それらの点について参考のために文書をもってお知らせをいただきたい。よろしいですか。——それではお願いいたします。  最後に、もう時間がありませんのでちょっと申し上げますが、先般この問題が新聞等で報道されておりまして、私の質問主意書の提出等から具体的にこの全貌が漸次明らかになってきた。そこで地元の各新聞または中央紙の出先報道関係者が、現地を一ぺん見たいという申し入れをしたそうであります。その目的地は浜松等を見たいというので、美保市の方でも了承しておったそうであります。ところがにわかに期日を変えた。浜松では困るということらしい。あなた方が連れていかれるのは必ず、この間も島根県の議会代表が行きましたら下にも置かぬもてなしで、飛行機で出迎えをされた。あなた方お手のものですから、輸送航空機に乗せられることは、私どもはどうかと思いますが、それは別として松島へ連れていかれた。そういうふうに必ず視察コースというものがきまって松島、これでは実情の把握にならないのではないか。浜松は相当調整音の問題が起きておりまして、私どももその話は聞いておりますが、そういう点から浜松を避けられる、こういうふうに何かある一つの方向へ誘導しつつ、世論の形成をはかっていかれようとしておるのではなかろうか。そういう点、公正な運用とは言えない。事態を明らかにし、現地の実情を身をもって調査体験をするということであるならば、あなた方にとって都合の悪いところでもどしどし見せて、そして正しい認識をお与えになることが妥当だと思う。わずか一カ月足らずの間にきわめて具体的な計画を発表すると言い、国会議員がそれを伺ってもあまり真相をおっしゃらない、そういうところからいろいろな問題が発生してくるのであり、その責任は決して私どもではない。防衛庁当局の措置よろしきを得ないことにあるのではないかと私は思いますが、最近の基地問題について見のがすことのできない一つの傾向は、新島といいその他の地区といい、右翼が介入してきておる状態であります。新島の問題については政府、自民党、社会党の三者会談が現在進んでおると聞いておりますが、美保におきましても、この反対運動に立っておりますところのおもなる人々に対して、ひんぴんとして脅迫状が舞い込んできております。これが実地の測量が完成をし、あるいは今後どうなるか知りませんが、実際上の問題になれば、新島の二の舞を演じないとも保障ができない。そういう緊迫した事情にあるわけであります。新島の問題につきましても、あなた方は三者会談をもって収拾されんとしておる。その内容はどうか私は存じませんが、とにかくこういう事態が起きてきておるわけであります。この点について、そのような事態をあなた方はいかに解釈し——そのような事態を惹起する根本をこの際一挙に解決していくことが私はよろしいと思う。  意見になって恐縮でありますけれども、先ほど述べたような理由から、私は別に防衛論争としての私の所論は持っておりますが、今回の質問におきましては、そういう点については一切触れません。郷土を愛する地元民の素朴な声を代表して、私はこの国会の審議を通じて事態を明らかにしたいという気持でありましたので、それは本日は申し上げませんが、先ほども申しましたように、二月の六日には安来市議会、東出雲町議会及び八束村議会、さかのぼって昭和三十一年十一月十五日におきましては米子の市議会、同年十一月には地元の境港市議会、こういうものがすでに反対の意思を、議会の総意をもって発表いたし、あなた方も御存じの通りであろうと存じます。そういった実情の認識につきまして、長官としては今後、やろうやろうということではなくして、一歩を進めて、こういう地元居住民の声を、政治家として率直に、虚心たんかいに聞かれて再考さるべきものではないかと私は思います。中には積極的に賛意を表する者たちも、若干署名いたしておるようでありますが、それは先ほど申しました通り特殊な事例でございます。そのようなものをもって、防衛庁当局は、ある新聞記者が訪問したときに、あれは社会党の者たちが党の政策によって反対をしておるのである、従って地元では賛成者が多いのだというような、きわめて安易な考え方に立ってすべてのことを行なわれようとしておる。これがきわめて間違った今日の事態が起きた大きな原因であろうと私は思うのであります。そういう点について、あなたは国務大臣として防衛庁の仕事を担当しておられますが、広く国務大臣という立場に立って、先ほどから指摘しましたような幾多の事情を勘案されて、再考善処されることを私は求めたい。おそらく撤回、中止というようなことは、先ほどは考えておらないというような意味のことを言われたと存じますが、さらに今までの質疑応答を通じ、長官が感じられた点を特にこの際再考善処し、この問題については少なくとも延期され、あるいはその地元住民の真意を把握され、中止、計画案の撤回を求めてやまないものでございます。この地元議会の速記録も議事録もたくさん用意しておりますが、それには衷情がよく現われておりますけれども、これはまた別の機会にお見せいたすこともあろうかと思います。この朗読を省略いたしますが、以上のような私の強い要望に対して長官の御所見を承りまして、まだ尽くしておらない点は、別な機会にまた発言の機会を委員長においてお与えいただきますようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
