○安井(吉)
委員 現状から判断いたしますと、第一
課税方式がなくなった場合には、おそらくこれに一番近い性格を持っております第二
課税方式本文方式に、大体一四%ですか、市町村別にいいますとそれがおそらく移ってくるに違いない。第二
課税方式ただし書きの現にやっておるものは、おそらくそこで固定するだろう。こういうふうな見方ができるだろうと思うわけです。ところが、大体におきまして今度の本文方式に移行するであろうと思われる第一
課税方式は大体都市に集中しているし、
農村、漁村等は一番税金が上がる第二
課税方式ただし書きの方式に集中している、こういったような姿であるわけです。
そこで、今度の
所得税に関する、特に
専従者控除に関する問題が、第二
課税方式ただし書き、この方式に大
部分が移行するところに問題があると思います。非常にややこしい言い方になりましたが、ここで私
考えてみますと、結局今度
農家の方の税金が安くなる、そういう
措置を講じたと
政務次官もおっしゃったし、それから
主税局長もその点を先ほど来強調されるわけであります。そしてまた、今日の池田内閣の
所得倍増政策の中でも、
農村の問題にも力を入れるのだというふうに言われている。そういうような中から、今の
所得税、
住民税を通じての
計算の中に現われてくる
農家課税の姿というのは、先ほど来のお話とはだいぶ姿が変わった形で現われているような気がするわけです。で、
青色申告の場合は、配偶者
控除の問題も、それから扶養
控除の引き上げの問題も、
専従者控除が拡大された問題も、これは
所得税の中で減税という姿で明らかに出てくると思います。しかし、
住民税の場合にいきますと、大都市の場合は本文方式でいけば、これは全部そのままの姿で現われてくる。しかし、ただし書き方式でいきますと、扶養
控除というような問題は消えてしまって、しかしそれでも
専従者控除の拡大というものだけはやはり減税という姿で浮かんでくるわけです。ところが、
白色申告の場合において、先ほどのようにこれが
経費として算入されないということが明らかになった場合には、
所得税の場合でありますと、配偶者
控除の問題あるいは扶養
控除の引き上げの問題、それからとにもかくにもでき上がるであろうと
考えられる
専従者控除の問題、これは確かに減税という姿で現われるでありましょう。しかし、現われたにしても、全
農家の数からいえばほんの微々たる数字でしかないわけです。一番最初に
農家の納税人員その他の数字をお聞きいたしましたけれども、あれとにらみ合わせて
考えますと、
全国富農の、しかもほんのわずかがこの恩恵を受ける、そういうことにしかすぎないのではないか。ところが、これが
住民税の方へいきますと、本文方式でやるところでは、配偶者
控除と扶養
控除の面は減税になるだろうが、しかし
白色の
専従者控除の問題は減税という姿で現われてこないわけです。特にただし書き方式の場合においては、全然減税なしというふうな姿で結論が出てしまうということであろうと思います。先ほどの数字でいいますと、現在の
日本全体の農民のうち九六、七%くらいの人は、実際上は全く減税にならないという姿になってくるのではないかと思います。減税を受けるのはほんの富農、しかもそれの一部だけ——富農の一部という言い方は悪いかもしれませんが、とにかく富農層は受けるでしょう。しかし、それは全農民のうちの五%か六%くらいにしかすぎない。残りの九割幾らという数の
農家は、
所得税を負けてやるというけれども、実際はもうそれだけの
所得がないのですから、ちっとも減税という恩恵は受けない。
住民税も何も減らない。結局そういう姿で今度の
所得税、
住民税を通ずる減税の
方向というものは出てきてしまうのではないかと思うのです。そういうようなことを
考えますと、税金というのは、これは
国税でこれは
地方税でというふうに、払う人のおあしは区別しておるわけではない。払う人の立場からすれば、どれもこれも払わなければならない税金に違いないわけです。税金は、払うというのではなくて、取られるというんです。それくらいの性格を持っておるものでありますだけに、
国税、
地方税全体を通じて全く恩恵を受けない人たちにもつと恩恵が行き渡るような、そういったような
考え方がどうしてとれなかったのでしょうか、どうしてそういう配慮がなかったのでしょうか、
一つ伺いたいと思います。