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1961-02-10 第38回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月十日(金曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       有馬 英治君    岡崎 英城君       神田  博君    佐々木秀世君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       田中 榮一君    中垣 國男君     早稻田柳右エ門君    岡田 利春君       小林 ちづ君    中村 重光君       西村 力弥君    渡辺 惣蔵君       大矢 省三君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 樋詰 誠明君         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君         通商産業事務官        (公益事業局長) 大堀  弘君         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衞君         通商産業事務官         (鉱山局長)  伊藤 繁樹君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 一月九日  航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第二二号)  計量法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二三号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第二二号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  昨日本委員会に付託になりました、航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題として審査に入ります。
  3. 中川俊思

    中川委員長 まず趣旨説明を聴取することにいたします。通商産業大臣椎名悦三郎君。
  4. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案提案理由を申し上げます。  今回提出いたしました航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案についてでございますが、この法律昭和三十四年三月、に制定されましたが、その前年の昭和三十三年五月に制定されました航空機工業振興法の一部を改正いたしまして、輸送周航空機国産化を促進するための措置として、日本航空機製造株式会社を設立し、輸送用航空機の設計、試作製造等を行なわせることを内容とするものであります。  この一部改正法律に基づきまして、日本航空機製造株式会社昭和一千四神六月設立され、以後現在まで、中型輸送機YS−11の試作開発を進めておりますが、この試作事業は、ほぼ計画通り順調に進行いたしておりまして、昭和三十六年度には試作第一号機が完成し、引き続き飛行試験が行なわれ、昭和三十八年度までに全試作事業を完了する予定であります。  それとともに、本会社は、内外における輸送機需要を勘案して、昭和三十八年度以降、YS−11型量産機の販売を行なうこととし、このため、昭和三十六年度から、量産準備を開始することといたしております。  しかしながら、本会社物的担保に乏しい等の事情からいたしますと、現状におきましては、YS−11型量産準備のための資金を、会社信用のみで調達することはきわめて困難であると考えられます。  このような事態に対処いたしますために、当分の間、本会社信用政府が補完することができるよう措置する必要が生じましたので、ここに、航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部改正する法律案を提出いたしました次第であります。  本法律案の要旨は、日本航空機製造株式会社の債務につきまして、当分の間、政府保証することができるものとすることであります。  なお、これに関しまして、昭和三十六年度予算案におきまして、本会社の借入金三億円及びその利子相当する金額を限度として、政府保証を行なう旨が規定される予定になっております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
  5. 中川俊思

    中川委員長 以上で趣旨説明は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 中川俊思

    中川委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣に御質問いたします。  大臣は、わが国経済高度成長の過程において、中小企業者地位を向上せしめ、大企業との間の格差是正をはかることが必要である云々ということを述べられ、画期的な増額をはかるとして、中小企業対策費を前年度よりも二十億増しの四十四億計上しておられるのであります。通産大臣の意は了とするのでありますけれども、この程度予算並びに施策をもって、中小企業と大企業との格差を縮めることができると考えておられるかどうか、この点に対してお尋ねいたします。
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 中小企業と大企業との格差是正の問題は、これは予算措置だけにとどまる問題ではないのでありまして、中小企業自身企業意欲、また予算を離れた政府指導、あっせん、あるいはまた、金融機関の協力、各般の施策を総合的に推進いたしまして、できるだけ格差是正に努めたいと考えておる次第であります。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの大臣答弁のようなことは、先日の御方針の中にも盛られておるのであります。ところが、貿易自由化影響というものは、中小企業に対して大きな圧迫となってくると私ども考えておるのであります。従いまして、中小企業対策というものは抜本的な対策を講じていくのでなければならない、税制の面におきましても、あるいはまた、いろいろな保護政策という面におきましても、真剣にこれに取り組んでいくという態度でなければならぬと思うのであります。しかしながら、御提案になっております内容は、私ども中小企業の抜本的な対策というようには、どうしても受け取ることができないのであります。環境衛生関係事業に対しましては、いろいろな保護立法というようなものが講じられておるようでありますが、一般中小企業に対して何か保護的な立法を用意しておられるかどうか、お尋ねいたします。
  10. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 環境衛生立法は、事公益に関する問題でございまして、多分に取り締まり的な面があると思うのであります。こういったような類似法制中小企業に適用されているか、あるいはそういうことを考えておるかというお話でございましたが、私どもの了解するところにおいては、ちょっとねらいが違いますので、これに類似法制をということになりますと、ただいまのところは何も考えておりません。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろ保護的な立法あるいは政策というものが考えられると思うのであります。たとえば、大企業中小企業との産業分野を定めるとか、その他いろいろ方法があろうと思うのでありますが、それらのことについて考慮しておられないかどうか。
