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1961-05-30 第38回国会 衆議院 決算委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十日(火曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 木村 公平君 理事 田中 彰治君    理事 高橋 英吉君 理事 丹羽喬四郎君    理事 三和 精一君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    大上  司君       久保田円次君    久保田藤麿君       鈴木 正吾君    藤井 勝志君       前田 義雄君    山田 長司君  出席国務大臣         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         文部政務次官  纐纈 彌三君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     安嶋  彌君         文部事務官         (体育局長)  杉江  清君         労働政務次官  柴田  栄君         労働事務官         (大臣官房長) 三治 重信君         労働事務官         (大臣官房会計         課長)     和田 勝美君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      大島  靖君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         大蔵事務官         (主計官)   佐々木達夫君         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     木田  宏君         文部事務官         (大学学術局学         生課長)    西田亀久夫君         文部事務官         (管理局振興課         長)      平間  修君         労働事務官         (大臣官房労働         統計調査部長) 大宮 五郎君         労働基準監督官         (労働基準局労         災補償部長)  村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局失         業保険課長)  鈴木 健二君         労働事務官         (職業安定局失         業対策部長)  松永 正男君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         会計検査院事務         官         (第三局長)  白木 康進君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月三十日  委員海部俊樹君、菅野和太郎君、田中角榮君及  び山口喜久一郎辞任につき、その補欠として  前田義雄君、久保田円次君、上村千一郎君及び  宇野宗佑君が議長指名委員に選任された。 同日  委員宇野宗佑君、上村千一郎君、久保田円次君  及び前田義雄辞任につき、その補欠として山  口喜久一郎君、田中角榮君、菅野和太郎君及び  山村新治郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十三年度政府関係機関決算書  昭和三十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十三年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十三年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在領総計算書      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和三十三年度決算外三件及び昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、文部省所管について審査を進めます。まず、文部政務次官より、所管決算概要について説明を求めます。纐纈文部政務次官
  3. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 昭和三十三年度及び昭和三十四年度文部省所管決算概要につきましては、委員各位のお手元に印刷物を配付いたしてございまするので、それによって御承知いただきたいと存じます。何とぞ御審議のほどをよろしくお願いいたします。
  4. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 委員各位のお手元に配付いたしております昭和三十三年度及び昭和荘十四年度文部省所管決算概要説明は、便宜委員会議事録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承をいただきます。
  5. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて、会計検査院当局より、検査概要について説明を求めます。保岡第二局長
  6. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 昭和三十三年度における公立小中学校施設整備費補助金及び公立学校危険校舎改築費補助金の経理の実態に関し、宮城県外七都県の学校三百十九校について実地検査した結果、事業主体国庫負担金の申請にあたり、その配分の基本となる保有坪数を過小にしていたなどのため、国庫負担金を除外すべきであると認められるものが、東京都外在県において五事項、百五十四万七千七百円ありまして、そのうちおもなものが、一七六号と一七七号に掲げたものであります。  一七八号は、不正行為でありまして、東京教育大学で、架空の非常勤職員八名に対する関係書類を作成し、これに基づいて支払われた百八万七千百十五円の手当を領得したものであります。  三十四年度に移りまして、一三四号でございますが、東京大学で、物性研究所建物一億四千五百万円余の工事におきまして、年度末に五千四百九十五万円分が残って完成していないのに、代金の全額を支払ったものであります。  以上で終わります。     —————————————
  7. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。
  8. 山田長司

    山田(長)委員 三十三年度及び三十四年度決算報告書による批難事項の件数は、文部省の場合、ほかの省と比較いたしますと、非常に少ないようでありますが、一応この批難事項の中には指摘されておりませんけれども、不明確な点がありまするので、財団法人文教協会の問題について、一応お尋ねしたいと思うのであります。  文教協会設立年月日、それから設立目的、こういうふうなものはどういうことになっておるのか、一応伺いたいと思います。
  9. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文教協会設立年月日でございますが、これは昭和二十四年玉月一日付でございます。それからその会の目的でございますが、これは文教に関する資料等の作成、出版、それから文教関係職員の教養、福利厚生等に資する事業を行なうということを目的といたしております。
  10. 山田長司

    山田(長)委員 文教協会財団法人のようでありますが、寄付行為の内容、それから寄付財産は、だれが幾ら、いかなる方法で拠出したか。
  11. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文教協会寄付行為でございますが、これはただいま申し上げました目的事業をまず規定をいたしておりまして、その次に資産及び会計についての規定がございます。設立当初の基本財産は三十万円でございまして、運用財産として百万円が設立当初用意されております。ただいま申し上げました基本財産三十万円及び運用財産の百万円の拠出者につきましては、ただいま手元に遺憾ながら資料を持ち合わしておりません。後刻御報告を申し上げたいと思います。
  12. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと待って下さい。それは資料をすぐ持ってこさせるわけにはいかないの。
  13. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 さっそく手配をいたします。
  14. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それはすぐだな。
  15. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 はあ、すぐ調べて……。
  16. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 じゃ山田委員に申し上げますが、すぐ資料を届けるそうですから……。
  17. 山田長司

    山田(長)委員 各国立大学は、文教協会に対して千八百万円支出しているが、支出年月日、それから支出金額支出した各大学別国立大学ですから、おわかりになると思うのですが……。
  18. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文教協会に対する国立学校からの経費の支出でございますが、これは二回に分かれて支出されておりまして、第一回が昭和二十四年度設立年度でございまして、金額が約八百万円でございます。それから第二回目が、年度は二カ年度にわたって支出されておりますが、昭和二十五年度及び二十六年度でございまして、この二カ年度にわたりまして約一千万円、計約千八百万円の金額支出されております。   〔委員長退席大上委員長代理着席学校別金額でございますが、ただいま手元資料として持ち合わせておりますが、いかがいたしますか、学校別に御報告申し上げますか。——第一回目でございますが、支出月日はただいま手元に控えておりませんが、まず金額を申し上げますと、文部本省が三十万円、それから国立科学博物館二万円、国立教育研究所二万円、文化財保護委員会が四万円、北海道大学十二万円、北海道の当時水産専門学校でございますが、これが千万円、それから北海道の第一師範二万円、第二師範学校三万円、第三師範学校三万円、青年師範学校二万円、次に、弘前の医学専門学校五万円、青森師範学校三万円、青森青年師範学校二万円、弘前高等学校三万円、それから盛岡農業専門学校三万円、岩手師範学校三万円、盛岡工業専門学校三万円、岩手青年師範学校二万円、東北大学十五万円、宮城師範学校三万円、宮城青年師範学校二万円、第二高等学校三万円、仙台工業専門学校三万円、それから秋田鉱山専門学校三万円、秋田師範学校三万円、秋田青年師範学校二万円、山形高等学校三万円、山形師範学校三万円、山形青年師範学校二万円、米沢工業専門学校三万円、福島経済専門学校三万円、福島師範学校三万円、福島青年師範学校二万円、ずっと読み上げて参りますとそういうことでございまして、支出の日付は、学校が多数ございますので、学校によりましてそれぞれ異なっております。先ほど申し上げましたように、二十四年度中に第一回が支出されております。第二回が二十五、六年の二カ年にわたって支出されておる、こういう状況でございます。
  19. 山田長司

    山田(長)委員 大口の一千万円というのを除いては、あとは二万円とか三万円とか、非常に少ない金額ですが、一千万円というのは読み違いですか。
  20. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 一千万円と申し上げましたのは、第二回目に支出されました金額の全体額でございまして、個々学校について読み上げましたもののうち、一千万円と申し上げた点があれば、それは間違いでございます。(「北海道水産大学だ」と呼ぶ者あり)北海道水産大学は、三万円の読み違いです。
  21. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはちょっとおかしいじゃないか。僕の調べたのでは、昭和二十四年は八百万円で、これはあなたの言う通りです。ところが、二十五年は六百八十九万円で、二十六年が二百十七万円、合わせて千七百六万というのが正確な数字じゃないかと思うのですが、あなたが一千万円というように、一年に集まった年はありますか。
  22. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま小川委員からお話のございました点でございますが、昭和二十四年の一回目が約八百万円、二十五年が約六百九十万円、それから二十六年が約二百二十万円、これを約一千万円と、こう申し上げたわけでございます。合計いたしますと約千八百万円、こういうことでございます。
  23. 山田長司

    山田(長)委員 そうすると、日本じゅうの各国立大学から、一応こういう類似した金額が出ていると見ていいですか。今全部言われなかったので……。
  24. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 大部分学校から出ております。
  25. 山田長司

    山田(長)委員 うずら荘私立学校共済組合に売却しているが、この月日、売却の価格、それから文教協会うずら荘をだれから買い入れたのか、そのときだれがこの買手の衝に当たったか、わかっている点を伺いたい。
  26. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 うずら荘でございますが、文教協会がこれをどこからいつ購入したかということにつきましては、ただいま資料手元にございませんが、公立学校共済組合うずら荘を買収いたしました年月日は、昭和二十八年の五月でございまして、購入価格は千六百万円となっております。
  27. 西村力弥

    西村(力)委員 各大学から三万、二万と、額は少額ですが、これはどの費目から出されておるのですか。
  28. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 当時の役務費の目から支出いたしております。
  29. 西村力弥

    西村(力)委員 役務費という名前が示すところからいうと、今の目的とは合致しないように思うのですが、どうでしょう。会計検査院はどう思いますか。福祉とか文教宣伝とかいう趣旨でこの財団法人が生まれて、その費用が役務費から出ておるということは、少し無理があるのじゃないですか。
  30. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 おっしゃいます通り、私の方も無理があると思っております。
  31. 山田長司

    山田(長)委員 だれから買ったのかわからないけれども、一応二十八年五月に千六百万円で買い入れたと言われるけれども、監督の衝に文部省はあるのですが、文部省はその点はわからないわけですか。
  32. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文部省文教協会に対しまする関係は、文部省所管一般財団法人に対する監督関係以上には出ないわけでございます。一々の財団の売買、移動等について、文部省が許可するといったような関係にはございません。従って、そういう個々のケースについて、文部省に広い意味で相談があるというようなことはないわけでございます。
  33. 山田長司

    山田(長)委員 こういう問題について相談がないといっても、ほとんど全国の国立学校から金が集められていることでもあるし、会計検査院でも、このことについては何らの調べる対象になっていなかったものですか。
  34. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 当時問題にしております。それで文部省側答弁では、非常に急ぐから予算措置ができなかったという答弁でございました。
  35. 小川豊明

    小川(豊)委員 監督できないというのは、認可法人に対して、民法六十七条の一では「法人業務ハ主務官庁監督ニ属ス」、それから二では「主務官庁ハ何時ニテモ職権以テ法人業務及ヒ財産状況検査スルコトヲ得」、こういう規定になっているわけです。だから、あなたの方では監督しなければならない。検査をしなければならない任務があるはずです。今の山田委員の質問に対して、監督しなかった、そういうものを聴取していなかったという答弁では、答弁にならない。監督しなければならない権限もある。従って、任務もあるはずだ。どういうわけでこれをやらなかったか、明確な答弁を願いたい。
  36. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま御指摘通り文教協会は、文部省がこれを監督する地位にあるわけでございますが、文教協会からは、文部省に対しまして、事業あるいは決算報告等につきまして、実はほとんど書類が出ていない状況でございまして、私どもそういう点はなはだ困ったことだと思いまして、たびたび必要な書類を提出するように督促いたしておるのでございますが、十分にこれが提出されていないというふうな現況でございます。はなはだ遺憾に存じております。
  37. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの方では、類を出せといって出さなくても、行って調査もし、監査もできるわけです。日を切ってもできるはずです。今の答弁では、要求はしたけれども出ていない。それでは、いつごろから出ていなくて、いつごろまでは出ているのですか。何年まで出ているのですか。
  38. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文教協会から文部省に提出されました正規報告は、三十年度事業報告、三十年度収支決算報告、それから三十一年の事業計画収支予算書、三十一年七月及び三十三年五月における役員異動報告が提出されておるのみでございまして、その他につきましては、全くこの種の報告は行なわれておりません。
  39. 小川豊明

