運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-02-28 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十八日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君    理事 草野一郎平君 理事 高橋  等君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       内海 安吉君    大森 玉木君       佐々木義武君    辻  寛一君       福田 篤泰君    福田  一君       藤原 節夫君    保科善四郎君       前田 正男君    田口 誠治君       山内  広君    山花 秀雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         防衛政務次官  白浜 仁吉君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         調達庁次長   眞子 傳次君         大蔵事務官         (管財局長)  山下 武利君  委員外出席者         防衛庁書記官         (防衛局防衛審         議官)     麻生  茂君         防衛庁書記官         (経理局施設課         長)      大森 頼雄君         総理府技官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 石川  巌君         外務事務官         (アメリカ局安         全保障課長)  魚本藤吉郎君         文部事務官         (管理局教育施         設部計画課長) 中尾 龍彦君         厚 生 技 官         (医務局国立療         養所課長)   橋本壽三男君         農 林 技 官         (林野庁指導部         造林保護課長) 福森 友久君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   萩原 幸雄君     ――――――――――――― 二月二十八日  委員牧野寛索辞任につき、その補欠として福  田篤泰君が議長指名委員に選任された。 同日  委員福田篤泰辞任につき、その補欠として牧  野寛索君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十三日  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五〇号) 同月二十四日  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六九号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七三号) 同月二十五日  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  八一号)  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八二号)  海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第八七号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八九号)     ――――――――――――― 同月二十四日  傷病恩給是正に関する請願河本敏夫君紹  介)(第八二〇号)  同外三件(井村重雄紹介)(第八三六号)  同(伊藤郷一君紹介)(第八三七号)  同(浦野幸男紹介)(第八三八号)  同(江崎真澄紹介)(第八三九号)  同(尾関義一紹介)(第八四〇号)  同(大久保武雄紹介)(第八四一号)  同(大平正芳紹介)(第八四二号)  同(加藤常太郎紹介)(第八四三号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第八四四号)  同(川村善八郎紹介)(第八四五号)  同(久野忠治君外一名紹介)(第八四六号)  同(佐伯宗義紹介)(第八四七号)  同(椎熊三郎紹介)(第八四八号)  同(正力松太郎紹介)(第八四九号)  同(砂原格紹介)(第八五〇号)  同(田口長治郎紹介)(第八五一号)  同(田中正巳紹介)(第八五二号)  同(高田富與紹介)(第八五三号)  同(辻寛一紹介)(第八五四号)  同(中垣國男紹介)(第八五五号)  同(中野四郎紹介)(第八五六号)  同(原健三郎紹介)(第八五七号)  同(福家俊一紹介)(第八五八号)  同(福田高夫君他一名紹介)(第八五九号)  同(保利茂紹介)(第八六〇号)  同(松浦周太郎紹介)(第八六一号)  同(南條徳男紹介)(第八六二号)  同外一件(千葉三郎紹介)(第九二二号)  同(馬場元治紹介)(第九二三号)  建国記念日制定に関する請願外五十九件(瀬戸  山三男紹介)(第八三五号)  同(山本猛夫紹介)(第九七一号)  同(佐藤虎次郎紹介)(第九七二号)  同(内藤隆紹介)(第九七三号)  建設省建政局新設に関する請願野田卯一君  紹介)(第九七〇号)  山形県河北町西里、溝延地区寒冷地手当増額  に関する請願西村力弥紹介)(第九七四  号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願外一件  (池田清志紹介)(第九二〇号)  同(宇田國榮紹介)(第九二一号)  同(八木徹雄紹介)(第九七五号)  同一市内学校教職員給与地域差是正に関する  請願浦野幸男君外二名紹介)(第一〇一五  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十四日  元樺太市町村吏員恩給復活等に関する陳情書  (第二二一号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する陳情書  (第二二二号)  同  (第二六八号)  同  (第三六二号)  同  (第三六三号)  文官恩給調整に関する陳情書  (第  二二三号)  駐留米空軍機演習に対する措置に関する陳情書  (第二二四号)  旧軍人恩給加算制復元に関する陳情書  (第二二五号)  同  (第二二六号)  寒冷地手当支給額改訂等に関する陳情書  (第二  三六号)  青少年の不良化防止等に関する陳情書  (第二六九号)  義務教育職員待遇改善等に関する陳情書  (第二七五号)  国旗記念日制定に関する陳情書  (第三六四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  二八号)  国の防衛に関する件      ――――◇―――――
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。辻寛一君。
  3. 辻寛一

    辻委員 私はまず防衛庁整備に関する基本方針などにつきまして、二、三承りたいと存じます。第一次防衛力整備計画は、ことしで一応終わるわけであります。そこで時を移さず、引き続いて第二次計画が三十六年度を起点として出発するという、当初の段取りのようでありましたが、まだ一向に現われてきそうにございません。ことしの一月に入りまして久しぶりに開かれました国防会議におきまして、次期防衛力整備計画案防衛庁ですみやかにこれを作って、国防会議にかけて慎重審議の上決定するという、その方針がやっと決定を見たようでありますが、第二次計画はすでに聞くこと久しいのでありまして、いわゆる赤城構想に基づいて相当計画が進められておったはずでありますが、今日に至るも日の目を見ず、延び延びになっておるということは、何か計画進行過程において考え直さなければならぬ、また特に手直しを必要とするような大きな客観的情勢でも生じたものでありますか。その間の事情とか、いきさつなどにつきまして、率直に承りたいと思います。そして現在の時点において考えておられまする第二次計画構想について、重点的にそのあらましを承りたい。さらにこれに要する経費の腹づもりなどもお聞かせいただければ幸いです。それから大体いつごろこの計画がまとまるものであるか、その見通しなどについてまず承りたいと思います。
  4. 西村直己

    西村国務大臣 第一次防衛力整備計画は、すでに辻委員御存じ通り、三十五年度が最終年次になっております。従ってでき得れば三十六年から次期防衛力整備計画にのっとって参るのが一番妥当だということは私も考えておりました。しかし遺憾ながらその間に諸般の情勢変化がございました。またその審議をすべき過程におきまして、諸情勢が緊迫をいたしておったわけであります。一つ御存じ通り、私の口から申し上げるまでもなく、昨年の上半期の大半は、いわゆる安保騒動という状態があったことを御存じ通りであります。続いて政変があり、また続いて総選挙、その後におきまして従来の構想に加うるに職員のべース・アップというような一つ修正点も出て参りました。続いてアメリカ大統領選挙というようなことから、新しい国防方針が出るか出ないかという報道等が多少ありまして、その間におけるアメリカ援助見通し、織り込むべき援助見通し等においても、いま少し慎重に検討を加えたい。これらの諸情勢を勘案いたしまして、次期防衛力整備計画を、直ちに国防会議でその際に決定を見る状態でなかったものであります。従いましてその間三十六年度におきましては、第一次防衛力整備計画で不十分に残された部分と、それから将来のある程度政策も多少見通しながら、同時にその年度限りの一つ予算編成の態度をきめまして、かたわら重要事項国防会議において決定をしてもらうというので、先般一月の十三日に、ただいまお話がありましたような形での国防会議決定を見、続いて予算編成等に当たったわけであります。続いて私どもといたしましては、従って長期計画はあった方がはるかによろしい、妥当であるという観点から、取り急ぎ国防会議決定方針にものっとり、防衛庁においてすみやかにその案を持ちたいと考えております。そのめどは大体五月ないし六月までにはつけたい、こういう考えのもとに作業を進めておるのが現状でございます。
  5. 辻寛一

    辻委員 今、所得倍増計画という大きな国策が大々的に打ち出されておるやさきでありますから、この政策との見合いの形において防衛力整備長期計画を立てられるのが、一番適当な行き方ではないかと私は考えておるのであります。もちろん防衛力というものは相対的なものでありまして、国際情勢変化、国の置かれておる環境、立場、国情等によって大きく左右されることは当然でありますが、何といっても金を食うことですから、よく国力と見合わせていくということが一番肝心で、身分相応でなければならぬと思います。それには国の力、国の経済力から割り出して身分相応であるかどうかということを判定する一つのきめ手は、何といっても国民所得だと思います。この国民所得を十年以内に倍にしようという経済成長政策がとられておるのでありますから、これと並行いたしまして、この防衛に関しますところの長期計画も並んでいくということが常日ごろからおっしゃっております国力国情に沿う一番忠実な行き方ではないかと思うのであります。こういう見地から、この所得倍増十カ年計画と相呼応するような大きな長期計画を打ち立てるお考えはないか。また今おっしゃいました第二次防衛計画というものも、こうした一段と遠大なる長期計画の一環として、あるいはその前段として、構想を練っていくことが時節柄一番時宜に適した進め方のように考えるのでありますが、こういう点につきまして長官のお考えはいかがでありますか。
  6. 西村直己

    西村国務大臣 私も御説の通りであると存じます。従いまして所得倍増計画と対応する長期防衛計画を樹立するという方向だけは誤りたくないと思います。元来ならば、所得倍増計画が十カ年計画でございますから、防衛力整備計画も十カ年計画という考え方も、一つ長期計画考え方でありますが、しかしながらさしあたっては従来いわれておりました一つの素案、現在までいわれておりました次期防衛力整備計画等が五カ年計画でありますから、それらを基準に考えますと、長期の中でも比較的に短い長期計画を持ちたい。言いかえますならば、五カ年程度計画次期計画の目安として参りたい、こういう考えであります。もちろんそのためには経済企画庁と十分な連携を取りつつ考えて参りたい。こういう所存であります。
  7. 辻寛一

    辻委員 先ほど五月ごろには大体計画取りまとめ見通しがつくというようなお話でございましたが、所要経費などの面におきましてはいかがでありますか。さき赤城さんのときの五カ年計画の総経費なども、一応構想として御発表になっておったようでありますが、大体こんな線に沿って進もうというのか、まだそこまで進んでおらぬというのか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。  それから民生安定ということは、やはり国防基本方針の重要な要素でありまして、防衛費というものがかりにも経済成長の上にじゃまになったり、あるいは国民生活の向上に支障を来たすというような災いのもとになりましては相ならぬことは言うまでもないことでありまして、そういう意味において常に国民所得とか国家財政規模に見合いながら、今月までもそののりを越えないように苦心して防衛関係費を作ってこられたことであると思うのでありますが、三十六年度の防衛関係費予算を見ますると、国民所得——これも推定でございまするが、三十六年度の国民所得に対しましては一・四三%、おそらくこれは推定以上に所得伸びて参ると思いまするから、パーセンテージはさらに下がると思います。とりあえずこのように出ておりますが、これを三十五年度と比べますると、紙一重の差でありまするがふえております。これは珍しいことであります。いまだかつてないことであります。そのかわり一般会計歳出に対しましては九・一〇%、これは紙二重ぐらいの違いがありまするが減っております。ですからまず国民所得ないし一般会計歳出に対する防衛関係費比率は、三十五年度と三十六年度を比較いたしましてついついと言っていいかと思うのであります。先日いただいた資料の中に、三十年度からずっと今日に至りまする年々の防衛関係費推移表がありますが、これを見ますると、もちろん防衛関係費の絶対額におきましては漸増方向をたどっておりまするけれども、今申し上げました国民所得たいし一般会計歳出に対しまするところの防衛関係費比率というものは、まさに漸減方向をたどっております。三十年度のごときは国民所得に対しまして一・九九%、約二%に近い。一般会計歳出に対しましては一三%強に相なっております。これは国民所得伸びも非常にすばらしかったのでありまするから、それに比率がついていくということは、これは望むべきことではございませんけれども、それにいたしましてもこのようにずっと比率が下がって参っておるということは、見方によりましては必ずしも国力国情に相応じた漸増の方式をたどっておるということは私は言い切れないだろうと思うのであります。おそらく世界で比べましても、このような低い国民所得あるいは財政規模に対する比率はなかろうと思うのであります。それだけ安上がり防衛費でやってこれたればこそ、今日世界で類例のない経済成長を遂げつつあるその一つの大きな原因になっていることは事実と思いまするが、しかし安上がりで安全であればそれに越したことはございませんが、そうそうはうまく問屋がおろさぬ情勢になりつつあるのではないかと私は考えるのであります。  そこでちょっとお尋ねしたいと思いますけれでも、今日までの自衛隊も、自衛隊がここまで来ますまでにつぎ込みましたところの総経費というものは、どれぐらいになっておるのでありますか。これは今までの年々の防衛関係費総額とそれからアメリカの対日援助総額を合わせたものが、ざっとこれになるという勘定になろうと私心得まするが、この両者を百分比にいたしてみますと一体どんな比率になっておりますか。
  8. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 昭和二十五年度から昭和三十五年度までの防衛庁費の累計が九千四百十七億になっております。それから米側からの供与の額を昭和二十六年度から三十五年度の第二・四半期まで総計をいたしますと、四千七百九十億六千五百万円でございます。
  9. 辻寛一

