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1961-04-07 第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月七日(金曜日)委員会において、 次の通り小委員及び小委員長選任した。   地方税法の一部を改正する法律案審査小委員   会       宇野 宗佑君    小澤 太郎君       大沢 雄一君    久保田円次君       前田 義雄君    吉田 重延君       太田 一夫君    川村 継義君       二宮 武夫君    山口 鶴男君       門司  亮君   地方税法の一部を改正する法律案審査小委員   長                 大沢 雄一君 ————————————————————— 昭和三十六年四月七日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 丹羽喬四郎君 理事 吉田 重延君    理事 太田 一夫君 理事 川村 継義君    理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    大沢 雄一君       久保田円次君    濱地 文平君       前田 義雄君    佐野 憲治君       二宮 武夫君    安井 吉典君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房調査         官)      大村 襄治君         自治事務官   森   清君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)    鎌田 要人君     ————————————— 四月七日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として安  井吉典君が議長指名委員選任された。 同日  委員安井吉典辞任につき、その補欠として和  田博雄君が議長指名委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任  に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六三号)      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置に関する件につきましてお諮りいたします。  すなわち、地方税法の一部を改正する法律案を審査するため、本委員会に、小委員十一名よりなる地方税法の一部を改正する法律案審査小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長選任につきましては、先例により委員長指名に御一任を願いたいと存じます。  以上につきまして御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 濱田幸雄

    濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  それでは小委員に    宇野 宗佑君  小澤 太郎君    大沢 雄一君  久保田円次潜    前田 義雄君  吉田 重延君    太田 一夫君  川村 継義君    二宮 武夫君  山口 鶴男君    門司  亮君を指名いたします。  小委員長には大沢雄一君を指名いたします。  なお、あらかじめお諮りいたしておきます。すなわち、ただいま選任いたしました小委員及び小委員長より辞任の申し出がありました場合には、そのつど委員会に諮ることなく、委員長においてこれを決することとし、その補欠選任につきましては委員長指名に御一任願っておきたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 濱田幸雄

    濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。      ————◇—————
  5. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前会に引き続き質疑を行ないます。安井吉典君。
  6. 安井吉典

    安井(吉)委員 ただいままで地方税法改正法案に対しまして、同僚の議員の方々からそれぞれ一般的な問題につきまして質問が続けられて参っておりますが、私も今度の改正に関連いたしましたいろいろな問題につきまして、この機会に若干のお尋ねをいたしたいと思うのであります。  初めに、今度の改正は、税制調査会の昨年末における答申に従いまして案が作られたというふうに理解をいたしておるわけでありますが、私ども税制調査会に対しまして、国税地方税を通ずる抜本的な改正、そういうようなもので、特に地方税分野では、住民負担軽減地方財政がより高い行政水準を確保できるような方向改正が行なわれることを実は期待をいたしておったわけであります。ところが出て参りました答申、さらにそれに基づいて行なわれました今度の改正の措置は、私ども期待を裏切るものであり、それだけに不満を持っておるわけであります。そこで、きょうこれからあと、出されました改正法案に対しましていろいろお尋ねいたしたいわけでありますが、しかしそれはそれといたしましても、税制調査会のこれからの活動が、ほんとうに今まで私どもが考えておりました期待を裏切らない方向で進むものかどうかということを、一つ大きな問題として私は考えるわけであります。そこで、きょうは御堪能な渡海政務次賞が御出席でございますので、一体私どもは、今後の税制調査会作業に今申し上げましたような期待をつないでいいのかどうか、そのことから一つお答えをいただきたいと思います。
  7. 渡海元三郎

    渡海政府委員 御承知通り税制調査会調査というものは、ただいま安井委員がお述べになりましたような意味における中央地方を通じ、しかも地方財政確立を念願とするわれわれにとりまして、要望を満たすような方向において根本的に改正がなされるという点につきましては、鋭意努力しておるのであります。今回の改正は、その過程におきまして、現在も地方税制にありますところの大衆負担をできるだけ軽減する、あるいは今日の時点におきまして、できる範囲において税の不均衡を是正するということをもって一応なされたのが今回の答申でございまして、その根本中央地方を通ずるところの税制改革であり、また中央地方を通ずる税制改革によりまして、住民負担軽減をできるだけはかるとともに、他面、地方財政確立を期するというふうな、ただいま安井委員の述べられましたと同じように私たちも考えております。要望に沿うということは、これは二年間かかって精密に調査をした上に立ちまして、国と地方の実情を把握した上で抜本的な改正を行なうということは、初めからの方針であったと私は考えております。従いまして、今回の改正がその全部を満たしていないからといって、これに対して不満といいますか、希望を失なうということは早計でございまして、初めからその計画のもとに立てられたのでございます。今回の改正は、今日の時点における改正でございまして、根本的なものはわれわれは大いに期待をして待つべきものであろう、かように感じ、またかくあらしめなければならない、かように考えまして、今後の税制調査会審議に対して大いなる期待をし、また税制調査会答申がかくあるよう、税制調査会審議に対しましてわれわれの要望が実現するよう今後とも一そう努力いたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  8. 安井吉典

    安井(吉)委員 私も党の審議会の中で、地方税制の問題あるいはまた国税の問題をからめていろいろ研究をして参ったわけでありますけれども、特に地方税分野では、富裕団体においてはまだまだ減税余裕があるのじゃないかと私は思うのです。しかし財政のごく貧弱な団体においては、減税といっても限度まできておるということが言えるわけであります。しかもその貧弱な団体においては、税金は非常に高いにもかかわらず財政が貧弱だ、富裕団体においては、まだ若干減税余裕があるのにその半面財政の力は非常に強い、こういったような矛盾の中において、今の地方税国税との体系をそのままにして地方税の問題だけ論議していても、もう意味がないような段階にまで今来ているのではないか、そういうような気がするわけです。そこで税制調査会の新しい段階仕事というのは、これはまあ税制調査会だけではなしに、政府としても考えていただかなければならない問題は、今の国税地方税を通ずる税体系を、みんなかきねを取り払ってばらばらにしてしまいまして、それを一つ積み木のように新たに積み直しをするという、そういう作業がこれから始められなければ、今次官がおっしゃいましたけれども、その抜本的な対策にはならないのじゃないか、私はそういうような気がするわけです。たとえば個人に対する所得課税は全部地方税にして、法人に対する課税は全部国税にするとか、これは一例でありますけれども、そういったような荒療治がなされなければならないのではないかというような気がするわけです。だから、今度の政府がお出しになった地方税改正法案が、一般的にきわめて魅力のないものに終わっている原因はそこにあるのではないかと思うのです。そこで、私が一番初めにお尋ねをいたしました税制調査会への期待とでもいいますか、そういうようなものをそこにつなぎたいと思うわけであります。次の新たな段階において、私は一つの例として申し上げたわけでありますが、自治省としてそういった文字通りの抜本的な改革というようなものに税制調査会方向を引っぱっていく——と言うと語弊があるかもしれないが、引っぱっていくようなお考えを一体お持ちなのかどうか、その点を一つ伺いたいと思います。
  9. 渡海元三郎

    渡海政府委員 現在行なわれております税制調査会の設置されましたときの理由が、ただいま安井委員指摘されましたように、予算編成期におきまして、現在の地方自治体の持っておりますところの欠陥矛盾を是正していこうといたしましたなれば、今言われましたような問題点に絶えず突き当たる。結局、中央地方を通ずるところの税源配分根本的に洗い直すことでなければこの問題を解決することができない。こういうふうな認識にも立ちまして、そのような問題点を研究調査していただくために税制調査会が設置されたようなわけでございまして、現在の地方財政は非常に自主財源が少ないために困難を来たしておる、地方自治の本来の活動財政方面から制約を受けておるというのは、御指摘通りでございます。また他面、富裕団体は比較的財政に恵まれるのに反しまして、貧弱な団体におきましては、現状ですら、いかに税制そのもの欠陥があろうとも、一文といえども減税することを行ない得ないというほどまでに財政の貧困を来たしておるということも、今御指摘になられた通りでございます。他面、いかなる税種をとって参りましても、貧弱府県、貧弱な団体を救い得るかと申しましたなれば、この税種に対するところの格差がいよいよ助長ずるのが大ていの税金でございまして、この格差を少なくするということが非常にむずかしい。従って自主性は少なくなりますが、一応三千六百の自治体がある程度の均衡のとれた行政水準向上をはかっていくためには、これを調整するところの交付税制度によるよりやむを得ないというので、交付秘制度が設けられたのではなかろうかと思います。このようなわが国の自治体が有する矛盾を克服しつつ、しかも自主財源を健全なる地方自治が運営できるように持っていくのには非常に困難性があるのじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。この点を改革するのには、今も申しましたように、中央地方を通じてこういった矛盾点と対決しながら根本的な改革を行なわなければならないのは当然であろうと思います。  従いまして今回の税制調査会調査におきましても、もちろん自主性を持って調査に当たっていただいたのでございますが、当然ただいま御指摘になりましたような点を十分検討の上、抜本的なものが得られる、かように期待しておるのでございます。ただ、今しからばいかにするかという点につきまして一つの例をお示しになって御指摘がございました。この点についての態勢をいかにするかという点につきましては種々構想も生まれてくるであろう、かように思いますが、いずれにいたしましても、私たち地方税種目の中に、国と同じように伸長性のある自主財源をできるだけ確保していきたい。絶えず固定してしまって、伸びていく経済向上に対応することのできないような財政状態でございましたなれば、そのものの中に地方自治体活動そのものを束縛される要因を残しますので、国の経済とともに伸びていく伸長性のあるものをできるだけ確保し、自主財源を求めたいという方向は出ておりますが、ただいまおあげになりましたような具体的な例をとりまして、しからばどの税種をもって地方財源とするかという点につきまして、まだ私たちが具体的に決定し意見を述べる段階でなかろうと思いますので、そこまでの具体的な問題につきましては発表を控えさせていただきたい、かように考えております。
  10. 安井吉典

    安井(吉)委員 今のお答えでわからなしいこともなしのですけれども、しかし、これからほんとうに真剣に調査会作業が始まっていかなければならないと思うわけです。今の段階で、これは国税の方は大蔵省だし、地方税の方は自治省だし、どっちが強くてどっちが弱いというわけではありませんけれども根本的な改正ということになりますと、両方の分野がぶつかり合わないとも限らないわけです。それだけに自治省としては迫力のある資料も必要だし、今後の審議過程においてそういうようなものが強力に主張される態勢がなければならないと思うわけです。税務局長お尋ねいたしますが、そういうふうな資料の準備や態勢は整っているのかどうか、その点を一つ伺いたいと思います。
  11. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 税制調査会に臨む自治省の態度はどうか、こういう御質疑のように思うのですが、よく税の問題を一般に世間で論議せられる場合に、私ども非常に間違っているのじゃないかと思う点は、国税の感覚で地方税を律した議論が多い。ところが、等しく税負担を求めるのですから、租税たることについては区別はございませんけれども何分にも地方税は三千六百のそれぞれ条件の違う地方団体に具体的に適用し得る税制でなければならない。あるところから税収を求めていけばそれで済むのだといった国税とは、そういう面が基本的に迷うわけでございます。従いまして、そういう意味合いからは、地方税としてはできるだけ税源が普遍的にある税種を選びたい、こういう気持がするのでございます。ただそうなって参りますと、やはり消費税というものが比較的普遍的な税源である、こういう面に地方税一つの将来の道というものが残っておるのではないか、こういう気がいたします。ところが最近の財政需要が国と地方はパラレルになっておる。ところが、税の伸長率が非常に違うというのが現状でございます。そういたしますと、国と地方との間の格差は次第に開いてくる、開かないまでも、国は減税ができるが地方減税ができない、こういう姿にならざるを得ないわけです。そういう意味から、私はやはり伸長性のある税を確保しなければならぬ、こういう考え方を持っております。そうなってきますと、現在の経済組織の上では、やはり所得基礎を置いた税を持っていなければ、とうてい伸長性は期し得られない。ことに法人所得というものに基礎を置いた税をやはり維持培養する必要がある、こういう気がいたしておるのでございます。従いまして現在の税制で申しますれば、事業税というものはやはり私は維持培養をする必要がある。同時に消費税については、酒なりタバコなりといったような面について、国の承認が得られるならば、これはやはりその一部を地方税源に回していただく、こういう必要があるのではなかろうか。具体的に申し上げますれば、そういう点を考えておるのでありますが、何分にも税源配分仕事が非常に国、地方の利害にそれぞれつながる問題でございますので、解決は容易なことではなかろう。こういうような見通しを持っておりますが、私どもとしては、あくまでも地方自治推進観点に立って、自主税源の増強という点で進んで参りたい、こういうように考えております。
  12. 安井吉典

    安井(吉)委員 大まかな方向でのお話はあったわけでありますが、私は、これは相当自治省が強い意欲を持って、意欲的な行動でこの税制改正の問題に取り組んでいただかなければいけないのじゃないかと思うのです。交付税をどうするこうするという問題も大事ですけれども、しかし、何といいましても地方財政根本になるのは税制です。それだけに今後税制調査会作業がどういうふうに進んでいくかということはきわめて重大な問題だと思います。今のようなお答えでは、どうも本気にどこまでおやりになるのか、ちょっとその意欲が疑われるといったような気がするわけでありますが、一つ地方自治の基本的な問題だという観点から、積極的な取り組みを要望して、次の具体的な問題に入っていきたいと思います。  今回の政府改正法案の重点は、やはり住民税に置かれているようでございますので、私も、それを中心にしてお尋ねをしていきたいと思います。まず道府県民税市町村民税において、方式統一が行なわれているわけであります。そこでこれらの問題について私ども地方へ行ったときなど、きわめて率直な疑問や要望を出されてくるわけでありますけれども、その一つに、今度の切りかえによって税金がふえるのではないかという心配を述べられる人が多いのであります。特に第一課税方式で今までやっていたところが、今度はそれがなくなって、従来の第二課税方式本文方式及びただし書き方式だけが残るというようなことから、その心配が出てくるようであります。今度の切りかえにおいて増税になる心配はないということをもっとわかりやすく説明する必要があると思うのですが、その点いかがですか。
  13. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の改正、ことに住民税改正は、御承知通り地方税制自主性を強化する、国税所得税改正による自動的な影響ができるだけ地方税に及ばないようにする。こういうことを基本にいたしておるのでございますが、それと同時に、今回の改正では住民負担に変動を与えないということもねらいにいたしておるのでございます。従いまして御質問のような、今回の課税方式改正によって負担が増加する、こういうことはないように配慮をいたしております。  つまりその一は、所得金額範囲及び算定方法でございますが、この点につきましては現在の第二課税及び第三課税方式と同様になっているのでございますが、ことに給与所得者につきましては、給与所得控除退職所得についてはこれも所得税法の今回の改正と同じような減税を行なうことにいたしております。従いまして給与所得者につきましては平年度で四十一億見当の減税に相なることになっております。  次に所得控除項目とその金額でございますが、これは現行所得税法に書いてある金額と同じことを書いてございます。従ってその点から控除金額が減って増税になるといったような心配のないように配慮いたしてございます。  次に、税額算定でございますが、現在の第二課税方式におきましては、退職所得山林所得及びその他の所得を区分しないで合算課税になっております。しかし現行の第一課税方式所得税額課税標準にいたしておりますので、そこで第一課税方式が第二課税方式本文に切りかわるということでございますので、所得税と同じように、今回の改正においては分離課税に改めております。同時にまた山林所得については五分五乗方式を第二課税方式でも採用する、こういうことにいたしておりまするので、第二課税方式、第三課税方式採用市町村は、その面で負担軽減がはかられ、第一課税方式採用市町村は従来と同様である、こういうことになっております。  また税率につきましても、現行の第一課税方式における負担と同程度となるように、準拠税率を設けたのでございますが、その結果、第一課税方式を採用しておる市町村においては大体準拠税率のまま移行することが予想せられております。また第一課税方式以外の課税方式を採用しております市町村におきましては、現在の準拠税率と全く同じでございます。従いまして税率の両からも増税になる、こういったことはまずないのではないか、こう思います。ただ従来の賦課制限額が第二課税の場合には七・五%、第三課税の場合には一五%、こうなっておりましたが、この点につきましては、今回の税率は従来の第一課税方式所得税額課税標準にいたしておりましたことから、そういう制限を撤廃をいたしております。従って第一課税方式の場合には、第二課税方式に変わりましても負担は全く変更をいたさない、こういうことになっております。ただ賦課制限額、これにつきましては従来ございました八〇%というのは従来通りに据え置く、こういうことにいたしておるのでございます。  さらに障害者、寡婦につきましての税額控除でございますが、これは改正本文方式におきましては、現在でも第一課税方式におけるやり方と同じに法定をいたしておりますが、今回の改正ただし書き、これにおきましては、従来はこういう場合に税額控除はしない、こういうことになっておりましたが、これはやはりいわば担税力の弱い社会的な弱者の立場にある方でございますので、第二課税方式ただし書の場合におきましても、やはり条例で税額控除をできる道を新たに開いております。従いまして、こうした方には減税になる機会がある、こういう改正をいたしておるのであります。  大体以上のように所得範囲及び算定並びに控除項目及び金額、さらに税率、こういった面で従来より減税になる要素はございますけれども増税になるという要素のないような配慮をいたした改正に相なっておる次第でございます。
  14. 安井吉典

    安井(吉)委員 もう一つやはり出てくる疑問は、本文方式だけでよかったんじゃないか、ただし書き方式まで同町に残しているということは、やはり何か税金が従来よりもふえるのではないかというふうなそういう疑念の方向に導かれやすいわけです。そこでこの本文方式ただし書き方式、特にただし書き方式をどうしても存置しなければいけなかった理由、さらに本文方式ただし書き方式との場合でどれくらいの税額差を一般的に生ずるのか、そういったような疑問にも一つお管えいただきたいと思います。
  15. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の改正の際に、いわゆる二段ばねといいますか、そうでなしに一段で一挙に統一方式にしたらどうだ、しかもその際に本文方式をとった方がよかったのではないか、こういう御意見でございますが、実は審議の途中におきましても、私どもとしてはできれば課税方式はむしろ一本に統一をしたいということでいろいろと案を検討したのでございます。ところが、現在の市町村の状況から見ますと、これを一本の方式にいたしますと、どういたしましても、税収の面、さらに基本的には納税者の数というような面から見まして、第二課税ただし書き採用市町村、あるいは第三課税ただし書き採用市町村が、税収が非常に減ってくると同時に納税者が激減をする、こういうことになるのであります。それをある程度避けようといたしますと、今度は逆に第一課税採用市町村が非常な増税にならざるを得ない、こういう失態があるのでございます。従ってこの際一挙に統一をするということは、その統一の仕方をどのようにきめましても、従来の第一課税方式採用市町村住民増税の結果を来たすか、しからずんば第二課税、第三課税ただし書き採用市町村住民にとっては、減税にはなりますけれども非常に納税者数が減る、同時に市町村に与える財政面影響もきわめて大きい。こういうようなことから、一挙に統一をするということは、現在の市町村産業構造所得の分布、市町村財政、こういうような面を考えました場合には非常に無理がある。従って漸進的な案で考えるべきであろう、こういうことで第二課税本文及びただし書きを適用する、こういう結果に相なったのでございます。  なお税額の差の問題でございますが、税額の差は、従来の第一課税負担と、先ほど申しましたように今回の改正本文とは、減税分を除きますれば負担が全く同じでございます。ただし書きの方は従来のただし書き通りで、先ほど申しましたように若干減税でございますが、ほぼ同じであるということを考えますれば、税額の差は大体従来と変わらない。そうなってきますと、それじゃなぜ改正をするんだ、こういうことにもなろうかと思いますが、私どもといたしましては、現行の五つの課税方式を存置をしておきますと、次第に負担格差が開いてくるのでございます。従って私ども改正の趣旨は、現在の段階においては、少なくともこれ以上の格差を開かさないということをとりあえずの目標として今回のような改正をした、こういうことでございます。
  16. 安井吉典

    安井(吉)委員 そこで先ほど来税務局長の御説明では、切りかえによって従来よりも増税になる方向が出てこないというふうな御説明でありますが、しかし法律の上ではそのような保障は全くないはずです。具体的に増税にならないと、今おっしゃられる政府のその御方針を、一体どういうふうにして具体化していくのですか、その点を一つお聞かせいただきたい。
  17. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 従来の第一課税方式採用市町村は、私どもの指導といたしましては、今回改正本文方式に直していただくように指導をいたしたいと思います。そこで、指導だけでは法律的に何らの保障はないではないか、こういう御質問だろうと思いますが、その点は従来と変わらないのでございます。従来でも第一課税方式から第二課税方式にいくことは自由でございます。従って今回の改正によって特にそれが変わるといったようなことはないのでございます。
  18. 安井吉典

