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1961-08-08 第38回国会 衆議院 災害対策協議会農林水産小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年八月八日(火曜日)    午前十時四十八分開議  出席小委員   小委員長 秋山 利恭君       大森 玉木君    金子 一平君       竹下  登君    中野 四郎君       角屋堅次郎君    久保 三郎君       下平 正一君    芳賀  貢君  小委員外出席者         協 議 委 員 壽原 正一君         農林政労次官  中馬 辰猪君         農林省大臣         官  房  長 昌谷  孝君         農林省大臣官房         総 務 課 長 石田  朗君         農林省農地局         参  事  官 堀  直治君         林野庁指導部長 大野 文夫君     ————————————— 八月八日  小委員久保三郎君同日協議委員辞任につき、そ  の補欠として芳賀貢君が委員長の指名で小委員  に選任された。     ————————————— 協議事項  災害対策に関する事項      ————◇—————
  2. 秋山利恭

    秋山委員長 これより災害対策協議会農林小委員会を開会いたします。  災害対策に関する事項について議事を進めます。  この際、農林省当局より提出されました資料について説明を求めることといたします。大野林野庁指導部長
  3. 大野文夫

    大野説明員 ただいまお手元に配付いたしました資料につきまして御説明申し上げます。  三十六年のいわゆる梅雨前線豪雨災害以降七月中におきましての諸災害につきまして、被災地要求量は、全体におきまして約三万八千立米であります。その中で、七月末までにすでに供給済みのものは千四百九十一立米でございます。なお、残量につきましては、当初、要求量につきましても、月別に、七月分につきましては千四百九十一、八月につきましては一万八千、九月につきましても一万八千六百、こういうような御要求がございまして、それに合わせまして今後供給して参りたい、かように考えております。  なお、非常災害の場合におきます国有林の売り払いに関しまする特別の処置といたしまして、物品の無償貸与及び譲渡等に関する法律に基づきまして、災害救助法が発動された場合におきましては、都道府県の行ないまする応急仮設住宅の建設、あるいは市町村管理いたしまする橋梁、道路等公共施設応急復旧につきましては、五割以内の減額をすることになっております。その他の場合につきましては、適正な価格で売り払いを行なうことになっております。また代金の延納につきましては、復旧用材の売り払いにつきましては、いずれも延納措置が講ぜられておるのでありますが、直接個人に売り払う場合につきましては、担保を徴しまして売り払います。公共用の場合につきましては、無担保で売り払うことに相なっております。  以上をもちまして、簡単ですが、説明を終わります。
  4. 秋山利恭

    秋山委員長 ただいまの説明に関しまして御質疑があれば御発言願います。
  5. 下平正一

    下平委員 払い下げの量はどういうふうに改正しましたか。
  6. 大野文夫

    大野説明員 量につきましては、応急復旧材としての払い下げの御要求通りに提供いたすことにしております。
  7. 下平正一

    下平委員 応急復旧はわかりますけれども恒久復旧の場合はどうなりますか。
  8. 大野文夫

    大野説明員 恒久復旧につきましても、当初におきましては三分の一以内ということになっておりましたが、三十四年の十月に改正いたしまして、一応、量的には制限を置いておりませんが、原則といたしましては、その事態をよく見まして、それに応じまして、復旧材を出したい、かように考えております。
  9. 下平正一

    下平委員 ということは、全量と解釈していいのですか。これは三十四年災のときもだいぶ問題になったのです。
  10. 大野文夫

    大野説明員 その地方によりましては、絶対に国有林でなければ供給できないというものにつきましては、全量出すことになっております。ただ、地方の製品としまして、地方にも一ぱいあります場合におきましては、これらを勘案いたしまして復旧材を出すことにしております。
  11. 下平正一

    下平委員 これは非常に現地では困るので、三十四年災のときに非常に問題になったのは木曾谷です。御承知のように九〇何%国有林で、復旧資材の大部分国有林以外にないのです。民有林はすべて牧草地帯です。それでも三分の一というような制限がついて特に上松町、野尻等々営林署の所在地でも非常に不便を感じておるのです。今度の場合、今言った他から供給のできるような状況があれば制限をするということなんですか。
  12. 大野文夫

    大野説明員 制限と申しますか、他にあります場合は、それを勘案しまして配給量を決定していく、こういうことでございます。それで、先生おっしゃいましたように、三十四年に木曾地区におきましてそういう問題が起こりましたので、その十月でございますが、それ以前におきましては三分の一以内ということになっておりましたが、その林野庁通達を廃止、訂正いたしました。
  13. 下平正一

    下平委員 そうすると、これは市町村等と相談をして、十分この全量確保できるような措置はやっていただけるわけなんですね。
  14. 大野文夫

    大野説明員 そうでございます。
  15. 下平正一

    下平委員 ついでに、個人のはどうなんですか、数量的には制限はどういうふうになっておりますか。たとえば、坪何石で何坪以内というような制限はあるんですか。
  16. 大野文夫

    大野説明員 これは私の方といたしましては、大体応急復旧材につきましてはただいま申し上げましたようなことでございまして、個人恒久復旧材につきましては、先ほども申し上げましたように、他に求められない場合におきましては全量を出すこともできる。これは全量を出さなくてはならぬというふうには私どもやっておりませんが……。
  17. 下平正一