  12. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 大企業中小企業との分野の問題というお話でございましたが、もともと中小企業の担当している分野と、大企業分野とその区別のつかぬところがあるのであります。ことに商売の方なんかになって参りますと、中小企業の連中は、われわれはもう特別の品種、特別の地域を対象にして貿易している、大企業による非常に広範な外国貿易とは違うのである。であるからして、専門的な中小企業にまかせられておる特定の商売を大企業が侵すことは、非常に迷惑するというような話をわれわれいろいろの会合においてよく聞くのであります。従って、政府としては、一般的ないわゆる大商社と、地域的なあるいは品種的に専門的な中小商社というものと分野区別して、そして特別の指導あるいは保護政策をやってくれというようなことをよく言われるのであります。一面においてはもっともな点もございますので、いろいろ研究しておりますが、その点の施策を特別に実行するというようなことは、いろいろ困難な事情もございますので、研究はしております。工業についてもそれに類したことは多多あるのでありますけれども、これを法制化して特別の保護をするというようなことは非常に困難でありまして、やはり今やっております金融の問題でありますとか、あるいは税制の問題であるとか、あるいは今回の団地問題、従来実行して参りました近代化の助成といったような、そういう助成的な政策は従来ともやっておりますし、今後ともそれを推進して参りたいと存じますけれども、特別の分野を設けて、そしてこれは大企業入るべからず、これは中小企業分野であるというような明確な仕切りを作って、そしてそれに対する特別の保護立法をするということは、非常に困難のように考えられます。御質問趣旨がはたして私が申し上げるような点に合っておるか、食い違っておるかよくわかりませんけれども、ただいまのところはさよう考えております。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 区別がつけないとか、つきにくいとか、あるいは困難であるとか、こういったようなことでありますと、とうてい中小企業地位を向上せしめるといったような抜本的な対策ということには、私はならないと思うのであります。産業区別をつけていく、貿易の面におきましても、あるいはまた国内産業の面におきましても、これはやろうと思えばできると思うのであります。またそうしたことがほんとう中小企業対策、あるいは零細企業対策として抜本的な対策である、私はこのように考えるのであります。ぜひ通産省といたしましては中小企業の置かれておる立場と、また池田内閣考えておる所得倍増、あるいは高度成長というような面からいたしましても、最も中心である大企業との所得格差をなくするということが根本でなければならぬと思うのであります。なるほど御意見のように、御答弁のように、税制の問題あるいは金融の問題ということはゆるがせにはできません。しかし、より根本的な方法をどう解決していくかということに対し真剣に取り組んでもらいたい、このように要望いたすのであります。  次に金融の問題に対してお尋ねをいたすのでありますが、中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫、あるいは中金といったような面に八百数十億の財政投融資ということで融資を予算化いたしておるようでございます。しかしながら大臣も御承知と思うのでありますが、中小企業なかんずく零細企業というものは市中銀行あるいは地方銀行、こうした窓口には非常に縁が薄いのであります。どうしても中金であるとか、あるいは国民金融公庫であるとか、あるいは相互銀行信用組合信用金庫、こういった金融機関に依存しなければならない、このように考えるわけであります。またその依存の度合いというものは統計によって明らかになっております。今回の財政投融資の中において、信用金庫あるいは信用組合というものが全然対象となっていない。この点はどういうことによるものであるか、それらの点をお尋ねいたします。
  14. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘のように中小企業の三金融機関のほかに、なお零細な方面機関として信用組合信用金庫等相当に活躍しておるのでありますが、これらの点につきましては中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫、国民金融公庫、これらの代理貸しをやっておるところが漸次ふえておるのであります。あとで担当局長から申し上げますが、年々相当にふえておる。そしてこの中小企業専門の三機関の手足となって、そしてだんだん活動分野を広げつつあるということは、私は中小企業金融、特に零細企業金融にとって喜ばしい現象であると思いますが、これらの点をわれわれは重視いたしまして、今後できるだけこの綱を拡張して参りたい、かように考えております。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま代理貸しのことについてお答えがあったのでありますが、非常に広範囲にわたっております関係上、代理貸しを全然なくするということは、これは無理であるとは思います。しかし代理貸しというのが、大臣がお考えになっておるように、これらの庶民の金融機関の役割をほんとうに果たし得るものであるかどうかということは、これは慎重にお考えにならなければならぬと思う。なるほど地方銀行代理貸し業務を行なっておる。しかしこの代理貸し業務というのは、その地方銀行自体貸付をしなければならないワクと申しますか、それらのものを代理貸しをやっておる、代理事業をやっておるということにおいてこれを利用していくというような、単に金融機関の利用という程度にとどまっておるということが考えられるのであります。そういうことから国民金融公庫にいたしましても、できるだけ代理貸しではなくて、多くの出張所を設けてもらいたいということで強い要望があるということは、この点にあるのであります。そうした面に対しましても慎重に大臣はこれを考えていただきたい、このように思うのであります。なお国民金融公庫に対して、この貸付に対して信用保証制度、いわゆる保証協会保証というものが従来とられておったのでありますが、現在もこれは変わっていないかどうかお尋ねいたします。
  16. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 従来と特に変わりございません。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 国民金融公庫貸し出しというのは、私は社会政策的な見地の上に立ってやっておると思うのであります。信用保証協会もその通りであると思います。国民金融公庫がこの公庫貸付に対して信用保証協会保証ということで行なってくるということになりますれば、一般地方銀行に対するところの貸付の場合、この保証協会保証を利用するという度合いが非常に狭くなってくるのであります。この点が大きなガンとなって、今までこれが是正方を要求されておったのでありますし、また保証協会の設立の趣旨からいたしまして、これは適当でない、このように考えるのであります。この点に対してどうお考えになっておられるか。
