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1961-07-20 第38回国会 衆議院 災害対策協議会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年七月二十日(木曜日)    午前十時二十七分開議  出席協議委員   委員長 辻  寛一君    理事 木村 公平君 理事 佐藤虎次郎君    理事 首藤 新八君 理事 中野 四郎君    理事 角屋堅次郎君 理事 下平 正一君    理事 中島  巖君       秋山 利恭君    大森 玉木君       川野 芳滿君    北澤 直吉君       野田 武夫君    宮澤 胤勇君       石川 次夫君    岡本 隆一君       加藤 清二君    北山 愛郎君       五島 虎雄君    玉置 一徳君  協議委員外出席者         議     員 山口 好一君         議     員 丹羽 兵助君         議     員 佐藤虎次郎君         議     員 加藤 高藏君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         農 林 大 臣 河野 一郎君         自 治 大 臣 安井  謙君         内閣官房長官  大平 正芳君         農林省蚕糸局長 立川 宗保君         建設省大臣官房         長       鬼丸 勝之君         建設省河川局長 山内 一郎君     ————————————— 七月二十日  協議委員小山長規君、阪上安太郎君、楯兼次郎  君及び中村英男君辞任につき、その補欠として  秋山利恭君、五島虎雄君、石川次夫君及び岡本  隆一君が協議委員となった。     ————————————— 協議事項  災害地視察派遣議員団より報告聴取  災害対策に関する事項      ————◇—————
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより災害対策協議会を開きます。  災害対策に関する事項について議事を進めます。  協議委員諸君御承知の通り、議長において、六月下旬の集中豪雨等による災害地視察のため、議員を各被災地にそれぞれ派遣することに決定し、すでにそれぞれの視察も終了し、派遣議員も帰京されましたので、この際、本協議会において、その視察報告を承ることにいたしたいと存じます。  それでは、まず、神奈川県、茨城県、栃木県に派遣されました第一班の報告をお願いいたします。山口好一君。
  3. 山口好一

    山口(好)議員 それでは、第一班について御報告を申し上げます。  第一班は、七月十二日から四日間、神奈川茨城栃木の三県に対し、本院議員一同から委託されましたお見舞金を届けるとともに、今回の集中豪雨による県内各地被害状況をつぶさに視察して参りました。  まず、神奈川県について申し上げます。  私どもは、七月十二日神奈川県に参り、県庁において県内全般的被害状況を聴取しました後、横浜横須賀、逗子、鎌倉、藤沢の各被害現場視察いたしたのでありますが、神奈川県においては人的被害が著しく、死者五十七名、重傷者四十七名、軽傷者十五名を数えておりまして、家屋被害も、全壊が百六十五戸、流失一戸、半壊二百八十八戸床上浸水が一万百九十五戸床下浸水二万八千九百二十二戸に及び、この被害額は九億三千万円に上っております。土木施設関係におきましては、河川被害が特に大きく、県関係のみでも被害個所二百三カ所、三億四千万円に及び、その他道路橋梁などの被害を合わせますと、四億三千万円に上る被害を受けております。農林水産関係におきましては、農作物被害は、冠水流失埋没土砂流入等により七千七百万円、耕地については二百二十九カ所、一億一千万円、その他林業、畜産、水産関係被害を合わせ、二億九千万円に及んでおります。商工関係におきましても、河川はんらん排水の不良により、二百四十九工場、三千四百六十商店が被災をいたし、それぞれ推定四億五千万円、五億七千万円の損害を受けております。運輸関係におきましては、県下国鉄が、東海道線鶴見−新子安間、横浜藤沢間、横須賀線大船−久里浜間の不通被害個所が三十三カ所、二億七千万円の損害を受けましたほか、私鉄、バス路線ども相当被害をこうむっております。  さて、私ども被害現場視察して痛感しました神奈川県における災害特徴は、宅地造成に基因するがけくずれの惨状と、工場住宅などの新設による河川遊水地帯の減少に伴う河川改修不備による災害であります。特に宅地造成に基因する被害は、造成工事の粗雑きわまることもさることでありますが、神奈川県におきまする脆弱な土質関係で、丘陵地帯宅地として造成することに本来非常な危険があるわけでありますが、しかも、この宅地造成は、十分な排水工事を施していないところから、多量の降雨にあっては、一たまりもなくがけくずれを起こすというような土質でございます。しかも、この種の災害におきましては、人命に影響するところきわめて大きく、さきに述べました死者五十七名のうち、宅地造成原因と思われるものは十四名を占め、家屋も、宅地造成原因する全壊が十五戸を占めております。このような状況に対処し、宅地造成について制限区域を設定し、あるいは造成工事基準を設けるなど、基本的規制措置を講ずるととは、まさに喫緊の要務と思うのであります。  また、もう一つの特徴は、藤沢小塚地区柏尾川周辺に典型的に見られるものでありますが、近年、工場住宅の増加に伴い、農耕地、緑地が減少いたし、雨水の吸収機能を低下せしめておりまして、これが中小河川の未改修によるはんらんに拍車をかげている事実であります。これについては、都市郊外地開発発展と、周辺中小河川管理とを有機的に関連させる基本的な対策を考究する必要があると思うのであります。  なお、今回の災害に関し、神奈川県から要望されました事項は、災害対策基本法制定災害復旧促進等のほか、特に公共土木施設農地農林水産業施設等の小災害に対する補助採択基準の引き下げ、特例債等による特別措置低地帯における機械排水等による内水排除を取り入れた中小河川改修事業都市排水事業大幅施工、その助成措置、傾斜地の宅地造成に対する徹底的規制宅地造成基準法制定被災中小企業者に対する特別融資措置被災市町村における屎尿処理汚物処理事業に対する高率助成措置等の諸事項であります。  次に、茨城県について申し上げます。  茨城県に対しましては、七月十三日、十四日の両日を充てまして、十三日は土浦、鉾田、茨城視察して水戸に参りました。県庁において県下全般被害状況を聴取し、翌十四日は笠間、岩瀬、下館、下妻、結城、八千代、境、岩井の各被害現場視察いたしたのであります。  茨城県におきましては、農作物被害がきわめて大でありまして、冠水流失、倒伏による水稲収穫期にありました麦類いも類、蔬菜、たばこなどの被害は実に五十二億二千万円に上り、農地農業用施設被害は二億円に及ぶ状況でございます。また、人的被害は、死者十一名、負傷者七名、行方不明一名を出しておりまして、家屋被害は、全壊十二戸半壊二十一戸、流失二戸、床上浸水千七百五十四戸、床下浸水六千四百五十六戸に及んでおります。土木施設関係におきましては、河川被害は、県関係のみでも七百二十カ所、十二億円、道路被害は、千四百七十一カ所、四億六千万円、その他橋梁など、合わせて二千二百十八カ所、十七億円の被害でございます。その他林業水産関係商工関係などの被害を加え、総額七十七億円に及ぶ被害をこうむっておるのであります。運輸関係におきましては、国鉄関係不通だけでも、常磐線九カ所、水戸線十五カ所、水郡線二十八カ所、真岡線一カ所の被害を受け、施設関係災害応急復旧費は、合計一億六千万円に上っております。  周知のごとく、茨城県、特に南、西部は、関東の水たまり地帯でありますが、今回巨額に上る農作物被害を受けたのは、主として県南、県西地区中小河川沿岸湿田単作地帯でありまして、その原因は、これら低湿地帯における排水施設不備に由来する点が多いと思うのであります。土浦視察いたしまして、あの桜川鉄橋が、その鉄橋部分において非常に狭窄されております。そのために、そのすぐ上の堤防が今回決壊しまして、土浦は非常な危機に瀕したのでございます。これは鉄道の部門に属しますが、鉄橋の幅を川幅と同じに広げるということは、緊急の必要事と認めた次第であります。さらに、桜川下流にいたしましても、もう一カ所鉄橋あるいは橋梁が、その場所において川幅が著しく狭まりますために、その鉄橋あるいは橋梁において溢水をいたし、付近堤防決壊をしている個所が数カ所見られたのであります。さらに、猿島郡長井戸沼に至りますと、これはもともと沼を干拓したところではございますが、排水設備が不完全でありますために、今回の災害におきましては、長井戸沼一帯水田地帯は、一望見渡す限り、さながら冬枯れのごとき惨状でございました。数百人の被害者が集まってわれわれを迎えて、その窮状を訴えたのであります。この意味において、湿田地帯土地改良事業河川改修事業は、有機的に関連せしめて施行を促進する必要があることを痛感したのであります。  茨城県として特に要望されました事項は、応急対策として、地方交付秘中特別交付税大幅交付特別起債の承認、土木関係災害復旧事業国庫負担金早期大幅交付豪雨による道路敷砂利流失に伴う路面災害を、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の対象として全面的に採択すること、農業土木関係小災害復旧工事に対する助成措置農作物被害対策として共済金の即時仮払い、天災融資法の発動、恒久対策といたしましては、治山治水など、直轄事業早期完成中小河川改良事業促進などが要望されておるのであります。なお、利根川流域低湿地帯における土地改良事業については、特別の助成立法措置が切望されております。  最後に、栃木県について申し上げます。  栃木県につきましては、七月十五日、県庁において県下全般被害状況を聴取した後、上三川地域桑絹被害現場視察いたしたのであります。  栃木県におきましては、平坦部における中小河川被害の大きいことが特徴的でありまして、河川被害個所は千百二十八カ所、七億六千万円、道路は六百十五カ所、橋梁は百カ二所、その他土木関係被害は、合計九億四千万円に達しております。農作物被害も、中小河川決壊により広範囲に及んでおりまして、水稲、麦、工芸作物などの被害額は七億三千万円に上り、農地被害も二億円に及んでおります。家屋等被害は、栃木県は比較的軽微で、全壊二戸、半壊三十七戸、床上浸水百六十九戸、床下浸水千三百二十一戸であります。栃木県におきましては、茨城県においても同様でございますが、今回の豪雨の前は旱魃の状態でありまして、一時は千五百ヘクタールに及ぶ耕地が植付不能の状態でありました。この旱害に対して、議会に陳情が盛んにありました。そのあと、この豪雨でさらに被害を受けまして、農民諸君の心労は一方ならぬものがあるということを看取して参りました。これに対する救済措置は、何をおいても、迅速かつ適切に実施する必要があると思うのであります。  なお、栃木県から特に要望されました事項は、土木災害復旧率を、従来の三・五・二の比率にとらわれず引き上げ措置を講ずること、十万円以下の農地小災害に対する補助措置たばこ災害補償金早期交付及び増額等の諸点であります。  以上、三県視察状況と県からの要望を申し上げましたが、今回の災害の経験を基礎として、すみやかに適切妥当なる対策を確立し、再びかような災害を繰り返さないよう切望して、第一班の報告を終わります。(拍手
  4. 辻寛一