    小川(豊)委員 最終は三十三年ですか。——そのときの財務諸表なんかは、それまでは出ているのですか。どういうものが一体報告されていないのですか。財務諸表をとっておりますか。
  40. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 事業報告収支決算報告ということでございますから、財務諸表の中の収支決算は提出されたと思っておりますが、その他の部分は提出されていなかったものと思います。
  41. 小川豊明

    小川(豊)委員 ここで問題になるくらいだから、これは文教委員会でも問題になっておるのですよ。文教委員会速記録を見ると、三月二十二日に問題になっておるのです。従って、これはあなたの方で、三月、四月、五月とあるのですから、おそくたって取らなければならないはずなんです。ところが、三十何年かに出したきり、いまだもってとっていないのです。これはあなたの方の怠慢ですよ。なぜとらないのですか。
  42. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘通り、しばしば報告をするように督促をいたしておったのでございますが、昨今の文教協会は、と申しますか、事務を処理するスタッフ等もほとんどいないような状況でございまして、その書類の提出が行なわれていないのではないかと思っております。
  43. 小川豊明

    小川(豊)委員 おかしいですね。僕の方で調べたのを見ると、たとえば設立当初の役員は、松下さんが理事長で、小川さんというのは、これは文部省会計課長なんです。それから岡田孝平さんというのは、文化財保護委員会委員で、今は私学振興会理事長をしておる。久保田さんは文部省管理局長、こういうふうに、みんな文部省の主要な諸君が出ているのです。これは設立当初のことです。それで現在の役員は少しかわっておるけれども、やはりこの中には、ほとんどさっき言われた国立大学事務局長が出ておるのです。だから、やる人がないということはない。事務局長理事になり、監事になっておる。それでいて、あなたの方で報告を徴しても報告が来ない。幾らやっても来ませんからわかりません、そういう答弁では、答弁になりませんよ。事務局長がみんな理事でしょう。監事でしょう。作った当時からいったって、みんな文部省会計課長だの、管理課長だの、そういう人がみんな行ってやっておって、それでその報告がとれない。そんな答弁では困るですよ。
  44. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘通り、現在の役員の大多数は、国立大学事務局長でございます。これは御承知の通り非常勤でございまして、文教協会の日常の業務運営には当たっていないわけであります。常務理事がおるわけでございますが、これも最近は、私の聞くところによると、ほとんど顔を出していないそうであります。それから事務職員の数も、先ほど申し述べましたように、ごくわずかのようでございまして、従いまして、そういう関係から、報告書文部省要求いたしましても、なかなか作成しがたいというような状況になっておるようでございます。
  45. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、この文教協会理事会及び評議員会というものは、何回くらい開かれておりますか。
  46. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 理事会評議員会が何回開かれたかというお尋ねでございますが、その点につきましては、私承知いたしておりません。
  47. 山田長司

    山田(長)委員 そんな、決算委員会答弁にならないようなことでは始まらないと思うのです。誰か知っておる人はないのですか、文部省には。監督の人がおるでしょう。
  48. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 法人監督は、総務課の所掌でございますので、ただいま総務課長を呼んでおります。
  49. 大上司

    大上委員長代理 所管官房長ではないですか。
  50. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 所管官房でございまして、官房長に御連絡をとるようにいたします。
  51. 山田長司

    山田(長)委員 この協会が、文部省の地下に食堂経営しておって、そこに、おそらく高利貸しか何かだと思うのですが、経営がまことに不手ぎわで、朝鮮人が押しかけて来た。警察官もこれに立ち会ったが、警察官も、金銭の貸借のためにどうすることもできない。はたで見ておって、デモにしてはちょっとおかしい。警官が出て来て調べたら、まるでデモではない。デモ警官が出たというならわかるが、文部省建物の中に高利貸しが押し込んで来て、そうしてまわりに立ち会っておる。こんなことを文部省で放任されておっていいものかどうか。私は、これは問題だと思うのですよ。一体、こういう事態に立ち至らしめておることについて、文部当局はどんな監督をしておるのです。
  52. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいまのお話の中で、食堂経営しておるというお話でございましたが、文教協会は、食堂経営しておりません。
  53. 山田長司

    山田(長)委員 売店だ。
  54. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 売店でございますが、この売店は、三月三十一日をもつて許可の期限が切れておりまして、現在この営業を停止するように申し渡しておるようでございます。  なお、何か警官文部省の中に入って来たというお話でありますが、私が会計課長になりましてからは、そういう事実はございませんが、その以前にそういうことがあったということは、仄聞はいたしております。確実にそういうことは私は伺っておりません。
  55. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなた、会計課長ですね。——ならば、これは文部省売店をこの文教協会に貸しておるわけだね。従って、これに対して、建物を貸しておるのだから、この文教協会から文部省に対する納付金が入っているはずだが、これはどれくらいずつ入っていますか。
  56. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 現在と申しますか、三月三十一日までに使用を許可しておりました坪数は二十坪でございまして、これにつきましては、国有財産貸付基準に従いまして、三十五年度の第四・四半期について御説明をいたしますと、一月の一日から二月の十日までは、二十六・五五坪を貸付使用させておりまして、これに対する使用料が一万百八十二円、それから二月十一日から三月三十一日までは、二十坪を使用許可いたしておりまして、これにつきましては一万一千五百八十二円の使用料を調定いたしまして、これはいずれも収納済みになっております。
  57. 山田長司

    山田(長)委員 それで、そのあと売店はどんなふうになっているのですか。
  58. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 そのあと売店は、物は並べてございますが、ほとんど客足もなく、開店休業の実情にございます。
  59. 山田長司

    山田(長)委員 物を並べていて開店休業といったって、それは買いに来る人があれば販売しているんでしょうし、期限がきても立ちのかずにいるというのが、実態だと思うのです。それで、大体文教協会設立されたときの目標とは、まるで違った方向へこれはいっているんじゃないですか。文部省はどういうふうにお考えです。
  60. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘通り、当初目的としたところとは、今日の状況はかなりかけ離れているように思います。
  61. 山田長司

    山田(長)委員 こういう売店経営などのほかに、一応うずら荘というものの経営がなされているわけです。これらについて、現在の財務状況というものは、どんなふうになっておりますか、説明できますか。
  62. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 うずら荘のことでございますが、これは先ほども申し上げました通り、二十八年の五月に、公立学校共済組合がこれを買収いたしております。従いまして、それ以後はうずら荘経営はいたしておりません。  それから最近の財務状況でございますが、これは先ほど申し上げました通り正規報告がございませんので、正確にはわかりかねますが、しかし、非常勤理事等の話を総合いたしますに、相当な赤字があるということでございます。
  63. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、うずら荘はすぐに売り渡してしまったようですが、売った金額幾らでした。
  64. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 売った金額と申しますと、公立学校共済組合が購入した金額になると思いますが、それは千六百万円でございます。
  65. 山田長司

    山田(長)委員 買ったときの値段と同額で売り渡したことになるわけですか。
  66. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文教協会幾らでこの建物を買い取ったかということは、私ども承知いたしておりませんが、文教協会公立学校共済組合に売ったその値段は、千六百万円ということをただいま申し上げたのであります。
  67. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、その買ったときの値段は、だれがわかるのです。
  68. 西村力弥

    西村(力)委員 議事進行について。これは、役所の方々は新しくその地位にすわったとかなんとかで、僕がいなかったときのことは知らぬとか、こういうことは言えるかもしれませんけれども、これは文部省という一つの機構として出席しているのですから、私が就任する以前の問題はわからぬというようなことは、一切許せないことだと思うのです。ですから、今の問題にしましても、これはよほど前のことだろうと思うのですが、管理権を持つ文部省としては、そのことは当然掌握しているべきはずのことだと思うのです。それをわからぬ、これで過ごそうとするようなことは、これは私たちとして許せない。ことに、決算委員会というのは、現実の問題よりも、前の予算執行の問題、そういう問題をやるのですから、そういう心がまえで出席してもらわなければ困る。ことに文教協会というのを本日やるということは、前もって通告もしてあるはずでございますし、いずれにしましても、決算委員会のあり方として、われわれの委員会の立場としては、機構として出席してもらうんだ。前のことはわからぬというような態度は、一切許せないことであると思います。この点は承知してもらわなければならぬ。
  69. 大上司

    大上委員長代理 ただいまの西村委員の発言、ごもっともと思います。そこで、ただいま官房総務課長の木田説明員が参りましたので、前の山田君の質問に文部省が答えてないのだが、これについてまず答弁を求めて、その次に聞きましょうか。——それではその問題に関連して、官房総務課長木田説明員。
  70. 木田宏

    ○木田説明員 ただいま山田先生からお尋ねがありました、文教協会うずら荘を当初幾らで手に入れたかという数字は、先ほど会計課長からも申し上げましたように、私どもまだ把握してございません。だれに聞けばわかるかと申しますことは、文教協会常務理事である責任者に聞かなければならぬことなのでございますが、呼び出しましても、いろいろ事情を説明を求めましても、一切の報告をよこしてこないという現状でございますので、私どもとしては、私どもの立場でわかっておる限りのことをできるだけ調査もし、用意をしたのでございますが、文教協会自体の扱いました内容のことにつきまして、現在の段階ではあまりつまびらかにいたすことのできないような状況にございます。
  71. 山田長司

    山田(長)委員 こういう問題は、やはりこのままほうっておくわけにはいかないと思うのです。たまたま決算委員会で取り上げて、あなた方もピリオドを打つよい機会に直面しているのではないかと私は思うのですが、この機会に常務の責任者というものを呼んで、売店の問題も私はまたあとで聞きますけれども、しっかりピリオドを打たなければならぬ段階にきておると思うのですが、当局は、これに対してどういう処置をおとりになるおつもりですか。
  72. 木田宏

    ○木田説明員 御指摘通りでありまして、私どもも、昨年の秋以来、文教協会の収支の問題その他はなはだおもしろくない実情にあるということで、協会理事に名前を連ねております大学事務局長関係者から、るる前後措置を講ずべきこと、またその方法等について意見を徴してきておるのでございます。せっかくこのように御指摘いただきましたことでございまするし、私どもといたしましても、こういう法人文部省のひざ元にあるということは、まことに不名誉なことであり、申しおけないことであるというふうに思っております。協会自体で何とか処置をとる方法というものを、理事の間で何らかの方向が出るならば、それを待って、その方向に沿ってということも考えて今日に至ったのでございますが、これもあまりじんぜん日をむなしくするわけにもいかない事情もあると思っておりまして、すみやかにしかるべき機会に善処したいというふうに、今いろいろと検討を進めておる次第でございます。
  73. 山田長司

