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1961-02-07 第38回国会 衆議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十五年十二月二六日)(月 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の 通りである。   委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君    理事 草野一郎平君 理事 高橋  等君    理事 宮澤 胤勇君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       逢澤  寛君    今松 治郎君       内海 安吉君    江崎 真澄君       大森 玉木君    佐々木義武君       島村 一郎君    竹山祐太郎君       辻  寛一君    福田  一君       藤原 節夫君    保科善四郎君       牧野 寛索君    緒方 孝男君       久保田 豊君    小林 信一君       杉山元治郎君    西宮  弘君       柳田 秀一君    山内  広君       受田 新吉君 ————————————————————— 昭和三十六年二月七日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員   委員長 久野 忠治君    理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君    理事 草野一郎平君 理事 宮澤 胤勇君    理事 飛鳥田一雄君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       内海 安吉君    大森 玉木君       福田  一君    前田 正男君       大柴 滋夫君    杉山元治郎君       田口 誠治君    西村 力弥君       山内  広君    山花 秀雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君  委員外出席者         防衛庁書記官         (防衛局防衛審         議官)     麻生  茂君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 一月三十日  委員久保田豊君、小林信一君及び西宮弘辞任  につき、その補欠として山花秀雄君、田口誠治  君及び原茂君が議長指名委員に選任された。 二月二日  委員江崎真澄君及び竹山祐太郎辞任につき、  その補欠として中曽根康弘君及び前田正男君が  議長指名委員に選任された。 同月三日  委員逢澤寛辞任につき、その補欠として服部  安司君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員原茂君及び柳田秀一辞任につき、その補  欠として大柴滋夫及び西村力弥君が議長指名  で委員に選任された 同日  委員大柴滋夫君及び西村力弥辞任につき、そ  の補欠として原茂君及び柳田秀一君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 昭和三十五年十二月二十六日  連合国占領軍等行為による被害者等に対する  給付金支給に関する法律案石橋政嗣君外十  名提出、第三十七回国会衆法第五号) 昭和三十六年二月六日  建設省定員外職員定員化に関する請願外一件  (宇野宗佑紹介)(第一号)  同外百八十六件(湯山勇紹介)(第一五五  号)  滋賀県下の寒冷地給級地是正等に関する請願(  宇野宗佑紹介)(第二号)  旧軍人恩給加算制復元に関する請願宇野宗  佑君紹介)(第三号)  同(尾関義一紹介)(第一五二号)  同外一件(小平久雄紹介)(第一五三号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願外一件  (小澤太郎紹介)(第四号)  同(櫻内義雄紹介)(第五号)  同外一件(田中龍夫君外一名紹介)(第六号)  同(大沢雄一紹介)(第一五四号)  国旗に関する法律制定に関する請願青木正君  紹介)(第七号)  福島県都路村の寒冷地手当増額に関する請願(  野口忠夫紹介)(第九号)  同(八田貞義紹介)(第一〇号)  同(大竹作摩紹介)(第五七号)  福島県船引町旧移村地区寒冷地手当増額等に  関する請願八田貞義紹介)(第一一号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当支給に関する法律の一部改正に関す  る請願増田甲子七君紹介)(第一二号)  旧軍人恩給額の引上げ及び不均衡是正に関する  請願福田篤泰紹介)(第五八号)  傷病恩給是正に関する請願薩摩雄次君紹  介)(第八二号)  同(鈴木仙八君紹介)(第八三号)  同(松浦東介紹介)(第八四号)  同(足立篤郎紹介)(第一四七号)  同(小平久雄紹介)(第一四八号)  同(平岡忠次郎紹介)(第一四九号)  同(森下國雄紹介)(第一五〇号)  同(柳田秀一紹介)(第一五一号)  戦没旧軍人の階級に関する請願小笠公韶君紹  介)(第八五号)  元陸軍看護婦恩給に関する請願足立篤郎君  紹介)(第一四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  当委員会におきましては、前国会通り調査する事項といたしまして、一、行政機構並びにその運営に関する事項、二、恩給及び法制一般に関する事項、三、国の防衛に関する事項、四、公務員制度及び給与に関する事項、五、栄典制度調査並びに栄典法案起草に関する事項といたしまして、議長承認を得たいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。      ————◇—————
  4. 久野忠治

    久野委員長 次に、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大柴滋夫君。
  5. 大柴滋夫

    大柴委員 社会党の大柴でございますけれども新島ミサイル試射場設置に関する件について、五つぐらいの点について御質問したいと思うのであります。  私は一月十七日新島ミサイル反対同盟の招きに応じて、地元国会議員としてこの旗開きに招かれて、ミサイル試射場の見学並びに村民の生活についていろいろと話す機会を持ったのでありますけれども、ちょうど私がそのことを終えて一月十九日ごろ帰る際、赤尾敏という方が七、八名の団員を連れて渡島をして参りました。さらに数日過ぎて清水亘とかいう人が、聞くところによりますと四十名ぐらいの人を連れて、試射場設置促進のために渡島をしたと聞いております。防衛庁の皆さんも御存じ通り、昨今の新島はこのミサイル試射場設置をめぐって、賛成派反対派それぞれ二派に分かれて、昔でいうならばお互いに村八分をやっているわけであります。たとえば私どもが一軒の家にたばこを買いに行く。そうすると反対派人々が、「大柴さん、そこでたばこを買ってはいけない」。「なぜだ」と聞くと、「あれは賛成派だからたばこを買ってはいけない」というように、非常に険悪な空気でございます。特に一昨日、一昨々日の新聞を見ますと、賛成派反対派の間に流血事件が持ち上がっておって、私ども地元国会議員といたしましては、何か不吉な事件が起こらなければよいがということを大へん心配いたしております。  特に私、この点長官にお聞きしたいのでありますが、赤尾敏さんは何か賛成派の大会へ行って非常な激励演説をなさっておる。しかもこの赤尾敏氏が連れて行った幾人かの中には、これからいろいろ問題になるだろうと思う嶋中事件を引き起こした小森という少年が入っているわけであります。一体防衛庁はこれらの右翼団体というか、暴力団体というものを、防衛庁と同じ目的を持った団体だと思っているのかどうか、あるいはまた世間で指弾をさるべき右翼暴力団体と思っているのかどうか、まずその点をお聞きしたいと思うのであります。
  6. 西村直己

    西村国務大臣 新島の問題で紛争が起こっておるのは、まことに遺憾であると思います。ただ新島の問題は、御存じの方が大部分でありますが、これはあくまでもミサイル試射場でありまして、私ども立場としてはこれが村民の一部に宣伝されるように、将来のいわゆる防衛基地になるとか、そういうようなことは毛頭考えてもおらないのであります。しかもミサイル試射そのものは年に二十回程度であります。年間わずかに二十回程度ミサイル試射をやろう、こういうことであります。そして試射されましたミサイルは落下傘をつけてフロートによって回収しまして、もちろんこれには爆発物も装填しない、こういうようなことはすでにあの当初から村当局話し合いもついております。しかもそれに対して、もし海上においてのいろいろな漁業権の損害でもある場合には、これに対しても全面的に補償も行なう、あわせていろいろな新島開発のための港あるいは道路、こういうようなものについての開発工事も行なう、こういう条件のもとに話が取りきめられておるのであります。従ってミサイルそのものもわずか数メートルのものでありまして、率直に申しますと、多少形は、あるいは概念が違うかもしれませんけれども、秋田県において糸川博士がロケットの発射をやる。これとやや似たような観点もあるのではないか、私はこういうふうに考えております。ただ不幸にしまして過去の戦争中に島民が疎開を受けた。また残念ながら一部の人たちがこれが原水爆に変わるのだ、核弾頭をつけるのだ、いや軍事基地になるのだと、こういうようなことからかなり誤解を生じておる。従って私どもとしては、村内はかなりの部分がとにかくやってもらいたい。しかも現在の問題はミサイル試射場そのものではなくて、ミサイル場所へ行くところの村道のただ幅を広げるという工事自体の問題であります。従って部外の方々がいろいろな立場で多く入っていくことは私どもとしても望まないし、おそらく大部分村民の人も望んでいないと思います。いわんや立場はいろいろな立場がありましょうが、荒波を越えてわざわざあそこまでおいでになっている多数の方々に対しまして、われわれは何ら関係がないのであります。お説の赤尾某とおっしゃる方なども、私どもはお目にかかったこともなければ、また見たこともない方なのでありまして、そういう方々が入り込むこと自体が私どもとしては好ましくない、こう考えております。と同時にまた立場の違った多数の方々が行き、また同じような反対立場で、あそこで純朴な村民に対して政治的な立場から闘争がしかけられているということを、非常に遺憾に存じております。これが私の考えでございます。
  7. 大柴滋夫