  18. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御説の通りこれは両方とも国家につながる機関でございまして、これはある意味においては重複するわけであります。国民金融公庫保証協会ささえがなくとも、それ自身ともかく中小企業金融を十二分に充足する使命を持っておる。でございますから、保証協会ささえは主として一般民間金融機関というものにつながるように、今後も指導いたしたいと存じます。ダブっておる点はなるべくそういうことで重複を避けるように指導しております。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 これはさっそくそういう方向へ進めていただきたい、このことを強く要望いたしておきます。  次に中金貸付に対してお尋ねいたしますが、中金国民金融公庫と同じような考え方の上に立って金融を行なわなければならぬと思うのでありますが、この中金一般民間銀行と同じように貸付の場合に歩積みをさせておるということであります。この点はどうお考えになっておられるか、お尋ねいたします。
  20. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 一般銀行貸付をするときによく歩積みをさせまして、何のことはない、自分の金を預けて、それを高い利子を払って借りておるというような現象がよく見られるのでありますが、これは決して正道ではない、金融機関邪道であるということで、大蔵省あたりもその点の是正相当努力をし、頭を悩ましておる状況でございます。中金がこれと同じようなことをやっておるとすれば、これはもう大いに是正に努めなければならぬところでありますが、われわれの感覚では、一般市中銀行歩積みというようなものでなしに、できるだけ貸しもするし、また預金もしてもらう、そういうような意味においての預金ではないか、かように考えておりますが、御指摘のような歩積み預金限度をこえた歩積み制度であるというようなことがもしありとすれば、これはどんどん容赦なく是正するように指導して参りたいと思います。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 大臣はこれを是正させると言われるので追及いたしませんが、出資金をする、また貸付の場合に歩積みをさせておるということは事実であります。こういうことは邪道中の邪道であります。さっそく御調査になってこれを改めさせるという取り扱いをしていただきたいと思うのであります。大臣はこの点すぐ調査されて是正される御意思でございますか。
  22. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 調査いたしまして、是正する面は是正したいと考えております。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 信用保証協会に対して保証を求める場合に、保証料というのがとられておるわけであります。従いましてそれだけ多くの負担をしなければならぬ、こういうことになって参ります。零細企業家に対してはこれは非常な苦痛であります。従いまして今回農林中金の貸出に対して、利子補給という取り扱いがされることになりました。中小企業なかんずく零細企業に対して利子補給、あるいは保証協会事務費国庫負担ということに対してお考えを持っておられるかどうか、お尋ねいたします。
  24. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 利子補給ではございませんが、例の保険公庫の方から保証協会の方に金を貸し付けまして、その運用によって保証料の引下げに資するようにいたしたい、かように考えて、三十六年度もたしか二十億保険公庫の方に政府出資をいたしまして、ただいま申し上げたような目的のもとにこれを運用することになっております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま大臣が御答弁になったようなことも、一つ方法ではあると思うのでありますが、やはり利子補給あるいは事務費国庫負担ということは、どうしても必要であると思うのであります。この点は十分一つ慎重に御考慮願って、ぜひ熱意をもってこれらのことが実現をするように御考慮を願いたいと要望いたしておきます。  次に、九州電力電力料金の問題に対してお尋ねをいたします。予算委員会における池田総理の御答弁、あるいは通産大臣の御答弁を聞きましても、九州電力値上げは認めるという御方針のようでありますが、どうしても私は納得いき乗せん。予算委員会で問題になりましたように、三月十五日ごろに、当初の一七・五五%を若干下げた一〇・八%というような程度で、これを認可しようというお考えを持っておられるのであるかどうか、お尋ねいたします。
  26. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 長い間の懸案でございまして、私も就任早々この問題に当面したわけでございます。この間衆議院の予算委員会においての御質問に答えて、総理から、なるべく率を引き下げて、必要最小限度に食いとめるようにしたい、またその実行の時期については、なるべくあっちもこっちも公共料金が上がるという時期を避けて、なるべくおそくこの問題の具体的決定をしたい、こういう考えであるけれども、一方において世界銀行に対する借款の問題もあり、そういつまでもこれを先に見送るというわけにもいかないという程度答弁がございました。事情は全く総理答弁申し上げたような内容になっておるのでありますが、世界銀行借款の問題に関連はいたしますけれども、われわれは独自の立場で、国内需用者の情勢をよく検討いたしまして、できるだけ低廉にこれを押えたい、必要最小限度のところに持っていきたい、こういう考え方でただいま検討をいたしておる状況でございます。当初の原案は一七%何がしでございましたが、またこれを実際に適用するに当たって、いわゆる二段料金制度というものを一段にする結果、古い需用家に非常に割高の増徴をするという結果になる。特に炭鉱業者に対する影響等については、あの原案のままでは全く重大な問題に発展するおそれもなしとしなかったのでありますけれども、これらの点につきまして、十分に実情を調査いたしまして、できるだけ低所得層あるいはまた特に斜陽産業といわれる炭鉱等負担軽減相当の重点をおきまして、当初予想されたような相当きびしい影響の生じないように、極力これを緩和いたしまして実行したいと考えておるわけであります。何と申しましても二十六年の九電力の体制をしいた当時は、水火力合わせて九百万キロ程度のものが、十年足らずで、ただいまではもう二千万キロをこしておる。所得倍増計画の完成する四十五年におきましては、五千万キロまでこれを作らないと、電力が足りないため経済というものが至るところで隘路を生ずるような状況になりますので、この膨大なる建設を実行するのは容易な問題じゃない。そういう見地からいたしまして、特にこういう電力設備につきましては、資本コストが非常に大きなウェートを占める関係上、これは上げないのが一番いいのでありますけれども電力の大需要をまかなうためには、必要最小限度の点においては上げざるを得ない、かように考えてただいませっかく研究中でございます。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 できるだけ延ばすというようなことであったのでありますけれども予算委員会が終わるのを待つのだとか、いろいろ取りざたされておりますが、ただいまの御答弁だと、必要最小限度は上げなければならないんだということであります。それでは、できるだけ延ばすのだということは、どの点を配慮してそのようにお考えになっておるのでしょうか。