    安井(吉)委員 私は特にこの際申し上げたいのは、今度の自民党の選挙のスローガンが実現に入るための今回のいろいろな措置だろうと思うのです。やはり減税といったようなことが三つの公約の大きな柱であった。その柱がだんだん細くなって蚊柱じゃないかという悪口を言うぐらいに今なってきたという段階で、単に法律的な保障がなくて、大体それにいくだろうということじゃなしに、一つこの際減税的な方向というものは忘れずに、政府の指導の中に——従来もそれから今度も、全く地方公共団体というものがどのような様式を採用しようとこれは自由なはずです。しかしながら、今のような自民党の選挙公約があったという中で今度の改正が行なわれる以上、やはり増税というふうな方向ではなしに問題を解決する、こういうような指導の方向でなければならないと思うのです。その点を一つ十分に御理解になった上での御指導を一つ期待したいと思うわけです。  ところで市町村民税の場合でありますが、特にただし書き方式の、非常に税金が高くなるというふうに印象をされておりますのは、その方式の採用そのものよりも、むしろ税率が、準拠税率というものは一応ありますけれども、そういうものはちっとも守られずに非常に高い税率課税が行なわれているということ、どこでも非常にまちまちな税率がとられており、ことに財政力の弱いところほどそういうものが重くなっているわけです。こういうような実態から、市町村民税の特にただし著き方式になると税金が高くなって困る。そういうような批判が出てくる原因は、むしろその方式のあり方よりも、その税率の採用の仕方に問題があるような気がするわけです。現在そういったような実態は政府としてどういうふうにつかんでおられるか、その点から一つ伺いたいと思います。
  19. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 従来第一課税の方は、これは所得税額に乗っかっておったわけですが、第二課税、第三課税ただし書きを特に認めておりましたのは、財政上特に必要のある場合にそういう方式をとることができる、こういうことにいたしておったわけでございます。つまり基本は市町村財政力の貧困ということから第二課税ただし書きをとっておったわけでございます。従ってそういった必要のないといいますか、原則的にいえば第一課税のやり方によるということで所得税額に乗っかっておった方式があったわけですが、それと今回の改正本文方式というものは、これは負担は全く同じでございます。従って従来第一課税をとっておったところは、当然これは財政上そういった必要が従来からなかったわけでございまするので、当然今回改正本文方式に移行していく、こういうことが考えられるわけでございます。  採用の市町村の状況は、第一課税の方は一四%程度で、ただし書き採用の市町村が七九%程度だったと思いますが、納税者の数で申し上げますれば、五〇%以上が第一課税、従ってそれが今回の改正本文方式、こういうことに移行していって、第二課税ただし書きの方は納税者で四十数%、この方々がやはり今回のただし書き課税の採用市町村住民となることが予想されますので、その点も変わりはないんじゃないか、こういうように考えております。
  20. 安井吉典

    安井(吉)委員 私が申し上げているのは、その採用の横すべりだとかなんとかいうことじゃなしに、準拠税率の問題です。準拠税率の採用の問題については、ここにある資料で見ましても、ちっとも伸びていないのです。ほんのわずかしか行なわれていないようです。ですから現実の市町村民税課税は、末端の町村へ行きますと、全く準拠税率なんというものはどこにあるのかといったようなことで、相当幅のあるまちまちな課税が行なわれているような気がするわけです。私も現にそういうものは具体的には知っているのですけれども、しかし、自治省として、そういう失態をどういうふうに把握されているか、現実の課税税率の方はどんなふうになっているか、それを一つ伺いたい。
  21. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 お答え申し上げます。この準拠税率制度を初めて作りましたのが昭和三十二年度でございます。昭和三十二年度におきましては、当時第二ただし書きと申し上げまして、第二ただし書きをとっておりました市町村が二千九百七十三ほどでございましたが、その中で準拠税率をそのまま採用いたしました市町村が三百九十八でございます。その後逐次この市町村数は町村合その他によって減って参りまして、昨年の七月一日現在では、この不均一課税市町村の全部をひっくるめまして約二千八百ほどでございますが、その中で準拠税率をそのまま採用しておりまする市町村は八百二十までふえてきておる。大体三〇%の市町村準拠税率をそのまま採用しておるという状況でございます。  それからこの準拠税率そのままどんぴしゃりというわけには、町村財政の事情もあってなかなか参らないわけでありますが、準拠税率制度を創設されました当時、市町村財政状況に応じまして激変緩和の措置も別途交付税で行なわれたわけでございますので、そういうことも一つの原因になりまして、この第二ただし書きをとっておりました市町村の今の三割部分を除きます残りの四割、大体全体の七割の市町村はこの準拠税率そのままには参りませんでも、大なり小なりの減税措置をやった、こういう形になっておるわけでございます。  それから私どもの方で毎年七月一日現在で、全国の市町村につきまして現実に採用しておりまする税率につきまして詳細な調査をいたしております。これはまた別途小委員会等で細目審議の際には、資料としても御要望がございましたら出したいと思っておるわけでございますが、大体この市町村課税標準段階ごと、それから税率を大体〇・五%刻みに縦、横に分布をとって見ておるわけでございますが、たとえばこれは超過累進をとっておりまする市町村だけでございますので、さいぜんの二千八百の市町村のうちの二千四百の市町村になりますが、この二千四百の市町村につきまして、その課税標準段階ごとの採用税率の状況を、今申しました〇・五%刻みのグループにずっと分けてみますと、その中で最もモードと申しますか、集中度の高いところは準拠税率とぴったり合っておる、こういう形になっております。これも後ほど資料につきまして詳細に説明を申し上げたいわけでありますが、そういうことからいたしまして、もちろん基本的には、これは財政状態が改善しませんと、この準拠税率に向かって減税をしよう、こう言いましても、これは難きをしいるわけでございますが、準拠税率制度創設以後の運用の状況は、一応私どもが考えておりました準拠税率の設定の趣旨というものは実現されつつあるのじゃないか、こういうように考えておる次第でございます。
  22. 安井吉典

    安井(吉)委員 とにかく地方に行きますと、こっちの村からあっちの村に転任になりますと、あるいは町に転任になりますと、これは猛烈な差が出てくるわけです。だからそういう実態を自治省の方で現実におつかみになって、地方交付税やその他の配分の場合に、そのような問題を加味した措置がなされているのかどうかということを疑問に思う。地方に行きますと、必ずそういう質問に私どもまずさらされるわけであります。どうでしょう、その資料はあとでお見せいただくことにいたしましても、極端だなと思われる場合はどういうふうな税率でやっておりますか、一、二例引いていただきたいと思います。
  23. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 これは、たとえばこういうところがございます。税率の刻み方にも問題があるわけでございますが、たとえば準拠税率でございますと、十万円までのところは二%というのが準拠税率でございます。それに対しまして、最も高い市町村の例を申しますと、六%というものを取っておる市町村が、これは一市町村でございますがございます。それから五・二五%というのを坂っておりますのが四市町村ほどございます。それから五%というのが七市町村ほどございます。この準拠税率に対しまして、今のこの刻みで見ますと二倍半、三倍といったようなところがある、こういう形になっております。
  24. 安井吉典

    安井(吉)委員 百万円刻みの辺でどうでしょう。
  25. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 百万円のところで申し上げますと、百万円のところは準拠税率が六%でございます。それに対しまして、その一番高いところは 一五%で、一五%というのが一市町村ございます。それから一四%というところが二市町村ございます。
  26. 安井吉典

    安井(吉)委員 今ほんのわずかな数字をお聞かせいただいただけでありますけれども、十万円未満という低いところにも問題がありますけれども、やはり百万円見当のたとえば学校の先生だとか一おもにこれのあるのは農村や漁村ですから、学校の先生だとか、あるいは食糧事務所の職員の人だとか、そういうような人が転任をするたびに月給が上がったり、下がったりということに結局なっていくわけです。これは地方自治の本旨から、地方税制も、それぞれの市町村独自の立場で作り出して差しつかえないということはわかるわけです。しかしながら、あまりにも個人負担のアンバランスが生まれているというふうな来信は、これはやはり考え直さなくてはいけない問題だと思うのです。特に今のように経済がぐんと進んで地域の差というものがなくなってこなければいけない段階において、特にそういうことが考えられなくてはならないし、さらに私は、これをまた別な面から考えますと、地域間の経済あるいは所得格差という面から考えましても、非常に豊かな地域においては税金が安くて済むし、貧乏な地域に住んでいる人は経済力も貧弱であってしかも税金が重い。こういうような事情をそのままに放置していくということに、これはずいぶん問題があると思うわけです。地域の格差をそのままにしておいて、所得の倍増もへったくれもないと思うのです。そういうような立場からも、この住民税における準拠率の採否の問題は非常に大きな問題として考えていただかなくてはならないと思うわけです。この問題は今度の税制改正の中では全く何らの考慮が払われていないわけです。しかも地方交付税段階においても、これは標準率というわけでもない、準拠率ですから。そしてさらにそれをずっとオーバーした課税について地方交付税でこれを見てくれるという方法も何らないのではないか、そういうようなことも考えるわけです。このような問題についてもう少し真剣に自治省が取っ組んでいくということになれば、財政補てんの問題にこれは当然行き着かざるを得なくなるわけです。それを裏返しにして言えば、現在のままで放置しているということは、こういうようなめんどうな問題において、政府の方で財政上のめんどうを見るのもめんどくさいしいやだから、その責めを免れるというような意味で、今までそのままにしていたんじゃないか。この間もそういうふうな話も出ていたわけであります。地方自主性尊重という美名のもとに、地域格差の拡大が結果されたりするということではなしに、所得倍増計画をやるのなら、まずこんなところから手をかけていただかなくてはならないのではないかと思うわけです。そこでこのような地方交付税にも現われてこないような財源補てんの問題、こういうようなものについて政府はどういうふうにお考えになっておられるのか。これは財政局長もお見えでございますので伺いたいと思います。
  27. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 お話のように市町村の中におきましては、住民担税力が乏しくしかも施設も十分ではない。にもかかわらず、かえって税率は高いというようなところがあるわけでございます。こういう問題につきましては、当然いろいろと是正をしていかなければならないわけでございまして、そういう努力を払って参っているつもりではおるわけでございますけれども何分地力財源の全体として、必ずしも十分だという段階にまで至って参りませんでしたために、御満足いただけるような姿になってきていないということは大へん遺憾に思っておるわけでございます。幸いにしまして地方財政もだんだんとよくなって参っているわけでございますので、私たちの率直な気持を申し上げさしていただきますと、経済発展に伴う自然増収、今しばらく減税ということよりもこれを地方団体の財源にさしていただきまして、そしてふえた財源を傾斜的に弱小の団体に積極的に配分をしていく。そうすることによって租税負担地方団体間に大きな差がないように持っていく。同時に弱小の団体の施設の改善を行なっていくというようなことにしたいというのが私たちの率直な希望でございます。経済発展に伴う自然増収を、今しばらく減税ということよりもこれを地方団体財政改善の財源に充てさしていただいて、それを貧弱団体に優先的に向けていくことによって、今のような問題を積極的に解決していきたいということでございます。三十六年度におきましては、幸いある程度地方財政もよくなって参ってきておりますので、これを弱小の団体に傾斜的に配分するというような措置をとって参ってきておるわけでございます。その方法としては、たとえば市町村につきまして、十林地以下の市町村については行政の質の差があるということで、基準財政需要額の算定におきましても、ある程度割減をして参っておりましたものをやめてしまう。その関係から十種地以下の市町村だけについて、三十七億の基準財政需要額の増額を行なうというようなことになるわけでございます。さらにまた面積の大きいような市町村は割合に人口が希薄であり税源が乏しい。その結果、施設をしなければならない割合には財源がないというような格好でございますので、こういう点を防ぎたいというようなことから、小学校や中学校にかかる基準財政需要額の算定にあたりまして、学校数にウエートを置く改正を行なっております。あるいはまた面積を測定単位といたしますものにつきまして、単位費用を引き上げながら、従来はある程度それに伴う基準財政需要額が大きい場合には打ち切っておったわけであります。それを青天井で計算をしていくというような方向に切りかえを三十六年度からはしたい。あるいは農業行政につきましても若干そういう意味の修正を行なっておるわけでございます。将来とも財源の増加いたします機会をとらえまして、こういう方向の努力を払っていきたい、こういう考え方でおるわけでございます。もとより市町村の規模が小さきに失しますために、必要な施設をまかなう財源が得られない結果、増税に向かっていくというような面もないわけでございませんで、市町村自身におきましてもその規模の適正化に努力していかなければなりませんし、あるいは財政運営自体にも問題になるところがいろいろあろうと思います。しかしながら、基本的には今申しましたような方向で、一そう積極的に解決していくように努力して参りたいという考えでおるわけであります。
  28. 安井吉典

    安井(吉)委員 今の傾斜配分の問題で、たとえば地域における物価差、あるいは交通上のいろいろな不利だとか、そういったようなものはどういうふうな考慮が払われておるかということをちょっとお伺いしたいわけです。といいますのは、ずっと離島なんかに行きますと、物価が非常に高いわけですね。特に学校なんか建てるといったって、それはだれが考えたって離島で木材がないのですから、ずっと運んで行って、それで建築が行なわれなくてはいけない。特に私も反対しましたけれども、また国鉄の運賃が上がりましたし、そういうようなものが響いて物価が非常に高いというふうなこと、そういうような地域についてはどうするか、あるいはまた県庁所在地まで、あるいは東京まで出てこなくてはいけないような場合でも、交通の費用がずいぶんかかる。そういうような面は今度の傾斜配分といった関係でどんなにごらんになっておられるか。
  29. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 府県の問題といたしましては、僻地のあるところについて僻地手当等の支給も必要でございますので、そういう意味の補正を行なっております。しかし市町村として僻地にある市町村をどうするかという問題になりますと、むしろ一般には物価は低い。しかし学校建築というようなことになって参りますと、資材を遠方から運ばなければなりませんので割高についておるようでございます。そういうこともございますので、国の予算編成にあたりまてしは、こういう意味の地域差を考えて補助金を差等をつけてもらいたい、こういう注文を実は大蔵省その他各省にも出しておったわけでございます。ただここで計算の基礎になって参りますと、むしろ逆に物価は低いというような問題もあったりいたしますので、そういうことで基準財政需要額を増額するということは、なかなか理論的にも問題があるのではないだろうか、こう思うのでございます。やはり個別にその差等を認めていかなければならない。従って補助金等につきましてもその差等を反映させるような配分の仕方をすべきだ、こういう考え方を打っておるわけであります。しかしながら、まだ十分そういう点が理解されませんで、国の財政面において私たち期待するような段階にまでまだ至っていないわけでありますが、将来ともそういう方向の努力をして参りたい、かように考えておるわけであります。  また出県旅費等について多額を要するのではないかというお話でございました。これももっともなことでございまして、こういう点につきましては、特別交付税の配分の際にそういう事項も考慮して配分するという項目を設けておるわけでございまして、やはり特別交付税の措置でそういう問題を捕捉する以外にちょっとやりようがないのではないだろうか、こういう考え方を持っておるわけでございまして、御指摘になりました点、ごもっともな点でございますので、将来ともそういう方向については十分考慮するように努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
  30. 安井吉典

    安井(吉)委員 それは地方によっては高いものがあるし、かえってものによっては、安いのではないかというふうな問題も、これはあろうかと思います。これはたとえば北海道のずっと離れ島なんかへ行きますと、お米は高いし、労賃は高いし、普通のところより安いのはコンブぐらいだ。しかしコンブばかり食って生活できるわけではないですから、それはもう全体的なレベルというものは非常に高いのですね。そういったようなところの考慮が全く払われていない。そのような地域に限ってニシンに見放されて、住民のふところはぴいぴいで、税金はちっとも入らない。滞納が一年間の税額の倍もたまっている、そういったようなところがだいぶあるわけです。このようなところに対する考慮というような問題を、単に物価差の問題で、高いのもあるし、低いのもあるし、それで相殺されるんじゃないかというようなことじゃなしに、もっときめこまかな配慮というものがなくてはならないのじゃないかと思います。この聞こういう話も聞きました。これは国営の開拓地を持っている農村で、国営の開拓地なものですから排水路ができた。それが一万七千メートルから一万八千メートルぐらいあるんだそうですが、その排水路といっても上幅が五メートルもある。これは完成してから町村に移譲されるわけですね。そして、その地帯は泥炭地ですから水が下からふき出てしまう。作る段階では国費でやってくれたけれども、でき上がったあとそれを預けられれば、それはそれぞれの市町村で管理をしていかなければならないわけです。さらにまたこのような村ですと、泥炭地帯ですから町村道に砂利を敷こうと思っても砂利もない。だから砂利は何十キロも遠くの川から買ってこなければいけない。一立坪が一万二千円もするんだそうです。そういうような砂利を持ってきても、下は泥田地ですから、敷いては埋まってしまう、敷いては埋まってしまう。その基礎工事が大へんだから維持管理に非常に苦労がある。こういうような地帯もあるわけであります。こういったような一般的な土木費の基準やあるいはまたそれに対する補正で間に合わないといったような地帯が現実にはあるのではないかと思うのですが、どういうふうに措置されるお考えか、さらに伺いたいと思います。
  31. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 国営開墾地を例に出してお話しになりました。私も同じような考え方を持っておりますので、まことにごもっともな点だと思うのでございます。たとえば全額国の負担で農道が開設される。しかしある程度使って参りませんと、すぐいたんでしまうわけであります。これは農道でございますので、交付税計算では当然道路費の計算には入ってこないわけでございます。しかし実際問題として、市町村があとの維持管理に相当の金を使っていかなければならないというような事例が北海道ではずいぶん多いように私たちには見受けられるわけでございます。開墾地が一人前の農村になっていきますためには、相当な長い期間を要するようでございますけれども、最初の施設を作っただけで、あとはおっぽり出されるというような例もずいぶん多いように見受けられるのでございます。そこで三十五年度の特別交付税の配分の際、こういう農道も全部拾い上げまして、市町村道として計算すればどれだけ基準財政信要額がふえるだろうか、こういう計算を実は北海道にしてもらったわけでございまして、そういうことも配分の基礎に入れたわけでございます。農道を一律に道路費として計算をするわけには参らぬと思うのでございます。しかし、新しい開墾地におきましては、農道だから市町村には金がかからないんだという扱いには私はできないと思います。農村が発展していく過程におきましては、農民の生活の確立が即市町村財政確立ということにもなって参りますので、そういう点は十分考えて参らなければならない、かように考えております。しかしそれらの問題は、やはり特別交付税の配分の問題として取り上げていく以外にはないのじゃないだろうか、こういう考え方でおるわけでありまして、そういう点につきましては、将来ともなお考えていきたいと思います。ただ北海道の点について申し上げますと、寒冷補正などについてもなお若干引き上げた方が実地に合うのじゃないだろうか、こういう考え方も持っておるわけでございます。そういうことも先ほど申し上げました措置にあわせとりたい。そして御指摘になっておるようないろいろな問題の改善に資していきたいという考えでおりますことをつけ加えさしていただきたいと思います。
  32. 安井吉典

