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1961-03-03 第38回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君    理事 中村 幸八君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君       有馬 英治君    佐々木秀世君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       田中 榮一君    中垣 國男君       野田 武夫君    濱田 正信君     早稻田柳右エ門君    岡田 利春君       加藤 清二君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    中村 重光君       西村 力弥君    大矢 省三君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君         通商産業事務官         (繊維局長)  松村 敬一君         通商産業事務官         (鉱山局長)  伊藤 繁樹君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         通商産業事務官         (公益事業局長)大堀  弘君         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         議     員 勝間田清一君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月一日  委員加藤清二辞任につき、その補欠として高  田富之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員高田富之辞任につき、その補欠として加  藤清二君が議長指名委員に選任された。 二月二十八日  中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇一号)  石炭鉱業安定法案勝間田清一君外二十八名提  出、衆法第一〇号) 三月一日  工場立地調査等に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第一一八号)  機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一九号)  小規模事業者に対する金融特別措置法案向井  長年君外三名提出参法第二号)(予)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案向井長年君外三名提出参法第三号)(  予)  官公需中小企業に対する発注の確保に関する  法律案向井長年君外三名提出参法第四号)  (予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第七一号)  中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇一号)  工場立地調査等に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第一一八号)  機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一九号)  石炭鉱業安定法案勝間田清一君外二十八名提  出、衆法第一〇号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を求めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 私はまず質問に入ります前に、一言委員長に申し上げて、委員長において善処せられるよう要望いたします。  と申しますのは、本日の私の質問に必要であるということで、すでに火曜日から銀行局長を呼んでおるのであります。火曜日は銀行局長も出てこられないような事情もあっただろうし、あるいは当委員会審議の時間の関係もあってやめたのですが、本日当初にこの質問をやることはあらかじめ通告をしておったはずであります。またけさ委員部の人に銀行局長についての連絡を聞いたら、連絡ができております、出席します、こういうことだったわけです。ところが委員長委員長席にすわり、速記者が入り、他の関係政府委員が入り、委員もこうして多数出てきておるのに、一銀行局長の出てこないために、委員会が三十分以上もおくれるということについては、私大へん遺憾である。きょう何のために銀行局長が三日も四日も前から言ってあるのに出てこられなかったか。出てこられない理由があるのなら、なぜあらかじめ委員長までにその理由を言ってこなかったか。再三にわたる要求があったにもかかわらず出てこなかったことにつきまして、なるほど商工委員会は直接大蔵省を担当してないとはいえ、彼の考え方には国会軽視考え方がある。許すべきでないと思うのです。従いまして次の委員会にはぜひ銀行局長出席を求めて、本日出てこられなかった理由について釈明を求め、その釈明いかんによっては委員会の決議または委員長の名において善処方を申し入れられるよう要望いたしておきます。
  4. 中川俊思

    中川委員長 ただいま田中君からの御発言の趣旨を体して善処いたします。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 実は私は銀行局長に来てもらって、まず銀行業務及び銀行法との関係、あるいは銀行法の三十三条による、銀行が法規、命令に違反したときの監督権等について質問をいたしましてから、公正取引委員会質問いたしたい、こう考えておったのでありますが、先ほど申しましたように銀行局長が見えておりません。従ってその質問を省略して直ちに本論に入っていきたいと思うのですが、そのために若干質問の順序が変わってくることを、あらかじめ御了承願いたいのです。  実は公正取引委員長にお伺いいたしたい点は、先ほど来私が申し上げておるように、銀行銀行法に定められる範囲において業務を行なうべきである、にもかかわらずその業務範囲を逸脱して、いわゆる金融資本企業支配と申しますか、産業資本への支配介入ということが今日公然と行なわれております。そのこと等についてはもちろん直接所管する大蔵省にただすべきでありましょう。しかしそのことに関連をいたしまして、独禁法十一条には金融会社株式保有制限規定があります。すなわち一割以上を保有する場合は禁じられておるわけであります。ところがこういう制限をこして保有した場合、当然独禁法違反になると思うのです。同時に親会社といいますか、親会社自分が持つと同時に、資本的にあるいは人的に支配できるところの系列会社、俗にいう子会社といいますか、そういうものにも持たして、そしてその子会社親会社との株式保有が合わせて二割にもなるというようなケースも出てくるわけでありますが、かような独禁法十一条の金融会社株式保有制限は、いわゆる形式的な一個の金融会社だけをいうのか、その金融会社が資本的、人的に支配するところの子会社も含めて考えるべきであるか、どうでしょうか、その点をお伺いいたします。
  6. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまお話独禁法十一条でありますが、それは「金融業を営む会社」についての規定であります。従って事実上の支配関係にある他の会社、いわゆる子会社が持ったという場合は、この十一条には直接には関係ないのであります。ただ独禁法の十七条にいわゆる脱法行為禁止規定がありまして「何らの名義を以てするかを問わず、第九条から前条までの規定による禁止又は制限を免れる行為をしてはならない。」という規定があるわけで、この規定関係において問題が起こり得る、こういうことであります。
  7. 中川俊思

    中川委員長 ちょっと田中君に申し上げますが、今大蔵省から財務調査官大月さんが見えたのですが、今田中さんの御質問されんとしておる問題は、大月さんが一番知っておると思いますので、御承知おき下さい。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは大蔵省の方にお伺いいたしますが、銀行仕事といったらどんなものですか。
  9. 大月高

    大月説明員 銀行仕事銀行法の第一条に規定してございますように、一般から預金を受け入れまして、これを貸付、あるいは手形の割引をいたす、こういうことであります。つまり信用一般大衆から受けますと同時に、所要のところに信用を供与する、こういう仕事をやっております。
  10. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると銀行法第一条に定める業務以外のことをするということは、銀行業務からいえば逸脱行為になるわけですね。
  11. 大月高

    大月説明員 銀行法精神から申しますと、銀行銀行業務以外のことをやってはいけない、ただし他業につきましては付随業務はやってよろしい、こういうことになっております。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは一つ端的に申しましょう。銀行が最近預金者保護といいますか、そういうような名目のもとに自分融資している企業会社役員を送る、あるいはその他の方法によっていろいろとその企業の経営にまで介入をし、これを支配しようという傾向が強いわけであります。これは例をあげるなら幾らでもあると思うのです。そういうような傾向について当然知っておられると思いますが、大蔵省としては今までどういう方針指導せられ監督して参られましたか。
  13. 大月高

    大月説明員 銀行監督精神は、根本的には預金者保護ということにあるわけでございまして、銀行法全体の規定はみんなそれにつながっておるわけでございます。たとえば免許をいたしますとか、支店を設置いたしますとか、あるいは免許の取り消しをいたしますとか、それから銀行検査をいたしますとか全部非常に厳重な規定がございますが、いずれも預金者保護という精神に徹底しておる規定でございます。従いまして、銀行局として銀行融資面はいかなる面から監督いたしておりますかと申しますと、その融資が健全であって、貸し倒れがないということを主眼といたしておるわけでございまして、銀行検査官銀行に参りますれば、一々の貸付稟議書を見まして、それが十分なる担保を保証しておるかどうか、十分なる流動性があるかどうか、相手会社がはたして良会社であるかどうかというような点を厳重に見ておるわけであります。従いまして今お尋ねの、銀行相手融資会社に人を送り込んでおるかどうかという観点は、もっぱら債権管理、つまり相手会社が何か事業を蹉跌いたしまして、資産内容もあまりよくない、このままにしておきますれば貸し倒れができるかもしれぬというような場合に、むしろ経理あるいは金融の方面の専門家を必要とするというようなことで、重役を入れるというようなことは、われわれはあえて禁止しておるわけではございません。ただ一般的に申しまして、これはむしろ独禁法関係あるいは独禁法精神に触れる問題でございますけれども、単なる大口融資先であるということのみをもって、いろいろな圧力を会社に加えて人を送り込む、こういうことはないようにという指導はいたしておるわけでございます。従いまして人を入れておるということだけをもって、形式的には判断できない問題でございますので、それぞれ融資健全性という観点からは大蔵省監督をいたす建前でございますし、いわゆる不公正取引というふうな問題があるかどうかという点は、公取の方において御監督になっておる、こういう両面があると思います。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 預金者保護立場から監査役を送るとかいうことは、今おっしゃったような範囲において考えられると思う。それが常務になり、社長まで入れていくというようなことで、介入どころかほんとうに支配してしまう、こういう事実がたくさん起こっております。たとえばかつて第二十六国会すなわち三十二年四月九日ですが、近江絹糸に対する三菱銀行の問題が公正取引委員会へ持ち込まれた際に、当委員会において関係者を呼んで事情を聞いた事実もございます。そのときにわれわれはそういう立場から預金者保護という名目のもとに、金融資本産業を支配するということはよくないじゃないかというようなことを申し上げたことを記憶いたしておるわけであります。銀行法には二十三条に法令違反についての処罰規定といいますか監督規定がございます。もし銀行法令違反の事実があるような場合には、当然これによって善処せられますね。
  15. 大月高

