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1961-06-01 第38回国会 衆議院 商工委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月一日(木曜日)    午後三時十一分開議  出席委員  商工委員会    委員長 中川 俊思君    理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君    理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君       有馬 英治君    岡崎 英城君       海部 俊樹君    笹本 一雄君       田中 榮一君    田中 龍夫君       中垣 國男君    南  好雄君     早稻田柳右エ門君    岡田 利春君       加藤 清二君    小林 ちづ君       中村 重光君    伊藤卯四郎君  農林水産委員会    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       川村善八郎君    倉成  正君       小枝 一雄君    田邉 國男君       谷垣 專一君    綱島 正興君       八木 徹雄君    片島  港君       東海林 稔君    湯山  勇君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         通商産業政務次         官       始関 伊平君         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衞君         通商産業事務官         (軽工業局長) 秋山 武夫君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局参         事官)     松岡  亮君         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    太田 康二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五三号)      ————◇—————   〔中川商工委員長委員長席に着く〕
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより商工委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして私が委員長の職務を行ないます。  輸出入取引法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 中川俊思

    中川委員長 本案に対する趣旨説明は、お手元に配付しております資料によって御了承願うこととし、質疑を順次許可いたします。片島港君。
  4. 片島港

    片島委員 このたびの国会で非常に重要な案件となったのは、通産大臣も御承知のように農業基本法あるいはこれに関連する法案というのが重要法案として審議せられたのでありますが、農林水産業が他産業に比較をいたしまして、その成長が非常におくれておる、その格差を解消して農林漁業者所得を他産業従事者所得と均衡を保たせるようにしよう、こういう趣旨農業問題が重要議案となったのは御承知通りであります。こういう時期でありますから、貿易の面におきましても、輸出輸入貿易を通じて、やはり農林漁業者と他産業従事者との所得格差を縮めていく、こういうことが国策として考えられなければならぬと思うのでありますが、通産大臣にまずその点について御所見を伺いたいと思います。
  5. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 農業水産の振興をはかって格差是正をするのでございますから、国内、国外とを問わず、この趣旨、方針をもって施策をすべきものと考えるのであります。従って輸出あるいは輸入の問題に関連いたしましても同様であると考えます。
  6. 片島港

    片島委員 本日議題となっております輸出入取引法の一部改正——承知通り輸出入取引法が当初制定をせられました場合も、農林漁業関係者からは非常な非難の声が出ておったわけであります。と申しますのは、独占禁止法によって大企業独占の横暴を押えていこう、こういう独占禁止法に穴をあけるものである、その後たびたびの改正によって独占禁止法はだんだんと骨抜きになっておる状態でありますが、また輸出入取引法のこのたびの改正において、国内取引についてまで、また生産業者販売業者といったようなものについての国内取引協定、さらにアウト・サイダーの規制というようなことを強化するとなれば、農林漁業者というものは御承知のように非常に弱い立場にあって、しかも大企業独占というものが非常な強力な力を発揮するということになれば、輸出入取引法そのものについても異論がありますが、このたびの改正によってさらに農林漁業者には不利な条件が押しつけられると考えるのでありますが、その点はいかがでありましょう。
  7. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さような結果にならぬように考えておる次第でございます。
  8. 片島港

    片島委員 今度の改正は、いろいろな説明を読んでみますと、実は私は今まで通産当局から直接説明は聞いておりませんし、公取の方からも詳しい説明は聞いておりませんので、あるいは多少誤解があるかもしれませんが、貿易自由化に備えてこういうことをやるんだ。従来貿易が自由でなかったときには、外貨の割当などによって、その品目別通産省の方からの規制がとられ、また割当が大企業独占の方に有利に割り当てられておった。ところが今度自由化されるということになりますと、今までのそういう特権を持っておったものまでがその特権が失われるようになる。そこでどうしてもこういう国内取引協定アウトサイダー規制までもやってもらいたいという、今までの既得権益を持っておった階層からの要望が強かったのであります。午前中の参考人の御意見を聞きましても、たとえば大企業あるいは大商社によってアウトサイダー規制が行なわれるということになれば、取り扱いの量というものはなるほど多い、三分の二あるいはそれ以上もあるが、三分の一あるいはそれ以下という場合でも、実際はそれによって生活をしている人数というのはきわめて多い。それがきわめて少数の人々によって多数の弱者が振り回されるということになる。こういうことになればやはり弱い者の立場をも考慮した法約規制を同時にやってもらうのでなければ非常に困るのではないか。私たちもその通りだと思うのでありますが、このアウトサイダー規制によって特に私が疑問に思うのは、今度は通産省で行なう規制を、カルテルをやっておる人々の方にその一部の権限を調整を行なわせることによって負担金を徴収するというようなことが、今度の改正で行なわれている。アウトサイダー規制をやってもらいたくない、いやがっている人からさらに金まで徴収して政府の行なう仕事カルテルの方に行なわせる、発言権も何もない弱い者から、自分だちがきめもしないことを押しつけられておって、しかもそれは政府行政事項であるにかかわらず一部の仕事を委任をして、その費用を徴収するというのは、いかにも矛盾があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  9. 今井善衞

    今井(善)政府委員 ただいまのお話は輸入の場合、輸出の場合いろいろあると思いますが、輸入の場合におきまして、今まで割当物資でございましたものが、いずれ自由化になるわけであります。この自由化になりましたときに、買手市場と申しますか、こちらが売る相手方よりも強い場合におきましては、これは自由化の利点というものは満喫できるわけでございますが、たとえば向こう相手国でいろいろの統制をやっておるというような場合におきましては、いわゆる売手市場、従いましてこちらが自由化になりましても、相手国に振り回されるおそれがあるということで、そういう場合に備えて何とか対策をしてほしいという声もございましたし、私どももこの法律ではそういう場合に限って需要者協定を結んで、そうして向こうからなるべく高いものを買わないようにという規定を入れておる次第でございます。これは売手市場に限ってそういうことをする。それから輸出の場合でございますが、輸出の場合にはただいまいろいろ御意見がございましたが、現在輸出の安売りがある場合におきまして、その原因輸出業者じゃなくて、主として生産段階過当競争原因であるという場合におきまして、現在でも生産業者輸出品販売面引き渡し面につきまして協定を結ぶことができることになっておりますが、それをさらに改めましてその場合に一部のアウトサイダーが非常に投げ売りをするとか、それによって値くずしがあるという場合にアウトサイダー規制をかけることができるように提案しておるのでございます。これは政令の定めるところによって、その物資につきましても、あるいはやり方につきましても規定されるわけでございまして、その場合必要最小限度にやりますし、また関係中小企業なり、あるいは関係農林漁業関係に迷惑のかからぬように、かつ公正取引委員会とも十分相談してやりますので、大企業だけの擁護のために、中小企業をいじめるという結果には絶対ならないものと私は考えております。
  10. 片島港