  28. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは総理のあのときの言葉を私が聞いておったのでございまして、実は私もその言葉意味を究明というか、まだ総理に聞いておりません。しかし何もかも重なって、あっちの公共料金も上がった、こっちも上がった、それにまた電力もというような、一つ値上げムードを作って、便乗値上げを誘致することも、実際政治として避けなければならぬ、あるいはそういうような配慮から、ああいう総理言葉が出たのかもしれません。私はその程度考えておりますが、しかしこれは保証の限りではございません。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 どうも今の大臣答弁はすっきりしないというか、信念がないというか、あいまいである。私は大臣答弁を求めたのであります。先ほどの私の質問に対して、大臣からできるだけ延ばしてというような御答弁があったから、その点は何を配慮して延ばすと言われるのかということをお尋ねしたのであります。
  30. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は特に延ばすということを申し上げた覚えはないのであります。総理大臣言葉がそうであったというだけで、私どもといたしましては世銀借款の問題もございまして、そういつまでも延ばすというわけにもいくまい、上げざるを得ないものならばやはり早く決定しなければならぬ、しかし上げるにしても及ぼすところの影響考え、できるだけ緩和した結論を出したいというので、ひたすらその点を今努力しておる次第でございます。それによって政府部内、関係方面に相談をいたしまして、そしてその時期を確定いたしたい、かように考えております。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 九州電力の申請は一七・五五%となっておりますが、新聞の報道するところ、また総理答弁、また大臣答弁というようなことからいたしまして、これが引き下げて認可をするというような御方針のようでありますが、新聞では一〇・八%、総理もそういう答弁をなさったのであります。その総理答弁は、やはり通産省考え方というものが背景になっておるということは間違いないと思います。そうするといろいろ検討されて、一七・五五%はいわゆる水増しであった、これは適当ではなかったというような考え方でもって、一〇・八%程度位上げを認めようという考えに立っておられるのであるかどうか。その点の内容一つお尋ねいたします。
  32. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 別に水増しというわけではありません。たとえば一七・五五%の根拠をざっと見ますと、将来の需用はこれくらいであろう、また給与の関係あるいは燃料費関係その他修繕費関係でありますとか、資本費コストであるとかいうようなものが重なって料金というものは形成されるわけであります。われわれといたしましては需用の増というものは少し低過ぎる、もう少し九州というものは全般的に発展していくんじゃないか。そうすると需用はもっとふえる。従って収入においてこれくらいの違いがある。修繕費は完全に越したことはないけれども、この際節約をする。給料の問題、これもどうだといったような、あらゆる点を少し厳し過ぎるかもしれませんけれども、そういったような検討を加えまして、そしてあとは企業努力というようなことで、とにかくこれでどうだというようなことで今詰めておるのであります。ただ全般の値上げ率を出したからといって、今度は零細な農民あるいは低所得者あるいは斜陽産業といわれる炭鉱の負担など、いろいろこまかい検討をすれば切りがないのでありますが、そういう点をただいま詰めておるということでございまして、必ずしも原案の一七%何がしが放慢なものであるということは私ども考えておりません。ただ電力会社の置かれておる立場相当きびしい立場であるから、これを相当きびしく査定するという立場で、この数字を少し縮めておるという状況でございます。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 将来需用の伸びがあるんだ、こういうこと、将来需用の伸びがあるんだからというので、現在の需用者負担を重くしていく、こういう考え方というものは私はどうしても納得いかない。また申請書の内容を見ますと、需用の伸びに対して新しい設備をしたのだ、従って資本費が非常にふえてきたんだというような、その他のいろいろな内容を盛っておるのでありますが、そういうことになっておるようであります。ところが需用の伸びというのは資料で見ますと一一五%、わずかに一五%の伸びにすぎないのであって、需用、供給のバランスはとれておるのであります。そういうことが、現在一割の配当が行なわれておるにかかわらず、値上げの理由になるのかどうか、また値上げをするということが適当であるとお考えになっておられるかどうか、お尋ねいたします。
  34. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 出資に対する配当というものは当然のことであって、ただ程度が多いか少ないかということは、それはそのときによって問題になるかもしれませんが、当然これは資金のコストとして配当というものは考えられると思うのであります。ただ楽に一割配当をやっておるかといいますと、相当修繕費に無理をしたり、その他いろいろな無理をして、とにかく株主というものに対してある程度のことをしないと、将来設備増強というような場合に、どうしても会社としては手詰まりになるというような関係で、かなり苦しい配当のように私には考えられます。それから今将来の需用のために料金を上げるとおっしゃいましたが、私の一七%を査定する考え方立場からいいますと、需用が伸びるから収入もふえる、収入がふえるから値上げ率をもっと少なくしていいんじゃないか、こういうような考え方で、需用の伸びは大へんけっこうだ、そういう需用の伸びをわれわれがもっと会社の予測よりも大きいものにいたしまして、そして位上げの率を低めた、こういう状況でございます。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 どうも大臣答弁は納得いきません。特別国会の私の質問に対しても、いわゆる需用の伸びに対して新しく施設をする、従って新しく施設をしたことによって資本費がかさんでくる、そういう原価計策というものができ上がっておるのだ、そこでどうしても値上げを認めてやらなければならないのだ、こういう御答弁であった。また申請の内応等から見ても、そういうことになっておるようであります。今一割の配当は経営の内容からそういうことをやっておるのだ、だからその点は関係がないというように受け取られる答弁であったのであります。ところが通産省は現に一割以上の配当をしてはならぬ、こういうことで御指導になっておられると私は思うのであります。その指導に沿っておるのだと思うのでありますが、ともかく一割の配当というものはずっと続けてきておる。それにもかかわらず、需用の伸びがあるんだというようなことにおいての、いわゆる資本費がかさんだということにおいての値上げの申請ということになっている。そうなってくると、ただいま大臣答弁のようなことであるならば、どこにそれでは値上げの理由というものがあるのか、現在赤字経営でどうしても経営が成り立っていかない、こういうことで値上げをしなければならないというような理由であるならば、これは別でございましょうが、そういうようなことになっていない。配当を現にやっているということは、これは黒字経営だということを立証していることだと思うのであります。大臣答弁会社の代弁者といったようにも私には受け取れる。その点もっとはっきりした考え方をお示し願いたいと思います。
