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1961-04-06 第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月六日(木曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 田中 榮一君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 太田 一夫君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    小澤 太郎君       大沢 雄一君    大竹 作摩君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       久保田円次君    濱地 文平君       前田 義雄君    安宅 常彦君       佐野 憲治君    二宮 武夫君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房調査         官)      大村 襄治君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         自治事務官   森   清君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)    鎌田 要人君     ————————————— 四月四日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として綱  島正興君が議長指名委員に選任された。 同日  委員綱島正興辞任につき、その補欠として亀  岡高夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六三号)      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を継続いたします。二宮武夫君。
  3. 二宮武夫

    二宮委員 大臣がおられぬようですから、政務次官に初めにお尋ねをいたします。  それは、私ども考え方では、結局税制調査会というものがあって、そこから一つ答申案が出てくる。諮問機関でございますから、それの取捨選択等については、やはり政府責任においてやっていくであろうというふうに考えるわけです。ところが、この前から自治大臣答弁あるいは水田大蔵大臣答弁、それぞれを聞いておりまして、三十六年度において地方税と国税との配分についての抜本的な改革をやっていこう、こういう構想だけはわかるのですけれども、話を聞いておると、どうもネズミがネコの首に鈴をつけるような話に感ずるわけです。水田さんの話を聞いておっても、どうせやらなければならぬと言うけれども、それについておれが職を賭してもやるんだという決意のほどがなかなか出てこない。これも今までの過去の経験から申し上げましても、三十四年の二月に地方制度調査会から出て参りました公務員共済年金の問題があるような状況で、財政負担区分の問題から三十六年の十月まで延期をされている。あるいは今度の外人の遊飲税の問題が、すでに答申として出ておりながらも、まことに妙な格好で本年度持ち越しになっている。こういうような実態から見ますと、非常に抜本的な改正と申しますけれども言葉の上では非常にけっこうなんだが、さてやれるかどうかということに対する疑義を私は感ずるわけです。これはまた、だれがやりましても非常にむずかしい問題であろうというふうに私は考える。一つの問題を取り上げてみましても、なかなかそれに対する抵抗があろうかと思うわけです。しかし三十六年度に、税制調査会が審査をやって、それに基づく答申案が出て参るということになれば、私は政府責任において、せひ一つやってもらいたいと思うのです。これに対して大臣から再度答弁を聞きたいと思っておったのですが、政務次官から、これに対する決意のほどをこの際承っておきたいと思うのです。
  4. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいまの問題は非常に重要な問題でありまして、御承知通り、毎年度予算編成の際におきまして、現在の地方税自主財源であるべき地方税あり方が、各地方団体におきまして、自然増収の形で全部が出て参りましてもその財源が片寄る。従って非常に貧弱な府県はますます貧弱になり、富める府県はますます富むというふうな姿が現われているのが現実の姿ではないか。従ってこれをならして平均化することによって地方財政、各地方自治体行政水準均衡考えなければならないという議論が絶えず出てくるのが現在の状態でございます。これにも一理は占めるのでございますが、しからば富裕団体なるものがはたしてあり得るかという点を考えましたら、東京とか大阪とかにいたしましても、現在の運営が、欧米先進国のそれと比すまでもなく、わが国の現状におきましても、経済の伸展とつり合ったいわゆる地方団体運営というものは行なわれていない。このゆえにむしろ地方団体運営そのものが、それらの地方におけるところの経済向上を阻害しておるというふうな状態にありまして、はたして富める団体といえるかどうかということに対して非常に疑問がある。従って、とても貧弱団体にこれを。回すような余裕はない。要は国から地方へ金を渡してもらうことが問題でなかろうか。国家財政は絶えず黒字で。運営されております。健全財政を貫いております。地方財政も、昭和三十年以降における政府の施策並びに経済状態向上、あるいは各自治体におけるところの財政運営健全化に対する努力と相待ちまして、非常転して参りましたとはいいながら、昭和三十四年度の決算を見ましても黒字額が三%でありまして、国の九%と比べましては非常に少ない額でございまして、これをもってはたして健全な黒字であるかどうかということは非常に疑問であると思います。こういうふうな点を取捨検討いたしまして、三千五百の自治体に適正なる財源措置をするためにいかにしたらよいかということが絶えず議論の対象になるのでございますが、根本は国と地方中央地方を通ずるところの財源の再配分、いわゆる税制改革根本的なものを行なって初めてこれが行なわれるのではないかということに議論が尽きるのが絶えずその姿でございます。このために、政府におきましてもこの点を勘案いたしまして、昭和三十四年度に、あらゆる実態を考慮した上でこれを行なわなければならないというので、特に短期間でなく長期間にわたるところの調査機関を置いて、調査会を設けて検討していただく、その答申がこの三十六年度にいただけるという段階に来ておるのは御承知通りで、御指摘通りでございます。従ってこれにつきましては、各種実態調査も行ないまして、相当調査会におきましても詳しい検討をされたということは現在聞いております。しかしながら、問題がそのような日本の各地方自治体あり方根本に存するところの非常な困難さというものと直面せなければならないという現状にありますために、現在どのような姿で答申がなされるであろうかということにつきましても、種々の議論が分かれておるということも御承知通りでございます。しかしながら、何と申しましても、これを実行に移さなければほんとう地方財政健全性ということも期待できませんし、地方行財政運営健全化ということも期せられないのでございますから、私たちはあくまでもこの点にメスを入れまして、健全なる自治体運営あり方のためにも抜本的に中央地方を通ずる税制あり方考えるとともに、一三千五百の行政水準向上を目ざしまして、適正なる財源配分を行なうように処置しなければならない。かように考えておるわけでございまして、この答申案決定を願うとともに、答申案決定が出ましたならば、今申されましたような杞憂のないように、断固として政府といたしましても処置しなければならない、かように決心しておるような次第でございます。
  5. 二宮武夫

    二宮委員 今の政務次官の御答弁は、この前から私たびたびお聞きしておるわけです。私どももまたそのようにあってほしいと思うわけです。税制も、国と地方との再配分についてほんとうにその調査に基づいての抜本的な改正をやっていただきたい、私はそういうように感ずるのですけれども、どうも水田さんのお話を聞いておっても、それから自治省の話を聞いておっても、やることはいいことなのだ、しかしながらやれるのかやらないのかという問題については、どうも決意のほどが不十分なような感じがするのです。むずかしいということを前提にして御答弁されておりますが、これは大臣の首をかけてもやるというくらいの決意がないと、とてもできるものではないというように私は考えるのですが、その決意のほどが十分にうかがわれないと、前に申し上げましたように、従来の例がありまして、答申案が出ましても、閣僚部内の不統一があってみたり、あるいは他の圧力から線を引っ込めてみたり、あるいは来年から廃止するのだ、ことしはやるのだという妙な線を出してみたり、どちらにも顔を立てるような格好のことをやってみたり、これは抜本的という以上、相当な決意を固めないと、やることのいいことはわかっている、だれもが言わずともわかっている問題なのです。自主財源を与えることにだれもが賛成するのだけれども、そのやる決意のほどというものは、どうも私は今まで聞いておって、ほんとうネコの首に鈴をつけるのがいいことはわかっているのだけれども、だれがつけ得るのかという問題になると、どうも引っ込み思案のような印象を受けるのです。大臣お見えですから、今の政務次官の御答弁が不満足だというわけではないのですけれども、そこまでの答弁はこの前も聞いておるのですけれども、もう一歩突っ込んだ決意の御表明をいただきたい。おれはこれができなければ自治大臣をやめてでもやるのだという決心をつけないと、私はこの問題はできないだろうと思うのです。これは税務の方に詳しい局長あとからお伺いしますけれども、これは大へん重大な問題であって、ただ言葉の端だけではなかなか満足のできる問題ではないと思うのです。従って主管大臣としての決意がいま少し表明されないと、私どもとしては納得しかねる面があるわけなのです。重ねて大臣の御答弁をお願い申し上げます。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 ただいま政務次官からも御答弁申し上げたと存じますが、中央地方財政調整はぜひやらなければならない問題でありながら、今御指摘通り非常に困難な問題であることもこれは事実でございます。しかし、ここ数年間逐次直ってきておることも事実でございますが、さらに税制調査会の今後の答申を待ちまして、私どもはぜひもう一回これは根本的に直したい、こういう固い決意をいたしておる次第でございます。
  7. 二宮武夫

    二宮委員 今答申案検討中だというので、なかなか言いにくい問題だと思うのです。私は、地方税法を読んでみましても、都道府県税あるいは市町村の税そのほかというものは、法律でもってはっきりきめられておるわけなんですが、一体今の国の税と都道府県市町村の税との問に交流、再配分は可能であって、この面は市町村に譲ってもよろしい、あるいはこの面は都道府県に譲ってもよろしいと思われるような財源、税というものはどういうものが考えられますか。税務局長に具体的に、あなたの従来の経験からいって、どういうものが一体いけそうに思うのか。言葉の端ではちょっと納得ができないので、一つの何としてこういうこともできるのじゃなかろうかというような例でもいいですが、御説明願いたいと思います。
  8. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御質問の点が実は非常にむずかしいのでございます。まさに税制調査会の内部にもそういう空気があるわけであります。と申しますのは、私どもとしては、地方団体相互税源配分の問題に先行すべき問題は国と地方との税源配分の問題というのが私ども根本的態度、ところが国の方の、中央政府の方の立場に立ちますと、そうでなしに、まず地方団体相互の間の税源配分が先行すべき問題である、こういう基本的な考え方開きもあり、また税制調査会においても、そういう考え方開き委員の中にあることも事実だと思います。従って、過去二年間審議をいたしまして、なおかつ税源配分問題についてはついに意見が出ないで、あと一年残っておる期間でこれを詰めてやるということに相なったような事情も、そのむずかしさに実はあるわけでございます。そこで具体的にどういう税がどうなるかということになると、調査会でもきまっておりませんし、私は非常にむずかしいと思いますが、やはり地方団体相互間の税源配分をまず重視するという立場に立てば、いわゆる法人地方税について何らかの手を入れたらどうかという考え方一つあると思います。また国と地方との税源配分を先行すべきであるという考え方に立つならば、税源が普遍的になっておる酒とかあるいはたばこといったような消費税地方団体に譲るべきである、こういう考え方に成り立っております。ここらが大きな考え方開きになるのじゃないか、こういうように見ております。
  9. 二宮武夫

    二宮委員 この点につきましては、答申案を現在審議中ということでございますので、十分御検討いただいて、ほんとに抜本的な再配分のできる情勢に三十六年最後のぎりぎりで一つまとめていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、地財法第三十条の二に基づきまして政府から報告を受けております地方財政状況等を見ましても、あるいは大臣地方税法に対する提案理由の中を見ましても、いわゆる地方財政健全化健全財政という言葉がよく出てくるわけなんです。私はこの健全財政というものが、このトータルに出ておりますような歳入歳出差別黒字だ、これが健全財政だというふうには、そう簡単に割り切るわけに参らないと思います。そこで健全財政というものの概念について、もう少し内容的に一つお尋ねしておきたいと思うのですけれども、これを一つ概括的に、健全財政というものは一体どういうものであるか、これは支出の方を内容的に考えましても、あるいは歳入の面におきましても、いろいろな要素があろうかと思うのです。ただ決算の上から差引黒字だ、これが健全財政だというような考え方は、当を得たものではないのじゃないかというように私は考えますので、自治体の指導的な立場にあるところの自治省として、健全財政というのはこういうものだという一つ考え方を、言葉の上でなくて、具体的に一つ説明が願いたい。これが一つ指導理念であって、その方向地方財政というものが、やはりいろいろ支出の面につきましても節約をしたり、いろいろの面で冗費をはぶいたりしていかなければならない問題があろうかと思うわけでございまして、これを一つ説明がいただきたい。大臣がもしなんでしたら、財政局長の方からでもけっこうですが、自治省考えておる健全財政というものは一体どういうものなのか。
  10. 奥野誠亮

    奥野政府委員 財政が健全であるということをさらにさかのぼって考えますと、財政も、地方公共団体がその目的を。達成し得るに必要な方面でございますので、実態的に、究極的には地方公共団体住民福祉向上発展に寄与できるような姿になっていなければならない、こういうような考え方を持っておるわけでございます。従いまして住民の安全を保持し、福祉向上発展をはかっていくもろもろの施設を整えている姿に達し得て、また同時にそういう方向努力し得るような姿になっておって、初めて財政が健全な姿にあるのだ、こういうように私たち考えておるわけでございます。その過程におきしまして、財政収支も保持できないようなことでありましては、本来の地方公共団体目的達成への努力もできなくなってしまうわけでございます。だんだんと赤字が累積しまして動きがとれなくなってしまうわけでございますので、過程におきましては、まず財政収支均衡がはかられなければなりません。しかし収支均衡がはかられましても、本来の目的を達成できない姿においてただ収支黒字になっているということでは、何ら地方公共団体目的達成に向かっての財政役割は果たしていないことになるわけでございますので、そういう姿が健全だとは毛頭考えていないわけでございます。究極的には、地方公共団体目的達成について、財政が十分その役割を果たし得るという姿になければならない、かように考えておるわけでございます。
  11. 二宮武夫