    片島委員 今度の改正案の第五条の六号でありますが、従来の規定にない国内関係農林漁業者というものを、今度の改正の中にわざわざ一つ挿入してあるわけでありますが、これをどういうことで今度新たに加えるようになったのでありましょうか。
  11. 今井善衞

    今井(善)政府委員 お答えいたします。従来は関係中小企業その他関係ある者の不利益にならないようにということになっておったのでございます。従来の解釈からいいまして、もちろんその際に関連業者という中に関係する農林漁業者も含んでおったのでございますが、さらに運用上その関係を一段と明確にしたいということで挿入した次第でございます。
  12. 片島港

    片島委員 それでは従来の解釈上そういう解釈をしておったので、今度ここに入れたけれども、まあ前と変わらない、こういうことでございますか。
  13. 今井善衞

    今井(善)政府委員 実質的には前と変わりませんが、さらにその観点から一段と慎重にしたい、こういう気持であります。
  14. 片島港

    片島委員 それは私は農林漁業者を非常にばかにした改正だと思うんです。従来もそれでよかったものをただここに入れて、農林漁業者反対の目をそらそうという考えから、こういうものを入れたとすれば、しかもその効果においては前と何ら変わらないというなら、農林漁業者を愚弄するも私ははなはだしいと思う。しかもこの項目は聞くところによると、相当強く農林漁業団体から要請があって、ここにこの条項を特に入れたのみならず、通産省農林省との間で、あるいは農林漁業団体の間でありますか覚書を取りかわされたと聞いておりますが、実際覚書を取りかわされておりますか。
  15. 今井善衞

    今井(善)政府委員 その立案の際に、その原案を作りますときに農林省とも相談いたしましたし、農林省から関係団体相談があったと思いますが、その結果をこの覚書にしたのでございまして、その覚書の際、これは運用の問題もございますけれども法律を立案するにあたっては、ぜひこういう内容を盛り込んでほしいという内容がございまして、特に農林関係に影響のあるおそれのある部分につきましては、今度の改正におきましてはっきりその点をいたしますために、関係農林漁業利益を害してはならないということを明文にした次第でございます。これは私ども輸出入取引法運用にあたりましては、これはもう従来からも当然関係農林漁業利益というものは、そこなわないようにしなければならぬという態度でやって参ったのでございますが、さらにその点につきまして、特に慎重に運用する必要があるということで、さような文句を入れた次第でございまして、これによりまして一段とはっきりしたとわれわれは考えております。
  16. 片島港

    片島委員 農林省から官行造林の廃止の法案が出ましたときに、自治省との間に意見の対立がございまして、法案と少し内容の違う覚書を取りかわしております。これを農林水産委員会にその写しを実は資料としていただいたわけでありますが、今度その覚書を取りかわされたその資料についても、委員会の方に御提出をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  17. 今井善衞

    今井(善)政府委員 御提出いたします。
  18. 片島港

    片島委員 第五条第二項第六号というものの中に新たに入れた精神からいたしますならば、農林水産物資については、ただ公取とよく相談をするというような程度でなく、農林水産物資については公取あるいは農林大臣同意を要する、このくらいにしておかないと、先ほどあなたからの答弁ではあまり改正前と違った内容を盛っておらぬような御説明でありましたが、そうすれば、当然この裏づけとなる農林水産物資についての取引については、適用については公取あるいは農林大臣同意を要するというようなはっきりした条文を一条作るべきだと思うのでありますが、その点いかがでありますか。
  19. 今井善衞

    今井(善)政府委員 いろいろの段階がございまして、たとえばこの農林物資につきまして輸出業者のサイドでいろいろ規制するという場合におきましては、農林大臣同意を得て通産大臣認可をする、これは輸出業者段階でございます。それから生産業者段階につきましては、これは主務大臣であります農林大臣通産大臣共同認可ということになっております。それからさらに生産段階アウトサイダー規制でございますが、これは政令の定めるところによって品目がきまって参ります。政令でございますので、当然内閣全体の意思として、その際には農林省意思も当然入るわけでございまして、その政令の定めるところに従ってアウトサイダー命令を出すわけでございますが、それは農林省通産省両省共同省令でやることになっておりまして、主務大臣である農林大臣立場は十分尊重してやります。
  20. 片島港