    大柴委員 長官は大へんりっぱな考えを持っているわけでありますが、そのことに対して十二月以降何か具体的な努力をなさっているわけでありますか。なおかつあなたはそう言われるけれども、事実上問題の発端は試射場であろうと何であろうと、ミサイル試射場を作ろうとしてこれに狂奔をして、しかもほとんどの責任村議会になすりつけておる防衛庁の態度だろうと思う。たとえば赤尾某という者が好ましくないなら好ましくないというようなことを、あなたが何か新聞で発表するとか、あるいは地元の警察へ連絡をとるとか、あるいはいろいろの処置というものをおとりになっているわけでありますか。
  8. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん私どもといたしましては、一部誤解ある村民等に対しましては御協力を願う意味で、積極的な努力に立ち向かっております。すでに御存じ通り、私就任いたしましたのが十二月八日であります。しかし二十七日、二十八日にかけまして私どもの方の高級部員建設本部長等を送りまして、この状況を説明に当ろう。ただ、今度一部いわゆる左の方の諸君が、条件をつけてなかなか会わぬというようなこともあります。また一月五日から六日にかけましてもその努力を続けております。また先般は反対派の方から申し入れがありましたから、ただ一方的な申し入れではいかぬから、両者の歩み寄りによってこういう条件のもとにお話し合いをしたい、こういうことまでも努力をしておりますが、その話にも会わない。こういうような形にも至っておりまして、さらに私どもといたしましては、かりに事態そのものがいかなる理由にせよ発展していって、流血の惨等を見ることもまずいので、私の名前をもちまして村当局やその他の関係者注意を促す、こういうようなこともやっておるわけであります。
  9. 大柴滋夫

    大柴委員 いずれにいたしましてももう少し話し合いの余地があるだろうと思いますから、そのことは具体的に後ほどに譲るにいたしましても、ちょうど私は一月十八日の午前十時から二時間にわたって、新島村長並びに助役と会談の時間を持ったのであります。そのとき村長は、千七百万円のお金防衛庁から受けて、これによって原因者負担による村道改修という案件村議会に提案いたしたい、こういうことを私に言っておりました。  そこで御質問の第一点でありますが、この道路というのは相当な私有地を含んでいるのだろうと思いますけれども一体どのくらいの私有地を含み、あるいは幅をどうするとか、また長さはどうだとかいうことをお伺いしたいと同時に、千七百万円というお金を見積もったところの根底というか、基礎というものはどこにあるか、そのことを伺いたいと思います。
  10. 西村直己

    西村国務大臣 私どもはこれは村道であり、村道に対しての委託と申しますか、工事費防衛庁で負担している形、村道であるかいなかについて、あるいは村道の中に私有地があるかどうかにつきましては、一つ専門政府委員も来ておりますから、用地関係を詳細に説明させていただきたいと思います。
  11. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまお尋ねの問題につきましては、予算上は、今委員がおっしゃったように千七百七十万のお金を村に交付するということに計画を立てておるわけであります。その内容は、土木工事費として千三百十万円、それから用地買収費用地費といたしまして二百十五万円、工事上の経費として二百四十五万円、合計千七百七十万円でございます。道路工事といたしましては、現在の幅二メートル半のものを四メートル五十に拡幅をする。大体におきまして延長は水尻地区から端端地区までの距離に相なっております。
  12. 大柴滋夫

    大柴委員 道路改修によるために農地買収が二百十五万だと言いましたけれども、それは坪数とかは一体どういうようになっておるのでありますか。
  13. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは農地ではございませんで、山林でございます。
  14. 大柴滋夫

    大柴委員 それは一体何軒くらいがお持ちなのですか。
  15. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま申し上げました千七百七十万円というのは、これは概算でございまして、実際の測量その他によってかなり権利関係の不分明なものがございますので、これらは新島本村におきまして工事を進め、具体的に権利関係がはっきりしてきたときに買収をきめてあとで精算払いをする、こういう考えになっております。
  16. 大柴滋夫

    大柴委員 村道改修するという名目で千七百七十万円のお金を出すわけでありますが、水尻端端間の道路は、これは正式に道路法で呼ぶところの村道ではないわけであります。御存じ通り昔島の人々がたきぎをとったり、あるいはいろいろの必要上歩いた道路であって、これが戦争中軍によって改修されたものでありますけれども、その道路村道と言い、その村道改修と言って防衛庁は金を出しているわけでありますが、一体村道であるという認定はいつ、だれが、どこでなさっているのでありますか。
  17. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま仰せになりますような疑問をわれわれも当初持っておりまして、従って事務的には相当突っ込んだ線まで調べたわけでございます。まず第一にこれが村道であるという認定をなしました理由一つは、昭和三十年の道路台帳、これは道路法二十八条の法定台帳でございますが、この道路台帳に、ただいま申し上げました水尻端端間の諸線、俗にいう環状線石山大峯線石山線池の平線丹後線中山南線端端線、戸山−大峯線丹後西回り線、これらの線を総称いたしまして、いわゆる水尻端端間の道路村道として記載されておったのでございます。これが第一の理由でございます。  第二の理由といたしましては、十一号、十三号、十四号の一部、それから二十七号路線につきましては、東京地裁の仮処分の決定がございまして、その決定内容には、これらの道路村道として通行することを妨害してはならないという、いわゆる決定理由書の中に村道であるということを認定するような文言があるわけでございます。  第三の理由といたしましては、東京都が昭和十六年あるいは昭和二十三年の両年にわたりまして、東京府の補助道路指定をしておるものが、これらの線のうち十一号、十三号、十四号、二十七号、十六号の一部というようなものについて指定をいたしております。その他、道路現況調書あるいは従来の新島本村の村議会議決等によりまして、村道であるということを確認したわけでございます。なお昭和十二年から昭和三十三年までの間に、これらの道路に対しまして、村では千二百万円をもって補修を行なっております。  以上申し上げましたような理由から、特に反証のない限り村道であろうという認定をいたしたわけであります。
  18. 大柴滋夫

