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1961-03-31 第38回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十六年三月三十一日(金曜日) 午前十時四十二分
開議
出席委員
委員長
濱田
幸雄君
理事
田中 榮一君
理事
中島 茂喜君
理事
丹羽喬四郎
君
理事
吉田 重延君
理事
川村
継義
君
理事
阪上安太郎
君 伊藤 幟君 宇野
宗佑
君 小澤 太郎君 大沢 雄一君 亀岡 高夫君
仮谷
忠男
君
久保田円次
君 富田 健治君 前田 義雄君 佐野 憲治君 二宮 武夫君 野口 忠夫君 門司 亮君
出席国務大臣
自 治 大 臣
安井
謙君
出席政府委員
自治政務次官
渡海元三郎
君
自治事務官
(
財政局長
) 奧野
誠亮
君
自治事務官
(
税務局長
)
後藤田正晴
君
消防庁長官
鈴木 琢二君
自治事務官
(
消防庁総務課
長) 山本 弘君
委員外
の
出席者
自治事務官
(
財政局財政課
長) 松島 五郎君 専 門 員 圓地与四松君
—————————————
三月三十日
委員仮谷忠男
君
辞任
につき、その
補欠
として松
浦東介
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同 日
委員松浦東介
君
辞任
につき、その
補欠
として仮
谷忠男
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
三月三十日
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 一六三号) 同月二十九日
質屋営業法
の一部
改正
に関する請願(
保利茂
君 紹介)(第一八七〇号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
消防組織法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第六五号)(
参議院送付
)
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 一六三号) ————◇—————
濱田幸雄
1
○
濱田委員長
これより
会議
を開きます。 昨
日本委員会
に付託されました
内閣提出
、
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
—————————————
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
〔本号(その二)に掲載〕
—————————————
濱田幸雄
2
○
濱田委員長
まず
政府
より
提案理由
の
説明
を求めます。
安井自治大臣
。
安井謙
3
○
安井国務大臣
ただいま
議題
となりました
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
提案理由
と
要旨
を御
説明
申し上げます。
地方税制
につきましては、最近の数次の
改正
により引き続き
住民
の
税負担
の
軽減合理化
を行なって参ったのでありますが、最近の諸情勢にかんがみ、
地方財政
の
実情
をも勘案しつつ、次に述べるような
方針
に基づいてさらに
税負担
の
軽減合理化
を行なうこととしたのであります。すなわち、
国税
、
地方税
を通じて
国民
の
租税負担
の
軽減
を行なうことを念頭に置きながら、
地方税
におきましては、
地方財政
の動向を勘案の上、その
実情
に適した
改正
を行なうものとし、
減税規模
を平
年度
二百二十六億円、
初年度
九十八億円としたのであります。なお、このほか
道路財源充実
のため、
軽油引取税
の
税率引き上げ
を行なうことといたしております。その内訳は、平
年度
において
減収額
三百一億円、
増収額
百十九億円、
差引
百八十二億円であり、
初年度
は
減収額
百五十億円、
増収額
九十一億円、
差引
五十九億円であります。
改正
の
方針
の第一は、
地方税制
の
自主制
をさらに強化するために、
国税
の
改正
に基づく自動的な
影響
をでき得る限り遮断し、
地方税
として自主的な
運営
が行なわれるようにすることであります。そのために、
住民税
において、
課税方式
の
簡素合理化
をはかるとともに、
課税標準等
について
所要
の
改正
を加えることとし、
事業税
についても
所要
の
調整
を行なうことといたしております。
方針
の第二は、
零細負担
の
排除
を重点として
地方税
の
減税
を行なうことでありまして、
電気ガス税
において
免税点制度
の創設、
遊興飲食税
において
大衆
の
飲食
及び
宿泊
について
免税点
の
引き上げ等
を行なうことといたしております。
方針
の第三は、新
道路整備計画
の
実施
のための
財源
の
充実
をはかることでありまして、
軽油引取税
の
税率
を
引き上げ
ることにいたしております。
方針
の第四は、
税負担
の
均衡化
の
推進等税制
の
合理化
をはかることでありまして、
住民税
、
事業税
、
娯楽施設利用税
、
遊興飲食税
、
自動車税
、
固定資産税
、
軽自動車税等
につきまして
非課税規定等
の
整理合理化
、
税率
の不
均衡是正等
を行なうことにいたしております。 以下その
内容
の概略を御
説明
申し上げます。 第一は
住民税
に関する
事項
であります。 その第一は、
市町村民税所得割
についてであります。
現行
の
市町村民税所得割
の
課税方式
は、
所得税
の
課税
を
基礎
といたしているため
所得税
の
改正
が自動的に
影響
を及ぼしてきて、
所得税改正
のつど、
納税義務者数
及び税収に
変動
を来たし、
地方財政
の
運営
並びに分任を
基調
とする
住民税
のあり方から見てとかく批判のあったところであります。また、現在の
五つ
の
課税方式
では複雑にすぎるということにも問題があったのであります。昨年末、
地方制度調査会
及び
税制調査会
におきまして、
住民税
の
課税方式
について、検討を遂げられ、これについての
答申
があったのでありまして、
政府
におきましては、この
答申
に基づき
地方税制
の
自主性
を強化する
見地
から、
国税改正
による
自動的影響
ができるだけ
所得割
に及ばないようにするとともに、
課税方式
の
簡素合理化
をはかることを
目的
として、
現行
の
課税方式
に根本的な
改正
を加えることとしたのであります。このような
見地
から、
現行
の
五つ
の
課税方式
を
整理
して第二
課税方式
の
本文
と
ただし書き
の二
方式
とし、これに次のように
所要
の
改正
を加えることにしたのであります。 (一)
課税
の
基礎
となる
所得
の
範囲
及び
計算方法
は
納税者
の
負担
及び
税務行政
の
簡素見地
から、
原則
として
所得税法
の
定め
るところによることといたしております。ただ、
専従者控除制度
につきましては、
市町村財政
の
見地
からも、また
負担分任
の
見地
からも、
住民税
においては独自の立場で考えることが適当であると思われますので、
現行
のままとすることにしております。(二)
所得控除
については、
原則
として、
現行
の第二
課税方式本文
と同様に、
基礎控除
、
扶養控除
、
雑損控除
、
医療費控除
、
社会保険料控除
及び
生命保険料控除
を行なうことを
原則
とし、その額もすべて
現行
の
金額
によることといたしております。ただ、
市町村
は
財政
上特別の必要がある場合においては、
現行
の第二
課税方式ただし書き
の場合と同様に
基礎控除
のみとすることができることとしているのであります。(三)
税率
は、
現行
の第二
課税方式
と同 様に
地方税法
においては準拠すべき
税率
を
定め
、具体的な
税率
は
市町村
が
条例
で
定め
ることといたしており ます。(四)
税額
の
算定方法
については、
総所
得金額
、
退職所得
の
金額
または
山林
所得
の
金額ごと
にそれぞれ分離して
計算
することとするとともに、
山林
所得
、
変動所得
、
資産所得等
にかか る
税額
の
算定
について
合理化
をはか ることといたしております。(五)
障害者
、
老年者
、
寡婦
及び
勤労学
生に対する
税額控除
は、
改正案
にお ける
本文方式
にあってはすべてこれ を行なうべきものとし、ただし、書 き
方式
にあっては、
市町村
の
実情
に 応じ
条例
の
定め
るところによってこ れを行なうことができるものといた しております。(六)
所得割
の
課税
上必要な
事項
に関す る
申告制度
を
整備
したことでありま す。
現行法
においても適宜
条例
の
定め
るところにより
申告制
をとることが できるようになっているのでありま すが、今回の
課税方式
の
改正
に伴い、
納税秩序
の
確立
を期する
趣旨
から、
所得割
については
原則
として
申告制
をとるものとし、
所得控除
、
税額控
除、純
損失
及び
雑損失
の
繰り越し控
除、
変動所得
及び
臨時所得
の
平均課
税は
申告
に基づいて行なうこととし たのであります。もっとも
給与所得
の みを有する
給与所得者
については、別
途給与支払い報告書
が
提出
されます ので、
雑損控除
、
医療費控除等
の
適用
を受ける場合を除き、
申告書
の
提出
を要しないものとしております。な お、
申告
にあたっては
道府県民税及
び市町村民税
を通じて一本の
申告書
で行なうこととし、
記載事項
も、で きる限り簡易に行ない得るよう留意 しております。 以上が
市町村民税所得割
の
課税方式
に関する
改正
の概要でありますが、この
課税方式
の
改正
によって
住民
の
負担
には
変動
を来たさないように
措置
されております。 なお、
給与所得者
については、
給与所得控除
を
引き上げ
ることといたしましたので、
負担
の
軽減
がはかられることになっており、また
個人
の
市町村民税
の
非課税
の
範囲
を
改正
し、現在
障害者
、
未成年者
、
老年者
及び
寡婦
については前年中の
所得
が十三万円以下である場合のみ
非課税
となっておりますのを、今回十五万円に
引き上げ
ることとし、
負担
の
軽減
をはかることにしております。 その二は、
道府県民税所得
割についてであります。
道府県民税所得
割についても、
市町村民税所得割
の
課税方式
の
改正
に対応して、その
本文方式
と同様の
課税方式
によることといたしております。なお、その
賦課徴収
につきましては
現行通り市町村
に委任することにいたしております。 その三は、
法人
の
住民税
についてであります。
法人税
における
減税
に対応して
法人税割
の
減税
を行なうとともに、
法人税
における
耐用年数
の改訂その他
所得計算
に関する
租税特別措置
の
改正
につきましては、その
改正
の
趣旨
にかんがみ、特に
税率
の
調整
を行なうことなく
法人税割
においても、これらと同様の
措置
をとることにいたしました。なお、これまで
法人税
が
課税
されることになっているにもかかわらず、
住民税均等割
及び
法人税割
については
非課税
とされている
法人
がありますが、およそ
国税
が
課税
される建前になっている
法人税
につきまして、
地方税
において
非課税
とすることは、
住民税
における
負担分任
の
見地
からも、また
負担
の公平をはかる点からも適当ではありませんので、これら
非課税規定
は
原則
として
国税
のそれの
範囲
内にとどめるように
整理
いたしたいと存じます。 第二は、
事業税
に関する
事項
であります。 その一は、
個人事業税
についてであります。
青色申告者
については、現在八万円を
限度
として
専従者控除
を行なうこととしておりますが、
白色申告者
についても、新たに五万円を
限度
として
専従者控除
を行なうこととし、
負担
の
軽減
と
均衡化
をはかっております。また
基礎控除
につきましては、その
性格
を明らかにするため、
名称
を
事業主控除
に改め、その額は
現行通り
二十万円といたしております。なお、災害または盗難により
事業用資産
について生じた
損失
について、新たに
雑損控除
の
制度
を設け、
個人
の
事業税制度
の
合理化
をはかることとしております。 その二は、
法人事業税
についてであります。
各種協同組合等
に対する
課税
の
特例
については、
国税法人税
における
特別措置
の
範囲
を越えているものを
整理
して
法人税
と同様の取り扱いにすることにいたしました。なお、
法人税
における
配当課税
の
改正
については、
法人税
と
事業税
の
性格
の相異にかんがみ、
事業税
には
影響
を及ぼさないようにいたしております。 第三は
娯楽施設利用税
に関する
事項
であります。 その一は、
ゴルフ場
の
利用
に対する
税率
の
引き上げ
であります。
ゴルフ場
の
利用
に対する
現行
の
標準税率
は一人一日二百円でありますが、最近の
ゴルフ場
の
利用料金
は相当高くなってきており、また
相当程度
の
担税力
もあることを考慮いたしまして、
標準税率
を四百円に
引き上げ
ることとしたものであります。 その二は、釣堀、貸船場を
法定課税対象施設
から除くとともに、
料金
を
課税標準
とする場合の
標準税率
を引き下げるとともにその
