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1961-04-25 第38回国会 衆議院 社会労働委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月二十五日(火曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 山本 猛夫君    理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君    理事 藤本 捨助君 理事 小林  進君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君       井村 重雄君    伊藤宗一郎君       小沢 辰男君    倉石 忠雄君       佐伯 宗義君    櫻内 義雄君       澁谷 直藏君    中山 マサ君       松山千惠子君    淺沼 享子君       大原  亨君    河野  正君       五島 虎雄君    島本 虎三君       中村 英男君    井堀 繁雄君       本島百合子君  出席国務大臣         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         労働事務官         (職業安定局         長)      堀  秀夫君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 四月二十一日  委員島本虎三君、田邊誠君及び井堀繁雄辞任  につき、その補欠として八百板正君、成田知巳  君及び内海清君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員成田知巳君、八百板正君及び内海清辞任  につき、その補欠として田邊誠君、島本虎三君  及び井堀繁雄君が議長指名委員に選任され  た。 同月二十四日  委員田邊誠辞任につき、その補欠として八百  板正君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十三日  社会福祉施設職員退職手当共済法案内閣提出  第一八一号)(予) 同月十五日  環境衛生関係営業運営適正化に関する法律  の一部改正に関する請願愛知揆一君紹介)(  第二五〇七号)  同外二件(有田喜一紹介)(第二五〇八号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第二五〇九号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第二五一〇号)  同(植木庚子郎君紹介)(第二五一一号)  同(金子岩三紹介)(第二五一二号)  同(五島虎雄紹介)(第二五一三号)  同(笹本一雄紹介)(第二五一四号)  同(齋藤憲三紹介)(第二五一五号)  同(正力松太郎紹介)(第二五一六号)  同(田原春次紹介)(第二五一七号)  同(田邊誠紹介)(第二五一八号)  同(野田武夫紹介)(第二五一九号)  同(長谷川峻紹介)(第二五二〇号)  同(福田一紹介)(第二五二一号)  同(松浦東介紹介)(第二五二二号)  同外十一件(横山利秋紹介)(第二五六四  号)  同(安井吉典紹介)(第二五六五号)  同(山内広紹介)(第二五六六号)  同(赤城宗徳紹介)(第二六三〇号)  同外十件(岡崎英城紹介)(第二六三一号)  同(加藤常太郎紹介)(第二六三二号)  同(小坂善太郎紹介)(第二六三三号)  同(菅太郎紹介)(第二六三四号)  同外一件(高田富與紹介)(第二六三五号)  同(廣瀬正雄紹介)(第二六三六号)  同(福家俊一紹介)(第二六三七号)  同(細田義安紹介)(第二六三八号)  同(牧野寛索紹介)(第二六三九号)  同(山崎巖紹介)(第二六四〇号)  同(岡田利春紹介)(第二七〇一号)  同(金子一平紹介)(第二七〇二号)  同(川野芳滿紹介)(第二七〇三号)  同(倉成正紹介)(第二七〇四号)  同(小島徹三紹介)(第二七〇五号)  同外六件(佐藤觀次郎紹介)(第二七〇六  号)  同(佐野憲治紹介)(第二七〇七号)  同(高津正道紹介)(第二七〇八号)  同(中馬辰猪紹介)(第二七〇九号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第二七一〇号)  同(花村四郎紹介)(第二七一一号)  同(保岡武久紹介)(第二七一二号)  同(村山喜一紹介)(第二七一三号)  同(山本猛夫紹介)(第二七一四号)  日雇労働者健康保険料引上げ反対に関する請願  (赤松勇紹介)(第二五二三号)  同外一件(柳田秀一紹介)(第二五五二号)  同(田中伊三次君紹介)(第二五五三号)  同外二件(岡本隆一紹介)(第二五六七号)  同外二件(坪野米男紹介)(第二五六八号)  同外四件(黒田寿男紹介)(第二六四三号)  同外二件(中村三之丞紹介)(第二六四四  号)  拠出制国民年金実施延期に関する請願多賀  谷真稔紹介)(第二五二四号)  緊急失業対策法改正に関する請願中馬辰猪  君紹介)(第二五二五号)  化粧品店薬用化粧品等取扱いに関する請願外  六件(野原覺紹介)(第二五二六号)  らい病療養所医師充員等に関する請願保岡  武久紹介)(第二五二七号)  全国一律八千円の最低賃金制法制化に関する請  願外千三百六十一件(加藤清二紹介)(第二  五二八号)  同外百二件(太田一夫紹介)(第二六四七  号)  じん肺法の一部改正に関する請願外二百十六件  (広瀬秀吉紹介)(第二五五一号)  社会保障拡充及び小児マヒ対策促進等に関する  請願外九十九件(西村力弥紹介)(第二五六  九号)  全国一律八千円の最低賃金制法制化等に関する  請願外二件(多賀谷真稔紹介)(第二五七〇  号)  同外三件(広瀬秀吉紹介)(第二五七一号)  拠出制国民年金実施延期等に関する請願(田  中織之進君紹介)(第二五七二号)  酒癖矯正施設設立に関する請願外一件(赤澤  正道紹介)(第二六四一号)  同外一件(大平正芳紹介)(第二六四二号)  同(倉成正紹介)(第二七一五号)  同(保利茂紹介)(第二七一六号)  港湾労働者の就労安定に関する請願外二件(五  島虎雄紹介)(第二六四五号)  同外十五件(島本虎三紹介)(第二六四六  号)  国民年金に関する請願河野密紹介)(第二  六四八号)  日雇労働者健康保険改善に関する請願花村  四郎紹介)(第二七一七号) 同月二十一日  原爆被害者援護に関する請願外十四件(河野  正君紹介)(第二七五一号)  同(堂森芳夫紹介)(第二九七八号)  墓地埋葬制度に関する請願仮谷忠男紹介)  (第二七五三号)  同(瀬戸山三男紹介)(第二七五四号)  同(西村英一紹介)(第二七五五号)  同(逢澤寛君紹介)(第二九一〇号)  同(天野公義紹介)(第二九一一号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二九一二  号)  同(有馬英治紹介)(第二九一三号)  同(伊藤郷一君紹介)(第二九一四号)  同(飯塚定輔紹介)(第二九一五号)  同(生田宏一紹介)(第二九一六号)  同(尾関義一紹介)(第二九一七号)  同(大上司紹介)(第二九一八号)  同(岡崎英城紹介)(第二九一九号)  同(川村善八郎紹介)(第二九二〇  号)  同(菅太郎紹介)(第二九二一号)  同(岸本義廣紹介)(第二九二二号)  同(佐々木秀世紹介)(第二九二三  号)  同(薩摩雄次紹介)(第二九二四号)  同(志賀健次郎紹介)(第二九二五  号)  同(始関伊平紹介)(第二九二六号)  同(首藤新八紹介)(第二九二七号)  同(鈴木仙八君紹介)(第二九二八号)  同(田口長治郎紹介)(第二九二九  号)  同(田中龍夫紹介)(第二九三〇号)  同(高田富與紹介)(第二九三一号)  同(竹山祐太郎紹介)(第二九三二  号)  同(塚原俊郎紹介)(第二九三三号)  同(内藤隆紹介)(第二九三四号)  同(永田亮一紹介)(第二九三五号)  同(野田武夫紹介)(第二九三六号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二九三  七号)  同(林博紹介)(第二九三八号)  同(原田憲紹介)(第二九三九号)  