    辻委員長 次に、静岡県、愛知県及び三重県について、第二班の報告をお願いいたします。丹羽兵助君。
  5. 丹羽兵助

    丹羽(兵)議員 私から、便宜第二班の視察について御報告いたします。  本班は、七月十二日から十六日までの五日間にわたり、静岡県、愛知県及び三重県下における豪雨被害実情視察して参ったのであります。御存じのように、今次災害原因は、六月二十四日以降の異常豪雨によるものでありまして、静岡県におきましては、死者、行方不明二十六名のほか、七十八億円の、愛知県におきましては、死者六名のほか、百二十九億円の、また、三重県は、死者、行方不明十五名のほか、六十一億円の大損害をこうむったのであります。  この三県は、狩野川台風伊勢湾台風最大被害県でありまして、ちょうどその災害復旧工事完成寸前にあった地点が、多数に再び大損害を受けていたのであります。また、近年たび重なる災害により河床が上がり、各河川堤防の効力が著しく低下し、被害を招きやすい状態に置かれていたことも、被害をさらに大きくした原因ともなっており、ことに、愛知県、三重県の零メートル以下の、常時排水対策に留意いたさねばならない低地帯が、湛水による被害に苦しんでおります等の点からして、今次災害には、人災的または予算災害的色彩の強いものが非常に多く含まれていたと言えるのであります。これは、現在までの災害復旧事業原形復旧主義実情に沿わない結果と言えるのでありまして、今後は改良復旧主義に切りかえ、防災部分を十分取り入れたものをもって災害復旧基本方針とするようにしないならば、防止できる災害をいつまでも繰り返すことは必然でありまして、原形復旧を原則とする現行の災害関係法律にすみやかに検討を加えるべきであると痛感して参ったのであります。また、視察は、時間の関係上、被害地を全地域にわたり行なうことはできなかったのでありますが、酷暑のもと、各議員の非常な勉強によりまして、被害激甚地は、三重県の南部を残しては、ほとんど視察することができたのであります。時間の関係で、今日、この報告では、必要な視察事項の何分の一も述べることができないのは残念でありますが、報告漏れ部分及びその対策等につきましては、本協議会の今後の質疑等におきましてその内容を明らかにいたすこととして、ここでは、災害対策のうち、絶対不可欠のもののみを、一地区につき一、二点ずつ、視察日順を追って申し述べるにとどめたいと存じます。  まず、最初に静岡県に参ったのでありますが、静岡県下被害地は、狩野川水系黄瀬川水系天竜川水系伊豆西海岸であります。第一日目は、沼津市、狩野川放水路視察し、次いで、海上便伊豆西海岸被害激甚地戸田村、土肥町及び宇久須を視察したのであります。大雨があるたびごと被害を受ける沼津市から韮山町までの盆地は、狩野川下流が、黄瀬川等中小河川が合流して駿河湾に流出する沼津市内河口地点川幅が狭いため、一定量をこえた水がこの辺一体に遊水するのでありまして、これが排水については、長い間の懸案となっておったのであります。昭和二十八年、狩野川の水を韮山から駿河湾の江浦に放水することになり、放水路の掘さくに着手したのでありますが、工事は、地質の脆弱等関係もあって、遅々として進まず、八年を経た今日においてさえ、非常時における臨時放水すらできない状態でありまして、三十三年の狩野川台風の未曾有の大被害を出すに至り、工事変更を行ない、その工事の進捗を早めることとなり、三十五年から五カ年完成に踏み切ったのであります。この常時浸水地帯を一日も早く救済するため、早期完成に先だち、非常時放水ができるように、工事の進め方に再検討を加えることが緊急事であると痛感いたしたのであります。また、西海岸の三町村の流失耕地につきましても、これらに被害を及ぼした河川堤防も、完全コンクリート巻きの方法を全面的に採用するとともに、堤防のかさ上げ、川幅拡張等、思い切った改良復旧が必要であると思われたのであります。特に耕地復旧につきましては、単なる原形復旧にとどまらず、耕地交換分合等による耕地整理を全面的に行ない、農業近代化に資するような農地等災害復旧を行なうために大幅な改良事業を取り入れ、この改良工事の範囲に耕地整理等を含めるべきであると、われわれ視察議員の一致した意見が出たのであります。  次に、天竜川水系における被害状況についてでありますが、われわれは、天竜市から天竜川沿いに進み、竜山村に参り、秋葉ダム視察いたしたのであります。竜山村を主とする天竜川水系被害は、この秋葉ダムが、今次豪雨により貯水量がかさみ臨時放水をしたことにより発生したものといわれ、家屋流失及び浸水被害を起こしたというものであります。このような豪雨の前でダムがどの程度放水調節ができるものであるか、放水調節災害をどの程度防止し得られるものであるか、明らかでなかったのであります。妥当を欠いた放水のため被害を受けたと考え、不安を抱く地元民に対し、ダムへの協力と、不安を取り除くためにも、今後の災害時における放水については、地元民との連絡を密にすることが大切でありまして、天竜川のように源を他県に発する河川については、上流の気象上の変化についても十分連絡ができるような態勢にすることが必要のようでありまして、この点、当局の検討要望するものであります。また、天竜川は、その上流である長野県内流域静岡県内流域下流直轄河川となっており、中央部に位置する竜山付近直轄となっていない、一見不合理と考えられる河川指定を行なっておるのでありますが、これは早急に、上下流同様直轄指定を行ない、全川一本の行政下に置くべきであると感じたのであります。  翌十四日は、愛知県下被害について、県の西部農地浸水被害及び常滑市内における愛知用水公団水路決壊による農地被害状況視察いたしたのであります。愛知県の西部を流れる庄内川以西、日光川周辺、木曾川以東の、県の五分の一を占める広大な地帯は、いわゆる零メートル地帯でありまして、降雨及び河川を越えて浸水した耕地住宅地等の水は、排水機の力をかりなければ排水することが困難な地帯であります。従って、冠水した水稲はことごとく枯死し、苗が間に合わないため、再植されないまま放置されていたのであります。この一帯排水能力は、二百七十五ミリ程度降雨量排水する設備が整備されているようでありますが、近年の降雨から見て、少なくとも現有量の二倍程度設備を常設することが必要のようでありまして、このような予備的機械の設置につきましては、防災的意義を含めまして、国庫高額補助がなされるべきであると思うのであります。また、維持費につきましては、全額地元負担、特に農民負担となっておりますが、国の補助も、環境整備の立場から支出さるべきであると思うのであります。特に農業用施設として設置されているものが、最近の都市発展に伴い、住宅工場等の建設されるに及び、それらの排水等を含め、同時に排水することになりつつあり、その量も侮りがたいものとなっておるのでありますので、この分まで農民負担とすることについては一考を要する点であり、地方公共団体及び国において助成することが望ましいと思うのであります。このような悪条件のもとに住む者に対しては、思い切って維持費程度全額国庫負担にすることが、ほんとうの親心のある政治であると考えるのであります。  次に、知多半島常滑市に参り、愛知用水公団水路決壊個所視察したのであります。このたびの水路決壊は、豪雨により土砂くずれが起き、この決壊個所流水を阻止し、一部水路を切って流出したものでありますが、愛知用水水路工事もいまだ全面的に完成となっておりませんので、今後の工事を進める過程において考慮すべきことは、山腹の降雨送水路に流入しないようにすること、送水路には各河川を横切る個所について適当な自然放水施設を設置すること、及び余水放流河川については、流水被害を起こさないような十分の改修工事を行なうこと等であります。また、今回の水路決壊により被害を受けた農地等復旧につきましては、公団の責任において行なうこととなっておるようでありますが、全額負担の線をくずさないようにすることが、地元公団との今後の協力態勢上必要と思われるのであります。  名古屋市管内における排水完成についてでありますが、何しろ低地帯を多面積にわたって抱いておるだけに、排水対策につきましても、名古屋市は、他の都市と異なり悩みは深刻でありまして、本災害を契機として、五カ年計画で二百八十億円の下水工事を行ない、水害から守ることを目標にがんばっておりましたが、その財源について、起債を特に要望いたしておるのであります。特殊地帯としての、また、防災としての見地から、これらの工事早期着工早期完成に対し、国の援助を期待するものであります。  最後に、三重県を視察いたしたのであります。三重県の被害は全県に散在しておりますが、特に激甚な地域は、北勢の員弁郡、中央部一志郡及び南勢、紀伊沿岸地帯であります。視察は、時間の関係で、降雨量全国最高の千ミリ以上を記録した激甚地の尾鷲市方面を除きまして、一志郡嬉野村に参り、中村川の堤防決壊による農地等被害を見たのであります。次いで、四日市市、多度町、七郷地区及び桑名市の被害地視察いたしたのであります。この地帯は、愛知県の尾西方面と同様の零メートル地帯でありまして、排水施設の増設、その補助金及びその維持費についての要望は、全く愛知県同様であったのであります。この地域は、北は揖斐川に接しており、護岸を境に一メートルから三メートル以上の低地帯を形成しておるのでありまして、この護岸が、この地区の住民のすべてであるのであります。この護岸は、明治年間に作られたそのままが相当の長さにわたり残されており、現に七郷地区においては、今回の豪雨流水のため堤防基礎がゆるみ、堤防の幅三分の二ほどが陥没しておるのでありまして、ちょうど減水時に当たっておりましたため決壊を免れ、死傷を伴う大被害を避けることができたものでありまして、このような老朽護岸堤防揖斐川三重県側に相当残されておるようでありますので、早急に全地点にわたり精密なる診断を行ない、今後の災害についての対策に遺憾なきを期すべきであると痛感いたしたのであります。  以上をもちまして視察地点についての報告を終わりますが、最後に、本災害地の多くは、狩野川台風伊勢湾台風被害を受けた地域でありまして、被災地では、前の被害個所復旧資金としての借金を残して流失したと訴える悲運の罹災者が多く見られたのでありまして、このこと等からいたしましても、たとい被害額が前の二大台風に劣ると言えるとしても、その窮状はそれを上回るものを多分に含んでおることに心をいたされまして、その対策につきましても、公共木土事業及び農地等の三万円以上の小災害については元利補給付起債による復旧特別措置を、また、土砂湛水排除についても同様の援助救済措置を、また、防災の点からいたしまして、治山事業については特に緊急治山事業を拡大施行する等、前の二大台風対策として採用せられた特別措置を全面的に適用できるように、万全の措置を講じられるよう要望いたしまして、報告を終わります。(拍手
  6. 辻寛一

