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1961-03-24 第38回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十四日(金曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君    理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       遠藤 三郎君    岡崎 英城君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君    佐々木秀世君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       田中 榮一君    田中 龍夫君       中垣 國男君    林   博君       原田  憲君  早稻田柳右エ門君       岡田 利春君    加藤 清二君       中村 重光君    西村 力弥君       山口シヅエ君    伊藤卯四郎君       大矢 省三君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         通商産業政務次         官       始関 伊平君         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         日本国有鉄道管         財部次長    土井  厚君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十三日  輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇一号)  機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一九号)  輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五三号)  派遣委員より報告聴取      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  まず連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  本委員会審査中の鉱工業技術研究組合法案につきまして、科学技術振興対策特別委員会より連合審査会を開きたい旨の申し出がありましたので、これを受諾し、連合審査会開会することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、本連合審査会開会は来たる二十八日火曜日午後一時開会予定であります。      ————◇—————
  4. 中川俊思

    中川委員長 次に去る十八日筑豊地区における炭鉱災害の実情を調査するため委員を派遣いたしましたが、この際派遣委員より報告を聴取いたしたいと存じます。中村重光君。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 調査団長長谷川委員が差しつかえがございますので、かわりまして私から御報告申し上げます。この調査団は、商工委員会といたしましては長谷川委員不肖中村が、社会労働委員会から派遣されました三名の調査委員一緒になりまして合同調査団を組織いたしまして、長谷川委員調査団長として現地の調査に当ったのでありますが、ただいまから御報告申し上げます調査報告は、調査団意思統一をいたしましたのを、同行いたしました藤沼調査員が取りまとめておりますので、お手元のパンフレットを配付いたしておりませんのはまことに申しわけありませんが、以上取りまとめましたものを私が朗読いたしまして、調査報告にかえさせていただきたいと存じます。  去る三月十六日未明、福岡県八幡市香月町、大辻炭砿株式会社大辻炭砿において発生した炭鉱火災及び相次ぐ炭鉱災害に関する調査のため、衆議院より派遣された合同調査団報告を申し上げます。  まず大辻炭砿災害状況について申し上げます。災害発生を見た大辻炭砿は、貝島炭砿株式会社より分離したものであり、年間二十万トン程度の出炭を見ており、能率も月産一人当たり十八トン以上の高能率を上げ、坑内保安状況保安管理も良好な炭鉱であったのであります。事故発生は、三月十六日午前一時半ごろ第二巻卸右半片コンプレッサー室坑口より約九百三十メートルの地点)で火災が起こり、これを三月十五日乙方入坑鉱山労務者が発見したのであります。この報告を受けた瓜生所長状況判断し、入坑中の作業員全員坑外に退避させる一方、二時ごろから、所長以下会社技術首脳陣が相次いで消火のため入坑し、消火作業に当ったようであります。  関係者の話を総合いたしますと、四時三十分ごろまでは、消火も順調に進み、坑内からの電話連絡によっても、消火は済んだ、お茶をおろしてくれ、甲方(七時に入坑する作業員)の入坑を三時間おくらせろという瓜生所長よりの命令があり、坑外にいた関係者も事態は順調に進んでいると見て安心しておったところ、五時十分杉原工作次長より直ちに酸素を発送せよとの連絡があり、この連絡最後にして坑内との連絡は切れたのであります。そこで会社側は五時二十分ごろ、貝島炭砿救護隊の出動を要請する一方、福岡鉱山保安監督部直方派遣班連絡をとったのであります。貝島炭砿より派遣された救護隊約二十名は八時に到着しましたが、到着前に、大辻炭砿で編成した救護隊一班は、直ちに入坑し、災害現場に急行したのでありますが、大根土第二巻卸右一片付近で、罹災者二名を発見しましたが、救護隊酸素不足のため、引き揚げたのであります。引き続き七時二十分ごろ第二回目の救護隊入坑し、右部水平坑道を探険しましたが、煙が多く探険困難との報告があったようであります。  この二個班の侵入により、左斜卸よりの分岐点付近で通気を制限し、煙とガスを押えようとしましたが、勢いが強く作業は意のごとく進まず、そのため、新城下坑扇風機を設け、煙とガスの排除に努めましたが、坑内状況悪化のため、この扇風機の運転を一たん中止し、夜十時第一巻卸坑道粘土等密閉作業を行なうなど、あらゆる対策をとったのであります。その間、救護隊員中にも二十名以上の中毒者を出すなど、救援作業はきわめて困難であったようです。その後救援本部は、遭難者救援のため種々検討した結果、三月十九日、第一巻卸の深部地区完全密閉の上、左斜卸地区ガスを排除しつつ、救護隊遭難地点に送り込む基地前進法という作戦をとり、迂回してコンプレッサー室に近づく作業を行なったところ、これが成功し、十九日午後より、第一基地、第二基地、第三基地の設定が成功し、二十一日午後七時四十分、二十六名全員遺体収容を見たのであります。  災害原因につきましては、ただいま福岡鉱山保安監督部中心にして調査に当たっておりますので、その結果を待たなければわかりませんが、関係者の話を総合しますと、坑内にあるコンプレッサー室より出火した火災が一部沿層坑道石炭に延焼し、不完全燃焼の際、発生した多量の一酸化炭素により中毒死したものと推定されます。災害当日の午後四時ごろ、坑口から百五十メートル付近で〇・一%ないし〇・二%の一酸化炭素を確認しておりますが、一酸化炭素が、〇・〇六%あれば、防毒面がないと、三十分も生存が不可能である事例より見ても、罹災者は、おそらく一酸化炭素中毒化に気づき、五時十分ごろ酸素の発送を電話連絡後、遭難されたものと推定されます。  今回死去された二十六名の方々は、大辻炭砿技術陣最高首脳部労働組合幹部であり、かねてから坑内保安施設保安状況を熟知していた人たちであり、従って消火隊の大部分がベテランぞろいであったことと、現場からの楽観的な状況報告等が重なって、関係者間に、ある程度の気のゆるみが生じたのではなかろうかと思います。しかし坑内火災遭難死は、大てい、一酸化炭素によるガス中毒原因であります。足の早い煙と一酸化炭素の渦がものすごい早さで狭い坑道を走り回る。これを逃げ切れる人は、まず、いないというのが、山の常識であります。遭難された方々の多くがガスマスクなしで入坑したのは、この点不用意であったのではないかといわれております。  しからば何故コンプレッサー室に出火を見たのか、この点については、失火説、モーターの過熱説等明らかでありませんが、大辻炭砿労働組合幹部と会見の際、幹部の方から、1、コンプレッサー室構造に不備があったのではないか。2、コンプレッサー室設置地点が一部沿層坑道にあったからではないか。3、コンプレッサー室にかなりの重圧があり、上部にある、「木のなる」木に燃え移ったからではないか(上部トタン板が数枚置いてあったようである)等の意見があり、さらに、会社側より、遭難前日、瓜生所長自身が、大辻炭砿保安について大体自信がある。ただ、早くコンプレッサー室の「木のなる」木を「コンクリートのなる」木にかえることだけが気がかりだ、コンプレッサー室が一番気がかりだと言っていたと申しておりました。以上労使双方意見を総合しても、コンプレッサー室管理に不十分な点があったのではないかと推定されます。  なお二月二十日福岡鉱山保安監督部立花技官より、ポンプ座コンプレッサー室防火構造とし、消火設備を補充すべしとの勧告が出されております。しかし、当時のコンプレッサー室設置個所及び構造がはたして鉱山保安規則違反であるかどうかは、同鉱が乙種指定炭鉱でありますだけ、にわかに即断できかねるのであります。  大辻炭砿災害状況聴取後、福岡に帰り、福岡鉱山保安監督官と会合を持ちました。鉱山保安監督官より  1、保安監督体制強化のため、巡回検査を二名以上でやらしてもらいたい、旅費、手当の改善、予算と定員の増加をぜひ実現してもらいたい。  2、鉱山保安監督官待遇改善、特に現在、最高監督官が五等級職どまりであり、きわめて低い待遇にあるにかんがみ、すみやかに給与改善方法考えてほしい。  3、監督行政完璧を期するため、身分の保障と特に一部悪質鉱業権者等よりの暴力等からの危険を排除してもらいたい。等の点について、強い要望がありました。私たちは、きわめて悪条件のもとで、身を挺して活躍している保安督監官の労をねぎらい、要望の実現に努力すると申しておきました。その他関係者より意見を聴取いたしましたが、以上が報告の概要であります。  今回の大辻炭砿災害調査して強く感じましたことは、第一にコスト引き下げを急ぐのあまり、ややもすると保安を軽視しがちではないかということであります。石炭鉱業合理化に名をかりて、保安をおろそかにすることは、かえって合理化のためマイナスであることを、関係者は強く認識すべきであります。  第二に、人命尊重立場から、もっと関係者は、鉱山保安を重要視すべきであります。地上と異なり、地下における作業は、その特殊環境考えてみても、保安については、もっと強い関心と責任を持ってほしいと思います。特に今回の大辻炭砿災害は、抗内火災に基因しておると推定されており、前回の上清炭鉱災害原因をも考慮するとき、消火のための準備について、関係者考え方が十分でなかった印象を受けたことは、まことに残念であります。  第三に、保安思想の高揚とともに、法律を守る、法律を守らせるルールを確立せしめることであり、これがため、必要とするならば、すみやかに関係法規の整備をはかるべきであると思いました。  石炭鉱業は、わが国経済にとって重要産業であります。そのためには、今回の災害を契機として、一段と安定した石炭鉱業政策の確立をはかるためにも、すみやかに、鉱業法鉱山法及び石炭鉱業合理化抜本的改正が必要であると思うのであります。  最後に、大辻炭砿において遭難された二十六名の冥福を祈るとともに、負傷者の一日も早い全快を祈るものであります。  炭鉱事故による遺家族は、まことに気の毒であります。どうかこれら遺家族の援護につきましては特段の御配慮をお願いします。  大体以上私が申し上げましたことによって状況は御判断願えると思いますが、なお、かいつまんで私から申し上げますと、今回の災害につきまして私ども判断をいたしましたことは、今回の遭難災害の特徴は、作業中の者が遭難を受けないで、消火作業に入った者が遭難を受けました。どうしてそういうことになったか。しかも瓜生所長以下二十六名という技術陣遭難をいたしたのであります。これは二十六名の人たちが全然防毒マスクをつけて坑内に入っておりません。これが最大の原因であります。ところが、どうして防毒マスクをつけて坑内に入らなかったのかということを調べてみますと、防毒マスクがわずかに六個しかないということであります。二十六名の人たち消火作業に当たった。炭鉱坑内火災発生をいたしますと、完全燃焼しておりませんと必ずガス発生することは、技術陣であります以上はわかるわけであります。それにもかかわらず防毒マスクをつけないで入ったということは、当然危険が予知される以上、これは軽率な行為であったということが、調査の結果判断されたのであります。この点に対して指揮命令系統の問題であるとか、あるいは保安関係に対する認識の問題が、一応ここで指摘されなければならぬと思っております。二十六名中わずか六個の防毒マスクをつけたということになりますと、二十名が全然防毒マスクをつけないで入らなければならぬことになりますが、一千名ものたくさんいる山において、わずか六個の防毒マスクしか用意してないということは、保安に対するところの知識というか、保安に対する準備が全然なされていなかったという点が指摘されます。  それから監督におきましても、監督官人たち一緒になっていろいろと話をいたしました際に、炭鉱炭塵爆発であるとかあるいはガス爆発は起こるけれども火災は非常に少ない。こういうことから火災に対する消火訓練がなされていなかった。また監督も、火災に対しての指示監督が十分行なわれていなかった。従って消火器であるとか、あるいはその他の器具器材に対する点検が十分行なわれていなかったということに、労働組合であるとかあるいは保安監督部であるとか、あるいは会社側と話し合いをいたしまして、私ども判断としては、一致いたしたのであります。  以上御報告申し上げましたことによりまして、今回の遭難が、保安に対する、いわゆる火災等発生をいたしました際にどうするか、こういうようなことに対して日ごろの訓練がなされていなかったと同時に、指揮命令系統が徹底をしていなかった——坑内に入りました二十六名の中には、瓜生所長それから会社側保安関係人たち労働組合保安関係人たち、すべてが入ってしまっております。そこで坑外人たちは、そういう関係者すべてが入っておるのであるから、命令というものは外から行なわれなかった。すべて坑内に入っておる人たちから連絡があるだろう、命令はむしろ坑内からなされるであろうというので、外ではただ坑内のそういう連絡を待つということで、何にも行なっていないということであります。連絡がとだえたあとで、先ほど報告いたしましたような保安監督部であるとか、あるいは貝島炭砿から救援隊を求めて、消火作業あるいは救援作業に当たったというようなことなのであります。  以上申し上げましたことによりまして、今回の大辻炭砿災害状況が御判断願えると思うのであります。その他これから先の措置をどうするか、保安関係であるとか、あるいは監督行政の問題であるとか、そのようなことをどうするかということに対しましても、この報告書の中にはつづっておりますけれども、後日合同審査があるようでありますので、その合同審査の中におきまして、あらゆる角度から検討審査を加えることにおきまして、この後の措置をここで見出していかなければならぬと考えるのであります。  非常にまとまった御報告をすることができませんでしたが、以上御報告申し上げまして、今回の合同調査の結果を御理解願いたいと思うのであります。(拍手)
  6. 中川俊思

