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1961-04-21 第38回国会 衆議院 逓信委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月二十一日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 山手 滿男君    理事 秋田 大助君 理事 大上  司君    理事 上林榮吉君 理事 廣瀬 正雄君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       大高  康君    志賀健次郎君       椎熊 三郎君    寺島隆太郎君       羽田武嗣郎君   橋本登美三郎君       井手 以誠君    大柴 滋夫君       島本 虎三君    田邊  誠君       松井 政吉君    山本 幸一君       受田 新吉君    谷口善太郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小金 義照君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房長) 荒卷伊勢雄君         郵政事務官         (監察局長)  莊   宏君         郵政事務官         (郵務局長)  板野  學君         郵政事務官         (経理局長)  佐方 信博君  委員外出席者         郵政事務次官  加藤 桂一君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     長田 裕二君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社職員局長   本多 元吉君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 四月二十日  委員大高康辞任につき、その補欠として山口  好一君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員山口好一君、佐々木更三君、下平正一君、  成田知巳君及び八百板正辞任につき、その補  欠として大高康君、井手以誠君松井政吉君、  田邊誠君及び島本虎三君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員大高康君、井手以誠君島本虎三君、田邊  誠君及び松井政吉辞任につき、その補欠とし  て山口好一君、佐々木更三君、八百板正君、成  田知巳君及び下平正一君が議長指名委員に  選任された。 同日  理事稻田柳右エ門君同日理事辞任につき、そ  の補欠として上林榮吉君が理事に当選した。     ――――――――――――― 四月十五日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願外一件(  有田喜一紹介)(第二五五〇号)  松本市地方簡易生命保険郵便年金加入者の福  祉施設設置に関する請願唐澤俊樹紹介)(  第二六七〇号)  長野県東筑摩郡地方簡易生命保険郵便年金加  入者福祉施設設置に関する請願唐澤俊樹君  紹介)(第二六七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十日  電気通信事業合理化に伴う事前協議協約締結等  に関する陳情書外七件  (第  六二九号)  同外四件  (  第六七二号)  山形県軽井沢の郵便物配達復活に関する陳情書  (第六三三号)  長浜郵便局舎新築に関する陳情書  (第七二二号)  郵便物遅配解消に関する陳情書  (第八二五号)  同(第八二六号)  簡易郵便局法の一部改正に関する陳情書  (第八二七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任の件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第九  〇号)  郵政事業に関する件  電気通信に関する件      ――――◇―――――
  2. 山手滿男

    山手委員長 これより会議を開きます。  郵政事業及び電気通信に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを順次許します。  森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 この前の委員会において、私の方から大臣に対して質問をいたしまして、現在までの日本電信電話公社処分について、かなり不当なものがあるのじゃないか、そういう点については、場合によっては再調査をして、そうして電電公社自体としても、調査の結果若干おかしいというような点があれば、これは直すにやぶさかでない、そういうふうな点を大臣の方からもよく電電公社の方に言っておきましょう、こういうことでございましたが、電電公社の方としては、それについての措置を、その後どういうふうにおやりになっておるか、副総裁の方からでもお答え願いたい、こう思うわけです。
  4. 横田信夫

    横田説明員 お話の点につきまして、大臣の方からも、不当なことがあるかという事実について、なおよく調べてみるようにという御注意がありました。われわれの方といたしましても、従来これについては非常に慎重な注意をして参ったのでありますが、御注意もありましたので、なおわれわれといたしまして反省すべき点があるかどうかという点については十分考えてみたわけであります。前から申し上げましたように、この処分については非常に慎重に考慮して参ったのでありますが、ただいま処分を訂正いたすというような考えはございません。
  5. 森本靖

    森本委員 処分を訂正いたすという考えはない、こういうことでありますけれども、私たちの方で調べたところによりますと、中には、本人新婚旅行に行っておるにもかかわらず、それが職場大会に出動し、さらに職場大会を指導したということで処分を受けておる者もありますし、また本人は非番でうちにおったという者でも処分を受けておる者もあるし、それから年休をとって故郷に帰っておった者でも、ピケ参加し、職員出勤を阻止したというのもあるわけであります。それからまたお母さんが死なれて喪に服しておったという者も、職場大会に出て、そうして指導したというふうなことになっておりますし、そういう例が非常にたくさんあるわけでありますが、そういう点についてはないというふうに確信をお持ちですか。
  6. 横田信夫

    横田説明員 先ほどの私の説明は少し簡略に過ぎましたが、職場大会に出たかどうかということの事実の認定については、人数も多数でありまして、ただいまのように特別な事由がはっきりいたした場合には、そういう申し出をしてもらいたい、それによってわれわれとしては再調査することにやぶさかではありません。
  7. 森本靖

    森本委員 そういう調査はその本人から申し出がなければやらぬのですか。
  8. 横田信夫

    横田説明員 そういう問題については本人からの申し出を待ってやりたいと思います。
  9. 森本靖

    森本委員 本人から申し出を待つまでもなく、これは明らかにあなたの方の間違いでしょうが。新婚旅行に行っておる者も職場大会に出ておるということで処分をする、それから本人から申し出がなければ調査をせぬという、そういうやり方はないでしょうが。
  10. 本多元吉

    本多説明員 ただいま森本先生から例をあげて御説明でございますが、年休をとっておりましても、ピケ参加しているとか、あるいは職場大会参加しているというようなこともあり得るわけなんでございまして、ただ年休をとっているということだけでは、私どもの方は、そういう行動に出なかったというふうにはいきかねると思うのでございます。従って、職場大会等参加しなかったというようなことにつきまして、そのとき出勤予定であったけれども、あるいは急病であって職場大会に出られなかったというような医者の証明とか、そういうようなものがございます場合には、これは私ども考え直しますし、また、たとい年休その他のことがございましても、ピケ参加しなかったというような客観的な事実をお示し願って、私どもの方はそういう申し出を待って考えたい、かように考えております。
  11. 森本靖

    森本委員 それではちょっとお聞きしたいのですが、職場大会に出た、そうしてその職場大会を指導したということで処分をしているわけですが、そういうふうな処分をする場合には、それが出た出ないということについての認定はだれが行なっておるのですか。
  12. 本多元吉

    本多説明員 出勤予定の方が、当日そういうような職場大会を行なう、またピケも張って職員を局内に入れないというような企てがございます場合に、私どもの方といたしましては、管理者が、就労意思のある者は管理者の方に申し出るように申しておるのでございます。そういうのにもかかわらず、就労意思を表明しておいでにならない方はやはり無断欠勤でありまして、職場大会参加したものとみなして私ども取り扱っているわけでございます。
  13. 森本靖

    森本委員 その職場大会参加をしたという者については、職場大会参加をしたということを当該管理者が一々首実検をして処分しておる、こういうことですか。
  14. 本多元吉

    本多説明員 ただいま申し上げましたように、出勤予定であるにもかかわらず、就労意思も表明せずに欠勤したというような者は、当日のそういう企てから見まして、これは職場大会参加したものとみたすというふうに考えております。
  15. 森本靖

    森本委員 そうすると、その前にちゃんと休暇届を出して行っておる者を、職場大会に出たと認定して処分したというのは、その認定はだれがやっておるわけですか。
  16. 本多元吉

    本多説明員 休暇と申しますのは、やはり職場長承認を得て休暇を与えるものでございますので、その辺のところが、単なる届け出意思を表明したものであるか、あるいは職場長が明確に年休を与えたものであるか、あるいはそういう事態を予想して年休というようなものを与えないというふうに職場長が申し渡した事実があるかというような問題もございます。単なる年休届け出というようなことで、それをもってよろしいというわけにはいきかねる問題である、かように考えます。
  17. 森本靖

    森本委員 それではもしそれを承認をしておって、そうしてあと職場大会に出動したということで処分をしたということになるとどうなるのですか。
  18. 本多元吉

    本多説明員 明確に年休を与えておりまして、また職場大会に出ていないということが明確でございますれば、私どもそれはそういう事実の上に立って考えることでございます。
  19. 森本靖

    森本委員 事実の上に立って考えるというその場合に、それを職場大会に出たというようにうその認定をした者についての責任はどうなる。
  20. 本多元吉

    本多説明員 ただいまのお話では、そういうようないろいろ御調査になったお話でございますが、私どもの方といたしましても、そういう点は十分調査いたしましてやったものでございますので、そういう場合にどうなるかというようなことは、今ここでお答えするわけにいかぬと思います。
  21. 森本靖

    森本委員 僕が言っておるのは、職場大会に出動して、そうして阻止したのでこれを処分する、こういう辞令が出ておる、ところが実際にはその職場大会に出ていなかった、そういう事実が判明した場合には、その責任の所在はだれにあるか、こういうことなんですよ。
  22. 横田信夫

    横田説明員 先ほどからいろいろお話がありますが、大体無断欠勤ということ自身が問題でありまして、無断欠勤という場合に、職場大会へ出るために無断欠勤したのでないということについては、本人がそれを釈明すべきであると思っております。だから本人申し出によってわれわれとしては事実は十分調査いたしたいと考えます。これはやはり本人申し出を待って、そういう事実はなかったというほんとう本人釈明をもって事実を調査したい、こう思っております。  なおまた、今仮定のことについていろいろお話しでございますが、そういう問題は、その具体的事実おのおのによって判断すべきでありますので、その場合仮定の事実に対してどうするということについては的確なお答えはできかねるのではないかと思います。
  23. 森本靖

    森本委員 私の聞いておるのは、その辞令の発令の内容は、職場大会に出動しそれを指導した、こういうことで処分をしておる、その場合に、職場大会に出ていなかった、本人新婚旅行に行っておったということがはっきり出てきた場合にはどうするか、こういうことです。
  24. 横田信夫

    横田説明員 お話のような場合に、本人無断欠勤ではないということの証明はいかが相なるでしょう。
  25. 森本靖

    森本委員 それは先ほど僕がはっきりと言っておるように、ちゃんと許可を得て出ていった、そういう場合にはどうなるのだということを聞いておるわけです。
  26. 横田信夫

    横田説明員 今のお話の、承認を具体的に得ていって、しかも職場大会参加したことが事実ではないということがはっきりしておるというお話でありますが、そういうことがあったらどうするかという、そういう仮定の事実に基づいてはちょっとお答えできないと思います。
  27. 森本靖

    森本委員 そういうふうな具体的な例がたくさんあるわけでありまして、私は後ほどそういう具体的例を各同僚議員からあげていただこうと思っております。いずれにいたしましても、そういうふうな具体的な例が数あるわけでありますが、もしあった場合にどうするかということを聞いておるわけであって、あなたの方は仮定質問にはお答えができないということでありますので、あとから同僚議員が一つ一つあげて、そうして質問を行なうと思いますから、その際に明確にお答えを願いたい、こう思うわけであります。  それから電電公社としては、先ほども話がありましたように、もしそういうふうな不当の場合があれば、調査をして、そうして善処したらどうかというふうな大臣の方の話があったにもかかわらず、あなたの方は現在まで全然そういうふうな不当な間違いはない、こういう考えのもとに再調査をしておらない、こういうことなんですね。
  28. 本多元吉

    本多説明員 私ども今回の処分をやります際にあたりましては、私どもといたしまして十分な検討もいたしましてやって参りましたので、そういうようなことは万々ないと思いまするが、これは神ならぬ身でございますので、もし事実において——どもがやりましたことの当、不当の問題でなしに、これが適当であるという立場に立っても、なお事実において何か間違いがあるというような問題につきましては、私どもその点については十分調査をするというふうな気持でおりますので、そういう事実の間違いがあるというふうなお申し出があった場合におきましては、私どもの方でこれは調査をするというふうなつもりでおるわけでございます。
  29. 森本靖

    森本委員 そういう申し出がなければ、あなた方の方は全然調査をしないのか。
  30. 本多元吉

    本多説明員 先ほど申しましたように、私どもといたしましては、この処分を行なうに際しましては十分検討いたしましてやりましたものでございますので、こちらから現在進んで調査をするというふうな気持を持っておりません。
  31. 森本靖

    森本委員 そういう点について進んで調査をするということはやらない、こういうことを言っておるけれとども現に本委員会においても野党議員の方から、そういう点については間違った点があるのじゃないか、もし間違った点があればそれを調査をして直すにやぶさかでないということは大臣も言われておるのです。だからあなたの方は、処分をした、絶対に間違いがないということでやったかもしらぬけれども、しかしあなた自身が言っておるように、それは神様でないから間違ったことがあるかもわからぬ、そういうことについてはすなおにもう一ぺん調査をしてみて、そうして間違ったところがあれば是正をするという謙虚な態度に出てみたらどうですか。それをおれの方は処分をしたのだ、間違いない、お前たちは何を言うのだ、こういう態度にあなた方が出てくるとするならば、われわれの方としても電電公社に対する考え方を完全に変えなければならぬ。だから、われわれがせっかくこの委員会を通じてそういうことを言っておるのだから、あなた方の方も、それは間違いないという処分をしたかもしれぬけれども、もう一回念には念を入れて全部再調査をしてみるということでやってみたところでいいじゃないですか。
  32. 横田信夫

    横田説明員 謙虚でないというおしかりを受けましたが、この処分をやるにつきましては、われわれとしても慎重な調査の上に立ってやったのであります。しかし先ほどから申し上げましたように、この全国の職場大会参加者というような問題については慎重にやりましたけれども、これは相当に人数も多いのです。その事実についてわれわれとしては間違いないと思っておりますが、その間違いの訂正というような問題につきましては、やはり本人からの申し出が当然あるべきだと思いますし、本人申し出があれば、本人から、私は特別の理由があって職場大会には参加しなかったというようなことを申し出てもらいたい、われわれとしてはそれによって再調査するのにやぶさかでない、こう申し上げておるのであります。決して謙虚な気持を忘れておるものではないと思っております。
  33. 森本靖

    森本委員 公社がそういう考え方に立つとすれば、そういう考え方で当委員会が全部押し切れるという考え方なら、その考え方で押し切ってもよろしい。しかし私が言っているのは、今までのこの委員会の運営の空気を見てもわかる通り、そういうことについては野党委員からせっかくそういう質問があって、大臣も善処しましょうという話をしておるわけだから、なるほどあなたの方も自信があって処分をしたかもしらぬ、しかし人間処分するということは一番大切なことだ、だからひょっとしたらおれの方でも間違っておるのではないかということで、もう一回再調査しようという考え方に立っていいのじゃないか。それを申し出がなければ、おれの方は絶対間違いがないのだから、申し出がない限り再調査しないというふうなそういう高圧的な態度に出るとするならば、電電公社がそういう態度でよろしいということであるとするならば、われわれは電電公社態度がそういう態度であるということを将来肝に銘じてやっていくから、それでけっこうだけれども、しかし人間というものはそういうものではないと思う。仕事もそういうことでは進まぬと思う。やはりめんどうであってもそういう申し出があれば——もし申し出はないにしても、われわれは委員会を通じてそういうことを要求しておるのだから、あなたの方はこれを謙虚に受けとめてそれを再調査するということは、今までそれだけの処分をした労力があるとすれば、もう一回再調査するだけの労力もあるはずだ。それをやってみて、そしてあなた方が、そういう申し出がありましたが、われわれとしては再調査いたしましたけれども間違いがなかったとか、こういうところがありましたということを当然やるべきだと思う。それを、おれの方は処分をした、絶対間違いがない、間違いがあるとするならば申し出よ。これはまるで昔の代官が言うみたいな言葉にすぎない。今日の労務行政を円滑に遂行しようとするならば、やはり私はそれだけの気持があってしかるべきだ、こう思うわけでありますが、そういう点について一体副総裁はどう考えるのですか。
  34. 横田信夫

    横田説明員 ただいま代官というお話がありましたが、われわれといたしましても、今お話がありましたように、処分自身は大へん影響を及ぼすところ甚大でありますので、最初にこの処分にあたりましては十分慎重を期したのであります。しかし先ほどから申しますように、神ならぬ身でありますから、万々間違いがないと思ってやっておりますが、これについて事実の認定に間違いがあった、こういうようなことがありますれば、やはり本人申し出を待つのが至当だと思っております。また無届欠勤等につきましては、やはり本人から釈明を求めるのが私当然だと思いますので、決して昔の代官のような気持で申し上げておるわけではないのであります。御了解願います。
  35. 森本靖

    森本委員 だから私の言っておるのは、そういうことについてもあなたの方は間違いがない、こう考え処分をやった。しかし今いろいろ私が言っておるように、間違ったような面もある、だからそれを一々本人申し出がなくても、もう一ぺんこの処分については再調査をあなたの方でやってみたらどうか。それをやらない、そんなことはおれの方は一ぺんもうやっておるのだから問題にならぬ、こういう考え方であるとするならば、それはそれでけっこうだ。しかし私が言っておるのは、そういうことについてはもう一回再調査してみたらどうか。やはり電電公社がそれだけの政治の面における、労務行政の面におけるそういう問題を持ってもいいのではないか、こう思っておるわけです。それを木で鼻をくくったような態度で、あなたの方が一ぺん処分をしたのだから、申し出がなければ再調査はいたしません、こういうことならそういう態度でもけっこうだけれども、それがはたして今日の労務行政なり電気通信事業の発展のために有効になるかどうかということをよく慎重に考えてみたらどうか、こういうことを言っておるわけです。
  36. 横田信夫

    横田説明員 実はお話のように申し出にくいような情勢に置いてないと思いますので、そういう事情がほんとうにありますれば、その本人から気軽に申し出ていただけば、再調査するにやぶさかでない、こう思っております。
  37. 森本靖

    森本委員 処分があったものをそう気軽に申し出をすることが、あなた実際問題としてできますか。それを手軽に申し出をするということ……。(発言する者多し)委員長、ちょっと静粛にして下さい。
  38. 山手滿男

    山手委員長 御静粛に願います。——御静粛に願います。
  39. 森本靖

    森本委員 これはやはり一応私の方から質問をしておるわけだから(発言する者多し)ちょっと静粛に頼みますよ。——静粛にしないとおれは委員会を開かぬぞ。——今の問題——静粛にしないと、やめるぞ、この委員会はもう、やめる……。   〔「やめたまえ、審議権を放棄するなら仕方がない」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、退場する者あり〕
  40. 山手滿男

    山手委員長 暫時休憩します。    午前十一時十二分休憩      ————◇—————    午前十一時三十二分開議
  41. 山手滿男

    山手委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  順次質問を許します。  森本靖君。
  42. 森本靖

    森本委員 先ほどの件でありますが、これ以上は総裁が来ないとなかなか回答できないと思いますけれども、いずれにいたしましても、この前の委員会大臣に対する私の質問もありますので、一応電電公社としても、やはり本人申し出があれば再調査をするのは当然として、数千名の処分をいたしておりまするから、その中には、やはり神ならぬ身のやったことでありまするから、私は間違いもなきにしもあらずと思うわけであります。そういう点については、再調査をしたあとでどうなるこうなるは別として、謙虚な気持で一応再調査をするということはやってもいいんじゃないか、こう私は思うわけであります。その点について、先ほど非公式ながらも総裁の意見を聞いてみた点もありますが、そういう点については、非公式な話でありますので別としても、やはり私は率直に再調査をしてみても、そう大した労力じゃないと思うわけでありますが、その点はどうですか。
  43. 横田信夫

    横田説明員 先ほどから申し上げました、本人申し出ということにつきましても、できるだけ本人申し出やすいような雰囲気にしていくということについても、われわれ考えていきたいと思っております。それから処分の問題につきましては、その後も始終われわれの方は通信局とも連絡いたしておりまするし、ただいま申し上げましたように、本人申し出等につきましても、具体的な事実そのほか気がついたことがありますならば、これを再調査していくということもやぶさかでありません。
  44. 森本靖

    森本委員 この問題については、なおあとから同僚議員がやられると思いますので、私はこの不当処分の問題については、一応この程度で終わっておきますが、いずれにいたしましても、この問題がかなり全国的な問題になっているということも事実でありますし、また実際問題としては、事実とかなり離れた問題もありまするし、またある程度事実がひん曲げられて報告をせられておるということにおいての処分も出ておりますので、そういう点については、電電公社は将来の労務行政その他の点について考えても、十分慎重な考慮をもう一回お願いをしたいということを言っておいて、そうしてこの処分が不当な場合には、これをやり直すということについては、そう面子にとらわれる必要はない、こういう考え方を持って積極的に再調査を行なって、間違った場合には、これを直すというふうな態度をとってもらいたいということを申し上げておいて、この問題は同僚議員に譲ります。  それからもう一つ聞いておきたいと思います。二十五日に何かまた組合の方が闘争をやるというような形になっておるようでありますが、私はあえて闘争する処分する、闘争する処分するということだけが能ではない、こう考えるわけでありまして、これはやはり円満に解決をつけて、そうして電気通信事業の発展をこいねがっていくということが、やはり電電公社の幹部の任務でなければならぬ。だから譲るべき点はどんどん譲り、そうして妥協すべき点は妥協する、こういう態度で臨んでいいんじゃないかというふうに私は考えるわけであります。今日、電気通信事業の合理化がどんどん進んでおる。その割に、この合理化に関するところの労働条件、あるいはまた将来の、いわゆる事業の合理化の展望、そういう問題については、従業員の方も非常に不安を感じておるということは事実であります。そういう問題については、私はすべからく円満に公社の方が解決をつけ得るよう、今までの面子その他にとらわれず、譲るべきところは大いに譲ってやってもらいたい、こういうふうに考えておるわけでありますが、二十五日に行なわれようとしております問題については、公社としてはどういうふうにお考えですか。
  45. 横田信夫