    片島委員 政令で定めるものについて、条文では書いてございまして、またこれを農林漁業者は非常に当てにし、信用しているわけであります。ところがえてして、やはり主管庁原案というものが基礎になって政令というものがきめられるのでありますから、この点はよほどはっきりと、しっかりした裏づけになるものがなければ、ただ政令で定めるものについてとこう書いてあるだけで、手離しで安心しておるわけにはいかぬと思うのであります。運用の面においてはよほど農林省側の、農林大臣の方の意見が尊重せられるようにしなければならぬのではないか。特に今度の貿易自由化の進行に際しても、どうも農民都合のよいものはいろいろな面で不自由である、都合の悪いものはそのしわ寄せがくる。たとえて言うなら、これは同僚議員から後ほど詳しい質問があるでありましょうが、肥料あるいは飼料、そういったようなものについては、輸入すれば国内価格よりもきわめて安いのが、国内業者保護というような建前から、その安いものを自由に入れることはできない。一方農産物輸入などについては、今度も大豆自由化されるのでありますが、そういうのは次々とワクをはずされる。農民都合の悪いものはどんどん入れる。農民がどうしてもほしいと思うようなものは国内業者保護として入れない。こういう点は何らかの調整をしなければ、非常に曲がりかどに来ておるこれからの農業というものに大きな打撃を与える。通産大臣は一番最初の私の質問に対して、貿易の面においてもやはり所得格差の非常にある農林漁業者が、格差が狭まるような政策をとらなければならぬと言っておりながら、実際にはその反対政策をとっておるということが、これらの一事によってもわかるのでありますが、これらの点を何らか今後調整をしていかれる御意思はないかどうか、大臣の御見解をお伺いしたい。
  21. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 肥料一つの好個の例だと思うのでありますが、やはり国内肥料価格国際価格までに引き下げるような合理化政策を実行するのが一番よろしいと思います。もしもそういうことでなしに、その準備なしに、ただ国内肥料のみにたよるというような場合になりますと、これは需給の関係、あるいはまた国内産に対する競争というものがございませんから、一体どういうような操作をされるか、不安でたまらぬというような状況に追い込まれるのでございますから、肥料等につきましては、ただいまのところは国際値段よりも国内値段が確かに高いのであります。でありますから、これを合理化いたしまして、一日も早く安心して国内肥料にたよっていけるという状況を作り出すように、ただいませっかく努力中でございます。
  22. 片島港

    片島委員 私が申し上げているのは、日本農業生産をします農産物というのは、外国からの多少圧力もあるのでありましょうが、だんだんと自由化されていくのに、一方農民ができるだけ安い値段輸入したいと願っておるものについては、今大臣国内値段をなるたけ下げるようにすると言うが、しかし大豆などは、日本生産性が向上して、外国との競争に耐え得るようになって大豆自由化をやるのではなくて、大豆は一方において少し補助金をやりながらも自由化をどんどん進めておる。ところがほかの、農民がほしいと思っておるものについては、そういう手は現在打たないで、これから先できるだけ安くなるようにして、それを待って安いのも入れるようにしよう。もう安いものを入れるようにしなくても、国内で安くなればかまわぬのであります。現在は農業と他産業との生産性所得格差が問題になっているときでありますから、この際何らかそういう面においても、貿易政策を通じて農民所得の向上ということを——あなたは通産大臣だから農林大臣にまかしておけばいいというわけにいかぬと思う。通産省農林省では、自分所管関係で利害、意見の違うようなことがたびたびあると思うけれども、しかし現に所得倍増計画などから見ても、あなたたちが管理されている鉱工業の伸びは非常に成長が伸びておる、農林漁業はそれに追いつかないというのが一番重要な問題になっているわけでありますから、国務大臣としての立場から、そういう点はあまりセクトに閉じこもらないで、大きな国策の一環として、何らかの手を急速に打つべき必要があると私は痛感するのであります。その点について、いま一度大臣の御所見を承りたい。
  23. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 所管範囲の問題に拘泥して、ただその方面の利益だけを固執するという考え方は毛頭持っておりません。従って、ただいま例としてあげられている肥料工業の問題につきましても、何といっても国内肥料工業合理化して、国内において安定した供給源を見出すということが、終局において日本農業のためになる、こう考えております。なお肥料の問題につきましては、いずれこれは自由化をせざるを得ない状況でございますので、合理化を急ぎ、そしてまたその準備態勢を急速に整えることによって、早晩自由化を実施したい、かように考えておる次第であります。その他の資材等につきましても、所管の問題に拘泥することなく、日本産業のためになるように極力施策をしたいと考えております。
  24. 石田宥全

    石田(宥)委員 関連で、大臣が盛んに肥料問題をお取り上げになっておりますので、ちょっと伺いたいのですが、大臣の言っておられることは矛盾していやしないか。国内肥料価格国際価格にさや寄せするには、企業合理化してコスト・ダウンをしなければならない、こうおっしゃる。なぜ一体日本化学肥料国際価格よりも非常に高いのか、もちろん国際価格である硫安等外国でいろいろな補助助成をやっておる、そういう点もあります。あるけれども日本硫安工業界などは、通産大臣がしばしば勧告をされるにもかかわらず、その企業合理化をやろうとしない。老朽施設を温存し、旧式の製造をあえて続けておる。今度の輸出入取引法改正は、肥料工場合理化を阻止するところの絶好の足がかりになるじゃないですか。通産大臣幾ら勧告をされても合理化をやらない。そして肥料資本利益を擁護しようとしておる。ところが、それを前進させるのではなくて、この取引法改正はそれを足踏みさせるものだ、こういうふうにわれわれは考えておるのです。そうでしょう大臣。それは業界保護して、輸出入取引法の今度の改正の上にあぐらをかいて、ますます合理化をやらない。結果においてはそういうことになるのです。これはどうも大臣の言っておられることは逆を言っておられると思うのですが、もうちょっとはっきりして下さい。
  25. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 肥料二法がすでにございますから、輸出入取引法指定品目にはならないのであります。その点は御了承願いたいと思います。
  26. 石田宥全

    石田(宥)委員 直接それを入れないにしても、そういう一つムードの中で、今までもそうじゃないですか。今までもうすでにそういう状態になっておるわけですよ。これは私はあとで詳しくお伺いしますけれども、あまり答弁がおかしいから。あなたの代になっても、老朽施設をもっと整理をして、そうして輸出赤字というようなものの処理については、もっと業界から協力しなさいと言っても、業界は聞かないのですね。そしてこれだけの輸出赤字が出ましたといって、日本国内肥料価格を高く維持しておるのです。それに対して、こういう業界一般に対して、今度の法律改正が行なわれるというと、またそのムードに便乗して、あなたが勧告をされる合理化はますます阻害されることになる、こう考えざるを得ないのです。何か別に今度相当強力におやりになる御意思があるのですか。
  27. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 外国においては詳しいことは存じませんが、現に合理化を推進いたしておる状況でございます。と申しますのは、もうどうしても肥料業界もいずれは自由化せざるを得ない。もちろん国内価格においては日本硫安というものはそう高いとは思われませんけれども、どういうわけか知らぬけれども国際競争においてはどうも負けておる。それで現状では肥料業界もこれはたまらぬというので、一生懸命になって合理化を急いで取りはからっておる、こういう状況でございますから、遠からず五十数ドルが十ドル見当下がる、こういう状況になることは、今日から明確に予想しておるわけでございます。
  28. 石田宥全