合理化
を行なったことであります。 第四は、
遊興飲食税
に関する
事項
であります。 その一は、
免税点
の
引き上げ
であります。
現行
の
免税点制度
は、
大衆負担
の
軽減
をはかることを
目的
として設けられているものでありますが、最近における
国民
の
消費水準
の
向上等
を勘案し、さらに
大衆負担
の
軽減
をはかるという
見地
から、
旅館
における
宿泊
及びこれに伴なう
飲食
については八百円から千円に、
飲食店
における
飲食
については三百円から五百円に、
チケット制
の
飲食店
における
飲食
については百五十円から二百五十円にそれぞれ
免税点
を
引き上げ
ることといたしました。 その二は
登録ホテル
または
旅館
における外客の
飲食
及び
宿泊
に対する
非課税規定
の
廃止
であります。もともと
消費税
たる本税において
内外人
を区別することは
税制
上適当でないと考えられますのでこれを
廃止
することとしたのでありますが、その
実施
の時期は、諸般の事情を考慮して
昭和
三十七年四月一日としたのであります。 なお、本税の
性格
及び
内容
を
適確
に表現するために
名称
を
料理飲食等消費税
と改めることにいたしております。 第五は、
自動車税
及び
軽自動車税
に関する
事項
であります。 その一は、
自動車税
及び
軽自動車税
の
標準税率
の不
均衡是正
についてであります。
自動車税
につきましては、
税負担
の
均衡
をはかるため、
トラック
及び三輪の
小型貨物自動車
に対する
税率
について自家用及び
営業用
の区分を
廃止
することとし、
トラック
は
年額
一万五千円に、三輪の
小型貨物自動車
は
年額
三千八百円に統一いたしております。また、
軽自動車税
の
税率
につきましては、最近特に増加してきた三輪または四輪の
軽自動車
について三輪または四輪の
小型自動車
または二輪の
軽自動車
との
税負担
の
均衡
を考慮しまして、三輪の
軽自動車
は
年額
二千円に、四輪の
軽自動車
のうち、乗用のものは
年額
三千円に、
貨物用
のものは
年額
二千五百円とすることといたしております。 その二は、三
公社
が所有する直接その本来の
事業
の用に供する
自動車
及び
軽自動車
に対する
非課税規定
の
廃止
についてであります。三
公社
が所有する
事業用
の
固定資産
は、
固定資産税
にかわる
納付金
の
対象
となり、非
事業用
の
資産
は
固定資産税
、
自動車税
、
軽自動車税
の
対象
になっておりますが、
事業用
の
自動車
、
軽自動車
のみ
非課税
となっておりましたので、
均衡
上この
非課税措置
を
廃止
したものであります。 第六は、
固定資産
についてであります。
都市ガス事業
の
拡充
に伴う
新設
の
償却資産
につきましては、最近
都市ガス
の普及に伴ない、
新設資産
にかかる
固定資産税
が急増し、ひいては
消費者負担
の増加を招来するおそれがありますので、
発電施設等
と同様に
軽減措置
を講ずることとし、
昭和
三十四年一月一日に
固定資産課税台帳
に登録されたもの、すなわち、
昭和
三十三年一月二日以後
新設
されたものから
適用
することとしております。 また、内
航船舶
につきましては、現在その
価格
の三分の二の額を
課税標準
とする
特例措置
が講ぜられておりますが、今回
外航船舶
との
関連等
をも考慮いたしまして、その
価格
の二分の一の額を
課税標準
とするよう
特例措置
の
拡充
を行なうこととしたのであります。 以上のほか、
新設
の大
規模償却資産
の
対象
に新たに
変電所
を加えるとともに「新たに建設された一の工場」の
範囲
を明確にする等
所要
の
規定
の
整備
を行なうこととしております。 第七は、
電気ガス税
についてであります。
電気ガス税
につきましては、
零細負担排除
の
趣旨
から新たに
免税点制度
を設け、一カ月の
使用料金
が三百円以下の
電気
または
ガス
の
使用
に対しましては
電気ガス税
を課さないこととし、もって
一般家庭用
の
電気
及び
ガス
について
負担軽減
の
措置
を講ずることとしたのであります。 なお、物品の製造または鉱物の掘採に
使用
する
電気
につきましては、
非課税措置
が講じられているのでありますが、今回
非課税品目
の追加及び
整理
を行ない、これが
合理化
をはかることといたしました。 第八は、
軽油引取税
に関する
事項
であります。
道路
の
整備
が緊要でありますことは申すまでもないところでありますが、今回
昭和
三十六
年度
を
初年度
とする新
道路整備
五カ年
計画
の策定に伴い、その
実施
に必要な
道路財源
を
充実
するために別途
国税
の
揮発油税
及び
地方道路税
の
税率
の
引き上げ
に照応いたしまして、
軽油引取税
におきましても、その
税率
を、一キロリットルにつき従来の一万四百円から一万二千五百円に
引き上げ
ることといたしております。 なお、本税が
道路
の
目的税
である
趣旨
にかんがみ、
免税軽油
の
範囲
を
拡充
合理化
することにしております。 以上申し上げました諸
事項
のほか、
税制
の
合理化
その他
規定
の
整備
を行なうことといたしております。 以上が、
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
及びその
要旨
でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
濱田幸雄
4
○
濱田委員長
次に
補足説明
を求めます。
後藤田税務局長
。
後藤田正晴
5
○
後藤田政府委員
お手元にお配りいたしました
地方税法改正要綱細目
に従いまして
法律要綱
の
細目説明
を申し上げたいと思います。 第一が
住民税
でございます。 まず
個人
の
市町村民税
でございますが、今回の
改正
の
眼目
の一つが
所得税改正
の
自動的影響
を遮断するため、自主的な
課税方式
に改めることにあるのでございますが、それに伴いまして従来は
国税
の
課税
を
基礎
といたしておりましたために、自動的に
住民税
についても
適用
がありましたところの
実質課税原則
に関する
規定
を
地方税法
に設けることにいたしました。法第二百九十四条の二ないし第二百九十四条の四、第二十四条の二ないし第二十四条の四の
改正規定
でございます。 次に、従来
障害者
、
未成年者
、
老年者
または
寡婦
について、
年所得
十三万円以下である場合は
非課税
として参りましたが、その後における物価の
推移等
を勘案し、これらの人々の
負担
の公平をはかりますために、今回これを十五万円に
引き上げ
ることにいたしました。なお
道府県民税
についても同様でございます。法第二百九十五条第一項第三号、第二十四条の五第一項第三号の
関係規定
でございます。 次に、今回の
改正
の
眼目
でありますところの
課税方式
の
改正
についてでございます。まず、
現行
の
課税方式
のうち、
所得税額
を
課税標準
とする第一
課税方式
及び
課税
総
所得金額
から
所得税額
を
控除
した
金額
を
課税標準
とする第三
課税方式
を
廃止
いたしますとともに、
課税
総
所得金額
を
課税標準
とする従来のいわゆる第二
課税方式
に、以下申し上げますような
所要
の
改正
を加えることにいたしました。 すなわち、その一が
所得
の
範囲
及び
計算
の問題でございます。
所得割
の
課税標準
は前年の
所得
について算定いたしました総
所得金額
、
退職所得
の
金額
または
山林所得
の
金額
によるものとし、総
所得金額
、
退職所得
の
金額
または
山林所得
の
金額
は
地方税法
またはこれに基づく
政令
で特別の
定め
をする場合を除くほか、
原則
として
所得税法
その他の
所得税
に関する法令の
規定
の例によって算定することとしております。ただし、
専従者控除
については、
青色申告者
にあっては
専従者
一人について八万円を
限度
として総
所得金額等
の
計算
上
必要経費
に算入するものとし、
白色申告者
の
専従者
については、
専従者控除制度
の
性格
、
負担分任
を
基調
とする
住民税
の
性格
、
市町村財政
、特に
財政力
の手薄な農山村の
財政
に及ぼす
影響等
に顧み、
専従者控除
を認めないこととしております。法第三百十三条第一項、第二項、第三十二条第一項、第二項の
関係規定
でございます。 次に、
所得計算
にあたっての
繰り越し控除
の
関係
でありますが、
青色申告書
を
提出
する
所得割
の
納税義務者
については、
所得税
と同様に前年前三年間に生じた純
損失
の
金額
で前年前に
控除
されなかった部分の
金額
を総
所得金額等
の
計算
上
繰り越し控除
するものといたしました。法第三百十三条第三項、第三十二条第三項の
関係規定
でございます。 また
青色申告者
以外の者でありましても、前年前三年間に免じた
変動所得
の
計算
上の
損失
の
金額
もしくは被災たなおろし
資産
の
損失
の
金額
または
雑損失
の
金額
で、前年前に
控除
されなかった部分の
金額
は総
所得金額等
の
計算
上
控除
するものといたしております。法第三百十三条第四項、第三十二条第四項の
規定
であります。 なお
課税
の
合理化
と
納税秩序
の
確立
の
趣旨
から、
専従者控除
並びに純
損失
及び
雑損失
の
繰り越し控除
は
原則
として
納税義務者
の
申告
に基づいて行なうものといたしました。法第三百十三条第二項、第三項、第四項、第三十二条第二項、第三項、第四項の
規定
であります。 次に、
資産所得
の
合算課税
についてでありますが、生計を一にする
親族
のうち
世帯員
が
資産所得
を有する場合におきましては、
所得税法
の
規定
の例によりまして、
合算課税
の
方式
により、それぞれ主たる
所得者
及び
世帯員
に
課税
するものといたしまして、
税負担
の公平をはかるものといたしております。法第三百十四条、第三十三条の
規定
であります。 次は、
所得控除
の
関係
でありますが、まず
市町村
におきましては、総
所得金額
、
退職所得
の
金額
または
山林所得
の
金額
から
雑損控除額
、
医療費控除額
、
社会保険料控除額
、
生命保険料控除額
、
扶養控除額
及び
基礎控除額
を
控除
するものといたしております。これらの
控除
を行なう
課税方式
を
本文方式
ということにいたします。ただし、
市町村
において
財政
上特別の必要がある場合におきましては、
基礎控除額
のみを
控除
いたしまして、その他の
控除
を行なわないことができるものといたしました。なお、この場合において総
所得金額
中
給与所得
があるときは
現行通り給与所得
にかかる
収入金額
の百分の五の最高二万円までを総
所持金額
から
控除
するものとして、他の
所得者
との
負担
のバランスをはかるものといたしております。これらの
控除
を行なう
課税方式
を
ただし書き方式
ということといたしております。法第三百十四条の二第一項、第三十四条第一項の
規定
でございます。 次に、これらの
控除額
の
内容
について申しますと、まず
雑損控除額
、
医療費控除額
、
社会保険料控除額
及び
生命保険料控除額
につきましては、
所得税
における
計算
と同様の方法によって算定した
金額
といたしました。法第三百十四条の二第一項、第三十四条第一項の
規定
であります。 また
扶養控除額
につきましては、
現行
と同様に次に申し上げます
金額
によるものとしております。すなわち、
扶養親族
が一人の場合につきましては七万円、ただしその
納税義務者
に前年の
合計所得金額
が五万円をこえる
配偶者
があるときは五万円とし、
扶養親族
が一人をこえる場合、そのこえる
扶養親族
一人ごとに三万円を加算して得た
金額
といたしております。なお、
扶養親族
と生計を一にする
市町村民税
の
納税義務者
が二人以上ある場合におきましては、ただいまの
金額
は、各
扶養親族
につきまして
政令
により
順位
を付するものとし、第一
順位
の
扶養親族
について七万円、ただし、その
扶養親族
を自己の
扶養親族
とする
納税義務者
に前年の
合計所得金額
が五万円をこえる
配偶者
があるときは五万円、第二
順位
以下の
扶養親族
につきましては三万円と
定め
ております。なお、
扶養親族
が
青色専従者給与額
の支給を受けている場合におきましては、これらの
金額
から
当該青色専従者給与額
のうち必要な経費に算入された
金額
を
控除
した
金額
といたしております。法第三百十四条の二第一項第五号、第二項、第三項、第三十四条第一項第五号、第二項、第三項の
規定
であります。 次に、
基礎控除額
でございますが、これは
納税義務者
につき
現行
の
所得税法
と同額の九万円といたしております。法第三百十四条の二第一項第六号、第三十四条第一項第六号の
関係規定
であります。 次に、これらの
控除
の順序でありますが、
本文方式
にありましては、まず
雑損控除額
を
控除
し、次に
医療費控除額
その他の
控除
をするものとし、かつ
本文方式
、
ただし書き方式
とも総
所得金額
、
山林所得
の
金額
または
退職所得
の
金額
から順次
控除
するということにいたしております。法第三百十四条の二第六項、第七項、第三十四条第六項の
関係規定
であります。 なお、これらの
控除
のうち
基礎控除
を除く
所得控除
につきましても、
原則
として