    辻委員長 次に、長野県、岐阜県及び石川県について、第三班の報告をお願いいたします。佐藤虎次郎君。
  7. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)議員 私は、第三班の視察に参りました御報告をいたしたいと思います。  私ども、去る六月下旬から七月上旬にかけました集中豪雨により大きな被害を受けました長野県、岐阜県、石川県の三県の災害実情調査に参りました。自民党からも社会党さんからも民社党さんからも代表者が行かれまして、十分調査いたして参りました。  調査の順序に従いまして、まず、長野県の県下災害実情から申し上げますと、六月二十二日夜より降り始めました雨は、七月一日朝まで降り続き、前線が南北に振動したため、旬日にわたって豪雨波状攻撃を受けたのでありまして、梅雨前線の活動によるものとしては各地とも記録的なものとなり、飯田市では一日の雨量が三百二十五ミリにも達し、これは明治三十一年測候所開設以来のものであって、このため県下河川が増水いたしましたが、特に豪雨の中心地域となりました天龍川流域では、二十七日から二十八日にかけて、本、支流とも各所ではんらん決壊し、家屋の倒壊、流失堤防道路橋梁流失耕地農作物流失、埋没等、大きな被害があったのであります。  さらに、連日の大雨で、下伊那郡大鹿村、上伊那郡中川村では山津波が発生し、また、各地で山くずれが起こり、家屋は押しつぶされ、一瞬のうちに多数の人命を奪い去り、あるいはまた、諏訪湖の水位が異常に上昇して、周辺一帯にほとんどあふれ出たのであります。諏訪市では市街地の三分の二が四日間水浸しになったのであります。  交通、通信関係被害もきわめて大きく、中でも、天龍川に沿って走っている国鉄飯田線では、道床の浸水、流失決壊土砂くずれによる線路の埋没等、全線各所で寸断され、伊那谷を中心とした県南部の道路網と通信系はほとんど全滅し、このため、孤立した村落も多数に上り、県史始まって以来の大災害と相なったのでありまして、死者が九十九名、行方不明が四十名、家屋全壊五百八十五戸、半壊九百十二一尺流失家屋五百四十三戸を初め、家屋の浸水、田畑の埋没、流失、公共土木の施設被害等、この被害総額は大体二百四十二億に達しておるということであります。  このほか、国鉄関係では、被害件数が三百七十三件、被害額は三億三千万円に及んでおるのでありまして、かような大災害の発生によりまして、県では直ちに災害救助対策本部を設置され、飯田市、諏訪市、駒ヶ根市の三市のほか、十四カ町村に災害救助法が適用され、避難所の設置、たき出し、罹災者の救出、飲料水の供給、日用品、医薬品の調達等を初め、第二次救助として、応急仮設住宅の建設、住宅の応急修理、住居内の障害物の除去、死体の処理、捜索等が実施せられ、また、緊急救助と災害地の応急復旧のため、陸上、航空自衛隊の派遣が要請され、七月五日までに延べ一万八千二百人、ヘリコプター延べ六十機の救助活動が行なわれたのであります。特に孤立地帯が続出したため、米軍のヘリコプターを初め、民間のヘリコプターまで動員いたしまして、罹災者の救出、食糧の輸送等が行なわれたのであります。そのほか、日赤班を中心として県下の医師会、現地病院等が一体となり、医療の実施を行なう等、ありとあらゆる機関が動員され、応急措置並びに復旧への最善の努力が払われているのでありまして、これら適切なる措置によって、民心は一日々々と安定し、伝染病も最小限度に食いとめられ、私ども現地に参りました当時は、大鹿村及び中川村の一部を除いて、道路もどうにか通れるように復旧いたしたのであります。国鉄関係では、小海線の海尻−松原湖の間、飯田線の市田−山吹間を除いて一応開通しており、これら不通個所も、七月十八日、二十日までにはそれぞれ開通する見込みだというお話でありました。  私ども一行は、諏訪市、天龍川沿いの各市町村を視察し、特に高遠町、長谷村、中川村、松川町、高森町、飯田市、鼎町、駒ヶ根市及び松本市近辺の明科町、豊科町の現地を詳細に調査するとともに、ことに、今なお孤立している大鹿村、中川村の一部については、自衛隊のヘリコプターを利用して空より視察したのでありますが、天龍川水系の水源地帯にはいわゆる中央構造線が通過していて、地質はきわめて複雑で、地すべりの最も発生しやすい地域であります。このため、集中豪雨による土砂の流出はなはだしく、特に中小河川である新宮川、大島川、野底川、あるいは松川町の名もなき小河川はんらんして、駒ヶ根市落合部落全部、あるいは高森町下市田、飯田市あるいは松川町では、家は押し流され、屋根まで砂に没し、あるいは田畑は一面の砂の海と化しておるありさまであります。下伊那郡生糸販売利用農業協同組合が経営しておる市田工場は、大島川より流出した土砂により、工場全体が砂に没するという状態であります。また、天龍峡狭窄部の上流、飯田市川路部落では、天龍川本川のはんらんにより、一部落全域が浸水、埋没するというありさまで、家はこわれ、田畑は流没し、その惨状全く目をおおう実情でありました。私ども調査団一行は、一本のたばこを吸うことも遠慮せなければならぬというようなみじめな惨害であったのであります。さらに、空より視察いたしました大鹿村、中川村の一部では、山腹が至るところで地すべりを起こし、その様はさながらシマウマのような模様をなしていまして、これらくずれ落ちた土砂は小渋川にあふれ、小渋川は砂の川と化していたのであります。  私どもは、これら被災地視察いたしまして、あまりの惨状に胸の痛むのを感じましたが、一方、地元被災者はもちろんのこと、関係当局、自衛隊の方々の涙ぐましい御尽力により着々と復興しつつある姿を見て、非常に心強く思うと同時に、治山、砂防事業を強力に推進し、天龍川の治水対策を早急に樹立し、二度とかかる惨害を繰り返してはならないと痛感いたしておるものであります。  また、松本市近郊の明科町、豊科町の境界で犀川がはんらん堤防決壊し始めたので、消防団、部落民総出動し、さらに、自衛隊二百五十名の応援を得て水防活動を実施した結果、堤防二百メートルにわたり、決壊はいたしましたものの、水防活動の全きを得て、三十九世帯、水田六十ヘクタール、ワサビ畑六ヘクタール、養マス池二ヘクタール、県水産指導所等が全然事なきを得た実情を直接見ることができ、水防活動がいかに重要であるかということをあらためて私どもは認識いたしたのであります。  次に、岐阜県の災害地実情につき申し上げます。  気象の状況は大体長野県と同様でありますが、特に平野部においては、岐阜市で六百ミリ、大垣市で五百五十ミリという、過去の記録の二倍の降雨があり、このため、木曾川、長良川、揖斐川の三大河川を初め、これらに注いでおりまする中小河川が一斉にはんらんし、堤防が亀裂、のりくずれ等が生じ、破堤寸前の危険な状態に陥ったのでありますが、水防隊、自衛隊及び地元住民の共同による強力な必死の水防活動によりまして、その危機は脱することができたものの、支川である鳥羽川、境川、天王川、水門川を初め、幾多の中小河川が、各所において堤防決壊、破堤または溢流し、さらに、平地に対する多量の降雨が低地に移動し、大規模な湛水地域が発生し、美濃平野においては、交通、通信は麻痺し、家屋の浸水、道路決壊橋梁流失、田畑の冠水等、甚大なる被害を受け、一万六千ヘクタールに及ぶ地域が、あたかも湖水のごとき状態になったのであります。このため、死者九人、行方不明四人、家屋全壊二十七戸流失十四戸、その他、被害総額は百五十九億円に及んでおるのであります。  かかる大災害の発生を見たので、県では、四市十二カ町に災害救助法を発動し、あらゆる救援の措置が講ぜられ、さらに、引き続いて応急対策として、湛水の排除、稲の種苗確保、農作物の病虫害の防除、家畜の衛生、防疫対策として伝染病の予防等、万全の措置が講ぜられたのであります。  私どもは、岐阜市、大垣市、羽島市、南濃町、海津町、穂積町等、湛水地域調査いたしたのでありますが、調査当日にはすでに水は排除されておりましたものの、長いところでは一週間から十日間も湛水いたしておったので、稲はほとんど枯死寸前にあり、美濃平野の穀倉地帯ともいうべき本地域がかかる実情にありますことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、しかも、過去五カ年連続して災害をこうむっておるということを聞き、私どもは、湛水排除の問題を大きく取り上げなくてはならないことを身をもって感じて参ったのであります。  次に、石川県の状況について申し上げます。  六月二十四日の夜半から中部地方に停滞いたしておりました梅雨前線は、その後北陸地方に広がり、石川県においては、七尾市、津幡町等を中心として連続降雨となり、さらに、七月三日夜半から四日にかけては、金沢市を中心として集中豪雨があり、その後においても、十二日夜半から十三日にかけて、金沢市周辺は再び集中豪雨に見舞われたのでありまして、これがため、七尾市において死者一名を出したほか、県下各地にわたって河川はんらん道路の損傷、橋梁流失等を生じ、その被害総額は約三十億に達する見込みであります。  私どもは、県庁において県知事を初め、県議会議員被災市町村代表者より被害状況を聴取した後、現地を調査いたした次第であります。  まず、金沢市においては、市内を流れている犀川の増水により、六月二十七日その三分の一程度流失した桜橋、あるいは七月十三日流失した新橋の現地調査をいたしたのであります。引き続き、金沢市、河北郡森本町及び津幡町にわたる河北潟周辺の水田の長期冠水による被害状況視察いたしたのであります。これら長期冠水による収穫皆無と見込まれるものが、四百町歩にわたっておるということでありました。  その後、能登地域における災害の中心地である七尾市周辺調査することは、残念ながら時間の関係でできなかったのでありますが、金沢市と七尾市の中間にある押水町に参り、宝達川流域について、上流地帯における地すべり被害あるいは下流における堤防決壊、これに伴う農地農業用施設等の被害状況をつぶさに見て参りました。特に宝達川もそうでありましたが、能登地域は、著しく後進地域であり、河川は未改修の原始河川が多いよしでありまして、今回は、幸いにも降雨量が少なかったので被害も軽微であったのでありますが、原始河川の実態を見るにつけ、今後台風期を控えて、憂慮せざるを得ないのであります。  以上、三県の災害実情につき申し上げましたが、私どもは、各県知事、県議会の議員を初め、各市町村の当局者、国鉄当局等よりそれぞれ要望されたことを聴取いたして参りましたので、その詳細については省略いたしますが、要は、私は、毎年々々ここ三カ年間災害地調査団として派遣されておりますが、岐阜県のごときに至りましては、五カ年連続であり、また本年も佐藤さんせっかくお見舞に来てくれたが、昨年も一昨年もあれほどお願いしておったのに、それを何ら改良工事も施さず、五カ年間、年々こういう災害をこうむっておるのではないか、何とかこの際、政治の力によってこれを救っていただきたい、民生の安定のために、という要望をされて参りました。私ども衆議院が、調査、お見舞、視察に行くだけでなく、行ってお約束して参りましたことは、政治家として信任を高める上に、どうぞ当局におかれましても十分善処されるよう要望して、私の報告を終わります。(拍手
  8. 辻寛一

    辻委員長 次に、兵庫県、大阪府及び島根県について、第四班の報告をお願いいたします。加藤高藏君。
  9. 加藤高藏

    加藤(高)議員 去る七月十四日より、大阪、兵庫、島根の三府県下における梅雨前線による豪雨災害状況調査して参りましたので、御報告申し上げます。  視察して参りました個所は、大阪府におきましてはその被害状況の説明を聴取するにとどまりましたが、兵庫県では尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市、明石市、島根県では大原郡加茂町、大東町、木次町、飯石郡三刀屋町、出雲市、簸川郡斐川村等でありますが、このほか、これらの隣接市町村である平田市、大社町、能義郡伯太町、広瀬町、布部村の代表より、それぞれ被害状況要望を承って参りました。この際、簡単にその概要を申し述べ、御報告にかえることといたします。  まず、大阪府について申し上げます。  大阪府におきましては、六月二十四日より二十九日にかけて、各地に長時間連続的に降雨があり、ために、小河川はんらんにより、池田、茨木方面低地帯における浸水被害が特に著しいものがありました。今回の小河川はんらんと内水の停滞は、最近の急激な都市近郊の開発により、ため池、水田等の埋め立てと丘陵地に住宅工場等の建設が行なわれたため、従来の遊水機能が失われ、また、排水施設が未整備のままである上に、堤防からの溢水により発生したものが多かったことがその特徴であります。  今回の豪雨による大阪府の被害は、死者一名、罹災者数八千七百十六名、住宅被害として、全壊半壊合わせて十七戸、床上浸水二千七百四十九戸、床下浸水三万二千百九十八戸となっており、被害額は、農林省関係二億九千万円余、建設省関係三億六千万円余で、総計六億五千四百九十万円余となっております。  次に、兵庫県について申し上げます。  本県においては、豪雨は特に県東南部に集中し、六月二十四日以降四日間の総雨量は、六甲では五百四十六ミリ、神戸では四百七十二ミリで、昭和十三年の阪神大水害の降雨量を上回る豪雨で、各地河川はんらんによる浸水、山地の崩壊が相次いで発生し、死者三十七名中、その大部分が傾斜地の崩壊のための生き埋めによるという、未曾有の惨状を惹起するに至ったのであります。このため、県では、神戸市を初め、八市二町に災害救助法を発動、被災者の救助に当たったのでありますが、兵庫県の被害は、死者三十七名、行方不明四名、負傷者百十九名、罹災者数三十三万五千八百二十三名、住宅損害全壊二百九戸、半壊四百五十四戸床上浸水九千四百四十二戸、床下浸水六万四千七百五十四戸となっており、被害額は、建設省関係二十二億九千六百万円余、農林関係三十九億六千七百万円余、その他住宅損害を含めて、実に九十一億五千二百万円余となっているのであります。  次に、島根県について申し上げます。  本県においては、七月四日、出雲地方に、わずか三時間余にして二百ミリを記録する集中豪雨があり、ために、県下の斐伊川、神戸川、飯梨川の各支流である中小河川が一斉にはんらん堤防決壊が続出して、東部地方各地に甚大なる被害をもたらしたのであります。  本県において、今次災害災害救助法の発動を見たのは、出雲市を初めとして、二市四町一村でありますが、今回の豪雨による被害は、死者十四名、重軽傷者三十三人、罹災者数五万五千九百十二人で、住宅等の損害は一万二千五百二十七戸、被害額は、建設省関係十三億六千六百万円余、農林省関係十五億円余、その他を含めて総額四十四億円に達し、なお増加の見込みであります。  なお、運輸省関係について、国鉄関西支社内の被害状況は、おおむね鉄道関係のみであって、線路流失、浸水等で被害件数千百七十四件、被害総額五億八千三百万円、私鉄関係で約十社、総額一億二千八百万円の被害であります。  以上、建設省、農林省関係災害を中心にして、数字的に各府県の概要を御報告申し上げたのでありますが、次に、被災地における要望事項と、調査の結果、特に配慮を要すると認められる点について申し述べることといたします。  まず、第一には、今回の災害特徴として、未改修中小河川災害が多発していることであります。三府県いずれも、大河川については、被害の発生を見ることのなかったことは不幸中の幸いと申せましょうが、この際、中小河川改修の一そうの促進各地において共通の要望となっている点にかんがみ、治水計画の根本的な再検討の必要を痛感いたしました。特に、島根県斐伊川の支流である赤川においては、本流である斐伊川の河床が赤川よりも約二メートルも高く、ために、従来再三にわたって本流の増水期には逆流し、災害の発生を見ているのでありますが、沿岸住民の民生安定のためにも、この際、本川、支川の改修とあわせ、導流堤の延長、斐伊川下流部の流路変更等について早急に検討すべきであると思われるのであります。  第二に、これらの小河川災害が多いため、当然にいわゆる小災害がきわめて多く、このため、各地改良復旧、小災害に対する特別立法措置要望があったのでありますが、これらの問題は、今次災害における全国的な要望であると思われますので、詳細に申し述べることは避けることといたしますが、従来、災害たびごとにこの改良復旧、小災害に対する問題が提起される点にかんがみ、今後の問題としても、あわせて検討する必要があると思われるのであります。特に、後進県である島根県等においては、いずれも市町村財政は貧弱であり、この問題についての要望が特に強かったことを付言しておきます。  第三に、宅地造成規制についてであります。傾斜地における宅地の造成は、人口の都市集中による宅地需要の増大とともに、現在随所に見られるところでありますが、今回の都市における災害特徴的なものとして、人的被害のうち最も大なるものは、がけくずれによる死傷者がきわめて多かったことであり、このことから、宅地造成について強力な規制を行なうことの必要性が強く叫ばれるに至ったのであります。私どもも、神戸市におけるがけくずれによる被害状況を現地で詳細に調査して参ったのでありますが、とうてい宅地には不可能であろうと思われる傾斜地に、単に擁壁とは形ばかりの石積みでもって宅地を造成し、ために、一瞬にして一家全滅という悲惨なる現状をまのあたりに見て、再びかかる惨害を惹起することのないよう、強力な規制の必要性を身にしみて感じて参ったのであります。建設省においてもすでに法案の準備を進めているとのことでありますが、聞くところによりますと、法制定以前に宅地造成を急ぐ業者が現われているとのことであり、すでに宅地造成の終わったもの、現に宅地造成に着手しているもの等についても、是正の措置を講ずることのできるよう配慮すべきであると思うのであります。  第四に、地盤沈下による浸水の被害について申し上げます。御承知のごとく、尼崎市におきましては、地盤沈下によって全市が低地帯である関係上、今回の災害に際しましても、延べ一万七千戸余りが浸水、公共施設の被害のみを見ても、約一億一千万円余の被害があったのであります。本市においては、一度豪雨があれば再び浸水をこうむることは明白であり、この際、高潮対策事業の早期完成と地盤沈下対策について、政府の強力なる措置を期待するものであります。  最後に、災害復旧促進についてであります。すなわち、復旧にあたっては、従来の三・五・二の比率にとらわれることなく、緊急に復旧を行なうこと、また、国庫負担率の引き上げ、地方負担分に対する全額起債の承認、災害復旧資金等の融資ワクの増加、交付税の増額、植えかえ及び作付転換に要する種子、農薬、肥料代の助成等の要望がありましたが、これにつきましては、すでに政府におかれましても十分御承知のことと思われますので、現地におきまして強い要望のありましたことをお伝え申しまして、御報告にかえる次第であります。(拍手
  10. 辻寛一

