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1961-02-21 第38回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十一日(火曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 小川 平二君 理事 岡本  茂君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君       有馬 英治君    岡崎 英城君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       首藤 新八君    野田 武夫君       原田  憲君    岡田 利春君       加藤 清二君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    中嶋 英夫君       中村 重光君    西村 力弥君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   杠  文吉君         食糧庁長官   須賀 賢二君         通商産業政務次         官       始関 伊平君         通商産業政務次         官       砂原  格君         通商産業事務官         (大臣官房長) 樋詰 誠明君         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衞君         通商産業事務官         (繊維局長)  松村 敬一君         通商産業事務官         (鉱山局長)  伊藤 繁樹君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         通商産業事務官        (公益事業局長) 大堀  弘君         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    志場喜徳郎君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      上田 克郎君         大蔵事務官         (国税庁間税部         酒税課長)   石橋 大輔君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四一号)  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四二号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四三号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  まず参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。鉱業に関する問題について調査のため、来たる二十四日金曜日、午前十時より参考人出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存知ますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお人選、出頭手続等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 中川俊思

    中川委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。笹本一雄君。
  6. 笹本一雄

    笹本委員 私は通商問題と繊維問題について質問したいと思うのでありますが、これはせんだっての委員会通商局長から——繊維局長は出ておりませんでしたが、この委員会答弁を聞きますと、はっきりしていない点があるのでありまして、この際通商局長及び繊維局長を通して、国民にはっきりした考えを示してもらいたいというのが、質問趣旨であります。  まず繊維局長にお尋ねしますが、きょうの新聞にもたくさん出ておりまするが、繊維原料大宗を占めているところの原綿原毛輸入自由化が、いよいよことしの四月から実施せられることになっているのでありますが、原料輸入自由化に伴うところの繊維帝業生産秩序維持について、繊維局長はどういうふうに考えているか。それと、時間がないのでまとめて質問いたしまするが、第二は、合成繊維の育成は産業構造高度化国際収支改善に寄与することが大きいのでありますが、これを推進するため。には、今後どういうふうな方針をもってあなたはこれを指導するか、この二つについてまず御答弁願いたいと思います。
  7. 松村敬一

    松村政府委員 ただいまの御質問の第一点の原毛原綿自由化に伴う生産秩序維持の問題でございますが、御承知のように、原毛原綿を四月一日から自由化いたしまして、それによりまして消費者利益をはかる一方、そういう自由な原料のもとに立ちましての繊維工業体質改善合理化という面が大きな目的になっておるわけでございますが、あわせて、御指摘のございましたように、現在相当の設備過剰の状態でございまして、そういうところに原料が非常に自由に入ってくるということになりますと、ややもすれば過当競争あるいは生産の過剰ということを引き起こしがちのことでございます。その点につきましては、この前の三十四回国会で御審議、通過をしていただきました繊維工業設備臨時措置法改正によりまして、新しく規制等につきまして、従来の勧告操短というものにかわりまして、法律に基づいた措置がとれるようになった次第でございますが、そういう法律の運用によりまして、またあわせて織機部門等につきましては、これは中小企業団体法による調整手段、そういうものを効果的に活用いたしまして、生産維持をやって参りたいと考えております。もう一つあわせて、今国会で御審議を願う輸出入取引法の一部改正がございますが、それは生産から輸出までの一貫した一つの体系ということをねらったものでございますけれども、もしあわせてそういう法律手段が整いますれば、今申し上げましたような秩序の確立ということがより容易になると思いますが、その問題は離れましても、現在ございます法律手段によりまして、できるだけ生産秩序維持いたしまして、その結果繊維産業体質改善秩序立った生産ということができますれば、ひいて輸出の方の振興にも十分役立つものと考えております。  それから、御指摘の第二点の合成繊維関係の問題でございますが、これは従来、いろいろ生産設備制限等をいたしまする場合に、合成繊維は何と申しましても最も新しい分野でもあり、なおかつ原料につきましても、あまり輸入に待たず、非常に優位な産業でございますので、合成繊維面の強化ということを十分考えまして、設備制限等を運用しておる次第でございますが、今後もそういう面を特に考えてやって参りたいと思います。ただ問題は、いろいろな会社一つ合成繊維について一度に始めるというようなことになりました場合には、たとえば外国会社技術提携をするというようなときにも、お互いの競争によりまして、条件等が非常に不利になるというととも間々ある次第でございますし、そういう意味におきましても、あるいはまた一番むずかしいと思いますのは、いろいろな種類の合成繊維それぞれがどのくらい伸びれば、将来内需並びに輸出に適当であるか、そういう見当をつけることが相当むずかしい問題と思いますが、そういうこともあわせて、競争の問題あるいは将来の妥当な繊維分野の問題、そういうことを十分考慮に入れまして、それぞれの分野に適当な形で、全体の合成繊維産業均衡のとれた形でできるだけ伸ばしていきたい、そういうふうな方針で臨みたいと思います。
  8. 笹本一雄

    笹本委員 今の答弁を聞いておりますと、生産は大いに育成しながら、やはり輸出国内需要均衡をとっていかないと、また生産過剰のようなことが出てくるので、今あなたは、そういうふうなことについて組心の注意をもって指導しておるということで、まず満足します。  次に生産の問題は、繊維の場合、やはり輸出と深い関係を有しているが、繊維製品輸出については、諸外国日本から輸出するものの規制等、多くの問題があると思われますが、特にわが国繊維品輸出に大きな影響があると思われるアメリカ、カナダなどは、けさの新聞にも出ておりますが、繊維製品といいますと、かつて本委員会で問題になりましたワンゲラブラウス輸出について、かくのごとき経験をなめておるのであります。またきょうの新聞を見ますと、この問題については、同僚加藤委員から後ほどやかましく質問されると思いますが、これは非常に大事な問題であります。これに対して、もうすでにアメリカの方では、日本製品のボイコットをしようということが出ております。既製服の問題についても、わが国では十三万着の輸出をしようというのに、向こうでは三万着に制限しようというようなことが出ておるのであります。これらについて局長はどういうふうな考え方をしているか。また、政府としても在外の大使館その他を通じて、この問題について、どういう手を打っておられるかということについて御意見を拝聴したいと思います。
  9. 松村敬一