    石田(宥)委員 農産物などは、片島委員が言われるように、外国の安い農物産をどんどん入れて、大豆などは今度自由にするということで法案が出ておるわけですね。ところが肥料は、国内価格は八百三十九円もしておる。国際価格は五百円ですよ。三十六ドルから三十七ドルというと五百円以下なんですね。そういう状況のもとに、農業基本法の審議などの過程において明らかなように、一体そういう矛盾をどう解決されるつもりかということですね。外国ヨーロッパあたりのように、農民に対して大幅に補助助成をやっていくというなら、これもまた話がわかるのですよ。ところがそういう手は打たない。そうして農産物ならば安いものを入れる。肥料ならば安いものは入れない。そうしておいて日本農業国際競争場裏に出そう、そういうところの問題をどうお考えになるか。合理化をこれからやりますとおっしゃるけれども、これは硫安輸出赤字問題の処理関係で今検討中であるとか、近く合理化しますということは、何年も前からの話で、今に始まった話ではないのです。一体いかなる具体的な措置がおありなんですか。
  29. 秋山武夫

    秋山政府委員 硫安国内価格国際価格の問題というのは、非常に長い懸案の問題でございますが、実はこれは日本だけの問題ではないのでございまして、諸外国の例を見ましても、これが全然同一価格で売られておるというのは御承知通り一つもないわけでございます。どこの国でも、補助金の有無は別といたしまして、国内価格の方が国際価格より安いというのは事実でございます。なぜかと申しますと、できるだけやはり輸出をよけいして、いわば固定費内需へかぶせる割合を軽くするということが、国内肥料を安く供給する一番大きな力になる、そういうことから各国ともいわゆる二重価格政策というものは普通に行なわれておるのであります。ただ日本の場合は、いわゆるバルク・ライン方式という肥料二法のやり方がございまして、各国の場合よりも内需価格の下がり方というものは非常にはげしく下げられておる、また合理化の速度も実は外国で行なわれておりますよりも急速に進んでおる、これは事実でございます。ただ残念ながら、立地その他の関係もございまして、過渡的に確かにおっしゃるように多少無理が起こっておるということは事実でございますが、日本のように原価を短期間にはげしく引き下げておるというのは、実は諸外国には例がないと私たち考えております。なお現在では使い得る限り、想像される限りのあらゆる安いガスを取り入れまして、もう一段合理化をして、国際価格に持っていくという考え方をいたしております。
  30. 石田宥全

    石田(宥)委員 実情なんか私の方がよく知っているのです。日本瓦斯化学の工場などは私の近くにありまして、一俵二百円台にできておる、そんなことは知っておる。具体的にいかなる政策、いかなる手段、方法によってこれを処理しようとしておるのかというのです。大臣が近く対策をやるとおっしゃるから、具体的にどんなことを考えておるのか、いつごろまでにそのめどをつけるのか。あなた方は肥料資本立場からそれをお考えになれば、多少僕らの言うことは無理だとお感じになるかもしれない。私どもは、いま日本農業国際競争の嵐の中に出そう、そういう農業基本法が出さているときに、この問題を早急に解決しなければだめじゃないかということを言う。いつまでもやっておったら、日本農業はつぶれてしまうじゃないか、これを言っておるのです。だから具体的な対策を一つ聞かして下さい。
  31. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 今局長から申しましたが、あらゆる安いガス源を利用いたしまして、片肺のところは両肺にして作業する。その目標はおおむね三十八年を目標にしております。そうして四十二、三ドルまで下げていこう、こういうことであります。
  32. 石田宥全

    石田(宥)委員 いろいろむずかしい問題もありましょうけれども、これは内閣全体の問題だと思うのです。私が言っていることは内閣全体の問題なんです。だから大臣が相当な決意を持って当たらなければ、今度のこの法案ができると——これは直接そこに入っていないことはわかっています。わかっているけれども、今までさえもこうなってきておる。今度輸出入取引法改正されて、独禁法というものは有名無実になると、それに便乗してますます業界大臣勧告も聞かなくなる。そういう場合には政府としては、やはり安い外国硫安輸入をするという態勢を示さなければだめじゃないかということなんです。政府農民に対しては——てんで国際価格とは比較にならない日本の高い農産物ですが、そこへ今度どんどん貿易自由化していって、日本農業国際競争場裏にさらそう。そうしなければ日本農業は体質改善もできないし、国際競争にたえ得ないのだからという、そういう大前提に立って今度は基本法もでき、いろいろな政策が行なわれておるわけですよ。だからそれと関連して肥料の問題というものも、政府自体として考えなければだめじゃないかというのです。これは非常な決意を持って、大臣だけじゃなくて、内閣全体の問題として取り扱ってもらわなければならないと考えます。関連でありますから、またあとでいたしますが……。
  33. 片島港

    片島委員 大臣のただいまの三十八年度までというのは、肥料についての自由化を三十八年度までに実現する、こういうお考えでございますか。
  34. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ただいまのところは三十八年度までに合理化いたしまして、その合理化の完成を待って直ちに自由化したい、こう考えておるのであります。
  35. 片島港

    片島委員 同じ時期ですね。
  36. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そうです。
  37. 片島港

    片島委員 そうしますとこの時期が非常に問題でありますが、合理化完成をし自由化されるということになれば、当然二法というものは廃止になるわけでございますか。
  38. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは私ここで農林大臣のお留守のところで申し上げることはどうかと思いますが、結局不要になるのじゃないかと思います。
  39. 片島港

    片島委員 その場合にも実は私は非常に問題があると思うのです、その時期の問題で。といいますのは外国の同業者と競争するためには、どうしても安く出さなければならぬ。ところがまだ自分のところはとうてい、競争に勝ち得るような安い値段で売れば赤字が出る。そうなってくると現在尿素あたりのように、これは少量だからプール計算をやっておるわけですが、その外国輸出をするもののしわ寄せを、国内農民の方に転嫁をせられるというふうな危険性もあるのでありますが、そういうところの調整はどういうふうに考えておられますか。
  40. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 自由化の暁には、もうそういうことはないと思います。国内硫安が高ければ外国硫安をどんどん買える。ですからその必要は私はないと思います。
  41. 片島港