    大月説明員 仰せの通りであります。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 公正取引委員長に先ほどの続きをお伺いするわけなんですが、なるほど独禁法の十一条はおっしゃった通り、ただ一割をこえて保有してはいけない、こういう規定である。それから十七条との関連においてですが、この保有高というものはいわゆる系列会社をも含めて考えられるかどうかということをお伺いしておるのです。その点どうです。独禁法でいうところの株式保有制限、これは単独の金融会社と、それにつながるところのいわゆる資本的、人的支配を受ける子会社、これをも合わせた数量を十一条と見ていいのかどうか、その点をお伺いいたします。
  17. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 先ほども申しました通り、十一条は金融業を営む会社とはっきり書いてありますので、金融業を営む会社以外のものは含まらぬ。しかしながら先ほど申しました通り、十七条に脱法行為禁止規定があります。そこでその脱法行為と認められる場合には、やはり十一条とあわせて考える、こういうことです。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 だから、十七条の規定で、いかなる名義をもってするも事実上一割をこえて保有するいわゆる脱法行為は許されない、すなわち独禁法違反である、こういうことですね。
  19. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 脱法行為はいかぬというのが十七条の趣旨であります。もちろんただ持っておるという事実だけでは判断できませんけれども、いわゆる脱法禁止制限を免れぬ行為と認められれば、当然独禁法違反になります。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、銀行局公取委とに原則的にお伺いいたしましたこのものさしの上に立って、今起こっておる事実について御質問いたしたいと思います。  これは私も新聞その他の情報だけですから、事実の内容については詳しく知りません。しかし巷間そういうような事実が伝えられておるという上に立ってお伺いするわけなんです。実は大和銀行が十合百貨店の株を自分ですでに払い込み額が約一〇%、それから自分子会社である敷島不動産ですか、これにも持たし、合わせて二〇%以上保有し、その力によって十合百貨店に対していろいろな人事的な問題まで問題を起こし、いろいろな奇怪な問題が起きているということを聞いておるわけなんです。そういう事実について銀行局御存じであるか。御存じでなければ、調査をしてどうしようとせられるか。もし知っておられたならば、そういうことについてどういう処置をせられたか。公取委に対しましては、このことについて第三者、いわゆる利害関係会社第三者ということになると思うのですが、両当事者でなく第三者、いわゆる株主であろうと思うのですが、から提訴がなされておる、こういうことを聞いておりますが、その提訴がなされた事実があるかどうか、及びそのことについて、もちろんわれわれは公取委独立制を認めて深くは申しませんが、今どういう観点に立ってどのような調査を進めているのか。さらに独禁法違反の事実があった場合、提訴を待って公取委が動くべきか。事実があるとするならば調査をすでにやるべきが当然ではないかと思うのですが、そういうことについての見解等を承りたいと思います。
  21. 大月高

    大月説明員 十合の問題につきましては、大蔵省の承知いたしております限りにおきましては、まず新聞紙上において種々なうわさが伝えられておるということを承知いたしております。それから第二点は、公取委に対して独禁法違反という提訴が行なわれたという事実は承知いたしております。そういうことがございまして、銀行行政にどういう関係があるかということも若干懸念されましたので、大和銀行責任者を招致いたしまして、一応の事情は聴取いたしております。しかしこれは先ほどお答え申し上げます通り役員をある会社に入れるという問題につきましては両面ございまして、この問題は完全に公取委の問題であるという観点によって、われわれとしては公取委の御調査あるいは出される結論に従うべきであろう。これは銀行行政の外にある問題だというように考えております。
  22. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 十合の問題につきましては、ただいまお話になりました通り二月の中旬に申告がありました。それでそれに基づきましてわれわれの方ではいわゆる立件手続と申しますか、調査を開始する手続をやりまして、目下調査をしております。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 もう一つ、独禁法違反のときにも事実を知った場合には自動的にやるのか、受け身にやるのか。
  24. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 定員関係上なかなかむずかしいところですけれども、制度的には職権により、または申告によってできることになっております。多くの場合は申告によっておりますが、職権によった場合もあります。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 公取委員長に、独禁法はいわゆる公益法ですね。公法ともいうのが正しいですね。従ってこれの違反に対しては、現在の公取委の機構、人員では無理かもしれぬが、違反の事実がありと見れば当然活動すべきなのです。その点で今までだいぶいろいろな消費物価等関係においても受け身だった。これを今さらあなたを責めても人員関係もあると思うのですが、常に独禁法は削られ、公正取引委員会は狭められようという動きがあることに対して、あなたはもっと独禁法を守るという立場から強い態度をとってほしいと思うのです。それは横にそれましたが、この問題について提訴がなされておる。そこでそれを受け付けて調査に入っておる、こういう段階である。調査はどの程度進んでおるのですか。
  26. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 先ほど申しました通り立件手続が先月の末で、二、三日前に関係者をまず呼び出して調査を始めたということを審査官から聞いております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 まあ準司法的作用をする公取委に対しては、こう覆うことはどうかと思うのですが、大体見通しとして、結論は聞きません、見通しとしてどのくらいの期間で結論が求められるような事務上の方針を立てられておりますか。
  28. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 調査につきましては何日までやれということは実は申し上げておらないので、できるだけ早くということは申していますけれども、やはり定員関係もありますし、事件がやさしい事件とむずかしい事件がありますから、できるだけ早くやるということにしております。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 銀行局の方にお伺いしますが、先ほどこれは独禁法関係であるから、公取委がおやりになるので私の方は傍観しておる、こういう趣旨のことを言われた。しかしあなたの方はそういう独禁法違反なんか起きない前に、銀行に対し監督をする、指導する、それ自体が銀行局仕事じゃないのですか。あなた方はそういう問題に対して事前にどのような考え方指導せられたか、そういう事実はなかったのですね。銀行局どうですか。
  30. 大月高

    大月説明員 こういうような人事の問題はきわめて微妙な問題でございまして、伝えられているところによりましても、どこでどういう約束があったとか、だれがどういう話をしたか、こういうような観点がむしろ独禁法の問題でございます。われわれといたしましては融資先に対して不当な権力をもって不公正な取引をしないようにという精神的な指導はいたしておりますけれども、こういう具体的な事例、微妙な問題にわたりまして一々こまかくせんさくするということはむしろ精神として適当でない。公取におまかせすべきものだというのが従来の考え方でございまして、お話のございました、先般非常に議論になりました問題につきましても、われわれ当局はこの委員会にも出席いたしませんで、そのまま御審議が進められたような事情でございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると銀行局銀行に対する指導監督というのは抽象的なことしかやらないわけですか。具体的な面にわたってはやらないわけですか。
  32. 大月高

    大月説明員 われわれの観点は、あくまで融資健全性ということでございますので、一件々々の融資については検査調査して判断を下しております。しかし今回の問題につきましては、十合に対する貸し出しが不良貸しであるかどうかという観点が、われわれの重点でございまして、それに対してわれわれの方では特に不良貸しでないという判断を下しております。それに対して大和銀行から役員が入っている、入っておらないという問題は、別個の観点から調べていくべきものでございまして、われわれとして直接一々指導すべきものではない、こういうように考えております。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 あなた方は年に一回ずつ銀行経理調査せられるのでしょう。そのときに銀行がどのような有価証券を持っておるか、株券を持っているかということがわかると思うのですよ。そのときに特定会社、ことに大口融資をしている会社との関係において、持ち株なんていうものは帳面上では出てくると思うのです。それが独禁法違反すれすれのようなところまで来ておるとすれば、あらかじめ独禁法についての注意はなすべきだと思うのですが、そういうことはどうですか。
  34. 大月高

    大月説明員 銀行株式保有につきましては、できるだけ健全な株式を持つようにという指導をいたしておるのでございまして、もちろん銀行検査でございますし、先ほど御指摘がございましたように、法令違反ということに対しまして大蔵省行政指導の権限もあり、義務も持っておりますから、独禁法に触れるかどうかということについてはもちろん関心は持っております。従いまして当然外部から見ましてはっきりいたしますたとえば特定会社に対しまして、一割以上の株式を持っておるかどうかという問題については、完全に判明いたすわけでございますので、そういう事態がございますれば必ず処分さすという処置はとっております。しかし今回の場合は持ち株については一〇%以下でございまして、特に独禁法の問題がございませんので、株式の点について、特に注意することはいたさなかったわけでございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 銀行子会社との関係においては、そういう点は監督の上において帳簿検査をなさいましたか。
  36. 大月高

    大月説明員 銀行検査権がどの辺まで及ぶかということはなかなかむずかしい問題でございまして、たとえば国税の調査権等におけるごとく国権によって調査するものとは性質が違うわけでございます。根本的には銀行検査は、銀行指導という面において指導検査と称しております。  それから第二点は、この検査権相手合意を得て実行するものであるという法制上の建前になっております。また銀行法におきましては、大蔵省検査官が参りました場合に、銀行はこれを拒否できないという義務づけがございまして、その違背に対しましては罰則をもって取り締まっております。しかしあくまで法律的には相手との合意による検査でございますから、そういう面からいたしますと、銀行融資先を直接調査するということは行き過ぎであるという法制上の建前から、何ら検査権を持たない。ただ融資の面からこれはおかしいということになりますれば、銀行側からこの問題はどうだという説明は聴取いたすわけでございますが、当事者検査権を発動するということはできない、こういう原則でございます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 融資先でないのですよ。いわゆる系列といいますか、一会社融資じゃない会社ですよ。いわゆる親会社、小会社という格好であるならば、何らかの格好において銀行帳簿上に株券とかいろんな点で現われてくると思うのです。そういう子会社の行動が、親会社帳簿を通じてわかると思うのですが、そういう面はどうなのか聞いているのです。
  38. 大月高