    下平委員 そうすると、坪数とか、そういうものは制限ないんですね。たとえば、ずいぶん大きな家があるんです。御承知のように、お蚕を飼っていたり、それから、昔の家ですから、今の公営住宅の二十二坪半とか十二坪半というものじゃなくて、五十坪、百坪というのがざらにあるのです。そうすると、大体坪当たり二石半ぐらいかかります。そういう意味で、坪数とか、そういうものには制限なしに、条件が許せば出す、こういうふうに解釈していいのですか。
  18. 大野文夫

    大野説明員 今先生のおっしゃいました通りでございます。ただし、国有林材を出すのでございますから、特にどうしても国有林材が必要だというような判断が必要なわけでございます。一般市販のものがすぐそこで手に入るという場合におきましては、そのものは差引ます。
  19. 下平正一

    下平委員 そこが非常に問題なんで国有林払い下げてもらうのは、市販と同じ値段で同じ価値のものなら、何も国有林払い下げてもらわなくていい。災害の場合は、地域的に見ても、常識的に木材は上がりますよ。そこで、国有林にたよるというのは、安いものを手に入れて復旧したいという気持ですから、これは勢い国有林にみんないきます。  そこで、第二番目にお伺いしたいのは、個人に売り渡す場合は市価より安いという表現になっておりますね。公共の場合は二分の一減額ができるということになっているわけです。個人の場合の売り渡し価格というものは、どういうことで算定をしているのですか。
  20. 大野文夫

    大野説明員 ただいま国有林の売り払い価格算定は、もよりの市場がございます、その市場におきまする平均の市場価格基準といたしまして、それから逆算して算定をしております。
  21. 下平正一

    下平委員 そうじゃないのですよ。災害の場合の払い下げは、災害の起こる直前価格ということになっているわけでしょう。
  22. 大野文夫

    大野説明員 ただいま申し上げましたのは一般の場合でございまして、災害の場合は、先生おっしゃる通りでございます。
  23. 下平正一

    下平委員 そうですね。そうすると、指導部長さん、大体国有林にたよるというのは、木材価格が安い価格というところが魅力なんです。御承知のように、他に材木があるかといえば、あります。ありますけれども値段が不当に上がってきたり、あるいは不当と言わなくても、騰貴するものですから、安い国有林にたよるわけです。そこで、災害の起きる直前市場価値ということに、安い価格という基準をとったはずなんですね。そうすると、勢い今度の災害伊那谷その他は、国有林払い下げにかなりたよっているわけですね。だから、そういう意味でいきますと、他に求めるのがあれば、少々高くというか、ほかに材木があれば国有林払い下げぬのだということだと、だいぶこの地域の住民としては影響が大きいのです。だから、要求があれば払い下げていただく。要求をする方は、ほかにあっても、こっちを買ったのじゃ高くて復興ができない、幸い国有林災害直前価格で安いから、もらいたい、こういうのですね。だから、全量ほしいという人が大部分なんです。そういう場合に、ほかに品物が売っているから——値段のことは別だけれども、ほかに売っていれば国有林払い下げは三分の一なり二分の一に制限するということでは、ほんとうに災害復旧用国有林払い下げというものは意味がないということなんです。そういう意味で、これはあなた方の指導だと思いますが、要望があったらこれは無制限——それを買って一もうけしようというのは別だが、少なくとも元の家屋を復旧する必要石数くらいは全量個人にも払い下げていただくように指導していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  24. 大野文夫

    大野説明員 御趣旨はよくわかりました。指導の面において善処して参りたいと考えています。
  25. 久保三郎

    久保委員 集中豪雨に関してではございませんが、やはり災害としてどういうふうに考えられているか、農林省にお尋ねしたいのであります。  この集中豪雨以前の旱魃でございます。これは地域的にはそう広範囲ではないと思うのでありますが、特に私ども関係しておる北関東の茨城、栃木、さらには福島というようなところは、顕著な被害をこうむっているわけで、県並びに関係団体においては今日まで一応の対策をしているわけなんですが、従来の例に見ますれば、これも従来と同じように措置すべきものだ、こういうふうに考えておるのでありますが、農林省としてはどういう措置をとられておるか、この点を一つ……。
  26. 堀直治

    堀説明員 ただいま、卓越の被害は大体集計ができましたので、取りまとめまして、大蔵省に予算の要求中でございまして、要求いたしました内容は、大体従前の取り扱いの通り補助をしてもらいたいということで出しております。
  27. 久保三郎

    久保委員 従前通りというと、全国的に大早魅がありました当時のような形と了解してよろしゅうございますか。
  28. 堀直治

    堀説明員 その通りでございます。
  29. 秋山利恭

    秋山委員長 それでは懇談に入ります。      ————◇—————   〔午前十一時二分懇談会に入る〕   〔午前十一時十分懇談会を終わる〕      ————◇—————
  30. 秋山利恭

    秋山委員長 懇談は終わりました。この際、北海道新潟地方における水害に関し、農林関係状況及びその対策等について農林省当局説明を求めます。昌谷官房長
  31. 昌谷孝

