○椎名国務大臣
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案
理由及び
法律案の要旨について御
説明申し上げます。
わが国の石炭鉱業が、石炭の販売価格を昭和三十八年度までに昭和三十三年度に比較して千二百円程度引き下げることを目標として、現在高能率炭鉱の造成及び非能率炭鉱の休廃止を中心とする生産構造の抜本的な合理化に努力しつつあることは、御高承の
通りであります。
最近、鉱工業活動の好調、渇水等のため石炭の需要がやや好転しておりますが、これにより石炭鉱業の合理化の必要性はいささかも減少するものではなく、むしろ石油の長期的な値下がりの
傾向から見て、今後一そうの合理化努力を傾注することにより石炭鉱業の安定をはかる必要があると考えております。
石炭鉱業の急速な合理化を進めていく過程におきましては、生産の集約化などに伴い、相対的な過剰雇用が発生することは避けられないところでありますが、このような過剰雇用をなくして合理化効果を発揮していく段階においてやむを得ず発生する離職者に対し、退職金その他の支払いを円滑に行なえるようにすることは、ぜひとも必要であると考えます。また非能率炭鉱を閉鎖する場合には、このほかにすでに発生した鉱害を処理する必要があるわけでありまして、今後石炭
企業がその
事業を整備するために調達すべき資金は、莫大な額に上るのであります。
しかしながら、このような
事業の整備に必要な資金につきましては、
銀行の
融資が必ずしも円滑に行なわれていないのが現状でありまして、石炭鉱業の合理化がこの面で制約されるおそれがあると考えられます。このためこのような資金の
融資について何らかの措置を講じて、これを円滑化することが特に必要になるのであります。
今回の改正案は、このような
考え方に立って、石炭鉱業合理化
事業団に、政府出資を行ない、これを基金として石炭鉱業の整備に必要な資金の借り入れについて債務保証を行なわせることとしたものであります。
次に本法案の要旨について御
説明申し上げます。
第一は、石炭鉱業合理化
事業団に、従来の非能率炭鉱の買収
業務及び近代化資金の
貸付業務に加えて、新たに債務の保証の
業務を行なわせることとしたことであります。石炭鉱業合理化
事業団が行なう債務の保証は、石炭鉱業の整備を促進するために行なうものでありまして、離職する労働者に対し支払うべき退職金その他の賃金の支払いのため必要な資金、あるいは
事業を廃止するときの鉱害の賠償に要する資金を石炭業者が
銀行から借り入れる場合に、その弁済の保証を行なうことといたしたのであります。なお、石炭鉱業合理化
事業団が保証する債務の総額は、保証基金に一定の倍率を乗じて得た額を限度といたしております。
第二は、政府が石炭鉱業合理化
事業団に保証
業務のため追加出資する場合には、従来からその
業務の一つとなっておりました近代化資金の
貸付のための出資と区分して保証基金に充てることを明らかにし、石炭鉱業合理化
事業団は、これにより保証基金を設けることとしたことであります。
第三は、債務の保証の条件等に関する
規定であります。石炭鉱業合理化
事業団は、債務の保証を行なう場合には、石炭業者から保証の委託手数料に相当する保証料を徴収することといたしまして、その石炭業者が弁済期において債務を履行しなかった場合等には、
銀行に対してその弁済されなかった借入金の二分の一を石炭業者にかわって支払うことといたしました。
石炭鉱業合理化
事業団は、石炭業者にかわって
銀行に債務の弁済をした場合には、その石炭業者に対して求償権を取得することとなるのでありますが、この権利の行使の
業務は、
銀行に委託することができることとし、以後において
銀行が回収した金額については石炭鉱業合理化
事業団と
銀行が折半することといたしております。
第四は、石炭鉱業合理化
事業団のこの債務の保証の
業務は、昭和三十八年度末までに廃止することとしたことであります。この債務の保証により石炭鉱業の整備の円滑化をはかることは、石炭鉱業の合理化の目標年次である昭和三十八年度まで継続して行なう必要があるからであります。
以上簡単でございましたが、この
法律の提案
理由及びその要旨について御
説明申し上げた次第であります。何とぞ慎重御