    安井(吉)委員 農道についての御配慮のお話がありましたけれども、排水といったようなことについても同町に御検討をいただかなくてはならないと思います。  ところで、私が今若干の例をもって今の町村の財政がいろいろな角度から若しんでいることを申し上げたわけでありますが、財政局長の御答弁は、結局今でも財政が非常に苦しくて、七〇%ぐらいのレベルにある。それをどんどん今のような措置で埋めてやって、あと三〇%ぐらい埋めれば大体レベルまでいくのじゃないか、そういうようなお考えで、私も御答弁を承ったわけであります。ところが最初から私が提起しております問題は、今七〇%ぐらいの程度にある上に、税金が非常に高いというもう一つの問題があるわけです。だから今の財政局長の御答弁は、七〇%を一〇〇%まで上げる問題でありますが、今の超過課税をどうやって解消するかという問題は、別に一つお考えをいただかなくてはいけないのではないか。つまり超過課税を——これは超過課税という言葉が当たるのかどうかわかりませんけれども、標準率を超過した課税が行なわれている。それを解消するには、やはりもっと特別な財政措置というようなものがなければならないのではないかと思うのです。つまり税制の上におけるその改善と財源とがかっちり結び合ったような姿で、何か自治省の施策が必要なのではないか、そういうふうに思うのですが、それについてはいかがですか。
  33. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 財政当局として考えておりますことを先に申し上げたいと思います。  地方財政が全体としてなお必ずしも十分財源に恵まれているというまでには至らない、逐年それが改善されつつあるというふうに考えるわけでございます。そういうことによって、御指摘になりましたように、かりに七〇%程度の水準にとどまっておるものをだんだんと一〇〇%に持っていくということの解決になろうかと思います。その際にふえた財源をさらに弱小の団体に傾斜的に持っていくことによって、たとえば無理な課税をしておるそれをやめる財源に持っていくとか、非常に低位、特に極端に疲れておる施設の改善に充てていくとかいうようなことになっていくのじゃないか。要するに地方財源をある程度全体的に広げながら、その多くなった財源の一部を特に弱小の団体にプラスして振り向けていくというようなことで、御指摘のような方向への解決になるのじゃないだろうか、こういう考え方でおるわけでございます。  ただ超過課税が全体として私たちも悪いと考えておるわけではございませんが、問題は、施設の悪いところはかえって税負担が重いということにあろうかと思うのでございます。そういう点については今後とも一そう努力を払って参りたいと思います。これは税務局長からいろいろお答えがあるのだろうと思いますけれども、私たちは従来の税制が地域間の負担の拡大に拍車をかけてきた、こう思っておるのであります。第一課税方式をとっておるところは、所得税減税されれば自動的に税負担が下がっていく。二十五年から二十七、八年までの間におきまして、所得税減税が次々に行なわれておったわけでございます。自動的に第一課税方式のところでは減税になっていったわけであります。しかし無二課税方式のところでは税率が法定されていませんでしたので、市町村としては財政が苦しいものですから、条例税率をそのまま据え置いておったわけであります。その間に非常な格差の拡大になったと思うのであります。その後に準拠税率ができたわけでございますので、だんだんと少なくともその差の広がるものがなくなると同町に、縮まって参ってきておる、こういうように考えておるわけでございます。先ほど市町村税課長から準拠税率採用の話がございました。私は三割しか準拠税率をとっていないという以外に、ほうっておけば広がるものが、条例税率改正することによって広がらない努力をした、あるいは縮めたという団体が、非常に大きな数に上っているというふうに考えておるわけでございます。ただ準拠税率ずばりじゃないけれども、条例税率を逐次改正してきた経緯はほとんどの全体の市町村に及んでおるのじゃないか、こう考えておるわけでございます。そういう意味において、準拠税率の制定ということが御指摘の問題の解決に相当大きく役立って参っていると思います。今回の措置はさらにそれに大きく役立って参るものだ、こういう気持でおるわけでございます。
  34. 安井吉典

    安井(吉)委員 私も、準拠税率の設定が、今お話がありましたような少なくとも税の引き上げを阻む消極的な効果だけは認めているわけです。しかし積極的にそういうものをなくして準拠税率統一していくという、その方向に対する政府としての努力がまだやはり足りなかったのじゃないか、そんな気がするわけです。今度簡易税額表の問題が出てくるわけで、これはおそらく自治省でひな型なんか示すのでしょう。そういうふうな形になってこれが出てくることが、あるいは幾らかでも準拠税率接近への傾向を強める方向になるのじゃないかというようなことも私は考えるわけでありますが、積極的な行政推算、しかもそれの財政の裏づけを持った措置が必要だと思うのですが、税務局長いかがですか。
  35. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御説のように、地方税制の合理化ということは財政の充実施策と相待ってやらなければとうていできないことだ、こういうふうに考えております。超過課税につきましては、先ほど財政川長がお話しになりましたように、基本的には地方自治体のあり方として一向差しつかえないことではございますけれども、問題は、やはり財政貧困のゆえ施設も貧困である。サービスが悪いにかかわらず税が高い。そこに問題があるわけですが、そういうことは財政力の充実と待って逐次合理化すべきであろう。住民税につきましても、本来は一本の制度でいくべき筋合いのものだ。それを今回本文ただし書き方式を認めましたゆえんも、やはり現在の財政の実態から見て一挙にそこにいくのではなく、一歩前進の案である、これがまた現実の問題を解決する方法としては現時点においては最善の方法である、こういうことで、改正をいたしたのでございます。簡易税額表等につきましても、徴税上の府県税と市町村税との関係あるいは市町村自体の徴税の問題、こういった点も考えて御説のような趣旨も入れて改正せんとした次第でございます。
  36. 安井吉典

    安井(吉)委員 やはりもう少し積極的な意欲を持ってこの問題にも当たっていただきたいのです。それでなければ、大衆負担軽減というふうなことが税制改正の一応のうたい文句になっておっても、現実の市町村での税金の方はちっとも変わりなく取られている。だから制度が変わっても、それには無関係で現実の徴税が行なわれているのですから、そのギャップを埋める努力をやはり積極的に果たしていただかなくてはいけない、こういうことをお願いしておくわけです。  なお、このような後進地域が非常におくれていることに関連いたしまして、これらの関係の道府県に対しましては、公共事業の補助の特例の立法を今度お出しになっているわけでありますが、市町村にもそれを及ぼしていくというお考えをお持ちになりませんか、どうでしょう。
  37. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村につきましては、現在低開発地域工業促進法の提案が行なわれていますが、自治省といたしましても、基幹都市建設促進に関する法案の提出を考えているわけでございます。そういうような個々一体の市町村を把握しての開発促進を検討していきたいというような考え方でおるわけでございまして、府県のような仕組みに持っていくということについては、市町村はあまりにも千差万別ではなかろうかという気持でおるわけでございます。
  38. 安井吉典

    安井(吉)委員 しかし現実の市町村財政は、公共事業のいろいろな負担が未開発地域ほど大きいわけです。そういうような観点から、道府県に対して公共事業に対して補助の特例があるのだとすれば、当然次の段階では、市町村にもそういうようなものが及んで差しつかえないのじゃないか。そういうようなことを期待するという声も聞くわけでありますが、今の道府県のやつは四六%ですか、あれで計算をいたしますと、市町村にあの程度までいくということになると相当大きな財政負担だと思うのですが、試算をされたことがありますか。
  39. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 ただ財政力の貧困な団体について補助金のかさ上げをするというのではなくて、あくまでも基本は後進地域の開発をはかっていくということにあるだろうと思うのであります。弱小でさえあればどんな山の中でも、道路をつければその補助率を引き上げていくという考え方ではなくて、私たちは、やはり財源調整とか財源補償の性格に属する仕事だろうと思います。そういう意味においては、地方交付税制度の不十分なところがありますれば地方交付税制度の改善をはかればよろしい。問題はやはり地域の総合的な開発をはかっていくということにあるわけでありますので、財政力が貧困だからその市町村の公共事業費の国庫負担率を引き上げていくというような方向はとるべきではない、こう思うわけであります。まず具体の市町村を、国全体を見渡しまして、どういうところにどういう産業を発展させなければならないか、それについてはどういう立地条件の整備に努力していかなければならないか、その整備を容易ならしめるためにどういう手を打たなければならないか、そういう方向で解決をはかっていくべきではなかろうか、こういうふうに思います。府県でありますと数も四十六しかありませんので、ある程度一本のものさしでいろいろな措置をきめていくことが可能でありますけれども、三千六百もある市町村で、その態様が全く種々でありますので、府県について律しまするような方法ではなかなかやっていけないのではないかと思うわけであります。まず具体の市町村につきまして、どのような開発計画をとっていくかというようなきめのこまかい、おっしゃっておるような方向の考え方をしなければならないのじゃないか、かように私たちは考えておるわけであります。
  40. 安井吉典

    安井(吉)委員 自治大臣、今の後進地域の市町村にも公共事業の補助の特例を及ぼすということについて、どのようにお考えになっておられますか。
  41. 安井謙

    安井国務大臣 精神といたしましては及ぼしたいという気持はありますが、実態の非常に異なった、しかも数の多いものにそれを当てはめていきますには、非常に技術的に旧難な問題も多かろうと存じます。今財政局長から答弁いたしましたように、別途の方式を考え、またそれによってだんだんと地方の開発を進めていくといった方が現在の段階ではベターではないかと思っております。
  42. 安井吉典

    安井(吉)委員 これは別に審議機会があると思いますので、これ以上きょうは触れませんが、とにかく財政力の弱い市町村あるいは府県ほど超過課税やその他住民負担が重くなっているという面から、私はこの問題を提起しておるわけでありますが、もっと御検討をお願いいたしたいわけであります。  そこで、今度は住民税所得割の関係で、特に専従者控除の問題について若干お尋ねをいたしたいわけでありますが、今度の税制改正の中で特に青色申告に対して二十五才以上が十二万円、二十五才以下が九万円、それから特に白色申告にも七万円の控除を設けたということは、私どもの年来の主張を不満足ながら遂げたような形になっておるわけであります。ところが今度、の住民税の場合は全く従来遮りということで、要するに青色申告の場合の八万円をただ踏襲して、白色申告には何らの措置もしない。こういうような無勢でお進みになるおつもりのようであります。ところで、この問題については、いろいろな角度から問題点をあげることができると思います。今回の税制改正では、国税地方税を通じて農村に対する課税の減免はごく少ないということです。たとえば国税を見ましても、所得税の納税人員が、全農家の九・二%くらい、そういうふうな段階で、今度の青色、白色の専従者控除がふえることによって、それが三・二%に減るのですから、ずいぶん農家で税金を納める人はごくわずかになってしまう。こういうようなことで、農民に対する減税が大幅に行なわれたというふうに御説明にはなるのかもしれませんけれども、しかしながら、この全農家における比率から考えていただいてもおわかりになりますように、全農家のうちの九%程度だけが、今度の国税地方税全体を通ずる減税の恩恵を受けるわけで、残りの九一%ですか、その人たちは全く恩恵を受けない。しかし、ただ地方税において、若干専従者控除に対する措置が設けられれば、さらにそれにプラスした農民やあるいは零細な業者の人たちがおかげを受ける、こういうようなことになっております。しかしながら、地方税制改正法案では、地方税においては専従者控除を全く考えない、こういうような措置に出ておられるわけです。  それともう一つは、青色の場合には一応控除があるんだから、みんな青色にすればいいじゃないかということに対する答えでありますけれども、申告の手続というのはなかなかめんどうなものですから、農家やあるいは零細な業者の人たちでは、そこまでなかなかいかないというのが実際の状況で、そういうことになりますと、青色と白色とは単に申告の手続だけで、形式だけで税金に大きな差が出てきている、そういう実情であります。  もう一つの面では、法人の方が税金がずいぶん、安くできるものですから、法人にするのがはやっている。そういうことになりますと、その法人と青色申告と白色申告と、この三つの間のバランスというものはますますくずれるばかりだ、そういうような状態であります。だから私どもは、青色申告に専従者控除を拡大したし、白色も新たに認めたんだから、これをそのまま、できれば地方税の中にも導入すべきだというふうに考えます。しかし、それを直ちに地方財政の上に導いてくるには影響があまりに大き過ぎるとするならば、少なくとも白色申告にだけでもこの際専従者控除の恩恵を与えるべきだ、われわれはそのように考えるわけであります。  一方、今度の地方税制改正の中で、事業税の場合には個人事業所得者に対しまして五万円の基礎控除をお認めになるおつもりのようであります。個人事業税では認めて住民税では認めない、そういうふうなことも何か筋が一貫しないような気もするわけであります。この専従控除を白色に認めるという問題は、法案を作るまでの段階でずいぶんお考えにもなったし苦労されているのだろうと思うのですが、その辺の事情や、特にこの際においてもう一度考え直すおつもりはないか、その点について一つ伺いたいと思います。
  43. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 専従控除の問題は、お話しのように、私たち改正案を作成いたします過程においてはあらゆる角度から検討をいたしたのでございます。ただ、専従控除の制度が、御承知通りに現在の日本の社会の慣行から見まして、まだ家族間給与支払いの慣行というものはないわけでございます。従って、所得税における専従者控除につきましても、これは、経費であるということに割り切ったわけではないのでございます。そこで私どもといたしましては、所得税における経費として割り切れない、経費なのかそれとも負担面を考えた特別の控除なのかといった点について、いわばボーダー・ラインのケースに属する。そういたしますと、住民税にこれを取り入れるかどうかということにつきましては、住民税の立場からあらためて見直さなければならぬ。そこで、住民税でそれではこれを採用したらどういう結果になるかということになりますと、住民税の場合、第二課税ただし書き採用市町村、いわば財政の貧弱な市町村住民税金額で申しますれば四八%、納税者で見ますれば五〇%というものが納税人員から落ちてしまう、こういった事情があるわけでございます。単に問題が金額であるならば、また別途の方法もあろうかと思いますけれども何分にも納税者の数が減ってしまうというところに住民税制の基本をくずすおそれがある。こういうようなことで、住民税においてはむしろこれを採用しない方が現在の段階としてはいいのではないか、こういうことで専従控除の拡大は認めない、こういうことにいたしたのでございます。  他方、事業税においては何で採用したのか、こういう問題でありますが、事業税の場合には事業そのものに対する税である。つまり純粋の企業課税であるという観点から、事業の所得の中に労働の対価分がかりに入っておるとするならば、それは事業所得の中からはずして課税をしないというのが税の本質であろう。こういう意味合いで事業税においては新たに五万円の白色控除を認める、つまり住民税事業税の税の性格からこれは採否をきめてしかるべきものだ。こういうことで、一方では採用しない、一方では採用する、こういうことにいたしたのでございます。ただ、そのまま採用しないにしても、何か改正する方法はあるのか、こういう御質問もございましたが、私どもといたしましては、専従控除そのものについてのものの考え方の面から、住民税においてはやはり採用しない、こういう考え方でいきたいと思っております。ただ問題は、狭い地域社会で青色申告の人が非常に税負担が軽くなっている。しかもこれを農民の場合にとってみますれば、納税者のおそらく一%程度だと思います。こういった人が税負担が軽い。従ってそのことは地域社会が狭いだけに単に税負担の重い軽いだけにとどまらずして、納税というものに対する疑惑すら生むのじゃないかというおそれが実は私自身も持っております。従って、こういった国税における青色申告の制度、それを地方税にそのまま持ち越すこと自身に私自身は非常に問題がある、こう考えております。ただ、しかしながら現実に従来から青色申告というものは認めておったわけでございます。従って、これを一挙に青も認めないわけにはこれはまあ参らぬということで、そういった従来からのものはそのまま存置せざるを得ないだろう。こういう考え方で拡充分だけは今回認めない、住民税においては認めない、こういう措置をとったのであります。
  44. 安井吉典

    安井(吉)委員 私はどうも今の御答弁を伺っておりまして納得がいかないのですが、全体的な事業税等に認めて住民税に認めないという筋もおかしいと思うんですね。住民税の場合だって、これは農業だとかあるいは商業だとか工業だとか、そういったような一つの事業によって、それを基礎にして所得が生まれているのだし、事業税の対象である所得も同じように、やはり同じ事業です。別な事業じゃないですから。百姓しているのは同じ人が、百姓には事業税はかかりませんけれども、零細な業者の場合には、住民税の対象になっている事業も、それから事業税の対象になっている事業も、その所得のあり方は全く同じなわけです。そういう中で、一方は認めて一方は認めないというのも筋は通らないし、あるいはまた今のようなその理論だけからいえば、所得税において青色申告を拡大したのも、白色申告に専従者控除を認めたのも、理論的に筋が通らないという言い方にも聞こえてくるわけです。ですから、そういうことになりますと、もう全体的な税の体系について筋道というのがもう支離滅裂なことになってしまっているのではないか。今の御答弁を一口に批判されていただければ、そういうふうな気がするわけであります。ですから結論的に言えば、単に財源的な財政的な見地から逆算したもののおっしゃり方をなさっているのではないか、こういうような気がするわけであります。まだだいぶ問題がありますので、ここばかりに時間を使っているわけにもいきませんので先に進みたいと思いますが、まあ自治大臣にもこの際伺いたいのでありますが、この専従者控除が白色申告者に対しても認められないかということに対して、農民からも非常に大きな関心が今寄せられているようであります。まあ私も安井ですが、自治大臣も安井さんですが、一つ安井自治大臣のときに農業の税金を少し安くするというようなことで、この白色申告の問題に、今せっかく法案はお出しになりましたけれども、もう一応考え直してみられるおつもりはないか、その点一つ伺いたいと思います。
  45. 安井謙

    安井国務大臣 お話でございますし、農業面に対する地方税減税の幅が非常にないじゃないかという御指摘は全くその通りになっているわけでございます。今も説明申し上げましたように、住民税というものがなるべく広い地域で浅く負担分任のような形で取っていくということに性格があるというふうにわれわれ考えておりますのと、もう一つ地方財政自体の現状から、急にこれが半分になり、あるいは税収も半分になる、人間も半分になるというようなことは非常に困るというような実態からきておる面もあるわけでございます。なお、青色とのバランスの問題につきましても、一応御説はごもっともな点もあると思いますが、まあ青色で従来やっておりますものを今さらやめて増税するというわけにいかないというのが偽らざる心境でございまして、事業税あるいは所得税とも多少性格が違うところがありますので、ただいまのところは、いろいろの御意見も拝聴しておりますが、これを住民税の方で白色まで拡充をしていくという考え方は持っておりません。
  46. 安井吉典

    安井(吉)委員 今度は小委員会が設けられたわけですから、一つ委員会の中の論議におまかせいたしたいと思いますが、今の税法そのもの根本的にこわして、新しく組み立て直す中で今の白色、青色といったような問題を論議するなら私はわかるのです。そうでなしに今の土俵の中で論議する場合には、どうしても今の白色だけは認めないというのは、これは筋が通らないような気がするわけです。ですから財政の問題は財政の問題として別に推測すべきである。そういうようなことから、白色申告を認める方向を何らかの形で進めるべきだというふうに私は考えるわけであります。  そこでもう一つ所得税では配偶者控除が設けられたわけであります。これもずいぶん長い論議の末、私の党の方もずっと前から主張をしておったことで、アメリカや西ドイツの二分二乗方式ですか、それからカナダや英国や何かの夫婦一本の控除方式だとか、いろいろあるわけですし、特にスイスやデンマークなんかの例の配偶者控除、こういうようなものをぜひ日本の税制の中にも導き入れるべきだというような主張が税制調査会でも一応通ったわけであります。それくらい所得税段階で議論がし尽くされて税法においても妻の座を認める方向に進むべきだというようなことで結論が出たのに、地方税段階ではこれが全く無視されて、相変わらず妻は扶養家族の一人として放置されているという問題、これはやはり同じく筋が通らないような気がするわけであります。現に戦争後において女の人はくつ下とともに強くなってきているわけで、むしろ妻は扶養家族どころか男性を飼育する立場にさえ今きているわけで、むしろ妻の方が経営者で、夫はその命令によって会社へ勤めて給料を打ってきて、子供たちは全部妻の扶養家族にするくらいなところまでいくのがほんとうではないかとさえ思われます。農村なんかでも、もうおやじさんは何かの会合へ出てしまっても、あとで奥さんは朝早くから家事の支度をし、たんぼや畑へ出ておやじさんの倍くらい働いて、しかも夜は、夜おそくまで子供の世話やら、お洗濯やらするというようなことからすれば、喪の労働なり、妻の家庭管理というふうな仕事の方が、夫の立場よりも上くらいに見てやるのが正しい方向じゃないか、そういうようなことも言えるわけですし、あるいはまた税法理論の上からも、外国でもそういう結論が出ておりますように、配偶者控除という問題は、一応日本の税制調査会所得税にがっちりとその座を築くところまでいったわけであります。ところが、地方税法を拝見いたしますと、相変わらず扶養家族です。これではどうも筋が通らないわけであります。自治省にはフェミニストはいないのかと疑わざるを得ないわけであります。どうでしょう、これはもう少しお考えになっていただいて、大してこれによって税金減税するとかなんとかというよりも、少なくも形の上でこういう控除の制度を設けることは適当ではないか。そしてでき得ればその控除額もふやしてあげる、こういうような方向をとるのが適当ではないかと思うのですが、いかがですか。
  47. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の税制調査会答申にもございますように、地方税の、ことに住民税の自主的なあり方をきめる場合に、いろんな段階所得税を切り離すことが考えられるわけですけれども、その際に、住民税のいわば性格といいますか、そういう面から、所得控除以下の段階については所得税地方税は別個のものであるべきであるという点について、どなたも御異論はなかったのでございます。むしろ地方税地方税らしいあり方で、所得税控除項目なりあるいは金額等は標準的なものを書いておいて、あとは条例にまかすべきじゃないかという議論すらあったのでございます。しかしながら、そういうことをいたしますと、住民負担に変動を来たすおそれがあるということで、この際の改正といたしましては、所得控除項目及び金額は従来通りにきめるべきであろう、こういうことで配偶者控除等についても認めない、こういうことにしたのでございます。所得税で認めたわけでございますが、所得税の場合は、先ほど御質問にもございましたように、今回の所得税法改正は、個人と法人負担のバランスという点をまず頭におかれて、その面から専従控除を拡大していく、そうなりますと、中業所得者と給与所得者との間の負担均衡を欠いてくるということで、配偶者控除を新設をして九万円にするとか、あるいは扶養控除について年令差を設けて引き上げをする。こういったような一連の措置で減税の一環として均衡のとれたやり方でやっていく。こういう立場に立たれて配偶者控除等も新設をせられたわけですが、住民税につきましては、先ほど申しましたように、所得控除項目なり金額というものについては、基本的には住民税住民税としての見地からきめるべきである。こういう見地に立ってきめられたものですから、配偶者控除等についても新設を認めない、こういうやり方をしたわけでございます。
  48. 安井吉典