    昌谷説明員 前回の小委員会で、とりあえず、北海道につきまして、七月二十六、七日ころの状況を、当時わかりました状況だけ御報告申し上げましたが、その後の状況等を若干補足して申し上げたいと思います。  北海道の二十六、七日以降の集中豪雨によります被害状況は、田畑冠水面積で申し上げますと、約二万一千五百町歩、特に御承知のようにあそこは四つの統計事務所に分かれておりますが、それを申しますと、札幌管内がそのうち大半の被害、つまり石狩川関係だろうと思いますが、そういうふうな状況でございます。  同時期に、四国の高知でも約二千町歩ほどの冠水報告せられております。  それから引き続きまして、その後、御承知のように新潟あるいは福島等にも集中豪雨被害がございました。新潟の場合は、冠水面積にいたしますと約二万町歩福島県が約五百町歩ということで、特に新潟県が約二万町歩冠水をこうむったようでございます。冠水日数その他につきましては、詳細な報告が、北海道の場合も、新潟の場合も、日数別冠水状況等資料はまだ整っておりません。時期といたしまして、御承知のように、北海道の場合も新潟の場合も穂ばらみ期と申しますか、そういう関係もございますので、時期としてはまことにまずい時期であろうと思います。従いまして、冠水日数割合被害が多いというようなことが懸念せられておるわけであります。  なお、農林関係施設被害につきまして、北海道庁からその後の報告に接しておりますので、申し上げてみますと、総体で約十九億円の施設被害というふうに道庁の方から報告が参っております。うち、農地関係が約六億二千七百万、それから林野が約十二億七千六百万、林野被害がやはり相当激しいようでございます。特にその中でも治山関係被害が大きいように報告せられております。それから、水産の関係は幸いさほど大したことはございませんで、約二千六百万円程度というふうに報告を受けております。  なお、新潟につきましては、報告時期が間近なために、正確と申しますが、まだ全部の調査が終わっていない関係もあろうかと思いますが、八月七日現在でこちらに入手いたしました状況に関する限りは、新潟施設災害は約一億八千万円という程度報告でございます。  大体以上が北海道、それから新潟につきましての当面の問題でございますが、作物被害につきましては、いつもそうでございますように、目下統計調査部に至急の報告の取りまとめを命じております。若干日時をおかしいただきたいと思います。  以上でございます。
  32. 秋山利恭

    秋山委員長 ただいまの説明に関して御質問があればお願いいたします。
  33. 壽原正一

    壽原協議委員 北海道へはまだ査定派遣官をやっておらぬようだが、いつごろやる予定になっておるか。
  34. 昌谷孝

    昌谷説明員 北海道査定官を派遣いたしますのは、今月下旬に予定をいたしておるそうでございます。
  35. 壽原正一

    壽原協議委員 今月下旬ということになると、水害があってから約一カ月を経過するようになるのだが、北海道の場合には、内地の各県と違って、今月末にはもう作物の植えかえもできなければ、どうにもできないという状況土地柄、こういうことを勘案して、一日も早く派遣するような状態にしてもらいたい。それより縮めることができるかどうか、ちょっと答えてもらいたい。
  36. 昌谷孝

    昌谷説明員 災害査定という正式の各省立ち会い査定は、ほかの省の関係もございますので、なんでございますが、今後御趣旨に沿って極力繰り上げるように努力をしてみたいと思います。なお、今お話に出ました、その他一般的に災害に関連しましての本省指導その他も合わせての問題であろうかと思います。その植付あとの問題というようなことでございますれば、それらにつきましては、なお中央の方から専門の技術屋等を特に派遣する等、考えてみたいと思います。
  37. 壽原正一

    壽原協議委員 農林省だけ独立して査定官派遣というようなわけにはいかぬのですか。
  38. 昌谷孝

    昌谷説明員 昔と申しますか、数年前には、こちら限りで県庁や、北海道の場合は道庁と相談して査定し、それをまとめた上で財務当局とも折衝するというようなことをやったこともございましたけれども、いろいろ経験を重ねて参りますと、二度手間、三度手間になって、かえって手間どりますので、現地立ち会い査定ということにいたすのが、現地にとっても結局一番御便宜だという最近の結論でそういうふうにやっておりますので、その点はやはり立ち会い査定が一番御便宜でもあろうかと思います。それを御趣旨に沿ってなるべく早期に実施いたしますように努力いたしたいと思います。
  39. 壽原正一

    壽原協議委員 それじゃ私からの要望を申し上げておきます。北海道全道民は、北海道では今までこういう災害がなかったために、この災害のために非常に混乱を来たしておるというようなことですから、一日も早く派遣していただくように、各省ともよく連絡の上、その日程等につきましてはすみやかに御協議を願いたい。  以上でございます。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 今の官房長北海道被害概況数字は、これはいつごろのものですか。
  41. 昌谷孝

    昌谷説明員 施設災害につきましての報告として先ほど申し上げましたのは、農林省が八月七日現在で入手しておりました関係県の一番最新の資料を用いたわけであります。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 それは道庁報告告ですか。
  43. 昌谷孝

    昌谷説明員 道庁報告でございます。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 農作物被害面積は、冠水面積だけですか。
  45. 昌谷孝

