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1961-02-08 第38回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月八日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 山手 滿男君    理事 秋田 大助君 理事 大上  司君    理事 佐藤洋之助君 理事 廣瀬 正雄君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 栗原 俊夫君    理事 森本  靖君       大高  康君    大森 玉木君       上林榮吉君    椎熊 三郎君       寺島隆太郎君   橋本登美三郎君       下平 正一君    山本 幸一君       受田 新吉君    谷口善太郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小金 義照君  出席政府委員         郵政政務次官  森山 欽司君         郵政事務官         (大臣官房長) 荒卷伊勢雄君         郵政事務官         (監察局長)  莊   宏君         郵政事務官         (郵務局長)  板野  學君         郵政事務官        (電波監理局長) 西崎 太郎君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    溝上  銈君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   田辺 義敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         編成局長)   島浦 精二君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 二月七日  委員飯塚定輔君及び大柴滋夫辞任につき、そ  の補欠として羽田武嗣郎君及び原茂君が議長の  指名委員に選任された。 同 日  委員原茂辞任につき、その補欠として大柴滋  夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月六日  有線放送電話整備普及等に関する請願(原茂  君紹介)(第一九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件      ――――◇―――――
  2. 山手滿男

    山手委員長 これより会議を開きます。  郵政事業郵政監察電気通信並びに電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  放送に関する件について、本日の委員会日本放送協会会長溝上銈君専務理事前田義徳君、専務理事田辺義敏君、専務理事小野吉郎君、経理局長春日由三君、編成局長島浦精二君を参考人として出席を求め、意見を聴取することといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山手滿男

    山手委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  上林榮吉君。
  4. 上林山榮吉

    上林委員 私は、昭和三十六年度所管事項について郵政大臣から説明を承りましたので、これに関連して、数点についてお伺いをいたしたいと思います。  言うまでもなく、郵政大臣は、郵政大臣であると同時に国務大臣であられるわけでございますから、それぞれ時によりお立場の苦しくなる点もあるだろうと想像するのでありますが、私の考えをもってすれば、郵政大臣七分、国務大臣三分、こういうふうに割り切れないだろうけれども、こういう気持郵政事業に情熱を打ち込んでいただきたいと考えるものであります。  そういうような観点から、まず第一にお伺いいたしたいことは、郵便貯金利子引き下げの問題です。金利は、言うまでもなく、できるだけ国際水準に近づけていかなければならぬ。これは大前提です。その次には、言うまでもなく国内のほかの金利というものとの均衡、こういうことを考えなければならぬ。第三には、その中にあって、郵政事業から考え貯金金利引き下げというのは、どの程度であるべきかということを考えていかなければならぬと思いますが、私はこの三つの観点から考えて、郵政省新聞その他に発表しておられる通り貯金金利引き下げは、はたして妥当であるかどうかということは、少しばかり疑問があります。大体あれでいいだろう。しかし、その中に一、二疑問があるわけであります。  大体、銀行預金郵便貯金金利引き下げ比較表を見てみますと、一年ものでわずかに郵政省のものが〇・〇五すなわち五毛いいということになるようでございます。私の計算にして間違いがなければ大体その程度になる。それは一年ものだけに見られる通りでありまして、ただ、通常貯金金利銀行預金比較してよろしい、この点だけであろうと思いますが、しかし、銀行預金の集めた使途郵便貯金で集めた使途、いわゆる国民にはね返っていく大きな利益というものは、これは比較になりません。いわゆる公共事業その他の事業財政資金として集めて使われていくわけなんです。しかも、集める階層は言うまでもなく、これは大資本家じゃない。いわゆる一般庶民一般国民貯金をしておるわけでございますので、ここに私は郵政事業というものを将来どういうふうに持っていくかという一つ良心的な――ただ周囲のつき合いとか振り合いとかということだけじゃなしに、これも大事ですが、それと並行して考えていかなきゃならぬ点は、この辺にあるんじゃないか、こう思うのでございますが、これに対する大臣の、それこそ郵政大臣七分というような気持での御答弁を明確にお願いしたいと思います。
  5. 小金義照

    小金国務大臣 まことに御意見もっともであると私は思います。大前提である国際金利へのさや寄せ国内金利一般情勢等をも勘案いたしまして郵便貯金利息の上げ下げが今まで行なわれてきておりますけれども、これは私の知る範囲では、ここ数十年来銀行預金とともに上下されておるようでございます。で、今回の郵便貯金金利引き下げにつきましても、事務当局その他、いろいろ研究いたさせまして、大体大蔵省と相談の結果、私どももこの程度ならと認めたのが今上林山委員が御指摘になった点でありまして、一般貯金と、これは三分六厘でございますから、まあ相当いいと思いますが、定期ものについては今のような議論も出しまして、われわれの立場から主張もいたしました。けれども、在来の、今日まで長い間の銀行金利その他とのつり合い――つり合いはつり合いとして郵便貯金本来の公共的な使命を考えなきゃいかぬと今仰せになりましたが、その通りでございまして、多少私ども措置について御不満はあるかとも存じますけれども、大局的に見てこの程度でよろしいんではないか、こういうふうに考えまして、特に一年定期というのをあらためて設置いたしまして、これも年利四分九厘五毛ぐらいになるということでありましたが、これは五分にまで引き上げて、一年定期設置するというような方法もとりまして、銀行にない庶民的な金融貯蓄の機関としての機能を発揮していきたい、こう考えております。
  6. 上林山榮吉

    上林委員 私の意見をもってすれば、郵便貯金をする階層は言うまでもなく庶民階級だ。それから集めた金は国民にはね返って公共事業その他の事業に有意義に使っている財政資金になるのだ。同時に、庶民大衆というものは、その行き来の交際の実情からいたしまして、郵便貯金というものは国家が経営しているのだから銀行よりも安心なんだ、そして利子も少しばかり銀行に比べてよいのだ、だから、銀行に持っていくよりも郵便局に持って行こう。ことに今大臣がお述べになった通り農村地帯などにおいては、あるいは小さな町においては、庶民大衆としてはそういう傾向が強いわけなんです。だから、政治の方向というものは振り合い考えなければならぬが、若干ほかの金利より高くても決してふつり合いではない。ふつり合いということを私はあえて申し上げるわけなんです。というのは、いろいろと計算してみますと、公共事業に貢献しておる点などから考えてみて、これは安いものを集めて、そして国民のためにこれを使っているわけなんですから、良心的に考えても金利は今おきめになった金利より少しばかり――私は同じ与党でございますからそんなにひどいことは考えておりませんが、どういう点から考えてみてももう少しばかりお考えになったって悪いことはなかったではないか、こういうように考えますから、今後そういうようなお考えで是正できる機会に是正をしていただきたい。まだ法案はここに出ておりませんから、少しばかりでも是正することができるならば是正して、いわゆる政府を信頼する国民期待におこたえになることが郵政大臣として当然である。国務大臣としてはお困りになる点もあろうが、そこに一つ大臣の御奮闘を私は要望しておきたいのであります。  引き続いて特に重要な点は、もし新しい法案が出て金利がきまった場合、今までの契約者といいますか、預金者といいますか、そういうものに遡及して及ぼす考えなのか、それとも、これは憲法の条章精神考えてみても、あるいは郵便貯金法条章を読んでみても、新しい制度の改正によってどちらにした方がよいだろうかという問題は、利益あるごとく判断をしていくということが、これはもう東西古今法律常識なんです。だから、そういうような考えから見まして、旧契約者は旧契約利子を受けるべきである。これは大蔵省が何と言おうと、あるいは内閣がどういうお考えを持っていようと、郵政大臣としては自信を持って御善処願わなければならぬ点だと思います。これに対する大臣お答えを願っておきたい。
  7. 小金義照

    小金国務大臣 まことにごもっともなお考えで、私も同感でございまして、その線に沿って努力をいたしております。まず私は、それは国家が約束して、貯金しなさい、これこれの間の利息はこうだということを明言しておりますから、これは私は破るわけにはいかないという考えを持っております。
  8. 上林山榮吉