    大柴委員 そういういろいろな理由をあげてあなたの方は村道だと言われるのでありますが、東京地裁に対して村みずから村道であるといって第三者に抵抗するところの理由を、昨年の十一月からいまだ何ら出しておりません。従って私どもはどうも特に理屈をつけて村道村道だと言うきらいが防衛庁にたくさんあるのだろうと思いますが、いずれこのことは裁判で争うといたしましても、この村道の、あなたの言う村道改修に伴うところの山林その他には、道路改修反対している人が多いわけであります。これらの人の反対を押し切ってやるというようなことになれば、相当な問題が起こるだろうと思うのであります。しかし現地村長及び助役は、絶対反対を押し切って強行するというようなことはしない、こう私に対しては言っておりました。防衛庁も同じ見解だろうと思いますけれども、何かあなたの方は騒動がないように早くやれ早くやれ——雨が降ってもぬれるなということを言っておるようでありますが、やはり村長助役と同じように反対があるならばある程度まで説得をするまでやらないという御見解かどうか。それとも他の何か法律を適用してこれを強行するというようなおつもりかどうか、その点をお伺いしておきます。
  19. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 さっき長官からも御説明を申しました通り長官名をもってこの二月の三日に現地村長、それから賛成派団体責任者に対しまして、絶対に流血の惨を招くような事態において工事をするということは一つやめてもらいたいと申しますか、そういう点については十分の注意をしてもらいたい、配意をしてもらいたいという電報を打っておる次第でございます。もちろん村側工事をまかせました以上は、村の判断によりまして平和裏工事が進められるというような判断がつきましたならば、おそらく村としては工事をやってくれるようなことになるかと思いますけれども防衛庁といたしましてそういう不測の事態を予期しながら、しりをたたいて、どうしても早くやれやれというようなことは絶対にございません。
  20. 大柴滋夫

    大柴委員 この試射場となるべき端端地区の問題でありますけれども、すでに防衛庁はこれを村当局から買い上げ登記済みである、こういうように私ども聞いておりますが、実際そうであるかどうか、あるいは買上価格等は幾らであってどうであるか、並びに将来この端端地区のまわりに対して飛行場であるとかあるいは観測所であるとか、こういう問題で拡張の計画があるかどうか、こういうことをお聞きしたいと思います。
  21. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまの御質問の、すでに防衛庁、国が買い上げました面積につきましては、端端地区に二十六万七千百十坪、それから瀬戸山水尻地区に五千坪を買い上げております。金額は二千七百六十三万一千六百円でございまして、そのうち向山地区は二千五百九十五万六千六百円、坪当たり単価につきましては、山林については、場所によりまして違いますが、八十円から百八十円、原野は二十円、それから瀬戸山水尻地区につきましては総額百六十七万五千円、坪当たり単価が三百三十五円で買収をいたしております。  第二の御質問の点の、将来拡張する意思があるかどうかという点でございますが、将来はミサイル試射観測所を若干獲得いたしたい。もちろん坪数はこれほどの大きな坪数にはなりませんが、そういう意図を持っております。
  22. 大柴滋夫

    大柴委員 あの付近の端端あるいは宮塚山ですか、これは防衛庁の方は村議会決定に基づいてお買い上げになったと聞いておりますけれども、これは明治十九年以来新島に住んでおるところの三百六十軒の人々共有林として払い下げを受けたものであって、山の性質上、村会が十対五できめたから防衛庁に売ってよろしいのだ、こういう性質のものではないと私ども思っております。やはり共有林でありますから、三百六十人の人が寄って、そうしてこれを売るとか譲るとか、何とかしなければおかしいわけでありまして、現に防衛庁の方でお買い上げになって登記が済んだと称しておりますけれども端端地区所有者である十二名の方々は、これに強く反対しているわけであります。何か聞くところによりますと、一軒が千二百坪ずつ持って、この反対者に対しては、防衛庁並びに村長は二十万円の金をやるから早く従え、こういう運動を熾烈にしているそうでありますけれども、この十二名は東京地裁において、占有権あるいは入会権をもって防衛庁あるいは村議会の不当を鳴らして裁判をしているわけであります。私どもは少なくともその裁判の結果を待ってから工事なりあるいは登記済みをするのが、政府あるいは関係者がいう法治国家の建前であろうと思います。しかるに防衛庁村議会が十対五できめたという、そのことのみを理由にしてこれを買い上げ、ヘリポートなどを作ろうとして強行しておることは、いささか法に名をかる暴力的な行為だと思っておりますけれども、そういう見解についてはどういうように思っておられますか。
  23. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 現在端端地区における十二人の方々東京地裁訴訟を提起されて、入会権についての訴訟は現在係属中であるということは、ただいま委員仰せになった通りでございます。ただわれわれといたしましては、端端地区買上行為はあくまでも適法であったということについて確信を持っておるわけでございまして、ただいま仰せになった明治十九年の東京府知事高崎五六君の官有地下附願の御指令書に基づいて、村民が一種の共有地である、あるいは入会権があるということで、反対を御主張になっておる事実はございますけれども、しかしわれわれの調べましたところによりますと、明治十九年以来、この水尻地区並びに端端の両地区につきましては、これが村有基本財産でございまして、新島本村の行政機構によって管理運営が行なわれておりまして、村民利用は随時村当局から認められた範囲において行なわれておったという事実、また大正十一年の一月三十一日の村有椿林貸付規則によりますと、村民山林利用関係は、村の当局利用者との間の賃貸借契約によるということが明示されておりまして、今までの不分明であった利用者権利が、ここではっきりと近代的な法律関係賃貸借契約という法律関係に移行したということが考えられるわけでございます。なおこの賃貸借契約昭和三十五年の三月十四日の村会議決によりまして適法に解除されておりますので、防衛庁といたしましては、この端端地区並びに水尻地区における利用者側権利主張は根拠がないものと考えて、現在東京地裁で争っておる状態であります。
  24. 大柴滋夫

    大柴委員 それぞれの理由があることだろうと思いますが、時間が長くなるので私もやめますけれども、いずれにしてもそれぞれの権利が錯綜しておるときに、あなたの方はあなたの方の見解でやり、またこの十二名の人は十二名の人の見解でやっては、これは困るのです。従ってこれは東京地裁あるいはそれぞれの裁判の決着がつくまで、少なくともお待ちになるというようなことは、これは法治国家の建前上、個人の私有財産を、いろいろ例を見ても明らかなことだろうと思いますが、この点の見解一体いかがなものでありましょうか。
  25. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま仰せになりましたように裁判の結果、まあわれわれといたしましては当然この訴訟については国の方が理由があるというふうに考えておりますが、万が一という場合もこれは考えられぬではございません。その場合に、もし入会権なり共有権が認められました場合には、それに対する損害の補償等については、十分法の命ずるところに従って、相手方を納得せしめるだけの所存でございますけれども、しかしそれがために訴訟の決着がつく。——これは二年になりますか三年になりますかわかりませんが、その間現在の工事なり計画を中断するということは、ただいまのところ考えておらぬ次第でございます。
  26. 大柴滋夫