    山田(長)委員 つけ加えて申し上げておくのでありますが、この売店の人たちは、さらに月賦販売の領域にまで手を伸ばして仕事を始めておるという。文部省の中にそういう存在があれば、これは世間的にかなり信用すると私は思うのです。こういう形のものが、どんどん事業の拡張をして文部省の中に居をかまえておるとすれば、これはやはり高利貸しだって一応信用して金を貸すでしょうし、すみやかにこれが処理をとるべきだと思うのです。これは実は大臣に聞こうと思ったが、ちょうど纐纈政務次官がおられることですし、政務次官でもけっこうですから、どうするつもりか、一つお聞きしたい。
  74. 木田宏

    ○木田説明員 ただいま月賦販売等のお話を承ったのでございますが、現在の実情は、ほとんど機能が麻痺しておるような状態でございまして、現在そのような活動をいたしておるということについては、私ども承知をいたしておりません。あるいはもし御指摘のようなことがあるといたしますならば、これはあらためて私どもうかつなことであったということになるわけでございますけれども、全般といたしまして、先ほど申し上げたように考えておる次第でございます。
  75. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 先刻以来、文教協会につきまして、いろいろと御指摘がありました。私も、実はこの問題につきましては、衆議院の文教委員会において質問がありまして、うかつでございましたが、実はその際初めて、こういう問題のあることを承知いたしまして、何とか早くこの解決に乗り出さなければならないという気持を持っておったわけでございます。ことに文部省といたしましては、民法によりまする法人設立の許可もいたしておるわけでございますし、いわんや文部省建物の中にあって、そして経営が非常にうまくいってない。しかも昭和三十年に経過報告として必要な書類が出た以後は、いまだほとんど成規の書類も出ておらないということにつきましては、監督官庁といたしましても、非常に責任のあることでございまするし、問題にもなっておるわけでございますから、ぜひこれは早く解決するような方法をということで、関係の係の方からもいろいろ事情も聴取してみたのですが、ただいま御答弁申し上げましたような形におきまして、きわめて複雑でございまして、なかなか思うように参りませんが、皆様方の御指摘にもございましたので、この機会に、ぜひ一日も早くこれの処理について努力を進めて参りまして、このもやもやが形よく解消することに全力をあげて努力をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  76. 山田長司

    山田(長)委員 この問題についての私の質問は、これで終わりますが、文部省の中にこういう存在があって、しかも、文部省関係者がこれに入っておるということから、なかなか処理ができずにいたのだと思うのでありますけれども、期日もきているのだし、ちょうどいい機会だと思うのです。それは、売店の問題、それから団体の問題についても、こうして公の機関が何年もの間、おそらくこれは理事会も開いてないし、評議員会も開いていないことは、事実だと思うのです。なお、この点は官房長が来たら伺いますけれども、とにかくそんな存在が文部省の中にあるということ、しかも警官まで出てきて、高利貸しともんちゃくをやるという騒ぎの中に入って、騒ぎのしずめ役をするということで、これでは、だれが考えてみても、あまりにも監督不行き届き過ぎると思う。これは決算委員会の問題になったのを機会にして、すみやかに処置をとられるように私は要望します。
  77. 久保田藤麿

    久保田(藤)委員 関連して。文教協会の問題が出て、ことに私の名前まで出たことでございますので、一言関連して、御質問ではなく、要望を申し上げておきたいと思います。  ただいま政務次官及び政府委員方の御説明を聞いておりますと、非常に積極的にこれに手を出したという態度がない。ほかの法人と違って、関係職員、ことに直轄の職員方の福祉を考えてできたはずの文教協会でありますから、もっと積極的な手だてがなかったというところに、今日の問題があるように私は考えております。ことに何か不正でもあるのではなかろうかといったような態度が、今日のようなあいまいな始末になってきたというのは争えぬ事実で、私もその事実を確認しております。不正がある、ないという問題の以前に、もっと積極的な態度で臨まれたら、少なくとも三十年以後の今日の姿というものは、解消できておったはずであります。ただいま政務次官から積極的にやるというお話でありますから、その点は大いに信頼いたしますが、不正があるのではなかろうか、あるいはもう一面、ほかの法人のように、預けておけば向こうがやってくれるという文部省法人に対する態度とは、全く別な態度で臨んでいただきたいことを特に要望して、関連を終わります。
  78. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど中断になっておりましたが、役務費から出すことは不当だと、会計検査院はそこではっきり申した。この件に関しては、どういう申し分が文部省側にあるか。各大学から三万円とか二万円とか預けたのは、役務費から出しているのは不当だと会計検査院が言っている。こういうようなことは、私どもの推定からいうと、これはやはり相当強い意思が働いて、出さざるを得ない形にして、大体額も師範学校とか、そういう系統のものは三万円なら三万円というような割当をずっとしたのではないか、こういう工合に思うわけです。その件に関し、会計検査院は、はっきり不当だと言ったが、それに対して申し分があったら言ってもらいたい。
  79. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 役務費から出資した点についてでありますが、最初にも申し上げましたように、文教協会目的事業が、文教関係職員の教養、福利、厚生等に関する事業を行なうというようなことでありまして、福利、厚生等に関する事業といたしましては、先ほど来問題になっておりましたうずら荘経営、あるいは文部省内における売店経営、そういったような福利、厚生の事業となったわけでありまして、その事業によりまして、国立学校の職員、あるいは文部本省の職員も、相当の便益を得たわけであります。そういう意味におきまして、当初の支出役務費という形で行なわれたということは、これは私は説明のできることだというふうに考えております。
  80. 西村力弥

    西村(力)委員 会計検査院のそれに対する反論があれば、伺いたい。
  81. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 不当といってきめつけるわけには参りませんけれども、無理だということを先ほど私申し上げたわけでございます。それで、そのあとで申し上げましたように、これは予算措置を講ずべきであったと私も思いますが、その文部省の弁明といたしまして、予算措置を講ずべきものであったということをその当時申しておりました、こういうことを申し上げたわけであります。
  82. 西村力弥

    西村(力)委員 とにかく不当とまで言わないにしても、適切でなかったということを検査院は認めている。われわれの常識からいうと、役務費というのは、そういうところに理屈をつけられる性質のものではない、こういうふうに思うのですが、しからば、この額が大体三万、二万というような工合に、ほとんど同じように出されておるが、それは何か、定款とまで言わないにしても、そういう基準というものが定められて、そういうことが、会員に、参加する各大学に通知されたのかどうか。これは何か上からのそういう規制というものが示されて、こういう形になったのだろうと思うのです。そういうところはどうなんです。
  83. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど申し上げました第一回の支出につきましては、私どもいろいろ書類を探したのでございますが、書類が見つかりません。第二回目につきましては、ある大学にございました書類が出てきたのでありますが、それによりますと、学校の生徒数でございますとか、そういった学校の大きさを基準にいたしまして、各大学に対する額をきめたようでございます。第二回目はそういうことでございますので、第一回目も、各学校金額が大体規模に相応いたして均一でございますので、おそらく何らかの基準があって、それに従って支出をお願いしたのではないかと思います。
  84. 西村力弥

    西村(力)委員 それじゃ次に、うずら荘を買い取った価格はわからぬということでありますが、買い取った年は何年ごろですか。これもわかりませんか。
  85. 木田宏

    ○木田説明員 文教協会が今のうずら荘を購入いたしました時期は、二十七年というふうに聞いております。
  86. 西村力弥

    西村(力)委員 それはちょっとうそだと僕は思うのですがな。うずら荘が教職員の共済組合の宿泊所になったのは、二十七年以前、そう思うのですがね。どうもその点が僕の記憶と違う。
  87. 木田宏

    ○木田説明員 公立学校共済が文教協会からうずら荘を買い取りましたのが、二十八年の五月でございまして、それ以前は、文教協会があの施設を使っておったわけでございます。正式に買い取ります前に、借りておったものかどうか、その辺のところは明らかでございませんですが、文教協会が買い取ったというのが、二十七年だというふうに仄聞をいたしております。   〔大上委員長代理退席、委員長着席〕
  88. 西村力弥

    西村(力)委員 仄聞では話にならぬが、二十七年以前に共済組合の宿泊所になっておったときに、僕は泊まった記憶があるのですよ。ですから、仄聞という程度のことだと、私の記憶が正しいかもしれない。まあそれはよろしゅうございます。  それから、こういう工合に、報告を求めてもこない、何が何やらわからないようになったのは、すなわち経理が相当乱脈の上、赤字が累積してどうにもならなくなったのは、いつごろからですか。そのときの主たる責任者はだれであるか。
  89. 木田宏

    ○木田説明員 昭和三十一年のころに、発足当初から運営をして参りました事業計画が、逐次思わしくなくなってきたことがございまして、三十一年のころから文協の再建の問題が関係者の間で話題になりまして、三十三年五月に役員の異動が行なわれまして、再発足をいたしたのでございます。その後、比較的順調に進んでおるように考えておりましたところ、先ほど御指摘のございましたように、三十四年のころから、一部いかがわしいとうわさを私どもも承知をいたしました。しかし、実際に決算の上その他で理事関係者がおかしいということを指摘し始めましたのは、昨年の三十五年の春でございます。三月の決算報告を求めました際に、現在でもそうでございますけれども、当時の常務をやっております清田氏から出ました決算報告に疑点があるということで、他の理事関係者が経理を洗い直させる必要があるということで、検討を始めたのでございます。
  90. 西村力弥

