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今井(善)
政府委員 輸出を
自由化しました場合に非常に
輸入がふえるのじゃないかという
お話でございますが、現在三十五年度におきましては、前年度に比べまして
輸入が約二〇%
程度ふえております。これは主として
日本の
生産活動の増加に伴うものでございまして、今まで
自由化を進めておりましても、
自由化のために思惑
輸入が出て、
輸入量がそのためにふえておるということは現在のところございません。また今後綿花、羊毛その他重要な物資につきまして、
輸入の
自由化を進めて参るわけでございますが、かつては。たとえは自動承認制をとりました場合に、思惑
輸入が非常にあったというふうなこともございましたけれども、現在はすでに
日本で持っております
ドル資金も、二十億になんなんとしておるということとか、あるいはそういう
日本の経済力に対する実
業界の信頼と申しますか、それが非常に高まって参りました。従いまして
自由化を進めるときにおきまして思惑
輸入があるとか、あるいはそのために特に
輸入が
増大するということはないのじゃないか。もちろん年産活動の増加によりまして
輸入は
増大いたしますし、あるいは今後いずれ
製品の
輸入というふうな状態になるわけでございますが、それによりまして、従来輪人していなかった
品物を
輸入するということによりまして、
輸入は一部
増大すると思いますが、これは正常なる
輸入の
増大ということで、それによりまして心配することはないのじゃないか。
さて
輸出の
お話でございますが、現在、たとえば三十五年度におきましては、前年度に比べまして約一五%
輸出がふえておるということになっております。これは主として東南アジアあるいは豪州あるいは
欧州、そういった
地域にふえたのでございまして、遺憾ながら
アメリカにつきましてはふえ方が非常にわずかであった、約二%
程度のふえ方でございます。これは昨年の下期から
アメリカの景気が後退したということが一番大きな原因で、しかも
日本から
輸出されました
品物は、おととしの後半から昨年の上。期にかけまして、非常にたくさん
輸出が伸びたわけでございます。そこで、それらの
品物につきましては一時非常に
輸出が出ました結果、
向こうで
相当ストックができておる。それが昨年の下半期におきまして
輸出が停滞しました一番大きな理由でございます。従いまして
アメリカの全体の在庫
調整、特に
日本から行きました
品物の在庫
調整というものが進みますれば、また
輸出は伸びてくる。ことにことしの下半期におきましては、一般に
アメリカの景気は
調整を終えてまた伸びるというふうにいわれておりますので、やはりある
程度伸びてくるのじゃないか、かように
考えております。
ところで
アメリカの
業界あるいは業者団体における
日本品の
輸入制限連動、あるいはボイコットの
傾向が先ほど来御
審議願っておりますように、最近非常に強くなっておりますことは、まことに残念なことでございます。これにつきましては
先ほどお話がありましたように、
日本の
大使館を通じまして
向こうの
国務省筋に強く働きかけております。今後も強く働きかけなければならぬと思います。それから
業界の
輸入制限運動というのは過去数年常にあったわけでございます。今までの対
米輸出の伸びというものは、
業界の
輸入制限運動があっても、なおかつそれに対して善処しながら伸びて参ったわけでございます。
アメリカの
政府といたしましては、今回のケネディの
国際収支の教書にも見られますように、
政府としては
輸入制限なりあるいは関税率の引き上げはとるべきでない、やはり自由なる貿易が
世界の貿易を伸ばし、それから経済の発展を伸ばすのだという根本的な
考え方をとっておりまして、従いまして国としてさような
輸入制限
措置はとるべきでないということを発表しております。ただ
業界がそれに対しまして、
繊維を初め、あるいはトランジスター、いろいろな
業界が
政府に働きかけておるわけでございます。私どもといたしまして
アメリカ側でこういう国としての制限はとらないにいたしましても、わが方であまり急激にある
品物について
輸出が
増大する、その結果
向こうをむやみに刺激するということがないように、やはりこちらでもって適当に
輸出を
調整していかなければならぬ。
調整する場合にいたしましても、これは数年聞くぎづけというようなことじゃなくて、相手の
市場の状況を見ながらとにかく
輸出がふえるようにわが方で
調整していかなければならぬ、かように
考えておる次第でございまして、
ドル防衛の問題等がありましてもやはりある
程度対
米輸出は伸びる、私どもさように
考えておりますし、そのためにいろいろの施策を講じなければならぬ、かように
考えております。