納税義務者
の
申告
に基づいて行なうものといたしました。法第三百十四条の二第八項、第三十四条第七項の
関係規定
であります。 次に、
税率
及び
税額
の
計算
でございますが、
所得割
は、次に申し上げます
金額
の区分及びその区分に応じて順次に
適用
される率に準じまして
市町村
の
条例
で
金額
の区分及び率を
定め
るものといたしております。この場合
税額
につきましては、
課税
総
所得金額
または
課税
退職
所得金額
につきましては、当該
税率
を順次
適用
して
計算
した
金額
といたしますが、
課税
山林
所得金額
につきましては、いわゆる五分五乗
方式
を採用いたしまして、その
金額
の五分の一の額に当該
税率
を順次
適用
して
計算
した
金額
の合計額に五を乗じて得た
金額
によって課するものといたしております。法第三百十四条の三第一項の
規定
であります。 なお、
税率
でありますが、
税率
は
現行
所得税
の
税率
の二〇%に相当した
税率
と
定め
ておるのであります。
変動所得
及び
臨時所得
の
平均課
税でございますが、
変動所得
及び
臨時所得
がある場合の
税額
の
計算
につきましては、
納税義務者
の
申告
に基づきまして、
所得税法
の
計算
の例によって算定するものといたしております。法第三百十四条の四、第三十六条の
規定
でございます。 次に簡易
税額
表でございますが、
税額
を算定する場合におきましては、その処理を簡素化いたしますために簡易
税額
表を百万円以下の
所得
を有する者に対しては
定め
ることができる、こういうことにいたしておるのでございます。法三百十四条の五、三十七条の第一項の
規定
でございます。 次に、
税額控除
の
関係規定
でございますが、
本文方式
の
市町村
におきましては、
納税義務者
が
障害者
、
老年者
、
寡婦
もしくは
勤労学
生である場合、または
納税義務者
に
障害者
である
扶養親族
がある場合には、それぞれ一人につき千円を標準として
市町村
の
条例
で
定め
る
金額
を
所得
制額から
控除
するものといたしております。この千円は
所得税
の五千円の二〇%ということでございます。また
ただし書き方式
の
市町村
におきましては、
納税義務者
が
扶養親族
を有する場合は、その
扶養親族
の数に応じ、
市町村
の
条例
で
定め
る
金額
を
所得
制額から
控除
するものとし、また
納税義務者
が
障害者
、
老年者
、
寡婦
、もしくは
勤労学
生である場合、または
納税義務者
に
障害者
である
扶養親族
がある場合は、新たに
市町村
の
条例
の
定め
るところによって、
条例
で
定め
る額を
所得割
額から
控除
することができることにいたしております。法三百十四条の七第二項、第三項の
規定
でございます。 なお、これらの
税額控除
につきましても、
原則
として
納税義務者
の
申告
に基づいて行なうということにいたしております。法三百十四条の七第六項の
規定
でございます。 次に、賦課制限でございますが、以上によりまして、
住民税
を算定するのでございますが、総合した
税負担
が過重となることを避ける意味におきまして、
市町村民税
の
所得割
額、
道府県民税
の
所得割
額及び前年の
所得税額
の合計額が、
市町村民税
の
課税
総
所得金額
、
課税
退職
所得金額
及び
課税
山林
所得金額
の合計額の百分の八十をこえることがないよう、
市町村民税
の
所得割
額及び
道府県民税
の
所得割
額を減額するいわゆる賦課制限の
規定
を設けております。この場合におきましては、減額する
金額
は、
市町村民税
の
所得割
額と
道府県民税
の
所得割
額の比率によって
定め
るものといたしております。法三百十四条の八、第三十七条の三の
規定
でございます。 また
所得
の算定基準につきましては、総
所得金額
、
退職所得
の
金額
、または
山林所得
の
金額
は、
所得税
の
申告書
が
提出
され、または
政府
が更正もしくは決定した場合には、その
申告書
に記載され、または更正し、もしくは決定した
金額
を基準として算定するものとして、
納税者
が二重調査を受けることがないよう配慮いたしますとともに、この際、国、地方団体相互の協力
関係
を従来より一そう緊密なものとするよう
運営
して参りたいと考えております。なお
所得税
の決定額がない場合には
市町村
がみずから調査をして、この調査に基づいて算定することになります。法三百十五条でございます。 最後に、
申告
についてでございますが、
住民税
における
申告制度
を
整備
し、
所得割
の
納税義務者
は、
所得金額
その他
課税
上必要な
事項
を記載した
申告書
の
提出
を要するものといたしまして、
課税
の民主化と
納税秩序
の
確立
を期しますとともに、
住民
の
市町村
自治に対する積極的関心の喚起と自主納税に対する意欲の向上をはかるものといたしております。ただし、
給与所得
のみを有する者につきましては、別
途給与支払い報告書
が
市町村
に
提出
されますので、
原則
として
申告
の必要はないものといたしております。法第三百十七条の二、第四十五条の二の
規定
でございます。 次は、
個人
の
道府県民税
についてでございますが、
個人
の
道府県民税
につきましては、
市町村民税所得割
の
本文方式
と同様の
課税方式
にいたしております。従いまして、その
内容
の大部分は
市町村民税
本文方式
と同様でございますので、異なる点についてのみ御説明を申し上げたいと思います。 なお
賦課徴収
の方法につきましては、
納税者
の
負担
感、徴税経費等を勘案いたしまして、
現行通り市町村
に委任をいたすことにいたしております。 まず
税率
及び
税額
の
計算
でございますが、
所得割
の
税率
は、
現行
所得税
の
税率
に百分の八を乗じて得た率を
標準税率
といたしております。この場合
税額
の算定でございますが、
市町村民税
と同様に簡易
税額
表を
定め
るものといたしておりますが、
道府県民税
の簡易
税額
表を
定め
た場合におきましても、
市町村民税
の簡易
税額
表を
定め
ていない
市町村
につきましては、
市町村
長の申し出によりまして簡易
税額
表によらないで
道府県民税
を課することができるものといたしております。法第三十七条第一項
ただし書き
でございます。また
道府県民税
の簡易
税額
表と
市町村民税
の簡易
税額
表と所属
金額
の区分が違うという場合は、
道府県民税
の簡易
税額
表の所縁
金額
の区分を
市町村民税
の簡易
税額
表の
所得金額
の区分に合わせることができるものといたしまして、実際に事務を処理する
市町村
の便宜をはかっております。法第三十七条第二項の
規定
でございます。 次に
税額控除
でございますが、
現行
の
所得税
と同じように、
納税義務者
が
障害者
、
老年者
、
寡婦
もしくは
勤労学
生である場合、または
納税義務者
に
障害者
である
扶養親族
がある場合は、
所得割
額からそれぞれ四百円を
控除
するものといたしております。この四百円は五千円に対する八%ということでございます。法第三十七条の二第一項の
規定
でございます。この場合の
税額控除
は、
原則
として
納税義務者
の
申告
に基づいて行なうことといたしましたことは、
市町村民税
の場合と同様でございます。 次は、
法人
の
住民税
の
改正
についてでございますが、
法人
の
住民税
の
非課税規定
の整理が中心でございまして、その他の
改正
は
規定
の
整備
にとどまっております。すなわち公益
法人
等につきましては、
現行法
上は
住民税
が
非課税
とされているものがございますが、これらにつきましても、収益
事業
を行なった場合には
住民税
を課することにいたしました。これらの
法人
は
法人税
法第五条
法人
でございまして、収益
事業
を行なえば
法人税
を
課税
せられるものといたしておるのでございます。この場合におきまして
住民税
を課する道府県または
市町村
は、これらの公益
法人
等の収益
事業
を行なう事務所または
事業
所所在の道府県または
市町村
とするものといたしております。法第二十五条、第二十四条第二項、第二百九十六条、第二百九十四条第二項の
規定
でございます。 また
各種協同組合等
につきましては、
現行
におきましては非出資組合である各種協同組合及び積立
金額
が出資総額の四分の一に達しない各種協同組合について、
住民税
を課さないものといたしておりますが、これらの組合には
法人税
が課されることといたしておりますので、
住民税
も同様に
課税
するものといたしました。なお、
法人税
において
課税
の特例が認められております再建
整備
中の農業協同組合、漁業協同組合、森林組合及びこれらの組合の連合会並びに
事業
協同組合及び協同組合連合会につきましては、附則第十条及び第三十五条の
規定
によりまして、現実に
法人税
が課されない限り
非課税
として、
法人税
と同様の取り扱いをいたしております。 次に
事業税
の
関係規定
の御説明を申し上げます。 まず
法人事業税
における
法人税
の
改正
との
関係
でございます。
法人税
におきまする
耐用年数
の改訂その他
所得計算
に関する
租税特別措置
の
改正
につきましては、その
改正
の
趣旨
にかんがみ、
事業税
においてもこれらの
措置
をそのまま
適用
するものといたしております。ただし、
法人税
における配当に対する
税率
の
軽減
及び
法人
が受け取る配当の一部益金算入の
措置
につきましては、その
性格
にかんがみ、
事業税
には
影響
を及ぼさないよう
改正
をはかっております。従って受取配当金は従来通り益金不算入となります。法第七十二条の十四第一項の
規定
でございます。 次に
法人事業税
に関して行なうことといたしております
改正
は、
非課税
法人
、公益
法人
、特別
法人
の整理でございますが、
法人事業税
における
非課税
法人
等の分類を
法人税
における分類と一致させるため、
規定
の整理を行なうことにいたしております。法第七十二条の四第一項、第七十二条の五第一項第四号、第七十二条の二十二第四項の
規定
でございます。 次は
個人事業税
において
雑損控除
を認めることにいたしました。すなわち、災害または盗難により
事業用資産
について
損失
を生じました場合に、その
損失
の
金額
が
事業
所得
の十分の一をこえるものである場合におきましては、当該
金額
を
事業
所得
の
計算
上
控除
し、なお
控除
し切れない部分につきましては、三年間に限り
繰り越し控除
を認めるということにいたしました。法第七十二条の十七第四項、第六項の
規定
でございます。 次は
個人事業税
の
基礎控除
及び
専従者控除
に関する
改正
でございますが、まず
個人事業税
の
専従者控除
額は、
所得税
の
青色申告者
については八万円、その他の者については五万円を
限度
として
所得
の
計算
上必要な経費とするものといたしております。法第七十二条の十八第二項の
規定
でございます。 これに伴いまして、
現行
の
基礎控除
の
名称
を
事業主控除
と改めますとともに、
金額
は
現行通り
二十万円に据え置いて、これを
事業
の
所得
の
計算
上
控除
するものといたしております。法第七十二条の十八第一項の
規定
でございます。 次は
法人事業税
の留保金
非課税
に関する
規定
でございますが、
法人税
と同様の取り扱いとするために、出資組合である
各種協同組合等
で積立
金額
が出資総額の四分の一に達しないものに対する
課税
の特例の
規定
を
租税特別措置
法における
各種協同組合等
に対する
法人税
の
課税
の特例の
規定
と同様の取り扱いとなるように改めるものといたしました。法第七十二条の十八第二項削除、附則第五十二条の
規定
であります。 そのほか
個人事業税
の賦課の方法に関する
規定
を
整備
いたしまして、本来不動産
所得
または
事業
所得
であるべき
所得
を他の種類の
所得
として
所得税
の
申告
をしている場合におきましては、これをそのまま
事業税
の
課税標準
としないで、道府県知事の調査によって
事業税
の
課税標準
を決定できるということにいたしております。 また
雑損控除
等を新たに設けましたことに伴いまして、
事業
の
所得
の
計算
上
控除
される諸
控除
等は
申告
に基づいて行なうこととし、これに伴い
事業税
の
申告
に関する
規定
を
整備
するものといたしております。法第七十二条の十七、第七十二条の十八、法第七十二条の五十五の
規定
でございます。 以上が
事業税
の
改正
の
内容
でございます。 次は不動産取得税でございます。 まず
法人
の
政令
で
定め
る分割による不動産の取得に対しては、
法人
の合併による不動産の取得の場合と同様に形式的な所有権の移転であると考えられますので、不動産収得税を
非課税
とすることにいたしております。法第七十三条の七第二号の
規定
でございます。 次に譲渡担保の設定及び解除に伴う不動産の取得については、法律的には所有権の移転という形をとりますが、経済的には債権担保の
目的
のためでありますので、その譲渡担保の期間が一年以内である場合は、
非課税
とすることにいたしております。法第七十三条の七第七号及び第七十三条の二十七の二の
規定
でございます。 また道府県知事が独自に不動産の
価格