    上林委員 これには大蔵省その他の方面の希望もいろいろあるだろうと思います。しかし、郵政大臣としては、貯金法によれば十年間は大体旧金利でいくようになっておるわけでありますから、これを政治的妥協といいましょうか、法律を越えた政治的妥協などという名前のもとに、私は、旧預金者に対して不利益を与えるような取り扱いは、今後財政資金を堅実に集め、庶民の心を心とするという意味からも再び申し上げるわけですが、これは一つ強く御主張下さるように要望をいたしておきたいと思います。場合によっては法案を出す場合に、そういう問題が解決できない場合は、当分おれは改正法律案は出さぬぞというくらいの御決意を私は願っておきたい。これが私の貯金金利に対する質問でございます。これはあるいは大臣として言いにくいかもしれぬが、そういうような大事な問題が未解決の場合は、法案は急いで出しませんというくらいのお答えはいかがですか。
  9. 小金義照

    小金国務大臣 法律案を出さないというよりも、むしろ今仰せのような方針に従って早くまとめよう、こういうふうに考えております。
  10. 上林山榮吉

    上林委員 小金郵政大臣良心と手腕に私は期待を申し上げて、この点はこの程度で打ち切りたいと思います。  その次に私がお尋ねいたしたいことは、郵政大臣、あなたはそういう方ではないから率直な答弁ができると思いますが、たとえば衆議院の選挙なり参議院の選挙なり、こういうときに郵政大臣は、その所管事務に関連して世間から誤解を受けるような設置の認可なり、あるいは昇格なり、そうしたようなものはおやりにならない、これは一般論常識論としてこう思いますが、選挙直前あるいは選挙最中に、急がぬでもいいような問題をことさらに急いで、郵政事業関係のない特定候補者利益を与えるような、あるいはまたそういう宣伝大臣みずからがするような方ではないと思いますが、今後の行政運営という点からどういうお考えを持っておられますか。
  11. 小金義照

    小金国務大臣 今御指摘のような場合には特に慎重に処すべきでありまして、これは国民、ことに郵政行政等につきましては、その地域的な全体の利益考えてやるべきものでありまして、誤解を招くような行政処置責任の地位にある者はやるべきものではないと確信いたしております。
  12. 上林山榮吉

    上林委員 もちろんそうあるべきであると私は考えますが、昭和三十五年十月二十日に、地域のことを申し上げて恐縮だけれども、従来私が善意を持って協力中の鹿児島県の指宿の摺ケ浜、田尻、粟ケ窪の三簡易局特定局昇格させたのですが、これは選挙告示直前ですね、こういうようなところを、政略的にことさらに決定した。そしてこれをネタにして、当該大臣がその地方に行って、特定候補のためにこれに関連した非常識な演説をした。こういうことは今後大臣ともなられるような方々はもう少し良心的に善処していくべきものだと私は思う。また、この一覧表を見ると、そういう懸念のものが二、三ほかの県にありますが、これは遠慮申し上げますけれども、いずれにいたしましても、こういう行政運営の仕方をしてはいかぬ、こう思いますが、この具体的な例について何かお答えがあれば承っておきたいのであります。
  13. 小金義照

    小金国務大臣 ただいま御指摘になりました鹿児島県の三局その他については、どういういきさつでわざわざ十月二十日になって昇格許可をしたかという今お問いのようですけれども、このいきさつは私まだ存じておりません。もしそういう下心があったとすれば、これは私ならばやらなかったと思っております。
  14. 上林山榮吉

    上林委員 これは常識的には、あなたは新しく大臣になられたのだから、私があなたに幾らやかましく言ってもコンニャク問答になるわけですけれども、しかし郵政事業というものは昔から今日に至り、今日から将来に向かって流れていかなければならぬ一つの生きた行政ですよ。生きた行政ですから、これはやはり連帯責任というような意味で、はたしてどういうわけでそういうことをやったのか。私が公開の席上であなたに申し上げるわけですから、私も、大事な問題ですから荒唐無稽のことを申し上げないわけです。証拠はたくさん持っております。そういう演説を聞いた人も多くの知り合いにもたくさんおるわけですし、また事実これを見てみると、選挙直前告示直前宣伝資料として許可になっておる。これは私は、ことに行政責任者として考えなければならぬことは、大臣もさることながら、当該郵政局長あたり、あるいは本省の幹部諸君、これらの人が事前にこのことを漏らした形跡がある。行政というものは決定するまでは漏らすべきものでない、第三者に漏らすべきものじゃない。それを漏らしておる。だから選挙の前から、今まではあの問題はなかなかできなかったけれども、今度何々大臣と何々候補者があれを解決するようになった、もうその内報も来た、こういうことを第三者が言うようになってはいけない。これは与党、野党を問わずしっかり考えてもらわなければならぬ点だ、そういうように考えるのですが、これは連帯責任であるのだから自分は罪は軽いかもしれぬが、連帯責任者なのだという自覚に立って一つ善処を願いたい。ことに、なぜ事前に機密を漏らしたか、こういうようなことについて一つ取り調べを願いたいと思います。いずれ機会があったら熊本の郵政局長を呼びたいと思いますが、それはそれとして、いずれにいたしましても御善処を願っておきたいと思います。  その次に監察局長に聞きたいのですが、監察局長は来ておりますか。――確かに御説の通り郵政犯罪防止については、今までよりも善処願っておるし、関係従業員も非常に自粛をしておるようでございますが、残念ながら会計検査院の勧告ですか、検査の結果の国会の報告によれば、郵政事業のいわゆる犯罪は悪質である、こういうように例をあげて、ほかの二、三の省と郵政省と並んで、犯罪件数の減少は別としても、その内容については悪質になっておる、こう私は判断するのであります。数が少なくなった、金額あるいは総計では少なくなったという点は認めるけれども、またあなた方が非常に御努力になっておる点も敬意を表するけれども会計検査院の見たところでは、非常に内容は悪質である、新聞等にも郵政事業は悪い、こういうことが書いてあるのですが、この点はいかがですか。
  15. 小金義照

    小金国務大臣 上林山さんのさきの問題につきまして、私ももちろん責任を避けるものではございませんが、大体簡易郵便局を無集配特定局に改定する場合の法律というのは私はまだ聞いておりません。それはその簡易郵便局設置されている地域状況がだんだん発展いたしまして相当事務量に達して、無集配特定局設置の必要があるという認定ができたときに逐次これを特定局昇格といいますか、そういう方針でやっているそうですから、私はその例はいいことと思っておりますが、たまたまほかの事由がからまったとするとそれはよろしくないのですから、それはまた研究させていただきたいと思います。その状況は三十二年度、三年度、四年度、五年度というふうにだんだん五、六局とか、十五局とか二十局とかいうことになっております。それだけ申し添えておきます。  今の郵政犯罪につきまして、御指摘通り数が非常に多いのと、また簡単に犯罪が犯されるような実情にあることを聞いておりますが、今仰せのように、私も就任いたしまして、この点の綱紀が弛緩していやしないかという立場から、綱紀の振粛、綱紀を伸張するように私は努めております。これは具体的のことは局長からお答えいたしますが、本年度の上半期の犯罪発覚状況――というとはなはだ工合が悪いので、発覚されない犯罪もまだいかにもあるようでありますが、発覚した件数が実に千四百九十八件というような膨大な数に上っております。金額は六千二百万円でありまして、これでも前年度に比べますと、件数で七十件、約五%、金額で七千九十万円、約五十四%まだ減っているというのですから、私も少々びっくりしております。そういう関係で、御指摘の点はまことにごもっともでございますが、具体的なことは今監察局長からお答えいたします。
  16. 莊宏

    莊政府委員 ただいま上林先生からお話のございました会計検査院批難事項でございますが、三十三年度におきましては、確かにお説のごとく相当大きな不正行為が出ております。一事項五万円以上のものが二十四件で六千二百万円というようなことになっておりまして、まことに申しわけない次第に思っております。  この三十三年度相当多くのものが指摘されておりますが、これはみな郵政監察官が調べ上げて、実は監察官が発見いたしたものでございます。郵政省不正防止につきましては、先生のお説の通りわれわれといたしましても最善努力を払わなければならぬ、かように考えております。そこでこの三十三年度におきましても監察系統の職員が非常に努力をいたしまして、過去の伏在しておったものを非常に多数発見をいたしまして、その結果こういうようなことにもなったわけでございます。その後三十四年度におきましては、三十三年度のように多くのものがございません。この年度は特に多かったということで一つお許しをいただき、なおわれわれといたしましては、今後といえどもこういった犯罪のないように最善の力を尽くして参りたい、かように存じておる次第でございます。
  17. 上林山榮吉