  67. 西村直己

    西村国務大臣 足鹿さんの御意見は、私は純粋と考えております。ただ問題は、基地をめぐりましてはいろいろな分子が入り込みまして、新島が一番いい例でありますが、よそ者が入り込みまして流血の惨事にもみ上げているというのは不幸な事態であると思います。私の方も、譲れる限度は最大限譲るという条件のもとに、政府、自民党、社会党三者の会談を今日まで継続いたしておりますが、私どもは国土防衛という観点の基本線において譲れないものがある場合においては、この会談がめどなしにただ続くとは考えておりません。もし私どもの方の最大限、社会から見て常識的であるということで譲った線も、話し合いがつかない場合には、これは仕方がない場合もあろうと思います。ことにあの場合においては基地ではありません。新島は単に年にわずか二十回程度の小型ミサイルを試験する。ことにミサイルというのは非常に誤解しておられるのでありまして、残念ながらアトラスとか−ICBM式のものをお考えになり、極端な方になるとミサイルと原爆の区別もつかぬ方々も多い。これは不幸なことでありますが、問題は一種の高射砲のいわゆる近代化されたものであります。しかし新島におきましては、あのたまそのものを打ち上げて発火をさせるというようなことではないのでありまして、問題は、ただ落下傘を使って内部の機械を調べる試験場であったわけでありますが、不幸にしてそれらが理解に至らない間に、ああいう右翼が入り込み、またオルグ団——ただ幸いに今話し合いいたしております三者の間においては、良識をもって何とか解決したいというので、良識を持った方々は一応引き上げられたような形になっておりますが、いまだに現地に日本共産党糸の諸君ががんばり、右翼の一部ががんばっておるという現状でありまして、一日も早くめどをもってこれが解決すればけっこうだ。防衛庁長官といたしましても、ただいたずらにやるのだ、血を見てもがんばるの、だという形はとらなかったことは、御了解いただけると思うのであります。ただしこれもめどなしに私がいたずらに突っ込んでいくということは、防衛庁長官といたしましてはできない作業でございます。  それから一般の基地に対しましても、外部勢力がいろいろな角度から入ることについては好ましくない。あくまでもこれは防衛論争というものも一つございます。生産問題もございますが、それ以上に地元民の純朴な意思を中心にものを理解し合っていくことが、一番大事な問題ではないかと思うのであります。従いまして私どもの方といたしましては、こういう仮案を作ったら、どの程度の影響なり、どの程度のことがあるかということをやはり知っていただきたいということはお願いをしたいのであります。たとえば各市町村が決議をされておりますが、さっき申しましたように、距離が二十キロ離れたところで八千フィート、九千フィートの高度をとっている飛行機を騒音々々といって騒がれることは、およそこれは現実の常識ではない場合も起こるのであります。私はそういうようなところで、はたして安来市が騒音の範疇に入ってくるかどうか、現実の一応考えた案をもとにして、測量ができておりませんから、仮の考え方をした場合にどうなるという、率直に申せば、少しでも科学的なデータのもとに話し合いをして参りたい。私といたしましては、地元民が絶対に協力できないというような雰囲気のもとにおいて押し切るということもできないのでありますが、しかしながら同時にまた一面やらしてみようじゃないか、やってみようじゃないかという空気の方々もあるのでありまして、これらと勘案いたしまして、私は漸進主義でやはりこの美保の問題は解決の方向に私としてはやって参りたい、こういう考え方足鹿先生に申し上げておきたいと思うのであります。
  68. 宮澤胤勇

    ○宮澤委員長代理 田口誠治君。
  69. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大まかに二点にわたって御質問を申し上げたいと思います。  質問の第一点は、前々回の質問の継続になるわけでございます。これは飛行場の防音装置に関係することでございまするが、この前にも申し上げましたように、昨年は一億九千万円という防音工事費の予算を取っておられたのが、三十六年度には四倍というような額の予算を予定されておるわけてございます。従って私がここでお聞きいたしたいことは、防音装置をすれば室内でどの程度の音響になるのか、何フォンくらいまでに防音を行なうのか、この点をまずもってお伺いしたいと思います。
  70. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 消音装置をつけた場合に、飛行機の騒音がどの程度まで下がるかという御質問でございますが、大体において二十ないし三十フォン、現にございます消音機では二十ないし三十、もっともこれはまだまだ改良の余地がございますので、現在研究中でございます。
  71. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこでなおこの問題に関連をいたしまするが、先般の御回答をいただいた場合には、とにかく学校あたりでも国立を主にという御回答があったのです。これは私は公立と国立と聞き間違えたのかもわかりませんけれども、ちょっと明確にしておいていただきたいと思います。