    大柴委員 あとでまだその点については質問するといたしまして、なお一点質問をいたしておきたいと思うのでありますが、新島の黒根港の突堤ですね。それから式根島の小浜港、これらはそれぞれ離島振興法によって、もう予算が組んで、ある程度の突堤の延長とか、あるいは小浜港の改修というものが具体化されておるわけであります。ただ防衛庁がこのミサイル試射場に伴って突堤を延ばしてやるとか、あるいは小浜港を改修してやるとかいって、しかも何か離島振興法の工事と並行しようとすることによって——現在離島振興法の工事は進んでおりません。御存じ通り離島振興法は、これは村民が一致して望んでいるところの工事でありまして、はなはだ防衛庁の態度に村民全部が割り切れない形をしているわけであります。しかも私は証拠を持ちませんから、そういうことを言うのは差し控えたいと思うのでありますけれども東京都の高級役職員とかあるいは自民党の都会議員が参りまして、ミサイル試射場設置に伴う工事も併用しないと、離島振興法の工事ももうこれで打ち切りなんだ、こういう不敵な発言を村民にしているわけであります。防衛庁は何かこれらの離島振興法の工事防衛庁工事を別個にして、村民一致して待望しているところの離島振興法の工事声先にする、こういうお気持にはならぬものでございましょうか。
  27. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま御質問になりました黒根港と式根島の小浜港の問題でございますが、これは多少内容が違いまして、小浜港につきましては、新島本村が防衛庁試射場設置を認める、受け入れるという村議会議決をしました昭和三十五年三月十四日の議決におきまして、その受け入れるかわりに式根島の小浜港の浚渫をやってくれという、いわゆる条件工事に相なっております。黒根港につきましても同様でございますけれども、しかし防衛庁といたしましては、試射場を設置するかわりにこういうことを地元の振興のためにやってくれと言われた以上は、約束としてこれを果たさざるを得ないということで、昨年小浜港の浚渫に着手をいたしましたが、御承知のように妨害にあいまして、これを完成するに至らなかったという結果に相なっております。なお、黒根港につきましては、ただいま委員仰せになったように、都が離島振興法によって本年度六メートルの延長を計画いたしておったわけでございます。それで都が十七・五メートル延長しまして、そのあとに防衛庁が五十メートルさらに延長をしてあげましょう、こういうことになっておったのでございますけれども、御承知のように離島振興法による補助金によって毎年六メートル程度ずつやっておられたのでは、二、三年の経過を見なくちゃならぬ、そのあとでまた防衛庁が五十メートルということになりますと、非常に工事が先に延びますので、いっそのこと根っこの方と申しますか、本年度六メートル都がおやりになったあと、直ちに六十数メートルのものを防衛庁でお引き受けした方が早くできるのじゃないか、われわれとしても早くお約束を果たすためにはその方がよりいいのじゃないかというような観点から、関係各省及び都との間で相談をいたしまして、それでようやく防衛庁でお引き受けするというような線に固まってきたわけでございます。
  28. 大柴滋夫

    大柴委員 若干あとに質問を残しますけれども、次に問題を変えまして、試射場を作るからには、おそらく試射をしたいというミサイルがあるのだろうと思いますが、このミサイルというものは、MSA協定によってアメリカから供与を受けているところのミサイルですか、それとも日本の防衛庁なり何なりが作っているものなのですか。なお日本製のものとするならば、現在どのくらいの数量を持っており、名前は何という名前であり、性能はどうであるかということをお示し願いたい。
  29. 西村直己

    西村国務大臣 詳細につきましては政府委員からお答えいたしますが、私どもの方の態度をはっきり申し上げておきますが、あくまでもこれは米軍とは何ら関係がない。要するに日本の技研で研究したものを試験する、これだけのことでございます。この点ははっきり私は申し上げておきたいのであります。また将来に向かって、一部原水協や左翼のオルグの諸君が宣伝して歩いておるような基地にするなんという考えは毛頭ないこと、この点もはっきり申し上げておきたいのです。
  30. 大柴滋夫

    大柴委員 先ほどの質問の中で、技研で持っておる手持ちはどのくらいであるかということについて……。
  31. 西村直己

    西村国務大臣 これは政府委員からお答えいたさせます。
  32. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 ただいま考えておりますのは、TLRM−2というものが一つ、これは地対空の誘導弾でございます。長さが六・二メートル、径四十二センチ、重さが七百三十キログラム、射程が二十キロぐらいのものでございますが、これが約三発、三十三年から三十五年度にかけて試作を完了するものでございます。その次はTAAM−2といって、これは長さが二・六メートル、径二十五センチ、重さが七十キロ、射程が十キロメートル、これは三十三年から三十四年にかけまして三発できております。
  33. 大柴滋夫

    大柴委員 私は最後に一点だけを質問して、あとは同僚議員の質問に譲りたいと思うのでありますけれども、かつて私どもは、小型の核兵器であるならば憲法以内であり、大型の核兵器は違反であるというような自民党の説を聞いたことがございます。いずれにいたしましても、今日私どもはかかる試射場の設置、ミサイルというようなものは、憲法九条の違反であるという立場をとっております。これはおそらくこの問題だけを問うたならば——新島ミサイル試射揚設置が憲法違反であるか、是であるかということを問うたならば、今日日本の国民は圧倒的な多数をもって、新島ミサイル試射場建設は違反であるという断定を下すだろうと思います。私は世界に軍縮の潮流というものが流れている際に、防衛庁が特に先ほど言ったように裁判は私どもが勝つのだからこれをやるのだ、港の工事は二年も三年も待ってはおられない、これをやり抜くのだと言う必要性と緊急性というものが、国民の代表の一人としてわからないのであります。どうか長官から新島ミサイル試射場建設は、憲法の以内であり、九条の以内であり、早急にこれを行なわなければならない緊急性もあり、必要性もあるということを最後にお教え願いたいのであります。
  34. 西村直己

    西村国務大臣 最初に申し上げましたように、これからは一切基地には使わない、核弾頭はつけない、危険な爆発物は一切使わないということは、村との協議の際にも十分条件になっており、またこれは再々この会議を通じて前長官等もおそらく言明したでしょうし、私もあらためてこれをはっきり言明申し上げます。従って村の賛成、反対におきましても、これ自体については賛成派がむしろ六割以上あります。また日本全体から見ましても、このミサイルの試験ということ自体は、誘導弾の試験ではありません。片方で糸川博士がロケットの試験を秋田県でやっておられるが、その質においては何らそう違うものではない。問題はこれを悪用するかいなかという一点にかかってくる。それはあくまでも私ども責任を持って、そういう単なる試験である、しかも年間わずかに二十回の発射にすぎない、また村民の大多数の者もこれに対しては賛成する、しかし同時に離島であるから、あわせてわれわれの方でできる開発も大いにやろうじゃないか、またやってくれという、この条件のもとにやったのでありますから、村の内部におきまして、よそ者の意見よりはむしろ内部で話し合おうじゃないかというような空気もあるということも、大柴さんすでに御存じ通りであります。私は憲法違反なんということは毛頭考えておりませんし、純粋に政治闘争から離れた面から考えてくるならば、私は十分にお話し合いの場がある、こういうふうに考えておるのでございます。
  35. 大柴滋夫

    大柴委員 どうも緊急にやらなければならないという理由がわからないのですが……。
  36. 西村直己

    西村国務大臣 緊急と申しましても、すでにこれは五年もんでおる問題でございます。従って何も今日現在急に起こった問題ではないのでありまして、従って村の当局防衛庁、あるいは技術研究本部との間にお話し合いがついたときも、すでに幾たびかこれをのむ、そうしてそれから何年か経過しておる問題であります。そういうふうに考えていただきますと、今日唐突としてこれを急いでおるという問題でないことはおわかりになる、こう思うのであります。
  37. 久野忠治

  38. 西村力弥

    西村(力)委員 新島に限らず、防衛庁の基本方針——基地設定、拡張という場合の方針は、あくまでも地元民の了解のもとにこれを行なう、こういう方針は貫かれて主張されてきたことであると思うのです。ところで今回はいよいよ最後の腹を固めて、相当のトラブルを乗り越えてでも新島ミサイル試射場工事に着手する、こういう決意を固められましたが、今までの言明、また今ここでお伺いしても、地元民の了解、こういうことを今でもおっしゃると思うのですが、そういう立場にあることと、今回強行するという決意と、一体どういう工合に一致させておるのか、私はこれはやはり言葉では地元民のことを言うけれども、要は自衛隊のミサイル開発を急ぐのだ、あるいは予算がついたからそれをやらざるを得ないのだという、こういう一つのあなた方の立場が強行方針に踏み切らせておるのではないか、こう思うと、今までの言明に対しては不信を唱えざるを得ないわけですが、一体そこはどういう観点から決意せられておるのか。
  39. 西村直己