    松村政府委員 御指摘輸出の問題は、維繊について国内問題とともに最も大きな、むずかしい問題であると思います。また、日本全体の輸出から申しましても、もちろん全体の傾向として重化学工業品にだんだん重点を移していこうという一つの目安はあるわけでございますが、何と申しましても繊維が相変わらず輸出大宗であることに変わりはないのでございまして、そういう意味におきましては、国全体の貿易政策から申しましても、また繊維産業の上から申しましても、この輸出世界各国それぞれに対して、どういうふうに伸ばしていくかということは、目下の一番大きな問題の一つであると存知ます。これは市場のそれぞれの特質によりまして、いろいろとまたやるやり方が違って参ると思いますけれども、ただいま御指摘の対米輸出の問題に一応限りまして申し上げさしていただきますと、まず綿製品につきましては、御承知のように、一九五七年にできました米国政府との合意に基づいた協定があるわけでございまして、従来、大体、初めに協定をいたしました線に沿って四年間やって参りまして、今年が第五年目になるわけでございます。それで、その第五年目の交渉をどういうふうにしてやるかということを目下相談中でございまして、非常に早い機会アメリカ側に申し入れをする段取りになると思っておりますが、今年の、第五年の交渉は、来年以降——一九六二年以降の繊維やり方をどういうふうにやるか、現存のような、向こう政府と合意した形のものにするかどうかということが一つの大きな問題でございます。で、これには、従来の協定は旧共和党政権との間にできた協定でございまして、新民主党政権が今のような形のことをやるかどうかということについて、これはだんだん在来大使館の方を通じて当たってはもらっておりますが、まだはっきりした見当がついておりません。で、そういう問題を、今度の第五年の交渉を通じまして若干打診するという意味も含めまして、今度の第五年目の交渉は、従来とは少し違った行き方でやってみたいというふうに考えております。と申しますのは、従来よりももう少し大きくした形で持って参りたい。特にそれには、今申し上げるようた将来のための一つの段階ということ以外に、現実日本規制をしております間に、香港その他、ほかの国からの輸出が非常に伸びまして、アメリカ輸入量の中で日本品の占める割合が非常に減って参りまして、そういう意味では、こちらがきちんとやっておったために損をしたというような結果が出ておるわけでございます。この点を先方に十分印象づけて、一つの論拠としておっしゃるように本年の交渉を進めてみたいと、現存そういう方針でいろいろ打ち合わせ中でございます。  それから、今御指摘既製服の問題は、先ほどお話のようにまた加藤先生より御質問もある由でございますが、向うの既製服関係労働組合がつい数日前に、日本からの既製服輸入がだんだん多くなることによって自分たちの仕事が将来なくなるおそれがある、そういうことを牽制するために、五月の一日以降日本からの毛織物を使って洋服を作ることをやめる、つまり、日本からの毛織物を裁断することを拒否する、そういう形の決議をしたのでございますが、この会議秘密会でございまして、昨日入りました在米大使館からの情報によりましても、それがそういうことをきめて実行することになるのか、あるいはそういうことを一応きめまして、会長並びに執行部に実行を一任した形であるか、おそらく後者の方であろうという情報でございまして、まだ具体的にどういう形をとるかということは、はっきりいたししておりません。しかし、全体の考え方から申しますと、現在アメリカでは二千万着あるいは二千四百万着程度洋服ができておるわけでございまして、そのうち日本からの輸入というものはまことに微々たる数字でございます。昨年度約四万着程度のものでございまして、そういうものは、従来アメリカ日本製品輸入についていろいろ問題になります場合の、産業に重大な影響を及ぼしたかどうかという一般的基準から申しますれば、まだ影響を及ぼしたというのにはあまりに少ない数字でございまして、一%あるいは〇・五%にも満たないというような微々たる数字でございます。そういうことを理由に日本品を排除する、あるいはボイコットするということは非常に不合理なことでございますので、この点につきましては、そういう不合理性を十分指摘いたしまして、今後いろいろと交渉を進めたいと思います。むろん、在米大使館でも朝海大使から国務省に対しては即日抗議を申し込んでおる次第でございますが、国務省の方といたしまして、労働組合決議をすぐ取り消させるとか、そういう権限が直ちにあるわけでもないので、その辺について自分の方でも善処をしたいという程度のことに現在はなっております。しかし、問題は、既製服ということの輸入に名をかりまして、現実には毛織物輸出、それも毛織物の中でアメリカは最も重要な市場でございますが、それに非常に影響を及ぼすおそれのあるきわめて重大な問題でございますので、さっき申し上げましたような方針に基づきまして、ぜひ理屈の立たない輸入阻止というようなことを排除するように、できるだけの努力をいたしたいと思っております。
  10. 笹本一雄

    笹本委員 今お話の、二千万着に対して四万着くらいのものだというような御説明がありましたが、なるほど事実そうかもしれませんが、こういうふうに日本国内新聞に、業界新聞はもっとたくさんいろいろ出ておりますが、これが業界に与える不安というものは非常に大きいものであります。でありますから、前のワンダラ、ブラウスのときのような問題以上の不安感を持つものと思うのであります。これに対して繊維局長として万遺憾なく指導して、そして対処するように希望するのであります。  それから最近新しい繊維の進出が目立ってきておりますが、その中でも日本特産品たるところの生糸でありますが、この生糸及び絹織物輸出振興についてあなたの意見を伺いたいのであります。あなたは欧州の方に長く勤務しておって、最近こちらに帰ってきて繊織局長をやられておるという話でありますが、この生糸はいうまでもなく、世界生産の八割を日本で占めております。一割がイタリアでやっておりますが、そのイタリア製品染色デザインがいいのでありましょう。ニューヨークあたりに参りましても向こうのネクタイが一本十ドルする。日本から出したやつは最高でも二、三ドルだというような関係で、みんな日本から糸をイタリアあたり輸出して、それを製品にして持ってくる。この生糸絹織物というものは、やはり宣伝すれば宣伝するだけの価値があって非常に伸びつつある。これはあなたはあちらにおってよくその事情を御承知でありましょうが、わが国のほんとうの国内でできるもの、これの輸出振興に対して、あなたはどういうふうに考えておられるか、農林省の方では生産をやって、ニューヨークに別に特派員をやっておる。これは非常に考えなくちゃならない問題だ。繭を作るまでは農林省でしょうが、製品にできたものはへんな通産省関係でやる、でありますから宣伝のすべてはむしろ通産省の方で一括してやるべきものではないか、こう思うのです。なおまた、欧州関係においては、糸で出すということは非常にやかましく言われておる。しかし糸で出したのと織物で出したというのでは、織物で出した方がはるかに利益を加重できるわけであります。これらについて局長はどういうような考えを持ち、またこれをどういうふうに指導、振興していくかということをお伺いしたい。
  11. 松村敬一

    松村政府委員 ただいま御質問生糸絹織物の問題でございますが、私は問題は二つあると考えております。一つは今御指摘品質の問題、それから第二は、やはり価格の安定の問題であると思います。  第二の方の価格の安定の問題は、これは生糸生産、特に桑園の関係とか、いろいろ非常にむずかしい問題を育んでおります。これはむしろ農林省の方の所管の事項でございますが、ことに一時生糸生産が必ずしも有利でなかった結果、減産傾向にございましたところ、二、三年前から需要が非常に激増いたしまして、その結果非常に価格が高騰いたしたわけでございます。それで相当投機的な形で価格が動いておった時期がかなりあったと思います。現在農林省の方でも増産体制につきまして、これはほかの工業製品と違って非常に早くというわけには参らないと思いますが、十年なら十年の期間に、どのくらい増産するという計画を立てておられるようなふうに聞いておりますが、結局、ある程度の量を確保して値段を安定するという以外にはないかと考えております。しかし、結局はそういう値段の安定がございませんと、一時宣伝その他によりまして十分市場を開拓したつもりでございましても、価格の安定しないものの取り扱いを先方は好まないというようなことで、生糸輸出が伸びない、いわゆる織物輸出が伸びないということにもなりますので、やはりこれは一つの根本問題として十分考える必要があると考えております。  それから第一の方の品質の問題でございますが、これは養蚕、製糸、染色、特に染色、仕上げ、そういうところの部分に関します日本技術が十分でありませんで、その結果同じように見えます製品、同じような絹の分量を使った製品でも、たとえばお話フランスものとかあるいはイタリアものとか、そういうものに比べて二倍も三倍も値段が違うというような事実があるわけでございまして、今後やはり生産あるいは技術の中心は、そういう品質のいい織物に向かっていかなければならないと思っております。従来通産省生糸絹製品関係補助金を出しておりますが、その大部分は従来は宣伝費補助でございましたが、本年初めて輸出絹製品品質改善に関する経費という補助金を認めていただいておりますので、これは主として染色加工技術改善をねらったものでございますが、もちろん補助金程度のことで十分なことができるとは思いませんけれども、そういう金も十分有効に使いまして、品質改善、特に織物染色加工面をヨーロッパの一流製品に匹敵するようなところまで持ち上げたい、そういうことであります。
  12. 笹本一雄

