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堀政府委員 ただいま御
指摘のように全体としては
雇用も順調に伸展するものと考えられまするが、その間に幾多の
アンバランスが現在においても存在いたしまするし、それから今後
経済の発展、
産業構造の変化につれまして、このような問題がさらに深刻になる面も予想されるわけでございます。そこで私どもといたしましては、ただいま御
指摘のように、この際
労働省の職業安定行政機能というものを近代化、合理化いたしまして、
全国的にこのような
アンバランスをならしていくと同時に、一面において不足する
熟練労働力につきましては、これを積極的に養成して、必要とする
産業、必要とする
職種に充足をはかっていくということが必要であろうと考えられるわけでございます。そこで
全国の職業麦定行政組織をこの際、従来は居住地中心主義の
需給調整が中心でございました。もとよりこれは原則でございまするが、今後におきましては、大局的に
全国的な視野に立って、
労働力需給の調整をはかっていくというような組織
運営に改めて参りたいと考えておるわけでございます。それから職業訓練の
拡充につきましても、現在ございます総合職業訓練、それから都道府県の経営する一般職業訓練、これを
長期経済計画の裏づけとなる職業訓練の長期計画を立てて、その基本的方向に沿いまして、計画的に
拡充強化して参りたいと考えております。ところで、このようなことになりますると、やはり対象は
労働力でございまするので、きめのこまかな裏づけをしていかなければ、なかなかこの
労働力の
需給調整につきましても、それから職業訓練の強化につきましても、円滑に実行できないと考えられるわけでございます。
政府の行政と表裏一体となりまして、きめのこまかな裏づけをするという見地から、
雇用促進事業団を
設立いたしたい考えでございます。
そこで
雇用促進事業団の考えておりますおもな点につきまして御説明を申し上げますると、まず第一に、
全国的な
労働力需給調整を行なって、
アンバランスを排除していくということのためには、広域職業
紹介を強化することが必要だと思うのでございますが、これは昨年炭鉱
離職者の広域職業
紹介をやりまして、その最も隘路になっておると考えられておりますものに住宅問題があるわけでございますから、
需給地におけるところの
離職者用の住宅の建設を積極的に行なって参りたい考えでございます。それから第二番目に、広域職業
紹介によって家族連れで移動するというような場合、あるいは単身で移動する場合でも、いずれにしても移転費用その他の雑費がかかりますので、移転費用を支給するということをやって参りたい。これは従来炭鉱
離職者に限られておりましたが、これを他の
離職者にも広げて参りたいと考えております。それから第三番目に、職業訓練を行ないます際におきまして、特に家族をかかえて転職訓練を受けるような方々は、訓練中の生活が安心して営めるということでないと、転職訓練中に安んじて訓練を受けることができませんので、これも従来の石炭
離職者だけに限りませんので、他の
離職者につきましても、職安の指示した転職訓練を受けるものについては訓練手当を支給する、このようなことを考えておるわけでございます。それと同時に、現在労働福祉事業団が委託を受けて
運営しておりますところの総合職業訓練所の
運営は、この際
雇用促進事業団において
運営をいたしたい考えでございます。
なおそのほかに、
雇用を促進するにあたりまして、いろいろなハンディキャップのあるような方々、たとえば身体障害者あるいは孤児、遺児あるいは片親児童その他いろいろハンディキャップのある方々もあるわけでありまして、これらの方々に対しましては、
就職資金を貸し付けるとか、
就職の相談に応ずるとかいうような、サービス業務を事業団において積極的に行ないます。
以上のようなきめのこまかな裏づけを行なうことによりまして、
労働力の流動性を促進することにいたしたい。それと同時に、総合職業訓練所の経営を行なう、あるいはこの総合訓練所あるいは一般訓練所において転職訓練を受ける方々に対しまして、訓練手当を支給するというようなことによりまして、
技能労働力の育成につきましての裏づけを行ないたい考えでございます。