    上林委員 大臣以下郵政省幹部各位が、今後そういうことがないように努力をするということは当然のことであるし、またわれわれはいつもそういう言葉を繰り返して聞くわけなのです。努力も認めますと同時に、もう少し頭をひねったら、予防処置というものがもっとしっかりやれるのじゃないだろうか。予防処置というものがあまりうまくいっていないのじゃないですか。たとえば科学的な予防処置あるいは科学的な犯罪捜査、こうした点が器物その他の機器を見てもわれわれは不十分であるように考える。ことに人的な配置あるいは増員、こうしたものも必要でございましょう。同時に週期的に、それこそ善良なる従業員諸君を中心にして、一つの警告なり注意を喚起していくというような連帯的な、いわゆる精神的な士気といいますか、事業に対する良心、あるいは事業に対する奉仕的精神が欠けている。そうしたものに対してどういう処置をとるか、なかんずく私が申し上げた科学的予防処置という点ではどんなことをしているのですか。二、三僕も機械を見ましたが、あんな程度のものでは……。皆さんも諸外国の郵政事業をごらんになっていると思いますが、そういう点から考えてどうですか、日本のは進んでおりますか。まあまあというところまでいっておるのですか。
  18. 莊宏

    莊政府委員 事故犯罪予防措置となりますと、結局仕事取り扱い手続を正確にやるようにいたしまして、また相互の牽制措置――ことに金の問題では貯金とか保険とか、ことに貯金犯罪が多いのであります。そういった金を扱う場合等におきまして、一人で全部やらずに、金を扱う者、帳面をつける者というようなものを分離してやらせる。これは特定局、小さい局なんかには、定員の関係等相当むずかしい問題があるわけでありますが、そういう仕事の扱い方を十分改善していく、またそれを監督監査するやり方を、事故のあるごと、犯罪のあるごとに私どもとしては再検討いたしまして、絶えず補正に努めておるわけであります。そういう仕事やり方、監督の仕方というものについて、あらゆる工夫をこらして現にやっておるわけでございます。ただいまお話のございました科学的な機械的な予防措置ということでございますが、郵便郵袋、行のう、これらにつきましてももちろん、縛ったものに鉛でもって封をする、ああいった鉛あるいはそのひも、あるいは郵袋そのものの材料といったものについては、その方面専門家に非常に研究をしてもらいまして、非常に向上をしつつあるわけであります。また大きな切手関係犯罪がございました。これは印紙でございますが、印紙切手を入れる袋そのものの改善というようなこともいたしまして、鋭意最新の技術を用いまして犯罪が起こらないようにということで努力をしておるわけでございます。犯罪捜査の面における科学的な手段方法ということになりますと、ただいま警察官研究所、こういうようなところでやっておりますようなきわめて最新式の世界的な最高レベルをわれわれが持っておるかというと、遺憾ながらそんなすばらしいものはありませんけれども、できる限り新しいものを整備すべくただいま努力いたしておる次第でございます。
  19. 上林山榮吉

    上林委員 郵政事業は、先ほど申し上げた通り貯金にしても保険にしても庶民大衆を相手にした事業で、政府事業であるから信頼感を持ってみなが協力しているわけです。だから個々の部内における犯罪については、予防をまず第一として、あるいはまた犯罪が起こったならば、犯罪を絶滅する意味においてこれが対策を講じていかなければならぬわけなんです。だから、これは今あなたがお述べになった通りに、部分的の御改正をきめこまやかにやられることも一つ方法です。それは大事なことです。だけれども今お述べになった程度では、われわれは新しい時代の郵政事業犯罪予防あるいは犯罪捜査という点からいって、どうも残念でなりません。これは郵政大臣、私は非常に大事な問題だと思うから、事務当局だけの話をお聞きにならないで、一つ何かいい方法がないかという意味で督励して研究させてほしい。たとえば建築をやるについても、今までの郵便局建築やり方でいいか。一人の人が五十人を監督できる、あるいは百人を監督できるような建築の様式があるはずです。そうしたところに思いをいたして、設計からまず変えていかなければならぬ。これが犯罪予防についてきわめて大事な点であります。そういう意味でまず建築を変える。外国に行ってごらんになったでしょう。たとえば鏡を据えて、一室で見ているとその鏡で全部の従業員がどんな活動をしているかわかる機械設備がある。人をふやすことも大事であるが、ただ人を機械的にふやすというような行き方、部分的な改正というような行き方を年じゅうやらないで、もう少し機械力、科学力というものを活用する考え方を持って――これからの新しい事業というものは何に限らずそうですけれども、ことに郵政事業というものはそういう方向に進んでいかなければこれは百年河清を待つことになるのです。どうですか、十年前と今の犯罪と、多少の起伏はあっても大体同じでしょう。それが改められておらぬということは、いかに監察官をふやしたところでそれはだめです。私はそういう意味でこの点を取り上げて善処を願う、こういうように一般論として、根本的な議論として申し上げておきたい。  次に、これは大臣にお伺いいたしたいのですが、太平洋ケーブル設置についてでございます。御説明によりますと、昭和四十年ごろを目途として完成するのだ、日米双方において調査検討を進めてきたが、国際電電とアメリカ電信電話会社との間において近く正式に協定を締結する運びとなった、こういう報告です。もちろんこの通りであると思いますが、言うまでもなく事業は国際的に自由でございましょう。が、これは半ば公共的な、国家的な、あるいは国際的な大事業なんです。郵政大臣は国際電電に対して、社長とか重役の任命については相当の権限を持っておられる、いわゆる国策会社でございます。だからそういう見地に立って、この程度の報告ではわれわれは満足しないのですが、もう少しこれに関連した説明を願いたい。大体その線はどこからどこまでを日本が担当するのか、どこからどこまでをアメリカが担当するのか、そしてこれができ上がった場合は、どういう協定に基づいて日本はどの程度の活用ができるのか、あるいはまたこれを台湾、フィリピン等に延ばす場合は、日本はそれに対しては何ら発言権はないのか、こうしたような大筋のお話をまず承ってみたいのであります。
  20. 小金義照

    小金国務大臣 太平洋ケーブルの設置問題につきましては、昭和三十四年初頭以来からの具体的な問題に入ったようでありまして、今御指摘日本の国策会社である国際電信電話株式会社とアメリカ電話電信会社との間に三回ほどの交渉を続けて参りました。その結果、ただいまのところではケーブル・ルートの設定、それから総建設資金、どのくらい金がかかるか、膨大な金がかかりますので、その建設資金の分け前をどうするか。さらにまた使用回線数の両者間の割当、それから建設途上における諸般の問題の処理等につきまして、具体的にこれから相談をするということになっております。  なお、これが完成した場合に、日本がどういう利用の権利を獲得するかということですが、これは国際関係の交渉でありまして、国際電電株式会社にやらしておりますけれども政府としては、これは今おっしゃる通りの重要な問題でございますから、ただ国際電電会社にまかせておくということでなしに、もっと突っ込んで、こちらで指示すべきものは指示するという方針をとっております。  それからこれができたあと、台湾とかフィリピンその他についてどうかという問題は、とりあえず日本とアメリカとのケーブルの設置、これの一応の目鼻をつけながら考えていきたい、こういう考えのもとに今作業を進めております。大体の目標は、東京で国際オリンピック競技が行なわれる三十九年度の前半くらいには完成させたい、こういう見込みでございます。今までのいろいろな詳しいいきさつは電気通信監理官から説明を申し上げます。
  21. 松田英一