  36. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私の申し上げようが、少し言葉が足りなかったかもしれませんが、同じ設備をして、そうして需用が低い場合、需用が高い場合、それはどっちが会社にとって有利であるか、企業にとって有利であるかと申しますと、やはりお客さんの多い方が収入がよけいになるのでありますから、企業の経営は楽になる、こういうのでございまして、九州電力の今度の料金の引き上げの査定の問題につきましても、同一の施設をやって、そうして需用が向こうが予想しておる需用よりも多い、であるからして収入がふえるのであるから料金の引き上げはその程度以下でよろしい、それよりももっと低くてよろしいという結論を出したわけであります。  それから、もう設備が一ぱいになった。今度は、九州全体の電力需用にこたえるためには、今までの電力設備ではいかぬ、もっと増設をしなければいかぬ、これとはまた別です。今の赤字経営を続けていく限りにおいては、もうちょっとの増設も不可能になっている。手詰まりになっている。こういう状況であるから、九州全体のエネルギー、動力を担当しておる九州電力といたしましては、その使命にこたえるためには、これはどうしても万難を排してやらなければいかぬ。しかし力はもう足りない。外部の力も借りなければならぬけれども、しかし企業そのものが、もうすでに非常な全身衰弱になっているから、この際どうしても需用家の協力によってこれをまかなっていく以外にない、こういうわけでございます。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 需用の伸びにいたしましても、八つの電力会社と九電と比較してみますと、必ずしも九電が特に需用の伸びが多いということは考えられません。九電よりも需用の伸びが少ないのは、八つの会社の中のわずかに三つの会社にすぎない。しかも九州電力は、御承知の通り石炭の産地で、燃料費は、ほかの八つの会社と比較して非常に格安で使うことができるのである。また経営の内容等からいたしましても、特に大臣が今赤字であるということを強調されたのでありますが、赤字であるようには資料としては出ていないのであります。どこに値上げの根拠があるのか、認めなければならない理由があるのか、お伺いいたします。
  38. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 石炭に関する限りは、燃料費が低下の傾向にあることはお話通りでございますが、電力会社の経理は、御承知でございましょうが、資本費が非常に大きい部分を占めている。これが利払い等がだんだん忙しくなってきている、こういう状況でございます。燃料費の占める率と資本費の率とはもうだいぶ違う。問題のウエートが全然違うのでありまして、燃料費の低下の傾向にあるくらいでは、この資本費の高騰をまかなうわけにはいかない、こういう状況でございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま御答弁のようだと、なおさら私どもは納得いかないのであります。ただいま私が指摘いたしましたように、九つの会社の中で三つの会社九州電力よりも需用の伸びが少ない。むしろ需用の伸びが九州電力よりも多い方の会社が数としては多い。そういうところの会社は、今のところ東京電力を除いては値上げの方向ではない。開銀融資であるとかあるいは世銀の融資であるとか、そういういわゆる経営努力によってこれをまかなっていこう、需用者負担を転嫁しようという考え方の上に立っていないのであります。それがどうして九州電力のみが需用者負担によって経営をやろうという考え方であるのか、また通産省はどうしてこれを認めようとされるのであるか、この点を明確にお答え願います。
  40. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 九電力のうちで、いろいろ従来の資本蓄積の関係から楽なところと苦しいところができております。九州電力がなぜ苦しくなったかと申しますと、前には水火力調整金というものでありまして、水力の方が安い、火力が割合にコスト高であるという時代がございました。ただいまでは新鋭火力というものができて、これは設備も安くできれば、あるいは運営費も非常に安くできるというようになっておりますけれども、ただいまの状態と違って、以前は水力は非常に有利で火力は割合に高い、こういうわけでありまして、九州は主として火力にたよっておる。こういう関係上、水火力調整金というのがございまして、水力地帯からその調整金が回っておった。それが廃止になったということが、また一段と九州電力企業経理が著しくなった一つの原因であるかと思います。そんなこんなで九州電力の現状はかなりもう行き詰まっておる、こういう状況でございます。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 水火力調整金は、昭和三十一年の二月かになるほど打ち切りになっておる。ところが現在水力、火力の一キロワットアワーの料金は均衡がとれておる。しかもまた火力中心、火力重点という形にすべての会社は変わってきている。そういうことになって参りますと、特に九州電力のみが水力を使わないで火力に依存するのだから、こういうことでそういう調整金が来なければ経営が苦しくなるという理由には私はならぬと思います。しかも昭和三十一年の二月かに、この調整金が打ち切りになったあとで依然として会社は一割の最高配当を続けてきておる。経営というものは苦しい状態に置かれていない。このことを考えてみますと、水火力調整金が打ち切りになったから、料金値上げするのだということは理由は薄弱であります。この点ははっきりお答え願いたい。
  42. 大堀弘