同(藤原節夫紹介)(第二九四一号)  同(細田義安紹介)(第二九四三号)  同(山手滿男紹介)(第二九四五号)  同(米山恒治紹介)(第二九四六号)  環境衛生関係営業運営適正化に  関する法律の一部改正に関する請願  (赤澤正道紹介)(第二七五七号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第二七五八  号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二七五九  号)  同(池田清志紹介)(第二七六〇号)  同(大沢雄一紹介)(第二七六一号)  同(鴨田宗一紹介)(第二七六二号)  同外一件(久保田円次紹介)(第二  七六三号)  同(小島徹三紹介)(第二七六四号)  同外一件(東海林稔紹介)(第二七  六五号)  同(高田富之紹介)(第二七六六号)  同(畑和紹介)(第二七六七号)  同(原彪紹介)(第二七六八号)  同(平岡忠次郎紹介)(第二七六九  号)  同(福永健司紹介)(第二七七〇号)  同(松山千惠子紹介)(第二七七一  号)  同(山口六郎次紹介)(第二七七二  号)  同(山花秀雄紹介)(第二七七三号)  同(愛知揆一君紹介)(第二八三四号)  同外一件(赤松勇紹介)(第二八三  五号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第二八三六  号)  同外一件(稲富稜人君紹介)(第二八  三七号)  同(植木庚子郎君紹介)(第二八三八  号)  同外一件(内海清紹介)(第二八三  九号)  同(尾関義一紹介)(第二八四〇号)  同(加藤勘十君紹介)(第二八四一号)  同(賀屋興宣紹介)(第二八四二号)  同(片山哲紹介)(第二八四三号)  同(小林進紹介)(第二八四四号)  同外一件(薩摩雄次紹介)(第二八  四五号)  同(島上善五郎紹介)(第二八四六  号)  同(鈴木仙八君紹介)(第二八四七号)  同(楯兼次郎紹介)(第二八四八号)  同(渡海元三郎紹介)(第二八四九  号)  同(中村英男紹介)(第二八五〇号)  同外一件(濱野清吾紹介)(第二八  五一号)  同(林博紹介)(第二八五二号)  同外三件(福田赳夫紹介)(第二八  五三号)  同(門司亮紹介)(第二八五四号)  同(本島百合子紹介)(第二八五五  号)  同(山中日露史紹介)(第二八五六  号)  同(足鹿覺紹介)(第二九四八号)  同(井手以誠君紹介)(第二九四九号)  同(伊藤郷一君紹介)(第二九五〇号)  同(宇野宗佑紹介)(第二九五一号)  同外一件(大平正芳紹介)(第二九  五二号)  同(川村継義紹介)(第二九五三号)  同(木村守江紹介)(第二九五四号)  同(栗原俊夫紹介)(第二九五五号)  同(櫻内義雄紹介)(第二九五六号)  同(田中龍夫紹介)(第二九五七号)  同外二件(堂森芳夫紹介)(第二九  五八号)  同(西村関一紹介)(第二九五九号)  同(西村直己紹介)(第二九六〇号)  同(牧野寛索紹介)(第二九六一号)  同(松井誠紹介)(第二九六二号)  同(山口鶴男紹介)(第二九六三号)  同(山手滿男紹介)(第二九六四号)  小児マヒ予防費全額国庫負担等に関  する請願外二件(川上貫一紹介)  (第二七七四号)  同外二件(志賀義雄紹介)(第二七  七五号)  同外二件(谷口善太郎紹介)(第二  七七六号)  日雇労働者健康保険料引上げ反対に  関する請願外一件(谷口善太郎君紹  介)(第二八五七号)  同外一件(玉置一徳紹介)(第二八  五八号)  同(井手以誠君紹介)(第二九六五号)  同(石村英雄紹介)(第二九六六号)  同(石山權作君紹介)(第二九六七号)  同(緒方孝男紹介)(第二九六八号)  同(五島虎雄紹介)(第二九六九号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第二九七〇  号)  同(島上善五郎紹介)(第二九七一  号)  同(成田知巳紹介)(第二九七二号)  同(二宮武夫紹介)(第二九七三号)  同(山本幸一紹介)(第二九七四号)  同(山花秀雄紹介)(第二九七五号)  同(安宅常彦紹介)(第二九九八号)  同(高田富之紹介)(第二九九九号)  国民健康保険給付内容改善に関す  る請願藤枝泉介紹介)(第二八五  九号)  健康保険拡充に関する請願藤枝  泉介紹介)(第二八六〇号)  結核予防法の一部改正に関する請願  (藤枝泉介紹介)(第二八六一号)  定年退職者失業保険金一括支給に関  する請願肥田次郎紹介)(第二九  四七号)  酒癖矯正施設設立に関する請願  (河上丈太郎紹介)(第二九七六号)  化粧品店薬用化粧品等取扱いに関  する請願阪上安太郎紹介)(第二  九七七号)  理容師法の一部改正に関する請願  (西村直己紹介)(第二九七九号) は本委員会に付託された。 同月二十五日  基地、埋葬等に関する法律の一部改  正に関する請願小泉純也君紹介)  (第一三一四号) は委員会の許可を得て取下げられた。     ――――――――――――― 四月二十日  汚物処理施設に対する国庫補助増額  に関する陳情書  (第六二〇号)  小児まひの生ワクチン等輸入促進に  関する陳情書  (第六二一号)  国民健康保険制度充実等に関する  陳情書  (第六二二号)  労働賃金引上げ等に関する陳情書外  一件  (第六二三号)  元傷い軍人の遺族援護に関する陳情  書  (第六二四号)  国民年金法の一部改正に関する陳情  書  (第六二五号)  同(第  六五四号)  同  (第七〇五号)  同  (第七三七号)  同  (第七三八号)  同(第七  九〇号)  小児まひ予防対策確立に関する陳情  書(第六  二六号)  同(第七  九七号)  国民健康保険等改善に関する陳情書  (第六四九号)  同  (第六五〇  号)  国民年金事務費全額国庫負担に関す  る陳情書  (第六五一号)  同  (第七三九号)  町村における環境衛生施設の整備に  関する陳情書  (第六五三号)  社会保障制度確立に関する陳情書  (第六五五号)  国民健康保険医療費引上げ適正化  等に関する陳情書  (第六五七号)  全国一律八千円の最低賃金制法制化  等に関する陳情書  (第六九  五号)  同  (第  六九六号)  同  (第六九七号)  同  (第六九八号)  同  (第六九九号)  同  (第七〇〇号)  同  (第七〇一号)  同  (第七〇二号)  同  (第七〇三  号)  国民健康保険療養給付費国庫負担増  額等に関する陳情書  (第七〇四号)  国民年金法実施延期に関する陳情  書  (第七〇六号)  全国一律八千円の最低賃金制法制化  に関する陳情書  (第七三四  号)  小児まひ予防接種費全額国庫負担等  に関する陳情書  (第七三五  号)  小児まひ予防薬及び治療薬の国内  生産促進等に関する陳情書  (第七三六号)  国民健康保険療養給付費国庫負担増  額に関する陳情書  (第七四  〇号)  石炭産業合理化に伴う炭鉱労働者の  生活安定確保に関する陳情書  (第七五九号)  国民健康保険全額国庫負担に関する  陳情書  (第七八二号)  国民健康保険国庫負担増額に関す  る陳情書  (第七八三号)  同(第七  八四号)  国民健康保険療養給付費国庫負担  率引上げに関する陳情書  (第七八五号)  生活保護基準率引上げ等に関する陳  情書(第  七八六号)  国民年金制度改善に関する陳情書  (第七  八七号)  国民年金制度改善等に関する陳情書  (第七八八号)  同(第七  八九号)  戦時中の中国人死没者調査に関する  陳情書  (第七九二号)  炭鉱合理化に伴う離職者救済措置  等に関する陳情書  (第七九三  号)  失業対策事業労務者賃金引上げに  関する陳情書  (第七九四  号)  小児まひの生ワクチン輸入促進に関  する陳情書  (第七九五号)  小児まひ予防接種費全額国庫負担に  関する陳情書  (第七九六号) は本委員会に参考法付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  雇用促進事業団法案内閣提出第八  〇号)  墓地埋葬等に関する法律の一部改  正に関する請願小泉純也君紹介)  (第一三一四号)の取下げの件      ――――◇―――――
  2. 山本猛夫