    笹本委員 生糸振興絹織物振興については、十分力を入れて、今、私が申し上げましたように、染色とかデザインとか、それらに力を入れて——これは非常に伸びるものであります。力強く一つやっていただたい。繊維局長にまだ質問することがたくさんありますが、時間が制約されておりますので、あとは通商局長にちょっと尋ねておきたいと思います。  大臣が来ておりますけれども、大臣よりも通商局長にお聞きした方がよいと思います。せんだって通商局長お話を聞いておりますと、就任早々であったかもしれませんが、あまりはっきりした答弁を拝聴できなかったのでありますが、この機会通商局長考え委員会を通して国民に知らしてもらいたいというのが質問趣旨であります。  第一番に、為替貿易自由化計画大綱が発表されて、すでに半年が経過しております。その後の自由化進捗状況はどうであるか。これは一問一答で願いたいのですが、時間の関係上まとめてお伺いしますから、まとめて答弁を願います。  第二は、輸入自由化した場合、輸入過当競争が行なわれる。その結果、輸入価格の高騰を招くおそれがあるのではないか。  第三には、今後低開発国に対する輸出を大いにはからなければならないが、国際収支の赤字に悩んでおるこれら諸国に対するところの輸出増大をはかるためには、これら諸国からの買付増大をはかる必要があると思われるのであります。しかるに輸入自由化によって低開発国からの割当物資買付が困難となりつつある。そのために低開発国に対する輸出がむずかしくなるおそれが多分にあると思うのであります。  第四には、輸出調整は具体的にどういうふうな方法で考えておるか。まずこの四点について一つあなたのお考えをはっきりしてもらいたいと思います。
  13. 今井善衞

    今井(善)政府委員 輸入自由化につきましては、御案内のように昨年の六月、政府といたしまして自由化計画大綱を発表いたしました。その線に沿いまして現在自由化を進めておる次第でございます。昨年発表当時におきましては、自由化率は四〇%を下回っておりましたけれども、現在におきましては約四四%ということになっておりまして、昨年自由化いたしましたものといたしましては、たとえば銑鉄だとか皮革だとか、そういった品物がございます。これは今までドル地域から輸入するものについて割当制、それからポンド地域から輸入する場合はAA制度というふうな、いわゆるドルに対して差別待遇をしておりましたものにつきまして、主として自由化を進めてきた次第でございます。この四月から新しい年度にかわりますが、四月からは御案内のように綿花、羊毛につきまして自由化をする、そのほかあるいは鋼材、あるいはベンゾール等化学薬品についても自由化をする、また大豆につきましてもいずれ上期中に自由化するというような線になっておりまして、その結果自由化率はおそらく六三、四%に上るというふうに考えております。  その次に、自由化した場合に価段が上がるおそれはないかというお話でありますが、御案内のように現在、むしろわが国から見ますれば買手市場ということになっておりますものが大部分でありまして、自由化趣旨と申しますのは結局いろいろの地域を見比べまして安いものを買い取るということでございますので、従いまして原則としてこの値段が上がるということはないわけでございます。むしろ安い地域から買えるという態勢が輸出を促進させるというふうに考えております。ただ現実問題といたしまして、たとえば世界でもってその商品のできる国が限定されておりまして、そういう相手国から買わざるを得ないという品物につきましては、これはこちらの競争が過度になりまして、その結果買いあさるということがないように、やはり指導していかなければならない、かように考えております。  それから自由化になりました場合に、通商政策的に考えまして一番問題になります点は、いわゆる割高物資をやはりある程度買わなければ輸出が進められないということでございまして、現在御案内のように、たとえば中近東等輸出いたします場合には、どうしても中近東の産品を買わなければならない。ところが残念ながら、それがほかの地域よりも割高である。従来は外貨割当をするに際しまして、やはり中近来から買うようにということで、ある意味で指示をしていたのでございますが、今後そういうことが行なわれない。それからあるいは中南米等に対しましていろいろのものを輸出いたします場合にも、どうしてもやはり中南米の産品を買わなければならない。その場合にたとえばブラジルの綿花だとか、あるいはアルゼンチンの穀類だとかが、ほかの地域より割高であるというふうな問題がございます。それから東南アジアにつきましても、いろいろそういうふうにどうしても買付をしなければならぬ、そうしなければ輸出ができないというふうな問題がございまして、これをどういうふうに処理するかということにつきましていろいろ配慮しておるわけでありますが、結局輸出輸入とを調整する。この調整する場合に、輸出入組合による調整という手段もございますが、そういう非常に大きな場における調整ということじゃなくて、もう少し範囲をしぼりまして、ある商品の輸入とある商品の輸出というふうな、取り扱いの輸出業者、輸入業者がお互いに協定をいたしまして、そしてそういう問題の解決をはかっていくという必要があるのじゃないか。そういう点につきましては、いずれ御審議を願います輸出入取引法に織り込んで御審議をお願いしたい、かように考えております。
  14. 笹本一雄

    笹本委員 いずれにしても、現在の輸入自由化によって輸入相当増加するのではないかと思うのであります。この点についてのお考えをお聞きしたい。  それからドル防衛等の問題によりまして、輸出の国際競争は一そう激化すると思うので、輸入増大に見合うだけの輸出が十分に確保される考えがありますか。今も繊維局長の話しましたところでは、現在アメリカ、カナダはわが国製品に対するところの輸入制限を行なわんとしておる。きょうの新聞なんかにもボイコットすると出ております。こういうアメリカ、カナダに対するところの輸出増大がこれではかっていかれるか。今繊維局長お話を聞いておりますと、既製服については二千万着に対して四万着の問題で、微々たる問題だと言っておりますが、アメリカにおいては失業問題も一緒にからんでおります。これは非常に険しい問題が起きてくるのじゃないか、これに対するところのあなたの考えを聞かしていただきたい。
  15. 今井善衞