    片島委員 その自由化の時期、それから二法の廃止をする時期とかいろいろな時期をよほどうまくやらないと、そこに私はいろいろな摩擦が出てくると思うのです。  この問題は、さらに同僚委員からお話があるそうでありますのでやめますが、現在におきましても、とにかく輸出入について実績をたくさん作っておるものがどうしても発言権が多いし、カルテルを作った場合に強力な発言権を持ってくるようになるわけであります。そういたしますと、これから先、貿易自由化によってあらゆる産業が変わてくるのではないか。そういう場合にこれからは、今までの実績、実力者によって、あるいはアウトサイダーの規則であるとか、同じ協定の中に入りましても、カルテルに入っても発言権は非常に弱いとか、こういうようなことが起こってくるのが今後出てくるのではないか。特に農業関係におきましては、世界各国の協同組合との間でお互い安いりっぱな品物を農業者に与えたいというので、御承知のようにわが国でも組合貿易連合というのが設立されたわけでありますが、こういう協同組合相互間、しかも純粋な営利追求のものでなくて、組合の互助的な機関として、こういう貿易連合などを作っておる。しかしながら残念なことには今日までの実績も非常に少ないし、こういうものの芽がつまれるようになるのではないか。特に私はほかの産業についてはあまりよく知りません。先ほどから申し上げますように農林漁業というのは非常に今日苦しい時代に立ち至っておりますので、せっかくこういうふうにして世界各国の協同組合との相互の利益を増進していこうという、営利追求の目的でなくできた貿易連合機関に対しては特別な、たとえばアウトサイダー規制をやるのだとかなんとかいうようなことでなくして、これらのものにはこの規制を除外をして育成をするということが、とりもなおさず日本農民に対しても、他産業との所得格差を解消するという意味において非常に重要な意義を持つと思うのでありますが、この協同組合貿易連合については、特別にこれを考慮していただくというお考えはないかどうかお尋ねしたい。
  42. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 協同組合の貿易連合等につきましては、これは一般の業者とは別に考えるべきものでございまして、いずれこれらの問題につきましては政令に従って行なわれることになるのでありますが、これは農林大臣同意を得て、そして従来の実績等にこだわらず、十分に事態の性格を認識してその発展に資するように運用して参る、こういう方針で参りたいと思います。
  43. 片島港

    片島委員 何かこの問題についても覚書の中に特にうたってあるとお聞きしましたが、その点はいかがですか。
  44. 今井善衞

    今井(善)政府委員 覚書の中にうたっておりまして、協同組合貿易の発展に資するように十分その立場を尊重してやるということに相なっております。
  45. 片島港

    片島委員 最後に、いよいよ大豆自由化が認められるようになりまして、大豆の搾油業者は御承知のように現在非常に高い地位を占めておるのでありますが、また魚かすの粉の輸入業者と国内生産買付業者がこれを兼ねてやっておる。こういうような場合に、国内取引において生産業者販売業者の間で協定を結ぶ、そうしてアウトサイダー規制までやろうということになると、消費者はもとよりでありますが、中小の搾油業者といったような者に非常な打撃を与えると思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  46. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 大豆輸入の問題に関連してでございますが、今度の改正では輸入関連して国内需要者協定を結成し得るというところまで規制しようとしておるのでありまして、アウトサイダー規制まではやろうとしておりません。
  47. 片島港

    片島委員 最後に、もう一つお尋ねしておきたいと思うのでありますが、麦芽の輸入計画はどうなっておるのでありましょうか。昨年から比べますと、非常に膨大な輸入量が予定せられておるのであります。それともう一つ、フィッシュ・ミールがまた大量に輸入が計画されておるとも承っておるのでありますが、この両者に関する輸入の計画についてお聞かせ願いたいと思います。
  48. 松岡亮

    ○松岡説明員 ただいまの御質問は、麦芽の輸入計画とフィッシュ・ミールの輸入計画がどうなっておるかというお話でございますが、ただいま手元に資料を持っておりませんが、麦芽の方は、御承知のごとく国内のビールの消費が非常にふえております。   〔委員長退席、中村(幸)委員長代   理着席〕 これに対する麦芽の設備の状況は、ややおくれているというようなことで不足ぎみでございます。そういうことで若干ふえておると考えられます。  それからフィッシュ・ミールの方は、御承知のごとく最近飼料の不足の問題を起こすほど、飼料の事情が窮迫しておったのでございます。そういう関係で、これも若干増加することも考えられるかと存じます。
  49. 片島港

    片島委員 それではこの問題は農林水産委員会において他の問題とあわせてお話を承ることにいたしまして、私は一応この程度で終わります。
  50. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次に石田宥全君。
  51. 石田宥全

    石田(宥)委員 農林水産関係については、一応片島委員の方から質問があったわけでありますが、一般論といたしまして、今お話がありました輸入関係について、松岡参事官にちょっと関連する問題で伺いたいのです。  麦芽を相当大量に輸入される計画だということですが、政府は、大麦、裸麦は余って困っておるので、作付を転換しよう、そうして莫大な予算をつけて作付転換をはかっておるわけですね。ところが、一面、今度は外国のものが安いからということで、麦芽として輸入をする。こういうのが今度の農業基本法政府所得倍増計画やあるいは輸出入取引法の中に一貫して流れるものではないか、こういうふうに私ども考えざるを得ないのです。そういう点では一体農林省はどういう考えで麦芽の輸入を、こういうふうにふやすことに同意をされておるのか、あるいはこれを抑制することができないという何か事情があるのか、それをちょっと承っておきたい。
  52. 松岡亮