    山本委員長 これより会議を開きます。  この際、請願取り下げの件についてお諮りいたします。  当委員会に付託されております請願中、墓地埋葬等に関する法律の一部改正に関する請願文書表第一三一四号について、去る十八日付をもって紹介議員小泉純也君より取り下げ願いが提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本猛夫

    山本委員長 御異議なしと認め、よって本請願取り下げを許可するに決しました。      ————◇—————
  4. 山本猛夫

    山本委員長 雇用促進事業団法案議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。澁谷直藏君。
  5. 澁谷直藏

    澁谷委員 ただいま議題となりました雇用促進事業団法案に関連いたしまして、わが国雇用失業の若干の問題点について、政府の所見をお伺いしたいと思う次第でございます。  雇用の安定の問題は、言うまでもなく近代福祉国家をささえる一つの大きな柱でございまして、欧米各国におきましても、戦後異口同音に、完全雇用の達成ということを政治の最高のスローガンとして施策を進められたことは御承知の通りでございます。わが国におきましては、御承知のように特殊な経済社会構造のもとに、雇用失業の問題は非常に複雑な実態を持っておるわけでございます。最近のわが国経済の好調な発展に伴いまして、わが国雇用情勢は全般的に改善の道をたどっておるわけでございますが、その中にありましても、なお幾多の困難な問題を包蔵しておるわけでございます。そこで私は、そういった問題点についての実態とそれについての政府の見解をお伺いいたしたいと思うのでございます。  まず第一に、新規労働力昭和三十八年から四十二年の間に相当数において激増していくということが予想されるわけでございますが、その見通しにつきまして堀局長からお伺いしたいと思います。
  6. 堀秀夫

    堀政府委員 ただいまお話しのように、わが国新規労働力人口は、最近はちょうど戦争が終わりました年に生まれました子供が中学校を出る時期に当たっておりますので、非常に底をついておるわけでございますが、今後は新しい労働力人口は相当な勢いで伸びるであろうということが予想されるわけでございます。すなわち十五才以上の生産年令人口増加の見込みを推定してみますと、昭和三十六年度においては八十八万人程度でありますが、昭和三十七年度におきましては百六十七万、昭和三十八年、昭和三十九年におきましては百八十万程度、それから昭和四十年におきましては百五十万、四十一年が百三十五万、四十二年、四十三年がやはり百万以上というような増加を示すことが推定されております。昭和四十四年以降になりますと、この伸び方は少なくなりまして九十万台になります。すなわち昭和三十七年から昭和四十二、三年ごろまでの岡が新規生産年令人口及び労働力人口増加の著しい年に当たる、このように推定しております。
  7. 澁谷直藏

    澁谷委員 次に、最近の雇用問題の一つの非常にむずかしい問題点といたしまして、中高年令層就職難がいわれておるわけでございますが、これについての実情を簡単にお伺いするとともに、もう一点あわせまして、一面において労働力が過剰であるわが国におきまして、特に技能労働力が著しく不足しておるということがいわれておるわけでございますが、この点についても、簡単でけっこうでございますから、現状をお伺いしたいと思います。
  8. 堀秀夫

    堀政府委員 ただいま御指摘のごとく、最近の雇用情勢は景気の好調の影響を受けまして、おおむね順調に伸展しつつあるわけでございますが、その反面におきまして中高年令層就職はやはり困難である状況でございます。  すなわち、これを一、二の事例をとって御説明申し上げますと、たとえば昨年の十月におきまして、労働省出先機関職業安定所全体を通じまして全国的な調査を行なっておりますが、新しい求人状況を見ますと、結局三十才未満のところを要求するところの求人か非常に多い。すなわち男子について見ますと、大体におきまして三十才未満を条件とするところの求人が約八〇%近くになっておるわけでございます。三十才以上でもよいという求人は、たとえば三十才から三十四才については一五%程度、それから三十五才から三十九才が七%程度、四十才以上ということになりますと、求人がきわめて少ない、こういう状況でございます。これは女子についても当てはまる問題でございます。  また求人求職との比率をとってみますと、求人求職を割りましたところの、職安におけるところの殺到率は、たとえば十九才以下でありますればおおむね一・五程度であるのに対しまして、たとえば三十五才から三十九才につきましては約二、四十才から四十九才につきましては三・八、五十才以上になりましては一八というような非常な高率を示しておる。このような事例をとってみましても、中高年令層求職者は依然として就職難にあえいでおる、こういう実情でございます。  私どもはこれに対しまして、中高年令層の適職を開拓いたしまして、中高年令層で間に合うような職種につきましては、なるべく中高年令層をとってもらうように、これは日経連を中心とする民間の使用者団体にも強く呼びかけると同時に、符に公団公社等の、政府の息のかかった機関において率先してこのような慣行を作ってもらいたいということを、先日労働大臣から各公団公社首脳部にも御要望申し上げまして、これは協力しようということで目下連絡委員会を作りましてこの推進を始めたい、このように思っておるところでございます。  次に熟練労働力の問題でございます。これも御指摘のように、熟練労働力は絶対的に不足しておる状況でございます。昨年の二月に労働省において調査いたしましたところによりますと、主要産業主要職種につきまして大体八十一万人経度熟練労働者が不足しておる、こういうデータが出ております。特にその内容重化学方面産業職種に多いわけでございます。これを今後やや長期的に推定してみますと、長期経済計画の伸展するこの十年の間に、熟練工、半熟練工を合わせまして大体四百二十万近くの熟練労働力が不足する、このような推定がなされておるわけでございます。これを円滑に充足をしていくということがわが国にとって非常に大きな問題であろうと考えております。
  9. 澁谷直藏