    ○松田説明員 ただいまの問題につきまして、いま少し内容的に入りました点を申し上げたいと思います。  大体のケーブルのルートでございますが、現在までの交渉では、日本を出ます場所はまだ確定しておりませんが、相模湾付近の適当な場所を今検討しておるところでございます。それから出ましてグアム、ウエーキ、ミッドウエーを経ましてハワイに至るということで、ハワイでさらにサンフランシスコヘのすでに海底同軸ケーブルができておりますので、それに接続されることになるわけであります。そのために最近アメリカ電話電信会社から人が参りまして、最終的な検討をすることになっております。  それからそのために必要な工事関係ですが、その前にまず海洋測量をする必要がございます。海洋測量の問題につきましては、大体小笠原以西につきましては日本側が担当したい。それから向こうはアメリカ側がやるということで、これも実施のためのいろいろの準備を進めております。それから工事の実施につきましては、これはアメリカ電話電信会社と国際電信電話会社が相談の上でやるわけでございますけれども、実際工事の状況につきまして向こうの方がいろいろと大西洋等の経験もあるわけでありますから、大体アメリカ側の責任でやっていく、日本もこれに対しまして可能な限り協力をして進めていくということになっておるわけでございます。  それからケーブルの資材関係の問題でございますが、これは大体このケーブルに使います中継器、それから中継器とケーブルに直接つながっておりますような端局の施設、こういうものは大西洋ケーブルの場合におきましてもアメリカが非常に進んでおりまして、アメリカがやったような実例もございますし、この場合におきましても、大体アメリカのウエスタン・エレクトリックの提供するものを使わざるを得ないことになると考えられます。ケーブルにつきましては日本側も相当進んでおるものでございますから、現在日本側でもこれに対して参画できますように、日本側のケーブル業者が一つの会社を作りまして、これが受注をできるように鋭意研究中でございます。  それから費用の点でございますが、このケーブルは全長約五千六百海里ほどございますが、大体経費といたしまして、これも最終的な見積もりは今やっておるわけでございますが、見当といたしまして、日本の金にいたしまして約二百八十億円くらいと考えられておりますが、そのうちどういうふうに分担するかということにつきましては、このケーブルを使用いたします回線数の割合で持つことになっておりますので、その見当からいたしますと、大体日本側としてはほぼ八、九十億くらいの金を国際電電としては出すということになると思います。これも精細に今検討を進めております。そこで国際電電といたしましては、それと、純粋に日本側が負担しなければならない端末の局の建物だとかその他の、日本側でやる金もかなり要りますので、百億円くらいの見当で資金の調達をいろいろ考えておりますが、自己資金も相当出せますので、自己資金とそれから借り入れ資金ということで進めております。実際金を出しますのはこの工事が始まりましてからですので、むしろ来年、毒来年、その辺にかけて相当金が出ますので、今から準備をしていって間に合うだろうというふうに考えておるわけでございます。  それから将来の問題でございますが、このケーブルを実際に使用するのはどの程度に使用されるかということは、これは今アメリカ側と日本側とで、日米間における通信の需要というものを、これも最終的に検討いたしておりますので、その需要によりまして、とりあえず日本側として、先ほど申し上げました経費の分担とからみまして、これだけのものは日米間のために一応将来を見込みましてとっておく、それ以外のものはアメリカ側が場合によれば金を出しまして、その分は別の用途に使うということになるわけでございますけれども、これか将来極東、たとえば中国とかあるいはフィリピンあるいはさらに南方というふうに延びていくということも考えられますけれども、この問題は実は別の問題として私どもも今検討いたしておりまして、その別のケーブルができました場合、あるいはアメリカ側といたしましては途中からまた別の方向に延ばすということも考えられますけれども、それもおのずから別の問題になりまして、別のそういった海底線ができました場合にそれとこれとをどういうふうにして接続していくかという問題として、その際に解決されるべき問題というふうに考えておりますので、このケーブルといたしましては、将来適当な海底線というものができた場合にそれとこれとが接続されまして、利用されるという余地は十分にあるケーブルであるということで、こういう問題が将来予想されているということだけはこの際申し上げられると思います。  大体今の御質問に対しまして、大きな点はそういうところかと思います。
  22. 上林山榮吉

    上林委員 太平洋ケーブルの設置を国際オリンピックが始まる昭和三十九年度ごろまでに完成したい、これは大臣だって大いに積極的におやりにならなければならぬ点だと思います。ただこの際、大臣にしても事務当局にしても、われわれ国会側としても考えられることは、国際電電会社が国策会社であるにもかかわらず――一年前にたしか私が本委員会でこの問題をお尋ねしたことがあるのですが、そういう機会がなければ――事こまやかにわれわれは知る必要はないけれども、大筋だけは、ここまで進んでおる、こういう目的である、あるいはこの程度であるというぐらいのことは知らないと、お互いにつんぼさじきにおって、突然としてこういう大臣の説明になってしまう、こういうことになりますと、審議の関係からいっても非常に困るのですね。専門の逓信委員会所管事務について大体のことを知らないということは、私は不見識な運営だと思うのですよ。だから、そういう意味において、今後逐次御発表を願いたい。もうここまでくれば、何もそう秘密にする必要はなかろうと思う。一つ今後の善処を願いたいのであります。  そこで大臣に伺いますが、これは国際電電とアメリカの電信電話会社との間の契約政府が重大な関心を持つということになるわけでしょうが、その関心を持つということは、一体具体的にはどういうことですか。これは会社と会社が契約するんだから、将来運営その他について間違いがないように、大臣としてはただこれを助言する、あるいはそういう届けが出たならばそれを承認する、こういう程度のものですか。あるいはまた国と国とは、これについては条約ないしはそうした類似のものを作っておく必要は何らないのかどうかという点ですが、これはどうなっておりますか。
  23. 小金義照

    小金国務大臣 国と国との間の条約またはこれに類するような取りきめをする例はあまりないようでありますから、それはやりませんが、日本でいえば、国際電信電話会社の性質と申しますかその建前からいき、また両会社間の契約郵政大臣の認可事項になっておるそうでありますから、そういう立場から、日本の使い得る回線の数とか、それから多額の金を投ずる、そしてまたこの国際電電会社は借金もしなければならぬでしょうから、そういうようなめんどうを見る場合もあり得ると思います。日本側がこの新しいケーブルの利用にどういう権限を持つか、これは国民ないしは国家に、いろいろな経済や政治その他の問題に影響を及ぼす点も多いので、そういう立場から日本側の国際電電会社の確保すべき使用権だとか、それからまたこれを保守管理するような立場がありますので、そういう点で法規の許す範囲あるいは法規の認めておる範囲、そういうことにとらわれずに、良識に基づいて国際電電会社との間を結びつけていって政府は指導していきたい、こう考えております。
  24. 上林山榮吉

    上林委員 これは将来の運営、あるいは問題が起こったときの権限、こうしたようなことにもきわめて関係があるわけですが、その太平洋海底ケーブルは両会社の共有になるのか、あるいは部分的な所有になるのですか。その辺はどうなっておりますか。
  25. 松田英一

    ○松田説明員 その問題につきましては、いろいろとケーブルのできます区間によりまして形式的な考え方は分かれてくるわけでございますが、大体やり方といたしましては、日本とグアムとの間というものは共有の形になるだろうと思います。それからグアムから向こうのあれにつきましては、所有権としてはアメリカ側にありますけれども日本側としましてはそれに対しまして取り消し得ない使用権といいますか、これは実際的には、所有をしている状態と利用あるいは運営状況においてはほとんど変わらないものでございますけれども、形式的な扱いといたしましては取り消し得ない使用権ということで解決されていくだろうというふうに考えております。
  26. 上林山榮吉

    上林委員 私、時間の関係でこれ以上この問題については問答を重ねないけれども大臣事務当局の今の御説明だけではどうも安心できないような気分を残すのです。もっと具体的に進んでおる状況、今私が言ったような懸念されるようないろいろなケースの問題について、一つもっとしっかりした結論を報告願いたい。国際電電ももちろん呼びますけれども、そういう意味で国際電電に対する質問は留保しておきますが、いずれにしてもこれは大事な問題で、今、日本がこういう状態ですから国防の問題がどうの、その他のこれに類したいろいろな問題がどうのという問題が起こらぬからいいようなものの、これはしかく簡単に両会社にまかして、ただ政府が簡単に助言していく程度のものじゃいけないのですよ。日本からグアムまでは共有だという点を考えても、あるいは将来取り消し得ない使用権があるのだという点を考えてみても、これは両会社だけにまかしておいていいものかどうか、両政府は単なる助言の程度でいいものかどうか、この辺も将来の外交問題として考えて、一つ大臣、これはそうしてもらいたいというわけじゃなしに、そういうところまで一応御研究になっておく必要がある。私はただ両会社にまかして、両政府は単に助言をする、あるいは認可事項だから認可をしていけばいい、そういう形式のものではどうも安心できない気がします。だからここは将来の外交問題になり得る可能性のものでありますから、両政府との間に覚書でもよろしい、条約でなくても……。何かしらそうしたような方面のことも一応研究してみる必要が僕はあるのじゃないかと思うけれども、それがないというならないでけっこうでございますから、一つそういうふうに要望いたしておきたいと思います。この問題は委員会としても大事な問題でありますから、委員長、国際電電を呼んで質問をしたいのですが、ほかの方々の意見によれば、あるいは小委員会を設けて検討してもいいじゃないかという議論もありますから、お含みおきを願いたいと思います。
  27. 山手滿男