    大月説明員 親子の関係はどういう観点から結ばれているか、いろいろ問題があると思います。たとえば金を持っている場合もあると思います。あるいは融資を多分にしておるということもある。あるいは人を送り込んでいるという面もある。いろいろあると思います。われわれが銀行検査といいます場合は、親会社、小会社という観点ではなしに、かりに株を持っておりますれば、その株がはたして健全な株かどうか、時価を見、配当を見る、そういうことだと思います。それから融資をしておりますれば、その融資が確実な融資であるかどうかという点を見るわけでありまして、それはいずれも当該検査をいたします相手銀行を通じて調べるというのが限界でございます。これは親子の関係とは無関係でございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 私は何も、この場で銀行局銀行監督の点がどうか、あるいは独禁法の上からどうかというような結論を出そうとは考えておりません。新聞等による情報でありますが、私の聞いておる範囲におきましては、この問題は次のようになっておるのです。大和銀行は十合百貨店に十九億円の融資をした。その貸金保護という名目で重役を十合に送っておる。そして副社長二名のうち一名は大和銀行派遣の人がなった。たまたま十合の坂内という社長がなくなった。あとの社長の問題をめぐって、そこに銀行側の圧力が出た、こう言われておる。そして一方大和銀行及びその子会社である敷島不動産を通じて、十合の株券を買いあさって二〇%以上を保有しておる、このように伝えられておるわけです。この事実の裏には、われわれの知らないいろいろな問題が複雑な様相で取り巻いておるようであります。  そこで委員長に申し上げておきたいのですが、私はきょうこの場において結論を出そうとしないことは、先ほど言った通りでありますが、なおわれわれは独禁法立場から深くこれを取り上げていきたいと思うのです。従って、本日はこの程度で質問は保留いたしておきます。大体準司法的な存在である公正取引委員会の審査中に、関係者を呼んで国会が云々することは、あまり好ましくないと思いますが、かつて先ほど申しましたように、近江絹糸と三菱銀行のときにも前例がございます。従いまして、必要に応じてこの問題について後日、関係者、というように申し上げておきましょう。関係者に参考人としての形式で来てもらって、事実について深く掘り下げて聞かねばならないようなこともあろうかと思いますので、そういう点を保留しながら、本日はあとの質問なり、提案説明等ございますので、問題の提起という点で、この辺で終えておきたいと思います。      ————◇—————
  40. 中川俊思

    中川委員長 次に勝間田清一君外二十八名提出石炭鉱業安定法案を議題とし、審議に入ります。
  41. 中川俊思

    中川委員長 まず提案者より趣旨説明を聴取することにいたします。勝間田清一君。
  42. 勝間田清一

    ○勝間田議員 ただいま議題になりました石炭鉱業安定法案につきまして、提案者を代表してその提案理由説明を申し上げます。  政府はさきに石炭鉱業の合理化について石炭鉱業合理化臨時措置法を制定し、実施して参りましたが、石炭鉱業の危機は依然として解消せず、むしろ深刻化の方向をたどっております。この重大な危機をもたらしている原因は、最近の技術革新によるエネルギー消費構造の変化と、競合エネルギーの無計画な輸入により、石炭需要が相対的に低下していることにあります。しかも政府の石炭鉱業に対する総合的政策の欠除と、炭鉱資本家の無為無策は、こうした危機の深化を一そう助長しているのであります。  申すまでもなく、高炭価の解決はわが国石炭鉱業の最大の課題であります。鉱区が錯綜し、賦存地域が偏在しているばかりでなく、地産が弾力性に乏しいという石炭鉱業の特殊性は、わずかの経済変動でも大きく需給関係に影響し、著しい価格の不安定を招来して、消費市場を喪失するという構造的な欠陥を持っているのであります。政府はこうした構造的な欠陥を抜本的に解決しようとせず、昭和三十八年までに十一万名の首切りによる合理化案のみを提示し、資本象は首切りと大幅な労働賃金の切り下げ、労働条件引き下げのための租鉱権への分離政策等、一連の労働者への犠牲のみを強行いたしているのであります。しかるに炭鉱離職者援護法の施行も、死の街、飢餓の谷といわれている炭鉱地帯の失業問題の解消には何ら役立たず、相次ぐ閉山、首切りによる失業者のはんらんは、炭鉱労働者のみでなく、その周辺の商工業者の倒産を引き起こし、今日、重大な社会問題となっているのであります。  今回本院に提案されました政府の保証基金の設立も、首切りによる合理化の助長政策以外の何ものでもありません。今こそ石炭需給を長期に安定させて、しかもコストを切り下げ、雇用を拡大させる政策をとることこそ、今日われわれに課せられた緊急の政治的課題であると考えるのであります。  石炭鉱業の重要性は、今日依然として減じておりません。その一つは、わが国将来のエネルギー需要の面から指摘できると思います。エネルギー総需要の伸びは、国民経済の成長テンポとほとんど平行して増加の一途をたどり、政府の所得倍増計画におきましても、昭和四十五年度には石炭換算で二億八千万トン以上と見込まれているのであります。このエネルギー需要の驚威的な拡大に対する供給源としての水力はその開発がすでに限界に達し、また原子力にしましても、その実用化に相当の曲折が予想される状態において、輸入燃料にのみ依存する考えは間違いでありまして、石炭鉱業に課せられた役割は依然として無視することはできません。しかもわが国の石炭は、今日の出炭ぺースで進んでも、なお百年以上もの確定炭量を埋蔵しており、国内エネルギー資源に乏しく、また国際収支に弾力性が少ないわが国においては、最大のエネルギー源であります。  その二は雇用の面から指摘できると思います。石炭鉱業における雇用吸収率は他産業に比して非常に高く、機械工業とともに今後もその傾向を低めるものではありません。一千万人に及ぶ潜在失業者を有し、年々百万人以上もの生産年令人口の増大するわが国経済において、雇用問題は経済政策の中心課題であり、かかる観点からも石炭鉱業の地位はゆるがせにできないのであります。このように重要なエネルギー産業である石炭鉱業に対して、わずかな資金融通による細々とした近代化計画や、弱小炭鉱の買いつぶし等の消極策で解決できるほど、問題は簡単ではありません。石炭鉱業は、すでに資本主義的経営自体に対しても鋭い改革のメスが加えられねばならない段階にきているのであります。  イギリスにおける炭鉱国有化政策を初め、西欧各国とも公有化その他の特殊な経営形態のもとに、国民経済の拡大発展に寄与させるものであります。こうした世界的な傾向から、ひとりわが国だけがおくれた投げやり的な石炭政策を進めることは許されません。  従って、社会党は、今日石炭鉱業が当面している危機を打開し、構造的欠陥を克服して、これを将来のわが国重要エネルギー源としての要請にこたえさせるだめ、長期的な展望を持った抜本的対策を講ぜんとするものであります。  まず第一に、石炭の生産過程に対するわれわれの基本的な考え方を明らかにいたしたいと思います。  わが国の石炭鉱業は、稼行の進捗にともなって、採掘地域が漸次深部に移行し、坑道の維持、通気、排水、運般等の経費が増加するため生産費の増大を見ております。これを最小限度に食いとめ、さらに高炭価問題を解消するためには、合理的、計画的な開発を行なって炭鉱の若返り策が講ぜられねばなりません。  生産体制の集約化はそのための前提条件であります。前近代的な古い生産機構である鉱区の独占はすみやかに排除し、鉱区の整理統合を断行して、炭鉱を適正規模に再編成することが最も肝要であります。さらに、休眠鉱区の解放も行なわれねばなりません。これらの諸課題は業者間の自主的解決では不可能であり、法の強制力を必要とするものであります。  第二は、流通過程における整備の問題であります。  石炭の流通機構は昭和年代になってからだけでも、過剰貯炭を処理するために昭和石炭株式会社、戦時中の日本石炭株式会社、戦後経済再建のための配炭公団、そして最近では新昭和石炭等の設立を見ているのであります。このことは、単に石炭が重要物資であるためのみでなく、石炭需給関係の調整の困難性を物語るものであります。需給関係を調整し、価格の安定をはかるためには、流通機構の一元化こそ絶対に必要なのであります。  第三は、石炭の需給を計画化し、その安定的確保をはかることであります。  石炭鉱業は、その持つ特性から必然的に需給の計画化を要求いたします。しかもその計画化は長期に進められねばなりません。政府は今日、石炭需要の減退に対して縮小生産の方向をとっているのでありますが、これでは問題の高炭価をも解決できないのであります。高いレベルの拡大生産こそ必要なのであります。さらに積極的に新需要の開拓等が講ぜられねばなりません。このためには、社会党は、固体燃料としての石炭を流体化し、電気やガス等の流体エネルギーに転換して石炭需要の拡大をはからんとするものであります。  以上の見地から、石炭鉱業の当面している危機を打開し、その安定を期するため、本法案を提案する次第であります。  以下、本法案の内容を簡単に御説明申し上げます。  第一章、総則は、目的と定義についての規定であります。  石炭鉱業の基幹産業としての重要性にかんがみ、石炭鉱業の継続的安定を期するには、石炭の生産の近代化を推進するとともに、流通機構を整備して、その価格の低下をはかり、その需要を拡大するための諸施策を実施することを目的といたすものであります。  第二章は石炭鉱業近代化計画に関する規定でありますが、五年ごとに石炭鉱業安定基本計画及び毎年石炭鉱業安定実施計画を定め、政府は実施すべき工事に必要な資金の確保に努めるよう規定いたしたのであります。  第三章は未開発炭田の開発についての規定であります。石炭資源の開発が十分に行なわれていない地域であって、石炭鉱業の安定のためにはその開発を急速、かつ計画的に行なう必要がある地域を指定し、基本計画に従って石炭資源の開発計画及び実施計画を定める旨の規定をいたしたのであります。  第四章は石炭鉱業開発株式会社に関する規定であります。未開発炭田の開発を目的として石炭鉱業開発株式会社を設立し、政府は常時会社の発行済み株式総数の二分の一以上を保有する等のほか、会社設立に伴う所要の規定を設けたのであります。  第五章は、採掘権及び鉱区の整理統合並びに坑口の開設の制限についての規定であります。鉱業権の交換、売り渡し、鉱区の増減については鉱業法に規定するところでありますが、特に、安定実施計画で定めるところに従って急速、かつ計画的な開発を行なうために鉱区の整理統合はきわめて必要でありまして、政府は適切な措置をとらねばならないとしたのであります。坑口の開設についても許可制といたしたのであります。  第六章は需給の安定についての規定であります。  政府は、毎年石炭関係及び学識経験者よりなる石炭鉱業安定会議の意見を聞いて需給計画を定め、その需給計画に基づいて鉱業権者、租鉱権者に対し生産数量の指示をするものといたしたのであります。  石炭の需要を増加させるため、都市ガス、火力発電、石炭化学等に対し、資金の確保その他適切な措置をとるべき旨の規定を設けたのであります。  さらに、前述のごとき観点よりして石炭販売の一元化を行なうこととし、それがために石炭販売公団を設け、石炭の一手買い取りを行なうことといたしたのであります。しかし、石炭販売公団が全生産量を取り扱うことは実際上困難でありますので、鉱業権者または租鉱権者をしてその販売の業務の一部を代行させることといたしたのであります。また、小口需要については、販売業者を指定して、その販売をさせることといたしたのであります。  近代化による生産費の引き下げが価格に反映するために、政府は買い取り価格及び販売価格を決定することといたしました。買い取り価格をもってしては石炭の生産費を償うことができないものにつきましては価格調整金の制度を設けたのであります。  第七章は石炭販売公団についての規定であります。  公団の資本金は百億円とし、政府が全額出資することといたし、役員業務、会計、監督についてそれぞれ規定を設けました。  第八章は、炭鉱補償事業団についての規定であります。  政府の石炭の需給調整措置の実施に伴い、石炭調整金を含む買い取り価格をもってしても採算がとれなくなったため、事業を休廃止するのやむなきに至った鉱業権または租鉱権者の事業について、採掘権の買収、鉱山労働者に対する救済、鉱業等に対する善後措置を講ずるため炭鉱補償事業団を設置することといたしたのであります。  これに要する財源としては、石炭販売公団からの納付金のほか、国庫補助の道も講じたのであります。  離職する労働者にたいしては平均賃金の六十日分を支給すると同時に、未払い賃金については債務者たる採掘権者または租鉱権者と炭鉱補償事業団との連帯債務としたのであります。  また鉱害賠償に関する裁定につきましても必要な措置を講じました。  第九章は石炭鉱業安定会議についての規定であります。  この安定会議は石炭鉱業安定基本計画並びにその実施計画の決定、採掘権または鉱区の整理統合、需給計画の決定、生産量の決定、買取価格、販売価格の決定、雇用の安定その他この法律に関する重要事項を調査審議するため、鉱業権者及び租鉱権者、労働者、石炭の消費者、炭鉱所在の地方公共団体を代表する者、学識経験者をもって構成することといたしまして、これに関する規定を設けました。  第十章雑則、第十一章罰則といたしまして、法律施行期日は公布の日から九十日以内に政令で定めることといたしたのであります。  以上この法案の概要について説明申し上げた次第であります。  日本社会党といたしましては、わが国エネルギー源における石炭鉱業の重要性にかんがみ、石炭鉱業の安定をはかり、もって国民経済の健全な発展に寄与せんとするため、本法案を提出した次第であります。議員各位におかれては何とぞ御審議の上、本法案に賛意を示されんことを切にお願いする次第であります。
  43. 中川俊思