    安井(吉)委員 所得税においても認めたというその同じ国会で地方税を今審議しているわけです。所得税の方はこの間一応通ったわけですね。同じ国会で審議をしておりながら、一方は認めて一方は認めない。これは委員会は大蔵委員会地方行政委員会ですが、本会議は一緒に、審議するのですから、どうもやはりおかしいような気がするわけです。さらに御検討願いたいと思うわけであります。  なお、この扶養家族の問題について、ただし書き方式の場合に扶養家族の税額控除を認めていく、これは従来からあったことでありますが、実際にはどういうふうに今の段階で行なわれているか、今後はどういうふうに指導をされるか、それについてちょっと伺いたいと思います。
  49. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 現在の標準的な扶養親族の数に応ずる税額控除は一人二、三百円見当でございましたが、昨年の改正で、所得税における扶養控除額の引き上げの率に応じて税額分を引き上げるという処置をいたしまして、多くの市町村減税処置をやりましたので、現在四百円をちょっと上回ったという程度のところが標準的な税額控除の額になっております。
  50. 安井吉典

    安井(吉)委員 全然やってないところもだいぶあるのですか、それともやっているとすれば、一番最低はどれくらいで、最高はどれくらいまでありますか。
  51. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 これは地方税法で、扶養親族の数に応ずる税額控除はやらねばならぬということでございますので、やってない町村はございません。ただその金額は、非常にレア・ケースですけれども、最高千円から最低百円、こういう開きがございます。
  52. 安井吉典

    安井(吉)委員 これも、あまりにも上と下とで差が大き過ぎるようですが、指導の面でできるだけそろえていく方向にお進みになってはどうかと思うわけであります。  ところで、法人住民税の関係について若干触れたいと思いますが、この間の地方行政委員会で、山口委員の御質問に対して、個人に対する課税国税ときっちり切り離した、しかし法人の方は、国税において措置された減税措置をそのまま住民税に引き継いでいるというその点につきまして、法人の場合にはなかなか切り離しが困難で、とうとう一緒にくっついてきたのだというふうな御答弁をなすっておられるように新聞で拝見したわけでありますが、しかし一般的な見方からすれば、今度の税制改正では、国税を切り離して、そこに地方税との間にシャッターをきっちり締めるのだ、そうして地方税地方税独自の立場で方向を作り上げていくのだということをいつも御主張されたし、ただいままでの御答弁でもそういうふうに主張されてきております。確かにそれは個人所得税とそれから個人住民税との間では守られてきているようです。たとえば白色申告に専従者控除を認めない、あるいは税率の引き下げも認めない、配偶者控除も認めない、そこではがっちり守られておりますけれども、肝心の法人税別の面では、租税特別措置だとか、あるいは法人税自体でいろいろな減免税が講ぜられており、それはそっくりそのまま誤りなく地方税の中に持ち込んでおられる。これだけはやはり国民の立場から見ると納得できないような気がするわけであります。単に切り離しが困難というだけの理由なのか、それとも経済成長計画、そういうような中から法人には特にめんどうを見なければいけないというお気持でこういうふうに持っていかれたのか、その点を一つ伺いたいと思います。
  53. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 法人関係の住民税につきましては、これはやはり個人と同じように切り離したらどうだろうか、こういう御意見がございますが、私どもは、特別に法人をどうこうするといったようなことでなしに、税制上及び技術上並びに徴税の問題、こういうような点を考えまして、法人税割については、従来通り法人税額課税標準にして課税をしていくのが、筋であろう、こういうことでいわゆる切り離しといったような処置をしなかったのでございます。
  54. 安井吉典

    安井(吉)委員 今度の租税特別措置も、内容においては従来よりも若干改善されたようなところもありますけれども、さらに強化された部分が非常に多いわけです。大企業に有利で、中小企業等についてはあまり有利な扱いでない、若干そういう相違があるようであります。しかしながら本質的に、今度の改正を含めて全体的な租税特別措置のあり方というのは、税制調査会の中でもはっきり言われておりますように、大企業には有利にできていることは確かであります。今度の耐用年数の問題でも、むしろ私は一千万円以下くらいの中小法人の方に手厚くなくてはいけないし、あるいはまた同族法人に対する留保所得の問題でも、幾分はよくなったといいましても、やはり中小企業にもっと手厚い保護、留保所得課税なんかないような、普通の会社と同じような扱いをすべきだ、そういうふうな思いを持っております。さらに特別償却制度とか、重要物産の免税制度だとかたくさんあるわけでありますが、これらの免税制度のうち、地方税には見ないというものは何かありましたか。全部地方税にそのままそっくり持ってきたんでしたか。
  55. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の法人税の改正による減税分はもちろんのこと、特別措置の整理による増収分、これらをすべて含みましてそのまま持ち込んでおる次第でございます。
  56. 安井吉典

    安井(吉)委員 たとえば重要物産免税制度にいたしましても、大蔵省の調査を私どももらった中でも、いろいろな例がありますが、たとえばAという会社は資本金が三十億円、その会社で所得金額は上期と下期合計いたしまして十五億一千九百万円の所得のあるうち、免税所得は十二億二千万円、つまり十五億のうち十二億が免税所得になっているわけであります。これらの資本金三十億円くらいの会社でそういうことであります。あるいはまた今度新たに租税特別措置法の第二次改正法案が出ました。その中で肥料会社などの輸出の、特に硫安の輸出に対する損失補償をこれまた租税の特別措置でやろうとしているわけであります。やろうとしているといっても、もう衆議院を通ってしまったわけですが、それによりましても、今までの輸出の赤字を、大体百五十億円か百六十億円くらいの赤字を今後十カ年間損金で落とすというような措置であります。たとえば私が今あげましたその一、二の例だけを考えましても、国税においてそのような措置が講ぜられるということ自体にずいぶん問題があるわけです。しかもそれをそのまま地方税に持ち込むということで、さらに問題は拡大していると思うわけです。つまり十五億円も所得があって十二億円も免税にしている。そういうような措置は、要するに国が補助金を出すかわりに、補助金で出すとずいぶん目立つし、そのかわりに税金を安くしてやろう、それならあまり目立たないで処理されるということからそれが行なわれているのであろうと思うのです。今の肥料会社の問題についても同様です。ということになりますと、国の財政はまだ十分余裕があるかもしれませんが、だから余裕があるその財源の中で措置をするということは、これは十分に了解はできませんけれども、しかしある程度わかるような気がします。しかしながら、さっきから口ぐせのように言われましたのは、地方財政が乏しい乏しいということです。そのような乏しい地方財政の中から法人税における特別措置を持ち込んできた。言いかえれば、地方財政の中でこれらの大企業に補助金を出すというような措置までは、私はする必要はないのではないかと思うのです。これはこの地方税制だけの狭い範囲で論議すべき問題ではもちろんないと思います。し  かしながら、地方税段階においてもっとこの問題を提起しなければ、基本的な解決はできないのではないかと思うのです。さっきなかなか切り離しはめんどうだというふうな言葉もありましたけれども、めんどうならめんどうでもやる方法はあるわけです。つまり法人税率を引き上げればいいわけです。そういうような具体的な方法が私はあると思うわけです。もう少し法人税割の問題、これは法人事業税についても同様なことがいえるわけですが、これは考え直す余地はないかどうか、その点一つお答えをいただきます。
  57. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ただいま御質問の、重要物産関係の免税措置あるいは輸出所得控除の問題、こういった面につきましては先ほどお答えいたしましたように、法人住民税につきましては法人税額課税標準にしておる。これを別個に住民税において計算をしてやっていくということは、実際問題として現在の徴税の機構その他の面から見ても困難でございますし、また税制の上でも、たとえば耐用年数等について、別個の耐用年数をきめるということもなかなか容易な問題ではございません。こういったような点で現在法人関係については法人税額課税標準にするということで、法人税割についてはこれをそのまま受け入れざるを得ないという考えを持っておるのでございます。ただ専業税等につきましては、事業税の性格等の問題もございまして、正慶物産免税関係あるいは輸出所得というものの控除は、法人事業税においては、そういう国の特別政策のものは入れないということで、現在やっていないということに相なっております。
  58. 安井謙

    安井国務大臣 ちょっと申し上げます。全体の感じとして、今度の税制で、専業税その他で大企業に厚くして、全体に薄いのじゃないかという御印象も強いし、また税額の現われ方としてはそういう傾向がないとは言えないのでありますが、大体今度平年度減税分だけで三百億というものを基準に考えましても、専業税の面がそのうち百一億、その中で法人が八十億、個人の事業税が二十一億の減というふうに考えております。そういたしますと、納税額の総体から申しますと、この比率は決して個人に薄いというような形にはなっておりません。それから住民税の力につきましても、平年度の減税百十六億というもののうちで、法人関係が八十四億、個人が五十二億、こういうふうな構成に大体なっておりますので、全体のバランスからいうと必ずしも大企業にのみ厚いというふうな関係にはなっておらぬと思っております。
  59. 安井吉典

    安井(吉)委員 しかし、そうおっしゃいますけれども、個人所得の伸びはあまり十分じゃないのですが、法人所得はものすごく伸びているのです。だから国税の中でも、今までは所得税というものが国税の中の一番大きな柱になっておったのが、今や位置をとってかわって、所得税の方は斜陽になってきて、法人税だけがぐんぐん伸びている、そういう段階に今あるわけです。だから先ほどの税務局長の、今後の税制改正方向に対する期待はむしろ法人税に併せるというふうなお話も、そこから出てくるのではないかと思うわけです。だから法人税が伸びるのは、これはもう現実にぐんぐん所得が伸びているから伸びているので、そういう所得の伸びの姿がそのまま地方税の中にも現われてくるのは当然だと思うわけです。その中でも、今言いましたような特別償却制度がたくさんあります。前は三分の一だったのが二分の一の償却制度、重要物産の免税制度、外国技術使用料課税の特例とか、輸出所得の特別控除制度とか、交際費課税の特例だとか、二十何項目にわたっての措税特別措置がある。私どもはそのうちの少なくとも一千四百億円くらいは合理化できるのではないかというふうな分析を実はいたしておりますけれども、そういうようなものがそのまま地方税に持ち込まれているという矛盾だけは、強く指摘しておかなければならないと思うわけです。一方、一般法人についてはそういうふうな措置が行なわれているのにかかわらず、公益法人だとか、社会福祉法人だとか、あるいは農業協同組合や生活協同組合等の法人に対しては、事業税あるいは住民税で今まで課税対象外になっておったものに今度は課税をする。どんどんもうかっている方は税金を安くするが、公益法人や社会福祉法人、農協、生協等の方は税金をかけていく。これは法人税における措置と同じようにレベルをそろえていこうというお考えからなされているのだろうと思いますけれども、やはり国民の受ける印象はあまりよくないというふうな気がするわけです。国税地方税との間は、はっきり切り離すというふうに言われる。それはいいのだけれども、今度法人税の段階になってくると、法人税で課税しているのだから地方税課税しなければいけない、所得税法人税に対する原則とがここでまるきり手のひらを返したような格好になっている。これは問題点一つだろうと思うわけであります。これなんかは大した税額にもなっていないと思うのです。今の特殊な法人に対するものはむしろ事業税税率等を引き下げるような方向に持っていくぐらいなところが適当ではないかと思うのですが、いかがですか。
  60. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 いわゆる中小の法人についての法人事業税税率を引き下げたらどうかということでありますが、現在法人専業税は一二%の税率でございますが、事業所得の少ないもの−については逓減税率を適用して最低が七%になっておるわけであります。従ってこれを一%下げれば六%ということになりますが、そういたしますと、個人事業と法人事業との負担のバランスというものも生じてくるわけであります。何と申しましても、法人の方が担税力についての弾性があるわけでありますので、そういった点も考え一ていかなければ、一がいに法人税率を引き下げるというのもかえって均衡を失する、こういうことに相なるのではないだろうかと思います。
  61. 安井吉典

    安井(吉)委員 それから住民税の措置の中で、今までは所得税につながっていればよかったのが、今度は新たに切り離されたものですから、申告制度が主体になっているようであります。そういうことになりますと、税務署の資料市町村資料とに食い違いができてくるというようなことも考えられますし、また市町村や県の徴税費がどうしてもよけいかさんでくるのではないか。特に道府県税は市町村が実際は処理するのですから、市町村の徴税費の負担が相当重くなるのではないかというような気がするわけであります.が、そういう点についてはどうお考えになっておりますか。
  62. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 申告制度でございますが、いわゆる申告納税制度に変わったわけではございませんけれども、申告を充実したということは事実であります。このことは、実は地方税法で、課税上必要な資料は条例の定めるところによって申告をさせることができる。こういう規定がございまして、従来とも各地方団体に申告をさせておるのが大多数でございます。ただ今回充実をいたしましたのは、やはり雑損の控除であるとか、あるいは医療費の控除であるとか、あるいは税額控除を新たに認めたものがあるとかいったようなことで、これらの点につきましては課税当局が一方的に調べてやっていくよりは、むしろ御本人自身に申告をしていただいて、それに基づいてやっていくのが、御本人自身の一番よくわかっておる事柄でありますし、また納税の民主化というような点から見てもその方がいいのではないか、こういうことで申告制度を充実いたした次第であります。  なお、府県住民税につきまして、従来通り市町村に委任をいたしておりますけれども、府県民税のやり方が従来とは変わって参りまして、こういった徴税面の合理化、市町村に対する負担軽減という面から見ましても、申告制度を充実した方がいい。こういうことで申告の充実を行なったのでございます。  ただ、これに伴って納税表−自身に対する負担がふえるといったようなことでは、これもまた考えねばなりませんので、そういった点についてはできるだけ簡易な方式でやるとか、あるいは住民税については前年所得課税をするわけでございますので、所得税は三月三十一日に確定申告を出す。従って住民税はその際に一緒に書いていただくとか、つまり二重に手間をかけないでやっていただくことができるように申告の時期を定める。こういったことを考えております。さらには市町村民税と府県民税につきましては、別個の申告でなしに同じ紙で申告していただく。こういった納税者に与える負担感の緩和ということも実ははかったつもりでございます。従いまして徴税費の方でふえるといったことが、申告そのものによって起きてくるということはないのではないだろうか。私はこういうふうに考えておるのでございます。  さらに、私どもとして申告制度を充実しました趣旨は、本来こういった税につきまして、何と申しましても民主的であり、近代的な課税の仕方は、やはりn分の所得に対して自分で課税をしていく。課税団体はその申告を原則としてはそのまま認めてやっていくという申告納税の制度が、私はあるべき姿だろうと思います。そういった意味で将来の申告納税制度への素地をつちかうというような意味におきましても、この際充実した方がいい、こういうことで改正をいたしたのでございます。
  63. 安井吉典

    安井(吉)委員 住民税についてなおお聞きしたいところもありますけれども、時計がだいぶ回って参りましたので、先を急ぎまして、固定資産税について二、三伺います。  今回の改正の際に、私ども昔から主張して参りましたいろいろな軽減の特例については全然手をお触れになっていないで、むしろふやしているというふうな改正をなさっておられるわけでありますが、今回の改正を含めまして、全体的な徴税額に対して、もし一切の特例をやめたとすれば、税額においてどれだけふえるか、そういう資料がありましたら——今数字があると思いますが、つまり特例措置がどれくらいの額に及んでいるかということをちょっと知りたいと思うのです。
  64. 大村襄治

    ○大村説明員 固定置炭税の脱衣の特工例拙赴の適用を受けておりますものの全額を八u叶いたしますると百八十五億円でございます。
  65. 安井吉典

    安井(吉)委員 今の固定資産税の徴税されている額は、総額どれくらいですか。
  66. 大村襄治

    ○大村説明員 固定資承税の三十六年度収入見込み額を申し上げますると、千六百二十四億円でございます。ただいま申し上げましたのが市町村分でございまして、そのほかに府県分といたしまして約四十一億ございます。
  67. 安井吉典

    安井(吉)委員 その四十一億ですか、それはどっちの方にプラスされるのですか。千六百二十四億の方ですか、それとも百八十五億の方ですか。
  68. 大村襄治

    ○大村説明員 四十一億円は、固定資滝税の額といたしまして、市町村分の千六百二十四億円のほかに府県分の四十一億円があるわけでございます。先ほど申し上げました非課税規定の特例措置を受けることによる減収額百八十五億、これは府県、市町村分を含めての数字でございます。
  69. 安井吉典

    安井(吉)委員 いずれにしても少なくない額に漸次上がっているわけであります。さらにこれが減らないで増加していくという傾向は、所得税法人税における租税特別措置と同じ性格を持っておる面も非常に多いわけで、私もそれを疑問に思っておるわけでありますが、今度ガスなどで軽減特例がふえてくるわけでありますが、こういうものに対する減収補てんはどういうふ、りになさるおつもりでありますか。特に非常に大きく、たとえばガス会社なんかの税に依存をしておった町村もあるようでありますが、そういう場合の歳入欠陥は非常に大きいと思うのですが、どうでしょうか。特に附則第四十条では、さかのぼって措置されることになるようですね。それだけに減収の大きさというものが激しいような気がするわけでありますが、こういう問題についてのお考えを伺いたいと思います。
  70. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の固定資産税の非課税の関係でふえましたのは内航船舶の関係でございます。それと都市ガスの新規償却資産に対する非課税措置、こういうことになっておりますが、そのうち、さかのぼったという御質問の点は、いわゆる新規都市ガスの償却資産に対する保税が三十四年一月一日課税台帳記載の分から適用する。従って三十三年一月二日以降の新設の償却資産、こういうことになっておりますが、この理由は、やはり都市ガスの拡充事業が、民生の向上のために非常に急ぐんだ。しかもこれは通産省の方で、第二次五ヵ年計画がたまたまその時期から始まるわけであります。従って、そういう計画とあわせて考えていく必要があるだろうということでさかのぼっております。ただこれは、さかのぼったと申しまするのは、実はその分から減税をするんだという意味ではございません。これは要するに適用の対象が三十四年一月一日記載の課税台帳分からということであって、減税になるのはもちろん三十六年度からということでございます。従って、すでに二年経過しておるものについてはあと三年、すでに一年経過しておるものはあと四年間、これがそれぞれ三分の一に軽減される、そしてあとの五年間は三分の二に軽減になる、こういう趣旨のものでございます。なお、これに伴います所在市町村に与える財政上の補てん措置につきましては、財政局長の方からお答えをいたすことにしたいと思います。
  71. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 交付税の交付を受ける団体でございますと、基準財政収入額は自動的に減って参りますので、従ってある程度のものは交付税の増額の形によって補てんされて参ると思います。交付税の交付を受けない団体でございますと、そういう計算になりましても、実質的には何の補てんも受けないということになって参るわけであります。従いまして、不交付団体につきましては、激変緩和の措置を講ずることは必要でございますので、どうしても特別交付税で補てんすることになると考えているわけであります。また従来もそういう措置をとってきているわけであります。
  72. 安井吉典