    二宮委員 まことに概括的な答弁ですけれども、それではもう少し具体的にこちらの方でお伺いをいたしますが、一般歳入の中に占める地方税収入というものが、大体何%くらい占めることが健全なものであるというようにお考えになっておりますか。
  12. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三千六百に上る地方団体実態は種々さまざまでございます。もとより地方税主体にして運用できる姿が一番好ましいと思います。ただ実態がさまざまでございますので、総体的にどういう姿であろうか、こういうような意味お尋ねになっているの。だろうと思うのでございます。自治団体でございますので、国庫補助金のようなものを主体にして運用していくか、あるいは地方税主体にして運用していくかということになると、自然自分責任で確保できるような財源主体にしなければならないことは言うまでもないことでございます。そういう意味におきましては、まず半分ぐらいは独立税収入財源にできるような姿でなければならない、こういうような気持でおるわけでございます。しかしながら、もとより国、地方を通じてどういうような財政方向をとろうとしていくかというような問題でありますとか、あるいはまた地方行政実態がどういうような変化を示すかとか、そういうふうなこともあわせて総合的に考えていかなければならないことだと存じております。
  13. 二宮武夫

    二宮委員 税務局長お尋ねいたしますが、総括的な問題でいいわけですが、地方自治体一般歳入というものの中に占める地方税収入というものが一応わからないと、目標の、増税であるとか減税であるとかいうようなものも、なかなか簡単に割り出せないので−はないかというように私は考えるのですが、税務関係立場として、これは実態でもいいし、あるいはこのようにあってほしいという一つ考え方でもいいのですが、どういうふうにお考えですか。一般歳入の中に占める地方税のウエートというものは、現在一体どの程度持っておるのか、あるいは持つのが正しいというとおかしいが、妥当であるのかということについて、これがなければ、でたらめに、どこどこという税の分け方はできぬと思うのです。一応基準を頭の中に描いて、それに達しないものに対する一つ増税減税というものがそこに考えられなければならぬと思うのですが、そういう点について御答弁を願いたいと思います。
  14. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 歳入構成中に占めております税収割合が、地方団体全体といたしましては現在大体四〇%程度になっております。そのうち市町村が五〇%前後、府県が三〇%前後、こういうことになっております。戦前と比較する場合に、戦前統計資料には。特別会計の分とかあるいは繰越金といったようなものがございますので、これらを除いて実質的な地方税歳入構成中に占める割合で比べてみますと、府県が大体戦前の二分の一になっております。市町村は非常によくなっておる。こういう実態になっておるのでございます。そこでどの程度税収。があればいいのかということになりますと、ただいま財政局長からもお話がございましたように、三千六百の地方団体がございまするので、一がいに言いにくいと思いまするけれども、私どもとしての一応の気持はせめて五〇%くらい税収で占められればいいんじゃないか、こういうように考えております。ただこういう私ども考え方に対しまして、経済的な合理主義といいますか、そういう考え方に立つ側からは、現在のような地方団体間の経済格差所得格差のあるときに、かりに五〇%というものを独立税で占めるということになると、現在税収が比較的多い団体はいよいよ税の占める割合が多くなってくる、税収の占める割合が少ない団体は増加の率が非常に低い。従って論者は、そういった際にいわゆる大都市団体では経済的なロスが生ずるのではないか、こういう批判が実はあるわけでございます。ただこれに対しましては、私どもとしてはそれはそうじゃない、一体経済的なロスといえるのたろうか、現在の大都市行政というものを見ても、やるべきことが何らなされていないではないか。従って平均五〇%程度税収地方団体に与えても、それを経済的なロスと称するのはいささかおかしいじゃないかという私どもの主張でございますが、ここが議論の分かれどころということになっておるのでございます。
  15. 二宮武夫

    二宮委員 これはほかの問題とも関連があるわけなんですが、こういう資料をどのように把握されておるかということを、奥野さんでもいいかと思うのですが、いわゆる従来の税外負担地方税でまかなうべき筋合いでありながら、税外において負担しておる、こういうような材料を自治省の方で何か把握されておりますか。特に三十六年四月一日から規制をされる段階において、税外負担というものの実態をどのように把握しておられますか。特に本日は地方税法関係がある問題でございますから、当然これは地方税あるいは公費でもってまかなうべき筋合いのものだということで、税外負担をこれくらい一人当たり持っているんだというその資料がございますか。
  16. 奥野誠亮

    奥野政府委員 昨年税外負担解消を企図いたしまして、ある程度改革を行なったわけでございます。その際には三十二年度の決算に基づく税外負担調査いたしまして、それを基礎にいたしたわけでございます。その後はこのような調査をいたしておりませんので、一昨年の数字が幾らであったかというデータは持つはいないわけでございます。いずれまた適当な機会を見まして、さらに一歩前進した税外負担解消措置努力しなければならないと考えておりますので、三十五年度の決算でありますか、そういうことについては調査をしてみたいという考えでございます。
  17. 二宮武夫

    二宮委員 私はただいま健全財政というものが一体いかなるものであるかということの内容について具体的に一つ一つ聞いておるわけなんですが、昨年行なわれました公務員ベースアップの際に、市町村職員については一二・〇一%程度ベースアップが行なわれたと思うのです。今奥野財政局長答弁のように、地方自治体がやるべきことをやって十分その目的を達して後に黒字が出たのでなければ健全財政とはいわれないのだ、こういう御答弁なんですが、この給与ベースの問題についてどのような一般民間給与との差額その他について情勢の把握をされておりますか、その点をちょっとお聞きしたい。
  18. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私たち国家公務員給与ベースと比較いたしまして、地方公務員給与ベースが一応適正であるか適正でないかというような判断をいたしておるわけでございます。またそういう意味調査を再三にわたりまして行なっておるわけでございます。その結果として見ますと、府県職員国家公務員ベースよりも若干高いところにある。それから大きな市は大体において国家公務員ベースより若干高い。町村の方は国家公務員ベースよりも若干低いというような姿になっておるわけでございます。
  19. 二宮武夫

    二宮委員 それはいつの調査ですか。
  20. 奥野誠亮

    奥野政府委員 三十三年の夏現在の調査でございます。
  21. 二宮武夫

    二宮委員 私どもが把握している実態というのは、市町村職員についてはベースが非常に低いのじゃないかと思うわけなんです。それから非常勤の職員その他を含めまして、地方自治体でもってまかなわねばならないものは相当数あるのじゃないかというように考えますので、これらを含めて、これが自治体としてのほんとうの仕事をやっておるという段階ではなかなかないのじゃないかというように考えるわけです。  それからいま一つは、これは税務局長にお聞きしたいのですが、配分国民所得といいますか、国民所得の中のいわゆる地方住民担税能力というものの限界について、あまり無理のいかない程度で一体国民所得の中の幾%程度のものが担税能力としての限界であるか、苛斂誅求にならないという範囲における情勢というものを分析をして御説明を願いたいと思います。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
  22. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 国民所得に対します租税負担がどの程度あればいいのかということでございますが、これは税引き後のいわゆる可処分所得というものがどの程度になるかということ、従って所得そのものがどの程度あるかということによって負担率も変わって参ると思います。従って日本の場合におきましては、現在大体二〇%から二一%の間、こういうことになっております。これを諸外国と比べてみますと、英米あるいはフランス、イタリア、こういった資本主義国の税負担と比べてみますと、日本の税負担の率は非常に低い。これらの先進国では大体二五%から三〇%ということになっておるようでございます。従ってそういう形式的な面から見れば、日本の租税負担は軽いということが現在いえるわけでございますけれども、根っこになる所得そのものが日本の場合は非常に少ない。従って税引き後の可処分所得は非常に少ない。こういうことになるわけでございますので、実体的な国民の税負担能力ということになれば、私は日本の税負担というものはそういう軽いものじゃない、むしろこれらの諸国に比べて重いのだろう、こういうように思います。  また、戦前の日本の税負担と戦後の税負担、最近の税負担というものを比べてみますと、戦前は大体二、四%だったと記憶いたしております。そういう意味からいいますれば、現在の所得戦前より上がってはおりますものの、やはり現在の税負担というものはそう安いものではなかろうと思います。従って税制調査会等におきましても、税負担は所得の倍増等ともにらみ合わせまして当分二〇%程度にとどめることを一応目安にしたらどうか、こういうことになっておるのでございます。従って私どもも、現在程度以上に税負担の率を高めていくということはやはり無理ではなかろうか、こういうように考えております。
  23. 二宮武夫

    二宮委員 これは地方財政計画における大臣説明資料の中にあるわけですが、国と均衡して大体同じ歩調で国税、地方税を通じた減税措置の一環として、地方税におきましても住民負担の軽減、合理化の措置を講ずることにしたという説明をやっておるわけでありますけれども、提案しました地方税法を分析して考えてみますと、大衆課税の軽減という問題については、この前山口君の御質問に対して大臣は計数をあげて答弁されておりますけれども、この大衆負担の軽減という面につきましては、大臣の言うがごとく軽減はされておらない。私はこのように感ずるわけでありまして、この地方財政計画における大臣の要旨の説明と、地方税法における提案理由説明とを比較して考えてみ、そして地方税法というものを十分に検討して参りますと、言うがごとくに大衆課税の軽減ということは実質的にできておらないのではないか、このように考えるわけなんですが、大臣はこの前計数だけをあげまして、大衆課税が軽減されておるというような御答弁をなさっておったように思いますけれども、特別な恩典をこうむっておるものと、ほんとうにすっきり大衆課税を軽減しておるものと、こういうふうに分離して考えてみますと、必ずしも大衆課税の軽減というものが行なわれておらないのではないか。特にまた、これはむずかしい問題であろうと思うのですが、国の税の軽減の方式と、地方財政を確立しながら提案の理由のようにやはり大衆課税、大衆の負担を軽減をするというこの相矛盾をした地方税法の提案の内容については、むずかしい問題があるということは私は十分理解をいたします。理解をいたしますけれども、この提案のように麗々しく大衆課税は非常に軽減をされておるんだというようなことは、実質上行なわれておらないのじゃないか、軽減をされている面と増税されている面を相殺いたしますと、私は、この提案理由説明はやや誇大に過ぎておるのではないかという印象を受けるのですが、この大衆課税の軽減という問題について一つ大胆のお考えをもう一ぺん承りたいと思います。
  24. 安井謙

    安井国務大臣 地方税減税面において、大衆減税が考慮されておらぬじゃないかという御質問でございます。私どもも当初から御答弁申し上げておりますように、全般から見まして、今度の地方税減税額そのものが金額等において決して理想的に非常にうまくいっておるというふうには必ずしも考えられません。と申しますのは、一つ地方財政現状から見まして、どうしてもこれが思うようにまだ減税をするわけにいかないという点、もう一つは税そのものの性格にもよっておろうと思うのであります。大体減税をできるだけ大幅にやり得る税種目といいますのは、何と申しましても経済の実況に即して税の伸びの大きい種目、これを中心にやはり減税が金額からも大きく出てくるのであろうと思うのであります。その影響はやはり地方税につきましてもある程度現われておりまして、事業税あるいは固定資産税といったようなものについての減税が、数字からいえば、どちらかというと多目に出てくるという傾向になっておることは、これは否定できないと思うのであります。しかし同時に大衆面の減税という面にも、でき得る限りの留意は、この小幅な減税の中でもいたしたつもりでございまして、そういうような面から、何分金額は思うようには出ませんが、しかし減税という税を対象にいたします場合に、何と申しましても、これは税を納めておる側の階級からの減税でございまするから、ついこの大きな方の減税が目に立ちやすいわけでございます。しかし、電気、ガス税の免税点の創設にいたしましても、あるいは個人の事業税あるいは勤労階級の免税といったような点につきましては、でき得る限りの配慮をいたしたわけでありまして、その比率が、大まかに申しまして、減税分だけからいって、事業税のいわゆる耐用年数の改正等に伴いますものを総計しまして百六十億、その他が百四十一億、一般に大衆に直接響くと思われますものが百四十一億、こういうふうに脅えておるわけであります。
  25. 佐野憲治

    ○佐野委員 関連して大臣にお伺いしたいと思います。税制調査会昭和三十四年の四月から発足してまる二年間、ことし三十六年度が答申の年に当たっておると思います。去年は、三月にこの委員会に自治庁の方から税制調査会審議の概要というのを報告されておるわけですが、ことしはまだ報告を受けていないわけなんです。税制調査会においては一般部会、企業課税部会、税源配分部会ですか、三つの部会に分かれてそれぞれ二年間にわたる審議が行なわれておると思うのです。そこでこのいろいろの質疑を聞いておりましても納得できない、というのは、現在における地方税制、特に租税体系と税の負担、これは一般部会へ諮問されておるわけだし、それから国、県及び市町村間における税源配分の問題点、こういうのは二年前からすでに問題点として調査会に諮問しておるわけです。ところが現在における地方税というものは、租税体系から見て参りますと、ほとんど担税能力を越えてしまっておる。しかも国税はほとんど優先的に確保して、あと残された雑税、徴収困難なもの、あるいはまた非近代的な体系のばらばらなもの、こういうものしか地方税に残されていないわけです。その中にあって、今度提案されているのを見てみましても、そういう雑税だとか、非近代的な、大衆課税的と申しますか、あるいは租税原則を乗り越えたところの人頭税的な、封建的な税制が残されておるわけです。こういう税制の中で、税種目だけをとらえて、ここに困難がある、ここをこうすればいいという、いじくる方だけをやっておっては、ここに皆さんが質問しておられる根本的な問題がちっとも具体的にとらえられておらないのではないかと思うわけです。一体税制調査会はもうあと一年でしょう、そういう税制の種目をいじくったって解決にはならないわけです。その点に対して、根本的に一体どう進めるのですか。もう一カ年間でしょう、その三つの部会に分かれて諮問されておる重大な問題、この問題を解決しなければ一歩も前進しないわけなんです。その意味において、一体どういう状態になっておるのか。もうあと一年ですから、そろそろ結論が近づいておるのじゃないかと思うのですが、その点に対して一つお聞かせ願いたい。  もう一つ、この専門委員だとかいろいろな委員が任命になっておりますが、どの調査会、どの懇談会を見ても、いつも同じ顔ぶれがここに載っておるわけですが、こういう方たちの出席率というものは——去年の報告では十一回の総会をやっておられる、あるいはその間部会を開いておられるわけですが、おそらく三十五年度はもっと多く開かれたわけでしょうけれども、その出席率は一体どうなっておるか。これは今日でなくてもいいのですけれども、次の委員会において、各委員の出席率を一つお示し願いたいと思います。  以上二点について一つ…。
  26. 安井謙