    中川委員長 以上で報告は終わりましたが、もし御質疑等がありますれば明日の社会労働委員会との合同審査会で御質疑を願いたいと存じます。      ————◇—————
  7. 中川俊思

    中川委員長 次に、機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑の通告がございますので順次これを許します。田中武夫君。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 機械工業振興臨時措置法改正について質問いたしたいと思うのですが、この法案は、御承知のように問題は独占禁止法との関係だと思います。そこで独占禁止法との関連についてまずお伺いをいたしたいと思うわけですが、今度の改正によりまして、まず九条の二を追加するということは、「規格制限に関する命令」ということになっておるが、実際はアウトサイダー規制命令を発することができるように改正をしようとしておられると思うのであります。しかもこれの違反に対しまして二十一条の二を追加しまして、三十万円以下の罰金という刑をもって臨んでおられます。さらに十二条の二を追加いたしまして「合併等の場合の課税の特例」というような見出しになっておりますが、このことにおいて何ら合併についての制限がございませんから、この論を進めていくならば、いわゆるトラスト行為もできるというので独禁法の十五条との関連も出てくると思うわけでございます。  最初通産省当局から今国会における提出予定法案を聞いた場合には、この臨時措置法を廃止いたしまして、別に恒久立法として出す、こういう考え方があったようであります。従って名前改正法になっておりますが、五年の期間を延長するということでなく、その内容において大きな変更を来たしております。ただ単に時限立法時限が来たから延ばすのだ、こういうことでなく内容が相当大幅になり、かつそれだけ独占禁止法分野に食い入ってくる、こういう格好になっておるのでありますが、まず最初公正取引委員長にお伺いいたしたいのですが、この臨時措置法延期の問題及びその延期関連をいたしまして今申し上げたようなアウトサイダー規制命令、あるいはトラスト行為までも含むといったような改正について、通産省からどのような連絡を受け、どのような協議をし、そしてそのことに対して同意を与えられたかということをお伺いいたします。  また通産省当局の方に対しましては、最初恒久立法として考えておったのを、なぜこういう格好臨時措置法延長にせなければならなかったのか。これは独禁法との関係でできなかった、それだけあなたの方はやれなかったと思うのですが、その間のいきさつ等をお伺いいたしたいと思います。
  9. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 機械工業振興臨時措置法は、機械工業合理化目的とするものでありまして、国内的に所得倍増計画またこれに伴って輸出貿易振興ということは、きわめて必要であります。そのために機械工業振興臨時措置法のそろそろ期限が切れるというので今度延長をすることになったわけであります。この機械工業振興臨時措置法改正案につきましては、お話通り公取といたしまして通産省から協議を受けたのであります。そこで意見調整の結果、ただいま提出になったような案になったのであります。  そのいきさつについていろいろの点がありますが、まず御指摘のこれを恒久立法にするか、時限法にするかという問題、この点につきましては、お話し通り通産省は初めの考えでは恒久立法にしたいというお考えのようであります。しかしながらわれわれ独占禁止法立場から申しますと、独占禁止法という法律を恒久的に除外するということは非常に重大な問題であるので、いろいろ折衝の結果、現在臨時法であるならば臨時法でいいじゃないかというので、調整の結果期限延長することになったのであります。  それから合併の点についてお話がありましたが、合併についても適用除外という希望があったのでありますけれども、この法律は主として機械工業製造業または加工業で、目的とするところは中小企業中心であります。従って中小企業における合併ということは、独禁法で問題にする一定取引分野における競争を、実質的に制限するというような場合が比較的少ない。従って例外は要らないのじゃないか。もし例外を設けるということになれば、一定取引分野における競争を実質的に制限する場合が問題になる、実質的に制限するような合併独禁法建前から同意しかねる、こういう立場であります。  それから九条の二の規格統一の問題でありますが、この規格統一をする場合には、前提として合理化カルテル実施があるわけであります。その合理化カルテル実施がある場合に、公取協議を受けることになります。なお合理化カルテル実施につきましてはいろろ制限もございますので、それらの点をあわせて考えまして、規制命令を出すときに協議しなくても、すでにその前提であるところの合理化カルテル実施について協議を受けるから、そのときに十分審査できる、こういうふうに考えております。
  10. 始関伊平

    始関政府委員 当初恒久立法にしたいということを考え、その後時限立法に改めました経緯につきましては、ただいま公取委員長からお話しのあった通りであります。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 これがただ単に期限延長時限立法期限がきたから延長するというだけでなく、今言ったような点の改正がなされて強化せられているわけです。しかも通産省最初恒久立法考えられておったように、これは独禁法等関係もあって、一応こういう格好で出してこられたが、先ほど来も云われておるように、所得倍増計画との関連があるということなら、経済長期計画は十年であります。そうすると、今五年延ばした、五年たてばまた延ばす。結局臨時措置法という名前において、これを恒久化していこうという考え方があるように思いますが、いかがですか。
  12. 始関伊平