  72. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは別に国立に限っておりません。官公私立ともに補助金の対象としては考えております。
  73. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで学校の方は三十一年度から三十五年度までの実績を見ますると、非常に防音装置を確保されておるのですが、病院関係がないわけなんです。これは実際にないのか、私らが知らぬのかどうか知りませんけれども、やはりその周辺には相当重要な病院もあると思うのでございます。特に私の地元であるところの各務原の飛行場では、一番近いのが五百名くらい毎日出入りをするところの公立学校の共済組合の東海中央病院というのがございまして、ここは一日に五十回くらい飛行機が飛んでおりまするし、そのほかに滑走路でエンジンをかけっぱなしにしてブーブーとやられるのが、とてもしんぼうできるものではないわけなんです。それで本年の御計画には学校だけでなしに、こうした病院関係も計画にお入れになる御意思があるかどうかということがまず一つと、それから前々委員会のときに山花先生の御質問にお答えになって六億四千九百万円のうちで、三億八千七百万円というのは、まず大体計画を立てておる。あと残りは二億六千百万円ということになるわけですが、そういうことから今年度はその幅をどういう方面に計画されておるか。もし計画されておらなければおらない、おるならおるでよろしゅうございますので、御回答を願いたいと思います。今御質問申し上げましたのは、とにかく公立の病院の関係もやるのかどうかということと、それから大体計画がもう固定されておるかどうかということです。
  74. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま仰せになりましたように、われわれとしては学校だけでなく、病院につきましてももちろんその必要性を痛感いたしておりますので、三十六年度におきましてはできるだけ病院の方にも手を伸ばしたいというふうに考えております。  第二点の、具体的に三十六年度の計画が立っておるかどうかという御質問でございますが、現在までのところでは具体的にまだ立っておりません。ただ方針はもちろん騒音度の激しいところから次第にゆるやかなところへという方針でございます。
  75. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこでもう大体二十フォンから三十フォンというところまで防止日ができるということでございますが、これは今のジェット機を対象ですか。ロッキードを対象ですか。まだその音響測定の実績データというようなものをお示しいただいておらないので、何が対象になっておるかということがわからないのですが、これは普通のジェット機を対象ですか、ロッキードを対象か、その点も明らかにしてもらいたい。
  76. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは現在のジェット機を対象にいたしております。
  77. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでロッキードの場合には、聞くところによりますると、騒音が二倍半とか三倍とかになっておるということですが、そうなりますると、せっかく防音工事をおやりになったのが、目的が達成できぬということになるわけなんですが、こういう点についてはどういうようにお考えになるか。それというのは、もう次から次へと科学の進歩で変わった飛行機が出てきまして、音響なんかの場合にも相当変わってくるわけなんです。そうしますると、結局相当先を見た見方において防音をやらなければ、いつかはまたやり直しをしなくてはならぬということになるわけなんでして、こういうような点の研究はされておるか、何か将来へのそうした計画があれば一つお答え願いたい。
  78. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいまF104Jがどの程度の音響になりますか、今のF86等と比べましてどういう程度の倍率の音響になるかという詳細なデータはまだございません。一応今仰せになったように、三倍程度ということが、言われておるだけでございます。従って、われわれとしましては、おそらく現在使っておりまする消音装置でございます機具でございますが、機具としての消音装置では不十分ではないか。施設的に飛行場内にこのエンジンをテストする。あるいは始動音を発するような場合の騒音を防ぐために施設として一定のものが必要ではないか。たとえて申しますならば、地下に穴を掘りまして、その穴に向かって音を出す。そして十分何回も屈折させまして、最後に空に音を放つというふうな、何か施設面における方策が必要ではないかということで、現在その方の研究を進めております。先ほど長官からも御答弁がありましたように、104Jは三十七年の一月あたりに一機できてくることになっておりますので、大体それに歩調を合わせまして、今申し上げましたような施設面における工夫を考慮し、地元の方に御迷惑をかけないように、できるだけ御迷惑を少なくするように現在研究をしておる段階でございます。