    安井国務大臣 具体的な内容につきまして税務局長からまた答弁いたすと思いますが、大体御承知通り最終年度に当たっておりまする税制調査会で、一番難問であり、一番大事であるこの財政配分の問題、地方税源配分の問題も今後触れていただく予定でありまして、その準備を進めていただいておるわけでございます。この答申を基礎にいたしまして、政府としてもあらゆる努力決意をもってこれの善処をいたしたいという状況でございます。  なお、出席率その他につきましては、わかっておる限り事務当局から御答弁いたします。
  27. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 税制調査会審議の模様でございますが、これは先般御報告いたしました以後は、さしあたりの三十六年度の税制改正をどうするかということの審議にかかったわけでございまして、従いまして御報告申し上げました以後における事項は、今回の改正案というものになっておるわけでございます。私ども改正案は、今回のものにつきましては、多少違ったところはございますけれども、大体税制調査会答申の線に従って御提案を申しておるような次第でございます。減税額等につきましても、税制調査会の三十六年度の中間答申そのものが減税の総額は五十八億になっております。平年度にして百六十一億、これが税制調査会答申でございます。大体それに従いまして、それを若干上回る減税規模の改正案をお出しいたしたような次第でございます。  そこで地方税について、どうも非近代的な税目がたくさんある。やはり税源配分を適正にしなければ合理化できないのではないか、こういうお話でございますが、私もまさに御質問の通りだと考えます。従いまして、私どもとしては、一日も早く地方の税というものを、税源配分過程を通じて地方税を充実しつつ近代化をしていきたい、こういう念願をいたしておるのでございますが、税の配分が非常にむずかしいという実情も御了察を願いたい、こういうように思うのでございます。  そこで一体地方税では何が一番欠陥かということを考えてみますと、一つはやはり伸長性だと思います。御承知通り財政需要そのものは大体国とパラレルに最近伸びておる。ところが税の方はどうも地方税の方が伸長性が悪い。例の弾性値等を見ましても、これは資料にもよりますが、国税の場合には所得が一伸びた場合に一・三三ないし一・五、常識的に一・五と言われておりますが、地方税の場合には一・〇九ないし一・一九、こういう程度の弾性値、つまり伸長性が足りない。勢い財政需要がパラレルに伸びるとすれば、次第に国と地方のアンバランスというものが放置すれば出てくると思います。そういうことから国税が相当減税できても、地方税は遺憾ながら弾性値が足りないがゆえに減税できない。また同時に、減税過程を通じて税制の近代化もできない、こういう悩みがあるわけでございます。従って、これらの点についてはできるだけの努力を払って税源配分の合理化をしていただきたい、こういう念願を私どもは持っておるわけでございます。  人頭課税的とおっしゃる点につきましては、地方の税と国の税とを配分する場合には、何と申しましても税源が一般的に散らばっておることが三千六百の地方団体に適用し得る税としては適当なわけでございますので、どうしても負担分任ということが地方税の特性ということになってくる。これはある程度やむを得ない面だと私は思います。しかし、そう申し上げながら地方負担分任の名のもとに、現在の税制を見た場合に、やはり地方税はあまりにも零細なところに負担を求めておるという姿があることもまた否定し得ない。こういう点も、先ほど申しました税源配分の合理化の過程を通じて近代化を進めて参りたいと念願をいたしておるのでございます。
  28. 佐野憲治

    ○佐野委員 どうもただいまのお話を聞いておりますと、現在国税の方は優先的に確保してしまって、その残りかすしか残されていない、そこに矛盾がある。特に大蔵大臣も予算委員会あたりで生活費には課税しないのだ、これが近代における租税理論だということを強調しておられる。そのために所得税の方は減税をやったのだと、私たちは、間接税その他税外負担も含めておかしいじゃないかと言うのですけれども、一応大蔵大臣はそういうように言っておられる。ところが地方税に参りますと、それどころじゃなくて、生活費に食い込む課税を対象としておられる。それが応益原則だ、負担分任の精神だと言われるのはどうもおかしいじゃないか。もう残されていないからしょうがない、そういうことでも使わなくちゃ税金を取る理由にならぬということから特にそれを強調しておられるのじゃないか。だからこそ、現在生活実態はどうなっておるか、租税の負担能力はどうか、こういう点を一般部会において指摘しておられるわけでしょう。根本的に皆さんも矛盾を感じておられるわけです。同時に国、地方あるいは町村間における税源の再配分、これは従前ならば補助金問題が起こっており、地方の自治は名ばかりの自治団体になってしまっておる、中央集権化が進められておる、こういう原因を作っておるのです。あるいは皆さんが何回か触れられた農業基本法の中においても、これはこれから具体化されるでしょうけれども、いろいろな条件が出てきておる。漁業制度調査会答申を見ても、地方自治を圧迫する、あるいは地方自治体に条件を付する、こういう条項が出てきておる。あるいはまた今の公有林の廃止、官行造林の廃止の問題をめぐる林野庁の問題を見て参りましても、やはり出て参っておる。こういう工合に見てきても結局、税の再配分ができていないために地方自治権が侵害され、国の一方的な意思によってやられても、やむを得ず協力しなければならない、こういう義務づけがなされてくるわけです。いろいろな点がここから出発して参っておるのに、税制調査会はそういう臨時的な答中はやらなくてもいいでしょう。あなたたちは、現在の答申のようなものは、税制調査会にたくさんの金をかけ、時間をかける必要は何らない。部会に分かれる三つの問題、しかも根本的な問題点を解決するためにこそ設け承知存でしょう臨時的なこんな簡単なことは、皆さん方自治省の事務局あたりでやればいい。何も答申を待ってやらなくても あなた方はそれ以上のことを考えておられるでしょう。大体皆さん方が責任をのがれる隠れみのとして調査会を利用しておられるのじゃないですか。三十六年度予算編成にあたって、いわゆる総理大臣の公約に基づくそんなものは、だれだって計数がはじけるわけです。しかも残された非近代的な租税理論、資本主義の公平の原則を乗り越えたこういう中にあって、税種目だけを整理しようとしておられる。その中において、税制調査会答申だって、企業課税の部会における答申をおもに取り上げておるという程度減税しかやっておらないわけです。こんなことは何も税制調査会に道草を食ってもらわなくてもあなた方だってできることです。あるいは総理大臣がおられるでしょう。総理大臣の指示によって事務局がやれば直ちに済むことである。それよりもこの三つの根本問題に税制調査会はどう取り組んでおるか。しかも皆さんが諮問のためにいろいろな根本的な資料を出しておられるわけでしょう。これに対してどういう形で進んで参っておるか。もうことし一年です。しかも三十六年度に少なくとも税制改革をやられるとするならば、それらの一環として出てこなくちゃならない。それを断ち切ってしまって、総理大臣が総選挙において公約したそれを実現するために、税制調査会にのこのことこんなことをやってもらわなくてもいいわけでしょう、二年間もやってきておられるのですから。税配分から見てどうなるのか、こういう点からやはり問題を進めておられるか。それとも単なる税種目の公約に基づく一応のものをやられたか。あるいは利害関係が多いために、自治省がやるべきことを、まあめんどくさいから税制調査会の諮問に求めていったのかもしれませんけれども、どうもその辺が不明朗な感じがするのです。根本的にやらなければ行政水準が高まらない。単なる財政均衡は保てるかもしれない、なるほど財政均衡は保ってきておる。しかも地方自治はよくなってきておらないじゃないか。地方自治権が侵害されておるじゃないか。こういう行政水準を高めるためにどうすればよいかということで、三つの問題のうち特に一般部会と税源配分部会が一応問題になっておるわけでしょう。その問題にメスを入れなくて根本的な解決に前進することはできないわけでしょう。最も後退した段階の中にあって、単に税種目をいじくっておるというのでは納得できないのですが、一体どうなのですか。税源配分部会と、もう一つ一般部会における点、この点を現在進んでおる段階をもう少し明確に、そのために自治省としてもいろいろ調査会に参加しておられるわけでしょう。どういう形において進捗しておるかを聞かしていただきたい。
  29. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 税制調査会の設けられました趣旨、さらには従来の審議過程というものは、まさにおっしゃるように一つは企業課税のあり方、つまり自己資本と他人資本の資本構成が、戦前は自己資本が七で他人資本が三でした。ところがこれが戦後は逆転をして、他人資本の割合が非常に高くなっておる。従って企業の基礎が非常に脆弱だ、これを税制面からどう考えていくべきかという点が一つ。いま一つは個人と法人の税負担の均衡がとれていないのじゃないか、従ってこれに対して税制として、どう配慮をしていくかという問題。もう一つは国と地方あるいは地方団体相互の間の税源配分が非常にうまくいってないのじゃないか、この問題をどう解決するか。大きい問題としては大体そういった三つぐらいの問題を取り上げて従来審議をいたしておるのでございます。従って税源配分部会が私ども地方税に関する一番大きな問題となる部会でございますが、この部会における審議も、やはり御質問の御趣旨にありましたように、税源配分というものをもう少し合理化して、それによって税制の近代化をはかっていく。それがためにはどのような税源配分をすればいいかということで、今までの審議では、まず税の分量の問題、これの審議が終わったわけでございます。そうして税質の問題に審議がようやく入った。ところが、たまたま三十六年度の減税問題が上がってきて、それをとりあえず審議をする。こういうことで税源配分の方は審議はまだ終わってないというのが実情でございます。従ってあと一年、この税源配分問題を詰めて審議をして合理的な結論を出す。こういう予定になっておるのでございます。
  30. 佐野憲治

    ○佐野委員 同じことを繰り返してもしょうがないと思うのですけれども、ただいま言われた企業課税の問題は、確かに資本の充実という一貫した考えで三十六年度の答申はなされておると思うのです。そのことは民間設備投資にいたしましても、結局資本の負担を軽くするために財政投融資計画が使われておる。あるいはまた地方自治体における公営企業の充実ということで、会社がやらなくてはならないものを、社会資本の名において公共料金あるいは公共サービスだとか、いろいろな形でとられてきておる。結局資本充実のためにまことに一貫した政策がとられておることが明らかで、この三つの部会のうち、企業課税部会の方だけが一貫した一つの資本主義的な合理性を目ざして——それはいい悪いは別として、近代化を目ざしていろいろな整理がなされ、その整理の一環として審議されてきておる。ですから、地方税の今度の改正を見ても、いわゆる耐用年数にしても、あるいは配当課税にしても、同族会社の留保所得課税にいたしましても、みんなやはり一貫しておると思う。財政投融資計画を見ても、あるいはまた公営企業に対する起債の充実、いろいろな形で社会資本を充実して、結局資本の負担を軽くして資本の充実をはかっておられる。こういう点は明らかに一貫して一つのものに基づいてやられてきておるが、あと住民税にしろ、その他の問題にしろ全然なされていない。あるいは財政の一応の均衡は保たれているが、行政水準においては劣悪化してきておる。こういうようなことに対してすみやかに税源配分を進めて参らなくてはならない。あるいは一般部会において、現在における負担の現況、住民の負担能力の問題、地方住民税外負担あるいは現在の税制においてどのような大衆課税の状態の中に置かれておるか、それを打開しなければ最低の行政水準は保てないが、どういうようにそれを打開していかなければならないかという、それに伴うものが出ておるかというと、全然出ていない。逆に住民税の場合を見て参っても、企業課税の方が強く指導権を握っているために、法人に対する減税分だけ、住民税を第二方式に改めることによって逆に住民負担がふえてくる。減った分だけを都市において住民税をもって補てんしていこうという考え方すら将来出てくると思うのです。今準拠税率その他で一応やっていったって、そういう問題が次に出てくると思うのですが、そういう点を見てもちっとも一貫性がないと思うのです。そういうことから、一般部会なり税源配分部会において何をやっているか、大体どの程度まで進んでいる、この程度の対象に取り組んでいるということをこの次の委員会までに明らかにしてもらいたいと思うのです。今局長さんの言われたようなことだったら、この三月の三十五年度の報告に出ているじゃないですか。それよりも一歩も進んでいないということはおかしいと思う。今あなたの言われたことは、諮問された根本問題を言っているだけで、二年間たってどの程度進んで、最後の問題点が整理されているかという点を明らかにしてもらわなければならぬと思う。三年間たって、企業課税の方は大体のなにはできたということはいいのですが、それよりももっと重大な問題であり、根本的な解決を要する問題であるとあなたも言っておられ、非常に困難だと書っておられるのに、あと一年しか残されていない税制調査会が、おかしな税の種目の整理だけやって、企業課税の方はずっと一貫して関連を持ってやってきておる。こういうばかな審議はないと思うのです。だから一体どうなっておるのか、各部会にわたる出席率くらい一つ見せていただかなければ一体あの部会、あの懇談会、あの調査会、機関が立てられてからちっともやっていないのじゃないですか。われわれ内容をうかがい知ることができないものですからこういう議論も出るのですけれども、もう少し率直に現在の審議状況というものを報告してもらいたいと思うのです。   〔吉田(重)委員長代理退席、田中(榮)委員長代理着席〕
  31. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私もいろいろな審議会に出ておりますが、この税制調査会くらい出席率もよくて、委員さんの真剣な審議はないと実は思っております。ただ、どの問題一つとりましても非常にむずかしい問題である。企業課税の問題にいたしましても、実は私に言わせれば根本的には解決していない。なぜかならば、配当損金扱いの問題が結局結論がつかないということで、今回はともかく配当分について四分の一の軽減をとりあえず暫定的にやっておるというにすぎない。従って自己資本充実のための基本的な対策としての税制は出ていないのじゃないか、これもやはり問題がむずかしいから、こう思います。さらにむずかしいのは税源配分部会で、これは先ほどから申しますように、基本的なものの考え方、つまり経済的な合理主義立場に立ついわば中央集権的な考え方と、そうじゃない、やはり地方分権の立場に立って地方自治を推進するための財政的裏づけ、それの柱となる税制をどう考えるかという立場に立つも一のということで、基本の考え方が違っておる。私どもとしては、地方自治を推進するためにはどうすべきかというこの考え方は一歩も譲るわけには参らぬということで、実は税源配分部会の審議が一番おくれておるという実情でございます。ただ税制調査会審議の期間はあと一年でございますので、私どもとしてはあくまでも基本の立場に立って、税制の合理化、税源配分過程を通ずる合理化というものをぜひやりたい、こういうように考えております。
  32. 二宮武夫

