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北野参考人 この
機会に貴重なお時間を拝借いたしまして、
商工組合中央金庫の
業務のあらましを申し上げたいと思います。
お手元にお配りいたしております資料の中に
業務の一覧というのがございますが、その主要勘定について申し上げますと、今年一月末現在で貸出金残高が一千七百五十五億一千五百万円になっております。一方債券の発行高は千二百九十四億一千八百万円、
預金残高は四百六億九千八百万円、また出
資金は八十六億円になっております。出
資金の中には、昨年十二月に当金庫の貸出
金利三厘引き下げの財源としていただきました
政府出資の二十億円の増加が含まれております。なお、この表には入っておりませんが、本年三月一日に民間の増資四億円を行ないましたので、現在出
資金は九十億になっておるのでございます。
次に、最近の
中小企業金融の動向について申し上げますと、
資金需要は依然としてきわめて旺勢でございますが、その
内容はかなり複雑になってきております。その一つは、ドル防衛措置などによります輸出環境の悪化に伴いまして、不況対策的な
資金が出て参っております。たとえば双眼鏡あるいは合板、輸出玩具、こういったような輸出雑貨につきましても、生産調整並びに価格安定対策のための
資金需要が、最近特に出て参ってきております。それから第二に、北陸地区の雪害対策費、第三は、これは昨年からの特に顕著な
事例でございますが、経済の成長過程に即応いたしました設備
近代化資金並びに貿易自由化の本格化に対応いたしますためのいわゆる
合理化資金でございます。なおまたこれに伴う増加運転
資金も非常にふえて参っております。それからさらにこの系列強化に伴いまして下請
企業を中心といたしました設備
合理化のための増設
資金あるいはまた設備の
近代化資金、それから最近にまた出てきております新しい傾向は、共同態勢を強化するための共同施設の
資金が出てきております。たとえば共同給食だとかあるいは共同貯木、共同駐車場といったような
資金が出てきております。それからさらにまた
合理化を目的といたしました工場団地の造成
資金、こういうようなものが最近の
資金需要の特徴のように思われるのであります。
次に、
貸し出し計画につきまして簡単に申し上げますと、まず三十五年度でございますが、年度当初におきましては、年度間の
貸し出し純増を二百五十億といたしまして、この計画でスタートを切ったのでございますが、その後業界からの非常に旺盛な
資金需要がございましたので、これに応じまするために、昨年の十二月
関係方面の御援助もいただきまして、この
貸し出し純増二百五十億を三百億に増額いたしました。ところがさらにまたことしになりまして、この第四・四半期といたしまして、さらにこの
資金需要が一段と強くなって参っておりますので、極力自己調達をふやすように
努力いたしまして、年度間の
貸し出し純増計画をさらに三百十億に変更いたしまして、これでもって今年度を処理いたしたいと考えております。もちろんこれでもって十分とは申せません。そこでなるべくこの緊要度を見まして、緊要度に応じた適切な
資金配分をいたしまして、その間の調整に努めまして、業界の方々にできるだけ御迷惑をかけないようにいたしたいというように考えてやってきております。
それから次に、三十六年度の
資金計画でございますが、
貸し出し純増を年度間におきまして三百十億といたしました。その
資金の内訳は、ただいま御審議をいただいております財政投融資の
政府引受債券四十億、そのほか市中で発行いたします債券で百九十億、組合その他の
預金で七十億、それから民間の出資で十億、これで処理いたしたいというので計画を進めておるのであります。
ところで、
昭和三十六年度の
資金需要は、今的確に把握はできませんけれ
ども、引き続きまして、この経済の高度成長に伴いまして設備の
近代化、
合理化あるいはまた先ほ
どもちょっと申し上げましたが、ドル防衛に伴う輸出環境の悪化に対処するための不況対策
資金というようなものも、かなり出て参るようでございまして、こういうものを中心にいたしまして
資金需要は相当旺盛の見込みでございます。かりに三十六年度の第一・四半期だけの予測を立ててみますると、私の方の各
店舗から申し出ております
金額によりますと、第一・四半期だけでも純増額が九十億円になるというようなことでございます。ところがちょうど前年同期、三十五年度の第一・四半期の純増実績は、四十七億円でございましたので、これだけを見ましても来年度早々すでに
資金需要が非常に強いということが想像されるのでございます。かような
資金需要に対しまして、
資金調達の方でございますが、御承知のように商工中金の
資金源の大半というものは、商工債券でございまして、その商工債券の
政府で引き受けて下さる四十億は別といたしまして、市中で消化する予定にいたしております先ほど申した百九十億、これの消化がはたして十分やり切れるかどうかという点に若干の懸念がございます。最近非常にやかましく言われております公社債投信の影響が、すでにある
程度現われているように思うのであります。しかしながらこの影響が今後どういうふうになるか、どの
程度のものであるかというふうなことは、今のところではまだ十分につかみ得ないのでございます。ただことしの一月、二月の
状況を見ますると、商工債券の乗りかえの
関係もございまして、発行総額が相当大きくなりました。発行総額ではさして変わっておりませんけれ
ども、純増額におきましては、
昭和三十四年度の毎月平均に比べますと、二、三割方落ち込んでおる、こういう
状況でございまして、今後の推移につきまして必ずしも楽観を許さないのではないかというふうな心配を持っております。結局三十六年度におきましては、
資金の需要の面から申しましても、また調達の面から申しましても、まだ年度の始まらない現在では、はつきりと予測が立てにくいという
状況でございますが、いずれにいたしましても
資金調達面にはかなり問題があるという感じがいたします。それだけに商工中金自体の、いわゆる内部
努力、自己
努力を一そう強化いたしまして、自己調達
資金をできるだけ、少なくとも計画通りに確保するようにいたしたい。
関係官庁にもいろいろ御相談をいたしまして、今後時宜に適した有効な措置をとりまして、
資金繰りの上に問題のないようにいたしたいと、せっかく
努力をいたしておる次第でございまして、本年度の引き続く旺盛な
中小企業界の
資金需要には、できるだけおこたえしていきたいという決心をいたしております。それにつきましては、どうかこの上とも
委員の皆様方におかれましても、格別の御支援を賜わりますようにお願い申し上げる次第でございます。