    西村(力)委員 三十一年ごろは、設立当初からの役員がずっと継続して役員地位にあった、それが三十三年に交代をした、こういうことですね。
  91. 木田宏

    ○木田説明員 設立当初以後、文部省関係者も、そのポストにつきました際に、文協の理事を担当するということになってございました関係上、文部省関係官が引き続きその事業をやって参りました。しかし、先ほど申し上げましたように、事業のやり方自体について、基本的に考え直さなければならぬということが問題になりまして、文部省の本省の関係者は、その改選の際に全部退きまして、新たな陣容でスタートした、こういうことでございます。三十三年の五月からは、役員はかわっておりませんが、ただ、その中でも、三十三年の五月に新たに入ってこられました荒川理事は、その後辞任をしておられます。
  92. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは文部省に限らないわけですけれども、「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」、この民法三十四条の規定によって認可した法人というのは、私の調べたところによると、文部省には驚くなかれ三千五百くらいあるはずです。その中で、昭和三十五年において補助金を交付した団体が、総数で八十三団体、この金額が二億五千四百万からあるわけです。さっき僕が申し上げた、この認可にあたって「法人業務ハ主務官庁監督ニ属ス」そして二の「主務官庁ハ何時ニテモ職権以テ法人業務及ヒ財産状況検査スルコトヲ得」という、こういう規定に基づいて、この三千五百という法人に対しては、監督の責任があなたの方にはあるわけです。従って、これは運営指導に当たると同時に、その職権による法人の業務報告というものは当然受けて、財産の状況を正しく把握しているということが、文部省のとらなければならない立場なんです。ところが、今問題になっているこの文教協会は、私の調べでは、千七百六万円の金を各大学から出させて——これは今問題になった役務費から出させて作った。こういうものは、各大学がそれぞれお互いにこういうものを作ろうということで作れるはずはない。これは当然、当時はあなた方文部省の当局が、こういうものを作ろうじゃないかということで作ると同時に、あなたの方も、少額であるけれども、三十万円の金を出してこれを作ったので、こういう趣旨、目的で作っているのじゃない。当時、まだ戦後の非常に物資の少ないときであって、文部省はそういう点は下手で何とも困るから、一つ文教協会というようなものを作って、各大学にも金を出させて、いろいろな物資を手に入れてやったら助かるだろうということで作ったのが、ほんとうだろうと思う。そして各大学も、それは助かることだからというので、それぞれの役務費の中から何万かずつ出して作った、そういう経過だと私は思うのです。その後、この協会ができると同時に、さっき言ったように、文部省の首脳部がこれにみんな入って運営していた。そこで私が言いたいのは、こういうものを作って——作ることが悪いというのではなくて、作って、少しくまずくなったり何かしてくると、基本的に考え直さねばならぬことになったから、本省の役人はこれから一切手を引いたと言うが、文部省が唱えて作って、少しくよくなくなったり何かしたならば、手を引く。自分らが作ったのだから、どう考え直さなければならぬか、考え直す点があったら考え直して、筋を立てていくようにしていくのが、あなた方の任務じゃないですか。それを一つもやらずにいる。ここには何か利害の対立、感情の対立があっただろう。それで言うことを聞かないから、おれの方は手を引いてしまえと言って、あとをめちゃくちゃにしてしまったのが事実ではないか。そこで私の言いたいのは、こういう文部省の態度、そういう態度のもとに、三千五百もこういう法人が作られてある。その態度で臨んだら、この三千五百のうちで、よくいっているときにはいいけれども、少しくよくなくなったら、文部省は手を引いたり、人の責任にしたり。この場合でも、質疑をしてみると、あなたの方では、まことに人ごとのような答弁をしておられる。報告を求めたけれども出ませんとかなんとか言っているが、そういうことで済む段階ではない。当然、あなたの方は報告をとって、それに対する善後の措置も講じてやるということが、文部省のとらなければならない建前だと思う。それを一つもとっていない。  それからもう一つ、これはお聞きするわけですが、さっきこれに対する納付金は、二十何坪に対して一万幾らかずつ入っているという話でありましたが、一万幾らというのは、一年の家賃のことですか、それとも一カ月のことですか、どうなんですか。
  93. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは、本年になりましてから、文教協会の場所が移転をいたしました。従いまして、分けてお話を申し上げたいと思います。一月一日から二月十日まで約四十日でございますが、この間の使用料が一万百八十二円、それから二月十一日から三月三十一日まで約五十日ばかりでございますが、この間の使用料が一万一千五百八十二円ということでございまして、年間の使用料ではございません。
  94. 小川豊明

    小川(豊)委員 すると、こういう取り方をするのにスペースで、坪で幾らときめて取っているのですか。それとも全体として月幾らときめているのですか。どういう算出ですか。
  95. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 坪幾らでございます。国有財産の台帳価格基本にいたしまして、坪当たりの単価を計算いたしております。
  96. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで文教協会ですが、この文教協会が利益を目的としないということは、当時としてはいいやり方で、必要な一つの機関であったかと思うのは、各国立大学使用する物品、特に付属病院等において使用する医薬品等を買って、そしてこれを売り上げて運営していたわけです。年間の売り上げが九千万円くらいあったのです。当然黒字でなければならない。黒字にする必要はないけれども、収支が合っていかなければならないにかかわらず、三千万くらいの赤字が今予想されている。二千五百万とも言うし、四千万とも言うが、私の方では、中をとって三千万くらいの赤字。そしてこの経理内容は、昭和三十二年度以降は一切不明だ。あなたの方へは決算報告等も、あまり出ていないわけです。そして各大学等に配給したフィルム代等は、文教協会として各業者からとって各大学へやったけれども、各業者に対してこのフィルム代を払えない。二千万円もつかえている。さっき山田委員が言ったが、文部省建物の中に文教協会という機関があって、ここで各大学へやるのだからというので、業者は持ってくると思う。それをやって、どこにどうしてしまったかわからぬが、それが二千万も未払いになっているということになってくると、これがよそにいるならいざ知らず、財団法人文教協会として文部省建物の中に事務所を持ち——事務所はどこだか知らぬが、売店を持って、そしてこういう業務をやって、物をどんどんとってやって、赤字を出して業者を引っかけてしまうということ、これはひとり文教協会に対する非難ばかりでなく、文部省の行政そのものに対する疑惑となって出てくるわけです。あなたの方では今、役員を呼び出しても来ないと言うが、一体役員を選任したり、それが適当であるかどうかということを認可したりするのは、あんたの方の監督、指導の権限の中に属することでしょう。そうじゃないですか。そうだとするならば、こういうことをそのまま放置しておくことが許されていいですか。あなたの方に監督、指導の権限がありながら、全く何もやっていない。そしてこういうふうな状態にしてしまって、国会で問題になったら、人ごとのように、何の報告もありません、私の方は手を切ったのです、こういう態度というのは、これは文教の府にある、いわゆる文部行政を預かる立場の人として、とるべき道ではないので、何と冷たい、因業なやり方かといわなければならないのであります。その点でここにいらっしゃる久保田さんは、当時文部省管理局長として、この設立委員をされておった人です。おそらく久保田さんから言わせても、私の言ったようなことを言いたいだろうと思う。ただ、自分が当時の関係者だったから、黙っておられるだけです。久保田さんが、おれがなりたいと言ってなったわけではなくて、文部省がいろいろ割り振りをやって、会計課長も入れる、管理局長も入れるといってやったのでしょう。そうして作っておいて、不始末をしたならば、私の方は知らないということになって、一般の世間に大へんな迷惑をかけて、今になったならば、もうそういうことならば、それは解散するのもいいでしょう。解散するとしても、自分ら文部省が肝いりして作った団体だと、私どもは見るのです。各大学がやろうとしてやったものではない。文部省が肝いりして作って、各大学事務局長をみんな評議員にしてしまって、それぞれに負担をさせて、自分の方も三十万出して、太鼓をたたいてやって、そして結果がこういうふうになったならば、今度は、私の方は知りません、存じません、あの連中のやったのがよくなかったのですと言う。今の質疑を要約すれば、そういうことになるのです。そういうことは文部省のとるべき態度ではない、ちゃんと始末をつけてやるのが文部省のとるべき道ではないかと思いますが、どうですか。あなたの方がそういうことをはっきりしなければ、私はもっと内部の事情を出してやりますよ。
  97. 木田宏

    ○木田説明員 発足のときにおきまして、ただいま小川委員から御指摘のありましたような経緯で、当時の経済状態等から勘案いたしまして、職員の福祉、厚生ということを主眼にしてこの協会が発足いたしましたことは、その通りでございます。その後数年にわたりまして、各大学の間で、この法人を作りました設立の趣旨に即して運営するように取り計らってきたのでございます。ただ、三十年に至りまして、このような協会に本省の関係者が直接関与することについて是非の論がございまして、その機会に改組をいたしましたことも、御指摘通りでございますが、もともとこういう協会につきましては、これは法人一般を通じてのことでございますけれども、法人理事役員は、特別の定めがしてあります場合のほかは、協会理事会自体で選任をいたすことになっておる次第でございます。この文教協会につきましても、協会理事の改選は、本省の関係者の辞任の申し出がありましたあとを受けまして、当時の協会関係者によりまして後任の理事を推薦したということになっておりまして、法人によりましては、寄付行為を認可いたします際に、理事の変更その他について文部大臣の了解というような法人もないわけではございませんが、ほとんどの法人が、それぞれの目的をもって、ある程度自主的に活動するものでございますから、一般的にも、法人役員につきましては、文部大臣が一々承認を与えるというような体制にはなっておりません。しかしながら、今御指摘がございましたように、こうした文部省関係者の福祉、厚生を主眼といたします法人を、文部省関係者で作りまして、しかも、文部省の構内にありましてその事業をやって参りましたものが、経理が不明朗になったということは、私どもとしても、非常に大きな責任を感ぜざるを得ない次第でございます。従いまして、先ほど山田委員からの御指摘に対しましてもお答え申し上げました通り、昨年来、理事に名前を連ねております大学事務局長関係者とは、何度となく会合いたしまして、現在の協会役員におきまして、この文教協会の今後をどうしたらいいかという方向を打ち出していくという努力を重ねてもらいまして、現在の関係しております大学事務局長である理事の人たちも、常務をやっております清田理事を中心にして、何とか今後の方途を見出したいということで協議を重ねて参りましたが、これまた先ほど申し上げましたように、的確な方途も見出せないままに現状に至っておる次第でございまして、協会自体の関係者においても、まず第一段としてとるべき措置というものが明確になされない場合に、私どもとしても、監督上の立場、また設立当初からの経緯のこともございまするので、この協会を通じて文部省自体としても御迷惑をかけている向きに対して善処をしなければならぬということで、諸事情を調査し、今後の方途を鋭意相談をいたしておるような次第であります。      ————◇—————
  98. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 この際、証人出頭要求の件についてお諮りいたします。  先ほどの理事会の決定により、国有財産の増減及び現況に関する件、特に大阪拘置所の用地交換の問題調査のため、来たる六月二日午後一時に、良島正浩君、細見育一君、及び大阪拘置所長、松本貞男君の三名を、証人として当委員会に出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認め、そのように決定をいたしました。  なお、出頭要求に関する手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。  なお、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  国有財産の増減及び現況に関する件、特に大阪拘置所の用地交換の問題調査のため、参考人として、来たる六月二日午後一時に、上野浩君の出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  101. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 質疑を続行いたします。小川豊明君。
  102. 小川豊明

    小川(豊)委員 最後に一つだけ伺って、時間もありませんので、結論を出したいと思います。  これはさっき言ったように、文部省が三千五百もこういう団体を作るということは、うわ気もはなはだしいといわねばならぬ。うわ気をして子供をうんとこしらえては捨て子をしてきてしまって、あとではおれの方では知らないのだというような態度では、これは文教の府とは言えないわけで、当然あなた方が責任を持って始末をつけなければいけない問題だと思います。そとで、衆議院の文教委員会で三月二十二日にこの問題が取り上げられたときに、質問に答えて荒木文部大臣は、ちゃんとすみやかに解決しなければならぬと答えているのです。それであなたの方に聞くと、二カ月たってもまだ何のめどもついていない。私は、ああいう答弁がなされているのだから、きょうこの問題が取り上げられるときには、その財務諸表決算書だけくらいは作って持ってきてあるだろうと思ってお聞きしていたわけだ。ところが、それがいまだにとれていないということですから、これはあなたの方の監督の権限と責任の上において、この通常国会の会期中にこれを取り寄せてもらいたい。そしてさっき次官が言われたように、これに対する解決策というものも、同時にそれと一緒に、こういうふうに解決するということを打ち出して、決算委員会報告してもらいたい。あなたの方で決算書や財務諸表をとるばかりでなく、それをこの決算委員会に出してもらい、同時に、その解決策についても、解散するなら解散する、こうして立て直すなら立て直すということを出してもらうということで、私は文教協会に関する質問を打ち切りたいと思うが、これに対して御答弁願います。
  103. 木田宏

    ○木田説明員 私どもも、毎年定期に出て参るべき財務諸表につきましての報告が滞っておりますので、三十四年以来三十四年、三十五年と、また三十五年度には過去のものについても全部ほしいということで、公文書でも要求いたしました。自後、昨年暮れ以来、担当者を何回か文協の事務室にも足を運ばせまして、その財務諸表の提出を求めて参った次第でございます。しかしながら、三十五年度決算につきまして、理事関係者の間に問題が起こりまして、以来、その財務諸表の確定自体ができない実情にございます。従いまして、先ほどの御指示があったわけでございますけれども、この会期中に先方から出て参りますならばいつでも御提示できるわけでございますが、出て参るということの見通しがございません。また、今後の方途につきましては、現在の債権者関係の考え方等をも、なお十分に検討した上で処置をすべきものというふうに考えております。私どもも、すみやかにということで鋭意提出を求め、調査を進めておる次第でございますけれども、この国会の会期中にという御指示に、確実にお約束をするという段取りに運びますかどうかわかりかねますが、できるだけの努力をいたして参りたいというふうに考えます。
  104. 小川豊明