    辻委員長 以上で本院災害地視察派遣議員団報告は終わりました。  この際、委員長から、本協議会を代表して、派遣議員諸君の御苦労に対しまして、ここに厚くお札を申し上げます。      ————◇—————
  11. 辻寛一

    辻委員長 本協議会におきましては、すでに去る十日及び十一日の両日にわたり、主として昭和三十六年梅雨前線豪雨による被災状況及び災害復旧実施状況等について、政府関係当局から説明を聴取いたしたのでありますが、これら政府当局の説明並びに災害対策に関する事項について発言を求められておりますので、順次これを許します。宮澤胤勇君。
  12. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 このたびの災害は、三十四年の伊勢湾台風という名前で呼ばれておるのに比べまして、いわゆる天竜川災害とも称すべきもので、天竜川筋が非常に深刻な打撃を受けたわけであります。つきましては、これについて先般来各省の報告を聞き、また、ただいま建設、農林関係の委員の諸君が、重要なる府県にわたって調査をせられて、その御報告がありました通りであります。そこで、官房長官が非常にお急ぎだそうですから、官房長官に対する質疑を先に一つ、二ついたしたいと思います。  このたびの災害に対する政府の施策については、三十四年の例にならって、むしろそれ以上特別立法を行なっていかなければどうしても適切な処置ができないということから、各方面がその要望をしておりますので、三十四年のは政府提出二十六件、このうち生きているものもありますが、大部分は、あの災害に限られた特別立法であります。このたびもこれにならい、また、その足らない点はさらに補正して、特別な立法を行なわなければならぬということはほとんど決定的な問題とされております。政府にその用意のあることは当然であろうと思いますが、この点に関して、官房長官から一つお答えを願いたいと思います。
  13. 大平正芳

    ○大平説明員 御答弁に先だちまして、お礼を申し上げます。  国会におきましても、今次の災害にあたりまして、各地調査団を派遣されまして、つぶさに御調査をいただき、被害実情に即して貴重な示唆を政府に与えられましたことは、厚くお礼を申し上げます。  ただいまの宮澤委員の御質問でございますが、今次の災害にあたりまして、災害の全体的な規模といたしましては伊勢湾台風に及ばないのでございますけれども、今御指摘の天竜川水系その他各地における治山、砂防の被害につきましては、目に余るものがあると思うのでございまして、局地的な激甚な地域に対しましての特別立法措置を考慮すべきものと思っております。なお、先般の国会に提案いたしまして、不幸流産いたしました災害基本法案につきましても、今次の災害の経験を考慮いたしまして、政府の方で検討の上、すみやかに提案して御審議を願いたい、こう考えておるのでございます。
  14. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 政府において特別立法を制定する御用意があるということで、実は、この災害対策協議会もこういうように組織いたしました。そのおもな目的の一つは、その災害立法に対して、伊勢湾台風でまた至らないところをさらに補正をして、強力な処置を講じてもらいたい。それについては実情調査し、また、各省から実情も伺って、その対策を講じようというのが、この災害対策協議会の一つの大きな目的になっておりますので、これからの審議の過程において、私どもからそれぞれまた成案をもって政府に求めるようにもなりますが、そこで、災害立法を政府が行なう用意があるということで、この点は私どもは満足しております。  次に、今度の天龍水系を見ますと、水力電気のダムのために災害が非常に大きくなった。たとえば、あそこに下伊那の天龍峡という土地があります。それから十キロほど下に泰阜ダムがありますが、その泰阜ダムができます前とできた今日とは、あそこに橋がありますが、その橋下において、三十年間で河床が十五メートル上がっておる。それに従ってずっと上がっておりますから、年々災害にあたって補強して、堤防のかさ上げをしてくる。かさ上げをしてくると、田地や何よりも川の方が高くなってきておる。そうして、至るところから土砂が流れてきておりますから、そのために、諏訪湖にまで及ぶ範囲においてどうかしなければならなぬ。そこで、たとえば泰阜ダムというのは天龍本流にできておりまして、できた当時は四万六千キロというので、三十年前は、日本でも相当大きな水力発電でありました。ところが、今日は、埋まってきましたから、平時八千キロ、多いときで一万一、二千キロ、平均一万キロになってきておる。三十年間で四分の一になった。そういう状況ですから、これに対して新しく何か考えなければ——原子発電がすくできるというわけにもいきますまいけれども、こういう点における水力発電のダムというものは、旧世紀のものであり、新しい科学から見れば、こんなものをこれからやってはいけないのではないか。先般できました佐久間ダムは、とにかく峡谷の下の方ですから、これが埋まってくるまでにはまだ三十年や四十年はたちましょうけれども、今の泰阜ダムとかその下の平岡ダム——平岡ダムは、泰阜ダムにささえられて能力を発揮しておりますけれども、どうしてもこれを何とか処置しなければ、その施設をした会社としては、約三十年間で元利償却をして、すっかり利益をとっておりますから、会社の計算面は何でもないかもしれませんが、その沿川、ずっと河川上流に及ぶ被害は、今後政府が何百億ずつかけていっても、これを存置しておる限りは不可能である。これに対しては、最近学者の間にも、これではいけないという議論がだんだん出て参っております。  そこで、政府が水力ダムのこういう点に関する調査会を設けて、とれに対する根本的な科学的の調査を行なってもらう必要があると思うのでありますが、こういう点について政府の所見を伺うのみならず、そういうものを設置していただきたい、こう思うので、これを官房長官に伺いたい。
  15. 大平正芳

    ○大平説明員 ただいま御提示のございました水力ダム建設の問題でございますが、これは、最近における技術革新あるいはエネルギー対策等との関連におきまして、また、今御指摘の災害状況との関連におきまして、とくと真剣に考慮し、対処すべき問題であるという見地におきまして、宮澤委員と全く同感でございます。御提示の趣旨につきまして、政府といたしましてもとくと誠意をもって検討いたしまして、あらためて御返事を申し上げたいと思います。
  16. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 私は重ねてお願いをするのですが、一つ至急に関係各省と御相談を願って、設置するということに——これも簡単なことですから、政府において御協議願って、一つ本委員会に御報告を願っていただきたい、こう考えております。
  17. 大平正芳

    ○大平説明員 さようにいたします。
  18. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 官房長官はお急ぎですから、中島君に官房長官に対する質問をやっていただいて、そのあと私がやります。
  19. 辻寛一

    辻委員長 官房長官に対しての質疑をお願いいたします。中島巖君。
  20. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 官房長官は非常にお急ぎのようでありますので、私は、農林大臣、建設大臣、自治大臣などにも出席を要求いたしておるのでありますけれども、一応官房長官に対する質問だけにして、また後刻宮澤さんのあとで質問するように保留いたしておきたいと思います。  そこで、官房長官に対する質問は、今次災害に対する政府の基本的な方針はどうであるかという点についてお伺いいたしたいのであります。ただいまの宮澤委員の、特別立法をこしらえる意思があるかどうかという質問に対して、意思があるということは言われたのでありますけれども、その特別立法の内容については何ら明確になっておらないのであります。そこで、基本的な問題といたしまして、今回の災害は、全国的に見れば、おそらく公共土木の予算なんかから見ましても、伊勢湾台風の総額の約四分の一くらいではないかと思うのであります。しかしながら、その内容に入りますと、ごく限られた、局地的ではありますけれども、実に深刻きわまるもので、私は、伊勢湾も諌早毛、過去における大きな災害視察いたしておるのでありますけれども、それ以上に深いものがある。従いまして、政府が善政を行なわんとすれば、範囲は狭くありましても、この深刻な災害に対して、どうしても特別立法を出さねばいけない。一つの例を申し上げますれば、中川村の四億部落などは、数キロにわたって点々として八十四戸あったのでありますが、そのうち、四十五戸が流失全壊になっておるという状態であります。さらに、隣の大鹿村のごときは、山津波におきまして三十七戸が全部土の底に埋まってしまって、現在、なお陸の孤島として交通が途絶しておりまして、自衛隊のヘリコプターをもって食糧輸送をしているというような状態でありますし、それから天竜川沿線は、ほとんど数町ごとに堤防決壊いたしまして、今や天竜川の本流が耕地の中を流れておって、それは先ほど宮澤委員からもお話がありましたように、河床が上昇いたしましたので、水が引いても旧水位に戻らぬというような状況なのであります。これらから見ましても、地域は狭くありましても、この災害の深度というものがいかに深いかということは、はっきりおわかりだと思うのであります。従って、どうしても特別立法によってこの救済の処置をせねばならない、こういうように私は考えるのでありまして、それに対しましても、政府は特別立法の意思があるというお話でありますけれども、その特別立法の内容について伺いたいのが一点であります。すなわち、この災害の基本法ともいうべき建設省関係公共土木施設に対するところの国庫負担法、及び農林省関係の農林漁業の災害に対する補助の暫定措置法、この二つが、現在では基本的な災害復旧の法律であるのでありますけれども、この二つの法律に対して、伊勢湾台風のような特別立法をする意思があるかどうか、これらの法律はそのままにしておきまして、そうして財政措置の特別立法においてなすのであるか、この辺の官房長官のお考えを明確にしていただきたい、かように考えるわけであります。
  21. 大平正芳

    ○大平説明員 今中島委員から御指摘の、特に被害の激甚な地域の実態に即して、どういう特別立法を考えているかということでございますが、私どものただいままでの災害復旧のやり方につきましては、災害の実態に即しまして、いわゆる原形復旧主義というものが実態的にだんだん変改されて、改良復旧的な工事に移行しつつありますことは御案内の通りでございまして、今御指摘の事態に対しては、現行立法の運用におきまして、できるだけこれに対応して参るということは当然だと思います。しかし、それでもなお事態に即することが不可能であるというような点につきましては、新しい立法をお願いしなければならない場合もあろうかと思います。ただいま政府部内におきまして、実態の究明とあわせて鋭意検討中でございます。
  22. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 官房長官は、こういう方面には不案内だから、そういう御答弁で無理はないと思いますけれども、たとえば私の方で——これは、農林大臣が見えたからあとで農林大臣に質問いたしますけれども、天竜社という一つの単協の連合会の共同利用施設がやられて、非常な災害を受けているのです。先ほど宮澤委員からお話がありましたけれども、これらに対しましても、現行法においては二割しか補助ができぬわけです。それから、一般林道なんかも、長野県の総予算の三割以上一郡で持っているというような、たくさんな林道がある。これらも、現行法では七割五分しかできぬ。しかし、伊勢湾台風のときには、ただいま申しました共同利用施設に対しましても、九割補助を出している。それから一般林道に対しましても、九割補助を出している。さらに、これらの天竜社その他の工場において、工場がつぶれてしまって、復旧まで一年なり一年半かかる。その間にここに働いている数百名の労働者をどうするという問題があるわけであります。これは、伊勢湾台風のときに失業保険法の一部改正をしまして、普通ならば、失業保険をとるためには離職せんならぬ、それを、一部改正によってその間を認めて、そして失業保険を支給した、こういうように、どうしてもいろいろな立法措置を講ぜねばならないし、そして、ただいま申しました建設省関係公共土木施設に対するところの国庫負担法、それから農林省関係の農林漁業の災害に対する暫定措置法、この基本法に対するところの特別立法をこしらえざる限りは、どうしてもこの救済はできない、こういうように私は考えておるのです。それから、この立法措置をせぬ限りは、あるいは自治省関係におけるところの起債などの立法措置をしましても、これが順次細っていって、災害対策がどこかへ消えていく、こういうような不安が非常に地元民の中にはあるわけです。こういうような意味において、いわゆる激甚地の指定というような問題もあり、この激甚地の新しい特例法を適用するその内容については、まだ検討する余地はあると思いますけれども、重ねて、くどいようにお尋ねいたしますが、こういうような災害基本法に対するところの特別立法をされる意思があるかどうか、この点、もう一度お伺いいたしたい。
  23. 大平正芳

    ○大平説明員 ただいま御指摘のような事情も十分ございますし、また、伊勢湾台風の場合の前例もございますので、そういった点をただいま政府で検討中でございまして、誠意を持って対処していきたいと考えております。
  24. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 内閣改造で非常にお忙しくて、結論はまだ得られておらぬと思いますが、そういう方向にぜひ向かっていただきたいと思います。  それから、伊勢湾台風と比較すれば小さいのでありますけれども相当被害額災害で、しかも、ただいま申しましたような残酷ともいうべき深度の深いものであります。これに対して臨時国会をお開きになる意思はあるかないか、この点お伺いいたしたい。
  25. 大平正芳

    ○大平説明員 御案内のように、日本社会党、民主社会党からもそれぞれ臨時国会召集の御要請がございましたし、特に日本社会党からは、成規の手続をもちまして両院議長に御要請になっておりまして、その通告を政府も受けております。政府といたしましても、できるだけ早く、準備の整い次第臨時国会をお願いすべく、今考慮中でございます。
  26. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 くどいようでありますけれども、通常国会の関係から、臨時国会は相当早目に、災害がなくとも開くであろうということが一般に予測されておったわけであります。しかも、この災害でありますから、これは閣議決定あるいは総理の意向を聞かねばわからぬでありましょうが、官房長官のお考えとしては、大体いつごろになるか、これに対して責任は持たなくてもいいですが、あなた個人の考えをお伺いいたしたい。
  27. 大平正芳