    山手委員長 承知しました。
  28. 上林山榮吉

    上林委員 なお大臣、これについて一つお話があればあとで承ります。  続いて電波行政関係でお尋ねしたいのは、新電波の開発に関しては、人工衛星、月等を利用して行なう宇宙空間通信の研究、その他マイクロ散乱波、ミリメートル波等、未開発周波数帯の開発研究など急増する電波需要に対応し得る態勢を確立するつもりである。――おくれた日本の科学を推進する意味において、あるいはまた電波の未開発地帯を開発していくという郵政省のこの異常なる決意というか理想というか、これは小金大臣、あなたの時代に大きな基礎工事をやられるわけですが、これも単なる場当たりの思いつきであってはならないので、私は出発点でございますから、率直な声色で申し上げます。私は、これはきわめて大事なことで、また情熱を打ち込んで将来の日本の電波の発展のために大いにやるという意味で、もう双手をあげて郵政当局に賛意を表します。  そういう立場からお尋ねしたい点は、人工衛星、月等を利用して行なう宇宙空間の通信研究、まあ研究という言葉があとについておるから逃げ道も御答弁の中にあるいはあるかもしらぬが、どうなんですか、日本が人工衛星を打ち上げられる力があるのですか、あるいはよその国のを利用して一つ研究していこうというお考えなのですか。月の場合は、これはもう国籍はどこにもないわけですから、日本独得のものであろうと思いますが、その構想はどうなっておるか。あなた方の研究のテーマ、あるいは単なる研究をも通り越して、場合によっては実験研究、こういうところまで進んでおられるものと私は期待をしてお尋ねするわけなんですが、一体どうなんですか。その人工衛星とその他だんだん私が今言ったことにお答え願いたい。
  29. 小金義照

    小金国務大臣 これは大へん専門的なことであり、かつまた宇宙の大きな問題でありまして、私まだ十分納得のできない節もあります。非常に技術的な問題でございますから、所管の局長から一応の説明を御聴取願います。
  30. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 ただいまお尋ねの件でございますが、宇宙開発という問題は非常に金のかかる問題であることは御承知の通りであります。あまり資力を持たない日本として一体どういうふうに宇宙開発に参加していったらいいかという基本的な問題があるわけであります。この点につきましては、現在総理府に宇宙開発審議会というのがございまして、これが総理の諮問機関になっておるわけでございます。ここで日本の宇宙開発に対する協力のあり方といった根本的な国策を検討しておるわけであります。従いまして、今お尋ねの、一体日本が人工衛星を打ち上げるのか、打ち上げるとすればいつごろかといったような大きい問題につきましては、そこで今検討いたしておるわけであります。ただ御承知のように衛星の通信方面への利用ということになりますと、今お話のありましたように、月を利用する方法もございますし、あるいはまたよその国が打ち上げた衛星を利用する、他人のふんどしを利用するという行き方もあるわけでございまして、われわれの方で今考えておりますのは、このどちらも利用できる、すなわち、日本がかりに将来打ち上げた場合には、それも利用できることになりましょうし、また外国が打ち上げた衛星が先に出ればこれも利用できる、そして外国におくれないような受け入れ態勢を早く作りたいということで準備を進めておるわけでございます。さしあたっては、こういう人工衛星を使いまして、またこれを中継して、遠距離の国際幹線を作るといった、いわゆる宇宙通信というものに対する日本側の基礎的な研究を早く進めまして、外国におくれないような態勢を早く作り上げたいということで進めておるわけでございます。  その第一着手としまして、このためには大きなパラボラ・アンテナというものが必要なわけでございます。それを来年度の予算といたしまして、全部ではございませんけれども、大体来年度を目途にしてこれを早く作り上げたいということで、一応この予算には認められた次第でございます。
  31. 上林山榮吉

    上林委員 今総理府を中心にして審議会で研究しておる人工衛星の研究ですね。あなたは技術専門家だからお尋ねするのですが、日本は一体何年ぐらいたったら人工衛星を打ち上げられるという目標をもってやっているのか、あるいはあなたの説によれば、人工衛星は一体いつ打ち上げられるのですか。
  32. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 実は私もその審議会の一委員になっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、まだそういった点につきましては、現在審議の過程にあるわけでありまして、ちょっとここで責任のある御回答はできかねるのであります。
  33. 上林山榮吉

    上林委員 慎重な態度は非常にいいけれども、全然その目標がわからないというのじゃ、これまたまことに残念な話です。そういうことになると、結局今の郵政省自体が考えておる人工衛星を利用するということは、あなたがおっしゃったように、何年続くかわからぬが、ここ当分はよそ様の国が打ち上げたものを利用して、瞬間々々の研究を続けていく、こういうことになるのですね。
  34. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 残念と申しますか、さしあたってはそういうことになると思います。
  35. 上林山榮吉

    上林委員 そこで僕はあなたにお尋ねしたいのですが、われわれはさっき言ったように、日本のために非常に大事なことだから大いにやってもらいたい、だからわれわれも積極的に協力いたしますぞ、こういうような意味を含んで申し上げておるわけですけれども、今の話を聞くと、郵政省はこれに組んだわずかの予算で、そういう大きな問題と取り組んでどれだけの効果を上げられるか、これは終着点まで行ってみなければわからぬのだけれども、非常なる懸念を持つものです。これは申しわけないが今あなたの答弁を聞いて非常に心配をする。  そこで私の提案ですが、それならば郵政省だけで出す金というものはわずかこれだけだが、これの何倍か、極端にいえば十倍、二十倍くらいの金を集めて、それぞれ各団体に協力してもらう、あるいはまた技術陣も郵政省が中心になるのか、総合的なものになるのか知りませんが、一応郵政省が中心になるとしたら、日本のこの方面の知能というものをもっと大胆に、それこそセクショナリズをやめて、大胆にここに技術隊を動員するという、これは大臣も、専門的な問題だからおれは詳しくわからぬけれども事務当局が知っておるだろうということではなしに、これはあなたもこういういいめぐり合わせになられたわけですから、一つこの際もう少し大まかなところを、今私が言いような、こういうような方面について、たとえば金は予算ではわずかこれだけだから、どんなものでは研究にならぬ、その足らない金をどうして集めるか、あるいはほかの団体にどうして協力させるか、ほかの日本のその方面の知能を郵政省が活用して、できるだけ早い機会に効果を上げるという方向に持っていく、これは大臣仕事だから、そういう方面のことについて、きょうはお答えにならなくてもいいと思いますが、そういうような考えで、これは非常にいいことだが、なかなかむずかしい問題で、雲をつかむような今の答弁では、独善になるかもしれぬけれども、せっかくこれだけの予算がとれたから一つ賛成してしまえというようなことにならないように、みんながなるほどそういうことか、これじゃ足りないから、来年度はこの五倍の金をとってやろうじゃないか、政府もそういうように出してもらいたいというくらいに進んでいくように、出発点であるだけにもう少し私はうんちくのあるお話が承れると思いましたけれども、これでは残念ながらどうも半ば満足いたしません。どうか一つこの方面のことを努力をしていただきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいことは、これは郵政省並びにNHK当局についてでありますが、まず第一に受信料の減免の問題でございます。今までNHKの受信料の減免の状況を調べてみますと、社会福祉施設、あるいは更生施設、生活困窮者、身体障害者の一部、教育施設等に対して、ラジオとテレビが受信料を免じておるようでございます。ラジオの金額におきましては七億一千九百十万円余り、テレビにおいては、これは学校関係でしょうが、九千七百二十万円、合計では八億一千六百三十万円、これだけの免をやっているわけですね。公共放送をやる建前から、こういう方面についてNHK当局が受信料を減免しておるということは、これは非常にいい面である。社会に非常に貢献しておる面だと思います。  なお、これに対して私どもが希望しておるのは、たとえば貧困な身体障害者、あるいは有線放送の専用受信者、こういう方面には半減もしくは全免、こうしたようなことを希望しておるわけですが、これは一体どういうふうになるのか。  ついででございますからさらに申し上げたいことは、これ以外に新たに社会的に貢献する意味でNHK当局の方で郵政省と相談の上で半減にするとかあるいは全免にするとかいら方面の拡大をさらにお考えになっておるか、今言ったものをまずやろうということになるのか、私は受信料の問題については先般も当委員会で質問いたしましたが、またそれぞれの方面でもいろいろと議論のあるところでございますが、ここ一年間がテスト・ケースだと思います。ここ一年間をわれわれはしっかり分析して、三十七年度からは一体ラジオはどうしたらいいか、あるいはテレビの受信料をどうしたらいいか。NHKの性質から、次々に全国あまねく、難聴、難視地区を解消してもらう、その他機械の更新をはからなければならぬ、いろいろと一面やりながら、それでもなおかつ場合によっては、三十七年度においては受信料というものに対してこういう貢献をしておるし、さらに拡大して貢献をするんだが、それでもまだ議論が起こるかもしれない、こういうことを考えますので、何もとらわれざる立場において、郵政省立場あるいはNHKの立場一般国民立場、そういうようなものをほとんど離れた白紙の立場で私はきょうはお聞きしたい、そういう意味でお尋ねしておりますから、遠慮なく一つ大臣も、あるいはNHK当局もお答えを願いたいと思います。
  36. 小金義照