    安井(吉)委員 全国的に見てもケースは割合少ないようですが、広島県の海田町は、今一番打撃が大きいようです。そういうようなところに対する激変緩和というのですか、そういうような措置は、あの町だけではなく、ほかにもあると思いますが、十分に御配慮願わなければならないと思います。それで激変緩和問題が出ましたが、年々固定資産税の制限税率の引き下げの措置、つまり二・五%から二・一%まで引き下げることによりまして、その補てんを例の起債で当分の間ということで措置されて参ったわけでありますが、それが今度は新しく地方財政法の改正で方法が変わるわけでありますが、新しくそういうふうな措置によりまして、激変緩和といいますか、そういうようなことに対する対策は十分だとお考えになっておられるかどうか、その点、財政局長からお伺いしたいと思います。
  73. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 固定資産税に関する制限税率改正をお願いいたしましてから、二十四年、五年と全額補てんの措置を講じて参っているわけであります。三十六年度におきましても三分の二は補てんする、三十七年度におきましても三分の一は補てんする、こういうようなことになっているわけでありますので、いわゆる激変緩和としては相当思い切った措置を講じて参ってきていると思います。しかし先ほどから安井さんの特にお話のございましたそういう事例は、まだ北海道にもあると思いますので、特に北海道を頭に置きながら交付税制の改正をやりたいというような計画もいたしているわけであります。そういう意味で、極地の低い団体の基準財政需要額を傾斜的に増額する、あるいは小規模の学校が多いわけでございますので、学校の単位費用を特に引き上げるというような措置、さらにまた寒冷補正引き上げの措置、あるいはまた面積を単位費用として算定いたしております投資的経費についてある程度以上の額になりますと、それで制限をしてしまうという措置をとっておりましたのを青天井にするということ、さらにまた農業行政費の計算におきまして密度補正を行なっておるのですが、これにつきましても、ある程度以上になりますと、それで押えるという措置をとってきておったわけでありますが、これも青天井にしてしまう。こういうような措置だけで北海道については増額になって、基準財政需要額が七億六千五百万円という予定でございます。三十六年度から減収補てんの程度を若干薄くするわけでございます。全額で行ならのを三分の二に押えるわけでございます。従いまして補てんの額の減りますのは、総額で四億四千八百万円ですから、一億五千万円程度三十五年度の補てん額よりも減るだけでございます。しかしながら、今申し上げましたように、特に北海道等を頭に置いて考えました交付税制の改正で七億六千九百上万円が増額になってくるわけでございます。従いまして、補てんの問題以上に、先ほど来お話のありました従来の税負担が重いとかあるいは施設が悪いとかいうような問題にもさらに積極的に改善に向かって進みたい、かように考えておるわけでございます。
  74. 安井吉典

    安井(吉)委員 今の御説明ですと、約一億五千万円ぐらいが減るというわけですか。減るという意味は、今までの補てん額よりも減るということですか、それとも交付税の総額と補てんすべき額との差額がこうなるという意味ですか、もう一ぺんその点を……。
  75. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 固定資産税の制限税率を引き下げました結果、従来の税収入よりも減りました額が四億四千八百万円あったわけでございます。これは全額地方債を認めまして元利補給を国において行なって参ったわけでございます。この措置を二年間続けたわけでありますが、三十六年度はこの補てんの額を全額にしないで三分の二にいたしまして二億九千二百万円にするわけでございまして、従いまして差額の一億五千万円程度のものは補てんの額が減ってくる、こういうことになるわけであります。しかし別途基準財政需要額が、特にこういう地区を頭に置いて改正をしたもので七億六千五百万円ふえてくるということでございます。
  76. 安井吉典

    安井(吉)委員 この制限税率の引き下げの問題は、特殊な地帯に特に税率が高かったというところから、影響もまた特殊な地帯に起きたというふうなことになっているわけでありますが、この税率引き下げの補てんと、それから一般的な財政の困難さをできるだけ切り離して、これはこれ、あれはあれというふうなことで措置してもらいたいということが地元の考え方だったと思うのです。しかし今の段階になると、これはみんな一緒になって措置されるというような方向にきているわけでありますが、今後においても、たとえば住民税の超過保税の引き下げだとか、いろいろな問題がたくさん出てくるわけでありますので、そういうふうな場合もまぜこぜにやってしまうと、一体どちらでふえたのか、どちらで減らされたのかわからないというようなことにもこれはなりますので、そういう点、地元の関係の人たちを十分納得させるような御説明がやはりなくてはならないのではないかと思うのです。そこで制限税率をさらに一・七%ぐらいまで引き下げてくれというふうな動きもあるように聞くわけでありますが、これについてはどういうふうにお考えですか。
  77. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 具体的に制限税率を一・七%に引き下げるという話は、どの地区でどういう話になっておるか承知いたしておりませんが、本来、先ほど申しましたように、超過保税そのものは、私は自治としてあってもいい制度だと思いますけれども税負担のできる限りの軽減、ことに最近のような経済の好況にささえられている時期においては、やはりできるだけ下げていくのが筋であろう、こういうように考えております。
  78. 安井吉典

    安井(吉)委員 財政局長、もう一つだけ伺って、それでけっこうですから。木材引取税の方も、激変緩和措置はこれでたしか終わる段階へきたはずでありますが、今後はどうでしょう。もうこのままでいいかどうかということです。
  79. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 三年間激変緩和の措置をとるということで、特別交付税の配分を行なって参ったのでございまして、三十五年度で終わったことになるわけでございます。
  80. 安井吉典

    安井(吉)委員 ただ、そういう段階まできても、とにかくそれだけでまかないをつけていたという山村の場合があります。三分の一、三分の一と減ってきて、その最後の三分の一の綱まで断たれてしまって、あと非常に困るといったようなものも、これは当然残るのではないかと思うのですが、そういうようなものについても、何か今後お考えがあるかどうか、その点を一つ重ねて伺います。
  81. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、弱小の市町村に基準財政需要額の傾斜的な増額をはかっていく、そのために面積を基礎とする単位費用を引き上げるのみならず、その一節方式におきまして、制限方式をやめてしまう。あるいはまた極地の低い市町村について、基準財政需要額を傾斜的に増額するというふうな措置をとって参ってきておるわけでございまして、こういう措置は、おのずから木材引取税収入の多いような市町村に該当して参りますので、あわせて今御指摘のような問題の解決にもなってくるのじゃないだろうか、かように考えております。
  82. 安井吉典

    安井(吉)委員 そういうことで解決ができればよろしいわけでありますが、それは具体的に数字が出てみなければ、まだよくわからないと思うのですが、そういうふうな一応の基準によっての計算で、これで何とかいけるという見通しが立てば、それでけっこうだと思うのです。ただ、具体的な数字が出ました段階において、もし問題が起きるというようなことでありますれば、これはさらにいろいろと再検討をお願いすることになるのではないかと思いますが、そういうようなことでお進みをいただきたいと思うわけであります。  そこで、今度はもっぱら税務局の関係になるわけでございますが、固定資産税の問題が出ましたついでに、今度の評価制度調査会作業が一応終わったように新聞で伺うわけでありますが、今回の地方税法改正以上に、この評価の制度そのもの改革とでもいいますか、そういうような問題に関心が集まっているように思うわけでありますが、この調査会の方は、今度の答申を作ったことで、もう用済みで解散ということになるわけですか。
  83. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 三月末日で期間終了とともに終わるわけであります。
  84. 安井吉典

    安井(吉)委員 この問題は、どうせこの委員会でも後ほどこの調査会の結論についての印刷物なんかもいただいて、さらに検討が行なわれると思うわけでありますが、大体の目安として、現在の評価の水準からどのくらい上がるといいますか——下がるものはないように聞くわけでありますが、上がるというふうにお考えになっておられますか。農地、宅地、山林、家屋、償却資産というふうに分けて伺いたいと思います。
  85. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 これは具体的に作業をいたしてみませんと、どういうことになるか、今から申し上げることはできないと思います。ただ、抽象的に申し上げますと、宅地については現在の水準が大体一七・二%農地が二四%程度、山林もほぼ似たようなものでございます。それから建物が大体七割、七〇%ないし八〇%、償却資産が簿価、帳簿価格という程度に評価の水準が相なっております。
  86. 安井吉典

    安井(吉)委員 といいますのは、これは時価に対してということですか。
  87. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 現実の売買特価に対する関係でございます。
  88. 安井吉典

    安井(吉)委員 これも大体売買時価に近づけていくというのが今度の答申方向のようですね。特にこの場合問題になりますのは農地でありますが、ずいぶんもみにもんだ結果、一応結論が出たそうでありますが、その結論的な数字というのは今の二四%ですかをどの辺まで持っていかれるおつもりかということです。
  89. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 建前は売買時価を評価課税標準にするわけでありますが、その場合の売買時価というものは、あるべき正常な売買価格、こういうことになっておりまして、必ずしも現実の売買価格ということにはならない、こう思います。従って引き上げ卒も、先ほど申しました水準一ぱい一ぱいということにはならないのじゃないか、こう私は考えております。御質問の農地の関係でございますが、農地につきましては、先日もお答えいたしましたように、現在の実態が切り売り買い足しという姿で売買が行なわれておる関係上、やはり限界収益の率でこれを調整する、こういうことになっております。ただその調整の率がどの緯度になるかということは今後残された問題でございまして、さらに作業を詰めていかなければ、どの程度になるかということは今の段階で申し上げられないのでございます。
  90. 安井吉典

    安井(吉)委員 そういう数字が具体的に現われてくるのはいつごろになりますか。
  91. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 新制度による移行は大体三十九年からと予測しておりますので、その間に現実にいろんな準備もし、関係方面とも折衝もし、調査もした上でやっていきたい、こういうように考えております。
  92. 安井吉典

    安井(吉)委員 これも三十九年にしても、できるだけ早目に計算なり何なりがなされなければ準備ができないはずですから、またこの問題は後にいろいろ論議が行なわれると思いますが、ただ税率は名品日ごとに調整をして、今より上げないというふうな新聞発表になっておりますが、その点はどうなんですか。
  93. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 償却資産は薄価の関係になっておりますが、水準が簿価並みになっておりますが、建物と土地、ことに土地につきましては、水準が非常に低いということで、いずれにいたしましても評価額そのものが上がることは間違いございません。そこで税負担については、少なくとも現在制度で評価をして課税をした税負担と改定年度における負担が同じになるようにと、こういうことになっておりますので、税負担を今よりは上げない、こういうことでございます。従って、そうなれば税率は当然下がる。またその際にも、先ほど申しましたように、資産間で水準がアンバランスでございますので、資産間の税負担に激変を与えるということもよくないであろうということで、そういった面については課税標準で考えていく、こういう調整措置を答申せられておるのでございます。
  94. 安井吉典

    安井(吉)委員 そこで、これはもう税率をどうするかといったような問題よりも、税制根本に触れる問題だと思うわけでありますが、これを税制調査会に持ち出して論議をされるおつもりですか、どうですか。
  95. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 固定資産評価制度調査会の方は、評価の適正と均衡化をはかるということが任務になっておりまするので、具体的な税負担の調整その他の問題は、事然税制調査会に付議をする予定でございます。
  96. 安井吉典

    安井(吉)委員 憲法八十四条には租税法律主議の規定があるわけです。つまり税金は一切法律できめられなくてはいけない。そういうふうな仕組みになっておるために地方税法があるわけです。地方税法の問題も、私どもはこれを熱くなっていろいろ論議をするわけですが、しかし論議をしても、税法の中では税率しか出てこないわけです。評価が一体どうなるかということは、これは国会が幾らがんばってみても、法律の中には一切現われてこないわけです。ところが、実際の税金というものは、税率かける評価課税標準、その基礎になるのは評価額、そういうことになると、かけ算の中の一つの重要な部分は国会に無関係にきめられていく。そういうようなことになるので、まあこれを憲法違反だと私は言いませんけれども、何かちょっと割り切れないような気がするわけです。国税の場合でも、たとえば法人税の耐用年数の改訂の問題なんかも、あれは大蔵省令にゆだねられていて、大蔵省令の膨大なやつが変わるだけで、国会には無関係に百二十五億でしたかの減税が行なわれるわけです。一体国会というのは、租税法律主義とはいいながらも、現実には役所の方だけで、これはもう日本の官僚法定主義というような格好になっておるのじゃないかというような気がするわけです。どうですか、その評価の問題も、法律の中に、具体的に農地は幾らにするという金額まで入れないにいたしましても、もう少し法律の中の要素を強めていく、つまり法律要素というものを強めていく必要があるのではないかというような気が、最近私はしてきたわけでありますが、この点についてはどうお考えですか。
  97. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御説のように、租税法律主義の面から見て割り切れない気持があると、こうおっしゃるそのお気持は私よくわかります。ただ現在の法律でも、私は実は租税法律主義に違反をしておるとは考えておりません。現在の税法でも、課税標準は時価による、そして税率は一・四%、制限税率は二・一%、こういうようにきまっておるわけでございますので、租税法律主議にのっとってやっておることはもちろんでございますが、ただ、それではなぜ御疑問のような点が出てきたかと申しますと、これはやはり最近の主として土地に対する値上がりというものが、いわば正常経済の状況では予想せられないような異常な上昇になっておるわけです。従って、それに税負担面がついていけないということから、本来税率なり何なりで考えるべきものでありましょうけれども、それが異常な値上がりのために、評価の面で課税標準が時価によるとありながら、それについていけないという面から、そういう御疑問が生じてくるのだろうと思います。従って、今回固定資産評価制度調査会を設けましたゆえんもそこにあるのでございます。そういった評価面はでき得るだけこの売買時価一ぱいに見て、そしてそれにふさわしいような税率課税をしていく。こういう改め方にしたらどうだろうか、こういうことになったわけでございます。そこで将来、租税法律主義の建前から、もう少し具体的に評価の方法を変えたらどうだ、こういうお話でございますが、そういう点につきましてはさらに検討をいたしていきたい、こう思います。ただ申し上げたいことは、現存でも租税法律主義にのっとっておるのだということは御了承を賜わりたいと思います。
  98. 安井吉典

    安井(吉)委員 まさにその通りで、今でも確かに時価によると書いてあります。つまりさっきのお話では、一七・二%という数字も、二四%というのも、これは時価ですよと説明されていた。しかしながら、今度自治省作業をされてお出しになるのは、今の時価そっくりそのままになるのか、それから何%落とされるかわかりませんけれども、その出てきた数字もやはり時価ですよというふうな説明をされるわけです。つまり四倍くらい間の時価の幅があるわけです。そういうようなものも、ただ適正な時価によるという五つか六つの言葉だけで阻止されて、制限税率を上げるとか下げるとか、そういうようなところで熱くなっているのは実はこっけいなくらいになるわけです。そういうような面で私は問題を提起しているわけでありますので、これは今度の改正の直接の問題ではございませんが、御検討をいただきたいと思うわけであります。  なおたくさんありますが、あとその他の税について一、二点だけ伺って終わりたいと思います。  遊興飲食税の免税点の引き上げの問題は、私どもの党も年来主張しておりましたのを一応そのままのみ込んで、特に圧力団体の激しい攻勢と戦いながら、ようやく孤塁を守ったというような感じでありますが、ただ私ども心配いたしますのは、引き上げただけこれは上がるのじゃないかということです。これは三百円の免税点を五百円に引き上げたわけですね。ところが二百円上げたので、飲食店の方は、それじゃ今まで三百円でぎりぎりに押えられていたから、今度は四百円にしてしまえというので、値段を上げるのではないかという心配があるわけです。現に先年の免税点引き上げのときにも同じような例があったわけでありますが、その点はどうでしょう。大衆負担軽減のためにとか、今度のうたい文句はたくさんありますが、実際の大衆負担は遊興飲食税、電気ガス税しかないわけです。その大衆負担軽減が値上がりによって消されてしまっては何にもならないのですが、その辺はどういうふうにお考えになっておるのでしょう。この値上げをとめるのは自治省仕事ではないでしょうが、関係省庁との連絡等はどういうふうに措置されるおつもりかということを伺います。
  99. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私ども率直に申し上げまして、今回の遊興飲食税の免税点の引き上げそのものも、現在の三百円、八百円の免税点の適用状況から見て、実際問題としては、私は引き上げる必要はないのじゃないか、こう思っておったのでございますけれども、すでに国会等で数回の御決議もございますし、また野党の社会党、民社党の方々からも引き上げるべし、こういうことはまさに国民の声であるということで、私どもは免税点の引き上げをやったのでございます。従いまして、その結果がほんとうに大衆の負担軽減になるように、御質問の御趣旨にございますそれがために業者が値上げをやるといったようなことのないように、私ども期待をいたします。そういう点は業者の方々の自粛によってやっていただきたいし、またやっていただけるもの、こういうように期待をいたしておりますが、何分にもこれは税務行政の範囲外のことでございますので、御了承を賜わりたいと思います。
  100. 安井吉典

    安井(吉)委員 しかし、これは政府とすれば、やはり自治省の税務局限りの問題ではなしに、政府として考えていただかなくてはいけない問題だと思います。ただ今度の税金を安くしたのが、飲食店に値上げしやすくしたというだけで終わったのでは意味がないと思います。その点一つの十分に御措置を願いたいと思います。  なおその問題とともに、これは政務次官からお聞かせを願いたいわけでありますが、今度料理飲食等消費税と名前が変わったので、明年からは高級料理店や芸者の花代等の税率も引き下げしやすくなった。それを前提として今度名前をかえたのだと世上評判があるわけでありますが、政務次官、来年はそういう御措置をおとりになるおつもりなのかどうか、一つ伺いたい。
  101. 渡海元三郎

    渡海政府委員 遊興飲食税の免税点の引き上げということにつきましては、すでに両三年間国会でもよく論議され、附帯決議になって何回も現われたところでございまして、これらのことも勘案いたしまして、今回税制調査会答申は、むしろ必要なしと出ましたが、政府といたしまして踏み切ったような次第でございます。従いまして、ただいま税務局長が答えました通り、これによって値上げをしやすくするのだという点につきましては、業者各位にも厳に自粛していただきまして、真にこれが大衆負担軽減の道になるように今後とも自粛していただきたい、かように考えておるような次第でございます。  なお今回料理飲食等消費税という名前に変更いたしましたのは、免税点はございますが、免税点以上の飲食あるいは宿泊等に対しましては課税されておりますが、そういった飲食なりあるいは宿泊なりが現に遊興と言えるかどうかという点につきまして、遊興飲食税という名前がいかにもふさわしくない、何かよい名前がないかどうかということは種々議論のあったところでございます。徴税——税を取るということは、大衆の心理にもぴったり合うところに納税の協力を得られるという点から考えたのでございます。なお、これによって高級料理店あるいは芸妓の花代等の税率が下がりやすくなるのじゃないかという御懸念があるようでございますが、私たちは名前の変更がそれらのことを前提として行なわれたとは毛頭思っておりませんので、御了承賜わりたいと思います。この問題は、現在税率の一五%と一〇%の面におきましては区別の仕方が徴税上非常に困難であるという点は事実でございまして、これらも行政指導の面におきまして、できるだけ御税上の混乱が起こらないように、今後とも一そう指導をしていく予定でございます。なお必要があれば法改正も考えなければならないのじゃないか、かように考えておりますが、この名前の変わったこと自身がそれに連なる前提であるというふうには考えておりませんので、御了承を賜わりたいと考えております。
  102. 安井吉典

    安井(吉)委員 電気ガス税について、特にガスについて今度の免税点三百円くらいのことでは、案際のところありがたみがちっともないのじゃないかということ。それからもう一つはプロパンガスが最近どんどんふえてきておる。ところがガス事業法の適用事業のガスだけにこの課税は限られているわけで、パイプがないところのプロパンガス、あるいはまた天然ガス等は無税になっている。そのつり合いが十分ではないじゃないか、そういったような批判も出ているわけでありますが、これらの問題についてちょっと伺いたいと思います。
  103. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御質問のように、最近プロパンガスがだいぶ普及して参りまして、それとの関連で電気ガス税が問題になっておることは事実でございます。ただプロパンガスにつきましては、徴税上の問題、技術上の問題、そういった問題もございますから、私どもとしては、今直ちにこれは均衡上徴税をすべきであるという結論を出しておりません。将来の検討の問題にいたしたい、こういうふうに考えます。  なおガスについて免税点が低いのじゃないか、こういう御議論でありますが、なるほど電気とガスは料金体系が違いますので、ごらんになればまさに御質問のような御疑念が生じてくると思います。ただ現実に、私ども東京都内で今回の免税点を定める場合に、実地に課員をして調査させましたところ、やはりガスの使用家庭というものと電気の使用家庭というものとの実態が相当開いております。またガスと電気の普及度というものが、一方は千九百五戸、片方は四百万戸ということで普及度も違う。こういったことで、実質的な零細負担の排除という観点に立ては、ほぼ均衡がとれておるのじゃないか、こういう意味合いからガス、電気とも三百円の免税点に定める、こういうことにいたしたのでございます。
  104. 安井吉典

