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1961-04-26 第38回国会 衆議院 建設委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月二十六日(水曜日)    午前十一時開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 石川 次夫君 理事 中島  巖君    理事 山中日露史君       逢澤  寛君    綾部健太郎君       大倉 三郎君    大高  康君       金丸  信君    齋藤 邦吉君       二階堂 進君    丹羽喬四郎君       山口 好一君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    實川 清之君       三鍋 義三君    三宅 正一君       田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共施設整備に関連する市街地改造に関す  る法律案内閣提出第五九号)(参議院送付)  防災建築街造成法案内閣提出第一三六号)      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  防災建築街造成法案及び公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律案、両案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  瀬戸山三男君。
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま議題になっております防災建築街造成法案について、二、三の疑点を明らかにしたいために質疑をいたしたいと思います。  この法案のねらいと申しますか、趣旨とするところは、従来ありました耐火建築促進法によって耐火建築促進するやり方をやってきたのでありますが、これについては、ただ帯状耐火建築帯を作るということよりも、これに書いてあります一つの街区と申しますか、一団地として火災あるいはその他の水害高潮等のいわゆる災害を防ぐような町作りをしたい、その方がよかろうということで、耐火建築促進法を廃止して、それにかわるものとしてこの法案を提出されておるのであります。そこで、この法案を見ますと、現在並行して審議をいたしております公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律案、いわゆる市街地改造法がありますが、この防災建築街造成に関して事業を行なう場合には、市街地改造法規定をほとんど全部を準用する、こういう組み立てになっております。ただ、その際、こういういわゆる防火建築街区の制度をやる場合に、その事業を実施する機関として、関係住民組合である、あるいはその他市町村のいわゆる公共団体である、こういうふうな点がこの法案の骨子になっておる、こういうふうに私どもは考えているわけであります。そこで、この法案の条文を追いまして、多少の疑点を明らかにしてもらいたい、こういうわけであります。  そこで、第三条、いわゆる防災建築街区の指定であります。第三条には、建設大臣関係市町村申し出に基づいて、建築基準法災害危険区域あるいは都市計画法関係等防災建築街区をきめることになっております。これは、いわゆる市街地改造法にもこういうところがあったわけでありますけれども、一体どういうところを、どのくらいの規模でこの事業を実施するのか。こういうことについて政府考え方構想一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  4. 稗田治

    稗田政府委員 防災建築街区の指定の仕方でありますが、第三条に書いてありますように、建設大臣関係市町村申し出に基づきまして、災害危険区域内で都市計画法都市計画区域内というようなところ、あるいは防火地域内におきまして防災建築街区を指定するわけでありますが、これは第二項にございますように、「都市枢要地帯において、災害を効果的に防止する」というように、おのおのの指定されました防災建築街区がある関連性を持ちまして都市の大災害を防止するというように指定する、という考え方でございます。具体的に申しますと、従来耐火建築促進法によりまして防火建築帯防火帯指定しておったわけでございますが、その防火建築帯の中で、地方公共団体の方から、いろいろ防災上から重点的に、ここを優先的に完成したいという申し出があった防火帯地区があるわけであります。ただ、これは帯状になっておりますけれども、法律用語ではございませんけれども、その防火建築帯の中で重点的に考えておりました防火建築帯、そこを街区のところまで広めまして、防災建築街区ということで指定をして参りたい、かように考えておるわけでございます。  なお、この街区でございますけれども、これは、区画道路などによって区画されました一団地を街区という大きさに考えるわけでございますが、なお、背割り下水道のところを境界にしまして街区というものを指定する場合も、運用上はあり得るかと存じております。
  5. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 考え方と申しますか、趣旨はそういうことでありましょうが、私が聞いておきたいことは、市街地改造法案についても同じことが問題、と申しますか、明らかにしなければならぬということであったわけであります。今お話のように、防火建築帯のときには、道路沿いその他で一つ帯状火災予防地帯を作ろう、不燃建築をして火災予防地帯を作ろうということであったわけでありますが、ただ帯状だけではいかぬということで、先ほど申し上げましたように、一つのかたまりとしていわゆる災害防止建築をする、同時に土地立体化をはかる、こういうことが考えられておるわけであります。市街地改造法に関連しても問題になったわけでありますけれども、これはどうなんですか。日本の町は、大都市はどこでも、今度この法律でやりたいというところばかりです。海岸地帯の町なんかは津波あるいは高潮、あるいは大河川の沿岸地帯におきましては水害、これは部分的なものでなくて、相当延長と申しますか、長さに関係がある。そういう場合に、そういう一連の長さのものを防火、いわゆる防火建築街区ときめるのか。市街地改造法ではそういう市街地改造事業地区をきめるが、その中でまた街区というものを別々に道路区画によってきめるのだ、こういうふうになっております。その点が、どういうふうに考えられておるかということであります。  もう一つは、いわゆる防災建築街区を作ってその事業施行するものは市町村の場合が多いのじゃないかと思いますが、この法案構想では、当初に申し上げましたように、組合を作ってやるというようになっております。そうすると、たとえば大都市なんかでは、長い地帯をこういう防災建築帯にしたいという場合に、その街区というものをしなければ、一キロも二キロもあるようなところで組合を作るというのは、なかなか困難じゃないかと思うのですが、この街区の関係と全体の防災という地帯関係とで、いわゆる組合なんかは別々に作るのか。これは、どういう考え方でこの案を立てておりますか。
  6. 稗田治

    稗田政府委員 この防災建築街区の実際の指定にあたりましては、要するに今回の法案におきましては、集団的に防災建築物をまとめて、市街地の街区について改造をはかるという考え方でございますので、即効的な効果を期待しなければなりませんので、路線沿い相当の長い街区を一度に全部指定するという考え方ではないわけでございます。なるべく事業実施の見通しのついた街区につきまして、指定をしていくわけでございます。ただ、将来の全体の都市防災上の考慮というものから、当然将来防災街区として予定される予定地区というようなものは、もちろん計画を持たなければならないわけでございますが、大体一街区ごとに指定をしていくというつもりをしておるわけであります。  なお、この施行でございますが、原則としましては防災建築街造成組合を作りまして、組合の自主的な要望によりまして事業を達成していこうということを考えておるわけでございます。その組合も、一街区の場合に、できれば一街区一組合というのが一番適当かと存じますけれども、場合によれば、一街区が二組合というように、数個の組合に分かれる場合もあり得るかと思うわけでございます。従来耐火建築促進法におきまして、防火建築帯造成して参りました場合におきましても、この事業を行なう路線におきまして、防火建築帯期成同盟といったような組合が実際に作られて、受け入れをいたしておったわけでございます。従いまして、これが帯状から広がりまして、街区にまで広がるわけでございますけれども、組合を結成して進めていこうという機運は非常に最近盛り上がっておるわけでございます。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 これは今お話しのように、従来防火建築帯を作ろうというときに、共同建築というか、組合を作って共同建築をしよう、あるいは住宅金融公庫の金を借りて中高層商店街を作ろう、共同組合を作ってやろう、こういうふうなことが実際にあったわけでございます。それを活用してやろうという御趣旨だろうと思うのでありますが、これは組合に対しては、もちろん強制加入ではないことになっておる。当然なことと思います。  そういう場合に、防火建築帯のときには、普通商店道路沿いの前通りでございますから、話がだんだん一致して、全部その趣旨でやろうということになり得る可能性相当強いのですが、街区となると、いろいろ裏地が入ってくるのだと思う。そういう場合に、おれはそんなものにはどうも、いいことかもしれぬけれども、かかりあわぬ、というような場合がある。それは、どうなのですか。そこだけは別に、いわゆる街区といいますか、街区が作られれば、それをはずして、「事業の範囲」にも、第九条にいろいろ書いてありますように、その建築設備基準等は、はずしてやる——これはやむを得ないといえばやむを得ないのですが——そういう考え方ですか。
  8. 稗田治