    辻委員 そうしますと、防衛庁費昭和二十五年度から三十五年度まででございますね。片方は二十五年度から三十五年度まで一年ちょっと少ないわけでございますが、それにおきましても対日援助額というものが約半分ということになるわけでございますね。つまり今ちょっと承りましても、ここまで自衛隊がやって参るまでの総元手の中で、その比率は二対一というようなことになっておるわけなのでありますが、つまりアメリカのおしきせと突っかい棒によりまして、それがありましたればこそこういうふうに格安でもってとにもかくにも防衛力を整えて参ることが今日まではできたのであります。もうここまで参りますればとにもかくにも一人前、そうよそ様にたよるわけにも参りませんし、またたよらせてもくれぬ実情になってきておるのでありまして、ことしの無償援助期待額は二百億くらいだったと思っておりますが、これも年々漸減、むしろ激減ということも私は覚悟いたさなければならぬと思うのであります。しかも第二次計画などといっても、質的改善ということが中心とならなければならぬのでありますから、そうなれば装備近代化も自前で年々やっていかなければならぬということになる。これは大へんなことで、必要最小限度にいたしましても、今後は相当要ることだと思うのでありますが、今までのような比率所得がうんと伸びるにいたしましても、少なくとも漸減の下向きの方向をたどっておるというような比率では、まことに心細いと実は考えるわけであります。歴代の防衛庁長官国民所得の二%前後をめどにしておるというようなことを言っておられます。かりにも民生安定を妨げるようなことがあってはこれはいけません。これは念頭を離るべからざる大切な問題でございますが、仰せのごとく二%程度でありますならば、経済伸びるのをじゃますることもなかろう。国民生活に対する影響もさしてなかろうと思うのであります。当分は二%頭打ちでもけっこうでありまするが、少なくともその方向に向かって年々この防衛費漸増をたどるような一つ御奮発を願いたいと思うのでありますが、防衛庁長官だけがいかにそのお気持になりましても、財布を握っておられる方の考え方が食い違ったのではどうにもならぬのであります。幸い西村長官の発議で国防会議懇談会がこれから毎月開かれまして、国防問題に対しまして絶えず意思の疎通をはかられるということでございまするから、まことにけっこうなことでございます。ですからどうか一つ総理——きょうはここにおいでになっておりませんから、防衛庁長官を通ずるわけでありますが、総理大蔵大臣経企長官なりに大いに国防意識の高揚をされまして、少なくともこの第二次防衛計画が実質的な効果の上がるように、西村長官の御手腕に期待をいたすのでありまするが、こういうことに対しまして何か御感想でもあらば承っておきたいと思います。
  10. 西村直己

    西村国務大臣 感想は非常にたくさんあるのでございますが、あまり時間もございませんので、結論を申し上げますと、わが国防衛費が必ずしも十分な伸びをしていない。ややもすると漸減方向をたどっておりはせぬか、私もなるべく漸減よりはむしろ漸増基本方針は曲げないで参りたい。ただもちろんこれはもののいろいろな見方がございます。御存じ通り民生安定を害する害さない。たとえば社会保障とのバランスをどうするか、これはそのときの見方によっても違って参ります。それからわが国内外の置かれた状況からも判断しなければならぬと思いますが、しかし私といたしましては次期防衛力整備計画をかりに事務の段階、あるいはトップのレベルでこれから論を多少まとめていく方向規模といたしましては、やはり国民所得の二%前後というものが一応常識的なめどではないか。そういうような方向で、国民所得も漸次三カ年におきましては毎年九%ずつ伸ばしていくという中において、そのめどを立てつつ参りたい、こういうような考え方でございます。それから同時に、これでも諸外国の例から参りますと、まだ私は十分なる防衛力整備されたとは言い切れないと思います。言いかえますれば、諸外国におきましてはもうすでに辻委員御存じ通り、相当なる%を国民所得の中にも持っておる国が多いのでありまして、率直に申しますとわが国の直接防衛力に使う費用というものは、一応われわれが普通あげ得る国家といたしましては、最低の比率ではないかと思うのであります。これを二%前後のめど取りまとめ方向へ進めてみたいと思うのであります。またかつての例で申しますと、昭和二十七年ごろには一時三%前後の時代もあったと思うのでございますが、なるべく常識的なめどで、二%前後を一応のめどとして参りたい、こういう考え方で、お説に従いまして、また国防会議基本方針国力国情に応じた防衛努力というものは不断にいたして参りたい。その意味で、ただいまお話がありましたように、日常において国防的観点から、関係閣僚一つの足並みをそろえる方向にも持って参りたいという意味でも、毎月の国防会議懇談会というものを設けた次第であります。
  11. 辻寛一

    辻委員 次に承りたいと思いますのは、第二次防衛力整備計画がおくれておりまするのは、最初にお答えがありましたように、国内の多端なできごと、さらにもう一つアメリカ政権交代による国防方針というものを見きわめる必要があったというようなお答えであったのでございまするが、ケネディ大統領さきに出しました一般教書の中におきまして、アメリカ国防の再編成についての結論は二月中に出したいということを言っております。もうそろそろ何らかの結論が出されるときであろうかと思いますが、しかし具体的な詳細な結論が出なくとも、すでに長官におかれましては、ケネディ国防政策国防基本方針というものがどういうものであるかということは、十分看取されておることであると思います。ケネディはもちろん軍縮の実現、核実験停止等に関しては、熱意を持って努力するということを教書の中で誓っておりまするが、しかし現実国防に対する基本観念としては、何としてでも軍事手段を強化しなければならぬということを言うておりますることは御承知の通りであります。「われわれは、軍事的、外交的な可能性によって、自由世界の力を、いかなる侵略も明らかにむだであることをはっきりさせるほど、強力なものにせねばならないほど危険な時代に入ろうとしている。」と教書の中でも言うておりますところを見ましても、理想はともかくといたしまして、両陣営、力の均衡でとにかく今日の平和を維持されておるという、その現実の認識におきましてはアイク前政権といささかも変わりはないと思います。むしろ積極的であります。国の安全保障という問題は健全財政に優先すべきであるというような力強い発言までケネディはいたしておるのであります。アメリカ実情を率直に解剖いたしまして、国民により犠牲と奮起を要請さえいたしておるのでありますから、こういうケネディ国防方針から考えましても、同盟国といたしましての日本の防衛建設に対しまして、いま少しく努力あってしかるべしといったような希望が表明されはしないかといったような可能性さえ論じられておるようであります。このアメリカ国防方針あるいは対日政策というものをどういうふうに受け取り、そしてそのはだざわりといいますか、その感触を次の防衛計画の中に何らかの形において織り込んでいくといった可能性がありはしないかと考えるのでありますが、こうした点に対しまする長官の御所見を承りたいと存じます。
  12. 西村直己

    西村国務大臣 私もケネディ新大統領の国防に対する基本的な気持というものは、あらゆる角度から報道されておりますが、大体ただいまお話しになったように受け取っておるのであります。言いかえますれば、やはり軍縮というものをあくまで理想の念願にせられておることが外交方針であり、また国防方針であるのでありますが、しかしその根底としては、同時に侵略に対し力強い体制をとるという方針については、はっきりされておると思うのであります。特に局地戦争に対する軍事力の強化というものも、相当強調されておると私は考えております。従いまして今後アメリカ国防方針といいますか、国防政策の内容が具体的に判明するのは、まだ時間は少しかかろうと思いますけれども、全般的な方向を見て参りますと、極東における防衛構想に大きな変化はない、こう私は考えております。まして日本は自由陣営に外交方針としては立つという点、日米共同防衛体制というものを持っておる、二つの点、これからケネディ大統領としても、日本の国並びに国民に対する防衛努力というものは、相当期待いたしておるのではないかと私は感じております。
  13. 辻寛一

    辻委員 まだお尋ねをいたしたいことがだいぶ残っておりますが、委員長の御要請もありますので、また他の機会に譲らしていただいて、残余の質問を保留させていただいて一応終わります。     —————————————
  14. 久野忠治

    久野委員長 この際、国の防衛に関する件もあわせて調査を進めることといたします。  質疑の申し出がありますからこれを許します。山花秀雄君。
  15. 山花秀雄

    ○山花委員 防衛庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、アメリカの日本における基地に、その周辺における住民が大へん迷惑をしておるということは、もうこれは長官もよく御存じだろうと思います。最近特にその迷惑が顕著になっておりますので、この際政府のそれに対する対策についていろいろお尋ねしたいと思います。  具体的の例は、ジェット機の騒音による迷惑というのが、最近各米軍基地において起きております。特に横田基地において、これは議長を通して政府関係にも陳情、請願、要請書というものがたくさん出ておると思いますが、また同僚議員の中村高一君からも政府に質問書を提示しておると思いますが、本年度はこういう問題に対する対策について予算措置が、前年度とどういうようになっておるかという一点を最初にお尋ね申し上げたいと思います。
  16. 西村直己

    西村国務大臣 ただいまお説のありました米軍、特にジェット機による騒音の被害と申しますか、そういう問題は最近強くなっておることは私もよく存じ、また各般の御要請があることも知っております。ただ必ずしも米軍のみならず、これは輸送機あるいは航空機の近代化によりまして、民間航空機におきましてもジェットの騒音問題はあるのでございます。従いまして単に米軍の問題のみならず、商業空港におきますジェット騒音等もあわせまして、先般来内閣におきましては、単にこれは防衛庁、調達庁だけでなく、あるいは運輸省にも関係がございましょう、その他をあわせまして、こういった問題を積極的に一つ対策として取り上げるように、協議会を現在設けつつあることは御存じ通りでございます。ただわが庁また調達庁といたしまして関係する部分におきましては、予算措置におきまして本年度もできる限りの措置をとるべく、ある程度の増額をいたしておるのであります。調達庁関係につきましては予算その他につきまして、調達庁長官からさらに御報告申し上げたいと思います。
  17. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 騒音問題につきましては、全般的にはただいま大臣からお答えになった通りでございまして、横田飛行場に関しましても以前よりも騒音度が高まって、その周辺の住民の方々に御迷惑をかけておるということは事実でございます。私どもはこの問題に対処しまして、日米合同委員会の下部機構としまして昨年十二月に飛行場騒音対策特別委員会を設けまして、航空機の騒音あるいはその他の被害を軽減するための具体的な措置について検討をいたしております。一方航空機の騒音軽減措置につきましては、米軍に対して作戦上やむを得ない場合のほかは、深夜のジェット機の始動あるいは飛行をしないこと、また日曜日の飛行訓練を最小限度にとどめるというようなことを協力を求めておりまして、米側もこれに対して極力協力の態度を示しております。なお昭和三十六年度におきましては、この飛行場周辺における学校等の防音工事は、引き続き予算の許す範囲内でなるべく多くの学校に実施したい、こう考えておる次第でございます。
  18. 山花秀雄