    ○大平説明員 政府部内でもよく相談し、かつ、与党並びに野党とも御相談いたしまして、できるだけ早い機会にお願いしたいと思います。
  28. 辻寛一

  29. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)協議委員 私は、お見舞視察に行って参りました報告は先ほど申し上げ、地元民罹災者あるいは罹災府県知事、町村長まで陳情を受けて参りましたことについて、関連して御質問をいたすつもりでおりましたが、あとにせよというお話でありますから、官房長官だけにお尋ねしておきます。  実は、ただいま中島議員からも、宮澤さんからも臨時国会を早く召集してくれという要請がありました。そこで、私どももその要請を非常に受けて参って、早く何とか打開の道を作っていただきたい、こういうのが地元民要望であったのであります。そこで、大体九月、この台風期に向かっておるのでありまして、今回の六月下旬より七月上旬におきまするところのこの災害額が一体どのくらいあるか、伴って公共土木災害あるいは農林災害あるいは厚生関係災害等、すべての災害を集計したものが政府に一体どのくらい今集まっておるか。同時に、大蔵省においては幾ら予備費があるか。この予備費のうちで一応まかなえるかどうかということも考えなければならぬから、そこで、早く臨時国会を召集していただきたい、こういうのであります。現在、一体政府は、各所管省からの報告だけでやっていかれるのかどうかということを実は官房長官にお聞きし、それで足りない場合には、どうしても臨時国会を召集しなければならないが、一体どういう報告を受けておるか、官房長官にお尋ねしたいのです。
  30. 大平正芳

    ○大平説明員 今回の災害は、ただいまの時点におきまして政府が受けておりまする報告では、公共土木施設農業災害都市災害を含めまして五百六十億円程度と承知いたしております。  ただいま予備費との関連、補正予算との関連の御質問がございましたが、これは大蔵大臣からお願いいたしたいと思います。
  31. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)協議委員 ただいま五百有余億円が災害報告だと申しますが、私どもの回って歩きました長野県、岐阜県、石川県だけですらも五百億に達しておるのであります。政府への各役所からの御報告だけではとうてい足りないと思います。ゆえに、どうかこの罹災県あるいは罹災者の心理状態も十分くみ取っていただいて、一日も早く臨時国会を召集いたし、民生の安定のために、一つ臨時国会を早く開かれるよう切望して私の質問を終わります。
  32. 辻寛一

  33. 角屋堅次郎

    ○角屋協議委員 官房長官は午前中だけのようでありますから、ただいまそれぞれ関係協議委員からお話のあった臨時国会開催の問題であります。御承知のように、今度の梅雨前線災害は、これから来る本格的な災害の前に起こった非常な大災害、しかも、これは早急に特別立法の問題なり、あるいは予算措置なりの問題を片づけて災害復旧を急がなければならぬ、こういう事態にあるわけなんであります。私どもは、従って、そういういろいろな観点から見て、すでに内閣改造も終わりましたし、しかも、今度の改造の場合は、比較的手なれた方々がなられたので、いろいろ勉強して臨時国会に備えなければならぬという方々はほとんどないわけです。しかも、災害が起こりましてから相当期間もたっておりますし、従って、少なくともやはり八月十日過ぎには臨時国会の開催ということを目途に万全の準備を進めらるべきじゃないか。九月以降ということになると、これはもう台風等の本格的な時期にちょうどぶつかってくるわけでありまして、開催ということはなかなか問題になってこようかと思うのでありまして、やはり臨時国会開催のめどというものについてこの際御意向を明らかにしてもらわぬと、当面の梅雨前線災害罹災地としては心待ちしておる事態だということも私ども思うわけです。その点もう一度、臨時国会開催の時期のめどというものは、今次災害の特性から、あるいはこれから来る本格的な災害の前にそういう問題については速急に処理をしていくという前提から見て、非常に重要だと思うのですが、官房長官一つ……。
  34. 大平正芳

    ○大平説明員 御趣旨の通りでございまして、私どもといたしましても、災害が起こりましての応急措置につきましては、政府としてもあらん限りの力を動員いたしまして万全の措置を講じておりますし、融資その他につきましても措置を講じておるわけでございます。本格的な臨時国会対策でございますが、ただいまも政府の方で鋭意準備中でございます。その時期でございますが、日本社会党からも、成規の手続をもって、八月の十日までにという御要請がなされております。そういった点も勘案いたしまして、準備が整いましたら、与党とも十分協議いたしまして、御趣旨にできるだけ沿うように努力いたしたいと思います。
  35. 角屋堅次郎

    ○角屋協議委員 今度臨時国会を開く場合の臨時国会の性格というものは、当面の災害に焦点を合わせて、とりあえずその問題を処理する臨時国会、あるいは前国会以来の懸案事項の問題をさらに処理しなければならぬ臨時国会、いわば二本立でいこうという前提に立たれておるのか。それとも、今度臨時国会を開いたならば、災害の問題ももちろん処理をするけれども、前国会以来の懸案の問題等についても処理をするという、そういう長期の臨時国会の前提に立っておられるのか、いずれの考え方でそういう検討を進めておられるのか、その辺のところを一つお伺いしたいと思います。
  36. 大平正芳

    ○大平説明員 その点も目下検討中でございます。
  37. 角屋堅次郎

    ○角屋協議委員 先ほど特別立法の問題が各委員から出ておったわけですけれども、これは今それぞれ四班からの報告の中でも特に超党派的に強調されておる点でありまして、非常に重要なことだと思うのですが、各省のそれぞれ担当の方々に来ていただいて、私どもの方でもいろいろ当面考えておる問題等をお聞きしますと、たとえば小災害対策というような問題になってくると、農林省に聞けば、建設省の御意向等も見合って、あるいは建設省に聞けば、農林省等の関係も見合って、あるいは湛水排除の問題についても、堆積土砂排除の問題についても、これは建設省、農林省両省にまたがる、こういうふうなことで、それぞれ特別立法の問題については、一省独自の問題でなくて、各省にまたがる問題が非常に多い。こうなってくると、特別立法の基本的な、政府として提案をすべき方針というものは、やはり官房長官の方でまとめていただくということにしないと、各省の方では、それぞれ他の省の情勢待ちという感が、率直に言ってするわけです。この辺のところを速急に各省間の調整をとり、そうして今度の臨時国会に臨む特別立法の基本的な問題についてはすみやかに整備をしていく、こういうふうなことが必要じゃないか。私ども聞いておるところでは、たとえば宅地造成の規制なんというのは、建設省としても独自の問題としてやりたい、これはおそらく出て参るでしょう。しかし、今申しましたような激甚地指定等に伴う高率適用の問題、小災害対策の問題だとか、あるいは堆積土砂の排除の問題、いろいろな問題は、それぞれ一省関係だけではなしに、各省にまたがるというふうな問題については、やはり総合的に官房長官の方ですみやかに、今度の梅雨前線災害対策に対する特別立法はかくかくのものを出す、こういうことで整備される必要があるのじゃないか、これが一つ。  もう一つは、先ほど官房長官も触れられましたが、前国会で流れましたけれども災害対策基本法案の問題に関連してであります。この法案の考え方は私どもまだ質疑を通じて明らかにしておりませんけれども、大体法案の条文等から判断をいたしますと、災害ごとに特別立法を作るというふうなことはできるだけ避けて、恒久的な対策ということで、災害対策基本法あるいはそれに関連する各種立法というものを整備して、それぞれ災害実情に応じ、激甚被害というものについては政令その他で規制していく、こういう考え方のようでありますが、今申しました当面の問題としては、やはり今次災害の特性に見合った災害立法ということで当然処理していかなければならない。しかし、同時に、近い機会の国会で検討する政府側の問題としては、災害対策基本法と関連した現行の災害関係の諸立法について、災害対策基本法と結びつけた関係条項との関連の中の法制的整備をやはり他面で進められておるのじゃないかと思いますが、その辺のところについてはどういう状況になっておるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  38. 大平正芳

    ○大平説明員 災害基本法の関係については、先ほど申し上げました通り、前国会で流産した法案がございますが、できるだけ今次災害の経験をくみ入れるべきものはくみ入れまして、早急に提案をいたしたいと考えております。  それから最初の方の御質問をもう一度……。
  39. 角屋堅次郎

    ○角屋協議委員 災害対策基本法との関連の中で現行の災害諸立法について検討していく、そして必要なものについては修正していく、たとえば、条文の詳細については入りませんが、政府の提案になっている災害対策基本法の関連で第八十八条等を見て参りますと、これは災害復旧事業費の決定の問題でありますが、この第二項を見ると、相当程度改良復旧主義的な思想がこの中で強調されてきておる。そうすると、現行の公共土木国庫負担法なり、あるいは農地農業用施設災害復旧の暫定措置法なりの関係条項については、そういう精神で書き改められなければならない問題も出て参ります。その他、激甚被害地の問題に関連しても、現行法のそれぞれの条項との結び合わせの中でやはり所要の検討、修正も必要になってくるだろう、こういう災害対策基本法との結びつきの中で、現行法制の整備、あるいは場合によっては統合、こういう問題について当然政府としては別の立場で検討されているのじゃないかというふうに判断いたしましたので、そのことをお伺いしたわけであります。
  40. 大平正芳

    ○大平説明員 御指摘のような問題につきまして、今政府部内で検討中でございます。  それから最初の御質問の災害関係措置、立法その他につきまして、内閣としての調整問題がございます。これは従来も内閣審議室を中心に調整をやって参りましたが、さらに、今回の措置につきましても、御指摘がございましたような方向で、内閣におきまして責任を持って調整して参りたいと思います。
  41. 辻寛一

