○田邊(誠)
委員 実はいろいろほかにも聞きたい点がございますけれども、時間があまりございませんから、その
内容の点はこの程度にとどめておきたいと思いますけれども、今
大臣お聞きになったように、これは一級地の話でございまして、食費が、
施設に入る者の場合であっても五十五円が六十四円ということであります。もちろん上げるに越したことはございません。しかしエンゲル係数はすでにやはり五八程度ある。一体戦後十五年を経た今日の
日本の中でもって、いかに国の保護のもとにある最低
生活者といたしましても、この程度の
改定でもって法に認められた最低
生活が営まれるかどうか、こういうふうに
考えてみた場合には、これは大へんな
事態だろうと思うのです。実はわれわれが調査いたしましたところでも、実際には役所で調査をされたものといろいろな面で違いが起こっております。役所でもっていろいろと調査に来れば事実を話さなければならぬけれども、事実を話したならばいわゆる保護が差しとめになる、しかしわれわれ自身はやはり生きていかなければならない、そういった面で、実は役所の調査に報告をされない部面のいろんなほかの要素が加わって
生活をしておるという実情が明らかになってきておるわけです。今までお話をいただきました点、しかも被保護世帯の消費の一般世帯に対する割合等が非常に不明である。ただ単なる
一つの感じにすぎない。こういうような状態も加わっておる中でもって、今回の一八%
引き上げというのがはたして池田
内閣の三大施策の
一つとして、画期的な
引き上げとして内外に喧伝されるだけの
内容をお持ちであるかどうか、われわれはあらためて
考えてみなければならぬと思うのです。当初厚生省は二六%の
引き上げを策定いたしました。われわれは、現在の
事態、そしてこれから先の物価の上昇の度合い、それらを科学的に検討いたしますならば、現在のいわゆるほんとうの手直し的な要素の中でもってやられてきたこの
生活保護の基準というものを、この際少なくとも五割程度
引き上げなければ、最低
生活の
改善という
生活保護法に適合するものにはならない、こういうように
考えておった。しかし厚生省の二六%は、最低の
引き上げでありますから、われわれは五〇%上がれば、今の地上よりも低い土地から、少なくとも地上にまで上がってこられる、こういうように思っておった。しかし
古井さんのお話では、二六%くらい要求するというお話がありましたから、実はいわば地階から一階に上がるまん中の中二階みたいなものでありまして、私みたいな背の者ではちょっと頭がつっかえる。しかしおつき合いといたしまして、当面その中二階でもよろしいですから、
古井さんのその基準にわれわれは従おうじゃないか、こう
考えておった。ところが今度は一八%である。これはちょうど階段を上がっていったら、途中でもって階段がなくなっているようなものです。そういう中でもって、実は所得倍増計画と見合うということでもって
生活保護をやるという状態、しかも厚生白書でもってその実態をはっきり、打ち出しながら、将来の展望を
考え、四十五年度の振りかえ所得は先ごろ来国会において報告をされたように、大体
国民所得の七%までいくという、こういう状態が示されておりますけれども、われわれはこの将来のあなた方の
考えに見合い、今回の一八%というのはどうしても中途半端な——何かこれでもって当面を糊塗されると、また次の
引き上げというのはなかなかもって困難な時代が来るということは、今までの経験でよく御存じの通りであります。そういった中途半端な形でもって、この柱となるべき
生活保護基準というものが、今お示しのようにまことに
内容的には不十分であり、そしてまた不明の点が多いという、こういう状態の中でもってされるということは、大へん実は残念に思うわけでございますけれども、どうでございましょう。
古井さん、今までの数字が示したように、先ほどもお話がありましたけれども、これはどうも画期的なものではなくて、だんだん
内容を聞けば聞くほど中途半端なものになって、私としてもまことに心残りである。このままではまことに相済まない、こういうようなお気持になっておるかどうか、この際あなたのお
考え方を承りたいと思います。