    ○松岡説明員 麦芽の輸入につきましては、大蔵当局が直接その方の計画を立てるのでございますが、農林省といたしましては、今日大裸麦の対策にも苦しんでおるような状況でございます。その輸入はできるだけ抑制するように、常に大蔵省とも話し合っておるのでございます。ただビールの消費が急速に伸びまして、それに対応する麦芽の生産がおぼつかないというようなこともありますので、生産設備の増強につきましても、農林省といたしましては常に要望いたしておるのでございます。ただどうしても足りない分につきましては、輸入する、そういう実情であります。
  53. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは、実は今問題になっておる法案と直接関係は薄いわけですけれども、流れる精神は一緒だとわれわれ判断せざるを得ないので、ビール麦の問題はまた別に問題がございますので、公取との関係もございますし、あるいは農林省との関係もございますので、これは別の機会にいたしたいと思います。  そこで、今度の法案関係で、輸出関係から見ますと、農産物輸出業者販売業者国内取引についての協定をやる。そういうことになりますと、農産物国内価格というものは業者が一方的に決定することができる、こういう危険があるわけです。これはもう必ずしも農産物価格だけではございませんで、たとえば新潟県の燕の洋食器などの状況を見ましても、やはりそういうことは言い得るのでありまして、これはよく御承知のはずですが、洋食器などは、生産者の手から離れる値段の数倍、三倍以上くらいに売られておるようです。そういう弊害もありますが、今度農産物の方では、輸出業者が中心になって、だんだんそのしわ寄せは生産者に寄せられる、こういうことが考えられるのです。そういう場合はどうやって生産農民利益を擁護すると考えられるのか、別に擁護する方法がないとすると、今度の法改正によって、一方的に農民は不利益をこうむらざるを得ないということになると考えられるが、どうでしょう。
  54. 今井善衞

    今井(善)政府委員 現行法におきまして、輸出業者販売業者とが協定できる、すでにそういう建前になっております。今回の改正は、生産業者協定を結んでおる場合に、それに対してアウトサイダー規制命令を出し得るという点が、改正の一点になっておりまして、私どもたとえばミカンとかいろいろな農産物につきましては、輸出業者のサイドにおきまするそういう自主的な規制というものが必要であろうと思いますが、何せ生産業者である農民につきましては、私どもこれは農林省におまかせして、別に政令でもって指定することになりますので、私どもそういうことは全然考えておりません。
  55. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうもあなた方は総人口の三八%も占める農民利益を全然考えていない。そういう法改正では困るのですね。これはやはり国民のうちの三八%もおるということを考えて、それの利益というものを無視された法改正をやられては困るのですよ。今までもあるとおっしゃるけれども、しかしその今までの輸出入取引法をさらに強化するという規定じゃないですか。これについてはもうあなた方の基本的な態度はわかっておるから、そういう場合については農林省は一体いかにして農民利益を擁護しようとするのか、松岡参事官に伺いたい。
  56. 今井善衞

    今井(善)政府委員 私の言葉に誤解があったようでございますので、もう一度説明させていただきますが、今度新たに入れますのは、生産業者協定に対するアウトサイダー規制でございまして、直接農民が作ります農産物につきましては農林省におまかせするということで、政令で指定されることはあり得ないのじゃないか。従いまして、今度の改正につきましては、そのような原始農産物につきましては、私どもこの改正によりまして影響はないということをお答えしたのであります。
  57. 松岡亮

    ○松岡説明員 ただいま通商局長からお話しのありました通りでございますが、まず農産物につきまして、国内生産業者等の協定を発動するというようなことにつきましては、これは政令でその貨物を指定することになっておりますので、その政令を出すか出さないかは農林省も参画するのでございます。従いまして、農林省としましては、今その必要を感じていないのでございまして、政令を出されるということはまずないと考えられます。また、アウトサイダー規制につきましては、農林大臣同意を得ていただくということにもなっておりますので、特に零細農漁民に影響のあるような協定につきましては、農林省といたしましては、十分通産省にお話しを申し上げて、そのような事態の起きないようにいたしたいと考えております。
  58. 湯山勇

    ○湯山委員 関連して、今の場合、そういう御説明だと、政令によって定めるといいながら、実質上は原始農産物については農林省令できめるということと同じだ、こういうことですか。それならばそういうふうに法律改正があってしかるべきじゃないかと思うのです。
  59. 今井善衞

    今井(善)政府委員 農林物資と申しますと、私ども観念的にそれを分析しますと、たとえば今カナダ等にミカンのカン詰が輸出されておりますが、さような原始生産物と申しますか、そのままの農産物の形のものにつきましては、これは生産者のカルテルアウトサイダー規制の適用はないのじゃないかということを申し上げたのです。さらに、たとえばミカンのカン詰等につきましては、今度の改正は、たとえば中小企業団体法によります工業組合、これにつきましては、今のところ輸出品についていろいろの規制をやることができることになっておりますが、中小企業団体法の工業組合の規制によれるときには、そちらの方に優先するという建前になっております。ミカンのカン詰等につきましては、これは現に中小企業団体法の工業組合、それによってやっておるわけでございまして、大体農産物関係につきましては、中小企業団体法の工業組合による場合が、おそらくすべてじゃないかと思います。ほかにあるいは例外はあるかもしれませんが、今のところ例外は考えつかない。この中小企業団体法の工業組合によりがたい場合に、初めてこの法律の対象になる、こういう建前になっております。
  60. 湯山勇

    ○湯山委員 やはりちょっとあいまいな点があると思うのです。ミカンの場合もそういうことはあり得ないだろうというような推測的な御答弁で、あとの場合も、おそらくこうだろうというような非常にはっきりしない点があると思うわけです。こういうことは明確に御答弁願わないと安心できないわけで、その場合、こうこうだからこうだ、ミカンならばミカンの場合はこうこうというわけで、そういうことはあり得ないならば、ないならばないで、はっきりしておく必要があると思いますので、もう一度お尋ねいたします。
  61. 今井善衞

    今井(善)政府委員 ミカンの場合におきましては、これはほとんど全部中小企業ということになっておりまして、現在中小企業団体法の工業組合が組織されているわけでございますので、従いまして、この取引法による場合はあり得ない、そのほかの場合、ミカン以外のいろいろな場合においてあるかという問題につきましては、私は今のところ考えつきませんということを申し上げた次第でございます。
  62. 湯山勇