    ○大堀政府委員 先ほど大臣からお話し申し上げましたことを補足して申し上げますと、やはり会社料金原価を算定しまする時期等につきましても、そのときの条件で多少各社間に差が出るわけでありますけれども、現在九州電力料金は、中国電力が一番高いのでありますが、それから北海道、四国、関西、その次に位しております。大体関西並みに近いところに現在の九電の料金があるわけでありますが、その後の情勢からいいまして、ただいま申し上げましたように二十九年の料金改定以後、三十一年に水火力調整金が撤廃になりまして、そのとき十六億円の水火力調整金ということになっておりますが、今日の原価計算に直してみますと、これはやはり五、六十億に相当する。二年間の原価計算になりますと五、六十億に相当する大きなものになっております。それから九州地帯はやはり水力地点に適当なところが少ないために、ほかの東北北陸等に比べまして水力地点の開発は、比較的に高くなっております。送電キロも比較的長いものでありますから送電費もかなりかさんでおる。そういった諸条件が加わりまして、九州の経理がそういうように苦しくなってきておる、かように考えられるわけであります。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの御答弁にいたしましても、現実の問題からいたしましては、値上げの理由としては非常に薄弱であります。水力の場合におきましては、資本費といわゆる設備費が非常にかさんでいる。そうなりますと資本費は非常に高くなってくるわけであります。そういうような点からいたしましても、また現在水力、火力ともにその料金差というものは、割と均衡がとれているということからいたしまして、ほかの会社値上げをしようとしていないのに、九州電力値上げをしようというようなことは、申請の内容等を実際に検討してみましても薄弱であると考えるのであります。この値上げの申請取り扱いということに対しましては慎重に一つ検討していただく、会社の利益代弁者的な考え方の上に立って、これに取り組んでもらわないようにしていただきたい。この電力料金値上げ産業経済に及ぼす影響、それから家庭の負担というものが非常に重要であるということを、十分考慮に置いて取り組んでいただきたいということを要望いたすのであります。  なお具体的なことに対してお尋ねをいたしますが、九州電力申請にいたしましても一七・五五%、しかもアンぺア制になっておるのであります。炭鉱にいたしましても石炭一トンに対して九十三円、この申請通りといたしますと高くなってくるのでありますが、その他アンペア制によって三割ないし五割の値上げになるような種別があるのでありますが、そうした平均を大きく上回る種別、それから下回るものと両方なければ平均というものが出て参りません。大きく上回るもの、それから下回るもの、これはどういう種別のものか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  44. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、会社の申請案にございます考え方は、産業界の問題について一番問題点は負荷率割引という従来の制度を緩和して、負荷率割引が割合に働かないような料金体系に面しております。従いまして石炭鉱業とか水道とか負荷率の高い事業につきましては、従来よりは値上げ率が大きく出てくる。従来はかなり控えておったのでありますが、それを戻しておりますので、そういう影響は出て参ります。私どもといたしましては、産業関係の一番問題点はそういう点でございますので、負荷率の割引を相当大きく引かせるように、会社の申請案を直させるように検討いたしております。従いまして、石炭鉱業等を例にとってみますと、大体平均値上げ率以下にとどまり得るような結果が出るのではないかと考えておりますが、そういうふうに契約の方法及び負荷率割引の制度を会社の案を直させまして、影響の出方を最小限度にとどめたいと考えております。  それから家庭用の電灯につきましてはやはりアンペア制を施行いたしますと、アンペア制に切りかえになるために非常に大きく影響の出る部分があるのではないかと考えられるのでありますが、御指摘のように極端な場合は四割か五割影響が出るところがあるように思いますが、この点は私どもの方で影響緩和の措置を講じまして、アンペア制にも中間的な制度を適用しまして、定額制のもの、あるいは従量電灯のごく低い需用家に対しましては相当低い値上げ率になる、全体に比べまして非常に低い率に持っていく。アンペア制に切りかえますと、影響の出ます分についても影響を極力押えて参る、ただいま申し上げますように大きな影響の出ない程度にとどめたい、かように考えまして制度を直さしていきたいと思っております。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 申請によると、電力よりも電灯の方が少しく高率になるようになっておるのです。この点に対してはどうお考えになるか、それが適当とお考えになっているかどうか。
  46. 大堀弘

    ○大堀政府委員 会社の申請で多少電力が高くなっておりますが、私どもは総体の原価を査定いたしまして全体の率を引き下げますが、その場合には電灯と電力の内訳について、九州の需用構成から見まして、あるいは送電形式から見ましてやっていきますと、あまり大きな差はございません。多少の差はあるかと思います。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 総電力需用量に対しての電灯の消費量というものはわずかに一四%、そういうことになっておる。ところが冠灯を電力よりも高くするということは、私はどうしても納得いかない。特にここで考えてもらわなければならないことは、新しい制度であるアンペア制になったということによって、いかに電力会社というものが利益を受けることができるか、こういう点であります。御承知の通りに、今三種の神器によっての電化時代です。従来の制度でありますと、一定の線が引かれております。その線までは幾ら使っても料金というものは変わらない。ところがアンペア制になったということによって、全然電気を使わないのに、消費しないのに基本料金を払っていかなければならぬ、こういうことになって参ります。これは、言うまでもなく家庭が電力を消費する率が非常に高くなってきた、こういうことからアンペア制ということが考えられてきた、こう思うのであります。そうした新しい制度によるところの負担と、それから今回の値上げによるところの負担という二重の負担というものが消費者には課せられて参ります。そのことは反面会社側は二重の利益を享受することができるのだ、こういうことになってくると思います。この点をお考えになるならば、この家庭の負担の過重というような面からいたしまして、この申請の内容というものを今後変えさせなければならない。むしろ電力よりも低率にしなければならぬというお考えを持っておられるかどうか、お尋ねします。
  48. 大堀弘

    ○大堀政府委員 第一の御質問の点は、電灯と電力の原価配分の問題かと思いますが、私ども原価計算いたします場合には、個別原価計算と申しておりますが、水力、火力の発電端における経費、それから送変電、配電費、それから需用の末端まで配ります場合の費用、そういう個別の段階ごとの原価計算をいたします。たとえて見ますと発電費につきましては、大きな需用家でございますと発電端から第一次変電所に行って、それから直ちに需用家の手に届けられる。その原価計算で参りますが、家庭に参ります場合には、第二次変電所、第三次変電所、さらにそれから先にこまかい配電網を経まして家庭に届けられる。その送配、変電費というものが、家庭の場合非常に高くつくわけであります。また家庭用の電灯といいますのはいつでも使われる。ことに夕方の非常に電気の忙しいときに電灯をつける、あるいは炊事用の電気を使うということで、電気としては非常に質のいい電気、常時いつでも使われる電気であります。しかも使う割合が、常時使っておるわけではなく、つけるときだけつけて、あとは休んでしまう、非常に利用率の悪い電気でございます。そういう点を計算いたしまして原価計算をいたしてみましても、現在の大口電力、あるいは小口電力——小口電力あたりになりますと、大口よりも、さらに第二次変電所あたりからとる、第三次変電所からとるというように、逐次経費が違って参りますが、そういう個別原価の計算をいたしまして、家庭用電力の経費の配分をいたしますが、それから見まして決して一方にかけているということじゃございませんで、原価によって配分をいたしておるわけであります。  