    始関政府委員 この法律は御承知のように個々の機械業種を取り上げまして、その近代化合理化を進めていこう、こういうねらいのものでございまして、現在の指定業種は二十一業種でございますが、そのうちの三業種についてはすでに目的を達成いたしまして、今回の指定では削除する、こういうことになっておる次第でございまして、この合理化近代化を進めていく過程において、ただいま御指摘のございましたような独占禁止法との関連のある事項もあるわけでございますが、この近代化合理化を進めるという趣旨から申しますと、一々の業種について一定の目標に到達ができましたものは、だんだんはずすということでございますから、必ずしも恒久的にやる必要はないと考えております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 よく脱法行為が問題になるのですが、このことはまさに政府自体脱法行為をやっておられると私は考えるわけです。それで本法の具体的な問題については、あとでゆっくりお伺いすることにいたしまして、その前提となる公正取引委員会との関係独禁法関係について質問を続けていきたいと思うのです。  今、公取委員長は、本法でいう合併中小企業であるから、独禁法十五条でいうところの、いわゆるトラスト合併には当たらないのである、こういうふうに言われました。なるほど私も中小企業が対象であろうと考えるわけなんです。しかしこの法律の中のどこを見ても、中小企業に限るということは書いてないわけです。法律建前からいけば、このことによる大企業合併、いわゆる取引分野独占を目ざすところの合併もあり得るわけです。そうするなら、まさに独禁法十五条との関係が出てくるわけなんですが、その点いかがですか。なるほど今は中小企業だといっている。われわれも中小企業のための立法であると理解はいたしております。しかしながら法律の中に中小企業という言葉は一つも入ってないのです。そうするならば、やはり大企業合併もあり得るわけです。そうすると、独禁法の十五条との関係が出てきますが、その点はいかがですか。
  14. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 法律的にはお話通り中小企業とは書いてない、従って大企業も入る、その通りであります。大企業が入る場合には例外規定がないから独禁法でいく、こういう建前であります。それで十分この法律目的は達すると考えております。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 これは中小企業に限られていないわけでしょう。大企業の場合は何が入っておるのですか。独禁法の十五条の場合には、いわゆる何々の目的のためにということで制限ができる、こういうわけなんですか。
  16. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 独禁法例外規定を全然設けておりませんので、独禁法に従って処理する、こういうことになります。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 十二条の二は合併ではあるけれども、この点は独禁法例外にはならない、こういうのですか。この点は課税の問題だけであって、この点については独禁法例外の規定になっていない、こういうことですか。
  18. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 さようでございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 それから今のアウトサイダーのことですが、結局この九条の二は、アウトサイダー規制命令を出し得るということでしょう。そうするなら、やはりカルテル強化、いつも問題になるアウトサイダー規制命令のことになると思うのです。今公取委員長は、合理化カルテル前提となっておって、そのときに協議を受けるから大丈夫だ、こうおっしゃるのですが、大体、今までのあなた方のやり方に対しまして、われわれは全面的に心服ができないわけです。一応協議を受けるから大丈夫だ、まかせておけといっても、今まで公取委員会がやってきたことで、われわれがまかせておけるような状態だったかどうか。そのことを一つ反省していただきたいと思うのです。例をあげますれば幾らもありますが、この前もちょっと申し上げましたが、カルテル行為、共同行為が出た、ところが独禁法立場から公正取引委員会調査に乗り出した、そうしたならばそれをやめた、しかしもうすでに値上げなら値上げのことはきまって実施せられておるわけです。やめたということは、その値を元に戻したわけではない。それでもあなた方不問に付しておる。こういう例は幾らでもあるわけなんです。そこで、独禁法はそういういわゆる排除を目的とする場合もあろうと思うのですが、同時に、そうでなくて啓蒙的な役割を果たさなければならない部面も多いと思うのです。そういう点につきまして、この前も申し上げましたが、公正取引委員会の態度といいますか決意といいますか、これがはっきりしないので、もう少しはっきりしていただきたいと思うのです。いかがでしょう。
  20. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 独禁法は、御承知通り私的独占とか不当な取引、不公正取引、こういうものを排除することを目的とするのでありますから、今までのいろいろな事件で、そういう事態が起こったという疑いでわれわれの方の調査した場合に、その調査の過程において結論の出ないうちに、事業者が自粛してそういうことをよしたということになりますと、排除の客体がなくなるわけであります。客体がなくなった場合には独禁法の処分を行なうことはできない。しかしながらそれではお話し通りいろいろ問題があるので、われわれといたしましてはこれに関連して厳重な警告をする、将来を戒めるということをやっております。  なお独禁法に罰則の規定がありまして、この罰則の規定は、ある独禁法の違法状態を発生した後においてこれを排除したからといって、罰則の関係においては排除したということは情状の問題にはなるけれども、犯罪を構成するかどうかという点においては問題になり得る。それらの点については先般お話ししました通り、私としても個々のケースに応じて善処していきたい、こう思っております。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば新聞の値上げの場合もそうだし、東映ニュースの場合もそうだった。しかし現にそのまま行なわれておる。私はこの前も申しましたが、独禁法の八十九条で第三条違反、すなわち取引制限違反の場合なんかは、その未遂罪をも罰するような規定になっておる。未遂罪を罰するという法意は、結局排除したからそれでいいんだということではないと思うのです。極端に言うなら、物をとった、警察に調べられたから返しました、これで窃盗罪が成立しないと同じような考え方をあなたも持っておられるのじゃないか、このように考えるからしつこく聞いておるわけなんですが、しかもこのことについての告発権は、九十六条によって公取委の専属権になっているわけです。あなたの方がそういう気でなければ絶対にこの独禁法というものは守っていけないし、独禁法目的が達せられないわけなんです。従ってあなた方がそういうことをやっておるからごらんなさいよ、毎国会出てくる法案は、どれもこれもが独禁法緩和に関係のある法律ばかりじゃありませんか。現にこの法案がそうであるとともに、この次に当委員会で大きな問題になろうはずでありますが、輸出入取引法改正がまたそうであります。当委員会において毎国会独禁法緩和に関係のない法律が出てこなかったことがありますか。そういうことによってあなた方の方は、毎国会ごとに公正取引委員会分野を狭められてくる、いわば独禁法を骨抜きにされつつあるということが、まだおわかりにならないのかと思うわけです。あなた方は独禁法を完全に実施し、これを守っていく上において、どういう決意を持っておられるのか、お伺いいたします。