    稗田政府委員 御指摘のように、この組合は合意の組合でございまして、強制加入制度にはなっていないわけでございます。しかしながら、街区全体としましていろいろ総合的な改造計画を立てます関係上、建築協定その他は街区全体にわたるのが望ましいわけでございます。従いまして、五十一条でございますが、都道府県知事または市町村長等が、組合員となる資格を有する者に対しまして組合への加入勧告をするというような、勧告権を与えておるわけでございます。なお、土地または建物につきまして権利を有しておる者の間に紛争があるために、組合がなかなか結成ができないというような場合におきましては、当事者間の権利関係の調整につきましてできるだけあっせんを行なう、そういった行政指導を通じまして、できるだけ街区全体がまとまるように指導して参りたいと思っておるわけでございます。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 それは、当然そういうあっせんと申しますか、指導はやらなければならぬと思うが、それに応じなければしようがない、こういうことですね。  それから、もう一つ。これは小さな問題でありますが、第九条の三号に、「組合員のために、防災建築物建築及びその敷地の整備に要する資金借入れあっせんし、又はその借入れについての保証あっせんすること。」とあります。借り入れあっせんというのはよくわかるのですが、保証あっせんというのはどういうことを想定されておるか、これをお聞きします。
  10. 稗田治

    稗田政府委員 借り入れについての保証あっせんということでございますが、これは信用のある保証人をお世話するというような意味で書いたものでございます。なお、その組合定款に定めますれば、組合自体保証人になることも考えられるわけでございます。この三号の場合は、他の信用のある適当な保証人をお世話するということでございます。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 規定として悪いことはないでしょうが、人の保証人組合がお世話するというのも、実際問題としてどんなものでしょうかな。これは、組合がそういうなら保証してやるという篤志家もあるでしょうが、借金の保証組合あっせんする——組合保証するというのは、これもまた将来可能性といいますか、当然あるのでしょうけれども——保証あっせんするということは、どうですか。あなたが、だれか、あるいは友達が金を借りるのを保証あっせんするということは、ないとは言えませんが、相当可能性があると考えてこれを出しておられるわけですか。
  12. 稗田治

    稗田政府委員 実際問題といたしましては、従来の防火建築帯造成組合等におきましても、その人に組合の中で連帯して保証してもいいから、何か融資のしやすいようにしてほしいというような要望があったわけでございます。従いまして、ここに保証あっせんをするということになっておりますけれども、おそらくこのあっせんされる保証人というのは、その組合の中にかなり信用のある方が、そんならなってもいいというような人をあっせんするということになるかと思います。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 それから、次は組合員資格、第十条、「組合員たる資格を有する者は、組合地区内において土地所有権又は借地権を有する者」、これは当然であります。「及び定款で定めるその他の者とする。」、定款で定めれば何でもできることになるかもしれませんが、これはそこの土地所有者でも借地権者でもないその他の者でしょうが、そういうものを予定して、あるいは想定してこの組合員たる資格を与えられているのですか。それを伺いたい。
  14. 稗田治

    稗田政府委員 第十条の組合員資格でございますが、防災建築街造成法と申しますのは、目的は、そこに防災建築物で街区を建てかえようということでございますので、どうしてもでき上がりました建物につきましての所有権を取得する者が主体になるわけでございます。そこで、普通に土地所有者あるいは借地権を有する者がこの建築をする権限を有する者でございますが、場合によれば、でき上がりました防災建築物の一部を買い取りたいという借家人等もあるわけでございます。そういった、でき上がりました建物を買い取りたいという借家人がございました場合に、その借家人定款で定める、こういうふうに考えておるわけでございます。
  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 それから、ずっと飛びまして、「第四章 国及び地方公共団体援助」、これはこの法律が想定しておりますように、いわゆる耐火建築促進法を廃止してこれにかわろうというわけでありますが、第五十六条「地方公共団体補助」及び第五十七条「国の補助」、これはどういうことを予定しておられるのですか。
  16. 稗田治

    稗田政府委員 この「国及び地方公共団体援助」でございますが、五十六条の方は、都道府県または市町村は、防災建築物建築をする者に対して経費の一部を補助することができるということになっておりまして、五十七条の方で、国は、都道府県または市町村が今申し上げました補助金を交付した場合にまたその費用の一部を補助する、つまり間接補助をうたっておるわけでございます。それから、地方公共団体が五十五条等の規定によりまして直接行なう場合には、地方公共団体に直接補助をするということが五十七条に書いてあるわけでございます。  内容といたしましては、従来の耐火建築促進法におきましては、防火建築帯地域内に入った建物の三階程度床面積につきまして、木造耐火建築物差額の四分の一を国が補助しまして、地方公共団体が四分の一補助をいたします。合わせて木造耐火建築物床面積の坪当たりの差額の二分の一の補助金建築主に渡るようになっておったわけでございます。今回は、このでき上がる建築物に対する補助という思想を改めまして、この防災建築物そのもの建築する資金としましては低利融資等の他の施策に全部譲ることといたしまして、防災建築街区全体を総合的に建築協定等に応じまして建てかえるということから、調査設計費に対する補助、それから古い建物耐用年数のまだ尽きていない建物もできるだけ同時施行になりますので、除却したりしますので、除却費用、それから共同付帯施設でありますが、一街区一緒に工事をいたしますので、場合によれば建物配置等が変わりまして、下水あるいは水道管等の位置が変わるというようなこともございますので、そういった共同付帯施設をつけかえるというような費用に対する補助、というようなことに考えておるわけでございます。補助割合につきましては、従来の耐火建築促進法におきましては、木造耐火建築物床面積建築単価差額でございましたから、母数が大きいわけでございますが、今回の法案におきましては、設計調査費除却費共同付帯施設費というような費用補助になりますので、母数が小さくなるわけでございます。従いまして、補助率は三分の一ということにいたしまして、従来の補助金額そのものにおいてはあまり差のないように配慮をいたしたわけでございます。従いまして、地方公共団体が、調査設計費除却費共同付帯施設等につきまして組合の方に三分の二の補助をいたしました場合に、国が三分の一を補助する、ということになるわけでございます。それから、地方公共団体が直接この事業を行ないました場合には、地方公共団体につきまして三分の一の補助を国が直接交付する、こういうことになるわけでございます。
  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今、明確に私記憶しておりませんが、三十六年度のこれに関係する国の予算が一億五千万くらいだったと思うのですが、どの程度のものを計画されておるか。この防火建築街区を造成するその構想がありましたら、一つお示しを願いたい。
  18. 稗田治

    稗田政府委員 ただいまお尋ねの本年度の補助金予算額でございますが、二億五千万円でございます。一部その中に、昨年の五月に起きましたチリ津波による災害のあとに大船渡に防火建築帯造成しておりますので、それの高率補助というのが一年間有効でございますので、若干その費用は入っております。それで、この二億五千万円で補助を行ないまして完成できる街区の面積でございますが、約十五万平方メートルというように推定をいたしておるわけでございます。床面積にいたしますと、二十五万平方メートルということでございます。
  19. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 この第五十八条に技術的援助等のことが書いてございます。この前のいわゆる市街地改造法、あるいは今度の防災建築街造成法、それから今提案されております建築基準法、これは全部一連——都市改造と申しますか——構想に基づく法律案であります。この防災街区を作る場合に、市町村等がやりますときには、それぞれ専門技術者もおるわけでございまして、なるほど防災街区に適当な構想と申しますか、技術的な整備をした構想ができ得ると思います。しかし、いわゆる任意組合でやる場合には、なかなかそういう専門家もその中にはおらぬのじゃないか。ここに援助を求めるということがありますが、防災街区を、こういうふうに国が、一小部分でありますが補助金を出してやるという場合に、街区の計画建築基準、そういうふうなものについて何か指導的な基準を、省令か何かで定めるというお考えがありますか。
  20. 稗田治