    二宮委員 さきの委員会で山口委員が質問いたしましたので、各税種目についての重複した質問は避けたいと思うのです。そこで新しい問題として私は法人事業税についてぜひ税務局長にお聞きしたいのですが、二百万円というところでグレードを一応切って、二百万円以上の所得は青空課税になっているわけなんです。二百万円まではグレードを切っておるけれども、二百万円より上は切っていない。何百万あろうが、一律の課税になっておるというのが政府原案であろうと思うのですが、二百万をこえるところの法人事業の実態というものは一体どれくらいございますか。
  33. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 数字につきましては所管課長から御説明申し上げさせます。
  34. 森清

    ○森説明員 一千二年の実績でございますが、二百万以上の利益会社の対衆数が三万程度でございます。ですから全体の会社が四十万のうち、利益を上げておる会社が大体三十万、欠損会社が十万、こんな状況であります。
  35. 二宮武夫

    二宮委員 私は先ほどお尋ねいたしました大衆負担を軽減する、しかも地方独自の財源を確保する、こういう立場に立って考えますと、特にまた答申案にも、その担税の均衡化をはかるがよろしいという意見もあるわけでありまして、そういうような取れるところから取って地方財源に回してやるということのためには、二百万以上というところを野放しにせずに、もう一つくらいのグレードをそこにつけて、それに課税のパーセンテージを増して、そこから徴税をしていくということが、私は地方税制のあり方として、大へん大事な問題ではないかと思うのですが、この点について税務局長の御意見を承りたい。
  36. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 企業に対する税の負担は、国税の法人税、それに地方税の法人事業税あるいは法人税割、こういった総合負担で税負担の率を考えておるのでございます。事業税は本来は私どもは応益の物税だ、こういうふうに考えておるのでございます。従いまして、御説のように収益の高い会社に対しては法人事業税の税率を高めるということも一つ考え方でございましょうが、私どもとしては、税の建前から申しますと、本来これは税率は単一税率ということが税制上の理論に合致する、こういうように考えておるのでございます。ただ現実には現在昭和三十四年の改正で、さらに一段階減税率を作りましたので、四段階になっておりますが、これらはやはり中小の法人の税負担を特に怪くするという政策的な観点で、入れたものでございます。従って私どもの基本的な考え方は、一%の税率というのが基本の考え方にいたしておるのでございます。
  37. 二宮武夫

    二宮委員 基本的な問題はもちろん基本的な問題として考えてお〜、ことが必要だと思うのです。しかし、来年度から抜本的に改正をしようということしの段階で、やはり地方財政というものが非常に窮屈なんた、しかも均衡化をはかるということは、やはり出し得るところから出してもらって、地方財政水準を高めていくということが最も正しい姿であって、あなたのおっしゃるように、一率課税ということならばそれでもいいですが、二百万というところで切って、なお五百万以上の所得を上げる会社が相当数あるという段階に、その際に二百万以上を一率にやっていく、基本理念というものでなくて、現段階における地方税制の問題としてやること自体は、やはりどうも当を失しておるのではないかという印象を受けるわけなんです。これはやはりあなた方の理念と地方財政あり方というものとのバランスをとった考え方の上に立って、当然そのようにやるべきではないかというように私は考えるわけです。あなたの御答弁は、基本的なものの考え方、一率に課税すべきが至当であるという考え方だからこうこうだという説明ですけれども、そういう理念は一応おいておいて、現段階における具体的な課税のやり方として、三十六年度の地方財政向上し、健全化していくという立場に立ったときの考え方はどうですか。
  38. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御説のような考え方も、もちろん出てこようかと思いますが、先ほど申しましたように、私どもとしては法人事業税は税率は一二%だ、二百万円以下の比較的中小の法人について逐次軽減の税率をやっていくのだ、こういう考え方で税率をきめておりまするので、今の段階で二百万以上のものにさらに税率区分をつけて、税の率を高めるということは考えていない次第でございます。
  39. 二宮武夫

    二宮委員 提案をした立場として、自分の案を固執されるという気持はわかりますが、しかしながら、ここではとにかく地方財政一つよくしてやろうじゃないかという気持からお互いに質疑をかわしながらいい方向に結論を見出していく、それにあなたが言われた通りの結論をおれはこう出しておるから、これを固執するんだということであれば、質疑したって意味はないのです。だからそういう点について考慮の余地があるのかないのか、そういう点をもう少しやらなければ質問するのは徒労であって意味はないと思うのです。だからもう少しそういう点についてはフランクな気持で御答弁が願いたいと思うのですが……。
  40. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 地方財政をよくするためにもう少し、二百万以上程度のところは高めたらどうかという御意見で、私はそういうお立場でごもっともな考え方だと思いますが、現在のそういったところの法人の税負担を考えてみますと、法人税、法人税割、それと法人事業税を合わせますと、実は五〇%をこす税率になるわけでございます。従って、総合的な税負担を考えまして、さらにはまた法人事業税の税の性格というようなものを考えた場合に、今この税率を高めるということまでは踏み切れない、これが実情でございます。
  41. 二宮武夫

    二宮委員 娯楽施設利用税のゴルフ税も、所得倍増で税額が倍増されておるわけですが、この実態について、ゴルフ人口、あるいはクラブを組織して相当裕福な立場からゴルフを楽しんでおる、健全スポーツとしてやっておるというよりも少し行き過ぎておる——行き過ぎておると言うとおかしいが、そのようなゴルフの楽しみ方があろうと思うのです。そこであなた方がこれを倍額にしたという理由、これは所得倍増が税額倍増の基本になるのかもしれませんが、ゴルフ人口に対する分析あるいは倍額にしたという基礎、こういうものについてもう少し説明をお願いいたします。
  42. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ゴルフ人口は次第にふえておりますが、三十六年度の見込みは、利用人員が大体五百八十万、こういうように押えております。  第二点の四百円にした理由はどうかというお話でありますが、この前、定額課税を二百円をきめました理由は、御承知のようにゴルフの入場料が会員とビジターとで非常に違う。従って料金課税でやることが非常に無理だということで定額課税に改めたわけでございます。ところが、その後の実態を見てみますと、次第に利用料金が高くなっておるということが税率を上げました理由でございます。なぜそれでは四百円に上げたんだという四百円の基礎でございますが、やはり私どもはこの場合に会員の入場料金を基礎に考えるべきではない、それはやはりビジターの利用料金を基準に考えるべきであろうということで、昨年全国のゴルフ場について利用料金がどれくらいであるかこということを調べたわけでございますが、全国平均が大体千四百円くらい、こういうことになっております。従って、それに入場料等の税率との均衡等も考えまして、大体三〇%という税率を考えまして、それで標準税率を一応四百円というふうにきめたのでございます。
  43. 二宮武夫

    二宮委員 これについては、私どもとしてはいま少し検討した上で一応私ども考え方というものを皆さんに御審議いただきたいというふうに考えているわけです。  次に、時間がございませんから、目的税についてお聞きいたしたいと思いますが、この答申案を見ますと、たとえば自動車税にいたしましても、道路の損傷度の激しいものについては税率を考えるがよかろう、こういう答申になっておると思うのですが、この点はどうですか。
  44. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御質問の通りでございます。
  45. 二宮武夫

    二宮委員 そうしますと、もう一つ質問いたしますが、たとえば自動車税というものの最近における増額した過程といいますか、いつごろどれくらい上げていったというようなことがあなたの方におわかりだと思いますが、それをちょっと説明して下さい。
  46. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 自動車税の標準税率の変遷でございますが、一応トラックの例で申し上げたいと思います。昭和十五年、これは八十円、昭和二十五年の改正で一万円、二十八年の改正で一万四千円、二十九年の改正で初めて営業用と自家用の税率の区分を設けております。その際に、揮発油を燃料としするもの、それ以外を燃料とするもの、つまり軽油でございますが、それの区別もつけまして、営業用の揮発油を使用するものが一万四千円、その他の油を使用する営業用が二万一千円、自家用につきましては、揮発油を燃料とするものが一万五千円、その他の油を使用するものが二万三千円、こういうことになっております。それが三十−一年度に改まりまして、営業用が一万四千円、自家用が一万五千円、こういう税率の変還をいたしております。
  47. 二宮武夫

    二宮委員 これは趣旨説明の中でもはっきりいたしますように、いわゆる新しい道路五ヵ年計画というものにのっとってこれ々やるのだ、こういうようなことでございますが、二兆一千億の中に地方道の占める一つのウエートというものを私は三千五百億円というように解釈をしております。三千五百億円の五ヵ年計画というものについてどのような配分をされ、それに対する税における財源補てんというものをどのように考えておるのか。これは建設省との十分打ち合わせがあって後に、あなた方の方で増税の措置をとられたのであろうと思いますけれども、この三千五百億円という地方道に対する計画の年次的な配分、これに対する目的税としての税源補てんの割合、こういうものについてどのようにお考えですか。
  48. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 財政課長の方から御説明いたさせます。
  49. 松島五郎

    ○松島説明員 五ヵ年計画でただいま御指摘になりました三千五百億円と申しますのは、いわゆる地方単独の事業というものでございます。この地方単独事業はもとより御指摘通り地方道、市町村道等を含んでおりますけれども、この二兆一千億の計画の中にあります一般道路の中にも、一級国道、二級国道のほかに主要地方道等を含んでおりますので、三千五百億円だけが地方道であるということではないようでございます。なお御指摘のありました年次割は、まだ建設省では作っておりませんので、さしあたり三十六年度の予算額は承知いたしておりますけれども、それ以後の分は未定でございます。  なお地方通路譲与税並びに軽油引取税の今後五ヵ年間における収入見込み額のうち、ただいま申し上げました一般単独事業三千五百億と一般道路事業の地方負担額三千百五十九億円、そのほかに有料道路の地方負担、これは首都高速道路の関係でございますが、これが二百億円ばかりございますので、合わせまして五ヵ年間におきます地方負担の総額は六千八百五十九億円でございます。地方道路譲与税と軽油引取税の今後五ヵ年間におきます収入見込み額が三千五百三億円と推定いたしておりますので、その目的財源の充当率は五一%というわけでございます。
  50. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 軽油引取税の見通し等について、私の方からつけ加えてお答えいたしておきたいと思いますが、軽油引取税の五ヵ年の税収見込みは千七百八十三億でございます。三十六年度二百五十五億、三十七年度三百十億、三十八年度三百五十八億、三十九年度四百六億、四十年が四百五十四億、こういう内訳になっております。
  51. 二宮武夫