  22. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 われわれの立場といたしましては、独禁法の自由、公正な競争というものを促進しまして、民主的な、健全な経済社会を作り、一般消費者の利益を確保するということを念願しておるわけでありますが、今度の機械工業振興臨時措置法改正法律案でもあるように、独禁法の自由競争原理と他の行政目的、国家目的との調整の問題であるので、独禁法さえよければ国がつぶれてもいいというわけでもないので、やはりそこにおのずから大きな国家目的から考え調整ということが考えられる。しかしながら調整ということで何でもかんでも独禁法のしりを抜かれるということは、われわれの立場として国家的の大きな見地から考えても不適当なので、消費者の利益とか関連産業の利益ということをあわせて考えて、そこに意見調整を行なっておるような次第であります。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほどりっぱなことを言われておるが、実際はあなたの方がしっかりしないから、だんだんとあしたに一城、ゆうべに一城くずされてきておるのが今の姿なんです。  それでは具体的な例で申し上げましょう。先日私が取り上げました大和銀行の株式保有の問題なんですが、ここで問題にいたしまして直後に、その傍系会社である敷島不動産の持っておりました株式を売ったそうです。あなたの方は提訴があって調査をやっておったと思うのですが、こういうようなケースのときにどういうようにされますか。十一条を見ますと、関係のところだけ読みます。「その株式を取得し、又は所有してはならない。」となっておって、九十一条では、「第十条第一項前段の規定に違反して株式を取得し、又は所有した者」となっております。だから一回でもいいから持てば——一〇%をこえて持てば即違反である、即九十一条による罰則が適用せらるべき性格のものなんです。今度の場合公正取引委員会は、この事件処理をどういうふうに今進められておりますか、現状をお伺いいたします。
  24. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 先般申し上げました通り、今月の初めから実現したことに基づきまして調査をしておりますので、現在調査の段階でありますので、まだ結論まで達しておりません。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 申し上げておきますが、すでに株式を放したから、株券を放したから不問といたしますというような結論は出さぬでしょうね。
  26. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 現在調査中でありまして、調査がまとまったところで、委員会にかけて結論を出したいと思っております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 公正取引委員会の性格上、準司法的な立場があることをわれわれは理解いたしておりますので、ここでこうしろああしろとは申し上げません。それほどものわかりの悪いものでないつもりでおりますので申しませんが、あなた方の今のやり口から見て、不問とか何とかいう結論が出されそうに思うわけです。しかし私はそれをどうしろとは言いません。それはあなたの方で準司法的な立場からやられることですから申しませんが、常に独禁法を守るんだという立場に立ってやってもらわなければ、あらゆる面においてそういう面が出てきておる。たとえば組合の申し合わせにより何月何日からこれこれの値段を値上げさしていただきますと紙に書いて張る、それは独禁法違反じゃないかといえば、組合の申し合わせというところだけ消す、そうしてあなた方はこれで排除せられたんだという、ところが、そば代でも散髪代でもみな上がっておる。効果はみな発生しておる。それに対して公正取引委員会は動かない。動けといったら予算が足りない、人が足りない、こういう。もっと強く、ほんとうに独禁法を守るための予算なり人員を確保するように、あなたは努めなければならぬと思う。なるほどあなたもさっき言ったように、日本経済の発展という大乗的見地から見て、もちろん公取委として同意し、あるいは協議に応ずる、あるいは適用除外を認めなければならぬというようなこともあろうと思います。しかし一方振り返った場合に、今日の物価値上げの状態なり、消費者の生活、消費者行政という言葉がこのごろ言われておりますが、その面から見た場合には、さらに独禁法公正取引委員会を強化しなければならぬ面も出てきているわけです。そういうことについてあなたは強化の面について検討したことはありませんか、いかがですか。
  28. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 独禁法強化の問題でありますが、強化というと具体的にどういう趣旨のことをおっしゃるか、ちょっと理解いたしかねますが、私の方といたしましては独禁法がただいまお話しのように十分実施されておらないというふうなお話もありますが、私の方としてはできるだけやっているのであって、法律的には現在において別に改正するということは考えておりません。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律が成立いたしましてから二回か三回か改正せられておると思う。それもやはり抜かれておるわけです。だから最初に比べれば弱くなっておる。だからそれをそのまま戻せというわけではないが、強化ということはそういうことを意味するであろうし、現にこの物価値上げの問題に関連いたしましてもきめ手がない。この間からこの委員会でいろいろ物価の問題も取り上げた。結局は独禁法立場から公取が何らかの処置をするより手がないのです。経済企画庁といえども通産省といえども、公共料金、しかも許可、認可を必要とするものはともかくとして、それも結局は通産省も上げることを許しておるわけなんです。一般的な物価の問題ことに消費者行政という立場から、一番表面に立ってやらなければならぬのはあなたの方なんです。現在の法機構ではそうなっておる。そこのところをあなたがぼやっとしておるから、こういうことになるわけなんです。しっかりしていないんだ。(「調査中だ」と呼ぶ者あり)調査中だとかなんとか言って、結局は不問にしたとかなんとか言って、今まではっきり決を出したことはないじゃないですか。しかも審判例から見ましても、中小企業に対しての極端なやつは審判が出ております。しかし大企業に対しては、あなた方は弱腰で、何ら今まで一つもやったことがないんだ。それでこうやかましく言っておるわけなんだ。この次に当委員会で問題になる輸出入取引法も結局は独禁法緩和、そのことをたどっていくならば、やっぱり消費者に影響を与えるのです。あなたは与えないと言うが、与えておるのですよ。だからそういう面からの強化を考えていないか、こう言うのですが、現在あなたはそういうことは考えていない。しかも政府は、これは一応審議未了となって、その後撤回というか、出してこないからあきらめたのかもしれませんが、時期あらば独禁法それ自体を改正しようという動きを、政府は現在持っているのですよ。もう少しあなたがしっかりしてもらわなければ独禁法というものは、ますます骨抜きにせられると思う。  そこでちょっと形の変わった独占体というものについて申し上げて聞きたいと思うのですが、これは問題は小さいかもわかりません。しかしこれも完全なる独占体という格好になるので、一つ意見を聞きたい。  これは国鉄、運輸省に関係があるから一緒に聞いてもらいたいと思います。たとえば特急「こだま」でも「つばめ」でもよろしい。あれは停車時間は名古屋で三分、ほかはみな一分、二分です。窓は締まっておる。従って乗客は車内においてその用を足さなければならない。ホームで買い物もできないわけです。そうするなら、「こだま」が走っておる間、「つばめ」が走っておる間は完全に隔離せられたところにいるわけです。ところが実際の状態を見ておりましたら、あれは一列車十二両編成ですから、そのうち食堂車とビュッフェがあるから、それを除くと十両くらいと思いますが、八百人から千人は乗っておると思う。一体弁当の数は何ぼ売っておるのですか。百円と二百円とあるのですが、百円のやつが少なくて二百円のやつが多い。その数が二百ほど。あとの人はいやが応でもビュッフェなり食堂車を利用しなければならぬということになるわけです。ところが食堂車に行ってみると、安いものは少ない。結局特別料理、六百円、五百円以上のものを食わされる。これはやはり一つの公正取引の独占の形が現われておる。しかも二十一日の例ですが、私が郷里から上京するときに乗った汽車ですが、弁当を売りに来たのは午後六時、弁当は六時に売りに来てお茶を持って来ない。売りに来ない。それを催促したら、ようやくぬるいお茶を持ってきた。弁当を売るならばお茶は当然必要だと思う。なぜ弁当とお茶を一緒にやらないか、弁当を買った人が隣におったが、お茶もないから飯が食えない。結局水を飲んで飯を食っておった、こういう状態です。そこで国鉄にお伺いしたいのですが、あれは帝国ホテルとか日本食堂とかがやっておりますが、食堂車に対して特別の権利金か何かを取るのですか。それから、そういう状態は私は確かに一つの公正取引の独占を構成しておる。たとえば、物を売りに来るもの、神戸肉を売りに来た。見てみたら神戸のものじゃない。そういうような状態があるのだが、これはどういうふうに監督しておるか。同時に、そういう状態も、私は一つのその列車の中においては独占体という格好を形成しておると思うのですが、公取はどう考えますか、お伺いいたします。
  30. 土井厚