    稗田政府委員 防災街区の造成をする場合の建築計画等についての基準につきましては、地方公共団体が直接施行する場合におきましては、省令で定めることになっております。それから、一般の組合施行等の場合におきましては、これは一応設計基準等を定めまして、地方公共団体を通じてその基準をできるだけPRいたしまして、その線に沿うように指導して参りたいと思います。
  21. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 こういうことは非常にけっこうなことでありまして、大いに促進をすべきものだと思います。  最後に、問題は、そういう計画を持っておっても、個人々々の資金の問題がありますから、それがうまくいくかどうかということにかかるのじゃないか、こういうように思います。そこで、この法案では、附則の八項に住宅金融公庫法の一部改正が載っております。その中に8として、「第一条第三項に掲げる目的を達成するため、相当住宅部分を有する中高層耐火建築物を建設する者」というふうに書いてある。この「相当住宅部分」というのは、どういうことを予定されているか。それをまずお聞きしたい。
  22. 稗田治

    稗田政府委員 住宅金融公庫防災建築街造成融資できる資金の種類といたしましては、最もふさわしいのが中高層耐火建築に対する融資でございます。そこで、御承知のように、中高層耐火建築物も、市街地立体化をはかり、しかも、できるだけ市街地住宅用地を、商業建築物等の上に乗せて住宅難に対処するというような意味も含まれておりますので、住宅部分がなければ融資ができないことになっておるわけでございます。それで、融資割合につきましては、住宅部分がある程度乗っておりますると、下の商業部分につきましても融資があるわけでございますが、その場合に住宅部分が非常に少なければ、商業建築物に対する融資対象面積が減るということになるわけでございます。相当部分と申しまするのは、数字的にはちょっと限定されていないわけでございます。
  23. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 私の記憶違いかもしれませんが、いわゆる住宅金融公庫中高層融資をする場合には、住宅部分が少なくとも二分の一以上なければならない、こういうふうになっておると思います。相当部分と書いてあるのは、その基準と同じかどうか、これを聞いたわけですが、どうなんですか。
  24. 稗田治

    稗田政府委員 全体の建築物床面積のうちに住宅部分がございますと貸付対象になるわけでありますが、それでは商業建築物のところに全部融資がいくかと申しますと、住宅面積に対応する面積まで、ということになっておるわけでございます。
  25. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 具体的な場合に、どうなんですか。中高層建築物、その上に乗っかるものが、少なくとも総面積の二分の一以上住宅部分でないといかぬのじゃないですか。それはどうなんですか。私もはっきりした記憶がないのですけれども……。
  26. 稗田治

    稗田政府委員 中高層耐火建築物融資につきまして、住宅金融公庫法の第二十条五項に、「第十七条第八項の規定による貸付金金額の限度は、中高層耐火建築物等住宅部分についてはその建設費住宅部分以外の部分については住宅部分床面積と等しい床面積部分建設費のそれぞれ七割五分に相当する金額とする。」ということになっておるわけでございます。従いまして、五階建の建物がございました場合に、上の五階、四階が住宅であり、下の三階までが商業建築物であるという場合に、これも貸付対象になるわけでございますけれども、下の商業部分床面積につきましては、三階ございますけれども、その住宅相当する二階のところまでしか貸付対象にならないということでございます。
  27. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ですから、半々にしか貸さぬ、こういうことじゃないですか。上から四階、五階が住宅であれば、二階、三階の同じ面積、それまでの分は貸すが、その下の分は完全に自己資金でなくちゃならない、こうなっている。  それはそれでいいのです。私がここで聞きたいのは、これをなぜ私が問題にしておるかというと、これはほかの場合にも申し上げたのですが、大臣一つ考えてもらいたい。これはなるほど、住宅金融公庫住宅対象としている制度でありますから、今のところやむを得ないのですけれども、しかし、この防災街区の制度を作ろうというのは、必ずしも住宅目的としているのじゃない。もちろん住宅商店もありましょうけれども、そうすることが、そこにおる個人だけの問題じゃなしに、いわゆるその地方の町と申しますか、都市災害を防止するために、そういう個人が住んでおる商店あるいは住宅建築物防火的に作らなくちゃならない。また、防火的に街区を施設する方がよろしい。それは、そこにおる個人の利益だけでなくて、その地方一帯防災のためにこういう制度を作るのだということであります。でありますから、こういう場合には、ある程度個人の自由を制限してもやらなければならない問題だと思います。従って、そういう際には、なるほど公共のために、あるいは大衆のためにそれは必要であるとは思うけれども、個人個人の事情によってそれに応ずるだけの資金がない。でありますから、私が最初に資金が大事だと申し上げたのは、そこにあるのであります。そこで、せっかく住宅金融公庫法の一部をこうやって改正して、そしてこれにも充てるのだということになっておりますが、その率は書いてありませんけれども、考え方は、今申し上げたように、現在の住宅金融公庫法の範囲内でやろう、こういうことであると思うのです。でありますから、住宅を建てる場合の法律、その上にプラス・アルファと申しますか、今申し上げましたように、災害防止のためにそういうことをするのだ、一つのプラスとして別な防災という要件がついております。でありますから、そういうときには、心やすくと申しますか、あまり苦しまないで、こういう制度、こういう構想に応じて、日本の非常に災害にかかりやすい町を災害から免れるようにするために個人々々の協力が要る。そのためには、やはり国の低利長期の資金を、それに応じられるように貸す制度を作らなければ、幾らよい構想であってもなかなかそれに応じられない。従って、トラブルが起きて、この構想がうまく伸びない。こういうのが、申し上げるまでもなく現実の姿であります。でありますから、私がこの問題を聞いたのは、そういうふうにすべき時代じゃないかということです。  これは、これと直接関係はない余談でありますけれども、たとえば市街地改造法にしても、あるいは土地収用法の改正の問題にしても、道路を作る場合でもそうでありますが、道路を作ること、道路を広げることは非常に賛成であります、しかし自分たちは、この際それに応じて家を建てるのには、補償金だけでは足らない、せっかく道路を拡張して家を移転してやるのならば、将来の計として、この際あるいは立体的にしたい、あるいは不燃建築にいたしたい——そういう希望を持っておる人は、みんなそうであります。ところが、その資金に応ずることができない。それは、住宅部分がこれだけなければ貸さない、住宅は要らない。せっかく防災不燃建築をしたいが、普通の銀行では貸さない。道路拡張には、なかなかおいそれと応じられない、というのが実情であります。でありますから、こういう問題を全部考え合わせて、こういう大きな国の施策をする場合には、やはり個人が喜んでと申しますか、実際問題として、そう苦しめられないで応ずるだけの別の手当をすることが必要じゃないか、私はこういう考えを常に持っておるわけです。  そういう意味で、ここに問題になりました防災街区の問題についても、せっかく住宅金融公庫法の一部を改正するのですから、今の住宅目的としておる住宅金融公庫法のそのままをここに適用するということは、プラス・アルファの防災というものについて配慮がないじゃないか。防災の問題についてやる場合には、住宅部分はあるいは三分の一でもいいという程度の、あるいはもっと長期に、あるいは低利にするか、そういうプラス・アルファが、やはり融資の面においてもあってしかるべきじゃないかと思うのですが、建設大臣のこれについての考え方を聞いておきたいと思います。
  28. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 この制度の場合におきましては、先ほど住宅局長から御説明申し上げましたように、調査設計費及び既存建物除却費、共用にかかるところの他の付属施設、この分についての補助を行なうということが、防災建築に対する国の補助としての本質でございます。この点につきましては議論のありまするところで、むしろ今のお話のような説からいたしますと、従前の防火建築の場合のように、木造建築不燃建築との差額の四分の一を国が補助する、そして地方公共団体が四分の一補助する、結局半額補助ということになるわけでありますが、その方が防災建築を奨励するのに補助がはっきりしておっていいじゃないか、という議論が成りたつと思うのであります。従来建設省としましては、そういう考え方でやって参ったのでありますが、財政当局の大蔵省にしてみますると、結局これらの建物防災目的はあるけれども、個人の所有の建物である、個人のものに対して国が補助するというのは筋合いがおかしいというようなことで、例年防火建築に対する補助予算編成段階の査定で切られまして、復活に例年皆様にも御心配をかけて、辛うじて復活をしてきたというような状態であります。この点になりますと、財政当局の方では、同じ補助するならば、個人の資産に補助するというのでなしに、もっと合理性を持つべきであるということから、結局補助額は同様でございまして、あるいは今度の方が、結果的に計算しますとふえるのじゃないかという見込みをしておるのであります。  今度の補助の方法は、新しいそういう防災建築をするのについての調査設計費、それから古い建物、既存物の除却費、それから共用の付帯施設、こういうように限りまして、これに対して補助をするという建前であるわけでございます。この補助額の多少については、今後考慮していくべきであろうと思いますが、もう一つこれと並行しまして、住宅金融公庫融資というものがこれに関連してくるわけで、当然中高層建築になりますから、これも応用して促進をはかっていきたいという併用措置をとっておるわけでございます。しかし、住宅と申しますのは、必ずしも賃貸住宅でなければならないということではありませんので、自分たちが住む住宅でもよろしいわけであります。あるいは従業員が居住する住宅でもよろしいわけでございますから、店舗を下へ作るという場合には、上に必ず住宅が併置されますので、ことごとくと言っていいと思いますが、住宅金融公庫融資対象にはなって参りますから、この融資の幅を三十六年度は、補助金の方は二億五千万円、融資が百六億のうち約四十億を見込んでおる、こういうような状態でございます。これらの幅をもっと今後努力して、できるだけ防災中高層建築が活発に行なわれるように措置することは必要かと思いますけれども、補助につきましては、そういうような純理論的な闘争がいろいろございまして、議論のあるところでございますが、今回の場合、さような処置に落ちついたような次第でございます。
  29. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 その補助の問題は、今大臣がお話しのように、個人に対する補助はどうかという議論があるわけであります。補助問題は、私はこの際はここでとやこう申し上げないのでありますが、今申し上げましたように、住宅金融公庫の金を貸す、これは住宅を建てるための住宅資金を貸す制度でありますから、すべてその割合等も、それを主眼としてできたということは大臣御承知の通り。そこで、実際問題として、大臣も御承知だと思うのですが、道路を拡張する場合に、この際市街地においては中高層あたりの、少なくとも四階ぐらいのものを作りたい。そこまでいかなくても、三階ぐらいのものを作りたい。しかし、そういうものについて、なかなか一般市中銀行は、御承知のように、融資いたしません。全然しないとは言いませんが、あまりしない。そこで、住宅公団なり、あるいは住宅金融公庫の方に相談をしてみるわけです。ところで、今申し上げましたように、住宅が主たる金融機関でありますから、住宅部分に非常に大きなウエートを置いておる。これは当然といえば当然であります。そこで、どうしてもそこの金を借りるについては、必要ではないのだけれども、住宅部分としてちゃんと区割りをした、住宅の格好をしたものを作らなくてはならぬというのが実情なんです。要らないんだけれども、そうしなければ金を貸してもらえない。やはり主たる店あるいは事務所の面積というものが、これだけは必要なんだ。そうすると、さっき申し上げたように割合がありますから、どうしてもそれに応ずるだけの、上の方に——上に限りません。上でも横でもいいですが、大体上になっておる。——その住宅部分を作らなければならぬ。設計上どうしてもこれは必要になってくる。そこへ店員さん、あるいは自分も入るということはけっこうでありますが、それ以上のものを作る。東京あたりでありますと、住宅不足が非常に叫ばれておるところでありますから、また、そのくらいの家賃を払っても、その住宅部門に下宿をするというところもあります。しかし、地方においては、なかなかそうはいかない。せっかく作ったけれども、物置にするよりしようがない。これは非常に不生産的です。こういうものがありますから、この際は、その住宅目的としたばかりでなくて、防災をこれに加えて町作りをしよう。ほかの問題は、きょうは触れません。土地収用法の改正なんか触れてきますが、それはきょうは申し上げませんが、この問題だけにしても、防災のためにその一つの街区々々をきめて、個人もそういうものを作るように奨励していこうというのですから、住宅部分にあまり今までのような考え方をした貸し付け方をすると、要らないところに住宅を作らなければならない。そういうふうにしなければ、金を貸してもらえないという実情にあります。これはプラス・アルファと申しますか、防災という一つの要件が加わっておるのですから、少なくとも、今までのように総面積の二分の一以上の住宅部分がなければならない、そういうことでなしに、三分の一程度住宅部分でいいのだというふうな割り振りをしなければ、せっかくのこの防災建築街区の事業促進がうまくいかないのじゃないか。さつき申し上げましたように、この地区の人々がこの構想に喜んで協力をする体制を作るには、そういう住宅金融公庫貸付制度をある程度変える必要がありはしないか。こういうことについて、大臣のお考え方をお尋ねしておるわけです。
  30. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 確かに考え方としまして、防災建築を活発に進め、防災建築街区を完成していこうというのには、防災建築独立の融資機構というものがあればその方がいいという感じは、私どもも同感でございます。今後この点、一つ研究をいたしたいと思います。ただ、反面、店舗とかあるいは事務所とかの部分につきましては、権利金とかその他の経済価値が相当にある。従って、この分については、銀行融資も可能ではないか。上の方の住宅部分は、なかなか経済価値がそういうふうに出て参りませんから、他の金融機関から融資を受けることは不可能だから、その部分融資があれば可能じゃないか、という議論もあるわけであります。しかし、防災建築を活発に進めようというのには、防災建築独立の融資機構というものが考えられてしかるべきであるということも、私は確かに一つの理論だと思います。そこで、そういう問題につきましては、今後この法律の制定をいたしまして、運用して参ります段階において、一つ十分研究をしてみたいと思います。
  31. 加藤高藏