    中川委員長 以上で趣旨説明は終わりましたが、質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  44. 中川俊思

    中川委員長 次に内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案工場立地調査等に関する法律の一部を改正する法律案機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案の四法案を一括して議題とし、審査に入ります。
  45. 中川俊思

    中川委員長 まず順次趣旨説明を聴取することにいたします。通産大臣椎名悦三郎君。
  46. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び法律案の要旨について御説明申し上げます。  わが国の石炭鉱業が、石炭の販売価格を昭和三十八年度までに昭和三十三年度に比較して千二百円程度引き下げることを目標として、現在高能率炭鉱の造成及び非能率炭鉱の休廃止を中心とする生産構造の抜本的な合理化に努力しつつあることは、御高承の通りであります。  最近、鉱工業活動の好調、渇水等のため石炭の需要がやや好転しておりますが、これにより石炭鉱業の合理化の必要性はいささかも減少するものではなく、むしろ石油の長期的な値下がりの傾向から見て、今後一そうの合理化努力を傾注することにより石炭鉱業の安定をはかる必要があると考えております。  石炭鉱業の急速な合理化を進めていく過程におきましては、生産の集約化などに伴い、相対的な過剰雇用が発生することは避けられないところでありますが、このような過剰雇用をなくして合理化効果を発揮していく段階においてやむを得ず発生する離職者に対し、退職金その他の支払いを円滑に行なえるようにすることは、ぜひとも必要であると考えます。また非能率炭鉱を閉鎖する場合には、このほかにすでに発生した鉱害を処理する必要があるわけでありまして、今後石炭企業がその事業を整備するために調達すべき資金は、莫大な額に上るのであります。  しかしながら、このような事業の整備に必要な資金につきましては、銀行融資が必ずしも円滑に行なわれていないのが現状でありまして、石炭鉱業の合理化がこの面で制約されるおそれがあると考えられます。このためこのような資金の融資について何らかの措置を講じて、これを円滑化することが特に必要になるのであります。  今回の改正案は、このような考え方に立って、石炭鉱業合理化事業団に、政府出資を行ない、これを基金として石炭鉱業の整備に必要な資金の借り入れについて債務保証を行なわせることとしたものであります。  次に本法案の要旨について御説明申し上げます。  第一は、石炭鉱業合理化事業団に、従来の非能率炭鉱の買収業務及び近代化資金の貸付業務に加えて、新たに債務の保証の業務を行なわせることとしたことであります。石炭鉱業合理化事業団が行なう債務の保証は、石炭鉱業の整備を促進するために行なうものでありまして、離職する労働者に対し支払うべき退職金その他の賃金の支払いのため必要な資金、あるいは事業を廃止するときの鉱害の賠償に要する資金を石炭業者が銀行から借り入れる場合に、その弁済の保証を行なうことといたしたのであります。なお、石炭鉱業合理化事業団が保証する債務の総額は、保証基金に一定の倍率を乗じて得た額を限度といたしております。  第二は、政府が石炭鉱業合理化事業団に保証業務のため追加出資する場合には、従来からその業務の一つとなっておりました近代化資金の貸付のための出資と区分して保証基金に充てることを明らかにし、石炭鉱業合理化事業団は、これにより保証基金を設けることとしたことであります。  第三は、債務の保証の条件等に関する規定であります。石炭鉱業合理化事業団は、債務の保証を行なう場合には、石炭業者から保証の委託手数料に相当する保証料を徴収することといたしまして、その石炭業者が弁済期において債務を履行しなかった場合等には、銀行に対してその弁済されなかった借入金の二分の一を石炭業者にかわって支払うことといたしました。  石炭鉱業合理化事業団は、石炭業者にかわって銀行に債務の弁済をした場合には、その石炭業者に対して求償権を取得することとなるのでありますが、この権利の行使の業務は、銀行に委託することができることとし、以後において銀行が回収した金額については石炭鉱業合理化事業団と銀行が折半することといたしております。  第四は、石炭鉱業合理化事業団のこの債務の保証の業務は、昭和三十八年度末までに廃止することとしたことであります。この債務の保証により石炭鉱業の整備の円滑化をはかることは、石炭鉱業の合理化の目標年次である昭和三十八年度まで継続して行なう必要があるからであります。  以上簡単でございましたが、この法律の提案理由及びその要旨について御説明申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。  次に、中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案について提案理由を御説明申し上げます。  中小企業の経営の合理化をはかり、大企業との間の格差を是正することは、日本経済の均衡ある発展をはかる上にきわめて緊要なことであります。  かかる観点から、政府におきましては従来から中小企業のための各般の施策を講じて参っておりますが、特に設備面での立ちおくれを是正するために、中小企業振興資金助成法を制定し、設備の近代化及び共同施設の設置に対し助成措置を講じて参っており、相当の成果をおさめつつあることは御承知の通りであります。  しかしながら、最近における技術革新の進展及び貿易自由化の実施に対処して、中小企業の近代化を急速に推進する必要がさらに強くなってきております。  ところで、現下の経済の好況を反映し、中心企業界も全般的には順調に伸展しておりますが、中小企業の工場は多く住宅地域あるいは商業地域に散在しており、今や立地的な制約からその発展と合理化を阻害される傾向が著しくなってきております。従いまして、かかる中小企業者が市街地を離れて工場適地たる一定の団地に集団的に工場を建設し、工場の適正規模化、施設配置の合理化、設備の近代化、共同施設の利用の高度化等により画期的に経営を合理化し、生産性の向上を期するとともに、あわせて騒音、火災等の公害問題の解決をはかろうとする中小企業工場団地の造成気運が全国各地において高まって参りました。  しかし、このような集団化計画の遂行に際しましては巨額の資金を要しますとともに、土地の取得、工場の建設、共同施設の設置、あるいは道路を初めとする関連施設の整備、団地の運営等計画全般にわたって高度の総合性、統一性が必要でありますから、国及び地方公共団体による適切な指導、助成なくしては所期の目的達成はきわめて困難な実情にあります。  従いまして、集団化計画の適正かつ円滑な実施をはかり、中小企業の経営の合理化を一そう促進するため、中小企業振興資金助成法の一部を改正することといたしたのであります。  次に、本法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、国の補助の対象となる都道府県の貸付資金に中小企業者の工場集団化のための土地及び建物に関する資金を追加することといたしております。  すなわち、中小企業者が事業協同組合等を中心に一つの団地に集団して工場または事業場を設置します場合に、その集団化計画が政令で定める基準に該当し、かつ、中小企業の振興に著しく寄与するものであると認められますときには、従来から貸し付けて参りました設備近代化資金及び共同施設設置資金のほか、新たに、その集団化のための土地の取得もしくは造成及び建物の建設に必要な資金を当該事業協同組合等及びその構成員たる中小企業者に対し、貸し付けることができることといたしたのであります。  第二に、工場集団化のために必要な工場用地の買いかえの場合の所得税及び法人税の課税に特例措置を講ずることといたしております。  すなわち、集団化に伴い新たな土地を団地内に取得するとともに従来の土地を譲渡することになりますが、この場合、その土地の譲渡益に対する所得税及び法人税の課税を一定の要件のもとに減免することにより、新工場の建設、設備の更新等、計画の達成に際し多額の資金を必要とする中小企業者の負担の軽減をはかり、集団化計画の円滑な実施を促進することといたしているのであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。  次に工場立地調査等に関する法律の一部を改正する法律案について提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  わが国工業の円滑な拡大を確保し、国民経済の健全な発展をはかるためには、企業内部における合理化を推進するにとどまらず、適地適産の原則にのっとり、工場の合理的な立地を促進する必要があります。  このため、通商産業省におきましては、すでに昭和三十三年度以来工場立地調査等に関する法律に基づき、全国百六十六の地区について工場適地調査を実施し、関係資料を整備して、企業者に対し、工場立地に関する資料の提供、助言を行なってきたのであります。  しかし、最近における工場の新増設の動向を見ますと、特定の地域に対する過度集中等、工業の円滑な発展という観点から見て好ましくない事態も見受けられる状況でありますので、これが改善のためこの法律案を提案した次第であります。  今回の主要な改正点について御説明申し上げますと、第一に、現行法では工場適地調査を行なった地区内においても、立地の動向を正確には知ることができず、工場の適地誘導に支障を来たすこともありましたので今回これを改め、一定地域、一定規模以上のものに限り、工場の設置の場合には届出を求めることといたしました。  第二に、工場の過度集中等好ましくない立地が行なわれる場合であって、工場の合理的な立地に著しく背反するものにつきましては、工場立地調査審議会の意見を聞いて、設置の場所について必要な勧告をすることができることとし、適正な立地について企業の協力を求めることとしております。  その他の改正点といたしましては、通商産業大臣が、従来の工場適地調査に加えて工場立地の動向の調査を行なうこととするほか、通商産業大臣及び事業所管大臣が、工場立地に関し事業者の判断の基準となるべき事項を公表することとし、工場立地適正化の一助とすることとしております。  以上がこの法律案内容及びその提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。  次に機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  機械工業は、国民経済の高度成長をになう産業として、今後飛躍的な発展が期待されている産業であります。先般政府において策定いたしました所得倍増計画におきましても、今後十年間に、機械工業の生産及び輸出の規模を四倍余にすることが必要であるとされております。しかしながら、現状におきましては、その国際競争力ははなはだ弱体でありまして、今後進展を予想されます貿易の自由化に備えて、急速に機械工業の合理化及び近代化を促進する必要が痛感されております。  御承知の通り、現行の機械工業振興臨時措置法は、経済自立五カ年計画達成のための施策の一環として、機械工業の設備の合理化等を促進する目的をもって、昭和三十一年六月に施行され、自来機械工業の体質改善をはかる上に、顕著な効果を上げて参りました。しかしながら、この法律は、五年間の時限法として制定されましたため、今年六月をもって廃止されることになりますので、ただいま申し上げました最近の内外の情勢にかんがみ、この際、さらに五年間存続せしめるとともに、その内容を拡充強化し、機械工業の合理化及び近代化を飛躍的に進め、もって国民経済の高度成長とその健全な発展に寄与いたしたいと考える次第であります。  これが本法案を提案するに至った理由でございます。  次に本改正案の内容について、その概略を申し上げます。  改正の第一点は、本法の対象となる特定機械工業の範囲を拡大し、従来機械器具またはその部品の製造業に限られておりましたのを、熱処理業のごとき加工業をも対象とすることができるようにしたことでございます。  改正の第二点は、現行法の諸規定を整備拡充いたしまして、機械工業の合理化のために行ない得る共同行為範囲を拡大するとともに、機械工業合理化の前提として規格の統一を促進するため、所要の制限措置を講ずることができるようにいたしております。  改正の第三点は、機械工業の合理化及び近代化を促進するため、税制面において特段の優遇措置を講ずることとし、合理化に資する合併あるいは事業の共同化に伴う法人税の軽減、合理的な集中生産体制の確立に必要な工場移転の際の土地の譲渡益の非課税等の措置を講ずることといたしております。  なお、これに関連して別途、租税特別措置法の一部改正法案が上程されております。  以上本改正案の要点を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さらんことをお願い申し上げます。
  47. 中川俊思