    小金国務大臣 放送受信料の問題につきましては、今御指摘になったような方々に対しては相当範囲、八億幾らかの範囲において今まで免除しておるようでありますが、なおNHKの社会的、また公共的な立場等を勘案いたしまして、まず難聴視地区の解消をなるべく急いでやらす。ラジオの方は九九%以上いっているようですが、テレビの方はいろいろ問題があるし、そういうようなことをすみやかに解決する措置をとるかたわら、やはり今のような福祉的な方面についてはできるだけ社会奉仕をしてもらいたい、こういう見地で予算を組む場合においては考えてくれということを私NHKに注文いたしております。具体的な例につきましては、NHK当局から説明していただきます。
  37. 溝上銈

    溝上参考人 受信料の問題につきましては、昨年来いろいろ各方面から御意見をいただきまして、またわれわれ自身といたしましてもこれにいろいろの問題が包含されておりますことを十分に留意いたしまして、今、上林先生お話通り、現在から一年間にわたりまして十分に研究したい。在来も研究しておりましたが、今回の三十六年度の予算は一応現状のままでいくといたしましても、この機会に基本的な検討を加えていきたいというふうに十分に考えております。それに関連いたしまして、ただいまお話のありました社会福祉的な考慮につきまして、三十六年度の予算におきましても範囲を拡大して考えておりますが、それにつきましての具体的な数字につきましては、専務からお答えさせていただきます。
  38. 小野吉郎

    小野参考人 在来、お尋ねの点につきまして社会福祉的な方面、あるいは社会保障の見地から、あるいは文化政策の見地から、ラジオ、テレビを通じまして、件数にいたしまして七十四万七千件、金額で八億一千六百三十万円の免除をいたしておりますことは御指摘通りでございます。三十六年度予算の編成にあたりましては、こういった面につきましてなお減税の範囲拡充の必要がないかどうか、いろいろ検討いたしております。またそういった向きからも直接郵政大臣方面にもいろいろと御要望も出ておるような実情でもございます。そういう点を勘案いたしまして、三十六年度の具体的なる方針といたしましては、貧困な身体障害者、これは全国で四十数万に上っておるようでございますが、内容を分析いたしますと、すでに減免をいたしておりますものとダブるものもございます。そういう面を差し引いてみますと、新たにこの措置によって拡充せられると予想せられますものが三十四万人でございます。これはこの際免除に踏み切って予算編成に当たって参りたい、このように考えております。  さらに有線放送専用の受信者につきましては、類似の施設を入れまして三十六万件あるわけでございますが、これはすでに三十五年度予算編成の際にあたりまして、いろいろこの方面における農村振興に対する政策的なお手伝い、あるいはそういう方面が大体におきまして所得の階層から申しましても低いところでございますので、そういう面について免除あるいは減額の要望が強かったわけでございますが、三十五年度の実施状況は半額免除ということになっておるわけでございます。なお一そうその辺の問題に対する重要性にかんがみまして、三十六年度予算の編成にあたりましては、これを半減でなく全免に踏み切って参りたい、このように考えております。  そういたしますと今の身体障害者にして貧困である者、並びに有線放送専用受信者、これに類似の施設を合計いたしますと七十万件に上る、これはラジオのみでございますが、こういった件数と、これに対する免除の金額が七億一千四百万円になるわけでございます。  このほかになおさらに検討を要するものはないかどうかという問題でございますが、いろいろ検討いたして参っております。郵政大臣方面にもいろいろそういう要望も出ております。陳情等もある問題でございまして、そういう問題からいたしますと、盲人でございます。この盲人の一部につきましてはすでに在来の免除の対象とダブったものがございます。さらに先ほど申し上げました七十万件に及ぶ免除件数と重複するものもございます。全体でざっと三万件くらいあるわけでございますが、二万件くらいは重複を来たすようなことが予想されますので、ざっと件数といたしましては一万件くらいになろうかと思いますが、これも免除の範囲、全免の範囲に入れたい、このように考えております。  この他ラジオ、テレビを通じましていろいろそういった貧困者対策、そういった社会保障的な意味合い、あるいは文化政策等の見地から申しまして、直接受信料の免除という方面では扱っておりませんが、全国の小学校あたりには漏れなくラジオの普及ということを過去五カ年の計画をもちまして、すべてこれをNHKの犠牲におきまして配付いたした措置もすでに完了いたしております。来年度におきましては、ちょうど三十五年が教育放送の開始いたしました二十五周年記念に相当するわけでございます。そういうような記念すべき年にあたりまして、教育文化の向上に寄与いたしますために、一定の学校につきましては、児童用のテキストを無料で一部配付の試みをやっておったわけでございます。これは別段予算措置を講じてやったわけではございません。二十五周年記念の記念行事といたしまして暫定的に試みたわけでございますが、こういった面は三十六年度以降本格的にやはり一定の方針のもとに御援助申し上げることが非常に有意義であるというように考えまして、三十六年度予算におきましては、金額にいたしまして三千四百万円を予定いたしておるわけでございますが、NHKとして、学校放送内容改善並びにこれの普及をはかりますために、特に委嘱をいたしまして放送をよく聴取してもらう、その放送実情を十分に聴取して分析をいたしていただきました結果、このようにすればなお放送が聞かれる、こういうような希望の意見も出していただくような措置をとっております。いわゆる委嘱校が全国に約五百校あります。この委嘱校に対しましては、教師用はもちろん、児童用に対しましても、すべて無料でテキストを配付いたしております。さらに文部省で指定をいたしております僻地校が全国で約八千校ばかりありますが、この僻地校に対しましては、教師用のみにつきまして、これを無料で配付するというような措置も、実は予算でもくろんでおるわけでございます。
  39. 上林山榮吉