  79. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、端的に申し上げまして、今二十なり三十なりというところに置いておられるとすれば、これがジェット機であった場合、ロッキードになったら三倍になる。三倍になれば二十でも六十になる、三十なら九十になるということになりますので、大体そういうような騒音を目標にこれからの工事は行なわれるということですね。
  80. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 二十、三十とさっき申し上げましたのは、大体二十フォンないし三十フォン下げられる……。
  81. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 下げるだけですか。
  82. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 そういう趣旨でございます。なお、これは消音機のことをさっき申し上げておりますので、多少話の食い違いが生じたかと思いますが、従来も御承知のように、木造の建物でそれが滑走路の近くにあり、非常にやかましいという場合には、これを鉄筋に建てかえまして、そしてその鉄筋コンクリートの建物に防音装置を施すというようなことをやっております。従って104ができてきました際には、おそらくそういう配慮も必要になるのではないか、建てかえというようなことも必要になるのではないかということを考えております。
  83. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、結局三十フォン程度のものであるということであれば、その程度の防音ができれば大体いいと思ますけれども、四十五以上になりますと、これはあなたの方でも研究されておられると思いますが、私の方でもいろいろと資料を集めて研究いたしました結果、病人なんかの場合には、四十五以上になれば大きな影響があるのです。そういうことから、先を見越したところの防音装置をやっていただかなくてはならないのじゃないか、かように考えておりますので、その点の御配慮をいただきたいと思います。特に各務原飛行場周辺の病院、学校の関係につきましては、前々委員会のときに申し上げましたような実態でございますので、何かと自治体の方からもいろいろとお願いをすると思いますが、この点に対する御配慮をいただきたいと思うわけでございます。  そこで、長官の御都合もあるようですから、ちょっと話を切りかえまして、長官には大ざっぱな答弁になると思いますが、実はこの前のときにも、また自治省の方にも私は申し上げたわけですが、どこへ行きましても軍事基地があれば、そこの住民に有形無形に非常な迷惑をかけているので、こういう迷惑をかけている場合には、そこの地方自治体に対する交付金というようなものも、どちらかといえば多くやるのが常識であろうと思うのですけれども、現在のところでは自衛隊の使用する土地とか建物、工作物、こういうようなものにつきましては全部のものが評価対象になっておらないということ、それから対象になっているものでも額が低いということで、そうした基地を持っている地方自治体の方では非常に不満の意を表して、全国基地協議会ですか、ここで政府の方に相当強く働きかけられるような相談もしているようなわけでございます。そこでこの間の質問から引き出して参りますと、私の考え方といたしましては、交付金の額も地方税の固定資産評価率でやるべきであるというような主張をいたしましたけれども、この基地の場合にはそういう考え方はない。ただ基地をその土地に設けさして置いていただいているのだから、どれだけか交付金を出さなければならないというので、言葉をかえて言えばつかみ金で予算を立てて出している。その率がこの間の御答弁では一・四%というようなことをお話しになりましたけれども、実際にはそういう率では来ておりません。これは間違っております。実際に来ておりません。特に昨年十億円この方面の予算を取っておられるのですが、今年もやはり防衛庁の方から十四億という予算を出したけれども、大蔵省でけられて十億円になった、こういうことでございまして非常に遺憾な次第でございますが、十四億円になってもこれは満足したものでないのです。大体地方税法によるところの資産の評価からいきますと、十八億から二十億くらいの予算を組んでもらわぬと、それと同等の交付金がいただけないということになるわけです。それでそこまで一つ努力していただかなくてはならないし、その努力をしていただくには今の法律そのままではこれはちょっと工合が悪いと思いますので、この国有財産の台帳価額の法律内容改正をされまして、そしてその額を上げていってもらわなくてはならないのですが、こういう改正の用意はおありであるかどうか。これがないということになりますと額もふえないということになりますので、ちょっとその点お伺いしたいと思います。
  84. 西村直己