    ○土井説明員 御指摘のありました最初の点の、食堂車の営業を、帝国ホテルとか日本食堂とかに承認しております。それに対しましては、国鉄の内部の規定でございます諸般の規定によって行なっておりますが、これに対しましては売り上げから一定の歩合を定めて、これを構内営業料金として徴収しております。それから販売品につきましては、これはどういうものを売るかということを許可事項にしております。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 それから何人乗っておって、弁当を何ぼ売っておるか調べておるか。
  32. 土井厚

    ○土井説明員 それはその日の状況によって必ずしも同一でないのでありますが、ただいま特急におきましては食堂車、ビュッフェのほかにサンドイッチ、すし、それから百円の弁当を売っております。二百円の弁当は売っておりません。おおむねの売り上げ個数は三百と四百の間でございます。
  33. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまの列車食堂のお話、私もこれは個人的にだいぶ不平を聞いたことがありますけれども、これは今申します通り国鉄の承認によって、業者が商売するのであります。その承認がいいか悪いか。ことに承認の条件がいいか悪いかということは、今お話通り批判の余地はあると思いますが、事実上の独占的なものになっておるけれども、これは承認の結果、そういう状態が生ずるのであって、業者が自発的にやっておるものではないというふうに考えます。従って、承認がいいか悪いか、承認の条件がいいか悪いかということは、十分国鉄当局において研究されることと思います。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 国鉄ですが、私そういうことで調べたのです。二百円の弁当は今売ってないそうですが、最初は売っておうたと思う。買って食ったことがある。そこでいわゆるサンドイッチ等も込めてきょうは何ぼ用意したかと言うと、二百だと言った。八百人以上の人が乗っておる。しかもどの汽車でも昼か夜か必ず列車内で食べなければならぬようになっておる。ところがそういう状態である。もう少し現場で、運賃値上げを今こうしてやかましく言っておるが、運賃値上げの前に、そういうことまで、もっと監督してもらいたいと思う。その点いかがです。実際はお茶を売りに来ないんだよ。弁当買うたって、お茶がないから食えない。なぜ弁当と同町にお茶を売りに来ないか。現実に私は体験したのですが、六時に弁当を売りに来て、八時にお茶がきた。しかもそれは催促してお茶を持ってきたのです。そういう状態について、あなたは知っておりますか。
  35. 土井厚

    ○土井説明員 まことに御迷惑をかけまして申しわけないと存じますが、今後そういうことのないように一そう指導をいたしたいと思います。なお弁当とお茶とを同時に売るようには平生からやかましく言っております。それが励行されていないことは遺憾に存じますので、再び注意を喚起したいと思います。      ————◇—————
  36. 中川俊思

    中川委員長 ただいま通商産業大臣が御出席になりましたので、この際、中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本案に対する質疑は他にないようでありますので、本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  引き続き本案を討論に付するわけでありますが、討論の通告がありませんので、これを行なわず、直ちに本案を採決いたしたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、本案を採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  39. 中川俊思

    中川委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  41. 中川俊思

    中川委員長 次に、昨日本委員会に付託になりました輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題として審査に入ります。
  42. 中川俊思