    辻委員長 宮澤君。
  42. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 大蔵大臣、農林大臣お急ぎだそうでありますので、私はきわめて簡単に御質問を申し上げます。  今度の災害を見まして、結局治山治水河川の問題を一体に考えなければならぬと思うのであります。この間も建設大臣に——きょうは病気でお見えになっておりませんが、私ども長野県を視察してもらったときに、私は中村建設大臣に、これは治山治水の方を先に考えてやらなければむだだ、何回下の方をやっても、上がくずれてくればおしまいだ、こういうことを言っておる。これは両省協議してやらなければならないと申したのですが、この治山治水河川との関係を両省において調整する何らかの機関が現在あるのでありますか、それはないのでありますか。
  43. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御指摘の通りでございますが、両省緊密な連絡をとってやっておるわけと心得ます。まだ就任早々でございますから、最近の事情は心得ておりません。前にはよく治山の関係河川関係とがだいぶやかましいところがございましたが、その後は別にそういう問題はありませんから、今非常に連絡がよくいっている、こう心得ております。しかし、今御指摘の点につきましては、よく調べまして、至急善処することにいたします。
  44. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 河野農林大臣は就任早々ですけれども、農林省のことはすみからすみまで御承知の方なんですが、私はこれは正式の機関はないように思っておりますが、ここで一つ治山治水河川の両省の関係に正式の何か協議機関を設けて、そうしてその計画のもとに進めていかないと非常な国費の浪費が起こると思いますので、その点をぜひ一つお願いをいたします。  それから次に、今度の災害は建設省と農林省が大部分であります。ただいま官房長官は五百億と言ったが、おそらく一千億をこえると思います。伊勢湾台風が二千億といわれておりましたが、私は一千億をこえると思いますから、この点に関して、農地の問題に関連して、これは大臣御承知と思うのですけれども伊勢湾台風のときには、農林水産施設というものを九割に補助率を上げてやっております。今度もむろんそうしてもらわなければならぬと思いますけれども、そのうちに、これはさっき中島委員から言われたような農村の共同施設とでも見るべき、たとえば天竜社の組合製糸というようなものは共同施設と見られるわけですが、この農林施設に対してやはり九割の補助をやらなければ、とてもできないと思います。これは特別立法できめますが、そういう点に対して、私は、農林大臣が特別なお考えを持ってこれに善処されることを、いずれこまかくはこの会議の進行によって御相談しますが、要望申し上げまして、農林大臣に対する質問はこの程度にして、あとは事務当局に聞きます。  そこで、大蔵大臣に一つ伺いたいのですが、このたびの災害が一千億にとどまるか、一千二百億にとどまるか知りませんが、予備費のうちから応急的に処理をせられると思うのであります。そのあと臨時国会を開いてそれぞれの補正予算を出されることと思うのですが、補正予算の財源としては二千億からの税の自然増収があると予想されておるのですから、お困りはないと思いますけれども、それらの点に関して大蔵大臣はその資金計画についてどういうお考えを持っているか、簡単に伺います。
  45. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 さっき佐藤委員からの御質問もございましたが、農作物被害とか商工関係被害というような一般被害報告も出ておりますので、こういうものを入れると相当大きい被害額だと思いますが、私の方で、さっき官房長官が申しました額は、財政に関係する部門、公共施設の被害額報告だったと思いますが、それによりますと、公共土木施設が三百五十三億円、農林水産業施設の被害が二百五億円、都市施設四億円、合計五百六十二億円というのが、七月十七日現在で各省の報告を集計した数字でございます。これによりますと、予備費の必要額は七十億円前後のものになろうと思いますが、ただいま持っておる予備費は八十四億円ございますので、今次の被害に対する当面の対策としては何とかやっていける、こういう状態になっています。
  46. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 補正予算の財源には困らない……。
  47. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういうことです。
  48. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 それから、地方財政が負担力がありませんので、起債もある程度こまかいものもみんな評していただかなければならぬが、起債ばかりしておっても——これは自治省の方とも協議せられるでしょうが、負担力がなくなってくる。負担力はないし、起債させてもそうそうは負担できない。しかし、これは何とか救済してやらなければならぬという面に関して、市町村に何か特別な方法が講ぜられますでしょうか、どんな工合でしょうか、それを伺っておきたい。
  49. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 起債について認めることも考えておりますし、それに対して地方の負担を軽減する措置も、すでにたびたびの災害によって今まで実施した例がいろいろございますので、それらにならって処理したいと思っております。
  50. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 これはどこの所管か知りませんが、先ほどお話しがありましたが、公共土木事業全体についていわゆる三・五・二というような割合はいろいろありますが、今度はどうしても五・五にして二年間でやってもらいたい、この要求が全面的であります。もっとも、工事施行の能力のない、作業力のないところはやむを得ません。あるところはやってもらわなければならぬのですが、これに対して……。
  51. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この三・五・二の比率の問題ですが、これは今までずいぶんいろんな御要望がございましたが、過去の例を実際に統計によって見ますと、なかなかそうやれないのであります。過去の実績が大体そういう比率になっておるというようなところから、これを一般的な原則ということにしておるのでございますが、しかし、その被害地実情によりどうしても必要だという場合は、この原則にはこだわらずに、今まで進捗させる必要があるところはやっている、どういう運用をやっておりますので、前々回もそうですが、今回も同様な、一般原則は原則として、実情に沿った査定の仕方をしたいと考えております。
  52. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 大蔵大臣からそういう特別な扱いをするということであれば、何も一般原則を変えなくても、実情に応じてやってもらえばそれでけっこうですから、それを徹底的にやる、たとえば農林、建設から査定員が来て査定しましても、今度は大蔵省の査定員が来ると、大蔵省でそれを削ってしまうということが非常に多い。ですから、これは査定のことでも、全体としてたとえば一千億の被害があった、これを農林、建設の査定通りやったところで、私はおそらく百億か百五十億の違いだと思う。大した問題じゃないと思うので、一つ大蔵省においては建設、農林両省の査定を尊重して、大蔵省でチェックしないこと。わずかなものをチェックしてもしようがないと思います。その点を特にそういうように行なってもらいたい、私はこういうことを望んでおきます。  それから厚生大臣に一つ伺いますが、耕地流失とか作業場を失う、すべての施設を失う、その復旧をするまでは相当の日にちがかかるし、その間どっかに行って働けといっても、そうそう働けない。これらに対してどういう措置を厚生省としては考えておられるか。農民にも、中小企業にもその他にも、生計の道を失っているものがある。それに対する厚生省の考え方をお伺いしたい。
  53. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 災害地の皆さんが非常にお困りになっていることは、先ほどの御報告によりましてもよくわかるところであります。今お話しのような困難を感ぜられる向きも少なからずあると思います。厚生省といたしましては、今回の災害につきましても、従前と同様でございますが、いわゆる災害救助法の適用を適切に実施していく、同時にまた、財政面その他の関係もございますが、伝染病の防疫でありますとか、あるいは関係団体の施設について遺憾なきを期したい、こういうつもりでやっております。そのほか、今お話しの点に関連すると思いますが、厚生省といたしましては、世帯更生資金とか、あるいは母子福祉に関する資金というふうな多少の資金もございますので、これらを適切に運用することによりまして、当座のしのぎにしていただきたい、こういうふうな措置をとっておるような次第でございます。御了承願います。
  54. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 今の問題については、私ども協議会の方でもそれぞれ研究をしておりまして、いずれ特別立法の形において政府に御相談しようと思いますから、その点を一つお含みを願いたい。  なお、厚生大臣、この一両日の新聞に、八月一日から医師、歯科医師が例の保険医総辞退をするということが出ております。ところが、私ども地元長野県などを見ますと、災害地の救助に保険医も何もありはしない、医師が一体となって当たっております。これに対して総辞退をしろ、しないというようなことは、全く認識不足な話で、昔から、医は仁術といって、お医者様は特別に国手とまでいわれておる立場にありながら、労働運動の先がけをするようなやり方をやることは、この実際の事態を認識していないと思います。中央の組合の人がそういう指令を出すと、地方では非常にお医者さんは困るのです。それに従うことは、地方の実情としてはできません。そうかといって、中央からは指令がくる。これに対して、更生大臣、就任早々でありますけれども、練達なあなたのことだから、何かお考えがあろうかと思います。これを伺います。
  55. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お尋ねの通りに、昨日日本医師会、歯科医師会等の会合におきまして決議をして、一つの声明を出されたのであります。その声明の内容を入手したところによれば、八月一日を期して保険医の即日総辞退をする、こういうふうな意味合いのことがうたわれておるのであります。私も実は一昨日はからずも厚生大臣に任命ぜられたばかりで、医療の問題につきましては、従来からいろいろ入り組んだいきさつがある、そういう点につきまして真剣に取り組んで前向きに問題を解決したい、かように存じまして、せっかく勉強しようと思っておりましたやさきに、こういうふうな声明を出されたので、ちょっと面くらいもいたしますと同時に、まことに残念なことだと思っておるのであります。少なくとも新しい大臣がどんな考え方をしておるかということぐらいは聞いておいていただきたかったのでありますが、全然さような連絡もなく一方的にやられましたことについては、まことに遺憾に存じます。一体どういうつもりで今度の措置に出られたのか、また、この措置をとった結果どういうふうなことをやっていこうとせられておるのかというふうなことが、まだ実はつまびらかでございません。私ども、もう少し医師会、歯科医師会のものの考え方というものについて真実を把握したい、かようにも考えておる次第であります。万一そういうふうな不幸な事態が起こりました際の措置等につきましては、目下事務当局をして検討さしておるような次第であります。しかし、要は、かような事態に突入しては困るのであります。日本の医師諸君の従来からの社会的な地位あるいは社会的な関係、こういう点から見ましてもまことに残念なことでございます。同時にまた、それが一般の被保険者大衆にも非常に大きな迷惑をかけることになると思うのであります。さようなことになってはまことに遺憾なことでございますので、声明を出されましたけれども、何とか実際においてはそういうふうにならぬようにというふうに私どもは念願しておる次第であります。目下せっかくこの間に処してどうしようかというようなことについて苦慮しておるようなわけでございますが、できるだけ、両医師会はもちろんのこと、全国の医師諸君の良識を喚起して、同時にまた、医師としては、ことに保険医といたしましては、かりに辞退するとしましても、法律上、一カ月の予告期間を置くというような建前にもなっておって、一人の保険医がやめる場合にもそれだけの規定を持って、被保険者大衆の医療のために遺憾なきを期しておるというのが法の精神であります。いわんや、全国の医師会が総辞退するということは、穏やかならぬことだと思います。そういうふうな点についても反省をしてもらいたい、そうして良識ある医師としての行動をとってもらいたい、分別のある行動をとってもらいたいということを目標といたしまして善処いたしたいと考えておる次第でございます。しばらく推移を見守っていただきたいと思います。
  56. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 私は、最後にもう一つ蚕糸局長にお伺いいたします。ちょうど農林大臣もおいでですから、農林大臣も聞いておいていただきたいと思います。  私どもの選挙区のことで、はなはだなにですが、あそこに天竜社という組合製糸がある。これは下伊那郡における約二万になんなんとする養蚕家が全部そこに繭を集めて、そして共同施設でやっておりましたのが、さっき中島君から話があったように、すっかり埋まってしまって、二億五千万円の損害という。これは農林水産施設として、伊勢湾台風では、九割の助成をする特別立法ができております。今度もむろんこの農林水産施設九割の特別立法が当然できるものと私どもは予想しておりますが、それができたらば、この天竜社のあの被害に対して、その農林水産施設としての適用ができますかどうか、それを伺いたい。
  57. 立川宗保

    ○立川説明員 ただいまお話しの通り、天竜川流域にありますところの組合製糸の天竜社は、今次の災害で著しく甚大な被害をこうむりました。土砂が軒下まで積もってしまって、せっかく昨年入れました自動操糸機その他の機械設備が全面的にだめになってしまった、こういう被害状況であります。現在の法律では、先ほど御指摘の法律がございますけれども、これの適用によっては二割の補助ということに相なるわけでございます。この復旧をいかようにしていくかということにつきましては、現在いろいろな資料を関係者とも相談しております。そしてまた、関係省とも相談いたしまして、いかようにこの復旧をいたしていくかということを十分検討いたして、すみやかにその復旧目的を達するように、関係省とよく相談をして参るつもりであります。
  58. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 それは二割を九割に特別立法でいたすとすれば、その九割の適用が天竜社には受けられる、こういうことに了解してよろしゅうございますか。
  59. 立川宗保

    ○立川説明員 現行の法律では二割であります。でありますから、九割ということには相なりませんけれども、そういう立法になりますれば、それはむろんおっしゃる通りでございます。
  60. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 私はこれで私の質問を終わりますが、この質問を終わるにあたりまして、このたびは天竜水域が一番の災害でしたが、その災害の起こりますや、自衛隊が直ちに出動せられ、あの地域だけでも、三千の自衛隊、二十数機のヘリコプター、東京から機械化部隊が来て非常な活躍をせられた。災害民全体は自衛隊を神様のように思い、また、自衛隊もほんとうに誠心的に働いてくれました。あの天龍水域の被害は全国の被害額の三分の一、人畜の被害は半分です。もし自衛隊というものがなかったならば、これがおそらく倍加して、今日なお塗炭の苦しみにあり、まことに目もあてられないと思いますが、自衛隊の活躍によってとれが救助せられたというので、この点私ども災害民の心持は、自衛隊に対する感謝の気持が一ぱいでありますので、私はこの機会にそれを皆様にお伝えして感謝の意を表したいと思います。  なお、自衛隊の費用は全部演習費からやっておるそうです。これは演習費から流用してそのままで行けるものか、あるいはそういうことに差しつかえが起これば、大蔵省で何らかの財政的措置ができるものですか、それを伺っておきたい。
  61. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 差しつかえが起これば、措置はいたします。
  62. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 私の質問は終わります。
  63. 辻寛一