を評価することができる場合に、増築、改築、損害のほかに、地目の変換がある場合を加えることにいたしております。法第七十三条の二十一第一項の
規定
でございます。 さらに新築住宅用土地の取得に対する不動産取得税の六十万円の減額
規定
を
適用
する場合に、次に申し上げます二つの場合を追加することにいたしました。法第七十三条の二十四第一項でございます。 すなわち第一には、土地を取得した者が土地を取得した日前一年の期間内にその土地の上に住宅を新築した場合でございます。 第二には、地方公共団体、日本住宅公団等から、いわゆる土地付建売住宅をその住宅を新築した日から一年以内に購入した場合、それらの場合に不動産取得税の
現行
規定
を
適用
することにいたしております。 次は
娯楽施設利用税
でございますが、
娯楽施設利用税
につきましては、まず法定の
課税
対象
施設の
整理合理化
を行なうことにいたしております。法第七十五条第一項の
規定
でございます。 具体的に申し上げますと、第一には釣堀とか貸し船場を法定の
課税
対象
施設から除外することにいたしております。第二には、法定施設以外の娯楽施設につきましては、道府県の自主的な判断によって、道府県の
条例
の
定め
るところにより
課税
することができることにいたしております。 次に
税率
でありますが、入場税及び
遊興飲食税
等の
税負担
との
均衡
上、
利用料金
を
課税標準
とする
税率
を引き下げることにいたしております。法第七十八条第一項の
規定
でございます。 すなわち、
ゴルフ場
その他これに類する施設等につきましては、
利用料金
の百分の五十を百分の三十に、その他の施設につきましては
利用料金
の百分の三十を百分の十五にそれぞれ引き下げることにいたしました。なお、学生、生徒または児童が運動競技施設を
利用
する場合に
適用
される
軽減
税率
百分の十の
規定
は、その
対象
施設がすでに
非課税
となっておりますので、削除することにいたしました。法第七十八条第二項削除の
規定
であります。 最後に、
ゴルフ場
の
利用
に対する定額
課税
の
標準税率
につきましては、
利用料金
が
現行
税率
をきめた当時に比べて相当高くなっておりますので、一人一日二百円を四百円にいたしております。法第七十八条の二第二項の
規定
であります。 次は
遊興飲食税
でありますが、
名称
につきましては、その
性格
と
内容
を的確に表現をし、簡明かつ理解しやすいものにするため、
料理飲食等消費税
に改めることにいたしております。 次に、
現行
免税点
につきましては、おおむね
大衆負担
の
軽減
という
目的
を達して、いると考えられますが、この際一そう
大衆負担
の
軽減
をはかるためその
引き上げ
を行なうことにいたしました。法第百十四条の四、第百十四条の五の
規定
でございます。すなわち、
旅館
における
宿泊
及びそれに伴う
飲食
につきましては、八百円を千円に、
飲食店
における
飲食
につきましては、三百円を五百円にそれぞれ
引き上げ
ることにいたしました。なお、
チケット制
の
飲食店
における
免税点
につきましても、百五十円を二百五十円に
引き上げ
ることにいたしました。 次は、
登録ホテル
または
旅館
における外人客の
飲食
、
宿泊
に対する
非課税規定
でありますが、一般に
消費税
についてかかる
特別措置
をとっている例がないこと、一般の
旅館
における外人客の
飲食
、
宿泊
に対しては
非課税
とされていないこと、またこの
特別措置
の創設理由である観光誘致による外貨獲得は、
登録ホテル
等の施設の充実によるべきであること等の理由により
廃止
することにいたしたのでございます。法第百十四条の二第二項を削除いたしました。ただ、すでになされております契約その他の事情を考慮いたしまして、附則第二十六条の
規定
によりまして、
昭和
三十七年三月三十一日まで経過的に存続させることにしております。 次に、
自動車税
でありますが、貨物
自動車
の
税率
につきましては、自家用、
営業用
を問わず、
事業
の用に供されている実態にかんがみまして、自家用と
営業用
の
税率
を統一することにいたしました。法第百四十七条の
規定
であります。すなわち、
トラック
につきましては
現行
営業用
は一万四千円、自家用一万五千円でありますのを、特に
道路
損傷度の高い車種についての
税率
の
引き上げ
を行なうという
税制調査会
の
答申
もありまして、いずれも
年額
一万五千円にいたしております。また三輪の
小型自動車
につきましては、
現行
営業用
は三千三百円、自家用は四千三百円でありますのを、いずれも
年額
三千八百円にいたしました。 次に三
公社
に対する
非課税規定
につきましては、
事業用
自動車
以外の
自動車
及び
固定資産
との
負担
の
均衡
を失しておりますので、
廃止
することにいたしました。 次は狩猟者税であります。甲種狩猟免許及び乙種狩猟免許を受ける者につきましては、三千六百円及び一千八百円の二種の
税率
でありますが、
現行法
によりますと、相当高額な
所得者
でありますたとえば
山林所得
を有する者等も低
税率
一千八百円を
適用
せざるを得ないことになっております。そこで低
税率
を設けました
趣旨
にかんがみまして、狩猟業もしくは林業を主たる生業とする者で
道府県民税
の
所得割
額を納付することを要しないもの、または農業を主たる生業とする者でもっぱら自家労力によってこれを行なうものに限ることとしたのでありますが、これはいわば
現行法
の欠陥を
整備
した
規定
であります。法第二百三十七条第二号の
規定
であります。 次は
固定資産税
でありますが、まず
都市ガス事業
の
拡充
に伴う
新設
の
償却資産
につきまして、
固定資産税
の
負担
の緩和をはかり、消費者の
負担
の増加を防ぐため、
ガス
事業
法の
規定
による許可を受けた
ガス
事業
春が、
ガス
事業
の用に供する
償却資産
で
ガス
の製造及び供給の用に供するものに対して課する
固定資産税
の
課税標準
を、その
償却資産
に対して新たに
固定資産税
が課されることになった
年度
から五
年度
分の
固定資産税
につきましては、当該
償却資産
の
価格
の三分の一の額とし、その後の五
年度
分の
固定資産税
につきましては三分の二の額とすることにいたしております。法第三百四十九条の三第三項の
規定
であります。 なおこの
特例措置
は、
都市ガス
普及第二次五カ年計画との関連を考慮いたしまして、
昭和
三十四年一月一日に
固定資産課税台帳
に登録されたもの、すなわち
昭和
三十三年一月二日以後において
新設
された
償却資産
に対しても、
昭和
三十六
年度
分の
固定資産税
から
適用
するものといたしております。附則の第四十三条の
規定
でございます。 次に、
外航船舶
との
関連等
を考慮いたしまして、内
航船舶
及び漁船に対して課する
固定資産税
の
課税標準
を、当該船舶の
価格
の二分の一、
現行
は三分の二でございますが、二分の一の額とすることにいたしております。法第三百四十九条の三第七項の
規定
でございます。 また
新設
大
規模償却資産
の
対象
に、新たに建設された一の工場または発電所のほかに
変電所
を加えますとともに、これらに増設された設備でこれらに類すると認められるものについても、
市町村
の
課税
限度
額をこえるものであれば、
新設
大
規模償却資産
として
固定資産税
の
課税標準
の特例を認めまして、府県と
市町村
との間の税源配分を明確にいたしたのであります。法第三百四十九条の五第一項の
規定
でございます。 次は、
軽自動車税
でございます。 まず三
公社
所有の
軽自動車
等につきましては、
自動車税
と同様に
非課税規定
を
廃止
することにいたしております。法第四百四十三条の第二項の
規定
でございます。 次に、
軽自動車
等に対して課する
軽自動車税
の
税率
でございますが、現在一律に
年額
千五百円とされております。しかし、最近特に増加してきた三輪または四輪の
軽自動車
について、
小型自動車
あるいは二輪の
軽自動車
との
負担
の
均衡
をはかるため、その
標準税率
を、二輪のものにあっては
現行通り
年額
千五百に据置きますとともに、三輪のものは二千円に、四輪のうち乗用のものは三千円、
貨物用
のものは二千五百円とすることに改めております。 次が
電気ガス税
でございます。 まず
非課税品目
の
整理合理化
を行なうこととしております。すなわち新たに亜炭、鉄鉱、砂鉄等十九品目を追加いたしますとともに、砂金、トリウム鉱等五品目を削除することにいたしております。法第四百八十九条第一項の
規定
でございます。 次に、
零細負担排除
の
趣旨
から新たに
免税点
の
制度
を設けまして、同一の需用場所において使用する定額電灯もしくは従量電灯または
ガス
の一カ月の
使用料金
が三百円以下の
電気
または
ガス
の使用に対しては
電気ガス税
を課さないものとし、
一般家庭用
の
電気
及び
ガス
についての
負担軽減
措置
を講ずることといたしました。なお
免税点
の算定の
基礎
となる
電気
または
ガス
の
使用料金
の支払期間が一カ月をこえる場合における
免税点
の
適用
につきましては、日割
計算
を行なうこととし、その料金を当該料金の
計算
期間の日数をもって除した
金額
に三十を乗じた
金額
をもって一カ月の料金とすることにいたしております。法第四百九十条の二の
規定
でございます。この
規定
によって徴収員と家庭とのトラブルを少なくいたしたのでございます。 次が
軽油引取税
の
関係
でございますが、新
道路整備計画
の
財源
の充実をはかりますために、
軽油引取税
の
税率
を一キロリットル一万四百円から一万二千五百円に
引き上げ
ることにいたしております。法第七百条の七の
規定
でございます。 次に、脱税の防止と
課税
の
均衡
をはかりますために、特約業者または元売業者以外の販売業者が軽油に軽油以外の炭化水素油を混和し、または軽油以外の炭化水素油と軽油以外の炭化水素油を混和して製造された軽油を販売いたしました場合には、その販売量から
課税
済み部分を
控除
したものを
課税標準
として
軽油引取税
を
課税
することといたしております。法第七百条の三の
規定
であります。 次に、
免税軽油
の
範囲
につきましては、産業の発展等に即応いたしまして、
道路
と直接
関係
のない軽油を使用する場合につきまして、これを
拡充
合理化
することにいたしております。法第七百条の六の
規定
でございます。 最後に、災害等により
軽油引取税
の全部または一部を受け取ることができなかったときは、納税義務を負わせることが必ずしも適当でないことが多いので、このような場合には特別徴収義務者の納税義務を免除することができることにいたしております。法第七百条の二十一の二の
規定
でございます。 次に、
国民
健康保険税でございますが、
市町村民税
の
課税方式
の
改正
に伴いまして、
国民
健康保険税の
所得割
額は、
所得割
総額を
ただし書き方式
による
課税
総
所得金額
、
課税
退職
所得金額
及び
課税
山林
所得金額
の合計額に按分するものとし、この
方式
によることが著しく困難である場合は、
本文方式
による
課税
総
所得金額
、
課税
退職
所得金額
及び
課税
山林
所得金額
の合計額または
市町村民税
の
所得
制額に按分して算定することにいたしております。これは
住民税
の
規定
の
改正
に伴う健康保険税の
規定
の
整備
でございます。 以上のほか、
住民税
の実質
課税
の
原則
の
規定
に対応する総則
規定
の整理、
法人
住民税
及び
法人事業税
の
申告制度
、延滞金の
計算方法
、
個人
住民税
、
固定資産税
の一時徴収の
制度
の
合理化
を行なう等、各税目にわたって
所要
の
規定
の
整備
を行なうこととしております。 最後に施行期日等に関してでございますが、
個人
の
住民税
及び
個人
の
事業税
は
昭和
三十七
年度
から、その他のものは
昭和
三十六
年度
から
実施
することといたしましました。 また
名称
の変更、
免税点
の
引き上げ等
の
遊興飲食税
に関する
改正規定
及び外人客に対する
料理飲食等消費税
の
非課税
に関する附則の
規定
は、
昭和
三十六年五月一日から施行することといたしております。
登録ホテル
または
旅館
における外人客の
飲食
、
宿泊
に対しましては、すでに申し上げました通り、
昭和
三十七年三月三十一日までの間は、
料理飲食等消費税
を課さないことといたしております。これは附則第二十六条の
規定
でございます。
電気ガス税
に関する
改正規定
は、今回の
免税点制度
の創設に伴う電力会社及び
ガス
会社の事務処理上の準備期間等を考えまして、
昭和
三十六年六月一日以後の分、特別徴収にかかる
電気ガス税
にあっては同日以後において収納すべき料金にかかる分、つまり消費者にとっては五月分から免税の
規定
を
適用
する、こういうことにいたしております。これは附則第四十三条の
関係
の
規定
でございます。 以上が本
改正
法案の要綱細目の
内容
でございます。
濱田幸雄
6
○
濱田委員長
以上をもちまして、
政府
の
提案理由
及び
補足説明
は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
濱田幸雄
7
○
濱田委員長
消防組織法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。川村
継義
君。
川村継義
8
○川村(継)
委員