    中川委員長 以上で四法案に対する趣旨説明は終わりました。  質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  48. 中川俊思

    中川委員長 次に通商産業基本施策及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。  順次これを許します。岡田利春君。
  49. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 前会に引き続きまして、エネルギー関係について御質問いたしたいと思います。  国民所得倍増計画に基づくエネルギーの供給計画の中では、輸入原油の将来にわたっての増大ということが特に痛感されるわけです。この計画によりますと、目標年次においては実に四・三倍の八千九百六十九万四千キロリットルの原油が輸入されるわけでありますが、このような膨大な原油が輸入される場合には、特にその供給について長期的に安定をはかり、安全の確保をはかることが長期的に考えられなければならぬ問題だ、さらにまた供給量の問題だけではなくて、価格の見通しについてもやはり非常に大きな影響をもたらすのではなかろうか、このように考えざるを得ないわけです。  供給の問題になりますと、最近供給先の量の割合というものが漸次変化しておりますけれども、どうしても中近東中心にならざるを得ないのではないかと考えられるわけです。しかし御存じ通り中近東においては民族自立の運動が年々勢いを増しておりますし、そういう面からいって、長期的な安定については、どういう見通しを持っておられるのか、あるいは価格の問題についても、原油はどんどん下がるという工合に宣伝されておりますけれども、それぞれの産油国の自分の権益の保護の問題、あるいはその国における採油会社の長期にわたり埋蔵量を確保するという勘考のために、過大の投資が伴ってくる、こういう関係、一方消費国では重油の値段を下げてほしい、原油の価格を下げろという要求が非常に強い、こういう関連からいって、一時的に石油資源は供給過剰でありますけれども、そう期待するほどの価格の引き下げというものは短期的には期待できないのではないか、こういう工合に判断するのでありますけれども、こういう点についての見通しをお伺いしたいと思うのです。
  50. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 わが国のエネルギーの将来の見通しといたしましては、多分に輸入原油に依存しなければならぬと考えておりまして、その数量も非常に大きなものをわれわれは期待せざるを得ないわけであります。そのためには量あるいは価格の方面において大体安定した見通しがあるかというようなお尋ねだと思いますが、石油資源につきましては、どっちかといえば供給源がどんどんふくれ上がって、むしろ需要よりも供給面の方が旺盛に伸びておるというような現状でございます。こういう現状がいつまで続くかわかりませんけれども、当分はこういう状況ではないか。従って俗にいう買い手市場と申しますか、そういう傾向がございますので、量及び価格というものについて安定した見通しは一応立っておるのではないか、かように考えております。
  51. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 現在の石油二十社の報告によりますと、目標年次においては大体原油の輸入量は一億キロリットルに達するだろう。重油については一千万キロリットル、こういうことで、石油会社の独自の見解を発表されて、これは所得倍増計画に基づく目標年次の供給量を上回っておるわけです。この点については石油業界と所得倍増計画に基づく重油、原油の供給量の違いがあるわけでありますが、こういう点について意見の調整なり検討をなされたことがありますか。
  52. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 政府として所得倍増計画の一応の推定でございますけれども、関係各省間で検討しました数字は、所得倍増計画に属されておりますエネルギー小委員会の数字でございまして、今先生のおあげになりました数字につきましては、まだ政府としても取り上げておりません。
  53. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 重油の精製が年々非常に増大をしていくということで、石油の精製業界の動きはきわめて活発になってきておるわけです。伝えられるところによりますと、アラビヤ石油と北炭の連携の問題、あるいはまた九州石油の石油を消費する諸会社との提携による精製の問題、あるいはまた富士製鉄が石油精製に乗り出すということも伝えられておりますし、加えて三井系でも三井物産が中心になって、石油精製界に企業を始める計画が伝えられておるわけです。これに対して通産省の非公式な見解だと思うのですが、こういう動きに対して輸入の外貨の割当はする考えがないという見解が発表されておるのですが、将来年々増大していく重油の精製について、どういう指導方針を持っておるのか。もうすでに明らかにしなければ、むしろ非常に混乱するのではなかろうか。またそこにきわめてルールにかなわない、国民の納得できない裁定が下される危険性が出てくるのではないか、このように関係者は非常に心配をしておるところです。従ってこういう面について、既存の石油精製会社の強い反対の意向を背景にして、通産省としてはどういう指導方針を具体的に持っておるか、具体的にお聞きしたいと思います。
  54. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 いろいろなうわさが世間に流れておると思いますが、大体石油精製の既存業者の現状から見まして、いまだフル操業に至っていないというような現状で、むやみに新規企業を認めるということは、かえって石油精製業界というものを育てるゆえんではないと考えておるわけであります。しかし御指摘のように非常に今後十年にわたって膨大な石油を輸入し、これを精製するということになりますので、その状況いかんによっては、十分に検討の上、国家の全般の利益のためにある程度認めた方がいいというような場合には、その方針に踏み切るかもしらぬが、ただいまのところは大体既存の企業でよろしいのではないか、かように考えております。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ちょっと、具体的にお尋ねしたいのですが、昭和三十六年度内に新しい石油精製の企業が承認をされ、これに対する原油輸入の外貨割当がなされるお見通しがあるのかどうか、お聞きしたい。
  56. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 さしあたり三十六年度において新規企業を認めるかどうかというお話でございますが、ただいまのところは、具体的にはそういうことは考えておりません。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 石油精製界の動きと別個に、九電力の場合ですが、九電力の正式の社長会議あるいは資材部長会議等でも、通産省に対して原油、重油の直接輸入の外貨割当の申請をする、あるいは働きかけをする、こういう決定がなされて、すでにそういう動きもあるやに伝えられておりますし、そういうことを私もずいぶん聞くわけですが、通産行政のあり方として、この点についてはどういう考えを持っておられるか、お聞きしたい。
  58. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 そういったような声も聞かぬではないのですが、私のところに正式にそういう申し入れば来ておりません。もしも輸入権を需要者に認めるということになりますと、ただに電力界に限らず、あらゆる方面にそういうことと同じような機会を与えなければならないということになり、かなり混乱する情勢になりますので、この点は慎重に、いずれそういう申し入れがございましても、きわめて慎重にこれを処理したいと考えております。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 確かにこれらの問題は有機的なつながりのある問題でありますし、総合的に、私はそういう場合といえども検討しなければならぬと思う。そういう点について、特に国内エネルギー政策の面からいってもきわめて重要な問題ですし、将来のエネルギーを消費する国連産業関係からいっても、きわめて重要な問題でありますから、あくまでも総合的に検討されるという態度で臨んでいただきたいと思います。特に倍増計画の中にも、年々原油の輸入量がふえていく、こういう面から海外投資の問題について、特に石油資源開発については十分配慮をはかるべきであるという答申がなされておるわけです。今日、インドネシアとの提携、さらにまた当面問題の焦点になっておるアラビア石油の問題等があるのでありますけれども、アラビア石油の問題が解決できない状態では、海外の石油資源の開発という問題についてはどういう方向を求めるのか、きわめてその焦点、方向がぼやけてきておると思うのです。このアラビア石油の問題の解決がなされない限り、答申案に基づく海外の石油資源の開発といっても、ちょっとその方針が立たぬというのが今日の実態ではなかろうか、このように私は考えるわけでありますけれども、アラビア石油の問題については、徳永次官の四点にわたる態度も明らかにされておる今日ですし、この問題を通じて、海外石油資源開発についても通産省の考え方をお聞きしたいと思います。
  60. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 アラビア石油の問題と言われましたが、いろいろな問題をかかえておるのでありますが、おそらく輸入の問題でございますな。——結局日本の相当な該需要部門の支持のもとに、海外にああいう非常に大きな資源を獲得したわけであります。いわゆる民族資本によって大きく海外に進出したというのは、今回が初めてであろう。従ってそれが具体的に、外国の石油、原油会社と何ら選ぶところがないというようなことであれば、これはどうにも日本の海外資源に対しての努力、精進というものが冷却するということになり、また今まで一体何のためにこれだけのことをやらしたかということが、ほとんど意味がなくなるということになりますので、この点に関しましては、あくまで当初のねらい、目的を十分に達成できるように、ただいま考究中でございます。
  61. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうするとアラビア石油資源株式会社の問題点は、当面いわゆる公示価格にあるということですか。
  62. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 ただいま大臣から申し上げました点は、せっかく国家的にもある程度応援をして、民族資本によって開発した油でございますので、これを全量日本に引き取るという方針のもとに、今調整中でございます。価格の点につきましては、一応コマーシャル・ベースで引き取るということになると思います。
  63. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 端的にお尋ねしますが、今回示されたアラビア石油の公示価格については、妥当と思われますか、あるいは高過ぎると思われますか、通産省の見解をお聞きしたい。
  64. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 非常に微妙な問題でございますが、一応公示価格としてはそう不適切なものではないと思います。ただ、先ほど大臣からお話がございましたように、現在は非常に原油過剰でございまして、売り込み競争が激しいわけで、従いまして実際上は、公示価格に対しまして五%ないし一五、六%のディスカウントが行なわれておるのが現状でございます。そのほかに、原油を買ってくれれば工場建設資金のめんどを見るとか、あるいは金融をつけるとか、いろいろな形で、実質的な値引きにひとしいことが行なわれておるわけであります。そういう点からいたしますと、アラビア石油は向うとの利権協定で縛られておりますので、そういうことはなかなか言いにくい立場にあるということは言えると思います。
  65. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 全通産省の方針としては、カフジ原油の持ち込みについては、アラビアの石油会社としては無為替方式を希望しておったのですが、最近有為替方式によって外貨の割当をするという徳永次官の言明がなされておるわけですが、これによりますと、アラビア石油がこれは無為替方式でなければならぬという絶対の条件がない限り、当然この方針によってやってもらう。逆に言いますと、絶対に有為替方式でなければならぬというのは、どういう条件、どういう理由があるのですか。
  66. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 先ほど申し上げましたように、当初は精製業者の相当数が、アラビア石油を強制的に引き取ることは困るという主張をしておったわけでございますが、どうしても日本政府としては、アラビア原油を、輸出の場合は別といたしまして、輸出以外の分は全量日本に引き取りたいということで説得に努めました結果、現在の段階では精製業者のほとんど大部分はこれを引き取ることに同意しておるわけでございます。引き取ります以上、これは日本法人でありますアラビア石油に対しまして、その代金を払う場合は円になりますから、従ってこれは当然無為替ということになるわけでございます。しばしば有為替か無為替かということで問題が必要以上に大きく取り上げられておるような感じがいたしますけれども、引き取らないという主張をした場合は別でございますが、引き取る以上は原則として無為替になるというふうに考えております。