    昌谷説明員 先ほど申し上げました冠水面積は、統計調査部の四事務所から集めました冠水面積を申し上げたわけであります。十九億何がしという施設災害金額表示で申し上げましたのは、道庁数字を申し上げたわけであります。なお、作物被害につきましては、まだ金額的にあるいは数量的に申し上げる資料が私ども手元にございませんので——道庁の方は独自に、八十何億というような数字をこの前出しておられたように思いましたけれども作物被害については、統計調査部数字が出た上で豊林省の方では申し上げることにしております。施設の方だけ道庁数字で申し上げました。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 それにしても、道庁報告をもとにして官房長から報告する、そういう簡単な報告しかなかったんですか。今あなたは一分間ぐらいで終わったんですが……。農林省が直接調査した報告であれば、そこは農林省の権威のある報告と聞くが、道庁報告基礎にしてそれを協議会報告される場合に、いわゆる道庁報告基礎にして、もう少し親切な内容的な報告をした方がいいんじゃないですか。施設災害幾ら冠水面積が何万町歩というだけでは、あんまり簡単過ぎるじゃないですか。
  47. 昌谷孝

    昌谷説明員 実は北海道水害の御報告につきましては、前回、先週の小委員会のときにも、その当時の資料での御報告をかいつまんで申し上げておきましたし、その後、特に、明確と申しますか、具体的になりました点をかいつまんでなるべく簡略に申し上げた趣旨でございます。北海道庁からはさっそく当時の災害の実情を述べた要望書等も私ども手元にもきておりますので、そういう点はむしろ省略をして、その後の具体的に進みました点に重点を置いて申し上げた次第でございます。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 統計調査事務所報告ですね。被害内容は、たとえば冠水面積にしても、または内訳湛水の時間が、長いのは四昼夜から五昼夜に及んでおるところがあるし、それからまた、一昼夜くらいに減水した地域もあるわけですが、そういうのは統計調査事務所でどの程度調査をしておるのか。これはあとになって農作物被害の結果にいろいろな影響があるわけですけれども……。
  49. 昌谷孝

    昌谷説明員 先ほども申し上げましたように、冠水日数別面積等は、今本省の方からもやいのやいの言って現地でまとめさしております。第一回の速報は、今の見込みでは、十日ごろこちらへまとめ得る手はずになっております。新潟関係は若干おくれまして、二十日ころまでには、被害程度別と申しますか、冠水日数別と申しますか、そういうものとしてつかむ予定にしております。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、畑と水田の内訳というのはないですか。
  51. 昌谷孝

    昌谷説明員 先ほどは、七月二十八日現在の統計調査部速報といたしまして、北海道で損傷を受けました田畑面積を二万一千五百町歩と申し上げておきました。それを田畑別に申し上げます。札幌管内函館管内につきましては田畑別集計ができております。そういう統計調査事務所受け持ち区分別に申し上げますと、札幌管内では、田が九千町歩、畑が四千六百町歩、合わせまして一万三千六百町歩函館管内では、田が五千町歩、畑が二千五百町歩、合わせまして七千五百町歩帯広管内田畑区分が明確でございませんで、総体で四百町歩、これを合わせまして二万一千五百町歩ということに報告されております。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 それから災害現地調査の問題ですけれども、私たちが現地調査した結果、建設省関係緊急査定に係官が行っておるのです。ですから、総合査定をするとすれば、その時期に農林省も一緒に行って調査した方がよかったと思うのです。農林省が非常におくれておるということは、これはちょっと不可解だ。もちろん、建設省関係は、北海道開発局等があって、調査上の便宜というものがあるとしても、農林省としても開発局農林省関係の役人というのは加わっておるわけですから、現地中心開発局等調査するとすれば、ある程度現地機関にまかせるという方法もある。現地機関では安心ならぬとすれば、本省からやはり即刻調査に出向く必要があるのではないですか。その点はどうです。
  53. 昌谷孝

    昌谷説明員 御承知のように、北海道他府県と比べて直轄事業も多うございますし、それから、もちろん直轄調査もやっております。その意味では、他府県よりも直轄の占める割合も多いことでございますから、一般補助災害復旧事業よりも、査定はむしろ時間的に早いわけでございますけれども、何さま面積的に広い範囲にもなりますので、そう簡単ではない。なお、補助災害につきましては、御承知のように、まず災害復旧設計書も出てこなければいけないわけなのでございます。そういった点、現地指導等にも十分意を用いまして、御趣旨に沿いたいと思います。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 ただ出発が非常におそいような計画らしいですから、区域が広くてひまがかかるというのでしたら、早く行かなければいかぬじゃないですか。行けないという都合があれば、何か知らしていただきたい。
  55. 昌谷孝

    昌谷説明員 なるべく早くそういった復旧計画書作成等も急がせますし、また、それに応じて災害査定の進度も上げたいと思います。そういうことで、特におくれることによって現地に御迷惑のこないようにということが、極力やりたいと思います。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、調査出発日程が大体きまったら報告してもらいたい。それはかまわないでしょう。
  57. 昌谷孝