    横田説明員 ただいまお話がありましたように、こういう大事な事業でありますし、また大事なときに直面いたしてもおりますので、できるだけわれわれは円満に事を解決していくという気持は、従来とて変わらないつもりでありまして、従来とも組合との話し合いにおきまして、できるだけ円満に解決をはかって参ったつもりであります。今後ともそういうつもりで、できるだけ全力を尽くしていきたい、こう思っております。
  46. 森本靖

    森本委員 従来も円満に解決をつけるつもりでやってきたと言われますけれども、実はやってきたことが、円満に解決をつけるということと逆の方向になってきて、ますます紛糾を来たすような状態になっているという情勢である。今日は電気通信事業にとりましては、一番重要な時期であります。今の時期において電気通信事業が行き方を誤るとするならば、電気通信事業の発展ということに非常に重大な影響を及ぼすことは事実でありまして、電気通信事業にとっては今が一番重要な時期であろう、私はこう考えるわけでありますので、労務行政についても、これが円満に遂行できますように、やはり職員側の言い分というものも、聞けるものは聞き、そして妥協すべきものは妥協して、円満に解決をつけてもらいたい、こう考えるわけであります。一つ気分を新たにして、そういう点についても円満な方向に解決がつき得るように、もう一回公社の幹部としてもやっていただきたい。こう思うと同時に、大臣に対しましても、やはり監督官庁として、闘争する処分をする、闘争する処分をするというふうな、泥沼的な戦いにこれが発展するということになりますと、それは確かに組合側も大きな被害を受けるでありましょう。しかし、それと同時に事業も、相当発展が阻害をせられるということも事実であります。そういう点については、やはり監督主管大臣としては、私は深甚な考慮を払う必要があろうと思いますので、そういう労務問題についても、公社側が円満に解決をつけ得るように、やはり大臣としても、この法律の示す範囲内における公社に対する指示、あるいはサゼスチョンというものをやっていただきたい、こう思うわけでありますが、大臣の御所見を承っておきたいのであります。
  47. 小金義照

    ○小金国務大臣 ごもっともでございまして、その通り努力をいたす考えであります。ただ先般の全電通の職場大会と申しますか、これに関連して、私は非常に心配をしておるのであります。どういうことかといいますと、保安要員を全部引き揚げるということです。これは大へんなことでありまして、私は若いときよく坑内に入って、つぶさに鉱夫諸君と生命の危険をともにしたのでありますが、保安要員が命の綱であります。電電公社は地上の設備でありますけれども、保安要員を引き揚げられた場合にいかなる事態が起こるか、集中した通話がくれば、火災を起こし機械は焼ける。それからお医者さんが日曜一斉休診をやれば、あのような社会問題を起こしますが、電信あるいは電話によって、お医者さんその他の人命の緊急な問題に直面したときに、保安要員がいないということは、どういうことを起こすか、私はその点について非常に遺憾に思っております。こういうことも私は組合運動あるいはまた争議の一環として十分お考えを願いたいと思いますが、ただいま森木さんから御指摘になりました点については、私も責任上、電電公社とよく話しまして、悪循環に陥らないように、せいぜい努力を続けて参りたいと思っております。
  48. 森本靖

    森本委員 その最後の方の、努力をしたいということはけっこうでありますが、これはあなたは通産省におられて、鉱山関係をやっておられるので、保安要員ということについては、何か坑内の保安要員と同じように考えておられると思いますが、電信電話公社の保安要員をかりに引き揚げるということになった場合、それが一時間あるいは一時間半引き揚げた場合、火災を起こすとか通話が集中してどうこうするということは、技術的にあり得ないことであります。これはまた新聞には大きく保安要員引き揚げというようなことを書いておりますけれども、現実の問題を個々にそれぞれ見てみた場合、それほどあなたが人命に関するというように心配するほどのことではないということは言えると思います。これはあなたより私の方が二十数年この事業に携わっておりまするから、これは十分私はその内容を知っておるわけでありまして、鉱山の保安要員その他とはだいぶ違うわけであります。ただこれは報道関係がはなばなしくやって、それでさもこれが一番悪人というような形の宣伝をいたしておりますけれども、そういう点はよく実態を、これは電電公社の幹部あたりに説明を願えれば、それほどのことではないということは私は一章えると思うわけであります。そういう点については、十分に大臣としては一つ認識を改めてもらいたい。ただこれが一時間くらいやったら、坑内と同じようにつぶれて、人命に関係するというふうなものではないということを私は申し上げておきたいと思いますし、またこの間のその問題においてそういうふうになりかかったというようなところの局が全国にあるとするならば、それは具体的な例をあげてもらえば、私は十分に反論をするだけの意見を持っておりますけれども、その問題は、大臣の認識は通産省関係の認識でありますので、これはちょっと郵政省関係の認識に一つ改めておいてもらいたいと思うわけであります。いずれにいたしましても、二十五日の問題については、これはやはり円満に解決をつけ得るという方向で一つ私は大臣あるいは公社総裁にも御努力を願いたいということを申し上げておきまして、同僚の議員質問に譲りたいと思います。
  49. 横田信夫

    横田説明員 ただいま大臣からお話がありました点は、われわれも同様に考えております。円満にできるだけ努力することは大臣のおっしゃる通りであります。  なお保安要員、保留要員の問題について、鉱山と違うという点についていろいろお話がありました。現象的にはだいぶ違いますが、やはり保安要員、保留要員がなくなるということは非常に大へんなことでありまして、先般も組合員が全部いなくなりましても、管理者が相当入りまして、こういう問題については処置いたしたのであります。これはほんとうにだれもいなくなった場合に、過熱場所が出てくるということはやはりあるのであります。こういう点は、保安要員、保留要員を全部なくするということは大へんなことであるということは、大臣のおっしゃったことは、決して間違いじゃないと思っております。
  50. 森本靖

    森本委員 その問題を私は副総裁に別に答弁を求めておるわけではないのです。ただこの間の十六日の場合、そういうふうなところが具体的にあったのかなかったのか、この間の十六日の場合については、そういうふうに火災に発展をするとか、あるいはまたそういうふうに機械が全部こわれてしまうというような形の闘争方法をとったところはないわけであります。もしそれが具体的にどこどこの局がどういうふうになりかけたということを言うなら、それを具体的に示してもらいたい。ただそういうばく然的なことにおいて重大性を発揮しようというふうな意識を持つな。それはなるほど電力関係においてやればそういうところも出てくるかもわからぬ。しかし、この間の闘争関係においてそういうふうな火災に発展をするとか、あるいは局舎の数億円の機械が全部発火してしまってだめであるというような形になるような闘争方法はとってないはず。だから今そういう点について、ただ保安要員を全部引き揚げるということによって、頭から非常に危険性があるというふうなPR、考え方大臣が持っておられるので、そうでない、現実にそれぞれの問題を検討した場合にはそれほどのことはないだろう、こういうことを言っておるわけです。われわれも国会議員として見ておった場合、もしもそういう重大なことに発展をするというおそれがあるならば、われわれだって捨てておきはしない。その点はやはりわれわれとしても責任ある質問をしておるわけでありますから、副総裁がそんなことを横から答弁をしなくてもいいわけです。要らぬことを言わぬでもいいけれども、大体そういう点でございますから大臣も了解してもらいたいと思うわけであります。
  51. 山手滿男

  52. 井手以誠

    井手委員 私は本日、電電公社のこの間行なわれた処分不当処分というよりも誤った処分が非常に多かったという事例をここにたくさん持って参っております。また森本君もこういう事例に基づいて今まで質問をいたしたわけであります。そこで私まず大臣にお伺いをいたしますが、この処分をめぐって先般わが党の国会対策委員長から大平官房長官に申し出があり、そこに再調査しようという約束ができ上がり、そうして官房長官から大臣お話があっておるはずです。その点は先般の委員会においても大臣は認められておるはずです。私は、政治においても、業務の遂行においても、池田総理が言われるように話し合いが大事である、約束は守ることが何よりも大事でなくてはならぬと私は考えておる。ところが今までの公社側の答弁によりますと、申し出があれば調査してみよう、検討してみようということでありますけれども、私どもは幾多の事例があればこそ、あえて特にそういう相談をいたしておるわけでありますから、なるほど当局の立場もありましょう。ありましょうけれども、これほどの約束があるならば、間違いはなかったと思うけれども、あなたがおっしゃったように神ならぬ身であるから、それではもう一ぺん調査をしてみよう、そういう心がけがあってもいいと思う。もし再調査がいけないというのならば、困るというのならば、精査ということはできるでありましょう。そういうふうに一つ考えられて、この間行なわれた処分に対して重ねて調査をしてみるというお考えがおありになるかどうか、そういうふうに公社側をさせようという大臣の御意思がおありになるかどうか、この点をお伺いいたします。
  53. 小金義照

    ○小金国務大臣 この処分の問題はしごく重要なものでありまして、処分をするまでに精査した、こういう報告でございましたが、しかし何分にも末端の一人々々までには及んでない部分もあったと思います。そういうようなことで本人からの申し出があればもちろんのこと、客観的にまた皆さん方から資料をいただきましたならば・その点については、進んで精査をさらにいたしますように電電公社によく私からも話すつもりでございます。
  54. 井手以誠

    井手委員 副総裁、お聞きになったと思いますが、幾多の事例がございます。また人間にはあやまちもありましょう。私は本日は、今回の処分、先回の処分について論争しようとは考えておりません。私はあらためてその機会を得たいと思っております。本日は誤った処分の数点についてあとでお伺いをいたしますが、多くの事例を持っておるこの問題について、私どもは誤った処分の事例を持っておることについて、公社側は今大臣お話しのようにそういう話し合いがあり、大臣の所見も、それから約束もあることでございますから……。さらにもう一点、私はここで申し上げておきたいことは、末端に参りますと管理者側がなかなかいないのであります。私は処分がありましてから間もなく各地に参りまして、郷里にも帰りましたが、局長、課長の居どころが一週間も十日もわからないのであります。申し出ようにも申し出る方法がないのです。一体だれに申し出ますか。通信部長も局長も課長も、家族に聞いても居どころがわかりません。おそらく旅館を転々としておるでありましょう。そのことは堂々と、お前はこういう違法なことをしたから処分をされたんだという説明ができないから、そういう立場になっておる。そういうこともございますので、公社側は森本君が言われたように謙虚に——全部誤ったとは私は申し上げません。間違いもあるでありましょうから、この際重ねて精査してみようという御意思が副総裁におありになるかどうか。この点、慎重にお考えの上お答えを願います。
  55. 横田信夫

    横田説明員 ただいま大臣からお話がありましたように、本人からの具体的な申し出、そのほかそういう具体的な問題がありますならば、あるいは先生方のお申し出、そういうものによって具体的に調査していきたい、こう思っております。
  56. 井手以誠

    井手委員 私どもなりあるいは処分を受けた者からの申し出を待ってということでなくして、あなたの方から正式に、誤りがあるようだから再調査する、そういう通牒を出せと私は申し上げておりません。私も役所なり公社の機構というものは承知しておるつもりです。だから言葉も限って私は申し上げたのです。申し出がなくとも——今、森本君が一つ申し上げました、新婚旅行中にどうですか。これは名前を申し上げましょう。これは関東の館山局です。本人は三月十四日結婚式、三月十五、六日は結婚休暇などを利用し、新婚旅行——これははっきりしておりますよ。業務に精励しておるあなたの方の職員がめでたくも結婚して新婚旅行しておる。それを何ですか。名前は浜居喜昭君です。新婚旅行して減給十分の一。四カ月間。まだたくさんありますよ。ここに一ぱいあります。そういう事実があるから、おれの方は誤りがあるから再調査するということは言えないでありましょう。しかしながら、こういう問題になっておるから、約束になっておるからという立場で、再調査の意味を含んだ精査をなさることは私は当然であると思う。処分というものは軽々にすべきものではございません。本人にとっては一生に関する問題です。堂々三十年間業務に精励してきた。そして誤った処分を受けたことの結果はどうなるのです。もしそういうことが指摘されるならば、誤りはなかったかという意味で進んで調査を命ぜられることは、私は一向公社の権威に関するものではないと考える。重ねて副総裁の所信を承りたい。
  57. 横田信夫

    横田説明員 ただいまの具体的にお話がありました問題につきましてはさっそく調査をいたします。なお、そのほかそういう具体的な問題で本人申し出のほかにわれわれの気のつく問題がありますれば調査いたします。ただ申し上げておきたいのは、われわれといたしまして無届欠勤は当日職場大会参加したものとみなしております。無届欠勤につきましてはやはりわれわれのところに、無届では困るので、承認を得てやっていただかなければ困る。そういうものでありますので、無届欠勤自体について一々こちらから聞いて回るという問題でなくて、やはり当人からのお申し出を待って再審査していくものであろうと思います。しかしそのほかただいま先生の御指摘のあったような具体的な問題についてはさっそく調査いたします。
  58. 井手以誠

    井手委員 有給休暇の問題などについてはさらにお伺いをいたします。  大臣、私は主として本日は公社処分についてお伺いをしておりますが、決して郵政省の処分が正当であったとは私は考えておりません。たとえば佐賀県の武雄局の野村君は他県へ出張をしておったら、その者が地元の職場大会を指揮したということで処分を受けておる。これはあとで申し上げます。幾多の事例がありますよ。どうも公社の副総裁はこだわっておられる。何もこだわる必要はないじゃないですか。神ならぬ身の間違ったことはあるでしょう。こだわっていつまでもこういう紛争が続けられるということは好ましいものではございません。公社側全体の業務を推進する上においてはこれは決してプラスではございません。誤ったものは取り消す、間違ったものは厳正に処分をする、そういう行き方こそほんとうのあなたの方の建前ではないですか。申し出がなくてはしないとか、そういうことは現実に、私が先刻申し上げたように管理者がいない。一体管理者は一週間も十日もいないのに、そういう場合に届けを出しておりますか。だから私は事をあまりこんがらかして申し上げて複雑にしたくはないと思っております。私があらためてここで申し上げたいのは、そういう幾多の事例がありますので、かわいい自分の部下に厳正にやるべき処分があやまちはなかったかという謙虚な気持で、再調査を含めた精査を行なうということができないはずはないと思う。何もあなたの方の副総裁の権威に関する問題ではございません。悪例を残すものではございません。そうしたからといって何もある方面から文句が出てくるはずはない。誤ったものをそのまま強行しようとするところに紛糾の発展があると思う。どうですか。
  59. 横田信夫

    横田説明員 ただいまお話のありましたように、具体的な問題についてはすぐ調査いたします。それから先ほども申しましたように、職場大会のあった日について、無届欠勤した者については参加したものとみなしておりますので、無届の場合はやはり当人からの申し出を待つよりほかないと考えております。
  60. 井手以誠

    井手委員 誤った処分に対するあなたの方の態度に対しては、今後の再調査ということもこの場で言いにくい気持はわかります。しかし私はこの際あくまでも、今後電電公社の業績を引き上げる、向上させていくという大きな立場から、労使協力してやるという立場から、十分考慮の上に再調査を含んだ精査を行なわれることをこの機会に強く要求しておきます。  続いてお聞きしておきますが、ただいま副総裁は、当日無断欠勤した者は職場大会参加したものとみなすと、こうおっしゃった。無断欠勤にもいろいろある。でありましょう。無断ではすべきものではございません。しかし病気をしてそのいとまがない場合もあるでありましょう。急用ができてその手続ができない場合もあるでありましょう。そういう場合にすべて職場大会参加したものとみなすことができるかどうか。あなたの方の職員というのは、公社法に書いてある通り、業務の向上に精励しておる者です。かわいいあなたの部下ですよ。それがみんな職場大会に行ったとみなすことができますか。人を見ればどろぼうと思えという言葉がある。そういうことをあなたは考えておられますか。本人の将来にとってきわめて重要な影響を持つところの処分に対して、休んだから全部職場大会参加したなどとそういうことを軽々に言えますか。慎重の上にも慎重に調査をして、あえて馬謖を切る気持処分しなければならぬと私は思う。どうしてもやむを得ないものはやむを得ないでしょう。それを全部職場大会参加したものとみんなして、軽々に処分ができますか。これは大臣にお伺いしましょう。これは公社ばかりじゃない。ほかの問題もあります。そういう人を無断欠勤したからあれはどろぼうだ、あれは職場大会参加したのだと、調べもせぬで欠勤した者は一列に戒告なり、そういう懲戒の処分ができますか。そういう行政でいいですか。
  61. 横田信夫

    横田説明員 ただいまの問題につきまして無届無断欠勤いたしました者について、本人から、これはこういう理由で無断欠勤したのだという問題の提起がありますれば、われわれの方はその事情調査をいたしますということを申し上げておるのであります。何分本人はやはり仕事についてもらうのが至当であります。それを断わりなしに休んだという場合に、しかもその当日そういう職場大会の行なわれておるという場合には、われわれとしてはその本人を一々追っかけ回すわけにもいかないのでありまして、やはりその問題は本人釈明なり申し出を待ってわれわれの方が調査するということが至当かと存じております。
  62. 井手以誠

    井手委員 当日職場大会があったからおそらく参加したであろう、そういう先入感で処分したということであります。過去の処分というものは、いろいろ調査をした結果において——不当であるとかあるいはどうであるかという問題は起こりましたけれども、今日までの処分というものはずいぶん調査をした上、誤りがないように努力したことは、私は認めております。結果において不当なものもたくさんありました。しかし今回は、やった、さあ処分、何をそう急いで処分しなければならないのか、一ぺんやってしまって、処分してしまって、間違ったものは訂正しようなどという処分のやり方が世の中にありますか。どうですか、副総裁。間違いもあるでしょう。無断欠勤の中にはあとで聞けばなるほどと思う場合もあるでありましょう。そういったものを申し出があってから間違っておれば訂正するということでいいのですか。そんなに簡単に処分していいのですか。
  63. 横田信夫

    横田説明員 無断欠勤の問題につきましては、当然事前に承認を受けるべきものでありますし、またたまたま何かの事故がありまして、無断欠勤をいたした場合は、処分の問題を離れても、すぐ当人から、これはこういう理由だという届け出なり、そういう釈明があってしかるべきではないか、それがむしろ社会常識ではないかと私は考えております。
  64. 井手以誠

    井手委員 もちろんあとでは出勤をしております。出勤して事情を話そう、相談しようと思っても管理者がいなかった。そのときにすでに処分が行なわれているのですよ。そう急いで処分をしなくてはいかぬ、不当処分の者は誤った処分本人申し出るだろう、そういうことにしていいのだろうか。私はこの問題については、時間の関係で理事会の申し合わせもあるようですから、あらためて論及したいと思っておりますので、本日はその問題についてはこの程度で終わります。  次に、管理者に有給休暇申し出を行なう、そうして、よかろうというので承認の判をもらったその者が非常に多く処分を受けている。これは何の根拠でございますか。
  65. 本多元吉

    本多説明員 私どもお話しのような事例につきまして直接知っておりませんが、ただ有給休暇にいたしましても、承認を与える場合に、全体の業務を考えまして承認を与えるわけでございまして、たとえば職場大会がある、そういうような事情の際には、少し前に年次休暇等の承認を与えた者についても出てもらいたいと言うこともあり得るわけであります。
  66. 井手以誠

    井手委員 私がお尋ねしておりますのは、何時間前であるか一日前であるか、私は全部は承知しておりません、少なくとも当然の権利として有給休暇届け出て、そうして承認を得た者、判を押してある者、それが処分を受けているということはどういう意味でございますか、どういう法的根拠によって、どういう通達に違反したから処分をなすったのですかということです。
  67. 本多元吉

    本多説明員 これは単にその日は有給休暇であるということだけでよろしいというわけではないのでありまして、たとえば年次休暇をもらっておりましても、ピケ参加しているというようなことがございますれば、私どもはこういう者については今回の不法行為に対する責任はとっていただくことにしております。
  68. 井手以誠

    井手委員 承認を得た者、上司の管理者承認を得て休んでいる者が処分を受けたというその処分の根拠は、法的根拠はどこですかと承っているのです。
  69. 本多元吉

    本多説明員 ただ休んでいると申しましても、ピケを張っているというようなことによって正常な業務を遂行するために職員が入ってくるのを阻害するというようなことになりますれば、これは私どもの就業規則上から見ましても、ゆゆしき問題である、かように考えております。
  70. 井手以誠