    二宮委員 そうした目的税が、それに関係のある一般国民から徴収されるわけですけれども、私は考え方によっては、これはやはり割勘だと思うのです。飲みもしない酒の割勘をさせられるという格好地方の人も相当あるのではないかという印象がするわけです。特に答申の中に、道路損傷の激しきものについて増税をする方法を考えたらいいではないかということがあるわけですけれども、その際出て参ります小型自動車の市町村の税金というようなものについては、この際特に増税をしなくてはならないという理由がどうも理解ができないのですが、こういう問題が発表されますると、ずいぶんたくさんの人々から増税については反対の陳情を受けているわけです。極端なことを申し上げますと、自民党の方が会長をされているような協会から私どもは非常な反対の陳情を受けているわけで、これははっきり名前を申し上げてもいいのですが、そういう点はどうも理解に苦しむのです。それほどこの問題については近ごろしばしば増税が行なわれ、しかもそのはね返りが首都圏あるいは高速道路あるいは有料道路というような中心道路に向かって吸い上げられていって、地方の人々は単に負担するだけであって、あまり効果はないのだという印象を受ける面があるわけでありまして、それがいわゆる反対するという一つの意向にもなるのであろうと思いますし、こういうことをやりますと、池田さんの支持票がだんだん減ってくるのだろうと私ども考えるわけですが、こういう問題は私ははっきりと、特別に損傷を与えるというような問題は別といたしまして、軽自動車の分を増額してみたり、いろいろこの答申とは反した方向に——増税の方法をとらずに据え置いて、新道路五ヵ年計画というようなものについては、やはり一般財源というものからまかなっていくような方向を極力とっていくということが、私は正しい措置ではないかというように考えるのです。ほんのわずかの増税にいたしましても、そういうような増税の仕方というのは、私は理解に苦しむわけです。その点一つ税務局長の——反対陳情が必要でありましたら、後刻提出をしてもいいのですが……。
  52. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 軽油引取税の方は、これはガソリン税と合わせまして、御説のように新道路五ヵ年計画との関連で設けられたものでございます。自動車税の方は、貨物自動車についてトラック及び三輪が二十九年の改正以来自家用と営業用の税率区分がある。このときの理由は、自家用は何と申しましても担税力がある。営業用の方は料金について公定せられておる。あるいはまた自家用を持っておるものはそれだけの利便が多いのだといったような理論で、従来貨物自動車についてそういった税率区分がなかったにかかわらず、そういう理由で設けたわけです。ところが、その後の模様を見ておりますと、この税率区分は不合理だ、なるほど乗用車等については、自動車税には奢侈的な面を加味するということで、これは自家用を非常に高くいたしておりますけれども、トラックについて見た場合は、かりに自家用であれ、営業用であれ、いずれも自分の事業経営の手段として使っておるものだ、そのものについて区分をして自家用を重くしてあるということは理屈が合わないじゃないか。従って、むしろ税率を一本化すべきであるという御要望があり、記憶ははっきりいたしておりませんが、国会等でもそういう御意見が出たように記憶いたしております。そういったことで、この際トラックについては税率を一本化すべきであるということで今回の改正案を提出いたしたような次第でございます。その際に、トラックの税率そのものについては、税制調査会答申にございますように、道路損傷負担度を考えなさい、こういうことがあるわけです。道路損傷負担度を自動車税全般について適用するということになりますと、現在の各車種間の税の負担率を見てみますと、トラックとバス、これが非常に低く定められております。諸外国の立法例と比べてみましても、日本のトラックとバスは非常に安い。こういう関係にあるわけでございます。また、道路損傷度はトラックとバスが一番大きい。これも事実です。そうすると、これは、どうしても上げなくちゃならぬということになるわけですけれども、私どもとして、今回改正案を考えました際には、やはり運賃収入、運賃の料金にはね返っていくという点を考慮いたしまして、道路損傷負担度を大幅に取り上げて税率の引き上げをやるということは、この際差し控えるべきであろうということで差し控えたわけでございます。ただ、税率が自家用、営業用が二本になっているのを一緒に合わす際の考え方としては、道路損傷負担度を加味して考えようということで税率を考えたわけです。そういたしますと、現在の一年間における走行距離を見てみますと、トラックの場合に、営業用が三万数千キロだと思いますが、小型の場合には営業用が一万六、七千キロだと思います。つまり、自家用の大体倍営業用は走っております。そういった点から見て、やはり営業用というものをどうしても引き上げざるを得ない、こういう考え方で、トラックの場合は自家用並みの一万五千円にする、こういう構え方に立ったわけです。ところが、小型三輪の場合には、その上私ども考えました要素は、何と申しましても小型の自家用、これについてはお魚屋さんであるとか、いろいろな中小企業の方が使っておる自家用が非常に多いということで、この際はやはり小型三輪については自家用を若干引き下げ、同時に営業用を若干上げるということで、従来の四千三百円と三千三百円の中間ということで三千八百円の税率、こういうことにきめたわけでございます。
  53. 二宮武夫

    二宮委員 最後に、この前山口君の質問に対しまして、電気ガス税についての基礎控除については税務局長は非常に語気を強くして反対をされたのですが、私は、電気ガス税を撤廃する意思がないかどうか、一つ局長お尋ねをしたい。
  54. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 電気ガス税は、御承知通りに電気なりガスなりの消費に担税力を見出して課税をするという消費税である、こういうことになっているわけでございます。私ども立場からいたしますと、これは税収入も非常に安定をいたしております。また伸びもある程度考えられる税でございますが、また税の立場で見ますと、この電気とガスの消費料金というものは大体所得に見合っております。そういったことから、私どもとしては、我田引水かもしれませんが、いい税だ、こういう考え方を持っておるのでございますが、なお税収そのものも相当な金額になりますので、地方財政実態から、今これを廃止するという考え方は私は遺憾ながら持っていない、こうお答えせざるを得ないわけでございます。
  55. 二宮武夫

    二宮委員 基礎控除と免税点というものをたとえば同じ三百円というものを限界にいたしまして考えるときに、減収の度合いというのはどういうようになりますか。
  56. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 お答えいたします。三百円の免税点でございますと、電気の分で減収額が二十一億、ガスで三億、合計いたしまして二十三億でございます。これを基礎控除にいたしますと、電気で六十億、ガスで十三億、合計いたしまして七十三億の減収になります。
  57. 二宮武夫

    二宮委員 特に大衆負担の軽減をするという立場に立ってやりますと、あなたはこの前、こういう税でもって基礎控除という形はどこにもない、そういう形はないのだという御説明で、大へん強く反対をされたわけなんですが、私は、大衆課税を軽減していくという立場に立てば、先ほど申し上げましたように、取れるところからやはり出していただいて、そして、できるだけ大衆の負担を軽減するという政策上の立場に立っておるということであるならば、これを今までないからどうであるとか、あるいはこれは今までやったことがないからというようなことでもって、これを拒否されるということは至当でないと思います。これは、やはり三百円の免税点と申しますと、あなたの方では計数の整理が十分できていると思いますけれども、一ヵ月の消費量というものはごくわずかの量しか使えないのじゃないかと私は思います。従って、私はこの際、三百一円になったからもう税金を納めなければならぬということよりも、やはりそこに足を切って、これだけは控除してやるのだということの方が、大衆に対する負担軽減という意味から当を得たものだと私は考えるわけです。この点は、この前あなたの語気からいうと、どうせ思い返す意思はないように思いますけれども、今までの説明を聞いておるというと、どうも取れるところから取るという意思がなくて、大衆負担の軽減をはかるのだというキャッチフレーズはいいけれども、実質はなかなか、それではこうした方が大衆負担の軽減になるではないかという方法になると、これは今までやったことがないからだめなんだ、これでは自治省から出した案を固執されるだけである。しかも大衆課税の軽減だなどという大へんいい言葉であるけれども、そういういい方法があるにもかかわらず、大衆課税の軽減をやろうとなさらないことは、私は非常に自己撞着があるのじゃないかと思うのですが、もう一ぺんそういう点について、基礎控除の方が大衆課税の軽減になるのだという立場に立って御答弁いただきたい。
  58. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 基礎控除の方が大衆課税の軽減になるんだという立場で答えろということでございますが、私が前回申し上げましたのは、税の理屈として、こういった消費税に、いわゆる人税で使われるような基礎控除というものはないのだ、こういう意味合いで申したわけでございます。それから大衆課税の軽減をはかるという意味であるならむしろ免税点の方が適当だ、ただその免税点について、大衆負担の軽減の観点から三百円が適当かどうかという点は、私はまだ論議の余地があろうかと思います。しかしながら、大衆負担の軽減という場合に基礎控除というものは出てこない。これは実は内輪話になりますが、この法案提出の過程で、自民党との調整の際にも、基礎控除にしろという御意見は相当ございました。しかしながら私はその際に率直に、大臣なり、政務次官なり、委員長さんといった負担の能力が十分ある方まで、何で基礎控除をしなければならぬのか、要するに基礎控除であればどんな所得の高い人でもみな減税の恩典に浴するわけです。従って私は、それだけの財源があるならば、むしろ免税点をどうきめるかというところにその財源は使うべきだ、大衆負担の軽減という観点から私は遺憾ながら基礎控除の論には賛成できない、これはやはり免税点でやっていただきたい。こういう主張をいたしたような内情があるわけでございます。従いまして私は、大衆負担軽減という観点ならば、どうしても免税点でいっていただきたいと思います。
  59. 二宮武夫

    二宮委員 大臣並びに財政局長に要望しておきたいのですが、先ほど質問いたしました地方自治体健全財政というものの内容については、すこぶる不明確な点がまだ残っておると思うのです。健全財政そのものの定義というものはわかりますけれども、それに対する行政指導なり財政的な措置なりというものについては、ここに出されておりますような黒字県がこれだけ出た、黒字市町村が何パーセントあるというようなものでもって瞑すべきではないというように考えますので、これらば実質的な内容の検討を十分やった上で、地方自治体としていろいろやるべき問題を十分やった上で、はたして黒字になるのかならないのか。これはあまりに強制されますと、地方自治体というものは起債の問題やその他いろいろ中央官庁に対して借りがございますので、大へん緊縮をしてみたり無理をしてやる傾向があるということを私は実態として承知しておる。従って、そういう問題については今後とも指導の面で十分に御考慮いただきたいと考えるわけであります。  一応私の質問を終わります。
  60. 田中榮一

    ○田中委員長代理 それでは午後一時より再開することとしまして、これにて休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇—————    午後一時三十二分開議
  61. 濱田幸雄

    濱田委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  地方税法の一部を改正する法律案に関する質疑を続行いたします。門司亮君。
  62. 門司亮

    ○門司委員 今度の税法の改正を見てみますと、われわれが期待しておったのと全く逆な形になっておりまして、御承知のように財政計画を見てみましても、地方税の占める割合は四〇%であって、三十五年度の財政計画の内容とちっとも変わっておらない。ほとんど同じだと言っていい状態になっております。だから税制改正というものが地方自治体財政を潤すような形で改正されたものではないということが、大体はっきり言えると思います。ただ大臣説明書を読んでみますと、多少税負担の均衡を保つように手直しをしたという程度であって、地方税改正という地方自治体並びに住民の期待しておったものとは、さきに申し上げましたようにおよそかけ離れたものになってやしないかと考えられる。その理由の一つが、税制調査会が国と地方との配分関係等についてはまだ十分に答申案を出しておらない、こういうことが大体理由のように今まで承ってきたのでありますが、そうだといたしますと、自治省のものの考え方としては一体どういう考え方であるかということを、この際私は一応聞いておきたいと思う。  そのことをもう少し詳しく言いますと、今の税財源配分は、さっき申し上げましたようにほとんど変わらない形をとっておる。これではいつまでたっても地方財政健全性ということにはならないのでありまして、地方財政健全性を保っていこう、自主性を保っていこうとするには、いわゆる税制調査会に諮問されておる事項をそのまま生かしていこうとするには、どうしても国と地方との税財源配分を変える以外に私は手はないと考えておるが、その点について大臣のお考えはどうですか。具体的に言うなら、どの税金をどういうふうにしたいというような具体案があれば、この際教えていただきたいと思うのであります。
  63. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘通り、今度の減税措置というものは、地方財政あるいは財源配分という面から見ましてども税制調査会答申を待った上でこの問題に取っ組むという建前にいたしております関係上、ことしはそこまで触れるわけにいかなかったわけでございます。しかし、自治省として成案か何か原案を持ってないかというお問いでございますが、それにつきましては、一度税制調査会答申を待ちまして、その趣旨を十分拝聴した上で考え方をきめたいと思っておりますので、何とか配分をやらなければいかぬということ以上に、今具体案を持ち合わせておらぬわけでございます。
  64. 門司亮