アンペア制の点につきましては、たとえば電灯だけつけておる家庭、あるいは電灯とラジオ程度を使っておる家庭、あるいは電気がまとかテレビを使っておる家庭、さらには電気冷蔵庫とか、相当電気器具をよけい使っておる家庭、電気器具をよけいお使いになる家庭は、やはり一瞬間に相当な電気を使う場合があるわけでございます。それに対して相当大きな発電の供給余力を持たなければならぬ。従いまして、どうしてもそういう家庭向けのものはアンペア制によって、五アンペア、あるいは十アンペア、十五アンペアという、アンペアによる基本料金を取りまして、それ以外に使った電気について、一キロワット・アワー当たり幾らという使った量に応じた料金、両方合わせて料金をきめるわけでございます。私どもとしましては、料金制度調査会におきましても、この方向が正しい料金の公平な負担の仕方であるという考え方で、アンペア制そのものは、やはり今後この方法でやるべきが、負担の公平から見ましても適当であると考えておりますが、ただこの切りかえの際にあまり大きな影響が出ますことは、私ども適当でないと考えております。あまり大きな影響はいかぬと思いますので、その点は十分慎重に検討いたしまして、先ほど申し上げましたように、アンペア制に切りかえるために出る影響は、この際最小限度にとどめるように、料金制度の方を現在手直しさせていきたいと考えております。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 私が検討してみたのでありますが、同じ消費量の場合、今までの制度による料金の計算、アンペア制による計算ということからいたしますと、どうしてもアンペア制の方が高くなるというような計算が出るようであります。しかしこれは制度としてすでにもう決定をいたしておりますので、この点は論議してもどうにもならないのですが、この取り扱いは今の御答弁のようなことで、十分慎重に考えていただかなければならぬということになると思うのであります。  なお供給規程についてお尋ねするのでありますが、今まで離島、僻地というのは、送電時間が非常に短かかったのであります。今度の値上げによって、完全送電ということをやろうという考えの上に立っておるのであるかどうか、またこれに対しては事業局はどうお考えになっておられるか。
  50. 大堀弘

    ○大堀政府委員 御指摘のように、現在の九州電力の供給規程によりますと、離島に対する供給時間は七時間以上となっております。確かに常時四六時中供給できない、これはやはりコスト関係に基づいておるわけでございますが、実際にやっておりますのは、長崎県と鹿児島県の一部を除きまして、その他は全部二十四時間送電をやっておるわけでございます。これら長崎及び鹿児島県の一部につきましても、実際は七時間ではなくて十二時間送電を行なっておるのが現状でございます。私どもはもちろんこの供給時間を二十四時間に持っていきたいと考えておりますが、現実の問題としてなかなか思うように参らない。会社の五カ年計画によって、これを解消する方向に目下努力しておりますが、今度の新しく申請しております供給規程におきましては、七時間とありますのを、十二時間以上というふうに訂正をいたしていきたい、かように考えまして検討をいたしておるわけであります。方向といたしましては今後逐次これを二十四時間供給に持っていくように努力をさせたいと思っておるわけであります。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 送電時間は短くて、料金は平等に負担させられるということは、二倍の電灯料を支払うということになるわけであります。その点に対しては完全送電というものが行なわれるように——これは料金値上げされるということを前提として私は申し上げるのではありません。当然制度としてこれは改むべきである、そういうところに供給規程というものがあるわけであります。この点に対しては十分一つ指導、督励をされて完全送電の方向へ一日も早く持っていくようにしてもらいたいということを要望しておきます。  なお農林漁業振興法によってその補助金を受けて未点灯部落は工事をするわけでありますが、料金値上げをする場合にいろいろと電力会社はサービスをするということを申しておるようでありますが、農林漁業振興法によっての工事をする場合、これはその補助金以外は電力会社が全額負担をするということになるのであるかどうか、その点をお尋ねします。
  52. 大堀弘

    ○大堀政府委員 現在未点灯部落の解消のために、これは一番大きいのは北海道かと思いますが、全国の山間僻地に対する未点灯部落の解消のために、相当今日まで努力をさせて参っておりまして、ちょっとついでに申し上げますと、二十六年当時二十八万戸程度残っておりましたが、三十四年には大体八万戸程度になっております。かなり解消に努力をしておるわけであります。その一つ方法として、先ほど先生御指摘になりました農山漁村電気導入促進法によりまして一部補助金を出して協同組合等で受継設備を作って、それに対して電力会社から供給をするという形があります。これは受電設備につきましては、電気会社でなくて受電する方で設置することに相なりまして、これはそれに対して協同組合でやられる場合に一部が国から補助される、こういう形で、あるいは低金利の金が融資されるという形でやっておるわけでありまして、その点では、その施設については電気会社負担はないわけでございます。それまでの、受け渡しをするまでは電気会社の責任でございます。受電設備については協同組合なり何なりの負担で建設するわけであります。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 御答弁では補助金のほかには融資があるのだ、各戸の負担はないのだというふうに受け取れる答弁でありますけれども、現実にはそうではありません。昨日の予算委員会におきましてもそうした問題が取り上げられておったようであります。各未点灯部落に電灯を引き込む場合、点灯する場合に非常に大きな負担をしておるということは、これはもう事実であります。この点は一つよく御調査になって、そうした負担がなくして未点灯部落が解消するように取り組んでいただきたいということを、この点は要望いたしておきます。  なお特別国会のときに私がお尋ねをいたしました際に、料金値上げの方向にあるのは東京電力九州電力だけだ、ほかの会社値上げの方向にはないのだ、こういうことをお答えになったようであります。なおまた公式の席上ではなかったようでありますが、局長が今回の値上げをもって、もう再び値上げということは起こらないであろう、こういうことをお話になったことを私は記憶いたしておるのでありますが、今回の料金が、いわゆる需用の伸びという形によって、料金の引き上げということが企図されておるということは間違いないわけであります。そうしますと、先ほど大胆の御答弁のように、需用の伸びというものは急速度に進んでいくわけであります。三たび需用の伸びがあるのだということで、料金の引き上げということにならないものであるかどうか、この点をお答え願います。
  54. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 大体九州電力と東電の経理が非常に弱いのでありますが、この問題を今回強化いたしますれば、他の電力会社の今後の需用に対する設備増設等々、いろいろ資金需要が出て参りますけれども、大体においてこれにたえていけるという見通しを持っております。
  55. 大堀弘