    西村国務大臣 御存じ通りこの問題は唐突として起こったのではありません。たしか昭和三十何年かにすでにあそこへ試射場を作らせてもらいたい、それで漸次その後におきまして、それならば村の開発にもなるのじゃないかという村民の多数の意向を代表して、村会条件付できめたと思うのでございます。もちろん一部には御理解をいただけない村民方々、不幸にしましてその間に外部からのいろいろな方々のお動きがありましたものですから、そこでむしろ問題は政治闘争的な形になっておると思うのでございます。従って私はできるだけ問題を純粋に純粋に返すように、村民同士の場において問題を解決するような努力を続けて参りたい。その意味から、先般も一応行動は起こしましたけれども、できるだけ部外のものからくるところのいろいろな影響による流血の惨事等は避けて、慎重な行動でやってもらいたい、こういう注意を特に発したような次第であります。
  40. 西村力弥

    西村(力)委員 私のお聞きしているのは、地元民の了解を得なければやらないといった言明は、もうすでに十分に満たされておるという工合に判断された基礎はどこにあるか。
  41. 西村直己

    西村国務大臣 もちろんまだ一部の誤解というものは残っておると思います。従って私ども事態が平静化するならば、できる限りさらに反対村民の御了解をいただくように努力は不断に努めて参りたい、こう思っております。従って私はその機会があればあるだけしあわせです。言いかえれば、部外の方々がどかれていかれるならば、私どもは純粋に村民方々とお話し合いする機会もふえるのではないか、こういうふうに感じておる次第であります。
  42. 西村力弥

    西村(力)委員 一部の方と言われますが、過般の総選挙の結果についてはどういう工合にお考えですか。あの際は結果的に見まして、ミサイル試射場設置反対の意思表明を総選挙の票に託したのが四割、六対四の状況にあるわけです。そういう実態をさして一部々々と言うのは少し独断的ではないか、との点はどうお考えになりますか。
  43. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん選挙そのものの票の結果も尊重せねばなりません。同時にその後における事態等もまた考え合わせなければならぬと思います。現実にあそこで生活をしておる人々の気持というものも、考えて参らなければならぬと思います。従って強行という言葉をおっしゃられると非常に強く響きますが、できる限り御納得をいただきつつ工事を進めて参りたい、こういう考えでございます。強行という言葉は使い方によってはどうにでもとれると思うのです。
  44. 西村力弥

    西村(力)委員 村議会は確かにミサイル基地を受け入れようという決議をああいうどさくさの中にやったわけですが、この決議は個人々々の権利というものに対して何ら拘束するものではない。ですから村議会の決議があろうとなかろうと、個人々々の権利所有者が、権原者が賛成の意思表示を明確にしない限りは、これはやはり関係者の納得を得た、こういう工合には言えないと思うのです。しかもそういう反対者の意思があの関係地区に四割以上もあるという実態ははっきり見て、決してこれは一部じゃない。防衛庁の一貫した方針である地元の了解を受けるという方針は、まだまだ努力不足にあるのだ、こういう工合に考えるのが当然であると思う。当然であると思うばかりでなく、この点に関しては過般加藤勘十氏と私と大柴君の三人が防衛庁に参りましたときに、経理局長と、それから、あの当時は今井さんが次官でしたが、次官と、官房長はおったかおらなかったかちょっと忘れましたが、その三人に会いましたときに、とにかくもっともっと誠意を尽くして地元民の説得に当たる、こういうことをわれわれに約束せられたわけです。この点について長官はお聞きになったか、それについてどんな指示を与えられたか。
  45. 西村直己

    西村国務大臣 先ほど申し上げましたように、私着任いたしまして直ちに防衛庁の最高幹部を二回にわたり現地へ送っており、その後におきましても、お申し出がありましたから、私の方は反対派村民の代表に積極的にお目にかかりたい、ただ不幸にしましてその日時等が、離島でございますからお互いに連絡が十分つかない、そういうことで今日の状態に至っております。従って私としてはできるだけ不祥な事態を避けながら、一つ慎重に考えてもらいたいということは指令をしたのでございます。従って今後も機会があり、また正常な状態においてお話し合いができるならば、われわれは喜んでお話し合いをどしどし進めて参りたいのであります。
  46. 西村力弥

    西村(力)委員 あのお話し合いで確かに向こう側と連絡をして、向こう側は十五日、こういう工合に日時を指定してきたはずです。それに対して一月十五日は予算折衝の最終段階であって、防衛庁の幹部は離れられない、だから十二日にしてもらいたい、こちらから向こうに日取り変更の要求をしたはずです。ところが向こうは十五日という工合にきめて準備しておるので、十二日では都合が悪いと言ってきた。そこまでは相互に日取りについて話し合いをまとめようとする努力がなされたわけです。ところが向こうが会おうと意思表示をしたにかかわらず、こちらは十二日という工合に日取りを変更して、向こうがだめだと言えばそれで打ち切ったというところに、防衛庁としての努力の足りなさということを私たちは言わざるを得ないのです。せっかくここまできたのですから、工事強行の前にはその努力を続けるべきである。日取りの話し合いができないで、これですべて会談はもう御破算だというような断定の仕方というものは、これはまことに一方的な話ではないか、こう思うのです。その件に関しましては加藤官房長と今度の門叶次官といろいろ話し合って、今後も努力すると官房長、次官が言われておる。それでは努力するならば、話し合いが一応の進行を見るまでは、工事を強行することをやめるかと言うたときに、その件に関しては私たちは一存で答弁はできない。長官の意見を聞こう、こういうことでありました。その件に関しては長官に連絡があったかどうか。あった場合にはどういう工合に裁定されたのか。私たち少なくとも三人が行って、今後も話し合い努力をして円満に事を進めようという方針で一致した。それが山田本部長派遣という形になった。ところが日取りは話し合わず、今日に至っておるのですが、話し合いの日取りの打ち合わせができないだけで、それで防衛庁は誠意を尽くしたし、話し合いはこれ以上無意味なんだと断定することはおかしいと思う。この点どうです。
  47. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 交渉の経緯について、われわれのやりましたことを率直に申し述べたいと思います。  昨年の十二月の二十八日に建設本部長以下三名、あらかじめ反対派の方に通知を申し上げて出かけたわけであります。二十八、九日と両日にわたりまして反対派村議会の議員さん五名の方々と、それから反対派の同盟の代表者の方に個別的にお目にかかった。もちろん御納得はいただけませんでしたけれども、個別的にお目にかかってこちらの考えておること、進めようとしておること等について、御説明を申し上げてございます。しかし反対派の、団体として会うというわけにはいかぬというお話でございましたので、二十九日に別れて帰るときに、反対派の方から申し入れがありまして、四日から十五日までの間ならば会ってやろうというお話でございましたが、われわれの方といたしましてはできるだけ早い方がいい、ともかく十七日、八日はちょうど三十六年度予算の山でございまして、この前後に東京をあけるというわけには参りませんので、できるだけ早い方がよかろう。四日から十五日という申し出であるから、それではその五日にお目にかかりたいということで、またあらためて、前もって五日にこちらから伺うから一つ会っていただきたいということを申し入れしたわけでございます。それで四日の日にお目にかかりたいということで申し入れましたが、ちょうど四日の日は天候が悪くてヘリが飛びませんでしたので一日おくれまして、五日の日にやはり前と同じ顔ぶれで現地に参上をいたした次第でございます。ところがそのときは、こちらからのお目にかかりたいという通知すら受け取っていただけませんで、全然お前たちには会わないというお話がございました。なおこれは後日申し入れがございまして、反対同盟としては、お互いに話し合うのは公開の場で話し合いたい。それから日時は反対同盟が指定した日時でなければいけない。それからお互いに話をする人選は反対同盟の方で人選をいたしたい。場所についても反対同盟の方で場所の選定をいたしたい、こういうようないろいろな条件がくっつきまして、それで十五日の夜という御指定があったわけでございます。しかしただいま申し上げましたように、十五日の夜というのはまさに予算の最終段階でございまして、当方としてはいかにも都合が悪いということで、やむを得ずお断わりを申し上げたわけでございます。将来の問題といたしましては、ただいま長官から御説明がございましたように、現地で会って平和裏話し合いをしようというような雰囲気が生じましたならば、われわれとしては喜んで現地へ参って交渉を申し上げるつもりでおる次第でございます。
  48. 西村力弥