    ○山花委員 今調達庁の方からいろいろお話がございましたが、一応日米合同委員会にこの問題を提起しておる、あるいは防音措置について必要の予算措置をとるのだ。また米軍側においても深夜の飛行訓練はなるべく少なくしたい。こういう希望めいた話だけであって、具体的にしからば昭和三十五年度と昭和三十六年度の予算関係はどの程度ふやしたか、こういう点をやはり言ってもらわないと、抽象論ではこの問題は解決できないと思うのです。これはおわかりになっておると思うのです。去年と今年のその関係をもう少し詳しく一つお話し願いたいと思います。
  19. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 騒音対策費関係の調達庁部分の予算等について申し上げますれば、その前提といたしましてこれまでにやった経過も申し上げますと、昭和二十八年度から昭和三十五年度までに、現在工事中のものを含めまして二百九施設、三百三十一件で、総額二十二億一千万円を実施いたしております。この内訳は学校百九十四校、三百十四件、十九億八千七百万円、医療施設十五施設、十七件、二億二千四百万円であります。このうち木造を鉄筋コンクリートに改築しましたものは、現在施行中のものを含めまして学校九件、医療施設二件がございます。今後の処理計画といたしましては昭和三十六年度において学校三十三件、金額で七億四千六百万円であります。そのうち鉄筋改築は、昭和三十五年度から継続のものを含めまして九件、五億四千七百万円でございます。なお鉄筋改築以外は学校二十四件、一億九千九百万円を予定しております。なお、昭和三十七年度以降の計画といたしましては、学校百八十一校、約六十億円、医療施設八十九施設、約九億一千五百万円で、これは今後七カ年間内に実施いたしたい、こういう予定でございます。このうち鉄筋改築予定の学校施設は、昭和三十六年度からの継続工事を含めまして四十一件、四十億二千万円で、この鉄筋改築は昭和三十七年度から五年内に実施完了を予定しておる次第でございます。
  20. 山花秀雄

    ○山花委員 学校関係のいろいろ防音装置の具体的な問題を承りましたが、そこでこれはその音が出なければそういう費用を使わなくて済むわけです。問題は、飛行機がだんだんジェット機になって音が大きくなったということも、この被害を大きくする一つの原因になっていると思うのです。その飛行機自体の防音装置について日米合同委員会等々で何か話し合いをされたかどうか。これは一例を申し上げますと、立川に自衛隊の飛行機のテスト工場がある。そこで一応せんだって問題になりまして、防音装置をやっているのです。それで幾らか住民も安堵しておるという形が出ておりますが、自衛隊の方でやられて米軍基地でやられないというわけはないと思いますが、こういう問題につきまして調達庁関係たりあるいは日米合同委員会等々で話し合いがあったかどうかという点、また大いに話し合いを進めてもらいたいと思いますが、そういう点について一つお答えを願いたいと思います。
  21. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 飛行機自体に消音装置を取りつける必要があるかどうかということについては、できる限りこれは技術的にそういうことができますれば好ましいことでございまして、この点は米側にも要求し、その検討を要求しておりまして、米側もその点いろいろ研究いたしております。大型機等についてはこれらが技術的に可能性があるか知りませんが、現在のところ戦闘機についてはとうていその取りつけができないというふうに聞いております。
  22. 山花秀雄

    ○山花委員 もう一つお答え願いたいのは、たとえば今私ちょっと質問いたしました立川の自衛隊においては、一応テストをやるときに防音装置をやって、付近住民が一時は大いに騒いでおりましたが、このごろはあまり音がしなくなった、こう言っております。それが米軍基地の方でどうしてできないかという点であります。何かこれは技術的関係でできないのかどうか、技術的関係でできなければ、今度は学校なり付近住民住宅の防音装置ということになりますが、そういう点もう少し明らかにしていただきたい。
  23. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 先ほど申し上げましたが、政府は去る一月横田基地の司令官に対してこういうことを申し入れました。エンジン・テストの際に防音対策を講ずること、またテスト場を家屋の密集しない方へ移すということ、それから夜間のテストは可能な限り中止するということを申し入れましたのに対して、現地軍は誠意をもって善処するということを約束しております。ただいまお尋ねのエンジン・テストについて、これを防音装置をするとか、あるいは近所に迷惑かけたいようなテストの仕方というものはあり得るわけでありまして、米側としてその点は十分に注意して、外部の付近住民の方にできるだけ迷惑をかけないように協力しておると聞いております。
  24. 山花秀雄

    ○山花委員 今の説明によりますと、こちら側の申し入れに対して、米軍基地側の方もその趣旨を了承して、協力をしてもらっておる、それは間違いはございませんか。
  25. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 その通り了承しております。
  26. 山花秀雄

    ○山花委員 これは地元民からの陳情とはだいぶ話が違いますので、ここで水かけ論をしても仕方ありませんので、後刻この点はよく調べて、さらに次の委員会で問題にしたいと思います。  それからもう一つは、これは防衛長官にもお尋ねしたいのですが、横田飛行場の基地の拡張を計画されておるというようなことを聞いております。この点はいかがでございましょう。
  27. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 横田基地の滑走路の延長とか、そういった拡張計画はございません。ただ航空の安全をはかるための補助装置を設けるために、基地外に、基地に接続して必要な設備をいたすことになっております。そういうことのためにやっておるだけでありまして、基地を拡張するという計画は全然ございません。
  28. 山花秀雄

    ○山花委員 基地拡張の計画はないが、航空路の安全のために少し広げたいというようなことになりますと、これはどう解釈していいかということになるのでありますが、せんだってわれわれは付近町村の代表と一緒に横田基地を訪問いたしまして、基地の司令官のデジヤンカ大佐、それからまた飛行場の内部機構についてウィールシュフ中佐の説明をいろいろ聞いております。そのときの話で、日本政府の方から埼玉県のジョンソン基地を自衛隊の墓地に切りかえるために、第三爆撃隊B52をこちらの基地へ移してもらいたい、すなわち横田基地の方へ移してもらいたいというような話がありました。そういう話を政府側としてはアメリカ側に申し入れておるかどうかという点。  それからもう一つは、接近灯、これは誘導灯と申しましょうか、飛行機が着陸するときに必要な設備でありますが、その土地の買収をしてまで誘導灯をつける必要はこちらとしては考えていない、誘導灯まで設置して拡張する必要はない、アメリカ側ではそうはっきり言っているのです。ところが最近調達庁関係で安動不動産部長が、付近の石川弥八という人のところへ土地の買収の交渉に行かれた。石川さんは、それは売りたくない、こう言っておるそうでありますが、売りたくないという意思までも売らせるように持ちかけて拡張をやろうとしておるかどうか。今言ったように、基地の飛行機の責任を持っている人は、誘導灯を設けなくたってちゃんとできるのだ、こういう話をしておられますが、この間はずいぶん話の食い違いがございますが、一体どうなっておるか、もう少し詳しく説明願いたいと思います。
  29. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 ただいま申し上げましたように、基地そのものを拡張するということは全然ございませんで、夜間飛行または悪天候に際して、航空の安全をはかるために補助装置を設ける、つまり進入灯を設置するということはこの基地の場合必要になっておりまして、このことは現地軍が先生方にどういうお答えをしたか知りませんが、政府に対しては正式に合同委員会を通じてそういう提案があり、その話し合いによってこういう設備をしようという計画を立てておる次第でございまして、その進入灯用地南北合計約二千九百坪及び無障害地域、すなわち地役権を設定してそこを無障害地域とするものを合わせまして、合計南北約七万坪であります。この地役権地域での農家は全く自由でありまして、農耕等に差しつかえございません。地元の方で、この関係の所有者で提供したくないというお考えを持っておられる方もあるとの先生のお話でありますが、そういう方に対しても、私どもはどこまでも話し合いによって円満にこの問題を解決したい、かように存じております。  また横田基地に対してジョンソン基地からある部隊が移ってきた、移駐してきて使用しておるという事実でありますが、これは私ども聞くところによれば、ジョンソン基地の軍側の都合で基地を縮小しまして、そのために横田へ移ってきた、こういうふうに聞いております。  防衛庁関係は防衛庁からお答えいただきます。
  30. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま調達庁次長からお話がありましたように、当方から、どこそこへ移ってくれという要求をしたというお話でございますが、事実は、横田基地を移るような何らかの情勢になりましたので、移るのならばあとを使わしてもらいたい。現に共同使用をしておる飛行場でもございますので、あとを使わしていただきたい、こういうことを希望しておるわけであります。
  31. 山花秀雄

    ○山花委員 本年度の計画は、学校三十三件で予算が大体七億四千万円程度というふうな御説明がございましたか、横田基地周辺の学校にこの予算関係が関連しておる場所があるのかどうか、おわかりでしたらお答え願いたい。
  32. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 ただいま手元にある資料で見ますと、横田飛行場周辺の学校防音工事の進捗状況でございますが、この基地の周辺でこれまでに私どもが防音工事を必要と考えておるものが合計約三十五校、予算で七億五千四百万円を必要とするものと考えております。しこうして昭和三十五年度までに実施いたしたものは十五校、全体必要数の約四三%、金額約一億一千百万円、これを実施して参っております。今後も約二十校を予定し、その金額は六億四千三百万円を計画いたしております。このうち鉄筋コンクリートに改築して防音工事をしなければならぬというように予定しておりますものに、拝島第二小学校、瑞穂第一小学校、拝島中学校、西砂川小学校分校の四校で、約三億八千八百万円でございます。
  33. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 さようでございます。
  34. 山花秀雄

    ○山花委員 それからもう一つお尋ねしたいと思いますが、これは外務省の方も来ておられますが、日米合同委員会でこれらの問題について割に米軍側もよく聞いてくれて、うまくいっておるというような先ほど調達庁側の説明がございましたが、付近の住民に承りますと、なかなかそういうことはうまくいってない、こういうことでありますが、合同委員会見通しはいかがでしょうか。それからせんだって福田代議士と私が紹介して議長さんの方にも陳情要請書を出しました際に、議長さんの方は、これはやはり日米合同委員会に諮ってもらう必要があるから、そちらの方にも伝達をする、こういう確約で、そのときは終わったのですが、外務省関係にそういう議長さんからのお話があったかどうかということをこの際承りたいと思います。
  35. 魚本藤吉郎

    ○魚本説明員 お答え申し上げます。日米合同委員会においては騒音問題がたびたび取り上げられまして、先ほど調達庁より御説明がありましたように、昨年の十二月に特別委員会を作りまして、ここで真剣に検討が行なわれております。従来の合同委員会におきますアメリカ側の態度は、常に誠意を持ちまして本件の検討、その対策を真剣にやろう、こういう態度で望んでおります。特に昨年の秋には、アメリカからも特別の調査団が参りまして、それで検討しておるわけであります。
  36. 山花秀雄

    ○山花委員 大体同じ問題で同僚の福田議員からも質問がございますので、この問題は私は終わりたいと思いますが、最後に一つだけ、これは防衛庁長官でも調達庁の関係でもよろしゅうございますから、お答え願いたいと思いますが、御承知の調布の水耕農場がこの五月、六月ごろに閉鎖になるということを承っております。ここに働いておる駐留軍関係労務者が百二十人ほどおりますが、これらの離職対策、それから閉鎖後に、大体の土地の面積が九十三万坪ほどあると承つておりますが、これは三鷹、府中、調布の三市にまたがった広範な土地で、国有地と都有地と民有地という形になっておると思いますが、各市でこれを有効適切に使用するために、たとえばこれは一例でありますが、調布市あたりでは五万坪ほどの払い下げの要求を出しておる、こういうことを承っておりますが、この閉鎖の時期が大体いつごろと確定しておるか。それから百二十人の現在使用されておる労務者に対する離職対策の問題についてどういうお考えを持っておられるのか。それからこの広範な土地の今後の利用関係についてどういうお考えを持っておられるか。この三点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  37. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 この水耕農園の解除問題につきましては、いろいろ御要望がございますが、ただいまのところいつこれが返還になるか確定いたしておりません。  なお就労労務者の離職対策につきましては、万一そういう解除となり、あるいは労務者の解雇の際には、離職対策については私どもできるだけ万全の措置をとって離職者が困らないようにやりたいと存じております。かりに解除になった場合のその土地の利用問題については、これも各方面からいろいろ要望があるようでございまして、これについても十分検討いたしたいと存じますが、国有地のことでございますので、国有地につきましては解除すれば大蔵省所管になりますので、私どもでできること以外の点については大蔵省が担当して十分やってくれるものと思います。
  38. 山花秀雄