    澁谷委員 問題点の第四といたしましては、労働力需給地域によって非常にアンバランスである。すなわち大都市におきましては非常に求人が多い、しかるに後進地域におきましてはほとんど求人らしい求人が見当たらない。この狭い日本国土の中におきまして、地域によってそういった極端な労働力需給アンバランスが見られるというのも、今後の雇用一つの大きな問題点であろうと考えるのでございます。  最後に特に注目を要する雇用問題の一つといたしまして、中小企業における求人難が非常に顕著になって参りまして、一部の中小企業におきましては適当な求人が得られないために、企業経営そのものすら非常に心配になってきておるというような実情であろうかと思うのでございます。  以上申し上げましたように、新規労働力の激増の問題、中高年令層離職者就職難の問題、技能労働力の不足の問題、労働力需給地域的なアンバランスの問題、最後中小企業における求人難の問題、以上の五つのおもな問題点を考えただけでも、今後におけるわが国雇用失業問題の対策というものがいかに困難な内容を持っておるかということは明らかであろうと思うのであります。従いまして、これに対しましては政府は相当真剣な対策を用意して、この問題の解決に当たらなければならないわけでございますが、そこで今回政府が提案されました雇用促進専業団なるものは、こういった雇用失業の問題に対しましてどのような役割を果たさんとするものであるかにつきまして、その主要なる点をお伺いしたいと思います。
  10. 堀秀夫

    堀政府委員 ただいま御指摘のように全体としては雇用も順調に伸展するものと考えられまするが、その間に幾多のアンバランスが現在においても存在いたしまするし、それから今後経済の発展、産業構造の変化につれまして、このような問題がさらに深刻になる面も予想されるわけでございます。そこで私どもといたしましては、ただいま御指摘のように、この際労働省の職業安定行政機能というものを近代化、合理化いたしまして、全国的にこのようなアンバランスをならしていくと同時に、一面において不足する熟練労働力につきましては、これを積極的に養成して、必要とする産業、必要とする職種に充足をはかっていくということが必要であろうと考えられるわけでございます。そこで全国の職業麦定行政組織をこの際、従来は居住地中心主義の需給調整が中心でございました。もとよりこれは原則でございまするが、今後におきましては、大局的に全国的な視野に立って、労働力需給の調整をはかっていくというような組織運営に改めて参りたいと考えておるわけでございます。それから職業訓練の拡充につきましても、現在ございます総合職業訓練、それから都道府県の経営する一般職業訓練、これを長期経済計画の裏づけとなる職業訓練の長期計画を立てて、その基本的方向に沿いまして、計画的に拡充強化して参りたいと考えております。ところで、このようなことになりますると、やはり対象は労働力でございまするので、きめのこまかな裏づけをしていかなければ、なかなかこの労働力需給調整につきましても、それから職業訓練の強化につきましても、円滑に実行できないと考えられるわけでございます。政府の行政と表裏一体となりまして、きめのこまかな裏づけをするという見地から、雇用促進事業団を設立いたしたい考えでございます。  そこで雇用促進事業団の考えておりますおもな点につきまして御説明を申し上げますると、まず第一に、全国的な労働力需給調整を行なって、アンバランスを排除していくということのためには、広域職業紹介を強化することが必要だと思うのでございますが、これは昨年炭鉱離職者の広域職業紹介をやりまして、その最も隘路になっておると考えられておりますものに住宅問題があるわけでございますから、需給地におけるところの離職者用の住宅の建設を積極的に行なって参りたい考えでございます。それから第二番目に、広域職業紹介によって家族連れで移動するというような場合、あるいは単身で移動する場合でも、いずれにしても移転費用その他の雑費がかかりますので、移転費用を支給するということをやって参りたい。これは従来炭鉱離職者に限られておりましたが、これを他の離職者にも広げて参りたいと考えております。それから第三番目に、職業訓練を行ないます際におきまして、特に家族をかかえて転職訓練を受けるような方々は、訓練中の生活が安心して営めるということでないと、転職訓練中に安んじて訓練を受けることができませんので、これも従来の石炭離職者だけに限りませんので、他の離職者につきましても、職安の指示した転職訓練を受けるものについては訓練手当を支給する、このようなことを考えておるわけでございます。それと同時に、現在労働福祉事業団が委託を受けて運営しておりますところの総合職業訓練所の運営は、この際雇用促進事業団において運営をいたしたい考えでございます。  なおそのほかに、雇用を促進するにあたりまして、いろいろなハンディキャップのあるような方々、たとえば身体障害者あるいは孤児、遺児あるいは片親児童その他いろいろハンディキャップのある方々もあるわけでありまして、これらの方々に対しましては、就職資金を貸し付けるとか、就職の相談に応ずるとかいうような、サービス業務を事業団において積極的に行ないます。  以上のようなきめのこまかな裏づけを行なうことによりまして、労働力の流動性を促進することにいたしたい。それと同時に、総合職業訓練所の経営を行なう、あるいはこの総合訓練所あるいは一般訓練所において転職訓練を受ける方々に対しまして、訓練手当を支給するというようなことによりまして、技能労働力の育成につきましての裏づけを行ないたい考えでございます。
  11. 澁谷直藏

    澁谷委員 ただいまの答弁で明らかになりましたように、今回事業団が発足いたしますると、従来の職業安定行政におきまして大きな欠陥とされておりましたところの移動の際の宿泊施設を整備して、さらにはこの訓練所に入所期間中の生活安定のために手当を支給するというような問題、さらには移住就職者に対しまして移転費を支給する、さらに就職のための必要な資金を貸し付け、身元保証までやるというような、従来穴のあいておりましたその重要な点が相当埋められることになるわけでございまして、私はこの事業団が発足することによりまして、職業安定行政の今後の発展のために非常に大きな貢献をなすものと考えるのでございます。  それと同時に、もう一点お伺いいたしたいと思います点は、先般の炭鉱離職者就職あっせんの際にも大きく現われましたように、今後の職業紹介行政の面におきましては、広域職業紹介というのが一つの基本的な柱になってくるわけでございますが、この広域職業紹介をほんとうに充実した行政に育て上げていくということが、今後職業安定行政の一つの基本目標でなければならぬと思うのであります。今回の政府の予算を見ましても、相当努力はされておるようでございますが、私の見たところでは、まだまだ予算的にも不十分でございます。従ってそういう面におきまして今後一そうの御努力を願わなければならないわけでございますが、その予算の裏づけばかりでなしに、機構と申しまするか、組織の組み立てと申しまするか、そういった面におきましても、私は広域職業紹介行政に今までと変わった何か新しい機軸を生み出してもいい時期にきているのではないかというふうに考えるのでございますが、その点の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  12. 堀秀夫