    安井(吉)委員 電気ガス税の問題については、この間うちから幾度も幾度も論議がかわされておりますし、またさらに小委員会でも行なわれると思いますので、きょうはもう時間もずいぶん回りましたので、これでやめたいと思いますが、なお最後に消防施設税のことにつきまして、自治省もむかし自治庁時代はだいぶ御熱意を持って促進をしようということで、この委員会でもそういうふうな御発言が多かったのでございますが、省に昇格してからはさっぱりこの問題について熱意をお示しになっていないように思うわけでありますが、どうなのですか。今後どういうふうに処理されるおつもりか。特に税制調査会の中にこういうものを持ち込んで、制定の方向にお進みになるおつもりかどうか、その点を一つ伺います。
  105. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私は、消防施設税につきましては、市町村の消防施設の充実と損保会社の間には、きわめて深い応益関係があると思います。そういった意味合いにおいては、私はこういったものは目的税として課税をしても差しつかえのないものだ、こういう考え方を持っております。ただしかしながら、現状を見てみますと、火災保険等の加入の率が現在五〇%に満たないのではないかと思います。そういたしますと、これは加入者に転嫁になるという前提に立ちます場合に、五〇%に満たない人にだけ負担を負わせるという点について、私はやはりそこに問題が一つある、こう思います。もう一つは保険料の問題ですが、現在の損保会社の収益の状況から申しまして、私自身は保険料はそのままで、引き上げは必要ないんじゃないかと思いますけれども、ただ言えることは、保険料は当然最近の火災発生の状況から見て私は引き下げてしかるべきだ、こう思います。その際に、その引き下げを阻止する役割をこの税が果たすのじゃないか、こういう疑問が一つあるわけでございます。そういったように、加入の率、つまり普及度、さらには保険料に与える影響、こういうような面を見て、なお私はこの問題については慎重検討を要する問題だ、こういうふうに考えております。
  106. 安井吉典

    安井(吉)委員 税制調査会にはお出しになりましたか。
  107. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今までは出しておりません。
  108. 安井吉典

    安井(吉)委員 その他なお問題はずいぶん多いわけでありますが、おなかもだいぶすいて参りましたので、一応ここで打ち切りまして、さらに小委員会等の御検討にまかせたいと思います。
  109. 濱田幸雄

    濱田委員長 午前中からの会議はこの程度でとどめます。  午後の分は、本会議散会後再開することとして、これにて休憩いたします。    午後一時三十六分休      ————◇—————    午後三時十四分開議
  110. 濱田幸雄

    濱田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案に関する質疑を続行いたします。太田一夫君。
  111. 太田一夫

    太田委員 各論にわたって一通りお尋ねをいたしますが、まず最初は住民税、これは基本的には第二課税方式木文並びにただし書きのこの二つの方式だけを残されることになったのでありますが、御説明のありましたように、この方式は変えたが住民負担には変動を来たさないように措置をいたします、こういう御説明でありました。これは本年度に限りそういうことであるのか、来年度以降もその精神はしかと受け継がれていくのかどうか。住民税方式が変わったことによって、ある市町村においては非常に大きな負担増になるということがもし起きるとするならば大へんでありますので、念のためにお尋ねをいたしますが、その辺はいかがなものでございますか。
  112. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の改正は、住民税の切りかわりに伴って負担増を来たすということのないように措置をとったものでございます。将来の点につきましては、これは当該市町村財政の状況その他によって、私どもとしては何とも申し上げがたいのでございまするけれども、最近の状況から見まして、増税に向かうということはないだろう、またかりにそういう必要性があるとするならば、これは住民税課税方式改正のいかんにかかわらない問題である。私はこのように考えるのでございます。従いまして、課税方式が変わったからどうこうということはまずないのじゃないかというように思います。ただ従来でございますれば、第一課税の方は所得税に乗っかっておりまするから、それに従うということはございますが、その点は一応切り離すということになっておりますので、そういった関係は従前とは変わって参る。こういうことに理解をしていただければけっこうだと思います。
  113. 太田一夫

    太田委員 次官に重ねてお尋ねをいたします。この改正によって住民負担に変動を来たさないというのは、本年度に限っては一応確約はできるが、将来はその市町村財政状態によってはなんとも受け合いかねるというようなものであるのか、この住民課税方式を、国税所得税との均衡を非常に失したり、地方住民負担が過重になるというように思われる場合は、この内容を変更するなりして調整するつもりであるか、将来をあわせて御次点とこの方針を承りたいと思います。
  114. 渡海元三郎

    渡海政府委員 今回の改正は、従来の方式を簡素化するとともに、今まで所得税国税基礎を置いておりました関係上、地方税というものの、地方の財源のあり方そのもののいかんにかかわらず、面接それが地方税にも国税減税が響くといったことを断ち切るために、自主性を求めるために今回の改正を行なったものでございます。従いまして、この改正そのものによりまして増税になるといったようなことが起こらないように、切りかえ時における注意を今回の改正におきましては十分厳重に注意いたして指導して参りたい、かように考えております。なお、ただいまの御説にございます自主的に持たされたものが今後増税方向に向かわないかというふうな御意向でございましたが、経済の伸展とともに、住民税税率をふやす、負担の率を増加するということでなくても、自然的な増収は期し得られるものである。かように考えるのでございまして、自主的にまかされましたこの住民税というものをさらに引き上げるというふうなことは、私は厳に慎しんでいかなければならない、またその方向で今後とも進んでいきたい、かように考えております。
  115. 太田一夫

    太田委員 しからば念のためですが、給与所得控除所得控除をいたします場合に、今度たしか十二万円が限度でございましたか、それが地方によって、条例によりましては二十五万、三十万、四十万という実績を持っておるところがある。それをこのまま尊重するのが当然だと思うが、それに対してとやかくのことを今度の改正によってあなた方の方が指示されたり、あるいはそれはやってはならないという悪味を含んでおるとは思いませんが、いかがですか。
  116. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ただいまの御質問は、あるいは何かの誤解に基づいておられるのではなかろうかと思います。所得控除は十二万円が頭打ちでございます。
  117. 太田一夫

    太田委員 十二万が頭打ちではあるが、それは所得税法の十二万でしょう。所得税法の十二万の控除をそのままこちらが使うとおっしゃった。十二万はいいのですよ。そのほかに勤労所得とか勤労控除とかして三十万なり四十万になるように、そういうところをあなたの力はキャッチしていらっしゃいませんか。
  118. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 そういう実例は私聞いておりませんが、第一課税方式をとっておるところであれば十二万以上の所得控除はできない。また、ただし書き方式採用市町村でございますれば、その上に五%、二万円までの頭打ちで、いわゆる割増金の控除、これをいたしております。それ以上は、税制としてはとれないはずでございます。
  119. 太田一夫

    太田委員 税制としてとれなくたって、条例としてそれを制定してある向きは別に違反じゃないでしょう。
  120. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 条例で書けば法律違反でございます。ただ、御質問はおそらくこういうことじゃないかと思います。勤労所得控除は、御承知通りに四十万までが二〇%、四十万超八十万までが一〇%ということになって、それで頭打ち十二万、こうなっている。それを言っておられるのではなかろうか、こういうように思います。
  121. 太田一夫

    太田委員 これは地方町村におきまして、地域の勤労者協議会とか給与者の団体と幾多の折衝を持って、そして控除金額を特段に定めたものが今回の改正によってだめになるということでは困ると思うのです。特段に定めたものがあった場合に、今度変わるから、今までの行きがかりのものは一切だめだ。だから、もう全部これになるということだと非常に困るものが出るのです。そういうのは、在米の慣行は慣行ですが、団体交渉というと語弊がありますが、いろいろ地域住民要望によって特段の定めをしてある分につきましては、この際それに関与するものではない、こう理解してよろしいですね。
  122. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私はそういう実例を実は承知いたしておりません。かりにあれば従来とも法律違反の条例、将来ともそれは違反の条例で、それは認められない。こう私はお答えを申し上げておきたいと思います。
  123. 太田一夫

    太田委員 しからば、十万円以下の金額は二%という準拠税率ですが、これを五万円以下二%というように低く区切った場合には、やはり認められませんね。
  124. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 準拠税率はあくまでも準拠税率で、別でございます。ただいまお話しのは所得計算の問題でございまして、これはあくまでも法律の通りにやっていただかなければならない、こう思います。
  125. 太田一夫

    太田委員 しからば、十万円以下二%ということであるなら、今度の改正は、これを五万円、八万円という刻みは認めませんね、そういう思想からいくならば……。
  126. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 それはあくまでも準拠税率ということでございまするので、市町村議会の定めるところによっていただくことになります。
  127. 太田一夫

    太田委員 しからば、五万円、八万円の刻みもよろしい。従って、十万円以下二%が三%になってもよろしい、四%になってもよろしい、こういうことですね。
  128. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私ども準拠税率を定めました趣旨は、財政上特に必要のない限りはできるだけ準拠税率にのっとっていただくということを期待いたしますけれども、これはあくまでも法律で認められた準拠税率でございますので、御質問のような点があり得る場合が当然起こり得る、こういうように思います。
  129. 太田一夫

    太田委員 というと、あなたの方のここにお出しになった準拠税率は、単なる架空の数字であって、これに対する強制力というようなものはないでしょう。これは一応のめどなんだ、おれの方はそう考えたのだから、君の方は何をやってもよいのだ。それではあまりにもなわが長過ぎて、地方によってはいつ条例変更によっていかに重い市民税をとられるかわからない、こういうことになるではないですか。
  130. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 市町村の実態が、数百万の人口を持つ市町村から数千の人口しか持たない町村まであるわけでございまして、その間において産業の構造なり、所得の分布、こういったものも迷うわけでありますので、私どもとしては、準拠税率ということで税率を刻んだのでございます。従って、その税率の問題と、先ほど御質問の問題とは意味が全然違うことではなかろうか、こういうように思います。
  131. 太田一夫

    太田委員 前の問題とは違うかもしれませんね。しかし、地方の議会における条例の定め方ないしその運営の仕方については、各種のローカル・カラーがあるのです。実際には第二課税方式を今まで使っていても、第一保税方式に準ずるよりはなお安いというところもあるでしょう。だから、地方のローカル・カラーについては、条例ないし市町村当局の措置に対しては、そう大して文句を言うことはないではないかと思うのです。このパーセントに準じて条例で定めなさい、これは参考であって、どっちに下げようが上げようが自由だよ。こういう投げ出し方ですから、各市町村の議会が市町村民税をどの程度まで取ろうかという基本的な考えのきめ方によっては非常にひどいものになりますね。これの制限税率はここまでと、なぜおきめになることができなかったか。あなたの最初おっしゃった第二課税方式の二、三、四、五、六、七、八%のこのままの刻みでいくならば、今度の改正によっても大きく変動することはない、これは言えますね。けれども、二のところが三・五%というようなことになれば大きな変動になりますね。それが許されるとするならば、しからばなぜ頭打ちをお考えにならなかったか、その点はいかがですか
  132. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 従来から第一課税方式をとっておりました市町村は、財政上それで十分な見通しのもとに、選択の余地あるにかかわらず第一方式を選んでおったのでございますので、今回の切りかえにおきましても、そういう市町村は、第一課税の際の負担と同じように税率を刻んでおる。従来でいえば第二課税本文方式、今回で言えば所得割の本文方式、これによるであろうということで私どもも考えておりますし、また指導といたしましてもそういうやり方をやって参りたい、こういうように考えております。
  133. 太田一夫

    太田委員 できるだけこれは準ずるというのだが、指導としては、あまり大きく上回らないようにしてもらいたい。どうしても今までこれが非常に高い税率でなければやっていけないところで、それを一挙に下げるわけにはいかないところは、それはよろしいですね。これに準じてということでけっこうですけれども、第一課税方式を使っていた、そういうところに非常に不利なことにならないように、これは自治省として十分に御配慮をいただいて御指導をいただきたい。  それから念のために承りますが、この本文方式によりまして、標準家族で年収四十万円くらいのところはどれくらい減税になりますか。
  134. 大村襄治

    ○大村説明員 お答え申し上げます。標準家族と申しますと、夫婦と子三人と申しますか、まず給与所得者につきまして、夫婦子三人、給与の年額四十万円といたしますると、現行の第一課税方式採用市町村におきましては、府県民税、市町村民税合わせまして千五百十円の負担でございますが、改正案で本文方式を採用するといたしますと、そのものは千二百八十円、差し引き二百二十円の減額と相なります。また同じ人が現在の第二課税方式ただし書きの採用市町村に居住しております場合、道府県民税市町村民税合わせまして四千百五十円の負担でございまするが、改正案でただし書き方式を採用するといたしました場合におきましては、同じく道府県民税市町村民税合わせまして三千七百六十円の負担と相なる見込みでございます。差し引きいたしまして三百九十円の減額となるという見込みでございます。  なお事業所得者につきましては、現行改正案による増減は生じない見込みでございます。
  135. 太田一夫

    太田委員 第一課税方式を使っていたところが二百三十円、十二で割ると、月額二十円でございますか、減るといっては減るかもしれないが、おなかのふくれるような減り方じゃないわけですね。月に牛乳一本だけ減る、こう考えていればいいですか。これはどうも非常に不親切なものだと思うのです。では、独身者の場合はどのようなことになりますか。
  136. 大村襄治

    ○大村説明員 独身者の給与をどのくらいと見るかによって違いまするが、かりに給与の年額が二十万円の独身者の方がもしあるとしますと、現行第一課税方式のもとにおきまして、道府県民税市町村民税合わせまして千七百円の負担でございます。改正案の本文方式によるといたしますると、道府県民税市町村民税合わせまして千四百八十円と相なる見込みでございます。差し引きまして二百二十円の減額と相なる見込みでございます。第二課税方式ただし書き市町村の場合におきましては、同じものが、現行におきまして道府民税、市町村民税を合わせまして千六百八十円の負担でございますが、改正案のただし書き方式におきましては、同じものが一千四百六十円の負担と相なる見込みでございます。差額は同じく二百二十円でございます。
  137. 太田一夫

    太田委員 ほんのちょっぴり減税になるものだということがわかりました。  そこで、先ほど来安井さんからもお話がありましたが、農民が、今度の場合非常に不利である。こういう点などにつきましては、今後何か考えるというお話のように承りましたが、来年度——ことしのことで来年と言ってはおかしいかもしれませんけれども、このようなちょっぴりとした減税ということになりますと、所得倍増のあなたの方のかけ声の建前からいいまして、来年度になりますと、このまま何も諸条件に手をつけなければ、また相当な増税になるわけなんですが、一つの見通しとして、今後十年間、この市民税、いわゆる地方住民税というのは、昨年三十五年度を一〇〇としてどういう傾向をたどるつもりでこの構想がなっておるか、これをちょっと承りたいと思います。
  138. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 所得が増加いたしますれば、所得税とか住民税のように所得課税をとっておりますものは超過累進税率をとっておりまするので、当然所得の伸び以上に税額はふえて参ります。しかし、それを増税と理解するかどうか、私は増税とは理解をいたしておりません。しかしながら、およそ所得に対する国民の税負担は、昨日も申しましたように二〇%程度で押えるべきであるという基本的考え方を持っておりまするので、所得の増加に伴いまして税負担の割合が当然上がって参りますが、そういった分は将来減税方向に回すべきであろう、こう考えております。ただその場合に、住民税減税をするのか、あるいはその他の減税をするのか、またその減税の規模を地方財政の実態に合わせてどの程度にするのかということは、一にそのときの状況によって考えていくべきものであろう、こういうふうに思うのでございます。
  139. 太田一夫

    太田委員 次官、十年後の住民税は、ことしを一〇〇として推定どれだけになるつもりですか。
  140. 渡海元三郎

    渡海政府委員 詳しい数字的なものはただいま持っておりませんので、事務当局にもしありましたら答弁させます。
  141. 太田一夫

    太田委員 それは一つ考えておいていただきたいと思うのですよ。とにかく所得税においても、給与所得控除という制度は十二万円として、ここで頭打ちとして、これは労働再生産なら労働再生産を可能とする金額でなくちゃならぬという純理論もあります。十二万は引いておいて、基礎控除九万、扶養家族が七万円だとか三万円だなんということは、どうも少し、所得の中で幾らを課税対象にするかという金額算定するのに非常に矛盾が多いと思う。少なくとも五人家族ならば、五人が食べていけるというものは非課税でなくちゃならぬ。これは国税地方税とは全然別だという観念から考えてみて、ぜひとも地方住民には、国税の方は別のものとして、地方に、自治省だけは非常に思いやりがある、食べていくだけのものにはなるべく課税をしませんよという精神をはっきり出すべきだと思うのです。その点からいいまして、将来の住民税金額というものの上昇率はなるべく少なくすることに押えていただかなきゃならぬと思うのです。これはそう思いますから、来年度も従って検討されるものとして次に進みます。  念のために事業税の白色申告のことでお尋ねしておきますが、この専従者控除は、白色申告五万円を新設されたのですが、将来は青色申告と同額にされる意思がありますか。
  142. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私は、事業税につきましては、やはり純粋の企業課税として、事業所得の中に、かりに労働対価相当分があるとするならば、これは課税対象からはずすべきだという基本的な考え方を持っております。それといま一つは、青色白色の区別ということは、法律上は、青色の方は、所得税の場合を見てみますと、企業と家庭が分離しておるという前提に立っております。白色のほうはそうではなしに、給与を払おうと払うまいと定額控除でいこう、こういう考え方でございますが、所縁税は所得税のお考えがございましょうが、私は、現在の青色申告者と白色申告者の実態を考えました場合に、これに差をつけるということは、実は疑問に思っておるのでございます。
  143. 太田一夫

    太田委員 差があるのは疑問だから、差がないのが理想だとおっしゃるのですか。——よくわかりました。しかしそれは、そういうことになるなら非常にけっこうですから、この五万円というのを思い切って八万円まで飛躍していただく必要もあろうかと思いますが、ことしできなければ来年はするというくらいの決意があなたにあると私は理解をしておきます、善意に解して。  そこで、家庭と事業とが分かれておるのが青だとか、一緒が白だというような考え方というのは、私はナンセンスだと思うのです。東京の商工会議所で調べた一つの統計があるのです。非常に中小企業で経営危機をもたらした原因は何だろうということになりますと、経営外の要素では競争激化というのが一番多いのです。その次は売り上げの不況によるもの、その次はほぼ似た件数で税金が、重いとなっておる。五百四十八の中で、競争が激化したために経営危機を訴えておるのが百四十件、売り上げの不況によるものが百十件、税金が重くてたまらぬというのが百件、それから売上命の回収難が八十八件というふうに下がっていっておるのですがね。こういう点からいいましても、税金というのが事業家にとっては非常な電荷になっている。だからこの際、それは相当抜本的に考えていただかなければ、家内工業にひとしいようなところはたまらぬと思うのですよ。中小企業は七〇%家族労働に依存するといわれておるのです。しかも輸出の五五%は中小企業の生産にかかっておる。ドルの獲得にいたしましても、国力の培養にいたしましても、中小企業の持つ役割は非常に大きい。それがほとんど家族労働というような形だ。してみまするならば、個人事業税にいたしましても、法人事業税にいたしましても、事業税のあり方というのは、もっともっと日本の国の力を高めて、そうして国民の生活の水準を引き上げるという両面からいっても、思い切った措置を、ことしできなければ来年は必ずする、それくらいの覚悟はぜひお願いをしたいと思うのです。  そこで私は、中小企業に関係しますから、ついでに生協だとか、あるいは各種の協同組合についてのあなたたちのお考えをもう少し聞いておきたいと思うのですが、どうして非常利法人に今度特典を与えることを拒否されたのか、どうして非営利法人に幾多の面で非課税措置があるのをとられたのか、もう一度念のために、その考え方を承りたいのです。
  144. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 この非課税規定についての考え方につきましては、そういった各種の協同組合というようなものに国税の面で現在課税をいたしておるので、それと住民税なり事業税においても歩調を合わすべきであろう、こういうことで改正したわけでありますが、非課税規定そのものについて、私どもとしては、国の政策で設けられる非課税措置といったようなものは、政策上おとりになることはきわめてあたりまえな話ではございますけれども、その際に、それを地方税にそのまま持ち込むかどうかということについては、やはり地方税という立場で別個に考えてしかるべきであろう。従って、どちらかと申しますと、国の政策上必要とする租税の特別措置というものは、本来は地方税の方が狭くていいのだ、こう考えるのでございます。従来、どういった関係か、国税の方では多く期限を切っております。ところが地方税は無期限になっている。そこで国税の場合は、継続すべきものはまた期限を切って継続する、継続する必要のなくなったものは当然課税する。こういう形になっておりますが、地方税の方は無期限になっておるために、当初出発点では歩調が合っておったものが、歩調が合わなくなって、逆に現在非課税規定は地方税の方が幅が広くなり過ぎておるということでございます。従って私どもとしては、税制調査会答申の次第もあり、これはあくまでもさしあたり国税範囲までは整理をすべきである、こういう基本的な考え方で今回整理をするということにしたのでございます。
  145. 太田一夫

