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1961-02-15 第38回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月十五日(水曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 山本 猛夫君    理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君    理事 永山 忠則君 理事 藤本 捨助君    理事 柳谷清三郎君 理事 小林  進君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君       伊藤宗一郎君    浦野 幸男君       小沢 辰男君    加藤鐐五郎君       岸本 義廣君    藏内 修治君       佐伯 宗義君    櫻内 義雄君       澁谷 直藏君    田口長次郎君       田中 正巳君    福田 繁芳君       松山千惠子君    赤松  勇君       淺沼 享子君    大原  亨君       河野  正君    五島 虎雄君       島本 虎三君    田邊  誠君       中村 英男君    吉村 吉雄君       本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 古井 喜實君  出席政府委員         厚生政務次官  安藤  覺君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     熊崎 正夫君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (社会局長)  太宰 博邦君  委員外出席者         厚生事務官         (社会局保護課         長)      三浦 直男君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 山本猛夫

    山本委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。質疑を許します。小林進君。
  3. 小林進

    小林(進)委員 私は、厚生大臣に実はいろいろのことをお尋ねしたいたくさんの質問を持っているのでございます。大臣が御就任になりましてから、特別国会もあったのでございますけれども、なかなか大臣所信というものを拝聴する機会が今までありませんでした。これからまた各法案が出て参りますと、法案の審議に追われて、またわれわれの聞きたいという厚生行政一般に関する所信をお伺いすることもできません。それやこれやを思い合わせますと、厚生大臣とひざを合わせて真意お尋ねするという機会は、今をおいてほかにないのであります。従いまして、本日は一つ夜の十時であろうと十二時であろうと、われわれの納得のいくまで私ども質問に応じていただきたい、かように考える次第でございます。  私は、党内の打ち合わせによりまして、もっぱら厚生白書に関する問題、厚生行政一般に関する問題、それから生活保護問題等を中心にお尋ねをするという役割を与えられておりますので、この点からお尋ねをしていきたいと思うのでございます。  第一番目に大臣お尋ねをしておきたいのは、去る三十五年十二月十二日の衆議院の本会議におけるわが党の山本幸一代議士代表質問に対する池田総理答弁に関する問題であります。その答弁の中には、実にわれわれの了承し得ないものがあるのでありますが、これは所管大臣として、この際厚生大臣の御意向を明確に聞いておかなければならないと思います。  その質問の要旨をここで反覆いたしますと、山本議員が「過日発表された厚生白書は、かねてわれわれの心配いたしましたり、政府所得倍増計画によってはますます所得の格差は広がり、低額所得者階層の増大をもたらすことを明らかに指摘していると思うのであります。しかも、この厚生白書にあわてふためいた総理関係者をしかりつけたと伝えられているのでありますが、まことに皮肉といわなければなりません。」(発言する者あり)人の発言を言っているのですから、齋藤君、品のないことを言ってはいけません。こういう品のないのは、委員長注意して下さい。
  4. 山本猛夫

    山本委員長 御質問を願います。
  5. 小林進

    小林(進)委員 こういう山本議員質問に対して、池田総理はこういうふうに答えておる。「厚生白書につきまして関係当局をしかったというお話でございまするが、実は、しかったのではないのでございます。あの厚生白書にあります統計が、一九五三、四年、すなわち昭和二十七、八年ごろの統計を出しまして、いかにもこれよりほかに統計がないのだといって、古い前の時代、何と申しますか、占領直後の数字を、今、七、八年後に出して、これよりほかにないというのは、勉強が足りない、とたしなめただけでございます。」こういうふうに総理答弁をしていられる。これに対して、また山本議員が「厚生白書を、総理は、あれは戦後二十七、八年ごろにできたものを、七、八年後の今日出したものであって、これに注意をしなければいかぬ、こういうことをおっしゃってみえますが、これは、どうも、総理が逃げ言葉をおっしゃっておられるのであって、少なくとも、厚生白書は、最近の政府所得倍増計画に基づき、政府所得倍増計画を進めるならば、貧富の差がこのように大きくなるということを指摘したのでありまして、私は、このことに強く触れようとは存じません。いずれ委員会等で詳細な検討をする機会があろうと存じます。」この詳細な検討をする機会がございましょうという、この本会議場の公約に基づいて、今私はこの問題を一つまず主管大臣お尋ねしようと思っておるのでございますが、これに対して総理大臣——次が問題なんです。こういうことを言っておられる。「この厚生白書の中に、各国予算に対する社会保障費割合が載っておったのでございます。日本は、予算に対しましての社会保障費が七・六%となっております。これは、昭和二十八年か二十九年の一兆円予算のときの社会保障関係経費が七百億円程度だったと思います。昭和二十七、八年のころでございます。しこうして、ドイツ、イギリス等々が載っておりますが、日本社会保障制度は、御承知通り、過去七、八年の間に急速に伸びてきたのでございます。伸びる前の数字を、しかも、六、七年前の数字を、最も新しい数字だと先般の白井に載っておりましたから、もっと新しい数字を出すべきでないか、すなわち、その当時は七百億円の社会保障費が、今では千八百億円になっておるのであります。この事実をよく統計に表わすようにしなければならぬということを申したのでございます。」そういう答弁をしておられるのでありますが、これがその通りであるかどうかということなのです。なるほど池田総理の言うように、もし厚生省昭和二十七、八年の数字そのものを最も新しい数字だと白書に載せているのであれば、厚生当局勉強が足りないということにならなければならないと思うのでございますが、まずこれに対する大臣のお考えを一つ私は伺っておきたいのであります。
  6. 古井喜實

    古井国務大臣 厚生白書にはいろいろな統計を取り入れて、これを資料として説明しておるのでありますが、それには資料もいろいろ種類の違っているものが用いられておるのでございます。ただいまの話は、ILOの一九五八年の統計をとって説明をしておる部分の問題だろうと思うのであります。たしか五八年の報告書か何かその中に五三年、四年の事実が掲げてある。それを取り上げて説明しておるのだと思います。それでそのことは、ありのままに五三年、四年ごろの事実がこうだということをその通りに言っておるのでありまして、きょうが、その数字そのままだとか、そんなことは、私の知っておる限りでは、白書に書いていなかったように思うのでございます。ただ別に、きょうとか、将来の展望とかは白書の中にいろいろ書いております。けれども事実は、五三年、四年のものは別にその通りに書いておるので、そこにえらい行き違いはないように私は思っておるのであります。
  7. 小林進

    小林(進)委員 それではいま少し具体的にお聞きしたいと思うのでありますけれども厚生白書の中に、あなたのおっしゃる通り各国予算に対する社会保障費割合が載っているのでございますが、「日本は、予算に対しましての社会保障費が七・六%となっております」と総理大臣は本会議場答弁されておりますけれども日本予算に対して七・六%であるというような数字一体白書のどこに載っておりますか、これをまず私はお答え願いたいのでございます。厚生白書の八十七ページには、あなたのおっしゃられた社会保障支出の対国民所得比国際比較が載っているのでございます。しかもここに載っている日本比率は七・六%ではございません、六・七%であるのであります。しかも総理予算に対するパーセンテージと言っているけれども国民所得に対して七・六%というならば、まだ間違いは若干いいと言わなければなりませんが、しかし国民所得に対する七・六%といえば、これは日本スイス並みでありまして、社会保障費というものはかなり高い比率になるのであります。その実際よりも高い数字厚生省が発表したからけしからぬという総理大臣の本会議場における答弁ならば、まだわれわれは幾らかそれでも了承できるのでありますけれども、古い統計で古い比率を発表したのはけしからぬと言って、総理みずからがどこにもないでたらめな比率を発表しているということは、私は重大問題であると思うのでございまして、この点私は総理大臣にあらためて予算委員会がどこでそれはお尋ねをいたしますけれども、まず所管大臣所見をここで承っておかないといけませんので、所管大臣の御意向一つ承るのでございますが、この総理答弁に対していま一度明確なる御返答をお願いしたいのでございます。
  8. 古井喜實

    古井国務大臣 国民所得に対する社会保障費パーセンテージというものは、厚生白書お話のように書いておるのであります。それは一九五三年、五四年の数字でありまして、それからまたこれはILOの五八年の出版によって書いたものであります。それから一方予算に対する社会保障費割合というものは、御案内のように、昭和二十八年ならば七・三%、二十九年ならば九%であります。これは事実ですが、またえらく違うようにごらんになるでしょうけれども、そもそもILOで取り上げている恩給などまで入った社会保障費の幅と、それから今大蔵省や、また昨今われわれが日本予算社会保障費が何んぼというときの社会保障費というものの幅とは違うのであります。これは御承知通りであります。そこで社会保障費と一口に言いましても、社会保障費とは何だという観念を統一しないでおいて議論をすると食い違いが起こる。われわれが使っておる社会保障費、ことしの予算でも社会保障費が二千四百六十六億だといっておるものは、こういう内容だとちゃんと掲げて説明をしておる。そういう観念をわれわれはとっておる。ILOのは違うのです。もっと広いのです。社会保障費という観念が違うのですから、この議論は大体そこから始めないと少し食い違いが起こるのであります。これは小林委員がよく御承知のことであります。予算に対しては今申し上げた数字になっている。
  9. 小林進

    小林(進)委員 私は、大臣承知してそういうずれた御答弁をなさっておるのか、あるいはまた私の質問を理解されないでそういうとんちんかんな答弁をされているのかどうか、私は真意を疑いかねておりますけれども、私は何も各国との社会保障費というものに盛られている内容相違を聞いているのではない。日本厚生省が、あなたの主管の官庁の厚生省が発表したあの厚生白書を、池田総理は、その白書に盛られた、この中の八十七ページの内容は、国の予算に対する社会保障費比率を七・六%というふうに厚生省はこの自計に載せている。その数字は七年も八年も前の古い数字である、それをさも新しいというがごとく発表しているのは、勉強が足りないから、それをたしなめたという、その答弁は本会議上において国民をあざむいた説明じゃないか、回答じゃないか。それを一体あなたはどのように処置されるかということを私は聞いているのです。厚生白書が間違っているのか、総理大臣答弁が間違っているのか、どっちかに間違いがなくちゃならぬ。これを私はあなたにお伺いしておるのであります。
  10. 古井喜實

    古井国務大臣 私は厚生白書は間違いないと思う。ILO資料によればこうであるとこう掲げたのは、これはILOの五八年の出版社会保障費国民所得比率はその通りであるのですから、これはこれで間違いない。一方これは五三年、四年の数字ですから古い。古いということも、これも間違いない。そこで問題は、新しい資料を求めたらいいじゃないか、勉強が足らぬではないか、それは意見としては次の問題で起こるかもしれませんけれども、この数字ILO数字内容は五三年、四年、ここに書いてある通りでありますから、古いと言えば古いのであります。六〇年、六一年から見れば古いのでありますが、古いといったこともそれは一つ意見でありますから、そこで勉強が足らぬじゃないか、もっと新しいのを持ってこい、これはまた意見でありまして、そこにえらい大きな食い違いはないように思うのですけれどもお尋ねのところはどこの点でしょうか。
  11. 小林進

    小林(進)委員 大臣勉強が足りないし、そばにいる官僚も少し教えてあげなさいよ、全く。先ほどから言っていますように、総理大臣は本会議上において、日本社会保障費予算の総ワクに対して七・六%しか占めていないというようなことを厚生白書で言っているが、その予算の総ワクに対する七・六%という比率は、七年、八年前の古い統計に基づいておって、古いものだからけしからぬと言っているが、なるほど七、八年前は古いというその回答はいいとして、厚生白書には予算に対して社会保障費が七・六%だというふうなことは私はどこにも載ってないじゃないかと言うのです。厚生白書に載っているのは、国民の総所得に対して社会保障費というものが六・七%、しかも六・七%といって一%も低い数字だ。しかも対象は国民所得だ。それは総理予算を持ってきて、総予算に対する社会保障費が、しかも七・六%、こっちは六・七%、それを七・六%という数字を持ってきて、それでもなおかつ古い数字だからけしからぬというのは、どこをあてにして、何を基準に言っているのか、何もかにもでたらめじゃないか。そうでたらめなことを本会議上において堂々とやられて、国民を愚弄していられるというこの形に対して、一体厚生大臣はどういう所見と処置をとられるのかということを聞いているのです。おわかりになりましたか。
  12. 古井喜實

    古井国務大臣 それで話の筋はわかりましたが、池田総理予算数字をよく覚えておりますので、予算の方の数字から申しますと、さっきも申しましたように、対予算比率は、昭和二一十八年ならば七・三ということになっておる。二十九年では九%になっておりますが、予算の方のことをよく覚えているものですから、そこで少し前の話であり、白書の方には国民所得との比率のことは引いてあったけれども、ちょっとそこは予算のことと錯覚を起こしたかもしれぬと思うのであります。事柄は、錯覚が多少あるかもしれませんが、間違ったことをおそらく言っているわけでもないように思うのであります。予算比率はそうなんです。二十八年なら七余ですから。それがずっとふえてここまできたんだという数字を、予算の方のことを覚えているものだから、何年か前の五三年か四年ころのことであったために、予算の方とふと錯覚を起こしたかもしれません。しかし白書の方は、書いてある通りに、国民所得に対する比率、こういうことでありますから、言ったことに大きな間違いはないように思いますが、白書の中身と予算の方とちょっと錯覚を起こしたかもしれぬと思います。白書は確かに国民所得に対しての比率が書いてあります。
  13. 小林進