    今井(善)政府委員 輸出自由化しました場合に非常に輸入がふえるのじゃないかというお話でございますが、現在三十五年度におきましては、前年度に比べまして輸入が約二〇%程度ふえております。これは主として日本生産活動の増加に伴うものでございまして、今まで自由化を進めておりましても、自由化のために思惑輸入が出て、輸入量がそのためにふえておるということは現在のところございません。また今後綿花、羊毛その他重要な物資につきまして、輸入自由化を進めて参るわけでございますが、かつては。たとえは自動承認制をとりました場合に、思惑輸入が非常にあったというふうなこともございましたけれども、現在はすでに日本で持っておりますドル資金も、二十億になんなんとしておるということとか、あるいはそういう日本の経済力に対する実業界の信頼と申しますか、それが非常に高まって参りました。従いまして自由化を進めるときにおきまして思惑輸入があるとか、あるいはそのために特に輸入増大するということはないのじゃないか。もちろん年産活動の増加によりまして輸入増大いたしますし、あるいは今後いずれ製品輸入というふうな状態になるわけでございますが、それによりまして、従来輪人していなかった品物輸入するということによりまして、輸入は一部増大すると思いますが、これは正常なる輸入増大ということで、それによりまして心配することはないのじゃないか。  さて輸出お話でございますが、現在、たとえば三十五年度におきましては、前年度に比べまして約一五%輸出がふえておるということになっております。これは主として東南アジアあるいは豪州あるいは欧州、そういった地域にふえたのでございまして、遺憾ながらアメリカにつきましてはふえ方が非常にわずかであった、約二%程度のふえ方でございます。これは昨年の下期からアメリカの景気が後退したということが一番大きな原因で、しかも日本から輸出されました品物は、おととしの後半から昨年の上。期にかけまして、非常にたくさん輸出が伸びたわけでございます。そこで、それらの品物につきましては一時非常に輸出が出ました結果、向こう相当ストックができておる。それが昨年の下半期におきまして輸出が停滞しました一番大きな理由でございます。従いましてアメリカの全体の在庫調整、特に日本から行きました品物の在庫調整というものが進みますれば、また輸出は伸びてくる。ことにことしの下半期におきましては、一般にアメリカの景気は調整を終えてまた伸びるというふうにいわれておりますので、やはりある程度伸びてくるのじゃないか、かように考えております。  ところでアメリカ業界あるいは業者団体における日本品輸入制限連動、あるいはボイコットの傾向が先ほど来御審議願っておりますように、最近非常に強くなっておりますことは、まことに残念なことでございます。これにつきましては先ほどお話がありましたように、日本大使館を通じまして向こう国務省筋に強く働きかけております。今後も強く働きかけなければならぬと思います。それから業界輸入制限運動というのは過去数年常にあったわけでございます。今までの対米輸出の伸びというものは、業界輸入制限運動があっても、なおかつそれに対して善処しながら伸びて参ったわけでございます。アメリカ政府といたしましては、今回のケネディの国際収支の教書にも見られますように、政府としては輸入制限なりあるいは関税率の引き上げはとるべきでない、やはり自由なる貿易が世界の貿易を伸ばし、それから経済の発展を伸ばすのだという根本的な考え方をとっておりまして、従いまして国としてさような輸入制限措置はとるべきでないということを発表しております。ただ業界がそれに対しまして、繊維を初め、あるいはトランジスター、いろいろな業界政府に働きかけておるわけでございます。私どもといたしましてアメリカ側でこういう国としての制限はとらないにいたしましても、わが方であまり急激にある品物について輸出増大する、その結果向こうをむやみに刺激するということがないように、やはりこちらでもって適当に輸出調整していかなければならぬ。調整する場合にいたしましても、これは数年聞くぎづけというようなことじゃなくて、相手の市場の状況を見ながらとにかく輸出がふえるようにわが方で調整していかなければならぬ、かように考えておる次第でございまして、ドル防衛の問題等がありましてもやはりある程度米輸出は伸びる、私どもさように考えておりますし、そのためにいろいろの施策を講じなければならぬ、かように考えております。
  16. 笹本一雄

    笹本委員 今御説明の通り、いたずらに相手国業界を刺激するということは非常に考えなくちゃならぬ。この前の繊維のワンダラ、ブラウスのときの問題もいい例でありますから、これらには十分留意してやっていただきたい。せんだっての新聞で、沖繩へ日本から製品を出して、沖繩からアメリカ、カナダへその品物をサンプル的に出しておる、それに対して政府は何か規制をするというようなことが出ておったようでありますが、これはどういうことでございましょうか。  時間がありませんのでもう一点でやめますが、輸出振興のためには自由主義国家群ばかりでなく、やはり共産圏の市場も無視することはできないだろう、特に対中共関係の貿易については、やはり相当考えなくてはならぬ。実際問題とすれば、中国からの輸入、こちらにいただく品物というものは、局限されておることは事実でありますけれども、これに対するあなたの考えはどうであるか。  それからまたさいぜんからお話を聞いておりますと、やはりどうしても貿易の自由化及びそれに関連しては、輸出振興におけるところの輸出入取引法改正が、一つの大きな柱になってくるというようなことに触れておったようでありますけれども、これらについてのあなたのお考え一つお聞かせ願いたい。
  17. 今井善衞

    今井(善)政府委員 沖繩の問題というのは、おそらく現在懸案になっておりますトランジスターの問題じゃないかと思います。実はこのトランジスターにつきまして、米関係に非常にたくさんの輸出が出ましたために、向こうを刺激した結果、わが方で自主的な輸出規制をしておるのでございます。これは日本から船積みされる分についての自主的な規制でございますが、一部の業者が部品を沖繩に持って参りまして、そしてそこで組み立てをする、その組み立てをする場合において、それは自主的な規制の外になりますので、従ってそれだけ輸出生産がふえる。国内のメーカーといたしまして、とにかく何とか沖繩に対するこういう進出を押えてほしいというお話もございますが、一方またさようなことによって、潤滑剤になるのだという見方もあるわけでございます。これはたまたまそういう問題があるのでございますが、たとえば繊維等につきましては、長らく規制をやっております結果、規制を免れるために一部の業界が、たとえば香港あるいは台湾等に進出いたしまして、そこで対米輸出なり何なりをやっておるということがございまして、これは一時はさような進出する向きに対する、業界全体の非常な反対があったのでございますが、時をかすに従いまして、やはり日本としてそういうところに進出して、そして経済活動をするのが、結局長い目で見て日本産業の発展になるのではないかということもございまして、だんだん問題が緩和されて参ったのでございます。沖繩等の問題につきましても、やはりそういう面もあるんじゃないか、かように考えておる次第でございます。  それから対共産圏との取引でございますが、これは前の委員会におきまして通産大臣がお答えされましたように、私どもといたしましては、国家間の協定に至らないでも、前向きの形におきまして個別契約方式を積み上げて、輸出を進めて参りたい、かように考えております。  それから輸出入取引法につきましては、現在私どもといたしましてもいろいろ検討しておるのでございますが、ぜひ近日中に提案さしていただきまして、この国会で御審議を願いたい、かように考えております。
  18. 笹本一雄