    小川(豊)委員 ちょっとそれでは困るのです。私ども決算委員としては、今最大の努力をして、ほかの委員会と違って、月曜日からずっと休まずに開いているのです。そして三十三年度決算だけはぜひ上げようという努力をしておるわけです。そういう中で、いかに努力しても、決算の承認を与えれば、それであなたの方は免責されてしまうのだから、われわれとしても、疑問のある点はもっと調査もしなければならなくなってくる。今そういうふうに財務諸表もなければ、決算書もなくて、いろいろな事態が起こっていることを僕らは知っているのです。そういう中で、文教協会だけの問題で文部省を保留なんということになったら、文部省の体面もまずいことになるし、委員長だって、三十三年度を上げようというのに、そういうことは困るでしょう。だから、これはあなたの方で最大限の努力を払ってもらいたい。財務諸表決算書を、僕は出せないはずはないと思う。団体があって、そして各大学事務局長が、みなここの理事とか評議員になっているという。大学事務局長といえば、みなりっぱな人ですよ。それらのお方々が理事になり、監事になって、それで決算書を出せない。それじゃ、また再びもとに返ってしまう。一体何のためにあなたは監督しているかということになる。あなたの今の答弁を聞いていると、努力はするけれども、出せるか出せないかわからないという答弁でしょう。そういうものが出なければ、解決策だって出ないでしょう。そうすると、文部省一省のために——一省のためじゃない、文教協会のために、三十三年度決算留保なんといったら、問題でしょう。あなたの責任だ。出しなさいよ。
  105. 木田宏

    ○木田説明員 協会自体で決算書を作りませんことには、私どももいかんともなしがたい点がございます。そういう点で、これまでも累次にわたりましてその決算報告を求めて参ったわけでございます。今御指摘通り、私ども自身の今後の方途といたしましても、協会からの決算報告その他をもとにして考えなければならぬ点がございますから、そういう意味で、これまでも何回となく書類の提出を督促をして参りましたものでございまして、今後できるだけ努力をいたしたいと思います。
  106. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これは大へんなことだ。あなた方、監督しているのじゃないですか。それで、どうして三十三年度決算が出せないのです。聞き捨てならないことだな、これは。
  107. 木田宏

    ○木田説明員 私どもの監督いたしております法人で、決算報告を求めましてそれが出てこないというのは、まことに私ども自身としても当惑いたしますし、また困った事態なんでございます。私どもは、三十三年、三十四年、三十五年と、過去三カ年にわたりましての決算報告を求めて参ったわけでございまして、文書だけではらちがあきませんので、担当官を何回か事務室にまで足を運ばせまして、関係者にも、その書類の取りまとめと提出方を強く要望して参っておるのでございます。しかしながら、理事の間で昨年の七月以降満足な理事会が持てないというふうな状態にございますものですから、事務の担当者だけではいかんともなしがたいという返答でございまして、今日まで参っておるわけでございます。でございますが、これは私ども自体としてもぜひ提出してもらわなければならないものでございますから、できるだけの努力をいたしたいと考える次第でございます。
  108. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 三十三年度決算書の問題につきまして、ただいま御要求がございましたが、説明員よりいろいろ実情について申し上げましたことは、御了解をいただいておると思います。私の方といたしましても、ただいま小川委員お話のように、ぜひ一つ今国会中に何分の善処をすることのできるように努力をいたす所存でございます。
  109. 小川豊明

    小川(豊)委員 私が繰り返して言うのは、皆さんの方の答弁速記録で読んでみると、いつも善処するという言葉をどこの委員会のどの大臣も言っているんですが、善処されたためしはあまりないのです。そこで、この問題についてこう解決しますということを打ち出して、この会期中に出してもらわないと、われわれも上げるわけにいきませんよ。それで、今私の方の理事の諸君の意見でも、出ないならば、本人を証人としてここへ呼べという意見が出ておる。もし本人というか、理事を証人に呼んだら、この文教協会のボロがもっと出てしまって困るだろうと思うから、あなたの方が、人をやって決算書を作ってやって、出させればいいじゃないですか。それでこうしますと言ったら済むことだ。
  110. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと私が補足してお尋ねしますが、財団法人文教協会というものは、文部省の言うことを聞かないのですか。三十三年の決算書が出ないなんて、そんな協会は、理事というのだか、監事というのだか、私にはわからないが、それをあなたの方は認めているのですか。とんでもないことだ。これは社会党の諸君が何でも、断じて決算委員長が承認しない。暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後二時四十八分開議
  111. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  昭和三十三年度決算外三件及び昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、労働省所管について審査を進めます。  まず、労働大臣より、所管決算概要について説明を求めます。石田労働大臣。
  112. 石田博英

    ○石田国務大臣 昭和三十三年度及び昭和三十四年度の労働省所管決算概要につきましては、お手元に印刷物をお配りいたしてございますので、それによって御承知いただきたいと存じます。  何とぞ御審議の上、よろしくお願いをいたします。
  113. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 委員各位のお手元に配付いたしております昭和三十三年度及び昭和三十四年度労働省所管決算説明要旨は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承を願います。
  114. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて、会計検査院当局より、検査概要について説明を求めます。白木第三局長
  115. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 三十三年度、三十四年度の労働省所管の経理事項の概要を、きわめて簡単に申し上げます。  まず、一般会計におきましては、従来通り、失業対策事業補助金の検査に相当の重点を置いて検査をいたしておるわけでございますが、その結果は、従来同様、就労していない者に支払った賃金、または認証外事業使用した賃金等を事業費に算入して経理している事態が相当ございまして、三十三年度においては、一事項二十万円以上のものをあげると、国庫補助金の返納を要するものが二十三件、金額にして千二百八十余万円に上っております。なおこのほかに、失対事業事業主体が採択するにあたりまして、事業の内容あるいは設計等において、調査あるいは検討の不十分なために事業費を浪費する結果となっている事態がなお多少ございまして、ここにその四件を掲げてございます。内容は省略いたします。  なお、失対事業の作業能率については、従来からも検査報告に触れておりますが、依然として作業能率が十分でない事態が見受けられます。  なお、三十三年度においては、政府職員等失業者退職手当の支給についても検査をいたしまして、特に営林署等を対象にして検査をいたしました結果、実際に再就職したのにその届け出を怠っておる者に対して、事実の調査不十分のまま退職手当を支給している事例が、相当数ございます。なお、営林署関係は、その後法律の改正によりまして、営林署等において支給事務等を担当することになりましたので、このような事態はその後急速に減少しておるものと承知しております。  次に、特別会計について申し上げますが、労災保険及び失業保険の保険料の徴収不足については、これまた例年通り、相当多数の現場について、各事業場について検査をいたしました結果、労災保険につきましては、調査事業場の約七%に当たる四百七十五事業場で千四百万円程度の徴収不足を来たしております。失業保険についても同様の検査をいたしまして、その分は、調査事業場の一四%に当たる事業場につきまして約二千万円の徴収不足を指摘し、これはいずれも労働省において徴収決定を了しておられます。  なお、保険関係で、保険給付につきましては、失業保険の関係におきまして、再就職をしたのに引き続いて保険金の支給を受けておる事態が従来からも相当ございますので、この点について検査をいたしました結果、三三一号に掲記しておりますような事態があったわけでございます。  次に、三十四年度について申し上げます。三十四年度も、大体検査の対象、従いまして、検査報告の掲記事項も大体同様でございまして、失対事業においては、大体前年度と同様、就労していない者に対して支払った賃金、あるいは認証外事業に就労した者等を補助対象にして処理しておるものが相当ございまして、これは二十万円以上のもので三十件、金額にして千二百万円ということになっております。  なお、失対事業の施行が当を得ないものが一件ございまして、これは千葉県安房郡千倉町が施行した分でございますが、工事の施行が公共事業としてははなはだお粗末なものであったために、事業費を浪費する結果となっておるものでございます。  なお、その他採択に関する計画当を得ないものについては、その後相当に改善しておるように承知しております。  なお、三十四年度におきましては、失業保険金の経理に関しまして、不正行為が二件ございまして、一つは失業保険料の横領、もう一つは失業保険金等の支給に充てる前渡資金の横領に関するものでありまして、いずれもかなり長期間にわたって不正行為が行なわれておったものでございまして、金額も相当多額に上っておることは、まことに遺憾に存じておる次第でございます。  次に、特別会計について申し上げますと、労災保険及び失業保険の保険料の徴収も、従来と同程度の検査をいたしまして、ここに掲げておりますのは、労災保険では約千五百万円、失業保険につきましては約二千三百余万円の徴収不足を指摘し、いずれもその後徴収決定を了しております。  なお、保険の給付に関しましては、失業保険の不正事件について、やはり従来通り検査をいたしました結果、再就職をしておるのに引き続いて保険給付を行なっているものが約百三十カ所、金額にして千余万円をここに指摘しております。  以上、簡単でありますが、説明を終わります。
  116. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤委員 失業対策事業費の補助金の経理の問題でありますけれども、緊急失業対策法は昭和二十四年から施行されておりまして、補助金は事業主体の地方公共団体に交付されているもので、毎年同じことを繰り返し実施しているのであります。また、労働省当局も経理の事務を行なっていると思われますが、このように不当処理が行なわれるというのは、どういう原因か、大へん了解に苦しむわけでありまして、また不当として指摘されておるものの大部分が、不就労の者に賃金を支払っているということであって、認証外事業に就労した者に賃金を支払ったというもので、経理の単なる誤りではない、むしろ故意に行なったものであるというように考えられるのであります。特に福岡県では、二十九年から連続して指摘を受けておるようでありまして、どういうわけか、御説明願いたいと思うのです。それと同時に、労働省当局は、地方公共団体についてどういう指導監督を行なっているか、具体的に御説明願いたいと思うのです。それと同時に、指摘された金額というのは、回収されているのか、あるいはどういうことになっているのかという点についてのお答えを賜りたいと存じます。
  118. 石田博英

    ○石田国務大臣 詳しいことは関係事務当局からお答えをいたしますが、大へん同種の事例が重なっておりますことを残念に存じます。これは、失業対策事業それ自体の内包いたしておりまするいろいろな問題とも関連がございます。それからある場合におきましては、何と申しましょうか、力づくとでも申しましょうか、そういうようなもので既成事実化されて、それが押しつけられておるというような形もあるのでありまして、三十四年には、同種の違反行為に対して、文書をもって厳重に全国各自治体に対して注意を喚起いたしておる次第であります。詳細は、事務当局からお答えをいたします。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣がお帰りになるようですから、続いて次の問題をお尋ねしたいと思うのですが、この三十三年の検査報告によりますと、三二五号から三二八号の四件、いずれも失対事業の計画の問題でございまして、失対事業は、失業者がおるから、何でもやって金をやろうというところからやられているのではないかと思うのですが、やはり十年もたっておるのですから、経済的効果というものを考えてやらなければならないと思うし、そういう点を考えてみますと、この報告書に作業歩掛りの点が指摘されているわけでありまして、たとえば、しろうとがやるわけですからいろいろ問題があるでしょうけれども、これによりますと、作業歩掛りが三倍以上になっているのもあるし、福岡市の場合は、はなはだしいものは十五倍にもなっておるということでありまして、こういう点は、どういうことなんでございましょうか。
  120. 石田博英