消防組織法
の一部を
改正
する
法律案
に
関係
しまして、二、三お聞きをしておきたいと思います。 実は、消防
関係
の問題につきましてはずいぶん問題があるのでありまして、ほんとうはもう少し当
委員会
としても各種の問題を一緒に審議、検討すべきではないかと常日ごろ私たちは考えておりましたが、なかなかそういう時間がうまく見出せませんし、今日に及んでしまったわけでありますが、特に消防庁が自治省の外局として組織がえをされました後には、
委員会
としてもあまり消防
関係
の問題を論議していないように私は思います。先ほども申し上げますように、お聞きしなければならぬことがたくさんありますけれども、きょうは時間もだいぶたっておりますし、ほんの二、三点についてお聞きをしておきたいと思います。 何かこうとっぴなことを聞くようですけれども、長官、消防庁が国家公安
委員会
のもとにあったときからはずれて自治省の方に移ってこられた、その組織がえと申しますか、それは
運営
の上から考えても、あるいはその他のいろいろ行政上の問題から考えても、どのような利便と申しますか、出ておりますか。あるいは何か前よりも工合が悪いということがありゃしませんか。前よりもこういうところが非常によくなったということがあるだろうと思いますけれども、そういう点がありましたらちょっと話していただけませんか。
鈴木琢二
9
○鈴木(琢)
政府
委員
昨年七月国家消防本部が改組されまして、自治省の外局としての消防庁になったのでありますが、御承知のように消防は
市町村
自治体消防であります
関係
上、地方自治体の一般の指導に当たっております自治省の外局になって、自治省の内局と緊密な連絡をとれるようになりましたことは、
財政
指導の面からいきましても、行政指導の面からいきましても、いろいろな便宜が生じております。
川村継義
10
○川村(継)
委員
前に比べて困るというところはありませんか。
鈴木琢二
11
○鈴木(琢)
政府
委員
困るという面はほとんど考えられません。
川村継義
12
○川村(継)
委員
大へんけっこうだと存じます。そこで、今度提案なさっております
消防組織法
の一部
改正
の法律の中には、その一つとして次長を置くということが出ておりますですね。前には次長
制度
はなかった。それを次長を置かねばならないということは、言葉には「長官を助け、庁務を
整理
する。」とありますけれども、大へん前に比べて今はいろいろの点で利便が出てきておるというお話でありますが、以前は次長がなくてずっと消防行政をやってこられた。今度次長を置かなきゃならぬということになったのは一体どういうお考えでございましょうかね。
鈴木琢二
13
○鈴木(琢)
政府
委員
従来は国家消防本部長のもと、現在は
消防庁長官
でございますが、そのもとにすぐに課長という組織になっておりました。ところが、私どもの消防庁の仕事の
内容
がだんだん複雑になって参りまして、特に一昨年御
改正
を願いました危険物
関係
の消防法の
改正
、昨年
改正
いただきまして、間もなく
実施
されます消防法の一部
改正
というような、相当重要な
改正
をこの数年来やっております。それらの
関係
におきましては、各省
関係
とのいろいろな仕事の密接な
関係
が出て参りまして、その折衝等の仕事が大へんふえて参りました。そういった問題、それから従来消防講習所であったものが一昨年消防大学校に昇格して
内容
が
充実
されたというようなこと、それから消防研究所が付置機関として、これも相当重要な仕事を持っておるというような
関係
から、内部の指導、指揮にいたしましても、外部
関係
省庁との連絡等から参りましても、
消防庁長官
だけでは十分その用が足せませんので、それを補う意味におきまして次長を設けた次第でございます。
川村継義
14
○川村(継)
委員
よくわかりました。私は実は、以前次長制がなくても十分な消防行政の
運営
ができておる、それを今度次長
制度
を作ろうとなさるのについては、これは相当な根拠がやっぱりあるだろう、前にやってきたものが、今日次長制がなくてもやれないはずがないのじゃないかと一応疑ってみたのですけれども、今あなたのお話で聞きますと、いろいろ消防講習所が大学になったとか、あるいは各省との
関係
、連絡等も非常に業務の上で複雑になったとか、消防の行政の業務が非常にたくさん出てきた、特に明日からは昨年の
改正
に伴う施行令の全面
実施
ということになりますので、非常に大きな仕事があるということであれば、よくその理由はわかるのでありますけれども、ただ、これはあなたに申し上げるわけじゃありませんけれども、昨年から非常に次長という
制度
が作られてきた。ということになりますと、やはりあなた方の方の何かポストの問題としてこれが取り上げられてきたんではないか、いわゆるそういうような一つの役職という面から出てきたんじゃないかという疑いも持つわけです。こういうことは、やはり将来自治省としても十分一つ慎重にやってもらわなければ、
国民
に不信を起こすようなことがあってはならぬ、こう思うわけです。余分な、言葉になるかもしれませんが、地方官庁あたりを考えますと、いわゆる役職というのは非常に少ない。そこに、今度の公務員の給与改定等についても非常に問題が出ておるのは御存じだと思います。本庁
関係
では非常に役付が多い。だから給与の
実施
にあたっても、頭打ちというような、俗にいうそういうのが出てこない。ところが地方官庁ではそういうのが少ないのですから、給与の面におきましても、頭打ちという、いわゆる何年たっても一定の給与にストップしておらなければならぬ、上の方に昇格しなければ給与の上昇がないというような状態が非常に出てきておる。これは地方の公務員の給与の運用の上からも大問題となって、今日大きな課題となっておるわけですから、そういう点を考えると、やはり本庁におきましても、その辺のところは十分配慮いただかなければならぬのじゃないかと思いまして、お尋ねをいたしておくわけであります。 それでは次にもう一つお尋ねいたしますけれども、そうして皆さん方の努力で、機構の
充実
整備
はできていく、いろいろ前進をいたしているわけでありますけれども、今日の消防行政の上から考えても、特に火災の現状というものは一体どういうふうになっておるかということをお聞かせおきいただきたいと思います。つい先日配付していただいた「
地方財政
の状況」の百八十九ページに、火災発生状況という表がありますが、これを見ますと、これは三十四
年度
の分まで書いてあるわけでありますけれども、残念ながら、火災の発生件数は年々上昇をたどってきておる。しかもその損害額もずっと高いところにある。こういうことを考えて参りますと、せっかく機構の
整備
はできていく、いろいろ法律
改正
は出ていく、しかし火災の件数等が少なくならない、上昇をたどるということは、ちょっとこう、われわれしろうとの立場からしても、矛盾を感ずるわけですね。これは非常に問題だと思いますけれども、まあそれはそれといたしまして、ここには三十四
年度
までの表が出ているわけですが、三十五
年度
等の状況、あるいはそれに
関係
いたします今日の現状というものをお聞かせいただきたい。
鈴木琢二
15
○鈴木(琢)
政府
委員
お話にありましたように火災件数は年々増加いたしております。まことに遺憾に存ずる次第でございますが、これはいろいろ原因があろうかと思いますけれども、消費経済が拡大されて生活がいろいろ文化的になると申しますか、火災要因が一般の生活に非常に多くなっておる
関係
で、非常に文化が発達して、かえって火災が多くなるというのはおかしな現象ではございますが、大体そんな原因から火災の件数が毎年ふえてきておるのじゃないかと観察されるのございます。しかし件数はふえて参りますが、損害額は年々減って参っております。これは統計もございますように年々減って参ってきておるわけでございます。大体三十五
年度
も、まだ全部は計数が出ておりませんが、三十五
年度
もやはり同じような傾向をたどっております。これは結局消防の施設が
充実
してきたということと、それから消防と一般
国民
の連絡と申しますか、一般
国民
の消防に対する認識も深まってきて連絡が非常に早い。従って大きな火災にならずにぼやでみんな済ましておるというととがそういう結果を来たしておるものと見られるのであります。そういうことで件数はどんどん——まあどんどんと申しますか、相当ふえる傾向にあるわけでございますが、損害額は年々、ことに最近は大火というようなものがありませんので、年々相当大きな幅で減っております。そういう結果になっておるわけでございます。
川村継義
16
○川村(継)
委員
ちょっと今のに付随してお聞かせ願いたいと思いますが、地方における各
市町村
の消防の間の連携、消火等の
計画
あるいは行動における連携、こういうのはいつか非常に問題になって、各地に問題があったようでありますが、その辺についてはずいぶん指導もいただいてだいぶん密接な連絡ができるようになっておるようでありますが、どうしても私、もう一つお聞きしたいと思いますことは、ある町に一つの大きな工場がある。工場には工場の私設の消防を持っているわけです。その町には町の消防がありますね。実に残念なことですけれども、その工場の近くの町に火災が起こったというときに、私は工場の中の消防の人がさっと持ち場にはついてポンプの用意まではしたけれども、その町の民家の消防に手を出さなかったという事実を知っているわけですね。その工場の人たちがばっと飛び出して行って消火に努力してくれれば、その火災は最小限に済んだのじゃないかと思われますけれども、まあ工場の人たちは門から出なかった。こういう事実がありますが、これはいろいろ工場の内部の問題もありましょうし、それを無理やりに協力せよといっても、それはあるいは法の上から考えても問題がやはりあると思いますが、そういうものの何かうまい連携というものは考えられておりませんか。私がどうしてだろうと思って疑っておる一つの問題は、おそらく消防団員に対する公務災害の補償等にもこれは
関係
があるのじゃなかろうかと思ったのですが、この点はいかがでございましょうか、あわせてお話し願いたい。つまり工場の消防はもしもその工場の消火に努力をして、不幸にして障害を受けたというときには、相当高くやはりこれは補償を工場が出すと思う。ところが町村に出ていってもしもけがなどした場合に、これはこちらの方の災害補償の
対象
になるかもしれません。微々たるものであるからというような打算的なものがやはりからまっているのじゃなかろうかというふうにも見るのですが、そのような事例に即して工場消防と一般の町村の消防との連携というのは全然指導がなされていないのかどうか、あるいは将来どういうふうにそれをしていくべきであるかというような問題と、私が疑って、おるやはり公務災害の補償額との問題にそういう基因がありはしないか、こういう点についてちょっとお話し願いたい。
鈴木琢二
17
○鈴木(琢)
政府
委員
ただいま御指摘の工場会社等の自衛消防隊と公設消防との連絡の問題でございますが、自衛消防隊はおそらくこの四月一日から消防法の
改正
施行令が
実施
されますと、非常にふえてくる傾向になるのじゃないかと考えられます。御指摘の自衛消防隊と公設消防との連絡とか、協力
関係
というものは今後ますます重要な問題となってくるかと思うのでございます。おおむね今日まで作られております自衛消防隊、近くの例ではたとえば日光の古河電工とか、あるいは日立市の日立製作所の自衛消防隊が相当りっぱな自衛消防隊を持っておりますが、これらの自衛消防隊は、その市の消防本部と十分な連絡をとりまして、協力
関係
あるいは火災時の活動の連携
計画
というようなものをはっきりと立てておりまして、相当綿密な連携活動をいたしておるようでございます。もちろん全部が全部そんな理想的にいっているわけではございませんので、今後自衛消防隊と公設消防との連絡
関係
は十分研究し、またその方向に指導を強めていかなければならないかと存じております。公務災害の問題で、これは一つ一つのケースについて見ますと、いろいろな問題があろうかと思いますが、公務災害補償責任の
関係
におきましては、当然そういった公設消防と連絡をとり、また協力契約を結んでおりますので、当然消防庁の要請に応じて協力するということになりますれば、公務災害補償の
関係
におきましては協力者としての補償を受けるわけでございます。またもしもその自衛消防隊の所属する会社が特別な補償
規定
があって、それの出す額がよけいだということになれば、当然その協定とも関連いたしまして多い方をとるというようなことにおおむねなるのじゃないか、これは一つ一つのケースについて違うかと存じますけれども、今後そういった問題につきましてもよく注意いたしておきまして、ただいま御指摘のような原因のために協力
関係
が思うようにいかぬということがないように、一つ十分気をつけていきたい、さように考えております。
川村継義
18
○川村(継)
委員
今の自衛消防と町村の消防との連携の問題、もしもその原因の中に災害補償等の差等の問題等があった場合、これは大へんだと思います。これはぜひ一つの大きな問題点としてこういうところからやはり手をつけていただくということを一つやってもらいたいと思います。 そこでちょっとお聞きいたしますが、ことしのあなたの方の予算を見ると、今の公務災害補償のあの基金でございますか、あれは減額されておるようでございますね、これはどうしたわけでございましょう。
鈴木琢二
19
○鈴木(琢)
政府
委員
これは前
年度
、三十五
年度
は伊勢湾台風による特別支出の補充の
関係
がありまして、臨時に増額されたものでございますので、その
関係
でことしは比較すれば減少しておるわけでございます。 〔