    西村(力)委員 前のことはともかくとしまして、向こうから十五日に会おうと——その会談の方式なんかについてはいろいろこちらでも不満の点があるかもしれませんけれども、先方がとにかく会談をしようと言い出してきたのですから、これは一歩前進であるとやはり考えざるを得ない。これをつかまえて、せっかく努力をして話し合いをし、円満裏に事を運ぼうとする、そういう意思があるのですから、この際それを継続する、こういうことをはっきりしてもらわなければいけない。大臣もそういう意思をおっしゃっておられますが、そのおっしゃり方は、一方においては反対派を押しつぶす強行策をやりながら話し合いをしようというのであって、これは日本の官吏のやるべき態度ではないと思う。事の筋道を立てるならば、やはり話し合いをして、こういうめどがつくまでは工事一切を中止する、どういう立場話し合いをしないで、どうやってあなたは国民の納得を受けられますか。一方ではなぐりておきながら話し合いしようと言ったって、それはできませんよ。ですから私がここで質問するのは、せっかく向こうがそういうことを、会談をしようということを言い出してきているのですから、それをとらまえて、誠意をもってやるというあなた方の意思の実現をはかるべきだ。そのためには、前提としてはこの際一応工事を中止してやるのだ、こういう方向をとらないでは話し合いというものは進むはずはない。私はそれを強く大臣に、あなたはそういう考え方をきちっと立ててもらわぬと——そうでなければやはりとんでもない結果になるのではないか。砂川事件のときに船田さんが大臣であられたわけなのだが、強行に強行を重ねて、最後は旗を巻かざるを得ないということになった。そこには日本の人民と、人民を保護する警察との流血の惨が現われている。その結果ああいう声明をせざるを得ないということになってきている。あなたの行くべき方向も、そういう工合になる可能性が十分にある。しかも時を得顔に今右翼の諸君が乗り込んで、そうしてあそこの島民の持っておる権利というものを、あの暴力的な恐怖感のもとに圧迫しようという工合、これは一触即発ですよ。私はあそこに行っている諸君に対しては、絶対に手出しをするようなことはない、右翼が出てきたならば逃げなさい、こう言っているが、それはそういう工合にするけれども一つなぐられたら、おれたちがまんできぬぞ、こういうのがやはり行っている連中の決意ですよ。ですから私はあなたにぜひこの際決意していただきたいのは、話し合いのしようが出たのだから、この際工事は一応中止するという立場に立ってこの糸口をたぐる、こういう方向に誠意を尽くしてもらいたい、こういうことなのです。いかがでしょうか。
  49. 西村直己

    西村国務大臣 直ちに工事を中止するという考えはございません。ただ問題は、できるだけ私どもは冷静に立ち返っていただきたい。ことに部外から行っておられる方々が、あくまでも地元民の本来の姿においての話し合い、それから同時に私ども平和裏話し合いを続けるならばそれはけっこう、喜んで誠意をもってやって参りたい、これが私の基本の考え方でございます。
  50. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは話し合いをしようなんと言ったって、それは言葉だけのことなんです。それでは現在あそこに描き出されておる情景というものは、全然解決されないままに、だんだんと最後的な状況にいくのじゃないだろうか、こう思うのです。  この間防衛庁の方から、無理をしないようにというような注意的な通知が出されたと新聞でいっておりますし、今もそういう答弁でございました。そのことはどういう状況判断から出されたのか。これは事務当局でもかまわぬでしょうが、その点について一つお聞かせを願いたい。
  51. 西村直己

    西村国務大臣 別にどういう背景というほどのものはありませんが、われわれとしては、あれ以来現地にも説得にも了解を求めにも参り、同時に不幸にいたしまして予算編成の時期と、あちらさまの反対派の特定の日、時間を指定されているのと食い違う。その間に、新聞その他状況によりますと、右翼なり左の方なりのオルグですか、そういう方々が多数わざわざ出かけるというので、私どもとしてはその間に、村民同士はそう無理なことはお互いにしないという判定がございますが、部外の方々は、何といってもよそからおいでになれば、いろいろな事故も起こしやすいことが従来も間々あったのでございます。そういう意味から村当局その他が、やはりそういう事態を見て、村当局自体判断してやるべきことであるから、そういう御注意を申し上げた、こういうことでございます。
  52. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、そういう注意を出すというその基礎には、あそこでそういう問題が発生した場合の責任防衛庁にある。これは道路工事自体原因者負担となって——村道工事であるけれども防衛庁の金でこれを作るという原因者負担工事、そういうことになっておりますが、そういう原因者自体防衛庁であるから、そこに起こる——今後もし衝突事件が起こったとするならば、その責任というものはすべて防衛庁にあるのだ、こういう自覚のもとにああいう通知が出されたのだ、こう思うのですが、まあその通りだと思うのですが、どうでしょう。
  53. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん自衛隊の一つの目的を果たしたいということから起こる意味においての責任はあります。同時にまた部外から大ぜい行っていらっしゃる方々も、私はやはりそれぞれ個人としては相当御判断をお持ちになる、村当局も行政上、これらがすべてあわせて私は責任はとらなければならぬ、こう考えております。
  54. 西村力弥

    西村(力)委員 これはオルグ団という工合に言うて、向こうに行っておる右翼の諸君と同率な危険性のあるようなものである、こういう判断、発言をされておりますが、それとこれと一緒にする考え方が今よく言われておるし、この間の本会議質問において、猪俣浩三議員がそういう点を指摘しておりまするが、そういう判断の仕方というのは大きな誤まりである。しかもそういうことは日本の歴史をまた誤まることになる。私はそれはお互いに真剣に考えていかなければならぬことであると思うのであります。向こうに行っているオルグ団の諸君は、地元民の切なる要求を支援しようという立場に立つのであって、何も請負的に紛争の当事者になって戦おうなどという意思は一つもない。しかも暴力手段に訴えようなどということは少しも考えていない。現実にやっていない。第二次、第三次のオルグ団が行って黒根港に上陸したときに、取り巻かれて二、三時間つるし上げを食っておる、あるいはこづかれておるが少しも手出しをしない、こういうようなこちら側の立場、オルグ団の立場というものをはっきり見て、問題はああいうところにどういうところの意向をくんで行っておるか、右翼の諸君が来たということからくる突発的な危険というものが一番大きいのです。そういう点から言いまして、両方平等に責任考えるべきだなどということを言われることをやめるべきである。そうしてあくまでも防衛庁が、もし事態が発生した場合の責任は自分たちにあるのだという、そういう真剣な立場で事を処理する、こういう工合に進んでもらわなければならぬのではないか、これは事が起きてからでは取り返しがつかないことになってしまいます。その点を私は深刻に心配しておるので、そういうことを申し上げるのです。ですから、問題は先に戻りますが、だから話し合いをするという誠意を、今せっかく機会ができたのだから、もっともっと誠意を尽くして前進させる、それまでは工事は一応中止するという、こういう誠意ある態度で話し合いをする、そこにもっと前進する努力をしてもらわなければならない、こういうことを私は切に申し上げたわけですが、中止する意向がない、こういうことだとするならば、やはりその意向に従って村民人々考えて参るだろうと思うのです。すべての発生した責任防衛庁がそういうかたくなな態度をとられ、誠意ある言葉は言葉だけであって、事実はそうじゃないというところにあるのだということを、やはり私たちはここではっきり認めて、そう判断せざるを得ないということになってくるわけなんです。  次に問題を移しますが、ミサイルは現在三個技研にできておる、こういうことで、その形も大体六・二メートルの長さとかいう話がございましたが、こういうミサイル開発のことしの予算はどのくらいあったのか、明年度は大体どのくらいの予算を組んでおるのか、この点について伺いたい。
  55. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 お答えいたします。本年度のミサイル関係の開発経費でございますが、七億の歳出と四億一千万円の国庫債務負担行為でございます。その内訳は、まず歳出について申し上げますが、開発費二億八千三百万、それから研究用の機械器具費五千七百万、人件費及び旅費三千六百万、その他三億二千五百万でございます。国庫債務負担行為につきましては、開発費が三億一千七百万、その他九千三百万、それから三十六年度予算で要求しておりますものにつきましては、歳出として八億二百万、国庫債務負担行為としては三億八千四百万、その内訳は、開発費が五億一千九百万の歳出と二億四千万の国庫債務負担行為でございます。研究用の機械器具費が一千七百万、人件費及び旅費が四千一百万、その他が二億二千五百万の歳出と、一億四千四百万の国庫債務負担行為、こういうことになっております。
  56. 西村力弥