    中川委員長 まず趣旨の説明を聴取することにいたします。通商産業大臣椎名悦三郎君。
  43. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ただいま議題となりました輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  現行輸出入取引法は、昭和二十七年九月輸出取引法として施行され、その後昭和二十八年八月輸出入取引法改正され、さらにその後二回の改正を経て今日に至っております。その間輸出入取引法は、輸出入取引における秩序の確立についての基本法として、多大の役割を果たして参ってきたのであります。  しかしながら最近における世界貿易の情勢を見ますと、諸外国においては、依然としてわが国の一部商品の急激な進出が問題とされ、輸出取引秩序の確立のための施策がますます強く要請されているのであります。さらに今後わが国の貿易の自由化が進捗して参るのに伴いまして、一部商品については輸入競争の激化が予想され、その対策を整備する必要に迫られますとともに、低開発諸国との貿易促進のためには、これらの国からの物資の買付を民間の協調体制のもとに進める必要性も増大して参っております。これらの諸情勢に即応いたしまして、この改正案を提案した次第であります。  次に改正の主要点につきまして御説明いたします。  第一は、輸出貨物の国内取引に関する生産業者等の協定に対する政府規制の規定の新設であります。  現行輸出入取引法におきましては、生産業者等の輸出貨物の国内取引に関する協定につきましては、輸出業者の協定の場合とは異なりまして、アウトサイダーを規制する規定を欠いておりますが、一部仕向地につきましては対日輸入制限運動が激しくなる傾向にあり、わが国としても輸出取引秩序の確立のための体制を整備することがますます肝要とされております。従って輸出取引における過当競争原因が国内の生産分野等に存する場合には、必要に応じ生産業者等の協定につきましてもアウトサイダーを規制することができるようにし、輸出協調体制の確立につき万全を期せんとするものであります。  第二は、輸入貨物の国内取引における購入に関する事項についての需要者等の協定の規定の新設であります。  現行輸出入取引法におきましては、相手国の売手独占等によるわが国の高値買い等の弊害を除去するために、輸入業者の段階において協定その他の共同行為を行なうことが認められております。しかしながらわが国の輸入取引におきましては、国内の需要者等が輸入取引の内容を実質的に左右している場合が多く見られる実情にかんがみまして、輸入業者による共同行為によってもなお前述の弊害を除去することが著しく困難である場合には、きわめて厳重な制限のもとにおいてではありますが、需要者等が輸入貨物を購入する場合の国内取引について協定を締結することができるようにすることが、これからはぜひ必要であると考えまして、この点に関する規定を設けました。  第三は、輸出入調整に関する輸出業者及び輸入業者の協定の規定の新設であります。  従来低開発諸国との貿易においては外貨資金割当制度によってある程度割高な物資の買付を行なって、わが国の商品の輸出を容易にしてきた例が少なくないのでありますが、貿易の自由化の進展に伴い政府においてかかる措置をとることは次第に不可能となりつつあります。今後は貿易業者間の自主的な話し合いによりこれら低開発諸国との貿易の維持拡大をはかることが必要でありますので、輸出入の調整に関する輸出業者及び輸入業者の協定に関する規定を設けることといたしました。  第四は、貿易連合の制度の創設であります。  中小の貿易商社が連合して、貿易取引を行なうということは、貿易取引の秩序の確立という観点からも、また、中小貿易商社の健全な発展のためにも必要でありますが、現行法令における諸制度をもってしては所期の目的を達成することが困難と考えられますので、今回連合して貿易取引を行なう貿易業者の社団に、貿易連合という名のもとに新たに法人格を賦与し、その助長をはかることとし、所要の規定を設けることといたしました。  右のほか、今回の改正案におきましては、輸入組合の設立を容易にすること、輸出組合、輸入組合等の事業内容を明確にし、非出資組合を非課税法人にすること等若干の改正を行なうこととしております。  以上の改正によりまして、関係業界の協力と相待って、わが国貿易の秩序ある発展が期待されるものと深く確信いたしておる次第であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  44. 中川俊思

    中川委員長 以上で趣旨の説明は終わりましたが、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  45. 中川俊思

    中川委員長 再び機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑を続行いたします。田中武夫君。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 引き続いて国鉄にお伺いいたしたいのですが、先ほど、売り上げの中から歩合を何%か取っておる、こういうことでありますが、それは一体売上高の何%ということになっておるのか。  それから食堂と車内販売とを同じ業者がやっておる、同じ者がやっておるところに私は問題があると思う。弁当は言いわけ的に安いものを売っておいて、そうしてそれが足らなければ、先ほど言ったように、六時間半という間は外界と遮断をされておる、いやがおうでも食堂なりビュッフェに行って、高いものを食わなければならない、ここに私は不公正な取引があると思う。だから食堂と車内販売を別にする、そうすることによって、私はそういうような弊害がなくなるのではないかと思うのです。  それから一体乗客に対してどの程度の——私がたまたま聞いたときにはサンドイッチ、弁当その他すしを入れて二百だ、こう言っておる。大体どの程度のものを売っておるのかということを、後ほど調べて知らしてもらいたいと思う。  それから帝国ホテルとか日本食堂とかという特定なものにやらしておるから、そこにどうしても独占の座にあぐらをかくという状態が起こるのです。大体食堂へ入っても、サービスは過剰なほど親切なところもあるかと思えば、抜かっておるところもある。かと思えば、ともかく安いものはほんの言いわけ的にしか持っていない。そして行ってみると、もう安いのはありませんというので、スペシァル料理、特別料理の六百何ぼですか、あれを食わなければならぬというはめに陥れられるわけです。今日の日雇い等の日給は幾らであるか考えてごらんなさい。汽車の中で弁当を食うのに、そういう労働者の一日分の賃金以上のものを食わされておる。しかもそれがいい材料かといえば、決してよくない。これは国鉄があまりにも特定の業者に権利を与え過ぎておると思うのです。そういう点についてどういうように改正なり検討を加えようとしておられるのか。  それともう一つは、一度監督立場にある人が乗って、どういうことをやっておるか見なさい。そういうことを要望いたします。  質問と要望を兼ねまして……。
  47. 土井厚

    ○土井説明員 食堂車の売り上げに対します国鉄がとっております営業料金は、売り上げの三・五%であります。  それから次に、御指摘いただきました食堂車の営業と車内におきます弁当の営業を別にしたらどうかというお話でございますが、われわれの方もそういうふうなサービスの仕方も一つのあり方として考えられるわけでございまして、三月一日からそういうやり方を、一部の列車において施行しております。  それから特急等におきまして販売しております弁当、サンドイッチ類につきましては、後刻御報告いたしたいと思います。  それから日本食堂あるいは帝国ホテルのサービスにつきまして種々の批判を受けております。またいいの悪いのという話がございます。われわれといたしましては、これらの業者を今後も指導いたしまして、旅行者から真に喜ばれるものを安く提供するようにしていきたいと考えております。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 これ以上は申しませんが、一応そういうような点を検討せられて、現に監督の任にある人が、一応隠密的に乗って見てごらんなさい。先ほど言ったように、弁当を六時に売りにきて、お茶をいつまでたっても持ってこないから、八時にしびれを切らして催促したら、ようやく持ってきた。その間にコーヒーは二回売りにきたんです。そういう状態です。だから一ぺんよくごらんになったらいいと思う。それから、なるほど名魔物の車内販売もけっこうですが、わざわざアナウンスで神戸肉のみそづけとやっておる。よくつかまえて見たらそれは大阪製品です。私は兵庫県だから、ちょっと神戸肉の看板をとられたというような感じを受けたんですが、そういうような点もよく検討する必要があると思います。もっと申したいんですが、これはあらためて、運賃でも片づいてゆっくりしたときに、運輸へでも行ったときに申し上げることにして、本題へ戻りたいと思います。国鉄はけっこうです。
  49. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 とんでもないところで発言するようですが、今の議論は非常に大事な議論だと思う。これは汽車を利用しておる大衆もみんな同じ感情を持っておると思う。今の車内の問題もさることながら——そういう問題も確かにあると思うのです。同時に、駅の弁当なんかの問題についても非常に弊害があります。何か一駅一店主義とかいいまして、その一店が独占の上にあぐらをかいて——運輸省は監督しているでしょうけれども監督なんかそういつでもやれるものではない。ちょっと見にいったときには、いいものを出すかもしらぬけれども、ちょっと目を離しておると非常に粗雑なものを高く売ったりしておる。しかも非常にサービスが悪い。あれは私は二店主義にしたらいいんじゃないか、競争さしたらいいじゃないかと思う。どうしても一店の独占を守っておるわけですね。そこに非常に弊害が出てくる。これは私は前々から考えておって、一般の大衆からしょっちゅう小言を受けておったことであります。今田中議員の質問は笑いごとじゃないのです。これは、国鉄は国鉄一家とかなんとかいって、独占の上にあぐらをかいて、非常に問題を包蔵しておる問題がたくさんあります。ですからこれは一つまじめに取り上げてやっていただきたい。そうして大衆のためにほんとうに奉仕する国鉄だというふうになっていただきたい。ややもすると独占の上にあぐらをかいて、とんでもないことをやっておる。もう憤懣にたえないようなことをやっておりますから、特に御注意を願いたいと思う。
  50. 中川俊思