    西村国務大臣 お答え申し上げます。この基地交付金の問題は、予算要求、または予算の取り扱いが自治省所管になっております。防衛庁調達庁といたしましては、配分の場合におそらく協議を受けて参る、こう思うのであります。従いまして予算要求に対する方針、態度は、私から申し上げるのは少し僭越ではないか、こう思うのでありまして、率直に申せば自治大臣の所管分でございます。ただ私は国務大臣の立場がございますから、一言申し上げますと、基地周辺の町村なり住民はいろいろな面で制約を受けやすい立場に立っている面から、国全般としてはできる限りいろいろな施策を立てていかなければならぬ、こういうことは私も痛感をいたしております。従って内閣で、いつも申し上げますように、単に防衛庁調達庁だけではなくして、基地の環境整備は関係各省こぞっていろいろ施策を立てるべきであるといって、今日関係各省の基地周辺の環境整備の協議会を作らしておるのが現状でございます。なお細部は自治省からお答えをいたさせます。
  85. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それならその自治省の方の回答はちょっとあと回しにして、長官にもう一言お答えを願いたいのです。これはあなたの方の関係になるのですが、いずれにしても昨年十億円予算を取った。ところが実際に地方へ交付されておる金は八億円ということなんです。その二億円というものはどこへ行ったのか。そしてまた幾分余裕をとっておいて、何か陳情その他のあったような場合にプラス・アルファをするのか。その二億円を使わなかったという理由を、これは防衛庁関係でございますからやはり長官の方から明確にしてもらいたい。
  86. 西村直己

    西村国務大臣 実はせっかくの御質問でございますが、これ自体も配分の方針は一応自治省の所管で、自治大臣の手元で配分計画を立てまして、ただ関係する分だけ私の方は協議を受けるという程度でございます。従って十億のうち二億をどういうふうにされておるかは、自治省の所管の者が見えておりますから、その方から承っていただきたいと思います。
  87. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは自治省の方から伺います。
  88. 萩原幸雄

    ○萩原説明員 基地交付金のお尋ねにつきましてお答えを申し上げます。まず最初に自衛隊関係の基地交付金の配分対象のお話がございましたが、自衛隊関係の施設につきましてのこの交付金の配分対象の範囲は、飛行場と演習場の土地、それから弾薬庫、燃料庫の土地、建物、工作物でございます。それから全体的に十億という予算額が少な過ぎるのじゃないか、特に固定資産税の税率等から考えると、それは十数億以上になってもいいのじゃないか、こういう御趣旨のお尋ねでございましたが、もともとこの制度ができましたのは昭和三十二年でございますが、税の問題から考えて参りますと、御承知のように国と地方団体の間では相互に課税をしないというのが昔からのしきたりと申しますか、そういう原則の上に立っておるわけでございます。従いまして従来からも国有の施設、土地、そういったものについては固定資産税は課税しないということになっておるわけでございます。たとえばこの議事堂につきましても固定資産税の対象にならないということになっております。ただそういうことになっておりましても、国有財産等を個人に貸し付けておる、個人が使用しておるのだという場合には、考え方を変えてもいいのではなかろうかというので、昭和三十一年に国有資産等所在市町村交付金というものが、たとえば国有林野等も含めてできておるわけでございますが、これがもう一つのきっかけになりまして、翌年、米軍関係が使っておる住宅施設、あるいは厚生施設、あるいは機械の修理等の企業用施設、こういうようなものも似たような性格のものであるから、交付金の対象に考えたらどうかということから、この問題が始まって参ったわけでございます。それで基本的には、お話にもございましたけれども、まず一点としては、もともと固定資産税の対象にならないので、市町村にそれだけの減収があるのではないかという問題、もう一点は、いろいろお話にもございましたように、基地が所在することによって有形無形のいろいろな意味での市町村の財政需要があるのではないか、経費の支出があるのではないか、この二つの理由によりまして、当該市町村に助成交付金を交付すべきではないかということで始まったわけでございますが、先ほど申し上げましたような税との関係になって、これを税としての基準を考えますと、形式的には固定資産税が研究対象になります。御承知のように税率が価額の一・四%、これが現在の固定資産税の体系でございますが、この問題につきまして国有提供施設の場合は、税の面を非常に強く出して参りますと、他の面でたとえば基地以外にも、多少程度の差はございますが、いろいろな意味で地方にある大体似たようなケースとしては、刑務所あるいは国立の伝染病院、そういったものもあるわけでございまして、そういう意味の公用資産全体がこういうものの対象になるというのでは、もともとの相互の非課税という原則から考えて問題があるのではないかということで、助成交付金の性格そのものを税の見返りという性格にいたしませんと、先ほどもつかみ金式だというお話がございましたが、予算の定める範囲内での助成金だという建前に現在なっておるわけであります。