    ○山花委員 九十三万坪の中に民有地が三十七万坪ありますが、これはもとの土地所有者にそのまま返る、こういうことに了解していいのですか。
  39. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 さようでございます。
  40. 山花秀雄

    ○山花委員 いろいろ質疑を続けたいと思いますが、なお田口委員質疑も残っておるそうでありますし、また先ほど横田基地の問題につきましては、同僚の福田委員からも質問通告がございますので、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  41. 久野忠治

    久野委員長 次に田口誠治君。
  42. 田口誠治

    田口(誠)委員 質問の第一点は、現在現地で紛争中であり、問題になっております岐阜市の日野射撃場問題をめぐる諸問題について、射撃場が今日射撃場の周辺の地形、環境からいって、きわめて悪条件な位置にあって、もはや射撃場としてあそこに存置することが困難であるという点から、廃止をしてもらいたいという点を中心に質問を申し上げ、これにつきましては防衛庁長官、厚生省、自治庁、林野庁、国有財産審議会等々に御質問を申し上げて、第二点の質問に移りたいと思います。  そこで質問の要点に入ります前に、この射撃場をめぐる今日までの経緯というものと、それから射撃場の周辺の地理的な環境の実態を十分お話し申し上げて、そのつど確認を申し上げ、十分御理解をいただいた上で御回答を願いたい、かように考えておる次第でございます。  問題の日野の射撃場は、これは軍はなやかな当時の六十八連隊のあった当時に、岐阜市の郊外を選んで射撃場を設置いたしたのでございますが、終戦後は米軍使用地になって、昭和三十四年の五月二十八日に国有財産地方審議会で、岐阜県の代表である知事とかあるいは岐阜市の代表である市長の出席を求めずして、欠席裁判で結局自衛隊に払い下げの決定が確認されて、そうして昭和三十五年二月九日に自衛隊に正式に登録されて今日に至っている、こういうような状態でございます。ここでちょっと確認をしておきたいと思いますが、国有財産地方審議会がこういう問題を取り扱う場合に、地方の代表者を加えずして、地方の代表者の意見を聞かずして結論を出すということは、一つの越権行為にもなると思いますし、国有財産法の第九条の一項、二項、三項の精神を無視してやられたと思いますが、この点についての御所見を承りたいと思います。
  43. 山下武利

    ○山下政府委員 お尋ねの件につきましては、私どもの手元にあります資料で見ますと、昭和三十四年五月二十九日に開催いたされました第九回国有財産東海地方審議会におきまして、適当であるという旨の答申を得たということになっています。
  44. 田口誠治

    田口(誠)委員 質問の要点は、その委員会で妥当であるという結論を出されるときに、こうした射撃場とか基地というようなものに対しては、地方の代表者の意見を聞いて結論を出されるのが当然であるし、先ほど申しましたように国有財産法の第九条の一項、二項、三項にもそういう手続をとってやるようになっておるわけなのです。ところがそれがなされておらないというところに越権的な行為があると私は思うのですが、この前後の関係について御説明を願いたいと思うわけです。
  45. 山下武利

    ○山下政府委員 これは具体的な点につきまして、あるいは正確なお答えができないかと思いますが、国有財産の処理につきましては、全般の問題でございますけれども、十分に地元の意見を徴しました上で、大体御了承を得たところでもって審議会に諮るというのが大蔵省としてのやり方でございます。本件につきましても、たまたま当日関係の方が若干欠席されたというような事情があるようにも伺っておりますけれども、原則といたしましては地元の十分な御了解を得た上で審議会を開催した、かように私たちは聞いておるのであります。
  46. 田口誠治

    田口(誠)委員 原則はわかります。原則はその通りでございますし、そうしなければならないと思うのですが、日野の射撃場の問題についてはそれをやられなかったということについては、結局どうなるのですか。地方の代表、岐阜県の知事なり地元の岐阜の市長なりが苦情を出して、もう一ぺんやり直してもらいたいと言うならばやり直してもらえるものか、それとも陳謝で済むものか、その点どうなんですか。
  47. 山下武利

    ○山下政府委員 おっしゃるような事情があるかどうかということは、私のところで今ちょっと急にはお答えいたしかねるわけでございますが、私どもの知り得る限りでは、東海の財務局長から三十四年七月三日付大蔵大臣あての答申をもちまして、先ほど申し上げましたように地方審議会においては適当である旨の答申があったという通知があったわけでございます。詳細は調べた上でまたお答え申し上げます。
  48. 田口誠治

    田口(誠)委員 私の申し上げたのは、調査の結果そういう手続がとられておらないから指摘をしておるのです。あなたの方では原則としてやることになっておるし、現在のところではその点が把握されておらないということなのですが、事実そういうことであるならば、私の指摘することが確認された場合には、これは地元から知事なり市長なりが苦情を申し立てたりいろいろ手続はあるでしょうけれども、そういう場合にはもう一回やり直しをするのか、あるいはそのときは手落ちであってまことに済まなんだということで済むのか、その点どうかということをお伺いしておるのです。率直に回答してもらいたいのです。
  49. 山下武利

    ○山下政府委員 私の記憶では、地元の知事さんが反対をしておられるのに、しいてそれを押し切って審議会を開いたというふうなことは考えられないのでございますが、もしお説のようなことがございますれば、地元に照会をいたしまして、当時の事情をよく調べた上で善処いたしたいと思います。
  50. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっと確認いたしますが、地元の市長なりあるいは知事なりが反対をしておるということはないと考えておるが、もし反対ということになれば、また戻って考えてみる、こういうように確認しておいてよろしいですね。
  51. 山下武利

    ○山下政府委員 当時の事情がどういうふうであったかということをよく調べました上で、善処いたしたいと思います。
  52. 田口誠治

    田口(誠)委員 その善処ということは、どうも政府の答弁というのは、こちらの方で聞いておってまともにこうだと思っても、それが違う場合があるから、私くどくお伺いするのですけれども、調べた上で私の方から指摘申し上げるようなことが事実であった場合には、知事なり市長なりからそんなばかなことはないというので苦情を申し立てて、もう一ぺんやり直してもらいたいというような申し入れのあった場合の取り扱いはなされるのか、もうあきらめてもらうということなのかどうなのかということをお伺いしておるのです。かたくならぬで、率直に一つ回答願いたいと思います。
  53. 山下武利

    ○山下政府委員 当時の事情はどうであったかということを、私今具体的な資料についてはっきり申し上げることができないものですから、その点をよく調べました上でお答えいたしたいと思います。少なくとも審議会において決定をしたという裏には、当時その辺の事情をよく調査して御了解を得た上でやっておると私たちは推察いたすわけでございますが、もしそういうことがなく不当に審議会が開かれておるというような事情があれば、その点は十分に善処しなければならぬ、かように考えております。
  54. 田口誠治

    田口(誠)委員 時間がありませんのでこの辺でやめますが、この点につきましては今の回答の線に沿って、また何かあとから出るかもわからぬが、そのときは一つよろしく。  次に行きます。ちょうど一年ほど前でございますが、日野の射撃場をめぐりまして、愛知県の守山市にあるところの守山市も部隊が、伊丹の第三区中部方面隊岐阜出張所の所長を通じまして、この射撃場の付近にある国立結核療養所の所長、それから精神病院の院長に対しまして、射撃場で実弾射撃の訓練を行ないたいから了承してもらいたいという申し入れがあったそうでございます。そこでその後何回か話し合いが進められたのでございますが、御承知の通り病院側といたしましては、非常に大切な病人の生命を預かっておるという責任から、また射撃場の射撃そのものが病人に対しましては非常に悪影響を及ぼすということから、オーケーという了解は与えておらなかったようでございます。ところが本年の一月十三日に至りまして、守山の駐屯部隊が強引に現地にジープでやってきまして、きょうは音響測定でも一つやってみなくてはならないじゃないか、こういうことで実施に取りかかろうという準備をいたしたわけなんです。ところが病院側あるいは患者たちはそれを聞き込みまして、部隊の一方的な行為に非常に憤激をして、そうしてこんなところで射撃をじゃんじゃんやられてはたまったものではないから、すわり込みをして阻止をしようというので、まだ結核の手術をしてから一カ月半くらいしかたたない重病患者までが現地に押し寄せてきたというようなこと、そうしてそれを聞き込んだ現地の民主団体や地元の人たちは心配をして、その現地へ集まるというようなこと、通路にはバリケードが張られたというようなことで、一体全体この結末はどうなるかという、非常に憂慮すべき事態にまでいったわけなんでございます。ところが部隊の責任者の方から、病院の責任者と話し合いをいたしたいという申し入れがあったわけでございまするので、そのときに問題になりましたことは、国立病院の院長は、どちらかといえば官吏であるから、一つの圧力もあるし、やはりどうしても被害を受けるのは病人であるから、患者の自治会の方も中に入って話し合いを進めたいというので、そうして交渉させようというやりとりがありまして、最終的にはまあオブザーバーという形できようは入ってもらって話し合いをやろうじゃないか、こういうことになりまして、話し合いをやりました結果、第一点としては、当日は実施をしないということ、それから第二点といたしましては、一月末を目途にもう一ぺん話し合いをして結論を出したい、こういうような話し合いの結論が出まして、当日非常に憂えておりましたところの重大な事態を惹起せずにおさまったという一幕もあるわけでございます。その後の経過をちょっと申しげ上たいと思いますが、患者の自治会は、これは両病院とも、ここで射撃をやってもらっては私どもの病気には大きな支障があるというので、絶対に反対をすると共闘会議を作りましたし、地元ではこれは一つの人道的な問題でもあるというので、地元民やら、民主団体やら、政党や、子供を守る会と、幾つかの会が反対の共闘会議を作って、今戦っております。時おり街頭に立って署名運動をやっておりまするが、この署名運動では看護婦さんまでが街頭に立って市民に呼びかけておりまするが、いまだかつてない人気を呼ぶというか、市民の関心と同情を呼びまして、そうして市民から激励をされておるというのが実態であるわけなんです。そこでこういうような戦い、あるいは状態になっておるということを、まずもって防衛庁の方では御存じであるかどうか、まずお答えを願いたいと思います。
  55. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま仰せになったような事実は、防衛庁側としてよく存じております。ただしただいまおっしゃったお話の内容については、われわれの方で承知いたしておりますのと若干の食い違いがあるように存じます。その食い違いの一番大きな点でございますが、ことしの一月の九日に、県の仲介によりまして、厚生省の東海北陸医務出張所、それから両病院、それから守山におります自衛隊、十混でございますが、この関係者が集まりまして、音響の測定の試験をすることについての協議をいたしたわけでございます。その席上、十混の方といたしましては、ともかく音響がどの程度のものであるか、病人に障害を与えるかいたかという点についての科学的なデータをまず求めたいということで、名古屋の大学にそういう依頼をいたしておったわけでございますが、当日、一月十三日にその音響測定の試験を実施したいということを十混の方から了解を求めたわけでございます。その了解を求めた基礎には、前年、昭和三十五年の九月六日に両病院長から厚生省の医務出張所長あてに文書をもって、音響測定の試験をやってもらってよろしいという承認の文書が渡されております。従って十混といたしましては、その承認文書に基づいて、それでは、日にちは具体的に三十六年の一月十三日に行ないたいということを申し出たわけでございます。ところがその席上、両病院の側とされましては、県が仲介に入った段階においては、前に自分の方で医務出張所に承認をしたときとは事情が変わっておる。従ってこのままの形でもって実験を進めてもらっては困るというお申し出がございました。しかしながら名古屋の大学に、先ほど申しましたように、試験を依頼しておりました関係もあり、また県並びに医務出張所の方の了解も得ましたので、一月の十三日に実施しようとしたわけでございます。そのときに、その射撃場におきまして、両病院長と患者の抗議がありまして、ただいまお話しになりましたように実験を一時中止したという事情がございます。ただいま申し上げましたように十混といたしましては、勝手にひとりぎめをして一月十三日に実験に入ったのではなくて、その前に両病院長の文書による承認を得ておりましたので、それで入ったという点が若干われわれの承知いたしておる事実と違うように思います。
  56. 田口誠治