    西村(力)委員 相当莫大な金がかかっているのですが、ちょっと聞いて疑問に思う点は、「その他」三十五年度三億数千万、三十六年度二億数千万、この「その他」というのは一体何ですか。
  57. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま「その他」と申し上げましたのは、いわゆる施設整備費、たとえばただいま問題になりました新島でございますと、試射場の設置のためのいろいろな経費であるとか、そういうものを「その他」に含んでおります。大部分は施設整備費でございます。
  58. 西村力弥

    西村(力)委員 これも去年は七億、今年は八億と、年々増大していくのですがミサイルの開発の長期展望とか、そういう方針はどうなんですか。
  59. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 特にミサイルの研究開発につきまして長期に計画を立てておるということではございませんで、大体におきまして前年度において、次年度に研究すべき項目なり何なりをきめまして、そして次年度の予算を要求する、こういう建前にいたしております。
  60. 西村力弥

    西村(力)委員 昨年の九月でしたか十月でしたか、経団連の防衛生産委員会が、今後の防衛生産、ミサイル開発についての計画を発表したわけです。それは御承知のことだと思うのですが、あれを見ますると、ナイキ・アジャックス年間四十発、ホークが四十発、ボマークが四十発、それからサイドワインダーが二百でしたか四百でしたか、これを年々生産していくという計画を発表しておりますが、この計画防衛庁のあずかり知らないところであると仰せられるかもしれませんけれども、しかし経団連が防衛生産の立場からそういう計画を発表する、そういうときには、公式でないにしても、防衛庁との相当の話し合いがあるだろうと思うのです。この経団連の防衛生産委員会の発表計画については、一体防衛庁はどういう考えを持っていらっしゃるか。
  61. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 当時その問題について御質問を受けたことを記憶いたしておりますが、私ども全然関知しておりません。ただやはり経団連といたしましては、自分たちの持っております技術その他の生産能力から考えまして、こういうところが妥当であるというふうなことで検討されたのじゃないかと思います。防衛庁といたしましては、今経団連で発表になりましたような事柄は、次期防衛力の整備計画内容をなすものでありまして、次期防衛力整備計画において検討されるものであります。
  62. 西村力弥

    西村(力)委員 結局年々計画を立てて、それに伴う予算を計上しているということになりますが、しかしその場限りの計画のはずはないので、将来の方針としてはやはりミサイル装備を重点としよう、近代化しようという計画は当然のことだろうと思うのです。防衛庁としては、そういう基本の考え方があるだろうと思う。自衛隊の装備を近代化するためにミサイル装備を重点としようというような計画は当然あると思う。その点については固まっていないにしても、そういう方向というものをとっていると思うのですが、これはいかがですか。
  63. 西村直己

    西村国務大臣 お答えいたします。御存じ通り第一の防衛力整備計画というのは三十五年度、従って次期防衛力整備計画というのは、いずれは検討いたし、国防会議等を経て、国として決定していかなければならぬ日も近づいて参りました。従って当面としては、私どもミサイルの将来についてどうという計画はまだ持っておりません。ただおっしゃる通り次期防衛計画の中におきましては、近代装備の一つの要素としてはミサイルという問題も取り上げられていくのじゃないかと思います。しかしこれが中心であるということはまだ言うべき段階でもなし、またわれわれもそこまでは考えておりません。
  64. 西村力弥

    西村(力)委員 経団連の防衛生産委員会の生産計画については関知してないということですが、この計画によると、サイドワインダーは原爆は積めない、核装備はできないということですが、ホーク、ボマーク、あれは核と火薬と両用であるということを聞いておりますが、それは官房長、どうですか。
  65. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 ボマークにつきましては、普通弾頭と核弾頭と両方つけるというふうに聞いております。ホークにつきましては、私ども承知している範囲内では、今のところ普通弾頭だけであります。しかしこれは核がつけ得るのだという一部の調査もございます。その点については今はっきり申し上げかねるところでございます。
  66. 西村力弥

    西村(力)委員 やはり防衛庁の方向としては、決定的なことを今言えないにしても、近代化する方向というのは当然ミサイル装備の方にいくのですから、しかもそれはやはりホークあるいはボマークというような種類、あるいはまたナイキ・ハーキュリーズあたりに進むであろうとはっきり私たちは推定をするわけなんです。それはまた当然の帰結であるだろうと思うのです。でありますから、この新島試射というものが、今は三発しか持ってないのだ、それを何もつけないで撃つのだということになりましても、あそこで開発するミサイルというものは将来どういう工合になるかということ、これは国民が敏感に感じていることだと思う。基地にしないということを言いますけれども、かりに基地にしないにしても、そういう開発の研究が進むに従って、年々十億近い金を出しながらこれを研究開発していけば、将来行き着くところは、どういうものを実験されるかということだ。こういうところを国民は敏感に感じておるのです。そのためにこの新島ミサイル基地反対の戦いというものは、原水爆反対主張するすべての人々をくるんで、全国民的な反対の意向になってきつつあるのです。あそこで研究開発されるのは、結局核弾頭を装填し得られるミサイル開発までに日本の自衛隊の装備を進めるのだ、こういう把握の仕方からああいう強い反対になってきつつあるということを、あなた方は十分に知るべきであると思うのです。そういう状態ですから、なお一そう力によらずに、話し合いによって問題を処理するという方向に一度落ちついてやっていただかなければならぬということを、先ほどから私は繰り返して申し上げておるのです。あそこの問題については、通知をいただいただけで、警察当局との連絡は防衛庁としては何らなさらぬのですか。情勢がああいう危険な状態にありますので、そういう点については何ら話し合いをなさらないのですか、どうですか。
  67. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 治安の責任は警察当局にあるわけでございますから、私どもは警察当局の方からときどき情勢等についていろいろ話を伺いながら研究をし、いろいろ検討していっているわけであります。
  68. 西村力弥