    昌谷説明員 承知いたしました。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 なお、関連してお伺いします。きょうは三つの小委員会が同時的に開かれておるので、三カ所を回るわけにいかぬのですが、今度の北海道水害の特色の中に、石狩川本流の支流をなす空知川というのがありますけれども、この空知川関係北電発電ダムがあって、三カ所のダム放流を行なったわけですが、この放流が非常に水害の大きな原因をなしておるわけです。大体四百トンないし六百トンくらいが放流の限度とされておるにもかかわらず、二千トンをオーバーするような放流が行なわれた。そういう事実もあるわけなのです。そういうことで、上流から二メートルぐらいの水位が増水の形で下流へ流れ込んだわけです。ですから、流域一体が、地域によっては六十年来とか、あるいは三十年来の被害を受けたということになるわけです。これは農林省の所管ではないが、多目的ダムでなくて、発電中心としたダム放流という場合には、当然ダム管理者というものがあるわけですが、その管理者というものはどういうような責任と権限を持ってやるのか、そういう点は政府としても十分に検討する必要があると思う。発電会社は公益的な事業とはいわれておるが、この実際のやり方を見ると、これは営利主義的な経営をやっておるということは間違いないことなんです。その営利的な経営者ダム管理者としての責か、そういう点はどういうことになるのですか。
  59. 堀直治

    堀説明員 ダム管理につきましては直接建設省が担当いたしておりますが、私が知っている範囲のことを申し上げます。  発電用ダムその他につきましても、ダム管理いたします一応の基準がございます。どういう程度の雨が降った場合に、あるいはダム水位幾ら以上上がった場合には水を放流するというような、ダム操作規程というものを作りまして、これを県知事に提出して認可を受けて、その操作規程範囲内で発電所ダム操作をする、こういうことになっておるわけでございます。発電所の方は発電所としてその範囲内で操作をしていく、洪水調節多目的を含むような場合には、ダム管理所でそういう操作をする、農業の場合にも、同じようなそういう操作規程に基づきまして農業ダム操作するということになっておりまして、ダムがあるがためによけいに放流するとかいうようなことは、普通のことではあり得ないわけでございますけれども、非常の場合には、ある一定限度を越しますとダムが決壊をするおそれがあるわけでございます。そういうようなある一定限度以上に水が来た場合には、やむを得ず非常放流をするということになっておりまして、今回もおそらくそういう非常放流の結果によって、相当な過剰な水が下流に流れたということではないかと想像されます。これはダムの構造なりあるいは計画のもとをただしていきませんと、ちょっと普通の方法ではなおらぬわけでございます。今後そういうことのないように、私どもダムを作りますときに十分注意をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 ダムのうち、桂沢ダムというのがありますが、これは多目的ダムで、このダムは洪水調節の役割を果たしたのです。これは水害期間中放流をしなくて終わったので、これが非常放流をするということになれば、まだまだ災害が大きかったと思うのですが、これは完全に多目的ダムとしての使命を果たした。ところが、電源開発のダムは非常に大きな災害を及ぼした役割を演じたわけです。空和川流域の芦別ダムと、もう二つダムが関連してありますが、これが二千トン以上というような非常な放流をしたのじゃないかということが下流で判断されておるわけです。とにかく二メートルくらいの水位が急にふえて押し寄せてきて、そして石狩川の決壊した個所などは、築堤を溢水したくらいの水量になったのです。問題は、営利的な経営をやっている発電会社とか——その雨量の状態等を冷静に考えれば、もう事前から適切な放流を開始するのがあたりまえなのが、発電会社にすれば、貯水する水は金のようなものですから、やはり相当量を貯水して、それから危険な状態になってから放流するということになるので、こういう結果がたまたま起きると思うのです。ですから、営利会社に管理をまかせておくというところに大きな問題と欠陥があると思うのです。そうでなくて、もう少し公共の立場からダム操作とか管理ができるような、そういう態勢にしておかぬと、発電ダムというものがこういうあやまちをときどき繰り返すと思うが、操作規程という中にはそういうことがどううたわれておるのですか。会社に管理者としての責任をまかせるということになっておるのですか。
  61. 堀直治

    堀説明員 ダムがありますと、一定の雨が降って参りましても、それを自然にダムが調節してくれまして、たとえ満水になっても、川がじかに流すよりも、より少ない水を流すというのが普通でございます。一定量では大体そういうことになっておりますが、非常な豪雨になって参りますと、ダムがあるためにかえって水が走ると申しますか、上流に降った雨が直ちにその区間だけを急に飛び越えまして、ダムのとびらを操作せぬでも急にダムが溢流するという現象を起こすことがあるわけであります。おそらく今回はそういう形で、ダム操作そのものが間違ったということでなしに、異常な洪水波が直ちに下流に届いた、それはダムを設置した場合と設置せぬ場合では、逆にダムを設置したために悪い結果を起こす、そういう悪い結果が現われたのではないかと想像されます。従いまして、発電所その他、あるいは農業用水も同じことでございますけれども、そういう場合を避けるためには、やはり満水をさせない、いつもダムの上をあけておくということが必要なのでございますけれどもダムの上をあけておくためには、築造費が非常にかかるわけであります。その築造費を国なり何なりが洪水調節用として負担をせぬ限りにおいては、農業用水も同じでありますが、そういう一つの目的を持ったダムではまかない切れないという問題が起こるわけであります。この問題は、やはりダムの構造、設計あるいは管理という問題とからみまして、今後研究をしていかなければならないというふうに考えておるわけであります。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題はいずれ別な機会に十分横討する必要があると思います。しかし、発電ダムだから発電会社だけの負担でそういう完全なダムが築造できないということはどういうことなんですか。電力料金の中にはそれが現に含まっておるのですから、十分な電力料金を取っておれば、当然ダムの建設費用なども一般の国民が負担しておるのですから、ことに北海道などは、九電力の中でも電力料金が非常に高い方の、全国一、二番目というところです。そういう高い電気料金を取っておきながら不完全なダムを作っておいて、それを発電会社だけに負担させられないというようなことは、政府としてちょっとおかしいではないですか。
  63. 堀直治