    辻委員長 農林大臣も大蔵大臣も午後差しつかえがありますので、まず、農林大臣に対する御質問を願いたいと思います。  中島君。
  64. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 農林大臣にお伺いいたしますが、私、飯田のものでありますけれども、実は昨日地元の町村会長や村長の連中が大勢来まして、河野さんという大物の実力者が農林大臣になった、これで安心だ、こういうように異口同音に喜んでおりました。私、昨日そういう話を聞き、河野さんが農林大臣でそこへすわっておられると、何だか内閣にも重量感ができて、楽しみで期待をいたしておるわけであります。  お伺いいたしますことは、前に農林大臣をされておるので御承知だろうと思いますけれども、先ほどから官房長官にもお話しいたしましたように、非常に部分的の、局部的の狭い地域ではあるけれども、非常な深い深度を持った、予想外の天竜川沿岸の残酷な災害なんです。実は昨日も、私ども社会党の災害対策委員会で、建設省の諸君や農林省の災害関係の中堅的な諸君を呼んでいろいろヒヤリングをやったのでありますけれども、やはり農林省で踏み切ってもらわねばと建設省では言っておりますし、また農林官僚の方も、やはり建設省でやってもらえればわれわれもというような風が、両省ともそうはっきりとは言わないけれども、見えておるわけであります。ことに、との災害は、あの地方は建設関係も非常に大きいものでありますけれども集中豪雨というこの災害の性格から見て、山くずれでありますから、むしろ農林省関係災害の方が非常に大きいわけなんです。先ほどからくどく官房長官にも言っておりますが、いわゆる自治省関係におけるところの起債措置ももちろんしてもらわなければならぬけれども起債やあるいは交付税の措置だけでこの災害復旧できるものではない。どうしても災害の基本法であるところの、建設省関係公共土木施設災害に対する国庫負担法、それから農林省関係の農林漁業施設に対するところの災害補助に対する暫定措置法、この二つの法律の伊勢湾台風におけるような特別立法を出してもらわざる限りは、この災害は救われない、こういうように基本的に考えるわけであります。非常に就任早々で、こういうことを畳みかけてお聞きすることはどうかと思いますけれども、この基本法の特例法を伊勢湾台風のときのようにお出しになるお考えがあるかどうか、この点をお伺いいたしたい。
  65. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お答えいたします。  御承知の通り、まだ就任早々でございまして、詳しい事情はわかりませんけれども、天竜社の復活、もしくは局地的に起こった被害は、これまでの、たとえば伊勢湾台風のときに考えたより以上に何とか考えなければいかぬじゃなかろうかということを下僚から報告を受けておるわけであります。何か特別なことを考えなければいかぬじゃなかろうかというふうにも思っておるようなわけでございますが、何分にも、御承知の通りまだ二日でございますので、十分勉強をいたしておりません。従って、御期待の点、御要望の点は十分伺いましたので、また、役所の内部でも話し合っておる点等も総合いたしまして、最善の努力をいたしたいと思います。  なお、建設、農林両省の間で、局地的に被害が起こるので、なるべくお前の方から、お前の方からということをもし言うておる向きがございましたら、さっそく建設大臣と会談をいたしまして方針をきめるということにいたす所存でございます。どうか一つこの土とも御協力をいただきまして、ぜひ地元民の得心のいくようにいたしたい、こう考えますので、よろしくお願いいたします。
  66. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 建設大臣は親しく現地を視察されておりますから、一つよく建設大臣からお聞きを願いたいと思いますし、そうして早急にトップ・レベルの間におきましてこの特例法について方針をきめて、下に流していただきたいと思います。  それから、こういうことを大臣にお伺いしてもどうかと思うのでありますけれども、先ほど宮澤委員からもお話がありましたように、天竜川沿岸はほとんど何町かごとぐらいに決壊をいたしまして、そうして八十町歩、百町歩というような耕地流失が各所にあるわけです。それからこの支川の小さな河川におきまして、土砂の流出によりまして農地及び農業施設に対して非常に甚大な被害があるわけです。下伊那郡だけでもおそらく一千町歩以上の被害になっておると思うのです。そこで大臣にお伺いいたしたいことは、そういうケースはないだろうと思うけれども、現在土地改良事業などを国営で各所でやっておるわけです。従って、この災害復旧事業でも、この土地改良事業と同じように、こういうような残酷な大規模のものは国営でやるべきだ、あなたのような強力な実力者が農林大臣になった際に、こういう前例を開いていただきたい。おそらくこれは法的にもできるものだ、こういうように考えるが、御所見はいかがだか、お伺いしたいのであります。
  67. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御意見十分承りまして、私もできれば早急に現地に参りまして、とくと実情を研究し、また、大蔵大臣その他関係閣僚にも相談をいたしまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしていきたいと思います。
  68. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 やはり大きな災害復旧の機械を導入するとかいうようなことは、土地改良組合や現在の大きな災害に出会った地方公共団体の市町村では、とうていできない話でありますから、ぜひともこの災害復旧を一括いたしまして、あなたのところで直轄して土地改良事業をやっておるように、この災害復旧をやっていただきたい。ことに今、大臣は、現地を見たりして関係方面に相談していただくというお話を聞きましたので、非常に心強く感じておったわけであります。  それから、先ほども宮澤委員からお話もありましたように、天竜社工場がやられておりますけれども、これは四十幾つかの単位農協が連合体でやっておるものでありまして、この下伊那地方は五十七、八万の年間の繭の生産高でありますけれども、そのうちの五十四、五万はこの天竜社に入るわけであります。従って、ほとんど九五%、二万近い養蚕家の繭が入っておるわけであります。今回政府が提案して成立いたしました農業基本法の中にも、こういうものを育成強化せぬならぬということをはっきりうたってあるわけです。従って、政府が提案した農業基本法を忠実に行なおうとするならば、この共同利用施設を一〇〇%救済せねばならぬ。もしこれが独力で復興するといたしましたら、これがために供繭した繭が安くなるということで、供繭方面にも非常なひびが入って、単位農協が崩壊する、こういうような、単に天竜社の共同利用施設の救済だけではなくいたしまして、四十にわたるところの単位農協の崩壊、こういうような大きな問題をはらんでおるわけでありますから、その点も一つ考慮に入れまして、そうして、この共同利用施設は十分の二となっておりますけれども伊勢湾台風と同じように、特別立法で十分の九の補助をするような立法措置をとっていただきたい、こういうように要望いたしまして、農林大臣に対する私の質問を終わることにいたします。
  69. 辻寛一

    辻委員長 木村公平君。
  70. 木村公平

    ○木村(公)協議委員 ちょうど大蔵大臣、農林大臣、大事な方がおいでいただいておりますので、あるいはまだこの点御検討になっておらぬかと思いますので、念のために申し上げておきたいのでありますが、この災害対策協議会の設立されました要綱の第六に、「協議会は、災害対策に関し、必要な措置について決定を行なったときは、その実現方をはかるために必要な法律案を起草し、又は政府に対し適切な措置」、たとえば立法措置等をも含めて「適切な措置を講ずるよう要求する。」ということを、実は昭和三十六年七月四日の本院の議院運営委員会の理事会において、満場一致でこの要綱を決定いたしましたので、さような性格の協議会であるということなどを一つ頭に置いていただきたいと存ずるのでございます。  それから、農林大臣にいろいろ——結局陳情のようなこまかいことになりますが、しかし、災害地においてはいずれも重大なことでございますので、一応お耳にも入れ、他日部下等に命じて実現を期していただきたいと存ずるのでございます。  まず第一に、これはわが党の党議で決定にもなっておることでございますが、被害額の判明次第、被害実情に応じて天災融資法を適用してくれということが災害地全般の声であり、さらに、自民党の内に設けられました委員会等におきましても、これを満場一致採択いたしておるのでございます。これについては農林大臣も大体御賛成だろうと思いますが、一応御所見を承っておきたいと存ずる次第であります。
  71. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま御要望の点につきましては、検討の上善処いたしたいと存じます。
  72. 木村公平

    ○木村(公)協議委員 それから次に、自作農維持創設資金、あるいは天災融資法の適用とにらみ合わせて、場合によっては必要に応じて農業共済基金からの融資、あるいは特別会計からの概算払いということをやらないと、これがなかなかいかないわけなのです。天災融資法というものはりっぱな法律ですけれども、金を農民の手に渡そうと思うまでには半年もかかります。一つは、利息を町村で支払わなければならぬことになっておりますために、町村はなかなかそれを率先して借りてやりたがらないという風がございます。天災融資法あるいは自作農創設資金の問題にいたしましても、手続が非常に複雑で、それがために、実際問題としては、被害を受けてから半年もたってからでなければ現金を手にとることができない。半年の間は親戚、友人をかけ回って金策をして、この法律があるにもかかわらず、ほとんどこの恩沢が受けられないという状態でございますので、なるべくこういうような法律を適用なさる場合にも、少しでも早く農民の手に金がいかなければ何にもならないわけでございますから、金のいきまするような迅速な手続を、一つ農林大臣が下部に命じて実行していただいたならばと思うのでございますが、何とぞこの点は一つお含み置きいただきたいと思います。  さらに、ちょっと触れましたけれども農業共済につきましても、結局米ができてからどれだけの減収だというようなことになってくるわけですから、これも半年先のこと。そこで概算払いをやってくれないか。あるいは多分これは農業共済から幾ばくかの金が借りられるだろうということは、作報を通じて今調査中でありますから、おおよその見当はつくと思うので、そのような場合には、共済基金から融資の道を開いてやることができないかどうか。  なおさらに、行方不明の家畜の問題で、家畜の問題なとは小さいことのようでございますが、たとえば、先般も、私は自民党の委員会でも申し上げたのですが、愛知県、岐阜県等におきましては、いわゆる種鶏が盛んでございまして、この鶏というものは、全国に売り出されておる、日本の養鶏の中枢をなしておるのでありますが、これが今度の災害によってほとんど全滅の危機に瀕しておる。しかしながら、こういう鶏のような小家畜については、国家補償の道が一つもない。死にっぱなし、全滅すればそれっ切りであります。全国に種を供給しておりますところの本家本元が全部やられてしまったのですから、今後養鶏事業にも大きな蹉跌があると私は思いますが、これを復興する、あるいは復旧するためにも、何か一つ、たとえば一つの方法といたしましては、鶏百羽が死んだ場合には豚一頭に換算して金を貸してやるとか、あるいは農業共済にもこれを何とか繰り込んでやるとかいうような政治的措置を、新農林大臣の手によってやっていただきますならば、被害地は大へんな喜びだろうと思いますので、この点も一つお耳に入れておきたいと存ずるのでございます。  なお、稲作につきましては、非常な同情もあり、稲作の被害に対しましてはすぐ政府から救援の手が伸びるのでございます。今日の農村は、政府の要望によりまして多角経営でございますので、稲作ばかりのところもありますけれども、私の方の例をもっていたしますれば、全村ほとんど畑地であるというようなところもある。そういうところでは、果実、蔬菜をもって唯一の生計の具にいたしておるわけでございますが、蔬菜とか果樹とかいうものが全滅いたしましても、米の場合は救済するけれども、全く捨てて顧みられない。蔬菜は全く水に弱いものでございますから、全滅してしまって、そうして生計にも事欠くような状態のところがたくさんございますけれども、米に気を引かれて、蔬菜とか果樹とかいうものに対しましては、ほとんど捨てて顧みられないような状態でございます。このことが先日も問題になりまして、せめてこの蔬菜の被害に対しましては、ある程度国家補償をしてやる道を作るべきではないか、これがためには特別の立法もまたやむを得ないのではないかというような議論も出ておるようでありますので、ぜひともその点についても、新農林大臣、胸に一つとどめていただきたいと存ずる次第でございます。  さらに、病虫害防除について、被害実情に即して適切な措置をしてもらいたいのでありますが、適切な措置というのは、結局補助金を増してくれということでございます。先ほど来いろいろ言われておりますが、伊勢湾台風に準ずる災害である。とすれば、伊勢湾台風のときには九割の補助金があったのだから、現在のような二割の補助金では困る。ちょうど先ほど来論ぜられたと同じような問題で、補助金の増額ということが一番この際緊要であるわけでございますが、病虫害防除にいたしましても、補助金がないために、事実上病虫害の防除がなかなか徹底的にできない。この際、国家がこの点のめんどうを見てやったらどうであろうかという議論が、これも多数意見でございますので、御承知おきをいただきたいと思うのであります。  それから、このことは前にも農林大臣の時代に御経験だろうと思いますが、今度の災害で、低地帯は非常に湛水面積が多く、水をかぶって十数日も水が引かなかったわけでございますが、この原因の大きなものは、排水機の力が弱い。だから、排水機を大いに増強しなければ、この湛水の問題は打開することはできないということは、われわれは建設省に向かい、あるいは政府に向かって、大いに今後要求をしなければならぬわけでございますが、すでに十数日湛水をしたその水を排除するために、一体どのくらいの金が要るか。岐阜県だけの例をもっていたしましても、排水機で水を大きい川へ放出するのに七千六百万円の費用を要するのでございまして、これは在来のポンプだけでは足りないから、あらゆるポンプを、名古屋に出、あるいは大阪に出、京都に出て、借りて併用して一生懸命水をかい出したわけでありますが、これがまた、内部的にも、農村の負担と都市の負担と均衡を得ないというようないろいろの不満もありまして、排水機というものは、一体農村だけの負担でやってよろしいかどうかというような、派生的な大きな問題も出て参っておるのでございます。それはともかくとして、湛水排除の莫大な費用、おそらく愛知県、長野県、三重県、岐阜県だけでも、平坦地の湛水排除費というものは相当な金額に上ると思われますが、これに対しては今まで全く国家的な救助の方法がなかったわけであります。水が入ったらお前の方で勝手に出せということで、ほとんど顧みられなかったわけであります。こういう天災による湛水、これを排除する費用に対しまして、今度こそはぜひとも国家の補助が必要であると存ずるのでございますが、この点についても特に農林大臣のお耳に入れておきたいのでございます。  こまかいことをいろいろ羅列いたしておりますけれども、要するに、今度の災害の特異性と申しますものは、中小河川はんらんをいたしまして、それがために平坦地が長い間水びたりになり、稲は植えかえをしなければならない、あいるはまた、蔬菜は全滅をする、果実も大きな被害をこうむるというような工合で、伊勢湾台風に比較いたしまして、公共災害というものはあるいは少なかったかもしれませんけれども農業災害という点については、一部分ではございますけれども、その深度の深さは、先ほど宮澤さんもおっしゃったわけですが、伊勢湾台風を上回るものであるということも一つ御留意いただいて、ぜひとも農林関係については強力な救援の手、そして、恒久的ないろいろな措置もあわせて御考慮を要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと存じます。
  73. 辻寛一