    小林(進)委員 議事進行に関して。斎藤君が先ほどから何かつぶやいてじゃまになるんですけれども、私の質問を妨害して、非常に支障がありますので、一つ委員長において御注意を願いたいと思います。  それで錯覚であろうと、あるいは総理大臣予算に対して七・六%であろうと、二十八年とおっしゃろうと、それは私の問うところではございませんけれども、しかし総理が、厚生白書に載っている資料がいわゆる総予算に対して七・六%であり、七、八年前の古い資料であるから、そういう不勉強のことではけしからぬといって、厚生官僚をたしなめた、こう言われている限りは、これは大臣錯覚とかそういう軽い気持で、おざなりの答弁で済まされることでは決してないと私は思うのです。あなたのように、予算に対する比率という言葉と、国民所得に対する比率言葉の間違いだというのならば、錯覚の問題でも済みましょうけれども厚生白書の中に盛られたこれこれのものがこういうことだから厚生官僚勉強が足りない、厚生白書は間違っておる、だからそれをたしなめたのであるというからには、そういう錯覚という言葉だけでは済まされないと私は思う。いま一度大臣は、そうおっちゃらかし言葉でなく、明確な責任ある答弁を私は聞きおきたいのであります。
  14. 古井喜實

    古井国務大臣 池田総理厚生大臣をしかったといいますが、これは私のときより前の話で、どういう言葉でどういうふうにしかったか——しかったのか、また意見を言ったのか知りませんが、これは私はじかに聞いておりませんから、内容は知りません。知りませんが、そのときは多分厚生白書を見て言ったのですから、予算に対する比率ではなくて、国民所得に対する比率ということを取り上げて、しかも材料が古いということを言ったのだろうと想像するのであります。しかしこれはだいぶ前のことでありますから、きょうそのときの話を話すときには、国民所得に対する比率というのが正確なんですけれども予算に対する比率ということにふっとこう言い違えたか、錯覚を起こしたんだと思う。なぜかといえば、二十八年の予算に対する比率が七・余なんですから。そこで前の話でもあり、その当時間違ったことを言ったのだとは思いませんが、言うときにちょと錯覚を起こしたのだろうと私は思う。もしきょう同じことをかりに池田総理が言うとして、しかも間違えて、厚生白書には予算に対する比率がこんなことを書いてあるけれども、これは古い予算に対する比率と、言ったらそれは違いますよと私は言いますよ、きょうそういうことを池田総理が言えば。しかしこれは前に言った話のことでありますし、そのときには国民所得に対する比率という、この厚生白書通りのことで言ったんだろうと思うのです。その話をするときに、少し言い違えか、錯覚を起こした程度のことであろうと思いますので、きょうあらためて言うなら、その場合には、正確なことではありませんよと私はねじ返します。きょうも申しますなら……。古い話で、そのときは間違ったことを言っているんじゃないと思います。
  15. 小林進

    小林(進)委員 しかしあなたが今日ここで総理大臣がそういうふうに錯覚か、間違ったことを言はれたら、直ちに総理大臣一つ訂正を申し込むと言われまするけれども、それは対あなたと総理大臣の相対ずくの問題じゃないのですよ。これは本会議場において、全国に向かって新聞、放送その他を通じ、国民の前に、厚生官僚勉強しない、古い資料を持っている、だからたしなめたんだ、こう言われていることは、この国民に対する影響の甚大さですね、われわれが高い銭を出して飼っている高級官僚が、これほどまでに不勉強で何もやっていないからというようなことを総理大臣の口を通じて印象づけたということは、その及ぼす影響は甚大なんです。それはあなたが総理大臣に面と向かって、取り消しなさい、そういうようなことでこれは補いのつく問題ではない。なおかつ私に言わしめるならば、その勉強が足りないといってたしなめた、こう言うけれども厚生白書をよく見れば、どこにも六、七年前の数字を最も新しい数字だとは書いてない。総理大臣が言われるように、七、八年前の数字をここにあげて、これが一番新しい数字でございますとは、ここにはちっとも書いてない。おっしゃるように、ザ・コスト・オブ・ソーシャル・セキュリティ、インターナショナル・レバー・オーガニゼーション、一九五八年版によるもので、数字そのものは一九五三年から一九五四年までの、六、七年前のものであっても、これが一番精巧なものであることは、この厚生白書がいろいろ長々と説明しています。半ページもこの資料を掲げるに至った経過を説明している。世界統計年鑑によることも、また国民所得統計年報によることも、国際的比較をすることに適当でないから、だから、このILOの五八年版によったのであるというこういう親切な注釈までも加えて、そしてその数字を、今統計を出している。それを、実に勉強が足りないとか、これが一番新しい数字であると言って出しているというがごときは、一体総理大臣錯覚であると言われますか、厚生大臣にいま一回一つ答弁を願いたいと思うのであります。
  16. 古井喜實

    古井国務大臣 一体当時どういうやりとりをしたのか、それは私は知りません、過去のことでありますから。その当時にしても、これが新しい古いの意見はありましょうけれども、しかるしからぬという問題はありはしませんし、またこれには、おっしゃるように、これがILOの発表した一番新しい数字かもしれませんが、同職にいろいろな説明もついているということでありますから、もしこういう資料を掲げているのはけしからぬと言えば、私なら、そんなことを言っちゃ悪いかもしれませんけれども、そんなばかなことあるものか、これがILOとしては一番新しい資料じゃないか、おまけ説明がついているじゃないかと言ってたしなめておくべき場合でありますけれども、しかしこれは過去にあった話で、過去の話を、きょうそのときはどういうやりとりであったのかということを質問をされたり、答えたりしておるのであります。過去のことなんです。そのときに、過去のことを説明するときに、対予算と対国民所得とをふっと錯覚を起こしたということに相違ないのであります。当時は、これは国民所得比率のことを言っているに相違ないのであります。白書をもとにして言ったのですから。だからむしろ言い違いだということは私は間違いないと思う。おまけに過去のことでありますから、過去言った事実の話をきょうしているのであります。でありますから、これは、どうもきょう一々昔のことを、こういうことがあった、ないというのをさかのぼってみんなねじ込んでおった日には切りがありませんから、これは、私は事柄としては理解のできることで、錯覚か言い違いであった、それに相違ないと私は想像するのであります。きょうそれを文句を言えとおっしゃるけれども、ずっと昔の話ですし、その話をきょう話しておるだけのことですから。しかしきょうもし同じようなことを言って、けしからぬぞというなら、とんでもない、それはそう申します。厚生官僚はなまけておる、冗談じゃないと申しますけれども、これは済んだ昔の話でありまして、当時の厚生大臣がこれに対してどう——しょげられたか、あるいはねじ返して、お前の言うことはけしからぬと総理に言われたか、それは知りません。その当時のことなんです。
  17. 小林進

    小林(進)委員 大臣は、御就任になったのは一体何月何日でございますか。
  18. 古井喜實

    古井国務大臣 どうも、間違っておるかもしれませんが、十二月の八日じゃなかったかと思います。
  19. 小林進

    小林(進)委員 大臣は十二月八日に就任になっておる。池田総理大臣がこの回答説明をされたのは、十二月十二日であります。昭和三十五年の十二月十二日であります。あなたが厚生大臣就任になられた四日の後の十二月の十二日です。しかも衆議院の本会議場でこれはおやりになった。説明をしておる。答弁をしておる。これは古い話ですか。それから私ども一体何回社会労働委員会を開きましたか。何回私はあなたや総理大臣に公式にこの問題を追及する機会を得ましたか。今日までなかったのです。こういう話を一々古い昔の話だからということで片つけられたならば、総理大臣でも厚生大臣でも、その場限りの言いっぱなしだ。何でもさわりのいいことを本会議でどなる、委員会でどなっておいて、そうして一カ月もたって、あれは古い昔の話だからやめてくれと言われたのでは、一体政治の責任はどこでとられるのですか、だれが一体負うのですか。そんなことではいけない。私は、総理総理の問題として、厚生大臣が、これは古い昔話だからというようなことで安易にこの場所を逃げようとするような、そういう無責任な態度でなくて、これは何か一つ主管大臣として責任のある答弁を——何も私はあなたに総理大臣とけんかせよというのではない、総理大臣に文句を言えというのではない。こういうことで、国の政治のあり方、行政のあり方というもの、国の基本を、総理大臣閣僚みずからが見失っておるじゃないか。こういうものは、百波万波でみんな波を打って直接間接国民の気風を失ない、あるいはテロを跳梁せしめる大きな原因になっていくのでありますからここをしっかりやってもらいたい。しかも総理大臣は、一体就任の当初から何を言われたか。私はうそを言わない、私は正直をモットーとすると、正直を看板にしながら、こうやってみんなうそを、しかも本会議場でうそを言っておられる。この事実を一つやはり明確にしてもらわなければ、私は問題をたくさん持っているのですが、先にお伺いを進めていくわけにいかない。そこで、大臣はいま少しすなおに責任ある答弁をしていただきたい。直ちに次の質問にいかなければならないのでありますけれども大臣はそういうことでこの場を逃げようとしておるが、小林進はそういう軽い答弁で逃げを打たれるような甘い者ではございませんから、その点は一つあまりなめないで、責任ある答弁をしていただきたいと思うのでございます。しかもその比較に用いた数字は、総理大臣に言わせれば、日本だけが六、七年前の比率をあげたようなことを言われているが、五十表のこの表というものは、イギリスもフランスもアメリカも、三十二カ国ですかありまするものも、みんな同等にやはり六、七年前の当時の数字をあげられているのでございまして、諸外国のみ新しい数字で、日本だけが古いのを持ってきたというような統計表ではない。この点、総理は大きな間違いを犯しておられる。どうでございますか、この点をいま少し私は責任ある答弁をお伺いしたい。
  20. 古井喜實

    古井国務大臣 そこで今のお話しの、よその国は新しいが、日本だけ古いのを出しておるという辺まで言ったかどうか知りませんが、とにかく先ごろの本会議で、予算に対する。パーセンテージというふうな言い方をしておりますならば、それは錯覚を起こして、ちょっと前のことですから、国民所得に対する比率の問題を予算と言い違いをしたのだ、それに相違ないと私は思います。だますつもりではなかったのでしょうが、錯覚にせよ何にせよ、言い違いであればうまくないから、これは総理にもよく言っておきます。
  21. 小林進

    小林(進)委員 厚生大臣総理に言っておくという御答弁は確かに一歩進んだ御答弁でありますが、ただそれだけではやはりこれは済む問題ではございません。試みに当時の論評を一つここで見ますると、こういうことをいっている。これは新聞の当時の批評でございますけれども、毎日新聞の余録というところに、「池田首相は「厚生白書」がひどく気に入らぬらしい。閣議で中山厚相が報告を始めると「社会保障の概念がはっきりしていない」「外国の社会保障水準と比較した数字が古すぎる」と難クセをつけ、大切な看板娘をさんざんこきおろしてしまったそうだ。」「所得倍増と、景気よく経済成長をうたっている池田さんだ。「貧富の差が拡大の一途をたどっている」と一番痛いところを、しかも足元のお役所から指摘されたのだから、これは格好がつかない。閣僚の中には「厚生官僚のクーデターだ」などと、お茶坊主じみた掛声もかかったそうだが、こういった閣議の空気は感心できない。」「白書は、ともかく関係当局が、現実に即した数字をもとに、自信をもって作りあげた報告である。池田さんの強い自信には敬意を表するが、自分の考えに合わないものは、頭から間違っているときめつけるのでは、前途にいささか不安を感じる。」この点は私は同感です。次が問題だ。残念ですけれども、中山さんはきょうはいらっしゃいませんな。(笑声)「中山さんも、閣議で堂々と意見を門陳し、池田さんと渡り合ってもらえなかったものか。それが行政責任者の任務であろう。それでなければ、せっかく社会保障に理解があろうと、婦人大臣に期待した国民の願いにもそむくことになる。ションボリするのが能ではないと思う。」とあるのでありますが、私は、この言葉を実は古井厚生大臣にお願いしたいのですよ。総理だからといって、そう唯々諾々としておられたのでは、いやしくも国民の要望をになって立たれた古井厚生大臣に対する国民の期待は薄らいでしまう。総理大臣といえども、間違っていたら、あなたは閣議で渡り合えばいいじゃないですか。いやしくも本会議場において、九千万国民を前にしてでたらめの数字をすらすらと申し述べるというようなことはけしからぬ、厚生主管大臣として、これを了承することは相ならぬ、渡り合えばいいじゃないですか。その勇気がありますかどうか、私はお伺いをいたしたいのであります。
  22. 古井喜實

    古井国務大臣 そこで、あの節どういう言葉池田総理が言い、また、当時の中山厚生大臣がこれを受けて言われたか、私はその場におりませんでしたし、実情を面接にも知りません。知りませんが、そのときに、今おっしゃった新聞の論評を見るまでもなしに感じたことは、まあ実情知らずの話ですけれども、事実は事実だから、事実は事実としてだれも認めなければならぬ、それに対する意見はめいめいの自由である、事実は事実で、事実にかれこれ言うことはないじゃないか、どういうやりとりか知らぬけれども、少しは文句を言ってもいい場合じゃなかったろうかという感じを私は当時受けましたけれども、これは現実にはどういう実情かよく知りません。その当時はそうです。これから先のことはこれから先のことで、もし似たようなことがあったら私がおしかりを十分受けますから——ないつもりですけれども、もしありとすればおしかりを受けますから、今後は今後ということでお考え願いたいと思うのです。
  23. 小林進

    小林(進)委員 厚生大臣の御答弁は、これだけでは私はちょうだいいたしかねます。いたしかねまするが、一応この問題はここまで掘り下げて参りましたから、これ以上この問題にこだわることもどうかと思いまするから、一応はきょうのところはこれでやめておきまするが、しかし、これでおさまったわけではございません。これはまた場所を変えて、今度は総理大臣から直接私はこの問題の答弁を聞きまして、そうして、こういう間違いに対しては主管大臣としてはいかにあるべきか、総理として主管大臣にいかなる態度を要求するかということまで含めて、一つ私は質問を繰り返したいと思います。  次に参りますが、厚生白書がこういう問題も含めてねらいとしている、このねらいの点です。厚生白書のねらいは、経済審議会の所得倍増計画に対する社会保障費の伸びを比較するところにあったと私は思うのでありまするが、経済審議会が政府に申告をした所得倍増を目標とする長期経済計画を基礎といたしまして、昭和四十五年度の社会保障費を推算すると、昭和四十五年度の社会保障費は一兆五千億円と推定される。これを四十五年度の国民所得二十一兆三千億円——大体これは三十三年度を標準にしてきめて、四十五年度の国民所得が二十一兆三千億円、それと比較をすると、その割合が七%になる。四十五年度の国民所得に対する社会保障費割合が七%と推定をせられる。すなわち、昭和二十九年度における各国との比較において、西欧諸国の社会保障費の最低水準としてさきにあげた約八・五%ないし一〇%という国民所得との比率は、わが日本においては、十五年たって昭和四十五年になっても、なおまだ実現することのできない夢である、こういうことを厚生白書の中に中心としてうたわれておるわけです。すなわち西欧諸国は、二十九年度においてすでに八・五%ないし一〇%の比率を占めているのに、わが国は、わずかに六・七%、十五年たってもわずか七%にしか達しないのは、残念しごくという言葉ではございませんけれども、非常に経済成長に比較してわが社会保障の歩みはいかにも遅々たるものであるという、慨嘆おくあたわざる気持が如実にせられておるのでありますが、この厚生自省の内容に対して、大臣一体どういう所見をお持ちになっているのか。私は大臣のお考えを一つお聞きいたしておきたいのであります。
  24. 古井喜實