委員長
退席、中島(茂)
委員長
代 理着席〕
川村継義
20
○川村(継)
委員
これは現在、今までやってこられた
金額
で支障はないと一応考えておいてよろしゅうございますね。
鈴木琢二
21
○鈴木(琢)
政府
委員
さようでございます。
川村継義
22
○川村(継)
委員
ことし
消防組織法
の一部
改正
で、新しく「非常勤消防団員が退職した場合における報償の
実施
に関する
事項
」というのを、あなたの方の職務
内容
として盛り込んでおられるわけでありますけれども、この報償
実施
に関して、報償はあなたの方でおやりになるのでございますか、あるいはそれぞれの
市町村
の消防団でやるのでございますか。予算には七千万円程度たしか組んであったかと思うのでありますが、この七千万円というのは補助金でございますか、あなたの方でおやりになればあなたの方の報償金でございますか。
鈴木琢二
23
○鈴木(琢)
政府
委員
これは国の直接の報償でございまして、消防庁で取り扱うものでございます。
川村継義
24
○川村(継)
委員
町村の消防でやるのに対する補助金でなくて、あなたの方で直接おやりになるわけですね。七千万円というのはおそらく積算の
基礎
というのか、それがあると思いますが、どういう
計算
をなさっておられるわけでございますか。
鈴木琢二
25
○鈴木(琢)
政府
委員
大体現在
計画
いたしておりますのは、消防団員は普通ざっと百七十万といっておりますが、そのうちで約一割が年々更新されております。その一割の十七万ばかりのうちで、十五年以上勤続してやめる者が、ここ三年ばかり統計をとってみたのでございますが、年々三万八千人ばかりございます。この永年勤続して退職した消防団員に対して、その退職の際に報償を出す。こういうことで、大体十五年以上というのがちょうどいいところのように考えられますので、十五年以上勤続して退職する者に対して、その退職の際に二千円見当前後の銀杯を賞状に添えて、国として長い間御苦労だったという意思表示をして感謝の意を表する、現在こういう構想でおります。
川村継義
26
○川村(継)
委員
わかりました。今の報償というのはそういう意味ですね。一人二千円ぐらいの銀杯をやる。私はまた、何か特別の非常に感謝の真心を込めた相当なものがいくかと思っておりましたが、じゃ大体今までやってこられました表彰式のときに心づけを出すという程度だと考えて間違いないわけでございますね。しかし、ないよりもいいかもしれませんが、ただ私が御配慮願いたいと思いますことは、いろいろ法律
改正
もできておるし、今度そういう
制度
が設けられるということは、決して否定すべきことではございませんけれども、何かだんだん、そのように全国の消防団を動かす場合に、あなたたちの方で集権的と申しますか、そういう機構にまで組み上げていく、これはちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、そういう考え方でこの報償
制度
等が設けられるということになりますと、事は簡単ではないのじゃないかと私には受け取れるわけです。法令の
改正
やらあるいは今のようなやり方が、そういう意味でやられるということになりますと、これはやはり十分考えていただかなければならぬのじゃないかと私は考えます。皆さん方に非常に努力はしてもらっておりますけれども、やはり消防というものは、私たちから見ましても、ほんとうに
計画
的な、そして慎重な消防
計画
というものがあって、しかも即応できるような即効薬と言っては語弊がありますけれども、訓練そのほか、その事態に即応できるところの態勢を作るというようなことが消防の実績を上げるゆえんではないかと思います。法令をいじくったりあるいは次長を置いたりというようなこと、これが不都合だとは決して言いませんけれども、それで消防の
目的
が達せられると考えてはならないと私は思うわけであります。そういう意味合いにおいて、やはり次長をお置きになったらそれだけの実績が上がるように、十分なる検討を願わねばなりませんし、報償
制度
が設けられるならば、それが何年か後に全国の消防をあなたの命令一下で自由自在に動かせるような、その素地を作るのだということに決してならないように、ぜひお考え願いたい、このように思うわけであります。 そこでもう一つは
財源
の問題でございますが、資料によりましてちょっと見てみますと、「
昭和
三十四
年度
消防費の状況」というのが載せられておりますが、一般
財源
が非常に大きいわけであります。今日の
市町村
は消防
関係
に非常に大きな
負担
をしておるということは御存じのことだと思います。ところが、こういうものにも全然出てこない
住民
の
負担
が非常に大きいということもおそらく御存じであろうと思います。これをこのままにしておいてはならないということは、これは
地方財政
計画
等の問題にからんで本
委員会
でもそれぞれの
委員
から指摘されているところであります。これについて消防庁の方としては一体どういうお考えを持っておられるのか、お聞きせねばなりません。こういうようなやり方でいいかどうか。こういうように一般
財源
が非常に大きいという状態をこのままにしておいていいかどうか。
財源
の方はこうしておいて、先ほどもちょっと申し上げましたように、法令をいじくったり、あるいは報償
制度
に先に手をつけるというようなこと、これを悪いとは言いませんけれども、そういう考え方でいいかというと、大きな問題だと思われますので、長官のお考えをこの際お聞かせいただきたい。
鈴木琢二
27
○鈴木(琢)
政府
委員
市町村
の消防
財源
が一般的に非常に少ないということはわれわれも遺憾に思っておるのでございます。大体消防費は年々
市町村
の総予算額の三・六%ないし三・七%程度でございまして、この割合からいいますと欧米等に比べて非常に少ない。従って消防の
整備
に非常に遺憾の点があるという現状で、まことに遺憾に存じておるわけであります。その
市町村
の消防費の総額はおおむね二百六、七十億というのが普通でございますが、それのほとんど大
部分
を交付税による一般
財源
が占めておるわけでございます。そのほかあるいは国庫補助あるいは起債というようなもので、
市町村
の消防
財源
を
充実
するように努力はいたしておりまして、年々ふえてはきておりますが、まだまだ不十分な点がございまして、今後ともそういった
財源
の
充実
、
整備
の強化というものにあらゆる面から努力していきたい、さように考えておる次第でございます。
川村継義
28
○川村(継)
委員
これはやはりおろそかにしていただいては困る問題だと思います。本年もあなたの方の予算の中に、消防施設
整備
の補助に必要なお金は三千万円程度増額されてはおるようでありますけれども、これではもの足らない。今の
地方財政
の状況の資料を見ましても、消防施設の現況というところをちょっと見ただけでも、昔のような簡単なポンプからだんだん動力のポンプに非常に大きく移行しようとしておる。そうすると、手押しのポンプというものはほとんどなくなって、相当高い消防ポンプを購入しなければならぬ状態になっておりますし、そのことはそれだけ消防力を強めていくわけですから、施設にわずか三千万円ぐらい増額されたからといって喜べないわけでしょう。施設の推移から見ると、実に微々たる
金額
にしかならない。そうなると、消防施設費の大
部分
というものは、私たちもはだに感じて知っているわけでございますけれども、みなその
住民
の直接
負担
にかかっている。火を消したり自分の家を守るのだから、自分たちで金を出してもいいじゃないかとおっしゃればそれまでですから、そのことにはおそらく御賛成にならぬと思いますけれども、このような消防の活動、消防力を強めるということには国が当然それだけの
財源
を見てやるという責任があると思います。その点はぜひ一つ今後とももっともっと努力していただかなければならぬと思うのです。これは何年前でございましたか、私申し上げたことがあるのでありますが、全然今日まで手をつけられていない。消防施設強化促進法、これに基づいて
政令
があるわけであります。国の補助の
対象
となる消防施設を
定め
る
政令
、これは二十八年でございましたか、作られたまままだ
内容
はそのままじゃないかと私は思うのです。これは
改正
なさいましたか。
鈴木琢二
29
○鈴木(琢)
政府
委員
二十八年に設けられました促進法の強化
充実
につきましては、補助
対象
を多くするということと補助率を多くするということについて年々努力いたしておるのでございますが、いつも予算折衝において思うようになりませんで、補助総額はふえておりますが、補助の
内容
において、その率とか補助の
対象
については、その法律ができた当初から全然変わっておりません。
川村継義
30
○川村(継)
委員
それがやはり先ほどからも申し上げますように、私非常に残念に思いますので、皆さん方に努力してもらわなければならぬと思います。今の
政令
を見ましても、機械器具、設備の二つの項目に分かれております。その機械器具の中に「消防ポンプ
自動車
、手引動力ポンプ及び小型動力ポンプ」これだけあげてある。設備に「火災報知機、消防専用電話装置及び防火水そう」こういうふうに書いてある。私が何年か前に特に強くこういう点で要望したのは、設備の中に火災報知機等についてもちゃんと補助が出るようになっているから、
市町村
の消防の火の見やぐら、こういうものについてもやはり国の補助の
対象
にした方がいいのじゃないか、こういうことを私は申し上げた覚えがある。これは火災報知機も、村に立っておる半鐘を打ち鳴らして知らせることも、実質は同じだと解釈しておる。そういうようなものをこのまま補助
対象
に入れないでおきますから、今日火の見やぐらを作るにしても相当な費用がかかる、それをみんな
住民
が
負担
しておる、こういうことでございます。もちろん国の予算折衝であなた方が苦労して、少しくらい増加したけれども、なかなか補助の率とか
範囲
を広げるわけにいかぬとおっしゃっておられますけれども、そういう点はもう少し実態をよくお調べいただいて、補助の
対象
にしていただく必要があるのではありませんか。そういう点について
政令
の
改正
はお考えいただけませんか。
鈴木琢二
31
○鈴木(琢)
政府
委員
私どももこの補助の
対象
をふやし、また率を上げるということを心から念願しておることは、先ほど申し上げた通りでありますが、三十六
年度
の予算折衝の際にも十年
計画
、ものによっては五年
計画
でございますが、
計画
に基づく補助金、当初事務的には十七億ばかり要求いたしたのでございますが、結果としては六億八十という程度にとどまったわけでございます。今後なおこの増額につきましてはたゆまず努力していきたいと考えます。お話のありました望楼あるいは庁舎等につきましても、相当補助を出したいという気持はあるのでありますが、今申し上げましたような事情でそういうところにまで補助の
対象
を伸ばしていくことが非常に困難な
実情
にございます。望楼とか庁舎とかはそういった
関係
で起債の方でめんどうみるということで、さしあたりはやっておるような状況でございます。
川村継義
32
○川村(継)
委員
それは消防庁はちょっと実態を御存じないと思うのです。起債となりますと、やはり町村の役場がやらなければならぬ。ところが火の見なんというのは村や町に一つあって済むわけじゃありませんし、いなかになれば特に町村合併等で広い区域になっておるし、やはり部落なら部落、町内なら町内にそれぞれ火の見やぐら等は必要になってきておるのです。そんなのを役場に頼んでも起債のあれにはしてやりません。そういうことはくどくど申し上げる必要はありませんけれども、うんとがんばっていただかなければならぬ。またつまらぬことを申し上げるようですけれども、次長さんをお作りなさるその熱意と同様に、それ以上にこちらの方にがんばっていただかなければならぬと思います。 先ほど
財政
のことをちょっとお聞きしましたが、
財政
課長にちょっとお聞きしたいのです。今度の
財政
計画
、交付税の
算定
において、消防は
市町村
関係
で大体その増加を十億くらい見ておられるようであります。
市町村
関係
の消防団員の報酬及び出動手当の改定に伴って十億くらいの増加を見ておられるようであります。これの積算の
基礎
といいますか、それはどういうふうになっておりますか。
松島五郎
33
○松島
説明
員 消防団員の報酬並びに出動手当の改定を考えております。団員の報酬につきましては、
昭和
三十五
年度
におきましても、待遇改善の意味から積算の
基礎
になる単価の改定を行ないまして、一般職員等の給与改定等の事情もございますので、再び明
年度
におきましても改定を行ないたいということで考えております。具体的に申し上げますと、団長が現在積算単価が九千円になっておりますのを一万円、副団長が七千円を八千円、分団長が四千円を、五千円、それから班長を千円から千五百円、消防職員を七百円から千円というようなことを考えております。また出動手当につきましても、出動回数を現在年六回見ておりますのを十回にいたしたい、こういうようなことを
計画
いたしております。
川村継義
34
○川村(継)
委員
消防職員を一名増加する、これもその一考だと思います。それから非常勤消防職員の報酬、これは今お話しのように、団長さんが九千円が一万円になるそうですが、これはあまり大きなベースアップでない。それから出動手当、これは今まで年六回だったのを十回にする。
消防庁長官
、この出動の十回というのは、一体現実にはっきり合っておりますか。
鈴木琢二
35
○鈴木(琢)
政府
委員