    堀政府委員 その点につきましては、全く御指摘の通りであるとわれわれは考えておるものでございます。この際全国の職業安定行政というものを、ただいま申し上げました労働力の流動性促進を円滑に行なうように再編成し、強化拡充していくことが急務であると考えております。本年度の予算といたしましては、職業紹介事業費といたしまして一億三千万円を計上いたしたと同時に、労働力の流動性を促進するために、炭鉱離者資金を除きまして、他にも大体一千万円くらいを特にこの流動性促進のための油金としてワクをとったわけでございます。が、御指摘のように、まだまだ不十分な面が非常に多いと考えておりまして、これは今後われわれさらに努力をいたしまして、この流動性促進のための業務が円滑に行なわれるように努力して参りたいと思っております。  それと同時に、現在の職安の組織そのものにつきまして、私は今後のこの雇用促進事業団等を裏づけといたしまして、職安行政をそのような見地から運営いたしつつ、その情勢を見ながら来年度におきましてはさらに再検討いたしまして、発展さしていく必要があるのではないか、特に全国的な視野に立つ労務需給調整を行なうために、あるいはブロック別に労務需給調整を指導するための組織を作るようなことも研究してみる必要があるのではないかと思いまして、目下いろいろ検討しておるわけでありますが、さらに今後各方面の方々のお教えをいただきまして、そうして私どもは来年度におきましては、さらにこれを今のような方向で伸ばして参るように努力を続けたい考えでございます。
  13. 澁谷直藏

    澁谷委員 ただいま私が申し上げました方向で御努力をいただくということでけっこうでございますが、私は、今後事業団が発足して実際に業務を運営していく場合に、この事業団と国の行政との連携という問題が、この事業団の業務の成否を決する一つのポイントだと考えております。そういう意味におきまして、事業団と安定行政との連携という点だけを考えてみましても、事業団の支所と申しますか、支部と申しますか、そういったものは、おそらくブロック別に置かれることになっておるだろうと思いますが、そういったものとの連絡という点を考えましても、将来やはり大きな労働市場をもとに、その労働市場を総括するような機能を果たすところの一つの安定所の上に位する機関というものを設置していくということが望ましいのではないかと考えておるのでございますが、この点は一つ来年度の問題として、十分御検討をいただきたいと思う次第でございます。  それからもう一点お伺いいたしたい点は、今度この事業団が発足いたしますると、この職業安定行政の分野が、行政機構的に見ますると、非常に複雑な内容になってくるわけであります。すなわち、職業紹介をやるところの安定所の組織は、御承知のように国の直轄機関でございます。それから職業訓練を担当する総合職業訓練所は、この事業団の管轄のもとに置かれる。この総合職業訓練所と並びまして、職業訓練を担当する一般職業訓練所は、これは都道府県の機関でございます。しかもこの職業訓練行政全般は、現在におきましては職業安定局の中で行なわれておるわけでございますが、おそらくこの国会におきまして職業訓練局が新たに発足するということになりますると、中央における労働省の内部におきましても、これを所管する局が二つに分かれるということになるわけであります。しかもその総合職業訓練所の経費というものは、職業安定局が所管する失業保険特別会計の利益金と申しまするか、その方面から金が出ていくということで、非常に入り組んだ複雑な機構になってくる。私は、冒頭に申し上げましたような非常に解決に困難な問題を含んでおるわが国雇用失業情勢というものに対処いたしまして、職業紹介行政と職業訓練行政さらに事業団というこの三者が、緊密な連携のもとに一体的な運営をされるということが基本的な条件だと思うわけでございますが、その際に、ただいま御指摘申し上げましたような機構的にも非常に入り組んでくる、しかも労働省の内部におきましても局が二つに分かれるということになりますると、ややもすると、両者の連携ということがなかなか十分に行なわれにくい。せっかく事業団が発足いたしまして、あるいは職業訓練局が発足いたしましても、実際の運営面におきましてはその効果が逆行するということが起きましては、これは国の非常な損失でございます。従って私はこの際そういった複雑な機構を前にいたしまして、この安定局、職業訓練局、さらに事業団という三者が、ほんとうに緊密な連携のもとに一体的な運営をはかっていけるような、そういう点につきまして、労働大臣のもとに十分な配慮を加える必要があると思うのでございますが、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。
  14. 堀秀夫

    堀政府委員 お話の通りでございます。そこで、まず第一に、この事業団と職安との地方における連絡につきましては、本法案の第三十四条の、お互いに協力、連絡を密接にするという規定も、特にそのような見地から設けたわけでございまするが、それと同時に、職安組織の制度の検討につきましても、これは来年度の問題になりまするが、私ども十分検討を開始したいと考えておるのであります。  次に、中央におきましても、お話のような面ができるわけでございまするが、これにつきましては、一応は、今度の雇用促進中業団の発足にあたりまして、労働省の大臣官房に監理官制度を設けまして、その監理官が雇用促進事業団の監督、指導を行なうという筋をつけておるわけでございまするが、しかし御指摘のように、これが単に形式的な筋がついておるだけでは、やはり実際の運営がうまくいかない点もあるわけでございまして、特に職業安定、それから今度発足を予定しておりまするところの職業訓練及び雇用促進事業団の三者の間の連絡を密接にして、この業務がお互いに総合的に一体性を持って運営されていくという方向に努めなければならないと考えるのでございまして、私どもは、労働省の内部及び事業団との連絡の場合におきまして、何かそのような仕組みも考えつつ、実質的には今のような一体性の確保をはかって参る、それと同時に、形式的な一応の筋といたしましては、監理官制度を設けまして、このルートで指導、監督を行なう、これを併用して進めて参りまして、ただいま御指摘のようなことの起こらないようにいたしたい。これは、一つは制度の問題でもございますが、一つは、この制度の中におります私どもの心がまえの問題であろうと思うのでありまして、御指摘のようなことで摩擦が起きませんように、私どもは十分に努力いたして参りたいと考えております。
  15. 澁谷直藏