    ○石田国務大臣 失業対策事業の現状、これは先ほどもばく然と申しましたが、問題が非常にたくさんございます。特に、もう十年もたちまして、定着されておるのでありまして、しかも、平均年令が非常に高いのであります。そこでもうそろそろ事業効果ということも考えなければいけないことは言うまでもありませんが、実態はそういうところにございます。そこで私どもといたしましては、年令を大体四十才から四十五才くらいまでの適当なところに線を引きまして、それより若い人とそれより年をとった人というふうに——年をとった人には、でき得る限り待遇をよくして、その年令にふさわしい仕事を向けていく。若い人には、職業訓練を施しまして、そうして常用工の方に向けていく。現在の実情では、日雇い労務というものは非常に人不足でございまして、失業対策事業以上の高い賃金で、仕事が実はたくさんあるのであります。ところが、年令層の高いところはどうしても無理でありますが、若い層も、今の状態ではなかなかそのまますなおにいかないというところでありますので、生活の安定向上に対する意欲を喚起いたしますとともに、やはり職業の訓練その他をやりたい。本年は、きわめてわずかではございますが、予算化をいたしまして、その方向へ踏み出そうと今いたしておるわけでございます。その原因といったようなものは、やはり失業対策事業に内包しております大きな幾つかの問題と、それから地方の自治体に対して、いわば力の交渉が重ねられた、その過去の既成事実がそのまま積み重ねられて、自治体としてもなかなか直し得ないというところにも、大きな問題があると存じます。しかし、これをほんとうに公正な道に戻していくのには、失業対策事業本体をもうそろそろ本格的に検討して、直していくべき時期がきたものだと私は考えております。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私のようなしろうとが、あまり内容について立ち入って説明しなくても、明敏な大臣はよく御存じだと思いますので、その点につきましては、十分な御検討をわずらわしたいと思います。  次に、職安の行政についてでございますけれども、この監察結果の報告に見られましても、職安の経費が不足をしておる。人員も不足だ。そして通信費についても、旅費についても、不足をしているので、部外の団体から負担を受けておるような事例がある。これは大へんけしからぬというようなことが出ておりました。職安の実態は、地方に行って参りますと、確かに予算的にいろいろと不十分な点があると思うのですが、これらについて、どうなんでしょうか、最近この職安の仕事の充実なり、あるいは予算的な面の裏づけというものは、どの程度御考慮されておるわけでございますか。
  122. 石田博英

    ○石田国務大臣 具体的な数字その他は事務当局からお答えいたしますけれども、御指摘通りでございまして、特に失業対策事業の多いところでは、それこそ早朝から勤務しなければならないというような状態であります。電話料その他にも不足をしておるというような事例もございます。本年度におきましても、できるだけ改善をいたしましたが、今後とも改善に努力をしたいと存じておる次第であります。
  123. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それからもう一つ、私が気がついた労災の問題でありますけれども、これも支払いが遅延していて、ときどき行ってみますと、むずかしい仕事をたくさんかかえておって 一つを処理するのにもなかなかめんどうなことをやっておるわけであります。しかし、公正妥当なことをやるためには、相当な労力と時間が要るわけでありますけれども、またここにも人がいなくて、そのために、ここで指摘をされておりますように、長い間——半年くらいたってようやく補償費をもらったというような事例が間々あるようであります。しかし、現実にはこういう災害を受けた人というのは、災害を受けた当座なるべく早い機会にもらいたいということでございまして、労働基準法の精神からいいましても、幾日間というようなことがいろいろな条文にあるわけでありますので、こういう点などにつきましても、せっかく御努力を願いたい、こう思うわけであります。
  124. 石田博英

    ○石田国務大臣 御指摘通り、労災保険特別会計におきましても、そういう事例がございます。ただ、努力によってできるだけ補いをつけますとともに、予算上の措置も、ある程度考究はいたしておる次第でございます。
  125. 小川豊明

    小川(豊)委員 大臣の時間がないそうですが、ごく簡単な問題ですからお伺いしますが、鉱山の保安行政というものは、現在通産省と労働省と双方で監督しておるわけです。しかしながら、最近の鉱山事故というものは、非常にふえるばかりといってはおかしいが、非常に激増しておるわけです。そこで、通産省と労働省の監督というか、区域分担というか、分担があるでしょう。分担区分というものは、つまびらかではないが、あるだろうと思うのですが、これは分担区分がある方がいいのか、一元化した方がやりいいのか、どっちなのか。この点一ぺんお尋ねしたいわけです。
  126. 石田博英

    ○石田国務大臣 労働基準法の関係する部門は、私どもの所管でございます。それから鉱山保安という方は、通産省の所管であります。私も地域的に具体的なことを詳細には知りませんけれども、鉱山の保安整備は、全部通産省の所管でありまして、労働時間とか、そういう労働基準に関しては、私どもの所管ということであります。これは昔から議論があったことでございまして、人間の命を預かることでありますから、全部私どもの所管に移すべきだという議論も、いつも聞くのであります。ただ、一番問題は技術的な問題で、非常に専門的技術を要する人の問題でございまして、そういう専門的技術を有しておる人を私どもの方で持つということは、いろいろ苦しい問題がございまして、かつて社会党内閣のときに、加藤勘十さんが労働大臣のときにそういう問題が起こって、非常に具体化されようとしてとりやめになった事実がございます。その後も、いろいろ問題があるごとに検討しておりますけれども、そういう問題でぶつかってきておる次第であります。どちらがいいかと申しますが、私どもといたしましては、所管の以前に、やはり石炭産業その他においては、もっと根本的に処理すべき問題がたくさんあるように思います。特に安全施設その他についての金融だけでなく、やはりもっとやりやすいように諸般の他の行政的な施策を行なう、それが前提ではないかと考えておる次第であります。
  127. 小川豊明

    小川(豊)委員 鉱山の保安ということを考えるときに、かりに石炭のことで言うならば、掘り出すのは通産省の方の関係になってくる。そこで通産省の関係内で労働省が保安だけを扱うとすれば、それは困難であることはよくわかります。しかしながら、いずれにしても、だれが何と言っても考えなければならないことは、労働者が安全に就労できることが根本でなければならない。従って、こっちはおれの方で担当するが、こっちは労働省だといって、その結果としてああいう事故が出てくる。これは何としても人命にかえられないことだから、保安に関することだけは、一元化していかないと責任が持てないじゃないか、私はこういうように考えるのです。  そこでお尋ねするのは、鉱山保安法の五十四条でいくと、労働大臣及び労働基準局長は、鉱山の危害防止について勧告の権限を持っているわけです。そこで私のお聞きしたいのは、労働大臣が勧告権に基づいて勧告をしたというのは、過去において夕張炭鉱の事故の際に一回出されたきりで、あとは出されていない。これは私の記憶だけなんだが、そうすると、せっかく勧告権がありながら、その勧告がなされていないとすると、これは空なものになってきている。お尋ねしたいのは、それ以外に勧告を出されたことがあるのかどうか。勧告を出す場合には、その勧告の時期は、事故の事前になされているのか、事後になされているのか。これは事後になされても、あまり意味がないことです。危険というものは、絶えず見回って、予想して、その前に勧告すべきであるが、事故が起こったからといって、大ぜいの人が死んだからといって、ああであった、こうであったといっても、これは追っつかないことで、この勧告権は、どういうふうに今まで使われているかということです。それから勧告権を高めるために、労働省ではいろいろ努力しているのは私ども認めるわけですけれども、聞くところによると、いろいろな問題があるが、末端の炭鉱へ労働省自身が調査に行っても、調査を阻まれたりなんかして、現実にはなかなか調査ができないということを聞いているのです。調査を阻むくらいですから、その炭鉱というものは、まさに危険な炭鉱だ。従って、何としても、それこそ調査をしなければならない。にもかかわらず、山のしきたりというか、何というか、暴力団みたいなものまでが雇われていて、その調査等を阻んでいるということなんです。それは事故がないときにはかまいません——かまわないわけじゃない。大目に見てもいいけれども、こういういろいろな事故が相次いで起こるときに、この勧告権とそれから調査権というものをもっと厳重に発動しないと、鉱山の保安というものは守れないじゃないか、こういう点から、この労働大臣の調査権や勧告権がどういうふうに行使されているか。さらに、この勧告権を高めるために、三十三年、衆議院の社会労働委員会でこれに対する附帯決議がされています。一点、二点、三点附帯決議がされているわけですけれども、この趣旨が生かされた勧告がなされているのかどうか、この点をお尋ねするわけです。
  128. 石田博英

    ○石田国務大臣 私どもの方で山の中に入ります場合は、衛生に関する基準法上の監督をするときだけでありまして、それ以外の場合は、通産省の鉱山保安監督官が入るわけであります。そういう場合に、ただいま御指摘のような事例があることを私どもは聞いておりますが、私どもの方の場合に、そう具体的な問題があったことは聞いておりません。鉱山保安監督官の場合は、しょっちゅうあるということを聞いております。  それから、私どものいわゆる勧告権でありますが、御指摘の三十一年、夕張炭鉱のときと、それから昨年の秋の豊州炭鉱のときに、勧告権を行使いたしました。これはしかし、残念なことには、今お話のように事故が起こってからであります。ただし、昨年度はその勧告に基づきまして、直ちに通産省と連絡をとって、こちらの要求の具体化について鋭意努力をしたのでありますが、その後不幸な事故がまた相次いで起こっておることを深く遺憾といたします。この問題は、私ども、鉱山の問題だけでなく、産業災害防止一般の問題として、産業災害なんかの場合に、安全監督官が調査をいたしまして、改善及び新設を命じなければならないという事態に立ち至りましても、結局金がないというようなことにぶつかる場合が非常に多いのでありまして、本年の予算編成にあたって、低利金融の道を講ずべく検討いたしました。ただ、本年の予算編成のときは、私どもの方も準備不足でございましたので、次の機会に延ばすことにいたしたのでありますが、先般の決議に基づきまして、これについて別ワクの低利融資が行なわれる予定になっております。ただ、石炭の場合は、将来買い上げることが必至だというような鉱山については、その買い上げられたときに天引きされるような金は借りないのが実情でありまして、これはむしろもっと根本的に調査をいたしまして、閉廃山をすべきものについては、もう少し断固たる措置をとっていただくことが必要だろうと思います。ただ、それ以下の、今度は買い上げの対象にもならないというような小山がございまして、これについては、私どもの所管ではございませんが、どうももてあましているというのが実情でございます。
  129. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お聞きしてわかったのは、石炭に限りませんけれども、工場等では、生産の拡大のために一生懸命努力をしている由に承るのです。しかしながら、工員、職員の保安のための融資というのは、誤った考えだろうが、死に金になると思って、なかなか受けないわけです。いろいろな事故が起こってくる原因もここにある。従って、通産省との関係にもなると思いますけれども、労働省としても、この点やはり保安施設に対する融資の道と、この金利、高い金利ではなお借りられないから、この金利を安くして保安設備を充実させていくということが、労働行政からいっても大切なことではないか、こう思うので、この点は、これは質問ではなくて私の意見になるが、そういう方を考えて御努力願いたい。  それから、これは大へんにあれだが、三十三年度、三十四年度会計検査報告を見ると、今まで長い間、農林省が一番ページ数が多かったのです。ところが、労働省のページ数がこれだけある。これは非常に敏腕をもって鳴る石田労働大臣のもとにおいて、会計検査院から指摘されるページ数がだんだんふえていくということは、手柄にならない。このページ数は、時間がありませんから一々事例をあげませんが、しかもこの中で、いろいろな災害その他で政府の補助金その他を食ったというのも悪いことだが、労働省関係のものは、そうではなく、労働者に給付しなければならない金を係や役人が食っているというのだから、これはそれよりたちが悪い。そういうのが、ページ数でかなりふえつつあるわけです。従って、この点の是正については、労働省としても、大臣としても、特に機関を動員して、この点なからしむるように努力を願いたいと思います。  時間だそうですから大臣に対する質問は、これで終わります。
  130. 石田博英