    笹本委員 まだいろいろ質問したいことがございますが、時間もだいぶ超過しましたのでこれで打ち切ります。      ————◇—————
  19. 中川俊思

    中川委員長 この際去る十六日本委員会に付託になりました中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の三案を一括議題として審査に入ります。中川委員長 まず趣旨の説明を聴取することにいたします。通商産業大臣椎名悦三郎君。
  20. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ただいま提案になりました中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業金融公庫は、昭和二十八年八月設立以来、年々貸出資金源を増大し、その機構も拡充整備して、その貸出残高は、昨年十二月末で千四百七十五億円をこえるに至りました。  しかしながら、貿易自由化に備えて、中小企業の経営の合理化、設備の近代化を促進し、その振興をはかる上において中小企業金融公庫の果たす役割はいよいよ重要であり、すでにこの一月より貸出金利を年九分に引き下げ、中小企業者の金利負担を軽減し、その貸出資金源についても、昭和三十六年度において政府資金四百二十五億円を融資することによりその拡大をはかることとしたのでありますが、なおこの際中小企業金融公庫法の一部を次の通り改正し、もってその機能を拡充強化いたしたいと考える次第であります。  第一は理事の増員であります。公庫の業務は、資金量の増大に伴い毎年増加しておりますので、これら業務量の増大に対処するため、店舗の増加と相待って理事を二人増加して六人とすることであります。  第二は公庫の総裁が、従たる事務所の業務に関し代理人を選任した場合、その代理人の代理権の範囲を法律上明確化し、従たる事務所の業務に関し一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する旨を規定することであります。  以上が本法案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。  次に、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業信用保険公庫は昭和三十三年七月設立され、現在百四十七億円の資本金をもって、信用保証協会の業務上必要な資金の貸付業務とその保証に対する保険を中心とする保険業務とを行なっております。  同公庫は、現在その資本金のうち六十八億円を融資基金に充て、これをもって信用保証協会に対してその保証業務に必要な資金の貸付を行なっており、これにより信用保証協会の保証規模の拡大、保証料の引き下げ等諸種の面におきまして顕著な効果をおさめつつあります。  しかしながら、最近におきましても、中小企業の資金需要は依然として旺盛であり、これとともに保証需要も大幅な増加の傾向にありますので、信用保証協会の保証原資をさらに大幅に増強して保証能力の拡充をはかる必要があると考えられます。  このため、政府といたしましては、中小企業信用保険公庫法の一部を改正し、昭和三十六年度におきまして中小企業信用保険公庫に対し、産業投資特別会計から二十億円を出資し、これを同公庫の資本金とするとともに、これを同公庫の融資基金に充て、同公庫から信用保証協会に貸し付けることとした次第であります。  以上が本法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。  次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業に対する金融の円滑化をはかるため、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫等の中小企業専門金融機関の貸出資金量を増大する等諸種の施策を講じて参っておりますが、中小企業が信用力、物的担保力の不足のため通常の金融ベースに乗りがたい点から考えますと、中小企業の信用力を補完する制度はきわめて重要な役割を果たしております。  この信用補完制度としましては、御承知の通り信用保証制度と信用保険制度とがありますが、この両制度は、機能及び業務分野において競合重複する面が見られますので、その調整が必要とされており、現在は、これらの問題を審議した昭和三十二年末の金融制度調査会の答申に基づき信用保証協会の機能の拡充強化をはかるとともに、中小企業者に対する信用補完業務は第一次的には信用保証協会の保証によるものとし、中小企業信用保険公庫による信用保険制度は、信用保証協会の保証債務のすべてについて再保険的機能を営む包括保証保険を中心とするように運営して参っております。  明年度からは、このような方向をさらに進めて信用補完制度の整備をはかることとし、中小企業信用保険の保険種別を包括保証保険の一本建とすることといたしました。また五十万円以下の小口融資の保証を対象とするいわゆる包括第一種保険については、すでに全信用保証協会の加入を見て順調に運営されておりますが、五十万円をこえる融資を対象とする包括第二種保険についても、さらに順調な発達を期するため、中小企業者一人についての付保限度額を五百万円から七百万円に引き上げるとともに、保険料の引き下げを予定いたしております。  このほか信用金庫連合会の中小企業向け貸付を容易にするため、その貸付にかかる信用保証協会の保証を信用保険に付することができることといたしました。  次に、この法律案の概要を御説明いたします。  まず第一は、融資保険及び普通保証保険の制度を廃止して包括保証保険の一本建とすることであります。  第二は、包括保証保険のうち第二種保険の中小企業者一人についての付保限度額を、五百万円から七百万円に引き上げることであります。  第三は、信用金庫連合会の中小企業者に対する貸付にかかる信用保証協会の保証を新たに中小企業信用保険の対象とすることであります。  第四は、その附則において、中小企業信用保険法改正に伴う中小企業信用保険公庫法改正を行なうことであります。すなわち、中小企業信用保険種別の廃止に従って、中小企業信用保険公庫が毎事業年度国会の承認を経ることを要する保険価額の総額について、保険種別の区分を廃止する等の整備を行なうことであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。
  21. 中川俊思

    中川委員長 以上で三案に対する趣旨の説明は終わります。三案に対する質疑は後日に譲ることとします。      ————◇—————
  22. 中川俊思

    中川委員長 再び通商産業基本施策に関する件等について調査を進めます。  質疑を続行いたします。板川正吾君。
  23. 板川正吾

    ○板川委員 前会に引き続いて、私は砂糖問題で結論だけ二点ほどお伺いをいたしたいと思います。  前会、砂糖工業の超過利潤というのが問題になりました。それ以上どこをもって基準として超過利潤とするか。それから標準糖価が出されておりますが、標準糖価はどういう形できめられたか。この二点にしぼって、時間の関係もありますから、お伺いいたしますが、まず標準糖価をいつおきめになったのか。それから標準糖価の百二十一円六十七銭という金額の内容を、もう一度詳しく話していただきたい。その内容というのは原糖が幾ら、関税が幾ら、それから消費税これは原糖、関税、消費税はわかっておりますが、その加工費・販売費、利潤、これが標準糖価の中に含まれておりますが、加工費、販売費、利潤等が一体どのくらいの原価を示しておるか、これを大蔵省から……。
  24. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 ただいまお尋ねをいただきました標準糖価でございますが、これは三十四年の四月に関税、消費税の振りかえをいたしました。その際にいわゆる甘味資源十カ年計画の構想をもちまして、国内甘味資源の育成をしよう。それには輸入粗糖によって国内で精製をいたしまする砂糖につきまして、これをある一定の水準をもちまして安定をさしていく必要があるということで百二十一円六十七銭という糖価水準をあの当時作ったわけであります。この百二十一円六十七銭の糖価水準は、その当時関税、消費税を振りかえまして、新しく一つの水準を作ったわけでございます。それぞれこまかい積算の内容がございまして、必要でございますれば、資料で、その当時作りました百二十一円六十七銭のこまかい内訳をお示しいたしてもけっこうでございます。大体申し上げますと、その当時の考え方といたしましては、まず原価計算の一番大きな要素といたしまして、輸入糖の価格一つ前提になるわけでございます。当時はポンド当たり三セント四十五、これは国際砂糖協定の最高価格、上限価格相当いたしておるものでございます。原糖の価格はポンド当たり三セント四十五ということを前提といたしておったわけであります。  〔委員長退席、中村(幸)委員長代  理着席〕
  25. 板川正吾