審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
次に、
中小企業振興資金助成法の一部を改正する
法律案について提案
理由を御
説明申し上げます。
中小企業の経営の合理化をはかり、大
企業との間の格差を是正することは、日本経済の均衡ある発展をはかる上にきわめて緊要なことであります。
かかる
観点から、政府におきましては従来から
中小企業のための各般の施策を講じて参っておりますが、特に設備面での立ちおくれを是正するために、
中小企業振興資金助成法を制定し、設備の近代化及び共同施設の設置に対し助成措置を講じて参っており、相当の成果をおさめつつあることは御承知の
通りであります。
しかしながら、最近における技術革新の進展及び貿易自由化の実施に対処して、
中小企業の近代化を急速に推進する必要がさらに強くなってきております。
ところで、現下の経済の好況を反映し、中心
企業界も全般的には順調に伸展しておりますが、
中小企業の工場は多く住宅地域あるいは商業地域に散在しており、今や立地的な制約からその発展と合理化を阻害される
傾向が著しくなってきております。従いまして、かかる
中小企業者が市街地を離れて工場適地たる一定の団地に集団的に工場を建設し、工場の適正規模化、施設配置の合理化、設備の近代化、共同施設の利用の高度化等により画期的に経営を合理化し、生産性の向上を期するとともに、あわせて騒音、火災等の公害問題の解決をはかろうとする
中小企業工場団地の造成気運が全国各地において高まって参りました。
しかし、このような集団化計画の遂行に際しましては巨額の資金を要しますとともに、土地の取得、工場の建設、共同施設の設置、あるいは道路を初めとする
関連施設の整備、団地の運営等計画全般にわたって高度の総合性、統一性が必要でありますから、国及び地方公共団体による適切な
指導、助成なくしては所期の目的達成はきわめて困難な実情にあります。
従いまして、集団化計画の適正かつ円滑な実施をはかり、
中小企業の経営の合理化を一そう促進するため、
中小企業振興資金助成法の一部を改正することといたしたのであります。
次に、本
法律案の概要を御
説明申し上げます。
第一に、国の補助の対象となる都道府県の
貸付資金に
中小企業者の工場集団化のための土地及び建物に関する資金を追加することといたしております。
すなわち、
中小企業者が
事業協同組合等を中心に一つの団地に集団して工場または
事業場を設置します場合に、その集団化計画が政令で定める基準に該当し、かつ、
中小企業の振興に著しく寄与するものであると認められますときには、従来から貸し付けて参りました設備近代化資金及び共同施設設置資金のほか、新たに、その集団化のための土地の取得もしくは造成及び建物の建設に必要な資金を当該
事業協同組合等及びその構成員たる
中小企業者に対し、貸し付けることができることといたしたのであります。
第二に、工場集団化のために必要な工場用地の買いかえの場合の所得税及び法人税の課税に特例措置を講ずることといたしております。
すなわち、集団化に伴い新たな土地を団地内に取得するとともに従来の土地を譲渡することになりますが、この場合、その土地の譲渡益に対する所得税及び法人税の課税を一定の要件のもとに減免することにより、新工場の建設、設備の更新等、計画の達成に際し多額の資金を必要とする
中小企業者の負担の軽減をはかり、集団化計画の円滑な実施を促進することといたしているのであります。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその概要であります。何とぞ慎重御
審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。
次に
工場立地の
調査等に関する
法律の一部を改正する
法律案について提案の
理由及びその概要を御
説明申し上げます。
わが国工業の円滑な拡大を確保し、国民経済の健全な発展をはかるためには、
企業内部における合理化を推進するにとどまらず、適地適産の原則にのっとり、工場の合理的な立地を促進する必要があります。
このため、
通商産業省におきましては、すでに昭和三十三年度以来
工場立地の
調査等に関する
法律に基づき、全国百六十六の地区について工場適地