    田口(誠)委員 今御回答のありました内容については、今病院長が了解を与えておる云々については、僕らの把握しておるのと相違がございますので、まあこれは水かけ論になると思います。了解を与えておるとするなれば、十三日に部隊が来たときにまっ先に飛んできて阻止するような行動を痛院がする道理がないです。まあこの点につきましては、あなたの方の受けられた報告の内容と、私らの把握しておる点と相違があるという点と、常識から考えてみても、私の申し上げた内家が正確であるというように考えられますので、ここのやりとりは時間の関係でやめます。  そこで、こういうことになりましたので、私ちょっと具体的に申し上げたいと思いまするのは——ちょっと係官の方、略図をそちらにお示し願いたいのです。それを防衛庁長官にも……。そこで先ほど申しましたようにこの射撃場は、今日ではその周辺の地形、環境からいって、きわめて悪条件の位置にあるという点を、私はその略図によってまず御認識をいただきたいと思うわけでございます。ちょうどその射撃場のある山というのは洞山と申しまして、そこのふもとというか、すそ野というか、そういうところに射撃場があるわけでございます。ちょうどそのはす向かいに船伏山があります。今皆さん方がおいでになるところの裏が山であって、皆さん方のおいでになるところが射撃場であれば、すぐはす向かいのこちらが船伏山であって、そうしてこの船伏山というのは、そのすそ野に当たるところに松並木があって、結核病院なんかを作るのには非常にいい環境のところです。ここは一千メートルぐらいしかございませんが、そこに国立の結核療養所がありまして、これには病棟が二百ですかと、それから看護婦さんやいろいろな従業員も相当にたくさん勤めておるわけでございます。厚生省でも御承知の通り昔の結核の療養というものはどうかというと、安静と栄養をとらして薬物療法であったのですけれども、最近では手術が多くなったのです。手術が多くなりまして、特に日野の療養所というのは技術的に評判がよくて、東海でも折紙をつけられているというのが実態であるわけでございます。そうして外科をする員数も、外科をするときにはお医者さんも数名くらいはかかりますし、一回の手術に要する時間が簡単なものは二時間から五時間というような、そういう時間がかかっておりますし、大体一週間に六名から十名くらいの手術を行なっております。それから特に結核療養所でありますから安静時間というものが与えられて、これは面会者が行っても面会をさせないという、絶対安静の時間をとっております。こういうような最もいい環境のところに、こうしたりっぱな病院が約千メートルちょっとのところにあるということです。それはその略図を見ていただけば、線を引いてありますので了解いただけると思います。それからそれより西の方へちょうど二百メートルくらい下がって、射撃場から約八百メートルのところに、これもまた特に安静を要する、そして環境もいいところに作らなければならないところの岐阜精神病院が、五百人くらいの患者を収容しておるわけなんです。そしてこの精神病院も、昔の精神病者の療養方法というのは、言葉を悪くいえばおりの中へ入れて、まあ病室へ入れて、注射をしたり薬を飲ませたり、いろいろして療法を行ないましたけれども、最近では専門的な言葉でちょっと私もむずかしいのですけれども、二十五年から特殊療法がやはり行なわれまして、脳の手術というものが行なわれておりまして、ここにおきましても非常に重要な病院に相なっております。そうして両病院の間には母子寮があったり、養老院があったりして、ほんとうのお年寄りの方の安静というか、そこを楽土として一代を過ごさせる施設もそこに設けられておるということでございます。こういうように今申しましたようなきわめて安静にしなければならない病院が二つある。またその間には母子寮があったり、あるいは養老院があったりする。この中で特に重症患者を取り扱う施設を擁しておるこの日野において実弾射撃を行なうということは、これはだれが考えてみてもあまりにも無謀な、残酷なことであって、人道的な面からいってももはやこれは許されるべきものではないのじゃないか、かように私は考えるわけでございます。それでこういうような実態の中において射撃場を設けて射撃を行なわれるということは、厚生省の立場からしてどういうふうにお考えになるか、まず厚生省に私お伺いをいたしたいと思う。
  57. 橋本壽三男

    ○橋本説明員 現地の報告によりますと、施設長の考えておりますことは、射撃の実際行なわれます場所までは一キロないし二キロ近く離れております。従いまして科学的なデータを得て話し合いを進めたいということを申しております。従いまして現地の情勢も十分考慮に入れていただきまして、正確な実験計画とその計画に基づく判断を得ることが、現在必要な段階であろうというふうに考えております。
  58. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの御説明は、とにかく音響測定をしてみて一キロちょっとくらいなら大したこともないから、まあ射撃場に使うという格好になるというような御答弁なんですけれども、音響測定そのものは、今日あたりわざわざ人のいやがる日野へ行って、音響測定しなくてはならないということはないと私は思うのです。音響測定は防衛庁としてもなされておると思いまするし、騒音の人体への影響あるいは病人に対するところの心理的な影響、こういうようなものも科学的にもはやデータはできておると思うのです。それをわざわざ日野へ来て音響測定をしたいというこのことは、これは交渉のときにもあったように、射撃を実施するのだという前提に立っての音響測定である。それを病人から考えてみますると、御承知の通り年をとった年配の病人は、あのむざんな戦争というものにはおびえておりまするし、戦争という言葉を聞いただけでも病気がうんと悪くなるくらいに神経をとがらしておる。それから現在の若い青年たちは、あの新憲法ができて以来、日本をどうかして戦争のない平和な楽土にいたしたい、飛行機の音や、あるいは射撃の音を聞くようなことはしたくないということはだれも考えておることであって、人間としてこの世に平和を求め、そうして長く生きたいというその欲望から、その希望から病院へ入って療養をされておるわけです。そうしますと同じ音響でも、こちらでジャズの音楽をやっておる音響と、こちらでぽんぽん射撃の音がする音響とでは、その音の量は同じであっても、病人に影響する度合いというものは非常に大きいわけなんです。今私が説明申しましたように周囲が山であって、特にこの射撃場の場合は岩山に囲まれておるわけです。そうして線を引きましたのは山をかけておるのではない。二十の的を作って、二百メートル、三百メートル、四百メートルの地点から射撃をするのですけれども、私が一つ政策的な発言をするならば、四百メートルからはかって一番近い距離を申し上げるのが人情だと思うけれども、私は最も良心的なまん中の三百メートルからはかっておるのですよ。そうすれば岩山に囲まれておるその射撃場でぽんぽんとやれば、船伏山の方にもわあんと山びこは行きますし、その南にあるとろの山にもわんと行きます。そうすると、先ほど申しましたような銃砲の声を聞けば、病気には大きな影響のあるという病人、平和を求めて早く全快をしてこの世に世間のために尽くしたいという気持の人たちの心理状態からいきますと、音響測定をするというようなことはもうできておるのだから、あそこでやらなくてもいいわけなんです。そこでそういうことになると私はあらためてお伺いをいたしたいと思いますが、音響測定というものが今日までなされておらないのかどうかということ、なされておるということになれば、そのデータを一つお示しを願いたいとい思ます。
  59. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま仰せになりましたように、これが現実に病人の療養に悪影響のあるものだということでは申しわけがありませんので、これはもともと旧軍時代からあった射撃場でございまして、精神病院等はあとでできたものでございます。従って一体その八百メートルあるいは千三百メートル離れておりますこの病院あるいは療養所において、どれくらいの音響の影響を受けるかという点についての科学的なデータをまず求めまして、そしてそれによって、なおそれほどの影響があるかどうかということを客観的に医学上の見地から調べまして、その上でもし影響がないならばこのまま継続をさせていただく。影響があるのならば、これは何か考えなくちゃいけないということで、いずれにいたしましても出発点としては音響の測定、そしてその結果科学的にどう判定するかということが先決問題でございますので、防衛庁側といたしましては、まず音響測定をいたしたいということを最初の申し入れとして取り上げておるわけです。
  60. 田口誠治

    田口(誠)委員 回答がはずれていますよ。私はそういうことをお聞きしておるのではなくて、音響測定をすると言われるけれども、そんなことはとうの昔というか、前にどこかでできておるということ。それからもう一つは、この騒音というものが人体に及ぼすところの影響というようなところのデータもできておるのだから、あらためてあそこでやらなくてもいいのだから、まずそのデータをお示し願いたいということなんです。そうすれば、人体に対する影響は何フオンだからどうなんだということは、私の方で資料を持っておりますから、それと対照して私は質問を申し上げたいと思いますので、私の今お伺いしたことは、そういうような音響測定というようなもの、あるいは人体に及ぼす影響とか、その他のものに及ぼす影響というようなもののデータはできておらないのかどうかということ、できておっても今手元にないのならばない、あるのならばある、その点をはっきりしていただけばいいのです。質問以外の発言はやめて下さい。
  61. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 データは現在のところありません。
  62. 田口誠治

    田口(誠)委員 ありませんか。大した自衛隊です。ほんとうにない。——これはないと答弁されればないと信ずるより仕方がありませんけれども、きわめてこれは奇怪なことだと思うのです。防音装置に対するところの陳情書たり要求書なり申し入れなり請願書というものは、全国の各基地から出ておるわけなんです。そうして毎年予算を取って防音装置というものを行なっておるわけなんです。これはあとから質問しようと思いましたけれども、昨年は一億九千万円とっておるのが、ことしは六億円にふえておるのです。そうすれば少なくとも防音装置を行なおうとすれば、音響測定くらい行なって、学校の生徒の勉強にはどのくらい影響がある、病院にどのくらい影響がある、あるいは動物その他にはどういう影響があるからどうせねばならないのだから、予算はどのように取らなければならないのだということは、当然予算を取るときの基本であろうと思うのです。それが全然なされておらないということは、私どもそのまま受け取れぬのですが、念のためもう一回、防音装置の予算の増額に伴ってデータができておらないという点について、一つ確めてみたいと思います。
  63. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 簡単にというお話でございましたので、簡単にお答え申し上げました。多少誤解を生じましてまことに申しわけございませんが、ただいまデータがないと申し上げましたのは、日野についてはデータを持ち合わせておらないということを申し上げたわけでございまして、一般の騒音、ことに飛行場の騒音につきましては、各飛行場ごとに詳しいデータを持ち合わせております。御承知のように日野の射撃場は小口径の射撃をいたしております関係上、防衛庁といたしましてはここでそれほど大きな騒音を発することはないであろうと確信を持っておったわけでございまして、現に地元の方からも、この問題は病院と自衛隊との間の関係であるから、われわれとして黙認をする、地元民に特に悪影響があるとは思われないので、黙認するという態度に出ておられるわけでございます。しかしこれは健康体と病人とでは状況は非常に違いますので、われわれとしては従来データを持ち合わせていないので、そういう科学的医学的なデータを求めるために、病院側にお願いをいたしまして、防衛庁だけで測定をやりますと、またいろいろ非難もこうむりますので、県にも中に入ってもらい、先ほどの厚生省の医務出張所の方にも入ってもらい、また地元の名古屋大学の方にお願いして、それで科学的なデータを求めたいということで、先ほど申し上げましたように病院側に申し入れをしたのです。ところが病院側としては、県が仲介するというような事情のもとでは、状況は変わっておるから測定に応ずるわけにいかないというお話でございます。どういう点が御心配かということをいろいろ探ってみましたところが、病院側としては将来ヘリコプターが来るだろう、あるいは現在は小口径だけれども、将来は大口径の砲を撃つのじゃないかというような、いろいろ御心配があるようでございまして、もし現在の状態でそれほどの被害がないという科学的な判定が得られましたならば、将来についてはわが方としてそういうものを入れないというお約束でもして、射撃を継続させていただきたい、こういう考えを持っておるわけでございます。
  64. 田口誠治