    ○板川委員 邦貨換算、キログラム当たり幾らですか。
  26. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 今邦貨換算をすぐいたして……。  それで、三セント四十五を原糖価格といたしまして、それに当時、使います最近の資料といたしまして三十二年度の実績をもとにいたしまして、それぞれ加工、販売に要します経費を積算いたしたわけでございます。それをそれぞれ積算をいたしまして、それに消費税その他を加えましてキロ当たり百二十一円六十七銭、こういうふうに出したわけでございます。  なお、おもなところを申し上げますと、原糖を三セント四十五といたしますと、原糖のコスト価格がトン当たり七十七ドル四十九セントになっております。これにフレート、それからC&Fの経費、保険料その他を加えますと、CIFで八十九ドル五十三セントここで円換算をいたしますと、トン当りで三万二千三百三十八円になっております。これがCIF換算におきます原糖の価格でございます。それに関税が四万一千五百円、これはトン当たりでございます。それから輸入諸掛り、加工費を加えますと、製造原価でトン当たり八万五千七百二十二円ということになります。それから、これに歩どまり換算をいたしまして、さらに一般加工費、販売費、そういうものを加えて参りますが、消費税はトン当たり二万一千円でございます。それから、この標準糖価を計算いたしました場合は、利潤及び借入金につきましては、三十二年度当時の一般産業等の基準を当たりまして、その当時ではトン当たりで二千二百六十七円というふうに見ております。それを全部入れますと、工場販売価格ではトン当たりで十二万一千五百三十円になるわけでございます。キロ当たりで百二十一円六十七銭、斤換算約七十三ということで、こういう積算で当時標準糖価を作ったわけでございます。  なお、数字が非常にこまこうございますので、あとでこの百二十一円六十七銭の内容につきましては、資料でお出しすることにいたします。  それから、いわゆる超過利潤と申されておりますものは、何を基準にして判断をするかという問題でございますが、これは原糖の価格を三セント四十五を前提として標準糖価を計算をいたしておりますので、原糖の価格が三セント四十五より下回って参りますと、やはり製糖企業の採算といたしましては有利になるわけでございますので、原糖の価格が三セント四十五を実際に相当の期間割っておるというような状態でありますと、相対的に利潤が多く出てくるということでございます。それからもう一つは、ただいま申し上げましたように、標準糖価が百二十一円六十七銭でございますので、実際の糖価がこれよりも上回っていくということでありますと、その面からも実際には利潤は相対的によけいに出る、そういうことになるわけであります。主として原糖の価格の動向と実際に国内で販売されます製品であります砂糖の価格水準、この両方から問題が出て参るわけでございます。ただこの場合、特に申し上げておきたいと思いますことは、この標準糖価百二十一円六十七銭といいますものは、ただいま申し上げましたように、三十二年の工場経費に関します資料を使っております。従いまして最近時では労務費あるいは加工販売費その他、あるいは配当の見方等も、その後相当実態が動いております。この三十二年のデータそのままで利潤の多い少ないだけを判断するわけにはいかぬわけでございます。それらいろいろな要素が動いておりますところを十分加味をいたしまして判断をいたさなければならない、かように考えておるわけであります。
  27. 板川正吾

    ○板川委員 どうも私の質問に対して答弁がちゃらんぽらんになったので、焦点がぼかされますが、まずこの百二十一円六十七銭の中に利潤がトン二千二百六十七円ですから、一キログラムでは二円二十六銭七厘、こういう計算になると思うのですが、この利潤を三十二年の一般産業の実績を考慮してきめた、こういうお話でございます。ところが、長官御存じだと思うのですが、前回も言ったのですが、砂糖大手会社が四割五分から三割程度の配当をしているのですね。これは一般産業の水準から見れば非常識くらいに高率配当なんですよ。こういう高率配当を考えた上で、こういう利潤を算定されたのか。
  28. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 この標準糖価百二十一円六十七銭の中に入っております利潤は二千二百六十七円でございますが、これは三十二年当博の一般企業の配当率を用いたものでございまして、これは配当は資本金の一割程度が適正であるという前提を置きまして、そういう計算で入っておるわけであります。これは標準糖価でございまして、やはり利潤を幾らに見て標準糖価を出すという計算をしておりますから、これは実際の製糖業の配当の実績等を用いたものではございません。
  29. 板川正吾

    ○板川委員 通産大臣にお伺いしたいのですが、前回製糖会社の高率配当はどうも常識的でないから、ほどほどの程度に配当は下げるべきだ——もちろん通産大臣が配当率を下げろなんということは指示はできないにしても、しかし標準糖価はこうやってきめられた、その標準糖価の中では一割程度の配当ということを考えておるわけなんですね。しかし実際は三割から四割五分も配当をしておる。こういうことになると、どうも砂糖会社がもうかってしようがない、もうけほうだいだということは、砂糖の標準糖価のきめ方に問題がある、それから砂糖行政全体に問題があるのじゃないか、こう思うのです。これはどういうふうにお考えですか。
  30. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 今、標準糖価の出し方を私も聞いておったのでありますが、長官の御説明にもあったように、この三十二年の工場経費というものから、現在はどれくらい適正経費が増加されておるかということ、それから現在の砂糖の値段が百二十一円よりも上回っておる、さらに原糖の価格がどうなっておるか、そういったようなとにかく製糖会社に有利な要素が相当にあるので、それで食糧長官が一割程度が適正利潤であると思うというお話でございますが、それが四割もあるいはそれ以上にもなっておるということなのであります。結局一割がいいか、一割五分といえばもう不適正であるかということはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、とにかく一割程度というところが適正な利潤であって、三割、四割というのは確かに適当なる限界をこえておるものだと私は考えます。通産省の所管の産業の大体の実態から見て、それから企業全般から見て少し破格の方ではないか、かように考えております。
  31. 板川正吾

    ○板川委員 私は、製糖工業の行政は通産行政にもなっておると思うのでで、そういう高率配当をしておるのに対して配当を下げろということはできませんから、砂糖行政全体を考えなくてはいけない、こういうことを私は聞いたのであります。  食糧長官にお聞きをしますが、きめた当時よりも原糖の価格は現在何円くらい安くなっておりますか。それから実勢価格は現在百二十一円六十七銭より何円くらい高くなっておりますか、御存じですか。
  32. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 最近の情勢を見ますると、原糖の価格は昨年あたりから比較的下がっておりまして、大体三セント若干上回る程度の水準に現在なっております。見通しといたしましても三セントを多少上回るくらいのところで今後推移をしていくのじゃなかろうかか、そういうふうに考えております。  それから国内糖価の実勢価格でございますが、これは昨年は比較的年間を通じまして水準が高かったのでございます。平均しまして百二十七円見当になっておるようでありますが、去年の暮れからことしに入りまして、水準が非常に下がって参りました。最近は百二十円前後のところにあるような状態でございます。
  33. 板川正吾

    ○板川委員 輸入価格は幾ら下がりましたか。キロ当たり三円くらい安くなったのですか。
  34. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 概略で、三セントの場合はキロ当たり二十四円くらいであります。
  35. 板川正吾

    ○板川委員 二十四円ですか。輸入糖価百万トンで計算しますと、たとえば一キロ一円上がった場合には、結局国民は十億円高い砂糖を買うことになるのですよ。輸入糖価は、標準糖価をきめたときよりずっと下がっておるのに、昨年はこういうように実勢価格が標準価格よりも六円も高い。標準糖価から見ると、六円高いということは、実は六十億円もよけいもうかっておるというか、国民に高い砂糖を押し付けた、こういうことになるのです。原糖の輸入価格は下がっておる。しかし売り値は高くなっておる。日本の砂糖が世界一高いといわれており、安くなっているのに、高く売りつけるというのは、砂糖行政は、どこかに国民の消費生活というものを考えないところがあるのじゃないですか。どうしてそういう矛盾した行政が行なわれるわけですか。どこに原因があるのですか。
  36. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 百二十一円六十七銭の標準糖価をはじきました当時の事情と比較して、最近加工販売経費等にいたしましても、これは現実に労務費等も相当上がっております。また利潤等につきましても、百二十一円六十七銭のときには、三十二年の一般産業並みに一割ということを基準に見たわけでありますが、三十四年から三十五年くらいにかけましての、”本銀行等で調査をしておる他産業の状況等から見ましても、やはり現在の段階では、一般産業並みの利潤を見ますれば、少なくとも過去の一割の基準では低過ぎる。  一般産業並みに直さなければならない、そういう点をいろいろ修正して考えなければならないわけであります。先般来私どももいろいろ検討いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、輸入原糖の水準が大体三セント程度であるといたしまして、それに最近の加工販売経費等を、それぞれの基準で置いてみますれば、標準糖価、いわゆる百二十一円六十七銭に相当いたすものが、それらを置きかえて計算いたしますと、大体一キロ当たり百二十二円くらいの水準になるというふうに考えられるわけであります。原糖はポンド当たり四十五シリングだけ下がるわけでありますか、その原糖の下がりました部分を、加工販売買その他で相殺をいたしまして、大体原糖が三セント前後といたしまして、糖価水準は百二十一円見当が適正なところではなかろうかというふうに考えております。最近は、先ほど申し上げましたように、大体百二十円前後でございますが、今後砂糖の輸入割当は、実際の輸入の時期的調整、数壁の見積もり方とかいうような点につきまして、今申し上げましたような水準で実際に糖価が推移をいたしますように、私ども今後の運用につきましては、十分留意して参りたいと思います。過去の糖価水準等につきましては、いろいろ御批判もあるわけでございますが、これは実際に外割制度で運用いたしておりますので、実際の糖価水準と外割の調整ということが、現実にはなかなかむずかしいわけでございます。それで三十四年から三十五年にかけましては、結果的に見ますと、糖価水準が標準糖価よりかなり上向いたような結果になっておるわけでございます。今後の運用につきましては、先ほど申し上げましたような方針で、十分留意して参りたいと考えております。
  37. 板川正吾