    ○門司委員 大臣一つ考えを願っておきたいと思いますのは、その時のがれの御答弁は私はそれでよろしいかと思いますが、しかし答申案が出てきたときに大臣お困りになりはしませんか。私が申し上げますのは、従来大臣はいろいろ御経験がおありだと思いますが、この種のもので答申案の実行されたためしはほとんどないのですね。ことに地方財政に関する限り、私の経験をもってすれば、ほとんどなかったと言っていいくらいだと思います。地方制度調査会が何年も長い間かかって同じようなことを毎年答申している。ところがそれは政府に都合のいいところだけとられて、少しでも政府に都合の悪いところは一切ほおかぶりされている。ことに地方財政につきましては、交付税にしても、たばこ消費税にしても、もう少し増税すべきだということはしばしば答申されているのに、一向こういうものは取り上げられない。だからこの際は、調査会がどういう答申をしてこようと、自治省の意見はこうだという態度をはっきり堅持する必要がありはしないか。そうしておかないと、問題は答申がたくさん出て参りますと、いずれ大蔵省やその他の省との間の関係が生まれてくることは必然であります。そうなって参りますと、力関係と言うと語弊がありますけれども、そのときの情勢でなかなか自治省考えているようなわけにはいかない。そうしてそのときではもうすでに時はおそい。むしろ事前に、自治省のお考えをみずから発表されるということは困難かと思いますけれども、質問に答えて自分の意見をこう言ったというようなことで、世間に対して宣伝する——と言うとこれも多少言い過ぎかもしれませんが、何でもマスコミの世の中であって、多少宣伝をすることも必要じゃないかと私は考えるのです。これは内輪の問題として一つ大臣考えてもらいたいのです。自治省の意見というものはこういう意見だと言う方が、次の答申が出たときに、私ども審議する場合でも非常にやりいいと考えますので、答申案が出てきたからということでなくて、われわれの意見はもともとこうだったという考え方の方が、大臣立場としてもやりいいのじゃないか、こういうふうに私自身は考えるのです。  そういう気持で、これ以上大臣に言わせると、あるいはまたなかなか言いにくい点もあるかもしれませんから、私から申し上げておきますが、国と地方との税財源配分については、もうこの辺で一応割り切った形をとってみたらどうかと思います。そのことは直接税その他に関するものはやはり国が一応徴収するとして、国民の消費に関係する部面についてはできる、だけ地方配分していくという税財源の割り方をしてみたらどうかと思います。そう私が申し上げておりますのは、従来の税制の建前から見て参りまして、御承知のように国の方は伸縮自在になる、きわめて融通のきく税財源を持っております。、だから隠し財源と言いますか、幾らでも伸びがきくのであります。たとえば三十五年度の予算をごらんになっても、当初予算から二回でも三回でも追加予算は楽にできる。おそらく今月末の税収は、この間の補正予算以後の税収でも三百億や五百億ありはしないかと思います。こういうものは必ず出てくると思う。地方には絶対にそういうものはないと言っても差しつかえない。国がそういう伸縮のできる余裕のある税財源を持っており、その次は都道府県が持っておるのです。これは固定資産税を持っておりますし、それから遊興飲食税というものを持っておる関係から、案外伸び縮みのする税財源を持っておる。市町村に至ってはほとんど固定した税財源住民税にいたしましても、今度多少改正はいたしましても、何といってもやはり所得が中心になって、ほとんどこれ以上のものは望めない。その他のものは固定資産税である。固定資産税などは三年に一ぺんきめてしまえば、あとは絶対に伸び縮みはしません。大きな変更のない限りはだめだということになる。そうすると市町村財源というものは、ほとんど固定されてしまう。そしてわずかに国から来る交付税あるいは交付金に依存するという形以外に地方税は取れない。だから今日の市町村行政というものは、ほとんど暗中模索のような形になって、自分たちで自分たちの仕事をするのだなんて、憲法が保障していると言ってみたところで、そういうものは全然問題にならぬのであって、おそらく手探りで仕事をしておる。従って当初予算なんというものはどうなるのか一向わからない。こういう日本の自治行政の全体を考えてみますと、どうしてもこの際思い切って当てになる財源と、ある程度の国民消費と国民経済にからんで伸び縮みのする財源というものを地方に与えたらどうか、そうする以外にないのではないかということが考えられる。従ってごく端的に申し上げて参りますと、交付税の額をふやすか、あるいはたばこ消費税配分率をふやすか、極端に言うならば、酒の税金とたばこの税金は全額地方に出してしまえば、大体国から地方に来る国庫支出金というのは千億か千五百億で足りると思うのです。ほんとうに必要なものだけで、あと地方自治体で大体やれる。こういう乱暴な議論はできないかもしれません。また言ってもなかなかむずかしいかもしれません。しかし、私はやはりそういう形で税財源配分を、一つぜひ考えてもらいたい。こういうことがほんとう意味地方税制の改正でなければならぬ。ないものの中でどんなにいじくり回してみたところで——税の負担の均衡をはかることはもとより大事でありますから、これを忘れるわけに参りません。しかし税制改正によって地方財政が豊かになるということは言えないと思う。これでは税制改正意味がほとんど半減されはしないか。こういうふうに考えますので、その点のことを一つ大臣からこの際お答えを願っておきたいと思います。
  65. 安井謙

    安井国務大臣 門司さんのお話はまことにごもっともだと存じて、私も傾聴をいたしておるわけでありまして、おっしゃる通りに、地方税の方は伸びが非常に少ないという点から、何をやるにしても非常にやりづらいということは事実あるわけであります。ただ、そういう意味から地方と国との配分というものを十分考えなければいかぬのでありますが、同時に地方自治体自体が、三千五百以上の団体を持っており、それぞれの財政状況が異なるというふうなもので、相当思い切った固有財源でのまかないを十分にやれるということは、これはまた御承知通りなかなかむずかしいことであろうと思うのであります。そこで今のお話のように、消費税を中心にかげんをしてはどうかというお話が出るのだと思います。私もその点は非常に賛成でございまして、もし手をつけるとすれば、やはり今のようなたばこ消費税なりあるいは遊興飲食税というようなものも、あのままの形がいいのか、あるいはもっと姿を変えたものがいいのかというようなことが将来私は検討の材料になるのではないかと思っております。  それから大体都道府県民税では、何と申しましても事業税がその中心をなしております。従って事業税を、中心にこの税率変更かげんというようなものも行なわれてくるのはやむを得ないと思っております。住民税がその次に大きな税額でございますが、住民税につきましては当分、今のような全体の財政でございますと、これをちょっと急にいじるというようなわけにはいかないのではないか。従って、できれば今お話しのような消費税を中心に今後の配分というようなものを考え検討していくということがいいのではないかというふうに考えております。
  66. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、今度住民税が改正をされておりますが、この住民税の改正は、大体負担の均衡を主としたものであるということと、それからできるだけ国税に災いされないようにという配慮が行なわれておると思います。この点はそれでもよろしいかと思いますが、住民税自体についての一つ根本的なものの考え方をこの際する必要が私  はありはしないかと思う。こういうふうに変えられましても、最近の住民税の問題を見てみますると、必ずしも負担が公平でないということが私は言えると思う。どこにあるかといいますと、大体給与を中心、所得を中心にしております関係から、地方の実情に沿わない形が出てきていはしないかということが考えられる。それは従来この種の税金については、私どもかなり議論をいたしておりますから、今さらどうかとも思いますが、われわれの考え方からいけば、住民税というものの税の性格からくる住民感情というものを考えて参りますと、今のような所得を中心とした配分でよろしいかどうかということが、私は住民感情によっては非常に大きな問題だろうと思います、この住民税が昭和二十四年に改正さ、れる、いわゆるシャウプの税制勧告に基づく税制改革を行なう以前の住民税の姿というものは、これは住民感情にぴったり合った姿で税金を取っておったのであります。いわゆる課税の客体の中に資産割が一つ入っておったわけであります。そこで地方において資産をたくさんお持ちになっている方は、その資産割というものが一つあって、これが税の百分比の中で大体一三%の比率を占めておったはずであります。  これがまず最初除かれたということ、それからその次には法人の負担する分が三七%、大体従来の住民税には含まれておったはずでありますが、これが除かれたということ、そして今日のような状態になった。最初はもっとこれはひどかったのでありますが、だんだん緩和されて、これがこの前の委員会でも指摘されたように、まだ法人の方がかなり割安の住民税を納めておる。この税金は、先ほどから申し上げておりますように、税の本質上、住民感情にやはりおる程度マッチしていきませんと、これは不平が起こるわけであります。ただ収入だけでは……。現実の問題を言いますと、たとえば駅長さんであるとか、あるいは学校の先生であるとか、辞令一本でどこでも飛んで歩く人は、その土地に来れば給料が高いからといって高く住民税を取られる。しかし子供は前任地に置いておる、家族は郷里におるというような形がどうしても出てくる。そうしてあるいは子供だけは東京で学校にやっている、前任地で子供だけは下宿させて学校へやっている。こういう人たちの負担というものが村では非常に高いところで負担させられておる。しかし村から受ける恩恵はきわめてわずかで、ほとんどないと言っていいくらい、子供も学校に行っていていないし、自分も村に対して非常に厄介になることはない。だから負担の均衡だと言っておりますが、負担の均衡はやはり住民税である限りにおいては、地方自治体から受ける行政上の恩恵あるいは行政上の保護に対する代償と言うと語弊がございますが、しかし代償に近い感情がなければ、税金の負担の公平ということは言えない。そういうふうに考えて参りますと、住民税の中にどうしてずっと資産割というようなものが取り入れられないかという問題であります。私はこれを取り入れることが住民感情としては実際はぴったりくると思うのです。大きな邸宅を持ち、大きな屋敷を持っておっても、なるほどそれは固定資産税の方で納めていると言うかもしれない。しかし、住民税の方からいうと非常に大きな不均衡が出てくる。だからこういう点について、せっかく住民税を改正されたのだから、自治省の脅え方が大体どうかということをこの機会に聞いておきたいと思います。
  67. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ただいま御質疑のように、今回の住民税の改正の際にも、むしろ現在の所得課税のやり方をやめて、昔の戸数割の制度に近代的な装いをして、現状にマッチするような税制にしたらどうかという御意見、さらにはまた、いわゆる総合消費税といいますか、支出税を考えたらどうかという御意見もあったのでございます。確かにこれは一つ住民改正の有力な御意見だと私どもも拝聴いたしたのでございますが、ただ、何分にも現在の市町村財政実態から見まして、戸数割といったような点になりました場合に、現在の住民負担というものに非常な変動を与えるのではないかというおそれもあるのでございます。そういう点も一つどもとしては考慮しなければならぬのと、さらにはまた、御承知通りに、従来戸数割時代には、いわゆる最近の固定資産税の負担がなかったわけでございますが、最近は市町村税の四六、七%というものは固定資産税負担になっておる。こういったようなことから、これを使った戸数割というような制度を住民税として採用することは、はたしてどうであろうか。こういうふうな観点から、今回の改正では、やはり従来通り所得課税ということで住民税は考えていく。そうして財産税として固定資産税を将来さらに合理化していく。こういうやり方が税の体、系としてはいいのではないかというような意味合いから、住民税につきましては、従来の負担の不均衡の是正の問題、あるいは課税のやり方の簡素、合理化というような面を取り上げた改正をする、こういうことにいたした次第でございます。
  68. 門司亮

    ○門司委員 一応そういうことは言えるかと思います。しかし、従来でも地租もあれば家屋税もあったわけでありまして、税率がそんなに高いわけではなかったわけでございますが、もともと日本の租税の発達といいますか発展というものは、地租あるいは家屋に税金をかけたことが大体税金の始まりだ。所得に税金をかけたのはずっとあとのことであります。従って、住民税である限りにおいては、私は所縁課税も必要でないとは言いませんが、その中には、やはりこうした住民感情からくるものもどうしても織り込まれなければならないのではないかということであります。これはなぜ私がそういうことを言うかと申しますと、一つの大きな不均衡は、土地と家屋にはかけておりますが、たとえば山林を一つ見てみますと、山林地主というものは非常に大きな財産を持っておる。しかし山林の固定資産税というものはきわめてわずかです。従って、地方では、大金持であると考えられる山林地主の固定資産税というものはきわめて少ないものであります。そうしてわずかに伐採されたときに所得税を取られるだけであります。いわゆる木引税はその後の商取引において払う税金であって、山林地主の払う税金ではない。所得税だけに限られておるというところに、私は一つの問題がありはしないかと思う。  それからもう一つの問題は、土地と建物についての観点でありますが、これが土地等については問題の焦点になるものは、家屋も同じでありますが、利用効率がどうかということが、やはりこの際固定資産税の中にも考えられなければならない。ところが、これがほとんど考えられておらない。というのは、農村に対する固定資産税のものの見方でございます。農村の土地は、土地としての価格、土地としての価値があることに間違いがない。財産であることにも間違いがない。しかし、土地としての効用と土地から来る収益というものについては、都会の土地とは非常に大きな異なった性格を持っておる。都会の土地は一つの明らかな財産であることに間違いはない。しかし農村の土地は、一面財産ではあるが、しかし土地自身は稼働しないのであります。これは農民の諸君がほんとうに汗とあぶらとを流して、絶えず草を取って、土地を耕しておかなければ、土地の価値はないのであります。都会の土地は、何も地主が行って草を取らなくとも、地主が行って何をしなくても、社会現象で価値は年々上がっていくのでございます。都会の土地の地主というものは、何も耕さなくても地価は上がってくる。農村の土地は、同じ土地でも、その土地に対して農民が汗とあぶらとを流して、ほんとうに肥培管理をして初めて土地の価値というものが現われるのであって、これは非常に大きな相違を持っておる。土地というものは同じだから、同じようなものの考え方で固定資産税をかければよろしいんだということになると、これは非常に大きな誤りを犯すことになると思うのです。そういうことをずっと考えてみますと、今日の地方税の体系の中では、やはり住民税は住民税として、住民感情にぴったり合ってくるような、さっき申しましたような資産割も配慮していく。そうしてあの人は大金持だから村にもこれだけ税金を納めてもらいたいというような形をとることが、やはり住民感情に私はぴったりくると思うのです。これはどう考えてもそういうことにならざるを得ない。大体住民税の性格が、さっき申しましたように、地方公共団体の恩恵あるいは保護を受けるというのが建前で住民税を納めるのです。それでなければ住民税というのはおかしいのであります。住んでいるから税金を取るというのはおかしいのであります。人間は住むのがあたりまえであって、生まれた以上はどこかに住むというのは、人間の固有の権利であります。住んでおるからといって税金を取られるということ自身、そういう行政上の恩恵と保護を受けているからです。ですから、その行政上の恩恵と保護という形で、だれが一番恩恵を受けているかということなんです。これは必ずしも所得によるものではないと私は考えている。そうなって参りますと、ことに山村の山林地主なんかは、行政的な恩恵をたくさん受けていると私は思う。林道をつければ、だれが最終的に利益を得るかといえば、やはり山林地主であることは間違いがない。その山が切られて搬出されれば、一番よけい道路を使うのは山林地主であって、やはりそのことのための使用率が一番高いということになる。そのときだけ所得税を納めればそれでよろしい、私はそういうことではないと思う。だから、どう考えても、今住民税と固定資産税の関係をちょっと局長から話されましたが、私は、それと関連させてものを見ていっても、住民税が単に所得課税一本でいくというところに、何だか割り切れないものが残るのでありますが、そういう考え方があるとするならば、私は、山林所得に対してはもう少し変わった考えで課税される御意思があるかどうかということを、あわせて聞いておきたいと思います。
  69. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 まさに御説の通り、私は、現在の状況から見て、山林地主に対する課税が非常に軽い、こう思います。この趣旨は、山林の資本の回収に年限がかかるといったようないろいろな理由でなっていると思いますが、いずれにいたしましても、終戦後の状況を見るというと、いかにも山林地主の税負担が軽い。それで私は、固定資産税の評価の問題の際にも、この問題について何か解決の方法はないかということでずいぶん検討もいたしましたけれども、何分にも固定資産税というものが素地にかかる税であるというようなことで、固定資産税で解決することもできない。こういうことで、遺憾ながら解決することができなかったような実情にございます。しかし私は、やはり気持といたしましては、山林地主に対する税負担をいま少し何らかの形で将来検討して求めていくべきものだろう、こういうように考えております。
  70. 門司亮