    古井国務大臣 この白書の問題につきましては、日本では、この白書にも書いておりますように、厚生年金と国民年金が本格的な支給の時期に入っていないために、その点がはずれておるために、そうなるので、これを加えると、目標年度には八・六%程度になるだろうということを白書自身も書いております。この点は、今あなたは七コンマというところをおっしゃったけれども、しまいの方をずっとごらんになると、そうなっておりますので、その辺まで一つこれはごらんをいただきたい。それにいたしましても、五十三年、四年ごろの西欧の一流社会保障国の水準にちょうどなるかならぬかくらいのことになるわけであります。でありますから、日本の社会保障が、まあおくれておるということは、正直に認めなければならぬと思うのであります。そこで、この経済成長計画との関係でありますけれども、振りかえ所得をあの通り程度に置いておいてよいのか、もう少し振りかえ所得をあの計画の中においてふやしていく必要があるのか、この点は、やはり一つの研究ものだと私は思うのであります。そこで、あれでよいのか悪いのかを論じますには、社会保障の長期的な年次計画というものを考えてみなければいけない、こういうことになってくると思うのであります。社会保障プロパーの長期計画というものを考えてみなければならぬと思うのであります。そこで根拠ができるわけであります。それで、今のそういうものなしに、全体論として見た振りかえ所得割合が足りるか足らぬかという議論ができるようになると思うのであります。ここでもう動きがつかぬように、この通りにやっていかなければならぬものだとは、私は思いません。これはさらにしっかりした根拠資料を持って、もっと伸ばさなければならぬということであるならば、ふやすように努力しなければならぬものだろうと思うので、基礎を得ることが第一段の問題だと思って、その問題に取り組んでやっていこう、こういう考えを持ちますことは、前回にも申し上げた状況であるわけであります。
  25. 小林進

    小林(進)委員 今の大臣のお言葉の中に、厚生白書の終わりの方に八%なんとかという数字があるというお話でありましたが、私のいただいた白書の中にはそれはございません。私どもの方には迷ったものがきているのですか。
  26. 古井喜實

    古井国務大臣 九十二ページを見てごらんなさい。   〔「大臣のとは違うんだ、こっちにきているのは未定稿のものだ」と呼ぶ者あり〕
  27. 小林進

    小林(進)委員 それでは、その問題はあとでまたよく調査するようにいたします。  そこで私は厚生白書における最も重要な点で大臣意見を承っておきたいことは、この厚生白書は、政府所得倍増計画によって——これは今の池田さんの最も大事な柱です。その柱たる所得倍増計画によってますます所得の格差が広まってくる。そうして低所得階層の拡大をもたらす。これを厚生白書が明らかに指摘している。これが厚生白書のねらいなんですよ。これは、この前もわが党の滝井委員説明いたしまして、厚生省にこの社会保障の長期計画のないのはけしからぬということであなたを弾劾いたしましたが、その点は私も同感なんです。同感だが、その長期計画のないことは、この際触れないことにいたしましても、池田さんのこの所得倍増計画がこのまま進んでいけばいくほど、いわゆる所得の格差がだんだん広まってくるのだ、そうして低所得階層がだんだん増大していくのだ、これがこの厚生白書のねらいなんですよ。これを厚生大臣一体どう理解されているかということを私はお聞きしたい。
  28. 古井喜實

    古井国務大臣 この所得倍増政策が成功をしますれば、所得格差が大きくなるのか縮まってくるのか、これはどんどん伸びられる方面だけ伸ばすのが経済成長政策だとは思いません。伸びにくい方を伸ばす、そこに力をかして伸ばすということが経済成長政策の大事な点だと私は思いますので、そこでこの政策を行なっていけば格差が増大していくのだ、こういう結論にはすぐいかないと思うのであります。そうならぬように、伸びない方に力を入れていって、格差を縮めていくことが大事な一面だと思うのであります。伸びられる方を伸ばすのは、あたりまえのことであります。そこでこれが成功しますれば、格差は増大するというのではなしに、縮まるという方向にいかなければならぬと思うのであります。そこを目標にすべきものだと思う。縮まれば振りかえ所得は少なくともいいという理屈になるのであります。この成功するということを前提にして考えれば——しかし実際問題としてなかなか格差が縮まらない、ないしは増大するというのならば、振りかえ所得をもっと大きくしなければならぬ。そこで、これは相当に経済成長政策が成功していくという前提が格差を描いて、振りかえ所得を考えたものだと私は思うのであります。それで足るか足らぬかは、従ってこれは問題が将来残るのであります。推移を見て、もっと大きくしなければならぬかどうかということは、今後残ると思うのであります。格差を縮めるために、伸びる方を押えて、そうして格差を少なくしていくというような策は私は間違いだと思うのであります。伸びる方は伸ばさなければならぬ、また伸びにくい方を伸びるようにする、しかしどうしても格差は解消できない、縮まっても解消はできない、自由主義経済である以上はなくなりはしない、どうしても振りかえ町得でもって今度はこの格差を縮める、こういう政策が反面必要になってくるというわけでありまして、今の経済成長政策と社会保障というものは密接な関係を持っておる、またその推移によっていろいろな考慮を払っていかなければならぬという一面があるものと私は思うのです。今の七コンマとおっしゃるものも、くぎづけになっておるわけのものではないと私は思います。そうあるべきものではないと私は思うのであります。
  29. 小林進

    小林(進)委員 大臣の御説明は私は了解できますけれども、私は大臣所得の倍増と格差縮小の問題の御意見を聞いているのじゃないのです。私は厚生白書内容に対するあなたの所見を聞いているのです。厚生白書の中には、今までの池田内閣の所得倍増計画がこのまま進んでいけば、ますます所得の格差は広くなっていくんだ、低所得階層がだんだん拡大をしてくるんだ、これを明らかに厚生白書は指摘をしているのですよ。このあなたの所管をしていらっしゃる厚生白書が指摘している。この問題に対して一体大臣はどういう所見をお持ちになっているか。繰り返して言いますならば、今下村理論というのがございますね。下村理論というのは、池田総理はこの下村理論に基づく高度成長政策、いわゆる格差との関係について、地域格差、企業間の格差、階層間の格差、こういう問題に対して、今正反対の議論一つ行なわれている。まず池田総理や下村さんの理論によれば、高度成長の過程において自然に格差ないし二重構造は解消されるのだ、こういう理論なんだ。だから所得さえ倍増し、経済さえ同慶に成長していけば格差の問題はなくなるのだ、社会保障なんというのもおのずから、これはもうあなたのおっしゃるように振りかえ所得も縮小していくようになっていく、自然にそうなっていく、こういう理論をされている。ところがそれに対してわれわれ社会党を中心とするところの革新派、あるいは進歩派、あるいは経済学者と呼ばれる、知性派の方々は、池田内閣が自由競争経済体制を建前として行なわんとする高度成長政策は、実際にはだんだん格差を拡大をしていく、低所得階層をむしろ拡大をしていく、こういう立場にわれわれは立っている。この二つの立場に対して、厚生白書はどっちに加担したかといえば、われわれ革新派に加担をして、われわれと同じ主張をこの厚生白書の中心に掲げている。これに対して一体大臣所見はどうですかということを私はお聞きしているのですよ。
  30. 古井喜實

    古井国務大臣 この厚生白書は、格差がなくなってしまうということは、それは言っておりません。格差が残る、それだから振りかえ所得が要るということは言っておりますけれども、格差がだんだん増大していくんだ、逆にだんだん大きくなっていくんだ、そういうことをこの白書には述べておるわけではないので、それはどこにありますか、それは御指摘を願いますが、格差がなくなってしまうというところまでは言っておりませんけれども、しかし格差がだんだん逆にふえていく、そういうことをこの白書内容だというふうに御理解を願うのは、少し御議論が、白書に対しては正当じゃないのじゃないかと思うのです。私はこれは格差が増大してどんどんしょうがなくなるのだということを前提として書いておるとは思いません。
  31. 山本猛夫

    山本委員長 小林進君に申し上げますが、お約束の時間五分前になりましたので、それを御承知の上御質問をお進め願います。
  32. 小林進

    小林(進)委員 わかりました。1この厚生白書の中に、特に第四章「所得倍増計画と社会保障」という新しい項目を今年度初めてお作りになった。この第四章として特に一章を設けて「所得倍増計画と社会保障」ということを追加したゆえん、精神のあるところは一体何かといえば、すなわち厚生省は社会保障を軽視し、資本の蓄積に重点を置き過ぎた過去の高度成長が、いかに所得格差を拡大したかを実証している、社会保障最優先を後退せしめた。いわゆる公共投資、減税と社会保障というように、この三大政策のビリに社会保障を回すことになった。池田内閣の高度成長政策が再び格差を拡大する可能性のあることを強くこれは警告しているのですよ。これが「所得倍増計画と社会保障」という第四軍を特に設けてその間の事情を詳述している。そしてその総論には、厚生白書はこの三者、減税と社会保障と公共投資の現在における最優先性について、どうしても社会保障というものを最優先に持ってこなければならないのだということをこれは強く主張している。これはわれわれは全く同感です。これは近年出色のできです。これは出色のできだが、これに対して一体厚生大臣の見解はどうかということを私はお尋ねをいたしているのであります。
  33. 古井喜實

    古井国務大臣 そこで先ほども申しましたように厚生白書も、経済成長政策のうちでできるだけ伸びない方を伸ばすようにして所得格差を縮めていかないと、社会保障の方をうんとやらなければいけない。そこで一つの点は、できるだけ伸びない方に力を入れて、つまり経済成長政策においても力を入れるべきものである、そうして格差を縮めるべきものであるという警告にもなるのであります。ですから、伸びない方をできるだけ力を入れろ、こういう警告にもなる。それは経済成長政策に対するよい態度、意見だと私は思うのであります。それが一つと、もう一つは、それにしてもやはり格差が全然なくなってしまうということは、自由主義経済である以上はないのだから、そこで残った格差というものを縮小するために所得の振りかえで、第二次所得で振りかえて、今後格差をそういう方法で縮めていく必要がある。社会保障も重要であるということが第二の点で、これは二つの意味があると私は解釈をするのであります。経済成長政策というものは絶望的である、格差を増大するだけの政策であるというふうにこれが前提しておるものだとは私は思わぬのであります。大いに成長政策もそうならぬように考えなさいという、意見というか警告といいますか、その意味も持っていると私は思うのであります。おっしゃる通り格差が増大するにきまっているのだ、経済成長政策はおかしなもんだという、そういう前提とこの白書を私は解釈しないのであります。
  34. 小林進

    小林(進)委員 大臣の主張はわかりますが、今も言われるように、厚生白井は、池田内閣の今のままの政策では低所得者層との格差をさらに拡大をするという、こういうことを言っているのでありまして、大臣のおいでになる時間も迫っているようでありますから、残りは一つまた午後へ回すことにいたしまして、これで委員長との約束通り総論は終わりますが、とにかく今予算委員会で審議している三十六年度のこの予算は高度成長予算、この予算のもとで、はたして一体格差を拡大する方向にこれが今後進んでいくのか、今別室で審議が行なわれている予算は、あるいは格差を縮める方向にこれがいくのか。このぎりぎり当面している今日の時点においては、われわれは残念ながらこの予算は拡大する方向へ行っているんだと思う。これを大臣一体どういう御見解をお持ちになって、それがもし拡大するという前提にわれわれと同感を得るならば、これを縮めるためにどういう方途をお持ちになっているか。私はこれをお尋ねしておきたいのであります。
  35. 古井喜實

    古井国務大臣 さっき申しましたようなことの繰り返しになりますけれども、格差を増大しないように経済成長政策はやっていかなければいかぬ。つまり伸びない方を、伸びない産業とか伸びない地域とかいうものを伸ばすようにやっていきさえすれば格差は縮まるのですから、そこに非常に力を入れてやっていかなければならぬと思いまするので、それがこの経済成長政策の非常に大事な点だと思うのであります。これを希望するのであります。そうやりたいと思っております。同時に、しかしさっき申すように格差がなくなるのじゃないのですから、振りかえによって最後には格差を調整する、これが当然の行き道になってくると思うのでありますから、経済成長政策はもう格差増大というふうにおきめになるのは、これは私どもの考え方と少しぴったり来ないのであります。
  36. 小林進

    小林(進)委員 私は午後からは、今度は厚生省予算内容について一つお伺いいたしたいと思っておりまするが、その前に一言。厚生白書について、閣僚の中あるいはたぶん新聞においては、総理大臣も言われたかと思いますが、これは厚生官僚のクーデターであるということが、客間非常に伝わっているのであります。これも言いっ放し、聞きっ放しでは、やはり日本の政治、行政のあり方には私は支障があると思いますので、確かに厚生省のクーデターであるかどうか、もしクーデターであるならば、それに対して一体どういう処分をされたか、この点を承っておいて、私は午前の分を終りたいと思います。
  37. 古井喜實