    田口(誠)委員 騒音の人体に及ぼす影響、そういう点につきましてはあとから一つ御質問を申し上げて、具体的にお聞きをいたしたいと思うわけです。  話がよれてきますと中心がはずれますので、戻しますが、ちょうど今申しましたところの日野の射撃場のある山は、これは皆さん方御存じ通り世界に誇るウ飼いで有名な長良川の川岸からそびえ立っておるところの、観光としては実にすばらしい山であるわけなんです。そしてこの山の周辺は、大正九年十二月二十四日に禁猟区になっておって、さらにそれを上回ったところの鳥獣保護区の指定を、昭和二十九年九月二十一日になされておるわけです。従って岐阜市としてはこの山を中心に、この山の一帯を開発して観光設備を完備して、現在では広く全国の大衆にいこいの場として開放をいたしておるような次第であるわけなのでございます。しかも金華山の周辺には近いうちにシカの放し飼いも行なうということも予定をいたしておりますし、こういうような重要な山の峰伝いの一画に射撃場があるというようなことについては、これは当然指定をされたところの林野庁としても異議のあるところだと思いますが、林野庁の御意見を承りたい。
  65. 福森友久

    ○福森説明員 農林省といたしましては金華山を当初禁猟区として指定しておったのでございますが、昭和二十九年の十月十四日にこれを鳥獣保護区に指定いたしました。この個所はお話のありました通り渡り鳥の休息地であるということと、それから各地の鳥類の繁殖地であるということと、観光地でもございますので、鳥獣保護区のモデル地区とすることを目的として設定いたしたのでありますが、その周辺に射撃場がございますということにつきましての影響については、私たちの方といたしましてはまだ十分調査はいたしておりませんので、その影響につきましては今後十分調査いたしてみたい、こういうように考えます。
  66. 田口誠治

    田口(誠)委員 政府の答弁というものはそういう答弁なんですが、私が略図までお示しして、金華山の峰伝いのふもとというか、すそ野というか、そこには射撃場もある。そこは今申し上げたような状態だと言えば、だれが考えてみたとて、こんなところに射撃場を持つというようなことはよろしくないと考えるのが常識だと思うけれども、官僚さんはそういう点の答弁がななかむかずかしいので、調査の上ということにたると思うのです。調査の上ということになりますと、一体私の質問に対しては、これはいつ調査になって、私はいつ回答を受けるのか。具体的に今現地では戦っておるのだから、私自身といたしましても、そんな病人がある方面から押されて倒れてけがをしたり、あるいは一命がどうなったというような事態の起こらないように、これは解決したいと思うのです。それで私は一生懸命こういうことの質問をしておるのですが、だれが考えてみたとてそういうような地帯の一角、峰伝いに射撃場があるということは好ましくないと思うのだけれども、あなたは好ましくないということが言えないのですか。それはどうです。良心的に一つ回答して下さい。
  67. 福森友久

    ○福森説明員 射撃場があるところにつきまして、その音響が非常に大きい場合におきましては鳥等が恐怖心を起こしまして、そのために悪影響があるということが通常ではございますが、この現地の場合につきましては、現地の管理者よりそういった悪影響があるという報告をするのが通常ではございますが、現在のところいまだそういった報告を受けておりませんので、十分それらについて今後調査いたしたい、こういうふうに考えております。
  68. 田口誠治

    田口(誠)委員 何回やってみてもそんなふうな回答だと思うので、これ以上のことは言いませんけれども、そういう報告があり、調査をして、これはいかぬと思ったら、防衛庁の方へも話しかけをしたりいろいろして、努力をされるというように解釈してよろしいのですか。それがまあ常職ですが……。
  69. 福森友久

    ○福森説明員 今お話のありましたように処置いたしたい、こういうように考えます。
  70. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは長官がちょっとお急ぎのようですから、私はまだやりたいことがあるのだけれども、長官に対する質問を急ぐので飛ばしていきますが、御承知の通り今申しましたように岐阜市の長良川のウ飼いというのは、これは国際的なものになっておって、外国のお客さんも来れば皇族方も来られる。そうしてこの山一帯は今申しましたような鳥獣の保護区域になって、そうして特にヤシの木の原始林というものは日本にないすばらしいものであって、五月に行ってごらんなさい、いかにもいいところなんです。こういうようなところが今一般大衆のいこいの場に開放されて設備がなされておるわけです。岐阜市としては力を入れておるわけなんです。ところが岐阜市が昔のように八万か十万のときなら、これは日野に射撃場を作っても——その当時は軍のはなやかな当時ですし、そんなことあかんと言えば、これは憲兵が来てちょっと来いということになりますので、おそらくその当時の人たちは好ましくないと思ってもよう言わなかっただろうし、そうして十万や八万の当時はまあまあということになったと思うのですが、現在ですら三十五万になったわけでありまするし、今の市の計画はさしあたり五十万都市を計画しておるわけです。これは岐阜市の地図でありますけれども、国際観光都市といわれる岐阜のどまん中に射撃場があるということなんです。これは長官の立場とか何の立場というようなことは抜きにして一つ考えてもらいたいと思うのですが、日本へ外国から国賓が来られれば、日光へ行って見てもらうとか、岐阜のウ飼いを行って見てもらうとか、いろいろそういうような接待の計画を立てるわけなんですが、その一つにやはり岐阜市は加わっておるのです。その国際観光岐阜市のどまん中に射撃場があるということ、射撃をするということは、これはいずこの国に行っても私は例のないことだと思うのですがね。私は実際に世界じゅう調べてみたことはありませんが、これはないと思うのです。だから私は最初に申しましたように、昔ならともかくも、軍はなやかな当時の文句の言えないときならともかくも、また岐阜市の人口が十万や八万のときならともかくも、今日のように世界に誇るところの長良川のウ飼いを持って、そしてこれとタイアップしたところの金華山を擁して観光の設備を行なう、その峰伝いであるところに射撃場があって、射撃場の真向かいにはこちらでぼんといえば山びこがぼんと向こうへ行く、山のすそ野の重要なところに病院が二つもある。養老院がある。しかもこれは電車から行ってなかなか便利のいいところなんですよ。こういうようなところに射撃場を置くということは、今日に至っては私は許されないと思うのです。好ましくないと思うのです。この点について防衛庁長官は廃止する気があるかどうかといえば、これは別に相談されたわけじゃないから、一人意見で廃止しますという意見は出ないかもしれませんけれども、こういう点を勘案してこの策を含めて、これは廃止するというような点について十分に考慮される余地があるかどうかということ、これは良心的な面から総体的な面から考えて、一つお答えを願いたいと思うわけなんです。
  71. 西村直己

    西村国務大臣 田口委員の御熱心な御議論、御主張はよくわかります。実は私は昨日ですか守山の混成団を査閲に参りまして、その際にも現地の状況は承っております。もちろん田口委員のおっしゃることがあの岐阜市全市民の声であれば、また大いに考えなければなりませんが、必ずしも私はそう見ておりません。一部にはむしろ国体があるので、これを射撃場に使おうじゃないかというような声すらも、また逆にも聞いておるのであります。同時に病院そのものに被害があるかどうかということも、実際の測量といいますか、測定をして、現実に音響がどうであるか、また医者が立ち会ってそれが精神的にどうであるかというようなデータが、私はまず先決問題であろう。これらの諸情勢を勘案した上で私どもは考うべきで、さしあたって今私がそれを廃止するということは直ちには考えておりません。
  72. 田口誠治

    田口(誠)委員 今はお考えになっておらないし、それから全市民の声ではない。これは世論調査で、百万円やるからこれをオーケーするかどうかという世論調査をとれば、そうすればこの百万円をもらってあとどうなるかという心配をする人もあるだろうし、三十五万人が全部オーケーという世論調査というものはないと思うのです。それは一部には今申し上げましたように、この自衛隊の関係を反対しておるのは、社会党は反対をしておますけれども、自民党は、先ほどの辻さんの質問からいきましても、お認めになって、いろいろ質問されておるような感じを受けたのですが、だから岐阜市としても、これは自民党の大立者の大野さんもござれば、野田さんも見えるし、それから木村さんも見えるし、そういう大立者が見えるので、直属のその子分の方やその奥さんの方に言えば、いい悪いは別として、自分かわいさやらあれやこれやで賛成を書く人もありますよ。けれども常識から考えてみてどうでしょうか。岐阜市のどまん中に射撃場があって、しかも日野の病院がそういう実態にある。そうして山の実態がそういう実態である。それから街頭へ出てのあの署名の賛成の仕方、歓迎の受け方、激励の受け方というものは、いまだかつて私は見たことがないわけです。この事実を見ましても、いかに岐阜市民が妥当なところではないのだということを、これは証明しておると思うし、それからどうでも岐阜市の日野に射撃場を置かなければ自衛隊が持たぬというわけではないわけです。これは伊丹の管轄だから、第三区司令部ですか、その中にも射撃場だけでも十四やらあります。近くでも愛知県の守山市にもありますし、三重県にもありますし、近くても幾らも射撃場があるわけです。あるいはそういう環境のところへ来て、どうでもやらなければならぬということもないし、自衛隊々々々といって市民から非難されて、きらわれておるのだから、そういうような状態のところくらいはよく理解をして、一つくらいは廃止をして、場合によってはこうなるというくらいなことは、あなた方の立場としてはなされた方が私はいいと思いまするし、これは音響がどうだからどうということでなしに、あらゆる面から勘案して不適当な地であるということから、私は廃止をするということについて検討をしてもらいたいと思うのです。射撃場廃止のこれは質問ですから、そういう強い要望があるから廃止するかどうかということについては、誠意をもって検討をしてみるということくらい長官は回答できぬものか、それほどかた苦しく考えなければならないものなのか、その点もう一度念のために伺いたい。
  73. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん私は現場を踏んだわけではございませんが、守山まで参りまして、一応の事情は聞いております。従ってこれは総合判断も必要でありますが、同時に岐阜市のどまん中とおっしゃいますが、この地図でごらんになりましても郊外でございまして、別に町のまん中にあるわけではありません。合併しましたから、地図の上でたまたま中の方へ入ってきた形になっておりますけれども、人口も比較的少なく、しかも長年旧軍時代に使われておったものであります。病院もその後において見えた病院もありますし、距離等も一キロあるいは一キロ三百というように、測定の仕方によっても違います。従って現実に病院の被害問題から起こっいる以上は、病院の被害が現実にどうであるかということ、しかも病院長から申し入れがあったくらいでありますから、そのデータをまずつかむことに御協力を願って、その上で私どもとしては意見を立てたい、従ってその間は私どもとしては廃止するということは考えておらない、これが私の決心でございます。
  74. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は時間の関係で詳細な説明は飛ばしましたので、把握されておらない点があるかと思いますが、総合判断からいって、また岐阜市のどまん中ではない、人家がないとかどうこう言われますけれども、これは行ってみればわかります。もはや日野の先の方の周辺は住宅街が最近はできておりますし、特に私は病院の関係なども取り上げましたが、今は交通という面からいって、どちらかというと、岐阜市全体のまん中岐阜市の繁華街の柳ヶ瀬を中心に線を引いてみましても やはり中心部に入る区域です。これは間違いがないのです。それを中心部ではないという御判断だから、今言われるような御回答があるので、これは中心部なのです。そういう中心部に今言ったような射撃場のあることの廃止を要請しているのです。それを廃止したとて、ずっと四国へ行ったり、九州へ行かなければ射撃ができないのではない。伊丹の管轄にはずっと十四もあるのだから、それほど重要なところで、環境が悪くて悪条件が重なっているところにあえて置く必要がないと思うので、この点についてはただ音響の測定をしてみて——その音響だけのことを私は申し上げているわけではない。病院の関係もしかり、それから観光岐阜市ということについてのいろいろな設備の今の実態からいってもしかり、そういう総合的な面からいって廃止を主張しているのですから、音響測定をしてみてというこの点についての御回答だけでは満足いかないので、わからなければわからないなりにもう少し内容を逆に聞いてもらって、良心的というと、ちょっとおこがましゅうございますが、一つ常識的な判断の上に立ってこの問題の取り扱いの御回答をいただきたいと思います。
  75. 西村直己