    加藤委員長 石川次夫君。
  32. 石川次夫

    ○石川委員 市街地改造法関係で若干の質問をしたいと思います。  この法案は、御承知のように、社会党自体としても、こういう方向で市街地改造しなければならぬというようなことを、前から提案をしておったという建前もありますので、基本的な立場としては、もちろん反対ではございませんけれども、実施上の面で、いろいろな問題が出てくるだろうということを非常に心配をいたしておるわけでございます。  そこで、特にほかの法令との関係でそういうものが出てくると思いますが、これは前にどなたかから質問があったと思います。今度の公共用地取得の特別措置法とこの市街地改造法との関係というものは、ちょっと御答弁があったと思うのですが、私、はっきり聞きませんでしたものですから、恐縮ですが、もう一度念のために大臣のお考えを伺いたいと思います。
  33. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 市街地改造法の建前は、補償にかえて新たにできます建造物を分割所有を願いまして、旧関係権利者に交付することになっておりますので、そのために管理処分計画及び管理処分の道があるわけでございます。一方、公共用地の取得に関する特別措置法の方は、公共用地の取得だけが目的でありまして、管理処分というものは全く食い違った考え方でございますので、並行して適用されるということは考えられない制度になっておるわけでございします。
  34. 石川次夫

    ○石川委員 私も大体そのように思うのですけれども、ただ、問題は、非常に交通混雑なところで高速道路を作らなければならぬという問題がたまたま出てくることが多いと思うのです。その場合に、これは私の考え方というのじゃなくて、一つ考え方として、公共用地の取得に関する特別措置法というものの適用によって、取得の迅速をはかるという考え方がないと、とうていこの迅速な施行ができないのじゃないかという考え方が出てくるわけなのです。そういうことがあっても、これは性格が違うということで、これを並行して用いる、あるいは公共用地の取得をその区画全体に対して適用するということは絶対にあり得ないという考えですか。
  35. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 並行して適用することはあり得ないということでございます。
  36. 石川次夫

    ○石川委員 それでは、次に計画局長に伺いたいのです。この三条によりますところの対象となる一つ区画、それは大体どのくらいの面積をお考えになっておりますか。この間の御答弁によると、大千平方メートルくらいが大体の基準だというふうに伺っておりますけれども、念のためにお聞きします。
  37. 稗田治