    井手委員 あなたは勝手にゆゆしき問題だと解釈されておりますけれども、私がお伺いしているのは、その職場に精励している者が当然の権利として有給休暇届け出てその承認を得たのに処分されている。ピケ参加したとか、職場大会参加したとかいうこととは別ですよ。あるいは休養のために自分の家におった者もあるかもしれません。あるいは魚釣に行っていた者もあるかもしれません。その休暇をとる正式な手続を経て休暇をとっている者が処分を受ける、その処分の法的根拠は何ですかと伺っているのです。だからあなたの方は、ピケの場合はこういう理由でこうだ、職場大会の場合はこうだ、自宅で休養した場合はこういう理由で処分したと、はっきりその根拠を示して下さい。
  71. 本多元吉

    本多説明員 お答え申し上げます。年次休暇をとって自宅であるいは静養しているというふうな事実がございますれば、これは私どもの方は考慮いたします。
  72. 井手以誠

    井手委員 考慮とは何ですか。
  73. 本多元吉

    本多説明員 そういう事実がございますれば、先ほどからお話がございましたように、考えまするが、しかし私どもは、年次休暇で休んでいる者を、ただそれだけで処分をいたしているつもりはございません。あるいはそれがピケ参加しているというような事実をとらえて、私どもの方は処分をいたしておるのであります。
  74. 井手以誠

    井手委員 有給休暇をもらった中で職場大会参加したために処分しなくてはならぬ根拠は何でございますか。具体的にお聞きしましょう。ピケ参加したために処分しなくてはならない根拠はどこにございますか。電電公社の服務規程、あるいは労働基準法の規定、あるいは労働省の通達、その根拠を示して下さい。
  75. 本多元吉

    本多説明員 就業規則から見ましても、正常な業務を遂行するために職員が職場に入るというような場合にピケを張っておるというようなことは、やはりそういう正常な業務の遂行を阻害するというふうに考えられます。就業規則の上から見ましても、これは違反になると私ども考えております。
  76. 井手以誠

  77. 本多元吉

    本多説明員 職場大会の問題につきましては、私ども……。
  78. 井手以誠

    井手委員 話し合って返事しなさい。急がぬから。
  79. 本多元吉

    本多説明員 お答えいたします。その職場大会管理者の、所属長の許可を受けた職場大会でございません。たとい年次休暇を付与されているものといたしましても、そういう認めておらない職場大会参加した者については、私どもはそう簡単に考えるわけにいかぬと思います。
  80. 井手以誠

    井手委員 職場大会参加するということはいけないというわけですか。職場大会だからいけないのですか。労働組合の集会はいけないのですか。いつやってもいけないのですか。
  81. 本多元吉

    本多説明員 職場大会は、これを開く場合に所属長の許可を受けて——所属長の認めない職場大会を開くというようなことにつきましては、しかも時間内で職場大会をやっておるということにつきまして、これに参加するということについては、私ども、たとい年次休暇をとっておりましても、適当な行動ではない、かように考えております。
  82. 井手以誠

    井手委員 勤務中ではございませんよ。上司の承認を得て休暇をとっておる者が職場大会参加した場合、その処分の根拠はどこにあるか。公社は、昭和二十七年七月二十五日に労働省の基準局から出された通達第三八二一号を御存じですか。
  83. 本多元吉

    本多説明員 ただいまお話があった通達については、ただいま私ここに資料を持っておりません。存じておりません。
  84. 井手以誠

    井手委員 その通達によりますと、「既に年次有給休暇を与えることを使用者が承認した後においても、労働者がその日に行われた争議に参加した場合には、使用者はその日を年次有給休暇として取扱わなくても違法ではない。」これはカットをしてもいいし、しなくてもいい、それ以上の処分はしてならぬと書いてある。これが一番そういう場合に該当する的確な根拠ですよ。これ以外にありませんよ。あとは全部労働者の権利が確保されておる。ただ賃金カットをするかどうかは、話し合いによるでしょう。それが全部違法だとは労働省の通達はなってない。しかしそれは、懲戒処分の服務規律に違反したものではございませんよ、有給休暇の場合は。もしあなたの方で、研究がこの席に間に合わなければあとでもよろしゅうございますよ。
  85. 本多元吉

    本多説明員 ただいまの労働省の通達との関連の研究につきましては、私ここで申し上げることもちょっとできませんので、研究してあとお答え申し上げたいと思います。
  86. 井手以誠

    井手委員 私は最初に申し上げましたように、この問題は本日で終わろうとは考えておりません。なお同僚議員も多数控えておりますし、きょうの日程もおありのようであります、きょうの日程については協力いたしたいと思いますので、私はこの問題についてはこれ以上多くは申し上げません。ただ、もう一。へん繰り返して申し上げますが、そういう誤った事例が、最近調査しただけでもこれだけあるのです。三百人、四百人ではございませんよ。これはどうかなという、不当かどうかという問題は別にして、この事例は誤った処分ですよ。大臣も今までの質疑応答をお聞きになったであろうと思う。先般の処分が、三月三十一日の統一行動に備えて予防的な、きわめて政治的な処分が、調査もせぬで緊急に行なわれたということ。この処分の問題については、あらためて当局にお尋ねをしたいと考えておりますが、本日はこの程度でとどめておきます。しかし多くのこの誤った処分、私は先刻武雄局の野村君の話をちょっと申し上げました。他県に出張中、職場大会を指導したという理由で処分を受けておる。そういうのがたくさんある。だから私は森本君が言ったように、これは進んで再調査をなさる必要はないかと私どもから申し上げておるのであります。これらの点について、最後に郵政大臣の所見を承っておきたい。
  87. 小金義照

    ○小金国務大臣 具体的にその勤務場所なり、人なりがわかりますれば、これはぜひ再精査をいたして善処したいと考えております。
  88. 山手滿男

  89. 島本虎三

    島本委員 まず、ただいまの井手委員質問の最後にございました、今回の処分は予防処分の傾向が明確じゃないかということに対しまして、大臣の見解を先に伺ってから、処分の具体的な問題についてお伺いいたしたいと思います。  今回の処分は多分に根拠が明確ではないままに、時期を急いで出した、まことに不確定的な認定を含むところの予防処分の傾向が明確じゃないかと思いますが、そういうような傾向は全然ございませんですか、お伺いします。
  90. 小金義照

    ○小金国務大臣 予防的な意味はございません。私はもうすでに、三月終わりの職場大会の全国的なものをやるという問題が決定する前に、二月あるいはそれ以前だったかと思いますが、少なくとも二月の初めに警告を出しまして、郵便あるいはその他国民へのサービスの仕事において遅配あるいはその他の停滞が起こることをおそれまして、郵便のごときはすでに慢性遅配といわれておった事態がありましたので、組合の活動も大事でありますけれども、公務員または公社職員としての勤務内容が満たされることが大事であるから、少なくとも給与その他の点についてはわれわれは最善の努力をする、それにはやはり国民に対するサービスに万全を期してもらいたい、設備が悪い、環境が悪いということを言われますけれども、それは一。へんには直りませんので、悪循環を来たさないようにお互いに忍耐と努力をもって努めるようにという警告を出しております。従ってその警告に基づいて、法律上の違反あるいは命令の違反が生じたならばその通り処分する。別段厳罰だとか、あるいは断固として処分するというようなことは、私は一つも申しておりません。これはすでに私ども本年の初めから警告をいたしました、その通りの処置をしたのでありまして、予防的だとかあるいは政治的な意味を持った処分ではございません。
  91. 島本虎三

    島本委員 まずこの処分のあったその日に、われわれとしては総裁責任者の職員局長に、誤認がある場合にはどうするのであるか、これをいかなる方法で改めるのか、改めないのか、こういうような質問をしましたところが、総裁としては、はっきり自分らのやった行為に間違いがあるならば改めるにやぶさかではない、こういうようなことを、三月二十三日午後四時と記憶しておりますが、ただいまの局長もはっきりこれを伺っておったと思います。この問題については相当の時日も経過しておりますが、調査をし、これらの問題についてあらためて事実誤認のはっきりした問題が発見されたかどうか、どのような努力をしたか、これを伺います。
  92. 本多元吉

    本多説明員 ただいまお話がございましたように、森本先生等おいでになりましてお話がございまして、総裁からも、事実において間違いがございますればこれについては改めるということを申し上げました。私どもこの処分の当、不当の問題は、不当処分である、公社側としては正当な処分であるというふうに、いろいろ組合側とも交渉したわけでありますが、これを正当な処分であるという上に立って、いろいろ先ほどからお話がございましたように、職場大会参加したというふうに私ども考えましても、急病で当日は休んだというようなことで、医者の証明をもってお話があるということについては、そういう事実の間違いにつきましては、私ども改めるにやぶさかでないという気持で現在まで進んでおりまするが、先ほどからお話し申し上げましたように、私どももこれについては、いろいろお話もございましたが、通信局といたしましては十分地方の事情を検討いたしましてこの処分を行なったものでございますので、そういう事実の誤認についてのお話というものは、今まで具体的にいろいろ申し出もございませんので、私どもそういうものについて今までは調査をいたしておりません。
  93. 島本虎三

    島本委員 その際に、この調査は、間違いがあるならば、いつでもこれを改めるにやぶさかじゃございません、この問題については、総裁と一緒に積極的に対処する、こういうように最後におっしゃっておりますが、その積極的にということは、どういう意味で言ったのであるか。これは対処していないようでございますけれども、積極的ということは全然意味はないのですか。
  94. 本多元吉

    本多説明員 はなはだこれは申しわけないことだと思いますが、そういう積極的というような言葉に特に重点を置いてお話があったようには私は記憶いたしておりません。ただ先ほども申しましたように、事実の認定において間違いがありますれば、これについては調査して改めるにやぶさかでないということを総裁はおっしゃっているのでありまして、再調査を全般的にして、事実の認定をもう一ぺんやり直すというような意味においておっしゃったというふうに私は聞いておりません。
  95. 島本虎三

    島本委員 今まで指摘されたような事実等によりましても、この事実誤認に基づく処分がまことに多いということを認められると思うのです。しかしそれが全然まだないということであるならば、あえて私ども調査した一つの例を申し上げなければならないと思う。先ほど新婚旅行中に処分された人の例が明確に出されましたが、今回の場合に私ども調査してわかったこの中には、母親が死亡して三月八日から忌引休暇をもらって喪に服しておった人が、出ていったならば処分されておった、こういうような例が具体的に長岡の報話局にありますが、おそらくは、こういうような忌引休暇、これによって喪に服していた者が、昭和三十六年三月十五日から十六日までの間において、「時間内職場大会および長岡電報電話局における職員出勤等の阻止を指導、実践する等、公社業務に支障を生ぜしめた。」という理由によって処分されているのです。喪に服して自宅におったというこの人に対して、こういうような事実が全然ないのですが、こういうようなことに対して具体的に調査して出したのですか、不確実なんですか。
  96. 本多元吉

    本多説明員 ただいまのお話の件につきまして、具体的に私どもは聞いておりませんが、この処分をする際におきましては、十分検討いたしましてやったと思います。ただ、忌引におきましても、忌引だけでそれが処分から除外されるという意味ではないと思うのであります。あるいはそういうこともあり得ると思うのでありまするが、たとえば忌引におきましても、ピケ参加したというようなことがございますれば、先ほどから申し上げまするように、私ども、やはりこれは違法な行為に参加したというふうに考えているわけでございます。もし、今お話のように、正式に所属長の許可を受けて忌引を得ておりまして、そして、そういうものに参加した事実がないという客観的証拠がございますれば、私どもとしては、これについて検討するにやぶさかでございません。
  97. 島本虎三

    島本委員 検討するにやぶさかでないのは当然なんです。今さらそういうような答弁をなすったところでまことにおかしい。仮定の事実に対しては答弁できないというのが、今、前に森本委員質問したのに対しての副総裁の答弁だった。だから、具体的に今言ったようなものを出しても、処分の御本尊である皆さんの方が、具体的であるかどうかということを知っておらないかのような答弁ですが、そうすると、今副総裁が、具体的な事実でないと答弁できないと言ったのに、皆さんの方の処分だけは、こういうような具体的な問題でない者に対しても一括処分をしたという事実になるのじゃないかと思うのです。これはどうなんです。
  98. 本多元吉

    本多説明員 私ども、個々の具体的な問題につきましては、これは通信局におきまして処分をする前に十分検討いたしましてやったものでございますので、本社といたしまして、一つ一つの例について、あるいは今お話があったようなものについて聞いていない点一もあろうかと思います。しかし、先ほどからお話がございましたように、そういう具体的な事例について、いろいろお話がございましたものでございますので、それは私どもの方といたしまして調査いたします、かようにお答え申し上げるわけでございます。
  99. 島本虎三

    島本委員 ただいま私が申し上げましたのは、長岡電報電話局においての吉田秀生という人の一つの例なんです。そうすると、今の答弁によりますと、これは各地の通信局の方でやったのであるから、皆さんの方では、事実をすべて具体的に確認しているものではないのだ、こういうようなことにとれますが、そういうふうにとってもよろしいのですか。
  100. 本多元吉

    本多説明員 私ども今回の処分につきまして、それは通信局長が発令権者として発令いたしたものでございますが、もちろんこれは、その行為のあった局所等の全体的な関連につきましては、本社で十分通信局と打ち合わせて実行いたします。ただ、一人々々の行動につきまして、あるいは職場大会あるいはピケ等につきまして、私ども本社が直接判断したというようなことについては、これは私どもの方においては通信局の判断を基礎にして考えておりますので、そういう点につきましては、一つ一つの事実を本社が受ける、かようなわけではございません。
  101. 島本虎三

    島本委員 そういたしますと、事実間違いがあったならばこれを正すのにやぶさかではない、これはその通り確認してもよいわけですね。そういたしますと、間違いが多いと思われるこういうような処分、ことに具体的な例もたくさんあるこういうような処分について、ではどういうような方法でこの間違いを正したらよいのか。この具体的な方法はどういう方法ですか。
  102. 本多元吉

    本多説明員 私ども先ほどからお話がありましたような事実について、それが無根であるということがございますれば、やはり御本人の方がいろいろお話しになる、そういう方法を主としてとって参りたい、それを根拠にして調査して参りたい、かように考えております。これをあるいは団体交渉で行なうとか、そういうようなことは私どもの方においては考えておりません。
  103. 島本虎三

    島本委員 いわゆる不当処分に対する苦情は当然出てくるわけです。その苦情に対しては苦情処理機関というものもあって、正当にこれを取り上げる方法もあろうかと思うのです。こういうような方法によってでもこれを取り上げるのではなくて、どういうような方法で取り上げようとするのか。一つ一つあがってきたならばどういう機関で取り上げるのですか。苦情処理機関で取り上げますか。
  104. 本多元吉

    本多説明員 今回の処分の問題につきましては、この処分が不当であるとかあるいは正当であるとか、そういう当否の問題について労働組合との間に根本的に意見が対立しております。苦情処理の問題につきましては、これは個々の処分につきまして取り上げる機関でございますが、こういう状態のもとにおきまして、しかも本社、本部の間におきましては、団体交渉の席上におきまして、不当処分撤回、あるいは公社側からいたしましても、違法行為に対して私ども処分を行なったのであるというような点から根本的に意見が対立しているわけであります。こういう際でございますし、その当否の問題が団体交渉の席上において論議されておりますので、私どもこれは苦情処理において取り上げることは適当とは考えておりません。いろいろ本人等のお申し出もあって、しかもこれは任命権者として通信局長が処分を行なっておりますので、通信局あるいは本社にお話がございまして、通信局においてその権限において調査いたしまして、それで事実間違いがございますれば改める、かような方法でやりたいと考えております。
  105. 島本虎三

    島本委員 いろいろな例をあげましたが、具体的にどういうような方法によって取り上げるのかということがどうもまだ了解ができないのです。そうすると、例があがってきたならばそれを取り上げて善処するということなんですか。組合としては、こういう不当処分が組合に対して集中的に行なわれた事実もはっきりしておりますから、交渉その他はっきりした機関によってこれを行なおうとする考えもあるようですが、どういうような方法でやるのか。皆さんの手元だけでこれをいかように料理しようとするのか、これはどうなんです。はっきり言ってみて下さい。私どうもよく理解できないのです。
  106. 本多元吉

    本多説明員 ただいまお話がございましたように、組合としては不当処分として取り扱っている、こういう状態のもとにおきまして、私どもいろいろ組合と処分の問題について事実がどうだとかなんとかいうようなことを取り扱おうとは考えておりません。やはり事実無根であるかどうかというような問題につきましては御本人が一番御承知であると思いますので、そういう点を平穏裏にお話を持っておいでになるということにおきまして、私どもこれに対して善処いたしたい、かように考えております。
  107. 島本虎三

    島本委員 今回のとの処分の場合に管理者側、いわゆる公社側というような面に対して、井手委員または森本委員からもいろいろ御指摘があったようです。こういうようないろいろな行為について全然処分に該当するものはなかったのですか、少しはあったのですか。公社側の方ではこういうようなことに対しては平常通りで、全然関知するようなものもございませんでしたかどうか、これは率直に報告願います。
  108. 本多元吉

    本多説明員 先ほどからお話がございましたように、あるいは管理者が出局しておらなかったというようなお話も私ども聞きました。私もいろいろ事情を聞いてみますと、とにかくやはり三月十六日のああいうふうな事態でございましたので、相当高齢な管理者も、その前日あるいは前々日からいろいろ交渉その他徹夜で措置するとかいうふうな事情もございました。そういうふうな関係で、あるいは血圧が高いとか、日ごろ健康でないというような者が、その後休んでおるというような状態であるということを私ども聞いております。またその後局所によりますと、いわゆる処分撤回闘争というような集団的な圧力もございまして、相当激しく、あるいは管理者の自宅まで参っておるようなところもあるような状況でございます。こういうような状況におきまして、管理者側もいろいろ考えて今後のために対処するということは、もちろんあり得るだろうと思うのでございまして、今お話がございましたように一がいには申せませんが、私どもそういうような事情を十分考慮して取り扱わなければならない問題である、かように考えております。
  109. 島本虎三

    島本委員 一週間も行方不明だったという管理者がおったということははっきりしています。おそらく、私をして言わしめるならば、管理者は職場放棄をしているのじゃないか。皆さん自身は、その点に対しては当然な行為であって、何ら処分に該当しないというお考えのようです。こういうようなことははなはだしい片手落ちである。これはどこへ提訴していったらいいのです。どこへ持っていって受け付けてもらったらいいのです。本人はいないでしょう。こういうことをしておいて、皆さんの方であがってきたら受け付けましょう、どういうことはあまりにも事実認識が足りない。こういう管理者に対するはっきりした皆さんの態度が必要だと思うのですが、こういうような事実がわかっても皆さんはこれを処分し、こういうようなものに対処する何ものもないというふうに考えますか、これは簡単にお答え願います。
  110. 横田信夫

    横田説明員 私も事実は具体的なことがわからないので、お答えが的はずれになるかもしれませんが、一週間行方不明だったというのは、その行方不明がだれに対して行方不明であったかという問題もありまして、あるいは組合の方の集団交渉その他の関係で避けておるという場合も間々あるかと思いますが、今のような問題については具体的な問題でないと判断しかねますが、しかし行方不明というけれども、実は通信局の方にはわかっておったというようなこともあるのではないかと思います。その辺もありますので、これもやはり具体的にその事情を調査しないとわかりかねるのではないかと思っております。
  111. 島本虎三

    島本委員 今回のこの処分を出される前提となったいわゆる管理者側の行為、これは今のように組合員を避けるために意識的に計画的に行なった行為もあったようです。しかし皆さん自身の計画か、無知か知りませんけれども、あえて大衆市民を相手にして公社法に違反し、規則に違反するようなことを平然と行なっておった事実もあるわけです。これは時間の関係でこの事実をあらためて指摘する前に私の方から申し上げておいた方がいいと思いますから、その事実についてお伺いする。それは十六日の早朝からもうすでに——これは写真にもとってありますから、あとで見て下さい。全面的に公社側から出た保安要員に該当するような人が配置されておった事実は、当の局長、通信部の関係者、それらによって明確である。それにもかかわらず公社側が——具体的に申し上げます。弾器板の中に絶縁体をはさんで、それによって特に加入者側に全然通告もなしに通話を停止してしまった、こういうような事実があり、なお全部を停止したならばこれは万やむを得ない、こういうように思われることかとも思いますが、そのうち若干のものだけを残しておったという、こういうような事実もはっきりしておるのです。この長岡の報話局に対してとったこの措置は全然違法性がないのか、皆さんの手によってなされた合法的なものであるのかどうか、これに対して責任者ははっきりした答弁をしていただきます。
  112. 横田信夫