  67. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大臣が時間がないそうですから、特に大臣からお聞きしたい点を端折って非常に飛び飛びになってしまうのですが、二、三、伺っておきたいと思うわけです。  今年のソビエトからの石油輸入について、希望としては百四十万トンの引き取りを希望されておるわけです。大体三十五年度の実績も、協定の百四十万トンを上回るのではなかろうか、このように言われておるわけですが、そういう希望がなされておるわけです。この希望について、当面ソビエトからの希望数量を引き取ることの考え方があるのかどうか、お聞きしたいわけです。
  68. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは業界に大体為替り割当をして、その範囲内において、業界の各社が好むところによって原油の買付をやっておる、こういう形でございまして、政府といたしましては、ソ連の石油であるがゆえに特別の制約を加えるということはありません。たしか出光興産がやっておると思いますが、何ら制約を加える意思はございません。
  69. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ちょっと飛びますけれども、もう一つ大臣にお聞きいたしておきたいのは、前会の委員会で私質問したのですが、九州の共同火力の問題でございます。この点について電力業界と石炭業界との折衝が続けられておるのですが、供給単価について折り合いがつかぬというようなことで非常に難航いたしまして、次期の電発の調整審議会で決定しかねるのではなかろうかというような悲観的なことが言われておるわけです。両者の希望をずっと検討して参りますと、大体単価について二百五十円の違いがあって、しかも三千五百カロリーでありますから、供給量がこれにからんでくる。三千五百カロリーよりも若干上回る供給のところもあるでしょうし、それをミックスして大体平均三千五百カロリーの石炭を供給する、こういうような面で数量、単価の問題が関連いたしておるわけなんです。この点については特に重要な問題でありまして、早急に解決をしなければならぬという両者の意思はあるようでありますけれども、なかなか意見が一致をしない。今日この調整は通産省として特に積極的に調整をして早急に解決をはかるべきではないか、このように考えておるわけなんですが、この点についてどういうお考えを持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  70. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 大事な点でございます。ただいまは両業界で話し合いが円滑に進んでおるようでございますから、そのうち結論が出ると思います。
  71. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうすると、そう懸念するほど心配はないという工合に承っておきます。  それからもう一つ低品位炭利用の火力の問題でありますけれども、大体低品位炭利用の火力は、宇部に始まって、いわゆる常磐では、もう第三期工事にかかる、しかも今度九州の二十二万キロが決定をするということになりますと、特に将来の産炭地である北海道の場合には、先般江別の第一が十二万五千キロの五千カロリー、重油混焼の認可を受けた。さらに第二期の申請が今日行なわれておるわけですけれども、産炭地という関係、全国低品位炭利用の発電所の配置、こういう面から考えて、現在二百万トンの石炭を産出し、将来三百万トンを上回る石炭の供給源になる釧路の三千五百カロリーの低品位炭の火力については、そういう全国的な配置の面からいっても、当面の石炭政策からいっても、需要の問題が若干あるとしても、石炭政策の面も強く考える場合に、当然これは電力会社と石炭会社との調整を積極的にとって解決をされるべき問題ではないか、このように考えるわけなんです。これもやはりずれてしまうとボイラー規制法の関係とか、重油専焼の発電所の問題といろいろ関連があるわけですから、早急にこれも結論を出さなければならぬ問題だと思うのですが、その点について、そういう面からどのように考えられておるのですか。
  72. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 電力の地域的な負荷を考えて、それに合わして合理的に結論を出していきたいと考えております。そこで今御提案の釧路の発電が、はたしてその点から考えて適当かどうかというような点を十分に検討いたしたいと考えております。
  73. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 もちろん電力原価を引き下げるとか電気料金の引き下げの要望が非常に強いときでありますから、そういう調整については当然配慮がなされることは当然だとは思いますけれども、何といっても全国的な産炭地振興の予算もついて、積極的に産炭地の振興もはかる、また石炭政策の積極的な面としては、石炭を固形消費をする面として電力問題を考えなければならぬと思うのです。そういう面を特に理解されてこの推進方について配慮願いたいと思うわけです。  今緊急に大臣に質問をしたい点があるそうでありますので、その点にちょっと譲って、あとから質問を続行したいと思います。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 岡田委員質問途中でありますけれども、大臣がおられる際に確かめておきたいことができましたので、ちょっとお伺いいたしたいと思います。  実は九州電力の料金値上げの問題に関しまして、伝えられるところによると、三月七日の閣議においてこれを決定をする、そうして十日に発表し二十日から実施する、そういうことですが、それは事実なんですか。
  75. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 それは風説でございましょう。最後の締めくくりはやはり手のあいたときでないといけませんものですから、それまでに間に合うように結論を出しまして、党側とも相談し、そうして急いでやって参りたい、こう思います。今おっしゃったように十日に云々二十日に実施とかいうようなことは、別に具体的にきめておりません。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 この国会が始まりましてから、いろいろの質問に対しての大臣の答弁としては、九州電力の電気料金はある程度認めねばならないじゃないかというようなことをおっしゃった。そうしてその時期はということになれば、明らかにしておらなかった。ところが伝えられるところでは、池田さんは国会が終わってからというようなことを言ったとかいうようなことも伝えられておる。ところが今入りました情報によりますと、今申しました七日の閣議で決定、十日発表、二十日実施、そういうようなことが伝えられたので確めたわけなんです。大臣はそういうことを計画してない、こういうことなんですが、事実こういうベースに乗ってくるのじゃないのですか。そういうようにきめておられるのならきめておられるといってお答えになってもいいのじゃないですか。今のように、まだきめておりません、そういうことであって、今言ったと同じようなベースに乗ってきたときには、大臣はうそをついたということになるのですが、どうですか。
  77. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 この問題の処理は、きわめて近いうちにやらなければなりませんから、御指摘のような日と、全然違う日にやるというふうにきめたわけではないが、きわめて急いでやりたいと思っております。それは世界銀行との関係がございまして、もうこれ以上じんぜん日を延ばすことが許されないような状況になっておりますから、その点で急ぎたいと思っております。しかしながら、これはいろいろの機関にかけて了解を得、相談をしていかなければなりませんので、腹の中では考えていますけれども、それを今きめてどうとか、そう押しつけるようなことはできないのです。御了承願います。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 きわめて近いうちにきめたい、こういうことで、当委員会あるいは予算関係委員会等においては、ある程度ということで濁しておられますが、きわめて近い期間にきめたいということなら、大体申請に対する認可は、どの程度に行なうということの腹もできておると思います。あるいはもう案ができておると思うのですが、もしそういう案ができておるなら、こういう線にのっとって許可をしたい、こういう点があったら、発表していただきたいと思います。
  79. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 了解を得た上で確定する問題でございますから、その詳細な原案について、今ここで申し上げる段階でないことは、一つ御了承を願いたいと存じます。ただ需用者の負担力の実情を十分に考慮いたしまして、そして定額電灯あるいはごく低い電力需用者というような、そういう方面にはなるべく負担が過重しないように、特に電気ガス税の軽減がございましたので、ものによっては、そういう定額電灯でありますとか、あるいは低量の電力需用者というような方面には、現行よりも料金が下になるというような状況でございます。多少ふえましても、一般の農村等の経済力にかんがみまして、ごく低い値上げ率になるというところをねらっております。それからまた九州あるいは北海道の石炭産業の現状にかんがみまして、それらの方面に対する負担の過重にならぬように、十分に注意して参りたい。多少上がることは上がりますけれども、この程度ならばというところに落ち着くのじゃないかと思っております。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 公共料金の値上げを中心とした物価値上げに対する反対の世論、国民的な運動が大きく行なわれており、盛り上がっておる。政府に対して物価値上げを阻止してもらいたいという声は、あらゆる方面からあらゆる格好で出てきているのです。それをも大臣は御承知のことだと思うのです。にもかかわらず、やはり最近のうちに値上げはやらざるを得ないのだ、こういうことなんですね。
  81. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 御指摘の通りであります。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 御指摘の通りと言われると、あとが出ないのですが、それでは強く希望を申し上げておきます。  まず、御承知のように物価の値上げの実情が続いておる。その中において公共料金を中心とする値上げには、国民全体が大きな関心を持ち、世論としてこれの反対が叫ばれており、池田内閣の政策で今国民が一番関心を持ち、警戒をしておるのは、物価値上げであります。そういう点からも十分な配慮をしてもらい、再考していただきたい、このように思います。  同時に、日進月歩の中で、現在一番進んでおるのが電気関係であります。宇宙開発等もあるかもしれないが、電気関係であります。その電気関係法律が、御承知のように昭和二十七年の電気に関する臨時措置に関する法律という暫定的な臨時措置法で、一たんポツダム政令によって生命をなくした公益事業令が、この臨時措置法によって復活し、頭に「旧」という字がついて、旧公益事業令というものがまだ生きていて、それが電気事業の大部分を支配している。そのほかにもまだ古い法律、命令等が、この臨時措置法によって、現在生まれ変わってきて行なわれている。しかもこれは法律で、御承知のようにあくまで暫定的臨時立法として、公共的な、一般的な、基本的な法律ができるまではと、こういうことになっているのです。ところが、すでに十年近くになっているが、その間まだ電気関係に対する一般的基本法ができていない。伝えられるところによりますと、電気事業法というものですが、これが出る出るといわれて出ないところには、何か事情があると思う。電気料金の値上げもけっこうだが、まずそれを規制するところの法律の整備を急いでもらいたい。いつまでも臨時措置法というようなことでは因る。そういうような法整備をまずし、監督その他についての整備をしてから、料金についての基本的なことを考えてもらいたい。  それから現在政府は、電気料金政策において、一体どのような根本的方針を持っているかということがはっきりしない。この公益事業令の建前からいえば、大体原価料金といいますか、そういう建前をとっている。ところがその中にあって、一方政策料金をとっておられる。その結果が、いわゆる個人消費、小口消費、これと同じ電力、同じ量を使っても大口ではうんと安い。従って大口は、個人消費あるいは小口消費の上にあぐらをかいたところの料金になっている。これは政策料金としての意味をなしておると思います。従って、電気事業法をはっきりと定めてもらって、そこで電気料金に対する態度を明らかにし、その上に立って考えていかなければならないのじゃないかと思います。実は電気の問題につきましては、まとめていろいろなことを質問したい、このように思っておりましたが、委員会の都合等でおくれておりました。たまたま今申しましたように、きわめて近い機会に、しかも日まできまったというような格好で、九州電力の値上げが許可せられるというような情報を聞きましたので、あえて緊急という格好で大臣の所信をただしたわけであります。私が今申しましたのは、あくまで強い希望として申し上げます。別に答弁がなければけっこうですが、私はそのようにしていただきたい。法律がまちまちだし、古い法律をいつまで持っているのか。臨時措置法というのに、それが十年近くなってもまだ基本的なものができていない。一番進んでいる電気の面が、法律上では一番おくれている。そういうような点を十分考えてもらいたい。  同時にもう一つ、これは昨年の夏ごろから、公益事業局長に私は十分申し上げておりますが、電気料金改定それ自体も、電力供給規程の一部変更になるわけです。ところが現在行なわれている各社の電力供給規程は、双務契約であるにかかわらずきわめて一方的であり、片務契約のような感じを受ける、それについて十分なる検討をしてもらうよう申し入れました。公益事業局長は、そういう意見もあるので考えている、こういうことです。だから、そういった基本的な問題を検討し、その上に立って料金へというのが順序じゃないか。料金だけ先に上げるということは、われわれは絶対に承服できない、こういうことだけを申し上げておきたいと思います。
  83. 大堀弘