    澁谷委員 ただいまの答弁でけっこうでございますが、とかく役所というものはセクショナリズムが強いところでございまして、自分の仕事に熱心なあまり、全体的に見ると、行政の効果が削減されるようなことが間々起こるわけでございまして、非常に大事な雇用対策の推進でございますから、そういう点に十分一つ配慮をされて、一体的な運営が行なわれるように、特段にこれをお願い申し上げておく次第でございます。  次に、私は農村の労務対策につきまして一言お伺いしたいと思います。わが国の農業は今や大きな曲がり角にきておりまして、これに対する対策というものは、今後のわが国の内政といたしましては最大の問題の一つであるわけでございます。政府におきましても、こういう情勢に対処いたしまして、すでに農業基本法案を中心といたしまする関連法規十二、三を数える膨大な法案を用思いたしまして、現在の国会で審議中であるわけでございますが、先ほど理事会でもいろいろと御議論がございましたように、わが国の今後の雇用問題を考えるにあたりまして、農村から等二次、第三次産業に流動して参るところの労働力をいかに円滑に受け入れていくかということは、今後の労務対策といたしましては非常に大きな点であるわけでございます。労働省は、すでにこの二、三年来そういう点に着目いたしまして、農村における二、三男対策といたしまして、特に一般職業訓練灰の設置を行なってきておるわけでございまして、これはまことに望ましい行政施策であると思うわけでございます。今後わが国経済が所得倍増計画にも示されておりますように毎年九%程度の高度の発展を遂げていくという過程におきまして、これは好むと好まざるとにかかわらず農村の人口の相当部分が第二次、第三次産業へ移動していくということは、歴史の進展の勅かすべからざる大勢でございます。ただ、そこで心配な点は、そういう農村から第二次、第三次産業に流動していく労働力というものが、ただのなまの労働力として受け入れられていくということは決して望ましいことではないわけでございまして、そういった新鮮な農村の労働力に対しまして近代的な技能を付与いたしまして、そうして優秀な技能労働力として第二次、第三次産業に受け入れられていく、そういう点を労働省が真剣に取り組んでいく必要があろうと思うのであります。私の見るところでは、せっかく労働省が真剣にやってきておりますけれども、現在やっておる程度の施策では、とうていこのとうとうたる大勢に対処するには不十分であると考えるのでございます。今後こういう問題についてどのような御所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  16. 堀秀夫

    堀政府委員 御指摘のように、今後におきまして経済の伸展に伴いまして農村と第二次、第三次産業との間におけるいろいろな労働力の移動というものも考えられるわけでございます。私どもは、この労働力の流動を円滑に行ないまして、その間の摩擦のいささかも生ずることのないように、施策よろしきを得なければ、第二次、第三次産業が必要とするところの労働力の充足も、あるいは農村の近代化も達成が困難である状態に陥るのではないか、従いましてその施策をよほぼ真剣に検討していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。最近におきまする農業の就業人口は年々約四十万人程度減少しておるのでございますが、昭和三十五年度から四十五年度までの十一年間を推定してみましても、減少する分といたしましては、死亡及びリタイアに基づくところの減少が約三百八十万人、非一次産業雇用へ転換する者が約二百四十万、それからこれに対して新規学校卒業者で農村に残って農業に従事する者が百五十八万人程度であると推定されますので、差し引きまして十一年間に約四百六十万人程度は純減をするのではないか、このように考えておるわけでございます。この中で、特に先ほど申し上げました農村就業者で非一次産業雇用へ転換する者約二百四十万人、これを円滑に行なっていくことが必要である、そのためには広域職業紹介というようなものの運営を円滑に行なうことは当然でございますが、御指摘のように、その間におきまして技能を付与することによりまして、これの二次、三次産業への転換をはかっていくということになりますれば、移られる方の側としても非常に安心して移ることもできますし、受け入れる方の面から申しましても非常なプラスになるわけでございます。従いまして私どもはこの十一年間に、職業訓練の長期計画に基づきまして農村から都市に移動する者の相当部分は職業訓練の対象といたしまして技能を付与して、円滑に流動するということを援助して参りたい考えでございます。昨年におきましては農村の二、三男を対象といたしまして一般訓練所十四カ所、本年度におきましては十八カ所の新設が認められたわけでございまするが、この方法もあわせて今後さらに推進して参りたい考えでございます。それと同時に農村の周辺におきまするところの産業基盤というものの育成援助をはかりまして、そうして農村周辺において二次、三次産業就職するということも、政府全体として力を入れて参らなければならないと考えております。  以上のような点を総合いたしまして、そうしてただいま御指摘のような農村人口が減少して第二次、第三次方面に流動するにあたってのその移動を円滑に行ない社会不安を防止するということを、政府といたしましては今後真剣に考えて参りたい。また幸い雇用促進事業団が新設されますれば、これにおきましていろいろ広域職業紹介の裏づけあるいは職業訓練中の裏づけというような事業ができることになっておりまするので、今後における農村の近代化の状況、それから基本的な経済の伸展の状況に対処いたしまして、この雇用促進事業団というものをさらに活用いたしまして、その裏づけをして参ることもできると思いまするので、今お話しのような線に沿いまして私ども真剣に今後の対策を考え、これを順次実施に移して参りたいと考えております。
  17. 澁谷直藏

    澁谷委員 私は最後に、今後のわが国雇用失業問題に対処していくための基本的な体制の問題についてお伺いしたいと思います。これは本来労働大臣にお伺いしたい点であったのでございますが、大臣がおられませんので、局長から大臣に一つ十分お伝えをいただきたいと思うのでありますが、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、言うまでもなく国民全体が幸福な安定した生活を営んでいくということが政治の目標であります。そういった福祉社会、福祉国家というものをささえていく最も大きな基盤となるものは、群うまでもなく雇用の安定ということでなければなりません。従いまして雇用の安定という問題は政治の最高の目標であると私は信じておるわけであります。しかもこの雇用の問題というのは、経済と不可分の問題ではございますけれども、経済そのものではございません。わが国におきましても近来そういった認識が漸次高まって参りまして、さきに石橋内閣が成立いたしました際におきましては、内閣の最も重大な基本政策の一つといたしまして、完全雇用の達成ということがうたわれたわけでございます。そういった目標のもとに長期経済計画が策定されたわけでございまして、そういった考え方は現在の池田内閣に至るまで一貫して受け継がれてきておるわけでありますけれども、その実際の長期経済計画の策定の内容を見ますると、どうしても経済が優先をいたしまして、肝心な人間の幸福の基本ともいうべき雇用の安定という問題が経済に引きずられていく、経済の計画が固まって、その計画の中に雇用対策なり失業対策というものがその穴埋めのような形で追随していくという傾向が見られるわけでございます。私はこういったことは今後の政治の方向としてはぜひとも是正していかなければならない、経済と同時に雇用政策というものがこれと並行いたしまして、そうして対等の立場で両者の調整というものをはかっていかなければならないと思うのであります。そういったような方向に今後のわが国の政治なり行政の体制を持っていくためには、現行の組織機構のもとではどうしてもそういう体制を推進していくには不十分であると私はかねて考えておるわけであります。  そこで私は、アメリカが一九四六年だったと思いますが、あの自由主義体制のもとにおけるアメリカにおきまして、雇用の安定をはかるために、いわゆる雇用法というものを作りまして、大統領直轄のもとに専門の委員会を置きまして、そうしてこれが中心となって、雇用の安定という観点から、国政全般について強力な発言をしておる、そうして相当な顕著な効果を上げておるということを聞いておるわけでございますが、私はただいま申し上げたような観点に立ちまして、わが国におきましても、たとえば農業問題について今回農業基本法が提案されておりますように、わが国の政治の体制がこの雇用という問題について本格的に取り組んでいけるような仕組みを作っておく必要があるのではないかということを考えておるわけであります。そういったような観点に立って、雇用基本法というようなものを準備されることが私は有益ではないかと考えておるのでございますが、これは局長にお伺いするには適当な質問ではございませんけれども、その点についてもし御意見がございましたならば、お伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 堀秀夫