    横田説明員 ただいま御指摘のありました実情につきましては、事情を調査して、またその理由その他を御報告申し上げます。
  113. 島本虎三

    島本委員 事情を調査してと言ってもこれは現に事情調査済みじゃないですか。事情調査しなければわからない問題ですか。三月十四日から実施することにして、昭和三十六年三月十七日金曜日第一六五八号付の日本電信電話公社報によって、この措置を日本電信電話公社総裁大橋八郎の名において全部明確に指示してございますが、副総裁はこれは調査しなければわからないのですか。すでにこれを出してある事実はどうなんです。
  114. 横田信夫

    横田説明員 今の先生のお話は弾器板に絶縁体を入れた事実があるが、これはどうだ、こういう御質問だと思ったので、その事実については調査の上お答えすると申し上げたのですが、今のお話はたとえばそういう行為の目的が重要加入者の通信を確保するというようなことのために行なわれるとか、あるいは場合によって線の過熱を防ぐために行なわれるとか、いろいろな場合があるので、その行為自身を一つ取り出されて言われたものですから、事情を調査すると申し上げたのです。
  115. 島本虎三

    島本委員 これは事情を調査しなければわからない問題ではない。おそらく皆さんの方で十分知っておられる問題なんです。これを公社側の認識によって行なったとすると、あまりにもこれは不見識であるというように理解される要素が多分にある。おそらく今言ったように緊急の度合いや重要さの度合いによってこれを行なったとすると、これは一回に全部を断線にし、無許可でこれをやる理由はないのです。これをやったという事実はもう十六日のことによって明確なんです。それを今まで知らないというわけは全然ないと思う。この問題に対して副総裁、あなたは全然知りませんか。今の時点においてまだ知りませんか。
  116. 横田信夫

    横田説明員 こういう非常事態になった場合に、保安要員等で補助要員もないという場合に、どうしても全体の加入者が確保できない場合は、重要加入者をまず確保していくというような具体的な措置をとるということは必要であろうというので、そういう方針的な問題については私はよく承知しております。しかしこの長岡の報話局でどのところをどうしたかということを具体的には承知しておりません。
  117. 島本虎三

    島本委員 この場合は重要加入者の点を確保するというような指導は完全にしてある、そういうように理解して差しつかえございませんね。
  118. 横田信夫

    横田説明員 方針的にはさようであります。
  119. 島本虎三

    島本委員 こういうような場合においては、重要な加入者という人の範囲は規則その他によって明確にしてございますかどうか、これを伺います。
  120. 横田信夫

    横田説明員 重要加入者認定については、通信局長あるいは現場の局長に具体的に行なわせるということに相なろうかと思います。
  121. 島本虎三

    島本委員 この問題につきましては、おそらくは総裁以下副総裁を含めて全部知っておられる事実なんです。もうすでに公社法によってもこれに対する一つの予防措置だけはさかのぼってしてある事実がはっきりしているのです。証拠書類はここにあります。全部読んでもけっこうです。時間はおそらく相当かかるでしょう。私は委員長がやってもいいというならばこのまま続けますが、われわれの方の理事からもう約束した時間もきているからこの問題については次に譲ってやったらどうかということがありましたので一この問題はまことに重要な問題です。これは管理者側の措置に対しての不統制はそのままにしておいても組合の方だけは厳重に処分する一つの例として許せない事実である。事実も証拠もそろっております。私はこれをこのままやっていいかどうか、委員長に一応伺ってから措置をしたいと思いますが、次にこの問題についてやることにしてよろしゅうございますか。
  122. 山手滿男

    山手委員長 どうぞ次会に。
  123. 島本虎三

    島本委員 この問題はきわめて重要でございますから、次会に資料をあげて私は徹底的にこの問題について公社の皆さんと討論を申し上げたいと思いますので、資料も準備しておいて、この場所では知らないというようなことのないようにしておいていただくことを要請いたしまして、次会に保留して今回の質問を終わります。
  124. 山手滿男

  125. 松井政吉

    松井(政)委員 私は答弁は要りません。郵政大臣並びに公社側に対して、私たちが今後本問題についていろいろ本委員会を通じて審査をしなければならない問題でございますので、その問題について警告を発し、さらに準備すべきものは準備をしておいていただきたいということを申し上げます。  本日の私の方の同僚委員諸君の質問は、今度の処分に対する公労法及び労働基準法並びに団体協約の法的根拠、裁定をめぐる論争等が不当か不当でないかという議論は一つもしておりません。誤れる処分をしたのは一体どういうわけなのかということに考え方を集中をして質問をしているのです。ところが不当処分不当処分でないかということについては、郵政省においても公社側においても——労働組合側と公社側との間においてはおそらく水かけ論争になり、法的解釈もあろうかと思いますが、誤れる処分というものについては異議のないものであります。処分というものは簡単なものじゃございません。解職者は生存権を奪われたと一緒でございます。停職者もやはり停職期間はそうであります。そうなって参りますならば、誤れる処分の仕方をされるようなことのないように、全国個々のケースに向かって十分な調査の結果、処分をなすべきであります。処分をしてから申し入れがあれば個々のケースについては調査しますが、われわれは調査する必要はないという態度が今後公社の計画業務運用について大きな支障となることを私は憂えるのであります。  もう一つ、再三質問がありましたが、二十五日に処分の発表があり、二十六日に誤れる処分だという申し入れをいたしましても、通信部長も処分を出した末端の局長もおらない。こういう者が多いのは二週間もおらないのです。これは指摘をしてもよろしいのですが、通信局でも通信部長、次長の所在がわからないという局がある。そういう者に対して本社としては一体どういう統制をするのですか。それで業務がうまくいくのですか。そういう事柄は業務に直接関係のある問題でございますから、調査をしなければならない問題は調査をして、この次に質問をしたときには、どこの通信部どこの電報電話局についてもつまびらかに答えのできるよう段取りを願いたい。  さらに私が申し上げてみたいのは、本日の質疑応答を聞いておりましても、どういう法律根拠で処分したかお答えができないほど明確でないものがございます。私は、電電公社を作るときに、公社法と公衆電気通信法、この二つの柱となるべき法律は、今の副総裁横田さん等と与野党通じて一年間も論議を尽くして作ったものなんです。公社の中の最高人事の紛争等が起きたときにでも、私は公社担当の管理者がかわいいのではない、国民全体の電報、電話が大事だから、党派を超越して非公式に円満な解決への話し合いへと引っぱり出されたこともある。従いましてすべて労務行政というものが業務運用に、あるいは計画遂行に大きな支障を来たすということを常に念頭に置いて、やはり労働組合対策を考えてもらわなければならない。そういうことから言いますならば、法的根拠の不明確な処分等は、これは不当か不当でないかの論争ではなく誤れるものです。そういうものはわれわれが指摘する前に発表いたしましたが、個々のケースについて誤りがあったということを事前に言うくらいなら、事業が大切だという観念にもっと徹すべきだと思う。労働組合だけを仇敵のように処分をしますけれども、現在業務の運用をしておるものはみんな労働組合員なんです。通信部長や次長やあるいは末端の局長が何のために出勤しないのかというのは、処分をした者にはわからなくとも、やはり処分後に業務遂行のために出勤をしておる組合員にはみんなわかっておるのですよ。処分したものだけが組合員じゃございません。同時に今日電電公社が成績を上げておるのは、やはり組合員全体が公社の仕事を担当しておるからです。本社におって地方通信局や通信部やあるいは局長の意見を聞かずに、本柱の指令でやっておる。本社のあなた方だけが今日の成績を上げておるのじゃないのです。十五万人になんなんとする従業員が働いて成績を上げておるにもかかわらず、生存権を奪っておいて、そして当か不当かの法的論争なら別として、誤れる処分だというように本人申し出なければ調査をしないという態度は、事業が大切なのか、労働組合とけんかするのが大切であるのか、これははっきり態度を改めてもらいたい。こんなばかな話はございません。事業が大切ならやはり働く者をもっとかわいがらなければならないはずです。そういう点については態度を改めて臨んでいただきたい。  最後に一言申し上げておきますが、われわれは労働組合代表であなた方とこの委員会を通じて団体交渉をやろうというのではないのです。われわれは国会で作った法律に基づいて、国会の立場において電電公社の業務そのものについて論議をしておるのです。決して労働組合の団体交渉に来ておるのではない。にもかかわらず、労働組合の諸君が団体交渉にきたかのごとき態度で、今日の答弁等は初めから公社にあるまじき態度で答弁しておるじゃないですか。国会の委員会の運営について、あなた方は百も承知、二百も合点の立場においてものを言っておる。とするならばその態度は改むべきだ。同時にまた委員長にも申し上げておきますが、われわれは不当であるか不当でないかという水かけ論争になり得る法律論争は今後あらゆる機会に続けますけれども、本日は誤れる問題にしぼって質問をしておるのです。ですから今後提出されておりまする公衆電気通信法の改正等もございますが、全部業務運用に関する問題でありまするから、われわれは今回の不当処分と今後の業務運用とそれから公社の計画遂行のための労務行政、そういう問題について、本問題を中心に今後も本委員会において十分なる審議をするということを申し上げて、私たちの方の本日の質疑は打ち切ります。これだけは通告いたします。答弁は要りません。      ————◇—————
  126. 山手滿男

    山手委員長 次に郵便法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  この際板野郵務局長より補足説明を聴取することといたします。板野郵務局長
  127. 板野學

    ○板野政府委員 それでは私から、郵便法の一部を改正する法律案につきまして、補足的な御説明を申し上げたいと思います。  この法律案は、郵便料金の調整と事業の合理的な運営及びサービスの改善のための規定改正との二つの要素からなるのでございます。  まず料金の調整の関係について申し上げますと、現行の郵便料金は昭和二十六年十一月の改正以来、また小包郵便につきましては昭和二十八年七月に改正をいたしまして以来約十年間そのままになっておる次第でございます。  しかしながら、第一には、最近におきまする郵便物の利用状況が大へん変化いたしまして、いわゆる一、二種の郵便物よりも、原価的に見て採算のとれない三種以下の郵便物が非常に多くなって参りました。しかも容積が大型化して重量も増大している結果、大幅な処理要員、集配運送費の増加あるいは局舎施設等の拡充等をいろいろやらなければならぬという状況に立ち至っておる次第でございます。このような意味におきまして、いわゆる原価を償っておりませんこういうような三種以下の料金の体系を正しまして、そうして一、二種の扱いを正常運行に乗せるということが第一点でございます。  第二には、人件費の増高でございます。御承知のように今回大幅な仲裁裁定があった次第でございますが、これら等も今後まかなっていかなければならない。  第三点は、サービスの改善と事業の近代化でございます。すなわち、わが国におきまする郵便局とかポストその他の施設もどんどんまだ普及していかなければならないという状況下にございます。また郵便物の送達速度等につきましても、今後大都市を中心といたしまして拡充あるいは向上をはからねばならないという状況にございます。それから事業の近代化でございまするが、これらの点につきましても、諸外国の郵便事業の近代化という点を見ましてもこの事業上必要な点でございます。しかしながらこのようなことをやっていきますためには、郵便事業の財政がまことに憂慮すべき事態にある次第でございまして、この機会にこれらに対する調整を行ないたい、こういうことでございます。  次に料金の調整の方針でございますが、まず料金をなるべく長期に安定させたいということ。第二には、郵便事業の社会的公共的使命にかんがみまして、やはり従来の低料金政策も続けていきたい。しかし著しく原価を割るものにつきましては調整をはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。第三には、国民大衆の生活に及ぼす郵便料金の値上げの調整の影響も考えまして、この機会には、一、二種の郵便料金はそのまま据え貫くということでございますると同時に、また総体の値上げ率も二〇%程度にこれを据え置きたい、こういうようにいたしておる次第でございます。  次に料金の具体的な内容でございまするが、この点につきましてはお手元の資料にございます別表二以下に書かれてございますように、具体的にはこれでごらんになっていただくとおわかりになると存じますが、三種の現行料金は原価から見てあまりに低過ぎますので、ことに現行一円を二円にいたし、またその他低料以外のものは現行四円のものを六円にいたしておる次第であります。  また盲人用点字等につきましては国際的な例にならいまして無料とする。その他の第四種郵便物につきましては現行料金をそのまま据え置くということにいたしている次第でございます。  また第五種郵便物につきましては、原価の面を考慮しまして現行百グラムまでごとに八円を五十グラムまでごとに十円といたしております。なお市内特別郵便につきましても、現行百グラムまで五円を五十グラムまでごとに八円ということにしております。さらに、書留、速達等の特殊取り扱いの料金につきましても、別表の三にございますようにそれぞれ調整をいたしております。なお、子、の他の第三種郵便物の認可料のごとき手数料に属するものも別表五にございますように調整をいたしておる次第でございます。  また料金につきまして特に御説明を申し上げたいことは、小包郵便料金の決定を今後政令に委任いたしたい。また第三種郵便物認可料等の特別取り扱いの料金の決定を省令に委任することにいたしたい、このように考えている次第でございます。郵便料金は戦前は通常郵便物の料金のみが法定されておったのでありますが、昭和二十二年の新郵便法制定の際に郵便に関する料金をすべて法律をもって定めることにされたのであります。しかしながら、小包郵便の業務のごときは郵便事業の付帯的業務でございますので、いろいろ他の国鉄との関係もございますので、この機会に政令に委任していただきたいということでございます。また第三種以下の郵便物の認可につきましては、これはほとんど手数料に属するものでございまして、利用関係の変化や事業上の要請等によりましてときどき変わるべき性質のものでありますし、また郵便物の料金に比較いたしまして、この取り扱いの料金は国民生活に及ぼす影響も少のうございますので、この機会に省令に委任することといたしたいということを考えておる次第でございます。  このような料金の調整をいたしますと、郵便の増収額は平年度におきましては約八十九億、これを七月一日から実施することにいたしますと、年度内六十七億ということになっておる次第でございます。  次に郵便事業の制度の改正の点につきまして申しますと、第一に郵便物の大きさ及び重量の制限の改正でございますが、このうちまず郵便物の大きさの最小限の規定をこの機会に新しく設けたいということでございます。いろいろ取り扱い上不便もございますので、また国際郵便の例等にもかんがみまして、郵便物の最小限度をお手元の資料にございますように、一般の普通の形状のものにおきましては長さ十二センチメートル、幅が七センチメートルでございます。また円筒形のものにつきましては長さ十二センチメートル、直径もしくは短径またはこれに類する部分が三センチメートルということにいたしておる次第でございます。これらよりも小さい郵便物が出せないということになりますと非常に不便がございますので、これには適当な札を張れば差し出すことができるということにいたしておる次第でございます。  次に重量制限の改正でございますが、第三種から第五種までの郵便物のうち盲人用のものが三キロでございますが、それを除きまして最高の重量を現行の千二百グラムを千グラムに改めることにいたしておる次第でございます。千グラムといたしましたのは、従来は千二百グラム、これは重量刻みが百二十グラムごとに従来はなっておりましたので、その十倍をもって最高限といたした次第でございますが、今回は単位が百グラムになりましたので、その十倍の千グラムといたしておる次第でございます。  次に通常郵便物の種類体系等の改正でございますが、盲人用の録音物等を第四種に入れたということでございます。  次に低料第三種の差し出し方につきましては、必ず郵便局に差し出すこと、また料金の納付の方法につきまして変えたわけでございます。  次に市内特別郵便物の取り扱い条件につきましても、第五種郵便物の市内特別につきましては、同一市内の方面をまた変えました。その他重量、大きさの制限もいたしておる次第でございます。  それから年賀はがきの差し出し期間につきましては、これを省令に委任いたしたいと考えておる次第であります。  次に料金受取人払い制度の改正でありますが、これもさらに利便をはかった次第でございます。  次に高層建築物に対する郵便受箱の設置でございますが、これもアパート等につきまして配達が非常に不便をいたしておりますので、高層アパートにつきましては一定の条件をもちまして郵便受箱を作っていただくということにいたした次第でございます。  次に転送取り扱いの改正、それから郵便物の還付に関する改正、それから現金及び貴重品の差し出し方法、いわゆる現金を通常郵便物に入れないというやり方、それからはがきの無償交付に関する規定、それから料金後納の担保免除を受けるものの改正、それから郵便切手類の記号施用制度の廃止、最後に書留郵便物の差出人が損害要償額を申し出ない場合のやり方、こういう点について改正いたしたいと存ずる次第でございます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  128. 山手滿男

    山手委員長 この際、本会議散会後まで休憩をいたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後二時五十九分開議
  129. 大上司