    ○關盛政府委員 前回御説明申し上げましたわけでございますが、第三条に掲げる要件をすべて具備いたしておりますところについて市街地改造事業を実施いたすのでございますが、その実施の目的は、公共施設整備建物と敷地の整備、この三つの仕事が一体になっております。その公共施設につきましては、政令で定める重要な道路、広場でございまして、重要な道路といいますのは、幅員二十メートル以上となる道路、それと、広場と申しますのが、今お尋ねのございました六千平方メートル以上の広場。そういうものがこの公共施設として整備すべき対象になる施設でございます。  従って、その付近地における広がりというものが、どのようなものであるかというふうにお答え申し上げた方がいいのではないかと思います。これにつきましては、かりに道路の場合をとってみますと、都市内の道路でございますから、相当な区域内の延長を持っております。今計画いたしておりますのは、第三条と第四条を総合してお読みになっていただきましてこの内容が出てくるわけでございますので、これらの要件を具備しておりますところにつきましては、この手法でもって事業計画を進めるということにいたしました場合の素案といたしましては、場所によりまして違いますけれども、道路延長といたしまして、一つ改造地区にかかる延長が三百メートルあるいは四百メートルというふうなところの延長の区域につきまして、その奥行きが適正な街区ができるというように考えますので、奥行きが地形とか場所によっても違いますけれども、一つの標準型を申し上げますれば、四十メートルあるいは五十メートルというようなところが一つの適正街区の基準であろう、そういうふうに御理解願いたいのでございます。
  38. 石川次夫

    ○石川委員 それから、次に伺いたいのは、第三条の該当地区といたしまして、高度地区がこの対象になっております。それから、防火地区というようなものが対象になっております。これの高度地区というのは、大体日本全国でどのくらい指定されておるのか、特に東京はどことどこというふうなことになっておるのか。それからまた、防火地域、これは一体全国でどのくらいの指定があるかという点を、御参考までに一つ教えていただきたいと思います。
  39. 稗田治

    ○關盛政府委員 第三条の第三号の要件は、土地の高度利用を要請されておるという意味において、建築基準法の所定の高度地区指定のあるところということになっておるわけでございまして、この高度地区指定につきましては、今日までその指定が行なわれております都市は、東京、大阪等を含む七都市でございます。この場合におきましては、一定の、何階以下の建物が建てられないことになっておる地域ということでございまして、このような地域は土地の経済力の非常に高いところであります。ことに、これから新しく建物を改善いたしましたりする場合においては、この制限に服するということになっておりますので、この高度地区指定と高度地区制度というものが守られることが非常に不可分の関係になっておりますので、都市計画の面から見ますと、やはりこの制度がだんだん実現されるように、中高層融資の実現化が伴いました場合に積極的な活用をはかるようにいたして、今日まできておるわけでございます。しかし、まだ客観的にそういう要請が多い地域がございますので、こういう本法のような制度ができますれば、都市建築構成におきまして、高度地区の活用面がまだまだ今後出てくるというふうに考えられます。  それから、次のお尋ねの防火または準防火地域でございます。これにつきましては、かなりの都市において指定が行なわれておりまして、防火地区につきましては九十都市、準防火地域につきましては二百都市につきまして、その指定が行なわれております。いずれも都市の不燃化の要請上、最近におきましてこの制度相当に活用されておるのでございます。
  40. 石川次夫

    ○石川委員 高度地区で今度の市街地改造対象になるというよりは、むしろ防火地域あるいは準防火地域対象になるところが多いと思います。これは建築基準法の第六十条によってきめられた防火地域、こう考えられますが、そのほか高度地域についても、あるいはまたこの建築基準法六十条の法律は、建築基準法の四十八条「用途地域」の第二項を準用することになっておるわけでございます。これによりますと、建設大臣は、この「指定をする場合においては、関係市町村の申出に基いてしなければならない。」こういうようになっておるわけでございます。  これは、めったにこういうことはないと私は思いますけれども、地方防火地域指定したい、あるいは用途地域別の指定をしたいという場合に、有力な市会議員などがおってこれに対して反対をするというようなことで、この地域の指定ができないという例がたまにはあるそうであります。そうなりますと、これは用途地域に指定をされない、また防火地域指定をされないということになりますと、建設大臣はその地域の指定ができないということになれば、今度のせっかくの市街地改造法という法律によって都市計画促進しようとはかりましても、その促進ができないということになるおそれが出てくるのではなかろうか、こう考えられるわけなのです。その点についてのお考えを一つおっしゃっていただきたい。
  41. 稗田治

    ○關盛政府委員 用途地域制度につきましては、現在二百三十七の都市につきまして、都市計画の施設としての用途地域の決定が行なわれておりまして、用途地域制度の面から見ますと、土地利用の計画相当重要な都市についてすでに指定が行なわれている、こういうふうに見て差しつかえないと思うのであります。準防火あるいは防火、または高度地区等につきましては、いずれもただいま御指摘のありました通りに、申し出の建前をとっておるのであります。これはやはり、先ほど御説明を申し上げましたように、いわゆるこれらの地区制、地域制というものは、相当公益的な要請のもとに指定をされるわけでありますけれども、当該地域内の関係権利者の権利にも影響を与えますので、今のような体系になっているわけでございます。これはやはり、この制度の活用というものが、この事業面についての裏づけと申しますか、ただ単に個人の経済力に依存してこの制度の実現をはかるというだけでは、なかなか困難でありますので、街区の造成に関する法律でありますとか、あるいはこの市街地改造法律による事業の実施面を、地方公共団体なりあるいは公共施設の管理者の側が実施できるような体制に、この法律ができますれば、なることによって、この指定促進という事柄もおのずと期待できる形になりますので、両々相待って都市計画の面からの土地の要請に対する都市構築の実現に向かって進んで参りたい、こう考えている次第でございます。
  42. 石川次夫

    ○石川委員 私の御質問申し上げたのは、大臣指定というのが一方的にできないで、関係市町村申し出によって初めて用途地域に指定される。されなければ、この市街地改造対象にならないということですと、せっかく市街地改造をしたいと思う地域が、市町村長からの申し出がなくて、地域指定がないために、できないということになったのでは困るのではないか。従って、今後そういう場合には、法律の改正が必要になるでありましょうけれども、関係市町村申し出がなければ、建設大臣指定によってでも強行するという意思があるのかどうか。そういう方途をとらないと、この市街地改造が行き悩みになる。近い将来にはないかもしれませんが、遠い将来になきにしもあらずということが考えられるが、その点についての見通しはどうか、伺いたいのです。
  43. 稗田治

    ○關盛政府委員 極端な、詰めた場合の御議論でございますが、現在の段階におきましては、重要な市街地改造事業を実施することがぜひ必要である、こういう地域につきましては、大体において用途地域制なり、それからまた防火、準防火等の地域指定が行なわれておるわけでございます。これは、今御質問がございましたような、直ちにそのような事態になるというふうにはわれわれ考えておりません。しかしながら、将来の問題につきましては、その運用と相待って、なお十分検討いたしたいと考えております。
  44. 石川次夫

    ○石川委員 それから、話がちょっと変わりますが、土地区画整理法の第九十三条によりまして「宅地の立体化」というのが出ておるわけであります。ところで、この宅地の立体化という法律だけではまだ不十分だということで、この法案が出てきたというふうに考えられないこともないのでございますけれども、今まで土地区画整理法の第九十三条によって、宅地の立体化によって立体換地がどの程度行なわれておったか。また、それではどうしてもできないという事情がどこかにあったのかどうかという点を、過去のいきさつに照らして、一つお知らせを願いたいと思います。
  45. 稗田治

