○滝井
委員 九人のものが十五人になったり、十五人のものが五人になるということはあると思うのです。問題は、たとえば今までの恩給の概念でいきますと、退職時の給与と、こうなっておるわけです。従って、退職町の企業の規模にしておけばいいのじゃないかと思うのです。そうすると、今まで二十人のところが十人になったら、それは退職時のときで適用していったらいいと思う。だから、
社会党のもとの原案は六十人以下という工合にしておったのです。
政府の方が百人以下なんです。私はこれを上に拡大することは逆だと思うのです。力を下に入れていくということの方が
ほんとうだと思うのです。百人を二百人にしておりますが、二百人の今の企業ということになりますと、これはどういうことになるかというと、オートメーション化されますと二百人といえば相当の規模です。そして相当の生産をあげなければならぬ。もう今の段階では、二百人なんというものは、これは
退職金も何もほうっておるという
状態ではないですよ。二百人ぐらいになりますと、大体
退職金制度というものは相当確立されてきている。むしろ私は、妥協するとすれば、やはり二十人か三十人以下のところに、この
政府案の
退職金制度をやろうとすれば、力を入れなければならぬ段階ではないかと思う。しかもその二十人、三十人が日本の輸出産業の下請として一番力を入れているところなんです。大企業から多く搾取されておるところなんですよ。そういう点で私はどうも——
政府のこの
改正というものは、それは悪くないですよ。百人を二百人に拡大し、三十人を五十人に拡大することはいい。しかし、商売人で五十人使っておってごらんなさい、これは相当なものなんです。われわれが国の補助金を入れたり政策的に強めなければならぬというところは、私はむしろ逆に百人以下であり、三十人以下のところであると思うのです。そういう
意味で、その中から十人未満——特に十人未満というものは、
政府管掌の健康保険については五人以上が強制になっていますよ。強制になっているけれ
ども、十人、十五人のところで
加入していないところは、東京都内を調べてみるとたくさんありますよ。そういう
意味で私は今のことを申し上げている。だから、退職時の規模でいろいろのことを操作したらいいと思うのです。
掛金は同じくかけておるのですから。
そこで、これは別の問題に入るわけですが、そういういい
制度をお作りになったわけですけれ
ども、その場合に、所得倍増計画ですね、今内閣の経済政策の一番の柱である所得倍増計画と、この
退職金の
制度とが、一体どういう関連を持ってくるのかということです。というのは、第一次産業が、三十一年から三十三年の
平均をとれば、就
業者の中で三九・六%ぐらい占めているわけです。千六百四十五万です。それが
昭和四十五年になりますと二三・七%で千百五十四万、約五百万減るわけです。問題は、二次と三次がこの法案に
関係してくるところですが、さいぜんの御答弁では十年で三百万人入れるということだったですね。そしてそれを四十万ふやして三百四十万、こういうことだったのですが、第二次産業が三十一年から三十三年までの
平均が二四・二%のものが三二・二%になっていくわけです。千六万人ぐらいのものが千五百六十八万、五百万ふえるわけです。
〔齋藤(邦)
委員長代理退席、
委員長着席〕
それから第三次産業が三〇・七が三七・一になりまして、千二百七十六万が千八百八万——これは所得倍増計画の数字ですがこうなるわけです。これでやっぱり五百五十万ぐらいふえるわけですね。こういうように、十カ年間に二次と三次で約千万ふえるわけです。これは私は大企業にはそうよけいにふえないのじゃないかという感じがするのです。これは
政府の計画では、あるいは大企業にふえることになっておるかもしれないが、実質的には雇用というものは中小企業に増加していきます。大企業というものは臨時工か何かになってしまう。社外工とか臨時工がふえて、最近の傾向もそうですが、実質的には中小企業にふえてくる。そうすると、今度これを二百人に拡大をし、五十人に拡大をしますと、この対象になる数というものは、ことしはあなた方はそれを九百十万
程度に見たわけです。ところがこれが十年の後になりますと、おそらく倍になりますよ。倍になったときにもなお三百万だということはおかしいですよそうでしょう。そうすると今まで答弁しておった三百万が十年後に三百四十万になるというようなことでは、この
制度の発展はないですよ。いわゆる二千万にもなっておって——二千万にはならないかもしれないが、千四、五百万か千七、八百万くらいになっておるのに、その中の三百万だということになると、五分の一か六分の一しか
加入しないということになってしまう。それでは私はこの
制度は所得倍増計画に乗る
制度ではないと言わざるを得ない。やはり
労働省の政策というものは人間中心に、所得倍増計画を
考慮に入れた上の政策にこれは転換をしていかなければいかぬと思うのです。その転換が今度のこの
改正にはないんですよ。一体所得倍増計画とこの中小企業の対策という
関係をあなた方がどう考えて、そうして
制度を打ち立てていくかということです。