    ○大上委員長代理 これより再開いたします。  郵政事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。羽田武嗣郎君。
  130. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 昨二十日には、逓信事業開始九十周年を迎えまして、中央並びに地方郵政局等において郵政功労者の表彰式が行なわれたのであります。とのおめでたのあった翌日のきょう悲しむべき質問をいたさなければならぬことを心から遺憾に存ずる次第であります。  実は、去る四月九日午前零時から一時までの間に、長野県小県郡塩田町にある特定局塩田郵便局長村上勇平君は、局前の道を隔てた公民館の前庭にあった火の見やぐらから飛びおり自殺をいたしたのでございます。まさに五十三才の分別盛りでありました。右足を骨折し、両手の爪で大地をかいて、もがきにもがいて死んでいったのでございます。朝六時半ごろに公民館のおばさんに発見され、大騒ぎとなったのでございます。村上君は小学校の先生をしていましたが、昭和十六年父君の死後を受けて塩田局長となって今日に至ったのであります。局長になってちょうど二十年目になるのでございます。労組では、長男が失職したこととか、付近の局長仲間から孤立していたとか、臼田局事件とかが主因のようにいわれておりますが、私が直接家族の者及び付近の局長たちから聞いた話では、これとは全く違って、長男も勉強中であるし、付近の局長との仲も決して悪くはなく、臼田局事件ではすでに関係者の間で和解ができており、要は局員の長期にわたる突き上げと非協力にあったことが明らかになったのでございます。  村上君は私の郷里と同じ郡で、二十年来のごく親しい友人であります。私の選挙区は長野県の東部に位し、四市四郡からなっており、東信地方と申して、九十一局の特定局がございます。この東信地方にこのたびの村上局長で三人の局長自殺事件が過去六年の間にあったのでございます。いずれも極端なる労組の突き上げを苦にしての自殺でございます。まず最初は、北佐久郡南御牧局長の依田和夫君でありまして、昭和三十二年七月十七日自殺をいたしました。死因は自殺の前日、中心局の望月局で多数の組合員に取り巻かれ、夜おそくまではなはだしい暴言と集団威迫のうちに点検闘争で攻め立てられ、疲れ果てて帰宅し、翌日未明、局の見える自宅の二階で自殺して果てたのであります。続いて二年後の三十四年八月十七日、小県郡武石局長の小山不二嶽君の自殺事件であります。彼の残した文章によりますというと、従来純真な地方特定局の組合運動は、三十四年五月上田局と小県郡の局とが合体して、中支部制に編成がえになるや、もっぱら一等局の上田局分会の指導によって急激に活発となり、毎月二、三回の分会大会を開き、意識統一をはかり、拡大強化運動を展開し、ややともすれば行き過ぎな行動が見られるに至ると述べ、続いて、武石局より一名の支部執行委員が選出され、業務上の幹部を軽視し、労組幹部が重視されるに至ると嘆いております。三十三年度の全逓の年末闘争の一項目である放送委託業務拒否闘争に対する小山局長の堂堂たる処置はおそらく全国に冠たるものがありました。それ以来小山局長に対する上小支部組合の風当りは非常に激しいものがございました。攻勢は絶え間なく続いて行なわれ、小山局長は全く苦境に陥り、血圧は高進し、ことに八月十四日突如として襲いました風水害で電信電話は不通になり、三日間世間から隔絶せられ、この結果責任とショックでついに自殺して果てたのであります。その後二年にして今また村上局長の自殺でございます。  私は九日午後村上君のおくやみにかけつけました。すでに二十余名の局長がかけつけて、各々の局の突き上げの模様を語り合い、郵政局と労組の間にはさまれている苦境を話し合い、今度は一体だれの番だろうと悲痛なささやきをかわしておるのでありました。その不満の内容のおもなるものをあげれば次のようであります。  欠員補充はしてくれず、臨時雇を入れるために欠員分の賃金は五〇%しかくれず、そのために郵便物がたまり、あるいは電話交換事務に支障を来たし、住民に迷惑がかかるので、郵政局に泣きつけば、局長としての管理能力がないと言われて心証を悪くするので、黙っているほかない、一方局員からは欠員の補充をせよ、さもなければ臨時を雇え、仕事が全然間に合わぬではないかと絶えず激しく突き上げを受けるのであります。今までは三六協定を結んでおれば流賃が認められた——ちょっとここで流賃という言葉について注を付させていただきます。流賃というのは超過勤務手当の原資を非常勤の者に流用振り当てることだそうです。今までは一局で三千円から五千円くらいの流賃の原資があったが、この流賃も会計検査院の注意から、この四月からは禁止になって、流賃による局員の休暇に対する補充はできなくなったのでございます。しかも隣接する局長同士や郵政局との電話は全部盗聴されて、上小支部に直ちに内報されて、その支部の指令のもとに組合のつるし上げを受ける、こういうような次第でございまして、通信の機密は全然保たれず、外部との連絡はなかなか困難な状態下にあるのでございます。こうして特定局長は郵政局と組合との板ばさみになって、いよいよ大へんなことになったというのでございます。この次は一体だれの番だろうという悲痛なささやきに、私はその場にいたたまれぬ気分になりましたが、同時に国家公務員たる全逓の行き方に対し、人道上法律上限りなく公憤を覚えましたが、国家のため国民大衆のため局長諸君に大いに元気を出してがんばって職責を全うしてもらいたいと励ましたのでございます。  さて村上局長の死の原因はどこにあったか、郵政大臣以下当局の方々にも国民の方々にもよく知っておいていただき、全逓の行き過ぎを是正するために資し、同じ苦境に立つ一万四千百局の特定局長が安心して職務の執行ができますようにしたいと存じますので、やや詳しく経過を述べたいと存じます。  もちろん昨日の記念日に全国で多数の功労者が、全逓二十七万の中から表彰されたのでございます。中央表彰者の中で静岡県川根郵便局の電話交換手の女子職員二名が、類焼のうき目にあった局舎に最後までがんばって、警察署、消防署、役場等に直ちに発火の電話連絡をし、しかも交換台に火が移るまで電話交換事務を続けたという美談に至っては、大臣が表彰状を朗読されるとき泣けて泣けてしかたがなかったのであります。その他チリ津波に際し、自家の被害を顧みず、さっそく局にかけつけて郵便物や重要物件の搬出に当たった、強い責任感を持つりっぱな局員も多数あって、二十七万の全逓にもりっぱな人々の多いことは認めます。  さて塩田局は定員二十七名で、そのうち欠員が二名あるので、従って現在二十五名の在勤者であります。うち内勤が五名、外勤が六名、電話交換手が十六名で、うち一名は男子でございます。塩田局では昨年四月欠員は一名でありました。元来欠員の補充は郵政局の方針として過員を振り当てるのでございますが、労組が配置転換に反対するため、これがスムーズに実現せず、過員のまま一年二年そのままになっておる局がある反面に、郵政局に定員のワクがありますから、他の不足局は手不足のままになっておるという不合理がそのまま続いておるのでございます。従って過員調整の実現は不可能に陥っておると言ってもよいのでございます。元来郵便局長には人事任命権がないのであることは御承知の通りでございます。そこで塩田局の場合は昨年初級職の国家公務員試験に合格した小林弘明君が昨年四月電話交換手として長野郵政局長から任命されたのでございます。この小林君を任用して欠員を埋めたことから、労組は急速に悪化したのでございます。それは臨時雇として塩田局に三年春勤務しておる甲田哲司君という君を採用すれば問題はなかったのでございますが、小林君の任用以来局長と労組の対立が激化する原因になったのでございます。ことに本年一月十二日、結婚のため事務員の小山イシ子君が欠員となり、村上局長さんの娘さんの事務員が病気になったので、二名の欠員が生じたのであります。塩田局分会労組では、欠員を埋めろ、仕事が間に合わぬと局長を日夜責め立てるのでございます。しかも休暇をとる者が続出しているのでございます。交換手の女子職員十五名が二日ずつの生理休暇をとれば月三十人分の欠員が生じます。またその朝になって電話で、きょうは休むと言って突然休暇をとる者もあれば、無断で欠勤する者もございます。そこで臨時雇を雇うわけでございますが、一日の賃金が内勤で二百三十円、外勤で二百五十円では、今日一人前の人を頼むということは困難でございます。しかも一人の欠員に対して十二日分から十五日分の賃金しかくれぬに至っては、仕事は停滞する一方で、今日の労働攻勢の前には特定局長は郵政局と全逓の間にはさまって身動きがとれぬ実情にあるのでございます。二月三日には全逓上小支部長の中曽根君と書記長の酒井君が塩田局に来まして、定員二名を補充せよ、賃金を満配せよと村上局長に強く迫ったのでございます。二月四日には村上局長は長野郵政局に出かけて行って賃金九千円をもらって帰ったのでございます。しかしこれとて一日四名の臨時雇を雇わなければならないので、十日分にしか当たらぬのでございます。また定員については、三月に入れば訓練終了の和田タカ子を回そう、他の一名については新年度に入ってから業務量を勘案して考えようという了解を得て帰ったのでございます。三月になって和田タカ子君を向けたが、塩田労組分会では、臨時雇の甲田君がおるからこれを採用せよ、和田には反対だと局長を突き上げ、ついにお流れになってしまったのでございます。三月半ばごろ郵政局から初級合格者を三名指名して、そのうち一人を選んで三月末までに返事せよと言ってきました。ところが分会では、甲田でなければだめだと絶対反対して、ついにこれもお流れになってしまいました。  以上のように欠員補充では村上局長は常に組合側からつるし上げをくらい、非協力闘争が恒常化し、じりじりと局長を責め上げるやり方をとって参りました。一月三十一日から三日間、上田電話局と塩田局との間の電話を塩田局の交換手が上田局の交換手と話し合いの上規制する、いわゆる回線規制の非常手段をとるに至ったのでございます。また市外電話の料金徴収の基礎となる交換証の整理も、十四名の交換手諸君が、そんなことは局長のやる仕事だと言いまして、局長のところに回し、電話番号調べその他外部の利用者からの問い合わせも、局長の仕事だと言って局長のところへこれを回すという次第でございます。その上休暇闘争のために、村上局長みずから電話の交換台に上ることがしばしばでございました。三月二十五日午前七時五十五分に、外勤の平林君に対して村上局長は内勤の業務命令を出しました。平林君はすなおに受け取ったが、これを見ていた執行委員の竹内君が、これをひったくってまるめてしまい、これを契機に手すき局員が局長を取り巻き騒ぎ出したのであります。三月二十七日のできごとでありますが、三月十八日上田市内の大屋局で行なった電通合理化反対職場大会に竹内執行委員参加したかどで、三月二十五日付で郵政局長から戒告処分を受けました。この処分書を村上局長が竹内に手渡したら、こんなものは受け取れぬと机上に投げ出して激しく村上局長と言い争ったのでございます。そのために同日夜七時十五分から九時十五分まで、処分撤回を含め、処分書を郵政局に送り返せとの交渉が持たれ、さんざん村上局長をつるし上げたのであります。今その内容を村上局長の手記から引用してみますと——今、名字を申しますが、これは局員であります。   藤井 ロボット郵政といっても、能なし戒告がきては腹が立った。   山田 処分されれば気分的におもしろくない、重大な影響がある。   中村 そんなに悪いことをしたのではない。われわれと同じ行動をとっただけだ。   前山 他局長に処分のことを話したことがあるか。だれも自局から処分者を出さないことを望んでいる。   山田 よりよい局にしたいための行動だ。泣いても泣き切れない。以前は非協力ほどではない。   中村 竹内のところへ処分がくれば黙っていられない。われわれが処分されたと同じだ。   前山 分会長、今までよりも一そう非協力をする。   山田 処分は受けない。   中村 辞令は金庫の中に入れておくわけにはいかぬ。   藤井 ノーコメントでは御免だ。多分村上局長が一切黙って忍苦に耐えておって何も返事をしなかったからでございましょう。   清水 かばうところはかばってもらいたい。   藤井 不当処分だ、撤回しろ。   前山 処分撤回について誠意ある回答を得られなかったので、明日継続交渉する。   竹内 業務の規制をする。残った仕事は局長の責任である。   竹内 誠意がない。余分のことまで書いてある。確認書に調印しろ。こう言って、用意した確認書にさらにいろいろなことを書き入れまして、これを突きつけ、調印を迫ったのでございます。村上局長は、調印はやらないといって断わっております。さらに   藤井 植木をこいで運動場にしろ。これは局の裏側にある局長自宅の庭の植木をこいで運動場にしろと迫ったものであります。   竹内 表から通勤しろ、コースは裏口だ。これは局舎続きの自宅から局長が出入りしていたのをさすのであります。   竹内 ひっつぶれたような物置でよく局舎料をとっている。塩田局は小県郡の局舎中一番大きなものでありまして、相当りっぱなものでございます。それを物置とののしり、局舎料盗人でもあるかのような悪罵を浴びせかけたのでございます。   前山 処分を撤回しなければ、あらゆる業務の規制をする、この責任は局長一人にある。こうしてさんざんのつるし上げをくらったのでございます。  なお二十七日付で村上局長は局長会の幹事をしておりまする上田常人郵便局長に対し、公用私信で以下のようなたよりをいたしております。「先般来何かとお世話さまになっております。当局の労組との関係は意外に激しい要求があり、連日連夜分会との協議が続き、心身ともに過労になっております。何とか当方のため、神科局長ともお話し合い下さって、具体的に御協力いただきたいと存じます。」との手紙を寄せておるのでございます。  翌三月二十八日も、午後六時から、十一名の局員と局長との間に、前日に引き続いて交渉が持たれたのでございます。内容は、処分辞令を郵政局に戻せということと、電通の合理化に伴う事前協議の確認書に調印せよということで、激しい口調でつるし上げが行なわれたのでございます。  かくして、このようなつるし上げはほとんど毎日午後六時から八時、九時ごろまで、ときには十一時半ごろまで行なわれておったのでございます。四月六日の交渉からは、上小支部役員二名と自局員二十数名これにまじって、午後六時から九時十分まで続けられたのでございます。その内容は、主として欠員のあと補充、処分撤回、非常勤の本務化等でありまして、だんだん模様は大きくなって参ったのでございます。その晩村上局長は小金大臣にあてて辞表をしたためておるととが、自殺後発見されました。こうしてせっちん詰めに追い込まれ、血圧は高進するし、ついに進退きわまって自殺の決意をいたしたのでございます。  四月八日郵政局の電業課長が来局した際のごときは、村上局長は話が局員に漏れることをおそれて筆談をしたような次第でございます。完全に追い詰められたお気の毒な姿でございます。その残されたメモには、病休は電話連絡等で、計画的に運行を阻害するような組合活動をしているので、定員一名の増になっても、当局にて長期非常勤を本務化しなければ、現状の実態は解決できないことは明らかである、こういうふうに書いておるのでございます。  かくいたしまして、村上局長は、かわいい部下であるべき局員を敵に回して、一人で悪戦苦闘の連続であったのでございます。そうして四月八日夜、次のような遺書を残して、九日午前零時から一時までの間にあえなき最後を遂げられたのであります。     遺 書   一、局のかぎは福沢君以外には渡してはならない。福沢君というのは局長代理者でございます。   二、このたびのことはおわびをする。   三、金庫の中には公金と多数の人の俸給が入っている。   四、人々の悪口を言ってはならない。さんざん突き上げられた部下に対する限りなき愛情には全く頭が下がるのでございます。   五、公のことは荒廃させてはならない。不協力により交換証の整理が渋滞したり郵便物の配達がおくれたりすることの不可なることを、死んでいくときまでも憂えているわけでございまして、責任感の強さを示すものだと思うのでございます。六は、これは省略いたします。   七、局長会の金は、今集まっておるところで一万五千円ある。この金は神科局長に渡す。   八、警察の方々には感謝します。   九、局員の皆さんしっかりやって下さい。いろいろお世話になりました。と、相手を責めずに、広大無辺な愛情で実にりっぱな態度でございます。   十、局長会の皆さんしっかりおやり下さい。と、同僚局長を励ましております。   十一、福沢君いろいろありがと  う。最後に、家族の一人々々に   十二、勇一もがんばれ、和夫元気  を出せ、富寿子しっかり、哲子しつ  かり、節三しっかり、啓子落らつい  て、母ちゃんをみんなで助けろ。と、五人の子供を励まし、自分の死後みんながお母さんを助けていくようにと、最後の別れを告げておるのでございます。  こうして条理整然と跡始末を書き残し、さんざんいじめ抜かれた局員諸君にも少しの恨みの言葉も言わずに、いろいろお世話になりましたとまで感謝の言葉を残していったのでございます。十一日のお葬儀にあたっては、局のかど口に立って最後のお見送りをした者は、二十数名の局員中たった一人しかいなかったのでございます。これを見せつけられた会葬者は暗然となり、同時に大なる公憤を感じたのでございます。組合運動というものはそんなに非情なものであっていいのでございましょうかと私はあえて言いたいのでございます。村上局長は、鉄の弾丸でこそないが、日となく夜となく撃ち込んでくる憎しみと、悪罵と、へ理屈の憎むべき集団的威迫、舌の弾丸で殉職した名誉の戦死だと言っても過言ではないと思うのでございます。民主主義を唱え、平和な明るい職場を唱える国家公務員たる全逓諸君が、基本的人権を無視し、人道主義に反し、本省と全逓本部の団交事項を、本来の業務をなおざりにして現業第一線の局長に向かって強要するがごときは、許すべからざる行き過ぎだと存ずるのでございます。昨日表彰された諸君のように、勤労意欲を沸かして、強い責任感を持って業務執行に当たり、一致団結して業務の向上に当たることこそが、二十七万の公務員たる全逓諸君の最大の願望でなければならないと考えるのでございます。それを、何かといえば時間内職場大会を開いたり、集団的に局長を威迫してつるし上げたりして、郵便物の配達を遅延させたり、電話の交換、電報に支障を来たしたりすることを本来の仕事でもあるかのごとき全逓指導部の行き方に対しては、私は断固これを改めさせるように、本省としても強い指導が必要であると考えるのでございます。これに対する大臣の御所見を承りたいと存じます。(拍手)
  131. 小金義照

    ○小金国務大臣 長野県の塩田特定郵便局長の自殺の件に関しましては、私も実は驚きまして、ただいま羽田さんからおっしゃいましたように、処分処分、りっぱな業績を上げていただいた従業員にはできるだけの表彰をする、その四月二十円の表彰の準備最中にこの痛ましい事件が起こりまして、私どもとしては何とも遺憾と申しますか恐縮並びに局長の村上勇平さんにはほんとうに哀悼の意を手向けたのでございますが、私が受け取りました今までの報告では、そのような詳しいことがわかりませんでしたけれども、今微に入り細にわたっての村上勇平局長のその経過における苦心並びに組合と自分の受け持つ仕事との間の苦衷、十分私お察しできるのであります。今、羽田さんのお話の中には、労働組合員の諸君の行き過ぎもありますけれども、また管理者側において、村上局長の諸般の御要求等に対しても欠けるところがなかったか、私はこの点もあわせて反省いたしまして、十分こういうことが繰り返されないというような処置をとることが、村上局長への手向けになると考えております。つきましては、管理者としてできることは、さっそく長野郵政局をして十分なことをさせるのと同時に、労働組合運動が末端の第一線においてそのような苛烈な状態にまで進むことについては、これまた同じく相戒めたい、こういう考えで、この種の犠牲がまたこんなような不祥事件が繰り返さないように、私努力をいたしたいと思います。
  132. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 大臣お話で、郵政省としてもよく足らざることを改めようというお話を承りまして、私満足をいたすものでございますが、なおこれに関連して二、三大臣または関係局長にお伺いをいたした一のでございます。  まず第一に、全逓の労働攻勢が激しい今日、現業第一線にもっと力を入れるべきではないか、今の郵政局のやり方では通り一ぺんで魂が入っておらないと思うのであります。すなわち郵政局は郵便配達の成績とか貯金や簡易保険の成績が上がったとか上がらぬということを机上で見ているだけでなく、もっと現場を深く認識して、延滞しておるものがあったら郵政局から出かけていって手伝いをするような適切な援護の手を差し伸べるべきではないか。本省としては郵政局にそういう指導をしていくことが必要ではないか、こういうふうに思いますが、人事部長にその方針を承りたい。
  133. 長田裕二

    ○長田説明員 お説のように郵政局と第一線の郵便局との関係する業務、指導業務の停滞なりその他大きな問題が起こりましたときにおきましても、あるいはまた業務に直接現われて参りませんでも、労使関係等で非常に困難な問題があります場合には、一体になって進んで参らなければならないと感じておる次第でございます。たびたびの省の関係者との会合におきましてもそういう向きで打ち合わせております。長野郵政局におきましては、実は今回の塩田の局長等につきまして十分その実態を把握しておらなかったようでございます。これは必ずしも郵政局が悪かったからということではなしに、郵政局側から見ますと、塩田の局長も自分の局内のいろいろなことについてはなるべく外に表わさないという方針といいますか、性格と申しますか、そういうところがありましたようで、それらの点も若干あったかと思うのでございますが、郵政局が必ずしも実態を掌握していなかった。従いまして、今の欠員補充の問題、あるいは別所温泉などを控えまして相当電話の交換業務量も多かったようでございます。そこらの問題などについての切実さが、村上局長が感じているほど感じられていなかったような点もあったようでございます。長野郵政局も基本的には先ほど申し上げましたような第一線の業務の運行、その他労務管理についても第一線と同じような心がまえになっておりますことは事実でございますから、この上はさらに第一線の各方面におきます問題の所在をよくとらえて掌握し、このような事柄が今後起こらないように努める覚悟であります。全国的に見ましても、私どもも、さような心組みで、各郵政局、監察局とも連絡をとりながら進んで参りたいと思います。
  134. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ただいまの人事部長のお話によりますと、何か村上局長が自局のことをあまり言いたがらなかったということでございますが、先ほども前提的に述べましたように、これは私は二十数人の局長さんからも九日にお話を承ったのでございます。とにかく郵政局に行って話をしてみてもいかにも郵便局長の管理能力がないというような調子で相手にされない。こういうことが長野においては現にあるようでございます。そういう次第でございますし、また電話とかなんとかでもって連絡しようとしましても、先ほども言うように従業員に盗聴されまして、逆に手を打ってこられる。こういう次第でございます。また局長が一人でもって二十数名の者を相手として大波に対抗していかなければならないために、局長が局外に出ることは実際上ほとんど困難で、現に五百番と申しておりますが、いわゆる外部からの問い合わせの電話まで全部局長の仕事だ、こういうようなことで局長が交換台に立たされるというような次第でございまして、今の人事部長のお話とは全然違ったことなんです。郵政局もあるしあるいは監察局もあるのでございますから、こういった拠点的なところはほんとうに絶えず考えてもらいたい。たとえば上田の局というのは一等局でございますが、ここは一月幾日にも臨時雇がついに郵便物をずいぶんと焼いてしまった、こういうような事件のあったところであります。そして何カ月もずっと慢性的な遅配になっておりまして、商工会議所とかあるいは市会議員の諸君から郵便局長がつるし上げをくらう。それからまた上田局の郵便課長も、この数代、一番長いので一年しか続いておりません。そのくらいに労働組合の攻勢が非常に激しい。そういうような労働組合の支部の指導を受けて一おるのが上小の地帯の郵便局でございます。そういうような地帯については、郵政局の諸君も局の机の前ばかりにいないで、ときどき回って実際に局長の話を聞いて、そして局長にフランクに、楽な気持で述べさせるような態勢をとってやっていかなければならないのじゃないか。全国一万一千の局においては、平和な局も相当多いと思いますが、こういった拠点の所在地においては、特に郵政局の積極的な援助、あるいは局の実態の認識、把握というものをはっきりとしていくことが必要ではないかと思うのでございます。今の人事部長の御意見には私はまことに残念で、全然見解が違っております。  それから、これは村上局長だけの話ではございません。三等局の二十数名の局長さんたちとにかく郵政局に行って話しても、まるで相手にされない。いかにも無能力だ、管理能力がないというようなそぶりを見せられるので、言いたいととも言えない、こういうような実情でございます。それからまた、いろいろな問題について特定局長が長野の郵政局に行って交渉をいたしましても、それが通らない。それが今度労組の方が行くと通る。労組の方が非常にウエートが重く郵政局は考えている。こういうような実情でございまして、これでは一万一千の特定局長が、安心して業務をとるということはできないと私は思います。人事部長、ほんとうにあなたの認識を根本から改革しなければいけない。そして郵政省の出先が郵政局ならば、その第一線が現業の特定局あるいはまた一等局、二等局、三等局の普通局でございます。そういうような第一線の局長に対して、ほんとうの愛情を持って、郵政事業の第一線の仕事をやっておるという面でもっと強くお考え願わなければ——あなたの認識はこれはもう全然私は願い下げであります。そういうことをまず御注意しておきたいと思うのでございます。  第二には一定以上の局員を持っておる特定局では、局長代理一人が非組合員というだけであっては、この労組の大波を押し返すことができない。たとえば二十人以上とか二十五人以上の局員を持っておるような大局の特定局においては、局長代理が一人郵便局長の相談相手、こういうようなことであっては、局長の事務をとっていくのに非常に支障がある、こういうふうに思うのであります。従って局長は局長としての本来の仕事に邁進ができるように、そして労働対策については、つまり人事管理については専門とする管理職を、こういう一定以上の大きな局には置くことが必要じゃないか、私はこ白いうふうに思いますが、これについてはどうお考えになっておりますか。
  135. 長田裕二