    ○湯山委員 今農村で農産品加工場を作っていこうということは、これは政府の方針でもあるだろうし、農林省もそういうことを発表しているわけです。今度農協等がそういう中小の農産加工品工場を作り、それを今度はやはり輸出していくというような場合に、どうなんですか、その場合も同じように適用されないということが言い切れるわけですか。
  63. 今井善衞

    今井(善)政府委員 中小企業団体法の商工組合、これは要件がございまして、この中小企業生産するものが全体の生産額の半分以上、それから人数も三分の二以上ということに要件がなっているわけでございまして、農産物の加工については、全部それに当てはまるのじゃないかというふうに考えております。
  64. 湯山勇

    ○湯山委員 今の、農業協同組合が農業協同組合の事業としてやる場合、これはなまのミカンの輸出の場合もそういうことがあるわけです。協同組合が出荷するという場合もあると思うのですが、そういう場合は一体どういうことになりますか。
  65. 松岡亮

    ○松岡説明員 農業協同組合が加工事業を行ないます場合に、同じような業種がほかにもたくさんミカンのカン詰などを生産しておるのでございます。それらの規制の方は、先ほど通商局長からお話しがありましたが、中小企業団体法によっているわけでございます。その方が優先するということにいたしておりまするので、中小企業団体法で規制することになるかと思っております。その場合には、中小企業団体法におきましては農林大臣が主管大臣でございますので、その辺の御心配はまずないだろうと考えております。
  66. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に輸入関係で、輸入業者とそれから需要者販売業者国内取引協定をいたしますると、農民の購入する必需物資が必要的に購入価格がつりあげられる結果を招来するわけであります。たとえば、最近農業団体が小型トラックをある国から輸入した。そうすると、従来の大きな輸出入業者が、さっそくその農協が取引しようとしている取引を押えて、大企業が取っちゃう。そういうことになると、勢い農民の購買品の価格がぐっとつり上げられる結果になる。これはもう明瞭ですね。それからまた、たとえば原毛などが自由になる、こういう場合も今度国民全体が不当に高いものを購入させられる。こういうことはだれが考えても明らかですね。これは今までもその道がないわけではなかったろうけれども、やはりこのアウトサイダー規制というようなものによって、一そうそれが強化される、こういうことになる。そういたしますとやはり一番弱い立場に置かれておる農民などに、一番大きなしわ寄せが行なわれることになると思うのでありますが、そういう点についてどうお考えになっておりますか。
  67. 今井善衞

    今井(善)政府委員 今のお話はたとえば小型トラックを農協が買うというような場合に、本法が将来適用があるのじゃないかということですが、将来そういう場合に適用は絶対ない、御心配は要らないと思います。と申しますのは、この法律の建前は先ほどもちょっと申しましたように、日本がどこからでも買えるという物資につきましては適用しないことになっておるわけでございます。たとえばソ連の木材だとかあるいはニッケル鉱石だとか、こういうふうに向こうの資源が非常に限定されておりまして、日本が普通じゃ買えない、買う場合に向こうの資源が限定されておりますから、殺到して盛んに値をつり上げるという場合だけに、政令で指定しましてその物資についてやれるという建前でありまして、自由化によりましてどこからでも買えるという物資につきましては、かような協定をするということはできないわけであります。
  68. 石田宥全

    石田(宥)委員 今この法律で云々と言うけれども、大体そういう大勢になっておるのですね。たとえばカリ肥料のごときあるいは燐酸肥料の原料である燐鉱石のごとき、大資本が協定しちゃってそれから船舶業界と結んでしまって輸入してくれないじゃないか。季節的なものを間に合わせないじゃないか。こういうことをやっておるのです。だからそれに輪をかけてそれを強化するということになる。だからあなた方がただ法律面においてはっきりそういうことが書いてないからとかなんとかというのは逃げ道なんで、実際はそういうことをやっておるじゃないか。今小型トラックの問題だっていろいろなところから手を回して押えているじゃないか。そういうものを一体どうやって農民利益保護するか、農業団体利益保護するかということを聞いておるのです。
  69. 今井善衞

    今井(善)政府委員 小型トラックにつきましては、現在まだ自由化されていないわけでございまして、自由化されます場合にはどこからでも買えるという建前になるわけでございます。  それからカリだとかそういったものにつきましては、これはいずれ自由化になると思いますが、カリにつきましてはこれは買い手市場であります。割合に楽に買えるということになりますので、従いましてこの法律によりまして需要者カルテルを認めるつもりはございません。もしいろいろのことがあってなかなか買いにくいとすれば、それは独禁法の問題でございまして、この法律の問題ではございません。
  70. 石田宥全

    石田(宥)委員 その独禁法がもうだんだん骨抜きになっていって、今度そういう面が非常に出てきておるのです。だから小型トラックの問題は、今見本として輸入しているのだ。具体的にあなたがそうおっしゃるならば、今までは見本として入れてきて、大量に入れようとしたら押えておる。それからカリや燐鉱石などについては、これはもう船会社と大会社とが協定しちゃえば、時期に間に合わせなければ事実上できないことになる。そういうことに対して農民利益をいかに保護できるのか、これを聞いておるのです。いかにして農民利益を擁護するのか、事実上大会社にすっかり独占されちゃったから、それに対する対策はどうしたらいいのか、それを聞いておるのです。
  71. 今井善衞

    今井(善)政府委員 繰り返しますように、この法律で指定しない限りカルテルはできないわけでございます。この法律の問題じゃございませんで、これは独禁法に違反するような事実があれば、公正取引委員会と連絡をとりまして十分取り締まって参りたいと考えております。
  72. 石田宥全

    石田(宥)委員 公取そのものが、もうこのごろ実はだめになっておるので、これはこれでわれわれいろいろな点で問題にしているのだが、だから今そこらでお話があったように、船会社の方はちゃんとカルテルを許しておるじゃないか。だから何回も繰り返すように、現にやっておるじゃないかということですね。船を回してくれなければその肥料の入手時期に入手できないじゃないか。これはもうあなた方に言わせれば、独禁法違反でもないし輸出入取引法違反でもない、こうおっしゃるかもしれないが、現実にそういう問題が起こっておる。それに対して農民利益をいかに擁護できるのかというのです。
  73. 秋山武夫

