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伊藤(五)
委員 金融及び証券に関する小
委員会は、去る二月二十三日の大蔵
委員会で
設置を決定されまして以来、数回にわたり審議を続けて参りましたが、ここに小
委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
小
委員会におきましては、金利体系、証券市場及び
中小企業金融の三項目を中心として調査を進めたのでありますが、これらはいずれも重要かつ広範な問題を含んでおり、慎重かつ周到な検討を必要といたします関係上、短時日の間に早急に結論を得ることは必ずしも適当でないと考えられますので、なお今後の検討に待ちたいと考えます。しかしながら、これら三項目のうち、
中小企業金融については、企業格差の解消と二重構造の是正のため、これが一そうの拡充をはかることが急務と考えられますので、これがため政府において検討すべき問題点を要約した中間報告書を
委員会に提出することといたした次第であります。
中間報告書は印刷してお手元に配付いたしておきましたので、ごらんいただくことにしまして、朗読を省略させていただきます。
次に、中間報告書の内容について若干その趣旨を補足説明いたします。
中間報告書には、
中小企業金融対策上すみやかに検討すべき問題点として、十一項目を特記いたしておりますが、逐次申し上げますと、一は、
中小企業金融公庫及び
国民金融公庫の資金量を大幅に増加することとし、その際現行貸出金利をできるだけ引き下げるよう配慮することであります。
二は、
中小企業金融公庫の対象企業の資本金限度と一貸出先に対する貸出限度はいずれも一千万円となっておりますが、これらをたとえば三倍程度に引き上げることであります。もっとも、これらの引き上げにより、従来の小規模企業に対する貸し出しが圧縮される等のことがないよう配慮することが必要と考えられます。
三は、
国民金融公庫の一件当たり平均貸出額は約二十五万円となっておりますが、これを倍増を目途に増加するとともに、小規模企業に対する近代化資金については、商工会等との連携を密にして、これが貸付の一そうの拡充をはかることであります。
四は、
中小企業金融公庫の支店は各都道府県に少なくとも一カ所以上、
国民金融公庫の支所は各都道府県に少なくとも二カ所以上を目途として、支店及び支所網の拡充整備をはかるとともに、これがため必要な人材の養成と確保について努力することであります。
五は、商工組合中央金庫及び日本不動産銀行の金融債については、たとえばこれが政府引受量の増大をはかる等により、その消化を促進して資金源を充実するとともに、これらの貸出金利をできるだけ引き下げるよう努力することであります。
六は、
中小企業信用保険公庫に対する政府出資を増額して、信用保証協会の保証原資の増強、保険料率の引き下げ、填補率の引き上げ等、信用補完制度の改善充実をはかることであります。
七は、
中小企業振興資金助成制度の資金量を増加するとともに、特に小規模企業に対する貸付を一そう拡充することであります。
八は、日本開発銀行及び北海道東北開発公庫の地方開発資金を増強することであります。
九は、相互銀行、信用金庫等、民間中小金融機関の一貸出先当たり貸し出しワクは原則として一千万円となっておりますが、これをたとえは三倍程度に引き上げることであります。もっとも、この場合引き上げに伴う貸出額は総貸出額の一定割合にとどめ、従来の
中小企業金融に穴のあかないよう配意すべきであると考えます。
十は、相互銀行、信用金庫等、民間中小金融機関の健全化、合理化を促進するとともに、日銀取引の拡充等をはかって、その地位を一そう向上させることであります。
十一は、
中小企業に対する金融のしわ寄せを防止するよう、金融逼迫期における中小金融の円滑化をはかるための特段の措置を講ずることであります。
簡単ながら以上御報告申し上げます。