    古井国務大臣 厚生省の者が社会保障に対して非常な熱意を持っておる、これは事実でもあるし、よいことだと思うのであります。しかし、クーデターとかなんとかいう、そういう策略のようなことを別に考えるわけのものではありませんし、それはそういうことが新聞に何か評論があったかもしれませんけれども、それは事実と相反するので、クーデターなどやるべきものではない、熱意は非常に持っておりますので、そういうことだと思うのであります。
  38. 山本猛夫

    山本委員長 午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ————◇—————    午後一時三十九分開議
  39. 山本猛夫

    山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。小林進君。
  40. 小林進

    小林(進)委員 大臣もまだお見えになりませんから事務的に予算に関する一、二の問題をお伺いいたしたいと思うのであります。  私は、先般厚生省から予算の御説明をいただきましたけれども、どうも理解の届かない面がございますから、きょうは一つ生活保護費、国民年金費、失業対策費、結核及び精神衛生対策費、社会福祉費、これは児童保護も含みます。それから社会保険費と、六つの項目に分けて、今年度の予算一つお聞かせを願いたいと思います。今直ちにお聞かせを願いたい。生活保護費は今年度幾らになっておりますか。
  41. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 ただいまの小林先生の御質問の中で、失業対策関係は労働省関係でございますから、厚生省関係は失業保険はございません。生活保護費につきましては、昭和三十六年度の予算案は総額五百八十三億一千五百二万八千円でございます。
  42. 小林進

    小林(進)委員 億で切り上げて下さい。
  43. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 結核対策費につきましては、これは「予算要求額主要事項別調」というのを前回社会労働委員会の方にお配りいたしました。その頭で申し上げますと、二百三十八億でございます。うち今度の命令入所関係の結核医療費の方が七十二億、精神衛生対策につきましては四十四億、うち措置入院の国庫負担率を十分の八にする分が三十一億でございます。  次に児童保護費の関係でございます。これはいわゆる児童保護措置費といいまして、公立、民間の社会事業施設に対しまして、保育所その他を含めました、人件費あるいは医療費、そういったものを含めますと全体で百十八億という金額に相なります。うち措置費の分が百四億であります。  それから国民健康保険、これは厚生省予算の中で大口の部類でございますが、国民健康保険関係の経費が四百十六億、社会保険の国庫負担金、これは一般会計から特別会計への繰り入れの分でございますが、九十六億、次に国民年金特別会計への繰り入れ分が四百七十三億で、これは御承知のように福祉年金と拠出年金の国庫負担分の両方に分けてございます。  以上でございます。
  44. 小林進

    小林(進)委員 今の計算の中で、大臣のお力をからぬでも当然今年度の予算に事務的に組み入れなければならない当然増の予算一体どれくらいになるのですか。
  45. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 当然増の概念規定自体が実は非常に問題でございますが、一応これまで予算委員会その他で大臣からも申し上げられました数字は、ことしにおきましては二百八十億で、これは大きな項目を申し上げてみますと、国民年金の例の拠出の国庫負担分が百十五億、福祉年金の十カ月分が三十六年度においては二カ月分ふえて十二カ月分になりますから、その二カ月分の増が四十六億、それから拠出制年金の市町村の交付金分が三億、生活保護費が四十六億、国民健康保険の給付費が事務費を含めまして、例の事務費単価百円分を被保険者の数がふえた分にそのままぶっかけるという計算にいたしまして、それを含めまして六十六億、それから戦傷病者戦没者遺族等援護法によります遺族年金のベース・アップ、これは恩給のベース・アップに伴う当然増でありますが、その分が四億、合わせて二百八十億というような計算をいたしております。
  46. 小林進

    小林(進)委員 そういたしますと、昨年度と今年度の社会保障予算の増額は六百三十六億でありますか、六百二十九億でありますか。
  47. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 三十六年度の当初予算に比較いたしまして六百二十九億の増であります。
  48. 小林進

    小林(進)委員 当初予算でなくて、三十五年度の追加予算も全部含めたその差額はどのくらいになりますか。
  49. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 それになりますと五百二十一億の増であります。
  50. 小林進

    小林(進)委員 五百二十一億の増の中で、今の当然増を差し引いたら幾らになりますか。
  51. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 先ほど当然増二百八十億というふうに私が申し上げましたのは、補正予算に計上された分は除いてございます。従いまして補正予算で、たとえば国民健康保険の療養給付費の足らない分を三十五年度において補正し、それから生活保護費につきましても医療費の足らない分を補正した。それからもう一つ国民健康保険の事務費あたりにつきましては、三十五年度一人百円であったのを百四円ちょっとに上げました。そういう分を全部計算いたしますと、私どもの方では当然増二百四十億から五十億前後になっておりまが、その二百四、五十億と、ただいま申し上げました補正予算を含めました今年度と来年度の予算の対比の増五百二十一億、この五百二十一億から二百四十億か五十億を引きますと大体二百七十億くらいの増、こういうことに相なると思います。
  52. 小林進

    小林(進)委員 大体私のお尋ねいたしたい数字が出たわけでございますが、今度の池田内閣は成立早々から三大公約というものを掲げられまして、公共投資と減税と社会保障の三本に優劣のない重心政策をもって臨む、当初予算を組むころには大体二千九百億円から三千億の所得の自然増が予定せられていて、この三本の重点政策に一千億円ずつ分配をする、そうしてこの政策を強力に進めるということを国民に公約せられた。ところがその後においてはこの自然増が驚くなかれ四千億以上、四千二百億円にまではね上がって所得が非常にふえたのだが、最初一千億円ずつこの三本の柱に使うと言ったその実情が、選挙が済んでそして三十六年度の予算を編成せられるときになりますと、まず第一に、一本の柱の減税でありまするが、これの一千億の公約が六百億円ぐらいに、四割減という形に現われて、まず国民に対して大きな公約違反をおやりになったのだが、その減税の問題はしばらくおくといたしまして、われわれが今問題にしたいのは社会保障費です。社会保障費のために、今も言うように三千億円しか自然増が予定せられていないときにおいてさえも一千億をこれに使うといいながら、現実は今会計課長が説明された通り、当然増を除けばわずかに二百七十億の社会保障費の増額にしかなっていない。これは羊頭を掲げて狗肉を売る偽わりの公約であると断じなければならないと私は思うが、厚生大臣の御所見はいかがでございますか。
  53. 古井喜實

    古井国務大臣 今予算がふえた金額からいって社会保障は当初言ったのより後退したのではないかという意味のお尋ねであります。そこでまず予算の金額の方から申しますと、これを何に比べるか、前年の当初予算に比べるか、補正後に比べるか、両方意味を持つと思います。三十六年度でも今後補正予算はあり得るのですから、一応三十五年度の当初予算に比較することが、まず正しいと私は思う。三十六年度にエックスがついているのです。その意味で申しますと、ふえたのが六百二十九億余、約六百三十億ということになります。その中でいわゆる自然増と新規増がどうなっているか。自然増が約二百八十億、新規三百五十億、こういうわけであります。そこで、当然増というものは社会保障として意味のない金か、そうは言われないと思います。それだけ社会保障の拡充、改善になるのですから、自然増だけが社会保障の金になるというわけじゃありませんから、両方ひっくるめて、そして社会保障の経費がふえ、仕事がふえるのでありますから、区別するというのは、そこに重点を置くというのは、私はどうかと思います。しかしかりに新規の方だけを新しいという意味で目をつけるにいたしましても、新規三百五十億。それじゃ今までの各年度はどうなっているか。かりに三十五年度はどうなっているか。三十五年度は御案内のように前年度に対して三百四十一億七千万ふえております。その中で自然増が二百八十六億七千万、新規は五十五億であります。新規でいうなら、三十五年度は前年に対してたった五十五億であります。それがことしは三行五十億新規がある。これは比較にならぬ拡大前進だと思うのです。三十四年度はどうかと申しますと、前年度に対して二百三十二億九千万ふえております。それでは自然増と新規増と分解したらどうなるかといいますと、自然増が百十三億九千万、新規増が三十九億。その前も前も数字を持っておりますけれども、今までのことと比べると、これは数字は明瞭でありますから数字論だけから申しますならば、まことに画期的だと私は思うのであります。それからまた財政投融資の方でも前年度に比べてぐっとふえております。それから予算総額の伸びは御案内の通り二四・四%の伸びであります。今のは厚生省予算で申しましたからそこは社会保障とはちょっとクロスしますから……。厚生省予算で申し上げます。厚生省予算は三八・二%。つまり二四・四%というのが全体の伸びである中で三八・二%厚生省予算はふえておる。これでもう満足したとか、そんなことを申しておるのじゃありません。申しておるのじゃありませんけれども、ただ数字論から申しまして、今までの例に比べると画期的な前進といっても差しつかえないではないだろうか、そういうふうに思うのであります。
  54. 小林進

    小林(進)委員 私は厚生大臣予算獲得の御努力にけちをつけようという気はないのでありまして、その点は歴代厚生大臣の中にも古井厚生大臣に期待するところ実に大なるものがある。そういう意味において私は決して大臣予算獲得にけちをつけようというのではないのでありまするが、先ほど私が申し上げているのは、池田内閣の公約とこの三十六年度の予算との間には、羊頭を掲げて狗肉を売る、それくらいの隔たりがあるではないか、こう申し上げている。自然増三千億のときに社会保障に一千億円、減税に一千億円、公共投資に一千億円という公約を発表せられたときに、それは私だけじゃないのです。国民のすべてに、従来の当然支出しなければならない社会保障費のほかに新規にこの自然増一千億円というものが社会保障のために使われるのである、こういう理解を持たせるような公約の仕方であった。私もまたそういうふうに解釈していた。これは私の解釈の仕方が間違っていたのかもしれませんけれども、私は従来の社会保障費はそのまま、必要なものは継続してそのままにしておいて、新たに一千億円というものが新しい社会保障政策とともに予算の中に組み込まれるものと了解していた。ところが現実をながめてみれば、今も厚生大臣が言われるように、当初予算に比較してみても、わずかに三百五十億円。一千億円の三分の一。私は、昨年度と今年度との予算の比較を当初予算をもって比較すべきであるか、追加予算も含めて三十五年度の予算として昭和三十六年度の予算と比較対照すべきか、どっちが正しいかといえば、私は大臣の考え方に賛成するわけにいきません。今年度も追加予算を組むかもしれないから、そういうことを予定して三十五年の度当初予算と比較対照すべきであるという御主張に賛成はできませんが、時間の関係上そういう議論は省くとして、大臣のベースに乗って昭和三十五年度の当初予算と比較してでも、わずかに新規にふえているものは三百五十億円、この三百五十億円も、実は当然増のとり方なんですが、これは、私は会計課長のとり方に賛成できない。これもとり方によってはまだ減ってくるのです。こんなのはまだ減ってくる。そういうことをよくみきわめてみますると、今年度の古井厚生大臣による社会保障費の中で、私どもが努めて好意的に見て旧年度よりいささか画期的社努力のあとが見られると——これは好意的でございますよ。公平ではありません、好意的に見て、生活扶助費の引き上げの問題、児童扶助手当、——児童扶助手当は三十七年一月からですから今年度に四分の一、四半期入りますけれども、とにかく三十七年一月から支給するというちゃちな出し方で二億三千万円ばかり組み込んでいる。これが古井厚生の片鱗を示している。失対事業の対策費が五十二円ばかり増額してもらったが、こういうのは手腕の努力のあとと見るべきか、物価騰貴と賃金の今日の状態からながむれば、この五十二円などというものはむしろ私は厚生大臣の力及ばざるを歎かなければならないというような形にしか出ていない。結核及び精神衛生対策費が八十八億円ばかり増額せられて、そして十分の八をめんどう見て下さるという、こういう点に若干の努力のあとがあり、特質が見えるという程度のものであって、私は国民に訴えた公約のなれの果てというか、実に落ちぶれて見る影もない、みすぼらしい状態の予算ではなかろうかという解釈をするのでありまするが、私の解釈が間違っているかどうか、一つ大臣の御所見を承りたいのであります。
  55. 古井喜實

    古井国務大臣 数字の論は先ほども申し上げたようなわけで、数字の論だけでもいけませんけれども、たとえば小林さんのおっしゃる新規増の比較からいってもさっき申した通りでありまして、三十五年度新規増と称するものが五十五億あった。三十四年度は三十九億であった。今度のいわゆる新規増いうものは三百五十億になっている。ほとんどけたが違うのであります。その数字の論はもう繰り返しませんし、これで十分だと思っておるわけではありませんしいたしますが、当初一千億減税、一千億社会保障というふうなことを公約したのかどうか、これは総理も他の機会に、公約としてそういうふうに言ったわけのものじゃないということを言っておりましたことはお聞き下さった通りでありますが、大体三千億といって、三千億を一千億減税、一千億社会保障、一千億公共投資なんという大ざっぱなことを言っておったとすれば、言っておる方があまりに粗雑なのであります。公共投資といっても幅が非常に広いのであります。そこでそう言っておったわけではないということを総理自身が言っておったのでありますから、これは言ったか言わぬかという点は私は何とも言えませんけれども、そう言うのでありますから、その通りでありましょう。要するに見方はありましょうし、これで全部済んだなんということを申しておるわけではありませんし、残っておる問題は社会保障の面ではたくさんあるのでありますし、そうは思いますけれども、この段階において大きな前進であったということは、これはどうもそう言ってよいのではないかと思うのであります。これは小林さんにはどうも御不満かもしれないけれども、そういうふうに言わざるを得ないのであります。
  56. 滝井義高