    ○大堀政府委員 先ほど私が今回の値上げをもってその他は絶対必要ないというふうなことを申したというお話がございましたが、私の記憶では、将来こんりんざい値上げしないというふうに申し上げたつもりはございません。たとえ話としては、関西電力なんかは上げないでいけるかもしれないというふうなことは申し上げたことがあるかと思いますけれども、それ以外についてこんりんざいしないということを申し上げた記憶はございません。当面二社以外には私は軽々にすべきでない、こういうことは考えております。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 これは非公式の場所であまりしたので、私はその点に対してはこれ以上追及はいたしません。ただ私どもが心配をいたしますのは、需用の伸びがあるのだ、こういうことで経営の努力によって、この需用の伸びによる経費をまかなっていこうという方向ではなくして、安易に需用者負担によってまかなっていこう、そういう方向に会社が依存をするということであります。この点は私どもはこの電灯料金というものが産業経済に及ぼす影響、国民の負担が非常に加重されて、その影響が非常に重大であるということ、しかもこの電力会社というものは独占中の独占形態であるということ、これらの点を考えますがゆえに、この点をお尋ねいたしておるわけであります。  時間が参りましたのでこれで打ち切りますが、ただいままでいろいろとお尋ねいたしましたけれども、この九州電力値上げが妥当である、これは値上げを認めなければならないのだというような形には、私どもはどうしても了解できません。安易に需用者負担によってこれを補っていくという方向ではなく、もっと積極的に経営努力によってこれを処理していく、こういうことに一つ指導していただきたいと思うのであります。ほかの会社は開銀融資であるとか、あるいはまた世銀の融資によるとか、あるいは借入金によってまかなう、そういう方向にあるのであります。一番条件に恵まれた九州電力が、需用者負担によって現在の需用の伸びというものをまかなっていこうという考え方、この点に対しては厳に値上げをしないという方針をもって臨んでいただきたい、このことを強く要望いたして質問を打ち切ります。
  57. 中川俊思

    中川委員長 岡田利春君。
  58. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ただいまの問題に関連いたして一、二点お伺いしたいと思います。  先般の十二月二十二日の委員会でお伺いしたのですが、九州の協同火力の問題で、これはきわめて順調に電力会社と石炭会社側との話し合いが進んでおる、こういう説明を受けたのですが、最近聞くところによると、何か順調に進んでおるのではなくして非常に多くの問題がある、このように聞いておるわけです。その点どういう経過をたどっておるか、これが一つと、特に当面の低品位炭の石炭政策に関連のある北海道で、協同火力の問題についてもずいぶん検討が進んでおる、このように聞いておるのですが、これらの検討はどのように進んでおるのか、この点について経過を聞かしていただきたいと思います。
  59. 大堀弘

    ○大堀政府委員 九州の山元発電の問題につきまして、私どもとしては昨年の暮れからこれを強力に進めるように電力会社の方に指示をいたしまして、電力会社の方でもこのために特別委員会を作りまして発電計画の具体案を作って、一月二十日に石炭側の代表と話し合いをいたしております。この問題はいろいろと進行が悪いとかなんとかいう話もございますが、私どもから見ますと、電力会社もやらなければならぬことは当然のことでございますが、同時にやはり石炭側も安く石炭を提供していかに電気ができるかということについて、相互の協力によって進めていかなければならぬと考えております。この面については、私どもとしては石炭局とも十分連絡をとりまして、両者の話し合いで結論が早急に出ますように努力をいたしておるわけでございます。決して停滞しておるものとは考えておりません。具体案が出て目下協議に入っておるわけでありますから、進行いたしておると考えております。  それから釧路の問題については、これは昨年来かなり具体的な地点まである案があるわけでありますが、問題はやはり九州電力の発電所と、釧路に作るかどうか、この点が結局需用地の電力需用の伸びによって、どちらに作るかということになるのでありまして、これは技術的にその地域の負荷を考えてどちらを先にするかということで、とりあえず昨年の暮れに九州の方は一カ所新しく認めましたのですが、釧路をその次にするか、あるいはその地点の第二基を先にするかということは、やはり技術的に電気の需用を見きわめまして決定いたしたいと思います。
  60. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いずれにいたしましても、これは当面の石炭政策とも関連があって、低品位炭の火力発電所が正式に認可になったとしても、大体昭和三十八年度ごろに入るわけですね。あるいは三十九年度になると思うのです。その面からいって、当面早急にこれらの問題について結論を出すべきではないか。いずれにしましても、これらの問題は相当検討されておるわけなんですから、電力審議会に出されて討議をされるのではないかと思うのですが、その時期の見通しはいかがですか。
  61. 大堀弘

    ○大堀政府委員 九州の山元発電につきましては、案が固まりますれば次の開発審議会にかけたいと思って努力をいたしております。釧路の問題につきましてはなおもう少し検討を要するのではないかと私は考えておりますが、今次回の審議会というところまで申し上げ得ないのであります。
  62. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 もう一つ、これは大臣にお伺いしたいのですが、今度の大臣方針の中にも石炭政策ということが非常に強く出されておるわけであります。しかも石炭対策は、積極的にできるだけ採算のとれる石炭をどう消費するかということが当面一番大事な問題ではないか、このようにわれわれは考えておるわけであります。その面からも、今日重油の問題あるいは三十八年十月以降の重油ボイラー規制法の撤廃、こういう面とからみ合って、問題は非常に複雑になってくるとは思いますけれども、当面一般炭なかんずく低品位炭の利用が石炭対策につながる、こういう意味で、若干の問題があっても石炭対策という面から、当面これらの各社の自主的な発電、協同火力の問題について大臣としてどうお考えになっておりますか、見解を承りたいと思います。
  63. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 協同火力の問題は、すでに常磐に例がございまして、従来からその方針で進んできてはおるのであります。ここのところへ参りましてますます石炭の活用という面からいいまして、この種の施設は時局的に重大な意義を持ってきておるのであります。ただしかし需給にマッチしない電力をむやみに起こしてもかえってどうか、その点は十分に実情とよく照らし合わせまして、できるだけ地元に発電をして、そしてそれで石炭の態勢を建て直すことに寄与するようにいたしたいと考えております。
  64. 中川俊思

    中川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十四日火曜日午前十時半より理事会、理事会散会後に委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時十五分散会