    堀説明員 ただいま不完全という表現になったのでありますが、不完全という考え方をどこへ持っていくかということが問題になるわけであります。ただいまの発電所が負担ができるかできぬかという問題は、通産省の電気料金政策とか、そういうものと関連があると思いますので、私の方から御答弁ができませんけれども農林省なんかで農林省農業水利ダムということだけを考えてみましても、ただいまのような、何百年に一回というような非常時の場合の水をいつでも貯水できるようにあけておく大きな容量を持ったダムを作っておくということは、非常に不経済になりまして、農民に負担がかかるということになりますと、農民が負担にたえ切れないということが起こり得るわけであります。そういうことがございますので、そういう点はやはり別個に考えていかなければならないのではないかということであります。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 これは実態を調査して、その結果等については、あとでまた資料として報告してもらいたいと思います。これは委員長の方で……。
  65. 秋山利恭

    秋山委員長 ただいまのことは、農林省の方ではその資料を……。
  66. 堀直治

    堀説明員 その資料は、農林省ではちょっと答えが出ないと思います。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 それは小委員長にはかってもらって……。
  68. 秋山利恭

    秋山委員長 それは建設省の方に回さなければならぬから、建設省の方に連絡して、そう取り計らいましょう。
  69. 下平正一

    下平委員 ダム操作管理、今のやつは洪水調整の部面ですが、今度の場合には、もう一つの現象として、河床アップ、特に長期間の使用、たとえば使用承認の更新をしたようなダムについては、河床上昇というのが著しい被害を出してきていますが、建設小委員会の方で、特に発電用ダム、利水関係ダムですね、利水関係ダムについては何らかの管理あるいは操作等について検討をするということになっていますが、その方も委員長の方で連絡をしていただいて、資料等の整備をしていただけば大へんけっこうだ、こう思います。
  70. 秋山利恭

    秋山委員長 それでは委員長の方でさよう取り計らいます。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、雨量観測の設備の問題で、奥地における雨量の観測が全国的に非常に不備なんですね。ですからロボット雨量観測器のごときも、これは災害のつど、増設の必要性をわれわれは指摘しておるのですが、いまだにそれが充実していないんですね。そのおもなる施設というのは、今度の災害地を大別してどの程度設置されておるわけなんですか。気象庁、運輸省所管かもしれないけれども、これはやはり農業とは重大な関係があるから、そういう点はどうなっているんですか。
  72. 堀直治

    堀説明員 これも、私の方から答弁するのはちょっと工合が悪いと存ずるのでございますけれども、まだ日本の気象の観測設備というのは都市を中心として置かれておりまして、山の中には非常に少ないというのが実情でございます。従いまして、農林省あたりで自分のダムを作るためにも、気象の観測所が足りないために山の中にロボットの観測所を設けたり、いろいろして調査を補っているというのが現状でございまして、おそらく、気象庁の方でも足りないということは承知されていることと思います。しかしまた、これには相当な経費その他がかかることでございますので、これらは気象庁の方にも私どもの方から常々要望はしておりますけれども、十分でないという結果が、こういったような災害のときに非常に悪い影響として現われてくるということに相なっております。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 これは災害対策上非常に重大な問題だと思うのです。毎年二千億とか三千億というような災害が起きて、そうして、国としても災害対策を行なうために相当多額の支出をしているのです。ただ問題は、下流の平坦地と奥地の降雨量というものが必ずしも同一でない。ところが、上流の雨量が想像以上に多い場合が常なわけですね。それが適切に把握できれば、下流何十キロにはどのくらいの時間のあとにどの程度の水量がふえてくるかということも、大よそ的確に把握できるわけですが、奥地の雨量というのは全然把握できないのですね。それで急に増水したとか、水害になったということで、災害予報とか事前対策というのはなかなか迅速にできないと思うわけです。ですから、そういう点については、やはりこういう大災害を機会にして、奥地におけるロボット観測等を充実さしていけば、非常に効果的でないかと思うのです。それと、そういう施設ができた場合、一体水防法に規定されておる洪水予報とか警報を出すというような場合も、水防法からいくと、国民経済に影響を与えるような主要河川を建設大臣が指定して、その指定河川についてだけ建設省が担当する、その指定を受けていない上流の水系は、一体だれがそれを担当して、そうして総合的な洪水の予報とか警戒の発動をするか、こういう点は、農林省としてはどういう判断をしておられるか。それも、よその省だからわからぬというのじゃ済まぬと思う。
  74. 堀直治