    ○長田説明員 先ほどの私の申し上げようが適切でなかったかもしれませんが、基本的には冒頭申し上げましたように、第一線管理者と郵政局とは、ほんとうに心を一にし、場合によればからだも一つにしてやっていかなければならないというのが私の日ごろからの基本的な考え方でございますし、機会あるごとにそういう向きを郵政局等の関係者の会合等でも申しております。長野郵政局でも大体そのような方向で進んでおるのでございますが、不幸にして塩田局につきましては、今までに十分そういう措置がとられておらなかった、あるいは時期が十分早くいかなかったというような点は、遺憾な点だったと存じます。実は局長が自殺いたしますその前日ころには、長野郵政局におきましては定員本務者を一人ふやす問題、あるいは定数非常勤を一人ふやす問題が内部で取り運ばれておった最中のようでありまして、郵政局側の見方からしますと、村上局長もそこらの事情は大体承知しておったのではないかというようなことでございまして、時期が一日前でございますけれども、総体としてもっと早くそういうことが行なわれればというような感じもするわけでございますが、先ほど申し上げましたような事情もございまして、なかなか早く取り運べなかった点は、現在から考えると残念だと思うわけでございます。  なお管理者の充実の問題でございますが、実は非組合員の増加の問題につきましては、これは公労委の公益委員の方々のたしか御決定といいますか、御意見に従ってやられることになっております基本的人権の行使の問題にも関連いたしまして、たやすく増加もし得ないような事情でもございます。しかしある程度増加する必要があると思われます面につきましては、関係の向きへそれぞれ従来も折衝しておりますし、今後もさらに折衝は続けるつもりでおるわけでございますが、基本的にはやはりこの塩田の局なんかにおきまして局長が交換手の検査なり整備をやるということ、あるいは案内に出るというようなことは、非常に通常あり得ないことなのでございまして、やはり担当の者がそれをやる、やらない場合には局長は業務命令を出してそういう担当の者にやらせる、そういう態勢におきまして、局長はやはり局長のやるべき仕事というものがあるわけでございます。労務管理その他局長が本来やるべきことを十分にやり得るような態勢を自分でも作ってもらい、あるいは郵政局なんかもできるだけバック・アップして作っていく、局員にもそういう面についての理解を求めるというようなことがまず大事ではないかというふうに考える次第でございます。
  136. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 今のお話のうちで郵政局でもって欠員の補充をすることにもう内定をしておった、こういうお話でございますが、先ほど私が申し述べたように、ちょうど八日の日に電務課長が村上局長のところに郵政局から出張をして話をしております。そのときに村上局長が言葉が漏れるとうるさいからというので筆談をしている。そのメモを先ほど読み上げたのでございますが、このメモによっても、非常勤の甲田君を常勤にしない限りは絶対にこの問題は片づかない、こういうことを強く言っているのでございます。郵政局に行っても絶えず甲田君を常勤にするようにと、こういうことを言うているような次第でございまして、従ってたとい人を一人増してみたところで、局内に三年もいる甲田君がならない限りは問題の根本的な解決にはならない、こう私は思うのでございます。そういう点について、はたして郵政局は甲田君を常勤にするつもりであったかどうか。それなら問題は解決します。そうしない限りにおいては、この甲田の問題以来、小林君というのを去年採用したというとき以来、突き上げが激しくなって参っているという事実に目をつぶってはならないと思うのです。だから郵政局の人事管理というものが、やはり局長の内申を重んずるという態勢をとらなければどうにもならぬ。局員の人事権は郵政局長が持っているから内申をとらずにただ天下り式に郵政局長が任命すればそれはよろしいけれども、それでは局内のいざこざは解決できない。こういうことはやはり愛情のある、ほんとうに郵便局長のことを思って人事管理をするという郵政局の態度ではないと私は思うのでございます。  それから管理職をふやすという問題について、公労委の関係があるからというようなお話でございますが、私はこれはあなたが行って公労委の諸君にもよく説いて、二十名以上ぐらいの局にはやはりもう一人ぐらいいわゆる管理職者を置くという方向に努力をしなければならない、こういうふうに思うのでございます。そうしないと、今町村合併がございまして、そこの中心局に電話交換事務というものが重なってきている。こういうような局においてはどうしても、女の交換手の諸君もなかなか今は闘争心が激しいのです。男以上に激しいのでございます。そういうような諸君から突き上げられるというような状態で、また反抗すれば女の人ぐらい激しい反抗をいたすものはございません。集団的な激しい反抗をする、こういうようなことに対処するためにも、やはり専門の管理職というものがあって、そうしてこれらの諸君に対して労務関係についてはその管理職がとれに当たり、局長は局長としての仕事をする、こういうようにしていくことが私は必要である、こういうふうに思いますので、人事部長、また大臣にもぜひそういう方向に、一つ来年の予算なんかにおいては特に御努力を払っていただきたいということをお願いいたしておく次第でございます。  次に第三点、監察局の行き方の問題でありますが、現在の監察官の仕事は犯罪事実の糾明処理と業務上の考査調査に限られておりますが、今日のごとき労働攻勢の盛んなときは、監察官の仕事としましては、組合の態度が正しいかどうか、もし間違ったところがあるとすればこれが是正に力を入れるべきではないか、たとえばピケを張っている場合にはこれを排除するということにもっと力を入れるべきではないか、ことに普通局にしろ特定局にしろ、郵便物の遅配などの多い局に対しましては、郵政局と監察官が一緒になって特別考査をびしびしとやって禍根を絶つようにしなければならないと考えるのでございます。ただじんぜんとして、天井の上から目薬をさすような調子の指導であってはだめである。やはり本格的に病根を絶つというやり方をしていかなければならないと存じますが、これに対する考え方を承りたい。
  137. 莊宏

    ○莊政府委員 監察局の仕事のやりっぷりは、組合運動に関しては遠慮してよそを向いておるのではないかというお話が第一点でございましたが、私ども監察局監察官の者といたしましては、業務の運行が阻害されているという場合に、それがいかなる原因によって阻害されているかということを糾明いたしますのが、私たちの仕事でございまして、本来が組合運動に出たものであっても、一向そういうことにはとんちゃくをしないで、どういうことに原因があろうと十分に調査に当たるという態度で臨んで、現にその通りやっておるつもりでございます。  それから第二のお話ピケ排除等を監察官みずからがやるべきではないかという点でございますが、実はただいま申し上げましたように、いろいろと業務阻害の実態を調査いたしました場合に、監察官のやるべき仕事として郵政省設置法の上に書かれております仕事は、調べた結果実情及び改善すべき事項についての意見を出すというのが、監察官の職責になっておりまして、監察官といたしましては、調べた結果につきまして大臣に意見を出すというふうに法律ではなっておりますけれども、実際の仕事のルートといたしましては、当該郵便局長あるいは郵政局長、あるいは本省におきまして各部局長といったようないろいろの、適当な段階に意見を出すわけでございますけれども、そのように意見を出すところまでが実は監察官の仕事ということにただいまなっておりまして、ピケ排除というような実力的行動は監察官の権限外にあるということでございます。ただ監察官といたしましては、そのような不法行為がもしもありました場合には、決してそれを捨て置くものではなくて、迅速に——たとえば局舎の警備をいたしますのは、これは実は郵政局、郵便局という系列でございますので、その系列の方に直ちにこういう実情にある、工合の悪いポイントはここであるということを申しまして、その筋における措置をやってもらうような手だてを講じておるわけでございます。  それから第三点の、郵政局と監察局とは手を組んで、悪いことをやっているようなところに対しては、どしどしと特別考査等をやるべきではないかというお話でございますが、まことに先出のお話の通りでございまして、私どももそのような考えのもとに現在までもやっておりますし、今後もどんどんとやろう、かように考えておる次第でございます。
  138. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 官制上そういう点はいわゆる監察局の仕事でないというようなお話でございますが、そうならば官制を直してでもおやりになった方がいいんじゃないか、こういうふうに私は思うのでありまして、一言御注意をしておきます。  それから配置転換による過員調整は辞令通りに断固実行していくべきであると思いますが、これに対して御所見を承りたい。
  139. 長田裕二

    ○長田説明員 いろいろな事情から、ある局では定員が減る、それからある局では定員がふえるというようなことがございまして、その場合に、定員が減って、定員超過になりました局から、今度増員になって欠員になっている局へ、いわゆる過員局から欠員局へ職員の配置転換が円滑にすらすらと行なわれれば、塩田の局がしばらく経験しましたような、欠員のままで過ごすということがない、あるいは少なくて済むというわけでございますが、通勤距離の問題あるいは職種の転換の問題、そういうのがございまして、かなり実行されてはおりますけれども、まだ百パーセントというところまで参っておりません。そのようなために、ある局では欠員のまましばらく忍ばなければならないというようなところが、だんだんにございます。それにつきましては、欠員のままで忍んでおるということは、やはり業務の運行にも影響しますし、職員の働く面についてもいろいろ問題がございますので、完全には参りませんけれども、大体全国的に約五〇%ぐらいの補充を賃金で出しているわけでございます。もとより十分ではございません。配置転換の努力と並行的に、一般的に進んでいるわけでございます。塩田の局につきましては、先ほど申しましたような別所方面を担当しておりますために、通話料が相当ふえてきておるからということかか、別途、事業増、業務量がふえているという見地からの非常勤は配ってあったようでございます。
  140. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 住宅とかいろいろの問題もございますが、私どもの常識からすれば、いわゆる国家公務員でございますから、昔でいえば辞令一本でどこへでも飛んでいくというのが、国家公務員たるもののいわゆる職責としての立場であったと私は思うのでございます。今住宅事情も、終戦直後とは違いまして、だいぶ緩和されてきておるのでございますから、過員になっておるところは、いつまでも、一年も二年もほうっておいて、不足のところはいつまでも不足にしておくというようなことは、非常に不合理なことであって、これはやはり断固としてやるべきである。そしてまた住宅なんかも、それは行くべきところの局長にでも頼んで、そうして部屋を探してもらうとかいうようなやり方で、幾らだってできると思うのでございます。私はやはり過員の調整という点については、もっと真剣な立場でおやりになる必要があるんじゃないか、ただじんぜんと、住宅事情とかそんなようなことだけで放任をしておくべき問題ではない。もっと根本に入って、そうして適切な処置をとるべきものじゃないか、こういうふうに思うのでございます。  それから第五には、欠員のあと補充でございますが、これは特定局長の希望も聞きまして、すみやかに実行すべきものと考えますが、これについて御方針を承りたいと思います。
  141. 長田裕二

    ○長田説明員 過欠員の調整につきましては、さらに今後とも努力して参りたいと存ずるわけでございます。
  142. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 大体私の質問はこれで終わるのでございますが、まだ全国にも——山形に、ここにおらるる伊藤代議士の郷里にも、局長がいわゆるつるし上げされて自殺をした事件がある、こういうことを承ったのでございますが、たくさんの事例があり、また一万一千の局でございますから、これから労働行政が激しくなればなるだけに、私はそのつるし上げられて、そうしてノイローゼになって自殺に追い込まれるというような問題が、これからしばしば起こるではないかということを非常に憂えておるのです。その意味で私はきょうは、特に午後の本会議散会後に委員会をお開き願って、特にこのことを申し上げたわけでございますが、私は一万一千の局の局長の皆さんに対して、ほんとうに安心して業務に精進して、そうして郵政の向上のために、また国家、国民のためにほんとうにやってもらいたい。こういうふうに思ったればこその質問であるということをほんとうに皆様方によく御理解をいただいて、そうして本日の質問を無にせられず、何とかしていわゆる第一線の特定局については今までの欠陥をなくして、第一線の仕事をしておる局を大事にしてもらいたい。それがまた郵政事業ほんとうの発達になると考えるのでございまして、ぜひこの点については大臣初め御当局の皆様にほんとうに御留意を願いたいと存ずる次第でございます。  以上をもって私の質問を終わる次第でございます。      ————◇—————
  143. 大上司

    ○大上委員長代理 では、この際お諮りいたしたいことがございます。  理事稻田柳右エ門君より理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 大上司

    ○大上委員長代理 御異議ないものと認めます。  なお、理事補欠選任につきましては先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 大上司

    ○大上委員長代理 御異議なしと認め、それでは上林榮吉君を理事指名いたします。      ————◇—————
  146. 森本靖

    森本委員 今のに関連して。ただいまの御質問を聞いておりましたら、最後の羽田さんの言われた点で、事業の興隆その他の点について、特定局の運営その他については考えていかなければならぬ。その点についてはある程度私も同感をする点がございまするけれども、ただ郵政省の方でもこういう答弁についてはある程度もっと親切な答弁をすべきではないかということを私は言いたいのであります。たとえば配置転換の問題についても、普通局の場合は宿舎がほとんど完備をせられておる。ところが特定局というのは全国どこでもいまだに官舎は全然一軒もない。それから昔から特定郵便局については、普通局と違って、特定郵便局長も転勤がないかわりに、一般の局員についても実際問題としては本人が希望しない限りは転勤措置を講じない。こういう不文律が、郵政省の歴史的なものがあるわけであります。そういう点についてはただごもっとも、ごもっともという答弁ではだめだ。やはりそういう内容について、できないところはこういうふうな理由があってできないということをやはり私は明らかにすべきではないか。そういう点については全部ごもっともではどうか。そういう点の実情については、やはり普通局と特定局と違う点がありまするから、今、羽田さんが言われた点についても同調すべき点もあれば、あるいはまたそこはこうでございます、こういうようになっておる。たとえば宿舎の点についても、配置転換の問題についても、そこで時間をかけて旧部会程度あるいは旧局長会程度の中から配置転勤を極力やろうということで、これは大きくいえば組合側もその配置転換には協力しておるし、また局長会もそういう方向でやっておる。ただどうしても不可能の点については非常勤で補充しておる。こういう現状の事実は、やはり率直に、こういう委員会を通じて幸い委員さんの質問があるわけでありまするから、郵政省としてもそういような不備な点については、私は率直に答弁をすべきであると考えまするし、先ほど管理者の増員の問題についても三年来ずっともめまして、結局これを公労委に郵政省が出して、今の形においてこれは許可をせられたというようないきさつがあるわけであります。そういう点について、今度は、だから三十名ないし三十名以上になればこれは特定局でなくして普通局にしていこう。こういう方針を郵政省がとっておるわけでありまして、それ以下の特定局については現在のように特定郵便局長と管理者、それ以上になれば自然に分課制度をこしらえようということになっておるわけでありますので、そういう点についても私は現在の管理者の増員についてはまだまだそう早急に考えるべきではない。さらに今一万一千と言われましたけれども、無集配局を寄せると一万六千あると思います。その中でやはりそういうような局もある。今、羽田さんが言われたような局もあれば、また三十名程度の局ですこぶる円満に事業が好転をしながら発達してきておるところの局もあるわけであります。それとまた逆に、今度は特定郵便局長の全く封建的なやり方において従業員が自殺をしたという局もあるわけであります。だから一万五千ないし一万六千ある特定局においては千差万別であります。これを全国画一的に評価することはなかなか困難であります。そういう点についてはよく郵政省も御承知だろうと思うので、そういう点について一つこういう際に明らかにしてもらいたい。なおこういう点については、おそらく今質問をせられた羽田さんも同調せられると思いますが、いずれにいたしましても今の郵政局が郵政局管内の特定郵便局を全部直接に統轄をしているというところに非常に不合理があるということが言えると思う。たとえば信越なら新潟と長野県を全部郵政局が統轄をする。四国の管内であるならば約九百の郵便局を郵政局長が直接統轄をしておられる。各県ごとにそれぞれの統轄郵便局というものがありますけれども、その統轄郵便局長は全然それを統轄する権限がない。だから今の特定郵便局長というものは、二名の従業員を持っている特定郵便局長であろうが、四十名の特定郵便局長であろうが、資格においては全く同格である。その同格の上においてそのまま連なっている。だから郵政省がめんどうを見よう、郵政局長が八百の部下を直接しかも遠隔に土地にかかえておったんではとうてい現在の管理制度においては管理できないということが言えると思う。これはやはり今の特定郵便局の制度を根本的にどうするかということを考えていかなければならない。たとえば県庁所在地の統轄郵便局長に人事権を持たすとか、あるいはまた今の局長会ごとにあるいはまた部会ごとに普通局と同様な管理能力を持たすということを考えていかなければならない。単に二十名のところを管理者を一名ふやしたところで現在とほとんど変わりはない。これは保守党とか革新党とかいうことでなしに、郵政事業という見地から見た場合に、労務行政をいかに遂行していくかということについては、今日やっている労働組合運動がいいとか悪いとかいうことではなしに、特定郵便局を郵政省が統轄していこうという場合には、今のやり方ではほとんど統轄は不可能な状態である。そういうところの問題をなおざりにして、ただ上っつらだけをとにかく糊塗していこうとしたところで行き詰まりがくることは当然である。まして今日のように労働組合の攻勢がかなり場合によっては激しいことになってくると、管理者の一人や二人を増員するというような弥縫策を講ずるよりは、今のような普通局のような労務行政をやるについては、現在の特定局制度ではとうていやり得ない問題である。だからそこになってくると特定局の制度というものを根本的にどうしたらいいかということから考えていかなければ解決がつかぬ問題だと思います。そういう点についても郵政省側としても、おそらくこれは大臣もそういう点については御承知ない、事務当局だけがそういう点については御承知である。しかも事務当局の答弁を聞いていると、とにかくその場その場を言いのがれて糊塗していけばよろしい、ごもっともでございます。ごもっともでございますというようなことで、先へ先へいこうとする、それではちっとも問題は根本的に解決がついていない。だからそういうことを、この次から郵政省としてはもっと親切に、問題の焦点はどこにあるか、むろん羽田委員考え方をすれば、おそらく労働組合が強硬にやったからということにおいての御意見だろうと思う。しかし問題はそれだけでないことははっきりしている。だからそういう問題の原因というものをやはり考えていかなければならない。それから監察局にしても今の荒君のような答弁では、ごもっとものような答弁をしているけれども、今の監察局の機構と人員において、これ以上の労務行政に監察局が手を出す能力は実際問題としてはない。仕事が手一ぱいで、全国一万六千という郵便局を郵政省の設置法にある通りの監察をやっておったのでは、ほとんどそれに手をさかれてしまって、実際問題としては労務問題に手を出すだけの能力がない。そういうふうな現在の実情であるということを監察局あたりはこういう機会に明確にしてもらいたい。元来が監察局というものは、郵政省設置法に基づいて犯罪と被疑事項を調査をし、これをあげて、そうしてその内容については郵政省の各部局にこれを勧告をし、郵政省の各部局がそれを実行に移す、こういうことであります。しかもその監察事項をやるのに手一ぱいというのが今日の監察局の機構ではないか。そこへもう一つ労働問題が起こってきて、あっちへ行け、こっちへ行けと監察局がやられているから、目の回るような忙しさである。そうなると監察局の犯罪事項の調査がなおざりになる、こういう問題になってくるわけであります。郵政省の内部機構、予算の不備、そういう点についても、こういう機会に遠慮なしに一つ答弁をせられたい。こういうことを要望しておいて、これは質問じゃありませんから答弁は要りません。ただし今の点については、将来答弁せられるときには十分に参考にしていただきたい、こう思うわけであります。      ————◇—————
  147. 大上司

    ○大上委員長代理 次に郵便法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。上林山君。
  148. 上林山榮吉