    西村国務大臣 私ももちろん非常識な男とは思っておりません。できるだけ常識的に、しかもその間に総合判断を下しますが、事柄が何と申しましても病院の方面から起こっておりますから、まず病院が被害を受けるか受けないかという、しかも第三者的なお医者さんたちが立ち会って調べようということに御協力願っていきながらでないと、問題の糸口がほぐれないのではないか、私はこういう意味で先ほど来御答弁を申し上げておるわけであります。
  76. 田口誠治

    田口(誠)委員 社会党の理事さんたちは非常に常識的な人で、私が一生懸命にやっているのを、やはり理事会での時間の約束もあるので急げという通告をいただいたくらい良心的ですし、私はなお良心的ですから、この問題については要望をして結論をつけたいと思いますが、これは厚生省におきましても、何といっても病人というものは、ただ音響が何フオンあるからいけないというのではなしに、ジャズの音と砲の音と、その心理に及ぼす影響というものは違うから、この点はよく知っておいてもらいたいということです。  それから観光岐阜市というのは、将来これは宮内庁も政府もよく使うから、こういうところであるということを長官もよく知ってもらいたいと思うし、それから農林省の方もせっかく鳥獣保護区に指定して、大正時代から指定をしておったようなところであり、しかも日本にないところのヤシの原始林なんかあって、若葉のときには実にすばらしいところなんですから、そういうことを勘案されまして、そうしてこの面につきましては、一つ検討の対象にしていただきたいということを強く要望をいたしまして、この点については打ち切りたいと思いまするが、ただここで最後に私がほんとうに心配をして確認をしておきたいと思いますことは、先ほども申しましたように、一方的に隊から来る、病院も飛んでくる、ごやごややられて、弱い病人は下になってどうにかなります。こういうことははっきりあり得ることです。そういう事態が起これば……。だから私はあくまでも、これは伊丹の出張所の所長さんかだれか、自衛隊のだれが当たられるか知りませんけれども、その責任者の方が話し合いをされる場合は、これはもちろん病院の院長さんにも、患者自治会の幹部にもそして共闘会議の内容は、これは私から見てそう過激なものじゃないのですから、今言ったところの温厚なりっぱな人が議長にもなっておるのですから、そういう人も含めて話し合いを行なったその結果、これをどうするかということをやっていただきたいということ、あくまでも一方的にはやらないのだということ、これだけは一つ私ここで確認をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  77. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん近ごろはやりではありませんが、民主主義においては寛容と忍耐ということが大事でございますから、私らの方でも心得ますし、同時にまた共闘会議におかれましても、それを十分お心得いただきまして、先般もわざわざ病院長の方から音響測定をしようではないか、こうおっしゃったから、それであれは音響測定が始まったのでありますから、そこいらからまずお話し合いを進めて、まず科学的データをつかむということを一つ御協力願いつつ、この問題の円満なる解決をはかりたい、こういう考えでございます。
  78. 田口誠治

    田口(誠)委員 御回答いただきましたが、私は上手な回答は必要ないわけです。心配をすることは、話し合いをする場を、今申しました三者、四者が入って話し合いをして、それからやめるなら永久にやめるのだ、あるいはどの程度はどうするのだということを、これは話し合いによってきめてもらって、そして一方的にはやらないのだ、このことを率直に私の言う通りにするのだという、それだけの答えでいいのです。ややこしく、上手にごやごやとやられると、一体私の質問の回答がどうなったのだというので、ちょっと私はこういう場になれておりませんので、よけいこういう点で御迷惑をかけますけれども、一つ率直にお答え願いたい。
  79. 西村直己

    西村国務大臣 話し合いで廃止するという考えは毛頭持っておりません。話し合いの前提になる、まず被害があるかどうかの事実をお互い同士確認したい。それにまず入っていかなければ、私は廃止の問題ということに対する批判は言えないのです。従って現在は廃止する意思はございません。問題は、いろいろ被害が科学的につかめるならば、その上で私は考えたい、こういうことであります。
  80. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっと勘違いしておられるのじゃないですか。私が申し上げたのは、廃止のところまで話し合いでやれということではないのです。今廃止の問題につきましては、長官から先ほど説明があり、それで私の方からも要望を出しておきましたが、ただ問題は、こういう時期がずっと——ほんとうは一月末に話し合いをして結論を出すということになって、共闘会議の方ではじゃんじゃんやっておりますし、いろいろな面から延びておるだけで、これはいつどういうような事態が起こるかわからないので、だから私は音響測定を行なうにも一方的にはやっていただきたくない。これは一方的にやりに来られれば、この前と同じように、患者から先生から、いろいろ地元民から全部押し寄せて、これはえらいことになると思うのです。だから、こういうようなことがありありと、地元の者だけに私はよくわかるわけなんですから、それで一方的には音響測定も実施しない、やはり自治会の幹部であるとか先生と自衛隊の方とよく相談をして、話し合いをつけてやってもらうということ、一方的にはやらない、この点を確認しておきたいのであります。そうでないと非常に心配なんです。これはもう一度一つ……。
  81. 西村直己

    西村国務大臣 私どもの方はやはり自衛隊の射場の問題でありますから、自衛隊の運営ということ、同時に一般の公益ということを考えつつやっているわけでございます。従いまして問題の糸口に入るためには、私の方からも一つ音響測定に御協力をいただきたい。御協力をいただかないでただそのまま寝かすということについては、私どもは非常に遺憾に存ずるわけであります。
  82. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっと確認をいたしますが、協力を願いたいということは要望だけれども、やはり話し合いはするのだ。ただ防衛庁長官の方としては、音響測定だけでもやらしてもらいたいという要望をなされた、こういうように端的に解釈してよろしいですか。
  83. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん私どもの射場でございますから、事実上管理運営は私どもの方で所管しておりますから、今日でも使って差しつかえない法律上のあれはあると思います。問題は、ただ政治上の問題なりそういった問題がありますから、できる限りお申し入れのあった基礎に基づいて音響測定をいたしたい、その場合に御協力を願いたいということを言っています。
  84. 田口誠治

    田口(誠)委員 今のあれをそのまま言うと、申し入れのあった人にどうこうで音響測定をしたいということであったのだが、私の申し上げたのは、音響測定をするには、私が申し上げましたような人たちと自衛隊の責任者と相談してもらって、そうしてこれをやるやらないということについて結論を出してもらいたいのだ。一方的にきてやってもらうと大へんな不祥事件が起きるという私は予想を持っておりますから、この点を特に確認して私御善処を願いたいと思うのですが、はなはだ質問者が答弁を聞くに下手でございますから、何べんも長官に立っていただいてお気の毒ですけれども、もう一度その急所を言ってもらいたい。急所とはもう一回繰り返しますけれども、音響測定でも行なう場合には、病院の院長や患者の責任者ともに話し合いをして、そうして結論を出して実施するとかしないとかいうことについて進めていただきたい。一方的にやってもらっては大へんなことになるということです。
  85. 西村直己

    西村国務大臣 もちろんこうした具体的な問題に一々防衛庁長官が指揮をとるわけではございません。それぞれの所管の長がおると思います。その諸君はもちろん常識を持って事に当たると思うのであります。従いましてその限度におきましては、私は十分注意は与えておきましょう。摩擦を起こさないように、ねだな、いたずらな不祥事が起こらぬように…。と同時に私どもは、事の起こりが病院の音響の問題からくる被害の問題がまず中心でありますから、その測定に対してただいたずらに事をかまえて延ばすということも、また一方的なお言い分だと思うのであります。その点については十分御協力を願わなければならぬのであります。あまりにも極度に非常識な、御協力がない場合には、第三者を交え測定しなければならぬという場合も私はあり得るのではないかと思うのであります。
  86. 田口誠治

    田口(誠)委員 測定をする場合に第三者を加えて云々ということは、自衛隊自身がほかでおやりになる場合でも、やはりそういうことは必要だと思いますけれども、私の申し上げることは、今の答弁で大体聞き取れましたが、一方的に無謀な紛争をかもし出すような行動に移すようなことのないように注意は行なうということ、注意を行なうということは、すなわち病院の院長さんや患者自治会の役員とも話し合いをして、それから行なうのだ、こういうように確認をいたしましたので、音響に関するところの病院関係については終わらしていただきまするが、ただ一つ、環境関係と射撃場にかかわらず、軍事基地との関係、これはどんなに接近しておろうが、どんなふうになっておろうが、こういう点は全然考慮する余地はなしということなのか、将来基地を減らす場合も、新しく設ける場合もあるかもしれませんが、こういう点の勘案は防衛庁としては十分に考慮されて行なわれるというように受け取ってよろしゅうございますか。
  87. 西村直己

    西村国務大臣 一般論といたしましては、もちろん、あるいは産業経済、また環境、文教、厚生施設、こういうものもよく考慮して参りたいのでございますが、個々具体的な場合につきましては、具体的な状況に立って判断をして参らなければならぬ、これが私の考えでございます。
  88. 田口誠治

    田口(誠)委員 射撃場の問題について、これで私は打ち切りますが、私の方から質問を通告申し上げておるのは、防音装置の関係を非常に全国各地から要望書が出されたり、請願書も出  たりしておるのでして、こういうものを出されたり紹介されておるのは、革新だけじゃないのです。だから私は、この問題の質問はまだ残っておるのですが、長官に対しての質問は終わらせていただきます。そういう質問はまたあとから……。
  89. 久野忠治

    久野委員長 福田篤泰君。
  90. 福田篤泰

    福田(篤)委員 横田基地周辺の騒音問題は、地元で特別委員会が設けられるほど大きな社会的な問題になっております。先ほど来、同僚の山花委員からだいぶ詳しく具体的な質問をせられたので、私は時間もありませんし、きわめて簡潔に具体的な二点だけをお伺いいたしたいと思います。  一つは、現在の特別措置法を改正する意思は政府にあるかどうかということ、具体的に申しますと、公共施設、学校その他、直接甚大な被害を与えるような民家に補償対象のワクを広げる用意があるのかどうか。さらにそれに関連して、私どもの今までの体験から申しまして、調達庁その他から一応案が出ましても、大蔵省の予算の内規が非常にこまかく、また古い昔の物価体系に沿ったようなものがあるように私は思います。従って解決が非常におくれ、せっかく話し合いがついたものが、支払いの具体的な問題になると中途半端になってしまう。こういう点から見て、新しい時代に沿った大蔵省の内規の改正をする御用意があるかどうか。第二は、先ほど学校その他につい’てもいろいろ御質問があったのですが、周辺の道路整備の問題も、やはり地元の人が非常に関心を持っております。具体的に福生町の都道百二十九号線、これはやっと側溝ができましたが、まだ舗装ができていない、これに対する予算措置はどうなのか、この二点だけお伺いしたい。
  91. 西村直己

    西村国務大臣 所管いたしております防衛庁長官といたしまして、福田委員お答えいたします。特別措置法を拡大していく気持があるかどうかということでございます。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕 私どもとしましては、現在学校、病院が直接の対象でございますが、将来に向かってはこれをやはり必要な限度においては広げていきたい希望を持っております。従ってそれについて部内で検討はさせております。ただ御存じ通り、問題は予算を伴う法律でございます。従って関係当局とも十分打ち合わせて参らなければならないという点が一つあるわけであります。いま一つは、白米安保体制から基地提供等もございますし、また単に騒音の関係は自衛隊、米軍の基地だけでございません。羽田空港等商港にも同様の問題がございます。また関係する各省が非常に多いのでございます。また基地周辺には建設省、農林省等の関係する分野もあると思うのです。従ってできるだけこういったものを総合的にむしろある程度の被害を受けておる住民に対して環境の整備をはかるべきだ、こういう意見のもとに、総理府に関係各省の基地対策と申しますか、基地の環境整備に関する協議会というようなものを、現在仮称でございますが、設けさせまして、できるだけこの面からもこういった問題を総合的に推進して参りたい、こういう考えでございます。  なお、具体的な建設省関係の問題は調達庁次長から御返答いたさせます。
  92. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 横田基地の道路が軍の行使によっていろいろ損傷を来たす、これをどうするか、こういう点でございますが、これまで防衛支出金でもって昭和三十四年度には立川市、昭島市を結ぶ二級国道及び横田基地線という一町道の舗装を完了いたしまして、三十五年度におきましては立川−青梅線のうち、昭島市と及び村山−福生線の舗装工事を実施いたしております。ただいま御指摘の都道百二十九号線という二級国道については、昭和三十六年度におきまして側溝約千八百メートルの工事をいたす予定でございます。なおそのほかこの基地関係のその他の道路につきましては、米軍の使用の頻度とか、あるいは基地からの排水等による被害とか、いろいろな点をさらに精密に実情を調査いたしまして、その上順次予算措置を講じ、実施をいたす方針でございます。
  93. 福田篤泰