調査を実施し、
関係資料を整備して、
企業者に対し、
工場立地に関する資料の提供、助言を行なってきたのであります。
しかし、最近における工場の新増設の動向を見ますと、
特定の地域に対する過度集中等、工業の円滑な発展という
観点から見て好ましくない事態も見受けられる状況でありますので、これが改善のためこの
法律案を提案した次第であります。
今回の主要な改正点について御
説明申し上げますと、第一に、現行法では工場適地
調査を行なった地区内においても、立地の動向を正確には知ることができず、工場の適地誘導に支障を来たすこともありましたので今回これを改め、一定地域、一定規模以上のものに限り、工場の設置の場合には届出を求めることといたしました。
第二に、工場の過度集中等好ましくない立地が行なわれる場合であって、工場の合理的な立地に著しく背反するものにつきましては、
工場立地調査審議会の意見を聞いて、設置の場所について必要な勧告をすることができることとし、適正な立地について
企業の協力を求めることとしております。
その他の改正点といたしましては、
通商産業大臣が、従来の工場適地
調査に加えて
工場立地の動向の
調査を行なうこととするほか、
通商産業大臣及び
事業所管大臣が、
工場立地に関し
事業者の
判断の基準となるべき事項を公表することとし、
工場立地適正化の一助とすることとしております。
以上がこの
法律案の
内容及びその提案
理由であります。何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。
次に
機械工業振興臨時措置法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の
理由及びその概要を御
説明申し上げます。
機械工業は、国民経済の高度成長をになう
産業として、今後飛躍的な発展が期待されている
産業であります。先般政府において策定いたしました所得倍増計画におきましても、今後十年間に、機械工業の生産及び輸出の規模を四倍余にすることが必要であるとされております。しかしながら、現状におきましては、その国際競争力ははなはだ弱体でありまして、今後進展を予想されます貿易の自由化に備えて、急速に機械工業の合理化及び近代化を促進する必要が痛感されております。
御承知の
通り、現行の
機械工業振興臨時措置法は、経済自立五カ年計画達成のための施策の一環として、機械工業の設備の合理化等を促進する目的をもって、昭和三十一年六月に施行され、自来機械工業の体質改善をはかる上に、顕著な効果を上げて参りました。しかしながら、この
法律は、五年間の時限法として制定されましたため、今年六月をもって廃止されることになりますので、ただいま申し上げました最近の内外の情勢にかんがみ、この際、さらに五年間存続せしめるとともに、その
内容を拡充強化し、機械工業の合理化及び近代化を飛躍的に進め、もって国民経済の高度成長とその健全な発展に寄与いたしたいと考える次第であります。
これが本法案を提案するに至った
理由でございます。
次に本改正案の
内容について、その概略を申し上げます。
改正の第一点は、本法の対象となる
特定機械工業の
範囲を拡大し、従来機械器具またはその部品の製造業に限られておりましたのを、熱処理業のごとき加工業をも対象とすることができるようにしたことでございます。
改正の第二点は、現行法の諸
規定を整備拡充いたしまして、機械工業の合理化のために行ない得る共同
行為の
範囲を拡大するとともに、機械工業合理化の前提として規格の統一を促進するため、所要の
制限措置を講ずることができるようにいたしております。
改正の第三点は、機械工業の合理化及び近代化を促進するため、税制面において特段の優遇措置を講ずることとし、合理化に資する合併あるいは
事業の共同化に伴う法人税の軽減、合理的な集中生産体制の確立に必要な工場移転の際の土地の譲渡益の非課税等の措置を講ずることといたしております。
なお、これに
関連して別途、租税特別措置法の一部改正法案が上程されております。
以上本改正案の要点を御
説明申し上げましたが、何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御賛同下さらんことをお願い申し上げます。