    ○關盛政府委員 ただいま土地区画整理法の第九十三条の「宅地の立体化」についての制度の運用の実績についてお尋ねがあったわけでございますが、現在のところ、との九十三条の規定による立体換地制度の実施をいたしたことは、まだございません。この九十三条は、非常によく似ております点は、第二項の規定でございまして、「市街地における土地の合理的利用を図り、及び災害を防止するため特に必要がある場合においては、」建築基準法の高度地区の区域内におきまして、宅地の全部または一部について、宅地もしくはその部分を定めないで、建築物の一部及びその建築物の存する土地の共有持分を与える、こういうことになっておるわけでございます。この立体換地は、その各区域内における所有権なり借地権を持っておる人たちが積み上げるということのほかに、さらにそれを高度利用するというふうな場合につきましては、施行者がその宅地もしくはその部分を定めないで、いわゆる処分できる権能を持っておる土地等の権利を持っていなければならぬわけでございまして、まさにこの九十三条第二項のような場合でございますと、施行者といえども容易にそのような宅地の権利を取得するということがきわめて困難な場合が多いのでございますので、関係の者の間におきまして話し合いがつくというふうなことで、初めて従前の権利者の部分の立体換地の上にさらに積み上げられる。まあ、保留分のような形のものが積み上げられるというふうな形になりますので、今回の市街地改造法におきましては、従前の関係権利者のほかに、施行者が、この事業によって整備されます道路その他にふさわしい部分をさらに高度利用できる、こういうふうな立て方にいたすために、土地等を施行者が一括取得をいたしまして、そして、その取得したものに管理処分計画に基づく建築物を新たに建築いたしまして、関係権利者にも給付するし、また施行者が管理する部分も取得する、こういう形にいたしたわけでございます。
  46. 石川次夫

    ○石川委員 その点は了解できました。  それから、話があちらこちら飛び飛びになって恐縮でございますが、一回除却をして新しい建築物ができた場合に、新しい建築物は比較的りっぱなものができると予想されるわけで、当然建築物の値段の差額ができると思うのです。土地の値上がりやその他についてこれをカバーするというようなこともお考えのようでございますけれども、この差額が出るということは当然予想しなければならぬ場合が多い。その場合に、差額については、やはり代金をさらにもらわなければならぬということになると思います。その場合の分割払いということになりますが、その分割払いをするときには、利子はどうするのだ、期間がどうなるのだ、というようなことまでは規定されておりませんけれども、その場合に一体どういうふうに具体的に措置をされるという腹案を持っておるかどうか、その点について伺いたいと思います。
  47. 稗田治

    ○關盛政府委員 ただいまのお尋ねは、従前の関係権利者に給付すべき建物の評価額と、従前の土地等に持っておりました関係権利者の補償金の額との間における差額の問題でございます。これは、この事業の性質上、ぴたりと一緒になるということはなかなか困難だと思います。といいますのは、概算で定めますので、従って、出入りは、若干のものについてはあるわけでございます。全体の建前といたしましては、従前の補償金に見合う財産価値のものを施行者が関係権利者に給付する、こういう形になりますので、若干のでこぼこがあろうと思います。そのような場合におきましては、第四十七条の規定によりまして、差額の徴収をいたしますとか、あるいはまた、逆に差額施行者が従前の権利者に交付をするという形になる場合もあるわけでございます。施行者が関係権利者から徴収すべき清算金につきましては、分割納付の道も考えておりますし、また、その場合におきましては、やはり利息の規定もこの条文の中に置いて、政令で定める範囲内の利息を徴収する、このような考え方でございます。関係権利者の納付すべき額がかなり上回るというふうなことがないように施行者が努めなければならぬわけでございますが、従前の関係権利者の分が過小な宅地であるとかなんとかいうことになりますと、極力それが過小宅地でないような規模に管理処分計画でふくらませますので、そういうことになりますれば、若干のものは分割納付していただかなければ納められないというふうな方も出ようかと思いますが、今申し上げました制度によって、関係権利者が新しい建築物に入ることができ、また入ったあとにおいて、仕事をやりながらその権利関係が安定するようにはかっていきたい、こういう考え方でございます。
  48. 石川次夫

    ○石川委員 そのお考えはわかるのです。わかるのですけれども、分割払いのときに、そのつど打ち合わせて、どのくらいにするとかなんとかいっても、そのつど、そのつどの打ち合わせということで、基準がないということになりますと、そのことに多少の混乱が起こるということも考えられます。この分割払いはどのくらいの期間で、金額がどのくらいのときはどのくらいだ、期間はどうするのだ、利子はどうするのだ、ということを一応基準をきめないと、円滑にいかないのじゃないかという懸念が出てくるわけなんです。その点を一つ伺いたかったわけであります。
  49. 稗田治

    ○關盛政府委員 これは今、政令として準備をいたしております考え方を申し上げたいと思うのでございます。施行者が徴収すべき額が清算金として二万円をこえておる、こういう場合におきましては、納付すべき者から施行者に分割納付の申し入れがありましたときには分割徴収ができる、ということにいたしまして、そして、清算金を分割して徴収する場合における清算金に付すべき利子は年六分。それから、清算金を分割して徴収する場合におきまして、清算金の徴収を完了すべき期限は、第一回の徴収すべき期限の翌日から起算いたしまして十年以内とする。こういう基本的な考え方に基づきまして、具体の例につきまして、施行者が関係の譲り受け権者と十分話し合いをいたしまして定めていく。そして、分割納付の回数等も、できるだけ関係権利者のそういう人の要望に沿うようにしてやっていく。こういうふうな政令を作って、この仕事の実施をはかりたい、こういうふうに考えております。
  50. 石川次夫

    ○石川委員 今のことに若干関連いたしますが、今の点は了解しましたけれども、この市街地改造地域あたりは、相当ぼろ家もあるのです。それが鉄筋コンクリートの防災建築ということになりますと、かなり価格が出てくるという場合もある。そうなりますと、そういう建物は要らない、もうその前の、金でもらっただけでよろしいのだ、ということも起こり得る可能性があるわけです。  それから、さらにあと一つは、建物ができちゃったところで、しかも、土地共同所有ということになってくる場合が出てくるわけです。そうなりますと、そんな土地は要らぬ、どうせ自分の土地だって売れる見込みはないのだということで、土地は要らないから、地代は払ってもよろしい、という場合も出て参ります。そうなりますと、これは予算的の措置としては全然そういうことを考えておられないわけで、政府がその土地を所有しなければならぬという場合も出てくるのではないか、こう考えるわけです。  その場合に、住宅政府で持つ、あるいは土地政府で持つということになると、予算上の食い違いが一つ出てくるという問題と、それから、それをどういうふうにして政府の所有にするのかという点が、いろいろと疑問が出てくると思うのです。その点についてのお考えはどうなんですか。
  51. 稗田治

    ○關盛政府委員 この市街地改造事業によってできまするものは、その建物と、土地の共有持ち分というものが、一つの一体となったものを譲り受けるわけでございます。従って、土地だけが遊離しておるということにはならないわけでございまして、建築部分と、それから土地の共有持ち分が一体となった譲り受け権ということになるわけでございます。  施行者の場合につきましては、施行者は、前々回に岡本委員にこの事業の財源引き当てのいわゆるサンプルを図でもってごらんに入れましたように、いわゆる施行者は譲り受け権を関係権利者に給付いたしますので、一応考え方といたしましては、現金を施行者が支出しないという建前になっております。しかし、お尋ねのように、この市街地改造地区内に残らない、市街地改造事業によってできます建物は要らない、という人のためには、これは補償金を支払っていくわけでございますからして、その補償金の支払われた部分は、現実の金繰りといたしましては、いわゆる融資という形で、それが最終的に管理処分計画におきまして施行者が自分で保留部分として取得するわけでございますから、その処分によりまして、立てかえたところの、従前の権利者で市街地改造地区内に残らない人のために支払われた金に引き当てされる。こういうふうな構成になっておるわけでございます。従って、従前の過小宅地であって、とても今度もらう建物の中には、自分で所有権を持つ建物部分を持つことが経済的にはおぼつかない、こういう人は、前段にお尋ねのありましたように、それは賃借人としてなら希望するという場合におきましては、施行者が建てます賃貸の部分に入居する一つの要求を出すことによって、その人が市街地改造地区内に残る場合は賃借人として残る、という道が開いてございます。しかし、全然本人の希望によりましてこの地区内に残らないという人に対しましては、先ほど申しましたような方法で、補償金を支払うわけでございます。大体、この事業を実施いたします過程におきましては、東京とか大阪というふうな地方公共団体がこの仕事をやるわけでございます。建前といたしましては国も行なうことになっておりますけれども、現実の場合といたしましては地方公共団体が行なう。こういうことでございますので、それに対する地方債、それと、中高層部分につきましてはその融資というものを考えますことによって、そのいわゆる資金繰りを道路整備費と相待って実施する、こういう立て方でございます。
  52. 石川次夫