    太田委員 今あなたの説明は、公式の説明では、およそ国税課税される建前になっておる法人税につきまして、地方税において非課税とすることは、負担分任の見地からも、負担公平の見地からも適当でありませんから、整理をして国税と同じようにいたします。こういうことですね。だから私は、今をっしゃったことと少しニュアンスが違うような気がするのですが、国税の方が非課税であるならば地方税も非課税であるべきだというのがあなたの方の改正の主眼ですね、そうですね。しかれば、なぜこの際において、非営利法人の各種共済組合とか、協同組合、労金というようなものから昭和三十六年度以降剥奪をいたしましたか。それは国税と何の関係があるのですか。
  146. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私がただいま申しましたのは、本来あるべき姿は地方税の方が狭くあるべきだ。ところがそれが広くなっておる。従って今回の改正は、税制調査会答申の線に従って国税範囲まで合わせる、つまり出っぱっておるものを整理をする。こういう意味で整理をしたのでございます。
  147. 太田一夫

    太田委員 そうしますと、個人住民税に返りますが、国税所得税を納めてない人がなぜ均等割を納めるのですか。向こうの方だったら、国税がなかったら住民税も取らなくたっていい。でこぼこじゃないか。こっちでは地方税の方が出てしまうじゃないか。国税の方は対象にしない。あなたは所得が少ないのだからないのだと言う。それはどういうわけですか。
  148. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 まさにその考え方でございます。私は、つまり住民税というのは、地方税の本質として負担分任の趣旨に合わなければならない、こういうことでございます。そこで法人税の場合は、それが逆になって、国税課税せられておるにかかわらず地方税課税になっていない。これは課税範囲の幅が国税より狭くなっておる。私は、本来的には今と逆に地方税の方が課税範囲が広くあってしかるべきだ。しかし今回の改正では、税制調査会答申もあって、少なくとも非課税規定で出っぱっておる分を一緒に合わすのだ、こういうことでございます。
  149. 太田一夫

    太田委員 次官、どうでございますか、その今の場合ですが、国税と歩調を合わせるということがそうならそれでいいですよ。けれども国税国税地方税地方税という大原則が一つあるのだから、そう国税にこだわらなくても——都合の悪いときには国税にこだわり、都合のいいときには地方税地方税口主でございますと言うのはちょっとおかしい。そういうことで国税の方を免税しておるなら地方税の方は取らないというようにいくのがほんとうだというならば、均等割なんという制度を県民税、市町村民税におとりになるのはおかしいじゃないですか。それはやめてしまえばいい。その辺どうですか。どういう思想でここの非営利法人に対する特典をおやめになったか。そこから出るわけですが、そのでこぼこ調整論というのはいかがですか。
  150. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 先ほどからお答えしておりますように、私は本来的には、地方税の非課税規定については、範囲が国より狭くあるべきだ、逆にそれが地が税の方が広くなっておる。従って、木末的にあるべき姿でいくならば、もう少し整理をしてもいい、こういう当然の理屈があるわけでございますけれども、今回の整理におきましては、第一段階として出っぱり分を整理する、こういう考え方でございます。
  151. 太田一夫

    太田委員 次官の御意見は、それと一緒ですか。
  152. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいまの御議論は、地方税自主性を持たせなければならぬ、その自主性があるのだったら、片一方では自主性を持たすように、国税所得税がそのまま住民税所得割に影響しないように打ち切っておきながら、片一方では国税に合わせておるのじゃないか、その点の議論の矛盾じゃないか、かように思うのですが、地方税所得割に自主性を持たすというのは、地方の財源のあり方をも考えずに、国の所得そのものがすぐ住民税に響いて参ります。この点をそういったことの起こらないように、地方税所得割は、所得算定の仕方はある程度所得税算定に準拠いたしますが、それが直ちに響かないようにこのたび自主性を持たした次第でございます。  なお、非営利法人の分を国税に合わせたといいますのは、そのn主性の意味と迎いまして、ただいま税務局長がしばしば御説明いたします通り、非課税の規定というものは木末政災的に行なうものでございますから、国税についてこそ行なわれるものであって、それを直ちに地方税が受けて立つという場合は、国税に順応すべき範囲内という姿で考えたならば、今局長が答えました通り、むしろ国の方のが範囲が大きくて、そのうちの、当然地方も国に準じてやるべきだと思われる小範囲で行なうべきが当然でないか。ところが現実は、税法の関係もございまして、国税では多くのものが期限が切られておりますが、地方税では期限が切られておられないために、現在におきましては非課税の規定というものが、国税におきましては、すでに政策的に考えても必要なしと認められて、非課税の規定がなくなったにもかかわらず、地方税だけが残っておったという部面がございましたので、この部面を一度に否定することはできませんが、せめて国税と歩調を合わす程度にまで整理をしたい。これは非課税の規定の本来の地方税国税とのあり方というものに基づいて行なったものでございまして、その間観点が迷いますので、矛盾は感じてないのでございます。
  153. 太田一夫

    太田委員 ものは言いよう、いろいろあるものでございますが、私はやはり地方税の立て方といいましても、地方の産業振興とか、住民の福祉向上という大目的がその前にあるのでしょう。中小企業を振興するということや、あるいは中小企業が何かしら困っているなら助成してやるという、この気持が今までの地方税法の中にあった。今度国税との均衡論から、それが地方税においては過酷なる税制に移行しつつあるということは、特に中小企業の中にこの生協などが入るわけです。そういうところに対してはあまりにも過酷過ぎて、今までの大目的が忘れられていはしないか。とればいいのでしょう、中小企業を繁栄させましょう、住民の福祉を向上させましょう、この目的はどうなったのですか。これは後藤田局長一つ
  154. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 同税ですでに政策上の必要性が役割を果たしてしまったということで、非課税規定が廃止になりまして課税をせられておる。そのものについて、本来非課税の規定の範囲が狭かるべき地方税で、地方税の立て方の問題から現在なお非課税措置がとられておる。従ってそれはこの際整理をすべきではないか。こういうことでございまして、地方税といえども、大きな産業政策上の目的なり、あるいは社会政策上の問題節で必要な非課税規定は、それは私は地方税も置いてもいいものであるし、また置くべき事柄は相当多いと思います。ただしかし、その場合に、あくまでも地方税の見地に立つならば、国の政策でとられる以上、それをそのまま国と同じ範囲に認める必要はない、本来は狭くあってしかるべきである。こういうことを申し上げておるのであります。
  155. 太田一夫

    太田委員 次官、ちょっとその点。
  156. 渡海元三郎

    渡海政府委員 本来地方税というものは負担分任、地方自治体に対しまして法人、個人が受けておりますものをそのままそれの対価として税金を払うものではございませんが、応益に応じて分任をするものであるという原則に立つ以上は、国の政策に基づくところの非課税の規定が、そのまま地力で行なわれるというのに対しましては、そういった地方税の性格上少ないのが当然である、範囲が狭いのが当然である。こう考えておりますが、現実はむしろ地方税が多くなっておりますので少なくした、少なくとも国と合わせたということはただいま答弁した通りであります。ただ地方といえども、中小企業あるいは公益法人に対しては保護、援助の手を差し伸べるべきでないか、これはお説の通りでございまして、その分に応ずるところの担税は、そのままその市町村に戻りますので、これを出されますのには、また別途その地方が考えられまして、これに対して必要であれば、その地方のそういう団体地方に及ぼすところの利益等も考えまして、別途歳出の面で支出されるということに考えるべきが至当でなかろうか、かように考えておる次第であります。
  157. 太田一夫

    太田委員 頭のいい渡海次官だから、そういうお話になるだろうと思うのですが、負担分任もあるけれども、応能原則ということもある。あなたたちはそういうことをおっしゃるが、それでは一つそれと対比して自動車税のことを御説明下さい。今度物品税におきましてはたしか改正が出ておりまして、今までたしか丙類であった乗用車、トラックの類が、小型車の丁類に一つ下がったわけです。三〇%の物品税が二〇%に下がったのだから、百万以上の自動車は十万円くらい税金が下がった。あなたの方は、自動車税は今まで一万四千円であった営業用トラックを一万五千円に引き上げた。三千三群円であった自家用小型トラックを三千八百円に引き上げた、これはすれ違いコースになっております。どうなんですか。
  158. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 国税の物品税は、確かにお話しのように乗用車につきましては千五百CCないし二千CCの分が小型の扱いになって、軽減になったと思います。地方税におきましても、同じくそれは小型の乗用車の税率の適用の区分に入れておりますので、国税と同じように軽減をいたしております。トラックの方の問題は、これは国税にはないと思います。トラックを三千三百円のをなぜ三千八百円にしたのか、こういうお話でありますが、これは昨日お答えいたしましたように、小型のトラックにつきましては税率を区分して課税をすることが実際の状況に合わない。つまり乗用車と違いましてトラックの場合には、ひとしく経営の手段として、自家用であれ、営業用であれ、使っておるわけでありますので、従って従来のように千円の区分を認めることは適当でない。その際に税率を中間の三千八百円にいたしました理由は、トラックの税率をきめる際には、やはり道路の損傷負担度というものを中心に考えましたので、営業用が小型三輪の場合に一万六、七千キロの走行距離であります。それに対して自家用の場合はその二分の一程度ということでございます。それらも考えまして、本来税率統一する場合には自家用並みにすべきである、こう私は考えるわけでありますが、要するに小型については、さらにその上に、主としてこれを使用しておる事業者が中小の商工業者であるといったような点を考えまして、四千三百円にせずに三千八百円にきめた、こういうことであります。
  159. 太田一夫

    太田委員 乗用車は別に下げてもおらないのでしょう。そうすれば自動車というものは物品税を下げて、なるべくならば大衆化しようとしているわけです。あなたの方は軽油引取税はガソリン税と見合って引き上げた。それからあとの自動車税は、軽自動車税も一緒でありますが、全部これの中に貫かれておる思想は値上げということですね。だから大型の乗用車とかを使っておる方々は今度小型並みになって、買う方も下がるならば、あるいは税金も上がらない。けれども小型の車を持っておるものは、営業をやっておろうと、自家用に使用しておろうと、軽自動車、軽三輪におきましても全部上がっていくわけです。燃料が上がる。小型の軽自動車ならば、ガソリン税がリットル約五円上がる、軽油の方がリットル二円上がる。こういうふうに燃料は上がるわ、税金は上がるわ、こういうふうにして中小企業であり、負担能力の一番少ない人たちが使う自動車の税金は引き上げてきておる。それは国税の方には思いやりがあって、地方税には思いやりがないという原則が確立されれば別に差しつかえないけれども、そうでない限りは矛盾じゃないですかと私は思うのですが、次官、どうですか。
  160. 渡海元三郎

    渡海政府委員 自動車税でございますが、細目の税収の見積書の中で見ていただきましたら御承知通り、上がりますものが非常に多くて、下がりますものが、小型三輪車の自家用の分が四千三百円が三千八百円というふうに下がっておるくらいです。他の品種は全部上がっておるということになっておりますが、台数の関係がございまして、その自家用の三輪車のいわゆる五百円ですが、下がっておる分は種目は一つでございますか、非常に数が多いのであります。私たちが考えましたのは、ただいまの御指摘通り、自動車というものも中小企業その他にも使われる生産手段でございますので、できるだけ低い方がいいということは御指摘通りでございますが、一方地方財源の充実等から考えましたならば、この際減税を行なう——この自動車の税金、特に道路を損傷するところの自動車の税金によって地方財源を減少するというところまでまだ踏み切るに至っていなかったのであります。しかしながら、この車種間にあります自家用と営業用の中にあります差というものは何としても締めなければならない。これは同一にすべきであるという思想に立ちましたときに、増税するという形ではなくして、ただいまのように現在の地方財源に与える税収というものはそのまま残しておきながら、増減を与えずに均衡をとるということをはかりました場合、現実の数等に制限されまして、ただいまのように結局自動車におきましては、トラックにおいては高い方に営業用を一斉に上げていただく、そのかわりに三輪車の方では非常に数の多い分は下げて、そのかわりに営業用の方を五百円上げていただくということで、中間の値段であるところの三下八百円という数字をとらしていただいたような次第であります。なおこのほかに、自動車の税をきめます場合におきましては、絶えず道路の損傷度ということを頭に入れて検討しなければならないのでございますが、従来のトラックの課税が他の税種と比較いたしまして、この点から見ましたならば非常に低いという点等も考慮いたしまして一万五千円。なお申されました通り、この税が運賃にどら響くかというふうな点は多分に考慮しなければならないのでございますが、この程度の数字が運賃にはね返るという点は、一方の軽油引取税の分を合わせましても、大体〇・九%くらいの運賃に対する影響皮で済むために、さして響くものでなかろうという観点からこういうふうにきめさしていただいた次第でございます。なおその他の市町村民税にありますところの小型の軽自動車の分に対しましては、これは従来予測せなんだ分に対する新種ができました。この分に対する課税が行なわれなかったのでございまして、現在あります分との均衡をとりながら税をきめさせていただいて、今回改正させていただくようにした次第でございます。
  161. 太田一夫

    太田委員 しかし、軽自動車の場合を一つ例にとってみますが、軽自動車は、今までと同じものは、スクーター千五百円がそのままである以外は全部上がっているわけです。ミゼットクラスで五百円上がったでしょう。スズライトあるいはくろがね、コニーなんというのが千円上がっておる。スパル三六〇とか、マツタクーペに至っては千五百円上がって倍になっている。こういうわけです。それは月に直すとすれば八十円ないし百円か百十円くらいのことでしょうけれども、ガソリン税の値上がりというのは、この軽自動車にとってみて一日に十リットル使うことにすれば五十円上がる。一ヵ月千五百円から上がって、なお税金が月割りにして百円なら百円くらい上がるのです。ガソリンの値上げは仕方がないにしても、せめて自動車税というのは、自動車そのものが値段が下がるときなのだから、国税として物品税が。今までの据え置かれた額に下げるくらいの配慮があった方が近代的じゃないか、近代政治家としては。何だか自動車を使っちゃいけないよと言われておるような制止的なブレーキをかけるという気持が感ぜられるのです。どうなんでしょう、一ぺん考え直す必要があるのじゃないでしょうか。
  162. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 先ほどの御質問を聞いておりますと、国税の方は非常に下がったが地方税は上げておるというおしかりでございますが、実は国税の下げた分私の方も下げておるのでございます。それは要するに従来小型の乗用車の範囲が三百六十CCないし千五百CCということにきまっておりましたのが、二千CCまでになったわけです。その点は国税改正と平仄を合わせまして、私どもの方も、従来普通の自動車であったもの、千五百ないし二千CCのものについて小型の扱いになる。これは自動車税の税率でいいますとおそらく半分程度になっておると思います。その点は国税と全く同じでございますので御了解を賜わりたいと思います。  なお御質問の自動車税の税率変更のうち、トラックと小型の三輪トラック、それから軽自動車、これらをひっくるめまして、増減収をおおむね伴わない範囲における税負担の著しい不均衡の是正、こういうことで改正をいたしたわけでございます。軽自動車につきましては、おっしゃるように二輪の軽自動車につきましては従来通り千五百円でございます。その他のものは上がっておりますけれども、実はこれにつきましては、この前のときの軽自動車の税率をきめました際には、最近どんどん出ております三輪と四輪について生産がほとんどなかったわけでございます。従って二輪だけを頭に遣いて千五百円にきめておる。ところがその後三輪の小型が出るし、また相当担税税のあると思われる人が四輪の軽自動車に乗っておられる。その人たちについて従来二輪を頭に置いて描いた税率のままではいかにも不均衡ではないかということで、そういった方々の担税力その他も見て不均衡の是正をする。こういうことで、結果的にはその人たちにとっては税が上がった、こういうことでございます。ただ全体といたしましては、財源に増減収をおおむね来たさないという限度で自動車税の税率の不均衡是正をやった、こういう趣旨でございます。
  163. 太田一夫

    太田委員 念のため局長に承りますが、百四十七条、これは変わるのですか。そうすると今まで自家用で三万六千円であったものが一万六千円になる、そういうことですか。
  164. 大村襄治

    ○大村説明員 ただいまの御質問の関係についてお答え申し上げます。  四輪の小型自動車の税率は、現在の地方税法百四十七条の一の乗用車の一番おしまいに規定してございますが、「四輪以上の小型自動車に属するもの」となっております。この四輪以上の小型自動車の範囲は、道路交通の方の法律に基づく分類によっているわけでございます。ただいま局長の言われました小型自動車の限度が千五百CCから二千CCに改まるということは、こちらの規定から言いますると、そのまま適用になるわけでありまして、別段の規定の改正を要しないわけでございます。ところが物品税法の方の規定を見ますると、これは気筒の容積なりあるいは軸距の長さなりを具体的に若いておりますので、適用区分について具体的に改正をしないと、その区分の違ったことによる税率の差というものは法文上出てこないわけであります。そこで物品税法上の改正としてはこういうものが表に出たわけでありますが、私どもの方の法律の関係におきましては、ただいま申し上げましたような関係におきまして、区分の改正による税率の適用の変更、具体的に言いますれば、該当する車両につきましては半分ほどの減税というものが実現できることになっているわけでございます。
  165. 太田一夫

    太田委員 念のためにですが、もう少し端的に一つ答えて下さいよ。百四十七条は改正しないでしょう。二と四は変わるのですね。あとの第一号の乗用車、四輪以上の小型自動車に属するもの、これは変わらないわけですね。条文としてはこのままなんでしょう。だからそれは今度のこの国税関係の道路運送車両法の改正によって乗用平のいわゆるタクシー車は今まで一万五千円であったのが八千円になる。三万円のものが八千円になる。自家用車も三万六千旧が一万六千円になる。それから六万円の軸距離のものも一万六千円になるわけです。こういうことなんですか。
  166. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 端的にお答えをいたします。この規定の一の乗用車のうち、普通自動車に嘱するもの、営業用、自家用、これは従来通り変わりはございません。四輪以上の小型自動車に属するもの、これが道路運送車両法の規定の改正によりまして、千五百CCないし二千CCの従来であれば普通自動車に属すべきものであったのが、小型自動車の範囲に入ってくる。従ってその分が減税になる、こういうことでございます。
  167. 太田一夫

    太田委員 大事な点をあなた方は黙っているのだが、局長、そうするとトヨペット・クラウンと日産のセドリックを使っているタクシーは幾ら減税になるのですか。
  168. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 千五百CC以下のものであれば従来通りでございます。私が申しておりますのは、千五百CCないし二千CCの間のものが減税になる、こういうことでございます。
  169. 太田一夫

    太田委員 その問題じゃないのです。私の聞きたいのは金額なんですよ。トヨペット・クラウンは千九百CCでしょう、セドリックも千九百CCでしょう。千九百CCとわかっておるから、その車は今度、この条文は変わらないけれども、幾らに変わるのか。私が言うのは、それは一万五千円が八千円になるのだ、こういうように今思ったが、それでよろしいか。
  170. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 日産セドリックとトヨペット・クラウン、これで千五百ないし千九百CCの間のものが最近新しくできつつある。こういうことだと思いますが、それは自家用であれば三万六千円であったものが一万六千円になるし、タクシーであれば一万五千円であったものが八千円になる、こういうことでございます。
  171. 太田一夫