    上林委員 そうすると、今まで社会福祉施設あるいは更生施設、生活困窮者、身体障害者、教育施設というようなものに対する全免、なお新たにただいまお述べになりました貧困な身体障害者あるいは有線放送専用受信者は全免にする、こういうことになりますと、大体件数にして百四十四万七千件、金額にして十五億三千万円くらいは、NHKとしては社会に奉仕をしておる、こういうことになると思いますが、私は、こういう方面のことは、だんだんお述べになりました通り、あとう限りそういう分野を広くしていかなければならぬと思いますが、それよりも増して大事なことは、放送法にもきめられてある通り、全国あまねく、ラジオもテレビもよく聞かれる、よく見られる、こういうふうにすることが、公共放送としての建前なんですね。私はそういう方面から、NHKは、難聴地域とかあるいは難視地域とかあるいは機械の更新とか、そうしたような近代的設備、あるいはNHKの放送法にきめられてある精神をもう少しクローズ・アップさせて、そうして一面今言ったような方面の全免なり半減なりという方面も両々あわせて考えていかなければならぬ。どちらかといえば、質のいいテレビ、質のいいラジオというものによって、全国民に、あまねく文化に恵まれるようにしていくということがNHKの精神なんだから……。こちら側に力の入れ方が足らぬのじゃないか。きょうは時間がないから、具体的には省略いたしますが、こちらの方面のあれが足らぬのじゃないか、むしろ民放の方が、難視地域、難聴地域の解消に、かえってテンポを早く設備を充実しておるように――これは私のひが目かもしらぬけれども、統計はまだとってみないが、私の目に映るのは、そういうふうに見られてならぬ。これでは公共放送としての精神というものは没却されておる。民放の方が最近どうも熱が入っておる。そういうふうに考えられますので、民放は民放として成長してもらわなければならぬが、NHKはNHKとして、一つもう少し近代的設備、同時に全国あまねく見られる、聞かれるというところに力を入れてやっていく、これが大前提でなければならぬが、この情熱が足らぬ、私はこう思います。  続いて私としてはNHK当局にお尋ねし、さらに大臣にも、大臣の権限の及ぶ範囲の関心だけを持ってもらいたい。それは、よく言われておるNHKは公共放送立場にありながら民放と同じような放送というものに堕すきらいがある。これは別の機会にまた論じますが、同時に公共放送であるから、大局的な、中立的な立場から放送をしてもらわなきゃならぬ。これはテレビにしてもラジオにしてもその通り。残念ながら偏向放送に対するNHKに対する非難というものは、これはNHKの方々には遠慮しておられるだろうと思います。あなた方にやかましいことを言えば、あるいは不利益だというようなひがんだ考えを持った人もおるので、あまり耳に入らぬかもしらぬ。けれども偏向放送をやられておることは幾多の実例がある。私は、きょうは時間の関係一つだけを申し上げます。今日「風流夢譚」が社会が耳目を集めております。これにはいろいろな見方があるでしょう。いろいろな見方があるでしょうが、いずれにしてもこれが中心になりまして右翼テロというものが横行してきておる。これは右翼自体に、もちろん反省してもらわなきゃならぬが、彼らに口実を与えるようなことを自粛するということも、やはりその一つでなければならぬ、私はこういうように考えておるのですが、昨年末のNHKの「霧の中」というラジオ・ドラマでしたか、劇でしたか、私はそれを回数を重ねて聞いてみました。その中には「風流夢譚」にあるような、実に日本人としては聞くにたえないような言葉の談話が入っております。出演者はたしか森繁久弥であったかと思いますが、たとえば、たしか明治天皇であったかと思いますが、なくなられたとき、かたきの親方がなくなって、あんたも張り合いが抜けただろう、こういう一節がある。そういうことは日本人として――われわれは、右翼でもなければ左翼でもないつもりで自分はおりますが、いずれにいたしましても、大局に立って冷静に考えてみて――私はうちの家内に、どうだあれを聞いて、と言ったら、不愉快でたまらぬ。それから女中さんに聞いてみた。ところが、これもおもしろくない。それから大学を出た青年にも聞いた。感心したか、君らの思想に合っているか、いや合わない、感心しない、こういうことを言っておりました。これは一部分の見方かもしれません。見方かもしれませんが、私がNHK当局の関係者に聞きたいことは、ああいうものは、あとから非難が出た場合にその録音盤なりその他をごらんになって訂正をされるのか、あるいは事前に、ああいうものは編集会議なりその他の方法によって、ああいうストーリーとか、そういうものはごらんになるものかどうか。この点を伺いたいし、「霧の中」のそれぞれの出てくる応答を、ほんとうに良心的に――自民党とか社会党とか、共産党とか、何にもお考えにならないで、私は自民党に籍を置いておりますけれども、さっき言った通り、すべて白紙の気持できょうは聞いておりますから、だれにも遠慮しないで、あれは当然だと思えば当然だとおっしゃってよろしいのです。どうも御説の通り、どう考えてみてもあれはまずいとか、何か御説明があれば、これも承りたい。これはNHKのお考え通りでいいので、決してわれわれは圧力をかけてここでやかましく言って皆さんの考え方を変えさせようという考えはちっともございませんから、その点は御遠慮なく一つ説明をしてほしいと思います。
  40. 島浦精二

    島浦参考人 お答えいたします。NHKの放送が公共放送として常に中立でなければならぬというのは、私どももかねがねその通り考えておりますことは、全く先生の御意見と同じでございます。ただ、今のような時世におきましては、中立という道を守っていきますことが非常にむずかしいものであることは、私どもも毎日の放送を通じまして身をもって感じておりますので、それだけに今後ともさらに一そうこの道だけはいかなる場合にもはずれないように努力していきたいという気持でおります。  御指摘の番組につきまして、ああいう番組がどういう経路を経て放送になるかということでございますが、私どもの方の番組は当然ああいうドラマでありますとか、文芸的なものは芸能局の中の、ことにあのドラマはラジオでございますので、ラジオ文芸部の担当する番組でございます。そこに一つの班がまず企画を出しまして――あの放送について申し上げますと、あれは毎週日曜日に放送しております日曜名作座という番組でございますが、それの係がこの次にはどういう小説を取り上げてあそこで放送するかという企画を立てます。それを芸能局の中の筋を通しまして責任者まで検討いたしました結果、番組委員会というものがございまして、編成関係の各局の次長が集まりまして構成いたします番組委員会において審議をいたします。ここを経て芸能局へ返りまして、それが実施になるわけでございますが、当然実施いたします前に、NHKの考査室という組織がございまして、そこが事前に考査をいたします。それから番組になるというのが大体の順序でございます。  先生指摘のあの番組は、御承知の通り十一月の末の日曜日から十二月にかけて毎週日曜日五回にわたって放送いたしましたものでございます。今御指摘のせりふは四回目の十二月十八日の晩の放送であったと思います。実は今申し上げました順序と逆になりますが、放送を聞きました考査室で大へんあわてたという事実が、これは正直に申し上げましてございます。なぜそういう間違いが起こったかということにつきましては、私の判断でございますが、実は五回にわたって放送いたしますものを最初にずっと連続で話の第一回から全部一応は考査室の者が読んでおります。それが小説で読みますもの、あるいは脚色しました台本を読みますときの感じと、これが電波に出まして、おっしゃる通り森繁久弥ですが、せりふになって家庭に入るものと、さらにそれを五回に分けて第四回目を聞く人は必ずしも第一回から二回を聞いている人ではないかもしれないという、私ども放送担当者としましては当然考えなければならぬ、平素は十分に気を配っておると思われるところに、多少あとから考えまして、私どもの反省においては思いの至らないところがあって、そのまま素通りをしたというふうに私は判断をいたしております。あわてまして、五回目の最後のときには、今御指摘のようなせりふをカットいたしまして手を加えた事実もございます。これは考査室がやったことでございますが、そういうことで多少十分に手が届かずしてああいうものを出したのだと思います。私どもの判断といたしましては、あのせりふそのものは、あれだけを取り上げてみましても、また長い小説の一部として考えましても、今申し上げましたような、小説でなくラジオであり、役者の肉声で家庭に入るという意味におきましても、私ども不適当であったというふうに考えます。
  41. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連して。NHKの方に、私は希望を申し上げておくのですが、ラジオの聴取料金の問題です。これはことしの予算編成にあたって皆さん非常に苦労され、私どもも非常に心配をし苦しんだのです。ただ私が現状に据え置くべしと主張したゆえんのものは、この料金が合理的であるからそうだというのじゃないのです。政府並びに政党の考え方に私は不純な点があったと思う。それは公共料金を上げるのだから人気が悪くなるかもしれない。何か安くしておいたものが一つくらいあった方がいい、それにはラジオの料金などを安くするのが最もいいのではないかという考え方に基づいて、党内は圧倒的にこの料金の低減を主張するに至った。私の属しておる総務会のごときは一人として反対者がない。私は非常に憤慨いたしました。そういうものじゃない。私は旧来からラジオの料金というものは高いと思っておりませんし、二、三回上げて参りましたそのつど、私は料金を上げていく方にのみ回って戦ってきたつもりです。今日の料金をきめるときも、百円にしろと主張したくらいで、それには私は私なりの理屈を持っておりました。きょうはそれは省きますが、そういうのですから、何か合理的な理由で料金を減らせというなら、公共放送ですから減らすのは当然だと思う。しかしながら内閣の人気であるとか、予算編成上の一つの目をそらす意味で、こんなところを減らしておけというような考え方は、私には非常な不純な動機からきておると考えられたのです。それで総務会で私ただ一人でございましたが、真剣にそのことを主張したものですから、総務会も仕方なしに私の意見に屈服せざるを得なかった。結果においては据え置きということになったのですが、こうなるにおきましては、それは党は容易に譲歩したのじゃないのです。椎熊に叱責されるといかにも思いつきのように聞こえるかもしれぬがそうじゃない。天下の世論は料金というものは高い、こんなものはただでよいという主張さえある。それだからどうも今度の予算の編成に際していろいろな動機を含めてそういう意見が出たことは感心しないから、ことしはがまんしましよう、しかし来年は必ずこの料金について合理的な採算の仕方、あるいはその方法、減免等、あらゆる方法を検討して、合理的なものを出してもらわなければ困るという、党内は条件つきなんです。私はよろしゅうございます。一年間かかって大いに研究させましょう、私も研究します。私は減免という言葉を使っておりませんが、来年度の予算には必ず合理的な聴取料金というものを算出させます、そう私は皆さんに相談もなしに断言しておるのです。それをやってもらえぬと私は非常に困る立場になります。私の立場は困ってもよろしゅうございますけれども、公共放送の料金というものについて世間が疑惑を持つようになりますとこれは大へんでございますから、世間が納得いくような合理的な考え方というものを、来年の予算編成までには、われわれが確信をもって、党とも政府とも戦えるようなものをお示し願いたい。私も研究してみたいと思っております。しかしそれは私は個人的に研究するのであって、当委員会委員の一人として研究する程度のものでございますから、資料その他すべてあなた方に協力してもらわぬと私もできません。どうかその意味でこの点だけはお忘れなく責任を持ってやっていただきたい、こう御注文申し上げます。
  42. 小野吉郎