    ○石川委員 今の御説明で大体概念的にはわかるのですが、実際、具体的な問題として、土地だけを所有しておるという人でありますと、その土地は要らぬ、共同所有なら要らぬ、という場合がかなり現実の問題として出てくると思うのです。そうしますと、いろいろと問題が残るわけです。それと同時に、そういう場合も含めての予算措置も一応考えなければならぬということになって参りますと、特に今度の予算は八億四千六百万円ということで、大都市だけに適用することになりますけれども、これだけで足りるかどうかという問題も一つあります。将来大都市だけでなくて、中小都市にも適用して参るということになれば、大都市とはまた違った面で考え直さなければならぬ面が多々出てくるわけであります。従って、今度の予算というものは、今度の思い切った考え方を具体化するための予算としては、非常に過小だというふうに、その他の具体的な問題も含めて考えるわけでございます。将来、土地の安い地方中小都市にいきますと、なおさらこの問題が大きくなって参りますので、そうなりますと、今後の市街地改造に関する予算というものを相当積極的に確保する決意を持たないと、なかなか所期の成果はおさめられない。今申し上げたようないろいろ複雑な事情が具体的に出て参りまして、必ずしも、もとの所有者がそのまま所有権を主張して確保するという形にばかりはいかない例があるのではないか、ということも含めて、一つ建設大臣に、今後の予算措置については、そういう面も考えて善処することをお考え願いたいということを要望いたします。  それから、いろいろあるのでございますが、最後に一つだけ伺いたいと思います。  それは、二十二条と五十三条に審査委員の規定がございます。ところが、きのうも民社党の田中委員からもいろいろ質問がありまして、その中で、現在の土地収用制度の中で、土地収用委員の選び方というものを考え直さなければいけないのじゃないか、という貴重な意見が出されました。私も本会議における質問において、収用制度というもの、土地収用委員というものの選び方、そのことについて再検討が必要ではないかということを申し上げたわけでございます。それと大なり小なり同じような関連をもちまして、この審査委員というものに対する基準というものは、全然この法律ではきめられておりません。ただ、政令にまかせるというようなばく然たる言い方でありますけれども、この審査委員の選ばれ方によって、相当いろいろな問題がまた出てくるのじゃないかという懸念があるわけでございます。政令にまかせるということでは、非常にわれわれとしては不安に感ずるわけでございます。従って、審査委員の基準を一体どういうふうにお考えになっておるか、政令ではどういうふうに規定をされるつもりか、ということを伺いたいと思うのです。
  53. 稗田治

    ○關盛政府委員 審査委員は、この法律の実施につきましては、ただいま御指摘のございましたように、管理処分の計画等の重要なことを審査または同意し、あるいは借家条件の裁定とか同意とかいう重要なことを担当いたしますので、審査委員の資格につきましては、いろいろ配慮をいたしておるわけでございます。もっとも、区画整理事業等にもこれと似た制度がございますので、比較検討いたしまして、少なくとも審査委員は、土地または建物の評価について非常な経験を持っておられる方であって、かつ、この市街地改造事業に関しまして公正な判断をすることができる人から選ぶ、ということをまず基本的な考え方にいたしております。そして、この審査委員の選任を施行者がいたす場合におきましては、五十三条の規定によりまして、譲り受け希望の申し出をした者及び賃借り希望の申し出をした者にその選任についての賛否を求めまして、二分の一をこえる者の反対があった人は選任できない。こういうことで、先ほど申しましたような条件に該当する人は、必ずしも市街地改造地区内からその適任者を得られるかどうかという点もありますので、選任制度にいたしました。しかしながら、関係権利者の権利の審査に重要な役割を果たす方でありますので、五十三条の第二項に定めるような規定をその選任の要件としておるわけでございます。
  54. 石川次夫

    ○石川委員 なるほど、五十三条の二項には、「二分の一をこえる者の反対があった者は審査委員に選任することができない。」ということが書かれておりますけれども、一つの問題としては、どうしても権利者の中から、地域代表という形になるかどうかは別問題でございますが、推薦をさせるというようなことで、少なくとも一人くらいはそういう形で出さなければいけないのじゃないか。これは、そう費用が多くかかるわけではございませんから、そういうことを一応考えてみたらどうか。  それから、あと一つは、任免権は施行者の方にあるわけでございます。任免権者の方でどうしても気にいらぬというようなことで、自由にできる。まあ、一応賛否を問うということはしなければならぬ建前にはなっておりますが、現実の問題として、その人間を目の前にして半分以上が反対をするということは、ほとんどあり得ない。従って、この賛否を問うということ自体にも、私は大した効果は期待できないのではないかと思うので、そういうことを申し上げるわけなんです。それと同時に、任免権は施行者にありますので、任免権者が勝手に——勝手にといっては語弊があるかしれません。一応賛否を問いますから、そういうことにはなりませんでしょうが——任免権者が勝手に首切るということも可能だという建前になろうかと思っております。そういうことで、果たして審査委員というものが、住民の気持も十分に理解しながら、管理処分計画というものに対して十二分の公平なる立場での発言、判断というものができるかどうかという点を、われわれとしては疑問に思っておるわけでございます。  そういうようなことを一応要望として申し上げておきまして、本日はこの程度で私の質問を打ち切りたいと思います。
  55. 加藤高藏

  56. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 私は、防災建築街造成法案について少しお伺いをしたいと思うのであります。  この法律は、御承知のように、一条から六十七条までありまして、そのうち十条から五十三条までの四十四カ条というものが組合に関する規定になっておるのでありまして、むしろ防災建築街造成組合法案というような感じがするのであります。しかも、それだけの膨大な個条を法律の中に持っている組合でありますが、これを拝見しまして、果たしてこの組合が、この法律の要請する目的を十分に達するような組合になるかどうかということに疑問が持たれるのであります。  そこで、私が伺っておきたいのは、第四条の「目的」を見ましても、第九条の「事業の範囲」を見ましても、一体この組合は公益あるいは公共性を持つ面が多いのか、あるいは私益、営利的な面も持っておるのか、あるいは両面持っておるのか、どちらにウエートがあるのか、お尋ねしたい。
  57. 稗田治

    稗田政府委員 この防災建築街造成組合の性格でございますが、組合員の「共同の利益となる事業を行なうことにより、防災建築街区における適正な防災建築物建築促進」する。なお当該街区における「土地の合理的利用と環境の整備改善を図ることを目的」としておる法人でございます。定款について申しますと、この組合は、終局的には、防災建築街区を造成して、都市災害防止でございますとか、土地の合理的利用の増進というような公共目的を達成することに関連いたしておりますので、公共的な色彩は濃厚な組合ということになるわけでございますが、直接には組合員共同の利益となる事業を行なうものでありまして、いわゆる土地区画整理組合とか、そういうような公共組合ではないわけでございます。従いまして、強制加入というような強制措置は認めておらないわけでございます。設立も任意でございますし、加入、脱退も自由であります。そういうような広範囲に自治的決定をする余地を有する自治的な団体という考え方をいたしておるわけでございます。
  58. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 この目的事業の範囲を見ますると、あなたのおっしゃったような組合だと私も思います。しかし、出資についても強制はしていないで、任意です。それから、組合自身に対する政府補助というものも、法案の上からはないように思います。そうしまして、この法律によって組合員に経費の負担をさせる。しかも、公共的な面が多くて、営利の面がほとんどないように思われますから、一体この組合が生まれても、十分に活動ができるかどうかということについて疑問が持たれるわけであります。たとえば組合長、理事というものの報酬は、一体無償なのか、有償なのか。しかも、街区に対する責任は、会社の取締役とかその他の役員と同じように、損害をかけたときには賠償の責任を負うというような点もあり、監督も受けるのでありまするし、責任は非常に重い。無償でありまするならば、これはよほど名誉職のような職でありますから、こういうことに奉仕するという人でなければ、この組合の役員にはなれないと思うのです。報酬を出し、組合の活動経費が要るとすれば、出資を任意にしておいて、一体どこから出るか。ガソリンがなくて自動車に走れというようなもので、十分に経費の出道がないように思いますから、私は、これができても十分な活動ができないのではないかというような気持がするのです。その点は、どういうふうにお考えになっておりますか。
  59. 稗田治