    中川委員長 土井さん、何か御発言はないですか。
  51. 土井厚

    ○土井説明員 駅におきます弁当の販売店といいますか、調製しておる店が一駅一店の駅も、御説のごとくございます。また二店以上ございます場所もあるわけでございます。はなはだしく多いところは三店以上ございまして、みなが立ちいかないというふうな例の場所もございます。一駅一店という場所も御説の通りあるわけでございます。これらが、国鉄の許可に甘えまして、品質の悪いものを出すようなことがないように、弁当につきましては抜き打ち検査その他を特に励行するように、年来指示をしております。また検査は十分に行なっておると思っております。なお至らない点がございましたならば、これを直すことにやぶさかでございませんし、今後ともよりいい、より安い弁当を調整し、旅客に喜ばれるようなサービスを提供するように努力をしたいと思います。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 今遠藤委員も言われたが、僕は「こだま」の特急の中のことを言ったけれども、ホームも同じような状態なんだ。僕は一ぺん、大阪から東京までの各駅の弁当を買ってきて、運輸委員会で原価計算をしてみようかと考えたことがあるくらいです。だからこういう点を再検討してもらうことを強く要望いたしておきます。  本題に戻りますが、機械工業振興臨時措置法改正趣旨説明の第一番に、改正目的として、機械工業は、国民経済の高度成長をになう産業として、所得倍増計画中においても、今後の発展が期待される産業である、こういうふうに言っておるわけです。先ほどもちょっと触れましたが、今五年延長ということなんだが、所得倍増計画との関係考える場合には、これは一方は十年だ。そうすると、五年たった後にまた五年というような出し方をされるのかどうか。これは当初提案されたときに五年だ。そのときにすでに、延期するという腹の上で五年を出してこられたのかどうか。五年という時限立法で出してきて、今日これをなお五年延ばす、こういう点については、どういうふうな関連があるのか、どういうふうないきさつがあったのか、お伺いしたい。   〔委員長退席、内田委員長代理着席〕
  53. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 お答えいたします。私の方が初め基本法のことを考えておりましたのは、機械工業の今後の重要性にかんがみまして、機械関係の憲法と申しますか基礎法みたいなものを作りたい、こういうふうに考えておったのでありますが、その後主税局あるいは公正取引委員会と相談の結果五年になったことは、ただいままで御説明があった通りでありますが、今後これを延ばすかどうか、五年たったときに延ばすかどうかという問題につきましては、現在、所得倍増計画と同時に、貿易自由化の問題を差し迫られておるわけであります。この方の関係は、現在の見通しで申しますと、大体ことしの秋には、為替上の理由をもって貿易制限ができないという勧告を受けるのではなかろうか。そういたしますと、その後一、二年の間には完全自由化に踏み切らざるを得ないということになっておるわけでありまして、私たち臨時措置法を五年としましたのは、この自由化に備えて、早急にあらゆる措置をとって機械工業の体質改善をいたしたい、こう考えたのでありまして、一応現在のところは五年で打ち切るというふうに考えておりますが、そのときの状況によりまして、自由化の問題、あるいは機械工業自身の体質がまだまだ弱体であるといったような場合には、国会において慎重に御審議の上、さらにどういうふうにするかを御決定願いたい、こういうふうに考えております。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 重工業局で、ことしの二月十五日出された「機械工業振興の方途」、これをちょっと見せてもらったのですが、この中においても、所得倍増計画の中における機械工業の重要性ということを強調せられておるわけです。それから貿易の自由化ということがありますが、貿易の自由化については、あと輸出入取引法改正しようとしておるのではないですか。貿易の自由化に伴う問題はその方でやっていけるのではないかと思うのですが、これはむしろ所得倍増計画との関連においての方が、ウエートが高いように思うのです。貿易の自由化だけだったら、輸出入取引法の方で考えられるのではないですか。
  55. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 所得倍増計画と同じように、貿易の自由化を私の方は重視いたしておるわけであります。貿易の自由化で最も影響を受けるのは、私たち機械工業ではないかと思います。と申しますのは、機械工業が先進諸国に比べて、技術的にもあるいは製品の面におきましても、まだまだ著しい立ちおくれがありまして、自由化でおそらく日本に殺到してくるのは機械製品であろう、こういうふうに私たち考えておるものでありまして、この自由化に対処して、外国の製品と十分に競争をしながら、なおかつ所得倍増計画に示しておりますような水準にまで上げていくということが、非常に大事だ、こういうふうに考えておりますので、輸出入取引法その他ではなくて、機械工業を早急に体質改善をして、自由競争に対し得る形を整えて、所得倍増の線に向かっていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業の体質改善のために、こうおっしゃるのですが、また提案の中にもこの法律は過去四年半の実施の過程において中小企業の本質改善に顕著な効果を上げた、こういっておるのです。長くなると困るので、簡単にどのような顕著な効果を上げたか、具体的に言ってもらいたいと思います。
  57. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 現行の臨時措置法で、五カ年の間に、機械の生産額は三十年度に比べまして、現在三十五年までに約四倍以上の伸展を示しております。同時に、現在の法律合理化基本計画がありまして、合理化基本計画で所要の目標を明示しておるわけでありますが、ここで現在までに指定しております二十一業種はほとんどのものが、その目標を達成いたしております。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律が五年前にできましてから、やや違う点もあるが、同じような目的のものが、あとでたくさん出たわけです。たとえば電子工業振興臨時措置法、それから軽機械輸出振興法、あるいは中小企業業種振興法何、かみんな同じような、ことに電子工業とこれとは同じような目的だと思うんです。最初これができたときに、電子工業振興法がなかったときには、抵抗器、コンデンサーなんかを、これでいこうという考えだった。ところが電子工業を作って、そっちへ持っていった。何だか同じような目的法律が二つも三つもあるような感じがするのですが、そういう関連する法律との関係はどうです。
  59. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 田中先生の御指摘の点でありますが、この法律に最も似通っておる法律は、ただいま御指摘の電子工業振興法とそれから中小企業業種振興法であります。軽機械振興法はこれはだいぶ性質が違うと思いますが、電子工業振興法は、これはこの法律ができました当時は、ほとんど日本にはその年産の芽ばえもなかったのでありまして、この法律とは多小趣を異にいたしておりまして、きわめて開発助成的な法律内容になっておるわけであります。この法律と起源も違いますので、電子工業振興法にはこの際は触れないというふうに考えておるわけであります。業種振興法は機械工業振興臨時措置法よりは、はるかに一般的、抽象的でありまして、いわゆる業種別に、いろいろの管理方式なり経営方式なりというものの勧告をするというような内容になっておりまして、その法律に比べますと、機械工業振興臨時措置法は、より具体的に諸施策を盛り込んでおるのであります。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど申しました「機械工業振興の方途」、この中でいろいろと機械工業の実情に触れられ、将来に触れられておりますが、この中で、八ページから九ページにかけてですが、機械工業の国際競争力が劣っている原因として(1)から(3)まであげておられるわけです。そのまず第一には「設備が老朽化していること」ということをあげておられるわけなんですね。ところが第二の「生産体制が乱派で、多種少量生産におち入っていること。」第三に「企業規模が小さく、量産体制が確立してないこと。」、こういうようにあげておられる。大体(2)と(3)にこの法律関係あると思う。  第一にあげられておる設備の老朽化、これにはいわゆる近代化助成金があるじゃないか、こうおっしゃるが、その方はちょっとしか考えておられないように思うのです。第一番に取り上げているところよりも、二、三に取り上げたところに力を入れてこの法律を出される、こう思っておるのですが、言われる通り設備の老朽化ですから、これは近代化のために中小企業庁にもっと力を入れていただかなければならぬと思うのですが、その点この法律だけでなく、設備の近代化ということが大事じゃないですか。次には技術者の確保ということが重要だと思うのですが、いかがですか。