    福田(篤)委員 ただいま長官から将来にわたっての補償については考慮するというお話、けっこうでございます。ただ先ほど申し上げた通り、支払いという具体的問題でいつもせっかくまとまった話が悪化する実例からいいまして、この予算措置の取り扱い、あるいはたとえば特別勘定的な何らか政治的にも活用できるよう、こういう点についても考慮いただきたいと思います。終わります。
  94. 田口誠治

    田口(誠)委員 騒音防止対策に関してでありますが、この点につきましては、予算上から見ましても昨年の一億九千万円に比して本年は六億円というように増額がなされておるのですが、この増額については具体的な計画がもうできておるのか、これからそれぞれ陳情があったり要請をされたり、いろいろな面から調査をして決定をするのか、その点をまずもって承りたいと思います。
  95. 大森頼雄

    大森説明員 明年度の五億九千八百万円の騒音防止対策の工事は、まだどこの学校というように具体的にはきまっておりません。
  96. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、お伺いしたいことは、これは先ほど騒音に対するいろいろなデータが出ておらないということでございましたけれども、おそらく今までの実績からいきまして、私、昭和三十一年から三十五年までの学校の防音装置の工事の助成金の額の実績の表を持ってきておりますが、これからいきましても、相当に学校の場合は心配をされて、予算化されておるということは考えられるわけなんです。従ってそうなれば人体への影響度合いというようなものについては、具体的な資料がおありだろうと思うのですが、この点について一つ御説明をいただきたいと思います。
  97. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 騒音の人体等に及ぼす被害につきましては、詳しいデータ、もちろん大学等で研究しておりますデータはございますけれども、全国的に見まして、確定版と申しますか、権威のあるまとまった案というものはまだないようでございます。
  98. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、ないとすれば、これはほんとうにないのかどうか、その点どうも秘密にされておるような感じがするのですけれども、防衛庁なりがデータをとっておらぬということは私は怠慢だと思うので、これは秘密にされておるのじゃないかと思うのですが、ないと言われればこれ以上突っ込む法がございませんので、突っ込みませんけれども、私の調査によれば、これは公立関係の当該病院のお医者が子供に対して実験をした結果でございますが、子供とおとなの感度というものは相違がございますけれども、まず学校の生徒の場合なんか、飛行機が飛び立って、音響の行く前に質問して、そうして爆音のあとで、飛行機が去ってからすぐ回答を求めても、三分間は回答ができない。おとなは一分間ということなんです。すなわちこの間は言葉の表現でいきますると、意識が正常に戻らぬというのか、麻痺状態にあるというのか、言葉の表現はどうなるかわかりませんけれども、いずれにいたしましても子供に質問をして爆音の去ったあとで回答を求めても、三分間は正常な回答ができない、こういうような影響が児童の場合はございます。それから一九五四年の七月発行の科学朝日及び一九五五年の新年号、あるいは過去数年間の各新聞の記事をいろいろ調べて、騒音はどのような障害を与えておるかという点の記載のものを集めてみますれば、この騒音病というのは、症状といたしましてはまず第一には疲労が回復しない、落ちつきがない。それから怒りっぽくなる、注意散漫になる。それからこまかい事務には大きな支障がある、食欲も減退をする。それから人によっては頭痛はする、目まいまでする。それから放心状態になる。こういうような症状にたるということが掲載されておったわけなんです。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 これは堂々と公開されたものを私はそのまま披露申し上げたわけであります。それから学習作業なんかに及ぼす影響も、暗算とか暗誦とかというものについてテストをしてみますると、やはり大きな影響がございます。それから七〇フオン以上の騒音ということになりますると、白ネズミなんかの実験をいたしますると、騒音のあるところで育てたものは体重が減っていきまするし、発育がずっと悪いということが明らかになっております。それでよく外の演説会なんかでも聞くことですが、鶏は卵を生まなくなるという。これもその中へ加わっているわけです。こういうように騒音というものが人体なり動物なりその他に対する影響というものは非常に大きいわけです。それでこういう影響というものについて検討されて、その検討の上に立って若干どうかしてみたことは防衛庁にあるのかどうか、何もしてないということですか。
  99. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま御指摘になりましたように騒音ことに航空機の騒音につきましてはいろいろな苦情が出ておりますし、また科学的なデータ、これは区々にわたりますけれども、一定フオン以上の騒音については相当の弊害が伴うということははっきりいたしております。従って従来防衛庁も調達庁も同じでございますが、防衛庁といたしましてはその飛行場の騒音対策を、十分とは言えませんが、進めておったわけであります。現在基準といたしましては大体七十フォン以上の騒音を一時間に十回程度以上発するようなところについては、学校等に防音装置を施すことを主体に考えて参っております。防衛庁で何もしてない白じゃないかというお話でございますが、三十一年度から三十五年度までにこういう騒音に対する補助金を三億九千五百万程度出しておりまして、三十六年度におきましてはもっと大きく取り上げなくちゃいかぬという趣旨をもちまして、六億二千九百万と五カ年の約倍近い予算を要求いたしております。もちろんその内容も、単に従来のように学校等に対する騒音防止の工事の補助金だけでなく、地元に希望がありますならばあるいは移転等の補償もしなくちゃなるまい、また航空機の地上におきます移動音、エンジン・テストのための音響というものをできるだけ少なくするためにサイレンサー、いわゆる消音機と申しますか、そういうものも現に三十六年度の予算には要求いたしておるわけでございます。なお、現在できております消音機はまだまだ改善の余地がございますので、新三菱重工あるいは川崎航空、それから航空自衛隊の第一術科学校等におきましても、消音機改善のための研究をさせております。そういうようなわけでございまして、もちろん三十六年度これで十分とは考えておりませんけれども、できるだけ広範囲に今後の騒音の対策を進めていきたいと思っております。
  100. 田口誠治

    田口(誠)委員 今までの実績からいきますと、まず学校が本位なんです。どこの飛行場なり基地に行きましても、学校もあれば、電信電話局もあればまた病院もある、こういうことなんですが、私は特に病院関係なんかの場合には当然してやらなくちゃいかぬと思うのですが、それがなされておりません。どうも三十六年度の予算に計上された五億九千万円というものが学校のように聞いておりますが、一体厚生省は、近くの病院が非常に被害を受けておるにかかわらず、そういうものの予算措置の要求を今まで出さなかったのか、それとも出しても厚生省は冷飯扱いされておったのか、今までの経過を含めて御回答願いたいと思います。
  101. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまの御質問の中にちょっと誤解があるのではないかと思うのですが、五億九千八百万という騒音対策の補助金でございますけれども、これは単に学校だけを考えておるのではございません。一部の病院も考えております。
  102. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま三十六年度の関係でこれからのことだから、これから考えてもああいう回答もできますから、なかなか良心的な回答をいただいたと思いますが、三十五年度までは私が指摘しましたような状態であるので、厚生省の今までの経過を含めて今後どうするという点について一つ御回答願いたい。
  103. 橋本壽三男

    ○橋本説明員 私どもは国立療養所だけを所管いたしておりまして、そのような御質問でございましたならば、もう少し総括的な責任者をお呼びいただかないと無理ではないかと思います。
  104. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま国立だけを考えておるということですが、一般のいわゆる民間病院でなしに、公共的な一つの半官公、たとえば学校の教職員の病院とかいうものは国立に似たり寄ったりのものと思うが、こういうようなものも含めての質問なんですけれども、そういうものも考えておらないのでございますか。そういうものはやはり国立の方に入るのですか。
  105. 橋本壽三男

    ○橋本説明員 そういうものは、国立という国が直接開設をいたしております病院のうちには入っておりません。ただ昔私どもが関係をいたしておりました国立病院で立川の国立病院というのがございまして、そこで防衛庁の方からお手当をいただいた例はございます。
  106. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは全国的なものでございますけれども、私まだ全国的な研究はちょっといたしておりませんので、参考に私の地元の各務原飛行場の実態から申しますが、昨年滑走路を延長いたしましてからあらゆる機種のジェット機の訓練が行なわれておるのです。これは十数種類になっております。その中には、今度日本で一機しかないという高揚力研究機も最近に持ってきてやられるということなんです。そこでその実態を申しますと、その飛行場の一番近いところに、毎日五百人くらいが出入りをする教職員の共済会が作っておる東海中央病院というのがありまして、ここの人たちが非常に悩まされておるということなんです。それから各務原の関係につきましては、これはまことに接近をして悪条件にあるのですが、国立岐阜大学の農学部、工学部、那加の第二、第三、これが近くにあるわけです。ちょっと離れまして那加中学、それから那加第一小学校、それから稲葉高校がありますし、こういう学校のほか郵便局とか電信電話局という公共施設があるわけです。サイドワインダーが一昨々年来ましたときにいろいろ闘争をしたときに、文書で確約したわけではありませんけれども、公共施設くらいは防音施設もやってやるからというようなお話もあったわけです。ところが何にもそういう手をまだ打ってきておられぬわけなんです。学校の問題もそうですし、病院の問題もそうです。それで私は三十六年度の予算の五億九千万円の使途の関係については、もちろん学校もやらなくてはならないと思いますし、病院の関係も、全くの民間は第二としても、官公労関係の共済組合の病院というようなものは、やはり公共建物として取り扱わなくてはならないし、それから郵便局もですが、電信電話局なんかはやってもらわなくてはいけないものだと思いますので、予算を分布される場合の計画については、よく勘案をしてやっていただきたいと思います。その点は先ほど御回答がありましたけれども、そのように解釈しておいてよろしゅうございますか。
  107. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま仰せになったうちで、郵便局あるいは電信電話局等につきましては、これは国が経営管理をいたしておりますので、必要とあればそちらの方の予算でもってまかなっていただく。病院等につきましてはもちろんこの三十六年度中にも予定をいたしております。ただ全国的に相当飛行場も多く、またそれによって影響を受けておる病院、学校等も数が多いわけでございまして、とうてい六億程度の金では一年間にすべての方に御納得をいただくという程度には参りません。従って防衛庁といたしましては、影響度の大きいところから逐次防音の工事を進めていく方針にいたしております。
  108. 久野忠治

    久野委員長 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  109. 久野忠治

    久野委員長 速記を始めて下さい。
  110. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは、おそらく騒音の人体に及ぼす影響の記録というものは防衛庁にあると思うので、これは今秘密にされておりますが、相談をしていただいて、次のときに発表するようにしてもらいたい。それから全逓とか郵便局、それに電信電話は公社ですから含まれるのだけれども、今言った官公労の共済組合の病院なんかもやはり含める必要があるのではないかと私は考えるので、この点も一つ御相談をしておいていただきたいと思うのです。  それでは時間の関係もありますので、途中でございますが、次のときに質問の時間をお許しいただきますことをお約束願いまして、きょうはこれで終わらしていただきます。
  111. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま御要求の資料の第一点でございますが、防衛庁といたしましては別に隠しだてをしておるわけではございませんので、現実にそういう権威のある統一した資料というものはただいまございません。今後、先ほど長官から御説明のありました総理府に設けられる基地対策の委員会で、こういう資料を逐次整えていきたいというふうに考えております。第二点の病院等は官公立のもの以外でも考えるべきではないかという仰せでございますが、この点は全く同感でございまして、別にその辺に区別をいたしておりません。
  112. 久野忠治

    久野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十三分散会