    西村(力)委員 話し合いをなさっているというのですが、そのことは一体どういう趣旨からか。すなわちあぶないということならば、警察に出てもらってやってもらおうということか。あぶないというなら、そんな無理をしないで防衛庁当局で一応強行策はここでストップしようという、こういう考え方からか。私たちの希望するところは、やはりそういう連絡をするまでに事の事態を深刻に考えておるならば、今それを警察当局話し合いをして情勢を把握をする。その前にやはりしばらくは中止しよう、こういう立場に立ってもらいたいと思うのです。繰り返し同じようなことになってしまいますが、とにかく現実にああいう一触即発の状態にあるときに、それが防衛庁工事を強行しようとするところに原因するのだということ、しかも一部の反対ならばいざ知らず、総選挙の結果は四割以上もミサイル反対の意思表示が出た。それから入会権訴訟事件決定しないままにある。あるいはそのほか不動産の仮処分の申請書、そういうものも出ておる。こういうような点について私は再度、この際工事を一応やめて話し合いに応ずる、こういう方針をきめていただきたい、このような切願をしてやまないのです。そういう点について答弁を求めたいのでありまするが、これ以上の進展を求めることは不可能に思いますので答弁を求めません。  ところで最後の一点としまして、あそこの道路工事一千七百七十万円という工合に予算を組まれてやりまするが、これを村当局議決したあと道路の測量や何かさまざまやって、そして実際のかかる費用というものを算定するということになりまするが、村当局は一千七百七十万円歳入があった、それを歳出する、こういう工合にして予算を組むはずでありまするが、こういう全然幾らかかるかめどの立たないこういう議決というものが村議会でなされると思う。何ら実測もせずに、あるいは計画書もなく、ただ一千七百万円ということでそれを受け入れて出すのだという、こういう予算書を村議会がきめるということは、これは実におかしい話であると思うのです。このようなことが平気で行なわれたら大へんです。村議会としては、村道と称するものが何メートルある、こっちのまわりが何メートルある、こういうことしかわからないはずです。ですからそういう議決村議会でやることはおかしいと私は思う。そういうことを防衛庁がさせるわけです。一体そういうことは防衛庁、財政法的にも会計法的にも非常に無理があるというふうにお考えになりませんか。
  69. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 一千七百七十万という金額は全然仮空といいますか、根拠のない数字ではございませんので、大体この水尻から端端まで至ります道路の延長、それから幅員等考慮に入れまして、それで工事費を計算してございます。なお用地費につきましては、先ほど申し上げましたように必ずしも権利関係の明らかでないものが若干ありますので、これをなお村当局権利主張者との話し合いをしていただきまして権利関係をはっきりして、買うべきものは買う。あるいは村有地であればその必要がないというような結果になりますので、この点は相当今後詰める必要があるかと思います。またその他事務的な経費につきましては工事費の約一八%を見込んでおりまして、これも大蔵省で出しておる大体の基準に準拠しておりますので、今の金額は精算の際に動く可能性はございますけれども、全然根拠がないというふうにはわれわれ考えておりません。
  70. 西村力弥

    西村(力)委員 その根拠がないわけではないという、こういう資料を村当局に示してありますか。
  71. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これはこの金額等につきましては、村当局の方と御相談の上で算出をした金額でございます。
  72. 西村力弥

    西村(力)委員 では申し上げますが、私たち過般防衛庁に参りまして、そういう算定の基礎となった設計書や何かがあるだろう、それを一つ見せてくれと言ったときに、官房長と山田建設本部長が持ってきたのは何であったか。あの新島の地図一枚に赤ペンでただ一本の線を引いた、道路なりにただずっと赤く染めた、それだけの地図を持ってきたわけなんです。ああいうふうなことでは、大柴君が非常に憤慨してやったのですが、私どもも当然これは憤慨せざるを得ない。あまりおかしく見てもらいたくないという気持がしているわけです。道路に一本の赤線を引いて、この部分村道だというしるしをつけただけで、これで一千七百七十万を算定した、こういうことをあなた方当局が私たちに見せたのですよ。ところが今聞きますと、村当局と相談して十分なる基礎的な調査設計に基づいて一千七百七十万というものを算定したのだ、こう言っている。一体それはどうです。その設計算定の資料、そういうものを私たちにやはり見せられないですか。あまりおかしなことをしてもらいたくないと思いますね。どうですか。
  73. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように権利関係について不分明の点はございますけれども、一応そういう道路道路として航空写真等によって延長並びに幅員を出したわけでございます。
  74. 西村力弥

    西村(力)委員 私たちにそれを見せてくれるのかどうかということなんです。一千七百七十万という国費を出す限りにおいて、赤ペンでこう一本引いただけで金を出すなんということはあり得ることでない、許されることでない。だからそれを算定した基礎資料というものを私たちに見せてもらいたいと言う。それを見せられないということはおかしいじゃないですか。その点をお聞きしているのですよ。
  75. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これはただいま申し上げましたように確定金額ではございませんので、まあ概算、その程度だ。それでなお協定の中には権利関係等が分明して、そして買い上げの面積並びに金額等がはっきりしたならば精算をいたします、精算の際に契約金額を最終的には確定をいたしますという協定の内容になっておりますので、こういう離島でございますし、従来から権利関係が非常にはっきりしておるというような東京あたりの事情と非常に違った点がございますので、まあ概算にしておいて、ただいま申し上げましたように精算の際に契約金が確定するという内容をとらざるを得ないわけでございます。
  76. 西村力弥

    西村(力)委員 御答弁は、やはり見せられないということだろうと思うのですね。しかも言葉じりをとらえるようですが、東京のような権利関係の明定されているところと違う、そういうものは明定されていないから、やはりごくラフな概算にしかならざるを得ない。あなたはそうおっしゃっておる。それほど不明なところになぜ強行するか。そういうことで訴訟ざたが起きて、しかも現実には、事のきっかけを見ればすばらしく多数の傷害者が出るのではないだろうかという危険な状態にある。  私はこれで質問をやめますが、西村大臣にお聞きします。言葉でなく善意を持って、ほんとうに心底から話し合いによって事を円満裏に了解のもとに進めようというお気持にお変わりなければ、この際話し合いの糸口をつかんでもう一度努力をする。せっかく向こうから会いたいと来ているのだから、それが事情によって会えなくなっているのだから、それを一歩前進させる、こういう努力を今すぐやってもらわなければならぬ。そのためには、一方が何が何でも警察を入れてでもやるのだ、こういう気がまえを緩和するということが前提にならなければならぬ。そういう考え方に立って話し合いの糸口を逃がさずに一つこれからも努力する、こういうことをこの際最後に明確にしてもらいたいと思うのです。いかがですか。
  77. 西村直己

    西村国務大臣 私が申し上げたのは、先ほどの気持と何ら変わらないのでありまして、もちろん話し合い話し合いで誠意を持って、またこの問題は重大な事態を引き起こしてはいけませんので、私は日夜これを考えております。ただ問題は、話し合いと申しましても、平和裏にお互いが理解をし合うということがまず前提にならなければならないということが一つ、いま一つは、工事そのものはやはり村当局判断において行なわれるということを私どもは賛成し、また実現希望の者も相当数おるのでありますから、これもまた村当局判断において円滑にやってもらいたい、こういう考え方であります。
  78. 西村力弥

    西村(力)委員 お考えは変わらないようですし、最後に申し上げたいのは、村当局責任を転嫁しているという、こういうことは恥ずかしいことではないだろうか、防衛庁責任を持ってやるべきじゃないだろうか。確かにその原因者負担道路工事のことが道路法にも規定されておりますけれども、事はまことに重大なときですから、反対者がこれだけあって、そうして防衛庁の意向に従って事を進めれば問題は重大になるというときでありますから、村の判断によってやるという場合に、この村の責任にすべてを転嫁するというようなことは、あまりほめたことではないと思うのです。  いずれにしましても、私の強く要望したことは、本日大臣の受け入れるところとなりませんでしたので残念でなりませんが、このことによって起きる事態責任は、あげて防衛庁のそういう強行策に、事態をほんとうに見ない自己本位に問題を解決しようという、そういう強行策にあるのだと、ここではっきり私たちは申し上げておかなければならないと思うのです。それだけ申し上げまして、私はこれで終わりたいと思います。
  79. 久野忠治

    久野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会