    堀説明員 直轄の河川の直轄ダムを持っておりますようなところは、建設省がそういう災害対策を行なっていくということになっおてりまして、そのほかのところは、原則として府県にまかせてある。非常時の災害に対しては、府県が警報、連絡その他の措置をとるという形になるようになっております。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 これも資料ができるのですから、水防法に基づくそういう指定河川というのは全国でどういうことになっているのか、これも要求しておきます。
  76. 秋山利恭

    秋山委員長 よく申し入れて、さよう取り計らいます。
  77. 竹下登

    ○竹下小委員 前二回の小委員会に出ておりませんので、あるいはすでに議論された話かとも思うのでありますが、例の特殊緊急治山事業につきましては、一応昭和三十四年度特殊緊急治山事業採択要領に基づく、いわば伊勢湾台風時の特例の通りである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  78. 大野文夫

    大野説明員 ただいまの特緊事業につきまして、私どもといたしましては、三十四年の例の通りにやって参りたいというふうに考えまして、ただいま大蔵省と折衝中でございます。
  79. 竹下登

    ○竹下小委員 私が申しますのは、今度の災害は、全国的な広範囲にわたるものであるだけにだんだんわかって参りますのが、いわゆる奥地の山地崩壊等の被害であります。これについて、私もあまり最初はぴんとこなかったのでありますが、先般来各地の実情を調査いたしましたり、また、陳情を承りますと、県におきまして、八十万円以下三十万円以上のものについては、県で二分の一の補助を行なう、あるいは三十万円以下のものについては三分の一の補助を行なう、こういう県単独災害復旧の実施要綱がきまった県があるやに承っております。その場合、そういう県の単独災害復旧の八十万円以下、すなわち、伊勢湾台風当時の特例の、いわば治山の小災害でありますが、そうしたものについても起債の対象とするお考えがあるかないかということを承りたいと思います。
  80. 大野文夫

    大野説明員 これは建設省の方と関連がございまして、ともどもにやって参らなければならない問題でございます。治山だけを抜き出して考えるわけにいかないかと存じておりますが、これは建設関係とも関連を持ちまして、公共事業災害でございますか、それに歩調を合わせていくというふうにして参りたい、かように考えております。
  81. 竹下登

    ○竹下小委員 ちょっと私、今の御答弁で理解がいかないのでありますが、建設の方と歩調を合わすという意味は、具体的にはどういう問題でございますか。
  82. 大野文夫

    大野説明員 治山の災害は、治山単独でやって参るわけになかなか参りません。建設関係の河川あるいはその他の施設とやはり均等と申しますか、同一の歩調でやって参りたい、やって参るべきだ、こういうふうに考えております。
  83. 竹下登

    ○竹下小委員 今の御答弁そのものは理解いたしますが、そういういわゆる八十万円以下の問題について、あなた方の施策としての論議のベースに乗っているかどうか、そういうことを承りたいと思います。
  84. 大野文夫

    大野説明員 小災害につきましては、なるべく下げて参りたいというふうに考えておりますが、これは建設の方でも、それに関連いたしまして、八十万円以下ということにつきましても、これをどういうふうに下げるかということにつきましては今検討の段階でございまして、私ども、なるべく有利にやりたいと考えております。
  85. 竹下登

    ○竹下小委員 私がばく然とあちらこちら原局の方に当たってみましたときに、そういう大局的な問題については下げていきたいという考え方はあるように承るわけでありますけれども、具体的に、この山地崩壊等を抽出して、その問題でそういうことを議論したというような印象はあまり受けないものですから、一つ、とくとそういうことを頭に入れて、議論の対象にしていただきたいと思います。
  86. 下平正一

    下平委員 これからの相談に必要がありますので、このお配りいただいた資料でちょっと質問いたしたいと思いますが、お約束に従って、速記をとめていただいてけっこうであります。
  87. 秋山利恭

    秋山委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 秋山利恭

    秋山委員長 速記を始めて下さい。  金子君。
  89. 金子一平

    ○金子(一)小委員 農林当局にお伺いしたいのですが、ことしの災害は非常に激しかったので、病害虫の防除対策という問題がございますけれども、二十八災、三十一災のときの農薬機具のああいった予算措置をされる用意があるかどうか。
  90. 昌谷孝

    昌谷説明員 病害虫防除につきましては、対策として、さっそく関係府県を指導し、消毒の要領を指導して、実行に当たらしたわけでございます。そこで、それに要しました経費の負担の問題でございますが、過去におきましても、防除機具の整備が十分でなかった市町村について、そういう災害後の緊急防除に必要な防除機具を、繰り上げ緊急整備をするための費用の補助をいたしました例がございますが、一応の計画に基づきます防除機具の整備は、何年前でございましたか、計画を一応終わりまして、現在では補充という程度でございます。そこで災害を受けました市町村について、防除機具等にも被害を受けて、緊急の防除ができなかったような場合、それを緊急に補うために新規に買い直したというような町村については、何らかの措置を考えるべきであろうということで、目下関係局と大蔵当局の方で相談をしております。なお、気持といたしましては、さらにもう少し積極的な消毒の奨励と申しますか、せっかく一生懸命消毒をおやりになったわけですから、もう少し広い範囲の助成の方途はないものかというようなことで、いろいろ研究はいたしております。たとえば、最近の技術の進歩に伴いまして、ヘリコプター防除というようなことが実用に供せられておる県もございます。これは災害に直接因果関係があったかどうかというようなところが、関係省との相談のあれになりますが、そういうような場合にも、もしできますことならば、助成の対象にしてみたいものだというふうな考えで、目下詰めております。
  91. 金子一平