    稗田政府委員 この組合でございますが、組合事業に、九条の第一項のほかに、第二項の方に、組合自体防災建築物事業も行なえるように定めてあるわけでございます。従いまして、補助関係でございますが、第二項によりまして、組合自体組合の計算において事業を執行するという場合には、当然地方公共団体、また国の補助組合に対して行なわれるわけでございます。  第一項の事業におきましては、いわゆるあっせんをするような組合でございますが、この場合におきまして、組合事業主体となって直接事業を執行するようなことを原則といたしておりませんのは、現在の耐火建築促進法に基づく防火建築帯造成事業におきまして、実際には任意組合は結成されておるわけでございますが、まだ、組合に全部まかせまして、組合事業のもとにこの事業を執行していくというような空気が、一般の問題としては醸成されていないわけでございます。各組合員が個々の計算におきまして、委託をして、組合事業を執行するというような形になっておりますので、今日の日本の現段階から考えますと、一応組合員がめいめいの計算において、組合全体の総合的な調整のもとに事業が執行されるという建前にした方が適当じゃないかということで、実情に合うように考えたわけでございます。  なお、組合の役員その他についての、有償か無償かという点でございますが、これも全部組合定款にまかせておるわけでございます。従いまして、定款の定め方によっては、組合役員の待遇が有償になるという場合があるわけでございます。
  60. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 この九条の一項一号、これによりますと、なかなかこの組合事業といいますか、それは大きいのでありまして、「敷地、位置、構造、形態、意匠又は建築設備に関する基準を作成し、」というので、街区を造成するについて非常に指導的な立場に立って仕事をする。金は要っても、別にこれによって報酬が入るわけではないと思いますから、仕事の量が相当多いのに、無償でこれをやらなければならぬ。しかし、私も、この二号で、組合員が行なう事務を、委託を受けて処理するというのでありますから、あるいは請負のようなことで、かわってやりますから、定款なり何なりで作れば、これによる報酬は多少入ってくる道があるのじゃないかというふうには考えられます。けれども、この組合自体の経理、経営というものが成り立っていくかどうかということを私は心配している。この法案の中からは、政府補助なり支出というものは、出るような規定は少しもないのですが、これはどうですか。
  61. 稗田治

    稗田政府委員 防災建築物建築する者、という中には、組合等も含めて考えておるわけであります。
  62. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そういう点で、この法律ができても、任意設立でありますし、すぐに活動のできるような組合ができるかどうか、非常に心配するわけです。これは全国で四十都市くらいの計画があるように伺っておりますが、どのくらい計画をしておりますか。
  63. 稗田治

    稗田政府委員 大体約四十都市要望がございます。重立ったところで、非常に具体化して進んでおるところを申しますと、東京におきましては浅草、池袋、神田三崎町等でございます。それから、大阪におきましては、上本町六丁目、下寺町、それから立売堀(いたちぼり)。名古屋におきましては、もと進駐軍が接収しておりまして、俗称白河村といっておりますが、そこを街区造成をしよう、それから築地口におきましては、災害危険区域のところを街区造成しよう、というような機運が進んでおります。神戸におきましては、元町等でございます。横浜におきましては、接収解除の跡地の一部を街区造成しようというようなことで、最近全国的に都市の不燃化ということが非常に徹底して参りまして、組合の結成の機運は非常に高まって参っておるわけでございます。実は、この防火帯という帯状でなしに、街区全体に広げてという、そういった全国の連合会等において要望された線に沿いまして法案を考えたわけでございます。
  64. 中島巖

    ○中島(巖)委員 議事進行。大体先ほどの理事会でも、法案を非常に早くあげるという要望があって、あすも引き続いて委員会を開いてあげようと努力しておる。ところが、与党の出席はどうです。
  65. 加藤高藏

    加藤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 加藤高藏

    加藤委員長 速記を始めて。
  67. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 要望が高まってきておるのならば、これは非常にけっこうだと思いますから、これはやはり何か指導して、そういう空気のところには、おそらく政府の方から指導をする立場の人か何か作って、初めの準備行為だけはお手伝いをしなければならぬ。  それから、この組合の行なう事業については、これは任意組合ですから、何も外部に対する権限もないし、権利もないし、非常に力が弱いわけです。  そこで、都市計画法による仕事とはこれはどういう関連に立ちますか。それとうまく並行していきますか。これは非常に力が弱い。都市計画をやる方は強いのですから、これは仕事がどんどん進んでいくと思うのです。この方はみな任意に集まってきて、加入を勧誘しても入ってこないというような事態が、もしできた場合には、なおさらこれは微弱な組合になってしまいますが、都市計画とはどういう関係に立っておりますか。市町村とか公共団体でやる場合には少し権限が強いように見えますけれども、任意の組合というのは、どうもちょっと弱いような気がいたしますが、どうなりますか。
  68. 稗田治

    稗田政府委員 この組合につきましては、この法案が成立いたしますれば、この法律に基づくところの法人格を持つわけでございます。そして、要するに、全員合意で作る組合でございますので、一街区の人たちが全部心を合わせなくちゃならぬわけでございますが、二、三の反対者があるというような場合に、なかなか組合の結成ができないわけでございます。そこで、先ほども申しましたように、地方公共団体、県知事とか市町村長が組合加入を勧誘する、あるいはいろいろ権利上の紛争がある場合に調停のあっせんをする、というような行政的な指導をもちまして、できるだけ自発的に全員合意でできるように運営して参りたい、かように考えておるわけでございます。しかしながら、それでもなお、なかなかできないというような場合もあり得るかと思います。  そこで、市街地改造法の準用のことになるわけでございます。都市防災上、どうしてもそこを早く完成しなければならない、かつ、三分の二以上の権利者の申し出があるというような場合におきましては、大体負担力のある地域という認定が、五十五条のところに、地域の制限はございますけれども、「居住の用に供する建築物建築面積が当該区域内にある建築物建築面積の合計の四分の一以下であること。」という二号がございます。これは、その土地柄からいきまして、融資等の施策をもって改造のできる負担力がある、という認定を一応書いておるわけでございます。こういうような一号、二号、三号に該当するような場合におきましては、三分の二の権利者が申し出をして参りますれば、地方公共団体市街地改造法に準じまして公共団体事業としてこれを行なって、あとのでき上がりました建物権利配分するということになっておるわけでございます。
  69. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 今の五十五条は、ここに書いてある通り「地方公共団体施行する防災建築街造成事業」、こうなっておりますから、これは改造法の準用によって相当力をもって事業が推進できますけれども、組合の方にはこの規定は適用はないでしょう、どうなんですか。
  70. 稗田治

    稗田政府委員 組合の場合には、強制的に執行する権限がないわけでございます。従いまして、組合がなかなか結成されないというような場合におきましても、三分の二の組合員になるべき方々が地方公共団体の方に申し出をいたしてくれば、その場合には地方公共団体が直接施行するということで、どうしても都市災害の防止上必要な個所につきましては、強制執行の道を開いておるわけでございます。
  71. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 この経費の一部の補助ですが、これはどういう割合補助することになっておりますか。
  72. 稗田治

    稗田政府委員 経費の一部の補助でございますが、これは一応組合等を結成しまして事業をする場合には、間接補助になるわけでございます。地方公共団体組合補助金を出すわけでございます。その補助金の内容と申しましても、設計調査、それから組合全体が同時に施行になりますので、建物除却するわけでございますが、その除却に要する費用、それから街区全体を工事いたしますので、下水や水道管等につきましては配置がえ等も行なわれますので、そういった共同付帯施設のつけかえの費用、そういう費用の三分の一を国が補助するわけでございます。間接補助にいたしておりますのは、地方公共団体がさらに三分の一を加えまして、合わせまして三分の二のそういった、今申し上げたような費用補助が参るわけでございます。
  73. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 きょうはこの程度で……。
  74. 加藤高藏

    加藤委員長 次会は明二十七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会