    ○大堀政府委員 先生から最後にお話のございました供給規程の改正の問題でございますが、料率の改正そのものが供給規程の改正ではございますが、この点は、先生が昨年来御指摘になりました現在の供給規程に非常に不備な点、一方的な点があるという点でございまして、この点につきましては、料金制度調査会において一年半にわたって検討いたしました結果、こういうふうに改善すべきであるという意見が出ております。それによりまして、九州電力の規程につきましても、料金改定と同時に改正すべき点は改正させるように現在いたしております。たとえて申しますと、工事負担金の問題等についても相当御意見がございましたが、これらの点については、需用家の負担もこの際思い切って軽減するよう制度を直すようにいたしておるわけでございます。この点は需用家方面も、聴聞会におきまして非常に改善を歓迎しておる向きが多かったように私どもは伺っております。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 電気事業法。料金政策の点は……。
  85. 大堀弘

    ○大堀政府委員 電気事業法につきましては——法律の問題で私、ちょっと先に申し上げをしていただきますが、御指摘のように、この問題につきましては相当長期にわたって検討を続けておりますが、何と申しましても基本的な法律でございますので、なお問題について結論が得られませんで、慎重の上にも慎重に検討いたしておりますが、できるだけ早く結論を得まして、成案を得ましたら国会提出して御審議をいただきたいと考えておるのであります。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 電気料金のあり方について……。
  87. 大堀弘