従いましてそういう意味におきましては、総額の問題が、いわば基準が必ずしも明瞭でない。毎年度予算の定める範囲内だ、こういう結果に相なっておるわけであります。  これが実際にはどの程度になっておるかと申し上げますと、昭和三十五年の例で申し上げますと、大体十億円の総額で、価額に対しましての率は〇・八%強ぐらいになっております。固定資産税の方は御承知のように一・四%でございます。これを分けます場合のやり方といたしまして、八割相当額は価額に按分する。対象施設の台帳価額に按分する。それから残りの二割は、実際の基地所在のそれぞれの市町村の特殊事情があるだろう。それでたとえばどういう資産があるか。存在する基地の内容と申しますか、米軍で申し上げますと、単に駐も地だけだというのと演習場というのでは違うのではないか。飛行場というのでも違うのではなかろうか。こういう意味での資産の相違あるいは市町村自体の実際の財政状況、こういうものを勘案して二割分を配分する、こういうことになっておるわけでございます。それで実際に出てくる数字といたしましては、八割分の相当額が、大体去年の例で申し上げますと〇・七%弱でございます。それが八億でございます。残りの二億は、二割分の特別の事情を勘案するということで、八割分に付加して出されておるわけでございます。  それで最後の御質問に、十億のうち八億しか使っておらぬではないか、二億残っておるではないかというお話がございましたが、さような事実はございません。ただ配分が今申し上げましたように、八割分と二割分とやり方を変えまして、合計額で出すということになっておるわけであります。
  89. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで大蔵省はとにかくそろばん玉をはじくのだから、割合に冷たいところもあるわけなんですが、今申しましたように基地を提供しておれば、その土地の住民、また地方自治体にかける迷惑というものは、非常に多いわけなんです。だから今言われたところの大体ことしは十億だ、来年は十四億だというような、そんなことではなくして——自衛隊なら自衛隊の建物が、県庁とか市役所の建物と同じような公共建物として課税をしないのなら、これはそうあってもまた理屈は通りますけれども、今のところではそうでないところの率が低いわけなんです。率が低いということは、すなわちきちんと地方税法に基づいたところの率になっておらないということなんだから、僕の主張しつつ質問をしておることは、これはあくまでもこの交付金の額は、地方税法の固定資産の評価率にまず変えてもらわなければいかぬ。これはもう当然なことであると思うのです。どうかといえば、その率では不満だから、迷惑をかけておるのだからもっとよけい出せというのが普通だろうけれども、まあそこまではことしは言いませんが、まず普通の固定資産評価率まで上げてもらわなくちゃ困るということ、そのほかに、公共建物としてかけない部分が、これは分析していただけばわかりますけれども、幅広くとり過ぎてあるのですね。滑走路その他いろいろよけいとり過ぎてあるのです。あれはもう少し再検討していただけば、やはり対象になるのは相当あると思うのです。それでこういう点もやはり研究し調査をしていただいて、課税対象にしていただかなくてはならないのじゃないか、こう思うわけなんです。それで結論としては、地方税法の固定資産の評価率と同じようにしてもらいたいということ、従ってこれをするには、ここまでいかなくとも、ある一つ法律のもとにおいて金を出そうとすると、やはり法文化しなくちゃならないわけなんですね。それで、そういう法律改正というようなものも研究なさっておるのか、もうできておるのか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  90. 萩原幸雄

    ○萩原説明員 第一の総額の問題でございますが、私ども自治省といたしましては、十億円という総額がこの制度本来の趣旨その他から考えまして、これで十分であるかどうかという点につきましては、決して十分と考えておりません。この前の機会にも私どもの局長から話がございましたように、本年度予算の折衝過程におきましても、これ以上のものを要求しておったわけでありますが、遺憾ながらそれが納得を得られなかったわけでございますけれども、今後ともこの総額の確保につきましては、基地所在市町村の基地の所在することによる実態を十分調査いたしました上で、この予算の増額につきましての努力は続けていくつもりでございます。  なお、それと関連いたしまして、現在の法律ではこの基準が明瞭でないので、明瞭にする気はないか、こういうお話でありますが、もちろんこの固定資産税の税率並みということにすれば、ただいまの十億は大よそ倍近いものがまだ要るわけでございまして、結局総額の予算の問題とも関連いたしますし、ここですぐ法律改正を考えておるというふうに私の方で申し上げるのには、関係方面がいろいろございますので、明言をいたしかねますが、いずれにいたしましても自治省といたしましては、この総額の増額の努力は将来続けていくつもりでおるわけでございます。  