    堀政府委員 ただいまいろいろ雇用問題の解決のために貴重な御意見を拝聴したわけでございますが、私どもも御趣旨には全然同感でございます。経済計画が先に立ちまして、雇用問題の解決がそのしりぬぐいをするというようなことでは、御指摘のような福祉国家のあり方にも反しますし、それから雇用問題そのものの円滑な解決もできませんので、結局経済計画そのものの円滑な達成も困難になると考えるのでございまして、この経済問題と雇用問題を同じレベルに置きまして、政府の各省の間で十分な話し合いを行ないまして、計画を立て、これを推進していく、こういう方向に進むべきであると考えております。今回の経済計画につきましても、そのような見地から、労働省といたしましては、いろいろ経済各省に対しまして発言をいたしました。それからまた、開議あるいは経済閣僚懇談会等におきましても、労働大臣からいろいろな申し入れをいたしまして、織り入れてもらっておりますが、さらにこのような傾向は進展させていかなければならないと考えておるわけでございます。またそのため一つの体制を整える意味におきまして、雇用法というようなものの制定につきまして研究を行なうということもきわめて必要であると考えております。私どもはそういう見地から、そういうような法律制度の問題につきましても、十分に検討をいたしたいと考えまして、この研究に着手いたしたいと考えております。  ただいまのいろいろな貴重な御意見は、労働大臣にも十分伝えまして、そうして大臣とよく相談いたしまして、今後われわれとして最善の努力を続けて参りたい考えでございます。
  19. 島本虎三

    島本委員 関連して。これは大臣がおられなければちょっと困るのじゃないかと思うのですけれども、ただいまの質問に対しての御答弁がありました、その答弁に関連して、私としては労働省のはっきりした指導方針を伺ってみたい、こういうふうに思うことが二つあります。   〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕  まずその一つは、以前に私どもが港湾労務者の雇用安定に関するいろいろな施策を問いました際に、その必要を認めて雇用促進事業団、この法案の中で、いろいろの港湾労務者に関するその生活に関するその生活の安定を含めたところの政策も考えて行なわせるものである、こういうように伺っておりました。まずその考え方の上に立って一つ聞きたいのは、この雇用促進事業団、この中で港湾労務者を対象にしていかようないろいろな計画が実施されるお見込みであるのか、何を取り上げてやるものであるのか、まずそれから先に極いたいと思います。
  20. 堀秀夫

    堀政府委員 港湾労働のの問題、きわめて複雑困雑な問題を含むのでございますが、港湾労働者の福祉を確保すると同時に、港湾における労働力の円滑なる需給調整を行ないますために、この点につきましてやはり私どもとして大いに努力すべき点があると考えておるのでございます。この事業団におきましては、この業務の範囲を規定いたしました第十九条におきまして、特にこの第五号におきまして労働省のための簡易宿泊施設その他の福祉施設の設置、運営を行なうということを規定しておりますのも、そのような見地からでありまして、港湾におけるところの港湾労働者の福祉施設の設置というようなことにつきましても、この雇用促進事業団の一つの重点事業といたしまして考えて参りたいというふうに思っております。それから港湾労働者労働力が足りないような地域もございます。たとえば名古屋港周辺においては労働力の不足というものが非常に目立っております。これに対しまして、やはり全国的な視野に立ちまして労働力の流動性の促進をはかりまして、そしてこの雇用促進事業団が裏づけとなって、あるいは移転費の支給であるとか、その他いろいろな援助業務を行なうわけでございますが、そういうような労働力不足の港湾地帯に対するところの労働力の円滑な需給につきましても、ただいま申し上げましたような移転費の支給その他の援助業務を行なうことによって、そしてこの港湾労働力の充足に役立たせて参りたいと考えております。なお、御承知の港湾労働協議会におきましても、この港湾労働者の問題に対していろいろな御意見が出ておるわけでありまして、たとえば登録制度というような問題につきましては、すでに現在事実上実現に移しつつあるわけでありますが、これをさらに進展させる、あるいは各地の現場におきまして港湾労働協議会も発足しておりますので、これらの御意見を伺いまして、私どもといたしましては港湾労働者の福祉を確保する見地からの業務を十分に実施するように努めて参りたい考えでございます。
  21. 島本虎三

    島本委員 そういうふうな考え方がこの雇用促進事業団法に盛られておるということは了承しました。これは以前に、同じような問題ですけれども、大臣が答弁なさった。二月二十一日の同じ社会労働委員会の中で、港湾労働者雇用の万全と、それからこの福祉対策を考えるためには、法律の制定よりも、港湾労働審議会、こういうような機関が現在できておるから、この機関を通して実施しつつあるものであり、それによって万全を期し得られるものであるから、特に法の制定は現在のところ考えていないという答弁があったわけであります。私どもも一応はこの雇用促進事業団の設置の問題とあわせて、今御答弁なさったようなこの重大な事業の面を十分考えます折に、この港湾労働審議会の動きというものを重要視しておったわけであります。しかしながら、重点的に考えてこれを実施すると言明した港湾労働審議会、その後の情勢はどういうふうになっているものであるか、今までと同じ状態なのか、また何か変わった状態があるのか、この問題について一つはっきり答弁を願いたいと思います。
  22. 堀秀夫

    堀政府委員 港湾労働協議会は今年に入りましても御熱心にときどきお集まりを願いまして、御協議をいただきまして、いろいろな御意見を労働省、運輸省に出していただいておるわけでございます。先般も、これは運輸省関係を主とした問題でございましたが、港湾労働協議会からの御意見が出て参りました。港湾労働協議会はこのような熱心な御審議を続けられると同時に、この協議会そのものの仕組みというものをもう少し強化していく必要があるのではないかという御意見が非常に出ておるわけでございます。この港湾労働協議会というものは、ただいま公益委員及び労使関係の非常に有能な方々が御参画になって、非常に尊重しなければならない御意見がそのつど出ておりまするので、私どもといたしましてはこの港湾労働協議会というものを今後さらに強化していくという方向に向かって努力いたしたいと思います。
  23. 島本虎三