    ○石田国務大臣 御指摘の後段の点について、綱紀の粛正にさらに一段と努力をいたしたいと存じます。  それから、前段のことは、御意見の通りでありまして、本年度において実現をいたすべく、目下準備中でございます。
  131. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 委員の皆さんに申し上げます。労働大臣は、三時までの約束でございましたが、時間も延長されておりますので、退場することを御了承願います。  他に御質疑ございますか。——勝澤芳雄君。
  132. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十四年度決算報告不正行為の件でございますけれども、この前たしか法務省だと思ったのですが、五、六年の長い期間不正行為が行なわれておったのがありました。これを見ますと、割合長い期間であるようでありますけれども、この間に部内においても検査が実施されたと思うのですけれども、そういう検査の実情、あるいはまた、検査院自体この期間検査をどういうふうに行なっておったかということと、この事件を発見した端緒というか、この点を一つお答え願いたいと思います。
  133. 鈴木健二

    鈴木説明員 御指摘の不正事件は、三十四年におきます長野県の収入官吏の不正と尼崎安定所における職員の保険金の詐取、その二点だろうと思いますが、長野県におきましては、三十年四月から三十四年十二月、尼崎におきましては、三十二年六月から三十五年二月の間に行なわれているわけでございます。長野県におきます事故は、収入官吏が一般事業所から保険金をとりまして、それを着服して、それを操業的に、不正がばれそうになりますると、一部入れて、また他から取ったものを入れるというようなことを繰り返してきたわけであります。共謀者が二人ございまして、発見の端緒は、係長の方が転任した場合、下で共謀しておりました係員が、自分だけに責任を負わされるはめに陥るので、その係員から課長の方にこういうことがあると言ったことから、事実を調べてみましたところが、発見したというのが発見の端緒であります。  尼崎の事件につきましては、これは保険金のいわゆる支払い決議書を改ざんいたしまして、所長等の目をごまかしてその金を着服しておった、こういうふうな事件でございまするが、これは本人の素行等が相当派手だというようなことから、監察官の監察等によりまして調べてみた結果、事件を発見した、こういうふうな事態になっておるわけであります。
  134. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、二五六に指摘された長野県のようなことというのは、そういう転任という事態、申告という事態がなければ、発見できないような機構になっておるのですか。その辺はどうでしょうか。
  135. 鈴木健二

    鈴木説明員 先ほども申しましたように、保険料を納めた一般の民間の人に領収書を発行する。領収書は御存じの通りに二枚複写いたしまして、一部を本人に渡し、一部を持ち帰って書類にとじ込む、こういう形になっておるわけでございまするけれども、この事件では、保険料納付者の前では領収書を書く。その間に紙を入れまして、下の方、役所に出す分には写らないという格好になっておるわけでございます。従って、保険料を納める事業主から申告があるとか、あるいは自分は納めたのにおかしいということがなければ、発見しにくい事案でございます。従いまして、これにつきましては、保険料徴収に同じ人間を同じところに行かしておりますれば、なかなか発見しにくいので、その後そういう担当官を短期間でかえる、あるいはその受け持ち地域を常に、本人の自由にまかせずに、上司がきめてかえさせる、また、一般の人に対しましては、領収書はこういう形のものがいくんだ、領収書は二枚あって、その場合に、事業主の一枚にも、役所に持って帰るものに対しても、事業主の印判を押してもらうのだ、こういうふうな周知宣伝に努めることで、こういう事件の発生の防止をはかるというようなことをやっておる次第でございます。
  136. 勝澤芳雄

    勝澤委員 長い期間不正行為が行なわれた各省の状態を見てみますと、やはり人事の停滞といいますか、仕事が定着しておるといいますか、こういう点から起こっていることが多いわけであります。幸いこれは、そういう転勤という事態の中から、仲間割れということからわかってきたようでありますが、しかし、やはり制度の上からも、またそういうやり方の上からも、いろいろと善後措置を講じられておるようでありますけれども、やはりこういう長い期間の事故というものについては、一つ十分気をつけて、こういうことが起こらないような検討をいたしていただきたい、かように思うわけでございます。以上でもって私の質問を終わります。
  137. 小川豊明

    小川(豊)委員 今大臣が行ってしまって、大臣に聞きたいと思っておったんだが、時間がありませんで聞けませんでしたが、石田労働大臣は、三池争議の当時、あっせんにあたっては、炭鉱離職者の対策は万全を期する、こういうことを声明されておられた。これは非常な決意をもってやられたと思うし、この争議の解決に大きな力になった、こう思うわけです。そこでこの援護状況は、その後一体どう進んでおるか、援護対策というものが、一部にこれでは不十分である——これはやる方と受ける方だから、批判はあるでしょうけれども、不十分だという不満は、相当聞かされるわけです。そこでお聞きしたいのは、炭鉱離職者援護会の役員というのは、一体どんなメンバーで作られているのか。そしてこのメンバーの中には、労働者の代表というものも入れられているのか。あの声明に基づいて、その後離職者の対策がどう立てられたか、どういう成果をおさめられたか。離職者援護会の役員メンバーは、どういう人であって、労働者の代表がメンバーに入っているのか。この二点を伺いたい。
  138. 柴田栄

    ○柴田(栄)政府委員 失業対策部長からお答えいたさせます。
  139. 松永正男

    ○松永説明員 三池関係の離職者の就職対策の現状でありますが、三池関係の離職者につきましては、先ほど御指摘がございましたように、その離職に至る経過につきまして特別の関係がございますので、政府といたしましても、内閣に離職者対策推進本部を特に設置をいたしまして、関係各省の連絡をそこでいたしつつ対策を進めたわけでございます。三池関係の離職者といたしましては、いわゆる希望退職によって出た離職者が、千百十七人ございます。その後、いわゆる九月九日退職者でございますが、これが千百六十二人ございます。希望退職の関係の離職者につきましては、離職いたしました時期もやや前でございますし、それから会社関係等におきましても、この就職対策を非常に熱心にやりまして、大体就職をしつつある状況でございますが、九月九日の退職者の千百六十二人につきましては、三十六年四月二十九日現在の調査によりますと、就職いたしました者が百三十六人でございます。それからこの退職をいたしました人々の子弟で、たとえば退職された方がすでに年を相当とっておられるので、かわりに子弟の就職をさせたいというような関係で、子弟が就職決定いたしました者が八十人でございます。それから荒尾に総合職業訓練所を新たに設置をいたしたわけでございますが、この荒尾の訓練所を初め、大阪、小野田、熊本といったようなところの訓練所に入っております者が、現在二百三人おります。それからさらに今後職業訓練所に入りたい一これは時期的にいろいろ出て参りますのは、失業保険の受給期間が切れないうちに訓練所に入るのが理想でございますが、やはり離職者本人にとってみますと、失業保険の受給がぎりぎりになってきてからどうしようかというようなことになる場合が多うございまして、失業保険受給期間の進行状況によりまして、離職者の就職希望というものが今までばく然としておったのが、だんだん具体化してくるというような実情にございます。そこでその後、現在におきましてさらに訓練所に入りたいという希望を持っておられる方が、二百五十人ほどございます。これにつきましては、訓練所が大体三カ月ごとくらいに入所の時期が回って参りますので、できるだけ、訓練所入所につきましてわれわれの方もお勧めをいたし、そうして便宜をはかって、希望の時期に入所できるようにということをいたしております。なお、大牟田の労働省の出先機関といたしまして総合職業相談所というものを設置いたしまして、主として三池の関係の離職者を相手にして職業相談並びにその他の自営業等の相談にも応ずるという体制をいたしております。ここには、関係の職業安定所の職員のほかに、炭鉱離職者援護会の職員も出張をいたします。それから自営業関係では、県の商工部の職員も出張するというようなことで、総合相談をいたしております。就職を促進いたしますためには、相談ができるだけ具体的でなければならないという建前から、東京、大阪、神奈川、愛知等の需要地の安定所の職員を直接現地の相談所に派遣をいたしまして、ここへ具体的な求人をそれぞれ携行して参りまして、離職者に直接具体的な求人について就職の御相談に応ずるというようなことを、現在までに四回実施をいたしております。  そのほかに、現在二、三日中に実施をいたします予定は、すでに東京等に就職をいたしました炭鉱離職者の方並びにその奥さんというような、離職者で実際就職の経験のある関係者の方々にも現地に行っていただきまして、炭住の中に行って、実際の東京の就職の状況、それから就職先の生活の状況というようなものも、具体的に話し合って——現地の炭住の奥さんたちの反対というものが相当あるわけでございます。実際に現在の土地を離れるということについては、いろいろな反対意見があるわけであります。そういうものも具体的に打開していったらどうかということで、二、三日中にこの案を実行いたす予定にいたしてあります。  なお自営業の希望者につきましては、ハイヤー、タクシー等の関係事業につきましては、労働省があっせんをし、運輸省等がこれに協力をいたしまして、ハイヤー、タクシーの免許が、福岡において三池関係の離職者に対して最近におりまして、商売を始めておるという状況でございます。そのほか、果樹園とか、養豚、養鶏、採石事業、あるいは建築材料の製造業といったような希望を持って、現在これらの開業の準備をしておられます人が、約百人ほどございます。これらの自営業希望者につきましては、営業資金のあっせん等につきまして、離職者対策本部で関係各省協議をいたしまして、国民金融公庫から優先的に融資をする。それにつきましては、福岡、熊本両県におきまして、労働省と相談をいたしまして、その利子補給等の援助もいたすというようなことで、自営業の促進に当たっておるという状況でございます。
  140. 小川豊明

    小川(豊)委員 炭鉱離職者援護会というのがあるのだが、これは一体あなたの方が補助して作っている機関なのか。それともあなたの方の直接の機関なのか。援護会という名前なんだが、この機関は、どんな機関になっているか、それだけお聞きしたい。
  141. 松永正男

    ○松永説明員 炭鉱離職者援護会は、昭和三十四年の十二月に炭鉱離職者臨時措置法というものが制定されまして、この臨時措置法に基づくところの法人でございます。政府関係機関である特殊の法人でございます。その事業といたしましては、離職者援護でございますが、その財源といたしましては、政府からの補助金が半額、それから石炭合理化整備事業団からの交付金が半額ということになっております。なお、石炭合理化整備事業団の金は、業界からの負担金ということになっております。
  142. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お聞きすると、法人であって、政府の補助が半額だ。これはわかったのですが、三十五年二月から三十六年二月の一年間の業務取り扱い状況というのを見ると、月平均四千件、一カ年には四万六千件というのだが、これは人も四万六千人ということになるだろうと思うが、そこでここに、新規相談、あるいは再来相談相談内容等というものが、この取り扱い状況の中に掲げられておるわけだ。これを見ると、安定所への連絡はした、他機関への連絡はした、そういう連絡を見ると、一割にいってない——まあ一割程度ということですが、そうすると、九割というのは一体どういうふうに扱われておるか、報告はない。そこで、これは実際に就職ができたのかどうなのか。報告としてはこの数字は出されてないんだが、この点、あっせんの状況、就職の状況等はどうなっているのか、伺いたい。
  143. 松永正男