    ○金子(一)小委員 薬剤はどうなんですか。
  92. 昌谷孝

    昌谷説明員 薬剤につきましては、災害のつど問題も出るわけでございますが、これを助成の対象とすることについては、率直に申し上げて、なかなか容易でないことであろうと思っております。たとえば、天災融資法の問題とかその他いろいろ災害対策対策が出ますので、薬剤についての補助を実行することについては、過去の経験その他からいっても、なかなか容易でないことではなかろうかと思っております。
  93. 金子一平

    ○金子(一)小委員 二十八年にはやっておるんですね。
  94. 昌谷孝

    昌谷説明員 二十八災当時はやったと思います。当時は、本来、災害をこうむらなかったときの消毒防除についても、薬剤の補助というようなことが国の助成の一つの手段としてございまして、おそらく、あれはまだそういう平常状態においても薬剤の補助があったか、あるいは打ち切られた直後であったかと思います。その後、国の補助はそういった薬剤とか肥料というような消耗的なものでやりますことは、なかなかむずかしいことでもございますので、機具、機械といったものに助成は重点を置きまして、薬剤費は金融関係で見るとか、そういうことで処理をすることに一般の方針がだんだん固まっている、そういう状況下でありますので、先ほど申しましたような状況でございます。
  95. 金子一平

    ○金子(一)小委員 よくわかりましたが、ことしは、あとの病害虫の発生を現地で相当心配しておりますので、その後の状況について十分適切な措置を希望するわけでございます。
  96. 昌谷孝

    昌谷説明員 私どもも同様の気持で事態を見ているわけでございますが、なお災害後に病虫害の異常発生を見たというような事態でありますれば、先ほど申しましたような単なる予防措置から、さらに事情としては一段と深刻化しておりますので、そういう事態になれば、これはなかなか捨て置けないことであろう、そういった事態の推移を今見ている状況でございます。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員 今の防除対策の問題について、災害地帯が何千町歩、何万町歩に及ぶ場合、水稲の場合、まだ出穂期とか出穂したばかりで水害を受けたのでありますから、その場合、関係市町村農業団体は緊急防除対策というものをやっておるわけですが、そういう広範にわたるときは、たとえば植物防疫法に基づいて緊急防除等の措置関係都道府県の知事がとるということも可能ではないかと思いますが、そういう点は、農林省としてはどう考えておりますか。
  98. 昌谷孝

    昌谷説明員 芳賀先生御存じと思いますが、緊急防除というのは、今まで日本になかった病気あるいは比較的小範囲でとどめられる望みがありますときに、特に全力を上げてその病源をつぶすという趣旨で発足した対策でございます。従いまして、本来は、災害対策にそれを応用いたしますことはなかなか困難だろうと思いますが、先ほどもお答え申しましたように、特にある局地に集中的に発生をして、ほうっておけないという場合に、そういったことも応用できるのではないかというのが、私どもの実は目下検討中の一つの項目でございます。緊急防除というところまで事態が進みますことを別に好むわけではございませんけれども、そういうことにでもなれば、対策の講じようはあろうかと思っております。むしろそういう事態が起こらないことの方が望ましいことは申すまでもございません。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 防疫法には、国内に病疫が侵入した場合ということになっておりますが、とにかく、北海道に例をとると、水害によって一カ町村で三千町歩くらい冠水して、三昼夜も減水しないような地域がある。減水後行ってみると、被害の度合いは違うが、被害が非常にはなはだしくて、収穫の見込みがない。そういう地域の農家はぼう然として、なかなか自発的に防除しない、奨励といってもできがたいような状況です。ですから、広大な面積で、水害直後に稲熱病とかそういう病害が発生するおそれが多分にあるので、地元もやっておるが、そういう場合に、やはり知事が緊急命令を出す、その都道府県の区域内に区域というものを限定して、そこで緊急防除計画というものを立てて徹底した防除をやって、その結果に対しては、国として相当大幅な助成措置をするということでいけば筋道は立つと思うのです。こういうことは今後予想される問題ですから、防疫法の解釈の問題もあると思いますが、国内の方は、水害に関連ある病疫の発生等に対して、緊急措置というものを何かきめておく必要があると思うのです。官房長からもお話がありましたが、こういうのを何か具体的に農林省として案を立てて、今度の災害を契機にして、措置をするということに進めたらいいと思うのですが、いかがですか。
  100. 昌谷孝

    昌谷説明員 今後、そういう問題、確かに地元に対する技術指導だけでやっていけるかどうか、あるいは機具の整備だけで十分であるかどうか検討すべき問題だと思いますが、直轄防除等との関連も考えまして、検討さしていただきたいと思います。
  101. 秋山利恭

    秋山委員長 ほかに御発言がなければ、説明聴取はこの程度にし、災害対策に関する事項について懇談に入ります。      ————◇—————   〔午後零時十二分懇談会に入る〕   〔午後零時二十一分懇談会を終わる〕      ————◇—————
  102. 秋山利恭

    秋山委員長 懇談は終わりました。  明九日午前十時から開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十二分散会