    上林委員 私は、郵便法の一部を改正する法律案、すなわち郵便料金の値上げ案について、政府の所信をただしてみたいと思うのでございます。これに関連して申し上げたいことがたくさんあるのでありますけれども、時間の関係で残念ながらその問題に多く触れることができません。しかしただいま、かねて質問を控えがちにしておられる羽田君から、長野郵政局管内において数年の間に特定局長が三人も自殺をしたという事件を取り上げられたことに対して、私は敬虔な気持でえりを正して拝聴をいたしたわけでございます。  単なる郵便料金の値上げによって郵政事業の運営がうまくいくなどとお考えになってはいないと思いますが、これをめぐって密接な大事な問題がたくさんある。その一つは、何といっても郵政事業に筋金を入れて能率を上げて、国民に奉仕する郵政事業に持っていくためには、やはり信賞必罰ということを厳格に適正に行なっていかなければならぬと思うのであります。私はこれが前提だと思う。いかに予算を組み、法案を整備しても、今言ったような信賞必罰というようなバック・ボーンがないと、とかく人間というものはやすきにつきやすいものでございます。これが人間の弱点です。いかに年をとりましても、いかに環境が違いましても、ほめられれば人はうれしいし、けなされれば人はうれしくないのであります。そういう観点から信賞必罰というものについては、もっと信賞の方も積極的に奨励してよろしい。また罰の方も、これは過酷であってはならないけれども、厳正に行なっていく。すべて郵政事業を国民に奉仕させるのが目的だ、郵政事業を国民に奉仕させるためであるというこの大前提に立つ以上、大臣以下郵政省の幹部諸君は、何をかおそるるところがあろう、何をかちゅうちょするところがあろう、何をか法案の改正、予算の増額を要求するにやぶさかであろう、こういうことにならなければならぬと思うのであります。  そういう意味において、これ以外にも、電電公社関係でかつて私が当委員会で取り上げた電話局長が労働攻勢に耐えかねて首をつって死んだこの事件、今、羽田君が述べた三人の事件、その他にもこれに類似した事件があります。大阪の東成郵便局の集配課長松下茂三さん、この人が三月十一日午前七時ごろ、北区浪花町の自宅寝室で服毒、十二日大阪北逓信病院へ移したが、曾根崎署で調べたところ、上司と家族あてに、管理者として職務を全うすることができないという意味の遺書があった。同課長は勤続四十年、昨年十一月大阪府堺市の浜寺郵便局から転任、その後昨年末から新年にかけての郵便物の滞貨を苦にしていたといい、さる五日にも、今度の全逓の春闘を切り抜ける自信がないと、森岡東成郵便局長あて辞表を出そうとしたといっておる。この事実です。はたして郵政省の幹部の諸君がこの報告を受けておるか、その真相をきわめたか。不幸にして私は、いまだ非公式にでもこの問題をお聞きしていないのでありますが、こういうような事件が次から次に起こってくる。問題は、私は労働問題だけではないと思う。先ほど森本君が言われたように、そのほかの問題もあると思います。しかしながら、私どもが見聞したところにおいては、労働問題においてこういう事件が相次いで起こっておる。人権を尊重しなければならぬ。人権を尊重しなければならぬが、大臣、それより以上に、私は人命の尊重こそは人権の尊重以上であろうと思う。そういうような立場から、郵政事業のその局に当たられる方々は、どっちにも都合のいい答弁をしないで、それこそ一皮も二皮もむいて信賞必罰が適正に行なわれておるかということを考えなければ、幾らつじつまを合わせるために郵便料金の値上げをやってみても、国民に奉仕する郵政事業の建設はできない、こういうように考えるのであります。この私の前提について大臣はどうお考えになるか。あるいはまた私が指摘した大阪の東成郵便局、これは普通局でございますが、この局の問題は事実そうなのか、これは誤り伝えられているのかどうか、こういうものは、決してわれわれに迎合するのでなくて、当委員会を通じて国民にありのままを御報告願っておいた方がいいと考える。まずその前提についてお尋ねいたします。
  149. 小金義照

    ○小金国務大臣 お説の通りでございまして、いかに待遇を改善いたしましても、またいかに局舎その他働く職場環境をよくいたしましても、勤労精神を失った職場というものは空虚なものでありまして、国民へのサービスに徹するということが前提要件であります。従いまして、今回の郵便料金の調整も、著しくコストを割っておるものか、あるいはまた非常に負担力があるのにもかかわらず安い料金であるのか、こういう問題を調整いたしまして、その収入をふやし、そうして待遇の改善、働く環境の整備というようなことに資するつもりでございます。要は、今、上林山さんがおっしゃったような、これをもってできるだけのサービスの向上、本来の使命に徹することが第一前提だと心得ております。  なお、東成郵便局の点につきましては、私よりも人事部長の方が知っておりますので、その方からお答え申し上げます。
  150. 長田裕二

    ○長田説明員 東成郵便局の集配課長松下茂三君の問題について御説明申し上げます。  先ほど先生がお話のように、去年の十一月に赴任したのでございます。当局は去年の夏季闘争の際には十万通をこえる郵便の滞留があったのでありますが、松下課長着任後の年末始におきましては、郵便の滞留も非常に少数でございました。万にまで達しておらないような——達していないからいいというわけではありませんが、比較的少数で済んでおりますし、組合の当局支部も比較的穏健な行き方をしているように郵政局では認識しているようであります。団交の際などに特に非常に強いあるいは脅迫的なような行動などがあったことは認められないということであります。本人の組合員に対する受けもそう悪くなかったし、格別トラブルも起こっていなかったというように認識しているわけでございます。非常に温厚な、温順な、ある意味では気の弱い性格だったようでありまして、その後さらにまたどういうわけで自殺をはかったのか、真の原因はどうかというような面についてまでの調査をぎりぎりまで詰めてはおりません。目下のところその程度でございます。
  151. 上林山榮吉

    上林委員 大阪東成郵便局集配課長松下茂三君の問題は、局も非常に穏健であるし、本人も非常にりっぱな人である、それであるのにどうして自殺をはかったかわからない、こういう答弁でありますが、しかしながらこれは朝日新聞の三月十三日の記事にはっきり出ておるのでございます。この問題はまだ詰めてはおらぬ、こういう答弁があるので私はこれ以上追及しませんが、こういう真相は、遺書まであることを考えますと、滞貨があって、しかも労働攻勢が強いので春闘を切り抜ける自信がない、こういうように本人が遺書を書いておるのをお調べになったのかどうか。そういう事実は全然なかったのか。私はただいまの答弁は肯定も否定もしませんけれども、もう少し真相をきわめるべきだと思います。いずれにいたしましても、信賞必罰ということをもっと良識と勇気とをあわせて考えられて進んでいってもらわなければならぬ、こう私は考えます。具体的に言いますと物心両方面からいわゆる信賞をはからなければなりません。たとえば労働争議によって賃金のカットを受けた、あるいは停職になって、減給になって予算が余った、こうしたような予算は、何らかの建設的な意味を含んで、精勤しているような、よく働くような従業員に対して、法律の改正をやる必要があるなら改正をやらなければならぬが、予算の組み方を変えなければならぬ点があるなら変えなければならぬが、そういうようなものを信賞必罰の具体的な例として今後考えていくべきだ。あるいはまた今規定に従ってあるいは内規に従って一年に幾らずつというふうに昇給させておる、あるいは一部は飛び越えて昇給もさしているようであるが、この飛び越える昇給というものの率をもう少しくらい拡大して、よく働く者には私はもっと待遇の改善をやってよろしい、こういうように考えるのであるが、この二つの問題に対して研究なりあるいは具体的処置をやっておるなりしておる点があるならば承っておきたい。
  152. 長田裕二

    ○長田説明員 一般の昇給のほかに勤務成績の特に優秀な者について昇給の速度を早める、そういうような点につきましては実はかねて事業上からもその必要があるのではないかという考えでおりまして、ことしの二月に組合の方にもそういうことをしようではないかという申し入れをしているわけでございます。まだその問題についての団交なり何なりは持たれる機会がございませんけれども、申し入ればいたしまして、そういう方向へ進んで参りたいと思っているわけであります。ただその程度や、その早める速度等につきましては、昇給原資との関係もございますので、そう十分なわけには参りませんが、ある程度道を開いて進んで参りたいと考えております。
  153. 上林山榮吉

    上林委員 そういう意見が、ある程度じゃなくて相当思い切った処置をとっていいと私は考える。だからそういうような建設的な意図を持って信賞の方をもっと徹底して、信賞の方をもっと徹底すれば必罰の方は少なくて済む場合も出てくる。私はまじめに働く者には働いただけの物心両方面の優遇というものを、いわゆる今までの慣例を少し破ろうかなという程度じゃなくて、もっと根本的な態度で進んでいかなければならぬ、同時に必罰の方も、これは過酷であったり間違った処置はやってはいけないのでありますけれども、調べた上で具体的事実が明らかになったものに対しては自信を持って処置をしていかなければ国民が納得しないですよ。国会はあるいは納得しても国民が納得しない、こういうことになってきますと、郵便料金の値上げをしてけしからぬじゃないか、遅配欠配をしているところに郵便料金の値上げどころか、国民を味方にしなければ、奉仕する郵政事業でなければ私は国民の支持を得ることができない、こういうように考えるので、信賞必罰について今言ったような考えを私は腹の底から申し上げているわけです。  そこで、郵便法の一部を改正する法律案について具体的にお聞きをしたいのでございますが、大臣は提案理由の説明において、今般の料金調整により事業収入の収支の健全化を行ない得るのを一つの契機として、抜本的な対策を確立し、一日も早く郵便遅配を解消する決意を持っておる、こういう意味のことを披瀝されたのでありますが、今も私が一言申し上げたごとく、しかしながら、事実は郵便の遅配欠配に一般国民は悩まされ続けておるわけです。これには予算が足らないとか、人員が足らないとか、近代化が足らないとか、労働争議、そのために時間を食われてあるいは遅配欠配になっておるとか、いろいろの要素があると思いますが、国民の側では、この集配の増加をしてもらうとか、あるいは逓送のスピード・アップをしてもらうとかというようなことも考えておりますけれども、そういうことは第二として、今言ったように郵便が正確に配達されること、あるいは遅配欠配にならないこと、言いかえますと、事業の運行が正常化されなければならぬ。この正常化ということについては、社会党の諸君と私などとは少し感覚が違うわけでございますが、私どもはやっぱり労働争議の影響というものが相当比重が重いと考えておるのであります。こういう際に郵便料金の値上げをやるのでありますから、私の今申し上げました質問に対して、大臣は今の状態で国民の納得を得る御自信があるか。御自信があるならば一つお述べを願いたいし、またそういうようなことに対しては努力をしながら、当面やむを得ず料金の値上げをする、こういうことなのか。私はこの点は大事な大きな問題だと思いますので、お尋ねしておきたいのであります。
  154. 小金義照

    ○小金国務大臣 御承知の通り、郵政事業の支出と申しますか、経費の大部分に近い、七割とか八割というような金額は人件費でございます。従って今しばしば上林山さんが御指摘になったように、人の働くということが大事でありまして、それには管理者としては信賞必罰といいますか、働く意欲を起こさせる、また持ち続けさせることが肝要であります。それは何といっても待遇の改善であります。それから働く環境の整備でありまして、これらが両々相待っていかないと正常運行はできません。そこで今回の値上げは、まさに郵便遅配欠配というわが国郵政事業始まって以来の不信を買っておるのじゃないかという心配さえ抱いておりますその際に値上げをするのでありますから、私どもも非常な決意を持ちまして、かくかくの収入の増加があれば、たとえば今まで積年の問題であった非常勤職員を定員化するとか、あるいは賃金のベース・アップをするとかいうようなことを合わせて今度の法律並びに予算の措置として実現を期したのであります。従ってこの法律案が成立いたしますと収入はふえますから、予算書その他できめた通りの処遇もできることと確信いたしております。そこで私としましては、今の遅配欠配の原因、またその現象を突きとめまして、那辺にそのよって起こってくるところのものがあるかということを見きわめなければならない。それには監察制度もありますし、また労務管理もございますが、要は、今おっしゃったように、監察だとか処罰ではいかぬので、信賞ということが大事でありますから、これらもあわせて考えて参ります。  そこで最近の遅配欠配の原因は、確かに労働争議といいますか、あるいはまた時間内の職場大会というような名目で行なわれる職務の一時的な放擲といいますかストップが相当な原因をいたして一おることも事実であります。私は諸外国の労働争議の現場に立ち会ったことはありませんが、その報告を読み、また外国の実情を聞きましても、勤務時間はともかくもまじめに時間一ぱいやるということは例外がございません。ただ日本の場合、私は短い経験でいろいろなことを調べた結果でありますが、職場大会をやるということになると、前の日からわさわさして仕事が放擲されているという事実もたくさんあります。それからもう一つは、争議ということとかけ離れまして、ごく少数の局でありますが、またその局のごく一部とは思いますけれども、それらの人たちが漫然として仕事に精励されないで、すなわち勤務内容が充実されないということが非常にたくさんあるやに私は承知したのであります。実例を申し上げますと、たとえば中野の郵便局の監察をしてみますと、これはすでに前の日に漏れたそうでありますが、それでもなお無届欠勤だとか、あるいはまたポカ休だとか、あるいはまた常識をはずれた遅刻だとか、そういうものがたくさんあって、これは別段争議とは関係ありませんが、こういうようないわば勤務精神の弛緩からくる現象があります。そこでこの郵便料の値上げを国会で御承認願う以上は、管理者、従業員ともども相戒めてこれをやっていかなければ、今おっしゃる通りに、国民に申しわけないということでは済まされない被害を及ばしてしまいますので、この改正案を機といたしまして相戒めてこの正常化に努力する、そしてこれはしんぼうして努力すれば必ず取り返しがつく、国民に対する信用の回復ができるという確信を私は持っておるのであります。
  155. 上林山榮吉

    上林委員 一応大臣の御意見を承ったのでありますが、提案理由の御説明のときに、郵便の正常化は抜本的に対策を立てていかなければならないということを言っておられるのです。ただいまの御答弁の中にもそれが含まれておりますが、私はこの郵便の正常化の抜本的対策ということについては、これは国民に値上げに協力してもらうという大きな問題でありますから、こういう具体的な対策を立てる方針である、だから今後は遅配欠配等は皆無とまではいかないまでも極度に減少させ得るというように、国民の疑い、国民の不信、国民の批判というものに親切にお答えする意味で、この問題についてもう少しくお聞きしたい。  次に、それと関連いたしまして申し上げたいことは、たとえば値上げした部分の予算をどういう比率でどの事業にどれだけ投資する考えを持っておられますか。これは予算書を見れば一応わかるのでありますが、しかしその投資のいかんによっては正常化を抜本的に具体化することは不可能である、特に遅配欠配というものを極度になくするということは不可能になる、こういうことにもなりますので、私はこの基本的態度を伺っておきたいと思います。
  156. 小金義照

    ○小金国務大臣 抜本的対策と申しますのはただいま申し上げましたような物心両面からの措置でありまして、たとえば新設の大きな局についてはできるだけ機械化する、あるいはまた運送等についてもさらに資金を投じてそのスピード・アップをはかる、いろいろございますが、要はこの郵政事業の中枢部であるところの郵政本省の——私は機構をいじるよりも、むしろ郵政本省が各局に分かれて仕事が縦割りになっておりますけれども、縦割りで自分の仕事以外は知らないというようなことでは困るので、これからの中枢となるべき若い人たちをも含めた総合的な郵政事業の運営並びにその計画等について案を練り、また想を新たにするというような計画も今省内で実行しております。それで、抜本的な施策と申しましても、今冒頭に私が答弁の中で申し上げたように、何分にも経費の八割とかそれに近いものが人件費でありまして、要するに人が働いてくれなければ困る。その心持をどうしてもらうかということが大事で、それは、先ほど御指摘になりましたように、信賞必罰とかあるいは処遇の問題等にかかってくるのであります。この値上げをいたしました経費をどういうふうに使うかということにつきましては、予算で、大体において、設備の改善、その設備というのは、近代化とかあるいは局舎の改築、それから処遇といいますのは、定員の問題あるいはまたその処遇、労働条件の改善というように、この二つに大きく分かれると思いますけれども、この値上げをいたしまして、三十六年度あるいは三十七年度に増収と見込まれるものが幾ら幾らどの方面に回されるかというところにつきましては、今私自身は申し上げるような詳しい数字を記憶いたしませんが、御希望とあれば政府委員から答弁させますけれども、やはり人件費に相当部分が回るのです。従って、それでなおかつ遅配欠配が起こるようなことであっては申しわけない、だから相戒めて、総合的に管理者も第一線の従業員もサービス精神に徹してもらいたい、こういうことでありまして、予算の分け方の大綱につきましては経理局長から御説明いたさせます。
  157. 上林山榮吉

    上林委員 事務当局の答弁を待つまでもなく、大臣の答弁の通り、その値上げの大部分は人件費に使われるのだ。これは、大臣もお述べになりましたように、多いとか少ないとか、はなはだしきは必要以上の遅配欠配をするような労働争議をやる、こういうことをほんとうに冷静に良識を持って従業員諸君がお考えにならなければ、世間で伝えられておるごとく、遅配欠配をして国民に被害を与えながら、政府はそういう人々のために人件費調達のために郵便料金の値上げをしてけしからぬじゃないか、こういう値上げをしたところで、今後も遅配欠配は同じ程度に、場合によってはより以上起こるのではないか、こういうような懸念を正直なところ国民に与えておるのですよ。だから私が男頭に申し上げた通り、法案を幾らいじっても、予算を幾らいじっても、機構の近代化をある程度はかっても、これは一部の解決にはなりましょうけれども、労働者というものが、国民に奉仕する事業、国民にわれわれは奉仕しておるのだという意識に徹底をしない限り、大臣が抜本的正常化をはかるという御決意に対しては私は賛成ではございますけれども、なかなか実現不可能である。だから議会答弁に終わらないで、省内のセクショナリズムにわずらわされないで、大臣の御答弁の通り、総合的にどの局のことも首脳部の諸君はよほど知っていなければならない。これは予算や人員の関係でいろいろな事情のあることも私は知っております。郵政局長が自分の所管の普通郵便局を全部知っていないのです。私も一緒に歩いたことがありますが、普通局にはまだ半分しか行っていない。特定局においてはまだ十分の一かそこらしか行っていない、こういう事情にあるのですね。だから総合的に各局が考えて協力をしていかなければ遅配欠配を縮小をしていくことはできない、こういうように私は考えるのです。そこで、今度の値上げの平均率を見てみますと、約一九・六%の値上がりのようでございます。三十六年度分は御承知の通り六十七億一千五百万円、平年度に換算すると約八十九億円になるようでございますが、この大部分は、今大臣のお述べの通り人件費に食われる。しかし世間の一部では、一方郵便料金の値上げは反対、いわゆる従業員の待遇は改善せよというわけで、どちらを向いてもいい子になろうとする方面もなきにしもあらずという現況である。郵政事業というものを真に国民に奉仕するための郵政事業に持っていくためには、そうしたようなどちらを向いても都合のいいような考え方というものはあり得ないのでございますから、郵政省としては、今申し上げました通り、料金は安いにしくはないのであるが、やむを得ずこうして上げるのだ、そのかわり遅配欠配はなくしなければならぬ、従業員の諸君も良識を持って一つ奉仕してほしい、こういう立場で進んでいってもらわなければならぬのでありますが、この、平年度において八十九億円、あるいは三十六年度において六十七億一千五百万円、大臣、これだけの値上げで、物価にはね返る率を一体幾らと見ておられますか。
  158. 小金義照

    ○小金国務大臣 郵政省で計算はいたしませんでしたが、これは政府としては経済企画庁で生計費その他に関連していろいろな公共料金の値上げ問題を研究いたしておりますので、経済企画庁に頼みましたところが、この程度、特に第一種、第二種を動かさない場合には生計費には全然数字が出てこない、影響がないということでございます。
  159. 上林山榮吉

    上林委員 生計費に大きな影響がない、あるいは見ようによっては全然影響がないというふうに企画庁が言っているから、郵政省としてはその方針に従って、この程度ならばよかろうというめどを立てたのであるということですが、私は一応その通り了承しておきたいと思いますが、ただ国民感情は、遅配欠配など不必要な摩擦があるために、さっき言ったように、郵便料金を上げるとは何ぞやというふうになってくるのでありますから、生計費にはね返る率がそういう程度であるということは、これは一つの見方であって、こういう点もまた国民にPRする必要があるのではなかろうか、こういうふうに私は考えるのであります。  そこで、郵便物は非常に増加している、ひいて近代化もはかり、ないし人員もふやしていき、あるいは待遇の改善もやっていかなければならぬ、こういうことになりますと、ただいまのこの値上げの率は一体何年間くらいこれをキープしていけるか、いわゆる郵政事業の収支のバランスは何年くらいこれを適当と見て続けられるか、三年間なのか五年間なのか、とても五年以上などというふうには言えなかろう。今までは十年間郵便料金を、低いままに、でこぼこのままにこれを放置してあった、そこで適切な改正をこの程度にやるのだ、しかしこれは一体何年続くとごらんになりますか、これをまず国民としても聞きたいところだろうと思います。こうやっておいて、また一、二年したらあるいは三年くらいしたら、また値上げするのではなかろうかというような懸念も一部にあります。私も懸念を持つわけでありますが、そういう懸念はないのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  160. 小金義照

    ○小金国務大臣 郵政事業のごときは特別会計でございますから、収支相償うように打ち立てていかなければなりませんので、今、上林山さんのおっしゃった見通しは非常に大事でありまして、赤字ができたから、できそうだから他会計から簡単に埋められるというものではありません。一般会計からもこれはもらえるものではございませんので、その見通しをつけるにつきまして、大体私どもは最小限度五年くらいの安定は保ちたいということで、いろいろな諸般の準備と計算をいたしましたが、実は本年の三月の終わりに出た賃金の仲裁裁定等が相当大幅でありましたので、また詳しく再計算をしなければいかぬと思っておりますが、ただいまのところでは、一応三年ないし五年、まあ大体五年くらいは安定しておる、安定する見込みである、こういうふうに見ております。けれども、郵便料金は、郵便物の利用の増減によりましてある程度コストが下がるものですから、どういうふうに今後変化していきますか、その点はほんとうの見通しが大きな要素をなすと思います。しかし最近の模様では、第五種が非常にふえましたので、その第五種が第一種、第二種の郵便物を圧倒するような数になっておるのじゃないか、これらの新しい料金がどういうふうに反映していきますか、まだ的確な予想はつきませんけれども、数字の具体的な検討につきましては、郵務局長経理局長が当たっておりますので、御要求がありますれば、見通しは、数字的にはその方から述べさしていただきます。
  161. 上林山榮吉