なお、第二の対象範囲の拡張の問題でございますが、御承知と思いますが、先ほど申し上げましたように、この制度は昭和三十二年度にできたのでございますが、当時自衛隊の使用施設につきましては、飛行場、演習場の土地だけでございまして、弾薬庫、燃料庫関係は当時はございませんでした。三十四年の改正で弾薬庫、燃料庫関係のものを入れていったわけでございます。そういうことで、この対象範囲の問題も、不合理といいますか、そういう点があるということにつきましては、過去においてもそういう努力をいたしておるわけでございまして、今後もこれの範囲が、今の範囲ではたして妥当かどうかということについては、検討を続けていきたいと思っておるわけでございます。御指摘のこの滑走路あるいは格納庫、こういうものが現在は落ちております。御承知と思いますが、滑走路の工作物、格納庫の建物というものが落ちておりますが、その下の土地はもちろん入っておるわけでございます。これも私どもの将来の研究課題としては、これをはずすということに積極的な理由が出るかどうか等についても、一般の対象資産の拡張の問題ともちろんあわせまして検討を続けていきたい、こう考えております。
  91. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 妥当であるかどうかということについて検討を深めていきたいという御回答なんですが、妥当でないということははっきりしておるのであります。国有財産であって、そうして基地を設けて住民に迷惑をかけておって、今私も無理なことを言っておるのではないのですが、県庁とか市役所というような公共建物にはかけておらぬと同じように、ある程度の建物は除外しても、その他のものに対する評価率は、当然これは地方税法によるところの固定資産の評価率と同額にするのがあたりまえのことであって、これは何ら研究する余地もないと思うのです。だから、そういう点から改正をして、国有財産の評価台帳の改正をして、そうしてこの金額の増額をはかる意思がないのかどうか、こういう点に対する一つの認識というか、思想というか、ある程度の思想を持っておいでになって実態を知られれば、どちらかといえばよけい出さねばならぬのですよ。ところがそれを地方より少ないという交付の仕方では、これは納得がいかないので、その点がただ妥当か妥当でないかということを研究するというようなことでなくして、これは妥当でないことばもうだれに聞いてみたってはっきりしておるのだから、それは官僚の方が、いろいろ法文できちんきちんとやってみた場合には、どれがどうといっていろいろ方程式は出るだろうけれども、一般大衆からいって、一般常識からいって、やはりそれは地方並みにするくらいのことは当然のことであるから、必ずここまで私は持っていってもらうように、国有財産の台帳価額のこの法の改正を行なって、そうして次のときには必ず増額できるようにしてもらいたいということです。防衛庁も十四億要請しておるのだが、どういうことか知らぬけれども四億も削ってしまって、去年並みの十億にしたということですね。これは地方自治体では、予算というものは毎年々々ふくらむばかりなんです。従ってこういう面について、たとい少しでもふくらまない交付をしてもらわなくては、地方では非常に困るわけなんで、そういうことからいって、私は当然なこととしてこれは要求されるべき筋合いのものであり、それから大蔵省としても、こういう点については十分な認識と一つ思想を持って改正をされて、増額されるようにしていただきたいと思うのですが、全然余地がないのか、その点どうですか、単なる研究か、その点はっきりして下さい。
  92. 萩原幸雄

    ○萩原説明員 私が妥当か妥当でないかということを申し上げましたのは、総額の問題でございませんで、範囲の方の問題のつもりだったわけでございますが、総額につきましては、先ほども申し上げましたように十億で十分とは自治省は考えておりません。しかし今おっしゃられたことは、私どもには御趣旨よくわかるのでございます。ただ私どもの努力の足りないせいかとも思うのでございますけれども、従来までの経緯では、財政当局になかなか納得が得られなくて、今年度の予算も前年度並みになってしまった、これが実際でございます。
  93. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 防衛庁経理局長さん、お見えになりますね。先ほど長官が言われた、これは大蔵省の方だ、わしの方は予算を要求してきめてもらって、あとは大蔵省がやるのだというような式の御回答であったのだが、私、お急ぎのようだったからあまり詰め寄らなかったけれども、こういうようなものは当然防衛庁の経理の方でなされる筋合いのものだろうと思いまするし、今の十億のうち二億を交付しなかったというような点についても明細に知っておられると思うし、それからこの二億円の使途についても明細に知っておられると思うので、こういう点を一つはっきりしてもらいたいと思うのです。わずか二億円のことでございますけれども、ちょっと疑惑を生じておりますから…。
  94. 萩原幸雄