  61. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 現在の機械工業振興臨時措置法の五条にも、基本計画に定める計画を実施するために政府は所要の資金を確保しなければならないという規定が入っておるわけであります。現実の法の施行の問題といたしましては、現在開発銀行に資金のフクをいただきまして、特定金利で、機械工業の設備の近代化のための諸措置を講じております。ただいま田中先生の言われました企業の体質を上げるための第一の設備の老朽化という点につきまして、政府は決してないがしろにしておるのではなくて、最も大きなウェートを置きまして、三十六年度の予算では開銀七十億、公庫三十億、それにアメリカのエキジムから二年間に約二千五百万ドルというようなことで、設備の老朽化を解消するための諸措置は十二分に講じておる、こういうふうに考えております。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど、今言われたように開銀で七十億、中小企業金融公庫で三十億、合わせ百億、これは過去五年間の合計百十二億に比べるならば、なるほど多いと言えると思うのです。しかしこれだけでも十分に果たせないと思う。今言われたように、外国輸出入銀行からの約九十億、こういうものもあると申しますが、これは金利が今までは六分五厘だったが、ここは金利は未定になっておるけれども、金利なんかはどうなっているのですか。
  63. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 現在大蔵省と折衝中でありまして、最終的には確定いたしておりませんが、大体金利の問題については、実質七分五厘程度ということで、最近の機会に話の結末が出るのじゃないか、こういうふうに考えております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 僕は未定となっておるのは六分五厘より安くなるので未定と書いておると思ったのです。そうするとまた一分上がるのですね。大体の情勢は金利は引き下げられる傾向に向かっておるわけなんです。一分上げるのですか。
  65. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 一分上がる予定考えております。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 これは今までより安いのが、ことしからの方向だと思うのです。金利は一般的に下がるのですよ。六分五厘が七分五厘になることで大体了承の線に達しておりますというような、そんなのんきなことを言わずに、六分五厘より安くなるように努力してもらわなければ困ると思う。
  67. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 その点につきましては御指摘のように大いにがんばったつもりでありますが、財政投融資の資金コストの面、その他からのいろいろの要請もありまして、資金量が飛躍的にふえる機会にということで、大体大蔵省との間では、不満ではありますが現行よりも約一分程度の値上げになる、こういうふうに考えております。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 通産省の局長の中でも一番心臓の強い重工業局長ですから、大蔵省の言うなりにならずに、もう少しがんばってもらうように一つ希望しておきましょう。この改正の新旧対照表をずっと見ておりますと、現行法では「合理化基本計画」、こういうようになっておる。ところが今度のではこの「合理化」という言葉が全部抜けておる。ただし第一条の目的合理化のところだけは入っているが、そのほかは全部抜いて「基本計画」となっている。これは、「合理化基本計画」というのを全部抜いて「振興基本計画」と書いたところに、何か特別な意味があるわけですか。目的の第一条にはやはり「合理化」という言葉を使っておる、二条以下はこの改正案では「合理化」という言葉は、全部抜いています。改正のところは大体その関連が多いと思うのですが、その点はいかがですか。特に「合理化」という言葉を抜いて、「振興」とか、あるいは「基本計画」としたというのは、特別の理由があるのですか。
  69. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 現行のは「合理化基本計画」というふうになっておりまして、今度の改正法では「振興基本計画」、こういうふうに改めたわけであります。と申しますのは、基本計画に盛り込みます内容が、従来の法律よりも範囲が拡大されまして、単に合理化ばかりでなく、所得倍増計画に見合って、輸出の目標だとかいうことも織り込みました関係上、「合理化計画」だけでは、やや狭いというふうな感じがいたしましたので、「振興」という文字に書きかえたわけであります。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、「合理化」から「振興」へと一段と飛躍した、こういうことだと思うのです。一条の方はこのままでいいですか。一条は現行法と別に変わりないわけですか。
  71. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 一条の目的は非常に一般的にうたっておりまして、合理化を促進して機械工業振興をはかり、国民経済の発展に寄与する、こういうことでありますので、この一条の目的自身をいじる必要はない、こういうふうに考えたわけであります。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、法体系からいえば、合理化振興ということならば、そのあとにくるところの基本計画でも「合理化」と「振興の計画」、こういうことにせぬと、体系上合わないと思うが、違うのですか。
  73. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 基本計画の中には合理化振興と両方とも入って、各項目について、政府として審議会の議を経て計画を作るわけでありますので、別々にする必要はない、こう考えております。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 「合理化」というところが全部「振興基本計画」、こういうふうに変わっておるので申し上げたのですが、最後公正取引委員長にお伺いいたしますが、本法の十一条で、通産大臣と協議することになっておる。この協議の問題で、たしかこの法案が五年前に出たときには、「同意」か「協議」かで、だいぶ争ったことがあったのですが、過去この法律の運営にあたりまして、公正取引委員会との協議ということはどういうふうになされ、そしてまた協議ということで運営の上においてあまり支障はなかったかどうか、それを公正取引委員長に聞くと同時に、通産省の方へは同じことをお伺いするわけですが、この協議の方はどういう観点からなしていったのか、そして過去の具体的例において、協議という点において何かトラブルはなかったか、そういうことをお伺いいたします。
  75. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 この法律に基づく協議は鍛圧プレスに関するものが一件あっただけであります。しかしその内容につきましては、意見調整の結果、協議に応じております。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 指定は十九品目でしたかね。現在はそのうち共同行為というところまでいったのは一件だけだ、こういうことですか。
  77. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 現在までこれに類する事項は二件あるわけでございますが、本法による指示カルテルで、公取協議をしたのは、ただいま公取委員長から御説明があったようにプレスだけでありまして、ベアリングの例がありますが、これは独禁法による合理化カルテルでいっております。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ別に協議ということで支障はなかった、これは両方ともお認めになるわけですね。公正取引委員長、どうですか。同意まで持っていかれなくてもいいですか。
  79. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 これはほかの法制との関係もありますので、現行法ができたものと思いますが、ただいまのところは、これでけっこうだと思います。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 ほかの法制との関係があると言うけれども、そこを言っているのですよ。前がこうだからということでなくて、同意してもらわなければならないものがあるというならば、同意でがんばりなさいよ。同意にするということが、先ほど来言っている公正取引委員会がしゃんとする一つの根本原因にもなるというか、てこ入れにもなるわけです。前が協議だから今度も協議でけっこうです、こういう態度では弱過ぎると思います。この法律だったか、どれだか忘れたが、公取協議を同意に修正するということで、この委員会で私はがんがんやりおったことが四、五年前にあったと思うのです。そういう点で、先ほど来言っているように、今後も通産省から出してくる法律の中には、独禁法を緩和してその適用除外をしていくというような法律が多いと思います。いや通産省だけではない、運輸省からも出てくる、あるいは厚生省からも出てくる、こういう状態にあって、四面楚歌の中にあっても、きぜんたる態度で公取は臨んでいただきたい、そういうことを要望いたします。きょうはこの程度にしておきましょう。
  81. 内田常雄

    ○内田委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十八日、火曜日、午前十時より開会予定であります。  なお、明二十五日、土曜日、午前十時から鉱山保安に関する問題で、社会労働委員会との連合審査会開会する予定でありますが、この点公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後零時二十六分散会      ————◇—————