    ○板川委員 今のお話では、輸入糖価が下がっているから、私は安くなるのかと思ったら、実際は百二十二円程度が適正だろうと言う。だから若干上がるわけだ。その理由として労務費と言いますけれども、製糖会社の従業員というものはどのくらいだと思いますか。二百人か三百人です。十大会社を見ても三百人か四百人です。これだけの従業員で、賃金もよその会社の十倍も払っているわけじゃないのですから、私は労務費の圧迫で砂糖の価段を上げなくちゃならぬというようなことはないと思うのです。それはさっき言ったように、一円上がれば、全体からいえば十億円もうかるということになるわけです。だから、百二十二円くらいで押えたいと言うが、ほんとうからいえば、私はもっと安くなるべきだ、こう思っております。この砂糖工業が、将来成長性があって、どんどん工場を拡大していかなくちゃならない、そういうためには収益性がないと資金が集まらないというならば、ある程度嘉承配当ということもわかりますよ。しかし、砂糖は五年間百万トン前後で、工場の拡張設備をする必要はないのです。だから資金需要というものは大してないのです。それは多少は入れかえはあるでしょうけれども、それは償却費から出せばいい。だから、成長産業じゃないから高率配当をする必要もない。しかも原糖が下がっているのに、標準糖価をやや高目に抑えるというのは、これは結局国内糖を保護するということで、高い砂糖を国民に押しつけておるのじゃないですか。国内——てん菜糖ですね、これは全体の二割だというのですが、実はこの二割の国内糖を保護するんだ、そのために百二十二円、できればそれ以上でなければいかぬ、こういうことで高い糖価を維持しようというのじゃないですか。どうですか。
  38. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 三十四年の初めに甘味資源十カ年計画を立てまして以来——この計画が意図しておりますのは甘味資源の国内自給の割合を順次引き上げていこう、それは具体的にはてん菜糖と、澱粉を原料といたしまするブドウ糖によって順次偏人糖に置きかえていこうという考え方でございます。そのために関税、消費税の切りかえをいたしまして、百二十一円六十七銭という標準糖価を作ったわけでございます。大体先ほど申し上げておりますような百二十一円六十七銭ないし百二十二円、そのくらいの見当でありますと、てん菜糖の方は、おおむね国内で原価的にも採算がとれるという水準になっておるわけであります。ブドウ糖の方は、製糖を始めましてここ数年の経過を見ますると、甘味資源十カ年計画を立てました当時は、大体百二十一円六十七銭程度で十分育っていくというふうに考えたのでございますが、実績から見ますると、百二十一円六十七銭の糖価水準では、ブドウ糖の方は、今後順調に伸びていくということがちょっとむずかしいのではないかというふうに考えております。しかしながらその京は、ブドウ糖につきましては、なおいろいろ総合的な対策を考えることにいたしまして、単に糖価水準だけで、ブドウ糖の保護育成をはかろうということも、従来の経過から考えまして必ずしも十分でありませんので、ブドウ糖についてはいろいろ総合的に対策を考えていかなければならぬというように考えております。従いまして、現存私どもが考えておりまするところでは、大体先ほど申し上げました標準糖価は、今の時点でいろいろ要素を組みかえてみましても、大体百二十二円見当になるわけであります。その辺のところを水準にいたしまして、てん菜糖、ブドウ糖の育成にも力を注いで参りたいと考えております。
  39. 板川正吾

    ○板川委員 時間がないけれども、甘味資源十カ年計画をもって甘味資源の国内開発をはかる、十カ年計画国内開発をはかっていって 将来貿易の自由化というのはますます要請が強まってくると思うのです。それで、外国の糖価とも比較して、日本国民だけ特別高い砂糖をなめさせて、八割の製糖会社をもうけほうだいにさしておくということは、これは続かないですよ。私は農家の保護のために甘味資源のいろいろの施策をやる、そのことに反対をしておるのじゃないのです。砂糖行政の立場から考えなければならぬと思うんだけれども、将来も甘味資源開発をどんどんやっていって、どっちみちこれは高い砂糖ということになりますね、これが基準になりますと。それだと国民に高い砂糖をなめさせることになるんだけれども、こういう行政がずっと続くと思っておりますか。
  40. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 現在私どもで考えておりまする甘味資源十カ年計画では、大体十年計画をもちまして、てん菜糖につきましては四十万トン、ブドウ糖は、ブドウ糖の目方で二十万トン、これだけを育成をしていこうというふうに考えておるわけであります。先ほど申しましたように、少なくともてん菜糖を育成いたしますのには、現在てん菜の原料価格等から考えまして、どうしても国内における糖価水準は百二十二円見当でなければ、国内のてん菜糖の育成はできないわけであります。いろいろ日本の糖価の水準につきまして高いというような御批判もあるわけでありますが、甘味資源十カ年計画では、関税、消費税を現行程度にかけまして、それで国内甘味資源の育成をはかっていこうという基本の考え方をとっておりますので、やはり国内甘味資源の育成のためには、現在程度の、先ほどから申し上げております程度の糖価水準は、どうしても必要であろうというふうに考えておるのであります。
  41. 板川正吾