出動回数、これは実際の火災の場合、それから訓練出動、全部を入れて
計算
しますと、地方によって非常に違いますけれども、年に十回なんということは普通はないわけでございます。ただ出動と一応いいましても、時と場合によっていろいろな意味の出動がある。それを的確に年何回、二回とか三回とかいうことをつかむことは非常に困難でございます。もちろん私ども今十回で十分だとは思っておりませんが、今後とも出動回数の問題につきましては、それから出動手当の問題につきましても、十分
実情
を検討して、改善を加えていきたい、かように考えております。
川村継義
36
○川村(継)
委員
十回で多過ぎるとおっしゃったり、足らないとおっしゃったり、はっきりしませんが、もちろんこんなのはそんなにたくさんあってくれたんではたまったものじゃありません。なるたけ少ない方がいいかもしれませんが、これは十回、この辺でよかろうということで、ほんとうに実績をお調べになって考えておられないように私は思われます。そこで
財政
課長にちょっと聞きますけれども、一回の出動は一体幾らと見ておりますか。
松島五郎
37
○松島
説明
員 一回の出動手当の額につきましては、実態調査等を参考にいたしまして、昨年たしか七十円であったのを百円に
引き上げ
ております。その後それは実態調査をもとにして是正をいたしましたので、本年も据え置きとしております。
川村継義
38
○川村(継)
委員
長官、火事があって一ぺん出ていった。その手当が百円、どうでございますか。これは百円ずつ出し合って、機械でも洗ったら、そのあとで一ぱい飲むというそれだけの酒代にしかならないのですが、いかがです。
鈴木琢二
39
○鈴木(琢)
政府
委員
消防団員の出動手当、その他の年手当にいたしましても、今日の社会情勢から申しますと、まことに低い感じがいたすのでございますが、大体消防団というのが義勇消防という考え方で発展して参った
関係
で、今日から見れば、結果的には必ずしもいいことばかりではない、そういったまことに工合の悪い面も出てきておるわけでございますが、そういった義勇消防という考え方で、無報酬で働くんだという考え方で発達して参りましたために、今日でもそういう状態に置かれているのじゃないかと思うわけでございます。しかし今日の社会情勢に適合した処遇を考えなければいかないと私ども常日ごろ考えておりますので、今後ともこういった出動手当とか年手当とかばかりでなしに、全般的に消防団員の処遇改善についてはあらゆる面から努力していきたい、さように考えております。
川村継義
40
○川村(継)
委員
どうもふに落ちないというか、欠点だらけのようなことが目について仕方がありませんが、ことしの単位費用の
引き上げ
でも、わずかに四十三円くらいの交付税の単位費用の
引き上げ
になっております。これはおそらく
財政
課の方では、今のように十回とかあるいは団長の九千円を一万円にするとか、そういうものをずっと積み重ねてはじかれたと思いますけれども、すでにこの
基礎
そのものの中に非常に大きな問題が残っているということをはっきりわれわれは知らねばならぬ。そうして義勇消防で発達したとか何とかいう理屈であれば、今度の
改正案
に出て参りますような「消防団員の階級の基準は、消防庁が準則で
定め
る。」というようなことは、おやめになった方がいいのじゃないか。こういうことが出てくると、私はまた、さっき言ったように、法令
改正
とか何かは皆さんの方で非常に統括しやすい形に持っていって、やるべき団員の報酬とか、そういうものについては全然努力がなされていない、こう言わざるを得なくなるわけです。こういう点は長官、十分お考えいただきまして、自治省と一諸になって努力していただきたい、このように考えるわけです。私はこれで終ります。
中島茂喜
41
○中島(茂)
委員長
代理 二宮武夫君。
二宮武夫
42
○二宮
委員
時間がありませんので、関連して簡単に御質問申し上げます。政務次官にお尋ねしておきたいのでありますが、実は三月の十九日に荒木文部大臣が大牟田に参りまして、昨年の国会で通りました
地方財政
法の一部
改正
の法律の中におけるPTA
負担
その他の問題については、これは法律で三十六年の四月一日から効力を発することになっておるけれども、そういう法律通りにはいかないのだということを、記者会見で発表している事実があるわけです。これは文部大臣にじかに私は
説明
してもらわなければならぬと思いますが、法を守る閣僚の立場におって、こういうことはまことに不謹慎な言葉であると思うのですが、自治省としての所管の問題でもございまして、特に昨年の審議状況を見ても、第三項では
市町村
が持つべき
負担
でこれを
個人
に持たしてはいけないということを重点にしてこの法案は成立しているように思うわけですが、この点はもしそういうことを荒木文部大臣が言ったとすれば、当然波及するところが非常に大きいわけですが、政務次官の見解をお尋ねしておきたいと思う。
渡海元三郎
43
○渡海
政府
委員
三月十九日に文部大臣が大牟田で発言された言葉がどういう意味で言われたか、私ただいまお聞きするのが初めてでございまして、この点につきましては申し上げかねるのでございますが、昨年
財政
需要額の中に九十億に上るところの税外
負担
解消のための
財源
を付与いたしまして、行政指導の面におきましてこれを指導して参りました。法定化しましたのも、従来のものをそのまま
実施
に移すことがなかなか困難であろうと思いますので、一年の期間を置きまして、三十六
年度
からの
実施
ということで、同時に
財政
法の
規定
もしたのでございます。私たちは三十五
年度
における行政指導の実績に照らしまして、ぜひこの
財政
法の
規定
が的確に行なわれるよう指導して参りたい、かように考えております。
二宮武夫
44
○二宮
委員
ちょっとこの点確認しておきたいんですが、松島
財政
課長にお尋ねしますが、
市町村
の人口一人当たりの消防費の
改正
された単位費用は幾らになっておりますか。
松島五郎
45
○松島
説明
員 三十五
年度
が二百五十二円三十銭、三十六年が二百九十五円三十九銭、差し引き四十三円九銭の増となっております。
二宮武夫
46
○二宮
委員
消防庁の長官にお尋ねいたしますが、私もらいましたのはずいぶん古い
昭和
三十三
年度
の決算をもとにした資料しかないわけでありますが、特にその中で中小都市二十における消防の人員に対する調査の結果が出ているわけでありますが、これで調べますと、大体基準に照らして六千人程度の人が足りないという統計が出ておるわけですが、これを御存じですか。
鈴木琢二
47
○鈴木(琢)
政府
委員
基準と実員との
関係
はお話しの通りでございます。
二宮武夫
48
○二宮
委員
これはたまたま二十の中小都市に例をとった統計でございますが、こうした基準で参りますと、全国的に考えますときに、不足人員数というのはどうのくらいに把握しておりますか。
鈴木琢二
49
○鈴木(琢)
政府
委員
現在の消防職員は全国で三万五千人余りございますが、大体われわれの考えております基準から申しますと、まず半数と申してもいいのではないかと思っております。
二宮武夫
50
○二宮
委員
最も新しい消防庁における統計で、そうした人員の問題あるいは施設の問題それから出動回数、今出動回数というのは、火事のときだけの話をしておりましたが、私は、予防、査察という火事の起こらないときにもやはり出ていかなければならぬと思うのです。そういうものをも適宜に配当を考えまして、一番新しい計数で一人当たりどのくらいのお金が要るという
計算
ができておりますか。最近あなたの方でわかったのでいいです。
山本弘
51
○山本(弘)
政府
委員
ただいまの御質問は、消防職員一人当たりの
所要
額でございますか。ただいまのお話が、二十中小都市というお話に続いておりますので、消防職員と理解いたしますと……。
二宮武夫
52
○二宮
委員
そういうことではなくて、
負担
をする方の側の一世帯あるいは一人当たりにどれくらい頭数にかぶっておるかというその計数です。三十三
年度
分はあるんです。あなたの資料の中で二百九十二円というのが出ておる。しかしそういうものでなくて、いま少し新しいものです。こちらの単位費用の方も新しいのを松島
財政
課長が出されたのですから、あなた方が予算要求をされる場合には、最も新しい、それに一致するところの計数というものを持たなければ、私は予算要求ができぬと思うのです、こういう計数でいったときには。
山本弘
53
○山本(弘)
政府
委員
大体消防の年報による統計が、期間の
関係
上、ただいままでは三十五年の消防の実態と消防の現況として出しまして、それには三十三年までしか正確な数字が上がって参りませんので、実はものによりましては、その一項目だけを抽出いたしまして三十四年がわかっている場合もございますが、現在といたしましては、三十三年というのが、われわれの出しているいわゆる最も新しい統計的数字なのでございますから、御了承願いたいと思います。
二宮武夫
54
○二宮
委員
先ほど川村
委員
が指摘をいたしましたように、三十四
年度
の決算における
地方財政
の状況というのは、これは出てきておるわけです。三十三年のあれは、あなたの方で二百九十二円という計数が出ておるのです。しかしそういう計数では、あるべき消防の姿というか、あるいは基準に基づいての消防力というものは、私は予算要求の形としてはできぬと思うのです。結果的にそのトータルを出すのではなくて、やはりそういうものを一つ積み上げて、いろいろな予防査察なりあるいは建築に対する同意を求められた場合これを見に行く出動なり、そういうものを含めてやらなければ、いつまでたったって予算の要求というものはできないし、今私が渡海政務次官にただしましたように、税外
負担
というものに求めなければ消防力というものは力が発揮されない。こういう結果が招来されるんであって、従来はそれでよかったかもしれませんけれども、
昭和
三十六年四月一日からそうした税外
負担
をかけてはならないという法律が発効する段階になりますと、あすから発効になるのですが、そういう段階になりますと、どうしてもそういう
財源
を、
市町村
の
財源
あるいは県の補助、国の交付税あるいは国からの補助、こういうものに求めていかなければ、消防力の進歩向上というのはないんじゃないですか。そういう計数をあなたの方でお持ちにならず、ただくれるものだけをもらって、足りないものはイージー・ゴーイングでどこからか集めるという、そういう消防のあり方というものは、私は慎まなければならぬと思うのです。従ってもう少し計数の面で、なければなくてもいいのですが、そういうはっきりしたものを求める。こういう古いものではだめですよ。こういう古いものではわかり切っているんです。だから、今後はそういうものを計数として要求される場合に、交付税にたよっていけるのかどうか、あるいは税外
負担
というものが禁止された場合に、
市町村
の貧困な
財政
の中からそういう費用が出るのかどうか、そういうことになりますと、どうしても私どもとしては、別にやはり一つの構想を持たなければ、今の
国民
の安寧を保つための消防に対する期待というものを十分に果たし得ないのじゃないかという心配を持つわけなんです。これは消防庁に対する一つの援助的な立場で私はものを言っているのですから、悪くおとりにならずに、一つそういうものも含めて計数を検討してお出しいただきたい。
鈴木琢二
55
○鈴木(琢)
政府
委員
消防統計が大へん古くてまことに恐縮なんでございますが、
市町村
から県を通じて消防
関係
のこまかい統計をとるのはだいぶおくれますので、お手元に差し上げておる資料も、決算から見ますと、三十三
年度
のものもあり、まあ早くて三十四
年度
、こういうことになっておって、おくれてまことに申しわけないのですが、今日の自治体消防の現状ではやむを得ない状況でございます。しかし私ども、
市町村
の消防
充実
のための
計画
というのは、十年
計画
を立てまして、それに基づく——これは昨年消防審議会の
答申
に基づきまして、
市町村
の消防力の基準というものを割り出しまして、人の問題につきましても、施設の問題につきましても一定の基準を設けております。その基準に達するのに五年
計画
ないしはものによって十年
計画
ということで、それを達成するためのいろいろな
財政
計画
、これは
財政
局とも十分打ち合わせて
計画
を立てておるわけでございます。その
計画
と、ちょっと古いですけれども、この統計に基づく現状と照らし合わせまして、その
計画
に達するための五年
計画
とか十年
計画
とかいうものを立てておるわけでございまして、ばく然と予算を要求いたしておるわけではないのでございます。ただ、残念ながら、われわれの要求する通りの予算が十分獲得できないという点は、まことに遺憾でございますが、まあ
実情
はそういった
計画
に基づいて進めておるのだということを御了承願いたいと存じます。
二宮武夫
56
○二宮
委員
市町村
の消防に必要な人員及び施設の基準というその消防審議会の
答申
案が出ておるはずなんです。従って、これは一番新しい構想における一つのスケールというものが出ておると思うのです。これはあなた方の方で、現在の状況とそれとプラスして、一体こうなればどれくらいの費用
負担
が要るんだということの計数はわかるでしょう、わかりませんか。それを
財政
当局と相談してなどといったようなことでは、それはあなた方の独自性というものはないのであって、あなた方の方では、こういう一つの基準というものが審議会に基づいて出たら、この基準に達するためには、機材ではこれくらい、あるいは水槽、ため池はどれくらい、あるいは人員はどれくらいというようなもので一応の計数の