    ○滝井委員 関連。今の数字の問題でございますが、これははしなくも私も先日少しお尋ねしたので、わかっておれば御説明を願いたいと思うのです。あなたが御指摘のように自然増あるいは新規増というものは私は大きく問題にしていないのです。六百三十六億という予算の増があったということは、これはもうまっ正面からその通り認めたいと思います。それから昨年三十五年度における予算の増が当初予算において三百四十一億あったということについても、それはそのままけっこうだと思います。問題は三百四十一億、三十五年度で捻出したときの自由に使い得る視源というものが当初予算でどの程度あった。かその三百四十一億が何%になるのかということが大事だと思うのですしそれから今年度においても一兆九千五百二十七億の中で社会保障費が昨年に比べて六百三十六億ふえた。こういうこととはことしにおいて使い得る財源というものが四千六百九十九億円あるのですね。その四千六百九十九億円というのはどういう計算の仕方をして出てきたかというと、税の自然増収が三千八百三十一億円あるわけです。減税は六百二十八億しているわけですね、それから今問題になっている第二次補正予算に四百四十億お組みになったのです。その中で二百億だけは三十七年度以降に使おう、産投特別会計に注ぎ込んで、二百億というのは三十七年度。そうするとことし三十六年度に使えるものは二百四十億なんですね。だからこの二百四十億と三千八百三十一億と六百二十八億を足しますと四千六百九十九億になるわけです。この四千六百九十九億というものが使い得る財源なんです。池田内閣が新規政策として盛り込み得る財源なんです。この中から六百三十六億円、七分の一ふえたわけです。このことが一体三十五年度なり、今大臣の御指摘になった三十四年度における二百三十二億九千万円ですか、こういうものを出し得る財源との比較というものはどうなるのか、何%になっておるのか、これは私大事だと思うのです。ことしはその財源に比べて、まあ三割五分も占めておる、三分の一を確保しておる、すなわちことしの四千六百九十九億の三分の一ということになると、千二百億以上とることになるわけですね。池田さんの言う千億減税、千億社会保障なんということと当てはまることになるのですが、まあ千七、八百億もほんとうはおとりにならなければならぬということになるのですが、それの三分の一しか実際はとれていない。三分の一の三分の一で、七分の一そこそこしかとれていない。だから厚生省でおわかりになれば、三十四年度における使い得る財源に対して二百三十二億は幾らに当たるのか、三十五年度における使用し得る財源に対して三百四十一億は幾らに当たるのか、使用し得る四千六百九十九億に対して六百三十億は何%になるか。これを一つわかれば会計課長の方で比較したパーセントを出しておいてもらいたいと思います。
  57. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 ことしの分はわかりますけれども、三十五年度分につきましては調査をしなければわかりません。いずれ検討いたしましてお届けいたします。
  58. 滝井義高

    ○滝井委員 どうぞ一つ出して下さい。
  59. 小林進

    小林(進)委員 何しろここで予算問題で時間を食っていると質疑が前へ進みませんので、残念ながら私はここら辺で予算は打ち切りたいと思うのでございまするが、ただ結論において、何といってもわが日本の最近における経済の高度の成長です。三十四年度あたりは一七%も伸びておる。昨年度も一二、三%伸びているという、こういう高度の成長につれて、国家予算というものが大きく一兆円予算から二兆円まで組み込まれておる。その割合にわが日本の社会保障というものがおくれている。これだけは私は大臣も卒直に認めていかねばならぬと思う。ことに欧米先進国あたりの社会保障のあり方から見れば、わが日本は何といってもおくれているのであります。その予算額においても、ことしの厚生白書ではないけれども、欧米の予算から見れば十分の一にも足りないような、そういう中で、この二兆円予算の中で、わずかに三百五十億円、われわれに言わせれば二百億円そこそこの新規の予算をふやしたからといって、まるでどうも鬼の首でも取ったようにこれを自慢されたのでは、とても国民はたまったものではないということを私は大臣に申し上げておきたいのでありますして、これは一つ何としても、わが日本の福祉国家建設の途上における、今年度のこの予算のごときは、福祉国家を作るなどというキャッチ・フレーズの前からは、恥ずかしくてものも申せぬというくらいの気持ちに一つなっていただいて、もっとたくましく、予算獲得のために、この社会保障費の獲得のために、与野党ともに力を合わせて戦うという、こういう気がまえを私は大臣にほしいものであるということで、こういう御質問をいたしたわけでございまして、これはまあこれで一つ打ち切りまして、次に私は、生活保護の基準の問題について御質問いたしたいと思うのでございます。  生活保護費については、今年度の予算をお作りになるときに、厚生省は二六%引き上げを主張せられたはずであります。これに対して大蔵省は一五%しか引き上げに応ずるわけにはいかないということで、そこで大臣折衝をおやりになった結果、一八%まで引き上げるというところに落ちついた。こういう経緯を経まして三十六年度のこの予算先ほど会計課長が言われたように、五百八十三億一千五百万円、三十五年度が五百四億九千万円、こういうわけで、差引七十八億二千四百七十万円増加せられておるのでありますが、私は、第一番には、この二六%の厚生省の主張が、どういうところから、一体この数字が出たかということなんです。一体どこからお出しになったか。その引き上げの数字の根拠を一つお示し願いたいのと、いま一つは、これは大臣が本会議上ですか、予算委員会ですか、あるいは両方であるかもしれませんけれども、一八%引き上げは大した、画期的な引き上げであるという自画自賛をしておられた。二六%を要求しておられて一八%しか満たされない、その経緯にかんがみて、これを自画自賛されるという気持を私はどうしてもいただきかねるのでございまして、もし一八%が大臣の言わるる通り実に画期的なる引き上げであるならば、二六%の厚生省の要求は、これはわれわれはでたらめであるという推定をしなければならぬ。二六%の引き上げが科学的根拠に基づいてどうしても必要な最低限度であるものならば、一八%の引き上げに対して自画自賛をせられるというその主張はわれわれはいただきかねる。這般の経緯を承りたいと思うのであります。
  60. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 便宜、先に私から事務当局の見解を申し上げまして、あとで大臣から答弁申し上げます。  お尋ねの二六%引き上げ云々というのは、これは生活保護全体でございませんで、申し上げるまでもなく、そのうちの生活扶助に関する分でございます。これは最近の生活扶助の基準を、私ども昨年の夏以来ずっと検討して参りましたところ、全般的にこれをもう少し上げる必要がある。特に最近における一般の国民生活水準の向上というようなことの著しいのにかんがみますると、少し実態にそぐはなくなりつつあるのじゃなかろうか、こういうような感じを持ちまして、これの改善を考えて参った次第であります。それから、その改善をいたします場合に、これをどの程度に改善をいたすかということでありまするが、これはやはり生活保護世帯の生活と申しましても、一般国民生活の中にあって生活をやっておるわけでございまするので、一般国民生活の実態、特に身近な低所得階層の人々の生活の実態、そういうものとのかね合いというものも考えてこれを改善すべきである、かような点から、私どもといたしまして、数字をはじきましたものが、いわゆる標準五人世帯に換算いたしますると、大体二六%程度引き上げたならばよかろうか、こういうことを私どもは感じたわけでございます。それが政府の全体としての相談の結果、最終的には一八%ということにきまった、こういうことでございますが、これは何事もその当事者の見解とそれから全体の立場からの見解との間には、やはりそこに相談というものがあります結果、若干そこに違いが出ることは、これはどんな場合でもやむを得ないことでございまして、政府全体といたしましては、一八%の引き上げが、今日の段階において、まあこれが万全と申すわけではございませんけれども、まずまず妥当なところである、こういう結論に落ちついたわけでございます。
  61. 古井喜實

    古井国務大臣 今局長から申しましたような経過でございますが、そこで、この生活扶助の基準を上げますことは、申すまでもなしに、日本国民生活の底をそれだけ上げるものでありますから、非常に重要でもあるし、またできるだけこれを上げたい。これは日本国民生活全体の向上になると思いますので、上げたいものだと思うのであります。一応二六%という考えを出しましたわけは今説明した通りでありますが、二六%上げてそれでもうおしまい、これでもう、これが絶対的な目標で、おしまいというものでもない。二六%にしてもそうだと思うのであります。これは、その意味では程度問題ということにもなります。しかし、二六%を実現できなかったことは心残りであります。実際、私もそう思います。ただ、今までの過去の例から申しますと、これは他の機会にも申し上げたように、一回でどれくらい上げているのかというと、一%とか三%、三十二年の一番多かったときで七・五%、こういう程度であったものを、今度はとにかく一挙に一八%上げるということは、今までの例から見ると画期的といっても差しつかえないと私は思うのであります。  それから、今局長も申しましたように、この生活扶助のみならず、住宅扶助とか、教育の扶助とか、勤労控除の面とか、生活保護関係ではその他の面にも改善を加えておることも、これも重要な点だと思うのであります。全体として、前の年度に比べて、生活保護費だけでたしか百十億余りふえておると思います。たくさんの予算項目がありますけれども一つの項目でともかく一年度で百十億余もふえておるということは、一回の予算措置としては、これはいろいろ見方はありましても、数字として相当な金額、前進だと言っても私は差しつかえないと思うのであります。ただそれでもうおしまい、十分であると申しておるのではありません。むろんそう申したのじゃありませんけれども、進み方のペース、ピッチというものは相当なものだ、これだけは冷静に事実として申し上げても差しつかえないのじゃないか、こういうふうに思うのであります。
  62. 小林進

    小林(進)委員 大臣に対する御質はこの次にいたしまして、社会局長に今の御答弁についてお尋ねしたいことは、これは本委員会でありませんけれども、三浦保護課長が、この二六%の生活保護の引き上げについては国立栄養研究所の答申を基礎にしてこれを作ったのであるというようなことをほかで言われておりますが、それは一体事実がどうか。もし事実であるならば、との国立栄養研究所の資料を実はいたただきたいと思うのだが、御配付を願いたい。これに対して答弁を願いたい。
  63. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 二六%の改善をいたします際に、私ども考えました際に、使いましたデーターといたしましては、栄養審議会において、これは厚生大臣の諮問機関でございますが、これ調査、これも一つのデーターといたしたわけであります。それの内容はあとでお届けしてよろしゅうございます。
  64. 小林進

    小林(進)委員 その栄養審議会の答申の資料をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。これをいただいて参考にさせていただきたい。  次には、大臣の御答弁でございますが、確かに一挙に一八%引き上げたということは、従来の引き上げの中には前例がない、それはその通りでございましょう。それはその通りでございますが、現在の生活の実態からながめますならば、これはどうしても引き上げていかなければもう生きていけないという客観的な情勢がむしろ強く働いてこうなったのでもある、それも原因しているということを考えなければならないわけでありまして、まだ手ぶらで大臣の御答弁を私たちは承服するわけには参りません。  そこでお尋ねいたしたいのは、現在生活保護の対象になっている生活保護人員が六十万五千世帯、百六十三万八千人、総人口の一・七六%、これは三十五年六月現在、厚生白書に載っている数字でございますが、現在そういう生活保護を受けている方々と同等もしくはむしろこれ以下といっていいくらいな生活をされておる方々が、われわれの素朴な計算では一千万人であります。これは根拠はございませんから、やはり私どもは皆さん方のデーターによって申し上げる以外にはないのでありますけれども厚生省生活保護の対象になるボーダー・ライン層は九百万人くらいいるのではないか、これはの投信を一つのデーターといたしました。それから昭和三十三年の国民栄養表でしたか、生活保護と同様の水準にある者が百六十万世帯、六百八十五万人こういうことを言われているのでありますが、一八%引き上げない現在の状態において、この生活保護と同様の水準にある者が百六十万世帯、六百八十五万人、われわれに言わせると一千万人いると考えますが、これが一八%引き上げになりましたら、こういう方方は一体どうなるのでありますか。現実に生活保護を受けていらっしゃる方方は、一八%の引き上げで一割八分だけ生活がよくなりましょうけれども、その引き上げられない前の方々と同じ生活をしている人々は、新たなる給付の改善に基づいて、一体どれだけ新規に恩典に浴し得るかということが問題である。わずかに七十八億円の増額にしかならない、この生活保護の五百八十三億円の予算の中に、新しくどれだけの人員を予定せられておるのか、その点を承りたいと思います。
  65. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 お尋ねの低消費水準世帯の人数でございますが、先ほどの一千万人というのはだいぶ古いときの資料でございまして、私どもの最近のあれは、御指摘の厚生白書にございますように、今日では大体百六十万世帯で約七百万弱というふうになっている。その数字から見ましても、二十九年当時は二百万世帯ほどであったから、ずっと減っておる。それだけ生活のあれが改善されておるというふうに考えていいと思うのであります。ただ、この調査でございますけれども、その厚生白書の中にもちょと書いてあったと思いますが、これは厚生行政基礎調査をもとといたしまして、被保護世帯とその現金支出がほぼ同様というようなところで、これをとっておるわけでございます。従いまして、この結果を使いますについては、いろいろ注意せねばならぬ点があるわけでございます。たとえば、これは消費支出である、ただ現金支出だがここに出ているのだという点も注意せねばならぬ点でございますし、この調査自身が一回の聞き取り調査というものでやっておる点からいたしまして、実態と若干違う面が出てくる可能性があるというようなこともございます。従いまして、この点は使う場合において私ども注意して使わなければならぬわけでありまして、そういう面ではもとより正確なものが実は私どもほしいのでございます。今日の日本においては、なかなかそれ以上のものがないというような現状でございますので、これを使っておりますが、しかしながら、今日経済生活が非常に改善されてきたとは申しましても、やはり何百万という人たちが生活保護階層より若干上回ったところに相当おる。いわゆるボーダー・ライン層というものが相当おるということは事実でございます。私どもといたしましては、やはり保護階層の人たちに対する手当をすると同時に、こういうボーダー・ラインの方々の対策というものも積極的に講じていかなければならぬとは思っておるわけでございます。  そこで、御指摘の、今回の生活保護の基準を改善いたしましたことによりまして、どれだけの員数のそういうボーダー・ライン層の人たちが落ち込んでくるかということでございますが、これは私どもといたしましては、そんなに落ちてこないという結論、端的に申しますれば、そういう考えです。と申しますのは、政府の施策は、この保護階層の方々の内容をよくするという手当、施策を講じますと同時に、一般の経済政策その他賃金政策、雇用政策というものも強力に展開して参っておるのでございますので、そちらの方からいたしましても、このボーダー・ラインの階層の人たちの内容というものも相当よくなっていくということも、私ども同時に考えておるわけでございます。また事実、過去幾たびか内容改善をいたしました。一八%という改善をいたしたことは、これはインフレのとき以外にはございませんけれども、それ以下で、その一番大きい改善は昭和二十七年でございましたが、一五%の改善をいたしたことがありました。その過去何回かの改善をいたしました実績を見ますると、その改善をしたことによって、こういう世帯から生活保護世帯に落ちてくる、いわゆる私ども落層と申しておりますが、階層の数というものが、これがほとんどないのでございます。それで私どもは、政府がそういう場合に、その階層に対する対策もあわせてやっておるわけでございまするから、やはり過去の例からいたしましても、そういうふうに落ちてこないという一応のめどを立てておるわけであります。しかしながら、今回は従来にない画期的というとさっそくおしかりをこうむるかもしれませんが、相当な改善をいたしますのでございますので、その点に関して何ほどかの手当をしておくのが安全であろう、こういうことから、私ども手当をしてございまするのが約七万四千世帯、大体その程度のものをやっております。私ども今日の段階におきましては、まずこれだけの手当をしておきますれば、まずまずいけるものと、かように考えておるわけであります。
  66. 小林進