    上林委員 この料金改定のままで五年間くらいは持ち続けられるものと考える、こういう大臣の答弁でありますが、事務当局として、具体的にそれを裏づける大まかなところだけを説明してもらいたいと思います。
  162. 佐方信博

    ○佐方政府委員 今度の値上げによって何年持つかということにつきましては、大きな前提が二つあると思います。一つは、今後の経費の増で、一番大きな問題は、いわゆる仲裁裁定といいますか、ベース・アップをどう見ていくかという問題、もう一つは、歳入の見方をどう見ていくかというこの二つの歳入、歳出面の大きな問題であると思います。実はこの法案を最初にきめまして予算を組みましたときには、過去の収入を見込みまして、その線を伸ばしていったわけであります。その場合には、大体五年間は持つということでおりましたが、御承知のようにべース・アップがはっきりしていなかった。今度はっきり仲裁裁定がありましたので、仲裁裁定は郵政関係で四十八億持たなければならぬ。全体として仲裁裁定は百七億でありますが、そのうち、その他の会計からもらえますが、四十八億要しなければならぬ。そういうふうにいたしますと、その分は一応本年度は何とかまかないをする。しかしこれからの昇給といいますか、仲裁裁定をどう見ていくかということになりまして、いわゆる定期昇給だけを見ていって、非常に大きな変動というか、裁定がなければ、これは当然五年間持つ、しかし過去の五年間にありましたような八%程度のものになって参りますと、これは大体三年くらいしか持たないのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  163. 上林山榮吉

    上林委員 このまま質問を具体的に続ければ、あと一時間か二時間なければならぬので遠慮しますが、経理局長としても、まことに苦しい御答弁のようでございます。それは政府とわれわれ国会と立場があるから、それぞれ言いにくいこともあられると思うけれども、そんな遠慮は要らぬので、もっと一皮むいてざっくばらんに御答弁があった方がいいのではないかと私は考えるわけですけれども、これはお互い自由だから強制するわけにはいかないが、今、大臣は、このままで五年間は持ち続けられると思う、改正しなくてもいいと思う——しかしあなたは、二つの前提がある、一つは、一体収入がどうなっていくか、仲裁裁定の幅なりその財源なりがどうなっていくか、そうしたものによって違ってくる、もしそういうことになれば三年しか持たない、三年後にはまた足らなくなって、赤字の解消のために、特別会計の性質上値上げなどをやらなければならぬかもしれない、これも含んでいることになるわけですが、それならば、三年ないしは五年間は値上げをしないでも、この料金のままでいけるんだ、こういうことで、事務当局と大臣の間で、ほんとうにそういうふうにお考えになっているのであれば、われわれも感覚を変えてこの法案の処置をしなければならぬのです。しかしながら大臣の言われた五年が三年に、そんな事情の変化があればという前提のもとにくずれるのだ、こういうことでありますから、われわれはもっと突き進んでお話を聞きたいのです。しかしあまり深追いはやめましょう。仲裁裁定はもう出たじゃありませんか。同時にまた大臣は、仲裁裁定及びそれに関連して年度末の手当というような新しい支出の増加も考えておられるようです。そういうことになると、これは財源に不安があるのではないか。三年のものも場合によっては二年でやらなければならぬ。そうなると、国民は一、二年前に上げてまた上げるのか、こういうことになって、遅配欠配は、これがなくなることを私は期待しているけれども、実は今日の労働争議の行き方から見れば、必ずしも自信がない、そういうことを考えると、私はここは大事なところだと思うのですが、郵政省としてここで言えない苦しさがあるのか、あるいはあっさり言っていいのか、言いたいととがあるのだけれども遠慮している程度のものか、この点大臣からでも事務当局からでも——大臣は今五年間は持ち続けられると言ったが、経理局長は仲裁裁定あるいは収支のバランスの点から三年だ、こう言っておる。二年間のギャップがここでみんなが聞いておる前で出てしまった。出てしまった以上はこれを処理しなければならぬ。それについてのお話を聞いておきたいと思います。
  164. 佐方信博

    ○佐方政府委員 先ほど申しましたように、三十六年度につきましては仲裁裁定が出たことは御承知の通りでございます。これにつきましては、仲裁裁定に従わなければならないので、優先的にこれを見ていかなければならぬ。とにかく収入の方も上げますし、またいろいろなことをして、どうしても実行しなければならない。将来それではことしの裁定を基礎にいたしまして、この料金改定をもとにして何年持つかということにつきましては、これ以上非常に大幅なベース・アップがなければ、おっしゃる通り五年は持つと思います。しかし来年以降、過去の五年間にあったような非常に大きな変動率が出て参りますと、五年間はちょっとむずかしかろうということで、最初に申し上げましたように、歳出の面では今後非常に大きな一般の昇給といいますか、給与の改定が行なわれるかもしれないと見ているわけでありますから、二つに分けましてお答え申し上げた次第でございます。
  165. 小金義照

    ○小金国務大臣 私も実は三年ないし五年で、大体五年持たしたい、また持たすように運営したいという意味を申し上げたので、実は今御指摘になりました、異例の年度末の手当を〇・四カ月出すということにきめました。ところが年度末には金がないので、年度を越しましてこれを何らかの形で負担しなければならぬというようなことが起こりまして、これは先年度から今年度にまたがる経過的な問題でありますが、実は財源の方からいいますと、上林山先生の御指摘のように、苦しいことは苦しいと私ははっきり申し上げました。ただ問題は、争議や何かで郵便が信用を失墜して、国民からあいそをつかされるというようなことでは大へんなものですから、ぜひこれを回復することによって、郵便を信頼してもらって、振替なり、貯金なり、あるいはまた各種の郵便物の御利用を増加していただければ大へんしあわせだ、こういうふうに考えております。
  166. 上林山榮吉

    上林委員 大臣が半ば正直に苦衷をお訴えになったので、私は質問も控え目にいたしたいと思いますが、大事なポイントだけは立場上申し上げなければならぬので質疑を続けますが、その第一点は、われわれは法律案を見た場合、どういうわけで七月一日からこれを実施する、こういうふうにしたのだろうか、実は不思議でならなかった。なるほど聞くところによれば準備期間というのも必要であるから、一カ月くらいこれを延ばして五月一日から実施する、こういうように法律の体裁からいって——どもも十五年議席を持っておりますから、いろいろな法律を作りました。そういうような関係で、大ていの場合は、予算を伴う法律案というものは大体四月一日から実施する、特殊事情のあるものも多少ずらしてこれを実施する、こういう程度のものであって、郵政当局のように七月一日からという例はほかにもないではないけれども、そうたくさんはない、こういうように考えておるのであります。質問する前に一から十まで私は法律案を全部調べたわけじゃないけれども、大体そういうふうに見ております。なぜそれならば七月一日にしたか。先ほど言うように、五年間は料金を上げなくてもよろしい、仲裁裁定があっても、その他のいろいろな事情があっても、上げなくてもよろしい、こういう意味で最初はお組みになったのだと思います。七月一日にした理由、これは今三年は持てる。五年は持てるというから、われわれは七月一日についてはあまりこだわる必要はないと思っております。思っておりますが、場合によっては、われわれとしては国会の立場からも考えなければならぬ点でありますので、これをお聞きしておきたいと思います。
  167. 小金義照

    ○小金国務大臣 まことに大事な点についての御質問でありまして、私は公共料金はやはり年度がわりの初めから上げられるものならば上げる、下げられるものならば下げるというのが一番いいと思いまして、当初考えておりました。これはお手元に配ってあるかどうかわかりませんが、郵便法の一部を改正する法律案要綱というのを作りましたときには、実は一から十一まで掲げて、午前中郵務局長説明いたしました事項でありますが、その終わりの十一に、施行期日については昭和三十六年月日とする。月も日も入っておりません。これは私は四月一日を希望いたしましたが、御承知の通り今度の郵便料金の調整は、小包を政令に譲ったりなんかします関係で、相当広範な項目に分かれておりまして、周知期間が相当要るだろうというので、四月一日を私は無理に強調しなかったのでありますが、気持は四月一日、あるいは今御指摘のような五月一日から施行いたしたかったのでありますが、予算の編成と法案の準備途上におきまして、周知期間も必要であるし、特別のこれはという急いで支出するようなこともないというような見解からだと思いますけれども、三カ月ずれて七月一日ということに原案ではなりましたので、私も原案が一応そうきまりましたから、そのままで提出いたしましたが、私の方の処遇の改善、また設備の改善、更新というような見地から参りますと、これは周知期間さえあればできるだけ早いことを私は希望する次第であります。
  168. 上林山榮吉

    上林委員 気持においては四月一日あるいは五月一日ということを考えたけれども、周知期間あるいは準備等の都合で七月一日にやむを得ずしたのだ、それでもしかし五年間は持てるつもりである、経理局長は三年間はそれでも持てるつもりである、料金値上げをしないでも済むはずである、こういうのでございますが、それであれば何をか言わんやですが、少し郵政事業に理解を持つ者からすれば、それは苦しいだろう。苦しいのだったら、一つ政府側から、郵政当局から法案の修正をして出すか、あるいはまた、これは政府当局、国会という一応の区別はあるけれども、国民に奉仕するための郵政事業をできるだけりっぱにしていかなければならぬという考え方は同じですから、われわれ国会の方で場合によっては修正をする。これは仮定の問題であって答えられないといえばそれでもいいのでございますが、もし国会において、たとえば六月一日に繰り上げて財源の確保というものをはかろう、こういう意思があった場合は、郵政大臣としてはわれわれの意思気持よく従うというと語弊がありますけれども、われわれの修正に応ずる——これは応じなくても、国会は当然修正権を持っているわけですけれども、そういうむずかしいことをお互いに言わないで、そういう場合に修正に気持よく応ずる、こういうお考えがあるかどうか。あるいはもうそういう必要がないから、このままでいい。必要があるのだから、われわれの方で法案の修正した分をあとから追加して、それぞれの手続を経て審議に間に合うように出しましょう。どちらでもいいのでありますが、一つ的確な御答弁を伺って、参考にいたしたいと思います。
  169. 小金義照

    ○小金国務大臣 大へん御理解のあるお言葉で、まことにありがたく私は拝聴いたしましたが、実は今度の改正案といいますか、料金の調整につきましては、小包は別といたしまして、非常に大きな問題の一つが第五種の郵便物であります。これは大体負担力の大きな人が利用される現状等から考えまして、ただいま申し上げましたように、周知のことさえ心配がないということならば、国会審議の過程におきまして、適当に早く施行してもいいのじゃないかという御意見なれば、私はもちろんその国会の御意思に従うつもりでございます。
  170. 上林山榮吉

    上林委員 大臣は、国会の修正があったらそれに応ずるつもりだ、ただし周知期間がどうだろうか、こういう話でありますが、もし六月一日とした場合に、周知期間に支障を来たすのか、来たさぬのか、準備に支障を来たすのか、来たさぬのか、事務当局から補充的に答舟願いたいと思います。
  171. 板野學

    ○板野政府委員 先ほど大臣から御答弁ございましたように、今度の法案の改正は、相当基本的な点もございまするので、当初相当の周知の余裕期間を持っておったのでございまするが、その後私どもとして、いろいろこの案を説明いたす間におきまして、相当国民の間にも、こういう点は了解されてきておるというふうに考えておりまするので、もし国会で六月一日等に御修正がありました場合におきましても、周知の面には十分自信を持ってやれるというふうに考えておる次第でございます。
  172. 上林山榮吉

    上林委員 時間の関係で飛び飛びに、具体的に二、三の問題をさらにお伺いしたいのでありますが、ただいまの問題は大事な問題で、当局の立場もわかりましたが、われわれはわれわれ独自の立場から、同僚諸君と語り合って、しかるべき処置を講じたいと思います。  その次に伺っておきたいことは、今度の料金値上げは、大体コスト割れのものを中心としてやっておられるようでございますが、料金収入と取り扱い原価について、第一種から第五種まで比較して、これは国民にも知ってもらう意味で聞きたかったのでありますが、これは省略して、適当な機会にお尋ねいたします。  次に、ぜひ聞いておかなければなりませんことは、わが国の第三種郵便物に相当する新聞雑誌、これは諸外国ではどういう取り扱いを受けておるか、どういう保護なりあるいは便宜なりを与えられておるか、諸外国の例を、審議の参考に承りたいと思います。
  173. 板野學

    ○板野政府委員 ここにただいま詳細な数字を持っておりませんが、大体日本と同じように、諸外国でも、いわゆる政策的に低料の扱いを受けておりまするが、ただ日本と比べまして、一種、二種と、例の日本でいう三種との料金の割合につきましては、日本の方がよほど割合が低く、諸外国ではこの割合がかなり高くなっておるわけでございます。たとえて申しますと、イギリスにおきましては、第一種が、大体日本の円にいたしまして十二円六十銭ということになっておるわけでございますが、これが新聞紙等の発行人が差し出すものにつきましては十円五十銭。アメリカにおきましては、書状二十グラムのものが十四円四十銭でございますが、新聞等につきましては八円七十一銭。スイスにおきましては、十六円六十四銭が書状でございますが、新聞等は少し安うございまして二円四十八銭。ドイツは書状十七円十四銭に対しまして八円五十七銭。こういうふうな料金になっておりまして、一般に、いわゆる日本の三種に相当する新聞の、一種に対する率は日本より少し高い、こういうふうな状況になっている次第であります。
  174. 上林山榮吉

    上林委員 第三種郵便物に対する諸外国の取り扱いの現状を、一つ資料にしてお出しを願いたいと思います。  次に、第三種及び第五種は、言うまでもなくコスト割れになっており、非常に赤字を出しておるわけでありますが、現行料金のままでいった場合、一年間にどれくらいの赤字になっておるか、これを承知したいのでございます。
  175. 板野學

    ○板野政府委員 現行料金のままで参りました場合は、大体四十億見当の赤字が出る予定でございます。
  176. 上林山榮吉

    上林委員 さらに純粋な学術の出版物のようなもの、学問、知識の啓発、文化の向上の手段として使われておるような出版物といいますか、雑誌といいますか、こういうものの扱いを、営利を目的とするところの、あるいはダイレクト・メールのようなものと同じ扱いをしていいとお考えになっておるか。法案を直訳すれば、そういうふうにも見られるわけですが、こういうものについては別途に保護を加える必要がある、こういうようにお考えになって、何か特別の処置をされようと考えておるかどうか。私の意見をもってすれば、純粋の学術出版物に対しては、これはほかの営利を目的とするような、ダイレクト・メールとは違った扱いを郵政省は自発的にされた方がいいのではなかろうかと考える。話を聞きますと、これが非常に高くついて、支障を来たしておるという意見もあちこちにあるわけでありますが、こうしたような問題は、私はあまりとらわれないで、それぞれの結論をお出しになることがいいじゃないか、こういうふうに考えておるのでございますが、これに対する所見を伺っておきたいと思います。
  177. 板野學

    ○板野政府委員 お答え申し上げます。大体出版物の中で、学術雑誌等につきましては、これが一ヵ月に一回、定期刊行されるものにつきましては、三種の低料金以外の料金で扱われておるわけでございます。従いまして、こういうものは今度の料金の値上げによりましての影響は少ない。ただ学術上の出版物で、定期でございましても、年に四回というようなものにつきましては、現在は五種として扱われておりますし、今度の改正案によりますと、従来の重量百グラム刻みが五十グラム刻みになりますので、かなりの影響を受けると思います。ただし、現在このような出版物につきましては、普通は鉄道でもって各地方の書店に送りましてそこで大体購買されておるというような現状でございまして、郵送される分は割合少ないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら学術等の出版物につきましてはいろいろ政策的にも考慮する必要があるとは考えておる次第でございまするけれども、しからばこれを、一体学術とは何か、どういうものが学術的な出版物であるかという点になりますと、非常に判別が困難でございまするし、また学術出版物と同等の重要性を持っておる他の郵便物もいろいろございまして、にわかにこの種別をどうするかという問題になりますると相当の研究もいたさないと、また現在の第三種の認定のように非常にむずかしい問題がそこにあるわけでございます。私どもといたしましては、ただいまの御趣旨を体しまして今後検討させていただきたい、ただいまのところなかなか結論が出にくい、こういうように考えておる次第でございます。
  178. 上林山榮吉

    上林委員 それは基準の判定は御説明のように相当むずかしいと思います。むずかしいからこれはほっておくというのでは不親切であります。だから純粋の学術的な出版物というものの基準は、あなた方の方でそれぞれの方面と協議して、あるいは研究されて善処していいのでありますから、ただむずかしいからできません、こういう言い方はちょっと不親切だと思いますので、これもこれ以上追及しませんが、各方面と御相談になって、こういうものまで割合が高くつくような料金の値上げというものは、大きく一言えば文化国家の建設をやっていかなければならぬわれわれとしては何となく不親切である。一面あの点字などを無料にされた、こういう政策的な立場からああいう扱いをされたのは私は非常によかったと思う。それと同時に両々相待って、こういうような方面にもやはり思いをこまかくしていくという考え方を徹底してほしいと私は強く要望する、こういう意味でこの問題はこれでおきます。  そこで、郵政当局がどちらかといえば今度はわれわれは相当思い切ったことをいたしましたよという一つのものに、郵便の受箱の設置がございます。これは日本の生活環境、ことに高層建築というものが都会においてはふえつつあるわけでございますので、これに対処せられる態度はいいと思います。これは賛成でありますが、ただ三階建の場合、一階と二階はどうなるのか。一階と二階はやはり受箱の義務設置を強要される形になるのかならないのか。これは今後の扱いとして注意しておかなければならぬ点だと思います。もし高層建築であって三階以上の場合は義務設置であるが、一、二階も義務設置ということになれば、普通は二階の場合は義務設置にならないわけでありますから一体どうなるか、不公平じゃないかというそしりはないかどうか、この辺の説明をしておいてもらいたいと思います。
  179. 板野學

    ○板野政府委員 三以上の階数にわたる建築物に郵便受箱を設置するということになる次第でございまして、この点につきましてはこれが一般の二階までの建物との間に公平を欠くではないかといういろいろな問題もございましたけれども、この高層アパート等に対する郵便配達が非常に労力が要る。将来こういう建物がどんどんふえて参りますと、相当な人員、施設等も必要でございまして、これがひいては郵便料金に相当影響を与える、こういうような観点からいたしまして、この際に利用者の各位に協力を願いましてこのような措置をいたしたいということにいたしておるわけでございます。  しからば三以上の階数の建物につきまして、一階、二階をどうするかというような点でございますが、私どもといたしましては、諸外国等のいろいろな例もございますので、この機会には二階までの人は一階に受箱を置いて、そうして取りに行っていただくということにしたならばいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、一階の方はそれぞれ受箱を設置することによりましてそこに配達していい、一見これは普通の人家につきましては二階まで配達するということにしますので、やはりこういう三以上の建物につきましても、二階までを配達したらどうであろうかということにもなる次第でございまするけれども、同一の建物の中で二階の入口に三階の人が受箱を置かなければならぬ、二階の人は配達してもらえるというような同一の建物の中におきまする公平の観念もございますし、また将来こういう建物が建つようになりますと、やはりこういう機会に二階以上の方に一階までおりてきていただくということの方が、郵便事業にとりましても非常に経費の節約の面にもなるというふうにただいまのところ考えておる次第でございます。
  180. 上林山榮吉

    上林委員 時間の関係がございますのでこれで終わりますが、ただいまのあなたの答弁は実は満足していないのです。次の機会にその問題はまた聞きますが、劈頭に郵政大臣に申し上げた通り、あなたの立場もほんとうに私はつらい立場だと思います。与党のわれわれの意見も聞かなければならぬし、社会党の意見もいい意見に対してはまた耳を傾けなければならぬし、帰ればまた事務当局ともいろいろ折衝、思想統一もしなければならぬし、一方にはまた全逓その他いろいろなものをかかえて非常に御苦労だと思います。思いますが、私が最初申し上げた通り、こういういかなる法案をあなたがお出しになっても、いかなる予算をお組みになっても、それはそれだけの効果はございますが、それだけで郵政事業というものがうまくいくと考えておられた日には、これは絶対に解決にならないのだ、この点だけは一ついい意味における信賞必罰というものを今後徹底していくんだ、これは決して私の八百長の質問ではなくして、かねてから真剣に私はそう考えておる。この点は一つあなたの意見が省内に、あるいは電電公社に的確に反映するように私は最後に希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  181. 大上司

    ○大上委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会いたします。  なお当日は、郵便法の一部を改正する法律案につき、参考人六名を招致いたしまして、意見を聴取することになっておりますので、委員各位におかれましては、時間厳守の上、御出席下さるようお願いいたします。  これにて散会いたします。    午後五時三十分散会