    ○板川委員 結局甘味資源を育成して、コストの高いこれを保護していくということになって、これに輸入糖価の背を並べるということになれば、これは砂糖会社ばかりもうけちゃうんじゃないですか。そうするとどうなんですか、通産大臣にお伺いしますが、いっそのこと精糖工業を半官半民かなんかにして、少数の、十社くらいの独占的な会社ばかりもうけるんじゃなくて、国民に高い砂糖をなめさして利潤をもうけるのですから、やはりこれは国に返すというのがほんとうじゃないですか。こういう砂糖行政の根本をお考えになりませんか。
  42. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは実は農林省の行政の分野であります。ですからあまり人の畑についてかれこれ言いたくないのですが、ただ関税問題につきましては、入れるか入れぬかという通関の問題については通商局に一部預っておる、こういう関係にあります。そこでこの間じゅうから、砂糖の値段の問題につきまして関係閣僚の間に相談したことが一両回ございました。私も通商局を持っておる関係上それに参加したのであります。今、長官の説明のように、原価主義だけでなくて、加えててん菜糖葉の育成という両にらみでやっておるものだから、どうしても利潤が相当ある。それを是正するにはどうすればいいかということでございましたが、ある程度関税を上げて砂糖を自由化するという案も考えられたわけであります。どんどん安い砂糖が関税の障壁乗り越えて入ってくるというようなことになると、国内の甘味資源による企業というものがどうやら立ち行くという程度に上げて、そうして自由化するという考え方もあったのでありますけれども、どうもそれじゃ十分でないということでまた逆戻りになった。それで、ただいまではどんどん外糖を輸入する、そうしてふんだんに甘味料を国民に供給するということになると、自然値段が下がってくるんじゃないか、そういう方向を選んでいこうじゃないかということが、ただいま方針としてきまりかけておるところでございます。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 どうも国民の立場から、砂糖行政というものは私は根本的に考え画さなくらやならぬと思うのです。何らかの手を打たなければこのままでおったのではどうもならぬと思うのです。そこで食糧庁長官にお伺いしますが、超過利潤が三十四年度、三十五年度で百十四億あった、こういわれております。これは大蔵大臣が予算委員会でそういう発言をされておるそうです。この砂糖の自由化が決定されたときに、製糖会社がとにかく超過利潤は返してもいいから自由化をしないでくれ、こういう働きかけを政府筋に盛んにしたということも伝えられておるのですが、一体この超過利潤を政府が取り上げてどういうふうに処分されるというのか、法的にはそういうことがどういう点から可能なのか、一つそれをお伺いしたいのです。
  44. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 先般予算委員会で大蔵大臣が三十四年、三十五年の超過利潤につきまして、数字をあげて御説明になったのでございますが、これはいろいろ計算がございまして、百十何億と申しますのは、三十三年、先ほど申し上げましたいわゆる百二十一円六十七銭の標準糖価を計算いたしました際の加工版元経費を、そのまま当てはめまして一応試算をいたしてみますると、百十何億というようなものか三十四年、三十五年の町年にわたりまして出てくるという計算が一応出て参るわけであります。ただそれは今申し上げましたように、標準糖価の計算に使いました加工販売経費その他の資料をそのまま使っておりますので、これを実際に超過利潤という杉において計算をいたしますのには、やはり三十四年、三十五年の現実の加工販売経費、それに近い資料をできるだけ精査いたしまして用いなければならぬわけであります。それでその後私どもの方でも、いろいろ会社の有価証券報告書でありますとか、あるいは大蔵省の主税当局あたりともいろいろ連絡をとりまして、こまかく検討いたしておるのでございますが、その検討の結果まだ十分計数的に整理をされておりませんので、数字を申し上げるまでの段階に詰まっておりませんが、そういうように検討いたしてみますると、いわゆる超過利潤として計算をすべきものは、百十何億と申し上げました数字よりは、かなり変わって参ると考えるわけであります。いずれこれは計算が固まりましたら、資料によって前の計算との比較対照をはっきりお示しいたしまして御説明をいたしたいと思っておりますが、かなり下回って参る見込みでございます。それでこれは加工の利潤でございますので、ただいま御質問の点の、法的にはこれを取り上げると申しますか、国に吸収をするという方法は通常の場合にはないわけでございます。もしこれを国に取り上げるというような場合には、先方が任意に寄付をするという場合は別でありますが、一律の基準で取り上げるということでありますれば、これは立法の措置等を考えなければならぬ。今私どもの方で研究いたしておりますのでは、加工の利潤につきましてはその実態をよく検討いたしまして、適正な額を判断いたしまして、先ほど来申し上げておりますブドウ糖の保護育成に現在の段階では、まだかなりの経費がかかるわけでありますので、ブドウ糖の育成の方へ、何か適当な方法を講じて回すようなことを工夫をしてみたいというので、目下鋭意検討いたしておる段階でございます。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 超過利潤が百十四億を下回る、しかしそれを取り上げる法的な根拠はない。根拠がないのにもうかったからお前みな国に返せというのも、これまた実際はおかしいですな。そうするとどうしてもこの砂糖行政全体を考え直さなければならぬと私はとう思うのです。国がお前もうかったからよこせというのも事実はおかしいと思うのです。だから一つ、御承知のように今は物価がどんどん上がっていますよ。せめてこういう砂糖だの、ビールだの、大衆の消費するものが政府の力で安くなれば、まあ物価値上がりのムードの中で、幾つか安くなってもいいと思うのだ、ところがどんどん上がっているのだから、砂糖も上がるのは当然で下げるべきじゃないというような気持があるから、私はどうも現在の砂糖行政というものに疑問を持っておるのです。これは一つ私は資料をいただいて、もう一度再検討して次の機会にさらにこれを追及したい、こう思っておりますから、資料を一つ出していただきたいと思います。
  46. 西村力弥

    ○西村(力)委員 砂糖も生活必需物資でぜいたく品ではないのですから、なるべく安く国民に与えるというのは当然だと思うのですが、そういう観点からいいまして、現在の政府やり方はさか立ちしておると思うのであります。それはともかくとしまして、ただいま通産大臣は原糖の輸入をよけいにして、出回りをよけいにして値段を下げるといわれた。このことは前回企画庁長官も同様趣旨答弁がありました。ところがいつの新聞でしたか、新聞の報ずるところによりますと、アメリカとキューバの国交断絶によってアメリカはキューバ糖を買わない、そういうことから日本政府が原糖の輸入を増そうとしても、それは見込みがないじゃないか、こういう報道がなされておるわけなんです。そのことは私たちなかなか詳しいことはわからぬですけれども、かなりうなずけるようにうわけなんです。そういう点からいきますと、ただいまの御答弁は一時のがれの答弁のように思われてならない。そういう障害を乗り越えてよけい入れられる見込みがあるのか、そういう見通しはどうなっておるのか、その点一つお答えを願いたい。
  47. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 砂糖の世界的な需給の情勢から見ますると、キューバその他の問題はございまするが、全体といたしましては決して供給が窮屈であるという状況ではございません。目下ロンドンで砂糖理事会をやっておりまして、それぞれ主要消費国におきます需要の見通し等を積み上げまして検討がなされておるわけでございます。われわれ日本の場合といたしましても、単にキューバだけでなしに、いろいろ各国から供給源を仰いでおるわけであります。あるいは台湾、ブラジル、あるいは南方の諸国からいろいろ多角的に買っておるわけでございます。決して砂糖の供給側から原料の確保に困難な事態が出るというようなことは、一応一つ考えておらないわけでございます。
  48. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいまの答弁ですが、アメリカはキューバから買わない分は、自由市場の中に割り込んできて、ごっそりとアメリカが割当を持っていく、こういうことのために日本がよけいに入れようとしても、その原糖の割当の分からよけいに買おうとする分が余裕として出てこないのじゃないか、こういう見解があるのです。今のお話でそういうことは一切心配はないということなんですが、もう一度その点については、今のような機構になっている中で、需要国が砂糖の輸入の割当のワクを一応もらう形だとすれば、やはり影響があるのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  49. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 御指摘の点は私どもの方でも、さらに十分に事情を調べてみたいと思っておりますが、一応私どもが今まで持っております材料によりますと、さしあたり原糖の確保に心配するというような事態は起きないという考え方であります。なお御指摘の点は事情をよく調べまして、次の機会によくお答えをいたしたいと思います。
  50. 板川正吾

    ○板川委員 私続いて同じ独占物価であるビールと石油問題についてやりたいと思っておったのですが、あとの機会にします。
  51. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十二日午前十時より開会することとし、これにて散いたします。    午後零時五十三分散会