    ○門司委員 私がそう申し上げておりますのは、市町村財政をずっと見て参りますと、要するに、山林をたくさん持っている町村ほど実際は困っているのです。これは山があるところほどなかなかうまくいかない。だから、どうしても町村財政を豊かにしていこうとするには、やはり何らかの形でこの税の改正が行なわれて、単に所得課税だけで、所得のある者だけがたくさん課税をされるというのじゃなくて、資産というものも住民感情としては当然見るべきだと思うし、それからこの税の本質がやはりそうだと思いますから申し上げるのです。これ以上は時間もありませんから、あとでまた小委員会のときにでもお話ししたいと思います。  それから、その次に聞いておきたいと思いますことは、米軍の所有しております建物です。これは国がアメリカに提供している財産については交付金を交付していることはわかっておりますが、そのほか国が提供したものでなくてアメリカさん自身が建てている建物、アメリカ軍の所有の建物はかなりあると思うのですが、これは外国資産といえば外国資産ですが、こういうものについて課税ができないかどうか、あるいはこれも例の国有財産提供の交付金の算定の中に入れられるかどうかということを、この機会に一応聞いておきたいと思います。
  71. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御質問の趣旨が、アメリカ軍自身が持っておる資産に対する課税はどうなっているかという御質問だと拝聴したのでございますが、合衆国軍隊が所有しておる資産につきましては、例の日米安保条約に基づく行政協定の実施に伴います地方税法の臨時特例法、これで課税をしないということに相なっております。ただ米軍が米ドル資産で作りまして、その後引き揚げてしまったといったような際、あるいは現在米ドル資産で持っておるというようなものについての例の基地交付金の関係ですが、これは基地交付金の配分の際に、二割分を資産の性格あるいはその財政状況等によって特別に交付をいたしておりますが、その際に米ドル資産分を考慮して、所在市町村に交付するということにいたしております。
  72. 門司亮

    ○門司委員 大体米軍の持っておる資産というのはどのくらいあるか、あなたの方で計算されたものがありますか。
  73. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 資料を今調べましてお答えいたします。
  74. 門司亮

    ○門司委員 これは今お話しのようなことでは困ると思うのです。二割の中で考慮しているといっても、配分する基礎がなければ、考慮しているのかいないのかわからぬのです。問題になるのは、米軍の持っておる建物その他について、これは外国資産ですから行政協定ではずされるということも考えられる。特に軍の財産ですから、はずされるということも一応は考えられる。しかし地元は、こういうものがあると非常に迷惑するのです。国がアメリカさんに貸しておる財産について交付金を出すなら、やはり同じような形で当然政府責任を持って地方自治体に交付すべきものだと考えるのです。だからそういう二億の中に入れないで、一般のものとしての配付はできませんか。そうしないと、かなり不公平があると思うのです。土地の方は、大体アメリカ軍に土地というのはないのですが、建物については率直にいってかなり持っているのです。そこで、土地はその点割合に交付金の方はもらえるのですが、建物は連中の建物だけたくさん建っていても、交付金の方は案外少ないのです。そういう不公平が出てくるのですが、そういう点についてできるだけ公平に町村に交付してもらいたいと考えます。その点はどうですか、そういうことはできますか。
  75. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 大体基地交付金は、国有資産で米軍に貸与しておる、こういう建前でできておるわけでございます。ただその後、御質問のような御趣旨もございまして、いわゆる米ドル資産のものについても所在市町村については相当迷惑をかけるものもあるじゃないかというようなことで、二割分で特別にそれは所在市町村にめんどうを見るという建前になっておるのでございますが、御質問は八割分の中に入るかどうかという問題でありますが、これはやはり財政上のいろんな問題もありましょうし、将来の検討の問題にいたしたいと思っております。
  76. 門司亮

    ○門司委員 この前大蔵省に基地交付金のことについては話をいたしましたので、自治省の意見をあまり聞かなくてもよろしいと思いますが、自治省として一つこの際はっきりしておいていただきたいことは、税金と同じような性格を持つこの種の基地交付金あるいは国有財産の所在市町村に対する交付金の問題、これについて大蔵省はこの前はっきりした意見は言わなかったと思うのですが、固定資産税の評価は三年に一ぺん変える、ところが国有財産の一般財産の方は五年に一ぺん変えればよろしいという大蔵省の規定がある。その他の財産については変動のあったときに大蔵大臣と協議してきめるということが国有財産法の何条かに書いてある。そういたしますと、私の調べた範囲では、農林省の林野庁などは二十九年に価格の改定をしたきり今日までやっておらない。郵政省は二十七年に価格の改定をしたきり今日までやっておらない。こうしますと、非常に大きな矛盾が出てきておると思う。税金で国民から取り立てる方は三年に一ぺんずつ改正して、取り立てる政府の方は五年に一ぺんしか改正しない。間が二年ありますと、これをずっと計算してごらんなさい、えらい数字の違いが出てきますよ。とんでもない違いが出てくると思う。こういう国と地方との税金にひとしいこれらの問題の処置がこういうことであってはならないと私は思う。地方財政の建前から考えれば、これは税金にひとしいものでありますから、やはり固定資産税の評価がえをするときと同じように年度を合わせて、多いなり少ないなり改正していって、正当なといいますか、正しい姿の上にこういう処置がとられるように、私は自治省としてはそういうことをぜひ強く要求すべきだと考えるのですが、大臣のお考えはどうですか、お聞かせ願っておきたいと思います。
  77. 安井謙

    安井国務大臣 お話は私ども大へんごもっともだと思っております。先ほども申し上げましたように、今後順次改めまして、そういう線で実現を期していきたいと思っております。
  78. 門司亮

    ○門司委員 どうもあまりたよりのない答弁ですがね。もう少しはっきりできませんか。これはきわめて不合理なんですよ。大体国民から取る方は遠慮会釈なく三年で改正して取る。今年など地価が五%くらい上がったからということで平均して五%くらいの指令が出されておるようですが、国の方は五年に一ぺんしか変えないのだ。今のは三十一年度です。三十一年度に大蔵省は一般財産については改正したきりだ。あるいは昭和二十七年に改正している。あるいは昭和二十九年に改正している。その帳簿価格でやられたのでは地方はかなわぬですよ。やはり国は、国民から取り上げる金と同じような年度で同じような価格に見積もって交付するものは交付したらどうなんですか。今のような御趣旨に沿うというようなことでなくて、ぜひそうするようにというふうに大臣一つ踏み切って、大蔵省と交渉してもらえないですか。私はこの間も大蔵大臣には強く申し上げておきましたが、そういう矛盾をなくしていただかぬと、住民にだけ重たい負担をかけて行政をやらせる、国の方は当然地方に配付すべきものも配付しない、こういう形が出てきたのでは、住民に税金をかけることがどうかと私は思うのですがね。もう少し力強い大臣の腹がまえを一つお聞かせ願いたいと思います。
  79. 安井謙

    安井国務大臣 基地交付金につきましては、私どもも今度の予算におきましても、相当強い主張をいたしたのでございますが、最後にはどうしても実現をしなかったということで、遺憾に思っております。これは考え方によりましていろいろな言い分もあろうと思うのでございますが、国の財政からいえば、基地全体が減ってきておるときだから、あの配分でもまだおつりがくるのだというような見方もあろうかと思いますが、われわれはそう考えませんので、この点はさらに今後機会あるごとに強く増額も要求していきたいと思います。  もう一つの件につきましては、税務局長の方から答弁いたさせたいと思います。
  80. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 いわゆる交、納付金につきましては、現在国の貸付資産等につきまして、所在市町村に交付金を出しておるわけですが、これにつきましては、本年の三月末に国有財産の評価がえがございました。従って、その評価がえで、これは当然三十七年度の予算に増額計上せられるはずだ、こう考えております。
  81. 門司亮

    ○門司委員 それは国の一般財源だけなんですよ。普通財産だけはそういうことになっている。これは三十一年度にやっているから、ことし当然改正する年になっている。これはわかっている。それにも矛盾がある。どういうところに矛盾があるかというと、取る方はことしの四月一日できまったので、ことしの税金で取る。国の方は、ことしの三月三十一日にきめておいて、来年しかくれないから、一年ずれている。はっきり言えば三年ずつずれているのです。実際はこういう仕組みになっているのです。だから、国がことしの三月三十一日で改定したなら、ことしから出せばいい。三十七年まで待っていないで、わかったのならことしから出せばいい。出さないでしょう。片方は三年でやる、片方は五年でやる。そして交付の年が一年おくれるということになると、ちょうど半分になっている。片方は六年後にしかくれない。こういうことになると、地方財政なんて——大した金じゃありません、みんな集めてみたところで百十何億の金でありますから。しかし建前としては非常におかしいと思います。ことし百二十三億になっていますか。百十四億が五億か六億しかふえていません。だからこういう問題は一体どうして解決ができないかということなんです。これは一つ強く大蔵省と考えてもらいたいと思います。  その次に、税制というよりも、むしろ財政全体と関係したことであろうかと思いますけれども税制の問題とからんで一つこの際お聞きをしておきたいと思いますことは、これも大蔵省にはかなりこの間大臣にもお話しを申し上げておいたのでありますが、自治省として考えていただかなければならぬことは、税外負担が非常に大きいということです。実際ちっとも直ってないのです。農林省が発表した昭和三十四年度の農家生計の実態調査表の中から抜き出してこれを見ますると、税金のほかに税外負担として納めておりますものが、全国平均で農家一戸当たり大体二千五百七十二円という数字が出てきております。これは公課を除いたものです。たとえば農業関係のいろいろな土地改良その他等の負担金というものを除いたものです。これは農林省の統計にもそう私は間違いはないと思う。かなり広範囲にわたって調査をして得た数字が出ております。この問題を地方税改正する場合には強く織り入れて——地方税はこの程度だが、税外負担がこういうものが出てきているんだというようなことは、私のところに資料があるくらいだから、政府にもむろんあるはずでありまして、十分御承知のことだと思いますので、これら税外負担をなくすることのために、それでは税制改正をどうすればよろしいかということが、次の問題に私は出てくると思う。それにはさっき申し上げましたように、もう少し国と地方との税財源配分考えない限りは、この問題の解消は私はできないと思っているのです。どんなに解消する、解消するなんてあなた方が言われても、どんなに財源はやったやったと言われたところで、財源はいわゆる財政計画上の財源であって、ほんとうにそれを解消するために、それではお前のところに何億の金をやると実際上言ってやっているわけではないのですからね。財政計画上九十億減らしたというようなことを帳面の上で書かれているだけであって、実際個々の町村に、税外負担をなくするためにお前のところに一千万円やるとか、この一千万円はとにかく税外負担をなくする金だということで出されてはいないのですね。財政計画上の問題としてそういうことが取り上げられておる。そうしますと、この問題を解消するには、やはり税改正のときに、こういうものも含めた地方の税財源というものが当然考えられなければならない。こういうことに私はならざるを得ないと思うのですが、この税外負担の問題について一体どういうふうにお考えになっていますか。私は、この税外負担というのは当然地方税の中に含まるべきものだ、そういう考え方地方税改正をやらなければ、いつまでたってもこの問題の解決はつかぬと思っています。単にあなた方の言う行政水準だけでは、いつまでたっても問題の解決はつきやしません。この点はどうですか。これは必要な経費だ、われわれはそう言いましても、あなた方の方から見れば、多少は無理な経費があるかもしれない。しかし、大体はこういうもので地方行政運営が行なわれていることは事実なんですから、これもやはり税金のうちだと私ども考えている。また住民もそういう形で私は出しておると思うのです。そうだとすれば、現状でもこれを含めたものを地方税制改正のときの税財源の基本的な数字にすべきだと私は考えるのですが、この点についてのお考え一つ聞いておきたいと思います。
  82. 安井謙