    太田委員 そうでしょう。だからタクシーであれば、タクシー営業者はこの辺では——国会でもそうだが、トヨベット、セドリックを使っておるものは千九百CCを使っておる。その車が一万五千円今まで払ったものが今度八千円になる。これはあなたの方の改正案は出ておらぬ。出ておらぬが、道路運送車両法の改正によってそうだとおっしゃる。そうすると、自家用車は、白ナンバーは三万六千円であったのが一万六千円になるのですね。
  172. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 その通りでございます。
  173. 太田一夫

    太田委員 次官、そうでしょうね。——だれかうしろの課長さん……。
  174. 森清

    ○森説明員 お答えいたします。大体トヨペット・クラウンとかセドリックは、従来は千五百CC以下でありますが、最近千九百CCが出たわけであります。従いまして千五百CC以下のものは、今後これは全部小型でありますから増減税はございません。千五百から千九百CCの間のもの、はっきり申し上げますと、営業用でありましたら今まで一万五千円だったものが八千円、自家用は三万六千円のものが一万六千円に下がります。
  175. 太田一夫

    太田委員 そういうことですね。だからあなたの方は、国税が下がったということに関連をしてこちらも下がっておるのに、小型の軽自動車だけをなぜ上げなければならぬか。もう自動車は千九百CCの時代ですよ、科学と技術の時代ですよ。なぜミゼットやくろがねというもを五百円も千円も千五百円も上げなければならぬか。非常に逆コースじゃないですか。だから、生協も含めまして中小企業の人たちに対する思いやりがなくて、何か大きいところばかりを税金を減らすのじゃないですか。
  176. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 本来自動車税の税率は、やはり理想的に全部変えるとすれば、トラックについては私は重量できめるべきであろうと思います。それから乗用車につきましては排気量のCCできめるべきだと私は思うのです。ところがそういたしますと、白紙に絵をかくのと違いまして、従来の税負担がございますので、そういった根本的な面は他方自動車行政上の施策がまだはっきりしていないといったようなこともあって、根本的な改正をやるのは早い。従って著しく不均衡になっておるものだけを改正するにとどめたらいいのではないか、こういうことで均衡化をはかったわけでございます。その際に、おっしゃるように小型自動車と軽自動車の間、これについては私は税率が若干開き過ぎると思います。もう少し軽自動車は高く、小型自動車についてはその範囲をもう少し区分をして、段階的にきめるべきであろう、こういう考え方を持っておるのでございまするけれども、この点について所官省等の意見を聞いてみましても、まだいわゆる国民車というものについて何CCを単位にして生産を進めていくかという点がきまってないのでございます。そういった際に、税法で分けて税率をきめるというのもいかがなものであろうかということで、小型の四輪についての税率変更はしなかったのでございます。さらに軽自動車についても、私は小型日勤車との税負担を考えまして、もう少し高くしていいだろうと思いますけれども、現在の運転免許証の扱いなり、実際上四輪を使う人とこういった軽自動車を使う人との担税力、こういう面を考えて、むしろ低目に押えるということで軽自動車の税率をきめたのでございます。
  177. 太田一夫

    太田委員 私はちょっと驚いているのですが、そうすると、たとえばタクシーなどがこわす道路の損傷度の三分の一くらいのものを、スバル三六〇という小さなうば車のような車がありますが、あれがこわしておるということになるが、そんな科学的な証明ができますか。タクシーが一日走っておるのが三百六十五キロだ、スバル三六〇は百キロ走らぬでしょう。しかも車の重量とかいろいろなことを考えてごらんなさい。三分の一道路を損傷しているというようなことは全然できないが、税金では三分の一の税金。どうなんでしょうね、この辺御検討なさったのですか。
  178. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 販売価格あるいは性能、そういった関係で、数字的に所官課長から状況を御説明申し上げます。
  179. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 この問題につきましては、私も数年来検討いたしました。率直に申しまして、今問題になっております軽自動車税が市町村税でできました昭和三十二年をとって申し上げてみますと、その当時軽自動車の生産総数が十七万台、その中で九七%までが軽二輪車でございました。これがだんだん軽三輪、軽四輪というのがふえて参りまして、昭和三十五年の生産見込み五十一万二千四百台の中で、軽二輪は二十三万五千台、怪三輪が二十万台、軽四輪が七万台、軽二輪車は総生産台数の中では四六%に落ちて参っております。  実は現在問題になっております一番高いのはスズライトでございます。これが昭和三十一年ごろできておりましたが、コレダのツインエース、こういうのがだんだんできてきたわけでございます。ツインエースが十七万円、スズライトは三十六万円でございますが、普通の東川車の非常に小型なものになっておりまして、四人乗りで千五百円でございます。試みに三十六万円の車と十七万円の車と、耐用年数は御存じの通り軽二輪でございますと六年、四輪の場合も同じ六年でございます。そこで新車の価格をもとにおきまして、かりに定額法で償却をして参りました場合に、固定資産税では年間平均いたしましてどれくらいになるだろうかというのをとってみますと、怪二輪の場合で年間定額法で償却をいたして参りますとして、固定資産税の税率一・四%を乗じて参りますと、大体千六百円くらいのものになります。それから軽四輪の場合でございますと三千二百円程度のものになります。従いまして自動車税あるいは軽自動車税、同様でございますが、私どもは固定資産税相当分プラス道路損傷負担的なもの、こういうことで考えておるわけでございますが、今申し上げました数字で見ます限りは、固定資産税相当分にも足りない、こういう形になっておるわけでございます。やはり軽自動車税として別に固定資産税から分けて課税いたして参りますと、そこに道路損傷的な意味がある。この分はこのたび三千円まで一番高いところを上げましても、なお道路損傷負担的なものはまだ何がしも見られていない。ちょっと表現は妙なものになりますが、そういう形になるのでありまして、この程度の税率の引き上げはいたし方がないじゃないだろうか、このように考えておるわけであります。
  180. 太田一夫

    太田委員 だいぶよくわかりましたから、いずれ申し上げることは小委員会でまた申し上げます。  一応自動車の話はそれで終わりまして、電気ガス税の関係についてちょっとお尋ねをいたします。電気ガス税の、特に電気の場合は、やはり所得倍増計画というものと、あなたの方はにらみ合わせておきめになっていらっしゃると思う。所得倍増計画は十年倍増でありますが、将来十年先の電力エネルギーの増加はどれぐらいであろうかということを考えると、およそ現在の三倍ぐらいになるだろうといわれておる。七・二%アップという年率は、これは所得倍増の基本のものですが、これが電力の年率に平均すると約九・七%、電力というものは将来非常に大きな需要が見込まれておる。しかもなお家庭用の消費量というものは、日本は諸外国に比べて非常に低い。たとえばアメリカは三〇%くらい消費しておりますが、日本ではわずか一五%、しかし最近は非常に家庭用の消費電力がふえてきたという点から考えまして、将来国民はどんどん電力を消費する、それから電力会社はどんどんと発電設備を起こさなければならない、こういう状態になっております。そこで電力コストというのはどうなるだろうということを、これは需要先のコストで推定した一つの数字があるのですが、今大体三円くらいの原価を、現在のダムの築造の諸形態から考えると四円五十銭、すなわち五割増しくらいにコストが高まるという推定がされるわけです。そうすると電力料というものは、しょせんは五割一という原価計算からいって、大幅に値上がりすると見なければなりません。そういうようにわれわれは一つの最悪の場合を想像して、しかも三倍という大きな消費量を勘定に入れて、また日本の国民の文化生活の水準向上による家庭用電力の消費の増大を勘定に入れるならば、これから十年先とだんだん級数的に非常にふえていって、電気ガス税の中の電気税というものは非常に大きな金額になるのじゃないかと思う。しかも今非課税のものに課税しろということでなしに、一〇%の電気税というものを三百円の免税点を置くことによってあなたの方は調整をおとりになったけれども、三百円というのは実は非常にナンセンスだと私は考えるわけです。ことしは三百円でもいいが、来年は少なくともこれは五百円なり、六百円に持っていかなければいかぬだろうというような気がするのです。コストが高まるという見通しと、非常に需用がふえるという見通しからいって、税源としては非常に大きいものが想像される限り、あなたの方は思い切って減税の態度を打ち出されてもしかるべきだと思うのですがね。これを三百円というような低いところに押えられたのがちょっと不可解なんですが、これを高める——これは当座これなんだが、来年はもうちょっと上げるよ。上げたかったが、ことしはまああまり大きな変更をやるのはいかがかと思ったから、ことしは三百円やる、来年はもっと上げる、こういう格好でワン・ステップとして三百円をお作りになったのでしょうがね。どういうことになるんですか、いかがですか。これは次官から。
  181. 渡海元三郎

    渡海政府委員 来年上げるということを覚悟をして三百円ことしきめたんだ、こう言われましたら、そういったことは予定もいたしておりませんし、覚悟もしておりません。こう申しますが、ただいま御指摘のように電力料金が高くなる、またわれわれの文化生活に従いまして電気消費料が多くなる、従って三百円というものが大衆に対するところの非課税としてはあまりにも意味をなさないというふうな状況が現われましたときには、当然これに伴ってこの免税点も引き上げられるべきものだということは、御指摘通りであろう、かように考えております。
  182. 太田一夫

    太田委員 そこで免税点を引き上げてもいい。わが党の方は基礎控除を設定した方がいいだろうということをかねがね申し上げておるわけだが、とりあえず基礎控除となれば、全体的な水準を高めて、そうしてその消費というものに対する誘い水にするということがあるので、貧乏なんだから三百円のままでちょっと押えておきなさい、これは大へんなことだと思うんですよ。だから政策として、この電気税ないしはガス税というのは、将来撤廃の方向ほんとうです。それなら三百円の基礎控除、それをだんだん上げて、全額撤廃というところに持っていくのが、本来じゃないか。基礎控除を上げても、コストは上がるから電気税は上がりますよ。庶民の出す勘定はふえるのだから、ふえることが想像される限り、もっと下げる思い切って踏み切ったところの方針を出してほしかったと思うんです。そこで電気の方はそういうことでありましょうが、電気の中に街灯のことがありますね。街灯は今度特別の措置がありませんでしたか。商店街の照明灯と同じような街灯というのはどうなんですか。どんなふうでしたか。うんと軽減するんですか。
  183. 渡海元三郎

    渡海政府委員 私たちは街灯は、いわゆる免税すべきであると思われるような防犯その他公益に供するような街灯は、この措置によりまして免税になるものである。かように考えまして、特に規定を設けなかった次第であります。
  184. 太田一夫

    太田委員 それではその認定とか、今後商店街の照明灯はどうするか、いろいろな問題があると思いますが、ガスの問題をちょっとお伺いいたします。  特にLPGの普及によりまして都市ガスが非常な圧迫を受けておる。そこでガスだけは電気に先がけて撤廃することの方がいいんじゃないか。新設同定資産税の何分の一かを、何割かを免税するというようなこそくな方法ではなくして、ガス税を撤廃するということの方が天然ガス、科学ガスの時代にふさわしいではないか。これはガス会社を助けるというのではないですよ。もうすでに都市ガスの時代ではなくして、埋設パイプを使うガスではなくして、天然ガスの時代になっておるでしょう。これはどこの統計か私も今忘れましたが、設備資金がどれくらい十年間に要るだろうかとお調べになったものの中に出ておったのですが、天然ガスに十年間、昭和四十五年までに千三百億円の設備資金が要る。ガスの場合は二千五百億円、ガスの半分以上も天然ガスの設備資金を要するという十年間の見通しとしまするならば、天然ガス対策を考えずして今日の電気ガス税のガスの税金三百円免除なんて考えるのは、これまた何かしら一夜づけか、おざなりな気がするのですが、天然ガスというものに対する根本的な対策をこの際立てる意思があるかどうか、税金をかけよと言うのじゃないのですよ。無税なんですよ。天然ガスというものを中心にこれからの地方住民の生活をしていくべきだと指導するならば、天然ガスというものの、LPGのこれからの普及を中心に考えるならば、都市ガスというのはもう勘定に入れなくてよろしい、全部免税でもいい。固定資産税なんてけちなことをせず、どうですか。
  185. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ガス事業に対しましては、これは国民生活の向上とともに必要なことはもちろんのことでございます。それがために多額の設備投資が必要だということもわかっております。従いまして私どもといたしましては、まずガス事業そのものに対しては、先ほどもお答えいたしましたように、固定資産税の減税について、新規償却資産分の軽減措置をはかっていく、こういう措置をとったわけでございます。電気ガス税そのものは消費者負担でございますので、これの免税点につきましては、将来の動向等をもながめ、そのときどきの経済の実態なりあるいは市町村財政の状況というようなものをあわせて検討をしていくべきものだ、こういうように考えております。ただ、今これを撤廃するかどうかということについては、昨日もお答えいたしましたが、この際撤廃するという考え方は持っておりません。
  186. 太田一夫

    太田委員 いや、今持っていらっしゃらないのは仕方がないのですよ。この原案をお出しになった建前上そう言う。ドアの外においでになれば何とおっしゃるか知りませんけれども、パイプから流れ出るところのガスに火をつけて御飯をたく時代でないとなれば、そのようなものに税金をかけていこうとするあなたたちは、少しばかり何か進歩というものに逆らっているような気がしますから、もう少し負担公平の原則からいってもかけないでもいいわけです。まあそれはそれにしておきます。  来年のことをあまりおっしゃいませんけれども、念のために聞いておきたい。料理飲食税ですか、遊興飲食税をそういう名前にお変えになったというのですが、今までの方がはっきりしておって、料理飲食というのは反対なんです。しかし世上で、高級料理店等の運動で、来年度は基礎控除の引き上げ、税率一本化の予約あり、こういうことが言われておりますが、その真偽のほどを次官から言明して下さい。
  187. 渡海元三郎

    渡海政府委員 そういうふうなことが世上言われているということは私も承知いたしております。しかしながら私たちは、前に安井さんにお答えいたしました通り、今回の名称変更は直ちに税率一本化の前提になるものだというふうなことは考えておりません。提案理由の説明の中にも申しました通り、あくまでも普通の遊興を伴わない飲食並びに宿泊等につきまして課せられる税金に、遊興飲食といったような名称を冠することが徴税趣旨に合致しないという点から考えたものでございます。  なお、現在の遊興飲食税の税率の一五%と一〇%の適用につきまして、徴税上に非常に困難があるということは、これを認めております。この現実面に対しまして、できるだけ簡明に徴税ができるよう、徴税上の混乱が起きないよう検討すべきであるという点は、私たちも常に考えておることでございまして、この点は法案改正ではなくても、行政指導におきましてもできるだけ実施していきたい、かように考えております。なお行政指導だけで行ない得ない分に対しましては、できるだけこの区分を明確にいたすように法案の改正が必要であれば改正をするようにも考えたい、かように考えております。しかしながら、他の税と勘案しまして、ただいま申されましたような高級料理店における税率、あるいはキャバレーその他の税率、芸妓の花代といったようなものを一律に一五%を一〇%に下げるんだといったようなことは、公約もしておりませんし、ただいまのところ全然考えてもおりません。他のこういったものに対する諸税との均衡等から考えましても、そういったことはただいまのところ予測いたしておりませんので、この点検討すべき点は多々持っておりますが、われわれといたしましては、現在のところそういうことを予測いたしておらない、こういうことを言明さしていただきます。
  188. 太田一夫

    太田委員 それは、ただいまのところとか、あるいは直ちにそういうことは前提となるものではないというような、まくら言葉は非常に不穏当だと思う。単なる、あなたが何げなしに、常用的な言葉としてお使いになる分にはいいんですが、政策的に、来年変える場合に、あの際は直ちにはとは考えてなかったのだから、一年三百六十五日たちましたよ、では困るのですから、予約でないということをおっしゃればけっこう。  それで不動産収得税の関係ですが、不動産収得税の中で、とにかく譲渡収得が今度非課税となったのに、生協というようなものなど、あるいは労働金庫、こういう非営利法人の不動産取得に不動産取得税をかけるというのは、この際追加して非課税とすべきだと思うのですが、当局の意見はいかん。
  189. 森清

    ○森説明員 お答えいたします。不動産取得税は個人、法人を問わず全部かかっておりますので、特に協同組合等にのみ非課税とするということはやっておりません。またやるべきものでもないと考えております。
  190. 太田一夫

    太田委員 あなたがお答えになったのでちょっと調子が悪いんだが、大臣かだれかに来て答えていただきたいと思うのだが、不動産取得税についてもやるべきものではないという断定は間違いと思うのです。今やるのは少し都合が悪いということで、やるべきではないというのは——非営利法人でございますから、非営利法人の不動産取得税についてはあるでしょう。たとえば病院、診療所などにおいては非課税となっているでしょう。やるべきものでないと言うが、あるじゃないですか。
  191. 森清

    ○森説明員 私は原則論を申し上げたのでありまして、多少そういう点について例外規定のあることは事実でございます。原則的に、不動産収得税を課税するとすれば、個人、法人、営利、非常利を問わず課税すべきである。こういう原則的なことを申し上げたのであります。
  192. 太田一夫

    太田委員 これは局長にもう一回念のためにお尋ねいたします。病院、診療所等は非課税となっております。学校もそうでしょう。しからばあなたは当市者、責任者として、不動灘収得税の課税対象については、この際単なる、ほんのわずかなる例外だということでなく、社会政策的にこれをお考えになっていらっしゃるならば、十分考えるべきものは考えて、追加するものは追加する、削除するものは削除するという時代の変遷と、指導方針というものははっきり確立してほしいと思うのですね。その点には異議ないでしょう。いかがですか、今までのを絶対に訂正しないということはないでしょう。
  193. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 不動産取得税及び固定資産税、これの課税標準の特例とか、あるいは非課税になっておるものとかいったようなものにつきましては、私は率直に申しまして、均衡のとれてないというものがあるように思っております。従って、これらについては均衡のとれるように将来改正をいたしたい、こういうつもりでおります。ただ基本的な考え方は、非課税規定というものは、現在の地方税の非課税規定の内容から見て、むしろ整理をすべき方向で進んでいくべきものだ、私はこういうように考えております。ただ具体的に、それじゃ全部整理するのかということになるならば、御承知のように基本原則はそういう考え方でございますが、整理すべきものは整理をし、また入れる必要のあるものは入れていく、こういう線で検討したいと思います。
  194. 太田一夫

    太田委員 それでいいでしょう。しかし、非課税というものはあるべきものでなくして、税は軽きをもってよしとするのですよ。昔から、法は三章をもって足れりで、たくさん法律を作る必要もなければ、税金をかける必要もない。あなた方が——税務局長という少なくとも天下の税の元締めの大将が、非保税なんというのはなるべく少ない方がいいというのは、どうなんですか、ちょっと言い過ぎですよ。  最後に、ちょっとそれに類したことでお尋ねしますが、水利地益税の問題であります。水利地益税は、かつて昭和二十九年でしたか、自治庁の次長通達か何かで、明確な受益関係のあるものでなければかけるなという御通達、御指導があったことを覚えておりますが、しかし各地において非常に紛糾が起きておる。どこに川があるのか水があるのかわからないのに、その川が決壊したら被害をこうむるようなところに、水利地益税でございます。実際に、この水利地益税ほど、忘れられている存在であり、かつまたそれが各地において不均衡な徴税状態を現わしておるものは少ないと思う。特に何々用水、何々用水、これができます際におきましては非常な大きな紛糾を招来いたす。各市町村、県におきましては、実際にはっきりとその目的を定めてこれを明確にするか、それでなければ一挙に撤廃すべきじゃないかと思うのですよ。これに対して御見解を伺っておきたい。
  195. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御承知通りに、現在の水利地益税は、水利関係の事業と林道関係と都市計画事業、こういった場合に、その必要な経費を受益の限度で受益者に課税する、こういう建前になっております。従って、かりに乱に流れているということでは、これは法律違反になると思います。やはり水利地益税というものは、特殊な利益を受けるもの、いわば受益者負担的な税である。こういう基本ははっきりしておることでございますので、納めるべき納税金額も、やはり受益の限度をこえてはならないということは、この条文で明瞭に規定をいたしております。従って、別にございます都市計画事業等と比べまして、範囲は非常に狭まって厳に規定をいたしております。御説のような点があるとすれば、これは法律制度の問題よりも、むしろ市町村における運営上の問題だと私は思います。従って、そういう実例がございますれば、私どもとしても適正に改めていただくという処置をとりたい、こういうように思います。
  196. 濱田幸雄

    濱田委員長 次会は来たる十一日開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会