    小林(進)委員 私はここに非常に危険とごまかしがあると思うのでございまして、今も局長はみずからの数字をみずから自信のないような、そういう言い方をしておられましたが、予算を獲得したりするときには、その数字を金科玉条のごとくにして構成をするが、都合の悪いときにはみずから作り上げた数字を何か自信のないもののようにごまかされる。こういう巧みなカメレオン的な説明は私はちょうだいしかねるのです。だから私どもは自分の持っておる数字を隠して、あなた方の数子で御質問をいたしておる。あなたの書かれた白書の中に百六十万世帯、五百八十五万人のボーダー・ライン層と同様の生活をしておる者があるとちゃんと書いているじゃありませんか。一八%上げないその現在において五百八十五万人、百六十万世帯もあるのです。それが今度は一八%も引き上げられたら、この白書数字をすなおに受ければ、もちろんこの百六十万世帯は全部これは生活扶助の恩典に浴さなければならない現状にあるといわなければならない。その中からわずかに七万四千世帯だけをセレクトして、まるでやみ夜に金を拾うようなものだ。当たったものは幸いですけれども、百六十万世帯の中からわずかに七万四千でございますか、そういうものを拾い上げて、そうして一八%生活保護費を引き上げたじゃないか、社会保障はこれまで成長したじゃないか、あなたはこういうようなことを宣伝の材料にしようというのでありますけれども、これは私どもはいただきかねる。ここを一つ厚生大臣は真剣に考えてもらわなければならない。現実に私どものところに参ります町村長はみな言いますよ。われわれの郷里の方から来る町村長は言っていますよ。この生活保護費を一七、八%引き上げてもらったおかげで私どもは大へんでございます。素朴にいえば、私の町や私の村の大半の者は、この一八%の引き上げで、その配分に困っているのだ。その中に厳格なワクを持ってこられて、そうしてそれを選ぶのだから、あれを生活扶助に該当せしめて、あれにはくれるが、これにはくれられないということで、住民の中には不幸平を生じて、大へんな混乱を巻き起こす。これは大へんなことでございますと、こういう悲鳴を上げているのでございまするが、この現実をどう解決せられるか、これは私は厚生大臣から一つ承っておきたいのであります。
  67. 古井喜實

    古井国務大臣 先ほども局長が申しましたように、一方では経済の成長という積極政策も行なうわけであります。また賃金水準も漸次向上をはかっていくという政策も行なうわけであります。すでに昨三十五年の八月から十一月の調査統計によりますと、要保護者も数が減る傾向を示しておるのであります。それだけでは言うわけにいきませんけれども、少しふえる傾向にあったものが、減る傾向になってきておる数字が出ておるのであります。これから先も積極的な経済の成長繁栄という方向に努力して進みますならば、やはり該当する人もどんどんふえていくということではなくて、逆になっていくことも考え得るのじゃないか。また生活保護にいたしましても、まるがかえをしてもらって、それでよいというものじゃない。やはり自主的な立ち直りの機会を持つようにしていかなければならぬ方向のものでありますから、勤労控除などの方も今後も一そう改善してみよう、働けばそれだけのことがあるように、その方面も改善しようということでありますから、それこれ考えまして、たくさんの方がこの保護世帯に落ち込んでくる、そういうふうにばかり見てしまわないでもよいように私は思います。やはり自主的に保護の人も立ち上がっていく、それから働き得る、働いている人も、それに対する賃金や報酬も上がり、生活が向上していく、どっちも進んでいくべきものであって、こっちだけ進んで、片っ方の方はじっとしておって落ち込んでくると、こうばかり考えなくてもよいのじゃないか、そういうふうに思うであります。
  68. 小林進

    小林(進)委員 大臣、東大の茅さんはこういうことを言っているのですよ。つまり社会保障に回す金をある程度経済成長の方に向かって投資して、十年後に経済を拡大する、そして格差を縮めていく、アンバランスをなくする、それができるとしても、社会保障を受ける人間はそのときに現在生きている人間である、十年後によくなるといっても、死んでしまえばだめなんだ、そういう点に池田内閣の性格がある、こういうことを言っておられる。大臣や局長のその話を聞いていると、ちょうどこれと同じなんだ。あるいは賃金の施策が浸透していく、所得の倍増政策が進展していく、あるいはもろもろの経済成長施策が進められていくから、そのうちには今のボーダー・ライン層は立ち上がって、だんだん数が少なくなって、なくなっていくのだから、将来はよくなりますよ、こういう説明なんです。けれども、現在百六十万、あなた方の数字の五百八十五万は、現在のこの時点において生きるか死ぬかの境目なんです。一カ月たつ、半年たつ、一年たてば生きていけない、死んでしまうかもしれないというのが、今あなた方の厚生白書説明されている生活保護世帯じゃありませんか。これと同様のボーダー・ライン層じゃありませんか。そういう将来のありがたいお念仏は、ここではいただきかねるのであって、現在のこの時点でこれだけの人間がいるのを、どうして一体七万四千世帯だけ引き上げて、あとの百六十万世帯五百万の人間の生死の問題を解決されるのですか。これを私はお伺いしているのです。どうして一体これを選び出して一部の人だけを救われるのかということなんです。これを一つ明確に……。私は将来のありがたい念仏はけっこうでございますから。
  69. 古井喜實

    古井国務大臣 小林さんも御承知のように、経済の成長は十年間足踏みしておって、十年後にふっと上がってしまうというのではない。ずっと毎年傾斜的に上がっていくのでありますから、十年間はとまっておるというふうなわけのも一のじゃないのでございます。それからまたボーダーラインと称しますか、低所得層がございますことは事実でありますが、程度もありまして、生活保護を受けるものと全く同じ、あるいはそれ以下だ、そういう人が五百八十万人、百六十万世帯おるというのじゃないのであります。一番ひどいどん底の今の生活保護なり、それに近い、下手をやるとそこに落ち込むかもしれないという辺が、今の百六十万世帯といっておるものでありますから、同じものの中から、ただこれだけを引き抜いて、保護世帯とする、考え方はこういうのじゃないのであります。程度の違いはある。そこに落ち込んでは困るという辺が百六十万世帯ある、こういうことでありますから、全体同じものの中から、生活保護のものをただ限られた数だけ引き抜くというのじゃないのでありますから、そこはお言葉の都合ではありましょうけれども、同じものだ、こういうのじゃないのですから、そこは御了解願えるだろうと思います。
  70. 小林進

    小林(進)委員 ですから、私は自分の言葉じゃなくて、あなた方の資料質問しているのです。その資料の中には、それは科学的、物理的にきちっと同じだとは言えないけれども、あなた方の言葉の中に生活保護者同様の——同様のという言葉なんですよ、すれすれとかややそれに近いということじゃないのです。同様の水準にあるもの、同じものという、それは科学的、物理的には違っているでしょうけれども、同様という言葉をもって表現をせられているのであります。私どもはボーダー・ライン層というものは生活保護者よりは幾らかの格づけがあって、すれすれだという言葉を使ってきたものでありますが、今度厚生白書の中にはそのすれすれの言葉もなくして同様という、水準の同じという言葉を用いているのでありますから、そうすると、同じものの中からどうして一体七万四千世帯を選ぶか。これは大臣がお選びになるのでございますけれども、末端の機構は、民生委員でも、社会福祉司でも、これは大へんな仕事なんだから、それを皆さん方は一八%だけ生活扶助費を引き上げたという、このキャチ・フレーズでごまかしておきながら、現実は今の生活扶助費を受けている人たちだけは若干の余裕があるだろうけれども、新規の人たちを何も救い得ない。むしろ罪を作る改正になるおそれがあるではないかということを言っているのでございまして、これは私の思い上がった、私ひとりの考え方じゃなくて、先ほども言っているように、これを担当いたしておりまする各町村長だとか、あるいは自治体の管理者やら関係者が一様に私どもに言ってきているのであります。一体これをどう適用して、ピックアップしていって公平に処置するか。まことに困難きわまりないような状態を引き起こすおそれがございます。そこへいっているのです。しかも今度はそれに対して皆さん方は、この生活保護法を適用されるときには、一体どういう取り扱いをされるか。これはあまりにも官僚的な、冷たい仕打で今度臨まれる。この臨まれるというのは、今も言うように六十万世帯だとか、今度はそれを七万四千世帯ふやすとか、ちゃんとワクを、生活保護者の実態に即さないできめておるのだから、このワクの中に当てはめようとされるのですから、そこに私は無理があると言うのです。だから言葉をかえていえば、ほんとうに生活保護あるいは生活扶助に該当するものがあったら七万四千世帯にこだわらないで、何十万、何百万人もこれを……(発言する者あり)あなたは厚生省の課長になったつもりで発言されるけれども、あなたは課長じゃないのです。一体現実にそういうことをおやりになりますか。これだけ私は聞いておきましょう。
  71. 古井喜實

    古井国務大臣 これが生活保護に当たるか当たらぬかという条件は、ちゃんとあるのでありますから、それに当たる人間が……(「くじ引きみたいなものだ」と発言する者あり)くじ引きじゃなくて、条件があるのですから、当たる人間がもっと多かったというなら、それは予算が足らぬのですから予算を補う措置を講ずるのであります。これは見込みでありますから、これはもう問題ない、当然のことであります。
  72. 小林進

    小林(進)委員 被保護世帯の生活水準の割合は、次のごとく低下しているということを書いてあるのでありまするが、昭和二十六年には一般の生活水準を一〇〇として五六だ。それが昭和三十五年になったら四〇に低下しておる、こういう数字が現われているのでありますが、この百分の四〇が、今度の一八%の引き上げによりまして、どの程度まで比率を上げることができるのか。これは社会局長さんにお伺いいたしたいのであります。
  73. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 御指摘の資料は、厚生白書の中にもございますが、これは被保護世帯、それから東京の勤労者世帯、それの消費支出の実態の比較でございます。それはお話しのように、昭和二十六年は、一般世帯を一〇〇といたしました場合に、被保護世帯一人当たりの支出というものは五六・五であります。それがだんだん差が出てきまして三十四年では約四〇になっているということでございますが、これが、今回の引き上げをやりましたら、どのくらいに上がるかというお話でございますが、これは私どもの方は基準を引き上げておりますが、この実態生計というもので本来比較しなければならぬ。と申しますのは、被保護世帯のうち半ば以上の人は何らか働いて、そうしてそちらの方の賃金収入というものがございます。従いまして、そういうものとか、いろいろな要素が加味されますので、この基準を引き上げたその通りのものがここに出るとは申せないのであります。従いまして、私どもはここで、今回引き上げた場合にこの格差がどうなるかということは、実は申し上げることはできないと思います。しかしながら、若干それだけよくなることは事実でございまして、これはやはり私どもの基準の改定のほかに、他の賃金政策なり保護政策なり、そういうようなものと相待った結果、それがもっとよい結果となって出てくるであろうということは期待しておりますけれども、それがどの辺ということは今日申し上げることはちょっと……。
  74. 小林進

    小林(進)委員 それは今も言うように、何ら他に所得のない純粋な保護世帯だけですか。
  75. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 こちらの根っこの方のあれが純粋の保護世帯でないわけです。全体の比較でございますので…。
  76. 小林進

    小林(進)委員 時間もございませんから、私はこのほかにまだ質問がたくさん用意してありますので、急いで一つ申し上げてみたいのでございますが、厚生白書の六十八ページにある、現在わが国の低所得階層はおおむね三つのグループに分かれておるという分類の仕方を非常に興味深く拝見したのでございますが、その第一は老齢者、母子、身体障害者、精神薄弱者など稼得能力のない、また能力のきわめて低い人々だ。第二は長期の疾病によって低所得者に転落をした人たちである。第三のグループは、零細業者、零細専業農家、日雇い労働者あるいは零細企業従業者など、働いてはいるが、その収入がきわめて少ない人たちである。こう三つに分けられているのでございますが、第一のグループは主として公約年金制度によって生活は保障さるべきであるが、発足している年金の給付水準が必ずしも満足すべきものでないために、生活保護制度によってこれが補われている。第二の問題は、医療制度なり、あるいは公衆衛生制度における疾病対策によって保護されるべき人人であるが、これもこの制度が不十分なために生活保護制度によってその欠陥が補われている。第三のグループについては、生活保護制度自体がこれらの人々の収入を補てんする作用を営んでおるのであるが、特に日本における最大の矛盾は第三にある、こう指摘しております。完全雇用と最低賃金法が実施されておれば当然これはもう解決をする。生活保護法の恩典なんかに浴する必要はない。ところがその完全雇用もなければ最低賃金法も実施されてない。言葉だけでは福祉国家、文化国家ということを言いながら、でき上がっておらないから、働きながらなおかつ生活保護法のめんどうを受けなければならないという、こういうばかげた現象が起きているのでございますが、現在保護を受けている六十万世帯のうちで、働いていてなおかつこの生活保護の世話を受けている者が六割を占めている。働きながら生活保護を受けている者が六割もいるというこの問題を、大臣一体どうお考えになっておるか、一つ私は御所見を承りたいと思います。
  77. 古井喜實