  74. 角屋堅次郎

    ○角屋協議委員 ただいま木村委員から農林大臣に対していろいろ要望の点が出されたわけでありますけれども、今度河野さんが農林大臣になられまして、私ども、とれからの河野農政というものについては、非常に注目をいたしておるわけです。それらの問題は、今後関係委員会でやることになりましょうが、当面の農林水産関係災害対策の問題については、まず立法措置を必要とするもの、あるいは行政的に進め得るもの、それぞれ従来からも分かれるわけでありますけれども、先ほど来お話のように、特別立法の問題については今検討を進められていると思いますが、伊勢湾台風等の関連から見ましても、農林水産業施設災害復旧特例法の問題、あるいは先ほど出ましたが、湛水等の関連では、従来からも実施しておったわけでありまして、堆積土砂湛水排除特例法の問題、あるいはまた、災害の問題に関連して、起債の特例法の問題、さらに天災融資法についても、現行の天災融資法をやはり一部改正をして、償還期限あるいは利子等についても、もう少し実態に即して検討する必要があると思います。そういうものの改正の問題、さらにまた、自創資金の問題については、さきの通常国会に自民党、社会党のそれぞれ議員立法で出ておった法案について、衆議院の農林水産委員会では話し合いが一応できまして、処理をした問題でございますが、今回の災害の関連の中で、やはり従来の二十万円ワクというものを、その話し合いの中では改正をしておりますので、今度の臨時国会においては、政府提案として自創資金の改正提案等も出されるのが望ましい、こういうふうに考えられるのですが、いろいろそういう点では、今後大臣がもっとゆとりのあるときに具体的にお伺いをして参りたいというふうに思います。  本日は、特に私、静岡愛知三重視察の中で、農林大臣に一点だけお伺いをしておきたいと思うのですが、それは愛知用水事業の問題であります。これは大臣も御承知のように、世銀の借款等を導入いたしました、農林関係の総合開発としては画期的な大事業でありまして、しかも、ちょうど梅雨前線集中豪雨の直前に通水式をやるということで、六月二十七日に通水式を予定しておりましたところが、前日からの集中豪雨で通水式も行なわれない、しかも、牧尾ダムあるいは兼山の取り入れ口、幹線水路、支線水路にかけて相当大きな被害を生じ、また、愛知用水水路によるところの関係農民に対して、農地災害等の被害を与えておる、こういう実態でありまして、私は、特に常滑を中心に愛知用水事業の被災状況を見て参ったわけでありますが、これらを見て参りますと、やはり愛知用水事業の幹線水路あるいは支線水路、余水吐きのこれからの工事の施行等の問題については、今回の災害の教訓を生かして根本的に検討すべき問題を持っておると同時に、今回の災害復旧を行なう場合に、これとあわして改良復旧を積極的に推進をしなければならないという問題にぶつかっておるのであります。言うまでもなく、この愛知用水事業は、兼山から取り入れて、幹線水路、支線水路で灌漑用水としての目的で水路が形成されておりますけれども、雨が降りますれば、そういうことにかかわりなく、水は流れていく、大体、灌漑水路ということになりますれば、取り入れの灌漑水量の多い上流部の方が断面が大きくなっておって、だんだん知多半島の末端に行くに従って断面が小さくなっておる。しかし、雨がそういうことに容赦なく用水にも入ってくるわけでありますから、従って、そういう面では、積極的な排水計画というものを加味した改良復旧をやらなければならないということに相なるわけであります。現在、公団といたしましても、すでに大臣の手元にも報告並びに予算的な資料が提示されておると思いますけれども、私どもも、現地側の公団の説明によりましても、災害復旧工事として約五億六千万円、災害の要改良工事として二億四千万円、あるいは用地及び補償費として約五千万円、締めまして八億五千四百六十六万九千円の予算要求というものが出ておるわけであります。これは、従来から愛知用水の事業の問題を私ども衆議院の農林水産委員会で取り上げて参りました場合にも、農民負担の問題というのが、非常に重要な問題として論議をされました。これは、当初予定したよりも経費が非常に高騰いたしまして、それが農民負担の重加となってはね返ってはいかぬということで、真剣に論議して参ったわけであります。従いまして、今度の通水式前における災害によって生じたところの災害復旧工事、あるいはまた関連の改良工事、こういうものについては、全額やはり国の責任においてこれを充当して、県あるいは特に地元関係農民の負担というものを、これによってさらに増高せしめるということがあってはならないというふうに考えておりますし、現地側の県並びに関係農民の方からも、強くこのことを要請されておるわけであります。しかも、先ほど申しましたように、愛知用水事業は事業を完了して、すでに灌漑期におけるところの通水式も行なって、その以降において惨害が生じたのじゃなくて、ちょうどこれを農民が利用する以前において、しかも、通水式もまだ実施しない以前においてこういう災害が生じたという実態からいたしましても、これは当然これらの災害復旧については、金額としても約八億五千万円で、必ずしも大きな額ではありませんから、政府の責任においてこの災害復旧を完了する、こういうことが必要であると考えますが、この点について農林大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  75. 河野一郎

    ○河野国務大臣 今のお話、ごもっとものようにも承りますけれども、設計がずさんであって、通水したらどこからか流れ出したということじゃないと思います。とにかく、局地的に水の災害各地に起こっておるのであります。従って、そういうときにたまたま当面したということでございますので、今お話しのように、何か承っておると、愛知用水をこしらえて非常に迷惑であった、ひどく地元がお困りであるというふうに——実は、誤解であったらお許しいただきたいが、私も発案者の一人でございますので、地元の方からは、地価も相当上がっておる、その利用度も、非常に多角的に利用されようという機運もあるというようなことでございまして、これをただ単に農業用水として使う場合には非常に負担が重くなるということも考えられましょうけれども、その農地を他の方面に使って、これを他の目的で水を使うということになれば、用水としては必ずしも高くないというような問題、発案した当時と違った要素が現に起こりつつあると私は地元で承ったのでございます。従って、今お話しの通り、どこまでも農業用水として終始その通りいくのだということになれば、負担の過重になるということは避けなければなりませんので、これは政府の方で特別に考える必要も当然かと私は考えます。しかし、また、別に考えれば、今申し上げましたように、これは普通の工業用水その他の用水として考えた場合には、そう経費がかかるものじゃない、水そのものは高いものにはついていないという計算も出るだろうと思うのであります。従って、現実に即して諸般の情勢を検討いたしまして、私は、今お話しの通り、農業用水として水の負担が非常に多くなるということは、絶対に避ける、その方針はまさに同感であります。その点については十分注意をいたします。しかし、今申し上げましたような、目的が変更されて、相当な負担をかけてもよろしいというふうな場合が起こって参るようなことも——現に、そういうような声も現地の愛知県等においてはあるわけであります。これは地元の方のお話しでございますが、私も耳にしておるというようなことでございますから、現実に即して諸般の情勢を勘案いたしまして、御指摘の点は、基本的には絶対そういうことのないようにいたしますけれども、今の点をどういうふうにさばくかということは、今後の問題としておまかせいただきたいと思います。そして、十分地元の方の御要望にこたえるようにいたしたい、こう考えます。御了承願います。
  76. 角屋堅次郎

    ○角屋協議委員 農林大臣、何か私の質問の焦点を取り間違ったようでありますが、愛知用水事業の問題については、私ども何回となく現地に調査に行きましたし、関係委員会でも、この問題については十分論議をしてきた一人でありまして、愛知用水事業の用水計画というものは、単なる農業用水だけでなくて、基本計画の中でも、工業用水の関係あるいは上水道の関係都市用水の関係等、それぞれアロケーションがある。しかもまた、それらのアロケーションをめぐって、知多半島における東海製鉄その他の工業建設とも見合っで、いろいろ論戦を展開して参ったのでありますから、その点の問題については承知をしておるわけであります。同時に、今申しましたような積極的な改良工事をやらなければならぬというところに——従来灌漑水路という焦点から問題を考えてきたけれども、今度の集中豪雨災害の教訓から見て、それだけではやはりいけない、従って、この際、積極的な改良工事をやらなければならぬというところに、設計上の問題の再検討という問題が含まれておるということを指摘したわけであります。ただ、この際に、私が特に聞きたかったのは、今回の災害復旧の問題については、これが農民負担の増高ということではね返らないという前提で、これを処理しなければならぬということを強調したのでありまして、その点については、県側あるいは関係農民の方でも強く要請しておりますし、また、公団側としても、今回の災害復旧の問題については、そういう線で中央とも折衝したい、こういう御意向でありますので、それらの地元側の意向も尊重されまして善処願いたい、かように思うのであります。
  77. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私も、ただいまのお話しは十分わかるのであります。ただ、最初に、その水をどういう分け前で使うかということが、従来畑地で予定しておった分が、御承知の通り、工場敷地に変わるという傾向も非常に多く出ておる。従って、従来の農業用水が、そのまま農業用水でなしに、工業用水に変わる部分も出てくるだろうということを考慮いたしまして、先ほどああいうお答えをしたのでございます。従って、新しい段階に即して問題を考えていきたい。しかし、どこまでもこれを農業用水として使うという使途については、負担が過重になるということは、これは絶対私は反対いたしますという御趣旨の点を十分考慮してお答えしたつもりでございますから、さよう御承知いただきたいと思います。
  78. 角屋堅次郎

    ○角屋協議委員 自余の点については、またいずれかの機会にやりたいと思います。
  79. 辻寛一

    辻委員長 玉置一徳君。
  80. 玉置一徳

    ○玉置協議委員 私の質問が午後だと思っておりましたので、上着なしで失礼でございますが、農林大臣に御質問をいたしたいと思います。  今次の災害は、先ほどからお話もございました通り、集中豪雨によります土砂の崩壊による田畑の被害、並びに中小河川はんらんによります、あるいは決壊によります内水面の問題がおもだと思うのでありますが、そこで、一、二農林大臣に簡単に御質問を申し上げ、あるいは御要望いたしたいと思うのです。  土砂くずれの田畑でありますが、先ほどお話がございましたけれども、重複いたしますが、できたならば耕地整理をするような改良復旧をやっていただきたい。なお、農業基本法の精神にのっとりまして、相なるべくは一反歩というようなことじゃなくて、その耕地整理が圃場の拡大に資し得るような、あるいは一町であるとか、一町五反とか、この際、そういった機械化が可能なような耕地整理復旧にやっていただければこれにこしたことはない、かように思うわけであります。  なお、農地復旧のあれでございますが、仕越しの農地のことでありますので、三・五・二の予算では参りますけれども、農家は自分の力でもって復旧をいたします。その場合に、被害の現地にありましては、二年目、三年目のものには金利の補助ということでできないわけでございます。一年目にくるものと二年目、三年目にくるものとで、従来とも利子の問題で非常に悩んでおります。でき得れば、仕越工事が何らかの形で認められたものには利子補給をしてあげるという措置を、この際お考えいただければ非常にしあわせじゃないか、かように思います。  三番目は内水の問題でありますが、これはこの災害を待たなくても、実際大きな集水面積を持ちます大河川の、田畑に囲まれた内水は、土地改良のポンプだけでは非常に無理でございまして、どこでも土地改良のポンプそのものが現在二十年くらいの使用の命数がきております。その上、異常豪雨で出水の様相が変わって参ります。なお、先ほどもお話がございました通り、その上には工場あるいは宅地が造成されまして、今までの雨の来方とはだいぶ変わって参りました。従って、この内水を二倍、三倍にするのには、国が五割、府県が二割五分、七割五分の負担もありますけれども地元二割五分の負担だけでもものすごい費用になりまして、非常にこれは不可能な話だと思う。私は、この災害前に農地局長とも会いまして、こういう問題は、当然今までの法の盲点であって、建設省の所管であるべきじゃないだろうか、建設省が堤防を築くだけじゃなくて、いよいよ内水という問題を処理せねばいかぬじゃないか、農林省が母親でございますので、肝いりとなって、建設省にそういうような仕組みに持っていくように、一つ御介添えをいただきたいということをお願いしておったのでありますが、今度の災害でその感を非常に深くいたしましたので、先ほどお話もございましたけれども、一つよろしくお願いを申し上げたい、こう思うのです。  四つ目に、農地被害の常襲地帯というものは、先ほども話がありました通り、ポンプをこれから施設いたすにつきましても、なお若干の年数がかかるのじゃないかと思います。その間、ほとんど常襲地帯と思われるような低水地帯がございます。この公共事業の補償につきましては、何らかの補償はいただきますけれども、一般農産物に対する補償というものはほとんどございません。つきましては、こういう常襲地帯に限りまして、災害補償法がございますが、あれをうまく活用することによりまして、私が考えておりますのは、農家には、反当たりたとえば四、五千円かけるのが現在の常態とすれば、一万二千円なり一万三千円の反当たり限度まで府県並びに国が、あるいは府県にさせておいて国が交付税の形でもよろしゅうございますが、そういうような活用をすることができるんじゃないか。あまりにも毎年同じような様相を呈しておいでになるものを、一つ何らかの形で、そういうような災害補償法等の活用によってお救いをいただきたい、こう思うのです。  最後に、もう一つ関連いたしまして、先ほどもお話がございました通り、米麦その他の野菜、果樹類等につきましては、全滅したところはそれでしまいになっております。これも災害補償法の何らかのうまい持ち方によって救う方法があるんじゃないか。国から直接補助を渡すということは、なかなかこれについては困難でありますけれども災害補償法等の運用によってはできぬこともない。京都府におきましても、非常に小さい例でございますが、今二、三年活用しておる問題がございますというようなことを、一つお願いを申し上げたいと思うのであります。  簡単にもう一度申し上げますと、一番目は土砂くずれのたんぽの復旧であります。耕地整理を含めた災害関連復旧であり、しかも、それができれば、農業基本法の問題の通り、機械が導入できるような大きな圃場にしてこの際できぬじゃろうか。二番目は利子補給の問題であります。農地復旧の仕越し分について、二年度、三年度に来る方については利息の補助をしてあげる方法がないか。三番目の内水の問題は、一つ農林省の方が肝いりされまして、建設省の方の河川の問題として扱うような方法を考えていただきたい。農地被害常襲地帯並びに米麦以外の農産物についても、農業災害補償法等の活用、あれは臨時国会に出る予定でありますが、それまでに一つ仕組みをお考えいただければ、私の方も何らか一緒に農林省と連携できるのじゃないか、かように思うわけです。  簡単でございますが、希望を主にして申し上げました。
  81. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御趣旨よく了承いたしました。さっそく事務当局を督励いたしまして、検討することにいたします。
  82. 辻寛一

    辻委員長 暫時休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