    安井国務大臣 非常にむずかしい問題でございまして、おっしゃる通り、この地方で取られておるというやつは税金がわりに取られておるじゃないか、そういう意味から税金と同じような目で見てこれを増減すべきものじゃないかという御説も、私ども十分検討しなければならぬと思いますが、技術的に申しまして、その面からはたしてそのようにやれますかどうか、今のところは、これは私は非常に注目すべき御意見として拝聴いたしますが、ちょっとまだ自信はないと思います。根本は、やはりそういうものに対する財源の与え方、そういう寄付金を取られるもとに対する原因の除去ということ自身の方が大事であると同時に、行政措置によってそういったものの防止を考えていく。そしてそれの必要な不足分をむしろ国なり地方団体財源で補っていくというふうにやっていくのでなければなるまいかというふうにも考える次第でございます。
  83. 門司亮

    ○門司委員 これはもうだいぶ長くお話し申し上げましたので、くどく申し上げる必要も実はないかと思いますけれども、この問題はいつまでたっても解決しない。地方住民は税金はそう高くないのですよ。ところが、実際の問題を計算してみますと、こういうものの方が税金を上回るという姿が出てきているのです。ことにここに書いてあります三反未満というような零細農家のところにいきますと、国税、県税、市町村税を合わせた額よりも、部落費を加えると寄付金というものの方が大きいのです。だから税金を上回っておるんですね。農林省の統計を見てみましても、ここに書いてありますので念のために私申し上げておきますが、市町村割の寄付金が全国平均して  一戸で百十円、学校関係の寄付金は七百五十七円、消防団割と称するのが一戸平均百三十二円、こういう数字が出ております。公民館割が七十五円、道路修繕費の割合が九十三円、農業委員会費が一円、それから民生事業の寄付金が二十一円、その他町村寄付金が九十一円、地方の役場の下請機関と考えられる部落協議費と称するものが千三百十円と出ておる。そのほかにまだこまかいのが私はあろうかと思います。こういう数字はいずれもただ単にお前の方で勝手に出しているのだという数字では私はないと思うのです。これがなければ地方行政水準が保てないという姿だと思う。そうすれば、やはり国と地方との税財源配分のときには、これが当然地方住民負担として私はあげられるべきだと思うのです。これは税の変形したものであることに間違いがないのですよ。だから、そういうことを私は申し上げているのであって、やはり大きな改革をされようとする次の段階では、こういうものも一つ考慮していただきたい。  次に聞いておきたいと思いますことは、これも少し問題の焦点をはずれるかと思いますけれども、税金の問題もこういうふうに非常におくれるのです。国会にかけられて、そして地方に影響のあるものがなかなか四月一日にまとまらないのです。そうすると地方では、どういうふうになるのかということでかなり迷惑するのです。地方予算の編成についてもかなりの困難があると考えられる。そのことが地方行政の計画的な事業について非常に大きな災いをしていることは御承知通りであります。最初から計画が立てられない。国の法律税制がこうきまったらこれだけ税金が取られるのだ、これだけの税金ならこういう仕事をしていこうということで、みんなあとから仕事を継ぎ足していくというのが今日の地方行政あり方であって、当初予算よりもむしろ追加予算の方が大事だ、専業予算はすべて追加予算できめられる、こういう関係を持っておる。だから思い切って国と地方との会計年度の変更をすることが考えられると思う。これも大蔵省などにいわせるといろいろ意見を言います。しかし、この際自治省としての考えを明らかにしていただきたい。国全体をあまり考えないで、自治省としてはこうすることがよろしいという意見を一つ聞いておきたいと思います。
  84. 渡海元三郎

    渡海政府委員 たしかこの委員会における御質疑の中で答えたのではないかとも思うのでございますが、会計年度に伴うところの国と地方とのあり方のために、地方の計画が非常にそごを来たし、計画的な運営が困難であるということは、御指摘通りでございます。幸いにいたしまして、目下政府調査機関でございますところの財務会計制度の検討機関の中で本問題も取り上げまして検討していただくことになっております。これは本年度答申をいただくはずでございましたが、重要なる問題でございまして、まだ調査答申の扱い方がきまった程度でございまして、せんだっての本限において御可決いただきまして、期間を延長して結論をいただくことになっておりますが、昭和三十七年度の予算を審議する際の通常国会におきまして、これらの問題も検討したものを答申をいただいて、法案として提出できるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  85. 門司亮

    ○門司委員 委員会というと、みんなそういうことで逃げてしまうのです。私は委員会の意見を聞いているのじゃないのです。委員会の意見は委員会が終わらなければ出てこない。自治省はどう考えておるかということを聞いている。あなたの方ではっきりしたものがなければ、もし自治省考え方と違った答申案が出てきても実行しますか。なかなかいうことは聞かぬだろうと思います。
  86. 渡海元三郎

    渡海政府委員 自治省といたしましては、御指摘通り、会計年度を変更する方が地方財政運営からよくはないかというような見解を持ちまして、国の方へも一応交渉したこともあるような経過でございまして、かくありたいというように考えております。
  87. 門司亮

    ○門司委員 これ一つだけ聞いておきたいと思います。さっきからちょっと問題になりました例の電気ガス税の問題ですけれども、これはどうですか。今の従価制を従量制に改められませんか。要するに使用量でわかるのですから、そうすることが税の公平を期すると考えるのです。たくさん消費する人は、電気料それ自身が割引になって安くなっておるのですから、従って税金も安い。たくさん使う人が安い料金で税金を割引されておるのに、少なく使う人がたくさん税金を納めるということは不合理だと思う。これを是正するのには、今のような従価制の料金に対して税金をかけるというのではなくして、使った電力量に対して税金をかけるということになれば、不公平がなくなると思います。徴税技術の面やいろいろな面でむずかしいことがあろうと思いますが、たくさん電気を使った人がたくさん支払うのは当然であって、少ない人は少なくて済むというのが建前で、そうむずかしい問題ではないと思うのです。そうすれば問題の解決はそう困難でないのじゃないかというふうに考えるのです。この問題も従来からしばしば議論される問題でありますが、片づかない問題であって、基礎控除あるいは免税点というようなことでいろいろ議論をいたしておりますけれども、基礎控除がいいか、免税点がいいかということは二つの考え方であって、両方とも同じような考え方が結論においては出てくると思うのです。さっきの局長答弁のように、基礎控除にすれば大きいものもそれだけ安くなるのだという議論があり、免税点にすれば低い人は救われるということが一応考えられる。しかし三百円まで免税点にして、三百一円から上がった人には税金がかけられるのでは、やはり五十歩、百歩で大して違わない。ごく零細なものだけが救われて、それ以上のものは救われないということで大した議論にならないと思います。基礎控除なら基礎控除を設けて従量制にすれば、そういう問題は一挙に片づいて、たくさん使う人がたくさん税金をお払いになる。こういう議論になって、基礎控除でけっこう間に合っていく。基礎控除の方が正しい議論だと思うのです。今の徴税の仕方が悪いから局長のような意見が出てくると思いますが、この点はどうですか、使った量に対して税金をかけるということはいきませんか。
  88. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 免税点をきめる際に、金額できめるか従量できめるか、従価制か従量制かという問題でありますが、各地域における電気、ガスの料金が若干違っております。そういう意味合いから門司委員の御指摘のように、従量制で免税点をきめた方が合理的ではないかという御意見も確かに出てくると思います。同時に同じような理由で、やはり金額できめるべきなんだという議論も出てくるのではないかと思います。と申しますのは、免税点制度というものが、やはり一定の金額を基準にして、その程度までの支払いの人は負担能力がないのだ、従ってこういう零細な人には課税免除の扱いをするのだ、これが免税点制度であります。そこでやはり一定の金額で切って、その金額以下の人は担税力がないのだと認めて免税点をきめるということになると、金額で定めた方がいいのではないか、こういう議論も出てくるわけでございます。いずれにせよ電気、ガスの料金が若干地域によって違いますので、その点は両論あると思います。ただ私どもが今回金額にきめましたゆえんは、従来からの税のオーソドックスな免税点のきめ方ということに従ったわけでございまして、門司委員の御指摘のような点は十分傾聴に値することだと考えます。  なお先ほどの答弁でちょっと留保いたしました基地の米ドル資産の価格でございますが、百七十五億円でございます。内訳は家屋が百一億円、工作物関係が七十四億円、こういう数字になっております。
  89. 門司亮

    ○門司委員 もうこれでやめますが、今の電気の問題ですが、そういうものの考え方に誤りがあるのではないかと思います。零細なものだけを救って上げるというような考え方ではいけないのではないかと思うのです。基礎控除を設けたって同じですよ。三百円の基礎控除を設ければ三百円までの人たちが助かる、名前が違うだけです。それから上のというか、その辺のボーダーラインの諸君までを恩恵に浴させていこうとするならば、少なくとも使った量について税金をかけていくという公平な税の取り方にする方が建前から正しいと思う。割引されていなければいいが、たくさん使う人が割引されておる。たくさん使う人は料金も安いのだから税金も安いのだというものの考え方、これはもう資本主義のものの考え方からくればそれでよろしいかもしれませんが、私はそうはいかぬと思う。やはり使用した量に応じて税金を納めていくという建前をとった方が、税の公平を期する意味においてよろしいと思うのです。水道だってそうでしょう。ですから、たくさん使うものには安くしていいということでなしに、使った量に応じてやっていくということにしたい。たくさん使うからというので税金も安いのだ、金持ちは割安の税金を納めるのだということじゃないようにしていくことの方がよろしいのではないかと思うのです。今の局長の言われる基礎控除の議論と免税点の議論というものは、議論したってしなくたって、五十歩百歩、似たようなものなんです。考え方の上で零細需要者を助けてやるというような恩恵的なものの考え方であってはいけないと思う。負担能力のない者に税金をかけることが間違いなんですから、はずしてやったというその考え方はおかしいと思う。負担能力のない者には、基礎控除であろうと免税点であろうと同じであって、あと考え方は、やはり今申しましたようなことで、これをぜひ従量制に改めていきたい。従価制を従量制にしてどっか不都合なところがありますか。あなたの方で工合が悪いのだったら、そこだけ聞いて私はこれからの参考にしておきたい。従量制にしてはどうしても工合が悪いのだ、従来のような徴税の形、委託して徴税をやっておりますから、電気会社の方でそれをやってくれないというなら、一つ考え方ですが、どこか理由がありますか。
  90. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 先ほど申し上げましたように、私は確かに両方の理屈が成り立つと思います。ただ私どもが三百円という金額できめたのは、その金額以下の人は税負担をすることが無理だということで、従来のこういった免税点をきめる際の税の扱いの通常の例に従った、こういうことであります。理論は、私は門司委員の御議論も十分傾聴すべきものだ、こういうように思います。
  91. 門司亮

    ○門司委員 私はこれでやめるが、そんなことを聞いているんじゃない。一体従量制に改められない理由はどこにあるのかということを聞いているのです。今のような電気料金に課税をするのか、使用した電気量において課税をするのかということなんです。使用した電気量はずっとわかっているんですよ。わかっているから料金が取れるんですからね。私どもは使った量において課税した方がよくはないか、こう考えておる。あなたの方はできないと言うのなら、できない理由がどこにあるのかということなんです。
  92. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 現在料金その他で地域差の問題があるとか、あるいは徴収上の技術上の問題こういうような点を考えて、やはり私は現在では従価制でいくのがいいのじゃないか、こういうふうに考えております。
  93. 門司亮

    ○門司委員 そこに誤りがある。違うのですよ。違うから従価制でいくと不公平が現実にできているんですよ。だからその不公平のできているのを現実に直していこうとすれば、使ったものは幾らだということで、電気会社が九つのブロックに分かれておっても、料金は違っても、税金は同じになるんですよ、幾ら使えば幾らだということで。だから電気会社の都合で、同じ電気税が地方によって高かったり安かったりする、そういうものをなくしたり、あるいは公平に税金を取ろうとすれば、やはり使ったものに対して幾らかけるということの方が私はよろしいと思う。これは会社の方は営業政策がありますから、たくさん使った者には税金をまけてやるということは営業政策からくる一つの方法です。しかし、税金を納める方はそれではかなわぬ。税金は税金で公平な取り方をしてもらいたいというのが私ども考え方です。それができない理由はどこにあるかということを聞いているのですが、これ以上きょうは押し問答はいたしません。この次までに明らかにしておいてもらいたいと思います。
  94. 濱田幸雄

    濱田委員長 明七日午前十時半より開会して、本案に関する質疑を継続することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十五分散会