    古井国務大臣 働いておる人の賃金水準が低いというために生活保護を受けるということであれば、これはまことに賃金水準の問題になってきまして、その方面をこれから改善していくという努力をしなければならぬことだと思うのであります。しかし働く能力の程度に応じたりして収入が十分でない、こういう部類の人もあると思います。そういう人はやはり生活保護というものとからみ合って、この人たちに援助を与えるという道をとるほかはないだろうと思うのであります。しかし大きくいえば賃金水準が上がっていくというところが大事なことだと思うのでありますから、そこに一つの大きな問題があると思うのであります。
  78. 小林進

    小林(進)委員 ただいまも大臣の言われるように、働きながら生活保護を受けている方々が六十万の中の六割を占めているという。その中には不完全就業の方もあるだろうし、あるいはまた世帯員が結核や精神病になって入院していて医療費が多額にかかるというような問題もありましょうけれども、それをも除いてなおかっかなりの常用の労働者あるいは日雇い労働者、こういった人たちがこの生活保護なり生活扶助の中に含まれているということは、私たちは大臣に非常に重要視してもらわなければならぬ。これは厚生大臣だけの問題ではございません。労働省の問題でもありますが、これは一つ重大に考えて、早急にこういうものの解決のために私は努力をしていただかなければならないと思う。  次に生活保護基準引き上げの問題なのでございますが、保護基準の引き上げの中で、生活扶助の引き上げをおやりになった、勤労控除の引き上げもおやりになったというが、この中で食物費、食べ物の費用をどのくらいお引き上げになりましたか、それを一つお聞かせ願いたいと思います。
  79. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 現在の標準五人世帯、これの生活扶助費は九千六百二十円でございますが、その中において飲食物費が六千九百八十八円。それが今回の改定によりまして、全体として一万一千三百五十二円、その中で見合いまする飲食物費の額が七千七百二十二円、率で申しますと一〇・五%ほど増加しております。
  80. 小林進

    小林(進)委員 まず第十五次の基準で飲食物費が六千八百五十六円のものが、今の御説明通り、第十六次に至って六千九百八十八円にお引き上げになった。今度それを七千七百二十二円にお引き上げになって、一〇・五%上げられたというのでございますが、先ほどの局長の御答弁では、栄養審議会等の三十三年の国民の栄養調査を参考にしてこれをお引き上げになったと言われるのでございますが、私どもが調べました国民の栄養白書によれば、都市動労世帯、農家世帯、被保護世帯、この三者を比較いたしまして、被保護世帯の栄養の摂取がどんなに少ないものであるかということが具体的に示されている。それは局長よく御存じのはずですから、私はこまかいことは言いませんが、具体的に示されている。同時に三十四年度と比べて三十五年度の栄養の摂取は、白書の中でもあまり進んでいない。ほとんど栄養のレベルは高まっていなくて、その内容によれば、国民の二五%が栄養失調になっているという、これが白書の概要です。国民の二五%が栄養失調になっている、こういうように報ぜられているのです。   〔委員長退席、滝井委員長代理着席〕  その中で一般の国民や農家世帯と比較して、被保護世帯がでたらめに低い。そうして平均して国民の二五%も栄養失調にかかっているという中で、わずか一〇%の引き上げをいたしまして、一体これで人間として暮らしていけるのですか。暮らしていけるとあなたは判断されますか、一つお聞かせを願いたいのであります。
  81. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは栄養白書の方でどういうふうに書いているか私ちょっと存じておりませんが、国民の二五%が栄養失調にかかっているということは、私としてはちょっと解せないところでございます。それはそれといたしまして、私の方のデーターに使いました——これは二六%のときのデーターでありまして、大体この栄養審議会で日本人のカロリー所要量というものを出しております。それを使ったわけでございますが、そのときは大体従来私どもが軽労作という、つまり非稼動の世帯を基本にいたしまして、そして稼動をいたします方々については勤労控除という方面においてその点を調整していく、こういうやり方をとっておるわけであります。そこで二六%のときには少しその面を変えて、日本人の日常生活の労作というものをとりたいという気持もあったのでございまするが、いろいろな点で今回は従来通り軽労作という、つまり非稼動世帯を基本にいたしましてやる。先ほど申しました六千九百八十八円が七千七百二十二円になった、これは非稼動世帯の軽労作のカロリー基準でございます。従いましてこれをもって直ちに生活保護家庭の方々がこれだけで飲食物、栄養をとっているのだということではございませんで、これは申し上げるまでもないと思いますが、やはり先ほど御指摘のように六割弱の人たちは何らかの意味において働いて収入を得られておるわけであります。それから母子家庭というふうなところには加算という制度もあるわけであります。そういうような勤労控除なり加算というものによってこれがカバーせられていくわけでございまするので、私どもといたしましてはこれをもって決して十二分だとは申しませんけれども、大体栄養としては他の国民の、ボーダー・ライン層の低所得の方々とのかね合いというものを考えてみますれば、これによってまずまず最低生活の保障はできるものだと考えておる次第でございます。
  82. 小林進

    小林(進)委員 厚生大臣に私はお尋ねしたいのでありますけれども、あなたが所管をしておられる厚生省の中で、この国民栄養調査というものが、厚生省の名において行なわれていますが、それによりますと、各栄養素とも三十四年は前年とほとんど変わりがないという三十五年度の報告が現われている。その変わりがない三十四年度の国民栄養調査には、国民の二五%が栄養失調になっていると明らかに示されている。それと、今の生活保護法の中で一〇%の引き上げをして、そしてこれでカロリーは十分だというその主張は、実に矛盾をしているではございませんか、矛盾をしていませんかね。  私は、もう時間がないから次の質問にいきますけれども、同時に朝日裁判の控訴をおとりやめになる決意はございませんか。
  83. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 栄養のあれは、私は先ほど申しましたものを読んでおりませんので、これは早速調べてみます。そういうことについてはちょっと私の方でも解せない点があります。何かそこに幅があると思います。  それから朝日裁判の関係は、私どもとしてはやはり納得のいかない点がありますので、現在の裁判の手続で許される限りにおいてはやはり十分審議を尽くしていただくつもりで、東京高裁に控訴したわけでございますから、ただいま取り下げる考えはございません。
  84. 小林進

    小林(進)委員 生活扶助費を今一〇・二%引き上げられたというのは、生活保護者にぜいたくをさせるためにお引き上げになったのでありますか。引き上げたからには従来の厚生省の基準では、人間として、憲法二十五条で定められたその生活ができないということを厚生省みずからが反省をされた。お役人は反省という言葉はきらいでございましょうから、反省と言われては、またぐっと胸につかえるものがあって、反駁してこられるかもしれませんが、とにかく従来食っていけないから一〇・二%お上げになったのでありましょう。それならばあなた方がお認めになった通り、食えないから食われるだけのことをすべきだという、その裁判が事実のままに正当性が証明されたことになるじゃありませんか。食えないから食費の代は一〇%引き上げてやるけれども、朝日裁判には承服できないということは矛盾している。何か意地をお張りになっている。意地っぱりはおやめなさい。国家の行政は、そんな意地や張りで進められるものじゃありませんから、意地はやめて、すなおに取り下げるべきであると私は思うのであります。いかがでございますか。
  85. 古井喜實

    古井国務大臣 朝日裁判のことでありますけれども、今度の基準の引き上げは、今までの基準が憲法違反だから引き上げるのじゃないのであります。そうではなくて、憲法違反とは関係なしに、低いからできるだけ国民生活の底を上げたいということで上げるのでありまして、憲法違反だから上げるというのじゃないのであります。違反でなくたって低いものは上げなければならぬのであります。そこで朝日裁判の方は御承知のように三十一年の事実をもとにして起こっておる争訟でもありますし、保護基準も今日のとは違うのであります。今日の保護基準の問題ではないのであります。また事件がああいうふうになっておりますから、やはり法律問題は法律問題として、憲法解釈は憲法解釈で、明らかにしておいとく方がいいと思います。これは司法権で右にせよ左にせよはっきりと結論を出すことが望ましいとこでありますから、訴訟は取り下げることはないのであります。当然許されておる訴訟をやめる必要はないのであります。
  86. 小林進

    小林(進)委員 朝日裁判とか生活保護法の問題は、いわゆる生活扶助費が高い低いの問題ではないのであって、これは人間として生きられるか生きられないかの問題でありまして、朝日裁判においては、三十一年度のあの生活基準においては、とうてい人間らしい生活ができないという公正な裁判の判定がなされたわけなんでありまして、この現実は、そのつどしばしば改定がありましたけれども、やはり生活扶助費を改定していくからには、私は厚生省みずからもそこにやはり反省がなくてはいけないと思う。時代が違う、年代が違う、あの当時はあれでよかったんだという、そういう主張はかたくなな、いわゆる官僚システムの中にだけは通ずるかもしれませんけれども、一般国民の常識としては通用しないのであります。これは一つ大臣はすなおな気持でこの問題は、今の生活扶助費を引き上げたこの機会において、いま一度大臣らしい腹の太いところで、再考慮していただきたいと私は思うのでありますが、この問題は時間もありませんからこんな程度にしておきまして、私は結論として申し上げたい。  現在のエンゲル係数でいきましても、都市の勤労者世帯は三九・八%、農家世帯が四七・四%に対して被保護世帯というものは五七・六%を食費で占めている。五七・六%を食費で占めながらも、その内容というものは実に貧弱で、被保護世帯の中には、明確に三分の一は栄養失調に陥っているという数字も出ているのでありますから、それやこれやを含めて、一つ先ほど大臣がおっしゃたように、何も一八%でどん詰まりじゃないのだ二六%が絶対なものではないのであって、これは将来ともにやはり努力工夫していくものであるという、そのお言葉だけは、私は素直にちょうだいいたしまして、そういう考え方でこれは大幅に引き上げていただかなければならぬ、かように考えておるのでございまして、われわれ社会党の方では五〇%の引き上げをしてもらわなければならないという要求を出しておりますし、現実に働いておる低所得階層の方々の中からは、一つ基準を二倍に引き上げてくれ、こういう要求を出しているのでございまして、これは二人世帯を基準にした労働科学研究所の調査による最低生活費というものは、二万五千四百円という数字が出ているのであります。二人世帯を標準にして一万五千四百円、労働科学研究所の調査会における最低生活費です。それらからまた人事院の標準生活費、これは標準生活費ですから、あるいは皆さんの方からおっしゃれば、それは最低じゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、ともかく二人世帯にしてこれは一万七千五十円、こういう人事院の数字が出ております。それに地域差を修正いたしまして全国平均一万四千四百二十四円という数字が出ておる。こういう標準の中に、五人標準世帯でともかく全部含めて一万一千三百七十二円ですか。食費だけで五人で七千七百二十二円でやっていけということは、何といっても、どう巧みに答弁をせられようとも、今日の時点における客観情勢、国民の生活状態にまだまだマッチしない、適応していないことだけは事実です。もはや大臣と私と議論をしている場合ではない。現実にはこれはだめなんだから、即応していないのでありますから、これはどうしてもまだまだ努力をして引き上げてもらわなければならない。  なおこれは総理府の統計局、勤労者世帯家計調査、これは三十四年度の古いものでありますけれども、これによったところで三十四年度の平均が二万一千百九円、三十五年度のは、これは一月から八月までのトータルしか出ておりませんけれども、その八カ月分を平均しますと二万二千二十七円、これはみな標準あるいは平均でありますけれども、これから考えていけば、保護世帯の生活はまだまだ今の改定などというものは何といっても適応していないのであります。一つお考えおき願いたいと思うのでございます。私どもの計算によりますと、生活保護基準、現行の生活保護法で給与額を——標準じゃない、六十四才の老人だの三十五才の女子だとか、九才とか八才とか、そういうのでなしに、成年男女二人を標準にしてとりますと、生活扶助が五千百七十二円、住宅扶助が五百四十円、動労控除が千百五十円となって、合計六千八百六十二円です。現行法でいけば、これで成年男女夫婦が一カ月暮らしていかなければならぬというのが、今の生活保護法の内容なんだ。これでは生きていけません。何といってもこれではだめだ。だからこれをわれわれは二倍にしたところで一万三千七百二十四円で、これが成人の夫婦が暮らしていくために最低だと言ったって、私は決して暴言ではないと思う。一万三千円で夫婦二人で最低の生活をさしてくれという要求は、私は暴言ではないと思う。そうすれば、今の基準を二倍にすることなのだ。二倍の要求は私は決して矛盾ではないと思いますから、大臣一つこの点は十分に御考慮おき願いたいと思うのでありまして、われわれの申し上げる五〇%引き上げ、民主団体のいうこの基準額二倍論に対する所見一つ承って、私はこの問題に対する質問を終わりたいと思うのであります。
  87. 古井喜實

    古井国務大臣 生活基準をもっと上げたいということは、先ほど来申しておることであります。これは全体の国民生活の水準が上がっていくにつれて考えなければなりませんし、それからまた経済成長に伴って格差を是正する意味においても、振りかえの意味においても考えなければならぬ問題で将来の問題としては考えなければならぬのであります。五〇%がいいか悪いかということは意見は申し上げません。上げたいということまでしか申し上げません。先ほどお話の成年男女二人そういう場合も普通働く能力を持って、働いて収入を持っておるはずであります。そういう人には生活保護をしないのであります。生活保護は、働けないとか、いわばかかえて生活をさせなければならぬという人でありますから、お話のこともありましたけれども、それですぐどうこうというふうには私どもは結論を出せないのであります。
  88. 小林進