整理
をやって、それらに対する努力というのは日ごろからやっておらないと、これは幾ら
答申
案が出ましても、進歩向上というものはあり得ない。そういうものが出て、これだけは何としても確保したいというときに、その分からの現在の状況を差し引いて、それで初めて予算要求というものができるわけなんだと思うのです。そういう三十三
年度
のものを唯一無二のものに持っておって、そういう古めかしいものを持っておって、予算要求をやられておるような状況では、とても私は信頼のできる消防にはなれぬと思うのです。そこで、ここにはっきり
市町村
における消防の基準、人員及び施設の基準というものが出て参りましたら、これに対する計数ぐらいなものはあなた方の方ではっきり出して、大体こうなれば一体どれくらいのあれが要るんだというくらいの必要があると思うのですが、これはやっていないのですか。
鈴木琢二
57
○鈴木(琢)
政府
委員
この基準に基づく
計画
は、現在作業をやっておる最中で、間もなく決定いたすことになっておりますが、統計は三十三年あるいは三十四年の古いものでございますが、それと今日と非常な開きがあるかというと、そう大きな開きはないわけでございまして、まず三十三
年度
あるいは三十四
年度
の計数を見て大体現状と見てもそう大きな違いはないと思います。ただそれと、その基準に基づく
計画
との差ははっきりと出てくるわけです。それの
財源
措置
は交付税でどう見るか、あるいは補助金の
関係
あるいは
市町村
自体の
負担
の
関係
というようなことを
計画
を立てて、これは全部が国費で見るわけではないのでありまして、主として
市町村
の一般
財源
で見るわけでございます。なお交付税とはもちろん
関係
があるわけでございますが、町村自体に
計画
を持ってもらわなければいけないわけです。町村自体がそういった五年
計画
なり十年
計画
を立てるその基準として、昨年
答申
を受けました審議会の
答申
に基づく基準をきめるわけです。ですからもちろんわれわれも、国でめんどうを見るべきものは、なるべくよけいめんどうを見るように努力をしなければならぬことは当然でございますけれども、自治体消防の増強のために、
市町村
自体も一生懸命になってもらわなければいかぬと思っておるわけでございます。それの基準を一応示すということになっておるわけでございます。
阪上安太郎
58
○阪上
委員
関連して。この際ちょっと伺っておきたいと思うのですが、消防団の
運営
に要する一切の
経費
は、当然公費でもって見るべきものであると思うわけです。この点について、消防庁の長官の考え方を一つ伺いたいと思います。
鈴木琢二
59
○鈴木(琢)
政府
委員
もちろん消防に関する
経費
は、
市町村
が公費でこれを見るというのが
原則
でございます。法律にもさように
規定
しております。ですから
原則
としましては、
市町村
の
経費
で、公費でまかなう、それに対して補助金その他を出しておる、こういうことに
原則
としてなっております。
阪上安太郎
60
○阪上
委員
原則
という言葉を非常によく使うのですが、これはおかしいと思うのです。
消防組織法
では、はっきりと消防団を認めておるのです。従ってこれに要する一切の
経費
というものは公費で見る。国で見るとかあるいは
市町村
で見るとかいうことは別といたしまして、この点についての見解をはっきりさせていただきたいと思います。税外
負担
との
関係
がある。この点どうですか。
鈴木琢二
61
○鈴木(琢)
政府
委員
現実の問題といたしましては、先ほどもちょっとお話がありましたが、寄付等の特別な
財源
を求めておる場合がございますが、
原則
として法律に書いてありますように、消防は
市町村
の公費でまかなうという建前でございまして、私どもはそれ以外の無理な
財源
を求めるということについては、もちろんこれは抑制しなければいかぬと考えております。
阪上安太郎
62
○阪上
委員
私は出動した消防団が、あるいはまた出初式その他でいろいろと儀式をやったあと、あるいは機械の点検等を部落でやった。そういった場合に消防団が一ぱい飲む酒の額までも公費で
負担
すべきものだと思うのです。今私は一つの極端な例を言っております。一体消防庁は、そういった点についてはっきりした考え方を持っておりますか。国で見てと言っているのじゃないのですよ、公費で見るべきものかどうかという点について、もっとはっきりした考え方があってしかるべきだと思うのですが、どうでしょう。同時に政務次官にお伺いいたしますが、同じ考え方について、自治省としては実際そういうふうに考えておられるか、同時にまたそういった
措置
をとらしておられるか、こういうことについて伺いたい。
渡海元三郎
63
○渡海
政府
委員
原則
として私は公費で持つべきものである、かように考えます。ただし、従来からの
運営
のあり方につきまして、しからばどの程度の
運営
が適正なる
運営
であるかというふうな点で、いわゆる税外
負担
による
運営
ということが行なわれておるということも事実でなかろうか、かように考えております。しかしながら、私たちはあくまでも税外
負担
の解消をはかりまして、近代的な消防に切りかえなければならない、かように思っております。
昭和
三十四
年度
から五
年度
に移ります際は、特に
財源
を与えまして税外
負担
の解消を行政指導いたしますとともに、本年は法定をされましたので、この分につきましてもこれで十分とは申されませんが、約三百億近い
財政
需要額に、消防の面も上げさせていただいたような次第でございます。なお私、この面につきましてただいままでに種々長官との間に御議論があったのでございますが、近ごろの火災の状態また消費生活の状態で非常に技術的な部面がふえてきたのではなかろうか、かように考えます。従いまして、消防そのものも昔のようなものでなくて、相当技術的な知識を要するという面がふえてきたのではないか、かように考えております。ところがただいま消防長官からの答弁にございましたように、現在常設消防が予定しております数の半分に足らないというふうな姿でございます。常設消防を設けましても非常勤の消防団が必要であるということももちろんでありますが、その反面現在の消費生活の状況から考えまして、常設消防、いわゆる技術を持った消防団の
整備
拡充
というものも必要になってくるのではなかろうかと思います。このために設備機械等におきましても、非常に近代化された予防器具が要るというふうな点も指摘されてくるのではなかろうかと思いますので、設備の部面と、また消防の各
市町村
における
拡充
という面と、両方あわせ考えまして、
地方財政
の現況を勘案しつつ、
計画
ある消防態勢の
確立
ということに邁進しなければならない。特に自治省の外局に消防庁がなりました点にかんがみましても、これらに対する
計画
的な
整備
を今後はかっていかなければならない、このように痛感いたしておるような次第でございます。
阪上安太郎
64
○阪上
委員
常設消防化していこうという考え方は私は正しいと思うのですが、
計画
通りなかなか進んでおらない、こういうことであります。私はこういった問題につきまして、消防団の問題にからんで将来の方向というものをもう少し真剣に考えておかなければいけない、こういうふうに思うのであります。この点は一つまたいずれ機会を見て質問を申し上げたいし、意見も申し上げたいと思います。 一つだけ最後に簡単に聞いておきますが、常設消防職員と常勤の消防団員とはどういう区別があるのですか。
鈴木琢二
65
○鈴木(琢)
政府
委員
常設消防団は消防職員と同じ処遇を受けております。
二宮武夫
66
○二宮
委員
三十三年の計数と三十六年の計数はあまり変わらぬのだというようなお言葉は、議事録に残されては困るのです。そういうばからしいことはないはずです。というのは、人員ですでに三万五千の欠員が、人がないという問題もあろうし、設備の問題もあろうし、あるいは今から都市のまん中に水槽を作るといっても、地価が上がってなかなか作れない。いろいろな物価騰貴の問題も含めまして、今のような三十三
年度
のあなたが持っているような計数が、三十六
年度
の計数とあまり変わらないのだというような答弁はお取り消しになった方がいいと思う。そういうようなことでは消防庁というものはいつまでたっても伸びませんよ。はっきり申し上げて、そういうような古い頭を持っておったのでは、とても
住民
の皆さん方の御要望にこたえるような消防庁には伸張しませんよ。そういうことを言われると、今後の交付税の問題も
関係
があろうし、あるいは予算獲得の面にも
関係
があろうと思う。あなた方がそれをお持ちになってないだけであって、新しい基準に基づいての消防の状態から見ますと、一人当たりの
負担
は非常に大きくなってくると思う。三十三
年度
と三十六
年度
は変わらないというようなお言葉はお取り消しになった方が妥当だと思う。
鈴木琢二
67
○鈴木(琢)
政府
委員
私の
説明
が少し言葉が足りなかったのでよく御理解願えなかったかと思うのでございますが、現在の
市町村
自治体消防のさまざまな統計を集めますのには相当な日にちがかかりまして、ごく最近の完全な統計というものは今日においては不可能に近い状況であります。それで、われわれが現状を統計的に調べるのには、ここにあります一年の的確な計数というものは、お手元の資料以上の最近のものは持ち得ない。推定を入れれば別ですが、推定を入れたのではまた非常に不確実のものになります。私が先ほど申し上げましたのは、消防力の基準に基づいた一つの計数をはじき出す、必要額をはじき出す、それと現状との差を見て、それを五年なりあるいは十年なりで
充実
していくのには年々どういう
計画
で進んだらいいかというその
年度
計画
を立てるのには、別に三十三年あるいは三十四年の資料を最近の資料として、これを
基礎
にしてもそう大きな間違いは出てこないということを申し上げたのでございます。それ以外に
方法
がないものですから、三十五年、三十六年の最近の統計をすぐに全国からよこせと言いましてもなかなか出てきませんので、やむを得ずこれを
基礎
にしておるということでございます。そういった意味で先ほどお話し申し上げた次第でございます。
中島茂喜
68
○中島(茂)
委員長
代理 門司君。
門司亮
69
○門司
委員
一つだけ聞いておきますが、私の聞いておきたいのは、問題がちょっと違うかもしれませんが、私は消防法十七条の
改正
をこの際ぜひしてもらいたいと思うのです。法文を読んでいただけばわかりますが、十七条には消防施設その他が書いてありますが、この中には国宝が抜けておるのです。文化財に対する施設が何も書いてない。これは文化財保護法の三十六条に一応書いてあります。同時に同法の三条にもややそれに近いことが書いてあるわけです。だからそれにゆだねてあるかとも思いますけれども、たとえば日光その他の火災を見てみますと、私は文化財保護法の三十六条に火災予防についてはということだけではいけないと思う。これは消防法の中に
市町村
が十分責任を持って守れというようなことをぜひ一つ入れておいてもらいたいと思う。最近は国宝がむやみに焼けて、実際の日本の国情からいえば弱っているのです。これについては消防法では何も
規定
を設けておらない。十七条に書いてあるものにはこれが抜けておるということです。映画館や何とかいうものについては、これを施設しなければならぬと義務づけておりますけれども、国宝の問題については抜けておる。従って、文化財保護法の三十六条あるいは三条だけでは不十分だと思いますので、消防法にも、文化財については地方自治体では十分責任を持って、また消防
関係
も消火施設その他については十分責任を持ってやるということを
規定
しておいてもらいたい、こういうことを頼みたいのですが、これについての意見だけを聞かしておいていただきたい。
鈴木琢二
70
○鈴木(琢)
政府
委員
昨年
改正
していただきました消防法の十七条に基づく
政令
に、ただいまお話しのものを
対象
に入れております。「文化財保護法の
規定
によって重要文化財、重要民俗資料、史跡若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存に関する法律の
規定
によって重要美術品として認定された建造物」これを防火
対象
物として
政令
の中に入れております。
門司亮
71
○門司
委員
政令
の中に書いてありますが、問題は、やはり
本文
の中にはっきり入れて、そうしてこれの責任を
市町村
にある程度分担してもらう。こうこうしなければならぬとかなんとかいうほかの
規定
はずっとありますが、ただ所有者だけにまかせておるものですから、ああいう形が出てくるわけです。 それからもう一つは、立ち入り検査等についてもやはり十分手がつけられるような形をとるべきだと思う。文化財保護法を見てみますと、大体所有者が責任を持っておって、防火については、三十六条にただ「防火」という字があるだけであって、ほかに何も書いてない。そういう修理だとか、あるいは棄損した場合とかいうことはたくさん書いてあるのだけれども、防火については書いてない。だから、この前の
改正
で、今の
政令
でいいといえば
政令
でいいかもしれませんが、私は、どうしても
本文
に入れて、もう少しはっきりしておいていただきたい。こういうことですから、
改正
されるならその辺を一つ考えて
改正
してもらいたいということだけ、この際申し上げておきます。
中島茂喜
72
○中島(茂)
委員長
代理 次会は来たる四月四日開会することとして、本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十六分散会