    ○大堀政府委員 先先から御指摘がございましたように、現行の料金政策につきましては、原価主義でやるという建前になっております。この点は現在、現行法においてそういう建前が認められておりますし、私ともも、現在料金制度としては原価主義でいくのが最も妥当であると考えておりますが、先ほど御指摘ございました大口電力と電灯との配分について、政策料金じゃないかということでございますが、私どもは個別原価計算という計算をいたしまして、発電所における原価、それから第一次変電所、第二次変電所、第三次変電所と、電気をだんだん運びまして家庭へ届けます場合は、さらにこまかい配電線を通して、家庭に届けます。従いまして、発電費、送変電費、それから配電費、それから末端の需用家の検針に参ったりする費用を、個別原価計算いたしまして、その負担の割合を計算して、大口、小口電力、家庭用と原価配分をいたしまして、現存のような料金体系に相なっておるわけでございます。決して大口を特に政策的に安くしておるわけではございません。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 今大臣から、九州電力の値上げに対して、そういつまでもじんぜん日を送っていてもしようがない、こういう御答弁でありますが、あげ足をとるわけではありませんけれども、この認可に対して政府は慎重な態度をもって臨んでおる、このように私どもは考えておったのであります。御承知の通りに、先日も九州各県の議長会あるいは知事会その他関係方面の代表が参りまして、値上げの適当でないこと、また最低限度の値上げをするとしても政府としていろいろな措置があるのではないか、そういったことで具体的な項目をあげて政府に慎重な態度を要請しておった。その結果、九州各県の国会議員は与野党一緒に政府に対してこれが見合わせ方を、また、値上げを阻止するため政府としての特別の措置を要求いたしたはずであります。そうした反対運動に対し、九州各県の与野党国会議員あげての要請に対して、どのようにお考えになっておられるか。また、本日の新聞を見ますと、一〇・八%上げるんだ、このようなことを伝えております。私どもが先日池田総理、通産、企画庁長官、三大臣にお会いいたしましたときも、池田総理から一〇・八%といったようなお話があったのであります。一〇・八%を認めるとするならば、そうした反対運動に対しては全然考慮が払われていない、このように考えるのでありますが、通産大臣としてはそうした反対運動をどのように消化していこうと考えておられるのか伺いたいのであります。
  89. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 あの数字は公表したものでございません。ただ、そういう検討の過程においていろいろな数字が出てきております。十分に関係方面と協議をして最後に固まる問題でございます。その数字の問題につきましては、この際言明を避けておきたいと思います。御意見の点は十分に考えまして、財政資金等を置きかえてすべての資金、他から借り入れる資金を財政資金に置きかえたならば、はたして値上げしないで済むかどうかといったような点につきましても検討してみたのでありますが、そういったようなことではとても追っつかない、八分九厘の金利を六分五厘とかあるいはもっと引き下げて考えましてもこれはどうしても追いつかぬ、こういう状況でありまして、あらゆる方面から相当の検討を加えまして、大体結論に近いものが今出かかっておる状況でございます。皆様、特に九州選出の与野党の国会議員の方々のお申し出につきましては、あらゆる検討を加えまして、なるべくその御趣旨に沿うように考えたのでありますけれども、いかんせんある程度の値上げはせざるを得ないという結論に達したわけであります。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 ある程度の値上げということになりますと、当時発表されておりました一〇・八%の値上げをする場合においても、一〇・八%というのは非常に高率になるのではないか、もっと引き下ぐるべきであるということを強く要請したのでありますが、そうした要請に対して、その趣旨に沿うようにお考えになっておられるのであるか……。
  91. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 あれは、かりあるパーセンテージを想定しましても、それは平均でありまして、需用家の負担力の実勢というものに照らして、それを十分考慮いたしまして、ごく低い定額灯の人たちに対しては、むしろ電気ガス税の引き下げによって今までの料金よりも下がるという結論が出て参るはずでございます。それから電灯でなくて、電力使用の側でも、動力でもごく小さい方面は現行以下になるはずでございます。平均値上げ率以下になる。それから街灯なんかもずっと現状よりも低くなる。そういうことで、それぞれ需用方面の負担力その他各般の状況を考慮いたしまして、適当な配分を考えて結論を出したい、かように考えております。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 一〇・八%という場合にこれは平均だ、非常に低いのがあるんだ。平均というのは平均より低いのがあり、上がるのがあるのはあたりまえだ。私どもは平均より上がるというようなことに対しましても非常に重視しておるのであります。たとえば石炭の電力料の問題にいたしましても平均をはるかに上回っている。一七・五五%の当初の九州電力の申請の場合、石炭一トン当たりは九十七円、一キロ当たりは二十七円というので、はるかに平均を上回っておるということになっておったのであります。そうした石炭の電力料の問題あるいは総需用量の一四%にすぎない電灯料の問題、さらには農業用電力の問題、こうしたことが産業経済に及ぼす影響、また家庭経済に及ぼす影響というようなところから、非常にこうした点を重視しておるのであります。そうした石炭合理化をはかるというような見地の上に立っての石炭の電力料というものを、特に考慮されておるのであるかどうか伺いたい。
  93. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 当初発表されました案、すなわち九州電力の申請にかかる数字によりますというと、石炭業者は従来の二段料金を一段に統一する関係上、数十%にはね上がるというような面もございましたが、今回は平均値上げ率以下にこれを押えるということで、石炭の要る産業の現状に照らして、十分にその点を考慮に加えて結論を出したいと考えております。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 大臣も時間がないようでありますし、また関連でありますのでいろいろお尋ねしたいことがありますけれどもこれで打ち切りますが、田中委員よりも発言がございましたように、どうしても九州電力の値上げというものは私どもは納得がいかない。詳細にわたりましては、前回の委員会におきましても、納得がいかないという点、またこの値上げが不当であるという点を詳細に申し上げましたので、本日は省略します。ただいま大臣は、どうしても上げなければならないんだ、しかも急がなければならない理由として、世銀の融資の問題等もあげられたのであります。そうした一つ一つ私どもはどうしても了解ができない。十分検討を加えられて、この値上げは認められないように処理されますように要請をいたすのであります。
  95. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど鉱山局長にアラビア石油の問題で御答弁をいただいたのですが、そういたしますと、通産省としては徳永次官が示した方針に基づいてアラビア石油がこれに協力をしていく、こういう場合には政府として積極的にアラビア石油の当面かかえておる問題に対しても、金融の問題なりあるいはまたそれに付随してくる問題についても積極的にこれを解決するために協力をしていく、積極的な支援をしていく、こういうお考えですか。
  96. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 アラビア石油の問題につきましては、御承知のように昭和三十二年でございましたか、閣議決定がございまして、できるだけこれを援助していくという基本方針がきまっておるわけでございます。従いまして、私どもの方といたしまして、引き取りの問題とは別個に、金融の問題について考えておりまして、現に輸出入銀行等とも十分連絡をとっておる次第でございます。
  97. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 特にアラビア石油の問題をめぐって、いわゆる最近国際カルテルが変況したというか崩壊をしたというか、そういうきざしが現われておるわけなんですが、こういう国際的な石油のカルテルの動向と、アラビア石油の将来の開発に伴ういろいろな影響、こういう点についてはどういう見解を持っておられますか。
  98. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 私まだ国際的な問題について広い知識はございませんけれども、先生の御指摘の点は、おそらく最近スタンバックが解体されたことをおさしになるのではないかと思いますが、これにつきましては御承知のようにスタンバックはスタンダード・ニュージャーシーとソコニーと折半出資している会社でございまして、これは豪州、中近東、日本等で事業を行なっておるわけでありますが、これが独禁法違反ということで石油会社が告訴されまして、ニュジャーシーの方がこれに同意をいたしまして、スタンバックは解体することになったわけでございます。ただ、この措置といたしましては五年間の経過期間が設けられておりまして、この五年間にスタンバックは現在やっておる事業をどういうふうに解体していくかということがきまりますので、目下それが日本の精製業あるいは原油の受け入れにどういう影響を及ぼしてくるかということにつきましては、まだ的確な判断ができない状態でございます。
  99. 板川正吾

    ○板川委員 アラビア石油の問題で、十日に参考人を呼ぶ予定になっております。それまでに資料を一つ要求をしておきます。委員長に了解を得て一つ出していただきたいと思うのですが、それは従来の石油割当の経過、実情、外貨割当の実情、経過、これを一つ資料として出していただきたいと思う。  もう一つ、中近東で外国、英米系の石油資本が利権を得て採掘をしておりますが、中近東の諸国と採掘についていろいろ協定を結んでおると思います。その外国石油が中近東で結んでおる協定の内容と、それからアラビア石油がサウジアラビアあるいはクエート政府と結んだ協定の内容、一つこの資料を出していただきたい。この二点だけ要望いたします。
  100. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 できるだけ詳細な資料をお出ししたいと思いますが、確かめてみますけれども、アラビア政府との協定は、秘密になっているのではないかというような感じもいたしますが、その点はよく調べましてできるだけ詳細な資料を出したいと思います。
  101. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 非常に関連質問が出まして、時間がありませんので、一、二の飛び飛びした問題だけの質問で終わるのですが、まだ電力その他ありますから、質問を保留しておきたいと思います。      ————◇—————
  102. 中川俊思

    中川委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  石油に関する問題について、来たる十日金曜日午前十時より本委員会に参考人の出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお人選、出頭の手続等につきましては、すべて委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後一時二分散会