    小林(進)委員 これで打ち切るつもりでしたけれども大臣、これは成年男女というその言葉にこだわってはいけないのでございまして、今申し上げますように総理府の統計局や、あるいは人事院の標準生活費や、あるいはまた労働科学研究所の調査等々のその標準の統計の出し方が全部成年男女二人になっておりますから、それに対抗するために、かりに——あなた方厚生省の方の生活扶助あるいは生活保護は常に五人標準家族で九千円だとか八千円だとかお出しになっておりますから、そうするとこっちの出たのとつり合いがとれませんから、そこでかりに標準家族の五人の中から成年の二人だけを摘出して、そして他のデータと比較してみた。そうするとこれこれになりますよということを申し上げたのでありますから、一つ誤解のないように御了承願いたいと思います。  時間がございませんから私はもう生活扶助の問題の質問はこれで終わりますけれども大臣答弁には全く了承も満足もいたしておりません。これはさらに奮励努力をいたしまして、どうかわれわれの理想に近いように、さらに一つ検討をしていただかなければならぬと、きつく要望いたしておきまして私は次の質問に入りたいと思うのでございます。  これは実は私の分担ではございませんが、また明日一つ医師会会長、歯科医師会会長がお見えになったときにこれはお尋ねしたいと思うのでありますけれども、ただ私の質問は、なるべく他の委員質問に触れないように医療問題をお願いしたいと思うのであります。この医療行政は未曽有の混乱を来たしているわけでございますが、その混乱を来たしているいろいろの原因の中に、一つの大きな原因は、それぞれの関係者がそれぞれの主張を出しているところに、問題がさらにこんがらがってきたのだと私は思う。第一には、日本医師会は、一点単価をともかく三円の引き上げをせい、甲乙二本をそのままにして、ともかく一点単価を三円引き上げて十三円にするという要求をお出しになっていることろへ、第二としては自民党の医療対策特別委員会、俗名山中貞則委員会なるものの案が出て、これは現行の診療報酬の点数の一点単価十円を一律に一点当たり一円五十銭の、一五%の値上げをせよという、こういう二つ合わせてまん中から割るような案を出して、そして大蔵省との予算折衡あたりを一月の六日ころから始めたという問題、そこへもってきて、第三番として自民党の社会保障部会、田中正己案などというものが飛び出して参りまして、これはこまかく、医療費の値上げは病院と診療所との間に差は設けないけれども、一律に値上げをする。値上げは点数引き上げでも単価の引き上げでも、または新しく金額表示の方式をとってもよろしい。あるいは値上げの幅は厚生省案の診療所の値上げの五%程度より高く、病院の値上げの一二%ないし一五%よりも低い程度にする。現行医療費の不合理を是正する点数改定は行なわないが、極端に不合理な点だけはこれを改める。このような妥協案では悪化した病院の経営改善ははかれないので、病院については別に特別融資の方法を講ずる。また三十六年度中に病院経営改善の根本的方策を講ずる。あるいは診療報酬の点数表甲乙二表の一本化問題はたな上げにして、三十六年度中に再検討する、こういうふうな田中案などというものを出している。こうして三つの案の飛び出しているところで、一番私がお尋ねしたいのは、厚生省事務局案というものが飛び出したことだ。いわゆる病院の医療費と、それから診療所の医療費とを区別して、病院の方は一二%から一五%増しにする、診療所の方は五%増しにして、二段がまえの医療費を作るのが妥当であるという、こういう案をお出しなにった。そして四月から診療報酬点数表改定による医療費の値上げを実施するということで、これは私は新聞だけの報道でありますから真疑はわからぬけれども、事務局で非公式に大蔵省と予算折衝を始められたという、これが一月九日の報道でした。こういうようなことをおやりになって、これがこんがらがって、とうとう収拾がつかないで、十九日一せい休業などというところまで火が燃えさかってきたのであります。一体厚生省が病院の医療費と診療所の医療費と区別をするなどという、その根拠はどこにおありになるのか、それを一つお聞かせ願いたいというのが第一です。私はこれが政党の山中案だとか田中案だとかいう、政党屋か政治的に問題を調整するために出した折衷案だとか二つ割り案とかいうなりは、それほど根拠や原因や科学的資料の根拠をお尋ねしようなどという口やかましいことを申し上げませんけれども、いやしくも厚生省の事務当局と銘打って、そうしてこういう五%やら一二%やら一五%やらという数字をお出しになるからには、相当確信のある科学的なデータというものがちゃんとなければならない、それを私は一つ根拠をお示し願いたいと思います。
  89. 古井喜實

    古井国務大臣 医療費の問題について、いろいろな案が現われておった点でありますけれども、これは過程においていろいろ意見が出るのはやむを得ないし、いわばあたりまえのことであるが、最後的に一つの案にきまれば、これは過程の、道中の問題はいろいろな意見が出るのはむしろあたりまえのことであると思います。  それから今の病院、診療所の差をつけた引き上げ、案というものを厚生省事務当局がきめて出したのだというお話ではございますけれども、これは少し事情にも事柄にも、お話と違う点もあるように思うのであります。厚生省の事務当局がいろんな作業をいたしたのは、一体医療費全体としてどのくらい引き上げたらよいものかということを積算するために、つまり一〇%ということに結論は出たのでありますけれども、その出るまでの積算の基礎としていろんなことを——診療所はどのくらいな経費がかかるか、収入がどうあるものか、病院はどういうように経費がかかって、どういうように収入があるものか、つまり病院や診療所の経営が成り立たなければならぬのですから、どれだけ一体無理があるか、全体としてどれだけ医療費を引き上げなければならぬかということを積算するために計算をしたものが厚生省事務当局のさっきおっしゃるものなのであります。そこで、これはそういうふうにして一〇%引き上げという根拠が一応できたのでありますけれども、そのできたところの一〇%は、全体としては医療費の無理をカバーできる、こういうことになりますけれども、これは実際的に病院、診療所——病院にしても診療所にしても事情が違う、どういうふうに具体化して実行するかということは今度は別個の、第二の問題になるのであります。厚生省当局の計算しておったのは、一〇%が出るまでの積算の基礎の問題なのであります。それがたとえば一律単価引き上げになるか、あるいは点数是正という形になるかは第二の問題でありまして、必ずしも同じ問題についていろんな意見が対立してぶつかっておったというようなことでもないのであります。事柄がそうなのであります。それから病院についていろんな計算をしておった、これは病院だけじゃなく、診療所にしてもそうでありますけれども昭和二十七年に医業の実態調査をしておったものですから——その実態調査は古いものですが、新しいものがないのであります。それをもとにして賃金ベースあるいは物価、あるいは生計費、そういういろんな変化を織り込んでスライドして、その診療機関の経営が成り立つようにするにはどれだけの金が要るか、こういう計算をしたものであります。   〔滝井委員長代理退席、委員長着席〕  病院の方では、御承知のように設備がどんどん新しくなってよくなっていく、またいろんな検査や手術の設備も非常に新しくなって改善されてくる、そういう面がありましたり、従って入院料だってあまり安くては成り立たないというような面がありましたり、従業員も多数かかえており、そういう従業員の給与もだんだん上げなければならぬということもありましたり、そういうことで中途の作業の間にああいう数字が出たということなんであります。詳しいことは、滝井さんのいつぞやの御要求もありましたし、あらためて事務当局から御説明申し上げますけれども、そういう意味のものであったわけであります。
  90. 小林進

    小林(進)委員 時間もありませんから、私は急いで結論だけ申し上げますけれども、われわれのキャッチいたしました情報に関する限りは、積算の基礎を厚生省がお出しになったという程度のものではなくて、やはり病院と診療所とのそれぞれの医療費の価格に差をつけて、大蔵省と非公式な予算折衝を百三十億とか百五十億を目途にしてやられたけれども、十一月十四日になると、どうも諸般の情勢上厚生省が工合が悪くなって、厚生省は二転してまた医療費の引き上げは病院、診療所の取り扱いに差を設けない方針に変わったということを一月十五日に報道をせられておったのでございますが、それは大臣のお言葉通り、そんなことはない、積算の基礎だけをやったというならそれでもよろしいが、一体このデータはどうなんです。厚生省案なるものによりますと、現行点数表のままでいくと、三十六年度の推定収入として、病院は月平均二百三十七万円であって、そうして一カ月四万円の赤字になる。所要経費の一・五%の欠損だ。診療所は二十三万円の月平均収入があって、一カ月一万四千円の黒字だ。五・八%の黒字になっていく。こういう厚生省の原案ができ上がっている。診療所の二十三万円というのは月に二十四万円という、こういう数字もある。若干、一万円の開きがありますけれども、それによると、一日の診療患者が四十七人、一カ月の総収入二十四万円、その二十四万円から必要経費を差し引いた医師の純所得というものが十一万四千円であるといっているのですよ。こういう厚生省のいわゆる原案なるものが作成せられているというのであります。その四十七人という患者の数は一体どこから出たかというと、昭和二十七年の調査に基づく二十四人平均が、三十六年度に四十七人に増大をする、こういう数字の上に成り立っているというのでございます。これは私はうそじゃないと思うのでありまして、こういうデータを厚生省がお作りになったことは間違いないのでありますから、一つ資料をちょうだいいたしたいと思いますが、いかがなものでありましようか。
  91. 古井喜實

    古井国務大臣 ただいまの資料、滝井さんからも先般御要求がありまして、それで出せるか出せないかでありますけれども、滝井さんの御要求のものとぴったり同じものかどうか検討しなければならぬので……。(湾井委員「同じものです」と呼ぶ)同じですか。御要求があって出すことにしておりますから……。
  92. 小林進

    小林(進)委員 私は医療費の問題は別にいたしまして、実はこれから本論に入ろうと思って楽しみにしてここまで序論を述べてきたのでございまするが、時間がないというので、私は問題だけ提起しておきまして、そして日を改めて一つ質問をしたいと思う。  それは病院管理の問題についてです。厚生省では、何ですか、病院ストの跡始末について病院懇談会だとか、あるいは、これは新聞の報道ですけれども厚生省は激化している病院ストの対策の一環として医務局の機構改革に着手をせられて、そしてそのために一千五百余万円の予算を獲得せられて、四月から医務局に指導課を創設して、病院に対する行政指導を強化する、病院管理研修所を研究所に昇格させて、何か九人から十七人に増員して、そして病院ストの抜本的対策を講ずる、こういうことになっているそうでございます。時間もないのですから、私は問題だけ出しておきますが、病膏肓に達して、ここまで追い詰められてから初めてこういうどろなわ式に病院懇談会を作ったり——この懇談会も結論が出たのかどうか私は知りませんが、懇談会の性格もこの前の滝井委員質問に対する御答弁を聞いていると、実にあいまいもこたるもので、現状のままで何とか修正したい、改革できるのか、あるのかないのかというような抽象的な結論しか聞かれないようなものでありまするが、そういうものを作って、世間を、われわれからいわせればごまかしてみたり、あるいはまたこういうストに便乗して、役所のセクトとも申し上げたいように予算を獲得して、指導強化などというような形で、そして将来はこういうことをやりますなどというおっちゃらかしの形でおやりになっているが、私の言いたいのは、今まで何をしてこられたか、今まで、今日ここに至るまで一体厚生省の医務局は何をしてこられたかということを私はお聞きしたいのでございます。その結論は今までの問題の中に出ていなかった。滝井さんが専門で全部やりましたから、滝井さすの質問にないのだけ私は言うのだけれども厚生省は、今までずっと病院管理研修所というものがあって、何かやはり病院の管理をやっおられたでしょう。九人もおられた研修所というのは一体今まで何をやってきたのです。今まで病院管理のどのようなことをおやりになってきたのかということを私は聞きたい。特に国立病院は国立大学の付属病院、こういう病院についての医療行政の指導をどのように具体的に一体おやりになってきたのか、私はそれを聞きたい。これは国立病院や国立大学の付属病院だけではない。日赤の中央病院においてもしかり、私立大学の付属病院等にも見られるが、そういう病院の管理指導を今日までどのようにやってこられたかということを聞きたい。特にその病院管理指導の中において、月給をとっている部長や数名の医局員のほかに、日本特有の無給の研究生というものがいる、これを今まで一体どう扱われてきたかということを実はお問いしたがったのです。この無給の研究生、医学部を卒業してから一年間無給で働く、これはインターンとは違うのです。インターンとは違う制度であって、インターンが終って、国家試験に合格したあと、いわゆる一人前の医者になるための修業に五年、十年、ほとんど無給で働いている。しかもその間に医学博士の学位までもとってしまうようなお偉い方も出てきているのでありまするが、こうした者の存在を厚生省は知っておられたのかどうか。いわゆる病院の指導管理をおやりになっからには知っておられたはずでありましょう。こういう人たちの身分、生活あるいは俸給、あるいは社会保障、健康保険あるいは恩給、特に国立病院なんかの場合のそういう関係、病院との雇用関係、あるいは国家との雇用関係、そういうのは一体どうなっているのでございますか。これは、私は相当長い期間でありまするからお調べになっておると思いまするし、特にこの国立病院の問題については、多くの問題が出てきております。これは大臣に申し上げまするが、国立病院においてはこういう無給の研究員と称する者が——これは、国立病院なら、医師は、医師であると同時に国家公務員のはずだ。ところがこれは国家公務員じゃないのだ。国とも契約していないのだ。しかしこの人たちが現実において主治医と称しておる。主持医と称して、重大なる診療、医療に携わっております。こういう人たちがもし過失を起したら、これは一体だれが責任を持ちますか。こういう問題も含めておりますし、現実にその問題が起きている。これは私が具体的に名前を言わぬでも、医務局長、次長も御存じでしょう。御存じだと思うが、御存じありませんか。これは基本的な人権の問題であり、人の生命にも関する問題であります。これは、現在起こっている病院ストとはもっとかけ離れた、基本的な、日本の医療行政全般に関する重大問題でございまするから、私はここでおっちゃらかし答弁はお聞きしたくなない。この問題だけでもきょうは私は半日くらい一つ厚生大臣の胸をはたいて医療行政の根本的なあり方の問題としてお尋ねしたかったのでありますが、残念ながら時間がありません。何といっても時間がございませんから、これは問題だけを提起しておきます。資料はこれです。これだけあるのです。そのために大事な命を失った者の切々たる記録もこの中にあるのです。私は、この責任を一体厚生省の医務局がどうとっていただくかという問題も含めて、私は後日あらためてお伺いしたいと思います。
  93. 山本猛夫

    山本委員長 次会は明十六日午前十時より開会いたし、参考人より意見を聴取いたしますから、定刻に御参集願います。  本日はこの程度にて散会いたします。    午後三時四十一分散会