    ○萩原説明員 防衛庁の方への御質問でございますが、この助成交付金の所管は、法律的には私の方でございます。予算要求も私の方でやる、配分も自治省で行なっておるわけでございます。もちろん配分等にあたりましては、防衛庁の方といろいろ御協議はいたしておりますが、法律的にはわれわれの、自治大臣の所管でございます。こういうことになっておりますので、便宜上私の方からお答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、二億の使途ということでございますが、決してこれは配分しておらぬのではございません。十億は完全に配分をいたしております。二億はどういうやり方をやっておるかと申し上げますと、先ほどもちょっと触れましたが、飛行場、演習場等は、一般の駐も地における兵舎等と違って、市町村に対して影響が大きい。ところが八割の方で参りますと、価額の按分率で参りますから、一律に機械計算が出てくるわけです。それで飛行場、演習場等については交付金の割増しを二割で見る。あるいはまた米軍が自分の金で施設したものがございます。これは国有資産でございませんので、基地交付金としては対象になってこないわけでございます。こういうものがある市町村につきましては、その部分も二割の方で処理する。大体そういった考え方で、この二割分の方は、この全額をそれぞれの該当市町村に、八割の方の交付金につけ加えて配分しておるわけでございます。一円も残っておりません。
  95. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 結局二億円というものは、ざっくばらんに言えば、私の村の方では他より事情がよけいあるから、交付金をよけい増してくれというような陳情なんかがあった場合に、よく調べて、うんそうかというので出すのが二億円なのか、それとも何かの規格に基づいて出されるのか、そういう点どうなのですか。
  96. 萩原幸雄

    ○萩原説明員 二億円の配分につきましては、この法律の施行令の方で規定をいたしておりまして、先ほども申し上げましたように、その施設の状況、市町村の財政状況等を考慮して配分する、こういうことになっております。現在やっておりますのは、ただいまも申し上げましたように、そのうち大部分は飛行場、演習場の基地所在の市町村に対する割増しでございます。特別にこういう事情があるからというので陳情があったらどうかというお話もございますが、そういう陳情も出て参ります。私どもの方はそれにつきましては一々精査をいたしまして、基地につきましては調達庁自衛隊の方で事情がわかるわけでございますから、その辺の御意見も伺い、一切それを見ていないということはございませんけれども、よく精査の上処理いたしている部分はございますが、それは非常にわずかでございます。大部分は今申し上げましたように、飛行場、演習場の割増しでございます。
  97. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この件についてはちょっと時間がございませんので、結論をつけたいと思います。ただいま希望を申し上げつつ質問を申し上げました内容につきましては、最大の努力をいただいて、来年も十億だというようなことのないようにしてもらいたいということ、それから特に私の地元の方の各務原では、学校と、先ほど申しました病院が飛行場のすぐ近くにあるので、これはこの前の質問のときに全部申し上げましたので、おわかりだと思いますが、厚生省の療養所の課長さんも、文部省の関係課長さんもおいでのようでございますので、一つその点を十分にお含みをいただいて、そしてあのような迷惑が早く去るようにお願いをいたしたいと思います。  それからもう一点、高揚力研究機というのを今度持ってくるのですが、この飛行機はどういうものであって、性能がどうで、どこでできてというような詳しいことについて聞きたいのですが、これはきょうお見えになっている方で回答できますか。これは何かプロペラが前の方で回ってみたり、上の方で回ってみたり、いろいろするらしいのです。人によっては、ものすごい音を立てるという人も一あるし、いろいろなデマが飛んでおるのです。だから、こういう点について明確にしてもらっておかぬと、今後の防音装置の関係にも影響があると思います。
  98. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 それは防衛庁が持ってくるというお話でございますか。
  99. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 文部省や厚生省が持ってくるということはありはせぬでしょう。
  100. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 名前も聞いたことがないものですから……。
  101. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 今のところは日本にたった一機あるということですが、きょうはわからなければ保留しまして、次の機会にまたお聞きしたいと思います。
  102. 宮澤胤勇

    ○宮澤委員長代理 それでは次会は公報を持ってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会