    ○松永説明員 炭鉱離職者対策につきまして、援護会の役割でございますが、まず、離職者対策といたしまして一番重点を置いておりますのは、広域職業紹介でございます。これは、政府が公共職業安定所を通じましてやる建前になっております。その第二の対策といたしましては、職業訓練でございます。これは、全国にあります公共職業訓練所においてやるという建前になっております。これも、政府の職業訓練の系統の機関でこれをやるという建前になっている。ところが、この広域職業紹介をいたします際にも、具体的には就職口がございましても、東京とか大阪に移転をする場合の移転費がない、あるいは住宅がないといったような事情が現実にございますので、この政府の広域職業紹介のうらはらになります仕事といたしまして、援護会において、こういった移転をする就職者に対しまして移転資金を給付をする、移住資金を給付をする、あるいは公共職業訓練所に入りました者に対して、訓練手当を支給をする、それから移住先におきまして、住宅のない者に対しまして、援護会において住宅の手当をするというような、政府の職業安定機関の表芸に対しまして、これを補う、そしてかゆいところに手の届くと申しますか、親切にお世話をする、政府の機関とうらはらにおいてそういうことをやるという建前で、援護会が活動しておるのであります。従いまして、就職あっせんの仕事は、安定所自身の仕事でございます。この安定所の活動機能に乗せるまでのいろいろの相談とか、お世話とか、それからまた先ほど申しました移転費の支給であるとか、あるいは訓練手当の支給ということを、援護会でいたしておるのであります。従いまして、援護会の業務といたしましては、具体的には移住資金を支給した件数、訓練手当の支給件数というものは出て参りますが、相談は、これはいろいろな面からの相談でございまして、具体的な就職状況は、安定所の方のあっせん機能の結果として出て参るわけでございます。それを申し上げますと、昭和三十四年度におきましては、広域紹介によりまして産炭地以外に就職しました炭鉱離職者が、三千五百三十一人ございます。それから昭和三十五年度におきましては、四千八百四人が産炭地以外に就職いたしております。就職先は東京、神奈川、愛知、兵庫、大阪といったような大工業地帯でございます。それから産炭地関係の県内におきましても、いろいろな就職口がございますので、そこに就職しました者が、約一万七千ほどございます。そのほかに、炭鉱離職者の子弟につきましても、安定所で広域紹介を行なっておりますが、三十五年度においては、四千九百六十六人の子弟が就職をいたしております。
  144. 小川豊明

    小川(豊)委員 詳細に報告してくれたのですが、私のお聞きしたのは、安定所の業務取り扱い状況というこれを見ると、今あなたの言ったのをなぜそれに載せないのか。新規相談に来たのか、再来相談に来たのか、相談内容は掲げてあるけれども、これは全件数の一割だ。あとの九割は、一体どうなっているのかということを聞きたいことになるのです。今聞いてわかったが、それならば、今後そういうものを出してくれれば、われわれはここでこんな手間をとらないで済む。  そこでさらにもう一点伺っておきたいのは、住宅確保奨励金というのは、あなたの方で取り扱っているのでしょう。これを見ると、これは数が少ないのだが、百四十六世帯に対して一千万ばかりの金を交付しているのです。これは一種、二種、三種、こういうふうに見ると、住宅の補助金ならいいけれども、これは住宅確保の奨励金です。それが一種で、一戸平均すると九万三千円です。それから三種というのは、一戸平均にすると一万四千円になるのです。一万四千円くらいでは——行く行く困るから相談に来るだろうが、一万四千円ぐらいの金を出して、今住宅のない者が住宅確保できるはずがないので、これはもっと実情に即した考え方をすべきではないか。  それから時間もあれでありますが、もう一点お尋ねをしておくのは、これはあなたの方にあんまり芳しい話じゃないのだが、最近社会保障関係の犯罪が非常に多くなってきている。三十六年五月五日の警察庁の発表を見ると、労働省関係で、労働災害補償法で最も大きな事件をあげると、奈良県の林道工事費で死亡者の補償金を騙取した。その金額が百八十五万円、それから三重県下では、発電工事の人夫費を医師と現場監督が結託をして四十一万円だましとっていた。それから失業保険関係で、山梨県では五十七万円、大分県では百三十二万円、最もはなはだしいのは、職業安定所の職員が二人で、二百三十六回にわたって三百八十三万円を横領しています。こういうふうに事件が、昭和三十年の四月から昭和三十五年の二月まで、五カ年間も長い間発見されなかったということは、一体あなたの方の労働省では、自身の内部監査というものをどういうふうにやっておるかということを疑いたくなる。こういう三十年から三十五年、とにかく五年間の長い間にわたって三百八十三万円も職業安定所の職員が横領しているのを、五年間もわからないということになると、労働省では一体内部監査をどうやっておるのか。そこでこれは、さっき私は大臣のいるときにお聞きしたがったけれども、だんだんこのページ数が多くなってくる。内部監査というものは、これは会計検査院に発見されるのが手柄じゃないので、少なくともあなたの方で自分で、できたことはやむを得ない——やむを得ないじゃない、できないことがいいのだが、できたことも自分で発見するのでなくちゃならないはずだ。それが五年間も発見できないでいるということになると、今度はあなたの方の内部監査の機構というものを疑うわけです。これはどういうふうに内部監査をやっておるのか。なぜ五年間も発見できなかったのか。この二点をお尋ねして質問を終わります。
  145. 柴田栄

    ○柴田(栄)政府委員 御指摘の点は、まことに申しわけない次第でございまして、今さら弁解を申し上げましても——決して十分でなかったということ以上に申し上げることはないわけでございますが、内部監査をもっと強化することによりまして誤りを少なくする。特に会計検査院指摘されて、やむを得ないなどというようなことは、もってのほかだと私も考えておるわけでございます。一面におきまして、全体の職員の労務管理の問題等にも関連いたして参りまするし、先ほど大臣も全体を通じて申し上げましたように、あるいは失対部長も申し上げておりまするように、やはり固定化あるいは長期化いたして参りまする職員配置の停滞等も、なかなか大きな原因にもなりはしないかとも存じまするし、まあ内部監査の機構等につきましては、あとで詳細に申し上げまするが、機構自体の問題ではなく、実際問題として、なかなか現在の人員では手が回らないんだというような点もありはしないかという感じがいたします。いずれにしましても、監査によって言い出す前に、そういう職員、あるいはそういう環境をなくするということをもっと努力しなければならぬのではないかというふうに考えまして、相談を進めて参りたいと考えております。監査の実情に関しましては、事務当局から一つ説明させますので、お聞き取りを願いたいと思います。
  146. 松永正男

    ○松永説明員 ただいまの前段の方の御質問でございますが、炭鉱離職者援護会の住宅対策といたしましては、二本立でやっております。一つは、炭鉱離職者を雇いました事業主に対しまして、実際援護会で作りました簡易な家を貸す——移動するパイプ・ハウスと申しますか、これを貸す。それから炭鉱離職者を雇いました事業主が、その離職者のために家を建ててやる、あるいはその離職者のために家を借りたいというような場合に、住宅確保奨励金を、補助と申しますか、支給するという二つの方法をとっております。ただいま先生御指摘になりましたのは、そのお金を支給する方でございます。これは第一種から第五種までございまして、第一種は、事業主がみずからの負担において家を建てた。これが十万円以内ということになっております。それから第二種は、産労資金を借りて家を建てた。これが六万円。第三種が、厚生年金の資金を借りまして家を建てた。これは四万円。それから第四種は、自己負担において増改築をした場合。一万五千円。それから第五種は、借家借間の場合。一万五千円。このような区分でやっておったわけでございます。現実の問題といたしましては、御指摘のごとく、それだけの補助金でなかなか家が建たぬという事情にございますので、昨年この改正をいたしまして、今までの運営の実情に合わせまして、この金額を引き上げました。それと同時に、種類があまり多過ぎるので、これを整理をいたしまして、三種類にいたしまして、自己負担で家を建てました場合は二十万円、産労、厚年等で建てました場合に十万円、それから借家借間の場合は二万五千円というようなことで、引き上げをいたしました。その他支給方法等につきましても、条件緩和をいたしまして、実情に即するような調整をいたしたわけでございます。
  147. 三治重信

    ○三治政府委員 内部監査機構について御説明申し上げますが、失業保険、労災保険両特別会計とも、膨大な金を使いますものですから、制度といたしまして、国には中央監察官制度、都道府県並びに都道府県労働基準局にも地方監察官がございまして、定期に監察をするようにしてございますし、現にしておるわけでございます。今回指摘されましたこの二件とも、発見するのはおそかったわけでございますが、会計検査院よりか、内部機構の検査で端緒をつかんで発見して、会計検査院報告して、こういうふうになった事件でございます。ただ、先ほど失業保険課長から御説明いたしましたように、との保険料の徴収の問題について、非常に新手を使われて、ちゃんと複写を取るようになっているのを、複写が下へ写らぬようにして、特殊な知能犯をやられた。これがわからなかった原因でございます。それからこの尼崎の事件なんかは、これはやはり本人があまりにも普通の公務員として挙措動作がおかしいということで調べてわかったわけなんですが、これなんかは、まさにもっと早く調べればまた当然わかることであったのではないかと感じておりまして、非常に申しわけなく思っておりますが、今後とも、こういう金を扱う人事につきましては、やはり定期的に分担の方面、方向をかえるとか、前後の監査、相互の牽制組織を考えるようにしないと、こういう事件がたまたま時を置いて出てくる。その間に、前の一ぺん出た不正のやつは、その手段は使われずして、新しい手段を考える、こういうふうな格好になりますので、われわれの方としても、常々監察官を、そうことをあとから追っかけていくのでなくて、先にそういう予防的な措置をとるように、毎年全監察官を集めて、それぞれ指導しておるわけでございますが、こういうふうになったのは、非常に遺憾に存じます。  なお、労災の関係につきましては、先生おそらく新聞からの御情報かとも思いますけれども、これもよくそういう特殊な人によって、わざと保険金を取得するというようなことが行なわれる。これは職員関係ではございませんで、労災の方の一番の悩みは、やはりそういうわざと自分または一部の者が身体に障害を起こさせて、それを労災の事件のようにして金を取るということが、間々行なわれるわけでございます。この場合には、特に第三国人を中心にした相当広範な事件でございまして、これも初め一部からわれわれの方も発見したし、警察とほとんど同時の発見でございましたのですが、なかなか巧妙な手を使われたわけでございます。今後とも、こういう部面につきまして、さらに不正の起こらないように努力して参りたいと思っております。
  148. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一つだけ資料のお願いをしておきたいのですが、委託費の中で労働関係調査委託費というのがあるのですが、三十三、三十四年度の分の明細について、なるべく早いうちに資料を出していただきたいと思います。以上です。
  149. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 本日はこの程度にとどめ、明日は防衛庁関係決算の審査を行ないます。  これにて散会いたします。    午後三時五十五分散会