    小野参考人 受信料の問題につきましてはいろいろ困難な問題があり、しかもこの問題には私どもとしても考えなければならない幾多の重要な要素を含んでおりましたことは、切に私どもも感じておるところであります。三十六年度予算に対しましては、そのような全般的な検討の上に立ちまして、将来にわたり受信者に納得していただけるような、またいろいろな角度からしましても是認できるような全体系としての構想がまだでき上がっておりませんでしたので、非常な御心配をいただき、またいろいろお力添えをいただきまして、まずこの点につきまして深甚な感謝の意を表します。もちろんそのような意味で、問題の所在を決して甘く考えておりません。これは抜本的に検討をいたしまして料金全体を通じてきわめて合理的である、こうお認めを願えるような案を早急に作り上げなければならないと思います。三十六年度予算執行の過程におきましては、そのようなことをNHK独自でなく、外部のそういった有識者を加えまして検討を加えた結果、三十七年度予算に当たりましてはそのような面であるいはまだ検討不十分であるとか、また問題の所在に対する認識が不足だというような御叱責をいただかないような方法努力をして参りたいと思います。
  43. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま「霧の中」の放送のいきさにつきましてNHKから答弁があったわけですが、さっきから申し上げるようにきわめて自由な立場で御発言を願いたい。私もまた当委員会でやかましく言って無理を押し通す意思は全然ない、こういう前提に立って今の答弁を承ったのですが、その中でNHKの詭弁というか、おざなりの答弁というか、その一節に、こういうことを言われました。それは台本を読むときとせりふになって直接出るときとはニュアンスが違うんだから誤解を生ずる場合もあっただろうというようなお話ですが、これは私は詭弁だと思う。字は書いてあるのですから、それはどういう声色で言おうと、声色の問題は別として、書かれてある文字は同じです。これが事前に検討できなかったということは、私は反省していいのじゃないか。というのは、後段において関係者があわてて途中でその後のものを修正をした、こういうのですから、これは偏向放送であることはもう議論の余地はない。私も一回からずっと聞いておったのです。というのは会津藩士の問題が出てきたり、北海道の開拓地の問題が出てきたり、会津と薩摩とは非常に関係があったりするものですから、非常に興味を持って聞いておったのです。だからずっと聞いた私の立場から言ってみても、これはもう議論の余地はない。私は国会議員という立場があり、与党という立場があるから、これは一歩下がった気持であなた方に質問申し上げておりますけれども、腹の中はやっぱりまことにひどいものだというふうに考えておるのですよ。そこで、それならばあわててその後のものは修正したというが、これに対しては何か部内における反省の機会を――もっとはっきり言えば、たとえば部内における懲戒、訓戒といいますか、何かそういうような処置をとったのですか。あなた方があとであわてて修正したというほどのものであるならば、直接の責任者に対しては戒告なりあるいはその他部内での何かの責任というものを――やっぱり良識を持って経営をやらなければならぬ立場にある公共放送立場としては、これは自己批判、単なる自己批判ではいかぬから、それには部内における制裁、こういうものがあってしかるべきものだと思うのですが、こういうことをやられたかどうか。あるいはまたそういうものも将来は考えてもいいというのかどうか。私はこの公共放送が無秩序であってはいかぬと思うのです。さっき言った大局的な立場から、いわゆる中立的な立場から偏向放送をやってはいかぬ、この方針は大方針でなければ、これは料金の問題についても直ちに響いてきますよ。われわれは料金を上げるとか下げるとかいう問題で、上げる場合も協力し、下げる場合にも時に協力しなければならぬ立場にあるのだが、国民は敏感だから経営に響きますよ。そういう点を考えて部内における信賞必罰の慣習は作っていいと思うのです。将来の問題、現在の問題に対してどういう処置をとったか、これを一つ参考のために聞かせてほしいと思います。
  44. 島浦精二

    島浦参考人 上林先生が詭弁とおっしゃられたのは、私は詭弁のつもりではなくて、正直に申し上げたつもりだったのです。担当者に対しましては、当然次の回に、同じようなせりふをカットいたしますときに、その内容について説明をすると同時に、そういうことがよくないという意味で厳重なる警告を、考査室及び直接の担当局である芸能局の責任者から与えております。以後そういうことのないように、厳重に注意を加えております。
  45. 上林山榮吉

    上林委員 一応の軽い処置はとられたようでありますが、われわれはそういう程度のものでは公共放送に従事する方々としては不徹底だと思う。これは民放ならいざ知らず、公共放送と名を打つ以上は、その程度のものではだめではないだろうかと疑問を持つという意味でお聞きを願っておきたいと思います。幸いにして「風流夢譚」のような事件が起こらなかったからいいようなものの、あれを契機としてあれに類似の事件でももし起こったとしたらどうです。そういう点も一つよくお考えいただいて、良識のある反省が願いたい、私はこういうように御注文申し上げて、もう時間がきたようですから質問を終わりたいと思います。
  46. 山手滿男

    山手委員長 森本靖君。
  47. 森本靖

    ○森本委員 資料の要求だけをいたしておきます。国際電信電話株式会社の現在までの営業報告と、決算の報告書を、あすの委員会までにお出しを願いたいと思います。それから先ほど監理官から説明がありました海底ケーブルの設置の問題について、これを具体的に資料としてまとめて提出を願いたいと思うのです。昨年の四月から九月までの電電公社の経営委員会の開催回数及びその経営委員会に対する付議案件、それから経営委員会会議内容についての若干の説明、なお現在の経営委員の氏名並びにその経営委員の簡単な略歴、肩書き、地位。それから現在の電電公社の理事の氏名、四月から九月までの運営理事会の開催回数及び理事会に付議いたしました付議案件、それからその結果。そういうものについて一つ資料として至急御提出を願いたい、こう思います。      ――――◇―――――
  48. 山手滿男

    山手委員長 この際、参考人招致の件についてお諮りいたします。  明九日の委員会に、電気通信に関する件につきまして、国際電信電話株式会社より参考人を招致し、意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 山手滿男

    山手委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 山手滿男

    山手委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  本日はこの程度にとどめ、次会は明九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会