    秋山政府委員 カリの問題は農林省所管でございますから、後ほど農林省からお答えを願うつもりでございます。  燐鉱石の問題につきまして、かつて三十三年でございますか、そういう事実があったやに聞いております。それは実に船腹の問題であって、その当時はたしか外国船を使って入れたというふうに聞いておりますが、現在はいずれにしてもそういうトラブルは全然ございません。のみならず燐鉱石の輸入につきまして、政令の指定をするという意思は現在持っておりません。
  74. 石田宥全

    石田(宥)委員 政府法律を作るときには勝手なことを言うのですよ、そういうふうに。ところができてしまうともう全然違うのですよ。これはいつでもそうなんです。法律を作るときには一向差し支えないように答弁をおっしゃる。けれどもできてしまったら、もうその法律は独自に動くのだから、立法者の意思とは全然違って動くのだから。これはいつでもそうですよ。だからあなた方にいい例を申し上げると、今政防法が審議されておるが、聞いてごらんなさい、例の暴力行為等処罰ニ関スル法律という法律ができたことがある。そのときは当時の司法大臣も法務局長も、これは小作争議や労働争議の取り締まりの法律にはしないということを、本会議でも委員会でも何回も繰り返しておる。ところが三カ月か四カ月たたないうちに、私自身がその法律で検挙された。公判になった。それで国会の記録をみんな持っていって、司法大臣もこういう答弁をしているし、法務局長もこういう答弁を何回も繰り返しておると、裁判で幾らでもやったけれども、私は有罪になった。それと同じことなんです。役人の答弁というものはそういうものなんです。だから今の答弁だってそうです。昭和三十三年の問題は、これは明らかな問題だけれども、それは顕在的にあるいは潜在的にそういう圧迫を受けておる。それを一体どうやって農民利益を擁護するかと言うのです。そういう点は、どうも皆さんはさっきから言うように農民利益なんというのは、全然お考えになっておらないというところに問題がある。  それからついででありますから、もう一つ伺いたいのでありますが、輸出入の関係でたとえば東南アジアに輸出をするということで、東南アジアから必要のない米を輸入される。こういう場合に農林省は極力それを押えようとする。あるいは朝鮮の米を輸入するという問題もある。特に東南アジアの米なんというものは、全く必要がない場合にもやはり日本輸出を伸ばすために輸入をされる。そうするとこれは農民を非常に圧迫する。米が余るから米の値段を下げる、統制をはずしていく、食管法を改正する、こういう議論が出てくる。そういう場合に日本の鉱工業製品の輸出を盛んならしめるために、必要のない農産物輸入される。これは鉱工業資本家の立場からはけっこうな話なんです。けれども農民立場から見たら、これは農民の生命線を侵されることになる。これは今日本農民が非常に心配をしておるところでありますが、やはりそれを指導されるものは通産省なのです。通産大臣はそういう問題について一体いかにお考えであるか、大臣のお考えを承りたい。
  75. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは最近ひんぴんとして起こる問題でございます。問題は外交問題であり、また日本の農政の問題であり、また日本貿易問題でもある。そしてこれらに大蔵省の財政政策というものがまつわっておりまして、四省の間で絶えず問題が起こる問題であります。これは東南アジアのタイあるいはビルマといった方面に対して、どうしても米を買わなければ、向こうはこっちから買う資力がない。そういう関係で、この輸出の方につらなっておる業者は、必ずしも大資本家ばかりではもちろんございません。もう大中小全部の業界につながっておる問題でありますが、これらをどういうふうに調整するかということは、絶えず問題になってきております。できるだけ先方の意向もいれ、また日本国内の農政の情勢も考慮して、その間をとって適当な結論を出しておるという状況でございます。ただその際にわれわれとしては、それではこういったような国から買うのは米以外にないかということを考えてみますと、必ずしも米に限った問題ではない。トウモロコシ等は相当量出ておる。出ておりますけれども、国際商品として従来あまり活躍しておらない。ということは運送あるいは保管あるいは乾燥、そういったような国際商品として適当にこれを仕上げることを怠っておる。そういう状況が多分に看取されるのでございますから、いわゆる一次産品の買付政策の中で、あるいは保管その他の乾燥技術等に関しまして、その施設費を出すとかいろいろ協力をいたしまして、相当量買い付け得るように仕立てる。こうしてだんだん米を他の日本で必要な作物に転換するような政策をとっておる次第でございます。
  76. 石田宥全

    石田(宥)委員 いろいろ複雑な事情もございましょう。外交事情の問題、総理大臣はいつでも外交上の事情とかいろいろあって、という逃げ口上を述べておられるのだが、今日本農民はそれを一番心配しておるのです。何しろ国内でも米が余るというのに、また輸入するという状況でありますが、これは米だけではない、日本は六百万トンに及ぶ農産物輸入しておるわけであります。だから私ども、もう貿易自由化してある程度輸入するのもやむを得ないという、その基本的な考え方に反対するものではないけれども、わが国の農業というものを近代化し合理化して、生産費をずっと引き下げることができるような施策とあわせて行なわれなければならぬ。それにはやはり通産省というものが、さっき申し上げたように肥料や農薬やあるいは農機具等の生産面それから輸入面の実権を握っておるといっても過言ではない、指導監督の責任を持っておられるのだから。だからそれらの問題を処理されるにあたっては、十分農民の経済、農民の生活というものを考慮されて施策を立てていただきたい。ことにこの法律は、もうすでにいろいろ改正か改悪が行なわれて、実は農民は相当被害を受けておるわけですが、今後この改正についてどういうことで成立しますか、私どもは相当大幅な修正もしなければならないと考えておるわけでありますが、成立いたしました暁においても、そういう基本的な考えのもとに指導監督の責を果たすようにしていただきたい。これを一つ要望申し上げまして私の質問を終わります。
  77. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 これにて本連合審査会を終了し、散会いたします。    午後四時三十七分散会