    島本委員 労働省がそのように考えてこの港湾労働協議会を運営しておる、指導しておる、こういうようなことである反面に、港湾労働協議会の方では、これは明らかに法に基づいて行なわれているものではないから、ここで幾らりっぱな答申を決定しても、このものは、はっきり申しますと取り上げられない傾向が強い。従って法に基づかないこういうようなやみ機関というものは、これはいかに労働省が今の答弁にあったように重要視しようといっても、これを構成している労務者の方は大いに尊重してやっても、一方がこれをきかない場合にはどうにもならない。こういうようなことから、早くこれを法内に明確な基礎を打ち立てた協議会にしてもらいたいという答申がなされておるはずでございます。これでは現在何も行なわれないじゃないか、今までの私に対する答弁は机上の空論じゃないか、こういうようにさえ言われておるのですが、この実態について、私が今言ったことが間違いがあるのかないのか、最近の運営について具体的にお知らせ願いたいと思います。
  24. 堀秀夫

    堀政府委員 港湾労働協議会の審議の過程におきましてそのような御意見も出ております。私が、審議の過程において港湾労働協議会からもこの協議会をさらに強化してもらいたいという意見が出ておると申しましたことは、そのことをさしておるわけでございます。この港湾労働協議会は法律に基づいておりませんけれども、これは港湾労働協議会でも私どもの考え方を述べたのでございますが、要するにそれを設置し、それからその御意見を聞く方の労働省なり運輸省なり、そういう政府当局者の心がまえいかんに基づくものである、こういうふうに御答弁をしたわけでございます。要するにこれを尊重する気がまえでいくのか、あるいは適当にお茶をにごしていくのかという気がまえによって非常に違うわけであります。私どもは港湾労働協議会の御意見は十分に尊重しなければならないという基本的な考え方で設置、運営をしております。現に港湾労働協議会から二年ばかり前に労働省に対して出されました答申につきましても、その主要部分につきましては、たとえば登録制度の問題にいたしましても、その他の港湾労働組織の整備の問題にいたしましても、みな実現に移しつつあるわけでございます。そういうような心がまえでやって参りたいと思いますが、これを法律に基づいてさらにきっちりとしたものにしてもらいたいという御意見につきましても、私どもも十分に検討する用意はあるわけでございます。今後十分に大臣とも相談いたしまして、検討いたしたいと考えております。
  25. 島本虎三

    島本委員 そういうような意見が具体的に、港湾労働近代化の一環としての港湾運送事業の免許基準等に関する意見というこの意見の中に盛られて、皆さんの手元に届いているはずじゃないかと思います。これは明らかに協議会としてはいろいろなことを立案し、諮問に応じ、一生懸命に運動はしておるけれども、残念ながらこれが法的な一つの基礎の上に立っているものじゃないがために、何ら拘束力はない。このためにもっとしっかりしたものをやってくれ、こういうような行政の指導ないし監督を徹底するためには、今のようなことをはっきりしてもらえないかということを申し添えてあるわけです。ということは、港湾労働者雇用安定に関するこういうような問題は、法によって明確にしてもらいたいというようなこれは意見じゃないかと私どもとれるわけです。そうなりますと、今言ったような協議会の問題をよく運営させることも、その裏づけとなるような明確なものを一本入れることが必要だということになる。それは明らかに、もう法によるところのやり方をしてもらいたいという意向じゃないかと思うのです。最もこの答申案に沿う道は、やはり法の制定によりはっきりした根拠を与えてやることじゃないかと思うわけです。これについてどういうふうに考えますか。
  26. 堀秀夫

    堀政府委員 この協議会の設置につきまして法律的な基礎を置くという問題につきましては、先ほど私どもが申し上げましたような基本的な考え方でございまするので、大臣とも相談いたしまして、十分に研究いたします。
  27. 島本虎三

    島本委員 最後に一、二。それはこういうことです。私は、今いろいろと答弁がありましたことを通じて見て、政府の施策そのものには一貫性がなければならないと思う。これはいつも言っておるところであり、そうあってほしいところである。今回公労協のいろいろな処分があったのでございますが、その処分なんかを見ても、これはすでに大きい——大きいと申しても、政府並びにその機関等において予防処分の傾向があるから、こういうようなものに対しては、あまり強硬にやらぬ方がいいだろうという態度を出しておりますけれども、依然として下部の方ではそれを聞かないで強硬な態度が出ておる。そのために馘首というような処分も大いに出ておるような状態です。一方においては雇用促進事業団、こういうようなものを作って雇用の安定と、それを近代化して一本にしてやろうという指導をしながら、一方では安定しているこういうような職業の人を、予防処分の名においてこういったようなことをどんどんやるということは、政府自体においてどうもやり方が一貫性を欠くのじゃないか。こういうような考え方は払拭してもらいたいところですが一貫性を欠きませんかどうか、これは大臣に聞けませんから、あなたからかわって言って下さい。
  28. 堀秀夫

    堀政府委員 雇用の促進と安定をはかることは、労使関係の安定化にもなると考えます。私ども職業安定行政に責任を持つ者といたしましては、そのような見地から雇用の促進、安定をはかりたいと考えます。なお馘首等の問題については、職場規律等の問題とも関連をいたしますので、またおのずから別の要素も入ってくることがあるわけでございます。ただ、この馘首がいいとか悪いとかいうことをお答えいたしまするのは、私の責任外の問題でございますので、ここでは答弁を遠慮さしていただきたいと思います。
  29. 島本虎三

    島本委員 これは多分に一貫性がないということで、資料が十分整っておるわけであります。しかしながらこの場所ではないというようでございまするけれども、あえてこの場所であるということは、労働基本権に関する問題である以上、当然ここで取り上げてやらなければならないわけでございます。今幾ら大臣を探さしておりましても、大臣はどこへ行ったかわからない。こういうような関係で、この問題をこれ以上やることは少し困難じゃないかと思います。やはり港湾労働者雇用安定に関する問題等につきましては一本にしてやっているその努力は私ども大いに買い、今後は鞭撻したい面もあるということ、それと同時に今度は今のような公労協関係のことでも一貫性を欠くようなことのないように、十分激励しておかなければならない。また一方ではそういうようなことを平気でやっていながら、一方では救済策だけは完備しておくなんというやり方は、われわれ受け取れません。こういうような見地から、これは明らかに、雇用安定に関するいろいろな問題は国の一つの行き方として一貫したやり方が望ましいし、一貫しない以上、これは皆さんがいかに声を大にしても、労働基本権に触れるような重大な問題にも関連するおそれもありますので、気をつけていただきたい。この問題は別にあらためてやることにいたしまして、関連質問ですから、これで終わっておきます。
  30. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)委員長代理 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